運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-12-07 第64回国会 衆議院 地方行政委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月七日(月曜日)     午後二時一分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 菅  太郎君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君       國場 幸昌君    中山 正暉君       中村 弘海君    野呂 恭一君       安田 貴六君    豊  永光君       綿貫 民輔君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君   交通安全対策特別委員会    委員長 受田 新吉君    理事 加藤 六月君 理事 木部 佳昭君    理事 河野 洋平君 理事 後藤 俊男君    理事 坂井 弘一君 理事 河村  勝君      稻村佐近四郎君   小此木彦三郎君       左藤  恵君    佐藤 守良君       斉藤滋与史君    古屋  亨君       山下 徳夫君    横路 孝弘君       東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁交通局長 片岡  誠君         建設省道路局長 高橋国一郎君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   井口 孝文君         警察庁交通局交         通指導課長   寺尾  繁君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宣正君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)      ————◇—————     〔菅地方行政委員長委員長席に着く〕
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより地方行政委員会交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 菅太郎

    菅委員長 本案に対する提案理由等は、お手元に配付してあります資料により御了承を願います。     —————————————
  4. 菅太郎

    菅委員長 質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤滋与史君。
  5. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員 お許しを得まして、道路交通法の一部を改正する法律案に基づいて、交通公害全般につきまして質疑を行ないたいと思います。     —————————————  まず、このたびの道路交通法の一部を改正する法律案、その内容につきまして、私は時宜を得た、非常に前向きの改正案だというように承知いたしてはおりますけれども、昨今の交通事故多発交通公害の非常にきびしい環境の中において、いま少しこの問題について、内容的にきびしく改正ができなかったものかどうかというようなことを柱にして質問を続けさしていただきたいわけでございます。  御案内のように、去る十一月二十五日の新聞発表にもありましたように、ことしの交通事故が一万五千人をもう突破しておるというような実情でございます。一日平均の死者は四十五・六人と、昨年より二人も多いというような状況でございます。これを年末までに、昨年の交通事故死亡者数を対比してみますると、おそらく昨年よりも七百数十人多い一万七千人近い死亡者があるのではなかろうか、かように報ぜられているわけでございます。公害国会といわれております今公害国会で、各種産業を中心にする公害対策につきましては、社会的にももとより、国民あげてその問題に取り組むべきでありますが、こうした交通公害についての死者数から見まするときに、私たちは、交通公害というものに対して、さらに一そうのきびしい姿勢で臨むべきだろうというように考える次第でございます。今国会が始まりまして、四日、五日の公害連合審査会におきましても、各種産業公害等々が叫ばれております。イタイイタイ病患者が二百五名いて、死者が百十八名、水俣病患者が百十六名いて、死者が四十六名、四日市ぜんそくが五百九十六名いて、死亡が四十三名という、一々数字的な問題がありますが、これに対して私は、交通による死亡の一万五千名ということを考えたときに、この問題についてはもっともっと突き詰めた答弁がなされてしかるべきだろう、かように考える次第でございます。したがって、こうした過程において、今度の道路交通法改正がなされたわけでございますが、その改正案の趣旨というものが、騒音振動大気汚染による環境破壊——人間の健康を保持するという面についてのみ、非常に強調されておりますが、人命の尊重ということについて、いま一歩突っ込みが足りないというように私は考える次第でございます。したがってこの問題について、基本的に、今度の改正案が出された過程において、そこまで配慮をして、あるいはそこまで配慮しつつ、一つ段階的改正案であるというようなことでこの改正案ができたものであるのかどうか。これは、関係いたしまする警察庁交通局長さんに、まずその基本的な考え方からひとつ御意見をお伺いいたしたいと思います。
  6. 片岡誠

    片岡政府委員 警察庁といたしましては、昨年来道路交通の現在の段階に適応するような法改正を、二カ年計画で進めてまいりました。昨年の国会で、とりあえず急ぐ分の改正お願いし、次の通常国会に、残っております部分につきまして改正案の御提案をいたしたいということで、鋭意研究中でございます。ただ、当臨時国会が開かれまして、公害を防止するために関係法案政府として一括して出すという方針もございましたので、われわれも検討をいたしておりました中から、交通公害にかかる部分だけを引き抜きまして、この国会提案いたしました。そういういきさつでございます。
  7. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員 漸次具体的に御質問を申し上げますが、ところでこのたびの改正によって、いわゆる排気ガス騒音振動基準が当然設定されるものと承知いたします。もとより総理府令厚生省令に示されるものということでうたわれてはおりますけれども、その点の基準の範囲というものをきめる段階において非常に問題があろうかと思うわけでございます。さすれば、住民の被害、生活環境破壊設定基準というものは、どの点にめどを置いてきめられていくのか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 片岡誠

    片岡政府委員 御承知のように、人の健康あるいは生活環境一定基準ならば害する、それから国の行政としては一定基準に保つことが望ましいという基準がございます。大気汚染につきまして、それから騒音規制につきましては、公害対策基本法に基づきまして環境基準を定めることになっております。私どもとしましては、その環境基準を目安にしてここに道交法に申します総理府令厚生省令をきめてまいりたい、そのように考えております。
  9. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員 基準設定一つの問題になっていくわけでございますが、その設定された場合において、大気汚染振動騒音が生じて、この措置として、今度の改正案によりますと、地方自治体の要請があって都道府県公安委員会がこの措置をなすというように明文化されておることは、非常に私はけっこうなことであろうと思いますが、いささかその措置が、非常になまぬるいといいますか、緊急という場合に、公安委員会決定に基づいて現場の警官が指示することもできるというようなことにもなっておるようでございますが、緊急の場合というのはどういう場合であるか、また、緊急の場合に公安委員会に一々決定を待つということで間に合うのかどうなのか、ということにつきまして、具体的に時間的な問題あるいは方法等についてひとつお伺いいたしたいわけでございますが、これも交通局長でおわかりでしょうか。
  10. 片岡誠

    片岡政府委員 大気汚染の場合を例にとって御説明いたしたいと思います。大気汚染防止法の二十条で、交差点などで交通が渋滞をいたしまして、それが原因となって、最近汚染が著しいというようなところにつきましては、知事が常時監督をする義務を課せられております。そういう交通に主として原因すると思われるような交差点に対する場合と、それからもう一つ大気汚染防止法の二十二条あるいは二十三条で規定をいたしております相当広範囲にわたって人の健康に著しい影響を、重大な影響を与えるような緊急の場合と、おおよそ二つの場合が類型化されているように私ども受け取っております。後者の場合、たとえばそれが一酸化炭素の場合でございますれば、はるかに環境基準をこえてしまって、このまま置いておけば、もう人の生命、健康に著しい影響、重大な影響を与えるといったような場合につきましては、緊急な措置をとらざるを得ない。一方、交通混雑する交差点につきましては、むしろその交差点における大気汚染状態をできるだけ環境基準に合わすように、ある程度継続した努力をしていくといったような場合が考えられると私ども考えております。そしていずれの場合におきましても、そういう問題となるような地点については、おそらく知事は常時観測網を持つというようになろうと思いますので、ここで、総理府令厚生省令できめます基準に至る前の段階から、観測結果に基づくいろいろのデータは公安委員会のほうに通報してもらえるものと考えております。そしてある一定点に達したときにはどのような手を打っていくかということは、実務といたしましては、車前に相当検討もなされていく、そういう仕組みになろうかと私ども考えております。
  11. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員 お話でよくわかりましたが、今度の場合の地方自治体への権限委譲からいって、当然それへの財政措置等も考えられていくのではなかろうかと思いますが、地域地域によって生じた交通事故公害対策については、それぞれの自治体等々が責任をもってやり得るわけでございますが、たとえば東名あるいは国一の、いわゆる国の基幹道路基幹交通に発生したこうした問題について、当然なお一そうの抜本的な対策がなされてしかるべきであろう、かように考える次第でございます。この点の事故公害に対する考え方が非常にむずかしいわけでございますが、法理論からいっても故意、過失が立証されれば当然これは現行刑法犯罪が構成されるわけでございますが、今度のようないわゆる大きな国の公害という立場から臨んだ場合に、この現行犯的な犯罪に対処する国の姿勢というものが、もっと広域的に考えていかなければならないのではなかろうか、かように考える次第でございます。したがって、今度の道路交通法改正の中にはうかがわれませんが、きょうは公安委員長がおいででございますが、この交通対策騒音振動大気汚染等々によって公害罪が適用されるといいますか発動されるというその基準というものをどの点に置かれているのか。これからの総理府令あるいは厚生省令基準に基づく問題でありましょうが、それにつきまして公安委員長のお考えがありましたらひとつ御開陳願いたいと思います。
  12. 片岡誠

    片岡政府委員 公害罪についての御質問だと思いますが、それでよろしゅうございますか。——現在法務委員会で審議されておるようでございますけれども公害罪に関する法律が成立しましたら、私ども法務省とそれの解釈についての統一見解をつくり、具体的な事件についてその方針に従って捜査を進めていく、そういうことになろうかと思います。
  13. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員 局長さんにばかり質問が行きまして恐縮ですが、今度の道路交通法改正によって、現在までの交通公害といいますか、交通事故防止——私は事故に集中していきますけれども、もとより環境基準等々の問題がありますが、事故防止の点についてどの程度の減少を見込まれておるかどうかということが第一点。それからこれをつくる過程において、先ほど申し上げましたように自治体への権限委譲公安委員会を通じていくわけですが、それに基づいて当面措置しなければならない道路標識とか、いわゆる直接交通対策にかかわる問題についての財源措置等については、十分根回しがしてあるのかどうかというようなことを、あわせてお聞きいたします。
  14. 片岡誠

    片岡政府委員 交通公害を防止するためにいろいろな交通規制をする。それに必要な標識その他の財源につきましては、私どものほうで交通の安全と円滑をはかるために主として交通事故による死傷者、特に歩行者、自転車に乗っている人の死傷を減らすという目的で、昭和四十六年度以降五カ年計画交通管理施設整備計画をつくりまして、大蔵省に現在要求中でございます。それが約三千七百億でございますが、その中で交通公害防止のほうに必要な、交通規制に要る標識等もあわせ考えていきたい、そのように考えております。
  15. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員 これは公安委員長にお聞きすることであろうかと思いますが、企業に基づく公害企業社会的責任住民理解、相互のコミュニケーションによって解決または排除することができるかと思われます。交通公害のように地域住民との関係が通行する自動車という、いわゆる不特定多数だという関係からいえば、地域住民とのコミュニケーションというものは考えられない。したがってこの点について国の指導というものが相当きびしく、末端公安委員会なり都道府県に通じていかなければ、この問題は解決ができていかないわけでありますが、今度の法改正によって、何か地方委譲等のことによって中央との関連性がむしろ弱められたようにも考えられてますので、この点の監督指導については今後どのような方法によってなされていくのか、いわゆる全国的な専門委員会をつくるのか、いままである上に積み重ねによって単に地方に委譲していくのかというようなことの御意見をお聞きいたしたいわけでございます。
  16. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 交通公害がおおむね、加害者と申しますか原因を形づくった者は不特定多数人であるという形をとるのが一般かと思います。その意味におきまして、民事的な損害賠償等の課題が所在不明になるおそれは多分にあると思います。さりとて警察立場からだけそういう状況についての対策を講ずる道はないかと思います。要は一般に人に迷惑をかけないという意識を徹底普及することに始まって、民事訴訟的な問題は法務省所管事項として検討さるべきものかと思います。
  17. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員 次に関連していきますが、建設省道路局次長さんいらっしゃっておりますか。——ではお伺いいたしますが、道路五カ年計画が一兆二千億でございますか、新たに設けられてすでに計画策定に入っているということは御案内のとおりでございますが、もしその策定過程において——策定以後にこの公害問題を特にあげつらってきたのでございますが、五カ年計画の中に道路事情というものを考えて、公害問題というものを頭に置いて五カ年計画策定が現在なされてきておったものか、あるいはそうしたことは関係なく日本産業社会というものを考えての道路計画であるのか伺いたいと思います。
  18. 菅太郎

    菅委員長 道路局次長の御指名がございましたが、局長が見えておりますから局長からお答えいたします。
  19. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの御指摘の交通安全対策の新しい五カ年計画は、一兆二千七百億ということで目下大蔵省と折衝中でございますが、ただいま御質問公害の問題につきましては、単に交通安全対策事業としてだけではなくて、道路整備の基本的な姿勢といたしまして、ことしから新たに第六次道路整備五カ年計画が発足いたしますが、この中には大幅にその思想を取り入れているわけでございます。  その第一点は、まず道路構造自体を直していく必要があるということになりまして、道路構造令という政令を最近改正いたしております。それによりまして基本的には交通事故を撲滅する、できるだけ少なくするという思想からでございますが、従来、市街地以外の道路におきましては、歩道と車道が完全に分離されておりませんのが実態でございます。今度新しくつくる道路につきましては、人の通行する区間につきましては必ず車と人を分離するような構造にすることにしております。まあ世間一般にいわれております交通公害と申しますと、道路サイドから申しますと騒音とそれから振動かと思います。排気ガスにつきましてはなかなか道路サイドからはむずかしいわけでございますが、まず騒音についてでございます。これにつきましては、これもやはり道路サイドだけでは必ずしもできないわけでございますけれども、すでにでき上がった道路につきましては、たとえば東京みたいな大都市におきましてはなかなか困難でございますが、やはり警察庁と相談いたしまして交通規制等を採用しないといかぬじゃないかと思います。新しくつくる場合には、なるべく騒音を少なくするような構造並びに要すれば緑地帯グリーンベルトをとりまして騒音を少なくするような方向に進めたいというふうに考えておるわけでございます。  振動につきましては、路盤の強さに関係するものでございますので、構造的には金さえかければ除去できることでございますので、これはわれわれは積極的にそれを取り上げるような方向で進んでおります。  いずれにしましても、われわれの公害、特に振動騒音、そういうふうな公害につきましては道路管理者だけでは解決し得ない問題が非常に多うございます。各省一緒になって相談してやっていく以外にないんじゃないかと思いますが、われわれ道路といたしましても、いままで申しましたように道路整備五カ年計画一つの柱といたしましてこの問題に真剣に取り組んでいる次第でございます。
  20. 斉藤滋与史

    斉藤(滋)委員 五カ年計画公害対策というものを非常に盛り込んで計画されたということにつきまして、御礼を申し上げる次第でございます。  時間がありませんので、具体的なことでお願いといいますか、質疑を行ないたい点がございますが、それは無理でございますので、ひとつあしたまた特別委員会お願いを申し上げたい、かように考えます。いずれにいたしましても、今度の法改正によってやや抜本的に基本法なりあるいは大気汚染騒音振動等において配慮がなされたという点については、非常に敬意を表する次第でございますが、ぜひ具体的な事例を、いま申し上げる時間がありませんでしたが、あす具体的な例を申し上げましてその対策等をお聞きいたしたい、かように考える次第でございます。  いずれにしてももう一度、私は現在の公害国会に取り上げるべき一つの指向の重点が産業公害にのみ向けられているということに対して、はなはだ私自身は遺憾に思っておる次第でございます。先ほど申し上げましたように、一万何千名、一日に四十何人という方々が実際、現在健康をむしばまれているということではなく、実際に直接死を与えられている、殺人が行なわれておる、生命が危険にさらされておる、あるいは財産が破壊されておるというこの現実に、もっともっと私たちは目を指向しなければならないのではなかろうかと思います。産業公害によって多くの気の毒な患者方々死亡された方々も多数あるようでございますが、とにかく一年に何万人、十年間でおそらく二、三十万という人が死んでおるというこの事態について、私たちはもう一度あらゆる観点から、立場をかえ、あるいは縦横無尽にこの交通公害という問題については真剣に取り組んでいかなければならない時点ではなかろうか、かように考える次第でございます。  いずれにいたしましても、とにかくこのたびの道路交通法改正案につきまして、その基本的な姿勢、基本的な考え方というものが、字句としては十分盛り込まれておるとは考えませんが、とにかく指導者である当局の姿勢として今後さらにきびしいものに、残念ながら法律によってきびしさを増す以外に私はこれを取り締まる方法がないのではなかろうかと思います。過般もソビエトに行ってまいりましたおりに聞きましたところが、人身事故は十四、五年の刑だということも聞いております。こうしたことを考えましたときに、私は日本国内におけるこうした事故に対して、交通公害に対して、罰則によって取り締まるということははなはだ不本意ではありますが、現時点ではやむを得ないのではなかろうかと思います。なお一そうの法改正につきまして——このように目まぐるしい世の中でございますから、こうした問題につきましては朝令暮改ということばは当てはまらないと思います。どんどんいい法案というものにつきましては改正をすることにやぶさかでなく、ひとつ前向きで勇断をもって、毎回毎回の国会でけっこうだと思いますが、ひとつりっぱな法案をつくっていっていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  21. 菅太郎

  22. 横路孝弘

    横路委員 この法律案警察公害に対して交通業務の中で協力していこうという意欲は承知しておるわけですけれども、この法律案を読むと、この法律の効果というものをその実効性の面で、一体どの程度考えておつくりになったのかという点に非常に疑問があるわけです。何かこの法律案を読むと、国民が騒いでいるからともかく何か法律をつくろう、つくってしまえばあとは何とかなるだろうというように、読んだ感じとして受けるわけです。それでは済まされないわけなんで、二、三点お尋ねをしたいと思うのです。  交通公害の中の特に大気汚染部分に限って以下質問をしますので、そのおつもりでお答えをいただきたいと思いますが、大気汚染がどの程度の濃度になったときに交通規制を行なうかというその基準の点ですね。いま何か生活環境基準に準じていきたいというようなお話がありましたけれども一酸化炭素による大気汚染中九九・七%、光化学スモッグ原因である大気中の窒素酸化物については三五・九%、炭化水素についてはその九七・九%が大体自動車排気ガスによるんだということが、東京都の事例等について報告されているわけですね。鉛の汚染についても同じ。そうするとこれらのうちで生活環境基準というものが設定されているのは一酸化炭素だけですね。そうすると一体交通規制をこの法律に基づいて行なっていくのだという基準、つくられていないものについては一体どうするのですか。しかも生活環境に準じていくということなんだけれども生活環境基準を越えた場合に交通規制を行なうのかどうか。その交通規制基準というものについてまず明確にしていただきたいと思います。
  23. 片岡誠

    片岡政府委員 基準につきましては、環境基準ができたものから逐次やっていくということを考えております。  それからこの交通規制をする、つまり道交法の今回の改正法案の中で、総理府令厚生省例で定めるという基準につきましては、環境基準を越えたものと、そのように考えております。
  24. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、生活環境基準がきめられているものについては、それを越えた場合には交通規制を行なうのだ、こういうふうに承ってよろしいのですね。
  25. 片岡誠

    片岡政府委員 基準としては、私、環境基準がそのまま基準になるか、あるいはその数値をどのようにとっていくか、これからの技術的な問題だと思いますけれども、その環境基準を越えて、しかもそれが継続して越えることが予想されるような場合に交通規制をしていくという形になろうかと思います。
  26. 横路孝弘

    横路委員 一酸化炭素だけですね、きめられているのは。そうすると、いま東京で大問題になりつつある光化学スモッグについてはどうするのか。その辺の交通規制基準というものを私は大臣にお聞きしたいのですけれども、まだこれは基準がきめられていないのですね。そうすると、この法律というものは、現実のどういう事態に対処しようというのか。一酸化炭素についてはきめられているけれどもあとは、騒音にしたって、まだ明確にきめられていない。答申は出ておりますけれども。その辺は、私は、行政のほうからいって、法律の審議中にせめてそれくらい明らかにすべきではないか、出すべきではないか。肝心のどういう事態に対処すべきかという内容を明確にしておかないで、法律だけともかく通してくださいじゃ、これは筋が通らない話です。だから、私は、そのほかの部分についても、一体どういう事態に対処しようとしているのかという明確な基準というものを、少なくともいまのこの審議の過程の中で明らかにすべきだと思うのです。大臣のお答えを願いたい。
  27. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 全くお説のとおりでございます。本来ならば、法律の御審議中に予定されておる政令の骨子でもお示しするのが当然の準備体制でなければならぬと思います。ですけれども、あわただしい公害臨時国会を迎えまして、厚生省との打ち合わせ、厚生省が中心になって専門的な検討を加えて数値を出してもらう作業が遺憾ながらおくれておりますことをおわびいたします。なるべくすみやかに検討を加えて、基準設定をはかりたいと思います。
  28. 横路孝弘

    横路委員 ここであやまってもらっても困るのですよ。それだったら、出さなければいいじゃないですか。次の通常国会に出せばいいじゃないですか。われわれが審議して、これはほかの法案でもそうですけれども基準が問題なんですね。ただ、手続だけをきめた法律案を出したところで、一年先になるか二年先になるかわからない。しかも、ことしすでに東京都で光化学スモッグが発生しておる。来年はまたふえるだろう。それは当然、炭化水素なり何なりの量の伸びから推定できるわけですよ。それはいまできませんか。今度の国会中にそのことを明らかにすることはできませんか。私はやはり明らかにしてから、われわれの前に法律を示すのが当然のことではないかと思うのですが、それはできませんか。
  29. 片岡誠

    片岡政府委員 厚生省のほうでは環境基準を来年の三月ごろまでにはつくる、そのように申しております。私どもとしましても、この法律が施行になる前には基準ができて、そして法律の実効があがるように努力いたしたいと思います。しかし、何ぶん医学的、あるいは専門的な知識を要することでございますので、厚生行政の知識、経験を借りなければ、この基準そのものが私どもの手ではできかねておるような現状でございます。
  30. 横路孝弘

    横路委員 厚生省の方、来ていますか。
  31. 菅太郎

    菅委員長 来ておりません。御要求があったのですか。
  32. 横路孝弘

    横路委員 要求はたしか、しておったのですが、よろしいです。  三月までにつくるというのは、間違いないのですか。炭化水素、それからNOx、さらに二次生成物——オキシダントあるいは鉛化合物、それらについて、自動車排気ガス大気汚染について、それぞれ生活環境基準を来年三月までにつくるということは、間違いないのですね。
  33. 片岡誠

    片岡政府委員 CHとNOxについてはつくるという答弁をしておったように聞いております。
  34. 横路孝弘

    横路委員 東京都では、そのオキシダントについてももう基準をきめておるのです。光化学スモッグ対策について要綱をきめて、警報基準というものがきちっときまっておるのですよ。東京都でやれることがどうして国でできないのですか。この二つだけじゃだめなんですよ、CHとNOxだけでは。その二次生成物についてはどうかということでなければならないのですね。この法律にはもっぱら、騒音を別にして、大気汚染では一酸化炭素光化学スモッグ対策でしょう。その点についてはどうなんですか。
  35. 片岡誠

    片岡政府委員 厚生省のほうを督促いたしたいと思っております。
  36. 菅太郎

    菅委員長 もし厚生省が御必要ならば呼びますが……。警察庁では答えられぬと思いますから、それはあとに回してくれませんか。
  37. 横路孝弘

    横路委員 そこでいまの生活環境基準値と交通規制との関係なんですが、準じていきたい……。しかしそこのところは、私はごまかしてもらっては困ると思うのですね。それはロサンゼルスの場合の大気汚染基準値については生活基準値よりもかなり高いものになっておるわけです。だから一度も交通規制の行なわれたことがないわけです。だからここでごまかされては困るので、きちんと生活環境基準値に基づいてやるのかどうか。しかもその生活基準値というのは行政の目標だと言っておるわけです。そうすると、ほかの分野についてやはりせめてそれが最低の基準でなければならぬ。もうちょっときびしいものになっても、それよりルーズにすることはないと思うのですね。そこのところはどうですか。
  38. 片岡誠

    片岡政府委員 私がいままで厚生省当局の事務担当者から聞いております範囲でお答えいたしたいと思います。  大気汚染防止法二十三条の場合を御指摘になったと思いますが、その場合は、いまの環境基準は御承知のように八時間平均値と二十四時間平均値をとっております。おそらく二十三条の場合には、そういうのではなくて、それを何らかの数値に換算して、一時間値が単位と、そういうとり方をするような緊急な場合だろうと私は思います。したがいまして、技術的な問題として、いまの環境基準の閣議決定の数字をそのまま持ってくるのが妥当なのか、あるいは一時間値に直してやるのがいいのか。その辺、現在、厚生省当局が検討しておるようでございますので、厚生省のほうに正確な点はお聞きをいただきたいと思います。
  39. 横路孝弘

    横路委員 いや、問題は、交通規制基準点をどこに置くかということなんですよ。
  40. 片岡誠

    片岡政府委員 二つのタイプがあると思います。大気汚染防止法二十三条のような場合には、おそらく環境基準といいますか、知事が要請する基準でございましょうが、これも若干ニュアンスが違うかもしれませんが、知事公安委員会道路交通規制上の措置を要請するという数値は、おそらく交通規制権限の発生する数値と同じ数値になるのじゃなかろうかと思います。ところが二十二条ないし二十一条のほう、つまり交差点等で交通が非常に渋滞するために大気汚染が発生するといったような場合には、いわば二十三条の緊急措置との対比においては、緊急措置ではなくして、ある程度規制そのものも恒常化する規制になろうかと思いますが、そこにおける環境基準を越える値が将来にわたって継続するような事態としてとらえていくというような性格上の相違はあるのではなかろうかと考えております。
  41. 横路孝弘

    横路委員 警察はこの問題についてはいわばしろうとですから、私もあまり責めようとは思わぬのですけれども、ただしかし、実際の法律を見ると、おたくのほうで全部責任をもってやるようになっておるわけです。そこが言いたいから、私は、実は交通規制基準質問をしているわけなんです。  じゃ、もう一つお尋ねしますけれども東京都の光化学スモッグの緊急時対策実施要綱というのがあるのですよ。これにはオキシダントが一時間の平均値が〇・一五PPM以上の場合に警報の第一段階、それから〇・三PPM以上の場合は第二段階ということで、いろいろな措置をきめておるのですね。そうすると、こういうような場合を考えた場合に、一体交通規制をやるのかどうか。これはどうですか。この法律でどうなりますか、こういう光化学スモッグの場合。
  42. 片岡誠

    片岡政府委員 厚生省のほうで環境基準のきまったものから逐次実施していきたいと思っております。
  43. 横路孝弘

    横路委員 要するに、そうすると、いまの法律では光化学スモッグについては、環境基準ができない限りやれぬということですね。
  44. 片岡誠

    片岡政府委員 そういうことでございます。
  45. 横路孝弘

    横路委員 そこで、いま御質問したのは二条の定義のほうと関係のある問題なんですけれども、この法律の百十条の二、これは、いわゆる大気汚染防止法もざる法なんですが、そのざる法を受けてさらにざるになっているわけですよ。それはなぜかというと、大気汚染防止法の、たとえばいまお話しになった二十三条の四項の場合、即時交通規制をやるのかどうかということになれば、この法律はそうなっていないじゃありませんか。必要性の判断も、いまお話ししたように、何もわからない。これから厚生省にお伺いしてきめますという。公安委員会が必要性の判断をしなければならぬことになっているのでしょう。そんな必要が一体なぜあるのですか。私はないと思う。
  46. 片岡誠

    片岡政府委員 その必要性の判断は、大気汚染状況が人の健康を害したり、人の生活環境を害するといった状況に達しているかどうかということの必要性の判断ではございません。交通規制をするための必要性の判断でございます。したがって、大気汚染一定の限度に達して、それが人の健康なりあるいは生活環境影響を及ぼすという判断は、測定するほう、つまり、具体的に申せば、知事あるいはその委任を受けた市町村長が判断されることと私どもは思っております。そういう判断がされて、何らか公安委員会、ひとつ交通規制上の措置をとってくれ、こういう申し出があった場合に、私ども公安委員会といたしましては、一番、交通の安全や円滑にも影響を及ぼさないで、しかも大気汚染の防止ができる方法をまず考えたいと思います。しかしながら、相矛盾する場合には、ある一定規制をやった場合に安全と円滑にどういう影響が出るだろうかということを総合的に判断をして、最終的な結論を出して規制を行なう、そういう仕組みを考えておるわけでございます。
  47. 横路孝弘

    横路委員 大気汚染防止法二十三条の四項というのは、これは緊急事態なんですよ。緊急事態であちこち考えているひまがないときの規定なんですよ。そのときに、おたくのほうで必要性を判断して、さらに二項にいったら、関係官庁の意見を聞いて——これはそういうひまのないときの規定なんですよ。これはやはり分けて考えるべきじゃないでしょうか。そういう緊急事態で、知事から要請があったときに、おたくのほうで一々交通量を計算して、交通渋滞がどうだの何だの、そういうことをおやりになる。それでは一体人の生命というものをどう考えているのか。この規定は、経済調和条項みたいなものではありませんか。だから、これは大臣にお尋ねしますけれども、私は、全部について知事から要請があったらすぐやれということを言うつもりはないです。ただ、緊急事態の場合は、それは公安委員会のほうで協力をするのだ、必要性の判断とか、二項のほうの「意見をきかなければならない」なんということじゃなしに、緊急事態発生ということなんだから、すぐ措置をとるというふうにすべきだと私は思うのです。どうですか。これは大臣にお答えいただきたいのです。
  48. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 緊急事態の場合といえども交通規制影響等は逐一調べ上げて判断せざるを得ないと思います。ですから、緊急事態といっても、そういうことの判断をする余地がないという考え方は適当でないと思います。
  49. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、あくまでも、緊急事態であっても、おたくのほうでいろいろ調べて、交通の渋滞になるというときにはやらぬというわけですね。
  50. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 緊急事態の場合といえども、可能な限りいろいろ調べてやります。
  51. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、その場合の判断の基準は一体何ですか。必要性の判断の基準は何になるのですか。こういうぐあいに聞けば、それは渋滞と安全性の調和にその基準があるとお答えになるだろうと思うが、そんなことじゃなくて、片方では緊急事態でまさに人が死ぬかどうか、光化学スモッグで、ことしは死者こそ出さなかったけれども、入院しているわけです。人が現実に入院しているわけですよ。これは死者が出ようと何をしようと、おたくのほうで、あくまでも交通の渋滞というものを考えて、その上でなければ措置をしないというのだったら、私は、こういう法律をつくったって、実質的に何も実効性がないと思うのですよ。
  52. 片岡誠

    片岡政府委員 実務的な問題を申し上げたいと思います。知事が常時観測をする仕組みが義務づけられておると思います。したがいまして、この二十三条に該当するようなことがある日突然起こるというような事態は、測定監視網さえ十分整備されておればこれは起こらないのじゃないかと私は考えます。つまり、環境基準を上回る基準でございますから、その基準になるものは、常時測定しておれば、測定地点の平均値を見ておれば、次第に上がってきて危険状態が近づいているというのが常識的な行政だと思います。その間、知事のほうからいろいろな通報があろうと思います。それに従ってそういう、たとえば光化学スモッグが起こる可能性がすでに予見されてくる事態があると私は思います。そのときには、事前に知事部局と十分な連絡をとりながら、たとえばある一定地点にそれが起これば、それがどこの交通原因しているのかという実態をまず見きわめなくちゃならないと思います。原因者を押えなければ光化学スモッグというものは防げないと私は思います。そういう意味で、事前には十分知事と密接なる連絡をとりながら、経験的なデータを積み上げていって、そうして緊急事態になりましたら、公安委員会は敏速な活動をとるという仕組みで運営していきたいと私ども考えております。
  53. 横路孝弘

    横路委員 公安委員長にお尋ねしますけれども光化学スモッグの予測ができるというお話だったけれども、これは気象の問題とかいろいろあって、必ずしも一週間前に確実にわかるとかいうものじゃないのです。前の日になって、あした出るらしいとかいうことがようやくわかるというようにいわれている程度の問題なんですよ。だから、それは十年、二十年これからやっていけばある程度の予測はできても、いまの段階では、予測というものはなかなかできないことなんですね。そうすると、これは、そこでもって交通の渋滞やなにかと一緒にはかる、しかも二項の場合は、都道府県知事から要請があったものについて、なおかつ関係地方行政機関の長そのほかの者の意見を聞かなければならないということでしょう。通産省や建設省やなにかの意見も聞くということでしょう。そんなことをやっている時間の余裕のない場合のことなんですよ、二十三条の四項というのは。だから、私は、そういう場合には交通の渋滞とそういう問題を対立させるのじゃなくて、調和を求める立場でなくて、やはりこれは人の生命、健康というものを第一に考えてもらわなければ困ると思うのです。どうですか、その点重ねて……。
  54. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 もちろん人の生命環境の保全を中心に考えなければなりませんが、同時に、国家公安委員会、地方公安委員会というのは、交通の安全、交通の円滑ということも一般総合的に考えねばならぬ立場にあります。そのことを考慮に置いて、広い意味においての人の生命の安全を期するという角度から独自に判断しなければならないわけでありますが、いま交通局長がお答え申したように、都道府県知事は常時観測の責務を負っておりますから、知事側がぐずぐずしない限りは、情報は常に入手し得るという状態にあると前提しなければならないと思います。その間双方が緊密な連絡をとり、敏速な処置を講ずる限り、緊急の場合においても十分間に合う可能性があると判断いたします。
  55. 横路孝弘

    横路委員 いまのお答えを聞いておりますと、今度は公害基本法で経済調和条項を削るというわけでしょう、その姿勢そのものについては、いまいろいろ批判されているわけですけれども、こういう事態ですから、私たちとしては、緊急の場合の必要性の判断というのはやはりどうしても変えなければならぬというように考えておるわけであります。  そこで、次の問題でありますけれども——それは、あとでさらにいろいろと詰めていきたいと思いますが、はたして交通規制で効果があるかどうかという肝心の問題です。汚染物質の総量そのものはどんどんふえていくわけですよ。たとえば東京都の場合に、いろいろな調査によると、一酸化炭素昭和四十四年が四千二百九十トン、これが昭和五十五年になると一・三倍になって五千七百六十トンになる。NOxはいま四百トンのものが一・八倍になって七百三十トンになる。CHについては六百九十トンのものが千百六十トンだから一・八倍になる。そうすると、総量はどんどん伸びていくわけですけれども、これを一体交通規制で何かやれるのだという問題がやはり残るわけですね。そうすると、これは排出ガスの濃度とか時間とか交通量とか、いろいろなことで拡散をさせ、でこぼこを直すことはできても、抜本的な対策にはならぬわけですね。しかも局地的に考えた場合でも、交通禁止を全面的にやるならば別ですけれども、それ以外の交通規制の場合には、前に東京都の柳町の交差点の地域で交通規制をやったのが大気汚染については唯一の例ですね。この結果を見ると、規制の前より規制あとのほうがふえているのですね。Aという観測点では、規制前が平均七・八PPMだったのが、規制後は九・五PPMにふえているのです。交通の流れをよくしたために車の量がふえてこういうことになったんじゃないかと私は思うのです。こういう局地的な、地域的な大気汚染についても、一体こういう交通規制をやってほんとうに皆さん方直すことできると思っているのかどうか。何かこの間の連合審査会で、山中長官はできるようなことを胸を張って答えておられましたけれども、実際柳町の例を見ると何も規制効果はあがっていないのです。実際これはやれるのですか。
  56. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおり、一番基本的な対策は発生源対策だと私どもも思っております。したがいまして、発生源を押えていくのが基本的な考え方だと思いますが、発生源を押えると同時に、並行しながら緊急の事態に備える体制は、交通規制で若干でも緩和できるという手は法律的に担保したいという改正でございます。全然無効なことでないかというお問いだと思いますけれども、たとえば一番徹底した方法交通量の削減対策だと思います。しかし交通量の削減がかりにほかにまた渋滞状態を起こして公害を発生するというんでは全然意味がございません。たとえばいま柳町の例が出ましたけれども、ああいう特定の地形が相当影響している、谷底のような地形、あるいはビルで谷間ができているような地形のところが問題であるとすれば、柳町でやりましたように信号機そのものを坂の上に両方につけまして、停止、発進はできるだけ谷間ではやらせないようにするという手も一つ方法ではあろうと私ども考えております。また騒音とか震動の場合にはスピードダウンをさせるというような点も有効ではなかろうか、このように考えております。
  57. 横路孝弘

    横路委員 いま柳町の例の交差点のところの信号機を少し坂の中ごろに置いたと言われるが、しかし実際規制効果が全然あがっていないじゃないですか。これはどうしてですか。柳町の例でお答え願いたい。規制後PPMはかえって上がっているじゃありませんか。
  58. 片岡誠

    片岡政府委員 その資料、私まだ目を通しておりませんので、測定地点がどこの地点かよく存じませんので、研究させていただきたいと思っております。
  59. 横路孝弘

    横路委員 交通局長になったばかりですから、それはおわかりにならないでしょうが、しかし交通規制をやったケースというのは日本でそのケースだけではないですか。事務当局の方でけっこうですから、ほかに大気汚染のための交通規制をやったケースはありますか。
  60. 井口孝文

    ○井口説明員 大気汚染を解消するための交通規制、実は柳町の場合でも現行法でやっておりますので、これは交通の円滑化ということで許される範囲の規制をやったわけでございます。しかしねらいが大気汚染防止にあったことは確かでございます。そういう例としては柳町がただ一つの例でございます。
  61. 横路孝弘

    横路委員 たった一つの例があるわけですね。そしてそれが現実交通規制をやったあと全部ふえているのですよ。それはいまのお答えだと手段が法律に根拠がなかったからあまり十分にできなかったようなことをおっしゃっておりますけれども、具体的にこういうケースでもって何も規制の効果があがっていないとすれば、これは一つの例ですから参考にはそれでもなると思うのですよ。だから私は、どうもいまの答えを聞いていると、皆さん方だって、どうせ交通規制をやったってそんなに効果があがらぬというふうにお考えになっているんじゃないかと実は思っているのですよ。もうちょっとまじめに真剣に、ほんとうにやろうというならば、もう少し検討されておられるはずじゃないですか。だから、規制後ふえているというのを、局長でなくてけっこうですから、ほかの方でけっこうですから、なぜこれはふえたのか、やはりその解明をやらないと、ともかく交通規制をやるんだ、やるんだ、一般の人が騒いで、公害ムードというので、ほんとうに間に合わせに何かぽんと出したような法律に、やはり受け取らざるを得ないわけですね。どうですか。柳町の例でけっこうです。
  62. 片岡誠

    片岡政府委員 たとえばいまの柳町の例を申し上げましたのは、大気汚染防止法の二十条、二十一条関係事態をとらえて申したわけでございます。ただ二十三条の場合になりますれば、一定の地域に入るところの入り口にある信号機を赤にして、そして車を通さない、両方へ分けていくというようなことによって緊急の事態に対処できることは可能だと私は思います。  それから柳町につきましては、私自身ふに落ちるように検討させていただきたいと思います。
  63. 菅太郎

    菅委員長 いまの答えられる人がいるのですか、おったらひとつ答えてください。
  64. 横路孝弘

    横路委員 いいです、次に進みますから……。  信号をとめて車の流れをよくしますね。しかし炭化水素にしても、一酸化炭素にしても、窒素酸化物についても、これはむしろ加速のときのほうが出るんですよ、量そのものは。だから交通の流れをよくすれば車の流れもふえるのですね。いまの東京に限定して考えてみますと、何も変化が起きないのですよ。むしろ交差点交通渋滞を防ぐ対策を考えて車の流れをよくすれば、つまりそこの信号機の設置個所を移すと、スピードを出していく車の台数が多くなるということになれば、加速時に一番排気ガスというものは何といっても出るから、特に窒素酸化物の場合は加速になるとずいぶんふえるわけですね、アイドリングの状態よりも。それはやはりいまの御答弁ですと、どうも納得できぬわけですけれども、実際皆さん方どの程度考えておられるのか。量というものは、車の時間と、それから車の交通量によってきまるわけです。
  65. 片岡誠

    片岡政府委員 技術的な問題で、少し私違った考えでおりますが、私の了解しておりますのは、交通の渋滞することによって、自動車が信号待ちでとまっておる、そのときのアイドリングをやっておるときの発生と、とまった地点から発進をするときの加速、それが一番排出の原因であるというのがいままでの経験的な知識のようでございます。したがいまして、定速で円滑に流れている場合には排出量が少ないというのが私の了解しておるところであります。
  66. 横路孝弘

    横路委員 それは時間の問題が出てくるからなんですよ。量そのものは、これは運輸省の船舶技術研究所の調査によって明確に出ているのですね、アイドリング時よりも加速時のほうが排出ガス量からいえば——時間は別ですよ、時間は長いと考えるから、信号待ちのときは総量としてはふえるということで、加速時のほうが排出ガス量そのものは多いのですよ。だから交通量がふえればやはりふえていくのですね。どうもいまの御答弁だけでは、皆さん方、何かやられるだろうというばく然たる期待はあっても、現実にどうなのかという厳密な検討がどうもされていないように思うのですね。それはたとえば信号待ちの場合には地域的な対策が必要になってくるわけですね、交通規制というものが。この間オリンピックのマラソンのときに皆さん方どのくらい時間をかけてあれを準備をいたしましたか、半年も、一年も前から準備をされてようやくできたことでしょう。これが世田谷全体、杉並全体に光化学スモッグが発生したら、皆さん方一体何をなさるのですか、どうなさるつもりですか。
  67. 片岡誠

    片岡政府委員 当然知事部局、あるいは中央官庁であれば厚生省でありますし、地方公共団体であれば知事がまずその原因の究明をはかるべきだと思います。原因が明確、それが自動車道路交通から出たものがどれだけであり、あるいは工場排煙で分担率がどれくらいであるということ、さらにそれが道路交通に起因しておるとすれば、一体どこの道路交通が排出したガスがどこの地域で光化学スモッグになっておるか、そういう科学的な因果関係とまではいかなくても、相関関係が明確にならなければ、一体どこの道路交通規制するのが有効かということすらわからないことになろうかと思います。そういう科学的な研究を踏まえて私ども交通規制をやっていきたい、このように考えております。
  68. 横路孝弘

    横路委員 そんなことやっていると、一年も二年も先になってしまうのですよ。それは肝心のときの対策には何も役に立たないということになるのではないか。だから私は公害罪についても、この道路交通法についても、皆さん方は確かにお気の毒だと思う。肝心なのは発生源の対策なんですから。皆さんはあと始末です。このあと始末のほうをじゃできるかというと、実際には公害罪でだって道交法のこの法律によってだって、私はどうもできぬのじゃないか。いま大体光化学スモッグが発生をしたということで地域的にその交通規制交通禁止なりがやれるような状態に、東京都の場合考えてみると、一体あるかないか、これはないわけですね。だからできないのじゃないかというように思うのです。ほんとうにその辺のところの対策を、たとえば杉並区なら杉並区でこの間発生した例というものを、皆さん方交通局としてもう検討をされているのかどうか。その場合の交通規制をどうするのか、その具体体な検討をされているのかどうか、それだけちょっとお答え願いたい。
  69. 片岡誠

    片岡政府委員 法施行までにできるだけ検討して、その間の科学的な検討も進めてもらって、対策を考えてまいりたいと思っております。
  70. 横路孝弘

    横路委員 これは交通規制課でやるわけですか。この交通規制課の中に何かこの交通公害関係の担当部というものを設けてやるのですか。
  71. 片岡誠

    片岡政府委員 科学的な分析さえできれば、われわれはそれを踏んまえてやっていくことは可能だと思います。
  72. 横路孝弘

    横路委員 これは大臣のほうにお尋ねしますけれども、いまのところやはり警察はしろうとなんですね、この交通公害については。だからもしそういう意味で責任をもってやられるとするならば交通規制課でもってちょこちょこといまやっていることじゃなくて、きちんと担当の分野をきめて新しく何か制度としてつくってやらなければやれないのではないかというように私は考えるわけですけれども、大臣どうですか。
  73. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 私もそのとおりに思います。
  74. 横路孝弘

    横路委員 ではもう時間が来ましたので、最後に一問だけお尋ねしたいと思うのですけれども、これは全体の法律についても言えることなんですけれども住民の申し立てに対する処理というものを私はやはり法律の中で明確にすべきではないか。たとえば昭和四十四年一月から十二月まで、東京都の警視庁に対する住民公害の苦情申し立てが一万二千五百七十六件、昭和四十五年一月から十月までが一万五百十九件、その六割が騒音で、あとその他の部分を含めて大部分交通公害といわれるものだ、こういうように言われているのですが、こういうような現実にある処理の問題としては、いままで警察としてどういう処理をなさってきたわけですか。
  75. 片岡誠

    片岡政府委員 個別発生源については警告もいたしましょうし、また集積した場合については、たとえば騒音の場合でありますれば、迂回路があれば大型車の通行、たとえばダンプ公害のような場合大型車の通行の規制をしていくとか、あるいは徐行をさすように交通規制をする、そういう手を打ってまいったようでございます。
  76. 横路孝弘

    横路委員 東京都の事例を調べてみると、警察というのは一般の国民からいうとなかなかこれはおっかないところですから、申し立てをしないのじゃないかというように考えていたら、一番警察に対する申し立てが多いのですね。そうであるならば、これは大臣にお尋ねしたいのですけれども道交法の今度の百十条の二の場合には知事からの要請のほかに公安委員会が「その他交通公害が発生したことを知った場合」というのがこの条文の中にあるわけですね。公安委員会が知った場合、これは住民の申し立てそのほかが実質的にはその要素になると思うのです。そうするとこの場合きちんと、住民の申し立てができる、その申し立てを受けて公安委員会はいろいろ調べたりこういう措置をとることができるというようにすべきではないか、そのほうがこれは警察と国民という関係も、まだまだ愛される警察になっていくのじゃないかと私は思うのです。この住民の申し立てというものを考えるべきじゃないかという点について、大臣のお考えをいただきたいと思うのです。
  77. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 苦情申し立てをすることができるということを書きませんでも、警察には遠慮なく苦情申し立てがあります。愛される警察ではございませんが、民主的な運営をはかっております警察には、苦情は遠慮なく殺到いたします。それで十分であろうかと思います。
  78. 横路孝弘

    横路委員 厚生省のほうに一点だけお尋ねをして、私の持ち時間もなくなりましたのでやめにしたいと思うのですけれども、鉛の化合物と炭化水素、それから窒素酸化物NOx、それからCHとNOx二つの生成物であるといわれているオキシダントについて、いつまでに生活環境基準値というものをつくるおつもりなのか、それをお答えいただきたいと思います。
  79. 山本宣正

    山本説明員 今年東京等で光化学スモッグが起こりましたので、急遽生活環境審議会の専門委員会を開きまして、現在各資料等を収集しております。おおむね専門家の御意見といたしましては二月末ごろまでに出していただくということになっております。それによりまして環境基準等を定める、かように存じております。ただいまその中で窒素酸化物、それから炭化水素、それからオキシダントというものを一つの専門家のグループに委託しております。鉛の問題につきましては、これには別の専門家のグループがある。大体そのような作業で進められる予定でございます。
  80. 横路孝弘

    横路委員 その二月末に出て、あとで皆さんのほうできめられるのは、そうすると先ほど公安委員会のほうではこの法律の施行、これは公布後六カ月ですね。その施行までにはつくりたいということであったのですけれども、それまでに間に合いますか、間違いなく。
  81. 山本宣正

    山本説明員 問い合わせるようにいたします。
  82. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  83. 菅太郎

    菅委員長 坂井弘一君。
  84. 坂井弘一

    ○坂井委員 制約された時間でございますので答弁はひとつ簡潔にお願いしたいと思います。  従来の交通取り締まりを中心とした考え方から今回の改正案を見ますと、いわゆる道路交通環境の確立といいますか、そういう方向に一歩は前進した、この点について私は評価をするにはやぶさかではないのですが、ただ今日までのこの交通の安全あるいは円滑、こういう交通上の問題に加味するに、今回は交通公害といういわゆる社会生活上の問題が加わってきた。したがって道交法の性格そのものが大きく変えられた。ところが実際には、まあ交通公害ということが一項加わった、いわゆる画期的に道交法の中で目的にうたわれた、こういう範囲を出ないのではないか。だから規制の問題にしましても、排出ガスあるいは騒音振動等にしても、部分的にこれを詰めてまいりますと、いろいろな矛盾が実際に起こってくる。ですから私はやはり今後道交法このものの性格を大きく変える以上はこれに対する法的な根拠、法的精神というもの、これをもう一歩前進させなければいけないのじゃないか。そういう考え方の中から、ドイツにおけるあのゲマインシャフト、いわゆる交通共同体社会、こういう考え方が前提となっているようでありますけれども、そういう方向にやはり前進させていかなければ意味をなさない、私はこういう考えを持つわけでございます。したがっていま言いますようなそういう道路交通環境の整備、確立といいますか、そういう大きく社会環境の中の一環としてとらまえる、そういう方向に今後法改正をする意思ありやいなやという点について、まず最初に伺っておきたい。
  85. 片岡誠

    片岡政府委員 基本的な考え方委員のおっしゃるような方向に向かって最初は考えていきたいと思います。ただわが国の立法技術的な表現の場合に、ドイツとは国を異にしておりますので、先生がおっしゃったフェアケールスゲマインシャフトといったような形で表現してとらえていくへはまた別の問題であろうかと思いますけれども、基本的な考え方はそういう方向で臨みたいと思っております。
  86. 坂井弘一

    ○坂井委員 基本的な考え方はそういう方向だということでございますが、現実に今日の交通事故あるいは公害、これを見てみますと、すべてが後手といいますか、起こってからそれにどう対処するか、そういう方向でとらまえられている、ここに大きな問題がある。ですから実際問題として、この政府交通安全対策というものがそういう姿勢、この基本的な考えからしまして非常におくれておった、後手に回っておった、こういわざるを得ないと私思うのです。たとえて申しますと、車がここ十数年来異常な増加を来たしておる。それに対して実際車の量を制限するのは現状でいくのかあるいは野放しか、この基本すらもまだはっきり出ていない。あるいは交通事故原因は一体那辺にあるのか、そういう科学的な究明も今日まだなされておらない。ですから、そういう最も基本的に取り組まなければならない対策、施策に大いに欠けておった、こういわざるを得ぬと思うのです。ですから、そういうことから考えても、やはり今後の交通安全対策というものはまず根本的な原因の究明、その上に立脚したところの対策がなされなければ意味をなさぬのではないか。そういうことからしましても、いまいいますところの交通道路環境の確立、こういう方向でとらまえていかなければ実際の効果はあがらぬ、こういわざるを得ぬと思うのです。  そこで、実際いま言いましたとおり車が非常に多い。確かに可住地面積あたり日本はアメリカの四倍あるいはイタリア、フランスの二倍半です。もうすでに西ドイツを越して、イギリスと肩を並べる。実際に車が多いということは今日まで何回も論議されてきた。しかしこれをどうするか。このことについて、自動車が多いから交通麻痺を起こすんだ。あるいは交通公害、この問題を、自動車に比べて少な過ぎる道路、こういうとらえ方ではなくして、道路容量に対して自動車が多過ぎるんだ、こういうとらまえ方で、したがって通行の禁止あるいは制限をするんだ、こういうふうなことが今回の改正の中にあらわれてきたのかどうか、その辺のところをまず最初に伺っておきたい。
  87. 片岡誠

    片岡政府委員 車が多いために人の生命が危険にさらされたりあるいは交通が渋滞するということに対する対策は、いままでも道交法の目的でございましたし、それなりに手を打ってまいったわけでございます。ただ今回はその安全と円滑だけではなくして。大気汚染あるいは振動騒音といった交通公害を防止するためにも交通規制を行なうことができるようにしたいというのが今回の改正でございます。
  88. 坂井弘一

    ○坂井委員 もちろん交通公害ということも十分加味されているということですけれども、実際に自動車の台数が道路容量に対して多いとするならば、適切な自動車の量は一体どうあらねばならないか、そういう中から自動車の生産あるいは販売量、これの規制をすべきである、そういういわゆる自動車メーカーの私権の制限といいますか、そういう議論も最近出ているようでありますし、これは十分検討されなければならぬ。この問題についてはどうお考えですか。
  89. 片岡誠

    片岡政府委員 端的に申して一番車が現在ふえつつあり、また将来もふえる可能性があるのはいわゆるマイカー、自家用車だと私思います。しかもその自家用の場合には、プロの運転手ではなくして、しろうとが運転をするというだけに、危険性についても問題があろうかと私思います。  問題は、そういう自家用車をどの程度抑制すべきかどうか、そういうところにだんだん突き当たっていく問題であろうと思います。ところが、私どもも公共輸送機関を優先すべきだと思っておりますけれども、といって自家用車を生産段階、販売段階なりあるいは交通そのものの場合にも、一般的に強制権限をもって抑制することがはたしていいのかどうか、可能であるのかどうか、その辺大きな社会的な問題だと私思っております。したがいまして現在とりつつあり、将来も私ども考えていきたいと思いますのは、交通量を削減するのを、できれば何らかの間接的な規制でできるだけ公共輸送に道路を有効に使わす方向に持っていくという努力を積み重ねていきたい。現段階ではそのように考えております。
  90. 坂井弘一

    ○坂井委員 私はいささか意見を申し上げて質問をしたいと思うのですが、一つはやはりこの発生源の自動車、これを押えるということ、それからもう一方では、この自動車が運行する道路上の問題、この二点だと思うのです。メーカーのことを考えた場合に、これはもう今日まで非常に生産第一、販売第一、そういう形でどんどん車があふれ出してきた。そして安全化に対してはぎりぎりまで——メーカーはとにかく利潤追求、そういう方向に走った。しかも九五%は部品の下請を零細、中小企業にやらした。これは買いたたき政策、そこらにも大きな問題があるが、安全化ということに対しては非常に手おくれである。それに対する資本の投資というものも十分になされておらない。そういう問題。一方では今度は道路交通の上からいいますと、道路事故、いわゆる安全、円滑及び公害、これを未然に防止するためには、最も基本的にはやはり交通のルールというものを確立しなければいけない。このルールがない。そういう形のままで、これからこれだけ深刻な道路交通災害、事故及び公害にどう対処していくのか。あまりにも今回のこの改正案を見る限りにおいては、枝葉末節の部分的な問題だけに目を奪われておる、そういう感じを私どうしてもぬぐうことはできないわけです。そういう中から、いま申しましたメーカーに対しては厳重な安全化基準、あるいはまた無公害車、そういう方向に取り組むような方向を、やはり与えていかなければならない。一方、交通道路上の問題ですけれども、これにはいま申しました交通ルールの確立ということからして、より根本的、基本的にまずなさねばならぬことは、その第一歩として交通管制システム、これはもう速急にやらなければいけない。今回五カ年計画等においても出されているようでございますけれども、それによりますと、死者も半減するのではないか、まことにけっこうです。実際問題、この管制システム五カ年計画を実施した場合に、その効果についてどうお考えなのですか、具体的にひとつ聞かしていただきたい。
  91. 片岡誠

    片岡政府委員 いま仰せがございましたように、私どもは五カ年計画完成の暁には死者を半減させたい、またさせなければならないという確信をもって仕事を進めてまいりたいと思っております。特に弱い道路利用者である歩行者あるいは自転者に乗っている人の死傷を激減さすような方向につとめたい、そのように考えております。
  92. 坂井弘一

    ○坂井委員 死者が半分ということを目標、これが実際できれば私はもうたいへんな効果である。現実にいま一万五、六千、間もなく二万人に死者が達しようとしている。かりにいま二万人の死者が出たと想定いたしますと、自賠責五百万——人の命というのは金にはかえられませんが、しかし現実に五百万、そうすると二万人で一千億。負傷者等に至っては、これはもう医療費の金額に換算いたしますと、どうなりますか、膨大なものです。ましてやこれはもう人のことではない。いつわが身に振りかかってくるかもしらぬ。一億すべての人たちがその例外だと言い切れる人は一人もない。すわっていらっしゃる大臣から皆さん全部一緒です。われわれも同じです。そういうことから考えますと、事故にあわぬまでも、常に危機感といいますか、非常に不安、焦燥を感ずる。そういう精神的な損失まで考えていきますと、これはもうゆゆしき問題です。したがって、かりにいまの五カ年計画において、私は三千七百億、少ないとは言いません。しかしそのような非常事態の今日の交通災害あるいは公害、この現実を見たときに、決して多くはない。三千七百億では、おつりが来る、そういうふうに思うのです。五カ年なんて言わないで、来年でもやってもらいたい、そういう考えを私は持ちます。そこで、警察庁はそういうことで予算要求をなさっていらっしゃる。  大蔵省に私はお聞きしたいのですが、福田大蔵大臣が、先般来の合同審議においても、次の予算において総ワクの中で公害対策の費用は前向きに考えていきたい、こういう発言に終始しておるようでありますけれども、いま申しましたように、具体的にこの五カ年計画等についても十分煮詰められて、そうして要求もなさっていらっしゃる。総理も、これは最も大事なことだということで、閣議の際に非常に積極的な発言をされていらっしゃるようです。まして、また前の委員会におきまして、これは附帯決議等もなされておる。ですから、どうしても最優先で取り上げてもらわなければならぬ、こう私は考えるわけでありますけれども、大蔵当局は、この財源措置について、できますかどうですか、これは公約できますか、その点一点聞かしてください。
  93. 藤井直樹

    ○藤井説明員 お断わりしたいのですが、私は公共事業の担当の主計官をやっておりまして、ただいま御質問になりました警察庁関係につきましては、ちょっと御答弁できないのでございますが、建設省のほうからも、交通安全施設につきましては、従来の特定交通安全施設の三カ年計画、これをさらに広げて五カ年計画にしたい、投資の規模も大幅にふやしたいという要望がございます。私ども、従来から交通安全につきましては、その問題の重要性というものをよく考えて予算措置をしてきたつもりでございますが、今回の要求につきましても、この辺を十分に現在検討中の段階でございます。
  94. 坂井弘一

    ○坂井委員 大蔵大臣がお見えじゃございませんので、責任のある答弁はできないということだろうと思うのです。公安委員会、また警察庁は、この五カ年計画については当然どうしてもやらなければならぬ、そういう強い御決意だろうと思うのですが、どうしてもこれはやってもらわなければ困るし、次の予算措置については、さらにこの財源を確保するようにひとつ進めていただきたい。これはお願いしておきます。  そこで、部分的に私はいろいろ聞きたいと思ったのですけれども、いま申しましたように総体的にとらまえてみますと、排出ガスの問題あるいは騒音、あるいはまた振動等、今回新しく加わりましたこの交通公害、これを部分的に排出基準環境基準と、それらを詰めてみましても、すべてに至るのです。したがって、それよりも何よりも、まず起こり得るであろうそういう可能性に対して、事前にどう対処するか、これは最も基本的な姿勢でなければならぬ。そういう取り組みがなければならぬ。従来においてもできておらなければならないものが、今日できてないというところに問題がある。それでもって、発生したことに対して、さあ環境基準でどう押えるか。事故が起こった、交通麻痺が起こった、その麻痺をここで制限する、乗り入れの禁止をする、一方では、そのためにまたかえって混乱が起きる。必ずしも、ここで制限したことがそのまま一方の円滑または公害の排除ということに結びつくかというと、決してそうではない。他の地域において起こる。そういう部分的な地域規制なんということは、やろうとしてもできる話ではないんですよ。十分現状を踏まえて——当局はよくおわかりのはずなんです。したがって、全域においてのそういう交通ルールの確立、これは最も基本でなければならない。この点は私は、しかと踏まえてこの道交法の審議をしなければ意味をなさない、そう考えるわけです。ですから、たとえばの話、ガスあるいは騒音ですね、これは大気汚染防止法あるいは騒音防止法、これによって、今回ある程度基準が出るでしょう。きびしくなるでしょう。それはそれとして一応おきましょう。ところが実際問題として騒音について基準がございますか。ないですよ、これは。ないものをここでどうして規制することができますか。こういう矛盾点がある。振動に対する基準がなければ、いきおいそれは道路構造上の責任に転嫁しよう——もっとも、道路構造においても、これは振動と大きな関係はあるでしょう。しかしここでいうところの、この改正案にいうところの交通公害というこの三項目の中の振動が、まるでダルである。これは幾らここで審議しても意味をなしません。ですから私は、いま申しましたように、そういう総括した交通の安全、円滑と同時に、交通公害ということ、これは異質のものでしょう。しかしながら二者択一的にこれは取り上げるべき問題ではない、相関関係にあるわけでありますから。これはともに、まず基本的な自動車そのものの無公害あるいは安全化、これに積極的に取り組むこと、一方ではその運行上の問題として安全、円滑及び交通公害、これを排除しようとすれば一定のルールというもの、これは根本であり基本でなければならない。ですからそういう点で、本日大蔵大臣お見えでございませんのがはなはだ残念でありますけれども、なおひとつ、大蔵省当局においては、これは何としてもこの五カ年計画は予算措置を講じてもらいたい。これは強い要望として申し上げておきたいと思います。なお、百十条の二の二項を見ますと、公安委員会交通公害を防止する見地から自動車の通行の禁止または制限をしようとする場合に、広域にわたって交通に著しい影響が及ぶおそれがあるときは、「都道府県知事及び関係地方行政機関の長その他政令で定める者の意見をきかなければならない。」、こうありますけれども、おそれがあるかないか、その判断をするのは公安委員会だと判断してよろしいわけですか。
  95. 片岡誠

    片岡政府委員 さようでございます。
  96. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、かりに、公安委員会は制限すべきである、こういう判断をした、ところが実際に都道府県知事は、制限される、あるいは禁止されると、はなはだしい交通渋滞、麻痺を起こすから困る、こういうことになったとします。あり得るでしょう。そういう場合に、どちらの意見が優先されるのですか、話し合いでしょうがね。話し合いでしょうが、少なくとも、この「意見をきかなければならない。」というのが、これは公安委員会に対する一種の義務づけみたいな形になっておりますね。ですから都道府県知事並びに行政機関の長の意見は十分尊重されねばならぬ、こう思うのですが、そこら辺のところで対立をして、かえって無用の混乱を起こす、こういう心配があるのではないか。私はそれを心配するわけですけれども、その辺はどうでしょうか。だいじょうぶですか。
  97. 片岡誠

    片岡政府委員 十分その意見を尊重しながら、最終的には公安委員会の判断で決定いたしたいと思っております。
  98. 坂井弘一

    ○坂井委員 実際問題、いまも論議されておりましたが、現実にやはり緊急事態においてはそういう相談をするという時間的な余裕は、私はないと思うのです、現実の問題として。これだって、実際問題できないことなんです。これを解決するには、ルールの確立をすれば——一挙にとは言いませんよ。一挙にとは言いませんけれども解決する問題なんですね。それをやらずして、そういう交通管制システム、コンピューターによるところの、一元化して体系化したところの交通ルール、その根本をやらなくして、いまのように幾らこの問題をここで詰めてみたところで意味はなさない、ということを私は申し上げたいわけです。したがって——大かた時間も来るようですが、結論に入りますけれども、最初申しました道路交通環境の確立、整備、そういう視点からとらまえなければ、今日のこの深刻な交通事故あるいは交通公害、これに対処する法ではない。したがって、いま最初に、将来そういう方向改正等も考えていきたい、こういう御発言がございましたけれども、次の国会においてそのような方向での全面的な道路交通法法改正を出される意思はございませんか。
  99. 片岡誠

    片岡政府委員 次の通常国会目当てに現在道交法改正を審議、検討しております。その中では交通の円滑のために一定量の車の都心の乗り入れの制限も可能なような法的権限を与えるという問題が一つございます。それからもう一つは、交通のルールをわかりやすくしかも合理的なものにして、多くの国民がそれをよく理解できて、しかもそのルールを守っていけるといったような仕組みができるような方向改正を考えていきたいと考えております。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が来たようですから、最後に大臣の御決意のほどをひとつ聞かせていただきたいと思うのです。  私が先ほどから申しましたように、一つにはやはり自動車のメーカー、発生源を押えるということ、安全基準を非常にきびしくする、それから検査体制、これをきびしいものにする、そうして、これには技術開発が伴いますけれども、無公害車の開発をするんだ、こういう姿勢。と同時に、一方では車の今日の量、これが道路容量に対して確かに多過ぎる。この辺のところを一体どうするのか。そういう具体的な道路の容量と車のバランス、これをやはり明確に検討していかなければいかぬ。そういう問題をひとつ十分検討していただきたいこと。同時に、いま申しましたような交通ルールの確立、交通管制システム、これをまず第一段階として速急にやるべきである。そういう点について大臣から一言、御所見、御決意をひとつ承って、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 たいへんな御提案でございますが、元来道路容量が許さないのに自動車が次から次に生産され利用されるということは、私もそれ自身矛盾だと思います。それから公害の問題にしましても、発生源対策が理想的に行なわれるならば、道交法改正なんか必要でないとさえ言い得ることかと思います。ところが現実にはそれがなかなか遅々として進まない、容易なことではないために、必要悪の課題として道交法改正をして取っ組んでいるとでも申し上げ得ようかと思います。その意味においてお話の筋道は私も同感でございます。可能な限りの努力を尽くすと申し上げるほかに手がありませんけれども、努力してまいりたいと思います。三千七百億の予算の獲得には全力を尽くします。
  102. 菅太郎

    菅委員長 河村勝君。
  103. 河村勝

    ○河村委員 今回の道路交通法改正案を見ますと、最初に大臣に伺いますが、関係条文の中に「交通の安全と円滑を図り」という文句のほかに、ただ「交通公害の防止を図るため」という文句を加えただけであって、あと大気汚染防止法騒音規制法の関係条文との対応規定を入れただけで、実体的な中身というものはまるきり変わっていないわけですね。でありますから、現在程度規制をやろうというならば、こんなものは改正せぬでも一応間に合う。ほんとうに自主的な規制をやろうと思えば、条文上はなはだ不備だ、そういう性格を持っていると思うのです。かたがた、交通麻痺が大都市にこれだけひどくなっている現状で、全体をコントロールする改正をやらなければならぬ時期に来ておる。それにもかかわらず、こういう、はっきりいえば間に合わせの法律改正をなぜしなければならないのか。この春、法改正をやっているわけですね。またいま改正をする。また通常国会に出す。法律というものは、こういう変動期でありますから変える必要がわりあいと多い時期ではあるけれども、これほど法律をいじり回すのは朝令暮改ということばもあるように、時間も浪費、金もかかる。一つ法律改正をしますと、その波及する手間というものはたいへんなものですね。こんなものをなぜ出さなければならないのか。ほんとうに通常国会でやるなら、そのときに総合的な改正をやったらいいじゃないか。その点一体大臣はどうお考えになっておりますか。
  104. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 御質問の趣旨を十分理解しないでお答えすることになろうかと思いますが、法案交通に起因する障害とあって、交通公害その他の障害とあることが適切でないというようなお説かと思います。——私、ちょっと勘違いしておりましたから、政府委員から一応お答えいたさせます。
  105. 片岡誠

    片岡政府委員 恐縮でございますが、私から経過を御説明さしていただきます。  先生御指摘のとおりだと私も思います。しかしながら何ぶん今国会公害関係法案政府として総合的にやるということになりましたので、通常国会に提出する予定にしておりましたのを、その部分だけ先取りをしてこの臨時国会に御提案申し上げた、こういういきさつでございます。
  106. 河村勝

    ○河村委員 大臣は、こういう本質的な問題もよくおわかりにならないのか、聞いていないのかどっちか、あとのほうかもしれませんが、たいへん不満でありますけれども、いまの交通局長の答弁でちょっとわからないのですが、国会で全部やるようになったから出したというのはどういうことですか、だれがきめたのですか。全部法案を並べることになったからというのは、だれがきめたのですか。
  107. 片岡誠

    片岡政府委員 政府方針だと私は受け取っております。
  108. 河村勝

    ○河村委員 どうも世界に冠たる公害法案をつくるのだといって、数ばかりそろえばいいと思っているのですか。こういうずさんな法案を出すというのは、ほんとうにあなた方不見識だと思うのですがね。自民党の圧力で、あなた方しかたがないかもしれないけれども。  中身についてちょっと伺いますが、大気汚染防止について、現在でも実際発生し、何かの規制をしているわけですね。その場合、大原交差点であるとかあるいは柳町とか、このことについて交通規制をやっているか、その根拠条文は何ですか。
  109. 片岡誠

    片岡政府委員 交通の安全と円滑を阻害することを防止しようという道交法の七条に基づいてやっております。
  110. 河村勝

    ○河村委員 それじゃ伺いますが、今度の大気汚染防止法改正案ですね。これの二十三条のさっきから問題になっております緊急時の措置ですね。これで都道府県知事から広域にわたる交通規制の要請があった場合に、あなた方が交通規制をやるという場合の根拠法規は何ですか。
  111. 片岡誠

    片岡政府委員 現行法のもとでは相当疑義が生じてまいるだろうと思います。この法律改正ができますればその規制ができるものと考えております。
  112. 河村勝

    ○河村委員 それじゃ具体的にこの改正の条文のどれに該当しますか。
  113. 片岡誠

    片岡政府委員 道交法七条かあるいは四条の信号機の管理でできるのではなかろうかと思っております。
  114. 河村勝

    ○河村委員 道交法の第七条は改正になっておりませんね、一つ公害が入っただけで。これは「当該道路につき、区間を定めて、歩行者又は車両等の通行を禁止し、又は制限することができる。」——「当該道路につき、区間を定めて」とありますね。これで一体広域的な規制ができるのですか。
  115. 片岡誠

    片岡政府委員 区間と申しましても、結局道路の延長の集積だと思います。したがって、可能だと思います。しかしながら、先生の御指摘のように、若干疑義がございます。したがいまして、次の通常国会には疑義なくできるような仕組みの法改正を考えて提出いたしたい、そのように考えております。
  116. 河村勝

    ○河村委員 あなたは少なくとも疑義ありと認めておるわけですね。それで今回公害関係改正案を出したわけですね。そうしたらその疑義を正すことは当然じゃありませんか。大体「当該道路につき、区間を定めて」というのが、たとえば東京都区部全体にわたる規制をやる場合に、それの区間の集積が東京都区部全体だなんということは三百代言的解釈ですね。なぜこれを改正しないのですか。
  117. 片岡誠

    片岡政府委員 都市乗り入れ削減の問題とも関連すると思いますが、そういう広域にわたって地域を限って交通量の絶対量を削減するという仕組みにつきましては、次の通常国会改正案提案いたしたい、そのように考えております。
  118. 河村勝

    ○河村委員 落ちはそういうことになるんですね。だから、ほんとうにやろうとすれば、都市交通全体をコントロールする法制がなければいかぬですね。さっき横路君も言いましたが、六カ月のアローアンスを持って、その間に環境基準はまだ整備できてないでしょう。このあわただしいときにこんなやっつけ仕事を、ただ法案の数をそろえて通すためにやろうとすることは、ほんとうに不届きですよ。公安委員長、これは一体どのようにお考えですか。大体いまのやりとりでおわかりだと思いますが、これもお聞きになっておりませんか。
  119. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 少しかみ合わないところがあるかとは思いますが、区間を定めて道路規制ができるということは、道路交通法改正としては一応是認できるのじゃないかと思います。
  120. 河村勝

    ○河村委員 いまのは意味不明で、全くかみ合わないということはこのことであって、おわかりにならなければいいですよ。
  121. 片岡誠

    片岡政府委員 ちょっと蛇足かもしれませんが、申し添えたいと思いますのは、信号機の管理、信号機の赤青の周期の変更によって、極端に申せば全赤にして右と左に散らすということは、信号機のある交差点では現在の法制のもとで十分可能になろうかと思います。
  122. 河村勝

    ○河村委員 信号を赤にするとか青にするというのは規制技術の問題でしょう。規制技術がそうだからといって、もとの根拠がなしにやるという理由は私はないと思います。しかし、これはよろしいです、どっちみちすれ違いの議論になりますから。  それから騒音防止のほうで伺いますが、これは運輸省の問題になるのでしょうね。環境基準とそれから騒音の許容限度の関係というものはどういうものですか。
  123. 隅田豊

    ○隅田説明員 騒音環境基準と、それから一台一台から出る技術的な点につきましては、まだ実は詳細のところはわかっていないわけでございます。
  124. 河村勝

    ○河村委員 そうではなしに、騒音についての環境基準というものはあるでしょう。それと自動車騒音の許容基準、これとの相関関係、これは一体どういうことになるのですか。
  125. 隅田豊

    ○隅田説明員 騒音環境基準はまだ正式には実はきまっていないわけでございますが、私一応技術的に考えておりますことは、一台一台の車の騒音規制をやりまして、それがたとえば十台同じような音の車が走っても必ずしも十倍にはならない、別な観点からはかってみないとわからないというふうなことは聞いております。
  126. 河村勝

    ○河村委員 私が聞きたいのは、これは環境基準というものが前提になって、それで個々の自動車騒音の許容基準がきまるのでしょう。そういうたてまえでしょう。どうなのですか。
  127. 隅田豊

    ○隅田説明員 一応環境基準をきめまして、それが満足するように一台一台の騒音規制をするはずでございますが、現在のところまだその結びつきは、理論的によくわかっていない点がありますので、一台一台の排出基準は、それならそれなりに技術的に下げられるだけ下げるという方針を、運輸省としてはとっております。
  128. 河村勝

    ○河村委員 環境基準ができても、それと無関係にかってに許容限度をつくる、これじゃ一体何のことかわからぬわけですね。私は、通常道路容量というものがあれば、そこに通常の形でもって、正常な状態で自動車道路容量限度まで通行した場合においても、なおその騒音の限度というのは環境基準以内におさまる、そういう性格のものだと思ったが、そうじゃないのですか。
  129. 隅田豊

    ○隅田説明員 私ども、観念的にはそのとおりだと思っております。ただ、実際に一台一台の排出基準を定めます際には、現在のところまだそういう手続ではやれない状態になっております。
  130. 河村勝

    ○河村委員 非常にたよりないものですね。それじゃ一体ますます何を急いで法改正をやっているのかわからぬようなぐあいです。  それでは警察庁のほうに伺いますが、一応いまの道路で、普通の状態で大体一〇〇%近く走っていても、その騒音環境基準以内におさまると仮定して、その場合、警察のほうで規制をする場合というのは一体あるのですか。大気汚染の場合には、確かにあなたが言ったように交差点なんかで車が密集して、それがアイドリングの状態になれば一酸化炭素はふえますね。これは交通渋滞を緩和することによって減らすことはできるでしょう。けれども、音のほうは、交通渋滞になればスピードは落ちて、車は動かないのですから、騒音は減るわけですね。そうすると、全体の交通規制として騒音を防止する可能性というのはないのじゃないかと思われるが、どうですか。
  131. 片岡誠

    片岡政府委員 騒音規制法で考えております仕組みは、住宅の密集している地域とか、あるいは学校、病院とか、そういうところで、特に静穏を必要とするところについて騒音の測定をして、そこの騒音一定環境基準以下に押える、こういう発想のようでございます。しかもそれが主として住宅地域、あるいは主として商工業地域といったように、所によってもこの基準のとり方を変えるような発想ですし、朝昼晩によっても基準値を変えるといったように、元来騒音そのものというのは、社会生活上相対的な要素があると思いますので、そういうできました環境基準を踏んまえて、それ以上になったところについて、そういうことが常時起こるというようなところについては、何らかの交通規制上の手を打っていく、そういうことを考えております。
  132. 河村勝

    ○河村委員 一応わかりました。  それでは、発生源を対象とした規制ですね、保安基準に違反して大きな騒音を出したとき、これを規制する場合に、超過しているか超過していないか、一体それをつかまえる——測定は現在可能なんですか。
  133. 片岡誠

    片岡政府委員 これは、まず第一には車両行政の面で、車両検査の場合にまず押えていく、しかしながら車検が済みまして道路上を走っている車自身が、保安基準を上回って走っておるといったような状態につきましては、運輸当局あるいは陸運事務所の協力を得て私ども現在も取り締まりをやっておりますし、将来ともそういう取り締まりをいたしまして、保安基準が守られるように側面的に担保していきたい、このように考えております。
  134. 河村勝

    ○河村委員 実際具体的な例として、非常な騒音を出す車をつかまえて、反則金なり、あるいは起訴して罰金を取った、そういう例はあるのですか。
  135. 片岡誠

    片岡政府委員 数としては少ないと思いますが、装置不良の車両としての通告をいたしまして整備をさすということもあわせ行なっております。
  136. 河村勝

    ○河村委員 それにしては、よくマフラーをわざわざはずして猛スピードで走っているのが横行しておりますが、一体ああいうのはほんとうに取り締まっているのですか。
  137. 片岡誠

    片岡政府委員 すべての外勤巡査に測定器を持たすというような仕組みになっておりませんので、そういうマフラーをはずしてやっているスポーツカーだとか、あるいはオートバイが走っているというような苦情が出ました場合には、測定器を持っていって計画的に取り締まりをする、そういうことを現在やっております。
  138. 河村勝

    ○河村委員 こういう場合には、測定器がなくたって、おかしいと思ったらとめて、マフラー——異常なマフラーを現に市販されているわけですね。そういうものをつけておったら直ちに処分をするということが可能なはずだと思いますが、そういうことはやっていないのですか。
  139. 片岡誠

    片岡政府委員 マフラーを取りはずしている分については、騒音規制ができると思います。
  140. 河村勝

    ○河村委員 実際やっているかどうかということをお聞きしたい。
  141. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 ただいまのお尋ねでございますが、現在、夏などに、京都の国際会館のそばとか、あるいはそうしたところの高速道路を用いまして、若者の二輪車の無謀運転が非常に多いということで、いま先生がおっしゃった装置不良車両、道交法の六十三条の二でございますけれども、それによって取り締まっております。あるいはまた、新宿の広場のところなんかは、交通規制を通じまして、そこを通さないというような方法を用いまして規制しているといったようなこともございます。
  142. 河村勝

    ○河村委員 前のほうはわかりましたが、あとのほうは何ですか、大きな音を立てているやつは規制をして通さないというのは。それはどこだって通ってはいけないのでしょう。それを繁華街だけ通さないで、そこで押えて帰れというのは一体どういうことですか。
  143. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 新宿の場合は非常にたくさん集まってきてやるものですから、オートバイについて、そこを通さないという交通規制の手段も併用して取り締まりをやっているということでございます。
  144. 河村勝

    ○河村委員 わかりました。オートバイについてはいままで規制がなかったですからね。だからそういうことがあったのでしょう。それはわかりました。  ところで、わざわざかっこいい音を出すためにごしらえたマフラーみたいなものを部品屋でちゃんと売っているわけですね。この前の改正で、酒類を提供した場合には何人も罰せられるというのを入れましたね。同じように、ああいうものを売ったものは罰するという規定は、道交法に入れられないのですか。
  145. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 現在の法のもとではできません。
  146. 河村勝

    ○河村委員 現在の法のもとでできないことはわかっています。道路交通法の法体系の中でそれができるかできないかということを聞いているのです。
  147. 片岡誠

    片岡政府委員 いままでそこまで考えておりませんので、検討させていただきたいと思います。
  148. 河村勝

    ○河村委員 多少むずかしい問題があると思うのですけれども、酒ができてマフラーができないという理屈はないと私は思うのです。もう少し検討してみないとわからないところがあるでしょうけれども、これはぜひ検討して、どうせこの臨時国会では、ごちゃごちゃ言っても結局間に合わないでしょうから、この次にはぜひやってください。  それから、さっき私は、広域的な規制をやる場合に、現在の法規ではほんとうはできないはずだということを言いました。いま歩行者天国というのをやっておりますね。あれは一体どういう根拠法規に基づいてやっておるのですか。
  149. 片岡誠

    片岡政府委員 道路交通法七条に基づいている場合と道路使用の許可でやっている場合と、両方あるようでございます。
  150. 河村勝

    ○河村委員 道交法の場合には交通の安全と円滑ですね。地域を限って歩行者天国をやるというのは、一体あれは交通の安全ですか、あるいは円滑ですか。
  151. 片岡誠

    片岡政府委員 歩行者交通の安全と円滑であり、それをやることによって車両の交通の安全と円滑にさほど大きな影響を与えないときを選んでやっておる、そういうことだろうと思います。
  152. 河村勝

    ○河村委員 そういうことだろうというのはどういう意味ですか。あれはどう考えても無理なんですよ。一地域を限って遊園地をつくるようなものでしょう。それがいきなり交通の安全、円滑につながると解釈できるのですか。その点はどうですか。
  153. 片岡誠

    片岡政府委員 その辺は若干疑義がございますので、通常国会にはそういうことを含めてできるように法の手直しをいたしたい、そのように現在考えております。
  154. 河村勝

    ○河村委員 ですからさっきから言っているのですよ。そういう疑義のある条文が一ぱいありながら、それはほっておいて、どうでもいいといったら少し語弊があるかもしれないけれども、さしあたりやっている規制は、みなこれは交通の円滑ですよ。確かに渋滞を緩和すれば一応柳町でも大原交差点でも間に合うわけですね。そういうものを、ただそれこそ輪奐の美を誇るために入れただけであって、疑わしいところはみな残しておる。そういう法律改正が一体ありますか。
  155. 片岡誠

    片岡政府委員 根本的には先生のおっしゃるとおりだと思いますけれども、しかしながらそれでは全然この法律改正が無意味かと申しますと、そうではなくて、やはりこの目的を変え、「交通公害の防止を図るため」ということを入れることによって、次の国会提案するよりも早い時期に法律が施行され、その部分が活用されまして、やはり国民の健康なり生活環境に非常に大きな影響がある場合に交通規制ができるということになろうかと私ども存じております。
  156. 河村勝

    ○河村委員 あなた方事務当局は、お出しになったのだからそういう返事しかしかたがないでしょう。  時間もなくなりましたから、一つ最後に。  さっき横路君との間に議論のあった百十条の二というところでもってちょっと伺いますが、ここで「必要があると認めるとき」というこの文句ですね。さっきあなたは、都道府県知事の要請があって、それを公安委員長が自主的に判断するのだけれども、その判断というものは知事の判断と競合する部分ではなくて、純粋に規制というものを考えた判断だ、こう言いましたね。
  157. 片岡誠

    片岡政府委員 そのとおりでございます。
  158. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、大気汚染防止法でいいますと、二十三条の「都道府県知事は、気象状況影響により大気汚染が急激に著しくなり、人の健康又は生活環境に重大な被害が生ずる場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは」ですから、この生活環境に重大な被害が生ずるという判断は知事がするわけですね。それから「当該事態自動車排出ガスに起因する場合にあっては」というのですから、それが自動車排出ガスに起因するという判断も知事はしたわけですね。その上で公安委員長に要請をする。そうすると、この「必要があると認めるとき」の「必要」というのは何ですか。もうすでにそうした公害防止のために規制するということが必要なんですから、その上にさらに必要があると認めるときというのはどういうことですか。
  159. 片岡誠

    片岡政府委員 結局交通事故の実態なり交通の渋滞の実態は、都道府県公安委員会が一番よく知っておるわけでございます。そういう道路交通の実態につきましては、知事よりも都道府県公安委員会が元来責務を持っております。義務としても知っておるわけでございます。そこへ知事から、大気汚染防止法一定基準に達したから、交通規制——何らかの道交法上の措置を、何かこれを軽減するような手を打ってくれという要請がまいります。その場合に、その要請を受けて、公安委員会サイドでは、どういう交通規制をやれば有効であるか、実効があがるか、それから、そういう規制をやった場合に、いかなる問題が道路交通上に発生するか、そういうことを十分勘案して、最善の有効策、一番適切な方策を考えて、そして交通規制をやっていく、そういうふうに考えております。
  160. 河村勝

    ○河村委員 どうもわからないのですが、そうすると、どういう規制方法、手段をとるか、これを判断するのはあたりまえですね。だけれども知事の判断と重複しないということになれば、実際、健康、生活に重大な被害があるということも、すでにあなた方は認めた。それから、それが自動車の排出ガスに起因することもあなた方は認めた。そうすれば、その必要はすでにあるので、ただ、どういう方法規制するかということが公安委員会の自主的な判断にまかされるべきものだ、そう考えますが、そうではないのですか。そのほかに何かありますか。
  161. 片岡誠

    片岡政府委員 交通規制する場合に、いろいろな手段がございます。この改正提案をいたしております手段としましても、七条の通行の禁止、制限、それから信号機の運用管理によってやる場合、それから速度、徐行の規制といったような規制の手段は持ち合わせておるわけであります。どの手段がその場合に一番有効な手段であるかという判断はいたします。そして、それと同時に、道路交通というものは、多くの人が関係しておるわけでございますから、ある一定の制限をした場合に、その車を制限することによって、社会経済的な大きな影響が出てまいろうと思います。そういう予測もあるし、そして安全、円滑に支障がないやり方があれば、それは一番いいと思いますが、場合によると、安全と円滑と矛盾する場合もあろうかと思います。そういう点をよく検討して、交通規制の必要性を認めてやっていく、そういう考え方でおります。
  162. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、交通の安全、円滑と矛盾する場合には、要請があってもやらない場合がある、こういうことですね。
  163. 片岡誠

    片岡政府委員 論理的にはそうだと思います。それから、特に円滑の場合には、矛盾があった場合に、その円滑をとるか公害防止をとるかという場合に、一般抽象論としては公害防止をとるべきだと思います。しかし、安全と公害防止といった場合には、私は、直ちに人の生命そのものにかかわる安全のほうをとらざるを得ない場合があろうかと思います。
  164. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、そういう場合は、「あると認めるとき」じゃなしに、こういう事態が発生したことをあなた方は認めているわけだから、その規制の必要性は認める、だけれども、それ以外の理由でやらない場合があるというふうに考えなければいけないのですね。そうでないと、この場合だと、規制そのものの必要性も否認できるという書き方になっているのですよ、この法文は。だから、もしあなたのおっしゃるようならば、法律の書き方は別として、必要があると認めても、なおかつ何かの事情によってやらない場合があるというふうに書かないと、法律的に私は一貫していないと思いますが、そう思いませんか。
  165. 片岡誠

    片岡政府委員 私どもは、百十条の二で私どもの意図しておることが表現されておると解釈してまいっておるわけでございます。
  166. 河村勝

    ○河村委員 法制局もおりませんから、ここであなたと押し問答してもしかたがないと思います。どうもこれははっきりしないので、削除するのが一番いいのでしょうけれども、何か考えませんと、少し何かこれにかこつけて他にあるかのごとき感が非常に深くなりますので、おもしろくないと思いますね。  以上で質問を終わります。
  167. 菅太郎

    菅委員長 後藤俊男君。
  168. 後藤俊男

    ○後藤委員 今度の第一条の「障害の防止に資することを目的とする。」その「障害」というのは大体どういうことを意味しているのでしょうか。     〔菅地方行政委員長退席、受田交通安全対策   特別委員長着席〕
  169. 片岡誠

    片岡政府委員 この「障害」は、私ども警察障害と唱えておりますが、この障害の中には、ここに規定しております交通公害も含めまして、それよりさらに広い概念だ、かように解釈しております。
  170. 後藤俊男

    ○後藤委員 具体的な事例をひとつお願いします。
  171. 片岡誠

    片岡政府委員 現在の道交法の規定の中にも、たとえば装置不良車両——いま話が出ておりました保安基準をこえて騒音をたてて走っている車、そういう装置不良車両の、取り締まりもやっております。これは直ちに安全と円滑に関係しなくて若干間接的なものでございますが、それもやっておる。それからどろをはねたりしてはいけないという運転手の義務もあります。これもあるいは直ちに安全と円滑に関係しないかもしれないけれども、現に道交法の規定に入っております。そういうものが現に入っておるのですが、そういうものを含めて明確にしていく。安全と円滑だけではなくて、道路交通に起因する生活上のいろいろな障害、そういうものを含めて、道交法の目的とする、そういう考えで「障害」という表現をとったわけでございます。
  172. 後藤俊男

    ○後藤委員 振動基準というのはもうきまっているのですか。
  173. 片岡誠

    片岡政府委員 振動基準については、まだ現段階ではきまっておりません。
  174. 後藤俊男

    ○後藤委員 それから道交法第四条にプラスする、交通公害の防止を図るため必要がある場合には信号機を設置する、さらに管理する、こういうことになっておりますね。信号機と公害関係をひとつよくわかるように御説明いただきたいのです。
  175. 片岡誠

    片岡政府委員 元来信号機は、安全をはかるために、車が交差点で出会いがしらの事故を起こすというふうなことをなくすため、あるいは歩行者の安全をはかるためにでき上がったものだと思います。と同時に、それは結果的にも交通の流れが円滑に行くという筋合いのものになったかとも思います。したがいまして、いままでは交通の安全と円滑のために信号機を設置し、管理してまいったということでございますが、先ほど来話が出ておりましたが、その結果について若干問題があるような御指摘もございましたけれども、ああいう牛込の柳町の場合に、谷底のために一酸化炭素が滞留しておるというような地形でありますために、車を谷底へとめないで、その手前の丘の上でとめて、谷底はそのまま定速で通り過ぎるというような仕組みを考えるということによって、交通公害を防止する、あるいは大気汚染程度が激しくなりました場合に、一定の地域の入口にある信号機を赤の現示時間を少なくするなり、極端な場合には全部赤にしてしまって、その地域の中に自動車を入れるなり、あるいは自動車を入れるのをとめるなり、あるいは入る自動車の量を削減するという対策に信号機が使えるんではないか、そのように考えております。
  176. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま説明されたことは理屈としてはわかるわけなんです。たとえば一カ所へ多くの車がたまって、そこが排気でえらいことになっておる。それならそこへ入れないように手前のところへ信号機をつけて、赤を現示して車をとめて、いわば排気を分散するような形、理屈の上ではそれはわかるのですが、現実にそういうことをやっておるところが世界どこかの国でありますか。さらに、具体的にやろうとする場合、それはやれますか。
  177. 片岡誠

    片岡政府委員 その前に基本的には、私考えておりますのに、排気ガスで問題になっておる地点は交差点等で渋滞が激しいところでございます。したがって、そこを円滑にすれば結果的には排気ガスも少なくなって大気汚染程度も少なくなるという、円滑と大気汚染防止とが全く並行して進むことが基本的には考えられております。しかし例外的にいま申した特定の気象条件なり特定の地形のところにおいて、いま申し上げたような手が可能ではなかろうかと考えておりますが、まだ私ども不幸にして外国の例については勉強いたしておりません。
  178. 後藤俊男

    ○後藤委員 そういたしますと、この第四条というのは、これだけいままでの道交法に追加されておるわけですけれども、理屈の上から考えると、こういうふうにやったほうがよかろうというようう考え方でこういう改正の案が出されておる、そういうふうに考えていいわけですね。
  179. 片岡誠

    片岡政府委員 人の健康とその生活環境を保全するための交通規制はあらゆる交通規制手段を使って対処したい、したがって、この信号機の管理、運用による手段も使ってみたい、そして現実の問題に対処してどの程度まで効果をあげられ、有効であるかといったような問題については試行錯誤的に今後研究もし、そして実行していきたい、そのように考えております。
  180. 後藤俊男

    ○後藤委員 それから次は七条ですが、こういうふうな場合には歩行者または車両等の通行を禁止し、また制限しなければならない、こうなるべきだと思うのですが、「制限することができる」というふうになっております理由は、何かあるのですか。
  181. 片岡誠

    片岡政府委員 これは公安委員会のいわば権限規定でございます。そして安全と円滑をはかるために、また交通公害の防止をはかるための必要性というものは、個々の地域、具体的な案件の、ある種、ある場所といったような具体的な問題でございますので、そのときに有効な手段があるかないかというような判断を公安委員会がして、有効で適切な手段があればやっていくという規定だと私思っております。
  182. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま説明されましてどうもちょっと違うような気がするのですが、交通の安全と円滑をはかるため、また交通公害の防止をはかるため必要があると公安委員会が認めたときは、当然これはやるべきだと思うのです。それを「制限することができる」、やってもやらなくてもよろしい、やろうと思ったらやりなさい、こういう条文に書かれておるわけですね。少なくとも公安委員会が、交通の安全なりあるいは公害防止をはかるために必要がある、こう認めたら当然やるべきであるというふうに私は考えるわけなんですが、公安委員会がそう認めたところで、やってもやらなくてもよろしい、やろうと思ったらおやりなさい、これが第七条に書いてあるわけなんです。これは適当に、やってもいいがやらなくてもいい、どちらかというとやっかいだからやらないほうがいいということになってくるのではないかと思うのですが、いまの説明ではどうしてもわからないわけなんです。
  183. 片岡誠

    片岡政府委員 これは、法律でこういう権限規定として書く場合の通常の書き方ではなかろうかと私は思いますが、ただそういうときには公安委員会は義務としてやるというとらえ方もあるいはあろうかとも思いますけれども、従来も、交通の安全と円滑をはかるために必要があると認めたときは……することができるということで、それなりにその地方の実情に合った適切な交通規制都道府県公安委員会はやってまいったと思っておりますが、今回それに目的が一つ加わった、こういうことだと解しております。
  184. 後藤俊男

    ○後藤委員 だからこれは、ほんとうのことをいえば、第七条ではやってもやらなくてもいいということでしょう。やろうと思ったらおやりなさい、こういうことじゃないのですか。第七条、さらに第九条もそうです、標識の問題。これは交通の安全なり、公害を防止するために公安委員会が必要である、こう認めた場合といえども、やろうと思ったらやりなさい、いやだったらやめておいても法律には違反になりませんぞ、こういう書き方が第七条、第九条じゃないですか。これはあってもなくても一緒じゃないですか、極端なことを言いますけれども
  185. 片岡誠

    片岡政府委員 これはむしろ逆に、こういう要件——交通の安全をはかるためのその交通規制と申しますのは、道路を歩いている歩行者なりあるいは車両に対する一つ警察命令と申しますか、禁止をし、その自由を制約する問題でございます。そういう問題に対して、こういう要件を備えたときには、公安委員会は国民の権利義務を制限していいということを地方公安委員会に権限を付与した規定である、そのように私ども解しております。
  186. 後藤俊男

    ○後藤委員 だから第七条にしても、第九条にしましても、これをすなおに読むとそういうように思えますけれども、さらにこれは数回いままで問題になっていると思いますけれども、百十条の二、さらに2、「必要があると認めるときは」こういう文章がここに入っておるわけなんです。これは再三質問があったが、私は思うわけでございますけれども、この百十条の二にいたしましても、逃げ場がちゃんとつくってあるような気がするわけなんです。だから百十条の二につきましても「必要があると認めるときは」こういうふうな文章が入っておる理由なり根拠というものはどこにあるか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  187. 片岡誠

    片岡政府委員 先ほど来私申し上げておるところでありますけれども知事の要請があった、人の健康なり生活環境影響を及ぼすような大気汚染なり騒音の限度が来たということで、知事のほうから何らかの道路交通法上の措置をとってもらいたい、そしてこれを抑制してもらいたいという要請があったときに、公安委員会としては当然その要請を尊重する、あたりまえのことでございますが、その要請に基づいて何らかの行動をとるべくまず検討を始めると思います。そしてそのときにどういう手段が、いま申したように、信号機の管理、運用でもできましょうし、あるいは通行の禁止、制限でもやれましょう、徐行義務を課すというやり方もできようと思います。そういう手段の中でどれが一番有効な手段であるか、また適切な手段であるかということを判断をいたして、そしてまたそのやります規制の結果、どういう影響がその車の流れに起こるだろうか、一カ所やればまたそれがどこかよその場所にはみ出て、それがまた交通公害を起こすことがあっても困りましょうし、あるいは車全体の、ほかのところで、あるいはそこで安全に影響があるというようなことがあっても困りましょうし、また円滑の場合も、その車をとめることによって波及する車の交通の円滑を欠くために、国民生活上重要な、たとえば生鮮食料品とか、そういうものの流れを乱すというようなことになっても困るだろう。こういうことをよく判断をして、必要と認めたとき一番有効適切な手段で交通規制をやってまいる、こういうふうなことを考えております。
  188. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまあなたが言われましたことは、県知事も一緒じゃないですか。たとえば、県知事のほうでこの騒音規制法、さらには大気汚染防止法、これに基づいて調査をした結果規制しなければいけない、こういうことになった場合には公安委員会へ、これは要請というんですか、話をする。そうしたら、当然公安委員会はそれに対する手続を行なう。これが第百十条の二の精神だと私は思っておるわけなんです。ところが、この文章を読んでみますと、「必要があると認めるときは」とあって、県知事のほうからいかに要請がありましても、公安委員会が必要がないと思ったときはやらなくてもよろしい、そういうふうにも解釈できるわけなんです。そうしますと、何だ、道交法の一部改正でいろいろ文章はなぶったけれども、結局最終的には何にも残らぬじゃないか、こういうようなことにもなりかねないのがこの文章ではないか、私はこう思うわけでございますけれども、その点いかがですか。
  189. 片岡誠

    片岡政府委員 知事の要請をする判断の基準と、公安委員会交通規制をする判断の基準は、性格的に私は異なるものだと思っております。知事の判断は、大気汚染なり、騒音なりが人の健康なり、生活環境の保全上支障があるという、そういう角度の判断だと思います。そして、当然そういう事態になった場合に、何らかの方法で、公安委員さん、交通規制を考えて下さい。こういう要請が当然出てまいるだろうと思います。ところが公安委員会立場の判断は、知事からそういう要請が出てきた場合に、健康上の判断は知事の判断をそのままのみ込んでいくわけでございますから、公安委員会のやる判断と申しますのは、結局それに基づくどういう手段があるのか、その手段の中のどれが一番有効であるか、あるいは交通規制をやった場合に、その規制がどのように安全なり、円滑に影響していくだろうかということを考える判断だと私は思います。その点につきましては、都道府県公安委員会は日ごろから道路交通を管理する義務を持ち、また責任を持っているわけでございます。どこで交通事故が一番たくさん発生しているか、どこで一番交通渋滞があるかということは、都道府県公安委員会知事よりははるかによく実態をつかんでおるわけでございますから、そういう交通の実態を踏んまえて知事の要請をかみ合わしていく、そうして最終的な判断をする、そういう仕組みが私は妥当なんだろうと思っております。
  190. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまあなたが説明されました気持ちというのは、私わかるわけですがね。そうなりますと、円滑なる交通安全と公害問題、公害防止、これはどちらが優先するわけなんですか。
  191. 片岡誠

    片岡政府委員 私、道交法の三つの目的の中で安全が一番優先すると思います。安全、これはもう直ちに人がその場で死ぬ、瞬間的にも交通事故で死ぬわけでございますから、安全が一番先、その次に交通公害、最後が円滑というのが観念的に考える順序だろうと思います。しかしながらその円滑の中にも、これは決して経済調和条項のようなものではないと考えております。と申しますのは、円滑と申しますが、現に国民のうちの十八歳以上を取り上げた場合には、男女含めて三分の一までが運転免許証を持っておりますが、男だけを取り上げれば、二人に一人以上すでに免許証を持って、国民生活の中にもうすでに定着してまいっております。しかも、この円滑の対象となる車の中には生鮮食料品を運ぶトラックも入っておるわけでございます。単に企業の物資、生産品とか資材だけではなくして、われわれ自身の国民生活の必要物資を運んでいるわけでございます。それだけに一般論としては公害、円滑ということだと思いますけれども、具体的な地域、具体的な場所の交通の円滑については、やはり慎重に検討して交通規制を考えていくという必要があろうかと考えております。
  192. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、これは具体的な例を申し上げますが、いま言われました気持ちというのはわからぬことはないのですが、たとえば私の地元の滋賀県ですね、国道百六十一号線が非常にふくそうしておるわけなんです。あの大津の近くに温泉街があるわけなんです。あそこで三年に一ぺんくらい私も泊まりますけれども、泊まりますと、夜がな夜通しトラックの振動で、まことにこれは激しいわけなんです。そうすると、今度この法律ができますと、この第四十二条あたりが適用されるのかと思いますけれども振動に対する規制も行なうわけですね。そうすると、あそこで振動が激しいからということで徐行させるとなりますと、国道百六十一号線は麻痺するわけなんです。ところが、いま申しました振動公害というのは、これはもう最高だと思うのです。そういう場合には、一体どういうふうに道交法の今回の一部改正によって解釈したらいいのだろうか、この点のひとつ御説明をいただきたいわけなんです。
  193. 片岡誠

    片岡政府委員 迂回道路のない、しかも幹線の場合には車の通行を禁止、制限するということは非常に困難だと私は思います。せいぜいできるところがスピードダウンさすなり、一定区間を徐行さすなり、速度制限を十キロとか二十キロとかに押えるというような手段しか私は考えられないと思います。しかし、そういうことを有効に使える地域もあろうかと思いますし、迂回路がとれるところでは、その迂回路のほうへ大型車を回していくというような手段もとれようかと存じております。
  194. 後藤俊男

    ○後藤委員 それで、いま具体的に例を申しました道路なんかは、ちょっとでもスピードダウンすれば、もう麻痺状態なんです。こういうところは、いかに振動公害が激しくとも手がつかぬということですね。それはもうしょうがない、日本の産業発展のために、あるいは国民生活のために——道交法の一部改正が今回行なわれたけれども、いかに振動が激しくとも、たとえ十キロ、二十キロの徐行にいたしましても、交通に大きな影響がある、こういう場合には、それはもうやむを得ないのだ、そのまま行くのだ、こういうふうに解釈していいわけですか。
  195. 片岡誠

    片岡政府委員 本質的には道路政策の問題だと私は思います。したがって、道路構造そのものなり、バイパスをつくるなり、それが本質的な解決策であろうと私は思いますが、しかしそれも直ちにできるものではなし、したがいまして、交通規制という範囲で処理できる限度においてその公害防止をはかるという以外には、私どもも手段としてはそれ以外は持ち合わせないのじゃないかと思っております。
  196. 後藤俊男

    ○後藤委員 とにかく、次の百十条の二ですがね、この最後のほうに、「政令で定める者の意見をきかなければならない。」こうなっていますね。この「政令で定める」というのはどういう中身でございましょうかね。
  197. 片岡誠

    片岡政府委員 その前の「関係地方行政機関の長」の中には、陸運、建設、通産、農政といったような地方局長が含まれることが予想されております。それから「政令で定める者」の中には、指定市の市長を現在の段階で考えております。
  198. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、この七条をやろうと思う場合には、こういうふうにやれと、こういうところと十分相談をしてやりなさいと、こういうことになると思うのです。公安委員会公安委員会立場で判断をしてするでありましょうし、いま言われたところの地方行政機関あるいは政令で定めるところ、こういうところはその機関その機関の立場によって判断をすると思うのです。そうすると、おのおの判断が違うと思うのですね。そうしますと、結局第七条にこういうものができましても、必ずしもこれがすぐ実行できるということにはならぬと思うわけなんです。しかもこれだけ多くの業務機関の相談をして意見をまとめて実行に移すということになってくると、これはたいへんなことになってくるんじゃないかというふうにも思うのですが、その辺いかがでございましょうか。
  199. 片岡誠

    片岡政府委員 これにもございますように、「その禁止又は制限を行なうことにより、広域にわたり道路における交通に著しい影響が及ぶおそれがあるとき」、こういう限定をしております。現在私どもの解釈としては、広域とは、たとえば東京都であれば二十三区、それから神奈川の場合であれば横浜市の全域であるとか、それからそれ以外の府県の場合にはその府県の相当部分にわたるような広域に影響が出るおそれがあるときには、こういう人たち意見を聴取することになっておりますけれども、そうでない場合には公安委員会はその意見聴取を経ずして規制をいたします。また事柄の性質上そういう広域にわたる場合につきましては、知事をはじめそういう機関の長の意見を聞き、できるだけ有効適切であり、しかも公害防止のために有効であり、しかも一般的な影響が最も少ないといういい方法を衆知を集めて考えていきたい、そして最終的に公安委員会が決断をいたしたい、そういう規定でございます。
  200. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、先ほどから各条文ごとにお尋ねをしたのですが、第七条につきましても第九条にしましても、それだけの権限を与えるんだという御説明はございましたけれども、やらなければならないということはこれはなっておらぬと思う。さらに第四十二条にいたしましても、これは徐行するのは、場所を指定した場合にはやらなければならない、こうなっておるわけです。場所を指定しない限りはこれはやらなくてもいいわけです。さらにいま言いました百十条の二なり次の2にいたしましても、どうもこれはやるがごとくやらざるがごとく、やるようなかっこうはしておるけれども、中身といたしましては非常にあいまいな条文になっておる。そうしますると、全般的に道交法の一部改正によって公害問題をはたして防止するところの効果のある改正になっておるかどうかというところに、やはりわれわれは疑問を持つわけなんです。だからこれははっきりすべきところははっきりすべきじゃないかというふうにも思いますし、さらに七条の実施にいたしましても、あっちへもこっちへも相談しなさい、こういうことになっておりますと、これはなかなか容易なことではないというふうに思いますし、それからさきにあなたが説明されましたように、いかに公害が激しくとも、交通が渋滞する場合には交通円滑なり交通安全が優先をいたします、こういうことになってくるわけなんです。そのことは現在の道路事情がしからしむるところであり、バイパス等がないからやむを得ぬのだというような説明もございましたけれども、あくまでも今回の道交法の一部改正については公害というものは第二義的になっておる。それも義務づけたものは何もない。ただこういう場合にはこういうふうにできる権利を与えますよ、なるべくこういうような方向でやりなさい、こういうようなことに総括的に私は思うわけでございます。こういうことでは、これからの車がどんどんふえてくる、さらに交通公害が起きてくるというような情勢に対処するにふさわしい一体道交法改正であろうかという点に、私といたしましては大きい疑問を持つわけです。だからぜひひとつ、この問題はまだまだ御審議されると思いますけれども、今後の問題としていろいろな問題がたくさん出てくるだろう、思いますので、さらに検討する必要があると思いますが、総括的に先ほど言いましたようなあいまいな文章というのははっきりしていただく。何はともあれ、公害を第一義的に考えてもらう、そういう方向へひとつ直していただきますようにお願い申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。
  201. 受田新吉

    ○受田委員長 東中光雄君。
  202. 東中光雄

    ○東中委員 私は道交法改正に関連して、特に歩通公害の中でも騒音の問題を中心に、道交法改正による規制はどうなのか。この点をお聞きしたいと思うのですが、自動車騒音が非常にひどくなってきています。ここに資料があるのですが、ことしの八月二十四日から四日間にわたって、大阪市の此花地域の四貫島大通三丁目交差点付近を調査をした大阪民主医療機関連合会の報告があります。この調査は、排気ガス調査をはじめ、周辺住民自動車の走行にある影響と人体の生理的不快、疾病、苦痛などのきわめて具体的な調査でありますが、ここでは主として騒音について申し上げたいと思います。  この四日間にわたる調査の測定は、カノマックス社製八二−二〇〇〇タイプの小型騒音計を使ってそれぞれの時間帯の三回測定平均値を出しています。交差点では最高百ホンを記録しています。夜間でも七十一から七十八ホンの騒音が続いて売ります。この場合道路に面した家庭では、屋内でも七十五ホンを記録しています。参考までに申し上げますと、大阪府の騒音規制値は、ここでは、住居地域ですから最高六十ホンということになっています。  この地域の特徴は、北は淀川を隔てて西淀川区、南は安治川をはさんで港、大正区に続いて、東は福島区に続き、西は大阪港北港と呼ばれていて、区内の三分の二は工場で、人は残りの三分の一の地域にしか住めないようになっているわけです。  この地域での自動車の走行量は、同じ地域で、市の調査では朝の九時から十時の一時間で五千四百二十三台といいますが、平面路では五千二百十二台、高速道路は三千三百六十八台、つまり合計八千五百八十台にもなっている。ものすごいものでありますが、午後、夕方の調査でも同じような数字が出ています。しかも大型車の比重が非常に多いわけですが、少ないときでも一五ないし二〇%、多いときは四〇%、こういうようになっているわけです。  こういう状態で、排気ガス影響もありますが、ひどい苦痛を住民は訴えています。せきが出る、ぜんそく、鼻詰まり、かぜ、それから騒音に関連しましては、人から声が大きくなったというふうに言われる、耳の関係でそういうことをほかの人から言われるようになったとか、いつもいらいらする、こういうのがずいぶん出てきておるわけであります。ついでに安全との問題でいいますと、面接した人の一四・四%、百二十四人が交通事故にあったという問題まで出ています。産業道路のところでこういう事態が起こっているわけです。  また資料としては少し古いのですが、大阪市が昭和四十一年に学校と病院を対象にして自動車騒音影響を調べたものがありますが、これによりますと、たとえば幹線道路に沿った病室内では、締め切った中で平均五十九ホン、普通の病室の平均値は四十四ホンくらいということでありますが、それと比べても十五ホンも大きい。病院では部屋の中の騒音が四十から四十五ホンにのぼると患者の半数は睡眠障害を感じているということがいわれています。  また昭和四十三年の京都大学の工学部に学位論文として出された「都市騒音の軽減に関する基礎的研究」という中村隆一氏の大阪における調査を見ましても、普通学校環境衛生の基準値五十ホンに対して、幹線道路沿いの教室では平均六十一ホン、ピーク時には六十九ホン。高速道路では、それに沿っておる学校では一〇〇%大阪の基準を上回っているわけです。迂回道路の教室でも平均五十八ホン、ピーク時は六十七ホンで、七五%の教室が基準を上回っている。こういう状態。市民生活も、病院や学校でも自動車の走行による騒音によってきわめて重大な障害を受けておるということが明らかになったわけであります。全くがまんのできない状態だということがいえると思うのですが、生活環境審議会の専門委員会の楠本正康委員長が、これは新聞でいわれておることですけれども道路で六十五ホンの騒音が発生した場合、室内での騒音は五十五ホン程度になる。しかし人間にとって騒音は五十五ホンが限度で、これをこすと尿中ホルモン成分や血球数が変動するといった生理的影響を受と、通常の生活としては好ましくない、こういうことを言っておられます。結局五十五ホンが限度だということが言われておる状態で、いま申し上げたような産業道路幹線地域で百ホンから、夜間でも七十ホンをこしている、こういう状態で起こっているわけです。こういう騒音、もちろん振動もこれに加わってくるわけですが、こういう幹線、しかもそれは住宅地域とか工場地域とかいろんなところを走っていく道路になると思うのです。こういう状況騒音自動車公害をなくしていくために、この道交法改正することによって一体どういうふうに規制ができるんだろう、どういう規制をされようとしておるのか、ひとつその点を明らかにしていただきたい。
  203. 片岡誠

    片岡政府委員 先ほど来申しておりますように、観念的な手段として考えられるのは信号機の管理とか運用とかあるいは車両の通行の禁止、制限なり徐行義務を課すというようなことでございますけれども、いまおっしゃったような幹線道路の場合、その幹線道路の場合にしからば車をとめることができるかという問題になりますれば、これは非常に問題があろうと思います。ただ、たとえば速度制限をさらに低くしていくとか徐行さしていく、いままで四十キロであればそれを二十キロに下げるということによって振動は若干防げるだろうと思いますが、先ほど来申しておりますように、交通規制でやれる範囲というのはおのずから限度、限界があろうと思います。しかしその限界の範囲内でできるだけ考えていくということに相なろうかと思います。
  204. 東中光雄

    ○東中委員 交通騒音の場合に道交法でやれるものは非常に限界がある、こういうことですが、ほかの方法でやられているのかどうか。これは自動車の車体構造なりエンジン構造なりの問題がありますけれども、この関係では——きょうは運輸省からも来てもらっていると思うのですが、どういうふうにやられているのか。これとのタイアップがなければできないわけですけれども基準はどういうふうになっておりますか。
  205. 隅田豊

    ○隅田説明員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましては、道路運送車両法によりまして、それの省令でもって道路運送車両の保安基準という事実上の基準がございます。その中でもって自動車の発生いたします騒音規制をいたしております。この十二月初めに実は改正いたしたのでございますが、従来はある走行状態に対しまして八十五ホンということを規定いたしまして、これで規制をいたしておりました。しかしながら最近の車の増加その他で、一台一台の車の八十五ホンでは全体の交通騒音を押えることは非常にむずかしゅうございますので、従来はどの車もみな一つ規制できめておりましたものを、車によってまだ音の下げられるものが数種類ございますので、そういうものをできるだけ下げるということに方針を変えまして、このほど改正をいたしました。  その結果を申し上げますと、たとえば乗用車はまだまだ下げられますので、現在では先ほどの八十五ホンに相当するものを七十ホンということに下げております。それから、幾つか例を申し上げますと、大型のトラック、これはやはり非常に音が下げにくうございますが、これは八十ホンということでございます。  それからもう一つ音の問題といたしましてございますのは、加速の状態の場合、かなり大きな音を出します。これは従来規制をいたしておりませんでした。この新しい状態をプラスいたしまして、加速騒音規制を加えた。これは先ほど申し上げました定常走行の場合のエンジン騒音あるいは走行騒音と比べまして、非常に状態が悪くなりまして、乗用車でも今回の騒音規制基準でも、八十四ホンという数字になります。あといろいろとこまかい車の種類別に数字を並べましたのですが、現在のところ、この規制をいたしました数字が大体国際基準ということの状況でございます。
  206. 東中光雄

    ○東中委員 運輸省の出されているこの十二月四日付で明らかにされた騒音防止基準ですね。いまいわれている普通自動車等のうち、大型ですか、三・五トンをこえるものについては、加速走行騒音は九十二ホンですね。これはもうごついものになるじゃないですか。これは交通規制で、たとえば信号でとめられる、そうして動き出す、そうすると九十二ホンが出てくるわけですね。室内で五十五ホン、それ以上だったらもう人体に影響を及ぼすといっているときに、あるいは六十五ホンぐらいだということがいわれているときに、九十二ホンまで出るのを認めておって、しかも一方で道交法交通規制、信号なんかの規制をされるということになったら、これはいよいよもって騒音公害をなくするどころか、ここまではいいんだということで騒音公害を保証していくようなかっこうになっているんですが、その点はどうでしょう。
  207. 隅田豊

    ○隅田説明員 ただいま、こまかい測定の条件を申し上げなかったのでございますが、加速騒音をはかりますには、側面で車の位置から七・五メートルの位置ではかることになっております。従来の規制以前の大型トラック、これは加速騒音規制を全部してなかったものでございますが、百ホン近いものがかなりございました。これでも実際上といたしましては、加速騒音はかなり低下するはずです。
  208. 東中光雄

    ○東中委員 騒音についての環境基準がまだ明らかにされてないのですが、厚生省、それはどういうふうになっていますか。
  209. 山本宣正

    山本説明員 お答えいたします。  騒音規制法がございましたが、生活環境審議会の専門委員会の議によりまして、現在騒音一般環境基準並びに道路沿いの騒音環境基準設定作業を急いでおります。一応現在までのところ、専門委員会の御意見は一通り出尽くしまして、あと最終的にこれを取りまとめまして閣議にかけまして、告示へ持ち込む、こういう段階に入っております。
  210. 東中光雄

    ○東中委員 その騒音環境基準値は、第一次案が出されて、第二次案で緩和をされていますね。緩和されているというか、五ホンほど基準値が上がっているんじゃないですか。第二次案の答申ですか、そうじゃございませんか。
  211. 山本宣正

    山本説明員 私、第一次案と第二次案の比較につきまして、ちょっと正確なところを存じておりませんが、一般騒音基準と、それから道路沿いの騒音基準につきましては、ややその数値に相違がございます。道路沿いの騒音基準につきましては、約五ホンずつゆるめられているという点がございます。
  212. 東中光雄

    ○東中委員 この専門委の示した基準値、最高ですが、これで六十五ホン。一番高くて六十五ホンですね。一般住宅地域では昼間六十ホンというのが最高になっている。それから商業、工業地域で六十五ホンが最高になっている。これからいきますと、いま運輸省の出されている個々の車の規制基準、そして道交法による規制はたいしてできないんだ、こういう話だ。そうしたらこれも初めから公害をなくしていくような措置は何もされていないことになってしまうわけですね。だから道交法によってやれる限度と、そして車両法関係でやれる限度、この二つしか当面これをなくしていく方法というのはないわけですから、これは別々に分かれていますけれども、両者で環境基準を守れるようになるのかならないのか。そういう保証をいま持っておられるのかどうか。これはひとつ運輸省と警察庁のほうで両方お答え願いたいんです。
  213. 隅田豊

    ○隅田説明員 御指摘のとおり、騒音関係自動車にとっては非常にむずかしい問題でございまして、率直に申し上げますと、自動車が走ることによってやむを得ず音がたくさん出てまいります。     〔受田交通安全対策特別委員長退席、菅地方   行政委員長着席〕  ことにタイヤと道路との関係は、非常にわかりやすく表現をいたしますと、摩擦係数が多くなればなるほど音は大きくなる。摩擦係数が多くなるほどブレーキ性能がよくなる。非常に俗な言い方なんで、学問的にいうとむずかしい問題があるのでございますが、ある程度そのような観念の考え方もできるわけでございます。したがいまして、特に先ほど申し上げました大型自動車というような場合には、この走行騒音をゼロといたしましたときに、これが実際上可能かどうかというところにまで進展していくと思います。そこら辺をわれわれといたしましても道路の表面の問題とかあるいは全体の交通の流れをどういうふうにするかというようなことをいろいろな点で研究を今後さしていただきたいと思いますが、環境基準が今後どういうふうにまとまるか、まだ最終的な数値はいただいておりませんけれども、少なくとも道路沿いの騒音につきましてはそう簡単な問題ではないと考えております。
  214. 片岡誠

    片岡政府委員 交通に起因する音の場合に、自動車局の整備部長が申しましたようなタイヤと路面との接触による音、それから排気することによる音以外に、たとえば積み荷ががたがたするというような積み荷の音、あるいはドアを締めたりあけたりいろいろの音があろうかと思います。私どもとしましても、交通規制という形で音を減らすというのが一つ方法、弔う一つは車両行政の面で、排気音のほうを押えていく、保安基準を励行さす。現実に動いている車について保安基準を守るように励行さすことについて運輸省と一緒に取り締まりをやっていく、抑制していく、あるいは積み荷をたくさん積み上げているとか、積み荷のやり方がまずいといった問題につきましては、そういう角度で指導、取り締まりをして押えていく。そういう個別発生源に対する押え、それから環境基準を守れるような状態に、何らかの交通規制をやって押えていく、そういう手段が考えられるのではないか。今後その方向についてさらに検討を進めてみたいと思います。
  215. 東中光雄

    ○東中委員 自動車のエンジン、車体構造の改善、やはりここのところが一番大きなポイントになると思うのですが、自動車製造業者に対するこういった面での規制を、構造上の改善をやらしていくということが一番先決であり重要なことだと思うのです。そういう点で運輸省のとられている方向というのは非常に甘いのではないかということを思うわけですが、それと同時にそういう規制値以上の音量を出して走っておる車が現実にある場合に、警察としてはそれに対してどういうふうに措置されるのか、具体的にはどうなりますか。
  216. 片岡誠

    片岡政府委員 道路交通法の六十三条の二によりまして、装置不良車両として指導、取り締まりをやります。それから罰則をもって担保すると同時に装置不良車両としての通告をいたしまして改善ができるかどうかを確認していく、そういう手段をやります。
  217. 東中光雄

    ○東中委員 そういう事がずっと流れていくわけですから、そういう点でこれは抜本的な方法を考えてもらわなければいかぬと思うのですが、効果的な交通規制をやっていくという点で、たとえば人道、車道の分離、あるいは車種別の規制というか、そういったものをどのような区別で行なわれるか、そういう交通公害をなくしていくという観点から見ての方法というものを検討されておるかどうか、どうでしょう。
  218. 片岡誠

    片岡政府委員 たとえば音の場合にはいまおっしゃったような交通量が非常に多い。しかも大型が多いといったような場合もございましょうし、それから元来静寂であるべき住宅街であるとか、あるいは観光地などでせっかく寝ているのに明け方オートバイがマフラーをはずして走っておるといったようなことで静穏を害している場合もございます。そういうマフラーをはずして走っておるようなオートバイに対しては道交法の六十三条の二で取り締まり可能でございますし、そういうものは取り締まりはやっておる。それから交通規制につきましては、先ほど来お話が出ておりましたように根本的には自動車構造であったり、振動の場合には道路そのものの構造であったりする場合があり、それを根本を直さない限りはなかなか規制だけではむずかしい場合もあろうと思いますけれども、しかしながら一方では相当な投資なり時間のかかる問題について、そのまま打ち捨てておくというわけにはまいりません。そういう面につきましては警察障害としてとらえて、交通規制で有効な手段があればそれをすぐ実施していくというふうにしたいと思います。
  219. 東中光雄

    ○東中委員 道交法による交通公害規制というのは、結局は個々の違反者に対する取り締まりですね。これはいまでもできることですが、この道交法改正によっては交通公害そのものに対する規制というのはあまり効果が期待できないというふうに言わざるを得ぬわけです。具体的に、特に幹線道路や高速道路での騒音振動、こういったものについては効果的なものでないということ、そういうふうに効果的にやれるものだと思っていないけれども、しょうがないから出したんだということになるわけですか、どうでしょう。
  220. 片岡誠

    片岡政府委員 基本的な解決方法ではないけれども、差し迫った人の健康なり生活環境に障害を与えるものであるとすれば、基本的な解決を待ついとまがない差し迫った問題でございますので、完全な効果、全面的な効果を期待することができなくとも、少なくともよりよくなるような手段としてできるような仕組みにいたしたい、そういう気持ちで出したということでございます。
  221. 東中光雄

    ○東中委員 結局一番根本的な問題は車の構造問題での規制ということだと思うのですが、そういう点で、これはここで申し上げても直接的なことではないのですが、運輸省の今度の省令、この規制の態度というのは非常に不十分だ、これでは公害はなくならないという点を特に強調しておきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  222. 菅太郎

    菅委員長 これにて連合審査会は終了いたしました。    午後五時散会