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1970-12-17 第64回国会 参議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十七日(木曜日)    午前十時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 大和 与一君     委 員                 小山邦太郎君                 斎藤  昇君                 高橋文五郎君                 塚田十一郎君                 林田悠紀夫君                 柳田桃太郎君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 松永 忠二君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 山田 徹一君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  根本龍太郎君        国 務 大 臣  佐藤 一郎君    政府委員        内閣法制局第二        部長       林  信一君        経済企画庁審議        官        西川  喬君        経済企画庁国民        生活局長     宮崎  仁君        経済企画庁総合        計画局長     矢野 智雄君        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省住宅局長  多治見高雄君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        内閣審議官    植松 守雄君        厚生省環境衛生        局公害部環境整        備課長      榊  孝悌君        通商産業省公害        保安局公害部公        害第二課長    根岸 正男君        建設省都市局下        水道課長     久保  赳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○下水道法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○主要地方水沢十文字線開通促進に関する請願  (第六三号) ○公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願(第四  二九号)(第五二三号)(第五五五号)(第六  〇八号)(第六〇九号)(第六一〇号)(第六  一一号) ○地代家賃統制令撤廃に関する請願(第五五三  号) ○継続調査要求に関する件 ○継続審査要求に関する件     —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  下水道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 松永忠二

    松永忠二君 それでは少し残った問題を追加します。  まず建設大臣なりあるいは局長流域下水道整備基本計画を定める水域というのは四十九水域である、この新五ヵ年計画によって完成するのは二十五水域である、こういう御答弁でありましたが、これに間違いありませんか。
  4. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは新しい下水道五ヵ年計画財政当局要求するにあたりまして、われわれの試算として出しているものでございまして、実際上相当金額が必要であるけれども、先般来幾たびも御説明申し上げましたようにいわゆる新しい社会経済発展計画の総投資額のうちの下水道分に振り充てられておるワクがきめられております。それに対してプラスアルファを要求しておるのでありまするが、それでもわれわれが考えている点からするとまだ足らない。しかしながら、これは財政当局の意向も十分そんたくしてやならきゃならぬので、その点で勘案していきますれば、四十九水域のうちの二十五水域完全実施を五年間でやりたい、あとのものは流域下水道等をも含めて残余の経費でこれをまかなっていくということになるわけであります。したがいまして、四十九水域に対する一応のワクは一兆六千四百億というふうにいま試算しておるのであります。そうして、したがって残りは何ぼになるのかな——九千億程度がこれから出てくる。いろいろの水系その他のものについて配分するというような試算でこれは要求を出しておると、こういうことでございます。
  5. 松永忠二

    松永忠二君 時間もありませんので、御答弁をひとつ簡潔にしていただきたい。これはこの前の答弁の結果確認されたことでありまするので、あらためてこれは念を押しただけであります。  経済企画庁長官に、四十九水域というのは、公害基本法第九条一項の「生活環境保全するうえで維持されることが望ましい基準」ということによって、水域類型閣議決定によって指定されたものであると思います。それに間違いはありませんか。
  6. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 環境基準類型設定は四月に行なわれまして、それに基づいていわゆる個々の地域に当てはめる。この当てはめ行為を指定と申しておりますが、この指定を本年の九月に行なったわけでございます。それがただいま御指摘地域だと思います。
  7. 松永忠二

    松永忠二君 経済企画庁は、水質汚濁防止法を実施するまでに、この基本法に基づいて、閣議決定によって環境基準部会が審議終了した十六水域、それから昭和四十五年度中に指定予定された水域十四水域追加することによって、重複した一水域を除いて、七十八水域指定をするという御答弁があったし、そういう資料も出ているのでありますが、これに間違いはありませんか。
  8. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) ただいまのところの予定はそういうことになっています。
  9. 松永忠二

    松永忠二君 公害対策本部関係、来ていますか。——それじゃ、両大臣からでも、これは基本法関係したことでありますから、もし御答弁ができないということであれば、公害対策本部のほうからしていただきます。  公害基本法改正公布の日から施行されることになっている。今後は、従来閣議決定によって定めた水域類型指定都道府県知事委任をするということになるんだが、これに間違いはありませんか、経済企画庁長官
  10. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) これは間違いございません。ただし、委任をするということは、委任をすることができるということでございます。
  11. 松永忠二

    松永忠二君 この前の御答弁では、委任をすることができるということになっているが、事実上この基本法改正をされた後は、国はそういう指定をしないで、全部都道府県委任をするという考え方であったと思う。これは大臣、この法律を読めば委任できるということであって、事実上は国がやってもいいわけだけれども、国は法律施行までに追加をした七十八水域指定して、もうあとはすべて都道府県知事委任をするんだと、こういう答弁があったわけですが、これは違っているんですか、そのとおりなんですか、事実上は。
  12. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 事実上といいますか、原則はそういうつもりでお答えしたと思います。ただ、御存じのように、県際河川と称しまして、大きな一つの川が何府県にも関係しておる。そういうことで、各府県それぞれの意見ではなかなかまとまらない場合のこともございます。そういう県際河川等についてはあるいは国が直接携わらないと無理なものがあるかもしれない。そういうようなことは十分われわれも頭に置いております。
  13. 松永忠二

    松永忠二君 そうなると、まあ、国は今後、都道府県知事指定したよりほかのものを、必要があれば指定をするという大臣考えであるということが明らかになったわけです。  そこで、次にやはり経済企画庁長官にお尋ねしますが、ここにありますように、「各公共用水域が該当する水域類型閣議決定による指定は、水質汚濁防止を図る必要のある公共用水域のすべてにつき」行なう。生活環境保全に関する環境基準から見て、この閣議決定指定は、「水質汚濁防止を図る必要のある公共用水域のすべてにつき」行なうという非常に広い範囲のものを考えている。で、水質汚濁防止法というのは、すべての公共用水域に対して特定施設について排出基準を規制していく。従来のような指定水域だけについて特定工場排出基準をきめるのではなくて、公共用水域のすべてについて特定工場排出基準をきめるというところに大きな変化がある。これは政府が非常に強調をしたところであります。われわれがいままで質問したときにも、従来そういう指定水域についてだけ排出基準がきめられているために、非常に指定がおくれると、公共用水域の広い範囲汚濁ができるということで、今度はそういうことはやらないために水質汚濁防止法にこういうことを規定された。したがって、すべての公共用水域について特定施設排出基準がきめられる。「各公共用水域が該当する水域類型閣議決定による指定は、水質汚濁防止を図る必要のある公共用水域のすべてにつき」行なう。こういうことだといっているので、そういう趣旨から考えてみると、今度公害基本法改正されて、二条が働くようになってくると、相当水域追加をされるということを考えるほうが自然だと思う。またそういうことは当然考えておられると私たちは思うのですが、これについて経済企画庁長官のお考えをひとつ聞かしてください。
  14. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) まず最初に、松永さんがおっしゃいました、政府府県知事と違う決定をする、こういう御指摘がちょっとありましたが、それはさっきも申し上げましたように、県際河川等の場合であります。これは別に異なるということではなくて、府県同士意見が合わないことはしばしば今日まであるわけで、そういうようなことからその調整をする必要があるかもしれぬ、こういうことを申し上げておるのであって、われわれは府県知事にすでに、排水基準についてはその上乗せ基準設定府県知事にまかせておる際でもありますから、環境基準は本来国がきめるべきものと法律で定められてはおりますけれども、それは十分、府県知事委任するという点にもあらわれておりますように、知事におまかせする、これが基本方針であります。特別の場合の調整を要するであろう、こういうことだけを申し上げたわけであります。  それから御指摘のように、今回、排水基準については一律基準というものをきめました。いわゆるシビルミニマムでございます。これは指定地域制度というものから解放して、ある程度のものは、もう黙って、どんなところでも守らなければならないという基準を持つべきだ、こういう思想でありますから、御指摘のように、われわれとしてもできるだけ環境基準設定を急がなければなりません。それから今後は、排水基準上乗せをやる場合には、まず環境基準を先にきめていく。これが物の順序でありますから、そういう意味におきましても、当然環境基準指定ということが急速に行なわれてまいる、これは当然予想されることであります。また、私どもといたしましても、まだ本年、法律制度改正になっておりませんが、予算等におきましても、それらの相当地域についてその指定が行なわれるであろうことを予想して予算要求はいたしております。で、もちろん、これが法律公布によりまして府県に移りましたときには、権限としては府県にいくわけでございますけれども、目下のところは、やはりそういう意味で、われわれ自身も相当のものを予定をしておったわけであります。
  15. 松永忠二

    松永忠二君 理由はいろいろお話があったが、相当水域追加されることは考えられるし、それを目的としているというお話がありました。そこで、経済企画庁長官になおお聞きをするわけですが、経済企画庁はこの基本計画水域として、九月の十日現在において百七十五水域を持っておるわけです。これは事実ですか。
  16. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 水質保全法つまり旧法でございますが、これによって調査基本計画を立てるべく調査をした水域が、いま御指摘のようなものがあるわけでございます。
  17. 松永忠二

    松永忠二君 いや、私の聞いたのは、九月十日現在のこの経済企画庁資料によれば、基本計画水域として百七十五水域予定をされているけれども、これは事実ですかと、こう言って聞いているんですよ、それを答えてください。
  18. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) いま申し上げましたとおり、旧水質保全法といいますか、水質保全法による調査基本計画というのがございまして、それによって調査をしたものが百七十五あります、こういうことでございます。
  19. 松永忠二

    松永忠二君 まあひとつ、建設大臣、だんだんあなたのところへ回ってくるので、百七十五水域つまり基本計画水域に入っているわけです。この中で、いま出ているように、四十九水域というのはすでに閣議決定をされて、それからまた水質汚濁防止法ができる前までに経済企画庁予定をしているものがつまり十六水域と、それから指定をしている十四水域つまり三十水域とこの前言ったのは、それが入ってくるわけです。したがって、この水質汚濁防止法が発効されるまでには七十八水域というのが国で指定される。そのほかに、結局、今後追加して、つまり都道府県知事委任をされた結果、これが追加をされてくる。追加をされるめどとして、大体この前経済企画庁担当官が来て二百水域と言ったのは、これはやや少し水増しをしたような形だけれども、この法律ができる以上、国が考えているより以上を各都道府県がこの基本法第十二条に基づいてやってくるわけだから、大体二百水域ぐらいは考えているのだということを、これはもう全く当然な答弁なんです。  それからまた、経済企画庁で出している資料から言ってみてもこれは決して間違いでない。つまり水域であると私は思うのです。非常に妥当性のある答弁であったと思うのだが、この点については建設大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  20. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは経済企画庁がそういう基準とか指定をすることでありますから、それはいいとか悪いとかということは私のほうから申し上げる必要はございません。ただ、御承知のように、四十九水域旧法においてもこれは非常に汚濁の状況がひどい。どうしてもこれはやらなければならぬというものを、選んだだけでも四十九水域があるということだと思います。したがって、下水道整備をするときにはやはりこの四十九水域が一番重点的に整備されていかなければならぬ、こういう考えを持っています。  なおまた、今度はいわゆる公害国会と言われるほど公害に関する幾多の法律案ができまして、特に工場等の排出する廃棄物についても非常な厳重な規制がなされている。そういう関係からしますれば、従来よりは、下水で処理しなければならないものが各工場汚染源において相当これはカットされてくる。こういう関係でございますから、いわゆる都道府県指定されましても、その汚染源のところにおいてカットされるものが非常に大きくなるから、従来よりは下水道によってすぐに処理しなければならぬものの範囲が必ずしも広くなるとは言えないかもしれない。しかし、これは現実にやってみなければなりませんが、論理的にはそういうこともあり得る、こう思います。ただ私は、先般申し上げたことは正直に私の感想を言ったので、私のほうでこの数年間に二百水域まで指定するということはきめていなかった、これだけ申し上げておきます。
  21. 松永忠二

    松永忠二君 しかし、大臣お話お話として用いているとしても、経済企画庁担当官が来て、大体当面とにかく汚濁を防止していくためには、また必要であると考えられるものは、従来閣議決定をしたような種類のものが二百水域ぐらいはあると考えるという答弁は、数字的には根拠を持っているわけですね。これはとんでもない話だ、おれはそんなものは聞いちゃいないぞと、こういうことには私はならぬと思う。これは、あなたのおっしゃったように、排水基準はきまってくるので、幾ぶんそれのロスを落とすものもあるかもしれないけれどもそうだと思う。だから、私は二百水域というのは妥当な一つ答弁だったと思う。それなら建設省に聞いてみますよ。じゃあ公害関連の法案の施行後は、この基本法の二十二条の二に基づく水質環境基準が定められた水域が出てきて、またその後、その閣議決定をされたものが出てきて、しかも、この下水道では政令で定める要件に該当するものというワクを引っかぶせるのは、二以上の市町村にまたがったものだけしかワクがかぶらぬわけですね。こういうことだけしかかぶってない。そうすると、一体下水道整備に関する基本計画を定めなければならないものは五カ年間にどれぐらいになると予定をしているのか。これは大臣からでなくてもいいわけですが、それは一体どれくらいのものを予定しているのか。この法律に基づいてとにかく基本計画を定めなければならないと考えられる予定水域はどのくらいの水域になるのか。これをひとつ局長のほうから答弁してください。
  22. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 現在の段階で正確なことを申し上げる実はまだ十分な資料等も準備をいたしておりませんけれども、大体私どものほうの下水道長期計画のいろんな作業の過程におきまして検討をいたしましたところによりますれば、いまお話しのような二百というふうなおおよその水域の数が出ておりますけれども、このうちにいわゆる下水道整備でもって環境基準達成をはかっていかなければならないというものは大体百ぐらいじゃなかろうか、四十九水域も含めまして百ぐらいじゃなかろうかと、こういうふうな一応の見通しはいたしております。しかし、これは正確なものじゃございません。
  23. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、大臣、いま話しのように、二百水域ぐらいは予想されるけれども、その中で下水道でやらなければできないものは百水域ぐらいだろうと、それもなかなか実は必ずしも根本的なことを言っているんじゃないんです。それは資料を出してみてください、資料を出してそういうことが言えるのかどうか出してみなさいということを言われれば、もう少し検討を要することですね。  これはまあ時間もないのであとにして、いま言ったとおりのことを言うと、この新しい下水道計画のもとで二十五水域完成をされるわけですね。しかし、五ヵ年間に基本計画を立てなければならないと建設省考えているものでも百水域、当然これから水質汚濁防止法が発動されるまでに閣議決定をされるであろう三十水域は当然この中へ入ることは、これはもちろん入る。従来閣議決定をしたものはすべてそのままこれに入ってきたわけです。したがって、それと同趣旨の上に立ってきめられてくる三十水域は少なくも直ちに入るであろうし、五年間の間には非常に小さく見積もっても百水域という答弁があったわけだが、なおもう少し多くなるのじゃないかと私は思う。そういうことがだんだんはっきりしてきた。そこで、一体総合的な基本計画が定められている水域はそういうふうに多い。しかし、五カ年間に二十五水域しか完成はできない。しかし、環境基準達成についての期間というのは閣議決定しているのでしょう、めどは。これには明らかにこういうことが書いてある。達成期間については、達成期間までちゃんとはっきり書いて、「五年以内に達成することを目途とする。」と。で、そうでないものもすみやかにそういうことをやりなさいと、「極力」「速やかな達成を期する。」という閣議決定をしているわけです。したがって、この基本計画の中には——期限は書いてありませんよ、期限は書いてはないけれども基本計画を立てるということによって法律上規制されているものについては、いわゆる閣議決定された水域であり、これはできるだけ五年以内に目的達成をしたい、そうでないものについても極力すみやかに達成をしたいということになれば、少なくも新五ヵ年計画の中には二十五水域しか完成できないような予算を計上していたのでは、これは私が絵にかいたもちだと言ったのは、そこを言ったわけです。それじゃあ基本計画を書かせるだけであって、絵にかいたもちじゃないか。一般公共水域に広げてきれいにします、きれいにしますといった政府の言っていることは誇大広告じゃないか。建設大臣が非常に努力をした事実は私は認めますよ。前回答弁でも強調されたことは、新経済社会五ヵ年計画の中の五十五兆円のワクの中で、いわゆる予備的なものとして考えたものを五千億取り入れたと、非常に努力したと、また伝えられるところによると、来年の予算の中の重点は、おそらく下水道予算になるだろう。しかしこれじゃちょっとアッピールができないから困るということもいっているわけですよ、一部党のほうでは。それだけ力を入れているにかかわらず、事実上はこういう、ふうになっているわけですよ、法律的には。法律はうまいことを言っているけれども基本法はあらためてこうなりますとか、ああなりますとか、いろいろ言っているけれども現実にはなかなかそうはいかぬ。だからやはり期待に反するという面が出てくる。この点はこの点ではっきり確認をして、明らかにして、そうして努力をするというならそれはわかりますよ。ところがおれはそんなことは問いちゃいないし、聞いたことについちゃ一生懸命やっているぞと、こう言われたのじゃ、やっぱり二人を突き合わせてみなければわからない。これはそんなこと総理大臣は知っているのかどうなのか、私はおそらくそんなこと知らないのじゃないかと思う。いま経済企画庁長官が出て来たが、こういうふうな百七十五水域基本計画がきまって、しかも追加をされていくということについても、どういうことなのか、特にあなたが前言をひるがえして言ったのは、いや国のほうでもう調整をやると言ったのですと言って、別に加えるわけじゃありませんということをあらためて言って、もう閣議決定の発動以後は、私たち決定をするということは、水域を増加するようなことはしませんよというような言い方をされた。だから、私はこまかい一つ一つのことについて大臣理解をされていないということについて、それは理解をされていない面があったって当然なことだけれどもつまり言っているように公害基本法に規定されていることを、水質汚濁防止法と、下水道という法律を関連して考えたときに、これはやっぱり絵にかかれているけれどもなかなか実現はできない。うまいことを言っているけれども、これは言うだけのことで、なかなか実現できぬだろうということをわれわれは考えているわけです。それを一つのこういう限界があって、こうなんだということを、やっぱ明らかにさせる私は責任があると思う。いたずらにいわゆる国民に過大な、今後の希望だけをあおってしまって、それで現実にはそれができないという事実になってはまずいじゃないか。そういうことで私はきょう来てもらったわけなんです。だからこういう点について、やはりこのいま言うとおり、基本計画というものについては、五カ年間に百水域もできているけれども完成できるのは二十五水域であり、あるいは百水域も、この前の話じゃもっと出るだろうと、二百。それをまた期待をしながら、こういう法律改正もいたしましたというようなことを公害対策本部のほうで言っていた。だからその点が私は明らかになったと思うのです。この点はそれはまた明らかにするために、私はいま一応この前確認したことも合わせて質問をする形でここまできたわけです。建設大臣ひとつ御答弁ください。
  24. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御答弁と申しても、あなたはこういうふうに自分が判定するという……。
  25. 松永忠二

    松永忠二君 判定するじゃない。いまの客観的な質問を通して……。
  26. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私は御承知のように、政治というものでも法律でも、これはやっぱり一つの守るべき、また一つの理想的と申しますか、あるべき姿を規定しているということだと思います。そうしてこういうふうな公害のような問題は、非常に現実に深刻になってきて、これをどうして処置するかというために、私は政治的な、行政的ないろいろの手段を講じなければならない。しかし、これは国民の究極においては税の負担において経費のかかることはやらなきゃならぬことも事実でございます。したがいまして、一つの起こっておる社会的なあるいはマイナス現象等をこれを一挙にやるべしという意見は当然出てくるけれども現実にやる場合にはやはり段階的にやらざるを得ない。そのために予算というものもつくる。それから行政上の順序等もきまってくる、こう思っておるのでございます。したがいまして、公害基本法に規定しておることが直ちに実行できないということについていろいろ御批判あることは、これは当然でしょう、しかしながら、現実にそれに対応するために他のものを全部犠牲にしてやるということもできないことも事実だと思います。そこで、われわれのほうといたしましては、水質の汚濁を根源において防止するという施策にもかかわらず、依然としていろいろの原因から水質が汚濁されてくるというものについて、やはり可能な限りにおいて財政上の支出をしながら、これを順序を追うて措置していく、こういうことにならざるを得ない。したがいまして、下水道計画におきましては、新しい五カ年計画で現在政府としてやり得る限度までこれを確保いたしまして、それを有効適切にこれは実施していくという姿勢をとっているわけでございます。しかし、これに対して松永さんのお考えはこれじゃ足らない、基本法やあるいは水質の基準から足らないと言われれば、これはやはり足らないという感じも私はしております。しかしながら、これはやっぱり漸次順を追うてこれらに対処していくというのが、現実的な政治のやむを得ないところじゃないか、こう考えておる次第でございます。
  27. 松永忠二

    松永忠二君 時間も来たようですから、私基本計画を実施する以上に基本計画を立てるということは意味がないとは思っておりません。少なくもそういう意味を書くということはやはり将来のためにいいことだ。しかし、問題は絵にかいたものはどのくらい実現できるかというふうなことについては、私は法律というのは現実的なものだと思うのです。何も理想を示すものじゃないと思うのです。やはり現実的なものが理解できるような法律でなきゃできないと思うので、それを言っているのです。だんだん明らかになったので、趣旨は。私の考えているのはそういうところにあるので、やはり非常に御努力をくださっておるようだがなおまだ足らない。政府としてももっと努力しなきゃならない点があるということを申し上げたわけです。ちょっと一、二点聞いてそれで終わります。実は質問をすれば長くなるわけですが、一つはいまいうように、指定するに、制定してから四十九水域……、水質基準設定指定水域指定まで最低で三年かかっているわけです。ずいぶんこれは指定するということは非常に困難なことなんですよ、従来の例から国でやってさえ。それを今度は地方にやらせていくのだから、よほどやっぱり財政的な面をめんどう見てやるというようなこと、その他のことがなきゃできぬと思うので、そういう用意もなしにおまえらやれ、おれたちは制定されたのは十三年かかって四十九水域しかできないのに、おまえらやれというのはどうも法律的にどうかと思う点があるんですね。それからもう一つは、これは非常に重要なとこなんですけれども水質汚濁防止法案と大気汚染防止法案の違いというのが相当出ているのが、施設の集合地域の規制というものが大気汚染防止法案にはある。ところが水質汚濁の防止法案の中には緊急といって非常に水が、一時水量が不足をしてくるとか何とかという緊急時の措置というのは「異常な渇水その他これに準ずる事由により」と書いてある。別に、指定基準を守っていても公害は起こるわけでしょう。特定水域排水基準を守っても、たくさんあると結局非常に水質が汚濁されてくるわけです。したがって、集中的な処理の対策というのは、水質汚濁法の中にも入れておくべき筋合いのものじゃないかということが一つ、この二つの点。建設省のほうにあわせてお尋ねしたいのは、いま言ったようなことが、下水道のほうなんかでやはりそういう排水基準を守っていれば公害は起こらないのじゃなくて、排水基準を守っても公害が出てくるわけです、集中されることによって。したがって、ここにあるこういうふうな下水道にいわゆる「継続して政令で定める量又は水質の下水を排除して公共下水道を使用しようとする者は、建設省令で定める」つまり量と質を継続的に下水を排除して公共下水を使うという、こういうようなものについては「公共下水道管理者に届け出なければならない。」ということが出ているけれども、これでは十分な措置ができないのじゃないか。よく一般でも、もう衆議院でも話が出ていると思うのだが、許可制というものも考えていかなければできない筋合いのものではないかというふうに考えられる。特に水質汚濁法でいえば六十日以内で自動的にこれが届け出てすぐそれが発動するのです。六十日以内にこれを調べるだけの能力がはたしてあるだろうかどうかということも問題である。そういう両者をかね合わせてみて、やはり継続して政令で定める量または水質の下水を排除して公共下水道を使用しようとする者は、建設省令で定めるところにより、あらかじめ届け出をして許可を受けなければできないというふうにできないものかと思うが、建設省はどういうふうに考えるか。もう一点、今度の公害防止事業費事業者負担法案によると、「下水道その他の施設特定の事業者の事業活動に主として利用される政令で定めるものの設置の事業」に対して事業負担金をかけるという、しかもそれは量と質によって料金を。そういうことをやられるとこう書いてあるけれども、聞くところによると、これは流域下水道だけだという話のようだ。これできめるのはわかりますが、公害防止事業費負担法案による、要するに二条四号に基づいて「下水道その他の施設特定の事業者の事業活動に主として利用される政令で定めるものの設置」については考えられているものは流域下水道だけだ、こう言っているけれども、それでいいかどうか、公共下水道にも……、公共下水道というのはどんどんそれが廃棄がされてくる、公共下水道はこれは公共用水域じゃないから自分でどんどん排出して基準なんかに制限されない、それで出てきた水は終末処理で非常に高度な終末処理をしなければならない。流域下水もそうなら公共下水もそうだ、その公共下水をするために受益者負担を取っているんでしょう、何で事業者に対してそれを負担をさせないのか、流域下水道については負担をさせるというように私は聞いておるけれども、公共下水については、これは負担公共下水については負担をさせないんだという話を聞いているんだが、それは間違いじゃないかと思うんです。当然公共下水道に対してもそれは事業負担金を取るのはあたりまえのことだと思うけれども、これについて一体どういうふうに考えているのか、これをひとつ要約して両者からお話を聞かしていただいて、納得のいく答弁があればそれで終わります。
  28. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 二点ほど御質問がございました点についてお答えいたします。従来水質保全法によります水域指定が非常に時間がかかるということで、これは予算的な制約等もあったようでございますが、世の中の公害に対する認識も低かったという面も一部には否定できないと思います。そういうことで原則二年ぐらいかかってやっておりましたが、最近ではこれを早めまして一年でやれるようになってきております。今後はこれを都道府県のいわゆる上乗せということが行なわれることになるわけでございますが、これは各府県において必要と思われるところについて急速に行なわれていくのではないか、こういうふうに想定をいたしております。そこで先ほど百七十五水域とかあるいは二百というお話が出ましたが、今年度中にやりたいと思っております四十九水域プラス三十、一水域は重複がございますので、七十八でございますが、これは大体きまっておりますけれども、来年度以降の分は目下都道府県が今度は主体性を持ちますから、どの程度のことになるか、一応それは想定の数字にすぎないわけでございまして、その点は御了解を願いたいと思います。そこで来年度の問題でございますが、都道府県が行なうことになりますので、これに対して補助金を交付したいということで四十六年度の予算要求といたしまして一億一千五百万円ほどを要求いたしております。こういう形で来年度都道府県から出てくるであろう指定のための調査に対して補助をしてまいりたいと思っております。  それから第二点の水質汚濁防止法と大気汚染防止法との関係で御質問がございましたが、ちょっとあるいは御質問意味を取り違えているかもしれませんが、集合的に発生施設のある地域という御指摘がございましたが、おそらくこれは旧大気汚染防止法第三条の規定であろうかと思います。それでありますれば、これはいわゆる水質保全法におきますところの指定水域とちょうど見合うような規定でございまして、今回は一律基準をきめますので、この三条の規定は落ちたわけでございます。今後は全国的に問題のところを取り上げていく、こういうことになるわけでございます。いずれにしましてもこういった形で全水域を問題にいたしますし、そのうちで特別に汚染のひどいようなところできびしい基準をきめなければならないというところが、都道府県が条例で上乗せをする、こういう体系で今後は進めていくことになるわけでございます。  もう一点、緊急時の措置についての御指摘もございましたがこれは新しく入れた規定でございまして、異常な渇水とか台風とかいうような現象によりまして、基準を守っておっても汚濁が著しくなる、こういうときに都道府県知事が企業等に対して排出水の減少等を勧告できるという規定を新しく設けたわけでございます。もっともこれは衆議院において修正されまして勧告が命令と変わっておりますが、そういう形で今後運営してまいりたいと思っております。
  29. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 悪質な下水を公共下水道等に排出いたしますところの工場、事業場に対します管理、監督の問題につきましてでございますが、私どもの今回の改正のねらいの大きな眼目の一つに実はなっておるわけでございます。こういう工場事業場に対しましては、下水道管理者に対しましてまず政令で定めます基準以上のものを排出いたしますものにつきましては届け出制をとっております。それから水質等の記録の保持の義務も課しております。また管理者が適時立ち入りまして検査する、あるいは報告を聴取するというふうなことをいたすことになっております。で、こういう特殊な工場、事業場の悪質下水の排出につきましては、現行の下水道法におきましても一定の水質までカットするような除外施設の設置の義務を課しております。要はこの除外施設が適切に設置されているかどうか。しかもそれが適切に常時管理運営されておるということが一番大事な問題かと存じます。御指摘のそういう工場、事業場につきましてそういう施設を、つまり下水道を使うことにつきまして許可制にしたらどうかというふうな御意見につきましては、衆議院の段階におきましてもそういうふうな御議論がございました。私ども下水道法の現在の体系からいきまして、いま直ちにこれを許可制にするということはいろいろ問題がある、法体系上問題があるというようなことから、届け出制によりまして十分御指摘の点は担保してまいりたいというふうなことでお願いをしてまいったわけでございます。しかしながら衆議院段階でもそのような附帯決議もいただいております。今後は、この法の運用を期しつつ慎重にこの問題の整備につきましては検討をしてまいりたい、かように考えております。  それから費用負担法の関係につきましては、公害対策本部からお答え申し上げます。
  30. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) ただいまお尋ねの費用負担法の二条二項四号の政令で定める下水道の内容でございます。これにつきましては、流域下水道とおっしゃいましたけれども、流域下水道ではございません。いわゆる特別都市下水道考えておるわけでございます。したがいまして政令ではどういう形になりますかまだ具体的には建設省と協議しなければならないのでありますけれども、たとえば特別の事業者の排水量がその下水道施設で処理される全排水量の三分の二以上を占める場合というような形で押えたいと考えております。そこでこの際費用負担法の考え方をちょっと説明をしたほうがいいかと思うのでございますけれども、広い意味での事業者の費用負担を求める方法に二色ございまして、一つは現在の費用負担法に書いてあるように、建設費の全部または一部を負担させるという方法をとる場合と、それからもう一つは、今後ある利用関係を伴う施設につきましては、その利用料という形で順次回収していくという考え方があるわけでございます。その適例といたしましては、この産業廃棄物処理施設などはまさしく費用負担になじむものでございます。利用者が不特定でございますから、これは利用料金という形で回収していくという形をとらざるを得ない。そこで費用負担法の体系から除外してございます。そこで先ほどお話がございました一般の公共下水道でございますが、これにつきましてはもちろん産業用排水もそこで処理されるわけでございます。しかし全体のウェートから申しますと、おそらく全汚水量の中の一割くらいのものになるのではないかというふうに思うわけでございますが、そういたしますと、結局それは下水道法にございますようないわゆる水質使用料というような形で、特に汚濁度の高い下水を排出する産業用施設からは特別に水質使用料を徴収するという形でバランスをとっていく。それを下水道法の二十条あたりにも特に費用負担法との関係調整規定を置いておるわけでございますが、費用負担の考え方をいまのように分けてこの法律を立案したわけでございます。
  31. 松永忠二

    松永忠二君 それはおかしいじゃないですか。いわゆる都市下水というのは公共用水域なんだから排水基準がきまって特定工場が規制されるわけですよ。自分で処理施設をつくらなければいけない。だから公共用水域へ都市下水を流したときには、自分で処理をして流すんだからこれを施設を自分で負担させるというのは無理なんです。逆ですよ。それじゃなくて、今度は流域下水道も公共用下水道も終末処理をつくらなければいかぬということになっているわけです。終末処理場をつくるところは公共用水域から除外をしたわけです。だからそこにはもうそこの公共下水なり流域下水へ流す水というものは処理をしないで流していいわけです。それを最後のところで処理をすることになるわけです。その終末処理まで全部公共下水なり流域下水の負担になっているわけなんです。大臣、前から受益者負担の問題は私は関連して言ったのですが、一般の人でさえも、そんなにひどい特別な汚水でないものを流してさえも、受益者負担を取った上にまた料金も取る。いまのお話でしたら、料金を取るからいいんですよと、そんなばかなことはないでしょう。間違ったんでしょう、答弁を。
  32. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) いまの私の説明があるいはことば足らずであったかもしれませんけれども、いわゆる受益者負担金は、もちろん一般家庭用のみならず工場用にも敷地面積で取るわけでございます。そのほかに特に下水道法で今度明確になっておりますように、濃度の高い悪質の下水を排出するところの産業については、水質使用料という特別のサーチャージといいますか割り増し料金を取る、一般家庭よりも特別に高い割り増し料金を取るという形でございます。したがいまして、その点について特別に一般家庭よりも産業のほうが優遇されているということは全然ございません。  それから、先ほどの特別都市下水の問題でございますが、これは俗に特別都市下水といっておりますので、私もそう申し上げたわけでございまして、今度は特別公共下水道というような名前で呼ばれることになるのではないかと思うのでございますけれどももちろんそれは終末処理場を設ける場合の話でございまして、たとえば田子の浦の岳南排水路は、これは現在特別都市下水道という観念でございますけれども、これは終末処理場を設けまして、中小企業の共通の一つの終末処理場を設けるという考え方でいま設計が進んでおるのは御承知のとおりでございまして、そういうものをまさにここで考えておるということでございます。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 ただ、いまの答弁で、いわゆる受益者負担として事業者に対しても受益者負担を取るんだと、こういう話ですが、これはもう少し——実はあなたの言ったのはそれでいいというわけじゃないのですよ。負担の取り方とかそういうことが問題なんです。今度は、公共下水なり流域下水は全然処理しないで、さっささっさ流すんですから、しかもこれは非常に高度な汚水を持ってくるので、この前もちょっと米田委員からも話があったように、非常に化学的な処理もむずかしくなってくるわけです。その負担も全部終末処理の中に入ってくるわけです。だから、非常に私は、この際そういう点はやっぱりこうした企業の負担を明確にし、事業者の負担法などをつくるような機会に、十分な検討をしていくべき筋合いのものだと思っているわけです。そういう意味で御質問したのですが、まあほかの質問者もありますし、この問題はまた機会を見てやることにして、その点の御質問だけで、満足していないということだけをつけ加えておきます。別に答弁をしていただくことは必要ありません。
  34. 山田徹一

    ○山田徹一君 前回の委員会で相当質問がありましたので、私は終末処理場、それから水洗化の義務づけについて、これを中心にして若干質問したいと思います。  初めに公共下水道の認可都市は現在二百五十五と聞いておりますけれども、実施中の都市と休止中の都市とに分けていわゆる終末処理場の運転状況を説明していただきたいと思います。建設省から。
  35. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 公共下水道の認可都市数は四十四年度末におきまして御指摘のとおり二百五十五都市でございます。これのうち、終末処理場が現実に運転をいたしておりますところの都市数は百三十一でございます。
  36. 山田徹一

    ○山田徹一君 私のいただいておる資料では四十五年三月末現在によりますと実施中の都市が二百二十一になっておりますけれども、それは違うのですか。百三十一と二百二十一、えらく開いている。
  37. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 私はいま申し上げましたのは四十四年度末の公共下水道事業の認可都市の数が二百二十五と申し上げたのです。
  38. 山田徹一

    ○山田徹一君 二百五十五はいまさっき私が言ったのですよ。
  39. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) そのうち終末処理場がつまり四十四年度末におきまして運転いたしておりますところの都市数は百三十一と申し上げたのです。
  40. 山田徹一

    ○山田徹一君 認可都市は二百五十五であって、それから終末処理場が設置されて運転している都市が百三十一と、公共下水道の認可されているところで休止中のものはどうなんですか。
  41. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ちょっと休止ということばはいかがかと思いますが、要するに完了いたしております都市は三十四都市でございます。それで完了都市の中で終末処理場が運転している都市が十三というふうなことになっております。
  42. 山田徹一

    ○山田徹一君 本来ならば公共下水道は終末処理場で処理すべきであるにかかわらず、終末処理場の設置がなくても公共下水道として認可した理由はどういうところですか。
  43. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 確かに御指摘のとおり、現在の下水道法におきましては公共下水道は必ずしも終末処理場を設けなければならないというふうにはなっておりません。現行法の運用は政令におきまして二十ヘクタール以上の排水面積を持つもの、あるいは終末処理場を持っているものというようなことの立て方にいたして今日にまいっているわけであります。これにつきましては、過去の下水道法施行以来、日本の都市化の進展等からいきまして、当面下水道の主たる目的は当該都市の都市地域におきますところの生活環境なり公衆衛生の関係からこの地域内の下水を完備いたしまして、排水をよくするということが主たる目的でもって今日にまいったわけでございます。したがって下水道法の立て方もそういうふうに必ずしも終末処理場を有しなくてもよろしいというふうなことになっておったわけであります。昨今のこういう公共水域の水質汚濁の状況等々からいきまして、これではいけないということで今回の改正で終末処理場を必ず公共下水道で持たなければならないというふうに改正をいたしたわけであります。
  44. 山田徹一

    ○山田徹一君 そこで終末処理場のない公共下水道について現在は公害問題も相当騒がれておりますし、どんな基準でもって、排水の基準ですね。そうして河川等に放流しているのか。終末処理場のない公共下水道等については、現在いかなる排水基準をもって河川に放流しているか。
  45. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 終末処理場のない所の公共下水道におきましては、下水道法によりまして、施行令六条で、放流水の水質の技術上の基準という規定がございます。この中でたとえばBODで申し上げますと、百五十PPM以下である、こういうことになる、そういう基準になっております。
  46. 山田徹一

    ○山田徹一君 この施行令の六条ですね。「その他の場合」に入るわけですね。
  47. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) はい。
  48. 山田徹一

    ○山田徹一君 そうしますと、特にこの施行令では現在そうなっておりますが、今日の状況において金属等に対する有毒物質については排出検査はやっているかどうか、これをお尋ねします。
  49. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 重金属類につきましては、御指摘のように下水道法上にそういう手当てが不備でございまして、先般十月十四日に下水道法施行令を改正いたしまして、そういう重金属類等、重金属物資につきましては、それを排出いたします工場、事業場におきまして除害施設等を十分に処置をしなければならない、そういう基準をあらためて設けたわけでございます。したがいまして、この基準に従いまして下水道管理者はこれを管理監督していくというふうなたてまえをとっております。
  50. 山田徹一

    ○山田徹一君 下水道法施行令の第十二条第一項で、ここに「公共下水道の処理施設で処理されたものについては少くとも毎月二回、その他のものについては少くとも毎年二月、五月、八月及び十一月中に各一回、第六条の技術上の基準により行うものとする。」さらに二項に「前項のほか、放流水の水質が著しく悪化していると疑われる事情があるときは、必要な水質検査を行うものとする。」このようにありますが、この終末処理施設があってもなくても、当然このような状況下にある以上、終末処理のある所あるいはそれがなくても週に一回ないし二回程度の検査を行なうべきじゃなかろうか、このように思うわけなんです。用心あれば憂いなし、そういうことも言われます。そういう点のお考えはどうですか。
  51. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 御指摘の十二条の放流水の水質検査については、施行令でもって規定されているわけでございます。これはこの規定どおり励行されているものと私どもは伺っております。それからなお二項の関係につきましては、御指摘のように現在は一週間に一回は必ず先ほど申したような水質検査を行なっておる状況でございます。
  52. 山田徹一

    ○山田徹一君 そこで、その水質検査というのはいまどこで行なっているんですか、検査所は。
  53. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは各下水道の管理者が処理場で実施をいたしております。
  54. 山田徹一

    ○山田徹一君 そこで通産省にお伺いしますが、一般の工場排水等の検査機関は現在どうなっていますか。
  55. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) 「きかん」と申しますのは、その時間の関係でございますか。それとも場所でございますか。
  56. 山田徹一

    ○山田徹一君 場所と両方。
  57. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) 場所につきましては、御承知のとおり、工場排水につきましては都道府県知事に権限が委任されておりますので、各都道府県の衛生研究所あるいは工業試験所というようなところで実施をいたしております。それから期間につきましては、それぞれ都道府県で自主的にきめましてやっておるようでございまして、さだかなところは私ども承知しておりません。
  58. 山田徹一

    ○山田徹一君 こういう時期になりまして、一般の工場等が排水に対する十分な設備を持っておりませんので相当困っておる。やはり公共施設を利用していま検査を依頼しているわけですけれども、お願いして一月、二月もかからないとその結果が出てこない。それでは何のために検査をお願いしたのやらわからぬ、こういう状況にあるところがたくさんあります。これに対して水質試験所をもっと拡大するか、こういう点についてはお考えはいかがでしょうか。
  59. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) 御指摘のとおりでございまして、特に都道府県に対しましては、そういう設備の拡充等につきまして、その工場排水の分析等の施設についての補助をやってまいりたいというふうに考えております。それから、そのほかにもそういう中立的な機関で外部からの委託を受けまして分析が迅速にできるように、そういう機関につきましても能力の拡充ということについて助成をしてまいりたいというふうに考えております。
  60. 山田徹一

    ○山田徹一君 附則の第二条によって、終末処理場を有しない公共下水道が三年以内に終末処理場を設けるように要求しておりますけれども、はたして三年以内で全部設置できるのかどうか、その見通しについてお伺いします。
  61. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 現在認可を受けておりますところの公共下水道は、先ほど申し上げましたように二百五十五都市でございますが、このうち、附則第二条の適用を受けることとなります都市は四十二都市でございます。これらの四十二都市につきましては三年以内に終末処理場を設置することになるわけでございますので、私どもは第三次の下水道整備五カ年計画の中で十分これに対処してまいりたいと考えております。
  62. 山田徹一

    ○山田徹一君 じゃ、できるんですね。
  63. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) はい、できます。
  64. 山田徹一

    ○山田徹一君 そこで、この終末処理場に対しては、その設置について特に周辺住民の方々の反対が強い、こう聞いておりますが、そのおもなる理由をひとつお聞きしたいと思います。
  65. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) この終末処理場の設置についての地元の反対といいますものは、主として採尿処理の行き詰まり等からいたしまして、従来から屎尿処理施設を終末処理場の施設の一部を使って利用しているというふうな都市がかなりあるわけでございます。その場合に、当然なまの屎尿を運搬してそこに投入するわけでございますから、かなり臭気等が発生いたしますために、地元の隣接の地域住民がこれに対して反対をするというふうなものが主たる理由かと私ども伺っております。
  66. 山田徹一

    ○山田徹一君 それに対する適切な処置といいますか、この東京都におきましては落合に行ってみますと非常にりっぱなものができておりますし、そういうふうな感じを受けないわけなんですが、こういうものをどんどん設置するとなれば、住民も喜んで提供するのではなかろうか、こう思うのですが、どうですか。
  67. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 終末処理場につきましては、御指摘のような点はそう大きな問題になってないと思います。ことに最近の御指摘の落合の処理場のようなものにつきましては、かなり高級処理がなされておりますし、臭気対策も十分配慮されているものでございます。しかしながら、当面屎尿処理との関係、厚生省のそういう清掃施設との関係等もございますし、これについては今後私どもは最も配慮していかなければならぬ問題だと思います。したがいまして、そういう屎尿処理と共同して利用するというものにつきましては、できるだけその都市近郊を避けるということが私は都市事情からいきまして必要かと思います。それからもう一つは、そういう処理場の施設にいろいろ、たとえば囲いをいたしますとか、あるいはカバー、おおいをかけますとか、そういうふうな設計上の配慮もこれからしてまいらなければならないのではないかというふうに考えます。
  68. 山田徹一

    ○山田徹一君 次に、終末処理場の堆積物の処理について、今回衆議院で修正が行なわれて、有毒物質の拡散防止等の処理が要求されることになっておりますが、この堆積物は廃棄物処理法案による産業廃棄物考えていいですか、厚生省。
  69. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) 廃棄物の処理法につきましては、一応下水の汚泥等につきましては、その処理基準等の順守等の規制を受けることと考えておりましたが、このたびの下水道法の衆議院におきます修正によりまして、その処理基準というふうなものが定められることとなるわけでございます。その間の調整によって処理をしてまいりたい、このように考えております。
  70. 山田徹一

    ○山田徹一君 それでは建設省におけるこの下水道法の処理基準はどういうことになる予定ですか。
  71. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 処理汚泥の中のこういう有毒物質につきましては、政令でもってその処理基準を定められることになったわけでございますが、その政令内容につきましては、今後検討をしなければならない問題だと思いますが、当面私どもはできるだけその有毒物質を含みました処理汚泥につきましては、検出方法の基準でございますとか、それからそういうものが検出されました場合の取り扱い、主として焼却処分を行なわせるというふうなことが中心のような、そういう処理基準というものを政令で考えております。
  72. 山田徹一

    ○山田徹一君 建設省のほうで考えられるこの外部へ廃棄されていくところの処理基準ですね、これと厚生省が考えるところの処理基準が開いておったり違っていたのではこれは意味がない、こう思うわけです。で、厚生省にお尋ねしますけれども、この産業廃棄物の処分について政令で定める基準とはどういうものか、ひとつ詳しく説明をお願いしたい。
  73. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) 廃棄物の処理につきましては、最終的な処分はこれは埋め立て処分それから海洋処分というふうな二つの方法に分かれると思いますが、その場合において当然生活環境の汚染を生じないということが、これは原則でございます。したがいまして、その基準におきましては、無害化あるいは安全化というふうなものが一つの原則になって行なわれることになろうかと思います。で、埋め立て処分が可能なものにつきましては、もう可能な限り埋め立て処分という方法で処理をする。それから海洋処分につきましては海洋に還元処分いたしましたとしても、これが海洋汚染につながらないというふうなものに限って海洋処分をするというふうなことでございます。それからその前段階として、どういうふうに前処理をしたらいいかということが、この基準のおもなものとなると思います。
  74. 山田徹一

    ○山田徹一君 埋め立て可能なものといっても、そのときは可能な、毒物ではない、こういう形であったとしても、将来汚水等によって地下水が汚染されるというようなことも考えられるというようなものについての処理法ですね、政令における基準あるいはそれをどう処理していくのか、それは厚生省ではお考えですか。
  75. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) もちろんそのような方法で処理基準考えたい、こういうふうに思っております。
  76. 山田徹一

    ○山田徹一君 そこでさらに厚生省にお尋ねしますが、この廃棄物処理法案の施行が制定後九カ月をこえない範囲で政令を定めると、こうなっておりますけれども、現在でも除害施設に堆積するところのスラッジ、これらの処理については、特に中小企業あるいは零細企業においては非常に苦慮しておるわけです。このための暫定的措置を考えなくてはならない。どうしてもやらなければならぬと思うのです。九ヵ月もほうっておくわけにはいかない。またしたがってその処理を地方公共団体に義務づけるべきであると私は思う。こういう点について厚生省、どうでしょう。さらにこの点について公害対策本部はどうお考えでしょうか、お尋ねします。
  77. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) お尋ねの法律施行までの問題でございますが、現行の実は清掃法におきましても、これは第八条におきまして、市町村長が特殊な汚物を排出する事業者に対して、その適正な処理処分というふうなものについて命ずることができるという規定がございます。で、現行の規定では、あくまでもこれは「できる」という規定でございまして、その前段階第六条に、市町村は土地、建物の管理者によって集められたそういう汚物について処理処分しなければならないという、実は規定があるわけでございます。そのような規定がございますので、やはり適切なそういうことができない場合については、ある程度市町村の補完的な作用というふうなものを現行法ではやはり期待しておるわけでございます。そういうふうなことから、われわれのほうといたしましても、それまでの間、自治体等におきまして適切なやはり埋め立て場所のあっせんとか、そういうことについても可能な限りやはりするような形で指導をしてまいりたい、このように考えております。
  78. 西川喬

    政府委員(西川喬君) いまのお尋ねは、厚生省が答弁いたしましたように、われわれとしましても、新しい法律施行は、なるほど九カ月後でございますけれども、しかし現行の清掃法がございますから、それぞれの自治体はやはり清掃法に基づいて、そのスラッジの処理ということをやらなきゃならないわけでございますから、その辺、当然当局としての厚生省が、自治体と協議をしながら、その技術的な指導をしながらやっていかなきゃならないだろうというような考え方でございます。
  79. 山田徹一

    ○山田徹一君 現行法においても、それが地方公共団体で責任をもって一定の場所へでも保管不安なものについては移管をするというような処置をするようなことができるし、そのような指導をするという話ですけれども、どこがやっていますか、現在のところ。
  80. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) 主として各都市の清掃当局がその点の御相談に乗っておるというのが実情でございます。
  81. 山田徹一

    ○山田徹一君 どこの都市でそれが行なわれているか、それをお尋ねしたいと思います。
  82. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) 個々の都市の実は名前を申し上げることは、なかなかちょっといまあれでございますけれども、たとえば東京都においても埋め立て地への搬入というふうなことについていろいろ指導しておりますし、それから大阪等についてもそういう指導が行なわれております。
  83. 山田徹一

    ○山田徹一君 それは公共団体がこういう時期に際しての、中小企業、零細企業等に対する一つの保護の一端としても積極的にそれを取り上げて、そうして確実な処理をしていただくと、このようにしなきゃならぬと思うんです。現実にはあなたはそうおっしゃいましたけれども、はっきりとした明示したものでもってやられている都市は皆無にひとしいです、私の知っている限りでは。そこで、こういう点について強く各地方公共団体に対して指導をお願いして、十分に援助してもらいたいと思うわけです。  そこで、建設大臣にお伺いしますが、管理者たるこの地方公共団体が、その処理の責任を負うことになると思いますけれども、この終末処理場の堆積物と、さらに企業みずから設置した除害施設等から出てくるところの廃棄物、これらをあわせて処理するところの公社等を検討すべきであると考えるけれども大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  84. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 衆議院段階においても同じような御意見がございました。ところで、このいわゆる政府で行なうところの公社、これがはたしてなじむかどうか非常に問題だと思います。これはみんな地方自治体が主としてやることでございまして、しかもその廃棄物もそれぞれの産業立地で相当変わってきております。そういうことでこの問題は前向きに研究いたしたいと思います。厚生省とも連携し、各知事会の諸君とも話し合いの上、私は、自治体で都道府県単位でこれをやったほうがむしろ実情に合うのではないか、こう思います。国で一つのたとえば住宅公団とかそういうようなものをつくるような形で公害処理廃棄物公団というようなものをつくることは、どうもかえって機能的にどうかと思いますが、前向きでこれは検討いたしたいと存じます。
  85. 山田徹一

    ○山田徹一君 あわせて、厚生省の所見はいかがでしょう。
  86. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) お答えいたします。ただいまの御意見でございますが、今回の廃棄物関係のこの法律におきましても、いま建設大臣からお話がございましたように、これらの処理計画そのものが都道府県知事によって策定されるという形で考えておりまして、これの実施につきましても、一部広域的に処理することが適当なものにつきましては、都道府県がその事務として行なうことができるというふうな規定を設けたわけでございます。しかしその実施にあたりましては、いまお話がございましたような地方公社的な方式というようなものについても、すでに各都道府県等におきましても、そういう計画のもとにいろいろ作業が進んでいるところもございます。将来できるだけすみやかにそういう方式について実現するような方向でわれわれとしては検討したい、このように思っております。
  87. 山田徹一

    ○山田徹一君 次は、水洗便所への改造の義務づけの問題についてお尋ねいたします。  下水道処理区域内の既存のくみ取り便所を、三年以内に水洗便所に改造するよう建築物占有者に義務づけているけれども、個人の施設法律で強制的に改造させるということについて立法上問題があるのではなかろうか、こう思いますので、法制局の見解をお尋ねしたいと思います。
  88. 林信一

    政府委員(林信一君) ただいまのお尋ねでございますが、占有者と申されましたのは所有者の間違いではないかと思います。処理区域内にくみ取り便所が設けられている場合におきましては、三年以内にこれを水洗便所にまず改造しなさい、こういう義務づけをいたしましたが、三年以内に改造いたしませんでも、さらに命令が出まして初めて罰則がかかるという強制の方法になっております。つまり段階をつけておるわけでございます。この程度で水洗便所への改造を義務づけるということが、この具体的な処理区域ができました場合を想定いたしますと、まず第一に地元市町村にとりましては、清掃くみ取りのためのいろいろな施設設備を必要とするといったような負担がいつまでも残るということは、結局一般住民の負担でございますから相当問題がある。第二点は、もちろん水洗便所にするということが衛生上望ましいということも問題はございません。これら二点を勘案いたしまして、いろいろな条件をつけまして認めたこういうことでございます。
  89. 山田徹一

    ○山田徹一君 都市計画審議会の答申によりますと、水洗便所に改造するものに対し国及び地方公共団体の資金的援助を強化すること、とこう述べてあるが、現状はどうなっているのか。さらにまた今後それをどう強化するのか、建設省にお願いします。
  90. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 水洗便所の改造のための地方公共団体の財政援助の現状でございますが、これは各都市ともまちまちでございまして、補助金を出しております都市とか、あるいは貸し付け金制度を採用いたしております都市とか、それぞれ都市の事情によって状況を異にいたしております。国は現在こういう関係の公共団体に対しまして、国民年金の積み立て金の特別融資をいたしております。実際の具体的な現状としましては、ごく概括的に私ども調査で申し上げますと、水洗化可能都市の数が百三十三ありまして、このうち補助金のみを採用いたしておりますところの都市は二都市でございます。それから貸し付け金のみを採用している都市は五十七都市でございます。それから両制度、つまり補助金と貸し付け金を併用して援助しております都市が四十ございます。したがいまして、その百三十三と申し上げました都市との差がございますが、この差三十四都市はこれはあの住宅団地等でございまして、もうすでに水洗化されておりますので、この都市はこれから落ちているわけです。こういう状況になっています。
  91. 山田徹一

    ○山田徹一君 今後どのように強化するのかその点。
  92. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 現在の立て方は、いま申し上げましたような市町村が主体になりましてやっているわけでございますが、私どもは当面は国のほうとしましては、国民年金の特別融資、これはおそらく三年間ということになりますと、かなり需要がふえてくるということになると思います。それに対応するように特別融資のワクを拡大をしていくというふうな方向で努力を重ねてまいりたいと思います。それから生活困窮者と申しますか、水洗便所に改造するだけの資力を持たないそういう世帯のものに対しましては、制度上は改造の免除という道も開かれておりますが、できますことならば、この機会に水洗化することが望ましいことは申し上げるまでもないわけでございます。そういう関係者に対しましては、極力関係の市町村が財政的な援助を行なうよう私どもは指導いたしてまいりたいと思います。
  93. 山田徹一

    ○山田徹一君 ここで建設大臣にお尋ねしますが、この改正法によりまして、水洗便所の義務づけを三年で義務づけをしたこと、さらにそれには罰則も加わってきたこと、こういうことになりますと、これは個人の既存の所有物を改造させるわけでありますので、たとえて言えば都市計画をやる、道路をつくるとすると、それに対しては家屋の移転あるいは取りこわしに対しての補償がある。こういうところから考えてみると、国でもってはっきりとした処置をとらにゃいかぬと、このようにまあ思うわけです。したがって答申にも、建築物の占有者が生活困窮者である場合には、国が財政措置を講じ、地方公共団体が占有者にかわって改造するものとすること、このような提案も出ております。東京都でもくみ取り便所を水洗便所に改造する場合、世帯の年収が合計額で百二十五万円未満については一万二千五百円、また生活保護者等には三万七千五百円以内の助成金を交付しておる。これを見ならえというわけではありませんが、このように、他の府県においても、少なくともこの程度の助成金交付を行なえるような国の財政援助、そういうようなものも考えるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  94. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のように、地域社会の一つのこれは考え方でございまするが、地域社会に住む人たちは、お互いに住民税その他の負担をしながら住みよい共同社会をつくっていくというのが、これが自治体の本質でございます。したがいまして、この環境を自分たちの協力の力でよくするというためにいろいろの負担をするということも、これもまた当然のあり方だと思います。現在このように下水道整備が住みよい社会建設のために必要であるということで特に取り上げられ、今日また皆さんからいろいろ御協力をいただいておるところでありますが、特にいま御指摘になりましたのは、生活困窮者の問題だと思います。私は水洗便所にするから全部に、いかなる人間にもこれを公共事業みたいにやれということについては、どうも賛成いたしかねます。ただいま事務当局から御説明申し上げましたように、清掃法において、これはそういう生活困窮者についてくみ取りを義務づけさしておるわけですが、その経費を勘案しますれば、地方自治体がもし水洗便所にしなければ、清掃法上そのくみ取りをしてやらなければならぬ。しかもそれについては免除をしておるわけであります。そうすると次にずっと長く計算すると、むしろ水洗にしてしまったほうがまだ負担が少なくなる。こういうようなことから、漸次水洗を促進する傾向にあるようであります。これに対しましては、国としては現在でも融資等の措置をもってこれを援助しておるのでありますが、いま直ちにそうした人たちのために国が経費を負担するとか、直ちにいま山田さん御指摘になったような義務づけたかわりに補償費的なものを国が負担するということは、現在考えておりません。
  95. 山田徹一

    ○山田徹一君 私が申し上げているのは、このように三年間のうちに義務、つけたというところに、しかも罰則も加わっておることでありますし、当然これに対しては国のほうが財政的に援助だけでなしに助成金に対する援助をすべきではないかと思うが、将来そういう気持ちもないわけですか。
  96. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは国で、非常に財政上豊かになって、そうして諸般の財政上豊かになれば考えることも必要と思いますけれども、現段階においてはもう一般のくみ取便所をこれからはだんだんなくなると思います。これからつくるものは、やはり一般の生活環境と自分の排せつ物を他人に迷惑をかけるような形でためておいて、そうして市町村がこれを依然としてやらなきゃならぬというのは好ましい社会環境ではないと思います。したがって、都市計画法等においても、漸次そうした都市計画においては上水道、下水道整備していく、そして下水道整備されたときは水洗にする、こういうことが私は一つ地域社会の健全な発展のために好ましいことである。その意味でこれは義務づけしたわけでございます。現在の状況から見れば、いま御指摘の点、気持ちはわかります、わかりますけれども、水洗便所を義務づけたためにこれに財政援助をするくらいなら、もっとやらなきゃならぬことがたくさんあるじゃないか。これは政治家はどこまでも一つの選択なんです。比較の問題でございますから、その意味において、いまの段階ではこれは財政金融上の援助を地方自治体にいたしまして、そうして地方自治体ができるだけそういった貧困者、困窮者にはあるいは補助、助成をしていく、そういうものについては財政上のめんどうを見るということは考えられる。国がこれを義務的に、あるいは制度上の補償、もしくは経費負担等のことはいまちょっと考えることがむずかしいと思っておる次第でございます。
  97. 山田徹一

    ○山田徹一君 ですから、いまあなたがおっしゃった、大臣が言われたその義務づけたことも私は悪いと言っているわけじゃないわけです。その方向でいかなきゃならぬかなと思うから、賛成したい気持ちも持っているわけなんです。ただ、そういう困窮者がはたして貸し付け金とか、そういうことによって支払い能力がない者に対してまでどのような考えを持っていらっしゃるか、お尋ねします。
  98. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは先ほど申し上げましたように、各都市によっていろんな方法をとっておるようでございます。
  99. 山田徹一

    ○山田徹一君 いろんな方法をとっておるゆえに平等の立場から国のほうで基準を明確に打ち出すべきじゃないか、こう思うわけであります。
  100. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは今後の一つの課題といたしまして、御指摘のとおり以前と違った体制になっていくわけでございますから、私どものほうは、何らかの一つのそういう援助の基準といいますか、そういう標準的なものをつくりまして指導をしてまいりたい、かように思います。
  101. 山田徹一

    ○山田徹一君 次に、家庭が公道に面しておればいいのですけれども下水道までの排水設備が比較的簡単にそういうところはできるわけですが、私道に面し公道までの距離が長いというようなところでは、排水管あるいはますの設置に多くの費用を自己負担しなければならないことになるわけです。したがって水洗便所の改造にあたってそのような私道に対しての排水設備の工事費こういうものについての助成、あるいは援助、こういうものも全国的に最低の基準を確立すべきじゃないかと考えるのですけれども大臣の所見をお伺いします。
  102. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいま排水設備と私道との関係のお尋ねでございますが、私道内の排水設備に対して原則は個人負担なんでございますけれども、非常に私道の状況に応じまして助成措置が公共団体ですといろいろ行なわれております。その例をあけますと煩瑣でございますが、これもまちまちでございまして、これにつきまして私どもさきの水洗便所と同じように、できますならば一つの標準的なものをつくりましてこれから指導してまいりたい、かように存じます。
  103. 山田徹一

    ○山田徹一君 まちまちであるがゆえにぜひお願いしたいと思います。で、最後に時間もありませんので、今回の改正法の第十一条の三の項でありますけれども、ここに「第一項の規定に違反している者に対し、」それから「当該建築物が近く除却され、又は移転される予定のものである場合、水洗便所への改造に必要な資金の調達が困難な事情がある場合」と、こうなっておりますが、この水洗便所への改造に必要な資金の調達が困難な事情がある場合等は、三年過ぎてもそのままで認める、こういうふうに解釈されるわけです。困難な事情というのはどういう事情でしょうかね。
  104. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) お尋ねの困難な事情といいまするのは、水洗便所の改造のための必要な資金の調達が困難というふうに法律は例示として掲げられておるわけでございます。そのほか建築物がいろんな収用事業にかかりましたり、近く除却あるいは移転しなければならないということが明らかである、そういうふうなもの等を例示として書きまして、結局相当な理由があると認められる場合においては、命令を出さないことがあり得るという法律の立て方になっております。おそらくはお尋ねの御趣旨は、相当な理由とはどういう場合を考えているのかというふうに私ども理解をしておるわけでございますが、それでございますか。
  105. 山田徹一

    ○山田徹一君 違います。ここに国あるいは公共団体が資金の援助を行なう、あっせんを行なう、こういうようになってきているわけです。だったならば、資金の調達の困難というのは何もないじゃないか、資金は援助されるのですから。この意味が、資金の上での困難なというのはどういうところを言うのかということです。
  106. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは端的に申し上げまして、水洗便所に改造するには五万から七万の改造資金が要るわけでございます。それだけの資金を当該個人が負担するにたえないというふうな場合というふうに、私ども理解いたします。
  107. 山田徹一

    ○山田徹一君 個人がたえないからこそ、国あるいは地方公共団体においてそれをあっせんし、しかも融資をやってあげるわけなんですから、その困難はないはずだと思うのですがね、どうなんですか。
  108. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) まあ現在のやり方が、さっき申し上げました補助金を出しておる場合もありますし、また一面低利の貸付金を長期にわたって返済をしてもらうというふうなやり方をとっておるものもございます。そういう公的な援助があります場合は、その困難には該当しないわけでございまして、当然その金でもって水洗化ができるのでございますが、しかし、貸付金でございますから、その貸付金の返済すらも困難というふうな場合もあろうかと思います。それはいろいろな場合があろうかと思います。
  109. 山田徹一

    ○山田徹一君 これはその程度にしておきまして、先ほどの資金の援助につきまして、昭和四十二年のこの建設委員会で一世帯当たりに対しての補助を三万五千円から四万五千円に引上げることになったわけです。すでに三年たった今日、物価の指数等から考えて、この基準も引き上げるべきじゃないかと思いますがどうですか。
  110. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) おそらく国民年金の特別融資のお尋ねかと思いますが、現在は内地の場合は一戸当たり四万五千円それから北海道の場合は六万円ということになっております。
  111. 山田徹一

    ○山田徹一君 それを引き上げる方針はないかということです。
  112. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは直接には私どものほうの所管の資金ではございませんのですが、要は実際に水洗便所にするのに最小限度幾ら金がかかるかという単価にも関連すると思いますが、よく改造の費用の実態というものの調査をいたしまして、その実態に合うような方向で、もしこの単価が低ければ、これを上げるように努力してまいりたいと思います。
  113. 田中一

    委員長田中一君) 午前の審査は、この程度にし、午後零時四十分から再開いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後零時五十分開会
  114. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、下水道法の一部を改正する法律案に対する質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  115. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣に、今回の公害問題を基本にして十四の法案が出されまして、その一部の下水道問題についての基本的な考え方、これについてお聞きをしたいと思います。  いろいろ各法案を検討してみますと、非常に基準あるいはまた汚染度等によるまあ細部にわたる規制が従来よりも強く規制されることになった、こう思うのです。なおまた、公害を排除するために基本的に考えなきゃいかないことは、いま公害といえば何といっても大気汚染の公害がまずあります。これはいろんなものがございましょうけれども、自動車から出る排気ガスの問題、それから政府が今日まで主張してきた産業集団地域の開発、これらのために工場から出る廃液の汚染がございます。なお、人口密度による公害もあるのです。それらを総合的に考えてみますと、下水道整備のいかんによっては、ある程度の公害の排除ができるんじゃないか、私は基本的にそう考えるわけです。環境保全等についてはこれは別問題としても、ある程度下水の完備によってできるんじゃないか、こう思うのです。前回から御質問なされておりますから、私はそういう点についてダブった点も多少あるかもしれませんけれども、今度の下水道の公共下水道というものに対する基本的な考え方として政府はいろいろ他の法案を強く規制をしてきたにもかかわらず、依然として主体性は地方自治体に置く、こういう考え方だと思うのです。ほんとうを言いますならば、この第二章の公共下水道のものの考え方と、これだけの公害を排除するためにはもっとウエートをかけるべきではなかったか、こう思うのです。その点のいろいろ建設省として今日まで主張された点があるのか。いや従来どおりこれは大臣としてはあくまでも地方公共体の問題である、こういうふうにお考えになるのか、こういう点ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  116. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 下水道関係について申し上げれば、従来はほとんどこれは市町村の固有の事務のようにしておったのです。そのために非常に立ちおくれておるし、それからこのままいけばとうてい発生源がどんどんふえるときに対して対応できない。そこで下水道改正はまず第一に従来なかった、制度上なかった流域下水道を採用することによって都道府県がむしろイニシアチブをとってこの水質の汚濁、これに伴う環境の悪化、人間生活の非常な脅威、これを除くことが必要である。しかも日本は御承知のように地域的に産業の立地条件が非常に違います。それから水の利用方法、並びに水開発の状況も違っておる。こういう観点からいたしまして、非常に都道府県が自分たち相当の権限を与えてほしいという動きが非常にありますので、これは決して国が責任転嫁ということでなく、地方自治体の実際の状況と地方自治体の意欲にこれは主点を置いて改正をいたした、こういうことでございます。ただし、従来は都道府県のほうが一生懸命やろうとしても、御承知のように地方自治体のこれは起債でやる部面が非常に多いのですが、なかなかこれを認めてくれない、これに対する補助もまためんどうを見てくれないということで、非常に困っておったようでありまするので、これに対応するためには、現在第二次下水道整備計画に出ておりますけれども、これをただ伸ばしただけではとうてい受け切れないということで、われわれのほうといたしましては幾たびも申し上げましたように、経済企画庁の中期計画を上回った計画を国が策定し、そうして先日来非常に問題になっておりました国、公共団体、しかもそれは都道府県と市町村、この分担の問題、それから受益者の負担の問題等、こうしたものを政令できめるべきものをきめてないのだからこれもいかぬ、この際に政令もはっきりしてまず下水道を体系的に整備する。それから六十年までの長期見通しの上の第一歩を第三次下水道計画で進めたい、かように考え建設省の四十六年度以降の政策目標としても、これは超重点的に取り上げたという次第でございます。
  117. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうしますると、基本的な考え方はわかりましたが、大体この流域下水道というようなものに強くウエートを置くというお考えですが、これらの今後起工しようというけれども、むろん御承知のように二府県にまたがる場合もございましょう、そういう地域もございましょう、また単独の場合もあるでしょうが、これは地方自治体には政府としては二分の一の補助を出してやるだけなのか、政府としてはどこまでのこれに対する指導と管理をやっていくのか、こういう点はどうお考えでございますか。
  118. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先般も申し上げましたように、実はこの流域下水道にしろ計画を策定する場合の人的要素が非常に貧弱です、はっきり申しまして。したがいまして、都道府県はやりたいけれども立案の過程においてもなかなか困難なような点があるようであります。そこで、これについては、権限は都道府県にみなまかしておりまするけれども、実質上は全部相談してやらなければならない。建設省がいろいろ相談し、これは建設省のみならず自治省との関係も非常に深い関係があり、あるいはまた厚生省とも関係がありまするので、主体性は地方自治体に置いておりまするけれども政府はそうした面における、中央における連係をとりながら相談に応じながらいろいろのこれは援助もしていきたい。したがって、財政上の起債のワクとか、後ほどいろいろ問題になるでしょうけれども、いろいろ特殊の財源の確保等についても、今後やはり検討して応援してやらなければ、ただ権限は委譲したのだ、それから基準は示したということでは、これはなかなかむずかしいと思っております。したがいまして、一応の五カ年計画はつくっても、これを実現する過程においてはいろいろと創意くふうをこらして真剣に地方自治体を応援しなければ、なかなかこれは達成が困難じゃないかと思っておる次第でございます。
  119. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 結局この問題は、御承知のようにもう言うまでもないと思いますが、公共的なものですね。したがって公共的なものを、いま力はかすとおっしゃっておりますけれども、もっと国自体がそういう日本の全体をながめてみて、速急にかからなくちゃならないところはいま言われました四十九ですか、そのうちの二十五を五カ年計画でやろう、こうおっしゃっているのですが、指定だけはきめたが実際にやろうという場合には人材の不足だと。こういう恒久的な施設をつくるためには、もっと中央が権限を持って、そうして日本全体の地域から見て、一つの例を申し上げますならば、東海道沿線から中国沿線に至るベルト地帯の人口は将来十年先どうなるのか、二十年先はどうなるのか、したがってどういう施設が必要なのか、こういうことがまず大前提にならなければ、こういう恒久的な施設をつくるということには、私はむだがたくさん出てくるのではないかという危険性を感ずるわけです。そういう点を考えてみると、政府の今日の二分の一の補助金で人的協力をしたいとか、あるいは助言をしたいとかいうことでは、この下水道というものの恒久性というものが私は完全になるとは思ってないのですが、その点は大臣どうお考えになりますか。
  120. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 高山さんの言われることは、私も実は胸にひしひしと響いているところでございます。けれども、御承知のようにこの下水道を本格的にやるとすれば、しかもこれが公共事業的にやるということですから、膨大な資金が実は要るのです。ところが一方、それが必要だということを言っていながら、しかしそのために財政負担、いわゆる税金を出してもいいということに踏み切ってくれるなら、われわれもやりやすいけれども、そこはなかなかいかない。ここが非常にわれわれが苦慮している点なんです。だんだん私は国民の意識が高まってきますれば、都市計画をやる場合には、下水道を必ず設備しなければできないという、単なる法律上の規定だけじゃなくて、現実国民の合意ができるというところまできてもらわなければ困ると思うのです。そういう段階に至るまでの間は、これはまことに私も残念でございまするが、やはり第一歩はこの程度からいかなければならないのじゃないかと考えているのです。そのために、先ほど山田さんからもお話がありまして、例の地方公社的なものということを私は申し上げているけれども、私は実は内々では、閣議の正式の議題にはしないけれども、もう下水道なんかについてはこの段階では建設公債を出していいのじゃないか、むしろ先行投資したほうが、ずっとこれは国民のためにも国家財政上もいい。いわゆる赤字財政ではないし、これはしかも緊急迫ったことであるからいいじゃないかということを実は提言しているのです。一部閣僚の中にもそうだなあというところまでいっているけれども、なかなかこれは財政当局が同意してくれませんから、これはまだ表面に私は出しておりません。こういうところで申し上げるのはあるいは慎まなければならぬかもしれないけれども、私の実は心境としてはそうなんです。道路特定財源をつくることも私はいま一生懸命やっておりますけれども、それと同様に私は下水道特定財源を考えなければならぬが、それには受益者負担とかあるいは使用料等でいかなければならぬという議論になりますけれども、そこにいくと、かなりまた複雑な反作用が出てきますので、たとえその償還の方法はいずれにしようとも、まず事業をやってしまうのだ、これは長期の建設公債を出していいじゃないかというくらいに実は考え、これは今後も私は建設大臣としてこの方式を進めるべきだということを進言してみるつもりでございます。これが実現できなければ、やはりいま今日まで御審議を願い、私も申し上げたところがいま手一ぱいの実は状況でございまして、まことに残念ですけれども、そういうふうな状況に考えている次第でございます。
  121. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 さっき松永委員が二回にわたって質問されましたが、いろいろな法律を私はこう見せてもらいまして、法律的に追及するわけじゃございませんけれども、私もそうたんのうじゃございませんが、しかしこれだけ公害がやかましくなってきて、一体この十四の法律——その主体性をなすものは私は下水だと思うのですよ。依然として下水が基本を変えないで、一体これ実際できるのか。できるかできないかは松永さん追及したと思うのです。私もそう思っているのですよ、しかも二分の一の補助金で実際できるのか、こういう点をわれわれは心配するわけです。  具体的に聞きます、これは大臣でなくてもけっこうです。ここに一つの処理の試案を出しておられます、今後の終末処理場の。これはどうですか、日本の技術としては国際的に見ても優秀なんですかどうですか、それ聞かして下さい。
  122. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下水道課長からお答えいたします。
  123. 久保赳

    説明員(久保赳君) 処理の技術といたしましては、非常に高度の処理をするという分野につきましては諸外国でもいま検討がなされている最中であり、わが国でもこれをこれから始めようという段階でありますが、それ以外の通常程度のいわゆる二次処理といわれておる、いま先生御指摘のこの資料の中にございますのは、世界中でも行なわれている方法であり、わが国でもそれの水準に十分達しておりますので、世界の水準程度といってもいいかと思います。
  124. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 二次処理の問題についてはおっしゃるとおりだと私も思うのですが、もう一つ、この下水のいま国際的に困っている問題は洗剤、廃液、いろいろな問題があるのですね。これらの問題が一番完全に処理されておる国はどこですか、調査されたことがありますか。
  125. 久保赳

    説明員(久保赳君) 水の高度処理につきましては、比較的進んでいる国は英国並びにごく最近はアメリカであります。それからドイツにおきましても従来ライン河あるいはルール河地方を中心といたしまして、同程度の処理技術を持っておりまして、かなりこれも進んでおる状況でございます。
  126. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 日本で現在終末処理場ができております設備で一体環境地域ですね、その処理場の面積ですね、これはどのくらいの面積を持っておるのが一番大きいのですか。どこにあるのが一番大きいのですか。坪数かあるいは平方メートルでもいい、どこに一番大きのがあるのですか、日本では。
  127. 久保赳

    説明員(久保赳君) 現在稼働をいたしております処理場で一番大きいのは東京都の処理場でございますが、今後計画されていくものの中では、流域下水道の処理場がそれよりもっと大きいというものも計画されておるわけでございます。
  128. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 具体的に坪数わかりませんか。今度つくろうというやっと、現在既存のやっとの坪数わかりませんか。
  129. 久保赳

    説明員(久保赳君) いま直ちに坪数何坪という資料はございませんが、それは調べればすぐわかることでございますので、あと資料を提供いたしたいと思います。
  130. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣、終末処理場ですがね、これでもなかなか私はむずかしい問題だと思うのです。何がむずかしいかといいますと、やっぱり地域環境の問題が地域住民としては起こるわけですね。やりたくてもやれないという地域現実にあると思うのです。また、われわれ地域住民の立場から考えてみても、この処理場のいかんによっては、非常な迷惑をこうむるわけですね。したがって、反対も出るのは当然だと思っておりますが、したがって、その地域を選定するのには、かなり環境を害しない、むしろ環境を、周囲をよくする、そういう広大な地域がどうしても必要だと思うのです。そういう面における終末処理場をつくろうとしますと、これは何としても今日の、地方自治体にまかせて、その二分の一を国庫補助で指導をしただけでは私は完全なものではない、こういう考え方を持つわけですが、少なくとも処理場だけでも政府が責任を持って、国際的な水準の処理場を将来のためにつくる、こういう考え方を持つべきじゃないか。なるほど流域下水道完成は非常に、先ほどお考えをお聞きしましたけれども、それと同じように考えないで、終末処理場だけでも政府が責任を持って、やっぱり国際水準に劣らない永久的なものとして、しかも増加するであろう人口を対象に考えてやるべきではないかと、私はこういう意見を持つのですが、大臣、この点はどうお考えになりますか。
  131. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 高山さんの発想には私も同感です。しかし、現実にしからば今度の新五カ年計画で、終末処理については政府の負担において実行するということまでは、いまなかなか困難です。したがいまして、今後これはこの新五カ年計画を実施の過程で、いろいろとこれは矛盾あるいは改善すべき点があると思いますから、その中の一環として検討——私は端的に申しますれば、公害に関する立法は、先般も申し上げましたように、非常にこれは早々の間につくったものです。そこで閣議でもいろいろと実は議論しまして、こんなにあわててやって、あちこちに漏れるものがたくさんあってもいいのかという議論も実はあったのです。普通ですと、これだけの立法をするには三年以上かかります、従来の経験からすれば。しかしながら、それでは国会対策上の答弁に、論陣を張るのに完ぺきを期するために、公害は三年ほうっておいてもいいというのはおかしいじゃないか、政治というものは常に現実の問題を、完全でなくても前向きに先取りしていくということが必要なんだ、だからやるべきだという主張がわれわれの主張で、総理もそのために決心をされて、それではひとつやろうというためにわずか三カ月ですよ。その間にいろいろの欠陥もあるということは、われわれ実は承知です。まして財政上の措置が、従来はいろいろ答弁はしておるものの、新全総においても、あるいは新しい社会経済発展計画でも、公害がこれだけ深刻に広範に出るということは、実は一応は予測しても、これほど深刻に考えていない。したがって、財政手当ての総合的なワク設定も、これはやってみると非常に矛盾があると思います。しかしながら、あえてこれをやらなければならぬのは、現在の国民の御意向であり、国会もこのままにしておれない。それならば政府も、ただ単に答弁の完全を期するために、立法体系の完ぺきを期するために時間をかせぐということは適当ではない。これはやはり立法の過程で、ここに欠点がありますよと、ここにはこういう足らない点があるということをどんどん指摘し、それをやはりわれわれも認めながら、次の段階を経て完全にしていくという努力をすべきだと思います。そういう観点に立って高山さんの御指摘、私は同感です。同感だが、同感なるがゆえにいますぐおまえ手を打てと言っても、現在は困難であるが、今後さらに実行の過程でそれを是正してまいりたい、こういう考えでございます。
  132. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 できぬということになると何もできぬということになるのですが、私も研究してもらいたい。と申しますのは、私は岐阜市に住んでおるのです。大体当時十八万くらいの人口も今日四十万になっております。処理場が小さいのです。どうにもならぬのです。その岐阜市が日本で進んでおるのです。六〇%以上下水道は完備して、水洗便所もある程度進んでおるところなんです。それが二十年か三十年にして、受益者から金を取ってつくって、またやり直して、また受益者から金を取るという、そんな政治がありますか、私はそれではいかぬと思うのです、政治は。現実の問題、先取りをするということは、先を見越してつくるということだと思うのです。私はそういう意味大臣に、何とかして処理場だけは、二百万になろうとも三百万市民になろうとも、もっと完備したものをつくるべきだという考え方を持つわけです。ちょうど私はフランスに参りまして見てまいりましたが、フランスの市民が、いまパリ都市部だけでこれが二百八十万ですよ、その処理場を見ましたが、日本の処理場も二つ三つ私も見ておりますけれども、面積的に問題になりませんよ。フランスの処理場というのは公園です。そういう高度な計画を、日本はいま国民のこれだけやかましい時代に、地方自治体にまかせて、二分の一の補助金だけを出せば、地方自治体が建設して処理すべき問題だという考え方自体に、私は大きな誤りがあるのではないか、基本的な考え方です。けれども、それも不可能だと大臣おっしゃるから、それならば処理場だけはせめて政府の大きな力によって高度なもの、将来の人口の増加を見越してやれるもの、こういうものをつくっておくべきではないか、それは子供の時代、孫の時代まで使うことになりましょう。そうでなければ、こういう公共施設に対する投資というものは、全く十年ごと、十五年ごとにやり直しをしなくちゃならぬというような考え方であれば、私は政治じゃないと思うんですね。それはどろなわ式だと思うんです、こういう施設にそんなに三十年の間に二回も改善しなきゃいかぬというようなやり方をするのは。したがって、やっぱりこの点は、私が申しますように、せめてこの下水道というものは、いまこの際、大臣はどうにもならないとおっしゃるけれども、終末処理場だけは政府がモデル的なものを三つか四つつくってみて、そうしてこれを各地域に今後人口がふえる過程においてやるというような方法もありましょうから、十分いま検討すべきじゃないかという、私はそういう意見を持つわけです。その点どうですか。いまどうにもならぬという考え方は、将来禍根を残すということでありますから、速急にやっぱり研究をしてやるという方針を立てていただくのが正しいのではないか。そうしますと、たとえば一カ所モデルができます、そのモデルを地方自治体がほんとうに見て、これならば地域住民が反対する要素がないというならば、私はあまり反対起こらないと思うんですよ。いまのような処理状態を想像すると、みんな地域住民も反対しますよ。これは私にしても反対すると思いますね。けれども、高度なそういうものをつくれば、地域住民だって、これならばたいした問題はないじゃないかという考え方に変わってくるのではないかと、こういうふうに思うんですが。したがって、研究を速急にやっていただくという点ではどうですかね。
  133. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほども申し上げましたように、発想については私も同感を示しておるけれども、現在の五ヵ年計画で、私が責任ある立場で、この五ヵ年計画でそれを組み入れるということについては、現段階では財政当局との間で意見が一致しない、だからこれは困難でございます。しかし検討は当然すべきだと思うんです。そのために、先ほど申し上げましたように、私はやはり財源の問題が一番大事なんでございますから、そのために下水道建設公債のようなものを制度的に考えていいじゃないか。この問題が取り上げられる段階になりますれば、それだけの財源措置が出ますから、それの使い方の第一歩として、私はいま御指摘のような問題を取り上げることは適当だと思っています。  それから、先ほど言われましたように、この終末処理場の設置について、非常にいままで抵抗のあったことは事実です。これは主として実はし尿処理と大体同じところにやっておったために、し尿処理の環境の悪化に対する抵抗でございます。で、これはどうも日本の国民は、自分は被害を受けたくない、しかしながらし尿処理はどうしてもやれ、しかし、自分のところにつくっちゃいけない、みんなそういうことじゃできないということでございまして、しかし高山さん御指摘のように、欧州では大体都市国家から出たところだから、都市は非常に多くの公有地を持っておるんですね。そうして、その公有地は非常に広範なものを持っていますから、御指摘のように、公園とそうしたものがうまく組み入れられて、非常にきたない感じなくして処理されている。ところが、日本では都市化されたところは、ほとんど大部分が公有地をどんどんどんどん実は戦後むしろ少なくしたというような傾向すらあるから、何か一つやるとなると、私有地を買収しなければならぬ、財政上の限度がある、そうすると面積が狭い、そうすると環境汚染になるから反対だという悪循環がきておると思うんですよ。そこで、私は、これはまだ河川局のあたりじゃだいぶ議論がありますけれども、田子の浦のヘドロとは違いまして、私は、処理はできるというはっきりした技術的な裏づけがあるならば、河川敷をもう少し活用してもいいと私は実は自分では方向づけしているんです。河川管理上危険がない、第二次公害は絶対にない、重金属なんか含まれないところであるならば、いまかなり相当の面積のあるところもあるわけなんで、そういうものをもう少し活用してやらないとできないのじゃないかということで、実は事務当局に検討を命じておるのです。これは考えるべきだ。そうでないととうてい、これはもうお互いに都合のいいことばかり言い合って、責任はだれかに負わせるということでいったんではだめだ。どこかでこれは救済の方法を考えなければならぬ。特に大都市周辺では場所によってはそれがあるのです。いまの緑地として残すところもあるし、緑地として残すとなれば、いま御指摘のとおり、高度処理ができるという技術的裏づけがあったならば、そこも使ったらいいじゃないかとすら考えているのです。その点も前向きに研究してみたいと思っています。
  134. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 実際問題として、これも松永委員が強く何回も主張されておりますが、今後そういうことを考えると思いますが、受益者負担ですね。これらの問題ももっと考える必要があるんじゃないかと思うのです。むろん現在の政府の資金の面ではどうにもならぬと言っておりますけれども、大蔵大臣答弁でしたか、今度の予算の主体は公害と物価だと言っておりますから、私は思い切ってやられるのじゃないかと思うのですがね。そういう点は、どうして受益者負担というものをもっと考えなかったか。全くこれは地域の住民としてはだれが考えてみても矛盾しておると思いますね。  それから受益者負担について、先ほどもちょっと基準についてありましたが、土地の面積に応じて受益者負担というのを考えておるが、地方の実態ですか、この点はどうなっておるのですか。
  135. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 受益者負担ということで、費用を徴収する場合におきましての考え方は、御指摘のとおり、排水区というものをまずきめまして、排水区域内の土地の面積でございますか、その面積の割合に応じて負担金をかけるというふうな考え方、むろんもとになりますのは、事業費の何分の一というふうなことになるわけでございます。
  136. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 土地の広さだけでなくて質も問題ですね。しからば私はお聞きしたいのだが、面積ということになりますと、いまみたように、五十坪のところに五階建てのビルが建っても五十坪の面積でしょう。平屋一軒の七十五坪の建物、その負担のほうが多い、こういう矛盾があるんです。こういうことでやる、受益者負担というのは。だから、これも山田さんでしたか、から御質問があったように、もっと基準的なものかなんかを考えるべきじゃないかと思うのですね。いま五階も六階もする建物がたくさんある。これはむろん使用料を払う場合にはよけい払うのだろうけれども、土地の面積で受益者が工事費を出すという場合には、わずかな金を出すにすぎない。平家で一軒建ての七十五坪の人のほうが負担をよけいする。実際それを使う場合は、ビルでは五十人も六十人も使っておる。こういう矛盾があるわけです、受益者に負担をさせるというのは。そういう点どう考えているのですか。
  137. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 一律面積割りで負担金をかけるという考え方につきましては、先生御指摘のような矛盾が実はあるわけであります。私どもは今後の負担金制度の運用の指導にあたりまして、いろいろ改善を加えていかなければならぬ点はいろいろあろうと思いますが、御指摘の点もその一つかと思います。現在はその点は土地を高度利用いたしました際は、当然その排出されますところの下水の量も多くなるわけでございますので、それは使用料のほうで応分の負担をしていただく。また工場、事業場等につきましては、量のみならず水質の点につきまして、いろいろ問題があるわけでございますから、そういう場合は、今回の改正でも水質使用料というようなものを新しく考えまして、量に加算しまして応分の負担をしていただくという考え方でおります。しかしながら、使用料と負担金の関係につきましては、いろいろこれから、御指摘の点も含めまして検討すべき点が私はあろうかと思いますので、十分そういう点を研究しながら改善策を講じていきたいと思っております。
  138. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いや、私は今度の法案で地方自治体にまかすという基本原則の上に立ってやっておられる中で、そういう矛盾点がたくさん出てくるわけだ。いま日本には一階建てのビルなんというのは建っていないのですよ。二階以上なんですよ、御承知のとおり。東京見たってそうじゃありませんか、これからはみなそうなる。それを昔のままの基準で地方自治体がやっておるわけだ。だから、そういうところに矛盾がたくさん出てくる。新しい法律をつくっても、その矛盾点を是正しなければ、そんな負担を出すのならやめると、こう言う。地方自治体の市会議員なり県会議員に一ぺん聞いてごらんなさい。あなたのところで八千円取られるんだからこれでひとつ何とかこれを了承してくれ、と。そんな金のことは一銭もよう言わないですよ。何言っておる、そんなもの国でつくれ、と言うですよ。また、それは当然ですから……。したがって、もうそういう矛盾点をやっぱりこの際是正するということにならなければ、私は下水幹線をつくって終末処理場をつくる。そうして、それから後のあるいは公共下水道は全部地方自治体がやる、その補助率は四分の一だ——一体これでやれるか。これは松永さんがしつこく言われましたから、私も言いたくないけれども、私も同じ考え方です。やれるか、ということです。  そこで、大臣に私一つだけ、これは私の試案ですが、申し上げたいことは、絶対取っちゃいけませんよ、こんなもの。私も反対ですね。けれども、それがどうしてもいかぬとおっしゃるなら、電話のような公債を発行しませんか、設備公債を。いま日本人は、御承知のように、貯蓄精神が強いですから、せめて十年公債ぐらい、あるいは二十年の公債ぐらいにして、この利子は政府が持つ、そういう方法もありましょう。公債をどんどん買ってもらう。そういう何かやり方をしなければ、予算はわずかだし、大きなふろしきは広げたわ、実際にやれるのですか、大臣。と言って大臣を責めてみたところでしょうないですからね。そうじゃなくて、私らが見ても、私らが法案でいろいろな説明をお聞きしても、ああ、これなら今度はできるなというなら質問せぬでもいいのですよ。けれども、あまりにもふろしきが広がったのに、実際にやってもらうという面についてはあまりにも隘路が多過ぎるじゃないか。しかも、一般地域住民に負担をかけてこれを処理しようという考え方は、非常にこれは問題が多過ぎる。地方自治体はそんな余裕のある今日の現状ではない。しかも、また公害を除去しなくちゃならぬ地域というのは、急激に人口のふえたところですよ。私が先ほど申しますように、二十年、二十五年の間に倍になったとか、これは公害の対象になってこれを必要としてやらなくちゃならぬ地域です。こういうことを想像いたしますと、何としてもこの受益者がその負担をしなくちゃならぬということでは進まないんではないかという考え方を持つわけです。その点では大臣ももう何回も説明しておられますから、私はいまさら追及はしませんけれども、私は一つ考え方を申し上げてみたいと思うのですが、大体もう御承知のように、先ほども申しましたように、政府はですね、これ大臣もお考えになっておるのだから、起債でも地方債でもどんどん発行されたらどうですか。これはその二五%はそれで全部まかなえ、そうして、返済を二十年と、こうしますか。そうして、基準財政の需要額にして、あるいはまたそれの財政の収入額とのバランスがありますから、それは政府が地方交付金でまかなうというふうになっておるのだから、そのバランスの赤字の場合は地方交付税でまかなえばいいじゃないですか。これは一つの案ですよ、私の。何かそういう安心してやれるというようなことをお聞かせ願わぬと、どんなりっぱな法律ができても先に進まない。といって、お前がやらぬかという命令も下せない。こういう事態の法律が今日の現状だと思うのですね。せめてこの程度のことでも考えてやっていくとおっしゃるなら、それならできるなという私は考えを持つわけです。なかなか私自身にも岐阜市受益者分割金がいまきています。土地割りで一万何がしかだと思っています。この土地割りも私は矛盾を感じておるのですけれども、それもだいぶ不平が出ておる。だから、できないようなことを何ぼきめてもらってもだめじゃないか。というのは、例えて申しますと、先ほど、法律にあるのですが、水洗便所にちなんで話がございましたが、清掃法で政令できめて今後やるということですよ。これはほおりっぱなしですよ。清掃法はできたけれども政令はできてないですよ。今度の法律でも政令できめるというところが至るところにある。何ぼ法律をきめても、政令がきまらないというのが今日の現状である姿を見て、私は可能かどうかということになると不可能だというような気がする。疑うわけじゃございませんけれども大臣は先ほどおっしゃったように、国債発行してもいいというお考えですから、私はもう全部それをやらすということをやらなければ実現は不可能だ。私は、だからといって原則的に受益者に負担させるということを賛成するわけじゃないですよ。それをやめて、どうしてもそれをやめられぬというなら国債でまかなえ、こういうことを申し上げておるので、大臣はこの点どうですか。
  139. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほど来申し上げましたように、これは現段階においては閣議の了承は得ておりません。それから、関係省も必ずしも私の意見にはまだ同調していませんが、私は、下水道をこれだけ急速にやらなければならぬ場合には、他の建設公債と違った意味において、特殊な扱いとして下水道建設公債を出すべきであるとの私の個人というか、建設大臣としてのそれを持っています。これは主張しているのです。なかなかまだそこまで熟していません。したがいまして、今度の新五ヵ年計画の中に国債をその中に入れるという条項は入ってない。しかしながら、私は、実施の過程においてこれは前向きで検討すべきだということを、関係の二、三の閣僚にはいま強く主張しております。党側にもこれは要請しております。そうして、これが実現までの一つの経過措置として考えられることは、いまの利用債ですね、この利用債は国で出さなくても私は都道府県単位でやらしていいのじゃないか。現在御承知のように、各都道府県には公社的なものをいろいろ持っています。ここにその仕事をさして、これは場合によれば法律上の何かの規定を設けて、下水道については利用債を発行することができるという根拠法をつくってでも、各都道府県で、たとえば公害廃棄物の処理、下水道の処理これについては地方公社をつくってよろしいと、それにはこれだけの権限を与えるというようなものをつくることも一つの方法だろうということで、これは内密に実は、私はひとつ関係方面の研究をお願いすると同時に、同調を求めておると、こういう段階でございます。
  140. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それではその点は強く私も要望いたしまして終わりたいと思いますが、次に先ほどもちょっと出ましたけれども、この現在のくみ取りですね、水洗化三年期限つきでやるという事前の処置をいまいたしておりますくみ取り、このくみ取り料金は各地域とも取っておるんですが、採算の合うようなくみ取りをやっておるんですか、その点は調べたことがありますか、料金を取っていますね。
  141. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) くみ取り関係は清掃法に基づきまして実施いたしておりますものでございまして、実は厚生省の所管でございます。私どものほうで詳しいことは承知をいたしておりませんが、大体伺っているところによりますれば、くみ取りの費用をまかなうだけのくみ取り料は取っていないんじゃないか、手数料的な意味においてくみ取り料を取っているというのが実態じゃないかと伺っております。
  142. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それからもう一つお聞きしますが、この流域下水道幹線をつくるのについては、大部分の工場排水といいますか、それを含むところがあると思うのですね。ところが、工場の現在既存の場所として河川に近いところ、沿岸に近いところとか、こういうものはこの排出されるものに対して何もこの流域下水道を使わなくとも直ちに河川に流すことができる、あるいはまた沿岸に流すことができるという地域があると思うんですよ。これは静岡のヘドロの問題は、そういう一つ地域です。直ちに流したわけです。そういう地域があると思うが、そういう地域の排水物については基準だけでしか、防止する方法はどこの法律にも載っていないと思うが、そう考えていいかということ、どうですか。
  143. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 御指摘の点は、下水道法関係から申し上げますと、下水道整備されましたその区域内にありますところの個人はもちろんのこと、工場、事業場につきましても、できましたならばこれに下水に流し込まなきゃならないという、そういう義務づけが下水道法の十条で規定されております。それがたてまえになっております。しかしながら、御指摘のような工場、事業場等の近くに川があって、直接放流したほうが経済的である、また水質等も冷却水とかいうことで、要するに水質公害がないということでいいというような場合につきましては、ただし書きでもって下水道に流し込まなくてもよろしいという許可を与えることができると、こういう立て方になっております。ところがそういう直接公共水域に放流いたしますものにつきましては、今回提案されておりますような水質汚濁防止法関係で、今度は公共水域の水質基準等がきめられますので、その水質基準の面からも排水につきましては規制を受けるという関係になってくるわけでございます。
  144. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 したがってそれは認めることになるわけですね。たとえば極端な例を申し上げるわけではありませんけれども、沿岸の近くの最近埋め立ての工業都市というのがたくさんできていますね、そういうところからわざわざこの流域に引っぱるということは相当の経費もかかる。ところが排水される一歩手前で海水を取って五倍の薄いものに薄めてしまう。そうすると〇・五PPM以下だといったらそのまま流してもいいということになりますね。あなたのいま答弁を聞くと、それはいいわけですか。それはむろん許可を受けるわけですけれども、それでいいわけですね。実際は一・五五PPMの廃液であるけれども、海水から、ポンプを引っぱって一いま海水でもくさらない、ビニールの何ができておりますから、それでどっと五倍も六倍もうめてしまって、そして流してしまえば、〇・五PPM以下に下がった、これでいいんだと、こういうことですか。むろん許可を受けなければなりませんが……。
  145. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下水道関係はいま申し上げましたようなことで、許可を受けなければならんということになりますが、あと水質汚濁防止法関係で、そちらのほうの系統でいろいろ公共水域の水質基準なり、そういうものがきめられますので、個々具体的な場合におきまして、その基準に合致しておれば、そういう水域、海域に流すことについては問題はなかろう、と存ずるわけであります。
  146. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう時間がないようですからいまのをちょっと詰めたいと思うのですが、もっと詳しくこれを詰めたいと思ったのですがね。これこそ工場団地でなくても、その地域の何は絶対的にやはりここならここへ持ってこなければいかぬという規制をしないと、検査に行ったって、毎日行っておるわけではないですからね。その特殊を認めるという行き方になっておりますから、それを認めたら蓄水して、晩、だあっと流してしまって、そして沿岸の漁業に対する大きな公害が出たといっても、これは処理のしょうがないでしょう。昼間だあっと海水を取って何倍かうめてしまってもこれは公害防止にならないのです。そこらはもっと詰められてしかるべきではなかったかと思いますけれども、あなたのおっしゃるように、やはり厚生省関係基準にゆだねておるのだということになると、これはやはり防止になりませんね。そういうものこそ企業の負担でやはりうんと責任を持たしてやるべきだ。むろん県もそれによって何がしかの援助しなくてはならんのですけれども、そういうやはり規制にしなければ、ごまかしのできる範囲内の公害防止だなんということを考えておったんでは、日本の現状の公害防止に対抗できないという観点に私は立つわけです。私はあなたに質問しても、それは厚生省の基準ですとおっしゃるなら、下水道法律をつくる限りにおいては、そういうことまでもっと微に入り細にわたって私は規制をすべきではなかったかということを申し上げたい。時間がありませんから、ひとつその考え方だけをお伺いして私の質問を終わります。
  147. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 先ほども申し上げましたように、下水道法のたてまえは下水道整備されました区域につきましては、すべてのものは下水道に下水を排出しなきゃならない、こういうたてまえが原則になっております。先刻申し上げましたごく特殊な場合におきましては、その例外を認めるということでございますので、今後公共用水域の水質環境という観点からいきまして、この例外的な許可の運営については、きびしい態度で私どもは臨んでまいりたいと思いますし、かりにそういう許可をいたします際には、水質汚濁関係のこれは経企庁なり厚生省の関係になろうかと思いますが、そちらの係官とも十分調整をとりながら、運営をやってまいりたいと考えております。
  148. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ、いまの微に入り細に入りもっと規制を……。原則はわかっておる、私もわかっておる、その規制は政令でやっぱりきめるということですね。取り扱いについての考え方、つまり許可をしていって、それが防止できなくて災害が起こったということになれば何にもならない。徹底してないからその点私は強く申し上げておるのですが、検討して、むろん厚生省の責任においてやらす場合もありましょう。そういう場合にしても、やっぱり建設省としてはどういうわけでこれを厚生省の企画だけに求めるのだという場合は、政令でもっと強く私は規制する必要があると思う。
  149. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 現在問題の下水道法第十条の関係の例外の許可をいたします際の政令の基準施行令にこまかくきめられております。この基準によりまして、私どもは指導をいたしておるわけでございます。
  150. 春日正一

    ○春日正一君 具体的な質問に入る前に、公害防止の問題についての大臣の基本姿勢をひとつ聞かしておいてもらいたいと思うのです。というのは佐藤総理は「福祉なくして成長なし」ですか、そういうことを言いますけれども、私は「反省なくして改善なし、」そう思うのです。政府の反省というのはあまり聞いてないんです。だから非常に公害がこんなにひどくなってきたのかということへの反省と、それから公害防止についての大臣の決意、そういうふうなことをまずお伺いしたいと思います。
  151. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 「反省なくして改善なし」その点について私も同感です。特に下水道の問題については先般来いろいろ申し上げましたが、政府も非常におくれておりましたけれども国民意識が日本では非常に欧米より違っておったんです。御承知のように、欧米に比べて五十年というか、私は五十年じゃなくて二百年違っておると思います。欧米ではあの当時、狭いところに何十カ国があり、しかも降雨量が少ない、川が少ない、そういうとこうにしょっちゅう平素はペスト、コレラとか疫病が蔓延した。戦争のたびごとに疫病が蔓延したということで、都市においては上水道と下水道は必須のものとしてこれがなされてきた。ところが、日本ではごく最近までは人間の排せつ物は全部宝として、肥料としてみんな還元、大地に還元してこれで終われりとした。それから川の水が非常に豊富で降雨量が多いものだから三尺流れれば水清しというところで屎尿を流すことが一つの習慣になってきた。そのために廃棄物は自然に還元するということできたために、特に下水道はたいへんなよごれをしております。ところが戦後の高度成長と都市集中、それから生活意識が変わったために、いままでの大地に還元したものを全部、農民まで肥料に使わない、そこに水の汚濁が急速に環境悪化すると同時に人間生存、そのものの一つの脅威になってきた。ここに大きな反省が地方自治体においても国においても、それから国民においても急速に高まってきたのが原因である。それを受けて現在われわれは第三次五ヵ年計画を策定しておりまするが、そうした背景が深刻にしてかつ長かったために、これからの出発がそれだけにむずかしい、だから一挙にいけないところに難点があるから、私は現在の可能の最善をまず尽くして、そうして実施の過程でどんどんどんどんこれはとらわれずに、一年たってこれはいけないと思ったら、これは改善したほうがいいんじゃないか、規模においてもやり方においても変えていいんじゃないかということを、実ははなはだ無責任なようですけれども、私はそれが一番健全な取り組み方だと思いまして少し大胆にこれを、いま提言している次第です。
  152. 春日正一

    ○春日正一君 具体的な問題についてお聞きします。やはり下水道整備するといっても、これは入れものですから、結局中身がどれだけきれいにされるかということと、それからその入れものがどれだけの早さで整備されるかという問題。そこに問題がかかってくるのじゃないか。いままでの質問も主としてそこにやはり皆さん集中されたと思うのですけれども、そういう意味環境基準について最初にお聞きしますけれども、九月一日に閣議決定した四十九水域環境基準について、この基準値が実現すれば河川のよごれがどの程度きれいになるのかという問題、それからその達成期間、どのくらいの期間基準値が四十九水域について達成されるのか、その点聞かしていただきたいです。
  153. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 環境基準は九月一日に閣議決定をいたしました分は、生活環境項目といたしましての基準の各水系への類型の当てはめでございます。その類型値によりましていろいろ数値が違っておりまして、どのくらいきれいになるかということは一律ではございません。一応類型値といたしましては、それぞれの該当する水域の利水目的に対応して、その利水目的を満足するまでになるということでございます。たとえば水道の通っておりますところ、あるいは魚の生息として水産業に使われておりますところ、あるいは農業用水として使われておりますところ、それぞれの目的に対応いたしまして一応対応するだけの水質になるということでございます。ただ一般的な目的がございませんで、単に環境保全というものだけの目的しかないところ、これをどのくらいにとるかということが、非常に類型値をきめるときに問題になったのでございますが、一応日本の現状の水質汚濁の状況から見まして、環境保全上の問題といたしまして最低の限度といたしまして、少なくとも悪臭を発するような河川ではなくなるようにしたいということで、いわゆる一番最低のランクのE類型というものをその限度をもってきめております。ですから、もちろんそれがいいかどうかの問題は、今後の問題としてさらにこれをレベルアップしていかなければならないだろうということはあろうかと思います。それからそれ以外の利水目的のあるところにつきましては、それぞれの利水目的を満足するということを念頭に置いてきめております。それから環境項目の達成期間につきましては、閣議決定におきまして原則として五年以内ということになってございます。ところが、水のほうの環境基準達成には先ほどから問題になっております下水道整備ということが非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。そのような観点から下水道整備の物理的な限界、あるいは財源的な限界もあるわけでございます、国力としての限界もあるわけでございまして、どうしても原則といたします五年以内に達成しないという水域が出てくるわけでございます。やむを得ません、その水域につきましては五年をこえるところもやむを得ないけれども、できるだけ可及的すみやかに達成するということにいたしておりまして、私どものほうといたしましては、この環境基準閣議決定いたしますときの各省との協議のあれといたしましては、少なくとも十カ年以内ということで、十年以上の分はない、まあ十カ年という節を考えることから一応九年以内ということをきめているわけでございます。そのような場合におきましては、五年のところにその中間の暫定目標をつくりまして、一応計画的に達成に持っていこう、このような考え方で決定しているわけでございます。
  154. 春日正一

    ○春日正一君 それで、これは非常にたくさんなものですから、一々こまかくというわけにもいかぬと思うのですけれども、これをずっと見ますと、特に大都市ですね、東京なんかの場合を見ますと、一〇PPM以内というような、たとえば東京でいえば呑川、内川、立会川、目黒川、古川というような小さい河川が非常によごれている。これを一〇PPM、しかもそれは順位からいえば八ですから五年ではできぬ、いま言ったような十年以内というようなところへ入ってしまうというふうなことになっているのですね。そこで、この一〇PPMという程度で満足すべきものかどうかということですね。一〇PPMになれば都会の河川としてまあまあというふうに政府考えておいでになるのか、あるいはもっと、さしあたっては一〇PPMだけれども、じゃあ十年たってそこまでいったら、先はもっときれいにするというふうに考えておるのか、その点どうですか。
  155. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 先ほども申し上げましたように、望ましい環境として見た場合に、はたして一〇PPMがいいかどうか、これは非常に問題のあるところでございます。ただし、環境基準と申しますのは、公害対策基本法にもきまっておりますように、政府といたしましての行政目標でございます。いわゆる沖天に仰ぐ太陽のような理想目標ではございません。そのような観点におきましてE類型というものを設けたわけでございます。私どもといたしましては、このE類型達成されました場合には、さらにその上位の類型になり得る施策の方途があるかどうか。施策の方途があれば、当然さらにその上に上がるということで、その時点でさらにそのE類型達成された時点においてその上の類型に上がり得るかどうかということを検討いたしまして、上がり得れば、あらためて類型値を変更いたしまして、その目標に向かって行政を進めたい、このように考えております。
  156. 春日正一

    ○春日正一君 大体この基準でいきますと、飲み水に使うのは一PPM以下、ヤマメやイワナが住めるのが二PPMですか、それからコイやフナが住めるというのが五PPM、一〇PPMこえると悪臭が出る。だから、都会の川がくさくならぬ限度というのは、ほんとうにもう最低限度だと思うのですね。ところがいまあなたが、そうやってみて、さらにそれ以上きれいにできるような可能性があるならというような、たいへん心細いことを言われたのですがね。しかし、たとえば外国の例を見ても、ソ連の六一年の基準では全BODで三と六というような相当きびしい規制をして、これでも不十分ということで、六七年には改定している。同じ資本主義国のフランスでも四級に区分して、最低級でも魚が生息できる程度というふうに規定しています。そういうふうにしますと、日本で技術的に不可能ということはないと思うのです、同じ資本主義国のフランスで可能だというんなら。ということになれば、やはり少なくとも大都市の川に魚が住める程度のものということをねらって、これはきょうあすにやれといってもできないとしても、そこに一日も早く到達するというような目標を掲げるのが当然じゃないのか。その点では、この目標、こういうきめ方自体の中に公害を悪化さしてきた考え方があるのじゃないか。まあくさくなければいいじゃないか、とにかくそこまでというようなことでしてしまったから、またいろいろ集まってきて、これはぐあいが悪いということで問題が大きくなってくる。初めからやはりそういう目標をはっきりきめて、そこへ具体的に進んでいくような努力をすべきじゃないかというふうに思うのですけれども、その点はどうなんですか。
  157. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 私どものきめましたこの一〇PPMと申しましても、現在の川の状況がひどいところになりますと、六〇、七OPPMといったような都市内の小河川の状況でございます。そのような状況から、やむを得ずこのEランクというものを設けているわけでございますけれどももちろん現状がきれいなところを、都市内河川におきましても現状が五なり六なりのところを一〇PPMまで、都市河川であるから、ほかに利水目的がないのならそこまでよごれてもいいのだというような考え方ではないのであります。もちろんこのE類型に当てはめなければやむを得ないというような河川は、都市内の河川で現在何十PPMというような川でございまして、やむを得ずこのE類型を設けた、私どもこれが決して理想像であるというふうには考えておらないわけでございます。その点御了承願いたいと思います。
  158. 春日正一

    ○春日正一君 そこでですね、暫定目標ということが言われていますね。「水質汚濁に係る環境基準について」昭和四十五年四月二十一日閣議決定というこの文書の四ページですね。ここに「当面、暫定的な改善目標値を適宜設定することに」云々というふうになっていますけれども、大体それでどの程度に改善されるのか。大体暫定目標の期間というのはどのくらいのものか、そこを聞かしてください。
  159. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 先ほど御説明申し上げましたように、五年をこすものにつきましては、計画的にこれを実施していく、九年先の目標だけを打ち掲げておきまして、その間の段階的な達成ということを考えないのでは問題がございますので、この五年間の間の五年目といたしましての目標を掲げましたのがこの暫定目標でございます。たとえば一般の場合におきまして、一般の類型におきましては、一ランク下の類型を目標とする、たとえばB類型が九年かかるということでございますと、五年の目標でC類型までは達成させよう、さらに残りの五年でB類型まで持っていこう、このような考え方でいたしております。そこでE類型のところは下のランクはないわけであります。そのようなケースにつきましてはBODを指標といたしまして最終の九年目の目標を一〇PPMといたしているのでありますから、五年目のところでそれを何PPMまでよくしていくかというようなことで、たとえば隅田川におきましては一二PPMというようなものを暫定の目標としてきめてございます。ですから現在隅田川はだいぶきれいになりまして、二〇から三〇をこしておりましたのですが、現在二〇を割ってきているようであります。これは五年目に一二PPMまで持っていきたい、さらに九年目にはEの類型まで必ずなるようにしたいと、このように考えているのであります。
  160. 春日正一

    ○春日正一君 非常によごれておるから五年では一〇PPMまでいかぬから、とりあえず隅田川の場合なら一二とかあるいは綾瀬川の下流なら一五とかいうような暫定目標をつくっているというふうに言われるのですが、それもわからぬことはないのだけれども、しかしこの基準値の達成期間というのは五年でも私相当長いと思っているのです。長過ぎるような気がする。そうして一番汚染のひどい大都市の河川の汚染防止がこういうふうにおくれて十年もかかるというのは、これは少し不合理なんじゃないか。大都市で一番人が住んでおるところで、そうして汚染が一番ひどいところなんだから、こういうところこそもっと早くやらなければならない。非常によごれがひどいけれども、それだけに早くやらなければならぬと思うのですけれども、それはどうしてその達成が十年かかってというふうにおくれるか、そのおもな理由はどこにあるのですか。
  161. 西川喬

    政府委員(西川喬君) この達成期間のおくれの一番最大の原因は下水道整備でございます。排出規制の実施におきましては、これは企業のほうに除害施設をつくらせばいいわけでございますが、大体除害施設の設置期間を見ましても、一年なりあるいは技術の開発も含めまして段階的にやっていくとしましても、大体二年ないし三年では基準を守れるようになります。ところが大都市におきましては、すでに排出規制のほうの実施は限界近くに達しております。下水道整備も、工場、事業場同じように、下水道の処理場と同じ施設にしなければいけないというところまで規制をいたしておりまして、これ以上の規制強化ということがちょっと考えられない。しかも、汚濁源となりますものは、ウエートが一般家庭の汚水のほうが多くなってしまって、下水道工場排水のウエートが三〇%、四〇%とか、すでに半分以下になりまして、六〇%、七〇%が一般家庭の汚水である。一般家庭の汚水は、汚濁防止法におきましてもいわゆる排出規制になじまないものでございまして、どうしても下水道整備していただかなければいけないということでございます。この下水道整備が一番重要な問題、しかも都市内の小さな川におきましては、東京の城南河川あるいは隅田川におきましてもそのようなケースにも近いわけでございますけれども、流量が非常に少ない。もうほとんど流域一帯が宅地化してしまいまして、保有流量がほとんどない、入ってくるものは下水ばかりということになりますと、現在下水道整備におきましても、一応の現在行なわれております基準では、高級処理、二次処理をいたしましてBODが二OPPMでございます。そういたしますと、二OPPMの水が入ってくるわけでございますから、しかもほとんど下水ばかりということになりますと、これだけではとうてい川はきれいにならないということになりまして、下水のほうにおきましては、さらにこれは高度処理をしてもらわなければいけないというようなことになってきているわけでございます。この高度処理のほうの技術開発その他の問題もからんでまいりまして、やはりどうしても五年では無理だというような問題になってきているわけでございます。
  162. 春日正一

    ○春日正一君 いまの高度処理の問題、あとから聞きますけれども、要するに下水がおくれる、これが早くできさえすればもっときれいになるということだというふうに私は聞いておるのですけれども、そこでその次に、だから当然下水の整備計画の問題ですけれども建設省の新五ヵ年計画案には四十四年水域基準値確保に幾らの費用を見込んでおいでになるのか、その点から聞かしていただきたいと思います。
  163. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 第三次五ヵ年計画、たびたび申し上げておりますように、まだ建設省から財政当局に対する要求の段階でございます。二兆六千億の五ヵ年の総投資額の中で、この四十九水域関係基準達成のための投資額といたしましては一兆六千四百億程度見込んでおります。
  164. 春日正一

    ○春日正一君 この問題は、この前松永委員の質問で一兆六千四百億、しかし都市計画審議会の試算では三兆二千億と、だから約半分しか組んでないじゃないかということが問題になったように、私ちょうど留守したのですけれども、聞いていますが、そういうようなことではたして十分なのかどうかということですね。
  165. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは次の五ヵ年の総投資額は、現在の環境対策を改善いたしますためにも十分かどうかという基本的な問題かと思います。このことにつきましては、たびたび大臣からもお答えを申し上げましたようなことでございまして、現在の社会資本全体の投資のバランス等からいって、私どもとしましては、これがぎりぎり一ぱいの実は要求であるというふうに事務的に考えまして、実は財政当局と折衝をこれからいたす段階にあるわけです。具体的に四十九水域のうちに、先生御指摘のように、五ヵ年間に達成される水域の中には、大都市関係水域はあまり入っておりません。つまり十カ年内に達成される部類に入っているのが多いわけです。これはなぜかと言いますと、大都市の河川の汚濁の現況は非常に悪いということ、その目標に到達するためにはやはり莫大な下水道投資が要るというふうなこと等から、全体の均衡上、本来ならばそういうところを早くほんとうはやるべきところでございますけれども、投資全体のバランスからいきまして、さような結果に相なっておる次第でございます。御参考までに一兆六千四百億円の私どものこの五ヵ年計画の中の四十九水域関係の投資のうちで東京、大阪、横浜といった大都市周辺関係分としましては、約八割程度の一兆三千億円を予定いたしておるわけです。
  166. 春日正一

    ○春日正一君 そうしますと、先ほど厚生省のほうで言われたんですが、四十九水域を分類して五ヵ年間で、あるいはそれ以外のものは十カ年以内にという形でやるという計画は、この予算でいけますか。
  167. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 四十九水域につきましては、うちの二十五水域はこの五ヵ年間で達成する。残りの二十四水域につきましては次の五ヵ年以内にはおそくとも達成する。ただし二兆六千億という五ヵ年計画を前提といたしましたけれども
  168. 春日正一

    ○春日正一君 それはそのくらいにしておいて、次に、先ほど話のあった高次処理の問題ですね。先ほどあなたが言われたような、つまり東京でのいまの下水の処理する基準なり能力で言えば、最終に処理して二OPPMまで、だから二〇PPMの水が大都市の場合はほとんど出てきてしまうというようなことで、それを一〇PPMにするには、やはり相当大量の薄める水を放流しなければならぬわけですけれども、いま隅田川の場合で言いますと、雨が非常に多くて水量の多かった四十四年の浄化用の水量でも毎秒十ないし二十立米というような数字なんです。そこで隅田川の場合、流域に下水道が完備すれば放流量は毎秒二十五ないし三十というふうに言われているということになると、薄める水も足りないと、先ほど説明あったように。そうしますと、薄めるという方法でも解決つかぬということになると、やはり二OPPMをもっと少ないものに、一〇以下に浄化するという装置を設けなければ、都市の下水の浄化ということは、いまの基準で二OPPMということでいいという状態ではきれいにならぬということになる。一〇PPMという最低限の目標すら達成できないということになる。それについてどういうふうに考えておいでになるのか。大体そういう第三次処理の技術的な見通しというようなものがあるのか、あるいは第三次処理では一万人分について二億円かかるというふうに私は聞いておるのですけれども、そうすると東京で一千万とすると二千億ですか、その分は新しい五ヵ年計画のときには見られるのかどうか。つまり三次処理の問題を、ただそうしなければきれいになりませんよという説明だけではなくて、今度の五ヵ年に組み込むのか、今度の五ヵ年に組み込まなければ、この次の五ヵ年には組み込むのかということですね。これをやらぬことには大都市の水というのはきれいにならぬわけですからね。その辺どうですか。
  169. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 御指摘のとおり、大都市の今後の水質環境基準関係下水道整備につきましては、高度処理と申しますか、三次処理的なそういうことをやらなければ対応できないということは、おっしゃるとおりだと思います。しかしながら、この問題につきましては、経済的な問題もさることながら、まだ技術的に開発しなければならない部分がたくさん残っております。私どもの今後の目標としましては、次の五ヵ年計画の中で十分にそういう技術的な開発の調査をいたしまして、でき得べくんばその調査の成果を早く得て、それをこの次の次の五ヵ年計画に反映さしていきたいと、こういうふうな考えでおります。
  170. 春日正一

    ○春日正一君 そういう研究、ぜひ早いところやってもらいたいと思うんです。  で、きょうの新聞を見ますと、新しい方法で、弗素電解法というんですか、廃液処理ができる。これは埼玉県の国鉄大宮工場で小規模でも実際に使っておって、あすこで出るCOD二〇六、浮遊物質量(SS)四六〇〇というものが、処理後にはCOD六・三、SS三六・八、PH七・九から七・一と非常にきれいになって、これが工場用水としてもう一度使えるというんですね、そういうことが書いてある。そうして、これは川崎の入江崎下水処理、畜産排水、メッキ排水などでも実用化されているというようなことが書いてあるんですけれども、こういう点お調べになったことありますか。
  171. 久保赳

    説明員(久保赳君) ただいま先生御指摘の件につきましては、学会でも発表された論文でもございますし、私どもそのパイロットプラントの実態をもよく調べておりまして、都市下水の処理にそういうものが適応し得るかどうかということを検討中でございまして、十分考えております。
  172. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、別な問題ですけれども、四十九水域以外にも汚染の激しい水域がたくさんあるわけですけれども、その指定はこれからどういうふうにやっておいでになるのかという点ですね。それからこういう今後指定されていく水域下水道整備、これはどういうふうにやっておいでになるのか、その点聞かしていただきたいんですが。
  173. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 四十九水域外の水域の当てはめにつきましては、現在すでに環境基準部会において審議を終えたものが十六水域ございます。それで、さらに現在審議中のものが十四水域ございます。この三十水域につきましては、現行法の体系の中におきまして、国におきまして当てはめ行為を年度中に終わりたいと、このように考えております。それ以降は、公害対策基本法改正によりまして、類型当てはめの問題は都道府県知事のほうに委任することができるということになっております。この委任のしかたにつきましては、まだ県際河川等の取り扱いについて検討いたしたいと思いますが、原則として委任されるということになりまして、来年度以降におきましては、県のほうで当てはめと、並びにそれに伴います排出の規制というものを上乗せ基準等によって行なっていくことになろうと存じますが、その水域がおよそどのくらいになるだろうかというような問題につきましては、今後の県のそれぞれの地域の実情に応じた問題だろうかと思いますが、従来私ども調査水域等といたしまして考えておりまして、大体この程度やればいいんではないだろうかと考えておりましたのが、約二百水域程度でございます。ちなみに今年度予定いたしております三十水域、四十九水域にプラスいたしまして、三十水域を当てはめいたしますと、これで人口で約五五%、それから工業生産額では約七五%というものをカバーいたすことになりまして、相当問題となります水域の重要なものは、おおむねカバーできるんではないだろうかと、こんなふうに考えております。なお当てはめはすでに十六水域について審議を終了しているわけでございますが、当てはめの段階におきましては、建設省のほうとも十分協議いたしまして、建設省考えております長期計画というものによります下水道の投資可能額というものを念頭に置きまして、達成期間というものも、それによりまして定めていくというところでございます。
  174. 春日正一

    ○春日正一君 それじゃ、建設省のほうでは、こういうふうに新しくどんどん指定されてくるものに対して、下水道整備をどういうふうに進めておいでになるか、そこを聞かしていただきたいと思うのです。
  175. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいま企画庁からお答えございましたように、今後の新しい基準設定情勢の進展に伴いまして、二百ぐらいの水域指定されるというふうなお話がございましたが、私どものほうの試算では二百水域のうちおおむね百水域、約半分は水質汚濁防止法工場排水のいわゆる規制強化というものによりまして環境基準達成できる、可能である、そういうような水域であると考えております。したがいまして、残りの百水域、四十三水域を含めました百水域につきましては、工場排水規制とともに、やはり下水道整備でやっていかなければならないという対象の水域になるだろうと存ずるわけであります。したがいまして、これにつきましては、たびたび申し上げておりますように、第三次五ヵ年計画の中で、四十九水域はこれは一番緊急なところということで優先的に考えなければなりませんが、その他のものにつきましても、その事業の効果なり緊急度を勘案いたしまして、定められた資金の中で重点的に配慮していきたい、かように考えております。
  176. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、これは大臣に対する質問ですが、いまお聞きのように、四十九水域指定されておって、それのうち約半分だけが五ヵ年計画の中に入っていく。残りはその次の計画に入るわけでしょう。そうなってしまうし、そのほかにも新しく指定されてくるということでありますし、特にいま言われた暫定基準というような形で——大都市の河川のよごれはひどいものです。私は東京の河川を二日ばかりかけてずっとそれぞれ歩いて調べてみましたけれども相当ひどいものです。綾瀬川の上流の埼玉県境のほうは河川と言えたものではないと思いますよ。そういうような相当ひどいものがある。それをきれいにしていくのに、急に間に合わないから暫定基準でここまでだ、それから先五年でここまでだというような形でやっていったところで、一〇PPMで、くさいにおいが出るか出ないかの境のところでしょう。そうして先ほどの話の中でも出たように、結局下水道整備さえすればこのテンポは早くできるのだということになると、結局下水道整備がどれだけ進められるかということにこれはかかってくる問題だ。だから、そういう意味で言いますと、上のほうから全国的な観点を見ながら予算というものはワクをきめていかれるのですけれども、同時に下のほうからは、現実によごれておるからここを何とかしなければならぬという形で、これから地方に権限が委譲されればそういう施設もできるし、そういう計画も出てくるということになると、どうしても上できめたもののワクをはみ出すようなものが当然出てくるし、またそういうふうにならなければ権限委譲した意味もないわけですから、そうしますと、先ほど二兆六千億という話をお聞きしたんですけれども、やはりもっともっと下水道についての予算をふやす、つまり金額を絶対量でふやすということが一番大事な問題ですけれども、その場合でも前年度に比してどれだけ伸びるのか、全予算の中で下水の予算がどれだけふくらんだのかというようなふうに、目に見えるぐらいに大幅な予算の増額をやりませんと、やはり先ほどから大臣の苦衷はいろいろ聞いておりますけれども、やはりこの問題は早期に解決するというわけにはいかない。ぐずぐずしていればまた現によごれるというおそれが出てくる。そういう意味でやはり下水道の五ヵ年計画というものでは不十分なんだし、これをもっとふやすということをどうしてもやる必要があるんじゃないか、財源の問題について言えば。私はやはりこれほど公害がひどくなったということは、やはり下水道、産業の発展に伴ってあるいは都市が拡大するに伴って必要な下水道施設というようなものがおくれた、アンバランスになったということですから、これを取り返すためには、やはりおくれた部分を進んだ部分に匹敵するほどぐっと広げなければ取り返せないわけですから、やはりこれは緊急の問題としてそれをやる必要があるし、財源ということで先ほど起債あるいは公債論がいろいろ出ましたけれども、そういうことの考えもあると思いますけれども、いまの予算の中でも不急不要な部分というようなものがあるんじゃないか。たとえば五兆八千億で四次防をやるという。なんでそんなにふやして緊急にやる必要があるかということで、私、防衛白書を読んで見たけれども、この五年間にどうしてもそれをふやさなければならぬ緊急性、必要性というものは防衛白書の中では見当たりません。中国が攻めてくるといったような心配はない。朝鮮が攻めてくる、あるいはソ連が攻めてくるという心配もない。最も安全をとって、現実性のあるものは間接侵略であるし、なぜ軍艦をふやす必要があるか、爆撃機をふやす必要があるか。それよりもむしろ下水道整備したほうが、国の政治としてはりこうなやり方じゃないか、五兆八千億ふやすならそれを下水道に回せというほうが、これは決して大向こうの人気をねらうということではなくて、日本の情勢を考えて見て、妥当な議論じゃないだろうか、私はそう思う。それからさらに取るほうからいっても、交際費課税というようなことをすれば、二、三千億取れるだろうといわれておるし、あるいは大都市圏での大企業や何かによる土地投機にこれに適正に課税をするということをしても、これは下水道の財源というものは出るわけです。だからそういうふうな点まで考えて、いままでのつまり二カ年、三カ年、二次、三次とやってきたテンポじゃなくて、これほど問題になったんですから、特別に公害国会を開かなければならぬほど、だからそこを一番先にどう反省しておるかということをお聞きしたんです。その反省の上に立てば、ここをうんと広げてもらう、その点で大臣ひとつ考えをお聞かせいただきたいし、努力もしていただきたいと思うのですけれども
  177. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 下水道の事業量を飛躍的に増大しなければならないということについては、私も全く同感です。その意味で私は努力してまいりました。しかしながら御指摘のように、国全体の財政計画、この中で御承知のように既定経費は自然増のものが非常に多くて、なかなかそこまで、蛮勇をふるっても私のほうになかなかこない。そこでいま最も現実性があり、国民の同意を得られるのは、私はこの下水道に限っては、建設公債を出してもいいということで、もっぱらこれをやろうと、そこまでいくまでの間に、私は地方自治体が主たるこれは経営運営の主体になりますから、そこに利用債の道を法的に与え、政府がこれを担保するということが必要だと思います。これで大体私は相当いけると思います。あとは財源の問題についてどうした、防衛費とか何とかということになると、これは私いまここで議論する立場にありませんから、これは春日さんの意見として拝聴しておきまするが、私はその意味で、先ほど申し上げましたように、今度また新しい五ヵ年計画を、これは財政当局と話をして政府としてこれをきめさせるということがまず第一段階、これができれば、これを達成するためにも、私はいまの公債、利用債をやるべきだ、これが次に出てきます。ここまでできますれば、今度は先ほど来非常に問題になりましたいまの負担の問題、補助対象の問題、これができる。そうしてこれを今度は事業量の拡大というふうに、やはり政治はある意味における戦略、戦術をもっていかないと、観念論というか希望論だけではいかないから、こういうことをやっているのでありまして、十分に今日までの御論議で、皆さんから非常に示唆に富む激励のことば、あるいは今後の研究課題を仰せつかりましたから、十分これらを勘案して、今後前向きに努力したいと思っておる次第であります。
  178. 春日正一

    ○春日正一君 いや、その問題は、ここで性急に大臣を責めてもしようがないから、これから私はしんぼう強く主張いたしますけれどもね。  その次に、国庫補助金について、これは衆議院の附帯決議でも四分の三に引き上げろというようなことがきめられて、政府に要望するということになっておるのですけれども、これをいつごろから実施できるか、その見込みはどうですか。
  179. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはいまの段階ではちょっとむずかしいのです。少なくとも新五ヵ年計画閣議決定ができ、発足してみて、そうしていろいろと地方自治体を今後一年間見れば、相当の傾向あるいはまた先ほど申し上げました特定財源の問題等における方向づけが出てくると思いますから、それに伴いましてこの問題は具体的に取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  180. 春日正一

    ○春日正一君 そこで二番目の問題ですが、大都市の場合、補助対象率が現行の五ヵ年計画が発足して以来、昭和四十二年からの補助率三分の一から十分の四に引き上げてから急に下がっておるのですね、これはどういうことですか。これは数字を見ますと、東京の場合、四十一年度では補助対象率は五七・九、四十二年度で三五・四、それ以下三五・四ですが、それから横浜の場合に五八・二それが五一・七、四三・八、四〇・八。名古屋の場合でも五〇・五、三七・六、三九・九、三九・二と、これはまたちょっと上がっておりますけれども。京都、大阪、神戸、ずっと通じて、傾向としてはそうなんですね。大都市全体として見ると、四十二年度で五七・七から四〇・二それから四十三年度が三八・二、四十四年度三八・三、こういうふうに補助対象率が十分の四に上げてやるぞと言ったときから急にがくっと下がっておるのですが、これはどういうことなんですか。
  181. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) まさに御指摘のとおり、補助率アップが行なわれましたために全体の伸びとの関係から補助対象がダウンされたというそういう相関関係になったわけでございます。
  182. 春日正一

    ○春日正一君 これは問題だと思いますよ。補助率は上げたけれども、総ワクが広がるから実際は補助対象が縮まったということになれば、これは掛け算してみれば大してふえていないということになる。これではいわゆる羊頭を掲げて狗肉を売ると言われてもしかたがないことになるわけですよ。これは当然予算ワクを広げていくわけですから、今度の新しい五年計画では当然これは引き上げられる対象にされるものだと思うのですけれども、大体どのくらいまで引き上げようという計画ですか。
  183. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 第三次の計画におきましては、全体といたしまして六〇%の補助対象率を確保したい。これは一般都市と指定都市で若干その内容を異にしておりますが、全体として六割は補助対象としていく、こういうことでございます。
  184. 春日正一

    ○春日正一君 全体としてそうなんですけれども、私はちょいちょい東京の数字を持ってきてはここで食い違いにぶつかるのですけれども、いま言いましたように、六大都市というような大都市はどうしても金があるからというようなことで対象率を狭められるとか、あるいは起債その他の面でも有利な起債が少なくされるというような扱いをずっと受けてきていますが、しかし今度の下水道の問題が、直接には河川の汚濁がひどくなって、その公害をなくさなければならないということで、この法律改正もされて、計画もされていくというふうな事情を考えてみますと、特別に汚染の激しい大都市の河川で、一番先にお聞きしたように、ほとんどが暫定目標にして十年後というところにいかざるを得ないような実情になっておるということの一番おもな理由というのは、結局財政問題ですよ。これは厚生省の審議官も言われたように、下水道がきちっと整いさえすれば早くできるけれども、財政問題です。そういうことですから、思い切って補助率、補助を行なう対象を引き上げて、少なくとも五年間で基準値を達成できるようにするべきじゃないのか、そういうふうに思います。こういう数字があります。補助金の問題で、東京都の下水の利息を調べたものですけれども、四十四年度の利息の支払い額が八十七億円です。ところが四十四年度のいわゆる下水の使用料収入が六十三億円。だから利息は使用料収入の二八%を利息として払っているわけです、東京都は。それで四十四年度の国庫補助額は五十六億四千万円ということで、利息の六五%に当たる、こういうことなんです。四十五年度のそれになると、これは予算ですけれども、利息の支払い額が百九億、使用料収入七十六億、そうして国庫補助見込み額が五十八億、こういうことになりますと、利息の五三%にしかすぎない、そういう状態です。補助が非常に少ない。下水をつくった利息の半分しか補助がされていないという状態です。これは東京に限らず大阪とかそういう大都市は大体同様な傾向にあると思います。だから大都市で財政的に豊かだから補助対象のワクを締めるとか、あるいは起債のワクを締めるとかということではなくて、まさに公害問題の一番深刻なのはこういう大都市のわけですから、先ほど言ったように、一番先にきれいにしなければならぬ所が暫定目標で十年後に延ばされるというような不合理なことが出ておるわけです。だから当然大都市に対する補助率、補助対象率、これを引き上げて、やはり世間並みに五ヵ年で基準値に達することのできるようなそういう処置をとるべきだと思いますけれども、その点どうですか。
  185. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 先刻私が申し上げました、次の計画で全体として六割程度の補助対象率を確保したいということで要求いたしておりますが、大都市につきましても具体的に申し上げますと、四十四年度の実績が三九%程度になっておりますのを今回四五%、少なくとも四五%に補助対象率をアップしたいということで要求をいたしております。それから、従前は、そういう補助対象率がきまっておりましても、それがそのとおり国費がついてこなかったというところに実は問題があったわけでございまして、新計画におきましては、いやしくもそういうふうに割合をきめた以上は、計画どおりにやはり国費をつけて補助をしていくという、こういう体制を確立していきたいというふうに考えております。  それからなお、蛇足になるかとも思いますけれども、大都市と一般都市は自治省の地方財政にも関連いたしますが、財政の仕組みも違っておりますし、どちらかといいますと、補助金もさることながら、東京都あたりは起債の充当率をうんと上げてもらいたい、こういうふうな要望も強いわけであります。これは東京都だけに限りません。したがいまして、大都市対策としましては、補助対象率を上げるということと同時に、起債の充当率も十分確保していくという方向で、自治省ともよく連絡をとりまして努力をしてまいりたいと思います。
  186. 春日正一

    ○春日正一君 ついでに言えば、大都市で差をつけている例として、護岸、防潮堤、水門などの地盤沈下の対策の事業、これはやはり高潮対策と言えるものですけれども、一般は十分の四、大都市は十分の三と聞いているんですけれども、そういう点でも、地盤沈下というものはやはり国の責任として当然やるべきものなんです。大都市と地方の都市と差別をつけるということではなくて見る必要があるだろうというふうに思います。  それから次に受益者負担金についてですけれども、先ほど来この問題はずいぶん皆さんから質問もされて、これはなくすべきだという意見がたくさんあるんですけれども、これを調べてみますとこういうことになっているんです。受益者負担金制度採用都市の場合、これは私のほうから言います。だからもし間違っておったら訂正してもらいたいと思うんですけれども、四十五年十月末現在で下水道のある都市が二百五十五、受益者負担金の採用都市が百六十七市、六六%がそうなっておる。通達が四十年の十月二十五日に県知事あてに出されている。受益者負担金制度を採用している都市に対しては、国費の補助及び起債の許可を優先的に考慮する方針である、これが出されてから急速にふえて、通達の出る前には三十三市だったのが、つまり下水道をやっているところが二百七市で、三十三市、だから一六%しか受益者負担金制度というのは採用していなかったんですけれども、通達が出されてから新都市計画法が施行されるまでに受益者負担金制度が八十六市ふえ、さらに新都市計画法が施行されて以後今日までに四十八市ふえている。つまり五年足らずの間に百三十四市、受益者負担金採用市の八〇%がこの通達後に出ておるわけです。このことはいろいろきのう以来質疑がありまして、建設省のほうとしては受益者負担金を取れということを強制したり誘導したんじゃないみたいの答弁があったんですけれども、やはりこういう数字を見、この通達の文句を見れば、受益者負担金を取れ、取ったものを優遇するということで強制してきたということは、やはりいなめないんじゃないかと思うんですけれども、この点どうですか。
  187. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) いろいろ御議論がこの問題についてあったわけでございますけれども、率直に申し上げましてこういう通達も出ておりますことは事実でございます。いろいろ数字をあげられました、通達前と後の負担金徴収都市のそういう経緯も大体御指摘のとおりでございます。私たちは、やはり下水道事業を少しでも伸ばしたい、それから、やはり国、公共団体、それから住民が一体になってこの事業を進めていくという基本的な姿勢に立ちまして、そういう観点から、下水道事業の特殊性にかんがみまして何がしか負担を住民もしていただく、それを住民が負担することによって、当該市町村の下水道事業が約束されることになって計画的に促進されるという、そういう期待もありましてこの制度の奨励をしてまいったのであります。そこで、第二次五ヵ年計画におきましては、計画はきまりましたけれども計画どおりに国費が実はついてこなかったわけであります。したがいまして、そういう受益者負担金採用都市におきましては、いろいろ住民との関係で約束もありますので、やはり計画どおり事業を進めなければならないということ等々がございまして、やはり補助金とか起債を優先的につけざるを得なかった。その結果、そのしわ寄せが一般都市にいったことは、確かに事実でございます。そこで、次の第三次五ヵ年計画におきましてはそういうことがないように、要は、五ヵ年計画をセットした以上は、国が幾ら負担をして補助対象割合をどうするということをきめまして、きめた以上は必ず約束どおり国も国費を確保して補助をつけていくというふうな態勢になりますならば、当然事業規模はもう私ども要求どおりでございますから三倍になるわけでございますから、負担金を徴収している都市と一般都市とそういう補助金で差別的な扱いをするというふうなことは、補助行政の上において私はないと、そういうことはなくなってくるというふうに私は期待いたします。
  188. 春日正一

    ○春日正一君 受益者負担金の問題では、この前の下水道計画の出されたときに私ずいぶん長い時間かけて議論もしましたし、あれが不当であるということは地方財政法からいっても、たとえば水利地益税を取る場合には都市計画税を取っちゃならぬ、都市計画税を取っているものは水利地益税を取っちゃならぬといっていることと同じ考えで、都市計画税を取って、それからまた受益者負担をさせたら二重取りになるんだと、違法の疑いもあるということまで言って私ずいぶん議論しましたから、その本質論はもうここではやりませんけれども、新しい五ヵ年計画では受益者負担を一体どのくらい見ておりますか。
  189. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 新五ヵ年計画では公共下水道の投資分としまして二兆四百八十億という投資額を見込んでおりますが、これの大体一割程度のものを受益者負担金で期待をするという考えにいたしております。
  190. 春日正一

    ○春日正一君 そうしますと、二兆四百八十億ですから、大ざっぱに言って二千億ぐらい取るということなんですけれども、受益者負担金の率はそれぞれの都市でまちまちですから正確な計算はできないのですけれども、いままでの実績から見ると、それぞれの事業費の平均して見て一割程度が受益者負担金になっているというように聞いております。そうすると、二兆四百八十億円の下水道事業をやるのに二千億取るということになれば、二百五十五の下水道計画を持っておる全都市に受益者負担を採用させるという前提の数字になるのじゃないか、この辺はどうなんですか。
  191. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) いま申し上げましたのは、マクロ的な試算として申し上げたわけでございまして、現実に私どもはそういうことを強制する権限もございませんし、本来、これは下水道事業を実施する市町村が自主的にきめる問題でございます。したがいまして、二百五十五でございますか、現在やっておりますところの都市について受益者負担金がどうしても取れないという都市も、実は大都市等においてあるわけでございます。そういうところにおきましては、その分は、当然、一般市費でもってカバーしていただくということにならざるを得ないと思います。
  192. 春日正一

    ○春日正一君 いろいろ言っても、結局、受益者負担ということになってしまうわけですけれども、私ももう時間ありませんから一度にまとめて聞きますけれども、ここに「東京各市の国庫補助金一覧」というのがありますけれども、「四十五年度国庫補助の見込額」というものを見ますと、三鷹が一億七千五百万、調布が一億一千万、府中で一億、小金井市で六千万、武蔵野が一億五千七百万、狛江が七千万、ここまでは受益者負担金制度というものをとっておるところですね。八王子市が五千三百万、立川が四千二百万、町田が六百万、小平が五百万、東久留米が七百万、多摩町が二百万と、こういうことになっています。ところが、この中で、河川関係でいえば、八王子市は浅川——多摩川、それから立川は例の根川というのですね、非常に多摩川をよごしているあれがありますし、町田は鶴見川、境川、これは二五PPM、六七PPMというよごれがある。小平は石神井川、それから東久留米、これは黒目川というのですか、四丁二PPM、非常に汚濁のひどいところですね。ところが、こういうところはこれだけの予算しか組んでない。しかもこういう町田とか小平とか立川、東久留米というようなところを見れば、先ほど高山委員からもお話があったけれども、全国的に見ても急激に人口の増大しているところですね。こういうところで、その受益者負担ということがないからという理由からか、あるからという理由か知らぬけれども、こういうことで補助金額が違ってきておるというようなことになって、この現状をこのままで、おまえらやらなければ出してやらぬぞというようなことを言っておったら、東京なんかはきれいになるわけはないのです。一番きたないところが残っちゃっておる。だから、やっぱり受益者負担というものを、そういう二重取りになるようなことはやめるべきだし、特に私の論ずる今度の公害関係の論拠、工業排水と生活排水の区別というものは、はっきり概念的についたと思うのですわ。工業排水についてははっきりしかるべき負担をさせる。それから生活排水については、これはほんとうに生理的なものなんですから、こういう受益者負担というようなことはいわずに、当然国の予算あるいは地方自治体の予算の中から下水道をやるということをやるべきだし、そのためにこの国の予算というものをもっとふやして補助金や補助対象も広げるということが必要だと思います。で、特にこれを採用していない都市がこんなに違うということはやっぱり正しい行政のやり方じゃないだろうということははっきりお認めになったらどうですか。その点が一つ。  それからもう一つ、もう時間ありませんから、水洗便所の点ですね。これ、いままでも出ましたから重複省きますけれども、やはり水洗便所を公共下水道ができたところでは三年以内にといって義務づけるということですから、これは積極的な意味を持っていると思うのですよ。私もそれはそうして水洗便所をやるべきだと思いますよ。思うけれども、国がそうやって義務づけるという以上、やはりその義務づけが行なわれるような保障が必要だし、その点からいえば、各都市で補助金制度をとっておるところがたくさんありますし、そうしてそういう補助金を出すということは、当然実情から必要があって出しているわけですね。だから、当然この水洗化を促進するためには、その都市が補助していなくても、国としても補助をつけて誘い水をする、促進するというぐらいな気組みで取り組む必要があるのじゃないか。東京都の実例をいいますと、生活保護を受けている者に対して、あるいは住民税を払えない層、その程度の生活の困窮度の人には三万七千五百円東京都が助成しておる。年間所得百二十五万円以下の人たちには一万二千五百円助成しておる。こういう助成の方法をとっているところもありますし、それから融資でやっているところもあります。だけれども現実に生活保護を受けておるとか、それに類するボーダーラインの人たちなんかは融資といったって、金を借りたって返せるあてがないわけですね。だから、当然そういうところには必要な補助も出すし、あるいは全額負担するのに負担を非常に強く感じるような程度の所得の人には、半分なり何分の一なり補助するというような形にして、国が強制したというものがありがたく受け取られて実現されるようなそういうことにしなければならぬだろうと思いますよ。もしそうしませんと、おれのところは金がないから水洗ができないといってくみ取りのあるところは市役所の責任でやっぱりくみ取ってやらなきゃならぬでしょう、そこだけでも。そういう問題が出てくるわけです。だから一律にやることはいいことだけれどもできるような措置が必要だ、その点はほかの皆さんも申されましたけれども、私もそのことをぜひ政府として考えてやっていただきたいというふうに思います。この二つの点お答え願いたいと思います。
  193. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 第一点の、これは東京の三多摩地区の各都市の下水道の補助金の状況の御指摘でございますけれども、結論から申し上げまして受益者負担金を採用しておりますような都市に重点を置いてその他の都市は十分な補助をしてないというふうな御指摘でございますけれども、私は、それは少しは言い過ぎじゃないかと思います。実情はこういう負担金を採用している都市が実は先行的に市長さん以下熱心に下水道事業を促進ししてこられた結果それだけ需要が伸びたということでございまして、その他狛江とか八王子、立川等々につきましては立ちおくれましてそういうところはこれからかかるいわゆる新規事業でございます。したがって需要が伸びません段階ですから、補助金は少ないというような状況にあるわけでございます。なおいずれもこれは公共下水道関係の補助金でございますが、三多摩につきましてはやはり基本的には下水道はやらなければならぬ大きな問題でございます。これは東京都が事業主体になりまして今後一期、二期、三期という計画を急速に進めなきゃなりませんし、それに基づきましてわれわれは全面的に協力していきたいというふうに考えております。  それから水洗便所の問題につきましては実はいろいろ御議論がありましたが、私どもは当面は国といたしましては低利資金の融通を関係の市町村に十分行き渡たるように拡充してまいりたい。なお生活困窮者等の扱いにつきましては、これはくみ取り便所の経費との関係もございまして、市町村の中の財政の中ではたして処理できるものかどうか、そういった点もあろうかと思います。実は法律施行後これは三年以内ということになりますので、三年間の猶予がございます。その三年間の間によく実情を見きわめながら市町村の自主的な財源で処理できるのか、あるいはまた交付税というようなもので自治省の関係でそういう手当てができるのか、あるいはまたそれとも別途建設省のほうで特別な補助金を考えなきゃならぬのかどうかといったようなことにつきましては、今後情勢を見きわめながら十分検討してまいりたい。いずれにいたしましてもせっかく下水道ができましても、そういう特定の者が資力がないために水洗化にならないということは決して好ましいことじゃございません。また法律でそういうことで猶予するんだということだけでは、法律趣旨にも沿いませんので、そういう方向でひとつ検討なり研究をしてまいりたい、かように考えております。
  194. 田中一

    委員長田中一君) 私から三点ほど質問してみたいと思います。  それは、七月に建設省が策定した下水道事業の動向、この中に一応計画人口というものが将来の伸びとして示されております、増加する計画事業。そこでこれを見ますと、一応現在施行しておる都市並びに近畿圏、首都圏、中部圏等主要なる大都市の周辺の人口の伸び率が現在でも企画庁のほうで一応相談してきめられたものなのか、ただ単に過去における動態からくるところの伸び率というものを策定したものか、この点を明らかにしていただきたいと思います。それはすでにわが国の公共事業は戦後二十五年たっておりますけれども、常に後手々々とまわっております。今度おそらく二兆六千億の一応の要求予算をつくっておりますが、これはこんなものでは足りるものではございません。したがって、十五、六兆円くらいは今日の事態から将来を見きわめる場合には、これは増加するのは必至であります。したがって、先ほど高山委員もちょっと触れておりましたが、大きな基本的な計画を持った場合には、これは手直しがなかなか困難であります。今回のこの公害にゆえんする下水道の事業の伸びということは、はたしていまのような形での推定人口でまかない得るかどうかという問題です。大都市周辺は御承知のように自然増というよりも人為的な、しいて申しますならば、資本主義自由経済という政策の中で人為的に伸びてきておる。居住の施設にいたしましても、また産業の問題にいたしましても、非常に人為的なんです。したがって、完成される見通しのこの施設が、その後異常な増加をするという変動が起こった場合には、それらの工場なり学校なり、そういう施設あるいは住宅地等をその地域から抑制するというような強硬な腹をきめておられるのかどうか。また一面、建設大臣は首都圏の長官でありましょうが、このドーナツ化する現象というものはやはり周辺に散るわけです。これらの問題を基本的にどういう態度をもって臨んでおるのか、その点を明らかにしてほしい。これは経済企画庁のほうからも現在想定するところの人口の伸びというもの、それからあらゆる産業等の流入は認めないという態度に出ようとするのか。この点をひとつ建設大臣並びに経済企画庁のほうから御答弁願いたいと思います。
  195. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはなかなかむずかしい問題です。一応新全総なり社会経済発展計画はいままでの過去の人口移動、経済成長の趨勢から算定したことも一つあります。もう一つは、それをある程度まで是正するために政策目標を掲げまして、その修正値もたぶんこれは算定しているだろうと思います。特に最近私が首都圏整備委員長を兼ねておるということで御指摘がございましたが、その観点からすると、さらに一段と私は政策上配慮すべきことが現実に起こってくる、そのための手直しを首都圏整備委員会で検討させております。それは首都圏の中の特に東京と千葉それから埼玉、神奈川、ここに非常な勢いでまだ来るようで、道路計画にしろその他の計画がどうもそこにあるようであります。ところが、その結果いまの東京湾は私はその機能がほとんど現在でももう限度にきておると思う。これが麻痺状態になって、災害の重大な発生源になるんじゃないか、こう考えたのであります。しかも一方におきましては、御指摘のようにまず工業用水から都市用水の限度までこれはきている。ところが一方において、水資源の開発の可能地のほうは、地域的な感情からして非常な抵抗をしている。しかもそちらのほうには水もあれば、土地もある、それから人間の労働力も良質なものが残っておる、しかも現在農業の転換期にあるということを考えますれば、私は従来の首都圏の整備の目標の方向を少し変えるべきだ、そうして北関東地区に工業とそれから都市機能、それから近郊農業を総合的にバランスのとれた一つの地方の中心都市をつくるべきだ。そのためにわかりやすく私は北関東三県に百万都市構想を急速に進めるべきだ、そうしてこの百万都市を横にずっと横断して、そうして港を東京港に求めずに太平洋岸にこれを求めていく、そうしますれば相当部分の問題が解決をできる。それから水の問題でもやはり群馬県が自分の都市に新たに百万都市がつくられて、そこに必要な都市用水、工業用水が自分の地域内で開発されるとすれば、従来よりも抵抗がどうも少ないようであります。そうして水源地にダムをつくることによって移転もしくはつぶれ地になるところの住民を、そこはもう相当考えても十万かそこそこのものだと思います。それを新しい百万都市の中にそっくり計画的に入れる、保証すると同時にそこにちゃんと新しい職場と住居を与えるということになれば、これがかなり関係住民の理解を得ていくことができる。こう思いまして、私は三県の知事並びに一部の地方自治体の指導者の諸君に話してみたんです。これはおもしろいじゃないか、そういう方向にいくなら、ぜひ私にそういう具体的な推進に当たってほしいということで、首都圏整備委員会にもこの問題の指摘をして検討を進めているという状況でございます。したがいまして田中委員長が言われるような従来の、いままでの傾向性、その動向からきたものをただそれを機械的に進めていくだけでは、これはとうていいかないという反省は十分持っております。今後それは各方面の意見を聞いてこの問題を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  196. 田中一

    委員長田中一君) 実はいまそういう大構想は別にしましょう。とりあえず下水道整備する、下水道をつくるという場合、その計画の根本がたとえばいまここに昭和五十年を目標にしていますが、五年たって後これじゃ困るんだ、人口の伸び率、産業の新設がふえてくるのだ、だからひとつこの人口増を改定してまた伸ばすんだということでは、結局下水道はできないわけなんですよ。昭和七十四年ごろに日本の人口は大体ピークに達するということを言われております。しかし都市並びに都市周辺に集まる人口というものは、これは多くは人工的なものなんです、人為的なものなんです。政府の政策がそうなっているからなんです。ことに自由経済というものは、これは適所に一番下水道もでき、終末処理場もでき、どういう汚水を出してもそれが浄化されるんだという前提ならば、完成されたその地域にあらゆる産業が入り込んでくるわけなんです。その流域に入ってくるわけです。むろん人間もそうです。人間はこれはもう政府の政策です。周辺に何万という団地を数々つくる、そして同じ完成されたところの公共施設、これを利用してそこに定着する、これは人為的なものなんです。したがって今日のこの大きな、日本で初めての大下水道計画というものが策定されるならば、いつを目標にして考えられるか。パリの大下水を見ましても、これはむろん先ほど大臣が言われているように、当時の都市国家というものがああした自分の城塞の中に都市をつくったことは、これは当然のことであります。しかし日本の今日の時点におきましても何年を目標にするか。なるほど日本の人口は昭和七十四年には大体ピークに達する、あとは降下するんだ、だんだん減ってくるというのが日本の常識です、われわれの持っている常識です。しかし人為的に政府が政策としてふやすということになりますと、それはやはり増加人口に対する想定をしなければならない、これをどうお考えになっているか。いまの御答弁じゃ他を顧みてものを言っているのであって、下水道問題についてずばりものをおっしゃっておらないから、これは不満です。したがって、岡部君、建設省考えられている今度の下水道施設は、その地域の人口増あるいは排水の量の制限をこの下水道を中心に考えて、もうこの地域に対しては住宅公団は土地をつくっちゃならないんだ、通産省に対しては工場をこの上流につくっちゃいけないんだ、こういうしっかりしたそれだけの腹を持って考えているか。あるいはこの人口の伸び率というものはまだあいまいである。これは昭和五十年の想定だけれども、これは昭和七十年から八十年くらいまでの想定で今度の下水道計画をつくらなければならないのだという考え方から今度の計画を立てるかどうか、大問題なんです。どこでも、これは岐阜もそうであったそうでありますけれども、私の触れている各中小都市においても、二次三次の小規模ながらも下水道の何といいますか改築をやっている。そのたびに負担金を取られているのです。したがって先行投資が一番大事なものならば、ここで昭和七十年なり八十年なりのあり方を想定しながら計画を立てるべきであるということを指摘したいのであります。したがって、この点については人口の増加率というもの、これはもう新全総でもって一応の認め方をなさっておりますけれども、これに対する経済企画庁としては各産業あるいは住宅部分等の出現に対してどういう手を打とうとするのか。これがはっきり腹にきまっておらなければ、今度の計画はできるはずがございません。できたところで、これはあと二重三重の投資にならざるを得ないのであります。そうしてよい環境の町はできないのであります。この点についてもう一ぺん経済企画庁並びに建設大臣から、この下水道を中心に考えた上での問題でけっこうでございます、あるいは、つくってもふえたらまたつくるんだ、また別につくる。ちょうど道路のバイパスをつくるようにまたつくるんだ、つくるんだという考え方で策定しようとするのか。非常に長期の日本民族の繁栄というものを考えながらこれが策定されなければならないと私は思う。そうすれば二兆六千億どころじゃございません。おそらくこの勢いというかこの予算の中から生まれるものは五十兆、五十五兆ぐらいは使わなければならないと思うのであります。ひとつ夢多き建設大臣のほんとうの現実的な構想をお話し願いたいと思います。
  197. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) どうもすっかりあまりに大きい構想を言われて、私も非常にたじろいでいるのですが……。
  198. 田中一

    委員長田中一君) それが基本なんです。
  199. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のようにいわゆる計画経済でいきますれば、具体的にあらゆる権力を利用して、人口なり産業なりというものを集中し、それを計画的にやるということは可能なんです。しかしそれにおいてすら、もう幾多の矛盾が出てきておる。これは人間の心理というものが影響するからそれはなかなか困難です。これが自由主義社会では、これはプライスメカニズムであり、機能の問題でこれはおのずから是正し、その過程においてさらに政策をもって誘導するということになると思います。  ところで、現在の下水道の問題につきましては、現実に非常に矛盾した問題が一つあるわけです。もう非常に大都市においては手おくれといってもいいところまで悪化してしまっている。これを何とかしなければ都市生活それ自身がだめになってくる。人間疎外になってくる。だから、これをやらなければならぬという一つ要求がございます。これをやらなければならない。下水道の        問題。一方は、これから新しく都市化していくところ、これを先取りして、環境基準どころか、自然をより美しく、より豊かにしていくための下水道、この二つがあるのです。しかも、これを時間的には一緒にやらなければならぬというところに、われわれの非常なあせりと苦労があるのでございます。それが、要するにどういうふうに見込むかというと、投資のしかたによってもまたこれは違ってきます。新しい都市づくりをするところに先行投資に相当十分の金がタイムリーに出てきますと、そっちのほうに工場なりそれから都市が移ってくる、そうすると、こっちのほうは緩和される、こういう相関関係になると思うのでございます。そこで、いま委員長が言われたことを具体的に首都圏に適用するとするならば、少なくともいまの都市、既成の都市における下水道は、やはり環境基準までできるだけ早く近づけるという努力をやらなければ、現在住んでいる人の生命と健康にこれは関係するから、これをやっていきます。それから一方においては、先行的にやらなければならぬ新しい都市については、これは都市計画の場合の段階でこれからもうすぐにやらなければならない、こう思っております。それには現在の投資額ワクでは足らないことも私はわかるのです。御指摘のとおりです。御指摘のとおりなるがゆえに、私は——しかし、それだからといって、いま直ちに財政当局と、これはだめだだめだと幾らけんかしても、現実に財政上の裏づけがなければ、これは単なる評論的に、どっちが勝ったとか負けたといっても意味をなさないから、そこでやはり政治は妥協であるから、私は社会経済発展計画の限度にプラスアルファをしたことでまず出発することでやむを得ない。そして、今度これを実施する過程において、いま委員長並びに他の委員の方から言われたように、国民の意識は非常に変わってきますから、現在ではもう、これは大都市といわず小都市といわず、いわゆる市街地域に生活する人にとっては下水道は必須の条件である。このために国家が投資すること、並びに自治体がこれに精力を集中するのは当然だということに、これは相当スピーディーに私は意識の向上が進んでくると思います。そういう段階になりますれば、私たち、幾ら財政当局がいろいろ財政上の理由を言おうとも、私は早急に下水道については一般の事業と違って、下水道公債を出すということに対する合意ができるのじゃないかという期待と、私はそれを進める自分の責務を感じています。そうなりますれば、いま委員長が御指摘になりました、現在の第三次五ヵ年計画の二兆三千億が、あるいは倍加してやってもいいというところにいく可能性が出てくると思うのです。これができますれば、今度は一番の基礎ができてきます。それからの措置はわりあいにこれは可能になるのじゃないか。したがって、まず第一は、私はこの四十六年度予算編成における下水道の総規模、そしてこれに対する、いろいろ不満もありまするけれども、政令で明確に、国、自治体並びにその企業の負担のあれを明確にしていく。それから進めていくべきだというふうに感じているのでございまして、これは委員長の言われたこと、よくわかりますけれども、これに直接こたえて、人口の伸び率は既成の市街地については年率何%だと、それからその他の市街地は何%だと、それに伴うところの下水道予算の配分はこうすべきだということをいま申し上げる実は資料も持っておりませんし、ちょっとそこまで私は研究いたしておりませんので、いま申し上げたことで一応発足して、そうしてやはりこれは、本格的に、いうならば、下水道に対する地方自治体並びに国、国民の取り組みは今回がぼくは出発点だと思うのです、実質的に。それから私は本格的に検討してまいりたいと思う次第でございます。
  200. 田中一

    委員長田中一君) 実は資金があれば何でもできますという考え方でなくて、建設大臣は画期的な日本で初めての下水道網というものをつくろうという発想ならば、二十年あと、五十年あとを目途にしながらの発想でなくちゃならないと言っている。金は必ずついてまいります。結局金があればあるだけの、なければない規模の仕事をすればいいということじゃない。私は、政治的に、人為的にそれらの人口移動というものを、ことに大都市においては激しい移動を政府自身がやっているというこの反面、建設大臣は国の保全をはかるという大責任の上から、はっきりした将来の人口はこうだ、これで押えるのだということも一つの方法です。これ以上上流には何にも危険な工場はつくらせない。整理すれば必ずくるのですから……。こういう腹をもって政治の姿勢でくるか、さもなければ将来の首都圏の百万都市、二百万都市といわれているその都市においては、これ以上もうここには人口の集中をさせないのだというような腹をもって計画を立てるか、どちらかなんです。一番危険なのは、この推定する計画人口というものが、はたして正しいものかどうかすらわかりません。おそらく過去の伸び率によってこれは推定したものじゃないかと思う。この点ひとつ岡部局長のほうから、この数字はあなたのほうで考えられているものと、新全総で考えられているものと、将来のどういうぐあいに、食い違いがないか、あるか、その点もひとつ説明してほしい。これは一つの例でいいから。
  201. 岡部保

    政府委員(岡部保君) ただいまの御質問でございますが、新全総で考えております考え方。これはよけいかもしれませんけれども、結局きまり文句ではございますが、国土利用の偏在というものをなるべく再編成して、土地のいわゆる開発の可能性というものを全国土に広げるのだということで、なるべく広げたいという考え方が基調ではございますけれども現実に都市への人口集中を直接押えるということは非常にむずかしいと思います。したがって、この新全総にも書かれておりますが、いわゆる国土の全人口が昭和四十年と六十年とを比較いたしまして、大体二〇%程度伸びるであろう、そういう考え方に立ちまして、それじゃあそのうちで市街地人口がどういうふうになるかという考え方で数字で申し上げますと、現在四十年時点では大体全人口のうち市街地人口は約半ば五〇%ぐらいであった。それが六十年には全人口の七〇%程度に逆に上がるであろうという考え方でございます。したがって、この最近の現実の情勢を見ましても、たとえば東京周辺で申しますれば、東京のいわゆる中心の区部の人口はもう頭打ちと申しますか、減る分も出ておりますが、いわゆるドーナツ現象で、その周辺に新しく都市化されていくという地域ができているわけでございます。したがって、そういう新しい都市化される地域を含めての市街地人口というのは、決していまの現状よりも押えるというようなことはとうていむずかしいのではなかろうかという考え方でございます。
  202. 田中一

    委員長田中一君) じゃあ建設大臣、これは策定にあたっては、この予算だからこの規模の計画しかできないんだと言うことはおやめなさい。将来この地域がかくかくなるんだと、産業の分布等の押え方はできない、自由経済の社会だからできないんだというならば、一応計画された計画地域に対するところの住宅公団その他の住宅の集中というものをおやめなさい。さもなくば、それがどうしても都市形成の上から必要ならば、その分を含んだ計画を立てるようにしていただきたいと思うんです。これはあなた、どんなに非難されても、あなた自身はやはりわれわれの次の世代の若者たちからは非常によい答えが出てくるわけなんです。後世の、次代の人たちが、ああわれわれの先輩、われわれの先祖がこうしたと言うことになるわけなんです。これは、その点はもうほんとうに真剣にそういう面に取っ組んで、五割の伸び率があってもこれで心配ないんだと、五割までの人はいらっしゃいと、これは一番平和な清潔な地域だというような自信をお持ちになって計画を立てていただきたいと思うんです。そのような指導をひとつ各都道府県、ことに首都、中部、近畿等の非常に都市化現象の激しい、集中度の激しい周辺においてはそのような計画を立てていただくことを、そういう指導をすることをひとつ希望いたします。  それから次の問題は、今度の下水道計画、この中でいや応なしに水洗便所になるということになります。そうすると、いままであなたのほうで建設白書で出している水の需要のいままでの経過とそれから今後の見通しというものは、一応建設白書には出ておりますけれども、はたして放流する汚物に要する水というものの供給源というものが、将来ともかなり確保されるでありましょう、確保しなければ何にもならないのでありますから、確保するでありましょうが、はたしてその地域地域にそれだけの供給ができる水資源というものが計画されておるかどうか。なるほど治山治水五ヵ年計画はございます。この計画では相当膨大なものを考えておられるようでありますが、これでも足りません、足らないです。そうすると、必要なる下水道、新設するところの都市に対して水の供給が可能な計画が立っておるかどうかという点であります。これは経済企画庁の西川君が答弁するのは現在時点の以上のことを言うに違いないと思うから、一応君は聞いていてくれればいいんですが、新しい治山治水五ヵ年計画というものがこの第三次下水道五ヵ年計画にマッチした給水の計画を直ちに策定するかどうかの問題であります。これを想定されなかったところに、いままでの治山治水五ヵ年計画、これは直ちにこの計画の樹立によって新しくそれに対する配水の計画が立たなければならないじゃないですか。そうしてその水の資源というものは、この要求にこたえてこれは確保される方向にいっているかどうか、こういう点を伺っておきたいと思うんです。決して無理なことを言っているんじゃないですよ。
  203. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) わかります。それでこれは非常に重大な問題です。そうして一般論とすれば、これは日本の降水量、それから河川の分布、これを活用すれば、まだ水の活用の道はあると思います。が、しかしそれが経済的にこれがそのほうがいいか、もう一つはいまの特に水洗便所を義務づけたことによる都市用水の需給の問題ですが、これについてはもう東京あたりではなかなかこれはむずかしいので、そこでこれはいまの水質汚濁の防止の措置と、それから末端処理を高度にやるということになりますれば、水洗便所の水は、これはもう一回使うように、この一つが、これは急速に私は大都市では検討せざるを得ないと思います。そうしてほんとうのいわゆる飲料水と、下水に流す水洗便所の水というものを、これをやらないと大都市、特に中心大都市ではなかなかむずかしいと思いまして、この研究はさっそく始めさせるつもりでございます。  それからもう一つは一御承知の御指摘の水資源の全体の確保、これは先ほど来いろいろ議論されまして、御指摘になりました水の水質をよくするためにも、常に豊かな流水が流れているということが、これがまた一面非常に大きな役目を演ずるわけでございます。その意味において、これは水資源の開発ということが、私はいままでも単に都市生活するためのいわゆるシビルミニマムを達成するという以上に大きな問題をこれから提起するのじゃないか。この意味で従来の治水利水計画の上に、国の自然を守り、美しい地域社会を保持するという意味から、新たなる水資源の涵養の問題が出てきたと、こう思いまして、これから検討いたさせます。これについては非常に広範な問題でございます。これは森林の確保の問題、緑地の問題、それからダム群の構築等、あるいは慣行水利権のいろいろな合理的な整備、あるいは湖とか、河川敷を利用する方法等いろいろありまするので、これは建設省の全智能を傾けてやるつもりでありまするが、さらに各方面の意見を聞いて、これは今後重大なる国策として取り上げてまいりたいと思う次第でございます。
  204. 田中一

    委員長田中一君) そうすると、必然的に現在持っている治山治水五ヵ年計画は、当然改定さるべきである、こういうお考えでしょうか。
  205. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) そういう方向で検討しなければならないと思っております。
  206. 田中一

    委員長田中一君) 最後にもう一つなんです。これも高山委員がちょっと触れておりましたが、私はこうして大型な下水道計画は各都市になされる、しいていえばもう広域な幹線を持つということが大事であります。府県をこえてくるという計画も大事であります。そこで丸ビルくらいのひとつ浄化装置を、浄化池、池ばかりじゃございません。いろいろ立体的にも不可能でないと思うのです。そこに自家発電を持ち、いまあなたがおっしゃっているような再生産された水の還流等、これは発電所がなくなったらもうとまっちゃう水じゃ困るのです。大規模な浄化施設というものをつくる、むろんこれは地下に相当な何千キロの発電所を当然持つべきであります。そういう形で丸ビルぐらいのものが、せめて大都市には国営でつくる。これは東京都も茨城県も千葉県も神奈川県も何もございません。そうした総合されたものをつくって、これは国が何かの場合には、必ずこれで満足させますというほどの力を持つのです。ただ単に法律のほうでもって国が地方にまかしたんだからいいんじゃなくて、国自身が非常に困難な問題、経済的な点や、日本でその技術が足りなさそうでありますから、それは三年かかっても五年かかってもいいのです。大型の浄水場をつくり、浄水施設をつくってその水を還元し、再使用するということの構想が根本さん、あなたなら出るはずだと思うのです。どうもさっきから二兆六千億の資金で限定された考え方はこれはとるべきじゃございません。その意味で国営でそういう規模のものをつくろうという構想は、今後検討してくれるかどうか、あなたなら賛成だと思うのです。その点ひとつ伺います。
  207. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) どうも、こうなると地位を変えたほうがいいと思います。あなたが建設大臣になって私が応援者になればできそうに思いますけれども、それはさておいて、私は研究は必要だと思います。しかし、その前にやるべきことが、同時にとあなたは言うかもわからないけれどもつまりタイムスケジュールから言えばそれをいま私が、よし引き受けました、やりましょうというところまで、私は実はその裏づけがございません。しかし、これはそうした状況に、日本のみならず世界的な私は課題だと思います。その意味において先般も申し上げましたが、建設省中心で実は建設全体に関する技術懇談会をいま開いておりまして、これを今度は部会をずっと大きくし、さらにできればこれは近い将来社団法人をつくりまして、こうした日本の自然を保護し、かつ広範な建設行政の総合的な技術開発の国民的な機関を設けるべきだということを提案しておるのでございます。そうした場面でも、これはやらないとなかなかこれはむずかしいと思いまして、学界と民間企業と国と協力してそこまでいかなきゃならぬような事態になってきているじゃないか、原子力発電に伴う海水の問題もありまするが、それらとも関連づけて都市における私は水の再生産、これが経済的にも必要であるし、都市機能を維持するためにも必要になってきたという点では、御提案には全く賛成ですし、いまこれを私の手で来年からやるとか、再来年からやるというふうには私の力がはなはだ微弱でありまして、今後の課題としてこれは国民的な課題として進めてまいりたいと思います。
  208. 田中一

    委員長田中一君) 他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  下水道法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  211. 田中一

    委員長田中一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいま可決されました下水道法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案が委員長の手元に提出されておりますので、これを議題とし、便宜私から案文を朗読いたします。     下水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、下水道整備を緊急かつ計画的に実施するため、左の諸点について、万全の措置を講ずべきである。  一、流域別下水道整備総合計画の策定を急ぎ、実施のための事業費を確保し、地方公共団体に対する補助対象範囲の拡大、補助率の引上げ、起債の拡充等財政援助の強化に努めるとともに、受益者負担金制度を検討し、当面、一般需要者の大幅軽減に努めること。  一、下水道整備にともなう水需要の増大に対処するため、下水道処理水の再利用を含む総合的な用水確保対策を早急に樹立すること。  一、下水並び汚泥の処理等に関する技術開発を積極的に推進すること。  一、国及び地方公共団体の執行体制の整備を図るとともに、下水道技術者の養成、確保に努めること。   右決議する。  何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。  それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔替成者挙手〕
  212. 田中一

    委員長田中一君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、根本建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  213. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 皆さま各位の連日にわたる御熱誠なる御審議に対しまして、心から感謝申し上げます。  ただいま御決議のございました下水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、政府といたしましても御趣旨を尊重し、その運用につきまして十分努力してまいりたいと存じます。どうもありがとうございました。
  214. 田中一

    委員長田中一君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。     —————————————
  216. 田中一

    委員長田中一君) これより請願の審査を行ないます。  請願第六三号主要地方道水沢・十文字線開通促進に関する請願外八件を一括して議題といたします。  まず、専門員からこれらの請願趣旨について説明を聴取いたします。速記をとめて。   〔午後三時四十八分速記中止〕   〔午後四時十二分速記開始〕
  217. 田中一

    委員長田中一君) 速記を起こして。  それでは、おはかりいたします。ただいま審議いたしましたように、請願第六三号主要地方道水沢・十文字線開通促進に関する請願、第四九二号、第五二三号、第五五五号、第六〇八号、第六〇九号、第六一〇号、第六二号公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願の八件は、議院の会議に付することを要するものにして、内閣に送付することを要するものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、すでに議題となっております第五五三号地代家賃統制令撤廃に関する請願について採決を行ないます。  本請願を採択することに賛成の方の挙手を願います。   〔替成者挙手〕
  219. 田中一

    委員長田中一君) 多数と認めます。よって、本請願は多数をもって議院の会議に付することを要するものにして、内閣に送付することに決定いたしました。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  221. 田中一

    委員長田中一君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  建設事業並びに建設諸計画に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  224. 田中一

    委員長田中一君) 継続審査要求についておはかりいたします。  前国会から継続しております建設業法の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会     —————————————