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矢山有作君 いろいろおっしゃいましたが、話を詰めていけば、要するに
朝鮮民主主義人民共和国は未
承認国である、
日本と
国交がないからだということが唯一の
理由になっておると思います、すべての根源は。ところが、私が先ほど言ったように、厳然と
存在する客観的な事実、しかも
日本政府すら最近は
朝鮮民主主義人民共和国という
呼称を許すという
状況にある、そういうときに、その客観的な事実の
存在を否定する法の
運用をやろうというところに無理があるんだ、このことだけは私
どもは強調せざるを得ない。法の
運用というものはやはり客観的な事実に基づいて、それを尊重しながら
運用するというのがほんとうの
あり方だろうと思います。それをやらぬところに非常に無理が生じておると思うんです。
それから、もう
一つ私
どもの言いたいのは、
在日朝鮮人が
韓国籍を
離脱したいというのは、それは
国内法でいろいろ
手続があるかどうか知りませんが、
離脱をするという
意思が明確になっており、そして
朝鮮民主主義人民共和国のほうがこれを
自国の
公民と認めるということがあるんなら、
在日朝鮮人のいままでの歴史的な
背景、経過からいって、そこに
国民登録証を求めたり、
旅券を求めて、明らかな証拠がなければやらないというのは、それは
一つの無理なんだということをきのうから言っているわけです。
それからもう
一つは、
訂正の場合に
窓口は締めておらぬ、
韓国と記載したことが
誤りであったということが
証明されるならば
訂正にやぶさかでないと、こうおっしゃっておるわけです。しかしながら、四十年から四十五年の間に
韓国籍から
朝鮮籍へ
訂正された者はわずか百三十人ほどしかいないわけです。ただ最近になって、この八月以来、
市町村長が独自の
判断でこの
訂正をやり出した。その時期から後になって、
法務省が
経伺に基づいて
訂正をやるという
案件が、
市町村長の独自の
判断でやった
案件よりも上回ったという現象が出てきた。これは、私は
市町村長が
外国人登録法の正しい
運用でこれをやるべきだというので勇敢にやっておる、それに押されて
法務省が最近それを早めただけの話だろうと、私
どもは、うがった見方といわれるかもしれませんけれ
ども、思っているのです。第一に、
韓国籍に
訂正をしたことが
誤りだったということ、あるいは何か
手続上にそごがあったということを客観的に
証明されたらということをおっしゃるのですが、これは客観的な
証明が非常にむずかしいということは、もう私はきのう
議論したことですから、これ以上申し上げません。要するに、全体として私が最終的に申し上げたいことは、
一つは法の
運用において、客観的な事実の
存在を重視して法の
運用をやってもらいたいということが
一つであります。しかも
国籍については、
国籍選択の自由、
離脱の自由、そうして
朝鮮民主主義人民共和国がとっておる態度、これを十分認識してやってもらいたいということであります。その際に明確な
旅券等を要求するということは現在の情勢から困難なんでありますから、そのことはあなた方知っておられると思う。あくまでもそれを口実にされるなら、私は
国交回復がないから、あるいは未
承認国だから、そういったような
朝鮮民主主義人民共和国の
公民であるという
証明が得られないということを、その得られないことの
状態に置いたままそんなことを言うというのは、これは人道上も許されないと思うんです。むしろ、未
承認国であろうと、そこまで
政府が
国籍の問題についてがんばられるなら、私は
在日朝鮮人が
朝鮮民主主義人民共和国の
公民であるという
証明を得られるように、積極的に協力する姿勢があってもいいと思うんです。そのことが、私はこれまで
政府がとってきたこの問題に関する
方針の
混乱といいますか、非常な無
方針といっていい、その
あり方の
反省の上に立って私はそれを要求するわけです。というのは、たとえば一九六五年の
統一見解の発表までは、
朝鮮籍も
韓国籍もいずれも符号だといってごく手軽い
扱いをされておったのです。それが一夜にして、
韓国籍は
国籍になり、
朝鮮というのはこれは単なる用語であるというふうな変化を遂げられたわけですから、これはまさに
在日朝鮮人にしてみれば詐欺にかかったようなものだと思うのです。こういうような
扱いをしてきたという
反省の上に立って、私は積極的に
朝鮮民主主義人民共和国の
公民であるという
証明が得られる、そういう道を開いた上でものを言っていただきたいと思います。
一つところでとまっておっても、これは幾ら言っても
議論のすれ違いだろうと思うのです。そこで次に移りますが、私はやはり
通達だとか、法の
運用基準、こういったものは
法律に従ってやられる場合、法の
趣旨を生かす場合にのみこれが有効に作用するのであって、それが曲げられた場合には、私はそれはそのことのほうが違法だと思うわけです。でありますから、私は今回とっておる
市町村の
外国人登録法の
運用——まあきのうの話でいいますと
革新首長のところが多いという話でありますが、そこのとっておる
外国人登録法の
運用が正しいと思っております。そのことを申し添えておきます。
それからもう
一つ次にお伺いしたいのは、三十八年の十二月六日の
法務省通達ですね、これは
法務省管登合第七〇三号でありますが、これによりますと、「
理由の如何を問わず、
原票等の
国籍欄を「
韓国」から「
朝鮮」に書換えることは、
原則として認めない。ただし、特別な
事情によりこれを認めるべきであると思料されるものについては、
市町村長は、都道府県を経由し、事前に
法務省に
経伺する」というふうにしてあります。でありますが、私がいままで言ってきた
議論からして、こうした
通達を出すこと
自体が、これは非常な間違いじゃないか。
韓国籍への
書きかえはこれはもう
市町村の
窓口で認めておる。ところが
朝鮮籍への
書きかえについては
原則としてこれを認めない。それどころではありませんね、さらに四十年の十月二日ごろに、この
書きかえ
申請を受理することすら
市町村の
窓口で拒否しろ、受理しないで、預かり
扱いにしろというような
極秘通達も
法務省から出ておると、こういうふうに聞いておりますが、そういう事実がありますか。だとするならば、これこそ私は
法務省の独断的な
扱い、法を無視した
扱いもきわまれりと言わなければならぬと思うんですが、どうでしょう。