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1970-12-18 第64回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十八日(金曜日)    午前十一時四十四分開会     —————————————    委員の異動  十二月十八日     辞任         補欠選任      中山 太郎君     佐田 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 足鹿  覺君                 上田  哲君     理 事                 佐田 一郎君                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 星野 重次君                 安田 隆明君                 山本茂一郎君                 鶴園 哲夫君                 矢山 有作君                 山崎  昇君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君    国務大臣        法 務 大 臣  小林 武治君        建 設 大 臣  根本龍太郎君    政府委員        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        法務大臣官房長  安原 美穂君        法務省入国管理        局長       吉田 健三君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省道路局長  高橋国一郎君        建設省住宅局長  多治見高雄君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   平井  進君        法務大臣官房会        計課長      伊藤 榮樹君        大蔵省主税局総        務課長      安井  誠君    参考人        株式会社新都市        開発センター常        務取締役     桑原 大行君        東京都豊島区助        役        日比 寛道君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○滋賀県の寒冷級地是正に関する請願(第一号) ○旧軍人等に対する恩給処遇改善等に関する請  願(第五号)(第一〇号)(第一六号)(第三  二号)(第三三号)(第三四号)(第三五号)  (第三六号)(第五三号)(第五四号)(第五  五号)(第五六号)(第六八号)(第七三号)  (第七四号)(第七五号)(第八六号)(第九  四号)(第九五号)(第一六三号)(第一六四  号)(第一七五号)(第一七六号)(第二五四  号)(第二五五号)(第二五九号)(第二六六  号)(第二七八号)(第二七九号)(第二八〇  号)(第三〇六号)(第三五八号)(第三五九  号)(第三六〇号)(第三六一号)(第三七四  号)(第三七五号)(第三八七号)(第三八八  号)(第三八九号)(第三九〇号)(第三九五  号)(第四三二号)(第四三三号)(第四三五  号)(第四三七号)(第四三八号)(第四四五  号)(第四四六号)(第四八〇号)(第四八六  号)(第四九三号)(第四九四号)(第四九五  号)(第四九六号)(第五〇三号)(第五〇九  号)(第五三〇号)(第五三一)(第五三二号)  (第五四二号)(第五七五号)(第五七六号)  (第六一二号)(第六一三号)(第七五〇号)  (第七五一号) ○旧軍人、軍属の職務関連傷病者に対する傷病  恩給の支給に関する請願(第九号) ○退職公務員恩給共済年金等に関する請願  (第一一号)(第三七号)(第五七号)(第九  六号)(第二六四号)(第四三〇号)(第四三  六号)(第四五〇号) ○退職公務員医療制度等に関する請願(第一二  号)(第三八号)(第五八号)(第九七号)  (第二六五号)(第四五一号) ○靖国神社国家管理立法化反対に関する請願  (第二〇号)(第二四号)(第二六号)(第六  七号)(第八三号)(第八四号)(第八九号)  (第一六七号)(第一七七号)(第二四五号)  (第二五三号)(第二六〇号)(第二六一号)  (第二七一号)(第二七七号)(第三〇二号)  (第三〇五号)(第三六六号)(第三六七号)  (第三七二号)(第三七三号)(第三七六号)  (第三九三号)(第三九九号)(第四二五号)  (第四二六号)(第四四〇号)(第四七一号)  (第四七二号)(第四七九号)(第四八三号)  (第四九八号)(第五〇一号)(第五一一号)  (第五二四号)(第五四七号)(第五四八号)  (第五四九号)(第五五二号)(第五七九号)  (第六〇〇号)(第六〇一号)(第六〇二号)  (第七四七号)(第七四八号)(第七四九号) ○靖国神社国家護持早期実現に関する請願(第  五一号)(第四四九号) ○元満鉄職員恩給共済年金通算等に関する請  願(第八五号)(第二七六号)(第三五七号)  (第三九六号)(第四三一号)(第四六九号)  (第五四〇号)(第五四三号)(第五七七号)  (第五七八号)(第六〇四号)(第六五〇号)  (第六五一号)(第六五二号)(第七五二号) ○公務員賃金引上げ等に関する請願(第三〇三  号)(第四二四号)(第四六三号)(第四六四  号)(第四七七号)(第四七八号)(第四八九  号)(第五三七号)(第五五八号)(第五五九  号)(第五六〇号)(第五六一号)(第五六二  号)(第五六三号)(第五六四号)(第五六五  号)(第五六六号)(第五六七号)(第五六八  号)(第五六九号)(第五八七号)(第六七七  号)(第七一二号)(第七一三号)(第七一四  号)(第七四六号) ○大学教職員賃金及び労働条件改善に関する  請願(第三〇四号) ○新潟県の寒冷地手当改善等に関する請願(第三  五六号) ○恩給法早期適正化等に関する請願(第三九一  号) ○公務員定年制反対等に関する請願(第四二二  号)(第四六五号)(第四六六号)(第四九〇  号)(第五七〇号)(第五七一号) ○公務員高齢者昇給ストップ反対に関する請願  (第四二三号)(第四六七号)(第四六八号)  (第四  九一号)(第五七二号)(第五七三号)(第五  七四号)(第五八八号)(第六七八号) ○同和対策に関する抜本的措置に関する請願(第  四三四号) ○恩給年金改善に関する請願(第五一〇号) ○共済年金等増額等に関する請願(第五二六  号)(第五二七号)(第五八三号)(第五八四  号)(第五八五号)(第五八六号)(第六〇五  号)(第六〇六号) ○国家公務員権利回復に関する請願(第五五〇  号) ○財務局の熊本市存置に関する請願(第五八一  号) ○横田基地の超大型輸送機飛行中止に関する請  願(第六八八号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  本日、中山太郎君が辞任せられ、佐田一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 参考人出席要求についておはかりいたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人出席を求めることとし、その人選は委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 足鹿覺

    足鹿覺君 最初に建設大臣にお尋ねをいたしますが、第一は、行政機構簡素化並びに合理化についてであります。すなわち、政府昭和四十五年十一月二十日、行政改革計画について、これは第二次でありますと称しまして、国家行政組織法等改正並びに地方支分部局等整理再編成について閣議決定しておいでになりますが、一方、行政監理委員会では、当面の行政改革事項に関する意見を十一月二十五日に提出をいたしておられます。その中で、建設大臣関係する問題として総合開発庁設置があげられておりますが、この意見書に見るような機構につきましてどのようにお考えになっておられまするか、それを伺いたいのでございます。
  7. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いま足鹿さんが御指摘のとおり、閣議におきましても、行政簡素化能率化合理化、こういうことで閣議でも決定し、その方針で進んでおるのでございます。ところで、建設省につきましては、総合開発庁は、これは建設省でなく、全体の国の行政の総合的な運営ということで出ているのでございますから、これについては、われわれも政府全体としてこれがきめられれば、これに協力するにはやぶさかではございません。  次に、地方組織として具体的にあげられました北陸地建の問題でございます。これは実は十二年前、私が建設大臣のときに、実は四国北陸地建設置することを提案し、国会の御承認を経てこれはやったものでございます。行政監理委員会では、一応検討の上、北陸地建は廃止してはどうかということでございまするが、御承知のように、北陸地方が、いままで公共事業、特に道路、水、あるいは土地政策等非常に立ちおくれていたのであります。そこで、やはりこれは機関設置することが、特に公共事業施行機関である建設省から見れば、当然いいだろうということで設置したのでございます。今日までも北陸地方公共事業の伸びは相当急速にあがっておりまして、特に最近におきましては北陸縦貫道高速自動車道路の問題、あるいは最近におきましては、水あるいは人的資源等から北陸方面にもかなりの産業の誘致が行なわれておる。そうした場合における社会資本の充実は、主として、これは建設省関係が担当しておる。こういう事情でございます。そういうために、この問題はわれわれとしてはこのまま存置していただきたいと考えております。しかし、一方におきまして、行政簡素化のためには、ダムの管理事務所等はできるだけこれは統合する、あるいはまた建設事務所についても建設省仕事は、どんどん仕事が終わっていきますれば、これは廃止して、また他に移転する、こういうような方針で進めてまいりたいと思います。今日まで、実は政府全体の中でいわゆる人員の増加と事業量からすれば、建設省は一番協力しております。事業量が十年前に比べれば数倍の多きに達しているけれども、むしろ人間は減っておる。こういうような状態で、行政合理化簡素化をしながら能率をあげることを努力しておる次第でございます。
  8. 足鹿覺

    足鹿覺君 この意見書によりますと、北陸地方建設局を廃止する方向意見が出されております。すなわち第六ページ以降に述べられておるようであります。これは行政監理委員会意見でありますから、必ずしも政府がそれと異なったことを出すからといって、直ちに法令その他に違反するという性質のものではないと思います。ただ、しかしながら、「行政機構簡素合理化推進について」という十一月二十日の閣議決定によりますと、国家行政組織法等改正に触れ、「行政需要の変化に即応し、効率的な行政の出現に資するため、国の行政組織内部部局等設置改廃政令で定めることとする等の措置をすみやかに講ずることとする。」と、こう言っておるのです。つまり現在われわれが審議しているような、こういうことはやめてしまって、政府だけが一方的に政令でもって内部部局等設置改廃をやるということ、内閣委員会は要らない。つまり官僚の一方的な判断によって、行政府の一方的な判断によって何でもできると、こういう重大な決議をしておるわけなんですね。これは日をあらためて大いに論議をすべきときがあろうかと思いますが、いやしくも行政機構簡素合理化については、国会に当然付与された権限を官僚によって握ってしまおう、そしてそれは国会審議権を奪っておきながら、一方においては行政監理委員会意見と異なったまつ正面から対立するような、そのような方針を出されることに矛盾を感じませんか。いわゆる国家行政組織法等改正といえども行政機構簡素合理化をやれというその大命題そのものは私は異論のないところだと思う。ただ、その方法として、現在の国家行政組織法部局等改正新設については、国会の議決を要することを取りやめようという重大な決意を政府はしておるようであります。一方、行政管理庁に置かれた行政監理委員会は、北陸地方建設局では企画室を部にするということはよろしくないと、こういう意見政府の最も期待をし、信頼をしておる監理委員会が出しておるということとぶつかっておる。だから、こういう問題については、政府が一方的にやるということは、はなはだ、国家行政組織法改正というようなことは、官僚国家を形成していく道であって、国会を形骸化していく重大な要因を持っておる、かように私ども判断しておるわけであります。矛盾の一端をここに暴露しておるわけですね。そういう点から私ども建設大臣の御所見を聞いておるのでありますが、あなた方は必要だとおっしゃる。また、行政機構簡素化方向として、監理委員会の唱えておるものについては要らないといっておる、その辺の見解の対立というものはいかように御判断になり、行政監理委員会にもその意見調整をなされておるのでありますかどうか、その辺の、その問題に限りませんが、大臣は長い間、建設行政に御在職になっておられますし、お詳しい方でありますから、少し広範かつ具体的な識見のあるところをお聞かせ願いたいと思います。
  9. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは私は足鹿さんか言われるように、国家行政組織法立場から見て、すべてその部局の、政府だけの、独自でやるということについては、これは私は非常に慎重に検討しなければならぬことだと思います。ただ、部局においても、課とか、室とか、そういうようなものについては、やはりこれは政府にまかしてもいいじゃないか、まあ問題は非常に国民立場から見て必要な部局設置等国民権利義務とか、そういうものに非常に関係のあるものについては、やはり国会の御審議を得るという立場が、戦後いろいろの行政機構設置改廃は、これは全部国会によってきめられるということになったことであると私も信じております。しかし、これはあまりにさまつまでいくことは、国会運営能率上、あるいはまた行政運営上、検討を加えるべきだというような反省から、私はこういうものが出てきたと感じているのでございます。そういう観点から見るとき、私は地方建設局というものを、極端にいうならば、いまほとんど全部が直営というよりも、みなこれは民間の事業体に発注させておる、県も執行体制を持っておるじゃないか。だからこれを全部廃止してもいいという議論は成り立つと思います、考え方によっては。しかしながら、現実にやってきた結果から見ますれば、やはり最近のように総合的な地域開発がぐんぐん進んでいってきておる。そうして国自身が、直接構築物そのもの官庁ではつくらないけれども、やはりこれを直接計画し、かつ運営するのが適当だというものが非常に多いという現在の状況からするならば、私は地方建設局というものの存在は全面的に認めていいと思います。そうしてくるならば、私は北陸という地帯一つの関連する地域と見ていいのではないかと思います。関東や九州や四国や東北があって、北陸だけは別だ、人口がいま希薄になっておる、事業量が他に比べてやや低いというだけで、これは廃止すべきだという議論については、私は建設行政運営上非常に異議があります。むしろ、私は北陸関係は、今後、先ほど申しましたように、いわゆる高速自動車道、これも急速にやらなければなりません。しかも、あの地方国道は、地形の関係から非常にこれは工事の難行地帯であります。国道も整備しなければなりません。それから同時に、あそこに最近においては都市計画が相当進んできております。これをやることによって、いま過疎化されておる地方公共事業社会資本の投資によってむしろ均衡ある発展ができる、こういう点から見るならば、私は北陸地建というものは存置すべきだという実は考えを持っておるのです。ただ、あれを関東の一部につけろとか、あるいは近畿地建に一部を持たせる、あるいは中部地建に持たせたらそれでいいじゃないかという、いわゆる行政機構を縮小するという観点に立ってのみ見るということは必ずしも私は妥当じゃない。私が十二年前に四国北陸設置することを国会に提案して御審議願ったときにも、これはぜひやるべきなんだ。四国とか、ああいうところがどうしても立ちおくれておるという——このときにはとの政党からもこういうものをやるのは機構の拡大でいかぬということは一つもなかったのです。むしろ、よくこれは決断したというような御支持を得てやってきていることであり、現在、関係地方自治体も、もしこれが廃止されるということになったら相当のショックも受け、従来の過去十数年間にわたるこれに対する非常な執着があるのじゃないか、こういう観点からいたしまして、せっかくの行政監理委員会の熱心な研究の結果の結論ではございますけれども、私はいま直ちにこれに賛意を表することはできない、こう思っておる次第でございます。
  10. 足鹿覺

    足鹿覺君 地方住民の声からいたしますならば、ただいまのあなたの御発言は非常に歓迎するところでしょうね。私は北陸というのは一例にあげたまでのことでありまして、別に北陸そのものをどうこうということ自体をいま議論しておるのではありません。政府行政改革計画というものを、簡素合理化計画というものを推進するということを一方で言い、そうしてその部局等設置改廃はすべて政令でいくのだという。そしてその行政簡素化を言い、一方でそういうことをやって、国会審議も経なければ、増員も可能であるし、縮小も可能であるし、全体として減る場合もあるし、全体として急激にふえる場合もあるし、何ら国会は関与できない。国会の、最高機関である立法府の何ら関与できないままに持っていこうという、国家行政組織法を一方に踏まえて、これを行政機構簡素合理化推進という大命題をつけて出しておる、またその線に沿って、行政監理委員会のその大命題自体に沿って、一例をあげて、北陸の局の問題についてたまたまあなた方と意見を異にしておる、こういうことになっておるわけなんです。その辺が、端的に言うと、この内閣委員会国家行政組織法防衛庁関係に関する法案等審議を主とした任務を持つものでありまして、いわゆるあなた方が閣議で決定されておるようなことがもし事実となって御提案になるということになりますというと、これは官僚王国を形成する一つの道へ通ずる。国会は何ら行政機構審議決定する権能を持たないことになりかねない。そういう点から私は二律背反的に、一方では簡素化、一方では、地方の実情はこうだからいろいろこれを分けることはできないから存置し、さらに部局を強化する、こういう政府の相矛盾した態度を私は不可解な態度だと考えておるわけであります。その点について、たとえば、先ほどこれは一般論だからと言って、大臣は、おいでになりましたが、その監理委員会総合開発庁設置構想というものについてはもっともな点も私はあると思う。地域開発について国の企画調整機構特定地域ごとに多元的に設置されておる。これに対して政府は、各機構を一元的に総合して総合開発庁設置したらどうかと、これは関係行政機構整理簡素化をはかるとともに、総合開発に関する行政の従来の姿勢の再検討をして、企画調整機能を刷新充実するために必要であるという見解から、経済企画庁の総合開発局北海道開発庁首都圏整備委員会近畿圏整備本部中部開発整備本部建設省計画局国土計画部門というものを合わせて総合開発庁試案なるものを提唱しておるのです。そういった面は私は一応、企画関係がばらばらであるために官庁のセクショナリズムが災いをし、総合開発に値するような実効をあげておらない事例は枚挙にいとまありません。したがって、行監がこれに対して一つ意見を具申したということは、私は妥当な見解だと評価しておるわけなんです。そういう点についてはいかように評価をされ、判断をされますか。これは大事なことです。特に建設行政がその中核をなすものでありまして、特にあなたのこれに対する評価なり、将来の構想というものを、総合開発に関する将来の構想というものの御所見を明らかにされる責任があろうかと思いますので、いま一応、くどいようですが、お答え願いたい。
  11. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 足鹿さんも御存じのように、実は北海道開発庁は、確か昭和二十五年か六年だったと思います、当時私は、当時の自由党の政調会長をしていて、北海道の戦後の食糧増産という面から、あるいはまたいまの戦災を受けた人々を受け入れる態勢からして、単に北海道庁にまかせられないというほうはいたるあれができまして、それであれは御承知のようにつくったものでございます。その後、今度は首都圏が、東京を中心として非常に水の問題、あるいは住宅の問題、道路の問題、これは総合的にやらなければならぬというので首都圏ができた。それから今度は、首都圏ができたならば、近畿圏をつくれ、中部圏をつくれということで、ああいうふうにできてしまいました。そのときから私自身は、こういうふうにブロック別につくるということについてはかなり批判的でございましたが、まあ現実にできてしまった。そうして私が今度は建設大臣になりますと、建設大臣、そうしてその身分のまま首都圏委員長である、中部圏、それから近畿圏本部長である、こういう状況であります。しかも、いま足鹿さんから御指摘になりましたように、こういうようなものはやはり総合的にこれはやったほうがいいということは私も同感です。その意味でこの総合開発庁、これをつくることについて、私は前向きで考えるべきだという見解を持っております。ただし、いま閣議でこれをそうするという方向づけもしていないし、いまそこを明確にこれはそうすべきだということをはっきり言うところまで実は熟しておりません。けれども、私はそういう方向考えるべきだということ、実はなくなりました川島正次郎さんが、どうだということを個人的に私に意見を聞かれたときには、私は賛意を表しておるという状況でございます。いずれ、これは政府全体として協議の上、そうした立法措置にいくかどうか、十分これは検討して、具体的な政治日程にのぼす時期にまいっておる、さように考えておる次第でございます。
  12. 足鹿覺

    足鹿覺君 建設大臣としては前向きで対処すべきであると、かように判断しておるけれども内閣全体としての意見を申し述べることはできないとおっしゃると、これは当然、内閣全体を代表することはできませんが、実務を総括しておいでになるあなたとしては、肩書きばかりたくさんいただかれて、さだめし調整に御苦労なさっているだろうと思うんです。お気持ちはわかりました。  そこで、もっともなことを行監指摘しておる。一例をもう一つ申し上げますと、これは高級官僚の天下りポストの問題に関連が出てくるんですが、たとえば首都高速道路公団と阪神高速道路公団とは、その公団の性格並びに地域は異なるが、都市高速道路の建設並びに管理を目的とした同種類のものであると私は判断してもいいと思うんであります。そういうふうな意味のことを言っているんですね。私も同感なんですが、こういったものを個々ばらばらにおつくりになることは、私は一方においては国家行政組織法改正まで意図する政府が、こういうものを次から次とおつくりになるということは、つまり官庁の高級官僚を必ずそこへ持っていく、そういうポストに見合ったような名前のものをおつくりになるのだという批判を受けられても、現状は弁明の余地のないような実情になっておると思います。首都高速道路公団には理事、監事、阪神高速道路にも同様に理事、監事というものがあり、これを代表するものが置かれておる。この種のものはもうあげれば何ぼでもあります。性格は違いますけれども、京浜外貿埠頭公団、阪神外貿埠頭公団、こういう同じようなものを別々につくっておる。地域が異なるということだけ、医療金融公庫、年金福祉事業団、社会福祉事業団、事業振興会といったようなものを、あなたの所管ではありませんけれども、あげれば何ぼでもあります。それはもうほとんど高級官僚が天下ってくる、そして退職するときには月俸の最初は百分の六十をとっておった。これを私は衆議院の時代に取り上げまして、政府の反省を促しまして、現在は若干世論も風当たりがきついし、あまりではないか、とにかく月俸がかりに二十万とするならば当初においては六〇%といいますから十二万が、あわせて三十二万の月給をとっているのと同じことになる。三十万、五十万というのはざらにあるでしょう。この問題は何か国民のための公団、あるいはその他の団体とはほど遠い高級官僚の捨て場所と言うと語弊がありますが、待遇のためにやられるような印象を非常に受ける。これは国民の批判も非常に高い、そういうことをどんどんおやりになることは伏せておいて、そうして国家行政組織法改正をやって、そうして部局改廃その他は官僚の手で一手に握り込んでしまう。国政の最高機関であるわれわれから審議権を奪うというような二律背反的なことをやられたのでは、これは国民は納得いたしません。あなた方がやるべきことをやって、どうしてもこれは国家行政組織法の一部改正をしなければならない、こういう考えに結論が出たならば、これはまたそれなりのあなた方の立場があるでしょうが、現実はますます多極化し、ますます多様化して、いろいろなそういう公団あるいは事業団、そういうものをたくさんつくって、そうして官僚王国の出店をつくっている、こういう現状は憂うべき現状だとお考えになりませんか。
  13. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 一般論としてはよく足鹿さんの御趣旨は私も理解できます。ただ、首都高速道路公団と阪神高速道路公団ができた理由については、御指摘官僚天下りのポストをつくるというように考えてやったのではございません。御承知のように、道路公団は、たしかこれは鳩山内閣のときにあれはつくりました。官僚でないものということで岸道三君を持ってきました。そうして全国の有料高速自動車道路をつくるということになったけれども、財政の関係でそれができないために、いわゆる名神が、それから現在東名になったのでありますが、この東京都の道路関係が非常に錯綜してまいりまして、道路公団でやるという場合には全部これは政府の財投でやらなければいけない。ところが東京自身は都内の道路の思いきった大改造をやるためには東京都も出資し、かつ東京都の周辺との関係において、いわゆる道路公団がやっているような全国的なこういう延長線よりも、首都圏を主たる道路改造の中心とする、しかも、都も、発言権もそれから都の財政上の協力、こういうものをやってつくらなければならぬという都側の強い要請もあり、それからもう一つは、端的なことを申し上げますと、道路公団一本で、しかも、今度は地域的に分けるということになりますと、実際にこれは実は予算といいますか、個所づけの政治紛争が起こって処理し切れない、そういうような形で首都高速道路というものを発足させたのです。  それからもう一つ、阪神のほうは、これまた東京都と同じような発想と、もう一つは、御承知のように万博を控えまして道路公団だけでやると現実にこれは間に合わない。しかも大阪のほうは非常に民間の協力態勢が積極的でございます。そういう観点からしても、実は御承知のように、あれは民間人の栗本君を理事長にし、現在は森寿五郎君というふうにしてこれはつくってやってきているのでございます。もちろんその理事、監事の中に役人さんが多数占めておることも事実でございまするが、これは一般から見ますれば高級官僚の天下りのポストづくりだと言われることもあるかもしれません。これをつくったゆえんは、そういうような形でございます。今後も道路需要はどんどんふえていく、ところが公団の仕事はどんどんふえていくが、それを消化するだけの能力がないということで、しかも、いま足鹿さんが言われたような非難を避けるためには、私は新しい発想を持って先般の特別国会地方道路公社法をつくりまして、これは地方自治体は地方を中心としてやりなさい、人事権も全部国から天下りをさせないのだというような方針をつくって、現実に立法を国会議員の皆さんの御賛同を得てつくった、これだけ私はくふうしているつもりでございます。ただ、私が就任してから新しくつくったのは本四架橋公団です。これは御承知のように、本四という二つを結ぶこの特定の目的で、しかも、これには技術開発が伴わなきゃできないというような形であれはつくったのでございます。しかも、これが鉄道と併用するということでいまの鉄建公団にやらせることもこれは適当でない、道路公団でやるにも、これは手が回らないということでつくったのでございまして、これは役人を天下りさせる、結果的にはそういう面もあるかもしれませんけれども、そういうあれではないと思います。しかしながら、全体として現在の公庫、公団等、これは整理すべきであるという一般論、私も賛成です。実は私は昨年まで党におったときには、それをだいぶ主張してきたことも事実です。特に日本における金融機関のごときは非常に細分化されている、これでいいのかという反省も持っておるのでございます。そういうような意味で、一般論的にこれから行政簡素化と、それから政府管掌の公団等、これを再検討すべき時期であるということについては私もあなたと大体同じような判断をしているのでございます。
  14. 足鹿覺

    足鹿覺君 大体ただいまの御答弁で先へ進みたいと思いますが、一点だけ。そもそも公団というもののできた、いろんなものがありますが、たとえば愛知用水公団というものが河野農相当時にできたのですね。これは非常に大きな問題になりまして、政府の特別会計でやるべきか、あるいは公団によるべきかということは基本論として非常に議論をいたしました。当時の政府の言い分は、これは多額の資金を必要とする、しかし、政府にはその資金が不足しておる、外資を導入し、民間資金を導入していかなければならないので、特別会計方式ではまかない切れないから、これは公団によるのである、こういう統一見解が述べられて、私どももそういう点においてこれは例外中の例外として非常に疑問を持ちましたが、現地を一週間調査をし、そしてこれが将来、長野県に発する木曽川の水を愛知県知多半島の末端までこれを導入し、一方は工業用水、一方は農業用水あるいは上水道、多面的な水の開発によって地域の開発に当たるのだというので、アメリカその他で開発されました技術を導入してやったのが一番大がかりな私は公団法の始まりだろうと思う。しかるに、最近の公団、公社その他これに類似するものは、政府の責任においてやれるものはいっぱいあるにもかかわらず、むやみとそういう外資の導入を必要とするとか、民間資金の導入をやらなければならないという、必ずしもそういう理由のみではなくしてこれをおやりになりますから、そして、しかもその責任者には、想像を絶する、国民の常識を逸脱したいわゆる百分の六十という高額のものを毎月毎月退職のときには月俸と同様に支給するというところから世論の高まりが出てきていることは先刻も申しました。そういう点から見ましても、国の特別会計において厳正にやるべきものはやる。ただし、どうしてもこれは資金や技術やその他の関係でできないものについては、私どももその例外を認めるということについては決して全部を否認するものではありません。しかし、最近の動向は憂うべきものがある。こういう点について当時の状況を申し上げて、さらに大臣の御善処を強く要請して次に移ります。もしそれについて私の見解が間違っておるかどうか、御所見を承って次に移ります。どうですか。
  15. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 実は道路公団をつくるときも、これは日本の技術、日本の資本ではいけないということで、アメリカの関係、世界銀行の資金も要るのだ、それから技術はアメリカのワトキンス調査団の協力を求めるというようなことで発足いたしております。それからいま御指摘の愛知用水、河野農林大臣のときに私は官房長官として一緒にあれをやったので、いま足鹿さんが御指摘のとおりでございます。そういう観点からして当時はやはり国家資金だけではできない、海外からの資金導入あるいは民間の資金を入れる、さらに民間の技術、これも活用するということで発足したのは事実でございます。したがいまして、御指摘の点は、今後も公庫、公団等の創設あるいは整理統合については十分配慮してまいるべきだと考えている次第であります。
  16. 足鹿覺

    足鹿覺君 まあこの問題であまり時間を費やすことは私の本意でありませんから、御答弁を了として次に進みますが、道路整備とその管理体制について伺いたい。特にこれは私は参議院に議席を得ると同時に災害対策特別委員長をいたしまして、そのとき飛騨川事件を取り扱いました。あれをめぐって国家賠償が現在起きております。私は当時、国家賠償にはなかなか時間を要する、まず当面自賠責を適用すべきであるという方針のもとに附帯決議を付し、それを実現して一人当たり自賠責の最高限度三百万円を遺族百四人に対しまして、当時の運輸大臣の中曽根さんがこれを認められまして、初めてあの種の災害に対して自賠責の適用があったわけであります。ところが、遺族はこれに満足せず、国家賠償法に基づいて賠償責任の現在行政訴訟を提起しております。ところが、これは昭和三十八年六月に高知県下で起きた落石事故をめぐる損害賠償請求訴訟の上告審におきまして、国道の落石事故は道路管理者の責任として、高知県の事故の遺族に対し、損害賠償五十万円の支払いを命じた高知地裁と高松高裁の判決を支持して、国側が敗訴した事実が最近に惹起しておるんです。これは最高裁判決でありますから、国が負けた。金額はわずかでありますが、五十万円を払えと、こういうことになって、いわゆる道路の整備と管理体制の不備であったことが、最高裁の判例によって確定したわけです。そこで、これは飛騨川事件にも微妙な影響をもたらすものだと私は思っておりますが、あの当時もいろいろとこの問題をめぐって——最近の自動車交通網の整備によってこの種の被害が続出しておる。たとえば、実情を申し上げますと、昭和四十三年十月現在では、建設大臣が管理される国道には、山間地で落石の危険があるところは二千六百十九カ所もある。地方道になると危険個所は無数にある。修理には多額の費用がかかるわけで、危険防止はとてもいつのことかわからないというのが大体言われておるんですね。そこで、大雨のときの交通規制等について、いろいろ対策を講じておるけれども、不徹底である。そこで私どもが車に乗って通りますと、あなたもおわかりのように、落石注意という標識を出しておる、あるいは路肩注意という標識を出して当面を糊塗しておられる。しかし、最高裁の判決によって高知落石事件で国が敗訴したということは、重大な国の責任に対する処置を求めておると解すべきだと思いますが、いかがですか。
  17. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおりだと思います。従来は、これはいわゆる無過失責任はないというふうな形でいきましたが、ああいう最高裁の判例ができました以上は、この判例を生かす道路管理体制をやらなきゃならないと思います。建設省の所管の道路管理はもとよりのこと、これは河川についても同様のことが言われなきゃならぬでしょう。さらに地方自治体においても、これに対応する積極的な改善、危険防止、あるいはまたそういう危険が迫って、しかも現在急にそれを改善する能力がないというものについては、交通規制等立ち入り禁止と、そういう損害の起こらないような万全の措置を講じなきゃならないと思って、それぞれの指導体制をつくっている次第でございます。
  18. 足鹿覺

    足鹿覺君 具体的に伺いますが、本年度からの道路整備五カ年計画中に、どの程度この種の危険個所の解消に対して具体的な計画をお持ちですか。
  19. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 道路整備の中には災害防除事業という項目がございまして、主として落石防止のための防護さくを設置しましたり、あるいは場所によりましては、トンネル式にしまして防止するような事業がございます。今回、二年ほど前の飛騨川事故の経験にかんがみまして、また先ほど御指摘のございました国道五十六号線の落石事故の判決等にかんがみまして、新しい五カ年計画におきまして、この災害防除事業につきましては特段に力を入れるべく現在作業中でございます。五カ年計画は来年の三月、閣議決定を目標に現在作業中でございますので、数字的にはまだ確定はいたしておりませんが、そういうところに全力を尽くすつもりで現在作業をしておる段階でございます。
  20. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの御答弁では私は不満であります。すでに最高裁の判決によって国、県が敗訴しておるのですよ。この画期的な段階を迎えたあなた方は、来年の三月でなければ言えない、こういうことでは私は満足できません。だから、本年度からですか、道路の整備計画の中でどの程度の解消に対しての予定を持っておるか。この最高裁の判決を踏まえて、これらの解消のためにはどう具体的に積極的に取り組もうとしておるのか。大体あなた方の質問に対する答弁は、これは今朝の理事会でも問題になりましたが、何でもそういう御答弁です。大臣の答弁以下ですよ。大臣のほうは大臣らしい一つの見識と一つの具体的な方向を示された。それに従ってあなた方は具体化される責任の地位にあるわけでしょう。それを大臣と同じような姿勢の答弁をなさったのでは審議になりません。もっと具体的に説明なさい。
  21. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) ただいまのおしかりごもっともでございますが、私たちのほうは作業的に現在進行中でございますので、数字的にはっきり申し上げられないような現状でございますので、そういうふうにお答え申し上げたわけでございますが、もうちょっと詳しく申し上げますというと、飛騨川の事故の場合と今回の八月の判例がございました五十六号の落石事故の場合は、若干性格を異にしております。飛騨川事故の場合は、われわれが申します道路が一応改築が済んだ個所になっておりまして、そこに、まあわれわれに言わせますというと、予想をはるかに越えた集中豪雨がございました。百十ミリをこえる集中豪雨でございまして、そういうところが一つでございます。それから一方の五十六号の事故と申しますのは、これは道路が全く未改良の状態にございまして、全然道路改良がなされていない道路でございます。こういうところに対する事故でございまして、性格的に若干異なります。飛騨川事故に対しましては、すでに事故の直後に全国に総点検を行ないまして、集中豪雨によってすでに改良が済んだところがくずれることのないように全国の調査を行なったわけでございます。その結果、簡単に申し上げますというと、たとえどこの改良が終わった区間でも、百ミリをこえますというと大体崩落する個所が全国にたくさんございます。こういう個所につきましては——いま百ミリというのは雨量でございますが、場所によっては八十ミリぐらいでくずれる個所があるかと思いますが、そういうところを個々に、ここの個所は何ミリになると崩落するであろうというふうな推定がされますので、そういうものにつきまして基準をつくりまして、ある区間で八十ミリで崩落が予想される場合には、八十ミリをこえた場合には交通規制を行なえ、つまり交通どめを行なえというような指導をしておりますし、なお、これは四十三年の事故でございますが、その年に直ちに全国の交通危険な個所には、ほかの改築事業を回しまして手当てしたわけでございますが、これは大体三カ年計画でもって、一番あぶないところは計画的に手直ししておるような状態でございまして、四十五年度——ことしは三年目になりますが、飛騨川事故から数えましてことしで一応の手当ては済むようなことにしておるわけでございます。一方、いまほどの五十六号線につきましては未改良の道路でございまして、なお、いまだに国なり、県なり、市町村なりが、道路管理者が全く金を入れていない個所であります。こういうところは全国に非常にたくさんございまして、これに対する金を積算いたしますと、無限大に近いほどの大きな金になるわけでございまして、これに対します手当てといたしましては、ことしの判決の出ました直後に道路局長通達によりまして、ちょっと簡単に前文を読みますというと、「道路管理者は「落石注意」等の標識を設置したのみで、防護柵等の設置、落下しそうな岩石の除去あるいは事前の通行止め等の措置をとっていなかったことについて管理の瑕疵があり、そのための予算措置を講ずることが困難であるからといって、責任は免れないものとしている。したがって、道路管理者においては、下記事項に十分留意のうえ、事故の防止に万全を期せられたい。」、これは先ほど先生御指摘になりましたが、従来、道路管理者はとても手が回らないということで「落石注意」というふうな標識をして防護さく等の設置をあまりしない個所が非常に多いわけでございますが、それでまあ、責任ないというふうな判断ではございませんけれども、とても手が回らぬのでやむを得ないというふうな考えを持っていたわけでございますが、それではとても、今回の判決に従いまして無過失の責任も問われておるというような状況でございますので、十分に注意をせよということを前文に書きまして、まず第一点は危険個所の総点検を行なっております。それに従いまして交通規制の基準を定めるように示しております。それから道路の巡回点検、これが必ずしも十分じゃございませんので、これの実施の徹底をはかることを指示しておるわけでございます。いま申し上げたのは八月の事故でございまして、それからいま資料をとりまして、それに基づきまして積み上げ計算中でございます。やはり調査いたしますには二、三カ月を要します。それに基づきましてこちらに集まってきたものを整理いたしまして、積み上げまして五カ年計画の内容に盛り込むわけでございまして、現在その作業中の段階であるということを申し上げておるわけでございます。
  22. 足鹿覺

    足鹿覺君 これを相当の有識者に言わせると、日本には道路はない、道路予定地があるばかりだ、こう酷評しておる人もあるのです。やたらに道路網を広げるばかりが能ではない。いわゆる安全をいかに保証するかということに当面総力を注がなければならぬ、私はかように思います。つまり「落石注意」標識を立てるということだけではいけない。これはお認めになっておる。また総点検パトロールを指示しておられるということは、これは妥当だろうと思います。だが、注意標識のほかになすべき当面の対策は、たとえば防護さくを完ぺきを期するとかというような防止施設を緊急に講じなければならないと思われる個所はどれくらいありますか。もう少し、抽象的な答弁もけっこうですが、私どもは理論闘争しておるのではありません。いわゆる万全を期するといっても、一挙にして事はならぬことくらいは知っております。金も伴います。よく存じております。だから、当面「落石注意」の注意標識を立てておる中で防護さくやその他の防止施設を緊急にやらなければならないと思われる重点的なところがどれくらいあるのか、これに対してはどういう対策を講ずるのか、   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕 そういうやはり答弁がなされないと、質疑応答の空疎、実のある質疑応答とは言いがたいのではないでしょうか。
  23. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) ただいまの五十六号線に伴う落石事故に関連する調査の数字がいまだ全部そろっておりません。したがいまして、現在の段階ではどの程度かということはお答えできないわけでございますが、非常にたくさんあるというふうに判断されます。と申しますのは、県道、市町村道、これは特に山地に入りますというと、ほとんど落石事故の起こり得る可能性があるところがたくさんございますので、これらの数字は非常に大きな数字になろうかというふうに判断されます。現在のところは資料が全部そろっておりませんので、概数をお答えできない状態でございます。
  24. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは大臣にお伺いいたしますが、いまのような御答弁では非常に手ぬるいんじゃないでしょうか。やはりパトロールの強化、あるいは落石注意のところを首をすくめて通るとか、そういったようなことでは済まされない。それから、これから降雪期に入りますが、先ほど問題になりました北陸にしましてもそうでしょうが、そういう雪解けのときにおける不慮の災害、いろいろのことを考えて、道路が通常持つべき安全性をいかにして確保するか。一ぺんにやれとは言っておりません。そのためには当面防護さくとか、その他の施設をもってまず急場をしのいでおく、そうしてパトロールを強化して通行の安全をより緊密に連絡をする、こういう具体的な施策がまず当面の応急策としてとられ、総点検の結果に基づいてさらにこれを具体化していかれる、こういう基本的な二つの考え方に立って対処されなければ、この最高裁の国の敗訴の苦い経験を再び繰り返すことになるのではないでしょうか。その点に対して大臣の御所見を承りたい。
  25. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 道路について、一体最近なぜこういう事故が多く出てきたかということになりますと、従来は日本にたくさん道路がありましたけれども、モータリーゼーションがここまでいっていないために、たいてい市町村道は人間が歩くところである、せいぜい馬車が通るところであるということがいままでの道路の概念です。しかるに、最近はモータリゼーションの進行とともに、相当危険な道路までドライバーがどんどん行っちゃう。道路をこわし、かつ、自分が危険なことをやっているというところに問題が出てきたのでございます。しかも、国道のほうはこれはいろいろパトロール、あるいはまたいろいろの予防措置を講じているのでありますが、町村道に至りますと、これはほとんど手をつけていないというような場合が多いのでございます。そこで、いま足鹿さんにおしかりを受けたけれども、いままで市町村自体が自分の管理する道路についての把握が十分でありません。そのために危険な個所に対する把握が十分でないから、これは徹底的に調査するということをいま命じたわけでございます。それがいままだそこまで把握できないというところでおしかりを受けているのでありますが、これはできるだけ督励して把握いたしたいと思います。それで、いま現在われわれのほうで重点を入れているのは、足鹿さん御指摘のとおり、冬季交通、あるいは冬季になった場合に雪解け等で危険な個所があるであろう、そういうところについては、こういう事故が起こらないように防護措置を講ずべきもの、またそれが時間的に間に合わない、危険が相当可能性があるというところについては、たとえ国道といえども道路の一時閉鎖ということをやらざるを得ない、こういうようなことで指導いたしておるのでございます。おしかりを受けたようでありまするけれども、いままではみんな市町村が自分の市町村道すら十分把握していない現状なものだから、こちらの指示がいっても資料をまとめきれないでおる。ここで事務当局としては、国会で御質問を受けた限りにおいては、いいかげんな答弁ができない、資料がまとまらない、なかなかまとまらないといったことが実は非常に怠慢のように見えますが、従来の経緯からしてそうなったので、できるだけこれは督促をして把握をいたし、事態に対処する指導方針を進めたいと思います。
  26. 足鹿覺

    足鹿覺君 法案そのものに対する質疑はあとへ回しますので、午前中の質疑はこの程度で終わっておきたいと思います。
  27. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      —————・—————    午後二時二十三分開会
  28. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑の方は順次御発言を願います。
  29. 足鹿覺

    足鹿覺君 午前中の質疑で一点だけ法案関係外の一般論で落としておりますのでひとつお尋ねをいたしますが、新都市計画法の線引きも全国的に相当進んだようでありますが、これは私の居住しております米子市の市街化区域と調整区域における線引き作業が、たびたびの県の督促にもかかわりませず、農業委員会や市会議員等の反発もありまして難航を重ねて、十一月十五日の市議会の協議会では時期尚早として見送る態度がきまったのであります。ところが今月の四日に鳥取県知事石破さんから市に対し、建設省は線引きができなければ同省関係の米子市の明年度新規事業予算は認めない方針であるとの連絡があったため、あわてた市はもう一度この問題を検討することになったと伝えられておりますが、線引きで建設省が明年度の新規事業に関する予算一般に対してどうかつを加えるような意味にもとられかねないと思うのでありますが、そのような事実がありますかどうか、この点を伺っておきたい。
  30. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいまのお尋ねの点は、そういうこと私どももときどき耳にいたしますが、建設省としましては、公式には、正式にはそういう線引きに関連いたしまして来年度予算の新規事業云々等をからめまして補助金をつけるとかつけないとか、そういうことを申し上げたことはございません。
  31. 足鹿覺

    足鹿覺君 公式にはとおっしゃいますが、非公式にはあるのですか。
  32. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは線引きは、御案内のとおり、これから都市政策を進める上におきましての基盤になる作業でございまして、線引きが行なわれて初めてそれから十年間の今後の都市整備を進めていくという性格のものでございますので、私どもはそういう趣旨で早く線引きを完了していただきたいと、こういうことで各都道府県にお願いを申し上げておるわけでございまして、非公式にそういうことが言われておるかどうかということについては私はよく存じませんけれども、少なくとも責任者である私どもは、そのことに関しましてそういうことを申し上げたことはございません。
  33. 足鹿覺

    足鹿覺君 まず聞くところによりますと、まだ全国的に線引きは完了しておりません。それはなぜかと申しますと、市街化地域に対する線引きの中に入ったところについては、農地といえども、過般、自治省が発表いたしましたような段階的方式か、あるいは何らかの方式によって宅地並みに課税をすると、いう点について非常に線引き内の農民は不満を持っているからだと思います。また線引き外の調整地域における農民はなかなか今後宅地化が求められても容易にこの宅地化に地目の変換が認められない、こういう、農民として見ればきわめて重大な岐路に立っておればこそ、これはある程度必要と認めても、なかなか指導機関の言うとおりにはそう簡単にいかない、この経緯の困難さはお認めになり、私どもいわゆる農業地域振興法を審議した際にも、建設省をお招きいたしまして、よくその辺は農民の合意を、関係者の合意を得て納得の上でやるという御言明をしばしば受けておったことは、あなたは後任でありますが、御承知のとおりだろうと思います。よもやそれを否定なさろうとは思いませんが、いやしくも知事をもってそういうことを、米子市の明年度新規予算は認めない方針であるということの連絡をせしめるということは、ただ例にあげた米子市のみならず、他のいまだ線引きの終わらない地域に対して、そういうどうかつ的なことが行なわれておるかのごとき印象を受けまするので、この際そのような、合意のためのどうかつ、あるいは強要に類するようなことは絶対にないことをこの際御言明を願いたい。はっきりしていただきたい。
  34. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいま先生の御指摘のとおり、よく私どもの部下に対しましてそういうふうな軽率なことを申し上げないように十分注意をしてまいりたいと思います。私どもの目下の見通しでは、本年度末、来年の三月までにはほぼ当初の計画どおりの線引きは完了するというふうに期待を持っておりますし、おそらくそこまでいけると思います。そうなりますと、来年度の予算でございまして、ただいま議論のありましたようなことはなくなると、私は確信をいたしております。御指摘の点については十分今後注意してまいりたいと思います。
  35. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは法律案そのものの問題点について簡単に触れてみたいと思います。  最初に、企画部関係でありますが、第六十三国会に提出されましたが、本院において審議未了になりました。このためにこれらの四地建は現在も企画室であるわけでありますが、企画部に改組されなかったことにより、これらの地建企画室は事務処理等につき、何か影響を受けたか、受けたとすれば、それはどのようなものであり、またそれに対してどのように対処してまいられましたか、承りたい。
  36. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 御承知のように、近年公共事業事業量も非常に伸びておりますし、また社会経済各般の変化が激しい時期でございますので、この国土の均衡ある発展のためにはいろいろ国土計画、地方計画の調査を徹底して計画的な事業を進めたいということで、企画室の担当する事務量は近年非常に増加してまいっております。またそれに伴いまして、他の官庁なり事元公共団体、市、そういうところにいろいろ折衝する事務もふえております。そういうことで企画部ということになり、企画部長ということに担当の責任者ができますならば、その辺のことが非常に円滑にまいると思います。まあ室長のままであったから特段に支障があったということはございませんけれども、部ということで責任ある部長が局長にかわっていろいろ折衝に当たるということになれば、その間のことが非常に円滑にいくであろうというふうに期待しております。
  37. 足鹿覺

    足鹿覺君 現在これらの四地建企画室には企画部と同じ企画課と技術管理課の二課が設けられておるということですが、ほんとうですか。
  38. 大津留温

    政府委員(大津留温君) ことしの六月にこれらの室にいま申されました二課を設置いたしました。
  39. 足鹿覺

    足鹿覺君 第六十三国会は五月十三日に閉会したと思いますが、建設省はそのわずか三日後、すなわち五月十六日には省令をもってこれら四地建企画室に企画部と全く同じ二課を設けた、つまり実質上の企画部に変更したと同様な措置をとっておられる。企画部長がいないことを除いて  は企画部と全く同じていさいを整えてしまわれました。これはいま官房長の御答弁で明らかであります。この建設省省令第十一号がこれを裏づけしておりますから申し上げませんが、これでは国会  の審議なしに、先に中身をつくってしまい、あと  からそれを国会に追認させるだけのことではありませんか。この点はなはだ遺憾に思いますが、先回も先回も流れたということは、これは国会それ自身審議権立場からさようになったのでありまして、それが待てない、実質的に追認を求めるだけのような措置をとられなくても、いま言ったようなことをされるということは、言うならば国会軽視と、こういうことにならざるを得ないと思います。この点は建設大臣、一日一刻を争う問題ならともかく、室を部にするというようなことは、私どもといえども天下の大事とは考えておりません。休会中といえども国会は開かれているわけであります。閉会中審査しているわけであります。なぜこういう措置を、暫定的に省令で措置を取ったと、こう取りたいがと、こういうやはり順序を踏まえることが私は常識ではないかと思う。だから形式論を言うわけではありませんが、国会軽視というような大げさなことばを使わなければならないような遺憾な事態が起きるのではないでしょうか。その点いかがですか。
  40. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘の点は私もよく理解できます。弁明のようになりまするが、先ほど官房長が申し上げましたように、これらの四地建の所管する地域におきまして、最近におけるところの公共事業が非常に増大し、特にこの調査あるいは用地取得と仕事が非常にふえておる。そういう関係から行政上の必要、それから地方のそれぞれの自治体の利便のためにやったことでございまするが、もとよりこれは法律違反ではありませんけれども、部の設置というものとの関連において、国会軽視する意思は毛頭なかったのでありまするが、そういうふうに取られるということになりますれば、はなはだわれわれとして連絡が不十分であった。非常にその点は連絡の不十分であったことは御指摘のとおりと思います。これは御承知のように、慣例として従来は地方建設局の部の中には課を置いておりませんでした、従来。そういう例も、置いたこともあるようでありますが、慣例としてそれはなかった、けれども必要に迫られてやってしまった、こういうわけであります。特にその点は(「遺憾の意を表明しなさいよ」と呼ぶ者あり)それだから、私はその点は連絡不十分であったということは申し上げるのであります。これは国会は軽視しておりません。
  41. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は率直な御答弁がいただけるものだと思っておりました。先ほども言いましたように、これが天下の一大事だというような、そういうものではありません。あなた方が省令でもって勝手にさっさとこういうことをされたということについては、国会を軽視をしておられるのではないかという疑いを持つわけです。これは俗に一事が万事と申しまして、そういうことが発展いたしてまいりますと、国会軽視の大きな問題もこれにつながってくる可能性があります。事は小なりといえども、法律に定められているとおりおやりになることが国会の意思に従う行政庁の責任ではありませんか。それを私は申し上げておるのであります。これはいつの国会か、第六十一国会において同席の石原幹市郎君の質問等がありまして、部と室はどこが違うか、こういう質問が出ておるのであります。その際に説明員の平井進君は、「一般的には部制と申しますのは、大体ピラミッド型の体制のもとに、部長の指揮監督のもとに課なり何なりの組織を置きまして仕事をする体制が、一般的にはとられておるわけでございます。それから、室と申しますのは、これはそういうピラミッド型の体制ではございませんで、一般的には室員が集まっていろいろ仕事をする、そういう何と申しますか、指揮監督と申しますか、そういう指揮命令の体系で仕事を処理するというよりも、むしろ室員がみんな寄り集まって、室長のもとでまとまって仕事をする。」、このようなものでありますと答え、「部と室は、それぞれ個々に比べてみますと、端的にそういう差のあるものもございますし、」と、はっきり答えておるではありませんか。これは与党質問に対してお答えになっておるのです。それだけはっきり、ちゃんと制度というものはその部と室によっては性格が異なってくる。それを国会における法改正が手間取るがゆえに、これを無視して省令をもって二課を設けられて、これは連絡が不十分だと、あなたともあろう老練な方が、連絡不十分ということばでは、私はどう考えてみてもあなたの誠意ある御答弁とは受け取れません。率直に遺憾の意を表明されますかどうか、もう一度伺います。
  42. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私が申し上げたのは、国会軽視ということでありまするが、これは法律違反ではないということをまず私は申し上げたわけであります。これは御承知のように法律違反ではございません。法律違反になったらたいへんなことです。それはやりません。ただ、従来の慣例と申しますか、これは室のもとには課を置かないという一つのいままでのやりきたりであります。それを、いままでの慣例を平井君のときに申し上げたのだろうと思います。それは、連絡不十分であったというのは、先ほどあなたが休会中でありといえども国会は開かれておる、もしそういうことをやるなら、こういうことでこういう政令でやりますということを言うべきであった、こういう御発言があり、そのとおりだと思いまして、その点は連絡しなかったということを私は申し上げたのでございます。これは国会軽視という気持ちは毛頭なかったということを申し上げることが私の主たる答弁の要旨でございます。
  43. 足鹿覺

    足鹿覺君 遺憾の意は表明されないですか。あんた、便宜的にかりにということばを私はさっき申し上げた。国会は閉会中審査も行なわれております。それは五月十六日におやりになった。それは国会が済んで三日後ですよ。日にちの三日の差でもって、こういう法律に書いてないことをおやりになることは法令にも反するし、同時に、次の閉会中審査等の機会に、あなたは、大体こういうことで近代社会の急激な変化に即応するためには不十分だ、大体こういう気持ちで運用させてもらいたいと思うというような意味を当該委員会なり、わが委員会が当然でしょうが、開かれておるわけですから、少なくとも、そういうことをおすすめするわけではありませんよ。だけれども、必要やむを得ないという御趣旨でありますから、そういう措置もとることなく、国会が閉会したら間髪を入れずにやられること自体が私はおかしい、こう言っておるのです。その点について遺憾の御表明はないのですか。
  44. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 弁明になりますからこれ以上申し上げませんが、そういう措置がなされたことについて国会の皆さんに非常な国会軽視の危惧を持たせたことは、これは遺憾でございます。今後十分に気をつけましてそういうことのないように注意したいと思います。
  45. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 先般来の資料要求等につきまして御発言を求められておりますので、これを許します。
  46. 上田哲

    ○上田哲君 当委員会でさまざまな機会をとらえて審議をしております諸案件の中で、特に防衛問題にかかわる事項について資料の提出が非常に滞っております。再々にわたって委員の正式な資料提出要求手続に対して、その資料を提出することを約束されておりながら、結果的にはほとんどその提出がないという実態が多く、今国会の冒頭において、当委員会の一致した見解として委員長からその点を確認したこともございます。しかるに、その中で、前々委員会で矢山委員から提出を求められ、理事会の預かり事項となっておりました資料要求については、今日まで委員会の手続上の問題も含めて、全然結論が出ずに持ち越しております。この点について防衛庁側から十分な御説明をいただきたいと思うことが一点、また、これに関連して、これを氷山の一角とする多くの資料の未提出部分があります。これについても御説明をいただきたいというのとあわせて二点。それからもう一つ重要な点は、そうした背景の中で、一昨日、昨日と二日間にわたって防衛問題の審議を行ないました際に、特に巷間伝えられるアメリカ軍基地の撤退計画の交渉について、各委員から再三にわたって交渉の進捗状況について説明を求めたのに対して説明がはなはだ足らず、しかも、事態はこれときびすを接していろいろな形で明らかになっていくという、つまり国会審議の場、国政調査権を基本的に失わしめるような事態が陸続として続いております。この点について当委員会は、与野党の別なく、ともに一致した見解を先ほど理事会で決定をし、当局側からの十分な責任ある説明を求めることにいたしました。責任ある答弁を要求いたします。
  47. 八田一朗

    ○八田一朗君 私も委員長がたびたび言われたように、資料要求、それからいまの上田委員の述べられた発言、全く同感であります。防衛庁、誠意を持って御答弁願います。
  48. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 防衛庁への資料要求につきまして御批判いただきましたが、従来資料要求が滞っておりました点については、まことに申しわけございません。今後最善の努力をしまして、御審議に差しつかえないように努力をいたしたいと思います。  ことしの通常国会の際に、矢山先生から御要求のありました、その後、理事会で御審議をいただいておりました自衛隊に対する講演者の講演内容の資料提出のことでございますが、その後、調査をいたしましたけれども、当時、速記等をつけておりませんで記録等が残っておりません。したがいまして、この点は、実際問題として御要望に沿いかねる事情でございますので、その点は御容赦いただきたいと存じます。ただ、今後のことにつきましては、講演者の御本人の承諾をいただきました場合には、今後、国会の御審議にお役に立ちますように最善の努力をいたしたいと存じております。  なお、米軍の基地問題等につきましては、鶴崎参事官からお答えいたしたいと思います。
  49. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) ただいま先生から御指摘のございました米軍基地の最近におけるいろいろ情報の問題、これに関連する国会審議の問題等、御指摘のような事態が生じておりますことにつきましては、はなはだ私どもとしても遺憾と存じます。  今後は資料の提供その他いろいろな面におきまして、国会審議を最優先で考えるということで努力いたしたいと思いますので、御了承をお願いいたします。
  50. 矢山有作

    ○矢山有作君 いま防衛庁から御答弁いただきましたが、私どもは自衛官の精神教育というのは防衛庁としてはきわめて重視してやっておいでになるだろうと思うのです。ところが、それをやっておるのに、私も指摘しましたし、それから昨日でしたか、山崎委員からも指摘がありまして、陸曹用の精神教育の問題については実物を提示して、これをもとにしてやっておるだろうということで徹底的に追及したわけです。そういうものはすでに廃止をされて、ない、やっていない。ところが、私は精神教育をやるのには、それぞれの部隊の責任者に全部まかせてしまって、内容は何をやってもよろしいということにはなっておらぬと思うのです。必ず自衛官としてあなた方がふさわしいと考えるような教育をやっておるに相違ないと思う。それは何をよりどころにやっておるかというと、いわゆる自衛官の心得をもとにしてやっておると、こうおっしゃる。ところが、自衛官の心得の内容を読んでみると、教育のあれは、あの問題をもとにして教育をする場合には、よって立つ思想的な立場の相違によって全く逆の教育だってできるわけです。たとえば、憲法を尊重した教育をやる。しかなしがら、憲法を尊重する立場の中にも、自衛隊を是認する立場と自衛隊を否認する立場とあるのは明らかなことだ。そうすれば、一つの基準というものを持たずに、自由に教育をまかせておるということになれば、憲法を尊重するが、しかし、自衛官は、自衛隊は憲法を尊重するだけに、否認という立場に立って教育が行なわれるかもしれない。そう考えるなら、私は精神教育に対する一つのテキスト的なものは必ずあるに相違ない、こう思っておるわけです。ところが、あなたのほうはないと否定していなさる。であるとするなら、私はそれぞれの学校なり、あるいは自衛隊自体の中で、講師を呼んで精神教育の一端としていろいろのお話をさせる。そのお話の内容がどういうものであるかということについては、防衛庁としてはきわめて深い関心を持っているはずなんです。であるにかかわらず、国費をもって自衛官教育をやるそういうもろもろの講師の講演内容が記録をされておらない。これまた摩訶不思議なことなんです。全く自衛隊は精神教育については軽視しているのだ、重視していないのだということになってくるはずなんです。私はそういうことはあり得ぬ。おそらくどこの部隊でも、だれかを頼んで講演をやらせる場合には、その方がどういう内容の講演をやるかということについては、きわめてあなた方は重視しておられるはずなんです。しかも、あなた方が考える自衛官としてのあり方という立場から、その内容を重視しておられると思うんです。そうすれば、当然こんなものについての速記、記録というものはあるべきなんです。それがないというのは私は信用できない。しかし、ないとおっしゃるなら、またこれは一面から言うならば、これはまた無責任な話だと思います。一体、どういう教育をしておりますということが、国会の場で論議の素材として提供できないというのは、防衛庁としてはこれはきわめてずさんであり、無責任なやり方と言わなければなりません。ですから、いままであなたのほうから答弁がありましたが、一応きょうのところはそれはそれとして受けておきます。しかし、今後は精神教育を重視しておられる防衛庁として、自衛官にどういうことをやっているんだということが、実際にわれわれの納得できるような、われわれに信頼感を持たせるような資料をもって明らかにしてほしいと思います。われわれもそういう点は、今後もあなた方に特にただしていきたいと思っております。以上です。
  51. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 委員長からも申し上げておきますが、防衛庁側に対して申し上げておきますが、こうした問題につきましては、きのうも当委員会におきまして注意を喚起したばかりであります。ただいま官房長、鶴崎参事官から御答弁があったわけですけれども、今後ひとつほんとうに誠意をもって対処してもらって、行き違いが絶対に起きないように特に重ねて御注意を申し上げておきたいと思います。
  52. 足鹿覺

    足鹿覺君 行政管理庁おいでになっておりますか。——行政管理庁に伺いますが、国家行政組織法地方建設局のような地方支分部局の内部組織については何ら触れておりません。各設置法にゆだねられておるようでありますが、一般的に言って地方支分部局の内部組織についても、本省の内部部局の規定が準用されると解釈をしてよろしいかどうか、この点を伺います。
  53. 平井進

    説明員(平井進君) お答え申し上げます。  国家行政組織法につきましては、いま先生御指摘のとおり、いわゆる地方出先機関地方支分部局と申しておりますものにつきましては、中身をいかようにきめるかにつきましては、国家行政組織法で直接規定をいたしておりません。したがいまして、国家行政組織法では別の法律の定めるところによりということになっております。この例で申し上げますと、建設省設置法がその当該法律でございますが、その法律の中でいかように定めるかということをきめる、法律的に申し上げますとそういうことになっております。そのきめ方は組織法では特に準則を設けておりませんので、従来の戦前からの長年の慣行その他のこともありまして、でき上がっておりましたものをだんだんに引き継いでまいってきておる実情でございますが、現在の設置法では、出先機関をどこに置くか、地方建設局をどこに置くかということは、これは当然法律で定めますし、その管轄区域もまたしかりでございます。  それから内部の組織につきましてはどういう仕組みで設けるかということは、これは出先機関の規模によりまして、いろいろ政令できめるものもございます。あるいは省令できめる場合もございます。あるいは法律できめる場合もございまして、画一的な基準というものは現在ございません。したがいまして、その内容によりまして法律、政令または省令以下でそれぞれきめておるというのが実情でございます。
  54. 足鹿覺

    足鹿覺君 わかりました。建設省に伺いますが、国家行政組織法におきましては室は課に準ずるものであるので、これは組織法七条6項にあるようでありますが、少なくとも室は課と同程度か、それより縮小された機関と解すべきものだと私は思いますが、いかがですか。
  55. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 御指摘のように、国家行政組織法七条に、「官房、局及び部には、課及びこれに準ずる室を置くことができる」というふうになっております。しかし、一般的に各省とも、本省あるいは出先機関に室という組織を設ける場合が従来からございますが、ただいま御指摘国家行政組織法七条にいうところの室というのではなく、従来の慣例から、課の下、あるいは課と並ぶというふうな形で室という組織を設けておると、こういう例が多く見られます。建設省でもそういう例がございます。
  56. 足鹿覺

    足鹿覺君 この四地建に設けられた各地建の各室員は何名ですか。
  57. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 二十六名ないし三十四名でございます。
  58. 足鹿覺

    足鹿覺君 しからば、本省における課と何ら選ぶところはないじゃないですか。したがって、現在企画室のもとに二課を設けておられるということは妥当ではないと私は思います。これはこれ以上申し上げませんが、先ほど大臣も遺憾の意を表明されましたからこれ以上申し上げませんが、現に六十一国会で、室と部の違いについて、あなたは、室には課は置かない、部には課を置くというようなふうに承知しておると答弁しておるんですよ。しかも、与党の石原理事の質問に対して、部はピラミッド型のものだ、室は寄って協議をする合議制のものだ、本質が違うという答弁をしているんです。そしてあなた自身が、室には課は置かない、部には課を置くというようなことに承知しておるという口の裏がかわかないうちに、大臣が遺憾の意を表明せざるを得ないような、そういうことをやることは独善的なことでありませんか。大臣をないがしろにして、補佐の責任を全うしたとは言えぬではありませんか。
  59. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 御指摘のように、まことに大臣に対する補佐が至りませんで、はなはだ申しわけございません。ただ、実態は、先ほども申し上げましたように、まあ御理解いただけるかと思いますけれども、非常に仕事がふえまして、四つの地建は部並びに課という形でやっておる、残された四つの地建は、仕事がふえるのに、室、その下の係ということでははなはだ事務処理上も不十分な点がございましたので、やむを得ずそういうことにさしていただいたわけでございますが、今後そういう点は、一切そういうことのないように注意いたします。
  60. 足鹿覺

    足鹿覺君 行管に伺いますが、室に二課設置することをあなた方はお認めになりますか、いま私どものやりとりを通じてお聞きになって。いかがですか、それは。
  61. 平井進

    説明員(平井進君) お尋ねは地方支分部局の内部組織についての問題であると理解をいたしますが、これは先ほどお話がございましたいわゆる中央省庁におきます課、室の問題とはやや趣を異にした、地方出先機関の内部組織の問題でございます。そこで、地方支分部局には、通例、いわゆる大きなブロック機関でございますと、大体、局長のもとに幾つかの部制をとるのが通例でございまして、大体の出先機関は部制をとられておる。ただ小さな役所では、部制をとらずに、いきなり課制、あるいは室とか、あるいは特殊ないろいろ官が並んでおります。ここで地方建設局におきます室と、それから部とはどう違うのかということが実はあったわけでございますが、これは先般もちょっと本席で申し上げたわけでございますが、これは実は非常に明確な定義があって、さい然と分かれているというわけではありませんので、行政運営上の便宜から、ある場合には部制をとる、ある場合には室制をとるということもございまして、これは中央省庁についても同じようなことがあるわけであります。したがいまして、室の下には全く課というものが置けないのかということに対しましては、理論的には全く不可能とは思いませんが、一般に申し上げまして、大体、部制の場合には当然その下に課制というものが予想されておる、しかし室の場合には、大体、そういう課制を下にしくということは、当初はそう予定をしていないものであろうというふうには考えられるわけでございます。しかし、かといって、じゃ、全く課を下に置くことが不可能であるかといいますと、それは論理的に不可能ということにはなりませんので、その辺は非常に、行政運営の側面から考えまして、組織というものが本来非常に明確な定義づけをされておらないものが多いわけでございまして、その辺は行政の便宜で多少弾力性があるものであると理解しております。
  62. 足鹿覺

    足鹿覺君 同法の精神によりますと、地方支分部局にもその精神は援用されるのが当然のものだという解釈がいただけると私は思いましたが、何かいまのあなたの御答弁は、非常に、時計の振り子のような弾力性のある、どこからどこまでがまとまった、き然たる態度かわからなくなる。行政管理庁というものはそういう便宜な解釈を始終やると、あなた方の存在自体を否認することになりますが、そこで伺いますが、室に二課設置することを認めた理由として、いまあなたは弾力的な考え方をお示しになりましたが、現在または過去において、行政機関において室の中に課が設置された例があるか、それをお示し願いたい。あなたはあるようなないような答弁をしたから。
  63. 平井進

    説明員(平井進君) 私の記憶では、そういう前例はないように記憶をいたしております。
  64. 足鹿覺

    足鹿覺君 それではなぜ先ほど私に対してああいう答弁をなさったんですか。
  65. 平井進

    説明員(平井進君) 先ほど申し上げましたのは、一般の原則といたしましては、そういう室の下には課を置かないというのが通例の原則でございます。したがいまして、私どもはできるだけその線に沿って機構を整備をしてまいりたいというつもりは絶えず持っておるわけでございます。
  66. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの御答弁が本音で、前の答弁はあれは臨機応変の、切り抜けの答弁ですか。あまりしろうと扱いにしないでくださいよ。常に誠実に答弁してください。
  67. 平井進

    説明員(平井進君) 先ほど申し上げましたのは、原則論と、それからいろいろ例外としてそういうことが起こり得る可能性があるかないかということに対しまして、そういう可能性が全くないということはございませんということでございまして、原則論として貫くべきは貫くたてまえでございますが、現実の問題としまして、やむを得ずそういう場合を認める場合も、全くないか、あるかということに対しましては、これは一〇〇%ないということは実は申し上げられないわけでございまして、原則論としては、申し上げましたとおり、そういう部と並ぶ室がございました場合には、そこに課というものは当然に予想しておるものではないということはそのとおりでございます。
  68. 足鹿覺

    足鹿覺君 まあ、あなたの御答弁はちょっと真意を解しがたい点がありますが、まあこの程度でいいでしょう。  企画部の効果の点について次に伺いますが、六十一国会で、四地建企画室を企画部に改組したときの理由は、行政の効率的な執行をはかり、業務量の増大に対処するために、部制にして強化する必要があるということであったと思うのです。そこで、この室制を部制に改組したことによって増員もない、この四地建の企画業務は、企画室当時と比べてどのような効果がありましたか、具体的に御説明を願いたい。
  69. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 先ほども申し上げましたように、非常に仕事の量もふえてまいりましたし、それに伴いまして他の行政機関、あるいは府県、市、そういうところといろいろな折衝が生じてまいります。この都市計画にしましても、地方計画等にいたしましても、地方建設局には専門家が多くおりますので、そういった他の公共団体に対していろいろ計画面でも指導的な御相談にあずかるケースが多いわけでございます。局長がいろいろ多忙のために、担当の部長といたしましてそれらの機関と接触する、やはり企画部長という形で折衝いたしますれば何かと円滑にいくことが期待されておるわけでございます。
  70. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの御答弁は、いわゆる官僚特有の権威主義を最も端的に表明した御答弁として受けとめておきます。そんなことで理由になりません。具体的にどういう効果があったかということを私は伺っているのです。いまの御答弁は、肩書きが室より部のほうがいいのだ、それはよそとの折衝に都合がいいのだという権威主義の象徴的なものではありませんか。具体的にどういう効果があったかということを聞いているのです。早く質問を終わりたいと思うのだけれども、どうもあなたたちの答弁は何か……。
  71. 大津留温

    政府委員(大津留温君) やはりそれだけの仕事がふえてまいりますと、これを有効に措置するためには担当の職員の数もふやさなければなりませんし、また専門の職員も置かなければなりませんけれども、そういうことはいままでできる範囲でやってまいりまして、今回はそういった定員とか、内部の組織は特に変更することなく、名称だけ変えていただくという内容でございます。したがいまして、その名称の変更に伴いますメリットということになりますと、先ほどお答えしたようなことに端的に言えばなるわけであります。
  72. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほどおっしゃったと言ったって、私は何も言っておりませんよ。どういう具体的な効果があったかということを言っている。どういう具体的な効果がありましたかということを言っている。増員もしていないですよ。あなた、人の質問によく答えてください。
  73. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 企画部あるいは企画室の所掌事務は、御承知のように地域計画、都市計画、その他の公共事業を計画的かつ有効に進めるための基礎調査ということに言えると思いますが、これがだんだん複雑化し、量もふえてまいりますので、企画室を企画部に改組いたしまして、またその内部組織も御承知のとおり企画課、技術管理課というものを設けさしていただきまして進めました結果、仕事がそれぞれ専門に担当を分け、また長期的にわたる各種の調査、計画、あるいは先ほど申しました部外との調整のための折衝、こういうことを円滑に進めることができたと思います。
  74. 足鹿覺

    足鹿覺君 具体的に伺いますがね、企画室長という者と部長という者と、給与関係は部長になると上がるんですか。それからこの企画部になった場合の課長の給与と企画室のときのいまの課長というものと、また格差がつくのですか。効果といえばそういうような点が具体的にあらわれるのではないですか。
  75. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 現在は部長も室長も同じグレードで扱っております。それから部の下の課長、それから室の下の課長も同じグレードで扱っております。そういうことで形の上では同じでございますが、やはり実際上の人事を動かす際におきましては室長よりは部長——室長から部長にいくことはあるけれども、部長から室長にいくことはまずないというような扱いになります。
  76. 足鹿覺

    足鹿覺君 六十一国会における四地建——関東、中部、近畿、九州の企画室を企画部にした。現状においては室長給与と部長給与に差がついておりますか。つかなければ同じものじゃないか。
  77. 大津留温

    政府委員(大津留温君) その時点におきましても同じグレードに包括されております。
  78. 足鹿覺

    足鹿覺君 いや、現時点においてはどうですか、上がっておるわけですか、そのままなんですか。
  79. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 現時点においても同じでございます。
  80. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃ、どういう具体的に、何か具体的な実証を私は求めたいと思って、一番答えやすいのは給与だと思って聞いてみたのですけれども、それもそのままだ。私はそういうこまかい、枝葉末節をそれ以上申し上げません。  あとは用地の点だけを一点お伺いして、天下の一大事でもありませんから質問を打ち切ろうと思いますが、用地部設置が遅延した、むしろこのほうが縦貫道の問題もありますし、中国といたしましては、そのほうが私はむしろおそきに失したと思っておるのです。昭和三十六年に関東、近畿、両地建に用地部を設置した当初、建設省はいかような計画で八地建に用地部を設置しようとされましたのか、その経緯を伺います。特に北陸四国地建の用地部がたいへんおくれた理由は何でありますか。
  81. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 御承知のように建設事業を進めます前提として用地の取得ということがございますし、これが年々困難を増しておりますので、私どもといたしましては、できれば各地建足並みそろえて用地部の設置をはかりたいと希望したわけでございますが、なかなか組織のそういった拡充ということは制限されておりますので、昭和三十六年度に関東地方建設局と近畿地方建設局のこの二つの用地部を設けました。それから三十七年度におきまして東北と九州の二地建に設けました。さらに四十年度におきまして中部地方建設局に設け、四十二年度に中国地方建設局に用地部を設けた、こういうような経緯でございます。
  82. 足鹿覺

    足鹿覺君 用地部設置の基準は何ですか。
  83. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 特に扱う金額が何億をこえたら設置するというような、そういった基準はございません。しかし、北陸地建にいたしましても、四国地建にいたしましても、すでに年間三十億から四十億という用地補償の事業をやっておりますので、これはむしろおそきに失したかと思いますけれども、そういったやはり事業量によりまして部の組織が必要だという判断をしたわけでございます。
  84. 足鹿覺

    足鹿覺君 それはどの程度の業務量になったときに設置されるのですか。
  85. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 通常、年間のそういった用地補償費が二十億をこえるというような事態に至りますならば、やはり課で扱うのは荷が重過ぎるかと思います。
  86. 足鹿覺

    足鹿覺君 今回設置されようとしておる北陸四国ですね、両地建の業務量はどの程度ですか。
  87. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 用地費及び補償費で申し上げますと、北陸地方建設局が本年度三十七億円、四国地方建設局が同じく五十億円であります。
  88. 山崎昇

    ○山崎昇君 それでは、建設省設置法について少し質問したいと思います。いま足鹿委員のほうから、天下の一大事でもないから、この課の設置についてはやめたというお話もありました。しかし、私は納得がいきません。なぜならば、この建設省設置法が前回の国会にかかったときに一番議論したと思っている一人なのです。そのときに、私は、国家行政組織法から、なぜ四地建だけ置くのか、どうして他の地建には置かないのかから始まりまして、ずいぶん当時建設省意見も聞きました。また、行政管理庁意見も聞きました。最終的には御存じのように附帯決議までつけて促進をする側におった私は一人であります。したがって、今度の場合に私は反対の意思は持っておりませんのですが、ただ、先ほど来、大臣の答弁やら、あるいは官房長の答弁を聞いておりますというと、どうしても私は納得ができない。もう一ぺんこれはきちんと整理をしておきたいと思うのです。  第一に、前回の国会で、この部と室の問題については機能が違うという説明がありました。室はスタッフであって、部はライン組織である。だから、スタッフ組織では課を置いたりすることはできないのです。事業がだんだんふえてくればライン組織に変えなければ事業の遂行ができないのだ。だからやりたいのだ。しかし、一ぺんに八つやりたいのだけれども、大きいところだけ今回やって、小さいところはまあ次にしたい。それは当時一局削減その他の問題もありまして、全部できないという答弁であったわけであります。そこで私は重ねて聞いておきますが、先ほど官房長は、単に名称変更だと、こう言うのです。これは名称変更ですか。あなたは前国会では機能が違いますと答弁をしている、私は単に名称変更だけのものではないと思っているのです。この点をまず聞いておきたい。
  89. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 名称変更と申しましたのは不適当でございまして、室を廃止して部を設置するということでございます。
  90. 山崎昇

    ○山崎昇君 正確にあなたのほうの答弁を読みましょうか。「一応室と申しますと、スタッフ的な機構でありまして、下部組織を設けないように承知いたしておりまして、その仕事が非常にふえてまいった場合に、下部組織を充実するし、仕事を円滑にやるためには、部というふうな」組織にしなければならないと思いますという答弁をしているのですよ。どうですか。これ間違いありませんね。じゃ、どうして室の下に課を置いたのですか。あなたのほうはとにかく国会でこういう答弁をしたのです。第二点目には、私のほうから時間が痛ましいから申し上げますが、行政管理庁の河合局長はこれまた違った答弁をしております。「機能といたしましては、これは機能的の違いではなくて、部にいたしますと部内に課が置けますが、室にいたしておきますと、室内には課が置けないという形というふうに理解いたしております。」、行管もまた室の下に課を置くことばできないと私どもに答弁をした。そして重ねて当時の政府委員志村清一君から、慣習的にもやっておりませんという答弁が行なわれておる。だから、国会であなた方は私ども国会議員に対して、いずれも国家の機関はそういうことはできませんと私どもに答弁をしておいて、国会が終わったとたんに省令でこういう課を置くということはどういうことですか。その点が先ほど足鹿委員から、国会軽視もはなはだしいではないか、言うならば、ことばは悪いけれども、私どもをごまかしたということになる。そういうことについて先ほど根本建設大臣の率直な答弁を伺いたいと言ったのは、そういう意味であります。私は重ねて——これは打ち切りたいと思うけれども、少なくとも私はあまりにもいまの役人のやり方は国会軽視もいいところだ。そのつど、そのつどごまかした答弁をして、国会が終わると同時にあなた方は適当な措置をとる。このことだけは私はやはり承服できないのだ。これはどうですか。あなたでなく、大臣からもう一ぺんしっかり答弁をしてもらいたい。
  91. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。  建設省の責任ある官吏がそういうようなことを申し上げて非常に御迷惑をかけたということがはっきりわかりました。私、実はそこまで詳細に知っておりませんで、法律違反ではないということで、こういうことも従来も法制上禁止していないのみならず、中央部における室の中には課もありますと、こういうことを聞いておったので、それならばいいだろうということを言ったので、これは私の監督不行き届きです。もう少し十分に国会でもってどういう答弁をして、それがどうなったということを知っておれば、私はこういう措置をとらなかったのでありますが、その点は私の監督不行き届きでありまして、今後十分に気をつけて、そういうことのないようにいたさせます。まことに御迷惑をかけました。
  92. 山崎昇

    ○山崎昇君 問題点がわかったようでありますから、私はこの辺でやめたいと思います。いずれにしても、きょう行政管理庁もおりますが、国家行政組織法はもう不備だらけでありますから、当然これは私どもも直さなければなりませんし、私も今日までほとんど公務員制度を専門にして検討したつもりでありますし、また指摘もしたつもりでありますから、それでこういう意見を述べたのでありますが、いずれにしても、いま大臣から監督不行き届きだなんという率直な御意見がございましたから、これはここで打ち切りたいと思います。  そこで、私は建設行政について二、三この機会にお聞きをしておきたいと思います。その第一は、これは前の国会でもお尋ねしたことでありますけれども、最近特に高速道路の渋滞をしてどうにもならないいま状態にあるのではないだろうか。とりわけ都内から羽田空港に行く道路にいたしましても、あるいは横浜に通っております道路にいたしましても、もうどうにもならぬところにきたのではないだろうか。そういう意味では、前の国会でも、一体この高速道路について建設省は今後どういう方針をとられるのですかというふうに一たんお聞きをいたしました。そのときに、当時建設省は、何か車寄せのようなものをたくさんつくって渋滞をなくするのだとか、いろいろ答弁をされておったのですが、いま年末でありますからますます混雑を来たしているわけなんですが、この高速道路を今後建設省は、二車線しかありませんためにたいへん混雑しておりますが、どういう方法でこれを解消しようとするか、あるいは当面どういう措置をとっていかれようとするか、その点まずお聞きをしたいと思います。
  93. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいま御指摘のございましたのは東京の首都高速道路のことかと存じます。首都高速道路につきましては、御指摘をまつまでもなく、非常に都民の方々に御迷惑をおかけしております。現状がこういう状態になりましたのは、当初の自動車交通量の推定の見込み、こういった点と高速道路の建設計画との間に食い違いが生じてまいったと申しますか、われわれが予想した以上に交通量がふえてまいったということが、率直に申し上げてこういう事態になった原因ではないかと、かように存ずるわけでございます。  ところで、当面、これに対する対策といたしましては、鋭意、首都高速道路公団におきまして、新たな計画を立てまして、その工事を進めております。具体的に一例を申し上げますれば、御指摘の羽田の一号線でございますが、これが一番込んでおります。なかんずく、特に汐留‐浜崎橋、あの辺の間が非常に込んでおりますので、これをいま、二車線を四車線に拡幅すべく鋭意努力中でございます。  それから、これはやや長期になりますが、今後の対策といたしましては、一号線のバイパスといたしまして、湾岸に新しい湾岸道路の計画をいま立て、一部工事に着工いたしております。これが完成いたしましたならば、かなり一号線の交通量がそちらのほうに移るということで、渋滞もかなり解消されるとわれわれも期待いたしております。そういうことでございます。
  94. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは私も、担当する建設省としてもたいへんだろうと思うのですよ。そこで、いま具体的に湾沿いの道路を準備にかかっているようでありますが、私はこの前も申し上げたのですが、事故等が起きて車が渋滞をしておる。そういう場合に、何で渋滞をしているかということがわからぬものだから、かなり気持ちの上でいらいらしてきましてね、そうして、またそれが事故につながるということに私はなるんじゃないかと思うのです。そこで、前回の委員会のときに、何か拡声機のようなものをところどころにつけて、いまはどういう事故になっているのだとか、あるいは料金を取りますね、あそこのところに何か明示する方法がないかとか、ずっと渋滞した運転手がいらいらせぬように、よけいなことでまた事故が起きないような措置をとってしかるべきではないんですかと、こう私は申し上げたのですが、検討をさしていただきますと言ったきり、これで二年ぐらいたっているわけですね。いま私は北海道でありますから、よくあそこを通りますけれども、大体羽田から国会まで一時間二十分ぐらいかかります、ひどいとき。朝とか夜のおそいときで、スムーズに行きまして三十分ばかりで行きますけれども、ちょっとひっかかったら大体一時間二十分ですね。これでは高速道路という名前に値しない。そして、なれているドライバーは警笛は鳴らしっぱなしで、たいへんいらいらしてくるということになる。そういう意味で、実際に別な道路ができ上がるまで新たな事故が起きないように、何かそういう措置がとれないものかどうか。これは私ども技術的にはわかりませんので、もしとれる方法があればお教え願いたいし、あるいはなかなかそれは困難だというのなら、そういう意味でいいと思いますが、お教えを願いたい。こう思うのですが、いかがですか。
  95. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私も実はときどき外国貴賓なんかを迎えにいくためにあそこを通りますが、非常に私もいらいらする。そこで、ある電機メーカーに相談してみましたところ、方法がありそうだということです。あそこの高速道路のガードレールか、あそこの何か側線みたいなものにつけて、そうしてドライバーのほうに何か特殊のレシーバーをつけておいて情報をいつでも流しておく。どこどこではこういう事故があった。いまの渋滞状況はどうだということをですね。これは技術上可能なような気がするというので、実は道路公団に具体的なそれの設計、技術開発、その場合においてどれだけの経費がかかるか、検討を二カ月ばかり前に実は私は申し入れておきました。そういうふうなことをしますれば、いま御指摘のとおり非常にいらいらがなくなってくるし、こういう状況ならばもうどこかでおりてしまったほうがいい、避けたほうがいいというようなことになり得ると思います。  道路局長に私話したので、その後どうなっているか、わかる程度でいまお答えさせます。
  96. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) ただいまの件につきましては、大臣から指示がございまして、数カ月前からいろいろ準備にかかっております。都市内でやりますのは非常に混雑を招きますので、ただいま東名高速道路の一部を利用しまして、まず実験的にやろうというふうに考えております。実は私ども立場から申しますと、一番今後問題になりますのは、成田空港ができた場合にこれがまた込むおそれがございますので、非常に急いでいるわけですけれども、成田空港辺にはこれは全部入れたらどうだろうかということで検討しておりますが、いま大臣が申しましたように、言うならば誘導無線で絶えず情報を流すわけでございます。当然これは、車の中にそれをレシーブするものがないといけません。ちょうど自動車のラジオがございますが、ああいった簡単なものを入れる必要がございまして、これはちょっと価格は忘れましたが、一個入れるのに六千円から七千円ぐらいかかるのじゃないかと思いますが、ですから、当分の間は、それを試験的に車につけましてテストを行ないまして、もしこれが成功するようになりますというと、将来、車には全部これはつけていただくか、高速道路に入る車につけていただくというふうにしてはいかがかと思っております。  なお、絶えず情報を提供する場合には、やはりなかなかこれは管理の問題がございます。途中音楽を入れたりするかっこうになると思いますが、それに対しては、どこがそういう管理をやるか。日本道路公団が直接やるということは非常に問題がございますので、たとえばあそこに道路施設協会もございますし、あるいは最近できました、ことしの一月に発足しました日本道路交通情報センターというものもございます。そういうふうなどちらの施設にさせるべきかということまで現在検討を加えております。  以上のようなぐあいで、相当具体的に準備中でございます。
  97. 山崎昇

    ○山崎昇君 よくわかりました。何とかひとつ早くこれは実現をしてもらいたいということを希望しておきたいと思います。  それから第二点にお聞きをしたいのは、住宅の問題ですが、この間、東京都の都政調査会にいろいろお聞きをしますというと、昼間、埼玉県、千葉県、あるいは近県から東京都に入ってくる人口、あるいは夜ここから帰っていく人口等は、まあ三県を合わせますというとおおむね百万近いというのですね。そこで、最近は東京都周辺の場合には、郊外に土地を求めましてうちを建てる人がたいへん多くなってきている。大体片道の通勤時間が、長い人で九十分、短い人で六十分というふうになっているようであります。そこで、住宅政策については、公営住宅もありますし、また住宅公団もありますし、自分の力で建てるのもありますが、これからの住宅建設というのは、通勤輸送だとか、あるいはまたマイカーを持つ方がふえてまいりますから、当然これはまた道路とつながってくるわけでありますが、いずれにしても、通勤問題と私は切り離すことができないのではないだろうか、こう思うのです。そういう意味で、建設省住宅建設についていろいろ、五カ年計画だとかを発表になるのですが、その際に通勤との関連をどのようにお考えになり、かつ具体的に考えられて、この住宅対策というものを立てられておるのか、この機会に聞いておきたいと思います。
  98. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおり、住宅の戸数がふえても、それが利用する人の便宜にならなければこれは意味をなしません。そこで、従来なかなかできなかったけれども、最近、都心といいますか、二十三区からかなりの工場が疎開していく傾向がありますし、われわれもそれをすすめております。そのあと地を買いまして、そこに主としてこれは公団住宅、高層住宅をつくることをすすめております。また、東京都の住宅供給公社に対しましても、なるべく都心に近いところの工場用地を買収して、そこに高層住宅をつくりなさい、それについてはワクを優先的にやるということを実はすすめておる段階でございます。  それからもう一つは、首都圏内のうちで北関東地区が、これは水も土地も、それから人的資源も相当あるわけであります。従来みんな都心に集まる計画ばかり言っておって、そして今度は住宅はなるべく五十キロと、こういう矛盾がありますものですから、ことしの春から、私が首都圏整備委員会にも申し出て、私も現地を見た結果、むしろ北関東に職住近接の都市をつくるべきである。いわゆる百万都市を群馬県に一つ、それから栃木県に一つ、それから茨城県に一つ、そして道路を北関東横断道路のようなものをつくりまして、これを水戸の海岸に持っていきまして、そして水戸の海岸にいまの鹿島港のような計画的な人工の港をつくりまして、そこから北関東の工業生産品を海外に持っていく、この構想がなされなければ、いままでのように東京港にすべてが集中するということになりますれば、現在でも非常に浦賀水道は危険な状況が、これが全く麻痺するということで、この構想をいま進めております。そうした百万都市をそういうふうにつくる場合には、住宅と工場と、それからいまの緑地地帯というものをバランスのとれた形でこれはやり得る。それで三県の知事並びに関係自治体にこれを申し出ております。いま首都圏の事務当局が中心になりまして、これを進めている。この二つを進めていかなければ、大都市、特に首都圏東京を中心の住宅問題も、それから地域開発も困難であると思って、おそまきながらそうした構想を進めてまいりたいと思っております。
  99. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま構想を示されたわけですが、それを早く結局やりませんと、私はいま清水谷の参議院宿舎におるのですが、このごろは規制がありまして車の駐車はなくなりましたけれども、以前は朝七時ごろにあそこに車で来て、車の中でパンか何かかじって、あそこからタクシーを拾って勤務に行くというのですね。聞いてみると、結局は自家用車を持たなければなかなか通勤ができない、あるいは勤務ができない。こういうのが多くなってきている。さらにこの間、労働科学研究所でお聞きしますと、通勤に片道九十分を要するとすれば、ほぼ一日の所要カロリーの半分程度は通勤だけでなくなっちゃうというのですね。したがって、せっかく出勤はしたけれども仕事ができない。こういうことを私ども考えますというと、住宅の建設と通勤の問題と勤務の能率といいますか、こういう問題とは切っても離されないような関係にあるのじゃないだろうか。そういう意味で、大臣からたいへん構想だけは発表になりましたけれども、いつでも発表だけになって、大臣は更迭して、どこかに行ってしまうというのが今日までの通例でありますが、そういうことのひとつないように、これらの問題、十分私は配慮願いたいと思います。  それからもう一つ住宅と関連をして、最近宅地造成があっちこっちにやられておる。これによってここ二、三円の新聞では、宅地造成の土地が、何といいますか、くずれて、子供が死んだとか、あるいはまた不当な計画によって、山の中に宅地造成がされておったとか、さまざまな問題も起きておりますが、ぜひこういう面について、一体、建設省はどの程度の監督なり監視なりされているものだろうかというのが一点です。  それからもう一つは、最近、勤労者住宅協会とか、たくさんできまして、いろいろ住宅団地ができるわけなんです。私はこの間、越谷の市長選がありまして行ってみますと、この五年間、人口が倍になっておるのですね。たんぼの真ん中にどんどん家が建っておる。ところが、建てるほうはそれでいいんですけれども、環境整備をしないために、すべてその後の苦情は自治体に全部持ち込まれる。これはもう市長は下水道の問題から、上水道から、道路の整備から、側溝から、毎日陳情攻め、あるいはその他のことでどうしようもない状況にある。そこで、住宅公団あるいは勤労者住宅協会でありますとか、さまざまな形で住宅団地がつくられるのですが、その際に建設省は環境の整備の問題についてどういう指導が行なわれ、現実的に自治体に対してどういう財政的な裏づけをしながら、そういうものを全体的にやっているのか、この二点をまず聞いておきたい。
  100. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 法制上の問題、指導方針を申し上げまして、具体的には事務当局から申し上げます。  いま御指摘のとおり、従来、人口の都市集中の状況から見まして、民間デベロッパーも、それから土地ブローカー等もこれを一つの投機の対象として、いろいろの土地開発をやっております。これを無制限に、しかも無計画にやられておりまして、常に地方自治体がそのあと始末をしなければならぬ。しかも、それには何らの規制をする権限も与えられていないというところに問題があるのであります。そこで、まず第一に、民間のデベロッパーが非常に詐欺行為の多いようなのは、いわゆる千三つ屋といわれるようなものが、しかも、広告と口コミで仕事ができるということ自体がはなはだおかしい。そこで、これは一面で宅地建物の取引業法を変えまして、相当の資産と責任あるものにやらせる。しかも、それを許可制度にするという法の改正をしないと、現状では届出さえすればあとは何でもやれるというようなことは、これは現在に合わないから、これをいま検討している。それからもう一つは、いま御指摘になりましたように、都市機能を持った都市づくりをやはりしなければたいへん土地も値上がりする。そこで、いまの線引きがそのためにあるのだと思います。地方自治体が、山の中に家ができた、水道を通せ、下水道を通せといってもできるものではない。そこで国の政策として、少なくとも将来十年間に都市化すべきところのものは、いわゆる市街化区域にこれは指定する。それ以外のものは調整区域にいたしまして、そこは原則として都市化はしない。まずそれを法的にきめなければならぬ。そうして市街化区域については、先行投資を街路、それから下水道、上水道あるいは緑地、公園等を優先的にそこにやらして、こういうふうな手法をとれる計画的なる地域開発都市化をしていく、これがいまやっておる段階でございます。  それからもう一つ、建築基準法の改正をいたしまして、非常に問題になっておるいまの用途指定を明確にして、工場用地は工場用地として、それからビジネスセンターはビジネスセンター、それから住宅地は住宅地として、それぞれの環境に適した地域区分をいたしまして、そうした区分の中に、それぞれの機能ある建築をさせていく、こういうふうな四つばかりの手法を講じて、随次やってまいりたいと考えておる次第であります。  具体的にもし個々の問題がございますれば、事務当局から御説明いたします。
  101. 山崎昇

    ○山崎昇君 きょうは当該委員会の建設でもありませんから、そんなにこまかなことを聞くつもりはありませんが、ただ、いずれにしても住宅公団なり、あるいは勤労者協会なりがやられる住宅建設のあとにいろいろな問題が起き上がって、どうも地域住民の感情もよくありませんし、そういう意味でいまお聞きをしたわけです。  それから実はもう一つ問題点がありましたのは、これは新聞報道でありますからどこまで私は真実かどうかわかりませんが、千葉県の知事が、今後、住宅公団の団地づくりは要りませんというようなことを申し入れしたとやらの新聞記事が載っておりました。それはなぜかというと、私も松戸という市へ行ってみまして、新しくできた団地に住んでおる住民と旧市街地の住民と感情対立がありまして、たいへんな騒動が起きておったというようなところから、おそらく千葉県知事がそういうことを申し入れたのじゃないかと思うものですから、住宅建設はいいとしても、それに付随する環境の整備ということをよほど綿密にやりませんと意味がないのではないか。そういう意味で、いまの大臣構想でありますから一応お聞きをしておきたいと思います。  その次に、いま建築基準法を改正して用途指定をしたいというお話でございましたが、この一つの問題点として、この間、公害問題でもたいへん論議されたといいますが、日照権の問題ですね。これは建設省の問題ではないかもしれませんが、しかし建物を許可する場合に、この日照権の問題はどの程度まであなたがた検討しつつ高層ビル等の建設を認めるのか。それからさらに高層ビルができ上がりましてから、かなり回りに予想もしなかったような災害がやはり起きておる。そういうものについて、これからだんだん私は高層化されていくと思うのです、大都市では。その場合にこの建築基準法との関係についてどう建設省としては調整をされるのか、あるいは監視をされるのか、これもお聞きをしておきたい。
  102. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは先ほど申したように、地域指定をする場合に工場用地とか、あるいはビジネスセンターは日照権問題を取り上げるとこれは不可能になります。こういう地区はむしろ土地の高度利用、それから都市機能を高めるというところに焦点を合わして進めていくべきだと思います。それからいま日照権という問題は、結局住宅地区においてマンションができたり、あるいはまたいろいろビルディングができたために非常に困るということが一番問題だと思うのです。したがいまして、住宅地域には原則的にそういうものは、いまのところできてしまったものはしようがありませんが、今後、住宅地帯にはそうした近隣の住宅の環境を悪くするような高層建物は許さぬという方針です。それから、それでもやはり都市になりますと一階建ての広々とした住宅をみな持つことはとうてい困難でございます。その場合に建築基準法等で北側斜線というものを設けまして、少なくとも隣接地区に日光が当たるような一つの斜線を設けましてそれで保護していこう、こういうような措置を講じている一わけであります。  具体的には住宅局長から御説明いたさせます。
  103. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) 日照権の問題でございますけれども大臣から御答弁がございましたように非常にむずかしいもので、地域性ともからみまして、その地域によってどこまで日照権を保護するかという問題はだいぶ違うと思います。工業地域、商業地域住宅地域で非常に違います。住宅地域におきましては、できるだけ各戸の日照権を保護したいということでわれわれ考えておりますが、日照権という権利がどこまで認められるかという問題は法律的にも非常にむずかしいのでございます。建築を規制いたします基準法の立場からいたしますと、通常の住居地域では、いま大臣が申し上げましたように、北側の斜線制限を設けまして、何とか隣の日照権を阻害しないような最低限度の措置は講じたいということで、今回法律改正をしたわけでございますけれども、必ずしもそれで十分な日照権の保護ができるというふうにはわれわれ考えておりません。ただ、法律的にこの日照権をどういうふうな権利として扱うか、その最終的な決定は今後の個々のケースの民事上の問題として決定せざるを得ないと言うほかはないのではないかというふうに考えます。
  104. 山崎昇

    ○山崎昇君 なかなか日照権の問題はむずかしいと思うのです、私も。ただ、逆にこれを言えば、居住の自由ということが侵されてくる場合もあり得ると思うのですね、自分が住みたいと思うところにどうしても住めなくて、どこかへ移転をしなければならぬということになれば。だから、この問題は基本的な人権とも関連してたいへん重要な問題だと思いますが、いま起きておる現象面はやはり高層ビルだとか、いろいろな問題から起きておるわけでありますから、何としても私はこれは建設省がその中心になってくるであろうと、こう考えるものですから、いま聞いているわけです。しかし、これは刑法上の関係等もからんでくる問題ですから、ここでそう論議するつもりはありませんが、いずれにしても今後高層ビルの許可等々の場合に、これらの問題はやはり慎重に配慮してもらいたい。  それから、あわせてこの高層ビルによる新たな災害、たとえば風が起きるとか、いろいろな問題があるようですね。一番私は火災が起きたときにどうなるのかという心配もするわけでありますが、いずれにしてもビルの高層化に伴うそういう人的、人による災害になりましょうかね、自然災害ではないと思うのですが、そういうものについても相当建設省検討され、消防庁でも私は検討されておると思うのですが、そういう点について大臣はいまどういうふうにお考えになっているのか、この機会ですからお聞きをしておきたい。
  105. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 大都市のビジネスセンターはどうしても高層化することが現実に起こってくると思います。それに対応するために建築基準法等でもかなり厳重に、災害が起きた場合の人命救助、予防措置、こういうことを配慮しなければならぬということで、これについては建設省のみならず、消防庁その他警察関係等と綿密な連絡をとりまして指導すると同時に、建築確認の際、相当厳重にこれを事前に調査をして遺憾なきを期していこうと思っております。ただ、いま問題に提起されました風害は、これは非常にむずかしゅうございます。ビジネスセンターでビルディングがたくさんできる、お互いにやっておるからそれほどの被害はありませんけれども、わりあいに、せいぜい二階か三階の建物の中に三十階も四十階もばあっと建ちますと、これが非常に迷惑する。ところがこれを規制することも現在できない、現実の問題として。これはひとつ研究課題として、構造上どうすれば風害を防げるのか、これはもうやむを得ないものかどうか、これも研究しなければならぬと思いますけれども、日本ではどうもこの研究を、建築研究所でもどこでもまだやっておりません。今後の研究課題としてこれはやらなければならないものと考えております。
  106. 山崎昇

    ○山崎昇君 気象庁で何か少しやっているようですね、聞いてみますと。しかし、いずれにしても、これはたいへん重要な問題だと思いますから、私はビルディングを建てるほうの建設省のほうでも十分御検討いただきたい。  それから、もしその回りの住宅で被害を受けた場合に、だれが責任を持ってそれを補償をするのか、この問題は、私は被害者の救済の問題というのもこれはたいへんな重要問題じゃないだろうか。これはもう自由ですからかまいませんといえば、回りの人は一体どうなるのか。そういうものをあわせて、これは建設省の所管かどうかわかりませんけれども、私はひとつ要望しておきたいと思います。  それから次にお聞きをしたいのは、道路の五カ年計画というのがございまして、たいへん国道は整備されております。しかし、私もずっと回ってみまして、何としてもおくれておるのは都道府県道なり市町村道、とりわけ、国道につながるところは多少整備をされてきておりますが、それもところどころ切られつつ、地方道というものが舗装されてきておりますから、どうも車の流れ等がそこら辺で行き詰まってくる、こういうこともあって、地方道の整備についてはたいへん努力されておるのだろうと思いますが、今後具体的にどのようにされていくのか、聞いておきたいと思います。
  107. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘の点でありますが、地方道の延長は非常に大きいのです。府県道はまだいいのですけれども、市町村道になりますと、市町村自体で実は延長距離並びに実態を把握し切れないというのが現状であります。特に過疎化したようなところになりますと、全くこれが道路でなくなるような傾向もある。しかも、一方においてはモータリゼーションがはげしいものでございますから、道のかっこうさえあればどこへでも行ってしまうというところに非常に矛盾がございます。われわれ建設省の持っている予算も非常に限られたものでございますから、そこで、これをいかにして効果的に有効に道路政策に使うかということになりますと、おのずからそこに創意くふうをこらさなければならない。そこでいま国道並びに府県道と連関いたしまして、その地域一つの生活圏なるものを実態に合わせて調査をして、市町村道のうちにおいて国道、府県道とどういうネットワークをすればその地域社会が最も道路の恩恵を受けるか、これをいま調査をさせ、一つのプロジェクトができると、それを生活圏構想で、その中でネットワークをつくっていく。そういうふうにして重点的に地方道と国道、それから末端の道路とを連関づけるということをいまやりつつあります。  それからもう一つは、この前、県道が国道に昇格したので、今度は市町村道を県道に格上げする。府県道から国道に格上げされるもののいま検討地方自治体と相連携して進めております。こういうふうにして地方道のうちでも市町村道をできるだけ県道に、あるいは地方主要道路に格上げして、それに公共事業費をつぎ込んでいってやるということにいたさないと、市町村で市町村道を処理するのはなかなか困難になってきておると思いまして、いまそういう準備をいたしておる次第でございます。
  108. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣の答弁なんですが、ただ私はずっと回ってみまして、観光道路でありますとか、言うならば、レジャーに関係のあるところはもう最優先みたいに舗装される、あるいは整備をされる、林道を切り開いたり、あるいは農道を手入れしたり、実際に国民が生活をする、まあいうならば生活道路みたいなものはなかなかそうなってこない。そこに、先ほど大臣が、いま車がふえて思わざるところまで車が入るようになって困っておるというお話ですけれども、私はこれは観光行政とも関連しておる問題であって、たいへん重要だと思うのですが、そういう意味で、私はほんとうに国民が生活する道路というものをやるには、やはり市町村道というものが中心だと思う。たいへん力を入れているようでありますけれども、この点はもう少し考えを改めてもらいませんと、どうも観光優先のような気がしてなりません。そういう意味では、せっかくこれから県道を国道にし、地方道を県道にしながら道路整備を行なうと、こういう大臣構想でありますけれども、生活優先ということを念頭においてこの問題は進めてもらいたいということをひとつ要望しておきたいと思います。  それから、いま生活圏という話がございまして、実は私もいま新全総というのを検討しておるつもりでございます。北海道の開発審議委員をやっておりましたから、いろいろ検討しておるのですが、どうもわからない点が二、三あるわけです。なぜならば、建設省は生活圏構想と言う、通産省は生産生活圏と、こう言う。自治省へいけば広域市町村圏と、こう言う。新全総では一次圏、二次圏、三次圏と、こうなっております。そこで一体、私は閣内でこの新全総を中心におそらくその年々の計画を練られておると思うが、どれがほんとうのいわば生活を単位にした構想になってくるのか。あまりにも各省ごとに構想が発表になるものですから、受けるわれわれのほうとしてはわからないわけです。そして具体的に市町村に行って、一体、広域市町村圏というのは何をやるのですかと聞けば、第一に道路の計画のようですね、第二は公民館をつくるような計画ができておるようであります。そうすると、私は建設省へ行っても、生活圏構想とどこで接点が合って、どこで違って、将来一体どうなっていくのか、この辺のところがわからないものですから、できましたら大臣から新全総でいう第一次、第二次、第三次生活圏構想というものと、各省が言っております生活圏構想というものと、どう建設省調整をされながらやっていくのか、迷っておるのでひとつ御説明をいただきたい。
  109. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) どうも日本では役所がそれぞれの独自の、何といいますか、ことばを使うことが好きらしいのでございますが、それで、いろいろ同じ目標をたどりながらも、若干の違いをいかにも非常に大きな違いがあるかのごとく印象づけて混乱をしておることは事実だと思います。われわれのほうの道路計画の基本的なあれは、一番の土台になるのはやはり新全総を受けておることは事実でございます。日本国土全体としてバランスある開発をするその基盤としての道路計画であります。われわれの生活圏構想と自治省の広域市町村圏との関係は、私のほうが少し範囲が大きいのです、事実上。それで自治省のほうは、いわゆる行政の便宜のために、隣接町村が、ここには道路をつくりたい、ここには公園をつくりたい、あるいはし尿処理を一緒にやりたいということでいきまするが、われわれは、その核になる地方の各都市と、それから関係町村、相当山村に至るまで、一つ道路のネットワークをどう使った場合にその地域が全体としてどう生きるか、こういうことでございます。したがいまして、その実施の際には、地方自治体と十分にこれは協議の上つくります。具体的に申すならば、各都道府県と十分に打ち合わせをしてこれをつくるのでありまするから、数個の広域市町村をまたがる生活圏道路構想現実につくられる、これが事実でございます。したがいまして、事務的にこれをやる場合には、中央では自治省、地方では県と十分連絡をとりながらその具体計画をつくっていく、こういう段階でございます。
  110. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、あれですか、私の理解が間違っておったら訂正願っていいと思うのですが、建設省等でお考えの生活圏構想というのは、主として、ことばが適切かどうかわかりませんが、経済単位みたいに考えられておる。それから自治省の言う広域市町村圏というのは、行政単位のような考え方でやられているのである。この点は、私はもしも自治省の広域市町村圏というのが行政単位みたいな考え方になれば、これは第二次の町村合併のような様相を呈していくのじゃないか、こう考えざるを得ないわけですよ。ところが、建設省のほうはそうではないのだ。ただ道路のネットワークを中心にして、この流れが一つの単位として生活がやりやすくなる、言うなれば経済が中心であるというように理解をすれば、多少の違いがあるのじゃないかという気がいたします。しかし、今度は、通産省で言う生産生活圏ということになると、これは一体どうなってくるのか。あるいはまた、あとでお聞きをしようと思いましたが、最近、農林大臣もそうでありますし、また建設大臣もそうでありますが、工場の分散という問題と関連をしてきて、田園工業都市ということばがまた出てきておるようでありますが、そういうものと、こういう新全総で言う第一次、第二次、第三次生活圏構想と、建設省の言ういまの生活圏構想というものはある程度ダブル点があると思います。一体どこまで調整されたもので、どこから違いが出てどうと、私ども本だけ読んだのではわからないわけです、正直言って。できたらもう少しそこらの関係についてひとつ説明願いたい。
  111. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のように、農林省は道路政策上関係のある問題、いわゆる農免道路を持っております。これはもちろん地方道と同様の効果があります。ただ、あれは例のガソリン税の見返りということであそこまでいったのでありますが、これを設定する場合には、必ず建設省道路局と打ち合わせの上に、これは農免道路でいく、建設省ではこれとのネットワークを考えながら、それじゃこれは地方道でいくというふうな打ち合わせをいたしております。  それから現在の、御指摘になりました通産省の工業生活圏ですか、それから農林省のいわゆる最近の農工一体と新総合農政の立場から、いろいろの構想が出ているわけでございますが、これについても実は、これはわれわれの道路政策にも私は大きな反省を加えたのでございます。従来は国道なら国道ばっかりを延長して延ばしていく、府県道は府県道でこれを延ばすということばかりに、重点を何といいますか、一つの長期計画をみなそれぞれの線路に持っておって、予算がついたら、年次計画でこれに予算を張りつけていくという傾向が強かった。ところが一方では、大きく経済社会の変貌が出てきております。それに対応する道路が弾力的にできないところに、交通麻痺の問題や、いろいろの地域社会のアンバランスが出てくる。そこで新農政を実施するために必要な道路関係については、実は年度の途中まである程度の予算を保留しておきまして、たとえばここに集団農業営農団地を農林省がつくるという具体的な計画ができますれば、それに対応して、従来そういう計画はなかったけれども、弾力的に建設省道路をつけてやる。これは同じく通産省がある地点に中小企業の工業団地をつくる、そのために国道もしくは重要府県道との連関する道路が必要であるというようなことがわかれば、それもわれわれのほうは考慮してつけてやる。こういう弾力的な体制をつくったわけでございます。しかしながら、初めから全国にそういうものがはっきりとできていないために、いわばそのつどそのつど協議してつけるという、いまはまだ段階でございます。いずれこれが農林省における例の地域分担が明らかになり、これに対応する通産省の工業分布ができますれば、それと合わせて、われわれはいまの生活圏構想ともあわせて道路のネットワークをさらに考えを進めなければならぬと思っておる次第でございます。
  112. 山崎昇

    ○山崎昇君 重ねてもう一点お聞きをしたいのは、この新全総ではネットワーク方式をとる、こういうのですね。そして、その前にすでに道路五カ年計画等があって、この国道の整備から始まって、いまの大臣のお考えになりますように、府県道も市町村道もあわせて総体的に道路の整備をはかる。そこへ新しく今度は農業問題と関連をして、農林省から田園工業都市という構想が出されてきた。そして工場を地方に分散をする、こういう計画が出てくるわけですね。そうすると、既存の道路計画なりこの生活圏構想というものと、新しく農業政策に基づく田園工業都市計画というものとがマッチすれば、私はそれはそれでいいと思うのです。そうでなければ、これはたいへんなことになるのではないだろうか。言うならば、結論からいえば、道路計画もある程度変更しなければならぬ、あるいは生活圏構想も相当変えなければ、この農林省のいう田園工業都市というものはでき上がってこないのじゃないか。そうすると総合農政というものは絵にかいたもちになってくるんではないか、私はそういう意味で、どうも先ほど役所というのは縦割りだと言うのですけれども、あまりにもいろいろな構想が出て、それが接点がない。どう考えてみても、それぞれ別個に存在していて、どこでつながるのかと聞いてみますと、あまりつながりがない。こういうことは私は、閣内の問題ではありますけれども、どうも建設省だけにお聞きするのはどうかと思いますけれども、ただ建設省が具体的にいまの生活圏構想ということで進められておるわけでありますから、新しく出るそういう構想との接点というものをどの点までお考えになって、この生活圏構想というものにこれからつとめられていくのか、この点もう一点お聞きしておきたいと思います。
  113. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 生活圏構想でできているものはまだそうたくさんございません。これからやるものが多いのです。そこで、いま御指摘になりました農業上の地域分担、あるいは工業立地関係の計画等もこれから出てくるでしょうから、それにあわせて若干の道路政策の、道路の路線の変更も、これはやむを得ないと思っております。御承知のように現在の道路計画は、縦貫道路においてすら、これは基本計画と、それから整備計画とは若干のここに時間的ずれも置いてあります。まして一般国道地方道になりますというと、これは状況に応じて路線は若干曲ったり何かすることがありますから、私はそれほど道路政策上も大きな支障なくできるのじゃないか、こう思っておる次第でございます。
  114. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ次にお聞きしたいのは、中小河川の管理についてお聞きしておきたいと思います。どこに行っても一級河川等は建設省でいろいろな看板等を出しておりまして、よくわかるのですが、また一級河川の場合にはかなり改良工事等もやられているように私ども見受けるのですが、ところが中小河川になっていきますと、相当まだ手つかずの状態、状況にあるんじゃないか。特に私は都市化政策の問題と関連をして、今後中小河川というものと下水道の問題は密接不可分の問題になってくるのではないだろうか、そういう意味で言うと、中小河川の整備、管理の問題と、下水道の整備の問題とは切り離せない問題ではないかと考える一人なんです。そういう意味で中小河川の問題について、あわせて下水道の問題について建設省はどの程度の計画をお持ちになるのか、お聞かせ願いたい。
  115. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおりです。従来は治水を中心としてやったために、大河川に大災害が起こらないようにということでやってきました。ところが最近のように都市化現象に伴いまして、都市のいままでの、ほとんどだれが管理するかわからない小さなところにも非常な住宅や産業が集中した。そこにちょっとでも雨が降れば、これが非常に大きな災害を起こしてくる。そこで先般来建設省としては、都市河川に重点を入れまして、都市河川については優先的に治水関係からやっていく、これは特にいま御指摘のように、都市の消火せんは実質上これは下水として取り扱わざるを得ないということになりまして、これは都市下水路としてむしろ都市局でこれを管理してお世話するというようにいたしておる次第でございます。  なおまた、中小河川において、地方でもかなりこれは都市化している現状でございます。したがいまして、これについても、ただいま御指摘のように、災害の問題と同時に、地域社会の環境の改善という点から、これは重点を入れてやることにいたしました。特にこれは従来、河川法上二十九条で、政令をもってこの河川の清潔を保持するように実は法律に規定しておったのですが、いままでどうも各省の意見対立で整理ができていなかった、それを私は各閣僚の皆さんと協議の上、やはり強力にこれを責めて、これに対する政令もでき、この管理責任をはっきりするようにさせる、さらに今回の水質汚濁防止の法律ができますれば、これはそれぞれの管理者が河川を汚染するものについて改善命令等で適当な指示命令ができるようになりました。一だんと中小河川のいままで一つの抜け穴のもとになっておったのが、今後はかなり整備できるようになるのじゃないか、こう思っております。
  116. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大臣から治水面ばかりでなしに、都市開発の面からこうしたいというお話がございました。私も回ってみてしみじみとそう思うわけです。そういう意味で日本の場合には下水道の整備がたいへんおくれているわけです。またこれは終末処理の問題とも関連してきますが、いずれにしても中小河川の問題は、いまお話のありましたように、単に治水だけでなしに、放水路としての問題もあるでしょう。そういう意味でこれはぜひ整備を願いたいし、また、各自治体がおそらく中心になると思いますが、その際これは自治体にあまり負担させたってできるものでありません。十分ひとつ国のほうでそれらの財政的な問題についてもお願いをしておきたいと思います。  最後に私がお聞きをしたいのは、実は前回の国会で地価の公示法案ができ上がりまして、二、三地価について公示されたことも見受けているわけですが、この法律ができて、一体地価対策にどれほどの役に立ったのか、あるいはこの法律によって地価を公示して、それによって地価が整備をされているのかどうか、そういう問題について現状並びに効果についてお知らせを願いたいと思います。
  117. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 地価公示について御説明申し上げますが、御承知のように昨年地価公示法が制定されたわけでございます。それに伴いまして、ことしの一月一日現在の価格をもちまして四月一日に第一回の地価の公示がなされました。東京地区におきまして六百五十、名古屋地区で八十、大阪地区で二百四十、計九百七十でございます。これによりますその効果の点でございますけれども、御承知のように法律の目的の趣旨といたしまして考えておりますのは、一般の民間の土地の取引価格の目安とするということが書かれております。これにつきまして一般の民間の取引についてどういう目安に何件なったかということは、これは判明しかねる点でございますけれども、御承知のように、法律でこの地価の公示価格は土地鑑定委員会から地方関係の市町村に送られまして、市町村においてこれを閲覧することになっております。その閲覧を申し込んできました件数が、この公示して以来十一月までに約三千件ということでございます。これは正式に申し込んできて閲覧をいたした件数でございます。が、それ以外に電話で照会も非常にたくさんございます。したがって、そういう意味におきまして相当利用されておると思うわけでございます。  次に、法律に書いてございますように、地価公示の対象区域内の土地につきましては、一つには公共事業の施行者が公共用地を取得する場合におきましては、この価格を算定する場合に、これを規準とするということがございます。これにつきましてもいろいろ調査をいたしたのでございますが、三地区について事業の施行個所を調べますと、百九十一ヵ所でございます。でその金額といたしましては千四百四十六億という用地費及び補償費にのぼります。これはいまの九百七十の個所におきましての関連の事業でこれを規準とできたものについて申し上げておるわけでございます。これは九百七十のうち三百三十三地点において大体そういうことの規準にできたものがあるのでございます。さらに法律上におきましては、不動産鑑定士がこれについて鑑定をする場合には、これを規準として鑑定するということになっております。これについても不動産鑑定士が約千六百人ばかりおって鑑定をいたしております。大体、昨年に五万七千くらいの鑑定件数がございます。この鑑定にあたりましては、これをその規準とできる場所におきましては規準といたしておるというふうに考えておる次第でございます。  こういうことで、具体的な数字で申し上げましたけれども、まだ九百七十という第一回の公示で少ないのでございますが、その効果といたしまして、一般的にどのくらいかというのが非常に把握しにくい点がございます。今後こういう公示地点を増加させまして、市街化区域におきまして目的としております地点ですべて公示できますと、相当の地価抑制の効果があろうかと考えておる次第でございます。
  118. 山崎昇

    ○山崎昇君 最後に、私はこの法案を審議しながら一つ矛盾を感じておるわけですけれども、いま大臣からいろいろ建設省でそのほかのたくさんの政策を持ってやられるわけなんです。そしてまた新しい政策もどんどん立案されながら行政を進めるわけなんですが、その際にどうしても事業が進めば、やはり人も多くならなければなりませんね。ところが人の面になってきますと、第一次削減から始まりまして、今度の八月二十五日の閣議決定でも、従来に倍する削減計画が発表になった。どうも私は、事業だけはいろいろ美しいことを並べられて、そうして構想が述べられる。ところが人の面になってくると削られてくる。言うならば事業と定員というものがどうもアンバランスの状況にあるのではないだろうか。で、これからの傾向としては、それによるために、やはり定員外職員等の措置がふえてくるのではないか、そう私は思うのであります。そういう意味で、大臣はいろいろ構想を発表され、また現実的に、いま御説明を受けた中でも、かなりの事業を行なうのですが、それぞれ従事する人の問題について大臣は一体どのようにお考えになるのか。この一点聞いておきたいと思うのです。
  119. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 一般常識的にはそう思われるのが当然だと思いますけれども建設省の事業がどんどん伸びるに従って人員をふやすということになりますと、たいへんなことになります。それで、この建設省の管理機構を実は弾力的に、しかも総合的にやることをいま考えておるわけでございます。で、従来ややもすれば建設省内においても縦割りであって、住宅局のことは住宅局だけでやっておる。ところが本来、住宅のためには道路のことも考えてやらなければならないし、あるいは下水のことも考えてやらなければならないし、諸般のことを考えてやらなければならない。ところがそれが縦割りであったために、かなりばらばらであったが、今度は省内に審議官を中心とする、いわば参謀部的なものをつくりまして、で、これには総合的な対策をつくり、そうして各局がこれに協力して能率をあげるということをやっております。それから大部分の仕事は、建設省が民間発注でできる仕事が多いのです。それから計算その他のことは、最近はコンサルタントが発展してまいりましたので、そういうものに外注するということで、これに対応するほか、最近私が事務当局に命じまして技術懇談会を開いております。これは大学、それから企業、それから建設省、こういうものが集まりまして、行く行くは私は財団法人で総合的な研究情報機関をつくりまして、そうしたものを活用していかざるを得ない、こう思っております。  実は私が十二年前に、いまの道路特別会計を設けるときにあたりまして、従来のやり方でいえば、大体二万数千人ふやさなきゃならぬ計画だったのです。ところが、そのときに行政管理庁のほうからきつい条件がつけられて、道路特別会計は認めるけれども、職員はふやさないという条件で認められたので、そこでいままで建設省の現場の直営でやったのを、ほとんど全部これは外注にしました。コンサルタントもつくったということで対応してきた経験がありますので、御指摘の点は、やむを得ない最小限度の増加は、これはわれわれも要求しますけれども、それにしても事業にこうスライドしていくということは許されないので、いわゆる管理体制、それから発注の形式等を考えて、できるだけ人員を少なくして能率的な運用をはかってまいりたいと考えております。
  120. 山崎昇

    ○山崎昇君 事業執行方針なり管理体制の問題は、私はまたあらためてこれは行政機構のときにでもやりたいと思うので、きょうはまあ終えたいと思うんですが、いずれにしても、国の予算の中で建設予算というのは相当な面を占めて、また国民生活に最も密接な状態であるだけに注目をしておるところです。  そこで最後に、最近一番叫ばれることばに、開発と称して自然をぶっこわして、ぶっこわしておいて自然保護というのはおかしいではないかという意見があるんであります。そこで問題は、一体開発を進めるということと、一自然を保護するということと、どこで調整をするのか、どこで接点を求めながら調和を求めるのか。佐藤さんのことばで言えば、調和をとるのかという、これはなかなか私はむずかしい内容を含んでいると思うんですが、しかし、いま国民の中からは、自然保護という問題についてたいへん声が大きくなりつつある。そこで、主として開発といいますか、建設を担当する建設省として、この自然保護という問題について、大臣としてどの程度の決意を持ちながらやられるのか。あるいはこれは具体的に問題が起きなけりゃ、ばくとしておりまして、抽象的にはなかなかお答えにくいと思いますけれども、この自然保護の問題についての見解をお聞きをして、私の質問を終える次第であります。
  121. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) たいへん大きな問題で、しかも具体的に申し上げることは非常に困難でございますが、これはまず一つは、道路をつくるとふうことは、ある意味においては自然破壊です。しかしながら、それをやらなければ人間生活の発展性ができないということになりまするので、その調和点は最小限度の自然破壊で、しかもその局部だけは破壊されるけれども、残った自然はこれで保護されるということが一つの私は限界点だと思うんです。これは都市生活でも同じでございまして、一つの文化というものは、ある意味から言えば自然破壊でございます。自然は破壊したけれども、総体的には人間生活にプラスになるということでなければ、これは意味なさないので、結局は人間生活がそれで豊かにかつ快適になるかどうか、そうしてその限界点は相互にバランスとってプラスになるということにならなきゃならぬという程度より申し上げられない。  はなはだ意に満たないかと思いますが、いずれこういう点では後ほどゆっくりお教えをいただきまして、私も今後の施策に資したいと思います。
  122. 山崎昇

    ○山崎昇君 終わります。
  123. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 最初に法案に関連いたしまして一点だけお伺いをいたします。  大臣も御存じでしょうけれども、ことしの十一月に行政監理委員会から「当面の行政改革事項に関する意見」が提出されております。その中を見ますというと、こういうことが書いてあります。「地方建設局——北陸局を廃止するとともに、補助金関係事務を簡素化し、また、河川、道路等に関する公共事業をできる限り地方公共団体に移管して規模を縮小するほか、工事事務所および出張所を整理統合すること。」、ところが、今度の法案は東北、北陸、中国、四国地建の組織を拡大する方向になっておるわけでありますが、大臣はこの行監委員会の意見に対しましてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  124. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 行政監理委員会は、行政簡素化能率化という観点に立って真剣に研究された結果でありますから、それ自身としてその立場からすれば価値あるものと思います。しかし、現実のわれわれ建設行政を担当するものからすれば、行政簡素化ということも結局地域住民の、端的に言えば国民の便益ということと、それから行政能率ということと、それから時代の要請というものを勘案してこれは考えなければならないと思うのです。そういう観点からするならば、一般的に行政簡素化するということについては私は賛成ですが、特に具体的に東北、北陸地建の廃止については、先ほど来いろいろ申し上げました理由によりまして、いまこれに賛成いたしかねる次第であります。むしろ、いま北陸地方社会資本の立ちおくれのために非常な地域的なアンバランスを来たしておるので、そのために実は北陸道の問題、あるいは国道の整備あるいは北陸地域におけるところの都市計画推進等ほか、これから相当強力にやらなければならぬ段階でありまするので、もしこれが廃止されて、これが一部は関東地建、一部は中部地建、一部は近畿地建というふうに分かれますというと、地方自治体にとってもたいへん私は非能率的になるのではないかと思いますので、賛成しかねておるのでございます。
  125. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあきょうのところは建設大臣の御意見を拝聴するだけにしておきますけれども監理委員会意見が出たということは、やはり今後検討の対象になるのじゃないかと、こういうように私は思うわけであります。  それで道路住宅行政について若干お伺いをしたいと思います。  これは京都における国道二十四号線の観月橋並びに百七十一号線の久世橋の架橋につきまして、両方の橋は交通量が非常に繁多に相当激しくなっておりまして、地元住民からもかねてから非常に要望がございますし、この促進方につきまして、しばしば要望もあるわけでありますが、この事業計画はどうなっておるのか、その辺からひとつお願いしたいと思います。
  126. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 最初に観月橋につきまして御説明申し上げます。  現在の観月橋は国道二十四号線にかかっておりますが、観月橋のところにおきまして京都の環状線と、それから京阪電鉄と平面交差いたしまして、しかも非常に交通量が多いために混雑をいたしておるわけでございまして、すでに三年ほど前から計画が立案を終わりまして、現在工事着工中でございます。全体の計画は十二億四千万ということになっておりまして、そのうち用地補償費が五億七千五百万円、四十五年度につきましては一億九千五百万円をもちまして工事に着手しておるわけでございます。このうち大部分は用地補償費に回しております。なお、用地買収につきましては、京都府が行なっておるわけでございますが、四十六年度につきましては、いよいよ橋梁の拡幅工事にかかるということになっております。ただ、ここは観月橋の前後の用地買収がかなり難航をきわめております。北側のほうにつきましては、現在立ち入りが拒否されておるような状況でございますし、橋の南側につきましては、まだ四分の一程度が代替地を要求しておりまして、立ち入りの測量もできておらないような状況でございます。  その次に、もう一つの久世橋についてでございますが、久世橋は国道百七十一号線の京都市の久世という地先にかかっている橋でございまして、いまその下流側に新しい橋をつくるべく準備を進めているわけでございます。これは昭和四十五年度におきましては、事業費二億二千万円で、用地買収並びに工事にかかるようにしております。久世橋の概要は、橋の長さが二百七十五メーターでございまして、全体の事業費が六億七千万程度でございます。四十五年度に上部、下部を国庫債務費でもって、二億二千万をもちまして工事に間もなく着工する予定になっております。
  127. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、これは橋の構造はどういうふうになりますかね、観月橋の場合と久世橋の場合は。簡単でいいですから。私が伺っているのは、観月橋の場合は、立体交差になって、久世橋の場合はいまの橋にあわせまして、往復を分離をされる、そして新しい橋ができるように聞いておりますが。
  128. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 観月橋につきましては、先ほど申し上げましたように、京都府の環状線と立体交差にし、さらにすぐそのわきを通っております京阪電鉄宇治線とも立体交差するために、現在の橋よりも相当高いところを通るようになります。橋のタイプは連続げたと申しますタイプでございまして、メタルでつける予定になっております。  それから久世橋につきましては、久世橋は現在の橋のすぐ上流側に並行して同一形態の橋をつくります。現在の橋が二車線しか通りませんので、両方併用しまして四車線にするという計画になっております。タイプは現橋と同様でございます。
  129. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、大体いまの見通しで、用地の買収はいつごろ終わる予定なのか、いつごろから工事に着手するのか、その点だけ最後にお伺いしておきたいと思います。
  130. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 観月橋につきましては、先ほど申し上げましたように、北側、つまり京都市内のほうの側が非常に立ち入りを拒否されておるような状況で、難航をきわめております。これは環状線をつくるときの用地買収については、京都府に委託しているわけでございますが、環状線をつくる際に、いろんな京都市が用地買収をやった条件との斉合のように聞いております。それから南側につきましては、いま申し上げましたように、四分の一が用地測量を拒否しておりまして、現在の見通しでは、この用地買収が完了しないというと実際の事業にかかれないわけでございますけれども、いま鋭意努力しておりますので、できれば来年度中には工事に入れるようにしたいというふうに考えております。  それから久世橋につきましては、おおむね用地の——久世橋の西側の用地がまだ半分程度残っておるようでございますけれども、これは間もなく解決する見通しがついております。したがいまして、久世橋につきましては、ことしの十月の末にすでに下部工事を発注しております。まだ着工しておらないかもしれませんが、準備中でございまして、四十五年、四十六年の二カ年で久世橋を完了する予定にしております。
  131. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ住宅公団の問題で若干お伺いをいたしたいと思いますが、建設省住宅公団の家賃の値上げを検討をされておるようです。一部新聞にも出ておりますが、家賃の値上げがいま物価高でありますから、慎重にしなければならないと思うわけでございます。どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。大臣から確たる答弁をお伺いしたいと思います。
  132. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 実は中尾先生御指摘のとおり、家賃問題は具体的に検討を進めております。これは大蔵当局からも、現在新しい公団住宅をつくる場合には、土地あるいは建築費、管理費等高くなっておるから上げてはどうかということで要求をされております。それから一方において、古い前に建てたものが都心に近い、割にいい条件にあるにもかかわらず非常に実は安い。それで入居者の中から不公平論が出ております。これも是正しなきゃならぬと思って検討はしておりまするが、四十六年度は、これは非常に影響が国民感情へ相当響くのであります。私としては、明年一年は検討して、明年中は上げたくない、そういうことで財政当局と折衝中でございます。
  133. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで私はお伺いしたいのは、公団住宅というものは、どういう趣旨のもとにこれはできたんですか。一体公団住宅に入居してもらいたいという人はどういう所得の層なのか、その辺ひとつお伺いしておきたい。
  134. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは住宅公団ができた当時は——現在も住宅難でございますが、非常に住宅の需給関係が逼迫しておりました。というのは、国民所得もそれほど高くなく、しかも急激に都市化している状況下においては、特に低所得者の入居問題が非常に深刻になってきた。そういうことで、しかも東京を中心に見るならば、東京旧市街に勤務する人がずっと遠くから、たとえば埼玉、千葉、神奈川等から通勤せざるを得ない状況でございます。そういう状況であるために、地方自治体だけに公営住宅を、資金のワクを与えてやるだけではとてもこれは目的達成はできないというようなことで、住宅公団をつくったわけでございます。したがいまして一番第一の目標は、できるだけ低所得者を優先して入居させるという賃貸住宅一つ。それからもう一つは、そのちょっとハイクラスになるけれども、サラリーマンの方々や独立企業者の人方で、住宅を持ちたい、しかしながら自分でその土地を入手し、かつこれを自分でつくるには相当困難な立場にある人が多い。それで公団で分譲住宅をつくって、これを相当長期の償還計画を立ててこれに分譲する。この二つが公団住宅をつくった目標でございます。
  135. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは公団法の第一条には、勤労者のために良質な住宅を供給すると、こうなっておりますね。それでまあいま公団住宅の入居資格、入居基準というようなもの、大体わかっておりますけれども、どういうふうになっているのか。月収が四倍程度なければならないと、こういうふうに聞いておりますが、その辺ひとつお伺いしたいと思います。
  136. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) お答えいたします。  ただいま大臣から御説明申し上げましたように、住宅の入居階層につきましては、住宅政策全般の問題でございまして、それぞれ公営住宅、公団住宅につきまして、対象の入居階層を分析してきているわけでございまして、現状で申しますと、大体公団の場合、最低限を申し上げますと、家賃一万七千円といたしました場合に、四倍以上の収入の方ということになっております。それ以下の方について、所得分析をいたしまして、それぞれ公営住宅等に入居されるように全般の住宅政策をきめているわけでございます。
  137. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 公団住宅の家賃ですね。家賃の現状は、一番安いところから一番高いところ、どういうふうになっているか、その辺の現状を少し。
  138. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) お答えいたします。  先ほど大臣からお話しございましたように、住宅公団創立以来、毎年度相当な戸数の住宅を建てておりますので、古い住宅と新しい住宅との間に非常な家賃の格差がございまして、現在団地の住宅について申し上げますと、昭和三十年度に建てました住宅につきましては、平均家賃が四千五百円となっております。四十四年度に建てました住宅につきましては、家賃の平均一万五千四百円ということで、約三倍以上の値上げという姿になっております。
  139. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 一万五千四百円が一番最高ですか。私が聞いているのは、一番安いところから一番高いところまで、あなた親切に言わなければだめですよ、めんどうくさいような答弁では。
  140. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) いま、私が申し上げましたのは、団地アパートの平均家賃の年度別の値段でございまして、具体的に現在公団が所有しております賃貸住宅で一番高いものということで申し上げますと、これは団地ではありませんが、市街地住宅といたしまして二万九千四百円という家賃の住宅がございます。
  141. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 結局、入居の資格というものは、月収が四倍程度なければならないということになるわけですわね。平均二万円といたしましても、八万円程度の月収がないと、この人は入れないと、こういうことになるわけですが、これでは住宅公団をつくりました趣旨に若干反するような気がするのであって、勤労者のために良質な住宅を供給する、こうなっているわけでありますからね。それで家賃はどうやって一ぺんきめるわけですか。これは建設年度別の事業費によっていろいろと計算されて家賃が出るんだろうと思いますが、その辺のところをもう少しひとつ詳しく説明してください。
  142. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) 公団家賃の計算方式は、省令ではっきりきめてございまして、建設費と用地費をもとにして計算するということになっております。したがいまして、その計算の方式は年度によって変わらないわけでございまして、ただ用地費、建設費が上がりましたために、同じ計算方式で計算しました結果の家賃が変わってきているということでございまして、基本的に申し上げますと、建設費を七十年、五分という金利で償却する計算で家賃の計算をいたしております。
  143. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、建設費を七十年で償却するということが基本になっているわけですか。
  144. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) そのとおりでございます。
  145. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすれば、これは大臣は、ことしは、四十六年度は家賃は相当物価に影響するので上げない、しかし四十七年度については検討しなければならぬような発言がございましたが、いまのインフレ経済下では毎年毎年地価はどんどん上がっていく、また建築業者のいろいろな費用等もどんどん上がっていくわけですね。そうすると家賃をストップすると言うたって、これは家賃を上げないと言ったって上げざるを得ないようになってくる。四十六年度は上げないが、四十七年度は上げる、四十八年度はどうなるか、四十九年度は、五十年度はと、こういうふうに見ていきますと、これは毎年公団家賃というものは上げざるを得ないという方向になるじゃありませんか。はたしてそういう制度というものが、いまの住宅難のおりから、勤労者に良質な家を提供するという、最初公団の設立された当時の趣旨に合うのかどうか、その辺のところを一ぺん大臣に伺いたい。
  146. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のように、現在の手法そのまま継続していって、これが物価が上がるということを計算すれば、御指摘のとおりだろうと思います。ところで、これは、私は、それを経済の趨勢だからやむを得ないと言うならば、これは建設省無策だといわれるに違いない。そこで、私は、現在住宅公団の公団住宅を建てる新しい技術、手法をいま検討さしているところでございます。これはかなりの高層、十四、五階までプレハブができないかということです。これは現在非常に高くつくのは、建設労務者の不足と、建設労務費の非常な高騰ということが相当のウエートを占めておるのでございます。そこで、ある程度まで工場で生産して、組み立て式にするとなれば、その労務費が相当改善される。それから、いまのように一棟、一棟違った設計であるから、これはなかなかむずかしいけれども、これが規格化されれば、工場生産でコストダウンできる。この開発をこの一、二年で相当進めてまいりたい、これが一つです。  それからもう一つは、従来、地方自治体が公団住宅を非常に歓迎しないで拒否する傾向があります。それは何かといいますと、要するに公団住宅ができてまいりましても、地方収入はあまりふえない。固定資産税はあがらないし、そうしてむしろ学校をつくらなければいかぬ、あるいは公園、あるいは育児所、こういう付帯的な出費が多いから歓迎しない。そこで勢いそうしたところの公共的施設まで公団の負担にさせられる、これがコストアップする大きな原因です。そこで私は現在、いま自治省その他と検討しておるのは、いまの固定資産税の評価を宅地に近くさせていくとなりますれば、漸次これによって地方自治体の収入がふえてきます。そうすればいままでのように公団に何でも自分のほうで持てということがだんだんなくなってくるということで、地方財政上の基礎をつくらしたいというようなこと、それからもう一つは、いま発足させておるのでありまするが、首都圏とか近畿圏とか、中部圏というように大都市の周辺に相当大規模の都市開発をやりまして、これには鉄道、道路、そういうものをつけて、安い住宅団地を国で大規模に開発して、そこに公団住宅設置するような、いわゆる用地費を政策的に安いものをつくるという努力を進めていきたい。こういうものを総合していきますれば、いま御指摘のように毎年毎年上げなくてもいい扱いができやしないか、その見通しを立てた上で、公団住宅を長期的にどういうふうな住宅、いまの家賃をきめるかということの研究が必要だと思うのです。ただ大蔵省がいま用地費その他を上げろということに応じないゆえのものも、たとえば、いま上げては困るということではなくて、そうしたところの長期にわたって公団住宅のコストダウン、それから運営上の方法によってこれから上がるであろうところのものを吸収できるかできないか、この研究をいまさせておるわけです。そういう見通しの上に、今度は一定の年限たてばある程度まで上げなければならぬとするならば、その方式を考えるし、あるいはいま申し上げたことで、当分四、五年間これはストップをしておいてもこれでやれるかどうか、この研究をこの一年間で十分進めたい、こういう意味で、実は来年度は上げないように努力したい、こういう考えでございます。
  147. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 建設省がそういうふうに技術の改良、その他安い用地の開発等につきましてくふうされることは非常にけっこうだと思うわけでありますが、戦後、衣食住の問題で衣と食、着物と食べもののほうはまあどうにかなっておるわけですね、住のほうがいまだに解決されていない。ですから住宅のほうに私はもう少し政府は力を入れるべきじゃないかと思うのです。それから公営住宅政府資金投入したのもありますけれども、これはなかなかああいうことではらちがあかない。しかも公団住宅というものの資金というものは、これは全部借り入れ金でしょう。これは財投資金並びに公募債の資金が入っておるはずなんですが、借り入れ金で借りた金に利子も払って、それでまあ公団住宅をつくって、家に困った人に貸してあげると、こういうことであれば、多少建築技術の改良なり、用地だってまあ日本の国は限度がありますからね、そういうことは毎年言われていることであるけれども、なかなか安い用地が入らない。結局上げざるを得ない。上げていくと今度は一般の家賃のほうは、一般民間家賃のほうがまたどんどん上がる。どうしてもそうなれば、公団や公営住宅は上がったのだから私のほうも上げさしてもらいたい、こういうような傾向になるわけでして、ですから住宅に対する政府の姿勢というものを考え直す必要があるのじゃないかと私は思うのですね。だから、端的に言うならば、公団住宅の資金を政府資金をある程度投入したらどうか、あるいは金利に対して利子補給くらいはしてやったらどうだ、こういうふうに考えると、少しくらいは何とか値上げの方向も是正できるのじゃないか、これは大蔵大臣おらなければどうしようもないのですが、建設大臣はそういう考え方、またそういう努力はなさっていらっしゃるのか、それはがんばっていらっしゃるでしょうけれども、制度は制度としてやむを得ないと、こういうようにあっさりやられたのでは、これは前進がないですよ。もう住宅という問題は、私が言うまでもなく、朝から晩まで働いてきて、そしてやっと家にたどりついて、一日の労働のいこいの場になっている住宅は、帰ってみればもういろいろとひっくり返ってしまって、これはもう休むどころではないと、つい途中で変なところへ行って一ぱいやる。その辺からまた変な現象が出ちゃって、家庭の紛争になりかねない。あしたの労働力とするためにも、やはりこれは家というものは安定させていかなければならない。この家が、現状では第一次五カ年計画もことしで終わろうとするわけでありますが、なかなかこれは進捗しない。この点ですね、どうお考えになっているのか。
  148. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 非常に重大な問題でございます。ところで、現在いろいろ高いと言われながらも、住宅全体の不足からいたしまして、もうつくったものは非常な競争率で、入らない人と入る人の非常なアンバランスが出ている、これにも一つの問題があります。これは、きょうは十分時間がありませんから詳しく申し上げることができませんが、建設委員会でかなりこの問題は詳しく論議をし、私からも説明をしているところでありまするが、利子補給はいたしております。それで利子補給して、現在七十年五分にしているのは、原資からすれば少なくとも七分四、五厘のを五分にしているわけでございます。そういうような状況で、これは財政資金ではありますけれども、これはかなり低利子にさせておるわけでございます。土地が値上がりしたということは、いろいろな原因がございますが、ようやく先般農地法が改定されたということと、それからもう一つは、都市計画法によって市街地区に編入されたところは自動的に農地法の解除ができる。それから計画的な都市計画法ができてきた、こういうことを受けて、今後は従来のようなスピードで土地その他が上がるということは比較的緩和されると思います。  それから、先ほど御質問に対して私がお答えしたように、都心の工場を外部に退去させて、そこに高層の賃貸住宅をつくるということになりますれば、これがかなりに従来よりもコストダウンができるし、便利になる。そういうふうないろいろな手法をもってこれはやらなければならぬと思います。しかしながら、現在でこの住宅政策が万全だとは思っておりませんので、今後もできるだけ総合的な施策で低家賃、そうして快適な条件を具備するために努力してまいりたいと思う次第であります。
  149. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 住宅の申し込みが殺到しておる、これは当然のことでしょう、いま住宅は足らぬのですから。高うてもしょうがないということで殺到するわけですがね。そういう答弁は私はちょっと気に入らないのですが、先ほど来私が言いますように、要するに政府住宅に対する取り組む姿勢をもう少し改めたらどうですか。ということは、もう少し財政的にも力を入れたらどうかということですよ。これが私がきょう言いたいところであって、みな借りた金でやっているんですから、どうしてもこれは高くならざるを得ない。きょう大蔵大臣がおれば聞いてみたいのですが、その点、これから来年度の第二期の住宅計画案も私は見ておりますけれども、これだって相当削られるかもわからない、相当予算折衝で削られるかもわからない。削るような大蔵大臣の頭の切りかえはあなたがやってもらわぬことには、なかなか進捗しませんよ。それと第一次の五カ年計画でそれが終了したら、いまの住宅難というものは一応解消できると、そういう前提のもとに第一次が計画ができて、それを実行してみた。ほぼ完全まではいかないけれども、どうにか九〇何%台までは達成できたけれども、なおかつ住宅が相当足らない。これは家族はだんだんだんだん分裂していくわけですからね、そういう傾向にあるでしょうけれども、この点、もう少し大臣は力を入れてもらいたいですね。ただ大蔵大臣の言うなりばっかりでは、これは担当大臣としてははなはだ困る。ポーランドの例を見ましても、物価問題等でも相当暴動が起きているんですよ。物価が一番主犯なんですよ。土地対策も先ほど質問がありましたが、土地公示制度というものがことしから発足をした。それも私は聞きたいんですがね。いまのところまだ効果というものがあんまり出てないようですけれども、その公示制度の効果という面、これはいまのところはまだ判断できない。その二点をちょっと答弁してください。
  150. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 住宅政策に重点を入れろということについては、私も従来ともやってまいりました。ただ大蔵大臣の言うなりにはなっておりません。なかなか大蔵大臣も渋いんでありまして、相当折衝しておりますけれども、しかし私の言うとおりにまた大蔵大臣がならないことも事実のようでございまして、これは今後一生懸命皆さんの御支援を得て取り組みたいと思っております。  それから、地価公示法が発足して間もないので、地価抑制にどの程度役立っているかということについては、いまにわかにこれこれだということを計数的に申し上げることは困難だと思います。しかしながら、少なくともこれによって国並びに地方自治体がその周辺の土地を入手、あるいは補償する場合においての基準の、標準の効果はあるということは、先ほど事務当局から申し上げたとおりであります。さらにこれが漸次日本の主要都市、やがては地方都市各地にこれが適用されるようになりますれば、相当の効果が出てくるものと考えている次第でございます。
  151. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 相当効果が期待されるということでありますが、公示された地価以上に土地の売買がされた場合にはどうなるんですか。その辺はまあやむを得ないということで……。
  152. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 現在の地価公示法のたてまえからして、民間の一般取引につきましては何も規制はございません。
  153. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういうことでは、先ほど建設大臣がおっしゃったように、これはやっぱり売り手と買い手の問題でありまして、公示された地価は大体この辺だ、それに対して買い手が殺到すれば多少上がらざるを得ない、こういうことにもなるわけですね。その辺はどうなんですか。
  154. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) ただいま御説明申し上げましたように、この法律によりましては一般の宅地取引の目安になるということだけでございますけれども、先ほどの山崎先生の御質問にもお答え申し上げましたけれども公共事業におきましてはこれの取得価格をきめるときにこれを規準とするということになっております。一般に、公共事業の取得価格が一般のそういう地価というものにも非常に関連が深い影響のあるものでございます。そういう意味におきまして、公共事業の取得価格というものが、この地価公示価格を規準としてなされるということは、それだけ一般の取引価格というものを引き締める、その価格に大体引きつけるという効果はあろうかと思うわけでございます。
  155. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは一つの土地価格抑制のための制度であると思うわけですがね。もしか公示地価以上に取引がなされた場合には、野放しということですね、いまお伺いしたら。それでは、もしほんとうにそういうことがどんどん行なわれていきますと、この制度はあまりつくった価値がない。それで、これはそういう公示された地価以上に取引がされた場合には、これは土地価格を抑制する意味におきまして、課税を強化したらどうだろうか、こういうふうにも考えるわけですが、その辺大臣はどうお考えになりますか。
  156. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お説のとおりでございまして、先般の特別国会でもこの問題が相当提示されまして、佐藤総理大臣からも、そういう方向検討するということで、現在、これはたしか税調、大蔵省で検討しておるはずであります。
  157. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大蔵省来てるのですか。大蔵省は来てないんですか……。いま土地売買によりまして利益を得た場合の課税方法はどうなっていますか、現行法では。
  158. 安井誠

    説明員(安井誠君) 現在の土地譲渡取得に対します課税につきましては、四十三年七月に税制調査会の御答申を受けまして、四十四年から実施しておるんでございますが、二つに分けまして、長期保有の土地につきましては分離比例税率による軽課方式をとっておるわけでございます。それからもう一つ短期的な譲渡取得につきましては、分離比例はいたしますが、分離比例高課と申しますか、重課と申しますか、最低限住民税を合わせまして五二%の税率で課税をいたすというやり方をとっているわけでございます。
  159. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この税務行政につきましては時間がないから、ただ私が聞きたいのは、かりにこの土地をまあ一坪十万円で売ったと、そしてその売買の所得は幾ら幾らだ、こういうふうに届け出があったとしますね。その場合、売買価額の十万円が妥当であったかどうか、その辺のところは税務署が判断するのじゃないですか。あなた十万円とおっしゃったけれども、まあ私どもが見た目ではどうも十万円では安過ぎるのじゃないか、時価は大体このくらいだ、だからあなたの課税所得に対しましては、あなたの申告はこういうふうになっていますけれども、もう少し上げさしてもらいましてこのくらいにしたいと、こういうふうになっているのじゃないですか。その辺のところをちょっと説明してください。
  160. 安井誠

    説明員(安井誠君) 執行上の問題でございますが、先生の御指摘のように、納税者の方々が土地の売買をなさりまして、税務署に申告がありますと、税務署としてはもちろん申告納税制度でございますから、一応基本的には納税者の申告を尊重するわけでございますが、まわり、その周辺の土地の通常の売買価額というものを参照いたしまして、その価額が妥当であるかどうかということを調査するわけでございます。それが税務署として妥当でないというふうに判断いたしましたら、もちろん、まず納税者においでいただいたり、あるいは納税者のお宅にお伺いいたしまして、この価額で妥当であったかどうか。いろいろ、たとえば取引があれば、その売買契約であるとか、あるいは取引に伴う金銭の授受であるとか、そういうことを調べさしていただいて、その価額がまわりの土地に比べましてもやむを得ない価額であるということになれば、それで済ませますし、どうも税務署側の調査ではそうでなさそうであるということになれば、それで修正をしていただくなり、それから更正決定をするという形になるわけでございます。
  161. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあこれは建設行政と違いますから、この程度にいたしておきまして、もう一点だけ公営住宅の入居基準の問題ですが、これももうちょいちょい問題になっておりますが、第一種公営住宅にしても第二種住宅にいたしましても、入居基準というものがきまっておりまして、第一種の場合は二万四千から四万、第二種の場合は二万四千以下、こういうことになっている。ところがだんだんだんだん、最近はこの収入がインフレによりましてふえておるわけですが、そうしますと、どうしてもこの所得が上がってくると基準をオーバーするから、まあ出ていけとか、いろんな問題が出ておるわけですね。それで建設省もこの入居基準というものを何回か上げておるようではございますが、これに対する大臣見解はどうなのか、その辺をちょっとお伺いしておきたい。
  162. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) いまお話がございましたように、公営住宅入居の収入基準をきめておりまして、お話しございましたように、第一種四万から二万四千円、第二種二万四千円以下ということにきめてございます。それでお話のように、これは昭和四十三年度にきめた金額でございまして、その後の経済条件の変化に伴いまして、われわれとしてもこれを改定したいということで、現在準備を進めておりまして、来年度予算を組みます本年末までには新しい入居基準にしたいということで、目下鋭意折衝をいたしておる段階でございます。
  163. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これはやっぱり物価や収入増にスライドして改善するようにしたらどうかと思いますがね。それに対して見解があれば聞きたいと思います。  それから収入限度をこえた場合に家賃の割り増しを取っていると聞いておりますが、これはこの内容はどうなっているのか、説明をしてもらいたい。また、そういう入居基準の収入限度をこえていまなお公営住宅に入っていらっしゃる方、一体どのくらいあるのですか。
  164. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) 第一点の、入居基準を毎年検討したらどうかというお話でございますが、これは従来の国会審議でもたびたび取り上げられておりますので、われわれとしましては、今後経済条件の変動に従いまして、それに応じた入居基準にきめたいということで、できれば毎年検討して、経済条件に応じまして改善を加えたいということで考えております。  それから割り増し家賃の問題でございますが、現在公営住宅法の規定で、一応公営住宅に入居していただく方の収入金額がきめてございますので、先ほど申し上げましたような数字をきめてございますが、入居の後非常に収入がふえまして、その入居基準に比較いたしまして相当オーバーするという場合には、そういった方に、まずその収入に応じまして家賃の割り増しをお願いをするということで規定ができておりまして、具体的に申し上げますと、第一種の公営住宅は、先ほどの収入基準では四万円でございますが、収入が五万円をこえました場合は、家賃の〇・四倍だけまでは上げて割り増し家賃を払っていただくという規定になっておりますが、これは各事業主体の条例できめまして、そのケース・バイ・ケースで、実情に応じてやっていくということでございまして、現実にはあまりこの規定が活用されている例は少ないというのが実態でございますけれども考え方といたしましては、低所得の方に供給する公的資金の住宅というたてまえから、お入りになってから相当高額の収入が得られるような状況になりました方につきまして、割り増し家賃をいただいて——すぐ入居資格がないから出ていけということにならないように割り増し家賃をいただいて、その収入とのギャップを埋めるという考え方でございます。
  165. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これで終わりますけれども、私が聞いているのは、その家賃の割り増し金を取っておるのが現状でどの程度あるのか。それから割り増し金を取るぐらいであれば、早く入居基準というものを変えたほうがいいじゃないか。この二点について。
  166. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) ちょっと数字が古い数字でございますが、昭和四十三年九月の調査によりますと、百万戸の管理戸数に対しまして二十二万戸の収入超過者が入っておるという数字になっております。
  167. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それからもう一つ、いまあなたの説明によりますと、百万人のうち二十二万人は家賃の割り増し金を取っていると、こういうことでしょう。
  168. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) 収入超過の入居者が二十二万戸であるということでありまして、割り増し家賃を取っているかどうかというのは別問題であります。超過しているのは二十二万戸であります。完全に収入超過者から全部割り増し家賃を取っているということではございませんが、大体収入超過した場合には取っているということでございます。
  169. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうもあなたの答弁ようわからぬ。もう一ぺん言いましょう。だから、入居基準をオーバーした所得の人がどのくらいおるのか、これが一つ。それから、現に割り増しの家賃を取られて入っておる人がどのくらいあるのか。
  170. 多治見高雄

    政府委員多治見高雄君) 超過している戸数は、先ほど申し上げました二十二万戸でございます。ただ、このうち割り増し家賃をどれだけ徴収しているかという点についてはしっかりした実数をつかんでおりませんけれども、大多数は割り増し家賃をお払いになっているというふうに考えております。
  171. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 ほかの委員会に行っておりまして、質問する時間が十分なかったので、私は反対討論でわが党の態度を明らかにしておきたいと思います。  日本共産党を代表して本案に反対するものであります。  今回の改正一つは、東北、北陸、中国及び四国の各地建企画室を廃止して、新たに企画部に昇格しようとするものでありますが、これによって対外的に室長という名前が部長に変わる程度で、名刺の肩書きが変わるだけではないのか、こういうふうに思うわけです。  次に、現在建設省は大蔵省に対して四十六年度予算要求の中で、企画室を企画課、技術管理課の二課に組織改編を要求しています。要するにこれらの組織強化は、新全国総合開発に対応するものであって、われわれはこれに賛成することはできません。さらに政府は、去る十一月二十日の「行政機構簡素合理化推進について」と題する閣議決定を行なっております。これによると、ブロック機関の管理区域を合理化し、同一省庁の数種の地方支分部局を統合するなど、極力整理統合を行なうとあるが、こういう方針建設省地建強化の方針をとっておることとは明らかにこれは矛盾する態度と言わなければなりません。一方が廃止しようとするときに、一方が強化しようとしている、こんな政府部内の矛盾の産物は許されないと思う。  以上の理由により、簡単でありますが、われわれ日本共産党は反対いたします。
  173. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  建設省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  174. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 多数と認めます。よってて本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後五時三十四分休憩      —————・—————    午後五時五十五分開会
  176. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は御発言を願います。  なお、参考人として株式会社新都市開発センター常務取締役桑原大行君、豊島区助役日比寛道君が出席いたしております。
  177. 片山武夫

    ○片山武夫君 参考人をお呼びになった理由と、参考人に何を述べてもらうのかということについて、われわれちょっと関知しないのですが、そのことをはっきり委員長からしてもらって……。
  178. 上田哲

    ○上田哲君 議事進行について。前の発言もありましたね、参考人の皆さんを前に置いてたいへん失礼だから、たとえ数分でも休憩をとられて、十分手続を整えてからきちんとやっていただくことがいいと思うのです。
  179. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それでは暫時休憩します。    午後五時五十八分休憩      —————・—————    午後六時三十分開会
  180. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は参考人の方にはお忙しいところ急遽、おいで願いましてありがとうございました。  法務省設置法改正案の審査に際しまして、池袋副都心計画と東京拘置所の移転とが新都市開発センターと法務省との間の等価交換契約でやられておるようでございます。それからこの副都心計画につきまして、地元民から豊島区長にいろいろと要望が出ておるということも聞きますので、どういったことが要望され、どういったことが問題となっておるのか、そういったことにつきまして、ひとつ御両人から御意見の御発表あるいは事情の御説明をお願い申し上げたいと思います。  最初に、新都市開発センターの桑原常務から御開陳をお願いしたいと思います。桑原参考人
  181. 桑原大行

    参考人(桑原大行君) 実は、本日お電話をいただきましたのが午後でございまして、きわめて急な状態でありましたので、手前どもといたしまして、十分な用意もございませんし、かつ、あわせまして、冒頭から意見をというお話ではございませんでしたので、きわめてざっぱくなお話になるかと思いますが、かいつまんで経緯だけ申し述べさせていただきたいと思います。  第一点は、実は御承知の方もおいでかと思いますが、ここの場所は池袋駅からおよそ五百メートルくらいのところにございまして、いわば池袋副都心の中核をなす地域にございます。新宿の副都心が世論として持ち上がり、相呼応してこの池袋を副都心として再開発すべきだというような御意向は豊島の住民、なかんずく地域の方々がお話しになって、それで区と一緒になって都庁に働きかけられたと、こう聞いております。その結果、都議会等もこれに賛同いたし、政府に持ち上げて、巣鴨の拘置所を取り除くべきであるという決定がなされたのが昭和三十三年と記憶してございます。その後、再開発いたしますにつきまして、東京都と政府の間でかなり、おおよそ十年近く御協議に相なったやに聞いておりまするが、その結果、膨大な投下資本が、公共事業費がかかるので、東京都としては小さい単一区域にこれだけのものを傾斜的にかけるわけにはまいらぬということで、政府にお返しになったというふうにわれわれは聞いております。その後、政府側といたしましては、閣議決定事項を順守するということで、なおかつ都庁とお話を続けられて、そして地域の区役所ともお話の上、しからば他にかわる方法がないものかということのあげく、国庫債務負担行為ということの措置で当会社にこれの再開発をさせるということに相なったやに記憶しております。  そこでてまえどもといたしましては、会社と政府と契約をいたしまして、五カ年契約で法務省の矯正施設の整備を申し上げて、それが完成した暁にはそのあと地をいただいて再開発を着手する。しかも、その着手する内容につきましては、東京都の都市計画審議会で決定したこれこれこれこれの幾つかの縛りがございまして、これこれの公共事業を行なえ、その公共事業を行なわなければこれはだめだと、こういう縛りをつけられまして、この実施に当たると、こういうことに相なっております。  そこで在来、全国で六カ所の刑務所、拘置所等の改築、新築等を手がけてまいりまして、現在、政府と契約しておりまする最終段階に差しかかってございます。幸い工事等につきましては、予定どおりの進捗をしておりまするので、政府とのお約束時間内にはきちっとお納めすることができる、いまの見通しでございます。とすれば、お納めするものはお納めしますが、そのあとどうするかという段取りになっておるのですが、これはただいま申し上げましたように、当初から東京都の都市計画審議会で、これこれをやれ、しかも中で一番たいへんなことは、四十八年と記憶しておりまするが、四月一日までに道路法上の道路としてのインターチェンジの提供もせえといううしろにデッドラインがございます。一日もゆるがせにできない状態でございます。今後は政府側にお引き取りいただいて何すれば、直ちにあとの構想に邁進したい、これは取りも直さず、都市計画審議会で決定した内容に取り組む、こういうことになるかと思います。  刑務所等の移転その他は、ただいま御審議いただいておりまする設置法の一部改正が御審議、御可決いただきますと、これに伴いまして、手前ども政府にお納めする分が全部遅滞なくお受け取りいただけるものと理解してございます。  簡単ではございますが、以上が大体の流れの骨でございます。
  182. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ありがとうございました。  それでは続いて、日比参考人お願いいたします。日比参考人
  183. 日比寛道

    参考人(日比寛道君) 豊島の助役をつとめます日比寛道でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  東京拘置所の移転の問題でございますが、これは豊島区といたしましては、十数年来の念願でございまして、しかも、全区民あげての念願であったわけでございます。また同時に、区議会の中におきましても、これの移転促進のために特別の委員会等をつくりまして、これが移転の促進のために、東京都あるいは法務省に向かって請願をいたしてまいったわけでございまして、幸いにいたしまして、本日設置法の改正案が上程されておるということを聞き及んだわけでございますが、さて、この拘置所が移転した暁におきましての区のいろいろと要望事項がございますが、ただいま住民からいろいろ請願その他があったであろうというお話でございます。あいにくと細部の問題につきましては、書類を持ってまいりません関係上、こまかいお話はできないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、区議会におきましては、もうすでにかなり前に法あるいは条例に基づきます豊島副都心特別委員会というものを設置しておるわけでございます。しかもこの特別委員会の委員の構成は、豊島区は議員定数が四十八名でございますが、これの半数をもって組織する大きな特別委員会を設置いたしまして、この東京拘置所の移転しましたあとの再開発の問題につきまして、長い間審議をされてまいったわけでございます。  まず第一に、一番当初希望されましたことは、公園用地の十分な獲得の問題でございまして、この問題につきましては、当初都計審におきまして七百五十坪という計画でございましたが、豊島区におきましていろいろとお願いをいたしまして、一応七百五十坪が千八百坪ということで一応都計審の決定を見ておるわけでございます。なお、その他のあと地の問題になるわけでございますが、このあと地の開発の問題につきましては、できるだけ地元の要望を入れてほしい。これが最終的の念願でございます。  しからばその地元の要望のものの項目がどのような項目かということでございますが、これも先ほど申し上げましたように、特別委員会におきまして慎重に審議をいたしまして、一応特別委員会の決定事項といたしまして、六月の二十三日付をもちまして執行機関の最高責任者でございます区長、議決機関の最高責任者でございます議長、この連名をもちまして、公文書によりまして新都市開発センターのほうへ要請書を提出いたしたわけでございます。  その要請書の概略を申し上げますと、施設計画の中に自然史博物館を入れてほしい。それから体育施設を入れてほしい。それから全国郷土芸術物産館を入れてほしい。それからなお、建造物の一階部分はピロティといたしまして、全敷地を最大限、広場として開放されたい。なお、これは小っちゃな問題でございますが、地元の要望で、東京法務局出張所、これを設置してほしいというような、項目としては要望を出しておるわけでございますが、なおそれの付帯の意見といたしまして、これらの事業その他を行なうにつきましては、公害というものが相当大幅に想定をされるだろう。したがってこれらの問題につきましては十分留意をすると同時に、計画が決定された暁におきましては、事前に区のほうへ協議をいたして、公害その他の問題をできるだけ排除をしてほしいという付帯の文句がつけておるわけでございます。  以上が豊島区として現在まで拘置所の問題につきまして意見を取りまとめました内容でございます。
  184. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ありがとうございました。  それでは両参考人に対して御質疑の方は御発言を願います——それでは両参考人におかれましては御多忙中のところまことにありがとうございました。  御質疑のある方は御発言を願います。
  185. 足鹿覺

    足鹿覺君 法務省設置法の一部を改正する法律案審議にあたりまして、今日までの経緯にかんがみ、私は一応委員各位の記憶を新たにしていただきますために、簡単に触れておきたいと思います。  すなわち、第一は、今日までの経緯でありますが、われわれはこの法案を審議の当初議題に供し、質疑をいたしました。特に十二月九日は定例日でないにもかかわらず、委員長以下たっての御要請に基づきまして、われわれは出席をいたし、審議の開始に当たったのでありますが、審議半ばにおいて委員長、その他与党の委員諸君が、佐藤委員を残し、八田委員長代理のみで、他は全部なぜか御出席になりませんでした。したがって、そのまま審議を進めるわけにはまいりませんので、退席をいたし、やむなく審議不能となって散会になりました。この事実を私はこの際明らかにしておきたい。  越えて十二月十日、新都市開発センターによる東京拘置所あとの敷地の売却に伴う契約書の問題について説明を求め、これらに関連する重要な質疑を法務大臣に行なったのに対し、法務大臣の御答弁はきわめて通り一ぺんである。事務局以下の内容であり、誠意に欠くるものがありましたために休憩となり、理事会を開催いたし、誠意ある答弁を行なわざる限り審議に応ずるわけにはならないとの理事会の申し合わせになりまして、答弁要旨を私どもの理事を通じて別紙のごときものを提示されましたが、私はこれに対してはとうてい了承し得ない旨を述べ、私どもの同僚各位もその旨の確認を得まして、今日の大詰めに至ったのであります。  その法務大臣の御答弁の申し入れば、御趣旨はごもっともと存じますので、今後とも同会社の事業の公共性にかんがみ、運輸、建設省等とも連絡の上、同会社に対する指導を十分いたしてまいりたいと存じます。先ほどの休憩中に、さっそく同社の業務担当重役とも話し合いましたところ、同社としても、御趣旨を体しで、今後誠意をもって努力したいと申しております。たとえば、同社は、現に豊島区長に対し、地元の要望を取りまとめてほしい旨を申し入れている由でありますので、これについても、私に十分相談させて善処したいと存じ、会社側もこれを了承しておりますとの答弁要旨を内示されましたが、私が質問をいたさんといたすのに対して、きわめて抽象的であり、内容に乏しく、問わなければ答えない、こういう態度が歴然とあらわれております。私はとうてい了承することを得ず今日に至った次第であります。  十二月十二日ごろと思いますが、法務省当局より国有財産売り払い及び購入契約、四十二年二月二十七日付の要旨を私に送付いたされましたが、単なる、ここに触れておりますように、きわめて抽象的、かつ羅列的数字を並べたにすぎません。したがって私はこの程度のものでは理解することができない。したがって契約書全文及び池袋副都心の開発計画そのものの詳細なるものを文書で要求をいたしました。  しかるところ、ただいま参考人からも説明がありましたが、青写真はきわめて簡単なものである。いわゆる世に言う百階ビル、あるいはこれを取りやめて四十階ビルを二つ抱き合わせというようなものが中心となっておるようでありますが、何がどこにどういうものが設置されるかというようなことは一言も説明しておりません。このような不誠意きわまる資料を御提示になりました。まことに遺憾千万に存ずる次第でございます。この点については十分法務大臣の真意がわれわれは捕捉できない、かように存ずるものでございます。  第二に、あらためて私が資料を理事会において本日要求いたしますとともに、参考人意見聴取、現地調査を要求いたしましたが、現地調査は理事会の全員の同意を得るに至らなかったことはまことに遺憾であります。このような、あとで述べますが、東京副都心に直結する巣鴨拘置所のあとのみならず、各所にわたって多数の拘置所を新築し、その敷地を取得する等、膨大な計画を内容とするものでありまして、その現地の実情を調査して、初めて実感に触れた審議が進められるものと私は理解し、これを主張いたしたのでありますが、これに対してもいれられるところとなりませんでした。私はこのような短期間に、衆議院においては二回審査が行なわれ、元の衆議院事務総長である大池眞君を参考人として招致し、公共的性格を持つその理事長として意見を聴取した模様でありますが、その大池氏の招致を求めましたところ、すでに本年の肝心な事業開始を直前に控えて配転を受け、社長の職を解かれておることは御承知のとおりであります。まことに現在の新都市開発センターの役員のメンバーを見ますると、財界を中心とする日本の大立て者がくつわを並べておられまして、その構成、今後の運用等に、はたしてわれわれは何を期待し得るであろうかという疑念を持たざるを得ないのであります。  第三点は、東京拘置所等の移転そのものによって、たとえば黒羽にこれが移転される、そのこと自体に対しては、収容されておられる方々が新鮮な空気のもとに健康にもきわめて好都合である。社会復帰も健全な肉体と精神をもって社会復帰を求める意味からも、何らこれに対して抵抗し反対する理由はそれ自体にはないのであります。しかしながら、にもかかわらず、私が現地調査なくして本問題をめぐる、しかもその背景と契約内容をしさいに検討する相当の時間を与えられなければ、とうてい審議し得ない、われわれの納得のいかない点が多々あり、疑惑と申しますか、不審の数々と申しますか、疑問の点が続出してまいりましたので、法務大臣に対し、以下重要な点にしぼり質問をいたしたい。  こういう経過をたどってこれから御質問を申し上げますので、ただいまの参考人意見も踏まえて、率直に法務大臣の御所見があれば承りたい。  次に、ただいまの、いまも述べましたが、参考人意見そのものについては別途に御所見があれば、この際明確に述べていただきたい。  以上、本問題に対するわれわれの審議の経過と、われわれの誠実にしてきわめて真摯にこれと取り組もうとした態度に対し、法務大臣はいかような今後私の質問に対して御答弁に相なる所存でありますか、この際明らかにしていただきたいと存じます。
  186. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) ただいまお話がありました前回の質疑に対して私の答弁が不十分であったと、こういう御指摘を受けまして、私もこれを遺憾と存じ、十分配意をいたしてまいりたい、かように考えております。  なお、ただいまのお話につきましては、その御審議の熱意に対しては心から敬意を表するものでございます。
  187. 足鹿覺

    足鹿覺君 まだあったでしょう。ただいまの参考人に、両名から述べられた参考人に対する御所信があればあわせて承りたいと申し上げたでしょう。
  188. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) いま参考人の御意見を私が承りましたが、桑原参考人は経過の大体をお話しになり、また、いまの豊島区の助役さんのお話は要望の大綱を述べられたのでありまして、これらの要望をこの会社が受け入れて、そして実施をされるようにということを心から希望いたしておるものでございます。
  189. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほど私が朗読をいたしました理事会を通じて御提示になりました答弁要旨について、現在の心境はいかがでありますか。なお、あの答弁要旨によりますと、池袋を中心とする豊島区の地元の要望は数々あったと思われます。この点についてあなたは、休憩中に、さっそく、同社の業務担当重役とも話し合いましたところ、同社としても、御趣旨を体して、今後誠意をもって十分努力したいと申しておりますと、かような答弁要旨を述べられましたが、担当常務はだれであり、その趣旨の内容はいかに御説明になり、それがただいまの豊島区の助役の述べられた要望と大体合致するものでありますか、別個な要請を持つものでありますか、明らかにされたい。
  190. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 私どもが話し合った担当者は、同社の常務の桑原大行氏でございます。要望の内容は、先ほど区の助役さんがお述べになったものと同じものでございます。
  191. 足鹿覺

    足鹿覺君 なお同答弁要旨によりますと、同会社の事業の公共的性格にかんがみ、運輸、建設省とも連絡の上、十分対処する旨の御趣旨がありますが、何を具体的に対処されようとしておりますのか。これに対する法務省としての具体的な運輸、建設両省に対してどのような意見を述べられ、これに対して運輸、建設両省はどういう回答をし、具体的に対処されようとしておりますか、明らかにされたい。
  192. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これはこの前、私どもの答弁の御趣旨をお見せいたしたと思いますが、それをこの際私ここであらためて申し上げます。  足鹿委員のお話は、御趣旨はまことにごもっともと存じますので、今後とも株式会社新都市開発センターの事業の公共性にかんがみ運輸、建設省とも十分連絡の上、同会社に対する指導を十分いたしてまいりたいと存じます。この運輸、建設両省との連絡のことは、運輸、建設両省がそれぞれ計画を指示いたしております。駐車場とか道路とか、こういうものは前々からこの会社のなすべき事項として指示をいたしておりますから、これを厳正に実施をすると、こういうことであります。それで、そのあとでございますが、前回の委員会のあと、同社の業務担当重役、というのはただいま申しました桑原常務と話し合ったのでございまして、同社といたしましても、御趣旨はごもっとも、御趣旨を体して今後誠意を持って十分努力いたしたいと私どもに申しておるのであります。たとえば同社は現に豊島区長に対し地元の要望を取りまとめてほしいと、こういう旨申し入れているよしでありますので、これについても私どもに十分相談をいたさせまして善処をいたしたいと存じ、会社側もこれを了承いたしておるのでございます。
  193. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで具体的に以下数項にわたってお尋ねをいたしますが、その第一点は、東京拘置所あと地の売却価額についてであります。東京拘置所の売却価額を計算してみますると、一平方メートル当たり九万八千円余になると私は考えますが、そのとおりでありますか。
  194. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは事務的なことでございますから、担当者からお答えいたします。
  195. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 売り渡します東京拘置所のあと地の評価額は一平方メートル当たり十一万三千三百円でございまして、これは大蔵省当局におきまして各種の基準、たとえて申しますと相続税課税標準価格あるいは固定資産税課税標準価格、売買実例、その他の基準価格から割り出しました価額、これに対しまして、民間精通者といたしまして日本不動産研究所をはじめとします数社からの鑑定評価を得まして、これらを勘案し、さらに払い下げを受けましたものにつきまして、整地費あるいは道路つぶし地が出ますので、それら所用の修正をいたしまして、結局結論としまして一平方メートル当たり十一万三千三百円ということに相なっております。
  196. 足鹿覺

    足鹿覺君 再評価前の価額では、私どもの資料によりますと八万五千余であったようであります。また、あなたが私の会館にお届けになりました、国有財産売り払い及び購入契約、昭和四十二年二月二十七日付の内容によりますと、これを計算機で回してみますと、九万八千円余になるのでありますが、ただいまのその算出の根拠は何でありますか。どの項目に基づいて、算出の根拠をお示し願いたい。
  197. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 数字の問題でございますので、私から御説明申し上げます。お届け申し上げました契約内容にございますように、この交換契約は昭和四十一年に国庫債務負担行為をお願いをいたしまして御承認をいただきましたとき現在では、東京拘置所のあと地を売り払いまして、それと交換に合計六つの矯正施設を取得するということになっておりまして、その六つの中の一つに仮称多摩刑務所というのが入っておりました。これは東京都下青梅市の在に小菅刑務所の代替刑務所を建設すべく計画しておったわけでございます。ところが、後に地元の反対等がございましてこれがだめになりました。急遽、昭和四十四年にただいまの黒羽町に土地を選定いたしかえまして、ここに、小菅刑務所にかわる多摩刑務所に、さらにかわる黒羽刑務所を建設することになりました。そこで四十四年度であらためてこの分だけの国庫債務負担行為をお願いをし直したわけでございます。そのお願いをし直しますにつきましては、お願いいたします時点の公正な価格で再評価をいたしまして、その再評価をいたしました価額が、先ほど御説明申し上げました一平方メートル当たり十一万三千三百円という数字になるわけでございます。
  198. 足鹿覺

    足鹿覺君 再評価前の価額では八万五千円余ではありませんか。
  199. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 九万円前後でございます。
  200. 足鹿覺

    足鹿覺君 時価は、池袋のごとき中心地におきましては、どの程度お見込みになっておられますか。私どもの見た印象では、このような現在の池袋駅に距離五百メーターの近距離にあり、将来の池袋副都心の中心地を形成する国際情報センターのごときものすら考える一方、成田空港から直通道路を通じてこれに直結するというがごとき状態を将来予想いたしますならば、膨大な地価になることは疑う余地がありません。しかしながら、それは将来のこととして、現時価を、一般の取引されている時価は何ほどと換算しておられますか。
  201. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 現在、私の手元に、ただいま御指摘の再評価当時の資料がございます。これは大蔵省理財局並びにその傘下の関東財務局においてこの金額をはじきます際に使いました資料の抜粋でございますが、それによります売買実例から見た評価というのがございますが、それによりますと、あいにくこれは坪で表示されておりますが、坪当たり四十三万四千三円という売買実例があがっております。ただいまも御説明申し上げましたように、この評価は、私どもといたしましても公正な売り払いを行ないますきめ手でございますので、先ほど申し上げましたように、日本不動産研究所をはじめとしまして、信託銀行数社、その他不動産鑑定の相当権威のあるとされておりますところから鑑定評価をとりまして、これを大蔵省ともども検討いたしまして、大蔵省の専門官がわれわれの申します売買実例並びに各種の基準価額を勘案いたしまして算定しておるわけでございます。もっとも、全体として五万四千平米以上の土地でございますので、これを実際に払い下げを受けましたものは、その中に道路をつくりましたり、あるいは整地をいたしましたりする経費がかかりますので、その経費を、先ほども御説明申し上げましたように、若干修正減をいたしまして、ただいま御説明いたしております価額を出しておるわけでございます。
  202. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の聞いておりますのは、十一万三千三百円、一平米、といたしますと、三倍と見て、これは約三十四万円程度でありましょう。あの池袋副都心の将来性のある、この開発によって膨大な施設に伴い、あの方面による将来の地価はおそらく想像を絶するものが出てくると思います。しかるに現時点においても、おそらく坊間、私も先日現地を見ていろいろと現地の声を聞いてみましたが、五、六十万は下らないといっております。あなた方の時価換算はどのような方法によられたか。ただいま例示されましたが、およそ常識を逸脱した半額程度のものではありませんか。一体そのような価額が妥当だと常識的に受けとめられますか。大臣だ、これは。
  203. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 大臣から総体の御感覚についての御説明をなさると思いますが、私からは非常に技術的な御説明を申し上げますが、まずもって最近あのあたりが五十万、六十万しておるということは、私も個人的に耳にいたしております。しかしながら、これは東京拘置所というものがなくなるということを前提にして売買実例が現在出ておることをまずお答え申し上げるわけでございます。それからさらに、私どもといたしましては、昭和四十四年の国庫債務負担行為をお願いします前における鑑定でございまして、その後の値上がり等が確かに御指摘のようにあると存じます。しかしながら、反面、私どもがセンターからちょうだいいたします六つの矯正施設の建物並びに地価のほうも、それをとりたてて言うならば、やはりスライドして上がってまいっておるわけでございまして、どの点で評価をするかということは、御指摘のようにいろいろ問題があると存じますが、一応いままでの国有財産売り払いのやり方といたしましては、契約を結びます時点で鑑定評価をいたすということをやっておるわけでございます。一般的にどういうふうに考えるかという点につきましては、私からはお答えを差し控えさしていただきたいと存じます。
  204. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは法務省といたしましては、そのときのしかるべき機関にはかってきめたと、こういうことでございまして、いろいろの御批判はあろうと思いますが、十分手を尽くして、その当時の価額としてこんなになったということでございます。いまからいえば、それぞれいろいろまた考え方もあろうと思いまするが、当時の状況はさようであったと、こういうふうに思います。
  205. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなたも安いということはお認めになるわけですね。
  206. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) それは私ども、いまの時点においてそれが妥当であったかどうかと、こういうことはなかなかわかりにくい。ことに、これらはみなそれぞれ専門的立場において正式な機関を経てつくったものでありまするから、いま私どもがこれに対してどうかと、ただきわめて常識的な私は考えにしかなるまい、こういうふうに思います。
  207. 足鹿覺

    足鹿覺君 この契約をなさったのは昭和四十二年二月二十七日でありますね。四十三、四十四、四十五と、すでにまる三年を経過したわけであります。したがって、当時の国有財産売払い及び購入契約そのものが、法律はまだ成立しておらず、したがって契約を更新し、少なくとも妥当な、国民の納得のいく価額をさらに設定されることが、この経済社会の急激な変化に即応する政治家としての判断ではありませんか。いやしくもこの膨大な国有地の払い下げ、当時としては妥当であったと言われますが、当時としても安い、いわんやいまの会計課長の御答弁は、巣鴨の拘置所が移転することを含めて一種の予想相場で五、六十万程度のことを言っておるなどということは、不見識きわまるではありませんか。だとするならば、さらに将来これが開発されたときの予想相場はどうなんでありますか。数限りなく考えれば、納得のいかないのは当然ではありませんか。少なくとも事務当局はそのような算定をされましても、法務大臣はこの重要な問題について、しかも最も厳正であるべき法務省の最高責任者として、このような事態をお示しになることは、他の示しになるのかならぬのか、私ははなはだ疑わしい点が生じはしないかと考えるのでありますが、この点いかがでありますか。これはあくまで強行なさるのでありますか。
  208. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは私が責任のがれを申すわけではありませんが、私はことし就任して、そうしてその契約を受け継いだと、こういうことに相なっておりまして、それぞれのお考えはあろうと思いまするが、当時の担当大臣が適当としてお認めになったのではないかと、かように思います。
  209. 足鹿覺

    足鹿覺君 前の大臣なり、前々大臣がお結びになっても、それは法務大臣の権限においておやりになることであり、事務の引き継ぎを受けておられることであり、このような重大な案件でありますから、そのときこそ、いままでのあるいはあったかもしれないいろいろな事情を払拭して、あなたが断固たる姿勢をもってこれに対処されるのには最も適切な時期ではなかったですか。そのような判断があなたにはなされなかったのでありますか、それを私は伺いたい。前から結んだものであるからやむを得ない、それでは情勢の急変に備える政治家の心がまえとしても、また、国務大臣としてはもちろん、私どもはそのような無責任な態度は容認することがまいりません。あらためてしかとした御所見を承りたい。このあなたが新しく就任された機会こそ、このような問題に対して新しい角度から御検討になるのが最もふさわしいではありませんか。よく熟慮していただきたい。いかがでありますか。
  210. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これはいまのような、私が申し上げたようなことでございますので、御批判あるいは御批評というものは私は甘受をしなければならないと、かように思っております。
  211. 足鹿覺

    足鹿覺君 批判、批評は甘受すると、かような御結論でありますので、私はこれ以上何をか申し上げません。ただ、この評価がえの問題をめぐって、先ほど大臣にかわる会計課長の御答弁に、多摩刑務所を黒羽刑務所に変更しなければならない情勢となったと、それが一つの評価に影響を及ぼしたと、かような御発言がありました。しかりとするならば、東京拘置所の売却代金も四十六億七千万円余から五十三億六千万余に評価変更になっておるようでありますが、その理由は何でありますか。多摩刑務所の変更がなければ、安いほうの価額で売却することになったのではないかという疑念を持たざるを得ません。いかがでありますか。
  212. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) いろいろ御意見があろうかと思いますけれども、現在までの国有財産の売り払いに関します値段の取りきめは相手方と契約を結ぶ時点で値段をきめて契約を結びます。そうしまして双方が契約を誠実に履行するということで国有財産の取得、売り払いが行なわれるわけでございます。ところでこの契約を結ぶにあたりましては、私ども役所といたしましては、金額も張りますので、事前に国庫債務負担行為を行ないますことにつきまして国会の御承認を得なければならぬわけでございます。そこで先ほど申し上げましたように、昭和二十一年度の予算案の御審議の際に、その中で、ただいま御指摘の総額四十六億七千三百万円余りの国庫債務負担行為の御承認をお願いしまして、御承認をいただきました上でその額で契約をいたしたわけでございます。しかしながら、その後多摩刑務所につきましては、地元の反対で刑務所の建設が事実上不可能と相なりました。相なってみますと、契約のその部分は履行ができないことが明らかでございますので、変更いたさなければなりません。その部分の契約を変更するにつきましては、やはり金額が張りますので、国会に対しまして国庫債務負担行為をいたしますことの承認を求めなければなりません。その承認を求めますにつきましては、最も最新の評価をいたしませんと、先ほど来先生御指摘のような問題が起きますので、昭和四十四年に多摩刑務所計画を黒羽刑務所計画に変更するにあたりまして、国庫債務負担行為の承認をお願いするのに最も接着した時点で再鑑定、再評価をいたしまして、そういたしまして国が売り払いますものの代金が、先ほど御指摘のように五十三億六千百万円と相なりまして、国のほうがそれだけ、四十六億と五十三億の差になります約七億円の国のほうの取り分がそれでふえてきたと、こういういきさつになっておるわけでございます。
  213. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほどあなたは、その時点で評価をするんだと、東京拘置所の、巣鴨拘置所のあと地は昭和四十二年二月二十七日時点において評価をするんだと、大臣もそれが妥当であると、こう言われた。しかし、多摩へ持っていこうとしたが反対を受けた。そこでまたこれを他に移転すると、こういう場合にはその時点で評価をする。あまりにも解釈が不同であり、最も厳正であるべきあなた方のとられる措置としては、穏当を欠くものと私は思いますが、いかがでありますか。
  214. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 私のことばが足りませんために誤解を生じましたとすればおわび申し上げます。いささかこまかい話になりますが、東京拘置所の敷地は、非常に比喩的なことばを使って恐縮でございますが、これを当初、魚でいえば六個の切り身にいたしまして売り払い計画を立てたわけでございます。第一の切り身は多摩刑務所との交換財源にする、それから第二の切り身は小菅刑務所の現在ありますところにつくります東京拘置所の交換財源にする、第三の切り身は川越少年刑務所と交換をする、それから第四の切り身は浦和拘置所と交換をする、それから第五の切り身は岡山刑務所と交換をする、第六の切り身は旭川刑務所と交換をするという刻んだ契約をしたわけでございます。  そこで、ただいま妙なたとえを申し上げまして恐縮でございますが、切り身の第二切れ目から第六切れ目までは全然変更がございません。そこで第一切れ目の部分だけを契約をし直す必要があったわけでございます。契約をし直します際には、値段をきめなければなりません。そこで第一の切り身の相手方が変わりましたときに再評価をいたしまして、お互いのバランスを見直した。その結果当初より第一の切り身の一値段が七億円増加したと、こういうことになっておるわけでございます。
  215. 足鹿覺

    足鹿覺君 私がお尋ねをしようと思っておったことをあなたが御答弁になりましたが、切り売りなさったということの理由、根拠は何に基づくものでありますか。切り売りしなければならない理由はどこにあるのでありますか。要するに国庫収入には金にしるしはありません。これは一切れ目である、これは二切れ目である、これは三切れ目であるというしるしはどこにもありません。国庫に入る場合は同じものであり、必要によって支出することは当然ではありませんか。なぜそのような切り売りをなされ、一切れ目については七億円からの大きな増額をされた理由がどこにあったのでありますか。また、他はそのままにして、それのみをやったその相関関係は何に基づくものでありますか。
  216. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) ただいまの時点でこういう計画を立てるといたしますと、御承知のように本昭和四十五年度から特定国有財産整備特別会計が発足いたしましたので、同会計で一括して売り払い、お金に変えまして、これで一括して、この例で申しますと六つの施設を購入するということに相なるわけでございますが、それ以前は、御案内と存じますが、建築交換方式というのをとっておったわけでございます。建築交換方式をとります際には、先ほども委員長から参考人に対して仰せになっておりましたことばにございましたように、等価交換が原則でございますので、取得します施設に見合った額のものはどれだけであるかという坪数計算をいたしまして、かれとこれとを見合わせて契約をするわけでございます。  先ほどの妙な例でございますが、したがいまして、第二切れ目以下につきましては、それぞれ取得します土地建物の価額と見合った額で切り身をつくって料理をしたということになるわけでございまして、切り身で計算をしました関係上、相手方でございます新都市開発センターといたしましては、契約ができたとたんにすぐに土地の買収にかかる、そして土地の買収が終わればその上に物を建て始める。いずれも契約当時の時価で向こうも土地を取得し、事業を行なう。こちらもそれの計算で契約を履行するという形になったわけでございます。  この評価の問題につきましては、いろいろお尋ねでございますけれども、私どもも、先ほど先生のほうからも仰せいただきましたように、法務省に職を奉ずる者でございますし、私個人からいたしますれば、もともと検事という肩書きを持っておる者でございまして、こういう事柄につきましては人一倍気をつけておるつもりでございます。今後とも私といたしまして、誠心誠意、国に対して一文の損害もかけないように努力してまいりたいと思っておりますことだけを申し上げさしていただきます。
  217. 足鹿覺

    足鹿覺君 法務大臣、いまお聞きのとおりであります。七切れに分けて売ったのです。相手は新都市開発センターひとりです。なぜ七切れに分けなければならなかったのか、その理由については何ら説明がありません。大臣は政治家でありますから、国務大臣としても、法務大臣としても、その法的当否は別として、同一会社になぜ七切れに分けて売らなければならなかったのか、そのことに対するあなたの判断と評価はどうでありますか。
  218. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 技術的なお答えを一つ申し落としておりましたので、それをまず御説明さしていただきます。切り身ということばを使い出しましてから、たいへんどうも申しわけないのでございますが、その切り身の中には、相手方が新都市開発センターだけでないのがあるわけでございます。事柄が込み入ってまいりますからあえて申し上げませんでしたが、たとえば岡山刑務所を例にとらせていただきますと、岡山刑務所の建設に要します経費は約二億五百万円でございます。これに対応します東京拘置所の切り身はやはり二億五百万円になってございます。この受け取ります二億五百万円につきましては、岡山市と、それから新都市開発センターとが共同して引き受けてくれておるわけでございます。そういう関係がございますために、特に対応させる必要があったわけでございます。お手元にございます契約書の内容をごらんいただきますと、たとえば岡山刑務所の二億五百万円という取得価額がございます。しかしながら、実際には岡山刑務所というのは二億円で全部ができたわけではございませんで、その二億円でできましたのは建物でございまして、その土地が約六億円かかっております。で、その六億円につきましては、岡山刑務所の旧施設を岡山市に渡しまして、そのかわりに岡山市から六億円分の土地をいただくというような手数をとっておるわけでございます。これらの点は、ただいま御審議いただいております法務省設置法改正部分と直接関係がございませんので御説明を省略したわけでございますが、そういう事情もあるわけでございます。技術的な御説明だけ申し上げておきます。
  219. 足鹿覺

    足鹿覺君 私はゆえなくして疑うわけではありませんが、会計課長みずから検事だとおっしゃいましたが、その厳正であることを私も確信いたしたいと思います。が、この岡山の例を出されましたが、これは岡山市ですね、市長は当時だれですか。
  220. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) ただいま岡山市との契約書を持参しておりませんので、正確なことは申し上げられません。記憶しておりません。
  221. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなたはこの審議とは関係がない、こういうお話でありますが、これを処分して岡山の刑務所を建てるのですよ。関係がないどころか大ありです。それはあなたの思い違いではないですか。したがってその内容と相手方の氏名も忘れた、こういう話でありますが、記憶にありませんか。また、その内容等についてもっと詳細に、口頭でできなければ資料として御提示いただけますか。
  222. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 私が申し上げたことがことばが足りなかった点はおわびをいたします。ただいま御審議いただいております法務省設置法と直接関係がないように申し上げましたのは、私の気持ちでは、現在御審議いただいております黒羽刑務所の関係につきまして、あるいは東京拘置所の関係につきましては、第一の切り身、あるいは第二の切り身、こういった点が直接の関連に相なりまするので、そういう意味で申しあげたわけでございまして、ただいま仰せになりますように、東京拘置所のあと地全体がどういうふうになっておるかということをおっしゃいますと、それからそれへと関連をいたしていきますと、岡山市の問題が出てくるわけでございます。そういう意味で、間接的にはもちろん岡山市にも関係が出てくるわけでございます。そういう意味でことばが足りませんでしたところはおわび申し上げます。その岡山市長のお名前は、当時の人のお名前は調べればわかりますから、すぐでも提出いたします。
  223. 足鹿覺

    足鹿覺君 この七つに分割切り売りされた一つの問題は明らかになりましたが、あとの六つを何ゆえ六つに刻まれたのか、その六つの面積、筆数ですね。それはおそらく新都市開発センターに一括売り渡された形式がとられておりますが、この資本金及び株主名簿を見ましても、日本の財界を代表する大きな企業体が中心となっておられます。したがいまして、その利用に必要な計画面積を、一つの持ち分といいますか、新都市開発センターを構成しておるものの中で、全部が全部これを利用するわけではないと思いますから、それを利用するものの、特定の企業体に持ち分として、その企業の経営計画に基づいて分割されたものだと、かように解されてもいたし方がないではありませんか、理由が明確でないのですから。なぜ六つに切られたか、その相手は一つである。しかし一つのものが全部の企業をやるという形には実質的にはならないようですね。詳しくは時間を惜しみますから申し上げませんが、少なくとも私の見たところでは、その経営企業体に持ち分が将来移るか、現に持ち分として内諾、内契約等が結ばれておるのではないか、さようにも受け取れるのです。ですからなぜ六つに切られたか。その六つの相手方がすでに内容的に御調査になっておるならば、それをお示し願いたい。
  224. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) あるいは御質問の御趣旨を取り違えておるかもしれませんが、東京拘置所の敷地は五万四千平方メートル余りであるわけでございます。これを先ほど来申し上げておりますように、六個に計算上分割をいたしまして、これを順番に旭川刑務所、岡山刑務所、浦和拘置支所、川越少年刑務所、東京拘置所、それから黒羽刑務所と、こういうふうな対応関係をつけまして等価交換をしようとしておるわけでございます。等価交換のたてまえ上、そういうふうに計算上六つに切らせていただいておる、こういうことでございます。  さて、そこでこの東京拘置所を処分します金額五十三億円で取得できますものは、正確に申し上げますと、ただいま御審議いただいております黒羽刑務所と、それから新東京拘置所、それから川越少年刑務所の建物、それから浦和拘置支所の建物、岡山刑務所の建物、旭川刑務所の建物と、こういうことになるわけでございまして、ただいま建物と特に断わりましたものの敷地は、それらの刑務所の古い敷地を地方公共団体に提供して、その地方公共団体の移転要請に応じて選定してもらいましたところへ移したわけでございます。したがいまして、東京拘置所のあと地に対しまして、その所有権を契約履行の結果として取得しますものは新都市開発センター以外にはございません。結局この東京拘置所の敷地全部に川越少年刑務所、浦和拘置支所、それから岡山刑務所、旭川刑務所のそれぞれの敷地をも加えまして全体計画が成り立っておるわけでございます。
  225. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなたも、取引関係はたとえ官庁におつとめになる方といえども御存じだろうと思うのですね。あなた方が岡山だ、旭川だ、黒羽だと、こういうふうにおっしゃることは、あなた方の内輪の話であり、相手にとっては何も切り売りの必要はないのです、一括して買うんでありますから。それを特別に切り売りをされた。しかもそれが全体としてはぴしゃりと総額で合ってくる。切り売りをすれば岡山のように約七億円ふえると、こういう場合も出てくるでしょう。いや、岡山ではありません。全体ですね。それがどんぴしゃりにおさまるということは、一体取引通念からいって成り立つでしょうか。だから、あなたは一方的な官庁立場だけを述べられますが、相手方の新都市開発センターのほうは一括して買うんだと、しかし、それを七つに切られたことに対しては、何かそこに問題があるのではないか。これ以上あなたが同じ答弁を繰り返されますならば、私は疑念が解けないと、こういうので先に進まざるを得ませんが、法務大臣いかがですか。
  226. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは御存じのように、こういうことはできるだけ正確にしてあやまちのないようにするためには、事務的に処理することが私は一番適当であろう。しかもいろいろの専門機関にはかってやるのが適当であろうと、こういうふうに思います。いろいろいまお話がありますが、そういうふうな趣旨で、これは当時法務省当局が事務的に最善の策である、こういうことでおやりになったと思うのでありまして、いまから見ればいろいろとまた考えもありまするが、当時はそれが一番よかろうということでおきめになったと、かように私は考えます。
  227. 足鹿覺

    足鹿覺君 これ以上申し上げません。疑念は解消いたしません。  第三に設置法と契約との関連について伺います。この契約によれば、昭和四十五年の十二年三十一日までに新東京拘置所、黒羽刑務所、浦和拘置支所は完成し、その引き渡し、移転登記後売り払い購入代金の決済を行ない、法務省は巣鴨の拘置所を新都市開発センターに引き渡ししなければならないということになっております。この事実を御承知になりましょうな。
  228. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) そのとおりでございます。
  229. 足鹿覺

    足鹿覺君 もしこの設置法が通らないとするならば、契約は不履行となり、破棄されますか。それとも履行の延長が認められるのですか、いかがでありますか。
  230. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) たいへんきびしいお尋ねで、まことに恐縮しておるわけでございますが、私としては、何としてもこれをお通しいただきたい一心でおるわけでございまして、もしこれが成立をいたしませんければ、東京拘置所の、妙なことばですが、行き場所がなくなると、そこへ入っております二千数百人の未決の被告人、被疑者等の行き場等の問題もございまして、私といたしましては、従来やってきましたことにつきましては、それぞれ事務的にベストを尽くしてやってきたと存じておりますし、また、今後ともこれらの履行につきましては、前回も申し上げましたようにに、誠心誠意いたすつもりでおります。何とかひとつよろしくお願いしたいと思っておるわけでございます。
  231. 足鹿覺

    足鹿覺君 会計課長、私は何もきびしいとか、きびしくないなどという、そういう形容詞でものごとを表現しているわけではありません。そういう気持ちであなたが一々受けとめられることはいささかふに落ちません。もっとあなたも冷静に御判断になってしかるべきだと思う。  そこで、四十五年、すなわちことしの十二月三十一日までにこれを移転登記をしなければ売り払い購入代金の決済が行なえないのですよ。しかも、東京拘置所と黒羽刑務所と浦和拘置支所を完成してその引き渡しは——もはやきょうは十八日です。余すところ今年もわずかに、この契約の三十一日までにはもう十数日しかないではありませんか。当然契約の問題に発展することはまぎれもない事実である。この法案が通過するしないは別として、まだ私どもは通さないなどとは言っておりません。あまり先走った御答弁なさらないように慎重に答えてもらいたい、余分なこと言わないで。つまり四十五年の、本年末ですべてのものを完成して引き渡し、移転登記、売り払い購入代金の決済を行なわない場合は、これはどうなるのですか。
  232. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 契約の内容について申し上げますが、御指摘のとおり十二月三十一日という日がございます。これは新都市開発センターのほうが黒羽刑務所及び東京拘置所を完成する工期でございます。本年十二月三十一日までに、工期のとおり進んでおりましてでき上がります。でき上がりましたら、来春早々竣工検査をいたしまして、検査に合格いたしますと、その時点で引き渡しを受けまして、それから所有権移転の登記等を行ないまして、しかる後差金をちょうだいし、東京拘置所のあと地を渡すということになっておりまして、最終期限はこの契約書にございますように、決済の最終期限は昭和四十六年三月三十一日となっているわけでございます。先ほどことばが足りませんでしたことをおわび申し上げます。
  233. 足鹿覺

    足鹿覺君 昭和四十六年まで期日があるわけなら、何も通る通らない、巣鴨の刑務所に収容されておられる人々の行き場がないなどというような先走った見解はいかがかと思います。法務大臣、あなたは会計課長にまかせて涼しい顔をしていらっしゃいますが、それでいいのですか。あなたの責任なんですよ。会計課長が苦心惨たんな答弁をしておられますが、あなたは何の答弁もされないということは、どういうわけでありますか。先ほども申しましたように、前の大臣がやったんだから、私は本年二月に就任したのだからというおことばもありました。だから、その機会にこういう問題は、その時点に合わせて正しく取り組むべきではなかったか、こういう質問についても明確な御答弁がありませんでしたが、あわせて御答弁願いたい。
  234. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは御案内のように、それぞれ役所にも補助者がおって、それぞれ事務的なことは補助者、会計課長その他がこれを担当する、それを私が承認すると、こういうことになっておりまして、私も別に責任を回避する、こういうことではありません。これはまあお話しのとおり、先ほどから私は会計課長ばかりに返事をさして、おまえはどうと、こういうお話がありましたが、私もあなたの御質問も十分に聞いておりまするし、また、会計課長の答弁も聞いておると、こういうことでございまして、会計課長の答弁は私の責任においてなされておると、こういうふうに思っております。
  235. 足鹿覺

    足鹿覺君 それはもちろんそうですよ。会計課長を相手に私はこういう重要な質問をしておるわけはありません。しかし事が契約とか価額とか、内容の事務的な問題になりますので、会計課長の答弁もやむなし、このような寛大な私の気持ちで、私も人間でありますから、そういう立場から理解ある態度で御質問申し上げておる所存であります。  あなたは聞いておるということでありますが、聞いておるだけですか。聞かされて、大臣としての、私とのやりとりを聞いておって、どういう判断なり所見を持たれたかということを聞いておるのですよ。それはあなたが述べられることなんです。ここで大体半分どころまできましたので、ここらでひとつ大臣の、いままでの聞いておったその見解、所信があれば、この際明らかにされたい。
  236. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 私もずっと答弁も聞いておるのでありまするが、中には、たとえばいま御批判になったように、先走りをしてはいかぬとか、あるいはきびしいとか、こういうようなことは適当でないと、こういうふうに思っております。いまのような内容は、必ずしも適当でないというふうに私は思って聞いておったのであります。
  237. 足鹿覺

    足鹿覺君 そんなことじゃないのですよ。大臣、だからあなたの法案が一番最後になるのですよ、そういう御答弁ばかりなさっておるから。これは与野党問わず、同僚諸君は皆さん聞いておられますが、少なくとも大臣が先頭に立って、正々堂々と所信を述べて、やはりこまかい問題についての答弁をしておられますよ。本問題に限って、あなたの答弁が、全く舌足らずどころか、問題の本質も把握しておらない、これに対する問題点としての頭の整理もない。ただ会計課長さんがきついことばを使ったことはどうかとか、私はそんなことをとがめ立てしておりません。別にそういうことばのあげ足をとってとやかく言うような、そういうけちなものではありません。よく御認識を置いていただきたい。  そこで、いままでの設置法の審議を見ますと、みんな大臣が、大臣と言われれば大臣から御答弁になっているのです。ただし、これはきわめて事務的な面があればこそ私も黙っていままで会計課長の答弁を承っておったのです。これに対してあなたは、きつい質問をするとかいったようなことは行き過ぎだなんて、それだけの感想でありますか。それじゃお粗末もお粗末、それじゃこの法案はあなたのそういう誠意のない御答弁ではなかなか解決はつきませんな。政治家としてのあなたの所信を私は求めているのです。いかがですか。
  238. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これはもう先ほどから私どもも聞いておるように、非常に複雑な問題でありまして、きわめていろいろの入り組んだ事情もあると、こういうことで、この点につきましては、まことに苦心をされた結果ではあろうと思いまするが、いまから見れば、またいろいろな御議論もありますが、しかし、いやしくも国有財産の払い下げということは、できるだけひとつ慎重に正確を期さなければならぬと、かように思っておるものでございます。  このやり方につきまして、これはいまはいろいろなことも私ども考えるのでありまするが、当時の事情として、事務的にみんなが知恵をしぼって、これしがなかったであろうというふうに私は思っておるのであります。将来の問題としては、国有財産の払い下げというようなものは、もっとひとつ正確に、そしてあやまちのないように慎重にいたすべきものだ。ことに従前からお話の出ておる、こういうふうな新都市開発センターという会社とこういう契約を結ぶということは、異例中の異例であり、当然これらの問題は自治団体、公共団体と結ぶべき問題である、かように思うのでありまして、今後におきましてもさような心がけでいたすべきであると、こういうふうに私は考えます。
  239. 足鹿覺

    足鹿覺君 相当知っておられる。ただ言わないだけだ、黙っている……。これからそういうふうに一々御答弁をいただきたい、かように思います。  ここで、一番問題の核心にこれから入るわけでありますが、黒羽刑務所の敷地の売買についてであります。黒羽刑務所の購入価額を一平方メートル当たりで計算してみると、四百二十九円余となるようであります。私の計算機の回し方が正しいといたしますならば、坪当たりに換算してみましても千二百円余となるようでありますが、いかがでありますか。
  240. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 御指摘のとおりでございます。
  241. 足鹿覺

    足鹿覺君 造成費はこのほかに見てあるのでありますか。
  242. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 黒羽刑務所の敷地、坪数で申しますと約六万坪でございますが、六万坪を国が新都市開発センターからもらいますに対しまして評価いたしました価額は、ただいま御指摘のとおりでございますが、それには造成費が含まれてございます。造成費を抜きました数字は、概算、坪当たり千九十円程度になろうかと思います。
  243. 足鹿覺

    足鹿覺君 千九十円。衆議院内閣委員会の論議によりますと、この敷地予定地の所有者は植竹氏ということであります。これは衆議院の内閣委員会での論議を通じて明らかになっておるのであります。新都市開発センターはこの植竹さんから坪三千円で買い上げた等の情報がありますが、その事実はありますか。
  244. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 新都市開発センターが、その前の所有者であります植竹英雄氏から買い受けました値段は、ただいま御指摘のとおり坪当たり三千円であったというふうに聞いております。これにつきましては、ただいま御指摘のございました衆議院の御審議の際にも、センターから私どもも聴取をいたしましたが、先ほど来申し上げておりますように、多摩刑務所が計画途中で実現不可能になりました。しかしながら、一方におきまして、契約におきまして都市計画事業を行なわなきゃならぬということで、その終期がきめられております。そこで、新都市開発センターとしては、一刻も早く東京拘置所のあと地を受け取らなければならない。それを受け取るには一刻も早く黒羽刑務所をつくらなければいけない、それをつくるには一刻も早く土地を手に入れなければいけない、そういたしませんと、私もセンター会社のものでございませんから、正確な数字ではないかと思いますが、聞きますと総資金量四百億円あるいは五百億円程度の事業におくれが生ずる。そういうことを考えましていろいろ折衝した結果、それ以上まからないということでございましたので、御指摘のとおりの約二千円近いさやの利益を放棄して三千円で買ったというふうに聞いております。
  245. 足鹿覺

    足鹿覺君 その差額はだれが負担したのでありますか。
  246. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 先ほど申し上げますように、国としては、その土地を坪千円余りと評価してくれていますから、新都市開発センターの負担になるわけでございます。
  247. 足鹿覺

    足鹿覺君 金額にして総計どのくらいになりますか。
  248. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 大ざっぱに申し上げますと、新都市開発センターが植竹氏から買いました総額が一億八千万円、国が評価をしましてセンターから引き取ります価額が約八千五百万円でございますから、非常に大ざっぱに申しまして、都市開発センターとしては九千五百万円の損をしておるわけでございます。
  249. 足鹿覺

    足鹿覺君 植竹英雄さんとおっしゃいましたが、その人だけの所有でありますか。他に所有者があったわけでありますか。どういうことですか。一人ですか。
  250. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 植竹英雄氏一人のようでございます。
  251. 足鹿覺

    足鹿覺君 それをあなた方が、あるいは新都市開発センターが取得した時点におけるその地目は農地でありますか、あるいは雑種地でありますか、森林でありますか、水田でありますか、宅地でありますか、そういう地目別に明らかにされたい。
  252. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 地目は原野でございます。
  253. 足鹿覺

    足鹿覺君 全部原野ですか。
  254. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 全部原野でございます。
  255. 足鹿覺

    足鹿覺君 黒羽刑務所敷地のその時点における現状は、原野である近傍類地価格と比較してどのように判断をされますか。
  256. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) お尋ねの地目は原野でございまして、景況は、灌木のはえました疎林と申しますか、そういうところでございます。近隣の売買実例は、そうたくさんはなかったようでございますが、それらを勘案しますと、国といたしましては、坪当たり約一千九十円程度相当の土地であるというふうに認定したわけでございます。
  257. 足鹿覺

    足鹿覺君 近傍類地価格を言っておるのです。
  258. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 近傍類地価格が千円程度にやはり位置すると思います。
  259. 足鹿覺

    足鹿覺君 私どもの仄聞するところによりますと、近傍類地価格は四百五十円ないし五百円と聞いておりますが、いかがですか。
  260. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 売買実例がほとんどございませんので、正確なことは申し上げられませんが、私ども、大蔵省財務局とも十分相談をしまして評価しました額は、坪当たり千九十円程度でございます。
  261. 足鹿覺

    足鹿覺君 おそらく刑務所の移転によってその辺の地価は、いろいろな関連施設ができ、道路その他の構築物が整い、地価に変動が起きることを予想されますが、植竹氏の持たれるその地域における総面積の把握はできておりますか。
  262. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) この面積のほかにもお持ちであるということは私聞いておりますが、全体でどの程度お持ちになっておるかは存じません。
  263. 足鹿覺

    足鹿覺君 その全然見当がつきませんか。私もわからないのですからほんとうに聞いているんですよ。
  264. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 相当お持ちであろうと思います。
  265. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしますと少なくとも一億円近いものが——いま明らかになったように九千五百万円余でありますから、一億円近いものがころげ込んだと。将来の地価の変動ということを考えた場合には、これはなかなか引き合うですな。まあその程度申し上げてこれ以上申し上げません。はなはだこのような取引は、私は不当——不法とは申しませんが、少なくとも妥当ではないと、このような見解を持ちますが、法務大臣いかがでありますか。
  266. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これはいろいろの新都市開発センターと、その所有者との折衝でおきめになったことでございまするが、これは私ども法務省では、千円であったと、その後たとえば火急に土地を手に入れなきゃならぬと、こういうふうないろいろの要素も加味されたのであろうと、かように私ども想像をするのでありまするが、これが必ずしも妥当とかどうとかというふうなことは、私から申し上げられないと、こういうことでございます。
  267. 足鹿覺

    足鹿覺君 まあ申し上げられないとおっしゃるのを無理に口を割って求めるわけにもまいりませんが、まあよろしいです。申されたほうが私はいいと思いますが、あなたが御見解をこの際明らかにされることがいいと思いますけれども、言わないとおっしゃるならば、これ以上申し上げません。  第五番目に、巣鴨拘置所の現状について伺いますが、巣鴨と引きかえになる刑務所のうち、旭川、岡山、川越等の施設はすでに建設を完了し、引き渡しを完了しているようですが、これに見合う分の巣鴨の敷地については、もう新都市開発センターの工事が行なわれているのかどうか、この点を明らかにされたい。
  268. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘の川越少年刑務所、浦和拘置所、岡山刑務所、旭川刑務所、これらはいずれもセンターのほうから引き渡しを受けて、国において現在使っております。しかしながら、これに見合います東京拘置所の敷地は、契約書にもございますように、明年三月末日に一括して都市開発センターのほうに引き渡すことになっておりまして、現況は、現在東京拘置所の舎房並びに職員宿舎等が建って、二千名程度の未決の収容者並びに相当数の職員並びにその家族があそこに現在しております。
  269. 足鹿覺

    足鹿覺君 では、工事に着手していないということですね。
  270. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) さようでございます。
  271. 足鹿覺

    足鹿覺君 とするならば、現在の状況から、いつごろ工事に着手される予定でありますか。
  272. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 先ほど来申し上げておりますように、明年三月三十一日ごろに、この土地並びにその上にございます建物を都市開発センターに引き渡しますので、引き渡し次第、センターにおきましては取りこわし作業、地質調査、建設という順序で取りかかると思います。
  273. 足鹿覺

    足鹿覺君 第六点について伺いますが、各刑務所の引き渡し価額の妥当性についてであります。契約書において各刑務所ごとの購入価額が出ておりますが、これらの価額算定は、先ほど岡山についても明らかにされなかったわけでありますが、価額算定の方法、基準、単価、これらを明確にされたい。
  274. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) これらの価額算定につきましては、国においてこれらの施設をつくります際に採用しております統一建築単価がございます。それによって積算してございます。
  275. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから、それを明らかに提示をされたいと言っているのです。
  276. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) それは、契約内容にございますように、川越少年刑務所につきましては、建物が二万六千八百三十平方メートル余りで、金額が五億八千九百万円。岡山が、建物が、金額にいたしまして一億八千九百九十七万五千円、こうなっております。
  277. 足鹿覺

    足鹿覺君 価額算定の基礎は何かということを聞いている。
  278. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 価額算定の基礎は、設計を法務省の監督のもとにいたしております。その設計図面ができますれば、これによります、従来国が国の経費で建てております刑務所の単価の基準がございます。その基準に照らして算定をしておるわけでございます。
  279. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは、計画なしに単価も算定しないで頭で建てて、あとから逆算して単価を出すんですか。
  280. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 刑務所を建てます際には、もちろん事前に詳細な設計図をつくりまして、それから仕様をいたします。設計図をつくりますときも、刑務所の房のつくり方はこういうふうに、工場のつくり方はこういうふうという基準がございます。それから、それの配置等についても基準がございます。その基準に照らして設計図をつくりまして、それに要しますセメント、鉄材その他を積算基準によりまして積算をしていきまして、積み上げた金額がきまりまして、その金額を基準として建築を請け負わせて、その価額で受け取っておるわけでございます。
  281. 足鹿覺

    足鹿覺君 第七点の質問は、用途指定の変更についてであります。新都市開発センター事業については、自動車ターミナル事業等の用途指定を四十八年四月一日から五カ年間受けることになっておるようでありますが、やむを得ない事由によってその用途の変更解除及び期日、期間の変更の承認もあり得るような契約内容になっておる。これは契約があってもなくても、流動的な、きわめてルーズな契約内容という、結論としてそう受けとめざるを得ない。その理由はなぜでありますか。
  282. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) 用途指定の内容をなしますものは、都市計画事業の特許に基づく事業、それからバスターミナル事業の許可に基づく事業でございまして、それらの事業内容が、都市計画の変更等によって変わってまいりました場合には、相談に応ずることがある。こういう趣旨でございまして、特許あるいは認可等が動きません以上は、この用途指定も動かないものでございます。
  283. 足鹿覺

    足鹿覺君 やむを得ない事由ということばがあるのでありますから、聞いておるのであります。やむを得ない事由というのは、いまあなたが言われたことだけでありますか。
  284. 伊藤榮樹

    説明員(伊藤榮樹君) どういう場合がやむを得ない事由ということになるか、一々想定をまだいたしておりませんが、たとえば天災等によります場合でございますとか、そのあたりの都市計画が変更になりました場合とか、こういう場合はやむを得ない場合に当たるのではないかと思います。
  285. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は七点にわたってお尋ねをいたしました。結論としていま一点、問題を指摘してみたいと思いますが、要するに、この東京拘置所のあと地の問題をめぐって、副都心の開発計画それ自体の公共的性格が十分に配慮されているかどうかは、今後の問題に属するわけであります。私どもは、新都市開発センターは、元衆議院事務総長大池眞氏が代表者として本年の春ごろまでつとめておられたということを承知しておりましたが、これを除いた新都市開発センターというものは全くの私企業である。かような性格のものに公共性を求め得ることができるかいなか、これは大きな疑問点の一つであります。  また、このあと地の開発の構想については、大規模な各種の施設を建設するとともに、国際情報センターや、あるいは高層ビルの建設等、アメリカの技術やアメリカの資金をも導入するといわれておりますが、このような大規模なものができた暁において、この会社の得べき、予想し得る利益というものはばく大なものがあると想定されます。したがって、現在は建設途上であって、にわかに想定いたしがたいものがありますが、場所が場所だけに、きわめて将来性はあり、もし誤って利潤追求にのみ専念をいたした場合には、新都市開発センターは無味乾燥ないわゆる鉄筋コンクリートと、若干の加うるに緑地等が含まれておるようでありますが、おそらくこの図面から見た場合に、何が何かわかりませんが、ほとんど空地らしいものはありません。緑のいこいの場もどこにあるかわかりません。若干のことはあるにいたしましても、淀橋の浄水場のあと地が都民いこいの場となって、非常に親しまれておる。あのような構想というものは全く見ることもできません。アメリカとの提携によってすごい国際情報センターをつくっていく、都民の福祉や、いざというときの避難や、あるいは緑と空間は全く考えられない、無味乾燥な施設が林立することは想像にかたくありません。このようなことで、公害がやかましく論じられ、光と緑を、あるいは空間をとスローガンの政治姿勢を佐藤内閣は常に口にしておられるが、なされることは、このような具体的な事例として、国有地の払い下げが行なわれる。しかも私がいままで指摘した疑問の数々は、ただいままでの御答弁では解明することはできません。残念でありますが、私は納得いたしかねます。  したがって、これ以上時間を空費いたしませんが、少なくともこの問題のほんとうに背景なり、真実の内容を知らんと欲するならば、われわれ捜査権を持たない国会の権能の範囲内においては、知るよすがもなかろうと思います。しかし、私はこのたびの質問を通じて法務大臣に強く申し上げたいことは、いま指摘したように、緑も空間も、いこいの場もないそのような副都心があってよろしいでありましょうか。都市の過密が今日ほど憂えられているときはない。日照権をさえぎる四十階建の高層ビルが二つ抱き合わせてまん中にできる。しかも報道によれば、その中心に戦犯記念碑が建てられると聞いておる。私どもは戦犯になった人はまことに気の毒であると思いますが、しかし、何のための戦犯記念碑であるか、その意義もつまびらかにしておりません。御承知になっておろうと思いますが、一体あすこに入られ、刑死をされ、あるいは処刑をされた人々に対しましては、私は人間として何ら憎しみを持つものではありませんが、少なくとも、大東亜戦争の責任者として、残念ながら終戦直後の戦犯裁判所によって処刑を受けられたいろいろの遺族の意中を察すれば、あるいは戦犯記念碑等はこの人々の気持ちをいやすためにもあるいは必要であるかとも考えられないことはありませんが、一面ひるがえって、今日大東亜戦争によって、あの戦後から戦中、戦前の多くの犠牲を国民に背負わせた——無名の戦士の記念碑一つ建てるではなく、戦犯処刑者の記念碑を建てられる計画に示されるように、私はこの巣鴨拘置所あとの開発は、あたたかい庶民のいこいの場もなければ、いま問題になっている過密都市の悩みを解決していく具体的な処置が伴わない無味乾燥なものに堕することをおそれるのであります。断定はいたしかねますが、そういう見地から、法務大臣が今後この計画の遂行にあたって、少なくとも見識ある副都心建設に疑惑なきを期し、また進んで疑惑を解き、そして都民や、あるいは市民が副都心らしい副都心として住みごこちのよいものをつくられんことを私は期待してやみません。  今日までの会社の性格や今後の構想を見ても、おそらく豊島区役所を代表される人から申された程度のものは全く微々たるものにすぎません。根本が失なわれておると思う。そういう点について一つ一つ解決をしてこそ、実践を伴う都市づくりではありませんか。新しい都市づくりに対して、しかも、新しい副都心を建設するにあたって、政府全体が統一のない施策を私企業にゆだねておるというところに対して、根本的な矛盾を私は痛感をいたします。したがって、いままでの疑問点も解消せず、今後われわれは現地を調査し、区民の声を聞き、あらゆる方法をもって副都心のあるべき姿を求めて、あなたにまみえる日が近いだろうということをここで申し上げます。  はなはだ本日、あなた方の答弁は私の期待に反するものがありますが、時間の都合もありますので、私の質疑はこれにて打ち切りますが、最後に法務大臣の、私が述べたただいまの意見に対して、具体的な御所見があれば、お承りいたしまして、質疑を打ち切りたいと存じます。御所見いかがでありますか。
  286. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 私は、ただいまのお話を拝聴いたしまして、ごもっともなところと、かように考え、今後におきましても誠意をもってひとつ善処をいたしたいと思います。  なお、いまお述べになりました一つの計画につきましては、そういう意見はあるが、計画がいまない、こういうことだけ申し上げておきます。
  287. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 吉田入国管理局長
  288. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 去る十二月十日の当委員会における矢山議員の御質問のうち、調査のため保留していた点につきまして、お答え申し上げます。  昭和四十年十月二日、またはその前後に、御指摘のような通達や指示を法務省から出したことはございませんでした。
  289. 矢山有作

    ○矢山有作君 法務省から出したことはないということですが、それでは全国の都道府県の中で、私が指摘したように、変更登録申請書は受理し、あるいは受けつけてはならない、特別の事情の場合でもお預かりということにしろ、こういうような指導を市町村に対してやっているところはありませんか。
  290. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 私のほうに、正式にそのようなこともあったという報告はまいっておりません。ただ、うわさとしましては、ある県でそういうことを行なったというところがあるやに聞いてはおります。
  291. 矢山有作

    ○矢山有作君 これは在日朝鮮人の人権にとってはきわめて重要な問題ですね。それが登録申請書が出ても受理はするな、受け付けるな、こういうような指導が都道府県から市町村に対してやられておるという現実をごらんになって、ただそういううわさを聞いただけだということでお済ましになりましたか。何らかそういう話を聞いたときに、そこまでいくことに対して何らかの措置をとられましたか。
  292. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 現在、全国の府県におきまして、その市町村におきまして受理いたしておりますので、私のほうは特にだいぶ以前のうわさでございますので、現時点においてはこれが是正されておりますから、特に措置にとっておりません。
  293. 矢山有作

    ○矢山有作君 局長とぼけちゃいかぬ。その当時耳にされたというふうに私はいまのあなたの答弁を聞いたわけですよ。だから、その当時耳にされたんなら、それに対して何らかの措置をとったかというのです。その当時は全然耳にしなかった、しかし最近耳にしたというたら、いまのあなたの答弁はやむを得ないと思います。どうなんです。
  294. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 私のことばが足りなかったかもしれませんが、先生から御指摘がありましたので、調べまして、その段階において私は初めて承知したようなわけでございます。
  295. 矢山有作

    ○矢山有作君 では、時間の関係ありますから、あまり長いことはやりませんが、こういう通達はやっておるんですね。これは一九六五年ですから四十年ですね。昭和四十年の十月二日に出しております、各市町村に対して。そしてこれは当時十月十一日の福島県議会で非常に問題になっている問題なんです。私はおそらく法務省が、福島県議会で非常に問題になって取り上げられたものを、その当時知らなかったというのはおかしいと思うのです。法務省ともあろうものが知らなかったとおっしゃるならやむを得ません。中身を簡単に申し上げますと、こういうふうになっています。   「朝鮮(韓国)人にかかる国籍欄の書換えについての情報及び連絡(1)」、「本信は取扱要厳重注意」、「関係者以外には厳秘、続報に注意、事務連絡、昭和四十年十月二日、各市町村外国人登録事務主管課長殿、各県事務所総務課長殿」と、こうなっている。これはおそらく昭和三十八年に出された「朝鮮(韓国)人にかかる国籍欄の書換えについて」という通達等をもとにされてやったと思うのですが、この中で「窓口での交渉における応答の例」として、(問1)、それに対する(回答)、(問2)、それに対する(回答)、こういう形で出ております。その中の私が問題にしているところ、その部分だけに限って言いますと、「(問4)「それでは一応変更登録申請書を受け付けて本省に取りついでくれ。」、こういうふうに言われたらどうしますか」と、こういう問いですね。それに対して、「(回答)「韓国」から「朝鮮」への変更登録申請書については、法務省から指示がない限り、これを「受理」し、あるいは「受け付け」ることはいっさいできない。もっとも法務省からの通知によれば、特別の事情を「お預り」して県経由のうえ法務省に対し、その取扱いについて伺いをたてる途が開かれているが、ただし、この「特別の事情」とは、たとえば市町村側の事務上の手違い等の理由により、本人が知らないうちに、「朝鮮」から「韓国」に書き換えられていたというような場合等であり、単に「韓国」ではないのだから「朝鮮」にしたいというような程度では、たとえ法務省に伺っても、認められることはない故、ムダだと思う。」、そうして「注意」として「本間のような場合には絶対に国籍の変更についての変更登録申請書を「受理」あるいは「受け付ける」ということはいってはならない。何も資料がなくては法務省に伺いをたてる訳にもいかないからあくまでも便宜「お預り」するというようにすること。」、その他いろいろあります。  こういうような指導が都道府県知事の手において事務を実際に扱っておる市町村段階になされておるということは、これは重大な私は問題だと思う。しかも、私はもう一つ申し上げたいのは、この登録の変更訂正というのは、御承知のように、外国人登録法の第九条の一項あるいは第十条の二によって行なわれているわけでありましょう。そうすれば、これが国籍の登録の変更なり訂正の手続なんですから、これに従っていまの在日朝鮮人の国籍書きかえをやらしておるということになれば、あなた方がいかに強弁されようと、この外国人登録法という法律に従ってやっておるわけですから、それは朝鮮を国籍としてみなしておることになるはずであります。理屈を何とおつけになっても、そうなるはずです、法理論的に言うならば。なぜかといいますと、くどいようですが、この外国人登録法という法律に従ってやっておるわけでしょう。この外国人登録法というのは、国籍の登録変更訂正について第九条なり第十条の二で規定しておるわけですから、これによってやるという以上は、これは朝鮮を国籍として扱ってないということになると、これはおかしな話になります、法的にいえば。そうすれば、いま言ったような指導が都道府県知事から市町村になされ、あるいはそのもとになるような通達が法務省から「法務省管登合第七〇三号、朝鮮(韓国人)にかかる国籍欄の書換えについて」をはじめとしてこういう通達が出ておるということは、在日朝鮮人に対して法務省は差別扱いをやっておるということになるのですよ、これは。だから、その点では私は先日の議論の中でも十分指摘しておいたところです。それに対して法務大臣のほうは、無理はあったということを率直におっしゃった。つまり、いまの政府の扱いは外国人登録法上から見て無理であるということを認めておるのです。在日朝鮮人の国籍の書きかえに対しては無理であるということを認めておる。自分たちのやっておることは無理であるということを。であるなら、これは私は早急に是正措置をとるべきだと思う。あなた方のやり方は間違っておる、無理がある。その点で法務大臣に最後に御見解を承っておきたい。
  296. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これはお話の趣旨もありますし、また重ねて検討をいたしたいと、かように思います。
  297. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。
  298. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいまの法務大臣並びに当局との質疑応答に見られますように、私どもは本法案に対して真摯な検討を続けてまいりました。拘置所に収容されておられまする方々が、新しい敷地とは言いながら、適当な緑の濃い地に、新しい建築物に収容され、社会人としてりっぱに復帰される、そのことそれ自体は反対ではありません。しかしながら、ただいまの質疑応答に見るごとく、等価交換等による、膨大な当然国庫に帰属すべき税金が、等価交換等によって収納できない実情であり、さらにまた、敷地のあとの処分等をめぐって、あるいは新しい刑務所の構築にあたっての敷地その他の取得について疑問は解消できませんでした。まことに遺憾千万に存じます。したがいまして、当委員会といたしましては、厳正公平に現地の実情を調査し、もって疑惑を解消していくのが今後の課題であると存じます。  したがいまして、私どもは、以上述べた趣旨から、新しい刑務所をつくられることについては、そのこと自体は異論を唱えるものではございませんが、それを取り巻く諸条件、背景その他のただいま指摘した諸点について遺憾な点が多々あるやに受けました。私の疑問点、不審な点について解消するに至らなかったことをはなはだ遺憾に考えます。したがいまして、本案に対しましては反対の意思をここに明らかにいたしておく次第であります。
  299. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  法務省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  300. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  301. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後八時三十八分休憩      —————・—————    午後八時四十三分開会
  302. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  請願を議題といたします。  本委員会に付託されております請願は、第一号、滋賀県の寒冷級地是正に関する請願外二百二件でございます。これらの請願は、先刻理事会で御協議いただきましたとおり、国家公務員関係八件、恩給、共済関係百七件、その他一件、計百十六件は議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものとし、靖国神社国家管理立法化反対に関する請願外八十六件は留保するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  303. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  304. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  305. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査は、閉会中も継続して調査を行ないたいと存じますが、このように決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  継続調査要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  307. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十五分散会      —————・—————