○和田(耕)
委員 昨日来、
三島由紀夫さんの
事件につきまして、
質問あるいは
長官の
答弁をいろいろ承っておりまして、
長官の
答弁、ことばであらわされておる限りにおいては大体妥当だという感じをもって聞いておったわけでありますけれども、現在の日本の
自衛隊が直面をしておると申しますか、これを取り巻いておる内外の状態というものは非常に重要な転機に来ているという感じがするわけでございます。
長官自身が今度五兆八千億という膨大な金を投入して四次防という計画を推進しようとしておられる。また世界のあちらこちらからは日本の軍国主義の復活という問題が議論されておる。また国内では最近の
三島事件が象徴しているように、憲法改正という問題をまともに取り上げる
考え方というものが出てきておるというようなときでございまして、この時期において
長官の、あるいは総理大臣の、
自衛隊というものについての確固たる
一つの方針というものを確認しなければならない時期ではないかという感じがするわけでございまして、そういうふうな意味で、私きょうの
質問は、いままで、あるいは今後、
自衛隊の教育の中で憲法という問題をどのように位置づけていこうとしておるのか、あるいは具体的に憲法の教育、隊員に対する教育という問題を、具体的にどういうふうにしようとしておられるのか、この問題に集中して御
質問をしてみたいと思っておるわけでございます。この
三島事件の持っている意味というものは、昨日も
長官もお話しになりましたとおり、彼が直接に目的にした、つまり
自衛隊を軍隊に改編するという問題、あるいは憲法改正というものを
自衛隊の決起によってこれを解決していこうというようなこと、こういうような問題は、私どもの政治感覚とは大きく離れておりまして、しかも
国民の
考え方ともかなり離れておるということであって、たいして重大な問題とも考えてはおりませんけれども、しかし
三島さんの提起した問題のもう
一つの面は、人間の生き方と申しますか、つまり命よりも大事なものがあるんだという問題を身をもって提起したということが、現在の日本の状態から見て重大なショックになっておるということなんですね。そこで、命よりも大事なものがあるんだということを身をもって実現をしたというあの衝撃というのは——
自衛隊の場合は、日本の国の平和とそして独立、また安全というものを守るというために
自衛隊をつくるんだというはっきりした目的があるのですけれども、この目的というのは、他のいろいろな
団体の目的とは違ってからだを張る目的なんですね。必要があれば自分の命を張っていくという問題を持っている目的なんであって、
三島さんの提起したあの憲法改正云々の問題については、そのこと自体はたいした問題ではないにしても、しかしからだを張っていくということ、この生き方ということからの影響というのは、相当大きいのじゃないかと私は思うのです。しかもこの二つは、切り離して考えられるように見えるのですけれども、なかなか切り離して考えられる問題ではないというふうな意味で、今後
三島さんが提起した問題は相当長く尾を引いていく。ときあたかも四次防の問題がある、あるいは軍国主義の問題があるというようなこととも関連して、なかなか重要な問題だと私自身は考えておるわけなんです。
そこで
長官にお伺いしたいのですけれども、
三島さんも言っているように、
自衛隊は軍隊じゃない、もっと軍隊にしなければならぬということばがありますけれども、
長官、
自衛隊と軍隊との違いは、どういうふうにお考えになっていますか。