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1970-12-25 第64回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月二十五日(金曜日)     午後一時七分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    加藤 陽三君       笠岡  喬君    辻  寛一君       中山 利生君    堀田 政孝君       上原 康助君    木原  実君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君       山田 太郎君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    葛西 嘉隆君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君         運輸省航空局長 内村 信行君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ――――――――――――― 十二月十八日  一、行政機構並びにその運営に関する件  二、恩給及び法制一般に関する件  三、国の防衛に関する件  四、公務員の制度及び給与に関する件  五、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ――――◇―――――
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 たいへんお忙しいところを御迷惑をかけて恐縮なのですけれども、といってどうもたいへんむずかしい問題があるところを、担当委員会が何もしないというわけにもいかぬと思いまして、予算編成のさなかで恐縮でございますが、幾つか承りたいと思います。  そこで、航空局長がお見えになっておりますので、まず承っておきたいのは、今回の二十一日の日米安保協議委員会共同声明が出されました中身でございますけれども、今回の基地の縮小ということに関して、日本国側管理権を新たに生ずるところは板付並び厚木だろうと思うのです。  そこでとりあえず厚木のほうにつきましては、旧来から運輸省側には、いろいろ民間飛行場にという主張があったように聞いているわけであります。地元住民皆さんの三市合同のアンケートども実はございますが、そこらを見ると、圧倒的に騒音でたいへん迷惑しているので、民間に移っても騒音はなくならない。こんなに大きな記事でアンケート地元の新聞に掲載されておりますけれども民間方々はほとんど全員と言っていいほど、民間あるいは自衛隊を問わず飛行場にされては困る、こういうわけなのでありますが、三市の市長さんはじめ中心になる方々が、どうせ一般に開放されないなら、今日軍の飛行場であるよりは民間飛行場のほうがいい、そういう見解を持っておられるようでありますから、そういう意味で念のために承っておきたいのでありますが、運輸省としては、羽田その他との関係等を考慮してのことだと思いますけれども、どういう形の民間飛行場をお考えの上であのような御主張をなさったのか、そこのところを承っておきたい。
  4. 内村信行

    内村説明員 ただいまお尋ね厚木飛行場の問題でありますが、皆さま御承知のように、羽田混雑状況は相当でございまして、すでにことしの夏は便数制限をせざるを得なかったというふうな事情でございます。そこで、将来の問題でございますけれども、これは成田空港ができますと、そこに国際線が移りますので、その部分があいてまいるので、国内便はそこで相当こなせるということは確かにございます。しかし、厚木考える場合には、これは短期的な問題と長期的な問題と二つに分けて考えなければならない。  まず短期的な問題でございますけれども、これにつきましては、成田空港ができますといたしましても、来年度の六、七月以降ということになるかと思います。そこで、厚木の返還以前でございますけれども航空需要から申しますと、来年の四月ごろから春のダイヤになりますので、すでに現状では羽田では一ぱいでございまして、やはり厚木を使っていかなければ十分に需要を消化することはできないというふうに考えます。したがいまして、四月以降成田ができるまでの間、これはやはり一日数十便というふうなものを厚木でこなしていかなければ、やはり便数制限その他をせざるを得ないというような状況でございます。これが短期的な問題でございます。  次に長期的に考えますと、一応成田ができますと、少なくとも四十七年度からは国内線羽田でもって相当消化ができる……。
  5. 大出俊

    大出委員 ちょっと聞こえないのですが、長期的なほうをもう一ぺん言っていただけますか。
  6. 内村信行

    内村説明員 長期的に考えますと、四十七年は成田が使えますから、羽田国内線が相当こなせます。したがいまして、厚木に対する需要というものは四十七年、四十八年はそれほどないと考えます。しかし、四十九年、五十年ごろからは、もう羽田国内線も、国内だけで一ぱいになりまして、これまたバンク状態になるというふうに想定されます。したがいまして、四十九年、五十年くらいからは、さらに厚木というものを再び民間に使わなければならぬ。それで、それをずっと使ってまいりましても、これは非常にマクロな計算でありますからなんでございますが、大体ざっと考えまして五十五年前後には、もう羽田厚木一ぱいになってしまうというふうなことになるのではないかというふうに考えます。したがいまして、そういう意味から申しましても、やはり厚木飛行場というものは、首都近郊航空需要が非常に多くなるということが想定される一方、これをこなすべき空港の新設というものが非常に困難であるということでございますので、ぜひともやはり厚木というものを民航に使っていかなければならないというのが、私ども考えでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 局長さん、今回の日米安保協議委員会発表文等によりますと、一部民間使用、こういうふうになっておるわけですね。これは防衛庁側と、前に電話で私何べんもその事情を聞いたわけでありますけれども、それらの結論というものは具体的にはまだ出されていないのでありますか。どういう形の一部民間使用という形で防衛庁と内々の話がついたのか。それを施設庁長官は、運輸省局長さんのほうと話をしたい、話し合いたい、こういうふうにかつて言っておったのでありますが、その話し合いの中身というのは一体どんなぐあいにまとまっているわけですか。
  8. 内村信行

    内村説明員 ただいまのお尋ねでございますが、私ども、先ほど申しましたように、厚木というものを民航専用に使ってまいりたいという希望は持っておったわけでございます。しかし、結果といたしまして、政府全体で話し合った結果は、管理防衛庁側でするということになりました。したがいまして、私どもといたしましては、管理防衛庁側でするにしても、その使用につきましては民航が相当部分使うようにしなければいかぬ、そうしないと民航需要はこなせないという見地から、さらにこの使用のしかたについて現在協議をしておる段階でございます。それは防衛局長と私でございますが、この間で話を詰めておりますが、まだ結論が出ておりません。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようなことから、短期的な問題と長期的な問題に分けまして、それだけの需要があるのですから、これをこなすように使わしていただきたいということで折衝を重ねておるわけでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 これは、たとえば飛行場を一部使うにいたしましても、名古屋なんかの例もありますし、方々空港の例がありますけれども、いまおたく考えている考え方からいたしますと、一種、二種と空港には幾つか種類がございますけれども、二種空港みたいな形のものでも考えておられるのですか。
  10. 内村信行

    内村説明員 これは、防衛庁管理になりますと、一種、二種、三種の区別はなくなってまいります。それと別個観念になるかと思います。
  11. 大出俊

    大出委員 その別個観念というのは、民間が入ってくるとすれば、どういうふうな考え方になりますか。
  12. 内村信行

    内村説明員 ただいま千歳が防衛庁管理飛行場民間がそれを使用しておるということでございますが、実質的には大体あんな形になると思います。
  13. 大出俊

    大出委員 その場合にどういうふうにまとまるか、まだ結論が出ていないわけだから、そこから先なかなか質問しにくいのですけれども、いまでも羽田の場合、管制官一つつかまえてみてもずいぶん無理をしている。私も何べんかこの席で運輸省航空関係の質問をしてきておりますけれども、きょうはそれが主眼でありませんから、あんまりこまかく申しませんけれども、実際に厚木民航を入れるとすれば、それ相当な施設なりあるいは――施設はとりあえずは間に合うとしても、人の問題その他いろいろ出てまいりますが、そこらまでお考えの上で民航を入れるべきであるという主張をされている、こういう理解でいいのですか。そこらはどうなっているのですか。
  14. 内村信行

    内村説明員 私ども初めの考え方は、これは航空局管理をする民間飛行場にしたいという考え方でおりましたので、管制も全部こちらでやる、日常の管理業務もやるということで、五十八名程度定員要求しておったわけでございます。しかしその後、先ほど御説明申し上げましたように、管理防衛庁のほうでやる、それから管制防衛庁でやるというふうなことになりましたので、現在は要求を変えまして、定員については十三名、これは航務でありますとかあるいは通信でありますとか一般管理、そういう要員に充てるものでありまして、管制要員は入っておりません。その十三人と、予算といたしましては、民航用の庁舎をつくるとかエプロンをつくるとか、そういったもののために約五千万円程度予算要求しているのが現状でございます。
  15. 大出俊

    大出委員 そうしますと、大体先ほどのお話ですと、来年の四月というタイムリミットがある。来年の四月以降、つまり成田ができるまでの間というものは、ともかく何が何でも何とかしなければ困るのだというお話なんですね、事故でも起こったらたいへんな問題になりますけれども。そうすると、来年の四月までにともかく決着をつけて発着ができるようにしなければならぬという意味だと思うんですね、いまのお話だと。そうすると、これは防衛庁とおたくの間ではこれからどういうふうに進められるわけですか。
  16. 内村信行

    内村説明員 航空事情から申し上げますと、確かに来年の四月からでございます。ただ、その場合に交渉の相手が違ってまいります。四月の段階ではまだ返ってまいりませんから、米国側相手に交渉しなければなりません。四月以降はこちらへ返ってまいりますので、これは防衛庁相手ということになると思います。したがいまして、四月からの問題といたしましては、これはまだ予算も成立をしませんし間に合いませんので、ことしの夏に厚木を使ったような調子で、民航のターミナルというふうなものを、一時的なものを使って、それで極力さばいていくというふうな、いわばことしの夏の形態をもう少し厚くすると申しますか、そういう形でいかざるを得ない。それから四月以降につきましては、いま申し上げたような民航部分というものを予算によってつけてまいりたいというふうな体制になっております。
  17. 大出俊

    大出委員 そうすると、突き詰めたところ、最小限おたくのほうとしてはどのくらい、たとえば機数にしてもそうですが、どの程度規模、どの程度扱えるような民間航空厚木に持っていきたいという、こういうめどがあっての予算つけ方、組み方になると思うのですが、そこらの突き詰めたところは、どういうふうになるのですか。
  18. 内村信行

    内村説明員 来年度の分につきましては、一日大体数十回程度、このくらいではないかと考えております。  それから長期的に見ますと、これはもっと三百回とかそれ以上というふうなことにならざるを得ないのではないかというふうに考えております。と申しますのは、厚木発着回数能力でございますけれども、これは厚木というものが、やはり横田でありますとか立川でありますとか、それから入間川、こういったものと一体になっておりますので、長期的には一体でございます。したがっまして、それほど能力がございません。したがって、一日大体三百八十回程度と押えるくらいが位当ではないかと考えております。将来はそのくらいを、できれば全部、全部とまいりませんでも、相当程度使えるようにしたい、そういうふうに弁えております。
  19. 大出俊

    大出委員 いまのお話の三百八十回程度という将来の展望に立つと、厚木飛行場はパーセンテージにして大体どのくらいということになるのですか。
  20. 内村信行

    内村説明員 これはもちろんマクロ数字でございますから正確なものじゃございませんが、比ほど申し上げましたように、厚木とそれから立川横田それから入間川、この四つ飛行場一体として考えまして、その場合に厚木があり横田があり、まん中に立川とあれがございますから、その立川入間川、これに対する使用というものをわりに制限いたしまして、その四つのうちの横田厚木というものを優先的に使うというふう九進入経路を確立しました場合に、先ほど申しました一日約三百八十回、これが厚木としては大体一日の全体の能力じゃないかというふうに考えて去ります。これは非常にラフな話でございますが、大体そういう考え方でございます。したがいまして、この三百八十回というものを防衛庁共同使用するというふうなことになると思いますが、もちろん時間帯その他についてはいろいろ分け合うところもあると思います。
  21. 大出俊

    大出委員 厚木基地地位協定二条一項の(a)で防衛庁があくまでも専用使用するところを残すという考え方がこの中にある。つまり安保協議委員会共同声明ですか、発表されておる中身を表面的に見ると、やはり有事使用という解釈をとっていない、あくまでも共同使用という解釈をとっている。そうだとすると、これはあと防衛庁に聞きますけれども地位協定二条一項(a)の形の米軍専用使用面積というものがまず残っていて、それにひっついて、つまり米軍自衛隊共同使用飛行場部分がある。そうすると、硫黄島にあるロラン基地に入っていくようなケースと同じようにその出入を考え共同使用になるだろう、こう見なければならぬ。そうすると、やはり米軍専用の相当な面積が出てきて、かつ自衛隊下総のP2Vを持っていくというわけですから、そうすると、これは相当無理をしなければいまの状態では民間航空機を入れるという余地はない。だから、いまのお話からすると、そこらのところをおそらく御存じないはずはないと思うんだ、話し合っているのですから。一体そこら関係はどういうふうに踏まえていまのようなお話になるのか。ついでといっては恐縮なんですけれども、そこまで話が出れば、これはやはり東京、横浜周辺からすれば、厚木だ、入間だ、やれ立川だ、横田だ、こう言われると、それなりの交通網というものを当然考えなければならぬ。ある日突然じゃないんだから、わかるには違いないんだけれどもそこらのところまで触れておいていただかぬと困る、時間がないわけじゃないので。済みませんがそこのところを。
  22. 内村信行

    内村説明員 厚木飛行場米軍をも含めた全体の使い方、これがわからないとはっきりしないことはお説のとおりでございます。そこで、私ども実はまだほんとうのところはわかっていないわけでございます。それで、防衛庁との折衝が進まないでいるのも実はその辺に原因がございまして、一体米国側でどのくらいどういう地域をとるか、そのあとどういう地域がどういう数字で残っているか、そういったことが私どもにはよくわからないものでございますから、したがいまして協議が進捗しないというのが現状でございます。
  23. 大出俊

    大出委員 これは、ほんとうなら防衛庁のおられるところで承ればなお話が詰まるのですけれども皆さんの時間の御都合もあるようでございますのですれ違っておりますから、いまのところちょっと困るのですけれども、ただ、厚木飛行場、私も何べんか行って見ておりますけれども、いまここで考えている米軍の強い要求その他からいきますと、修理機構もそばにありますから、艦載機その他を常時必要に応じて入れていこうという考え方がある。ということになると、そこらあたり米軍使用面積もおそらく一割前後のものは残るんじゃないかという気がする。そのほかに下総から持ってくるということになりますと、おそらく相当な面積米軍並び自衛隊がということになる、こう見なければならぬと思うんですね。そうすると、いまお話しである、つまり将来の展望というのは五十五年から先だというのですから、そうなりますと、これは時間があるからということになりますけれども、そこのところを、運輸省側として、もしもそこまでお考えなら、やはり相当な御決意をいただかぬと、これはなかなかそう簡単に進む筋合いのものじゃないという気がするので、運輸省としてそのあたりはどこまでの腹をきめておやりになっておられるのですか。
  24. 内村信行

    内村説明員 飛行場使い方というのは、実は意味が二通りあると思うのです。というのは、飛行場内の地域をどういうふうに使うかということが一つと、それから発着回数をどういうふうに分け合うかという、この二つの問題だというふうに思います。  そこで、厚木につきましては、私も詳細は存じませんけれども、大体全体で百六十万坪前後あるかというふうに考えております。これは羽田が大体百万坪前後ですか。というと、相当な面積になってまいるわけでございます。したがいまして、現在米軍が使っている場所もございますけれども、そういったものがある程度残るといたしましても、なお、さらに場所的にはある程度のものはこなせるんじゃないか。と申しますのは、主たる整備基地等はどうせ羽田に置かれますから、発着をし、その旅客をさばくという施設が主としてあればいいのじゃないかというふうに考えられるわけです。そういたしますと、地域的には必ずしも無理ではなかろう。あと発着回数の問題である。発着回数になりますと、民間の場合には定時的にきまっております。あまりおそくもなりませんし、主として昼間を使ってもらうということになる。それから、この辺まだ防衛庁のほうの御意見を十分承りませんとわかりませんけれども、あるいは防衛庁のほうはそういった定期的なスケジュールを持った使い方ではないというふうに思いますので、その辺を調整してまいりますと、ある程度分けて使えるのではないかというふうに考えるわけでございます。そういうふうなところをさらに今後詰めてまいりたいというふうに考えております。
  25. 大出俊

    大出委員 そうすると、関係法律幾つかありまして、たとえば周辺住民に対する騒音、何ホンぐらいになるかわかりませんけれども規模によって違いますが、そこらの適用という問題も出てまいります。たとえば名古屋の場合なんかでも、あそこはおそらく二種だろうと思いますけれども一種あるいは二種といわない飛行場、いまのお話でいくと、つまり千歳のような形になるということですけれどもそこら関係住民その他の、たとえば名古屋のようにテレビなんかの料金減免の問題から始まりまして幾つもありますけれどもそこらとの関連はどういうふうにお考えになりますか。
  26. 内村信行

    内村説明員 空港周辺騒音を主体にした公害の防止ということになるかと思いますけれども、これにつきましては、先生ただいま御指摘のように、防衛庁のほうではいわゆる基地周辺整備に関する法律というのがございまして、それによってやっております。それから航空局といたしましては、公共用飛行場云々という非常に長い、いわゆる俗称航空機騒音防止法というのがございまして、それによってやっております。したがいまして、厚木の場合には防衛庁管理するということになっておりますので、一応防衛庁側法律によって手当てができるのではないかというふうに考えておりますが、これがかりに民航に移る場合には、私どものと申しますか、いわゆる俗称航空機騒音防止法、これによって手当てができるというふうに考えております。
  27. 大出俊

    大出委員 では局長さんどうもありがとうございました。あと防衛庁のほうに伺います。  長官、たいへんどうも予算の忙し過ぎるところを恐縮でございますが、こちらのほうも実は、師走の寒空におまえさんはいつ幾日からやめるんかという通告をもらっている諸君がたくさんいるものですから、そこで、たまたま長官中央離職者対策協議会の議長さんをおやりになっておられるので、たいへんどうも忙し過ぎるんだと思いますけれども、そういう立場からどうしても承っておきたいことがあるわけであります。  たいへんお忙しい中でございますから、あまりこまかいことは申しません、重点的に幾つか承って、はっきり御回答いただいておきたいと思うのでありますが、共同声明が二十一日安保協議委員会の結果として出されておりますが、この中に離職者対策については日本政府アメリカ政府ともに万全を期するのだということを書いているのですね。万全を期するのだということになるとすれば、対象者が心配をしないように、それはかくかくしかじかになるのだということを、具体的に、つまり万全の中身をはっきりなぜさしておいてから離職通告を出さないのかという気がするわけであります。ところで中央離対協のほうは、幹事会をたしか一ぺんぐらいはおやりになっておりますが、何もやってない、これは一体どういうわけですか。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 この駐留軍離職者対策協議会というのは、総務長官がまだ大臣でない時代にできたものであって、ですから構成メンバー事務次官構成されていて、そしてその会長が大臣だというへんな構成で、いずれ直さなければいかぬと思っておりますけれども、しかし、責任を回避する意味で言っているのではありません、そういうおかしな機構になっておるわけです。したがって、事務次官を集めてやる会議は、事務関係の打ち合わせあるいは意思統一、計画の樹立、実行ということでありますから、実際上実務者を集めて連絡会議担当官でやりますと、ほとんどそれにかわる仕事ができるわけです。それで手に負えないものは、これはむしろ離職者対策協議会にかけるなり、あるいはむしろ閣議なりその他で意思統一をはかるということのほうがよろしいと思うわけで、幹事会のほうを適時有効に活用するという方針をとっておるわけです。
  29. 大出俊

    大出委員 とは言ってみても、やはり大筋はきめていただかないと、幹事会は一ぺん開いて、あと実務者がやればいいのだということでは――私は、この駐留軍離職者皆さんに対する、この委員会各党一致法律をつくるときに、あわせてこの中央離対協の構成その他、また企画立案等についての中身についても、いろいろとこれは相談をしたのです。これから先、まあこの岸・アイク共同声明のような、あのときのような大量解雇があるかないかわからぬけれども、相当大きなことも出てくるかもしれない。そのときには、この機関というものは、フル回転をしてやってもらうのだという認識があったのです。今回、まあ防衛庁の方はいないのだけれども、実は長期にわたって米軍アメリカの大使館と外務省と日本防衛庁と、特に施設庁からは江藤参事官が直接出てずっと続けてきた。十日の日に、私はここで質問したときに、私のふところの中には、どこの基地何ぼという数字まで全部人っておった。だがどうしてもおっしゃられぬからしかたがない、私もがまんをしたのだけれども、それだけわかっていたわけですが、出た結論はたいした違いはない。厚木あたりは九百ぐらい出るだろうと思っておったら、少な過ぎる。だから第二次があるのだろうと思うのでありますけれどもあとはそう変わっていない。あれだけ期間があった間に、なぜその大筋ぐらいはきめておいてくれなかったか。たとえば、横須賀の例を一つとりますと五千百何名あそこは首切り通告なのですけれども、そのうちの五千名というのは狭い横須賀市内に全部住んでいる横須賀居住者です。そうなると、横浜市の一区に足りない横須賀で、五千名も一ぺんに首切られて、しかも、横須賀市民で住んでいて、それはいかにどう考えたって横須賀市内で求職あっせんできやしません。そんなに求人能力はない。それはだれが考えても一目瞭然。しかも今回の場合は、大臣、かつて駐留軍労働者が二十何万もあった当時、人がなくて東北その他飛んで歩いてかき集めてきた人も実はたくさんいるわけです。勤続年数の浅い若い人から首を切っていますから、いま残っている人はほとんど五十以上で、しかも当時日本政府米軍も必要で、他の府県から集めてきてつとめてもらった方々なのですよ。そうすると、そういう縁故関係もない遠くの人が多いのですから、しかも五十をこえてしまっている。こういう方々が五千人も首切られて、ときは十二月。そういうことになると、昨年八月以来今日までの間に、二千人やはり首切りが出ておりますけれども、それを追跡調査をしますと、おおむね七割くらいが実は就職をいたしております。だがしかし、その七割の方々の賃金というのは、軍につとめていた時代の半分です、ほとんど零細中小企業。だから、いま残っているその方々というのは、もっと給与の高いしかも高齢者の方々ですから、何とかそれなりの生活を維持しようとすれば、相当広域紹介を、広い範囲にわたって職業あっせん紹介をやっていかなければ、賃金が何とか落ちないで維持できる、あるいはせめて三分の二でも確保するというところにいけない。そうなると、その人たちに対する宿舎なんかどうするかという問題さえ、実は出てくる。しかも今度は、職業あっせんをするについても、全駐労の中に例の離職者センターがありますけれども、三沢なんかだって、人は三人しかいない、予算は半分防衛施設庁が人件費を出している、そうなると、これは一体、三人で五千人もの首になった人の専門的な紹介なんかできやしない。それでは県行政の面で、労働省の安定局長さんの傘下において何とかやっていこうといったって、一ぺんにこれだけ集中、集団的に首になった人たちについて、そう簡単に、二カ月や三カ月期間があるからといって、さばき切れるものではない、従来の例からいって。そうすると、そこらの機能というものを一体どういうふうに考え、人の配置をどう考え予算をどうつけて、広域紹介という形で現在の賃金レベルというものを最大限確保する努力をするかとなると、そう技術的な面だけで事は済まない。金についてもやはり政治的に大きな英断をふるっていただいて、人についても、構成についても、これらは全部中央離対協がやはり中心になって、大臣のところでぴしゃっと方針をきめていただいて、さあやれ、こういうふうに出発してくれなければ――これは一例をあけたわけですが、ほかにもいっぱいありますが、これは切られる側の身になっていただきたい。万全の措置を講ずるだなんて共同声明に抽象的にぽっと書いてみたって、中身は何もない。幹事会も一ぺん開いただけだ、そういうことでは事が済まぬです。だから長官、お忙しいことは私も百も承知だけれども、その基本となるべきところはやはりぴしゃっとやっていただかぬと、世の中一般一体何をやっているのだということになる。そこのところを、大臣早急に、万全の措置をおとりになるというふうに書いているのだから、発表しているのだから、中身はこうなんだということをはっきりさせる意味でも、私は忙しいのはわかりますけれども、やっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  30. 山中貞則

    山中国務大臣 真相をばらしちゃってたいへん恐縮なんですけれども、私が知ったのは、日米協議委員会あとの、発表したあと私は知らされたわけです。知らされたって、それも連絡はないのです、新聞で知ったのです。離職者対策協議会の会長たる私には、事前の長い話し合いの連絡の経過なり、経過の連絡なり何なり、何もありません。その後もそれらについて、何か中央離対協でやってくれというような要請もありません。しかし私は、要請がないから聞かないというのではありませんので、このような今回のアメリカ軍の日本からの撤退計画は、いわゆるやりを日本本土から放棄する、やりの役目を放棄するという、かつてのアイク・岸会談のときのいわゆる地上軍兵力の一斉撤退というのに近い、第二回目の大量移動というか、兵力の根幹の移動にふさわしいものですね。したがって、それは当然基地機能の縮小等につながるわけですから、離職者も出ることはわかり切っているわけです。そういうような内々の交渉がずっと進められていたのでありましょうが、私には何の連絡もなかった。しかし今後は、このような現実がございますので、先般も全駐労の委員長もやっておられました市川総評議長以下お会いしまして、ことに全駐労の皆さんは、本土ではまだなじんでいない週二日休みの、土、日休みの中で取っておられる月給である、その月給の質というものは非常に高い、それが一般民間にほうり出された場合には、土曜日まで勤務をして、しかもまたそのレベルの賃金というものが得られるかどうか、非常にむずかしい背景があるという話をじかに私はむしろ教わって、なるほどその点は確かにそのとおりだ、これはそのような実態を踏まえた、ほんとうにそれらの人々にふさわしい再就職なり何なりというものに対して、独得の、特別なめんどうを見る背景があるということなども懇談をし合ったわけですけれども、遺憾ながら政府内の――これは議員立法でたしかできたと思うのですね、そういうせいもあるのかもしれませんが、はなはだその運用というものはうまくいってないと私も認めざるを得ないわけです。
  31. 大出俊

    大出委員 これは、そういうふうにはっきりおっしゃられるならば、私もそれ以上申し上げることはないんですけれども、私が実は非常に残念に思うのは、さっき申し上げたように、あれだけ長い期間四者協議をやってきたわけですね。だから、十日の時点でも私はすでにほとんどその中身がわかっていた。新聞記者の方だって知っている人はたくさんいた。だとすると、こんなに突き詰まって忙しくならぬ時期に、中央離対協というものがちゃんと幹事会なら幹事会を開かれて、非公式でもいいですから全部対策が立てられていて、そちらの対策を立てる側から、今度は防衛庁が中心になってそういうことをやったって、離対協の側では責任が負えぬじゃないか、こんな暮れに発表したって対策も何も立たぬじゃないかということを実は言ってもらいたかった。防衛庁さんも、見れば四十六年度には給付金の増額、つまり退職金の増額ですが、この予算が七億五千万ばかり組んである。それから休業手当制度をつくるというんで、これは一億ちょっとの予算が組んである。これとあと離職者センターに対する助成、これが二千百万くらい組んである。これだけなんだ。それも海のものとも山のものともつかぬという言い方なんですね。そうすると、それすら何ら離職者対策としての結論は出ていない、四十六年度で組んでいるんですから。とすると、これは防衛庁は四十六年度にこの種の首切りが出てくるという見方をされたんだといわざるを得ぬ。そうすると、アメリカさんの都合で早くなった。早くなったのなら、こっちが準備が整わんから待てということを言わなければならぬ筋合いです。二十五年もつとめてきて、高齢者になるまでみなやってきた。米軍共同声明に載っかっている、忠誠な労働者を手放すことは忍びがたいということをいっているけれども、こんなたわ言を並べるなら、アメリカ側は、何で一体日本の慣習である暮れに首切って、正月の酒もうまく飲めないようなことをするんだ。一カ月も二カ月もかかえていたっておかしくない。なぜ、ここにあるように万全の措置を講ずるんじゃなくて、講じた、これはこうなんだ、その上でこうするということをなぜしてくれなかったかという気が私はするんだ。長官には全然つんぼさじきにしておいて話がなかったというならば、離対協の議長ですから、そこに話がなかったら、しないほうが悪い。私は長官にこれ以上言う気はないですけれども、ここいらあたりがいまの防衛庁は気に食わぬ。中曽根さんという人もそこまで不人情な人かと思うといささか腹が立つ。中曽根さんは予算委員会かどこかで、山中さんが山吹大臣と言ったそうだから、「みの一つだになきぞ悲しき」と言ったそうだから、あなたを責めたってしようがないでしょうが、(山中国務大臣「言われたんです」と呼ぶ)もっとも同じところの同じ村の御出身のようですから、これ以上言うのはやめますけれども、これは早急に、そういう事情であれば長官を責めるわけではありませんが、それならなおのことひとつ、何も出ていないままでほうっておかれたんじゃ、幾らなんでもこれは気の毒過ぎますからね。  私は地元の新聞をここに持っていますけれども、もうここでみんなかんかんになって、ぼう然、とほうにくれ、あとはまっかになって怒っている状態なんですけれども、何で一体これだけ一ぺんに首切るのか、二、三回に分けたってやれなくはないだろう。あるいはここに写真も載っていますけれども、長野市長はさすがにくちびるをかんで、「こうなれば市民の世論を盛りあげて、戦うより方法がない」なんて、おとなしい市長が、よほどのことでしょうが、こんな言い方をしたというのは、あそこには家族を含めて離職対象者が二万人いるんです。それじゃ離職対策は何をやってくれるか、何もない。しかも給付金だとか休業手当だとかセンター助成だとか、それは何だ。やってみなければわからぬ。それも四十六年度。四十五年はどうするんだ、それはこれからだ。そういうことでは、私は幾ら何でもひど過ぎるという気がするのでございます。  もう一点伺いたいのでございますが、さっきお話に出ました市川議長との話の中で、沖繩の三千人の首切りがありますけれども、こちらのほうは長官予備金からということを口にされたんだそうでありますが、私はやっぱり、足元の二十五年もつとめてきている人々が首になるわけですから、そこのところを予備金なら予備金からとおっしゃっていただいて、一つのルールは、右へならえの形で沖繩へということにいままではなっているわけです。それをコザ事件があったからといって、いきなり沖繩が先になって日本の国の中は知らぬということになって、それは防衛庁がやるだろうということになっては困る。そこらのところも、責任云々ではなくて、やはり離対協の議長ということに、これは好むと好まざるとにかかわらずなっておられるわけですから、そういう意味で、そこらのところは何かお考えがあるのかないのか。逆では困るので、そこのところを長官一体どんなふうにお考えになっておられるのか、はっきりしてください。
  32. 山中貞則

    山中国務大臣 これは実際逆じゃないのですが、私は沖繩担当大臣だし、ことに沖繩の場合は本土の場合と少し様相を異にするのは、米軍の戦車あるいは銃剣によって追い立てられて、そうして道を失ってやむなく征服者のところの軍労として働かざるを得なかった人たち、しかも今度のように、基地そのものが縮小されるからその現象はやむを得ないということではなくて、基地はどうも返還されないで人間整理だけが財政上の理由でやられるというようなことで、沖繩の人々は二重の悲しみがあると思うのです。納得できないという気持ちがある。そこでまず沖繩の人たちに対して、私は担当大臣ですから、予備費を計上しても自分としては沖繩の人たちにやる。しかも前に措置しました五百数十名については、年内、すなわち暮れまでに支出するということで、先週の土曜に、暮れに間に合うように支出もしました。今後もそういう姿勢で沖繩については行きますが、しかしその前提は、やはり本土の駐留軍に対する手当て、あるいは措置というものがどうしても優先をして、それに向かって沖繩に対しても足らない分を本土が見るという、やはり優先順位は言われるとおりでありますから、その意味においては、これは私のほうに連絡がないならば、これからは私のほうから連絡をとらせることにして、どういう措置をとるか、具体的な提案も市川議長等からございましたので、そういうことを念頭に置いてやってみます。
  33. 大出俊

    大出委員 これは当委員会理事会で、与党の理事皆さん方からもたいへん積極的な御発言等もありまして、これは政党政派の問題ではないし、数も多数でございますしするので、ぜひひとつ各党で努力し合って、まさに万全を期さねばならぬだろうということで、その意味基地対策委員会等、与党の皆さんのほうでたいへん御努力をいただいておりまして、全駐労の諸君まで呼んで実情を聞いていただいたりしておりますから、きょうは実は長官のお時間が短いので、関連して皆さんから長官の時間の範囲で承る、こういうとになっておりますので、関連質問が出ておりすすので、ひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  34. 天野公義

    天野委員長 横路孝弘君。
  35. 横路孝弘

    ○横路委員 一問だけお伺いしたいのですが、いま十二月二十一日の大量解雇については知らなかった、したがって対策の講じようもなかった、こういう御発言だったのですけれども、実はことしの八月下旬に千歳のクマ基地においても、千五百名の解雇が出ております。三月末までの解雇が七百七十九名です。そしてこの十一月一ぱいで解雇になったのは百八十五名いるわけです。では、今回の解雇は知らないとしても、前の解雇は当然総務長官も御存じだろうと思うのですが、この七百七十九名のうち、一体何人就職が内定しているか、御存じですか。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 それも私は新聞で知っているだけで、私のところにこういう状態でこういうふうな数が何日付でもって解雇されるとか解雇されたとかいう連絡は受けておりません。
  37. 横路孝弘

    ○横路委員 これはもうすでに八月の末に発表になっているのですよ。もう四カ月たっているわけですね。この七百七十九名のうち、就職が内定しているのはわずか三十名です。十一月一ぱいに解雇になった百八十五名のうち、就職しているのはわずか十数名というのがいまの現状なんです。これは知らなかったでは、責任者として済まされない問題じゃないですか。しかも、これはもう高年齢層の人が多いから、ほかに就職するといってもなかなか簡単に――一家そろって全部移らなければならぬというような問題で、住宅をはじめとしていろいろな問題をかかえているわけですよ。だから今度の解雇が突然だったということをおっしゃっても、こういう、もう四カ月も前の解雇について、いや、それは新聞の報道だけですという、その答弁だけでは済まされないので、一体責任者として何をなさってきたのかということを明確に伺わなければ、今度のこの大量解雇についてだって、千歳と同じようなことになるのじゃないか。ぜひその点をお考えいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  38. 山中貞則

    山中国務大臣 知らなかったで済まされないならば、不信任案その他いかなる手続をおとりになってもけっこうです。事実、私のほうには何にも連絡はないのです。ただそれを、連絡がないものをなぜほっておいたかといわれれば、それはあるいは私の怠慢かもしれませんが、しかし私としてもいろいろと多くの仕事をかかえて、臨時国会の公害国会に対処するために文字どおり日夜やっておりましたので、あるいは、なぜ自分から防衛庁を呼んだりなどしてやらなかったかといわれれば、あるいはその点は私のほうの手落ちがあるかもしれません。その点ははっきり認めてよろしゅうございます。
  39. 横路孝弘

    ○横路委員 どうもそういう突き放した答弁だけでは困るのでありまして、それはお忙しいことは重々わかりますけれども、千歳の現状もこういう状況にあるので、いまの御質問に先ほどお答えありましたけれども、これも含めて、ひとつ将来の対策を完全にやっていただきたいと思います。  まだほかに関連質問があるようですから、この点だけひとつ御理解いただきたいと思います。
  40. 山中貞則

    山中国務大臣 横路君、突っ放した言い方じゃないので、私自身、ちょっと内心しゃくにさわったのです。第一、なぜ私がそういう離対協の責任者でなければならないのかというのもおかしいのですが、これは法律ができた以上はそういうことになっているわけですが、それはそれで、私のほうは直接関与してないですけれども、やはり常時連絡をとってくれてはじめて、私のほうも手の打ちようがあるのです。そういうことではなはだ遺憾ですから、これから私は、少なくとも、この組織を変えたいと思っております。思っておりますけれども、組織があるうちは私自身の責任は回避いたしませんから、いまおっしゃったような大出君並びに横路君の御意見というものを体して私、行動いたします。
  41. 大出俊

    大出委員 これは、私、承知してさっき質問しているのです。市川議長が長官にお目にかかって三時からの話の中で、私、聞いております。長官にすれば、まことに心外な点が幾つもある。責任者である限りは当然連絡があってしかるべきである、相談があってしかるべきである。何にもしない。しないなら、ほかから文句の出ないように防衛庁がやったらいいじゃないかという気持ちが、話し合っている中に長官から出てきたというのですね。そういう受け取り方をした、まことにもって防衛庁は、ということが長官と話し合った諸君の口から出てくる。防衛庁はけしからぬという気持ちがみんなにあったようです。長官、だいぶ中っ腹のようだったという話も聞いておりますから、私はわかって質問しております。しかし、いま横路君が言っているように、現実はあるのですから、どうかそこのところは誤解をなさらぬで、ぜひひとり、これはまあ皆さんの中のことでして、わかるのですけれども、その上に立って早急に対策をお立ていにだきたい。これを言いたいから、実はたってお出かけをいただいたんで、長官、腹立って、横向いちゃって、閣議だって、返還なんかなっていない、横から口を出すのがいる、何にもなっていないとあなたがおっしゃったやつがいまだに尾を引いているとなると、ふざけるなということで横向きっぱなしでは困るのです。そこが心配だから、たってお出かけをいただいたのですから、そこのところは、現実に起こっている問題があるから、がんばって対処をしていただきたい。その点をひとつ誤解のないようにお願いします。
  42. 山中貞則

    山中国務大臣 その点は、相当な時間をかけて話し合いましたので、市川さんも、あなたの置かれている立場というものは形と実質と非常に違っていることは私も知っています、しかし、自分たちはあなたの政治力に――そうおっしゃいました――政治力に期待して、ぜひあなたが乗り出してほしいということを頼みに来たわけだからと、そういうことでございましたので、私も虚心たんかい、やはりいまの事情では私が乗り出してやることが必要だと考えております。ただ、いままでの経過から言うと、はなはだ遺憾に存じますと言わざるを得ない状態があるということでございます。
  43. 天野公義

    天野委員長 伊藤惣助丸君。
  44. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今回の大量解雇については、昭和三十二年の岸・アイク共同声明以来、通告によりまして三十四年に九千人解雇されまして以来の大量解雇でございまするけれども、いままでの答弁を聞いておりまして、運用上うまくいってなかったということでございますが、長官もいまおっしゃいますように、そういうことでは済まされない問題だ、私もそのとおりだと思います。  そこで、大事な問題でありますから伺っておきたいのですが、この中央離職者対策協議会でございますが、これの議長として、この問題を具体的にどのようなものを議題にしていつごろどうするのかという点ですね。少なくとも、ここにいらっしゃる以上は、そういうことで質問が出るということを予想して参ったものだと私は思いますが、その長官考えをここで明らかにしていただきたい。
  45. 山中貞則

    山中国務大臣 これはもういまもやっておるわけでありますが、やはり担当官会議を開いて、私の判断を求めて、そして高度の政治的判断によって、防衛庁長官なりあるいは外務省等も場合によっては必要でありましょうから、そういう行動をとることにします。
  46. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それは年内か、できれば年内を私は希望するわけですが、その点について長官からお伺いします。  なお、このほかに、自治省で基地交付金というものを今回も組んでおります。やはりそういったこととも大いに関連がございますので、その基地交付金の問題についても、長官は、こういった対策協議会の議長として、いろいろな側面から検討し、予算折衝をしていくべきだと私は考えます。さらに、いままでの離職対策については、MLC、IHA、この二つの直接、間接雇用の方々についてのみ話し合いが行なわれてきておりますが、私は、実は、それだけではなくて、特に労働省にも関係のありますメードさん等の米軍直接雇用者に対しても、これは重大な影響があるわけでございますので、その点も議題として緊急に対策を講じてほしい、こう思うわけでありますが、大臣の……。
  47. 山中貞則

    山中国務大臣 いま予算編成の火事場騒ぎをやっておりますので、幹事会の諸君を集めてやることはできると思いますが、年内に具体策は、あとわずかの日数でございますので、はたしてできるかできないかわかりませんが、しかし、作業をいたしてみます。  それから、基地交付金の問題ですが、これは私の所管ではございませんが、私としては、基地交付金を創設した当時、関係をいたした議員でございますし、その後、毎年の予算についても、党にあるときにおいても関係をいたしておりまして、現に、今回の予算の作業の過程において、基地交付金等の非公式のルートにおける要請を受けておりますので、側面から援助をするつもりでおりますが、これは直接関係のあることではございません。  さらに、その論議の対象が、二種と申しますか、メードさんその他に及んでいない、これは確かにそのとおりでありましょう。それらについては、感触を異にする点も若干あることはしかたのない現実であります。いわゆる一種と二種との区別はある。区別はしかたがないと思いますが、その論議の対象にそういう問題を入れるかどうか、これについても検討してみます。
  48. 天野公義

    天野委員長 東中光雄君。
  49. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんから、一問だけ聞いておきたいのですが、要するに、再就職の問題が一番重要な問題だと思うのです。それで、協定書を見ても「再就職を援助するためあらゆる努力を払う」こう書いてあります。いま内部の事情はお聞きしましたけれども、要するに、使用者は政府なんですから、雇用者は政府なんだから、そういうたてまえからいえば、この再就職について具体的に政府が保障するということが非常に大切だろうと思うのです。そういう点で、具体的な青写真なりそういうものをぜひ示されたい。いつごろまでにできるか、その点を明らかにしてほしいと思います。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 政府といいましても、だんだんございまして、やはり雇用者、防衛施設庁が責任を持つわけであります。しかし、それについての政府全体のあとをどうするかという問題については、これは政府ですから、これは当然私も含めるわけでありまして、離対協の議長としての立場というものがございますから、それはそれぞれ、話の内容には私も乗っていかなければならない事柄であると思っております。
  51. 東中光雄

    ○東中委員 それで、再就職についての方針、青写真というものをいつごろまでにつくられるかどうか。いま全体で、先ほど年内は無理かもしれぬというお話ですけれども、その中に再就職の問題も含めてそういう青写真を出されるかどうか、確かめておきたいと思います。
  52. 山中貞則

    山中国務大臣 再就職の青写真というのは、これはなかなか、個人差なりそれぞれの技能なり、あるいは年齢なりその希望なり、いろいろによって違うと思いますので、青写真というのはどういうことになりますか、少なくとも、それらの中高年齢であって、しかも特殊な環境の中で――先ほども申しました週二日休みの環境の中で賃金が定まっておった人たちを、どのように無難に円滑に、しかも所得が低下することなく移していけるのか。幸か不幸か、現在の経済全体を見ますと、日本の場合においては、求人難と申しますか、そういう意味の労働者不足の状態になりつつありますので、それらの点が、はたして中高年齢者の特殊な環境にあった方たちにどこまで受け入れられる環境があるのかどうか。これらについては当然議論が及ぶことと思いますが、青写真といわれても、なかなか書きにくい問題だと私も思うのです。
  53. 東中光雄

    ○東中委員 そういう点での努力を期待して、時間がありませんから、終わります。
  54. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 長官、ちょっと関連で、最後に質問します。  ちょうど中曽根長官もおられるので、このお二方は、この内閣の中で保守党のヤングパワーの先頭に立つ優秀な大臣だとかねがね私思っておるのですが、このアメリカの駐留兵が漸次撤退していこうという空気は、私は昨年の十一月にペンタゴンを訪問したときに感じ取ったのですが、そういうような、年間八百億ドルのアメリカの国防費を五百五十億ドルくらいに締めていきたい、こういったような具体的な話が米の軍部内においてすでに一年前から討論されておる。そういう大勢の中で、長官としては、駐留軍の撤退が漸次行なわれるだろう、そうすれば離職者が出るであろう、そういう見通しのもとに、この一年間そういう対策を立て得なかったということは一体どういうところにあるのか、それが私はふしぎでたまらないのです。そういう点をひとつわかりやすく――全然知らなかったという御返事がありましたけれども、そういうことはあり得ないと私は思うのだが、一体どういう辺にその点があったか、お聞きをしておきたい。
  55. 山中貞則

    山中国務大臣 それがあり得るのです。私のほうには、アメリカ側との間においてどのような基地を移動させるとか、あるいは日本自衛隊との間にどういう肩がわりをしていくとか、あるいは、したがって失業者がどれくらい出るであろうとかという一切の連絡がございません。
  56. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 わかりました。
  57. 天野公義

    天野委員長 加藤陽三君。
  58. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 先般日米安全保障協議委員会が開かれまして共同の発表がございました。私、駐留軍の撤退そのものはけっこうなことだと思うのでありますが、これに関連をいたしまして二、三お伺いをしたいと思います。  まず、返還された基地使用の問題でございますが、きょうは時間がないので詳しく申し上げません。これは国家百年の大計を考えて、具体的に最も適切な案を考えていただきたいということだけを申し上げておきます。  次に、駐留軍労務者の解雇の問題でございますが、九千人に及ぶ解雇が発表されておる。しかも最初は来年の三月一日であります。先般全駐労の諸君の陳情を受けたわけでありますが、皆さんの陳情の中に、少なくとも九十日以上の事前の予告がほしいということがございます。私ももっともだと思うのでありますが、昨年の中央駐留軍関係離職者等対策協議会の決定の対策の中にも、「米軍当局と連絡を密にし、駐留軍関係労務者の雇用計画を明示するよう要請するとともに、人員整理に当っては、可能な限り長期の事前調整期間において配置転換等を行なうこと」、こう書いてありますが、今度の場合は、ほんとうに十二月の、この間の安全協議委員会で初めて防衛庁知られたわけでありますか。その点をまず長官にお伺いしたい。
  59. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 正式には日米安保協議委員会ででありますけれども、その前から大体の可能性について下話はありました。しかし確定数及びどの職種がいつごろということは、先方も、陸海空が予算の分配の調整がなかなかつかなかったようです。最後のぎりぎりになりましてもまだつかない情勢で、二十一日の委員会の開催すら危ぶまれたというのが状況であります。太平洋軍やあるいは在日米軍の内部において調整が非常におくれまして、今日のような数字が出てきたというのが実相でございます。
  60. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これは施設庁長官にお伺いしますが、昨年の十一月の協議会の決定に基づいて、あなたのほうは米軍当局に対してどういうふうな申し出、連絡をしていらっしゃいますか。早くということですね。
  61. 島田豊

    ○島田説明員 防衛施設庁といたしましては、従業員の雇用の安定化を促進するというので、米側に対しましては、見通し得る将来の、少なくとも年間の雇用計画を明示するように、しばしば要請をしてまいったところであります。これにつきまして、米側は、その趣旨は一応了解しながら、その特殊性と申しますか、そういう点から、明確化につきましては非常に困難であるというふうな態度をとってまいっておるわけであります。しかしながら、米側としましても、当庁の要請に対しましては十分理解をいたしておりますので、その点につきましては、今後ともできるだけ早期に米側の計画を明示するように、さらに強く申し入れをしたいというふうに考えております。
  62. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 いろんな事情があると思いますけれども、やはりこういうことは米軍のほうにもう少し強硬に申し込んでもらいたいと思うのであります。  時間がありませんので、私、全駐労の皆さんからお話を伺いまして、なるほどな、これはやってあげなければいけないなと思いましたのは、特別給付金の増額支給の問題、特別休職者制度の問題、離職者対策センターの強化の問題であります。この三つの問題につきまして、いま政府のほうではどういうふうなお考え予算措置を進めていらっしゃいますか、お聞きしたいと思います。
  63. 島田豊

    ○島田説明員 離職対策につきましては、いろいろな角度から多角的に考えなければなりませんが、予算措置としましては、いま先生からお話しございましたように特別給付金の増額、これは従来、整理対象者に対しましては勤続年数に応じまして二万円から二十七万円という支給でございましたが、これを七万円ないし三十五万円という増額をしたいということで現在要求いたしておりますし、折衝中でございます。  特別休職制度の創設につきましては、これは雇用の安定化を促進するという意味で、政府独自の発案として現在要求いたしておるところでございますが、年齢が五十歳以上になりますと非常に再就職が困難であるということから、そういう再就職についての十分の余裕期間をとりたい、また別の地区で欠員が生じましたらそれに充当したい、というふうなことで、解雇から三カ月間休職期間を設けまして、その間給与を支払う、こういう制度を初めて考えまして、現在これも折衝中でござ  います。  それから離職対策センターにつきましては、従来四カ所にございました離職センターを対象にして、これは四十五年度からそれに対する助成ができておりますが、さらにこれを三カ所広げまして、七カ所の離職センターにつきまして、それぞれの助成金を助成したい。こういうことで、極力要求中でございまして、これからさらにその実現にも努力したいというふうに考えておるわけでございます。
  64. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これは中曽根長官にお願いですが、いまお聞きになったとおりでありまして、この三点とも私いまぜひやってあげなければいけない問題だと思うのであります。長官もこれは御努力を願いたいと思うのでございます。  それから、内閣審議室、見えていますか。――実は私、さっき読みました昨年十一月の対策協議会の決定をいただいて読んでおりまして感じましたことは、御承知と思いますが三十二年の九月に閣議決定の対策要綱があるわけですね。これに比べて後退しているじゃないかということなんです。具体的に申し上げますと、たとえば、三十二年の閣議決定では、離職者の事業の許認可について優先的に扱う。これはいいのですが、国有財産の払い下げ、米軍財産の処分について優先的にやるということがあったのが抜けている。これはどうしてこんなに抜かされたのですか。
  65. 葛西嘉隆

    ○葛西説明員 ただいまの御指摘の点、昨年の離職者対策の六項の(1)で、自営業を始めます場合の援助措置ということで一応盛り込んであるわけであります。
  66. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 「返還財産の処分等について」これに入っているということですか。ことばはどうでもいいけれども、実際上三十二年の閣議決定を後退しないようにぜひお願いしたい。  それから、この三十二年の閣議決定では、企業の誘致につきましても、自衛隊等で必要とするもの以外は、離職者が優先的に扱えるような企業誘致を考えるというふうな決定があるわけですね。今度の返還基地の中でも横須賀の旧海軍工廠が返還になるということがありますけれども、これらはどういうふうな経営形態でおやりになるのかは知らぬけれども離職者が雇用できるような条件でぜひあと使用の問題を考えていただきたいと思うのでありますが、これは中曽根長官ひとつ御答弁願いたいと思います。
  67. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 離職者の待遇につきましては、われわれとしては最大限の努力をいたすつもりでございます。しかし、横須賀のように五千人も一挙に出るところは、われわれが一番腐心しているところでありまして、市当局あるいは関係方面と十分連絡をしまして、不安のないように最善の努力をいたしたいと思っております。
  68. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 中曽根長官に期待するところ多大でございますが、もう一つ問題は駐留軍の健康保険組合ですね。こんなに解雇が出てきますとだんだん健康保険組合の経営が困難になっていくだろうと思うのでありますが、これは防衛施設庁、どういうふうにお考えでございますか。
  69. 島田豊

    ○島田説明員 健康保険組合につきましても、このように大量の解雇が出てまいりますと、被保険者の数が減ってきますし、掛け金が減ってまいります。一面におきまして、解雇されました者につきましても、従来からの療養給付は約五年間継続して行なうということになっておりますので、毎年毎年赤字ということになるわけでございます。したがいまして、いろいろな事業につきましてもこれを割愛せざるを得ないというふうな状況でございまして、それほどの大量の解雇が出てまいりますと、今後この運営をどうするかということが大問題でございますので、これにつきましても従来のような国からの補助金というものをできるだけ増額をする。これも恒久的な対策というものはなかなかむずかしい問題があり非常に深刻だと思いますけれども、できるだけ国としても補助金を増額するということで、現在予算要求中でございまして、これにつきましても、できるだけ実現をはかるように最善の努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  70. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 時間がないので、はなはだ残念でございますが、質問を終わりますが、私は今後やはり基地の整理縮小ということは進むと思うのですね。駐留軍の労務者の解雇は今後だんだん多くなってくると思うのであります。今回の対策を将来とも変えないでいけるように、この際ひとつ万全な対策を政府において講ぜられまして、この事態に対処されるように強くお願いいたしまして、質問を終わります。
  71. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 関連。長官お尋ねいたします。米当局と駐留軍の撤退問題について具体的にどういうような話し合わせを長官が過去一年間したかということをお尋ねします。  私は東南アジアのある国で、日本は島国根性になるな、兵隊ごっこをするな、スポーツカーに乗るな、こういったようなことがよくいわれていることを知っています。いろいろなやっかみがあったり嫉視があったりすると思うのですが、やはりその中に傾聴すべき点が日本人としてあると思うのです。そういうあらしの中で駐留軍がだんだんと撤退をしていく。それが相当早い時期に急ピッチで撤退するであろうということを、私は昨年十一月にペンタゴンで直観したのです。これは個人的な訪問で、公でありませんので、申し上げてもけっこうだと思うのですが、そのときに三十八度線でホールアタックがあるのかないのかという質問があったので、ホールアタックはないだろう、しかしゲリラの進入は続くであろう、こういう極東アジアのほうの情勢を報告したときに、そうならばわれわれは思い切って平常の軍事予算に返していきたいのだということを、向こうの国防担当の国会議員数氏が口をそろえて言っておりました。そういうような状況の中で急ピッチで撤退が行なわれるであろうということを個人の私としても直観いたしました。そういうときに、数年前ですか、西ドイツでアメリカの兵隊は駐留せよ――これは国柄が違いますから必ずしもそのとおりはいわれないと思いますけれども、あまりにも早い撤退というものは、駐留軍に働いておるたくさんの人々の離職問題もある、あるいは日本の国防政策上の問題もある、したがって急ピッチな撤退ということは日本国内に混乱を来たすであろうから、よほど計画的にやっていただきたいということを、個人的に話したことがあります。私はそういったようなことから見て、現在非常に繊維問題や国防問題で日米間でおそれることは、私は日本という国がまた島国根性の国際性のない日本人になっていくのじゃないかということを、非常におそれるのです。撤退理由はいろいろあるでしょう。あるでしょうけれども、私は、米駐留軍の撤退時期、その計画性、そういう問題の中から、長官が米当局と話す間において、どういう考え方お話しになったか、それをお聞きしたいと思うのですが、答弁をお願いしたいと思います。
  72. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私は政治家といたしまして、もう数年来、在日米軍基地を整理統合して縮小すべきである、そうして少なくとも通常兵器による本土防衛日本自衛隊が責任をもって当たるべきである、特に首都圏においては、都市近郊の基地は整理統合すべきである、そういうことを強く主張してきたことであります。そこで、防衛庁長官に着任しましたときに、自分はほんとうにいいポジションを与えてくれたと思ったのは、そういうことを実際やるチャンスができたと思ったものだから、そういう意味で喜んだわけであります。そこで、着任以来そういう構想をもちまして、部内においてもそういう考えを実践するから、まず心がまえの用意をし、それからいろいろ実際の引き継ぎや何かの問題も検討せよ、そういうことを言いまして、約半年くらい部内においていろいろな問題の準備やその他をやったわけです。特に六月二十三日の安保条約の自動継続以降というものは、第一義的に、日本防衛については日本が責任を負わなければならない、こういうことを常に強調して、自主防衛あるいは国防の基本方針の改革というようなことまで言及してきたわけであります。それで、五月十九日に日米安保協議委員会が開かれまして、このときに正式にその要望をアメリカ側に出したわけです。アメリカ側もそれでは相談しよう、そういうことになって、それから事務レベルの相談がずっと続きまして、七月には事務次官、外務省の担当官アメリカに行って、事務次官レベルの会議も開きました。そのころは、一般的、抽象的に日本側の考え方を検討して、両者で計画をそごのないように調整しよう、そういうことで進められてきておったのですが、私がアメリカに行きましてレアード国防長官に会いましたときに、重ねてそういうわれわれの見解を述べて、われわれは次の防衛計画については概要次のような計画を持っておる、あなたのほうの考えを示しなさい、そういうことで先方と突っ込んだ話し合いをしました。それに対して先方は、われわれの考えをきわめて合理的であると評価をいたしまして、それに応ずるような考え方を出したい、そういうことでありました。特にパッカード次官に会いましたときに、来年六月までに、あなた方と調整しながら思い切って削減するつもりであるというようなことを言っておりました。そういう過程に水戸の問題とか所沢の基地問題が出てきたわけであります。しかしどの基地で何人減らすとかいうことは、三軍の調整の問題が最後まで残っておりまして、われわれのほうとしてはできるだけ早く基地別に整理される人間を知らしてもらいたい、われわれにはその対策があるのだ、そういうことで何回となく強くそれを要請したわけです。ところが向こうの事務手続がかなりおくれまして、どの基地で何名というのをなかなか出してこない。これでは労働組合の諸君も非常に迷惑だ、せめて、大体われわれが推定するからショップごとの、どのショップを整理するかということを、われわれのほうに知らしてもらいたい、そうすれば、大体の概数がわかってくるということで、そういう要請までしたりして、とうとう十二月の中下旬にまで至って、先方は陸海空の内部でいろいろもみ続けていたようです。それで、最終的に二十一日になって出てきたというのが実相でありまして、先方のほうもなかなか事務手続が円滑に進んでいなかったというのが実際の姿であります。しかしわれわれのほうとしては、これは一番受け入れの大事なポジションでありますから、一日も早くその実態を知って手配をしなければならぬし、九十日の予告期間というものは、われわれも労働組合の諸君に、最大限守るようにやらせる、そういうことを言っている責任もありますから、その点も強く先方に対して言ってきた、これがその実相であります。
  73. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 それでは、長官にお願いしておきます。そういう過程で交渉されたということは了解いたしました。そこで、年末に追っての離職者に対しては万全の措置をとるように、国のほうとしても、予備費を使ってでも、私は、年越しができるような態勢をとるように、防衛庁長官にお願いを申し上げまして、終わります。
  74. 天野公義

  75. 大出俊

    大出委員 予算の時期で、たいへんお忙しいところをお呼び立てして恐縮でございますが、実はこれも経緯がございまして、当委員長では、せっかくこの理事会でお願いを申し上げましたところが、各党全部御賛成をいただきまして、みんなでとにかくひとつこの離職者方々に対する問題を取り上げていこうじゃないかということでおきめを賜わりまして、しかも特に与党の皆さん基地対策委員会等でも、組合の関係者まで呼んでいただいたりして御検討いただいたり、実はたいへんな御尽力を賜わっているわけでありますが、それだけに幾つかの論点について、この際ぜひこれは明らかにしていただきたい、こういうふうに思いまして、お忙しい中をおいでいただいたわけなのでございますが、御出席いただきましてありがとうございました。  一番問題は、防衛庁がかつて予算要求をしておられますのは四十六年度についてでございまして、この中に給付金その他七億五千万ぐらい、また休職手当制度をつくるということで一億ちょっとの金あるいはセンターに対する助成という意味での二千百万ばかりの金というふうなことがあるわけでございます。ところがこれはすべて四十六年。だということになると、おそらく防衛庁の側のものの考え方は、この種の人員削減の整理が出てくるのは四十六年、こういうものの見方があったのだろうと思うのであります。ところが急遽相手側が早くなって、年内あるいは年度内に決着がついてしまう、こういう部面の方々が九千人も出てくる、こういうことになったわけなのでありますけれども一体防衛庁のほうが準備していたにもかかわらず早くなった。だとすれば、私は、何で一体この年の瀬にあっさり相手方の言い分をのんで合意をされてしまって、こういう整理を発表したのかということですね。何とも納得できない。したがって、そこのところをまず――去年の暮れも実は同じことがあった。私は長官に本会議でも質問をいたしましたが、年末忽々の間でたいへんお気の毒をした、だからできるだけのことをしなければという気持ちで、実は給付金の増額等を考えたというお話をされた。たいへんどうも年末忽々の間で迷惑をかけたと言っておられる。これは長官御就任間もないころですから、私もそれ以上は言わなかったのですけれども、またことし、何でこの年の瀬に、師走の風が吹いているのに、あなた方が考えてきたこと以上に向こうが早くなってきたということで、なぜそれをあっさりおのみになったかという点、これは何で年が明けてから出して悪いのかという点、理解に苦しむのでございますが、そこら一体どういうことでありますか。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは、一つは予告期間九十日というのがありまして、九十日の予告期間を守らせるということが私たちの公約でもあります。そういう意味から、九十日に触れないように、先方になるたけ早目にその通知を出させるということが、関係者に対して御迷惑をおかけしないゆえんでもある、そういう考えに立って、九十日問題というものを非常に重要視しましたことでもあります。
  77. 大出俊

    大出委員 地元の新聞などを見ますと、私もよく知っております地域ですけれども、場所は横須賀ですが、「“軍港の町”にショック」という見出しで、「せめて正月過ぎだと……」と皆さん異口同音にそう言っているんですね。横須賀の場合でいいますと、整理をされる方々の中で、横須賀在住者が五千名いるんですから、家族含めて二万人からいる。こんな小さな町の中で二万人も家族をかかえて年を越す方が出てきているわけでありますが、せめて正月過ぎ、また、こんなにたくさん解雇するんなら、何で何回かに分けて出さぬのか、たくさん不満がわき起こっているわけでありすす。さっき市当局と連絡をされるとお話がありすしたが、横須賀の長野市長自身が、くちびるをかみしめて、これでは町の世論というものを盛り上げて一戦やるよりしようがない、ということを口走っていられる。そんな状態にあるのですね、現実は。しかもこの五千の方々は、調べてみますと、かつて戦後、基地労働者が少ない時期に、車北方面まで出ていって集めてきた方々たくさんいる。勤続年数の少ないほうから切ってきましかから、いまいる人は五十過ぎがたくさんいる。こうなってしまっているところへこういう措置をとる。必要なときには集めておいて、要らなくなればネコの子を捨てるように捨てるのかという意見が出る。これは町の表情ですよ。これだけ長いとと、二十数年つとめているのですからね。だとすれば、これは九十日の予告期間という問題についても、一体日本政府アメリカと話をして、そのくらいな話はなぜつかないのかという気がする。何でもかんでも、こんなことまでアメリカの言うとおりしなければいけないのかという気がする。ただ単に九十日というんならば、現在だって三月五日に首になる人はないです。同じことじゃないですか。そんなことをいえば、去年だって御迷惑をかけたと言っておられる防衛庁皆さんが、また同じことを何でやらなければいかぬのですか。私は、もう少しやりようがあると思います。日本政府一体あるのかないのかということになりますが、そこらはどうなんですか。
  78. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 関係者に対しては、できるだけ時間を置いて、そして今後の身の振り方とか相談することとか、いろいろなことがあると思いますので、九十日、百日、あるいは九十日を割る場合でも八十日台、そういう考え方に立って、自分が失職したときのいろいろな準備や対策を講じてもらうという考慮もあって、この九十日問題というものを非常に重要視したわけであります。そういう考え方が間違っているかどうか。私らは、やはり該当した人は、それを知らされた瞬間から、一番自分の身の振り方から何から考える時間がほしい、そういうような気持ちがしたものでありますから、いまのような考え方で、われわれも賛成したわけであります。
  79. 大出俊

    大出委員 これは、ことばの上ではどういう言い方もできますから、その点をやり合ってみたってしかたがありませんが、続いてもう一つ承りたいんですが、今回合意をされて出しておられる共同声明形式のものがございます。この中身を読みますと、こここに、アメリカ側は、非常にまじめな、誠実に忠誠心を持ってやってきてくれた日本人の従業員諸君、「忠実かつ献身的な従業員を失うことを避けえなかったのはまことに遺憾である旨述べた。日米双方とも、これら従業員の苦境をやわらげるため最善を尽すとともに、その再就職を援助するためあらゆる努力を払うとの意図を確認した。」こうなっているんですね。この「苦境をやわらげるため最善を尽す」、こういうのでありますが、抽象的に、きわめてこれを一懸生命おやりになっている、となっているのですけれども、これを具体的に言ったら、一体どういうことをおやりになろうというのですか。
  80. 島田豊

    ○島田説明員 米軍の側におけるいろいろな方策としましては、一つは、基地内訓練と申しますか職業訓練、そういうものについて便宜を与えるというような考え方もございますし、解雇の人数等をきめる場合におきましても、できるだけ内部における再配置等も考えまして、その辺の具体的な人のきめ方についてはいろいろ考慮するとか、さらに解雇者に対しまして米側のほうとしてもできるだけ再就職等につきまして考慮を払うとか、そういうふうな内容が含まれておるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  81. 大出俊

    大出委員 これは一体何ですか。基地内訓練、こんなことはどこでやったってできることで、あたりまえのことです。内部の再配置は実際にやっていますか。横須賀なんか艦船修理部は、保安職員のほかは、定年退職を入れれば、全部いなくなってしまう。何が再配置ですか。米側が再就職を認めるのですか。そんなばかなことがありますか。――お答えがないということは何にもないということではないですか。そんなべらぼうな話はないですよ。さっきから申し上げているように、二十五年もつとめていて、雇っているのは日本政府でしょう、防衛庁でしょう。これはあなた、東北のほうから引っぱってきた人もたくさんいる。みんな五十をこしてしまっている。一生ここに働いてきた。だからそれに対する最善の措置を、「苦境をやわらげる」というところからやろうというならば、こんな抽象的な文句が出るときには、かくかくしかじかこういうことになっていますということを全部ぴしゃっと言えるようになぜしておかないのですか。何の準備もないじゃないですか。さっき私は山中さんに聞いてみたら、山中総務長官というのは中央離職者対策協議会法律上の議長でしょう。議長に何の連絡もない。今日まで全くのつんぼさじき、新聞で見ただけというそんな無責任な話が一体ありますか。だから、何にもやりようがないでしょう。幹事会一ぺん開いただけ。五千人も、家族を含めて二万人。横須賀の小さい町の中に五千人首になって――市長だって認めていますけれども、横須賀というところは、いきなり首になる五千人を吸収できるような求人需要がないのです。そうだとすると、労働省の方もお見えいただいておるけれども、職業紹介などをやったって、にっちもさっちもいきはしない。さっき離職者センターの話が出ましたが、四カ所あるというけれども、一カ所は三人しかいない。三沢の中だって三人。しかも人件費を防衛施設庁は半分しか持っていない。それなら一体人をどのくらいふやせば相談に乗れるのか。何にもないじゃないですか。だから、どういう構成をしてどういう職業紹介をすればいいか。求人需要がないですから、広域紹介をしなければならぬ。広域紹介をするのだとすれば、そのときほかのほうに行かなければならぬ。しかも、これはさっきも加藤さんの話の中にありましたけれども、これらのいなかから引っぱってきた方々は縁故がない。そうすると、縁故でほかにもぐり込むわけにいかぬ。だから、その証拠に、追跡調査してみると、昨年八月以来二千人首切りされて、再就職して職を見つけている者が七割います。残り三割はいまだに就職していない。ところが、七割のうちのもらっている賃金を調べてみると、ほとんど二分の一です。中小零細企業しかないのだからそういう状態。年功序列賃金だから、二十五年もつとめていれば上がってくるのはあたりまえ。それを中小零細企業へ行くということになれば、半分に賃金が減ってしまう。子供さんもいて生活規模がきまっているのですから、せめてそれを維持しようとすれば、東北のほうに行ったって、高い賃金ならば行きたい。そして宿泊はどうするかという問題だって出てくる。そういうところをきめていく計画、立案というものは中央離対協、ここがやる。その議長に何の連絡も今日までない。むしろ一昨日の三時から総評の議長の市川さん以下に会って具体的に聞いて、なるほどやらなければならぬという気になった。そういうばかげたことがありますか。それで最善の措置をとるとか苦境をやわらげるとかいったところで――この最善の措置はアメリカだけじゃないのですよ。両方さしている。「日米双方とも、これら従業員の苦境をやわらげるため最善を尽すとともに」、こうなっている。そこら一体どうなっているのですか。
  82. 島田豊

    ○島田説明員 先ほどちょっと私勘違いしたかもしれませんが、米側としてどういうふうなことか考えるかというふうな御質問だと思いまして申し上げましたが、もちろんわがほうの政府といたしましては、いろいろな角度から多角的な手を打たなければならないということで、すでに先ほどの中央離職者対策協議会幹事会も私どものほうから要請いたしまして開いていただいたような次第で、その時点におきましてはまだ具体的な数字が出ておりませんので、その話し合いを通じまして近々対策協議会を開いていただく、こういうふうな要請をしておるわけであります。一面、労働省のほうの諮問機関でございます審議会におきましては、すでに各委員、関係者集まりまして、それぞれの関係機関がどういうふうに責任を持ってやっていくかということについては話し合いを進めておるわけでございまして、われわれのほうとしましては、できるだけまず予算措置を講ずるということ、それから私どもの所掌の範囲内におきましては、先ほど申し上げましたような職業訓練等につきましてもできるだけのことをしたい。それ以外のことにつきましては、それぞれの所掌に応じまして、関係官庁がそういう対策協議会等を中心にしましていろいろな対策を講じていただくということを要請いたしておるわけでございまして、先ほどの答弁ちょっと勘違いの点ございましたので、御了承いただきたいと思います。
  83. 大出俊

    大出委員 したがって、これは本来この声明の趣旨、意図するところからいえば、特別給付金の引き上げ問題、増額問題はこうである、休業手当というのは制度化をしてこうなるのだ、それからセンターへの助成というのは具体的にこうなんだ。そうして、時間がないから私のほうから言いますけれども、さっき申し上げた二千人のうち七割はいろいろなところに就職しておりますが、残り三割の方はどうなっているかというと、失業保険をもらう期間が九カ月。それが切れてしまうと、かつて議員立法で各党の皆さんに御援助をいただいてできております臨時措置法、この面でいうところの就職促進手当あるいは雇用奨励金というものは失業保険の額の六割足らずしかないのです。三年ありますけれども、そこまでみんないっちゃっている。これは失業保険の六割足らずしかない。当時つくったときには二万四千円しかなかったのですから、そうなると、この方々の行く末というのは、そこまで行くのです、大半の方が。今度の場合はかつて首になっている方々よりも年齢がみんな高いのですから、そうすると、それに対する手当である限りは、それに対する苦境をやわらげる最善の措置である限りは、いまおっしゃるその程度のことじゃこれは困る。より具体的にもうすでに準備ができていて――麗々と日米安保協議委員会の発表文といって出すなら、これが出てきたときには、この裏づけになる最善の措置というのは、相談をしてこういうことになっているのだ、こうなっていなければ正月の酒が飲めやしません。子供に、おとうさん三月で首になるのですねと言われたら、正月の酒が飲めやしない。やはりそこまできめこまかく考えてあげるのが政治であり、かつ行政でしょう。私はそう思う。こんなから念仏を書くなら、なぜそこまでやっておいて、その上で整理通告を出さないのか。九十日のことも守られていない。そういう不人情な話は世の中通らぬと思うのです。そこのところはどうなっているのですか。
  84. 島田豊

    ○島田説明員 これは各官庁がそれぞれの所掌に応じまして最大の努力をするということであろうと思います。したがいまして、その点はそういう協議会なり審議会等を通じまして、お互い十分協力し連携しあってやっていく、こういうことだろうと思います。私どもとしましては、まず予算措置それから訓練、こういうふうな点につきまして、われわれもできる限りの方策を講じていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  85. 大出俊

    大出委員 私は過ぎ去ったことをここで言ったってしようがないと思いますよ、それは。だから、私は、ここまでくれば皆さんができるだけのことをしていただかなければ困る。各省の関係は中曽根さんが、基地関係閣僚協議会ですか、そこで話をされたことを聞いた。各省の責任でやってくれということの趣旨のことを私は聞いた。だが、そうじゃなくて、雇っている、直接的にこの関係のあるのは防衛庁なんですから、そこからやはりほんとうに一生懸命になって各省を引き入れてやるという姿勢でなければ、各省の責任においておやりくださいという言い方という手は私はないと思うのですよ。  これは中曽根長官に承りたいのですけれども、そうしたら、福田さんは、わかりましたと言った、労働省がそれは努力すべきことだと言ったなんという話がありますけれども、いまおっしゃるように、各省それぞれがとおっしゃるのだけれども、そのために中央には総理府が中心になって中央離対協があるんでしょう、各省にまたがるから。それをやはりあなたのほうが直接雇用しているんですから、あなたのほうが音頭をとって、全部集まってもらって具体化して――いまのお話を聞いても何にもない。予算措置とは何ですか、いまおっしゃっているのは。それじゃ困るじゃないですか。具体的にどうするか。いまの職業安定機構だけでできやしない、そこらをどうするかということまで全部きめてくれなければ、話は前に進まないじゃないですか。さっき千歳の話が出たけれども、北海道のクマ・ステーションの話が出たけれども、横路君のさっきの質問だって、七百人から切られている中で、あれから四カ月たって就職の見通しがほぼつきかかっているのは三十人しかいない、四カ月もたっているのに。いま横須賀だけだって五千人住んでいるのが、それじゃ来年の三月にほんとうに切られるときまでいって、いまからいって四カ月しかない。四カ月足らず。そうすると、五千人のうちのさっきの比率からいくと、ほんとうにそれこそ数えるほどしか就職の見通しは立たない。それが目に見えているのだから、それをどうするかということをあなた方は考えてくれなければ、二十何年もつとめてきた皆さんに相すまぬです。そこら大臣、この間閣僚の方々お話しなさったそうですから各省との関係はどうなっているというふうに御判断なさっていますか。
  86. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大蔵大臣に対しまして、来年度予算要求していること並びに来年度予算にいく前にいろいろ整理にあう人たちに対する待遇等について特に重大な考慮を払うように要請をいたしました。また、労働大臣あるいはそのほかの関係大臣に対しましても、こういうものが出てくることになりそうだから、手当てについては万全を期してやってもらいたい、そういうことで各省が準備態勢に入れるように注意を喚起したわけでございます。各省、やると言っておりました。
  87. 大出俊

    大出委員 労働省、まだおいでになりますか――お待たせして恐縮なんですが、という長官お話を労働大臣は受けておられるわけですが、具体的にはどういうふうにお進めですか。
  88. 保科真一

    ○保科説明員 今回の大量解雇は、時期的にもまた地域的にも集中して発生するものでございます。中高年齢者が多いというような就職の困難な方々もございますので、非常に重大な事態だというふうに考えております。この再就職の促進をはかりますために、臨時職業相談所の開設等によります職業紹介、職業相談、それから公共の職業訓練法による職業訓練の実施、それから就職促進手当とか雇用奨励金等の活用、こういうような対策を講ずる等によりまして、再就職につきまして最大限の努力をしたいというふうに考えております。
  89. 大出俊

    大出委員 もう過ぎたことは言いませんが、就職促進手当、雇用奨励金といっても、さっきここで申し上げたように、失業保険期間が過ぎてからの話なんですね。そこまで行っちゃっては、率直にいうと、困るわけですよ。いまおっしゃる臨時職業相談所というのは、私は神奈川ですからよく知っておりますが、その陣営たるや、これはまたお話にならぬ。人と金がないんですよ。だから、島田さんが言っている予算措置というのは、防衛庁のみならず、関係各省でやはり御相談をいたかいて、特別に人と金――広域紹介、そこから先今度、紹介した人についての宿泊施設の供与その他のことも含めて、一例をあげればたくさんありますが、そういうところまでお考えいただかなければ、万全を期す対策にはならぬですよ。そこらのところをどっかで中心になってやっていただきたいと思って総務長官に言えば、何にも報告を受けてない。受けてないから、やりようがないと言う。それじゃこれは中心が何もない。そうでしょう。そこからは中曽根長官、ぜひ御協議をいただいて、早急に――私は現地の事情を知っておりますけれども、横須賀の基地の中に臨時職業紹介所を設けたって、相談のしようがないですよ。五千名の首を切る。ですから、小さな臨時職業紹介所をこしらえましたということで、行政上の責任を何とかそこらでかっこうをつけたというのじゃなくて、そこらは、もう繰り返しませんけれども、もう少し地についたように運ぶように御相談願えませんか。長官、いかがですか。
  90. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 山中総務長官には、基地対策の閣僚協議会をやりましたときにも、彼も出席しておりまして、こういう数字で出てきますのでよろしくお願いします、こう申し上げて、彼は知っていると思います。  それから、そのほかの諸般の各省の対策については、労働大臣からもいろいろな注意もありましたし、関係各省万全を期してやろう、そういうことでいまいろいろ準備段階に入っている最中であります。防衛施設庁は当面の最も責任を持っておるものでありますから、これにつきましても全力をふるって各方面に対して努力をしていくつもりであります。
  91. 大出俊

    大出委員 これはたまたま、横須賀の市なんというのは御存じの長野という市長がやっておりますが、神奈川の津田県知事なども、新聞に本人が、日本の慣行に反して年末に首切りの通知をするということはもってのほかだというようなことを言っておられまして、やる気でおられるから、そういう段階で一生懸命やることは――ぼくらも協力してやっておるわけですけれども関係の両方の市も県も、いずれにせよ国にみこしを上げてもらわなければ、大出さんどうにもなりませんと言っているのですから、そこのところをやはりお含みをいただいて、ぼくらも一生懸命やりますけれども、また関係の各党の皆さんも政党政派の問題でなくて一生懸命やっていただいておりますけれども、どうかその先の国のほうを、皆さんのほうが火をつけていただいて促進を願いたいのです。こまかいことを言う時間がありませんから、大筋を申し上げればそうなんです。  そこで、幾つかの疑問のある点について一つ一つ、時間の範囲内で承ってまいりたいのですけれども、この日米安保協議委員会の発表の中に、具体的に横須賀の艦船修理部の問題が出ているのですね。ここでうたっておりますのは、どうもいっていることが、「六号乾ドックを除く艦船修理部を日本政府に返還する。」つまり艦船修理部の中の乾ドック六号を除いて返還する、こういうわけですね。「米側は、同修理部の返還後も米海軍艦船の修理のため同施設の利用が可能となるようにとの希望を表明」した。つまり米側は、この艦船修理部は首を切ってなくなっちゃうのだけれども施設は残っている、この施設を使わしてくれという希望を表明した。「日本側は、米国が必要に応じ当該施設を利用しうるようなしかるべき契約による取決めを結びうるように援助するため最善の努力を払う旨述べた。」こうなっているのですよ。平たくいえば、これは艦船修理部を民間に移すということになるのですか、そして優先使用の条件を契約上明らかにするというのですか、そこらのところはどういうことですか。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いわゆるSRFの処理については、いまいろいろな方面と検討している最中でありまして、いずれにせよ、米軍がこれを利用するというときには契約によってやるということになる、国の場合も民間の場合も変わりない。その意味で契約ということばが出ております。
  93. 大出俊

    大出委員 そうしますと、ここでいっておりますことは、とにかく日本政府に返還するというのですから、艦船修理部は六号ドックを除いては日本に返ってくる、これだけはまず間違いないでしょう。返ってきたものを――参事官おられるけれども、あなた、出ておられたのですから一番詳しいのですが、ここまで来たのだからいいかげんなことを言わぬで言ってくださいよ。どうしてもまずいことは、ぼくも知っていてがまんして言わぬときもあるけれども米軍の意図というものははっきりしている。返ってくるのだから、これは住友にやらせるか浦賀ドックにやらせるか知らぬけれども、そうすると、民間企業だから、高年齢層、四十七歳以上、五十歳以上がほとんどなんだから、それを全部やめさせちゃう。そっちはそっちで処理する。新規労働者を入れれば賃金コストは安くなる。修理費も安くなる。まことにぐあいいいじゃないか。その際に優先使用契約を結ばしてくれ、そうすれば必要に応じてそこに来て修理すればいいんだ、民間である限りは、利潤が優先するんだから、年寄りは使わぬだろう、そうすると合理化が進んで生産コストは安くなる、修理代は安くなる。そういう虫のいい話は困る。だが、しかし、アメリカ考え方は前からそうです。そこらのところは一体どうなっているのですか。
  94. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 このSRFの今後の運用問題につきましては、先ほども長官からお答えしましたように、これから検討するということになっておるわけです。そこでただいま御指摘のございました今度の整理の対象になる労務者の方々の救済の問題が、今後の運営方針とからんで一つの大きな問題点になるわけですが、何ぶんどういう形でやるかということについては全く現在のところ白紙の状態で、これからその運営方式を関係省庁とも相談をしてきめていかなくちゃならないということなものですから、いまの労務者の問題につきましても、現在のところ、はっきりした具体案はございませんけれども、できるだけこういった労務者の方々を吸収するような方向で努力をすべきであるということは、関係者がみな了解をしておりますので、そういう方向で努力したいと思います。
  95. 大出俊

    大出委員 いま千五百ばかりおられますが、その方々をできるだけ吸収する。これはいいですね、原則は。よろしゅうございますね。  ところでこの艦船修理部でございますけれども、いま白紙でございますと、こう言うのですが、関係の艦船修理部の従業員の団体の方々からは、各市議会その他を含めて陳情書あるいは請願書が出ておりまして、その中では、国が責任を負うという形での機関をつくってくれ、施設をつくってくれ――どういうかっこうか知りませんけれども民間に切り離すのじゃなくて、国のつまり施設をつくってくれ、機関をつくってくれ、こういう言い方をしているのですね。そして引き続き継続雇用してくれ、こういうことを言っているわけですね。今度の場合は、施設は残っている、管理形態が多少変わってくる、そういう中で働いている人の首だけ切ってしまうというわけですから。いままでは、基地が返ってきたってなくなってしまうのですから、首にされてもしかたがない、あきらめがつきますけれども、今度は残っている、施設はある。にもかかわらず、働いている人間だけやめろと、こういうのですからね。これは納得できる筋合いじゃない。しかもそこに、安くつくからというようなことで、しばらくほっぽっておけば、首切り通告しているんだから、どこか民間につとめちゃうだろう、そういう見えすいたことは、これは困る。白紙というけれども、そこのところはいままであなた方が話し合ってきているんだから、防衛庁としてはどう思っているんですか。
  96. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 ただいま申し上げましたように、具体案についてはまだ煮詰まっておりません。防衛庁としてもいろいろ内部で意見がございまして、いまのところ結論が出ていないという状況でございます。
  97. 大出俊

    大出委員 そうすると、民間切り離しというのは前々から何べんも新聞に載ったことだけれども、動きもあったことだけれども――というのは、住友だってあるんだ、浦賀だってあるんだ、現に。そうでしょう。だから民営でやらせろという意見は相当強いのですか。どうですか鶴崎さん、そこのところは。それによってぼくらも考えなければいかぬもの。
  98. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 いまのところいろいろ意見もございますが、中にはやはり民有民営というような意見もございます。
  99. 大出俊

    大出委員 いろいろあるけれども、中には民有民営という意見もあるということですけれども、相当強い意見だろうと私は思う。それでいいですが、そこのところはいずれにしても、それならそのように考えていかなければならぬということになる。それにしても、先ほどの原則の、いまの方々をできる限り継続雇用の形で採っていくということを、原則としては考えておられる、くどいようですが、そこはよろしゅうございますか。
  100. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 なるべく吸収していくという方向で努力をしたいということでございまして、たとえば何割以上必ず救済するとか、そういう数字的な問題については、ただいま何とも申し上げかねます。そういう方向で努力するということでございます。
  101. 大出俊

    大出委員 最初はできるだけとおっしゃって、今度はなるべくに変わっちゃって――できるだけでいいですよ。そうでしょう。それなら、なるべくというものに言いかえる必要はないでしょう。できるだけ努力をされるのでしょう。よろしゅうございますね。  それからもう一つ、関係がありますから承っておきたいのですが、この厚木飛行場でございますが、これは先ほど運輸省航空局長さんにおいでをいただいていろいろお伺いをしたところが、これはどうしても民間航空機を入れたいのだという。そして成田空港ができる期間がある、時期がある。これが大体来年の六月から七月ごろ。来年の七月、この時点で羽田というのは満ぱいでどうにもしようがない。だから短期的な見通しを一つ立てれば、そこら民間に使わしてもらいたい。そして四十七年、四十八年はそれほどではないけれども、四十九年、五十年、ここでまた同様に民間飛行機をどうしても入れなければならぬ。五十五年になると、これはどうしても羽田厚木というもの両方とも最大限活用しなければやっていけないという長期見通しを持っておられる、こういうわけなんですが、これは島田さんのところで運輸省と話し合うというお話を前から私は聞いておったのですけれども、つまり一部使用というのは一体どういうかっこうになるのですか。
  102. 久保卓也

    ○久保説明員 私が運輸省航空局長と連絡しておりますので、私からお答えいたします。運輸省のほうの見通しは、いまお話しのように、短期的には来年のおそらく八、九月ごろまで、長期的にはいまお話しよりもう少しあとのほうではないかと思うのですが、そこで、さしあたってわれわれのほうの計画といたしましては、下総航空隊での使用羽田あるいは成田空港によって相当制限される、これは航空路などを図面でごらんになればおわかりになると思いますけれども、関東地方の東のほうは非常にふくそうしております。したがいまして、細々と運用といいますか、自衛隊の飛行機が飛びますよりは、なるべく分離したほうがよろしいということは、図面を見ればおわかりになると思います。したがいまして、私どもとしましては、なるべく厚木のほうに持ってまいりたい。そこで来年は一部を持ってまいります。したがってまだ相当余裕がありますので、来年の秋以前の民航用需要はおそらく満たし得るであろうと思います。  それから長期的な問題につきましては、今後私どもさらに下総の部隊が厚木に移動いたしますけれども、その後の状況によって十分に航空局と調整してまいりたいというふうに考えております。いずれにせよなるべくならば民と、それから自衛隊用の分離を考え、かつまた共用も考えるという、二つの、いうならば矛盾した論理をこの狭い関東地方で成立させてまいりたいと思っております。
  103. 大出俊

    大出委員 ここで二つ承りたいのですが、一つは、私はこの厚木の場合には四十六名だけでなく、そういう少数な方々が対象になるのではなくて、当初の動きからいきますと九百くらいのことになるのではないかという予測を持っていたわけでございますけれども、それがたいへん今回は少ない。つまり厚木飛行場のあり方いかんで変化もあるのだろうと思うのでありますが、つまりそういう意味の第二次整理通告という形のものが出てくる可能性が多分にあると思うのでありますが、厚木に関連をいたしますが、一般的にお答えいただいてもけっこうなんですが、そこら一体どういうことになるのかという点が一点、まずそれから承りましょう。
  104. 久保卓也

    ○久保説明員 厚木につきましては、原則はこの前発表されたとおりに出ておるわけですが、現地部隊と私どもとが連絡してみましたところが、現地部隊の縮小計画がまだ具体化されておりません。したがいまして解雇される人数は私ども承知しておりませんけれども規模そのものははっきりしておらない。飛行機のほうはわかっておるのですけれども一般の部隊で米側がリザーブすべき施設地域というものがはっきりしておりません。そこでそれがもう少し具体化されませんと、第二段、第三段ということはおそらく予側がつかないのではなかろうか、私どもからはそういうふうに観測いたします。
  105. 大出俊

    大出委員 それではこの際、長官に基本的なことを一つ承りたいのですが、今回のこの共同声明を注意深く読みますと、有事使用というものの考え方有事使用という書き方はしてない。あくまでもこれは共同使用ですね。そうなると、その共同使用というのはどういう形の共同使用かという点が問題になる。厚木の場合もそうでございます。厚木の場合は特に、板付と厚木というものの管理権日本に移るのだろうと思う。その場合の共同使用というのは一体どういう形なのかという点もはっきりしていただきたいのです。
  106. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 わがほうが主たる管理権を持って米軍使用させる場合、あるいは米軍が主たる管理権を持ってわがほうがともに使う場合等、そういう態様に分かれると思うのです。三沢の場合は米軍が主たる管理権を持ち、また厚木の場合はわがほうが主たる管理権を持つ、そういう体制であると思います。
  107. 大出俊

    大出委員 長官、それだけではちょっと困るので、もう少し明確にしていただきたいのですが、今回、有事使用という形ならば、何かあったら飛んできて使うということなのでありますが、どうもそこのところが注意深く書かれている。そうなると、これは地位協定でいえば二条四項の(b)を使うという解釈ではなくて、二条一項(a)という形で――つまり地位協定二条一項(a)というのは専用使用でございますが、厚木飛行場なら飛行場米軍専用使用面積は一割なら一割ということでまず確保する、残しておく。さてそうなると、そのほか、飛行場ですから、続いているのですから、そちらのほうの管理権日本の側に来る。一割というものは二条一項(a)という地位協定の条項に基づいて専用で残る。そのほかが管理権が返ってくる。それと専用で残った二条一項(a)という米軍専用基地管理権、その関係共同使用、つまり米軍管理権を持っている残された部分について飛行機が飛んできて入っていくという出入、ここに一つの問題が出てくる。その意味共同使用というのは成り立つ、こういう考え方がおありになるんだと思いますが、そこのところはいかがですか。
  108. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それは基地基地によって、また部分的にいろんな形が複合形態で残されていく、そういう形になり得るだろうと思います。したがって、ごく小部分先方が専用しているところもありましょうし、あるいは二4(a)になるところもあるし、あるいは二4(b)になるところもあるし、そういう複合形態として弾力的に考えていいと思います。
  109. 大出俊

    大出委員 長官、これは非常に重要なところで、言ってしまいますけれども、二4(b)ということで現在六カ所あるわけであります。硫黄島、ここもロランCの基地がありますから、あそこに入ってくる。管理権がこっちにある。その出入を規定している、こういうのから始まりまして、二条第四項(b)というのは「一定の期間」、こうなっておりますから期間の規定が必要である、こういうたてまえ。だから、これからいきますと、昭和何年何月から何年何月までというふうにぴしゃっときめて規定しているケース、これは一回限りぐらいのところが多いわけであります。それからたとえば、年内百五十回なら百五十回射撃をやりますという長坂の射撃場のような場合、これも期間が限られている。それから他の施設に入る、出入、いまのロランCの硫黄島のような場合、私行って見てまいりましたが、基地がある。そこへの出入の頻度によって違いますから、それはそのつどということだけれども、大筋では一定の期間がきまっている。それから東富士、あそこも日程の回数その他については現地調整になっていますけれども、一応一定の期間という期間制限はある。そうすると、いままでのケースを全部拾ってみても、すべて一定の期間というものについては、一定の期間らしい期間設定というものがちゃんとある。その期間設定のないものはない。そういう解釈を旧来とってきているところへ、今度は長官が前から言っている共同使用という形で二4(b)を使うということは明らかにできない、期間不定期なんですから。何か有事のときにはかってに来て使う、そんなことは二4(b)の解釈上出てこない。そうすると残る問題は、さっき私が申し上げているように二条一項(a)という米軍管理地域を、五%か一〇%か知らぬけれども日本側に返ってくる基地の中に残しておく、そこへの出入という形の二条四項(b)というものを使うならば、硫黄島のケースが出てくる、そういうことしか考えられないはずであります。そこまで明確にしていただかないと、あなた方は外務省と相談しておられるのですから困る。はっきり言ってください、御存じの方でけっこうですから。
  110. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり一週間とか十日とか期間をきめて使用する場合には、二4(b)が適用されるだろうと思います。
  111. 大出俊

    大出委員 これは外務省のほういろいろ当たってみましたが、外務省側で言っているのは、ここでこっち側が管理権を持った場合は、二4(b)はこっちに管理権が返ってきた場合をさすのですから、この二4(b)という解釈をとっていない。それは愛知さんも出、あなたもお出になった席上でそういうことは出ていない。何が出ているかといえば、こちらに管理権が返ってくる場合は米軍の専用部分を残す。それは五%か一〇%かわからぬが残す。そして引き続き、飛行場なんですから、そこへの出入ということについては二4(b)というものが適用される。これは一定の期間が限られる。そういう解釈をとっている。これははっきりしていただかないと困る。そこまで外務省だって言っているところをあなた答えてくれなければ困りますよ。
  112. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 板付とか厚木につきましては御指摘のような問題があると思います。そこで一定の部分につきましては旧来どおり二1(a)の施設として米軍が排他的に専有的に使うわけですが、それとの関連におきまして、滑走路、誘導路というようなものは当然二4(b)で提供せざるを得ない。それからその他の地区についてはどうするかということは、これから合同委員会段階で検討する、こういうことになろうかと思います。  そこで二1(a)と二4(b)の関係でありますが、もちろん二1(a)で提供する施設との関連において使う二4(b)というものもございますが、必ずしもそれだけでなくて、たとえば台風のようなときに一度に相当たくさんの飛行機が避難してくるという場合、これは必ずしも二1(a)で継続して提供する施設との関係はございません。これは英語ではエクスパンデッド・ユースといっていますが、そういった場合もあるということで、一体どの程度使用の内容になるのかということにつきましては、やはり具体的にそれぞれの基地ごとに今後協議していくということに予定されております。
  113. 大出俊

    大出委員 ただ、いまの問題は――私は、地位協定の適否の問題、解釈の問題については、長官もお忙しいのですから、ここで論争しようとは思っていませんが、厚木というのは、専用地域が一割になるのか五%になるのか、いろんなことによって人に影響があるのです、私の言っているのは。当然そうなるでしょう。だから、厚木はどの程度の専用地域を二1(a)で残すかということが明らかになっていないならいないと答えていただいたほうが、さっき長官がおっしゃるように、早くその心がまえを該当者にという、そのくらいのところは私はわかって質問しているのですから、言うていただいたほうが考え方はまとまる、そう思っておりますから、そこをはっきりしておいてください。
  114. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それは先ほど申し上げましたように、基地ごとに種々の組み合わせでいくということで、どの基地がどういう組み合わせになるかということは、まだ先方とこまかく具体的に話できていないと思います。そういう意味で、どの基地が何と何と何の組み合わせでいくかということは、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
  115. 大出俊

    大出委員 しかし鶴崎参事官が、厚木のケースについては専用部分が残る、そしてそこに二4(b)を使うというケース、他の基地はいま長官のおっしゃったようにきまっていない。厚木についても面積がどれだけというのはきまっていないということなら、それでいい。いま長官の言っているのは、厚木についてはさっきそういう結論が出ているということですから、それはそれでいい、こう解釈しておいていいでしょう。いかがですか。
  116. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 二4(a)、二4(b)あるいはそのほか必要に応じた複合形態があり得ると思います。
  117. 大出俊

    大出委員 関連の方がありますので……。
  118. 天野公義

    天野委員長 横路孝弘君。
  119. 横路孝弘

    ○横路委員 先ほど、今回の解雇に対しては万全の措置をとるという答弁でしたけれども、実は八月の末に解雇が発表になった千歳の現状について考えてみますと、三月末までの解雇七百七十九名に対して、現在のところ就職が内定しているのはわずか三十名ですね。十一月で解雇になった百八十五名のうち就職したのがわずか十数名、こういう現状なんですが、解雇が発表になってからすでに四カ月たっている。一体防衛施設庁としては、この現実についてどういうぐあいにお考えですか。
  120. 島田豊

    ○島田説明員 各基地の所在しますそれぞれの市町村のいろんな雇用条件あるいはそれの受け入れ体制がどういうふうになっているかということは、それぞれまちまちだと思います。したがいまして、そのときの解雇数の規模地元の産業の形態、それぞれ違いますので、一がいにはなかなか申し上げられませんけれども、現地現地におきましては、府県の労務管理事務所等が中心になりまして、それぞれ府県に設けられます離職者対策協議会が中心になりまして、現実のいろいろなお世話をしているわけでございます。場所場所によりましては、おそらく御指摘のような非常に再就職の困難な事態も考えられるわけでございまして、私のほうとしてはそういう事実を否定するつもりはございませんが、関係府県あるいは市町村と、われわれといたしましては密接に連絡をとりながら、また関係機関の出先機関等に密接な連絡をとりながら、できる限りの再雇用、再就職という機会が与えられるような努力を極力いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  121. 横路孝弘

    ○横路委員 千歳の現状がこうなのですから、横須賀のように五千名も解雇が出れば、この再就職の問題というのはほんとうに重大なことなんです。そこら辺を、先ほど来御質問があったように、ひとつ防衛庁としても責任をもって処置をしてもらいたい。  そこでもう一点お尋ねしたいのは、二十一日の日米安全保障協議委員会の会合の中で、いわゆる九十日の事前通告の問題が話が出ているわけでありますが、実際には今回の発表のうち、九十日を満たしていない者が千三百四十九名おるわけですね。これについてはどうなのですか。もうすでにこの部分については防衛庁としては了解したのか、さらにこれはアメリカ軍のほうに対してその期間を置きなさいというような交渉をこれからさらにされるつもりがあるのか、その辺はどうなっておりますか。
  122. 島田豊

    ○島田説明員 今回の発表によりますと、約一六%の者が九十日予告を割っております。八十五日のケース、七十五日のケース、それぞれございますが、これはわれわれとしてはかねがね米側のほうには九十日予告期間の順守励行ということについては強く申し入れしておりまして、すでに米側も極力その実現に努力するということでまいっておりまして、私どももそういう懸念も一部ないわけでもございませんでしたけれども、とにかくできるだけ、極力そういう線でやってくれということを申し入れしておったわけでございます。ふたをあけてみますと約一六%の者が期限が切れておりますが、これは米軍としても極力努力した結果にもかかわらずこういう結果が出たということで、私ども非常に遺憾に存じますけれども、これをさらに、その解雇日を延ばすということについては、私どものほうは米側の誠意努力というものが十分認められると考えておりますので、いまのところその解雇日をさらに延長するということについては、われわれとしていま考えておらないところでございます。
  123. 横路孝弘

    ○横路委員 千歳の場合も同じようなケースでありまして、これは現地でもって交渉した結果延びているのがあるのですよ。九十日置くように再度交渉した結果さらにその解雇期間を延ばしたケースがあるのです、現実に。それはあきらめてしまわないで、これはやはりちゃんとことしの一月の覚え書きもあるわけですから交渉すべきだと思いますが、防衛庁長官どうですか。
  124. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先方に対しては九十日を守るように強く要請して、先方も最大限そういう努力をしてやった結果がこういう結果で出てきているので、これをとりあえず修正するようにやるということは考えておりません。
  125. 横路孝弘

    ○横路委員 ほんとうに解雇された人のことを考えているのかどうか、いまの答弁で疑問に思うわけでありますが、さらにこの千歳でこういう問題が起きているのです。解雇の繰り上げの問題ですね。三月三十一日付解雇が一月三十一日に繰り上がったケースが全部で九十六名出ているのですね、現実に。さらにこれは現地でもっていろいろあそこの司令官と交渉して、そのうち四十二名について配置転換で話がついたというように私は聞いておるわけなのですけれども、こういう事態が現実に千歳で出てきている。そうすると今度の場合もそういう繰り上げの問題が米軍の都合によって、つまり撤退の条件が早く進むからということでどんどん繰り上がってくるような状況は私は十分考えられると思う。この千歳の状況については御承知ですか。
  126. 島田豊

    ○島田説明員 事務当局では承知いたしております。
  127. 天野公義

    天野委員長 上原さんが待っていますから……。
  128. 横路孝弘

    ○横路委員 そこでこの点だけ再度。もしこういうような状況が今回の解雇について起こらないように、これは先に延ばすのはいいのですけれども、どんどん繰り上がってくるのはほんとうに重大な問題ですので、ぜひ十分アメリカ側のほうにその旨話をしていただきたいということをお願いして終わります。
  129. 天野公義

    天野委員長 上原康助君。
  130. 上原康助

    ○上原委員 お尋ねしたいこと、たくさんございますが、一点だけきょうは中曽根防衛庁長官お尋ねをしたいと思います。  すでに御案内かと思うのですが、いま沖繩北部に海兵隊が新しく実弾訓練の場所を確保するということで、大規模な土地の使用というものを去る二十一日に民政府を通じて琉球政府に話し合いが持ち込まれております。約六・七平方キロメートルで百九十三万坪にのぼる広域な地域でございます。この件が日米安保協議委員会で話し合われたのか。一説によりますと、富士山ろくの海兵隊の演習場が地域住民の反対にあって困難になり、沖繩に移動するというふうに報ぜられております。もしこれが事実であるならばきわめて重大な問題だと考えておりますが、これに対する長官のこれまでの話し合いの経過あるいは防衛庁としての考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。
  131. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 沖繩のそのケースが、富士山ろくの結果そう起きたということは聞いておりません。おそらくそういうことはないのではないかと思います。なお、いま沖繩のその基地の問題につきましては、安保協議委員会では対象になっておりません。これは目下のところ、日本の本土の基地についていろいろ協議がなされているからであります。
  132. 上原康助

    ○上原委員 われわれが受ける印象としてはかなり関係があるように受けるわけですが、いずれまた突っ込んでお伺いもしたいと思います。  申し上げたいことは、すでに琉球政府もあるいはまた地域住民も、この地域の実弾訓練場に使用されることには強硬に反対をしております。理由としては、実弾演習である以上、一つには付近住民に対する危険性、二点目に自然林の破壊、水資源に悪影響を与えるということ、そして復帰に向けての長期経済開発計画を修正せざるを得ないいろいろの問題が出るということ、したがって今後の沖繩の工業化や産業地域開発に重大な支障を来たすということで、琉球政府並びに関係市町村等も強力に演習場の確保に反対をしておりますので、そのことを十分受けとめて、ぜひ防衛庁としては対米処置をするなり、県民の要望を満たしていただきたい。このことを要望を含めて長官の御見解を求めて質問を終わりたいと思います。
  133. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 地元の御要望はよくわかりますので、山中長官に伝えまして――山中長官がこの窓口でありますから、善処してもらうようにいたしたいと思います。
  134. 上原康助

    ○上原委員 確かに沖繩関係の窓口は山中長官ですが、しかし軍事基地の問題とか、こういった軍用地の問題については担当大臣が中曽根長官だと私は思っております。そういう意味で、ただどの長官がやるというようなことでなくして、県民はそういう実弾演習場に反対をしているという事実を踏んまえて、これからの基地問題なり防衛問題というものを考えていただきたい。そのことをあらためて申し上げておきます。
  135. 大出俊

    大出委員 あとの方がございますので、あと簡単にポイントだけお答えをいただきたいのでありますが、一つは、今度の特別給付金なり、あるいは休業あるいは休職、どっちの名前になるかわかりませんが、手当制度を確立をする、つまり特に給付金のほうを重点でございますが、この適用時期の問題であります。中曽根さんがアメリカに行かれてレアード氏に会われた時期、帰られて水戸の射爆場あるいは所沢の補給処の話をされた時期以来、四千人足らずの人たちのつまり首切りが出ているわけなんですが、私は当然そこまでさかのぼってしかるべき問題だというふうに思っているのでありますが、その前に小幡さんがアメリカへ行っておられますので、続いてきた話の結果でありますから、そう理解をしなければならぬと思っておるのでございますけれどもそこらのところはまずどういうふうにお考えかという点が一つ。  それから続けて承りますが、王子へ私もかつて行って見てきて、伊藤さんもお見えになっておりますが、質問したことがございますけれども、これを重点に承るのではなくて、王子の野戦病院を横須賀あるいは横田に分けて移転をする、あるいはリロケートするのだろうと思います。これについてその真偽のほどを明らかにしていただきたいのとあわせて、もう一つ、横浜にございます岸根の例の野戦病院でございますが、これも懸案の閉鎖をしてしばらくになるのでありますけれども、これも先般地元方々住民大会などを開かれまして、島田さんのところへ陳情に伺っていると思うのであります。これもおそらく同じケースで、米軍側からはどこかにアロケートしてくれという話が出ていて、皆さんのほうは現に困るというふうに向こうへぶつけておられる経過は知っておりますけれども、一つこういうケースが出てまいりますと、岸根のほうの問題も関連をしてまいりますから、そこらのところは、あれは古い公園用地になっていたところがああいう結果になっているのは御存じだと思いますけれども、そこは一体どういうことになるのかという点をあわせて伺っておきたいわけであります。  それからもう一つ、横浜の上瀬谷の有名な通信基地がございますが、最近あれは地下施設もどんどん取り出して運び去っている。また中の通信施設なんかも次々に取りはずして運び去っている。これは中で働いている方は自分でやっているのですからみんなわかっているわけです。また一方では沖繩に大通信基地がつくられつつある。北海道のクマステーション、これは共産圏情報入手の専門基地だったはずでありますが、これも閉鎖されている等との関連からいって、ここらの関係、これは当然要らなくなってしまうのだろうと思うのでありますが、その辺のところを、現に起こっている事実を指摘して、その点を御回答をいただきたいのであります。これは三点目であります。  四点目に、先般来再三、私、強調してまいりましたように、四十五年度内の方々に対する予算の問題、どうやらようやく基地労働者対策費ということで健保組合の補助金三億五千七百万円ですか、当初要求として二億二千七百万円、これはさっき加藤さんから質問がありましたが、健保組合の追加要求になるのだろうと思うのであります。それから特別給付金あるいは特別休職手当。休職手当のほうが当初の一億八千万円を二億五千五百万円、こういう追加要求になっているようでありますし、それからまた給付金のほうも、先般私が申し上げました金額を見ますと、内示額が一億円ですか、だいぶふえているように思いますけれども、特別給付金が七億五千五百万円のものを二十億四千五百万円、それから離職者センターへの補助金が、当初二千三百万円になっておりますが、これが二千七百万円。これらの追加要求をお出しになったのだろうと思うのでありますが、そこらのところの追加要求の趣旨ですが、どういうお考えでお出しになったのかというのが四点目でございますが、以上、四点をお伺いいたしたいと思います。
  136. 島田豊

    ○島田説明員 まず特別給付金の遡及問題につきましては、関係者の方々の非常に強い御要望がございますので、現在その線に沿って大蔵当局とも協議中でございます。その結果につきましてはまだ申し上げる段階ではないと思いますが、できるだけ努力をいたしたい。その時期等につきましてもまだここで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。  それから王子病院の問題はけさ新聞に出ておりますが、これは先生もいままでのいきさつについては十分御承知のことだと思いますが、最近に至りまして王子病院のリロケーションとしまして横田及び横須賀に病院なり診療所、これも一部分は新築のものもありますし、改造のものもございますけれども、そういう要求が出ているわけでございます。それを最終的にどうするかということはちょっと、ここ二、三日のうちに私も決心をいたしたいと思っておりますので、その点はひとつ御勘弁をいただきたいと思います。  それからその他の病院につきましてもリロケーションの問題が条件として出ておりますので、これも目下協議中というところでございまして、その線が出ましたらできるだけ返還という姿に持っていきたいというふうに考えております。  それから上瀬谷につきましては一部国内に移設する、一部は国外に持っていく、こういうことをレアードのほうは申しております。そこで、それがその後どういうふうに利用されるかということにつきましては、これからの協議問題でございまして、できるだけ早急に結論を得たいと思っておりますけれども、目下そういう段階でございます。  それから健保補助金、特別休職手当及び給付金の増額につきましては、今度新しい事態が出てまいりましたので、当然それに合った要求をいま出しまして折衝中というところでございまして、先ほど申されました金額は、大体そういう線でいっているわけでございます。
  137. 大出俊

    大出委員 一つだけいまの点で、岸根の陸軍病院ですが、旧来はリロケートしてくれというものをおたくのほうはすぱっと断わっておりましたね。いまの御答弁は前と違いまして協議しているのだというのですね。ということになると、すぱっと断わらなくてだいぶ後退をされた感じがするのです。王子のほうとの関係で、王子のほうにリロケートを認めれば片一方もリロケーションを認めざるを得ない。だから旧来の方針とだいぶ後退をした、こういうように理解をしたいのですがいかがでございましょう。
  138. 島田豊

    ○島田説明員 ちょっと私説明が不十分だったと思いますけれども、われわれ施設庁のほうとしましては、あくまで全面返還という主張を変えておりません。ただ先方からそういう条件が出ておりますが、わがほうは全面返還を要求いたしている段階でございます。
  139. 大出俊

    大出委員 どこかのリロケーションを要求されて応じた場合に、つまりほかへ行くわけですから、そこはあくわけですね。全面要求の趣旨は変わらぬでも、リロケーションに応ずることはできるわけですね。先のほうは別ですよ。どこへ行く、そっちのほうは反対だという場合もあるかもしれない。そこら関係はどうなのですか。
  140. 島田豊

    ○島田説明員 先方からいろいろな条件が出ておりますけれども、それはいまのところわがほうとして絶えず拒否をし続けてきているということでございます。
  141. 大出俊

    大出委員 二、三日のうちに決断をしたいとおっしゃるものだから伺ったのですが、では王子のほうは二、三日の間に決断をするのですか、もう一ぺん答えてください。
  142. 島田豊

    ○島田説明員 王子につきましては、最終的な結論を数日中に出したいというふうに考えております。
  143. 大出俊

    大出委員 長官、どうもきょうは予算でお忙しいさなかでたいへん恐縮でございましたが、各党の皆さんから意見が出ておりますような事情でございますので、まげて御出席いただきましてありがとうございました。たいへん長時間ありがとうございました。
  144. 天野公義

    天野委員長 伊藤惣助丸君。
  145. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いままで質問ありましたように、今回の駐留軍労務者の大量解雇は三十四年の休戦解雇に次ぐ大規模なものであります。そこで、この問題を取り上げる前に、私たちは米国が出したあのニクソン・ドクトリンについて思いをはせるわけでありますが、そのニクソン・ドクトリンに従って米軍は極東米軍の撤退計画が進められているわけであります。しかし、わが国といたしましては、米軍基地の削減または米軍の撤退に伴う問題についてどのような基地政策、どのような基本的な対応策で臨むのか、その点についてはいまだに防衛庁長官から明確な答弁あるいはまた方針が出ていないわけであります。私はそういった点を踏まえましてるる質問したいと思います。  まず、日米協議委員会ですか、十二月二十一日に開かれました。その発表文の中にこういうことが書いてあります。「米側は、一九七〇年代を通ずる太平洋軍の基地態勢に関して考慮されている計画を述べ、」――これはどんな計画か。「日本側は、変動しつつある国際情勢およびニクソン・ドクトリンの展開の見とおしをふまえた一九七〇年代における日本防衛についての見解を示した。」こういうことがいわれておりますが、この内容について伺いたいわけであります。  さらに、それに関連しまして長官から、このドクトリンに対応する基地の政策、それは将来を目通した基地政策ですね。いままでは、不十分でありますが基地の公害対策というのはあっても、いわば基地政策はなかったわけでありますから、某地政策をつくるべきだと思うのでありますが、まずその点について長官の意見を伺いたいのであります。
  146. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日米安保協議委員会におきましては、アメリカ側はニクソン・ドクトリンの説明をいたしまして、七〇年代においても厳然としてコミットメントは守る、それから極東地域においてそういうアンバランスとか真空地帯をつくらないように十分配慮して今後も彼らは政策を続ける、しかしアジア全般について自分の力でやれる部分は各国は自分の力でやってもらいたい、大体そういう意味考え方の表明があったわけであります。われわれとしては、次の防衛計画、いわゆる新防衛計画の方向について説明をしまして、それが次の五カ年計画になるわけです。それから米軍側の情勢変化に対応して、われわれはこういうふうな措置をやりたい、自衛隊基地使用計画その他についても説明をしました。大体以上であります。  基地政策についてお話がございましたが、基地政策の主たるゆえんのものは、地域住民との調和という問題が一番大事な問題であると思いまして、この点については周辺対策その他を通じていろいろなことはやっておりますけれども、今後とも、事態も変わってまいりますから、いろいろ考究いたしまして、充実した基地対策を展開していきたいと思います。
  147. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま長官の答弁の中で、自衛隊使用計画について話したということでございますが、その点の概要をあわせて答弁願いたいと思います。  さらに、この同じ発表の文章の中でこういうことが述べてあります。今回の米軍の引き揚げについて「米国の抑止及び防衛体制の主要な要素は、重大な影響を受けないであろう。」こういうふうに述べているわけですが、長官はこの点どういうふうに考えておるか。要するに、国防の基本方針だとか、またさきに発表しました、ただいまも言いました四次防というもの、新防衛整備計画というふうにいわれておりますが、これをさらに練り直す必要があると考えているかどうか、その点を御答弁願います。
  148. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、極東地域において真空を生じない、力のアンバランスを生じないとアメリカ側も言明しておりますが、大体において一定の圏内における力の移動を行なったわけです。したがいまして、極東地域においてバキュームやアンバランスができたとは私は思いません。  それから、わがほうの使用計画はあのジョイントコミュニケの中にも書いてあります。大体それで御了承願いたいと思います。  それから、四次防の内容については、大体抽象的にああいう事態が出るであろうということは予想はしておりましたが、しかし、個々の問題につきましては、それが具体的に出てきておるわけでありますから、検討を加えまして、あるいは若干充実補修しなければならぬ必要が出てくるかもしれません。
  149. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、今後の日本防衛については、新防衛整備計画においてももう少し変更があるかもしれぬということでございますね。  きょうは時間がありませんから、基本的な問題だけずっと続けて質問していきます。  一つは、基地削減の基本的な原則、今後の方向づけ、その点を確認しておきたいわけですが、この基地の削減については、米軍の構想に基づいた要求によってこちらが対策を考えていくのか、または、自主的に国内調整の問題とおっしゃいましたが、そういうことだとか、または日本日本の判断に基づいた国際情勢を踏まえた上で促進するのか、その点はいかがですか。
  150. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それは、わがほうはわがほうの考えをもって先方に提示をし、先方も先方の考えをもってわがほうと調整し、その結果がこの間の安保協議委員会の結果に出ておるのでありまして、両方の考え方があれで調整された、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  151. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 調整と言いますけれども、これはお互いの国益によって判断されると思います。その場合、いま長官が言いましたけれども、やはり基地の削減については調整調整と言いますけれども、ただ単に、問題が出た場合、こちらでもこういう方向で行きたいというような、いわば向こうの問題提起によってこっちが応ずるのではなくて、こちらなりの基地の撤退計画、削減計画を先に示して、その中で積極的に調整すべきではないかと思うのです。その点についても御答弁願いたい。  さらに続けます。長官の言うように、わが国の国内体制の調整ということから考えていきますと、当然この返還後の基地あと地利用、こういったことが大きな問題になるわけであります。しかしながら、いままでの基地の返還、さらにまた今後の見通しとして、返還の一つの構想については、ほとんどが二条四項の(b)ですか、いわば共同使用とはいいますけれども自衛隊が肩がわりするというような基地が非常に多いわけであります。ただ、公明党は、御存じのように、基地総点検の後のあと地利用の再点検をしたわけでありますが、あの再点検の中で、私たちは地方自治体の意見、また構想というものを十分聞いてきたわけであります。そういう一つの再点検の考え方防衛庁考え方は全く合っていない。しかし、防衛庁長官は、常にあと地利用については地方自治体やまたは国内体制の調整というものをいつも頭に置いて積極的にやると言われておりますが、その点、事実が違うわけであります。今後もそういう方向でいくのか、あるいはまた、どこまでも長官の言うように、地方自治体なりまたは地域住民考えを十分取り入れてあと地利用を考えていくのか、そういう点について伺いたいわけです。  さらに、この返還を決定したあとであわてて地元側と打ち合わせをするのではなくて、そういう基地の削減については、基本的なことはわかっておるわけでありますから、返還の前に地域住民並びに関係公共企業体ですか、そういった方々と打ち合わせをしながらあと地利用については考えていくべきだと私は考える。その場合そういった、名称は何でもけっこうなんですけれども地元を含めた返還に対する協議会というようなものをつくって推進すべきではないかと思うのですが、その点についていかがですか。
  152. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 米軍基地の整理統合については、わがほうから九月十五日の安保協議委員会で申し入れて、その後長い期間にわたってわがほうの考えも言い、先方の考えも聞き、そしてこういう結果が出たので、アメリカ側の考えを押しつけられたとか、向こうの一方的考えによってこういうことになったのではありません。われわれのほうはわれわれのほうとして、特に首都圏内の問題については非常に強い要望を先方にも出して、ゴルフ場なんかはまだ実現できませんけれども、伊藤委員が非常に主張なさっているああいう問題については非常に熱心にやってきているわけです。これは次の機会に実現するようにしたいと思っております。  それから、住民の意向につきましてはわれわれも十分考えていこうと思うのでありまして、部分的に住民にお返しできるものがあれば遠慮会釈なく返したい。しかし、主たるものは今度はああいう形で、日米共同使用という形になりましたから、全部というわけにはまいりませんが、しかし、部分的にお返しできるものは公園であるとかそのほかの用途に供するためにできるだけお返ししたい、目下それを検討している最中であります。  それから、事前に協議委員会をつくるというお考えは、これは地元のお考えは市長その他からよく聞いておるところでもありますし、またその前に政府部内の考えを調整する必要もあるわけでありまして、この点は消極的な考えを持っておりすす。
  153. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 防衛庁側が日米協議委員会においてこちらからの計画を出したということでございますが、残念ながらそういったことは国民、また担当委員会のわれわれも知らないわけであります。もしそういうことが、今回の大幅な基地の削減について自衛隊として独自にそういう見解を向こうに示しているならば、これは公表すべきだと思うのです。そしてそのことによって米側がどう出るか、それはもちろん担当の窓口であります防衛庁あるいは外務省、総理府等によって調整はされるでありましょうけれども、そういったことが非常に大事ではないかと私は思います。まずその点について。  それから、今回の基地の撤退というのが有事来援といいますか、こういった一つの方向で考えられているようであります。特に飛行場だとか演習場というものについては、自衛隊、さらに民間との共同使用考えているようでありますけれども、先ほどの答弁では二条四項の(a)とか(b)とかいうもの、さらにそれを合わせた考え方で今後共同使用考えるということを答弁なさいましたが、いつだかちょっと日にちは忘れましたが、参議院の外務委員会で外務大臣は、現在の要するに地位協定の中では有事来援というようなものの適用は考えられない、また難点がある、場合によっては地位協定も変えなければならぬ、こういった発言もしているわけであります。その点について防衛庁長官はどう思いますか。
  154. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 わがほうの考えを先に公表することは不適当であります。それは外交交渉の例によくありますように、双方でいろいろ考えを述べ合って、そして調整したところを公表するというのが大体の国際仁義でもあります。また、そういうことが外交交渉をスムーズに円滑に行なわせる一つのきめ手でもあります。そういう意味において、事前に公表することは差し控えたいと思います。  それから、外務大臣の発言については、私はその真意はよく知りませんが、どうも有事来援ということばはあまりいいことばではありませんね。(伊藤(惣)委員「駐留ですか。」と呼ぶ)まあ有事使用とかあるいは常時非使用、そういうのが適当なことばなんであって、来援というとまるで何か浪花節の口演に来るような、代議士が応援演説に来るようなそういう印象で、あまり適当なことばだと思いません。公明党に似合わないような表現じゃないか、私はそう思うわけであります。
  155. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がございますれば公明党の防衛政策についてるる申し上げたいわけでありますが、私は現在当面する問題について政府サイドからいろいろ心配しながら質問しているわけであります。そういう真意をよく考えていただいて、前向きな答弁をいただきたいと思います。  私が先ほど申し上げました自衛隊の計画を示すべきだということは、何も具体的なことを言えというのではない。私は、日本防衛はかくあるべきだ、過去に防衛白書が出ましたように、自衛隊としての防衛政策は将来を見通せばこういうふうになるのだという基本的な原則、基本的な方向づけ、ニクソン・ドクトリンに対する対応性ですね、これを明確に国民の前に示すべきだということであります。その点についての考え方も伺いたいわけであります。  さらに、先ほどの答弁の中に、今度の基地削減の問題についてはよく地方自治体の意向を伺っているから、そういったことを参考にしながらやっているという意味お話がありましたが、私は、今度の問題で大事なことは、当然その削減の順序はアメリカの極東戦略の防衛的見地から考えるのではなくて、やはり日本の現在の首都圏あるいは大都市の周辺のいろいろな地域の発展に伴って支障を来たしておりますから、そういうところを最優先にした基地の削減計画をやるべきだ、こう思うのですが、その点についての長官考え方も伺いたいと思います。
  156. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私は、前から東京の空は日本人で守れ、東京の空は航空自衛隊で守るべきである、それで首都圏の米空軍は撤退すべきであろう、そういうことを言ってきたので、そのとおり実行したわけであります。そういうようにわがほうはわがほうの考え方をちゃんと持って、先方に要望すべきものは要望してきておるわけであります。今後もそういう考えでやっていこうと思っております。
  157. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がありませんので申し上げますが、今度の米軍基地の削減については、本土並びに沖繩の基地を含めて、日本全体で総合的に行なうべきである、こう思うわけでありますが、特にある地域に差別的な大きな負担がかかるような推進計画であってはいけないと思うのです。その点について一言結論的に伺っておきたい。  それから、言うならば基地対策の問題でありますが、現在防衛施設周辺整備法というものに基づいて基地の対策が行なわれていることは存じております。しかしながら、あの基地周辺整備法のワク内で扱えない問題がたくさんあるわけであります。たとえばグラントハイツのように、あの基地の公害は何か、それは下水道問題である。ところが、その下水道対策については、予算措置と講じたりまたは調査費用を計上しましてその計画ができておりますけれども、事実はあと二、三年で基地周辺に全部移る。そういう一つの状況になっているわけでありますけれども、そういった下水道の工事を推進するためにも――この防衛施設周辺整備法の法律を適用したのでは、その工事額のたとえば十分の五だとかあるいは十分の六というように、政令のワクできめられているわけですね。これでは事実上できないわけであります。したがいまして、こういったことについては、東京都なり地方自治体との工事の割合といいますか、または当然施設庁で負担すべきようなものについては、これは一〇〇%お金を出して地方自治体との調整をはかるということが大事であると私は思います。しかしながら、直接被害または直接事故が起きてからでないとその周辺整備法の適用がなされないという点に私は非常に問題があると思います。問題が起きてからでは間に合わないのであって、言うならば、その事前に対策を講ずるならば事故が起きないで済むような問題もたくさんあるわけであります。そういう点において、当然基地の削減または米軍の撤退、そうして基地の撤去に伴って防衛施設周辺整備法の改正もすべきだ、こう思いますが、その点について伺いたいと思います。  さらにもう一つ、最後ですから伺いますが、先ほども総理府総務長官にも申し上げましたが、今回の大量解雇によりまして、現在具体的な折衝を大蔵省とやっているというお話は聞いております。しかしながら、現在そういった交渉というのはMLC、IHA、この方々のみであります。私は前国会も、五十五国会以来、特に米軍直接雇用のメードさんの問題について質問をし続けてきました。長官は善処するという答弁もなされてきておりますけれども、事実問題としてはいまだに手がついていないという現状であります。たとえば二十数年間米軍の家庭にメードさんとして働きながら、いまだに二万から三万のお金しか取っていない、しかも退職金もない、今回の整理によって犬ネコ同然に追い出される、こういう状況のメードさんが私の選挙区にも百数十名おります。こういったことについては法律がないから、また労働省の問題であるというふうに言われてきたわけでありますけれども、そんなことではどうにもならないわけでありまして、法律がなくともやはり政府は、戦争の犠牲者として一番深刻な影響を受けるこういったメードさん方に対しても何らかの保護措置を講ずべきである、こう思うわけであります。  特に参考までに申し上げますと、日本の場合は現在ではパートタイマーといいまして、一時間五百円から千円くらいのパートタイマーとしての賃金をもらっております。したがいまして、こういった方々は二万から三万円というのでは話にならないような状況であります。特にイエローガーリーと言われまして、必らずガーリーを頼むというようなことをあけすけに言う米軍人もいるそうであります。したがいまして、そういったことに対しての対策もあわせて答弁願いたいと思いすす。
  158. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 基地につきましては、その地域防衛上の重要性等を考えまして、やはり日本全体の全体計画の上に配置していくべきであると考えます。  それから周辺整備法につきましては、いろいろ情勢変化に応じて検討しなければならぬ個所も出てきていると思います。これは検討を加えたいと思います。  メードさんの処理については、労働省とも打ち合わせまして、できるだけの対策を講じてあげたいと思います。
  159. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは終わります。
  160. 天野公義

    天野委員長 和田耕作君。
  161. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 与党議員の方から五分で済ましてくれというお話ですけれども、五分では何が何でもかわいそうですから、長官、十分か十五分くらい、四時十五分くらいまで、私が全部やるわけではない、あと共産党の人が残っておりますからお願いしたいと思います。私は大体十分くらいの見当で済ましていきたいと思います。  先ほど、伊藤委員の質問に対して、有事来援ではなくて有事使用だというようなことばを長官はお述べになっておりましたけれども、いまの基地の削減計画の中で有事使用というようなことを具体的に話し合っておられますか。
  162. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 有事使用という考えでは話してありません。
  163. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いま長官が言われた、有事使用ということばが適当じゃないかという意味はどういう意味ですか。
  164. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 来援という考え方がどうもひっかかりまして、援ということばよりも使用ということのほうが適切である、そう考えたわけであります。
  165. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 横須賀基地の大削減という問題につきまして、今後あの規模と設備をどのように管理しようというお考えですか。
  166. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 SRFにつきましては、これをどういう形でするか、国有、国営でやるか、あるいは公団か事業団みたいなものでこれを所有して委託経営でやらせるか、あるいは国有で民に委託経営をやらせるか、あるいは民間に全部譲り渡してしまうか、そういういろんなケースが考えられます。そういういろんなケースの利害得失についていま検討を加えている最中であります。
  167. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この前の内閣委員会でニクソン・ドクトリンの展開は案外早いのじゃないかということを私質問したことがあるのですけれども、たとえば一九七五年までにはごく小部分の海軍基地を除いて日本から全部撤退をするというような趣旨の資料もあったと思いますけれども、いままで米軍との交渉の中で、ニクソン・ドクトリンというもので大体いつごろまでに日本の国土から撤退をするというような全貌は明らかになっておりますか。
  168. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 なっておりません。これはアメリカ会議員の人々の考え方や何かを私、そんたくいたしまして、政治家として、同じ国会議員としての判断で情勢を展望してみた場合に、主たるものはいなくなる可能性があるということを言っておるのであります。
  169. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その時期は大体いつごろという目安をつけておられますか。
  170. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 七五年くらいにはそうなる可能性があるのではないか。それはまた客観情勢の変動に応じて動きますけれども現状のようなものが続いていくならばそういう可能性がある、そういう感じを発表したわけであります。
  171. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今回の人員整理という問題は、結局私どもも意外に急速に日本基地の整理をするかまえじゃないかという印象を受けているのですけれども、こう早くなるという印象は、長官自身アメリカに行かれたときに、あるいは最近の安保協議会で承知しておりましたか。あるいはそれはいつごろ承知なさったか。
  172. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 九月にアメリカに行きまして先方の人々と話したときから、かなり思い切ったものが出ると感じておりました。
  173. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 このような整理計画に対しては、基本的に私どもは歓迎する態度をとりたいと思うのです。長官はどのような態度をとっておられますか。
  174. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 もちろん適切な処置であると思っています。
  175. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それであれば、やはり整理される人々に対する十分な準備なり腹がまえが政府に必要だと思うのですけれども、その問題についてひとつ長官、責任者としての態度をお聞きしたい。
  176. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その問題については、その当時からいろいろ苦心をし、また心配をしておったところでありまして、大蔵省に対するいろんな要求やら説明やら、そういういろんな政策についても内面的にはいろいろ話し合ってきたところであります。
  177. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 先日、全駐労の市川委員長の名前で陳情を受けたのですけれども、私は、これは非常に詳細に何回も繰り返して読みました。読みましたけれども、全駐労の諸君も、削減そのものに対しては反対するということはひとつもないのです。これは私はりっぱだと思います。そういう要望ですけれども、この中では、当然予定よりも早く削減するんだから特別に給与金を出せとか、あるいは再就職までの生活保障をせよというような当然の要求があると思いますけれども、この要求は、つまり全駐労としてアメリカ引き揚げよと言いながら、いよいよ撤退するというときになるといろいろなことを言うというそういうめめしい態度では全然ないわけですね、この態度は。これはりっぱな態度だと私は思うのですけれども、それに対して十分政府としても誠心誠意こたえるべきだと私は思うのですね。相当の臨時の金がかかりましても、重要な一つの国策の問題なんですから、政府は責任を持ってこの生活が困らないような、再就職なり特別の給与金なりの問題に対して十分な考慮があってしかるべきだと思うのですけれども長官いかがですか。
  178. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 同感です。
  179. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この暮れに一部内定されておると思われる整理に対しては、十分な予算措置がつきますか。
  180. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大蔵省と話し合って、できるだけの手当てをしたいと思って、いま努力をしている最中です。
  181. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題はひとつ長官、責任を持って――つまり四次防をやろうというときでもあり、日本の自主防衛を展開しようというときでもありますから、やはりこういういろいろな意味で、経験を持っている人ですから、この人たちを防衛庁が受け継ぐときには、防衛庁自身としてこれを雇用していくとか、あるいは再就職の世話をするとかいう問題を本気になって検討していただきたいと思うのですね。特に長官が来年度予算で出してこられるいわゆる四次防という問題が出てくる場合に、こういう問題に対しての政府の処置のしかたというものが、国民の気がまえからいっても非常に重要な要素だと思うのですね。そういうような意味で、重ねてこの問題を要望いたしまして、質問を終わります。
  182. 天野公義

    天野委員長 東中光雄君。
  183. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど長官は、今度の安保協議委員会の発表文、ここで出ておる基地の整理統合については、アメリカ側から一方的に押しつけられるといったようなものではなくて、十分よく調整し、話し合って了承したものである、こういうように言われましたが、その点間違いございませんか。
  184. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 間違いございません。
  185. 東中光雄

    ○東中委員 今度のこの発表によりますと、横田飛行場におるすべてのF4ファントム機は沖繩に移駐する、こういうふうに書いているわけですが、結局これも政府が了承されたことになるのですか。沖繩へ米軍機ファントムを増強していくということ、それに日本政府が了承をした、し九も押しつけられたのではなくて、了承した、こういうことは初めてだと思うのです。県民は基地全面撤去を要求していますし、政府の方針も沖繩の基地縮小という方向であるということを言われておるわけですが、すべてのファントムを全面的に移駐するということをきめられた。これは反対の意思表示をされたのかされなかったのか、この経過を明らかにしていただきたいと思います。
  186. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 反対の意思表示をしません。沖繩はいろいろプラスマイナスがありまして、大体あそこにある要撃戦闘機隊とかあるいは航空輸送隊というのは解体されまして、そして結局は少し減るという情勢になる予定です。
  187. 東中光雄

    ○東中委員 ファントムの移駐の問題にしましても、先ほど出ました国頭村における実弾演習場の新しい使用にしましても、この問題はいま沖繩内のことでありますけれども、返還協定の交渉が進められておるときですから、もしここが演習場になれば、返還時の協定の内容の中に当然対象になってくる問題であります。ここでも沖繩の基地強化の方向が出されてきている。防衛庁として、もうすぐ目前に迫っている問題ですから、これに対して何の意思表示もまだされていないように聞きましたけれども、当然基地縮小という方針を出しておられる、政府もそういう考えだということであれば、これに対して意思表示をされるべきだ、こう思うのですが、実弾演習場の問題とファントムの問題について、基地強化の方向にいっていることに対して防衛庁としてはどうするのか、この点をあわせてお聞きしたい。
  188. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 沖繩と本土とはまだ法的状態が違うのでありまして、沖繩はまだ米国の施政権下にあるわけであります。したがいまして、われわれのほうが米国のやることについてとやかく申し立てる権利はないわけです。しかし、日本アメリカとの友好関係及び沖繩の統治という点から見て、このことが適切であるかいなかという意味において、いろいろ相談したり助言したりはお互いができるわけであります。その窓口は山中総務長官でありますから、山中総務長官の感触も伺って相談をいたします。
  189. 東中光雄

    ○東中委員 防衛庁は沖繩返還に関連して基地調査にも行っておられるわけでしょう、現にそういう作業をやらなければいかぬ立場にあるわけですから。ところが、いまそれが新たに拡大されようとするときに、知らぬということでは済まない問題ではないか、こういうように思うわけですが、この基地の再編成ということは、結局国民無視の形でやられていると言わざるを得ないわけです。三沢、横田米軍の活動が縮小するということが出ておりますけれども、なぜこれが返還されないのか、返還要求をされたのか、その点をお聞きしたい。
  190. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは双方で先ほどいろいろ申し上げましたように協議した結果、ああいうふうな事態になったのであります。
  191. 東中光雄

    ○東中委員 協議の内容、押しつけられたのではない、こうおっしゃっておるわけですから、防衛庁としてはこっちが意見を言うておることになるわけですが、その返還を要求されて、話し合いでそうなったということなのか、要求はもうしないということで、返還要求をしないままでそうなったのか、そこをお聞きしているわけであります。
  192. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほどいろいろ申し上げましたとおりでありまして、私が就任以前及び就任後からいろいろ声明いたしましたことを実行したわけであります。
  193. 東中光雄

    ○東中委員 どうも答えになっていないように思うのですが、もう一点聞いておきます。  山田弾薬庫についてですが、米軍は全面返還するといっておるわけですが、いまだに返還されていません。これは自衛隊がこれを使っていこうということを考えておられるからじゃないかというように思わざるを得ぬわけですが、地元からは利用計画も出されているようですし、ここで私お聞きしておきたいのは、自衛隊がいま返還されていない米軍基地、しかし、使用されていない米軍の山田弾薬庫を警備員を出して警備に当たっておりますね、自衛隊の責任で。これは一体どういう根拠でやられておるのか、どういう目的でやられておるのか、この点をお聞きしたい。
  194. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 現在自衛隊が山田弾薬庫に若干の人員を派遣してこれを警備しておりますが、その根拠は地位協定の三条による米軍の権限の範囲内で、その承認のもとに共同使用という形でやっておるわけです。
  195. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんから、もう一回だけこの点念を押して終わりたいと思うのですが、現にアメリカ軍は全面的に返還するということを言っている。十月の段階で、もうこの基地アメリカとしては使っていない、そういう状態でこの十五日に陸上自衛隊の第四師団長、それから福岡防衛施設局次長、これが北九州市を訪れて、自衛隊が当面警備を米軍から委託されたので、十六日からやる。これでは米軍基地を、からっぽになっている基地自衛隊が委託を受けて、下請をして警備をしている。使っているのじゃないのですね、警備をしている。こういう異常な状態が起こっているわけですが、これも地位協定の三条によると言われれば、これはもう何でも全部下請をやらされても地位協定の三条でいってしまうということになりますが、現にアメリカ軍はいるのかいないのか、使っているのかいないのか。そして、自衛隊の警備をやっている目的は一体何なのか、あらためて明らかにしていただきたい。
  196. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 米軍が現在使っておるかどうかという点につきましては、米軍は事実上使っておりません。  それから、自衛隊が入って警備するという根拠は、先ほど申し上げましたように、地位協定の三条による米軍の権限の範囲内でやっておるということでございますが、この山田弾薬庫の問題につきましては、米軍が返還をすると正式に意思表示したことはございません。中央においていろいろ防衛庁とか、あるいは地元の意向、そういうこともありますので、検討しておるという段階でございまして、ただ、これまで警備しておった米軍要員が引き揚げるという事態になりましたので、その間暫定的に自衛隊がこれを警備するということで、いつまでもこの状態でもちろんいくわけではございません。近く方針がきまれば、その方針に従って処理されるということでございます。
  197. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、地位協定共同使用というふうなことばで、実際上米軍基地の警備を自衛隊が下請していく、あるいは基地の整理統合という形で実は沖繩の基地が強化されていく、こういう状態は非常に許されない状態だと思いますので、これに対して強く反対の意思表示をして、終わりたいと思います。
  198. 天野公義

    天野委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会