運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-03-10 第65回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 村山 達雄君    理事 斉藤 正男君 理事 松本 忠助君      稻村左四郎君   小此木彦三郎君       小沢 辰男君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    砂田 重民君       關谷 勝利君    塚原 俊郎君       西村 英一君    古屋  亨君       増田甲子七君   三ツ林弥太郎君       井岡 大治君    井野 正揮君       金丸 徳重君    小林 信一君       内藤 良平君    宮井 泰良君       塚本 三郎君    田代 文久君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         警察庁警備局長 山口 廣司君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房観         光部長     住田 俊一君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局初等教育         課長      徳山 正人君         厚生省医務局総         務課長     木暮 保成君         参  考  人         (新東京国際空 今井 榮文君         港公団総裁)         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   谷垣 專一君     塚原 俊郎君   中馬 辰猪君    三ツ林弥太郎君   中村庸一郎君     小沢 辰男君   長谷川 峻君    稻村左四郎君   久保 三郎君     小林 信一君   和田 春生君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     長谷川 峻君   小沢 辰男君     中村庸一郎君   塚原 俊郎君     谷垣 專一君  三ツ林弥太郎君     中馬 辰猪君   小林 信一君     久保 三郎君   塚本 三郎君     和田 春生君     ————————————— 三月九日  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案内閣  提出第八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案内閣  提出第八九号)  陸運に関する件(過疎地域バス事業に関する  問題及び富士急行の列車事故に関する問題)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問  題)      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  3. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま議題となりました旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  旅行あつ旋業法は、旅行あつせん業を営もうとする者について登録制度を実施するとともに、所要規制を行なうことにより、旅行あつせん業者の健全な発達をはかり、日本人及び外国人の旅客の接遇向上に資することを目的として昭和二十七年に制定されたものでありまして、以来、同法の施行により旅行あつせん業の適正な運営を確保することを通じて、わが国の観光事業発達に大きな役割りを果たしてまいったのであります。  しかるに、近年における国民生活水準向上と余暇時間の増大等によりまして、観光旅行中心とする旅行需要は急速に増大してまいりました。ことに、海外旅行をはじめとする旅行大型化、あるいは旅行あつせん業者の主催する団体旅行増加等国民旅行形態が質、量ともに大幅に変化しつつあります。  このような状況に照らしますと、現行旅行あつ旋業法規定は、旅行者保護の観点からは必ずしも十分なものとはいえません。このため、旅行あつせん業者の行なう取引の公正を確保し、旅行あつせん業者の行なう業務につきましてその運営適正化をはかることにより、旅行者保護とその利便の増進に資するため、所要改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、登録種別を、一般旅行業国内旅行業及び旅行業代理店業とし、旅行業の秩序ある発達をはかろうとするものであります。  第二に、旅行業者旅行者取引をする際に守るべき準則として、取引態様の明示、旅行サービス内容説明書面交付等義務を課することにより、旅行業者の行なう取引の公正を確保しようとするものであります。  第三に、営業所ごと一定の資格を有する旅行業務取扱主任者を選任させ、旅行に関する取引の公正を確保するため必要な管理及び監督の事務を行なわせることにより、旅行者利益保護をはかろうとするものであります。  第四に、旅行業者の組織する団体のうち一定の要件を備えるものについて、旅行者等から苦情の解決、旅行業者従業者に対する研修及びその団体を組織する旅行業者取引をした相手方の有する債権について弁済をする業務を行なわせることにより、旅行業全般質的向上をはかろうとするものであります。  以上が、この法律提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 福井勇

    福井委員長 これにて提案理由説明は終りました。     —————————————
  5. 福井勇

    福井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。古屋亨君。
  6. 古屋亨

    古屋委員 提案になっております旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案につきまして御質問申し上げるのでありますが、大臣がおられますのでまず第一に一つだけ大臣にお伺いいたしましてから、法文についてお伺いしたいと思います。  旅行あつ旋業法というものを旅行業法というように、ほとんど全面改正に近いような改正になっておるのでありますが、最近における旅行ブームと申しますか、またそれに伴いまして旅行者も非常にふえておりますし、特に海外旅行につきましては数が非常にふえており、また、その間いろいろのトラブルもあるのであります。旅行あつ旋業法という題名を改めまして旅行業法というふうにして、そうして安全な、すこやかな旅行ができるようにするという点で、旅行者保護することがおそらくこの目的であると思うのでありますが、この点につきまして、ブラッセル条約関係もあると思います。あるいはまた先般四十三年の夏には、国内におきまして、岐阜県の白川町におきまして、あの悲惨な事故がございまして、その当時、バス業者旅行業者トラブルということもあったのでありますが、こういうような国内的なトラブルあるいは国際的なトラブル、あるいはブラッセル条約、こういうものを勘案しながら旅行業法案提案されたことと思うのでありますが、その根本趣旨につきまして、大臣からまず第一に御所信を伺っておきたいと思います。
  7. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 こまかい点につきましては、観光部長から答弁させたいと思いますが、ただいま御質問がありましたように、最近は海外旅行も非常に盛んになってきておる。その扱う金額もばく大なものになっております。それからまた、国内旅行にしましても将来おそらく、今後十年後には、現在の観光旅行といいますか、レジャーにおける量というものは五、六倍に達するであろうというように、大きく拡大されるであろうと見込まれておるわけであります。  そういうときに、旅行業法という形をとりましたのは、一つは、やはり担当者だけでなく、業としてのしっかりした企業的な性格を持ちたいということ。ただいま申しましたように、一つは、金額がばく大になっておりますから、まかり間違えはたいへんな迷惑を一般旅行者にかける。もう一つは、やはり旅行道徳といいますか、ことに海外に行った場合にその引率者があるわけでありますが、その引率者等教育も考えて、そうして、昔のような赤ゲット旅行はもう許されない時代でありますから、そのような質的向上も兼ね備えるというような意味も含めまして、今回は、ある意味においては根本的な改正を皆さんにお願いをしておる、こういうような状態であります。  こまかい点につきましては、なお政府委員から説明をいたさせます。
  8. 住田俊一

    住田政府委員 ただいまの大臣の御説明を補足して御説明させていただきます。  ただいま大臣からお話がございましたように、最近非常に海外的にもあるいは国内的にも旅行ブームが到来しております。これに即応いたしまして、旅行エージェント等をめぐっていろいろトラブルが起きております。そういったトラブル事前に防止してお客保護をはかろうというのが、この法律の一番根本的なねらいでございます。  それから、先ほど古屋先生からブラッセル条約お話がございましたけれども、この法律は、昭和四十五年の四月にブラッセルにおきまして、旅行あっせん業者民事的責任というものを明確にしよう、こういうことで国際的統一をはかった条約でございまして、この条約中身は、いろいろと損害賠償の問題だとか、あるいは取引に関する順守義務について規定したものでございます。その条約を採択いたしまして、その関係で、その条約趣旨をこの法案にも盛った、こういうわけでございます。
  9. 古屋亨

    古屋委員 この条約趣旨で、この法律でどういう点が改正になっておるかということを伺います前に、一般的問題としては、私はこの改正自体には、いろいろと旅行実態から見まして賛成をするものでございますが、実は去年の八月の東京新聞に「当世ボロイ商売?“海外旅行業”」というのが出ておりまして、この文句を若干引かしていただきます。  つまりここでは、海外旅行業者としてあるいは代理店として、いろいろの店が出てきておる。「直接あっせん業に乗り出さないまでもおよそ海外旅行関係はなさそうな業種が「代理店」という形で海外旅行を売るのがフルーツの何々店のほかにも、はやりの大衆バー「何々」からサウナ、料亭まで、さまざま。代理店新規登録数はこの一年で百社を越える勢いだ。たしかに四十五年中に“日本脱出”をする日本人の数は史上初の百万人の大台を越すというすさまじい海外渡航ブーム。このブームを反映して、旅行あっせん業者の数もうなぎのぼり運輸省観光部の調べによると、五年前にはわずか五十社だったのが、八月十五日現在で二倍以上の百二十社にもふえている。特にことしに入ってからの」、ことしというのは去年の意味でありますが「登録申請は五十件を越し、文字通り“われわれも”というところ。事務所電話一本あればできるといわれたのはむかしのことだが、それでも片や資本金八億、営業所三百五十四、社員八千八百人という交通公社のような超大型に対して、資本金六百−一千万円に社員七、八人というミニ業者もかなりある。」ということでその実態指摘しておりまして、この許可の申請に対しましては、「「審査は個別に役員、営業経験者らを呼んで面接試験をしているが、中にはヨーロッパの名所、旧跡の名前さえ知らないような“経験者”もあって、そういうケースはどしどし落としている。あんまり基準がやかましいので、いや気がさして申請しながら自分から引き下がるような例もあるくらいで、こちらとしてはきびしくやってるのだが……」」という観光部の係長の談が出ておるのであります。  と同時に、「いい加減な業者によるトラブルはあとを断たない。」というので、国際観光振興協会調査したところでの例といたしまして、「独自には団体を組めないA、B二つ旅行業者が、共同でヨーロッパスキー旅行団を送り出した。両社からそれぞれ係員がついて行ったが、いざアルプスのスキー場に着いてみるとホテルなどの手配の中身両社の間で大幅のくい違いがあり「話が違う」と二人の係員が大げんか。あげくの果て、一方が契約違反のカタにもう一方の旅券を持って先に帰国してしまった——というのである。」というような例をいいまして、つまり大きい業者と小さい零細業者といろいろあるのでありますが、これによりますと、「海外渡航者はふえているが、業者利益率は圧倒的に下落している。早い話、むかしはヨーロッパへ一人送り出せば最低五万円、うまくいけば十万はもうかった。しかし今ではどうころんでも三万がいいとこ。しかもむかしに比べれば何増倍もの苦労をしての三万だから、どこも内情は苦しいはず。社員三十人から五十人程度業者が成り立つには、年間最低二十人の団体を二十本、それに個人の業務渡航を月に二十人はこさなければならない。見かけははなやかだが、一時のような渡航業者がうま味を味わえた時代は去った」というようなことが記事に出ております。  私は、こういう意味で、この根本的改正というものの必要は十分感じておるのでありますが、こういうような実態が、おそらくこの改正をせられるようになった一つ理由と考えられるのでありますが、部長からひとつ、観光部で見ておられるこの旅行業者実態と、もう一つ、最初に申し上げました、ブラッセル条約でどういう点がこの法文に追加されたか、まず、この二つの点をお伺いいたします。
  10. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  まず、実態についてでございます。ただいま先生からもお話がございましたけれども、最近におきまする海外ブームというのは非常な勢いでございまして、ちなみに、最近の統計を見ますると、昭和四十年におきまして日本人海外渡航者が二十万人だったのが、昭和四十五年におきまして九十四万人と、実に年々三〇%近い伸びを示しております。ところが、ただいま先生からも御指摘もございました、また同時に、私ども国際観光振興協会海外事務所調査によりまして、いろいろと海外でのトラブル調査したわけでございます。私自身も、実は個人的なことで恐縮でございますが、スイスにおりましたときも、いろいろと旅行エージェントトラブルを聞いたわけであります。たとえば、最初約束したホテルが、一級ホテルだったのが三級ホテルだったとか、あるいは予定のスケジュールがそのとおりいかなかったとか、あるいは食事つき食事つきでなかったとか、そういったようないろいろなトラブルを聞いたわけでございます。そういうことは非常に内外とも日本の国威にも影響する、こういうことで、何らかの意味におきまして、国が何らかの規制をしなくちゃならない、こういうような情勢に差し迫られたわけでございます。  その意味におきまして、ただいま大臣からも御説明ございましたように、この機会旅行業界全体のベース改善といいますか、レベルアップといいますか、こういったものをはかって、そしてお各さまの、消費者保護をはかろうというのが、この法律の抜本的なねらいでございます。さて、しからば具体的にどういうことをやるかと申しますと、この法案に書いてございますが、その趣旨は、先生がいま御指摘の第二の点、ブラッセル条約の点にも触れておりますが、内容的に申しますと、たとえば、この法案の中にございまする書面交付義務、あるいは事前内容説明、こういったような事前予防措置というものを中心とした規定を、この法案の中に盛っておる次第でございます。  以上でございます。
  11. 古屋亨

    古屋委員 それでは、この条文の点で、順序によってお伺いしたいと思うのであります。  「旅行業」というのは、大体従来の「旅行あつ旋業」と同じように解していいかどうか、まず、第一にその定義からお伺いいたします。
  12. 住田俊一

    住田政府委員 従来、「旅行あつ旋業」ということばで私どもはこの法律をつくったわけでございますが、現実には「旅行業」ということば慣用語になっておりますということが一つと、それから、最近におきますように、旅行形態というものか非常に変わってまいりました。たとえば、パッケージツアーだとかそういった比重が非常に大きくなってきた。そういたしますと、「旅行あつ旋業」という表現だけでこれを律するということが適切でなくなったというようなこと、そういうようなことから、「旅行業」というもののほうが実質的には——理論的には変わりませんが、そういった慣用語という面からということと、それからあっせん業という概念で、いま申しましたパッケージツアーというものを全部律し切れるかどうかという点について、若干いろいろな問題もございますので、この機会に「旅行業」と改めたほうがはっきりするんじゃないか、こういうことでこういう法案を出した次第でございます。
  13. 古屋亨

    古屋委員 それで、ブラッセル条約関係もありますが、立法例としては、「旅行業」というものが多いか、あるいは「旅行あつ旋業」が多いか、そういう点についておわかりになっていたら、ひとつお伺いします。
  14. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  外国の例をいろいろと調べたのでございますが、「旅行あつ旋業」ということばはあまりございませんで、一応「旅行業」ということばが多いようでございます。そういうことで「旅行業」ということばを使った次第でございます。
  15. 古屋亨

    古屋委員 それでは、第二条で旅行業定義で、「次に掲げる行為」というので、一号から八号まで載っておりますが、具体的に、たとえば「媒介」をするとか「取次をする行為」とかいろいろございますが、こういうものについて具体的な例示といいますか、そういうものをひとつお示しを願いたいと思うのであります。
  16. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  まず、第二条の中に定義規定がございまして、その第一項の中に、「旅行者に対する運送サービスの提供について、代理して契約締結」とか、それから「媒介をし、又は取次をする」、こういう「代理」とか「媒介」、「取次」ということばがございます。これについて御説明申し上げたいと思います。  まず「取次」ということばでございますが、「取次」ということばは、旅行者委託を受けて、たとえばバス会社との間に運送契約締結する、こういう形態がございます。この場合に、お客さまと業者との間においては委任契約が結ばれます。それから、バス会社旅行エージェントとの間には運送契約が結ばれます。こういった形態が「取次」でございます。  次に「媒介」ということばでございますが、これはお客さまの委託を受けて、旅行者バス会社運送契約締結に尽力をしてそういうものをまとめるように努力する、こういうことでございまして、この場合の契約は、お客さまとバス会社との契約関係になります。たとえば、例を引いて申しますと、旅行エージェントホテルをその旅行エージェント名前でとってやる、こういうようなことで、電話だけをかけて、そうしてお客さまの部屋をとってあげる、こういうのが「媒介」ということになります。  それから、もう一つ代理」でございますが、「代理」は、たとえば航空会社代理人として旅行者との運送契約締結するということになりまして、たとえばIATAのクーポン券代理で受けるとか、あるいは旅館のクーポン券代理で受け合う、こういう例でございます。
  17. 古屋亨

    古屋委員 それでは、第二章の「旅行業」につきましてお伺いいたします。  いわゆる「登録」の問題から始まるのでありますが、旧法ただし書き文が今度は削られております。これはたしか旧法十二条の関係だと思うのでありますが、これはどうしてそういうただし書きを除いて差しつかえないか、その点をまず第一にお伺いいたします。
  18. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  現行法で、バス会社の場合には除外になっておりましたけれども、今回この機会に、バス会社もこの法案の一応の網にかぶせるということで、消費者保護という立場からこの法案に盛った、こういうわけでございます。
  19. 古屋亨

    古屋委員 次に、旅行業種別でございますが、一般旅行業国内旅行業旅行業代理店業、この三つになっておりますが、大体この各種別は、現在どのくらいの数が登録されておるか、それから、その旅行業につきましても、先ほど新聞にありましたように、実態が非常に大きいものと小さいものとあるので、大きいものはどの程度のものか、小さいものはどの程度のものかということを、まずお伺いしたい。
  20. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  まず、一般旅行業でございますね、これが昭和四十六年三月四日現在で百二十七社ございます。それから邦人あっせん業者でございますが、これが四十五年の七月三十一日現在で三千五百九十一社ございます。そしてその実態でございますが、前者の一般業者でございますね、たとえば例を引いて言いますと、交通公社とかそういった大きいところでございますが、こういった一般業者は九割が大企業である。それから邦人業者、先ほど申しました三千五百九十一の邦人業者の大多数のものがいわゆる中小企業、私ども調査したところでこういうふうになっております。
  21. 古屋亨

    古屋委員 その点でひとつ、業者関係従業員は、大企業のほうが多いにきまっておりますが、どの程度あるか、そのモデルを、ここで御答弁いただかぬでいいから、資料としてひとつお出しを願えぬでしょうか。
  22. 住田俊一

    住田政府委員 さっそく出します。
  23. 古屋亨

    古屋委員 それから、一般旅行業国内旅行業を兼ねておるものはどのくらいあるのでしょう。
  24. 住田俊一

    住田政府委員 実質的には、兼ねておるものはおりませんです。全部一般の方はやっておりますですから、兼ねておるというか、そういうものはいないわけでございます。一般の方は国内を全部やっておりますから……。
  25. 古屋亨

    古屋委員 これは法案の九条で、「国内旅行業者一般旅行業登録を受け、」云々というような場合がありますね、保証金の問題で。それからまた十条で、「一般旅行業者国内旅行業登録を受け、」とあります。そういう点九条、十条から見ると、兼ねておるというものはないと言えるでしょうか。
  26. 住田俊一

    住田政府委員 これは兼ねておるということではございませんで、九条、十条では移り変わりの規定を書いたわけでございまして、兼ねておるという意味ではございません。
  27. 古屋亨

    古屋委員 それでは、この業をやりたいという登録申請をして、まだその手続中か運輸省で検討をしておられるもの、こういうものは、いま現在相当あるでしょうか。
  28. 住田俊一

    住田政府委員 現在、私どものほうに来ておりますのは十数件でございます。
  29. 古屋亨

    古屋委員 登録の問題でございますが、登録性格について、第五条以下で「登録の実施」ということがありますが、これは法定をされた六条以下で拒否する場合を除くほかは、登録簿登録しなければならないということになっておりますので、登録性格というものは、条件さえ合っておれば必ずこれは登録しなければならない、つまり法規裁量行為と考えていいかどうか、その点をお伺いいたします。
  30. 住田俊一

    住田政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおりでございます。
  31. 古屋亨

    古屋委員 第六条に「登録の拒否」ということがございますが、いままで登録申請になって、これを拒否した例がどのぐらいあるか、その点をお伺いいたします。
  32. 住田俊一

    住田政府委員 いままでの事例ではほとんどございませんで、もしそういう欠格事由があった場台事前に取り下げる、こういった例はございますが、こちらから拒否したという例は、あまりございませんです。
  33. 古屋亨

    古屋委員 第七条に「営業保証金の供託」ということがございますが、営業保証金は、私の記憶に誤りがなければ、旧法では第九条で金額幾ら幾らとこうきまっております。今度はこれがたしか、法律にはなくて省令に譲ってあるのではないかと思いますが、従来の金額がどのくらい変更になるのか、これを法律でなくて省令に譲られたその理由を、ひとつ御説明願いたいと思います。
  34. 住田俊一

    住田政府委員 現在、一般旅行あっせん業者の場合は、営業保証金が、主たる営業所につきまして現行で三十万円になっております。それを今度布令の中で引き上げを検討するということでございまして、一応主たる営業所の場合、三十万円を二百万円にするということをいま関係方面と折衝しております。  なぜ省令に落としたかと申しますと、こういった非常な経済変動が激しい情勢におきましては、省令に規定したほうが弾力的ではないか、こういうことで省令に落としたということになりまして、ただいま申しましたように、主たる営業所につきましては、三十万円を二百万円にすべくいま関係方面と折衝しておる段階でございます。
  35. 古屋亨

    古屋委員 やはり先ほどのお話のように、国内旅行業では相当零細なものが占めておりますので、こういうことを法律から省令に譲られることを、弾力的のためにというお話がございましたが、この法案の審議の過程において、どうでしょう、そういう旧法に出ているようなものを今度省令に譲る、その省令内容についてお示しいただくことができるでしょうか。この法案の審議中に……。
  36. 住田俊一

    住田政府委員 ただいまの私の申し上げました引き上げの額につきましては、いま申しました二百万、それから邦人旅行あっせん業者について、七万円を七十万円にするということにつきましては、極力その線で関係方面と折衝してこれでまとめたい、かように考えております。
  37. 古屋亨

    古屋委員 いま保証金営業所ごとというのですが、この法律では、外国のそういう旅行業者日本営業所を持った場合は、日本国内営業所と同じようにそういう金額なんかを納める、そういうふうに解してよろしゅうございますか。
  38. 住田俊一

    住田政府委員 そういうような場合も、日本旅行業者になれば当然に適用されることになります。
  39. 古屋亨

    古屋委員 それでは、いまの点はできるだけ努力をいただきまして、運輸省の考えられている金額というものをお示しを願えるように、ひとつお願いをいたしたいと思っております。  その次には「旅行業務取扱主任者の選任」で、十一条の三というところでありますが、ここでは、一人以上の旅行業務取扱主任者を選任して、「必要な管理及び監督に関する事務を行なわせなければならない。」といっておるのでありますが、一人以上のというのは、現在通常は何人ぐらいおるのか。まあ小さい営業所なんか一人だろうと思うのですが、そういう一人以上のというのは、どの程度の業態では何人ぐらいが適当あると考えておられるか、まずその点をお伺いしたい。  それから、その資格につきましては、十一条の三にたしか資格が規定してあると思うのでありますが、実は、その次の試験の問題と関連して私は聞きたいわけでございます。旅行業務取扱主任者の試験でありますが、試験はまあ法令でございますから、必要な知識、能力を持っているかどうかを試験されるのでありますが、どんな試験を行なうのか、あるいは現在やっておる要員については、何か経過規定を設けられるのであるかということを、まず第一にお伺いいたします。
  40. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  まず、この法律に、「営業所ごとに、一人以上」ということばがございますが、実態を見ますと、大会社におきましては、こういった責任ある方が数名以上ございます。別に一人とかそういうことはございませんで、大きい会社でございますと、そういった責任者に当たる方が数名以上ございます。中には、小さい会社におきましては一人ということもございますが、概してこういった責任に当たる方は数名、二、三名以上、こういうのが実態でございます。  それから次の御質問の、試験はどういうものをやるかという問題でございますが、これにつきましては、一応旅行業法法律的な知識、それから旅行業務の実務ですね、たとえばダイヤの見方とかそういったようなこと、それから関係法令、たとえば旅券法だとかあるいは検疫関係に関連する法律、こういったようなこと、こういうようなものを試験の対象にしたい、かように考えております。
  41. 古屋亨

    古屋委員 いま一つ、経過規定のことを……。
  42. 住田俊一

    住田政府委員 失礼しました。経過規定は一年ということになっております。
  43. 古屋亨

    古屋委員 一年というのは、一年間たつと、その間に試験を新たに受けなければだめになる、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  44. 住田俊一

    住田政府委員 いろいろその間講習などを受ける、こういうふうになっております。
  45. 古屋亨

    古屋委員 どうして私がそのことをお伺いするかというと、語学にもなれた取扱責任者というようなものは非常に少ないから、聞くところによりまずと、現在でも業界で奪い合いが非常に多いわけですね。したがいまして、引き抜きということが相当活発、ということばは語弊があるかもしれませんが、行なわれると思いますので、そういう点に対してどのような措置を講ぜられるか、その点あわせてお伺いしたいのです。
  46. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、確かに最近はこういった申請が非常に多くなっている関係で、一部において引き抜きがあることは事実でございます。これにつきましては、業界を通しまして極力自粛していただきたいということを常々申し入れしております。それから同時に、こういった絶対数がやはり足りないということもございますので、今後協会を通しましていろいろと研修をやり、そしてその従業員の養成をはかりたい、かように考えております。同時にまた、各関係会社におきまして福利厚生施設、こういったものを十分に整備いたしまして、定着性をはかるということも考えております。  以上でございます。
  47. 古屋亨

    古屋委員 それから次は、旅行業務の公正確保の問題で、第十二条の「料金」でございます。一般旅行業者国内旅行業者運輸省令で定めるところによって取り扱い料金を定めるというのでありますが、これは、いまの省令と金額が大体同じか、もっとこれを変更しようと考えられておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  48. 住田俊一

    住田政府委員 この手数料につきましては、いま業界とも打ち合わせしておりますが、さほど変わらないと思っております。
  49. 古屋亨

    古屋委員 第十二条の二に「旅行業約款」というのがございます。届け出制を認可制にしておるのでありますが、これは何といっても旅行者、つまり消費者保護という点からの問題であると考えております。現在までどのくらいトラブルがあったか、被害率と申しますか、どういうふうに見ておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  50. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  いままでこういった問題につきまして、トラブルについての苦情はだいぶ来ております。運輸省にも来ておりますが、いわゆるお金が還付されたというケース、それはわずか十数件でございます。
  51. 古屋亨

    古屋委員 私も昨年海外旅行を、こういうような旅行業者によって自分でもやってみましたが、たとえば、何々観光会社というような海外のほうへ行く一般旅行業ですね、こういう場合、一体四十名ばかり行った連中に、手数料をどのくらい払ったか聞くと、みんな違っておるわけです。私は三千円払ったわけです。ところが、五千円払ったという人もあるし、大阪のある人は、おれは会社を知っておるから、東京まで飛行機代ただになって、東京でホテルへ泊まる金も、その旅行業者が出してくれたというようなことを言っておりましたが、手数料なんかは、この約款のうちに、どのくらい手数料を取るかということは含まれるものでしょうか。あるいは業者の競争にまかせてあるのか。と申しますのは、あまりにその手数料が違い過ぎるということはおもしろくないと思いますので、その点ひとつ、どういうふうに考えられておるかお伺いしたい。
  52. 住田俊一

    住田政府委員 まず、この手数料につきましては、料金の届け出の中に規定しておりますので、その中に入ってきます。そしていま先生指摘のように、いろいろと違いもございますが、そういった点につきましては、今後行政指導によってできるだけ統一化をはかっていきたい、かように考えております。
  53. 古屋亨

    古屋委員 いまの手数料、これは料金の中に入っていると言うが、そうじゃないのじゃないですか。幾らでどこへ行くという旅行のあれがありますね。たとえば、ジャルパックでヨーロッパへスキーに幾らで行くとか。それを旅行業者のところに申し込んだとき、旅行業者は、いろいろ旅券を取ったりそういうために手数料を取るわけですが、その手数料が会社によって非常に区々であるということを私はお聞きしておるわけなんですが、どうでしょうか。
  54. 住田俊一

    住田政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおり、業者によって区々であることは事実でございます。そこで、今後私どものほうでは、こういった旅行業協会を通してできるだけ統一化をはかっていきたい、こういうことをいろいろと行政指導している段階でございます。
  55. 古屋亨

    古屋委員 まあひとつ、たくさんの人が各地から参りますと、手数料なんか違うと損したというので、せっかくの気持ちがあれですから、そういう点はぜひ行政指導の点でお願いをいたしたいと思います。
  56. 住田俊一

    住田政府委員 先生の御趣旨に沿っていたしたいと思います。
  57. 古屋亨

    古屋委員 それから、十二条の六「外務員の証明書携帯」でございます。この外務員というのは、「勧誘員、販売員、外交員その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、その役員又は使用人のうち、その営業所以外の場所でその旅行業者のために旅行業務について取引を行なう者に、運輸省令で定める様式による証明書を携帯」さすということになっております。これは、そうすると旅行会社の外、会社の事務室以外でするときは、証明書を必ず持つという趣旨でございましょうか。その点をお伺いいたします。
  58. 住田俊一

    住田政府委員 必ず携帯するということになります。
  59. 古屋亨

    古屋委員 それでは、十二条の七の「誇大広告り禁止」の問題で、御承知のように、誇大広告ということが非常に問題になっております。これには罰則はついておらないようでございますが、行政的にどういう場合に誇大広告と考えるか。あるいは法律では、「広告された旅行に関するサービスの内容その他の取引の条件について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。」ということになっておりますが、この著しくというのはだれが判断をするものか。行政的にはこういうものに対して、どういうように対処しようとしておられますか。  なお、これにつきましては公正取引委員会の——宅地業者なんかが非常に誇大広告をしておりますが、そういう私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律とかあるいは不正競争防止法との関係において、これはそちらのほうは適用になる場合があるとお考えになるか、あるいはそういう場合について、公取と何か事前に打ち合わせをされたことがあるか、この三つの点をひとり……。
  60. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  まず、誇大広告でございますが、どういった場合に著しくという判定になるかという問題でございます。いろいろ私どものほうに来ております例は、たとえば主催旅行につきまして、デラックスバスあるいは一流ホテル、こういうようなことを中心とした広告がございますが、行ってみるとデラックスでなかったとか、あるいは三流ホテルであったとか、こういった例がございます。このような場合の著しくというのは、実際に旅行者お客さまからいろいろ苦情が来まして、そこで私どものほうで、ただいま申しました例を実際に判断をいたしましてそして判定をする、こういうことになると思います。  それから、先生指摘のように、この法律では罰則はございません。しかしながら、そういったような違反者が出た場合においては行政処分の対象になり得る、こういうたてまえになっております。  それから、最後の不当表示防止法の問題でございます。不当表示防止については四条との関係がございます。この不当表示防止法は、業者間の公正競争の確保というのがねらいでございます。それからこの旅行業のほうは、取引の相手である旅行者お客さまの保護というのがねらいでございます。終局的には同じになるわけでございますがちょっとたてまえが違っております。そこで、この問題につきましては、公正取引委員会とも十分打ち合わせをいたしまして、こういった場合が起きた場合には両方かかるというふうになるわけでございますので、その運営につきましては、公取とも十分打ち合わせをいたしまして、事務の円滑化をはかっていきたい、かように考えております。
  61. 古屋亨

    古屋委員 それでは次に、二十二条の二以下の「旅行業協会」についてお伺いをいたします。  旅行業協会というのは、今度の一つ法律改正のねらいではないかと思うのでありますが、大体どういうふうに指定をなさる方針か。つまり、一般旅行あるいは国内旅行ごとに一つずつ指定するとか、あるいはもっとたくさん指定しようとされておるのか、指定の方針についてまずお伺いをいたします。
  62. 住田俊一

    住田政府委員 お答え申し上げます。  まず、この協会は、この法律にございますように、運輸大臣が指定するというたてまえになっております。その点だれでもが指定するということでございませんで、実際には、ここに書いてございますように、社団法人であるということ、その他いろいろな条件がございます。そして、現在旅行業界におきましては社団法人として大きなものが二つございます。一つは通称JATAといっておりますが、国際旅行業者協会と、それから全国旅行業協会というのがございます。この二つを、実態法律の条件に合わせて、それで適当というふうに認定した場合は、これを指定するということになっております。ただし、現在これを一つにするかあるいは二つにするか、今後の業界等の動きを十分に見ながら考えていきたいと思います。いまのところ、一つにするか二つにするかまだ決定しておりませんが、先生の御質問のどれにするかということにつきましては、現実にはこの二つの社団法人が中心になるということになっております。
  63. 古屋亨

    古屋委員 それでは、この旅行業協会を指定された場合に、つまり金の問題ですけれども、これは実質上強制加入と思っていいか。いやだというのは、もちろん弁済金の問題も関連してきますが行政指導によって全部加入をさせようとしておるのかどうかという点が第一点。  第二点は、法律では二十二条の十九その他に地位の喪失、つまり金を納めぬ場合とか、そういう場合に地位の喪失ということがあります。地位の喪失とかあるいは取り消しということは法律にありますが、除名ということはあるのかないのか。その二点、考え方を承ります。
  64. 住田俊一

    住田政府委員 お答えを申し上げます。  まず第一点の問題で、強制加入かどうかというお話でございます。これにつきましては、御承知のように、現在憲法でも職業選択の自由という問題もございますし、またこの種の業界においては、強制加入という例があまり見られません。そこで、実際の運用といたしましては、これは行政指導で全部入るというふうに考えております。しからば、行政指導で全部が入らないおそれもあるじゃないかという御疑問も当然出ると思いますが、これにつきましては、この法律に書いてございますように、この協会に入るといろいろとメリットがあるわけでございます。たとえばその一つといたしまして、営業保証金を五分の一納めればいいというたてまえになっておりますから、入ればそれだけのメリットがある。それから、協会に入ることによってそういった対外的な信用も確保できる。こういうことでございまして、一応業界ともいろいろ話したのでございますが、この法案ができた場合には必ず自分らも入るというように、すでに業界とも十分話しております。そういうことで、実質的には皆さんが、一定の条件を充足したものは入り得るというふうに確信しておるものでございます。  それから第二の御質問の、除名のケースがあるかどうかという御質問でございますが、これは先生から第一にお話がございましたように、還付充当金を納めないという場合には当然除名になります。それからそのほか、これは社団法人になっておりますから、民法で、いろいろとその定款に定める事項に違反した場合には、これは当然除名ということになると思います。
  65. 古屋亨

    古屋委員 いまの旅行業協会、法律の二十二条の三でございますが、三つばかり仕事がございます。苦情の処理とか、研修とか、弁済業務。この苦情処理の問題で、「社員の取り扱った旅行業務に対する苦情の解決」となっておりますが、この社員というのは、おそらく指定旅行業協会に入っておる会社だと私は感じておりますが、そういう場合に、たとえばさっき言った会社の外務員、つまり一切の用員と社員との関係、これはどういうふうに考えておられますか。つまり、会社の社員がやったことは全部そこへ持ち出せるのかどうかという点です。
  66. 住田俊一

    住田政府委員 全部一緒に社員として取り扱いを受けることになります。
  67. 福井勇

    福井委員長 古屋君、時間が超過しておりますから、簡潔に。
  68. 古屋亨

    古屋委員 もうあと二間です。  保証社員というのは、これは物上保証という意味で、まあ物的の共済の制度というふうに解していいかどうかということをお伺いいたします。
  69. 住田俊一

    住田政府委員 先生のおっしゃるとおり、趣旨はそういうことであります。
  70. 古屋亨

    古屋委員 それでは最後にお伺いしたいのは、二十七条、国に対する適用でございます。従来は適用の除外として、「国の行う事業には、適用しない。」ということになっておりましたが、今度の二十七条では、若干行政的な分について適用があるやに考えております。国において旅行業を営むというのは、日本国有鉄道法の六十三条の例示がございますが、前は適用を除外しておったのを、今度国に対する適用についていかに考えておられるかをひとつお伺いして、私の質問を終わります。
  71. 住田俊一

    住田政府委員 今度の法律は適用除外になっております。
  72. 古屋亨

    古屋委員 適用の除外ですが、この二十七条をごらんになりますと、若干そういう点が、前は全然適用しないということになっておったのが、今度の法律では、二十七条の新しい上のほうを見ると変わっておるのでありますが、その変わった理由と、それから国において旅行業を営むというのはどういうのをいわれておるか。国鉄を考えておるか、そういう点ひとつ参考にお知らせ願いたいと思います。
  73. 住田俊一

    住田政府委員 まず国自身が、たとえば国鉄が直接旅行あっせん業をやっておるという例はございません。ただし駅長さんの駅長主催というのがございますが、これは現実には旅行業者、たとえば交通公社さんとか、そういう旅行業者がいわゆる旅行業務を行なっているということでございまして、駅長主催は旅行業務には当たらないということで、旅行業務はやっていないわけでございますが、国鉄が行なっている業務といたしましてはエックの販売、これだけでございます。
  74. 古屋亨

    古屋委員 以上で終わります。      ————◇—————
  75. 福井勇

    福井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本委員会において調査中の航空に関する件について、本日、新東京国際空港公団総裁今井榮文君を参考人として出席を求め、意見を聴取することといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  77. 福井勇

    福井委員長 陸運及び航空に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井岡大治君。
  78. 井岡大治

    ○井岡委員 最近、特に地方交通の中で、いろいろな条件はありましょうけれども、非常に経営が苦しくなっている。このことについて先般大臣のほうからお話がありましたけれども、特に私は、先般久保君が質問をいたしましたが、高知県交通についていろいろ調査をしてまいったわけです。これらを見て、単に従来のような行政指導だけではいけないのではないか、こういうように考えた次第です。  そこで、これらについて政府は、自治省のほうでは過疎地帯における若干の援助と申しますか、助成と申しますか、そういうものをやっておるようでございますけれども、私は単に過疎地帯だけでなしに、最近の陸運の輸送状況等を考えてみますと、朝晩のラッシュにはかなりのふくそうした条件はありますけれども、しかし、昼間の人口というものが非常にない。そこからくる経営不振というものが最大の原因ではないか、こういうように考えるわけです。したがって、ここで抜本的ないわゆる援助と申しますか、指導と申しますか、そういうものを考えなければ、私は単に高知県の県交通だけでないと思います。御承知のとおり県交通に続いて、何か解決したと思ったら、今度は徳島バスがまたああいう状態、あるいは岡山の中鉄バス、あるいは鳥取の日ノ丸バス、こういうように次から次に出てくると思うのです。  そこで、大臣にまず、こういう問題についてどういうようにお考えになっておるか、それから随時局長並びに関係者のほうに聞いていきたい、こう思うのです。
  79. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、最近地方の都市を中心とするかなり広域の交通機関、特にバスでありますが、経済的に非常に苦しい状況になってまいったことはお話しのとおりであります。  これは、一つはやはり輸送状況がお話しのように変わってきた。通勤時間の、たとえば七時から九時までは相当お客は乗るわけでありますが、昼間時間というものはお客さんが乗らない。これは平均してコストを割らないような交通のあるところはいいのですけれども、平均すると結局はコスト割れをするというところに、高知県交通をはじめとして各地でそのような事件が起きてまいっておるわけであります。  根本問題としては幾つかの問題があると思いますが、一つは、やはり過疎地帯という考え方をもっと広く考えないといけないのじゃないか。過疎というと何か人口の少ないところということを考えていますが、人口の相当あるところであっても、これはいわゆるラッシュ時における交通量を基準にして車をやっていますから、そうしますと、昼間の間はお客さんが乗らないということになる。そういう意味で、交通の形態が変わってきたということをまず考えなければいけない。しかしながら、通勤通学というものは何としても確保しなければなりませんので、それがためにはどういう形で援助策といいますか、維持するための助成方式を考えるか。一つは、いまの過疎地帯振興法という法律、それに伴って運輸省でも過疎地帯に対するところの助成策を考えておるわけですが、あのようなスズメの涙程度ではとても処理がつかない。国のほうからいうなれば、もっと広く全体の地域交通をどう助成していくかということから出ていかなければいかぬと思うのです。  もう一つは、地方公共団体といいますか、地方でも考えてもらいたい。たとえば、これは私個人の意見でありますけれども、地方における国民生活を維持するための一つの財政措置として、助成策として、交付税の交付が行なわれておる。でありますから、たとえば配分の積算根拠になるのは道路等が入っておるわけですが、もう地方の交通機関というものも、やはり道路並みに考えてやるべきではないか、配分のいわゆる恩典にあずかっていいのじゃなかろうか、そう考えます。これはだいぶ大きな問題でございますから、私一人で解決できる問題ではありませんけれでも、私は、考え方としてはそういうことを思っておる。  それからもう一つは、交通機関のあり方ですが、たとえばタクシーとバスというものはどういう形態であればよろしいんだ。どうもいま料金制度の上から見ると、東京あたりで皆さんはよくお見かけするでしょうが、バスを待っておってそこへあいたタクシーが来ると、四、五人でばっと乗っていってしまう。結局バスと料金があまり違わないということになる。現在はこういう交通機関の種別による料金制度が明確でない。こういう点、やはりバスはどういうところを中心に使われるか、タクシー・ハイヤーというものはどういうことを行なうか、地下鉄はどういう役目を持っておるかという、都市交通における各機関の持つそれぞれの役割りというものを、もう少し明確にすべきだと思うのです。そうしないとお互いにつぶれてしまう。そういう面が一つはあると思います。  高知県交通については、井岡さんはじめ皆さんが現地を視察くださいまして、かつまた、ごあっせんによって三月初旬における解散総会を延期することができた。会社更生法によって再建策を検討中であると聞いております。まだ申請はないようでありますけれども申請があれば、いずれ管轄裁判所において更生決定がなされると思いますが、これもしかし、現状のままで更生策というものはなかなかむずかしいと思う。したがって、将来の目安がなければ、私企業でありますから、年間何千万という赤字を出してまでやらなくちゃならぬということについては、かなり問題があろうと思いますから、そういうものを含めて、やはり県なりあるいは市なり関係者がある程度これは積極的に考えてやる。国のほうでも、これは国は、いまのところ御承知のような規制のほかありませんので、直ちにはできませんが、しかし、運輸省としても、いわゆる僻地という問題でなぐ、地方都市交通のあり方という面から、積極的な措置を考えていかなければならぬと思っております。  もう一つは、あるいは地元でそういう意見があるかどうか、ある程度特別料金をやってもいいんじゃないかという意見が出ているかと思います。しかし、特別料金を設定するという問題は、これはなかなか利用者の立場もあります。しかし、やめてしまうよりは多少はやむ得ないという考えもありましょう。しかし、そういう特別料金制を将来考えることは、これはやはりよく地域住民との間に十分理解が届かないと反発を受けて、かえって更生に役立たない場合もありましょうから、これは慎重にやらなくちゃならぬと思っております。  いずれにせよ、ラッシュといいますか、通勤通学時間における足は確保しなければなりませんので、運輸省からも人を派遣しまして、県当局及び債権者等も、高知県交通に関しては積極的な働きかけをし、また皆さん方の御協力によって、何らかの再建策が出てくるのではないか、かように期待をいたしておる次第であります。
  80. 井岡大治

    ○井岡委員 かなり大臣お考えになっておいでになるようですが、私はそこで、いままでの自動車行政で、これを画一的に考えておったところに欠陥があるのではないか、こう思います。と申しますのは、いわゆるグループ制にいま料金制度を考えていっている。はたしてそれでいいのかどうかということ。乗客の密度等も違うわけですが、それを画一的に考えておった、これが第一点。  それから、もう一つの考え方として考えられることは、これを鉄道事業と同様に考えておったということ。こまかく言えば違いますけれども、大きく言ってそういうふうに考える。ところが、鉄道事業は資本が非常に巨大でありますから、単にその乗客の輸送、それのみを専業にしておるのではない。いろんな培養事業をやっておる。たとえば土地の造成をやるとか、あるいは住宅の建設をやるとか、公園をつくるとか、こういう培養事業を行なう。そうしてそれをもって補完をやっておる。ところが、バス事業は資本が弱いために、そういう培養事業はできない。たまたま高知県交通では、若干それをやろうとしたようでありますけれども、あの都市の中でそれをやろうとしておるが、決してその乗客の伸びというものを考えておらない。そこに大きな破綻があったと思うのです。そういう点が大きな原因じゃないか、こういうように考えるわけです。  そこで、自動車局長にお尋ねするわけですが、いままでどのような指導をなさっておったのか、この点をひとつお聞かせをいただきたい、こう思うのです。
  81. 野村一彦

    ○野村政府委員 お説のように、まず高知県交通の問題でございますが、料金につきましては、これは一般論でございますが、各グループごとに同一地域におきましては同一料金という料金の立て方につきましては、問題があると思います。したがいまして、私どももいま事務的に、先ほど大臣がおっしゃいましたような基本的な問題を踏まえながら、料金体系のあり方、たとえば系統別の料金体系というようなことも考えられるんではないかということで、いま事務的に検討いたしておる次第でございます。  それからもう一つ、高知県交通について、どういうことをやったかということでございますが、私ども、高知県交通が三十九年の下期以降無配に転落をいたしまして、そこでまずやりましたのは、これは会社を指導してやったのでありますが、四十三年に資金がショートいたしまして、七千万円ほどショートいたしまして、経営の危機の寸前になった。そこで、会社からはいろいろ相談を受けまして、三四・六%の運賃改定を行ないましたけれども、これはたいした効果にはならなかったということでございます。その次は四十三年の十二月に第一次会社再建計画を立てまして、ここで七〇%の減資をやり、そうしてその減資が済んでまた増資をやるということで、一応の体質改善の指導と申しますか、相談に乗って、そういうアドバイスをやったわけでございます。それから四十四年には、役員、経営陣の刷新が行なわれたわけでございます。それから四十四年の五月には本社のビルを売却いたしまして、三億四千万円ほどの資産処分をやったということでありますが、これをもってしてもなお再建が軌道に乗らなかったということから、四十四年には第二次の再建計画を立てまして、そして七十九路線を廃止をする、それから労使の交渉によりまして六百四十六人の方がおやめになったというようなことがありました。これをもってしてもなお再建が軌道に乗らなかったということで、昨年の六月、第三次の再建計画を立て、さらに六十九路線の廃休止、それから五百十八人の退職というようなことをやったわけでございます。  したがいまして、この時点におきましては、私どもとしてはやや会社の経営が軌道に乗りかけたといいますか、経営が悪化する状態がややスピードダウンされた状態になって、このままの状態でいけば、あるいは自主再建といいますか、この再建計画が実を結ぶのではないかというふうに考えておったわけでございます。それが必ずしも所期のようにいきませんで、先生御案内のような現状に立ち至った、こういうことでございます。  その間、役所として直接いたしましたのは、四十四年度には補助金千百四十八万円でございますが、これを交付し、四十五年度は、これはまだ予定でございますが、百四十五万円の補助金の交付ということで、役所としていたしましたことは、そういう補助金の交付という程度のことでございます。
  82. 井岡大治

    ○井岡委員 お話を聞いておりますと、指導されたのは、六十一路線ですか六十九路線ですか廃止について御相談に乗られたことと、それから四十四年度千百万円、四十五年度百四十五万円の補助を考えているということだけで、ほかは全部会社あるいは高知県の株主の方たちが相談をなさっておやりになったことなんですね。だから、私はこれは指導だとは言えない、こう思うんですよ、極端な言い方をすると。間接的には指導をなさった、こう言えばそれまでですが……。たとえば、私はあえてすべてをあばいてこれがどうだ、こういうように言おうとは思いませんけれども、油をお買いになっているけれども、その油を買っておいでになるのは、これはトンネル会社なんですよ。こういうことで割り高の油を買っておいでになる。タイヤにしたってそのとおりなんです。こういうようなことを根本的にメスを入れてやらない限り、幾らやってみたってそれはだめなんです。会社更生法を適用されておやりになろうとしても、私は現状のままそのままを持ってきて、そして金のほうだけをこうやったとしても、出ていくほうが多ければ、おそらく幾ら計画をお立てになったって、これはだめだと思うのです。あるいは、たとえば自動車会社にしたってそうなんです。購入した会社に対して全部そういうかっこうになっている。こういうところに問題があると思うのです。  こういうところを、直接あなたが、こうしなさい、ああしなさいと言うことはいけないだろうけれども、やはり自動車会社、油、こういうところにはこういうやり方をしたらどうですかというような指導をなさらない限り、これは幾らなさったってだめだと思うのですが、この点どうなんです。   〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕
  83. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生お説のとおり、今後の問題につきまして、会社更生法の適用の申請がおそらくあると思います。ありましたならば、その段階におきまして、私どもは抜本的な再建計画が立案されるように、側面から援助したいと思います。  その具体的な考え方といたしましては、先生御案内のように、会社更生法が適用になりますと、従来の経営者というものは機能を停止されまして、新たに管財人というものが選任されることになりますが、会社更生法の決定を裁判所がされる前に、いろいろと調査をされて、はたしてこれが再建の見込みがあるかどうかということをお調べになるわけでございます。そのときには一般の債権者も、それから従業員も、また会社自身も、株主にいたしましても、三方一両損といいますか、それぞれ相当の犠牲を払わないと、軌道に乗る再建計画、裁判所が更生の見込みありという再建計画は私は立たないと思います。  そういう意味におきまして、ただいま先生の御発言にございますように、たとえば債権者であるタイヤ会社、あるいは燃料会社、そういうところも、今後の再建についてある程度の犠牲を引き受けて、そして再建計画に参加するというように、有効な再建計画が立案できるように、私どもとしても関係者とよく協議をして、側面から援助したいと思っております。
  84. 井岡大治

    ○井岡委員 いまそうおっしゃっておいでになりますけれども、株について申しますと、いままでこういう株の組織でよかったかどうだったかというところにも問題があるわけです。株主は全部で三十八名です。大株主というのは、百株以上が十一名です。こういうような状態の株主組織で会社は成り立つはずがないわけです。しかも、この十一のうち一つの株主は別ですけれども、あとの株主は現金を出した株主じゃないわけです。みんな借金をした、債務の肩がわりに株を持っただけなんです。何の手当てもしてないということなんです、四十三年から四十六年まで。これで立ち直るとお考えになったところが少し甘いのじゃないか、私はこう思うのです。  したがって 株組織を持つのであれば、もっと広く持たすような方法が考えられなかったのかどうか、こういうところに一つの問題がある。しかも、その株主というのは、全部材料を購入しておる会社ばかりなんです。一方でこれは割り高で買っているんですよ。こういうことでは更生はしない。ここに問題がある。そういうふうにお思いになりませんか。私は、名前を読むのはいやですから言いませんけれども……。
  85. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生指摘のように、債権者が債権を肩がわりをして株主になっているというケースがかなり多いということは、御指摘のとおりでございます。ただ、私どもといたしましては、これは株式会社でございまして、やはり商法にのっとった株式会社でございますし、国として直接そういう株主の構成について、指導といいますか、干渉できる立場にございませんので、そういう点についてはなかなかむずかしいと思いますが、お説のように、その株主の構成が健全であるかどうかという面から見れば、これは非常に不健全であるといわざるを得ない、そういうふうに考えます。
  86. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、大臣の特命で旅客課長が行かれたわけですが、どういう報告をなされたか、大臣でなくてもいいですから、局長のほうからそれを先に聞きたいと思います。
  87. 野村一彦

    ○野村政府委員 二月二十三日に行きまして、二十四日に向こうでいろいろ関係者と会ったわけでありますが、まず会いましたのは県知事及び副知事、それから一番大きな債権者でございます四国銀行は、これは頭取が外遊中でございましたので、担当の専務及び常務に会いました。それから会社の役員、代表取締の方に会いました。それから労組の幹部の方にお会いをしたようでございます。  結論的に申し上げますと、県知事は、三月三日に予定されている解散決議を延ばすということで、県としてできるだけの努力をいたしましょうということと、それから、万一そうなった場合の県民の足の確保ということについては、県としても十分地元の市町村と連絡をとって、足の確保ということを第一の重点に置いてやりましょうというお話を承って帰ってまいりました。それから四国銀行につきましては、頭取不在でございますために、はっきりした確約的なことは得なかったようでございますが、ともかく解散ということを非常に強く主張しておりました態度を相当緩和されまして、会社更生法の適用を含む再建策について、私どもも考えてみましょう。いままでは、そういうことをする余地がないと申しますか、そういうことはやれないのだというふうに考えておったけれども、きょうのお話でよくわかったので、会社更生法の適用を含む再建策について、もう一ぺん十分検討するように、頭取にも進言いたしますという話でございました。それから、会社側の重役の方につきましては、会社として何とか再建策をやるために、会社更生法の適用をしていただけば、私どもとしてはその線で努力をいたしますということでございましたし、労働組合のほうも、もちろん解散決議をされることに反対である、足の確保をはかってくれ、そういう御要請を受けて帰ってきました。  当時の私どもの見込みとしましては、非常にむずかしいけれども、とりあえず三月三日の解散決議ということは、あるいは回避されるのではないかという希望を持ったわけでございますが、幸いにしてと申しますか、三月三日の解散決議は行なわれずに、会社更生法の適用を含む再建策を、みなで検討しようという空気に大体なっておるというふうに承知いたしております。
  88. 井岡大治

    ○井岡委員 ほぼ同じですけれども、知事の考え方については、解散をさせたくないというところについては一緒です。けれども、私たちが会ったときに、知事は代行輸送の問題をしきりに言っておいでになりました。そこで私たちは、三台や五台、十台ぐらいであると代行輸送というものは可能ではありますけれども、三百六十台からの代行輸送を、あなたはどうお考えになっているのだ、こう聞いたら、これは代行輸送はだめかな、こういうことであきらめられたようです。  ところが、一方において高松陸運局長は、解散を決議した場合は代行輸送をさすということを言ったのを、私たち朝、新聞で見てびっくりしたわけです。こんなことができるのかな、こういうふうに考えたのですが、その点あなたはどうお考えになりました。
  89. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいまのお話でございますが、私ども、現地に旅客課長が行きますときに話をいたしましたことは、一番の問題は足の確保である。したがって、足の確保をするためには、やはり解散決議というものは回避しなければならないということで行きました。それで、先生お説のように、かりに解散決議が行なわれて事実上会社の機能がとまるということになりますれば、いまおっしゃいました、ほとんど全県下に及ぶ路線網を持っておるわけでございますから、なかなか、たとえば市町村のマイクロバスを利用するとか、あるいは学校のスクールバスを利用するということをやっても、これはもう非常に微々たるものでございまして、県民全般の足の確保ということから見て非常に不備でございます。  したがいまして、万一そういうことになれば、もうほんとうに輸送力というものはがたっと低下するわけでございますので、私どもとしては、あの時点においては、ともかく解散決議を回避して、会社がその機能を停止することのないようにするということを考えて、万一それができない場合はということで考えましたので、解散決議をやめてもらうということが、実は私どものあの当時の一番大きな眼目であったわけでございます。
  90. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、別に陸運局長のあげ足をとろうと思いませんから、それはあえて追及はいたしませんけれども、少なくとも解散決議をとめようというのであれば、あすこで代行輸送などということは慎んだほうがいいのじゃないか。私が会ったのは知事、副知事、企画部長、それから市長、銀行はおっしゃったとおり頭取がおりませんので、専務と常務に会いました。それから会社にも会いました。組合にも会いました。私のほうがよけい会っているかもわかりません。そして私は陸運局長に会ったわけですが、陸運局長に、あなたは代行輸送などと言っておいでになるけれども、どうして代行輸送をやるのですか、こう言ったら、全く見通しは立ちませんと、こういう話だった。そういうことは、私は少なくとも軽々にものを言うべきじゃない。それで、私たちが会ったあくる日、陸運局長が専務と会ったときに、あれを聞いて陸運局長は非常に強くなったということです。それをまたもう一ぺん考え直させるために、陸運局長にもう一ぺん会ってくださいと私は頼みましたよ。もう一度考えてみようかと言うのには、二時間半余りかかりましたよ。ですから、ああいう点は、私は別にあげ足をとる意味で言っておるのでなくて、再建ということに主目標を置いて、そうしてかかって、どうしてもいかない場合はどうするかということは——解散決議をしたからといって、直ちに運行を停止するわけじゃないでしょう。あなたのところは運行停止を命じないでしょう。運行停止するといったら、それは直ちに行政処置をとられるでしょう。そうだとすると、ああいうことは言うべきでない、こういうように私は考えます。ですから、その点は十分今後考えていただきたいと思うのです。  そこで、いま大臣からお伺いいたしたわけですが、過疎地帯の振興法による、あるいは過疎地帯に対するところは、全部もう切ってしまっているのですね。六十九路線というのは全部切ってしまって、過疎のところはないのですよ。幹線道路はかりなんです。何なら見せましょうか。——ですから、単にこれは過疎の問題として解決するわけにいきません、私はこのように考えたわけです。また知事にも、このようにお考えになったらどうかと言った。これは大臣が会社更生法と言われましたから、私はそのことは省きます。  県あるいは関係市町村、この人たちを含めた再建計画というものを立てなければいけない、こういうことになるわけですが、そうだとすると、直ちに県はそれに対して手当てをするだけのゆとりというものがあるかどうか、こういうことを考えてみたわけです。この点については県当局は非常に、まあこう言いますとなんですが、悪いことばで言いますとずるい考え方です。県庁のほうから何とかやめないようにしろ、こう言われる。これは一つの県の考え方。あるいは大口債権者である銀行のほうは、これは、私のほうはやめます、やめますと言っておって、どうしてもと頼まれてやるのだ、そのかわりどうしてくれるのだ、これを言いたい、こういうところだろうと思うのです。そういうことで、みんな三すくみになってすくんでおる、これが現状だと思うのです。  そこで、県当局に対してどのような措置をとろうとなさっておるのか。これも、更生法が出るのはさまっておるのですからね。というのは、あなた、これをやめてしまったら県下の交通はみなとまってしまうわけですからね。一方土佐電鉄はありますけれども、土佐電鉄の規模とこの規模とは全く違いますから、どのようにお考えになっておるのか、この点ひとつお聞かせいただきたいと思う。特に私は、道路管理者である県知事としては、この問題についてもっと深刻に考えるべきだ、こう考えるのですが、この点どう考えておいでになるか、お聞かせ願いたいと思う。
  91. 野村一彦

    ○野村政府委員 今後の会社の再建計画それ自身は、会社更生法の適用を私ども側面から援助して、そちらのほうでやっていただくように考えておりますが、特に今後基本的な問題について、県等との協力体制につきましては、実はただいま御審議をお願いしております予算の中に、非常に少額でございますが、県ごとに過疎バス対策協議会というものをつくりたいという計画で、すでに事務的にはこれを認められております。  したがいまして、私どもは、できるだけ早く過疎バス対策協議会というものを県ごとに設けまして、そうしてこの中で、先生お話のように、過疎地帯バスを切り離して高知県交通はないというお説でございまして、私ども大体そういうふうに了解をいたしておりますが、さらに県下の全体のバスの路線網のあり方等につきまして、今後の足の確保という観点から、たとえば路線網の再編成というようなことができるかどうか、あるいは分離経営と申しますか、一部は切り離してまた他の適当な事業者等にやらすことができるかどうか、そういう地域の実情に即したきめのこまかい対策をやるための過疎バス対策協議会、これは新年度になりませんとできませんので、その前までは、事実上そういう過疎バス対策協議会、これは当然県や市がメンバーになっていただくわけでございますが、そういう方々を交えて、今後の路線網のあり方等について検討を進めることにしたい、かように考えます。
  92. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから、私は大臣に一番先に聞いたのですよ。過疎バス対策協議会だけではこれは解決しないのですよ。いま当面直ちに要るお金は三億ですよ。負債総額を入れますと十三億ですよ。過疎バス対策協議会で出すという予算は幾らなんですか。そこから聞きましょう。
  93. 野村一彦

    ○野村政府委員 私の説明が不十分でございましたが、過疎バス対策協議会と申しますのは、今後のあり方について検討するものでありまして、ただいま先生のおっしゃる当面の緊急助成ということは別の問題でございますので、その点については、現在国としてどういう当面の財政上の緊急措置ができるかということは、まだ私ども考えておりません。
  94. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから、これは緊急の問題ですよ。いつまでも放置するわけにはいかない問題ですから、特にこの問題を先に大臣にお伺いをしたわけなんですよ。  そこで、佐々木参事官お見えになっておりますからお聞きしますが、当面要る金は三億です。したがって、いわゆる会社更生法の適用が認められた、こう考えますね。その場合、県が主導権を握っておる限り、先ほど申し上げたように、三すくみでだれも手を出すものはありません。根底には、四国銀行は解散したほうが得だ、こう考えているのです、担保もみな取っているから、それはいろいろ、何をどうするこうするというのは、彼らの考えていることは私たち強く追及しました。追及というより話し合いましたけれども、それなどは私は申し上げることは差し控えましょう。差し控えますが、県が主導権をとるということです。そうして関係市町村、それから債権者、商工会議所、会社、組合、これをテーブルに乗せる必要があると思うのです。そうしない限り、会社更生法で債権者のほうは金を出すことを非常に渋っておりますし、一方会社更生法によると、当然労務問題が出てくると思います。そうだとすると、労働組合を除いて再建計画を立ててみたって、そこでトラブルが出てくると思うのであります。したがって、これをテーブルに乗せるということだと思うのです。そのテーブルに乗せる際に、県は何らかの一つの具体案を持っておらないと、これは乗らないわけです。  そこで、この場合佐々木参事官にお伺いするわけですが、大臣はまだ私見だと言っておいでになりますから、直ちに交付税のほうからこれを回せということは、なかなかそう言えるものではありませんが、特別起債を認めるお考えはありませんか。
  95. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 ただいまの特別起債といいますのは、おそらく、県から会社に当面必要な資金を融通をするための起債というようなお考えだろうと思います。  法律上、貸し付け金についての起債は可能であります。ただ、貸し付け金の起債の場合におきましては、そうした貸し付け金を、元利償還金をもって起債の償還に充てられるというような見通しが得られない限り、起債の扱いとしてはむずかしい問題があるということでございます。また、これについて県のほうがどういう態度をとるか、起債をしてそういう会社の、いわば当面必要な運転資金に充当するというようなことで、そうした会社の再建が可能であるというような判断をするかどうかという問題もあるわけでございます。法律上は一応可能であるといたしましても、実際上の問題としてどういうふうなやり方をやっていくかという点は、まだ相当詰めなければ、ここではっきり申し上げるわけにはいかないだろうと思います。これは、県のほうとも十分相談をしながらやってまいらなければいけないと思います。
  96. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで私は、直接会社に、起債をもらってそれを貸すというような措置は、一番下の下だろうと思う。そうでなくて、起債を認められたものを四国銀行に預託をする。これは公金銀行ですから、預託の業務をしておるわけですから、預託をしてやる、そうして公金銀行である四国銀行からこれを融資をする、こういうかっこうにすると、そこからくる利子は、県並びに関係市町村がその利子等について見てやれば、利用者というか、自分の持っておる住民に奉仕への道が開ける、こう思うのです。したがって、こういう考え方でいくのが正しいと思うのですが、この問題はそういうかっこうは可能かどうか、これだけを佐々木参事官に聞いて、そして、あとは大臣にお伺いします。
  97. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 地方財政法の規定らいたしまして、法律上は、ただいま申し上げましたように可能でございます。ただ、現実の起債の運用として、その会社の将来の見通し等が確実でない限り、実際の起債の許可という事務処理の段階におきまして、非常に問題が残るであろうということを申し上げたのであります。
  98. 井岡大治

    ○井岡委員 大臣、お聞きのとおりで、起債は認められる、こういうことです。そこで、償還が可能であるかどうかということについては、裁判所が会社更生法を適用した場合、可能だという判定がない限り、会社更生法の適用認可をしない、こう思うのですね。したがって、その場合において大臣にお願いしたいことは、単にこれは自治省の問題だけでなしに、県民の足を確保するという立場、これは全県みなそうですから、足を確保するという立場から、自治省、自治大臣と十分御討議をいただいて、そしてそういう方向で何らか県が動かれるような、知事が動かれるような足場と申しますか、グラウンドと申しますか、そういうものをつくってあげていただくようにお願いしたいと思うのですが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  99. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 せっぱ詰った問題を解決するのには、一つの方法だろうと思います。ただ、私も自治法等詳しくありませんし、かつまた企業の状態が将来更生法が適用されるということ、また更生法が適用されるようにしむけなくてはいかぬわけですが、それら等は、もちろん運輸省等においても協力いたしますし、起債を中心にしてのものの考え方、これは一つは高知県当局の腹一つなんですね、問題は。法律上こうあるんだというのですから、そうなれば、いわゆる高知県当局が腹をきめて、やはり県民の足は確保する、そのためには、県がある程度の犠牲はやむを得ない。ただ、国が将来こういう問題については積極的に考えてほしいということは、いま直ちに私どもできません、法律がありませんから。そういうようなものの考え方で県当局が腹をきめて、そして自治省と話をつけるということであれば、それは何も、金に何番と番号はふってあるわけでありますけれども、どこへ使うとはきまっておりませんから、そういう形がとれると思うのです。  したがって、しゃくし定木に法規だけでものを考えると、なかなか問題が解決つかない。やはりあとは政治があるんですから、地方だって地方政治があるんですから、そういう政治のたてまえからものを考えて、そして法律に違反のないような方法で運用する道があるのではないかと思います。自治大臣あるいは自治省の財政局長、佐々木さんもせっかくおいでで、事情お聞きのようだから、皆さんとよく相談して、何といっても県民の足を原則として確保するという方向で努力してみたいと思います。
  100. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、もう大臣けっこうですが、私はあなたと自動車局長にお願いをしておきたいことは、県を動かすのは道路管理者である県知事、その立場で動かしていただかないと、県知事は、なかなか自分が金を出すのはたいへんだ、こういう考え方ですから、乗ろうとしません。同時に知事は、これは佐々木参事官にお願いしておきたいことは、行政の責任者ですね。この高知県のいわゆる足がとまってしまうということになると、これはひとり高知県交通の経営の放漫だなどと言って非難しただけではとどまらないのです。行政責任者である知事に対する、何をやったんだという、これは非難が当然起こってまいります。また、私たちが各関係方面とお会いをしたときに、知事は何もしないじゃないか、やったことは、みんなを集めて、高知市にあの公園の一角を買うてやってくれ、こう言って口開きをしただけじゃないかというような声が各方面から出ておりました。したがって、道路管理者である知事、行政責任者である知事、そして県民の足を守るという立場から、そこから知事が動けるような土俵をつくってやっていただく、こういうようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 宇田國榮

    ○宇田委員長代理 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ————◇—————    午後一時五十七分開議
  102. 福井勇

    福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。金丸徳重君。
  103. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 去る三月四日午前八時二十分ごろ、山梨県富士吉田市地内におきまして、あそこを走っておりまする富士急行電車が、トラック運転手の不注意に原因いたしまして衝突事故を起こし、それが誘因となりまして電車転覆というような大惨事を起こし、あり得べからざる多数の死傷者を出すような事態をかもし出しました。わが党は、時を移さず運輸委員から内藤良平、井野正揮両委員、また交通安全対策委員から後藤俊男委員を派遣いたしました。また私は、地元出身の小林信一議員とともに現地へ飛びまして、つぶさに状況をも見てまいったのでありますが、たいへんな事故でありまして、当時まだ原因その他につきまして究明中でありました。  その後一週間の日時をけみしておりまするのでその原因などの究明も済んだことではないかと思いまするし、事後の対策、あるいは犠牲者に対する援護、あるいは弔問の措置などにつきまして、相当手続も進んでおるやに思われまするので、関係のほうから、その後における原因究明の状況、その対策の進行模様などを御報告願いたいと思います。
  104. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 最初に私から……。富士急行の列車脱線事故によって、多数の死者及び重軽傷者を出しましたことに対し、心から遺憾に存じます特に、死者十七名という多数を出しましたことにつきましては、なくなられた方々に対して心から哀悼の意を表すると同時に、重軽傷を負われた六十九名の方々に対しましても、心からお見舞いを申し上げる次第であります。  当時、直ちにそれぞれの措置を講じましたが、その後原因調査も進んでおると存じますので、詳しくは、鉄監局長からお答えさせることにいたします。
  105. 山口真弘

    山口(真)政府委員 三月四日の午前八時二十五分に、富士急行の暮地駅と三つ峠駅の間におきまして列車脱線事故が発生いたしまして、死者十七名、重軽傷六十九名を生じました。まことに申しわけないことでございまして、死者に対しましては心からお悔やみ申し上げ、またけがをされた方方に対しましては、一日も早く御回復なさることをお祈り申し上げる次第でございます。  事故は、大月行きの二両編成の列車が月江寺駅付近にございます緑ケ丘第二踏切道、これは遮断機つきの第一種踏切でございますが、その踏切道で、小型トラックが遮断機を突破いたしまして線路に進入をいたしました。そのためにこれと衝突をいたしまして、約四キロメートル逸走をいたしまして、それで脱線をしたということでございます。  この事故の原因でございますが、これは第一の原因は、踏切道におきまして小型トラックが遮断機を突破いたしまして、そして列車を衝撃したというところが第一の原因でございますが、その後列車が逸走をいたしましたその原因につきましては、直ちに東京陸運局並びに本省から担当官、専門家を派遣いたしまして、さらに国鉄の技術陣それから運輸省の技術研究所の協力を得まして調査をいたしました。いまのところその調査の結果は、二両ともブレーキ装置が破損したということが主原因ではないかと思います。  この車は、ブレーキ装置が三種類ございまして、一つは手ブレーキでございますが、これは破損したのではないのですが、手ブレーキ自身の能力といたしましては、速い列車をとめるだけの力はなかなか持っていない。それから第二が空気ブレーキでございまして、空気ブレーキにつきましては、通常のブレーキと非常ブレーキに使えるわけでございますが、この空気ブレーキが主たるブレーキでございまして、これが二両とも破損をした。それからい一つは電気ブレーキでございまして、これが速度を抑制する抑制式の電気ブレーキでございまして、かなり効力があるわけでございますが、これは非常ブレーキをかけましたときの問題がありましてきかなかったということが一応考えられる。結局、一番の大きな原因と考えられますものは、その空気ブレーキが二両とも破損をしてしまった、自動車の衝撃によって破損をしたということにあろうかと思います。なお、詳細につきましては、さらに技術陣によりまして検討を進めております。  被害者につきましては、会社側からもお見舞いを申し上げ、また医療につきましては万全を期しております。
  106. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 三種類のブレーキがあったけれども、いずれも制動しなかった、効果を奏しなかったというところに、この惨事を大ならしめた原因があるように、私も現地で承知してまいりました。  そこで手動、これは加速された電車をとめるということはなかなか容易ではないということはわかりますし、電気ブレーキもそうした場合に役に立つものでもないそうであります。しかしながら空気ブレーキのほうは、かりに第一段のブレーキがだめになりましても、第二段の非常ブレーキは自然に当然にかかるようになっておるのが、あのブレーキの特徴だそうでありますが、なぜそうした非常な事態においてこそ働いてくれるべき空気ブレーキがだめになったのか、どこにそういう原因があったのか、それを実はみんなが聞きたがっておるのであります。その後の調査はいかがなっておるのでありましょうか。破るべからざるものが破れたというのがふしぎでしょうがない。当時の新聞は、これをなぞと伝えておりますが、そのなぞははたして解けたかどうか、どういうふうに解けたか、詳細承りたいと思います。
  107. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この空気ブレーキの構造でございますが、これは貫通式になっておりますから、したがいまして、たとえば列車が分離いたしましたような場合には、当然両方の車両にブレーキがかかるというような構造になっておるわけであります。したがいまして、第一両目のブレーキが破損をいたしますれば、第二両目のブレーキがかかるという一応の構造になっております。  問題は、この一両、二両ともにそのブレーキが自動車の衝撃によってこわれたというところにあるわけでございますが、まだ原因が、こまかい点は究明中でございますが、衝突いたしました自動車が第一両目のブレーキを破損し、さらに第二両目まで、それを引きずりまして第二両目を破損した、そのために両方の空気ブレーキがきかなくなってしまったということが原因ではないかと想定されます。
  108. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 実は、このブレーキの機構についての疑問点は、当時現地でつぶさに調査なさっておられます井野委員が、後刻お尋ねすることになっております。私は、ただ私がしろうとなりに考えておかしいと思う点をお尋ねするのでありますが、あの小さな自動車がそうスピードが出て接触したわけではかい。御承知のように、とまっておったのが風に吹かれてそろそろと行って、そして踏切を押し破ってたまたまそこへ飛んできたということですから、そう猛スピードでぶつかったということでもないように思うし、その程度の接触事故というものは間々あり得るのではないか。その間々あり得るような事故によって、非常の場合の第二の空気ブレーキが作動しなかったというようなことがあり得るのかどうか。もしあり得るとしますならば、それこそたいへんなことでありまして、そういう場合の措置をも考えておかなければならないと思うのですが、その点はどういうふうにごらんになっておられますか。
  109. 山口真弘

    山口(真)政府委員 一両目と二両目のブレーキが、同時に衝撃によってやられたということは、通常の場合には、第一両目だけのブレーキが損傷を受けるということだろうかと思うわけでございますが、この場合には、第一両目の車をこわした自動車を電車が引きずったかっこうでいきまして、そうしてそれが第二両目のブレーキを損傷したということが想定をされるわけでございまして、その結果、第二両目のブレーキを破損しておる、そのために自動的に作用すべき非常ブレーキがきかなかったというのが、ただいまの想定でございます。
  110. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そうした事態というものは、ああした地方鉄道において間々あることなんですか。大きな事故にならなかったから世間の問題にはならなかったけれども、事業者においてはそういう経験はたびたびあったことなんですか、それともあそこだけで起きたことなんですか、いかがですか。
  111. 福井勇

    福井委員長 山口鉄監局長に申しますが、金丸委員の質問は、技術的に相当詳しく入っておる。あの電車などにはエアブレーキもあるし、エレクトリック・マグネット・ブレーキもあるし、三通りもある。その作用はどうであるかというような、非常に専門的な回答を得ることでありますので、鉄監局長法律系統のことばかりで、おそらく技術的な内容はわからぬと思う。そういう場合には技術者を尊重して、そうして親切な回答を、説明を申し上げるように、これから心がけてください。
  112. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この種の事件が起きまして一両目、二両目のブレーキが同時に破損したというような例は、私どもの知る範囲ではないわけでございます。初めてでございます。
  113. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 したがって、これの調査にあたりましては、非常に慎重でなければならないとともに、迅速にその原因を究明して対策を練ってもらわぬといかぬことであると思います。要するに、その点においてもあり得べからざることがあったわけなんです。実は大臣の時間の関係もありまするので、この点は、後刻また詳細に究明してもらうことといたします。  その次に、あの惨事をあれだけ大事ならしめたものは、あそこの線路のカーブが尋常ならざるもの、ひどかったということであり、傾斜が容易なものではない、これが惨事を大ならしめた第二の原因ではなかろうかと思うのであります。あの鉄道は、もともとが一種の登山鉄道みたいな形で出発いたしておるものですから、当時小さな電車をよちよちと運転する時代には、そうした線路構造においてもよかったかもしれませんけれども、その後時代が進みまして、登山鉄道は産業鉄道、あるいは通勤鉄道に変化し、いまはまたそれにプラス観光鉄道としての重要任務を帯びておるというようなことになりまして、車両も大きくなり、連結台数も多くなりました。そういうような条件の変化に伴いまして、線路の構造でも相当なる配慮がなされていかなければならないのではないか。あるいはカーブをゆるめるとか、あるいは傾斜を直すとかというような配慮がなされておらなければならなかったと思うのでありますが、その点はどうなっておりましょうか。
  114. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この線区は、先生指摘のように、勾配はかなりの勾配でございまして、千分の四十という勾配でございます。曲線は二百四十でございますから、これは非常に小さい曲線というほどでもございませんが、勾配がかなり大きい。  それで、この線区はもともとはそういう使われ方でございましたが、最近では国鉄の線の電車が乗り入れるということもございまして、線路の条件その他につきましては、国鉄線も十分乗り入れるだけの配慮をいたしております。各般の保安設備というものは十分に整えております。最近にはCTCその他の新しい設備もつけまして、これの運転の安全を期しておるところでございます。
  115. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その点は、技術的にもうだいじょうぶなんですか。どうも今度の事件によって、あらためて線路の構造なんかについて、また、先ほどお尋ねしましたブレーキの構造、装置などにつきまして、利用者、現地の人たちは非常な心配を持っておりますし、あそこは観光鉄道として、ずいぶんと富士周辺の景観をながめるお客も多いのであります。よほど万全の措置を講じて監督指導、落度がないようにしておいてもらいませんと、またしてもあのような事故が起こる心配があるのでありますが、その点は、いままでもそういうことについて監督なり指導なりを厳重にやっておられたとは思いますけれども、にもかかわらずそうした不測の事故を起こし、なぞのままにまだはっきりしないというお答えでありますから、これからもあの線路、あの装置でいいのかどうかというようなことについて、確信をもってお進めになられるんでしょうか。これは念を入れるようですけれども、お答えをしておいていただきたい。
  116. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この線区の勾配、曲線等につきましては、これは先ほど申し上げましたように、勾配としてはかなりきつい勾配でございますが、しかし、私鉄に例のないことでもございません。また、この線路自体の設備面の点につきましては、先ほど申しましたような各般の安全装置を、相当完備した設備をいたしておりまして、そうして施設面のほうはまず問題がないと私ども考えております。  今回の事故が起きた一番の問題は、何といいましてもブレーキが同時に二つとも損傷させられてしまったというところに問題があるわけでございます。したがって、ブレーキ装置というものが、いままでのような姿ではたしていいのかどうかという点につきまして、ただいま申し上げましたような電気ブレーキ、空気ブレーキ、手ブレーキという三段階のブレーキをとっておるわけでありますが、そのブレーキの取り付けのしかただとか、あるいは制御の方法だとかいうような問題について、これもこのままでいいかどうか、これは非常に根本的な、車両の構造をどうするかという問題に実はからんでまいる問題でございます。また国鉄、私鉄共通の問題でございますので、これにつきましては、技術開発というものをもっと進めまして、これを検討した上適切な措置を将来とってまいるということでございます。
  117. 井岡大治

    ○井岡委員 ちょっと関連……。  大臣が第四のブレーキの問題で研究しろ、こういう指示をなさったということでございますが、私はそのことはそれでいいと思うのです。ところが、勾配四十という勾配はそうざらにない。大体国鉄の場合は二十から二十五、六、そういうところでないかと思うのです。  そこで、いわゆる緊急を要する場合、ブレーキの故障ということはあり得ること、幾ら機械を整備してもあり得ることですから、そこで最も安全な方法として、そういう急勾配のところには必ず側線をつける、いわゆる側線をつけて待避をさす待避線を設ける、こういうような考え方はありませんか。
  118. 山口真弘

    山口(真)政府委員 側線の考え方は、昔は実は安全側線という考え方があったわけでございまして、この安全側線の考え方というのは、いわば列車の正面衝突というものを避けるために、別の線に入れて脱線をさせてしまうということで、安全側線の考え方があったわけであります。その安全側線自体はそういう意味で、別の線に入れて脱線させてしまうという考え方でございますので、ある意味では非常に危険な点もございます。その脱線をすることによって転覆をしてしまうということもあり得るわけでございまして、さらにその安全側線の長さというものを十分とらなければならないという問題もあるわけであります。富士急行の場合には、そういう考え方ではなくて、むしろCTCによりまして一括的に整理をすることによって、そういう列車対列車の危険というものを防止しようという手法によりまして安全をはかっておるということでございます。
  119. 井岡大治

    ○井岡委員 言われることはわからぬことはないんですよ。しかし、機械ですから故障はあり得るということなんですよね。絶対ということはないということなんです。そうだとすると、必ずしも安全側線をつけて転覆するような装置をつくらなくともいいはずなんです。たとえば、砂をずっとなにして徐々にこれをなにしていく、こういうことによってスピードを殺すことができるはずです。必ずしも安全側線に入れたら転覆するというふうにはきまらないわけですから、それを転覆しないような方法を考えればいいわけです。そのほうがより安全だと思うのです。そういうことを勾配のきついところでは考えていかないといけない。しかもあの線は単線でしょう。たまたまこう下から上からなにしておらなかったからいいようなものの、あれがまともにぶつかっておったらどうなるのです。  そういうことを考えると、私は非常待避線というものは考えていいんじゃないか、こう思うのです。したがって、こういうことは単に技術的な問題でなくて、いわゆる万が一という場合における問題として考えていいんじゃないでしょうか。それはもうだめなんだ、こういうように言ってしまうと、じゃあなたに私は聞きますが、もう一つの開発したものは絶対だいじょうぶかと聞いたら、あなただいじょうぶと答えられますか。答えられないでしょう。だからそういうことを研究なさったらどうですか、こう言っている。どうです。
  120. 山口真弘

    山口(真)政府委員 お話しのとおり、この安全の問題というのは非常にむずかしい問題でございますが、私ども安全の確保というのは、鉄道の最も大事なことでありますし、また交通機関の中でも鉄道というのは最も安全な機関であるという考え方を持って、私ども運営をいたしておるわけでございますので、したがいまして、先生おっしゃいましたように、安全の面につきましてはもっと研究いたしまして、御説のようなことも、十分技術者に命じまして研究をさせたいと思います。
  121. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 ただいまのお答えでも、私はまだ不満足であります。もう少し突き進んでと思うのですが、私がちょうだいした時間がだんだんなくなるものですから、次に進ましてもらいます。  私は、あのとき現地へ飛びまして、また犠牲者が収容されておりまする病院その他をお見舞いいたしまして、非常な衝撃を受けたのであります。ああいう不便なところなものですから、どうしてもお医者さんの手が足りなかった、あるいは看護婦さんの手も足りなかったのではないかと思われる節がたくさん出てまいりまして、八時二十五分に起きた事故に対しまして、患者の手当てが、私が病院へ参りましたのが六時ちょっと過ぎておりましたが、そのころでもまだ済んでおりませんでした。人事不省になった患者の手術をこれからするんだ。どうも手術室のあくのを待っておったのではないか、これはまあ善意に解してですが、そういうように思いました。これでは、苦しまなくてもいい患者を苦しめたり、あるいは命を落とさなくてもいい負傷者が命を落とすことになったのではないか、そう心配をいたしました。はたして、私が行ってからも二人なくなり、また翌日二人なくなっておる。当初十一人が十五人ですか、になったようなことであります。  そこで、あのときの負傷者収容体制あるいは負傷者に対する救急医療体制というようなものについて、遺憾がなかったかどうか。これは運輸省当局にお尋ねするのはまことに申しわけないのでありますが、あとで大臣にぜひひとつ所信を承っておきたいことがありますので、厚生省のほうからどういう報告を受けており、またどんな処置がとられておるか、それについての所懐、感想なども加えてお答えをいただきたいと思います。
  122. 木暮保成

    ○木暮説明員 今度の事件、三月四日の八時半ごろ起きておるわけでございますが、山梨県当局、それから医師会、かなり早く対応していただいたというふうに思っておるわけでございます。  まず、医師会のほうでございますが、救急医療機関協議会というものがございまして、前々からほかの県に比べまして、十分準備ができておった県だというふうに思っておりますが、そこの副会長をしておられる先生理事をしておられる先生二人、合計三人の先生が直ちに現場に急行いたしております。その際に、甲府市内の六医療機関から合計十一名の看護婦さんを応援に出していただきまして、その十一名の看護婦さんと一緒に現地に急行いたしております。副会長の先生方が参りましたのは富士吉田の市立病院でございますが、今度の被害を受けられました皆さん六病院に分かれて収容されておりますけれども、すぐその分かれました医療機関に連絡をとりまして、手がどうかということを問い合わせておるのでございますが、ほかの病院からは、大体手は間に合うということで、全員富士吉田の市立病院で応援体制をとったというような状況でございます。一方山梨赤十字病院でございますが、これはいわば親元病院と申しますか、これは日大になっておりますので、日大からさっそく四人の先生が山梨の赤十字病院にかけつけております。これも正午に着いておりますので、一応初動動作と申しますか、そういうものは敏速にできたんじゃないかというふうに考えております。  なお、患者の収容でございますけれども、これは私ども前々起こりました事故の結果を研究いたしまして、あるいはまた特に学者に依頼しまして研究したものもあるわけでございますが、軽傷の患者さんがむしろ早く病院に搬送されるというようなことがございまして、医療機関がその軽傷の患者さんの処理をやっているうちに、重傷の患者さんを運んでいくあるいは手当てをするというようなことが従来の例で間々ございます。今度の場合も、そこらはこれからよく調べまして、反省すべきことを私ども各府県に連絡をとるようにいたしたいと思いますが、数字の上で見ます限りは、重傷の方が富士吉田市立病院と山梨赤十字病院に運ばれておりまして、軽傷の方が開業医の四診療所に運ばれておるというようなことで、比較的搬送もうまくいったのではないかと思うのでございます。  しかし、衛生部のほうの今度の経過の調査、反省というものもまだ十分行なわれておりませんで、衛生部のほうの調査等を待ちまして、私どものほうも必要とあれば今度の経過を一ぺん振り返ってみまして、こういう事件が続発しては困るわけでございますけれども、従来ともこういう事故のあとの反省をいたしましたものを、各都道府県あるいは関係機関に連絡をとっておりますので、今度もそういうふうなことをいたしたいというふうに考えております。
  123. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 実は私は現場へ飛びまして、率直に言いまして驚きかつ悲しんだ。と同時に非常な心配を持った。憂いを持ちました。というのは十時間以上たってもなお手当てが済まないでうめいておる、家族の人たちは外でおろおろしているというような状況を見まして、いま厚生省のほうの所見を承りますと、大体うまくいっておるということのようであります。もしうまくいっておっても、なおかつああいうような状況であるとしまするならば、もしうまくいってなかった場合には、一体どんなことになるのであろう。一昼夜も捨てておかれたという負傷者のあったことも聞いてはおります。聞いてはおりますけれども、東京周辺において、まあまあ交通も悪くないところで、にもかかわらずそういうふうに十何時間も、捨てておかれたわけではありますまい。ありますまいけれども、結果的には、まさに助かるべき者が助からなかったというようなことであるとしまするならば、これはたいへんなことになるんだと思います。  実は、交通災害というものはこれからますます頻度を高めていくでありましょう。それから規模も——規模と言ってはおかしいのですけれども、被害の状況というものも非常に拡大されまた深刻になるということが予想されるのです。交通戦争といわれ、交通地獄といわれるような状況にあり、これからなおそういう状況が、進むことがあっても減るようなことはなかろうと思います。地震その他の災害のことも予想されて、盛んに対策が練られておるのでありますが、こういうふうに頻度を増し、災害が深刻化するような、地方の山の奥に起こるかもわからないところの汽車、電車の転覆衝突といったような災害に対する救援措置というものが、特別に厚生省の方面において講ぜられなければならないときが来ておると思うのでありますが、いかがでしょうか。  いま承りますというと、市立病院に対しては県から三人かけつけてくれた、それから赤十字病院のほうには、縁故の日大病院から、お医者が幾人行ってくださったか知りませんけれども、行ってくださったそうであります。しかし、負傷者百人に近い、犠牲者十七、八人も出すような災害に対する措置としては、決して私はうまくいった、それでいいなどとは思えないのですが、いかがですか。
  124. 木暮保成

    ○木暮説明員 前に近畿日本鉄道の事故がございましたし、それからまた南海電鉄の事故がございました。そのつど、私どもそのときの救急医療体制がどうであったかということをつぶさに調べまして、ここはうまくいったけれども、ここはこうすべきじゃないかということを、かなり分厚な資料にいたしております。それからまた、関係のお医者さんとか私どもが集まりまして、そういういままで起こりましたことを積み上げまして、こうすべきだ、ああすべきだということをまとめまして、都道府県に連絡をとり、そういう点に注意して不断の準備をするというようなことをいたしておるわけでございます。  今度の場合も、率直に申し上げまして、県の調査とか私ども調査が、反省をする材料を積み重ねるというところまでまだ手が届いておりませんので、全くすべての点でうまくいったというふうには考えておらないわけでございます。そういう点も私どもよく調べまして、今後の対策の資料といたしまして、都道府県等に、さらに今後の体制で注意すべきことを指示いたしたい、かように考えております。
  125. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 非常事態における警備体制というものは、たとえば警察機構などにおいては、関係各県との連絡がとれる応援体制が常時準備されておるのですね。消防などにおいてもそうだと思います。ところが、肝心の人身事故に対して、関係都道府県の応援体制というものがとられておるのかどうか。県には何か協議会というのがあって、それぞれやっておるようでありますが、県だけで間に合うというようなものならまだいい。すでにあそこにおいて私は現に見ておるのでありますが、県だけではもう間に合わない。隣県から総動員して、そしてお医者さんも来てくれる、看護婦さんも来てくれる、もっと言うならば、常時消防車が備えつけられておるように、手術室でも備えつけた車が飛んでくる、あるいはヘリでも飛んでくるというような体制がとられなければならないと思うのですが、厚生省のほうではどうなんですか。そういうことについて警察同様に、もしくは、警察よりも進んだ救援体制というものが考えられないのかどうか。いかがですか。
  126. 木暮保成

    ○木暮説明員 こういう大規模な事故につきましては、もちろん厚生省だけではございませんで、消防庁とか警察とかと連絡をとってやらなければならない面が多いわけでございます。現に連絡をとってやっておるわけでございまして、たとえば、これは消防庁が予算をとって整備をいたしておりますけれども、大きな都市から順々に、ただいま十五くらい整備できたと思いますけれども、消防庁に、近所の病院にどういう設備が現在あいておるかというようなことを毎日毎日情報を取っておって、事故が発生したときにはどこへ運べばいいかということを、一目でわかるような設備ができつつあるわけでございます。  それから、先生の御指摘のございましたように、救急医療をやらなければならないときに、その県限りあるいはその市町村限りではだめだという点は、まさにそういうところまで来ておりまして、私どもは、救急医療対策でやらなければならないという一つに、他県から応援を得て、医者の手はずをあらかじめきめておくようにという指示をいたしておるわけでございます。今度も、現に東京の日大病院からお医者が応援を行なっておる、かようなことがあるわけでございます。そこら辺、必ずしも十分であったということは言い切れないかとも考えます。そういう点、さらに私ども関係官庁と連絡を密にいたしまして、そういう救急医療をつくり上げていくということに努力いたしたいと思います。
  127. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 いま、必ずしも十分であるとは思わないというお答えです。私も現場へ行ってみまして、必ずしも十分であると思わないなどというなまやさしいものではないと思う。ということは、いまおっしゃるように、消防庁にこういうふうな手配も頼んであるとか、そういうことで満足しておるからいけないのじゃないかと思うのであります。  そこで運輸大臣、あとの時間がないそうでありますので、私は一言大臣に御所見を承り、それから、これからのこともお願いしなければならないのです。実は今度まのあたり、あり得べからざるような、まるで夢のような事故を見まして、これは相当運輸大臣としてもお考えをいただかなければならないようなことが——事故のもとをただし事故を起こさないようにすることが先決でありますけれども事故というものは念には念を入れても、あるいは起こるかもしれません。そうだとするならば、起こったあとの処置について、できるだけの方途を講じておかなければいけないのではないか、こう思います。ああした事故は必ずしも交通機関ばかりに起こることではなくて、あるいはガス爆発で、あるいは橋梁の工事中の事故によって、あるいはその他によって、思いがけない事故というものは起こると思います。思いますけれども、何といっても一番心配の種である、一番大きな事故になるものは、いままでの経験においても、交通事故であったと思います。それから、ますます交通がひんぱんにもなりますし、列車が長くもなりましょうし、こんでもまいりますから、一たび事故が起こるというと、これはいままで想像もできなかったような大災害を起こすであろうと思います。そうした場合において、まあ火事に対する消防の事前設備、あるいは治安に対する警察方面の事前の対策というものが練られておるに比べまして、交通災害に対する対策というものは、犠牲者あるいは負傷者の救援対策というものがおくれておるのではないかと思われるのであります。  まず一つ、そうしたあらゆる面の災害時における人身救援対策について、この際特別なる方策を講じ、あらゆる手を打つ。たとえば各県に対する連絡を密にするとか、救援体制をとるとかということを、この際急速に、また大々的にとってもらわなければならないと思ったのでありますが、この点、運輸大臣としてはいかような所見をお持ちであるか、対策などをお聞かせいただければありがたいのであります。
  128. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 金丸さんのおっしゃるとおり、これからの交通事故といいますか、あるいは交通事故に限らないかもしれませんけれども、特に交通事故は、大量の人を運ぶために、大きな事故が起きればたいへんな死傷者を出す、今回の例のようなこともあるわけでございます。  今度の富士急行のいわゆる救急対策については、厚生省からお話があったように、かなり一生懸命にやってもらったと思います。ただ、それにしても、結果的にはこういうような結果になったのでありますが、従来ともにそうした緊急措置については、厚生省あるいは自治省関係と連絡をとってやってまいっておりますけれども、問題は、事故の大きさとかそういうものもあろうと思います。そういう点から、十分判断して思い切った措置をとらないと、手おくれになったりする場合もあり得ると思いますので、この点、政府には、御承知のように事故対策本部がありまして、そこにはもちろん厚生省、運輸省、あるいは自治省等も入っておりますから、そこでこういうような御意見を十分参酌いたしまして、積極的な緊急対策、大規模な緊急対策、こういうものを考えてまいりたいと思います。
  129. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 時間も参りましたし、これで私の質問を終わるつもりであります。  現地におきまして、一番先に運輸大臣の顔を思い出したのです。大臣は建設大臣もなさった、それ以外に官房長官もなさった。現内閣におけるベテラン閣僚としまして、重要閣僚として、こういう場合においては、自分の立場、自分の責任でもありましょうが、全体の立場からもひとつ急速にこれを進めておいていただいて——全く情けないことばなんですよね、交通地獄、交通戦争などということは。しかし、その情けないことばを、私どもはまともに受けなければならなかったような事態が随所に起きておる。富士急行のあとまたざおうが逆行した、あるいはどこどこでと随所に起こる。たまたま事故にならなかったからいいようなものの、もし事故が起きたらたいへんだと思うし、特に交通事故というのは、都会の便利なところで救援対策がとれるところはまだいいのですけれども、たいへんな山の中でも起こらないとも限らない。あるいはそのほうがむしろ可能性は多いですね。そうしますと、事前に相当な対策を講じてあるけれども、防衛庁においてたくさんの予算とたくさんの人員と、事前における訓練を積み重ねて非常事態に備えておるような状況が、むしろこうした交通戦争、交通地獄の方面に、先にとられていかなければいかぬのじゃないか、こう思います。その点でたいへんくどいようですけれども大臣の特別なる善処を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  130. 福井勇

    福井委員長 関連して、小林信一君。
  131. 小林信一

    小林(信)委員 関連いたしましてお伺いいたしますが、先ほど運輸省のほうから、この線は国鉄が乗り入れておる、こういうふうにお話になりましたが、国鉄が乗り入れれば、その乗り入れる形ですが、単に国鉄の列車が行くだけであって、一切の管理、運営、それは富士急行のほうにまかせるのか、乗り入れた列車は、運転からあるいは保安、そういう方面まで国鉄というものが責任を負うのか、そういう点を少し詳しく御説明願いたいと思うのです。
  132. 山口真弘

    山口(真)政府委員 国鉄の車両が、この富士急行に乗り入れをいたしておりますが、この場合の運転士の責任その他は、すべて富士急行の責任でございます。また、その運転並びに設備の運用といったようなものも富士急行がやっておるわけでございまして、国鉄自体が乗り入れるということではございますが、富士急行の責任でもって運転をいたしております。
  133. 小林信一

    小林(信)委員 そうすると、それは会社のほうの会社経営の方針として国鉄に頼んで乗り入れてもらう、国鉄自体が一つの意思を持って乗り入れている、そこら辺の問題なんですが、もしその国鉄の電車に事故があった場合には、一切これは会社のほうの責任になるのか、あるいは国鉄のほうの責任になるのか、その責任はどっちにあるのか、そこをひとつ御説明願いたい。
  134. 山口真弘

    山口(真)政府委員 いまのお尋ねの第一点のほうでございますが、これは国鉄の車両が私鉄の線内に乗り入れる場合におきましては、両者が協議をいたしまして、そして国鉄の車両を私鉄に乗り入れるということをきめております。その意味では、会社が主導的に始めたとかあるいは国鉄が主導的に始めたということではございません。両方の協議で始める。  ただ、責任はあくまでも、私鉄線内の運営は私鉄でございますから、したがって、私鉄線内におきまして国鉄の車両において事故が起こったという場合にも、まず私鉄が責任を負うということでございます。
  135. 小林信一

    小林(信)委員 まず責任を負うというその責任ですね、何か軽重があるのですか。まずというのとしかる後というのは、何か責任に軽重があるのですか。
  136. 山口真弘

    山口(真)政府委員 鉄道事業者であるところの私鉄の事業者が、国鉄の車両が乗り入れをする場合には、いわば国鉄車両を借り受けて私鉄が運営するのと同じような契約関係に立つわけでございます。したがいまして、私鉄はその借り受けをいたしました車両によりまして自己の運転をするということでございますから、その場合に起きたところの事故は、私鉄の責任になるということを申し上げました。  ただ、まずと申し上げましたのは、たとえば、その国鉄の車両に欠陥があるとかいう場合がございました場合には、今度は私鉄と国鉄との関係におきまして、国鉄が私鉄に対して責任を負うといいますか、義務を負うという関係になるということを申し上げたわけでございます。
  137. 小林信一

    小林(信)委員 そうすると、乗り入れとかなんとかいうけれども、車両を私鉄に貸与する、こう考えていいように思いますね。何かやはり乗り入れというと、国鉄のほうに責任があって、最終的な責任まで負って——それは車両はかりじゃありませんで、問題はその路線にもあると思います。あるいはその路線間の踏切とか、あるいは跨線橋とか、そういうものにも私どもは、いままで国鉄に責任があるような感を持ってその乗り入れということを考えておったのですが、実態というのは、会社側に貸与するようなものである、したがって責任というのは会社が負うのだ、こういうふうにいまのお説から解釈をしなければならぬわけです  しかし、運輸省としては、私鉄であろうと、一切その保安関係については指導もしなければならぬわけです。まして国鉄乗り入れという点からいたしますと、それは単に車両がないからということでなくて、何かの旅客輸送の関係から、おそらく乗り入れというものが両者の協定の中で考えられると思うのです。したがって、観光地の旅客輸送を円滑にするというような、中央線そのものから考えた必要性から出ておるとも考えられるわけです。そうすれば、単に一切会社のほうの責任ということでなくて、国鉄の車両がそこを運行するからには、私鉄に対するただ指導的な責任だけでなくて、もっと私は運輸省なり国鉄なり、そういうものが責任を負わなければならぬと思うのです。  そこで問題に入りますが、この問題については、ブレーキの問題だけが非常に問題視されておりますが、私どもが現地に行って見た関係から、多少無責任に問題を処理しておるような気がいたします。  第一番の問題は、なぜあそこで脱線をしたか、その原因をお知らせ願いたいと思います。スピードのためか、あるいはカーブが急であったとか、いろいろあると思いますが、脱線という問題について、まずどういうふうに原因をつかまえておられるか、その点をお聞きしたいと思います。
  138. 山口真弘

    山口(真)政府委員 先ほども金丸先生にお答え申しましたように、第一次的には踏切におきまして自動車と列車が接触をし、そしてそれによりましてブレーキの損傷を来たした。それで、そのブレーキの損傷を来たしたためにブレーキ操作ができませんで、ブレーキがききませんで、そしてそれが下り勾配でございますから、加速をしてすべべっていった。そしてそれがカーブにかかりまして、そのカーブを曲がり切れないということで脱線したというように考えられます。
  139. 小林信一

    小林(信)委員 さっき委員長が、特にあなたに注意したでしょう。スピードが出過ぎておったからカーブが曲がり切れなかった、そういう簡単な考え方で運輸省はおいでになるのですか。そこに私は問題があると思うのです。どれくらいのスピードを予想してカーブというものはつくってあるのか。カーブ、線路の傾斜ですね、それがどの程度になっておったか。ただスピードということでなくて、もっといろいろな問題があると思うのですよ。たとえば、レールの耐用年限というようなものが来ているような場合には、この範囲のスピードならば脱線しないというカーブでなければならない。まあ線路の摩滅というようなことでも、脱線しやすい状況になっている場合もありますね。  それから、今度の車掌さんの窮余の策として、このまま突っ走っていったらどこかで衝突しなければならぬ、したがって、前車両に乗っておることは非常に危険が多い、後車に乗っておったら少しでも被害を少なくすることができるのじゃないかという判断でもってうしろへみんな乗せた。そうするとカーブの場合は、あなたのほうが専門家で私のほうはしろうとですが、遠心力というものが、私は非常に多くうしろへかかってくると思うのです。いつか八高線でも、後部車両が脱線したことがあります。それは遠心力のかげんで、それに対応できなくて脱線をしたという話もありましたね。おそらくそういう現象があそこにはあったんじゃないかと思うのですよ。そういう場合に、先ほど私が申しましたように、国鉄あるいは運輸省の責任というふうなものからすれば、ただスピードが、加速度が加わっておって脱線したというような簡単なもので処理しておったら、先ほど大臣が、今後事故は起こさないようにいたしますなんと言っても、そんな判断ではわれわれ国民というものは安心できないと思うのですが、その点についての詳細な検討がなされているかどうか、お伺いいたします。
  140. 山口真弘

    山口(真)政府委員 スピードとカーブとの関係、あるいはスピードと勾配との関係というふうな問題につきましては、当然そういうものを前提といたしまして設計をいたしておりまして、このカーブ、この勾配ならば、このスピードで通れば安全であるということにいたしまして、そしてその実際の運行は、それによりますランカーブと称しまするスピードカーブを引きまして、そのスピードカーブに従ったところの運行をすることになっております。したがいまして、そういう所定の運行が行なわれますれば、そのスピード、そのカーブにおきましても、何ら危険なく運行できるということにいたしております。  さらに、その場合に車両のほらにいたしましても、今回の場合も同様でございますが、一種の速度制御的な装置、抑制装置というようなものもございまして、そのスピードを維持することができるというような装置があるわけでございます。問題は、そういったようなスピードを滅殺するところのブレーキ装置、広い意味のブレーキ装置というものが損傷をした、そのことによりまして、そういうスピードの維持ができなくて加速されてしまった。そのためにカーブを曲がり切ることができないということが、今度の原因であろうと思うわけでございます。  私ども、そういったような問題につきまして、技術上の指導というものも十分いたしておるつもりでございますが、今回このような事故が起きましたにつきましては、先ほどもお答え申しましたように、各般の技術的な問題をさらに詰めて前進をする必要があるのではないか、このように考えるところでございます。
  141. 小林信一

    小林(信)委員 あなたが言っておることは、非常に一般論であって、あなたの判断では、そこではもうこれは起こるべくして起きたものであってそのカーブで脱線をしたという問題については、これは避けられない問題であるというふうに承らざるを得ないわけです。  しかし、重ねて御質問いたしますが、スピードはどれくらいになっておったか、そこのカーブのスピードの対応力ですね、それは何キロのスピードなら受けられるのか、そういう計算をされておるのですか。——それがお答えできないようでは、私は、ただこのブレーキだけの問題で処理してはたいへんだと思うのです。私のようなしろうとが考えても、さっきの遠心力が、非常に急激に後部にかかるというような場合もあるでしょう。これは私はその車掌さんを責めない。車掌さんは、これからこの電車は突っ走っていって、大月の駅構内へ行くまではとまらない、それこそ、さっき井岡さんが質問をしました側線をつくって、どっかでもってこの列車をとめる装置があるということがわかれは——車掌さんはそんなことは言いませんよ。しかし、それ以外に方法がないから後部へみんな移したわけです。その場合の遠心力というふうなものはどうであったか、これくらいのことは、新聞にあれほど書かれたのですから、おそらく運輸省としては当然調査されておると思う。  それから、線路の耐用年限というふうなものがあると思うのですよ。もしそれを越した——まあ富士急行は赤字路線ですね。赤字路線だけれども、幸いに富士急行はほかにたくさんな事業をしておりますから、赤字路線だからといって、車両の整備とかあるいは従業員の確保とかというふうなことにはかなり努力をしておることは、私は認めておるわけです。認めていますよ。社長もその点は力説しておりました。しかし、レールというものははたして摩滅しておらなかったか。摩滅しておれば、遠心力なんかがかかった場合には、必ずこれは脱線してしまいますよ。そういう点が少しも、私がここで質問していてぴんとこない。国鉄の神経は麻痺しているような感がしてならないわけです。  それから私は、この問題は、かえってあそこでもって脱線したからまだ被害が少なかったんじゃないかと思うのです。あのまま突っ走ったら、まず踏切がたくさんあります。あれから幾つあるか御存じですか。それから、今度は各駅に跨線橋が全部ありません。あれからすぐ下ったところに中学校の入り口があるのですよ。ちょうど登校時間です。その登校時間なんかに突っ走ったら、どんな事故になったかわかりません。遮断機が、自動遮断機があるかもしれませんけれども、まさかそんな時間に電車が来るとは思わない。子供たちが通行しておってどんな事故が起こるかわからないまして各駅に跨線橋がないのですから、みんな線路を踏み切ってホームに出るのですよ。そんなところを突っ走ったら、あの電車はどんなたくさんの被害を起こしたかわからない。幸いあそこで脱線をした。しかもあの手前は川ですね。川をはずれてわずか数メートルでもって、土手にぶつかったからまだよかったのですよ。十七名の死者を出し重傷者を出したということは非常に悲しいことですが、まだまだ私は被害が少なくて済んだと思うのです。もしあそこで脱線をしなかったら、国鉄の指導監督、こういうものはもっと大きく私は要求されるような状態になったと思うのですよ。  そういうものも含めて、どういうふうにお考えになっておるか、詳細に聞こうと思ったんですが、関連でございます。いまのような御答弁では、私はまた時間を改めてもう少し、大臣もせっかくお聞きになっておいでになりますから、私はあらためてお聞きしたい、こういうふうに思います。
  142. 山口真弘

    山口(真)政府委員 先ほど申しましたように、私ども車両の設計、施設の設計その他につきまして、運輸省として監督の責任があるわけでございまして、その場合に、当然その勾配あるいは曲線というようなものは、その勾配、曲線によるところの運転のしかたその他も十分審査をして事を処理しているわけでございます。それで、この当該事故の起こったところは二百四十の曲線で、さらに千分の四十の勾配でございます。したがいまして、その場合におけるところのスピードというものは、ランカーブによりましてこれは四十五キロのスピードということに制限をしておりまして、そしてそういう姿によるところの運転をいたしておりますれば、これは安全であるというふうに私ども考えております。なお、線路の摩耗等につきましては、これは取りかえによりまして、線路の摩耗によって事故の起こらないように施設を保守する、維持をするということにいたしております  問題は、こういうふうな設備の状況におきまして事故が起きましたのは、何といいましてもブレーキが損傷をしてしまって、そして四十五キロに落とすべきスピードが四十五キロに落ちないで突っ走ったというところにあるわけでございまして、おおむね九十キロくらいのスピードが出ていたのではないかというふうに、一応の想定をいたしております。私どもそういうことで、事故防止につきましては、施設の面、車両の面、運転のしかたの面、全部に向かっていろいろ検討を加えて、そして事故の起こらぬように努力をいたしておるわけでございますが、今回はそういう問題で、ブレーキの損傷ということによって事故が起きたということにつきましては、今後これをどうするかという問題をさらに掘り下げて、事故の防止につとめてまいりたいと考えております。
  143. 小林信一

    小林(信)委員 私の聞いている点を、あなたは真剣にお考えになれば——レールは問題ありません。四十五キロのスピードが最大限度である。しかし、それには余裕がきっとあると思います。非常の場合六十キロくらいならば脱線はしない、九十キロであるから脱線したのだ、遠心力は問題ない、具体的にお答えなさい。あなたの答弁というのは、抽象的なただ一般論を言っているにすぎない。現実の問題を私は聞いているのですよ。それ以上いいです。もう聞きません。私の察するところ、ブレーキのほうだけにあなた方は非常に問題を持っていっている。ブレーキももちろん大事です。それはああいうところであっても、新幹線のようにはかまをはかして、重要な機関があるところは、幾らぶつかってきてもだいじょうぶだというふうなところまでいかなければ、ほんとうに人間尊重の輸送機関ではないということになるわけですが、さらにそういうところにも私は配慮をすべきであると思う。  また、ああいうような、ずっと大月まではこれは千分の四十の急斜面でもって下ってくるのですから、ほんとうに運輸省が責任を持つならば、跨線橋の問題、あるいは踏切の問題、あるいはさっき井岡さんが言ったように側線の問題、こういうものをもっと考慮さるべきではなかろうか。したがって、単に自動車が横っ腹からぶつかった、それだけで問題をながめずに、全体をあなた方は考えなければ、ほんとうに将来事故を起こさないという運輸省の態度に私はなり得ないと思うのです。  そこで、最後に大臣にお伺いいたしますが、おそらくこういう大量の被害者を出した事故というものは、どういうふうにこの人たちをお慰めするかということが問題だと思うのです。事故を今後起こさないように、あるいはそういう場合に、金丸委員が申されましたように対応策、これは厚生省が説明をされましたけれども、日赤なんかはすぐに日赤の関係の病院から、その日のうちに医者を呼んできたとか、あるいは市立病院でもそういう医者に来てもらったといっても、私は、百人近い人たちをほんとうに万全の策を講じての対策はむずかしかったと思うのですよ。そういうものももちろんお願いしたいのですが、なくなった方あるいは治療しておる人たち、その人たちの後遺症の残るような問題、あるいは将来十分働くことができない、そういう者に対するところの補償というものはどうなさるのか。これは家族だけでなく、地元の人たちの非常に心配しているところだと思うのですが、これに対する対策はどういうふうにお考えになっておられますか、できるなら大臣にお聞きしたいと思うのです。
  144. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いろいろ御注意をちょうだいしまして、ありがとうございます。  お話しのように、何といってもこれは事故絶滅ということが、技術の問題だけでなくその他の問題もあり、いわゆる最大限の事故対策、安全ということを考えていかなければいけませんので、あらゆる点からこの問題は十分に検討していきたいし、かつまた事後の策としての緊急対策、先ほど金丸さんからもお話がありましたが、これらにつきましても、十分大事故に対処し得るような体制を整えまして、人命尊重の実をあげていきたい、かように考えております。
  145. 小林信一

    小林(信)委員 おそらくこれは被害者に対するお慰めあるいは弔慰金、こういうものは、会社側が責任を負わなければならぬと思うのですが、御承知のように会社自体は、先ほど説明するように、非常に赤字路線でありながら配慮を加えておったわけです。思わない事故で問題が起きたわけですが、会社に一切責任を負わされるわけですか、それとも何らかの形で国のほうでも心配をするようなことをお考えになられますか、それを大臣に最後にお伺いしたいと思うのです。
  146. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 事故が起きました直後に、私から鉄監局長を通じまして、たいへんお気の毒な方を出したのであるから、最善の措置を講じてもらいたいということは、会社側に伝えてあります。  ただ、お話しのように、国のほうで何かめんどうを見る必要がないだろうか、こういうことですが、自動車保険でありますというと、自賠責法という制度がありますけれども、国鉄の場合におきましても、私鉄の場合におきましても、国がこれに対して直接何らかのことを見るという制度が残念ながらないわけでございます。将来はどうなるとしましても、現在のところはそういう制度がありませんので、積極的な措置はできませんが、しかし、会社としても赤字や何かを——これは別問題ですから、最善の措置を講じてもらいたいし、その旨を私のほうから会社のほうに、丁重に申し入れをしておるわけであります。会社ももちろんこれは最善を尽くしてやってくれるであろうし、今後御相談があれば、それに対してはもちろん運輸省としてできる範囲内では御相談に応じたい、かように考えております。
  147. 小林信一

    小林(信)委員 ありがとうございました。
  148. 福井勇

    福井委員長 次に井野正揮君。  井野委員に申し上げますが、関連質疑でありますので、簡潔に願います。
  149. 井野正揮

    ○井野委員 わかっております。  お聞きしておりまして、大臣、ちょっと目を大きくあけてください。あなたはやはり自分の官僚を叱咤激励せにゃいかぬのですよ。聞いておっていらいら腹が立ってくるのです。あれだけの事故を起こして世間を騒がしておって、いま鉄監局長が答えたようなことは、資料できょうお出しになるくらいでなければいかぬのですよ。ふまじめきわまると思うのですね。それを大臣、にこにこして聞いておられるようでは、運輸省はいつまでたってもだめですよ。この点はきちっと監督指導してもらいたい。ここで時間を過ごせばいいというものじゃないと思うのです。この点、まずきつく申し上げておきたいのです。ほんとうに簡単に質問を終わりたいのです。  それで、この次には大臣に御質疑があるのですが、大臣になってからの事故も相当な数です。ここ四、五年運輸交通上の大きな災害を数え上げてごらんなさい、おそらく日清戦争くらい事故者が出ていますね。  そこで、いま最後に大臣がお答えになった点を、きょうは実は合意を得たいと思って関連質問に立ったのです。この間九州から出た松浦君が、日豊線の国鉄災害の場合の補償の問題を取り上げました。これは方法はないのだ、国鉄は責任ないのだということになったようであります。全日空が落ちたらばく大な補償金をもらえるわけです。瀬戸内海の連絡船、遊覧船、あれが沈んだらほとんどもらえない。相手が、企業実態によっては全然もらえないということ。国鉄の機関士が起こした事故ならば払うけれども、ダンプと衝突したならばだめだ、ダンプからもらえ。ダンプなんか金があるわけないわけですからね。  しかし、考えてみますと料金を取ってお客を運ぶ、この事業にこのように非常な惨事、大量の犠牲者、事故が起こるという社会現象を考えてみたときに、およそ国の政治をやる場合、こういう場合の補償を一体どうするか。過失の災害、無過失の災害、これはもう考えてみなければならぬ事態が来たのではないだろうか。私は料金の中に、社会的にこの種災害に対する補償制度というものが、国として全体的に取り上げられるべきではないだろうか、こういう気がするのです。この点をひとつ橋本大臣の時期に、こう相次いで起こるわけですから、これはぜひ取り上げて政策的に検討すべき問題ではないだろうか。普遍的に常に料金を払って乗りものに乗るときには、一定の補償金が料金の中に含まれておる、そしてそこに事故が起きたときには集中的にこれを支払われる、こういうような制度が、もう考えられなければならぬ時期に来ているのじゃないか、こう思いますが、この点いかがですか。
  150. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 たいへんお話はごもっともでありますが、ただ航空会社の場合は、料金の中に一応団体保険式な傷害保険が入っているわけですね。私も、実は最近こういう事件が起きますので、国鉄当局とも何らか、単なる見舞い金でなくて——名前は見舞い金でもいいのです。金額さえ多ければ、補償金であろうと見舞い金であろうと同じですから。ただ、見舞い金というと、従来は全く線香代という考えですね。補償金であれば、ある程度生活保障と見る。こういうところに違いがあるので、補償金と同じような金額が出れば、その性格はどうであろうといいのですが、そういうことでひとつ国鉄も検討してみたらどうだろうか。年間六、七千億円の収入があるわけですから、その中で——ただ保険の制度上、そういう不特定多数というものにかけられるのかどうなのか、そういうことを検討してみたらどうだろうか、これが一つです。  それからもう一つ、こういう交通事故による災害、たとえば、御承知のように自動車交通については自賠責法という一つ法律がある。これは一つは、力が足らぬからああいう保険制度による運用が生まれたわけでありましょうが、あるいはそういうぐあいに航空会社もそういう形をとっておる。あるいは一般の傷害については、傷害保険という制度がある。こういうような幾つか立場によって違った保険の種類があるわけですが、それを全体としてまとめてやることが可能かどうか、まあ検討する余地はあると思います。  おっしゃるように、今後交通事故というものが相当大きな率を占めてまいりますし、これはもちろん絶滅しなければいけませんけれどもことばでは簡単に絶滅と言うけれども、なかなかこれは容易ではない。その絶滅の時期が来るまででも、交通事故にあった人が困らない状態をつくり上げるというのも、政治の一つの目標でありますから、いろいろむずかしい問題はあろうと思いますが、研究をしていきたい、かように考えております。
  151. 井野正揮

    ○井野委員 もう私は大臣に質問はいたしません。  次に、鉄監局長にお尋ねをしたいと思いますが、これはお尋ねをしなくてもわかっているのです、新聞にも出ておりましたし。しかし、きょうの答弁を聞いたら、相変わらず、ブレーキが三つあったと言うのですけれども、事実、ブレーキは二つなんですね。手動ブレーキというのは何の用もなさぬもので、とまっている車が動かぬだけのものだ、こういうのです。それをブレーキ三つある、ブレーキ三つある。知らぬ人はほんとうにしている。二つしかない。しかし、やはり考えてみなければならぬのは、あの電気ブレーキとエアブレーキですね、これは説明を聞けば一つなんです。電気が故障したらエアブレーキもだめだというのですから、それなら一つと同じことですし、あれだけの急坂の軌道に、ブレーキに故障がないと考えることがおかしいのです。  われわれ乗客としては、しろうと目に見て、車掌が手動ブレーキを回せば車がとまる、制動をかければ、走ることはできないけれどもとめることはできるのだというように常識的に理解しておったのですよ。しかし、今後といえどもあの車両を、手動ブレーキをかけてとめる装置というものは、そうむずかしいものじゃなかろうという気がするのです。ですから、ああいう車両構造でいいのかどうかということは非常に疑問がある点であって、こういうことあたりは、きょうあたりは、確かに安全基準について手抜かりがありました、あれだけの急坂の電車については、かくかくあるべきだったという答弁がほしかったと思う。  先ほどのレールにしてみても、これは四十五キロ制限では、安全がもう五キロありますけれども、五十キロをこえれば脱線をしてしまうだろう。後車は振り回されて浮き上がり、脱線をしてしまうだろう。今回の脱線も、うしろはみごとに浮き上がってはね飛ばされたわけですから。現場を見ればよくわかる。しろうとの私が見て、何でこうなったんだろうと思う。レールの上に立って、夜、見てごらんなさい、ちょっとおそろしいくらいの勾配ですよ。国鉄は千分の二十五ですね。狩勝がそうだったが、これが今度十二に減って非常によくなった。あれだけの急坂だったら、たいへんだということはわかっているわけです。  私は、もうあとは言いませんけれども、この際、あの事故の起こったあとに、あなた方がもっと積極的に、あの事故者に対して申しわけがないという気持ちがあったら——われわれは夜七時から九時まで、あの寒い中で調査しました。富士山はきれいだし大気もきれいだったけれども、そこに起こったことは、あまりにも冷たい悲しい現実だった。そういう反省があったら、きょうなんか行き届いた資料が出て、まことに申しわけありませんでした、これはこういうふうに改善しますという説明がなかったら、国会の論議なんて何の意味もない。大臣、そういう意味でひとつ十分運輸省監督、叱咤激励して、しかりおいてください。それでないと国民はやり切れないです。  私これで質問を終わります。答弁は要りません。
  152. 福井勇

    福井委員長 次に松本忠助君。
  153. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 成田の代執行の問題と、富士急の事故、兵庫県の小野市の神戸電鉄の事故、これらの点について大臣並びに関係局長さん方に質問したいと思っております。  先に富士急の問題をお伺いしたいと思いますが、この問題につきましては、いま社会党の先生方からいろいろとお話がありました。運輸当局の怠慢も責められたわけでございまして、私もそのように思うわけでございます。  そこで、この問題につきまして、わが党は翌五日院内大臣室に橋本運輸大臣をおたずねいたしまして、申し入れをいたしたわけでございます。また現地におきましても、県会議員あるいはまた市会議員が現場へかけつけまして、そして被害を受けられた方々の救恤に当たられたわけでございますが、ほんとうにこれらの方々からの報告を聞きましても、今回の事故については、まことにどうもその取り扱いについて残念しごくな点があったと私は思います。どうか今後、このようなことの事故が再び起こらないことは当然のことといたしまして、またこれらの問題についても、十分に運輸当局が厳重な監督をしていただきたいことを、心からお願いをしておきます。  そこで、鉄監局長にまずお尋ねをいたしますが、私のほうで大臣に申し入れをいたしました件につきましては、あなたは御存じでございますか。
  154. 山口真弘

    山口(真)政府委員 よく存じております。
  155. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その申し入れにつきましては、よく存じておるというわけでございますから、くどくどしく申し上げませんが、五つの項目にわたっておりますが、この五つの項目について、鉄監局長から一つずつ簡単に、御自分の考えを入れて御返答願いたい。
  156. 山口真弘

    山口(真)政府委員 先生の御指摘の五点は、事故の全般にわたりまして、問題を非常に深く掘り下げたお申し入れでございますので、私どもの一応の考え方を、総括的にずっと申し上げさせていただきます。  まず、先生が第一点に御指摘なさいました点は、乗務員の使命に徹するような指導というものを中心とした問題でございまして、これは鉄道の事故防止につきまして、何といいましても国鉄全体が安全確保がその第一の使命であるという使命感を持って事業に従事するということは必要であるわけでございますが、そのためには、人的な面、物的な面、両方の措置が必要であるわけであります。  その第一点の人的な面におきましては、まず、運転関係従事員というものが、安全確保を第一の使命であるという自覚、責任を持って従事するということを第一義といたしますように、これに対しまする指導あるいは教育、訓練というものをいたさなければならぬわけでございますが、具体的には、列車の運転その他につきまして、運転関係従事員に対する教育、訓練を行なわせるというようなこと、あるいは運転士に対する国家試験制度というようなものによる資質の向上をはかっているわけでございます。さらに、適性検査などというような方法によりまして、そういう面の適材適所の配置ということにつとめておるわけでございまして、そういう面で、そういう人的な指導の面というものをさらに強化をしてまいるということが必要であろうと思うのでございます。  それから第二点の問題は、ブレーキの問題その他安全装置の問題でございまして、これは物的の面でございますが、物的の面は、私ども三つあると実は考えておりまして、その第一点は、鉄道自体の物的の面とでも申し上げましょうか、たとえば線路なり車両なりというようなものが、安全に運転ができるようなものでなければならないという意味でございまして、そのための施設、車両の整備、あるいは点検の強化、あるいは技術的な進歩改善というようなことでございまして、たとえば、従来車両火災等がございましたことに対応いたしまするところの不燃化措置というようなものも、こういう面で実施したわけでございますが、今回の事故は、そのキーポイントの一つは、やはりブレーキの損傷というところにあるわけでございますから、先ほどからいろいろ御質疑がございましたように、ブレーキの根本的な防護の問題、あるいは車両全体の構造の中において、ブレーキをどういうふうな位置づけをするかというような問題を、さらに詰めたいと存じております。これにつきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、国鉄の技術研究所の技術員、あるいは国鉄の技術開発室の技術員、それから運輸省の研究所の技術員、あるいは鉄監局の技師等を派遣いたしまして、精細な調査をいたしておるわけでございますが、そういったような調査研究をさらに進めて、今後そういう整備を促進してまいるということにいたしてまいりたいと思います。  それから、物的の面の第二点は、これは列車と列車との関係における事故防止でございまして、これは列車の追突、衝突等でございますが、こういう点につきまして、従来閉塞あるいは信号といようなことで、主としてこの関係の安全は保ってきたわけでございますが、数年来、特にATSあるいはATCの設備というようなものを整備いたしまして、この種の事故がないようにというふうなことに努力をいたしております。  それから、物的な面のいま一つは、今度は列車と他の交通機関との関係でございまして、これが特に端的にあらわれておりまするものが踏切関係でございまして、これは先生の御指摘の中の、踏切事故の問題についての踏切改良、立体交差の整備促進等の問題でございますが、これは、何と申しましても踏切事故がいまの鉄道の事故の最も大きな問題でございますので、この事故防止に努力をしてまいる。先般、政府におきましても、踏切道緊急対策というものを交通対策本部決定をいたしまして、踏切の整備促進を進めておるわけでございます。立体交差を促進いたしますとともに、踏切道の改良をさらに促進をしてまいりたい。なお、踏切道改良促進法の延長というものともからみまして、この点はさらに努力をしてまいりたいと思います。  以上が、事故の人的、物的な面でございますが、緊急事態の発生のときの連絡体制あるいは訓練というような問題でございますが、これは従来とも私ども、鉄道事業者に対しましてこれを強化するように申しておるところでございますが、これは従来、たとえば各種の安全運動の場合、あるいは点検、監査というふうな機会をつかまえまして、こういう訓練等をやっておりますが、今後ともこの面は強化をしてまいりたいと思います。  それから、最後の御意見の、被害者に対する補償問題につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、なかなか責任の所在等むずかしい問題がございますが、被害者に対しましては万全を期するよう措置をしてまいりたい、このように考えております。  以上が、申し入れに対するお答えでございます。
  157. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長らいまいろいろとお話がありました。これはまず、これらの問題について十分に実施、実現をしてもらわなければ何にもならないと思うのです。ここで単に答弁があったから、それで済まされる問題ではないと思う。  一つ申し上げたい点は、いろいろありますけれども、第四番目の緊急事故が発生した場合、その場合に対する乗務員、駅員の適切なる措置、この問題は、私この前、東北本線のあづま二号の事故ですね、あの問題でも、国鉄の総裁と大臣のお二人からここで陳謝の意を表されて、いろいろと私も御意見を申し上げて、今後そういうことのないように、十分客扱いということを気をつけるというような意味の御答弁があったわけでありますけれども、しかし、現実にまたまた起きた奥羽本線の事故、この奥羽本線の事故は、雪のためにブレーキがきかなくなった、千五百メートルも後退したという事故であります。幸いにして事故に結びつかなかったことはほんとうによかったと思うわけでございますけれども、この際にとられました客扱いについて、局長、具体的に私、申し上げてもいいのでありますけれども、時間がありませんので割愛いたしますが、上野に帰ってこられた方に私ども聞いたわけです。全くその客扱いについては、前回のあづま二号の場合と全然進歩も何も見られない。  こういうことでは、私は、国鉄を十分監督する鉄道監督局長としての責任を追及しなければならぬと思うのです。お客さんが絶対安全なりと信じ切って乗っているその汽車なり電車なりが、事もあろうに後退する、ブレーキ故障、そういうことで片づけられたのでは、乗っているお客さんにしてみると、ほんとうにたいへんなことだと思うのですね。ほんとうに公共の輸送に携わる者がもう少し自分の職分というもの、それをはっきりと認識をして、十分その職務に忠実に、熱意を込めてやってもらうようにしていただきたい。しかし、これはもう精神的な指導をやっても、それだけで満足とは言えぬでしょう。十分物理的な問題も加味してやらなければならぬことは、もう当然のことでありますけれども、何としてもこういうふうに事故が続発するということについては、根本的には、この公共の交通機関に携わっている職員の精神的な弛緩、こういうものを私は指摘せざるを得ないわけであります。  大臣も、この間申し入れをいたしたときに、十分このことについては通達をする。単に通達がああったから、それで下まで完全にそれが了承されて、そのように取り組んでいるというふうな体制は、もう全然、いまの国鉄やあるいはまた私鉄の各社の状況から見て考えられない。何かここに大きく欠けた問題があると思う。この問題をどうしたらば解決ができるか。単に私は通達だけではだめだと思う。局長としてどのようにお考えになるか、この点をお伺いしておきたいわけであります。
  158. 山口真弘

    山口(真)政府委員 異常時におきまする対策の問題の一つの方法と申しますか、それは異常な事故が発生をしたような場合、異常な災害が起こった場合に、それによりましてあるいは続発する事故を防止し、そして事故の被害が木さくならないような、そういう意味の技術的な指導、訓練というものを十分に重ねていくということが、第一の面であろうと思うわけでございます。  第二の面は、ただいま先生指摘のような客扱い等の問題についてでございまして、この点は、実は私ども反省をしておるのでございます。従来、第一の面の異常時訓練というものに非常に力を注いでおりましたが、第二の面の客扱いその他の問題につきましては、若干手薄であったと申しますか、努力のいたし方が少なかったということを反省いたしておるものでございます。  先生指摘のように、先般の奥羽本線の車両故障に際しまするその後の客扱いの問題、多分に実は問題があるわけでございまして、私ども、やり方その他につきまして今後十分詰めていきたい。これは鉄道営業法に基づきまする運輸規程におきましても、そういう問題についての十分の措置をとることを要求しておりますが、それが完全に果たされるように、私どもとしてはやはり今後詰めてまいらなければならぬと思います。
  159. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この問題の最後でありますけれども、要するに私ども公明党といたしましても、この問題については大臣に申し入れをし、この実行が必ずできることを期待しているわけであります。当面の責任者として、鉄監局長として御苦心はあろうと思いますが、どうか十分この問題について取り組んでいただきたい、今後事故がないように十分配慮していただきたいことをお願いしまして、この問題は、以上で終わりにいたします。  次に、空港の問題に入りますので、関係のお方に……。  私は、第一次の代執行の開始されました当初に、二月二十三日と思いますが、運輸委員会におきましてこの問題に触れました。当時は、ごく少数の負傷者が出たばかりでございましたけれども、このことを重視いたしまして、大臣に対しまして、流血の惨事を起こさないよう、日本人同士がいがみあって血を流すことのないように話し合いをしなさい、そして何とか平和裏にこの問題の解決をはかってほしい、これは人道上当然のことであろうと思いまして、私は申し上げたわけでございます。  しかるに、日を追ってこの事件が拡大をいたしまして、負傷者、検挙者が出まして大きな社会問題となっておるわけでございますが、わが党はこの事態収拾のために、超党派で、運輸、あるいは地方行政、あるいは文教等の各委員会から議員の調査団を現地に派遣しては、こういう提案もいたしたわけでございますが、その提案も実現しないまことに残念だったわけでございますけれども、皆さんも御承知のように、六日には一応代執行は終了したわけでございます。その間、負傷者はどれくらいあったのか。一応新聞記事などによりますと、千四百名というようなことも聞いておりますけれども、公団の職員、あるいは機動隊、あるいは農民の方々、支援の学生の方々等、これらを区分して一応お伺いしてみたいわけであります。これらの点について、どこが一体掌握しているのか私もつまびらかでないものですから、これは私のほうで掌握をしておりますというお役所のほうから、ひとつお答えを願いたいと思います。
  160. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 いま先生のおっしゃいましたように、私どもとしては、この代執行が事故なく負傷者なく行なわれることを念願し、また警備の基本方針としても、そういうことで対処してまいったのでございますが、遺憾ながら反対同盟あるいは過激派学生等の抵抗が相当に激しかった。これは力学的と申しますか、そういう点から申しましても、やはり抵抗が激しければ、おのずからこれを規制、排除する力も、好むと好まざるとにかかわらず強くならざるを得ないということで、残念ながら相当負傷者が出ておるわけであります  私どもが、現在までに調査いたしまして把握いたしております数は、警察官が三百六十六名、うち入院が十二名でございます。それから県、公団につきましては、後ほど公団総裁からお話があると思いますが、反対派につきましては、これはよくわかりません。数十名と私どもは思っておりますけれども、何せ、幾ら聞いて回ってもよく実態がつかめませんので、この点は略させていただきまして、一般人が三名、それから報道関係者が十一名ということになっております。  警察官の入院した者十二名と申しましたが、それについて簡単に申し上げますと、投石で腰部打撲を受けた者が二名、それから丸太で頭部を殴打された者が一名、それから投石で骨盤骨折の者が一名、それから丸太で後頭部を殴打された者が一名、それから学生等のリンチを受けまして全身打撲、これは一時意識が不明になりましたけれども全身打撲を受けて、これが一番重いと思いますが、こういう者が二名、それから角材で頭部、胸部殴打された者が一名、それから投石で顔面、前歯折損、腰部打撲二名ということで、合わせて十二名でございますが、すでに退院をいたしました者が二名ございますので、現在入院中の者は十名ということでございます。
  161. 今井榮文

    ○今井参考人 私どものほうの関係の職員等の負傷の状況でございますか、空港公団の職員につきましては、二十三日から三月六日までの間に、全部合わせまして十五名、主としてこれは投石によるけがでございまして、非常な重傷者はございませんけれども、大体十日間くらいの傷を負っております。それから県の職員が、やはり同じように二十三日からでございますけれども六名、これも主として投石でございます。  なお、私どもか当初自主的に、代執行の作業を受託しておる関係上、警察のごやっかいにならないで、まずわれわれでやろうということで出たわけでございますが、そのためにガードマンを雇っておりましたが、ガードマンの負傷者か三十七名ございます。これは主として投石でございますが、若干やけど、いわゆる火炎びんを投げられてやけどするというふうな者も出ておりまして、全体で三十七名。それからバリケードその他をこわすために雇った作業員が二十六名、やはり投石あるいはまた火炎びん等でけがをいたしております。  したがいまして、公団・県並びに私どもの側のガードマン、作業員を含めて、公団側といたしましては全体で八十四名ということになっております。
  162. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 山口局長に伺いますけれども、現在まで入院中の者が十名おるわけですね、残っている者が。それは大体どれぐらいの期間たったら退院できる見込みですか。
  163. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 先ほど申しました一番重い学生等に巻き込まれてリンチを受けた者、これが大体三週間ぐらいであろう。ただし、これはまだ精密検査を経ておりませんので、あるいはもっと重いことになるかもしれませんけれども、大体三週間、軽い者が一週間ということでございます。  一週間ないし三週間ということでございます。
  164. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでお伺いしたいんですが、農民の方々あるいは支援学生、こういう方々がけがをされたのが若干名あるわけでございますが、これらに対する治療費は、一体どういうことになるのでしょうか。この点おわかりでしたら、総裁にお伺いします。
  165. 今井榮文

    ○今井参考人 現在反対同盟のほうから、自分らの側のけが人に対する補償要求というものは、実はまだ出てまいっておりませんです。これは代執行を行ないました県、あるいはまた代執行の作業を県から受託いたしました私ども、もしそういう申し出がありますれば、これは十分に検討した上でできるだけの措置を講じたい、かように考えております。
  166. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと農民の方々、支援の学生に対しては、その状態がわかれば十分の補償をする、こういうわけでありますね。
  167. 今井榮文

    ○今井参考人 これは支援学生について、そういうふうなことまで私どもやるかどうかについては、まだ方針はきまっておりません。代執行対象地における主として農民の方々、というふうに私どもとしては考えております。
  168. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうですか。わかりました。  山口局長に再度お尋ねいたしますが、検挙した者の中に、現地の農民の方あるいはまた学生さん、こういう方々が検挙された対象になっていると私は思うわけでありますけれども、これらの内訳ですね。それから検挙された方々、たとえば公務執行妨害であるとか、あるいは威力業務妨害とか凶器準備集合罪、まあこういったものに該当して逮捕されることになったと思うのでありますけれども、その後の状況はどうなっているのか、身柄は現在どのようなところにあるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  169. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 二月二十二日から三月六日までの代執行が行なわれました期間に、大体反対同盟、それからこれを支援する極左暴力集団等が、連日千名から千五百名現地に動員されまして、代執行の実施班あるいは警察部隊に対して、竹やりをかまえて突っかかったり、あるいは火炎びん、これはすでに私どもの調べでも百十五本投げられておるわけです。それから、おびただしい投石で激しく抵抗したわけでありまして、こういう者に対しまして、学生ら四百六十一名を現行犯逮捕いたしております。このうち、反対同盟の農民の人が三十一名含まれております。  それから、なおついででございますが、この逮捕にあわせて竹やり五百二十三本、それから石灰一・五トンというような多数の凶器を押収しております。  この逮捕いたしました四百六十一名の逮捕の罪名でございますが、一番多いのは公務執行妨害の二百五十九名。それから竹やり等を準備して、そして突撃訓練をやった、そして突っかかってきたということで、凶器準備集合で五十六名。それからブルドーザーの前にすわり込んだりして、威力で業務を妨害したということで百十三名。それがおもなものでございますが、ほかに公務執行妨害と威力業務妨害あるいは凶器準備集合と、抱き合わせで検挙した者が約三十名ばかりございます。いま申しました四百六十一名のうちで、四百五十九名を身柄つきで検察庁へ送りまして、このうち三百六十三名が現在勾留中でございます。  なお、今後これがどうなるかということでございますが、これは検察庁で検事さんがいろいろ調べて処理されることでございまして、私どもは、直接これについてはあずかり知らないというところでございます。
  170. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大きな犠牲を払って非常にたいへんな騒ぎになってしまった、その結論を伺ったわけでありますけれども、そこで、文部省の徳山初等教育課長に伺っておきたいわけであります。  この間に、いろいろと問題になりました小学生の行動隊の問題であります。この間直接反対行動に参加した農民の方々の子弟、一家をあげて総ぐるみでこの反対運動に行動をとられたという、その心情は私もわかるわけであります。しかしながら冷静な判断をして、子供たちはやはりこの中には入れるべきでなかった、返す返すも残念なことをしたと私は思うわけであります。この点に関しまして、現地の小学校長が行動を起こし、説得に出かけていったようでありますけれども、この反対運動に小学生が参加するであろうということは、もう以前から判明していたことだと思うわけであります。急にこれが持ち上がった問題ではないと思うのであります。当然その対策というものは立てるだけの時間があったと思うわけでございますが、この点に対して、文部省として関係者に対してどのような指示をしていたものか。全然これに対しては何もしていなかったものなのか、その辺を伺いたいわけであります。  私といたしますと、やはり小学校の校長として、教育者としての情熱から、父兄と話し合って、こういう直接行動に子供たちを参加させないためには、みずから進んででも、何の指示がなくても、進んででもこれに当たって、参加を取りやめさせるべきではなかったか、こういうように思っておるわけでありますけれども、当局のとられた処置、これについて徳山初等教育課長から伺っておきたい。
  171. 徳山正人

    ○徳山説明員 二十二日以来強制代執行が行なわれました。これに反対いたしまして芝山町立の芝山中学校をはじめといたしまして、成田市それから芝山町管内の小中学校、大体主として六校でございますが、この児童、生徒が連日、おおむね百人以上欠席いたしました。そしてさらに、その一部が阻止闘争に参加いたしております。児童、生徒がこのような理由で欠席して授業を放棄することは、もとより許されないことでございます。また児童、生徒を反対運動の実践にまで参加させる、そういうことは、その心身の発達状況から見て、教育上もう好ましくないことは言うまでもないことでございます。また児童、生徒を危険の予想される闘争の前面に立たせることは、からだの安全の確保という面からも憂慮いたされます。  こういうような見地から、文部省といたしましては、児童、生徒が学校を欠席し反対運動に参加することのないよう、再三にわたりまして千葉県教育委員を通じて指導を行なってまいりました。千葉県の関係者としてはいろいろと努力を重ねてきておられますが、千葉県教委におきましては関係の千葉出張所、それから関係の市町村教育委員会、それから関係学校長などに対しまして、数次にわたって指導通達を出しておりまして、校長を中心に全教員が一致して児童、生徒の指導に当たることを要請いたしまして、また教育長や小中学校長その他関係者による対策協議会をしばしば繰り返して、その対策の推進につとめてまいりました。  それからまた、県の教育委員会の首脳部が反対同盟の委員長と直接に面談いたしまして、児童、生徒を反対運動に巻き込まないように申し入れを行なっております。  それから、現地の関係小中学校におきましては、反対派の児童、生徒の家庭訪問による個別指導を行ない、また手紙を再三発しまして、子供の出席を促すなどのことをやっておりますし、ただいまお話がございましたように、二月二十六日には関係小中学校長六名が直接現地におもむいて、子供たちに学校に登校するように呼びかけましたが、なかなか聞き入れられませんでした。また関係学校のPTAも、反対派児童、生徒の登校を促すような働きかけをいたしております。  こういうふうに、関係各方面の方々がたいへん努力しておられますけれども、紛争中児童、生徒の欠席が続きましたことは、まことに遺憾に存じておるわけでございます。代執行終了後の一昨日になりまして欠席者は六十二名、それがさらに昨日になりまして五十名に減りまして、本日は集団欠席は一名もございません。  大体、概況はそういうことでございます。
  172. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 第一次代執行について払ったいろいろな大きな犠牲、数字の面から私、承知したわけでございますが、再びこのようないまわしいことは繰り返したくない、そう思うわけでございます。  そこで、この問題については大臣と今井総裁に特に聞いていただきたいと私、思うわけでありますけれども、第一次代執行については、政府が誠意のある対策を講じない、土地に強い執着を持つところの農民の感情を無視して行なったところに問題があると思うのです。新国際空港の建設が決定した四十一年の七月から五カ年間にも及ぶ成田の反対闘争、こういうものに対しまして、政府は国家的な要請だという名のもとに、法律を振りかざして一方的に土地の収用を行なったと言っても過言ではないと思うわけでございます。  この間、運輸大臣は七代にも及んでおります。しかし、現地におもむいた大臣というのは、大橋さん一人ではなかったかと私は記憶するのでございます。もちろん、大臣が直接現地に行って折衝に当たることがいいか悪いかは別問題といたしまして、現地の空気を知る意味においても、やはり最高責任者が現地に出かけていくということは、むだではないのではなかろうかと思うわけです。このようなことからいたしましても、政府に誠意がないという点を私は指摘したいわけでございます。また、公団総裁も二代にわたるわけでございますが、ほんとうに土地の農民とひざ詰めで話し合ったことがあるのか。私の聞く範囲ではなかったように思います。この点も遺憾に思うわけでございます。  もちろん、ほんとうに土地を持っている農民との話し合いが肝心なことでございまして、関係のない者はこの話し合いから除外して行なうべきである。当事者以外が、いままであまりにも多過ぎたのではないか。その当事者以外の行動が、紛争に輪をかけたことは否定できないと思います。お互いに当事者同士が誠意をもって話し合えば、解決ができないことはなかったのではなかろうか。五年間もこの問題で騒がせたということについては、歴代の大臣も公団総裁も、体当たりでこの国家的事業に取り組むのだという姿勢に欠けていたところに、根本的な問題があったのではなかろうか、このように私は思うわけでございます。これが第一の問題であります。  第二点としまして、昨九日に空港公団の成田分室におきまして、公団側と三里塚・芝山連合空港反対同盟との休戦協定が成立したということを新聞で伺いました。地下壕にこもっている反対派農民に対する人道協定として、暫定的な措置ではありますけれども、これができたということについて、私はこのことに当たられたことは、大きく評価すれば非常な前進とも言えるのではないか、こう評価するわけです。この内容について、公団総裁から説明を伺いたいわけです。  第三点としまして、千葉県の市長会、町村会等が具体的なあっせん案をもって、第三者機関として初めて公式なあっせんに乗り出した。これに呼応いたしまして、山村政務次官もきのうの午後千葉県庁を訪問しているようでございますが、この間の事情については大臣から聞きたいわけであります。  第四点といたしまして、千葉県の県知事が第二次代執行、これはおそらく五月以降になるのではなかろうかと思うわけでございますが、第二次代執行につきましては、生活の基盤になっているところがあるので、そこの代執行はしたくないという意見を持っているようでありますけれども、この第二次代執行に対して、運輸当局並びに空港公団としてはどのような考え方があるのか、この点をお尋ねいたしたいわけであります。
  173. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私に関連する点は私からお答え申し上げまして、総裁からの説明のほうがいいものは総裁のほうにお譲りいたします。  大臣といいましょうか、運輸省当局が直接話をしたことがないのではなかろうかというお話でありますが、そのとおりであります。機会を逸しまして話し合いをいたしておりません。  しかし、私は話し合う機会を十分持ちたいという意向を持っておりまして、昨年の国会でありますから二月か三月でありますが、この国会で木原委員から質問があった際にも、あるいは私的に会いました際にも、私はいつでも会う気持ちを持っておる。ただしかしながら、従来の大臣が会えなかったのは、一つは反対同盟の、全部じゃありませんけれども、一部であろうと思いますが、いま残っておる方々ですね、この方々が、とにかくここへ飛行場をつくることをやめるという前提でなければ会わない、こういうようなお話であったのです。私は木原代議士に向かいまして、それじゃどうにも私が会う意味がないから、空港建設はやむを得ないから認めるという前提で、その他の条件について政府が誠意を示せというのであるなれば、政府としては最善の誠意を示す気持ちがある、したがって、木原代議士もたいへんであろうけれども、その旨を十分に農民の各位に伝えて、その前提で会える機会をつくってもらいたい、そうなれば、必要があるならば現地に行ってもよろしい、こういうような態度でまいったのであります。木原代議士もお骨折りしてくださったようでありましたが、残念ながら、当時及び今日まではその機会がつくれなかった。私のほうがとびらを閉じておったわけではありませんで、反対同盟のいま残っておられる方々のほうが、どちらかといえばさような大前提に立っておるものですから、会う必要はないという見解であったろうと思います。  しかし、気持ちの上からいえば、たとえそういうことを自分たちは言っても、しかしながら運輸省当局なり大臣なりが来て会ってくれたらいいじゃないかという気持ちがありとすれば——もちろんそういう気持ちがあるだろうと思います。私も実家はあの近くで、利根川の向こうの潮来でありますからして、したがってあの付近の気風はよく存じておりますし、私も半農半商の出でありまして、幼少といいますか、青少年のころは、みずからくわをとりあるいは稲を植える生活を数年やっておりましたから、農民の心理はわからぬことはありません。十分理解しておるつもりであります。しかし、何といっても国家的事業であって、これをやることだけは十分の理解を持ってもらいたい。その他の条件については、政府として、あるいは私が、最善の努力をしてでもその希望はかなえてあげたい。  こういう希望を持って接してまいったのでありましたが、ついにその機会を、将来はともあれとして、今日まではその機会がなかったことは、私も非常に残念に思っております。  こういう事情でありまして、決して私自身も政府自身も故意に避ける必要はありません。ただ、条件が整いませんと、向こうのほうでも会いにくいということがあって、そのような結果になったことは、御理解願いたいと思います。  なお、山村政務次官が向こうに参りましたことにつきましては、代執行が完了いたしましたので、そこで、一つは現地の事情を十分に知っておいてもらいたい、同時にまた、農民関係者の意向を間接なりとも知っておいてほしい、同時にまた、将来まあ協定はできましたけれども、人命に関するような事態があっては困るので、そのような事態にならぬようなことも考えに入れて、そうして現地へ行ってほしいということで行ってもらった。まあちょうど行き違いにそういう協定ができたようでありますから、山村君を向こうへやりました一つの用件は、山村君が現地に到着する前にすでに片づいておった。  しかしこの機会に、ちょうど参りましたから、いわゆる町村会の申し入れ——申し入れといいますか、調停案というようなものが出ておったようでありまして、そこでどういう組み立てであるかを十分に、ひとつ市長会、町村会あるいは県当局に会って事情を聞いておいてほしい、こういうことで、いわゆる休止を機会に今後の積極的な話し合いの機会もつかむという気持ちもありまして、山村政務次官を現地に派遣して、各方面との折衝に当たらせた次第であります。
  174. 今井榮文

    ○今井参考人 先ほど先生から御質問のございました、空港公団の責任者が直接農民と会ったかどうかという問題、それから、現地で昨日調停ができ上がったようであるが、その内容、さらに、この次に行なわれることが予定されておる第二次の代執行についての今後の方針、この三点についてお答えいたしたいと思います。  直接折衝の問題でございますが、先生は、私が現地で農民と話し合いをしたことがないというふうな認識に立っておられるようでございますが、これは私はまことに遺憾だと思います。というのは、空港公団が創設された昭和四十一年七月末におきましては、空港の位置がすでに三里塚に決定を見た直後でございまして、三里塚の予定地はほとんどあげて反対だというふうな空気に包まれておった状況にございまして、空港公団の分室が成田に開設された当時、わずかの職員をまず派遣いたしたのでありますが、この人たちは、敷地の中もほとんど歩けないというふうな状況であったわけでございます。当時、私は副総裁でありましたが、現地に参りまして、ほとんど一週間くらい、場合によっては泊まり込みということで、農民の方々と直接会っていろいろお話をいたしたのでございます。あるいは宿屋でやったこともございますし、あるいは農協の事務所お話し合いをしたこともある。あるいは向こうの方々のお宅へ行ってお話しをしたということもございます。  これによって、当時反対の渦の中にあった三里塚の地主の方々で、まず部落対策協議会という条件派の団体ができ上がったのでございますが、その後天浪の開拓農地を中心とする条件闘争連盟、これらの人たちは、部落対策協議会が旗上げをした当時は、かまや何かを持って取り囲んだという人たちでございますが、これらの人たちと話し合いをいたしまして、条件闘争連盟という強力な条件派が誕生いたしたわけでございます。  その後さらに、当時反対の立場で一坪運動用地を提供した人たち、空港予定地の北部、駒井野、取香地区の古農部落、これらの方々がやはり賛成に傾いていただきまして、駒井野・取香連絡協議会というものをつくりまして、後にできた地権者会の母体をつくったわけでございます。  こういうふうにいたしまして、敷地内の農民のほとんど九割九分までは条件賛成に傾いてきたわけでございまして、私どもとしては、私自身が直接現地へ出向いて、現実に農民の方々と折衝をいたしたということを、この際申し上げておきます。  それから、さらにその当時、そういうふうな私どもの折衝の過程において……(松本(忠)委員「総裁、時間もないから簡単でいいです」と呼ぶ)  第二の問題。休戦協定が昨日できまして、その内容を簡単に申し上げますと、相当な期間、話し合いのために公団は地下壕自体には手をつけないということ。それからまた反対同盟は、食糧や衣料や薬品や寝具の搬入はする——これは表面には書いてございませんけれども、申し合わせでは、中におる人の交代者を入れないということ。それから医者や医者の補助者を入れる場合には、あらかじめ公団に連絡する。あるいはまた、各地下壕の出入口と空気口に雨よけの屋根だけはつくらせる。これは人道上の問題でございます。こういうようなことを骨子とした協定が昨日できたわけでございますが、この前提としては、当時の話し合いの状況を伺ったところでは、代執行対象地区には、その後は絶対構築物はつくらないということ、それからまた反対同盟の幹部はあげて、人道上の見地から、壕に入っておる人たちに出ていただくように説得するということが、話し合いの場で話されたように思っております。  それで私どもは、この協定の順守を向こうに希望いたしておりますが、すでに一部支援学生が入って、すでに私どもとそういう協定ができたにもかかわらず、またさらにさくを強化するというような、新たにさくを設けるというふうな措置をとっておるということで、昨晩反対同盟の幹部に対して、そういったものは撤収するようにという強い警告を出したというような状況でございます。  それから、最後の御質問でございます第二次の代執行については、全く先生と同じように、私どもはこういうことはもう繰り返したくないという強い気持ちでおりますので、今後は反対同盟に対しても強く働きかけると同時に、あるいは政府にもお願いし、また千葉県知事にもお願いいたしまして、何とかしてこの反対派対策を推進していただいて、第二次以後の代執行は、いわゆる今度のような騒ぎの中でなく、円滑に処理できるように期待いたしております。
  175. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、いま総裁からお話がありました第二次の代執行の問題おそらく五月以降といわれておりますけれども、この点について簡単に運輸当局として、大臣としてどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  176. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 原則としては、いま総裁が言われたように話し合いで解決していきたい。そういう意味では、今回の協定も話し合いの端緒となる大きな足がかりになるように、お互いが十分に注意をしてもらいたい、こういうように考えております。
  177. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろとお話を伺いますと、もう四十六年四月の開港ということは、完全にだめであるということははっきりしているわけですが、一体その一番機が飛ぶのはいつになるのかという見通しでありますけれども、いまのような状態からいって、単に滑走路ができたからそれでいいというものじゃないだろうと思います。ターミナルビルの問題、あるいは燃料の輸送の問題パイプラインの問題、あるいは上水道と下水道の問題、電気の問題、いろいろの問題が山積をしておるわけでありますけれども、これらの具体的な計画等について一応伺いたいと思っておりました。しかし、もう時間もございませんので、これはぜひひとつ総裁のほうから、現状と将来、そういうものが何月の時点においてはどのようになる、そしていつまでには一番機を飛ばすことができる、そういう点をひとつ文書にして出していただきたい。ここで回答には及びません。  それからなお、昭和五十年度を目途といたしまして、それまでにもちろん開港するわけでありますが、一日当たり旅客がどのくらいになるのか、また旅客ばかりでなくて歓送迎の者もあるのでしょうし、見物の者もあるでしょうし、こういう者がどのくらいになるか、こういう点を伺いたいわけであります。これもひとつあとで出していただけばけっこうです。  ついでに鉄監局長に伺いたい。いまの旅客の輸送の問題であります。御承知のように、成田新幹線は二月の五日に、鉄道建設審議会答申どおり整備計画が決定されたわけでありますけれども、これが完成するまでは、まだかなり時間がかかるわけであります。その間には、もちろん東関東自動車道路によるところのバスの輸送であるとか、あるいはまた成田の京成電鉄の新空港線、こういうものによる輸送も当然考えなければならないと思っております。これらも時間がございませんので、いつごろどういう状態になってくるかということを、ひとつ文書で出していただきたいと思います。この点を、ひとつお願いをいたしたいわけであります。  最後に、大臣に伺いたいわけでございますけれども、陸上の新しい空港をつくるということについては、いろいろ大きな教訓を得たわけであります。非常にたいへんな問題、このような犠牲を再び払うということは、われわれとしても忍びないわけでございまして、こういう問題を解決する方法として、やはり海上に新しい空港をつくる必要がある。特に関西空港の場合など海上説が出ておるわけでありますが、阪神説であるとかあるいは泉南説であるとかいろいろと出ております。泉南の問題に対しましては、私も泉南の議長あるいは市長と一緒に大臣のところへ行っていろいろと伺ったわけでございます。そういう点も考えまして、今後海上における航空機発着所、飛行場をつくるということが、私はやはり時宜に適したものではないかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、そこで漁業に関係している者の補償の問題もあるでしょうし、また騒音の問題もあるでしょうし、いろいろとそこには派生的な問題もあると思います。そういう点について大臣の構想といいますか、そういうものをひとつ示していただきたい。将来の日本の飛行場の建設は、こういう姿でいきたいという構想があるならば、お伺いをしておきたいわけであります。
  178. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、いわゆる大型ジェット機の着けるような飛行場を陸上に求めることは、これからは非常に困難だと思います。したがって、原則として私は、いわゆる超音速機とか大型ジェット機の着ける大規模の新しい飛行場を陸上につくるべきではないし、またつくれないであろう。こういうことからして、私は今後は海上につくっていきたいという考え方のもとに、関西空港の問題がさしあたりありますけれども、関西第二国際空港は大阪湾の中につくりたい。場所は目下検討中でありますから、場所がどこということはまだきまってはおりません。  その場合においては、陸上から相当引き離す。まあ三キロ以上もしくは四キロぐらいを引き離して、陸上と全く切断をする。海の孤島のような形のものをつくり上げる。それによって一応計算しますと、いわゆる騒音の度数は非常に低くなると計算をされております。いま羽田は大体八十ホンといわれておりますが、こういう思い切った措置をとれば、おそらくはるかにそれ以下でもって押えることができる。したがって、居住関係には影響はない程度の騒音で押えることができるだろう、これが一つ。  もう一つの利点は、もちろんこれは金がかかることでありますが、まあ金はかかったところで、日本の経済力からするなれば、たとえ三千億でできるところが五千億かかっても差しつかえない。ただそのためには、いわゆる多角的な効用がなくちゃいけない。こういうぐあいに三キロもしくは四キロという海上に突き出した飛行場であれば、その突き出した手前の、いわゆる連絡道路の両側には大きな港ができるわけであります。ことにカーフェリーあるいは水中翼船、ホーバークラフト、これなどがだんだん大型化してまいりますから、これらを使えば、陸上との連絡は時間的にも非常に節約される。大回りでもって高速道路を走るよりも、私の計算では、その二分の一もしくは場所によっては三分の一の時間でもって大都会にお客を送り込むことができる。  こういった点を考えますと、今後の大飛行場は、多少漁業に対する補償がありましても、結果的には決してマイナスではない、プラスの面が多い、こう考えております。もちろんこれを陸上でつくる場合がもしありとすれば、その場合は、全体の了解を得るようなものでなければつくれない。しかし原則としては、いま申しましたように、湾内あるいは海上に大型飛行場をつくる、こういう考え方で進んでまいりたい、かように考えておるわけであります。この方針を貫いていくようにということを、運輸省内の航空局に対して、私からかねてから指示を出して、それのモデル的なケースとして、いわゆる関西第二国際空港ができれば、私としては非常に興味ある問題であろう、こう考えておるわけであります。
  179. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣のいまのお話でわかったわけでありますが、それをつくる場合に発生するところの公害を極力除去する、こういう問題と、なおそれによって被害をこうむるであろうところの漁民に対する補償、こういうものについては、十分に留意をしていただきたいということを、特にお願いしておきます。  それから委員長、空港公団総裁並びに鉄監局長に対して資料の要求をお願いしてございますので、この点よろしくお取り計らいを願いたいと思います。  以上で質問を終わります。
  180. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  181. 田代文久

    ○田代委員 まず大臣にお伺いします。  富士急行のあの大惨事に対しまして、あの会社の堀内社長が、その直後に新聞記者会見で、原因は偶発的なことが重なっておって、当社も被害者の立場ですというようなことを発言しておるですね。これは御存じですか。いろいろ原因が究明されておるし、それから先ほど来伺っておりまして、ブレーキさえ片づけば大体こういう災害はなくなるんだと言わぬばかりの答弁です。必ずしもそういう意味で答弁なさっているとは私は思いませんけれども、とにかく一貫してブレーキの問題に問題がかかっております。もちろんブレーキの問題も重大でありますけれども、そういうことではこういう災害を食いとめることはできない。この災害を起こした会社の社長が、偶発的なことが重なっておって、当社も被害者なんだというようなことを、天下に記者会見で言ったということ自体、こういうことは実際に許されないと思うのですよ。  ですから、こういうことについて運輸省としては、また運輸大臣としてはどういう指導をなされるか。こういう発言に対して、そういう不謹慎な発言は、被害者に対しても全国民に対してもこれは許されない、そういうことは取り消すべきである、もう少し姿勢を正せというような指示をなさるかどうか、その点を私はまず伺いたいと思うのです。
  182. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私もなるべく新聞は見るくせをつけておるのですが、新聞記者上がりでありますから。しかし、その点ちょっと見落としておりますが、さような話があったとすれば——必ずしも社長は、冷淡とかあるいは責任回避という意味じじゃなく、聞かれた場合における誠意があるないの問題はありましょうけれども、形式論的な説明になってしまったことは、これは社長としても大いに反省する必要があると思います。  ただ問題は、ほんとうにこれからなくなられた方々に対し、あるいはけがをされた方々に対して、会社としては全く社をあげて、これの十分なる善後措置を講じてもらいたい。それによってその発言が、決して心なき発言であったというそしりを受けないようにしてもらいたいと思っております。
  183. 田代文久

    ○田代委員 いま大臣は、社長を弁護されておりましたけれども、私は、弁護すべきような性質ではない。こういう姿勢そのものが、単なる一般的なあれではなくて、何とかしてとにかくおれの責任をのがれよう、そしてまた災害者に対しては、かりに百円でも二百円でも安くとにかく値切ろう、こういう意図は明確なんですよ。こういう根本精神を変えないことには——単にこれは私鉄だけではないと思うのです。現在の国鉄自身が、こういう思想で動いておると私は考えざるを得ないのです。そういう点は非常に注意していただきたいと思うのです。  時間がありませんから、端的に一つ一つ聞きますが、あの事件が起きて、あの例の事故の起こった踏切に対して、運輸省はどういう指導を具体的にされておるか。一般的にはいろいろ聞きました。しかし、一般的にかれこれ先ほど御説明もありましたけれども、そういうことは、なお言えば、これは原因目下究明中である、だから当局の専門家がやった上で対策を講じます、というようなことじゃ国民は納得しないです。ですから、そういうことはそういうこととして解決しても、当面すぐ打つべき手があると思うのです。あの踏切に対してどういう手を打たれたか、また打とうとしておられるか、御答弁願いたいと思うのです。
  184. 山口真弘

    山口(真)政府委員 事故が起きました踏切は、月江寺駅付近の緑ケ丘第二踏切道という踏切でございますが、この踏切につきましては、従来は第三種踏切でございました。警報機つきの踏切でございましたが、昨年九月第一種踏切、つまり遮断機つきの踏切といたしまして整備をいたした踏切でございます。現段階におきましては、交通量その他等から考えまして、第一種踏切にいたしますれば、設備としては一応十分な踏切だといわざるを得ないわけでございまして、踏切に対しまして、特別の措置をするということは考えておりません。
  185. 田代文久

    ○田代委員 私は、全く無責任きわまりないと思うのですよ。第一種というのはどういうことですか。とにかく、私は新聞で拝見しますと、ただ鉄道の踏切の竹の棒が折れたので、それを取りかえたということになっているそうですが、それが対策なんですか。私は、少なくとも、先ほど来いろいろ御質問が出ておりましたけれども、あなた方の答弁としては、こういう事故は非常に大事故であるし、またと再び起こすべきでないのだから、したがって、これはすぐ立体交差のことを具体的に考えておりますとか、そういう方向に持っていきますとか、あるいはこの踏切は無人だから有人にするとか、何とかもう少し、少しでも進んだ具体策がなくちゃならぬと私は思うのです。そういう手を打たれなければ、何のために運輸省は私鉄を監督しておるか、また、国民の生命や身体に対して安全を保障しているかということになると思うのです。大体、ただ竹の棒を新しく取りかえられただけなんですか。また具体的に、そういうふうな立体交差をすぐやるという計画を立てられておるのか、あるいは無人踏切を有人にして、もう少し危険を防止するという立場に立っておられるかどうか、はっきりしていただきたいと思うのです。
  186. 山口真弘

    山口(真)政府委員 踏切に対する防護といたしましては、立体交差が一番望ましいことは言うまでもないところでございまして、立体交差の促進につきましては、政府としても大いに努力しておるところでございますが、この踏切は、交通量も非常に少ないし、列車回数も単線区間で非常に少ないわけでございまして、この踏切といたしまして、第一種の遮断機つきの踏切ということは、一応踏切遮断としては、十分なものであろうと考えざるを得ないわけでございます。  なお、この踏切に対しまして、手動にするかどうかという点につきましては、これは手動が必ずしも安全ではないということは、前回この委員会でも申し上げたと思いましたが、必ずしも手動が安全でございません。人の錯覚等による事故があるわけでございますから、手動にする考え方はないわけでございます。  ただ、踏切遮断機の構造自体につきましては、今後、従来のような竹ざおのものでよいかどうかという点につきましては、これは踏切の構造といたしまして、もっと検討をしなければならぬということで、その技術開発をいろいろと進めているところでございます。
  187. 田代文久

    ○田代委員 時間が制限されておりますから、簡単に御答弁願いたいと思うのですが、具体的な問題について二点お伺いします。  この会社の車検、これは毎日のようにされておったかどうか。車検を十分満足のいくように、まあ厳密に申しますと、毎日ブレーキから一切の問題について車検をやっておられたかどうかということが第一点。  それからもう一つは、この会社が設立されるときに、これを許可されるときに、こういう条件のもとにおいてこれは許可したということがあると思うのですが、その許可条件の中に、側線の引っ込み線をつけなければだめだ、条件に合わないから認可しない、そういう側線の引っ込み線をつけるという条件のもとにこれを許可されておるのか、あるいはそういうものは要らないという形で特認されたか、まずその二点を簡単に御答弁願いたいと思います。
  188. 山口真弘

    山口(真)政府委員 まず、第一点の車両の検査でございますが、鉄道の車両の検査につきましては全般検査というのをやります。これは全車両の要部を解体いたしまして、全般的な検査を行ないます。それから、さらに重要部検査というのを行ないます。これは、走行距離が二十五万キロ以上、あるいは一年六カ月の期間をこえない期間のいずれか短い期間に一回ということで、重要部検査を行なうということにいたして、そうして集電装置その他の分解検査をいたしております。それからさらに、一カ月に一度毎月検査でございますが、これは各部の状態及び作用の検査を行なう。そのほか、四十八時間または千六百キロメートル走行ごとに一回ということで検査をいたしております。現にこのような検査を、会社としては実施しているところでございます。
  189. 福井勇

    福井委員長 質問者の希望どおり、簡単に答えてください。
  190. 山口真弘

    山口(真)政府委員 第二点の問題につきましては、線路の設計、レール等につきましては、これは工事施行の認可ということで、役所が全部その内容をチェックいたしまして、そしてこれを認可いたしております。
  191. 田代文久

    ○田代委員 私は、側線の引っ込み線を、そういう許可条件にしたかどうかということを聞いたのです。それはどうなんですか。
  192. 山口真弘

    山口(真)政府委員 現在の工事施行の認可では、そういうことになっておりません。
  193. 田代文久

    ○田代委員 先ほどの質問にもありましたように、実際に認可するときに、そういう非常に急カーブのところでは、当然危険を予測して線路を敷く計画を立てなければならないと思うのですよ。これは一段の慎重な対策で臨まなければならない。ところが、先ほど質問がありましたように、やはり側線があって、あるいは砂でもちゃんと敷いて、もし万一のことがあったら、すっとそっちに誘導するということがされておれば、私は、あるいはこういう脱線ということがあっても、災害をもう少し軽微にするとか、あるいは未然に防ぐということがあったかもしれないと思うのです。しかし、そういう点について、なぜ手を省かれるような指導をされておるのか。そういう政策をとっておられるという点が、全くおかしいと思うのですよ。  そこで、私は大臣にお伺いしますが、これはこういう問題とも全部関係するのですけれども、現在、国鉄が赤字だ、赤字だということを盛んに言っている。私どもから言いますと、これはつくくった赤字だといわざるを得ないのですよ。そういう赤字をなくするというようなことを全部、とにかく一〇〇%出して、そしてそれと合理化と結びつけてきているわけですね。ですから私どもは、いわゆる国鉄あるいは運輸省が指導しているところのこの合理化と事故との関係は、どうなっておるかという点を大臣にお伺いしたいと思うのです。合理化と事故発生の関係です。
  194. 山口真弘

    山口(真)政府委員 施設につきましては、地方鉄道建設規程という規定をつくりまして、そして当該設備が具備すべき条件というものを全部こまかく規定しておりまして、その規定に従って鉄道は設備をするということになっております。したがいまして、合理化のためにそういう手を抜くというようなことでは、営業させないということにいたしております。
  195. 田代文久

    ○田代委員 そういうふうな御答弁ですけれども、これはわれわれは納得できません。これは、現に実際にこの事業に携わっておる数十万のとにかく労働者全部が言っておることは、いわゆる合理化とそれから現在の事故との関係は、切っても切れない必然的な関係があるのだ。いまの御答弁によりますと、いまのような形で具体的に事故が起きても、合理化と事故とは何らそこは結びつかないという御答弁になりますけれども、そうではない。  私は実例を申し上げます。この間、東北線で大事故が起こりましたね。そのときには、この汽車を運転しておった運転士の人が酔っぱらっておったということで、それで全責任を酔っぱらっておおったという運転士の方に集中して、そしてその問題さえ片づけば、こういう事故は起こらないというような答弁であり、また考え方であったと思います。これはそういう人命をあずかるような事業で、酔っぱらって運転するということは、これはもちろん許されません。しかし、私はそのときに思ったですよ。つくづくあのとき二人乗っておおったらどうだと思いましたよ。二人で、以前のように補助席に一人すわっておったら、一人がかりに酔っぱらっておったとしましても、ああいう事故にはならない。どんどん汽車が後退しているときに、すぐにチェックができる。合理化によって、二人乗りを一人にしているという問題なんですね。  あるいはまた、これは実に私たちは、汽車に乗るのがこのごろこわくなっておるわけですけれども、数日前、汽車が、雪がちょっと積もったからというので、また大事故が起ころうとしたけれども、これはとにかくブレーキのせいじゃない、雪のせいだというようなことで、見過ごしていいような問題では絶対にない。これは八日のことで、非常に小さくしか書いてないですけれども、私は重大な問題だと思ったのですけれども、八日の夜と九日の朝、国鉄の横浜線で、横浜市の緑区の十日市場町の中山−長津田駅間の警報機つきの無人の踏切、ここで事故が起こっておるわけですねしかも、それはこの新聞によりますと、三人が死傷しているというような問題が起こっているのですよ。これは無人踏切なんですよ。有人踏切でちゃんと以前のように、そこに踏切番の人がおって、そうして見ておれば、こういう事故はやはり防げるのじゃないかと思います。  ところが、無人踏切はどんどんふやす。これは私が申し上げるまでもないのですけれども、現在、国鉄と私鉄の踏切数が約六万一千カ所のうち、警報機すらない全くの無防備の踏切が約四万一千カ所もある、こういう状態です。なぜこういうことについて、そしてこの踏切には非常に事故が多いということについて、ただ人減らしさえすればいいというような処置をどんどんとられるのか。  そこで、端的に申し上げますと、これは私は大臣にお伺いしますけれども、こういうふうに、実際に合理化と事故との関係というものは、切っても切れぬ関係にある、これはしろうとの国民でも全部そう思っていますよ。ああいう事故が起こった場合に、なぜ二人乗りにしないのか。あるいは無人踏切に対してなぜ——これは無人踏切が全部悪いとは申しません。けれども、今度のような事故が起こったときに、有人であったら防げるんじゃないかということは、これはだれでも考えることです。ですから、ただ合理化して、そうしてとにかく赤字は、わずかな、けちな人件費さえ削れば国鉄の責任はできるんだというような、そういうこそくな考え方こそが、そういうことこそが、私はこういう大事故の発生の根本原因になっていると思うのです。さっきの私鉄の社長のそういう発言自体が、これと全く同質のものだと考えます。  ですから、この点について今後、人をやたらに減らせばこういう赤字をなくする、そうしてそれは事故には関係がないということを、はっきり言うことができるかどうか、御答弁願いたいと思うのです。
  196. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 合理化と事故関係ですが、先ほど鉄監局長が申しましたように、これは必ずしもそれとこれとの関連性はないわけでありまして例のいわゆる東北線の酔っぱらい運転の場合におきましても、もちろんこれは助士はおりませんでしたが、それらの任務を一部持っておる車掌が二名おったわけであります。それらも気がつかなかったということでもって、大事故になりませんで一応済みましたけれども……。したがって、合理化とそれとは必ずしも一緒ではないのでありますから、ひとつその点は御理解を願いたい。  もちろん、私も運輸大臣として、国鉄は一種の子会社でありますから、そこに働く従業員に対しては心から愛情を持っております。しかし、人命をあずかっている以上は、やはりこれはしっかりしてもらわなくちゃ困る。しかもちゃんと休暇を与えて、そうして十分な休養期間を与えて乗っておるのですから、したがって、その自分の責任だけは果たしてもらわなければ困る。責任を果たさないでおったんでは、これは何人人間がおってもだめになってしまいますから、少なくとも合理化と事故とは、必ずしも私は関係あるとは思いません、数字をもって示してみなくちゃわかりませんけれども。  ただ、しかしながら、人を責めるだけが能ではありませんので、できるだけ、もちろんわれわれ運輸省といたしましても、従業員の点も十分考えながら、無理な合理化はやる考えはない。しかしながら、近代化の目的から考えましても、近代化あるいは合理化というものは、そういう事故につながらない前提においては、これはやっていかなくちゃならぬ、こう考えております。
  197. 田代文久

    ○田代委員 いまの大臣の御答弁には、これは納得できません。私どもは、現在、全く機械的に進められておる、ただ機械さえ優秀に、とにかく改革していけば、これは事故がなくなるんだという機械一点ばりの政策は、非常にこれは危険だ。やはりどうしても人間という、そういう機械より以上のものが結合されなければ、私はほんとうに人命を守れない。  そういう点で、ある意味から申しまして、それは少し人間が冗漫じゃないか——あまり冗漫であり過ぎては困るのですけれども、これは少しぐらい冗漫じゃないかという余裕があって私はいいと思うのです。決してそういう政策は間違いじゃないわけです。これはどのくらい人命なりわれわれのからだというものが大事であるかということを考えれば、それくらいの予算は組むべきです。しかし、わずか何億かの金をけちけちするために、それが実にばく大なる人命の被害に及ぶということになれば、これは全く政策もないし、危険きわまりない。  そういう点では、私は、時間がありませんから申し上げませんけれども、合理化とそれからこういう災害のことについては、私はあくまでこれは関係がある、無関係ではない。ですから、十分今後国鉄を指導していただきたい。そうして、やはり形式的な無理な人減らしというようなことをやるべきでないということを申し上げておきたいと思うのです。  それからもう一点、あと二、三分ですが、この間の新聞で、これは九州の筑豊の油須原線というんで、これは政府なりそれから国鉄がプランを立てて、そうしてこれはやるということを言っておって、現在まですでに工費を十九億円つぎ込んでおる。ところが、最近突如として、あと数キロを残したところで仕事をやめてしまっておるわけですね。そうすると、これは何のためにこういうことをやったかということになるんですね。そうして、赤字だ、赤字だと言いながら一方においては十九億円もかけて、これをとにかく中途はんぱにすぱっとやめちまうというようなことをやって、そしてこれをぺンぺングサが生えるようなことにしなければならないというような責任を、大体どうとるのか。しかも、これは地元の陳情がいろいろ来ておると思いますけれどもね。福岡県全体から来ていると思うのですよ。これはやるべきだと思うのです。いっか福田大蔵大臣やあるいは中曽根長官なんかは、陳情があったからわしはとにかく駅をつけたんだ、こういうことを言っているのですね。福岡県全体をあけてこういうことをやってくれという大陳情が来ているのに、当然私はこれはやるべきだと思います。この点は、この十九億円のむだをこのままされるのかどうか。きょう答弁が十分できなければ、あとから私は詳細な資料なり、なぜやめたかということをちゃんと数字の上から出して、資料を出していただきたいんです。  それから、ローカル線を廃止する、廃止するといいながら、やはり同じ日のこの新聞に出ているのですけれども、筑豊にやはり幸袋線というのがあるのですね。これは実際に廃止した。ところが、廃止したが、その廃止線の中に一部路線が残っておって、しかもそれは貨車が走っておるというのですね。これは国鉄が市か何かに売り渡して、当然これは廃止することになっておったのを、一部は残っておって、しかもごく特定の業者に非常に安い値段で売って、そのレールが取り払われずに貨車を走らせているということで、他の業者からも、廃止するとかいったけれども、結局ある業者だけ利するようなことになっているじゃないかというような問題が起きております。  ですから、こういう点についての国鉄の非常にむだな、あるいは中途はんぱにやるような責任をどうするのか。また、こういうことについて今後どうされるのか。あるいはまた廃止線について、ある特定の業者だけを走らせるというようなことについて、どういう監督をやっておられるか。時間がなければ私は資料を出していただきたいんですが、基本的な姿勢だけは、ひとつ大臣からお答え願いたいと思います。
  198. 山口真弘

    山口(真)政府委員 お答え申し上げます。  油須原線のいきさつは、先生御承知と思いますが、油須原−漆生間二十七キロが、四十一年の三月に一部区間の漆生−豊前川崎という十七キロが開設いたしました。それで現在国鉄で営業中でございます。残る問題は、豊前川崎と油須原の間の約十キロでございますが、それは大任及び油須原付近を除きまして、路盤工事はおおむねできておるという状態でございます。  この線は、従来石炭輸送、筑豊炭田の石炭を苅田港に短絡輸送をするという使命をもって建設を始めたわけでございます。一方地方交通の便もございますが、主として石炭輸送のために始めたものです。その後エネルギー革命によりまして、筑豊地区の炭鉱がどんどん閉山をするという事態になってまいりましたので、貨物輸送を主体とする従来の計画というものにつきましては、もう一ぺん考え直す必要があるということで、線路勾配だとか、田川線との取り付け方法の変更だとか、開業設備に対する工事の検討だとかいうようなことを行なっているというために、現在おくれているのでございます。これが国鉄と公団の間で協議をしておる内容でございます。  それから幸袋線でございますが、幸袋線は四十四年の十二月七日限りで実は廃止をいたしております。この廃止をいたしますに際しまして、非常に問題があると思いますので、地元と十分な話し合いをいたしまして、地元との話し合いがついて、申請をし廃止をするということにいたしております。  そこで、この営業廃止を行なうにあたりまして、地元の飯塚市、それから関係の荷主の方というものと十分に話をいたしまして、その話し合いがついたところで廃止をしたわけでございます。その廃止する場合の話し合いの内容といたしまして、飯塚市も中に入りまして、いまお話しの石炭の業者の方ですか、専用線は一応つくるということの話し合いがつきまして、そしてその線路敷については、飯塚市に払い渡した土地とそれから国鉄の土地を使って専用線をつくる、専用線施設はこの人が国鉄から買う、それから入れかえ料金等はその人が国鉄に払うということで、専用線を残したといいますか、専用線をつくってそれを運行するということにいたしまして、市とも話し合いをつけて廃止をした、こういういきさつでございます
  199. 田代文久

    ○田代委員 もう終わりますがね、それでは納得しない点がありますから、いずれその点について説明を伺いたいと思います。  終わります。
  200. 福井勇

    福井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会