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1970-12-10 第64回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十日(木曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————    委員異動  十二月三日     辞任         補欠選任      松本 英一君     瀬谷 英行君  十二月八日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     森  勝治君  十二月九日     辞任         補欠選任      森  勝治君     鈴木  強君  十二月十日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     鬼丸 勝之君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         温水 三郎君     理 事         金丸 冨夫君                 藤田  進君     委 員                 鬼丸 勝之君                 河野 謙三君                 佐田 一郎君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 渡辺一太郎君                 岡  三郎君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省航空局長  内村 信行君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    大西誠一郎君        防衛施設庁総務        部施設調査官   奈良 義説君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○海洋汚染防止法案内閣送付予備審査) ○連合審査会に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (厚木飛行場返還に関する件)     —————————————
  2. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。  また、本日、木村睦男君が委員辞任され、鬼丸勝之君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 海洋汚染防止法案議題といたします。  まず、政府側から趣旨説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  4. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま議題となりました海洋汚染防止法案提案理由につきまして御説明申し上げます。  わが国産業の発展と国民生活の向上に伴い、油の海上輸送量は、飛躍的に増大いたしておりまして、船舶から排出される廃油や、大型タンカーによる大量の油の流出事故等によりまして、油による海洋汚染は、ますます重大な問題になりつつあります。これとともに、従来海洋汚染は、陸上の工場、下水等からの排水のほか、ほとんどが船舶からの油の排出によるものであったのに対しまして、最近では、油以外の廃棄物船舶により海洋へ大量に排出されるようになり、油とともに新たに深刻な汚染問題を引き起こしつつあります。このほか海洋の多目的な利用が進展するにつれまして、海域における工作物の設置が増加しつつあり、これら海洋施設からの油及び廃棄物による汚染も無視できない状況になりつつあります。  このように船舶等から排出される油及び廃棄物飛躍的増大は、海洋汚染を急速、かつ、広域的に進行させ、このまま放置すれば、海洋自然環境の破壊を通じて、人間の生存環境そのものさえ脅かすことが懸念されており、また海洋の有効な利用をも阻害するおそれがあるのでありまして、海洋汚染は、わが国においてのみならず国際的にも大きな問題となっております。  四面海に囲まれた海洋国家として、海運、漁業をはじめとして海洋を大いに利用しその恩恵を享受しているわが国としましては、海洋汚染防止及び海洋環境保全に対する姿勢を内外に明らかにする必要があります。  さらに、千九百五十四年の油による海水汚濁防止のための国際条約改正する千九百六十九年の改正条約及び油濁事故に対する公海における措置に関する国際条約早期批准に備えて、国内法制整備をはかっておく必要もあります。  以上のような現状にかんがみまして、船舶及び海洋施設から海洋への油及び廃棄物排出規制する等海洋汚染防止のための法規制整備し、もって海洋環境保全に資する必要があると判断し、この法律案を提出することといたした次第でございます。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、船舶からの油の排出に対する規制を前述の改正条約内容を盛り込んで現行船舶の油による海水汚濁防止に関する法律よりもさらに強化するほか、適用対象船舶を拡大いたし、油濁防止管理者選任等の船内油濁防止体制整備をはかっております。  第二に、船舶からの廃棄物排出原則として禁止し、一定の基準に従って行なう排出について例外的にこれを認めることとし、このため、廃棄物排出船の登録、臨時の排出届け出等措置を定めて規制実効性を確保することとしております。  第三に、海域に存する一定海洋施設について、船舶と同様に油及び廃棄物排出に関して規制する必要があり、このため、これらの海洋施設からの油及び廃棄物排出についても原則として禁止することとしております。  第四に、船舶内で生ずる廃油処理事業等に関し、必要な監督規制を行なうほか、船舶の円滑な運航を確保するため、廃油処理施設整備を促進することといたしております。  第五に、大量の油が排出された場合の関係者通報義務及び排出油防除のため関係者が講じなければならない措置について所要規定整備いたすとともに、必要な場合には、海上保安庁長官がこれらの者に対し一定措置をとるべきことを命じ、またはみずから所要措置をとることができるものとする等、緊急な場合における海洋汚染防除のための特別な措置について規定しております。  その他廃船に対する規制海上保安庁長官海洋汚染状況の監視、関係行政機関協力海洋汚染防止のための調査研究推進等海洋汚染防止対策を総合的に推進するための所要規定整備いたしております。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  5. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  6. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。  公害対策基本法の一部を改正する法律案公害防止事業費事業者負担法案騒音規制法の一部を改正する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、公害対策特別委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、海洋汚染防止法案について公害対策特別委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合には、これを受諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会につきましては、委員長においてあらかじめ公害対策特別委員長と協議いたしました結果、公害関係法案が付託されている八委員会連合審査会開会することとし、その日取りは一応明十一日及び十二日の二日間、いずれも午前十時から開会することになりましたので御了承をお願いいたします。     —————————————
  9. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 運輸事情等に関する調査議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 岡三郎

    岡三郎君 本日は、最近、米軍基地返還の問題についていろいろの報道があるわけですが、全般の問題については時間の問題がありまするので、きょうは厚木飛行場返還にしぼって、それに付属する問題とあわせて質疑を申し上げたいこ思います。  まず、この問題については、運輸省のほうとして、大臣記者会見において、これを民間飛行場として使用したい、それを受けて反駁する形の中で、八日の記者会見内田海幕長が、これを自衛隊の用に供するという主張をしているわけです。この問題について、まず第一に、明年の夏ごろまでに返還されるという談話ですが、いずれもこの問題についてはそれぞれ担当部局において詰めが行なわれているというふうに考えます。冒頭に、返還見通しですね、この点について最初に、防衛庁のほうから来ておりますので、担当としての防衛庁からこの点について説明を願いたいと思います。
  11. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 前回の運輸委員会において運輸大臣のほうからもお話がございましたと思いますが、ただいま日米関係者の間で非公式に在日米軍施設の今後の縮小、整理の問題について話し合いが進んでおります。しかし、事態は流動的でございまして、ただいま御質問がございましたように、いつまでにどういう形で基地返還されるとか、あるいは日本側にどういう意向が伝えられているかということは、ただいまの段階で申し上げにくいわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  12. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると話はおかしいんで、ただいまのところは説明しかねると、しかし現実に返還手続がいろいろと協議されておることは事実なんでしょう。これはどうなんです。
  13. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) そのとおりでございます。
  14. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、見通しについてはいま説明しかねるということですけれども、じゃ、どういうふうにスケジュール的に返還手続が行なわれようとしているのか、この点について御説明願いたいと思います。
  15. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) ただいま個々の問題を日米関係者の間で非公式に相談をしながらだんだんと全体を詰めてまいるわけでございますが、いずれ話が煮詰まった段階におきまして、政府レベルで正式にこの問題についての意思表示を行ない、決着をつけるという段取りになると思います。しかし、この点につきましては、まだ、それがどういう日程で具体的に進むかということについては外務省のほうからも私のほうに、正式に防衛庁に話が参っておりませんので、その辺はお答えいたしかねるわけでございます。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 いまの抽象的な答弁の中でいろいろと煮詰めていかなければならぬというふうに言われたわけですが、新聞情報ですからこれはどの程度まで信憑性があるか別にして、要するに、防衛庁のほうはすでに明年度予算においてこれを自衛隊基地使用するという方向予算要求しておるというふうに出ておるわけですが、そういうふうな具体性を持った政府の中における行為ですね、これが事実上行なわれているのに、施設庁当局なり、そういう担当部局がいまのような答弁では、国会軽視と言われてもしようがないと思うんです。どういう手続を踏んでいくのかという手続についていま説明を求めているわけですから。
  17. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 厚木の問題を含めまして在日米軍基地縮小傾向にあるということは、先生も御承知のとおりでございますし、われわれもそういう傾向を把握いたしまして、四十六年度につきましては共同使用ということを前提にいたしまして、一部の部隊を厚木飛行場に移すという計画を持っていることは事実でございます。  それから今後の手続等でございますが、先ほど申し上げましたように、包括的に日米の両政府間で話し合いが行なわれた後、日米合同委員会等従来の成規手続地位協定上定められている手続に従いまして、個々のケースについて、使用条件その他についての話が進められるというふうに理解いたしております。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 どうもあなたは、これはやはり説明答弁にならぬと思うんですね。しかし、大臣が来ておらないのでやむを得ず質問しなければならぬと思うのですが、目安ということですね、見通しということです、その目安もないところで、あれだこちらだということで話になっていたんじゃ、これは国民自体として迷惑なことで、だから要するに、こういう問題等についてはやっぱり予算措置という問題が当然出てくると私は思うのです。そうするというと、これに基づく見通しなり返還手続なりというものを具体的にどういうふうにしていくかということについては、全然いまのところは、そういうものについてはタッチしていないわけですか、施設庁は。
  19. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 従来から、全般的な個別的な問題についてはいろいろわれわれも情報を断片的に受け取っておりまして、それについてのこちらの対応措置というものは検討いたしております。  それから、御承知のようにアメリカ会計年度というものが、来年の六月末が一つの区切りであるということも事実でございまして、そういうような米国の国内事情を考えますと、見通しとして大きな変化があるであろうということは言えるわけでございます。  それから予算の問題につきましても、実は私どもも、非常に話が具体化してきた時期が予算の締め切りの時期に重なってまいりましていろいろ苦慮をしておるわけでございますが、まあ何とかその問題について支障がないようにということで、関係省庁等ともそれぞれ非公式に御連絡を申し上げているということでございます。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 あなたが答弁することによって、こっちがあげ足をとってどうこうしている問題では、これは私はないと思う。だから率直にあなた方のとってきているいままでの話し合いとか、今後についての具体的なスケジュールというんですか手続、そういうものについて具体的に説明を願いたいと思うのです。  米軍自体アメリカ大統領が言っているように、とにかく早期日本基地については縮小返還するという方向が打ち出されてきているわけですね。それに基づいて新聞情報その他もすでに発表されてきている。そういうふうな面で端的に基地要員等も含めて非常な関心を持っている。それから、いま言ったように、このあと利用計画をどうするかという問題については、非常に地元を中心にしてこれは大きな問題になってきているわけです。そういうふうな背景があって、アメリカ会計年度が六月ということになるならば、当然やはりそういう方向に向かって明年の秋にはこの基地というものが返還されて、どういうふうにこれを使用していくのかという問題が関係当局各省においてもいろいろとこれから折衝が進められていく問題と私は思うわけです。そういうことを考えてみて、大体明年の六月ということについて、一つのめどとしてそういう方向に行くということが見通されておるのかどうか。あいまいとして、そんなことは、いまのところは、情報はそういうふうにいわれておるけれども、それは根拠のないことなんで迷惑だ、こういうふうに考えておるのか、どっちなんです。
  21. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) その点につきましては見通されております。
  22. 岡三郎

    岡三郎君 見通されておる。じゃ、見通されておるならその見通しを聞きたいと、こういうことを言っているわけです。
  23. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) これは初めにお断わりをいたさなかったのでたいへん御理解をいただけませんでしたけれどもアメリカとの交渉の問題でございますので、私どもは、その内容について具体的に申し上げることは、政府部内で控えるように言われておるものでございますから、たいへん歯切れの悪い答弁を申し上げたわけであります。
  24. 岡三郎

    岡三郎君 いまの答弁奇怪だと思うんだが、だれからそう言われているのですか。どなたから、そういう問題については説明してはいかぬと言われておるのか、その点をお聞きしたい。
  25. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) これは上層部でございます。防衛庁の上司からでございます。
  26. 岡三郎

    岡三郎君 上層部と言ったっていろいろあるからね。もうちょっと具体的に、歯切れのいいように説明してくださいよ。
  27. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 防衛庁長官ということになります。
  28. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、防衛庁長官から箝口令をしかれているから説明できないと言えば、これはもう一言でわかったわけです。そういうふうに答弁してもらわぬというと時間がたって困る。  そうするというと、これは防衛庁長官に来てもらわなければいかぬということになるわけですが、それでまあ大体いま言ったように、一応返還方向が見通されておる。内容的には具体的にちょっと説明がいまいたしかねるということですが、そこで、これは政令二百八十五号ですね、これは昭和二十八年の九月十七日に出されておりまするが、その後昭和三十五年六月の二十三日に政令百七十四号で改正を受けておりますが、この中に——いわゆる国有財産行政協定の実施に伴う国有財産管理についてこれは出ているわけですが、この中に、「その使用を許すことが産業、教育若しくは学術研究又は関係住民生活に及ぼす影響その他公共の福祉に及ぼす影響が軽微であると認められるもの以外のものとする。」、これはどういうことをいっておるのか。これは、端的にいって、いまの軍事基地の問題については、敗戦に伴う米軍の進駐ということによって、強権に基づいて基地というものが設定されるわけです。これはもう住民意思も何もその中に入っているわけではない。しかし、当然国政をつかさどり、また国の法律としても、こういう問題については、国防というものを考えたときに、民心の安定といいますか、国民協力理解ということを抜きにしては考えられない。ところが、独立して、なお安保条約の継続の中において行政協定というものに基づいて基地使用というものが許可されてきた。ところが、地域住民敗戦負担という問題について、旧軍が使用していた問題から平和国家に生まれ変わるという段階において、苦しみというものを耐え忍んできたということは想像にかたくない。耐え忍んできたわけです。だから、これが返還になるということになれば、当然こういう問題について、あとをどうするのかということについては、いま言った政令等の問題もあるわけですが、地元の人々あるいは国民に対して、はっきりとやっぱりこういう問題については理解を求めるなり、地元においてはこういうふうな軍事基地返還があった場合については、いまいろいろといわれているように、公害の問題とか、そのほか緑地とか、あるいは空閑地、遊び場、公園、まあそれぞれ都市計画にのっとっていろいろと計画が行なわれてきているわけです。それを、端的にいって、これは上のほうで何々に使うということになってしまった場合に、大体これから永久的にまた被害を受けていくのかというふうな問題がここにあるわけです。そういう点できょうは、本来は防衛大臣にも聞かなければいかぬと思っておったわけですけれども防衛庁のほうはこういう問題についてどう考えられておるのか。特に、戦前における軍用地、それから終戦早々における軍用地の問題、しかもいま都市過密化に伴う住民の困惑といいますか、苦しみというか、こういうものは比較にならないほど増大してきている。したがって、軍事基地返還されるということになっていく場合において、都市の中にある、過密地域にある軍事基地というものに対して、国として一体どうするのかという問題が、基本的に検討さるべき大きな要素を私は持っていると思う。これは現行の憲法に基づく一つの国の施策としても、また住民被害からいっても当然そういうことがあり得べきことだ。それをやみくもに、今度は日米共同使用するとか、いろいろなことを言われておるけれどもアメリカ自体もどこまで占領的な感覚で事を処していくのか、非常に反感を覚えるわけなんですけれども、こういう問題について、一体防衛庁はどう考えていますか。
  29. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) わが国防衛が、国民の支持なくして成り立たないということは、先生のおっしゃるとおりでございます。また非常に国土が狭隘でございますし、特に都市周辺過密化というような現象も非常に進んでおりますので、防衛庁の必要な用地と、それから民生上の用地との調整ということについては、十分に話し合いで、また納得の上で進めていかなければならない。これは従来基地問題に対する防衛庁姿勢でもあったわけでございます。そこで今回の問題につきましても、米側から将来基地返還されてきた暁において、これをどういうふうに受けとめるかということについては、いま先生のおっしゃいましたような点も十分頭に入れまして、関係省庁との間で具体策を進めていきたい、進めていくべきであるというふうに考えております。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 いまきつきあなたの御答弁の中で、来年度予算の中に、一応予算的措置はしているようにもとれる御発言があったわけですけれども、四十六年度に、六月末くらいまでに返還される見通しである。したがって、それに対応して、一部自衛隊厚木基地が使えるように派遣をし、そのための必要な経費を当然計上しなければならぬのですね。そういうことばを申されましたが、これはもう非常に重大なことですよ。皆さんはどうも、いま米軍管理をし、米軍使用をしている軍事基地ですね、これは飛行場を含めて、そういうものをできるだけ自衛隊に使わせようという事前の動きをしておられる。現に北富士演習場がそうじゃないですか。あれは米軍管理をし、米軍が使っている基地を、それを自衛隊がいつの間にかそこに入り込んで演習をしているのですよ。聞いてみると、ジョイントユース、つなぎの使いというのかな、そうして実績をどんどん、どんどんかせいでいるわけですよ。本来米軍から日本基地が返った場合は——あそこは山梨県の県有地もありますからね。それから旧陸軍があれを使うときにも、もし使わなくなったら国に返します、住民に返しますということで買い上げたいきさつもあるわけです。しかもその中には県有地がある。だから当然、返還されてくれば国はもう一度県と相談をして、そして自衛隊基地として使用するかどうかということをきめなきゃならぬでしょう。ところが、そういう手続き残っておるにかかわらず、中間で米軍と話をして共同で使っておるという、こういう事実があるわけですよ。それを皆さんはまた厚木にもやろうとするだろう。それはほかの返ってくる飛行場にも使おうとする魂胆だとぼくは思うのですがね。それは間違いですよ、私に言わせれば。いまあなたはかっこうのいいことを言いましたね。返ってきたものを使う場合には当然地域皆さん理解を得なければいかぬとか、環境整備もしなければならぬから各省連絡をとると、それはそれなりに意味があると思いますけれども、それだけ考えておるとするならば、一たん返った——これは厚木飛行場の例ですから、返ってきたならば、これは神奈川県知事をはじめ地域住民皆さんとよく相談をして、今度返ってきたものを自衛隊にも使わせてくださいよと、あるいは運輸省が言うように、これは民間が使うべきだという意見もあるでしょう。そういうことは、あくまでも返ってきた時点において政府があらゆる角度から配意をし、検討をし、意見を聞いてきめるのが筋合いですよ。それを、もうすでに自衛隊を来年から一部持ってきて、そこでいわゆるジョイントユースをやろうということは、そういうことは全く民意を無視した一方的なやり方ですよ。そんなことをまた厚木にやられたのじゃ、私は断じてこれは認めるわけにはいかぬと思うのですよ。だから、そんなものは、四十六年にやるなんということはやめなさい。返ってきたらそこで、国会意見もあるでしょうし、神奈川県知事以下の県民の意見もあるでしょう。その結果、自衛隊か、民間航空か、あるいは公園にしてくれという意見もあるでしょう。そういうことはその段階でやるべきですよ。それを先ばしって、自衛隊が四十六年から使うなんという予算を組むなんということは、これは間違いですよ。予算を組んだということは、自分で私は即断しているけれども、組んだか組まないかお聞きしたい。もし組んだとすれば、そんなものはやめなさいよ。そうしなければ——これは私は運輸省の肩を持とうとかなんとかいうのじゃないが、その使い方は、あるいは自衛隊のために使わなければならぬということになるかもしらぬ。あるいは民間航空にということで、運輸大臣が言っておるようになるかもしれない。あるいは公園に使うということになるかもしれない。それはそのときの国民の全体の判断の中でおきめになればいいと思うのです。だから、あれをもっと縮小することもあるでしょう。いまの原形を縮小していくということもあるのですから、そういう基本的な返還に伴う手続をちゃんと踏まないうちに、どうも自衛隊が北富士と同じようにまたやるということは、聞いておって実にけしからぬことだと思ったものですから関連質問を許してもらったわけですよ。その点どうですかね。
  31. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) ただいま予算の問題が出ましたが、この問題は、もちろん政府レベル国民の意向も考えて決定すべき問題でございまして、ただいま予算の問題は、防衛庁として事務当局で、こういうふうになった場合にはどうなるかということを検討しているという意味で申し上げたわけでございます。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 あなたは事務屋さんですか。審議官というのはどういう地位ですか。あなたが事務当局としてやろうという……(「説明員」と呼ぶ者あり)説明員ですか。政府委員じゃないですが、来ているのだから、あなたしかないのだから、しようがないから聞くわけです。説明員でもけっこうですけれども審議官というのは少なくとも相当な地位だと私は思いますよ。ですから、事務当局では、どれだけの部隊を駐留さして、どれだけの金を使ってあそこをやろうというのですか、その案を教えてください。
  33. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) ただいま申し上げましたように、現在日米の間で話が進んでいる流動的な段階でございますから、きっちりとした姿を前提としていろいろな計画を立てられないわけでございますし、またこれは防衛庁限りで決定できる問題でもございませんので、防衛庁として、四十六年度に、当初この問題が出てまいりません段階で、共同使用として一個飛行隊を厚木へ移駐させるという計画予算要求として大蔵省のほうに出しております。それを変更するかどうかということについて、これはいま検討しておる段階でございます。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 金は幾ら。
  35. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) お金の問題についてはアメリカ使用形態とか使用条件等がきまりませんとわからないわけでございます。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 わからないものを大蔵省に要求できないでしょう。
  37. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 従来の、四十六年度の共同使用を前提としての経費の点であろうかと思いますが、一億二千七百万円。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 大事なことをあなたは答えていないのです。要するに、これは返還手続政令もありますけれどもアメリカから返りますね、日本返還されますね、返還したものについては、あらためて日本政府がこれを民間航空飛行場に使うか、あるいは自衛隊に使うか、あるいはむしろ地元返還してこれを国民の福利、健康増進のために使うかということは、その段階できめるわけでしょう。国有地だからかってに自衛隊が、おれは自衛隊飛行場に使うのだといって使うことはできないでしょう。そうでしょう。だから、そういう手続が進んでおる段階で、ジョイントユースというように自衛隊が六月以降かりに返還になった場合に使っていくのだ、こういう既成事実をつくるようなそういうやり方は間違いであると言っているのですよ。あくまでも返ってきた段階相談をしてあとの使い方をきめるのが筋じゃないですか。その筋についてはあなたもそのとおりだと確認されなければいかぬ、これまでも全部きちっとそうなっていますから。その中に民間、県有のやつもある。北富士なんかの問題は特に問題ですから、そういう手続が残っておるのだから、既成事実をつくるようなことは、そういうことはおやめなさい。その点は間違いじゃないでしょう。
  39. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) いま先生がおっしゃいました趣旨はよくわかります。それで、もちろん今回の米側措置、あるいはそれを受けとめる日本側措置というものを政府レベルで決定をする段階において、従来防衛庁が考えておりました共同使用計画もあわせて一緒に再検討をする、そういうことに取り運ぶべきであると思います。
  40. 岡三郎

    岡三郎君 いま鈴木委員から質問があった点について、実際問題として共同使用の形でいま言ったような既成事実をつくっていくというふうにとられてもしかたがない。そういうふうな内容を含んでいるから、大臣から、返還見通しとか手続については説明をしてはいかぬと言われておるのかもわからぬ。それは最もけしからぬと思う。これは自衛隊を含めて国政の重要問題だから、そういう点について防衛庁の一方的なおもんばかりの中において、既成事実が潜在化から顕在化してきている時点においてこうなりますと、これでは国民は納得しないですよ。この点はもうこれ以上あなたに質問してもこれはしかたがない。この点はやはりはっきりとくぎを打っておきたいと思います。  それで、橋本運輸大臣にお聞きいたしますが、運輸省のほうとして、さきに防衛庁長官から厚木飛行場使用という使用計画等について御相談があったことがございますか。
  41. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 端的に申しますというと、まだその点については防衛庁その他外務大臣等から話を聞いておりません。
  42. 岡三郎

    岡三郎君 この十二月八日の神奈川県の新聞には、防衛庁では来年の秋、一部の部隊を厚木に移駐する計画をすでに来年度予算要求に織り込み済みで、この考えはすでに中曽根長官橋本運輸大臣連絡してあると運輸省に反論していると、こういうふうな記事が載っているわけですね。これは、事実はそういうことはない、こういうことの答弁だと思いますが、そのとおりですか。
  43. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私にはそのような連絡はありません。
  44. 岡三郎

    岡三郎君 そこで、その橋本大臣記者会見における談話というものがすっきりしてくると思うんですが、運輸省のほうとして、この返還に伴う厚木飛行場民間移管、こういうふうな問題についてその経過を御説明願いたいと思うんです。
  45. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 返還についての途中経過について私のほうに話があったかということにも関連すると思いますが、この問題については、もちろんこれは外交上の問題であり、外務大臣が主として行なうべきものでありますから、運輸省に対しては何らの連絡はまだありません。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、先ほどの説明にあったように、運輸省のほうとしても、大体明年六月を一つのめどとして返還見通しというものがあるということに基づいて、返還がされた場合において、すでに非常な航空輸送の問題というものがある、こういうことの中で厚木基地をどうしても民間使用さしていきたいというふうに考えられたわけですか。
  47. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 返還見通し及び時期等については、われわれは具体的なことを報告を受けておりませんので、この点については責任ある答弁を申しかねます。ただ、従来の意向からいたしまして、近い将来において返還されるであろうということは一応予測をしております。しかし、昭和四十六年度中に返されるかということについては確たる見通しを持っておりませんので、したがって、これに関する予算要求はいたしておりません。
  48. 岡三郎

    岡三郎君 しかし、運輸省のほうとして厚木飛行場民間飛行場として使いたいということを記者会見で言明せられたことは事実でしょう。この点どうなんでしょう。
  49. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) そこで、その厚木飛行場が最近、日米間において基地縮小等が進められておることは御承知のとおりであります。その場合に厚木飛行場ももちろん包含されるであろう。したがって、基地移管は別にいたしまして、将来厚木飛行場日本返還された場合は、これはぜひひとつ民間飛行場使用したい。ただ、先ほどからの問答にもありましたように、問題は、従来の沿革的なことから申しますというと、厚木飛行場は旧海軍が使っておった飛行場であります。ただ、海軍、陸軍というものは戦後解体をされておりますから、その時点においては形式的にそれらの関係はなくなったと、こう見ることができます。一般国有財産に戻ったんだ、こういうことが言えるわけでありますが、ただ、先ほど来の防衛庁審議官からの話は、そういう一つの前提もあると思います。しかしながら、それだけじゃなくして、全体の日本防衛、国防上から考えて、そこでどういうような地点がどういうように必要であるかということは、米軍が去ったから日本防衛は要らないということじゃないわけでありますから、したがって、それをどう防衛庁がカバーするかという、こういう問題もあると思います。しかし、私のほうから言うなれば、御承知のように自衛隊国民自衛隊であり、愛される自衛隊でなければならぬのでありますから、いま民間空港としてどうしてもこれを使わなければ将来の民間航空の上において非常な不便を来たす、こういう実情を十分に説明し得るなれば、ある程度の——防衛庁当局においてもその事情を了察して、防衛民間との関係の調整によってこれを使うことは可能であろうと私はいまから予測をいたしておるわけであります。したがって、厚木飛行場返還された時点においては、正式に防衛庁もしくは政府に向かって——私も政府内部の一人でありますが、関係者に向かって、こういう事情であるから民間飛行場に使いたいという正式の申し入れをする予定にいたしております。
  50. 岡三郎

    岡三郎君 将来を想定して運輸省のほうとしてアドバルンというか、ここでPRしたということになるわけですか。
  51. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) PRということばがいいかどうかわかりませんが、大体御承知のように、皆さん専門家でありますから御承知でありますが、いま羽田の飛行場——東京関係で言うならば運輸省が使っておる飛行場は羽田飛行場一つであります。現在国際空港として工事中のものは成田の国際飛行場、これが全工事が完成した暁におきましても、その離着陸の一時間の回数というのは、一時間に飛行場を使う率というのはぜいぜい六十回にすぎません。それに対して、これはニューヨークの場合とは事情は違いますけれども、ニューヨークには三つ飛行場があります。その三つの飛行場は、御承知のように大きなものはケネディそれからラガーディア、ニューアークの三つの飛行場がありますが、一つ飛行場では八十回離着陸を行なっております。他の二つの飛行場は六十回行なっておる。そうしますと、今後十年もしくは十五年という将来の民間航空利用数を考えますというと、当然に、現在ニューヨークの付近で使っておる飛行場に匹敵する、あるいはそれに近いくらいの利用回数をわれわれは考えていかなければならない。そうなりますというと、成田飛行場が完成しましても、また羽田が一部分の拡張を行ないましても、なおかつ不足である。こういう点に関しては、やはり厚木をできれば全面的に使って、なおかつそれでも、三つ合わせましても百六十回にすぎない。こういうことを考えますというと——百六十回にいかないと思いますが、大体百六十回、一時間に百六十回の離着陸になると思います。こういう点から考えますと、やはり民間航空という点から考えれば、厚木をできれば専用的に使いたい、こういう計画のもとに今後準備を進めると同時に、また防衛庁に向かってもぜひひとつ民間航空の事情を了解してもらいたい、このような意味での交渉はいたしたい。結論として、それが専用に使えるか、共用になるかは別といたしましても、とにかく、実際厚木民間は使えないのだということでは今後の航空行政に大きな支障を来たすというふうに考えておるわけでございます。
  52. 岡三郎

    岡三郎君 根本的に、私が先ほど言ったように、都市の周辺ないしは中における軍事基地ないし飛行場という問題ですね、こういう問題について、敗戦の責任というか国民のそういう犠牲、そういうものに対して二十数年、基地周辺整備法のようなものができたけれども、ほとんど地域住民に対して御苦労さんです、どうも国全体のしわ寄せとして基地住民自体に迷惑をかけておる、そういうふうな政府姿勢というものが非常に足りなかったと私は思うんです。したがって、過密化されてきておる都市計画とか、そのほか全般の問題として、基地はとにかくもう少し人に影響のない方向で何かしてもらいたい、もうここまでがまんをしてきたら限度だ、日本国全体の責任を一部分にしわ寄せしてそこに御苦労をかけておるというふうな基本的な姿勢がないわけです。これは旧軍部と違っていまの自衛隊自体は平和憲法のもとにおける存在です。国民自体がこれを国有財産として返還された場合において、一体これをどういうふうに考えていくべきかという点については非常な関心を持っておると私は思うので、したがって、先ほど言われたように自衛隊がいつの間にか米軍に肩がわりしてこの基地を使うということになれば、これは永久的な問題だと思うんです。これは旧軍におけるところの、統制令の中における一つ使用とは違うんだ、現状は。だから国全体としてそういう基地なり、そういうものが返還されたときにこれをどういうふうに考えていくのかということについて、非常に政府の方針というものを、平和的にこれを使用するという方向で渇望しているわけですね。そういうことで、まあ五百三十万平米というから相当広大な地域ですから、との問題について全部いわゆる基地周辺の自治体にこれを返還してもらうということは無理があるかもわからない。しかし過密化の中における軍事基地というものを一体どう整理していくのか、こういうものを端的に考えると同時に、かりに民間でこれを使用するということになった場合においても、新しい空港を設置する場合に伴っていろいろと施策をされている、ところがこれは肩がわりだからそのまま踏襲されていいという問題ではない、こういうことではないと思うんです。だからこういう問題について地域住民が、非常に現在のいろいろなやりとりの中における実態というものについて不満を持っているということをいまここで明確にしておきたいと思うんですが、第一に、現在の過密地域から軍事基地を取り除いてもらいたい、そうして地域住民にこれを使用ずるという方向で検討してもらいたい。万やむを得ないときには民間飛行場としてこれを使用するということになるでしょう。しかしその場合においては、当然地域住民に対する迷惑、あるいは被害というものをもう一ぺん考えてこういう問題については善処してほしい。自衛隊使用ということになれば、これはとてもじゃないけれども了解できないというふうに考えていると思うんです。私自体はそういうふうに考えております。地域住民もそういうふうに考えているんじゃないかと私は思います。  まあそういうふうな点で私がきょう言わんとしていることは、予算をすでに要求している防衛庁共同使用ということで対潜哨戒機の一部隊を下総の基地から厚木に移すということの既成事実、こういうものをどうしてもやるんだと海幕長が言っている事実、こういう問題についてかなりこれは進行しておるので、防衛庁長官が大西審議官に、そういうことについてはしゃべってはいかぬというふうに言われておるんではないかというふうに憶測するわけですが、そういうふうな点で、この問題について具体的に私は、防衛庁自体、あるいは運輸省、内閣全体において、軍事基地の今後の返還に伴う使用についてはやはり国民にわかるようにしてもらいたい、何か奥のほうでそそくさとやられてしまったならば、とてもたまらぬという気持ちが非常に強いわけです。こういう点について運輸大臣のほうに、これは要望として、善処してほしいというふうに考えるわけですが、どうですか。
  53. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 運輸大臣として答うべき点と、防衛庁長官でなければ言えぬ点とがあるようであります。私、国務大臣でもありますから一応の見解は持っておるわけであります。  そこで第一段のことでありますが、防衛的見地において現在の米軍基地及び自衛隊基地を含めてどういう状態にあるべきかという問題は一つあると思います。これは防衛庁が、米軍基地縮小に伴い、したがって、日本の航空基地でいうならば飛行場の配置はどうあるべきかということは、もちろんこれは検討せられておると思います。ただ、それ以外の基地、必ずしも東京及び東京周辺になくてもいい問題、それについて国民生活と不調和なものがあれば、当然これは防衛庁においても、またわれわれにおいても考えなければならぬ点があると思います。したがって、ただ、こういうような基地があった場合に、それをすぐ直ちに一般に開放して過密を招来するととになることは好ましくない。他の方法において、これが緑地あるいはその他の施設において使われることは好ましいけれども、ただ、少なくとも東京及び東京周辺というものは人口が稠密しておる。その上に住宅をむやみに建てるということは、必ずしもこれは原則としては好ましくないのでありまするから、それらをどう——必要以外の基地がもしあるとすれば、必要以外の基地がもし出てくるとすれば、防衛上の見地から防衛庁自身が考えるべき問題でありますけれども、そういう意味で、国民生活の問題、環境保全の問題、こういう点からも考えていくべきものであろうと考えます。  もう一つ、これはわれわれ運輸省関係する問題でありますが、お話のように、ジェット化あるいはその他の回数の激増等によって、たとえ民間飛行場であっても、付近の地域住民の諸君に悪影響を与えておる、御迷惑をかけておることについてはまことに恐縮に存じております。したがって、これはなかなか予算関係もありますので一挙にこれを解決することは困難ではありますけれども、大型機、いわゆるジェット化する飛行場につきまして、この周辺の人々に対しては、基地周辺において特別な保護対策が行なわれておりますけれども、これらをやっぱりある程度準用する必要が将来は起きてくるのではないか。しかし、その前の前提としては、いまアメリカで非常に重大にしておりますように、騒音等については思い切ってこれを制限して、あるいは使用時間についても思い切って制限をしていくという、こういうふうな技術対策及び使用制限、こういう点をやはります前提として行なう必要があると思う。そういう意味において、運輸省といたしましても、将来ともにこの騒音については非常な関心を持ってこれをできるだけ制限していく方針でまいっております。
  54. 岡三郎

    岡三郎君 防衛庁のほうから来ないので、いま運輸大臣から説明があったわけですが、その点について毎年われわれ自体も、神奈川県としては地元関係自治体からも、とにかく基地があるということによって迷惑だけが累積されていっている。基地周辺整備法というものも、ほんとうにスズメの涙ぐらいなもので、実態として、いま言われたように、騒音なんかの点についてもかなり住民が文句を言って部分的には改善されておりますが、しかし全般的に飛行機が大型化されてくればくるほど非常な迷惑というものがさらに増加されていくんじゃないか。こういう点で、ひとつ国家的な見地に立っていろいろ措置されるということ、検討するということと同時に、その地域全体についてどういうふうに考えているのか、こういう点について、やっぱり積極的な施策というものを背景にして話を進めてもらわないというと、たとえば自衛隊基地になるというと、これは未来永劫、これから日本の国が続いていく限り、自衛隊を自民党がやめようという考え方はとらないと思う。そうすると、戦後において、部分的に、いろいろと自衛隊返還されておるけれども米軍の占領が終わって、安保条約なんかにおける軍事基地縮小という問題がきたときに、これはやはり全国民として、地域住民自体を含めて、ああやれよかったというふうな形の受け取り方というものをうんと期待していると思うのです。そういうふうな点について、基本的な立場というものをひとつはっきりとざしてもらいたい。これは基地返還後の基本的な方針ですね。そういうふうな問題について、ひとつ強く要望をしておきたいと思うのです。  この厚木飛行場自体も、五百三十三万二千平米ということになって、国有地としては五百二十三万四千平米、約十万平米近い民間土地があるというふうに聞いておりますが、この点は防衛庁のほうとしての調査はどうなっておりますか。これは施設庁ですか。
  55. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) 施設庁でございます。  いま御指摘のございましたように、厚木飛行場はほとんどが国有地でございますが、現在約五千五百平方メートルの民公有地が残っております。
  56. 岡三郎

    岡三郎君 これは昨日調査していただいたのですが、五百三十三万二千平米のうち、国有地が五百二十三万四千平米、これは違いますか。
  57. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) 五百三十三万二千平米——ちょっと調査の時点で数字が違うかもしれませんが、昨年十一月ごろの数字で五百三十三万二千平米でございますが、これは全体の数字でございます。そのうち五千五百平方メートルが民公有地でございます。
  58. 岡三郎

    岡三郎君 それはどこが持っていますか。
  59. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) 所有ということでございますか。——いま一々つまびらかにしておりませんけれども、個人の所有もございますれば、あるいは村有地、町有地とか、そういったものがあるかもしれません。
  60. 岡三郎

    岡三郎君 それが五千五百平米……。
  61. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) はい。
  62. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、その民間あるいは公有地、いわゆる自治体の所有する土地というものが含められていった場合に、それは返還に伴ってどういうふうになりますか。今度はお貸しするのはいやだと言われたときはどうなるのですか。土地収用法でやられるのですか。
  63. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) 土地収用法を適用するとかというような問題はいろいろ政策上の問題もございましょうが、たてまえからいいますと、所有者にやはりお返しするというのが法的な立場であろうかと思います。
  64. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、その民間なり、いわゆる公有地なりは、そちらにお返しするということになるわけですか。
  65. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) 契約の上からはそうなるかと思います。
  66. 岡三郎

    岡三郎君 そうなる。従来、どういうふうにその問題は処理してきましたか。
  67. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) いま先生は、厚木飛行場で圧倒的な国有地の中に一部民有地が入っておるという特殊な例で御質問になっておられるかと思いますけれども、ちょっとそういう例のことは私いま思い出せません。個々の小さいものの返還とかというようなことばかりしかちょっと記憶に残っておりませんので、この厚木飛行場がたとえば返還された場合を想定してという、そういう実例は実は記憶してございません。
  68. 岡三郎

    岡三郎君 もう一ぺん、くどいようですが、厚木基地が五百三十三万二千平米で、国有地はこのうち幾らですか。
  69. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) 五百三十二万六千平方メートルが国有地になろうかと思います。
  70. 岡三郎

    岡三郎君 わかりました。  それでは、この問題については防衛庁長官が来たときにまたあわせて質問を続けたいと思います。きょうは軍事基地全体の中から、時間がありませんので厚木飛行場にしぼって質問したわけですが、これからいろいろと計画が進められていく中で、説明員審議官が箝口令をしかれている。ほかの委員の時間の問題もあるので、一応これは防衛庁長官でないと、私はそういったことを言った覚えはございませんからということでは話が進まないと思うのです。つまり、先ほど明確に、防衛庁長官から箝口令をしかれているということが言われたわけですが、防衛庁長官がどういう意味でそういうことを言われたか、これは憶測から質問してもしかたがありませんので、次回に、この問題についてはひとつ防衛庁長官質疑をしたいというふうに考えて、きょうは終わりたいと思います。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 この機会にちょっと防衛庁の方に伺いたいのですが、これは私、非常に不勉強ですけれども、私の受ける感じからいきますと、あの苛烈な戦争をやりまして、そのあと国内の軍事施設というものは一、二の例外を除いてほとんど米軍もしくは自衛隊が使っていますね。私は、一朝事あった時に、将来といえども備えるということは必要だと思いますけれども、おのずと戦時の編制と平時の編制というもののけじめはあると思うのですよ。これは旧憲法時代の軍隊をそのまま自衛隊に当てはめることはできませんけれども、現在の憲法下における自衛隊からいきましても、一朝事があった時と、それから平時とはっきりしたけじめはできておるんじゃないかと思うのですけれども、具体的にいろいろ国内の施設等を見ますと、あまりその問のけじめはついてないように思うのですよ。そこで、この問題は運輸行政だけでなく国政全体に影響のある問題ですから、私はこの機会にそれを詳細に伺おうとは思いませんけれども、たとえば、いまの航空施設問題等にしましても、平時と戦時という、そこのけじめというものがあって、何かあった際にはまたそれを転用するということもあり得るので、そういうことを考えますと、そういう前提に立って私は疑問を持つのですが、何でもかんでも、いままで軍の飛行場であったのを、アメリカが使っておったものを、それをそのまま自衛隊施設にすべきものという前提がちょっとおかしいんじゃないかと思うのですが、これは橋本運輸大臣もおられるますが、運輸大臣はいろいろその点について防衛庁長官でなくても御存じかもしれませんが、そういうものを前提にしますと、私は、今後アメリカ施設がいろいろ日本返還されるという場合に、厚木だけではなくて、日本全体で平時の編制に立って、兵員の問題は徴兵制度もないし、これからも徴兵制度はやるべきでないが、それでもやはり兵員の問題も平時と戦時のやはり差別はあると思うのですよ。特に、施設においては当然あるべきだと思う。そういう平時編制の編制基本方針に従ってこの返還問題をいかに処理するかということをもっと国政全般の高い立場からお考えにならぬと、自衛隊が、いままでアメリカが使ったから今度はおれのものだ、おれのほうが優先権があるのだというふうに——私は誤解かもしれません。でも、しかし、神奈川のみならず全国的に見まして、必ず優先的につばをつけてくるのは自衛隊だというのは、私はおかしいんじゃないかと思うのですが、それは誤解ですか。
  72. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) ただいま河野先生からお話がございました、自衛隊の体制がすべて戦時の体制を基準にして行なわれておるのではないかというような御指摘がございましたが、確かに自衛隊の体制を現在の国際情勢、それから日本の何といいますか、戦略的な考え方、いわゆる専守防衛と申しますか、そういう点から判断をして、どういう形で維持することが日本の安全保障上最も好ましいかという点を具体的に詰めなければならないと思います。  一例を申し上げますと、現在上空侵犯に対する措置といたしまして、レーダーサイト二十四カ所と、それからそれに関連をします戦闘機の部隊の一部に二十四時間体制をしいております。しかし、陸上の自衛隊ではそういうような体制を持っておりません。したがいまして、こういう問題につきましては、いま先生から御指摘のありましたようなことをわれわれも考えておるわけでございまして、もう少しこういう点について、さらに具体的に掘り下げてやるべきだろうというふうに存じます。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっともう一言つけ加えさしていただきますが、私はもう一つの別の立場から、これは中曽根大臣が非公式と言えば非公式ですが、前からの主張として、日本の人口の一割五分なり二割を持っておる東京周辺に飛行場等は持つべきでない、飛行機も非常に機能も変わってきたし、なるべくこれは遠くのほうに置くべきだと、それによって防衛に何らの支障はないんだと、こういう御主張があったように私は思いますよ。このような主張がなくても、いま東京、神奈川、埼玉、千葉を入れますと人口は二千万をこえるでしょう、この人口過密なところにそういう軍の施設を現状のままで置くこと、これはやっぱり橋本運輸大臣おられるけれども、国政の大所高所から見て、大きな意味の防衛政策からいきましても、これは私はベターじゃないと思うのですよ。結論としては、私はそういう意味で、やはり運輸省にこういう機会には奮起願って、この軍事施設——国防に支障があっては困りますよ、困りますけれども、それでなくても、ほかの道をとっても私は支障は起こらないんじゃないかと思うんですよ。そういう意味で私は、かねがねの中曽根さんの主張に大いに共鳴しているほうなんですが、それをこの機会に、アメリカが引き揚げたからすぐ神奈川県にも、千葉県にも埼玉県にもそのまま自衛隊がかわるんだというようなことは、私はちょっとおかしいと思うんですがね。そういう点についても、もし何かいまおいでの審議官なり局長にお考えがあったら伺いたい。同時に、橋本運輸大臣どうですか、これはおかしいでしょう。この二千万も日本の人間が集まっているところに、そういうものを置かなくちゃならぬという理由は私はないと思うのですが、こういうときにこそ私は大いに転換をしたらいいと思うんですが、どうなんでしょう。
  74. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) どうも中曽根防衛庁長官が答えるべき性質のものでございますので、あまり私のほうからよけいなことを言いますというと問題になりますが、一応国務大臣として考えますと、いま河野さんが言われたような、新しい国防体制はどうあるべきだというようなことは、まず考えなければいかぬと思います。かつまた、今後の機器の開発によってどういう種類のものが東京周辺に必要かと、こういう点等から考えて総合的に判断すべきものであろうと思いますが、私は専門家ではありませんのでこれ以上のことはお答えしかねますが、厚木飛行場に関しては、いま民間航空状況から考えて、ぜひ運輸省に使わしてもらいたいという方向で、今後とも折衝を進めたいと考えております。
  75. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) ただいまの前半の問題については、私はお答えを申し上げる立場ではございませんが、米軍基地があいだがら自衛隊が出ていくということではございませんで、厚木につきましては、下総の現在の基地が成田の新しい国際空港ができますと非常に制約を受けるというような事情もございまして、前々からそういう方向で検討を続けていたものでございます。
  76. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十四分散会