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1970-12-10 第64回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十日(木曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 進藤 一馬君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 近江巳記夫君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       宇野 宗佑君    遠藤 三郎君       小川 平二君    大久保武雄君       大橋 武夫君    海部 俊樹君       神田  博君    北澤 直吉君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       藤尾 正行君    前田 正男君       増岡 博之君    山田 久就君       石川 次夫君    岡田 利春君       中井徳次郎君    中谷 鉄也君       松平 忠久君    相沢 武彦君       岡本 富夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         大蔵大臣官房審         議官      吉田太郎一君         中小企業庁長官 吉光  久君  委員外出席者         内閣審議官   植松 守雄君         法務省民事局付         検事      清水  湛君         大蔵大臣官房審         議官      中橋敬次郎君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 十二月十日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     三宅 正一君   西田 八郎君     吉田 泰造君   米原  昶君     田代 文久君 同日  辞任         補欠選任   三宅 正一君     中谷 鉄也君   田代 文久君     米原  昶君     ————————————— 本日の会議に付した案件  水質汚濁防止法案内閣提出第二二号)  下請中小企業振興法案内閣提出、第六十三回  国会閣法第九六号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  この際、第六十三回国会内閣提出下請中小企業振興法案を議題といたします。
  3. 八田貞義

    八田委員長 まず、法案趣旨説明を聴取いたします。宮澤通商産業大臣
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 下請中小企業振興法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  下請中小企業は、わが国産業に広範に存在し、わが国経済の重要なにない手として、その発展をささえてきており、今後とも、わが国産業高度化進展に伴い、その役割はますます増大するものと見込まれております。  しかしながら、下請中小企業は、受注の不安定、体質改善のおくれ等多くの問題をかかえており、さらには深刻な労働力不足親事業者からの合理化要請強化等きびしい環境に直面しております。  このような情勢に対処して、下請中小企業が自主的にその事業を運営し、かつ、その能力を効果的に発揮することができるようにすることは、わが国経済のバランスのとれた発展を確保する上からも、きわめて重要な課題となっております。  本法案は、このような観点から、下請中小企業実態に即して効率的に近代化促進をはかるとともに、下請取引あっせん等を推進することにより、下請中小企業振興をはかろうとするものであります。  すなわち、第一に、下請中小企業振興に関し、下請中小企業者及び親事業者のよるべき振興基準を定めるとともに、これに基づき必要な指導助言を行なうことといたしております。  第二に、国民経済上特に近代化促進する必要がある下請中小企業について、特別の近代化制度を創設することといたしております。すなわち、下請中小企業者が組織する事業協同組合及びその親事業者が、親事業者発注分野明確化下請中小企業者設備近代化技術向上事業共同化等内容とする振興事業計画作成して、政府承認を受けることができることとしております。政府は、承認した計画実施促進するため、金融上、税制上の助成措置を講ずることといたしております。  第三に、下請取引あっせん下請取引に関する苦情相談等業務を行なう下請企業振興協会に対して、その業務の公正的確かつ広域的運営を確保するため必要な指導助言を行なうこととしております。  これが、この法案提案理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  5. 八田貞義

    八田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出があります。順次これを許します。稲村利幸君。
  6. 稲村利幸

    稲村(利)委員 私は、自由民主党の立場から、下請中小企業振興法案について幾点かの質問を試みたいと思います。  この法案は、さきの国会において継続審査になったもので、この法案成立については、下請中小企業者から強い要望があったにもかかわらず、今日に至っておるのは遺憾に思いますが、今国会でどうにか成立の機運が見えたことは、たいへん喜ばしいと考えます。  そこで、申し上げるまでもなく、下請中小企業は、わが国産業に多数存在し、製造業全体では約三十万企業といわれ、特に機械工業においては約七〇%、繊維工業においては約八〇%に達しております。さらに、質的に見ても、アッセンブル産業型の製造業消費財産業における下請企業貢献度は高く、ましてや今後、わが国産業経済重化学工業化、高加工業化進展に伴い、下請中小企業のになっている外注分野は、一そう拡大方向をたどると推定されており、これが国民経済上ますます重要な存在となることは、明白であります。  また一方、わが国下請中小企業は、その特質として、親企業との関係で支配・従属関係が認められ、受注の不安定や資本蓄積不足近代設備の不備、技術水準定位性、特に労働力不足等の問題をかかえながらの経済発展拡大という新局面に入りつつあるときに、政府下請中小企業近代化促進中心とする本法案を提出したことは、おそきに失した感はありますが、けっこうなことだと考えます。  そこで、第一点として、本法案が一体いつごろから、どのような過程で作成されたのか、また関係業者業界などに実際に具体的に事情聴取を行なったのか、その辺の経緯についてまずお尋ねします。  第二点として、私は、足利とか佐野、栃木、桐生等の特に繊維産業の盛んな両毛地区から選ばれておるものでありますが、下請中小企業法案機械工業のみを中心対象を考えているようであるが、繊維縫製業織物加工業木工家具、またいわゆる雑貨製造業等を今後どのように取り扱っていくつもりなのか、その点を通産大臣並びに中小企業庁長官から聞かしていただきたいわけであります。
  7. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年の十二月に行なわれました中小企業政策審議会政府に対する建議に沿いまして、この法案作成いたしましたが、この政策審議会におきましては、実はその前、四十三年三月ごろから中小企業政策審議会企画小委員会というものを設けましてこの問題を研究しておりまして、四十三年の七月に中間報告がございました。その中で、そういう思想がやはりある程度述べられておるわけでございます。なお、この小委員会がそのような中間報告をいたしますその前段で、小委員会として、学識経験者のほか下請中小企業親企業関係者委員として参加してもらいました。それから、ただいま御指摘の、織布なども含めまして機械機械加工あるいはプレス加工自動車部品等々、業界及び下請協同組合などの関係者からも、意見や事情聴取を行ないました。そのようにして、昨年の中小企業政策審議会建議というところへ積み重ねてまいったわけでございます。  それから後段のお尋ねでございますが、お答えとしては、そのように考えたいと思います。機械工業などがおそらく中心になるではございましょうけれども、もろちん繊維雑貨関係業種におきましても、本法にちょうどはまるというケースがございますから、業界要望がございますれば指定業種にしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  8. 稲村利幸

    稲村(利)委員 そういう趣旨でございますので、できる限り多くの下請企業者本法の適用ができるようにお願い申し上げます。  次に、いわゆる下請中小企業親企業との関係は、きわめて複雑であり、デリケートな問題です。また下請といっても、一次下請、二次下請、三次下請というように多種多様であり、比較的大きい企業から零細企業層にいくほど問題が多いと思うのですが、本法案において、二次、三次下請はどのように扱われるのか。特に第五条の振興事業計画には、これらの企業も参加できるのかどうか、お伺いいたします。
  9. 吉光久

    吉光政府委員 お話の中にございましたように、下請企業の構成は非常に複雑でございまして、一次、二次、三次、またそれらも、事業形態に応じましては入り組んでおるというふうなこともございますし、同時にまた、二次、三次と下にいくほど零細企業が多くなっておる、こういう状況であるわけでございます。したがいまして、本法におきましては、親事業者下請事業者との関連におきまして、強い者から弱い者へというふうな感じを取り入れたわけでございまして、そういう点から、下請中小企業者定義は、二次、三次、すべての者を包含した定義にいたしておるわけでございます。従来の近促法その他の手段によりますれば、実はこういう二次、三次というふうなところまで手の届かない面もあったわけでございますけれども、やはり仕事の流れに沿って全体をつかまえていくということが適当ではないか、こういう考え方で、末端にまでこの振興法が及ぶというふうなたてまえをとったわけでございます。したがいまして、いまの、特に第五条の振興事業計画に二次、三次も参加できるかという御指摘でございますが、当然に二次、三次の下請業者をもこの振興事業計画の中に含ましてまいりたいというのが私たちの希望でございまして、特にそういう方面にまで配慮をいたしてまいりたいと思っております。
  10. 稲村利幸

    稲村(利)委員 さらに、この法案中心をなす第五条の振興事業計画作成は、下請事業協同組合が核となって行なうこととなっておりますが、下請中小企業組織化自身もなかなか進めにくい問題点があるように聞いております。その辺のところはどうなっているか、お尋ねいたします。
  11. 吉光久

    吉光政府委員 下請中小企業は、いずれかといえば弱い立場にあるわけでございます。したがいまして、これを強くするというふうな施策の柱になりますのは組織化施策であろうかと思うわけでございまして、事業協同組合その他のいろいろの組織法がすでに準備されておるわけでございますので、それらの弱い者の組織力を強化してまいるということが必要であろうかと思うわけでございます。したがいまして、このたびの法案の中におきましても、振興基準の中でそこら組織化の推進に関する事項について規定をいたしたいと思っておるわけでございまして、下請事業者に対しましては、組織化促進に関する事項、また親事業者に対しましては組織化促進を阻害してはならない、そういうふうなことを中心にいたしまして、そのあるべき姿について規定をいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  12. 稲村利幸

    稲村(利)委員 次に、振興基準具体的内容についてお尋ねいたします。  下請事業者及び親事業者一般的なよるべき基準として、一本化した形で定められるというが、たとえば発注分野明確化発注方法改善をとってみても、対象となる業種により、また同じ業種の中でも、個々親子関係によって現象、形態は千差万別といってもよいと思うのです。まず、右の二つの事項について、具体的にどのような内容形式で定められるか、ここのところの説明をお願いします。  それから、そのような内容形式でよるべき一般的基準としての機能を果たすことが可能だろうかどうか。また、振興事業計画作成する場合の指針として機能することができるか。政府振興事業計画承認する際の判断基準としてはそのような内容形式でよいとしても、下請中小企業等が具体的に作業する場合の指針としては、一本化した振興基準のもとに、業種実態実情に即した実施細則的なものを作成すべきではないかと思いますが、この辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 吉光久

    吉光政府委員 振興基準考え方なんでございますけれども、この法律がねらっておりますのは、いわゆる下請関係近代化してまいろうということを最大のねらいといたしておるわけでございます。したがいまして、現在、ともすればございましたような親事業者の優越的な力というものが、下請事業者にいわゆる圧迫的な力というふうなことにならないよう、その関係近代化してまいろう、こういうふうな考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、振興基準におきましては、やはりあるべき、あるいは望ましいと申し上げましょうか、望ましい親事業者下請事業者あり方というふうなことを中心にして、基準をきめてまいるというふうな考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、あくまでもこれは一般的な基準ではございますけれども、この基準親事業者のほうにも守っていただきたいし、あるいはまた下請事業者のほうもこういう基準にのっとって企業近代化してもらいたい、こういうふうな両方の内容が入っておるわけでございます。したがいまして、いまも御指摘ございましたように、そういうふうな下請関係一般的なルールを正そう、こういうところから出ておりますので、一見抽象的というふうな御印象をお持ちいただいたのではないかと思うわけでございます。もちろん内容によりましては、相当具体的なところまで触れてまいることもあろうかと思うわけでございますけれども、あくまでも振興基準は、やはりそれぞれのあり方に関連する一般的な基準というふうなことで考えてまいりたいと思っております。  ただ、業種によりまして非常に複雑となってまいります。特に政令で指定された業種等につきましては、具体的な振興事業計画を組まなければならないというふうな問題も出てまいるわけでございますので、したがいまして、そういうふうな段階の業種につきましては、やはり各論といたしまして、業種別のある程度のこまかい基準を設けるということも、別途必要になってくるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、実情に即して、そこらあたりは弾力的に処理してまいりたいと考えております。こういうふうなことによりまして、やはりこの振興基準機能も十分に発揮できるということになるのではないであろうかと考えます。
  14. 稲村利幸

    稲村(利)委員 長官の御答弁どおり、具体的にどうぞ親切にお願いいたします。  次に、振興事業計画に関して三点ほどお尋ね申し上げます。  まず、振興事業計画内容はどのようなものか。また、本法案が予定しているような親事業協力は期待できるのかということでございます。  次に、本法案の目的は、下請事業者自主性のある近代的な企業に育成することにあり、したがって、振興事業計画作成遂行も、下請事業者自主性尊重されるようなものでなければならないと思いますが、この点について、本法案はどのように配慮をしているのか。  第三に、振興事業計画作成遂行には多くの困難があって、本法案が意図しているような方向下請事業者を自発的に向かわせるには、国のたいへんな支援が必要であると考えますが、計画に参加している下請事業者に対しては、どのような助成措置を講じようとしておるのか、その点をお尋ね申し上げます。
  15. 吉光久

    吉光政府委員 振興事業計画の具体的な内容でございますけれども、具体的な問題といたしましては、やはり親事業者事業協同組合、この両者の間の合意で具体的な問題は決定されるものでございますけれども、この法律で予定いたしております振興事業におきましては、法律にも特に必要事項について明記いたしておりますけれども、まず最初に、下請事業者生産性をどのように向上してまいるか。あるいはまた品質、性能の改善について、具体的にその事業協同組合としてどのような目標を持つかというふうなこと。あるいはまた、下請事業者にそういう意味での設備近代化その他の施策を進めてまいりますために、受注のめどをつけてやる必要があるわけでございまして、そこで親事業者発注分野を、こういう分野についてその事業協同組合とは下請関係に立ちますというふうな意味で、発注分野の具体的な明示をその計画の中に書いていただくというふうなこと。あるいはまた、そういうふうなことを前提にいたしまして、下請事業者近代化、すなわち、設備近代化でございますとか、あるいは技術向上でございますとか、事業共同化あるいは専門化に関する事項でございますとか、こういうふうなものについて具体的な計画が盛られておることが必要である、こういうたてまえをとっております。また、こういう計画が順調に進んでまいりますためには、やはり発注契約期間が長期化してまいるというふうなことも必要でございましょうし、また発注平準化というふうなことも必要になってまいるわけでございまして、そういうふうな意味での発注方法改善に関する事項というふうなこと。あるいは取引条件の決定の方法に関する事項というふうなことも、やはりこの振興事業内容として考えておるところでございます。  ただ、こういう振興事業計画を策定し、そしてそれを実施してまいりますためには、何と申しましても親事業者の理解と協力ということがなければできないわけでございます。したがいまして、その点につきましていろいろの配慮をしなければならないというふうに考えておるわけでございますけれども、最近の一般の傾向といたしまして、かつてと違いまして、加工工程あるいは必要な部品の点数が増加いたしておりますので、下請事業者役割りがだんだんと高くなっております。したがいまして、親事業者下請事業者を見る目も相当変化をいたしてきておるというふうに考えられるわけでございまして、私どもで行ないました下請事業者に対します実態調査の結果を見ましても、かつてのように、景気のバッファーとして下請を使うというふうな数は、きわめてまれになってまいりました。むしろ、いずれかといえば、下請の持っておる専門的な技術、技能というふうなものを積極的に活用してまいりたいというふうな答が、数多く出ておるわけでございます。したがいまして、そういうふうな、下請事業者に対する親事業者の感覚がだんだんと変わってきてまいっておるという点からいきますと、親事業者協力も相当期待できるのではないであろうか、こういうふうに考えておるところでございます。もちろん、そういうふうな協力関係に入ってまいりますためには、やはり本法につきまして、その趣旨徹底、これは親事業者に対しましても、下請事業者に対しましても、その趣旨徹底指導というふうなことが必要になってまいろうかと思うのでございます。  それから、第二の振興事業計画作成あるいは遂行にあたりまして、下請事業者自主性はどのように尊重されておるか、本法についてその配慮はどのようになっておるか、こういう御質問でございます。  この振興法を考えましたその基本になっておりますのは、中小企業基本法の第十八条にいっております、いわゆる下請関係近代化というふうなことをそのねらいとするものでございまして、したがいまして、その近代化を進めるという手法といたしまして、親事業者協力前提として近代化を効率的に進めてまいろうということをねらいといたしておるわけでございまして、したがいまして、この趣旨からいきましても、振興事業計画作成あるいは遂行にあたりましても、下請事業者自主性が十分尊重されるよう配慮してまいる必要があろうかと思うわけでございまして、まず第一に、振興事業計画作成遂行等にあたりまして、個々下請事業者ではなくて、むしろ下請事業者共同組織でございます事業協同組合振興事業計画作成の一方の主体になるというふうに考えましたのも、個別的な下請事業者であればともすれば不利な立場に立つというふうなことも考えられますので、やはり事業協同組合親事業者との間で振興事業計画を協議し、作成するという手法を用いたところでございます。特に事業協同組合の中にその親事業者が入っている場合は、振興事業計画作成主体としては好ましくない。要するに、親事業者下請事業者と一緒に入っているような協同組合であれば、下請事業者自主性が阻害されがちであるというふうな配慮に基づきまして、そのようなたてまえをとったわけでございます。それからさらに、この振興事業計画承認するにあたりましては、事業協同組合自主性のある真に下請事業者組織体であるかどうかというふうな、その組織体主体についての審査をもいたすことといたしております。  またさらに、第三条の「振興基準」におきましても、下請事業者自主性尊重を、やはり重要な事項の一つとしてその基準の中にも盛り込んでまいるというふうなことといたしたいと思っておるわけでございまして、この五条の計画承認にあたりましても、やはりその盛り込まれました振興基準に適合しているかどうかという点について、適切であるかどうかという点についても審査いたすことといたしておるわけでございます。もちろん制度的にいろいろと規定はいたしておりますけれども、やはり何と申しましても下請事業者自主性を確立するということが、下請関係近代化のために非常に重要な事項でございますので、本法の運用にあたりましても、自主性尊重という点につきまして十分に配慮をいたしてまいりたいと考えております。  それから第三の御質問でございますけれども、そういうふうな下請事業者に対してどのような助成措置を講じようとしておるのか、こういう御質問でございました。振興事業計画に参加し、あるいはこれを実施いたします下請事業者に対しまして、金融及び税制上の助成措置を講ずることといたしておるわけでございますけれども、中小企業金融公庫下請中小企業振興ワクというふうなものを設けまして、特に特ワクでこの関係設備資金を融資してまいりたいというのが第一でございます。  それから第二は、計画承認を受けました事業協同組合が、共同利用施設を設置するため、組合員親事業者に課しました賦課金につきまして、税制上の損金算入措置というふうなものを設けますとともに、これにかかわります共同利用施設につきまして、初年度三分の一の特別償却を認めることといたしております。  また第三に、計画承認を受けました組合及び組合員に対しまして、これを特別の信用保証制度対象といたしたわけでございまして、いわゆる近代化保証と同じ信用保証の体系で優遇をはかってまいりたい、このように考えておるわけでございます。  なおその他、この承認されました事業計画実施に必要な資金の確保につきまして、あるいは商工中金でございますとか、あるいは中小企業振興事業団のいわゆる高度化資金優先活用でございますとか、既存の制度をさらに優先的に適用してまいるようつとめてまいりたいと考えております。
  16. 稲村利幸

    稲村(利)委員 長官お答えでたいへんありがたいと思っておりますが、中小公庫の特別ワク拡大とか、金利の引き下げ、償還期間延長といようなところを特別に配慮をしていただきたいとお願いします。  次に、特定親事業に対する経費の賦課についてお尋ねいたします。振興事業計画による振興事業に、共同利用施設事業がある場合、その経費を特定親事業者にも賦課することが予定されておりますが、施設そのものは、特定下請組合の資産であり、その組合員のみが利用するものであります。このような親企業に対する経費の賦課は、親子関係一般的な特質である支配・従属関係から、下請事業者親企業に一そう遠慮する事態を招く懸念がありはしないか。また一方、親企業共同利用施設事業のために経費を負担することと下請企業自主性の問題とは、一がいに言えることではなく、ケースによって異なるという考え方もあり、これらの点をどう考えるべきか。いずれにしても、その運用については十分慎重な配慮をお願いしたいと思います。この点についてお尋ねいたします。
  17. 吉光久

    吉光政府委員 共同利用施設の設置につきましては、これはやはり下請中小企業設備近代化するという意味で非常に重要な地位を占めておるものというふうに考えておるわけでございます。この共同利用施設を設置いたしますために、これが設置しやすくするという意味で、事業協同組合親事業者協力を求めます際に、これは事業協同組合親事業者に経費として賦課するというふうな、そういう立場をとっておるわけでございまして、そういう経費として賦課されたものにつきまして、振興準備金制度というふうなものを設けたわけでございます。結局、共同利用施設の設置ということによりまして、その下請中小企業者近代化が進められますと同時に、下請中小企業者近代化が進められるということが、同時にまた、結果的には親事業者にとりましても利益になると申しましょうか、そういうことにも結果的になるわけでございます。そういう意味から、実は従前におきましても、親事業者下請事業者に対しまして資金的援助を与えておるというふうな場合もあるわけでございますけれども、ただこれが野放しで経費が賦課される、賦課金親事業者が納めるというふうなことになりますと、ともすれば、やはり親事業者の息のかかったと申しましょうか、そういうふうな悪い関係も出てまいるというふうなことにもなりかねないわけでございます。したがいまして、やはり税法上優遇措置を講ずるにいたしましても、親事業者のある一定の部分、全体の事業計画に対します負担分をある一定の分だけ限定いたしまして、下請事業者自主性がそこなわれないような配慮を別途してまいる必要があろうかと思っております。したがいまして、実際にこの振興事業計画が提案されました場合には、そこら具体的内容をよく審査いたしまして、下請事業者自主性がそこなわれないよう慎重な配慮が必要であろうかと思うわけでございます。
  18. 稲村利幸

    稲村(利)委員 この運用について、特に十分な配慮下請業者自主性をそこなわないように、くれぐれもお願い申し上げます。  私はあと幾つか質問したいのでございますが、持ち時間が参りましたので、最後に、下請企業振興協会下請中小企業振興対策の中でどのような位置にあるか、位置づけられているか、また現在までにどの程度の成果をあげているか。  もう一点、下請企業振興協会について、下請企業振興の上でこの協会が大きな役割りを果たすと思いますが、どのような方向でその充実強化を行なっていくつもりなのか。その点をお聞かせいただいて、私の最後の質問といたします。
  19. 吉光久

    吉光政府委員 本法におきましては、下請関係近代化して、下請事業者自主性を高めてまいるということにつきまして、いろいろの手法を用いておるところでございますけれども、特に一般的に第三条の振興基準をつくり、一般的なルールといたしましての親事業者下請事業者との間のあるべき姿、望ましい姿というものを設定いたしておるわけでございます。と同時にまた、ある特定の事業につきましては振興事業計画作成できるというふうなことで、これはある特定の事業に限定された形で振興計画が組まれていくことになるわけでございますけれども、最後の下請企業振興協会は、やはり一般的に第三条の親事業者下請関係との間のいろいろの事業をやってまいるということをねらいといたしておるわけでございます。したがいまして、実は下請企業振興協会の持っておる地位というものも、相当高いものになってまいるということをねらいといたしておるわけでございます。  従来、この下請企業振興協会は、昭和四十年に初めて一部の府県にできまして、その後だんだんと数がふえてまいっておるところでございますけれども、いずれかといいますと、従来は親事業者との間の仕事のあっせんと申しましょうか、下請取引につきまして、受注量を確保し、それをあっせんしてやるというふうなところに仕事の重点があったわけでございますけれども、今回は、ただそれだけのことにとどまらず、ともすれば法律的知識等の少ない下請事業者に対しまして、親事業者との間に紛争等が生じました場合には、その解決について世話役をやると申しましょうか、そういうふうなところまで下請企業振興協会機能を活用し、あるいはまた、振興基準等の徹底等につきましても、この振興協会を中心にして活動してまいるというふうなことも一応考えたわけでございまして、そういう意味から、下請企業振興協会に対する内容を拡充強化いたしますと同時に、国あるいは都道府県のこれに対する指導助言の体制をも強化してまいろうというのがねらいであったわけでございます。  こういう下請企業振興協会が現在までにどのような成果をあげておるかというふうな御質問でございまして、現在、下請企業振興協会は全国で十五あるわけでございますけれども、そのうちの一つ北海道は、本年の七月から出発いたしておりまして、まだ日が浅いわけでございます。先ほどもお答え申し上げましたように、一番古いところでも四十年に出発というふうなことでございまして、主として下請取引あっせん、要するに仕事を世話をするというふうなことをやっておったわけでございまして、私どもの調査によりますと、ことしの九月までに一万六千件のあっせんを行なっておりまして、このうちあっせん成立したものが、取引金額におきまして二十八億円程度に及んでおるというふうな報告が出てまいっております。法律におきまして、この振興協会の業務内容等を拡充してまいりましたので、したがいまして、これに対応いたしまして、振興協会の内容そのもの、組織、人員構成その他につきましても、整備強化をはかってまいる必要があるのではないかというふうに考えております。
  20. 稲村利幸

    稲村(利)委員 どうもありがとうございました。この下請中小企業法案が所期の目的を達成できるように、心からお願いします。  時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。
  21. 八田貞義

    八田委員長 松尾信人君。
  22. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 最初に、通産大臣にはっきりしておきたいと思う点がございます。それは中小企業を含めまして、いま日本の産業界全般に、これは指定業種になろうとするものも、その中にありまして、特に自動車だとか家電関係等には顕著に見受けられる点、それは、需要というものがある程度限界にきた、それで需要というものがだんだん減っていく、いままでのような伸び方というものがとまっていくという点、それで生産力というものが非常に過剰になったという傾向があらわれてきておるんじゃないか。それから伴って滞貨というものがだんだんとふえてくるんじゃないか。ふえてきております。おまけに外国の保護貿易化の問題、また資本の自由化等の問題、やがての特恵問題等々で、産業界自体がいろいろのそのような大きな問題をかかえております。そういうことから、この中小企業に対しましても影響がきておる。発注の減退だとか、また、われわれ全体から申しますならば、採用人員を手控えていかなければいけないというような問題も起こっております。  このように、中小企業等を含めた日本の産業界全般に、一つの方向というものをいまはっきりと定めて、そして私が申し上げましたいろいろな問題にりっぱに対処できるような方向というものを確立するときじゃないか、このように考えるものでありますけれども、大臣のその点に関する見通し、このような政策をもってそのようないろいろの問題というものを解決していかなくちゃいけないというような点について、御見解を承りたいと思います。
  23. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御質問の点は、現在という時点をどのくらいな長さでとらえるかにかかってまいるかと思います。非常に短い時点で考えますと、おそらく昨年来の金融引き締めで、これから明年当初にかけまして、やや滞貨増大、不況といったような感じが出てまいりつつあるかと思います。そのことは、中小企業一般にもいろいろな影響を与えつつございますし、また、そこへ保護貿易主義、あるいは御指摘のように特恵等の問題は、問題をさらにむずかしくするということも、これも、その時点で見ます限り、御指摘のとおりであると思います。しかし、もう少し長い、長期の回顧並びに展望に立って考えますと、やはりわが国の経済の変貌というものは、労働力不足、したがって賃金の上昇ということが過去十年程度、それからこれから将来にわたりまして決定的に大きな要因になると考えております。そういう点で申しますと、特恵制度といったようなものは、さらに発展途上国に対して先進国であるわが国立場というものを明確に位置づけることになるわけでございます。  そういうふうに考えていきますと、従来、中小企業というものが、あるいは下請というものが、豊富な労働力にたよってあまり付加価値の高くないものを生産し、かつ、先ほども中小企業庁長官稲村委員に申し上げましたように、いわば景気の好況、不況の際の大企業のバッファーとして、緩衝体としての役割りしか与えられなかったといういままでのありさまというものは、もうすでに変わりつつございますし、さらに変わっていくであろうというふうに考えます。  結論として申し上げることができるかと思いますのは、したがってそのような環境の中で、下請企業というのは、いわゆる親企業のまるがかえというような姿でなく、独自のものを持った付加価値の高いものを生産する、そういうことになっていかなければならないし、またそのような運命にあるというふうに考えております。大企業立場から申しましても、下請をまるがかえしますということは、不況になりましたときに、それなりの  ことをしていかなければならない。むしろ下請が独自のものを持って、あっちこっちの注文をとって生産をしていくということのほうが、親から見ますと、大量生産の効果、コストの低下ということにつながってまいりますから、まるがかえするよりはかえってそのほうが、子としていいことはもちろんでありますけれども、親としてもいい。そういうふうに事態が変わってきたというふうに判断をするわけでございます。  そこで、このたびのような、御審議願っております法案によりまして、下請が独自のものを持って、いわば自主的に動いていけるように、そうしてますます逼迫する労働力不足に対処して省力化あるいは機械化ということを進めていって、付加価値の高い生産をしていくように、これは私は必然の傾向になっておると思いますが、御審議願っております法案は、そういう線に沿って施策を講じようとするものでございます。
  24. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 大体の趣旨はわかりました。私が申し上げたいと思いまするのは、そのような、いろいろな環境がいろいろ変わってきておりまして、多くのむずかしい問題に中小企業が——資金面でも技術の面でも弱体の中小企業が、当面しておりまするいろいろの環境の変化に対応できていくように、たとえばこの法案というものもその一つのささえでありますけれども、長期的なビジョンというものを中小企業に対しても持たれまして、やはり五年、十年というような先を見通しました立場からの、中小企業に対するかくあるべきだというものを策定しまして、新経済社会発展計画等の一環としてでもひとつ持っていくように今後はお考えになったらどうか、このように、これは私の提言でありますが、ひとつお考えをしっかり置いていただきたい、このように思っております。  ただいま、この法案に関しましても大臣からお話がござましたけれども、私たちが常に親企業下請企業との関係で一番問題点にしておりまするのは、隷属性と申しますか、いつも親企業というものは下請というものを一つのクッションにしておる。景気がよくなれば下請にどんどん発注いたしますけれども、その中でも下請は数が多くて、非常に競争が激しくて、過酷な条件で仕事をさせられておる。それから、だんだん景気が下降してまいりますと、代金の支払いもおくれてくるというような関係でいままであったわけでありまして、不況になれば下請から発注計画等が少なくなっていきますものですから、まず下請がつぶれていく。親企業は必要な最小限度といいますか、そういうものを持っておいて、仕事がふえれば外に出す。不況になれば半分までがつぶれていくというふうな、そこにいろいろ競争条件のきびしいものを受けまして、常に下請がその渦中に残されておる。それが今回の、先般提案になりましたこの法案によりまして、非常に前向きになっていくわけでありまして、われわれもこれを一日も早く通していきたい、このように思って審議したわけでありますけれども、いろいろそういう親企業と中小企業との隷属性みたいな関係をすっきりさせる面で非常に不十分な点がありまして、そうして今回継続審議となっておるわけでありますけれども、そのような面につきましても、ひとつ今後ともこの法案成立したという点にとどまることなく、やはり根深いこの親企業と中小企業下請企業関係というものがありますものですから、そういう点をやはり今後ともなくなしていくという方向について、どのようにお考えになっておるのか、その点だけを念のためでありますけれども聞いておきたいと思います。
  25. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、中小企業というものは、ことに下請は、景気の好不況に伴いまして、親企業のバッファーのようなものと考えられてまいりまして、たいへんことばは悪うございますが、一般に中小企業というのは余りもののように考えられておった時代がございます。しかし、いまやもうそうではございませんし、これからますますそうでなくなるわけでございます。そういう事態に対処して、この法案にあらわれましたような考え方で、今後とも省力化、近代化、それから申すまでもないことですが、自主的な運営ということに努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
  26. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では、法案の要点について数点伺っていくわけでありますけれども、まず五条の指定業種でございます。これにつきましては、私が先般も質問いたしまして、日本の花形産業とも言わるべき造船業、この指定についてどのように考えておられますかと、こう聞いたわけでありますが、運輸大臣のそのときの答弁は、早く間に合うようにこれは指定していきたい、このような答弁でありましたが、その点その後どのように検討されておるか、今回この造船業というものを指定されるようになったかどうかということについて、お尋ねいたします。
  27. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のように、造船業はいわば総合工業でございますし、同時にまた下請に依存しておる面が非常に大きな産業でございます。したがいまして、まだどの業種を指定するというところまではいっておりませんけれども、この法案成立いたしました後におきまして、そういう下請依存度の高いもの、同時に競争力を早急に強化していかなければならないもの、というふうな観点からの指定を、順次行なってまいりたいと考えておるわけでございます。したがいまして、造船業のような、そういう業種につきましても、できるだけ早い時期に指定をして、体質の強化をはかってまいりたいと考えております。
  28. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうしますと、最初に政令で指定されるものからははずれるということですか。早い機会ということは、政令の順番といたしまして、まず当初どのくらいやるか、その中には入っていない、こういうことですか。   〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
  29. 吉光久

    吉光政府委員 当初の考えといたしましては、機械工業中心にして早急に指定いたしたいというふうに考えておるところでございますけれども、造船業の持っております地位の重要性というふうな点からいきまして、運輸省とも早急に相談いたしまして、手続的に入るようであれば、最初に指定してまいってもいいのではないか。ただし、この点につきましては、運輸省とさらに早急に詰めさせていただきまして、できるだけ一番早い時期に指定するようにつとめてまいりたいと思います。
  30. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 重ねて一言申しておきますけれども、造船業界における下請関係で非常に要望が強うございます。早くこれを指定してもらいたいと思います。  先ほど申し上げましたように、造船企業下請関係は、たくさんの問題をかかえております。いまも、非常に広範であり、また複雑な業種関係だとおっしゃいましたけれども、そのとおりでありまして、であればあるほど、日本の基幹産業でございますから、ひとつ運輸省としっかり検討を重ねて煮つめられまして、速急に政令指定になるように今後ともにしっかりがんばってもらいたいと思いますが、これはそのとおりでございますね。——じゃあ、これはそのとおりということで理解いたします。  それから、振興事業計画にあらわれてまいりますところの経費の賦課基準でございますが、これは私が申しますとおりに、親企業に隷属化しては相ならぬというような観点から、親企業、またその特定下請組合、この両者の経費の賦課基準というものをどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
  31. 吉光久

    吉光政府委員 現在、頭に描いておりますのは、まず組合員でございます下請事業者の納付限度額でございますけれども、一応、当該組合員のある基準年度におきます売り上げ高のおおむね一・五%程度、最高が一・五%ぐらいというふうな考え方でございます。それから親事業者の納付額でございますけれども、これは組合員の納付額の合計額のおおむね一割以内というくらいのところにとどめたらどうであろうかというふうに考えております。と申しますのは、結局、経費の賦課基準で相当の無理をいたしました場合、たとえば組合につきまして無理をいたしました場合には、計画の円滑な達成に支障を来たすということにもなりますし、また親事業者のほうが相当大きな経費を賦課されるというふうなことになりますと、親事業者の発言権が強大になってまいる。そういうふうなことによりまして下請自主性がそこなわれては困るというふうな、両面の配慮をしてまいる必要があろうかと思うわけでざごいます。
  32. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 親子の比率の問題につきましては、いまおっしゃいました十対一という関係、これも業種業種によりましてさらにいろいろ検討を加えて、そこはある程度上限、下限というもので対処なされていくもの、このように理解しますが、それでいいですか。
  33. 吉光久

    吉光政府委員 お話しのとおりでございまして、振興計画の中におきます具体的に参加しておる実態に応じて、そこらは弾力的な考え方も出てまいると考えております。
  34. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は、資金の問題、特に下請中小企業振興貸し付け制度でございますけれども、このほうはすでに通っております。しかし、私が問題にしたいのは、限度の十五億という点です。来年度におきましては、これはどのように検討されておるか。  それと金利の問題でございますけれども、このようなきびしい状態下の下請中小企業でございますので、やはり先般考えられたとおりの金利で進もうとされるか。中小企業に対する最近のいろいろな特殊事業、倒産の著しい実態、公害の防除等の困難さ等も合わせまして、この金利の問題につきましては、その後何か前向きの姿勢というものが加えられたかどうかということについて、お尋ねいたします。
  35. 吉光久

    吉光政府委員 本年度は、制度発足の年でございますので、さしあたり十五億円を準備いたしたわけでございます。したがいまして、これはあくまでも制度発足の年という心づもりで組んでおるわけでございまして、明年度以降におきましては、大幅な拡充が必要であるというふうに考えておるところでございます。  それから金利の問題でございますけれども、現在の七・七%という金利は、実は近代化促進関係施策に用いております融資につきましてはすべて七・七というのが現状でございまして、したがいまして、それに合わせて七・七%ということにきめたわけでございますが、さらに明年度以降この金利の引き下げをするよう、現在折衝を続けておるところでございます。
  36. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この金利の問題というのは、非常に小さなようでございますけれども、個々下請にとりましては非常に大切な問題です。いま言われたとおりに、しっかり折衝していくということで、これもがんばってもらいたいと思います。  それから計画の変更ですけれども、当初、親企業下請企業がそれぞれ話し合って出てまいりましたこの計画が変更されまして、そうして下請に何かの損害とか、そういう事態が発生するということも予想されるわけでありますが、そのような計画変更等に伴う下請に対する悪影響というものについては、どのように考えていらっしゃるか、承っておきます。
  37. 吉光久

    吉光政府委員 法案の第七条におきまして、計画を変更いたします場合にはやはり主務大臣の承認を受けなければならない、こういうたてまえにいたしておるわけでございます。したがいまして、この計画を変更いたします場合には、計画作成者でございます親事業者下請事業者で構成しております事業協同組合とが協議して、合意に基づいて計画変更の申請が出てまいるということになるわけでございます。ただ親事業者の力の乱用と申しましょうか、そういうふうなことがあっては困るわけでございます。したがいまして、この計画変更の承認をいたしますに際しましては、あくまでも下請自主性が確保された形で計画変更の申請が行なわれようとしておるかどうかというふうなことについて、慎重な配慮が必要であろうかと思うわけでございます。親事業者のほうの一方的な考え方計画変更がなされるということは、本法趣旨にも反することでございますので、十分慎重に扱ってまいりたいと考えます。
  38. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この法律全体を通じまして指導助言その他のことがございますけれども、私がいつも疑問に思いますのは、どのようにして指導が必要であるということがわかるか。いま助言しなくちゃできないなということがどのようにして政府のほうにわかるか。だれかが言ってこなければそのような機会もないのじゃないかと思うのでありますけれども、これも親企業下請企業関係で、なかなか申し出というものがないのじゃないか。訴え等があった場合には、その下請企業というものはある程度まで追いつめられて、これではどうも相ならぬという反発から、政府のほうの耳にそのような状態で入ってくるようなことでは、手おくれである。中小企業の苦情の取り上げ方、いろいろの事業計画に対しましても、このように思っておるけれども、なかなか取り入れてもらえないという、そのようなほんとうの下請中小企業の声をどのように吸収して取り上げていくか。これはいろいろな問題にわたっておりますけれども、基本的な問題でございますので、これは深く検討されまして、ほんとうにその下請中小企業の声が吸収されて反映できるようにしてもらいたい。時間がありませんので、これは強く要望しておきます。  それから最後に振興協会でございますけれども、第一条の「目的」にも書いてあるわけでありますけれども、これも非常に弱体であるということですね。これは実態等は私わかっております。先ほども質問が出たとおりでございまして、ほんとうにこれを下請中小企業中心的な指導機関というものに持っていくならば、これの改組というものが必要でありまするし、その人員並びに予算的な面、また技術的な面等におきましても、これは相当強化していかなければ相ならぬ。また十四、五カ所というようなことでは、日本の下請中小企業というものが相談すべきその場所というものも、非常に制限されておりまして、これでは相ならぬ。年に一カ所、二カ所ということでなくて、すみやかに全国の都道府県にこの協会というものをやはり設置すべきであろう。これをほんとうに下請中小企業のいろいろの中心にもっていこうとするならば、早くそのような体制をとるべきである、整備すべきである、こう痛感するわけでございますけれども、その点に対する企業長官の確信のある答えを出してもらいたいと思います。
  39. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のございましたように、現在の下請企業振興協会は、まだ発足後日が浅うございます。一番早いもので昭和四十年でございまして、したがいまして、まだ経験も浅いというふうなことがございまして、必ずしも十全とは言い切れない面も多分に持っておるというふうに考えるわけでございます。今度新しくこの法律によりまして、これに対します業務の拡充、国及び都道府県の指導助言体制の強化というようなことが確立されることにしていただくわけでございますので、したがいまして、拡充された業務内容が円滑に推進できるような機構、構成あるいは予算措置というふうなものにつきまして、十分に配慮してまいりたいと考えます。
  40. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 お話のとおりに、来年度の予算につきましては、またひとつ重点的な項目として、この協会の整備拡充というものについて最善の努力を、いま言われたとおり払ってもらいたい、こう思います。  以上で質問を終わります。
  41. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 川端文夫君。
  42. 川端文夫

    ○川端委員 ただいま提案されております下請中小企業振興法案の問題について、最初に大臣に承りたいわけですが、この法案が前国会に提案されて以来、私どもの疑問というか、不安がつきまとっている一つは、いわゆる大企業の従属化になるのではないか、こういう心配と、もう一つは、大企業がはたしてこれに協力の体制を整えることができるのかどうかという疑問、この二つの問題点が、きょうまでいろいろな問題として、提案されながら継続審議になった一つの要素であろうと思うわけです。  中小企業庁の努力もありまして、今日、中小企業法律というものがかなり整備されておりますことは、お互いに認めざるを得ないと思うのですが、現実の社会の中には、法律はあっても、やはり今日のような金融引き締め下において、中小企業は非常に苦悩の立場に追い込まれている。この事実の上に立って、残された法案であるからこれを出すというかまえだけではなくて、残された中小企業政策の中の下請関係を国がめんどうを見ようというならば、やはりそれに見合うところの強い姿勢が必要ではないか。私はこの点、大臣がどのような考えをお持ちであるかということをお聞きしたいのです。  私は、先般、オーストラリア、インドネシア、シンガポールを見ることができまして、その関係からいっても、国際的にはもう分業化への道がいろいろな意味で進んでおる、動き出しておるという見方に立つわけです。経済の中においては、いろいろなアメリカとの関係、後進国の問題等もありますが、それぞれが手探りではあっても、国際分業化への道を歩んでいるという大局的な見方をせざるを得ないのではないか。そうだとすれば、日本の経済が今日曲がり角にきているといわれている七〇年代において、日本の国内にもやはり産業の分業化という強い方針を国民あるいは産業界に理解をしてもらうという前提がなければ、これが実効は出てこないのではないか、こういうふうにも考えるのですが、この点いかがでしょうか。
  43. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大局的な見方としては、私もただいま御指摘のとおりであると思っております。先ほど松尾委員にも申し上げましたように、非常に短時点で、今年から明年にかけての景気あるいは好況、不況ということを申しますならば別でございますが、長い視点では、確かにただいま御指摘のようなことがございますと思います。これは国際的にもそうでございましょうし、国内的にもそういうことが言えるかと思いますが、ことにわが国の場合、労働力不足、賃金の上昇ということが顕著でございますのに比べて、周辺の国々は、まだ労働力過剰、賃金水準も低いというような状況でございますので、そしてこの関係はさらに継続されると考えざるを得ませんから、ますます御指摘のような国際分業というものが進んでいくであろうと思われます。  そこで、そのような背景のもとに、国内において親企業下請企業がどのような関係に立つかということは、結局、突っ放して冷たい立場から申しますならば、両方の力関係とか利害関係とかいうことに帰着してしまうわけですが、そういう立場に立ちまして、いよいよわが国の局面は、下請というものが自主性を持ち、そして自分の技術と自分の特性でもって進んでいくというような状況にまさに入ってきたというふうに考えるわけであります。ただ、下請あるいは中小企業にもいろいろございますので、そのすべてがすぐにそういう体制に入れるわけではない。国際分業に従いまして方向転換をしなければならない分野も、あるいはあろうかと思います。かなりのものがそのような体制に入ってきた。そこで、御審議願っておりますこのような法案によって、それらの業種を選びまして、また時とともに追加をいたしまして、そのような趨勢を助長し、また支援をしてまいりたい。そのためには、国もみずからいろいろな形で応援をしたいと考えておるわけでございます。
  44. 川端文夫

    ○川端委員 考え方は承りましたけれども、もう一つの面は、従来からあります中小企業政策は、おもに国が助成するという立場に立って、中小企業だけを対象にいろいろな構造改善なりいろいろな政策がつくられて今日に至っているわけです。十分とは言えない。先ほど申しましたように、いま非常に困難な場面に立ち至っているのが中小企業実情ではないかと思いますが、それは別の機会に譲るとしても、今回の法案の中には、いわゆる国と中小企業だけでやらない、もう一組を取り入れるといいますか、親企業なり大企業をも参加させるということのこの大きな柱が、従来とは幾らか違っているのではないか。  しかしながら、今日、日本経済は実質的には、口を開けば指導者の方々は、自由主義経済でやっていくのであると、佐藤総理もたびたび言明されているわけですが、大企業も含めて、いわゆる中小企業のあるべき姿を確立さしていこうとするならば、そこに自由主義経済という経済の競争原理の中にある制限を加えざるを得ない。大企業にも協力をさせるという姿の中に、制限を余儀なくされる一面もある。先ほどからの答弁の中には、大企業もそのことによってよくなるのだ、悪くないのだというきれいごとをおっしゃっているけれども、現時点においては、大企業も幾らか窮屈になるというか、制限を甘受できる条件をつくっていくということが、この法案のほんとうの魂ではないか、こうも考えているのだが、この点に対して、なかなか自由主義経済の名において譲ろうとしない大企業なり親企業に、もう一つ強い方針を打ち出すべき時期に来ているのではないか、これが足りないのじゃないか。この心がまえがなしには、法案はつくっても、実際上の運営にあたっては、なかなかみんなが喜んでこれの方針に賛成ができないという形になりはしないかという心配もしているのだが、いかがでしょうか。
  45. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かに御指摘のようなことは、この法案なり体制を運営してまいります上で非常に大切なことだと思います。  と同時に、きれいごと云々と言われましたが、考えようによっては、これは非常にきたないことも含んでおるかもしれません。俗なことばで申しますと、親企業にとって下請は強いほうが得か、弱いほうが得かといえば、かつてはおそらく弱いほうが得であったのではないかと思います。しかし、いまやある分野におきましては、下請が強くなることが親企業にとっても得だというふうに関係が変わってきたと思いますので、ただいま御指摘のような道徳的と申しますか、そういうような心がまえも必要でございますが、同時に、下請も強くなってもらったほうが親にも得だというそろばんもその底に入りましたところで、初めてこのような構想が有効に実を結ぶのではないか、そういう客観情勢の変化が経済のかなりの分野において起こりつつあるということも、この法案が現実性を持つに至った理由ではないかと思っております。
  46. 川端文夫

    ○川端委員 こういう抽象的な論議を繰り返しておっても、時間のむだにもなろうかと存じますけれども、もう一点だけ申し上げると、私は、この法律を出す以上は、この問題点を国が日本の産業界全体の中に一つの新しい問題点を提起したというくらいの決意がなければ——特に現在、この法案を待望している産業というか企業は、大体、月産計画で仕事をできる条件のところ、こういうところが大多数ではないかと思うのです。先ほどからもお話のありました造船等も、まだちゅうちょをしているゆえんの中には、月産計画が立たない、われわれがなお変動にさらされているという考え方親企業にあって、なかなか踏み切れないという一面もあるのではないか。これを運輸大臣なり通産大臣が方針として指定業種にきめて、きめた以上はやらせるのだという強い姿勢が明らかにされておかないと、単に私は説得だけに終わるのではないかという懸念があるのですが、いかがでしょうか。
  47. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ごもっともでございますけれども、その点は理想と現実とのかね合いの問題になってまいると思います。理想のほうに向かっていきたいわけでございますけれども、現実がいかにもそこまで来ていないという場合には、なかなか指定ができませんでございましょうし、現実問題としてそういうものが熟しつつあるというときには、こういう指定をすることによって、それがいよいよ実際に現実になるということでございましょうから、両方のかね合いの問題だと思います。造船業などは、先ほども中小企業庁長官が申し上げましたように、運輸省とよく相談をいたしまして、まさにそういう現実になれる段階に来ているのではないかと私は思いますが、そういうことでございましたら、ひとつ指定をしてそっちへ向かって進んでもらう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 川端文夫

    ○川端委員 いまの問題、大臣の御意見を承ったのですが、企業長官は、いま大臣にも御質問申し上げたように、計画生産のできる産業はこの方向を今日とりたいという意向があることも私どもは承知しているのだが、日本の中小企業下請関係計画生産だけが利用できるという条件では幅が狭いのではないか。こういう関係企業長官は今後どういうふうに運営して実施していこうとされているか、お聞かせ願いたいと思います。
  49. 吉光久

    吉光政府委員 この法案には、御承知のとおり二つの事項がございまして、一つは第三条の振興基準関係でございますが、これは親事業者下請事業者との関係につきましての望ましい基準を設けるということでございます。したがいまして、すべての親事業者下請事業者に対しての望ましいあり方についての基準を定めることになっております。これは業種によってどうというような限定をつけていないわけでございます。それから振興協会につきましても、同じように業種による限定はつけていないわけでございます。  いまの御指摘の問題は、第五条の振興事業計画対象になる特定業種についてというふうなお話でございますれば、これはやはり親事業者等と下請事業者との取引依存度関係がある程度あるということを前提にいたしまして、その関係について設備近代化あるいは下請関係近代化等につきまして、これらの合意に基づいた計画を達成するという手法近代化をはかってまいろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、この段階におきましては、やはり取引依存度関係ということが重要な意味を持ってまいるわけでございますけれども、依存度関係の多いものにつきましては、発注分野明確化でございますとか、あるいは発注につきまして受注の平均化あるいは長期化というふうな問題をも中に考慮に入れなければならない、そういう事情がより多く出てくるような業種ということになるわけでございますので、中心になるのは、やはり計画的な受注を持っておるというのが中心になろうかと思うわけでございまして、また将来とも、そういうような発注受注計画化ということが進んでまいりますことが、下請中小企業近代化にも大いに役に立つのではないであろうか、こういうふうな考え方をいたしております。
  50. 川端文夫

    ○川端委員 長官にその問題でもう一点お尋ねしておきたいのですが、いまお話しの答弁の中にも、望ましいということばと、合意に達すればということばが使われておりまして、三条でも五条においても、この問題をやる以上は、だれかが言ったことばではないが、かなり勇気が要る。親企業を説得できる力を持たないとできにくい問題に対して、そのような合意を望ましいというだけでは弱いではないか、こういう立場で御質問申し上げているわけです。したがって、国が下請企業振興させるという基本的理念を打ち立てる以上は、これに従わしめるといっては少し言い過ぎでしょうけれども、協力せしめるための努力が、この法律ではやはり訓辞規定のような形において、言うことを聞かぬからといって罰則を出せないわけですから、この点も十分決意を新たにしてやる意思があるのかどうかということを、もう一ぺんお尋ねしておきたいと思います。
  51. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のとおりでございまして、この法律によりまして下請関係近代化してまいろうということが非常に明確になってまいるわけでございますけれども、下請関係近代化する素地がだんだんとでき上がりつつあるということにつきまして、先ほど大臣からお答えがあったわけでございます。現実の事態はそういう素地を持ちつつあるわけでございますけれども、しかしあくまでも、下請関係近代化してまいりますためには、国、公共団体その他中小企業に関連する各種の団体すべてこの近代化のために積極的に協力してもらう必要がございますし、同時にまた、親事業者に対しましても、下請関係近代化するということの重要性につきまして積極的な協力をしてもらう必要があるわけでございまして、そういう意味におきまして、私どもといたしましても、あらゆる機関、手段を動員いたしまして、近代化の必要性について説得の立場で臨んでまいりたいと考えます。
  52. 川端文夫

    ○川端委員 あまり押し問答はしたくありませんけれども、現実はそうなっていない。これが法律で生かされる、救われるという問題点があまりにも希薄だ、ということを言っているわけです。  たとえば家電関係発注が減りまして、私の住んでいる城南地区の中小企業、金属加工業は、大体この十二月二十日ごろには仕事の受注がなくなって休まざるを得ないというのが大多数になってきている。事務機器等の一部のものは忙しい一面も残しておるけれども。仕事がなくなれば、やはり経済の動向が変われば下請に大きな影響を与えておる現実の中に、何か救われ方が弱いのではないか、もっと強くなってほしい、国が強く指導してほしい、という希望も含めての質問を申し上げているわけです。現実はなかなか、大企業はそんななまやさしい考え方を受け入れる用意を持っていないように、心配していることだけは十分腹に入れて、決意を新たにしていただきたいと思うわけです。  この問題は、あまり繰り返してもどうかと思いますから次に移りますが、この三条の中に、先般来、前国会から今日まで各党話し合いをいたしまして、大体六項目の項目を一まあ最初の原案から見れば二項目をふやす合意ができ上がっているわけです。特に四項の単価の決定の方法、納品検査の方法、その他取引条件改善に関する事項、これらは協会等にそのあっせんなり協力をさせるという考え方のようでありますが、私は、先ほどからも質疑が出ておりました、今日の下請企業振興協会というものはそれだけの能力はないという見方に立たざるを得ないし、しかも全国的に法律をつくる以上は、十六や七の都道府県にできておるだけでは、全国的なものにならぬじゃないか、この点はどういうふうにお考えになっているのか。この点は先般来、立法府である議会の中で話し合いいたしました、下請関係の単価の決定なり、それらの問題を注入しようということに対して、中小企業庁長官はどういうふうにお考えになっているか、お聞かせおきを願いたい。
  53. 吉光久

    吉光政府委員 単価の決定の方法取引条件改善に関する事項その他の事項についてでございますけれども、やはり下請関係近代化してまいるというふうな基本的な立場に立ちました場合、こういうふうな事項をも当然近代化要素として考えていかなければならない、また積極的に推進していかなければならない重要事項であろうと思っておるわけでございます。  それからなお、振興協会のほうの関係の問題でございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたように、振興協会は現在までまだ成立いたしまして日が浅うございます。と同時に、従来の振興協会の業務が、いずれかといいますと、下請のほうに受注量を確保してやるというふうな、そういう取引あっせん中心の仕事を行なってまいっておりまして、今回のこの法律が制定されますならば、振興協会の業務内容も相当拡充されることになってまいるわけでございます。したがいまして、新しく振興協会のほうにゆだねられる業務に応じた機構、人員配置というふうなものがあらためて考えられなければならないというふうなことであろうかと思うわけでございまして、そういう点につきましての十分な配慮をいたしてまいりたいと考えます。
  54. 川端文夫

    ○川端委員 振興協会が今日まだ発足して日が浅いので十分でないというお話ですが、このことは百歩譲るとして、法律が制定された以上は、協会の任務というものは、当然法律の示すところによって行なっていかなければならないということになるし、もう一つはこの中に、これも先般来、与野党の議員で話し合いをいたしました中に、十一条の二号の中に、下請取引に関する苦情又は紛争について相談に応じ——ここまでならいいのです。しかしそのあとに、その解決についてあっせんまたは調停を行なうこと、これを明文化しようではないかという合意ができておるわけです。したがって、あっせん、調停をできるという形においてこの法が運用されるまでの間に、どのような協会の拡充強化が必要かということをやはり明確に承っておきたい。たとえば、紛争あっせんのためにやはりこれは画期的な法律としてわれわれは受けとめたい。いわゆる下請中小企業の労働三法に近い考え方に立って、お互いの譲り合いというか、調停をしていくという場合においては、やはり第三者構成のような調停委員会をつくるか。さもなければ協会自身を、親企業も中立の立場の人も下請の代表も入れた機構に改組するか。このことの内容を明確にしてもらわないと、どうも文章は書いたけれども運用する場所がないでは困るのじゃないか、この点を明確にお答え願いたいと思う。
  55. 吉光久

    吉光政府委員 原案の段階におきましては、「苦情又は紛争について相談に応ずること」というふうなことになっておったわけでございまして、したがいまして、それに応じた機構というふうなことを、下請振興協会の機構、構成等について考えておったわけでございます。  さらに、この振興協会におきまして、その他の、その解決についてのあっせんあるいは調停ということを行なうというふうなことになります場合におきましては、その立場に立ちまして、あらためて振興協会のあり方、あるいはまた、紛争または調停を行なうにふさわしい機構のあり方という面から、振興協会につきまして再検討を行なっていくことが必要であるというふうに考えております。
  56. 川端文夫

    ○川端委員 検討ではなしに、法律実施する大事な条件として必要だという考え方に立っていただかなければ困るんだ、こういうことを申し上げておきます。  もう一つは、最後に、私は時間がないから、まだ聞きたいことはありますけれども、もう一つ申し上げますと、いわゆる助成措置の中の税制上の措置の中に、一五%を積み立てれば損金算入できるということが先ほどからの答弁の中にもあるのだが、一五%といえば一割五分です。いうならば、企業の中の売り上げの一割五分といえば、荒利益をそのまま積まなければ——積めるということですと、積まぬでもいいわけですが、五%にしてもいいわけですが、そこで、私は思想の中に、構造改善考え方をこの下請の中にも持ち込んでおいでるのかどうか。いいとか悪いとか言うんじゃないですが、いうならば、結局、下請企業を将来構造改善させるための一つの下地としてこれをつくろうとされたのではあるまいか。したがって、下請に対する法律ではあっても、下請組織化される構造改善というか、企業合同をねらいとしておいでるのではないかという疑問を一つ持っているのですが、この点いかがでしょう。
  57. 吉光久

    吉光政府委員 いわゆる構造改善につきましては、これは、いわゆる業種別の横割り的な施策として考えられておる施策でございまして、今回の下請関係近代化をはかりますための手法は、むしろそういう業種別の横割り的な問題としてとらえないで、同じ仕事を縦の流れに従って、そこにおける手法というふうなものを取り入れたわけでございまして、したがいまして、下請関係の今回の振興法が、いわゆる構造改善というふうなことを意図しておるということとは直接的な関係はないわけでございます。ただ、業種によりましては、横割り的に構造改善を進めていく業種もあるわけでございますので、したがいまして、現実の計画の調整の段階におきまして、両者意図しておるところがよく整合性を持ち、円滑に実施していかれるというふうなことにつきましては、十分注意する必要があるというふうに考えております。
  58. 川端文夫

    ○川端委員 もう一点だけお尋ねしておきたいと思いますが、一五%、これは最高額ですから、必ずしも一五%積み立てるとは思わぬけれども、一五%かりに積んでいくということになれば、社内留保がなくなる中小企業が出てくる。そういう意味においては、これを積んだものは、やはり見返りとして十分個々企業近代化に対しての助成は特別に見るということがあってもいいのではないか、こういうことを考えていることをひとつお答えいただけば、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどお答えを失念いたしました。実は現在考えておりますのは千分の十五でございまして、現在構造改善をやっておりますほうの準備金も千分の十五でございます。したがいまして一・五%でございまして、この点、これは法律の条文の上には出ておりませんけれども、申し上げたいと思うわけでございます。したがいまして千分の十五、一・五%でございますので、御指摘のような御懸念は起こってこないのではないかと考えます。
  60. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後一時四十五分開議
  61. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出水質汚濁防止法案を議題といたします。  昨日の中村委員質疑に関して政府から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤経済企画庁長官。
  62. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 排水基準の順守と民事責任の関係につきまして御質問がございまして、それについての政府としての統一見解を申し上げます。  本法は、行政取り締まり上の観点から排水基準を定め、その順守を強制しているものであり、この基準の順守の有無が、私人間の利害にかかわる民事上の責任の有無に直接結びつくものではないと考えております。この点は、交通法規、衛生取り締まり法規等の他の行政取り締まり法規と同様でございます。なお、この解釈につきましては、法務省と打ち合わせ済みでございます。
  63. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
  64. 中谷鉄也

    中谷委員 ただいま経済企画庁長官のほうから、排出基準の順守と民事責任の関係について統一的な御見解の表明がありました。この点について整理をいたしまして、お尋ねをいたします。   〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕  すなわち、排出基準をかりに順守していても、そのことが権利侵害、すなわち人の生命、身体及び財産権、すなわち漁業権あるいは農作物等に対する権利の侵害の不法行為の責任とは直接結びつくものではない。すなわち排出基準を守っていても権利侵害は十分に生じ得る。すなわちそれは、民事上の責任回避義務を守っていたかどうかというところの問題として御整理になったものと考えます。  なお、はたしてしからば、さらに統一見解と申しまするか、政府の御見解を承りたいと思いますが、法三条及び法四条、すなわち法三条は排出基準、法四条は排出基準に関する勧告の定めであります。すなわち、法四条の予定しているところは、法三条に定めた排出基準が、すなわち権利侵害に当たる排出基準を定めた場合もあり得る、そのような場合に、排出基準に関する勧告をする法意に出たものと思われます。したがいまして、共同不法行為としてその権利侵害は、排出基準を定めた国及び都道府県も共同不法行為者になり得る場合が理論的にはあり得るし、また事実上もそのような場合は想定できる。これが、私は一歩進めてと申しまするか、当然ただいまの統一見解の中から論理として導き出されるべきものと考えます。この点についての御見解を承りたいと思います。なお、この点については、法務省のほうにおいてもそのような見解を一応お持ちのようでございます。長官の御見解を承りたい。
  65. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 法律問題でございますので、法務省から答弁してもらいます。
  66. 清水湛

    ○清水説明員 お答えいたします。  排出基準を守っているかどうかということにつきましては、必ずしも民事上の責任と直接結びつくものではないという点につきましては、先ほど経済企画庁長官がお答えになったとおりだと思うわけでございます。したがいまして、排出基準を守っていましても民事上の責任を問われることがあり得るということでございます。ただ、この場合におきまして、国または都道府県が排出基準のきめ方が悪かったということで民事責任を負うかどうかということにつきましては、このような基準は行政取り締まりの見地から一般的に定型的にきめられるというようなことになっておりますので、よほど特段の事情がない限り、国あるいは都道府県が共同不法行為者として責任を負うというようなことはないのではないか。ただ、これも民法上あるいは国家賠償法の法的評価の問題でございまして、そのような不適正な排出基準の定め方と権利侵害との間に因果関係があるというふうに判断される場合がかりにあるといたしますと、そのような事態が生ずるということも考えられるわけでございますけれども、通常はそういうことはないのではないかというふうに思うわけでございます。
  67. 中谷鉄也

    中谷委員 最後の質問でございます。  法務省の見解は以上のとおりであります。したがいまして、法四条の排出基準に関する勧告は、都道府県の排出基準等が権利侵害に当たると思われる場合は当然経済企画庁長官、あるいは大気汚染の場合には通産その他の責任大臣が勧告をするということになるわけでありますから、事実上もそのような場合を法は想定していると考えられます。なお、三条がいわゆる上のせの規定であります以上、国の排出基準全体が、国の上のせ以前の基準が権利侵害に当たる場合も理論上はあり得る。すなわち、排出基準を守っておっても、企業者と国及び都道府県との間に共同不法行為が成立することは理論上はあり得る。ただし、そのようなことは、法務省答弁のように、事実上しばしばあるというふうなことは絶対に避けなければならないけれども、そういうことは考えられることだし、そのようなことのないように十分行政上の努力をしなければならない。したがいまして、まず長官に対してお尋ねいたしたいのは、水質汚濁で申しますると、三条、四条の法意からいたしましても、排出基準をきめた国及び都道府県が共同不法行為者としての責任を負うべき場合は理論上あり得る、という法務省見解のとおりということに政府御見解はなろうかと思いますが、この点について御答弁をいただき、私の質問を終わりたいと思います。
  68. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 質問趣旨を取り違えるといけませんが、私伺っておりますと、一つは一律基準の問題に関してのように伺いましたが、それもございましたね。ちょっとすみませんが……。
  69. 中谷鉄也

    中谷委員 じゃ、もう一回。一律基準を定めた場合に、一律基準の排出基準を守っておっても、生命、身体、財産権、すなわち漁業及び農作物に対する被害を与える場合がある。この場合は国がまず企業者とともに共同不法行為の責めに任ずる場合があり得ると思います。しかし、そのような場合には、法三条によって都道府県は上のせの規定を置くことができるわけですから、上のせの排出基準を定めるべきであります。そのような上のせの排出基準をきめなかった都道府県も、その場合には権利侵害の共同不法行為者になり得ると考えます。したがってそのような場合には、国、都道府県、排出基準を順守している企業者、この三者の不法行為が成立する場合が想定されるのではなかろうかという質問であります。さらにまた、その都道府県の排出基準が不適当である、三条の上のせがさらに不適当だ、そのような場合に法四条によっての勧告をしなかった場合には、今度は企業者、都道府県、国という順序で、この三者の共同不法行為が構成される場合があり得る、こういうふうな趣旨質問であります。そのようなことが通常一般的に行なわれるとは考えられませんが、理論的には十分その論理構成はあり得る。したがいまして、今後そのようなことをきびしく統一見解をお述べいただくことは、漁業者、そして農作物を守っている農民に対して、私は、そのような統一見解は、政府に対するこの法の厳正な適用を期待させるものであるとして、御見解を承りたいものであります。
  70. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 理論的には先ほど法務省の担当官がお答えになっておりますから、純粋理論という意味はどの程度の意味か知りませんが、実際問題といたしまして、たとえば一律基準の場合には、そもそもシビルミニマムということで設定いたしております。であるからして、その地域地域について完全である、十分のところまでつり上げてきめるということは、この制度自体の目的からいっても適当でないことになります。でありますから、多くの場合に、一律基準に違反したことによって、国がそれを設定したことによる責任ということはまずないものと、実際問題として考えていいと私は思います。  それから、その上に上のせ基準をいたしました場合には、まさしく先ほどの法務省の方の御答弁がその典型的な場合でございますから、もうそれで十分であろうと思います。  それから第四条による勧告の場合におきましても、今回、国の権限が地方に移りましたが、地方自治の本旨というものを十分に考えまして、できるだけ干渉はしない。そういう意味において、われわれはあえて勧告という程度にとどめておるわけでありまして、実際問題としてどの程度国が関与できるか、そうしたことはなかなか具体的な想定はむずかしいと思います。そういう意味において、これも直ちに国にいくかどうか、そういう点はちょっと一がいには言えない。ただ全く頭の中の論理として考え得るか、こういうお話のようでありましたから、それは法務省の御意見どおりであろう、こう思います。
  71. 中谷鉄也

    中谷委員 頭の中の論理として必ずしも考えているわけではないのです。たとえば、排出基準を守っておっても量の問題がございますから、現実に権利侵害は至るところ大気、水質において行なわれていると思います。  私の質問はこれ一点で終わりたいと思いますが、そうすると、都道府県に排出基準の上のせの権限を与えた以上、事実問題として起こり得る場合は、都道府県について共同不法行為の責任が生ずる場合はあり得る。国の場合は、その起こり得る場合としては、四条の勧告をすべきであるにかかわらずしなかったという場合には、共同不法行為の責めに任ずる場合がある、こういうふうに整理をさせていただきたいと思いますが、もうそれで私の質問は終わりたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  72. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 勧告は、もちろん義務づけられておるものではございませんから、ただし、そこまでの結論が出るとも私は思いません。ですから、これは全くケース・バイ・ケースのことになろうかと思います。
  73. 八田貞義

    八田委員長 岡田利春君。
  74. 岡田利春

    ○岡田委員 本法の採決にあたって、二、三点だけ質問をいたしておきたいと思います。  第五条の「特定施設の設置の届出」について。いわば届け出制度と許可制度という二つの制度があるわけですが、工場立地の調査等に関する法律を見ますと、工場自体が届け出制度になっているわけです。しかも、通産大臣の要件を満たす場合の勧告も第九条に定められておるわけです。しかし本法は、届け出制度ではありますけれども、修正案のすでに合意に達している五条二項については、七号へ追加されると、排出水の汚濁の状態及び量についても当然届け出をしなければならないようになるわけです。しかも、これに関連する第八条の計画変更命令がございまして、計画の変更及び特定施設の設置に関する計画の廃止をも命ずることが都道府県知事はできるとあるのでありますから、したがって、この工場立地の調査等に関する法律と比較する場合に、この法律機能を考える場合は、知事が改廃あるいは廃止の命令もできるのでありますから、実質上、許可制度にほぼ近い、ほとんど許可制度と同じような機能を果たすものということが、当然この法の機能から理解できるのではないか、私はこういう認識をいたしておりますが、大臣は見解はいかがでしょうか。
  75. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 単なる届け出制度以上のものである、したがって十分チェックが可能である、そういう意味において、やや許可制度に近い効能を持つであろうということは、お説のとおりであろうと思います。工場立地法との比較は別にお答え願いたいと思います。
  76. 岡田利春

    ○岡田委員 第十四条の「排出水の汚濁状態の測定等」でありますが、これも修正案で合意に達しておりますのは、「努めなければならない」を「適切な措置をしなければならない」、こういう一応議論をいたしておるわけですが、その場合に、排出水を排出する者は、有害物質を含む汚水等が地下にしみ込むこととならないように適切な措置をするという意味は、少なくともこの特定施設が地下浸透処理をするということはあり得ない、特定施設がその排水を地下浸透で処理をさせるということをそのまま受け入れるものではないということが、当然この条文から解釈されなければならないと私は思うわけです。当然そうであると思うわけです。そういう理解について、御異存はございませんか。
  77. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この十四条第三項のいわゆる地下に浸透する問題のことでございますが、ただいまのお話のごとく、これに修正が行なわれることになるようでございますが、いずれにいたしましても、地下に放流する場合も地下にしみ込ませるということに該当するわけでございまして、この規定によりまして、事業者としては適切な措置をとらなければならないことになるわけでございます。したがって、この排出水が有害物質を含む場合におきまして、そういった事態が起こるおそれがあるような場合には、行政当局としては適切な指導を行なっていく、そういうことによってこの条項を守っていくようにしたいと考えております。
  78. 岡田利春

    ○岡田委員 ちょっと局長の答弁は弱いと思うわけです。ここでは、有害物質を含まなければ問題は別なんですよ。有害物質を含む汚水が地下にしみ込むことにならないように適切な措置をするということは、特定施設を設置して有害物質を含む汚水の浸透処理は認められない。当然これは、設置届けを出す場合に、排水路がどこに排水するかということがわかるわけですから、これを地下浸透で処理するのだ——これは有害物質が含まれない場合は別ですが、有害物質を含む汚水の場合にはこれは適当でない、こういう判断に明確に立つのが私は当然だと思うのです。きちっと答弁してください。
  79. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘のごとく、有害物質を含む汚水等があります場合に、これを地下に浸透処理をするというようなことは許されないことは当然でございます。こういうものがしみ込むようなことにならないように行政当局としても指導をやっていかなければならぬ、こういうように思います。
  80. 岡田利春

    ○岡田委員 本委員会に、「水質汚濁防止法案第三条第一項に規定する排水基準のうち有害物質に係る排水基準」の素案を一応資料として出していただいたわけです。この基準を「人の健康保護に関する環境基準」と比較をいたしますと、シアンの場合には、これは認められていないのでありますが、ここは一PPM。有機燐の場合も、これは環境基準では認められていないのでありますが、一PPM。いわばこの二つは認められていないものについて一という数字が出されておるわけです。それ以外については、大体、環境基準の全部が十倍という数字になっておるわけです。先般、質問いたしましたときに、この数字は、流水量に対して工場の排出水が大体十分の一という見当でこういう数字を考えているというのが答弁であったわけです。そういたしますと、この基準に基づいて上のせ基準をつくる場合の目安として、第一には流水量の二割になった場合には、上のせ基準として一PPMであればこれは〇・五PPMにきめることは妥当性があるのではないか、こういうことが当然判断できるわけです。この点についてどうかというのが第一点。  それから第二点は、もちろんすでに汚染されていない河川流域もございますから、さらに厳格に環境基準に従ってこれを保持をしていく、汚染の防止をしていくという場合については、いまの基準数字とは別に上のせ基準が都道府県知事において条例できめ得る、この二つの面が考えられるわけです。特に私が重要視するのは第一項でありますが、大体そういう目安というか、上のせ基準をきめる場合の一応の説明からいえば目安になるとも言えるんではないかという点についての見解は、いかがですか。
  81. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 環境基準と排水基準関係で、希釈を考えて、排水基準の場合には、標準的には環境基準の十倍くらいのところになるであろう、こういっておりますのは、これは出る量にはそれほど関係がございません。大体、通常の場合でありますと、量の多寡にかかわらずすぐ十倍くらいに希釈してしまう、こういうことのようでございまして、大体そういうことを頭に置いて考えておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。  それから第一点の問題でございますが、やはり地域の実情によりまして上のせをいたします際に、こういった形で、たとえばシアンならばシアンにつきまして、一PPMとかりに一律の数字がきまりまして、そこの水域の状況から見て、工場が大きな工場であって、環境基準の面から見ると問題があるというような場合には〇・五ときめる場合もございます。現に洞海湾ではそういうことをやっております。そういうようなふうにお考えを願いたいと思います。  それから、第二の汚染のないようなところについての上のせの問題でございますが、これも都道府県の段階で、その水域の実情から見て上のせが必要である、これは自然的、社会的環境から判断してそういうことが必要であるという場合であれば、これはもう上のせをできないというわけではございません。ただ、非常にきれいなような場合でありますと、この一律基準ということでいいのではないかと思いますが、これはケース・バイ・ケースで判断をしていただく以外にないのじゃないかと思います。
  82. 岡田利春

    ○岡田委員 後段の説明はいいのですが、前段の、量には全然関係ないと、さらっと局長は言われたわけですが、しかし、この基準的素案は環境基準と全然関係のないというものではないわけです。環境基準を達成していく目標として排出基準をきめるわけですから。そこで十倍にきめた。十倍というのは、原則的には、やはり流水量の十分の一程度が工場の排水量であるから、そういう意味でそれも一応の目安に置いて十倍ということを考えている、そしてこういう素案が出てきているわけです。そういたしますと、上のせ基準をきめる場合に、そればかりではないけれども、そういうことも上のせ基準をきめる場合の要因になり得るということは言えるのじゃないですか。いかがですか。
  83. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 通常の河川とか湖沼等の場合におきましては、先ほど御説明いたしましたように、工場の排水量の多寡によって希釈の程度が変わるということはあまりないわけでございます。ただ、非常に水量の少ない川の場合に、そこにかなりの排水量のある場合には、これはおっしゃるように、そのままにいたしますと非常に水域の汚染がひどいということになります。そういう際には、当然もっときびしい基準をきめなければならない。これは実例もございますし、そういうふうにしたいと思います。
  84. 岡田利春

    ○岡田委員 もう一問で私、質問を終わりますけれども、十六条の「測定計画」。都道府県知事は国の地方行政機関の長と相談して水質の測定に関する計画を毎年きめるわけです。そうして協力をして測定をするわけですが、この場合にこの測定については、蓄積性の有害物質、特に金属物質でありますけれども、こういうものはすでに川の底に蓄積されておる面もあるわけです。また蓄積されていくわけですね。したがって、排水路もしくは河川の底質についての調査測定、こういうものも、この測定計画の測定の方法をきめる場合に含まれているかどうか。これは公害本部のほうから答弁を願いたいと思うわけです。含まれているのか、含まれていないのかという点について、明確にしていただきたいと思います。
  85. 植松守雄

    ○植松説明員 現在、河川の水質の測定につきましては、これはたしか地方建設局長が昭和三十四年以降継続的な水質測定をやっておりますし、また、都道府県知事が管理者である二級河川等についても、それぞれ継続的な水質測定をやっておるわけでございます。しかし、それは必ずしも底質、いわゆるヘドロにつきまして常時測定をやっておるということではないと思います。ただし、特に人体、人の健康に対する被害が問題になったという場合につきましては厚生省が、あるいは水産物被害が問題になった場合には農林省がみずから、あるいは都道府県に委託して調査をやるということは、これはスポット的に、あるいは必要に応じてやっているところでございます。また、河川管理者の立場におきましても、特に水質が問題になって、ヘドロの重金属の調査が必要であるというような場合には、もちろんそれについてやるというような形で行なわれていると思います。
  86. 岡田利春

    ○岡田委員 私は一般論を聞いているんではないんです。この十六条の二項ですね、「測定計画には、国及び地方公共団体の行なう」云々とあって、そして「測定すべき事項、測定の地点及び方法その他必要な事項を定める」というわけです。この場合、この二項の中に底質測定が含まれるかどうか、有害金属物質の測定も含まれるか含まれないのかということを聞いているわけです。
  87. 植松守雄

    ○植松説明員 先ほどお答えいたしましたように、必要な場合にはもちろんその計画に含めて調査すべきだと思います。
  88. 岡田利春

    ○岡田委員 その中に含まれているかどうかということです。
  89. 植松守雄

    ○植松説明員 したがって、その意味においては含まれていると考えていいと思います。
  90. 八田貞義

    八田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  91. 八田貞義

    八田委員長 この際、武藤嘉文君外三名並びに田代文久君からそれぞれ本案に対し修正案が提出されております。
  92. 八田貞義

    八田委員長 これより両修正案について、それぞれ提出者から趣旨説明を求めます。岡田利春君。
  93. 岡田利春

    ○岡田委員 水質汚濁防止法案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文は、お手元に配付したとおりでございます。  修正点は、第一に、第二条第二項第二号の生活環境項目の規定につき、有害物質の場合にならって、「おそれがある」を加えること。  第二に、第五条の特定施設の設置の届け出について、「排出水の汚染状態及び量」は、添付事項でなく届け出事項とすること。  第三に、第十三条の改善命令を発する要件を簡明にすること。  第四に、第十四条における排水方法及び汚水等の地下浸透の防止方法に関する規定を厳格化すること。  第五に、第十八条の緊急時における勧告を命令に改めること。  第六に、第二十五条の国の援助につき、中小企業に対する特別の配慮規定を加えること。  第七に、附則第四項の審議会及び委員の横すべり規定を削除すること。  以上であります。  これらの理由につきましては、いずれも法案の立法趣旨に照らし、また当委員会における質疑を通じまして、すでに明らかにされたところでございますので、個別の説明は省略させていただきますが、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  94. 八田貞義

    八田委員長 引き続き田代文久君から趣旨説明を求めます。
  95. 田代文久

    田代委員 私は日本共産党を代表して、政府提案に対する本法についての修正案を提出いたしますとともに、趣旨説明を行なうものであります。  修正案につきましては、すでに委員各位にお配りしておりますので、簡単に趣旨説明内容を申し上げます。  一、特定施設の設置または構造変革等についての届け出制を都道府県知事の許可制とすること。  また、この許可制の基準については、  一、当該特定事業場からの排出水が排出基準に適合していることはもちろんのこと、排出水の量を考慮し、さらに当該特定施設からの排出水が加わることによっても、なお人の健康を保護または生活環境を保全する上で十分なるものであることが認められること。  第二に、緊急時についての知事の勧告権を命令権に改め、かつ政令による制限を除き、違反者に対する罰則を設ける。  第三に、鉱山、電気事業についても、知事の水質汚濁防止権限が及ぶように改める。  第四に、その他政令、省令等による制限を改め、都道府県が条例によって自主的に公害行政が推進できるようにすること。  以上であります。  公害の企業による責任を明確にし、公害をその発生源においてきびしく規制するとともに、住民の参加する地方自治体による民主的な公害対策を進めることこそが公害をなくする道であり、本修正案が本委員会における多くの同僚議員の御発言とも一致するものであります。慎重な御審議をお願いし、すみやかな可決を求めるものであります。お願いします。
  96. 八田貞義

    八田委員長 これにて両修正案の説明は終わりました。     —————————————
  97. 八田貞義

    八田委員長 これより討論に入るのでありますが、本案並びに両修正案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  採決の順序は、まず田代文久君提出の修正案、次に武藤嘉文君外三名提出の修正案、最後に原案について採決することといたします。  それでは順次採決いたします。  まず、田代文久君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  98. 八田貞義

    八田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、武藤嘉文君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  99. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  100. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。  なお、ただいまの修正議決に伴いまして、条項、字句等の整理を要する場合は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  102. 八田貞義

    八田委員長 次に、本法律案に対し、武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。武藤嘉文君。
  103. 武藤嘉文

    ○武藤委員 水質汚濁防止法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。  本決議案の各項目の趣旨につきましては、一々理由を付して申し上げるまでもなく、当委員会における質疑などを通じまして十分御理解を願えるものと存じます。案文をお手元にお届けしてございますので、御一覧をいただき、何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。     —————————————     水質汚濁防止法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行にあたり、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。一、排水基準は、環境基準を達成し維持するために十分なものとするよう配慮し、設定の際には関係大臣の協議を経るよう努めること。 二、特定施設の届出制及び計画変更命令の規定を厳格に運用するとともに、その際には汚水等の排出量の増加を防止することを特に重視すること。 三、熱による排出水の一汚染に関する排水基準をすみやかに定めるよう努めること。 四、都道府県における監視測定職員の確保、研修の実施及び測定機器の開発等、監視体制の充実策を積極的に進めるとともに、企業における水質汚濁防止の責任者、技術等の体制整備について強力に指導すること。 五、地方自治法に基づく政令指定都市及びこれに準ずる市の長に対しては、本法規定する都道府県知事の権限を委任すること。 六、本法の運用の円滑を期するため、地方公共団体に対する援助を積極的に行なうこと。 七、中小企業に対しては、汚水処理施設に関する税の減免並びに金利及び償還期限等の融資条件と信用補完条件の緩和について、特別の措置を講ずること。 八、本法の適用除外の施設については、電気事業法その他の法令をすみやかに整備して、水質汚濁防止体制の万全を期すること。 九、汚水等の地下浸透を防止するための施策を格段に強化すること。     —————————————
  104. 八田貞義

    八田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  別に発言がなければ直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  105. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められております。これを許します。佐藤経済企画庁長官。
  106. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 ただいまの附帯決議の内容につきましては、政府といたしましても極力これを尊重し、そうした方向でもって今後の水質汚濁防止対策の推進に努力をしてまいりたい、こう考えております。     —————————————
  107. 八田貞義

    八田委員長 おはかりいたします。  法案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  109. 八田貞義

    八田委員長 下請中小企業振興法案を議題といたします。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  110. 中村重光

    ○中村(重)委員 同僚委員からそれぞれお尋ねがありましたので、時間の関係もありますし、問題点にしぼって通産大臣にお伺いをいたしたいと思います。  下請中小企業振興基準作成、さらには振興計画等々、中小企業庁としては画期的な法律案である、中小企業振興のために、下請自主性をはかるために、この法律案をよりどころとしてこれから取り組んでいきたい、そうした決意を明らかにしているわけであります。  ところが、六十三通常国会以来、私どもはこの法律案について検討してまいりました。問題点指摘をし、中小企業庁としても、足らざるところに対しては修正に応じることにやぶさかでないことの態度を示してまいっておるわけでありますが、私どもが依然として疑念に思っておることは、この振興計画実施することにおいて、親企業下請企業との従属関係というものがさらに強められていくということにならないかどうかということであります。もしそうではなくて、この振興計画実施することにおいて、中小下請企業自主性をはかり得るという確信があるとするならば、具体的にどのような構想を持っておられるのか。また、振興計画に基づいてこれから講ぜんとする施策等について、大臣の考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 親企業下請企業との関連の変遷、これからの見通し等につきましては、午前中に他の委員の御質問に対しましてお答えを申し上げましたので、重複を避けさせていただきますが、この法律案では第一に、振興事業計画作成あるいは遂行個々下請事業者ではなくて事業協同組合を中核にして行なおうとしておるわけでございます。  それから第二に、計画承認に際しまして、その事業協同組合が真に自主性を持っておるかどうか、そういう人々の集合体であるかどうかということについて審査をする、これもそのようなことを実は確保いたしたいと思うのであります。  それから、第三に申し上げられますことは、計画承認にあたりまして、その計画がいわゆる振興基準に照らして適切かどうかという点を審査いたしますが、これも右のような観点からでございます。  この法律案全体といたしまして、制度的に下請事業者自主性について配慮を払っておるつもりでございますが、なお、中小企業対策全般につきましてしばしば申し上げておりますとおり、そのような省力化、高度化、そうして生産性向上、独自性といったようなものを進めておりますことは、しばしば申し上げておるところでございます。
  112. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど松尾委員からも指摘をしておったわけでありますが、今回、中小企業庁が指定をしようとしておるところの業種に造船業も入ってない、さらにこれをもっと拡大する必要があるのではないかというお尋ねであったわけでありますが、私もそのとおりと思うのであります。もちろん中小企業庁長官としても、順次この業種拡大をはかっていきたいということであったわけでありますが、六十三通常国会からこの業種指定の問題については検討してまいったところでありますから、もう約一年たっておるわけであります。したがって、造船業であるとか、あるいはその他の業種について、来年度からこの指定を拡大するという具体的な考え方がまとまっておるのかどうか、その点をこの際はっきりさせておいていただきたいと思います。
  113. 吉光久

    吉光政府委員 当初考えておりました機械工業中心にしました数業種ということで進めておりましたけれども、その後だんだんと各業種につきましての実態が明らかになりつつございます。したがいまして、初め考えておりましたよりかより広い業種につきまして最初から指定をしてまいり、さらにまた、実態が明らかになりましたものから逐次追加をしていく、こういう考え方でおります。
  114. 中村重光

    ○中村(重)委員 ただいまの答弁は、先ほどと同じような答弁なんだから、来年度具体的にどの業種まで拡大をしようとしておるのか、来年度の計画の中に造船業が入っておるのかどうか、時間の関係もありますから、質問に対しては、同じような答弁の繰り返しではなくして、もっと前向きの姿勢でもって答弁してもらいたいと思うのです。
  115. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘の造船業につきましては、最初から指定するつもりで現在準備体制を進めております。
  116. 中村重光

    ○中村(重)委員 ともかく、必要以上に何というか、答弁に慎重であることはよろしいけれども、ざっくばらんに答弁したらどうなんです。  次に、振興基準の中に、発注方法であるとか、発注単価あるいは代金の支払い方法等々あるわけですが、具体的にいま申し上げましたようなこと以外に、製品の検収等々、下請取引の適正な姿というものは、この振興基準をつくる上についてどのような指導をしていこうと考えておるのか、あるべき姿はどういうことなのか。
  117. 吉光久

    吉光政府委員 代金の支払い方法につきましては、現実に下請企業者が合理化努力によりまして合理化しましたその成果を、やはり下請企業者にも帰属させるということが必要であろうかと思うわけでございます。そうすることによりまして、下請企業者資本蓄積もできてまいるわけでございます。そういうふうな観点、それからまた、親企業者が下請代金を協議して定めます場合に、やはり下請企業者の現実の設備実態その他等につきまして、十分考慮を払った上で代金をきめる必要があるというふうなことを具体的な問題として考えておるところでございます。
  118. 中村重光

    ○中村(重)委員 答弁を一々取り上げて、抽象的であるという指摘をしても切りがありません。しかし下請問題というものは、きわめて不平等な中に、いわゆる下請企業というものが自主性がそこなわれている中でやっているんだから、したがって、下請企業振興法を通じて、三本の柱を立ててこの法律案を御提案になっておるわけなんです。ですから、現在の検収方法であるとか、あるいは単価の立て方であるとか、あるいは発注方法であるとか、こういったことにはこのような問題点があるのだ、これからはこういう方向に行政指導をしていく、そのことがあるべき姿であるといったような、もっと具体的な考え方というのをこの際明らかにしてもらいたかった。それは時間の関係で、あとで時間がありますればあらためてお尋ねをしたいと思います。  そこで、川端委員からも、振興協会の組織をもっと強化していかなければならない、あっせん、調停等について実のある実効をあげ得る機関にしなければならないということであったわけです。この法律案の中身を見てみると、いわゆる公益法人ということになっておりますけれども、財団法人にするのか、あるいは社団法人にするのか、それらの点も明確ではないということです。だからむしろこれは、特殊法人というような形において法的根拠をもっとはっきりさせる。そうして、振興協会というものをこれからもっと拡大をしていこうとするならば、その振興協会というものの横の連絡をどうするのか。また下請協同組合の連合会の組織化等々について、どのように考えているのか。それらの連合会とこの下請振興協会との関連づけというものをどのように進めていこうとしておるのか。それらの点等々について明らかにしておいてほしいと思います。
  119. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のように、現在の下請振興協会は必ずしも十全ではないというふうに考えます。今回の法案によりまして、下請振興協会の業務内容が拡充されるわけでございますので、その拡充されました業務内容に従いまして、振興協会のあり方についても、機構あるいは人員、予算その他、全般を通じまして見直すべき問題が多いと考えております。したがいまして、今回の与えられました内容にふさわしい機構に改組していくことも、やはり早急に検討し着手する必要があろうかと考えるわけでございます。  それから、組織化、全国団体との連携でございますが、これもまた御指摘のように、現在、全国団体はございますけれども、その加入者はまだ全体の約五分の一程度というふうな状況でございまして、したがいまして、この組織化の拡充ということにつきましては、さらに努力を重ね、全国団体の育成強化につとめてまいりたいと考えます。
  120. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣、どうも吉光長官は法制局におられた関係で、きわめて答弁は慎重であるということですが、実態をつかんでおられるわけですから、もう少し具体的に、組織はこうあらねばならぬといったこと等々、私どもが納得いくようなお答えをしていただきたいと思うのですが、私が指摘いたしましたように、公益法人ですから、社団法人も財団法人も公益法人ですね。ところが、それではなくして、もっとあっせん、調停をやるとか、あるいは下請事業振興をはかっていくためのいろいろな業務面のあっせんといったようなこともやっていかなければならないのですが、もっと権威のある一貫した組織でなければならぬと私は思うのです。したがって、特殊法人等々を検討していかなければならないのではないかというように考えるわけです。  それから、協会というものが全国的にこれから設立されていくでありましょうから、そういうものの横の連携、縦の線といったようなこと等々、やはりこの際もっとはっきり構想を持っておらなければならないというふうな感じがするわけです。これはなぜかと申しますと、いろいろ問題点がありまして、一年間たなざらしになったわけですね。ですからやはりその間に、もっと具体的な前向きの考え方というものが明らかにされないのかどうか。非常にこの答弁を聞いておりますともの足りない感じがするのですが、大臣いかがでしょうか。
  121. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 あっせん調停ということまでお考えのように漏れ承っておるわけでございます。ただ、おそらくそのあっせん、調停というようなことは、法的な拘束力を持つという段階までお考えではいらっしゃるまいかと思いますので、そうでございましたら、一応民法三十四条の法人をもって法人格としては足りるのではないか。もし将来あっせん、調停がもっと拘束力を持つということになりますと、これはさらに新しい問題として考えなければならないかと思います。いずれにしましても、内容の充実も必要でございますし、横の連携も必要でございます。また全国に、各都道府県にできておるわけではございませんので、これもやってもらわなければならないと考えております。
  122. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは具体的な問題についてお尋ねいたしましょう。  本年度の予算は十五億円であると承知いたしておりますが、その十五億円はどう使っていくのかということになるわけですが、この予算化している十五億円というのは、下請振興計画に参加してくる個々企業設備資金というものに使われていくのであろう。運転資金まで考えていらっしゃるのかどうかわかりませんが、これは中小企業金融公庫からの融資ですから、設備資金に限るのであろうと私は思いますが、そうなのかどうか。それから、一企業当たりの融資額を、最高限どの程度とお考えになっていらっしゃるのか。それらの具体的な問題についてお聞かせいただきたい。  それから、時間の関係がありますので、まとめてお尋ねをいたしますけれども、四十六年度の予算はどの程度まで要求をしていらっしゃるのか。それから個々企業に対しての、本年度についての考え方があるでありましょうから、来年度はそのワクを、また上限を引き上げていこうとお考えになっていらっしゃるのかどうか。それらの点について明らかにしていただきたいと思います。
  123. 吉光久

    吉光政府委員 本年度、中小公庫に準備いたしましたのは、いま御指摘の十五億円でございます。これは初年度でございますので、計画内容の普及、浸透その他等に時間がかかるというふうなことを前提にいたしまして、十五億が組まれておるわけでございます。ただ、明年度におきましては、すでにこの法案内容も、相当程度、下請業者あるいは親事業者に浸透いたしておりますので、相当の計画作成が行なわれるということが見込まれておりますので、現在、七十億円の予算要求をいたしておるところでございまして、大幅な拡大をはかってまいりたいと考えております。  なお、この資金設備資金でございますけれども、一件の中小公庫の限度額は五千万円でございますが、この件につきましては、八千万円を限度額にするというふうにいたしておるわけでございます。それから、これは現在特利の七・七%というものがついておるわけでございますけれども、これは従来の近代化促進の体系と同じ金利体系にいたしたわけでございますけれども、さらにこれを引き下げるよう努力してまいりたいと考えております。
  124. 中村重光

    ○中村(重)委員 大蔵省にお尋ねをいたしますが、中小企業庁から来年度七十億を要求しておる。十五億というのは当初予算で、初年度予算であったわけでありますから、振興計画というものもそう進まないであろうということで、それなりにわかるわけです。しかし、この下請振興計画、このことが下請事業に対するところの自主性を強めてくるということで、相当情熱を燃やして取り組んでいこうとする中小企業庁の考え方であるわけであります。したがって、相当振興計画は進んでいくであろう、また協会も全国的に設立されるであろうと私どもも期待をするわけであります。そうなってきますと、七十億というものは、私は、これに参加する企業の数等々から判断をしてみまして、これではどうにもならないのだ。また、一企業当たり八千万円にしようということでありますが、これも最高限であって、実際は一千万、二千万というのもあるのであろう。それ以上は出せないというような実態でありますならば、これはいかんともしかたがありませんけれども、この七十億というものが大蔵省の査定段階において削られるということになってまいりますと、せっかくのこのいい構想というようなものも、実際は実を結んでこないというような感じがいたしますが、大蔵省はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この際ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  125. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 先ほど中小企業庁長官よりお答えがありましたように、来年度の予算編成に関連いたしまして、従来予定をされておりました十五億円の貸し付け規模をふやすようにというようなこと、あるいはその他の要求があることは、そのとおりでございます。これに対しまして私どもがどういうふうに対処するかということは、これはなお一般的にいろいろ同種のものがございます。中小企業金融公庫、国民金融公庫、その他いろいろのものがございますので、それらの問題をあわせて処理をいたさなければなりませんから、今後なお予算折衝上の問題として中小企業庁と考えてまいりたいと思っております。  ただ、前通常国会にこの法案が出ましたときにも、企業庁といろいろ相談をいたしまして、この法案のねらいといたします趣旨を十分生かすべく、それからまた、すでにあります、たとえば近促法によりますところの近代化促進計画というようなものに対するいろいろな融資上の特典というようなものも勘案いたしまして、近促法並みのものでやろうというふうに決定をいたしたわけでございます。今後の推移等もございましょうけれども、やはり私どもといたしますれば、同じ近促法の中で中小企業が目ざしております近代化促進計画、あるいはさらにそれをもっと徹底いたしました構造改善計画、それと今回御審議になっております下請関係のこの振興計画というようなものと、彼此勘案いたしましていろいろ決定をいたさなければならない要素もございます。なお、今後とも企業庁と、そういう面のバランスをとりながら検討してまいりたいと思っております。
  126. 中村重光

    ○中村(重)委員 吉光長官にお尋ねいたしますが、中小企業の公害対策、私どもが先ほど修正可決をいたしました水質汚濁防止法案の中におきましても、特にこの中小企業に対するところの公害関係設備ということに対しては特段の措置を講ずるべきであるということを一項挿入をいたしたくらいであります。したがって、この振興計画と、いま私が申し上げました公害関係設備に対する融資というものは、これは直接関係があるのではないことはもちろん理解をいたしておりますけれども、この振興計画によって融資をしておるから公害関係設備というようなものもその中から補え、ということになってまいりますと、私はたいへんだと思うのです。ですから、それらの点についてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  127. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のように、別の問題でございまして、公害防止事業を積極的に進めなければならないその防止施設と、いまこちらで考えております振興計画の中に、公害につきましての問題も内容的に含まれてくることはあり得るわけでございますけれども、また、そうあることが望ましい場合の業種もあり得ると思うわけでございますけれども、資金的な手当てといたしましては、近代化のために必要な資金というふうなものと、それから公害防止のために必要な資金というふうなものにつきましては、それぞれ別の系統の問題として資金ワクを確保いたしたいと考えます。
  128. 中村重光

    ○中村(重)委員 金利と償還期間の問題についてお尋ねをしたいわけですが、大蔵省の審議官がお見えですからその見解も伺いたいのです。大体これは金利が七分七厘、償還期限が七年ということでございますが、これを縮めることについて、確信を持ったお答えをいま伺うことは若干無理ではないかというように思われます。  したがいまして、通産大臣にこの際お答えをいただきたいと思います。構造改善事業も、御承知のとおり金利は七分であります。近代化設備に対しましては、中小企業振興事業団から二分七厘の金利でもって融資がされておる。それから償還期限も十五年でございましたか、ずっと延びてまいりました。ところが、これが画期的な法律案であるという自信を持ってお出しになっており、将来に大きな期待を下請振興のためにかけていらっしゃるわけであります。そこで、これに参加をするという中小企業に対して、初年度は十五億を予算化して、先ほどお答えのように一企業当たり最高八千万という資金を貸していこうというわけですが、七分七厘という金利は高過ぎると私は思います。私どもは、金利がどの程度であるべきかということで検討して、五%が適当であろうというような考え方をまとめましたけれども、しかし、そこまでは私は申し上げませんが、少なくとも構造改善事業に対する融資の程度、七分で償還期限も十年ないし十二、三年まで延長するということでなければならないと思います。せっかく中小下請企業振興をはかっていこうというわけでございますから、ひとつ通産大臣としても大いに努力をしていただかなければならぬと思います。お考え方をこの際、ひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。
  129. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御発言の御趣旨はよく承知いたしました。大蔵省にもいろいろ御苦労もあることと思いますが、せっかく新しい施策を発足させようといたしますので、その趣旨もよく御説明をいたしまして、極力努力をいたしたいと思います。
  130. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、大蔵省の審議官がお見えだと思いますが、税制上の優遇措置としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
  131. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 お答えいたします。  すでに先生御承知のとおり、ことしの改正、すなわち昭和四十五年度の税制改正におきまして、下請振興のための各種の制度を設けております。さらにこれに加えて、税制上の優遇措置について通産省から幾つかの御要望を現在いただいております。こういう措置につきましては、申すまでもなく中小企業一般とのかね合いにおきまして目下慎重に検討をいたしておる次第でございまして、税制調査会にもおはかりをして今後結論を出したい、かように考えておるわけでございます。
  132. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係がありますので、またあらためて適当な機会にお尋ねをすることにいたしますが、この法律案の中身を見てみますと、説明の中にあるわけですが、この振興計画に参加をする共同施設に対して、中小企業振興事業団資金の優先貸し付けというのがあるわけですね。これは当然なことだというようにも感じられるわけですが、私はそれを否定するものではございません。ただ心配になりますのは、中小企業振興事業団の融資も現在ですら非常に不足をしておるわけですね。だからこの資金ワクをもっと拡大をしてもらいたいという要請が非常に強いわけですよ。そこで今度は、新しいこうした事業であるからということで、それに優先貸し付けをするということによって、これに参加をしない企業高度化資金というようなものが相当押えられてくるということであっては、これはどうにもならないと思うのです。だから融資ワクの絶対量をふやしていかなければならないというように思いますが、この点に対しての宮澤大臣のお考え方と、それから大蔵省が、この中小企業振興事業団に対して現在二分七厘の金利——かつては無利子であったわけでありますから、私どもはこれをもっと引き下ぐべしという主張をしておりますが、まあ現実の問題としていまこれを引き下げろということは言いません。絶対額をワクをふやすのだから、その金利を引き上げるなんというようなことは毛頭考えていないのであろうと思いますが、その点について伺いたい。  それから来年度予算において、中小企業振興事業団に対して、出資であるとか、あるいはまた財投について大幅増額をしようという考え方があるのかどうか、その点についてもお聞かせいただきたいと思います。
  133. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御審議願っておりますのは新しい施策でございまして、従来のものに取ってかわる一わけではございません。したがって中小企業振興事業団資金におきましても、新しいこういう要請を取り入れられるような形で予算要求をし、また実現をいたしたい。前段につきまして私はそう思っております。
  134. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 資金ワクの問題その他も、先ほどお答えいたしましたように、現在検討中でございまして、予算の時期にその他のものとともにきまるわけでございます。それまでになお中小企業庁とともに検討いたしたいと思っております。
  135. 中村重光

    ○中村(重)委員 共同施設に対して、親が何%程度賦課金として支出をするのかということに対して、先ほど一割程度というお答えがあったわけですね。これはあまりたくさん出させると、金を出したということについて下請に対する締めつけというものが起こってくる。私どもが非常に心配をいたしております従属化というようなものが、そこで起こるおそれがある。確かにその点はそうだと思うわけです。ただしかし、私は額の問題ではないと思います。いわゆる量の問題ではない。これは現在ですら、親企業下請企業との関係というものは従属的な関係である。優越的な地位というものを親企業は堅持している。単価も一方的にきめます。支払い条件も一方的にきめているのです。中には下請が非常に優位に立っておるというところも全くないではないと思います。しかし全国的に見ますと、依然として親企業がそうした優越的な立場にあるということ、そういうことで一方的にすべての取りきめがなされてきている。したがってこの賦課金の問題にいたしましても、申し上げましたように、量の問題ではないのであって、実際はこれを従属化しないようにどうしていくのかということが問題となるであろうというように考えます。したがいまして、これは一律にその程度で押えていこうとするのか、あるいはこの振興計画に対しては、親はこの程度だというように実質的にそれぞれの振興計画の中できめさせていこうとお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点を伺いたいということ。まだありますけれども、一応お答えを願いましょう。
  136. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは一応のめどということで、そういう数字を検討いたしておるところでございまして、実際の問題といたしましては、それぞれの実情に応じました、実態に即した姿のものが出てくるものと思っております。ただ今回の仕組みは、あくまでも下請企業者自主性尊重してやるということが中心でございます。したがいまして、判断をいたすにあたりましても、あくまでも下請中小企業者自主性がそこなわれない、それがその実態に応じます場合の基本的な態度になるというふうに考えております。
  137. 中村重光

    ○中村(重)委員 それからこの賦課金ですが、賦課金によって共同施設がつくられるわけですね。したがって財産権の問題というのが起こってくるのだろうと思います。そこで、大企業は単に賦課金を出すわけですが、その賦課金というものは財産権とは結びつかないのかどうか、補助というような形式になるのかどうか。これは法律案の中身の中では明確ではないわけです。ですから、それらの問題を通じて将来物議をかもし出すことはないのかどうか、そこらあたりいかがでしょう。
  138. 吉光久

    吉光政府委員 これに当たりますところの準備金は、あくまでも事業協同組合に積まれるものでございます。したがいまして、これは端的に申し上げまして、親からの寄付金ということでございまして、施設の所有権は事業協同組合に帰属する、事業協同組合の所有にかかる財産がそこにできる、このように考えております。
  139. 中村重光

    ○中村(重)委員 最後に大臣にお尋ねをいたしまして、本会議の時間の関係もありますから終わりたいと思いますが、この振興計画が特定の親企業に対する依存度三〇%。もちろんこれは三〇%以下ということでも差しつかえはないわけですね。ところが、この特定親企業中心にいたしまして振興計画ができ上がります。そして、いまお答えがありましたように、親企業賦課金を出すわけですね。そこで共同施設がつくられる。その共同施設を利用して事業の運営というものがなされてくるわけです。そうなってくると、親企業は、できるだけ下請企業というものを他の親企業中心とする振興計画に入れないで、自分のほうだけしっかり押えていこうというような形になりがちなんですね。それは実は人情でもあろうと思うのです。そうなってくると、問題点従属関係というものがますますもって強められてくる。そうなってまいりますと、当然、複数の振興計画というようなものがつくらなければならない。それに加入の自由というものが保障されなければならない。もちろんそれは自由なようであります。自由なようではありますけれども、片一方に強い力でもって締めつけが、もうほかの計画の中に入れまい入れまいとする動き、それが現場においてあるわけですから、やはりよほど強力な行政指導というものがなされて、せっかくのこの下請企業振興、それから振興計画振興協会の運営というこの三本の柱が有効に動いていかなければならないというように思うわけです。せっかくつくった法律案がここに制定されて法律として動くわけでありますから、この運用の面について今後どのような熱意をもって対処していこうとしていらっしゃるか、この際、大臣の指導方針のほどを伺っておきたいと思います。
  140. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはごもっともな御心配であると思います。立法の本来の趣旨が、下請企業自主性を付与したい、それについては親もある程度は協力をしろ、協力はするが、しかし自主性をそこなうような干渉がましいことがあってはならぬ、こういう趣旨でございます。本来が、下請企業者自主性を付与し、できるだけ多角的な関係を結ばせようというのでございますから、ただいまのようなことは、計画の行政指導あるいは承認にあたりまして、そういうことの起こりませんように極力気をつけなければならない問題でございます。御心配はごもっともでございますから、極力気をつけてまいります。
  141. 八田貞義

    八田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  142. 八田貞義

    八田委員長 本案に対し、武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党、四党共同提案にかかる修正案が提出されております。
  143. 八田貞義

    八田委員長 まず、修正案について提出者から趣旨説明を求めます。中村重光君。
  144. 中村重光

    ○中村(重)委員 ただいま議題となりました自主民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提出による下請中小企業振興法案に対する修正案につきまして、提出の趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付いたしておるとおりであります。  以下、各項目について若干御説明をいたします。  第一点は、目的の修正であります。御承知のように、本案の制度は、いわゆる親子ぐるみの近代化をはかるユニークなものでありますが、下請関係の特殊な実情にかんがみまして、下請中小企業振興をはかる上において、特に下請中小企業自主性の確保をはかることが重要でありますので、中小企業基本法第十八条を引き、目的の明確化をはかったのであります。  第二点は、下請中小企業者及び親事業者のよるべき一般的基準として定められる振興基準内容に、取引条件改善及び下請中小企業組織化に関する事項を定めることとしたことであります。  第三点は、振興事業計画作成について、親事業者は、下請組合の申し出に対し、協議し協力しなければならないことを明定したことであります。  第四点は、下請企業振興協会は、下請取引に関する紛争のあっせん、調停を行なうことができることとした点であります。  以上が修正案の要旨であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  145. 八田貞義

    八田委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  146. 八田貞義

    八田委員長 これより討論に入るのでありますが、本案並びに修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  武藤嘉文君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  147. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  148. 八田貞義

    八田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。  なお、ただいまの修正議決に伴いまして、条項、字句等の整理を要する場合は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  150. 八田貞義

    八田委員長 次に、本法律案に対し、武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。武藤嘉文君。
  151. 武藤嘉文

    ○武藤委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提出による附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付したとおりでございまして、各項目の内容につきましては案文で十分御理解が願えると思いますので、説明を省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。      —————————————     下請中小企業振興法案に対する付帯決議(案)  政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、振興基準作成振興事業計画承認等にあたつては、下請中小企業自主性の確保について十分配慮するとともに、振興事業計画実施する下請中小企業者が、必要に応じ自由に他の親事業者とも振興事業計画実施することができるよう指導すること。 二、新事業者に対して、下請中小企業組織化近代化について積極的に協力するよう指導するとともに、発注量、発注単価、代金の支払方法、製品の検収等下請取引について、適正な慣行を樹立することによりその改善を図るよう指導すること。 三、下請企業振興協会の機構を拡充強化し、各協会間の連絡の緊密化を図る等下請取引のあつせん機能向上に努めるとともに、下請取引に関する紛争については、十分な調整機能をもち得るよう下請企業振興協会を改組すること。 四、下請中小企業振興貸付の貸付枠の拡大、金利の引下げ及び償還期間の延長を図るほか、中小企業振興事業団資金優先活用等により、振興事業計画実施に支障を生ずることのないよう十分配慮するとともに、振興事業計画にもとづき下請中小企業者が設置する設備について、税制上の優遇措置を講ずること。 五、下請中小企業協同組合の連合会について、その育成強化を図ること。       —————————————
  152. 八田貞義

    八田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  別に発言がなければ直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  153. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められております。これを許します。宮澤通商産業大臣
  154. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして善処いたします。     —————————————
  155. 八田貞義

    八田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  157. 八田貞義

    八田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時七分散会