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1970-12-16 第64回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十六日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 鬼木 勝利君    理事 大坪 保雄君 理事 神田  博君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君    理事 相沢 武彦君 理事 伊藤卯四郎君       佐々木秀世君    進藤 一馬君       三池  信君    井野 正揮君       松本 七郎君    田畑 金光君       田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君         労 働 大 臣 野原 正勝君  出席政府委員         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         労働省職業安定         局失業対策部長 遠藤 政夫君  委員外出席者         通商産業省公害         保安局石炭課長 高木 俊介君         参  考  人         (石炭鉱業審議         会委員)    稲葉 秀三君         参  考  人         (産炭地域振興         審議会委員)  徳永 久次君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十六日  辞任         補欠選任   八木  昇君     川俣健二郎君     ――――――――――――― 十二月十一日  炭鉱閉山反対に関する陳情書外一件  (第二  五七号)  炭鉱離職者緊急就労事業継続に関する陳情書  (第二五八号)  石炭鉱業安定対策確立に関する陳情書外十九件  (第二五九  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  石炭対策に関する件(石炭鉱業審議会体制委員  会の石炭鉱業体制に関する当面の諸対策及び  産炭地域振興審議会答申に関する問題等)  三井鉱山株式会社砂川炭鉱及び三省鉱業株式会  社三省炭鉱災害について説明聴取      ――――◇―――――
  2. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求に関する件について、おはかりいたします。  石炭対策に関する件について、本日参考人として、石炭鉱業審議会委員体制委員会部会長代理稲葉秀三君及び産炭地域振興審議会委員総合部会小委員会委員長徳永久次君の両君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 鬼木勝利

    鬼木委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  去る十一月七日、石炭鉱業審議会体制委員会により、石炭鉱業体制に関する当面の対策が出されたわけでございます。また十八日には、産炭地域振興審議会から答申が提出されておりますが、本日は、これらの問題につきまして、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存ずる次第でございます。  最初に両参考人からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただきまして、そのあと委員各位からの質問にお答えいただきたいと存ずるわけでございます。  それでは、稲葉参考人からお願いいたしたいと存じます。稲葉参考人
  5. 稲葉秀三

    稲葉参考人 私、ただいま御紹介にあずかりました、石炭鉱業審議会体制委員会部会長代理をしておりまする稲葉でございます。  今般、私たち審議いたしました中間答申をこれから御報告を申し上げるわけでございますが、すでに文書その他はお手元にあると思っております。本来ならば部会長圓城寺が参るはずでございますけれども、外国に行くということになりましたので、私がかわって参った次第でございまして、この点御了承を得たいと思うのであります。  私は、昭和三十四年以来十一年間、石炭鉱業審議会委員をつとめて、わが国石炭対策につきまして御協力を申し上げてまいった次第でございます。きょうはお招きにあずかりまして、中間答申として取りまとめた、石炭鉱業体制に関する当面の諸対策、こういうことにつきまして、私たち趣旨考え方先生方に御報告を申し上げたいと思う次第でございます。  まず、このようなことになりましたのは、皆さま御存じのように、現在の石炭対策と申しますのは、昭和四十三年十二月に当審議会答申を基礎としてまとまりました第四次石炭対策、これに端を発しているわけでございます。それで、私たちはこの線に即応いたしまして、今日まで石炭対策というものにつきましてこれを運営する、こういったようなことを進めてまいりました。  ところが、すでに皆さま方御存じのように、石炭を取り巻く諸条件が、その後におきましてもいろいろと変化をしてまいりました。したがいまして、そういう第四次答申という基本線はございますけれども、やはりそれに即応いたしまして、いろいろ弾力的な対策を実施していかねばならない、このような必要に迫られているわけであります。そして、本年四月二日に、通商産業大臣から、石炭鉱業体制に徴し、その体制上の改善策について問う、こういう御諮問を受けまして、自来当審議会でそれを論議をする、また結論を取りまとめる、こういったようなために体制委員会、こういうものができまして、十一回にわたり審議を重ねてまいりました。また、この一般審議のほかに、それぞれ専門的な審議とか懇談、こういったようなこともやってまいりました。そして十一月二十日に、これを取りまとめた次第でございます。  そこで、文書はお手元にございますけれども、やや重複を避けまして、これに至ります基本的な認識対策の方向、こういうことにつきまして、ひとつ簡単に御説明を申し上げたいと思う次第でございます。  まず第一に、第四次対策発足後の事態、このようなものにつきまして、私たちはやはり正確な認識を得なければならない、そして、それに対しまして、可能な限りの対策を集中していかねばならない、このように考えた次第でございます。  そして、それではどのような事態が生じているのか。この点は先生方十分御存じだと思うのでございますけれども、ここに、それに対する項目があがっておるわけでございます。たとえば、出炭計画を下回ってきたとか、それから労働者確保、特に若年労働者確保がむずかしくなってきたとか、それから出炭の低減のほかに、石炭企業経営悪化条件としては、資金とか経理上の困難また賃金、こういったようなものが起こってきたとか、こういうことがあげられるわけでございます。その点の事情につきまして、ごく概略をひとつ御報告を申し上げたいと思っております。  その一つは、現実の出炭事情でございますけれども、私たちは、いろいろいままで検討してまいりました。たとえば昭和四十四年度につきましては、当初四千四百三十四万トンの計画目標を立てたのでございますけれども、実績は四千三百五十万トンくらいになっております。それから、昭和四十五年度、今年度につきましては、実施計画は四千万トンということになっておりますけれども、三千九百万トンくらいに落ちつく。場合によりましては、これは私個人の見込みで、現在需給部会長をつとめておりますけれども、三千九百万トンをひょっとすると落ちるのではなかろうか、こういったふうに思います。また労働者につきましては、昭和四十四年度末の労働者数は六万百十四人でございますけれども、今年の九月末におきましては五万六千四百人、こういうふうなところにまで下がっております。また賃金上昇は必ずしも全産業並み、こういうふうにはいっておりませんけれども、それでも四十四年度におきまして一二%、四十五年度におきまして一三%の上昇、このようなことになっている次第でございます。このようなことによりまして、私たちが予想いたしましたよりも、石炭を取り巻くいろいろな条件が、率直に申しまして悪くなってきたのではなかろうか、このように思う次第でございます。  もう一つ起こってまいりました問題は、公害問題の進展に伴いまして、高硫黄炭の処理がむずかしくなってきている、このような次第でございます。  さらにもう一つ石炭の最近の状況におきましてやはり変化をいたしておりまする点は、これは内外エネルギー事情変化、こういうこともございますけれども、最近におきまする内外原料炭需給の逼迫を背景といたしまして、わが国原料炭に対する評価をやり直していかねばならぬ。考え直してみますると、もっと原料炭生産をプッシュをしなければならない、こういったような条件が起こってきたということであります。そしてまた、こういうことをしてまいりませんと、ひいては鉄鋼業とか国民経済、こういったようなものに対しまして、いろいろな影響が起こってくるのではなかろうか、このような点を私たち配慮さしていただいた次第であります。  これらの点を頭に入れまして、第四次対策後の事態推移にどのように対応せしめていくか、このような点を検討した次第でございまして、それが「石炭対策基調変化」、このようなところに要約をしているわけでございます。そしてこの基調変化につきましては、部分的な対策と全体的な対策、このようなことにつきまして、やはりいろいろ考え直していかねばならない、また実行措置をとっていかねばならない、このように感じたのであります。  ここでは、すでに先生方御存じのように、当面の原料炭長期確保体制をどのようにしていくのか、このような観点が出てまいりまして、この意味で、従来の石炭対策に比べまして、この要素をもっと強く押し出していかねばならない、このように考えた次第でありますけれども、それにつきましては、事業運営の第一次的な責任体制はやはりあくまで石炭企業にある。したがって今後とも一そうの合理化努力が要求される、このようなことが必要ではございますけれども、さらに需要業界協力、こういったようなものも不可欠な問題ではなかろうか、このように判断をいたしました。そしてさらに、それに対しまして、供給確保観点からやはりいろいろな国の助成施策の強化、このようなことをやっていかねばならないのではなかろうか。ことに事態自体が先ほど申し上げましたように、マイナスになっている、悪循環をしている、こういうことを考えますと、やはりそういう面につきまして相当努力を集中すべきではなかろうか、このように判定をいたした次第でございます。  さて、この原料炭対策、このように申しましても、原料炭だけこれを掘り出していくというわけには、石炭業特殊性から申しましてまいりません。したがって、いまの事態全体を考えながら、全体としてこれをどのように調整をしていかねばならないか、こういったような問題がクローズアップしてきて、それに対しまして私たちはいろいろ多角形的な配慮をいたしまして、この十一項目からなる対策を当面の必要な対策として中間答申に織り込み、そしてとりあえずこれを実行していただく、こういうことを前提にしながら、さらに今後の対策、また特に第四次対策は四十八年度までということになっておりますので、四十九年度以降のあり方ということにつきましても、この際、総合エネルギー的な観点からこれを見直していかねばならない、このように感じた次第でございます。  ただ、これは私たち体制委員会におきます中間答申以後の問題でございますけれども、実は九月の末から十月一ぱいにつきまして、私は通産省のエネルギー調査団一員といたしまして、アメリカとヨーロッパに参りました。そしてエネルギー事情の総体的な変化、こういうものをひとつ見きわめまして、今後のエネルギー対策日本全体のエネルギー総合対策あり方について、どのような問題が国際的な場面からクローズアップしているか、このようなことを調べに参った次第でございます。  私たち調査団結論はまだ出ておりません。ただ、私が一員として参加をいたしまして、そして今回は三回目の調査団でございますけれども、一回目も二回目も、私参りました。  その中で、石炭についてやや、今回の場合、特徴的に感じられますことは、前回昭和三十九年、前々回昭和三十六年でございますけれども、今年度、ことしについて感じておりましたのは、決して石炭をそでにするとか、そういったようなことではなくて、あくまでやはり総合エネルギー的な観点からこれを維持育成をしていかねばならない、こういう考え方は、ヨーロッパの各国にも根強いのでございますけれども、やはりいろいろな事態推移等を見まして、たとえば、イギリスも一時は二億トンの石炭生産をした国でございますけれども、またこれは国有、国営でやっておられる国でございますけれども、現在は一億五千万トン、十年後には一億トンを割って、八千万トンか九千万トンになるだろう。西ドイツにつきましても、石炭対策石炭問題というのは、非常に大きなウエートを置かれている次第でございますけれども、ひところ一億四千万トンぐらいの石炭、そのほかに褐炭がございましたが、石炭については現在一億トンプラスアルファ、また十年後にはこれはやはり七千万トン見当までは減っていかざるを得ない。そのかわりに、やはりそれを考えて、今後のエネルギー需要の中でどのように安全性とそれからその低廉性を維持するか、こういったような問題も起こっている。こういうことを考えますと、やはり国際的な経験も生かして、私たち現状並びに将来について、もっと多角形的な配慮をしなければならぬ問題をなお残しているのではなかろうか、このように感じた次第でございます。  やや蛇足であるかもしれませんけれども、こういったような事情も最近感じてまいったということを、先生方に御報告申し上げておきます。  そこで、当面の対策といたしましては、この文書にもございますように、いかにして原料炭確保をはかっていくのか、この問題を今度の中間答申では非常に強く打ち出しました。これは、ただ単に原料炭山を助けるというだけではなくて、やはり全部の石炭、こういったような問題の今後のあり方を決定いたします上で非常に重要ではなかろうか、このように感じました。そして、これらを中心にいたしまして、このためには需要業界協力というものが不可欠な要素である、そして他方政府といたしましては、具体的な措置といたしまして、新鉱開発とか、新区域転換の支援のために、開銀融資拡大をしていくとか、石炭鉱業合理化事業団資金確保につとめるべきだとか、このようなことをひとつ打ち出している次第でございます。  それから、第二の、この五ページ以下の「生産合理化対策」というものについて申し上げれば、もう皆さま御存じのように、石炭鉱業はだんだん深部に採掘というものがなっていくにもかかわらず、その意味におきましては能率というものが一面向上をしております。そして他方労務者確保の困難、生産費上昇、このようなものが予想されておる次第でございまして、炭量の先行的な把握や、坑内骨格構造整備機械化中心とする生産合理化体制がどうしても必要で、これに対しましては、もっと前向きの姿勢をとっていかねばならぬ。また、わが日本といたしまして、将来製鉄業あり方ということにもよりますけれども、おそらく昭和五十年度ごろには、九千万トンぐらいの原料炭の輸入が必要になるかもしれない、このようなことを考えますと、やはり最近の世界のエネルギー事情変化、こういうものを考慮をいたしまして、いままでやっていなかったような新しい海底炭田におきまする調査開発、こういったようなものを補助する措置検討すべきではなかろうか、このように感じた次第でございますので、このように結論づけた次第でございます。  また、保安対策につきましては、災害の発生が、坑内骨格構造整備が十分に行なわれていないということに結局は基因するのではなかろうか、このようなことからいたしまして、企業努力政府助成ワク拡大、このようなことを必要とする、こういう考え方に立ったわけであります。  その(4)の「労務者確保対策」と、その(8)の「離職者対策の再検討」、これが体制委員会の中で相当論議が戦わされた場面でございます。そして今日、炭鉱が直面をしている問題は、やはり労務者をいかに確保するか、こういったようなことにあるということは十分御存じのとおりでございます。しかし、その一つといたしましては、やはり賃金その他の労働事情が他産業並みになっていく、このようなことが必要でございます。と同時に、やはり他産業並みになるということにつきましては、場合によりましては生産が増大しない、こういう前提条件のもとにおきましては、よけいにその負担、企業経営の収支が悪くなっていく、このようなことになっていかざるを得ない。そして、これらのことにつきまして、住宅や雇用奨励金等改善、このようなことについて努力をするとともに、従来の離職者対策につきましても、高齢者身体障害者未亡人等離職者の再就職が困難である、またこれらの再就職の困難な者につきましては、十分の配慮を必要とする。、しかし、全体的な労働力確保ということにつきましては、いままでと違いまして、やはりもっと現状に即した観点におきまして、再検討が必要ではなかろうか、このようなことを勧告さしていただいた次第でございます。  閉山対策につきましては、特別閉山交付金制度は、法律に規定をされておりまするとおり、本年度の末をもって廃止をするということになっておりますけれども、今後これを検討してはどうか、こういったような問題が出ております。  それから、電力用炭販売株式会社法というものにつきましては、やはり一般炭の問題が非常にデリケートになってまいっておりますので、四十八年度末まで有効期限延長することが必要ではなかろうか、このようなことをやった次第でございます。  さて、これらを通じまして、ひとつ私たち検討し、苦労してまいりました問題は、この(5)の「価格対策」ということについてでございます。価格につきましては、コストの上昇が今後とも避けられない、このような事態が予想される次第でございます。そのためには、国で大幅助成をしていくとか、あるいは需要業界に対しまして、合理的な範囲での引き上げを認めていただくとか、このような基本的な問題が出てきたわけでございます。しかし、現状石炭対策というもの、つまり第四次対策というものにつきましては、ひとつ、これを日本石炭鉱業の基本的な対策としてやっていくという前提におきまして、格段の措置がとられてきた。そしてそのために石炭に対しまして特別会計も設置をされた次第でございます。したがいまして、いまのところ、それでは財政のほうにしわを寄せて、そしてそのような事態変化を、政府支出によって増大をする、このような考え方はやはり従来の経過にかんがみましてなかなか困難ではなかろうか。したがって、そういったようなことを前提といたしまして、当面につきましては、中のあり方検討と、それから需要業界に対しまして、その引き上げ、こういったようなことを要請をしてまいったわけであります。そして、私たちが第四次対策の以降の問題を検討している過程で、この体制委員会審議と並行いたしまして、原料炭の値上げの問題、さらに一般炭につきましても、ひとつ二百五十円の引き上げを認めていただこう、こういったような措置を、お役所のほうと私たち委員で強力に進めまして、これをひとつ実行していただくということになった次第でございます。しかし、率直に申しまして、じゃそれが認められたから、四十五年以降のものがだいじょうぶだ、こういうふうには実はまだ言い切れないほど、日本石炭というのはむずかしい問題が出ておる次第でございます。したがいまして、これらのことを受け取りまして、私たち中間答申以後におきましても、この問題をどのようにしていくのか、さらにやはり四十九年以降のあり方をどうしていくのか、こういうことにつきまして、全体のエネルギー政策の中で、もう一ぺん根本的な検討をしていかねばならない、このように感じておる次第でございます。  若干あとのほうにつきましては、まだ体制委員会論議をしたということではございませんで、やや個人的な私見が入っているかもしれませんが、一応皆さま方に、第四次対策を進めてきた、こういう経過問題点というものを御報告申し上げる上に必要ではなかろうか、このように感じた次第でございます。  最後に、やはり私たちの申し上げたいのは財政の問題でございます。以上で御紹介をいたしました当面の諸対策、その他石炭施策遂行のためには、どうしても財源が必要だ、このように思っております。これにつきましては、とりあえずは本年度末をもって期限切れとなることになっておりまする原重油暫定関税について、昭和四十八年度末までこれを延長するということが必要ではなかろうか、そして、それと同時に、当面は、現行ワクの中においてどのようにいま申し上げました推移をしていくのか、このような問題と、さらに今後の事態に備えまして、もっと突っ込んだ検討及び財政的な問題、こういうことにつきまして検討していかねばならない、このように思っておる次第でございます。  十分という時間がやや超過をいたしまして、まことに申しわけございませんけれども、そういったような趣旨で、ひとつ第四次答申が取りまとまったのだ、こういうことを御了解を得たい次第でございます。(拍手)
  6. 鬼木勝利

  7. 徳永久次

    徳永参考人 私、ただいま御紹介にあずかりました、産炭地域振興審議会総合部会の小委員会委員長をいたしておりまして、今回の答申審議に関係しました徳永でございます。  われわれ答申は差し出しましたが、それをまず実現していただくのは、国会の力にもよることでありますが、本日特にこの石炭対策特別委員会におきまして、産炭地域振興臨時措置法延長に関しまする答申につきまして、参考人として意見を述べる機会を与えていただきましたことを、あっく御礼申し上げる次第でございます。   〔委員長退席相沢委員長代理着席〕  私は、三十七年以来産炭地域振興審議会委員をつとめさしていただいておりまして、産炭地域振興につきましては、格別深い関心を持っておる一人でございます。本日は、答申案はお配り申し上げてあると思いまするが、若干の補足をさせていただきまして、答申概略説明させていただきたいと思います。  まず最初に、答申に至りまする経過説明いたします。現行産炭地域振興臨時措置法は、明年の十一月十二日をもちまして失効されるということになっておるわけでございますが、私ども答申の一番の骨子としまして、これをぜひ十年間は延長していただきたいということを、答申させていただいております。と申しますのは、産炭地域の経済的、社会的疲弊の実情にかんがみまして、本年、通産大臣から夏に審議会に対しまして、これをどうしたらいいのかという諮問を受けましたわけでございますけれども、私ども審議会におきまして、私ほか六名のものが小委員会を構成しまして、九州とか北海道とか現地もつぶさに視察をしながら、また産炭地域現状あるいは産炭地域振興施策、これまでの成果がどうなっておるか。また産炭地域が現在かかえておる課題というものを、できるだけ短い時間でございましたけれども、的確に把握することにつとめまして、その間約四カ月でございましたが、審議の結果、十一月十八日に、お手元にあるような答申をしたわけでございます。  その内容につきまして御説明申し上げますると、まず最初に、先ほど申し上げました産炭地域振興臨時措置法延長につきまして、ぜひ十年間を延長していただきたいということでございます。  その理由といたしましては、一つには、産炭地域現状を見てみますると、たとえば福岡市のすぐ周辺でありますとか、比較的立地条件のよい一部の地域を見てみますると、産炭地域振興の成果が着実にあがっておる面も見られまするところもございまするが、しかし産炭地域の大半の地域というのは、過去の閉山の影響の累積によりまして、なお疲弊がはなはだしく、さらにかなりの地域におきましては、この一両年の著しい閉山の発生によりまして、その経済的、社会的疲弊というものは、一そう深まりつつあるというふうに見るべきだと考えた次第であります。  さらにまた、産炭地域に山積しておりまする諸問題を解決いたしまして、産炭地域を新たな経済、社会、生活の場といたしまして再生、発展させるためには、事柄の性質上、またこれまでの長年の経験にかんがみまして、今後とも相当長期かつ継続的な施策が必要であるというふうに考えた次第でございます。  第三には、石炭鉱業をめぐりまする今後の情勢につきまして、先ほど体制部会の稲葉さんからお話がございましたように、なお今後の情勢もきびしいものがあるということ。このような幾つかのことを考えてみまして、産炭地域振興臨時措置法は、今後なお十年延長する必要があるという結論に達した次第でございます。  次に、法の延長とともに、産炭地域振興施策につきまして、一つには産業基盤の整備、二つには石炭鉱業に代替する産業の振興、三つには地方財政援助の強化、四つには生活基盤の整備及び地域環境の改善、五つ目には産炭地域振興事業団事業の推進、最後に産炭地域振興施策の広域的展開と、関係各省庁間の協力体制の緊密化という項目に分けまして、それぞれ改善充実についての提言をさせていただいておりまするが、順を追いまして簡単に補足させていただきます。  産業基盤の整備につきましては、かなりに整備は進んでおるとも思われまするが、しかし何と申しましても、いままでの石炭鉱業地域をいわゆる工業のほうに転換するとしますると、工場誘致につきましては道路整備とかあるいは工業用地の整備とか、あるいは通信網の整備とかいうような、産業基盤の整備というものがどうしても不可欠な要件となっておるわけでございます。今後さらに幹線道路の整備など、一そう促進することが必要でございまして、その点につきまして、関係各省におきまして十分配慮をしていただくことを要請したいと考えた次第でございます。  端的な例で申し上げれば、たとえば九州に、北九州 福岡間の高速道路ができる予定になっておりまするが、これがかりに五年先にもできておりますれば、いまごろははるかによくなっておったのじゃなかろうかというふうにも考える次第でございます。  次に、石炭鉱業に代替する産業の振興につきましては、中核企業の導入に努力しますとともに、地域の実情に応じまして、適地適性産業を振興しますために特別償却制度の延長など、税制上の優遇措置を講じることが必要であろうと考えます。また雇用対策につきましては、体制部会の答申にもございまするが、産炭地域進出企業のための雇用促進、住宅の建設など、産炭地域内での雇用対策につきまして、若干の改善、くふうをしていただく必要があるというふうに考えた次第でございます。それから地方財政援助の強化につきましては、産炭地域振興臨時交付金の増額と、その内容の充実をはかっていただきまするとともに、各種の公共事業を行なう地方公共団体に対しまして、財源措置の強化をぜひ要望したいと考えておる次第でございます。   〔相沢委員長代理退席、委員長着席〕 地域によりまして、ことに貧弱町村で道路整備等をやりたいと考えましても、その元金が十分でないというような苦痛を感じておる次第でございまして、たとえば離島振興とかいうような、かさ上げのようなことでもありますれば、なおいいのだがなというような感じもするわけでございます。  また、老朽炭鉱住宅の改良とか、閉山炭鉱水道の施設の整備とか、ボタ山の処理とかいった生活基盤、あるいは地域環境の改善を強力に推進すべきであると考えます。これは先生方産炭地域御承知のことと思いますけれども、それらの地方では、古い炭住、山も閉出しておりますから、朽ち落ちたような環境になっておりますし、あるいは山が閉山になりまして、そのころは水道があったのが、山がなくなれば、すぐ翌日から一般の水道に切りかえなければならないというようなこと、そういうこともなかなか器用にはまいっていない点がございます。  さらに、産炭地域振興事業団事業につきましては、これが振興措置の推進の母体になっておるわけでございますが、その事業団の融資とか土地造成等に、十分の事業規模を確保いたしまして、産炭地域の事業振興を一そう促進するようにしていただきますとともに、事業の運営に当たりまして、たとえば土地造成事業と鉱害復旧事業との組み合わせが可能な場面もありそうでありまして、この点政府の鉱害復旧事業のやり方と運用上の配慮とあわせまして、国家資金の効率的、弾力的な運用ということが必要であろうと考えた次第でございます。  最後に、産炭地域振興施策の広域的展開と、関係各省庁間の協力体制の緊密化をうたい上げさしていただいておりますが、何と申しましても、この地域開発の仕事というものは、各省の協力を得なければできない非常に広範な場面を持っておりますので、各省間の協調体制の緊密化がぜひ必要だと考えた次第でございます。  同時に、たとえば北海道におきます総合開発計画とか、あるいは地方におきます地域再開発計画のような、個々の市町村といいますよりも、それらの地域全体を包括した全体的な計画のもとに、いろいろな施策というものを、調和ある形で進めるということも必要であろうかというふうに考えた次第でございます。  以上答申概略だけを説明さしていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)
  8. 鬼木勝利

    鬼木委員長 以上で、参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより質疑に入ります。  通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  10. 岡田利春

    ○岡田委員 初めに、稲葉参考人にお尋ねいたしたいと思います。  第四次政策が実施されましてから、昨年は八百四十万トン、今年度もおそらく、へたをすると七百万トンに達するのではなかろうか、こう私は情勢認識をいたしております。といたしますと、大体、昭和四十八年度想定しました出炭規模が、ほぼ二年間で達成をされる、こういう実情にあると私は思うわけです。もちろん答申には、企業の当初計画と実情のかなりの食い違い、落ち込みという点が指摘をされておりますけれども、内外の情勢いろいろございますけれども、私どものことばで言えば、なだれ閉山の現象を続けた、こういう率直な認識をしてよろしいのではないか、実は私はこう思うわけです。  そういう観点から一、二お伺いいたしたいのでありますけれども、特に一般炭の問題については、一般炭のコークス化、低硫黄一般炭の問題、さらに電炭会社の延長の点について触れておるわけです。しかし、御承知のように、わが国原料炭は、原料炭一般炭が実は併産されるわけです。ですから、原料炭を把握する場合には、当然一般炭を把握しなければならない。こういう意味では中間答申は、若干欠けておる面があるのではなかろうか。中間答申だから、特に内外基調変化という面に重点を置いて、原料炭確保について指摘した。したがってこれは、包括的に把握する石炭についての今後の問題については、むしろ本格答申に譲ったというお気持ちかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  11. 稲葉秀三

    稲葉参考人 いま、岡田先生の御指摘になりました点は、要約をいたしますと二つに分かれると思います。  一つは、なだれ閉山が一体これからどうなって、それが石炭企業経営にどのような影響を与えていくのかということ。それから、私たち体制委員会でまとめました石炭対策というのは、原料炭確保ということを中核にした対策であって、やはり全体の石炭の局面、こういうものを考えた場合、もっと本格的な検討をすべきではなかろうか。また、それが今後どうなっていくだろうか、このような二つの点に分かれると思いますが、その一つずつにつきまして簡単にお答え申し上げたいと思います。  なだれ閉山ということに関連をしてでございますけれども、すでに先生が御指摘になりましたように、昭和四十四年度におきましては当初の実施計画では三百九十万トン、約四百万トンくらいの閉山というものを見込んでおったわけでございますが、これが大きく上回りまして八百五十万トン見当になっておるという事実がございます。そしてその背景といたしましては、石炭を取り巻くいろいろな事態変化、特に経営の問題ということがありますとともに、閉山交付金制度の大幅な改正が予想をされまして、新政策の施行を待って閉山が行なわれた、こういったような事実もあったのではなかろうかと思う次第でございます。しかし、本年度につきましては、合理化実施計画では三百万トンというものを見込んでおりますが、すでに現時点におきまして、閉山発生量がそれを大きく上回りまして、四百七十万トンになっており、また今後につきましても、やはり起こってくるのではないかと思います。先生のおっしゃった数字にまでいくかどうかということはわかりませんけれども、やはり事態が御指摘のようなところに進んでいる、そしてこれが行きつくところまで行きついて、そして残るものがはっきりして、それらを中核にして近代的な石炭業が進んでいくということになればいいのですけれども、最悪の場合はなだれ閉山、また石炭鉱業が非常に、もっとむずかしい事態におちいっていく、こういったような可能性を、これは石炭鉱業審議会、あるいは合理化部会とか、体制部会で決定したということではございませんけれども、私この中で特に政策懇談会とか、またあとで申し上げます需給部会、こういったようなものに関係をしておりまして、私自身としては、そういったような心配も起こりかねないような事態だということを、個人的に認めるにはやぶさかではございません。しかし、これにつきましては、私たちよりも日夜石炭のことを検討し、事実をもっと正確に把握をされておりまする通産省事務当局の御答弁も、よくお聞き願いたいと思います。  そのような過程で、これも先生が御指摘になりましたけれども、石炭というのは、先ほど私が申しましたように、原料炭だけ掘り出すというのじゃなくて、どうしても原料炭一般炭とがくっついて出てくるという性格の山が多い。そして、しかもなおかつ、原料炭に比べまして、一般炭の数量のほうが約二倍に及んでおる、こういうことを考えました場合、ただ原料炭だけ対策をする、あるいは原料炭引き上げをする、こういったようなことだけではなくて、やはり一般炭対策というものが補強されなければ、事態というもののマイナスを防止することができないのだ、この点は私たちも十分存じておりまして、そして、あと石炭業に対する御要請と同時に、需要業界に対しまして、ただ単に鉄鋼業界、ガス業界だけではなくて、一般炭を消費される業界、特に電力業界というものに対しまして、実は非常な折衝をしたり、いろいろお願いをしてまいった次第でございます。  ただ、率直に申しまして、原料炭につきましては、国際的な事情変化と、どうしても鉄を増産していかなければならぬという問題がございます。ところが一般炭、特に電力用炭ということになりますと、最近公害の問題が非常に深刻に出てまいりまして、しかも残存する一般炭の中で、やはり硫黄分の多い石炭が非常にたくさんある、そのような事態等もございまして、つまり自分たちが御協力をするにはやぶさかではないけれども、なかなかおいそれと協力ができないといったような問題がございます。  さらに、油につきましても、石炭用の火力発電につきましても、やはり公害というもの、あるいは粉じん対策というものを強化しないでは発電所が運営できない、地元の御協力が得られないといったような深刻な事態が起こっておる次第でございます。  しかし、いろいろな条件を考えまして、原料炭そのままではございませんけれども、一般炭につきましても、こういう事態ですからひとつ御了承を得たいということを、もっと早期にやるべきだったのでございますけれども、まあおくれまして、しかし、本年四月以降、そういったような形で認めていただくということをいたしました。したがって、私が先ほど申し上げましたように、原料炭が四十五年度で五百円と、それからトン当たり二百五十円上がった。それじゃもうそれで四十八年度までの石炭業はだいじょうぶかというと、実はそうではない。ここがやはり一番初めに御指摘になりました点と関連をいたしまして、私たちがまあ非常に悩みもし、苦労もし、何とか事態を打開したいといったようなことなのでございます。  次に、その二つの問題にわたりますけれども、とりあえず何らかの形において石炭業の崩壊を防止しなければならない、こういったような一助といたしまして、中間答申に述べましたことが実行されまして、一つ需要業界の御協力を得まして価格引き上げもして、そして賃金上昇その他からくるマイナスをある程度補てんをする。それからさらに、生産合理化対策につきまして、やはり前進的な措置、抜本的な措置をとっていただく、こういうことになった次第でございます。しかし、必ずしも御指摘のようにそれが全部ではございません。むしろ、ここで考えるべきことは、原料炭一般炭、双方を考えまして、そしてこれをどのように四十八年度まで持っていくか、また、それと並行して、四十九年度まで持っていくかということでございます。私たちはそういう問題がある、また検討しなければならないということを強く感じております。  しかし、今日までの経過から申しますと、直ちにそれが石炭対策と、先生のおっしゃるものと結びつくのではなくて、やはり当分はこういったような崩壊を少しでも食いとめる、また前向きの体制努力をするということを考えながら、他方エネルギーの中におきます石炭の位置づけ、さらにまた最近エネルギー全体の伸びが私たちの予想を上回っておるのと、それから外国にも見られますように、エネルギー構造の変化が非常に強い、そういったような総合的な立場も考えまして、その事態を判断すべきではなかろうか、こういうふうに考えており、また、そういったような立場で今後体制委員会とか、あるいはもっと根本的に、総合エネルギーの立場から石炭を位置づけるといったようなこととか、そういうものを引き続いてやっていかねばならないのではなかろうか、このように感じておる次第でございます。
  12. 岡田利春

    ○岡田委員 重ねてお尋ねしたいと思うのですが、答申の(6)に「閉山対策」が出されておるわけです。特別閉山交付金制度は三月三十一日で切れるわけですが、「本制度廃止に伴い必要と思われる措置について今後検討が行なわれるべきである。」十一月の答申なわけです。もう残すところ三カ月よりないわけですから、この点を早急に明確化しないと、かけ込み閉山という現象が私は出てくると思うわけです。もちろんこれは局のほうで考えるべき点だと思いますけれども、特にこの点について必要と思われる措置について、体制委員会としてどういう議論がなされたかという点を第一点にお尋ねしたいと思います。  それから第二点は、私の判断では今年原料炭が五百円上がり、一般炭、電力用炭が大体二百円程度上がったわけですが、来年度原料炭の値上げは——いろいろ困難はありますけれども、五百円程度の値上げは実現されるのではないか、こう私は今日の情勢を判断いたしておるわけです。そういたしますと、原料炭が上がったとしても、では一般炭の電力用炭が簡単に何かできるかということになりますと、今年の交渉の推移を見ますと、これは非常にむずかしい問題がたくさんあると思うわけです。しかしながら、いまの政策のきめ方は、当時の価格を固定して原料炭一般炭を考え、しかも原料炭を戦略的に位置づけ、あるいはまた原料炭炭層の動向等を分析した場合に、安定補給金について、そういう側面から差をつけておるわけです。しかし、原料炭一般炭と併産されてくるわけですから、同じ条件石炭を掘っているわけです。そういう面から見ると、価格前提が大きくくずれていくとすれば、政策としてはこの差をつけるということはもはや意味がないのじゃないか、少なくとも安定補給金については原料炭並みに統一すべきではないか、そうあることが望ましいのではないかという考え方を持っているわけですが、こういう点について特に御所見を承っておきたいと思います。  それともう一つの問題は、来年度石炭の最大の課題は金融問題、資金計画をどう達成していくか。これは答申にも触れられておるわけですけれども、これが最大の課題だと思うわけです。そして一方において、今日三井砂川でも災害が起きているように、保安の確保労働者の安定的確保という方向が、来年度現実的に対処しなければならない問題ではないかと私は思うのです。そういう意味で、今日の企業資金繰り等を分析いたしますと、何らかの措置はもうどうしても必要な段階にきているのではないか、こういう認識をするわけですが、この点についての御所見を伺っておきたいと思います。  最後に、四十九年度以降の問題でありますけれども、私は四次政策が——大体いままでは政策を立てて一年でまた新しい政策を立てるということが繰り返されたこともあるわけですが、一応なだれ閉山の側面を受けながら、今日炭鉱がまだ歯どめがかわれたというのは、炭価の問題について非常にタイミングがよかった。それが、ある程度の基調変化があったけれども、ささえてきた、こう言えるのではないかと思うわけです。  そういたしますと、今後の石炭政策を考える場合には、四十九年度以降の石炭の位置づけや展望というものを、タイミングを逸しないで第五次政策といいますか、そういう方向を示すことが私は最も望ましいのではないか。それは結局来年度中、三年度目を迎える来年度末までには、第五次政策というものを出さなければタイミングを逸するおそれがある、こういう実は考え方を持っておるわけですが、こういう点について御意見を伺っておきたいと思います。
  13. 稲葉秀三

    稲葉参考人 まず第一点の、今後の推移でございますけれども、私、先ほど御報告申し上げましたように、総合エネルギー政策調査のために、一カ月とちょっと外国に行っておりまして、そしてその行く直前に、この体制委員会の中間報告の取りまとめというものをやってまいりましたので、その後につきまして、どういう経緯が行なわれたかということはわかりませんけれども、一応漏れ聞くところによれば、やはり先ほど先生が御指摘になりましたように、もし、じゃ四十五年度は四百七十万トン以上、閉山がないという事態ではなくて、わりあい今後も進みそうだといったような傾向になっておるということは、事態を認めるにやぶさかではございません。そして、それにつきまして、でき得る限り早期に目安をつけまして、来年度の需給及び経理、こういったようなことにつきまして、体制委員会並びに需給部会、生産合理化部会、それからそのほかの部会におきまして、至急見当をつけねばならぬ時期に来ておりまするし、またそういうことに対する基礎的な作業は、石炭関係の方々と通産省事務当局におかれまして進行中である、このように聞いております。  ただ、体制委員会で、その後それにつきましてどういう討議をしたか、また勧告を通産省にしたのかということにつきましては、ちょうど私帰りましてまだ一カ月くらいになりますので、若干私として責任のあるお答えができかねる次第でございます。  それからその次に、今年度につきまして、原料炭一般炭引き上げが行なわれたということにつきまして御評価を賜わりましたことを、私たちとしては厚く御礼申し上げたい次第でございます。  ただ、来年度について、これがどうなるかということにつきましては、ひとつ私たち論議をする場と、あるいはこれは現実にやはり需要業界がどういうふうになさるかということとの話でございまして、いま私たち審議会できめて、そういうことになるからといって、すぐに発効するという性格のものではございません。まあ原料炭一つとってみましても、なかなかむずかしい経緯がございまするし、一般炭につきましては、さらにむずかしい経緯があったということは、まあその当事者といたしまして私も痛感をしておる次第でございます。原料炭につきましては、私はできるだけ早期に、四十六年度も——ここに徳永さんがおいでになるので言いにくいのですけれども、値上げをしていただくということに対しまして、業界の御協力を期待をいたします。しかし、これはまだ正式にどうこう運んだということではございませんので、期待をする、努力をしてみるということはやってみたいと思っております。また一般炭につきましても先ほど申したように、非常に事態が深刻化してまいりましたし、ことに公害対策、大気汚染対策、低硫黄化対策というものも日本としてはどうしても自粛をしていかねばなりません。私、実は政府の総合エネルギー調査会の低硫黄化対策部会の委員と専門委員会委員長をいたしておりまして、国会で御論議賜わりましたことは、今後日本としてそれに関する限りやっていかねばなりません。そうしてまた私たちがこれからやりますことは、実はヨーロッパでもやっていないし、アメリカでもやろうとしてやれなかったといったような、たとえば直接脱硫を推進をするとか、排煙脱硫を思い切ってやっていただくとか、そういったようなことにもなってまいる次第でございまして、それらを勘案をいたしまして、まあしかし、期待をするとか、やってみるとか、そういったようなことはやらしていただきたい、このように思う次第でございます。  それから、一応予想されまするところは、これも将来のことでよくわかりませんし、また政府は、来年度予算の編成に先立ちまして、経済見通しというものを現段階ではまだお出しになりませんので、来年度の経済が公式的にどういう姿になるかということは、まだわかりませんけれども、やはり今年度に引き続きまして相当賃金上昇があるし、そうして賃金上昇があれば、石炭鉱業だって全然それを無視をするというわけにはまいりません。おそらく一〇%でとまるということはなかなかむずかしいと思います。それらの場合からいたしますと、さっそく四十五年度につきまして、ある程度の歯どめというものが行なわれましたけれども、四十六年度についてそれが行なわれるかどうかということは、なかなか保証しがたいと私は思っております。  そういたしますと、何らかの形におきまして、安定補給金を入れました財政措置だとか、さらに基本的な対策前提といたしまして、金融的な措置をどうしていくのかという問題は、やはり当然登場してくるのではなかろうかと思います。  ただ、金融について、先ほど初めに申し上げましたように、私は過去十二年間実は石炭対策のお手伝いをしてまいりました。また、さかのぼって申しますと、終戦後、傾斜生産計画以来、御協力を申し上げているということでございますが、やはり日本の再建に、非常に大きな役割りを果たしていただきました石炭業の、ここで非常な運命の変化を経験しなければならなくなった、その運命の変化を、できるだけやわらげて何とか進めていくという事態で進行してまいった次第でございますが、そういったような観点に立ちまして、ひとつ私は四十八年度までのあり方と四十九年度以降のあり方というものを、総合的に勘案をして、それを一段階でいくか、二段階でいくかわかりません、それは、やはりこれから鉱業審議会の場で議論してみなければならないし、実情を把握をしてみなければならないと思いますけれども、そういったような手段で進行すると同時に、やはり四十六年度あるいは七年度のまん中くらいまで、事態をどのように認識をしてやっていくかという検討や、対策も、やはり必要ではなかろうか、こういうふうに思い、その中におきまして、過去十数年間、実は金融の役割りをある程度政府金融機関で肩がわりしてしまった、こういうことになるわけで、そういったようなことにつきまして、もう少しやはり地域産業としての石炭あり方について、金融機関が前向きな措置をとっていただく、またそれにふさわしい企業活動を経営の方がおやりになる、こういうことを目ざして、何とか事態を打開いたしたい、このように思っております。
  14. 岡田利春

    ○岡田委員 徳永参考人に二点一括して御質問いたしたいと思いますが、私はいままでの産炭地振興の答申から見て、思い切って、先ほど述べられたように、法律は来年通常国会で十年の延長をはかるべきだという点は、私は非常に高く評価したいと思いますし、当然、今日の産炭地振興の現状は、そうあらねばならない、こう実は思っておるわけです。問題は、先ほど申し上げましたように、なだれ閉山の中での産炭地振興、従来と比べてやはりペースが加速度的に進行していると思うのですね。しかも、大型閉山ということが、やはり顕著に、最近の経済の動向の中で、非常に深刻な状況というものが出てきておるわけです。そういう意味で、いかにこの答申を具体的に実行するための予算を確保するかという点が、特に今年は重要な課題であると私は認識しておるわけです。  そういう点と関連して二点御質問いたしたいのでありますが、一つは、従来農業については一応入っておりましたけれども、特に今度は農業及び水産養殖業、ここまでも書かれて答申をされたということは、相当やはり実情に合わして積極的にそういう面も包括しなければ、産炭地域の回復ができないところが顕著に出てきたという認識に基づいて、こういう点が書かれておると私は思うわけです。一方、政府としては、農村工業の導入ということが最近叫ばれて、一応腰だめの状態でありますけれども、その方向を打ち出されておるわけです。したがって、なかなか工業を誘致することができない地帯でも、農村でも工業の導入を計画しているわけですから、そういう意味で産炭地振興の場合にも、第一次産業を大幅に取り入れると同時に、農村工業の導入という側面とタイアップをしていくといいますか、そういうことも必要ではないか、そういう意味で実践的に各省との、他の関係省との調整を、積極的に進めることが大事ではないかということを、私は答申を読んで感じたわけです。この点について、どうお考えになっているか、第一点お聞きしたいと思います。  第二の問題は、特に最近の閉山地域、六条地域を見ますと、その町が半分に一ぺんに崩壊してしまうという現象が出てきているわけです。しかし、そこに緊急的に、できるだけ早くある企業を誘致をするということも、また非常にそういう地域ほど困難な情勢が大きいわけです。私は、いまの事業団の制度は、もちろんあらゆる面で優遇措置をとっておりますけれども、この事態に対処してもう一歩進めて、主導的な企業といいますか、先導的な企業といいますか、そういうものがある一定のあれで認められた場合には、そういうものについてはもう一歩進めた優遇措置をとる、こういうことが、これは法律の問題でなくして、事業団の業務方法書でもけっこうです、そういう方向が現状から考えて非常に望ましいのではないかという考え方を持っておるわけですが、この点についてお考えを承っておきたいと思います。
  15. 徳永久次

    徳永参考人 ただいま岡田先生から二つ御質問いただいたわけですが、先生は現地のことをお詳しいわけで、私から申し上げるまでもないと思いますが、第一番目の産炭地域にも農業いわゆる農林業関係、農林水産業関係も含めてという考え方でございますが、これは先生仰せのとおり、産炭地域というのは、いわば反面農業地帯という性格も持っております。いままで石炭鉱業で成り立ったような地域でございますから、それをある面ではインダストリーを持ってくるということは非常に大事なことで、そのこと自身も、最近の農業政策といいますかの中でも、最近の米作問題とか、いろいろなことをからめまして、農工一体というような考え方で、農業計画を進めていこうということで、農協その他もそういう感じで、いわゆる工業界との接触を深めておられるということも御承知のとおりでございますが、その辺は、従来産炭地振興をやっております工業誘致を中心にした政策というものと、十分調和がとれることでございます。  さらにまた、そのほかに、そうは申しましても、産炭地域が工業地域としまして適格を欠いておる場所がございます。たとえば北海道のある地域等を考えてみますと、工業の立地の面から見ますと、そこへ工業を誘致することがなかなかむずかしい場所というものが、やはり客観的に見まして免れがたいところがございます。そういうところにつきましては、農業と申しましても、新たに米をつくるとかいうことでなしに、園芸とかいう新しい形の農業の近代化的なものを進めていただくことが適当であろうと考えるわけでございます。幸い、たとえば北海道につきましても、あるいは筑豊につきましても、北海道庁の総合開発計画、あるいは筑豊につきましての再開発計画、筑豊の場合は、私も実は関係さしていただいたわけでございますけれども、地域全体をよく見まして、適地適産という形で、しかも、なるべく総合性を持ちながら、しかし、基本には石炭産業にかわるものを見つける、そこにやはり工業を持ってくることに大きくウエートを置かなければしかたがない、そういう感じでの政策が、道庁あるいは県でもとられておりまして、その方面の施策が今後実っていくことを期待したいというふうに考えております。  それから第二点の、なだれ閉山といいますか、最近の大型閉山に関連しまして、地元のたいへんな疲弊が起こるという問題でございますが、それに対しまして、産炭地域振興事業団についても、傾斜的な融資のやり方その他をすべきじゃなかろうかという先生の御意見でございます。これは私どもも同感でございまして、この辺、この審議の過程におきましても、またこの答申の中にもそういう感じは出したつもりでございますが、振興事業団の同じ金を出しますにつきましても、地域によりまして、そういうと悪いですが、大都市の近辺で、このごろの経済の移り変わりの中で、自然に発展していくような場所もなくはございませんので、その辺はもうあまり力を入れない、力を入れるところは、やはり六条地域の、急速に何らかの誘導措置企業の誘致をはからなければならぬ場所とかいうところ、それの閉山の影響がきついところには、融資の割合とか、あるいはその条件等につきまして、運用上の改善をはかって、傾斜的にやるべきじゃないかということで、振興事業団の責任者にも来ていただきまして、お話も聞き、討議もしたわけでございます。従来も、ある程度そういう感じではおったようでございますが、今後一そう、そういうことをやる必要性は、やはり事業団の責任者当局も認めております。ただ、それにしましても、やはり先立つものは金ということになりますものですから、産炭地域振興事業団の事業量の充実のための資金対策も、これは財政問題とからむのでございますが、先生方の御理解、ある御処置をお願いしたいというふうに考える次第でございます。
  16. 岡田利春

    ○岡田委員 どうもありがとうございました。
  17. 鬼木勝利

    鬼木委員長 相沢武彦君。
  18. 相沢武彦

    相沢委員 参考人の方、きょう午前中までの時間と聞いておりますので、簡単に一問ずつお尋ねをしたいと思います。  鉱業審議会のほうの中間答申に対するこれまでの御努力に対しまして、心から敬意を表するものでございます。今度出されました中間答申案は、通産省からの依頼では、第四次答申のときに論議された体制整備の繰り返しではなくて、現体制での業界の直面する生産や、あるいは流通問題を、どういうふうに改善するかということで審議をされたと思いまして、その点では審議会の方たちも、多少不意のところがあったんではないかと思うわけでございます。  それで、今回の場合に、原料炭確保ということがかなり言われておりますし、またそれに伴う労務者確保ということも出されておりますが、結局、現在すでに稼業しております新鉱も、あるいはまた先日着工した夕張にしましても、労務者自身の考え方は、いわゆる長期ビジョンがはっきりしないという点に不安を感じて、これから非常に重要だといわれている原料炭の山にさえもなかなか行こうとしない。そういう点で審議会でも、ここにありますように、四十九年以降の石炭対策あり方についても早急に検討すべきだ、こういうお話がありましたが、その辺のところについても、かなり強硬な意見というものが出されたと思うのですが、差しつかえなければ、ここに盛られなかった、いわゆる審議会の人たちの中でかわされたいろいろな会話の中から、こういった会話もあるんだということをぜひ知ってほしいという点がありましたら、この席でお聞かせいただきたい。  それから、産炭地域振興審議会のほうに一つ質問いたしますが、第六番目に「産炭地域振興施策の広域的展開と関係各省庁間の協力体制の緊密化」、これが出されております。これまであった具体例として、こういうとき、もう少し各省間の協力体制があればよかったのだがというような具体例が、もしか話に出されたとすれば、そういった内容をお聞かせ願いたい、こう思います。
  19. 稲葉秀三

    稲葉参考人 いまの先生の御質問、非常にむずかしい質問でございまして、体制委員会というものが、全体の体制あり方を議論しながら、どうも当面は原料炭対策を中核とするものになり過ぎたので、おそらく体制委員会では、ほかの問題も出ておったのではなかろうかと思うので、そういうことについてどのような問題が出てきたかということを御報告をしろ、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。——これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、先ほどの岡田委員さんが御質問になりました、つまりただ四十五年度だけじゃなくて、四十六年、四十七年、四十八年、あるいは四十九年度以降の問題も考えて、そして広義な石炭あり方というものをどうすべきか、こういったような問題が一つと、それからもう一つ出てまいりましたのは、当面四次対策に想定したよりも閉山も多くなる、それから経営が非常にむずかしくなったというのは、一つは人がだんだん減ってきた、それから賃金上昇してきた、出炭が減ってきた、そして、これで何とかある程度の石炭はできていくことになったんだけれども、ますますそれではなかなかやっていけないという問題が起こってきた。  それからさらにもう一つは、やはり一般的な労働市場というものが非常に隆盛になって、つまり企業格差、賃金格差といったようなものがよけいに起こってくる。そういうことになると、どうしても原料炭対策も含めて石炭業を上向かせやっていこうということになると、国の助成か、大幅な炭価引き上げといったようなことが要請をされる、こういったような問題。  さらに、そのほかいろいろな問題が議論をされました。  そして私たちは、体制というのを非常に広義に解しまして、石炭鉱業全体について出てきておるいろいろな問題を、お互いに議論し合おうということになりましたので、やはり当面のことを何とかしなければならぬということは事実だけれども、その背後に出ているいろいろな問題、さらに日本がここまで完全雇用になっているのに、ただ石炭労働者については、よそへ行かれるまでわざわざめんどうを見さしていただくといったようなことをやったらいいのか、やめたらいいのかといったような問題も出ました。  これらにつきましては、ひとつ通産省のほうから、もっとこまかいような御説明を別個お聞きになっていただきたいと思いますけれども、一つ私がここで先生に御報告を申し上げたいのは、実は根本的な非常に大きなジレンマというものが、現在石炭対策に出ておるということであります。それは、第四次の答申の線を尊重すべきか、ある程度情勢を突破して直していくべきかという問題であります。しかし、はっきり言えば、第四次答申というのは、私たちも議論をいたしましたけれども、国会の御了承を得て、四十八年度までこういう形でやっていく。当時、それに対する非常にむずかしい条件もあったのです。また、原重油関税だけではとても財源にならぬのを、ともかくこれだけのことをしてやっていくというふうな形で、財政措置特別会計までできてやったので、それをやはり根本的にくつがえして、たとえば安定補給金もどんどん差し上げるとか、あるいは賃金の一〇%より上がった三%、四%についてはどんどん国が出していくとか、あるいはそのほかの措置についても出していくという形になりますと、財政支出が非常に増加せざるを得ない。自然、ほかの予算だとか財源に迷惑がかかる。しかも、日本で将来のことを考えますと、なお石炭からくる公害対策とかいろいろな問題が起こってくる、こういうことを考えますと、一応当面の基本線としては第四次政策というものを尊重して、その中において車が動き得るように内部のやりかえと、それからその企業の御努力、こういったようなものを切望して、そしてやはり当面の事態を収拾すべきではなかろうかということになりまして、そういうことについて賛成の御見解と、それはどうも情勢が変わってきたんじゃないかといったような御見解の間の調整といったようなものが、実は議論の中で非常に深刻に起こった問題であった。それにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、むしろ、今後のことと関連をして、もっと掘り下げた検討を必要とする、こういうふうになっているんだというふうに御報告申し上げまして、あとの労働対策とか、資金、経理の問題とか、そういうことにつきましては、別の機会にこまかい御説明を事務方のほうからお聞き取り願いたい、こういうふうに思う次第です。
  20. 徳永久次

    徳永参考人 ただいま先生のお尋ねで、各省間の協力があったらよかったと思ったことがないかというようなお尋ねでございますが、この産炭地域振興の仕事といいますのは、言いますればきわめて広範な仕事でございまして、権限的に申し上げますると、ほとんど各省にわたる仕事になってまいっておるわけであります。これは、たまたま石炭の閉山に関連するということで、通産省が事務方をつとめておるということでございますけれども、通産省はいわば幹事役ということで、各省の協力を得なければできることでもないわけでございます。従来各省間の連絡、いろいろなこともやっておったことでございましょうが、私ども今度の審議会で、私どもなりに現地視察等も重ねたわけでございますが、聞くところによりますと、その際、ちょうどそのころ各省の公害、産炭地振興関係の方々が、おそろいで現地視察をいただいたようでございます。これは非常にけっこうなことで、百聞一見にしかずということでございますが、産炭地の疲弊というものは、いわゆるこのごろ騒がれております過疎、過密——過疎の問題よりももっと激しい形で出てまいるようなことでございます。それもやはり話だけではぴんとしませんので、私ども今度北海道に行ってみまして、雄別のある山のごときはほんとうに文字どおりゴーストタウンでございます。山が閉山になりまして、それまで八、九千人おったところが、半年くらいの間に千人もいなくなった。そんな現象というのは、日本の社会でちょっとほかに例を見ない現象だと思います。そういうことも口では言いますけれども、やはり現地を見ませんとなかなかぴんとしないことでございます。それにまずものごとの対策は、現状認識からということでございます。百聞一見にしかずということでございますが、そういうことを各省間でお始めいただいたということは、私、非常にけっこうなことではないかと思いまして、審議会の最後の総合部会答申のときにも、各省にもお礼も申し上げ、今後そういうことをたび重ねて、実情に即した対策をきめこまかく総合的に協力し合ってやっていただきたいということをお願いした次第でございます。
  21. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田畑金光君。
  22. 田畑金光

    ○田畑委員 初めに、稲葉参考人にお尋ねをしたいと思うのですが、今度の中間報告を見ますと、希望の持てる点が一つだけあるわけです。それは、「石炭鉱業は産業政策上必要な産業となって」きた、この意味です。これは前後の文章を読めば、原料炭ということだと思います。同時にまた、原料炭だけ出せでもないから、原料炭一般炭が一緒になって出てくる。その限りにおいて産業として必要である、こういう見方であると思います。  そうしますと、端的にお聞きいたしますが、原料炭だけしか出ない山があるわけです。こういうところについては、体制委員会の気持ちとしてはどのようにお考えになっておるのか。あるいは今後一般炭等については、どのような判断の上に立って、この中間報告を出しておられるのか、これが第一点です。  第二点にお尋ねしたいことは、原料炭については、鉄鋼が本年の一月から、ガスが二月から、需要家の、ユーザーの協力で五百円の炭価引き上げがなされたわけです。またいまの原料炭をめぐる情勢から見て、おそらくまた来年度原料炭については需要家は協力するであろう、こう私は判断していいのではないかと思います。しかし、一般炭については体制部会の皆さま方の御努力、弱腰の政府のしりをたたいて、ようやく電力業界などの協力引き上げ措置が行なわれたわけです。しかし、来年、ではまた電力会社その他に一般炭引き上げの要請をして協力してくれるかというと、それは不可能だと思うし、また体制委員会でも、ましてや石炭部等がそういう努力をする気持ちはないであろう、こう私は見ておるのです。そうしますと、結局、稲葉さん、労働力確保という面から見ましても、やはり世間並みの賃金を保障するということでなければ労働者の来手はないし、労働者が山にとどまることもむずかしい。原料炭山あるいは原料炭を出している山は何とかやっていけるかもしれぬが、一般炭に依存している山はやっていけない、こういうことだと思います。そこで、当然安定補給金、いわゆる財政措置によって、これらの問題を処理する以外にないのじゃないか、こういうことで、体制委員会のようなエネルギーに詳しい人方の集まりの中では、当然議論として出てきたものだと私は推察いたします。やはり一般炭については安定補給金で、財政措置でめんどうを見るべきではないか、このような議論が出て当然だと思うのでございますが、そのような考えはあったか、なかったのか。これが第二点ですね。  第三点として、この限られた財源の石炭予算、私は、この限られたワクの中の予算の運用によって石炭が生きるか死ぬるか、こういうことだと思います。そういう観点から見た場合、私は、いわゆる前向きではなくあと始末の予算、この中の炭鉱離職者対策の予算、あるいはまた主として福岡を中心として使われておる産炭地域の開発、就労事業の予算等については、もっと石炭予算全体のワクの中で、前向きに予算の運用をやるべしというのが、賢明な体制委員会の中の当然出てくる結論であろうと思っていたが、こういう問題については触れていない。この点についてはどういうようなお考えであるのか。  第四点としてお尋ねしておきたいことは、閉山対策としての特別閉山交付金制度というものは、来年の三月末でなくなるわけですね。しかし、この特別閉山交付金制度があったために、確かに四十四年に三百九十万の予定が八百五十万トンというなだれ閉山を招いたかもしれぬが、しかし、実はまた、たとえば麻生鉱業であるとか、杵島であるとか、明治鉱業であるとか、こういう大手の山等が閉山せざるを得ないという想定のもとで、この特別閉山交付金制度というものはできているわけです。私は、今後の石炭界のきびしい事情を見通すならば、やはりこのような制度が必要であると思うのでございまするが、この中間報告を見ますと「本制度廃止に伴い必要と思われる措置について今後検討が行なわれるべきである。」こういうことばで結んでおりますが、これはどういうお気持ちでこのような表現をお使いになっておるのか、この辺の事情を明らかにしていただきたいと思います。  さらに、次にお尋ねしたいのは、この中間報告に基づいて、四十六年度石炭予算の編成がえが当然なさるべきだと思うのでございまするが、体制委員会といたしましては、この鉱山石炭局を強く叱咤激励されて、あなた方の出された中間報告に基づいて四十六年度の予算が組まれるように十分指導し、助言していただきたいと思いますが、そういうようなことについて御意見。  最後に、四十九年度以降について、長期のわが国石炭産業のエネルギーに占める地位等について、あるいは先ほど来ビジョンということばがありますが、ビジョン等について当然検討されてしかるべきだと思いますが、これはあれですか、やはり通産大臣諮問がなければ、その問題について検討を進めるというわけにはいかぬということになりましょうか。あるいは石炭鉱業審議会自体で、そのような作業にこれから自発的に取り組むのかどうか。このあたりをお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 稲葉秀三

    稲葉参考人 非常にたくさんの、しかも非常にむずかしい問題、私たちが苦労した問題を端的におっしゃいまして、問題の御指摘に対しまして非常に敬意を表しますが、全部お答えができるかどうかわかりませんけれども、一応、私たち検討してまいりましたこと、また私個人が感じておりますことを御報告申し上げたいと思います。  まず第一に、原料炭の値上げは、昭和四十六年度においては期待できるけれども、一般炭の値上げというのは非常にむずかしい、それについて、やはり財政措置が必要ではなかろうか、またその財政措置について、特に安定補給金の増額についてどういう論議が行なわれたか、こういうことでございます。それについてお答えをいたしますと、紆余曲折を経まして、昭和四十五年度につきましては、原料炭はトン当たり五百円、一般炭は二百五十円の引き上げ、こういうことになりまして、原料炭につきましては、需要業界がやや前向きの御協力をいただいたのでございますけれども、一般炭につきましては非常に難航いたしたということは事実でございます。これははっきり申せば、体制委員会の仕事というよりも石炭鉱業審議会需給部会の仕事、並びに通産省事務当局の仕事でございまして、はっきり言えば、私たち努力をいたしましたけれども、それ以上に通産省の石炭関係者の方々は、何とかひとつ石炭山を再建をしたいという努力に燃えまして、非常な大きな努力を展開をされた、こういうふうに思っておりますので、その点は、来年度につきましても、ある程度のこと、あるいは相当程度のことはおやり願えるのではなかろうかと思っております。ただ、先ほど申しましたように、原料炭の値上げがスムーズにいくか、あるいは一般炭はもうだめか、こういうことになるわけでございますけれども、確かに私も先生の御判定のようなのが現段階におきまする客観的な判断だと思います。しかし、さらにそれにつきまして、もっと条件を考えました努力は展開してまいりたいと思っております。  それから、その次に、安定補給金の増額の要請があったのかと申しますと、体制委員会の中におきましては、明らかにそういう御要請を、労働組合の関係の委員さん、あるいは石炭鉱業関係の委員さんからは相当強く発言をされたという事実がございます。ただ、それが検討とか、はっきりそれが、結論づけるということに体制委員会としてなり得なかったということは、従来の第四次対策経過並びに現在四十八年度までというのを長期に見まして、その中において何とかやっていってということでございますから、国にそういうことを要請をする以上は、企業みずから、あるいは需要みずからにおいて、どの程度それをおやり願えるかということがなければ、なかなかむずかしい。まずやはりそちらについて十分の検討をすべきじゃなかろうか。こういったようなこともございまして、結局、今後もっと基本的な対策と関連をして検討すべきだ、こういうことになったというのが客観的なそのお答えだと、このように思う次第でございます。  それから、その次に、御指摘になりました安定補給金、閉山交付金というものにつきましては、ある程度やはりスムーズな推移というものを考えますと、これの増額を認めていかねばならぬ。そうでないと、私たちが予想したよりもマイナスの条件が全体として起こるという事実は、私、認めます。しかしはっきり申しますと、結局そのことは、石炭特別会計ワクを四十五年度、六年度、七年度以降において、どのように増額をしていくのか。こういったようなことによって決定をされるわけでございます。それにつきまして、先ほど私が経過を御報告申し上げましたように、じゃ、石炭が大事だから、ほかのものを捨ててもそういうところへどんどんやっていいのか、あるいは石炭については、なお業界あるいは需要業界について御努力を願う、そういうことと並行して、やはりこれを考えるべきか、こういったような問題が今後の検討事項になっておりまして、確かに事情がそのようなことになっておる。また、それがプラスになれば、ある程度悪循環が防止をされ得るということは認めますけれども、やはり大所高所から総合的に石炭対策を推進をする、こういう観点に立ちますと、実は体制委員会の場では、中間答申の段階までにつきましては、それについて一本化ができなかったのだ、こういうふうにひとつ御了承になっていただきたいと思います。  それから、その次に、指導助言ということでございますけれども、私たちはいま申し上げました立場から、今後の石炭あり方につきまして、できる限り通産省に対しまして指導助言をさしていただきたい、こういうふうに思っておりまするし、また通産省の石炭関係の方々とされましては、そういう線で御活動になっておるし、今後も活動をされるのではなかろうか、このように思っておる次第でございます。確かに、考えてみますると、炭価というのが非常に大きな問題になる、こういうことは私事実だと思っております。それにつきましては、四十六年度以降、さらに需給事情その他を見渡しまして、しかも、それが四十六年度一年のことではなくて、少なくともあと一、二年、さらに、その後においても、どのようなルートになっていくのか、こういうことについてやはり検討をしていかねばならぬと思います。  それから、言い忘れましたけれども、原料炭については、じゃ、掘れば掘るほど全部めんどうを見ていくのかということにつきましては、それは必ずしも私たちはそういうふうに申し上げたわけではございません。確かに、やはり日本の当面、並びにやや長期的な事情から申しますと、原料炭を増産をしていかねばならぬという必然性は認めます。しかし、原料炭だからといって、無限に、幾らかでも払ってもよいから、増産をしていってよろしいというふうにはまだ私たちは考えておりません。でき得る限り、やはり効果的にこの増産というものをしていただきたい。まあ従来、石炭に関係をしておりますと、同じ下から掘ってくる石炭が、一つ原料炭であり、一つ一般炭であるのに、これだけ格差があって、しかも今度は、またその格差が起こっていくのはおかしいじゃないか、こういったような問題すら起こっているわけでございます。しかし、ややいままでと違いまして、原料炭事情が変わってまいりましたので、やはり原料炭に依存の度合いを強くしていただくということは、石炭企業並びに石炭でお働きになっておる方々のためにもよいのではなかろうかということで、傾斜的にそういうものをやっていこう、こういったふうには考えております。しかし、それは何でもやれということではないわけでございます。
  24. 田畑金光

    ○田畑委員 最後の私の質問ですね。四十九年度以降の問題等について、あれは通産大臣諮問がなければ動かないのか、その点の御答弁を願います。
  25. 稲葉秀三

    稲葉参考人 四十九年度以降の石炭あり方について、やはり再検討をしなければならぬというときに私たちはきておると思います。しかし、その問題につきましては、御存じのように、総合エネルギー調査会という場におきましても、総合エネルギー政策と関連をしてやっていかなければならないと思っております。私たちは、いまやっておりますことを掘り下げてまいりますと、四十六年度以降、対策と関連をして、自然、そういったようなことにならねばならないと思いますので、通産大臣から別に御諮問がなければその問題に触れないというものではないのだ、こういうふうに御了承になっていただきたいと思います。これはやや政府場面でございますけれども、やはりそういったようなことに対しまして、根本的な検討を加えていきたいと思います。
  26. 田畑金光

    ○田畑委員 徳永参考人に一言だけ。  徳永参考人産炭地域振興審議会委員を十何年もやっておられて、いろいろ産炭地の振興問題については万事御承知になっておられるわけでありますが、今回のこの答申を見まして、いずれももっともだと思うのです。また、臨時措置法の中に盛られておる点を項目的にあげておられますが、これらの中で、特にいままでの経験から見て、産炭地振興のために大事なのはどの問題なのか、それをお示しいただければありがたいと思います。  ことに先ほど、あるいは農業、水産養殖業等々のお話あるいは園芸云々というお話もございましたが、今日はわが国の農業自体をどうするかという、政府全体として今後の農業のあり方をいま模索しておる時期でございますが、産炭地域振興事業団が農業や水産養殖業まで手を出すということが賢明なのかどうか、あるいは効率を期することができるかどうか、私ははなはだ疑問を感ずるわけなんです。  また、この答申を見ましても、関係官庁の横の連携、これはもう十年来唱えられてきたわけです。ようやく公害問題が世論のきびしい批判を受けて、そこで政府としても本年の九月から、総理府に公害対策本部を置いて、各省関係の調整をやったわけでありまするが、産炭地振興について、政府全体として各省が連携しながら取り組む姿勢をつくるには、もう時はおそ過ぎておると思うのですね。またタイミングをはずしておると思うのです。しかし、この答申の最後の項目に出ております。これは当然のことながら、しかし、タイミングがはずれておると思うのです。  そこで、結論を申しますと、今回出されたこの答申の中で、特に来年度の予算との関連等で、重点を置いて、これこれはひとつ善処しようという点は何であるのか、お示しをいただければありがたいと思うのです。
  27. 徳永久次

    徳永参考人 なかなかむずかしいあれでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、事柄の性質が、各省みんなの協力の要る仕事でございまして、それが、先生もお話しのように、いまから緊密化なんておかしいじゃないか、時期を失しておるというふうに、先生、先ほどもおっしゃいましたけれども、しかし、こういう仕事というものは、そう手っとり早くはかどる問題でもございませんので、それだからこそ十年間といって、臨時措置法がまだしていただく必要がございますよと申し上げたわけですが、と同時に、それをほんとうに効果的にやっていきますためには、通産の、世話役をしておる事務局が、ほんとの世話役というような謙虚なつもりで、関係各省の人と緊密に連絡をとってやっていくということ、それが先ほども相沢先生のあれでお答え申し上げましたように、おそまきながらことし初めて現地視察を各省の関係者でやっていただいたということ、これは私、やはり非常に大事なことだと思います。ぜひそういう会を——たとえば、これはそういうことを望むわけではございませんけれども、先ほど来体制部会の話を聞いておりますと、また今後でも、どこかにまとまった規模の閉山が起こるかもしれないというようなことでございますが、そういう際に、やはりそれの善後処置ということになりますると、やはり各省それぞれの職分に応じて手配をしていただかなければならぬことでありますが、そういうことにも、ふだんからそういう緊密な連絡体制ということを重ねておくことが、機動的にものを処置していくことにもやはり大事なことになろうかと思います。そういう意味で、決しておそ過ぎることはない。まだいまからの問題がたくさん残っておる。いまからでもやはり十年がかりの仕事なんだという意味で、一番大事なことじゃなかろうかと私は思っておる次第であります。  それから予算のことで、どれが一番大事か。これもなかなかむずかしい問題でございまして、それぞれ軽重に応じまして金額が違ったりいろいろいたしておりますので、私、その辺何とも申し上げかねるのでございますけれども、直接振興予算に関連する問題と、そうでないものとあろうと思います。直接振興予算と言うと変でございますが、たとえば特別交付金という制度が特別にとられておるとか、あるいは産炭地域振興事業団の資金とかいうもの、そういう範疇のものは、振興対策の費用として直接目につきますけれども、同時に、そういうことのほかに、建設省での道路予算、それのあとの運用の問題ということ、これは産炭地のための道路予算というようなふうには格づけられておりません。おりませんけれども、その運用の中での産炭地に必要な道路の整備費であるとかいうようなことが、どうしても必要になってまいります。同じようなことは、自治省関係でやっていらっしゃいます一般交付金の制度、これもその交付金制度の若干の改善とかいうような問題があろうと思いますけれども、そういう問題というのは、直接産炭地の端的な予算の形で出ておりませんけれども、金額の絶対量で申し上げれば、そっちのほうが大きいかもしれぬというようなことにもなってまいりまするし、その点も考えてみますると、どうせ道路予算等は、おそらくこの国会で予算もふえていくことであろうと思いますけれども、あとの運用で、産炭地に傾斜をつけて配分していただくというようなことは、やはり各省連絡会というようなものがうまく機能する、同時に、予算の審議の際に、具体的にワクづけはできないが、そういう運用をすべきであるということを国会でも強調して、要請していただければありがたいのじゃなかろうか、そういうようなことをいま私、感ずる次第でございます。     —————————————
  28. 鬼木勝利

    鬼木委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  昨十五日の三井鉱山株式会社砂川炭鉱災害につきまして、本委員会から現地に委員を派遣し、その実情を調査するため、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  また、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  31. 鬼木勝利

    鬼木委員長 引き続き参考人に対する質疑を継続いたします。  田畑委員に関連して、伊藤卯四郎君。
  32. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 一点だけお伺いします。  稲葉さんに。「石炭対策基調変化」というところに、「与えられた助成によっては事業の維持、再建が困難となる場合には勇断をもつてその進退を決すべきである。」という項目がございます。この「与えられた助成」というのは、具体的に言うとどういうことでしょうか。  それから、その量ですね。どの程度の量のことをお考えになっておるか、これでございます。  それから、勇断をもって進退を決するということは、これは企業家に言っておられるのでしょうか、政府側に言っておられるのでしょうか。この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  33. 稲葉秀三

    稲葉参考人 これは、第四次対策について申し上げておりますことで、第四次対策につきましては、国会のその後の御承認を得て、それが立証されたのではないかと思っております。  これは、御存じのように、昭和四十八年度を目標にいたしまして、約四千億円強の対策費を捻出をいたしまして、石炭鉱業のその当時は最後の対策、こういうことで、財政措置及びそれに対する関連措置、つまり閉山交付金、安定補給金、それから安定補給金の裏にはいろいろそれに伴う措置、それから合理化のいろいろな措置、こういうものを前提にして組んだものでございます。それを一つ前提にいたしまして、政府は、そのためにいま申し上げましたことについて、助成を行なっていただきたい、そして石炭企業は、この助成のワク内で最大限事業の再建に努力をしていただきたい。しかしどうしてもその条件のもとにやっていけない、こういうことになりましては、ひとつ勇断をもって進退を決していただきたいというのは、企業が閉山あるいは転換に進んでいただきたい、こういうことでございます。  それから、これは企業について申したことでございます。しかし初めにも申し上げましたように、そういうふうに私たちは想定をいたしましたけれども、その後の事態変化をいたしております。したがって、その変化に対しましてどういったような措置をとるべきかということが、とりあえず今回の体制委員会におきまする中間答申の骨子だ、しかし、これは中間答申でございまして、先ほど申し上げましたように、もっと根本的なあり方というものを引き続いて検討していかねばならない、このように思っております。
  34. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 安定補給金の問題は、委員会等でもかなり論議をされたということを伺っておりますが、安定補給金というのは、どの程度のことをお考えになっておられるのでしょうか。与えられた条件の中に安定補給金——いま稲葉さんも安定補給金の問題のことをおっしゃっていましたが、これはどの程度を妥当として大体与えられた条件といわれるのか、あるいはその額によって、これはそれ以上にやっていけるかやっていけないかということになるわけですか。委員会等で、安定補給金はどの程度必要であるという点において議論されたのであるか、それをちょっとお聞かせ願いたい。
  35. 稲葉秀三

    稲葉参考人 安定補給金の計算は、私もこまかいことは存じ上げませんけれども、その当時決定をいたしました線から申しますと、およそ三百円から六百円くらいを前提といたしまして、それを出炭に対しまして交付をしてさしあげる、こういいったような形のものでございます。しかし、そのほかにいろいろ生産措置でございますとか、それから前向きのことに対するいろいろな措置、こういうものが含まっております。そして、出てまいりました前提といたしましては、おおよそ、何もこの山をやめなさいとかそういうことではございませんが、そういうことにつきましては企業の創意というものを尊重する、一応の計算基礎といたしましては、昭和四十八年度生産を三千六百万トンくらい、こういうふうに想定しておった次第でございます。ただ、現在安定補給金を引き上げろという問題が出ておりますのは、はっきり申しますと、その安定補給金の基礎といたしましてやっておりまする生産量と、それから賃金上昇率が、その後私たちの計算よりは違った状態になってきた、こういうことによるわけでございます。
  36. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 その安定補給金を三百円から六百円——三百円というのは一般炭だろうと思いますが、六百円は原料炭のことをおっしゃられたと思うのですけれども、それは、今後新たに三百円、六百円の補給金は必要なり、それを補給してやらなければ与えられた条件にならない、こういうことでございますか。
  37. 稲葉秀三

    稲葉参考人 原料炭その他につきましていろいろ配慮をしておりますけれども、その当時私たちがきめました原則から申しますと、まず再建整備というふうなものに、わりあいあずかるところが少なかった中小炭鉱に対しましては、安定補給金のワクを増大をしていただく、それから原料炭につきましてやはりやや重点を置いていただきたい、こういうことをやってまいりました。したがいまして、これはさらに私たちは全体とのにらみ合いで、今後につきまして再検討をしていきたいと思いますけれども、現段階におきましては、先ほど申し上げましたように、体制委員会論議で、これをどのような形でどうしていくということにつきましては、結論が出ていないのだ、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  38. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田代文久君。
  39. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんので、稲葉参考人にただ一点だけお尋ねしたいのですが、昨日から本日、なお継続しております北海道の砂川の大災害の問題ですね。ことしは、北海道は正月早々から夕張に大きな災害があって、引き続きこの暮れの迫った現在、こういう大災害が起きている。私ども国民の代表として、この点は全く憂慮にたえない問題で、政府に対しましても、こういう大事故が起こるたびごとに、この次には絶対起こらないか、絶対起こさないという保障のもとに、政策を立てているかどうかということはいつも聞きまして、そういう方針を立てている、いつもそういう回答はありますけれども、実際においては何らこれは役立っておらない。そしてこういう大災害が起こっているわけですね。それでこの答申を拝見いたしまして、「保安対策」、(3)のところで、「石炭鉱山における重大災害の発生は坑内骨格構造整備が十分に行なわれていないことに起因する場合が多く、」こういうふうに書いてあるわけですね。この坑内骨格構造整備ということが第一面に出ているわけですけれども、こういう災害経過などを見ますと、こういう点もこれは十分整備しなければならぬことは当然でありますけれども、今度の砂川のあれを見ますと、一昨年から昨年二年間にわたって、連続して、この炭鉱は保安の優良炭鉱だというようなことで通産大臣が表彰しておるわけですね。そういう保安、安全性からいって、通産大臣が表彰しておるようなトップクラスのところで、こういう災害が続発しているという問題を考えます場合に、この答申結論として出ております保安対策、これで十分かどうか。私どもとしましては、これは先のほうで書いておりますけれども、「これに対処するため石炭企業自ら保安を確保する自覚のもとに骨格構造の整備について特段の努力を重ねるべきである。」ということがうたってありますけれども、こういう災害、今度のあれも原因はいまからはっきりされるのでしょうが、大体私どもが見るところでは、坑内の骨格構造、これが第一の問題じゃないんじゃないか。むしろこれは石炭企業みずからと、それからもう一つは、やはり保安行政に対して、政府自身の非常な甘さがあるのじゃないか。むしろ私どもは石炭企業政府自身の保安行政、この点を第一にやらなければ、いままでのことを繰り返すのではないか、どんなに政府が答弁したって何らこの問題は解決しない。また、災害が不幸にして来年一月から起こるかもしれないし、二月から起こるかもしれないということになるのじゃないか。そういう問題と関連しまして、第四項に労働者確保対策というものが出ておりますけれども、このように、どんなに石炭産業の重要性から、労働力確保しなければならないといってこういうことをうたいましても、もう炭鉱で働けば、自分の命は取られるのだ、手足がもがれるのだ、こういうことが既定事実になって、そしてそういう殺人みたいな行為が継続するということで、とても若い人がひとつ炭鉱で落ちついて働こうという気にはならないですよ。しかも賃金を見ましても、その他の労働条件におきましても、非常に悪いという中で、こんな災害が続発するということでは、幾ら労務者確保対策ということをうたいましても、これは効果がない。自分みずから労務対策を破壊してきているという結果にならざるを得ないと思うのです。そういう点で、私としましては、この第三あるいは第四との関連で、この答申に盛られておる意味はわかりますけれども、やはり石炭企業並びに政府の保安に対する政策の甘さ、この点を厳格にして、むしろ第一点にこれは出すべきじゃないかという考え方ですが、御所見をお伺いしたいと思うのです。
  40. 稲葉秀三

    稲葉参考人 実は一番初めに私申し上げましたように、ここ十二年間、正式に鉱業審議会委員といたしまして関係をしてまいりました。そして数次にわたりまして、石炭に対します申し入れというものを私たちからやっております。そして、そのつど私たちは人命尊重という立場から、ひとつ保安行政についてはもっとしっかりした確立をしていただきたい、それに対する人員整備、監督、試験設備というものについては、できるだけの措置をとっていただきたい、それと一緒に、やはり企業が人命尊重ということに対して、でき得る限り前向きの配慮をしていただきたい、こういったようなことを申し入れをしてまいりました。ただ、この中間答申というのは、先ほど御報告申し上げましたように、第四次答申以後のあり方ということに対しまして、どういったような配慮をしなければならないかということをやっておるものでございまして、特に私たちがこの中で配慮しましたのは、非常に炭鉱の金繰りが苦しくなりまして、そのような結果、保安設備に対する手ぬるいようなことが行なわれ、それが事故を発生するもとになっていただいては困ります、ぜひそれだけは何とかしていただきたいということをここに強調しているわけでございまして、その前提といたしまして、いま先生のおっしゃった国の整備、それから保安に対します責任体制の確立、こういうことをやっていただきたいということは、もう石炭対策の骨格として、こういう苦しいときだけれども、ぜひそれだけはやっていただきたいということを、何回か石炭鉱業審議会の場で論議もし、お願いをしておることでございます。この中にそういう点が盛られていないということは、確かに御指摘のとおりでございます。また、現在のような事故が起こっているということは、これは確かに私たちから申しますとまことにまことに遺憾なことでございまして、また国会のお忙しい先生が、わざわざ北海道に行っていただくということになり、しかも今回一回ではなくて、去年もことしもそういったようなことになっております。ただ、全体的な傾向から申しますと、災害は前に比べますとずっと減ってはおりますけれども、やはり基本的に問題がまだ解消していない、こういう判断に立ちますので、いまおっしゃったことにつきましては、私たちも今後の検討の場で十分尊重いたしまして、政府に対して、そういう申し入れをいたしたいと思います。
  41. 田代文久

    ○田代委員 終わります。
  42. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人には御多用中のところ、長時間にわたりまして、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)  この際、午後一時三十分まで休憩をいたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後一時五十三分開議
  43. 鬼木勝利

    鬼木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  まず、昨十五日の三井砂川炭鉱における災害について、政府から報告を聴取いたします。宮澤通商産業大臣
  44. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 十二月十五日、北海道空知郡上砂川町の三井砂川炭鉱においてガス爆発が発生し、死亡十五名、重軽傷者二十二名、行くえ不明四名、合計四十一名の多きにのぼる方々が罹災されました。  通商産業省といたしましては、この事故の知らせに接しまして、札幌鉱山保安監督局長及び本省の石炭課長をはじめ鉱務監督官を現場に急行させ、行くえ不明者の救出に全力をあげるとともに、本日小宮山政務次官を現地に派遣し、原因の究明等に当たらせることといたしております。  現場は坑道の崩落の危険性もありますので、救護隊による救出作業は困難をきわめており、現在なお四人の方が行くえ不明となっております。  災害の原因につきましては、行くえ不明者の救出後、徹底的に究明する方針でありますが、先般の三省炭鉱における事故にもかんがみ、石炭鉱山における爆発災害の根源の絶滅につき、関係者の注意を喚起した直後、このような重大災害の発生を見ましたことはまことに遺憾であります。不幸にして、今回の災害により、死亡されました方々の御冥福を祈りますとともに、今後通商産業省といたしましては、かかる災害を惹起させることのないよう、かたい決意をもって保安対策を一そう推進してまいる所存でございます。
  45. 鬼木勝利

    鬼木委員長 なお、現在までの三井砂川炭鉱災害経過現状、及び去る二日北海道砂川町において発生いたしました、三省炭鉱のガス爆発による災害について、事務当局から説明を聴取いたします。高木石炭課長。
  46. 高木俊介

    ○高木説明員 お手元にお配りしてございます資料によりまして説明さしていただきます。  初めに三井砂川炭鉱災害でございます。三井砂川炭鉱の第一坑でございまして、これは甲種炭鉱でございます。所在は、北海道空知郡上砂川町字上砂川二十二になっております。ここの保安統括者は、久我正芳さんでございまして、災害を起こしました個所は、第一坑の登川区域四六〇レベルの第三Bブロック付近でございます。災害の発生しました時間は、昨十五日の十一時三十五分ごろでございまして、災害の種類はガス爆発と現在のところ想定されております。  当鉱の出炭量は月に約九万一千トンでございまして、災害を起こしました登川部内に、九万一千トンのうち二万一千九百トンを月間出しておる山でございまして、原料炭の比率が約七〇%でございます。鉱山労働者数は全鉱で二千四百六十一名おりまして、登川部内には五百三十三名が従事しております。  罹災者数は、死亡が現在のところ十五名でございまして、負傷者が二十二名、行くえ不明が四名となっております。この負傷者の二十二名の中には、第三ブロックだけではございませんで、隣の第四ブロックというのが排気サイドになっておりまして、第四ブロックに従事しておられました労働者の方が十三名、COの関係で負傷者の中に入っております。  災害の概況でございます。十一時三十五分ごろ、第一坑登川部内の四六〇レベルの第三Bブロックにおきましてガス爆発が発生いたしまして、作業中の労働者四十一名が罹災いたしました。災害当日一番方の登川部内の入坑者は、直轄鉱員が百二十一名、職員が三十一名、請負組夫が五十四名で、計二百六名が入坑しておりました。このうち災害が発生いたしました四六〇の第三Bブロックには、四十四名が配番されていたわけでございます。災害の発色によりまして坑内におきまして圧風が起こりまして、十一時五十分ごろ退避命令が出されまして、先ほど述べました二百六名中百八十八名は自力または同僚に助けられ昇坑いたしましたけれども、うち一名は入院加療中死亡したものでございます。残り十八名が行くえ不明となりましたために、直ちに鉱山救護隊が招集されまして、救護隊は十三時三十五分に入坑いたしております。十六日、本日の五時までに十四名の遺体を発見いたしまして、なお四名が現在行くえ不明となっております。  災害が発生しました四六〇レベルの第三ブロックにおきましては、ナンバー3のサブレベル地並みで、水力採炭法によりまして採炭が行なわれました。第四サブレベル坑道及び第五サブレベル坑道は掘進中でございます。  最後に図面をつけてございますので、図面によりましてもう少し詳細に説明させていただきます。  一番最後の図面でございます。バツをしてあるのが死亡者の位置でございまして、ちょうど中ほどに採炭個所というところがございます。採炭個所と申しますのは、当日より作業を始めた個所でございまして、ここは水力採炭でございますので、火気の使用というのは考えられないところでございます。ただこの採炭個所の下にバツが五つ並んでおります。一つと四つの離れた中間くらいのところで、実は昨日の十時過ぎでございますけれども、探検隊が罹災者救出のために入りまして、ここで火災が起きておることを発見いたしました。そのために現在救出が延びておるという状態でございます。一時この火を消すために消火作業等の準備をいたしますとともに、ここにたまっておりますガスの関係を調査しなくちゃならぬものですから、それとの関係で時間が延びたようなことになっておりまして、一応けさの二時二十分でございますけれども、火が消えた、消火できたということで、ここの五名の方を救出したわけでございまして、その逆に反対側で行くえ不明の係員一、鉱員三というしるしを入れておりますけれども、こちらのほうにおられる方が、実はこの火が消えませんと、ちょうど二本線で坑道がナンバー2、ナンバー3の立て入れがここへきているわけでございまして、北立ての詰めのところが落盤いたしておりまして、ここを取り上げることによりまして行くえ不明と書いてある方向、これは北向きの第三レベルでございますけれども、こちらのガスが火の方向に流れる。そうしますと二次災害を起こす危険があるということで、この火を完全に消してからということで、いま行くえ不明の方の救出がおくれているようなわけでございまして、一時火が消えたと思われておりましたのが、けさ五時過ぎでございますけれども、再び再燃しておるというのを探検隊が発見いたしまして、いま消火のほうにつとめている状態でございまして、救出のほうが現在まで不可能であるという状態でございます。なお下のほうに第四サブレベルと書いてございますけれども、この図面でいきまして、向かって左側のほうになりますけれども、この先が掘進先でございます。ここは当日ハッパをやるような作業の指示を受けております。なお上の第三レベルのほうの北向きの行くえ不明と書いておりますところは仕繰りでございます。当時の模様からいきますと、第四サブレベルの上向きになっていますバツの書いてございますところのハッパであるか、あるいは採炭個所と書いてあります付近の自然発火であるかという点が、現在のところは救出のために原因の調査がまだできておりませんですけれども、ガスの停滞状況、火源という点からいきますと、自然発火であるか、あるいはハッパであるかは別としまして、火源はその二点しか考えられぬのじゃなかろうかというのが現在のところでございまして、いずれ罹災者の救出後、詳細に監督局で調査いたす考えでございます。  続きまして、同じくお手元にお渡ししてございます三省炭鉱のガス爆発の災害について、簡単に解説明いたします。  災害が発生いたしましたのは、十二月二日の午前七時五十分ころでございまして、ここの主省炭断は、同じく北海道の空知郡上砂川町でございます。鉱業権者、社長は塩谷猛さんでございまして、保安統括者は奥田富蔵さんでございます。災害発生いたしました個所は、東山坑の六片第三斜坑付近でございまして、これは坑口から約八百メートルのところでございます。災害の種類はガス爆発でございまして、罹災者は死亡三名、重傷三名、軽傷六名、計十四名が罹災しておられます。  操業の概況でございますけれども、当鉱は、昭和、三十三年八月に三井鉱山の鉱区に租鉱権を設定いたしまして、奈江炭鉱として操業に入りまして、昭和三十八年三月に鉱業権に切りかえ、翌年の三十九年一月に三省炭断と名称を変更いたしまして現在に至っている山でございます。災害の発生いたしました東山坑は、昭和三十九年三月に開設したものでございまして、稼行対象炭層は、東山層、間七下層、間七層、七番層及び七番上層という五層でございます。いずれも一般炭でございまして、現在は間七下層と七番上層を除く三層を稼行しておる山でございます。炭層の傾斜はそれぞれ約五十度でございまして、偽傾斜二十二、三度の柱店式採鉱法によって稼行いたしております。  災害が発生いたしました第三斜坑は、現在採鉱中の六片部内より下部に展開するための通気、運搬坑道といたしまして、十一月二十三日から災害発生当時まで、間七下層の沿層で約四十メートル延びております。掘進はハッパ、ピックの併用によりまして掘進いたしております。第三斜坑及び付近の坑道には、巻き立てから上部約二十二メートルの位置に、三十馬力の巻きが設置されておりますほかに、開閉器と信号線等の電気設備が設けられております。後ほど図面によりましてこれを御説明いたします。  当鉱の鉱山労働者数は、坑内が百三十九名、坑外が六十名、職員が三十一名で、二百三十名でございます。出炭状況は年間十九万二千トンで、今年度は月に二万六千トン平均の出炭をいたしております。  災害の概況でございますけれども、当日の入坑者は、一番方として五十八名、うち坑内員が四十六名で、保安員が六名、係員が六名、五十八名が入坑いたしまして、この災害に関係のある区域に配番された者は、下に表で書いてございますけれども、作業員二十名と係員四名でございます。  災害の発見の端緒並びに措置でございますけれども、十二月の二日、七時五十分ごろ、この保安係員でございます高野という係員が、四片を通行中庄風を感知いたしまして、誘導無線によりまして坑外の坑長に報告をいたしております。報告を受けました坑長は、坑長代理に坑内の点検を命じ、坑長代理が坑内点検いたしましたところ、煙を発見しまして、ガス爆発と判断した次第でございます。八時三十五分に、誘導無線によりまして、入坑している全員に退避命令を出すと同時に、共同鉱山救護隊の招集をかけております。九時に、三名を除き——これは入坑していた君でございますけれども、九時に三名を除きまして全員が出坑しております。十時に救護隊が入坑、十一時三十六分、救護隊によりまし三名の遺体を収容いたしております。  災害の現場の状況でございますけれども、これも図面に書いてございますので、図面のほうがおわかりやすいのではなかろうかと思いますので、図面で御説明さしていただくことにいたしまして、災害の原因に入らせていただきますと、火源につきましては、災害前後の状況から、ハッパ、自然発火の可能性というものは薄いというふうに判断いたしております。巻き座に設置されております信号電源用のケーブルに、線間短絡のあとが認められますので、これが着火の原因となったのではないかというふうに現在推定しております。  また、ガスの停滞の原因につきましては、その後、災害救出後、保安監督局のほうでガス停滞試験を実施いたしました結果、第三斜坑巻き立てから下部は、局部扇風機による通気が一応なされてはおりましたが、巻き立てから上部の巻き上げ機が設置されている第三斜坑は、通気的にニュートラル状態にあったということが判明いたしております。  なお、巻き座の上のほうが馬の背になっておりまして、ガスがたまりやすいような状況になっていたということがいえます。  三番目に、ロープ坑道に断層がございまして、その断層付近が災害前崩落し、かつ、断層付近から可燃性ガスが湧出していたのではなかろうかということ等から判断いたしまして、結局巻き座付近における電気器具による爆発というふうに現在想定いたしまして、その裏づけを実施している最中でございます。  最後に、次の添え図の図面でありますけれども、赤字でかいてございますところが火炎が延びたところでございます。  ちょっとおわかりにくいと思いますけれども、「災害発生箇所」とまるで囲んでございます。これが次のページにかいてございますので、次のページで説明させていただきますと、この電線系統でございます。  なお、この図面のうちに、「馬の背」と書きまして、まるでかいたところ、ここが、先ほど申し上げました巻き座でございまして、三十馬力の巻きがついておるところでございます。  ここのまるじるしの中をもう少し詳細にかきました配線系統図が下のほうにかいてございます。左のほうに「スイッチ」と書いてございまして、中ほどに「分岐点」としてございまして、中段に「切断」というところがございます。これは災害後切断されまして欠けていたところでございまして、その手前に「短絡による溶痕」ということを書いてございます。結局ここのところが火の原因になったのではなかろうかというふうに現在想定いたしております。  簡単でございますけれども、これをもちまして説明を終わらせていただきます。
  47. 鬼木勝利

    鬼木委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 鬼木勝利

    鬼木委員長 速記を起こして。      ————◇—————
  49. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次に、石炭鉱業審議会体制委員会石炭鉱業体制に関する当面の対策及び産炭地域振興審議会答申について、政府から説明を聴取いたします。宮澤通商産業大臣
  50. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府石炭対策につきまして、かねて種々御協力を賜わっておりますことにつきまして、厚く御礼を申し上げます。  本日は、最近石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会の両審議会から提出されました答申につきまして、午前中に両審議会委員の方々を招かれ、御審議があったわけでございますが、両委員の御説明にもありましたとおり、石炭産業を取り巻く環境は引き続ききびしいものがあり、施策の当事者であります私どもといたしましては、かかる情勢の進展に対処して、行政の運営に誤りなきよう、その責任の重大さを痛感する次第でございます。  このたび、両審議会から提出されました二つの答申につきましては、関係の各省とも協議の上、極力その内容の実現につとめたいと考えており、本委員会にも今後、法律案、予算案の御審議等を通じ、種々御協力を賜わることになると存じます。  このあと事務当局より、来年度予算概算要求について御説明をいたさせますが、私どもといたしましては、この重大な時期にあたりまして、審議会答申に相対し、かつは、去る九月のこの委員会における、原料炭確保に関する御決議等をも十分尊重いたしまして、財源の適正な配分に意を用いたつもりでございます。  具体的な内容につきましては、今後の予算折衝を通じて固まっていくことになりますが、この場でも、委員会としての格別の御意見がおありでございましたら、お聞かせいただきとう存じます。  終わりに、今後とも何とぞよろしく御協力をお願い申し上げます。      ————◇—————
  51. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次に、昭和四十六年度石炭対策特別会計概算要求について、政府から説明を聴取いたします。  まず、通商産業省所管について、木田鉱山石炭局長
  52. 本田早苗

    ○本田政府委員 お手元に差し上げてあります、昭和四十六年度石炭対策特別会計概算要求について御説明申し上げたいと思います。  総額は、歳入歳出とも千二十九億四千七百万円でございまして、昨年に比べて五十八億円の増加になっております。通産省の所管はそのうち九百十二億九千万円でございまして、百十六億五千六百万は労働省の所管ということになっております。この総額につきましては、当省といたしまして歳入、特に重油関税収入見通しに基づく要求でありますので、予算案として固まるまでには若干の変更があろうかと思います。四十六年度予算要求におきましては、特に石炭鉱業審議会中間答申にもありますように、石炭鉱業を取り巻く情勢は年々変化しておりまして、対策もこのような情勢変化に対応した、実効のある運営が必要とされて、おる事情がございます。反面、従来から行なっております多くの制度につきまして、その内容が年々拡充されてまいりましたことと伴い、予算財源も、これらの既定諸制度が当然必要とする部分に振り向けざるを得ない実情もございますために、限られた財源ワクの中で、弾力的な財源配分を行ない得る余地が、必ずしも広くないという実情にございます。四十六年度の予算概算要求のこういう実情の中で、既定経費等につきましてはできるだけ確保しながら、情勢変化に応じて財源の配分につとめたような次第でございます。この場合、本年度は、先ほど審議会体制委員会答申がございましたが、その答申にありますように、石炭鉱業をめぐる事態変化に即して必要とされる諸対策について審議が行なわれまして、午前中に報告されましたような御答申があったわけでございますが、概算をまとめるにあたりましてもできるだけ答申を生かすことにつとめたつもりでございます。そのために具体的には、中間答申が出された段階で、答申の内容に従いまして若干の概算要求内容の組みかえをいたしました。  次に、概算要求の内容の主要項目について御説明を申し上げたいと存じます。  第一番は、石炭鉱業合理化安定対策費でございますが、石炭対策費のうちで、石炭鉱業の合理化及び再建を促進するための諸施策と、閉山対策のための諸経費を合わせたものでございます。概算要求額は六百五十四億で、本年度予算に比べて十一億円の減少になっております。  主要項目について御説明申し上げたいと存じますが、第一番は、坑内骨格構造整備拡充等補助金でございます。従来坑道掘進費等補助金といっておりましたが、本年度は三十九億円が計上されております。石炭鉱山における生産の合理化が、国の助成及び企業努力の結果、逐年成果をあげてまいっておりますが、出炭の安定と保安の確保のためには、坑内骨格構造整備充実が今後とも重要であることは、体制委員会答申にもうたわれておりますし、当委員会においてもしばしば指摘されておるところでございますが、このため、本件補助制度につきましては、十五億円増の五十四億円を要求いたしますとともに、名前も内容にふさわしいものに改めた次第でございます。この補助金は、次に申し上げます石炭鉱業合理化事業団による坑道掘進融資と補完関係をなすものでございます。  その次が石炭鉱業合理化事業団の出資金でございます。当事業団による近代化機械の貸与、新鉱開発、坑道、住宅その他設備近代化等に対する無利子融資、整備資金等の原資に充てるものでございます。この出資額は、従来毎年百三億六千万円というふうに一定いたしておりますが、来年度答申趣旨を受けまして、資金の充実をはかるため、百二十二億円の要求をいたしております。  次が保安確保対策費でございますが、保安確保対策費は、資料の中にもごらんのように、幾つかの項目に分かれております。またさきに申し上げましたように、坑道掘進費補助金及び合理化事業団による融資制度の中にも含まれておるわけでございますが、これらを除いたものとして合計要求額は二十一億円で、本年度より三億円の増額になっております。  次が石炭増加引取交付金でございますが、石炭の需要確保のために、電力及び鉄鉱業者に対しまして、一定条件に当てはまる増加引き取りにつきましては、交付金を交付する制度でございます。要求額は五十億円と本年度に比較いたしまして十億円の増加になっておりますが、これは、本年度行なわれました、一般炭価の引き上げに伴う国の負担増対策を主たる内容といたしております。  次に、海底炭田開発調査費補助金でございますが、この予算は四十六年度の新規要求項目でございます。わが国生産構造の中で海底炭鉱の比重が増大しておりますが、海底炭田の探査は、従来技術的、資金的な理由から必ずしも十分でない実情にございます。答申にも要望されておりますように、今後の需要構造の変化に即応して、企業における確保、区域の転換を支援するためにもこの予算の新設が望ましいものと判断いたしまして、一億五千万円を要求しているものでございます。  次に、減少になっておる項目でございますが、一つは、炭鉱整理促進費補助金、すなわち閉山対策費でございます。特別閉山交付金制度が期限切れとなることに伴いまして、要求額が百二十五億円、本年度に比し三十七億円の減少になっております。  次が石炭鉱業再建交付金及び石炭鉱業元利補給金、いわゆる肩がわり費用でございますが、対象企業数が減少したことによりまして、それぞれ要求額が六十六億円、百六億円と、本年度対比で十億円の減少になっております。  石炭鉱業安定補給金は、生産量の減少に伴いまして、要求額が百四億円と本年度に比べまして十二億円の減少になっております。  次に、鉱害対策費でございますが、鉱害につきましては、最近行ないました全国鉱害量調査の結果、残存鉱害量が四十二年度調査の当時の八百五億円から、四十四年度末で千三百八億円というふうに相なりました。しかも閉山が進行することに伴いまして、無資力鉱害が半ばをこえるという実情に相なっております。このような膨大な残存鉱害量に対して、今後計画的にこれを復旧していくために、鉱害対策予算の拡充が必要となっております。とりあえず四十六年度といたしましては、十九億円増の百四十二億円を要求することといたしております。  次が産炭地域振興対策費でございますが、産炭地域振興対策は、これまで産炭地域振興臨時措置法に基づいてすでに十年になり、成果もあげつつありますが、過去の閉山が地域経済に与えた影響がなお回復されるに至っておらず、地方財政対策企業誘致等を通じます、地域社会経済振興対策としての産炭地域振興対策の重要性が、ますます加わるという実情でございます。本年は、特に産炭地域振興臨時措置法が、来年十一月に期限切れになるということにもなっておりますので、先ほど御説明をいただきましたとおり、産炭地域振興審議会におきまして、同法の十年間の延長とあわせて、対策の一そうの充実をという答申が出されております。われわれといたしましても、この答申を尊重いたしまして、目下延長のため法案の準備をいたしておりますとともに、予算要求におきましても、産炭地域振興事業団出資金産炭地域振興臨時交付金等の拡充を中心に十九億円増の八十四億円を要求いたしております。  以上申し上げましたのが当省所管の政策予算要求の内容の概略でございます。その他の予算は、事務費等のほか、労働省所管の炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費でございまして、これにつきましては労働省のほうから御説明をいただけるものと存じます。  以上、簡単ながら概算要求の概略を御説明させていただきましたが、われわれの要求でございますので、今後大蔵省との折衝の上、最終の政府原案がまとまることと相なることになりましょうが、われわれといたしましては、要求内容につきまして、できるだけ実現に努力いたしたいと存じておりますが、御意見をいただきたいと存ずる次第でございます。
  53. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次に、労働省所管の概算要求について説明を聴取いたします。遠藤失業対策部長。
  54. 遠藤政夫

    ○遠藤政府委員 労働省所管の来年度予算要求案について御説明申し上げます。  まず一点は、炭鉱離職者就職促進手当でございます。来年度八億円でございます。これは合理化閉山に伴います離職者に対する手当でございます。  それから第二は、炭鉱離職者緊急就労対策事業費補助金でございます。これは三十四億二千九百万円、三億円の増になっております。これは就労吸収人員ワクは本年度より減少いたしまして、賃金上昇に伴う単価増でございます。  第三は、炭鉱離職者の援護事業費の補助金でございます。これは、炭鉱離職者の再就職援護に伴う各種援護手当等の補助金でございます。二十七億円でございますが、前年度に対比いたしまして十四億四千九百万円の増になっております。この大部分は産炭地域の住宅建設費、これは来年度の新規要求の費目でございます。  それから第四番目は、産炭地域開発就労事業費の補助金でございます。これが四十三億七千七百万円で、本年度に対比いたしまして十二億二千万円の増でございます。これは人件費、機材などの増に伴う単価修正分でございます。  以上合計いたしまして、労働省所管分が来年度百十六億五千六百万円になっておりまして、本年度に対比いたしまして三十一億円の増ということに相なっております。  以上、簡単でございますが、労働省所管について御説明申し上げました。      ————◇—————
  55. 鬼木勝利

    鬼木委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田利春君。
  56. 岡田利春

    ○岡田委員 質問に先立って、今次災害で罹災された方々に心から哀悼の意を表したいと存じます。  今日、炭鉱においてガス爆発が発生をするということは、少なくとも近代炭鉱には原則としてこの種の災害がないというのが常識であり、しかも国際的にもまた常識であろうと思うわけです。世界の産炭国で、アメリカ、ソ連、中国、イギリス、ドイツ、フランス、また日本、カナダ、オーストラリア、こういう災害が頻発する国は実はないのであります。そういう意味で、この種の災害は、結局今日の炭鉱の置かれておる姿をそのまま物語っているのではないか、このように受けとめざるを得ないわけです。いわば今日の近代炭鉱には、こういう災害がないという常識にもかかわらず、災害が頻発をするということは、近代炭鉱以前の状態にあるという認識を残念ながら深めざるを得ない、こういうふうに私は考えるのでありますけれども、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まことに残念なできごとでございまして、遺憾に思っておりますが、だんだん採炭区域が深部に移ってまいりますとガスの湧出量がふえてまいります。ガス爆発等の災害の免険性が大きくなっておりますので、骨格構造の整備でありますとか、あるいは保安機器の設置促進でありますとか、ガス抜きでありますとか、保安専用機器の開発、保安技術対策の確立、さらにいろいろな意味での規制、監督、指導の強化というようなことにつとめてまいってきておる折であるのでございますけれども、炭鉱の側におきましても私どもの側におきましても、なかなかこれで十分というようなところまで現実の問題として行き切れていないということは、非常に残念なことでありまして、今後ともそういう施策の方向は当然強化してまいらなければならないと思っております。
  58. 岡田利春

    ○岡田委員 最近の災害の動向を考えてみますと、確かに就業人員が減っておりますから、死亡者数は減少はいたしております。しかし百万人当たりの統計でこれを分析してみますと、残念ながら年々災害が増加をしておるわけです。たとえば、昭和三十年の場合には五百八十人、三十五年には六百七十六人、四十四年には九百十九人と災害率はいま増加の一途をたどっているわけです。昭和三十年の五百八十人に対して、四十年は九百十九人でありますから、百万人当たりの災害率で見れば、実に倍近い増加をしておるという数字を、われわれは一体どう分析し、受けとめるかということが、これからの保安対策の重点でなければならないと思うわけです。今日、このように災害が増加をしておるのは、どういう事由によると当局は判断をされておるのか、この機会にあらためて見解を承っておきたいと思います。
  59. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やはり稼行区域が急速に深部に移行してまいりますので、ガスの危険がそれに伴って増大をする、それに対して十分に対処し切れないでいるところに問題があるのではないかと考えております。
  60. 岡田利春

    ○岡田委員 今度の三井災害報告が行なわれましたけれども、私の聞いておるところでは、その三日前ですか、先週の土曜日にこのブロックでガス突出が行なわれたということを、実は日曜日に現地のほうに参りまして聞いておるわけですが、そういう事実があるかどうか承っておきます。
  61. 高木俊介

    ○高木説明員 いま御指摘のガス突出ということは、今度私が参りましたときには話を聞いておりません。ただし、先週ここでガス抜きを、補助金を出して実施いたしておりますので、ガス抜きの総合検査のために、先週月曜日から金曜日までに詳細調査いたしているのは事実でございます。ただし、ガス突出が起きたということは全然聞いておりません。
  62. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、今日の炭鉱保安は、もちろん災害の絶滅を目標にするのでありますけれども、何といっても、重大災害としてわれわれが常に受けとめておる炭鉱におけるガス爆発、こういう災害だけは何とかこれを撲滅するというところにまず最重点がなければならないのではないかと思うのです。しかも炭鉱数が少なくなってきておりますから、保安監督についても、ずいぶんひんぱんに行なわれておるように私は受けとめておるわけです。たとえば、いま報告がありましそが、三省鉱業の災害の原因についてここに述べておるわけですが、いわゆるガスの停滞と火源の問題、二つにしぼられてまいりますけれども、火源が一応推定であるとするならば、火源がそういう形でガスに引火をしたという点については、引火の状況についてある程度考えなければならない点がございますけれども、ガスの停滞については、私は、非常に問題があるのではないかと思うわけです。それは何といっても通気が正常な状態にないということなんです。巻座上が馬の背であったかなかったかということは二次的な理由なんです。そういう点から考えれば問題は、最も生命線といわれる通気が正常でないということなんです。通気が正常でないから結局ガスが停滞をする。通気が正常であれば、ガスの停滞がないから、火源があっても爆発はしないということになるわけです。私はこう判断してまいりますと、いま炭鉱保安の確保で、監督官が入っていろいろ指摘をいたしておりますけれども、少なくとも今日の炭鉱数の激減した中では、こういう通気の状態については、もう少し厳格に指導されてしかるべきではないか。あるいはまた、今日炭鉱の経営者等においても通気の管理について、このような事態が発生をするということは、やはり何らか管理体制上の手落ちがあるのではないか、こう私は考えざるを得ないのでありますけれども、この点について御答弁を願いたいと思います。
  63. 高木俊介

    ○高木説明員 いま先生の御指摘の通気の問題でございますけれども、先ほどお手元にお配りしてございます図面によりまして、もう少し詳細に御説明をさしていただきますと、例のニュートラルになっている点ではなかろうかと思います。この点につきましては、図面に記載してございますように、第二斜坑巻き立てというまん中のところでございます。それから右のほうに参りまして、ロープ坑道という坑道が入っておりまして、崩落という図面があると思いますけれども……。三省の一番最後の図面でございます。ここに実はファンを据えていたようでございまして、実際に災害発生後の調査によりますと、この空間が焼けて落ちているということを確認いたしております。なお十一月にも監督官のほうで調査に行っておりますけれども、当時は、おそらくこのファンが動いていたのではないか。ここが動きまして、なお下のほうにも、第三斜坑の下のほうでございますけれども、これはファンがついておりまして、当時やはり同じように落ちたり焼けたりしておりますけれども、これはファンもそのままついております。ところが、上のほうの第二斜坑巻き立てのところの、マルじるしのところにございましたファンは、取りはずして、当時使ったような様子がなかったというのが実情でございます。  通気問題につきましては、保安局のほうとしましても、一番大きな問題でございますので、当然、先生先ほど御指摘のように、保安計画、あるいは総合検査というときには、最重点的に本問題と取り組んで、現地のほうで指導しておるというような状態でございます。
  64. 岡田利春

    ○岡田委員 先ほど予算概況の説明もございましたけれども、私は結局保安が確保できないで、しかも不安を持つ労働者炭鉱から離れていく、保安と労働力確保というのは、表裏一体の関係にあるわけです。こういう災害が続きますと、炭鉱は結局労働力確保できないで、労務倒産という、なだれの現象に追い込まれるのではないか。このことを私は非常に心配しておるわけです。そうすると、ここまでくれば、もう災害が起きれば閉山までにつながる可能性が強いわけでありますから、炭鉱の保安については、もう少し保安法上、労働者が積極的に保安の問題に参加でき得る道を切り開くべきではないか。私は、かつて三井三池炭鉱が爆発のときに、保安法が改正されて、労働者側は保安監督補佐員——当時のそれぞれの関係の妥協の産物として、監督補佐員という制度が一応生まれたわけでございます。その当時も、少なくとも労働者の保安監督員の問題については、非常に議論があって、むしろ学識経験者や、あるいはまた通産省は、非常に乗り気であったが、残念ながら変則的な監督補佐員という制度に終わったいきさつがあるわけです。そして、その当時から比べて、もう七年たっておるわけですから、情勢も非常に変わってきておるわけです。ここまでくれば、やはり労働者に、みずから法律的にも制度的にも、はっきりこの保安の面について発言の場を与え、参加を積極的にさせる、こういう意味で、保安法を根本的に変えるべきではないのか。さらにまた、法に準則する規則においては、保安を守る普通一般の作業の形態とは違った保安の伝達、こういうものを完全にチームワーク化して、そういう近代的な体制を保安の中にやはり導入すべきではないか。私はその決断のときに今日来た、こう判断をするのでありますけれども、この点についての見解を承っておきます。
  65. 高木俊介

    ○高木説明員 いま御指摘の、保安管理機構の問題でございますけれども、実は昨年、決議をいただいて、その決議をいただいた後、中央鉱山保安協議会の中に石炭委員会を設置しておりまして、現在までに四回ないし五回だと思いますけれども、いま御指摘の保安監督員制度、あるいは補佐員制度のみならず、現在各山で持っております保安委員会というものともあわせまして、今後どういうふうにこれを強化すべきかというようなことも、石炭委員会のほうで検討していただいておる最中でございます。
  66. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、いまの点については、やはりそういう点を明確に、立法的にも制度的にも取り入れていくことが労働者の信頼感を受け、いま労働者が集まらない情勢の中で、この石炭の歴史的な使命を果たさせていく一つの大きな道標になるのではないか、こういう見解を持っておりますので、この点、特に私は、強く実現方を要望いたしておきたいと存じます。  残念ながら、三井砂川の災害については、きょうはこれから調査班も出発するわけでありますから、詳しい内容をここで質問をしても、答弁ができないと思いますが、ただ私は、一つ問題点として、ここは登川層であるということです。空知炭田の登川層というのは、いままで災害もずいぶん起きておりますし、ガスの突出量も多く、ガスの湧出量も多いというのが常識であります。なるがゆえに、私は、三井砂川は最も安全な方法として、しかも自己で開発した水力採炭法をここでは導入したものと判断もできるわけです。なるがゆえに、水力採炭の現場では火源がないというのが普通一般の常識なんです。そういう意味で、この現場においてガス爆発が起きたということは、これは一体どういう事由でガス爆発を起こしたかということを徹底的に解明することが、私は今後の指針上非常に重要だと思うわけです。そういう意味で、私は、そういう認識を持って、今度の災害の原因の究明には対処すべきだという見解を持っておりますけれども、当局としてはどのようにお考えになりますか。
  67. 高木俊介

    ○高木説明員 登川層はガスの多い層でございまして、ガス排除ということには、山をはじめ、役所としましても力を入れておるところでございます。と申しますのは、当鉱のガス排除のために補助金も交付いたしまして、先進ボーリングによるガス排除を相当広範囲にわたって実施いたしております。そういう結果、切り羽面から出てきますガスは、〇・六から大体一・二ぐらいまでのガスでございまして、普通の山と変わらぬ程度のガスの状態に一応なした上での採炭を実施しておる。それになお、水力採炭によりまして、いま御指摘のとおり、ガス爆発あるいはその他の災害というものを防ぐ意味において、十分能率も上げていけるということでいまやっておる山でございまして、たまたま今回ガス爆発を起こしましたのは、先ほども御説明申し上げましたように、採掘あとの自然発火じゃなかろうか、あるいは掘進をやっておりますところに——ハッパで掘進をやっておりますので、そこの掘進先のハッパの影響じゃなかろうかというふうな点、おもに二点を中心にして今後調べたい、なお調べるべきであるという強い意思を持っております。ただし現在は、まだ坑内に四名の罹災者の方がおいでになりますので、全力をあげて救出のほうに努力をしているような状態でございます。
  68. 岡田利春

    ○岡田委員 そうすると、いま課長の説明では、一つには自然発火、一つには火源としてはハッパが考えられる。しかし一応文書報告された、あるいは口頭で説明されたものをずっと聞いておりますと、災害個所は、ナンバー3のサブレベルといいますか、ここではなかろうかといわれておるわけです。そうすると、掘進先は第四サブレベル、それから第三サブレベルの反対側、こうなるわけですね。このように私は先ほど聞いたわけですけれども、そうすると、一応爆発地点の想定というものは、この文書を読んだ限りは、そういう印象、そういうふうな報告に聞こえるのでありますけれども、そうともはっきり言えない。いわゆる第三サブレベルと第四サブレベルの掘進先のハッパの影響か、あるいは払いあとの自然発火の影響か、いずれにしても、ガスの湧出があったことは間違いないわけですが、ブロック的にいいますと、第三、第四を含めたブロックであるという、総括的なブロックをささざるを得ないというのが、現在の時点の災害個所の認定でしょうか。
  69. 高木俊介

    ○高木説明員 先ほど、説明があるいは足らなかったと思いますけれども、下のほうに、第四サブレベルというのがございます。右側のほうが南でございまして、左のほうが北でございます。北の、第四サブレベルのバツじるしを四つつけてあるところが、当日掘進のためのハッパをかけていた切り羽である。その上のほうの第三サブレベルの行くえ不明と書いてございますところの掘進先は、仕繰りで入っておりまして、火薬関係の携行はないというような状態でございます、現在までの調べた範囲では。  それと、第三Aサブレベルと書いてございます採炭個所でございますけれども、この上部のほうは全部採掘あとになっております。第三Aサブレベルのところで火を見たというその火が、自然発火から来た火か、あるいはガス爆発による火炎によって生じた火か、その辺のところはまだ詳細判明しておりません。現在推定されますのは、採炭個所と書いてございますところの自然発火か、あるいは第四サブレベルの北向きのバツじるしをしてございますほうの掘進先のハッパか、この二つではなかろうかということでございます。
  70. 岡田利春

    ○岡田委員 前回の三省の場合もそうでありますけれども、今回の災害の罹災者の中に、羽幌炭鉱が閉山になって四日目に災害を受けている、こういう報道もなされておるわけです。この四日目というのは、採用になってから四日目なのか、一定の訓練期間を置いて四日目なのか、私は非常に注目しなければならぬと思うわけです。炭鉱といえども、坑内条件は違うのでありますし、避難その他の面から考えても、やはりある一定の期間は教育をして、その山の実情をのみ込んで、現場に配属される。しかし、昨今のように労働力が不足であると、なかなかそれもできなくて、炭鉱の経験者なるがゆえに、すぐ現場に派遣しても仕事ができる、もちろんできないことはないでしょうけれども、保安の見地からいえば、やはり一定期間その移った坑内の条件等について訓練するなり、ある一定の周知徹底をする、そういうことを施してやるのが当然ではなかろうか、私はこう思うのでありますけれども、この点も、一応報道でありますから問題があるでしょうけれども、ただ、常識的にいえば、私は、保安管理者として、鉱業権者としては当然そういう措置をとるのが常識だという理解を持っておりますけれども、いかがでしょうか。
  71. 高木俊介

    ○高木説明員 御指摘のとおり、当日三省のほうで罹災しました方の中に、一日の日に採用になられた方で罹災しておられる方もおいでになりますし、当日二日の日に採用契約になられた方で、死亡されておる方もおいでになります。  ここは、羽幌から二十五名の配転予定を持っておりまして、十一月二十二日から二十六日の間にその二十二名の方が到着しておられます。二十六日の日に身体検査をされまして、十二月一日に一応座学をやられまして、当日二日の日は、見習いのための就業というようなことで坑内に入られて、たまたまこの災害におあいになったというような事実でございます。  それで、いま先生御指摘のように、教育という問題は、現に羽幌のほうで相当な実教育をお持ちにはなっていたと思いますけれども、当鉱の山に適するような教育が、はたして行なわれていたかどうかというのは、今後の調査に待たざるを得ぬのじゃなかろうかというように考えております。
  72. 岡田利春

    ○岡田委員 災害の問題で、調査後さらにもう一度この委員会でいろいろ議論されると思いますが、私は、大臣にこの機会にお尋ねしておきたいのは、先ほど概算要求で説明がありましたように、保安確保のために政府も予算をここに相当計上しているわけです。私は、そういう意味において、やはり来年度のこれらの資金を出すにあたって、少なくとも労使は自主的に、保安確保についてのある程度の、労使の協定されたといいますか、ある程度の合意をされたといいますか、そういうものを提出しない限り、この補助金は交付しないというぐらいの決意をこの機会に立てなければならないのではないか。でなければ、もう災害があればむしろ閉山の方向に行くわけですから、いまでもそういう非常にせっぱ詰まっておる状態に立たされておるわけですから、むしろそういうことが有効ではないか、言うなれば、自主保安体制といいますか、そういうものについて、こういう方向で今年はやりますという労使合意のものを出さなければ、この補助金はやらないというぐらいの決断と、同時に、政府政府の責任として、先ほど申し上げましたように、この労働者を思い切り——これはもう運命共同体ですから、炭鉱でもうけて、よそに投資をするなんて時代は過ぎたわけですから、労使が協力をして、石炭の歴史的な使命をまじめに果たすという時代なんですから、政府の側としては労働者を思い切り参加をさせていく、この点についてはぜひ勇断を持って対処をしていただきたいと思うのでありますけれども、この点について重ねて大臣の見解を承っておきます。
  73. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 保安関係の補助金を出しますときには、もちろん、ただ漫然と金を出すというわけにはまいりませんので、保安計画がしっかりしておるということを確認して、初めて補助金が出せるわけでございますけれども、その保安計画が立てられる過程において、ただいま御指摘の運命共同体といわれることばはまことに適切な表現でありまするが、当然労使の間で十分意思を通じ、研究した結果、保安対策が立てられまして、それに基づいて政府の補助金を出すということが、本来あるべき姿であろうと思います。
  74. 岡田利春

    ○岡田委員 残念ながら時間がありませんから、私はこれ一問で終わりますけれども、大体炭鉱の重大災害は、季節の変わり目に多発するというのがいままでの統計的な常識なわけです。いわば秋から冬に入る時期、あるいは冬から春先にかける時期、こういうあれがあるわけです。そういう点で、いままでそういう時期には、特に保安総点検とか、いろいろそういう指示を出されておるのが通例でありますけれども、今回の場合には、特に年末年始にかけてそういう指示を出されたのか、そういう指示を出す状態にあったのか、この点について承っておきたいと思います。  それと同時に、時間がありませんから、ほかの質問をずいぶん用意したのでありますけれども、全部没にしなければならぬわけです。ただ、予算上の問題で、この機会に要望しておきたいと思いますのは、この内容を見ますと、新しい予算の要求というのは、骨格構造の整備、すなわち、これは新区域に展開をする骨格構造に対して、特にこれを新しい政策として、坑道掘進補助金の中に総括をしたというのが第一点、それから海底炭田の開発調査費補助金を要求するというのが第二点、あとは、大体従来の政策の流れを来年度の方向に合わして、それぞれの予算を要求した、私はこういう内容ではないかと思うわけです。ただしかし、ここで問題になるのは、石炭増加引取金が、今度の一般炭の電力用炭の値上げによって追加されましたけれども、しかし、来年度の予算でありますから、来年度を展望すると、原料炭価の値上げ、この増加引取金の関係と、原料炭一般炭のいわゆる安定補給金の相違、この三つの問題点が私はここにあると思うわけです。したがって、来年の動向は私は非常に金融上たいへんな年になると思うわけであります。そういう一つの展望に立つ場合には、そのタイミングを逸しないように発動できるような弾力性を持つことが、来年度予算はきわめて緊要ではないかという考え方を持つわけです。新しい観点の予算は確保しなければなりませんけれども、私はそういう視点を持っております。そういう視点を含められておるか、あるいはまたこの概算要求で、今月中にきまるわけでありますけれども、そういう点について、そういう情勢に対応していくような意欲がこの中に込められておるかと承っておきたいのです。
  75. 高木俊介

    ○高木説明員 初めのほうに御指摘になりました指示の件でございますけれども、冬季対策、これはいつも冬になりますと、乾燥期ということで、災害の発生率も、発生可能性も高くなるのでございますので、御指摘のように局、部を通じまして、十一月の十八日に、「冬期乾燥期を迎えての保安確保について」という文書を出した直後でございます。  なお、最初災害発生後、十二月の十一日でございますけれども、これはニュートラルの問題ということで、いわゆる通気系統の確立という点で、再び通達を出しております。
  76. 本田早苗

    ○本田政府委員 御指摘の、安定補給金あるいは増加引取交付金の金額の間で、弾力的に運用できるかどうかという点につきましては、現在の予算の編成の仕組みからまいりますと、その弾力的運用はできないことになっております。
  77. 鬼木勝利

    鬼木委員長 相沢武彦君。
  78. 相沢武彦

    相沢委員 昨日起こりました三井砂川の炭鉱災害について、大臣にお尋ねいたします。  炭鉱災害を絶滅しよう、あるいは生産よりも人命第一ということが何回も繰り返されながら、本年に入りましてから、もう何件かの炭鉱事故が続きまして、昨日はとうとう本年最大の犠牲者を出す痛ましい炭鉱災害を引き起こしたわけでございます。今日、日本炭鉱企業が年々深部に移行することに伴う災害の発生率の増大ということがしばしばいわれ、それに対する対応策としての政府努力、またそれに伴う予算の増加等もやられておりますが、やはり、この炭鉱災害絶滅を期すための政府認識はまだまだ甘いのじゃないか、努力はしているけれども、完全を期すためにはこうしてほしいという要望が多数出されていながら、それを労使ともに、これならば完全だと言い切れるところまで、実際に炭鉱保安の面での対策がまだまだとられていない、こういう点が強く指摘されなければならないと思います。この点に対する大臣の御見解を承りたいと思います。
  79. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 炭鉱災害におきましても、また私ども中央の行政あるいは直接の保安の行政、長年の経験にかんがみまして、万全を尽くしておる、決して金を惜しむことはないという気持ちでおるわけでございますけれども、御指摘のような、だんだん深部に移っていくというような事態に完全に対処をし得ていなかったからこそ、このような事件が起こった、これはそう考えざるを得ませんけれども、こういう経験にかんがみまして、さらに万全を尽くさなければならないと思っております。
  80. 相沢武彦

    相沢委員 いまもお話がありましたように、二日の日には三省炭鉱の爆発事故がありまして、きのう起きました三井砂川とは隣合わせの近い炭鉱であります。しかも毎年十二月から三月にかけて、この期間には気象の変化に伴う、地圧の変化等に伴うところの災害の事故件数が多い。しかも大体同じような地層条件を持った炭鉱に対する、地元の監督局の現地調査あるいは視察というものは、やはりなされるべきではなかったか。お聞きしますと、災害発生が予想されるので、注意をするようにという通達は出されておりますけれども、一片の通達でこういった危険な期間に入っての保安対策としては、やはり手ぬるかったのではないかということが言えると思うわけであります。また、ガス測定に対する手抜きがあったのではないかということが考えられるのであります。私が聞いた話では、前日にガス測定をこの三井の場合も三回ほどやったそうでありますので、突出部にガスが発生しやすい状態になっておった、ガスが多いということは当然わかっていたわけなんですが、こういった点の保安監督の面に対する、危険性に対する認識が、坑内の従業員にも非常に欠けていた、また隣で起きた事故に対して、それを敏感に察知して、自分の炭鉱から絶対事故を起こすまいとする企業内におけるそういった努力、またその注意を促す監督行政の指摘、この辺の連携の不十分といいますか、もう一歩深く突っ込んでやっておけば、あるいは未然に防げたのではないかというようなことが考えられるわけであります。現在、事故原因の究明中でありますので、真因はわからないにしても、やはり終わったあとから、もうちょっとここを気をつければ、あるいは行政を強めれば、あるいは未然に防げたということも何点かあがってくる例が多いのでありまして、この点に対する現地の、この三省炭鉱の事故が起きた後の実際的な監督の行政のあり方はどうだったか、この点を承っておきたいと思います。
  81. 高木俊介

    ○高木説明員 初めに三井砂川のほうから申し上げます。  本年度、三月から申し上げますと、三月二十五日から二十八日、そのほか同じく二十九日、四月、五月二回、六月二回、七月二回、八月一回、九月四回、十月一回、十一月一回、これが巡回検査並びに総合検査という形で現地に行っておりまして、そのうち、ガスに関係のある登川区域で、違反と申しますか、ガスの排除に注意を必要としましたときが、五月の二回目のときと七月に一回ございます。そのほかの調査のときは、当然監督官は測定器を持って、各部分はかって測定しながらまいりますけれども、違反事項として認められたことはございません。またこの山のみならず、もし監督の場合にそういう違反の事項がございました場合は、部分的に操業を停止させまして、改善するまでは操業停止という強い姿勢で臨んでおります。  なお、三省のほうでございますけれども、三省のほうは、一月から十一月までの間に、これは毎月一回ずつ行っております。これも、直接今度の災害に関係あるようなガスのための違反事項というのはございません。ただ部分的に空間の漏風とかあるいは気流中のガス——七月と九月にガスの問題でちょっと指示していることがございますけれども、これは、根本的なガスの問題としての違反事項ではございません。先ほど申し上げましたように、監督官は、常に測定器を持ちまして坑内を検査しておりますので、もしその場合違反というような事項がございまして、それが重大災害につながるような大きなミスをおかしているようなものであるならば、操業を停止させまして、改善するのを待って仕事をさせているような状態でございます。
  82. 相沢武彦

    相沢委員 三省の炭鉱ガス爆発のあとで、三菱の大夕張の社長は、思わず、これでうちの山からも何人かまたやめていくのではあるまいかと口走って、頭をかかえたそうでありますが、引き続いて今回のこの大量の被災者を出した事故によりまして、北海道はもちろん、九州方面にまでも炭鉱従業員の流出ということに及ぶのではないかということが、非常に憂慮されます。現在金融面においても非常に逼迫している、また、労働者不足による労務倒産ということをかかえた炭鉱企業としては、一回のこういった炭鉱災害が、炭鉱企業の崩壊につながるということは前からいわれている。しかも、今回の事件でどれほど大きな影響をもたらすかということを考えますと、何回も言い古されたことでありますけれども、二度と再びこういった災害を起こしてはならないということを、私どもは心に銘記して、ありとあらゆる方法を講じて、炭鉱災害絶滅に対する努力をしていかなければならぬと思う次第であります。また、政府当局におきましても、これまで以上の炭鉱保安に対する御努力を強く要望する次第でございます。  それに伴いまして、保安関係に対する予算の面でお聞きをしておきますが、鉱山保安確保事業費補助金として、前年度に比べましてかなり増額はされておりますけれども、はたしてこれで、今回体制委員会から出されております答申にこたえることができるかどうか、この点に対する御見解解を承りたいと思います。  また、概算要求では、その他一億六千万円ですか、計上しまして、鉱山保安技術調査委託費あるいは炭鉱保安専用機器開発費補助金、その他鉱山保安センター管理費補助金、放置坑口閉塞工事費補助金等が計上されておりますが、なかんずくこの鉱山保安センターに対する補助金、これは今年と比べてどれくらい見積もっているか、また鉱山保安センターに対する重要性をどのように考えておられるか、この点を承りたいと思います。
  83. 高木俊介

    ○高木説明員 予算の関係でございますけれども、来年度の予算といたしましては、公害保安局オンリーの予算といたしましては二十一億九千四百万ということで、今年度に比べまして二億七千八百万の増額要求となっております。このほかに、保安といたしましては、例の骨格構造の問題、これを整備するのは坑道掘進でございます。掘進のほうにつきましては、先ほど鉱山石炭局長のほうから御説明いたしましたように、十五億の増というもので予算要求いたしておりますけれども、この内訳といたしましては、三年間で千九百キロメートルの掘進をやろうという会社の計画がございます。これだけでは骨格構造が満足な整備がされないという認識のもとに、これはうちだけじゃございませんけれども、例の石炭審議会先生方にお願いをいたしまして調査検討いたしました結果、千九百キロに二百五十キロをプラスするという考えが入っております。これだけのメーター数を実際掘進していただけるならば、現在約六カ月から七カ月くらいしかない余裕期間が、十カ月以上になるという目標を立てて、まず大きなのは骨格構造の整備ではないかということで、重点な置いて予算要求しておるような次第でございます。  なお、保安センターの件でございますけれども、保安センターは事業者の自主的な保安活動を促進する目的のために、労働災害防止団体法によりまして設置されました、鉱業労働災害防止協会に設けておりまして、その活動の内容といたしましては、主として現在までは、鉱山救護隊の教育訓練を中心にやっていたものでございます。そのほかに新技術教育あるいはその他の教育を、救護隊の救護訓練のほかに実施いたしておりますけれども、主体は鉱山救護隊の教育訓練でございます。その活動に要する費用は、会員会社の会費で、事業者の負担によるほか、石炭鉱山の救護訓練に対しましても、保安上の重要性にかんがみまして、特別会計から補助金を交付いたして運用いたしております。鉱山保安センターは、本来事業者の自主的な活動によりまして、鉱山保安教育を促進する機関でございますけれども、石炭鉱業現状よりいたしまして、今後その運営というものが、山数の減少あるいは労働者数の減少というものから考えますと、今後十分に行なえないのではないかというようなことも考慮されますので、今後その活動の強化拡充をはかるべく、大蔵省のほうにも現在交渉中であります。内容といたしましては、救護訓練のみならず、新技術教育に対しても補助をいただくようにということで現在交渉いたしております。
  84. 相沢武彦

    相沢委員 制限の時間が参りましたので、これでやめます。  なお、体制委員会からの中間答申等が出ておりまして、これに対する質問等も、各委員もかなりお持ちのようでありますので、また日を改めて委員会を開催し、質問さしていただきたいと思います。
  85. 鬼木勝利

  86. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 北海道にあのような不幸な事件が起きておりますので、本委員会からお見舞い、実情調査に出かけるので、十分間程度できょうはおけ、こういう委員長からの要請でございます。これはもっともだと思いますので、一点だけお伺いいたします。  それは、けさ御存じのように石炭審議会の代表として稲葉さんが見えまして、稲葉さんに質問をいたしました。その質問というのは、与えられた助成によってやっていけないというようなこと等があったら、勇断をもってその進退をきめろ、こういう文章がありますので、その点につきまして、実は与えられた助成というのは、具体的にいうとどういうことですかということを聞きました。ところが、稲葉さんは二、三私との間に応答しておりますうちに、四十六年度、いわゆる明年度になるわけでございますが、三百円と六百円炭価の値上げをするということにいたしておりますというようなこと等を言われたわけであります。もちろんその答申案には書いてありませんから、そこで私は議論の結果どうなったんですかと言ったところが、いま申し上げたようなことを稲葉さんは答えられたわけでございます。これは非常に重大な問題でございます。当然これは安定補給金として、一般炭を三百円、原料炭を六百円値上げをするということであるわけでございましょう。ところが、先ほど局長が予算要求についての説明をされた中で、安定補給金はと見てみますと、本年度と明年度とすると、明年度は十二億円ばかり少なくなっている。そうすると、この審議会答申で、文書に載って大臣には答申されてありませんけれども、非常に議論をされたその結果において、そのようなことが明らかにされてきたわけでございます。でありますから、おそらく委員会には政府委員の人々も出席をしておるわけでございます。また、大臣は鏡に映したように逐一知っておられるわけですが、そこで一体この審議会答申、あるいは議論された内容等を尊重するということであれば、明年度は、一般炭の三百円と、原料炭の六百円をトン当たり値上げをしなければならぬということになることは当然でございます。ところが、安定補給金は、いま申し上げたように、本年度と明年度と比較すると、明年度十二億円少なくなっておるようですが、この辺の点を、大臣は、一体明年度石炭の健全な経営を維持するために、どういうようにお考えになっているか、それをひとつお聞かせ願いたい。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 答申につきましては、基本的な考え方はもとより尊重いたしてまいらなければならないと思っておりますが、ただいま御指摘の点は、ちょっと事実関係がございますようですから、政府委員からお答えいたします。
  88. 本田早苗

    ○本田政府委員 午前の稲葉委員に対する御質問に対して、稲葉委員がお答えになった内容は、私はかように理解いたしております。  先ほど御指摘の、政府石炭再建のために云々ということにつきましては、これは第四次の答申の文言をそのまま引っぱってまいりまして、第四次答申の基本的な考え方はこういうことであった、しかし最近の石炭鉱業に見る情勢が変わってまいったので、特に原料炭について変わってまいったということがありますので、政策の重点は、こうした情勢の変化に即して、重点の置き方を考えねばならない、こういうふうに考えております。  そこで、価格の問題でございますが、現在の安定補給金は、先ほど三百円ないし云々ということがありましたが、非常に複雑になっておりまして、再建交付金をもらっておるもの、もらっておらないもの、一般炭原料炭ということで、八つのグループに分かれておりまして、百五十円から六百円まで分かれておりますが、これらの安定補給金を、特に一般炭について引き上げるべきじゃないかという問題の御指摘に対しまして、先ほども、お答えは必ずしも伊藤先生のお答えではありませんでしたけれども、安定補給金の問題はございましたけれども、その前に四次策としては、政府財政負担の大ワクというものもきめて考えたという事情もあるので、石炭企業さらに需要業界が、その合理化あるいは協力についての考え方もよく見きわめた上でなければ、判断がしかねるということで、その点については触れておりませんということであったわけでございます。われわれといたしましては、安定補給金の引き上げという答申を、当面の中間答申としては受けておらないわけでございますので、安定補給金は今後の出炭の見込み量が減少いたしますこととからんで、炭価をそのまま計算いたしましたので、十二億円の減少になっておる、こういうことに相なっておりまして、安定補給金問題は、なお今後の検討問題に相なっておる次第でございます。
  89. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私がいま申し上げたことは間違いありません。稲葉さんが三百円と六百円の問題を出したとき、政府委員のほうはだいぶあわてておった。とんでもないことをこれは言うてくれたとたぶん思ったのではないか。私は、実は時間があれば政府委員のほうに、委員会は大臣の諮問機関として独自の権威を持っておるのであるから、その審議会の代表者がわれわれの質問に対して答弁をするのに、そんなにあわてて、それを何かはっきりさせないような答弁にしよう、させようとしておるようなことはけしからぬと実は私は思ったので、注意しようかと思ったけれども、時間がないしそのままになってしまっているのですが、私は、稲葉さんがそう言うたから言わないからということを、ここで文句をつけようと思っているのではないのです。実際問題として、炭鉱側の公にしておる点を見ますと、いまのままでも二百円の赤字になるということは明らかに数字の上で出している。ところが労働組合のほうあるいは職員のほうでは、当然賃上げの問題が出てくるわけです。賃上げの問題で一五%を上げる、そうすると大体五百円ぐらいトン当たりの値上がりになるだろうというように概算されるわけです。ところが五百円上げても、一般工場側の大きいところと比較をすればまだずっと安いのです。しかし労働組合、職員組合などでは、われわれも努力をしなければならぬというので、能率によってそれを百円は補いをしよう。少なくともそういう点から、六百円の赤字になるものを五百円程度に押えるようにしようというその努力のあらわれがあるわけなんです。そうすると現在のままでも二百円赤字になる。それを賃金値上げをすると、いま私がお話ししましたような赤字になる。それをなおかつ能率によって幾ぶんでも、百円でも何でも補いをしていこうというこの真剣な努力、それで今日では、炭鉱の職員組合、労働組合においても戦うということじゃなくて、いかに山の健全な経営、あり方を守るかということについては、働く人たちも経営者以上に炭鉱に愛着を感じておることは、政府側でも、また大臣もこれは認めておられるだろうと思う。そうすると、何としてもこの安定補給金を何らかの形で補いをしてやらなければ、炭鉱の健全経営はできないのです。あの答申にもありますように、石炭産業は一般産業のために必要な産業であるということを明らかにしておるわけです。その明らかにしておる点を守ろうとすれば、やっぱり炭鉱だけは労働賃金を上げないでもいいというわけにはいかぬと思う。やはり一般と同じように、炭鉱側も賃金値上げの解決をする。そうすると、しかし赤字がふえてやっていけなくなる。そうするとまたつぶれる炭鉱相当出てくると思う。そうすると日本炭鉱の健全性を守ることは不可能になってくるのですが、こういう点から、一体この辺の、この明年度における炭鉱の健全、安定化の維持経営を、どうしてやろうとしておられるか、それをひとつお聞かせください。
  90. 本田早苗

    ○本田政府委員 御指摘のように……
  91. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 鉱山局長、あなたじゃわからぬだろう。政治的な解決をどうしなければならぬかは大臣が答弁してください。
  92. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
  93. 本田早苗

    ○本田政府委員 石炭鉱業が今後安定いたすためには、やはり出炭の安定化ということが必要であろうと思います。出炭の安定化をはかる意味におきまして、先ほど予算の御説明で申し上げましたように、坑内骨格構造整備中心にいたしまして、機械化の推進等々の合理化をはかりまして、出炭の安定によって、石炭鉱業の安定化をはかるという趣旨で、現在の予算を組んでおります。なお、先ほど稲葉さんからもお話がありましたように、なおそれで石炭鉱業が十分安定するかどうかという点につきましては、さらに検討を要する問題でございますし、その点につきましては、また引き続き検討をいたさねばならぬというふうに稲葉さんからも申されましたが、われわれとしても、引き続き検討をいたしたいと存ずる次第でございます。当面、現在の予算の合理化によりまして、炭業の安定をはかってまいりたいというふうに考えます。
  94. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 これは、私がもうしばしば宮澤通産大臣にも申し上げておるから、大臣も、もう聞きあきたよとおそらく思われるくらい言い続けてきておるのですが、日本炭鉱では、炭鉱の坑内の実態からいって、この機械化あるいは合理化、能率化、そういう点については、精一ぱいやっておると私は確信しておる。私も専門家ですから、それは局長より私のほうが専門家です。それからまた、労働組合の関係、職員組合の関係、経営者とも、また、炭坑にもほとんど入らぬ炭坑はないくらい私は入っておるから、局長などと違って、書いたもので言いくるめようというようなことでは、私は引き下がるわけにはいかぬ。そこで、もう精一ぱいの合理化、機械化、近代化、労使協力体制でやっておる。これ以上は無理だ。その無理をやるところに、やはり今度の北海道の砂川のような、ああいう事件等も起こっておると私はそう思っておる。そういう点からしても、やはり何としても、さっきお話ししましたように、職員組合、労働組合なども、経営の健全化をはからなきゃならぬというところから、みずから能率を三%あげて、それで幾ぶんでも炭価の補いをしていこうという、涙ぐましい数字を出しておる。それを見て、私も何か頭の下がるような感じがしておるのですが、一体、局長は、現代の炭鉱の実情において、合理化、機械化、近代化、能率化、そういう点において、どこが一体あなたの言われるように、能率でこれをカバーしていけるというところがあるか、それだけひとつ参考に聞かしてください。どこの炭鉱にそういうところがあるか、あったら知らしてください。私は、それに対して意見を言いますから……。おそらくそれは言えぬはずです。大臣、どうしますか。政府委員だって、それは答弁できないのです。局長が言うような抽象的なことで、能率化でこれを五百円も六百円もカバーするなんて、そんな約束はできるはずはありません。大臣が政治的に、おれが解決するよと言われるなら、それは私は信用します。
  95. 本田早苗

    ○本田政府委員 能率アップにつきましては、御指摘のように、労使とも非常に協力して御努力をされておりますので、四十一年から四十五年までの間でも、四十一年に平均一人当たり六・七トンであったものが、これが四十五年度見込みでは十二・五トンまで上がっております。これに対しましては、七十一億円の近代化の事業を行なっておりまして、自走支保あるいはドラムカッター等の機械を入れております。この点につきましては、今年度以降につきましても引き続きこうした近代化が進められるということで、機械の貸与制度をやっておるわけでございますが、この貸与制度をさらに引き続き大幅に拡大してまいるということによりまして、さらに能率の向上を十分に考えておりますが、われわれといたしましては、当面、来年度は、三十五億円の機械貸与の事業を拡大いたしたいというふうに考えておるわけであります。
  96. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 局長、あなたの言っておるようなことでこの委員会を、また私を言いくるめようったって、そんなことは問題になりません。幼稚園の生徒が大学生を説得しようというのと同じですよ。そんなことは問題になりません。だから、したがって、これは局長、あなた方では無理なんです。というのは、大臣が大蔵大臣とどう折衝するか、閣議でどうきめるかというところで、この大きな問題が解決されるのであって、政府委員のあなた方、行政上では片がつかない。これは私、あなたが力がないと言っているんじゃないですけれども、行政上の措置として、事務官折衝ではできないということを私は言っておるのです。だから、そういう点において、これはやはり大臣が何としても、この明年度石炭安定のために、あるいはまた、人的老朽老廃を防いで、若い者が炭鉱にどんどん入ってきて、炭鉱に何か生気と明るさが出てくるというためには、やはり人的な問題も解決しなければならない。人的問題を解決するためには、やはり労働諸条件を解決してやらなければこれはできないのです。だから、そういう点において、時間がありませんからきょうはこの程度にしますが、大臣、一体この問題は大臣自身出なければ、これは政治的に解決できないのです。ですから、それをどういうふうにするか、聞かしてください。
  97. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 石炭鉱業におきまして、片や保安の問題、片やいわゆる合理化の問題について、労使ほんとうに極限まで努力しておられますが、また政府も及ばずながら、できるだけのことをしてきておるわけでございますから、そんなに新しい、いま言ったようなことがあって、生産性がまた飛躍的に向上する、一ぺんにそういうことはないほど極限までいろいろ考えられていることは、私もそのとおりだと思います。それからまた、他方で、働かれる人たち賃金水準が十分でない、春闘のベースアップも、本年も一三%でございましたか、ほかに比べて低い、これも事実であります。そのようなことは全部私は事実だと思っておりますから、そこで、価格という問題になってくる、これも私なりにわかっておるつもりでございます。ただ、これらの問題は、やはりいろいろな情勢がずっと煮詰まってきませんと、なかなか問題が片づかないものでございますから、毎年問題があって、まあ何とか窮通の道を見つけては処置してきておるわけでございまして、おそらく、先々また同じ問題が起こってくるであろうということは、私も実は予測をいたしております。
  98. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 田畑議員が、自分が質問しないからその分をやれと言うのですけれども、しかしもう時間がありませんから、私はこの程度にしておきますが、ひとつ政府委員の諸君も、いかに大きな問題と取り組まされておるかということを真剣に考えて、さっきから申し上げておるように、行政上の事務折衝では片がつかぬのであるから、ひとつ大臣に精一ぱい努力してもらう。もちろん、この委員会も、石炭問題は超党派、全会一致でずっとやってきておるのですから、そういう形で、大臣のこの問題と取り組んで解決されることには、本委員会としても精一ぱい協力をしなければならぬとわれわれも思っております。でありますからそういうことで、いまのままだとあとからまた問題が起こってきますから、ひとつ通常国会等でこの問題の解決のでき得るように、大臣、精一ぱいひとつ努力をしてもらいたいということをきょうは希望申し上げておいて、私の質問を終わります。
  99. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田代文久君。
  100. 田代文久

    ○田代委員 委員長は、四時過ぎから北海道の災害調査と慰問に行かれるそうで、時間が非常にありませんので、私としましては、きょう二つほど答申がありましたが、この二つの答申について、いろいろ伺いたいことがあるわけなんですが、たとえば自治体の財政が非常に窮乏している問題、あるいは鉱害復旧の問題、それから産炭地の開発就労事業、賃金も安いし、日数も少ない、日雇い健保もない、こういうような点についてお伺いしたいのでありますけれども、それは文書あるいは他日に譲りまして、災害問題についてお尋ねするんですが、今月の二日に三省で災害があって、それから十二月の十一日に、砂川の同じ炭鉱で、一人死亡その他の事故があっているということを聞いておりますが、そういうことはありますか。
  101. 高木俊介

    ○高木説明員 砂川のことしの災害でございますけれども、四十五年に入りましてからは三人の死亡者を出しております。四十五年の七月の八日に落盤で、これが一番新しゅうございまして、その前が五月の二十一日、その前の五月の八日、これは落盤等によりまして三人の死亡者を出しております。そして今度の、昨日の重大災害でございます。
  102. 田代文久

    ○田代委員 この問題について、先ほど私は宮澤通産大臣の御答弁を聞きましたが、ああいう答弁を実際耳にタコのできるほど聞いておるわけですね。不退転の決意でこれは直すんだ、今後絶対やらない、そういうことを幾ら抽象的に言っていただいても、大臣、炭鉱労働者の身になったら、幾ら言っていただいたって、これは実際に成仏できないですよ。ですから、きょうははっきり具体的に、短時間でありますけれども聞きたいんですが、先ほど社会党の岡田議員の質問に対して、労働組合、いわゆる実際の被害を受けておる炭鉱労働者の立場に立って、その発言がいかに重要であるかという点についての発言がありましたし、これもごもっともですけれども、それをよりはっきりさせる必要があると思うので質問するんですけれども、この三井砂川鉱では、十二月の一日からガス爆発防止期間というのが始まって、そうして会社側は、これは労働組合の発言ですよ。ガス警報装置が鳴っても、これを無視して労働者に作業させたり、ガス突出事故があっても崩落だというようなことをいってごまかす。当然の保安装置を怠っておる、自主保安ということを口にするばかりで、職場の労働者から、事故発生の危険性がきびしく警告されておるにもかかわらず、常時するようなことをやっておらない、こういう報告をしておるのですね。それから、きょうの午前中の答申説明者で、稲葉さんに私が質問しましたとき、保安対策として、坑内の骨格構造の整備が十分に行なわれていないところに災害の多くの原因がある、ここを非常に強烈に強くうたわれておるけれども、これを強烈に言ったってだめじゃないか。これは、むしろ石炭企業なりあるいは政府なり、そういう立場から繰り返し繰り返し、今後もはっきり、来年は絶対にします、災害は起らないんだ、そういう保証があるような発言も政策もないというようなことばでどうするんですか、答申で十分ですかと私が質問しましたら、この答申では十分でないというようなことを稲葉さんはお答えになりました。私はそう思うわけですね。そういう点から申しまして私ははっきりさせることは、大体今度の——過去のは私は言いません。今度の砂川における災害の責任は一体だれかということを、大臣答弁してください。だれに責任があるのか。
  103. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は、やはり何ゆえに災害が発生したかという原因を究明してまいりますと、もっとはっきりわかるようになると思います。
  104. 田代文久

    ○田代委員 いつもそういう答弁で、結局とどのつまりは、そこでとにかくパッパ係がどうのこうのということになっていく。しかし、そういうことで問題は解決しないというんですよ。それには、結局この災害の根本原因、責任者が第一番に企業家にある。そうして同時にまた、それを監督する官庁である政府にある。この二つのほんとうの腹がきまらなければ、災害は繰り返されますよ。その点どうですか。
  105. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 労使も、また政府も、一緒になって保安には全力を尽くしてまいるというつもりでございます。なお、こういうことが起こってまいりまして、関係者の努力が足りなかった、こういう御批判は、これはどうしても甘んじて受けなければならない。私どもとしては、さらに努力を重ねまして、このようなことをなくしていく、こうつとめるということが私どものつとめであると思います。
  106. 田代文久

    ○田代委員 つもりであるとか、そういう努力をするとおっしゃることは、実はこれはもう聞きあきておるのです。ですから、はっきり申しますけれども、大体こういう災害を起こした場合における企業で、炭鉱の社長さんか鉱長さんか、これを厳罰に処する必要があると思う。そういうことはやはり何らないんですよ。政府としてはそういう点、保安行政を根本的になさる場合に、こういう資本家というものを厳罰に処する、厳重に処罰するというような姿勢で対処されるかどうか、御答弁願いたいと思う。
  107. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 鉱山保安行政は、わが国のこの種の行政の中では歴史も長うございますし、非常にきつい行政でありまして、保安の統轄責任者というようなものも定めております。そうして、場合によっては、たしかそれを解任するというような規定も法律にはあったと思います。非常にきつい規定を設け、またそういう行政をやってまいるつもりでございます。
  108. 田代文久

    ○田代委員 きついとおっしゃるけれども、実際にかなり災害が繰り返してやられておるから、そうした効果をあまり発しておらないということが、結果的にもはっきりこれは言えると思うのです。ですから私はその点ではっきり要望して、また十分そういう対策政府はとっていただかなければ、こういうことではまた来年になって繰り返される。そのときに大臣はどう答弁されるかということを私は最初から言っておきたいと思うのですけれども、この保安的な法規を資本家に完全に守らせる。そしてガスやら炭じんの取り締まりというような基準を強化して、そうして災害防止の基本原則に反するような採掘方式を改めさせる。それから第二点としましては、政府と資本家は現在実際問題としてなれあいになっておると思うのです。そういうなれ合い的な保安行政を禁止して、保安義務を怠った資本家は厳重に処罰する。これは、私は何もいまそんなことを持ち出すわけじゃないのですけれども、社会主義国でこういうことが起こったら、その責任者全部首どころでは済まないんですよ。厳重な刑罰で対処されるのですよ。これは当然のことだと思うのです。  それから、やはり労働組合の意見を一〇〇%聞いていただきたい。労働組合の代表が自由に職場の調査を行なって、そうして保安についての改善の勧告、緊急の場合に作業停止を命ずるような権限をやはり労働組合に与える。実際に働いている労働者にそういう権限が与えられないと、こういうことは直らないと思うのです。そういう点について政府は考慮して、そうしてほんとうの意味で抜本的に対処していただきたい。それでなければ、いままでのようなことを幾ら繰り返されても、災害は直らない。炭鉱労働者は結局殺されっぱなしで、金縛りで、何百万円かの金をもらって、あの世にいかなければいけないということになると私は思うのです。そういう点では十分、自分が殺されるのだ。自分が災害で、ガス爆発で死ぬのだという立場で対処していただきたいということを要望して、質問を終わります。      ————◇—————
  109. 鬼木勝利

    鬼木委員長 この際、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  石炭対策に関する件について、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、審査のため委員派遣を行なう必要が生じました場合、派遣委員の人選、派遣地、期間及び承認申請の手続に関しましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  112. 鬼木勝利

    鬼木委員長 なお、この際申し上げます。  今会期中本委員会に参考送付されております陳情書は、炭鉱閉山反対に関する陳情書外二件であります。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会