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1970-12-10 第64回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十日(木曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    伊藤宗一郎君       加藤 陽三君    笠岡  喬君       辻  寛一君    中山 利生君       堀田 政孝君    山口 敏夫君       上原 康助君    木原  実君       佐藤 観樹君    横路 孝弘君       鬼木 勝利君    山田 太郎君       受田 新吉君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         総理府人事局長 栗山 廉平君         警察庁警備局長 山口 廣司君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛施設庁長官 島田  豊君  委員外出席者         外務省アメリカ         局安全保障課長 宮川  渉君         大蔵省主計局給         与課長     谷口  昇君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ————————————— 十二月九日  靖国神社国家管理反対に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第二七七号)  同(浦井洋紹介)(第二七八号)  同(小林政子紹介)(第二七九号)  同(佐藤観樹紹介)(第二八〇号)  同(田代文久紹介)(第二八一号)  同(谷口善太郎紹介)(第二八二号)  同(津川武一紹介)(第二八三号)  同(寺前巖紹介)(第二八四号)  同(土橋一吉紹介)(第二八五号)  同(林百郎君紹介)(第二八六号)  同(東中光雄紹介)(第二八七号)  同(不破哲三紹介)(第二八八号)  同(松本善明紹介)(第二八九号)  同(山原健二郎紹介)(第二九〇号)  同(米原昶紹介)(第二九一号)  同(青柳盛雄紹介)(第三五九号)  同(浦井洋紹介)(第三六〇号)  同(小林政子紹介)(第三六一号)  同(佐藤観樹紹介)(第三六二号)  同(田代文久紹介)(第三六三号)  同(谷口善太郎紹介)(第三六四号)  同(津川武一紹介)(第三六五号)  同(寺前巖紹介)(第三六六号)  同(土橋一吉紹介)(第三六七号)  同(林百郎君紹介)(第三六八号)  同(東中光雄紹介)(第三六九号)  同(不破哲三紹介)(第三七〇号)  同(松本善明紹介)(第三七一号)  同(山原健二郎紹介)(第三七二号)  同(横路孝弘紹介)(第三七三号)  同(米原昶紹介)(第三七四号)  同(東中光雄紹介)(第四二五号)  同(津川武一紹介)(第四二六号)  同(米原昶紹介)(第四二七号)  同(青柳盛雄紹介)(第四二八号)  同(不破哲三紹介)(第四二九号)  同(田代文久紹介)(第四三〇号)  同(山原健二郎紹介)(第四三一号)  同(土橋一吉紹介)(第四三二号)  同(浦井洋紹介)(第四三三号)  同(松本善明紹介)(第四三四号)  同(寺前巖紹介)(第四三五号)  同(林百郎君紹介)(第四三六号)  同(小林政子紹介)(第四三七号)  同(谷口善太郎紹介)(第四三八号)  滋賀県饗庭野演習場ミサイル基地設置中止に  関する請願青柳盛雄紹介)(第二九二号)  同(浦井洋紹介)(第二九三号)  同(山原健二郎紹介)(第二九四号)  旧軍人に対する恩給改善等に関する請願(足立  篤郎君紹介)(第三三〇号)  同外三十六件(稻村佐近四郎君紹介)(第三三一  号)  同外一件(宇野宗佑紹介)(第三三二号)  同外六件(小此木彦三郎紹介)(第三三三号)  同外十二件(大野市郎紹介)(第三三四号)  同外六件(加藤陽三紹介)(第三三五号)  同外一件(小金義照紹介)(第三三六号)  同(小山長規紹介)(第三三七号)  同外一件(櫻内義雄紹介)(第三三八号)  同外二十三件(砂原格紹介)(第三三九号)  同(瀬戸山三男紹介)(第三四〇号)  同外一件(地崎宇三郎紹介)(第三四一号)  同外一件(中馬辰猪紹介)(第三四二号)  同(渡海元三郎紹介)(第三四三号)  同外十五件(中川俊思君紹介)(第三四四号)  同(中村寅太紹介)(第三四五号)  同(二階堂進紹介)(第三四六号)  同外一件(野呂恭一紹介)(第三四七号)  同外十一件(羽田孜紹介)(第三四八号)  同外十一件(細田吉藏紹介)(第三四九号)  同外十三件(松山千惠子紹介)(第三五〇号)  同(森喜朗紹介)(第三五一号)  同外一件(相川勝六紹介)(第四一一号)  同外六件(有田喜一紹介)(第四一二号)  同外一件(北澤直吉紹介)(第四一三号)  同外一件(草野一郎平紹介)(第四一四号)  同(藏内修治君外一名紹介)(第四一五号)  同外四件(砂原格紹介)(第四一六号)  同(田中龍夫紹介)(第四一七号)  同(田中六助君外一名紹介)(第四一八号)  同外三件(高橋清一郎紹介)(第四一九号)  同(床次徳二紹介)(第四二〇号)  同外一件(永田亮一紹介)(第四二一号)  同外五件(毛利松平紹介)(第四二二号)  同外一件(山下元利紹介)(第四二三号)  同(山本幸雄紹介)(第四二四号)  靖国神社国家護持早期実現に関する請願外九  件(正示啓次郎紹介)(第三五二号)  同外一件(砂原格紹介)(第三五三号)  一世一元制法制化に関する請願(正示啓次郎  君紹介)(第三五四号)  恩給共済年金の調整に関する請願田中龍夫  君紹介)(第三五五号)  国家公務員定員外職員全員定員化等に関す  る請願東中光雄紹介)(第三五六号)  元満鉄職員恩給等通算に関する請願外二件  (中馬辰猪紹介)(第三五七号)  同(山下元利紹介)(第三五八号)  同(羽田野忠文紹介)(第四三九号)  同(毛利松平紹介)(第四四〇号)  兵庫県村岡町等の寒冷級地是正に関する請願  (佐々木良作紹介)(第四五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第六号)  特別職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第七号)  防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤惣助丸君。
  3. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 警察庁の方、来ておりますか、
  4. 天野公義

    天野委員長 まだです。
  5. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 昨日は楯の会の問題について同僚議員からるる質問がございました。私は、その質問を聞いておりまして、いろいろ考えたわけでありますが、しかし国民立場から考えますと、やはりあれだけの議論では納得のできない点もありますし、二、三聞きたいこともありますので、その点について防衛庁長官から明確な、国民に対する答弁をお願いしたいと思います。  まず第一に、体験入隊仕組みでございますが、この体験入隊という一つ仕組みについてはどのような形で行なわれてきたか、その点について伺いたいと思います。
  6. 宍戸基男

    宍戸政府委員 体験入隊は、防衛庁広報活動に関する訓令という訓令に基づきまして実施をいたしております。  その内容は、防衛庁に関しまして見学等申し込みを受けました場合に、隊務支障があるかどうか、秘密保全等支障があるかどうかということを考えまして、その支障のないものに関しまして、広報活動として便宜をはかるというふうな仕組みで、申し込みに応じて体験入隊を実施している、こういうふうなやり方をしております。
  7. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは自衛隊広報活動一環としてやっておるということですが、内局広報許可を与えて現地に指示するのか、また現地部隊に一任しているのか、その点はいかがですか。
  8. 宍戸基男

    宍戸政府委員 現地の駐とん地司令というのがおりますが、それが許可をしておるという状況でございます。
  9. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、現地司令官一任ということになりますけれども、体験入隊基準許可条件については、どのような基準といいますか許可条件をいっておるのか、その点について……。
  10. 宍戸基男

    宍戸政府委員 先ほど申し上げましたように、もとが防衛庁広報活動一環として、できるだけ多くの国民の方に自衛隊を理解していただこうというところから実施しておりますので、基準も、自衛隊広報立場から見て支障があるかどうかということ、もちろんそれ以外に一般隊務をやっておりますから、隊務支障があるかどうかということを基準にして実施している。こまかい許可基準訓令等できめているというわけではございません、いま申し上げましたような考え方基準にして実施しているということでございます。
  11. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 非常にあいまいなわけですけれども、一定の基準というものがなければ、現地部隊のそれぞれの幕僚長ですか、その基準によって体験入隊が行なわれておる、こういうことでございますか。
  12. 宍戸基男

    宍戸政府委員 いま私が申し上げましたようなことが、自衛隊全体の常識になっておりまして、それぞれの、たとえば方面総監部でありますと幕僚長というのが駐とん地の業務をやっておりますので、申し込みがありました場合に、いま申し上げましたような基準判断をしているというのが実情でございます。
  13. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 はっきりいって、ないわけでしょう。統一したような体験入隊基準とか許可条件というものがあるならば出していただきたいと思うのです。しかもこの場合、楯の会の規約というのが、きのうもあったと思いますけれども、「第一、楯の会は自衛隊に一ケ月以上の体験入隊したものによって構成され、同志的結合を旨とする。第二、体験入隊個人の資格で参加するものとする。第三、一ケ月の体験入隊を了えた者は、練度維持のため毎年一週間以上の再入隊の権利を有する。」第八まで楯の会の規約があるわけでありますが、こういうこともいわゆる体験入隊基準に合ったと判断したから入隊許可したのかどうか、この点について……。
  14. 宍戸基男

    宍戸政府委員 楯の会ということで申し込みがあったわけではございませんが、三島氏を囲む学生グループということで三島氏から依頼があって、きのう申し上げましたような相当の回数にわたって体験入隊を実施したことは事実でございます。その学生グループ申し込みを受けましたときには、三島氏からの依頼がもちろんありましたわけで、その当時の判断としましては、先ほど申し上げましたような自衛隊広報上の立場から見ましても、その日数が隊務運営上支障がないというふうに判断をしてその学生グループ体験入隊便宜を供与したというのが事実でございます。
  15. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 三島由紀夫というのは要するに楯の会の隊長でしょう。しかもこういった規約が明確にあるわけですよ。だから、私はこの規約体験入隊規格に合っているのかどうかということです。いま官房長三島個人とおっしゃいましたけれども、三島個人ということでは通らない問題でありまして、こういったことが体験入隊規格基準に合っているのかどうかということを私は  いまお尋ねしているわけであります。
  16. 宍戸基男

    宍戸政府委員 体験入隊許可基準あるいは条件といいますのは、先ほど申し上げたようなことで、こまかい訓令等できめたものはございません。一般広報というふうな考え方からやっております。しかし考え方としてはいま申し上げたようなことだったわけです。その学生グループ体験入隊しますときの判断は、その申し上げましたような基準には反しないという判断を駐とん地司令はした、こういうことでございます。
  17. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 その点はきのうも社会党さんが聞いたようですが、これは問題だと思うのです。  もう一つこういうことがありました。四十五年の三月に、大東会館学生部約二十名が、習志野の第一空挺団体験入隊した事実があります。これは十二師団の、名前を言いますと差しさわりがありますから、Y広報班長が断わっております。しかしながら、それを内局のほうから許可を与えて体験入隊させました。これはいかなる理由、またいかなるこの団体に対する見解体験入隊をさせたのか、その点を伺いたいと思います。
  18. 宍戸基男

    宍戸政府委員 本年の三月ごろのことでございますけれども、国学院大学日本大学あるいは専修大学等学生、その他いろいろな大学が入っているようでございますが、学生二十人ばかりが十二師団体験入隊申し込みがございましたけれども、十二師団では隊務都合がつきませんでしたのでお断わりして、その後四月の末から五月にかけまして、習志野の第一空挺団のほうに体験入隊したという事実はございます。
  19. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私はことばでいまおっしゃっている意味はよくわかるのですが、今後のこともありますので、一つ基準とか大事な原則論を聞いているわけでありますから、どうか避けないで答弁していただきたい。  私はここで大事なことは、国民が心配している点を明確にして、悪いなら悪いと反省して、そして今後はこういうふうにやっていくことが一番大事だ。皆さんがいつもおっしゃるように国民のための愛される自衛隊をつくるというならば、そういう態度でこの問題についてもう一回自衛隊そのものについて考え、そして洗い直すところがあれば洗い直すことが国民に対する自衛隊態度でなければならないと思うのであります。したがいまして、時間もありませんので、どうか率直に答弁願いたいと思います。  ですから、先ほど言いました官房長への質問といいますのは、現地司令官にまかしてある、じゃ現地司令官がいい悪いと判断した場合には、その判断に基づいて、その結論でいいんじゃないかと思うのですけれども、内局のほうからそう言わないでやってくれということで、いやがるものを入れた。さらに同じ四十五年三月に、日本健青会、これが朝霞自衛隊体験入隊しております。こういったことについても、現地では一応断わった、しかしながら内局のほうから話があったので体験入隊させたという事実があるわけでありますが、この点はいかがですか。
  20. 宍戸基男

    宍戸政府委員 後段におっしゃった、朝霞健青会ですか、これにつきましては、私いままでちょっと耳にしておりませんので調べてみたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、許可は駐とん地司令にまかしております。原則としてそれでよろしいのではないかと思っておりますが、いろいろな隊務支障等のこともございます。あちらの部隊では都合がつかないが、こちらの部隊では都合がつくというような場合もございますし、いろいろな考え方食い違い等も調整する必要もございましょう。ですから、原則的には現地でやりますけれども、多少何か問題がありました場合は陸幕等に相談する、あるいは内局に相談するというようなことが、これはいろいろな仕事でそうでございますけれども、体験入隊の場合も行なわれておるということでございまして、そういうことを含みながら駐とん地司令原則的に現地判断をしている、こういうのが実情でございます。
  21. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 自衛隊のPRのために、あるいはまた演習というものにぶつからなければ、どんどん体験入隊させるというたてまえであるということは先ほど言っておりましたけれども、私は、こういう形で体験入隊が行なわれていく、さらにまた今後も行なわれていくであろうと思いますが、そのことが、きのうの長官答弁によりますと、ケースバイケースで考えるというだけでは納得ができないわけであります。ましてこの体験入隊についてはいろいろな団体申し込みもし入っているわけであります。たとえば、いい悪いは別にいたしまして、右翼団体であるとかあるいは左翼団体であるとかという団体については、どういう見解があるわけですか。
  22. 宍戸基男

    宍戸政府委員 体験入隊考え方は、先ほど繰り返して申し上げておるような基準でございます。思想はもちろん自由でございますから、自衛隊はそのイデオロギーによって差をつけるというふうなことはすべきでないと思いますけれども、実際に現実に行動に出ているような団体がありました場合に、もともと自衛隊を理解してもらおうということで体験入隊をやりますのに、右にしろ左にしろ、何にしろ、自衛隊姿勢そのもの国民から疑われるような体験入隊を実施して、自衛隊にとってプラスになるわけでもございませんし、国民にとってももちろんそういうことでいいと申せませんので、右にしろ左にしろ、またほかの理由にしろ、自衛隊姿勢が疑われるようなことをやるべきではないという、特に今度の事件にかんがみまして、そういう見地から体験入隊やり方も再検討しなければならないということを考えております。
  23. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 同じような問題が今後起きることを私は一番憂えるわけでありますが、事件が起きたのは十一月二十五日、もうきょうで半月も過ぎているわけです。先ほどからの答弁、きのうの答弁聞いていましても、再検討する、あるいはケースバイケースで考えると言いますけれども、その点が非常に問題であろうと私は思います。あの事件が悪かった、反省するところが多かったというならば、直ちにそういう問題は検討して、体験入隊に対してはこういう基準、こういう許可条件でなければ認めない、あるいは事故再発防止については具体的にこういうふうにやるんだということがあってしかるべきだと思うわけであります。  そして、きょう、きのういろいろ聞いておってわからなかったのですけれども、ここに「右翼事典」というのがあります。いま申し上げましたものは全部載っております。ですから、いまの官房長答弁によりますと、右であろうと左であろうと今後認める。おそらく、この「右翼事典」というものは、これは特定の方がつくったわけでありますが、警察でチェックしている団体であろうと私は思います。そういったことを御存じか。あるいは知っていても、体験入隊させるべきだと考えておるからさせるのかは私はわかりませんけれども、そこのところを明確にしてもらいたいと思うのです。その点いかがですか。
  24. 宍戸基男

    宍戸政府委員 体験入隊趣旨から見まして、国民から自衛隊姿勢そのものが疑われるような、そういう体験入隊を実施して自衛隊にとっていいことは全くございませんので、趣旨に反するわけですから、その点を、いままで不十分であったかもしれません、今度の事件では特にそういうことが反省されますので、再検討をいたしたい。特にいまおあげになりましたようなことにつきましては、警察とも十分連絡をして、いま申し上げたような疑われるような結果が出ないように注意をいたさなければならない、かように思います。
  25. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 大臣に伺いたいのですが、私がいまいろいろ申し上げましたけれども、結局は、今回の事件について申し上げますと、その体験入隊基準許可条件、こういったものを通して正しくチェックしておれば、たとえば楯の会の規約等によっては、これはどういうことなのかとか、あるいはまたそういったことがあるために将来非常に憂慮をする事態になるようなことも考えられるような場合には、当然チェックできたはずだと思います。先ほどからの官房長答弁を聞いておりますと、きわめてあいまいでありますし、現地司令官判断によって一切きめておる。しかも現地司令官が断わっても内局広報部ですか、広報局ですか、からの紹介があれば一方的に体験入隊をさせておるという実態があるわけでありますけれども、今後この体験入隊に対する基準であるとか許可条件について、どういう見解をお持ちなのか、その点を明確に伺いたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回の事件をよく反省いたしまして、御趣旨に沿って基準を設定する等、周到な手配をいたしたいと思います。
  27. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 警察庁の方来てますね。  あと先になりますけれども、この楯の会の事件についてでありますが、十一月の二十五日午前十時十分ごろですか、この事件が起きたようでありますけれども、そのときに三島由紀夫外五名ですか、五名の者がいろいろ檄文やら要求項目というものを出したと思うのです。どういう要求項目を出したのか。その点をお知らせ願いたいと思います。
  28. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 檄文は、これは相当長文にわたるものでございまして……(伊藤(惣)委員檄文でない、要求項目」と呼ぶ)要求は六項目ございまして、第一番に、十一時三十分までに全市ケ谷駐屯地自衛官本館前に集合せしめること、二つ目は、左記次第の演説を静聴すること。一、三島演説(激の散布)二、参加学生の名のり、、三、楯の会残余会員三島の訓示を聞かせる、それから大きな三番目としまして、楯の会残余会員を急遽市ケ谷会館より招集、参列せしむること。四、十一時十分から十三時十分に至る二時間の間、一切の攻撃妨害を行なわざること。一切の攻撃妨害が行なわれざる限り、当方よりは一切攻撃せず。五、右条件が完全に順守せられて二時間を経過したるときは、総監の身柄は安全に引き渡す。その形式は二名以上の護衛を当方より付し、拘束状態のまま——これ自決防止のためとカッコ書きがしてありますが、本館正面玄関において引き渡す。六、右条件が守られず、あるいは守られざるおそれあるときは、三島は直ちに総監を殺害して自決する。こういうのが項目条件でございます。
  29. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私も、これは写しでありますけれども、同じものを持っております。その前に、一番最初にどういうことが書いてありますか。その要求項目の前です。
  30. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 ちょっといまここへ持ち合わせておりませんが……。
  31. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それじゃ私が読みましょう。「一、楯の会隊長三島由紀夫同学生長森田必勝有志学生小川正洋、小賀正義古賀浩靖の五名は、本十一月二十五日十一時十分、東部方面総監を拘束し、総監室を占拠した。」「要求項目は左の通りである」こういうふうに出ております。これは間違いありませんか——間違いないですね。  そこで、長官に伺いたいのですけれども、こういうのがまかれたわけであります。この総監室を占拠したということでありますけれども、あの場合、警察庁や何かにいろいろ連絡したようでありますけれども、このことを認めて、また自衛隊演説をさせたようでありますけれども、だれが指揮をとってその点をやったのかという点が一つあります。その点いかがですか。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 東部方面総監幕僚副長の一佐であります。
  33. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 すでに警備体制についてはいろいろ指示をしておると思いますから、私もあまりこの点を追及し、また問題にはしたくないわけであります。この点については、やはり大事なことは、ここに至るまでの過程において、警備上において必ずしも的確でなかったと私は思っております。その点に対する対策もやはり考えるべきだろうと思います。  さらに警察庁に伺いたいのですけれども、楯の会の残余の会員を急遽市ケ谷会館より招集、参列せしむること、こういうふうになっておりますが、私は五人だけではなくて、残された方々について、やはり市ケ谷会館に集まっておったという事実、そしてここに参列せしむることという命令を待っておったんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。新聞の報道によりますと、全く関係ないといって、その日のうちに全部帰されたようでありますけれども、その点疑問に思う点です。
  34. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 昨日も申し上げましたとおり、あの事件は全く三島外四名だけが計画してやったことでございまして、市ヶ谷会館に集まっておりました三十二名はそのことを全く知らされておらなかったということがその後の取り調べにおいてもはっきりいたしました。
  35. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この捜査はいつごろ結論が出るのですか。
  36. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 警察としましては、先月の二十七日にすでに一応の取り調べは終わって検察庁に送っております。
  37. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この事件について長官に伺いたいのですが、長官長官判断によって一一〇番ですか、警察に連絡するよう指示したようでありますけれども、この場合の防衛庁警察の関係は、どの法律の規則または基準によってそういった行動をとられたのか、その点伺っておきたいと思います。
  38. 宍戸基男

    宍戸政府委員 事実としましては、一一〇番に現地から警察に連絡しておりますし、それから所轄の牛込署にも連絡しております。同時に部内としましては、事件発生後直ちに一般警備部隊も招集しますと同時に、警務隊、自衛隊部内の警察権を持っております警務部隊を招集しております。お尋ねはその警務部隊警察官との関係ではないかと存じますが、そのことにつきましては、もともと警務官の権限については自衛隊法に捜査の権限があるという規定がございます。もちろん一般警察官との関係が生じますので、その関係につきましては、昭和三十六年でございますけれども、自衛隊警察との犯罪捜査に関する協定というものをつくっておりまして、そこの協定に準拠して警務部隊警察官との仕事の権限の調整をするというのがたてまえでございます。今度の場合もこのことを頭に置いて現地では実施をしておる、こういうことでございます。
  39. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いろいろ問題あるようでありますが、そういった点については自衛隊が閉鎖社会のような形になってはまずいと思いますけれども、少なくともこういった問題が起きたときにはすみやかに対処できるような体制を明確にしておくべきであろうと私は思います。  次に伺いたいことは、私からいわせれば、この事件が非常に突然、偶発的に起こったように長官またきのうから答弁されているようでありますけれども、私はこういった体験入隊に対する不明確な点があったために、さらにまた内局が政治的あるいはまたPR過剰という見地からいろいろな処置をとったために、こういった事件が発生する要因はむしろ現在の体制の中にあった、私はそう思うわけであります。そう考えますと、いま少しこの責任の問題についてどう考えているのか、その点を伺っておきたいと思うのですが、その点長官いかがですか。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまから考えてみますと、いろいろ注意すべき点もあったように思います。しかしこれは結果論でありまして、この事前の諸般の情勢から見ますと、三島由紀夫というようなああいう世界的な作家が、よもやああいう行動に出るとはほとんど万人の想像もできなかったような事態であったので、まことに遺憾なことでありますが、やむを得ないことであると思います。しかしこういうことで世間を騒がせましたことについては将来戒めていきたいと思います。
  41. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 戒めていく、反省するという程度でありますが、責任はないと長官はっきり思うわけでありますか。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 責任論についてはいろいろな御議論もあると思いますが、こういうことは再び起きないように大いに戒めてわれわれの責任を全うしていきたいと思います。
  43. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は、防衛庁長官としてこの点は深く反省してもらうと同時に、やはり最高責任者でありますので、制服の方に責任があるとか、内局のほうに責任があるとかという点もいろいろ考えてみますと、どちらも問題があろうと思います。しかし長官はあわせての長官でありますから、私は当然防衛庁長官にその責任はあるように思います。したがいまして、こういったことの事故が再び起きないように、事故再発防止のために、あらためて先ほど体験入隊基準とか許可条件のみによらず、その対策を十分立てていただきたい、こう思います。その点においていかがですか。
  44. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 体験入隊そのほか諸般の問題について検討を加えまして、こういうことは再び繰り返さないように諸般の処置を講じたいと思います。
  45. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 実は、この事件が起きましてすぐ、私は防衛庁の外郭団体の実態について資料を要求いたしました。まずこの事件を通して自衛隊の外郭団体の種類または関係性、こういった点を明確にしておきたいと思うのです。現在自衛隊の外郭団体はどのぐらいあって、その名称とそれから目的、会員数、事業の内容、こういった点を簡単に伺いたいと思います。さらにどのようなメンバーで構成しているか、この点もあわせて伺っておきたいと思います。
  46. 宍戸基男

    宍戸政府委員 防衛庁に関係しております外郭団体の種類、内容等でございますが、社団法人の日本郷友連盟、これが一つございます。会員数は約四十二万、事業は国防思想の普及それから災害の予防、英霊の顕彰等がおもな事業内容になっております。  それから次に、社団法人としまして隊友会というのがあります。これは会員数が約十万、事業内容としましては、防衛意識の普及、自衛隊諸業務に対する協力、会員の親睦等がおもなものでございます。  次に、社団法人防衛衛生協会というのがございます。会員数は二千二百人程度ということでございます。事業内容としましては、防衛衛生思想の普及それから防衛衛生諸対策の調査、研究等がおもなものでございます。  次に、財団法人としまして三笠保存会というのがありまして、これは基本財産が四千五百万円、事業内容としましては記念艦三笠の保存及び維持、管理がおもなものでございます。  次に、財団法人としまして防衛弘済会、これは基本財産が約九百万円でございます。事業内容としまして防衛思想の普及、防衛関係学術技芸の奨励、退職者及び遺家族に対する援護等がおもな内容でございます。  次に、財団法人としまして、全国駐留軍労働福祉厚生協会、基本財産が一千万円。おもな事業は就職相談、職業紹介、就職者の相談それから自営業等の融資相談がおもな内容でございます。  次に、自衛隊協力会、これは各地にございますが、全国的には全国連絡協議会というのがあります。会員数は全部合わせまして約六十万、防衛に関する知識の高揚、自衛隊の行事に協力、隊員の慰問、激励というのがおもな事業内容であります。  次に、全国自衛隊父兄会連合会というのがあります。会員数は約十五万、事業内容は防衛思想の普及、高揚、自衛隊員の激励等がおもな内容でございます。  それから、防衛懇話会、これは会員数は約二百三十人、国防思想の普及、自衛隊員の激励等がおもな内容でございます。  それから、自衛隊友の会、会員数が約五百人、自衛隊の行なう行事、広報活動への協力がおもな内容でございます。  それから、自衛隊遺族会、会員数約千人、遺族の会員の懇親その他身上の相談等がおもな事業内容になっております。  大体自衛隊の周辺と申しますか、関係しましたおもな団体の事業内容等は以上でございます。
  47. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 もう一つどういうメンバーで構成しているのかということをお聞きしたのです。特に、いま三笠記念保存なんとかいうのがありますね。そんなものではなくて、実際の人の集まりですね。記念のものではなくて、どういう連中が集まって郷友会といっているのか、次には、どういう連中が集まって自衛隊友の会といっているのか、その構成メンバーですね、その点を簡単に伺いたい。
  48. 宍戸基男

    宍戸政府委員 ちょっと手元の資料では正確にお答えできるかどうかわかりませんが、先ほど申し上げました郷友連盟は旧軍人の方々を中心としまして、私、先ほど申し上げましたような事業に賛同される方々で組織されているものと思われます。それから隊友会は、自衛隊のOBといいますか、退職された方々をおもな会員としている。それから防衛衛生協会は、衛生関係の退職者及びそれに賛同される方々、それから自衛隊協力会、これは各自衛隊の駐とん地等に組織されておりまして、そしてその周辺の市町村の方々で自衛隊趣旨に賛同され、自衛隊の行事に協力されるというふうな人たちが組織されて、それが逐次集まって全国的な組織になっている。それから父兄会連合会といいますのは、やはり各自衛隊で組織されまして、現役の自衛隊員の父兄の方々が組織されている。それが全国的な組織になっている。それから、防衛懇話会は、経済関係の諸団体の法人、及び個人の方も入っておられます。それから友の会は、山岡荘八氏が会長になりまして、主としていわゆる芸能界の方々で組織されている。遺族会はもちろん遺族の方で組織されている、こういうことでございます。
  49. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 こういう団体は、防衛庁のだれが中心でまとめているのか。さらにまた、助成金、補助金を出しているようでありますが、どのくらい出されているのか。また、もう一つ伺いたいのですけれども、その中で、郷友連盟であるとか、遺族会であるとか、隊友会ですか、そういうものに限って、この右翼事典に出ているわけでありますが、これは警察庁の方に聞いたいのですけれども、こういう団体をチェックしているわけでありますか、その点もあわせて伺いたいと思います。
  50. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 そういう団体については一応承知はいたしておりますけれども、別にチェックするということではございません。
  51. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 先ほど官房長に伺いましたが、その外郭団体について、だれがどういうふうな関係でタッチしているのか、予算面についても簡単に伺いたいと思います。
  52. 宍戸基男

    宍戸政府委員 それぞれこの事業の内容について一番関係の深いところ、たとえば隊友会でいいますと、人事給与局の人事二課というふうなところ、衛生協会ですと、衛生局衛生課が窓口になってお世話をするというふうなやり方をしております。どこか一つにまとまってやるというふうなことにはしておりませんで、一番関係の深いところが窓口になってお世話をするということにしております。  それから、補助金等につきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、調べて御報告申し上げます。
  53. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ここでいま実体の一部が明らかになったわけでありますけれども、長官に伺いたいのでありますが、要するに、こういう事典の中に出ているような郷友連盟、しかも四十二万の方がいらっしゃる、その組織は旧軍人である。しかも、そういった方々が民防の組織をつくっておるというようなことも事業目的としてあるわけであります。そういった点、長官、御存じですか。
  54. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 民防の組織をつくっておるということ、私、知りません。しかし、国防知識の普及というようなことはやっておるだろうと思います。  それから、いま御指摘になった郷友連盟やその他のものは、右翼団体であると認定することは、私は行き過ぎじゃないかと思います。どういう意味でその事典に載っておるか知りませんが、それは何か偏見を持って、そういう指摘がされていろのではないか。郷友連盟なんかは、私も復員軍人の一人であって、私らの友人は相当復員者が入っておるわけです。しかし、それらは忠実な国民として、また、健全な市民として、地域社会でみんなまじめに働いておる人なのであって、特定の、いわゆる右翼というような先入観や偏見を持ってやっておる人たちではありません。私は、そういう意味において、郷友連盟やその他の団体が、そこに指摘されて入っておることは間違いではないか、こう思います。  それから、いま補助金の話がありましたが、外郭団体には補助金を出していないと私は報告を受けております。しかし、一部、資料を買い上げてやったり、そういうことは多少やっておるようですけれども、正式のいわゆる補助金と称するものはやっておることはない、こう聞いておるわけです。
  55. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 右翼事典というのは、社会問題研究所でつくったやつです。(中曽根国務大臣「それは左翼が書いたんでしょう。右翼というんなら、自分以外はみんな右翼になっているかもしれません。」と呼ぶ)まあ左翼でなければみんな右翼というんなら話は別ですけれども、そのために私は先ほど警察庁に聞いたわけです。警察庁としても知っておるということでありますので、私は、その点は警察庁判断のほうが正しいんじゃないかと考えております。どういうことを基準に右翼とか左翼とかいうのかということは、私もよくわかりません。また、そのことがいいか悪いかということも私は言っておりません。ただ、しかし、今後の問題として、こういったことがいまのままでいいのか悪いのか、現状について私は問題にしているわけであります。さらにまた、いまのような外郭団体の中には、言うならば、楯の会の規約より以上に密接な関係の方々がたくさんいることも事実であります。したがいまして、そういった外郭団体という以上は、やはり主体は防衛庁でありますし、また、その長は防衛庁長官でありますので、私は、この事件を契機として、外郭団体についても、何らかの形でのつながりについては明確な一つの形をとる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、その点について長官、いかがですか。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 外郭団体防衛庁に届けてきておりまする本来の趣旨を逸脱しないようによく監督していきたいと思います。
  57. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 逸脱しないように監督とおっしゃいましたが、私はまずことばの上でなくて、よく実体を知った上で、どこに問題があり、将来どういう問題になるかというような点をよく考えた上で、適切な処置をとることが大事ではないか。私は、この楯の会の事件を通じまして、いろいろ考えてみました。しかし、先ほど言いましたように、決して偶発ではなくて、起きるような一つのあいまいな、または、PR過剰のような実態の中から当然出てきた。第二、第三のこういう事件が決して起きないと断言できない、そういうふうに判断するわけであります。したがいまして、国民が心配をしているのはその点でありまして、そういった点から防衛庁長官は、こういうことについて、いままでより以上に積極的にこういった問題に取り組んでいただきたい、このことを要望しておきます。  時間がないから次にいきますが、この問題についても、非常に問題は小さいようでありますけれども、大事な問題でありますので伺っておきます。  これは「軍事研究」という雑誌に載った防衛大学校のアンケートの問題であります。「軍事研究」の十二月号に出ております。四十五年の十月、人文学助教授上田修一郎氏の「防衛大学校生徒心理テスト集」というのが掲載されております。この問題は、まず第一に聞きたいことは、このことと「軍事研究」の関係ですが、「軍事研究」から依頼されてやったのですか、この実態について伺いたいと思います。
  58. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 ただいまの「軍事研究」に掲載されましたアンケートのことでございますが、これは調査によりますと、四十五年、ことしの九月十一日、軍事研究社のほうからいまお話しの上田助教授が依頼を受けまして、学生に同助教授がアンケート用紙を配付いたしました。そして、十月の二十二日に軍事研究社にそれを渡したという経緯でございますが、このアンケートの実施及び雑誌への掲載につきましては、防衛大学校の当局はもちろんでございますが、防衛庁も全然関知しておりません。これが掲載されるに至りました経緯につきましては、このアンケートを個人的に依頼された上田助教授と雑誌社との間に誤解と行き違いがありまして、そういう掲載されたという結果になったようであります。アンケートの結果につきましては、これをとる際に学生に対しまして十分に目的を明らかにしなかった、記入上の注意も十分与えなかったというような経緯もありまして、このアンケートの内容その他につきましては、学生の真意が必ずしも十分に反映されているというふうには私も考えておりません。
  59. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そんなに急いで答えなくてもいいのですが、もうちょっとこちらの言うことに一々答えてもらえばいいわけです。まず軍事研究社と人文学助教授上田修一郎氏の関係はどうなっているのかということでございますが、この点は依頼した覚えはないというのですか、それとも依頼されてやったんですか、これは。
  60. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 上田助教授は軍事研究社から依頼されました。それでやった。
  61. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、その防衛大学というのは防衛庁ですから、軍事研究社から防大のほうに依頼があってアンケートをやったわけですね。
  62. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その件は、調べてみますと、軍事研究社から上田助教授に個人的にそういう依頼があった、そうして上田助教授は個人的に学生にアンケートを配ったらしいのです。それでその際学生に対して、これを公表するとか、どういう取り扱いにするとか、よく明示しなかったらしい、学生のほうはもちろん公表されるのではない、そう思って適当なことを書いた、中にはほんとうもあるし、いいかげんなことを書いた者もあるようです。それで軍事研究社と上田助教授の間は、報告によりますと、これを統計的に使うので個人の名前は出さないというように上田助教授のほうは理解しておった、それを学生の名前まで出して、学生一人一人を全部出したので、上田助教授も非常に驚くし、学生の非常に不信を買ったというのが実情であります。そういうようなそごから出ている問題で、しかし、かりそめにも学生の不信を買うようなことを起こすようなことは、私は教職員としては失態である、このように思ってそういうことは戒めたいと思っております。
  63. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この「軍事研究」の編集者の小名孝雄という人はどういう人ですか。
  64. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 軍事研究社の社長と編集を兼ねている人でございます。
  65. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それでは私が言いましょう。  この人は小名孝雄というのです。昭和四十一年の九月防衛庁の、時の海原官房長が告訴をしている人なのですね。その告訴をしたのは、いろいろな防衛庁内のデマが出たわけです。それは四十一年のいろいろな雑誌に出ております。その雑誌によりますと、まず第一に「軍事研究」の当時の十月号に海原官房長のことを東京地検に告発しております。どういうことで告発したかといいますと、当時の二月、四十一年の二月になりますか、怪文書が出たわけです。「防衛庁の黒い墓標」であるとか、それから「防衛庁の葬送行進曲」であるとか、または「防衛庁版・汚職の道教えます」あるいはまた「新長官へ一筆申上げます」こういうようなことでまず告発したわけですね。とところがそういったことが全部事実無根であるということで、逆に今度はいま申し上げました、たとえば海原官房長、それから当時の人たち、三輪事務次官あるいは田畑陸幕第二部長、それから自衛隊機関誌中島社長、読売新聞の堂場記者、こういった方々が軍事研究社の小名孝雄さんを告訴したわけであります。そういう間柄でありながら今回のような、いま防衛庁が頼まれて今度のアンケートに載せたということでありますけれども、長官、この点はいかがですか。しかも当時参加した人は防大のいま幹事をやっております。上田さんはもちろん防衛庁の幹部でありますけれども、いま田畑さんといいましたけれども、この人は防衛大学の幹事です。こういう関係の間柄でこういったことを「軍事研究」に載せる、防衛庁とこういったところの関係が私は非常におかしいと思うのですが、その点長官はどう判断されますか。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず、アンケートをとったり載せたことは防衛大学校とは関係のない、全くその助教授が独断で個人でやったことで、もしかりに防衛大学校が大学校としてやるならばそんなものに載せるはずはありませんし、そういう不用意なことをやるようなことはありません。全く上田助教授の個人の独断でやったことで、そのために生徒の不信を非常に買っているという事態であります。したがって防衛庁や防衛大学校のことではない。もちろんその職員個人的にやったことでありますから、そういう意味においては防衛庁とも関係はありますけれども、そんなことを出したこと自体については、上田助教授がかってに独断でやったことなのであります。
  67. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 もう少し聞きます。内容に入りますが、要するに、全部名前が出ているわけですよ。一年生から四年生まで入っているわけです。この名前を出すということは、上田助教授が本人から許可を受けて出したのかどうか、その点はいかがですか。
  68. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もちろん受けてないでやったらしいです。
  69. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それから、このアンケートはいろいろ書いてあります。たとえば「将来の希望」「尊敬する人物」「感銘をうけた本」「宗教」「恋人」「趣味」「スポーツ」それから「総理大臣への希望」ですか、「寮生活の感想」「父母に手紙を出すときの理由」こういったことがアンケートの項目であります。その中で、自衛隊員としてわれわれが考えた場合に何となくはっとするような名前をあげておる人がおります。全部本人の名前が出ておりますけれども、私は一応本人のことも考えまして申し上げません。最も尊敬する人物は樺美智子であるとか、あるいはまた毛沢東であるとか、ヒトラーであるとか、三島由紀夫であるとか、もちろんケネディ等はございますけれども、中曽根長官は出てないわけでありますが、吉田松陰とか出ております。  そこで私が申し上げたい点は、この中で特に四年生といいますと、すぐ明年三月卒業して一年間の見習い期間を置いて、そして昔でいえば将校になるわけです。三尉になるわけです。ということになりますと、たとえ百人のうち最も尊敬する人物はヒトラーだという人が五人いたとしても、千人、一万人、十万人になればたいへんなことになると私は思うのです。どうしてこういったことが出たか。それは個人の考え、思想の自由でありますから、それは書くことについては私は別にいけないというふうには思いませんけれども、こういったことが出ているということ。さらに総理大臣への希望の中には、憲法九条二項の改正だとか、あるいは国防省への昇格であるとか、徴兵制度の採用であるとか、さらにはまたベトナム派兵、国防軍の創設、治安維持法の制定、こういうことが出ているわけであります。これをまとめてみますと、ヒトラーというふうにいっている人が四人おります。毛沢東が一人、三島由紀夫が三人。それから憲法九条の改正をはっきりいう人が六人、自衛隊の強化というのですか、そういう意味でいっている人も数えますと九人。それから先ほど言ったような形の総理大臣への要望が出ているわけであります。私がここで問題にしているのは、一つは、国の将来を背負って立つ、また自衛隊の中核となるべき防大生の中に、どういう考えで書いたかわかりませんけれども、こういった方々がいるという事実、こういった点から自衛隊は、幹部教育や一般隊員に対してどのような教育をしているのか。さらにまた、常に政府は自衛隊は合憲であると言っております。しかしながら実態は、これはもう憲法を改正しなければだめだというふうに認識をしていること、政府あるいは自民党あるいは長官自衛隊は合憲であると言うことに対して、そうじゃないんだ、憲法を改正すべきなんだ、自衛隊は違憲なんだという認識、言うならば長官と反対な認識に立っている大学生、こういう点についてどういうふうに防衛庁長官が考えておられるのか、私はその点を伺いたいと思います。
  70. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本は憲法によって思想の自由が保障されておるのでありますから、学生が私の考えに同調しなくてもけっこうであり、あるいはかえって逆に見れば健全な現象かもしれないと思うのです。アンケートの内容はいろいろな人の名前が出ておりますけれども、二百人の中でその程度のものが出てきておる——ゼミナールと両方でたしか二百人くらいだったと思います。書いたほうの連中がどの程度まじめに書いているかも疑問の点が私はあると思います。ですからそのアンケートというものは、それほど信憑性がないのではないかと思うのです。ちゃんと前提を置いてまじめなアンケートとして出したのかそうでないのか、そういう書くときの心がまえというものをもう少し調べる必要があるのではないかと私は思います。しかしいずれにせよ、そういうような学生に迷惑をかけて不信を買うような行為は戒めていきたいと思います。
  71. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 まず伺いたいのですが、いま申し上げたような尊敬する人物にヒトラーだとかあるいはまた三島由紀夫であるとかいう思想の持ち主が——それは思想の自由だから何言ってもいいということをいま長官おっゃいましたけれども、そういう考え方でも自衛隊員として適格かどうかということですよ。
  72. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中ではケネディが一番多かったようであると聞いています。たしか八票あったかと聞いております。いろいろのことをいまの若い青年は考えておるので、六・三・三制の教育を受けてきた現代青年というものはわれわれよりも非常に複雑です。社会も複雑なんですから学生が複雑になるのはあたりまえであって、そういう過程で練摩されて常識のある新しい自衛官が生まれてくるんだと私は思うのです。昔みたいに軍人勅諭を暗記してそれで事が済むというのは私はかえって不健全でないかと思います。
  73. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 長官のお話ですが、私は最後に申し上げますけれども、要するに、自衛隊員としての資格または自衛隊員として適格か不適格かということについて私は聞いたのでありまして、そのことについて適格なら適格でいい。思想としてヒトラーが最も尊敬する人物である、三島由紀夫が最も尊敬する人物である、じゃそれであっても自衛隊員として適格だとおっしゃるなら私はそれでいいと思うのです。その点いかがですか。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は人の思想の自由にまで立ち入ろうとは思いません。私は防衛庁長官という役目にあるのでありまして、そういう権力を持っている人間が、個人の思想の自由を云々するということは適当でないと思います。だから学生はいま学生の身分であって、いろいろなことを考え、いろいろなことを勉強しておればいいのであって、ただ一たんこれが学生の身分を脱して自衛官として部下を教育したり第一線に配属されるというようなことになれば、これは自衛隊法の規定するところによって職務に忠実でなければならぬと思っております。
  75. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 最近の防衛問題を通して私の考えますことは、一つは軍事大国ということであります。現在ですらアジアで自由圏諸国では第一位。しかも今度の四次防が整備しますと世界の百上十数カ国プラス分裂国家、合わせて百三十カ国で、世界で第七番目の絶対的な軍事力になる。そういう面から見て国際的に日本が非常な軍事大国になる、あるいはまた軍国主義が復活するということで注目しているいまの国際環境であります。私はそういった点からいいましても、こういった点については長官として厳然たる態度でいくべきではないでしょうか。と言いますのは、私どもはあのいまわしい太平洋戦争で敗ればしましたけれども、あのとき私たちは軍国主義のもとにあってたいへんな苦労もし、またたいへんな戦いの先兵にもされたわけであります。特に侵略戦争といって、世界の各国から非難された戦争を、われわれはあの軍国主義の指導者からしいられたわけであります。したがいまして、少なくとも防衛大生の中にまたこういった考え方、こういった思想があるとすれば、私は当然えりを正してもう一回自衛隊の教育について基本的に考えていかねばならない、こう思うわけでありますが、その点はいかがですか。特に自衛隊は合憲であるといつもいうけれども、生徒の認識は逆なんです。そういった点についても長官はどういうふうに考えていられるか、その点伺いたいと思います。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽国務大臣 そのアンケートを見ましても自衛隊が違憲とはいっていないのです。憲法改正を希望するという意見はあります。しかしその憲法改正というのがいかなる根拠に基づいて言っているのか、これは思想の自由を持っている日本でありますから、また憲法自体にも改正条項があるのでありますから、これは自由であります。そして自衛隊あるいは自衛隊め憲法問題という問題については、あらためてこれは聞いてみる必要があると思う。さもなければ、それだけではわからないと私は思います。しかし私は、これから出てくる日本の自衛官の幹部というものは、非常にバランスのとれた、豊かな常識を持った市民社会に通用する人間でなければならないと思うのです。そういう意味において、いろんな思想の練摩を経て、その上に立って、豊かな健全な常識を自分でつくり上げていくということを切に希望しておるのでありまして、防衛大学学生も同じように日本国民の一人であり、思想の自由を持っているものでありますから、私はそれは尊重していくべきであると思います。しかし先ほど申し上げましたように、第一線に出て責任ある地位になれば、これは明確に自衛官として、そして自衛隊法や防衛庁設置法、法規その他の命ずるところに従って忠実な自衛官になってもらわなければいけない。そして「自衛官の心がまえ」という防衛庁で出している教範といいますか、考え方があります。あの考え方に従って行動していくべきである、そのように考えておるわけであります。
  77. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これはいま長官答弁を聞いて納得できない点も幾つかあるわけでありますけれども、こういったアンケートの扱いについては、長官のお話では全く助教授が独断でやったというけれども、このアンケートの扱いについては書類の中ではどういう扱いになっているのか、たとえば取り扱い注意だとか、いろいろなマル秘扱いがあるわけですが、アンケートはどの部類に入った書類なのか、その点いかがですか。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは全く個人的にやったことでありますから官庁文書ではないわけであります。だから秘とかマル秘とかいう扱いも全然受けていない個人的な文書として、それは扱われております。
  79. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それじゃ伺いますけれども、防大の助教授がかってにやっても、これはかってにやったから、その助教授だけの責任なのか、あるいはまた長官に全然責任はないのか。この問題は、先ほどから何回も言いますように、いろんな事件が起きた、非常に遺憾であるぐらいの問題で、私は事は済まないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまそのための調査を専門的に進めておりますので、その結果によって必要な処理をしたいと思っております。
  81. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 つけ加えておきますけれども、自分の学校の先生がそういう間違いを起こした、私は、当然その長であるべき学校の校長先生——防大の場合ですと、中曽根長官と最も近い人が防大の校長先生になっているようでありますけれども、さらにまた全体を含めまして、全部あげて長官にその責任はある。このアンケートの問題にいたしましても、さらに先ほど来の事件の問題にいたしましても、また今後の自衛隊一つの方向あるいはまた対策にしても、全部最高の責任者であるあなたに責任があると思うのです。だからそういった点から、どうか今後責任を明確にして、前向きに皆さんのいつも言うような、愛される国民のための自衛隊といいますか、もし問題があるならば、いかなる問題といえども洗い直して検討してみる必要があるのじゃないか。そう私は思いますが、いかがですか。
  82. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 将来そういうことを再び起こさないように大いに戒めていきたいと思います。
  83. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 時間がありませんから、ひとつこの問題はこのくらいにしておきまして、基地問題を伺いたいと思います。きのうも同僚議員からいろいろ基地の返還問題についてお話がございました。また質問がありました。長官からも答弁があったようでありますが、私もそれに関連いたしまして伺っておきます。  最近、厚木基地とか板付基地、また横須賀艦船修理部、こういった基地が返還されるようになっておりますが、これはどういう経過で返還されるのか、その点伺いたいと思います。またこれらの基地が返還される場合に、当然、地位協定四条の二項によってわが国が米側に対して、「いかなる補償をする義務も負わない。」という一つの条文がありますが、それが適用されると思いますが、その点いかがですか。
  84. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 昨日も申し上げましたとおりに、在日米軍基地の整理統合という問題がかなりのスピードをもちまして進展をするという情勢にあるわけでございますが、ただいま御指摘の個々の基地につきましては、まだ日米相互間でいろいろ協議中でございますので、具体的にどういうふうになるかということについては、今日の段階では差し控えたいと思います。返還になります場合に、四条の二項によりますところの、わが国は補償の義務を負わない、こういう点につきましては、まさに四条の二項の適用があると考えますので、われわれはそういう義務を負わないというふうに考えております。
  85. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 その場合、四条の二項によって返還する場合、両国ともに補償する責任を免れる規定でありますけれども、この四条の三項によりますと、特別取りきめに基づいて行なう建設については補償する義務が生ずることになる、そういうことが取りきめてありますが、現在わが国にある施設及び区域の中に、この四条の三で取りきめのある特別取りきめに基づいた基地はあるのですか。
  86. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 今日までのところ、第四条三項にいう特別取りきめによります建設工事が行なわれた事実はございません。
  87. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 将来たとえば沖繩返還等によって基地が返還される場合、当然その地位協定が適用されると思います。しかしこの場合でも特別取りきめに基づいた基地というのは、これからもし取りきめが行なわれるとすれば、これは問題でありますが、そういった点は考えられますか。
  88. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 沖繩の返還の準備業務がこれから進められるという段階でございますので、そういう特別の取りきめが行なわれるかどうかということにつきましては、いまの時点ではちょっと予測がむずかしいわけでございますが、従来本土の例から見まして、原則的にはそういう特別取りきめをしないで処置をするということになるのではなかろうかというふうに予測をするわけでございます。
  89. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは非常に大事なことでありますから、外務省に伺っておきたいのですが、ただいまの長官答弁でよろしゅうございますか。
  90. 宮川渉

    ○宮川説明員 ただいま施設庁長官からおっしゃいましたとおりでございます。
  91. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この基地問題で長官に伺いたいのですけれども、一つは、よく自衛隊管理ということが言われてまいりました。それで長官は、その基地問題についても渡米したわけでありますけれども、長官のおっしゃる自衛隊管理による基地返還、これは地位協定上問題がある。これはいままで言われてきました米軍が言う返還というのは、そのほとんどが地位協定二条四項の(a)ないし(b)であります。私はそこで伺いたいのですけれども、そういうような返還は決して返還ではない。地位協定の二条四項の(a)であろうと(b)であろうと、自衛隊が常に有事の際にはそこを使おうとするような体制で返還をされた基地というのは、本来の返還ということにはならない、私はそう思っているわけであります。  ところで、自衛隊管理については、長官はかつて日米合同委員会において話し合いをきめるということでありましたが、その後何回か合同委員会が開かれておりますけれども、その点について話し合ったと思います。どのような形になっているか、まずその点から質問したいわけです。
  92. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 米軍基地の自衛隊管理の問題につきましては、防衛庁の中に基地管理協議会というものをこしらえまして、関係者でいろいろ検討を進めておる段階でございます。最近、米軍の基地の問題につきまして、いろいろ情勢の変化も予想されるというようなことから、これまで検討してきた内容についても、やはりある程度の手直しが必要になるんではなかろうか、こういうふうに想定されますので、これまでの検討結果に基づいて、直ちに米側と交渉するという時期ではなかろうと思いますので、いましばらく情勢を見まして、見通しをつけた上において米側と交渉に入りたい、このように考えております。
  93. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、アメリカはなるべくニクソンドクトリンの線に沿いまして、アジアから基地を引き揚げる。しかしながら、コミットメントを果たさなければならない。そのコミットメントを果たすためにはどうしても日本に補給基地がなければならない、こういうような話があるわけであります。それには常に日本の基地に再び入れるような条件をとることが大事だということから、二条四項の(a)とか(b)という条件で返還に応ずるということを私は聞いておりますけれども、その際の問題は基地管理の問題であります。共同使用するにしても、また日米合同委員会自衛隊管理というような形になったとしても、その場合の管理費といいますか、基地の運営費といいますか、それが大きく問題になると思うのです。前回も申し上げましたけれども、要するに基地が返ってくる、非常にそれは国民感情に合うことでありますけれども、銭勘定が合わない。要するに、自衛隊が管理することによって、自衛隊が基地の維持管理費を持つということになる。しかも四次防の予算が出ているわけでありますけれども、四次防の予算によりますと、五兆二千億円、ベースアップを考えて五兆八千億円、そういうふうにいわれております。しかし、七二年時点までにはおおよその基地が返ってくるいま現在の見通しでありますけれども、その際のそういった基地の管理費、運営費というものが四次防の中に組み込まれているのかどうか、その点なんかも明らかにしていただきたいと思うのです。
  94. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 一つの基地を自衛隊と米軍が共用します場合に、その経費の分担をどういうふうにするかということにつきましては、従来防衛庁側の見解と米側の見解との間に格差があったわけでございます。と申しますのは、防衛庁側としては共通的な管理費、これは基地を管理している側が負担すべきである。したがって、共用使用を認められている側は、その共同使用によって直接発生する経費、たとえば光熱水道費といったようなメーカーによってはっきりその使用料のわかるもの、こういったものを負担するという考え方、米側はその使用の度合いに応じて共通費も分担すべきである。直接使う光熱水道費はもちろんでございますが、共通的な経費も使用の度合いで分けるべきだ、こういう考え方でおったわけでございますが、この問題につきましても、いずれにしてもこれからいろいろそういう問題が発生しますので、米側との間に調整をはからなければならないということで、目下その分担の方法について部内で検討をしておりますが、方向としてはやはり使用の実態に応じた合理的な負担を考えるべきである。したがって、共通経費というものにつきましても、ものによっては共同使用を認められている側がある程度負担すべきではなかろうか。たとえば共同使用することによって、共通的な経費の中でも増加する部分がある、全体として。その増加する部分はやはり共同使用者が負担すべきではなかろうか。あるいは共同使用を認められなければ当然別に経費が要るべきものが、共同使用によってそれが要らなくなっているような受益する面、こういう面についても検討すべきであろうということでございまして、まだ結論を得ておりませんが、使用の実態に応じた合理的な配分について現在検討中ということでございます。
  95. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうなりますと、これは四次防の中ではそれを見積もっておるのですか。それとも四次防には全く関係なく、新たに、たとえば自衛隊管理等によって、いまの説明によりますと使ったほうが——いろいろ使っていくというならば自衛隊の負担になるわけですね。二条四項の(b)なんかで返還されましても、ほとんど自衛隊が使うようになるのじゃないかと思う。その場合の経費はもうすでに四次防の中に入っているわけですか。
  96. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 四次防の中に当然そういった経費も見込まれておると思います。私、詳細いま承知しておりませんけれども、一般的にはそういう経費も入っておりますので、この分担方式がはっきりきまりましたならば、その新しい方式によってある程度の検討のし直しということはあり得ることかと思います。
  97. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この基地返還に対して米側からどのような要望があったか、その点も明らかにしていただきたいと思うのです。たとえば先ほど言いましたように、最近、基地が有事駐留の方向に向いているように私たちには感じられるわけです。したがって、自衛隊ならば返還する、自衛隊が優先的に使い、自衛隊が使って、有事のときにはいつでもアメリカ軍が入れるような体制であれば返還しようかというようなことを条件にしているといわれておりますが、その点いかがですか。
  98. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 現在のところ、返還に際しまして、その使用者を向こうから要望したりあるいはその利用形態についていろいろ注文をつけるというような条件つきの返還というものはないようでございます。
  99. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それじゃ伺いたいのですけれども、長官、最近の基地の返還というのは非常に自衛隊に多いわけですよ。去年の暮れにきまった五十数カ所のうちの二十数カ所、その約九〇%近くが自衛隊に返還されているわけです。この基地問題について一番大事なことは、現在全国に自衛隊の基地が二千カ所ございますけれども、それで現状が狭いというなら話は別としても、私は現状の基地で十分だと思うわけでありますけれども、さらに米軍の基地が帰った場合に自衛隊が優先的に使用するという行き方——いま申し上げましたように、すでに九〇%も自衛隊が使っているという事実。しかし実態というのは、地方自治体が都市計画にのっとって使用させてほしい、または公園をつくってほしい、非常に地元の要望が強い基地がたくさんあるわけでありますけれども、基本的な考え方として、ただいま施設庁長官のお話によりますと、米軍からは何の要望もないというならば、防衛庁長官判断によって、この基地は地元に返そう、この基地はこういう理由だから公園にしようというこうなことを、長官の自主判断によってもちろんできると思うのですが、その点はいかがですか。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 民有地に、民間に返却するということについて、伊藤委員から前からお話がございますが、われわれも御意見をよく考えて、また日本の防衛上の必要等も考えながら、そういう事態が出てきた場合には処理していきたいと思います。
  101. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 長官の基本的な考え方をいま伺ったわけですけれども、要するに、公明党としまして基地の総点検をやりました。それ以後また今年基地のあと地利用に関する再点検をやったわけでありますが、要望書はすでに防衛庁のほうにも提出はしてありますけれども、あれをごらんになってもわかりますように、大半の基地は、民間というよりも公共施設とかそれから地方自治体、あるいは都市計画にのっとった基地のあと地利用をしてほしいということがわれわれの調査でわかっているわけであります。私はそういう方向で行くべきだろうと思いますし、当然いまの長官はそのことも考えてやるということであろうと思いますので、基地の問題については一応終わりたいと思いますが、最後に先ほどの横須賀の基地のことでございますけれども、横須賀のこの修理施設ですか、この返還について、報道によりますと、米側からいつでも優先的に使えるという条件であれば、またそういうような条件にして返還に応ずる、こういうふうに出ているわけでありますが、この優先的使用権といいますか、こういうものの実態、これについて伺いたいと思うのですが、その点長官いかがですか。
  102. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先ほど施設庁長官からもお答えしましたように、現在米側といろいろの基地につきまして交渉しておりますけれども、実態的な内容についてはここでお答えすることを差し控えたいと思います。
  103. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 差し控えるということはどういうことですか。どういう理由ですか。
  104. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 まだ具体的な内容についてはきわめて流動的な情勢でございますので、ここで特定のことについて発言をしますと誤解を招くおそれもありますので、差し控えたい、こういうことでございます。
  105. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 こういう場所だから明確にすべきじゃないでしょうかね。いま地元でいろいろなことが言われているわけですよ。ですから、基本原則はこうだ、こういう線で話し合いをしたい、こういう防衛庁態度があっていいんじゃないでしょうか。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いろいろな話し合いがいま行なわれておりますが、まだ公表するに足るまで熟していない。もし公表してよろしいという時期が来たら発表さしていただくことにしたいと思います。
  107. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それではそれ以上聞いても何も答弁はないわけですね。通告はしてあるのですけれども、またいずれの機会に質問したいと思います。  先ほど基地問題で、四次防の中にもうすでに基地の、自衛隊が使った場合の管理費なども含まれているという答弁があったわけですが、防衛庁長官、間違いありませんか。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一般的にいえば、大体この五カ年くらいの間にこういうふうになるだろうという一応の構図をかきまして、この程度のものは入っておる。しかし、それは具体的に出てきた場合にそのとおり行くかどうか、これはもう一回再検討を要しますけれども、一般的には、心がまえとしてある程度は入れてあるのであります。
  109. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 基本的な問題をいま聞いたわけですが、さらに治安出動の点について、これもまた基本的な点について伺っておきたいと思います。  あの三島檄文によりますと、彼らは十・二一の統一反戦新宿事件に際して自衛隊の治安出動を期待したわけですね。そして、これを読んだほうが早いでしょうから読みますけれども、「しかるに昨昭和四十四年十月二十一日に何が起ったか。総理訪米前の大詰ともいふべきこのデモは、圧倒的な警察力の下に不発に終った。その状況を新宿で見て、私は「これで憲法は変らない」と痛恨した。その日に何が起こったか。政府は極左勢力の限界を見極め、戒厳令にも等しい警察の規制に対する一般民衆の反応を見極め、敢て「憲法改正」といふ火中の栗を拾はずとも、事態を収拾しうる自信を得たのである。治安出動は不用になった。」こういうふうにあるわけです。私はこのところを見まして、あのときに自衛隊に出動させて、またそれを契機に憲法改正まで持っていこうという意図があったように感じられるわけであります。また、政府のいわゆる防衛白書とか四次防の概要なんかにもありますが、日本の防衛構想というのは、直接侵略ということよりも間接侵略の重視という面で、特に治安出動などのほうに重点が移っているのですね。そういう考え方に立っているわけでありますが、この間接侵略やまた暴動だとか騒乱等の最良の防止策というのは、基本的には政府がよい政治をやることでありますけれども、たとえば政府の失政の問題を自衛隊の治安出動に求めるということが私はあってはならないと思うのです。その点について、まず長官、いかがですか。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 治安出動というのは、警察力ではとてももう処理できないという重大な事態に立ち至った場合に行なわれるのでありまして、そう軽々にやるべきではないと考えます。
  111. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 自衛隊法の七十八条の命令による治安出動というのがありますが、これは総理大臣が間接侵略その他の緊急事態に際して、一般警察力をもっては治安を維持することができないというふうに認められた場合に、自衛隊の全部または一部の出動を命ずることができるということが規定されているわけです。この命令による治安出動というのは、あくまでも警察の補完作用というふうに私は思うわけでありますけれども、この防衛作用もこの中に含まれるのかどうか、まずその点伺いたいと思うのです。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 治安出動でありますから、治安目的であると思います。それで、数府県に同時多発に内乱的な情勢が出るとか、あるいはいろいろな使用する武器その他で、警察力ではとてももう対処できない事態が出てくるとか、そういうような場合が想定されるのではないかと思います。
  113. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 治安出動について、治安出動を命じ得る要件としては、第一に、間接侵略その他の緊急事態が存在すること、第二に一般警察力では治安維持はできない、そういう面が発生しなければできないと思うのです。たとえ間接侵略その他の緊急事態が起こったとしても直ちに命令することはできない。その上に一般警察力ではどうしても治安の維持ができないというぎりぎりの線が条件になっていると思うのですが、自衛隊の治安出動に際しての要件をもう少し詳しく伺っておきたいと思うのです。
  114. 宍戸基男

    宍戸政府委員 いま御指摘の七十八条に書いてございますように、「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合」というのが治安出動の条件でごごいます。間接侵略その他の緊急事態という事態がありまして、そしてしかも一般のそういう緊急事態はまず一般警察力で維持するんだという考え方が前提になっており、しかし警察力にも限界がありますから、その一般警察力をもってしては維持が困難であるというふうに認められた場合に、初めて自衛隊の治安出動があり得る、七十八条はそういう趣旨だと思います。
  115. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ここで言うわが国においての間接侵略その他の緊急事態というのはどういう事態をさすのかということですね。またその間接侵略等その他の緊急事態の定義と態様、これを伺いたいわけです。また具体的な例をあげて、暴動や騒乱等を量と質の面から、どういう場合に自衛隊は治安出動をするのかということ、それを伺いたいと思います。
  116. 宍戸基男

    宍戸政府委員 間接侵略の定義は国際法上はっきりそういう条約等ではきまったわけではございませんけれども、常識的に申し上げますと、外国の教唆または干渉という事実がありまして、そういうことによって引き起こされたわが国における大規模な内乱または騒擾、そういう事態である、従来そういうふうに解釈いたしております。それが一つの解釈、それから「その他の緊急事態」と次にございますのは、先ほど長官も例示されましたけれども、量と質、両面から考えることができると思います。量でいいますと、一局部だけでなくて数府県にまたがるような相当スケールの大きな事態、しかもそれが方々で、どの県でも同時にそういう事態が起こっているというふうな事態、それから相当長期にわたって事態が継続しているというようなことが考えられると思います。  それから質のほうでいいますと、かりに小部分でありましても相当強力な武器が使われている。普通の拳銃等でなくて相当強力な武器が使われているという、かりに地域が小さくてもそういうふうな場合には、ここで言う緊急事態に当たろうか。つまり警察は拳銃しか持っておりませんから、警察力をもってしては対処できない、そういうような場合があり得るかと思います。
  117. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、強力な武器というのはピストル以上のものですか。要するに、機関銃だとかライフル銃だとかいうものを意味するわけですか。
  118. 宍戸基男

    宍戸政府委員 常識的にはそういうふうなことが想像されると思います。
  119. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 現在のシビリアンコントロールという面からいいましても、総理大臣がすべて命令できるわけでありますが、防衛出動であっても治安出動であっても、最高指揮官としてオールマイティの権限を総理は持っております。万一独裁的な総理があらわれて、その指揮のもとにこの実力集団が置かれるようになった場合には、きわめて危険である。もちろん防衛出動というのは原則として事前に国会の承認が必要となってはおります。しかし衆議院が解散されているときは参議院の緊急集会による承認が必要になっております。この場合には直ちに国会の承認を求めなければならないと規定されておりますが、さらにそれは閣議決定前に国防会議に諮問しなければならないと法律上はなっておるわけであります。防衛出動を命ずるための政府の具体的な手続、方法はどうなっておるのか、まずその点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  120. 宍戸基男

    宍戸政府委員 防衛出動ですと条文は七十六条になりますけれども、七十六条の要件が満たされるというふうな情勢になりましたら、手続としましては、国防会議、それから閣議等の手続が政府部内においては行なわれて、発動される、こういうふうなことになろうかと思います。
  121. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 国防会議にも諮問するわけでしょう、法律上は。
  122. 宍戸基男

    宍戸政府委員 防衛出動の場合はそうでございます。
  123. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ところが治安出動の場合は、直接侵略に対処する場合と違って同胞が相手になることが多いのじゃないか、こう思います。警察は何といってもふだんから治安維持の任務を持って国民に接しておりますけれども、自衛隊の訓練は常に最悪の事態に対処するような訓練をしていることも事実であります。しかもまたその武器は強大ですね。ややもするとそれは実力過剰なものになって、いたずらに国民に大きな損害を与える結果になりかねないと私は思うのです。要するに、警察力を補うため自衛隊はどの実力を行使することが許されるのか、また許される範囲のおおよその基準は当然持っていると思うのですが、まずその点について伺いたいと思うのです。これは前に治安出動教範を、あれはやめるとは言いましたけれども、指揮官心得というものをつくると言っておりましたが、それは内容は大体どのようなものか、その点も伺いたいと思います。
  124. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 指揮官心得につきましては、現在まだ、先ほどのお話のような治安出動というような事態が全く考えられませんので、指揮官心得につきましても、現在は検討いたしておりません。
  125. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 前段で言いましたね、官房長。要するに、一般論ですけれども、自衛隊はどの程度の実力を行使することを許される範囲だと考えているのかという点ですね。
  126. 宍戸基男

    宍戸政府委員 それは治安出動の場合のお尋ねでございますね。これは国内法によりまして規制されております。御承知のように警職法が準用されますので、警職法の基準に基づいて自衛隊も武器を使うという場合があります。一般的な場合にはそういうことでございます。それ以外に、事態の種類によりますけれども、またそれぞれの条件が当てはまる場合でございますけれども、たとえば自衛隊法の九十条に武器の使用の根拠が一つございます。また九十五条にも武器使用の根拠がございますが、こういった法律の規定に基づいて武器を使用する、その基準はそれぞれの条文に書いてございますけれども、合理的に必要と判断される限度ということが最も大切な基準になっております。
  127. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私はここで指摘をしておきたい点は、防衛出動は国会の承認などを得る、きわめて手続が慎重になっているわけでありますが、それに比べて治安出動というのは非常に軽く取り扱っていはしないかというふうに私は思うのです。要するに、治安出動を命ずるのには、必ずしも出動の可否を国防会議に諮問する必要もない。また事前の国会の承認も必要とされていない。それは出動命令をしてから二十日以内に国会に付議して承認を求めるだけでよい、というふうになっているわけです。また国会が閉会中の場合または衆議院解散中の場合は、その後最初に召集される国会で承認を求めればよいということに法律上なっているわけであります。治安出動というのは、やはり防衛出動と同じようにきわめて重大な問題でもありますので、私はこの治安出動というものが防衛出動と同じ取り扱いをすべきが当然であると思うのです。この点、長官いかがでしょうか。
  128. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 防衛出動ともなると、外国の侵入との交戦という形になりまして、やはり治安出動とは性格もあるいは緊迫度も非常に違ってくると思うのです。ですから取り扱いについては、私は現行法規で適当ではないかと思います。
  129. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、防衛庁長官のいままでの答弁から見ますと、直接侵略はあり得ない、間接侵略であると、それには侵略者からの、いろいろな地方自治体に対する働きかけ、またはそういったことを押えるには治安出動を、間接侵略に対処するための出動をするというようなことをいままで言ってこられたわけでありますけれども、私はシビリアンコントロールという見地からも、やはり防衛出動と同じように、治安出動も国会の事前承認を原則にすべきじゃないかと思うのです。そしてこのことを国防会議の付議事項として法律に明定すべきじゃないかと思うのですが、その点について長官いかがお考えですか。
  130. 宍戸基男

    宍戸政府委員 治安出動は、先ほど長官のお答えにもありましたように、警察行動であります。国の防衛行動とは性格がおのずから違うものだと思います。もちろんたいへん国内的に重要なことでございます。手続は、おのずから警察行動であるか、防衛行動であるかによって違ってくる。そこで、防衛行動のほうは国防会議という手続があって、その上で閣議ということになるのが手順でございますが、治安行動、これは警察行動でございますので、警察のほうの最高責任者である国家公安委員会防衛庁長官とが緊密に連絡するというのがまず第一段階の筋になっておりまして、これは自衛隊法にも、それをしなければならないと書いてあります。その上で行政部内の最高の機関である閣議にかかる、さらに国会の御批判がある、御審議がある、こういう手順になっているわけでございます。
  131. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いま私が聞いているのは、要するに治安出動ということについては警察権力が相当にやれるわけですよ。ですから、直接侵略がないというふうに大体考えているわけでありますから、おそらくは間接侵略にはやはり治安出動のような出動が前提として考えられるわけです。しかしこれはきわめて重大なことでありますし、防衛出動といっても治安出動といっても、間接侵略というふうに定義すれば、やはり防衛出動というよりも治安出動が考えられるわけですよ。その場合、国会の事後承認ではなくて、防衛出動と同じ取り扱いをすべきだろう。またなぜそれが大事かといいますと、わが同胞に銃を向けることがあってはならないし、またそういうような中で出動する場合には、たいへん犠牲も大きくなるというようなことも考えられるわけです。ですからその出動にあたっては、防衛出動と同じように、国会承認または国防会議なんかの付議事項として法律に明記すべきじゃないか、こう思うのです。長官、いかがですか。
  132. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は、遺憾ながら見解を異にしております。
  133. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 長官がそういう考えでありますから、なかなか自衛隊国民の間に理解されないということになるわけであります。いつも長官自衛隊のPR、自衛隊というものを国民の茶の間に持ってくるというお話をしておられますけれども、こういった大事な問題についても前向きにやはり検討すべきじゃないかと思うのです。私も、この防衛問題をだいぶ扱っておりまして感じますことは、特に防衛自書の中にもありますように、防衛庁サイドで調査しても、この一年の間に自衛隊の支持率が八十数%から七十数%に下がっているという事実があるわけであります。そういう意味におきまして、先ほど来からの答弁先ほど来からの長官態度につきまして、いろいろと考えさせられる点があります。私はこれで防衛問題の質問を終わりますけれども、どうか長官は、この自衛隊に対してはもっともっと前向き、積極的に、国民に理解させるようなそういうPR、または自衛隊の体質の改善、さらにはまた健全な管理、さらに自衛隊の処遇改善等に十分考えて指揮をとっていただきたい。そのことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。長官から最後に答弁を……。
  134. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自衛隊国民自衛隊にするために積極的に努力してまいりたいと思います。
  135. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 終わります。
  136. 天野公義

    天野委員長 和田耕作君。
  137. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 昨日来、三島由紀夫さんの事件につきまして、質問あるいは長官答弁をいろいろ承っておりまして、長官答弁、ことばであらわされておる限りにおいては大体妥当だという感じをもって聞いておったわけでありますけれども、現在の日本の自衛隊が直面をしておると申しますか、これを取り巻いておる内外の状態というものは非常に重要な転機に来ているという感じがするわけでございます。長官自身が今度五兆八千億という膨大な金を投入して四次防という計画を推進しようとしておられる。また世界のあちらこちらからは日本の軍国主義の復活という問題が議論されておる。また国内では最近の三島事件が象徴しているように、憲法改正という問題をまともに取り上げる考え方というものが出てきておるというようなときでございまして、この時期において長官の、あるいは総理大臣の、自衛隊というものについての確固たる一つの方針というものを確認しなければならない時期ではないかという感じがするわけでございまして、そういうふうな意味で、私きょうの質問は、いままで、あるいは今後、自衛隊の教育の中で憲法という問題をどのように位置づけていこうとしておるのか、あるいは具体的に憲法の教育、隊員に対する教育という問題を、具体的にどういうふうにしようとしておられるのか、この問題に集中して御質問をしてみたいと思っておるわけでございます。この三島事件の持っている意味というものは、昨日も長官もお話しになりましたとおり、彼が直接に目的にした、つまり自衛隊を軍隊に改編するという問題、あるいは憲法改正というものを自衛隊の決起によってこれを解決していこうというようなこと、こういうような問題は、私どもの政治感覚とは大きく離れておりまして、しかも国民考え方ともかなり離れておるということであって、たいして重大な問題とも考えてはおりませんけれども、しかし三島さんの提起した問題のもう一つの面は、人間の生き方と申しますか、つまり命よりも大事なものがあるんだという問題を身をもって提起したということが、現在の日本の状態から見て重大なショックになっておるということなんですね。そこで、命よりも大事なものがあるんだということを身をもって実現をしたというあの衝撃というのは——自衛隊の場合は、日本の国の平和とそして独立、また安全というものを守るというために自衛隊をつくるんだというはっきりした目的があるのですけれども、この目的というのは、他のいろいろな団体の目的とは違ってからだを張る目的なんですね。必要があれば自分の命を張っていくという問題を持っている目的なんであって、三島さんの提起したあの憲法改正云々の問題については、そのこと自体はたいした問題ではないにしても、しかしからだを張っていくということ、この生き方ということからの影響というのは、相当大きいのじゃないかと私は思うのです。しかもこの二つは、切り離して考えられるように見えるのですけれども、なかなか切り離して考えられる問題ではないというふうな意味で、今後三島さんが提起した問題は相当長く尾を引いていく。ときあたかも四次防の問題がある、あるいは軍国主義の問題があるというようなこととも関連して、なかなか重要な問題だと私自身は考えておるわけなんです。  そこで長官にお伺いしたいのですけれども、三島さんも言っているように、自衛隊は軍隊じゃない、もっと軍隊にしなければならぬということばがありますけれども、長官自衛隊と軍隊との違いは、どういうふうにお考えになっていますか。
  138. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自衛隊は軍隊でなくして自衛隊である、そういう考え方が基本的な考え方であります。これは日本の憲法並びに自衛隊法等の規定に従って節度ある日本の防衛力としていま育成しつつあり、またある意味においては漸増されつつあるものであります。アメリカの軍隊とかソ連の軍隊とかいうようないわゆる軍隊とは違う、日本独特の存在であると私は考えております。
  139. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 自衛隊のための武装力というもの、軍隊だって武装力であるという点では間違いない。ただ、自衛という限界がついておるけれども、軍隊と内容的には同じものだという考えについては御意見がありますか。
  140. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 軍隊ということばの定義をどういうふうに解釈するかということにもよりましょうけれども、日本の防衛力は、国策の手段にしたり、あるいは外国に対する脅迫やその他の材料にしてはならない、国策の道具になってはならない、そういうことが厳然とあって、そして日本の防衛にのみ役立つ節度ある一つの防衛力、そういう考え方に立脚しておるのであります。
  141. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは防衛、自衛という範囲の中での軍隊である、こう言って間違いはないわけですね。私もそう思いますけれども……。
  142. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 軍隊というその定義をどう理解するかということですが、日本の場合には、憲法で交戦権はないし、また軍法会議その他もないわけでありまして、ほかの国のものとは性格が違っておるわけであります。
  143. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 一つの例としていまの問題を取り上げましたのは、憲法の精神を具体的に隊員に教えていく場合に、こういう問題についてごく常識的に考えている線と違った表現なり、あるいはあいまいなことを言うということは、現在の教育の内容の教え方として問題があるんじゃないかということを考えますので、もう常識的に考えている点はすらっとそういう問題を教育していくというようなことが必要じゃないのでしょうか。その一つの例として、長官もいつか参議院で、陸、海、空の三軍とかいう軍を使って問題になったという話がありますけれども、これはつまり国民から見ればあたりまえのことを言った。ただ、いままでのいろいろな理屈から、あるいは国会で問題になったことからは問題になるけれども、自衛隊員にしても、国民にしても、あれは軍隊だというふうに思っているわけですね。軍隊ではないのだということでいろいろなことを言うものだから、自衛の範囲そういうことまでおかしくなってくるというようなこと、そういう影響があると思いませんか。
  144. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御質問趣旨がよくわかりませんが、日本国憲法のもとにおける防衛力というものは、そういう日本特有の防衛力である、そのもとに奉仕する自衛官である、そういうことを教育しており、また徹底していくべきであると思います。
  145. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それから憲法九十九条、一番最終の章に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」という条章がございますけれども、この憲法を擁護するというこのことばと公務員自身が憲法改正という問題を出してくるというこの関係を、長官どういうふうにお考えになっておりますか。
  146. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公務員という公的なステータスの場合とそれから私的な思想の自由という問題とやはり区別して考えるべきであろうと思います。
  147. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 公務員として憲法改正の議論を公然とするということは、憲法の精神からいって間違っているというふうにお考えですか。
  148. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その辺は人事院総裁にお聞き願いたいと思いますが、私の法律知識では正確な御回答はできないと思います。
  149. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 しかし実はこの問題が、いまの自衛隊の教育の問題について非常に重要な要素だと思うのです。たとえば今度の三島事件で楯の会という会を率いる三島さんが自衛隊の中に乱入したということ、しかも楯の会の性格をよく承知の上で——きのう知らなかったという官房長のお話もありましたが、長官としてはあとで遺憾であった、知っておったということを裏書きしたように私は聞いたのですが、これを知っておって、しかも楯の会というような会を頻繁に自衛隊に近づけてくるというこの一つの行動、楯の会は、憲法改正をただ一つの目標にしたような会ですが、こういう会を自衛隊に近づけるというような行動を自衛隊自身がとるということは、つまり公務員として憲法改正という問題を提起することについての——いま長官は、人事院総裁に聞いてくださいと言っているけれども、そういうあいまいな態度がこういう問題を起こしてくる、そういうことじゃないでしょうか。その点どうでしょうか。
  150. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 楯の会の諸君が自衛隊体験入隊をしたいというのは、心身を練摩したい、そういう考えで来ており、三島君もそういうことを言っておったようです。憲法改正とは直接そのときには関係がない、ただ隊員の心身を練摩するということにあった。したがって自衛隊としては、そういう一種の修養みたいなことですから、体験入隊を認めたと思うのですが、これが憲法改正を目的として自衛隊入隊したいとかそこでいろいろ行動をやりだいとかいうならば、これはまた別の問題になるだろうと私は思うのです。
  151. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そういうことだと、結局楯の会というものの事情を知らずにああいう体験入隊をさせたということにもなるのですが、そういうことではなくて、楯の会の場合には他の団体とは全く違った体験入隊のしかたをしてきているわけですね。そしてまた、長官もきのう遺憾であったということばでありますように、長官は、楯の会の性格というものをよく存じておったわけですね。楯の会の公式の項目は、軍事研究、軍事的な修養、いろいろな項目がありますけれども、しかし楯の会全体の会の性格は、つまり憲法改正をするんだというところにあることは公然としている事実なんです。こういう団体をああいう形で自衛隊に近づけていくということは、つまり公務員として憲法改正というものを非常にあいまいにしか理解してないということに原因があるのではないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  152. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 体験入隊と憲法改正が直接結びつきがあるとは私は思わないわけです。楯の会あるいは三島君がどういう思想を持っておりましたか、それは思想の自由でございましょうけれども、もし体験入隊というあのこと自体が憲法改正運動のためにやっているというのならば、体験入隊についてもまたいろいろとそのとき考えがあったろうと私は思います。
  153. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その問題は、私は二年ほど前から、長官に、憲法の前文あるいは九条を含めて、これは誠実にお守りになりますか、守ります、こう言っておられる。佐藤総理もそういうふうに答えておられる。それで私は非常に安心をしているわけでありますし、いまの憲法を守っていきますということは当然のことです、日本国憲法のもとにおける国務大臣ですから。そのもとでいまも提起をしたように、憲法改正か改悪か知らぬけれども、とにかく憲法を変えるということについて公務員としてもっときびしい自制がなければならない。防衛大学学生でもそうです。あれは学生とはいっても公務員ですから、やはり公務員としての憲法上のそういう問題についてはもっと自制があってしかるべきだ。しかし、防衛庁長官自身が、いまの憲法九十九条の理解について人事院の総裁に聞いてくれ、そんなことでは、私は、一番大事な点があやふやな問題になっているという感じがするわけで、いまのような質問をしているわけですけれども、防衛庁長官としては、憲法というものに対しての、よく伝えられる政府の解釈を私は正しいと思います。思いますけれども、そういう問題をもっと公然と自衛隊の隊員に具体的に教える措置をとっていないじゃないかという感じがするので、きょうの質問をしているわけですが、長官は、やはりいまの公務員として憲法改正を考えることについては、私にはよくわからないんだ、人事院総裁に聞いてくれ、そういうあいまいな態度ですか。
  154. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、公務員が私的に思想の自由を持っているがゆえに、それを表明することは自由であろうと思います。これは憲法が保障しているところであると思うのです。しかし公務員という立場で、政治活動としてこれを行なってはならない、その点ははっきりしているだろうと思います。ですから、たとえば防衛大学学生がアンケートで、憲法改正の意見を持っている、そういうことを書こうが書くまいがそれは自由であろうと思います。しかし防衛大学学生自衛隊員でありますから、これが政治活動として憲法改正を行なうとなれば、これはやってはならぬことである、そういう点ははっきりしておると思います。
  155. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 しからばお伺いしますけれども、防衛庁関係の防衛大学以下のいろいろな学校で、憲法をどのように教えておるか。つまり、科目は何時間くらい持って、教材はどういう教材を使って憲法の意味というものをどういうふうな内容で教えているかということをお伺いしたいと思うのです。
  156. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 自衛隊の憲法教育についてでございますが、防衛大学校それから幹部学校と各種の学校におきましては独自の科目を設けまして法規または法制という時間の中で実施しております。それから各部隊におきましては、訓育という時間がございまして、その中で憲法の精神、特に民主主義の原理等につきまして理解を高めていくというような教え方をしております。  教育の時間につきましては、防衛大学校では、期間一年で憲法及び行政法、これは憲法を中心にいたしまして三十時間をとっております。  それから陸海空の幹部学校におきましては、それぞれ時間は違いますけれども、陸の幹部学校におきましては幹部高級課程で四十五週間の期間で、そのうち六時間、それから海の幹部学校におきましては、幹部高級指揮幕僚の課程におきましてそれぞれ一年間で十六時間、それから空におきましては幹部高級課程におきまして四十三週、八時間、陸海空の幹部候補生学校におきましては法制という時間で教えております。  それからその他の学校、部隊等につきましては、随時時間をとりまして憲法の教育をいたしております。特に内容につきましては、憲法の制定の由来あるいは憲法がとっておりますところの民主主義の原則などを中心にいたしまして、三権分立、それから主権在民、それから議会主義あるいは基本的人権の尊重、それから民主政治下におけるところの防衛の意義、防衛力という問題そういうことにつきまして、先ほども申しましたような学校、部隊等におきまして、憲法の講義は特に重視いたしまして教育しております。
  157. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 一番肝心の憲法九条の教え方ですが、これはどういうふうに教えておりますか。
  158. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 憲法九条につきましては、いろんな学説がございますが、これは防大それから幹部学校等の教科を特に設けまして教えるところでは、いろんな学者の学説などを紹介しておりますけれども、自衛隊の、防衛庁の従来の考え方、自衛権はある、自衛権は行使ができる、行使をするための手段を持ち得る、すなわち防衛力は持ち得る、自衛隊はそういった範囲の防衛力であって憲法に反するものではないというような自衛隊態度につきましても教えております。
  159. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この憲法は、こういう自衛の範囲においての自衛力であるから、この憲法は忠実に守っていかなければならないということを強調して教えておりますか。あるいはこういう点では若干不備だから、こういう点は直していかなければならぬというふうに教えておりますか。
  160. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 防衛大学校の学生及び幹部学校の自衛官、すべてこれは先ほどお示しのように国家公務員でございます。したがいまして、憲法は誠実に守らなければならないという趣旨でもって教えております。
  161. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それは当然だと思うのでございますが、もしそういうふうな基本的な態度で、力を入れて憲法の教育をしておるとすれば、先ほど委員からの質問があったように、あの軍事研究にあらわれるところの憲法改正の要望——先だって私は防衛大学に行ったのですけれども、各級の代表者の十数人の方々と懇談をしたのですけれども、最後にざっくばらんに、あなた方、ほんとうのところ憲法改正したほうがいいと思っているのかどうかと言うと大部分の人は、やはり改正を望みますと、こう言っておるのですね。それはもっともだと思いますよ。そういう気持ちを持つのはもっともだと思いますけれども、そのもっともだと思う内容につまり自衛隊が——特に中心になる防衛大学学生が憲法改正をしてもらったほうがいいというふうな感じ方を持つこと自体に、私は、これは非常に複雑な問題だから、いろいろな学説を十分話をしていることはしていると思いますけれども、結局においては日本の自衛隊に憲法を正しく理解して、そして憲法は必要であるのだ、改正というのは間違っておるのだということを十分納得さす努力が足らないのじゃないか、そういう感じを受けるのですよ。あの憲法九条の問題でも、それは複雑な国際情勢とか、日本の立場というものを理解しなければ、あの文言だけからはなかなか理解しにくい。あの文言だけではぐあいが悪いというふうな感じを若い人が持つことはある意味では当然なような感じがするのですけれども、そこのところを憲法を守るというほんとうの精神を持っておるならば、もっと熱を入れて十分教育をせしめるのがほんとうでしょう。そこのところが足らないのじゃないですか。長官、どうでしょう。
  162. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感であります。ただ憲法論についてはいろいろ違憲論もあるし、違憲訴訟も出ておる、そういう情勢ですから、なるたけすっきりしたいという気持ちが防衛大学の若い学生諸君にある。これは青年的な純粋性から当然考えられることです。しかし、そういうような個人的な気持ちと、それから、公務員として公に職を奉ずる者としての覚悟というものは、また別だろうと私は思います。
  163. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの御答弁のような長官の気持ちは、私は長官はうそを言っているわけじゃないと思います。この問題についてはみな公然とうそを言いますからね。何か表現でごまかすところがありますけれども、おそらく長官は、この年間にかけてこの問題だけを長官に聞いておるのですけれども、長官三島事件に対して、あれは迷惑千万だ、あるいは総理の、気違いじみているという第一感の表現は、私は、あとでいろいろな人が批判するような問題もありますけれども、第一感としてああいう表現をなさるということは、やはり佐藤さんあるいは中曽根さん、本気だなという感じを受けたのです。受けたけれども、いま申し上げたようにこのことをあいまいにしてはいけない時期なのです。いまの時期は。したがって非常に複雑な問題があり、いろいろな学説がある。あるけれども、日本の現在の内外の状態において占めている地位、日本国民のしあわせを求める場合の日本の国の行き方等の問題を十分総合してよく検討して、そして検討した成果をもって、熱心にこれを自衛隊学生に教えていかぬと、いろいろな問題が起こってくる。確かに思想の自由はあります。思想の自由はあるが、十分そういう知識は注入しなければなりませんけれども、しかし結論として持っている点は、これはあいまいにしてはいけないことなのです。これは若干あいまいな点があるから、あるいは長官がそういうふうに考えても、隊員教育に当たる人たちが思想の自由でかって気ままな感じをただよわせながら、表面言うことと自分の行動と違ったような態度があるから、いろいろな学生の中にあるいは隊員の中にいろいろな空気が出てくるということじゃないですか。そういう問題を私は長官がもっと真剣にお考えになっている点を説得できるような形で、具体的に時間も組んでそうして教育すべき段階に来ていると私は思うのですが、長官どうでしょう。
  164. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感でありますから、防衛大学の校長とも相談してみます。
  165. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は猪木学長の人柄はよく存じておりますし、長官は猪木君を校長に選んだときに、もう自分は大臣になった大きな仕事の一つが済んだという感想がある新聞に載っておったようでありますけれども、そういうところにも私は長官の気持ちはよくわかる。わかるのですけれども、肝心の具体的な措置が欠けているということですね。もっと教育についても、確かに自衛隊の服務要領のようなものをつくっておりますけれども、具体的にしからば憲法という問題を政府はこう考えておるのだ、しかもそれが多数の意見でもあるしということをはっきり煮詰めて、そうして各教育機関系列におろしていく、こういうことをしなければ、いつまでたってもあやふやな形になる。またこういうことをしないところに楯の会の問題もあるし、ルーズな扱い方が出てくるということじゃないかと私は思うのです。  実はおととい、青年思想研究会本部というところから手紙をいただいたのですけれども、これも有力な右翼団体一つだと思いますけれども、これでは、佐藤さんなり中曽根さんの第一感の発言を取り上げて、これを非常に攻撃しております。あの手紙を見ると、わりあいに私は落ちついた扱い方だと思うのですけれども、しかしあれを公然と攻撃する気持ちがかなり強いのですよ。やはり三島事件の持っている複雑さから見て……。こういうふうな攻撃があればあるほど、もっと政府としては自衛隊の位置づけというものを、特に憲法上の位置づけというものをもっと真剣に考えなければならない。考えるだけでなくて、これを実行する手だてをもっと措置をしなければならない、こういうことを私は痛感をするわけなんです。  きょうはいろいろ軍事研究等の問題についてこまかくお聞きしようと思ったのですけれども、先ほども説明がありましたから私は省きますけれども、ああいうところにあらわれているいろいろな意見あるいはまた私自身が持ついろいろな感じ、自衛隊の諸君が持っていること、国民自身が自衛隊に理解していること、すべてがあいまいなんです。あいまいというよりは、公式に長官なり総理が言っていることと違った一つの雰囲気を持っている。これをしかもそのままにしておる。公式の説明ではそうではないけれども、そのままにしているというところに、いまのいろいろな問題が出てくる根拠が私はあると思うので、長官はもっとその問題を、自分のお考えになっている点を、もっと自分の指導をする具体的な方法をもってこれに対して適切な処置をとってもらいたい、こういうふうにお願いするわけなんです。もう一ぺんひとつ長官のはっきりしたお考えをいただきたいと思います。
  166. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいまの御趣旨には私も同感であります。それで、先般三島事件が起きました直後に、防衛大学校の校長を呼びまして、そういう諸般の問題についていろいろ相談をいたしました。そうして防衛大学校としては、校長がそういう点について教育的措置をとるようにいろいろ相談をいたしておりまして、逐次やっていくだろうと思っております。また自衛隊全体といたしましても、いまの御趣旨を体しまして、重ねて強調していくようにしたいと思います。
  167. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ぜひともひとつ、科目、時間の問題とならんで、憲法の正しい理解のしかたというのを具体的に政府自体で検討されて、そうしてその点についてはあいまいのないような教え方をするにはどうしたらいいかということをここでひとつ長官に確認をしていただいて、その措置を至急とってもらうということが必要だということを、私は心からそう思うわけですけれども、そういう意味で長官が、日本の国民のしあわせという面から見て、また好むと好まざるとにかかわらず、現在の日本の国民の置かれた地位から見て、憲法というものは大事であるということですね。これはいろいろ説明できると思います。核兵器の問題もあるし、現在の日本の国際的な地位の問題もあるし、今後の日本の国民のしあわせの問題もある。確かに憲法には、文言の上からいえば矛盾はある。あるけれども、この憲法をこういうふうに読むべきであるということをはっきりと方針を立ててもらいたい。こういう方針を国民が理解をすれば四次防とかいろいろな問題についても、あまりいわれのないいろいろな議論は出てこなくなる、こういうふうに私は思うわけです。そういうことで特に総理大臣佐藤さん、いつおやめになるかわかりませんけれども、総理大臣もこの問題だけは明らかにすべき時期に来ているということをよくお考えいただきたいというふうに思うわけでございます。そして若干の問題ですけれども、きのうからの質疑の中でちょっと私の理解できなかったことは、ああいう三島事件のとき、長官はすぐ警察力を頼んだというあのことははたしてどうであろうか。今後もああいうふうな関係の事件が起こった場合に、まず第一に警察の力を借りるという形をどのように考えておられるかどうか、この問題をひとつ……。
  168. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自衛隊には警務隊がございますが、あれは部内の犯罪その他について措置をするものであります。それで三島事件が起きましたときには、これは非常に社会性を持つ幅の広い問題でもありますし、本人自体も日本の有名人の一人でもありますので、そういう点からしまして、社会的な部面を受け持つ警察が協力してくれることが好ましい。もちろん自衛隊自衛隊としての措置はやりますけれども、前面に出るのは警察のほうが好ましい、そういう判断に立って警察にすぐ連絡もさせ、また彼らもすでにしておったところでございます。それで警察自衛隊と協力して逮捕する、そういう形に出たのでありますけれども、私は三島事件のようなああいう特殊な事件には、そういう配慮のほうが適当だろうと思います。あれを自衛隊だけでやるという場合に、世論の反応やあるいは扱い全体を見てはたして適当であるかどうか。やはり両方で協力してやるというほうが国民も識者も納得してくれる線ではなかろうか、こういうように思いまして、ああいうケースについては両方協力の形をとりたいと思います。
  169. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 こういうことも私は、内容は違いますけれども、つまり自衛隊というものの位置づけというものが、先ほどの問題と関連して、あいまいさというものがあるからこういう問題についてもああいう措置になったのじゃないかという懸念を持ったのです。もっと自衛隊が憲法上の正しい位置づけをされて、これを自衛隊の幹部皆さんがそれを理解しておるとすれば、あれは当然自衛隊法のいろいろな法律の条章から見ても、自衛隊自体が中心になって解決すべきケースじゃないのですか。構内は自衛隊であるし、自衛隊の人たちを殺傷しようとする危険な状態があるということですから、もしそれが直接警察に頼むというようなことが正しいとすれば、あのことを契機にして、相当たくさんの人が自衛隊に対して乱入するというような事態が予想されれば、ああいうケースもあると思いますけれども、本来からいえば、あのような五人くらいのもので、しかもあの場所でああいう行動をするということについては、自衛隊の警務部自体が主動力になるというようなことが正しいのじゃないですか。この点はどうでしょうか。
  170. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 初動のときには警務隊の三佐が指揮をしまして、そして周囲を包囲するとか諸般の処置を指揮しておったわけです。それで警察が到着してからは両方で協力してやったわけです。私はそういう措置が適当と思っております。
  171. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 まだいろいろとお聞きしたいことがありますけれども、他の委員会での質問の時間が迫っておりますのでこの程度にしておきますけれども、ひとつ長官、いまの一番初めに申し上げたとおり四次防という重大な時期でもあるし、そして国際的にもいろいろな批判もあるし、また国内問題としても大きな曲りかどにきているこの自衛隊、私どもは最小限度の自衛隊は必要である。せっかく置く以上は、もっと役に立つ自衛隊にしてもらいたい、こういう気持ちでいま質問をしておるわけですけれども、その場合にぜひともはっきりしなければならないことは、この隊の扱いとしていささかも混乱してはいけないことは、憲法上の自衛隊、憲法の精神という問題この問題だけは長官、ひとつ肝に銘じて責任を持ってこの問題について誤りなからしめるような御指導をいただきたい。総理大臣にも特にこの問題についてはひとつ注意を喚起していただきたい、こういうふうにお願いいたしまして私の質問を終わることにいたします。  ありがとうございました。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
  172. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 受田新吉君。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 質問の前半を一般職特別職給与法案、後半を防衛庁給与法と防衛関係の問題点を取り上げる質問に充当します。  総裁、昨日の質問に続きまして質問の残余の部分に触れてまいりますが、あなたのほうからこの夏勧告案をお出しになり、あわせて報告をしていただいておる中に、民間における役員の報酬及び特別給の状況という一項があるわけですね。その中に、選任役員のうちでいわゆる社長相当格とそれ以外のものとの月収というものがここへ指摘してあり、特別給も書いてあるのでございますが、上記以外の選任役員という、いわゆる指定職の比較対象にされたこれらの皆さんの給与と、公務員の指定職との給与比較において問題点として提起したいことは、公務員の場合は、いわゆる特別手当として今度は調整手当に切りかえられる暫定手当というものがあるわけなんです。これはそれを六%にしても、これを加える場合、今度八%になる場合に、いわゆる選任役員という立場と公務員の指定職を比較すると、平均報酬月額におきましても特別給におきましても、これは四・一カ月分であって、公務員は今度四・七カ月になる、いずれも公務員の指定職のほうが多い基準になるわけですけれども、これはどういう比較をされたわけでしょうか御答弁を願います。
  174. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 この調査は本年の六月に調査をしたものでございまして、昨年の一年間におきまして民間の役員の給与、つまり平均の月額、それから特別給とを調査したものでございまして、何カ月分というのは本年六月におきます月額で割ったものでございます。つまりベースアップ後の全額で昨年一年間の年額と申しますか、それを割ったものでございまして、若干低目に出ておるわけでございますけれども、御指摘のように、たとうば専任役員の最高報酬の場合は四・三月分、それからそれ以外の者は四・一月分という形になっておりまして、そういう点で申しますと、現在の指定職の期末手当だけ支給しておるという関係に比べますと、若干問題があるという点がございます。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 これは若干問題がありますね。それと部長等兼任役員、取締役が部長を兼ねている、こういう比較においては、特別給においては一応適当な線と思いますが、平均報酬月額という点においては、これは一体公務員のどこへ比較をしておるのか、ちょっと参考のために承っておきたいと思います。
  176. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 このようにいたしまして、民間のこの月額と申しますのは本年の四月分の月額について調査したものでございますが、その関係左ここに表示してございます。民間におきますそういう役員の数というものを従来からいろいろ調べてまいっておりますけれども、一社当たりの役員の数が若干ずつふえてまいっております。そういう関係なんかをいろいろ調査してみますと、大体最高の報酬を受ける専任役員と申しますのは、まあ会長でなくて社長ではないかというふうに考えておりますけれども、それはともかくといたしまして、社長以外の専任役員、つまり常務あるいは専務という方々の平均が四十万円ということになるわけでございます。そういう役員に対応する公務の場合にはどうであろうかという点がございますけれども、まあ普通の各省庁の場合には大臣以外のつまり次官あるいは長官あるいはそれに準ずる職員、そういう方々は少なくともその程度に相当するのではないかという感じがいたしております。また取締役兼何々部長という、部長を担当いたしましてそうして取締役であるという職員給与は平均二十五万八千円でございますけれども、そういう職員につきましては、公務員の場合には各省の局の部長あるいは次長といったところと同程度ではないだろうかといったようなことを、いろいろ数の上で、一社の人数からいたしまして、たとえば大きな会社の役員の数が何人かおりますけれども、そういう場合と、それから公務員における上のほうからの人員という人数割合をいろいろ考えてみますと、その程度に相当するのではなかろうかといったことを考えているわけでございます。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 これは特別職を御担当でないお立場もあるのだけれども、その立場も伏線として考えながらやるべきだと思いますので、最高の報酬を受ける専任役員を一応総理とわれわれは特別職は見るべきであり、上記以外の専任役員を国務大臣と見るべきであり、部長その他の兼任の役員のことが事務次官以下の指定職、こう見るべきであって、もうその民間との比較論において、専任役員ということは一般職の対象外に置くべきものだ、部長と兼任役員の辺からが一般職の該当である。しかしその中で、一般職で、ある国立大学の特定大学の総長というような場合は、これはまた特別の措置をすることとして、必要があればこれを一般職でなくて特別職に直してもいいわけだ、そういうような人事政策というのが要るのじゃないかと私は思うのです。何となれば五十人、百人という民間の給与の実態調査の低い人数のところからスタートして、そして下級の公務員はそれを調査対象に当てはめておる。それから上つらのほうへいくと、今度は五百人以上とこれにも書いてある。この調査は全国企業規模五百人以上というところに当てている。上つらはいい条件のほうへ、下つらは悪い条件のほうへ持っていくというこの心根は非常に下級者を冷遇する考え方になる。国家公務員というものは、たとえ事務次官であろうと、一番下の八等級の行政職の初号の人であろうと、国家という大きなバックでいくのですから五百人や千人の騒ぎじゃない。何万、何十万という大世帯の公務員であって、下級のものは五十人、百人というわずかな民間の調査対象のほうに当てはめ、上つらだけ五百人以上のものに当てはめるというこの悪思想、悪平等の比較論というものを、人事院がなぜこういう心得違いを繰り返してくるのか。上つらを五百人以上に当てるのなら、下つらも五百人以上の工場、事業場を対象にすべきである。この非常に冷酷むざんな比較というものから給与を生み出しておるというこの心得違いを私は指摘したいのです。下級の者よ、諸君は五十人、百人の対象でやるぞ、上つらは五百人以上のところをとるぞ。かすを下級に与えて、いいところをみんな上級がとるという弱肉強食の様相を人事院が勧告しているというこの思想の根底にひそむ冷酷むざんな思想に私は強く反撃するものである。答弁を願いたい。
  178. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 官民比較におきましては、御指摘のように五百人以上、それから五百人以下に分けて比較をいたしておりますが、五百人以上と五百人以下の場合、つまり大企業と中小企業の場合であれば、同じ課長と申しましてもやはり職務と責任が違うということで給与も違っております。したがって公務員との比較におきましては、公務員の係長、たとえば四等級と比較いたします場合には、大企業の係長、つまり五百人以上の係長、それから五百人以下につきましては課長補佐という形で、一段階五百人以上と五百人以下をずらして比較をいたしておるわけでございます。そういう関係でございますから、御指摘のような、下のほうでは全く百人以上の平均であり、上のほうでは五百人以上だけだということはないのでありまして、やはり職務段階が違いますので、それぞれに応じて、大企業の場合の職務段階とそれから中小企業の職務段階とでは職務評価を異にして比較をしておるということでやっておるわけでございます。そういうことで比較をいたしておりますので、御指摘のような冷酷むざんさはないのじゃないかというふうに考えております。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 そのことが冷酷むざんなんです。あなたのほうから出された資料に、事務、技術関係職種のそれぞれの対象が出ておるのですが、国家公務員というのは、五百人以上ではなくして、何万、何十万という、五百人の機構よりも何十倍か何百倍か大きな機構なんです。したがっていまのような職務上の一般係員より以上にある主任者と行政職の六等級とを比較した数字がここへ規模五百人未満のものに出ておるわけですけれども、それとその次の五百人以上とをやると一階級の相違があるという議論ですが、これは五百万以下のものは全然調査の対象にしなくて、五百人以上の中にも、もう五百人以下と同じようなスタートをしている職員があるのですから、五百人以上の調査をすることで、五百人以下を除外しても、いま公務員の比較対象は十分とれやしませんか。五百人以上の分では初級の公務員の調査対象がない、民間の比較がないというような理屈は、私はどこにも成り立たぬと思うのです。
  180. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 その点が、先ほど御審議になりました問題でございますけれども、やはり民間と比較をいたします場合には、五百人以上だけといいますと、どうしても数が非常に限定されてくるわけでございます。全体の三分の一ぐらいの人数になってまいりまして、民間の中でも、いいところだけ選んで比較をしたといったような問題にもなってまいりますので、やはり民間と比較いたします場合には、民間を代表するという意味合いにおきまして、半分はカバーしなければ、やはり代表というわけにはいかないのじゃないかということで、現在百人以上ということでやったわけでございます。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 百人以上にするなら、上役も一諸に百人以上にすべきです。百人以上の中には五百人以上のものも含んでいるので、五百人以上を除外した百人以上じゃないです。五百人以上の大企業も含めた数字になってきておるのです。その上位の等級にある人々も、百人以上と同じ立場で比較すべきです。これを私は指摘しておるのです。いいのだけ、代表だけ選ぶといろいろ問題になると言われておるのですけれども、それが問題であるならば、上位の等級にある上役の者についても百人以上と比較すべきです。上役はいいところだけとっておる、下役には悪いところをとらすという、その思想が、はっきりいまの尾崎先生の答弁に出ておる。  総裁、尾崎先生非常にまじめな給与局長です。私は同郷のよしみとして敬意を払っておる。払っておるけれども、いまの御答弁はかわいそうですよ。あなたは少し度胸のあるところがあるので、あなた御自身は秀才の誉れは高くても、あなた自身の内部にひそむ人道的見地というものを、ゆめおろそかにされてはならぬのです。ここに五百人以上のいいところだけをとっている上位の問題と低いところをあてがわれている下位の問題とは、これは非常につながりが悪いですよ。これは百人以上の中にも五百人以上のものが含まれているという前提に立つならば、百人以上なら百人以上で一括して上位と下位を比較をすべきじゃないですか、総裁。
  182. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 冷酷むざんということばがたびたび出ますけれども、冷酷むざんでないようにというのが私の立場でございます。そういう立場ですべてを考えておるということをまず御了解いただきたいと思います。  給与問題になってまいりますと、やはり等級の上の人、下の人、いろいろございます。その上の人にも下の人にも冷酷むざんにならないようにということに、やはり基本を置かなければならない。そのためにわれわれは官民比較ということをやって、御指摘のように民間企業と比べております。その場合には、やはりその人の受け持っておる職務と責任ということが一つの基本的なめどにならざるを得ない。そういう立場で民間と比べます場合に、たとえばタイプライターを一日打っていらっしゃる方、官庁にもいらっしゃる、民間にもいらっしゃる。電話の交換に励んでいらっしゃる方、これは仕事の性質は、完全に同じでございますから、その場合には普通の原則に従って、百人以上のところで押えて合わせれば、まず納得のいく結論が出てくるだろう。ただつけ加えて申し上げておきますけれども、近ごろ、御承知のように、中小企業ずいぶん給与がよくなってまいりまして、百人以上だから非常に虐待されておるという先入観念もあまり成り立たないということもあわせて考えていただきたいと思います。まあ筋はいま申しました筋でございます。課長さんといっても、ほんとうに百人程度の民間会社の課長さんといったら、外との折衝のために課長という名称を持ったほうがいいという人もあり得るわけでございます。そういう意味で実質をとらえていけば、役所のしかも本省の課長さんという以上は、民間企業でいえば大体五百人以上の課長さんと職務、責任は同じだろうというところから積み上げてまいりまして、横の連係を職務と責任で照らし合わせればそういうことになるわけでございます。  それからさっき、会社の社長さんと総理大臣とお比べになりましたが、たいへんなことだと思います。総理大臣が気の毒なことだと思います。これは各省の大臣がむしろ社長さんに当たる。総理大臣はその上にある。これはもう間違いないと思いますから、その点は一段階ずらしてお考え願いたいと思います。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 スウェーデンの総理大臣は三十万で毎月の月給をがまんしておる。大学出は八万で採用しておる。上下の格差を圧縮して、上に立つ者はできるだけ薄給に甘んずるという、御承知のように世界一長生きの国家があり、平和を百五十年以上続けている国家がある。私はそういうことで、大企業の社長の月給では総理はまずいという考え方ではなくして、国を率いて国民全体のために奉仕する総理大臣が大企業の社長の月給と同じじゃいかぬからその上にいくというような思想そのものは、大衆の奉仕者としての国家公務員の思想につながらない。  それからもう一つ、あなたは非常に失言的なことばがあったのです。いまは実際は中小企業が百人以上と五百人以上と格差がない、これはちゃんと対照する数字が出ておる。ちゃんと比較してあなたのほうから数字が出ておる。重役でいえば二万以上の差が出ておる。下級の者も一階級ずらさなければいかぬ。相違が出ているわけですから、その中小企業と大企業の姿からは、いまたいした問題でないようなお説がありましたが、思想の上で、百人以上という場合と五百人以上という場合には、五百人以上という企業を調査の対象にしてやられた給与と百人以上というものは非常に大きな感覚のずれがあるわけですね。大差がないにしても、上が五百人以上なら下も五百人以上、上が百人以上なら下も百人以上という、同じ立場でものを考えていくという考え方が、私はやはり公務員としての立場を守ることではないかと思うのです。上に立つ者は下と苦しみをともにするというところに、初めて公務員が勤務にほんとうに張り合いがあっていくと私は思うのです。あなたが根本をつくられる責任者であるから、百人以上、五百人以上の比較というものはたいしたものがないというきわめて軽い答弁がいまあったことに私は非常な疑義がある。頭をひねっておられるようですけれども……。
  184. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 にわかに同感できないものでありますから申し上げますけれども、軽いという意味は全然ございません。いまの職名なり何なり、肩書きだけで比べていいものかどうかという問題に転換して考えますと、役所の部内におきましても、私ども人事院の中にも、本院の課長というものがおります、それから地方事務局にも課長がおります。省によってはさらにその出先にも課長がおります。これはみんな規模も違いますし、責任も違います。われわれ人事院の本院の課長と地方出先の課長と比べますと、大体本院の係長で課長補佐になりかけぐらいの人が地方事務局では課長さんになるわけです。それで部下の数も非常に少ない、分担する仕事の幅も狭い。同じ課長でありましても、官庁内部でさえもそういうような職務の実質からくる区別はしているわけでございます。それを横に比べますと、やはりその原理は原理としてとっておきませんと、肩書きだけにとらわれてもまたこれどうだということになるわけであります。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 これはたいへん時間がかかる問題で、もう私は総裁に注文だけしておきますが、出先と中央と比較しておられる。国家公務員という体系の大きな規模からいったら、五百人以上の何十倍か何百倍かに該当するという立場で私は議論をしておる。あなたの議論の立場と私の議論の立場とちょっとずれておることを指摘して、このたびはこのくらいにしておきます。  それからもう一つ、この報告の中にちょっと心配される問題が出ておる。それは特別給の新構想が、だんだんと上位の者に多く、下位の者に少ないという民間のあらわれが出ておるから、これは来年から何とかしようという下心があるのじゃないかと思うのです。期末手当と勤勉手当、これはやはり現行の制度は長い伝統もできてきて実質的に上下の区別なく、同じ比率で勤勉手当も期末手当も出ているわけです。これを今度同一の原資を、上つらのほうへよけい回して下つらを少なくするというようなことを来年からやろうとすれば、下級の者は勤勉手当や期末手当も少なく回されるということになって、上下の較差は一そう激しくなるということになる。こういうことを報告を出しておると、次の年に実行しようという魂胆があるのではないか。民間給与との比較をするということは、優遇されているものはこれを民間からとる、下級の者が冷遇される面は、これを捨てようという気心がなければいかぬのです。民間との比較ばかりとらわれていると変なことになりますよ。人事院が、その他適当と認める事情を勘案していく、むしろ給与政策は民間よりも国家がリードするというかっこうをとるべきではないか。そうすると、今度は民間のほうも国家公務員の下級を尊重するという思想を尊重するという方向にいきますよ。国家が民間にばかりついていくから、そこで思いがけない、上位が重んぜられ、下位が軽んぜられるような形が出てくるのです。国家みずからが給与体系をリードするような形にあなたは持っていかれるべきだと思う。人事院のその他適当と認める事情の中へ、それを一項入れるべきだと思う。いまの問題御答弁願いたい。
  186. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 まず平面的な御説明を給与局長にさせまして、そのあと立体的な御説明を私が申し上げたいと思います。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 時間の関係で要点だけでけっこうです。
  188. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 職務段階によりますところの特別給の較差というのを今回指摘をしておるわけでございますけれども、これは従来から民間におきましていろいろデータが出されておりまして、その点につきまして昨年テスト的に調査をいたしたのでございますが、ことし初めて人事院としましてはその関係を詳しく調査をいたしまして、非常に重要な事実であるということで指摘がしたわけでございます。この関係は、実際に特別給の支給のしかたとしまして、民間では職務段階によって差をつけている問題、あるいは新規採用者と長期勤続者との差のつけ方の問題、それから一般につけられておりますが、勤務成績の反映のさせ方の問題、それから月給比較をいたしておりますけれども、年間給与で見たらどうであるか、そういったような問題をいろいろ今後調査をいたしたいということです。
  189. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは、報告書にかようなことを予告的に出しました例は、昨年の高齢者の昇給の問題があります。あのときは相当われわれとしても踏み切りの決断をひそめながら、報告書にむしろほんとうの予告の意味で書いて、それから一年間大いに皆さんの説得をして納得をいただいたということでございますが、今度のこの問題は、これはいま局長が言いましたように、非常に顕著な事実をここに発見したということで、これはこのままには捨ておけないということをここで報告の中に堂々と載せまして、その意味では関係各方面の十分な御意見と御批判をひとつ伺いたいという、これは問題提起のほうに主たるねらいがあるのであります。したがいまして、今回これを黙殺されることなしにお取り上げをいただいたことは、われわれとしては非常に歓迎すべき御発言であると思います。いろいろと御批判をいただきたいと思います。
  190. 受田新吉

    ○受田委員 御批判というのは、こういうものを出したことについての批判か、あるいはいろいろ御検討の御批判か、どっちなんです。
  191. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 出したことは、これは事実を事実として公表して、そしてこういうことがいいか、それにならうのがいいか悪いか、これにならっちゃいかぬというか、ちょっとそういうおことばがございましたから、批判を承って、これはこういうことをする、これにならうことの御批判、こういうことです。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 これは昨年の高齢者の昇給延伸と同じようなわだちを踏まないように、この問題は長期にわたって勤務する公務員に悪思想を残しますから、この問題は、民間にはこういう事例があるからということで検討資料としてやったのにすぎないのだということで了解をさしておいてもらいましょう。よろしゅうございますか。
  193. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いろいろ今後も機会がありますでしょうから、そのつどひとつ御見解をお教えいただきたいと思います。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 何かふところにやいばを用意するようなにおいをさせぬようにしてもらいたい。私はこの点は、人事院が適当と認める諸事情という中へ、給与政策は国家がリードするという立場をおとり願いたい。この点は十分含んでおいていただきたい。  特別職一つありますが、大蔵省の方、資料をお持ちですか、私が要求した数字、それから民間との比較の、公団、公庫などの資料をお願いしておいた天下り人事の資料比較論、そこにありますか、それをお出し願いたい。この間申し上げておいたのですがね。  時間の関係で特別職についてちょっと聞きたいのですが、秘書官というこの俸給表は、これはどうしてきめられたのか、御答弁願いたい。秘書官の一号俸から八号俸までの算定基礎をお示し願いたい。
  195. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 秘書官の俸給の基準でございますが、秘書官の俸給表は、秘書官の各号俸に対応するところの一般職のうちの行政(一)の俸給表の等級号俸の引き上げ率を基準として改定を行なっておるわけでございまして、秘書官における俸給月額は、学歴、経歴等を参考として決定しておるわけでございます。  現実には、国家公務員からおいでになる方と、それから民間からおいでになる方の二通りございますが、国家公務員からおいでになる方には、現給保障方式により決定することを考えております。また、民間からおいでになる場合には、中級職の試験採用者の昇給基準を基礎といたしまして、年齢基準等を加算しまして決定するという方式で出しております。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、まことに大づかみでばく然としていますね。つまり見方によってはどちらでも考えられるようなものがある、こう解釈ができる、そういうことですね。つまりこの経歴の者はこの等級へ行くというような基準がはっきりしておれば、大学を出て何年たって、他の公務員をやっておった者はこの等級を受けるとかいう基準があれば、ひとつ私にあとから示していただきたい。  それで、適当に、こう大づかみで七号俸あるいは八号俸にしようというようなことがあるのではないか、そういうことは全然ないのかどうか。
  197. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 基準を大体設けておりまして、先ほど申し上げましたように、民間からの場合には、中級職試験採用者の基準というのを基礎にしまして、それに年齢を加味いたしておるわけでございます。官庁から来る場合には、いま申し上げましたように、この方式でもしいかない場合には現給保障というかっこうでございます。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、大蔵省からせっかく来ておられるから、一言だけ聞いておきたいのですが、天下り人事に非常に問題があるということで、上位の等級にある公務員がやがて天下りして特殊法人に再就職する場合に、非常に高い給与をもらっているというこの問題はしばしば論議されたのだけれども、しかしその金額において、三公社総裁が五十五万円であり、公庫あるいは大公団の総裁が四十八万、四十六万とかいうこの数字、この数字の決定というものは国会で審議されないで、大蔵省とそれら主管の省の大臣とで給与をきめる。こういうことになっておるようですね。そうですか。
  199. 谷口昇

    谷口説明員 ただいま御質問の件は、政府関係特殊法人の役員の給与については法制的にどのような過程できまるか、こういう御趣旨かと思って、それについてお答えいたしますが、御案内のとおりに、役員の給与につきましては、その主務官庁でこれは最終的には承認をいたすわけですが、その承認をいたします段階で、私ども大蔵省のほうに協議に相なります。で、私どもといたしましては、その協議に来ます際に、これを適当と認める場合にはこれを承認する、こういうことで各主管庁に御返事を申し上げる。そうすると、主管庁がまたそれぞれの諸機関に承認の手続をとる、こういうことでございます。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、主管の省と大蔵省とが相談する。だからそれぞれみな大蔵省が協議してきめていく。それで主として給与課長、あなたの胸三寸できまるという危険も起こるし、はなはだ大蔵省の独断でこうした特殊法人の役員の給与がきまるというかっこうになっておるのです。常に協議の対象に大蔵省が入る。たとえば大蔵大臣と建設大臣、こういう調子ですね。これは何かの基準を設ける必要がないか。大蔵大臣と関係大臣とが話をして、総裁は何ぼにしよう、副総裁は幾らにしようというような目分量でいままで歩んできておる、事実問題が。だから公団や公庫やあるいは公社、事業団というものによってばらばらになっておる。そういう時代が久しく続いてきたわけです。公庫、大公団の総裁でも四十八万から四十六万、公団の総裁でも四十二万から三十九万と数字が違っている。その違いは何を基準にしたかということが解明されていない。御答弁願いたい。何の基準で三万の違いがあるか。
  201. 谷口昇

    谷口説明員 私どものほうは、実は先ほどお答え申し上げましたように、承認基準を一応考えておりまして、その基準に該当します場合には大体御返事を申し上げておる、こういうことに相なっておりますが、その場合考えておりますのは、まず現在大体三公社あるいは銀行、これを一つのランクに考えます。それからその次には公庫あるいは公団、その公団のうちでも大きなほうの公団、これは規模あるいは予算規模、職員数、役員数、そういうものを基準に考えております。その次のランクといたしましては、小公団あるいは事業団、こういったものを一つのグループに考えております。それからその下には事業団のうちで規模の小さいもの、あるいは先ほど申し上げませんでしたが事業団相当のもの、たとえば何とか研究所とか何とかセンターというようないろいろな名前のものがございますが、そういうものは先ほど申しましたように予算規模あるいは役員数、あるいはその事業団の規模によりまして一応のランクを考えて、それを各省庁とそれぞれ相談の上で、そういう一つのものをつくっておるわけであります。そういうものによりまして、先ほどの手続を経て一応改正をしていく、こういうことでございます。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 これらの関係特殊法人には、それぞれの立場で役員の報酬をきめる法律の根拠を必要とするという立場を私はとりたいのです。それをとればあなた方は困りますか。大蔵省、関係大臣との相談できまるというのを、ぴしっと法律できめておきたいんだ。
  203. 谷口昇

    谷口説明員 先ほど申し上げましたように、現行法規では、御案内のとおりに公庫、公団はそれぞれ自主性というものが一応ございまして、そういう形においてそれぞれが一つの考えを持つ。それを主務官庁に承認を求める。それは役員及び職員両方に共通な規定でございますが、そういうことに相なる。その場合にわれわれ財政当局といたしましては、御案内のとおりに、公庫、公団等につきましては、出資金あるいは補助金その他税金を原資としておりますいろいろな金をそこへつぎ込んでおりますので、それの協議に応ずる、あるいは協議を求める、こういう形になっております。したがいまして、現行法規の上からそれがことさらにおかしいという形には私どもは考えておらない、このように考えます。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 現行法規を改めてそういう役員の俸給を一応何段階かにきめて、そのいずれかにやっていくという形をとるべきではないか。大蔵省の考え方で銀行の役員の俸給などと比較したりといま言われましたが、そういうものを見ると、目分量が確かに起こっている。しかもそれは国家の特殊法人である。国からの金で運営されておるということになれば、やはり国民の代表者が、われわれが法律によってそういう役員の給与の一応の基準をきめて考える。何号俸に該当するかは、そのときによって、その経歴等でやればいいわけだ、そういうようにすべきではないか。私は大蔵大臣が他の大臣と協議してきめるというこの俸給のきめ方に非常に独裁的なものを感ずるのです。  頭をおかきにならなくてもけっこうでございますが、それからもう一つ、あなたにつら当てをするわけではないのですが、あなた非常に熱心に検討していただけると思うからひとつ注文しておくのですけれども、公社、公団、公庫等の特殊法人の職員給与というのは、最近団体交渉等でできるようになって、これは漸次改善の方向にいっておると思う。しかしこれも大学出の場合で見るならば、恩給などがない、共済年金の掛け金などもちょっと率が高いというようなことがあるように思いますが、これも何らか一つの体系をつくるべきではないか。その体系によって団体交渉等が行なわれてしかるべきだ、こういうように思うのです。  もう一つ、下からだんだん上がった者が総裁にも副総裁にもなり得る道を開くべきであって、大蔵省とか建設省とかいう、そういう役所の上位の等級にあった人が天下りしていって、下から上がっていく者が頭打ちにされるような、まあ精一ぱい部長どまりだ、部内の進級の目標がそこにあるというような冷酷なことがないような道を開くべきである。この点人事院総裁、あなたにも注文して、このお二人の任務を解除させていただきたいが、各官庁とも五十五、六歳、定年まで局長がつとめられるようなかっこうにいくように、できるだけテンポをゆるやかにして、天下りをして第二の人生でできるだけ値段の高いところへ行こうというような欲を働かすような高級官僚を抹殺できるような人事行政が要るんじゃないか。四十代で局長をやめて、行き場所がないから公庫、公団のどこへ行くかというのでいろいろとあさる。したがって下から上がってきたその公団、公庫の職員は希望を失う。各省で一般職の高級官僚をやり、また公団、公庫等で高位について下から上がる者の道をふさぐというこの人事行政を変える意味から、いま私が申し上げたような級別定数その他の昇給のテンポ等に対して、なだらかな道をとっていく規定を人事院規則でつくるべきではないか。四十代で局長をやっていけば、五十代になって次官にならない限りはやめなければいかぬというようなおかしな現象が起こってきて、欲が起こってきて公庫、公団へ天下りしていく。これを改めるためには人事院は貢献せねばならぬ。また大蔵省も下から上がった者は優遇するという方途を講じなければならぬ。お二人の答弁で御任務を解除させていただきます。
  205. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それは重大問題としてわれわれも問題意識を持って臨んでおるわけです。ただ、テンポをおそくしてとおっしゃいますけれども、私どもが若いころに比べますと近ごろはずいぶんおそくなっておるわけです。むしろ気の毒なくらいにおそくなっておる。そして早く上があかぬかあかぬかといって、そのあとに大群が上を見て待っておるというのが実情でございまして、そういう人たちに対する励みということも考えなければならぬということになりますと問題がますますむずかしくなる。一片の規則ではとても解決がつかない。せめて長期人事計画というようなものでも策定できれば——これはコンピューターがどのくらい使えるかどうかわかりませんけれども、そういうもので計画の面でこれを処理していくほかはないんじゃないかというのが目下の心境でございます。
  206. 谷口昇

    谷口説明員 ただいまの御質問に対して私がどういう権限をもってお答えできるか、任用の問題でございますし、かつ各種それぞれの公団の役員の任命の問題でございますので、これは私ども権限がございませんので、答弁は遠慮させていただきたいと思います。
  207. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは権限がないお方だということで、お気の毒ですから、これで任務を解除させていただきます。どうも御苦労さんでした。  それでは防衛庁に入らしていただきますが、防衛庁をやる間に人事局の局長は、比較検討で、人事の交流の点でときどき御答弁願わなければいけないことがありますので、ちょっと局長さんだけは……。あまり時間はかけません。  中曽根先生、あなたがこの間三島事件でたいへん苦労されておることはよく知っております。ただ私はこの機会に、自衛隊というものが国土、国を守るための非常な権威ある国家機関であり権力機関であるという意味において、自衛隊の総指揮官が、残念なことであるが、あの場合まことにやむを得なかったと私も思いますけれども、なわで縛られて自由を拘束されているような状態に置かれるということは、形の上では自衛隊に対する威信が地に落ちたかっこうになっておると私は思う。非常に残念だ。つまり、国土、国民を守るための指揮官、総監という高級指揮官が、自由を束縛されるというような事態が現実に起こってきた。そしてもう一つ自衛隊法施行令の中に、警務官という職種がありまして、司法警察権が行使できる職種があります。この警務官で処理できないというような事態であると私は判断をするのですが、警察へお世話になっていくということである。これは三島氏そのものが、自衛隊はなっておらぬ、たよりにならぬ、むしろ機動隊のほうが優秀だという発言をしているのにも通ずるものがあると思うのですが、その三島発言と同じようなかっこうで自衛隊の警務官はたよりにならない、警察官のほうが力を発揮したというような形になってきたと思うのです。この点、司法警察権が行使できる敬警察官に、平素より自衛隊内部のこういう事件自衛隊内部で片づけるというような態勢ができていないのかどうか。
  208. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三島事件はまことに遺憾な事件で、ああいうような結果になったことはまことに残念しごくであります。今後大いに戒めていきたいと思っております。  警務官の問題は、ここで御答弁申し上げておりますように、私からの命令でも、警察をできるだけ表に立てて協力するように、そういうことを言っておるので、部内の人間の犯罪ですと、これは完全に部内でやり切れたところでありますけれども、ああいう有名な社会的な影響力のある人でありますから、警察と協力して、警察を表に出すほうが賢明である、こう判断したのであります。しかし、両方で協力してあの問題は落着したので、三島君が刀を振り回して、こちらは八人も重軽傷等を負って、入れなかったわけで、結局スケジュールが終わって彼らが自首して出てきたという形なので、警察のお世話にはなっていますけれども、警察が警務官を排して警察だけでやったという問題ではないわけなんです。そういうような結果でありまして、今後警務関係の仕事については、いろいろ反省の上しかるべく改善していきたいと思っております。
  209. 受田新吉

    ○受田委員 当日出動した警務官の数は何名か、また協力した警察官は何名であるか、どういう装備であったかを、それぞれの立場で御説明願いたい。
  210. 宍戸基男

    宍戸政府委員 警務隊は、事件直後にすぐ連絡を受けまして、東部方面警務隊から直ちに現場にかけつけておりますが、かけつけたときには、畑一尉以下七名がすぐ現場に最初にかけつけました。逐次ふやしまして、間もなく五十名程度に警務隊はなっております。そのほか一般自衛隊員が二百名ばかり警備のために集まっております。それから警察のほうは一一〇番ですぐ連絡し、さらに牛込署に連絡をしまして、十一時半過ぎでしたか、到着しました。人数のほうはたしか二百名くらいに達したのではなかったかと思います。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 一一〇番で警察が出動したのが何時ですか。
  212. 宍戸基男

    宍戸政府委員 一一〇番に連絡しましたのは十一時十二分でございます。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 十一時十二分は、三島君はどういう形にあった時点ですか。
  214. 宍戸基男

    宍戸政府委員 時間的に追ってみますと、三島ほか四名が正門に入りましたのが十一時でございました。そして総監室に入りまして、しばらく雑談をしております。そして異常な事態になったわけですが、異常な事態を発見しました時間は、最初に発見しましたのが澤本三佐でございますが、そしてすぐ異常と呼んでおりますが、それが十一時八分ないし九分ごろでございます。十二分といいますのは、したがって、三、四分あとに一一〇番をかけていることになります。異常と呼びましたのが十一時八分ないし九分ごろでございます。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 警察官に出動を命じた時間は何時ですか。
  216. 宍戸基男

    宍戸政府委員 異常と呼びましたのが十一時八分ないし九分でございますので、それが東部方面隊の警務隊にすぐに伝達をされまして、現場に到着しましたのが十一時十六分でございます。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 警察が現場に到着した時間は何時です。
  218. 宍戸基男

    宍戸政府委員 十一時二十五分でございます。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 私があえてこれを指摘したのは、私は自衛隊自衛隊で処理すべきだというたてまえをとりたいのです。自衛隊警察の協力がなければ自衛隊内部の秩序が維持できないというような形であっては、国土、国民を守るための自衛隊の権威が失墜する。自衛隊の区域の外側、壁の外なら、自衛隊の中へ暴徒が乱入しようとしておるなら、警察が外を鎮圧する。しかし内部は自衛隊が守るべきです。それは、むしろ警察よりももっと強大な国家権力であり、もっと強大な武器を持っており、もっと強大な秩序を平素より訓練でできておるという、これが自衛隊のはずなんです。それが警察にも負けるというようなことでは、三島君の、機動隊のほうが自衛隊よりも優秀だということばが出る危険がある。これは、長官三島君の発言に、機動隊のほうが自衛隊よりも優秀だという意味の発言があったのを御記憶しておられると思うのですが、これは私としては残念な発言だと思うのです。三島君自身が発言するようなことが現実に結果として出ておる。御見解をただしたい。
  220. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 機動隊のほうが自衛隊より優秀だということを私は聞いておりません。ただ、十月二十一日の羽田の事件で、機動隊が完全に制圧できるようになって自衛隊が必要なくなった、それを憤ってああいう事件に延びていったということが檄文にたしか書いてあったと思うのです。それから、私は、自衛隊も機動隊も、ともに優秀である、こう思って、使命が違うのでありますから、上下の差別はないだろう、そう思います。あの場合は、私が警察を表に出せと指示したので、もし自衛隊員がやったことならば完全に自衛隊がやりますけれども、ああいう社会的な広がりのある問題で、非常に諸般の考慮を必要とする問題については、警察とも協力してやることが適当である、そういう考えに立ってやったのでありまして私はあの事件に関しては間違った措置であるとは思いません。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 警務官の任務というものは一体どういう形のものか。司法警察権が行使できる立場に置かれておる。警察官との連絡調整も必要である。したがって、自衛隊の内部で——たった五人しか中に入っておらぬ、その五人を鎮圧するのに警察官が二百名出たり、あるいは警務官が五十何名も出たりするような状態というようなものは、ちょっと何か抜けたところがある。自衛隊の内部に何かたるんだものがある。ただ、本人が気違いだといえば、それでおしまいでございまするが、三島君の行動については、いろいろな過去の事例などから十分予想される状態にあった人が、剣を持って乗り込むというようなものを見のがしておるというようなところに、何か私は、抜けたものがあると思うんですね。国民自衛隊と言いながら、秩序の点においてあまりにも抜かっている。隊長自身が縛られるような状態である。もしこれが命令を下して隊員を集めなければ総監が殺されるんだ、そういう状態であったというような話ですからね。これは私、あまりにも残念だと思うのです。何かほかに打つ手はなかったか。どこかに自衛隊内部において、もっと平素より緊張と、そして責任を重んずる体制ができておれば、かかる事件は起こらなかったと私は判断するが、長官自衛隊内部には何らの責任はなく、三島君そのものの気違いざたであったということに尽きるか。自衛隊内部において、総監以下がもっと緊張して、国民のための自衛隊という立場を守りながら、一方においてその部隊の統制と、責任をとるという立場において欠けるものがなかったかを、長官のお口からお聞きしたいのです。
  222. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 結果的に考えますと、もっといろいろ注意をして目を配っておけばよかったこともあると思います。ある意味においては、三島君という有名人に幻惑された要素もなきにしもあらずです。しかし、それは結果論であって、あの当時の情勢からすればやむを得ない事態であったと思います。そして、私は本会議答弁しましたが、益田総監を殺して自分も死ぬということがあのときの要求項目にもありましたし、そういう覚悟の事件であるのですから、益田君を殺しても小いというなら別でありますけれども、そういう覚悟の事件に対しては、匹夫の勇を出して無用な殺生をやるべきでない、そう考えるので、やむを得ない事件であったと思います。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 最後に一言この問題でお聞きしたいのですが、日本刀をひっさげて総監室にあらわれるというそのことは、たとえどのように信頼する人であったとしても、武器を持って、凶器になるものを持って自衛隊を訪れることを認めた歴史があるのかどうか。またそういうことがどこかで、規定の上では長刀を下げて入っちゃならぬという規定はないという形になっておるのか、私は、このことにはちょっと疑義があるのです。その長い刀をぶら下げてやってきたということに、どこかに自衛隊としての抜けたところがあるのじゃないか、それをひとつお尋ねしておきたい。秩序を維持するという意味、公共の秩序を維持するというのが自衛隊法の任務なのが、部内の秩序を維持する上においても、そういうものを下げてくる者を玄関から見のがしておるというところに、たとえどんな信頼する人であったにせよ、長刀をひっさげてくるような人を通しておるというところには、どこかに部内に秩序維持の上において欠陥があったと私は見る。自衛隊の統治としては全然責任がなかったということがいえるかどうかただしたいのです。
  224. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三島君は、楯の会のときにいつも制服を着て、いつも軍刀をつっておったようで、許可証も持っておった。それで、入るときに一回とがめたのを、指揮刀だと言って、二回目には同じく、そういうものを持っていておとがめがありませんか、そう言ったら、許可証があります、そう言って見せた。そういうことで安心しておったということは、あとで考えれば抜かっておった、そう考えます。そういう点はもっと細心の注意を払うべきであったと思います。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 指揮刀をつるという許可証はどこが出すのですか。
  226. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あれは関の孫六か何か、そういう系統の日本刀だったらしいのですが、その携帯許可証を持っていた、あるいは刀剣所持の証可証であったかもしれません、それを見せたと言っておりました。
  227. 受田新吉

    ○受田委員 これはたいへんな抜かりだと思います。この問題は、関の孫六所持を許すような許可証、これは総監が出すのですか、市ケ谷の。
  228. 宍戸基男

    宍戸政府委員 刀剣の取り締まりは警察でやっておりまして、美術関係の刀剣には登録証というのを警察署長、文化財保護委員会でしたか、そっちのほうの系統の鑑定書あるいは登録証というのが出まして、そしてそれによって銃砲刀剣類取締法の取り締まりからは合法的になるという手続になっております。その登録証を三島は持っておった、こういうことだと思います。
  229. 受田新吉

    ○受田委員 これで私の質問を終わりますが、防衛庁職員給与法の中で、一点だけ私尋ねておきたいのは、学生手当、営外手当、そういうものの算定基礎の中に食費とか住宅費とか、いろいろなものがある。同時に今度は調整手当というのが入って、一般自衛官は調整手当が二%ふえるという分はどう計算するのか、この問題等を含めて、一括ごく簡単に御説明を願ったら、と思うのです。それは、いままで自衛官の俸給額は、基準俸給額に平均勤務地手当プラス超過勤務手当相当額。それから恩給納付金分、医療費、食費、光熱水質等を差し引くかっこうになっている。その中で、調整手当分をどう細工するか。そして同時にもう一つ、ジェット機で殉職していくような、悲壮な決意をもって乗員になっている自衛官に、その殉職した場合における手当というものが著しく低率であるということは、私はかつてここで指摘したのでございますが、死が予想されるような危険が最も重大なような職務についている者に対する、そうした猛訓練等で殉職した場合における手当額、その遺族に対する愛情というようなものについて、いささか低率の手当てがしてあるということを前に私は指摘したのですが、その後改正をされていない。この問題について簡単にお答えいただけば、質問を終わります。
  230. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 まず最初に調整手当でございますが、調整手当は、大体一般に公務員の場合におきましては、各勤務地におきましてその勤務地ごとにパーセンテージがきまっておるわけでありますが、自衛官の場合には勤務地の異動がたいへん激しいために、一々その手当を変えるということは困難である。そこで各階級ごとに、一応その階級の者は六%のところに何名おり、三%のところに何名おるというふうなことを全部逐一計算しまして、それをその階級ごとに平均しまして本俸に入れておるということになっております。したがいまして、たとえば二佐程度でございますと、二佐は全国におりますが、これを全部計算しまして、大体の平均は二%程度になっておるかと思いますが……。
  231. 受田新吉

    ○受田委員 今度の増額分をどう扱うかを聞いておるのです。
  232. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 増額分も同じでございまして、八%のところに何名おるか、それから六%のところは何名、それから三%のところは何名と、それを全部加重平均しまして各階級の調整手当にいたしております。
  233. 受田新吉

    ○受田委員 入っておるか。
  234. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 入っております。  それからもう一つの件は、ジェットパイロットの問題でございますが、これは死亡した場合には、一般公務員と同じように国家公務員災害補償法によって死亡の際の賜金が出ます。その際に、ジェットパイロットの場合あるいは一般パイロットの場合におきましては、平素におきまして俸給に対して、ジェットの場合は六五%、それからレシプロの場合におきましては五〇%の手当がついています。そこで平均給与額そのものが一般公務員よりも六五%なり五〇%なり多くなっている。そこで死亡賜金あるいは死亡年金というものは一般公務員よりそれだけのパーセンテージ多いということになります。  それから、もう一つは退職手当でございますが、退職手当は、勤務年数のいかんにかかわらず、無条件にいわゆる五条適用になって、一般公務員の退職手当の五割増しという計算で支給されております。  それから弔慰金。そのほか、この二つでは一般公務員に比べて必ずしも高くございませんので、特別弔慰金というものを支給しておりまして、そのときの状況に応じまして、最低百二十万から最高二百二十五万までをその人の死亡時における状況を判断して支給しておるということになっております。
  235. 受田新吉

    ○受田委員 いまの結果の数字をちょっと私にあとから示してください。もう次の御質問の方が待っているので論議しません、いまの数字を。同時に私は、それを合計してもたいした金額になっていないと思うのです。遺族が、おとうさんや御主人がなくなったあとを守るにしては、死を覚悟して公務に従事した人だけに、私は金額の点について、階級の低い者は非常に低いと思うのです。高い者と低い者の差がある。人命は同じなんだから、階級は低くてもその人命に対する金額というものは別に要ると思うのです。そういうものが、いまあなたの御説明を聞いても、私は非常にまだもの足らぬ感じがしておるわけでありまして、これをひとつ、あとから時間的にとくと数字をお示し願って伺うことにします。  質問終わり。
  236. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 上原康助君。
  237. 上原康助

    ○上原委員 私は、限られた時間でございますので、せっかく防衛庁長官並びに防衛施設庁長官がおいででございますので、基地問題等、沖繩の基地の問題、さらに毒ガスの問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、昨年来当委員会でもいろいろ議論がされておりますが、在日米軍基地の縮小、あるいは撤退計画というものが報道されて、政府の御答弁の中では、まだ流動的だということではっきりした御見解は出ていないわけですが、この在日米軍基地の縮小ないしは撤退の問題と沖繩の米軍基地との関係、その面についてどういう関係があるのか、またそういう面で、防衛庁長官として米側なり米国政府との話し合いが持たれているのかどうか、そういう面についてお尋ねをしたいと弔います。
  238. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 米軍基地の整理統合の問題は、目下専門家の間でいろいろ話が進行中でありまして、まだ非常に流動的な要素があって、ここで御報告申し上げるまでに熟しておりません。だから内容について述べることは差し控えたいと思います。しかし可能性を考えてみますと、本土におけるそういう整理統合は若干沖繩についても影響を及ぼしてくるのではないかと想像しております。
  239. 上原康助

    ○上原委員 若干沖繩にも関係をするという推測ができるという御答弁ですが、懸念されることは、新聞報道によりますと、横田基地のファントム戦闘部隊あるいは偵察機というものを沖繩の嘉手納空軍基地に移送する、おそらくそういう計画で現在進められていると思うのです。本土の基地が縮小、撤退をされるそのインパクトというものが沖繩の軍事基地の強化につながっていくという逆な現象も出はせぬのか、そういうことも予想されます。このことが事実なのかどうか、また米軍の撤退計画なり今後の軍事作戦行動の変更というものが、沖繩の米軍基地を含めた形でなされているのかどうか、いま一度その面についての御見解を賜わりたいと思います。
  240. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、話の内容はまだ流動的でありますので、発表するまでに熟していないのはまことに残念に思います。沖繩の基地の変改の点につきましては、いまのところ私らまだ情報を受け取っておりません。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕
  241. 上原康助

    ○上原委員 軍事基地の問題ということで非常に慎重な態度をとられておる。その背景もわからないわけでもございませんが、基地の縮小ないし米軍の撤退ということは、もちろん、私の立場で申し上げますと、その方向で進んでいくべきだと考えます。しかし同時に、現在本土においても大きな政治的社会問題になっておりますように、多くの日本人労働者がその米軍基地で働いておる、生活しているわけなのです。十分な計画なりその変更政策というものが事前に明らかにされずに、米軍の一方的な都合、あるいは日本政府とアメリカ側の秘密交渉的な形で進められていって、そのしわ寄せがすべて働いている労働者にしわ寄せされるということは、私は人道的な立場から考えても、あるいはまた労働政策、政治的な面から考えても妥当な処置ではないと思います。ことに沖繩の場合は本土とも事情が異なりますし、少なくとも返還までに米軍基地の変更なり縮小計画というものがどういうテンポで進むのか、あるいは返還後はどのような形でなされていくかというようなことについて、政府はもっと米側と話し合って、そのプログラムなりアプローチというものを私は県民や国民の前に明らかにさして、いわゆる周到な職業転換なり基地の縮小というものがなされていく計画というものを明らかにすべきだと思うのです。そういう点についてはどのようにお考えですか。
  242. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 基地の変改によって生ずる離職の問題というものは、非常に大きな深刻な問題でありまして、そのために将来に備えて、かねていろいろ米軍とも交渉しておりますが、今日も予告期間の問題であるとか、あるいは手当の問題であるとか、そういういろいろな問題について米軍側と折衝しておる最中であります。沖繩についても、やはり同じようにこの問題を取り扱うべきであると考えて、米軍に対してわれわれも努力してまいりたいと思っております。
  243. 上原康助

    ○上原委員 いま労働問題の件についての御答弁ですが、私が最もお聞きしたいことは、やはり基地の形態の変更なり、根本的な問題について政府としてどのようにお考えになっておるのかを聞かないと、あらわれてくる現象的な問題だけで今後の基地問題というものは解決できないと思うのです。そういう面について、復帰までの時点にはどういう方向でいく、あるいは復帰後はどういうような形になっていくということで米国政府との話し合いが持たれているのかどうか、全然そういうことはないままに、アメリカの軍事作戦行動の変更ということで、ある日突然という形でその基地問題というものが取り扱われているのかどうか、そこらをできるだけお聞かせ願いたいと思います。
  244. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 沖繩は、遺憾ながらまだ米国の施政権下にあって、本土と法的状態が違うわけです。それが七二年に復帰したあとですと、われわれは本土と同じように、同じレベルでいろいろな交渉をやることができますけれども、目下はアメリカの施政権下にあるという状態で、本土とはステータスが違うわけです。したがって、琉球政府なりあるいは日米琉の委員会でございますか、そういうチャンネルを通じていろいろやっているという状態であります。私はしかし、本土と同じように、沖繩についても米軍基地の整理統合は望ましいし、できるだけ早目にそれをやってもらったほうがアメリカのためにもなる、ただし、それについては労務対策その他について万全の措置を行ないながらやる必要がある、そういう考えに立って私の意見は米軍側にも伝えておりますし、ワシントンへこの前参りましたときに、レアード国防長官にもそのいう問題について言及してきております。しかし、目下のところ、沖繩の基地の統廃合に関してわれわれのところに情報が入っているということはありません。
  245. 上原康助

    ○上原委員 確かにまだ日本政府の施政権が及ばないということは私もわかっております。それゆえに、なお多くの困難な問題なり解決できない問題をかかえておるわけです。長官が九月に訪米なすったおりに、レアード国防長官との話し合いの中で、いわゆる長官立場で、私ならば沖繩の米軍を半分に減らすのだがという話を持ちかけられたという話がある面で報道されております。その真否と、なぜそういうふうに、半分に減らすのだがというような背景があるのかどうか、減らすということは、自衛隊を沖繩に配備をするという前提でそういうお話し合いを持たれたのかどうか、その真否についてお聞かせ願いたいと思います。
  246. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私がレアード長官にそういうことを言った事実はありません。しかし、ほかの高官にそういう話をしたことはあります。これは個人的な友人の関係にある高官に対しても言いましたし、ほかの人にも言いました。——それでよろしゅうございますか。
  247. 上原康助

    ○上原委員 ですから、どういう立場で半分に減らしていいというようなお考えなのかを聞かしていただきたいと思います。
  248. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは、私らが客観的に見ますと、沖繩は二十数年前占領されたときに、陸海空、海兵隊の四軍が入ってきて、おのおのがなわ張りをつくって幡踞した。その延長でずっといままで来ているような感じが深いわけです。だから、飛行場にしても陸海空、海兵隊おのおのが持っている。そういうことで、むだが多いのじゃないか、そのほかの施設についてもそういうことが言えるのではないか、われわれは貧乏国でありますから、そういうように考えるわけです。しかし、私は米軍の機能や内部のことをよく知りませんから、米軍には米軍の理由があるかもしれません。しかし、私は日本人として見てそういう感じを持ちましたから、そういうことを言ったわけです。
  249. 上原康助

    ○上原委員 善意に解釈すれば、軍事的な強化という前提に立たずにそういうお話し合いをやったということですが、まだ疑問が残ります。  次に、第四次防衛力整備計画構想というものは、沖繩の施政権返還ということを前提あるいは想定をなさって立案をしておられるのか。また、自衛隊の沖繩配備については、御案内のように県民は非常に拒否反応を示しております。これについては本会議でも指摘をいたしましたが、そういう県民感情なり反戦思想というものを尊重する意思がおありなのか、あるいはまた至上命令的な国土防衛とか安全というような立場で、自衛隊配備というものを国策として推し進めるおつもりなのか、そこらについても一応お聞かせを願いたいと思います。
  250. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 次の新防衛計画の中には、もちろん沖繩に対する対策も含まれております。  それから、沖繩防衛に関するわれわれの見解は、七二年に日本へ返還された後は、日本国憲法が通用する日本の主権の範囲内の領土でありますから、当然これは日本全国民が領土を守るべきであります。沖繩も例外ではありません。全国民が自分の領土は守るというのが本旨であります。そういう意味において自衛隊も沖繩へ進出して沖繩の防衛に任ずるというのが主権国家のあたりまえの姿であって、そのあたりまえの姿になろうという考え方であります。しかし、沖繩は激戦の地であって、いろいろ歴史的な因縁や住民感情もありますから、自衛隊の進出についてはよほど県民の皆さんの御納得と御協力を得るようにしなければなりません。そういう点については事前に周到な努力をいたしまして、県民の皆さんと納得の上で自衛隊が進出するようにいたしたいと努力したいと思っておるわけであります。
  251. 上原康助

    ○上原委員 自衛隊問題については非常に議論もあるところでありますし、またきょう突っ込んで意見を申し上げられませんが、ただ、ここで私の立場として指摘をしておきたいことは、やはり自衛隊の配備ということには、県民の大多数というものは拒否反応を示しているし、私も反対であります。そういうことを十分踏まえなければいかない。むしろ復帰をすることによって新たな摩擦なり新たな権力支配というものを沖繩に及ぼすということが第三の琉球処分にもなりかねない。そのことをぜひ防衛問題の責任者であられる長官としても御理解を賜わりたいと思います。  それと、自衛隊の配備にあたっては、米軍使用の基地を共同使用するおつもりなのか。あるいは一部では、いま北部に桃原飛行場というのがございますが、そこはほとんど使用されておりませんでしたが、現在すでに米軍の手で地ならしなり、飛行場が新たにつくられております。そこには自衛隊を配備をするという情報もありますが、そういう計画が着々と進んでいるのではないか。むしろそういうことに県民は新たな疑惑を持ち、本土政府に対する不信の種ともなっておりますが、そこいらはどうですか。
  252. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 米軍が建設中とかといわれる飛行場とやらに自衛隊が進出することはございません。そういう計画は目下のところありません。自衛隊が将来お世話になる場合には、できるだけ米軍とは離れた独立した形で置きたい。それからいままでの既設の施設を利用する、そういう考えに立ってやりたい。一部の飛行場はしばらく米軍と共用するという形になるかもしれませんが、できるだけ米軍とは離れて自衛隊独自で機能できるようにしたい、そういうように思っておるわけであります。
  253. 上原康助

    ○上原委員 いま重要な点ですが、独立した施設あるいは使用権という立場自衛隊を配備するということになりますと、現在でももう基地の中に沖繩があるといわれている現状で、さらに新たな自衛隊が使用する施設なり土地の使用というものになりますと、ますます困難ということになりますが、そこいらは共同使用ということが前提じゃないのですか。
  254. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 共同使用になるところもありますし、自衛隊だけで使用するというところもあると思います。
  255. 上原康助

    ○上原委員 この件については、またいずれさらに現地の事情ともあわせて意見なり質問をいたしたいと思います。  次に、施政権返還に伴う沖繩の基地労務者の軍雇用員の取り扱いの件でございますが、先ほど長官の御答弁の中にも、本土政府の姿勢というものはうかがえるわけですが、いわゆる間接雇用の問題がこれまでいろいろと議論をされて、また、政府としてもできるだけ早急に七二年の施政権返還以前にも間接雇用にするのだということを再三聞かされてまいりました。しかし、残念ながら、総理府総務長官あるいは外務大臣の御答弁を聞いても、七二年以前は無理だというような態度に変わってきております。おそらく間接雇用に移行する場合には防衛施設庁の管轄になると思いますが、具体的にこの問題について、事務的な問題でもいいし、あるいは沖繩の軍雇用員の実態掌握ということでどういうような作業が進められているのか、まずその点をお伺いをいたしたいと思います。
  256. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 沖繩復帰後の米軍雇用者の雇用形態につきましては、当然本土と同様に地位協定下の間接雇用形態に改めるという基本的立場から、復帰準備の一環といたしまして、現在日米間で内々の話し合いを行なっておるという段階でございます。  沖繩におきます雇用の実態につきましては、去る六月、雇用制度あるいは雇用の実態等につきまして一応調査団を派遣いたしまして、概略の状況につきましてはわかったわけでございますけれども、さらに細部につきましては、これからも必要に応じまして調査員を出しまして、その実態について十分検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  本土と同様な扱いという形になりますので、その辺に格差がないような形でこの問題を十分に扱っていきたいというふうに考えておるわけでございまして、今後鋭意そのために努力をいたしたいというふうに考えております。
  257. 上原康助

    ○上原委員 どの省のお答えを聞いても、鋭意努力をなさるということはたいへんけっこうなことなんですが、その努力というのがちっとも実らないところにわれわれのあせりがあるし、また不安があるわけなんです。  そうしますと、現在のところ、米軍側と間接雇用に移行するという事務的な、あるいは基本的な問題についての作業というのはほとんど進んでいないわけですか。
  258. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 米軍のほうにもいろいろな要望がございますので、そういう要望を中心としまして、いま極力その解決に当たるべく折衝いたしておるというのが現在の段階でございまして、まだそういう基本的な問題につきましても結論に達しておらないというのが実情でございます。今後そういう点につきましても、できるだけ協議を進めましてこの問題の解決に当たりたいというふうに考えております。
  259. 上原康助

    ○上原委員 それでは中曽根長官にお伺いいたしますが、去る八月でしたか七月ごろでしたか、防衛施設庁の出先機関なりあるいは復帰に備えての出先機関というものを、七二年の復帰以前にでも沖繩に設置をするということが報道をされたことがあります。軍雇用員の間接雇用への移行準備なりあるいはその他基地と関係する諸問題を取り扱う機関ということだと思いますが、その機関を沖繩に設置する、所管は防衛庁になるのかあるいは総理府になるのか、さらにその出先機関なりそういった機構で働く職員というものは本土政府のほうから全員派遣をするのか、現地で現に、たとえば基地労務者の人事を取り扱っている、あるいは会計を取り扱っている、そういう職員を優先的に採用なさる御計画なのか、機構の面と人事の問題についてお聞かせを願いたいと思います。
  260. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 沖繩における基地問題は、本土における全基地並びに全雇用者に匹敵するくらいの膨大なかつ重大なものであります。したがいまして防衛庁としましては、もし復帰が行なわれた際には、それくらい大きな、重大な仕事があるわけでありますから、地位協定を実施する上についても強力な出先機関をつくって事務を円滑にやらないといけない、そういう考えに立ちまして、出先機関を強力につくるべく、いまほかの各省とも調整している最中でございます。まだ調整は終了しておりません。
  261. 上原康助

    ○上原委員 時間がありませんので、職員の件はどうですか。
  262. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 職員もできるだけ現地の方々にお世話になったらいい、そういうように思っております。
  263. 上原康助

    ○上原委員 次に、先ほど防衛施設庁長官のほうからも御説明がありましたが、復帰までの沖繩の基地労務者の処遇については、少なくとも本土並みの線というものでやっていくという政府の姿勢であると理解してよろしいですか。たとえば特別給付の問題なり、あるいはいま改正されようとしておる離職者等臨時措置法の問題等を含めて、本土並みの線でいくというのが政府の姿勢であるというふうに承ってよろしいですか。
  264. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 返還時におきまして解雇者が出るという事態に対しましては、これは沖繩・北方対策庁と密接に連絡をとって、それに対する万全の対策を講じたいというふうに考えておるわけでございます。また復帰後に解雇されるというような事態が起こりますれば、これは本土の場合と全く同様に、現在離職者対策を講じておるところでございますけれども、それと同様の対策を講ずべく万全を期したい、こういうふうに考えておるわけでございますが、復帰前の段階につきましては、これは私どもの問題というよりも、むしろ沖繩・北方対策庁の所管の事項かというふうに考えておるわけでありまして、そのほうとも密接な連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
  265. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。  時間が来たようですので、最後にあと一点だけ、たいへんすみませんが時間をかしていただきたいと思います。  毒ガス撤去の問題についてでございます。できるだけこまかくやりたかったわけですが、結論だけ申し上げます。中曽根長官が去る九月に訪米なさった際に、今年十二月からおそくとも来春までには、沖繩に貯蔵されている毒ガスの大部分を撤去するということをレアード長官は約束したということが報道されました。また現に長官も、なぜそれが変更になったかをアメリカ大使館を通して問い合わしているというような報道もなされております。長官とレアード国防長官の話し合いがどういう内容であったのか、ほんとうに大部分が来春までに撤去されるという約束をしたのか、約束をしておってやらないということであれば、大きな不履行であるし、日本政府としても、もっと県民のいまの不安なり現地の事情というものを御理解の上で、強力な対米折衝をやるべきだと思うのです。これだけ大きな社会問題になっておることに対して、去る五日に発表されて以来、まだ具体的に本土政府の行動というものが起きていない。そのことに非常に不満も持ちますし、そこいらをぜひ聞かしていただいて、この危険な毒ガスというものは、七二年まで待つわけにいきません。早急に日本政府として、完全かつすみやかに撤去できるような方策を講じていただくこともあわせて要望申し上げて、その面に対する長官の御見解を賜わりたいと思います。
  266. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 去る九月私がレアード国防長官と会いまして、沖繩のガス撤去を要望しました際の話は、あのガスの撤去の問題については、アメリカの議会関係、国内関係で非常にむずかしい問題が起きて苦労しておる。この苦労はまだ続くだろう。そしてあれをできるだけ早く撤去したいと思って何回か努力をしてきた。そしてジョンストン島に最近移すようにきめておるけれども、一つの問題は、あすこに航空権を持っておるエア・ミクロネシアとの補償問題がまず出てくる。それから除毒施設並びに格納施設を建設しなければならない。しかし日本国民の要望にこたえて、ことしの末から来年の春にかけて相当部分を撤去したい、努力する、そういうような意味であった。「相当部分」ということばは、英語でいうと、サブスタンシャル・ポーションということばを使っておりまして、そのことは私は帰ってきて言明したわけです。最近、それが時間がかかるという情報が入りましたから、アメリカ大使館にいろいろ問い合わせて、向こうの意向も聞いてもらっておりますが、向こう側の見解は、国内問題が非常にむずかしくて、いろいろな措置がおくれている。これはハワイの方面の国会議員の意見であるとか、あるいはアメリカ議会の模様とか、何とか決議案というようなものが議会にあったり、そういうような問題と同時に、格納施設がおくれておる、こういうことになっている模様であります。しかし、できるだけ早目に完全撤去をやることが最も望ましいことであり、われわれも同感でありますので、今後とも促進したいと考えております。
  267. 上原康助

    ○上原委員 時間がありませんので、多くを申し上げられませんが、アメリカの国内事情によって、アメリカみずからつくった殺人兵器の毒ガスというものを他国に置くということは、これは許せないと思うのです。そういう意味でも、政府として早急に安全に撤去する方途ということと、一万三千トンと言われておりますが、ある面では三万トンもあるというような情報もありますが、ここいらを早急に撤去する、させるという前提で、積極的な対米折衝を大臣としてもやっていただきたいことを御要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  268. 天野公義

  269. 東中光雄

    東中委員 三島事件について、長官にお伺いしたいと思うのですが、楯の会の体験入隊が非常に異例であったというふうに昨日来の答弁でも出てきているわけですが、三島が「楯の會のこと」という文書の中でこういうことを書いています。「一九六七年春、四十二歳の私は、特に私のためにニケ月の自衛隊体験入隊を許してもらって、士官候補生として陸上自衛隊入隊した。」、こう書いてあるわけですが、三島が二カ月間入隊したというのは、いつからいつまで体験入隊したのか、その期間は二カ月かどうか、その駐とん地名を明らかにしていただきたいと思います。
  270. 宍戸基男

    宍戸政府委員 三島体験入隊の実績でございますが、四回に分かれて体験入隊をしております。第一回目が四十二年の四月十二日から十九日にかけまして、これは八日間になります。前川原駐とん地の幹部候補生学校でございます。それから第二回目は、その年の四月二十四日から二十九日にかけて六日間であります。富士駐とん地の富士教導団で実施いたしております。それから三回目が、同年の五月二日から五月十九日にかけまして、十八日間になります。やはり富士駐とん地ですが、これは富士学校においてです。それから四回目が五月二十三日から二十七日の五日間になりますが、習志野駐とん地第一空挺団というふうに、四回に分けて数日ないし十数日ということで、これを全部合計しますと三十七日になりますので、二カ月というわけではございません。合計しましても一カ月ちょっとということになります。
  271. 東中光雄

    東中委員 三島は二カ月と言っているのですが、非常にオーバーに言っておることになると思いますが、とにかく三十七日間連続してといいますか、ほとんど連続して、こういう長期入隊をするという例はほかにあるのかどうか、その点をまず聞きたいのです。
  272. 宍戸基男

    宍戸政府委員 一般体験入隊は、たいてい三日ないし四日程度、しかし希望によりまして、連続して二週間ないし三週間程度のものは、大学のいろいろなスポーツの関係の人とか消防の人というふうなことで、毎年ちょくちょくはございます。しかし、それでも大体三週間程度でございます。そういう例はございます。
  273. 東中光雄

    東中委員 スポーツ関係以外は、そういうのはないというふうに聞いていいかどうかということと、それから楯の会が四週間にわたって集団で体験入隊している。それも四週間ということですが、ほかに例があるのかどうか。あったら、どういうところか、これを明らかにしていただきたい。
  274. 宍戸基男

    宍戸政府委員 いわゆる楯の会のことは、きのうも申し上げましたが、四週間の場合——七日程度とそれから三日程度の場合とありますが、四週間という長いのは、ほかにほとんど例はございません。先ほど申し上げましたように、大体、長くても三週間程度でございます。大学のスポーツ関係の人も多いわけですが、別にスポーツ関係に限りません。たとえば、ちょっと例をあげますと、北海道の警察の人、それから前田建設——これは普通の企業の方、それから消防署の人、それからパラシュート連盟といいますか、そういうのもあります。それから教職員の方もあります。グライダー関係の人もあります。いろいろな種類の方がおられますが、概していえば、学生の広い意味のスポーツ関係の人はわりあいに長く入っておる例が多いわけであります。
  275. 東中光雄

    東中委員 主として学生のスポーツ関係というのは、一種の合宿みたいなもので、たとえば銃剣術とかグライダーとかいうふうに思えるのですが、そういう場合があるかどうか。  もう一つあわせて一回だけ入隊をやって、続いてまた同じ人がやってくるというようなこともあるのかどうか、その点はどうでしょうか。
  276. 宍戸基男

    宍戸政府委員 スポーツ関係の人が合宿することもたくさんあります。自衛隊体験入隊が全体の合宿計画の中の一部になっているという例はあろうかと思います。もっとも、その自衛隊に入っておる間は、体験入隊にしても、自衛隊の隊員と同じめしを食い、隊規に服しながらやるということでやってもらっておりまして、全体の夏休み中の合宿訓練の中で一週間ほど体験入隊をするというようなことを考えられる場合があろうと思います。
  277. 東中光雄

    東中委員 反復して……。
  278. 宍戸基男

    宍戸政府委員 反復して見える方も——十数年やっておりますから、そうして毎年数万人もやっておりますから、一回限りの方ももちろんあるかと思いますが、反復して来られる方もあるかと思います。詳細に全部を調べたわけではございませんが、そういうふうに思います。
  279. 東中光雄

    東中委員 定期的に反復してやってくる、しかもそれは軍事的な訓練をやるという目的でやってくるというふうなもの、これはスポーツなんかとは質が違うと思うのですが、そういうのはほかにありますか。
  280. 宍戸基男

    宍戸政府委員 特に軍事訓練のためというふうなことで体験入隊をするということでなくて、一般に集団生活を体験したい、そういう方々が大部分だろうと思います。
  281. 東中光雄

    東中委員 三島は、「文化防衛論」のあと書きで「一カ月の長い体験入隊には、陸幕長の特別の許可が要る」が、楯の会は、この陸幕長の特別の許可を得て体験入隊したのだというふうに本の中に書いていますけれども、これは三島の書いていること自体が事実なのかどうか。
  282. 宍戸基男

    宍戸政府委員 体験入隊の手続は、けさほどもお答えいたしましたが、駐とん地司令に委任されておりまして、手続としては駐とん地司令許可でやっております。ただ三島氏が陸幕長に依頼をしたという事実はあるようでございます。
  283. 東中光雄

    東中委員 それは駐とん地司令でけりがつかなくてわざわざ陸幕長に依頼をして、特別の許可をもらった、こういうふうに——三島氏が依頼に行ったということをいま認められたのですが、そういう趣旨ですか。
  284. 宍戸基男

    宍戸政府委員 三島氏は、陸幕長に限らず、いろいろな人と事件前は何回か面接、親しい関係にあったようですが、いまのような体験入隊を長くするというふうなことなんですから、陸幕長に特に依頼をしたのではないかと思います。駐とん地司令のほうは、そういう意向を受けて申請に対する許可の手続というものを進めた、こういうことだと思います。
  285. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、普通にやっているように駐とん地司令判断、それにまかしておるというやり方ではなくて、そこで許可をもらっているんだから、わざわざ陸幕長まで言うていく必要はないのだし、陸幕長からの意向を受けて、それを駐とん地司令が認めるというような方向をとる必要もないわけです。ですから、特別に扱われたというふうに解せざるを得ないのですが、そういうことですか。それから、そういう例がほかにあるのかどうか、その点。
  286. 宍戸基男

    宍戸政府委員 長く体験入隊をさせようということなものですから、特に丁寧に陸幕長にも依頼したというのが事実だろうと思います。ほかの場合も、さきに申し上げましたように、大体は三、四日でございますが、これもその駐とん地司令にお願いすればいいわけですから、頼めばいいわけですが、念のために方面総監に頼むとかという、あるいは陸幕長を知っておる場合には陸幕長に頼むとかいうふうな例は、ほかにもあろうかと存じます。
  287. 東中光雄

    東中委員 特別の許可と、こういうふうに三島自身が書いているわけです。何かのときにちょっとしゃべったというのではなしに、活字にまでしているわけなんですね。しかもそれは、私がすわり込んでそういうふうに要求して、特別な許可をもらったんだ、こういう趣旨のことを書き添えています。ほかにもそういうことがあると言われるのだったら、一体どういうのがあるのか。あるんじゃないかと思うというような、そういう無責任な推測じゃなくて、あるんだったらどういうものがあるのか、ひとつその点はっきりしてください。
  288. 宍戸基男

    宍戸政府委員 たくさんの件数でございますので、それを一々いま調べてお答えしているわけではありませんが、常識的に考えまして、原則は駐とん地司令許可でよろしいわけですが、上のほうに念のためにあれをぜひやってほしいというふうなことを頼まれる場合はあり得ることである。普通の世の中のそういう手続を進める場合によくそういうこともございますので、三島氏以外に絶対的にそういうことはなかったというふうには普通思われませんので、そういうことがあるだろうということを申し上げたわけです。
  289. 東中光雄

    東中委員 そういうふうにやったという事実を防衛庁としていまつかんでおるというんではなくて、そういうこともなかったとは断言するだけの資料をいま持っておらないというだけのことですね。ただ三島の場合は、その点がわざわざ陸幕長まで行って特別の許可をもらって、長期入隊というものをやった、こういうふうにいま答えられたと思うのですが、それから昨日も出ておりましたが、毎月一回ずつあの例の例会をやったあと、市ケ谷のヘリポートを使った。三十分ないし二時間ということですが、こういう形の施設使用というのは、定期的に毎日やるというふうなものはほかにあるのですか。
  290. 宍戸基男

    宍戸政府委員 二時間程度の入隊というのは、これは非常に珍しい例だと思います。
  291. 東中光雄

    東中委員 二時間程度が珍しいだけじゃなくて、定期的に、毎月ですよ、同じグループがというのは、これはもうないんじゃないですか。あるのだったら、これは全く訓練施設提供というだけのことですから、広報活動というのとはおよそ縁がないように思うので、その点はどうです。
  292. 宍戸基男

    宍戸政府委員 二時間にしろ体験入隊ということは一般広報活動に十分縁があると思いますが、ほかのグループでそういうふうに定期的に二時間程度というのはちょっと私耳にしておりません。
  293. 東中光雄

    東中委員 そうすると、要するに楯の会ないし三島体験入隊というのは、その期間の長さにおいて、あるいは幕僚長の特別の許可を得たというふうに彼自身が書いておるような、そういう特別な扱いあるいは反復性が非常に多い、あるいは反復性も毎月一回というふうな、ほかのところでは見られない特殊な結びつきにあったというふうに、体験入隊のしかた自体からいって非常に特殊な結びつきにあった、こう考えざるを得ないわけですが、防衛庁のやる広報というのは一体どういうふうに考えていらっしゃるのですか。広報とは何ですか。
  294. 宍戸基男

    宍戸政府委員 自衛隊の実態をよく知ってもらい、実情を知ってもらい、理解を深めるというのが広報であろうかと思います。
  295. 東中光雄

    東中委員 広報活動についての訓令第二条を目ますと、「防衛に対する国民の認識と理解を深め防衛施策に対する信頼と協力を得るため、防衛の実態を正しく部内及び部外に伝え」る、そういうための周知宣伝をやることだ、こういうようにいっておるのだけれども、問題は要するに、国民に対する自衛隊の周知——見学をするあるいはいろいろ説明をする、パンフレットを出す、こういうことをいうんじゃないですか、本来の広報というのは。そうじゃないですか。
  296. 宍戸基男

    宍戸政府委員 自衛隊実情を知ってもらい理解を深めてもらう、それが本来の目的だと思いますが、その手段として映画をつくること、パンフレットをつくること、いろいろな書類をつくって読んでもらうこと、それも有力な手段だと思います。同時に体験入隊をしてもらって、中に入ってもらう、一緒に生活をしてもらって実情をほんとうに、短い期間であっても隊員がどういう生活力しておるか、まのあたり見てもらう、これも有力な広報の手段であろうかと思います。
  297. 東中光雄

    東中委員 自衛隊国民に周知宣伝するというのが広報なんで、体験入隊も周知宣伝するという手段としてのことなんで、体験入隊した人を訓練するというのは、これは明らかに広報のワクを越すのじゃないですか。まさに反復してやっていくあるいは徒手訓練をやる場所を提供する。これは広報ではなくて訓練協力ですね。そうなると思うのですが、その点どうでしょう。
  298. 宍戸基男

    宍戸政府委員 自衛隊がどういうふうな訓練を受けておるかということをからだでよく覚えてもらうといいますか、知ってもらうということも自衛隊の周知宣伝になろうかと思います。
  299. 東中光雄

    東中委員 そうすると、自衛隊のやっておしことを全部体験してもらうことがいいということに、それが周知宣伝の手段としてということになれば、これは、たとえば飛行機に乗ることも大砲を撃つことも、技術があれば飛行機上で発射訓練をやることも全部入るわけですね。三島の場合は射撃訓練をやったということがこの間出ており言したが、そういう兵器を使っての、使うこと自体の体験も、これも周知宣伝だ、防衛庁としてはそういう方針でこの周知宣伝、広報活動というものをやってこられたのか、そしてこれからもやるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  300. 宍戸基男

    宍戸政府委員 自衛隊のやっていることを全部、ミサイルを撃ったり大砲を撃ったりすることまで体験してもらうというのは、もちろん体験入隊の限界を越えるだろうと思います。おのずから限度があることだと思います。さっきから申し上げているように、一緒に集団生活をしてもらうということが一番典型的な場合でございましょう。もっとも体験入隊ではございませんけれども、体験飛行——輸送機等に乗ってもらうということも、広報手段の一つとして別にやっております。航空機に乗ってもらうということも、自衛隊の航空機がどんなものであるかということを理解してもらい、周知してもらうという有力なる手段であろうかと思います。小銃を撃つというようなことは、やはりこれは若干危険も伴いますので、むやみに入隊した人たちにどんどん撃ってもらうというわけにはまいりません。片一方に法律の取り締まりもございますから、厳重な監督のもとに、ある程度限定した人たちに体験してもらうということはやっておりますが、できるだけそれは制限するというやり方でやっております。
  301. 東中光雄

    東中委員 体験入隊については、隊内生活を体験するというふうに防衛庁自身はきめているのじゃないですか。隊内生活というのは、いわゆる訓練内容まで入るということになれば、これは無限に広がっていく。昔の軍事教練という話がきのう長官の口から出ました。射撃訓練は、国民全体がそれくらいの体験、技術なり武器使用というか、そういうことは知っておってもいいから、そういうものを許した。別にかまわない、こういうように言われたけれども、それは隊内生活の体験というのではなくて、軍事教練という事柄は武器使用についての訓練ですね。こういうものも三島の場合は許している。それは広報活動あるいは周知宣伝活動というワクを明らかに越えていると思うのです。これは長官にお聞きしておきたいのですが、軍事教練ということだったら、誤解を生むようなら取り消してもいいというおことばでしたが、武器使用訓練に協力するという形での体験入隊というものを、長官はそれでいい、今後もそういうことをやっていく、こういうお考えなのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。
  302. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私が申し上げたかったのは、重装備をもって耐久のトレーニングを、自衛隊はレインジャーでもやっておりますし、レインジャーに至らない程度の者もいろいろやっております。それを体験して、そして自衛隊がどういう苦労をしているか、あるいはどの程度心身にこたえてくるものか、そういう体験を自分で経験してもらう。またそういうことが一面においては心身の練摩にもなるわけです。精神力を鍛えていくという、そういう意味の体験入隊を言ったのであって、射撃訓練とか鉄砲いじくるということを言ったのではないのです。しかし、私らも昔中学校のころ教練の時間に鉄砲かついで、ずいぶんかけ足なんかやらされまして、はあはあ言った経験がありますが、いまの自衛隊もやはりそういうことをやっておる。それと同じような訓練をして、そして自衛隊の体験をする、そういう意味で私は言ったのであります。
  303. 東中光雄

    東中委員 いま長官の御答弁だと、自衛隊のやっておることを体験する機会を与えて、自衛隊を周知宣伝するということ、そういう面ともう一つの面では、今度は鍛練するということを言われたわけです。国民を鍛練する、訓練する、これは軍事訓練——射撃ということになれは明らかに軍事訓練ですが、それも含めてそういう鍛練、訓練、軍事訓練というものも広報活動として今後もやっていく。自衛隊の内容を知らせるというのではなくして、自衛隊に来て一般国民が訓練をする、それも認めていく、この二つを言われているように思うのです。
  304. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自衛隊は体験してもらうというだけです。それが結果的に本人の鍛練になる。だから入る人が体験しながら鍛練をする、これは入る側がそういう意識でやっておる人もおると思うのです。
  305. 東中光雄

    東中委員 そうすると、鍛練をする、軍人精神を涵養していく、そして軍事技術を練摩する、こういう目的で入ってくる、反復して継続して入ってくるということであっても、それは自衛隊側から見れば、見てもらうということだけなんだ、あるいは体験してもらうだけなんだ。相手方がそういう目的で継続して何回もくるということであっても、それはそのままやっていくということになるわけですか。
  306. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今度の経験にかんがみまして、それを志願してくる人たちについてはよく検討する必要があると思っていますが、自衛隊の側としては広報活動でありますから、体験してもらう、そして自衛隊を知ってもらう、そういうことであって、それが主観的に本人のほうに結果的に鍛練になるということもあり得ると思うのです。われわれのほうとしてはそういうように自衛隊というものをよく知ってもらい、経験してもらうというような目的でやっておるわけであります。
  307. 東中光雄

    東中委員 三島の「「盾の會」のこと」という例の文書の中でこういうことを書いています。彼ら——というのは盾の会の会員はということです。「四十五キロの行軍のあげく、ニキロ駈けつづけ、陣地攻撃を展開する戦闘訓練に、なかなか立派な小隊長ぶりを見せた。」といっているが、こういう訓練をいままでやられている。こういう形で、盾の会の、いわば彼自身が言っているような私兵ですね、それの訓練の場、それを自衛隊広報活動として提供してきたという事実があるわけです。そういう中で小銃訓練というものも出てきた。そういうものはいま検討しているとおっしゃったのですが、そういうものをまた続けていくか続けていかないか、まだ結論を出していないのですか。そういうことはやめるということなのか、その点はどうなんでしょう。
  308. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 こちらとしては、自衛隊がやっていることを体験してもらって、自衛隊をよく認識してもらうということですから、自衛隊がやっていることはいろいろ千差万別があります。しかし常識的に見てこの程度のものならばいいという限度はだんだんはっきり出てくるだろうと思います。たとえば大砲の操作とか飛行機の操作なんということはできません。大体常識的にこの程度の体験ということでおさまる、そういう線を考えて、必要な改革を加えていきたい、このように思います。
  309. 東中光雄

    東中委員 小銃訓練をやったというのは、三島のほかにもあるのですか。あったら、どういう人にいつごろやったか、明らかにしていただきたい。
  310. 宍戸基男

    宍戸政府委員 いつごろと申しますか、毎年何件かございます。いまの三島に頼まれたグループのほかには、地方公共団体職員の人たちとか、あるいは報道関係者であるとか、社会的に信用のある人たちで頼まれた場合に実施をいたしております。
  311. 東中光雄

    東中委員 そうすると楯の会は、社会的に信用できるそういうグループとして、射撃訓練をその一環としてやったわけですが、楯の会の目的、あの制服、行動、こういうものは当然知っておられて、そうしてやっているのですね、それを知らぬでやっているのだったら、何を根拠に社会的に信頼できるということになるのか明らかにしてもらいましょう。
  312. 宍戸基男

    宍戸政府委員 事件前の三島氏は、国際的にも国内的にも信用ある方だったと思います。
  313. 東中光雄

    東中委員 あの軍人精神の涵養、軍事技術の練摩、あるいはいろいろな目標を掲げて反共憲法への改定、暴力是認、こういう方向を持っておる、そういう団体だということは防衛庁としては知っておったのですか知らなかったのですか。そういう目標を持っている三島個人ではなしに、楯の会というそのグループを社会的に信用できるということでやったのでしょうか。
  314. 宍戸基男

    宍戸政府委員 楯の会の規約は知っておりますけれども、楯の会自身から申請があったわけじゃございませんで、もっぱら三島氏を通じて依頼がございました。その三島氏は信用に値する人であった、こういうことでございます。
  315. 東中光雄

    東中委員 三島は楯の会の会長であった、ということは当然知っておると思いますが、その会はどういう目的、行動をしておるかということも当然知っていなければおかしいわけです。そして三島個人ではなくて、その楯の会の会員が三島を通じて、要するに会長を通じて申し入れてきている、こういう事実も当然知っているわけですね。そういう事実を知って、そして射撃訓練をやる、社会的に信頼できるということでやった、こういうふうに聞いていいですか。
  316. 宍戸基男

    宍戸政府委員 要するに、事件前の三島氏は自衛隊にも親近感を持っておられたと思いますし、自衛隊のほうからもいわゆる親近感を持っておった、国際的、社会的に非常に信用の高い方であったろうと思います。そういうことから、三島氏が紹介される学生グループ体験入隊、体験射撃の便宜を供与したということでございます。
  317. 東中光雄

    東中委員 そうすると、三島氏も楯の会を含めて自衛隊に信頼感と緊密感を持った、自衛隊も同じように持った、こういう関係にあったからということをいま言われたわけですが、広報五カ年計画というのを三十八年から実施するということで防衛庁は文書を出しておられますが、その中に、広報対象として、特にオピニオンリーダーというのに対して、「防衛問題に対する理解を深めて、協力を得るとともに、これらを通じて国民全般への浸透と世論への反映を図る。」、こういう人たちには重点を置いて広報を実施する、こうなっているのですが、いま言われたのは、こういう防衛庁の五カ年計画の方針に乗って、三島及び楯の会をここでいうオピニオンリーダーという形で重点的にやられた、こう解せざるを得ないわけですが、そういうものとして防衛庁として出されておったのかどうか、どうでしょう。
  318. 宍戸基男

    宍戸政府委員 お持ちだと思いますが、広報関係の資料の中に広報五カ年計画の大要というのをプリントしてございます。これは防衛庁全体で正式にきめたという程度のものではございませんが、広報課の指針として三十七年にきめたものでございます。その中に広報内容をこういうふうにするのだ、手段はこういうふうにするのだということを書いておりまして、その中に御指摘のオピニオンリーダーという項目がございまして、防衛問題に対する理解を深めて協力を得る、それからそれを通じて国民全体への浸透と世論への反映をはかるというのが確かに書いてございます。いろいろな有識者がたくさんおられますから、そういう方々を通じて自衛隊への理解を深めるということを広報の有力なる手段として考えたものと思います。三島氏は、事件前の三島氏を考えてみますと、この項目に当てはまるというふうに広報担当者は考えておったと思います。
  319. 東中光雄

    東中委員 広報担当者ということは結局防衛庁ということですが、防衛庁の機関が三島をオピニオンリーダーとして、しかも楯の会の会長としての三島をオピニオンリーダーとしてとらえて、重点的広報——だから、先ほど言ったような反復あるいは長期間、あるいは小銃射撃あるいは定期的な施設利用、こういうこともやるようになっていたと言わざるを得ぬわけです。  警察庁にお聞きしたいのですが、きのうの御答弁の中で、楯の会については右翼的な民族主義集団というか、要するにマークをしておったということを言われておるわけです。これはやはり危険性があるということでマークしておられたということになると思うのですが、楯の会結成のときから三島を呼び出して聞き、視察をずっと続けておった。本年の十一月二十五日のあの事件のときもちゃんと私服はついておったということですが、これはやはり危険だということでマークしておったというふうに考えるのですが、その点はどうでしょう。
  320. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 楯の会につきましては、別段その性格を明らかにするような綱領はございませんので、三島が平素口にいたしておりましたことから判断しなければならないわけでございますが、それにつきましては昨日も申し上げましたようなことでございまして、別に、きょうあすたいへん危険なことをするというような団体として私どもは全然考えておりませんでした。ただ警察自衛隊の手に負えなくなったときに立ち上がるのだというような趣旨から申しまして、危険性ということをそこからはあまりはっきりと読み取れないわけでありますが、あえて申しますれば、蓋然的な危険性があるかもしれないということで、その程度の関心を持ち視察をしておった、こういうことでございます。
  321. 東中光雄

    東中委員 警察としては「「楯の会」のこと」というこの文書は、これが出て、時期は正確でないけれども、間もなしに入手して検討した、こう言われておるわけですが、これによると、スタンドバイだけじゃない、レッツゴーは、いまやらないかもしれないし、あすやるかもしれない、いつやるやらわからぬ、こういうことをいっているわけですね。と同時に、この楯の会の行動というものは、自衛隊から育てられている、こういう自衛隊と緊密な連絡をとってやっているということがここに書かれております。そういう状態で視察を続けておって、そういう直接な危険性がないというふうに考えられたその判断自体に非常な問題がある。あす立つかもしれない、こう言っている。しかしそれにもかかわらず、視察をしなければいけないような団体自衛隊と緊密に結びついていることについて、自衛隊なり防衛庁なりに連絡をされているのかされていないのか、その点はどうですか。
  322. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 なるほどおっしゃるように、「「楯の会」のこと」という文書の中には、いまは「Stand byの軍隊である。いつLet’s goになるかわからない。」それはあすになるかもしれないと書いてありますけれども、私どもはその文言を検討いたしまして、三島は昨年の秋、一〇・二一を中心といたしましてたいへんな危機感を持っておりましたけれども、その後一応治安状態は平静に復しておりますので、私どもといたしましては、あの十一月二十五日の時点においては、あのようなことをやるということは全然考えてい丸かったわけでございまして、したがって、そういう蓋然な危険性があるという程度では、特別に防衛庁に対してそういう危険な団体であるというようなことをお話をし連絡したことはございません。
  323. 東中光雄

    東中委員 具体的行動があらかじめわかるということになれば、それはもう犯罪の準備行為にたるわけですから、捜査の段階になるのはあたり生えなんで、むしろ警備の問題ではないでしょう。警備活動として間違っておったということと、十一月二十五日にああいう行動を起こすことが予想される、特定の具体的なときに具体的行動が行なわれるということが予想されるならば、それはまさに殺人の予備あるいは陰謀団体で、これは捜査になるわけで、警備の対象として警備実施をやっている、そういった団体だということについて補絡もしてなかった、そして、防衛庁はそういう警察が視察をしなければいけないような団体だというふうにはつかんでいなかったのかどうか。情報があろうがなかろうが、防衛庁自身としては特別な接触をしているわけですから、接触するについては相手方がどういうものかということを当然調べてなければいかぬと思いますから、その調べた結果は、警察が危険な団体としての視察をするというふうな団体であるという認識を持っていたのかいなかったのか、その点はどうでしょうか。
  324. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 警察庁としましては、の警備情報活動というのは非常に幅広く行なわれるわけでございまして、別にきょう、あす、あるいは近い将来問題があるというだけでなくして、遠い将来をおもんぱかって情報活動をいたしておるわけでございますから、たまたま楯の会がそういう私どもの情報活動の範囲の中に入っておったからといって、いま申し上げたとおり、それをきょう、あす、あるいは近い将来たいへん危険なことをするというようなふうには私ども考えていなかったわけであります。
  325. 宍戸基男

    宍戸政府委員 自衛隊としましては、危険な状態であるという認識は全く持っておりません。
  326. 東中光雄

    東中委員 反共主義、天皇制支持、暴力是認は楯の会の主義の三本柱といわれている。楯の会は軍人精神の涵養、軍事技術の練摩、軍事知識の体験、こういうのが三原則といわれている、こういうものを掲げてるんだということを知っておったのですか、知っていなかったのですか。
  327. 宍戸基男

    宍戸政府委員 楯の会の規約ということで数カ条の目的と手続が書いてございます。それは知っております。
  328. 東中光雄

    東中委員 いま私の言っていることはどうですか、知っていたのですか、知っていなかったのですか。
  329. 宍戸基男

    宍戸政府委員 その中に書いてございます。それは知っております。
  330. 東中光雄

    東中委員 知っておって、それで緊密な連絡を、親密感を感じておった、こういうふうにお聞きするわけですが、結局自衛隊が今度の場合、楯の会に一種のクーデターの手段といいますか、あるいは訓練といいますか、それに利用されたということですが、このときが初めてではないわけですね。昭和三十六年の九月十九日ごろ、三無事件というのですが、三無塾塾生らが陸上自衛隊柏射撃訓練場で狭搾弾使用による射撃訓練をやったという事実があると思うのですが、それは防衛庁知っておられますね。
  331. 宍戸基男

    宍戸政府委員 ちょっとさっきの御質問と私のとり方の食い違いがあったかもしれませんが、私が承知していると申し上げたのは、規約に書いてある項目、つまり軍事意識の涵養云々のところを知っておったと申し上げたんで、その前に先生の御質問の中に暴力是認とか憲法改正等の三原則の御質問があったように思われますが、その点は自衛隊としては承知しておりません。規約に書いてあることを承知していたというつもりで申し上げておりますので、念のために補足してお答えを申し上げたいと思います。  それから三十六年の——正確にお尋ねが受け取れなかったのですが、三十六年でございますか。
  332. 東中光雄

    東中委員 もう一回言いましょう、時間がありませんので。  要するに今度は三島のこういう事件が起こった、楯の会のこういう事件が起こった、これも自衛隊で射撃訓練をやっておった、そういう緊密な関係の中で、自衛隊で射撃訓練をやる、そういうふうな状態の中で、そういう結びつきの上でこの事件が起こっておる。三無事件の場合も、あの破防法で起訴された三無塾の塾生が三十六年の九月十九日ころ自衛隊柏射撃訓練場で、狭搾弾の射撃訓練をやった、それが裁判でも問題になり、事実認定がされているわけですが、そういう事実があったのを知っておるかということをまずお聞きしておきます。
  333. 宍戸基男

    宍戸政府委員 昭和三十六年九月射撃訓練をやっておりますが、これはオリンピックを控えておりまして、東洋大学に射撃部をつくる計画があるので、体験射撃をしたいという申し込みがありまして、それの実施を許しております。こういう事実はございます。
  334. 東中光雄

    東中委員 いま東洋大学と言われましたけれども、この三無事件の破防法の裁判の中で、控訴審の判決でもはっきりと証拠関係から見て彼らが自衛隊を使って射撃訓練をやる、それが破防法適用の破壊行動をやるという、そこに結びついていく一環の事実なんだ、自衛隊は三十六年の段階でそういうふうに右翼のクーデターに利用されておった、そしていままた射撃訓練をやらしておった、三島の今度のことを起こしておる、そういうふうにずっとクーデターに結びついてきている。それを緊密な間柄という形で防衛庁がその相手方をとらえておるというところに非常に問題がある。これはクーデターに利用されている、現に三十六年にあった、今度初めて起こったことじゃなくて、今度はいわば表に出ただけでも二度目だ、そういう点について中曽根長官はどうお考えになりますか。
  335. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三島事件は、結果的に見ますと、非常に遺憾な事件で、当方としても諸般の点について戒心を要する面があるように思います。反省を加えまして、将来戒めていきたいと思います。
  336. 東中光雄

    東中委員 三無事件との関係で、右翼の暴力的な団体がクーデターに自衛隊を使おうとした、広報活動という形で体験入隊とか施設使用、そういうことをしてきておるということに対して、防衛庁としてはたまたま予想できない、突然として起こったことではない、三無事件のときだって、ああいうことをやると思っていなかったと申しましても、事実そういうふうに陰謀団体といいますか、そういう団体でそういう行動に使われておった、そういう点についての深刻な反省というものがどうしても要るのではないか。再び繰り返されていることですから、そういう点について、単に体験入隊のあり方というような問題でなくて、右翼暴力集団のクーデター計画の中で自衛隊はねらわれている、そういう点について防衛庁長官はどう考えていらっしゃるか。
  337. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう不遇な集団に利用されないように、今後ともよく注意したいと思います。
  338. 東中光雄

    東中委員 十一月二十五日のあの行動そのものについては、昨日警察は六つの罪名をあげて捜査しているということをおっしゃったですが、三島が、あるいは三島を含めて五名が総監室総監を人質にして、いわば強制的に隊員を集合させるように命じて、そしてあの檄文をまき、演説をやった、この扇動行為ですね。この扇動行為自体を法的に見て許される行為だと思っておられるのか、それについて警察はどういう捜査をし、どういう処置をしておられるか、まずそれを聞きたい。
  339. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 昨日申し上げました六つの罪名のほかに、実は破防法の関係も検討しなければならないということで、私どもは破防法の三十八条、三十九条、四十条について検討いたしまして、いまおっしゃるような、そういう扇動的な行為があれに該当するかということで検討いたしましたけれども、どうもそれには該当しないという結論に達しておるわけでございます。
  340. 東中光雄

    東中委員 破防法ではなくて、自衛隊法百十九条の二項及び一項の八号、この扇動行為ですね。そういう点では検討しているのかいないのか。要するに、自衛隊員を、指揮を排除して、強制的に権限のない者が集めさせた、そうしておいて憲法を破壊するような行為、言論をやっているわけですね。というのは、国軍をつくれというわけでしょう。憲法をつぶせというわけでしょう。治安出動をやってやっていくべきだ、そのために決起すべきだ、こういう行動を訴えているわけですね。だからクーデター計画はなかったというふうにおっしゃったけれども、クーデターを起こせという扇動行為をやっているわけですよ。あの内容自体について、自衛隊法百十九条の二項に該当するものかどうかということを検討されていないようですけれども、それなら右翼はいつでも自衛隊へ行ってああいう宣伝ができる、クーデターに立ち上がるべきだという宣伝をやってもよろしいということになるということ、その点についての警察庁考え方をひとつ聞きたいこと。  時間がありませんからもう一つ防衛庁長官に。あの檄文の内容、三島演説した内容それ自体について、それに対して自衛隊の中で若干の影響が出てきている。防衛大学でも卒業式に何か言わなければいかぬだろうというようなことがいわれておるわけですが、三島があそこでやった檄文に書いてあること及びあの演説の内容について、そういうことを自衛隊に訴えること——思想の自由の問題じゃないのです。表現を現にやっているわけですから、しかも暴力を伴う強制的な集合をやらせてやっているわけですから、その内容について防衛庁長官どう考えておられるか。この二点を警察防衛庁お願いします。
  341. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 私どもとしましては、あの長い檄文と、それから短い彼のバルコニーでの演説を検討いたしまして、自衛隊に別にクーデターのために立ち上がれというふうに扇動したというふうには解しておりません。
  342. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あの檄文の影響はほとんどない。自衛官を各地で調べてみましたけれども、いずれもあの檄文に対しては、言うことは理解し得ても、行動は是認できない、そういうのがほとんど全部の意見でありまして、自衛隊は目下のところ健全であると思っております。
  343. 東中光雄

    東中委員 きのうも長官言われておりましたが、問題は具体的行動を起こしたかどうかということじゃないのです。思想的な問題が入っているのだから、だから長期にわたってだんだんにそういうものの影響が出てくるのだ、こういうふうにいわれておる。まさにそういう面を持っていると思う。しかし、あそこではともにやろうじゃないかということを言っているわけですね。行動の扇動である。扇動されて動いた人がおったかおらぬかにかかわらず、勢いある刺激をやればこれは扇動であることはきまり切っているわけですから、そういう点で檄文の内容に共感を覚えている者がいるということは、あの行動はついていけぬ、しかし檄文の内容について共感を持っている者が相当数いるということは、新聞報道でも出ているし、いえるのではないか。その内容に対して防衛庁長官はどう考えているのかということを聞いているわけです。
  344. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自衛隊においてはしゃばにおけるよりも共感を持っている人は多いとは、いまのところ思いません。それは意識調査をやった結果を見ますと、ほとんど一〇〇%に近い人間があれを否定しております。そういう意味で、むしろそういう教育訓練を受けていない一般のしゃばの青壮年や何かのほうがショックが多いのではないか、そういうように私は思います。しかし今後とも、ああいう思想問題というものは時間を経て出てくるものですから、よほど注意していかなければならない、こう思います。
  345. 東中光雄

    東中委員 答えが一つないのですよ。どういう反応を与えたかということと、それから、ああいう訴えをやっているその内容自体について、長官はどう考えているのかということについてはっきりしていただきたい、こう言っているわけです。
  346. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内容についても賛成できません。
  347. 東中光雄

    東中委員 中曽根長官はあれと同じ考えを持っていない、そういう意味で賛成できない。同時に自衛隊にああいうことを訴えても、それに対してこの内容についてのコメントはしないのですか。賛成できませんだけですか。
  348. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ああいうことを自衛隊に訴えては困ります。
  349. 東中光雄

    東中委員 困るけれども、そのままほうっておく。しかも緊密な協力関係にあった、オピニオンリーダーとして使っておったそういう相手が、そういうことを言ったことに対して、困ります、賛成できませんだけでは、それはあまりにも無責任ではないでしょうか。現にこういう世界じゅうに報道されているような事態が起こっているわけですから。
  350. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前から言っておりますように、ああいうことを再び起こさないように戒めます、こう申し上げておるのであります。
  351. 東中光雄

    東中委員 最後に、この問題についての責任は昨日来言われているわけですが、責任を感じられるということはないということになるのか。これは当然防衛庁長官としては重大な責任を感じておられるものだとだれだって思うわけですけれども、それはどうなんでしょう。防衛庁ではだれもこの問題について責任をとる人はいない、こういうことですか。
  352. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 将来再びああいう不幸な事件を起こさないように、よく戒めていきたいと思っております。
  353. 東中光雄

    東中委員 いや、責任ですよ。今後の対策ではなくて、責任の問題を聞いているわけです。
  354. 天野公義

    天野委員長 東中光雄君、委員長許可を得て発言してください。
  355. 東中光雄

    東中委員 時間がないものですから、責任問題を聞いているわけです。右翼が前にやった、今度は二度目だ。射撃訓練まで許しておった、そういう緊密な関係があってこういう事件が起こった、卒然として起こったわけではないわけです。不可抗力と言うけれども、不可抗力のところまで追い込んでいったそういう結びつきが問題なんだから、それについての責任は、防衛庁長官をはじめだれ一人として責任をとろうとはしないというふうに聞かざるを得ないのですが、その点だけ最後に聞いておきます。もう本会議ですから時間がありません。
  356. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままで申し上げましたように、非常に遺憾な事件でありまして、今後ああいうものを再び起こさないように深く戒心していきたいと思っております。
  357. 天野公義

    天野委員長 次回は、明十一日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十九分散会