○
国務大臣(
橋本登美三郎君) 御意見ごもっともであります。その前に、私心配しておりますのは、御
承知と思いますけれども、
運輸省としては
自動車の
排気ガスの
規判を新車について四・五、それから
使用車については五・五という
規制を設けてやっておるわけですが、それにいたしましても、四十四年度の実際を見ますというと、大体一日のいわゆる
重量トンで示しますというと、
窒素酸化物が四百トン、
炭化水素が約七百トンという膨大な
数量でありますが、これは四十八年までは大体上昇になるのです。先ほどのような
規制をしましても、おそらく
窒素酸化物につきましては四十八年には五百トン、百トンふえてくる、
大気中には。それから
炭化水素についてはあまりふえませんで、大体七百トンでおさまるわけですが、逆に
窒素酸化物はふえていく。四十八年以降いまの
規制を続けて、四十八年に
規制する、五十年に
規制するというので非常にダウンしまして、五十五年には、四十四年を一といたしますと〇・三、三分の一になる。しかも車の数は四千万台をこえるという、こういう
状況でも、なおかつ五十五年には三分の一まで減らすことができますからして、
昭和三十八年度の
状態におろすことができますが、問題は、ことしは日がありませんけれども、四十六年、四十七年、四十八年の三カ年の間は多少でもふえていく。こういう
状態は、これは非常に皆さんが御心配になるいろいろの、
もろもろの
病気を引き起こす
原因になる。さて、このままの
状態でいいかどうかということをお互いに考えなければならない時期に入っておる。それで、これは
技術開発の問題でありますから、私がここで断定することはできませんけれども、従来の
規制を、特に
使用車等についてはもう少しやっぱり思い切って強化する必要があるんじゃないか。これはひとつ
自動車局において検討をしてもらいたいと思う。これから二年、三年まだふえるという
状態ではたいへんなことでありますから、なるべくこれを短期間に
増加傾向を押えるために、いわゆる
排気ガスの
数量を、相当無理であっても、ある
程度これを極端に制限することを検討してみる必要があるんではないか、こういうことであります。
それからもう
一つは、その点がなかなか実際上からいってむずかしいということになれば、これは
運輸省だけの仕事ではできかねる問題であります。あるいは
国家公安委員会なり、あるいは
厚生省なり、
関係者と協議して、そこでやはり
都内に入ってくる
自動車の数を、
交通の問題だけではなく、
交通が混雑するという問題だけじゃなく、そういうような
大気汚染というような面からも、それを
規制することを考えるべき時期が来るのではないか。はたしてこれが
法律上そういうことができるかどうかという問題があります。
自動車の場合はみずからが
加害者である。こういうような
大気汚染の上においてはみずからが
加害者で、同時に
被害者になるわけであります。同じ人が
加害者であり、
被害者になるわけです。ほとんど
自動車を使用しない人はありませんからして、自分が持っておろうが、持っておるまいが、ほとんどの人が
自動車に乗るわけでありますから、考えようによっては
加害者であり、
被害者である。こういうような特殊な
状態でありますからして、そういう点を十分に理解してもらって、
行政指導の面でできるかどうか。ある
程度の
汚染度が考えられる場合は、これは大都会で、あるいは集中的に車が使われない
状態を考える必要が出てきはしないか。しかし、この問題はいろいろ
法律上の問題もありましょうし、その他の問題がありますから、なかなか簡単には処置できない。で、
長期展望から言うなれば、いまおっしゃったとおりであります。やはりこの
大都市交通というものを
自動車に主として依存することなく、他の
機関、たとえば
地下鉄とか、あるいは
市内乗り入れ線等の
私鉄とか、あるいはバスとかいうものにだんだんと切りかえる
考え方をしていかなければなりませんけれども、なかなか
工事自体がそう急速に一年、二年でもってこれを完成することがむずかしいということのために、いま申し上げた四十六年、四十七年、四十八年にこれが間に合うかといえば、これは間に合わないといったような
状態にあると思います。そこで、そういう意味において、いま言ったような
暫定措置を真剣に検討していかなければなりません。
なお、いま
お話のあった、
国鉄も
赤字である、
私鉄もなかなか経営が苦しいということからして、積極的な
措置の
意欲がないのではないかというような
お話でありますが、せんだっての
私鉄の料金を改正するにあたっては、各社を呼びまして、ぜひとも五カ年
計画はこれを達成するように、それに必要な資金は
開銀等によってできるだけのめんどうを見る
——こういうことで、来年度におきましても、
運輸省の
考え方としては、従来の倍ぐらいのものを、ひとつ
私鉄にも
開銀の金を使わせまして、そうして五カ年
計画を遅滞なく進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。しかし、何といっても、これは相当の期間を要する、一年、二年じゃなくして、三年、五年という長期間を要するのでありますからして、将来の
展望としては、おっしゃるような方針で積極的にこれはやっていかなくちゃならぬ。しかし、いま目の前に迫っておるこの
公害、この問題に対しては、やっぱり別途の方法を考えないと間に合わないのではないか、かように心配しておるのであります。