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1970-12-15 第64回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十五日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 草野一郎平君    理事 安倍晋太郎君 理事 小沢 辰男君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 芳賀  貢君    理事 小平  忠君       鹿野 彦吉君    熊谷 義雄君       小山 長規君    瀬戸山三男君       關谷 勝利君    高見 三郎君       中尾 栄一君    中垣 國男君       別川悠紀夫君    松野 幸泰君       山崎平八郎君    角屋堅次郎君       千葉 七郎君    中澤 茂一君       瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君       二見 伸明君    合沢  栄君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席政府委員         農林省農林経済         局長      小暮 光美君  委員外出席者         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会常務         理事)     池尻 文二君         参  考  人         (日本園芸農業         協同組合連合会         参事)     大石 芳久君         参  考  人         (野菜生産出荷         安定資金協会副         理事長)    勝賀瀬 質君         参  考  人         (日本生活協同         組合連合会常務         理事)     福田  繁君         参  考  人         (農政評論家) 森  有義君         参  考  人         (愛媛大学教         授)      若林 秀泰君         農林水産委員会         調査室長   松任谷健太郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十一日  辞任         補欠選任   角屋堅次郎君     勝間田清一君 同日  辞任         補欠選任   勝間田清一君     角屋堅次郎君 同月十五日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     關谷 勝利君   白濱 仁吉君     別川悠紀夫君   福永 一臣君     山崎平八郎君 同日  辞任         補欠選任   關谷 勝利君     赤城 宗徳君   別川悠紀夫君     白濱 仁吉君   山崎平八郎君     福永 一臣君     ――――――――――――― 十二月十二日  かすみ網一般販売禁止等に関する請願瀬野  栄次郎紹介)(第六〇五号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第七三四号) 同月十四日  国有林地除草剤散布に伴う被害防止に関する  請願井出一太郎紹介)(第八一七号)  同(小川平二紹介)(第八一八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第八一九号)  同(小坂善太郎紹介)(第八二〇号)  同(羽田孜紹介)(第八二一号)  同(原茂紹介)(第八二二号)  同(増田甲子七君紹介)(第九五七号)  同(松平忠久紹介)(第九五八号)  米穀用特殊包装容器使用許可に関する請願  (井出一太郎紹介)(第八二三号)  同(小川平二紹介)(第八二四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第八二五号)  同(小坂善太郎紹介)(第八二六号)  同(羽田孜紹介)(第八二七号)  同(原茂紹介)(第八二八号)  同(増田甲子七君紹介)(第九五九号)  同(松平忠久紹介)(第九六〇号)  飼料作物増産対策に関する請願井出一太郎君  紹介)(第八二九号)  同(小川平二紹介)(第八三〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第八三一号)  同(小坂善太郎紹介)(第八三二号)  同(羽田孜紹介)(第八三三号)  同(原茂紹介)(第八三四号)  同(増田甲子七君紹介)(第九五三号)  同(松平忠久紹介)(第九五四号)  花卉園芸振興法制化促進に関する請願井出  一太郎紹介)(第八三五号)  同(小川平二紹介)(第八三六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第八三七号)  同(小坂善太郎紹介)(第八三八号)  同(羽田孜紹介)(第八三九号)  同(原茂紹介)(第八四〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第九五五号)  同(松平忠久紹介)(第九五六号)  同(小沢辰男紹介)(第一一六三号)  同(渡部恒三紹介)(第一一六四号)  かすみ網一般販売禁止等に関する請願瀬野  栄次郎紹介)(第八九九号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第九六一号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第一〇六五号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第一一六六号)  仙台市蒲生海岸渡り鳥渡来地保存に関する請  願(西宮弘紹介)(第九六二号)  農業災害補償制度改善等に関する請願(大橋  敏雄君紹介)(第一〇六六号)  中国産食肉輸入禁止解除に関する請願(八百板  正君紹介)(第一〇六七号)  同(黒田寿男紹介)(第一一六七号)  農業共済団体事務費国庫負担金増額等に関する  請願外一件(佐々木良作紹介)(第一一六五号)  漁港の整備促進等に関する請願白濱仁吉君紹  介)(第一一八七号)  土地改良事業地元負担軽減に関する請願(小  沢辰男紹介)(第一一八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十一日  花卉園芸振興法早期制定に関する陳情書  (第三二六号)  環境保全林造成事業の推進に関する陳情書  (第三二七号)  林道開設に伴う用地買収費補償等に関する陳  情書  (第三二八号)  造林事業等拡充強化に関する陳情書  (第三二九号)  農道舗装特別措置に関する陳情書  (第三三〇号)  農地保有合理化促進に関する陳情書  (第三三一号)  畜産団地造成事業に対する農林漁業金融公庫の  融資等に関する陳情書  (第三三  二号)  米生産調整に伴う休耕田の有効利用に関する陳  情書  (第三三三号)  野菜価格安定対策に関する陳情書  (第三三四号)  米穀基本政策確立に関する陳情書  (第三三五号) 同月十四日  北日本地区蚕糸業振興に関する陳情書  (第三八〇号)  花卉振興法早期制定に関する陳情書  (第三八一号)  総合農政確立に関する陳情書  (第三八二号)  卸売市場法案成立促進に関する陳情書外二件  (第三八三号)  農用地の土壌汚染防止に関する陳情書  (第三九一号)  生鮮食料品流通情報強化に関する陳情書  (第三九二号)  農業基盤整備事業促進等に関する陳情書  (第三九三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  卸売市場法案内閣提出、第六十三回国会閣法  第一〇六号)      ――――◇―――――
  2. 草野一郎平

    草野委員長 これより会議を開きます。第六十三回国会より継続審査となっております内閣提出卸売市場法案を議題といたします。
  3. 草野一郎平

    草野委員長 本案につきましては、第六十三回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 草野一郎平

    草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  5. 草野一郎平

    草野委員長 本日は、本案について参考人より意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、全国漁業協同組合連合会常務理事池尻文二君、日本園芸農業協同組合連合会参事大石芳久君、野菜生産出荷安定資金協会理事長勝賀瀬質君、日本生活協同組合連合会常務理事福田繁君、農政評論家森有義君、愛媛大学教授若林秀泰君、以上六名の方々でございます。  参考人各位には御多用中にもかかわらず本委員会に御出席くださいましてありがとうございます。ただいま本委員会におきましては卸売市場法案を審査いたしておりますが、本案につきまして参考人方々の御忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、はなはだかってではございますが、参考人各位からの御意見開陳はお一人おおむね十五分程度にお願いすることとし、その後に委員からの質疑があればこれにお答えいただくことにいたしたいと存じます。御意見開陳は、池尻参考人大石参考人勝賀瀬参考人福田参考人森参考人若林参考人の順序でお願いいたします。  それでは、まず池尻参考人にお願いいたします。池尻参考人
  6. 池尻文二

    池尻参考人 私は全漁連常務理事池尻でございます。政府提出卸売市場法案について意見を述べさせていただきたいと思います。  もともとこの法案は、昨年十二月に答申されました卸売り市場制度改正基本方向、及び地方卸売り市場制度基本方向答申に沿って作成されたもので、不肖私もその委員の一人として審議に参画をいたした経緯がございまして、その意味ではこの法案の内容、あり方等は大体卸売り市場としてこういったものではないであろうかと賛成をいたしておる立場でございます。  法案につきまして意見を述べる前に、私は、特にわが国の魚と申しますか、水産物生産流通消費の現今の特徴的な方向をまず指摘をしてみたいと思います。特に水産物につきましての最近の消流の関係におきまする一つ特徴といたしまして、まず大きく需要動向が変わりつつあるということでございます。  そのまず第一点は、御承知のとおりわが国都市化の進展という現象によりまして、需要密度が非常に高まってきているということが第一点でございます。この問題は従来までは主として東京であるとかあるいは大阪中心過密地帯の問題としてとらえられてまいりましたけれども、いまや単にそういった大きな都市の過密という視点だけではなくて、比較的人口減少傾向が強いといわれておりました東北、九州等地域におきましてもやはりそれなりに都市集中化傾向が強まっております。それは統計の示すところによりますと一目りょう然たるものがあるわけでございまするが、最近における、たとえば京浜だとか中京、京阪神、北九州等のいわゆる大消費圏人口増加よりも、いわゆる人口五万以上の都市地域における人口増加率がこれを上回っているという傾向が示しておりまして、これが一つのいわゆる生鮮食料品需要の問題としてとらえる場合でも、需要密度が非常に高まってきつつあるということが指摘できるかと思います。  それから、まずその次に第二番目の特徴といたしまして、御承知のとおりいわゆる消費多様化、それから高級化及び平準化の問題がございます。御承知のとおり、生鮮食料品の中で特に水産物消費がいかに多様であるかという問題につきましては、たとえば東京市場に上場される水産物品目は三百七十四でございます。大阪では二百二十一品目という数字になっておりまして、これがたとえば畜産物等の三十という品目数に比べれば、いかに水産物品目わが国においては多様であるかということが率直に指摘をされると思います。このことがいわゆる末端小売り商取引品目多様化として、消費者からも俗にいう品ぞろえというものを要求される水産物の大きな特性でございます。したがいまして、私ども生産者団体といたしまして、たとえばサンマならサンマサバならサバという単品の品種をいかにそのものだけを消費に乗せようと思いましても長続きがしないという一つの理由はそこにあろうかと思います。  それから消費の問題としての第二番目に、いわゆる高級化というものがあって、これは御承知のとおり多獲性魚類から消費傾向といたしましていわゆる中、高級魚類消費増大化傾向が向いているということでございます。そしてこういう多様化高級化という問題は、むしろこれが単に少数の人々、または一地域の問題でなくて、所得階層または地域格差の問題を越えていわゆる平準化されつつあるということでございます。それはどういうことかと申しますと、秋田県の方々は単にハタハタだけを食べるというのではなくて、最近におきましては、秋田にしろあるいは山陰にしろ、あるいは東海道にしろ九州にしろ、そういう地域を越えて、やはり東京の人が食べるようないわゆる食生活パターンというものに非常に平準化傾向が強まっておるということでございます。すなわち、それは輸送あるいは貯蔵手段の発達と相まちまして、水産物需要平準化をされてき、水産物もまた地域的な流通商品からいわゆる大量全国型の商品へと変わりつつあるという一つ特性をはっきり示しているといえるわけでございます。  ところで第三番目に、消費者購買動向という問題が私ども流通を考える場合に一番注目しなければならないことかと思います。たとえば、最近はスーパー等の進出で、消費者の態度の変革がいろいろとマスコミでも指摘をされておりまするけれども、しかし細部にわたってこれを検討いたしますると、問題はしかく単純なものではございません。いまだにスーパーにおける生鮮食料品販売単位小売り店に比して非常に少ない段階でございます。それはどういうことかと申しますと、基本的にはやはり消費者が一日以内の献立中心にものを考え、しかも買う範囲というものはきわめて短い行動の半径の中で、いわゆるもより買いというものが消費者の一般的な傾向であるということでございます。このことが、流通大量販売前提として今後流通問題を考えていかなければならないという私ども一般的立場にもかかわりませず、一般小売り商の持つ宿命的な問題が私はこの流通の中にあるのではないか、かように考えます。  それから水産物における冷凍商品の比重の増大という傾向がございます。この点は、計画的購入前提となりまする保存というものを前提とする購入が、将来大きく増大する可能性があるということが水産物指摘をされまする大きな特徴でございます。もっとも現在では卸売り市場まででございまして、末端では、最も保存前提としない商品、つまり鮮魚として取り扱われておる現実を見のがすわけにはまいりません。つまり、せっかく冷凍された形のものが、卸売り市場までは冷凍商品の形で参りますが、それから先はあくまでもまた鮮魚という形で売られておるという、この消費の実態こそ私どもは注目しなければなりませんが、しかしそれでも冷凍食品、いわゆるコンシューマーズパックされたものの中では、やはり現在生鮮食料品の中では水産物利用が最も多く、この点が私ども将来の一つの楽しみな問題である、かように考えるわけでございます。  以上が、大体需要パターンと申しまするか、需要動向特徴でございます。  それでは、生鮮食料品の中の水産物生産動向はどうかと申しますと、これは時間がございませんので詳しく申し上げられませんが、いわゆる水産物は、皆さま方がいま非常に頭を悩ましていらっしゃいまする米の問題と違いまして、逆に水産物需要供給が追っついていかない。しかもここ十年間の見通しを立てましても、ますますその傾向は開いてくるであろうということが一つの大きな特徴でございます。それと同時に、生産段階におきましては、水産物の場合は、いわゆる貯蔵だとか加工技術の進歩と能力増大という一つの前進的な傾向がございます。この傾向は非常に目ざましくて、卸売り市場に上場される魚の過半はすでに冷凍魚でございます。これはもう皆さん御承知のとおり、東京市場で上場されております魚の半分以上はもう冷凍の形でございます。そこで、漁船段階から冷凍機を持ち、あるいは相当りっぱな、いわゆる冷蔵能力を持って市場に揚がりましても、先ほど申し上げました冷蔵庫の整備、そういったようなもので、卸売り市場におけるそういうまでの、私ども生産段階におけるそういう技術は相当進歩しておるわけでございまするけれども先ほど申しましたように、それは卸売り段階でとまってしまいまして、それから先の仲買い、小売り段階に行きますと、さらに消費者段階に行きますれば、これはもうアメリカ等と比較をなされて御承知のとおりでございますけれども、せっかくそういう冷凍の形で供給をしましても、いわゆる消費ないし買い手のそういった能力というものは、必ずしも日本現状はそれに対応していないというところに、私どもの大きな悩みがあるわけでございます。そういうような、買い手としての仲買い人あるいは販売者としての小売り商、あるいは一般消費の側における、いわゆる低温貯蔵能力の絶対的な不足が、前述いたしましたように、市場までは最も貯蔵性が強いいわゆる水産物が、末端消費段階では最も保存に適当でない食料品として扱われているという、こういう矛盾を、私どもは将来大きく解決をしていかなければならないのではないか、かように考えます。  それから第三番目の特徴といたしまして、いわゆる商品規格化標準化傾向指摘せねばなりません。御承知のとおり、水産市場と私どもでいいますと、皆さま方すぐ、あるいはさしみ、いわゆるすしの原料になりまするマグロトロというようなものをお考えになるかと思いまするけれども、いわゆる市場というものはなかなか簡単にはいかない、ああいうマグロのものを取り扱うというのにはきわめて専門的な評価の能力が要りますし、何か非常に市場というものが、従来の観念からいたしますとそういう個別化商品というものを中心に考えてこられがちでございました。それが水産物取引の大きな特徴だと主張する向きがございましたが、もしそういうものだけが今後の水産物であるとするならば、そういう個別の品質格差を問題にすればするほど、流通には多くの人手を要し、また逆に流通コストというものは大きくこれを是認していかなければならぬということになるわけでございまするが、それだけで現在の市場あるいは採来の市場というものは律するわけにはまいりませずに、もう一つ特徴は、やはり将来にわたって、規格化標準化の動きというものは着実に現在生まれつつあるということでございます。現在市場に上場されている多くの冷凍品の中で、単なる個別の商品格差を問題とする以上に、商品同一性を主張して、現物を見るまでもなく、たとえばイカあるいはサバ等冷凍魚のように、一定の見本によって大量取引を可能にする標準化商品もまた現在大きくふえつつございます。ところが現状では、先ほど申し上げましたように小売り少量売りあるいは少量買いのそういう消費態様の中で、いわゆる標準化規格化による省力化技術によるいわゆる流通コストの削減というものを現段階、評価いたしましても、まだそこまで達してないと考えるわけでございますが、しかし方向としては、私どもはそういった標準化規格化商品への開発投資というものを今後積極的にやっていく必要があると考えるわけでございます。  それから次は、流通動向といたしまして、たとえば労力不足の問題あるいは輸送手段その他物的流通技術の革新の問題等がございまするが、なかんずく水産物の場合に、いわゆる私どもが将来水産物流通を合理化する上に非常に大きな心配と申しますか、特徴としてとらえなければならないのは、先ほどもちょっと触れましたように、いわゆる末端小売り段階の今後のあり方という問題でございます。それは、先ほど申し上げましたように、需細小売り商存立の基礎というものは、一言にして申し上げますと、多くの品種、つまり多種、しかもわずかな量、少量、それからもより買い、これが現在の末端における特徴的な消費の姿でございます。そこで、これも統計が示しておるところによりますれば、生鮮食料品三品の小売り商売り上げは年々に増大をしております。これは、生鮮食料品三品につきまして一律にそういう売り上げ増大をしております。しかし一番の特徴といたしましては、特に私どもの魚につきましては、つまり鮮魚につきましてはその傾向売り上げ量増大ではなくて、大半がいわゆる価格上昇によって占められているという大きな特徴がございます。これはいわゆる競合商品としての青果、食肉との間にかなりの差があることでございまして、このことが価格の高い時代が続くうちはよろしゅうございますけれども、ある程度価格上昇というものが押えられた暁において、はたして小売り商生産性というものをどこに求めるかという問題にからみ合わせまして非常に大きな問題の一つではないか、かように考えるわけでございます。  そこで、時間がございませんので、法案につきましては、いま申し上げました水産物の消流の条件というものが非常に変わりつつございます。需要密度が高まり、消費多様化高級化平準化傾向が強まりつつある。しかし、購買動向多種、少量、もより型というものを脱却していない。それから生産から卸の段階まではある程度コールドチェーン的でありまするけれども、それが末端につながっていない。特に小売り商段階の宿命的な問題をかかえている。こういうような態様から私は法案というものをながめました場合に、こういうふうに水産物生産流通消費の与件が非常に変化をしつつある、その変化はあるものは明らかに、しかもすみやかにクローズアップされておりまするし、あるものはその萌芽を見出した段階にすぎないものもあります。このような転換期に相当将来を見通してあるべき姿を定め、そしてまた一面、現時点においても十分妥当する制度をつくることはなかなか容易なわざではございません。要はその制度が今日において妥当することはもちろんとして、将来の流通あり方を指向し、しかも今後の生鮮食料品流通変化の度合いに応じて弾力的に対処し得るように仕組まれているかという視点が最も大事であろうと思います。  この視点から今回の法案は、たとえば中央市場におきましては多種大量取引の場としての市場機能といたしまして、一つには卸売り市場施設の計画的な配置、二つには卸売り市場における施設の量的及び質的充実を取り上げておりまするし、それから第二番目には公正妥当な価格形成商取引のための取引改善、たとえば卸売り業務仲卸業務健全化、それから商品特性変化生産消費態様変化に応じて弾力的に扱うことを前提といたしました集荷販売方法改善というふうな骨格になっておりまして、市場制度を議論するときに、ややともすれば、特に水産物の場合に大きく意見が分かれる傾向がございます。  その第一は、先ほどマグロトロで話しましたように、まず一つ傾向は、その商品特性を従来のように単純に、いわゆる腐敗性の強い商品、ペリッシャブルの商品というところに力点を置いて、市場というものはいままでどおりでいいのだという割り切り方の強い主張をする方と、また、冷凍魚出現によりまして、全くこれを、冷凍魚出現というような傾向で従来の市場制度を全く否定し去らんとするような極端な意見が両立いたしておりまするが、私は、そういった割り切った考え方ではなくて、より慎重に売り手、買い手のバランスの問題をも含めて今後の運用を考えていくという立場におきまして、現在示されておりまする政府法案はきわめて妥当ではないかと考えております。  それから最後に、地方卸売り市場規定がございます。実はこのことが私ども水産関係では非常に大きな意味を持つものでございますが、従来地方市場は御承知のとおり都道府県の条例によって規制されたものを今度法律に根拠を与えて、そして基本的な事項は法律規定をし、細部運用等地方条例にゆだねるということになっております。このことは私ども答申段階で強く主張いたしまして、これが盛られてあるわけでございます。しかしながら水産物の場合は、御承知のとおり私どもはほとんど九〇%に近いものが、開設者というものが、地方におきましては漁業協同組合ないし漁連でございます。いわゆる系統組織であるということ。それから漁業根拠地機能冷蔵能力機能と非常に密接な関連を、水産物産地市場は持っております。それからもう一つは、第一次的な価格形成の場であり、利用配分がその場で行なわれているということから、産地仲買い人の果たす役割りも非常に高いという特徴がございます。したがいまして、知事さんの条例に判断、運営をゆだねる場合には、この点私ども漁業協同組合機能というものを阻害しないように、そして水産物市場特性というものが十分生かされるように配慮を願いたい、かように考えております。  最後に、協同組合にとっていわゆる販売事業はきわめて主幹の仕事でございます。大事な仕事でございます。もちろん私ども系統も今後近代化の努力を怠ってはなりません。それを前提にいたしまして、市場法に対する評価はむしろ法律よりも運営の面に非常に大きな作用を持ってまいります。したがいまして私どもは、みずからの近代化の努力を怠らないということを前提に、同時に私ども協同組合系統の機能というものが、運営によって、市場法によって阻害するというようなことがあってはならないと思います。そういう立場において私どもは、今後品目によりましては、たとえば生協あるいは農協あるいは大口需要者との直結方式と申しますか、提携方式、これは非常にむずかしい問題を含めておりますが、将来の商品開発によってはそれも可能でございます。つまり市場制度そのものを否定した行き方をとる場合もありまするけれども、これはひとつ協同組合運動の立場から十分尊重して、その方向というものを伸ばしていただきたいという意見をつけ加えまして、参考人意見といたしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  7. 草野一郎平

    草野委員長 次に、大石参考人にお願いいたします。
  8. 大石芳久

    大石参考人 私、日本園芸農業協同組合連合会参事大石でございます。  本日は卸売市場法案の審議過程で、こういうふうな参考人意見を聞く会に出席さしていただきましたことをたいへん光栄に存ずるのでございますが、この法案につきましてはかねてからいろいろお話も承ってきておりました。また、われわれ系統団体といたしましても直接に関係があるだけに、数回の会合を持ちましていろいろこの問題についての研究をしてまいったものでございます。先ほど参考人のお話のありましたとおり、現時点において考えられる線としてはこれ以上の要求をすることははなはだ無理ではなかろうかというような視点に立ちまして、早期に近代流通確立するために、この法案がぜひとも皆さまの御努力によりまして早期に成立さしていただきますことを切にお願いを申し上げたいと思います。  そこで、私ども考えております二、三の点を、時間がございませんので、申し上げまして御参考に供したいと思うのでございます。  まず第一に、この卸売市場法案の前身でございます中央卸売市場法は大正十二年の三月三十日法律第三十二号によって成立を見ておりますが、これは現在やかましくいわれております消費者物価対策の一環として、御案内のとおり、大正七年の七月に富山県に端を発しました米騒動を機縁にしてこの中央卸売り市場が成立したのでございますが、私どもはそのときにいまの卸売り段階における日本流通革命は成立したものと思っているわけでございます。いわゆる株式会社による卸売り会社の成立あるいは仲買い、小売りの三段階制による青果物の市場流通がこの法律において確立された、こういうふうな感じを持っているわけでございます。  よくアメリカの事例が紹介されますけれども、アメリカのほうの流通の状態を見てみますと、ほとんど青果物の取り扱いは、市場があれども日本の中央卸売り市場の成立以前の問屋制度でございます。太平洋岸に近いロサンゼルスに三つの市場がございまして、在留邦人が主として取り扱っている市場を見ましても、いわゆる神田の多町にあった時代の状態を抜け出ていない、こういう姿を見るのでございます。さらにまた、サンフランシスコにも新しい市場が二つできておりますけれども、これまたロサンゼルスの姿と少しも変わっていない。あるいはまたニューヨークに大市場ができましたけれども、その流通の状態を見てみますと、やはり同じようなことが繰り返されているように私どもは見ているわけでございます。また、日本と同じようにオークションマーケットが六都市にございますが、そのオークションの姿を見ましても、日本のようにいわゆる三位一体制度確立されていないことを私どもは率直に批判せざるを得ないような気持ちになるわけでございます。さらにまた、その中の内容を見ましてもいろいろな形のものが入ってきている。レシーバーというただ荷を受けるだけでほか価格形成には何ら関与しないものがある、あるいはまた投げ師的なものがあるとか、いろいろな複雑な形においてアメリカの市場流通市場中心にして展開されている現実を見てみますと、日本のほうがはるかに進んでいるじゃなかろうかと思います。また、そういったようなアメリカの現状から見まして、スーパーマーケットの産地直取引が行なわれていることもいなめない事実でございますが、そういった旧態依然たる取引が、多様化した高級化したあるいは平準化したアメリカ国民の需要市場が対応し得ないような状態に追いやられたために、巨大チェーンによるスーパーマーケットの誕生、またはそれが産地と直結している状態ではなかろうかと存じているわけでございます。けれども、アメリカのリンゴの流通を見てみますと、あるいはまた農務省の方のお話を承りますと、それでもスーパーマーケットへ直接産地から出しているリンゴの数量はおおむね四〇%であり、ホールセーラーを通じて売るのが五〇%、最近日本でも多くなってまいりましたけれども、ロードサイドで売るのが一〇%というような状態のように承っております。  けれども日本のいまの状況を考えてみますと、現在の市場のような状態でいいかどうかということについてのいろいろな御意見があって今度の法律案が提示されたと思っておりますが、ぜひともこの機会に地方あるいは中央を通じての大規模な経営を行ない得るような市場機能にしていただくように御手配を願いたいと思うわけでございます。これはあとで設備の問題にも触れてお願いを申し上げたいと思いますけれども、とにかくいまの日本の機構は、アメリカの流通機構、卸売り段階あるいは小売り段階における状況は、——スーパーマーケットと小売り段階というのは多少違いますけれども、主流をなす形においては、しかしいまの卸売り段階流通革命が大正十二年に行なわれて今日まで営々積み重なってまいりました功績を多く評価するとともに、これをさらに高揚するためには、いま法案に盛られているような考え方でひとつお進みを願いたいと私どもは思うわけでございます。  諸先生方の御配意によりまして農協合併は非常な勢いで進行いたしました。一郡一農協というような形になり、また一郡一農協は、特に果樹は一郡一選果場というような形に変貌いたしました。大量取引を絶対条件とするような産地体制になっております。現在の市場の状態ははたしてどうであろうか。取引単位が非常に少ない。たとえばリンゴは五箱単位、ミカンは五箱単位、こういうふうなのが取引のルールになっておるように見ているわけでございます。こういったような流通を、産地の集出荷機能の大型化した現在において、もっと積極的にそういうふうな方向を推し進めて、取引段階において産地の大型化に対応するような取引機能が行なわれるようにぜひとも御配意をお願い申し上げたいと思うのでございます。  第二点は、卸売り会社の員数のことでございます。これは農林省当局においても非常な御努力を願っているわけでございますが、私どもの現在やっております二百五十万トンになんなんとするミカンの計画出荷の実施にあたって、複数乱立市場ほど計画出荷、安定的な取引が行なわれにくいというような形になっております。ぜひともこれは単数でいくような方向でひとつ御指導を願いたい。そうすることによって卸会社の機能はいやが上にも発揮されると同時に、価格形成においても安定した形成が行なわれるのではないかというふうに私どもは存じているわけでございます。この単数制あるいは複数制という問題については、中央卸売り市場創設時代にもいろいろ議論になったところであり、またこれについてのいろいろな御意見があるわけでございますが、実際申し上げたような事業をやってまいりますと、複数乱立の現状からしますと非常に無理がある、こういうことを常に感ずるところでございます。ぜひこの辺についても御配意をお願い申し上げたいと思うのでございます。  それから第三点につきましては、相対取引の問題がいろいろ世間に伝わってきております。この相対取引につきましては、価格の安定をはかるためということを主張して、ぜひとも相対取引を表面に打ち出せというような御意見のようでございますが、この卸売市場法にも第三十四条において、相対取引をある限定された規格化されたもの、あるいは価格の安定しているものについてはお認めになるような意味のことが書かれておりますが、その程度に私どもはとどめていただくようにお願いしたいと思います。直ちに相対取引が行なわれるようになりますと、産地はなかなかこれについていけないというような現状であろうと私は信じております。そういうふうな意味において、いまのせり売り制度はいろいろ問題はあろうとも大正十二年の中央卸売り市場のできる前は問屋制度による相対取引をやってきたのを、一挙にせり売り制度に改めたというようなことは、十分な検討をなされた上において行なわれたものと高く私どもは評価せざるを得ないと思います。そういうふうな意味において、この法の運用については生産者団体としては、少なくとも日園連に関係するものとしては相対取引については積極的に前向きにひとつ研究はしなければならないけれども、直ちにこれを表面に打ち出すというようなことは、ぜひ避けていただきたいと思うのでございます。以前中央卸売り市場卸売り会社においても、北海道のバレイショとか青森のリンゴとか、あるいはタマネギ等の買い付けをしました。その結果どういうことが出てきたかというようなことから、現在においては全くそれが姿を消してしまったということから見ましても、その点がはっきりと裏づけられるのじゃなかろうかというように思うわけでございます。相対取引をやる以上は、どこにひとつ責任を持たせるかということになりますと、産地も責任を持たなければなりませんけれども卸売り会社の危険負担をどうしてだれが持つかということが問題になろうかと思います。そういうふうな意味におきまして、第三十四条における状態を一応慎重に取り扱っていただくような御配慮をお願いしたい、こう思うわけでございます。  第四点といたしましては、法第三十三条でございますが、仲卸業者として仲買い人を明文化して法的に位置づけを行なわれましたことは、たいへん私どもとしては敬意を表しているところでございます。昭和三十八年の七月九日に閣議決定として生鮮食料品流通改善対策要綱が決定されました。仲買い人の法人化を進め、経営規模の拡大をはかるという方針を打ち出されたわけでございますが、それがいま一向に進展していない。そういうことは仲買い人の、あるいは新しい法律案に基づくものでしたら仲卸業者でございますが、その産地から出てきている青果物の評価あるいはそれを分荷する、あるいは貯蔵する、あるいは運搬する等の重大な使命を持っているのが、私ども仲買い人、仲卸業者じゃなかろうかと思うわけでございます。それらの機能を十分に発揮できるような施策が、あるいは行政施策が行なわれていたかということになると、いささかさびしい感じがいたします。仲買い人貯蔵施設とかそういったものについては卸売り市場近代化資金の金融措置が講ぜられておりますけれども、その金利ももう少し下げてもらえないだろうかということを生産業者として念願するわけでございます。さらにまた、仲買い人機能を十分に発揮していただいて、青果物の価格を安定するためには、仲買い人に運転資金の特別融資の措置を講じていただくような方法はとれないものか、こういうことを思うわけでございます。かくして昭和三十八年の七月九日に閣議決定されました生鮮食料品流通改善対策要綱に盛られたような姿に仲買い人をできるだけ早く持っていくための二つの——一つは、いまの施設資金の金利を下げてやる、あるいは流通資金、運転資金をなるべく低利に融資してやるような措置を講じていただくようにお願いしたいと思うわけでございます。  第五点といたしましては、施設の問題でございます。ただいまミカンの最盛時期に入ってまいりました。東京市場へ入る大部分の荷物は、表現は強くなりましょうけれども、ほとんど場外に置かされているというような現状でございます。生産者が粒々辛苦して育て上げ荷づくりしましたものが雨風にさらされるような、当たってどうにもなれというような形ということになりますと表現は強くなりますけれども、そういうふうな状態で露天の置き場に置かされているのが現状でございます。あるいはまた神田市場の状態を見ましても、あの市場の狭隘さは目に余るものがあると思います。ロンドンにおけるコペントガーデンの市場とほとんど同じような状態で置かされているということが言えるのじゃなかろうかと思います。ぜひともここで、そういったような施設の徹底的な改善、近代化、これをやっていただくようにお願いを申し上げたいと思います。また新しくできる市場につきましても、できるだけひとつ近代化された形において大規模な市場を建設していただくようにお願いを申し上げたい。これに対しては地方財政の問題がいろいろありましょうけれども、国が全額を持つくらいの勢いで国民の生鮮食料品の確保に当たっていただくようにぜひともお願いを申し上げたいと思います。  さらにまた、その施設につきましては、やがて近郊産地の衰退ということは当然起こるでありましょうから、どうしたって遠隔地に青果物の流通供給基地が出てくることは当然だと思います。現在、四国あるいは九州方面から出てまいっておりますミカンを見ましても、ほとんどトラックによらずして貨車にたよらざるを得ない、大量流通体系の中において貨車の果たすべき輸送の業務が私どもは非常に高く評価されてくるのではなかろうかと思います。不幸にして現在の市場の中にはその側線措置がとられておりません。先ほど申しましたニューヨークの市場のごときは、一ぺんに四百貨車が入るような施設ができているようでございます。またイタリアのミラノの市場でも二百五十貨車が一ぺんに着いても処置できるような状態になっているのを見ますと、日本のトラックによる依存度があまりにも多過ぎるというような市場のいまの施設ではなかろうかと思います。とてもこれだけでは、産地の遠隔化という傾向あるいは大量供給の面から見ましても、十分な機能を果たし得ないのではないかと思います。これらについてはぜひとも国家の十分な手厚い経費の支出を願いまして、完全な市場流通が行なわれるように御措置をお願い申し上げたいわけでございます。  非常に簡単でございますが、以上要点だけ申し上げまして、私の意見開陳を終わりたいと思います。(拍手)
  9. 草野一郎平

    草野委員長 次に、勝賀瀬参考人にお願いいたします。
  10. 勝賀瀬質

    勝賀瀬参考人 私、昨日、参考人として出るように事務当局の方々に申されましたが、資金協会の私ですが、きょう申し上げるのは、資金協会とは全然関係なく私見でよろしいかということでなにしましたら、それでよろしいということでございますので参りましたが、その点をひとつ御了承おきを願いたいと思います。  もう時間もありませんから、いろいろの問題もありましょうが、私特にきょうここで申し上げて皆さま方のいろいろの御参考にしていただきたいと思いますのは、取引ルールの問題だけに限定して申し上げてみたいと思います。  その前に、最近物価が非常に上がる、特に生鮮食料品の値段が上がってきますと、それが全部中央卸売り市場の責任であるというようなことを新聞その他で見るのですが、この生鮮食料品の年次別の値上がりそのものについては、中央卸売り市場あるいは卸売り市場には関係ないと考えておるのであります。ただ卸売り市場関係のあるのは、そのうちのいわゆる供給卸売り市場に入荷する数量の増減が価格の変動を起こす、いわゆる日々の変動というものが卸売り市場の責任の分野になるので、最近の生鮮食料品価格が値上がりしたということについての責任は、絶対に卸売り市場においてはないのです。これはむしろ生産なり、あるいは供給方面の不安定からくるということをいってよろしいので、ほかのほうの施策でいかなくちゃならないと思うのであります。いま申しましたように、短期的の価格の安定をはかろうとすれば、どうしてもいわゆる日別の価格の安定をはからなければならない。今日中央卸売り市場におきます価格は、いろいろの事情もありまして、毎日の変化というものが非常に激しいのであります。非常に卸売り市場変化が激しいということが、ひいては小売り価格に反映する。小売り価格の値上がりの相当部分というものは卸売り市場の変動にあるということをいってよろしいのじゃないかと私は思います。そのほかにもありましょうけれども、私は、卸売り市場価格の変動をある程度防ぎ得れば、小売り価格の騰貴をある程度防止することができるものだと考えておるのであります。  そこで私考えてみたいのは、先ほど大石参考人からのお話もありましたように、卸売り市場の今日の状態というものは、もう現在には対応できないんじゃないかというような感じがするのであります。先ほどもお話のありましたように、卸売り市場は大正十二年にできまして、今日まですでに五十年になっております。その卸売り市場をつくりましたときに、どうしても公正な価格をつくるということから、公正な価格にするためには、需要供給とをはっきり反映するような取引をしなければならぬ。そのためには競売という形、いわゆるせり売りの形でいかなければならぬというので、せり売りのかっこうになったわけであります。したがって、せり売りをするとなれば、需要供給を一カ所に集めて、そこでほんとうの値段を形成させるというためには、単一の卸売り人でなければならぬというので、単一卸売り人になったわけです。しかもそれの業務規定におきまして、いろいろの不公正なことをやらせないようにということで、たとえば市場へ入った品物以外は一切の取引相ならぬ、また市場に入ってきたものは数が多かろうが少なかろうが、その日に全部売り尽くさなければならぬ、売り残しちゃいかぬ、そうして成立した価格については、たとえその値段が安くても、そのせり落とした人に渡さなければいけない、売りどめしちゃいかぬというようないろいろの条件というものがついておったわけであります。これは要するに公正な価格をつくるということから出てきたものだというので、私どもは納得するのであります。ところが、戦終後、進駐軍の関係もありまして、卸売り市場の単一制というものが禁じられまして、複数になりました。複数になったということは、複数の卸売り人に、お互いに集荷の競争をさせるべきだということで複数にした。しかし、いま申しましたような業務規程はそのままで今日まできておるわけであります。そうしますれば、従来の単数であればその価格というものは公正にいきますけれども、複数の人たちがお互いに集めてきて、それが多かろうが少なかろうが、自分の店にその品物を集めるといって、集めてきたものが多かったということで暴落するというようなことは一体いいのかどうか、私はその点について非常に疑問を持つのであります。最初にできましたのは、公正な価格を形成するためにせり取引をやらした。ところが複数になって、各所で同じ品物をせっておるということになりますれば、価格というものはあっちこっち非常にごちゃごちゃになる、そういう形になっておって、しかも公正であるということははたしていえるのかどうか、いわゆる卸売り人というのは、この場合におきましては公正な価格をつくるための卸売り人で、生産者のためとか消費者のためにいろいろの便利をはかるということは禁じられておるのです。禁じられておって、その卸売り人がそこで取引しておるということになると、文面にはありませんが、現在の卸売り人というものは、中立の立場に置かれておるということを言ってもよろしいのじゃないかと思うのです。せり原則であるためには、私に言わせますれば、価格の騰落というものはいまのような事情で激しくなるのは当然である。要するに供給方面が不安定である。現在供給方面は、まとまってきてはおりますけれども、毎日の供給数量というものは不安定である、そこへまた集荷競争がある、どんどん集められるだけ集めてきたということになりますと、価格の騰落のあるのは当然じゃないか。しかも、ほかの取引ですと、大手筋の人たちが買おうとすれば幾ぶん割引するとか、手数料をまけるとかいうことができますが、せり取引でありますと、どうしても大量に買おうとする人たちは、最も高い値段をつけなくちゃいかぬ。人よりも高い値段をつけなければ大手筋の人たちは買えない。これは普通の取引とは矛盾するのじゃないか。これは要するにせり取引関係からこうなるということで、この点についても何らかの考えというものが必要なんじゃないかと思うわけであります。  それと、もう一つ私が申し上げたいのは、せり取引であって、要するに相手方の買い手がお互いに競争して値段をきめる、しかもそれに対して売り手側は何も発言する余地がない。これは一体いいのかどうか、売り手側は全然発言できないという形に置かれるということは、私はどうかというような気がするのであります。私は、実は、市場というものは売り手と買い手とがあって、その両者が価格を形成する場所だというように考えておるわけであります。そういう場所だとしますれば、買い手は、もちろん仲買い人あるいは買参人ということになりますが、売り手である卸売り人というのが、公正な立場ということを、私はよく審判官といっておるのですが、ほんとうにせりというものが公正であるかどうかということだけに責任を負わされておって、卸売り人そのものは売り手の側には現在ないというのが現状ではないかと思うのです。私は、卸売り人というのは当然売り手の側に立つべきものなので、卸売り人が売り手であって、仲買い人、買参人というものが買い手であるというように考える必要があるのじゃないかと思うのです。要するに、売り手の側は何も発言する余地がないというような形に置かれておるということはおかしいのですが、しかし、実際業務規程その他をだんだん見てみますと、出荷者が卸売り市場取引する場合には卸売り人に委託しなければならぬという条項があるはずです。卸売り人に委託するということは卸売り人に対して自分の品物をどうでもいいから、安くてもいいから売ってくれというような委託をする人はないので、複数の卸売り人のうちの一番自分が信用の置ける人を選んで、その人に委託するのが常例なんだと私は思うのです。その卸売り人が開き直ったようなかっこうで、中立でございます、あなた方のためにサービスはできませんというような形になっておるせり取引そのものについて私は少し疑問を持っておるわけです。委託しなければならぬ。その上にまた出荷者は卸売り人に手数料まで払っておるわけです。出荷者が全部手数料を払っておるわけです。出荷者が委託をお願いして、そして手数料まで払って、しかもその人が出荷者の味方になることができないというのがいわゆる中立性の現在の卸売り人だということを言ってよろしいのではないかと思うのです。  そこで私が申し上げたいのは、委託販売業者であり、手数料まで払っておる卸売り人であれば、その卸売り人の方々生産者のサイドに立つべきものじゃないか、生産者のサイドに立って卸売り人が市場で向かい、相手方の買い手仲買い人と買参人というものは消費者方面のサイドに立って、この二つの間の価格の形成というものがなされるのが当然じゃないか。そういうことになりますれば、卸売り人そのものはいわゆる生産者の代理となって、自分の評価力を活用して、大体においてきょうはこの品物はこれぐらいに売れるべきだ、売るべきだというような自分の評価力を発揮して仲買い人、買参人の方々と立ち向かってお互いの間の話し合いをするのが卸売り市場じゃないかと思うのです。そういう形に持っていくのが本来の姿ではないかと私は思うのです。そう持っていくためには、私は現在のせり取引原則というのはせり取引でなくちゃならぬというのをある程度——これは運用ていけるはずだとは思いますが、緩和しまして相対取引というものをあそこに入れるべきじゃないかというような気持ちがするのであります。相対取引を入れるということは、結局生産者の側の気持ちをくんで取引に当たる。もちろん現在のせり取引でも、もし値段に希望があれば底値を入れてよろしいということになっております。ところがせり取引で底値を入れて底値まで到達しなかった場合には売りどめになる。売りどめになったあとの処置というものは全然もう不可能なんです。捨てるなりあるいは翌日回しにして値段を下げるよりしようがない。これはせり取引の場合の底値を入れるのと相対取引での希望値を出すということは、相対取引では希望値は希望値だが、しかしその日の事情によってその希望どおりにいかない場合もある、それもやむを得ぬから事情によっては希望値を割り引きずるということもあるのですが、少なくとも希望というものを市場に反映させるという行き方が相対取引を入れることによってできるのであって、せり取引ではその生産者側の、出荷者側の反映というものはできないのじゃないか。そういう意味では、この委託販売業者であるというたてまえをとっておるのと、手数料を生産者が払っておるというたてまえから、生産者サイドに卸売り人があるのだということを前提にするような行き方をする必要があるのではないか。つまり現在の中立性を持たせるという行き方を避けて、どこまでも卸売り人は生産者のサイドに立つものだということで取引に参画するようにするのがほんとうじゃないかと思います。ある一部の人は、そうすることによってあるいは価格が引き上げになりはしないか、価格はいまより高くなりはしないかというような疑問を持つ方々もあるのでありますが、私はそうは見ないのです。別に卸売り人が自分で値段を想定して出してみても、相手方が買わなければ売るわけにいかない。相手方が買うような値段が話し合いの上できまるのであって、その場合に複数の卸売り人がほんとうに活動しようとしますれば、自分の評価力を生かして、そうして相手方も——品物を買おうとする相手方のうちにやはり大手筋あるいはこまかい当座のその日その日の取引に参画するような相手方もありますが、有力な相手方をつかまえておることによって自分の評価力を生かした行き方もできるのであって、私は生産者サイドに立つということは値段を高くするということには通じないと考えるのです。やはり相手方が一番買いやすい、またそう無理な値段でないというその卸売り人についてくる、ついてくることによって自分の委託を受けた品物も売れるということで、卸売り人が生産者サイドに立ったからといって値段をつり上げることにはなり得ない。むしろ卸売り人としては出荷者もお得意さまであるし、また買い手の仲買いさんあるいは小売りさんもお得意さまなんだ、両方喜ばせるような行き方をしなければその卸売り人というものは繁盛しないというのが当然じゃないかと思うのです。そうだとしますれば、私は卸売り人自身が生産者サイドに立ったからといって、これは価格の引き上げにはならないというように確信を持っておるのであります。  そうなってきますると、結局複数の卸売り人でありますから、数はどうであろうとそのうちで評価力のある、取引のうまい卸売り人が繁盛してくるので、だれでもかれでも機械的にせりをしてせりの値段がきまれば自分の手数料をもらえるというような形にはならない。そこでやはり優勝劣敗というものが出てくるだろうと思いますが、これは私はやむを得ぬのじゃないかというようなことに感ずるのであります。それでこそほんとうの価格の安定もできる。つまり価格の暴騰を避けて消費者方面を安心させ、また暴落を避けて出荷者方面も安心させる。出荷者だって、暴落があれば暴騰を要求しますが、暴落がなければ暴騰を要求すべきものではないし、また要求させるべきでもないというような気がするのです。  そこで次にこういう問題が出てくるのです。相対取引だと人の前で価格がきまるのではない。先ほど申しましたように、初めは需給関係からくる公正な価格でありましたが、現在では複数である以上は公正な価格ではなくてあれは公開の価格というように私は考える。大ぜいの前で値段をきめるから公開する、しかしその値段というものは需給を反映しているかと申しますと、必ずしも全体の需給を反映しておるというようには私は考えられないと思うのです。  そこで問題になりますのは、やみ取引に通じやしないか、要するに相対で、二人だけでやるのであるからいいかげんな取引をするのではないかというようなことで最初のうちは防戦されたのでありますが、今日におきましてもしやみ取引あるいはいいかげんな取引になるのを防止しようとすれば、防止する方法はあるはずです。たとえば今日やっておるかどうかわかりませんが、中央卸売市場法ができましたときに、必ず価格、数量、品目をはっきりさせた複写伝票、仕切り伝票をつくって、一部は市に届け、一部は自分が持ち、一部はその買い手に渡し、一部は出荷者に渡す、複写伝票でいくというようなことが初めにうたわれたことがあるのです。おそらく実行しているのだろうと思いますが、そういう方法をとっておけば、万一不正があったというような風評のあったときにはそれを調べてだんだん追及していけば、はたして不正があったかどうかということがはっきりするはずなんで、私は、相対取引でも不正に通ずるということは、今日になりますともう問題にする必要がないのじゃないかというような気がするのであります。  私のいまここで申し上げましたのは、先ほど大石参考人のお話とは少し違いますけれども、相対取引にすべきだというのは、相対取引一色に塗りつぶすというんじゃなく、せり取引、相対取引でも、いずれでもよろしいじゃないか。これはやはり場の意向、あるいは委託販売ですから、委託した人たちの意向というものでこれをきめてよろしいんじゃないか。それでせり取引でやってくれということになれば堂々とせり取引でやればいいんで、私は相対取引だけにせよというんじゃなくて、せり取引、相対取引いずれなりと、もうここまでくればせり取引というものは公開の取引であって公正な取引でないということを前提にすれば、私は相対取引そのものを入れても決して障害がないんじゃないかという気がするのです。私はこう申しますのは、今度の卸売市場法でもいろいろうたっておられますが、私の元来の言おうとするところは、日本ではやはり中央卸売市場法というものができて五十年もこれだけやってきて、相当固まってきて、あれが中心になっておる。将来もやはり卸売り市場というものが中心日本生鮮食料品が動いていくべきじゃないか。そのときに、その卸売り市場取引はせりだけでなくちゃならぬということのために価格の騰落が激しいということから、ややともすると卸市場を避けようという気持ちというものがそこに起きてくると思うのです。これはできるできないは将来の問題ですが、現に今日問題になっております産地直結というのはそこからきていると私は思う。要するに、中央卸売り市場では幾らで買えるかわからぬ、きょうの値段は幾らかわからぬ、あしたの値段はどうなるかわからぬというような不安定なために、産地直結して平準な価格取引したいということで産地直結にいく。私は、中央卸売り市場がせり一本調子でなく、相対もやり得るんだということになれば、その問題の相当部分は解消するのじゃないか。解消するということは、将来もやはり中央卸売り市場中心にした取引が主体であって、それに産地直結とかいろいろのものが出てきましょうけれども、それは付随したものであって、どこまでも中央卸売り市場中心にしていくのが日本生鮮食料品流通の行き方である、これが一番いいんだということからそういうことを申し上げるのでありまして、現在の中央卸売り市場を否定するものではありません。むしろ現在の中央卸売り市場というものの、この一年、二年これでいくというんでなく、永遠に中央卸売り市場中心にしていくためには、中央卸売り市場にもただぎすぎすしたせりだけということでなく、相対も入れることによって、いわゆる価格の不安定なのをある程度安定化することができるというところに焦点を置いて、そうしてどこまでも中央卸売り市場というものを育成していく必要があるんじゃないかということで私は申し上げるので、私は卸売り市場の否定じゃありません、これは念のために申し上げておきますが。卸売り市場を育成して、これが中心で将来ともいけるためには、こういうある程度の永久性を持たせるということがどうしても必要なんじゃないか。それでなければ、私は直結の方向にいくということもやむを得ぬというような、またそういう計画も出てくるのは当然だという感じはいたすのであります。  最後に一言申し上げておきますが、これは卸売市場法と直接の関係がありませんが、先般企画庁で野菜価格の安定のための委員会が開かれまして、先般、十月の六日でありましたが、この提案が出たわけですが、あのうちで私は一つ問題になるのは、いま申しました、企画庁もある程度この方向をにおわしておるようではありまするけれども、この方向に、卸売り人を生産者サイドに立たせることになれば、せり機関というものは別個につくらなければいかぬ、卸売り人と別個につくらなければいかぬというような提案をしておられるわけです。私は先ほど最初に申しましたように、最初の出発は公正な価格をつくるということのためにせり取引になった。ところが、中途から複数になって、公正というよりも公開、皆さんの見ている前で何円何十銭というように呼ばしてやるという、いわゆる公開の取引の場になっておるというのが現状なんです。それをことさら、これからあと卸売り人が生産者サイドに立つことになれば、卸売り市場のせり機構というものを別に持たなければならぬ、独立したせり機構を持つ必要があるということを申されますが、私はこれには少し疑問を持つのです。いま申しましたように、公開ということ以上にない現在のせり取引に対して、ことさらに別個の団体をつくる必要があるのかどうかということの疑問と、それからもう一つは、今回相対——私のいま主張するのは、相対取引を入れるべきだ、また相対取引政府もある程度入れようとしておられるときに相対取引が入るということになれば、せり取引そのものはいわゆる需給、その市場需要供給を反映した価格にはなるはずはないのです。一方に相対取引がありますから、その数の割合はどうであろうかわかりませんが。ほんとうにせり取引を公正なものにするとなれば需要供給とを一堂に集めて、そうしてそこで競争し合って価格を成立させるのが必要だ。しかも今度は相対取引も認めるということになったときに、ことさらに一体せり機構というものを別個につくる必要があるのかどうかということについて、私はあまり理想に走るような気がして疑問を持つのであります。  いま一つ、あの提言の中にありますのは、まず機構を別に持つべきだが、そこへいくまでの間に時間がかかるとなれば、共同せり機構を持つべきだというようなことをいっておられるわけです。いわゆる複数の卸売り人のところに来た品物を全部共同してせりをやる。これも先般の三十八年のときにも私は反対したのでありますが、これはおかしいと思うのです。集荷競争をさして、私のところは一番せり人がうまいんですよ、私のところは一番うまく売ってあげまよと言ってとってきたものを、全部共同せりにかけて、ある一人の人がせりをやるということになれば、一体複数の集荷競争との間に矛盾するのじゃないか。複数の集荷競争の場合には、私のところが一番いいから私のところにお出しなさいといりて出してきたのが、全部同じせりにかかるということになれば、これはおかしいので、そんなことはできるはずもないし、また各卸売り人が賛成することもないというので、三十八年の委員会のときに私は最後まで一人だけ反対してかかったのですが、私はそれは間違っておったとはいまでも思いません。というのは先ほど大石参考人から申されましたように、生鮮食料品流通改善対策要綱というのが三十八年の七月の九日に、これは閣議決定されました。閣議決定して、そうしてそれを出されて、すぐ実施するということで出されましたが、そのうちにいろいろありますが、これに関連するのは、いわゆる上場する単位を、いま非常にこまかいから、これを引き上げよ、単位を大きくすべきだということ、それからいまのせり売りを共同化するということ、それから大口需要者を売買に参加させる、この三つを出しましたが、あの当時、三十八年の十月の一日までに実施するということになったのがいまでも実施されておらぬ。しかも今度の企画庁の提案にはこれがまた載ってきておる。私はちょうど最後におりませんで、事務当局には申し上げておいたのですが、これはそのまま載っておるのです。こういうことがあって、私は共同せりということについても反対でありますし、また、いま申しましたようなせり機構を別個につくるということについても、私はいまここまできてそんな必要があるのかということを考えておりますので、卸売市場法の御審議にあたりまして、おそらく企画庁の関係の問題もある程度参考になるかと思いますが、その点を申し上げて私の参考人としての意見といたします。(拍手)
  11. 草野一郎平

    草野委員長 次に、福田参考人にお願いいたします。
  12. 福田繁

    福田参考人 私は消費者立場から二、三意見を申し述べたいと思います。  消費者の一番の関心事は毎日の生活であり、家計のやりくりであります。その中で、特に最近では消費者物価が非常に高くなり、特にその中で生鮮食料品等の価格が高くなっていることについて私どもは強い関心を持っております。消費者としては十分それぞれの事情を承知するところではありませんけれども、二、三の実例の中から、私どもが毎日消費し、購入している値段を産地まで追跡調査してみるというようなことをいたしますときに、先ほども御意見がございましたけれども、産地における生産者が売り渡した価格末端消費者、私ども購入するときの価格の差があまりにも大きいのに驚くことが非常に多いのでございます。  そういう意味で、特に生活を安定させていくという立場から見れば、どうしても日用食料品特に生鮮品の安定した消費者に対する供給と申しますか、そういうものが非常に重要だということでいろいろと私ども検討をしてまいりますと、やはり最近では、いま卸売り業者とかいろいろな名前が使われておりますけれども、大手の扱い業者のところを中心とする価格の操作が非常に大きいのではないかということに強い疑問を特に抱いているのでございます。生産者が売り渡された価格は、それを実際に仲介している大手のところで保存され適度に市場に出され、そして比較的高い安定した価格で出されているというものが、特に加工食品、冷凍食品がふえればふえるほどその傾向はふえているのではないかというふうに思っております。いま、せり売りと相対売りということが御意見が出ておりましたけれども、現実の現在の状況の中においても実質的にはかなり相対売りがあって、加工食品なり保存食品については相対売りの中で高い価格で安定されている結果になっているということに私どもは大きな問題意識を持ちます。そういう意味で、今度の改正案の中でのせり売り、第三十四条との関連で、「一定の規格若しくは貯蔵性を有し、かつ、その供給事情が比較的安定している生鮮食料品等で農林省令で定めるもの又は品目若しくは品質が特殊であるため需要が一般的でない生鮮食料品」というふうに限定はされておりますけれども、いまのような状況の中から、実際の運営の中で相対売りがふえ、高いところで安定された価格で実質的には消費者に売られるような、供給されるような運営にならないように、私どもとしては特にこの法の運営にあたっての問題が重要であり、お願いをしたいというふうに考えている点であります。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 そういう意味で、市場の運営なり開設について、特に今度の法文でも新しく、具体的にはどうなるのかまだ私ども承知しておりませんけれども、一部触れられているようでございますけれども消費者代表等も含めて運営等についての民主的な管理と申しますか、そういうものが保証されるように実質的にされて、文字どおり市場が公共性を持って生活安定に資し得る場として保証されるように、特にそういう運営機構、監督機構の実質的な強化をしていただきたいということを第一番目に申し上げたいのでございます。  同時に、中央卸売り市場は農林大臣の許可になっておりますけれども、実際にはそれを開設するところ、毎日の業務に携わっているところに触れているところでないと、実際の業務の監督もむずかしいのではないか。そういう意味で、ほんとうに不当な利益が扱い業者の中でとられるということがないような形で十分監視、監督がいくようにするために、そういう民主的な監督機関を設けるとともに、そういう監督権限を開設業者、末端の各都道府県なり、あるいはそういう場所に、地方公共団体のほうに移していくということのほうが、消費者立場から見れば、安心をして文字どおり公共性の公設市場の運営がされ得るというふうに感ずるものでございます。  それから、特に先ほども出ておりましたけれども、最近の東京などにおきます市場施設も十分ではなく、非常に込んでいて、自主的に公正なせり売りがされるということを保証し得ていないのではないか。特に大都市人口がふえているという意味では、東京あるいは東京近県、そういう場所に計画的に配置する、整備するということがうたわれておりますけれども市場をふやして自主的に需要供給、公正な取引がされるような措置を積極的に講ぜられることが必要なのではないかというふうに考えるものでございます。  それから三番目には、これも先ほどの御意見にも出ておりましたけれども、私ども消費者、特に消費者の自主的な団体であります生活協同組合というものも、買参人として部分的に力を持っているところは参加しておりますが、そういうものについて法文上では差別を設けない、不当に差別的な取り扱いをしてはならないということが書かれてはおりますけれども、それが文字どおり実際の運営の中でも保証されるとともに、生産者との直結の活動がこの市場法の中においても位置づけられるということが必要なのではないか。ヨーロッパなどにおきましては、その市場の中で株式会社とともに協同組合の機関が併存して位置づけられ、文字どおりことばでいえば直結ということにもなるのかもわかりませんが、そういう二面的なベースで運営がされているということを私ども承知しているのでございますけれども生産者団体が設ける機能、そういうものも市場機能として積極的に位置づけて、そして運営の中で生かしていただくことが必要なのではないかというふうに考えているのでございます。  以上、簡単でございますけれども消費者立場から特に日常の生活の安定に資するように、安定した低い価格供給が保証されるような公共的な運営に徹していただきたいということを特に申し上げて、私の意見を終わりたいと思います。
  13. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 次に、森参考人にお願いいたします。
  14. 森有義

    森参考人 私は、かねがね生鮮食料品流通というものに非常に関心を持っております者の一人といたしまして、卸売市場法案につきまして、日ごろ感じておりますことを申し述べさしていただきたいと存じます。  私たち生鮮食料品流通の将来ということを考えてみますと、やはり流通の基本条件になっております生産の問題と消費動向、こういうものをあわせて考えてみなければならないと思っております。御承知のようにこうしたものは非常に大きな変化を最近見ておるのではないかと存じております。  先に消費動向ということについて一応私の見ておりますところを述べさせていただきますと、最近その需要密度というものの分布に大きな変化が生じてきております。これは大消費圏ばかりじゃございませんで、中小都市でも都市化が進展しております。そして全国的な形で需要というものが都市へ集中されてその進行は進んでおります。このことがまた流通機構の配置の上に非常に問題になってくるかと存じております。  それからさらに、御承知のように国民所得の増大によりまして消費水準というのは一般的に上昇してまいっております。これがまた青果物とかあるいは食肉というものを中心といたします消費量の増大ということになってきております。同時にまた、消費いたしますものも非常に多種多様になってまいりまして、しかも比較的高級な食料品消費する、こういう傾向が、これは実は所得階層とかあるいは都市とか農村とか、こういう地域差を越えて一般的な傾向として強く出てきておるかと思います。  こうした傾向はございますが、食料品購入いたします消費者の購買の動向と申しますか、こういうものを見てみますと、多種多様な品物をやはり消費者は少量ずつ買い入れておりまして、それも一度に買い入れるということではございませんで、ひんぱんに何回も買い入れる、しかもそれをもより小売り店で買うという形は、これは従来の購買態度とあまりどうも変わっていないような感じが私はいたしております。  消費傾向はそういうふうに見ておるわけでございますが、次に生産の面を見てみますと、この生産構造の変化というのもかなり著しいものがあるのではないかと存じます。  これは畜産とかあるいは水産、青果、これは一つ一つを取り上げてみますと、その間に若干の相違はございますが、しかし一般的な傾向といたしましては生産の大型化、専門化が進んでおるのではないかと存じます。こういう傾向は漁業とかあるいは畜産業には明らかな事実として出てきておりますが、比較的生産規模の小さい野菜とかあるいは果実の生産につきましても最近指定産地制度、こういうものなどが推進されました関係もございまして、出荷の計画化とか、あるいは大型化が進んでおるように思われるのであります。たとえば昨年の東京都の中央卸売市場に入荷いたしました野菜のうち五二%、それから果実の七七%というものが郡単位以上の大型の出荷団体から出荷されたということを聞いております。ですからこういうことを考えましても、非常に生産地の大型化というものが進んでおるかと思います。  それからまた、施設園芸の進展というようなもの、これも無視できないのではないかと思います。これによりまして、これはある限られた青果物になるかと存じますが、季節商品から脱皮して供給の安定化が進められておるかと思いますし、また従来規格化が非常に困難だといわれておりました青果物も、最近は商品規格化あるいは包装の標準化について努力が進められ、逐次そういう傾向をとっているかと思います。  また御承知のように、貯蔵技術も非常に向上してまいりました。それからその能力というものも非常に増大してまいっておるわけでございます。ですから、生産の計画化と並行いたしまして、自然条件の依存度というものの非常に強い生鮮食料品も、物によりましては計画的な供給が可能な条件が整いつつあるのではないかというふうに考えております。  こういうふうな大きな変化消費生産面にあるわけでございますけれども、それ以外にも、流通面自体の問題、流通が置かれております環境というものを見てみますと、やはりいろいろと問題があるかと存じます。  まず考えられますことは労働力の確保という問題でございます。御承知のように、朝早くから出てやります市場労働というもの、ことに市場労働は比較的機械化が進んでおりません、そうした施設の中でやります労働というのは、どちらかと申しますと若い人たちからはどうしてもきらわれがちの性質を持っております。ですから、一般的に労働力の需給は逼迫しておるのでございますけれども市場の労働力を確保しますことは、他の産業以上に非常に困難になってきておるんじゃないかと思われるのです。  また、東京などでもよく御承知だと思いますが、都市という問題から見ましても、従来の卸売り市場というのは過密化しました都市の大体中心部に立地されておるものが多いわけでございます。したがって交通も混雑してまいりますし、あるいはその他の公害ともいうような問題が生じてもきております。それから小売り部門のほうも、最近はスーパーなどの出現によりましても変化が生じておることも事実かと思います。  さきにも申し述べました消費者購買動向にも見られますように、生鮮食料品についての小売り店というものが今後大型化していく可能性について考えてみますと、どうも近い将来に大きな変化は期待することは困難ではないかと私は考えております。  以上申し述べましたように、専門化とかあるいは大型化によりまして、計画的供給を考えております生産と、一方、多種多様のものを要求しながらも必ずしもその計画性のない零細な単位の購買と、こういう二つのもので組み立てられておりますものを、より省力的な形でいかに円滑に組びつけていくかということが最近の流通問題の最も重要な焦点ではないかと私は考えております。  そこで、このような観点から今後の流通経路のあり方ということを考えてみますと、それがどういう形になるかはこれは別問題としまして、やはりそこには効率的な集荷、分荷と適正な価格形成が行なわれるいわゆる卸機能というものが必要であろうかと存じます。  最近いろいろ話題にもなっております産地との直結取引、これも実は本質的には、やはりこうした機能を持ったもの、これが本格的な流通機能となるのではないだろうかという気がいたしております。もちろんこれには、大型の生産者の販売部門とか、あるいはスーパーなどの大型小売り商商品調達部門については、将来生産消費動向いかんによるということも考えられるかと思いますが、そういう点で直結の取引が行なわれることも私は否定はいたしません。否定はいたしませんけれども、現段階では、やはり非常な多種類のそして大量の物品を継続的に品ぞろえする、そして公正な価格形成をすることが十分でないような気がいたしております。したがいまして、やはり卸売り市場を経由する流通、これが私は将来とも流通の大宗を占めるものと考えざるを得ないわけなのであります。  このような点から見まして、生鮮食料品流通改善、合理化のためには、何はおきましても、現在現存します卸売り市場についての問題点というものをやはり明らかにいたしまして、その改善をはかることが最も重要ではないかと考えております。  以上のような諸条件のもとで、今後の卸売り市場あり方というものを考えました場合、やはり私は二つほど大きな重要な問題があるのではないかと思っております。  第一点は、これは申すまでもなく、多種類の、大量の物品の集荷と分荷のこの機能の問題でございます。先に申し述べましたように、需要密度の分布の変化生鮮食料品流通の多量な全国型の流通、こういうふうに流通の形態が移り変わってまいっております中で、需要に即応しました卸売り市場機能が全国にいま適正に配置されるということが必要であるかと思っております。  それからまた同時に、大都市の中央卸売り市場が急速な都市化の進展や、あるいは市場そのものの取り扱い量の増大、搬出入の自動車の激増などによりまして狭隘化し、過密化しておる問題がございます。これは大都市に限りませんで、中小都市でもすでに起こりつつある問題でございます。そして過密市場都市の外縁部への移動あるいは移転整備が、施設の立地の改善市場絶対量の不足の解消の観点から、きわめて重要なことになってきておるのではないかと存じます。  さらにこれらの市場がやはり労働力不足、こういうものに対応しまして、各種の機械などあるいは省力技術の導入ができるような施設内容をつくる必要があろうかと存じます。  同時に、低温流通技術の発達もございますし、流通量の増大という問題もありますので、各種の貯蔵施設なんかも十分につくっていく必要もありましょうし、あるいはまた事務処理とか情報処理などの近代化等のためにコンピューターなどの導入も必要になってくるかと存じております。ですから、このように卸売り市場施設の質的な改善充実ということが、量的な不足の解消とともにきわめて重要となってきていることは申すまでもないかと存じます。  これらの点につきましては、卸売市場法案の第二章を見てみますと、そこに「卸売市場整備基本方針等」でなかなか的確に表現をされておりますし、さらにこれを裏づける意味かと思いますが、第七十三条に助成の強化が今度規定されております。これは予算も実は伴うものだと思いますが、こういうものが、私などの立場から見ますと、十分に予算もつけていただいて着実に実行され、できるだけ早く実行されることが望ましいのじゃないかという希望を持っております。  先ほど申し上げました第二点は、価格の形成などの取引機能上の問題でございます。  これは現在の中央卸売市場法では、昔の問屋さん時代の弊害を除く意味から、流通業者によります需給調整機能を極力否定しておるものと私は見ております。ですから生産者からの無条件委託による集荷とせりによる販売を原則にしているのだ、こういう解釈をしておるわけなんです。それと実は、生産者段階の出荷調整機能、これが完全にいくことが実は望ましいのでございますけれども、やはり産地間競争などというものもありますので、必ずしも十分にはいかない、こういう問題もあるかと思います。ですから、私自身は現在の取引原則が公正という点ではすぐれているという解釈をしております。しかしそう申しましても、価格の安定という角度から見てみますと、必ずしも十分であるかどうかという問題もあるかと存じております。それで規格性あるいは貯蔵性もあり、しかも需給の比較的安定しておりますような特定の品物につきましては、公正な取引というものが阻害されない範囲ならば買い付け集荷とかあるいは相対販売等の余地を拡大いたしましても、そして取引に弾力性というものを持たしてもよいのではないかというふうには考えております。ですからこの点で今回の新しい卸売市場法案が、商品特性というものに応じまして、しかしながら公正と安定性というものを前提といたしまして集荷、販売方法に弾力的な方法を認めておりますことは、これは私は適切な措置ではないかというふうに考えております。  また適正な価格の形成は、これはやはり市場をめぐる、まあいろいろな要素がございますが、何と申しましても売り手と買い手とのバランスがとれる必要があるのではないかというふうに考えられます。この最近の傾向を見てみますと、売り手であります生産者のほうは大型化が進んでおりますし、また卸売り人の大型化も進む傾向にございます。しかし消費は相変わらず零細でございまして、消費者にかわりまして仕入れをいたしております買い手としての仲買い人あるいは小売り商は必ずしも大型化しておりません。この両者の間にどうしても取引上のバランスがとれていないような気が私はいささかするのでございます。この点も卸売市場法案が、仲卸売り機能の充実とあわせまして大型の売買参加を導入することを考慮しているように考えられますので、これらの点で前進がはかられるのではないかと実は期待をいたしておるわけであります。しかしこれは運用におきまして十分配慮をしていただく必要があるかと存じております。  さらに、申し添えますと、卸売り人の財務の健全化のための子会社の届け出制の採用とか、あるいはせりの公正というものを確保するためのせり人の登録制度とか、あるいは卸売り人や仲買い人の業務の規制についてのやはり競争原則を導入されておりますなど、いずれも市場取引健全化のために必要な措置が今度の卸売市場法には規定されておるんではないかと思います。その点は私も非常に今度の新卸売市場法案を高く評価しておるわけでございます。  以上述べましたように、卸売市場法案は、生産流通消費変化に対応いたしまして、またその変化の度合いに応じまして流通改善、合理化を進めることができるように配慮されておるものと私は考えておるわけでございます。しかし御承知のように、こういう種類の立法と申しますものは、何と申しましても、毎日毎日の変化いたしてまいります商業取引を規制するものでございますから、その運用につきましては多分に弾力的な運用、こういうことが行なわれるように私としては期待をいたしておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、私の意見を終わらせていただきます。(拍手)
  15. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 次に、若林参考人にお願いいたします。
  16. 若林秀泰

    若林参考人 私、青果物の流通の問題を産地段階からながめて勉強しております立場で、産地の立場を踏まえながらきょうの法案についての御意見を申し上げたいと思います。  先ほど五人の参考人の方からかなり詳しくいろいろなことが出ておりますので、なるべく説明の重複を避けまして、簡単に結論だけ、ポイントだけ申し上げます。  従来、わが国農政におきまして生産政策あるいは構造政策に比べまして、流通政策が非常におくれておったという点を踏まえて考えますと、今回の法案の提出というものはその一歩前進であるという意味におきまして、大筋において賛成であります。  以下、二点について申し上げますが、第一点は、この法案が出てまいりました意味と申しますか、あるいは姿勢を中心として私の意見を五点申し上げます。それから第二番目に、この法案の内容につきまして同じく問題点と考えられます点を五つ申し上げたいと思います。  まず前者でございますが、第一点といたしましての流通の近代化という動きを考えます場合に、理論的には物的流通機能を近代化する、流通の効率を高めるという問題と価格形成機能を近代化する、いわば安定した合理的な需給均衡価格を成立せしめる、この二つの点がございますが、今回の法案は主として前者、すなわち物的流通機能の近代化というものに重点が置かれているのではないか、こういうように考えますのが第一点であります。  それから二点におきまして流通近代化の動きというものは、私の考えますところでは、消費地サイド、それから市場サイド並びに産地サイドとこの三つの点から現在近代化の動きが起こっておりますが、この法案の提出の姿勢は、いずれかと申しますと、市場サイドないしは消費地サイドの動きに重点が置かれて、産地サイドの動きが十分にはとらえられていないのではないかというふうに考えます。この点は最近産地におきます出荷体制の大型化、こういったものの急速な伸展をもう少し考慮していただいていいんじゃないか。先ほど大石参考人からもおっしゃいましたが、この点が気づきますことが第二点でございます。  第三点といたしまして、これは非常に重要な問題でございますが、卸売り市場流通というものには、本来需給調整機能というものが欠けておる、これをどのような流通経済主体に担当させることがいわゆる需給調整、価格の安定化につながるかということが大きな問題になっておりますが、この問題はあとでまたちょっと触れてみたいと思いまするが、この点についての接近がやや欠けているんじゃないかという点が第三点であります。  第四点といたしまして、いろいろ問題ございますが、最近新しい流通の経路、流通バイパスとかあるいは産地直結、いろいろな名前で呼ばれております、こういったものの動きが出てまいりました。また同時に新しい物的流通技術の開発、現在の卸売り市場流通は、主として常温流通でございますが、低温流通でありますとか、その他新しい流通情報の流れであるとかあるいは分析であるとか、こういう新しい流通技術の開発というものが現在萌芽的ではございますが、進みつつあります。こういった点につきまして、これをどう評価し、どう伸ばしていくかという点につきまして、若干この卸売市場法案の問題とは離れますが、やはりこの点についての長期的な配慮がほしかった、こういうふうに思いますのが第四点であります。  最後に第五点といたしまして、農産物の流通近代化に関しましては、農林省におきましても流通情報センターを設けるとか、あるいは流通バイパスの育成をはかるとか、いろいろな関連の政策が打ち出されておりますが、そういった新しい流通近代化政策と今回の法案との関連が若干乏しいんじゃないか、こういう感じを受けました。  次に法案そのものの内容につきまして五つの点について申し上げます。  指名されましたのがごく最近でございますので不勉強でございますが、今回の法案のいわば新しい点と申しますのは二つあるんじゃないかというふうに私は考えております。  一点は地方卸売り市場を含めて全国的な視野で卸売り市場のいわば適正配置を考えよう、こういう姿勢が第一点。第二点は、先ほど参考人の方が問題にしておられますが、売買取引におきまして相対売りを認めるというふうな考え方でございます。  この二つの点を中心として申し上げますが、まず第一点といたしまして、卸売り市場整備改善を計画的に進めていくという措置につきましては、これは助成のいかんということが、あるいは運用いかんが問題でございますが、この点につきましてはきわめて適正な御考慮じゃないかというように考えます。特に地方卸売り市場は、従来、施設の近代化が非常に立ちおくれ、しかも取引ルールがきわめて不明確であるし、あるいは買い出し人の差別といったことがいろいろ問題になっております。こういった問題につきまして、特に買い出し人の差別撤廃についてはっきり明文化されて、ビッグストアやあるいは生協のいわば参入というものがはっきり裏づけられた、こういった点を考えあわせますと、地方卸売り市場整備を中央卸売り市場と同様にこの市場法に包含されたという点につきましては大きなメリットがあろうかと思います。ただ先ほど参考人の方が言っておられますように、現在の大都市の都心の中央卸売り市場は、施設の狭隘化等で非常に問題が多くて、ここにむしろ流通コスト節約の大きなネックがひそんでいるようであります。そういう意味におきまして、この流通設備、卸売り市場施設に対する流通設備投資というものを国の助成によってできるだけ大幅に進めていく、このことが流通コスト節約を通じて物的流通機能の近代化につながる道ではないかという点をあわせて要望いたしたいと思います。  これと関連いたしまして市場開設者というものが明確化され、都道府県の立場あるいは事務組合というものの存在が認められた、この点も地方卸売り市場整備一つの大きなプラスではないかというふうに考えております。  それから第二点の問題は、先ほど問題になりました売買取引でございますが、私は結論といたしましてこの需給調整機能という将来の需給調整機能を考えていく上におきまして、相対売りを認めることには賛成でございます。その理由その他につきましては、先ほど勝賀瀬さん等もいろいろ申されましたので、こまかい点は省きますが、特に私は、産地の最近の出荷体制の大型化、こういった点から考えまして、荷受けがもっと産地の立場といいますか生産者立場に立って、卸売り人が行動してもらいたい、こういった点がございますので、そういう産地側からのいろいろな要望を十分に反映し得るという形に運用することを条件として相対売りを認めたことにつきましては、きわめて大きなメリットを認めているものでございます。  それから三番目の単数制、複数制の問題が出ましたが、私は結論といたしまして単数制に賛成しております。  それから第四点といたしまして、これは産地側のこれに対する反響とまでまいりませんが、二、三の産地の農協の責任者にこの法案につきましての多少の意見聴取もしてまいりました。その結果を簡単に申し上げますと、今回の法案につきましてはどうもきわめてごもっともなことばかりで、産地側としては積極的な魅力というものが乏しい。産地側としてはこういった法そのものよりもその運用において、たとえば手数料の引き下げであるとかあるいは産地交付金の問題こういった点に具体的なメリットをほしい、こういう意見を申しておりますことを参考までにつけ加えさせていただきます。  最後に第五点といたしまして、中央卸売り市場の開設促進の勧告ということがうたわれております。たまたま松山で中央卸売り市場整備が数年前から議題になりまして、現在いろいろと審議中でありますが、これがいろいろな事情がからんでなかなか進まない。こういった点につきまして、開設促進の勧告の効果というものに若干疑問を持つわけであります。この点、強力な勧告のでき得るような運用というものをぜひ期待したい、こういうことでございます。  以上簡単でございますが、私の意見の陳述を終わらせていただきます。(拍手)
  17. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 以上で各参考人の御意見開陳は終わりました。  参考人各位には長時間にわたり本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次回は明十六日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会