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1971-05-18 第65回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十三日(木曜日)委員長の指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  日本国有鉄道に関する小委員       宇田 國榮君    加藤 六月君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       箕輪  登君    村山 達雄君       久保 三郎君    内藤 良平君       松本 忠助君    河村  勝君  日本国有鉄道に関する小委員長 徳安 實藏君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年五月十八日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 加藤 六月君 理事 徳安 實藏君    理事 箕輪  登君 理事 村山 達雄君    理事 斉藤 正男君 理事 松本 忠助君    理事 和田 春生君       石井  一君    唐沢俊二郎君       砂田 重民君    關谷 勝利君       細田 吉藏君    増田甲子七君       井岡 大治君    金丸 徳重君       内藤 良平君    田中 昭二君       宮井 泰良君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   池田 速雄君         通商産業省重工         業局自動車課長 大永 勇作君         通商産業省化学         工業局化政課長 吉田  稔君         工業技術院総務         部産業公害研究         調整官     山村 和男君         日本国有鉄道常         務理事     真鍋  洋君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     山本 幸一君 同日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     井野 正揮君 同月十五日  辞任         補欠選任   宮井 泰良君     鬼木 勝利君 同日  辞任         補欠選任   鬼木 勝利君     宮井 泰良君 同月十八日  理事河村勝君同日理事辞任につき、その補欠と  して和田春生君が理事に当選した。     ――――――――――――― 五月十三日  松本東京間航空路線開設に関する請願(林百  郎君紹介)(第五五六九号)  常磐線綾瀬、亀有駅停車に関する請願有島重  武君紹介)(第五六七八号)  同(伊藤惣助丸君紹介)(第五六七九号)  同(大野潔紹介)(第五六八〇号)  同(大久保直彦紹介)(第五六八一号)  同(竹入義勝君紹介)(第五六八二号)  同(多田時子紹介)(第五六八三号)  同(鈴切康雄紹介)(第五六八四号)  同(中川嘉美紹介)(第五六八五号)  同(松本忠助紹介)(第五六八六号)  同(渡部通子紹介)(第五六八七号) 同月十五日  東北新幹線の早期建設及び小山市に停車駅設置  に関する請願外十三件(小平久雄紹介)(第五  八四二号)  タクシー安全輸送確保等に関する請願(米原  昶君紹介)(第五九一四号)  同(青柳盛雄紹介)(第五九一五号)  同(浦井洋紹介)(第五九一六号)  同(小林政子紹介)(第五九一七号)  同(田代文久紹介)(第五九一八号)  同(谷口善太郎紹介)(第五九一九号)  同(津川武一紹介)(第五九二〇号)  同(寺前巖紹介)(第五九二一号)  同(土橋一吉紹介)(第五九二二号)  同(林百郎君紹介)(第五九二三号)  同(東中光雄紹介)(第五九二四号)  同(不破哲三紹介)(第五九二五号)  同(松本善明紹介)(第五九二六号)  同(山原健二郎紹介)(第五九二七号)  同(青柳盛雄紹介)(第六〇一四号)  同外一件(井野正揮君紹介)(第六〇一五号)  同(浦井洋紹介)(第六〇一六号)  同(岡田利春紹介)(第六〇一七号)  同(金丸徳重紹介)(第六〇一八号)  同(久保三郎紹介)(第六〇一九号)  同(小林政子紹介)(第六〇二〇号)  同(後藤俊男紹介)(第六〇二一号)  同(斉藤正男紹介)(第六〇二二号)  同(下平正一紹介)(第六〇二三号)  同(田代文久紹介)(第六〇二四号)  同(谷口善太郎紹介)(第六〇二五号)  同(津川武一紹介)(第六〇二六号)  同(寺前巖紹介)(第六〇二七号)  同(土橋一吉紹介)(第六〇二八号)  同(林百郎君紹介)(第六〇二九号)  同(東中光雄紹介)(第六〇三〇号)  同(不破哲三紹介)(第六〇三一号)  同(細谷治嘉紹介)(第六〇三二号)  同(松本善明紹介)(第六〇三三号)  同(山原健二郎紹介)(第六〇三四号)  同(米原昶紹介)(第六〇三五号)  同(井岡大治紹介)(第六二四八号)  岐阜市を通過する東海道線等高架化実現に関  する請願坂井弘一紹介)(第六〇三六号)  同(田中昭二紹介)(第六〇三七号)  同(西中清紹介)(第六〇三八号)  同(松本忠助紹介)(第六〇三九号)  同(丸山勇紹介)(第六〇四〇号)  松本東京間航空路線開設に関する請願下平  正一紹介)(第六二八二号) 同月十七日  タクシー安全輸送確保等に関する請願井岡  大治紹介)(第六四八二号)  同(大出俊紹介)(第六四八三号)  同(内藤良平紹介)(第六四八四号)  同(長谷部七郎紹介)(第六四八五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  名古屋駅前国鉄所有地ビジネスホテル建設計  画反対に関する陳情書  (第二九四号)  地方交通体系確立に関する陳情書  (第二九五号)  地下鉄谷町線を枚方市まで延長等に関する陳情  書(第二九六号)  過疎地域バス路線確保に関する陳情書  (第三四五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  陸運に関する件(自動車排出ガスに関する問  題等)  海運に関する件(内航海運標準運賃に関する  問題等)  日本国有鉄道経営に関する件(国鉄職員の給  与に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事河村勝君から、理事辞任いたしたい旨の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事和田春生君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 福井勇

    福井委員長 陸運海運及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。斉藤正男君。
  6. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私は、本年二月十六日、当委員会の冒頭にあたりまして運輸大臣所信表明に関するごあいさつがあったわけでありますけれども、それに関連をして、自動車の貨物の過積みの問題についてお尋ねをいたしたわけであります。その際野村局長からは、ダンプ規制法ができたことを契機にして自重計をつけることが義務づけられた、しかし、この自重計はその精度の点においてあるいは積み荷状態によって、必ずしも十分な能力を発揮していないというお答えがあったと同時に、自重計精度向上のために積極的な努力をいたしますというお答えをいただいたわけであります。そこで、その後自重計精度向上のためにどのような努力をされたのか、またこの自動車性能開発のためには、自動車工業会が持っている民間団体としての研究機関もあるようでございますし、また行政ベースでの、通産省関係におきましてもこういう問題については積極的な努力をされているということも聞いていますし、運輸省当局といたしましてもまたこの問題と積極的に取り組む、こういうお答えをいただいたわけでございます。  そこで、なぜ私は二月十六日のお尋ねをさらに深めて質問をするか。実は、今日すべての行政の面においてあるいはすべての研究の面において、追跡調査あるいは追跡研究といったようなものが繰り返されておるわけでありますが、私は執念として、この問題は解決するまでお尋ねをしたいと考えておりますので、二月に行ないましたお尋ねを本日さらに深め、さらに適当な時期にまたその成果と結果についてお尋ねをいたしたいというように考えておりますがゆえに、当時から今日まで、どのような配慮をしていただいたのかという点についてお尋ねをいたすわけであります。
  7. 野村一彦

    野村政府委員 斉藤先生がただいまお話しのように、自動車の過積み問題について、ここでただいま御発言になりましたような御質問がございました。私ども、それはよく肝に銘じておるところであります。したがいまして、われわれはかねてから過積み防止という問題についていろいろ努力をいたしておりますが、その中の一環として、ただいま御指摘自重計精度向上のための技術開発ということが一つの大きなポイントであるということは、私どももよく存じております。したがいまして、運輸省としてはこの問題についての格別の試験研究機関というものは残念ながら持っておりませんので、ただいま御指摘のような関係学術団体あるいは試験研究機関というようなところに、いろいろと研究開発をお願いするとともに、私どももその成果が得られますれば、それを利用して行政の面に生かしていくということでやっておるわけでございますが、率直に申し上げまして、あの時点からただいままで、研究開発上何らかの前進があったかということでございますと、私どもいろいろと関係機関として私ども技術者がコンタクトいたしておりますけれども、特に取り入れるべき成果といいますか、そういうものがあって、こうすればいいという結果をまだ得ておらないのはまことに残念でございますが、そういう実情でございます。  ただ、一点お答え申し上げたいと思いますのは、これは自重計ではございませんが、先生から御指摘のありました過積み原因につきまして、私どもいろいろと研究をしてまいりましたが、先生も御案内のように、過積み原因一つは、特に区域トラック等におきましては収入を上げるために、たとえば五トンしか積めない車が七トンも八トンも、場合によっては十トンも積む。これは前回先生指摘になったことでございますが、一つは、そういう間違ったことを収入を上げるためにやっておる。そこで私どもは、運賃制度のあり方といたしまして、トン単位運賃の立て方をこの際やめて、たとえば五トン車は区域トラックについては貸し切りにする、そして五トン車は、四トンしか運ばなくても五トン車分運賃をもらうという制度にすれば、収入を上げるための過積みというのは少なくとも実際問題として相当抑制されるのではなかろうかというようなことを考えまして、先般区域トラックにつきまして一部運賃の改正をいたしましたその一環としまして、運賃の立て方をトン当たり幾らではなくて、車の大きさそのものによってきめていく。これは区域トラックでございますが、そういう制度を実施いたしております。  技術開発のほうは、ただいま申し上げましたように、あの二月の時点から今日まで、ここで御報告申し上げられるような成果を得ていないことはまことに遺憾でございますが、引き続き研究していきたいと思っております。
  8. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 お答えをいただいたわけでありますけれども、この自重計車両保安基準によって指定をされている制度であります。したがいまして、精度のない自重計あるいは積み荷状態によっては表示を明らかにしない自重計というものが多いということであります。したがいまして、役には立っていないけれども車両保安基準によってつけなければならないからつけていればいいのだ、しかし実態積み荷の重さを表示していない、これは私は、ともすればありがちな行政の矛盾といいますか、基準できまっているからつけているにすぎない。しかし、それは何の効果も発揮してない。これではやはり非常にまずいであろうというように思うわけでございまして、何かアクセサリーに匹敵するようなものであって実効はあがっていない。こういう点を行政上どのようにお考えになるのか。つけてなければ、これは車両保安基準違反だということでどんどんやられる、役には立たないけれどもつけていればよろしい、これではどうにもならぬというように思うわけでございますが、その辺どのようにお考えでしょう。
  9. 野村一彦

    野村政府委員 先生指摘のように、自重計精度が非常によくない、それは残念ながら私どもの省令の中にも、自重計誤差というものを容認せざるを得ない客観的な情勢でございまして、そういう誤差ということを書いておるわけでございます。したがいまして、確かにおっしゃるように、これはいわば申しわけにと申しますか、つけているわけで、実際の警察の取り締まりあるいは業者の自粛というものの客観的な基準にはならないじゃないかという御指摘についても、まことにごもっともで、私どもその点まことに残念でございますが、やはりこういうものを装置をして、そして外部から見て客観的に、警官がそれによって取り締まりができる、あるいは業者自身がそれで見て過積み防止する、あるいは運転者がそれを見て積み荷を是正するということができるようにしなければならないことは当然であります。そういう意味で、現在の自重計精度が非常によくないということは、私ども行政当局としてもまことに残念なことでございますが、やはり基本的には、こういうものの技術開発を進めて性能向上させて、それが客観的に信頼できるものになるようなことを、一日も早く実現するということが目下の急務であると思いますので、そういう線で努力をしたいと思います。
  10. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 もう一つ、当時私は、自重計整備とともに、四トン以上のトラックにつきましては、過積み警告標示灯開発したらどうか、ある民間研究者によれば、この過積み警告標示灯開発されたといってもいいほどになっている、この過積み警告標示灯運転室の上部につけて、外部からこの車は過積みをしていますよということが、標示灯によって明らかにされるということがいいんじゃないか、これもぜひやれという要請をいたしたわけであります。御承知のように、ダンプには三点式の速度の標示灯はあります。しかし、これも必ずしも十分ではございませんけれども、やはり車両保安基準で、ダンプ等にはスピード標示灯はつけたわけでありますけれども、これと並行して過積み標示灯もつけろという質問に対して、やはり自重計開発が十分にならなければ連動式による標示灯連結も不可能だ、問題は自重計のほうだというお話があった。なるほど、この車が何トン積んでいるかということがわからない限り、連動式による標示灯というものも困難かと思いますけれども自重計開発とともに過積み警告標示灯開発も行なわれるべきだ、しかも、民間研究者によればほぼ完成をしているというようにも聞いているというお尋ねもしたわけですけれども、その過積み警告標示灯のほうは、どのような研究状態でございますか。
  11. 野村一彦

    野村政府委員 標示灯の件につきましては、先生指摘のようにこれを自重計連結をして、客観的に外部から見えるようにするということが有効に行なわれれば、非常に取り締まり等に有効であることは御指摘のとおりでございます。  ただ、先生もただいまおっしゃいましたように、一番基本になりますのは自重計精度向上ということでございまして、したがいまして、自重計精度向上しませんと誤ったといいますか、間違ったものが標示灯によって示されるということになりますと、これは結果としてかえってまずいことになりますので、私どもとしては、第一に自重計精度向上ということを急いで、そしてそれが相当の成果をあげました暁において、その標示灯との連係ということを研究して行政面に取り入れるということが順序であろうかと思いますので、ただいまの先生の御発言の要旨をさらによく検討いたしまして、御趣旨に沿うように関係方面の御協力を得なければ、これは私どもだけでできることじゃございませんので、今後ともさらに努力していきたいと思います。
  12. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 通産省から自動車課長に御出席をいただいておりますけれども運輸省には残念ながらこういうものの研究機関がないということで、行政ベースでは通産省が御研究をいただいているように思っておりますけれども、いま自動車局長お尋ねいたしました自重計開発、さらに自重計から連動式による過積み警告標示灯、こういうものの開発はどのような状態で進められておりましょうか。
  13. 大永勇作

    ○大永説明員 せっかくのいい制度が、自重計精度が上がらないために十分活用されないという点は、われわれとしてもまことに残念な点であると思うわけでございます。通産省におきましては、自動車業界及び計量機関係でございますので、計量機業界等協力いたしまして研究はしておるのでございますけれども、先ほど自動車局長から御説明がございましたように、まだ十分な成果をあげるに至っておらない実情でございまして、まことに残念に思うわけでございます。今後運輸省とも十分連絡をとりまして、早く成果があがるように努力してまいりたいと思います。  その場合に、おそらく問題になるのは、自重計のほうが非常にむずかしいと考えられるのでございまして、自重計の正確さが得られれば、それを連動いたしまして標示すること自体は、それほど技術的にはむずかしくないのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  14. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 どうも、この種の開発につきましては、たとえばスピードだとか、あるいは外観、あるいは内装、あるいはエンジンの構造、特に最近やかましい排気ガス騒音等につきましては鋭意研究が進められ、国際的にもいろいろな申し合わせや機関があって進んでおるように聞いておるわけでありますけれども考えますと非常に簡単なように思いますのに、自重計開発等が十分でないという点は、やはり自動車性能なりといったようなものに研究が集中をして、副次的に起こる過積みによる事故の発生等々につきましては、少し通産の姿勢も消極的ではないのか。あるいは自動車局自体姿勢も、せっかく基準をつくり取り締まりをやろうとしているのに、ぐあいが悪いということは、姿勢全体として私はやはりいただけないと思うのですよ。いろいろな御研究をいただいて成果をあげつつある、またりっぱな成果をあげておるということも評価はいたしておりますけれども、こういう問題こそやはりもっと金と時間をかけ、人材も投入して取り組むべきだというように思うわけであります。  御承知のように、最近いろいろな研究グループ化かされ、システム化され、集中的に行なわれておるわけであります。大臣ひとつぜひ、交通安全の上からせめてこの自重計、そして自重計に自動的に連動式による標示灯開発といったようなものを、グループによる研究を指定して短期間のうちに完成してほしい。今日の科学の力をもって不可能ということはないというように私は思うわけでございますけれども民間のアイデアを採用することもけっこうでありましょう。大臣所信をひとつ述べていただきたい。
  15. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、自重計を取りつける義務が一部の車に対してはあるわけでありますから、せっかくの法律によって交通安全を期しよう、こう考えておるのでありますから、お話しのように、自重計開発は非常に重要でありますから、積極的に通産省とも連絡をとって、あるいは民間研究グループがあればそれらとも十分連絡をとって、御期待に沿うように努力したいと思います。
  16. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 通産省としても、車の性能向上あるいは排気ガス騒音防止等々、当面重要な研究を進められ、対策は確立をいただいておるわけでありますけれども、この種の問題につきましても、もう一度課長の見解を承りたい。
  17. 大永勇作

    ○大永説明員 先生指摘のように、自重計というのは実は自動車部品屋さんがやっているのではなくして、計量機メーカーのほうでやっているわけでございますので、そういった自動車業界計量機業界、そういう異業種間の協力というのが、従来必ずしも妥当でなかったという点はあろうかと思います。そういう点につきましては、われわれといたしましても十分反省いたしまして、今後前向きに進めたい、このように思います。
  18. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 警察庁交通指導課長がお見えでございますのでお尋ねをいたしたいわけでありますけれども、二月十六日の段階で私が過積みの問題をお尋ねいたしました。そのときの御答弁として、過積載が直接の原因として起きた事故は、昭和四十五年度において八百三十件程度と思われるということでした。これは直接の原因で、間接の原因につきましては、これをはるかに上回っていることは理解できたわけであります。したがいまして、警察庁といたしましても昨年は十三万六千件の検挙を行なった。一昨年が約十万件であったので三万六千件の増で、検挙には十分力を入れている、こういうお話があったわけであります。たまたま春の交通安全運動が行なわれましたさなかかと思いますけれども東名高速道路で初めての過積みの一斉検査をやられて、摘発、指導をやったようでございます。この実態についておわかりでしたら、お教えいただきたいと思います。
  19. 池田速雄

    池田説明員 東名高速道路におきまして、春の交通安全運動期間中にやりました取り締まりにつきましては、神奈川県と静岡県でございますが、神奈川の場合につきましては厚木インターと川崎の東京バリア、この二カ所で実施いたしまして、その結果百六十六件の違反検挙いたしております。なお静岡県につきましては、足柄サービスエリア牧之原に、ことしの三月になりまして固定式重量計が設置できましたものですから、その台貫を使いまして合計百三十七件の検挙をいたしております。  なお本年、一般道路含めまして一月から三月末までに、すでに三万七千七百二十八件の検挙をいたしておりまして、昨年の一月−三月に比べましても約一八%ほどの増ということで、積載違反につきましては重点を置きまして取り締まりをやっているような次第でございます。
  20. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 やはりこの二月十六日の委員会におきまして、私は大臣に、ハイウエーにおける過積み取り締まり指導について、いろいろな方法があるのじゃないかというお尋ねをし、大臣も積極的に取り組むという答弁があったわけですが、いま伺いますと、東名高速道路では足柄牧之原固定式のはかりがすでに設けられて動いておるということで、積極的な取り組みにつきましてはこれを多とするものであります。  しかしながらこのときの答弁で、池田さん、ブレーキのきかない車を昨年も六万七千件検挙をした、こういうお話がございました。ブレーキのきかないというのは、車体そのもの整備の不良ということであるわけですけれども、私が特にきょうお尋ねしたいのは、定量積んでおれば車体整備は完全であるけれども、過積みをしたためにやはりブレーキ、制動がきかないという問題があるわけでございまして、一般の車両整備の不良というものと過積みによるブレーキの作動の不可能といった問題は違うわけでございます。したがいまして、定量積んでおればブレーキは十分きく、しかし、過積みをしたためにきくべきブレーキがきかないということがあり得るわけでございまして、ただ単なる六万七千件のブレーキの不整備という検挙だけでは私は意味がないというように思うわけでございますが、この辺の関連はどのようにお考えでございましょうか。
  21. 池田速雄

    池田説明員 整備不良車両の数につきましては、この件数はブレーキだけのものではございませんですが、一番重要なものはブレーキの故障であろうというふうに思います。したがいまして、過積みをいたしておりますとそのときの問題もございますし、それから徐々にそういうことが重なりまして先ほど申し上げましたような整備不良車両になる、こういうことも十分考えられますので、そういった車の状態、それから御指摘のように積んでおります状態、このものにつきましてはブレーキだけでなくて、非常にまた車両の安定性を害するというようなことでのいわゆる転落事故でございますとか、転覆事故等の原因ともなりますので、十分取り締まりを強化していきたい、こういうふうに考えております。
  22. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 わかりました。  そこで、私は二月十六日に過積みの自主申告ですね、運転者の意思ではないけれども、使用者あるいは荷主の要請により、私の車は過積みをしていますということを、交通取り締まりの巡査なりあるいは警察署なり派出所へ申告した場合には、ひとつ、例の違反の点数制がありますけれども、その点数をふやしてやれ、こういう建議をいたしました。点数をふやすことは無理といたしましても、少なくとも私は運転者に対する道交法の適用は除外すべきだと思う。このことによって過積みに対する荷主、あるいは使用者、あるいは運転者の取り組む姿勢が非常に違ってくる。たとえば、どろぼうを通報したりあるいは何か犯罪を通報すれば、ものによっては警視総監賞が出る、ものによっては警察署長がこれを表彰する、あるいは本部長が表彰するという制度があるわけですよ。過積み事故原因になることは非常に大きなウエートを持っておるわけなんです。したがって、私の意思ではないけれども、私の車は過積みをしているのですと申告した場合は、よし、君は道交法の適用はしないから大事に目的地まで行きなさいよという指導をするとか、荷主なりあるいは使用者に連絡をして、ここでおろせと言っても、しかし、おろすような場所がなかなかないのですよ。では、これを積みかえる車が来るまでここで待っておれということで運転管理者に通報をし、別な車が来て過積み分を乗せてスタートさせるというぐらいなことはやらなければならぬ。後ほどまたお尋ねをいたしますけれども、この過積みという問題は、先ほど自動車局長からお答えがありましたけれども、車の大きさで運賃をきめることが確立すればまた別。そうなってくると、五トン車へ七トン積む、五トンの料金を払っておるから七トン積んでやらなければ損だ、八トン車の料金を払うのだから十二トン積んでいかなければ損だというようなことは、荷主やあるいは使用者には相変わらずあるのですよ。私は、これがきめ手は申告制度であると思う。申告した場合には、やむを得ぬ、気をつけて行きなさいよということで、道交法の適用を除外するくらいなことは、これは道交法の上でもできる。いい面は拡大解釈してけっこうだし、もしまたいまの法律でできないというならば、道交法はしょっちゅう改正しておりますから最も近い期間にそのくらいの改正はさすべきだと思う。またできる。これが過積みに対する抜本的な対策であるというふうに思うけれども池田さん、いかがでございますか。
  23. 池田速雄

    池田説明員 過積み原因につきまして、運転者の責任のみならずあるいは雇用主でございますとか、あるいは荷主でございますとか、そういうものにつきましても社会的な責任がある、あるいは法律的な責任がある、これは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、先ほど御指摘の申告の制度につきましても、私どもといたしましてはできるだけ実際に運転しない前に申告していただく、こういうことが理想的であろうというように考えております。御通知を受けますとしかるべき措置をとる、こういうこともいたします。ただ、運搬された後でございましても、あるいは運搬の途中でありましても、当初は申告できませんで万やむを得ないが、そういう場合は、運転者につきましては、現在の法の許す限り十分情状の面では考慮いたしたい、こういうように考えております。  なお、点数の点につきましては、現在の制度が、非常に運転に危険と申しますか、あるいは交通の秩序を著しく乱す、そういうものにつきまして点数をつけて、ある一定点に達しますと運転の免許を停止する、あるいは免許を取り消す、こういう制度になっておりますので、若干なじまない点があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  24. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 運転者がスタートする時点には、使用者らしき人がいるとか、あるいは荷主らしき人がいるとか、なかなか申告しにくいのですよ、使われている身分としては。したがって、一応スタートしても、なるべく短い距離を走ったところで、交通指導をしているおまわりさんとか交番とか警察署へ申告をする、そんなことをすればすぐ首にされるというような条件は、われわれが想像している以上にきびしいのですよ。したがいまして、いまの答弁でも私は三割程度理解はできますけれども、一〇〇%理解というわけにはまいりません。道交法に関連をして、これはまた二、三カ月後の当委員会に、私がもしおるとすればお尋ねをいたしますから、ひとつまともに取り組んで、こういうことにいたしましたというような成果を生むように、御検討をいただきたいと思うわけでございます。  さらに、もう一つ重要な問題は、新日鉄の例を出してたいへん恐縮でございますけれども、新日鉄等は、なかなか強い要請が運搬業者に事実としてあるのであります。もしA社が過積みを容認しないという場合には、A社の指定を取り消して、それでは過積みをやるB社に運送を指定するというような事実も私は持っているのですよ。よろしいですか、これは荷主そのものが、運搬コストを下げるとか、あるいは一気に多量の輸送を可能ならしめるとか、あるいはすみやかに目的量を現地へ到達させるとかいうようなことから、想像以上のきびしい要請を運搬業者、運送業者にしているのですよ。その場合は、運行管理者を処分したって何にもならないのですよ。ところがいまの法令では、荷主が暗黙のうちに過積みを強要しているものに対しましては処罰の方法がないのですよ。こういう面は、法を拡大解釈しても、強制した事実があるとするならば、私はやはり取り締まるべきだというふうに思うのですが、いかがでございましょう。
  25. 池田速雄

    池田説明員 荷主の過積みの共犯的な立場に立つ者につきましては、私どもとしましても十分取り締まりをやるということで、鋭意努力しているところでございます。雇用者等につきましては、昨年の例を見ましても六千件以上取り締まりができておりますけれども、荷主を含みますその他の面につきましては、残念ながら百件近くの件数だったというふうに記憶しておりますけれども、実際検挙いたします場合に捜査上非常に困難な点ではございますけれども、いま御指摘のように、鋭意捜査いたしまして、証拠のあがるものにつきましては断固たる処置をとる、こういうことで処理してまいりたいというふうに考えております。
  26. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 二月十六日の段階でも、私は具体的にレミコン車の例をとって、しかも伝票までおたくへ差し上げてあるのですよ。しかも、あるレミコン車の運転者は、この車は過積みをいたしておりますので、ハンドルも切りにくいし、ブレーキも作動しませんという看板をかけて走っている写真も差し上げてある。こういうことから考えてまいりますと、レミコンならば、たとえば伝票を持っているのですよ。そして積載量はちゃんと表示されているのに、運転者が持っている伝票は一倍半ないし二倍を積んでいる伝票なんです。それから特に鋼材等の運搬も、それは運転者は必ず積んでいる荷物の伝票を持っているんです。八トン車で、これはどこそこの倉庫からどこそこの業者へ送る鋼材だけれども、実は十二トンだという伝票を持っておるんですよ。これらを裏づけていけば、だれが犯人であるかということは明らかに出ると思うのです。警察庁では、人手不足その他でそこまで手が回りませんだけでは、私は対策にならないと思う。なるほど証拠等をあげるのに不十分でありましょうけれども運転者並びに運転管理者に対しましては、かなりの検挙取り締まりが行なわれているのに、いまいみじくも告白されましたように、荷主までの摘発につきましては百件程度だというお話でありましたが、ぜひそういう伝票その他の捜査によって、真の犯人はだれかということを追及をしていただきたいというように思うわけでございますが、もう一度御答弁をいただきたい。
  27. 池田速雄

    池田説明員 過積みの点につきましては、現場におきます取り締まりのみならず、さらに御指摘のように捜査を進めまして、ほんとうに責任のある者につきましては、それぞれ刑事責任を追及できるように努力してまいりたい、こういうように考えております。
  28. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ここで私は最後の御質問になりますけれども、去る十六日、日曜日、愛知県におきましてパンク修理剤、キャスミックであろうといわれておりますけれども、車の中の温度が五十度程度になったかと思いますけれども、そのボンベが爆発をして車がこわれたという事件が、たまたま十六日、二件発生をしたのであります。一体パンクの修理剤であるキャスミックなるものが、室内の温度が五十度以上になれば片っ端から爆発をして車がつぶれ、それだけでなくて、もしガソリンに引火をしたりあるいは周囲に被害を及ぼすということになれば、重大なことであろうというように思うわけでありますが、一体そのパンク修理剤キャスミックなるものの実体は何か、そしてまた、これを事故防止という意味でどういう取り締まり指導をされようとしているのか、通産省の御見解を伺いたい。
  29. 吉田稔

    ○吉田説明員 御質問お答えします。  ただいま御指摘のありました件は、メーカーはトヨタ自動車販売でございまして、商品名は、お話しのようにキャスミック・パンクリペアというものでございます。商品の内容は、ゴムを揮発性の溶剤に溶解をさせておりまして、使用ガスはフロンガスでございます。それでこれの使い方は、パンクをしたときに噴霧状にスプレーをいたしますと大体穴がふさがる、そして走っておるうちに直るというような商品でございます。ただ、商品といたしましては、高温で長時間置いておきますと爆発をするということがございますが、実験的には、約六十度くらいの温度で十時間ぐらい放置すれば爆発をするということでございまして、通常の条件のもとでは、爆発をすることは予想されないことであるというふうに考えられます。  法律上の取り締まりといたしましては、高圧ガス取締法によって取り締まられておりまして、法律上の要件といたしましては、一平方センチ当たり十三キログラムの圧力に耐える容器であるということ、それからもう一つは、使用上の注意として表示するべき事項が数項目ございまして、たとえば、四十度以下のところに保管をしておけとか、火に近づけるなというようなことが四項目ばかりございまして、そういう表示上の注意義務を守るということの二点が義務づけられておるわけでございます。詳細は現在調査中でございますが、いまの法律上の要件については、一応満たしておるようでございます。  ただ、今後暑い時期に向かいまして、もし類似の事件が起きるようなことであれば、御指摘のようにきわめて重大問題でございますので、メーカーあるいはディーラーのユーザーに対する取り扱い上の注意の徹底、あるいはその他問題の容器、あるいは液の内容等についてさらに調査の上、行政指導すべきことがあれば当然行政指導しようということで、現在調査中でございます。
  30. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 新聞の記事によれば、名古屋消防局では、同修理剤は高圧ガスを使っているものの、容量が四百二十CCと少ないため、消防法や高圧ガス取締法の対象にならない、こういうように言っておりますけれども、そのとおりでございますか。
  31. 吉田稔

    ○吉田説明員 製造につきましては、高圧ガス取締法の対象になっておりますし、販売につきましても、いま申し上げましたような一定の要件、容器がどのくらいの圧力に耐えなければならないか、あるいは表示義務というものを法律上義務として課しておるという意味では、取り締まりの対象になっておるわけでございます。
  32. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これ以上追及はいたしませんけれども、よく昨年、一昨年と、木陰に置いた車の中へ赤子を置いて両親が外へ出てしまった。日が傾くに従って、あるいは太陽が動くに従って、置いたときには日陰にあった車が直射日光にさらされて、中で赤ん坊が死んだという例が続発いたしました。常識的に、密閉した車の中が四十度以上、五十度、六十度、七十度、八十度ぐらいにまでは上がるといわれておるのですね。にもかかわらず、表示には四十度以上のところに置いてはいけませんという表示しかない。これでは表示も間違いではないかというようにも思いますし、第一、車の中に置いて直射日光に十時間も当たれば、六十度以上で十時間以上も当たれば、爆発するというようなものを売らしてはいけないと思うのです。これはよほど注意しなければ、この種のものが数種類出ておるようでございますけれども、今後通産当局の御指導はどのようにしようとされておるのか伺いたいと同時に、時間がありませんので、先ほど野村自動車局長あるいは通産省自動車課長警察庁池田さんにも伺いましたし、また臨時国会でも始まったら、数カ月後になりますけれども、私ここへ来て同じようなことを伺います。追跡質問ですから、何としても執念としてこのキャスミックの問題は解決をしてもらわなければならぬというふうに思っておりますので、その覚悟で取り組んでいただきたいと思います。最後に、キャスミックに対する今後の対策だけを伺って終わります。
  33. 吉田稔

    ○吉田説明員 先ほども答弁いたしましたが、実態をよく調査の上、さらに行政指導したいと思いますが、とりあえずの問題といたしましては、メーカー及びディーラーに使用上の注意というものをさらに徹底させる、少なくともトランクケースに必ず格納するということは、とりあえずやるべきことではなかろうかというふうに考えております。
  34. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 終わります。
  35. 福井勇

    福井委員長 次に關谷勝利君。
  36. 關谷勝利

    關谷委員 委員長に、最初にお願いとしいますか、申し上げておきたいのでありまするが、大体昔の委員会というものは、なるべく委員発言をさして、足らざるところを理事が補う、そして完全な審議をするというのが習慣であったのでございます。ところが、最近の委員会は、発言は何か理事に限るかのごとき状態を呈しておりますることは、一般の委員が非常に不満に思っておるところであろうと存じます。したがいまして、委員会出席が自然に悪くなってくると思われるのでございます。多年の経験から申しまして、今後理事の諸君並びに委員長のお考えをわずらわしたいと思っております。これには答弁は要りませんが、よく胸にとどめておいていただきたいと思います。
  37. 福井勇

    福井委員長 ちょっとお答えしておきます。  ただいまの關谷委員の御意見は、ほんとうにごもっともでございまするので、十分尊重いたしまして、今後運営してまいりたいと存じます。
  38. 關谷勝利

    關谷委員 大臣、もうお帰りになってもかまいませんが、最初一言だけ大臣お尋ねをいたして御意見を聞いておきたいのでございますが、このごろのように経済、文化の急テンポに動いておりまするとき、人または物の動きが急増いたしておりまする際に、運輸行政というものは、その処理がきわめてスムーズに敏捷に行なわれなければなりませんが、どうも私が見ておりまするところでは、各局を通じて言い得ることでございまするが、いまの経済の動き等にはついていけないように、何と申しますか、非常にゆっくりかまえておりまするのがいまの運輸省状態でございます。方々へ参りますると、出願をいたしましてすでに三年以上にもなりまするが、まだ何の音さたもありませんという声をよく聞くのでございます。そういうことはぜひ改めていただきたい。三年も四年もかかっておりましたのでは、一九七〇年代のこの急テンポの時代には間に合わない。大体運輸交通行政というものは、経済の動きに先行しなければならないのが普通でありまするにもかかわりませず、いまの運輸行政はあとからあとからついていっておるのが、これがいまの状態で、まことに私は遺憾だと思っております。実力者のいまの橋本運輸大臣のときにため直してもらわなければ、とうていこういうことは直らない。大臣がひとつ腹を締めてこういう状態を直していただきたいと思います。御所見をちょっと伺っておきたいと思います。
  39. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話は、原則として許認可事項に関する事務の停滞の問題だろうと思います。  お話しのように、許認可事項というものはあまり複雑多岐、あるいは時間を要するような問題でありますと、いわゆる一般国民から、運輸行政その他一般行政等も同様でありますが、不審を抱かれる。これはまことに遺憾なことでありますので、ものによっては、昨年来から許認可事項の整理をやってまいっております。あるいは各種行政につきましてもできるだけ簡素化をいたしてまいりましたが、許認可事項を廃止することがむずかしい問題もあります。あるいは内航海運等のフェリーその他の許認可の問題につきましても、これは一つには既設の業者の立場というものもある程度は考えなければならぬし、そういうことからして、いわゆる慎重な態度をとる場合もありますけれども、原則としては、現代の産業開発あるいは物の流通状態の激動に対する対処のしかたというものは当然行なわなければなりませんので、お話のあった点については、行政上改革すべきものは思い切って改革していきたい、かように考えております。
  40. 關谷勝利

    關谷委員 あまりにも許認可事項が多過ぎる。何もかも許認可で縛っておる。しかも、それに対する助成措置は一つもない。押えるところだけは押えて何ら助成措置を講じてないというのが、いまの運輸行政の姿であります。私はこの際、大幅な許認可事項の撤廃をしていただくようにお願いを申し上げておきます。これには御答弁は要りませんが、そうお願いをしておきます。  それで、これから海運局長お尋ねしますけれども大臣、お忙しかったらお帰りになってけっこうですが、大手の関係、いまコンテナ競争等をやって、赤字の獲得競争のようなまことにふしぎなことをやっておりまするが、そういうふうなことにも触れたいのでありまするが、いままでの海運行政は大手偏重であって、近海、内航というものがとかく谷間に残されがちになっております。きょうは時間もありませんので、私は内航の、しかもその一部分についてのみお尋ねを申し上げたいと思います。  内航海運業法の第十六条に規定されております標準運賃は、どうなっておるのかということをまず承りたいのでございます。当委員会以外の場所ではありましたけれども、昨年の十月私がお尋ねいたしました際に、局長は、十月の末ごろまでには決定することを約束せられたことがあるのでございます。その際に他の議員からもお尋ねをいたしまして、年末までにはこれは決定するかと言いましたところが、とんでもございません、年末までかかるようなことは絶対ございませんと約束をせられたのでございましたが、いまもって決定しておらないのでございます。あの年末まではかからぬ、それまではかからぬのだというのは、翌年の年末であったのかいなという気がいたしております。約束をしておきながら実行もせぬ。そしてその間、実はああ言ったが実はこうなっているぐらいの中間報告でもあればまだまあまあでありますが、事務はそのままほっておきながら、その間に一回もそれに対しての中間報告もないというような、まことに不親切きわまる態度でありまして、私は深い憤りを感じておるものでございます。これに対してどうお答えになりますのか、まずお答えを願います。
  41. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  標準運賃につきましては、私たちは昨年、先生のおっしゃるとおりのことで、少なくとも年内には片をつけるというつもりでおりまして、そういう発言をいたした次第でございます。結果といたしまして、いまだにきまらない状況でございまして、まことに申しわけない次第でございます。  しかしながら、私その間何もしなかったわけではないのでございます。四十五年末には各荷主団体との間の話がきまるだろうということを私、申し上げたのでございますけれども、実は各荷主団体との話がこじれまして、結局年を越してしまったようなわけでございます。一月に初めて石連とか石炭協会とか鉄連とかと話がついたわけでございまして、その間しなかったわけではございません。一生懸命やったがおくれてしまったということでございまして、結果的には、まことに申しわけないと思っております。  それから、至急運審にかけるようにやろうと思ったわけでございますけれども、物価政策の問題等諸般の情勢がございましたので、私のほうの海運関係だけが独走するわけにいかないような四囲の状況に立ち至りまして、それでも多少おくれたわけでございます。それで、やっとこの四月の下旬になりまして経企庁のほうと話がつきまして、いま運審にかけておりますので、見通しといたしましては、今月末には告示ができる。非常におくれて申しわけないと存じますが、そういうような状況になっておる次第でございます。
  42. 關谷勝利

    關谷委員 五年前にきめました標準運賃をいまもって改正をしておらないということに対しましては、中労委あたりでもあきれ果てておるということでございます。こんな状態では船員問題は解決できないと言っておるくらいでございます。私も同感でございます。この情勢の中でベースアップをすれば、中小企業の船会社はつぶれてしまうことになるわけでございます。今度ベースアップをせられたのでありまするが、こんなことでやっていけるとお考えでございますか。仄聞するところによりますと、内航海運業者は二〇%以上のアップを要求いたしておるにもかかわりませず、新聞で見ますと、標準運賃改定は六月ごろまでは時期的にきまらないであろうといわれておるし、改定せられる標準運賃は、現行の三%ないし五%アップ程度を海運局は考えておるらしいというようなことが出ておるのでございますが、考え方とその基礎を説明していただきたいと思います。
  43. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいまお話しのように、四十一年の六月以来、実は標準運賃をいじっておりません。その間五年たったわけでございまして、この点につきましては、私どもたいへん申しわけないと思っております。私、実は昨年六月に海運局長に就任いたしまして、これはいかぬ、至急標準運賃を改定していこうじゃないかということでやった次第でございます。過去につきましては、たいへん申しわけないと思っております。  なお、標準運賃の値上げ率でございますけれども、最低は三%の分もございますが、最高は一〇%ということでございます。  それで、根拠でございますけれども、これは実は、現在モデル航路に走っております特定の型の船を調べまして、それのコストと現行の運賃との比較をいたしました。その結果、たとえば船員費はこうだとか、港費はこうだとか、燃料費はこうだとか、船費はこうだとかとコスト別に分けまして、これは非常に現実と差があるではないかという調査はいたしました。調査をいたしました結果に基づきまして、今度は船主関係の団体と御相談申し上げまして十分意見を聞きました。なお、その次には荷主さんの意見も聞くという手順を経たのでございます。その結果、最高が一〇%、最低が三%ということで関係方面の御了解を得たわけでございます。中には、二〇%も上げてくれという声もあったかと存じますけれども、そういうデータによりまして、そういうふうに一応御納得いただいたというところでございます。  なお、従来は、実はトン数の船型をきめないで一律に、どの航路は石炭はトン当たり幾らというふうにきめたのでございますけれども、これは実情に合いませんので、今回は船型をきめまして、たとえば二千六百トンなら二千六百トンの船型の石炭は阪神−若松は幾らというふうにきめました。したがいまして、船型がさらに小さくなれば、それは何%運賃が上がるというふうに含みを残しておきまして、そういう新しい方法を取り入れたのでございます。結果的にはそういうことでございまして、特定の船型につきまして大体最高一割ということでございます。ただし、これは四十五年度のいろいろな諸要素の原価を算定いたしたものでございますから、あるいは四十六年度もまた上がるかもしれませんが、一応それをもとにしまして今後の値上げあるいは賃上げ等を織り込んだ三ないし一〇%という次第でございます。
  44. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますると、船型が小さくなればなるほど運賃は高くなる。そういうことが実行できると思いますか。そんなことは内航ではとてもできるものではございません。またこれは、そんなことではどうにもならないということで、小さい船は切って捨てるということになってしまうわけでございます。それは五年前にきめたときでも、標準運賃は何らの資料なしにきめたものではございますまい。そこにはいろいろな計算の基礎があったと思うのでございますが、そのときの標準運賃と物価その他のスライド制で計算をした場合にどんな数字になるか、これは海運局もおそらくないとは言わないであろうと思いまするが、それでやった数字はどれだけになっておりますか、それをひとつ示していただきたいと思います。
  45. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 標準運賃でございますから、鉄鋼と重油と石炭三品目につきまして七航路ということ、これは前回と変わりございません。それにつきましていまのような計算をいたしました結果、たとえば鉄鋼で申しますと、京浜−阪神の現行五百四十円というのを、今回の改定では五百九十五円にしておるわけでございまして、これも上げ率が、要するに一〇%ということでございます。これは各航路、各品目別に現行と改定との運賃の指数の差が出ております。結果的にはそういうことでございまして、したがってその過程におきましては、たとえば船員費なりあるいは港費なりにつきましてそれぞれ計算しておるわけでございます。  これは全部を申し上げますとえらいこまかくなるのでございますけれども、たとえば関門と京浜の例で申しますと、鉄鋼を例にとりまして、二千三百トンから三千二百九十九デッドウエートトン、これらの船型につきまして、たとえば稼働率とかあるいは積載状況、船員の数とか性能を上げて見込んでおりますので、たとえば航海の所要の日数とか、それから、要するに荷役の時間の差異とか、そういったような航路面での差異を見込みまして、それからさらに、たとえば燃料消費量その他運航費用というようなことで一応それぞれに分析いたしまして、現行と改正案とを比較いたしまして算出したという次第でございます。
  46. 關谷勝利

    關谷委員 内航では一番大型ですね、そういうふうなものを標準にして、それで小さいものは切って捨てる、こういうことになりますね。もしそうでないというのでありましたならば、その船型のものでスライド制で計算した場合にはどうなるか。四九九あたりで計算をしたらどうなるか。これはきょうここで議論しても、あなたのほうで資料を持ってないかもわかりませんので、資料をひとつあとで出していただきたいと思います。四九九それから九九九くらい、これはデッドウエートトンなら千四、五百トンくらいのものでしょうから、そういうふうなものあたりを、それぞれ計算をしたらこうなるというものがあるであろうと思います。どうも私は、三%ないし一〇%というのは、そんなことで済むはずのものではないと考えておりますので、資料として出していただきたいと思います。  それから、今度の標準運賃昭和四十五年度を資料にいたしておりまするし、この間のベースアップというふうなものが含まれておらない、こう解釈するのですが、そうなりますというと、今度実行いたしまするのは一年おくれ、こういうふうなことになりますが、すぐに追いかけて今年度ので計算をして、それをやりかえるということになりますか。その事情が変わってきた場合には、これは直さなきゃならぬことになっておるのでございますが、それはどういうふうにお考えになっておりますか。
  47. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 最初に資料でございますけれども、実は小型船に換算した場合の資料がありますのですが、後ほど資料といたしまして御提出申し上げたいと思います。  それから二番目の点でございますが、実は今回の内航のベースアップは相当なものでございまして、一八%でございますか、約一七・九ですかのアップでございます。かなりのアップでございまして、乗船本給一人当たりにしますと約一万八十三円、それにさらに定期昇給が九百二十円ほどですから、非常に大きなベースアップでございます。実はこれほど大きいとは思っていなかったのでございますけれども、一応船員費の計算基礎におきましては、たとえば先ほどの関門と京浜の間の鉄綱の二千三百トンから三千二百九十九デッドウエートトンの船型につきましては、船費の中の船員費といたしまして、現行運賃では船員費全部で、これは船員の数が、職員が八名、部員が二十名ということで計算した分が現行でございまして、これに対しまして、職員が六・四名、部員が十六・一名ということで乗り組み員の数を減らしておりまして計算いたしました結果、船員費は現行が二千八百四十七万七千円というのに対しまして、改定案は四千四十万九千円……。
  48. 關谷勝利

    關谷委員 時間がありませんから、そういうふうな数字的なものは資料として出してください。私がいまお尋ねしておることだけを簡単にお答え願いたい。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 今回の標準運賃をいまきめようとして、月末に発表するというのでしょう。告示をするというのでしょう。それは四十五年度の資料に基づくものであって、いまの物価その他とは合わない。なお、ことしのベースアップは含まれておらないということになるわけですね。
  49. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 結果的には、いまの一七・九%という数字は見込んでおりません。ただし計算過程におきましては、二%くらい実はアップを見込んでおるのが一つの例でございます。
  50. 關谷勝利

    關谷委員 内航海運業法の第十六条第二項並びに第三項によりますと、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものでなければならない。」し、その「基準に適合しなくなったと認めるときは、これを変更する。」ことになっておるのですね。ところが、それは四十五年度の資料ですということになると、だいぶ前の資料になってくる。そして今度のでもそれほどベースアップが大きく来るはずではなかったということになりますと、考え方が大きく食い違ってきておる、こういうことになりますね。そうして外航が一四%程度でありましたが、今度は内航が一七・九というようなことになりますと、これはたいへんな上がり方で、外航の一四%だけでもこれを内航に引き直すと、一人当たり大体二万四、五千円というようなことになるわけでございますので、ずいぶん大きく影響するのですが、そういうようなことも入っておらない、また計算の基礎は四十五年度の資料である、それから五年間も変更しておらないということになっておりますと、いま決定するというのに三%ないし一〇%というようなことでは、これはとうてい追いつけないのだという気持ちをだれが考えても起こすのでございまするが、それに対しまして、今度わずかに三%ないし一〇%ということになりますと、今度告示はしますけれども実情に合うようにすぐ追いかけて今年のうちにこれは改正する、こういうことになりますか。
  51. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 おっしゃることはよくわかるのでございますけれども、すぐ上げるという前に、まずやはり実情を調べなければいかぬと思います。それで、たとえば三から一〇、これは非常に低うございますけれども、船の回転率も上がってきておりますし、船員の数も減っておるということでありますので、率は低いけれども、必ずしもそれがカバーしてないとは考えておりません。ただ、いまおっしゃった上げ幅の賃金率は、先生おっしゃったようなことでございます。  したがいまして、これは本年中にすぐ追って直すということではございませんけれども、実は実行運賃といたしましては、たとえば石油等につきましては、今度の賃上げのベースアップは織り込んで実勢運賃はつくるということに相なっております。これは全般ではございませんけれども、石油は特にそうなっております。全部の船がそうではございません。したがいまして、私どもといたしましては、すぐにこれを調べて、すぐに今年中に上げるということは、実はまだ考えておらないのでございます。
  52. 關谷勝利

    關谷委員 回転率のことをだいぶ言っておられるようでありまするが、回転率が去年とことしでそんなに急に変わるというふうなこともないはずでありまして、それが一挙に一カ月に一〇%も二〇%も稼働率を上げるというようなことは、とうていできるものではありません。それをそういうふうに計算しておるということは、米価のように逆算をして出しておいて、それから計算をしたいわゆる逆算方式だというふうに私たちは考えておりまして、そんなことはおかしなやり方であります。それなら、そういうふうな船が、どことどことの間の航海でどれだけやっておったものが、現在どんなようになっておるかということを資料で出してみてください。いまのように内海を航海する船もふえておりますし、フェリー等がどんどんふえておりまするときに、スピードアップができるというわけでもあるまいしするので、航海率がどんどん上がっておるということはおかしい。それで、今度の標準運賃の際に航海回数がふえておるというようなことは、これは米価を決定いたしましたのと同じで、逆算方式でやっておるのだ、こういうふうに思っております。これは以前、四十一年に決定をいたしました際には何航海で計算をしたが、今度の場合には何航海で計算をしたのだということを、ひとつこれも出していただきたいと思います。  それから、いますぐには、ことしはやれないというふうなことでありましたが、去年やったんだからよかろうというようなことで、来年あたりほうりっぱなしにする、また五年間もほうりっぱなしにするというようなこと、そうしてそのときに行き詰まってくると、これは航海回数をふやしたんだというようなことでまた押えていくというような、まことに何といいますか、いまの運輸当局のやり方は、弱いところばかりを押えて、大きなところへはまことに手厚いというのがいまの状態でありますが、私はまことに遺憾に思っております。これは調査もしなければならぬと言いますけれども、いままでに、今度の標準運賃をつくるのに調査ができておるはずでありますから、その調査を比較してみまして、急ぐときでありましたならば、スライド制でやっても差しつかえないと思います。そういうふうなことをやれば、今年じゅうにやれぬというようなことはないはずだと思いまするが、これは追いかけてやってもらいたいと私たちは思います。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 内航海運あたりがどれだけ困っておるかというようなことは、局長はあまり十分御存じないのかと思いますが、追いかけてやれるのかやれないのか、やってみようという気持ちがあるのかないのか、ひとつそれを伺っておきたいと思います。
  53. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 私、申し上げましたのは、その意欲がないわけじゃないので、意欲はもう大いにあるのでございますけれども、時間がかかるということでございます。ですから、いまのようなスライド制のようなものを適用いたしましてやれば、これは私できると思います。いままでのようなやり方でやりますと時間がかかるということを申し上げたのでございまして、意欲は十分ございます。その点ひとつ御了承おき願いたいと思います。
  54. 關谷勝利

    關谷委員 あれだけ大きなベースアップもあったりいたしましたので、こういう特別の場合でありますので、どうしても早くやってやらなければ、内航海運というものは立っていかない。ことに大型の標準運賃にしたというようなことでは、それは船型の小さいものはやっていけるはずはないのでございます。そこにもやはり運輸省の、小さいものをいじめ倒すというような、弱いところを押えつけるという——これからの行政は谷間に置かれておるものを助けてやる、これがこれからの行政でなければならぬので、権力主義に立って小さいものは押えてしまって、大きいものを標準にしてやるというこの行き方は、私たちはどうもふに落ちない点があるのですが、これから先は小さいものの標準運賃を決定して、そうしてトン数がふえるごとに逓減をする、こういうふうな方法を考えてみることが一番親切だし、世間に対しても、なるほどとうなずかれるのですが、世間がうなずくようなそういうやり方をとってはどうですか。大きなもので標準運賃をつくって、そして小さいものはなくなってしまえ、小農切り捨てというようなやり方をやるということは、これはどうも私たちはふに落ちませんが、やり方を変えてみたらどうですか。たとえば四九九を、これを標準というようなことにでもして、そうしてそれから大きくなったものは、大きいので運賃は割り安になる、こういうふうなことで逓減方式でやっていくというような考え方が一番、世間から見てもなるほど思いやりがあると思うのであります。その大きい船を持っておりますのは、みんな大手の子会社なんです。そういうふうなものばかりが、しかも、いろいろあとでまた触れますが、大手からの援助を受けながらやっておるもの、それを標準にして、小さいものがやっていけるはずはないのであります。  そこらに、あなた方が実際とは違った標準運賃を決定する。しかも、五年目にやるのに今度また一年おくれです。次はいつやるのか。意欲はあるけれどもなかなか時間がかかって間に合わぬ。それじゃあんまりつれないやり方だという気持ちがいたします。これについてどういうふうにお考えになりますか。
  55. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 決して大きなものだけを目安にしてやっておるわけではございませんで、先ほど私、例にとりましたが、鉄綱の関門と京浜の間がたまたま二千三百から三千二百九十九デッドウエートトン、たとえば重油でございますと、徳山・下松−阪神間の船型が四百から五百九十九デッドウエートトン、それから石炭は、関門−阪神につきましては六百から八百九十九デッドウエートトン、大体その航路で数の多いものを実はとったわけでございまして、大きいものだけを採用したわけではございませんので、この点ひとつ、私は説明不足でございましたけれども、御了解賜わりたいと存じます。  それからなお、運賃値上げにつきましては、五年間ほうっておいたことは、先ほど私、申し上げましたようにたいへん申しわけないと存じますが、今後はできるだけ早く、現状等考慮いたしまして、値上げの手を打っていきたいという姿勢でいきたいと存ずる次第でございます。
  56. 關谷勝利

    關谷委員 できるだけ早くというその意味は、できれば今年中にも再びやるというふうに了解していいですね。
  57. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 準備ができればですね。あるいはまたスライド制という新しい方法があるいは考えられるかもしれませんけれども、ぜひ検討したいと思います。
  58. 關谷勝利

    關谷委員 標準運賃を決定いたします際に、従来やっております海運局のやり方というものは、大手の船会社や荷主が持っております子会社の船を標準としてやっておることが多いのであります。そうして一般の小さな船主あたりが、これではやりきれないから標準運賃を上げてもらいたいが、というようなことを言いますと、どこそこの船はやっておるのに、それでやれないことはないじゃないかと言うて、どこかの船を示された。それを調べてみますと、これは住友金属の子会社であったり、川崎近海であったり、八幡船舶であったり、そういうふうなもので、それはメーカーの子会社的なものであって、しかも、人件費あるいはその他いろいろな面において保護せられておる。そういうものを標準にして、それで、これがやれるのにおまえたちのところはやれぬことはないじゃないかというふうなものの言い方をしておる実例があるのですが、そういうふうなことであったのでは、小さい船主はみんな倒れてしまって、そうしてみんな子会社船とかあるいは自家用船というふうなものになってくるので、運輸省がやるのはインダストリアルキャリアではないので、コモンキャリアでなければならないのであります。そういうふうなものでこのような標準運賃のきめ方をやってもらっては困る。そういうふうなことから、あなた方の頭には三%ないし一〇%というものが出てくるのではなかろうか。中小船主に対しては非常に過酷なやり方である、こういうふうなことを考えるのでありますが、今度標準にとられた中に、そういうふうなものが入っておらぬと言い切れますか。
  59. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 必ずしも、大手メーカーのいわゆるインダストリアルキャリアだけではございませんので、コモンキャリアも、やはり船主団体を通じまして意見をとっております。ただ、そういったような御批判があるかと存じますが、今後ともその点につきましては、できるだけ実際の声を聞くように、さらに努力をしていきたいと思います。ただ大手だけをとっているわけではございません。
  60. 關谷勝利

    關谷委員 海運局の態度を見ておりますと、通産省をおそれ、経済企画庁に気がねをし、海員組合にひれ伏し、荷主の顔色のみをうかがいながらやっておるというのがいまのやり方であって、中小船主のことは一切考えておらないというふうな態度がどうもうかがわれていかぬのでありますが、き然たる態度で臨むように勇猛心を起こしていただきたいと思います。これは希望でございます。よく胸にとどめておいてくださいよ。  それから次に、もう時間があまりありませんので簡単にお尋ねをいたしますが、旅客定期航路事業、フェリーも含めてでありますが、こういうふうな運賃改定等について申請をいたしましても、二年、三年くらいもかかる例が多いのでございます。それから免許事業等につきましても、三年、四年たたなければできないというこのやり方というものは、あまりにもひど過ぎる。時間がありませんので、いろいろ実例をもってお尋ねしたいと思ったのでありますが、そういうことは差し控えますけれども、たとえば、一つの航路に対しまして、あるフェリー業者が出願をいたします。それは、そこに必要性があってそういう事業をやろうという意欲がある者が、いろいろ考えて申請をした。ところが、海運局ではそれを何とかかんとか言いながらほうりっぱなしにしておく。一年も一年半もたってくる。そうすると他の者が、あれも申請しておるのだから、こちらも申請しておったならば割り込みができるかもわからない、こういうふうなことから、あとからあとからと三つ四つ出てきて、一つの航路に対して五つも六つもの申請者が出てくる。そうなると、海運局では頭がこんがらがってしまって、どうにもならないということでさらにほうりっぱなしにする、こういうふうなことになってますますおそくなる。こういうふうなのがいまの実情であります。具体的な例を示せと言えば幾らでも示してあげますが、そういうふうなことになって、三年、四年というようなことに目がたってしまう。三年前の状態とその免許になるときの状態とはうんと変わってくる。そうすると、最初には、かりに五百トン、六百トンくらいのフェリーの申請でよかったものが、いまでは千五百トン、二千トンでやらなければならぬという変更をやらなければならない。それに対しては変更も認めない。これは申請のときのままでなければならぬ。いまのようなテンポの早いときに、昔のことに属するような、ようよう三年も四年もたって後に審議せられる、こういうふうな状態であります。海運局長覚えがありませんか。  そういうふうな実例が、私が知っておるものでもたくさんあるのでありますが、そういうふうなことはもう少し早く能率をあげるようにしてはどうですか。ひどいのになりますと、既存業者のそれと完全に並行しておるのではないのに、大体方向が合致しておるというふうなことから、既存業者の同意をとってこいというふうなことを業者に言うておるのです。そんなことができるはずのものじゃありません。そんな仕事は海運局がやらなければならぬ仕事であります。それもやらぬのだったら、出先の海運局も本省も何にも要りません。大ぜいの人をかかえている必要はないのですが、そういうふうなことをやっておる。まことに無責任きわまるようなことをやっておるのでありまするが、もう少し事務能率を上げてみたらどうだろうか。もう局長あたり何十年もそれになれておられると、それでいいのだというふうに考えられるかわかりませんが、昔局長課長や何かをやっておった当時といまとはテンポが違うのだから、やっぱりテンポなりに動いてもらわなければ、実情に合わぬことになってくるのです。  それから、最初に出願した者より、あとからいろんなものが出てくる。そうすると、最初にいろいろ計画をしてやろうとした人間あたりが免許にならないで、とんでもないところが横合いから来てかっさらっていく、こういうふうな状態も出ておるのであって、あとから出す者は、資料は、前の者が難儀をやって整えた資料、そういうふうなものを楽々と利用して出願をしておる、こういうふうな状態も見られるのです。こういうことは、一つ二つ出た場合に手っとり早く処理をしていくと簡単に片がつくものを、それを一年半も二年もほうっておく。それが三年、四年ほうりっぱなしにしなければならないような結果になってくる。私たちが見ておっても、まことに腹立たしさを覚えるようなことがたびたびあるのでありまするが、これらにつきましてどういうふうにお考えになりますか。
  61. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 たいへんおきびしい御批判をいただいたのでありますけれども、いままで私が見てまいりまして、そんなに三年も四年もかかったというのは、たくさんあるとおっしゃいましたが、たくさんはないと思うのです。たまにあったかと存じます。実は、最近カーフェリー等に競合が多うございまして、昨年の秋に、いままで、たとえば両方の局にまたがっておって、両方の局の合意を得るということがあったのでございますが、今度は一方の局だけにいたしまして、簡素化したということに意味があります。それから本省の中も、実はほかの課から定期船課のほうに人をさきまして、それでこの秋から冬にかけまして非常な整理をやったことがございます。何ぶんにいたしましても、人が足りないといえば申しわけありませんけれども、各課から応援を得まして事務処理をするという体制をしいたわけであります。そういう場合に、非常に熱意をもって早くやろうという心がまえで実は心がけている次第でございます。中には、いまおっしゃいましたようなこともあるいはあったかもしれません。今後とも御指摘の点につきましては私ども十分注意して、そういう迷惑のかからないように努力いたしたいと思います。  さらにまた、ほかの省その他との関連等につきましても、別に卑屈になっているわけではありませんが、結果的にあるいはそうなったかもしれません。私どものほうも、今後この点につきまして、御指摘のとおりの点がございましたら、そういう点は十分に気をつけてまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  62. 關谷勝利

    關谷委員 それから、これは簡単に要望をいたしておきますが、船主船長で、家族あるいは親威の者あたりが乗り組んでおる。それがたまたま遭難をして船をなくした、陸上へあがって何をすることもできないで遊んでおる、こういうふうな者がある場合には、公団船の割り当てというようなものについては優先的にやってやらなければならないということを私ども考えるのでありますが、それが公団の割り当てというようなことにつきましても、今度はタンカーだけなんだ、カーゴーはあとだ、こういうふうなことについて割り切ってしまっておるようでありますが、もう少しあたたかい、温情味を加えてやって、そういうふうなものは優先的にやってやるということを考えなければならぬと思いまするが、そういうふうなことはどうお考えになりますか。
  63. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 まことに傾聴すべき御意見と存じます。その船に一生を託しておる家族がおるのでありますから、それが事故で沈没したという船主に対しましては、やはり優先的に割り当てるというような手を打つほうがいいかと存じます。なお、十分に前向きに検討いたしたいと思います。
  64. 關谷勝利

    關谷委員 それから、内航海員組合の総連合には、スクラップの見返りに納付したのが十五億円程度ありまするが、これはどういうふうに使っておられるのですか。その生きた使い方は、内航海運業者に場合によっては貸し付けるというようなことも考えてはどうか、こう思いますが、それはどういうふうなことになっておりますか。
  65. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 いま約十五億とおっしゃいましたけれども、大体事務局の管理費、人件費等に使っております。また、これは一部貸し付け業務をやっておりますので、その方面に実は回すように運用いたしております。
  66. 關谷勝利

    關谷委員 これはどういうように使っておりますか、詳しく一度見たいと思いますので、資料として出してください。
  67. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 資料として提出いたします。
  68. 關谷勝利

    關谷委員 それから、内航が不況になった場合に、不況対策を考えておかなければなりませんが、不況になった場合にはどういうふうにしようというふうなことを考えておられますか。私は、このくらいなことは海運局としてはいつも考えておかなければならぬことだと思いまするが、具体的に内航の不況対策というようなことについてのお考えを承っておきたいと思います。
  69. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 今回の不況は、鉄鋼はじめいわゆる生産面での要するに減産等が影響いたしておりまして、前回の四十二年ですか、それと多少違うのではないかと思います。たとえばあのころは、荷物はあったのでございますけれども船腹が非常に過剰でございました。今回は減産等に実はつながっておるのでありまして、荷物がむしろ少ないということでございますが、多少その点は前回とは違う。前回は、たとえば係船というような対策を行なって、事実上係船をいたしておったのでございますが、それほどの効果は実はなかったというふうに聞いております。  今回につきましては、実は荷物がないのですから、やはり共同係船というような措置をとる必要があるのじゃないかと私は思っております。それ以外には、特にそのために有効な措置というのは、私はないんじゃないかと思います。これはやはり景気の一つの波動でございますので、これは何年に一ぺんは来るというものだと私は思います。したがいまして、もちろん共同係船等も必要だと存じますが、やはりそういう場合に対処し得るような平素のたくわえというものが必要じゃないかということも私は思います。これは具体的にどれをとるという名案は実はございません。ですから、共同係船等も一つの案ではないかというふうに思っております。
  70. 關谷勝利

    關谷委員 もうこの程度でやめたいと思いますが、内航の不況対策はそんなもので、ほかには対策がないというような、そんな簡単なことで考えられてはたいへんなことです。きょうは時間がありませんのでもうやめますが、いずれこれにつきましては、あらためて内航の不況対策はこうあるべきものだということを私がひとつ申し上げて、そして、それについての御意見も伺ってみたいと思います。  それから、いまお話がありましたが、いまの不況は減産で荷物が少ないのだからということであったが、先ほどは航海数がふえておるので回転率がふえておるから、それで標準運賃もあまり上がらないのだというあのお話とは、これは矛盾いたしますね。荷物が少なかったならば係船もしなければならぬようなことになるのですが、特定の船だけを係船さしたのではぐあいが悪いから、みんなに順番にやるということになると、積み荷の時間を待つとか、いろいろその間、日数を何日に一回というふうなことで少なくする、こういうふうなことも考えなければなりません。やはり公平にしますというと、これは番船の組織でいきますとそういうふうなことになるわけですが、先ほどの標準運賃をきめるのには、航海数がふえるからと言った、それとは逆になっておるのであります。  そうすると、今度きめる標準運賃というものは、時期的にいってもすでに去年の資料である。それから、いろいろな資料のとりようによってもぐあいが悪い。それから、回転率というようなものも上がっておるんだと言うけれども、これは逆に下がっておる。そうなりますというと、今度できた標準運賃はいまの実態には沿わないものができておる、こういうふうなことになるのでありますから、それを急いで直さなければならないという結果になりますね。その点ひとつ、これにみんなが力を入れてそして調査をしたら、そんなに長らくかかるものではありません。いま五月です。ことし中でもまだ半年もございます。その間にできないというようなことはありません。どんな調査をするのか知りませんけれども、そんな調査ができないというようなことはないはずでありまするので、年内にこの標準運賃は改正をしてもらわなければ、実情に合わないのだということを申し上げて、善処せられることを希望して、私の質問を打ち切ります。
  71. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  72. 内藤良平

    内藤委員 私は、自動車排気ガスの問題を、いろいろな角度からお尋ねしたいと思っております。  昨年の公害国会でも、自動車排気ガスの問題をいろいろ審議いたしました。そこで、今日の技術的な面から見て、排気ガスを絶対なくすることはなかなか至難であるということは、われわれもうかがい知ったわけでありますけれども、しかし、また最近あたたかくなりまして、気温が上昇いたしますに従って、もう光化学スモッグの発生が新聞でもいろいろ報道されておりますし、東京都民の被害もだんだん出てきておる、こういう状況です。  そこで、光化学スモッグの場合は、自動車排気ガスだけじゃなく、工場の亜硫酸ガスその他いろいろあるでしょうが、その他のいろいろな有害ガスの発生によって、混合されたといいますか、あるいは大気の温度、日光の直射、そういう問題等もあるようですが、ただ、ぼくらのいなかの秋田のようなところでも、最近は、自動車排気ガス関係だといわれておりますが、子供の鼻炎、こういうものが増加をしておる。これは現地の医師会等の研究資料に出ております。ですから、これは東京都だけじゃなくして、全国的なモータリゼーションの関係で、自動車の急増によります排気ガスのいろいろな国民に対する被害が全国各地に出ておる、こういうぐあいに考えて間違いないと思うのです。  そこで、この排気ガスをどうにかして押える方法ですが、まあ国際的には、アメリカ等でもいろいろ問題になっておるようでありまして、自動車エンジンの場合は、わが国から輸出する場合には、国内のエンジンとまた若干違うような、アメリカの排気ガスの規制にふさわしいようなエンジンをつくっておる、こういうことも昨年の公害国会で議論されたところであります。  そこでもう一ぺん、これはおさらいみたいなものだけれども野村局長、現状では、法律的には、例の新車は四・五、それから全車両五・五、いわゆる新車はフォアモードの場合で四・五、全車両の場合は無負荷の場合で五・五、それが法文にあらわれている現状ですね。これを技術的にいろいろ排気ガスを規制しまして、いまの四・五、五・五を、無負荷の場合一%でも切り上げるようなことができないものかどうか。いまのいろいろな排気ガスの被害がある中で、どうにかしてこれを規制するような方向にいきたいというので、ぼくたちも皆さんのほうといろいろ話し合いをしております。ただ技術的になかなか困難だ。法律的に規制しても、実際問題としてできなければどうにもならぬ、これは確かにそのとおりです。ところが、国のほうでは通産と運輸という区分もあるわけです。つくるほうは通産ですね。運行のほうは運輸。運輸の段階で、排気ガスを例の保安基準で五・五、四・五、これをかりに一%、全車両を四・五にする、これは技術的に絶対不可能なものかどうか。新車の場合の無負荷の場合は四・五でしょう。だから、全車両といいましたら、結局中古車も含めて四・五とすると、五・五を四・五ですから一%切り上がる。規制がきびしくなる。それの規制ができないかどうか。これから始めていただきましょう。これをひとつ御答弁願いたい。
  73. 野村一彦

    野村政府委員 自動車のメーカーの監督は、直接には通産省のほうでやっておることでございますが、私どものほうも通産省の御協力を得て、排気ガスの規制の問題をいろいろとやっておるわけでございます。  そこで、ただいま先生のおっしゃいましたように、現在の私どもの保安基準でございますと、使用過程車におきましては、改造時の規制が五・五%というパーセンテージになっておることは、御指摘のとおりでございます。これを、たとえば一%きびしくすることが技術的にできないかどうかという御質問でございますが、もちろん、私どもがこういう保安基準をもちまして公害の規制、排気ガス等の規制をやります場合には、それに違反した者は法律でもって処罰をするという裏づけをもってやるわけでございます。したがって、最低限度と申しますか、それが実際に車として一般に使用され得て、しかも、排気ガスの規制が有効であるということでございますから、まあレベルとしては比較的下のレベルをきめておるわけでございます。これよりも高いといいますか、もっと排気ガスを出さないで走っておる車、これは使用過程車におきましてもたくさんあると思います。したがいまして、技術的にそれが可能であるかどうかという御質問につきましては、エンジンの改良等も進んでおりますので、この規制で十分楽にいける、あるいはこれよりもっと規制をきびしくしてもいける車というものは、現時点においても技術的にも可能でございますし、さらにエンジンの開発が進めば、近い将来にだんだんと可能になっていくということは、私どももそういうふうに理解いたしております。  ただ、それをどこで線を引くかということでございますが、一般市民の方が利用される車、あるいは一般のバス等に使われる車のぎりぎりの線を法令でもって強制するという制度をとっておりますのでこ、ういう四・五あるいは五・五という数字になっておりますが、それよりもっと規制をきびしくしても技術的に可能かどうかという御質問に対しては、技術的にそういう車をつくるということは、これはもう可能なものでございます。それを法令によって強制的に規制するかどうかという問題で、現在のような規制の数値になっておるわけでございます。
  74. 内藤良平

    内藤委員 そこで、規制を強化してまいりましたら、弊害はどういうふうに出てくるような想定、見通しといいますか、かりに四・五にした場合、実際問題としてどういう状態になるんでしょうか、お考えになったことありますか。全車両を、使用過程車も四・五にした場合、どういうような困難といいますか、あるいは実際使っている方が困る状態になるのかどうか、そういう点をお考えになったことありますか、それをひとつ……。
  75. 野村一彦

    野村政府委員 使用過程車の規制をきびしくいたしますれば、これは使用過程車でございますから、新車のときには相当程度排気ガスの規制がきびしくてもやっていけるような車が、だんだんと使用をしていきますうちに、あるいは走行距離が伸びますうちに、排気ガスがよけいに出るということになっていきます。したがいまして、たとえば一律に使用過程車の規制をシビアーにいたしますと、相当の整備を加えてもそのレベルまでいかない、あるいは相当の整備をしてエンジン等、たとえば取りかえるというようなことをすればそのレベルに達するということは可能でございますが、その基準に合格しない車がかなり出てまいる、こういうふうには私ども考えております。
  76. 内藤良平

    内藤委員 新車を一年、二年と使ってますと、だんだんこれは機能的に衰えてきて、損耗もありますから、ガスの規制をかりに一%切り上げてもなかなか至難の状態で、それを新車同様の規制にするということは、いつでも新車のような状態にしなくちゃならぬ。その場合に現行の制度的には、車両の整備並びに車検、その面から、いつでも新車のような四・五の状態排気ガスをできるだけ押えるというぐあいにする場合に、行政的にこれは可能ですか。
  77. 野村一彦

    野村政府委員 非常にむずかしい御質問でございます。行政的に可能かという御質問ですが、たとえば一%きびしくするということは、法令そのものは省令の改正によってできるわけでございますが、その車の使用時におきまして、現在まで使用してきた方が、急に法令の改正によって一%シビアーにするということになりますと、法律的にむずかしいことばで言いますと、いままでは、あと一%の余裕があったと思って使用された方々、これを例外的に認めるかどうか。例外的に認めれば、これは規制の意味はなくなる。したがって、例外を認めるわけにはいかないということになりますと、その方々があと一年は自分の車は五・五%でいける、整備上もいけるということで、役所の検査基準にも合格していっている車が、そこでだめということになりますと、やはりそういう方々に対する一つの権利の侵害、ということは言い過ぎかもわかりませんが、期待をそこなうということにもなりまして、そういう問題がありますので、ある相当の予告期間というようなものは必要でございますが、あるときに直ちに一%なら一%シビアーにして、そうしてそれに違反するものは一切運行を認めないという制度にすることは、これは行政上なかなかむずかしい問題であると思います。
  78. 内藤良平

    内藤委員 そこで、結局一%切り上げた場合、新車の状態と同じような形、そのためには整備をしなくちゃならぬ。これは現状は整備工場その他ありますね。工場については、国からのいろいろな監督、国で指定した工場、それから車検という制度がありますね。そういう面では、一%切り上げた場合でもまあやれる。ただ、そこでひっかかったものは今度は運行できない、こういうことになりますね。その場合に、結局大気の汚染は、理屈では、一%だけでも押えられれば幾らかよくなる。ただ、そのことによりまして、いままでは動いておった車が今度は動かなくなるということ、その場合の混乱というか、国民的な損失というか、これはどういうものでしょうかね。押えた際、整備関係、車検の関係で、いままで相当動いておった車を今度ストップしちゃう、それが相当の数出るものでしょうか。それを考えたことありますか。
  79. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま具体的な数字を持っておりませんが、一%なら一%規制をシビアーにいたしますれば、相当そのためにとまる車ができるということは私ども考えております。  したがいまして、たとえば、いつでございましたか、東京都と国との規制に一%の差があるじゃないか、なぜ東京都のほうが進んでおるのにそういうようにしないかというどなたからかの御質問がございまして、私どもは、もちろん勧告基準として規制がシビアーなほうが、一般の市民にとっては、健康上も良好なことは当然でございますので、シビアーにしたいわけでございますけれども、またシビアーにするということのほうがいいと思いますが、ただ問題は、それを法令をもって強制するかどうかということでございます。私どもの現在の時点では、五・五%というものも必要最小限としてやむを得ない、しかし、それより一%少ないことはけっこうだから、それは国の立場から見れば、いわば勧告と考えまして、それを実現できるように、自動車のユーザーが自分でそういう措置を講ぜられることは、これはまことにけっこうでございますという御答弁を申し上げたことはございますが、現在でもそういう考えでございます。したがいまして、法令をもって一%シビアーにすることを強制することがどういうふうになるかということは、私どもも常に頭に置いているわけでございます。  ただ、これは先生から御質問なかったことでございますが、私どもいまの規制のことは、実はいつまでもこういう現在の四・五あるいは五・五というパーセンテージの規制をやっておるわけではございませんで、昨年運輸技術審議会から答申がございましたように、排気ガス規制の長期計画の中におきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、パーセンテージで排気ガスの規制をやっておりますが、これを重量規制に移行しよう。そして四十八年度からは重量規制に持っていって、自動車から出る排出ガスの量全体を、いまはパーセンテージでございますから濃度でございますが、その一定の容積の中の濃度というものを押えよう。しかもそれが、自動車の数がだんだんふえてくれば絶対量としてふえるわけでございますから、私どもとして第一段階で昭和三十八年度の程度に持っていこう。ということは、四十八年くらいから重量規制をいたしまして、出てくる有毒ガスの量そのもの全体を押えるという方向に持っていく。しかもそれを四十八年度からというふうに、相当前に予告して、メーカーもそういうことを念頭に置いてさらに技術改良を進めるであろうし、またユーザーのほうもそういうことを念頭に置いていただけば、四十八年度から重量規制になるのだということでやっていこう。また私ども行政当局もそういうことを念頭に置いてやっていけば、そういうふうに漸次規制を強化する、また規制の質を重量規制に変えるということによって、相当先のことでございますから多少じれったい感じはいたしますけれども、そういうことで規制を強化していく。単にいまのままに濃度の規制を強化するということよりも、むしろ重量規制の方向に移行して、そして絶対量を規制していくという方向をあらかじめ明示して、そちらのほうに移行していくということのほうがより効果的であろうというふうに考えまして、ただいまそういう計画に基づいていろいろ準備しておるところであります。
  80. 内藤良平

    内藤委員 そこで野村さん、国民的な感情から見ると、去年あれだけ問題になった、ことしもまた温度がだんだん上昇して光化学スモッグの発生がひどくなる。車の数は減らない。大気汚染に対して、どうも一向に進歩がない、こういう声は、これは別段私どもの偏見じゃないと思う。四十八年ということもわかりますけれども、ちょっとまだるっこいじゃないか。いますぐにでも排気ガスの規制を強化すべし、これは一般的な国民の声だと思うわけだ。そこで、それをどこで発動するか。私はいまの運行関係からいいますと、やはり運輸省よりないんじゃないか。  そこで、いま一%が論じられておりますけれども、かりに一%を切り上げた際には、現在動いている使用過程車、中古車、これがどの程度ストップになるのか、これを一応局長お調べになってみませんか。あるいはその数がありますか。なかったら調べてもらいたいのです。
  81. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま先生の、一%強化によってどの程度影響を受けるかの御質問でございますが、手元に数字がございませんので、これはできるだけ早く調べましてお答えいたしたいと思います。
  82. 内藤良平

    内藤委員 野村さん、これは動いている車がとまってしまうから、国民的にもこれまた困るということもわかるわけだが、やはりそこら辺まで突っ込んでみて、かりに一%切り上げた際には、どの程度の車が整備、車検の段階で押えられて出るか、そこら辺まで突っ込んで運輸省でも調べてみて、そうして、統計的にどれくらい出るか一わかりませんけれども、そういうことによって排気ガスを幾らでも規制して、国民の要請にこたえる。かりにこれが三カ月なり六カ月という期間を置いても、私はそういうようなことをやらなくちゃならぬじゃないかというような気持ちでおるわけなんです。そのことについてはどうですか。反対ですか、あるいは同感ですか。
  83. 野村一彦

    野村政府委員 一%なら一%シビアーにするということ自体、私は多少の影響はあっても、それが唯一といったら語弊がありますが、現時点における最も有効な手段であれば、先ほど申し上げましたような国の期待権の侵害と申しますか、期待利益の侵害といいますか、そういう点がありますので簡単にはいきませんが、実際の措置としては非常に有効であろうと思います。  ただ、ここで申し上げておきたいのは、私ども現在パーセンテージ、濃度規制をもって排気ガスの規制をやっておりますが、それと同時に、これは運輸省だけでできることではございませんし、機械学会その他の民間の学会にもお願いをし、それから、直接メーカーを監督している通産省のほうにもお願いをしておるわけでございますが、エンジンの改良というようなことも同時に並行をして開発を進めていただくということでございまして、エンジンの改良が相当進んでまいりますと、濃度規制をシビアーにしても車はスムーズに動くし、また排気ガスは減ってくるということで、これは一石二鳥かと思います。  ただ、先生のおっしゃいました使用過程車について、いま一%なら一%をシビアーにするということになりますと、いろいろそれに伴う問題がございますので、排気ガス規制の観点だけからいえば非常に有効かと思いますけれども、それはまた別の問題が起こってきますので、私どもはもちろんその問題は考えないわけではございませんけれども、一方、エンジンの改良とかあるいは清浄装置の開発とかいうことを並行して、つまり自動車技術開発を進めながら規制を強化していく。ただ一般国民の健康に有害であるからそれは締めるということだけじゃなくて、同時に、無公害自動車開発ということもいわれておりますような現時点でございますので、現在のエンジンをそのまま使うとしても、そのエンジンの性能を改良していく、あるいは清浄装置の開発をするということを進めながら、その規制の強化をどうするかということを考えるということで進んでおりますので、先ほど申し上げましたように、ただいまの先生の御設問に対しては至急資料を整えましてお届けしたいと思いますが、現時点はそういうことで私ども進んでおるわけであります。
  84. 内藤良平

    内藤委員 追及するのじゃないのですけれども、私は、昨年の公害国会を通じて公害防止は最優先だ、こういう国民的な合意ができておるのじゃないかと思うのです。ですから、その前提は運輸省でも一応認めておるのでしょう。そういう前提でまいりますると、自動車の運行あるいは保安、そういう面で運輸省がいろいろお仕事をしているわけだが、いま申し上げたような公害を極力防いでいこう、これの前提のもとに、省の行政もそれに従うようなことがなくちゃならぬじゃないか。  そういうぐあいに考えますと、私いま申し上げたようなぐあいに、運輸省で所管しておりますいろいろな法律あるいは省令、そういう中で、技術的に不可能なら問題にならぬのですが、技術的にいろいろ可能だ、こういうことであれば、やはり法律の改正なり省令の改正なり、いま申し上げておるように一%の切り上げという問題を具体的に進めてまいり、いま私が要望いたしました資料を、使用過程車の場合どの程度の影響があるか、こういう問題等も調べながら、そしていわゆる車両の整備——この車両の整備の場合は、野村さん、安全の場合でも共通なわけですからね。新車から一年、二年、三年たつでしょう、そして中古車はまた売買されておるのですから、その中には、いろいろ今日車両整備工場もありますけれども、車検制度もあるけれども、なかなか国の手も及ばない。工場自体もあるいは車検の手助けも、民間にもいろいろ協力を仰ぐ状態でしょう。安全面でもこれはいろいろ危惧がある。不安の状態があるということをいわれておる。中古車の場合それが一番多いわけです。そういう面は両方の効果がある。安全の面、排気ガスを規制する面、常に新車に近いような状態にしておく。ユーザーもそういう気持ちにならせる。  そこで、いまの省令で新車は四・五でしょう。かりに全車両を四・五にする、こういうぐあいに考えた場合におきましては、これはユーザーの御負担もあるかもしれませんが、しかしながら、整備を良好にし、排気ガスを少なくする、こういうことでまいりますとけっこうなことじゃないですか。先般の例のとん税の問題の際でも、ユーザーの負担ということはわかっておるけれども、強硬に課税しようというああいう状態もあるわけでしょう。だからきょうの私たちの議論などは、あの大蔵当局の、重税にあえいでいるユーザーの諸君の現状はわかっておりながら、なおかつとん税をかけようというあの強い気持ちは、私は反対だけれども、そういうようなことでユーザーの諸君の負担になるかわかりません。整備の金がかかる、車検の金がかかる、これもユーザーの負担になる、しかし、非常に意義があるのじゃないですか。排気ガスを少なくする、あるいは整備を強化して安全度を保つ、これは運輸省行政として、運輸省の面目は何も失墜することはないと私は思うのですが、いかがでしょう。
  85. 野村一彦

    野村政府委員 先生指摘のように、安全及び公害防止の問題は、目下わが国における最も重要な問題でございまして、したがいまして、私どももこの問題は、何ものにも優先をして取り組んでおるわけでございます。また、先生指摘のように、この点について多少ユーザーなり何なりに負担をかけても、公害並びに安全のためにはやむを得ないではないかというお説、私もまことにごもっともで、公害防止のため、安全確保のために、多少の負担はかかっても、何ものにも優先してやらなければならないことでございます。  しかし、ただいま使用過程車にこの規制を一%ある時点において引き上げることはどうかという御提案でございまして、私どもその効果を後ほど資料でお出しいたしますが、これは、この点だけは御理解いただきたいと思います。実は、そういう使用過程車に対する一酸化炭素の排出規制をやっておりますのはわが国だけでございまして、欧米の先進国においてもやっておりません。たとえばアイドル時の規制で申しますと、日本は先生指摘のように新車が四・五でございますが、西独及びフランスにおいては、ともに新車がアイドル時規制がいずれも五・五ということで、わが国よりはゆるいわけでございます。これは、もちろん地形の相違等がありますし、先生指摘のような公害の影響というようなものも考えてのことかと思いますが、こういうものの国際基準というものができますれば、またそれを参考にして私どももいろいろと施策を講ぜられると思いますけれども、ともかく世界でやっておりません使用過程車への規制ということを、私どもとしては勇断をもって踏み切ったつもりでございますけれども、なおこの点につきましては、先生指摘のようないろいろまた不備があるし、もっと思い切ってやるべきじゃないかという御意見、私どもよくわかりますので、先生のただいまの御提案を一つの参考にさせていただきまして、十分検討していきたいと思います。  いずれにしろ、私どもとしては、多少時間はかかりますが、この濃度規制から重量規制へ移行するということによって排気ガス全体の量を押える、それと並行してエンジンの改良あるいは清浄装置の開発ということを進めて、少しでも自動車による排気ガスの害悪というものが減っていくように研究をしたい。別に現在の五カ年計画というものに私どもこだわっておるわけではございませんが、それよりいい案があればそれは私ども改めるにやぶさかではございませんので、先生の御教示を一つの参考にして、さらに勉強したいと思います。
  86. 内藤良平

    内藤委員 時間もないようですから、通産省自動車課長さんに伺います。  先ほど来の質疑応答で、ぼくの言わんとすることは大体おわかりと思いますけれども運輸省はできたものをいろいろやっておるわけだが、通産省はやはり自動車のできるまでの間に、いまの排気ガス公害問題を少なくしたいという気持ちでいろいろ苦心されておると思います。いま話題になっています光化学スモッグの場合ですね。いまの無負荷の状態排気ガスの四・五あるいは五・五、これも重要なことですが、例の、自動車が、寒いときはいいけれども、あたたかくなってまいりますとガソリンの蒸発がありますね。これがなかなかばかにならぬですね。いまこういう「数字でみる自動車」というのがある。これは七一年に運輸省で出している。この中を見ますと、蒸発するやつが燃料タンクと気化器、これで炭化水素が二〇%あるわけです。それから、いまこれは法律的にも規制されていますが、ブローバイガスの還元装置、これは運輸省の保安基準にもありまして義務づけられておるわけです。これで防止されるのは、炭化水素は、いわゆるブローバイガスは二五%なんです。二五%の分は法令で規制されておりますけれども、気化器あるいは燃料タンクから合わせて炭化水素がやはり二〇%出ているわけです。このブローバイガスが光化学スモッグの場合相当な原因なんですね。メーカーの段階で、燃料タンク並びに気化器をいろいろ装置をして、還元装置のようなものをつくって、二〇%でも出ないようにすることをやらなくちゃならぬじゃないか、私はそう思っているわけです。この点についてどうお考えか。あるいはそういう御指導をメーカーになさったことがあるかどうか、御指導してもなかなか技術的にできないものかどうか、そういう点をお答え願いたいと思います。
  87. 大永勇作

    ○大永説明員 若干一般的なことになるかと存じますが、光化学スモッグの原因は、御指摘のようにハイドロカーボンとNOxの両者のミックスでできるというふうにいわれておるわけでございまして、炭化水素が非常に大きな役割りを果たしておるということでございます。そのうちのブローバイガスにつきましてはすでに規制が行なわれまして、メーカー等におきましてもそのために必要な還元装置等につきましては、すでに開発はもちろん、実際の車にも適用しておる、こういうことでございます。  一番問題になりますのは、排気管から出てまいります炭化水素をどうするかということでございますが、これに対応いたしますためには、結局のところはエンジン構造の改善、それから各種の浄化装置の装着というふうなことが必要になってくるわけでありまして、これの技術開発を役所においても側面的に協力しておりますが、主としてメーカーにおいてやっておるわけであります。四十八年度からは、排気管から出ますいまの炭化水素につきましても規制になりますので、生産段階の問題としましては、そろそろこれから生産設備をつくっていかなければならぬという段階になっておりまして、研究としては、大体技術開発は一応でき上がっておるということでございまして、これからは、それを実際に生産に移すための各種の設備を工場の中に取り入れてやっていく、こういう段階になっておるわけでございます。
  88. 内藤良平

    内藤委員 ぼくもここら辺は、技術者じゃないからよくわからぬけれども、この図面を見ますと、いわゆるハイドロカーボン、炭化水素、これを燃料タンクから蒸発するのを防止できないものかどうかです。それから気化器というぐあいに書いてあるけれども、これからも蒸発しているようだ。これも何か防止できないものかどうか。技術的にできるとすれば、それをメーカーの皆さんに指導しておるのか。私の言いたいのは、できるならばこれも法令で、ブローバイガス還元装置のように義務づけて蒸発を絶対にしないようなぐあいに装置をさせる、しなくちゃならぬ、そこまでいかなくちゃならぬのじゃないか、こういう見地からものを申し上げておるわけですが、その点はいかがですか。どちらでもいいです。局長でも……。
  89. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のように、自動車排出ガス中における炭化水素につきましては、約二五%がブローバイガスとして出てくるわけでございまして、これはいま通産省課長から答えましたように、すでに現在はブローバイガスの還元装置を義務づけておるわけでございます。  それから、第二点として御指摘のありました、いわゆる蒸発ガスにつきましては、これは現在まだ装置をつけることを義務づけてはおりませんが、私のほうもすでにユーザー及びメーカーに予告をいたしまして、そしてこれは近い将来、来年からになると思いますが、近い将来これを規制するぞという予告を発して、そのつもりでメーカーにおいても技術の開発考えるように、またユーザーもそういう心組みでおられるようにという予告をしておりまして、これが実現できますれば二〇%、したがいまして合わせて四五%の炭化水素というものは、これによって処理できるということに考えておりますので、これは多少日にちがかかりますが、これによればざらに光化学スモッグの予防措置は一歩前進すると思っておりまして、ただいまそういう準備を進めておるところでございます。
  90. 内藤良平

    内藤委員 同僚の諸君が時間、時間と言いますから、簡単に申し上げます。  工業技術院の方はおりますか。——公害問題、排気ガス問題が盛んに論議されてから、企業としては中小企業の皆さんなんですが、排気ガスをいろいろ規制する装置、器具ですね、そういうものをつくっている方がおるのですね。やはり国民の皆さんの排気ガス、いろいろ世論が出ておる、それにこたえるというわけじゃありませんが、団体をつくったわけだ、名前はちょっと忘れましたが。そうして特に使用過程車の排気ガス関係ですね、それをおもに、再び燃焼さしてやるようなものでいまの炭化水素を防止する、こういうことでやっている。あるいはまた触媒方式で、これは東京都なんかで若干やったことがありますが、そういう方法でやる、こういうのでいろいろ知恵をしぼっている方もおります。  ところが、それが法令的には、先ほど来論議しておるようにパーセンテージの切り上げという問題もありますけれども、その装置を、こういうものをつけなさい、これはいわゆるJISマークのようなものでもつけて、これはいいものだ、これをやりなさい、こういうぐあいにした場合には、ユーザーもあるいは整備工場の場合におきましても、お互いに安心してやれるわけですね。いまのところは、何かつけたけれどもさっぱり効果がない。短時間のうちにだめになるようなものが横行しておって、どうもユーザーの場合もメーカーの場合もうまくいってないらしいのです。しかし、そういうものが必要だ。メーカーの段階でも、いろいろエンジン部門その他でやっていますが、使用過程車では、排気ガスの問題をいま申し上げたような方法で何とかやりたい。若干の効果のある器具もあるようですが、そういうものを国の立場で援助をしてはどうか。中小企業が多いのですから、相当多額な金をかけて試験装置などもやれないわけです。長い時間これを装置した場合に、はたしてその効能が落ちないか、効果が変わりないものかどうか、そういう試験が必要でしょう、何キロ走っても何でもないとか。  そうなりますと、やはり工業技術院のようなところで、そういう方々に対する手を差し伸べていただく。そして、排気ガス問題について皆さんもいろいろ苦心をしておるようだけれども、国としても考えるところがある、そこで、これはこういうぐあいにしてどうだろうか、国と一緒になってやるようなことができないものかどうか。そういう力はないけれども、やはりそういうものをつくってもうけたいという気持ちもあるのかもしれません。これは否定しませんけれども、しかしやはり必要なものだ。そこで、個人ではなく団体をつくって、その中で自分たちでいろいろつくったものがあるけれども、総合していいものができたらそれをつくりたいということになっているわけです。これは中小企業ですから、大企業でないものだから、なかなか自動車メーカーに一歩突っ込んでいけない、そういう現状を私は聞いております。それに対して工業技術院のようなところがタイアップできて、そういうものの開発が促進されるようなことができたら非常にいいわけです。そういう見地から私は聞くわけですから、これは予算の関係、人員の関係、設備の関係もあるでしょうけれども、それらを含めてひとつお答え願いたい。
  91. 山村和男

    ○山村説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、自動車排気ガスの浄化装置の開発というものは非常に緊要な状況でございまして、国におきましても、これら各種研究開発を鋭意進めておるところでございますけれども民間におきますところのこうした浄化装置の開発ということは、特に重要なことでございますので、民間におきますところのこうした各種研究の促進をはかるというふうな意味から、工業技術院におきましては、従来から重要技術開発補助金制度というものがございます。民間におきますところの重要技術開発に対する補助制度がございまして、昭和四十六年度からは、特に公害防止というふうな立場からのそうした防止装置の開発というものに特ワクを設けまして、しかも、従来の補助率よりも高率な補助をもってそうした研究開発の促進をはかる制度を設定いたしました。本年度におきましては、主として窒素酸化物の浄化装置を中心とした研究開発に対しまして、一応重要技術開発補助金の交付をすることにしておりまして、現在、民間会社に対しましてもそうした補助金の交付を行なっております。  なおそのほかに、傘下十五試験所ほどございますが、自動車関係研究をやっております研究所は現在二試験所ございまして、そういう試験所におきましては技術相談所というところがございます。そういうところにおきましては、そうした中小企業の方々の御相談を十分お受けするような制度もございますので、そういったところを御利用いただければけっこうではないかと思います。  以上でございます。
  92. 内藤良平

    内藤委員 終わります。
  93. 福井勇

    福井委員長 次に和田春生君。
  94. 和田春生

    和田(春)委員 本日は、国鉄の経営と、特にいま問題になっている賃金関係を中心にして、国鉄当局並びに運輸省当局にお伺いをいたしたいと思います。  実は、この問題については去る四月二十七日に大蔵委員会におきまして、基本的な問題について福田大蔵大臣並びに国鉄の山田副総裁にお伺いをいたしておりますが、それから時間もたちまして事態は非常に切迫をしているようであります。また一方、当委員会におきましても国鉄に関する小委員会を設けまして、にっちもさっちも行かなくなっている国鉄をどうするかということについて審議を続けるということになりまして、昨日その第一回の小委員会が行なわれた、こういう経緯もあるわけであります。  そこで、きょうは具体的なことをいろいろお伺いしたいと思うのですが、まず最初に四月二十七日の大蔵委員会におきますやりとりの内容を要約をしてみますと、政府並びに国鉄当局側のお考えというものは、まず第一に、国鉄の合理化だけではベースアップの財源は出せないけれども、少なくとも人件費の高騰が非常な負担になっている経理内容において、合理化でできるだけ赤字の原因を軽くしていきたい、その見通しを立てるのが先決であるから、まず賃金問題を解決する前提は、国鉄の合理化問題ということについて組合側がこれを、大前提というと言い過ぎかもわからないが、同時並行的に解決をするという態度を示さない限り具体的な答えをすることができない、こういうことであったと思います。そして、その合理化の問題につきましても、原案は当局側から出すけれども、それを全く修正をしないということではなく、ともかくそういう内容について話し合ってもらう、そういう交渉が煮詰まっていない今日の段階では具体的な数字を出せないので、われわれも、これは当局側ですが、納得し、また組合の協力も得られるという見通しがつけば、それが解決の糸口になるであろう、要約をいたしますと、やりとりの中でそういう態度が表明をされたと思うわけです。そこで、そのように国鉄当局の態度は今日もなお変わっていない、こういうふうにわれわれとしては理解してよろしいかどうか、国鉄は真鍋常務理事にお伺いをしたいと思います。
  95. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 当委員会でも申し述べておりますように、現在国鉄の財政事情はたいへん苦しい状態でございます。この中で、四十六年度の賃金引き上げをどのように考えられるかということになってまいりますけれども、たびたび申し上げておりますように、合理化、近代化の長期的な展望の中での解決ということがぜひ必要でございます。そういう意味におきましては、具体的には、現在提案をいたしております合理化事案あるいは懸案事項として残っておりますものを含めまして二十二項目あるわけでございますけれども、これらの各項目が整理されまして、四十六年度以降の国鉄の近代化計画というものの見通しが立ちませんと、私どもとしては四十六年度の賃金引き上げについての検討をすることになれないということでございまして、先生のいまお読みいただきました考え方は変わっていないわけでございます。
  96. 和田春生

    和田(春)委員 当時からかなり時間がたちました。国鉄には三つの労働組合があるわけですが、鉄道労働組合はすでに調停を申請して、事情聴取その他の手続が進められております。われわれの聞くところによりますと、国鉄労働組合、動力車労働組合も昨日調停申請、事情聴取の手続が行なわれたというふうに伺っておりますけれども、現在の労使間の交渉並びに公労委の場における問題の進展状況というのはどういうふうになっているか、今日の時点において、ごく要点でよろしゅうございますから御説明をいただきたいと思います。
  97. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 鉄道労働組合は、先週十三日に調停申請を出しました。十四日に第一回の事情聴取を行なっております。国労、動労は十五日に申請を出しまして、十七日に第一回の事情聴取を行ないました。事情聴取の中身は、三組合とも同じような内容でございます。現在、労使間で懸案となっております合理化事案につきまして、早く労使で煮詰めるということ、その結果早く賃金についての回答をするという努力を労使でやりなさいということの勧告を受けております。それを受けまして、昨夜も徹夜体制で組合と交渉をいたしておりまして、けさも十時から各組合と合理化事案の交渉をいたしておりまして、できるだけ早い機会にこの問題の整理をしたいということで、現在交渉中でございます。
  98. 和田春生

    和田(春)委員 そういたしますと、いま調停の作業が進んでいるのですが、調停作業と並行して労使の間で交渉されているのは、賃金を幾ら上げるとかいうような賃上げの内容ではなくて、当局側がかねてから提案をしている合理化問題について、その扱いをどうするかということについて詰めが行なわれている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  99. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 そのとおりでございます。合理化事案につきまして関連する労働条件についての組合側の要求、もちろんございまして、そういったものを含めまして交渉しておるわけでございます。
  100. 和田春生

    和田(春)委員 そうしますと、先ほど来も申し上げておりますように、国鉄関係には三つの労働組合があるわけであります。それぞれの組合と個別に交渉が行なわれているわけですが、合理化問題を詰めるという交渉の過程はそれぞれどういう状況にあるか、差しつかえない範囲においてここで説明をしていただきたいと思います。
  101. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 合理化項目は、先ほど申し上げましたように、新しく提案いたしましたものが九項目でございまして、懸案を含めますと全部で二十二項目といういろいろなものがあるわけでございます。それぞれ各分科に分かれまして、各組合ともこの問題についての煮詰め、整理ということに入っておるということでございます。
  102. 和田春生

    和田(春)委員 各組合とも詰めの段階に入っておるということですけれども、全部同じペースで進んでおるのでしょうか。それとも内容について進みぐあいの早いところ、あるいは比較的理解のできたところ、あるいは全然そこに行っていないところ、いろいろ差があると思うのですが、その点はいかがでしょう。
  103. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 合理化事案につきましての現在の煮詰める各組合の態度と申しますか、煮詰め方でございますけれども、各事案につきましての理解の程度、あるいはそれにつきましての考え方は、組合ごとに少々違っておりますけれども、いずれにしましてもこの合理化事案について、一応の整理を早くやろうということにつきましては、各組合とも現在の段階では同じ考え方で進んでおりまして、全般的に申しまして、同じ速度で整理ができるものというふうに考えまして、交渉しておる最中でございます。
  104. 和田春生

    和田(春)委員 そういたしますと、伝えられるところによれば、大体公労委の調停あるいは仲裁裁定に移るという作業につきましては、大まかな日程がきめられておりまして、十九日ないし二十日ごろに山場を置いて、そのころには何とか解決のめどを見出したい、そういう予定で、かねてから公労委のほうでは、一応の目算のもとに作業を進めておるというふうに私どもも聞いておるわけでございます。一方、そういう公労委の作業日程に合わせたような形で、本日から二十日にかけまして、国労、動労関係では全国縦断ストというようなストライキの計画があるやにこれも伝えられておるわけであります。ストライキがあるかないかということは、公労法のたてまえと関連いたしましていろいろ問題があります。この点についてはあとでお伺いいたしたいと思いますが、そういう公労委の日程とのにらみ合いにおいて、大体それに合うような形で賃金交渉の前段交渉といいますか、条件交渉といいますか、そういう合理化問題についての詰めはおおむね落ちつくところへ落ちつくといいますか、当局としてめどが立てられる、何とか具体的な賃金交渉に入る見通しがある、そういうふうにお考えかどうか、見通しのことですからむずかしいとは思いますが、できればお伺いをいたしたいと思います。
  105. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 合理化事案につきましては相手のあることでございまして、労使の意見がどのように落ちつくかということは、見通しはなかなかむずかしいわけでございますけれども、他の公社、現業の賃金交渉につきましての調停の作業もかなり進んでまいっております。私どもといたしましては、できるだけ早くこの問題を解決して、賃金についての検討に入りたいというふうに考えております。おっしゃいますように、十九日、二十日までにはこの問題の整理を両者ではっきりつけてしまいたいというふうに考えて、現在努力をしておるわけでございます。
  106. 和田春生

    和田(春)委員 そういたしますと、重ねて念を押したいと思いますけれども、もちろん合理化問題というのは複雑にして多岐な問題を含んでおりますから、全部が全部短期間に決着がつくという性質のものではないと思いますが、当局が賃上げについて従来よりも前進した何らかの具体的な態度を表明するというのは、やはり合理化問題についてのめどがつくといいますか、見通しが立つということでない限りそういう表明はできない、こういうふうにいまの状況でもわれわれとしては受け取ってよろしゅうございますか。
  107. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 結論としては、先生のおっしゃいますとおりでございます。合理化事案、近代化事案が整理ができませんと、四十六年度、四十七年度以降の要員計画というものが立ちませんので、そういう中で賃金引き上げについて検討するということは、現在の財政事情の中では非常にむずかしいということでありますので、おっしゃいますとおりの考え方を持っております。
  108. 和田春生

    和田(春)委員 その点について、私も過去に公労委に関係をいたしておりまして、調停、仲裁にも関与してまいった経験を持っておるわけですけれども、三公社五現業、一応それぞれ自主的な立場をとるというたてまえは持っておりますけれども、五現はもちろん政府直轄でありますし、三公社につきましては非常に強い政府のコントロールのもとにある。また、今日までの賃金その他労使関係の歴史的な経過から見まして、民間企業のようにそれぞれがばらばらに問題を処理するということは、事実上不可能であるというふうに認めて差しつかえないと思うのです。将来どういうふうに改革をしていくかということは別問題として、今日までの状況におきましては、全部が各個ばらばらに解決をするというわけにはいかない。あるいは全部が同様の率ないしは金額において賃上げが示されるにいたしましても、あるいは格差をつけるにいたしましても、ほぼ同時、しかも内容についてはほぼ同様、こういう形でけりがつけられているのが経緯だと思うわけです。  そこで、国鉄を除きます他の二公五現、こういうものについて、おおむね公労委のあらかじめ立てました日程のもとに、多少のズレはありましても問題が解決をするという形になると、国鉄だけ取り残しておくということは非常にむずかしい問題になってくると思う。そういう場合にもし直面した場合に、二公五現については一応調停なら調停案を提示する、あるいは仲裁裁定に移行して仲裁裁定案を示すことができるという段階まで来た、しかし、国鉄関係については、三つの組合があるわけですけれども、その中で一つかあるいは二つの組合が、合理化問題については当局との間で話が詰められていない、いま真鍋さんがおっしゃったような条件が満たされていないというような状況に直面した場合に、それはあくまで国鉄当局としては切り離して解決をしてもらいたい、こういうことになるのか。あるいはそういう場合には、公労委の調停ないしは仲裁裁定にまかして、できればそういう問題を同時に解決のほうに持っていってもらいたい、こういうように考えておられるのか、その辺ひとつ確かめたいと思います。
  109. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 合理化問題が解決をいたしませんで、国鉄としましての賃金引き上げについての検討ができないという事態、かりにそのような事態になった場合のお話であったと思いますけれども、私どもとしましては、三公社五現業の賃金の調停委員長見解が出まして、一応の仲裁移行をいたします時期というものは、三公社五現業は同時であるべきだというふうに考えております。国鉄だけが残って、他公社現業が国鉄を除いてそういった調停、仲裁移行ということがあるということは、望ましくないというふうに考えております。  ただ、そういった当局側の賃金回答ができない場合にどうするんだというお話であろうと思います。現在の段階ではそういうことにならないということで、労使が最善の努力をしておるところでございまして、私としましては、そういう最悪の事態にはならないというふうに考えております。
  110. 和田春生

    和田(春)委員 そういたしますと、問題を整理すると二つになると思うのですね。  一つは、当局側も一生懸命努力をされておるようでありますし、公労委のほうからも、私の聞くところによりますと、国鉄の労使に対しまして、いまの状況では調停を進められるような条件になっていない、そこで、合理化、近代化の問題について自主交渉をもっと進めて、調停に入れるような状態をつくってこい、簡単に言いますとそういうような意思表示もあったそうでございますから、公労委のそういうバックアップもあって交渉されているわけであります。三つの組合の中で、鉄道労働組合は、合理化問題につきましてはその意義を認めて、比較的前向きの態度といいますか、これを建設的に処理しようとしている。他の国鉄労働組合、動力車労働組合につきましても、この二、三日のうちに、かたくなな合理化絶対反対とか、そういうような点については緩和をして、そして当局との話し合いのベースに乗る、そういうことが一応見通せるので、当局としても態度表明ができる段階になる、こういうのが一つの場合だと思うのです。  もう一つの場合は、相手のある仕事ですから、にもかかわらずそういうことが見通しどおりに運ばなかった、こういうときに当局としてはどうするか。このときには、当局として、いかに二公五現が解決するときになっても、当局の自主的な責任において賃金問題解決のための具体的な態度を表明することができないけれども、しかし、他動的に公労委なら公労委の作業においてやられるという場合においては、二公五現と、従来の経緯もあるので差をつけるような解決ということは、当局としてはやはり今後のことを考えて望ましくないので、同時に同様な条件で解決されるということを、期待をするというとおかしいかもわかりませんけれども、それはやむを得ない、それで、そういうふうにすることがよいのではないかというふうにお考えになっている、二つに分けてみると、先ほど来のやりとりを通じまして、私どもとしてそういうふうに考えてよろしいわけですか。
  111. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 私が申し上げましたのは、先生のおっしゃいました前段の考えでございまして、後段の場合どのようになるかということは、いま先生からお話がございましたけれども、なかなかむずかしい問題だと思います。その事態になりましたときには、また私どもの態度というものも考えなくちゃいけない。目下のところは、何回も繰り返しますけれども、労使ともこの問題に取り組んでおりますので、そういうむずかしい事態にはなるまいというふうに考えております。
  112. 和田春生

    和田(春)委員 これは、私の念の押し方が非常にむずかしい、機微に触れたことを言っているので答えにくいと思うのですが、四月二十七日の大蔵委員会におきまして、その点について、ことしのことではないのですが、去年までの実績を通じて山田副総裁にお尋ねをした。その答えというものを要約してみますと、現実に他の民間も大体きまってくる、二公五現もきまってまいるというような状況で調停なり仲裁という段階にタイミングとして入っていくわけでございます、その際には、私が質問したことに対してですが、先生がいまおっしゃいましたように、私どもも、うちの職員にはやはり人並みの賃金は上げてやりたい気持ちは持っております、それを仲裁の席上で申し上げているのが昨年の実情でございます、こういうふうに言っているわけです。そういう点から見ますと、ことしはいま賃上げの同時並行的な条件として合理化を進めているわけですから、いまの段階でそういうことはおっしゃれないと思いますけれども、この種の問題については、国鉄の労使だけで問題が運ばれるわけでありません。いろいろな条件が出てくると思うのです。また去年と同じ場になってくるという可能性も十分にあるように私どもは思うのです。これは決してストライキの圧力によるとかどうとかいう問題ではなくて、従来から、ストライキがあってもなくても、それぞれの闘争がどうあろうとも、三公五現というものが足並みをそろえてきたというのが、ここ数年来の実績なんですから、よほど特別な事情がない限りその実績をくずすことができない。そういう客観的な状況というものがありますと、国鉄の当局あるいは労使の意向にかかわらず、ともあれそういう形で解決をしていこうというのが、労使問題解決の方法として、特に公労委というような仲介機関においては常識的な措置だろうと思うのです。  そこで、そういうことについてはいまの段階では答えにくいと思うのですが、そういうことになり得る可能性があると私は思うのです。また私自身の所見を言えば、きっとそうなると思うのです。合理化問題について引き続き誠意をもって交渉する、組合側のほうも、いままで合理化問題を渋っておった国労、動労を含めて、そういうことになってくると思う。そこで、格差をつけずに一般の二公五現並みに賃金をしかるべく解決をしてもらいたい、国鉄の当局としてもそう言わざるを得ない、公労委としてもそうせざるを得ないというふうになる可能性が非常に強いと思うのです。そこで、そうなるかならぬかは別として、かりになったとした場合に、これと関連して重要な問題がありますので、これをまず国鉄当局にお伺いをし、さらに運輸省当局にお伺いをしたいと思うのです。  先ほど来申しましたように、合理化、近代化によって、相当膨大な賃上げの原資をすべてまかなうことはできないと思います。しかし、いまの国鉄が非常にせっぱ詰まった状況に、経営がピンチに立たされているということは申すまでもありません。民間会社ならもうとうに破産という状況だと思うのです。そういう中で職員のモラルを高め、国鉄再建のためにも職員の建設的な協力を求めるという意味で、公労委の仲裁なら仲裁で賃金が上げられると、国鉄当局としてはこれに拘束されると思うのです。政府はだめだと思えば、予算上それはできないという形で国会にはかるという逃げ道がありますけれども、国鉄当局の場合は逃げ道がない。そこで、これを受諾をして賃金問題を解決せざるを得ない立場に置かれるわけですが、そういう場合に、それからあとそういう賃金を支払いながら、国鉄を健全な経営の軌道に乗せていくということのためには、もう合理化、近代化という問題は、どういう方法で合理化、近代化を進めるかという方法論について意見はあっても、絶体絶命のものになってくると思うのです。賃金はそういう形で上げたけれども、もうそこでけりがついたんだから、合理化、近代化の問題についてあれほどまで強く言っておったけれども、これでほっとしたという形でたな上げをするとか、ずるずると流していくということは許されないと思うのです。そういう場合に、当局としてどういう決意と方策で当局のお考えになっている合理化、近代化を進めようと思っているか、いろいろな問題がありましょうけれども、要点的にひとつ御見解を伺いたいと思うのです。
  113. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 昨年度の場合でございますが、調停最終段階におきまして、他公社現業との均衡をとる必要もあると考えるというふうに当局の見解を最終的に表明をいたしまして、二公五現と同じ合議に入ったわけでございます。その場合には、提案をいたしておりました合理化、近代化事案が整理ができておったわけでございます。この労使間の交渉の記録としましては、引き続き協議というような項目で整理しておったものもございますけれども、それらはすべてある時点で解決をしようという合意になっておった事項であったわけでございます。そういう意味で、時期的にはずれておりましても、労使間で整理ができるということで、一応の合理化事案の整理ができたというふうに判断をしたわけでございます。このことは、今回の合理化事案につきましての当局の考えも同じでございまして、必ずしも六月一日に耳をそろえまして全部同時実施ということでなければ、問題の解決でないというふうには考えておりませんので、各事案ごとに、ある時期に問題となっておりますものの解決ができてスムーズに実施ができるという見通しが立てば、それで整理ができたというふうに考えるわけでございまして、そういう意味におきましては、どの事案もそういう整理ができるというふうに考えておるわけでございます。この引き続き協議で、どっちになるか全くわからないという形の整理でこの問題が解決したというふうには、私ども考えておりません。  そういう意味で、時間が非常にかかっておるわけでございますけれども、そういう中で、整理がこの一両日で必ずつくものというふうに考えておるわけでございます。その段階におきましては、やはり去年当局見解としましてやったと同じように、他公社現業との均衡というものは、私どもとしてはどうしても考えざるを得ないというふうに考えております。
  114. 和田春生

    和田(春)委員 いままでにおいても、同時に全部が実施ということにならなくても、それぞれの事案について、多少時間的にずれても一応実施をされてきておると考えておる、今後もそういう点において大体やられていくものと思えるので、お流れになるとか、それがルーズになることはないように思うというふうに真鍋さんもいま言われたわけです。そういたしますと、ここ数年来の状況を見た場合に、去年もそうでございましてことしもそうでございますが、大体公労委の立てた問題解決の日程に沿った形でストライキのスケジュールというものが組まれておる。一部ストに入って、国民の立場から見れば足に影響を受けるという事態があるわけです。しかし賃金の問題は、民間の賃金の進行状況、他の二公五現というものとの関連において、国鉄というものも取り残されずにきめられてきている。合理化の問題についても、賃金紛争の前段階においては絶対反対だ、あるいは労使として対決だということを言っておりましても、あとにおいてだんだん実施されてくるという形になると、またことしもきょうあたりからぼつぼつ始まっておりますけれども、行なわれているストライキなんというのは全く無益といいますか、ナンセンスなものであって、ずいぶんばかばかしいことが行なわれて、エネルギーがロスをされているように思うのです。その結果、よしあしは別として、当局の合理化をストップさせて組合側の要求が通ったとか、あるいは賃金についても国鉄独自の立場が貫かれたということであるならば、いい悪いは別としてそれはまたそれなりの意味というものがあると思うのですが、ナンセンスな状態が国鉄の労使で非常に繰り返されてきている。  こういうことについて、私たちから見ますともっと改善の余地があるのではないか。もっと何とか方法があるのではないか。これは両当事者があるわけですけれども、当局側としてそういう無益な紛争を繰り返さずに、国民の信頼にこたえていくというために、やはり何らかの方策なり考えがなければならぬと私は思うのです。ストライキは組合がやるのだから当局としてはいたしかたないという形では、労使関係というのは双方の反映ですからほっておけないと思うのです。そういう問題についてお考えを伺っておきたいと思うのです。
  115. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 おっしゃいますとおりでございまして、国鉄におきましては法律でストライキをすべて禁止をされております。特にこの賃金引き上げにつきましては労使間で交渉しておりまして、賃金問題につきましては調停委員会の調停作業にも入っておる問題でございます。また、合理化事案につきましても労使で平和裏に交渉しておる問題でございますので、ストライキをかまえて、これの圧力で、たとえば合理化事案についての有利な解決の方向、あるいは賃金引き上げについて引き上げ額を多くしようというような考え方、そういったことはすべて無益だと思いますし、無益と言いますよりもそういったことは禁止せられておることでございますので、私どもとしましては、そういったことにつきましては毎回警告をしておるわけでございます。むしろ先生がおっしゃいますように、もっと基本的に、そういった問題はそういう考えをしないようにということを十分に話し合いまして、国民の皆さんに御迷惑のかかるような事態のないように、最善の努力をしたいと考えております。
  116. 和田春生

    和田(春)委員 その点について、今度は政府のほうにお伺いしたいのですが、運輸大臣がおりませんので鉄監局長に確かめたいと思うのです。  いま国鉄は非常にむずかしい立場に置かれておりまして、昨日の説明によりましても、すでに四十六年度の予算におきましても純損益として二千四百六十五億、それから繰り越し損益では、やはり赤字が八千二百億という巨額に達する、このままでは赤字が累増するばかりであるということを言われておりました。これについては、私は国家の積極的な補助と、もちろん国民の協力、国鉄当局の血のにじむような合理化、近代化の努力と、それから健全な労使関係確立というようなことが組み合わさっていかないとうまくいかないと思うのです。幾ら数字の上で議論をしてもだめだと思うのです。そういう点について、ずっと国鉄の労働問題を見詰めてきた立場におきまして、他の二公社五現業と比べますと、ここ数年におきましては国鉄の経理状態が非常に悪い。一方、国鉄職員の平均年齢は、他の二公社五現業に比べて非常に高いわけです。しかも、いい悪いは別にして、日本においては女子に比べて男子の賃金が高いわけですが、その男子が圧倒的な比重を占めているというようなところですから、ベースアップをするにしても定期昇給をするにしても、あるいは賃金調整をするにしましても、ほかと同じ条件でやれば国鉄のほうがそれだけ多くの原資が要るというのは当然のことだと思うのです。そして人命をあずかる重要な輸送に従事をしておるわけでございますから、この職場におけるモラルを高めるということのために、やはり人並みないしは世間並み以上のことをやってやらなくてはいけないという問題がある。しかし、そういう中において国鉄の経理状況が悪い。あるいは最近の輸送革命において国鉄にいろいろな影響が出てまいりまして、新幹線その他の幹線系においてはどうにかやっていけるけれども、ローカルにおいては非常にまずいというようなしわ寄せを職員がたいへん受けているわけです。そういう中で、常に国鉄の職員は割りを食わないかという不安があると思うのです。そういう不安というものが、労使関係の問題を解決する上において一つの障害になっていると思う。そういう点を考えた場合に、どうしても国鉄の赤字というものを何とかしなくてはならぬ、国民の足としての国鉄を健全に再建をしなくてはならぬということを考えますと、職員の協力が必要だと思います。  そこで、そういう再建を軌道に乗せるまで、国鉄の経営自体の赤字であるとか、そういうような経営がどうであるとかいうことにかかわりなく、というと言い過ぎかもわかりませんが、そういうことにウエートを置くのではなくて、やはり重要な輸送の使命を持っているのだから、世間並み、人並みの賃金を上げてやる。しかし、いまの国鉄の経営当局に自主的な判断で言えといっても無理なんだから、それは政府の責任においてそういうことを国鉄当局に言わせるということをやる。しかも他の二公五現と格差をつけない、赤字であっても賃金についてはそれを保障していこう、そういう態度をまずはっきり明瞭に政府が打ち出していくべきだ。同時に、それだけの決意をもって臨むんだから、国鉄の職員たるものは、国鉄の現在置かれている条件を十分考えて、合理化反対であるとかあるいは生産性向上反対とかいうような形で、いわゆる観念的なもめごとを引き起こすのではなくて、やり方をどうしたらいいかということについては、労使が火花を散らすような折衝を当然やってもいいけれども、国鉄の近代化、合理化の原則の上に立って労使が協力して国民の期待にこたえるべきだ。同時に、そういうことに応じて国民のほうも、これは税金の形でやるか、どういう形になるか別として、負担をして、日本の国鉄として、国民の足がりっぱに将来にわたって確保されるようにすべきである。むしろ政府がそういう積極的なイニシアチブをとるべきだとぼくは思う。自主性があるから、国鉄当局は言いなさい、言いなさいと言っても、現に赤字が出ておって、民間会社ならとうに倒産ですよ。そういう状態になっている国鉄の経営者は、気持ちとしては世間並み、人並みにやりたいと思っても、なかなか自主的に言えないと思うのですが、そういう点の政府の積極的な態度というものに欠ける点があるように思うのですが、その点いかがでしょう。
  117. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 国鉄の財政事情、ただいま先生の御指摘のございましたように、非常に悪化をしておりまして、これを解決をするためには、政府も、御指摘のございましたように、国鉄自体の合理化、近代化、さらに国民の協力を得つつ、国の財政援助等もこれを大いに強化していくということでもってこの難局を乗り切るという以外にはないわけでございまして、その前提といたしまして、労使関係におきまする健全なる関係確立ということが必要なことも、また先生指摘のとおりでございます。  そういうことでございますが、この国鉄の労使問題の処理といたしましては、現在公共企業体等労働関係法の定めるところによりまして、一方その仕事の性質上、その公共的な性質のゆえに争議行為等を禁止をするとともに、仲裁裁定の制度というものを定めまして、そうしてこれは国鉄が拘束をされるという形にいたしておるわけでございます。それでその場合に、ただいま先生指摘のような国鉄職員の年齢構成なり、あるいは男女構成なり、あるいは仕事の性質が非常に危険に富み、また人命をあずかるというような重要性にかんがみまして、そういう仕事自体のウエートということをも考えた賃金の構成にしなければならないということは、まことにお説のとおりでございます。ただこの点は、ただいま申し上げましたような労使間双方の関係で決定されるということをたてまえとし、さらにそれを公共企業体等労働関係法による労働委員会というものに、国と離れた、政府と離れた独立の権限を付与して、それが裁定をするということになっておりますので、その中身自体には、政府のほうとしては直接タッチするということは適当ではないのじゃないかと思います。  ただ、政府の考え方といたしましては、そういう第三者機関があるわけでございまして、そうしてその第三者機関が、いま申し上げましたような各般の事情を考慮しつつ出しました裁定につきましては、当然政府がこれを実施できるような万全の努力をしなければならぬということでございまして、これにつきましては、もし必要ならば国会に付議するということもございますが、政府の考え方としては、これは万全の尊重をしてまいるということに相なるわけでございます。
  118. 和田春生

    和田(春)委員 そんな官僚的な答弁を求めているんじゃないんですよ、私が言っていることは。先ほど来のやりとりでわかっておるように、国鉄で自主的に何かせいといったって、どんなにすぐれた運輸大臣が国鉄総裁になったって、いまの状況ではできやしないですよ。何とかしてこれは助けなければいかぬという形で、国会で小委員会までつくってやっているわけでしょう。そういう状況の中で、賃金の問題を国鉄当局だけ責めるのはむだなんです。組合がストライキをやっていますが、先ほど来のやりとりでもわかるように、ほんとう言うと、あんなストライキも何の役にも立っていない。しかし、こういう状況から見れば、何となくそういうストライキがなければならぬような空気があることも事実なんです。ほんとうは無益で、そういうものは全くプラスにならないことが行なわれているのだけれども、そういう状況があるからといって、政府が少なくとも国鉄の職員——職員の大方はやはりまじめに協力しようと考えているんですよ。現場で一生懸命働いていますよ。そういう人たちにいたずらな不安を与えない、それが大切じゃないか。ほかの二公五現は、たとえ数字に不満でも何かかっこうついた答えを出している、国鉄だけは赤字だから言えません、そういう状態に置かれれば、はたしておれたちの賃金は上がるのだろうか、上がるにしてもほかと格差をつけられやしないか、一番大事な職場に働いている国鉄の職員が割りを食うようなことでは、お先まっ暗じゃないかという不安を与えることがよくないのじゃないか。したがって、国鉄再建をするためにみんなが協力をしなければいかぬけれども、職員に無用の不安を与えないようにするためには、政府はもう少し当局がものが言いやすいようにしてやる必要があるのじゃないか。そういう前提に立って、そういうことをしているからみんな協力してくれ、職員もくだらぬストライキみたいなことをやるな、一生懸命やって国民の期待にこたえなさい、そういう態度が必要なんじゃないかということを言っている。実はこれは運輸大臣に伺おうと思っておったのですが、お葬式でどうしても席をはずさなければいかぬというので、私どもも中座されることを了承したわけですが、鉄監局長が残ったわけですから、官僚答弁ではなくて、運輸大臣にかわったくらいのつもりで、ずばり、よくわかった、努力する、と言ってごらんなさい。同じことを何べんも言わなくたっていいですよ。
  119. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 職員の間に、ストライキがなければ給与改善はできないのだというようなことがありますれば、これは非常な誤解と申しますか、とんでもないことでありまして、ただいま先生いろいろ御指摘のような点が多々あっても給与の改定というものが行なわれているというように私ども考えております。また、職員にも十分にそれは認識していただきたいと思うところでございます。また職員が、自分の企業が経営上非常に苦しいということのために、特別に大事な仕事をやっているにもかかわらず割りを食うというような感じを持つということは、これまた不適当なことでございまして、政府といたしましてもそういうことがないような印象を与えなければいけないと考えております。  今後、どういうことになりますかまだわかりませんが、政府といたしましてもこの公労委の精神に沿いまして、できるだけ職員の要望にも沿い、また国の財政上の助成その他とも十分にらみ合わして、国鉄の再建にも沿うような努力をしてまいりたい、このように考えます。
  120. 和田春生

    和田(春)委員 最後に念を押しておきますけれども、やはりこういう問題について、政府が国鉄当局にもっと前向きに協力をする必要があると思う。国鉄が今日の状況になったのには、国鉄の職員に全然責任がないとは言いませんよ。民間の場合でも、企業が悪くなるという場合は、経営者と労働者と両方——どっちかが全面的に悪くて、どっちかが全面的に正しいなんということはない。やはり原則的には労使の協力によって成り立っている。そういう意味合いで、職員にももちろん責任の一部はあるかもしれないけれども、主たる責任は、国鉄の置かれた地位と、政府の国鉄に対する政策、あるいは公共負担が全部国鉄に背負わされて、現在の変化に対応するだけの体制づくりがおくれているという点の政府の指導性に最大の原因があるのです。同時にまた、それは国鉄の経営者もその責任を免れるものではないと思うのです。そういう中で、赤字だから賃金や何かがたいへんぐあいが悪くなるのではないかという不安を与えないように、ちゃんとした姿勢を示すことが一番大事だ、そういう態度をはっきり持ちなさいよということを言っているのです。それがあって初めて、公労法のたてまえに従って争議行為をやってはいかぬということを言っても、それは筋が通ってくるわけです。政府にそういう姿勢がなくて、単に紙の上と口先だけで違法のストライキはよろしくないということを言っても、それは意味がない。いま行なわれているストライキが意味がないのと同じように、それも意味がない。だから、そういうことが意味を持てるように積極的な態度を示しなさい、こういうことを言っているわけです。時間もございませんので、重ねて同じことは申しません。今後前向きに全力をふるってやるということをここではっきりお約束してください。
  121. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 今後の国鉄職員の給与の改善等につきまして、職員がほんとうに安心して全力をふるって仕事をなし得るような体制というものは、国としても大いに考えなければならぬわけでございまして、私どもそういう面につきまして、全力をふるって努力をする覚悟でございます。
  122. 和田春生

    和田(春)委員 終わります。
  123. 福井勇

    福井委員長 次回は来たる二十一日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会