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1971-03-17 第65回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十七日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 村山 達雄君    理事 斉藤 正雄君 理事 松本 忠助君       大野 市郎君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    關谷 勝利君       中村 弘海君    西銘 順治君       綿貫 民輔君    金丸 徳重君       内藤 良平君    田中 昭二君       宮井 泰良君    和田 春生君  出席政府委員         運輸大臣官房観         光部長     住田 俊一君  委員外出席者         参  考  人         (タワー観光株         式会社取締役副         社長)     秋田 貞男君         参  考  人         (株式会社日本         交通観光社取締         役社長)    八木 利真君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     中村 弘海君   唐沢俊二郎君     綿貫 民輔君   谷垣 專一君     西銘 順治君   中村庸一郎君     大野 市郎君 同日  辞任         補欠選任   大野 市郎君     中村庸一郎君   中村 弘海君    小此木彦三郎君   西銘 順治君     谷垣 專一君   綿貫 民輔君     唐沢俊二郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案(内閣  提出第八九号)      ――――◇―――――
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため参考人として、タワー観光株式会社取締役社長秋田貞男君、株式会社日本交通観光社取締役社長八木利真君、以上二名の方々が御出席されております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、本日、御多用中にもかかわらず御出席を賜わり、まことにありがとうございます。本案について、それぞれの立場から忌憚のない御意見を承り、もって本案審査参考にいたしたいと存ずる次第であります。  次に、議事の順序について申し上げますが、秋田貞男君、八木利真君の順序で御意見を、お一人十五分程度に取りまとめていただき、次に、委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じま丸  それでは、秋田参考人からお願いいたします。
  3. 秋田貞男

    秋田参考人 御指名をいただきましたので、しばらくお話をさせていただきます。  私どもあっせん業者、特に中小企業業者にとりましては、たいへん深い関心を持っております旅行あつ旋業法改正に関しまして、こういう席で発言させていただく機会をお与えいただきましたことを、まずもって厚く御礼申し上げます。時間に限りがありますので、たいへん失礼とは存じますが、私が思いつくままの要点だけを申し上げてみたいと存じております。  お渡しいただきました改正案につきましては、再三中身を読ませていただきました結果、まず感じましたことは、御承知のように、数年前から旅館火災あるいはバス転落事故その他によりまして、あっせん業者法的責任というものが一時問題にされたことがございます。また同時に、いかにしたら消費者保護できるかという点についてのあっせん業者責任行為ということにつきましての反省も行なわれたのでございますか、今回の改正法律案を拝見いたしますと、この消費者保護ということにつきましては、慎重に配慮されているということが感じられました。まず、この点につきましては、たいへんげっこう法律改正案だと存じております。  第二点といたしまして、いわゆるわれわれの仕事には相手方がございます。そしてその相手方とは、常に金銭の問題があるわけでございます。言うならば取引上の問題でございますが、取引上に関しての責任行為というものが非常に明確にされたということは、一面業者にとりましては責任が非常に重くなってくるのでありますけれども、これは当然のことでございまして、このように責任行為が明確にされたということは、これまた私どもとしては何ら異存はないのでございます。  第三点といたしまして、以上二つのことをいわゆる守るために、何と申しましても現在のあっせん業界というものは保護という面に欠けている。いまのあつ旋業法をごらんいただきますとおわかりと思いますが、いわゆる保護の面が非常に欠けているということが、私どもの多年の不満でございました。それがこのたびの改正案によりまして、あっせん業者保護育成ということが強調されており、なおかつ、それがために必要な行政措置というものにつきましても十二分の配慮が行なわれております。特に、旅行業者団体というものを通じまして、そうしてこの団体を育成しあるいは保護することによって社会的な信用を増すということが一つと、もう一つは、これに基づきましてあっせん業者近代企業としての企業化というものの基盤というものが確立されるような感じがいたしまして、私ども、過去の業法考えまして常に業者として不満を持っておりましたものが、この改正法案によりまして非常に大きな責任を持つ反面、期待を寄せているわけでございます。特に中小企業業者におきましては、この法律の行くえにつきまして非常な関心を持っておることを、まず申し上げてみたいと思うのでございます。  以上を申し上げますと、完ぺきな法律であるというような印象をお持ちいただげたかとも思うのでございますが、しかし、法律をつくる場合には、何と申しましてもそこにいろいろな立場におきまして、あるいは営業規模その他におきまして、問題がないとはいえないと思うのでございます。  たとえてみまして、私どもがいま感じておりますことは、旅行あっせん業というものかきわめて簡単に現時点では登録がとれる。そのために、町会その他で旅行の世話をした人が、商売してみようかというので簡単に登録をとる。言うなれば、知識が非常に薄い方が旅行あっせんをしている。または海外旅行の面におきましては、海外旅行ブームというものに便乗して、そうして自分がただで旅行するために人集めをする。つまり、語学ができるという程度で行なわれる。言うならばもぐり業者でございます。そういうもぐり業者の横行、あるいはまた代理店だとかあるいは外務員ということで、リベートのみを対象にして、いわゆる責任のある行為というものがない。これもあるいはもぐりのうちに入るかもわかりませんが、今回法律を拝見いたしますと、それらの者がある程度取り締まりができるというように明確にされましたことは、私ども業界の混乱を防ぐということと、消費者に御迷惑をかけることが防がれるというふうに感じておるのでございます。  しかし、それにつきまして、いわゆる技術試験というような取扱主任者試験制度というものが織り込まれてございます。これにつきましては、国際国内とに分けていくというようなことについての議論も私ども自体が行なったのでございますけれども現時点におきまして、業種の分類という基本的なものから考えてまいりますと、理想といたしましては一本化が理想でございますが、現実的に考えてみますと、ここに一本化ということはやや無理な感じがあるのでございます。こういう点、多少今後行政指導の上におきまして、御配慮いただく必要があるんではないかということが一点でございます。  それからもう一つは、とかく手数料ということが問題になるのでございます。御承知のように、このあっせん業者が受け取る手数料というものは、交通機関から受け取る手数料あるいは宿泊機関から受け取る手数料、またはドライブインその他みやげ店というような、利用したものから受け取る手数料というものがございます。この手数料というものを明確にすべきであるということは、これは私どもとしても前々から願っていることでございますが、しからば、いかなる方法によってこれを納得できる線にするかということになってまいりますと、たいへん複雑な要素が中にございます。たとえば、ただいまの旅館手数料にいたしましても、一泊二食という宿泊基本料金に対しましての手数料ということになっているのでございますが、全国約七万軒に近い旅館の中で、ごくわずかでございますが、一割以上のものはいわゆる宿泊だけの旅館ではなくなってまいりまして、つまり、旅館である程度楽しむというような形態に変わってまいりましたので、かなり基本的な宿泊料金以外の消費が行なわれているのが現状でございます。そういうような点から考えてみまして、法律によってこの手数料をおきめいただけるのは理想でございますけれども現時点におきましては、それはちょっと不可能ではないか、かように考えておりますので、この点につきまして、将来明確な線が出るように、ひとつ行政的な指導によって御配慮かいただければしあわせだと存じます。  なおまた、それらの行為につきましては、それぞれの業種約款というものをつくって、その約款の中に、たとえば私ども約款の場合でしたら、手数料は何%ということを届け出ているわけでございます。そういう約款というものが今日では、たとえばバス約款にいたしましても、自分たち考えのみで約款というものがつくられております。大きくいえば、基本的に申しますと、観光行政が一元化されていないという欠陥の一つのあらわれであるかもわかりませんけれども、しかし、このまま放置しておくと弊害が起る可能性もございますので、今後、運輸省観光部におきまして、私どもはその約款の調整ということにつきまして、特に力を入れていただきたい。  それから同時に、このキャリアに対しての手数料の問題でございますが、これは、現在の状態では力によってきめられているという感じが深いのでございます。この力ということになりますと、あっせん業界というものの力が、いままでは欠けていたということによってこういう現象が起こっていると思いますので、今後この法律による団体というものが認められまして、その団体によって強化された場合におきましては、そこであらためて対等の立場においての話し合いの場というものが持たれると思うのでございますけれども、しかし、この点につきましても、今後一そう行政指導の強化を私ども期待いたしたいのでございます。  なお、現法律におきまして、われわれ中小企業業者が多年要望しておりましたことは、除外例撤廃でございます。法律第三条のただし書きあるいはまた施行規則の第一条のただし書き、これらに対しての除外例というものの撤廃期待していたのでございますが、拝見いたしますと、第三条の除外例撤廃されております。しかし、二十七条の点におきまして、国が営む事業というものがここに除外例的な立場において置かれております。これにつきましては、いろいろな事情があると思いますが、その二十七条によるものは国鉄であるということが明確に示されたといたしましたならば、今後は、国家である国鉄が行なうべき範囲というものは、おのずから内部的な規則によって規制されるべきではなかろうか、かように考えます。同時にまた、公務員というものと業者というものとの立場を明確にしていただく、そしてまたさらに、登録をとり、それによって生計を営んでいる業者に対して、ある程度営業の侵害にならないように、その点につきましては十分御配慮をいただきまして、そういうような、われわれがかつて抱いておりましたような懸念がないような状態を、内容的につくっていただくことを期待申し上げたいと思うのでございます。  時間が参りましたようでございますので、結論を申し上げますと、私どもといたしましては、この法律改正につきましては全面的な期待を持ち、また、これの通過を期待いたしておるわけでございます。ただ、皆さま方保証金引き上げにつきまして、これは負担過重ではないか、かようにお考えになられる点があると思いますが、三、四年ほど前に、七万円の保証金ではたしていいのかどうかということを、中小企業団体である全国旅行業協会という団体会合におきまして協議いたしました結果、何と申しましてもお客の生命と財産というものを取り扱っている業者でございまして、これは宅建のような仕事と全く異質のものでございますので、これの保証金損害引き当て金であるという解釈が行なわれますとするならば、七万円ではあまり低過ぎる、これを相当大幅に上げるべきであるということは、ある程度犠牲を払っても、社会的な信用取引上の信用、こういうものを確保するためには必要ではないかということによりまして、保証金引き上げということにつきましては、額の問題は別といたしまして、引き上げられるであろうこと、あるいは上げられても異存はないというような考え方で臨んでまいったのでございます。幸いにいたしまして業者協会というものが法律によって認められまして、それに加入された信用の置ける業者でございましたならば、さほど大きな負担にならないでこれが解決できる、なおかつ、責任は十二分に果たせるという体制がとられてくるということになりますと、この保証金の問題にいたしましても、引き上げられることにつきましては、私どもの知っている範囲内におきまして、異存はないということをつげ加えて申し上げまして、私の責任を果たさせていただきたいと思います。  どうも失礼いたしました。(拍手
  4. 福井勇

    福井委員長 次に八木参考人にお願いいたします。
  5. 八木利真

    八木参考人 私、ただいま紹介を受けました八木でございます。ただいま秋田さんのほうからいろいろお話がありましたが、重複する点もあるかと思いますが、私の意見を述べさせていただきたいと思います。  私は、この法案につきましては全面的に賛成の意を表しているものでございまして、特に今回の法律改正におきまして、私ども事業実態をあらわす名称に変えられましたこと、「旅行あつ旋業」ということばが「旅行業」ということに改正されましたことは、事業実態に合う名称になったわけで、非常に喜んでおる次第であります。  大体、この法案の中に出てまいりますところを見ますと、旅行者保護ということはもちろんでありますが、私ども事業者といたしましても、この法案内容によって仕事内容か充実してまいりますので、信用度も高まる、こういうように考えておる次第であります。  御承知のように、昨年の万博以来団体旅行も相当ふえておりますし、また、いわゆる観光ブームということで非常にたくさんの方が旅行されておりますが、そういうような実態考えましても、この法案が今日提出されておることは、むしろおそ過ぎたのではないか、万博というあの大きな事業をやる前に、これくらいの法案が提出されておってもよかったのではないかとまで思うような次第であります。  こまかい点につきましては、こういう法律の性質からだと思いますが、運輸省令に委任されておりますことが多いわけでありまして、ただいまお話がありました営業保証金の問題にいたしましても、今回の改正では運輸省令にまかせられております。これは私はまことにげっこうなことだと思いますが、先ほどお話がありましたように、旅行業といいますものはわりあいに固定資産の少ない事業であります。固定資産が少なくてできる事業でありますので、ある程度保証金を積むということは、かえって信用を深める意味でいいことだと思っております。これは事業体規模にもよると思いますが、時勢の変遷にも応じまして、監督官庁であります運輸省が十分御判断になれば、額をどの程度にきめたらいいかということはよくおわかりになることだと思いますし、また、われわれ業界の者といたしましても、どの程度がいいかという御意見を十分申し上げる機会もありますので、今回の法律改正によりまして運輸省に委任されておりますことを、私は賛成しておるものであります。  次に、いろいろ、旅行業務取扱主任者選任の問題とかあるいは試験問題等がありますが、こういうような点につきましても、運輸省においていろいろ御検討のことと思いますが、これは現在の業界実態を十分御承知観光部において、また御相談があることと考えておりますが、実態に沿ったいい行政措置をおとり願えれば、けっこうなことだ考えております。  それから次に、この法案の中で一番大事な点と思われますのは、旅行業協会の問題であります。この旅行業協会は、今回の法案改正の中の最も主要な点の一つだと思いますが、この旅行業協会のやります仕事は、旅行者保護でありますとともに、やはり私ども業者信用を高める一つの手段としてこの協会が成立することになっておるように見受けるわけであります。問題は、先ほどお話にありましたとおりに、運輸大臣が地方の府県知事に権限を委任されておりますために、業界相当数方々は、府県知事のところに登録した方であります。こういうような方が相当数が多いために、この旅行業協会をどういうような構成でつくるかというようなことを考えてみますると、そういうような府県知事の所管といいますか、監督指導をされます業者と、また運輸大臣が直接御監督になっておりますわれわれのところのような規模の大きい、全国的に仕事をしております業者、こういうようなものの間におきまして、旅行業界仕事が円滑に運ばれますためには、どのような構成にしたらいいかということが一つの問題だと思います。その辺は、実情をよく御承知観光部御当局でも御検討になっておることと思いますが、今回の法案の中の一つの重要な点だと思っております。  それから、非常に簡単にはしょりまして申しわけありませんが、最後に、今回の改正によりまして、取引態様の明示とかあるいは取引条件の説明とか、いろいろ旅行者取引をする際に連絡すべき事項あるいは内容検討する際のいろいろな問題があると思いますが、こういうような点につきまして、実はこの法案には直接関係ありませんが、観光基本法によりますと、旅行業者不当利益の防止とかいうような条文もありますが、それと同時に、観光施設整備ということがあります。この観光施設整備が十分にできていないところにも――現在は相当な旅ブーム旅行者があるわけでありますが、こういうところの整備こそ、その内容の充実のために必要なことだと考えておりまして、そういうようなことの整備が一そう進んでいくことによって、この法案ができました成果もさらにあがるのではないか、こう考えておる次第であります。  たいへん簡単に私の意見を申し述べましたが、大体以上のように考えまして、この法案が一日も早く成立することを望んでおる者の一人であります。  どうもありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  6. 福井勇

    福井委員長 以上で、両参考人からの御意見の開陳は終わりました。
  7. 福井勇

    福井委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  8. 加藤六月

    加藤(六)委員 参考人お二人におかれましは、本日はお忙しい中を御出席いただきまして、貴重なる御意見を承りました。私たち法案を審議する上においてたいへん参考になりましたことを、厚く御礼申し上げます。  いろいろお聞きしたいと思っておりましたが、時間がございませんので、ごく簡単に質問させていただきますので、ひとつ簡単にお答え願いたいと思います。  秋田参考人があまり触れられなかった点で、八木参考人がお触れになりましたが、業界運輸省は、すべての問題についてよく相談しておるというような話は、両方とも出てきたわけでございますが、実際業界運輸省は、何か定期的な会合とか、そういうようなものは持っておられるのでしょうか、どうでしょうか。あるいはそれぞれの関係で、運輸省のほうへ御相談に上がるというような方法をとっておられるでしょうか。それがどうなっておりますかがまず第一点。  それからその次は、この法律に従ってできる協会、これに対して、全国業者がどの程度加入するというような考え方を持っておられるだろうか。  最初の分はいままでの業界、それからあとの分は、この法律に基づいてできるようになった協会にどの程度入るだろうか、ごく簡単に両参考人からお教え願いたい、こう思います。
  9. 秋田貞男

    秋田参考人 ただいまの御質問の第一点でございますが、この法律改正に関しましては、一昨年、これは私の知っている範囲では初めての試みだと思いますが、観光団体の代表を運輸省が集めまして、通訳案内業法並びにあつ旋業法改正すべきかどうかというような懇談会をお持ちいただきました。これはたいへんけっこうな懇談会でございました。あらゆる角度から批判、検討をされたと私は信じております。次には専務理事会というものを、数年前に運輸省観光部長の発議で行なわ  れまして、それらによってときおり会合を開いて、そのときの問題点を討議し、意思の疎通をはかる、こういう方法をとっておられます。また、特に今回の法律改正につきましては、私どもだけでなく、一般、つまり国際をやっておる関係のほうとの連絡も非常によくしていただきまして、実はこんなに親切な御連絡をいただいたということは、三十四年間あっせん業界におりますが、私の知っておる限りでは、今回初めてでございます。そういう意味におきまして、今回の観光部はたいへん慎重を期せられた、かように考えております。  それから第二点につきましては、御承知のとおり全国登録をとっております業者が約三千六百社、かように聞いております。そのうち、一般登録をとっております国際関係方々は百工、三十くらいじゃないかと思います。それらの方々が組織されております国際旅行業者協会、これは大半加盟しておられます。それから一般中小企業、特に零細企業のものが参加しておりますのが、これも社団法人の認可をいただいております全国旅行業協会、この協会の現在の会員が、もう二千を突破いたしております。したがいまして、業界の過半数のものが団体に所属し、なおかつ、他に小グループの任意団体がございますが、これも正式な団体に加入してくる動きがございますので、この法律をもし通過させていただけるようなことがございましたら、その時点では、おそらく二千五百くらいの国内業者団体になると思います。  それから、登録は三千六百となっておりますが、御承知のように、季節的業者というのがございまして、春に商売を始め、夏はほかの仕事をし、秋になればまた商売をするというような、登録はとっていても年間稼働していない業者というものを考えてまいりますと、私どもの推定でございます寸か、八割近くのものが団体に加盟してくるということを期待いたしております。  以上でございます。
  10. 加藤六月

    加藤(六)委員 それから、秋田参考人旅館火災とか、バス転落責任問題のお話をされましたが、本質的に業者皆さん方は、旅館へ入れたらもう旅館責任になる、バスへ積んだらバス責任になる、こういうお考えではないか。もちろん、いままでのことばでいう添乗員がずっとついておりますので、そこら辺のことはあると思いますが、たとえば、先ほど八木参考人から、万博の前にこういう業法をつくってもらったらよかったというお話があったのですが、旅館とかなんていうところでなしに、万博のようなああいう大きな敷地の中で事故を起こした場合に対しては、いままではどういうお考え方で処置されておられたんでしょう。それぞれの契約内容によって違ったのかどうかという点を、お聞かせ願いたいと思います。
  11. 秋田貞男

    秋田参考人 ただいまの御質問でございますが、まずあっせん業者旅館に対しての手配の順序から申し上げますと、その旅館に非常口があるかどうか、あるいは消火設備が十分あるかどうか、あるいは退避路があるかどうかということを、事前に下見と申しますか、調査いたしましたり、その説明も聞きます。たまたま説明を聞いて、そこえ行ってみたら、あかなくなっている非常口があったというような例もございますので、ああいう火災事故がございましてから、旅館の設備事情というものをよく調査いたしまして送客するようにいたしております。そして送られた以上は、今度は旅館の内部におきましては、添乗員がいろいろな注意を与えますけれども、それ以外の、たとえばふろ場ですべってけがをしたとか、あるいは盗難にあったとかいうような問題につきましては、これは当然旅館責任において処理していただきたい。ただし、あっせん業者としての道義上の責任というものは、いかなる場合におきましても考えております。  それからもう一つ万博の例でございましたが、万博につきましては、私ども中小業者の例でございますが、再三にわたって実地視察の研修旅行を実施いたしまして、そして中で事故の起らないようにということについて万全を期しました。私も参りましたが、万博当初、人間不在なんていう悪評かございました。実は中でいろいろ、立っておりますガードマンに場所を聞いてもわからないというような、非常に不便な事態がございました。それを補うために、業者自体が中がガイドできるように、数回にわたって研修旅行などをいたしまして、責任を果たすべく努力をいたしておりますが、事故の場合の法的責任ということになってまいりますと、法律上適用を受けるようなものがございませんので、道義上の責任が主体になっております。今回は、契約によっての責任というものが明確になってまいりますので、準備することと契約上の責任ということとが合わさりますので、この法律によって、ある程度消費者保護というものについての、完ぺきとまではいかないにしても、いままでより以上に保護の条件が整うんじゃないか、私はかように考えております。
  12. 加藤六月

    加藤(六)委員 それから、先ほど秋田さんがおっしゃいました中で、私どうしても聞いておきたいと思うことが一つございます。それは、先ほど手数料の問題にお触れになりました。ところが、たとえはの例ですよ、熱海に非常にたくさんの旅館があって、いまあなた方かおっしゃったように、それぞれの旅館、ホテルと業者方々はいろいろな話し合いをされておりますが、この旅館がいいだろうと下見に行く。火災施設は十分であるかどうか、あるいは厨房がよくていろいろなものが備えられておるかどうか、いろいろ下見をされますね。ところが、普通契約でこれはまあ八%もらうということになっておる。ところが、ここに景気の悪いホテルがある。このホテルが、設備は全く同じなんだ、しかし、一五%私のところは出すから、頼むから来てくれないかという話が出てくる。そうしてそれが、どういう関係か知らぬが、ここのほうがいいと思って下見はここへ行っておったのだけれども、こっちのホテルで七%も手数料が多いんだからというので、そちらに変わっておるというケースがある。こういう場合と、今度は逆に、あなた方業者で力の強い業者がおられる。普通はここは八%でございますよということだったけれども、おれのところはおまえのところへたくさんお客をいつも送ってきてやるのだ、八%じゃいかぬのだ、逆に適当なリベートが要るんだ、だから一一%にしろ、こう宿泊提供業者に対して言うケースというのも出てきておる。こういう二つの事例は、今回の法律で改善されると思いますか、思いませんか。
  13. 秋田貞男

    秋田参考人 あまりよく事情を御存じのようなんで、ちょっとお答えしにくいのですか、全くいま御指摘のとおりの現状でございます。今回の法律によって改善されるかどうかという御質問でございますが、それ以前に、こういうことがあってはならないんだというので、全国旅行業協会旅館団体に対して、クーポンというものの発行を基礎にいたしまして、それによって明快な手数料率というものをきめて、それを守らせようというような話し合いをしようといたしましたところが、話し合いが中絶されております。  今度、この法律によりますと、賠償責任というものがございます。その賠償責任の根拠は何かと申しますと、やはり団体間におきまして正当なルールをつくって、それに基づいて共通クーポンのようなもの、それがいいか悪いかはまだこれから検討いたしますが、そういうものを発行いたしまして、それに基づく責任を一切果たすということになってまいりますと、その弊害が防げると私は存じております。いかんせん私どもの要望が入らなかったのは、過去の業界に力がなかったということが一つでございます。その反面、業者の中で力のある者は、非常に有利な率で商売をしているということもございますので、なるべくそういうものが――これはみな消費者に還元されるものでございます。これは旅館だけではなく、バスの場合もそうでございます。バスの場合も、ダンピングということがございます。これらは、この法律による団体ができたときに明確にしたいあるいはまたその機会にできると、私は確信いたしております。
  14. 加藤六月

    加藤(六)委員 もう一点、そのことに関連しまして……。ある宿泊提供業者は、旅行者よりか添乗員を優遇しておる。添乗員か行ったら飲み食い自由、それで添乗員のまくら元には、洋酒の封を切らないびんが必ず一本据えつけられるということがありますね。この添乗員という問題については、今後この法律でだいぶ思い切ったことをやるようにしておりますが、皆さん方は社内的な教育は、この法律に従ってできるとお考えでしょうかどうでしょうか。時間がありませんから簡単にしてください。
  15. 秋田貞男

    秋田参考人 ただいま、たいへん適切な御指摘をいただきました。私、交通公社におりました当時、社員クーポンというのを発行させまして、必ず添乗員には旅館と協定したクーポンを持たせて、ただでは泊まらせない。ただ、そのクーポン以上の待遇をするというのは向こうの好意だから、ここまでは制限できない。しかし、ただで泊まったり特別な待遇を受けることは差し控えたいということでやらしたことがございますが、これはこららできめても、どうも相手でくずされる場合が非常に多い。そういう点は、私どもあっせん業界といたしましては、今度は添乗員のための講習を開きまして、もちろんそれにはそういう宿泊態度の問題、そればかりじゃなく、非常時における処置の問題等、完ぺきを期する対策を立てていきたい、かように考えております。
  16. 加藤六月

    加藤(六)委員 八木参考人にお伺いしますが、外国へ行く旅行者の場合、この法案関係があるのですが、五人で旅行する。この五人とも、せいぜい自分の名前をローマ字でサインできる程度でしかないということを、あっせん業者の方はよく御存じなんですね。最初の契約条件としては、必ず日本語のできる現地のあっせん業者とタイアップして旅行させてあげます、一切不自由はさせませんということで、契約時にそういうものに従って料金を払って行った。ところが、ある国とある国へ行ったら、ある国の場合は英語しか話すことのできない業者が迎えに来て、英語はちんぷんかんぷんでわからない五人が行ったので、非常にトラブルを起こした。その次の国へ行ったら、スペイン語しか話すことのできない業者が出迎えに来て。英語以上にちんぷんかんぷんでわからなくてトラブルを起こした、こういうケースが現実にあるのです。それで日本大使館へ泣き込んでいく。その大使館へかける電話のかげ方もわからなかった。結局、ある国のホテルに三日宿泊して、非常なトラブルを起こして帰ってきておる。  今回、そういう契約の態様とかいろいろなものをはっきりしていけば、皆さん方の場合は、こういう海外旅行のトラブルは、この法律に従って防げるようになると思いますか、ならないと思いますか。まあまあいままでどおりだとお考えでしょうか。
  17. 八木利真

    八木参考人 ただいまの御質問は、実は私のところも、香港、マニラとかハワイ等の海外旅行を一部やっておりますが、お話しのようなことが起ることがよくあります。これは私どもとしましても十分注意いたしておりますが、相手の国のあっせん業者信用のできる方をさがさないといけないわけでありますが、外国におきましてもあっせん業者はいろんな方がありまして、御迷惑をかげるようなことがあると思います。私どものほうとしましても添乗者の訓練をしまして、なるべく何度も外国へ出しまして、そして外国でのアクシデントはどんなことなのかということを研究させ、また、そういう訓練した人をつげるようにいたしております。  いまお話しのことは、こういう法律で、直接に外国のことを規制するわけにもまいりませんものですから、直ちによくなるということはできませんが、私ども自体のほうで添乗者の訓練をしまして、そういうようなときには外国の方と話のできるような、少なくとも英語を話せるような添乗者をつけるようなことを考えなければいけないということを考えております。
  18. 加藤六月

    加藤(六)委員 八木さん、私が聞いたのは、添乗員がいく場合にはいいんですよ。だから私は五人という数字を出した。五人では添乗員はついていかないですよ。それで日本語しかできませんよと言って、いやけっこうです、現地で日本語のできるのをつけてあげます、こういうことがあるのです。だから、添乗員がついていく場合のトラブルというのは、約束よりはお粗末なホテルに泊めたじゃないか、タクシーで全部観光させるというのが、おんぼろバスに乗せたじゃないかとかいろいろ問題が出ますよ。それはまあいいですが、いまのように、日本語ができるなにをつげてあげますという契約をしておいて、そして現地へ行ったら、日本語のできない観光業者が来たという場合、そういうケースが防げるような方法はありますかということなんです。
  19. 八木利真

    八木参考人 それは、今回取扱主任者というのができまして、そして一般旅行については、そこで責任をもって指導するようにいたしていけば、そういうケースも少なくなると思いますが、直ちに絶無になるかと言われますと、これはちょっとむずかしい仕事だと思います。
  20. 加藤六月

    加藤(六)委員 先輩の大野委員が、ちょっと関連質問をしたいというので、私はこれでやめたいと思いますが、もう一点、八木さんのところは、支店、営業所は全部で幾つありますか。
  21. 八木利真

    八木参考人 私のところは、全体で、営業所といたしましては、本社を入れますと百六になります。
  22. 加藤六月

    加藤(六)委員 百六で営業保証金を全部積むということについての、会社としてといいますが、業者としてどういうお気持ちをお持ちでしょうか。
  23. 八木利真

    八木参考人 この営業保証金につきましては、旅行業協会のほうへ入りますと五分の一以下になるようでありますので、それで計算しますと、私のところでは約二百五十万円保証金を出すことになります。二百五十万という金額を考えてみますると、いま私たち飛行機の関係代理店とかいろいろな代理店を引き受けますと、やはりその程度営業保証金というものは一般的に出しておりますので、この程度でありましたら、ちょうど現状としてはいい額じゃないか、こう考えております。全額そのままでは、一千二百万からになりますからたいへんだと思います。そういう点で一番大きいのは交通公社でありますが、交通公社などは相当多額になると思います。
  24. 加藤六月

    加藤(六)委員 いま申し上げましたように、大野委員が関連質問をされたいとおっしゃいますので、私の質問はこれで終わらしていただきます。  貴重なる御意見、どうもありがとうございました。
  25. 福井勇

    福井委員長 関連して、大野君。
  26. 大野市郎

    大野(市)委員 関連して一、二点お伺いします。  この旅行業法ができまする機会に、サービスを提供する側と旅行業者との契約の内容一つに、御承知の込み込みという形がありまして、それはお客の希望によって、旅行者の申し出によって、税金とサービス料というものを、複雑であるので、一切がっさい幾らで込みにして引き受けてくれないかという話が出る。だからその要求を受けて、旅行あっせん業者はサービスの提供者に込み込みの値段を提示する。その場合には、税金は手数料というわけにいかないので差し引きますが、サービス料には手数料をいただきます、こういうことを契約の中に書いてある。ただし、ちゃんと逃げ道ができておって、これはそのサービスの提供側かこれをオーケー、是認をしたときに成立するものでありますという契約がありますね。これは契約で見るとみな納得なさるが、契約の内容だからスムーズに進みそうでありますけれども、現実にそれはいやだといえば、商談が成立しないでわきに流れる。  そこで、サービス料に手数料を取るということは、何としても筋か通らぬではないかという抗弁が行なわれるが、これに対しては、計算の技術の上でそれを除くことが不可能であるために取らざるを得ないのだということを説明される。これに対して、税金を引くことが可能ならば、サービス料を引くことも、手数料の計算上少しもむずかしいことではないではないか、こういう抗弁をいたすのであるが、これは一方的交通で、いや、それは認められません、旅客の要求でございますというようなことがあるのですね。これは今度旅行業法ができて、運輸省が許可権を持って認可をされるにあたっては、大きな問題点になろうと思いますが、秋田さんは特に交通公社にもおられまして、いわゆる大手七社関係の業務の内容も御存じのようでありますので、こういう点は妥当とお考えになりますか。どのようにお考えでありましょうか。
  27. 秋田貞男

    秋田参考人 ただいま、これは私よりはるかによく御承知の先生から御質問いただいたので、ちょっと答えにくいのでございますが、まず第一点といたしましては、サービス料というもの自体が、全国統一されていないというところに一つ問題点があろうと思います。それから第二点といたしましては、込み込みとか込みとかいうことをおわかりの方もいらっしゃると思いますが、込みというのはサービス料を込んだ料金、それかさらにダブって込み込みとなりますと、税金も込めての宿泊料金、こういうことでございます。それを、いま御指摘のとおり総額的に手数料を取れば、税金まで手数料の対象になる。それからサービス料にいたしましても、女中さん方に直接渡されるサービス料の場合と、旅館が収入にあげて月末に均等割りか何かの条件で従業員に配っているという場合と、それから固定給を全然やらずに、サービス料だけを給与として与えているような旅館というものがあるようでございます。ただいまたいへんいい御質問をいただきましたので、少なくともこの業法改正になりました時点では、この点を旅館関係方々と十二分に話し合いまして、そして双方が納得のいける点をまず基準にして、お客さまに了解がいただける料金というものを設定していくべきじゃないか、かように考えております。  と申しますのは、日本旅館というものは、Aという人に五千円で売ってもBという人には三千円で売るというように、わりあいに値段の自由のきくような状態がございます。そういうようなこと、あるいは季節的にも違う。ただし原則的には、私はこう考えております。旅行者というものは、泊ったら基本料金より一体幾ら取られるのだという不安があるようで、極端にいえば、私この間経験しましたのは、基本料金の倍、支払い時において払わされる。これはいろいろなものを飲み食いしましたが、できるだけ旅行者はよけいなお金を持たずに旅行ができるという体制を整えていきたい。しかし、この点につきましては、ただいま大野先生からいい御指摘をいただきましたので、業法通過後は、そういう問題も旅館業者と十分話し合って、これはお客の要望だとかなんとかいう、あっせん業者が一方的に押し切るべき筋のものではないと私は存じておりますので、考慮させていただきたいと思います。
  28. 大野市郎

    大野(市)委員 もう一点は、やはり反復継続する営業となりますと、収益も得なければならぬことは当然でありますので、それは用意せねばならぬと思います。それで、元来はあっせん業の性格でありますから、不動産あっせん業などの例をとりましても、いわゆる借り手、貸し手に五%ずつの手数料というものの歩合がきまっておりますね。やはりそれがあっせん業の本体だろうと思うのです。しかし、これはやはり歴史かあったせいですか、あるいは片方が不特定多数の旅行者であるためですか、従来経営困難の訴えがあっせん業から出ましても、旅行者に手数がかかる仕事をしてあげながら、旅行者に対する手数料の要請をなさった実例がないのですが、この機会に、今度そういう協会ができ、公正なる取引をもって旅行者の安全を期するんですから、その意味合いにおいて、率は別でありましょうけれども、何か旅行者に対しても、そのかげられた手数に対して要求されるのが業の性質であろうと私は思うので、これらの点に対しては、参考人お二人はどんなふうな御感触をお持ちでしょうか。
  29. 秋田貞男

    秋田参考人 先般来、旅館側でもこういうことを御要望なさっておりますし、私ども業界といたしましても、当然お客から取れるものは取りたい、かように考えておりますが、いかなる名目によってどの程度のものをお客からいただくか、つまり、基本料金の五%をもらうという考え方は、ちょっと私いまここで即答できかねますが、いずれにいたしましても方向といたしましては、当然電話その他の手数がかかりますし、それでキャンセルされる場合もございますので、ある程度お客から手数料をちょうだいするという方向づけをいたしたいと考えております。  それから、ただいま宅建お話がございました。私この間、せいぜい五%程度いただくということでしたが、別に数倍の礼金を取られました。したがって、五%というのは表向きでございまして、私は、五%程度宅建がやっているとは、自分の例から見て考えられない。むしろ裏に隠れている包み金、裏金のほうが非常に大きく出ております。そういう弊害を起こさないことを念頭に置いて、、ぜひ考えさしていただきたいと思います。
  30. 八木利真

    八木参考人 ただいま大野先生からお尋ねのありました、お客さまからの手数料というのが問題になりましたが、私どものほうでは、昨年の十一月ごろだったと思いますが、いただくようにしております。それでこれは私ども仕事の難易を考えまして、特にたくさんいただきますのは結婚の場合の旅行です。結婚の場合の旅行は手配がたいへんでありますので。会社によって違いますが、一回二百円から三百円くらいの手数料をいただく。それから一般の場合におきましては、一泊の場合は百円程度、二泊以上の場合は二百円とか三百円いただく。会社によりましては、先ほど言いました結婚の場合も、多いところは五百円くらいまでいただくということで、ただいま実行しておりまして、いまお客さまからも、あまりお小言をいただかないでいただけるような状態に入りつつあります。
  31. 大野市郎

    大野(市)委員 どうもありがとうございました。
  32. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  33. 内藤良平

    ○内藤委員 参考人のお二方には、御多忙のところたいへんありがとうございます。私、二十分くらいの時間をいただきまして、かいつまんで御質問といいますか、御意見を承りたいと思います。  第一には、あっせん料の基準の問題ですね。約款との関係といいますか、あるいは基準的なもの、この点が一つですね。二番目には、いわゆる国家試験が行なわれる主任者、これと外務員関係ですね。これに伴って試験内容等。三番目には、業者協会ですね。苦情処理あるいは全国一本化になったものがいいか、あるいはまた現状いろいろ分かれておりますけれども、現状のままでいいものかどうか。それと保証社員の関係、こういうぐあいに分けて考えております。  そこで、第一点の問題は秋田参考人にお伺いしたほうがいいと思いますけれども、このあっせん料は、やはり多少の困難はあっても、基準を明確にしたほうがいいのじゃないか。いろいろ今日までの歴史的なものがあるでしょうから、一挙にはできないと思いますが、特に先ほど来御発言もありましたが、リベートということとマージンということの関係ですね。一般国民、旅行者は、何かリベートがあるのじゃないかということで、ある意味業者の皆さんに無理をおかげしておるようなことも私はあり得ると思う。ですから、はっきりこれはマージン、手数料ということで、いろいろこまかいおみやげ関係もあるでしょうけれども、こまかい点まできめたほうが、旅行者としては明朗な、愉快な旅行ができるのじゃないか、契約ができるのじゃないか、こういうぐあいに考えておりますが、その点をひとつお伺いしたいと思います。いかがでしょう。
  34. 秋田貞男

    秋田参考人 確かに私どもといたしましても、何かの明快なる基準がほしい、かように考えておりますのですが、現時点では、御承知と思いますが、登録をとるときに約款の届け出をやります。そのときに手数料は、一五%なり一五%ということを記入して届けているわけでございます。今度約款が認可制になってまいります。その認可制になる時点におきまして、これらの問題を観光部のほうとももう一ぺんお打ち合せさせていただきまして、これはどういう方向で、あるいは法律で明記できるものかどうか、あるいはまた何かの根拠を置いて、その根拠をもとにして、多種多様の業態がございますので、行政指導によってただいま先生の御質問の御趣旨を生かしていけるようにできるかどうか、これは検討させていただきたいと存じております。
  35. 内藤良平

    ○内藤委員 そうすると、やはり基準のようなものがあったほうが業界としてもやりやすい、こういうぐあいにわれわれ考えてよろしゅうございますか。
  36. 秋田貞男

    秋田参考人 原則的には、そう御解釈いただいてけっこうでございますが、やはり段階があるということを御了解いただきたい。
  37. 内藤良平

    ○内藤委員 わかりました。  次に、同じく秋田参考人にお伺いしますが、国で考え約款の基準のようなものがあったほうがいいのじゃないかと私は思っておりますが、その点いかがでしょうか。
  38. 秋田貞男

    秋田参考人 御指摘のとおり、当然法律に基づく約款は、国がある程度考えていただくべきだと思います。しかし、これは私ども営業に直結する問題でございますので、その場合におきましては、十二分に業者意見を聴取していただきまして、その聴取後国の立場において約款をきめていただく、こういう方向へいっていただきたいと思っております。
  39. 内藤良平

    ○内藤委員 わかりました。  次は、これは八木さんも秋田さんも、国内国際に分けまして、国内のほうがおもになっているようなぐあいに私、見受けております。けれども国際的にもいまいろいろ問題が出ていると思います。加藤委員からもお話がございましたが、これに関連しまして国際的な関係で私は主任者と外務員といいますか、この関係をやはり相当重視しなくてはならぬのじゃないかと思ったわけです。今度は国家試験のようなもので、主任者を設ける趣旨の法改正ですが、ただ、きのうまでの議論の中では、あまり仕事の面では責任がないようなかっこうなんです。いわゆる契約といいますか、お客さんといろいろ折衝はするけれども、最終的には会社が責任を負う。ところが今度、これは外務員であるということで、証明書を持って直接にお客さんと折衝するのが外務員ですね。この外務員の方が会社の出先として、裁判以外の一切の責任を負うようなかっこうになるのじゃないかと思うわけです。この関係ですね。われわれ法案を審議する中でも、国家試験を行なう主任というのは、必ずしもお客さんとの関係ではあまり責任がないか、この外務員、この方は、やはり折衝の段階で、お客さんとの関係ではたいへん対人的には責任がある立場になる。この方は国家試験というぐあいになっておりません。特に海外旅行の場合、この外務員の方が相当やはり大きなウェートを持たざるを得ないわけですね。そういう点、今度の法改正の中で、私はやはりちょっと矛盾点があるのではないかと思っていますけれども、実際問題として、今度行なう際にどんなものですか。これはお二方からお伺いしたいのです。八木参考人からひとつ…。
  40. 八木利真

    八木参考人 取扱上主任者といいますのは、営業所に一名以上置けということになっておりまして、その下にお話外務員がおることになると思います。私どものほうでも、人を採用いたしまして一人前の外務員にするためには、少なくとも二年から三年かかるわけです。最初は、やはりお客さまのところに行きましても、とても質問にお答えするようなことはできないような状態でありまして、二年、三年とおりますと、お客さまの御注文に応じて、行き先のルートだとか、あるいは交通機関だとか、あるいは運賃なんかも自分で計算できるような訓練がだんだんできてまいりまして、その上でやっとお客さまとほんとうの話ができるようになるわけでございます。外務員はそういうような状態でありますので、私どものほうといたしましては、入ったばかりの人にはまた別の人がついていくとか、それから添乗をするようなときでも、予備員的にまず乗せまして教えていく、こういうような一種の訓練をしながらやるようにしております。  これは相手のお客さまの模様にもよりますけれども、私どものところでもし団体をやるというようなことになりますと、まず大きな会社とか、あるいは国内におきましては学校とか、それから大きな会社の中でも、お得意さんをお呼びになるとか、そうではなしに自分のところの職員の慰安旅行とか、内容はいろいろありまして、それぞれに合った外務員を差し向けるようにいたしませんと、いいお客さまと私の会社との契約がなかなか成り立たぬというようなことになりますので、そういう点は、主任者ができましたならば、外務員の訓練、養成のようなことを主にした仕事をやらせていけば、お客さまとの責任も、内容的なものはその人に持ってもらえる、法律的にはもちろん会社が持ちますが。そういうような方向で、今後進めていくことができるのではないかと考えております。
  41. 秋田貞男

    秋田参考人 補足させていただきます。  外務員には証明書を所持させるということになっておりますが、営業主の証明書の所持ということだけでは非常に不安のある状態が想定されると思うのです。ただいま八木さんのお話しになられましたのは、自分の会社の社員の外交行為についての問題だと思うのでございますが、現在、小づかいかせぎに、どうだひとつ勧誘でもやらないかというのでリベートをもらって外交をやっている、あるいは勧誘をやっている人もあるわけです。そういう者がややもすると間違い、持ち逃げとかその他を起こす。そういう点でいま考えられますことは、証明書は経営者だけが発行するのじゃなくして、その経営者が、発行した確かなる外務員であるということは、協会に所属している場合においては、協会があわせて証明をするような処置をとったらどうか。それから、協会に加入していないような単独でやっている業者、こういう方は都道府県の観光課において、今度こういう者を外務員に使って、こういう証明書を出すからといって証明を求めるようにすれば、取扱主任者の国家試験と同等の信用度と申しますか、そういう裏づけができると思いますので、さように考えていきたい、そういうことを観光部にお願いをしてみたらどうかと私は考えております。
  42. 内藤良平

    ○内藤委員 私も、こうなると国家試験外務員のほうが必要じゃないか、そういうぐあいに感じているわけなんです。主任は営業所に鎮座ましまして、外務員が一生懸命働くでしょう。外務員が会社のいわば代表みたいなかっこうです。いろいろな知識も持って、経験もなくてはならぬし、しかも信用もなくてはならぬ。だからそっちのほうが国家試験が必要で、主任のほうは会社の中における信用度、経験度で雇用者が任命すればいいという、そういう関係じゃないかと思って、この法律ではちょっと何だか実情と合わないような気がしまして、それをどういうぐあいに是正するか。いま秋田さんがいみじくも、業者協会なりで何かの証明書を出す。何かやはりそういうものがなければならぬじゃないかという感じを私も持ちましたが、よくわかりました。やはりそういうことが必要だなということをさらに深めたわけです。ありがとうございました。  それから、時間もあまりありませんが、協会の問題です。この協会につきましてもお二方にお伺いしますが、いま秋田さんの、はうの会は全国旅行業協会ですが、約一千五百社くらい……。
  43. 秋田貞男

    秋田参考人 二千社でございます。
  44. 内藤良平

    ○内藤委員 二千社ですか。たいへんな数を持っておられるわけですが、この方々が全部保障社員になれる方々であるのかどうか、そこら辺はどういうものか、これが第一点です。  それから、国際的な旅行業者協会もございますね。百何社かあるようですけれども、今度この法律が施行されますと、いまの国際的、国内的、これを統合して一つ協会になるものか、あるいはこのほかに協会国内にあるとしますと、それらも含めてなるのか。私はやはり協会として権威を持たして、しかも、苦情処理を一種の裁判のようなかっこうにまでやるわけですから、国内一本のほうがいいと思うわけですけれども、現在ある国内国際協会がスムーズに一本になれるものかどうか、これが第二点です。それから、第一点のように、秋田さんのほうの協会だけでも二千社もある。それが全部保証社員になれるものかどうか、ここら辺の事情をお聞かせ願いたいと思う。
  45. 秋田貞男

    秋田参考人 ただいまの保証社員になれるかどうかという御質問でございますが、過去三年ほど前に、観光部において、協会会員の中で悪得行為の者があるかどうかということを御調査されたそうでございますが、幸いにしてないようでございますので、そのまま保証社員として移行していっても支障はない、私はこう申し上げたいと思います。ただし、新しい法律による訓練は、今後厳重にしていかなければならない、かように考えております。  それから、第二点の協会の一本化。内藤先生御指摘のとおり、私も一本化すべきであるという考え方は当初から持っておりまして、現在でも持っております。御承知のように国際旅行業者協会、これは社団法人全国旅行業協会、これも社団法人、それ以外に国鉄の団券が発行できる、きょう八木さんもいらっしゃいますが、八木さんも入っておられます大手の七社がつくっております日本旅行業協会という三つの大きな団体があるわけでございますが、これらのうち、大手あるいは一般と申しましても、一般の方はあげて国際旅行のみやっておるかというと、そうでなくして、会社によっては、その過半数以上の収入は国内においてあげておられるというような点もございますので、でき得ればこれが一本化されまして、国際部会、国内部会というような部会によって国際的なもの、国内的なものが処理される、そして国際的な責任範囲国内的な責任範囲というものをその中で分けて一本化でやっていけたら、それが一番理想じゃないか、私はかように考えておりますので、この点につきましては、今後観光部におきましての行政指導によって、この法律をどう御解釈なさるということはわかりませんが、一応一本化に近いように持っていって旅行あっせん業者仕事をさせていただけるように、努力を期待したいと思っております。
  46. 内藤良平

    ○内藤委員 もう時間もないようですが、具体的に法律が発足しますね、そうしますと、いまのお話のように、一本化には直ちにならないわけで凡そこで、苦情処理的な問題はそれぞれのグループの中で行なわれる、こういうことでしょうね。その場合に、いろいろケースが違ってくる場合もあり得るわけですね。そういうものは、いわゆる旅行者、国民の立場に立った場合、どういうぐあいに公正な処遇を受けるものか不安に思う。業界立場から、その点についてはどういうぐあいに公正にやれるものか、あるいはこういう方法でやったらやれるのじゃないかとか、何かお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  47. 秋田貞男

    秋田参考人 ただいまの点につきましては、国内的には国内に専門部会をつくりまして、苦情処理機関を置くことになっておりまして、そして解決していきたいと思いますが、JATAとの関連性が起こってまいりますので、今後は、かりに二つの団体が指定されたとなりましたら、二つの団体の話し合いで連絡協議会でも設けて、共通の問題はそこで話し合う、あるいはまた旅館との懇談会を持って旅館との話し合いもしていくというようなことにおいて、一本化的な効果をあげるように努力して、それがやがては一本化に結びついていくという方向づけをしていきたい、私自身はさように考えておりますので、この点について、今後観光部の御指導をいただきたいと思っております。
  48. 内藤良平

    ○内藤委員 これで終わりますが、いわゆる苦情処理の公正なやり方ですね、これをぼくらは第三者的といいますか、国民の立場で見た場合に、失礼ですけれども業者の皆さんの協会ではたして公正なものができるかどうかということで、きのうも運輸省に、それをチェックすべきものが必要ではないか、こういうことを申し上げてありますこれはわれわれ神さま、仏さまでありませんので、なかなか容易じゃないと思いますが、そういう点は蛇足ですけれども、今後業界でやる際には、国民の皆さんに、なるほどこれは公正な処理であるというようなぐあいにするためには、たいへんな努力が必要だと思います。その点は老婆心でありますが、この際ひとつ大いにがんばっていただきたいといいますか、くれぐれもお願い申し上げて私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  49. 福井勇

    福井委員長 次に宮井泰良君。
  50. 宮井泰良

    ○宮井委員 同僚議員からいろいろ御質議がありましたので、重複するところは省きまして、二、三お伺いいたします。  協会の話もいろいろ出ましたが、今度の法案ができますと、協会のいろいろな形態も相当充実されてくると思いますけれども、いままでの協会がどの程度利点があったものか、そうして、協会に入っていない業者の方が相当おられるようでありますけれども、どういう理由でこの協会へ入っておられないのか、その点を秋田さんからひとつ伺いたい。
  51. 秋田貞男

    秋田参考人 ただいまの御質問の入会していないということは、端的に申し上げますと、いまの協会では見返りがない、こういうことでございます。それで入会しても、何ら利点がないというような表面的な解釈によるものがほとんどのようでございます。ただし、大手の進出その他で個人の力ではどうにもならない、いわば大手は営業所を持っておりますが、群小業者が二千軒集まって有機的連携を保てば、二千軒営業所が持てるのだという認識が深まってまいりましたので、会員は急激にふえてまいりました。いままで認識が足りなかったということは、協会自体に力がなかった、また力を持たしていただく何ものもなかった、こういうことが原因だったと思います。  以上でございます。
  52. 宮井泰良

    ○宮井委員 よくわかりました。  それで同じくお伺いしますが、今度は国内旅行業の場合におきまして、登録する際に府県単位に登録するということになりまして、一般旅行業の方は直接運輸省に申し込むことになりますけれども、その場合に運輸省が県までいろいろ目を届かせ、指導監督するということになっておりますけれども、何ぶんたくさんのあれですから、登録じていく場合に、何かそこに支障になるものとかそういったものがあるかないか、その点をお伺いします。
  53. 秋田貞男

    秋田参考人 私、今度の法律改正でたいへん期待を寄せている一つは、ある程度都道府県に権限が委譲されるというニュアンスのあることでございます。委譲されるについては、都道府県では完全を期せないのじゃないかという御心配かと思いますが、それにつきまして、今度法律による協会の支部がかなり協力をいたしまして、そうして事務的にもあるいは内容の審査の段階におきましても御協力ができるようになると思いますので、逆に都道府県のほうが仕事がやりやすい状態がこれによってできるのではないか。  もう一つは、この法律を拝見いたしますと、従来は大手業者営業所に対しては、指導監督する権限が全然ございませんでしたが、今度は所在地登録をすることになってまいりますと、あわせてその所在の大手の一般営業所も、ある程度一諸に指導監督ができるというような体制ができるんじゃないかと法律で解釈いたしておりますので、むしろただいまの宮井先生の御質問と逆に、これによって効果があがり、よりよくなってくると私は考えますし、そうでなければこの法律の意義はない、かように考えております。
  54. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、私たちが思いますのは、いままでもいろいろなトラブルがありまして、外務員にいたしましても、お金の持ち逃げをいたしますとか、あるいは契約を破棄した場合にそれ相当の、旅行に行った分くらいのお金は取られちゃったとか、いろいろ新聞紙上にも出たわけでありますけれども、今度この法律ができましたら、運輸省としても十分そういった点を取り締まっていくという答弁が昨日もございましたが、いわゆる悪徳といいますか、そういう業者が皆無になっていくかどうか。旅行者はそうい5点が一番心配じゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  55. 秋田貞男

    秋田参考人 ただいまの点は、運輸省行政指導を待つまでもなく、業者団体の自主的な面だと思います。こういうことのないように私どもはあらゆる面で、たとえば講習会なり研修会なり、あるいはまた機関紙を通じて、その他万全を期していきたい、かように考えております。ただいまのような御心配のないように、最近、おかげさまで減ってまいりましたが、なお皆無にするよう努力いたします。
  56. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、八木さんのほうにお尋ねいたしますが、この取扱主任者試験につきまして、私、心配をいたしますのは、経験年数が浅い人であって、またお年寄りの方など、先ほど全国営業所が百幾つあるということをお話になりましたけれども、一年くらいは余裕があると思いますけれども全国営業所に一人以上の取扱主任者にふさわしいような方がそうそうおられるのかどうか、その辺の実情はどんなものでありましょうか。
  57. 八木利真

    八木参考人 この取扱主任者につきまして、私のところの会社の営業所の関係から見ますと、実情としましては、経験からいえば相当できる者がおります。ただ、営業所によりまして仕事をやらせております範囲が違うわけですね。広く全国的なことをやらせる場合もありますし、あるいは地方的なものだけやらせる場合もあります。そういう点では、取扱主任者試験がどういうのを基準に行なわれるかによって、主任者としての試験に合格しない人もでるかもわかりません。一般的には、現在やっております者が合格するようなことで指導していくのが、われわれの仕事を発展させる意味でも必要だと思っておりますので、運輸省の方の基準ができましたら、それに合わせて、さっそく養成するというようなことをやりたいと思っております。
  58. 宮井泰良

    ○宮井委員 それからまた、経験年数があれは試験は免除されるということになっておりまして、一般旅行業国内旅行業は大体七年をめどにして、両方とも同じような形になっておる。私は、むしろ国内よりも国外のほうが経験が長く要るんじゃないか、国内のほうは国外よりもある程度短くてもいいのじゃないかというふうな感じもするわけでありますけれども、その辺のめどが七年ということでありますけれども、まだはっきりきまっていないということですので、一般旅行業の場合は何年ぐらいということをお考えでありましょうか。
  59. 秋田貞男

    秋田参考人 七年という基礎については、私、何か妥協的にできた年数じゃないかと思うのです。五年は短過ぎるし、十年では長過ぎる、まん中辺をとろうじゃないかというようなことになったような気がいたしますが、私の経験からいいまして、少なくとも春夏秋冬の旅行シーズンを三回、つまり三年以上経験いたしませんと、一通り季節による案内、インフォメーションというのはできないのじゃないのか、そういうような観点から、それでは七年たてば主任者としての資格ができるかといいますと、私は、年数だけをもってやることはたいへん危険があると思うので、あれは旅行業者としてりっぱな仕事ができるんだという、いわゆる選考という形を一応七年の上におくべきじゃないか、こういうふうに考えております。  もう一つは、試験ということに対してちょっと私、考えてみたいと思うのですが、いわゆる学校の試験みたいに、問題を出して答案を書くという試験ですと、あっせん業界試験というのは、種切れになるという場合か非常に多いと思うのでございます。そこで、講習会のようなものを一週間なら一週間、その時勢に合わせた一番重要な問題、それから基本的な問題、関連法規の問題、そういうものを全部みっちり講習を受けさせて、最終日にペーパーテストをして合格者をきめるというような国家試験のやり方が私は理想じゃないか。それをやるといたしましたら、受からないにしてもかなり効果はあがってくるのじゃないかというように考えておりますので、そういうふうに進めていっていただきたいと思っております。  それから、ただいま八木さんからお話がございましたように、私も交通公社の旅行部長を十何年前にしておりましたが、全然外国のことを聞きに来るようなことのない営業所というのもございます。そういうところに、はたして国際的な主任者の資格が必要かどうかということが、一つ問題点としてございます。これを、試験を一本にしたらどうだという考え方、これができれば一番理想だと私は思いますが、しかし、一本にできないのじゃないかという点は、われわれの仲間にきわめて零細な業者がおりまして、しかもそれがお年を召していて、善光寺参りみたいな団体を主として扱っている。それについては完ぺきな扱いをしている。前の大臣に、かばん一つ、電話一本などということで片づけられてしまった零細業者がありますが、事故のケースを調べてみますと、零細業者になればなるほど事故を起こしておりません。これは、中間業者が一番危険性のある業者でございます。零細業者保護するという意味におきまして、高度の試験を課することになるような一本化ということにつきましては、私個人としては反対したいと思います。そういうことをつけ加えておきます。
  60. 宮井泰良

    ○宮井委員 たいへん参考になりました。  その次に、これは八木さんの範囲になるかと思いますが、添乗員が、海外に行きましたときに非常に不便を感ずるということが多々あるのじゃないか。病人の方がたくさん出たとか、いろいろな思いもよらないことが起きて、その場合にどうしていいかわからない、そういった点についてはどういうことを要望されておりますか。
  61. 八木利真

    八木参考人 ただいまお話のように、海外に行きましてアクシデントが起こったというような場合があると思いますが、そのとき一番大事なことは、病気になられた方とか、被害を受けられた方をどう扱うかということ、これも一つ大事なことでございますが、そういう方と別に、一諸に旅行されている方をどういうふうに御案内したらいいかという、この二つの問題があると思います。  私ども、特に注意しておりますのは、現地に残って病気をなおさなければいけないというような方、こういうような方のことにつきましては、現地の旅行あっせん業者なり、あるいは大使館と連絡をとるというようなことを、添乗員に教えるようにしておりますが、一番大事なのは、あとの元気な方をどういうふうにお帰しするか、予定どうりに帰っていただくようにするか。それには、一日ぐらいでなおる程度の問題でしたら一諸に帰ったほうがいいから、それまで待って帰るというような場合も出てきますし、そこの判断は、起こりました事故の性格によって、添乗員が決定せざるを得ないと思います。そういうふうに考えていろいろ指導しております。
  62. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、もう一点お伺いしまして私の質問を終わりたいと思います。  先ほどもちょっと出ておりましたけれども、外国の業者といろいろと契約を結ぶ場合に、この会社は信用がおけるものかどうかということがよくわからない。契約してしまってそれから向こうが悪い業者であったために、相当被害をこうむったというケースが多々あると思うのですけれども、こういった点は、どのように検討されておられるわけでしょうか。
  63. 八木利真

    八木参考人 ただいまお話しの外国の業者につきましては、私どもいろいろ信用を調査しなければいけないと思いまして、できる範囲のことで信用調査はやっておりますが、これも各社でいろいろ経験をしておりますことを私どもも調べましてその上で、取引銀行とかいろいろなものもありますので、そういうところとも連絡をとりながら、信用調査の上でやっていこう。それから、特に注意しなければいけないことは、外国の業者と正式の契約を結んでやっておきませんと、問題がありましたときにあとの処理がうまくいかない、こういうことがありますので、単なる慣習のようなもので、どこかの会社に頼んだというようなやり方は、絶対に避けたいと思っております。
  64. 宮井泰良

    ○宮井委員 ありがとうございました。
  65. 福井勇

    福井委員長 この際、参考人各位に一言申し上げます。  本日は、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     正午散会