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1970-12-08 第64回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月八日(火曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員の異動  十二月八日     辞任         補欠選任      森  勝治君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長                 近藤 信一君     理 事                 長田 裕二君                 新谷寅三郎君                 松平 勇雄君                 永岡 光治君     委 員                 植竹 春彦君                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 久保  等君                 鈴木  強君                 野上  元君                 塩出 啓典君    国務大臣        郵 政 大 臣  井出一太郎君    政府委員        郵政大臣官房長  野田誠二郎君        郵政大臣官房電        気通信監理官   柏木 輝彦君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        郵政省人事局長  北 雄一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        郵政大臣官房首        席監察官     舘野  繁君        郵政省簡易保険        局長       中田 正一君        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社職員局長    玉野 義雄君        日本電信電話公        社計画局長    浦川 親直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (江戸川郵便局における簡易保険団体組成に  関する件)  (郵政省における労使紛争に関する件)  (電信電話拡充七ケ年計画に伴う労務対策に関  する件)     —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  本件に関し、質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 塩出啓典

    塩出啓典君 最初郵政大臣に、きのう郵政審議会値上げ答申が出たわけでございますが、年末の、いわゆる年末闘争で非常に郵便も混乱するのじゃないか、労使の争いも非常に根深いものがあって、国民の皆さんからも非常に信頼を失いつつある中で、しかも値上げ答申が出た。国民感情としても、非常に納得できないものがあるのじゃないかと思うのですよ。大臣も先ほど記者会見もされたそうですが、この郵政審議会答申が出て、どういう考えで処理されていくのか、その点を一問だけ最初にお聞きしておきたいと思います。
  4. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいま御指摘ように、一方においては年末闘争と申しますか、労使間においてまことに残念な紛争が続いており、国民の皆さまにたいへん御迷惑をかけつつある。このやさきにおいて郵政審議会答申が昨日出ましたことは、折りも折りと申しますか、いま御指摘ようなたいへんやりにくい場面であったと思うのであります。そこで、何はともあれ、ただいま続いておる紛争に一日も早く終止符を打たなければならない。そのために誠意を尽くして交渉をしておるさなかでございまして、これはこれなりにおさめなければならぬと考えておるのであります。  一方、この答申は九月二十八日に、郵便業務正常運用方途いかんという諮問を申し上げましたのに対する答申でございまして、二カ月有余、たいへん真剣に御検討をいただきました結論をお示しを願ったわけでございます。これはこれなりにただいまの郵政事業というものに対する深い考察の上に立って、およそ四項目にわたる正常化の方策をお示しをいただいた上に、なおかつ、郵便の財政の現状というものは何としても人件費がたいへんにかかるということでありまする上に、まあ五年間連続ベースアップというようなことからいたしますると、どうしても最小限の値上げはやむを得ないのではないか、こういう御答申であります。  なお、これをちょうだいいたしました以上は、真剣に検討を重ねました上で、これを十分に尊重するという立場に立ち、あわせて諸般の情勢をも考慮に入れつつ、省としての最終的な腹がまえをいたしたい、ただいまさよう考えております。
  5. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、きょうは簡易保険団体取り扱いの問題につきまして、江戸川郵便局における事件につきまして、そういう簡易保険に対する郵政省の姿勢、そういうものに、私非常に疑いを持つ点がございますので、そういう点について本日はお聞きしたいと思っております。時間が非常に限られておりますので、答弁のほうも簡単にやっていただきたいと思います。  まず、論易保険における団体払い込み趣旨ですね。それからまたその払い込み状況、また保険約款ではどうなっているか、その点をまず御説明を願いたいと思います。
  6. 中田正一

    説明員中田正一君) 簡易保険の場合、保険料払い込み月掛け原則でございます。月掛けで各件ごと集金するのが原則でございますが、事務合理化集金合理化集金コスト節約のためにいろいろの方法を講じております。その一つとして、保険料団体払い込み制度というものがございますが、これは十五以上の契約一つ団体として保険料を払い込むという場合には、七分の割引きを行なうということで、簡易保険事業としても、それによって集金合理化をはかり、契約者の方にも利便を与え、またそれによって契約の維持をそれだけ強化していくという趣旨でこの制度があるのでございます。  現在の制度運用状況は大体次のようになっております。全国で二十三万七千団体、その中に含まれる契約件数は一千二百七十万件でございます。その表定保険料額は百四十億円でございます。これは件数で申し上げますと、ただいま簡易保険の全契約の三二%に当たっておるわけであります。さらにこの内訳でございますが、この団体の三〇%弱は会社、官公署、学校、事業場、工場、そういった職域団体団体でございまして、残りの七〇%程度が町会、PTAの会とか、そういった地域団体、さらには医師会とかその他の同業組合的な団体、その他というようなことになっておるのでございます。
  7. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、この団体払い込みについて、いままで業務上の注意とか、あるいはこういう点を注意していかなきゃいけないとか、そういう通達等を過去において出されていると思うんですけれども、いままでどういう注意通達を出されて、どういう点をやはり郵政省としても指導してきたか、その点をお願いします。
  8. 中田正一

    説明員中田正一君) 昭和三十一年の六月ごろに一度通達を出しておりますし、最近では、この十二月三日にまたあらためて通達を出しております。その趣旨は、昭和三十一年の場合には、団体払い込み制度と称しながら、郵便局職員が実際上集金に当たるというようなことは、これは集金合理化にはならない。団体と称しておるけれども、その実がない、そういうことのないようにというような点が第一のポイント。それから払い込み団体があまりに広い地域にわたったり、大きな団体になりますと、運営上いろいろ問題がありますので、払い込み団体適正規模注意するようにというよう指導を三十一年にはいたしております。  最近の十二月初めの通達におきましては、最近の江戸川局等における状況にかんがみまして、団体内容についていろいろ指導しております。まず、職域団体、それから地域団体、それから同業組合等団体、こういう団体についての払い込み団体については格別問題がわりあいないわけでありますが、その他の団体、たとえて申しますと旅行会とか同好会とか、そういった場合には慎重に取り扱うようにというよう指導あるいは郵便局員集金に携わるというようなことは、これは経営の合理化の面でも役立たず、万一の場合にまたいろいろ微妙な問題が起きますので、郵便局員集金その他団体運営に深入りしないようにというよう指導、また、そういった団体をつくって団体払い込み運用する場合には、郵便局から直接契約者の方にパンフレットを差し上げて、御案内する集金員外務員契約者と話した場合、内容がそごする場合ございますので、郵便局長名あいさつ状を出して集金外務員契約者に接した場合と食い違いのないようにというようなことできめこまやかな指導をしておるわけでございます。
  9. 塩出啓典

    塩出啓典君 四十一年九月二十七日の通達八十七号には一団体大体五十人程度を標準としたほうがいい、そういうよう通達が出されているわけですけどね、これはどういう趣旨でそうなっておるのかどうか。
  10. 中田正一

    説明員中田正一君) 先ほど申しましたように、三十年の場合もあまりに広範にわたらないようにということを申したのでありますが、その後さらに一団体五十人以内が適正であるという指導をいたした趣旨は、団体構成メンバーほんとう団体意識を持って自主的に運営されるように、あまりに規模が大きくなりますと、団体と称しながら団体性が薄れていくと、いろいろ内部運営について問題が生じやすくなりますので、おおよそのめどを示したわけでございます。
  11. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、いま局長の言われた三十一年六月一日の通達の中には団体をつくる場合に、団体をつくれば七%割引きになるもんですから、そういう点でかってに職域団体でもない無作為不特定多数の人を集めて団体なんかつくっちゃいかぬ、そういう趣旨でこういうのが出されたのじゃないかと思うのです。そこで、その中に団体結成趣意書を出さして、それはほんとうに健全な団体であるかどうか、そういうのを確認しなきゃならない、そういう通達があるわけですが、この通達はいまでも生きているわけですね。
  12. 中田正一

    説明員中田正一君) 十二月の三日に従来の通達を集大成しまして、あらためて出しましたので、昭和三十一年の通達は形式的には廃止いたしましたが、実質的には、新しい通達の中に、私どもそういった趣旨を含んでおりますので、その趣旨は生きておるわけでございます。
  13. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると、この保険料の中から七%引いた残りが納められるわけですけれどもね。この七%のものはあくまで団体のほうにおいて処分すべきものであって、これは郵政省が関与すべきものではないと、あくまでも団体のものであると、そう考えていいのですね。
  14. 中田正一

    説明員中田正一君) 保険料から七分の割引をいたしたものをどういうふうに処理するかは、これは団体内部の問題になりますが、郵便局側郵政省側がその運営について内部に立ち入るということは、これは趣旨でないわけでございます。
  15. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  それで、この団体にはそういう責任者があると思うのですね。また、その団体の中には集金する集金人がいると思うのですね。そういう人がもし事故を起こした場合に、それはやはり郵政省責任があるかないか。
  16. 中田正一

    説明員中田正一君) 団体払込み制度は、先ほど来繰り返して申しておりますように、職域とか、地域とか、そういった団体を基盤にして構成される払込み団体でありますし、また、七分の割引もいたしておるというようなことから、一般的には、郵便局に払い込まれるまでの過程において生じた事故等については、団体内部の問題として処理していただくようにお願いしておるところであります。
  17. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  それでことしの春、この江戸川郵便局において団体払い込みという問題について匿名の申告があって、それに対して東京郵政監察局がその考査を行なって、そうしていろいろな問題点があり、それに対して指示をした、そのように私聞いておるわけですけれどもね。そのときの考査指摘された点、またそれがいまどのようになっておるか、その点をお聞きしたい。
  18. 舘野繁

    説明員舘野繁君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、本年三月十八日、江戸川局保険課地域団体組成につきまして東京郵政監察局申告がございました。それで東京監察局におきましては、三月十九日から四月二日の間に監察官を派遣いたしまして、調査をいたしました。その結果、申告の中身につきましては大体三点の問題を提起しておりますが、申告で言われているような不正というものはないと、ただその中で代表者集金をすべきものを、保険外務員が一回だけ集金をしたことがあるということが判明いたしました。その申告で言ってきましたことのほかに、その考査によりまして、江戸川郵便局保険課団体取り扱いについて、違則と申しまするか、適切でない点が発見されました。そのおもなものを申し上げますると、新規契約募集にあたりまして、団体払い込み制度について加入者に十分徹底していないという点、それからこの団体代表者選任について、まあ通常局側も御相談に応ずるということはしておりまするけれども、それが局側の一方的な選定と思われるよう選定のしかたをしているのは適当ではない。それからただいま申し上げましたように、初回の集金局員がした。それから集金をいたしましたこの保険料代表者以外の者が保管をしている。それからこの団体内部集金表、これは団体内部事務でございまするけれども、局員が協力と申しますか、局員が調製した部分があるというようなこと、それからもう一つは、積み立て金の経理が複数の団体のものが一本に経理されているケースがあるというふうなことを、この申告とは別に、この考査によって発見されましたので、以上の点について指摘し、その是正方を指示したわけでございます。
  19. 塩出啓典

    塩出啓典君 そのときのいろいろ報告はお聞きしたわけですが、大体問題になる団体は十二団体と、そのようにお聞きしているわけですけれども、その十二団体件数それから保険料、それから各十二団体代表者の名前、それから集金人、それはその考査段階においてはどうなっておったのか、その点をお聞きしたい。
  20. 舘野繁

    説明員舘野繁君) お答えいたします。  考査時におきましてこの団体取り扱い局側の処置として必ずしも適当でないということで考査の対象になりましたものは、ただいま先生お話の十二団体のうちの初めにつくりました六団体についてでございます。余の六団体考査の終了後に、考査の際に監察局員示し見解を参考にいたしまして、局側あとにつくった団体でございますが、これはあとで新しい団体に、この十二団体を六団体に編成変えをしておりまするので、そういう前提でお話を申し上げたいと思います。  いま申し上げましたように、考査時におきまする六団体、それからそのあと結成されました六団体、これが十月に六つの団体に合併をいたしております。その現存する六団体について申し上げますると、第一のものは加入世帯数九十五世帯契約件数五百八十九件。第二のものは加入世帯数百一、契約件数六百二十六、第三のものは加入世帯数八十二、契約件数五百八十四、第四のものは加入世帯数八十三、契約件数五百四十四、第五のものは加入世帯数七十二、契約件数三百九十八、第六のものは加入世帯数百二十三、契約件数七百の団体でございます。
  21. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま、私はその最初の十二団体あって、そして監察見解に従ってつくった六団体、それが結局あと十二団体は六団体にまとまったわけですけれども、そのまとまる前の十二団体、これは半分は監察見解に従ってつくった団体といういまのお話なんですが、その十二団体責任者集金人、これは私の聞きました報告は同じ人間になっておる、そういうふうに聞いておるわけですけれども、これが事実かどうか。その同一人というのは一体十二団体責任者であり同時に集金もやっている。その人物というのは一体どういう人がなっているのか、その点お聞きしたいと思います。
  22. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 先ほどの質問を取り違えまして、恐縮です。最初にできました六団体、それから考査後に結成されました六団体、御指摘のとおり代表者は十二団体の全部を通じまして斎藤某という、これは郵便局保険課の元職員でありまして、まあ保険ベテランでございますが、この斎藤定吉というものが代表者に、全団体を通じてなっております。それから集金人も初めの六団体斎藤定吉、同人でございます。それからあとの六団体のうち三団体斎藤定吉、それから残りの三団体森住某ということになっております。
  23. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  この十二団体は全部の件数は三千四百七十四件、一カ月の集金金額は八百八十一万余円、そのよう郵政首席監察からいただいた資料にはなっているわけですけれども、これは間違いないですか。
  24. 舘野繁

    説明員舘野繁君) ただいまお話ように十二団体契約合計三千四百七十四件でございます。
  25. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  それで私はこういう十二団体、三千四百七十四件もの団体をどういう方法でつくったのか、郵政監察がその点を考査したわけですから、その段階において、どういう方法でそれをやっておったのか、その点を御説明を願いたいと思います。
  26. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 三月から四月にかけましての考査で判明いたしました団体のつくり方でございますが、責任者である保険課長江戸川局簡易保険募集と申しまするか、業務成績がなかなか従来あがっていなかったということから、この職員に対しましていろいろの話法あるいは募集技術、それからいろいろの資料の整備のしかた、そういうものを非常に意欲的に昨年の夏着任以来何といいますか、指導をしてまいりました。その中で非常にお客のためにもなり、それから保険の普及にもなる方法として団体取り扱いというものを見込み客にお知らせして団体結成し、それによって簡易保険に入っていただくということが非常に有効であるということを職員指導、まあ毎朝、朝礼等において非常に意欲的に指導をしておりましたようでございますが、その中で職員に対しまして、団体結成ということで保険需要者のためにもなり、保険事業の発展にもつながるこの方法をひとつ大いに進めようではないかというようなことで外務員全部に呼びかけまして、この団体結成にとりかかったということでございます。ただ、その際、ただいままで御指摘、また簡易保険局長から御説明申し上げましたように、団体をつくるにはつくる順序と申しまするか、指導されているわけでありまして、その順序と申しまするか、手順というものを着実に一つ一つ行なうというところに欠けた点がございまして、代表者選定といったようなものについても、その地域団体なら地域団体の全員の何と申しまするか考えで、結成します加入者の中で協議の上に選ぶというたてまえへもちろんでございまするけれども、なかなかそこまで加入者の方が進んでいないということから、先ほど申しました局を退職いたしました簡易保険ベテランをもって代表者に、暫定的に代表者に付するというような、何といいまするか、慎重さを欠いた団体結成をしたという状況でございます。
  27. 塩出啓典

    塩出啓典君 これには代表者を局が一方的にきめたとありますが、これは局側がきめたと書いてあるのですが、局側というのは局長がきめたということなんですか。
  28. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 実態を申し上げますと、保険課長が自己の責任できめたという状況ようでございます。
  29. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると、これは局長もあまりそういうことはよく知らなかった、そういうことでいいわけですか、全然局長の知らない間に全部できちゃったんだと。
  30. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 全体的に、局長団体結成という、江戸川局の簡保の団体結成について課長に何といいますか、委任をしていたかどうかは別といたしまして、事実上は課長が自分の責任簡易保険増強ということで局長報告なしに取り進めたようでございます。
  31. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは私のところにいろいろ相談に来た人の話では掛け金を、ずっと募集して回るときに一万円以上に入れば簡易保険の保証もあり、そのほかに年六分くらいの利息がつくのだ、そういうよう言い方をして勧誘しているわけですね。まあ大ぜいの外務員ですから、こういう言い方をした人もおると思いますし、いま首席監察官の言われたようやり方でやった人もいると思いますが、いずれにしてもこれは明らかに、たとえば成績をあげるためとはいえ間違ったやり方である。そして、しかもそれをただ一人の個人がやるのではなくて、少なくともやはりその保険課をあげてそういう方向でやったのだ、そうでなければ三千四百七十四件もの十二団体できるわけはないと思うのですね。そういうようやり方は非常に私はよろしくないやり方じゃないかと思うのですけれども、そう判断してもよろしいですか。
  32. 中田正一

    説明員中田正一君) 江戸川郵便局団体結成の経緯を見ますというと、新規契約増強をはかろうという意図に出たことは、これはよく理解できるわけでありますが、代表者選定集金しかた等これはあくまでも団体払い込み制度の本来の趣旨からはずれておるというふうに考え是正に当たっておるところでございます。また他の局、全国的にもこういうことがあってはならぬということで、先ほど申し上げましたように十二月の初めに、あらためて克明な通達を出したという次第でございます。
  33. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから首席監察官にお聞きしますが、あなた一番最初答弁の中で不正はなかったと、そういうことを言われたわけですが、これはやはり申告のあった件で不正がなかったということなのか、こういうことは不正ではないという考えなのか、どちらなんですか。
  34. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 先ほどことばが足りませんでしたが、申告内容を御紹介いたしますると、一点は団体割り引き額のうち事務費として団体者に支払うべき二分、二%の分について外務員に還元してやるぞということを保険課長が言っています。これはおかしいではないですかというのが一点なんです。  それから先ほど申しました代表者あるいはその委託を受けた者が、団体集金人集金すべきものを局の保険外務員集金している、これは違則ではないか。  それから第三点は、団体関係書類団体代表者が行なうべき書類の作成を局の非常勤職員にさしているのは非常勤職員の使い方として、雇用の、勤務のしかたとしておかしいではないかという三点の内容申告でございました。  それで第一点の保険外務員に還元してやるというようなことを保険課長が言ったかどうか、これは各保険外務員にも当たりまして調査いたしました結果、そういうことを言った事実はないということが判明いたしました。  それから第二点の代表者が、あるいはその委託を受けた集金人集金すべきものを保険外務員が、局員集金したということはこれは三月分一回、事実ございました。  それから非常勤勤務につきましては申告のごときことは全然ございませんでした。  以上申告事実といたしまして第二点がございましたけれども、いわゆる、私先ほど不正と申しましたのは業務上の犯罪の容疑となるような不正はございません。ただし、いま申しましたよう外務員団体集金をしているというのは、これは違則でございまするから直さなければならない、そういう判断をしたわけでございます。
  35. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  それで団体保険料は、大体団体代表者が集めなければならぬのを一回だけ外務員が集めた、これはやはり保険課長指示でやったわけですね。大体どの程度金額を集めたわけですか、このときは。
  36. 舘野繁

    説明員舘野繁君) これは団体組成いたしまするのに非常に何といいますか、急いでと申しまするか、慎重さを欠いて結成をさしたということからもきたことかとも存じますけれども、当初から団体選定した集金人が行きますと、契約者自体においていままでと違った人、しかも外部の、局員でない人が集金に来たということで不審に思うということがかつてあったので、今度は団体に入りましたから別な人が来ますけれども、さしあたっては私どもが従来どおりお預かりいたしますということで集金をしていらっしゃいということで課長指導をしてやらしたということでございます。  なお、その三月分の集金の額は全体で千二百八十二件、保険料三百四十万六千五百十円でございます。
  37. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、この集金した保険料の処理の問題ですけれども、これが江戸川簡易保険旅行会代表者小林豊名義の預金に預入し、また多額の現金を保管している。そのよう郵政監察官の報告には書いてあるわけなんですけれども、これはどういうことなんですか。集めた金額というものはちゃんとやはり処理されておったのですかね。
  38. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 問題の団体に関しまする保険料につきましては、集金人集金したわけでございまするけれども、その保管につきまして、これはまあ集金人がその団体ごとにまとめていたしませんで、他の、団体に入っておりません受け持ちの契約者集金と同時に一緒に集金してきておりましたので、非常に団体自体から見ますると、まあばらばらの日に外務員集金してくるというようなことが発生と申しまするか、そうならざるを得なかったわけでございます。それを課長が預かりまして、そうしてその既存の団体代表者の代表という名義で貯金通帳をつくりまして、その中に預入をしていたということでございます。
  39. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、先ほどのそういう集金のあり方というものは、これは明らかに簡易保険の本来のあり方から私は脱しておると思う。  郵政大臣にお聞きしたいのですけれども、それらのことはやはり簡易保険のたてまえから言っても、厳重に本来のあり方に返るべきじゃないか、そのように思うわけですけれども、大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  40. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私も同感でございます。
  41. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、いわゆる集金してきたお金というものは、当然やはり団体のお金ですから、団体責任者なり団体名で保管すべきものであって、そのお金を保険課長が自分の通帳の中に入れておく、そのようなことはこれは非常によくないと思うのですけれども、その点はどうなんですか。
  42. 舘野繁

    説明員舘野繁君) おっしゃるとおりそういうことは、まあこの保険課長には全然それを何といいますか、私金と混同するとか、そのつもりもまたその疑いも全然ないケースでございますけれども、一般的に申しまして、取り扱い方法自体が違則でございまするし、それからそういう違則取り扱い、あるいは保険料の保管ということは、ややもすれば、不測の事態を誘発すると申しまするか、危険もございまするので、そういうことは厳に慎しむべきである。また、簡易保険局の指導もそのようなふうになっております。監察といたしましても、これはよろしくないということで指摘をしたわけでございます。
  43. 塩出啓典

    塩出啓典君 もちろん、それは保険課長がそういうような横領するとか、そういう気持ちはないと言われましたけれども、やはり保険課長、そういう幹部というのはみんなを指導していかなければいかぬ立場にあるわけですから、そういう人がやはり集金したお金というのは公金です。また七%の金額も、言うなれば団体に返すべき団体のお金ですから、それをやはり自分の名義でちゃんと入れておく、しかも、団体自体はだれが代表者かさっぱりわからない。一般の人は団体に入っているかどうかわからない。そういうような状態の中でやるということは、これはやはり見方によれば公金を利用しての利ざやかぜぎじゃないか、あるいはまた加入者の人たちの無知につけ込んで七%のそういう金額で金利をかせぐ、あるいはまたそういう横領とまではいかなくてもそういう危険性は多分にあると思うのですね。われわれはそういう点に非常に不可解なものを感ずるわけですけれども、そういう点おたくの監査において、そういう預け入れの金額においては一銭の違いもなかったのか、またそれはきちっと加入者の人たちに返ったのかどうか、その点をお聞きしたいと思うのですけれども。
  44. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 考査の結果、指摘いたしました事項の実施状況を見ますために、十一月に再考査をいたしておりますが、その両度の考査におきましても保険料の保管、それから割引の分の積み立て、その両面につきまして不正あるいは数字の間違いということは全然ございませんでした。
  45. 塩出啓典

    塩出啓典君 ではこの職員が集めた保険料、先ほどの三百四十万ですね、これの手数料はどうなったのですか。二%の手数料はどのように処理されているのですか。
  46. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 最初保険外務員集金いたしましたものは、これは外務員一つの仕事として上司からの指導、命令で集金をしたものでございまして、全部その割引料というものは別に計算をいたしまして、ただし通帳は一本になっておりまするけれども、預入をされております。
  47. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでその手数料は結局どこへ持っていったのですか、その手数料。これは郵政省のほうには納めてないわけでしょう、七%引いた残りを納めるわけですから。その二%は団体のほうに返したのか、あるいは通帳の中にまだ入っているのか、その点はどうですか。
  48. 舘野繁

    説明員舘野繁君) その通帳に預けましたのは、要するに保険課長がいわば団体代表者の立場としての保管でございまするので、割引料の積み立てというのも、結局その通帳の中に預金がされているということでございます。
  49. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、この二%の手数料というのは、私はどこに行ったかということを聞いているわけです。
  50. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 先ほど申し上げましたようにただいまはすでに措置がされておりまして、その通帳に預金されておりましたのを全部後に決定いたしました、選任されました会長に代表者が引き継いでおりまするので、ただいまは三月以降の分は全部代表者に引き継がれているということでございます。
  51. 塩出啓典

    塩出啓典君 代表者に引き継いで、それが一人一人にちゃんと返っているかどうか、その点はどうなんですか。
  52. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 代表者に返しましたあと団体内部でどういうふうな措置をするかということにつきましては、監察といたしましては、実態調査はいたしておりません。
  53. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  じゃ、この件についてまたあとに譲りまして、そこで、私はこういう問題に対して郵政省としてはやはりはっきりとした処置をしていかなければいけないと思うのです。これは人事局の担当になりますか、こういう、いうならば組織をあげての、そしてまた契約を高めるためとは言いながら法に違反したやり方をやっておる。そういうことではまじめな職員としては非常に苦しい立場にあると思うのですね。そういうことは断じてやってはならないと思うのですけれども、そういう点については、どういう処分がされたのか、その処分の内容をお聞きしたいと思います。
  54. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) ただいま先生指摘のとおり、また当方答弁申し上げましたとおり、この種のいずれも違則取り扱いをなしたわけでございまして、その限りにおきまして不都合なことだと認識いたしております。でありまするが、本件はもっぱら募集成績を向上させるために行なったものでありまして、自己の利益のために利用するというような不正行為は全く考えもしておらなかったし、またいささかも行なっていなかったという点を考慮いたしまして、注意処分に付してございます。
  55. 塩出啓典

    塩出啓典君 注意処分というのは大体懲戒免に準ずる処分と言われているわけですけれども、そういう中でどういう位置にあるのか。しかも、それを発令するのはだれが発令するようになっているのですか。
  56. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 注意処分と申しますのは、先生おっしゃいましたように懲戒処分に準ずる処分であります。懲戒処分に準ずる処分といたしましては訓告、注意、二つございまして、注意は軽微な過失の場合に注意処分に付する、こういうことになっております。まただれが注意処分をするかということでございますが、これは注意処分を受ける人によって違うのでございますけれども、ただいまの郵便局保険課長に対する注意処分というものは規定上当該郵便局長が行なう、また、保険課員に対しましては当該課長が行なう、かような定めになっております。
  57. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、私はこれは郵政大臣に聞きたいと思うのですけれども、こういう本件の問題にいたしましても、これは別に保険契約をふやすためにやったのだから、大した罪ではないのだ、そういうようないまの答弁ですけれども、まあしかし、たえずこの簡易保険のあり方についてもいろいろ云々されているところですね。やはりこのようなことでやるならば、最近富士銀行事件とか、そういう不正事件があるわけですけれども、そういう事件の起こる危険性のあるようなことは、これは断じてやっちゃならない。そういう点で、しかも、局長もやはり同じ郵便局局長として、これはもう責任があるわけですから、ところが、言うなれば一緒にぐるでやったその局長が、仲間であるところの一緒にやった保険課長をただ注意処分にすると、そういうことでは、ほんとう郵政省全体として、こういう問題をあまりに軽視し過ぎているんじゃないか。これでは、やはりあまりにも行き過ぎて、事件が起こる心配がある。もっとそういう点は私は厳正にすべきではないか、もっと郵政省なりあるいは地方郵政局なりが真剣に取り組むべきじゃないか、そのように私は考えておるのですが、大臣の御見解はどうですか。
  58. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) その前に、ただいま先生局長にも責任があるんじゃないかということでございましたが、実は、局長それからこの局には次長もいたのでございますが、局長、次長に対しては処分は行なわなかった次第でございます。と申しますのは、先ほど当方で御説明申し上げましたように、本件は保険課長局長、次長に報告をいたさないで独断で行なっておりますので、その点から局長、次長には責任がなかったと、かよう考え方を持った次第でございます。
  59. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいま塩出さんに重ねて御質問をいただきましたこの件は、まあ大事に至らなかったからまあまあよかったということでありましょうが、その本質は、やっぱりそこに何かこう危険が予見せられるような事柄だと思うのでございます。したがいまして、犯罪の内容となるというふうなことではなかったわけであって、その点が情状を酌量した処置、処分であったろうかと思いますが、しかし、これは厳に戒めなければならぬことでございますから、去る十二月の三日に新たな通達を出しましたことは先ほど申し上げたとおりでありまして、この通達を厳にこれから運営をしていく、かようなことで、これから強く指導をしてまいる所存でございます。
  60. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、この江戸川郵便局は先ほど言いましたようなそういう団体扱いを巧みに利用して、そして非常に成績をあげたわけでございますが、そういう優秀な成績をあげたという理由で、去る十一月の十二日に、これは表彰をされているわけですね。私はすでに郵政監察局によって、そういうよう簡易保険団体取り扱いに関する犯罪ではないにしても、そういう不正があった。それでありながら表彰した。これでは局長にしたって課長にしたって、これではぴんとこないと思うのですね。やっぱり一応やっちゃいけないと、これは表向きのことであって、内心は、少々犯罪にさえならなければ、ぎりぎりの線までやってでも、皆さん大衆をだましてでも、やはり契約をとれば表彰されるのだ、そういう感じになると思うのですね。私はこういう表彰をするというのは非常に納得いかないと思うのですが、大臣どうですか、そういう点については表彰は妥当だと思いますか。
  61. 中田正一

    説明員中田正一君) 郵政部内に表彰はいろいろ種類がございますが、簡易保険の表彰という場合には、きわめてその年度内の限られた期間内における業績について数字的にはっきりしたものについて取り上げるということになっておるわけでございます。また、その段階もいろいろございまして、郵政大臣表彰、次が簡易保険局長表彰、その次が郵政局長表彰、いわば表彰の中でも、部内では三段階の中で三番目ということでありまして、いろいろ問題がなければ、さらに高い表彰を受け得るわけでありますが、表面にあらわれた数字その他総合して郵政局長表彰程度ならばというようなことで、基準に照らして東京郵政局において取り行なったものでございますので、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、この間に不正とか、いかがわしい意図が見られた場合であれば、これは当然郵政局において除外したと思いますが、そういうことでなかったということによりまして、表彰としては三番目のものを行なったという次第でございます。
  62. 塩出啓典

    塩出啓典君 大臣、それでいいですか。
  63. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 事務的にはおそらくは表面にあらわれた数字というものを対象にするでありましょうし、さらにまた、この江戸川局の場合、こういうことをやりましての業績向上がどの程度に響いているか、私その辺つまびらかにしませんけれども、全体的には相当大きな数字が上がったというあたりを取り上げたものと思います。しかし、おっしゃるように、こういう事態が内包されておりまする以上は、この辺にもきめこまかな目を行き届かさせなければならぬものであろうかと、今後は厳にそういう点適切に対処いたしてまいりたいと思います。
  64. 塩出啓典

    塩出啓典君 さきの新宿事件においても犯人であった人が表彰されていたり、いずれにしても、私は郵政省における表彰規程というものがあまりにも成績に片寄って、とにかく成績をあげればいいんだ、そういうよう考え方というものはやっぱりもう改めて、ほんとうにまじめな人が働きがいのあるようなそういう職場にしていくべきじゃないか、私はそのように思うんです。そうしてあくまで、そういう少々違反しても犯罪にさえならなければ、契約をとればいいんだ、そういうような姿勢があったのでは、これは徹底しないと思うんです。そういうところからまた大きな犯罪が起きる危険性が多分にあると思うんですね。簡易保険が健全に発展するためには、私はそういうような態度を根本的にひとつ改めていかなければいけない、そう思うんですけれども、その点どうですか。
  65. 中田正一

    説明員中田正一君) 簡易保険の表彰につきましては、今後数字はもちろんでございますが、その他の面も総合的に考えまして、慎重に運営してまいりたいと思います。
  66. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、先ほど七%のお金の行くえというものが、これは団体の問題であって、団体で解決すべき問題で、郵政監察のほうは全然知らない、そういうようお話であったわけでございますが、私のところに相談にまいりました人の話では、勧誘するときにはとにかく六%くらいの利息がくるんだ、そういうような話で、それのくるのを待っているけれどもなかなかこない、そのうちに郵便局のほうからこういう人が集金人になりました、こういう人が代表者になりましたと、そういうような承諾を求める書類がきたというんですね。全然そういう集金人はだれか、責任者はどこのだれかわからない、住所が全然書いてない、どういう人物かということも書いていない。その承諾書の送り先は、郵便局の気付になっていて、その人の名前になっているわけです。それでどういう人物かわからないけれども、郵便局局長さんが言うんだから、間違いないだろうといって承諾書を出して送ったというんですよ。そして今度は利息がこないからどうなんですかといって郵便局に聞いたら、それは団体の問題だから団体に聞けと。けれども団体責任者は一体だれかわからない。郵便局長が言うからぼくたちも信頼してやったのに一体どうなっているんですかと、そういう相談を受けたわけですね。郵政省がかってにつくった団体ですよ。それでかってにかいらいの責任者をきめて、そうして、あと団体ができてしまえば、七%のお金はどうなろうとも、それは団体の問題で郵便局は関知しない。それでは私はあまりにも無責任考えじゃないかと思うんですよね。保険局長、どうですか、そういう点は。
  67. 中田正一

    説明員中田正一君) 最初に申し上げました団体保険料払い込み過程における事故に対する問題は、これは一般的なことでございまして、江戸川局における場合のように、団体結成について事実上郵便局側が相当深く関与しておったというような場合におきましては、その後の連絡指導というと語弊がありますけれども、意思疎通を密にしまして、その団体運営についても、間違いなく運営されるように力を傾けていかなければならぬと思います。また、万一その間に事故がありました場合におきましては、実態に応じまして、郵便局において、郵政省側において、加入者の皆さん方に御迷惑のかからぬような措置をいたしていきたいというふうに考えております。
  68. 塩出啓典

    塩出啓典君 先ほどの通達では、一団体の加入数は大体五十ぐらいがいいと、そのよう郵政省通達を出しながら、郵政省指導でできた団体は、多いのは七百もあるんですからね。しかも、七百で、一人一人が全然つながりのない人を七百人集めてぽんとそういう責任者を置いている。そういう責任者に悪い人でもおれば幾らでも利用できるわけですからね。そういう点で、私は、これはこういうような本来の趣旨から逸脱した団体をつくった結果、このような状態になってきたと思うんですね。今後はそれは絶対あっちゃならないですけれども、できたものをこれはもう今後どうしていくか。これを、ただもう団体ができたんだから団体にまかして、何にもわからない団体責任者にまかして、結局大衆は何にもわからない。それでは結局簡易保険に対する不信は増すと思うんですね。私はこの問題について、まず江戸川局事件の問題について、簡易保険局長としては今後どこまで責任をもってやってくれるのか、それを私はお聞きしたいと思うんですけれどもね。
  69. 中田正一

    説明員中田正一君) 団体組成にあたりまして郵便局側指導的立場をとっておったというような場合、先般の十二月三日の通達におきまして具体的にいろいろ指示してございます。あるべき団体に再編成するようにというようなこと——非常に団体の範囲が大き過ぎて、その間に問題が起きそうだというような場合には団体を小さくして、また、当初は郵便局が働きかけた団体でありましても、その後ほんとうに自主的に団体として活動できるように援助申し上げるというようなことで、まず第一段階は力を尽くさなければならぬと思います。そういう過程におきまして事故がありました場合には、これは団体内部の問題だからということで郵便局責任を回避するというようなことでなしに、最後までやはり郵便局側責任をもって契約者の方に御迷惑のかからないように具体的な措置を講じていかなければならぬし、その指導をするつもりでございます。
  70. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃあ、時間もございませんようでございますので、はしょって質問をしたいと思いますが、ひとつ大臣に私は特に要望したいんですけれども、先ほど話がありましたように、この団体は正規の団体ではなくして、郵政省のその職員である郵便局長、あるいは保険課長が中心になってつくった団体なんです。だから、郵便局を信頼してみな承諾書も出しているわけだし、団体責任者がだれか、集金者がだれかわからなくて、郵便局を信頼して、みなそれに信頼して入っているわけなんですから、だから、その七%の金の使い道についても、団体のことだから団体にまかすと言われたのじゃ、これは取りつく島もないわけなんです。私はやっぱりそういうやるべからざることをやった郵政省責任のもとにおいて、そういう一人一人に徹底して、その七%のうち二%は手数料として、あと五%、そうして金利は団体の皆さんが自分にくれというならすぐ返す。みんなそれを貯金しておいてあともらいたいというなら、それぞれの名義で貯金するなり、そのようにびたの一銭も間違いのないように、一人一人に責任を持って、一人一人の加入者にきちっと納得のいく、そこまで私は郵政省責任を持ってやってもらいたい。私はそのように要望したいんですけれども、その点どうでしょうか。
  71. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) おっしゃいますように、こういうやり方が業績をあげる一つの手段であるとするならば、姿勢をきちんとしなければならぬ、その点は全く同感であります。したがいまして、本日御指摘の問題は、これは頂門の一針と考えまして、これを機会にきちんと仕組みを建て直すとでも申しますか、たとえば、そういう団体がある以上、これは規約も必要でございましょうし、あるいはその趣旨がもっと関係者に徹底しなけりゃなりません。そういうふうなことを含めて、きちんと姿勢を正させたいと、かよう考えます。
  72. 塩出啓典

    塩出啓典君 あと二つだけお聞きしますが、十二月三日に、保険料団体払い込み制度取り扱い適正化について、こういう通達を出された。この件は非常に、この委員会の問題になる前に手を打った点は私も非常に敬意を表しておるわけでありますが、ただ、こういう通達が出ただけで、それで事が済む問題じゃないと思うんですよ。だから、ほんとうにこの通達趣旨に従って、今回の江戸川局の事件は、ただ一つの問題にすぎないわけですから、全国においてこういうような問題のないように、その点ひとつ郵政省の姿勢を改めてやっていただきたい。そのことを要望いたしたいと思います。  それともう一つは、これもやはり簡易保険の勧誘の問題じゃないかと思うんですが、これもやはり江戸川において配られておったビラなんですけれども、この中には、たとえば一口二百万円で最高十口までこの傷害特約簡易保険に入れる、そういうことを書いているわけですね。また、こっちのほうには事業資金の調達も、貸すこともできる。事業資金なんかに金を貸すなんというのは、簡易保険にはそういうのがないと思うんですね。そういうことがやっぱり誇大広告、言うならば誇大宣伝ですよ。いま非常に社会では誇大宣伝が問題になっておりますが、郵政省簡易保険ともあろうものが、こういうようなやっぱり誇大広告をする。そしてやはり大衆の無知につけ込んで契約をとっていく。そういうような姿勢は断固改めていかなければいけないと思うんですよ。だから、こういうよう郵政省というこの印刷が、どこで出されたか知りませんけれども、こういうような文書一枚にしても、もう少しやはり郵政省としても、ただ地方の局に成績さえあげればいいんだというのでまかせるのじゃなくて、やはり正規なやり方でやっていかなければ——きのうの朝日新聞の投書にも、年末でもう一月は忙しいから二カ月分くれと、集金を二カ月分取って行かれた、こうやって投書も載っておるわけですから、そういうよう国民の批判を買うようになったのでは非常に私は残念じゃないかと思うのですが、この二点について、郵政大臣としてどういう考えを持っておられるのか、それをお聞きして、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。
  73. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほども申し上げましたように、まあ大事に至らざるこの段階において御指摘を受けましたことは、私どもとしても、たいへん今後の運営に対する大きな戒めに相なったと思うのであります。したがいまして、この三日に出しました通達趣旨を厳に下部へ徹底せしめまして、そして、御趣旨に沿うよう運営のしかたをいたしてまいりたいと、かよう考えるわけであります。
  74. 塩出啓典

    塩出啓典君 誇大広告は。
  75. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) それはおっしゃるまでもございません。その辺は厳に慎むことにいたします。     —————————————
  76. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、森勝治君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  77. 野上元

    ○野上元君 郵政大臣にお聞きしたいのですが、いま新聞を見ておりますと、またまた年末のあわただしいときに、郵政省における労使紛争というものが大きく報道されておるわけで、   〔委員長退席、理事永岡光治君着席〕 国民各位もその成り行きに大きな関心を払っておる。この紛争の主たる原因は何ですか、簡潔にお答え願いたい。
  78. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 野上さん御承知のように、ただいま紛争が継続中でございまして、私もこれに対してたいへん心を痛めておるのでありますが、まあ問題は、当面の経済的な要求というものが一つありますのと、もう一つは、郵政労使間の長年にわたる姿勢の問題とでも申しましょうか、あるいはまあ不信感というふうなことばも使われますが、そういう基本的な問題にもわたっておるようでございまして、これを一刻も早く解決をいたしたく、ただいま誠意をもって話し合いをしておると、こういう状況でございます。
  79. 野上元

    ○野上元君 いま大臣のお答えによりますと、まあ経済問題もあるし、かつまた長年にわたる労使間の問題もあるというふうにお答えになったわけなんですが、私どもはそういう問題については、この春に、四月九日の時点におきまして、郵政大臣と全遍委員長との間に一つの覚え書きが交換されて円満に妥結をしたということを聞いて、非常に私たちは喜んでおったわけです。というのは、この種の紛争はなかなか根の深いものですから、そう簡単には解決できないものだと思います。にもかかわらず、四月九日の段階においてはお互いに率直に意見を交換し合って、その意見の中から和解が成立したということは非常にけっこうなことだ、これで当分郵政省内における労使紛争というものは起きないのではないか、深刻な労使紛争というものはある程度食いとめることができるのではないかというような非常に希望を持っておったのですが、また、またその問題が蒸し返されておるという事実は、われわれとしても見のがすことのできないことです。一体どうしてそういうことが蒸し返されなければならないのですか。四・九井出・宝樹覚え書きというのは実行されておらないのですか。その点はどうなんですか。
  80. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) おっしゃるように、この春あのような経験をいたしたわけでありまして、これは一つの前進だと、そういうふうに私も理解をいたしまして、その線を末端に徹底をすべく、いろんな機会を通して、あるいは会合を持ち、あるいは文書等でもってそういう措置をしてまいったつもりでございます。したがって、私としてはあれによっていま野上さん言われるように、一つのピリオドを打てたのではないか、こう考えておりましたやさきでありますだけに、今回のことはたいへん残念に思っておるのでございます。  そういう次第で、と申しましても、もし、まだ省側において不徹底であるとするならば、これはさらに再確認をして、これを深めてまいらなければならぬと、かように心得ておるわけでありまして、ただいま起こっておる状況というものは、私としては非常に残念でたまらないと、こういう心境でございます。
  81. 野上元

    ○野上元君 ただいまのおことばですがね、四月九日からきょうまでにもうすでに八カ月を経過しておるわけですね。   〔理事永岡光治君退席、委員長着席〕 にもかかわらず、大臣のおことばをとらえるようで悪いのですが、まだ省の方針が不徹底なところがあるかもしれない、そういう点については十分にひとつ検討してみたいのだ、対処してみたいのだというおことばなんですが、八カ月もしてなおかつ郵政省大臣の真意が下部に伝わらないというのはどういうことなんです。私はそんなに郵便はおくれておらないと思うのですよ、いま、八カ月も。必ずやる意思があれば当然届いておらなければならないと思うのですが、あなたの真意が下部に歪曲されて届いておるか、あるいは途中でストップしておるのではないかということを思わざるを得ないのですがね。そういう点についての反省はないのですか、郵政省当局に。
  82. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) ただいま大臣お答え申し上げましたとおり、四月以降あらゆる機会をつかまえまして私どもこの問題の下部への徹底をはかっているつもりであります。しかし、御指摘ように、現実にその後におきましてもそういった事象があるということで、労働組合のほうからいろいろあるいは地方段階へ、あるいは本省段階へ申してきておるわけであります、年末に至るまでにもそういったケースが。これまた四月の確認でもって本省・本部、それから郵政局・地方本部間に。そういうことでありますから、十一の六人委員会というものが設けられまして、この六人委員会へかかったもの、あるいはこの六人委員会にかからなくても、いろいろな形で郵政局なり本省へ持ち込んだもの、相当数あったわけであります。これ今日完全に右、左という振り分けがついたわけじゃございませんけれども、中には、そういった六人委員会等で誤解であったというふうなことで片づいておるもの、あるいは省のほうで是正措置を講じたようなものもございます。そういうことで今日へまいりまして、年末要求としてそういったものが実は六十件未満でありますけれども、五、六十件、ごく最近上がってきたわけであります。こまかい話で恐縮でございますけれども、実は十一月の三十日に口頭で話がございまして、先週の土曜日にそれを書いたもので持ってまいりました。ただいまそれを両方で振り分けております。きょう午前中にそれが終了するわけでございまして、その結果、その中でもやはり誤解に基づくもの、あるいは事実が間違っておるもの、そういうものもあるように聞いております。それから問題のあるように思われるもの、こういうふうに振り分けがきくだろう。問題のあるようなものがございましたら、これについて集中的に当方で調査をいたしまして、もしその結果、是正を要することがあれば是正をする、こういう形で処理をしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  83. 野上元

    ○野上元君 人事局長答弁された内容を見ますと、いまの紛争の原因は、組合から四、九覚え書き以降ですね、この覚え書きに沿っておらない遺憾な事件が出てきた、こういうことを組合は言っておる、こういう発言があったわけですが、郵政当局としては、そういう事実はどういうふうに確認されておりますか。
  84. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 年末段階において組合が持ってまいりましたのは、先ほど申しましたように、口頭で十一月三十日、文書では十二月の五日に出してきております。それがたしか五十七件だったか、五十八件だったか、そういう数字でございますので、急速にそれを検討中でありまして、きょう午前中に大体検討が一応つくということになっておりますので、実はまだ私のところにまいっておりません。きょう午後くると思います。それ以前のものにつきましては、先ほど申し上げましたように、その中からいろいろ両方で話しましたけれども、決着がつかないで、組合がそのまま公労委に上げたものが、たしか五件だったか、六件だったかございます。それ以外のものは、なお両者で話をしております。あるいは一部、省で、たとえば配転等につきまして若干是正措置を講じたものもございます。そういう状況であります。
  85. 野上元

    ○野上元君 私はあなたの話を聞いておりまして残念に思うのは、組合からそういうものが上がってこなければ、そういう問題については一切ないものというふうに考えておられる。そこが私は問題だと思うのですよ。あなたのほうは一体どうやって下の、現場の情報を吸い上げておるのか、その点私は非常に疑問を生ずるわけです。たとえば全逓の中央委員会あるいは全国大会というのを、われわれも新聞でこれを見て、いろいろな問題が起きているのだなということがわかっている。その中で一番大きく取り上げておるのは、四、九覚え書き以後全然その覚え書きが実行されておらない。そのために中央執行部が大きくゆさぶられておるという事実をわれわれは知っておるわけですね。あなた方も当然知っておるわけです。したがって、組合からこれこれ、かくかくのものが上がってきたからそれを検討しましょうというのではなくして、大きくゆれておるときに、何かあるなということを当然察知されて、先手先手であなたのほうが手を打っていかなければやっていかれないのじゃないですか。そういう点について、どういうふうにお考えになりますか。
  86. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 御指摘ように、先ほど申しましたように、そういった具体的な案件も四月以来少しずつ上がってまいっておりましたし、また全国大会その他、あるいはそういったことでなくても、ときどき組合のほうから口頭でいろいろ話があったわけでございます。したがいまして、先ほど大臣もお答えになりましたけれども、私ども四月九日にそういう話がございまして、その直後、大臣が地方局長会議を開催されまして、詳細にその趣旨を伝達がありました。それを地方局長は、さらに末端までそれぞれ詳細に伝達をしたわけですけれども、それでもって終わりとしませんで、その後もあらゆる機会をつかまえまして、四、九の趣旨、あるいはそれをさらに具体化した趣旨というものを下部に示しております。ごく最近、これまた十一月の三十日に郵政局長並びに郵政監察局長会議というものが開催されましたが、その席上でも、大臣、次官それから私からもその点につきまして詳細懇篤に注意をいたしております。そういったことで、ずっとそういうグリーヴァンスを組合が出してきておるということを踏まえまして、四月以来今日まで、あらゆる機会をつかまえて、この四、九の深化徹底ということにつとめておるつもりであります。
  87. 野上元

    ○野上元君 あなたが四、九覚え書きの趣旨を現場に徹底させようというような意思については、誠意についてはここで疑おうとは思いません。しかし、問題はあなた個人の誠意云々じゃなくて、これが実際に行なわれているかどうかが問題なんですね。いかにあなたのほうが趣旨局長会議で徹底をしても、実際に現場の管理者にそのことが徹底しておらないとするならば、これは何もならないわけですね、残念ながら。そこが私は問題じゃないかと思うのです。その点はどうなんですか。あなたは責任を持って、四・九覚え書きの趣旨はいま全管理者に徹底しているという自信はありますか。
  88. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) これまでの中で、私どもこれは明らかに不当労働行為であると認めたものは実は一件もございません。その限りにおいて相当深化徹底しておると思います。ですが、私繰り返しますけれども、年末にかためて組合のほうから提出してきたものの内容については詳細存じませんけれども、五月以降そういった形で出た中では、たとえば抜てき人事というようなもの、これは私ども当然のこととして必要の場合にはやっておるわけでございますけれども、それが不当労働行為であるというよう言い方のものも相当まじっておりまして、組合のほうが言ってくる中で、そういう次第でありますので、私どもから見て、これは明らかに見当違いであるというようなものもいろいろ多々含まれておるわけです。もちろん、何といいますか、たとえばそれが、抜てき人事が、たまたま組合の所属を異にする者を抜てきしてあるというような場合の問題ですけれども、それも私どもとしては、そういった組合の所属が違うからということは全然考えてはならぬということまで、具体的に下部に徹底しておるわけでありますので、たまたまその所属の問題がありましても、それは、私どもとしては所属のことを考えないで、所属を抜きにしての抜てき人事をやっているのだ、こういう考え方でありますので、そういった点で、私どものほうは、これはほんとうの抜てき人事である。しかし組合のほうは、いやそれは所属が違うから、これは差別人事である、かような種類のものも相当多くあるというふうに認識をしております。いずれにいたしましても、本日まで、当方でこれは明らかに不当労働行為であるというふうに認定いたしましたものは実はないわけでございまして、先ほど、是正したのがあると申しましたけれども、これはそういう意味ではなくて、たとえば昇任をする場合に、少し程度が飛び過ぎたというような場合に、飛ばれたほうを多少直すとか、あるいは配転につきましても、これは一つの例でありますけれども、非常に勤務時間中に酒を飲む、アル中でございますが、そういった人がおりまして、それを郵便の外勤のほうへ配転をした。ところが、その後本人が、勤務中に今後飲酒をしませんということを誓ったので、もとへ戻したというような、それによって事が落着したというようなケースも、そういった不当労働行為であるというようなことで当初あがってきたのであります。そういった意味でも数件是正はしておりますけれども、繰り返しますが、不当労働行為だと当方で考えておるものは、実は一件もないわけでございます。
  89. 野上元

    ○野上元君 不当労働行為はないと、あなたのほうでは断定されておるのですが、それは郵政省が解釈する不当労働行為はないということでしょう。不当労働行為というのはどんなものですか。
  90. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) むろん、これは両当事者がありまして、それがどういう趣旨で、そのいろいろな行為がなされたかということを考えるわけでありますけれども、その場合に、不当労働行為のほうは、それは労働組合法の不当労働行為の条項に当たる行為だというわけでありますが、当方はそういうものじゃなくて、行政上の必要に基づいてやったのだという主張になるわけであります。しかし、それが決定的に折れ合わなくなった事案というのは、結局先ほど言いました公労委へのあがった六件と、こういうことになるわけでありまして、そういう次第であります。
  91. 野上元

    ○野上元君 私は、公労委にあがるということ自体、郵政省としては不名誉なことだと思うのですね。そして、公労委の中でも、明らかにそれは不当労働行為であるというような一応の決定が下されておるというような場合もあるようですね。ということは、やはりあるということなんですね。したがって、あなたが先ほど言われたように、是正したものも数件あるというのも、広い意味の私は不当労働行為だと思うんですよ。あなたは厳格に現実の法律を解釈されて、そういうことを言われておるかもしれませんがね。しかも、それも私は郵政当局の一方的な解釈だと思うのです。先ほど塩出議員から質問がありましたね。表彰にからんで中田局長からお答えがあったように伺いますが、少なくともやってはいかぬことをやった。しかし成績がよかったから郵政局長程度の表彰はよろしいだろう、こういうよう答弁があったわけですね。ということは、あなたのほうでは、そのやり過ぎについては、これは不正ではなかったんだ、行き過ぎではなかったんだ、少なくとも表彰には値するんだ、どんな低い表彰であろうと、そういう認識が根底にあるから表彰というものが出てきたと思う。それと同じようなことであって、あなたのほうの一方的解釈によってすべての問題が処断されていくということは、今日の段階においては許されないんじゃないですかね。その点はどうですか。
  92. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) この不当労働行為をしてはならないという問題は、これはもう四・九のときから始まったんでは、実はないわけでございまして、先刻法律にきまっておるわけでありまして、また四・九の話に至ります前に、省としても、年度はちょっと記憶いたしませんが、二度にわたりまして、そういうことをしてはならぬという通達を、念のために出しておるわけであります。ところが、そういう経緯の中でも、先生指摘ように、従来公労委にかかりまして、公労委でもって、これは不当労働行為であるというふうに認定されたものが、たしか、ずっと前から今日までに四、五件くらいはあったというふうに思っております。むろん四、五件でありましても、そういったことが私どもの以前からのそういった指導の中で生れたということにつきましては、たいへん遺憾に存じておる次第でございます。また今回の問題につきましても、これまでの経緯はそうでございますが、万一、今後そういった事案の中からこれは不当労働行為であると当方で認めるようなものがありました場合には、これはいさぎよくそのときにはこれは不当労働行為であるから是正しましょうということを言うつもりであります。なお、これまた当然のことでありますが、そういったことにつきましては、意見対立のまま不幸にして公労委にいきまして、そこでそういう判定がありました場合にはもちろんこれに従わざるを得ない、かよう考えているわけであります。しかし、そういうことでありますので、全体といたしましては、私どもそういったことにつきましての指導は相当深く徹底いたしておりまして、そういった事案はかりにありましても、まれである、かように思っております。しかし、そのまれをなくするようにつとめてまいりたい、かよう考えております。
  93. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連。いまの野上君の質問に対して人事局長から不当労働行為は非常に少ないのだという意味にとれる御答弁がありましたわけです。これは労務政策の偏向について下部に徹底されたというお話でありますけれども、やはり職員の、現実の結果としては、そういうものが出ていないのじゃないかというところに問題があるのじゃないかと思うのです。どう誠意を尽くされたといっても、特に職員は早く主事になりたいし、主任になりたいし、課長にもなりたいというのは当然だと思いますが、その弱いつけ目にかこつけて、そうして差別をするということが一番大きな、非常に陰険な、しかも、人間としてほんとうに下劣なやり方だと思うのです。抜てきされることはこれは当然だと思いますが、そういうことがレアケースではなくて、あらゆる郵便局段階に出てきているというところに実は問題があるのです。四人も五人も先輩がいるにもかかわらず、それが第二の組合の出身だということで、第一組合の出身より抜てきしているということが非常に多いのですね。これは私も聞いて驚いたのですが、北海道の例では主任や主事の話は流してくれるな。結局流してきても第一組合に所属している、全逓の組合に所属しているということではその恩典にあずからないので、そういうことであるならば、もう一人もよこしてくれるなという声が出るということは、まあいろいろ徹底されているというけれども、下部の段階で現実にそれが行なわれていないのじゃないか。繰り返しますが、レアケースでなく普遍的にあるということは、やはり労務政策の偏向が出てきているのじゃないかということを私はおそれるわけであります。だからそういう意味で、何なら私は最近の一年間の主任、主事の昇格の人名簿で、その所属別を出してもらいたいと思います。そうすればそれははっきりすると思います。ということは、人事調書の中にこれは全郵政に所属しているかどうかということまで記録して出しているということですね。ということは、結局そういう意図的なものが明確に出ているのじゃないかと思えてしようがないのです。そういうことのないようにしなければならないと思いますが、その点は人事局長は十分承知ですか、なければ、私が資料を提出してもいいと思いますが。
  94. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 私ども人事は公正でなければならぬということは人事の鉄則であります。同時に、人事につきましては能力主義ということでいっているわけであります。すなわち抜てき人事も十分にやるということであります。先生も御存じかと思いますけれども、郵政省におきましても十年くらい前までは、どちらかといいますと、いわゆるところてん人事というものがございまして、それが普遍的でございまして、それがやはり職場の管理というようなものに非常に差しさわりを生じたわけでございます。そこで、やはり人事管理者を含めまして管理者というものは部下をよく統率をして、そして経営の意思を十分に実地に生かせる人、また下部の意向を十分に吸い上げて、それを経営に反映させるだけの能力のある人というものがならなければならないということで、能力主義に転換をしてまいっておるわけでございます。そういったことでございますが、先生おっしゃいましたその資料、これにつきましては全国的なものはあれでございますけれども、一部組合のほうから出されたものはございますし、私のほうも、それを裏づける調査をしておるところでございます。
  95. 永岡光治

    ○永岡光治君 時間の関係から、後ほどまた個別に会ってよく話をしたほうがいいと思いますので差し控えますが、とにかくやり方が非常にひどいんですね。やはりこのところてん人事というけれども、それも一つの私は何割かあってもいいと思うのですね、長年苦労してきている人が特に無能力者であれば別でありますが、まあふだんにつとめてきておればこれはひとつ対象にやってやらなければ、やっぱり勤労意欲というものを考えましたときにおいて考えてしかるべきじゃないか、それは温情主義というかもしれませんけれども、そのことがまた私は大切なことでもあるし、ただ全逓だから能力者は少ないとか、そういうこともないと実は思うわけで、そういうことは十分配慮してもらいたい。このことを要望して野上君の質問を続けてもらいたいと思います。
  96. 野上元

    ○野上元君 まあ不当労働行為の問題について、ここで私は詳細に論じようとは思っておらないのです。また具体的な事例を一、二あげてやっておる時間的余裕もない。ただ四・九覚え書きというものの持つ意味ですね、意義ですか、というのは少なくとも従来の郵政省がとってきた労務政策に一つの転換を与えたというふうにとってよろしいんじゃないでしょうか、その点は郵政大臣の御見解はどうですか。
  97. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) あの際基本的には従来いろんないきさつはあろうとも話し合って、それで解決できないものはないはずだ。こういう観点からああいった覚え書きを締結をしたわけでございまして、あの中に盛られてありますることはもうきわめて当然のことでございまして、まあ労使関係というものは、言うならば一種の相対的なものでございましょうから、まあ出過ぎたところがあれば、これは引っ込めるというよう趣旨に出ているものであろうかと心得ております。
  98. 野上元

    ○野上元君 あの中に述べられておることはきわめて当然なことだというふうに言われておるのですが、そのきわめて当然なことさえも行なわれておらなかった。だからこそ紛争が起き、その紛争を解決するために覚え書きが交換されたんじゃないですか、この点はどうですか。
  99. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 四月の場合は、御承知のように当時東京の杉並郵便局の問題に端を発しまして、ああいう問題に発展していったというふうに聞いております。いずれにいたしましても、やはりそういったあの問題は要するに労務政策を変更してくれということからきたわけでありまして、その場合労務政策というものは、要するに非常に省の労務政策の、一口でいえばかたいということでありました。それに対しまして、いま大臣お話でありましたように、省としても労使関係の安定ということがこれは事業運営のためにも最も必要な要素なんで、しかし、実際に現状を見ると必ずしも郵政の労使関係は安定しておらない。したがって、これを改善していくということが省としても非常に重要なことだと考えておる。しかし、実際、労使関係というものはあくまで相対のものでございますから、双方の出過ぎ、あるいは行き過ぎというものがあるんじゃないか、そういうものがあるならば、これはお互い自分のサイドで自制をしていくという努力を、今後特に継続的に払うことによりまして、逐次労使関係を改善して安定させていこう両者の気持ちが合致いたしましてああいうことに、覚え書きじゃございませんけれども、確認ということになったわけでございます。したがいまして、当時から現在まで、現在から今後の労使関係を律するのは、まさにあの四・九の精神である。この精神というものを、先ほど来大臣お話ようにいまだ徹底を欠く面がかりにあるということであるならば、これを私どもとしても、わがサイドにおいて十分に深化徹底していきたい。しかし、これは相対のものであるから、組合のほうでもそれぞれ自制するところがあるんじゃないかというのが現在の立場でございます。
  100. 野上元

    ○野上元君 私も誤解してもらっては困るんですが、当局が一〇〇%悪で、組合が一〇〇%善だとは思っておりませんよ。ただ、いま当局に私は質問しているわけであって、いまあなたは覚え書きについて、それは相互主義である、相手次第だというふうにもとれるわけですね。私はそういうことを聞いているんじゃないんです。少なくとも覚え書きが交換されたということは、郵政当局にも行き過ぎがあったのだ、組合にも行き過ぎがあったのだ。したがって、お互いに今後そういうことは改めようじゃないか、よく話し合おうじゃないかということできめたと思う。それならば率直に、相互主義をここに言う必要ないのであって、郵政当局はどういう態度に改めたのか、どういう労働政策の転換をしようとしたのか。そういう点を私は聞きたい。たとえばこの覚え書きの中にも、全逓を敵と考えるなんということは毛頭ありません。こういうふうに書かれておるわけであります。ところが実際には、それじゃどうかということになると、一つの具体例をあげますが、たとえば昇給、昇格等の内申書等に書かれる事項の中に、所属組合というのがあるようですね。私もこれを聞いてびっくりしたんですが、その中には、全逓の組合員が、あるいは第二組合員であるか、あるいは無所属であるというようなことが書かれてある。これを書かなければならない。それがいわゆる昇給、昇格の一つの選抜基準になるということになるわけですね。書く義務があるんですから、一つの参考になることは当然です。こういうようなことがなくならなければ、あなたのほうが具体的に労務政策を変えようとする意図を示すことにならないのですよ。そういう点を私は郵政当局に率直に考えてもらいたいと思うのですよ。たとえばソニーなんか御承知のように大学無用論を出していますね、ソニーの副社長は。あそこには管理運営に関する地図なんかないんです、略図なんか。そんなものはいつ変わるかわからぬということですね。だからうちには総務だ、人事だ、営業だ、広報だ、そんなものは、組織を図式化しているものはない、いつ変化するかわからぬ、また書く必要ないのだ。そうして内申書なんかには、大学卒だとか、中学卒だとか高校卒、そんなものは書かさないのだ、能力主義だ。これがほんとうの能力主義じゃないですか。あなたの言う能力主義というのはいわゆる良識者主義というのですね。郵政当局は、特にあなた方の立場に立ってものを考える方々、それがいわゆる良識者であり、それが能力者であるのだ、こういうふうに解釈しているのじゃないですか。そういう昇給の内申書に所属組合を書かなければならないというようなことはこれはもう堕落ですよ、明かに。そういうことをやめてひとつ出直したらどうなんですか。私もきょうは時間がないので残念ながら話を続けられないのですが、そういう具体的な一つの方針というものを出していくことがこの問題の解決のきっかけになるのじゃないですか、根本的な。
  101. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 御指摘でございますけれども、昇進昇給というのは郵政局が定数は流しますけれども、実際の任用は当該局長がやるわけでございまして、郵政局等に対する上申はないはずでございます。御指摘のはたぶん主事への任用ではないかと思うのですが、主事は郵政局発令でございますので郵政局へ上申させます。最近におきましては、数年前から主事は、主事から主事へ動かすという場合は別といたしまして、主任から主事へ上げます場合に、全国的に原則として他局任用ということをやって、各局間の人事の均衡をはかっております。したがいまして、そういう意味合いにおきまして、たとえば全郵政所属の主任が他局へ主事になっていく場合に、全逓のまっただ中へ一人で行かすということがいいか悪いかという配慮あるいは逆に全逓の人の主任が全郵政ばっかりのあるいは全郵政の人が多い局へ行く場合の可否というようなことを判断する場合に、あるいはそういうことを書かせておるという局があるかもしれませんけれども、本省としてはそういう指導はしておりませんし、おそらく大部分の郵政局はそういう資料は要求しておらないと思います。まあもしそういうことを主事の任用の調書に書かせるという局があるとしたら、そういった配慮に出ているのではないかというふうに考えられる次第でございます。
  102. 野上元

    ○野上元君 本省はそういう方針をとっておらないということを言われるということは、そういうやり方は行き過ぎであるという考え方なんでしょうね、おそらく。そういうことは必要ないという考え方なんだ。そういう趣旨がちっとも下に徹底しておらない。それは郵政局長がかってにやっておることでしょうけれども、かってにやっていいのですか、そういうことは。覚え書きというのは何のために交換したんですか。そこが問題じゃないですか。そこを改めないでおいて、郵政局長が立場上かってにやることはやむを得ないのだ、現場の局長がやることはやむを得ないのだということになれば、あなたのほうには一貫した方針はないということなんだ。それじゃ覚え書きは何回交換しても問題の解決になりませんよ。
  103. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) おっしゃるとおり、それぞれの郵政局長の権限であり、現場長の権限であるわけであります。したがいまして、その限りにおいて自由でありますけれども、ただそれがたとえば——ほかの話にかえて恐縮でありますが、たとえば私ども職員がストに入っては困るというのでいろいろ違法なストライキへ入らないような対策を職員に対して講じておるのであります。これは当然のことだと思います。しかし、そういったことが不当労働行為とつながる例があるというふうに組合は言っております。かりにそういった問題があるとすれば、それとこれとの間にはっきりした具体的な壁というものを設定いたしまして、スト対策はやるけれども、それが不当労働行為にならないようなけじめはっけるべきだと思います。ただいまの郵政局長なり現場長がそういった人事をやります場合の参考資料といたしましてかりに御指摘ようなことが必要であるならば、それが不当労働行為にならないようなそういったやはり具体的なけじめをつけてやるべきだ、かよう考えております。と申しますことは、人事には参考といたしましていろいろなことが必要になると思いますけれども、それが不当労働行為になってはならないという意味合いを私としては十分徹底させておるつもりであります。
  104. 野上元

    ○野上元君 私が言いたいのは、少なくとも進んだ企業においてはもういまや大学出も高等学校出もないのだというところまで進歩してきておる、変化してきておるのですね。それを郵政省は、そんなものの中に所属組合を入れろ、そしてストライキはどう思うかとか、全逓をどう思うかとか、そういうことまでも書かせるということは、明らかにそれは踏み絵的なやり方ですよ。そんなことがいまごろやられておるのはおかしいと思うのですね。私はそのことを言いたいのですよ。あなたは、ストライキは悪だ、争議行為は悪だと言っておりますがね。それは公労法上に照らしたらそういうことになるかもしれません。しかし、アメリカの全逓は御承知のようにゼネラルストライキをやりましたよ。これもやはり違法行為ですよ。法律では許されておらない。しかしだれ一人処罰されておらないのです。なぜですか。やるべくしてやったということなんですね。だからストライキは悪だとか、争議行為は悪だとかというふうに、型にはめてこれをきめてしまうということは非常に危険なんですよ。私は北人事局長に聞きたいのだが、あなたは吉良上野介と大石内蔵助とどっちが好きですか。
  105. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) アメリカにはアメリカの国情があると存じますが、わが国の場合にはやはり私どもはストは公労法上では禁止されておりますので、これに入ってはならないということでやはりやるべきだと思ってやっております。
  106. 野上元

    ○野上元君 吉良上野介は法律には何も触れておらないのですよ。しかし大石内蔵助は吉良上野介の首を切ったのですからね、これは明らかな違法行為です。しかし世間では、吉良上野介を称賛する人はいないのですね。みんな大石内蔵助を称賛しているのです。いまだにそうじゃないですか。それはなぜかということもやはりあなた方も考えてもらわないと困ると思うのです。少なくともこの進んだ社会において上意下達方式、あるいはテーラーシステム、そういうものを導入していつまでもかたくなにそれを守っておるというような労務政策はもはや崩壊の宿命を持っておりますよ、私に言わせれば。情報化社会というのはそういうものじゃないですよ。みんなの意見を聞いて、その中から情報を得て、それを選択するというのがこれからの社会じゃないのかね。あなた方が考えておることが正しいのだというような、そしてこれをおまえたちはやればいいのだというよう考え方、たとえばテーラーが言っておるような、おまえたちは考えることを禁ずるのだ、考えるのはほかに別に雇ってあるのだ、こういうようないわゆる理論はもはや今日の労務政策としては適用すべきじゃないですよ。もっと考えてもらわないと困りますね。あなたはアルビン・トフラーの「未来の衝撃」という本を読みましたか。一ぺん読んでごらんなさい。われわれはいまどういう社会に入ろうとしておるのか、そして管理者というものはどういう態度で臨まなければならぬのか。これからはやはりそういう時代だと思うのですよ。どうかひとつ、私はこの本だけがすべてを語っておると思いません。それから、こういう複雑な社会ですから、一人か二人の人が全貌を描き出すということは不可能でしょう。しかし少なくとも参考にはなると思いますよ。テーラーばかり読まないで、ひとつトフラーの本も読んでやってもらわなければ、いつまでたってもこの問題は解決しませんよ。  そこで郵政大臣に最後にお聞きしたいのですが、解決のめどはどうなんですか。いつをめどにして、どういう誠意を持って解決しようとしておるのか。
  107. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私は基本姿勢は四・九のあの際取りかわしました考え方、これは今日といえども誤っていないと思うのでございます。ただそれには、少し時間がかかるとでも申しましょうか、なかなか私の思うような進度で進んでおらぬということだろうかと思うのでございます。しかし誠心誠意その気持ちの上に立脚点を置きまして、ただいま話し合いを続けておるわけでありますが、何としましても、この年末繁忙期に国民にたいへんな御迷惑をわずらわすということであっては相ならぬと思いますので、現状はきのうから休暇闘争というようなことに入っておられるようでありますから、その間、これはタイミングもありましょうし、おのずからそういう時期を選ばなければなりますまいし、その辺は相手もあることでありまして、ここで明確にいつどうということを申し上げるわけにはまいりませんが、いまのよう趣旨でこれに対して対処いたしたいと、かよう考えております。
  108. 永岡光治

    ○永岡光治君 昨日ですか、「郵便事業の正常運営を確保するための方策に関する答申」というのが郵政審議会から出ております。その中には、やはり郵便料金の値上げの問題が含まれておりますが、それが重点ですけれども、その前提として本文の中に、「労使関係がとかく円滑を欠き、正常運営の確保のうえで大きな障害となっていることも看過できない。健全な労使関係の樹立に格段の努力を要望する。」という、これは当然なことですけれども、そういうことが強調されております。私ども郵便料金の値上げという問題について賛成、反対の立場は別にいたしましても、これは郵政当局にとっては大きな問題だと思います。国民の立場からすれば当然料金の値上げというものについて関心が深いわけですから、郵便がおくれるは、混乱はするは、料金は上げてくれということでは筋が通らぬと私は思う。そういう意味で、料金の値上げが、確かに正常運行に役立つ前提としては、幾ら料金を上げてみたところで、労使関係が正常にならなければその一〇〇%の期待は私は困難だと思う。そういう前提に立つものですから申し上げるのですが、何をおいてもこの解決というものは、それこそ私は蛮勇をふるってひとつ解決をしてもらいたいと思うのです。あるいは極端な言い方かもしれませんけれども、各職場の現場長に多少の不満があっても、正常化する問題について話し合いができるならば、これはやはり早く蛮勇をふるって解決せにゃいかぬと私思っておるのです。ところが今日の状態はそうでない。昨日からいよいよこれは休暇戦術ですか、入ったということで、私ども非常に心配をしておるわけです。だから早くひとつこの問題を解決してもらいたいと思うので、長引けば長引くほどこの問題は混乱に混乱を重ねるだけです。労使がそう腹を割って話し合ってまとまらぬはずはないという実は考えを持っておるわけで、そこに何か腹を割らないものがあるのではないかという気がしてしようがないわけで、そこのコミュニケーションの場を各段階まで広げて、早急にひとつ解決をしてもらいたいと思うのです。大臣どうでしょうか、私この点一番問題にしているのです。
  109. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 永岡委員、昨日の郵政審議会答申にもお触れになりましたが、まことにおっしゃるとおりでありまして、国民の側からいたしますならば、労使紛争をしておって、郵便が遅配をしておって、それで一体値上げとは何だ、こういう声が起こるのも無理ないわけであります。したがいまして、いま当面の労使紛争をどうするかということに対する御心配は永岡さんも同様でございますが、当面の責任の立場にある私としましては、これまたお察しいただけるだろうと思うのであります。したがいまして、御趣旨を体しまして、さらに懸命な努力をいたすつもりであります。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 最初郵政大臣に若干お尋ねしたいのですが、私もいま質疑をここで聞いておりました。かつて私も逓信省に職を奉じた者の一人として最近の郵政事業に対する信頼が国民からたいへん失われておるということを常日ごろ非常に残念に思っております。この原因がやはり根本的に労使関係にあるということは、これはもう明らかな事実だと思うのであります。いま郵政審議会からの答申のことについて永岡委員からお話がありましたが、私はあれを見て一体国民はどういう感じで受けとめておるだろうか。毎日来る郵便配達さんの態度の悪さ、私どもが現に公報を配達をしていただくのですが、九時ごろ私がうちを出る場合でも公報がくることがない。何回議運を通じお願いしたかわかりません。にもかかわらず、依然として速達である公報がわれわれがうちを出て登院するまで間に合わないという現状です。そして持ってくる態度にしても非常に悪い。私は率直に、このことをこの委員会で言うことは残念だ、恥だと思いますから言いたくないのですけれども、あえて言わなければならない。そこまできていると思います。だから、一般の国民郵政事業に対する不信感というものは相当大きなものがあります。その源に労使関係がある。それで郵便料金を値上げするということはとんでもない話だ、これが率直な国民の気持ちだと思う。大臣はこれをどういうふうに処理されるか、私はよく知りませんが、だからどんなに皆さんがりっぱな計画を立ててみたところで、これに協力する従業員の態勢がない限りは絵にかいたもちですよ。私はけさ十チャンネルで堤清二さんの意見を聞いておりました。アナウンサーが、あなたは自分のところの労働組合に対してどう考えますかという質問をしましたら、私の企業にとっては重大な、なくてはならない大事なものであるということを答弁されておりました。それにもかかわらず、きのう答申をされていろいろ主婦連からつるし上げられた藤井委員長はどう言っておりますか。われわれ民間から見た場合に郵政の労使関係は落第だとはっきり言っていますよ。けさの新聞に指摘しておる。だから、大臣が四月九日の日に全逓の労務政策を変更しようとしてせっかくやり始めた覚え書き、確認、形式は別として、そういうものが郵政省の中に通じないじゃないですか。まさに郵政省は戦国時代、中央の統制がどうしてきかないのですか。第二人事局が郵政省にあるのですか。まただれかどこからかさしがねをしてリモートコントロールしている人がいるのですか。私はそんなふうにも感ずるのです。だから、いまここで年末を控えてわれわれは年賀状を書いておりまして、住所番号もたいへんだけれども書いて協力しておる。それが全部機械にかからないということを承知しておりながらもやっておる。ところが、これが何日に着くかわからない。そういうふうな問題になれば一体どうしてくれるのか。あなた方は自分のところの労使紛争のために大事な国民郵便が元日に配達できないということに対してどういう責任をとられるか。大臣は少くとも日本における優秀な政治家の一人であり、今日郵政大臣としてその職責に任じ、苦しい大事なたいへんな仕事を引き受けてやっておられるわけです。御苦労のほどわれわれ重々察しております。しかし、あなたが大臣としてほんとうにあなたの意向を徹底するようなことをやらない限りは何回やってみたってこれは同じですよ。だから、そういう意味で、なぜあなたの御意向が通じないのか。それほど郵政省の中にはあなたの言い分が受け入れられないような要素があるのですか、あるならばそれを追及して直したらどうですか。そして年末年始の繁忙期を、一体国民が信頼してまかせるだけのことをしてもらえますか。そんな、私も十数年間ここで同じようなことを聞いていますよ。一向進歩していない。これが郵政事業ですよとほんとうに勇断を持ってやってください。どうですか。
  111. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) おっしゃいますように、いろいろとネックはあるのかもしれませんが、いま言われるように第二人事局があるとか、リモコンが行なわれておるとか、さようなことは私はないと信じております。ただ、テンポが私の当初の判断よりはだいぶおくれておるという感じはするのでありますが、四月のあの確認事項というものは確かに一歩前進であったはずでございます。その精神を踏まえて、これをさらにしんぼう強く切り開いていくという努力は当然しなければなりませんが、これは言うならば少し長期的な展望になるかもしれません。そこでいま当面どうするか、この緊急——エマージェンシーに備えてやらなければならないことが幾多あるわけであります。現におっしゃるように、年末の遅配からさらにこれが年賀状に波及するということをできるだけ小規模に食いとめなければならないのでございます。そういう点につきまして、先ほど来、永岡さん、野上さんにもお答えしましたとおり、これは少し手おくれだという御批判はあるかもしれませんが、これからもなおひとつ全力投球をしてまいりたい、かように申し上げてお答えといたします。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 だからだいじょうぶですかと聞いているのです。答えていないのですが、われわれは年賀状をいま書いているけれども、はたしてこれが元日にちゃんと配達をしてくれますか。けさも何かテレビでやっておりましたけれども、最近になってから行く先不明の年賀はがきが返ってきた、これは十チャンネルでしたか、何チャンネルでしたか、やっておりました。この人はたいへんたまげておりましたね、奥さんが。そんなことでは、もうことしは終わりというのに、いまごろ年賀状が返ってきたのはどういういきさつか知りませんが、一日に配達してくれますか。そのためには私はやはりいまの紛争状態というものを一日も早く、一刻も早く解決して、ほんとに従業員がやろうという気持ちが持てるような体制をしくことが皆さんに課せられた任務です。内輪のことは内輪のことでやってください、日を改めてもいいから。とにかく、そういう体制をつくってくれなければこれは国民が納得しないです。だいじょうぶですかと聞いている。年賀状は元日に着きますか。私はそういう体制を責任を持ってやってくれるか、それを聞いているのです。
  113. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 一刻も早く労使間の解決をして、そこから、たとえ時間的にはかなり追い込まれておるにしても新しいスタートをする、そして御期待に沿うような努力をいたすことを申し上げてお答えといたします。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 私は郵便のほうについては時間がないですからこの程度にしますけれども、ぜひひとつもう少し気持ちよく皆さんがやろうというような体制をつくるように、あなたの政治力でできないはずはないですから、してくださいよ。お願いしておきます。  それから電電のほうにおいでいただきましたが、最初に総裁にお尋ねしたいのでありますが、かねて電電公社は国会のわれわれの意思等も取り入れていただいたと思うのでありますが、当面する積滞の電話をどうして解消するか、これから情報化社会に向かう場合にデータ通信とかあるいは映像通信ですね、こういったものをどういうふうに取り入れていくのか、回線開放の問題も含めてですね。それから加入区域というものがいろいろありまして、普通区域、特別区域、区域外、区域外におると百メートル九千円ですか、特別な施設費を取られるというようなことで、これを一つにしてくれないかといういろいろ多数の要望もありました。そういう中で当初、四十七年度までに申し込めばすぐつく電話という御計画がその後の政府の高度経済成長政策の異常な発展によって追いつけなくなっちゃったですね。今度七カ年計画、新しい計画をお立てになったようです。そういう異常な技術革新と職場の変動を伴うこういう計画、しかも資金的には負担法との問題、あるいは調達容易な料金に依存する、こういうようなことでかなり、八兆数千億というような資金計画もお持ちのようであります。私はまだこれを正式に国会でお尋ねする機会は初めてですけれども、ああいう計画を発表されまして、一体これを国民はどういうふうに政府も受けとめやっていくかということについてはたいへん関心を持っていると思うのです。私はいまも郵政の問題で労働問題にちょっと触れたのですけれども、こういう計画をおつくりになる場合には、やはり事業というものは人なんですから、そこに働いている労働者、組織から言えば全電通でしょう、そういう組織とどういうふうなお話し合いを重ねつつこういう計画をおつくりになったか。その辺のいきさつもよくわかりません。したがって、この七カ年計画に対する労働条件の問題に関連をして、いま全電通と電電公社の間には労使問題はどういうふうな関係に置かれておるのか。やはり年末を控えておりまして、経済活動も例年の年より非常に活発になるでありましょう。したがってわれわれは、郵政のほうはこれは問題にならぬような状態なんですが、電電の場合には事情がよくわかりませんから、そういうことのないように、当然総裁以下全力を尽くして経営者の皆さん方は努力をされていると思いますが、現状はどういうふうになっているか、これを最初説明してもらいたいと思います。
  115. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  いろいろ質問が多岐にわたっておりますが、問題を二つにしぼりましてお答えいたしまして、なお不十分なところは御質問願いたいと思います。  最初に七カ年計画趣旨といいますか、それについて申し上げますと、現在、公社といたしましては、第四次五カ年計画を進めておるのでありますが、最近の積滞の増加に応じまして、その主要工程として第四次五カ年計画で九百三十万の加入電話をつけることにしておりましたが、それに百万を追加いたしまして一千三十万の加入電話をつけるということで現在進めております。ちょうど昭和四十六年度はその第四年目になりますので、私たちといたしまして、さらに昭和四十六年度の予算におきまして、一般加入電話二百四十万を架設するということで、いまその予算の概算要求を九月の時点におきまして郵政大臣のもとに提出した次第であります。ところで、では積滞はどうなるかと言いますと、確かに昭和三十四年に第二次五カ年計画を改定いたしましたおりに昭和四十七年度末におきましては申し込んだらすぐつけるということをきめて目標にいたしまして進めてまいりました。電話事業を経営する限り積滞をなくなすということは当然のことでありまして、昭和三十四年度に考えましたときには大体一千三十万の加入電話が四十七年度末で出るであろうということを予想したのでありますが、その後の経済発展あるいは国民生活の充実等によりまして、すでに現在でも、その当時考えました千百万という数字を突破いたしまして、現在でも千五百万の加入電話になっております。しかし、これを四十七年度末において全部達成することは困難になってまいりましたので、いわゆる第五次五カ年計画のおしまいの昭和五十二年末において全国的規模においてこの積滞解消をはかりたい、こういうふうに思っております。  それからその次にデータ通信のお話ございましたが、これにつきましては、公社として現在いわゆる専用データ通信、それから公衆電話網を直接使う電話計算、あるいはその他在庫管理とか、あるいは科学技術計算、こういったものを全国的規模で進めておるのでありまして、特に、最初に地方銀行協会等をやりましたときには、公社の中でもそういうソフトウエアの要員等は非常に不足をしておりましたが、現在は、そういう設計要員だけでも約千五百人ぐらいの人をそこに充当いたしまして進めておる次第でございます。それから郵政審議会答申郵政省のほうにも私のほうからいろいろ意見を申し上げたのでありますが、全般的にまあ国の利益と国民の要望に沿っていくということを基本的な考え方にしておりまして、詳しくはまた御質問があったらお答えしたいと思います。  それからあと技術革新について、確かに職場が変動してまいっておるのでありまして、公社はこれまで労働組合といろいろ計画協議とか、そういうルールをつくったり、あるいはまた話し合いを進めまして、公社の直轄局は全部自動になっているというようなところまで進んでまいりました。今日まで昭和二十八年以来電話料金に対して一回も値上げしなかったというのは、そういう自動化とか、自動即時化ということができたからでありまして、これに対しましては労働組合の理解と協力が得られたというふうに思っております。  ところで、現在の労使関係はどうかという点につきまして、私はここ一、二年、特にここ二、三年というものは、労使近代化の路線をはかることによってわりあいにうまくいってきたんじゃないかというふうに考えております。まあうまくいっていると言っても、これは自分で言っておるのでありまして、外部からごらんになるとあるいはいかがかと思います。で、現在の状態におきましては、この七カ年計画というものば本来二つに分かれておるのでありまして、私も国会でしばしば申し上げておりますが、いわゆる第四次五カ年計画を拡大修正した四十六年、四十七年の部分と、さらにそれにプラスいたしました第五次五カ年計画の五年分とを足したものというものでできております。したがって、四十六年、四十七年については非常に詳細に、それから五十二年までに至る分につきましてはどちらかというと少し荒くと、こういうことになるわけでありまして、あまり五十二年末までのことをこまかくきめましても、政府の経済社会発展計画も五十年までしかできないわけでありまして、そういうような国全体の経済成長等もあって、それをあまりかたくなに解釈をし過ぎるとかえっていろいろな点でうまくいかないんじゃないかというふうに思います。私は、たしか先々週の月曜でありますか、労働組合の四役を招きまして約一時間半ぐらいいろいろな公社の考えておる点をよく話したのでありまして、その時点において、私は組合の中央本部もかなりいろいろな点で公社側の意思を理解したのではないかというふうに思います。したがって、いまいろいろ職員局あるいは副総裁も含めた団交の席で問題を煮詰めておる次第でありまして、それらにつきましては、所管の局長から詳しく御説明させたいと思いますが、全体としていま年末を控えていろいろ将来の問題についても十分話し合っている、こういう段階でございます。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 じゃ局長、当面の労組問題担当者から。
  117. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) ただいま鈴木先生からお話がございました七カ年計画につきましての労使間の団体交渉の模様でございますが、この点につきましては、先ほど総裁からも申し上げましたように、データ通信が入ってくるとか、あるいは電子交換機が入ってくるとか、いろいろな関係がございますので、従来やっております計画の協議というのがございますが、これは従来大体自動改式とか市外の自即化とか、これが主体になっておるものであります。そういう新しい事態に対して当てはまらないものも出てくるというようなことで、この計画協議その他につきまして新事態に即応するようにどう改定するかというようなこともいま話し合っておるわけでございますが、大体今週の末ごろにそのポイントについてしぼりまして、来週詰めるという計画になっております。したがいまして、いままでの経過では、労使の意見を、それぞれはっきりさしていきまして、整理していくという経過を踏んでおりまして、デッドロックに乗り上げてどうにもならぬという状態にはなっておりません。したがいまして、私たちも組合の意見を明確につかみながら、協議約款の改定とか、そういうことについて打ち合わせしていきたい、こういうふうに考えております。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 井出郵政大臣は、公社の七カ年計画についてはよく内容についてお聞きとりをいただいていると思いますが、おおむねどういうふうにあなたはこれを受けとめておられるか、ちょっと考え方をお聞きしたい。
  119. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 公社の七カ年計画につきましては、私もしばしば総裁その他から伺っております。そうして相当膨大な資金量を要するものでありますけれども、これからの情報化社会というものを考えますと、まずおおむね妥当な計画であろうかと、こういうふうに存じておるわけでありまして、問題はその中に料金にもわたっておる点がございます。それらは実は郵政審議会答申待ちで、郵便のほうもようやっと出てまいりましたから、それをもにらみながら、両々相まって、そういった問題をこれから煮詰めようと、つまり郵政省考え方をこれからひとつ確立をさしていこうと、こう思っております。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 総裁、こういう点をひとつ最初に意見を聞きたいのですがね。あなたの言われるように四十七年末ですね、申し込めばすぐつく電話ということは、第一次、第二次、第三次、第四次と、そういう長期計画の中で、われわれはしばしば聞かされてきたわけです。そこまでは拡充法もあるわけですね。ところがおっしゃるように、四十八年以降については、新しい第五次五カ年計画ともいうべきものだと思うのですよ。したがって、国会との関係で、いろいろとあなたが配慮されることはわかります。わかりますけれども、少なくとも七カ年計画というものを公社が策定をして、郵政大臣にも報告をし、了承を得ておると、私はそう理解しました。したがって、この七カ年計画が、さっき申し上げたような膨大な内容を持っております。電話開設八十周年記念をことし迎えたわけです。いままでつけた電話が千六百万か何ぼでしょう、それがこの七カ年間で千九百七十万個をつけるというわけですよ。その積滞加入者増設だけ見ても、八十年間の積滞を七年間でやるというのは膨大なものですよ。しかも、お話ように、職員局長の言うように、テレビ電話とか、データ通信とか、いろいろ高度な時代の要請に伴うものも入ってくるわけですから、内容についてはたいへんなものだと思いますよ。したがって、労働条件に与える影響というものはどうなるかということは、当然これは労働組合から見れば心配になるわけです。だから二年間はもう規定方針の連続だからいいですが、そのあとの五年間は別ですから、それはそのときの状況ですよと、これからどういうふうに経済社会発展計画というものは変わるかわかりませんからと、そういうことで、これは納得できないわけですよ。これはその時代の要請によって、修正なり是正をしていかなければなりません。今度だってそうでしょう。従来の経済政策を是正しちゃった、新しい経済政策になった。したがって、今度国会なり、政府なりの全体としての了承を得なければならぬ、手続をとらなければならぬということはあったとしても、公社全体としては、この七カ年計画をこうやらなければならぬということはきめたのでしょうから、それを見れば、もっと私は労働問題に対する不安というものに対して、率直にあなたは答える責務がありますよ。そういうことを大胆に率直にやっておられるのでしょうか。だから今後そういう問題について、いま職員局長のおっしゃるように、従来も管理運営であるとか、公労法上の内規とか、いろいろありますよ。しかし、それが労働条件と関連があれば、公労法八条二項を適用するのだという意見がいろいろありまして、一つのルールを確立しつつ全電通と公社とは、いろいろな問題について協議されてきている。それが職員局長の言うように、今度変化をしてくるわけですからね、だからもっと違った意味において労働者の意見も十分聞いて、いい意見はどんどん取り入れて、そして従業員の協力を得るということが、この協議的な姿勢というものが公社の大きな流れの中に一本入っておるかどうかということを私は知りたいのです。抽象的なことはいいですから、そういういわゆる初代総裁の梶井精神と言うものだ。これはわれわれが労働組合でありながら政策に積極果敢に協力していったということは、梶井精神というものがあったからで、梶井精神というものはこれは事業には必要であり、その従業員の協力なくして、電電公社に電気通信省から組織が変わってもうまくいかない。その中に脈々と流れる生きた労働政策というものがあったから、全電通、私は当時書記長で、隣の久保さんが委員長をしておったのだが、ほんとうに一生懸命に協力しました。だから、そういう態勢があってこそ、この七カ年計画は成功したわけです。それがなかったらだめです。だから、そういうふうに基本的に労使間でもっと新しい情勢に適応する話し合いというものを、そのやり方は私はおまかせしますから、そういうものの考え方が総裁の中に、副総裁の中に、皆さんの幹部の中にとうとうと流れておるかどうかという点をひとつはっきりしてもらいたい。
  121. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) ただいま鈴木委員が御指摘されましたように、七カ年計画は電話の積滞を解消することが最大の目標でありまして、この七カ年間に千九百七十万という大量の電話を架設する、これが目標になっております。ところで、いまの労働組合との関係でありますが、私は、先ほど申し上げましたように、すでに公社の全直轄が自動化し、また自動改式が行なわれ、あるいは自動即時化が行なわれて、またそのために今日のようにサービスの改善が行なわれたのでありまして、これは労働組合の理解と協力を得たからであります。したがって、公社としては、公社のいろいろな計画等に対しまして、計画協議等のルールを使いまして十分理解を得ながら進めていくという基本方針はちっとも変えておりません。したがって、ちょうど一週間ほど前でありますか、私が四役を呼びまして約一時間半、いろいろ意見を交換し、また会談したのでありますが、全般的に言いますと、労働組合側の意見も十分理解しながら、労働不安を解消するように努力いたしたいと思いますし、またその結果、大体うまくいくんではないかと私は確信しておる次第であります。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、くどいようですけれども、組合側の意見も十分にいいものは取り入れて、そしてりっぱな七カ年計画内容をしていくと、そういうふうに理解していいですか。
  123. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 先ほど申し上げましたように、四十六年、四十七年につきましては、組合と相当こまかい問題まで話し合っていくと、それから第五次については大きな問題を話し合っていくと、こういうふうに分けながら進めていきたいと思います。いろいろ意見がありましたならば、十分その意見を聞きまして、そうして進めていきたいと思っております。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 それからもう一つ、電信というのは御承知のように非常に斜陽産業で、いま年間七千万ぐらいになりましたか、もっとそれが減ってくるのじゃないかと思います。片や六百億何かの赤字も出たそうでありますけれども、電信については、きょうは時間がないからその経営の本質はまたあらためて聞きますが、いずれにしても、電信の従業員、それからその運用に働いておる従業員というのは、自動化がどんどん進んでまいりますと、職場が具体的になくなってくるわけですね。目に見えてなくなってくるわけです。そういうことがあって、私はかねてからデータ通信というものは電信事業であるというふうに、公社の電気通信役務の、そういう位置づけをして総裁にも何回か善処をお願いしておきましたが、聞くところによると電信事業だという位置づけは公社としてやられたようでありますが、それが現実に、具体的に実施の段階において、何か後退しておるようなこともちょっと伺うわけですけれども、これが間違いであれば私は幸いだと思いますが、総裁が中心になっている公社のこの協議の中できまった方針がまさか私は後退することはないと思いますけれども、もっとどうなるかという展望をもちろんあわせてやらなければならぬことですから、なかなか段階的にむずかしいところもあると思いますけれども、しかし、基本姿勢としては、やっぱりあなたが電信事業だと受けとめてくれた姿勢というものは変わってないだろうと思います。そこで、何かできるものから具体的にその裏づけを出してもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。
  125. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) データ通信につきましては、私は電信事業というふうに理解しております。その線で加入電信あるいは電報、それからデータ通信、これを電信事業というふうに考えております。で、ただいまの電報の問題は、現在でも通数が少しずつ減りつつありまして、最盛期に比べまして、まあ大体毎年五百万通ぐらい減っておるという状態でございます。しかし、もともとそういう公社として電信に働いておられる方に対しては、まあ電報で働いておる方に対しましては、十分不安を与えないように、働く場所は電話のほうもありますし、データ通信も非常に広い分野が今後待っておるわけでありますから、まあ訓練等も含めて十分不安のないように処理していきたいと思います。なお、詳しくどういう計画がデータ通信にあるかということでありますれば、また、お答え申し上げます。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 私はあらためて七カ年計画内容について伺いますが、特にここでちょっと、時間もありませんけれども伺っておきたいのは、昨年五月八日に、公衆電気通信法の一部を改正する法律案というのを可決いたしました。いまの永岡理事が委員長でございましたが、その節に、私は各党各派の御了解を得てこの法律案に対して附帯決議案を提案をいたしました。これに対して当時の河本郵政大臣からも、「政府といたしましても、今後の電気通信行政を進めていく上におきまして、御趣旨を十分尊重してやってまいりたいと存じます。」、同時にまた米澤総裁からも同様の趣旨が述べられておるわけです。これが七カ年計画の中にどういうふうに取り入れられていくかということは、われわれは国会の立場から、国民の立場から重大な関心を持っておるわけです。それで附帯決議は衆議院、参議院、表現は違いますが、大体ねらっているところは同じだと思います。それで、きょうは、まあ時間の関係もありますので、多くを聞くことはできませんが、たとえば積滞を解消するということは。総裁のおっしゃるように、これはもう至上命令である。大臣もその点については御就任以来たいへん御苦心をいただいておることはよく私も知っております。今年度の加入電話の増設等も、まあわれわれちょっとくろうとから見ると、基礎工程というものが、そのつもりでなかったわけですから、ああいうふうに加入者数をふやさせます、サービス工程をふやさせますと、たいへんな苦労がいったと思うのですよ、追いつくために。基礎がないわけですから、そこへでかいやつをやるというのですから、これはたいへんだと思いますが、しかし、そういうことが努力の結果いま進められておるのですけれども、問題は千九百七十万というこれから七カ年間に加入電話をつけるわけですけれども、二共同にしたらどうかという附帯決議が中に一つついているわけですが、住宅電話について。そしてまた、住宅電話については、二共同方式を推進し、積滞解消に格段の努力をはかってほしい、こういうふうになっておるのですが、この点はなんですか、これから六年、七年ですね——の中、あるいはそのあとの五カ年の中でどういうふうに取り入れてもらえるような方針ですか、簡単でいいです。
  127. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) ただいまの二共同電話の点でございますが、この七カ年計画の中でこれをどう見るかというお話でございますけれども、ちょっといま手元に資料がございませんので、後刻お知らせいたしたいと思いますけれども、気持ちといたしましては、もちろん二共同電話というものでなるべく早く解消していきたいという気持ちはございます。また団地電話という施工制度、これはオール二共同でございますが、こういうものにつきましても、なるべくやっていきたい、こういうつもりでおりますが、何ぶんやはりお客の方々、これがどうしても単独電話を御希望になるというケースが多うございまして、たとえば大阪の局あたりにおきましても、二共同の端子が余って、単独のほうが足らなくなるというような事態も生じつつございます。そこで、やはりそこらの需要というものをよく把握いたしまして、計画を立てていきたい、かように存じておる次第でございます。
  128. 鈴木強

    鈴木強君 資料を持ってこられないそうですから、詳しい計画は後ほど資料で出してほしいのですが、この附帯決議事項の三項目の精神を計画の中に生かしていく、こういうことについては積極的にいま検討中である、こういうふうに理解していいですか。
  129. 浦川親直

    説明員(浦川親直君) さようでございます。
  130. 鈴木強

    鈴木強君 それからもう一つ、集団電話が本実施になりまして、その円滑な運営を期するために要員の確保をはかってもらう等の、サービス維持の向上につとめてほしい、こういうことをつけておるわけですが、特に要員確保の面については、どういうふうな御計画を持っていますか。
  131. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 農集等につきましては、共同数が多いというようなことで、障害のときの措置とか、いろいろあるわけでございますが、この点の要員確保等につきましても、組合と十分打ち合わせしまして、それに対して実態を見ながら措置していくということでやっておるわけでございます。
  132. 鈴木強

    鈴木強君 どうもちょっと要領を得ませんね。抽象的でわからないのですが、もう少し具体的に、たとえば四十六年度にどうするとか、あるいは四十七年にどうするとか、あるいはその先五年間どうするとかというおおよそのものはやっぱりつくっておかなければいけないのじゃないですか。ないなら、ひとつつくってください。あるなら、これもひとつ資料で出していただきたいと思います。  それからグループ料金制ということについては、われわれが一段と声を大きくして申し上げましたし、その際、一項目にその点をつけていただいたわけです。今度の七カ年計画の中には確かに単位料金区域ということによって全国的にそういうグループ料金制度的なものを取り入れた、これは私は一つの進歩であるし、われわれの意見を尊重していただいたことですから、これは評価いたしますけれども、ただ、問題は、これによってそのエリアの中に、具体的に言えばDSA台での取り扱いというようなものもなくなってくるでありましょうし、その際、その要員の人たちが一体どうなっていくか、あるいは運用の面においても、そういうことが出てくると思います。ですから、そういう問題について、従来の伝統の中にある、合理化の進展に伴って労働条件を向上する、また本人の意に反した配転、職転はしないというようなことでやっていただいておりますから、私はその面については、心配はしておりますけれども、従来の考え方でいっていただければ、何とかいけるだろうという気持ちは持っております。  ただ、しかし、それが具体的に、このグループ料金制、いわゆる広域時分制の実施に伴ってどのように変化してくるか、そのことをはっきりさせ、それに対する対応策を組合側に示して協力を得るという方法をとられ、組合側がほんとうにだいじょうぶだという自信を持てるような具体的なものを私はぜひ出してほしいと思うのです。そうしませんと、せっかくグループ料金制という方向にいこうとするものが、成果をおさめることがむずかしいと思います。これは副総裁、交渉代表者ですから、たいへん心配していただいていると思いますが、その点はぜひひとつ、もっと積極的に、納得できるようなものを出していただけませんか。これをひとつお答えいただきたいと思います。
  133. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) グループ料金制に関連します要員問題につきましては、組合ともいままだ糸口に入った段階でございますが、計画協議のグループとかいろいろございますので、そういう点の改定の中で、どうすれば一番理解しやすいものになるかということを一緒に検討していきたいというふうに考えております。
  134. 鈴木強

    鈴木強君 これは総裁に確認しておいていただきたいのですが、いま申し上げた私の趣旨というものは理解していただきたいと思います。  要するに、この制度を採用することによって生ずる要員問題です。これについては、積極的に組合とも話し合いをしていただいて、そして、その余った要員については組合の協力を得て措置するよう方法をぜひ具体的に出してほしいと思います。これだけはぜひやってほしいと思いますが、よろしうございますね。
  135. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) いまいろいろ問題があるようでありまして、分科会といいますか、団交の間に分科会をつくりまして、個別的に個々の問題をいろいろ話し合いをしておる段階でございまして、御趣旨はよく理解しております。
  136. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、全電通と公社の間における労使関係というものは大体うまくいっておるということが総裁の御意見でありますね。  そこで、そうは言ってもやはり七カ年計画というものを大きな軸にしていま全電通労働組合は二つの要求をお出しになっていると思う。そういう要求に対して、たとえば年内に決着しなければならない要求もあるでしょう。それから七カ年計画の根幹に通ずる問題で政府や国会の意見も勘案しなければならない問題もあるでしょう。したがって、そういうものは労使間で大いに取捨選択をしていただくことにして年内に決着すべき懸案、問題が幾つかあると思います。そういう問題について、できるだけさっきの郵政の問題と同じですけれども、できるだけ早くひとつ誠意をもって話し合いを進めて決着をつけていただくというような前向きの姿勢をとってほしいと私は思うんですけれども、それに対して総裁の考え方を伺いたい。
  137. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 確かにいろいろとたくさん問題がございますから、年内に解決をする問題と、さらに時間をかけてやる問題と、二つに分けまして、ただいまの御趣旨に沿ってやりたいと思います。
  138. 鈴木強

    鈴木強君 大臣も主管大臣として、ぜひ郵政も大事なときですから、これをやっていただかなければならないんですが、同時に電通のほうの労使関係の問題等についてもひとつ協力態勢をつくってほしい、こう思いますので、あなたの積極的な御活躍を期待しておりますが、いかがですか。
  139. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 御趣旨の線に沿いまして公社のほうともよく話し合ってまいりたいと思います。
  140. 久保等

    ○久保等君 郵政大臣一つだけちょっとお尋ねしたいと思います。  先ほどお話しがありましたが、郵政の場合における郵便料金の値上げの問題で答申がきのう出ました。それから、かねがねいまお話しがあったように、電電公社の七カ年計画に関する今後の資金調達をいかにするかという問題でありますが、特に料金体系の是正というか、この広域時分制という問題で経営的な面からくる料金体系のいわば修正といいますか、見直しというか、そういうよう計画があるわけでありますが、いずれも重要な金に関する問題でありますだけに、国民の非常に大きな注目を集め、政府は一体どういう態度をとるだろうかということで注目をしております。郵政大臣はいろいろ御苦労されておると思いますが、いよいよ予算編成もだんだん大詰めを迎てまいったと思いますが、そういう中で私は意見とか何とかは別にして、予算編成の結論が一体いつごろ出るのか、郵政大臣の所管の問題について年内予算編成は常識的にいえば当然のことでありますが、最終的には総理の高度の判断等も加えられる問題だと思いますけれども、予算編成については年内に完了する、いま言ったような問題を含めて完了するという見通しなのか、郵政大臣としてはどういうお考えでしょうか、その点をひとつ承りたいと思います。
  141. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) けさの閣議におきましてそういう話題が出ました。大蔵大臣はできるだけ年内編成を目途に努力をしたい、こういう回答でございました。ただ、一つはただいまの公害問題を中心とする臨時国会の会期とも関連すると思いますが、いずれにもせよ、われわれは年を越したのでは、なかなかたいへんでございますから、まず年内編成ということを前提に、いまおっしゃるような諸問題の処理をしてまいりたい、こういうつもりでおりますから、きょうが八日でございますので、これからなかなか忙がしくなるという感じであります。したがって、臨時国会が済み、通常国会に差しかかる、そのあたりをめどに諸般の態勢を整えたい、かよう考えております。
  142. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十分散会      —————・—————