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1970-12-16 第64回国会 衆議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十六日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員     委員長 八木 徹雄君     理事久保田円次君  理事河野 洋平君     理事谷川 和穗君  理事小林 信一君     理事正木 良明君  理事鈴木  一君       小沢 一郎君    塩崎  潤君       床次 徳二君    野中 英二君       堀田 政孝君    松永  光君       森  喜朗君    渡部 恒三君       川村 継義君    木島喜兵衞君       辻原 弘市君    山中 吾郎君       有島 重武君    多田 時子君       山原健二郎君    安里積千代君  出席国務大臣         文部大臣    坂田 道太君  出席政府委員         文部政務次官  西岡 武夫君         文部大臣官房長 安嶋  彌君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         文部省体育局長 木田  宏君         文部省管理局長 岩間英太郎君         文化庁次長   安達 健二君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         文部省社会教育         局審議官    岩田 俊一君         日本ユネスコ国         内委員会事務局         事務総長    伊藤 良二君         文教委員会調査         室長      田中  彰君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十五日  辞任        補欠選任   辻原 弘市君     石川 次夫君 同日  辞任        補欠選任   石川 次夫君     辻原 弘市君     ――――――――――――― 十二月十二日  なぎなたを高等学校正課教材として採用に関  する請願井出一太郎紹介)(第五五八号)  同(藤枝泉介紹介)(第五五九号)  山村へき地医療保健対策として医科大学等新  設に関する請願井出一太郎紹介)(第五六〇  号)  同(中尾栄一紹介)(第六七六号)  養護教諭全校必置に関する請願多田時子君  紹介)(第五六七号) 同月十四日  国連大学招致に関する請願井出一太郎君紹  介)(第七九二号)  同(小川平二紹介)(第七九三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第七九四号)  同(小坂善太郎紹介)(第七九五号)  同(羽田孜紹介)(第七九六号)  同(原茂紹介)(第七九七号)  同(増田甲子七君紹介)(第九三九号)  同(松平忠久紹介)(第九四〇号)  公立学校における警備員配置等に関する請願  (原茂紹介)(第七九八号)  同(松平忠久紹介)(第九四一号)  教育予算増額に関する請願木島喜兵衞紹介)  (第八九〇号)  同(松平忠久紹介)(第八九一号)  同(稻村佐近四郎君紹介)(第九三七号)  同(古内広雄紹介)(第九三八号)  水沢緯度観測所観測研究環境保障に関する請  願(山中吾郎紹介)(第九七七号)  福岡県学校給食総合センター設置に伴う国庫補  助に関する請願大橋敏雄紹介)(第一〇一一  号)  各種学校制度確立に関する請願八百板正君  紹介)(第一〇七二号)  私学助成制度改善に関する請願斎藤実君紹  介)(第一〇七三号)  国公私立大学学費値上げ反対等に関する請願  (山原健二郎紹介)(第一一一七号)  養護教諭全校必置に関する請願櫻内義雄君  紹介)(第一一一八号)  同(渡部恒三紹介)(第一一一九号)  医師養成確保に関する請願小沢辰男紹介)  (第一一八五号) 同月十五日  教育予算増額に関する請願下平正一紹介)  (第一三二九号)  同(三木喜夫紹介)(第一三三〇号)  国公私立大学学費値上げ反対等に関する請願  (松本善明紹介)(第一三三一号)  私学助成制度改善に関する請願青柳盛雄君  紹介)(第一三三二号)  同(浦井洋紹介)(第一三三三号)  同(小林政子紹介)(第一三三四号)  同(田代文久紹介)(第一三三五号)  同(谷口善太郎紹介)(第一三三六号)  同(津川武一紹介)(第一三三七号)  同(寺前巖紹介)(第一三三八号)  同(林百郎君紹介)(第一三三九号)  同(東中光雄紹介)(第一三四〇号)  同(不破哲三紹介)(第一三四一号)  同(山原健二郎紹介)(第一三四二号)  同(米原昶紹介)(第一三四三号)  同(青柳盛雄紹介)(第一五七六号)  同(浦井洋紹介)(第一五七七号)  同(谷口善太郎紹介)(第一五七八号)  同(寺前巖紹介)(第一五七九号)  同(東中光雄紹介)(第一五八〇号)  同外十件(安里積千代紹介)(第一五八一号)  同(相沢武彦紹介)(第一五八二号)  同(浅井美幸紹介)(第一五八三号)  同外一件(新井彬之君紹介)(第一五八四号)  同(有島重武君紹介)(第一五八五号)  同(伊藤惣助丸君紹介)(第一五八六号)  同(小川新一郎紹介)(第一五八七号)  同(大久保直彦紹介)(第一五八八号)  同(大野潔紹介)(第一五八九号)  同(大橋敏雄紹介)(第一五九〇号)  同(近江巳記夫紹介)(第一五九一号)  同(岡本富夫紹介)(第一五九二号)  同(沖本泰幸紹介)(第一五九三号)  同(鬼木勝利紹介)(第一五九四号)  同(貝沼次郎紹介)(第一五九五号)  同(北側義一紹介)(第一五九六号)  同(桑名義治紹介)(第一五九七号)  同(小濱新次紹介)(第一五九八号)  同(古寺宏紹介)(第一五九九号)  同(斎藤実紹介)(第一六〇〇号)  同(坂井弘一紹介)(第一六〇一号)  同(鈴切康雄紹介)(第一六〇二号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第一六〇三号)  同(田中昭二紹介)(第一六〇四号)  同(多田時子紹介)(第一六〇五号)  同(竹入義勝君紹介)(第一六〇六号)  同(鶴岡洋紹介)(第一六〇七号)  同(鳥居一雄紹介)(第一六〇八号)  同(中川嘉美紹介)(第一六〇九号)  同(中野明紹介)(第一六一〇号)  同(西中清紹介)(第一六一一号)  同(林孝矩紹介)(第一六一二号)  同(樋上新一紹介)(第一六一三号)  同(広沢直樹紹介)(第一六一四号)  同(伏木和雄紹介)(第一六一五号)  同(二見伸明紹介)(第一六一六号)  同(古川雅司紹介)(第一六一七号)  同(正木良明紹介)(第一六一八号)  同(松尾信人紹介)(第一六一九号)  同(松尾正吉紹介)(第一六二〇号)  同(松本忠助紹介)(第一六二一号)  同(丸山勇紹介)(第一六二二号)  同(宮井泰良紹介)(第一六二三号)  同(矢野絢也君紹介)(第一六二四号)  同(山田太郎紹介)(第一六二五号)  同(和田一郎紹介)(第一六二六号)  同(渡部一郎紹介)(第一六二七号)  同(渡部通子紹介)(第一六二八号)  養護教諭全校必置に関する請願河野洋平君  紹介)(第一三四四号)  同(吉田実紹介)(第一四七五号)  公立学校における警備員配置等に関する請願  (下平正一紹介)(第一四二四号)  同(林百郎君紹介)(第一四二五号)  国連大学招致に関する請願下平正一紹介)  (第一四二六号)  兵庫県竹田城跡の保存に関する請願佐々木良  作君紹介)(第一五三六号)  公民館建設に対する国庫補助増額に関する請願  (樋上新一紹介)(第一七四三号)  国立養護教諭養成所国立大学の四年課程に改  正に関する請願二見伸明紹介)(第一七六六  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十一日  石川県に国連大学招致に関する陳情書  (第三〇一号)  人口急増地域教育施設整備に関する陳情書  (第三〇二号)  社会教育拡充強化に関する陳情書  (第三〇三号)  大学における社会科学系学部充実等に関する  陳情書  (第三〇四号)  山村へき地医療対策として医科大学等新設に  関する陳情書  (第三〇五号)  教職員の勤務時間に関する陳情書  (第  三〇六号)  幼児教育振興に関する陳情書  (第三〇七号)  米飯切替えに伴う学校給食施設整備費補助に関  する陳情書  (第三〇八号)  医師養成機関拡充強化に関する陳情書  (第三一五号) 同月十四日  幼稚園教育振興に関する陳情書  (第三七四号)  公民館整備に関する陳情書  (第三九〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 八木徹雄

    八木委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部恒三君。
  3. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 私は、当面する文教問題、特に国民の大きな関心事になっておる国連大学設置海外指導教育等の国際的な教育上の問題等、今度の国会公害国会といわれておりますが、公害あるいは今日の非常な社会問題になっておる過疎過密等問題解決策としての教育機関地方分散等の問題について、これから順次文部大臣の所信をお伺いしたいと思います。  特に国連大学については、最近マスコミ等も取り上げ、あるいは気の早いところでは、仙台松島にできるのだとかあるいは万博あとにできるのだとか、いろいろの話が出てきておりますが、まだわれわれははっきりした文部当局意見を知っておらないのであります。そこで第一に大臣に、国連大学に関するユネスコ総会及び国連総会審議経過並びに今後の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
  4. 八木徹雄

    八木委員長 渡部君にちょっと申し上げますが、いまのお話伊藤君が来てからのほうがいいのではないかと思いますから、次の問題を先にやっていただけませんか。
  5. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 いま答弁者がおられないそうでありますから、またおいでになってから国連大学については逐次お尋ねすることにして、これに関連してわが国海外文化活動についてであります。  最近、わが国経済異常進出に対する反応が、あるいはエコノミックアニマルであるとか、あるいは日本帝国主義を再来するというような、ありがたくない、また実際の日本の真意と違う海外反響等があるのでありますが、私は、戦後二十五年、日本文化国家として、平和国家として世界に寄与しようという意図を世界各国の人に知ってもらうのには、何といっても海外文化活動強化が最も大事であると思います。この意味国連大学についてもお尋ねをしたのでありますが、いま聞きますると、ユネスコを通じて文部省では、アジア地域文化発展をはかるために、アジア文化センターをつくろうというようなお考えを持っておるというようなお話も聞くのであります。これについて文部省見解をお尋ねしたいと思います。
  6. 坂田道太

    坂田国務大臣 国連大学の問題につきましては、直接の担当であります伊藤総長が参りましてから、相関連しながらまたお答えを申し上げていきたいと思います。  今日、日本経済的にはかなり発展をいたしまして、そして世界からも認められておるわけでございますが、しかし同時に、経済だけではなくて、文化あるいは技術あるいは教育といった面において、世界あるいは東南アジア諸国に寄与することが非常に大事ではないか、こういう考え方から、実は本年度予算におきましても、ユネスコ活動を通じましてモービルチームによる活動、たとえば農業開発指導者ユネスコ本部から、あるいは当該の国から、あるいはまた日本人指導者からチームを編成しまして、そしてこれを指導して訓練をする、こういう考え方、これを単に農業だけではなく、その他の分野にも広げていこうということを考えておるわけでございますが、こういうような運動をやるにつきましても、やはりその背景となりますのは、お互いの国の歴史や伝統や慣習や言語等が十分理解された上で行なうことが望ましい、こういうふうに思うわけでございまして、特にアジアにおきましてはそのようなセンターをつくることが望ましいのではないかということで、国内ユネスコ委員会におきましても、この一、二年このセンター設置のために準備をし、努力をし、そして本年度予算では調査費を実は組んだわけでございますが、いよいよ来年度予算におきましては、ひとつ設置準備予算を獲得したいというふうに考えておるような次第でございます。
  7. 八木徹雄

    八木委員長 渡部君にちょっと申し上げます。  いまユネスコ国内委員会伊藤事務総長が見えましたので、前問も含めて答弁をさせます。
  8. 伊藤良二

    伊藤説明員 ただいまメモを忘れまして、おくれましてたいへん申しわけございません。国連大学につきましての審議経過と今後の見通しにつきまして、概略御説明さしていただきます。国連大学につきましては、十月ユネスコ総会で一応決議ができまして、それから十二月のニューヨークにおける国連総会方向が一つ決定しております。その点について御説明申し上げます。ユネスコ動きという点に御関心が深かろうと存じますので、そのバックグラウンドと申しますか、動きにつきまして概略御説明させていただきます。  国連が昨年の九月、国連大学設置必要性を強調いたしまして以来、ユネスコのほうの態度は非常に消極的でございました。それは、なぜユネスコがこういう問題に消極的であったかという点を私なりに推測いたしますと、ヨーロッパの中におきまして、ユネスコ大学の教授とかそれから文化学識経験者、そういった集まりのところでございますので、これに対しましては相当じっくりした研究と批判をやっていかなければいけないという態度を基本的に維持しておりますので、その中にありますパリユネスコ本部は、その空気を反映いたしまして、やはりこれは火中の栗を拾うようなものだ、実現性のないものに飛び込むのはいささかどうかと思われるという点があったかと存じます。  なお、ヨーロッパ諸国は、今度の総会でも経験いたしましたように、国連大学のようなものを日本なら日本というアジアの国につくった場合に、ヨーロッパのこれまで持っております国際性を持った諸大学のいままでの既存利益——と申しますとオーバーな表現かもしれませんが、既存の地位が多少新しい国連大学のほうに進んでくるんじゃないかという点がかなりおそれられているようでございます。   〔委員長退席谷川委員長代理着席〕 さようなものを新たにつくるよりは、ヨーロッパの現在の大学——その大学ば約二十何%、多い大学におきましては半数以上が外国の、発展途上国の学生に開放しているというような国際性を持った大学がかなり多いものですから、その肩がわりをさせるのはどうかという考えがあったのは事実でございます。  しかしながら、ユネスコ事務局は、先般日本に来朝いたしましたユネスコのナンバーツーのアジセシアという人が国際教育年に出席いたしまして、日本の朝野にわたる国連大学設置に関する熱意というものにいたく動かされたようでございます。日本のような国で、かつこの熱意をもってすれば、これは日本国連大学の主役を演じてくれるというところで、可能性が出てきたという判断を持って帰りまして、そうして八月、帰るやいなや、直ちにユネスコ幹部会を開きまして方向転換をやったわけでございます。私たちが行きました際に、十月にパリユネスコ総会に臨んだわけでございますが、その際には、ユネスコ事務局日本と手を握って、そして発展途上国をバックに控えてこれを実現しようじゃないかという、非常な強い熱意を示してくれたのでございます。私たち、この線に沿いまして、とにかく招致の問題の前に設置をきめるということの大切なことに思いをいたしまして、全力を注いだわけでございます。  しかしながら、オランダとかイギリスとかスイスとか、ヨーロッパ諸国はやはり依然として強い反対態度を示しております。何もそういうものをアジアにつくるのにわざわざ多額の拠出金を出す必要もなかろうじゃないか、いままでのものでいこうじゃないかという線を出したわけでございます。  それで、私たちは、ユネスコ事務局中心国、それから発展途上国、さらにアメリカ等主要国も若干加えまして、決議をいたしたわけでございます。その決議内容は、かいつまんで一点でございます。ユネスコは、約十カ月間の間に国連大学に関する全面的な研究をしろ、それをウ・タントは頼んでくれということでございます。これをつくるとかつくらないという問題は、学識経験者大学人と集まって研究すべき問題であって、いますぐ軽々に言うことは相ならぬというのがヨーロッパの国の強い姿勢でございまして、私たち、その点は妥協いたしまして、設置必要性は特に強調せず、とにかく十カ月の間これを研究せよという点で、ユネスコのほうはおさめてまいったわけでございます。  舞台はニューヨークに移りまして、ニューヨーク国連総会では、十二月の初旬からこの審議が開かれたわけでございます。この審議の結果は、新聞ですでに報告されておりますように、九十四カ国が賛成し、十一カ国が保留いたしまして、反対はゼロで、きまったのは、これから要点を申し上げます決議でございます。私は、これをしぼりまして、四点あろうかと思います。  四点の第一点は、来年の五月末日までに各国政府意見を出してくれ、財政はどのくらい負担できるかということまで入れて、政府意見国連に出してくれというのが一点でございます。第二点は、 ユネスコで十カ月審議したのを踏まえて、態度をきめるという勉強をやるために十五人の委員会を設ける。日本もそこに入りたいということでございます。それから、それは来年の秋の総会で、大体設置方向に進むように向けていこうじゃないかというようなのが決議内容でございます。  これに対しまして私たちは、これを受けましてこの設置につきましての全面協力ということで、このための予算要求をいたしておるとともに、この内容につきまして、できるだけの協力を惜しまないという形の体制を整えたいと思っております。  なお、十五人委員会とかユネスコ委員会には、向こうも当然予想しておると思いますが、日本からの専門家を任命してもらうということも私たち信じておる次第でございます。  この重要性にかんがみまして、それから国連事務局ユネスコ事務局並びに全般の、特に発展途上国中心国の期待に応じまして、私たちは、この実現に向かって最大の努力を払うべきであるというふうに感じておるのでありまして、大臣にも叱咤勉励されているわけであります。  なお、文化センターにつきましては、アジア文化というものは、非常に古い伝統と長い経験といいものを持っているにもかかわらず、とかく西洋文明のもとに外に出てこなかったというおそれがありまして、このために、ユネスコの、アジア日本文化センターのようなものをつくって、アジア文化——天然記念物とか、文化財とか、舞踊とか、いろいろなものを含めて、広い意味文化センター日本に置いてくれ、そしてその機能をもってアジア文化活動を活発にさしてくれという強い要望にこたえまして、私たち、今回アジア文化センターの設立に踏み切ったわけでございます。これは、ただ経済的な問題でアジアと手を握って進んでいくというのみならず、経済と同時に、やはり教育、特に文化の面、精神的なつながりというものが非常に大きな力を持っている。彼らは精神的な誇りを持っている。その誇りを持っている同士が、国際的なユネスコという輪を通じまして肩を握り合って進んでいきたいというのがその趣旨でございまして、そのために財団法人もすでに所定の経費は調達いたしまして、発足の前夜にあるわけでございます。この活動が進みましたならば、日本アジアにおける精神的な連帯というものは非常に強くなる。いままで日本は、こういった広い意味の援助というものは全然やっていなかったということを私たち非常に残念に思っている次第でございまして、今後GNP一%は何に振り向けられるかという問題に際しましては、前の国連大学、それから文化センターアジア技術協力といった点は、非常に有意義な効率の多いプロジェクトであると私は思っております。  たいへん長くなりまして……。
  9. 谷川和穗

    谷川委員長代理 ちょっと政府委員に申し上げます。  本日は、発言者多数のために時間の制約がございます。御答弁はなるべく簡略にお願いいたします。
  10. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 懇切な答弁をいただいたのでありますが、いま委員長お話しのように時間が制約されておりますので、ひとつ明快で簡潔な答弁をこれからお願いしたいと思います。  いまのお話によりますと、国連大学についてはアジア中近東等後進国家は非常な熱意を示しておる。ところが、ヨーロッパ等先進国家はあまり熱意がないということでありますが、むしろ私は、こういう世界情勢の中にこそ日本が果たすべき役割りがあるので、後進国、特にアジアアフリカ等要望にこたえて日本努力して、日本協力して、日本が犠牲を払ってこの国連大学設置をしたんだ——来年の十月いよいよ大詰めに来るわけですが、それまで日本がこの大学設置努力したんだという実績こそ、何よりも、この設置される国連大学日本に誘致する一番大きな前提になると思います。したがって、その点についての大臣の決意のほどをもう一度お聞かせ願いたい。
  11. 坂田道太

    坂田国務大臣 先生御指摘のとおりと考えます。その意味合いにおきまして私たち全力をふるいたい、かように考えております。
  12. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 次に、これはいままでのと関連しておりますが、海外子女教育についてであります。  わが国国際活動が最近非常に増大し、昭和四十年度に六千人だったのに対して、四十四年度海外に活躍する者が一万二千人と、約倍にのぼっておる。この海外に行ってわが国貿易立国のために活躍しておる人たち子供さんが、八千七百人にものぼっておるというのであります。国内的にも、私の住んでおるところはきわめて僻地といわれる過疎地帯でありますが、ここにたとえば役所なら役所の優秀な職員に来ていただいていい仕事をやってもらおうとすると、必ず子供教育というものが問題になる。子供教育を心配するあまり、僻地にはなかなか優秀な人が来てくれない。したがって、これをもっと大きな意味で取り上げれば、日本のような小さな島国でこれから生きていくには、海外貿易活動をますます積極化する以外にありません。  そういうことになれば、わが国から優秀な人材が喜んでどんどん海外に行って、安心して働けるようにしてやる。それには、海外に行った人たち子供が、安心して日本人としての教育が受けられるようにしてやることだと思うのですが、残念ながら現状においては、まだそういう意味の施設なり国の施策はきわめて僅少であって、わずか一〇%程度しかその恩恵にあずかっていない。そのために、政府を相手にしておったのではたよりにならないということで、聞くところによれば、最近海外子女教育振興財団というものが民間人の手によってつくられて、それでやろうという声が起こっておるというようなこと等も聞くのでありますが、ひとつ文部省当局、これら日本経済海外活動に伴うところの海外における子女教育、並びに今回発足したと伝えられる海外子女教育振興財団というものが——やはり教育である以上、これは幾ら民間人がやるといっても、国が関係ないというような教育はあり得ないと思うのでありますが、文部省見解をお尋ねしたいと思います。
  13. 安達健二

    安達政府委員 ただいま御指摘のありました海外子女教育につきましては、現在全日制で日本教育過程による学校教育を行なっておる学校が二十三校ございまして、そこに教官を百名程度派遣いたしておるわけでございます。  この日本人学校の問題につきましては、一つは内容整備という点で、教官の内容の点につきましてもなお本土の教官の基準に比べて低いということが一つございます。それから教官の身分の問題でございます。教官の身分の問題につきましては、こちらの教官の身分を持ったまま研修ということで派遣するということで、現在なおそれ以外の新卒の者などがおりますので、それを切りかえまして、全部こちらの身分を持ったままで向こうで働いていただくようにしようということがございます、  それから教材の整備というような点になりますと、なお非常に基準が低いわけでございます。それを画期的に、本土の教育の教材の基準と同程度までふやすところの計画をいま立てておるわけでございます。  それからもう一つの問題は、これらの学校におきますところの法的な位置が必ずしもはっきりしない。これは相手国のあることでございますので、こういう点についての十分なる位置づけが将来の問題に残っておるわけでございます。  それからもう一つ、そういう学校でなくて、週一日程度の定時制の日本国語と社会ぐらいを教えているものが先進国等にございまして、これらのところは、定時制でございますのでいい先生が得られないということがございますので、そういうところを充実していく必要がある。  それからもう一つの点は、海外から帰ってきた子供日本教育になお十分適応しないということがございますので、その適応教育を現在は東京学芸大学と神戸大学で一部やっておるわけでございますが、さらにこれを私立大学等でもやっていただくように、こちらで委託費等を出して完全にしていきたい。  こういうことが政府のレベルの問題でございますけれども、ただいま御指摘にありましたように、これらの学校の内容等につきましては、本土の教育に比べてはなはだまだ十分でないというところがございます。これらのところにつきましては、単に役所だけじゃなしに、民間も大いに協力してやろうということで実は昨日、海外子女教育振興財団の発起人創立総会がございまして、いよいよ明年から出発する手はずが整ったわけでございます。将来は、この財団でやっていただく仕事、国でやったほうがいい仕事、そういうことを協議いたしまして、文部省、外務省、財団、三者協力いたしまして、この教育重要性にかんが工まして最善の努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  14. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 次に、国費外国人留学生の問題についてお尋ねしたいと思いますが、ことしいろいろ新聞等でこの問題が書かれておりますが、価か待遇が他の国々に比べて非常に悪いために、せっかくわが国に東南アジア等の学生を呼んで勉強をさせてやったのに、帰るときは非常に反日的になって帰っていく、あるいはもうすでに日本に来て勉強している間に反体制学生運動に巻き込まれて、そういうことと一緒になって——われわれが、貴重な国費を使って海外の若い人たちに来てもらって勉強をしてもらうというのは、これはもちろんわが国アジア先進国家として、かつてはわが国ヨーロッパあるいはアメリカに行って、これは非常な待遇をしていただいて勉強をさせてもらった、これが近代日本文化活動のいしずえになっておるわけでありますが、それと同じように、これからの開発途上国の新しい文化をつくってやるということにわが国が寄与する、同時に、日本で勉強していった人は、やはり日本はいい国だ、日本に世話になっておれはこれだけの知識を得た、それがおれの国の開発に役に立ったということに進んでいって、この国費海外子女教育というものの意味があると思うのであります。最近は何かそれと逆の方向に来て、勉強している人たちが帰っていくというような話等も聞くのでありますが、これについて文部省当局の御意見をお伺いいたします。
  15. 村山松雄

    ○村山政府委員 国費外国人留学生につきましては、昭和二十九年以来実施しておりまして、現在累計約二千名、最近では年間新規が約二百名、現在おります者が全体で六百名程度おります。これは学部と、それから大学院レベルの研究留学生と二種類あります。その待遇につきましては、往復の航空券のほかに給与といたしまして実額、学部の場合は三万六千円、大学院の場合は三万七千円、そのほかに若干の旅費でありますとか、それから来た場合の渡日一時金でありますとか、それから下宿する者につきましては下宿一時金、あるいは下宿する者については一時金のほかに下宿料補助としまして、たとえば月額六千円、それから病気にかかった場合には医療費の七〇%というような待遇をしておるわけでございます。わが国の外国人留学生の待遇は、給与のほかに、いま申し上げましたようにいろいろなきめこまかい手当てを一応しておりますけれども、給与の月額三万六千円、それから大学院が三万七千円というのが、これはことし上げたわけでございますけれども、それでもなお十分でないという留学生の方の御不満がございます。それから世論ももっと上げるべきではないかというぐあいに推測されますので、来年度予算におきましては、もっと大幅に引き上げるようにお願いしておる次第であります。  ただ、国費外国人留学生の効果の点につきましても御批判があったわけでございますけれども、一つの問題といたしましては、現在国費外国人留学生は、研究留学生は別としまして、学部の者は主として東南アジアに重点を置いておるわけでありますけれども、東南アジア諸国は、その国自体の政治的な情勢が必ずしも安定でないというようなことが留学生にも反映しておるわけであります。待遇が悪いために留学生がいろいろな方面に走るということは、そういう例が絶無ではないとは思いますけれども、留学生が修学目的を達しないで政治的な方向に走るというようなことは、どちらかといえば、本国の政治的事情などに影響される点が多いのではないかと思いますが、そういう点についても文部省としてはいろいろ配慮をいたしたいと思いますし、それからまた、一番基本は待遇改善の問題でありますので、十分努力いたしたいと思います。
  16. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 次に、私は大学問題について、二、三お尋ねをしたいと思います。  私は、坂田文部大臣は明治以来百年、最高の名文部大臣であり、しかも後世に残る、日本教育上に功績をあげられた方だと思っております。その中でも、特に大臣在任中に、今日までやられた仕事の中で注目すべきものは二つあります。  一つは私学問題についてでありますが、大臣の勇断によって、思い切って私学に対する国費援助というものに踏み切ったということは、画期的な事業であります。ただ、この振興事業団が発足し、私学援助を国民が双手をあげて歓迎した中で一番心配されたことは、私学の自主性の尊重と国費の援助と、この相対立するものをどう調和させるか。本質的にいえば、私立大学の本質は学問の自由と独立、いかなる権力にも、いかなる政府権力にも、一切これは干渉を受けないというところに私学のほんとうのねらいがある。しかも今日の情勢では、残念ながら、私学が政府から援助を受けないでこれからりっぱな教育内容を持っていくことはむずかしい情勢だ。ここに私は私学問題のむずかしさがあったと思います。逆にまた、政府当局の考え方からいえば、国民の貴重な税金をお預かりしてこれを使う場合、その税金の使途を明確にするというのも、これは政府として、あるいは役所の行政機能として当然なところで、これがややもすれば指導強化というものが干渉にもなりかねないということで、この調和が一番心配されたと思うのでありますが、発足以来ようやく第一回の配分も済んだというふうに聞いておりますが、この二つの相矛盾する問題点の調和と今後の問題ということについて、いままで、発足して第一次配分を済んだ経過等の体験を通じての、大臣の今後の所信をお伺いしたいと思います。
  17. 坂田道太

    坂田国務大臣 私学に対しまする、人件費を含む経常費助成、これは非常に大事なことであると思います。   〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕 今日、私立大学百万以上の学生の果たしております役割りというものは非常に大きい。それに対しまして授業料あるいは学生納付金が、国立大学のそれらと比べましてかなり格差があるわけでございまして、これ以上授業料その他を上げるわけにはまいりません。なおかつ、百万以上の学生の教育研究を充実し、発展させ、しかも御指摘の私学独自の学風のもとに教育研究を行なうという目的を達成しなくちゃならぬわけでございまして、そのために本年度予算を獲得はいたしましたが、今後もう少し充実をしていかなければ、所期の目的は達せないというふうに私どもは考えております。それにつけましても、第一回の配分をやったわけでございますが、その詳細につきましては管理局長から御説明申し上げます。
  18. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先国会でもいろいろ御議論をいただきましたように、確かに、私学の公共性と自主性との調和と申しますか、これが非常に大事なことでございまして、先ほど大臣も申し上げましたように、そのために私学振興財団という特別の第三者的な機関をつくりまして、文部省は直接に私学に対してあれやこれや言うということはいたさない。特に先国会でも大臣から申し上げましたように、教育内容と人事については文部省は絶対に介入しないということを申しております。私どももそういうつもりで、補助金の配分につきましては特段の配慮をしてまいりたいと考えています。しかし、先生御指摘になりましたように、また、その私学の社会的責任というのもきわめて大きいわけでございまして、私学がみずから姿勢を正していただくということが第一でございますけれども、しかし、必ずしもそうでないようなものができてまいりました場合には、やはりこれは、私どもみずからやるのではなくて、財団というものを通じてそういうものを是正していくという方向でまいりたいと考えます。  なお、補助金の今度の配分につきましては、一応年内に概算払いをするということをいたしたわけでございまして、詳細な最終的な配分につきましては、二月までにさらに検討を加えまして、適切な配分が行なわれ、それが私学の教育研究の向上に資するようにやってまいりたいと考えます。
  19. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 わかりました。  大学から今度は急に小さい子供のほうに飛んでいってしまうのでありますが、私学援助と同じように、私立幼稚園の人たち政府あるいは社会的な責任の一端を果たしておるから、これは国が当然に援助すべきではないかという意見があります。また同様に、わが国の幼児教育というものが他の先進国に非常におくれておるのではないかという声もある。私もことしモスクワからソ連邦を見てまいりましたが、あまりわが国より感心したものは見られませんでしたけれども、幼児教育だけはたいへんに進んでおるので、ちょっとかぶとを脱がされたような気がしたのであります。  そこで、三つの点をお尋ねしたいのですが、わが国の幼児教育がおくれておるということには、末端の市町村に私ども行ってみますと、保育所というものがある、幼稚園がある、幼稚園は文部省の管轄だ、保育所は厚生省の管轄だ、ところがやっておる中身は大体同じことをやっておるということで、これは三つ子の魂百までというのでありますから、大学教育も大事であるけれども、より以上に幼児教育が大事だと私は思う。その幼児教育が、何か厚生省と文部省と明確でない。役所のなわ張りのために争っておるというようなことはあまり聞かないのですが、かえってお互いに遠慮して手控えておるというようなことから、今日残念ながらいろいろな点で、わが国教育制度が進んでおるのにかかわらず、幼児教育だけは他の国にひけをとっておるという問題があるのではないかという点が一つ。  それからもう一つは、幸いに文部当局で、このおくれを取り戻そうという考え方から幼稚園教育に対する考えをいろいろ明らかにしておるようでありますが、これが逆に全部国でやるということになりますと、現在まで政府がやっておらなかった社会的責任を果たしてきた既存の私学の幼稚園経営者たちは、当然国がやることをいままでやってきたのでありますからたいへんな功労者であります、しかも一生懸命努力しておる、こういう人たちが先のことを非常に心配する。いわば幼児教育をもっともっと公的に進めなければならないけれども、既存の私立幼稚園の立場も尊重してやらなければならないというところに、これからのむずかしさがあろうかと思うのです。私学援助についてもそうですが、予算の効率的な活用ということからいっても、私学でやっておるものに政府が思い切って援助して内容を充実してやるということのほうが、無理に政府が私学と争って幼稚園をつくるというよりは、はるかに効率的に進めるのではなかろうかと思うのでありますが、これについての見解をお尋ねしたい。
  20. 坂田道太

    坂田国務大臣 仰せのとおり、三つ子の魂百まででございまして、就学前の教育がいかに大切であるかということは言うまでもないことでございます。世界との比較でございますが、これはやはり一長一短があるかと思うのでございます。それはともかくといたしまして、中央教育審議会におきましても、幼児教育重要性を強調し、そしてまた、できるならば五歳児を市町村に義務づけるような方向で第一段階は始まるべきではなかろうかというようなことも、中間報告に述べられておるわけでございます。そういうわけで、私どもといたしましては、来年の五月最終答申を得ました後において、幼児教育をどう考えていくかという具体的な施策に取り組んでまいらなければならぬと思います。  しかし、同時に、いま御指摘のございましたように、幼児というものをとらえる場合に、保育にかぶるものを厚生省でとらえておりますし、それからまた、幼稚園教育もわれわれはやっておりますが、やはり保育所と幼稚園との関係をどう考えていくかということが、一つ考えの中になければならない。それからもう一つは、その関係で全国各県を比較してみますと、瀬戸内等におきましては兵庫県であるとか、あるいは香川県であるとか、徳島県であるとか、愛媛県であるとかいうところは幼稚園教育が非常に進んでおる。一方保育所は少ない。ところが、長野県みたいな非常な教育県といわれるところに、それこそビリから二番目くらいにしか幼児教育が普及していない。しかし、一面において保育所が非常に発達をしておる。新潟もそうだと思うのであります。これはいろいろ土地の事情や沿革があると思うのでございます。したがいまして、政府といたしましては、昭和三十九年に厚生省と文部省と相連携しながら幼児の教育を進めていかなければならないし、保育所の中においても準教育的配慮をもってやっていただきたいという形でやっております。  それからもう一つは、いま御指摘の私立幼稚園の果たしてきた役割り、そしてまた、これから果たすであろう役割りというものを考えて、公立幼稚園と私立幼稚園とを併存させながら、共存させながらこれを進めていくという態度はぜひともとらなければならない。そのために、私立に対する財政的な援助というものを考えることなくしてはそれはできないのじゃないか。そういうふうな基本的な考え方をもって幼児教育の充実をはかってまいりたいというのが、私の基本的な考え方でございます。
  21. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 時間がないそうなので、終わります。
  22. 八木徹雄

  23. 木島喜兵衞

    ○木島委員 私は、日本クレー射撃協会の問題について、若干の御質問を申し上げたいと思います。  実は、この組織の問題あるいは運営上の問題、あるいはずいぶんうわさされました常習賭博だとか経理の乱脈等を少し調べておったのでありますが、その中心といわれておりました今仁さんが逮捕されましたので、もうそういう問題についてはいまここで追及しようとは思いません。しかし、逮捕されてから体協が急に動き出しまして、結果的には体協からの除名処分にいたしました。それで一段落したようでありますけれども、しかし、処分をしたからといって問題が解決したのではなかろうと思うのであります。御案内のとおり、クレー射撃は国際種目、オリンピック種目でありますから、このクレー協会を再建をし、体協に再加入させ、国際社会にも復帰させることは、体協としてもあるいは文部省としても当然努力し、指導せねばならないことだろうと思うのであります。その意味で再建できるのだろうか、あるいは再建するためにはどのような問題点を整理していかなければならないだろうか、解決していかなければならないだろうか、そういう問題を中心にして若干の御質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、クレー射撃協会の体質の問題であります。元来、現在あるクレー射撃協会というのが、アマチュアスポーツ団体というものになじまないというような感じがするのです。たとえば体協加盟の団体、クレーも入れて三十七でしたね。この中で、たとえば中学校の団体、高校の団体、学生の組織、そして社会人の組織と一般になっております。ところが、学生以下の組織がなくて社会人だけの組織というのは、きっとこのクレー射撃協会とあとゴルフ協会ぐらいじゃないですか。そういう意味じゃ、このゴルフとクレーはたいへん似ていると思うのですよ。そういう特殊な——一般的なスポーツ団体から見ると、特殊な組織形態を持っている。それからいけばこれは同じようなものでありますが、一定の金持ちの方々がカモやキジを撃つ、そのレジャーが本来の目的の人たちが集まって、そのシーズンオフにいわばクレーを撃って練習をしておる。そういうような人たちの集まりという印象が強いのですから、それだけに、アマチュアスポーツという意識のない方々あるいは薄い方々の集まりだということが一つ言えるのじゃないか。こういう体質的な、本質的なものから解決せなければ、再建しようとしても、あるいは国際社会に復帰させようとしても、実は同じことを繰り返すことになりはしないかということが一番基本だと思うのです。  また、金がかかりますね。一発撃つと三十六円、クレー一個十二円、四十八円になりますね。普通の人が一日に百発撃つと約五千円ですね。少し撃つ人だと二百発、三百発撃つ、二百発で一万円、三百発で一万五千円。銃が十五万から二十万円、外国ものだと数百万円かかるとさえいわれておる。だから国体の選手級になりますと、一年間にクレーに百万円くらいかかるだろうといわれている。  そういう金がかかり、その金を出し得る特定の方々、そして金をかけるのだから、またそれだけに、さっき言ったレジャーが中心目的のような人たちの集まりですから、アマ意識がない。だから、たとえば五千円や数千円かけるかけ射撃が行なわれたり、あるいは自動車とかカラーテレビをかけるような業者主催のそういう大会に出ることを何とも意に介しない。また、まじめにやっても、たとえば国体に出るにしたって一県三名でしょう。とすると、何か張り合いもないことがある。だから、そういう金がかかるということから、アマ意識というものが薄らいでいくということは言えるのだろうと思うのです。そういう方々の集まりですから、また逆に組織意識も薄い。だから、中央の組織も、もうこれは私は言語道断だと思いますが、地方組織も全く同様でございましょう。そういう体質、あるいは体質から来るところのアマチュア意識、あるいは組織意識、そういうものを再建するにあたってどう指導するか。まず、末端の登録からきちっとせねばならぬ。そういう選別をどうするのか。そういう選別をしたところから地域支部をつくっていく。そこからでないと中央組織はできないでしょう、順序からして。中央という、足のない組織はありませんからね。そういう順序になるのだろうと思いますけれども、そういう指導理念というものをお持ちであるか、どう選別をするのか。こういう体質というものにメスを入れなければ、再建はできないだろうと思うのです。その点のお考えをお聞きしたいと思います。
  24. 木田宏

    ○木田政府委員 いま御指摘になりましたクレー競技の性格から来るアマチュアというものの考え方というのは、まさに、いまスポーツ界で考えていかなければならないアマチュアのこれからのあり方の基本問題の一つとして御指摘になっておると思います。レジャーとアマチュアとは違うのではないかというような御意見の上での御指摘のようにも思いました。確かに現在の体協、日本体育協会のアマチュア規定は、純粋に各種目のスポーツ競技を行なうものをアマチュアという前提でつかまえているところでございまして、文面はさだかには出ておりませんけれども、その解説その他を見ておりますと、社会体育とレクリエーションというような関係で楽しむものは、そのアマチュア規定の対象として考えていないというような見方がございます。しかし、そこが、これからスポーツを普及していきます場合の市民スポーツというものを考えていく場合に、やはり問題になる大きな点だと思っております。木島委員も御承知だと思いますけれども、スポーツそのものがレクリエーションでございまして、イギリスの体育協会は全国のレクリエーションの集まりということに規定してございます。ですから、市民が市民生活の中でスポーツを楽しむということを、そのまま率直にとりますと、それは当然レクリエーションでもあり、一面ではレジャー的な性格も持ち得るものだというふうに思うのでございます。ただ、それを純粋な競技として高めようとする努力をいたします際に、どこまで遊びの要素——遊びから来る金銭的な放漫さというのですか、それをどこまで許容できるかという問題だと思うのでございます。確かに、いま御指摘になりましたその点に基本問題の一つはございますけれども、クレー協会の今度の問題になりましたことにつきましては、それとともに、この組織の意識というものが欠けておるという点があろうかと思います。これは、実はスポーツを楽しみとして、あるいはレジャーとして、レクリエーションとして楽しむ場合にも、これから組織をりっぱにしていく、市民の中のクラブとしてりっぱにしていくという角度で考えなければならぬところでございますから、これをもっと広く、スポーツの振興を将来考えていきます場合に、各スポーツ種目を通じて、組織のあり方をもう少しけじめのあるものにしていきたいというふうに考えております。  いま御指摘になりましたクレー射撃協会は、四十七の都道府県のクレーの協会を構成団体としておるのでございますけれども、それが事実上の団体であるために役員が非常に多い。そういう組織上の問題も持っておりますから、こういう点は、これからの再建の際にぜひ考えていきたいと思います。また、このスポーツ団体、競技団体としての純粋さということを考えます場合には、体育協会のアマチュア規定、またそれに基づきまして各競技団体がつくっておりますアマチュア規定にのっとって、競技会をやります場合の賞品、あるいはその競技者の競技に対する心がまえというものは、当然もう少し純化をはかっていかなければならないというふうに考えます。ただ、いろいろと種目によって金がかかるではないかという御指摘がございました。これは実は競技種目によっては、たとえば馬術をとってみましても、自分で馬を持つというようなことまで考えますと、むちゃくちゃに金がかかる競技でございます。ですから、その競技をやることによって生活のかてにするということではなくて、ほんとうにスポーツを楽しむために自分が金を使うということが純粋に行なわれますならば、その競技をすること自体に個人の支出がかかるということ自体は、これは競技の種類によっていろいろとございますから、一がいにそのことだけ本質論としていかぬとするわけにはまいらないかと思うのでございますが、そのことから出てまいります副作用としての、ことばは適切でございませんが、くずれ、そういうものをどうけじめをつけていくか。これがそれぞれの競技種目に伴うこれからの自律、自己の規律を高めていく大きな課題だというふうに考えております。そのことは、ゴルフでも同じだと私は考えております。
  25. 木島喜兵衞

    ○木島委員 ちょっと意見はありますけれども、急ぎますから……。ただ、いま最後におっしゃいました金がかかるということだけを私は言っておるのじゃないのです。だから、たとえばこの公式戦が、地方に二回ぐらい、ブロックに三回、中央大会が二、三回でしょう。あとほとんどが業者主催——銃砲店の業者主催の大会が、地方には時によっては毎日のようにあるわけです。これに賞品がかかっておるわけです。だから、これはなぜかというと——他と違うと思うのです。アマ規定からいえば。たとえば商品なら商品の広告を何かに出す。出すけれども、それは他の方が見るために広告するのではないのです。この場合はクレーを撃つ人と業者というもの、それ以外に関係ない。銃砲店はクレーを撃つ会員しか対象がないわけです。それによって生存しているわけです。会員はその業者から買うしかない。そういう完全に一体な、他の社会と別な社会でしょう。だから銃砲店の方が大会をやる、それに賞品がつく、それが毎回開かれているわけでしょう。そういう特殊な関係があるということを言っているのです。しかし、そういう関係というものは長い間続いておる。これを断ち切らなかったら、再建しょうと思ってもだめなんです。アマチュアとしての再建はできないのです。そういう体質を持っているということを私は言ったのです。そういう問題から会員というものをどう統制するか、どう整理するかということが、今後のやはり一番基礎だろうということを私は申し上げている。  その次に、業者と団体との関係。それで、一つ問題になるのは検定料だと思うのです。今回の経理の乱脈は、一つは検定料でしょう。検定料は、アマチュア規定でもって競技の公正とか安全のために、器具を一定の条件に置くために、競技団体が一定の基準を示して器具を検定する、そのために検定料を取っている。しかし、クレーの場合の検定料というものの実態、検定の実態は御存じでしょうか。
  26. 木田宏

    ○木田政府委員 端的には承知しておりません。
  27. 木島喜兵衞

    ○木島委員 クレーの場合は安全度ですから、実際は一定の期間撃たして、それでもって危険がなければいいというのです。だから、一つの業者、メーカーならメーカの装弾というものを一定期間撃たせたらそれでいいのです。それでいいということになると、一発一発六十銭の証紙を使用しているわけでしょう。これは実はアマチュアスポーツ団体が営利をやっていると思うのです。一つの商店なら商店の装弾がこれがいいというなら、証紙では営利になりませんか。そういう疑点があると同時に、今回の一番の中心はあっせん料でありましたね。特に今回の問題の起こりというのは、SKBの装弾メーカー、銃砲メーカーが一発三十六円のものを二十六円でもって出す、そのことの公認を求めた。それに対してあっせん料五百万とか一千五百万とかいわれておりますが、それを要求している、それを断った、そのことの仕返しだといわれております。しかし、SKBが一億万発出すというのです。いままで六千万発くらいしか売れなかったのですから、いままで金を出している業者はもちろん圧力をかけるでしょう。そういうところから来ておる。この業者とのくされ縁というものを直さなかったら——三十六円が二十六円ならいいわけです。さっき言ったように、金がかかるから安いほどいい。だれのために検定するか。業者のために検定しているのだろうか、会員のために検定しているのだろうか。この業者とのくされ縁というものを断ち切らなかったら、再建はできないだろうと私は思う。その点の決意はいかがでしょうか。
  28. 木田宏

    ○木田政府委員 スポーツで確かに問題になりますのは、いまのスポーツ用具とのからみから来ます業者と競技者との関係が一番むずかしい問題になる。それがまたくずれを来たすということは、御指摘のとおりかと思います。先ほどお答えが足りませんでしたけれども、たとえばそういう問題はクレーだけということでなくて、いま国際的に問題になっておりますスキーにつきましても同様の問題が来たされております。そこはやはり競技者が自分の競技に使う用具を選ぶに際して、その競技団体とその用具をつくっている人との関係にどういう節度をつくるかという問題が、いかなる競技につきましても大なり小なりつきまとうと考えるのでございます。クレー協会の再建には、御指摘のとおりクレーを実施いたします一人一人の競技者が、その点についてのけじめをみずからつけるということ以外にはないかと思います。これは外から見ての印象でございますけれども、いままで何度か重ねられた不祥事件というものがクレー協会の一部の役員に重なっておるということは、その病根が深いというふうに私は感じますけれども、しかし、クレーをスポーツとして実際にやってこられたなお多くの方々もいることでございますから、そういう方々がどういうふうにみずからのけじめを立てていくかということ、これが御指摘と同じように今後のクレー協会再建の基礎になる、こう考えます。
  29. 木島喜兵衞

    ○木島委員 時間がありませんから飛ばします。  次に、今回のことをずっと見まして、統括団体である体協あるいは監督官庁である文部省というものの責任を、やはりこの場合言わないわけにいかぬだろうと思う。経理の乱脈だとか賭博の問題だとか、こういうようなものあるいは業界との関係、アマ規定の違反というようなものは、もうずいぶん長く前々から言われ、各新聞が書き続けてきた状況であります。知らないとは言われないと思う。こういう問題をいままで放置しておいた。いままでいかなる手を打ってきたのか。もちろんそれは、さっきのお話のように、文部省は、金は出すが口は出さないという態度かもしれません。けれども、口を出さないということと知らないということは——知らないでいいということにはなりません。また、知っておる場合には、口を出すという言い方の中には相談というものもあります。協議もあります。命令なり、そういうものだけが口を出すというわけではありません。そういうことを一体監督官庁としてクレー協会に対してやってきたのだろうか。ほとんどおやりになっていらっしゃらないと思うのです。文部大臣、そういう点はいかがですか。
  30. 木田宏

    ○木田政府委員 一般的に文部省と競技団体との、いままでとってまいりました考え方だけ申し上げて、お答えにしておきたいと思います。  主として各競技団体が体育協会に結集されておりますから、文部省としては、体育協会を通じての各競技団体の振興策につきまして必要な施策を講じてまいりました。体育協会自体は各競技団体の構成組織でございますけれども、従来から体育協会は、一般的に個々の競技団体の内部の問題につきましては、それほど深い関与をしてこなかったのが実情でございます。したがいまして、従来何もしてなかったではないかということを言われますと、体育協会もことしの八月までは、また文部省もそういう個々の競技団体の問題につきまして個別にとやかく言うことは、いままであまりいたしておりません。そういう意味では、あれだけ問題になっているのに何をしていたかということにつきまして、従来のスポーツ団体に対する文部省あるいは体育協会の姿勢で、個々のケースに深入りしてこなかったということでお答えをしておきたいのです。
  31. 木島喜兵衞

    ○木島委員 今回体協が除名をするにあたりまして、体協理事会がクレー問題調査委員会をつくった。その報告は、「クレー協会は全国的組織としての統制力に欠け、アマチュア規定を遵守する能力を持たず、したがって体協加盟団体としての資格に欠けると判断する。」ということから除名になっていますね。しかし、統制力に欠ける、アマ規定を順守する能力に欠けているということは、何も今仁が背任横領や常習賭博あるいは洋酒の密売でもって逮捕されたこととは無関係の問題である。以前からあった問題である。以前からあったということは、それだけ知っておったということなんです。逆に言えば、知っておったということ、あるいは苦々しく思っておったこと。しかし、体協も文部省も何もしなかった。体協は手をやいておるのだから、この際これを機会に除名しよう、好機としてとらえたといえるかと思うのです。知っておりながら放任したところの責任というものがあろうと思うのです。アマ規定順守能力なしということで今回除名いたしましたけれども、いま文部省のほうは個々にとおっしゃるけれども、しかし、このことはアマ規定を順守する能力がなかった、たとえば岩手国体を汚したことになりはしないかと私は思うのです。あのとき、七月二十七日ですか、クレーみずからが、SKBの中央大会に出たといって百二十六名を除名したことから実はこの問題が表に出ましたね。このときにすでにアマ規定順守の能力なしということは、それではっきりしておったのです。しかもこれは中央大会であって、地方大会は三千名参加しておる。だから、あの国体のときに問題になったのは、ことしの五月一日以降のアマ違反者と限定したでしょう。なぜ五月一日以降と言ったかというと、五月以前にさかのぼったら全会員、全役員がほとんどアマ規定違反だということだからこそ、五月一日と出たのでしょう。そういうことが事実わかっておりながら、いま今仁が逮捕されたからアマ規定順守の能力なしとして除名する。そのことがすでに国体のときにわかっておったならば、このときに正式参加させない。そうするならば、神聖なる聖火のともる祭典が汚されないで済んだのだろうと思うのです。これを個々に干渉しないとか指導しないということ、それは体協自身でもできるでもって済まされることだろうか。もちろん花巻市長が、正式種目でなければ、オープンや除外なら同じ市でやるバレーや卓球もやめると言った、その市長の気持ちも理解できます。しかし、もしそうだったら、すでに準備できている来年の和歌山のをやめるということだっておかしくなりますよ。そういう意味で、国体をみずから汚したところの体協や文部省の責任というものは、それではどうなんでしょう。
  32. 木田宏

    ○木田政府委員 先ほど、一般的に体協、文部省態度といたしまして、個々の競技団体に個別に関与するということをしてこなかったと申し上げましたが、いま木島委員御指摘のように、ことしの七月二十七日にクレー射撃協会が百二十六名の資格処分ということを発表いたしまして、クレーの問題が表面化したことは御指摘のとおりでございますけれども、このときから、日本体育協会が、秋の国体のことももちろんございますけれども、このクレー協会のとった措置そのことに関心を寄せて、関係者から事情を積極的に聴取するという仕事を始めております。そして結局、このクレー協会自体が体協の正規の加盟団体であることは間違いないわけでございますが、個々の参加者の中に違反者があるということの処理をめぐりまして、体協自体が、日本クレー協会はクレー競技の日本的な全国の統括団体であるにかかわらず、個々の競技選手のアマ規定違反という具体的な事実については統括団体としての処置がとれない、そして個々の県単位の団体に放任せざるを得ないということを知った。これは前から知っていたはずだという御指摘かもしれませんけれども、そのことから、日本の体協がクレー協会の統括団体としての適否に疑問を持つようになったわけでございます。  ところで、いま御意見のございました国体でございますけれども、国体は、体協が加盟の競技団体種目につきまして、またそれ以外にも必要と認める種目につきまして、開催県並びに文部省と共催で運営をいたしますし、それに参加いたします選手は県単位の選手団を構成するわけでございます。したがいまして、その国体までにクレー協会自体が、アマ規定違反と考えられた選手が県の選手団に入ってくることは適切でないということから、国体への参加選手につきまして、事前にスクリーニングをする必要があるという措置に必要な手だてをとり始めたわけでございますけれども、このクレー協会自体の役員の違反問題、あるいは本部のだらしなさという問題と、個々の県の選手団の中に加えられてくる一人一人の選手がアマチュア違反であるかないかということとは別の問題として、とりあえず処理が進められた。したがって、国体の実施につきましては、問題のない選手だけ選んでやればいいではないかという発想に結局のところ落ちついたわけでございます。その間の処理といたしましては、クレー全体に問題が大き過ぎるし、その個々の選手の掌握が統括団体自体でできないから、クレー競技全体をオープン競技にして、祭典からはずしておこうというような提案も意見として出たわけでございますけれども、いま御指摘のように、国体そのものは正式参加として終わりました。しかし、その際の処理は、各県の選手団を構成いたします各県選手の中にアマ違反選手がいないという確認の努力を関係者がすることによって、国体そのものの処理はしたというふうに理解をしておったのでございます。その間、日本体育協会からも私どもに対しましていろいろと相談もございましたし、私どもも、体育協会と相談の結果、岩手国体の処理につきましては、主催者の一員として参加選手に違反者が出ないということでもって処理をいたしました。それとクレー協会自体が、協会としてこれからのアマチュアの統括団体としての適否を欠くという問題をどう取り扱うかということは、一応区別して処理をしていただいたつもりでございます。その結果、国体が終わりましたあと統括団体としての適否を判断し、また、今仁理事長の逮捕問題等は、国体直後だったかと思いますが、海外から帰ってまいりましたところで——そういう事態も起こりましたし、これは事前に議論も十分あったところですが、必要な資料を日本体育協会で集めまして、体育協会としては初めての除名処分というものをいたしたと考えております。その間の手だてにつきましては、私どもも緊密な連絡をとりましたし、体育協会としても、文部省の側から見ておりまして、なすべき処置を手順を踏んで処理されたというふうに理解をしております。
  33. 木島喜兵衞

    ○木島委員 局長、実はきょうは、体協の方々がアジア大会に行って、いらっしゃらないから中身に深く入っておらぬのです。私、知っているのです。ですから、あまりくだくだという弁解はいいです。いまあなたがおっしゃったことが私がもし反論するとすると、時間の制限がありますからこれはたいへんですよ。だから、もうこれこそスポーツ的にフェアに、参ったら参ったと言いなさい。あやまるならあやまりなさい。それが体育局長らしいですよ。  さっきあなたがおっしゃったように、体協そのものも、スポーツ全体も曲がり角に来ていると思うのです。たとえば陸上競技なら陸上競技、マラソンならマラソンのユニフォームに会社の名前をつけますよね。あれをテレビは報道しますよ。たいへん宣伝になりますな。ああいうものが一体アマチュアとしてはどうかとか、こまかいことはいいです。会社の名前をつけるでしょう。マラソンで、あるいはホッケーならホッケーの何々会社というような会社のチームの名前そのものが、はたしてアマ規定でいいかどうかという問題だってありますよ。極端に言うと、私立大学にある面では企業的な面があるでしょう。だから、野球が強いとかなんとかというとそこへ行きますね。たとえば早稲田の水泳なんか、稲泳会というでしょう。もしこれが、早稲田水泳チームと言わないで稲泳会とつけたのがアマ思想に立脚しておったらたいへんりっぱなものだと思いますね。それが、商業主義というものがたいへん複雑になってきた。それだけに、私は、体協みずからアマチュアというものについてたいへん考えなければならぬ時期に来ていると思うのです。ところが、体協そのものが、いろいろアマチュア規定を汚している面があると思うのですよ。たとえば「アマチュアスポーツのあり方」というもの、これをアマチュア基本姿勢定義といっていますよ。この中に、「明るい光とすがすがしい環境の中で行なわれるスポーツ」とありますね。しかし、明るい光、すがすがしい空気の中で行なわれるスポーツというのは、これは決して外形的環境じゃありませんね。たとえばスキーなんかは明るい光ですが、屋内でもって熱気でむんむんする中でやるのは、いわゆるすがすがしい空気じゃありませんね。むしろ内容的環境も含めた表現でしょう。ところが、クレーならクレーの中にそういうものがあることを知っていながら、そういう環境というものを容認してきたところに、私は体協そのものが反省しなければならぬものがあるだろうと思う。あるいはアマ規定に「役員は、常に品位と名誉を重んじ、競技者の模範となるよう行動しなければならない。」とあるけれども、たとえば今仁なら今仁が、四十三年にオリンピックの装弾を横流しして刑を受けましたね。そういうものをそのまま、まだ続けておく。そしてそれについて何もしておらぬ。これは体協みずからがアマチュア規定に違反しておることになると思うのです。そういう点は、体協はもっとみずからの姿勢を正さなければならぬだろうと思うのです。  あるいはいま申しましたアマチュアスポーツの基本姿勢の最後に、「スポーツによって得た名声を利用しない。」とあります。しかし、オリンピックで優勝したある監督がたとえば政治家になるとするならば、それはスポーツで得た名声を利用したことになりませんかな。あるいはアマチュア団体がそれを応援する、推薦するというのは、これは一体どういうことになるのでしょうか。あるいは有名選手が名声を利用して応援をする、これは一体どういうことでしょうか。同時に、名声を利用してはならないといいながら、実は会長の中に大政治家がたくさんおる。名声を利用してはならないというアマチュア団体、体協が既成の政治家の名声を利用しておる。体協みずから、体協の会長もあるいはそうなのかも——なのかもですよ、しれません。これは一体、体協みずからどう考えたらいいのですか。これは文部大臣どうですか。
  34. 坂田道太

    坂田国務大臣 そこまでおっしゃると、これはなかなか人間生きられなくなっちゃうんじゃないかというふうに思います。しかし、おっしゃるように、アマチュアというものの概念をどういうふうに考えていくかということ、そしていま御指摘のような商業主義というものがアマチュアスポーツの中に入り込んできておる、そしてその転換期にある、これをどう考えていったらいいのかということは、私も御指摘のとおりだと思いますし、それについてわれわれも、やはりこういうような機会に真剣に反省もし、また、はっきりした理念と実態とをつないだものにしていかなければならないというふうに思います。   〔委員長退席谷川委員長代理着席
  35. 木島喜兵衞

    ○木島委員 生きられないとおっしゃるけれども、中央に何人いらっしゃるの。まして地方の府県の体協の各競技団体の会長等まで含めたら、政治家はたいへんな数ですよ。これは逆に名声を利用しておる。権威主義です。中身がないから、その看板を利用する。福永さんがクレーの会長でいらっしゃいますね。こう言っていらっしゃいます。私はいやだったけれども、頼まれ拝まれてなったが、看板か象徴のようなものだ、看板にならなければならない、だから雇われマダムだとおっしゃっておる。四年間会長をしていられて、今度はクレーの中でも実は解決ができなくて、除名問題まで起こるようなことになっている。文部大臣、あなたも立場があるから明確には言えないでしょうけれども、少なくともこの体協がスポーツ少年団を組織し、育成しております。これが五十万のものを持っているんですよ。青少年スポーツセンターをつくっておるでしょう。こういう団体なんです。この体協の姿勢は、私さっきから言ったところの、アマチュア全体がもう一回考え直して、アマチュアとは何ぞやという立場に立って、みずからの姿勢を正さなければならぬと思うのです。そういう立場から、文部省は監督官庁として強く指導されるように希望いたします。  同時に、これはまた一つは資金の問題もありますよ。ことし体協の予算が十九億ですか、そのうち十億が競輪、競艇、でしょう。ギャンブルにささえられている体協、それがスポーツ少年団をつくり、青少年スポーツセンターをつくっている。どう見てもすなおじゃないですね。金は出すけれども口は出さぬといえども、スポーツ全体としてもう少し考えなければならないんじゃないでしょうか。これは予算とのかね合いになります。あるいは行政上、体育関係でもたとえば総理府、厚生省等に分散していますね。私、決してフランスのようにスポーツ省をつくれなどとは言いませんけれども、しかし、行政的にも考えなければならぬ面があるのではないか。そういう点も御希望を申し上げておきます。  それから、クレーが長く法人にならねばならない立場にありましたね。要請されておりましたね。これがなぜ法人にならなかったのか、なれなかったのかということをちょっとお聞きしたいと思うのです。
  36. 木田宏

    ○木田政府委員 クレーだけでなくて、体育団体を通じまして正式の法人になっているものは必ずしも多くございませんので、私も昨今、つとめて各競技団体の法人化ということを勧奨いたしてまいりました。個々の役員の出し方の問題とかそれぞれの事情はいろいろあろうかと思いますが、クレーがなぜならなかったか、特定のクレーの理由につきましてはまだ聞いておりません。
  37. 木島喜兵衞

    ○木島委員 小林さんの時間をちょっといただきますが、よろしゅうございますか。
  38. 谷川和穗

    谷川委員長代理 けっこうです。
  39. 木島喜兵衞

    ○木島委員 最後の問題ですが、オリンピックをやった所沢の射撃場の土地は日本クレー協会のものですか、現会長福永さんの個人のものとお考えですか、いかがでしょう。
  40. 木田宏

    ○木田政府委員 オリンピックの際に埼玉県が設けました射撃場でございまして、日本クレー協会が法人としての正式な組織ができれば、そこに埼玉県が託するという筋道というふうには聞いておりますが、現在の段階で福永さん御自身のものというふうになっていますかどうか、そこまでちょっと明らかにいたしておりません。
  41. 木島喜兵衞

    ○木島委員 この再建の場合でも、そこは長く新聞等でもずいぶん書かれておりますよね。これが解決しなければ再建もできない。また、再建ができなくてうやむやになったら、この土地は一体どうなるのだろうか。これはスポーツ界のたいへんな不祥事になる可能性があるでしょう。これをいま局長、どうなっているかわからないとおっしゃることは、いささか問題かと思います。ことに加盟団体の東京都クレー協会が十一月十一日の理事会で、満場一致でもって小委員会をつくって、この土地問題の所有地確認の民事訴訟を起こすということをきめておるのです。だからこの見解を明確にしないと——はっきりとクレーのものだということであれば、この問題は解決するんです。これが個人だということだと、同じスポーツ団体でたいへんな紛争が起こる。しかも今日まで何年もかかっているんでしょう。あなたがおわかりにならないとおっしゃるから、これはちょっと言ってみようもないのですけれども、簡単に経緯を申し上げれば、これはずいぶん複雑なものがありますけれども、オリンピックが所沢市に決定になりまして、昭和三十七年の十一月に、埼玉県と所沢市とクレー協会の三者でもって覚え書きをかわしました。それを要約しますと、用地四万坪のうち一万坪は、これはクレーが法人になったときに無償でもって譲渡しましょう。しかし、これはまだ法人になっていませんから、いまはまだ問題でないのです。あとの三万坪は、市が買った取得価格でもってクレー協会に売却する。この三万坪の土地が問題なんであります。それで、実はクレーが法人ではなかったものですから、時の会長である日本クレー協会代表麻生太賀吉さんを中心にして十七、八名の方々がクレー射撃後援組合というものをつくって、一億四千万くらいだと思いましたけれども金を集めて、そうして所沢市から買ったわけであります。したがって、これはクレー射撃協会代表麻生太賀吉さんの名義でもって登記されておった。ところが、会長がかわって福永さんになられた。土地所有の登記を福永さんの名義でもってなされて、そして埼玉銀行から二億円を、日本クレー射撃協会会長福永健司名でもって、そして今仁ほか二名の保証でもって借りて、そして麻生太賀吉さん以下十七、八名の方々が所沢市からお買いになった金に、金利の三〇%と一五%の礼金のようなものを含めてお払いになった。だから、麻生さんは切れたわけです。そこで、福永さんの名義で登記されたわけです。  ところが、その後福永さんが、新聞その他によりますと、個人所有であるということを言っていらっしゃるのです。たとえば四十四年十月四日のある新聞には、中央新聞でありますが、福永氏は、「出資金は利息までつけて返したから、名実ともにわたし個人のもの。値上がりしたからとやかくいうのだろうが、私だって家屋敷を担保にして金をつくったんだ」、こう言っていらっしゃる。あるいは、このクレー問題にからんで再建同盟というものができておりますが、これが四十三年に第一議員会館で福永さんにお会いになったときに、福永さんは、皆さんはこの土地のことについてとやかく言うけれども、たまたまこの土地が値上がりをしたからそういうような問題が出てくるのだろう、それではかりにこの土地が値下がりしたときにはどうするのだ、こういうように個人の立場を主張していらっしゃる。あるいは、ことしの十月十六日のある新聞でありますが、「法的にもあれは完全にわたしのもの。地価が上がっているからとやかくいわれるが、失礼な話だ」とある新聞でも言っていらっしゃる。個人のものだと主張していらっしゃる。しかし、この三者の協定によるならば、さきに申しましたかつて県と所沢市の三者の協定の一番最後の十項によりますと、麻生太賀吉は、市から払い下げを受けた土地のうち、市の買収費の一万坪に相当する額に対応する土地を基本財産に含む公益法人を設定する、すなわち、払い下げを受けたのですから、三万坪のうち少なくとも一万坪は、その土地を基本財産にして法人にしなければならぬと約束している。とすれば、少なくとも一万坪は個人のものでないということだけは、この約束からいって言えることだろうと思うのです。しかも二億を埼玉銀行からお借りになったところのその名義は、日本クレー射撃協会会長福永健司名でお借りになっていらっしゃる。とすると、個人ではないだろうと常識的に想像ができる。また、この利子もいままで今仁がいろいろと払ったことから、経理の乱脈がうわさをされておることは御存じでしょう。そういう経過をたどっておる。だのに、個人だと言われると、何かスポーツ団体にあるまじき暗さというものを感じさせますね。ここにクレー射撃の一つの紛争がある。  ことに、当時オリンピックというにしきの御旗でありますから、所沢市が買ったときも、時価七、八千円であったものが、あの当時平均して三千四百円くらいで買ったのです。それは、オリンピックというもののにしきの御旗があったからだ。それが、二億でもって福永さんが麻生さんたちにお返ししたときに、すでに銀行評価は五億六千万といわれておった土地であります。いま新聞によると、数十億の土地だといわれておる。それにはいろいろと問題がありますけれども、したがって、ある新聞は、この土地の利権にからんで所沢にいろいろな人たちが巣食うんだとすらも書いております。こういうようなことになってくると、ここをはっきりしなかったら私は再建はできないだろうと思う。私は、それらの資料から見て、これは日本クレーのものだろうと思う。そうでなかったらオリンピックを汚すことになる。今日、オリンピックのあと始末がこのような状態になっていることは憂うべきであります。いま局長は、よく御存じないとおっしゃいますから、私はいまここで聞くことはできませんけれども、なるたけ早い機会に文部省としての統一した見解というものをお示しいただけますか。
  42. 木田宏

    ○木田政府委員 事情がわかります限り関係者から聴取いたし、また、私どもも勉強いたしまして、実態把握につとめたいと思います。ただ、現在までの段階で、体育協会はクレーの実態把握に努力はしてきましたけれども、必ずしも体育協会自体も、新聞でいわれておりますようなことにつきまして、どなたからも的確な材料を持ち合わせておりません。どこまで可能であるかということは私どもやってみなければわかりませんけれども、いま御指摘のございました点につきましては、事実をもう少し確認するようにつとめたいと考えます。
  43. 木島喜兵衞

    ○木島委員 終わりますけれども、したがって、これは監督官庁として、こういう問題がスポーツ団体にある、アマチャア団体にある。私はどっちだとか、私は社会党だから、福永さんは自民党だからというわけではない。少なくとも私は純粋に考えたい。したがって、なるべく早い機会に文部省として、調べ上げられた資料でもって、それは結論が出るかどうかは別としても、統一見解をお示しいただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。  どうもたいへん長くなりまして、申しわけありません。
  44. 谷川和穗

    谷川委員長代理 有島重武君。
  45. 有島重武

    有島委員 先日いただきました「わが国教育水準」という教育白書でございますか、これを拝見いたしまして、国家予算における文教予算の割合が年々降下しておるというような問題なんでございますが、これにつきまして大臣の御所見だけ承っておきたいと思うのですけれども、「国民所得に占める教育費の配分比率をどの程度とするかは、一国の政策全体の課題であり、一概にはいえないが、近年、主要国の比率は全般的に上昇しているのに対し、わが国のそれは昭和三十年ごろを境として下降を示し」ておる。それで、これを見ますと、大体五八年ごろまでは日本世界一番であったわけですが、いま最下位になってしまった。これに比較いたしまして、アメリカだとかイギリスだとかフランスだとかは、着実にずっと上昇しているわけでございますね。こういった点について「努力度」というようなことが出ておりまして、教育費支出の総額がその国の国民所得の大きさによって——いわば国の努力度の一応の評価になるんじゃないかというようなことも出ているんですね。これは「内外教育」の十二月号でしたか、清水義弘さんも指摘しておられて、私も同感なんでございますけれども、「文部省には産業経済費などの圧迫をはね返す力はないのか、また文部省教育費を増大させるためこれまでどのような努力をしてきたのか、という疑問」を持つようなことを言っておられるわけですね。こういったことに対して大臣の御所見を承っておきたい。
  46. 坂田道太

    坂田国務大臣 先般発表いたしました「わが国教育水準」というものの中に、現在、国民所得に対しましてたしか四・八%となっておるが、イギリス、アメリカその他六・一%という形で充実をしておるということも事実であろうかと思います。  御承知のように、イギリスにおきましては、一九六三年にロビンスレポートによりまして、大体その当時学生が二十三万足らずであるものを、一九八〇年までに五十数万に倍増をする、そのために七つの新しい大学をつくるということで着実にやってきておると思います。それでございますが、同時に、現在は、まだ当該年齢人口に対しまして高等教育機関に学べる学生数というものは一一%程度かと思います。一九八〇年になりますとかなり上がってまいると思いますが、日本は二三・三%を四十五年度にこえたわけでございますが、そういうことでございます。  私どもは、御案内のとおりに、いま新しい大学をどうすべきであるか、あるいは既設の大学に対してどの点に重点を置いて投資をしたならいいかという計量計算、あるいは長期教育計画をやっておるわけでございます。おそらくは来年の答申が出ました後、四十七年度以降、本格的には四十八年度以降ということになろうかと思いますけれども、それを境として国民所得に対するパーセンテージは飛躍的に増大させなければ、私たち考えております大学改革もあるいは大学の充実もできない、かように考えておる次第でございまして、その飛躍のための前段階におきまして、まだ新しい大学をどういうふうにするかということがはっきりわからないのにその投資をやりましても投資効果がない、また、高等教育機関に重点を置くのかそれともたとえば高等学校以下の、特に幼児教育等に重点を置くのか、この辺も政策的な問題がございますから、そういうようなものを含めまして、実はいま中教審にも検討をわずらわしておりますし、われわれのほうでも、そういう長期教育計画及び計量計算というものをやっておるわけでございます。そういう意味合いにおきましてスローダウンしておるということはお説のとおりでございます。しかし、これは四十七年度以降飛躍的に充実していくという含みがあるということをひとつ御了承を賜わりたい、かように思います。
  47. 有島重武

    有島委員 ただいま大臣からたいへん先の明るい御確信を伺いまして、私は非常にうれしいと思いますけれども、それについては、高等教育のこと、あるいは幼児教育にするか義務教育にするか、どの点に重点を置くのかいま検討中であるというお話も伺いましたけれども、きょうはこの中でもってひとつ社会教育の問題に触れておきたいと思うのです。  いま生涯教育ということばが、大体これは二年ぐらい前からはやりだしておると思うのですけれども、私どもは、教育そのものは生涯にわたる自己を開発し、そうして自己を完成していくのが道である、これが教育の出発点であるというふうには思っておりましたけれども、しかし、白書なんかを拝見いたしますと、大体時代の進展が非常に激しい、そういうものにこたえた生涯教育という問題が重要化されておるというニュアンスでございまして、そういった問題はまた来年になってからゆっくり論じたいと思いますけれども、さしあたって来年の予算措置もあることでございますから、毎年の文教予算の中での社会教育予算というものは少し少な過ぎるのじゃないか、こう思いますけれども、その点はいかがでございますか。
  48. 坂田道太

    坂田国務大臣 決して十分であるとは思っておりません。そして、いま御指摘のありましたように、これから先、学校教育を進めていく上においても、またどうしても社会教育というものの充実をはかっていかなければならない、かように考えますし、同時に、生涯教育の時代に入ってきたわけでありますから、その点については今後努力していかなければならぬと思っております。  来年度予算におきまして、私は、まず社会教育の中心となるべきものをやはり公民館だと考えております。ところが、この公民館につきましては、いままで一公民館あたりでは、下は百万円から上は五百万円程度しか計画補助をしていない。しかし、実際できます公民館あるいは社会のニードからいうならば、それの倍あるいは三倍というような公民館でなければ今日建てる意味もないのではないか、こういうふうに事情の変化が出てきておる。そういう意味から、来年度からは大型、中型、千万円等の大型の公民館を画期的に充実をはかるというつもりで、いま予算要求をやっております。同時に、公民館ができましてもそれを指導します指導主事の充実というものが必要でございます。したがいまして、社会教育研修所をも拡充し、そしてこの社会教育の任に当たります中堅となります指導者の養成というものに力を入れていきたい。そういうことを含めまして今後少しずつ社会教育予算等につきましてもふやしてまいらなければならない、かように思っております。
  49. 有島重武

    有島委員 先ほどの全体の予算のことでございますけれども、計画が整わない部分があるということもございますけれども、社会教育のほうはこれは明らかに足りないのですから、この面はどんどん進めていっていただきたいと思うのです。  それで、私は、図書館の重要性について、もう一つあると思うのです。将来の日本をささえていく文化土壌をつくっていくということが何よりも大切なことであると思うのでございますけれども、わが国の図書館活動ないしは図書館の施策、これは著しくおくれているのじゃないか。少なくとも各地方公共団体全部にと言いたいところですけれども、さしあたっては町村を除いても、市立、シティーの図書館は近い将来全部設置されなければならないのではないか。その図書館、建物もでございますけれども、実質的な読書活動というものがどんどん盛んになるような方向にしなければならない、そういうふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  50. 岩田俊一

    ○岩田説明員 お尋ねのように、図書館は、地域社会の情報センター意味がありますと同時に、いろいろ生涯教育の一つの機関としまして非常に重要な意味を持ちつつあると思います。しかしながら、実態を申しますとまだきわめて不十分な状況でございますので、来年度あたり、予算をいま大幅な額を大蔵省のほうにお願いをしているわけであります。お尋ねのように都市をやはり重点に整備していくべきじゃないかと思いますが、まだ県の段階ですら十分でないところも相当ございますので、そこら辺のところのかね合いをどうするか、予算の結果を見ましてから考えていこうと思うのであります。  なお、町村等につきましては、県、市の段階でまだそのような状況でございますので、町村等にもあるところはありますけれども、まだこれもきわめて行き渡っていない状況であるということでございますので、さしあたりは、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、公民館整備をはかって、そこの図書室という形で実質的な充実をはかっていきたい、さように考えている次第でございます。
  51. 有島重武

    有島委員 今年度予算要求を拝見いたしまして、私が漏れ承ったところによれば、初めの設立補助費が、三十四館のはずであったのが二十三館というふうに減ってしまった。これは一体どういうわけなのか。それから、毎年二十数館程度の補助で、まだ図書館を持たない市というのは二百くらいあると思います。これは人口の増加なんかを考えますと、このペースでいけば少なくとも十年間はかかるのじゃないか。こんなふうではとても立ちおくれてしまうのじゃないか。そこで、図書館を一館建てるのに一体どのくらいお金がかかるのか。それは大体幾らぐらいだというふうに見積もっていらっしゃいますか。
  52. 岩田俊一

    ○岩田説明員 本年の状況で申し上げますと、これは大小規模いろいろございますが、県立と市町村立、両方端的に申し上げますと、小さいもので二千万で、大きいものは四億といったようなものもございます。
  53. 有島重武

    有島委員 これに対しまして大きい図書館には千五百万円、普通館は五百万円という補助になっておりますが、これは五、六年間ずっと改められていないわけですね。それで、本来これは四分の一の補助ということだと思いますけれども、実際は四億かかるわけです。これは十分の一くらいに実質的になってしまっているわけですね。そういった基準そのものを変更しないで、このままでもっていいものかどうか。私は、これは変更しなければいけないのじゃないかと思います。
  54. 岩田俊一

    ○岩田説明員 お尋ねのように、図書館の基準につきましても、きちっとしたものを定めていかなければならないのではないかというふうに考えまして、いま都道府県とも相談いたしまして検討いたしております。ただ、補助の対象となる図書館の要件につきましては、最低の基準がございまして、これは図書館法の規定によって定められておるということでございますが、先ほど来申しますように、図書館の普及率というものがきわめて現在の状況では微々たる状況でございますので、ただいまの建築に対するところの補助率も、一応これは定額補助の形になっておるわけでございまして、設置につきましてその呼び水と申しますか、設置を誘発するというようなたてまえの補助金になっている状況でございます。したがいまして、そういう補助の率を何分の一にするとかいうふうに現在の段階では考えていないわけでございまして、まず当面は、その単価の問題よりも、もっぱら数の普及をはかっていくという方向に重点を置かざるを得ない状況でございます。
  55. 有島重武

    有島委員 今度は図書館の運営費でございますが、建ってしまった図書館について、この図書館の補助を受けている都道府県の図書館、それぞれ幾つあるのか。それから補助基準に達していないものについては一体どうするのか。私幾つか見てまいりましたが、現在補助基準に達していないものには補助が来ない。それは当然です。ですから、いつまでたってもよくならないという悪循環になっている。ですから、そういった点を少し考えるべきじゃないか。図書館のことは、金額にいたしますと全体から考えれば非常に少ないのですけれども、非常に冷遇されているのじゃないかという印象を受けました。私は特にそれを申し上げたかったわけです。  それから次の問題で、万博のあと地ですね。いま国民の間では文化センター設置要望が非常に強いですね。この問題について文部大臣はどう考えていらっしゃるか、その御方針をお聞きしたいわけでございます。ほかの省がどうかというような問題もあると思いますけれども、文部大臣としては、この文化センター設置の問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
  56. 坂田道太

    坂田国務大臣 万博のあと地の問題につきましては、一応万国博覧会跡地利用懇談会というものができまして、その中間答申が本年の十二月中になされると思います。われわれのほうではいろいろございまして、たとえば国立大学をあそこへ集中してというようなことも要望いたしておるわけでございまして、この点につきましては、まだわれわれ十分こうだというあれはございません。
  57. 有島重武

    有島委員 いままで文化施設というものは大体東京に集中しておった。これはこの機会に、文部省は国立図書館を関西にひとつお建てになったらどうか。これは関西の学者の方々が非常に強く望んでおられるわけですね。一々東京に来なければだめだ……。東京に国会図書館がございますけれども、国立図書館というのはまだまだ粗末であると思いますけれども、この際、関西のほうにりっぱな国立図書館をつくって、いまつくれば整理なんかもコンピューターを使って一つしっかりしたものができると思うのです。また、北海道とか東北とか九州、四国、そういうふうに国立図書館というものをつくっていって、またその連絡網をつくっていくべきではないか、そういったことをお考えになっていただきたいと思います。  それからまた、博物館の設立もあわせて考えていただきたいわけです。やはり集中的な大きい博物館があそこにあって、それで小さい博物館と連携をとっていくということが、今後の十年間にたいへん重要な仕事になってくるのじゃないか。このことも実は来年ぐらいからどんどん手をつけていただきたい、そのように考えますけれども、御所見はいかがでありますか。
  58. 坂田道太

    坂田国務大臣 先生の御指摘の点は、まことに重要な事柄であると私は思います。特に図書館等につきましては、今後コンピューターその他いろいろの機器も導入いたしまして、そうして関東、関西というふうな形で、あるいは地方というふうに利用ができるような体制というものが今後考えられなければならないというふうに思います。十分私、研究させていただきたいと思います。
  59. 有島重武

    有島委員 次の問題に行きます。  人口急増市町村の文教施設について、これまでいろいろ言われておりますけれども、先日から自治省との間の要綱案について努力していらっしゃると思いますけれども、その見通しについてはいかがでございましょうか。
  60. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点につきましては、実は昨日も人口急増地域の方々並びに関係者の方々と御相談を申したばかりでございまして、大蔵当局に対しましていろいろ折衝もいたしたわけでございます。大蔵省の壁は非常に厚うございますけれども、しかし、その壁を何とか突き破らなければいかぬということで、せっかく努力をいたしておるということでございます。何と申しましても人口急増地域における土地に対する補助金、これをぜひひとつ獲得をしたいというふうに考えて、いまやっておるわけでございます。
  61. 有島重武

    有島委員 大蔵省の方、来ておりますね。——壁が厚いという話でございますけれども、大蔵省側のお考えも聞いておきたいと思うのですね。
  62. 原徹

    ○原説明員 人口急増市町村の用地の問題につきまして、文部省から要求がございます。別途自治省のほうからの要求もあるわけでございます。この問題は確かに非常に重要な問題であると考えておりますが、もう一つまた非常にむずかしい問題である。何となりますと、一つは財源の問題で、非常に多額の財源を要する問題でございますし、それからこの問題は、国と地方との財源配分の問題及び地方団体間における財源配分の問題に直結した問題であろうかと存じます。人口急増市町村に対して、これは文教施設もそうでございますけれども、そういう急増市町村の財源配分をどうするかという角度でものを考えなければいけないのではないかというふうに考えます。そういたしますと、これは起債、交付税その他すべてを含めて検討しなければならない問題でございますので、私どもただいま鋭意検討いたしておりますが、なかなかむずかしい問題なわけでございます。いずれにしましても、問題の重要性にかんがみまして妥当な結論を得たいと考えております。
  63. 有島重武

    有島委員 なかなか壁が厚いということはよくわかりましたけれども、その妥当な結論でございますけれども、それは国の教育ということをほんとうに土台にして、その点からの妥当にしていただきたい、そう強く要望したいのです。  それで、特にこういった問題も起こっております。先日新聞に出ておりましたが、足立区のほうでもって、学校用地の提供がなければ団地をつくらせないとがんばっているところがある、そういうことも起こっているわけですね。これは、私はもっともな話であると思うわけです。こういったことについて、これは地方行政だとか文部行政にとどまらないで、やはり大蔵省のほうで一体これをどう考えるか、この問題も含めてもう一ぺん……。
  64. 原徹

    ○原説明員 私どもも、決してこの問題、重要でないとかそういう認識を持っているわけじゃもちろんございません。何らかの対策が必要であるわけでございますけれども、その対策を考える場合にどういう方法が一番妥当であるかということで、私ども、この要求が出ましたにつきまして、いろいろ文部省を通じて百九十六の市町村につきまして、資料等も出して調べていただきました。それを見ておりますと、やはり百九十六の市町村いろいろ問題がございますが、その財政状況等非常に濃淡がひどい、格差がひどいと申しますか、そういう認識を持っております。特にひどいと申しますのは、やはり東京周辺とか大阪の周辺ではないかということでございますが、そういうことで何らかの対策が必要なんでございますけれども、その対策のしかたといたしまして、補助がいいのか起債がいいのか交付税がいいのか、あるいはその組み合わせをどうするのか、これはなかなかむずかしい問題でございますものですから、私ども、その辺のところにつきまして妥当な結論を得るように、ただいま鋭意検討中でございます。
  65. 有島重武

    有島委員 いまのお話ですけれども、一般の市町村に対しては九二%補助をしていて、人口急増市町村に対しては四二%だ、そういったことを私は聞いておりますけれども、こういったことがありますか。  それから人口急増地のところは、自治省御存じだろうと思いますけれども、大体地方税が集まってくるのは来年、再来年になってくるわけです。それから非常に若年者が多いというのが特徴でございます。ですから、そこら辺のところをよくしんしゃくしていただいて、急いでいい結論を出していただきたいと思うのですけれども、いまの問題どうですか。
  66. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 人口急増市町村の自主財源の持ち出しが多いという御指摘じゃないかと思いますが、御承知のように、学校をつくります場合には土地が非常に、人口急増市町村では大きな割合になる。それから建物にいたしましても、国のほうで補助はいたしておりますが、残りにつきましては、これは起債と交付税で財源措置をしておるわけでございます。その交付税に当たる部分が自主財源ということになるわけでございますが、そういうような計算をいたしますと、持ち出しが多いというような結果も出てくるかと思います。学校一校をつくりますにつきましては、補助金がその中でどのくらいの割合になるかということになりますと、いま申しましたように、土地とかあるいはいわゆる交付税で財源措置をいたしております分につきましては、かなり人口急増市町村ではその割合が高くなるということじゃないかと思います。
  67. 有島重武

    有島委員 そういった実態があるわけですね。  これで終わりますけれども、いまのプレハブ校舎は教育効果を非常に阻害していると思いますね。夏でしたけれども、蒸し暑くて倒れてしまった生徒さんがおりまして、行ってみたら医務室にいるのです。冬の暖房装置は大体いいようでございますけれども、先日もこの委員会で話が出ておりましたのできょうは略しますが、消火の対策ですね、これが非常におくれておる。これは早くやらなければならない問題でございますから、閣議ででも、総理、大蔵大臣のほうにもっともっと強く言って推進していただきたいと思います。最後に大臣からその御所見を伺いたいと思います。
  68. 坂田道太

    坂田国務大臣 来年度予算要求の中におきまして、学校施設、特に過密地域あるいは人口急増地域における土地取得の問題等は、やはりもうぎりぎりのところに来ておると思いますので、私、責任大臣といたしまして十分大蔵大臣と折衝いたしたいというふうに思っております。
  69. 有島重武

    有島委員 終わります。ありがとうございました。
  70. 谷川和穗

    谷川委員長代理 鈴木一君。
  71. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 五十分までに終われという委員長からの命令ですし、大臣も飯を食う時間が必要だそうですから三点だけお伺いしますから簡潔にお答え願いたいと思います。  最初に、医師教育の問題ですが、現在の医師の数は、政府としては十分満ち足りていると思っているのか、足りないと思っているのか、足りないならば大体いつごろまでに十分な医師を養成するお考えなのか、その際国でどれだけ責任を負うのか、あるいは入学の裏金も合わせて一千万円も出さなければ入れないような大学もあわせて考えておるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  72. 村山松雄

    ○村山政府委員 現在医師の数は、概数を申し上げますと十一万人余でございます。人口十万人あたりにいたしますと、百十二人強ということになります。この数は、戦後医学部を整備した時点においては、厚生省では十分な数と考えておったようであります。むしろ目標数に比べて医師養成機関が多過ぎて、しかもその程度が悪い医学専門学校がある。これはやめるか、それから大学になれるものは大学にするということで、医師の養成数は大幅にしぼって、その後十数年を経過したわけであります。昭和三十七、八年ごろから厚生省としても、医療内容の複雑化、向上、病院の増設等の事情からいたしまして、医師の数は人口十万人当たり百人程度では足らない、かようになりました。しからばどのくらい必要かということになりますと、いろいろな考え方がありまして、必ずしもはっきりした目標数字が示されておらないわけでありますけれども、現在の人口十万人当たり百十二人では足りない、まあ相当数ふやす必要があるということでいっております。  そういうこともありまして、文部省としましても、戦後新制大学発足以来十数年据え置いてまいりました医学部の学生数というものを昭和三十七、八年ごろから漸次ふやしまして、今日までに、入学定員にしまして約千五百名ふやしました。現在では、一年当たり養成数が四千三百名程度になっております。ただ、医学部は、それ自体修業年限が長い上に、卒業いたしましても卒後研修その他で相当研修期間があり、実際に医師として実働するに至るまでの年数が短いもので十年くらいかかるわけでありますから、この増員の効果というものは必ずしもまだ十分に出ておりませんし、また、医学部を卒業してから先の問題は文部省よりは主として厚生省等で扱っておりまして、卒業しました医師が、必要に応じて適地に配置されるという面においては、なかなかうまくいかない点があるようであります。端的に申しますと、この偏在の問題が、一部に医師の不足感を一そう強調しておるという状況になっております。  文部省といたしましても、この増員の効果は漸次出てまいると思いますけれども、今後さらに絶対数におきましても、それからまた、場合によりましては医学部の配置等についてもなお検討の必要があると思いますし、また一部にいわれておりますように、医師養成の一番のネックは大きい付属病院が必要だということでありますけれども、基本的な臨床実習は付属病院でするにいたしましても、卒後研修あるいは学生の臨床、実習の一部につきましても市中病院が整備されて教育に関連することができるようにするということを前提といたしまして、教育関連病院の協力も求めて、大学病院だけで実習、研究をやるということだけでなしに、多角的な医師の養成方法という方向にも研究を進めたいと考えております。それを年次計画でどういうぐあいにやっていくかというような具体的な計画は現在ないわけでありますけれども、医学教育の改革あるいは養成数の目標といったようなことにつきまして、できるだけ早く関係者の意見をまとめて、その方向医師の不足に対処いたしたい、かように考えております。
  73. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 はっきりはわかりませんが、医師会のほうからの圧力もあり、なるべく医者の数はふやさないような、目に見えないブレーキもかかっておるやにわれわれは聞いておるわけでありますが、同じ敗戦国でもイタリアやドイツあたりでは十万人に対して百二、三十人の医者はおるはずなんです。ですから、福祉だとか人命尊重とか、そういうことを看板にする佐藤内閣としても、少なくともそういう年次計画くらい立てて、これだけのものは国の責任なら国の責任で養成するのだということをはっきり打ち出してもらわなければならないと思うのです。いままでのこういう行政を見てみますと、なるべく国はもう金をかけない、医学部を一つつくれば、医科大学を一つつくれば十億もかかる、大蔵省がうるさいから、めんどうくさいからこれをやらない。結局私立大学のほうに依存するというか、そっちのほうに全部まかなわせて、その上にあぐらもかいてきだといっても、これは私は過言ではないと思うのです。ですから、去年でしたかできたある私立大学のごときは、財政を確立するために都道府県に対して何億という寄付を要請する。そのかわり、その都道府県が推薦した者は、五人なら五人無試験で入学させてやる。それでもやはり医師不足のところあるいは都道府県でも、大学があっても医学部のないところがあるわけですね。そういうところは、そういうところに寄付をしてそれに応じているというふうな面があるわけでありまして、総じて見ると、国のほうはあまりやらない、そして私学のほうに依存しているというような現状だと思うのです。これでは、私は国としてはまことにまずいと思う。昨年秋田大学の医学部をつくったというのも、これは一つのいい傾向なんで、少なくとも今後都道府県に一つぐらい医学部をつくる、そしてそこに大学病院をつくる、そしてそこが医療センターになるというふうな方向に持っていかなければうそだと思うのですよ。いま村山局長がるる言われましたけれども、端的に言えば、実際国としては何もしていなかった、そういうことは言い得ると思うのです。大臣、どうですか。
  74. 坂田道太

    坂田国務大臣 いまおっしゃいましたことを十分頭に入れまして、今後医学教育につとめたいと思います。これは、今後、国立で医科大学にするのかあるいは医学部にするのか、そういうふうなやり方等についてはいま中教審でも検討しておりますけれども、しかし、相当程度の国立の医学教育機関というものをつくる、しかもそれは年度計画を立ててやる、こういうことだけは私も同感でございます。大いに努力をしたいと思っております。
  75. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 ことしじゃちょっと間に合わないかもしれませんけれども、ひとつそういう方向文部省全体が行ってもらいたいと思うのです。  それから、これは余分なことですけれども、医師の質が低下したといいますが、それは低下するのはあたりまえですよ。授業料の安い、経費のかからない国立とか公立の門は狭い。そうすれば、なりたい者は私立のほうに行くわけですね。一千万でも金を出す、そういう人たちが一人前になって診療するわけですから、質が悪くなるのはあたりまえですよ。ほかのものはともかくとして、人の命を預かる医者ですから、そういうふうないままでのような惰性をここで断ち切って、国が全責任を負うのだ。そのためにこそ、私は国というものがあると思うのです。ひとつ大臣の奮起を促しておきます。  それからもう一つは、大学の問題ですが、中身のことについてはきょうは触れません。ただ、大学教育の場としての環境を整備する必要があると思うのです。先般私は大分大学を見学したわけでありますが、昔の大分高高時代は知っておりますけれども、今回行ってみて非常に感心したことは、非常に遠い郊外に山をくり抜いて大学が新しくできておるわけです。やはりああいうふうなところに大学を持っていくことが都市計画という面からしても妥当だし、また、大学教育の場としても私は非常にいいことだと思うのです。いままでの大学はそれなりにわけがあって現在の場所にあるわけですけれども、将来は思い切ってスクラップ・アンド・ビルドというか、そういう観点から大学都市を新しくつくるのだというふうなことで、ひとつ文部省の方針を確立してもらいたいと思う。ああいう山の中の静かなところにあれば、デモをやってみたって自然相手、カラスが聞いているかあるいはタヌキかムジナがいる程度で気勢もあがらない。私はそれでいいと思うのです。そういう静かなところで自然に親しませながら勉強する。体育のほうも十分にできるし、そういうふうに大学のあり方を考えてみなければならない時期が、私はいまここに来ていると思うのです。どうですか、大臣
  76. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点、また鈴木さんと私は同感なんでございまして、特に私は、今後地方大学を充実していくという方向に進みたいと思っております。しかも地方大学があるブロックの地域におきまして大いにコミュニケーションをよくして、そして教授の交換等も活発に行なう、そういうやり方が望ましいのじゃないか。何といいましても、大学教育は環境というのが非常に大事だというふうに思うわけでございまして、いま地方大学と称せられるところは、まあ大部分が、いま御指摘のように、かなりいい環境にあるわけであります。そういうところを充実していくという態度がわれわれのところにあるならば、かなりいろんな人間教育の面においても改善されるのじゃなかろうか、こういうふうに思います。  私も、これは全く個人的な考え方として、ヨーロッパへ参ります前に、日本全国の大学地図といいますか、ユニバーシティーマップというものを今後考えていかなければならぬということをちょっと書いたのですが、それはいまお話しになりましたようなことを頭の中に描きながら書いてみたわけでございまして、こういう観点で長期教育計画あるいは日本列島全体における大学地図というものを描きながらこの充実につとめていかなければならない。私立大学も含めますけれども、やはり国立大学を所管しております文部省として、特にその点を注意をしなきゃいかぬのではなかろうかと思っております。
  77. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 もう時間が来ましたが、もう一つ、私立大学も含めてそういう方向に行くべきだと思うのですね。マンモス大学といわれる日大の古田さんも、毀誉褒貶の中になくなったわけですけれども、それなりにあの人は偉い人だと思います。しかし、彼も晩年に、神田のごみごみしたところから日大をどこか富士山ろくとか、そういうところに移転して日大学園都市でもつくられたら、たいへんな功労者であったと私は思うのですね。そしてあそこの移ったあとを住宅にするなら、都市の新しい開発にも役立つと思うし、国立だけじゃなくして私立大学もそういうふうな方向に行くように、やはり国がこの際積極的な援助体制というものをつくるべきじゃないかと思うのですね。  この間、秋田大学の医学部ができたわけでありますが、私は、せっかく医学部をつくるならば学園都市というものを構想して、もっと離れたところにつくるべきじゃないか、そして現在の教育学部、鉱山学部もそっちに将来移転する、そうして移転したあとにはあるいは小学校なり、中学校なり、あるいは高校なり、あるいは住宅なり、そういうようなことも、やれるのじゃないかということを提案したわけでありますが、何か本部から距離の制約があるということから——いまは車でしょうから、五分や十分で、たいしたことはないのですよ。もっと離れたところに学園都市をつくれば、土地は安いし、幾らでもつくれるのにかかわらず、いまの都市の地続きのところに医学部を建ててしまった。せっかくそういう新しいきっかけがあったにもかかわらず、そこまで行けないということは、文部省全体がそういう考えが足りないのじゃないか、もっと積極的にスクラップ・アンド・ビルドで新しい大学、新しい都市をつくるのだ、そういうふうな考え方が、私は足りないのじゃないかというふうな感じがするわけであります。坂田さん、いつまで大臣をやっておられるかわかりませんが、あなたのいる間にそういう方向をひとつはっきり確立してもらいたいと思いますね。  それから最後に一つ、これも地元のことに関連してまことに恐縮ですが、ことしは秋田大学の医学部に対して現在の県立病院が移管されることになっておりますが、現在おる医者は、そのまま残れるという人は少ないわけですね。ですから、どんどん開業しているわけです。ですから、医者はいないし、赤字はますます出るということでありますが、大学側としても、いますぐ移管してもらわなくても、必要のあったときに、二、三年後に移管してもいいということで、県としても私は非常に困っておると思うのですが、ことし移管できますか。来年度予算で国に大学病院としての移管が可能なのかどうか、その点だけをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  78. 村山松雄

    ○村山政府委員 秋田大学の医学部付属病院につきましては、御指摘のように、現在の秋田の県立中央病院の移管を受けましてこれを暫定的に使う、将来計画としては新しくつくる、こういう計画でございます。で、県としては、おっしゃいましたような事情もありまして、早期移管というのを希望しております。したがいまして、文部省でも四十六年度に移管ということで予算の要求をしておりまして、これは強く折衝しておりますが、一番のネックは、現在政府としては国家公務員の定員をふやすことをきわめて慎重に扱うという線がありますので、病院の移管ということになりますと人数が非常に多いものですから、この点で難航いたしておりますけれども、何らか合理的な妥結点を見出しまして、できるだけ県の要望にも沿い、大学整備も一そう進捗できるようにいたしたいと思っております。
  79. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 まあひとつ、そういう方向で進めてもらいたいと思います。最後に、遺憾ながら移管はできなかったというようなことのないようにひとつお願いします。
  80. 谷川和穗

    谷川委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会