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1970-12-10 第64回国会 衆議院 商工委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十五年十二月十日(木曜日) 午前十一時十六分
開議
出席委員
委員長
八田
貞義君
理事
浦野 幸男君
理事
鴨田 宗一君
理事
進藤 一馬君
理事
橋口 隆君
理事
武藤 嘉文君
理事
中村 重光君
理事
近江巳記夫
君
理事
塚本
三郎
君 石井 一君
稲村
利幸
君 宇野
宗佑
君 遠藤
三郎
君 小川 平二君
大久保武雄
君 大橋 武夫君 海部 俊樹君 神田 博君 北澤 直吉君 小峯 柳多君
左藤
恵君 坂本三十次君
始関
伊平君 藤尾 正行君 前田 正男君 増岡 博之君 山田
久就君
石川 次夫君 岡田 利春君
中井徳次郎
君
中谷
鉄也
君 松平 忠久君 相沢 武彦君 岡本 富夫君 松尾 信人君 川端 文夫君
田代
文久
君
出席国務大臣
通商産業大臣
宮澤
喜一君 国 務 大 臣 (
経済企画庁長
官) 佐藤 一郎君
出席政府委員
経済企画庁国民
生活局長
宮崎 仁君
大蔵大臣官房審
議官
吉田太郎
一君
中小企業庁長官
吉光
久君
委員外
の
出席者
内閣審議官
植松 守雄君
法務省民事局付
検事 清水 湛君
大蔵大臣官房審
議官
中橋敬次郎
君
商工委員会調査
室長 椎野 幸雄君
—————————————
委員
の異動 十二月十日
辞任
補欠選任
中谷
鉄也
君
三宅
正一
君 西田 八郎君
吉田
泰造君
米原
昶君
田代
文久
君 同日
辞任
補欠選任
三宅
正一
君
中谷
鉄也
君
田代
文久
君
米原
昶君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
水質汚濁防止法案
(
内閣提出
第二二号)
下請中小企業振興法案
(
内閣提出
、第六十三回
国会閣法第
九六号) ————◇—————
八田貞義
1
○
八田委員長
これより
会議
を開きます。 この際、第六十三回
国会
、
内閣提出
、
下請中小企業振興法案
を議題といたします。
八田貞義
2
○
八田委員長
まず、
法案
の
趣旨説明
を聴取いたします。
宮澤通商産業大臣
。
宮澤喜一
3
○
宮澤国務大臣
下請中小企業振興法案
につきまして、その
提案理由
及び
要旨
を御
説明
いたします。
下請中小企業
は、
わが国産業
に広範に存在し、
わが国経済
の重要なにない手として、その
発展
をささえてきており、今後とも、
わが国産業
の
高度化
の
進展
に伴い、その役割はますます増大するものと見込まれております。 しかしながら、
下請中小企業
は、
受注
の不安定、
体質改善
のおくれ等多くの問題をかかえており、さらには深刻な
労働力
不足
、
親事業者
からの
合理化要請
の
強化等
きびしい環境に直面しております。 このような情勢に対処して、
下請中小企業
が自主的にその
事業
を運営し、かつ、その能力を効果的に発揮することができるようにすることは、
わが国経済
のバランスのとれた
発展
を確保する上からも、きわめて重要な課題となっております。 本
法案
は、このような観点から、
下請中小企業
の
実態
に即して効率的に
近代化
の
促進
をはかるとともに、
下請取引
の
あっせん等
を推進することにより、
下請中小企業
の
振興
をはかろうとするものであります。 すなわち、第一に、
下請中小企業
の
振興
に関し、
下請中小企業者
及び
親事業者
のよるべき
振興基準
を定めるとともに、これに基づき必要な
指導
、
助言
を行なうことといたしております。 第二に、
国民経済
上特に
近代化
を
促進
する必要がある
下請中小企業
について、特別の
近代化制度
を創設することといたしております。すなわち、
下請中小企業者
が組織する
事業協同組合
及びその
親事業者
が、
親事業者
の
発注分野
の
明確化
、
下請中小企業者
の
設備
の
近代化
、
技術
の
向上
、
事業
の
共同化等
を
内容
とする
振興事業計画
を
作成
して、
政府
の
承認
を受けることができることとしております。
政府
は、
承認
した
計画
の
実施
を
促進
するため、
金融
上、
税制
上の
助成措置
を講ずることといたしております。 第三に、
下請取引
の
あっせん
、
下請取引
に関する
苦情相談等
の
業務
を行なう
下請企業振興協会
に対して、その
業務
の公正的確かつ
広域的運営
を確保するため必要な
指導
、
助言
を行なうこととしております。 これが、この
法案
の
提案理由
及びその
要旨
でございます。何とぞ慎重御
審議
の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
—————————————
八田貞義
4
○
八田委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出があります。順次これを許します。
稲村利幸
君。
稲村利幸
5
○
稲村
(利)
委員
私は、自由民主党の
立場
から、
下請中小企業振興法案
について幾点かの
質問
を試みたいと思います。 この
法案
は、さきの
国会
において
継続審査
になったもので、この
法案
の
成立
については、
下請中小企業者
から強い
要望
があったにもかかわらず、今日に至っておるのは遺憾に思いますが、今
国会
でどうにか
成立
の機運が見えたことは、たいへん喜ばしいと考えます。 そこで、申し上げるまでもなく、
下請中小企業
は、
わが国
の
産業
に多数存在し、
製造業
全体では約三十万
企業
といわれ、特に
機械工業
においては約七〇%、
繊維工業
においては約八〇%に達しております。さらに、質的に見ても、
アッセンブル産業
型の
製造業
や
消費財産業
における
下請企業
の
貢献度
は高く、ましてや今後、
わが国産業経済
の
重化学工業化
、高
加工業化
の
進展
に伴い、
下請中小企業
のになっている
外注分野
は、一そう
拡大
の
方向
をたどると推定されており、これが
国民経済
上ますます重要な存在となることは、明白であります。 また一方、
わが国
の
下請中小企業
は、その特質として、
親企業
との
関係
で支配・
従属関係
が認められ、
受注
の不安定や
資本蓄積
の
不足
、
近代設備
の不備、
技術水準
の
定位性
、特に
労働力
の
不足等
の問題をかかえながらの
経済発展
、
拡大
という新局面に入りつつあるときに、
政府
が
下請中小企業
の
近代化促進
を
中心
とする本
法案
を提出したことは、おそきに失した感はありますが、けっこうなことだと考えます。 そこで、第一点として、本
法案
が一体いつごろから、どのような過程で
作成
されたのか、また
関係業者
、
業界
などに実際に具体的に
事情聴取
を行なったのか、その辺の経緯についてまずお尋ねします。 第二点として、私は、足利とか佐野、栃木、
桐生等
の特に
繊維産業
の盛んな
両毛地区
から選ばれておるものでありますが、
下請中小企業法案
は
機械工業
のみを
中心
に
対象
を考えているようであるが、
繊維縫製業
、
織物加工業
、
木工家具
、またいわゆる
雑貨製造業等
を今後どのように取り扱っていくつもりなのか、その点を
通産大臣
並びに
中小企業庁長官
から聞かしていただきたいわけであります。
宮澤喜一
6
○
宮澤国務大臣
昨年の十二月に行なわれました
中小企業政策審議会
の
政府
に対する
建議
に沿いまして、この
法案
を
作成
いたしましたが、この
政策審議会
におきましては、実はその前、四十三年三月ごろから
中小企業政策審議会企画小委員会
というものを設けましてこの問題を研究しておりまして、四十三年の七月に
中間報告
がございました。その中で、そういう思想がやはりある程度述べられておるわけでございます。なお、この小
委員会
がそのような
中間報告
をいたしますその前段で、小
委員会
として、
学識経験者
のほか
下請中小企業
、
親企業
の
関係者
に
委員
として参加してもらいました。それから、ただいま御
指摘
の、織布なども含めまして
機械
、
機械加工
あるいは
プレス加工
、
自動車部品
等々、
業界
及び
下請協同組合
などの
関係者
からも、意見や
事情聴取
を行ないました。そのようにして、昨年の
中小企業政策審議会
の
建議
というところへ積み重ねてまいったわけでございます。 それから後段のお尋ねでございますが、
お答え
としては、そのように考えたいと思います。
機械工業
などがおそらく
中心
になるではございましょうけれども、もろちん
繊維
、
雑貨関係
の
業種
におきましても、
本法
にちょうどはまるというケースがございますから、
業界
の
要望
がございますれば
指定業種
にしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
稲村利幸
7
○
稲村
(利)
委員
そういう
趣旨
でございますので、できる限り多くの
下請企業者
に
本法
の適用ができるようにお願い申し上げます。 次に、いわゆる
下請中小企業
と
親企業
との
関係
は、きわめて複雑であり、デリケートな問題です。また
下請
といっても、一次
下請
、二次
下請
、三次
下請
というように多種多様であり、比較的大きい
企業
から
零細企業層
にいくほど問題が多いと思うのですが、本
法案
において、二次、三次
下請
はどのように扱われるのか。特に第五条の
振興事業計画
には、これらの
企業
も参加できるのかどうか、お伺いいたします。
吉光久
8
○
吉光政府委員
お話の中にございましたように、
下請企業
の構成は非常に複雑でございまして、一次、二次、三次、またそれらも、
事業
の
形態
に応じましては入り組んでおるというふうなこともございますし、同時にまた、二次、三次と下にいくほど
零細企業
が多くなっておる、こういう状況であるわけでございます。したがいまして、
本法
におきましては、
親事業者
と
下請事業者
との関連におきまして、強い者から弱い者へというふうな感じを取り入れたわけでございまして、そういう点から、
下請中小企業者
の
定義
は、二次、三次、すべての者を包含した
定義
にいたしておるわけでございます。従来の近促法その他の手段によりますれば、実はこういう二次、三次というふうなところまで手の届かない面もあったわけでございますけれども、やはり仕事の流れに沿って全体をつかまえていくということが適当ではないか、こういう
考え方
で、末端にまでこの
振興法
が及ぶというふうなたてまえをとったわけでございます。したがいまして、いまの、特に第五条の
振興事業計画
に二次、三次も参加できるかという御
指摘
でございますが、当然に二次、三次の
下請業者
をもこの
振興事業計画
の中に含ましてまいりたいというのが私たちの希望でございまして、特にそういう方面にまで
配慮
をいたしてまいりたいと思っております。
稲村利幸
9
○
稲村
(利)
委員
さらに、この
法案
の
中心
をなす第五条の
振興事業計画
の
作成
は、
下請事業協同組合
が核となって行なうこととなっておりますが、
下請中小企業
の
組織化自身
もなかなか進めにくい
問題点
があるように聞いております。その辺のところはどうなっているか、お尋ねいたします。
吉光久
10
○
吉光政府委員
下請中小企業
は、いずれかといえば弱い
立場
にあるわけでございます。したがいまして、これを強くするというふうな
施策
の柱になりますのは
組織化施策
であろうかと思うわけでございまして、
事業協同組合
その他のいろいろの
組織法
がすでに準備されておるわけでございますので、それらの弱い者の
組織力
を強化してまいるということが必要であろうかと思うわけでございます。したがいまして、このたびの
法案
の中におきましても、
振興基準
の中で
そこら
の
組織化
の推進に関する
事項
について
規定
をいたしたいと思っておるわけでございまして、
下請事業者
に対しましては、
組織化
の
促進
に関する
事項
、また
親事業者
に対しましては
組織化
の
促進
を阻害してはならない、そういうふうなことを
中心
にいたしまして、そのあるべき姿について
規定
をいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
稲村利幸
11
○
稲村
(利)
委員
次に、
振興基準
の
具体的内容
についてお尋ねいたします。
下請事業者
及び
親事業者
の
一般
的なよるべき
基準
として、一本化した形で定められるというが、たとえば
発注分野
の
明確化
、
発注方法
の
改善
をとってみても、
対象
となる
業種
により、また同じ
業種
の中でも、
個々
の
親子関係
によって現象、
形態
は千差万別といってもよいと思うのです。まず、右の二つの
事項
について、具体的にどのような
内容
、
形式
で定められるか、ここのところの
説明
をお願いします。 それから、そのような
内容形式
でよるべき
一般的基準
としての
機能
を果たすことが可能だろうかどうか。また、
振興事業計画
を
作成
する場合の
指針
として
機能
することができるか。
政府
が
振興事業計画
を
承認
する際の
判断基準
としてはそのような
内容形式
でよいとしても、
下請中小企業等
が具体的に作業する場合の
指針
としては、一本化した
振興基準
のもとに、
業種
の
実態
、
実情
に即した
実施
細則的なものを
作成
すべきではないかと思いますが、この辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
吉光久
12
○
吉光政府委員
振興基準
の
考え方
なんでございますけれども、この
法律
がねらっておりますのは、いわゆる
下請関係
を
近代化
してまいろうということを最大のねらいといたしておるわけでございます。したがいまして、現在、ともすればございましたような
親事業者
の優越的な力というものが、
下請事業者
にいわゆる圧迫的な力というふうなことにならないよう、その
関係
を
近代化
してまいろう、こういうふうな
考え方
に立っておるわけでございます。したがいまして、
振興基準
におきましては、やはりあるべき、あるいは望ましいと申し上げましょうか、望ましい
親事業者
と
下請事業者
の
あり方
というふうなことを
中心
にして、
基準
をきめてまいるというふうな
考え方
に立っておるわけでございます。したがいまして、あくまでもこれは
一般
的な
基準
ではございますけれども、この
基準
を
親事業者
のほうにも守っていただきたいし、あるいはまた
下請事業者
のほうもこういう
基準
にのっとって
企業
を
近代化
してもらいたい、こういうふうな両方の
内容
が入っておるわけでございます。したがいまして、いまも御
指摘
ございましたように、そういうふうな
下請関係
の
一般
的なルールを正そう、こういうところから出ておりますので、一見抽象的というふうな御印象をお持ちいただいたのではないかと思うわけでございます。もちろん
内容
によりましては、相当具体的なところまで触れてまいることもあろうかと思うわけでございますけれども、あくまでも
振興基準
は、やはりそれぞれの
あり方
に関連する
一般
的な
基準
というふうなことで考えてまいりたいと思っております。 ただ、
業種
によりまして非常に複雑となってまいります。特に政令で指定された
業種等
につきましては、具体的な
振興事業計画
を組まなければならないというふうな問題も出てまいるわけでございますので、したがいまして、そういうふうな段階の
業種
につきましては、やはり各論といたしまして、
業種別
のある程度のこまかい
基準
を設けるということも、別途必要になってくるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、
実情
に即して、
そこらあたり
は弾力的に処理してまいりたいと考えております。こういうふうなことによりまして、やはりこの
振興基準
の
機能
も十分に発揮できるということになるのではないであろうかと考えます。
稲村利幸
13
○
稲村
(利)
委員
長官
の御
答弁どおり
、具体的にどうぞ親切にお願いいたします。 次に、
振興事業計画
に関して三点ほどお尋ね申し上げます。 まず、
振興事業計画
の
内容
はどのようなものか。また、本
法案
が予定しているような親
事業
の
協力
は期待できるのかということでございます。 次に、本
法案
の目的は、
下請事業者
を
自主性
のある近代的な
企業
に育成することにあり、したがって、
振興事業計画
の
作成
、
遂行
も、
下請事業者
の
自主性
が
尊重
されるようなものでなければならないと思いますが、この点について、本
法案
はどのように
配慮
をしているのか。 第三に、
振興事業計画
の
作成
と
遂行
には多くの困難があって、本
法案
が意図しているような
方向
に
下請事業者
を自発的に向かわせるには、国のたいへんな支援が必要であると考えますが、
計画
に参加している
下請事業者
に対しては、どのような
助成措置
を講じようとしておるのか、その点をお尋ね申し上げます。
吉光久
14
○
吉光政府委員
振興事業計画
の具体的な
内容
でございますけれども、具体的な問題といたしましては、やはり
親事業者
と
事業協同組合
、この両者の間の合意で具体的な問題は決定されるものでございますけれども、この
法律
で予定いたしております
振興事業
におきましては、
法律
にも特に
必要事項
について明記いたしておりますけれども、まず最初に、
下請事業者
の
生産性
をどのように
向上
してまいるか。あるいはまた品質、性能の
改善
について、具体的にその
事業協同組合
としてどのような目標を持つかというふうなこと。あるいはまた、
下請事業者
にそういう
意味
での
設備
の
近代化
その他の
施策
を進めてまいりますために、
受注
のめどをつけてやる必要があるわけでございまして、そこで
親事業者
の
発注分野
を、こういう
分野
についてその
事業協同組合
とは
下請関係
に立ちますというふうな
意味
で、
発注分野
の具体的な明示をその
計画
の中に書いていただくというふうなこと。あるいはまた、そういうふうなことを
前提
にいたしまして、
下請事業者
の
近代化
、すなわち、
設備
の
近代化
でございますとか、あるいは
技術
の
向上
でございますとか、
事業
の
共同化
あるいは
専門化
に関する
事項
でございますとか、こういうふうなものについて具体的な
計画
が盛られておることが必要である、こういうたてまえをとっております。また、こういう
計画
が順調に進んでまいりますためには、やはり
発注契約
の
期間
が長期化してまいるというふうなことも必要でございましょうし、また
発注
の
平準化
というふうなことも必要になってまいるわけでございまして、そういうふうな
意味
での
発注方法
の
改善
に関する
事項
というふうなこと。あるいは
取引条件
の決定の
方法
に関する
事項
というふうなことも、やはりこの
振興事業
の
内容
として考えておるところでございます。 ただ、こういう
振興事業計画
を策定し、そしてそれを
実施
してまいりますためには、何と申しましても
親事業者
の理解と
協力
ということがなければできないわけでございます。したがいまして、その点につきましていろいろの
配慮
をしなければならないというふうに考えておるわけでございますけれども、最近の
一般
の傾向といたしまして、かつてと違いまして、
加工工程
あるいは必要な
部品
の点数が増加いたしておりますので、
下請事業者
の
役割り
がだんだんと高くなっております。したがいまして、
親事業者
の
下請事業者
を見る目も
相当変化
をいたしてきておるというふうに考えられるわけでございまして、私どもで行ないました
下請事業者
に対します
実態調査
の結果を見ましても、かつてのように、景気のバッファーとして
下請
を使うというふうな数は、きわめてまれになってまいりました。むしろ、いずれかといえば、
下請
の持っておる専門的な
技術
、技能というふうなものを積極的に活用してまいりたいというふうな答が、数多く出ておるわけでございます。したがいまして、そういうふうな、
下請事業者
に対する
親事業者
の感覚がだんだんと変わってきてまいっておるという点からいきますと、
親事業者
の
協力
も相当期待できるのではないであろうか、こういうふうに考えておるところでございます。もちろん、そういうふうな
協力関係
に入ってまいりますためには、やはり
本法
につきまして、その
趣旨
の
徹底
、これは
親事業者
に対しましても、
下請事業者
に対しましても、その
趣旨
の
徹底
と
指導
というふうなことが必要になってまいろうかと思うのでございます。 それから、第二の
振興事業計画
の
作成
あるいは
遂行
にあたりまして、
下請事業者
の
自主性
はどのように
尊重
されておるか、
本法
についてその
配慮
はどのようになっておるか、こういう御
質問
でございます。 この
振興法
を考えましたその
基本
になっておりますのは、
中小企業基本法
の第十八条にいっております、いわゆる
下請関係
の
近代化
というふうなことをそのねらいとするものでございまして、したがいまして、その
近代化
を進めるという
手法
といたしまして、
親事業者
の
協力
を
前提
として
近代化
を効率的に進めてまいろうということをねらいといたしておるわけでございまして、したがいまして、この
趣旨
からいきましても、
振興事業計画
の
作成
あるいは
遂行
にあたりましても、
下請事業者
の
自主性
が十分
尊重
されるよう
配慮
してまいる必要があろうかと思うわけでございまして、まず第一に、
振興事業計画
の
作成
、
遂行等
にあたりまして、
個々
の
下請事業者
ではなくて、むしろ
下請事業者
の
共同組織
でございます
事業協同組合
が
振興事業計画
の
作成
の一方の
主体
になるというふうに考えましたのも、個別的な
下請事業者
であればともすれば不利な
立場
に立つというふうなことも考えられますので、やはり
事業協同組合
と
親事業者
との間で
振興事業計画
を協議し、
作成
するという
手法
を用いたところでございます。特に
事業協同組合
の中にその
親事業者
が入っている場合は、
振興事業計画
の
作成主体
としては好ましくない。要するに、
親事業者
と
下請事業者
と一緒に入っているような
協同組合
であれば、
下請事業者
の
自主性
が阻害されがちであるというふうな
配慮
に基づきまして、そのようなたてまえをとったわけでございます。それからさらに、この
振興事業計画
を
承認
するにあたりましては、
事業協同組合
が
自主性
のある真に
下請事業者
の
組織体
であるかどうかというふうな、その
組織体
の
主体
についての
審査
をもいたすことといたしております。 またさらに、第三条の「
振興基準
」におきましても、
下請事業者
の
自主性
の
尊重
を、やはり重要な
事項
の一つとしてその
基準
の中にも盛り込んでまいるというふうなことといたしたいと思っておるわけでございまして、この五条の
計画
の
承認
にあたりましても、やはりその盛り込まれました
振興基準
に適合しているかどうかという点について、適切であるかどうかという点についても
審査
いたすことといたしておるわけでございます。もちろん
制度
的にいろいろと
規定
はいたしておりますけれども、やはり何と申しましても
下請事業者
の
自主性
を確立するということが、
下請関係
の
近代化
のために非常に重要な
事項
でございますので、
本法
の運用にあたりましても、
自主性
の
尊重
という点につきまして十分に
配慮
をいたしてまいりたいと考えております。 それから第三の御
質問
でございますけれども、そういうふうな
下請事業者
に対してどのような
助成措置
を講じようとしておるのか、こういう御
質問
でございました。
振興事業計画
に参加し、あるいはこれを
実施
いたします
下請事業者
に対しまして、
金融
及び
税制
上の
助成措置
を講ずることといたしておるわけでございますけれども、
中小企業金融公庫
に
下請中小企業振興ワク
というふうなものを設けまして、特に
特ワク
でこの
関係
の
設備資金
を融資してまいりたいというのが第一でございます。 それから第二は、
計画
の
承認
を受けました
事業協同組合
が、
共同利用施設
を設置するため、
組合員
と
親事業者
に課しました
賦課金
につきまして、
税制
上の
損金算入措置
というふうなものを設けますとともに、これにかかわります
共同利用施設
につきまして、初年度三分の一の
特別償却
を認めることといたしております。 また第三に、
計画
の
承認
を受けました
組合
及び
組合員
に対しまして、これを特別の
信用保証制度
の
対象
といたしたわけでございまして、いわゆる
近代化保証
と同じ
信用保証
の体系で優遇をはかってまいりたい、このように考えておるわけでございます。 なおその他、この
承認
されました
事業計画
の
実施
に必要な
資金
の確保につきまして、あるいは商工中金でございますとか、あるいは
中小企業振興事業団
のいわゆる
高度化資金
の
優先活用
でございますとか、既存の
制度
をさらに優先的に適用してまいるようつとめてまいりたいと考えております。
稲村利幸
15
○
稲村
(利)
委員
長官
の
お答え
でたいへんありがたいと思っておりますが、中小公庫の
特別ワク
の
拡大
とか、金利の引き下げ、
償還期間
の
延長とい
ようなところを特別に
配慮
をしていただきたいとお願いします。 次に、
特定親事業
に対する経費の
賦課
についてお尋ねいたします。
振興事業計画
による
振興事業
に、
共同利用施設
事業
がある場合、その経費を
特定親事業
者にも
賦課
することが予定されておりますが、施設そのものは、特定
下請
組合
の資産であり、その
組合員
のみが利用するものであります。このような
親企業
に対する経費の
賦課
は、
親子関係
の
一般
的な特質である支配・
従属関係
から、
下請事業者
が
親企業
に一そう遠慮する事態を招く懸念がありはしないか。また一方、
親企業
が
共同利用施設
事業
のために経費を負担することと
下請企業
の
自主性
の問題とは、一がいに言えることではなく、ケースによって異なるという
考え方
もあり、これらの点をどう考えるべきか。いずれにしても、その運用については十分慎重な
配慮
をお願いしたいと思います。この点についてお尋ねいたします。
吉光久
16
○
吉光政府委員
共同利用施設
の設置につきましては、これはやはり
下請中小企業
の
設備
を
近代化
するという
意味
で非常に重要な地位を占めておるものというふうに考えておるわけでございます。この
共同利用施設
を設置いたしますために、これが設置しやすくするという
意味
で、
事業協同組合
が
親事業者
の
協力
を求めます際に、これは
事業協同組合
が
親事業者
に経費として
賦課
するというふうな、そういう
立場
をとっておるわけでございまして、そういう経費として
賦課
されたものにつきまして、
振興
準備金
制度
というふうなものを設けたわけでございます。結局、
共同利用施設
の設置ということによりまして、その
下請中小企業者
の
近代化
が進められますと同時に、
下請中小企業者
の
近代化
が進められるということが、同時にまた、結果的には
親事業者
にとりましても利益になると申しましょうか、そういうことにも結果的になるわけでございます。そういう
意味
から、実は従前におきましても、
親事業者
が
下請事業者
に対しまして
資金
的援助を与えておるというふうな場合もあるわけでございますけれども、ただこれが野放しで経費が
賦課
される、
賦課金
を
親事業者
が納めるというふうなことになりますと、ともすれば、やはり
親事業者
の息のかかったと申しましょうか、そういうふうな悪い
関係
も出てまいるというふうなことにもなりかねないわけでございます。したがいまして、やはり税法上優遇措置を講ずるにいたしましても、
親事業者
のある一定の部分、全体の
事業計画
に対します負担分をある一定の分だけ限定いたしまして、
下請事業者
の
自主性
がそこなわれないような
配慮
を別途してまいる必要があろうかと思っております。したがいまして、実際にこの
振興事業計画
が提案されました場合には、
そこら
の
具体的内容
をよく
審査
いたしまして、
下請事業者
の
自主性
がそこなわれないよう慎重な
配慮
が必要であろうかと思うわけでございます。
稲村利幸
17
○
稲村
(利)
委員
この運用について、特に十分な
配慮
と
下請業者
の
自主性
をそこなわないように、くれぐれもお願い申し上げます。 私はあと幾つか
質問
したいのでございますが、持ち時間が参りましたので、最後に、
下請企業振興協会
が
下請中小企業
振興
対策の中でどのような位置にあるか、位置づけられているか、また現在までにどの程度の成果をあげているか。 もう一点、
下請企業振興協会
について、
下請企業
の
振興
の上でこの協会が大きな
役割り
を果たすと思いますが、どのような
方向
でその充実強化を行なっていくつもりなのか。その点をお聞かせいただいて、私の最後の
質問
といたします。
吉光久
18
○
吉光政府委員
本法
におきましては、
下請関係
を
近代化
して、
下請事業者
の
自主性
を高めてまいるということにつきまして、いろいろの
手法
を用いておるところでございますけれども、特に
一般
的に第三条の
振興基準
をつくり、
一般
的なルールといたしましての
親事業者
と
下請事業者
との間のあるべき姿、望ましい姿というものを設定いたしておるわけでございます。と同時にまた、ある特定の
事業
につきましては
振興事業計画
が
作成
できるというふうなことで、これはある特定の
事業
に限定された形で
振興
計画
が組まれていくことになるわけでございますけれども、最後の
下請企業振興協会
は、やはり
一般
的に第三条の
親事業者
と
下請関係
との間のいろいろの
事業
をやってまいるということをねらいといたしておるわけでございます。したがいまして、実は
下請企業振興協会
の持っておる地位というものも、相当高いものになってまいるということをねらいといたしておるわけでございます。 従来、この
下請企業振興協会
は、昭和四十年に初めて一部の府県にできまして、その後だんだんと数がふえてまいっておるところでございますけれども、いずれかといいますと、従来は
親事業者
との間の仕事の
あっせん
と申しましょうか、
下請取引
につきまして、
受注
量を確保し、それを
あっせん
してやるというふうなところに仕事の重点があったわけでございますけれども、今回は、ただそれだけのことにとどまらず、ともすれば
法律
的知識等の少ない
下請事業者
に対しまして、
親事業者
との間に紛争等が生じました場合には、その解決について世話役をやると申しましょうか、そういうふうなところまで
下請企業振興協会
の
機能
を活用し、あるいはまた、
振興基準
等の
徹底
等につきましても、この
振興
協会を
中心
にして活動してまいるというふうなことも一応考えたわけでございまして、そういう
意味
から、
下請企業振興協会
に対する
内容
を拡充強化いたしますと同時に、国あるいは都道府県のこれに対する
指導
、
助言
の体制をも強化してまいろうというのがねらいであったわけでございます。 こういう
下請企業振興協会
が現在までにどのような成果をあげておるかというふうな御
質問
でございまして、現在、
下請企業振興協会
は全国で十五あるわけでございますけれども、そのうちの一つ北海道は、本年の七月から出発いたしておりまして、まだ日が浅いわけでございます。先ほども
お答え
申し上げましたように、一番古いところでも四十年に出発というふうなことでございまして、主として
下請取引
の
あっせん
、要するに仕事を世話をするというふうなことをやっておったわけでございまして、私どもの調査によりますと、ことしの九月までに一万六千件の
あっせん
を行なっておりまして、このうち
あっせん
が
成立
したものが、取引金額におきまして二十八億円程度に及んでおるというふうな報告が出てまいっております。
法律
におきまして、この
振興
協会の
業務
内容
等を拡充してまいりましたので、したがいまして、これに対応いたしまして、
振興
協会の
内容
そのもの、組織、人員構成その他につきましても、整備強化をはかってまいる必要があるのではないかというふうに考えております。
稲村利幸
19
○
稲村
(利)
委員
どうもありがとうございました。この
下請中小企業法案
が所期の目的を達成できるように、心からお願いします。 時間が参りましたので、これで私の
質問
を終わります。
八田貞義
20
○
八田委員長
松尾信人君。
松尾信人
21
○松尾(信)
委員
最初に、
通産大臣
にはっきりしておきたいと思う点がございます。それは中小
企業
を含めまして、いま日本の
産業
界全般に、これは
指定業種
になろうとするものも、その中にありまして、特に自動車だとか家電
関係
等には顕著に見受けられる点、それは、需要というものがある程度限界にきた、それで需要というものがだんだん減っていく、いままでのような伸び方というものがとまっていくという点、それで生産力というものが非常に過剰になったという傾向があらわれてきておるんじゃないか。それから伴って滞貨というものがだんだんとふえてくるんじゃないか。ふえてきております。おまけに外国の保護貿易化の問題、また資本の自由化等の問題、やがての特恵問題等々で、
産業
界自体がいろいろのそのような大きな問題をかかえております。そういうことから、この中小
企業
に対しましても影響がきておる。
発注
の減退だとか、また、われわれ全体から申しますならば、採用人員を手控えていかなければいけないというような問題も起こっております。 このように、中小
企業
等を含めた日本の
産業
界全般に、一つの
方向
というものをいまはっきりと定めて、そして私が申し上げましたいろいろな問題にりっぱに対処できるような
方向
というものを確立するときじゃないか、このように考えるものでありますけれども、大臣のその点に関する見通し、このような政策をもってそのようないろいろの問題というものを解決していかなくちゃいけないというような点について、御見解を承りたいと思います。
宮澤喜一
22
○
宮澤国務大臣
御
質問
の点は、現在という時点をどのくらいな長さでとらえるかにかかってまいるかと思います。非常に短い時点で考えますと、おそらく昨年来の
金融
引き締めで、これから明年当初にかけまして、やや滞貨増大、不況といったような感じが出てまいりつつあるかと思います。そのことは、中小
企業
一般
にもいろいろな影響を与えつつございますし、また、そこへ保護貿易主義、あるいは御
指摘
のように特恵等の問題は、問題をさらにむずかしくするということも、これも、その時点で見ます限り、御
指摘
のとおりであると思います。しかし、もう少し長い、長期の回顧並びに展望に立って考えますと、やはり
わが国
の経済の変貌というものは、
労働力
不足
、したがって賃金の上昇ということが過去十年程度、それからこれから将来にわたりまして決定的に大きな要因になると考えております。そういう点で申しますと、特恵
制度
といったようなものは、さらに
発展
途上国に対して先進国である
わが国
の
立場
というものを明確に位置づけることになるわけでございます。 そういうふうに考えていきますと、従来、中小
企業
というものが、あるいは
下請
というものが、豊富な
労働力
にたよってあまり付加価値の高くないものを生産し、かつ、先ほども
中小企業庁長官
が
稲村
委員
に申し上げましたように、いわば景気の好況、不況の際の大
企業
のバッファーとして、緩衝体としての
役割り
しか与えられなかったといういままでのありさまというものは、もうすでに変わりつつございますし、さらに変わっていくであろうというふうに考えます。 結論として申し上げることができるかと思いますのは、したがってそのような環境の中で、
下請企業
というのは、いわゆる
親企業
のまるがかえというような姿でなく、独自のものを持った付加価値の高いものを生産する、そういうことになっていかなければならないし、またそのような運命にあるというふうに考えております。大
企業
の
立場
から申しましても、
下請
をまるがかえしますということは、不況になりましたときに、それなりの ことをしていかなければならない。むしろ
下請
が独自のものを持って、あっちこっちの注文をとって生産をしていくということのほうが、親から見ますと、大量生産の効果、コストの低下ということにつながってまいりますから、まるがかえするよりはかえってそのほうが、子としていいことはもちろんでありますけれども、親としてもいい。そういうふうに事態が変わってきたというふうに判断をするわけでございます。 そこで、このたびのような、御
審議
願っております
法案
によりまして、
下請
が独自のものを持って、いわば自主的に動いていけるように、そうしてますます逼迫する
労働力
の
不足
に対処して省力化あるいは
機械
化ということを進めていって、付加価値の高い生産をしていくように、これは私は必然の傾向になっておると思いますが、御
審議
願っております
法案
は、そういう線に沿って
施策
を講じようとするものでございます。
松尾信人
23
○松尾(信)
委員
大体の
趣旨
はわかりました。私が申し上げたいと思いまするのは、そのような、いろいろな環境がいろいろ変わってきておりまして、多くのむずかしい問題に中小
企業
が——
資金
面でも
技術
の面でも弱体の中小
企業
が、当面しておりまするいろいろの環境の変化に対応できていくように、たとえばこの
法案
というものもその一つのささえでありますけれども、長期的なビジョンというものを中小
企業
に対しても持たれまして、やはり五年、十年というような先を見通しました
立場
からの、中小
企業
に対するかくあるべきだというものを策定しまして、新経済社会
発展
計画
等の一環としてでもひとつ持っていくように今後はお考えになったらどうか、このように、これは私の提言でありますが、ひとつお考えをしっかり置いていただきたい、このように思っております。 ただいま、この
法案
に関しましても大臣からお話がござましたけれども、私たちが常に
親企業
と
下請企業
との
関係
で一番
問題点
にしておりまするのは、隷属性と申しますか、いつも
親企業
というものは
下請
というものを一つのクッションにしておる。景気がよくなれば
下請
にどんどん
発注
いたしますけれども、その中でも
下請
は数が多くて、非常に競争が激しくて、過酷な条件で仕事をさせられておる。それから、だんだん景気が下降してまいりますと、代金の支払いもおくれてくるというような
関係
でいままであったわけでありまして、不況になれば
下請
から
発注
計画
等が少なくなっていきますものですから、まず
下請
がつぶれていく。
親企業
は必要な最小限度といいますか、そういうものを持っておいて、仕事がふえれば外に出す。不況になれば半分までがつぶれていくというふうな、そこにいろいろ競争条件のきびしいものを受けまして、常に
下請
がその渦中に残されておる。それが今回の、先般提案になりましたこの
法案
によりまして、非常に前向きになっていくわけでありまして、われわれもこれを一日も早く通していきたい、このように思って
審議
したわけでありますけれども、いろいろそういう
親企業
と中小
企業
との隷属性みたいな
関係
をすっきりさせる面で非常に不十分な点がありまして、そうして今回継続
審議
となっておるわけでありますけれども、そのような面につきましても、ひとつ今後ともこの
法案
が
成立
したという点にとどまることなく、やはり根深いこの
親企業
と中小
企業
、
下請企業
の
関係
というものがありますものですから、そういう点をやはり今後ともなくなしていくという
方向
について、どのようにお考えになっておるのか、その点だけを念のためでありますけれども聞いておきたいと思います。
宮澤喜一
24
○
宮澤国務大臣
先ほども申し上げましたように、中小
企業
というものは、ことに
下請
は、景気の好不況に伴いまして、
親企業
のバッファーのようなものと考えられてまいりまして、たいへんことばは悪うございますが、
一般
に中小
企業
というのは余りもののように考えられておった時代がございます。しかし、いまやもうそうではございませんし、これからますますそうでなくなるわけでございます。そういう事態に対処して、この
法案
にあらわれましたような
考え方
で、今後とも省力化、
近代化
、それから申すまでもないことですが、自主的な運営ということに努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
松尾信人
25
○松尾(信)
委員
では、
法案
の要点について数点伺っていくわけでありますけれども、まず五条の
指定業種
でございます。これにつきましては、私が先般も
質問
いたしまして、日本の花形
産業
とも言わるべき造船業、この指定についてどのように考えておられますかと、こう聞いたわけでありますが、運輸大臣のそのときの答弁は、早く間に合うようにこれは指定していきたい、このような答弁でありましたが、その点その後どのように検討されておるか、今回この造船業というものを指定されるようになったかどうかということについて、お尋ねいたします。
吉光久
26
○
吉光政府委員
御
指摘
のように、造船業はいわば総合工業でございますし、同時にまた
下請
に依存しておる面が非常に大きな
産業
でございます。したがいまして、まだどの
業種
を指定するというところまではいっておりませんけれども、この
法案
が
成立
いたしました後におきまして、そういう
下請
依存度の高いもの、同時に競争力を早急に強化していかなければならないもの、というふうな観点からの指定を、順次行なってまいりたいと考えておるわけでございます。したがいまして、造船業のような、そういう
業種
につきましても、できるだけ早い時期に指定をして、体質の強化をはかってまいりたいと考えております。
松尾信人
27
○松尾(信)
委員
そうしますと、最初に政令で指定されるものからははずれるということですか。早い機会ということは、政令の順番といたしまして、まず当初どのくらいやるか、その中には入っていない、こういうことですか。 〔
委員長
退席、橋口
委員長
代理着席〕
吉光久
28
○
吉光政府委員
当初の考えといたしましては、
機械工業
を
中心
にして早急に指定いたしたいというふうに考えておるところでございますけれども、造船業の持っております地位の重要性というふうな点からいきまして、運輸省とも早急に相談いたしまして、手続的に入るようであれば、最初に指定してまいってもいいのではないか。ただし、この点につきましては、運輸省とさらに早急に詰めさせていただきまして、できるだけ一番早い時期に指定するようにつとめてまいりたいと思います。
松尾信人
29
○松尾(信)
委員
重ねて一言申しておきますけれども、造船
業界
における
下請
の
関係
で非常に
要望
が強うございます。早くこれを指定してもらいたいと思います。 先ほど申し上げましたように、造船
企業
と
下請
の
関係
は、たくさんの問題をかかえております。いまも、非常に広範であり、また複雑な
業種
関係
だとおっしゃいましたけれども、そのとおりでありまして、であればあるほど、日本の基幹
産業
でございますから、ひとつ運輸省としっかり検討を重ねて煮つめられまして、速急に政令指定になるように今後ともにしっかりがんばってもらいたいと思いますが、これはそのとおりでございますね。——じゃあ、これはそのとおりということで理解いたします。 それから、
振興事業計画
にあらわれてまいりますところの経費の
賦課
の
基準
でございますが、これは私が申しますとおりに、
親企業
に隷属化しては相ならぬというような観点から、
親企業
、またその特定
下請
組合
、この両者の経費の
賦課
の
基準
というものをどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
吉光久
30
○
吉光政府委員
現在、頭に描いておりますのは、まず
組合員
でございます
下請事業者
の納付限度額でございますけれども、一応、当該
組合員
のある
基準
年度におきます売り上げ高のおおむね一・五%程度、最高が一・五%ぐらいというふうな
考え方
でございます。それから
親事業者
の納付額でございますけれども、これは
組合員
の納付額の合計額のおおむね一割以内というくらいのところにとどめたらどうであろうかというふうに考えております。と申しますのは、結局、経費の
賦課
基準
で相当の無理をいたしました場合、たとえば
組合
につきまして無理をいたしました場合には、
計画
の円滑な達成に支障を来たすということにもなりますし、また
親事業者
のほうが相当大きな経費を
賦課
されるというふうなことになりますと、
親事業者
の発言権が強大になってまいる。そういうふうなことによりまして
下請
の
自主性
がそこなわれては困るというふうな、両面の
配慮
をしてまいる必要があろうかと思うわけでざごいます。
松尾信人
31
○松尾(信)
委員
親子の比率の問題につきましては、いまおっしゃいました十対一という
関係
、これも
業種
業種
によりましてさらにいろいろ検討を加えて、そこはある程度上限、下限というもので対処なされていくもの、このように理解しますが、それでいいですか。
吉光久
32
○
吉光政府委員
お話しのとおりでございまして、
振興
計画
の中におきます具体的に参加しておる
実態
に応じて、
そこら
は弾力的な
考え方
も出てまいると考えております。
松尾信人
33
○松尾(信)
委員
次は、
資金
の問題、特に
下請中小企業
振興
貸し付け
制度
でございますけれども、このほうはすでに通っております。しかし、私が問題にしたいのは、限度の十五億という点です。来年度におきましては、これはどのように検討されておるか。 それと金利の問題でございますけれども、このようなきびしい状態下の
下請中小企業
でございますので、やはり先般考えられたとおりの金利で進もうとされるか。中小
企業
に対する最近のいろいろな特殊
事業
、倒産の著しい
実態
、公害の防除等の困難さ等も合わせまして、この金利の問題につきましては、その後何か前向きの姿勢というものが加えられたかどうかということについて、お尋ねいたします。
吉光久
34
○
吉光政府委員
本年度は、
制度
発足の年でございますので、さしあたり十五億円を準備いたしたわけでございます。したがいまして、これはあくまでも
制度
発足の年という心づもりで組んでおるわけでございまして、明年度以降におきましては、大幅な拡充が必要であるというふうに考えておるところでございます。 それから金利の問題でございますけれども、現在の七・七%という金利は、実は
近代化促進
関係
の
施策
に用いております融資につきましてはすべて七・七というのが現状でございまして、したがいまして、それに合わせて七・七%ということにきめたわけでございますが、さらに明年度以降この金利の引き下げをするよう、現在折衝を続けておるところでございます。
松尾信人
35
○松尾(信)
委員
この金利の問題というのは、非常に小さなようでございますけれども、
個々
の
下請
にとりましては非常に大切な問題です。いま言われたとおりに、しっかり折衝していくということで、これもがんばってもらいたいと思います。 それから
計画
の変更ですけれども、当初、
親企業
と
下請企業
がそれぞれ話し合って出てまいりましたこの
計画
が変更されまして、そうして
下請
に何かの損害とか、そういう事態が発生するということも予想されるわけでありますが、そのような
計画
変更等に伴う
下請
に対する悪影響というものについては、どのように考えていらっしゃるか、承っておきます。
吉光久
36
○
吉光政府委員
法案
の第七条におきまして、
計画
を変更いたします場合にはやはり主務大臣の
承認
を受けなければならない、こういうたてまえにいたしておるわけでございます。したがいまして、この
計画
を変更いたします場合には、
計画
作成
者でございます
親事業者
と
下請事業者
で構成しております
事業協同組合
とが協議して、合意に基づいて
計画
変更の申請が出てまいるということになるわけでございます。ただ
親事業者
の力の乱用と申しましょうか、そういうふうなことがあっては困るわけでございます。したがいまして、この
計画
変更の
承認
をいたしますに際しましては、あくまでも
下請
の
自主性
が確保された形で
計画
変更の申請が行なわれようとしておるかどうかというふうなことについて、慎重な
配慮
が必要であろうかと思うわけでございます。
親事業者
のほうの一方的な
考え方
で
計画
変更がなされるということは、
本法
の
趣旨
にも反することでございますので、十分慎重に扱ってまいりたいと考えます。
松尾信人
37
○松尾(信)
委員
この
法律
全体を通じまして
指導
、
助言
その他のことがございますけれども、私がいつも疑問に思いますのは、どのようにして
指導
が必要であるということがわかるか。いま
助言
しなくちゃできないなということがどのようにして
政府
のほうにわかるか。だれかが言ってこなければそのような機会もないのじゃないかと思うのでありますけれども、これも
親企業
、
下請企業
の
関係
で、なかなか申し出というものがないのじゃないか。訴え等があった場合には、その
下請企業
というものはある程度まで追いつめられて、これではどうも相ならぬという反発から、
政府
のほうの耳にそのような状態で入ってくるようなことでは、手おくれである。中小
企業
の苦情の取り上げ方、いろいろの
事業計画
に対しましても、このように思っておるけれども、なかなか取り入れてもらえないという、そのようなほんとうの
下請中小企業
の声をどのように吸収して取り上げていくか。これはいろいろな問題にわたっておりますけれども、
基本
的な問題でございますので、これは深く検討されまして、ほんとうにその
下請中小企業
の声が吸収されて反映できるようにしてもらいたい。時間がありませんので、これは強く
要望
しておきます。 それから最後に
振興
協会でございますけれども、第一条の「目的」にも書いてあるわけでありますけれども、これも非常に弱体であるということですね。これは
実態
等は私わかっております。先ほども
質問
が出たとおりでございまして、ほんとうにこれを
下請中小企業
の
中心
的な
指導
機関というものに持っていくならば、これの改組というものが必要でありまするし、その人員並びに予算的な面、また
技術
的な面等におきましても、これは相当強化していかなければ相ならぬ。また十四、五カ所というようなことでは、日本の
下請中小企業
というものが相談すべきその場所というものも、非常に制限されておりまして、これでは相ならぬ。年に一カ所、二カ所ということでなくて、すみやかに全国の都道府県にこの協会というものをやはり設置すべきであろう。これをほんとうに
下請中小企業
のいろいろの
中心
にもっていこうとするならば、早くそのような体制をとるべきである、整備すべきである、こう痛感するわけでございますけれども、その点に対する
企業
庁
長官
の確信のある答えを出してもらいたいと思います。
吉光久
38
○
吉光政府委員
御
指摘
のございましたように、現在の
下請企業振興協会
は、まだ発足後日が浅うございます。一番早いもので昭和四十年でございまして、したがいまして、まだ経験も浅いというふうなことがございまして、必ずしも十全とは言い切れない面も多分に持っておるというふうに考えるわけでございます。今度新しくこの
法律
によりまして、これに対します
業務
の拡充、国及び都道府県の
指導
・
助言
体制の強化というようなことが確立されることにしていただくわけでございますので、したがいまして、拡充された
業務
の
内容
が円滑に推進できるような機構、構成あるいは予算措置というふうなものにつきまして、十分に
配慮
してまいりたいと考えます。
松尾信人
39
○松尾(信)
委員
お話のとおりに、来年度の予算につきましては、またひとつ重点的な項目として、この協会の整備拡充というものについて最善の努力を、いま言われたとおり払ってもらいたい、こう思います。 以上で
質問
を終わります。
橋口隆
40
○橋口
委員長
代理 川端文夫君。
川端文夫
41
○川端
委員
ただいま提案されております
下請中小企業振興法案
の問題について、最初に大臣に承りたいわけですが、この
法案
が前
国会
に提案されて以来、私どもの疑問というか、不安がつきまとっている一つは、いわゆる大
企業
の従属化になるのではないか、こういう心配と、もう一つは、大
企業
がはたしてこれに
協力
の体制を整えることができるのかどうかという疑問、この二つの
問題点
が、きょうまでいろいろな問題として、提案されながら継続
審議
になった一つの要素であろうと思うわけです。 中小
企業
庁の努力もありまして、今日、中小
企業
の
法律
というものがかなり整備されておりますことは、お互いに認めざるを得ないと思うのですが、現実の社会の中には、
法律
はあっても、やはり今日のような
金融
引き締め下において、中小
企業
は非常に苦悩の
立場
に追い込まれている。この事実の上に立って、残された
法案
であるからこれを出すというかまえだけではなくて、残された中小
企業
政策の中の
下請関係
を国がめんどうを見ようというならば、やはりそれに見合うところの強い姿勢が必要ではないか。私はこの点、大臣がどのような考えをお持ちであるかということをお聞きしたいのです。 私は、先般、オーストラリア、インドネシア、シンガポールを見ることができまして、その
関係
からいっても、国際的にはもう分業化への道がいろいろな
意味
で進んでおる、動き出しておるという見方に立つわけです。経済の中においては、いろいろなアメリカとの
関係
、後進国の問題等もありますが、それぞれが手探りではあっても、国際分業化への道を歩んでいるという大局的な見方をせざるを得ないのではないか。そうだとすれば、日本の経済が今日曲がり角にきているといわれている七〇年代において、日本の国内にもやはり
産業
の分業化という強い方針を国民あるいは
産業
界に理解をしてもらうという
前提
がなければ、これが実効は出てこないのではないか、こういうふうにも考えるのですが、この点いかがでしょうか。
宮澤喜一
42
○
宮澤国務大臣
大局的な見方としては、私もただいま御
指摘
のとおりであると思っております。先ほど松尾
委員
にも申し上げましたように、非常に短時点で、今年から明年にかけての景気あるいは好況、不況ということを申しますならば別でございますが、長い視点では、確かにただいま御
指摘
のようなことがございますと思います。これは国際的にもそうでございましょうし、国内的にもそういうことが言えるかと思いますが、ことに
わが国
の場合、
労働力
不足
、賃金の上昇ということが顕著でございますのに比べて、周辺の国々は、まだ
労働力
過剰、賃金水準も低いというような状況でございますので、そしてこの
関係
はさらに継続されると考えざるを得ませんから、ますます御
指摘
のような国際分業というものが進んでいくであろうと思われます。 そこで、そのような背景のもとに、国内において
親企業
と
下請企業
がどのような
関係
に立つかということは、結局、突っ放して冷たい
立場
から申しますならば、両方の力
関係
とか利害
関係
とかいうことに帰着してしまうわけですが、そういう
立場
に立ちまして、いよいよ
わが国
の局面は、
下請
というものが
自主性
を持ち、そして自分の
技術
と自分の特性でもって進んでいくというような状況にまさに入ってきたというふうに考えるわけであります。ただ、
下請
あるいは中小
企業
にもいろいろございますので、そのすべてがすぐにそういう体制に入れるわけではない。国際分業に従いまして
方向
転換をしなければならない
分野
も、あるいはあろうかと思います。かなりのものがそのような体制に入ってきた。そこで、御
審議
願っておりますこのような
法案
によって、それらの
業種
を選びまして、また時とともに追加をいたしまして、そのような趨勢を助長し、また支援をしてまいりたい。そのためには、国もみずからいろいろな形で応援をしたいと考えておるわけでございます。
川端文夫
43
○川端
委員
考え方
は承りましたけれども、もう一つの面は、従来からあります中小
企業
政策は、おもに国が助成するという
立場
に立って、中小
企業
だけを
対象
にいろいろな構造
改善
なりいろいろな政策がつくられて今日に至っているわけです。十分とは言えない。先ほど申しましたように、いま非常に困難な場面に立ち至っているのが中小
企業
の
実情
ではないかと思いますが、それは別の機会に譲るとしても、今回の
法案
の中には、いわゆる国と中小
企業
だけでやらない、もう一組を取り入れるといいますか、
親企業
なり大
企業
をも参加させるということのこの大きな柱が、従来とは幾らか違っているのではないか。 しかしながら、今日、日本経済は実質的には、口を開けば
指導
者の方々は、自由主義経済でやっていくのであると、佐藤総理もたびたび言明されているわけですが、大
企業
も含めて、いわゆる中小
企業
のあるべき姿を確立さしていこうとするならば、そこに自由主義経済という経済の競争原理の中にある制限を加えざるを得ない。大
企業
にも
協力
をさせるという姿の中に、制限を余儀なくされる一面もある。先ほどからの答弁の中には、大
企業
もそのことによってよくなるのだ、悪くないのだというきれいごとをおっしゃっているけれども、現時点においては、大
企業
も幾らか窮屈になるというか、制限を甘受できる条件をつくっていくということが、この
法案
のほんとうの魂ではないか、こうも考えているのだが、この点に対して、なかなか自由主義経済の名において譲ろうとしない大
企業
なり
親企業
に、もう一つ強い方針を打ち出すべき時期に来ているのではないか、これが足りないのじゃないか。この心がまえがなしには、
法案
はつくっても、実際上の運営にあたっては、なかなかみんなが喜んでこれの方針に賛成ができないという形になりはしないかという心配もしているのだが、いかがでしょうか。
宮澤喜一
44
○
宮澤国務大臣
確かに御
指摘
のようなことは、この
法案
なり体制を運営してまいります上で非常に大切なことだと思います。 と同時に、きれいごと云々と言われましたが、考えようによっては、これは非常にきたないことも含んでおるかもしれません。俗なことばで申しますと、
親企業
にとって
下請
は強いほうが得か、弱いほうが得かといえば、かつてはおそらく弱いほうが得であったのではないかと思います。しかし、いまやある
分野
におきましては、
下請
が強くなることが
親企業
にとっても得だというふうに
関係
が変わってきたと思いますので、ただいま御
指摘
のような道徳的と申しますか、そういうような心がまえも必要でございますが、同時に、
下請
も強くなってもらったほうが親にも得だというそろばんもその底に入りましたところで、初めてこのような構想が有効に実を結ぶのではないか、そういう客観情勢の変化が経済のかなりの
分野
において起こりつつあるということも、この
法案
が現実性を持つに至った理由ではないかと思っております。
川端文夫
45
○川端
委員
こういう抽象的な論議を繰り返しておっても、時間のむだにもなろうかと存じますけれども、もう一点だけ申し上げると、私は、この
法律
を出す以上は、この
問題点
を国が日本の
産業
界全体の中に一つの新しい
問題点
を提起したというくらいの決意がなければ——特に現在、この
法案
を待望している
産業
というか
企業
は、大体、月産
計画
で仕事をできる条件のところ、こういうところが大多数ではないかと思うのです。先ほどからもお話のありました造船等も、まだちゅうちょをしているゆえんの中には、月産
計画
が立たない、われわれがなお変動にさらされているという
考え方
も
親企業
にあって、なかなか踏み切れないという一面もあるのではないか。これを運輸大臣なり
通産大臣
が方針として
指定業種
にきめて、きめた以上はやらせるのだという強い姿勢が明らかにされておかないと、単に私は説得だけに終わるのではないかという懸念があるのですが、いかがでしょうか。
宮澤喜一
46
○
宮澤国務大臣
ごもっともでございますけれども、その点は理想と現実とのかね合いの問題になってまいると思います。理想のほうに向かっていきたいわけでございますけれども、現実がいかにもそこまで来ていないという場合には、なかなか指定ができませんでございましょうし、現実問題としてそういうものが熟しつつあるというときには、こういう指定をすることによって、それがいよいよ実際に現実になるということでございましょうから、両方のかね合いの問題だと思います。造船業などは、先ほども
中小企業庁長官
が申し上げましたように、運輸省とよく相談をいたしまして、まさにそういう現実になれる段階に来ているのではないかと私は思いますが、そういうことでございましたら、ひとつ指定をしてそっちへ向かって進んでもらう、こういうふうに考えておるわけでございます。
川端文夫
47
○川端
委員
いまの問題、大臣の御意見を承ったのですが、
企業
庁
長官
は、いま大臣にも御
質問
申し上げたように、
計画
生産のできる
産業
はこの
方向
を今日とりたいという意向があることも私どもは承知しているのだが、日本の中小
企業
の
下請関係
を
計画
生産だけが利用できるという条件では幅が狭いのではないか。こういう
関係
を
企業
庁
長官
は今後どういうふうに運営して
実施
していこうとされているか、お聞かせ願いたいと思います。
吉光久
48
○
吉光政府委員
この
法案
には、御承知のとおり二つの
事項
がございまして、一つは第三条の
振興基準
の
関係
でございますが、これは
親事業者
と
下請事業者
との
関係
につきましての望ましい
基準
を設けるということでございます。したがいまして、すべての
親事業者
、
下請事業者
に対しての望ましい
あり方
についての
基準
を定めることになっております。これは
業種
によってどうというような限定をつけていないわけでございます。それから
振興
協会につきましても、同じように
業種
による限定はつけていないわけでございます。 いまの御
指摘
の問題は、第五条の
振興事業計画
の
対象
になる特定
業種
についてというふうなお話でございますれば、これはやはり
親事業者
等と
下請事業者
との取引依存度
関係
がある程度あるということを
前提
にいたしまして、その
関係
について
設備
の
近代化
あるいは
下請関係
の
近代化
等につきまして、これらの合意に基づいた
計画
を達成するという
手法
で
近代化
をはかってまいろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、この段階におきましては、やはり取引依存度
関係
ということが重要な
意味
を持ってまいるわけでございますけれども、依存度
関係
の多いものにつきましては、
発注分野
の
明確化
でございますとか、あるいは
発注
につきまして
受注
の平均化あるいは長期化というふうな問題をも中に考慮に入れなければならない、そういう事情がより多く出てくるような
業種
ということになるわけでございますので、
中心
になるのは、やはり
計画
的な
受注
を持っておるというのが
中心
になろうかと思うわけでございまして、また将来とも、そういうような
発注
、
受注
の
計画
化ということが進んでまいりますことが、
下請中小企業
の
近代化
にも大いに役に立つのではないであろうか、こういうふうな
考え方
をいたしております。
川端文夫
49
○川端
委員
長官
にその問題でもう一点お尋ねしておきたいのですが、いまお話しの答弁の中にも、望ましいということばと、合意に達すればということばが使われておりまして、三条でも五条においても、この問題をやる以上は、だれかが言ったことばではないが、かなり勇気が要る。
親企業
を説得できる力を持たないとできにくい問題に対して、そのような合意を望ましいというだけでは弱いではないか、こういう
立場
で御
質問
申し上げているわけです。したがって、国が
下請企業
を
振興
させるという
基本
的理念を打ち立てる以上は、これに従わしめるといっては少し言い過ぎでしょうけれども、
協力
せしめるための努力が、この
法律
ではやはり訓辞
規定
のような形において、言うことを聞かぬからといって罰則を出せないわけですから、この点も十分決意を新たにしてやる意思があるのかどうかということを、もう一ぺんお尋ねしておきたいと思います。
吉光久
50
○
吉光政府委員
御
指摘
のとおりでございまして、この
法律
によりまして
下請関係
を
近代化
してまいろうということが非常に明確になってまいるわけでございますけれども、
下請関係
を
近代化
する素地がだんだんとでき上がりつつあるということにつきまして、先ほど大臣から
お答え
があったわけでございます。現実の事態はそういう素地を持ちつつあるわけでございますけれども、しかしあくまでも、
下請関係
を
近代化
してまいりますためには、国、公共団体その他中小
企業
に関連する各種の団体すべてこの
近代化
のために積極的に
協力
してもらう必要がございますし、同時にまた、
親事業者
に対しましても、
下請関係
を
近代化
するということの重要性につきまして積極的な
協力
をしてもらう必要があるわけでございまして、そういう
意味
におきまして、私どもといたしましても、あらゆる機関、手段を動員いたしまして、
近代化
の必要性について説得の
立場
で臨んでまいりたいと考えます。
川端文夫
51
○川端
委員
あまり押し問答はしたくありませんけれども、現実はそうなっていない。これが
法律
で生かされる、救われるという
問題点
があまりにも希薄だ、ということを言っているわけです。 たとえば家電
関係
の
発注
が減りまして、私の住んでいる城南地区の中小
企業
、金属加工業は、大体この十二月二十日ごろには仕事の
受注
がなくなって休まざるを得ないというのが大多数になってきている。事務機器等の一部のものは忙しい一面も残しておるけれども。仕事がなくなれば、やはり経済の動向が変われば
下請
に大きな影響を与えておる現実の中に、何か救われ方が弱いのではないか、もっと強くなってほしい、国が強く
指導
してほしい、という希望も含めての
質問
を申し上げているわけです。現実はなかなか、大
企業
はそんななまやさしい
考え方
を受け入れる用意を持っていないように、心配していることだけは十分腹に入れて、決意を新たにしていただきたいと思うわけです。 この問題は、あまり繰り返してもどうかと思いますから次に移りますが、この三条の中に、先般来、前
国会
から今日まで各党話し合いをいたしまして、大体六項目の項目を一まあ最初の原案から見れば二項目をふやす合意ができ上がっているわけです。特に四項の単価の決定の
方法
、納品検査の
方法
、その他
取引条件
の
改善
に関する
事項
、これらは協会等にその
あっせん
なり
協力
をさせるという
考え方
のようでありますが、私は、先ほどからも
質疑
が出ておりました、今日の
下請企業振興協会
というものはそれだけの能力はないという見方に立たざるを得ないし、しかも全国的に
法律
をつくる以上は、十六や七の都道府県にできておるだけでは、全国的なものにならぬじゃないか、この点はどういうふうにお考えになっているのか。この点は先般来、立法府である議会の中で話し合いいたしました、
下請
の
関係
の単価の決定なり、それらの問題を注入しようということに対して、
中小企業庁長官
はどういうふうにお考えになっているか、お聞かせおきを願いたい。
吉光久
52
○
吉光政府委員
単価の決定の
方法
、
取引条件
の
改善
に関する
事項
その他の
事項
についてでございますけれども、やはり
下請関係
を
近代化
してまいるというふうな
基本
的な
立場
に立ちました場合、こういうふうな
事項
をも当然
近代化
要素として考えていかなければならない、また積極的に推進していかなければならない重要
事項
であろうと思っておるわけでございます。 それからなお、
振興
協会のほうの
関係
の問題でございますけれども、先ほども
お答え
申し上げましたように、
振興
協会は現在までまだ
成立
いたしまして日が浅うございます。と同時に、従来の
振興
協会の
業務
が、いずれかといいますと、
下請
のほうに
受注
量を確保してやるというふうな、そういう取引
あっせん
が
中心
の仕事を行なってまいっておりまして、今回のこの
法律
が制定されますならば、
振興
協会の
業務
内容
も相当拡充されることになってまいるわけでございます。したがいまして、新しく
振興
協会のほうにゆだねられる
業務
に応じた機構、人員配置というふうなものがあらためて考えられなければならないというふうなことであろうかと思うわけでございまして、そういう点につきましての十分な
配慮
をいたしてまいりたいと考えます。
川端文夫
53
○川端
委員
振興
協会が今日まだ発足して日が浅いので十分でないというお話ですが、このことは百歩譲るとして、
法律
が制定された以上は、協会の任務というものは、当然
法律
の示すところによって行なっていかなければならないということになるし、もう一つはこの中に、これも先般来、与野党の議員で話し合いをいたしました中に、十一条の二号の中に、
下請取引
に関する苦情又は紛争について相談に応じ——ここまでならいいのです。しかしそのあとに、その解決について
あっせん
または調停を行なうこと、これを明文化しようではないかという合意ができておるわけです。したがって、
あっせん
、調停をできるという形においてこの法が運用されるまでの間に、どのような協会の拡充強化が必要かということをやはり明確に承っておきたい。たとえば、紛争
あっせん
のためにやはりこれは画期的な
法律
としてわれわれは受けとめたい。いわゆる
下請中小企業
の労働三法に近い
考え方
に立って、お互いの譲り合いというか、調停をしていくという場合においては、やはり第三者構成のような調停
委員会
をつくるか。さもなければ協会自身を、
親企業
も中立の
立場
の人も
下請
の代表も入れた機構に改組するか。このことの
内容
を明確にしてもらわないと、どうも文章は書いたけれども運用する場所がないでは困るのじゃないか、この点を明確に
お答え
願いたいと思う。
吉光久
54
○
吉光政府委員
原案の段階におきましては、「苦情又は紛争について相談に応ずること」というふうなことになっておったわけでございまして、したがいまして、それに応じた機構というふうなことを、
下請
振興
協会の機構、構成等について考えておったわけでございます。 さらに、この
振興
協会におきまして、その他の、その解決についての
あっせん
あるいは調停ということを行なうというふうなことになります場合におきましては、その
立場
に立ちまして、あらためて
振興
協会の
あり方
、あるいはまた、紛争または調停を行なうにふさわしい機構の
あり方
という面から、
振興
協会につきまして再検討を行なっていくことが必要であるというふうに考えております。
川端文夫
55
○川端
委員
検討ではなしに、
法律
を
実施
する大事な条件として必要だという
考え方
に立っていただかなければ困るんだ、こういうことを申し上げておきます。 もう一つは、最後に、私は時間がないから、まだ聞きたいことはありますけれども、もう一つ申し上げますと、いわゆる
助成措置
の中の
税制
上の措置の中に、一五%を積み立てれば損金算入できるということが先ほどからの答弁の中にもあるのだが、一五%といえば一割五分です。いうならば、
企業
の中の売り上げの一割五分といえば、荒利益をそのまま積まなければ——積めるということですと、積まぬでもいいわけですが、五%にしてもいいわけですが、そこで、私は思想の中に、構造
改善
の
考え方
をこの
下請
の中にも持ち込んでおいでるのかどうか。いいとか悪いとか言うんじゃないですが、いうならば、結局、
下請企業
を将来構造
改善
させるための一つの下地としてこれをつくろうとされたのではあるまいか。したがって、
下請
に対する
法律
ではあっても、
下請
を
組織化
される構造
改善
というか、
企業
合同をねらいとしておいでるのではないかという疑問を一つ持っているのですが、この点いかがでしょう。
吉光久
56
○
吉光政府委員
いわゆる構造
改善
につきましては、これは、いわゆる
業種別
の横割り的な
施策
として考えられておる
施策
でございまして、今回の
下請
の
関係
の
近代化
をはかりますための
手法
は、むしろそういう
業種別
の横割り的な問題としてとらえないで、同じ仕事を縦の流れに従って、そこにおける
手法
というふうなものを取り入れたわけでございまして、したがいまして、
下請関係
の今回の
振興法
が、いわゆる構造
改善
というふうなことを意図しておるということとは直接的な
関係
はないわけでございます。ただ、
業種
によりましては、横割り的に構造
改善
を進めていく
業種
もあるわけでございますので、したがいまして、現実の
計画
の調整の段階におきまして、両者意図しておるところがよく整合性を持ち、円滑に
実施
していかれるというふうなことにつきましては、十分注意する必要があるというふうに考えております。
川端文夫
57
○川端
委員
もう一点だけお尋ねしておきたいと思いますが、一五%、これは最高額ですから、必ずしも一五%積み立てるとは思わぬけれども、一五%かりに積んでいくということになれば、社内留保がなくなる中小
企業
が出てくる。そういう
意味
においては、これを積んだものは、やはり見返りとして十分
個々
の
企業
の
近代化
に対しての助成は特別に見るということがあってもいいのではないか、こういうことを考えていることをひとつ
お答え
いただけば、私の
質問
を終わりたいと思います。
吉光久
58
○
吉光政府委員
先ほど
お答え
を失念いたしました。実は現在考えておりますのは千分の十五でございまして、現在構造
改善
をやっておりますほうの準備金も千分の十五でございます。したがいまして一・五%でございまして、この点、これは
法律
の条文の上には出ておりませんけれども、申し上げたいと思うわけでございます。したがいまして千分の十五、一・五%でございますので、御
指摘
のような御懸念は起こってこないのではないかと考えます。
橋口隆
59
○橋口
委員長
代理 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ————◇————— 午後一時四十五分
開議
橋口隆
60
○橋口
委員長
代理 休憩前に引き続き
会議
を開きます。
内閣提出
、
水質汚濁防止法案
を議題といたします。 昨日の中村
委員
の
質疑
に関して
政府
から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤
経済企画庁長
官。
佐藤一郎
61
○佐藤(一)国務大臣 排水
基準
の順守と民事責任の
関係
につきまして御
質問
がございまして、それについての
政府
としての統一見解を申し上げます。
本法
は、行政取り締まり上の観点から排水
基準
を定め、その順守を強制しているものであり、この
基準
の順守の有無が、私人間の利害にかかわる民事上の責任の有無に直接結びつくものではないと考えております。この点は、交通法規、衛生取り締まり法規等の他の行政取り締まり法規と同様でございます。なお、この解釈につきましては、法務省と打ち合わせ済みでございます。
橋口隆
62
○橋口
委員長
代理
質疑
の申し出がありますので、これを許します。
中谷
鉄也
君。
中谷鉄也
63
○
中谷
委員
ただいま
経済企画庁長
官のほうから、排出
基準
の順守と民事責任の
関係
について統一的な御見解の表明がありました。この点について整理をいたしまして、お尋ねをいたします。 〔橋口
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 すなわち、排出
基準
をかりに順守していても、そのことが権利侵害、すなわち人の生命、身体及び財産権、すなわち漁業権あるいは農作物等に対する権利の侵害の不法行為の責任とは直接結びつくものではない。すなわち排出
基準
を守っていても権利侵害は十分に生じ得る。すなわちそれは、民事上の責任回避義務を守っていたかどうかというところの問題として御整理になったものと考えます。 なお、はたしてしからば、さらに統一見解と申しまするか、
政府
の御見解を承りたいと思いますが、法三条及び法四条、すなわち法三条は排出
基準
、法四条は排出
基準
に関する勧告の定めであります。すなわち、法四条の予定しているところは、法三条に定めた排出
基準
が、すなわち権利侵害に当たる排出
基準
を定めた場合もあり得る、そのような場合に、排出
基準
に関する勧告をする法意に出たものと思われます。したがいまして、共同不法行為としてその権利侵害は、排出
基準
を定めた国及び都道府県も共同不法行為者になり得る場合が理論的にはあり得るし、また事実上もそのような場合は想定できる。これが、私は一歩進めてと申しまするか、当然ただいまの統一見解の中から論理として導き出されるべきものと考えます。この点についての御見解を承りたいと思います。なお、この点については、法務省のほうにおいてもそのような見解を一応お持ちのようでございます。
長官
の御見解を承りたい。
佐藤一郎
64
○佐藤(一)国務大臣
法律
問題でございますので、法務省から答弁してもらいます。
清水湛
65
○清水
説明
員
お答え
いたします。 排出
基準
を守っているかどうかということにつきましては、必ずしも民事上の責任と直接結びつくものではないという点につきましては、先ほど
経済企画庁長
官が
お答え
になったとおりだと思うわけでございます。したがいまして、排出
基準
を守っていましても民事上の責任を問われることがあり得るということでございます。ただ、この場合におきまして、国または都道府県が排出
基準
のきめ方が悪かったということで民事責任を負うかどうかということにつきましては、このような
基準
は行政取り締まりの見地から
一般
的に定型的にきめられるというようなことになっておりますので、よほど特段の事情がない限り、国あるいは都道府県が共同不法行為者として責任を負うというようなことはないのではないか。ただ、これも民法上あるいは国家賠償法の法的評価の問題でございまして、そのような不適正な排出
基準
の定め方と権利侵害との間に因果
関係
があるというふうに判断される場合がかりにあるといたしますと、そのような事態が生ずるということも考えられるわけでございますけれども、通常はそういうことはないのではないかというふうに思うわけでございます。
中谷鉄也
66
○
中谷
委員
最後の
質問
でございます。 法務省の見解は以上のとおりであります。したがいまして、法四条の排出
基準
に関する勧告は、都道府県の排出
基準
等が権利侵害に当たると思われる場合は当然
経済企画庁長
官、あるいは大気汚染の場合には通産その他の責任大臣が勧告をするということになるわけでありますから、事実上もそのような場合を法は想定していると考えられます。なお、三条がいわゆる上のせの
規定
であります以上、国の排出
基準
全体が、国の上のせ以前の
基準
が権利侵害に当たる場合も理論上はあり得る。すなわち、排出
基準
を守っておっても、
企業
者と国及び都道府県との間に共同不法行為が
成立
することは理論上はあり得る。ただし、そのようなことは、法務省答弁のように、事実上しばしばあるというふうなことは絶対に避けなければならないけれども、そういうことは考えられることだし、そのようなことのないように十分行政上の努力をしなければならない。したがいまして、まず
長官
に対してお尋ねいたしたいのは、水質汚濁で申しますると、三条、四条の法意からいたしましても、排出
基準
をきめた国及び都道府県が共同不法行為者としての責任を負うべき場合は理論上あり得る、という法務省見解のとおりということに
政府
御見解はなろうかと思いますが、この点について御答弁をいただき、私の
質問
を終わりたいと思います。
佐藤一郎
67
○佐藤(一)国務大臣
質問
の
趣旨
を取り違えるといけませんが、私伺っておりますと、一つは一律
基準
の問題に関してのように伺いましたが、それもございましたね。ちょっとすみませんが……。
中谷鉄也
68
○
中谷
委員
じゃ、もう一回。一律
基準
を定めた場合に、一律
基準
の排出
基準
を守っておっても、生命、身体、財産権、すなわち漁業及び農作物に対する被害を与える場合がある。この場合は国がまず
企業
者とともに共同不法行為の責めに任ずる場合があり得ると思います。しかし、そのような場合には、法三条によって都道府県は上のせの
規定
を置くことができるわけですから、上のせの排出
基準
を定めるべきであります。そのような上のせの排出
基準
をきめなかった都道府県も、その場合には権利侵害の共同不法行為者になり得ると考えます。したがってそのような場合には、国、都道府県、排出
基準
を順守している
企業
者、この三者の不法行為が
成立
する場合が想定されるのではなかろうかという
質問
であります。さらにまた、その都道府県の排出
基準
が不適当である、三条の上のせがさらに不適当だ、そのような場合に法四条によっての勧告をしなかった場合には、今度は
企業
者、都道府県、国という順序で、この三者の共同不法行為が構成される場合があり得る、こういうふうな
趣旨
の
質問
であります。そのようなことが通常
一般
的に行なわれるとは考えられませんが、理論的には十分その論理構成はあり得る。したがいまして、今後そのようなことをきびしく統一見解をお述べいただくことは、漁業者、そして農作物を守っている農民に対して、私は、そのような統一見解は、
政府
に対するこの法の厳正な適用を期待させるものであるとして、御見解を承りたいものであります。
佐藤一郎
69
○佐藤(一)国務大臣 理論的には先ほど法務省の担当官が
お答え
になっておりますから、純粋理論という
意味
はどの程度の
意味
か知りませんが、実際問題といたしまして、たとえば一律
基準
の場合には、そもそもシビルミニマムということで設定いたしております。であるからして、その地域地域について完全である、十分のところまでつり上げてきめるということは、この
制度
自体の目的からいっても適当でないことになります。でありますから、多くの場合に、一律
基準
に違反したことによって、国がそれを設定したことによる責任ということはまずないものと、実際問題として考えていいと私は思います。 それから、その上に上のせ
基準
をいたしました場合には、まさしく先ほどの法務省の方の御答弁がその典型的な場合でございますから、もうそれで十分であろうと思います。 それから第四条による勧告の場合におきましても、今回、国の権限が地方に移りましたが、地方自治の本旨というものを十分に考えまして、できるだけ干渉はしない。そういう
意味
において、われわれはあえて勧告という程度にとどめておるわけでありまして、実際問題としてどの程度国が関与できるか、そうしたことはなかなか具体的な想定はむずかしいと思います。そういう
意味
において、これも直ちに国にいくかどうか、そういう点はちょっと一がいには言えない。ただ全く頭の中の論理として考え得るか、こういうお話のようでありましたから、それは法務省の御意見どおりであろう、こう思います。
中谷鉄也
70
○
中谷
委員
頭の中の論理として必ずしも考えているわけではないのです。たとえば、排出
基準
を守っておっても量の問題がございますから、現実に権利侵害は至るところ大気、水質において行なわれていると思います。 私の
質問
はこれ一点で終わりたいと思いますが、そうすると、都道府県に排出
基準
の上のせの権限を与えた以上、事実問題として起こり得る場合は、都道府県について共同不法行為の責任が生ずる場合はあり得る。国の場合は、その起こり得る場合としては、四条の勧告をすべきであるにかかわらずしなかったという場合には、共同不法行為の責めに任ずる場合がある、こういうふうに整理をさせていただきたいと思いますが、もうそれで私の
質問
は終わりたいと思いますが、よろしゅうございますか。
佐藤一郎
71
○佐藤(一)国務大臣 勧告は、もちろん義務づけられておるものではございませんから、ただし、そこまでの結論が出るとも私は思いません。ですから、これは全くケース・バイ・ケースのことになろうかと思います。
八田貞義
72
○
八田委員長
岡田利春君。
岡田利春
73
○岡田
委員
本法
の採決にあたって、二、三点だけ
質問
をいたしておきたいと思います。 第五条の「特定施設の設置の届出」について。いわば届け出
制度
と許可
制度
という二つの
制度
があるわけですが、工場立地の調査等に関する
法律
を見ますと、工場自体が届け出
制度
になっているわけです。しかも、
通産大臣
の要件を満たす場合の勧告も第九条に定められておるわけです。しかし
本法
は、届け出
制度
ではありますけれども、修正案のすでに合意に達している五条二項については、七号へ追加されると、排出水の汚濁の状態及び量についても当然届け出をしなければならないようになるわけです。しかも、これに関連する第八条の
計画
変更命令がございまして、
計画
の変更及び特定施設の設置に関する
計画
の廃止をも命ずることが都道府県知事はできるとあるのでありますから、したがって、この工場立地の調査等に関する
法律
と比較する場合に、この
法律
の
機能
を考える場合は、知事が改廃あるいは廃止の命令もできるのでありますから、実質上、許可
制度
にほぼ近い、ほとんど許可
制度
と同じような
機能
を果たすものということが、当然この法の
機能
から理解できるのではないか、私はこういう認識をいたしておりますが、大臣は見解はいかがでしょうか。
佐藤一郎
74
○佐藤(一)国務大臣 単なる届け出
制度
以上のものである、したがって十分チェックが可能である、そういう
意味
において、やや許可
制度
に近い効能を持つであろうということは、お説のとおりであろうと思います。工場立地法との比較は別に
お答え
願いたいと思います。
岡田利春
75
○岡田
委員
第十四条の「排出水の汚濁状態の測定等」でありますが、これも修正案で合意に達しておりますのは、「努めなければならない」を「適切な措置をしなければならない」、こういう一応議論をいたしておるわけですが、その場合に、排出水を排出する者は、有害物質を含む汚水等が地下にしみ込むこととならないように適切な措置をするという
意味
は、少なくともこの特定施設が地下浸透処理をするということはあり得ない、特定施設がその排水を地下浸透で処理をさせるということをそのまま受け入れるものではないということが、当然この条文から解釈されなければならないと私は思うわけです。当然そうであると思うわけです。そういう理解について、御異存はございませんか。
宮崎仁
76
○宮崎(仁)
政府
委員
この十四条第三項のいわゆる地下に浸透する問題のことでございますが、ただいまのお話のごとく、これに修正が行なわれることになるようでございますが、いずれにいたしましても、地下に放流する場合も地下にしみ込ませるということに該当するわけでございまして、この
規定
によりまして、
事業者
としては適切な措置をとらなければならないことになるわけでございます。したがって、この排出水が有害物質を含む場合におきまして、そういった事態が起こるおそれがあるような場合には、行政当局としては適切な
指導
を行なっていく、そういうことによってこの条項を守っていくようにしたいと考えております。
岡田利春
77
○岡田
委員
ちょっと局長の答弁は弱いと思うわけです。ここでは、有害物質を含まなければ問題は別なんですよ。有害物質を含む汚水が地下にしみ込むことにならないように適切な措置をするということは、特定施設を設置して有害物質を含む汚水の浸透処理は認められない。当然これは、設置届けを出す場合に、排水路がどこに排水するかということがわかるわけですから、これを地下浸透で処理するのだ——これは有害物質が含まれない場合は別ですが、有害物質を含む汚水の場合にはこれは適当でない、こういう判断に明確に立つのが私は当然だと思うのです。きちっと答弁してください。
宮崎仁
78
○宮崎(仁)
政府
委員
御
指摘
のごとく、有害物質を含む汚水等があります場合に、これを地下に浸透処理をするというようなことは許されないことは当然でございます。こういうものがしみ込むようなことにならないように行政当局としても
指導
をやっていかなければならぬ、こういうように思います。
岡田利春
79
○岡田
委員
本
委員会
に、「
水質汚濁防止法案
第三条第一項に
規定
する排水
基準
のうち有害物質に係る排水
基準
」の素案を一応資料として出していただいたわけです。この
基準
を「人の健康保護に関する環境
基準
」と比較をいたしますと、シアンの場合には、これは認められていないのでありますが、ここは一PPM。有機燐の場合も、これは環境
基準
では認められていないのでありますが、一PPM。いわばこの二つは認められていないものについて一という数字が出されておるわけです。それ以外については、大体、環境
基準
の全部が十倍という数字になっておるわけです。先般、
質問
いたしましたときに、この数字は、流水量に対して工場の排出水が大体十分の一という見当でこういう数字を考えているというのが答弁であったわけです。そういたしますと、この
基準
に基づいて上のせ
基準
をつくる場合の目安として、第一には流水量の二割になった場合には、上のせ
基準
として一PPMであればこれは〇・五PPMにきめることは妥当性があるのではないか、こういうことが当然判断できるわけです。この点についてどうかというのが第一点。 それから第二点は、もちろんすでに汚染されていない河川流域もございますから、さらに厳格に環境
基準
に従ってこれを保持をしていく、汚染の防止をしていくという場合については、いまの
基準
数字とは別に上のせ
基準
が都道府県知事において条例できめ得る、この二つの面が考えられるわけです。特に私が重要視するのは第一項でありますが、大体そういう目安というか、上のせ
基準
をきめる場合の一応の
説明
からいえば目安になるとも言えるんではないかという点についての見解は、いかがですか。
宮崎仁
80
○宮崎(仁)
政府
委員
環境
基準
と排水
基準
の
関係
で、希釈を考えて、排水
基準
の場合には、標準的には環境
基準
の十倍くらいのところになるであろう、こういっておりますのは、これは出る量にはそれほど
関係
がございません。大体、通常の場合でありますと、量の多寡にかかわらずすぐ十倍くらいに希釈してしまう、こういうことのようでございまして、大体そういうことを頭に置いて考えておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。 それから第一点の問題でございますが、やはり地域の
実情
によりまして上のせをいたします際に、こういった形で、たとえばシアンならばシアンにつきまして、一PPMとかりに一律の数字がきまりまして、そこの水域の状況から見て、工場が大きな工場であって、環境
基準
の面から見ると問題があるというような場合には〇・五ときめる場合もございます。現に洞海湾ではそういうことをやっております。そういうようなふうにお考えを願いたいと思います。 それから、第二の汚染のないようなところについての上のせの問題でございますが、これも都道府県の段階で、その水域の
実情
から見て上のせが必要である、これは自然的、社会的環境から判断してそういうことが必要であるという場合であれば、これはもう上のせをできないというわけではございません。ただ、非常にきれいなような場合でありますと、この一律
基準
ということでいいのではないかと思いますが、これはケース・バイ・ケースで判断をしていただく以外にないのじゃないかと思います。
岡田利春
81
○岡田
委員
後段の
説明
はいいのですが、前段の、量には全然
関係
ないと、さらっと局長は言われたわけですが、しかし、この
基準
的素案は環境
基準
と全然
関係
のないというものではないわけです。環境
基準
を達成していく目標として排出
基準
をきめるわけですから。そこで十倍にきめた。十倍というのは、原則的には、やはり流水量の十分の一程度が工場の排水量であるから、そういう
意味
でそれも一応の目安に置いて十倍ということを考えている、そしてこういう素案が出てきているわけです。そういたしますと、上のせ
基準
をきめる場合に、そればかりではないけれども、そういうことも上のせ
基準
をきめる場合の要因になり得るということは言えるのじゃないですか。いかがですか。
宮崎仁
82
○宮崎(仁)
政府
委員
通常の河川とか湖沼等の場合におきましては、先ほど御
説明
いたしましたように、工場の排水量の多寡によって希釈の程度が変わるということはあまりないわけでございます。ただ、非常に水量の少ない川の場合に、そこにかなりの排水量のある場合には、これはおっしゃるように、そのままにいたしますと非常に水域の汚染がひどいということになります。そういう際には、当然もっときびしい
基準
をきめなければならない。これは実例もございますし、そういうふうにしたいと思います。
岡田利春
83
○岡田
委員
もう一問で私、
質問
を終わりますけれども、十六条の「測定
計画
」。都道府県知事は国の地方行政機関の長と相談して水質の測定に関する
計画
を毎年きめるわけです。そうして
協力
をして測定をするわけですが、この場合にこの測定については、蓄積性の有害物質、特に金属物質でありますけれども、こういうものはすでに川の底に蓄積されておる面もあるわけです。また蓄積されていくわけですね。したがって、排水路もしくは河川の底質についての調査測定、こういうものも、この測定
計画
の測定の
方法
をきめる場合に含まれているかどうか。これは公害本部のほうから答弁を願いたいと思うわけです。含まれているのか、含まれていないのかという点について、明確にしていただきたいと思います。
植松守雄
84
○植松
説明
員 現在、河川の水質の測定につきましては、これはたしか地方建設局長が昭和三十四年以降継続的な水質測定をやっておりますし、また、都道府県知事が管理者である二級河川等についても、それぞれ継続的な水質測定をやっておるわけでございます。しかし、それは必ずしも底質、いわゆるヘドロにつきまして常時測定をやっておるということではないと思います。ただし、特に人体、人の健康に対する被害が問題になったという場合につきましては厚生省が、あるいは水産物被害が問題になった場合には農林省がみずから、あるいは都道府県に委託して調査をやるということは、これはスポット的に、あるいは必要に応じてやっているところでございます。また、河川管理者の
立場
におきましても、特に水質が問題になって、ヘドロの重金属の調査が必要であるというような場合には、もちろんそれについてやるというような形で行なわれていると思います。
岡田利春
85
○岡田
委員
私は
一般
論を聞いているんではないんです。この十六条の二項ですね、「測定
計画
には、国及び地方公共団体の行なう」云々とあって、そして「測定すべき
事項
、測定の地点及び
方法
その他必要な
事項
を定める」というわけです。この場合、この二項の中に底質測定が含まれるかどうか、有害金属物質の測定も含まれるか含まれないのかということを聞いているわけです。
植松守雄
86
○植松
説明
員 先ほど
お答え
いたしましたように、必要な場合にはもちろんその
計画
に含めて調査すべきだと思います。
岡田利春
87
○岡田
委員
その中に含まれているかどうかということです。
植松守雄
88
○植松
説明
員 したがって、その
意味
においては含まれていると考えていいと思います。
八田貞義
89
○
八田委員長
これにて本案に対する
質疑
は終了いたしました。
—————————————
八田貞義
90
○
八田委員長
この際、武藤嘉文君外三名並びに
田代
文久
君からそれぞれ本案に対し修正案が提出されております。
八田貞義
91
○
八田委員長
これより両修正案について、それぞれ提出者から
趣旨
の
説明
を求めます。岡田利春君。
岡田利春
92
○岡田
委員
水質汚濁防止法案
に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、提案の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 修正案の案文は、お手元に配付したとおりでございます。 修正点は、第一に、第二条第二項第二号の生活環境項目の
規定
につき、有害物質の場合にならって、「おそれがある」を加えること。 第二に、第五条の特定施設の設置の届け出について、「排出水の汚染状態及び量」は、添付
事項
でなく届け出
事項
とすること。 第三に、第十三条の
改善
命令を発する要件を簡明にすること。 第四に、第十四条における排水
方法
及び汚水等の地下浸透の防止
方法
に関する
規定
を厳格化すること。 第五に、第十八条の緊急時における勧告を命令に改めること。 第六に、第二十五条の国の援助につき、中小
企業
に対する特別の
配慮
の
規定
を加えること。 第七に、附則第四項の
審議
会及び
委員
の横すべり
規定
を削除すること。 以上であります。 これらの理由につきましては、いずれも
法案
の立法
趣旨
に照らし、また当
委員会
における
質疑
を通じまして、すでに明らかにされたところでございますので、個別の
説明
は省略させていただきますが、何とぞ
委員
各位の御賛同をお願い申し上げます。
八田貞義
93
○
八田委員長
引き続き
田代
文久
君から
趣旨
の
説明
を求めます。
田代文久
94
○
田代
委員
私は日本共産党を代表して、
政府
提案に対する
本法
についての修正案を提出いたしますとともに、
趣旨説明
を行なうものであります。 修正案につきましては、すでに
委員
各位にお配りしておりますので、簡単に
趣旨説明
の
内容
を申し上げます。 一、特定施設の設置または構造変革等についての届け出制を都道府県知事の許可制とすること。 また、この許可制の
基準
については、 一、当該特定
事業
場からの排出水が排出
基準
に適合していることはもちろんのこと、排出水の量を考慮し、さらに当該特定施設からの排出水が加わることによっても、なお人の健康を保護または生活環境を保全する上で十分なるものであることが認められること。 第二に、緊急時についての知事の勧告権を命令権に改め、かつ政令による制限を除き、違反者に対する罰則を設ける。 第三に、鉱山、電気
事業
についても、知事の水質汚濁防止権限が及ぶように改める。 第四に、その他政令、省令等による制限を改め、都道府県が条例によって自主的に公害行政が推進できるようにすること。 以上であります。 公害の
企業
による責任を明確にし、公害をその発生源においてきびしく規制するとともに、住民の参加する地方自治体による民主的な公害対策を進めることこそが公害をなくする道であり、本修正案が本
委員会
における多くの同僚議員の御発言とも一致するものであります。慎重な御
審議
をお願いし、すみやかな可決を求めるものであります。お願いします。
八田貞義
95
○
八田委員長
これにて両修正案の
説明
は終わりました。
—————————————
八田貞義
96
○
八田委員長
これより討論に入るのでありますが、本案並びに両修正案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 採決の順序は、まず
田代
文久
君提出の修正案、次に武藤嘉文君外三名提出の修正案、最後に原案について採決することといたします。 それでは順次採決いたします。 まず、
田代
文久
君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
八田貞義
97
○
八田委員長
起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、武藤嘉文君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
八田貞義
98
○
八田委員長
起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。 修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
八田貞義
99
○
八田委員長
起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。 なお、ただいまの修正議決に伴いまして、条項、字句等の整理を要する場合は
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
八田貞義
100
○
八田委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
八田貞義
101
○
八田委員長
次に、
本法
律案に対し、武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から
趣旨
の
説明
を求めます。武藤嘉文君。
武藤嘉文
102
○武藤
委員
水質汚濁防止法案
に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、提案の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 本決議案の各項目の
趣旨
につきましては、一々理由を付して申し上げるまでもなく、当
委員会
における
質疑
などを通じまして十分御理解を願えるものと存じます。案文をお手元にお届けしてございますので、御一覧をいただき、何とぞ
委員
各位の御賛成をお願いいたします。
—————————————
水質汚濁防止法案
に対する附帯決議(案)
政府
は、
本法
施行にあたり、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。一、排水
基準
は、環境
基準
を達成し維持するために十分なものとするよう
配慮
し、設定の際には
関係
大臣の協議を経るよう努めること。 二、特定施設の届出制及び
計画
変更命令の
規定
を厳格に運用するとともに、その際には汚水等の排出量の増加を防止することを特に重視すること。 三、熱による排出水の一汚染に関する排水
基準
をすみやかに定めるよう努めること。 四、都道府県における監視測定職員の確保、研修の
実施
及び測定機器の開発等、監視体制の充実策を積極的に進めるとともに、
企業
における水質汚濁防止の責任者、
技術
等の体制整備について強力に
指導
すること。 五、地方自治法に基づく政令指定都市及びこれに準ずる市の長に対しては、
本法
に
規定
する都道府県知事の権限を委任すること。 六、
本法
の運用の円滑を期するため、地方公共団体に対する援助を積極的に行なうこと。 七、中小
企業
に対しては、汚水処理施設に関する税の減免並びに金利及び償還期限等の融資条件と信用補完条件の緩和について、特別の措置を講ずること。 八、
本法
の適用除外の施設については、電気
事業
法その他の法令をすみやかに整備して、水質汚濁防止体制の万全を期すること。 九、汚水等の地下浸透を防止するための
施策
を格段に強化すること。
—————————————
八田貞義
103
○
八田委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。 別に発言がなければ直ちに採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
八田貞義
104
○
八田委員長
起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、附帯決議について
政府
から発言を求められております。これを許します。佐藤
経済企画庁長
官。
佐藤一郎
105
○佐藤(一)国務大臣 ただいまの附帯決議の
内容
につきましては、
政府
といたしましても極力これを
尊重
し、そうした
方向
でもって今後の水質汚濁防止対策の推進に努力をしてまいりたい、こう考えております。
—————————————
八田貞義
106
○
八田委員長
おはかりいたします。
法案
に関する
委員会
報告書の
作成
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
八田貞義
107
○
八田委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
八田貞義
108
○
八田委員長
下請中小企業振興法案
を議題といたします。
質疑
を続行いたします。中村重光君。
中村重光
109
○中村(重)
委員
同僚
委員
からそれぞれお尋ねがありましたので、時間の
関係
もありますし、
問題点
にしぼって
通産大臣
にお伺いをいたしたいと思います。
下請中小企業
の
振興基準
の
作成
、さらには
振興
計画
等々、中小
企業
庁としては画期的な
法律
案である、中小
企業
の
振興
のために、
下請
の
自主性
をはかるために、この
法律
案をよりどころとしてこれから取り組んでいきたい、そうした決意を明らかにしているわけであります。 ところが、六十三通常
国会
以来、私どもはこの
法律
案について検討してまいりました。
問題点
を
指摘
をし、中小
企業
庁としても、足らざるところに対しては修正に応じることにやぶさかでないことの態度を示してまいっておるわけでありますが、私どもが依然として疑念に思っておることは、この
振興
計画
を
実施
することにおいて、
親企業
と
下請企業
との
従属関係
というものがさらに強められていくということにならないかどうかということであります。もしそうではなくて、この
振興
計画
を
実施
することにおいて、中小
下請企業
の
自主性
をはかり得るという確信があるとするならば、具体的にどのような構想を持っておられるのか。また、
振興
計画
に基づいてこれから講ぜんとする
施策
等について、大臣の
考え方
を明らかにしておいていただきたいと思います。
宮澤喜一
110
○
宮澤国務大臣
親企業
と
下請企業
との関連の変遷、これからの見通し等につきましては、午前中に他の
委員
の御
質問
に対しまして
お答え
を申し上げましたので、重複を避けさせていただきますが、この
法律
案では第一に、
振興事業計画
の
作成
あるいは
遂行
を
個々
の
下請事業者
ではなくて
事業協同組合
を中核にして行なおうとしておるわけでございます。 それから第二に、
計画
の
承認
に際しまして、その
事業協同組合
が真に
自主性
を持っておるかどうか、そういう人々の集合体であるかどうかということについて
審査
をする、これもそのようなことを実は確保いたしたいと思うのであります。 それから、第三に申し上げられますことは、
計画
の
承認
にあたりまして、その
計画
がいわゆる
振興基準
に照らして適切かどうかという点を
審査
いたしますが、これも右のような観点からでございます。 この
法律
案全体といたしまして、
制度
的に
下請事業者
の
自主性
について
配慮
を払っておるつもりでございますが、なお、中小
企業
対策全般につきましてしばしば申し上げておりますとおり、そのような省力化、
高度化
、そうして
生産性
の
向上
、独自性といったようなものを進めておりますことは、しばしば申し上げておるところでございます。
中村重光
111
○中村(重)
委員
先ほど松尾
委員
からも
指摘
をしておったわけでありますが、今回、中小
企業
庁が指定をしようとしておるところの
業種
に造船業も入ってない、さらにこれをもっと
拡大
する必要があるのではないかというお尋ねであったわけでありますが、私もそのとおりと思うのであります。もちろん
中小企業庁長官
としても、順次この
業種
の
拡大
をはかっていきたいということであったわけでありますが、六十三通常
国会
からこの
業種
指定の問題については検討してまいったところでありますから、もう約一年たっておるわけであります。したがって、造船業であるとか、あるいはその他の
業種
について、来年度からこの指定を
拡大
するという具体的な
考え方
がまとまっておるのかどうか、その点をこの際はっきりさせておいていただきたいと思います。
吉光久
112
○
吉光政府委員
当初考えておりました
機械工業
を
中心
にしました数
業種
ということで進めておりましたけれども、その後だんだんと各
業種
につきましての
実態
が明らかになりつつございます。したがいまして、初め考えておりましたよりかより広い
業種
につきまして最初から指定をしてまいり、さらにまた、
実態
が明らかになりましたものから逐次追加をしていく、こういう
考え方
でおります。
中村重光
113
○中村(重)
委員
ただいまの答弁は、先ほどと同じような答弁なんだから、来年度具体的にどの
業種
まで
拡大
をしようとしておるのか、来年度の
計画
の中に造船業が入っておるのかどうか、時間の
関係
もありますから、
質問
に対しては、同じような答弁の繰り返しではなくして、もっと前向きの姿勢でもって答弁してもらいたいと思うのです。
吉光久
114
○
吉光政府委員
御
指摘
の造船業につきましては、最初から指定するつもりで現在準備体制を進めております。
中村重光
115
○中村(重)
委員
ともかく、必要以上に何というか、答弁に慎重であることはよろしいけれども、ざっくばらんに答弁したらどうなんです。 次に、
振興基準
の中に、
発注方法
であるとか、
発注
単価あるいは代金の支払い
方法
等々あるわけですが、具体的にいま申し上げましたようなこと以外に、製品の検収等々、
下請取引
の適正な姿というものは、この
振興基準
をつくる上についてどのような
指導
をしていこうと考えておるのか、あるべき姿はどういうことなのか。
吉光久
116
○
吉光政府委員
代金の支払い
方法
につきましては、現実に
下請企業者
が合理化努力によりまして合理化しましたその成果を、やはり
下請企業者
にも帰属させるということが必要であろうかと思うわけでございます。そうすることによりまして、
下請企業者
の
資本蓄積
もできてまいるわけでございます。そういうふうな観点、それからまた、
親企業
者が
下請
代金を協議して定めます場合に、やはり
下請企業者
の現実の
設備
の
実態
その他等につきまして、十分考慮を払った上で代金をきめる必要があるというふうなことを具体的な問題として考えておるところでございます。
中村重光
117
○中村(重)
委員
答弁を一々取り上げて、抽象的であるという
指摘
をしても切りがありません。しかし
下請
問題というものは、きわめて不平等な中に、いわゆる
下請企業
というものが
自主性
がそこなわれている中でやっているんだから、したがって、
下請企業
振興法
を通じて、三本の柱を立ててこの
法律
案を御提案になっておるわけなんです。ですから、現在の検収
方法
であるとか、あるいは単価の立て方であるとか、あるいは
発注方法
であるとか、こういったことにはこのような
問題点
があるのだ、これからはこういう
方向
に行政
指導
をしていく、そのことがあるべき姿であるといったような、もっと具体的な
考え方
というのをこの際明らかにしてもらいたかった。それは時間の
関係
で、あとで時間がありますればあらためてお尋ねをしたいと思います。 そこで、川端
委員
からも、
振興
協会の組織をもっと強化していかなければならない、
あっせん
、調停等について実のある実効をあげ得る機関にしなければならないということであったわけです。この
法律
案の中身を見てみると、いわゆる公益法人ということになっておりますけれども、財団法人にするのか、あるいは社団法人にするのか、それらの点も明確ではないということです。だからむしろこれは、特殊法人というような形において法的根拠をもっとはっきりさせる。そうして、
振興
協会というものをこれからもっと
拡大
をしていこうとするならば、その
振興
協会というものの横の連絡をどうするのか。また
下請協同組合
の連合会の
組織化
等々について、どのように考えているのか。それらの連合会とこの
下請
振興
協会との関連づけというものをどのように進めていこうとしておるのか。それらの点等々について明らかにしておいてほしいと思います。
吉光久
118
○
吉光政府委員
御
指摘
のように、現在の
下請
振興
協会は必ずしも十全ではないというふうに考えます。今回の
法案
によりまして、
下請
振興
協会の
業務
内容
が拡充されるわけでございますので、その拡充されました
業務
内容
に従いまして、
振興
協会の
あり方
についても、機構あるいは人員、予算その他、全般を通じまして見直すべき問題が多いと考えております。したがいまして、今回の与えられました
内容
にふさわしい機構に改組していくことも、やはり早急に検討し着手する必要があろうかと考えるわけでございます。 それから、
組織化
、全国団体との連携でございますが、これもまた御
指摘
のように、現在、全国団体はございますけれども、その加入者はまだ全体の約五分の一程度というふうな状況でございまして、したがいまして、この
組織化
の拡充ということにつきましては、さらに努力を重ね、全国団体の育成強化につとめてまいりたいと考えます。
中村重光
119
○中村(重)
委員
大臣、どうも
吉光
長官
は法制局におられた
関係
で、きわめて答弁は慎重であるということですが、
実態
をつかんでおられるわけですから、もう少し具体的に、組織はこうあらねばならぬといったこと等々、私どもが納得いくような
お答え
をしていただきたいと思うのですが、私が
指摘
いたしましたように、公益法人ですから、社団法人も財団法人も公益法人ですね。ところが、それではなくして、もっと
あっせん
、調停をやるとか、あるいは
下請
事業
の
振興
をはかっていくためのいろいろな
業務
面の
あっせん
といったようなこともやっていかなければならないのですが、もっと権威のある一貫した組織でなければならぬと私は思うのです。したがって、特殊法人等々を検討していかなければならないのではないかというように考えるわけです。 それから、協会というものが全国的にこれから設立されていくでありましょうから、そういうものの横の連携、縦の線といったようなこと等々、やはりこの際もっとはっきり構想を持っておらなければならないというふうな感じがするわけです。これはなぜかと申しますと、いろいろ
問題点
がありまして、一年間たなざらしになったわけですね。ですからやはりその間に、もっと具体的な前向きの
考え方
というものが明らかにされないのかどうか。非常にこの答弁を聞いておりますともの足りない感じがするのですが、大臣いかがでしょうか。
宮澤喜一
120
○
宮澤国務大臣
あっせん
調停ということまでお考えのように漏れ承っておるわけでございます。ただ、おそらくその
あっせん
、調停というようなことは、法的な拘束力を持つという段階までお考えではいらっしゃるまいかと思いますので、そうでございましたら、一応民法三十四条の法人をもって法人格としては足りるのではないか。もし将来
あっせん
、調停がもっと拘束力を持つということになりますと、これはさらに新しい問題として考えなければならないかと思います。いずれにしましても、
内容
の充実も必要でございますし、横の連携も必要でございます。また全国に、各都道府県にできておるわけではございませんので、これもやってもらわなければならないと考えております。
中村重光
121
○中村(重)
委員
それでは具体的な問題についてお尋ねいたしましょう。 本年度の予算は十五億円であると承知いたしておりますが、その十五億円はどう使っていくのかということになるわけですが、この予算化している十五億円というのは、
下請
振興
計画
に参加してくる
個々
の
企業
の
設備資金
というものに使われていくのであろう。運転
資金
まで考えていらっしゃるのかどうかわかりませんが、これは
中小企業金融公庫
からの融資ですから、
設備資金
に限るのであろうと私は思いますが、そうなのかどうか。それから、一
企業
当たりの融資額を、最高限どの程度とお考えになっていらっしゃるのか。それらの具体的な問題についてお聞かせいただきたい。 それから、時間の
関係
がありますので、まとめてお尋ねをいたしますけれども、四十六年度の予算はどの程度まで要求をしていらっしゃるのか。それから
個々
の
企業
に対しての、本年度についての
考え方
があるでありましょうから、来年度はそのワクを、また上限を引き上げていこうとお考えになっていらっしゃるのかどうか。それらの点について明らかにしていただきたいと思います。
吉光久
122
○
吉光政府委員
本年度、中小公庫に準備いたしましたのは、いま御
指摘
の十五億円でございます。これは初年度でございますので、
計画
の
内容
の普及、浸透その他等に時間がかかるというふうなことを
前提
にいたしまして、十五億が組まれておるわけでございます。ただ、明年度におきましては、すでにこの
法案
の
内容
も、相当程度、
下請業者
あるいは
親事業者
に浸透いたしておりますので、相当の
計画
の
作成
が行なわれるということが見込まれておりますので、現在、七十億円の予算要求をいたしておるところでございまして、大幅な
拡大
をはかってまいりたいと考えております。 なお、この
資金
は
設備資金
でございますけれども、一件の中小公庫の限度額は五千万円でございますが、この件につきましては、八千万円を限度額にするというふうにいたしておるわけでございます。それから、これは現在特利の七・七%というものがついておるわけでございますけれども、これは従来の
近代化促進
の体系と同じ金利体系にいたしたわけでございますけれども、さらにこれを引き下げるよう努力してまいりたいと考えております。
中村重光
123
○中村(重)
委員
大蔵省にお尋ねをいたしますが、中小
企業
庁から来年度七十億を要求しておる。十五億というのは当初予算で、初年度予算であったわけでありますから、
振興
計画
というものもそう進まないであろうということで、それなりにわかるわけです。しかし、この
下請
振興
計画
、このことが
下請
事業
に対するところの
自主性
を強めてくるということで、相当情熱を燃やして取り組んでいこうとする中小
企業
庁の
考え方
であるわけであります。したがって、相当
振興
計画
は進んでいくであろう、また協会も全国的に設立されるであろうと私どもも期待をするわけであります。そうなってきますと、七十億というものは、私は、これに参加する
企業
の数等々から判断をしてみまして、これではどうにもならないのだ。また、一
企業
当たり八千万円にしようということでありますが、これも最高限であって、実際は一千万、二千万というのもあるのであろう。それ以上は出せないというような
実態
でありますならば、これはいかんともしかたがありませんけれども、この七十億というものが大蔵省の査定段階において削られるということになってまいりますと、せっかくのこのいい構想というようなものも、実際は実を結んでこないというような感じがいたしますが、大蔵省はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この際ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
中橋敬次郎
124
○中橋
説明
員 先ほど
中小企業庁長官
より
お答え
がありましたように、来年度の予算編成に関連いたしまして、従来予定をされておりました十五億円の貸し付け規模をふやすようにというようなこと、あるいはその他の要求があることは、そのとおりでございます。これに対しまして私どもがどういうふうに対処するかということは、これはなお
一般
的にいろいろ同種のものがございます。
中小企業金融公庫
、国民
金融
公庫、その他いろいろのものがございますので、それらの問題をあわせて処理をいたさなければなりませんから、今後なお予算折衝上の問題として中小
企業
庁と考えてまいりたいと思っております。 ただ、前通常
国会
にこの
法案
が出ましたときにも、
企業
庁といろいろ相談をいたしまして、この
法案
のねらいといたします
趣旨
を十分生かすべく、それからまた、すでにあります、たとえば近促法によりますところの
近代化促進
計画
というようなものに対するいろいろな融資上の特典というようなものも勘案いたしまして、近促法並みのものでやろうというふうに決定をいたしたわけでございます。今後の推移等もございましょうけれども、やはり私どもといたしますれば、同じ近促法の中で中小
企業
が目ざしております
近代化促進
計画
、あるいはさらにそれをもっと
徹底
いたしました構造
改善
計画
、それと今回御
審議
になっております
下請関係
のこの
振興
計画
というようなものと、彼此勘案いたしましていろいろ決定をいたさなければならない要素もございます。なお、今後とも
企業
庁と、そういう面のバランスをとりながら検討してまいりたいと思っております。
中村重光
125
○中村(重)
委員
吉光
長官
にお尋ねいたしますが、中小
企業
の公害対策、私どもが先ほど修正可決をいたしました
水質汚濁防止法案
の中におきましても、特にこの中小
企業
に対するところの公害
関係
設備
ということに対しては特段の措置を講ずるべきであるということを一項挿入をいたしたくらいであります。したがって、この
振興
計画
と、いま私が申し上げました公害
関係
設備
に対する融資というものは、これは直接
関係
があるのではないことはもちろん理解をいたしておりますけれども、この
振興
計画
によって融資をしておるから公害
関係
の
設備
というようなものもその中から補え、ということになってまいりますと、私はたいへんだと思うのです。ですから、それらの点についてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
吉光久
126
○
吉光政府委員
御
指摘
のように、別の問題でございまして、公害防止
事業
を積極的に進めなければならないその防止施設と、いまこちらで考えております
振興
計画
の中に、公害につきましての問題も
内容
的に含まれてくることはあり得るわけでございますけれども、また、そうあることが望ましい場合の
業種
もあり得ると思うわけでございますけれども、
資金
的な手当てといたしましては、
近代化
のために必要な
資金
というふうなものと、それから公害防止のために必要な
資金
というふうなものにつきましては、それぞれ別の系統の問題として
資金
ワクを確保いたしたいと考えます。
中村重光
127
○中村(重)
委員
金利と
償還期間
の問題についてお尋ねをしたいわけですが、大蔵省の
審議
官がお見えですからその見解も伺いたいのです。大体これは金利が七分七厘、償還期限が七年ということでございますが、これを縮めることについて、確信を持った
お答え
をいま伺うことは若干無理ではないかというように思われます。 したがいまして、
通産大臣
にこの際
お答え
をいただきたいと思います。構造
改善
事業
も、御承知のとおり金利は七分であります。
近代化
設備
に対しましては、
中小企業振興事業団
から二分七厘の金利でもって融資がされておる。それから償還期限も十五年でございましたか、ずっと延びてまいりました。ところが、これが画期的な
法律
案であるという自信を持ってお出しになっており、将来に大きな期待を
下請
振興
のためにかけていらっしゃるわけであります。そこで、これに参加をするという中小
企業
に対して、初年度は十五億を予算化して、先ほど
お答え
のように一
企業
当たり最高八千万という
資金
を貸していこうというわけですが、七分七厘という金利は高過ぎると私は思います。私どもは、金利がどの程度であるべきかということで検討して、五%が適当であろうというような
考え方
をまとめましたけれども、しかし、そこまでは私は申し上げませんが、少なくとも構造
改善
事業
に対する融資の程度、七分で償還期限も十年ないし十二、三年まで延長するということでなければならないと思います。せっかく中小
下請企業
の
振興
をはかっていこうというわけでございますから、ひとつ
通産大臣
としても大いに努力をしていただかなければならぬと思います。お
考え方
をこの際、ひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。
宮澤喜一
128
○
宮澤国務大臣
御発言の御
趣旨
はよく承知いたしました。大蔵省にもいろいろ御苦労もあることと思いますが、せっかく新しい
施策
を発足させようといたしますので、その
趣旨
もよく御
説明
をいたしまして、極力努力をいたしたいと思います。
中村重光
129
○中村(重)
委員
それから、大蔵省の
審議
官がお見えだと思いますが、
税制
上の優遇措置としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
吉田太郎一
130
○
吉田
(太)
政府
委員
お答え
いたします。 すでに先生御承知のとおり、ことしの改正、すなわち昭和四十五年度の
税制
改正におきまして、
下請
振興
のための各種の
制度
を設けております。さらにこれに加えて、
税制
上の優遇措置について通産省から幾つかの御
要望
を現在いただいております。こういう措置につきましては、申すまでもなく中小
企業
一般
とのかね合いにおきまして目下慎重に検討をいたしておる次第でございまして、
税制
調査会にもおはかりをして今後結論を出したい、かように考えておるわけでございます。
中村重光
131
○中村(重)
委員
時間の
関係
がありますので、またあらためて適当な機会にお尋ねをすることにいたしますが、この
法律
案の中身を見てみますと、
説明
の中にあるわけですが、この
振興
計画
に参加をする共同施設に対して、
中小企業振興事業団
資金
の優先貸し付けというのがあるわけですね。これは当然なことだというようにも感じられるわけですが、私はそれを否定するものではございません。ただ心配になりますのは、
中小企業振興事業団
の融資も現在ですら非常に
不足
をしておるわけですね。だからこの
資金
ワクをもっと
拡大
をしてもらいたいという要請が非常に強いわけですよ。そこで今度は、新しいこうした
事業
であるからということで、それに優先貸し付けをするということによって、これに参加をしない
企業
の
高度化資金
というようなものが相当押えられてくるということであっては、これはどうにもならないと思うのです。だから融資ワクの絶対量をふやしていかなければならないというように思いますが、この点に対しての
宮澤
大臣のお
考え方
と、それから大蔵省が、この
中小企業振興事業団
に対して現在二分七厘の金利——かつては無利子であったわけでありますから、私どもはこれをもっと引き下ぐべしという主張をしておりますが、まあ現実の問題としていまこれを引き下げろということは言いません。絶対額をワクをふやすのだから、その金利を引き上げるなんというようなことは毛頭考えていないのであろうと思いますが、その点について伺いたい。 それから来年度予算において、
中小企業振興事業団
に対して、出資であるとか、あるいはまた財投について大幅増額をしようという
考え方
があるのかどうか、その点についてもお聞かせいただきたいと思います。
宮澤喜一
132
○
宮澤国務大臣
御
審議
願っておりますのは新しい
施策
でございまして、従来のものに取ってかわる一わけではございません。したがって
中小企業振興事業団
の
資金
におきましても、新しいこういう要請を取り入れられるような形で予算要求をし、また実現をいたしたい。前段につきまして私はそう思っております。
中橋敬次郎
133
○中橋
説明
員
資金
ワクの問題その他も、先ほど
お答え
いたしましたように、現在検討中でございまして、予算の時期にその他のものとともにきまるわけでございます。それまでになお中小
企業
庁とともに検討いたしたいと思っております。
中村重光
134
○中村(重)
委員
共同施設に対して、親が何%程度
賦課金
として支出をするのかということに対して、先ほど一割程度という
お答え
があったわけですね。これはあまりたくさん出させると、金を出したということについて
下請
に対する締めつけというものが起こってくる。私どもが非常に心配をいたしております従属化というようなものが、そこで起こるおそれがある。確かにその点はそうだと思うわけです。ただしかし、私は額の問題ではないと思います。いわゆる量の問題ではない。これは現在ですら、
親企業
と
下請企業
との
関係
というものは従属的な
関係
である。優越的な地位というものを
親企業
は堅持している。単価も一方的にきめます。支払い条件も一方的にきめているのです。中には
下請
が非常に優位に立っておるというところも全くないではないと思います。しかし全国的に見ますと、依然として
親企業
がそうした優越的な
立場
にあるということ、そういうことで一方的にすべての取りきめがなされてきている。したがってこの
賦課金
の問題にいたしましても、申し上げましたように、量の問題ではないのであって、実際はこれを従属化しないようにどうしていくのかということが問題となるであろうというように考えます。したがいまして、これは一律にその程度で押えていこうとするのか、あるいはこの
振興
計画
に対しては、親はこの程度だというように実質的にそれぞれの
振興
計画
の中できめさせていこうとお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点を伺いたいということ。まだありますけれども、一応
お答え
を願いましょう。
吉光久
135
○
吉光政府委員
先ほど
お答え
申し上げましたのは一応のめどということで、そういう数字を検討いたしておるところでございまして、実際の問題といたしましては、それぞれの
実情
に応じました、
実態
に即した姿のものが出てくるものと思っております。ただ今回の仕組みは、あくまでも
下請企業者
の
自主性
を
尊重
してやるということが
中心
でございます。したがいまして、判断をいたすにあたりましても、あくまでも
下請中小企業者
の
自主性
がそこなわれない、それがその
実態
に応じます場合の
基本
的な態度になるというふうに考えております。
中村重光
136
○中村(重)
委員
それからこの
賦課金
ですが、
賦課金
によって共同施設がつくられるわけですね。したがって財産権の問題というのが起こってくるのだろうと思います。そこで、大
企業
は単に
賦課金
を出すわけですが、その
賦課金
というものは財産権とは結びつかないのかどうか、補助というような
形式
になるのかどうか。これは
法律
案の中身の中では明確ではないわけです。ですから、それらの問題を通じて将来物議をかもし出すことはないのかどうか、
そこらあたり
いかがでしょう。
吉光久
137
○
吉光政府委員
これに当たりますところの準備金は、あくまでも
事業協同組合
に積まれるものでございます。したがいまして、これは端的に申し上げまして、親からの寄付金ということでございまして、施設の所有権は
事業協同組合
に帰属する、
事業協同組合
の所有にかかる財産がそこにできる、このように考えております。
中村重光
138
○中村(重)
委員
最後に大臣にお尋ねをいたしまして、本
会議
の時間の
関係
もありますから終わりたいと思いますが、この
振興
計画
が特定の
親企業
に対する依存度三〇%。もちろんこれは三〇%以下ということでも差しつかえはないわけですね。ところが、この特定
親企業
を
中心
にいたしまして
振興
計画
ができ上がります。そして、いま
お答え
がありましたように、
親企業
が
賦課金
を出すわけですね。そこで共同施設がつくられる。その共同施設を利用して
事業
の運営というものがなされてくるわけです。そうなってくると、
親企業
は、できるだけ
下請企業
というものを他の
親企業
を
中心
とする
振興
計画
に入れないで、自分のほうだけしっかり押えていこうというような形になりがちなんですね。それは実は人情でもあろうと思うのです。そうなってくると、
問題点
の
従属関係
というものがますますもって強められてくる。そうなってまいりますと、当然、複数の
振興
計画
というようなものがつくらなければならない。それに加入の自由というものが保障されなければならない。もちろんそれは自由なようであります。自由なようではありますけれども、片一方に強い力でもって締めつけが、もうほかの
計画
の中に入れまい入れまいとする動き、それが現場においてあるわけですから、やはりよほど強力な行政
指導
というものがなされて、せっかくのこの
下請企業
の
振興
、それから
振興
計画
、
振興
協会の運営というこの三本の柱が有効に動いていかなければならないというように思うわけです。せっかくつくった
法律
案がここに制定されて
法律
として動くわけでありますから、この運用の面について今後どのような熱意をもって対処していこうとしていらっしゃるか、この際、大臣の
指導
方針のほどを伺っておきたいと思います。
宮澤喜一
139
○
宮澤国務大臣
それはごもっともな御心配であると思います。立法の本来の
趣旨
が、
下請企業
に
自主性
を付与したい、それについては親もある程度は
協力
をしろ、
協力
はするが、しかし
自主性
をそこなうような干渉がましいことがあってはならぬ、こういう
趣旨
でございます。本来が、
下請企業者
に
自主性
を付与し、できるだけ多角的な
関係
を結ばせようというのでございますから、ただいまのようなことは、
計画
の行政
指導
あるいは
承認
にあたりまして、そういうことの起こりませんように極力気をつけなければならない問題でございます。御心配はごもっともでございますから、極力気をつけてまいります。
八田貞義
140
○
八田委員長
これにて本案に対する
質疑
は終了いたしました。
—————————————
八田貞義
141
○
八田委員長
本案に対し、武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党、四党共同提案にかかる修正案が提出されております。
八田貞義
142
○
八田委員長
まず、修正案について提出者から
趣旨
の
説明
を求めます。中村重光君。
中村重光
143
○中村(重)
委員
ただいま議題となりました自主民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提出による
下請中小企業振興法案
に対する修正案につきまして、提出の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 案文は、お手元に配付いたしておるとおりであります。 以下、各項目について若干御
説明
をいたします。 第一点は、目的の修正であります。御承知のように、本案の
制度
は、いわゆる親子ぐるみの
近代化
をはかるユニークなものでありますが、
下請関係
の特殊な
実情
にかんがみまして、
下請中小企業
の
振興
をはかる上において、特に
下請中小企業
の
自主性
の確保をはかることが重要でありますので、
中小企業基本法
第十八条を引き、目的の
明確化
をはかったのであります。 第二点は、
下請中小企業者
及び
親事業者
のよるべき
一般的基準
として定められる
振興基準
の
内容
に、
取引条件
の
改善
及び
下請中小企業
の
組織化
に関する
事項
を定めることとしたことであります。 第三点は、
振興事業計画
の
作成
について、
親事業者
は、
下請
組合
の申し出に対し、協議し
協力
しなければならないことを明定したことであります。 第四点は、
下請企業振興協会
は、
下請取引
に関する紛争の
あっせん
、調停を行なうことができることとした点であります。 以上が修正案の
要旨
であります。何とぞ
委員
各位の御賛同をお願いいたします。
八田貞義
144
○
八田委員長
これにて修正案の
趣旨
の
説明
は終わりました。
—————————————
八田貞義
145
○
八田委員長
これより討論に入るのでありますが、本案並びに修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 武藤嘉文君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
八田貞義
146
○
八田委員長
起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。 修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
八田貞義
147
○
八田委員長
起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。 なお、ただいまの修正議決に伴いまして、条項、字句等の整理を要する場合は、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
八田貞義
148
○
八田委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
八田貞義
149
○
八田委員長
次に、
本法
律案に対し、武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から
趣旨
の
説明
を求めます。武藤嘉文君。
武藤嘉文
150
○武藤
委員
ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提出による附帯決議案につきまして、提出者を代表してその
趣旨
を御
説明
申し上げます。 案文はお手元に配付したとおりでございまして、各項目の
内容
につきましては案文で十分御理解が願えると思いますので、
説明
を省略させていただきます。 何とぞ
委員
各位の御賛同をお願い申し上げます。
—————————————
下請中小企業振興法案
に対する付帯決議(案)
政府
は、
本法
施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、
振興基準
の
作成
、
振興事業計画
の
承認
等にあたつては、
下請中小企業
の
自主性
の確保について十分
配慮
するとともに、
振興事業計画
を
実施
する
下請中小企業者
が、必要に応じ自由に他の
親事業者
とも
振興事業計画
を
実施
することができるよう
指導
すること。 二、新
事業者
に対して、
下請中小企業
の
組織化
・
近代化
について積極的に
協力
するよう
指導
するとともに、
発注
量、
発注
単価、代金の支払
方法
、製品の検収等
下請取引
について、適正な慣行を樹立することによりその
改善
を図るよう
指導
すること。 三、
下請企業振興協会
の機構を拡充強化し、各協会間の連絡の緊密化を図る等
下請取引
のあつせん
機能
の
向上
に努めるとともに、
下請取引
に関する紛争については、十分な調整
機能
をもち得るよう
下請企業振興協会
を改組すること。 四、
下請中小企業
振興
貸付の貸付枠の
拡大
、金利の引下げ及び
償還期間
の延長を図るほか、
中小企業振興事業団
資金
の
優先活用
等により、
振興事業計画
の
実施
に支障を生ずることのないよう十分
配慮
するとともに、
振興事業計画
にもとづき
下請中小企業者
が設置する
設備
について、
税制
上の優遇措置を講ずること。 五、
下請中小企業
協同組合
の連合会について、その育成強化を図ること。
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八田貞義
151
○
八田委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。 別に発言がなければ直ちに採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
八田貞義
152
○
八田委員長
起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、附帯決議について
政府
から発言を求められております。これを許します。
宮澤通商産業大臣
。
宮澤喜一
153
○
宮澤国務大臣
ただいまの御決議につきましては、その御
趣旨
を十分
尊重
いたしまして善処いたします。
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八田貞義
154
○
八田委員長
おはかりいたします。 本案に関する
委員会
報告書の
作成
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
八田貞義
155
○
八田委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
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八田貞義
156
○
八田委員長
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時七分散会