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秋田参考人 御指名をいただきましたので、しばらく
お話をさせていただきます。
私
どもあっせん業者、特に
中小企業の
業者にとりましては、たいへん深い
関心を持っております
旅行あつ
旋業法の
改正に関しまして、こういう席で発言させていただく
機会をお与えいただきましたことを、まずもって厚く御礼申し上げます。時間に限りがありますので、たいへん失礼とは存じますが、私が思いつくままの要点だけを申し上げてみたいと存じております。
お渡しいただきました
改正案につきましては、再三中身を読ませていただきました結果、まず
感じましたことは、御
承知のように、数年前から
旅館の
火災あるいは
バスの
転落事故その他によりまして、
あっせん業者の
法的責任というものが一時問題にされたことがございます。また同時に、いかにしたら
消費者を
保護できるかという点についての
あっせん業者の
責任行為ということにつきましての反省も行なわれたのでございますか、今回の
改正法律案を拝見いたしますと、この
消費者の
保護ということにつきましては、慎重に
配慮されているということが
感じられました。まず、この点につきましては、たいへん
げっこうな
法律改正案だと存じております。
第二点といたしまして、いわゆるわれわれの
仕事には
相手方がございます。そしてその
相手方とは、常に金銭の問題があるわけでございます。言うならば
取引上の問題でございますが、
取引上に関しての
責任行為というものが非常に明確にされたということは、一面
業者にとりましては
責任が非常に重くなってくるのでありますけれ
ども、これは当然のことでございまして、このように
責任行為が明確にされたということは、これまた私
どもとしては何ら
異存はないのでございます。
第三点といたしまして、以上二つのことをいわゆる守るために、何と申しましても現在の
あっせん業界というものは
保護という面に欠けている。いまのあつ
旋業法をごらんいただきますとおわかりと思いますが、いわゆる
保護の面が非常に欠けているということが、私
どもの多年の
不満でございました。それがこのたびの
改正案によりまして、
あっせん業者の
保護育成ということが強調されており、なおかつ、それがために必要な
行政措置というものにつきましても十二分の
配慮が行なわれております。特に、
旅行業者団体というものを通じまして、そうしてこの
団体を育成しあるいは
保護することによって社会的な
信用を増すということが
一つと、もう
一つは、これに基づきまして
あっせん業者の
近代企業としての
企業化というものの基盤というものが確立されるような
感じがいたしまして、私
ども、過去の
業法を
考えまして常に
業者として
不満を持っておりましたものが、この
改正法案によりまして非常に大きな
責任を持つ反面、
期待を寄せているわけでございます。特に
中小企業の
業者におきましては、この
法律の行くえにつきまして非常な
関心を持っておることを、まず申し上げてみたいと思うのでございます。
以上を申し上げますと、完ぺきな
法律であるというような印象をお持ちいただげたかとも思うのでございますが、しかし、
法律をつくる場合には、何と申しましてもそこにいろいろな
立場におきまして、あるいは
営業規模その他におきまして、問題がないとはいえないと思うのでございます。
たとえてみまして、私
どもがいま
感じておりますことは、
旅行の
あっせん業というものかきわめて簡単に
現時点では
登録がとれる。そのために、町会その他で
旅行の世話をした人が、
商売してみようかというので簡単に
登録をとる。言うなれば、知識が非常に薄い方が
旅行の
あっせんをしている。または
海外旅行の面におきましては、
海外旅行ブームというものに便乗して、そうして
自分がただで
旅行するために
人集めをする。つまり、語学ができるという
程度で行なわれる。言うならば
もぐり業者でございます。そういう
もぐり業者の横行、あるいはまた
代理店だとかあるいは
外務員ということで、リベートのみを対象にして、いわゆる
責任のある
行為というものがない。これもあるいは
もぐりのうちに入るかもわかりませんが、今回
法律を拝見いたしますと、それらの者がある
程度取り締まりができるというように明確にされましたことは、私
どもの
業界の混乱を防ぐということと、
消費者に御迷惑をかけることが防がれるというふうに
感じておるのでございます。
しかし、それにつきまして、いわゆる
技術試験というような
取扱主任者の
試験制度というものが織り込まれてございます。これにつきましては、
国際と
国内とに分けていくというようなことについての議論も私
ども自体が行なったのでございますけれ
ども、
現時点におきまして、
業種の分類という基本的なものから
考えてまいりますと、
理想といたしましては一本化が
理想でございますが、現実的に
考えてみますと、ここに一本化ということはやや無理な
感じがあるのでございます。こういう点、多少今後
行政指導の上におきまして、御
配慮いただく必要があるんではないかということが一点でございます。
それからもう
一つは、とかく
手数料ということが問題になるのでございます。御
承知のように、この
あっせん業者が受け取る
手数料というものは、
交通機関から受け取る
手数料あるいは
宿泊機関から受け取る
手数料、またはドライブインその他
みやげ店というような、利用したものから受け取る
手数料というものがございます。この
手数料というものを明確にすべきであるということは、これは私
どもとしても前々から願っていることでございますが、しからば、いかなる
方法によってこれを納得できる線にするかということになってまいりますと、たいへん複雑な要素が中にございます。たとえば、ただいまの
旅館の
手数料にいたしましても、一泊二食という
宿泊基本料金に対しましての
手数料ということになっているのでございますが、
全国約七万軒に近い
旅館の中で、ごくわずかでございますが、一割以上のものはいわゆる
宿泊だけの
旅館ではなくなってまいりまして、つまり、
旅館である
程度楽しむというような形態に変わってまいりましたので、かなり基本的な
宿泊料金以外の
消費が行なわれているのが現状でございます。そういうような点から
考えてみまして、
法律によってこの
手数料をおきめいただけるのは
理想でございますけれ
ども、
現時点におきましては、それはちょっと不可能ではないか、かように
考えておりますので、この点につきまして、将来明確な線が出るように、ひとつ行政的な
指導によって御
配慮かいただければしあわせだと存じます。
なおまた、それらの
行為につきましては、それぞれの
業種で
約款というものをつくって、その
約款の中に、たとえば私
どもの
約款の場合でしたら、
手数料は何%ということを届け出ているわけでございます。そういう
約款というものが今日では、たとえば
バス約款にいたしましても、
自分たちの
考えのみで
約款というものがつくられております。大きくいえば、基本的に申しますと、
観光行政が一元化されていないという欠陥の
一つのあらわれであるかもわかりませんけれ
ども、しかし、このまま放置しておくと弊害が起る
可能性もございますので、今後、
運輸省観光部におきまして、私
どもはその
約款の調整ということにつきまして、特に力を入れていただきたい。
それから同時に、このキャリアに対しての
手数料の問題でございますが、これは、現在の
状態では力によってきめられているという
感じが深いのでございます。この力ということになりますと、
あっせん業界というものの力が、いままでは欠けていたということによってこういう現象が起こっていると思いますので、今後この
法律による
団体というものが認められまして、その
団体によって強化された場合におきましては、そこであらためて対等の
立場においての話し合いの場というものが持たれると思うのでございますけれ
ども、しかし、この点につきましても、今後一そう
行政指導の強化を私
どもは
期待いたしたいのでございます。
なお、現
法律におきまして、われわれ
中小企業の
業者が多年要望しておりましたことは、
除外例の
撤廃でございます。
法律第三条の
ただし書きあるいはまた
施行規則の第一条の
ただし書き、これらに対しての
除外例というものの
撤廃を
期待していたのでございますが、拝見いたしますと、第三条の
除外例が
撤廃されております。しかし、二十七条の点におきまして、国が営む
事業というものがここに
除外例的な
立場において置かれております。これにつきましては、いろいろな事情があると思いますが、その二十七条によるものは
国鉄であるということが明確に示されたといたしましたならば、今後は、国家である
国鉄が行なうべき
範囲というものは、おのずから内部的な
規則によって規制されるべきではなかろうか、かように
考えます。同時にまた、公務員というものと
業者というものとの
立場を明確にしていただく、そしてまたさらに、
登録をとり、それによって生計を営んでいる
業者に対して、ある
程度の
営業の侵害にならないように、その点につきましては十分御
配慮をいただきまして、そういうような、われわれがかつて抱いておりましたような懸念がないような
状態を、
内容的につくっていただくことを
期待申し上げたいと思うのでございます。
時間が参りましたようでございますので、結論を申し上げますと、私
どもといたしましては、この
法律改正につきましては全面的な
期待を持ち、また、これの通過を
期待いたしておるわけでございます。ただ、
皆さま方は
保証金の
引き上げにつきまして、これは負担過重ではないか、かようにお
考えになられる点があると思いますが、三、四年ほど前に、七万円の
保証金ではたしていいのかどうかということを、
中小企業の
団体である
全国旅行業協会という
団体の
会合におきまして協議いたしました結果、何と申しましてもお客の生命と財産というものを取り扱っている
業者でございまして、これは
宅建のような
仕事と全く異質のものでございますので、これの
保証金が
損害引き当て金であるという解釈が行なわれますとするならば、七万円ではあまり低過ぎる、これを相当大幅に上げるべきであるということは、ある
程度犠牲を払っても、社会的な
信用、
取引上の
信用、こういうものを確保するためには必要ではないかということによりまして、
保証金の
引き上げということにつきましては、額の問題は別といたしまして、
引き上げられるであろうこと、あるいは上げられても
異存はないというような
考え方で臨んでまいったのでございます。幸いにいたしまして
業者協会というものが
法律によって認められまして、それに加入された
信用の置ける
業者でございましたならば、さほど大きな負担にならないでこれが解決できる、なおかつ、
責任は十二分に果たせるという体制がとられてくるということになりますと、この
保証金の問題にいたしましても、
引き上げられることにつきましては、私
どもの知っている
範囲内におきまして、
異存はないということをつげ加えて申し上げまして、私の
責任を果たさせていただきたいと思います。
どうも失礼いたしました。(
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