○松本(忠)
委員 日本国有鉄道に関する小
委員会が、当
運輸委員会の中に設置せられました。近日中に
国鉄に関するあらゆる問題を研究、討議する機会が恵まれます。このようなことになりましたことについて、私も小
委員会の設置をすることを提案いたしました一人といたしまして、まことに欣快にたえないわけであります。会期も残り少ないわけでありますけれ
ども、会期中もちろん、休会中にも小
委員会を数回持って、少なくとも八月末の来年度予算の概算要求の時点、これまでには何らかのめどをつけたい、このように思うものでございます。きょうは、小
委員会の開催を待てない緊急の問題、ただいま
内藤君からも質問がございましたその問題について、私も質問をいたしたいと思うものでございます。
御承知のように、今回の
常磐線と帝都高速度交通
営団の
地下鉄千代田線の
相互乗り入れの問題でございます。この点については、去る四月二十日に開業以来いろいろのトラブルが発生しております。
大臣がいま来られる前に、
鉄監局長と
内藤君の間でいろいろとやりとりがございました。しかし、この問題を聞いておりますと、まことにのれんに腕押しでございまして、ほんとうに真剣に取り組んでいくという姿があらわれていないという点を、私は非常に残念に思うわけです。抽象的な問題でいかに取り組んでみても始まらない。私は、少し具体的な問題について
大臣にもひとつ聞いていただきたい。それから
鉄監局長の答えも、ひとつ具体的な答弁をやってもらわなければ、いまの
内藤君の
お話のように抽象的な問題に終始するのならば、これは何日やっても切りがない、こう思います。ひとつその点を十分御理解の上で具体的にお答えをいただきたい、こう思うものでございます。
昨日の夕刊にも出ておりますが、五月十四日、ストが予定されております。このストにつきまして、
大臣がきのうの閣議におきまして、ストの
対策について、観光バスを使って
輸送してはどうか、こういう
お話も出ておりました。しかしながら、この観光バスの問題についても、私、一考を要する問題があろうと思っておるわけでございます。
いずれにいたしましても、この開業の前日、十九日以降今日に至るまで、もう金町、亀有、それから綾瀬、それからまた
松戸においても
北千住においても、それからまた
西日暮里の
乗りかえのいわゆる割り増し料金を払う、こういう問題にも、実に大小さまざまなトラブルが発生しておるわけであります。
国会に対しましてもしばしば請願、陳情等が見られておるわけでございます。御承知のように、四月二十五日までは地方統一選挙がございましたので、
現地からいろいろと電報、電話などで
お話がございました。その動向は私も承知しておりました。二十六日になりますと、
東京の葛飾区の区議会の議長を先頭にいたしまして、大挙して
国会においでになりました。先ほ
ども内藤君から
お話があったように、葛飾区議会においてもまた足立区議会においても、超党派でこの問題には取り組んでおります。
要望書を持って
国会に来られたのは、全政党を代表されたところの区
会議員の
方々でございました。その際
運輸大臣にも面会を申し込んだわけでございますが、残念ながら会えなかったので、いまそこにいらっしゃる
鉄監局長にお会いいたしました。その
要望書を
局長にも差し上げてあるので、十分にごらんになっているわけでございます。その足で
国鉄のほうにも参りました。
国鉄もちょうど旅客
局長がおりませんでしたので、旅客局の総務課長、営業課長、この両所に対しまして
要望書を提出いたしました。
その
要望書につきましては、十分おわかりのことと思いますけれ
ども、念のために申し上げますと、要点は三項目ございます。第一番が、
松戸−
上野間を従来どおり国電を運行しろ、こういうことであります。第二番目は、
西日暮里を経由するところの料金、経由する場合でも料金は同じにしろ。第三番目が、
ホームの駅務の係員を常時置くことにしてもらいたい。これは、安全
輸送の面から当然のことだろうと私は思うわけであります。
こういう内容が盛られておったわけでございます。これは
地域住民、
利用者の
方々の声といたしましてもまことに素朴でございまして、しかも、偽らない気持ちを端的にあらわしたものであると私は思いました。その日の午後になりまして、また日本住宅公団の葛飾区自治会連合会、この代表の方約八十名が
国会に見えました。同様の趣旨の
要望書を持って見えられたわけでございます。
〔
宇田委員長代理退席、
委員長着席〕
このようにしまして、そのような行動、それから電話、もうあらゆることをもって私
どものところに、この問題の解決を迫ってきておったわけでございます。
なお、話は前後いたしますが、今月の六日には、主として亀有、綾瀬の両駅を利用して乗りおりされる
方々が
国会に見えられまして、二万五千百四十一名という署名を添えて、この両駅に
常磐線の電車を停車させてもらいたい、また
西日暮里経由の
運賃は
国鉄線利用と同
運賃にしてもらいたい、いろいろ盛ってございますが、この二点は特に重要な問題として盛られておったわけでございますが、この請願書を船田議長のところに持ってまいりました。議長にもお願いをいたしまして、請願の受付をしていただいたわけでございます。
このように、いろいろ
国会に対しましても、また
運輸省に対しても、
国鉄に対しましても、しばしば陳情が繰り返されておりますし、そのほか、
国鉄の本社の前で、ゼッケンをつけた
人たちがたくさんたむろして陳情した、この事実もございます。
私も、事実この問題を重要視いたしまして、四月の二十八日でございますが、朝の七時に
松戸の駅へ参りまして、この
松戸駅を振り出しに、ずっと
北千住のほうまで上がってまいりました。そしてまたさらに
西日暮里の駅も視察をいたしまして、朝のラッシュの状況を見たわけでございます。そしてなおこの間に
乗客の各位から、ラッシュアワーにおけるところのいろいろの
問題点、直接苦情の数々を私は聞き取ったわけでございます。
こうした結果、四月の三十日になりまして、午後のことでございますが、私が視察に参りましたとき同行されました
国鉄幹部の方が私のほうに見えまして、
要望書に対する回答が寄せられました。その内容は、先ほ
ども申し上げましたけれ
ども、第一項、すなわち
松戸−
上野間は従来どおり国電の運行をしてもらいたいという
要望に対しては、これはできない、こういう御回答であります。第二項目の、
西日暮里経由でも料金は従来どおりにしてもらいたいというこの
要望に対しても、これまただめでございます。第三項の、
ホームに駅務の係員を常時置いてもらいたい、こういう
要望に対しましても、朝夕のラッシュの時間帯にはこれまでどおり置きますけれ
ども、ラッシュ時間帯以外の時間は、工業用
テレビを駅務室から見ているから、
ホームで何か事件が起きれば、すぐ飛んでいくからだいじょうぶだ、あるいは
ホームには非常警報機が備えつけてあるから、非常のときにはそれを押してくれればわかる。まことにそっけない返事なんです。その非常警報機にしたって、どの
ホームにくっつけているのか全然わからぬですよ。一本おきについている。どの辺についているのか、非常警報機がついている場所だって全然明示されていない。こういう
状態なんです。わずかに、先ほど
局長も答えられましたけれ
ども、当分の間、朝のラッシュに三本、それから夕方一本、昼間五本、この
快速電車を増発する、こういう程度の御返事なんです。
このように、
国鉄当局の回答というのは全く事務レベルの通り一ぺんの、何のあったかみも感ぜられない。まことに、
地域住民に奉仕する公共
輸送機関であるところの
国鉄としては、
お客さんのことも考えてない、相手のことも考えてない、自分のほうだけ、こういう姿勢の回答だ、私はこう思う。
そこで、これはもう一ぺん——きょうは
国鉄総裁がお見えになっておりませんが、しかし、そのときに
鉄監局長もあるいは原岡常務もいらっしゃったから、たぶん記憶があるんじゃないかと思いますが、二月の十六日に当
委員会において、私は東北本線の事故の問題を取り上げました。そのときに、
大臣からも懇篤なる陳謝のことばが述べられた。また、
国鉄総裁からも陳謝のことばがあった。その
国鉄総裁の返事、思い出していただけばわかると思いますけれ
ども、要するに
国鉄の「国」の字は残酷物語の「酷」の字にしろ、名前を変えろ、あのとき私はそう申し上げた。そのときにも
国鉄総裁は、
企業に対しては忠実であり、
お客さんに対しては忠誠心をもって接するように今後の教育に当たりますと、こういうふうに言われている。それにもかかわらず、
国鉄の姿勢というものは全然改まっていない、こういわざるを得ないのです。まことに
乗客不在です。重大問題だ。こういうものをいつまでもいつまでもほっぽっておく、この問題に対しては私はほんとうに憤りをもって、
大臣にもそれからまた当局の
方々にも聞いていただきたいわけです。
この
相互乗り入れに関する不平
不満を、全部を解消するというわけにはいかないと私は思います。しかし、ある程度の不平
不満を解消する一つの提案、これを私は申し上げてみたいと思うのです。技術的な問題はいろいろあるでしょう。技術的な問題について、これはできないんだというふうに
国鉄当局でも言われるならば、これはなかなかむずかしい問題でしょう。
現地で見てみるとわかります。金町の駅の立体交差の問題、あるいはまた説明のあったいわゆる
上野−
日暮里間の狭い問題、こういう例から考えて、技術的には無理だと思われますけれ
ども、私がこれから申し上げようとすることは、勇気があればできないことじゃないと思うのです。
ということは、いまも話題になりました
運賃の問題です。庶民のふところというものは非常にたいへんな
状態なんです。楽じゃないのですよ。この荷物価に攻められて四苦八苦している。こういう善良な大衆は、十円の金もむだづかいできないという、そういう
状態です。
ところが、一つの例を申し上げますけれ
ども、亀有から浅草橋まで
通勤しているおじいさんがある。この人は、いままで亀有から
北千住を通って、
日暮里乗りかえ、秋葉原
乗りかえの浅草橋、こういう経由の
国鉄線を使って、一カ月千八百円。今度は定期が
西日暮里経由ということになりまして、
西日暮里経由で買って二千八百円。一カ月で千円の金の違いです。こういう人は会社から交通費なんか負担してくれない、ちっぽけな会社につとめているおじいさんですよ。この人にとっては千円という金はたいへんなんです。確かに
西日暮里を経由すれば、亀有から
日暮里、秋葉原より幾らか時間は短縮できるでしょうが、時間の問題よりも、このおじいさんにとってみてはお金の問題なんです。それを、私
どもも先ほどから口をすっぱくするように
運賃の問題を言っているのです。
現在の都市交通のあり方から考えてみたとき、将来の展望、むずかしいことはいろいろあるでしょうけれ
ども、要するに、
国鉄と私鉄の
相互乗り入れということは、今後も
東京においても大阪においても起こる問題だと私は思うのです。たとえば、金町の
住民が
千代田線で
西日暮里経由で
日暮里まで行っても、
北千住で
乗りかえて
日暮里まで行っても、どちらを利用しても同一金額だ、こういうことになれば
お客さんは納得するんだと思うのです。要するに、
お客さんの自由選択でどちらの経路を通ってもお金は同じなんだ。これを私は全国のあらゆる
地域にわたってやれと言うわけじゃないんですよ。いなかのほうの、一日に五人か十人しか乗らないような赤字線のところまで、そういうところにはそういう線があるかどうかわかりませんけれ
ども、そういうほうまで範囲を拡大しろと言うんじゃないんです。都市交通の政策上、今回のような方法をとらなければならない、こういうときだけ別途の計算にするという法の改正は、ぜひともしなきゃいかぬと思うんです。
いまの
局長と
内藤君のやりとりを聞いていますと、現在はこうでございますからできません、いつまでたってもこれじゃ際限がないです。
国鉄と
地下鉄その他のいわゆる私鉄、こういうものの
運賃が法律的にもきめられている、また
運輸大臣の認可によってきめられているというようなことは、子供も承知しているのですから、この特殊な
事情、要するに大都会においてこういうふうな
相互乗り入れ、こういう問題によってやらなければならないような場合、二社以上の線にまたがって乗車する場合には、いままででいけば両方プラスしたんだ、両方合算するのはあたりまえのことなんで、その合算した料金をいただくんだ、こういうことでなしに、都市交通の
運賃だけは特別特例で定めることに法の改正をしなきゃいかぬと私は思うんです。この法の改正を当局がおやりになる御意思がないならば、私
どもは議員立法でもこの問題を提案して、実現をはかるまでこの運動を一生態命継続して、
住民の
皆さんの期待にこたえたい。この法改正を、
運輸省で
大臣がお考えにならないというならば、私たちは議員立法でこの問題を提案してそして解決をしたい、こう思うのです。そうでもしなければ、こういう問題はいつになったって解決できないと思う、やる気がないんだから。いままでのやり方は、一足す一は二である、こういうやり方で、これできまっているんだから、これでやってもらうんです、これじゃ
住民の
皆さんは納得しっこないと思う。
そこで、
大臣の勇断をもって、新規にこういう場合だけ、都市におけるこういう二社にまたがって乗っていくような場合の
運賃のきめ方というものを特例をもってきめる、こういうことを
大臣が勇気をもってやっていただくことを、私は切に希望するわけです。もしどうしてもできないなら、私
どもは、今回は期間がもうありませんけれ
ども、次期の
国会においてもこの問題を議員立法で提案して、そうして解決をはかるまでほこをおさめない、そうして
住民の皆さまの御希望に沿いたい、こういうふうに私は思うわけでございますけれ
ども、
大臣のお考えをお聞きしたいわけであります。