○根本国務
大臣 これは他の
委員会でもずいぶん議論になりまして、たいへん大事なことです。それで時間もありませんので、私も端的に申し上げますと、
日本ほど土地が上がっている国はありません。こんなことはばかげたことです。その最大の原因は特に戦後の農地法です。よその国には農地法みたいなものはないですよ。ところが、農地法をなぜつくったかといいますと、
戦争に負けて海外からたくさんの引き揚げ者が帰った。食糧は戦前には、台湾と朝鮮が入っておって約一千万石、これが入らなくなった。外国からの外貨は一ドルもない。こういう
状況下で終戦当時はやむを得ずに農地解放をやらせました。農地解放しても、今度これを黙っておるとまた地主にとられたり使用人にとられてはいかぬというので、農地を固定したのです。ところが、これが経済発展してくると、もう都会地がどんどん発展したにもかかわらず、農地なるがゆえにこれは膠着して転換できなくしちゃった。それと同時に、そういうふうに需要供給のアンバランスが出たために、とにかく土地を持ったほうがあらゆるものに投資するよりも有利だということことで、会社も個人も金さえあれば土地に投資した。何と申しますか、実働のあれじゃなくして、土地値上がりによる利用のためにやられた。それから今度は固定資産税がこれに伴わない。ますますそれを助長する。それから収用法が
日本ではありますけれ
ども、これを実際上やらなかったし、またいままでそれをやるとたいへんな物理的な抵抗と社会不安を来たす。それから一方においては公共事業がどんどん進んでいく。今度銀行が預金収集のために町かどのいいところはプライスメカニズムを越えた買い上げをやる。これでどんどん上がっちゃった。そういうことを助成しながら下げろということはできませんから、そこで農地法は、いろいろトラブルがあったけれ
ども、これは改正した。それから新市街地法によって線引きしたその市街地
計画地帯には農地法の適用を排除する。それから今度は、近く税制の改正によって空閑地を持っておることがそう利益にならぬからというようなことをやると同時に、もう
一つは都会地の近くに大幅の土地供給をしなければいけません。それには、私から言わせるならば、幸か不幸か相当残っているんです。それは水と交通関係が整備されてないところは、現在の
日本の大きなデベロッパーも手がつけられないで残っている土地があります。そこで、たくさんいろいろの
法律がありますが、少なくとも十カ年間の宅地需要の長期見通しを、はっきり
計画的に計算によってこれを示す、それに対してどういうふうな供給をするということをはっきり
国民に示せば、これから土地を買いあさっても損だということになって仮需要がなくなる。もう
一つは大都市において一番問題は実は水なんです。この水が、実は御
承知のように農業水利権、慣行水利権のために、あっても使えないというところに問題があった。これは私は、昨年来
日本の経済構造、社会構造が変わっておる今日、過去の水田に依存しておった国の経済の基本が変わった今日、水利権を再検討すべきだ。これは決して農民から水を取り上げるのじゃないのです。農民の必要な農作物の水は全部確保してやる。そのかわり
あとの水は全部公共の用に供するようにしてほしいということで農林省といま
協議中です。農林省もそれを前向きでやっておる。こういうようなことをやった上に、私は、
計画的な都市
計画をやっていくことによって、この土地を異常に上げておるこの異常なる現象を解消していく、これが土地
政策の基本問題だと思います。これは建設省ばかりではできませんので、関係閣僚と
協議をして、少なくともこの数年間には鎮静の方向に持っていきたい、こう考えておる次第でございます。