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1970-12-07 第64回国会 衆議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月七日(月曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 倉成  正君    理事 伊東 正義君 理事 小山 省二君    理事 佐々木義武君 理事 増岡 博之君    理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君    理事 田畑 金光君       有馬 元治君   小此木彦三郎君       大石 武一君    梶山 静六君       唐沢俊二郎君    小金 義照君       斎藤滋与史君    田川 誠一君       別川悠紀夫君    松澤 雄藏君       松山千惠子君    箕輪  登君       山下 徳夫君    渡辺  肇君       川俣健二郎君    小林  進君       後藤 俊男君    島本 虎三君       山口 鶴男君    山本 政弘君       古川 雅司君    渡部 通子君       寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 内田 常雄君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         通商産業省化学         工業局長    山下 英明君         運輸政務次官  山村新治郎君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         経済企画庁総合         計画局計画官  山本 純男君         科学技術庁計画         局長      楢林 愛朗君         大蔵省主計局主         計官      相原 三郎君         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         農林省畜産局参         事官      斎藤 吉郎君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   島本 虎三君     山口 鶴男君   西田 八郎君     吉田 泰造君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     島本 虎三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  廃棄物処理法案内閣提出第一五号)      ————◇—————
  2. 倉成正

    倉成委員長 これより会議を開きます。  廃棄物処理法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。唐沢俊二郎君。
  3. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 廃棄物処理法案に入ります前に一般的なことを伺いたいと思うわけでございますが、公害国会と称せられます本国会も、本日からいよいよ委員会で実質的な審議が始まるわけでございます。そこで、公衆衛生を担当しておられるということで実質的には公害に最も御関係の深い厚生大臣の御所見を承りたいと思うわけでございます。  経済はあくまでも手段であって目的ではありませんが、衣食足って礼節を知るということばもありますように、わが国経済は今後とも偉大な前進を続けなければいけないと思うわけでございますが、それによって国民生命とか生活環境がいささかでも悪い影響を受けるということは、絶対に避けるべきだと思います。国民生命、健康の番人であられる大臣は、ぜひとも地域住民のよき、あたたかい理解者として、今後とも勇気のある英断と強力な政治力を発揮していただきたいと思うわけでございます。特に産業公害につきましては、痛ましい被害の防止、これはもちろん当然でございますが、実際にはたいしたことはないけれども企業がその所在地付近汚染をしているという場合はかなり多いと思うわけでございます。その場合に特に問題となりますのは、その地域住民のかなり多くの人がその企業に従事しておるとか、また取引先である場合でございます。換言すれば、その地域全体がその企業の恩恵に浴することがきわめて大きいというような場合には、汚染による影響早目指摘するということはなかなか現実にはむずかしいのじゃないかと思うわけでございます。その場合も、声なき声をいち早く察知せられまして、大事に至らぬ前に先手先手措置をとるべきだと思うわけでございます。  わが国は、申すまでもなく、国土アメリカの二十五分の一であるし、人口は約半分おるわけでございます。しかも自由諸国ではアメリカに次ぐ国民総生産を誇る国でございまして、いわば世界一の高密度激動社会でございます。したがって、今後とも公害の起きる可能性危険性というものは世界一大きいわけでございまして、その意味で、大臣並びに厚生省任務というものは非常に大きいと思うわけでございます。  そこで、実質的に公害に最も関係のあります大臣の決意並びに御所見を承りたいと思うわけでございます。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 私は厚生大臣といたしまして、国民の健康と生活環境を良好に保持することは私ども任務であると考えております。先般、政府中央公害対策本部ができまして、総理大臣みずから本部長に就任せられましたが、私は、実質的にその勝手元の役割りをするのはすなわち厚生省である、こういう、いま唐沢委員が御指摘のことと同じ考え方をもってこの問題に対処いたしております。ことに最近、日本経済の成長につれまして、公害による人の健康の阻害あるいは環境汚染が著しい状況が加速度的に発生してきたと私ども考えまして、実は私は、就任以来この公害関係の諸体制につきまして前向きの姿勢を思い切ってやるべきだということを、あらゆる機会に実は述べてまいってきております。  この機会に、お許しを得まして、私はこの公害に対応する五つ原則というものを持っておりますので、簡単に述べさせていただきますならば、これは第一は、国会でもかつて述べてまいりましたが、産業経済との調整条項というものを基本法その他の公害関係法から排除しまして、人間生活が大切であることを私は産業以前に打ち出したいというのが第一原則。それから、第二原則は、いままでの公害対象の姿というものが、汚染局地対応主義と申しますか、よごれたところだけに対応するという考え方制度であったと思います。これは、水につきましても指定水域制度でありますとか、大気汚染につきましても、地域指定、また、いま問題になって当委員会で御審議をお願いいたします廃棄物につきましても特別清掃地域というわずかな地域を指定して、そこだけを清掃対象に取り上げるというような行き方であったと思いますが、それを汚染した地域のみに局限しないで、人間の住むところすべてを私は良好なる環境保持対象とし、公害発生規制地区とすべきだ、これを第二原則考えてまいりました。  第三原則は、そうなりますと、これはとうてい政府だけの権限規制できませんし、また廃棄物の問題にいたしましても、公害規制の問題にいたしましても、各地域地域の自然的、社会的条件にきわめて密接な関係がございますので、これらの処理権限処理体制というものをでき得る限り地方公共団体にお願いをする、こういう権限地方移譲といいますか、これを第三原則といたしております。第四番目に、私は汚染対象特定毒性物質のみに局限しないで、たとえば一酸化炭素とか硫黄酸化物とかに局限しないで、また廃棄物につきましても、一般廃棄物だけに局限しないで、すべての有害なる物質を常時規制対象にする、こういう考え方をとりますことが第四原則考えてまいってきております。第五原則は、言うまでもなく発生者責任主義の強化。  こういうようなたてまえを考えてまいりまして、したがって私どもは直接所管する公害関係改正につきましても、その五つ考え方に沿って改正案を出しておりますし、また産業廃棄物処理についての新しい法律案につきましても、その考え方をもって対処いたしまして、そして私どもは、御激励にございますような、人の健康、生活環境を保持する役所として十分国民の期待にこたえてまいりたい、これが私の抱負でございます。
  5. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 これはあるいはあした伺ったほうがいいのかもしれないわけでございますが、今回の公害立法並びに改正案提出等によりまして、いろいろ基準が問題になっておるわけでございます。環境基準とか食品規格基準とかたくさんございますが、そのほとんどを厚生省できめておられる。将来国立公害研究所が発足すれば、そちらでやるわけでありましょうが、それまでは厚生省で実質的にやっておられるということで、非常に任務は重いと思うわけでございます。最近、科学進歩によりまして、新製品のいろいろなものがたくさん出ておりますが、ある時期には無害であるとか、ほとんど毒性がないと認定されましても、調査研究の進行とともに、有害と判定される場合もある。私はこういう話を聞くと非常に残念なんでございますが、ややもすると、わが国は、外国におけるある薬品製造販売の禁止が大々的に報道される、そうするとその報道を受けて国内でも禁止する事例が多いと伝えられる。私はそうは思いませんが、そういうように一般に伝えられておるわけでございます。  わが国は世界一の公害国となったけれども、世界でまた第一に公害を克服した先進国となろうと努力をいたしておるわけでございますから、その意味ではわが国研究他国よりも一歩先んじる必要がある。一日も早くそうなってもらいたいのでございますが、少なくとも他国におくれをとるということはできないわけでございます。したがいまして、国内のいろいろな大学その他の研究所とは密接な連絡をとらなければいけないし、また報道ばかりではなしに、大小によらず諸外国研究結果なり行政措置研究していかなければいけないと思うわけでございます。もちろん、そういう研究調査はやっておられると思いますが、もしわかればそれを詳しく教えていただきたいわけでございます。  また、今後の御方針などありましたら、あわせて伺いたいと思うわけでございます。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 公害防止規制のためには、唐沢委員指摘のとおり、まず基準をきめることがすべての私は出発点であり、また目標でもあると考えます。   〔委員長退席増岡委員長代理着席目標といたしましては、御承知のとおり環境基準というものをつくるわけでございまして、その環境基準に到達するために、個々の企業のいろいろな毒性物質等排出につきまして、排出基準をつくるわけで、そこにも基準が必要でございます。また食品薬品などにつきましても、その有効性毒性などにつきましての審査基準が必要でございましょうし、ことに薬品食品につきましては、唐沢委員指摘のとおり、外国においてもしばしば既存のそれらのものにつきまして、新しい基準に照らして販売停止製造停止等が行なわれ、わが国にも伝えられておるわけであります。  そういうことに私どもが取り組む体制といたしましては、まず一つは実質的に一たん基準をきめましても、私どもはそれをメンツにかけて固守いたしません。環境基準にいたしましても、これは公害対策基本法にもございますが、科学進歩を取り入れて常に再検討をして、何が人間の生存のために必要なる環境基準であるかということを常に新しく検討し直すというたてまえをとりますし、また排出基準にいたしましても、一挙に強い排出基準が課せられないような実際の問題はございますけれども、しかしそれは月々年々再検討いたしまして、排出基準をだんだん強く締め上げてまいるような、そういう進み方をいたしております。  また食品薬品につきましても、一たん承認せられたものはメンツにこだわってこれをそのまま販売を許すということはいたしませんで、常に基準検討をいたしまして、そして食品につきましても、添加物のごときも総検討のもとに目下でき得る限りこれを少なくする。また農薬等につきましても、農林省をむしろ督励をいたしながら新しい基準制定順守というようなことをいたしておるわけでございます。薬品などにつきましても、非常に多くの薬品がこれまで承認せられておりますが、それをもう一ぺん見直す必要があるのではないかという考え方のもとに、ことしになりましてから、厚生大臣の諮問の機関といたしまして、薬品有効性有害性を再検討する懇談会を設けまして、そして再検討の目安をいま立てつつございます。それからこれらの基準をつくるための調査研究につきましては、私どもがごく狭い範囲の見識をもってつくるのではなしに、各方面の専門家学者にお集まり願うために、食品衛生調査会というものの中に各分野にわたる専門の部会を設けまして、そこに学者やまた学識経験者の御参集をいただきまして、広く検討いたしますとともに、厚生省に所属いたします衛生試験所でございますとか、あるいはまた国立公衆衛生院というものの機能もできるだけ活用、充実につとめております。  しかし、十分ではないと私は思いまして、これも御承知のように、それを厚生省に置くか、あるいはどこに置くかということは別といたしまして、私はぜひ総合的な公害衛生研究所というようなものをつくりまして、そこにこれまでの機能を集約したり、また新しい分野開発検討どもそういう総合的機関検討すべきだということで、明年度一部の予算の要求も出しておりまするし、中央公害対策本部ともこれについて打ち合わせをいたしておる。要するに、わが国外国のしり追いだけすべきではなしに、実質的にわが国自身が情勢に即した必要なる処置をみずから研究開発しつつやってまいるという努力を怠らないようにいたしたいと考えております。
  7. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 ただいま大臣から非常に積極的また弾力的な研究を進めるというお話でございましてて、これはたいへんけっこうなことだと思うわけでございます。いまいろいろと基準がございまして、たとえば米に含まれるカドミウムは一PPMと言う人もあるし、〇・四PPMと言っている人もあるわけでございます。厚生省では〇・四PPMと言っておられるので、私はそれが正しい基準だと思うわけでございますが、そのように、人によってまちまちに使われるということは問題があるのではないか。特にそれを生産している農民にとって、不安を与える——これは直接厚生省関係しないかもしれませんが、そういう意味で、少なくとも政府基準に対する見解を統一して発表される必要があるのではないかと思いますが、どういう御連絡をいまとっておられるのか。  それから、基準につきましては、いま大臣お話にありましたように、そのときに応じて研究結果によってきめるということでありますが、はっきりしない場合は、疑わしきはなるべくきびしい基準をとっていただいて国民安心感を与えていただきたい。政府が認定する基準以下なら絶対だいじょうぶなんだ、そういう安心感を与えていただきたいと思うわけでございます。そのために、先ほどお話のありました公害衛生研究所を一日も早く設立せられることを希望するわけでございます。その点につきまして、ちょっと追加してお話を伺いたいと思います。
  8. 内田常雄

    内田国務大臣 最初にカドミウム汚染米についての基準でございますが、これはお尋ねのように、カドミウム含有濃度PPMという表現と〇・四PPMという表現と、両方ございます。これは二つの表現はいずれも正しいわけでございますが、その基準目的が違うことを御理解いただきたいと思います。食料に供して差しつかえないという食品衛生上の安全許容限度といたしましては、玄米についてはカドミウム含有量PPMというものを許容限度といたしました。それから〇・四PPMというのは、食品としての衛生上の許容基準ではございませんで、むしろカドミウム汚染がある地域についての一つの予備的な環境汚染調査する際の一つの指標として、そういう〇・四PPMというきびしい基準を打ち出しております。したがって食品といたしましては、〇・四PPM以上のカドミウムを含有いたしておりましても、それが一PPM以下でありますならば、厚生省食品許容限度としては差しつかえない。しかし、〇・四PPM以上のカドミウムが米の中に含有されているような地域については、それはカドミウム汚染観察地域を指定する際の出発点として、その地域に何らかの汚染原因がありやしないかということを発見するめどにしよう、こういうことでございます。この基準を設けますにつきましては、厚生省関係専門家のお集まりをいただいた調査機関農林省のほうとも十分打ち合わせをいたして、こういうことにいたしました。  なお、後段の御発言につきましては、これらの食品安全許容度などを設けます際の基準といたしましては、一応私どもはその他の問題につきましても、疑わしい事態がありますときにはきびしい基準をもって許容量をきめ、さらに検討の結果それが安全衛生上差しつかえがないということになりますれば、あとから解除をいたす、つまり疑わしきは一たん押えておいて、検討の結果解除をする、こういうような形をとっております。たとえば、この間も薬につきまして、スモン病原因とも疑われましたキノホルムなどにつきましても同じような措置をとっておりますことは、御承知のとおりでございます。
  9. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 まあキノホルムにつきましてはわが国で一番初めに指摘したということで、ぜひそういうことをあらゆるものについてやっていただきたいと思います。  ただいまカドミウムの米に含有される含有量、私ちょっと不正確だったかもしれませんが、大体人体に影響するのが一PPMで、いろいろ調査や何かのためには〇・四PPMでありますけれども、実際同じ土壌でも毎年動く場合があるわけでございます。ことしは〇・八だった、来年は一PPMになるということもあるわけでございますので、その点もあわせてお考えいただきたいと思うわけでございます。  次に、産業廃棄物処理法案につきましてお伺いをいたしたいと思うわけですが、国内にいるとあまりよくはわからないのですが、外国に行ってみて一番痛感することは、生活環境を保全する施設が非常におくれているということでございます。また店頭にはわが国から輸出をせられる電気製品やカメラがたくさんあって、非常に誇らしい気持ちがいたします。また、衣食についても絶対遜色があるとは思いませんが、都市計画の貧困さとか町のきたなさ、これはもうだれしも指摘するところであります。これはもちろんわが国建築不燃建築ではない、木造である、さらに水は三尺流れて清しというような素朴な国民感情がある、さらにこれから生じる社会道徳の低さ等にも原因があって、一朝一夕には改善できない非常に根の深い問題だろうと思うわけでございます。その上、近年産業活動の拡大とか国民生活の向上によって排出されます廃棄物が急増いたしておりますので、一時的にはこのような現象は避けられないと思うわけでございます。従来ありました汚物掃除法、それが清掃法にかわり、さらに今回廃棄物処理法案が提出されております。この法の変遷がこの経緯を何よりもよく物語っておると思うわけでございます。新たに国及び地方自治体廃棄物処理の責務を定めたことや、特に産業廃棄物処理に関する事業者責任を明確にし、産業廃棄物処理基準を定めること、さらに市町村一般廃棄物処理すべき区域を拡大する等の措置は、当然のことと思うわけでございます。  先ほど大臣公害についての基本的なお考えは承ったわけでございますが、わが国にはこういう特殊性がありますので、あらためて産業廃棄物処理とか清掃というか、さらに進んで、わが国土を都市といわず農村といわず清潔で住みよい環境にするためにどのようなお考えをお持ちか、重ねて伺いたいと思います。
  10. 内田常雄

    内田国務大臣 私は、今回廃棄物処理法案を提案するに至りましたその考え方には、六、七点の新しいファクターを入れたつもりで検討をいたしてまいりました。その第一は、規制を強化するということ、もちろんでございます。第二番目は、産業廃棄物などの処理につきましては事業者責任を明確、強化ならしめるということでございます。第三番目は、この廃棄物処理につきましては、産業廃棄物ども含めまして、国が明確で科学的な処理基準をきめるべきだということで、そのことをうたい込んでおりますことが第三点でございます。それから第四点は、いままで廃棄物処理は主として、これはごみにいたしましても屎尿にいたしましても、市町村がその処理責任を担当されてこられたわけでありますけれども、今回、あとから申し上げる広域化とも関連いたしまして、都道府県に全体をにらんでいただいて、ことに産業廃棄物などにつきましては、広域処理計画を立てていただくとともに、これがためには今回公害基本法改正に伴いまして、各都道府県に必置されることになりました公害対策審議会の協議のもとに、広域廃棄物処理計画というようなものも立てていただくほか、都道府県みずからが産業廃棄物については処理主体ともなり得る、みずから事業主体ともなり得る、こういうようなことが第四点でございます。また国は、これらの市町村都道府県産業廃棄物あるいは一般廃棄物処理につきまして、技術上の援助を与えることはもちろん、資金の融通だとか、たとえば補助金とか起債の実行とかあっせんとか、そういうようないままでよりもさらに広い範囲の協力をするというようなことが第五番目です。それから第六番目は、最後にお尋ねにもございましたように、処理地域をいままでの局地主義から、原則として市町村の全区域に広げる、こういうような体制を取り込んでおります。  何しろ現行の清掃法を見まして私が驚きましたことには、これは下水道あるいは屎尿処理施設ごみ処理施設などが人口の増加に追いついていなかったためとは思いますが、海中海面などにつきましても、特定海面あるいは地先二百メートルより先の海中であれば屎尿汚物の投棄を認めておったような、そういう規定のしかたも現在の清掃法にはございましたが、今回そういうことは全く認めないことにいたしまして、他の法律との関連におきまして、それらを最も衛生的な処理をする、こういうようなことにやるべきだ、こういうことで、今回御提案の法律を整えておるわけでございます。
  11. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 今回の廃棄物処理法案は、いわゆる処理法でございます。法案自体にはあまり問題はないと思うわけでございますが、意図しておりました所期の効果をあげ得るかどうか、ここに非常に問題があろうと思うわけでございます。  そこで、地方自治体固有業務とされているものに対する行政指導について伺いたいわけでございますが、清掃事業は従来から地方自治体固有業務とされておりました。しかし、現実には屎尿処理場一つなかなかできないで困っておるところがあるわけでございます。従来も土地収用法の第三条二十七号によって、清掃法に規定するごみ焼却場屎尿消化槽等清掃施設に関する事業等については、土地等収用または使用が可能とされておりますけれども現実には住民の反対があってできないところがある。一般住民はぜひそのような廃棄物処理施設をつくってくれと言っておるが、その処理施設のできる地域の一部の住民が反対して、現実問題はなかなかできないわけでございます。今後、一般廃棄物はもちろん産業廃棄物その他の廃棄物処理施設の建設が円滑にいくかどうか、私は非常に心配をするものでございます。さらに、そのような特に広域的に処理すべきものの処理施設は、非常に輸送費が高いそうで、なるべく個所を少なくするという考えもありますが、逆に言うとたくさんつくったほうが便利ではないかという考えも、輸送費が高いことからあるわけでございます。そうしますと、そのような収用ができるかどうか非常に問題になるわけでございますが、そのような地方自治体固有の業務に対して、特に公害に関するものについての厚生省行政指導という点について伺いたいと思います。
  12. 浦田純一

    ○浦田政府委員 御承知のようにいわゆる清掃施設、この中身は屎尿処理施設またはごみ処理施設等でございますが、これらの設置につきましては、私どものほうでいわゆる施設基準というものをつくりまして、それに合致するように施設そのものが設置されるように指導しているところでございます。また、平常の維持管理が衛生上支障のないように行なわれるためには、現行法でも、これは前回の改正で入った条項でございますが、第十三条の二によりましていわゆる技術管理者というものを設けさせまして、これによりまして遺憾なきを期しているというところでございます。なお、私どものほうの監督のもとにあります日本環境衛生センターあるいは直接的には公衆衛生院その他で、広く市町村の技術吏員も対象にいたしまして、いろいろの講習によりましてその資質の向上をはかっているところでございます。  それから御指摘の、実際に必要があってこれらの清掃施設をつくる場合に、地元の反対その他でもってなかなか実際には実現がむずかしいという状況もよく心得ております。これらにつきましては、従来はもっぱら地域住民の方の御理解、御協力ということで進んできたのでございます。大部分はそれで進んできたのでございますけれども、遺憾ながら一部ではその現地の反対にあって、ついには計画そのものを変更あるいは中止せざるを得ないといったようなこともあったわけでございます。これらにつきましては、今回の法改正の中で附則の第七条におきまして土地収用法改正をはかりまして、最終的に施設あるいは埋め立て地をともに強制収用できる対象に取り入れるというふうに考えておるところでございます。  それから、土地が得がたくなるにつれまして輸送費がだんだんに高まってくる、また現実清掃処理に占めますコストの大部分は輸送費でございますが、これらにつきましてはいわゆる広域処理ということでもって、相互に最も便利な輸送費のかからないような体制、それから最終的な処分地というものも求めるということでもって、できるだけ配慮しているつもりでございます。
  13. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 土地収用法で従来から規定があったわけでございますね。実際にこれが発動されたことがあるのかどうか。
  14. 浦田純一

    ○浦田政府委員 実際の問題といたしましては、なかなかそれらが発動されるという例は、大都市では一、二あったようでございますけれども、実際問題としてはなかなか行なわれておりませんのが実情でございます。しかしながら、これらの突っかいによりまして現地におきまするいろんな話し合いその他をできるだけ促進させる、あるいは円滑に進めるという役割りを期待しておるわけでございます。
  15. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 それでは、従来よりも行政指導を強化せられる、そしてこの法案の実効をあげられるというお考えだと理解いたします。  次には、これにかかる経費のことについて伺いたいのですが、市町村一般廃棄物処理のための費用も清掃を徹底するという意味においては今後もかなりかさむだろうと思うわけでございます。新たにまた都道府県等で産業廃棄物処理を行なう場合に、また経費がかかる。私が伺いましたところでは、大阪府の廃棄物処理施設に関する経費は、五カ年で三百五十億程度と伺っておるわけでございます。このような計画が各都道府県から出てきた場合には、補助金とか起債を含めますとかなり膨大な額にのぼると思うのです。今後こういうものについての補助金とか起債の大体の一いままでは伺っておるのですが、パーセンテージなどもわかれば教えていただきたいと思うわけです。  それから、四十六年度の予算編成にあたって大蔵大臣は、公害関係の要求は二五%のワク内に縛らないけれども、将来の要求は突っ込みでは二五%以内に押えたいと言っております。しかし、公害に特に密接な関係のある厚生省としては、これではとてもおさまらないと思うのでありますが、まずその予算措置について伺いたいと思います。
  16. 浦田純一

    ○浦田政府委員 昭和四十五年度の予算額で申し上げますと、清掃施設の整備全体といたしましては三十六億四百万円でございます。そのうち屎尿処理施設の整備補助金が二十一億八千四百万円でございます。また、ごみ処理施設が十一億円ちょうどでございます。そのほかに地域屎尿処理施設、これは公団住宅等で屎尿処理を集中的に浄化槽でやる、こういった施設でございますが、二億五千六百万円でございます。その他の費用が六千四百万円でございます。  四十六年度の予算要求の、これは大蔵省に目下要求中の額でございますが、これは全体といたしまして約六十二億円余りでございます。屎尿処理施設につきまして二十八億円余、ごみ処理施設といたしまして十八億円余。今回新たな事業対象といたしまして、いわゆる粗大ごみ処理施設を要求いたしまして、これは約五億円。それからいま問題になっております産業廃棄物処理施設の整備費といたしまして約十億円、合計で六十二億円余を要求してございます。  また御指摘の、いわゆる補助の率なり実質でございますが、屎尿処理施設につきましては、三分の一の補助率でございます。残りは起債ということでもって行なっていく。それから、ごみ処理施設といたしましては、たてまえとしては四分の一の補助率でございますが、実質的にはいわゆるその補助対象として取り上げる部分が非常に限られておりまして、はるかに低い補助率になっております。その残りは起債ということでもってまかなわれている実情でございます。それからあと、一部交付税でもって施設の整備が見られておるのであります。
  17. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 残りは全部起債と言いますが、残りの何%かが起債ということですね。
  18. 浦田純一

    ○浦田政府委員 失礼いたしました。正確に申しますと、残りの七〇%が起債の対象でございます。
  19. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 それから、今回の公害立法は、いずれも企業家の責任を明確にした、企業家に対するきびしい規制だと思いますが、特にこの廃棄物処理法案はその中でも最もきびしい法案だと思うわけでございます。しかし、企業者といいますか企業家の中にもいろいろありまして、事業者の中には、零細企業であって、しかも多量の廃棄物排出する企業もあるわけでございます。このような企業は、かなりの手数料を払うことはできない場合が往々にして出てくると思うわけでございますが、そのような中小企業といいますか零細企業に対する特別な救済はお考えになっておられるかどうか。
  20. 内田常雄

    内田国務大臣 これは、御承知のように、公害対策基本法の二十四条でございますか、それの二項に、中小企業責任を負うところの公害防止施設等に対する国の助成については、特別の考慮を払わなければならない。特別の考慮の内容は金融上、税制上の施策ということだろうと思いますが、その考え方は、産業廃棄物処理についての中小企業処理施設につきましても当然援用さるべきで、これらに対しましては、たとえば中小企業金融公庫でありますとか、あるいは場合によりまして中小企業振興事業団等の融資のあっせん等も当然やってまいるべきだと私は考えております。
  21. 浦田純一

    ○浦田政府委員 そういったことを受けまして、当然廃棄物処理法案の運用については考慮しなければならないところでございますが、そのほか、廃棄物処理法案そのものといたしまして、第二条の定義のところで第三項に産業廃棄物というものを特定いたしまして、この残りは一般廃棄物ということになるわけでございますが、その心は、現在市町村によって遂行されております一般清掃事業の系列でもって処理することを期待しておるわけでございます。そのような場合には、たとえば八百屋さんの店先から出るくずであるとか、あるいはおでん屋さんの裏口から出る食べもののかすであるとか、そういったようなものも一応は、おそらくはいま同様に一般廃棄物として、市町村清掃事業対象になって処理されるであろうかということを期待しておるわけでございます。
  22. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 いろいろな廃棄物の運搬、処分は、大体地方自治体が主になって行なうのがたてまえだと思いますが、これを大幅に業者に委託されることは考えておられるのかどうか。それが第一点。  もう一つは、再生利用の目的となる一般物のみの収集、運搬、処分を業とするものにつきましては、これは一つ産業廃棄物処理業と考えておられるのか。それならば法の対象とする必要はないか。どのように考えておられるか。
  23. 浦田純一

    ○浦田政府委員 いわゆる回収、再利用という廃品回収の事業につきましては、この法律は特にただし書きをもちまして対象からはずしてございます。それは、廃棄物といいますのは、そういった回収、再利用の過程を通じましても、最終的にはやはり廃棄物として出てくるであろうということと、それから、このような再利用あるいは回収業者の方々については、必要があれば別個にそれを対象としてのいろいろな規定というものを考えていったほうがはっきりするのではないかというふうに考えております。  それから、民間業者の利用でございますが、これは従来の市町村におきまする清掃事業系列につきましては、これは従来どおり、いわゆる市町村長の固有事務として、つまりみずから処理、処分するという体系を考えているわけでございます。しかしながら、産業廃棄物につきましては、いろいろと事情も異なると思いますので、民間業者の利用をどのように考えるかということについては、実際の事業の進捗状況を見ながら考えていきたいというふうに考えております。
  24. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 次に、清掃施設整備緊急措置法に基づく屎尿処理ごみ処理の五カ年計画があるわけでございますが、今回の廃棄物処理法の法案が提出されまして、これが可決された以上は、このような計画が変更されるとか、新しい長期計画を立てられるおつもりだと思いますが、腹案とかお見通しがありますれば、伺いたいと思います。まだできていなければ、けっこうでございます。
  25. 浦田純一

    ○浦田政府委員 御案内のとおり、ただいまの段階では、いわゆる第二次五カ年計画によりまして、これは根拠は清掃施設整備緊急措置法という法律に置いているわけでございますが、それによりまして第二次五カ年計画が進行中でございまして、これによりますと、昭和四十二年に始まり、四十六年に終わるということでございます。しかしながら、新たに産業廃棄物の問題その他新しい事態が起こってまいりましたので、これらに対応するために、昭和四十六年度の予算要求では、従来のいわゆる清掃事業よりも少しワクを越えた要求をしておりますが、これをもとといたしまして、四十六年度を初年度とする新しい五カ年計画を樹立いたしまして、そしていろいろな新しい事態に対処してまいりたいという考えでございます。これは目下計画準備中でございまして、まだお答えできる段階ではございません。
  26. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 罰則につきましてちょっと伺いたいのですが、毒物及び劇物取締法では、特殊劇物の廃棄は、十五条の二を受けまして二十四条に罰則があります。これは特殊劇物を廃棄した者は直罰でございます。これに対しまして、廃棄物処理法では、産業廃棄物事業者基準に従わないで処分した場合、十一条の二項はここでは罰せられない。そして改善命令に違反した場合に、二十六条によって罰せられるということでございます。これは処理法であるからこういうふうになっておるのか知りませんが、逆になっておるわけでございます。この点につきまして説明をしていただきたいと思います。
  27. 浦田純一

    ○浦田政府委員 廃棄物処理法は、いわゆる規制法という形でなくて、処理法という名称になっております。これは諸外国の例でも大体このような名称であるように思われますが、たとえばアメリカの例ですと、大気汚染防止法という形でございますが、廃棄物につきましてはマネージメントということで、処理ということばを使っております。これは、私は、廃棄物というものは、最終的にはやはりその所有者の意思によって初めて廃棄物になる。それまでの段階では有用物であるといったようなところも、これありまして、やはり処理すること自体が、一番問題として考えなければならない点じゃないかというようにも思うわけでございます。  それから罰則の点でございますが、不法投棄そのものにつきましては五万円以下の罰金でございますが、その不法投棄が事業者によってなされた場合には、それはすなわち産業廃棄物処理基準に違反するものということに同時になりますので、これは直ちに都道府県知事によってその産業廃棄物の回収命令が出される。それから、事業主がその命令に従わないというときには、六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金が科せられるということになっておりまして、いわゆる直罰ということではございませんけれども、体刑も含むという形で、かなり厳重に処罰されるということでございます。
  28. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 では、最後に、第十五条の清潔の保持に関する、これは訓示規定だと思いますが、十五条について伺いたいと思います。  これの罰則を設けるかどうか、これは軽犯罪法との関係もあって、当然軽犯罪法に譲るべきものだろうと思います。しかし、せっかくのこのような規定が、単なる美辞麗句の規定に終わるということは、これはまた非常に悲しいことであるわけです。したがいまして、厚生省でそういう社会道徳高揚のためにいままでどんなことをやってこられたか。また、文部省と協力して今後どういうことをやられるおつもりか。やはりこういう基本的な道徳が変わらない限りは、いかにりっぱな法律ができても、町がきれいになることはないと思うのでございますが、その点について伺いたいと思います。
  29. 浦田純一

    ○浦田政府委員 御指摘のように、十五条はいわゆる訓示規定、努力規定ということでございますが、実際には、次の十六条の規定によりまして、またもう一つはいままでの特別清掃地域がはずれて広がったということとも相まちまして、みだりに公園とか広場とかそういったところで廃棄物を捨てるということは、それ自体が罰則がかかるということになるわけでございます。  それから、これらの国民としての、あるいは市民としての義務と申しますか、これの浸透につきましては、私どもといたしましてはいろいろな組織運動、たとえば全国地区衛生組織連合会、これは厚生省でもって認めております法人格を持つ団体でございますが、このような組織を通じまして——これは濫觴といたしましては、かつて蚊とハエをなくす運動ということで始まったものでございますが、国土を美しくし、さらに近隣を清潔にしていくという運動の進展をはかっているところでございます。それから、いろいろな行事があります場合、たとえば、これはもうかつての話になりましたが、いわゆる万博あるいはその前のオリンピックといったような機会には、またそれぞれ各省庁とも連携をとりまして、このような運動に対する国民側の協力というものを呼びかけてきたところであります。
  30. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 生活環境をよくするためにいろいろな運動をしてこられた、今後もぜひやっていただきたいのですが、同時に、このような運動を起こされて、それに対してこたえていろいろ努力している者に対しては、また激励する意味で何らかの措置をとっていただければと思うわけでございますが、実は私の知っている小学校の児童で——ある小学校なんですが、毎朝区域内の清掃をしております。これは一番その地区にとって非常に好ましいことでございますが、同時に、国にとっても好ましいことであるし、また当人の将来にとっても幸福なことだと思うのでございます。このような児童を激励をして、同時に、社会一般社会道徳通念を向上させるという意味におきまして、今後何らかの措置をとっていただけないかと思うわけでございますが、どうです。
  31. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほどの地区衛生組織の団体につきましても、あるいはその他保健衛生関連団体におきましても、いま御指摘のような環境を清潔に保つという運動につきましては、毎年その優秀な団体については大臣表彰その他の表彰規定を設けまして、また、いま御指摘の子供さんのそのようなりっぱな行ないにつきましても、それぞれの団体でもって表彰その他の規定でもって、できるだけこれが浸透するように、またりっぱな行為そのものに対しても、こちらとしても敬意を払い、感謝をいたしておるところでございます。
  32. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 以上でもって終わります。
  33. 増岡博之

    増岡委員長代理 山本政弘君
  34. 山本政弘

    山本(政)委員 現行の清掃法には、三つの原則があると思うんです。一つは、個人個人が自分の住宅といいますかあるいは土地というものをきれいにするというのが一つ。もう一つは、そこから出てきた汚物市町村衛生的に収集、処分をする。第三番目は、都道府県や国はそれを財政的にあるいは技術的に援助する。こういう三つの原則があって、この三者のチームワークで実はその地区全体の生活環境を清潔にしていく、こういうことになるのだと思うのですけれども、現行法にも、そういう意味では三つの原則というものが実はあるんではないかと、こう思うわけであります。  それで、それは一つは、今度の新法には、廃棄物産業廃棄物一般廃棄物とに区分をしておる。   〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 そうして、それぞれの処理の体系を整備確立をするということが一つ。第二番目には、事業活動に伴って生ずる産業廃棄物については、事業者責任を明確にするというのが第二番目だと思うのです。第三番目は、一般廃棄物処理については、現行の清掃法における市町村処理体系を踏襲する、こういうことがあるんではないかと思います。これは趣旨説明の中にも出てきている。そうしますと、新法にいう一般廃棄物処理については、現行の清掃法における市町村処理体系を踏襲するというのであれば、いま申し上げた新法における一、二の原則というのは、実は、私は、別法によって取り扱ったほうがいいんではないかという気がするわけであります。  それで質問は、なぜ清掃法改正をして、そうして廃棄物処理という、何と申しますか、名称そのものにしても、生活環境をよくするというイメージが実はない。私をして言わしむるならば、廃棄物処理法案というものは、実はそれ自身市民サイドに立っておらぬのではないかという気がいたしますが、この点について一体どうお考えなのか、お伺いをいたしたいのであります。
  35. 内田常雄

    内田国務大臣 山本さんの御意見、私はわかるような気もいたします。でありますから、それにまた実際の方法として、現実には市町村が中心となって従来のごみ処理屎尿処理どもやってまいる。またそれらを担当する業者の組織もおられて、チームワークをやってきたわけでありまして、私ども考え方も、そういういままでの仕組みはできるだけそのまま生かした上に、新しい産業廃棄物排出等の事態などにも対処するということでございましたので、この法律の名称も、厚生省だけの考え方からいたしますと、清掃並びに産業廃棄物処理法とかというようなことで法制局に持ち出しました。しかしいろんな論議があった末に、今日の清掃の問題というものは、屎尿とか一般廃棄物とか、いわゆるごみとかいうものをはるかに乗り越えて、そういうものも含むが、粗大ごみとか産業廃棄物というものが数量的にも非常に飛躍的にも多くなってきているし、したがって廃棄物処理法といえば、当然いままでの清掃対象であったものも入り得る、こういう考え方廃棄物処理法という一本の名前に相なった、こういうふうな経過をたどっております。中身におきましても、いままでの清掃法の体系は、いま申しますようにでき得る限り生かす。ただ、いわゆるごみと申しましても、そのごみの中には、家庭から出る廃棄物のほかに、当然、事業者として協力をさせるべき産業廃棄物が多く入ってまいるので、したがって両方を含んだ意味においてこの今度の法体系をつくった、こういうふうに私は考えております。
  36. 山本政弘

    山本(政)委員 廃棄物と言った場合に、一つはふえるごみ、それから変わるごみという——ことば使いが妥当かどうか知りませんけれども、変わるごみというのが、質の面からいってある。これは新製品の出現とか、あるいは生活様式の変化による調度品とか家具とかいうものがあるだろう。しかし、特にプラスチックとかあるいはその他の化学製品、そういうものがあるわけでして、廃棄物ということになってくれば、これはあとで質問をいたしますけれども、どうも一般ごみ処理といいますか、そういうものと、それから粗大ごみは別としても、産業廃棄物を、これはあとでずっと質問いたしますけれども、一緒にしちゃって、そして廃棄物一般——一般廃棄物じゃありませんよ、廃棄物一般として処理してしまう、どうもこういう感じがしてならないわけであります。清掃の仕事というのは、表面的には何もつくり出すものではない。清掃の仕事というのは、ただあるものをなくすというのが本質だと思うのです。その過程というものは、人目に触れなければ触れないほど理想的である、こうされておると思うのだけれども、ともすれば清掃の仕事というものに、そういう意味では重要性というものを一般的には見失いがちではないだろうか、こういう気がするわけであります。最近のように量とか質とかいうものが多様になってきたということになると、いままでのような感覚では、いい仕事というものはとうていできっこないと思うのです。長期にわたる展望と、それから新しい技術を取り入れた現代的なシステムというもので取り組んでいかなければならぬと思うのだけれども、昭和四十二年からですか、実は清掃五カ年計画というものが始まっておりますね。私はその廃棄物の問題というのは、そうきょう、あす出てきた問題じゃないと思うのですけれども清掃五カ年計画に厚生省の皆さん方は一体産業廃棄物というものまで取り入れて、要するに清掃五カ年計画をおつくりになったのかどうか、これが一つでございます。同時に、清掃五カ年計画の実施状況というのは一体どうなっておるのか、この二点をお伺いしたい。
  37. 浦田純一

    ○浦田政府委員 昭和四十二年にスタートいたしました清掃施設整備五カ年計画との関係でございますが、この計画の中では特に産業廃棄物は取り入れられてございません。いわゆる現行清掃法による一般市町村によって行なわれる清掃事業処理施設整備が目標でございます。  それからその整備五カ年計画の進捗状況でございますが、まず昭和四十六年末の目標といたしまして、対象人口を九千三百九十三万人、これは四十六年末における現行の特別清掃地域内の人口の想定数でございますが、これを屎尿処理施設に関して申しますと、そのうち二千六百五十五万人は公共下水道等による処理にまかせることになっております。それから地域屎尿処理施設が二百八十一万人、屎尿浄化槽によりますものが一千二百四十八万人、屎尿処理施設によりますものが五千二百十万人、合計九千三百九十三万人分の屎尿を全部衛生的に処理するというのが目標でございますが、スタート時におきます既整備の施設を除きまして、全体の事業量は五カ年間で人口の人頭割りで申しますと、公共下水道が一千四百九十一万人、地域屎尿処理施設は二百万人、屎尿浄化槽が四百六十五万人、それから屎尿処理施設が一千五百二十九万人となっておりまして、現在達成状況がどうかと申しますと、屎尿処理施設につきましては、四十五年末の計画といたしまして四千八百七十八万人まで処理できるということで、目標の数値に対しまして八五%でございます。それからごみにつきましては、同じく人口を四十六年末で一億四百三十七万人といたしまして、現在約七五%の達成率でございます。
  38. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ、いまの問題からちょっと御質問いたしますけれども屎尿のほうは八五%の達成率、あとのはごみですか。
  39. 浦田純一

    ○浦田政府委員 あとの数字はごみ処理施設の数字でございまして、四十六年度末の目標人口が一億四百三十七万人に対しまして、計画の達成率が七五%でございます。四十五年の計画でございます。
  40. 山本政弘

    山本(政)委員 ともかく、そうすると屎尿については八五%、それからごみについては七五%というような状況の中で、今度、それ以外に膨大な一般廃棄物とそれから産業廃棄物が出てくるわけですね。この取り扱いがあるわけです。そうすると、そういうことに対する手当てというのはいまからやるわけでしょう。皆さん方はいまからやるわけですね。私は理解ができないのは、環境衛生をつかさどっているのは厚生省だ、その厚生省が実は屎尿とそれからごみということだけに少なくともいままでは限定されておって、そうしてこういう公害についての問題がクローズアップされてきて初めて、これからひとつ計画いたしましょう、こういうことなんですよ。しかもそのことについて、これもあとから質問いたしますけれども、予算というものについて一体どういうふうなお考えを持っておるのかということ、これはたいへん予算的にはずさんなものがあるのじゃないだろうか。ここに新経済社会発展計画というのがありますよ。そこには三兆一千四百億円という予算が環境衛生については必要だと、こういわれておる。四十四年度から四十五年度にそれだけのものが、資料に従えば必要だとされているのだけれども、そういうことに対して予算措置というものをあなた方はお考えになっておらぬ。その証拠に、これは廃棄物処理法案の参考資料でありまして、あなた方もお手元にあると思うのですけれども、ここには屎尿処理あるいはごみ処理、それだけのものしか書かれておらぬわけであります。そうすると、産業廃棄物について、あるいはごみが拡大された一般廃棄物に対する処理については、一体どういうふうになっているんだろうか。ここにあなた方はそういうことに対してお考えが何も示されていないのですよ。これは政府がおつくりになったやつですよ。新経済社会発展計画は政府がおつくりになった。しかも清掃施設五カ年計画について、昭和四十二年に大蔵大臣厚生大臣のお名前でおつくりになった文章の中にも、これは入っていないわけです。これは屎尿処理ごみ処理に限定されておるから、そうして局長お話によれば市町村についてだから、こうおっしゃっているんだけれども市町村について屎尿ごみというものを考えるならば、なぜ廃棄物というものをお考えにならないのか。同時に、それに対する予算というものについての見通しをお考えにならないのか。私が一番不審でならないのは、三兆一千四百億円というものについて一体どのようにそれを調達し、そして厚生省の所管としては一体どれだけのものをお使いになるのだろうか、そういうことが何もここに記載されていないのですよ。だから厚生省のお考え方というものは非常に容易なお考え方になっているのじゃないか。だから、問題が出てきてから、それを応急的に処置をするためにこの廃棄物処理法案が出てきているのじゃないだろうか。私が別法としてなぜつくらないのだと言った意味は、そこにあるわけですよ。つまり清掃法改正してしまって、それにたたき込んで、突っ込んでいってしまえば廃棄物の問題については一応逃げられるというのが皆さん方のお考えじゃないんだろうかという気が実はしてならないわけです。その点についてどうお考えになるか。
  41. 内田常雄

    内田国務大臣 いま議論されていますように、屎尿あるいはごみ処理につきましては、昭和四十二年から昭和四十六年までの五カ年間を対象とした整備緊急措置法というものができておりまして、それに基づいて実は毎年予算を要求いたしてきておったようでございます。政府委員からお答えをいたしましたその処理の達成率なども、おそらくその計画の中での達成率だと思いますが、しかし、今日のごみを論ずる場合には、いままでの市町村処理してきた対象である、この法律による一般廃棄物とかいうことだけではなしに、産業廃棄物あるいは建設廃棄物その他の都市廃棄物みたいなものを対象にしなければ私は問題にならないような事態になってきておると考えておりますことは、これは山本さんも同感だと思います。  そこで予算ですが、さっきも政府委員からちょっと御説明が唐沢委員お尋ねに関連してあったと思いますが、実は来年度の予算については この法律もまだできておりませんし、あるいはまたいまの五カ年計画も改定されておりませんが、しかし、実際問題としては法律があってもなくても、いまのごみ処理体系としては産業廃棄物とか粗大ごみ処理のことを考えざるを得ないというたてまえから、四十六年度の概算要求におきましては、この五カ年計画の対象外の粗大ごみ産業廃棄物等の処理についての助成費というものも、一般会計並びに財政投融資の要求では実は出しておるわけであります。しかし大蔵省は、こんなものを出してきても、法律並びに既定の計画に沿っていないというようなことを言うかどうか知りませんが、しかし、一昨日までの連合審査会におきましても、大蔵大臣も出席のもとでこの問題についてのやりとりもございましたし、今回こういう法律が制定され、またこれに即応して私どもも五カ年計画というものを来年くらいからさらに新しい事態に沿ってやり直すわけでありますので、そういう状態をも含めまして、粗大ごみ処理産業廃棄物処理等を含めまして、来年度におきましては補助金だけで約六十二億円——六十一億九千万円という予算要求をいたしておりますし、ほかに財政投融資として三百億円余りの要求も実は出しておるわけであります。これは四十五年度の予算からいいますと、いまの六十一億九千万円に相当するものは三十二億円であり、財政投融資の三百億に相当するものは百八十億という金額でございます。したがって、予算の二五%増のワクはもちろん突破して、ちょうどその倍くらいにはなっておるわけでございますので、私どももそれだけの腰を据えて、今度の法律の制定と相関連した予算上あるいは財政投融資上の措置、またこれは紙の上だけの問題ではなしに、これから市町村、府県に対する指導体制の問題もございますが、この事態をほうっておけばいいということではなしに、いま山本さんからお尋ねがございましたように、ただ法律か何かつくっておけばそれで済むというふうには考えておりません。法律があってもなくても、どうしてもやらなければならぬ。しかし、いまの法律がいかにも市町村を中心としただけの処理体系であり、またその対象の物件もいわゆる一般廃棄物対象としたような形になっておって、産業廃棄物やまた一般廃棄物の中でも産業廃棄物に類するようなビニール製品等もたくさん入ってきておる事態に対応するためにも、やはり法律改正もやっておかなければ、市町村あるいは都道府県に対する私どもの指導体制、私どもの監督もできないということで、非常な善意と前向きのつもりをもってやっておりますことは、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  42. 浦田純一

    ○浦田政府委員 それから、お尋ねの新経済社会発展計画の中身についてでございますが、これは産業廃棄物処理施設の整備というものも含めまして、昭和五十年度までに三千五百億円というものが入っております。その中身としては考えているわけでございます。それで、その中でさしあたり四十六年については、いま大臣からも御説明がございました事業について手当てしていく、こういう考え方でございます。
  43. 山本政弘

    山本(政)委員 私が申し上げたいのは、そういうことももちろんありますよ、そういうこともありますけれども、つまり予算要求が二五%をこしているんだ、だから努力しているじゃありませんか、そういう大臣のおっしゃりようだと思うのですけれども、そうではなくて、予算が二五%をこそうが、あるいは場合によっては五〇%をこそうが、先ほど申し上げたように、生活環境がきれいにならなければならぬのだということなんでしょう。そうすると、少なくとも大臣のおっしゃるような金額では少ないのではないだろうか、私はこう言っているのですよ。つまり新経済計画というものについては三兆一千四百億です。局長さんがいま金額をおっしゃいましたけれども、これは昭和五十年までですか、そういうことなんです。政府の言っている新経済社会発展計画というものは、一年間なんですよ。四十四年から四十五年の間ですよ。だから、その辺政府のかまえというものが全く違うわけです。もちろん、おっしゃりようはわかります。まず法律をつくっておかないと、そう予算も要求できないということもわかりますが、しかし、そんな廃棄物処理法では、いつまでたっても生活環境はよくならぬのではないか、こう私は申し上げたいのです。  時間があまりありませんので、ちょっと法文の質問をいたしたいのですけれども、ここに第二条の定義があります。この定義は、物で区別しているのか、あるいは排出源で区別しているのか。区別の基準は一体どうなんでしょう。
  44. 浦田純一

    ○浦田政府委員 廃棄物全体については物で分けておるわけでございますが、産業廃棄物につきましては排出源でもって分けておるわけでございます。その残りが一般廃棄物ということになりますので、これも排出源により区分けになるわけでございます。
  45. 山本政弘

    山本(政)委員 廃棄物一般については、物で分けているわけですか。
  46. 浦田純一

    ○浦田政府委員 廃棄物といたしましては第一項のものでございまして、これは特別のものをあげまして、つまり、物でもって定義をつけているわけでございます。第二項の「一般廃棄物」と申しますのは、第三項においてきめております産業廃棄物以外のものということで、第三項は「産業廃棄物」につきましては「事業活動に伴って生じた廃棄物」ということで、その排出源がはっきりしているわけでございます。なお、その中から特に政令で定めるものということで、産業廃棄物についてはさらに範囲特定されるという形になっております。
  47. 山本政弘

    山本(政)委員 廃棄物というのはここにありますね。そうすると、一般廃棄物の中には、従来でいえば家庭廃棄物というものが一つある。それに家庭廃棄物プラスアルファというのがありますね。そうすると、産業廃棄物の中には、これは排出源ということで産業廃棄物、こうなっている。ところが、この産業廃棄物というのは、これからあとで質問をいたしますけれども一般廃棄物プラスアルファという、そういうおそれが出てきませんでしょうか。つまり、一般廃棄物のうちの家庭廃棄物——家庭廃棄物プラスアルファというのが実は一般廃棄物だといわれておるけれども、それにもう一つプラスアルファダッシュがつきはしないだろうか、それが産業廃棄物としていわれておりはしないだろうか、こう思うのですけれども、この点はどうなんですか。
  48. 浦田純一

    ○浦田政府委員 第三項に定めております産業廃棄物につきましては、以下たとえば第三条その他でもって、いわゆる事業者の責務ということを明確に義務づけておるわけでございます。また、これらに関する法令違反ということについては罰則がより重くかかるという形になっておるわけでございまして、こういったことからも、産業廃棄物についてははっきりと政令でもってこの範囲を明確にする必要があるということでございます。それから、一般廃棄物はしたがってそれ以外ということになるわけでございますが、この一般廃棄物にプラスアルファがつくという考え方は、先ほど山本先生も御指摘のように、物によって分けた場合には同じ物が、排出源によりましていわゆる産業廃棄物あるいは一般廃棄物、両方に分かれるというような場合も考えられるわけでございます。たとえば八百屋さんの店先から出る大根の切りくずとかというものを一体産業廃棄物という範疇に入れるべきかどうかというような実際上の問題があるわけでございます。したがいまして、これらにつきましては、現行もそうでございますが、むしろ現行やっております市町村清掃事業の体系でもって処理していったほうがよろしいのじゃないかということもございまして、それがプラスアルファといえばいえるかと思います。
  49. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは事業活動によって生じた廃棄物という意味は、どういう意味なのですか。たとえばお肉屋さんでもいいです。お肉屋さんでビニールで持ってきた、これは事業活動によって生じたものじゃありませんか。ビニールそのものは、一体それを要するに一般廃棄物としてきめていいのか。これはあとでたいへんな問題になると思うのです。一般廃棄物として考えられるのか、産業廃棄物として考えられるのか、どっちなんかろうか。考え方からいえば、それは事業活動によって生じたというほかないわけであります。つまり大根とは違いますよ。あなたのおっしゃる大根の切れっ端とは違うはずです。そこに産業廃車物とかあるいは廃棄物処理、もっと言えば、廃棄物処理法が出てきた最大の原因があるわけでしょう。そうしないと、これは清掃の問題として将来大きな問題が出てくると思うのですよ。
  50. 浦田純一

    ○浦田政府委員 そのような場合、一たん消費者の手に渡りまして家庭から排出される場合には、これは一般廃棄物となるわけでございます。
  51. 山本政弘

    山本(政)委員 ですから、そういうことからいえば、そのことによって処理範囲が非常に拡大されるということになりますわね。そうして、第二番目には排出者の責任原則というものが非常にあいまいになってくるでしょう。この第三条には「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」これは排出責任原則でしょう。しかし、それがともすれば、もしあなたのお答えになるようなことになってくるならば、だんだんとそれがぽかされてくるということなんです。その点一体どうなんでしょうか。
  52. 内田常雄

    内田国務大臣 これは私はそれほどものごとを四角四面に考えないで、全く内輪のつもりでお話し申し上げますと、山本さんお尋ねになったとおりのことを私はちょうちょうと議論いたしました。議論いたしました結果、こういう整理になりました。それはつまり、産業廃棄物というのは産業活動に伴って生じた物質のうち、ある特定のものだけをここに掲げておりまして、それ以外のものは、たとえば具体的に申しますと、乳製品メーカーあるいは化粧品メーカー等がそれをプラスチックの容器に詰めて売った。買ったほうの一般消費者は、もう容器や何か不要になりますので、家庭から生ずる廃棄物になってしまいますが、それは一体産業廃棄物として論ずべきか一般廃棄物として論ずべきかという議論になります。ところがここでは産業廃棄物というのは、その産業の過程において直接生ずるものであって、一般消費者のほうに回ると、ビニールの袋も容器もその消費者の家庭から出る限りにおいては、一般廃棄物をもって論ぜざるを得ない。そこで第一次的には、事業者は事業活動に伴って生じた廃棄物は、それは自分で始末しなさい、あるいはまたそういうものが出さないように努力しなさい、また出た場合には再生利用をして、これは三条のほうに入ってまいりますが、そういうものが少なくしか出ないように努力しなさいということに加えて、そこでつくったものが商品として消費者に渡って、消費者から出るものが処理しやすいようなくふうも十分しなさい。これはいまの乳製品等で申しますと、牛乳のワンウエー・プラスチックボトルでありますとかいうようなものがいま問題になっておりますが、そういうようなものが、牛乳は自分のところでつくる、それから容器は人のところから買って、それに詰めて、それを消費者に売った場合に、消費者から発生するそういうものについて、容器等についても、その容器の生産者、容器を販売する者は、それらが処理しやすいような状態をとりなさい。これがために私どもは用意がございまして、そういう処理をこちらから第三条を援用して指図ができるような状態でない限り、別に食品衛生法等による許可は与えないという実は腹づもりがございまして、そこは処理するということで実は割り切りました。
  53. 山本政弘

    山本(政)委員 大臣いまおっしゃいましたワンウエーのヤクルトの容器で、たいへん賢明な処置をおとりになった。だけれども、その処置をおとりになったのは、排出源ということで処置をおとりになったわけじゃないでしょう。物ということでおとりになったわけでしょう。焼却をするか、あるいは処理、処分をするにはたいへん困難をきわめるという理由でやったわけでしょう。そうすると先ほどの二条じゃないですけれども、要するにあなた方は物による考え方でやったわけですね。このものは、要するに処理をするにはめんどうだからということで、いまのところ差しとめられているわけでしょう。局長の御答弁というのは、これは排出源じゃありません、物によるあれだということになっておる。それだったらば、物だったらどうなるんですか、これ。私はその辺がよくはっきりとけじめがつかないんだけれども、第二条の場合は物によって区別をしたのであります、排出源については二条の三項であります、こう言っているんだけれども現実にいまワンウエーシステムについてあなた方が賢明な処置をおとりになったことは、物による区別のしかたでおとりになったわけでしょう。しかもヤクルトの考えておるボトルというのは、これはまさに廃プラスチックになるわけですね。そうすると一体どうなるんでしょうか、私自身がよくわからぬようになってきたんですけれども……。
  54. 内田常雄

    内田国務大臣 それは家庭ごみ一般廃棄物もとどのつまりはだれか業者がつくったものだと思います。魚を食えば、それは魚屋が、市場、会社あるいはそこへ入る卸売り業者、小売り業者等が事業として取り扱った魚を消費者のために家庭に配る、その骨や頭が今度は、産業廃棄物じゃなしに、一般廃棄物になるわけです。野菜を食っても、それはやっぱり野菜の販売業者が処理したものでありますから、発生源という角度に立つと、産業廃棄物のようではありますけれども、いずれも第二条の定義ではものに着目をいたしまして、産業廃棄物というのは発生者が発生するある種のものだけについて産業廃棄物という考え方をとろう。そこで、ここではいまのプラスチックにいたしましても、プラスチック加工工場で工場の中で生ずるプラスチックのきれ端については産業廃棄物でありますけれども、それに牛乳なり化粧品を詰めて家庭に配られて家庭から出るものは、同じプラスチックであってもそれは一般廃棄物になるわけであります。そこで、一般廃棄物については、そういう処理困難なものを含んだ新しい意味ごみ処理するための体制を整えますが、もともとそういう処理しにくいものをつくるのはやはり事業者なんだから、事業者はそういうものをつくって消費者に売るときに、産業廃棄物ではないけれども、十分あと処理しやすいような注意をしてください。注意をしない限りそういうものの使用は、もうメーカーといいますか、産業者に認めないことあるべきことを実はここで保留いたしておるようなことでございます。御理解いただけると思います。
  55. 山本政弘

    山本(政)委員 清掃法排出者の責務について書いておると思うのですね。排出者の責務については、私は清掃法のほうがわりとしっかりしておると思うのですよ。五条の(清潔の保持)、六条の(汚物の処分)、特に七条の(多量の汚物処理)、あるいは八条の(特殊の汚物処理)、そういうものについては市町村排出者に対して処分を命令することができる、こういっておる。ところが、この廃棄物処理法によりますと、そういうものについては非常に甘いのではないだろうか。特に産業廃棄物については「減量」ということがうたわられおります。ここに、条文の中に減量をうたわれているけれども、しかし、生活環境審議会ですかでいわれておるように、無害化、安全化というようなことについては、ここには何にも書いておらないのですよ。これは一体どうしたわけなんですか。少なくとも産業廃棄物については、特に化学製品の場合には、無害化、安全化ということが強調されてしかるべきだけれども、何にもこれが条文の中にうたわれておらぬわけです。減量しなさいということだけでありますよ。一体どういうわけでそうなっておるのですか。
  56. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現行法におきます第七条(多量の汚物処理)、または第八条(特殊の汚物処理)という規定は、まあ大部分はいわゆる産業廃棄物にかかると読めるわけでございますが、今回の法改正によりまして、いままでややもすればその点が明確を欠くうらみがありましたのを、はっきりと第九条におきまして——第三条もございますが、第九条におきまして、産業廃棄物につきまして「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理したければならない。」と、責任を打ち出しておるわけでございます。  それから、お尋ねの無害化、安全化ということにつきましては、その具体的な事業者処理の中身といたしまして、第十一条で、特に二項、三項におきまして、厚生省の定める基準ということで、あるいは政令で定める基準ということでもって処置していく考えでございます。
  57. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ、具体的に示しましょうか。私が何でそういうことを申し上げるかというと、兵庫県の宝塚ですか、あそこで三百人くらいの子供たちがみんな目とのどが痛むということで、これはおそらく光化学スモッグであろうといわれておった。ところが、実際に調査した結果は、プラスチック製品を焼却した際に有毒ガスが出る、それが原因だったわけであります。いわばこれは第二次公害ですよ。何で私が第三条が非常に甘い規定であるということを申し上げるかというと、また新法の第六条も、一般廃棄物処理業の許可基準についてたいへん甘いというのは、「前条第一項に規定する区域内においては、その区域を管轄する市町村長の許可を受けなければ、一般廃棄物の収集、運搬又は処分を業として行なってはならない。」こう書いてありますね。ところが、清掃法はそうではないのですよ。もっと厳密ですよ。清掃法の十五条の二には、「市町村長は、当該市町村による汚物の収集及び処分が困難であり、かつ、環境衛生上の支障が生ずるおそれがないと認められるときでなければ、」許可をしない、こういっているのですよ。何で清掃法で厳密に規定したものをここで骨抜きにしているのですか。「困難であり、かつ、環境衛生上の支障が生ずる」そういう心配がある場合にはおろさぬと、こういっているのですよ。ところが、この六条の中にはその項がないのです。清掃法で厳密にきめたものがこの中では骨抜きにされておるじゃありませんか。なぜ骨抜きにされているのですか、はっきり御答弁願いたいと思うのです。
  58. 浦田純一

    ○浦田政府委員 今回の改正につきましては、まず、現行の市町村において行なわれております清掃事業原則としてそのままの体系にする、新たに加わった産業廃棄物処理問題については新しい考え方でもって処理するというのが原則であると申したわけでございますが、それに伴いまして、形の上からはほとんど全面改正になったわけでございます。組み方も違ってきたわけでございます。したがいまして、法文の作成上、できる限り現行の分についてはそのまま踏襲するように苦慮したところでございますが、条文の整理上、いままでの清掃法に盛られております原理原則が明確であるという場合には、場合によってはそれを整理するということをあわせて行なったのもまた事実でございます。  今回の改正におきまして、第五条の第一項、第二項によりまして、市町村のみずから処理するという原則、すなわち一定の計画の内容につきましては市町村みずからがやるという原則に従うことは明らかでございますので、第六条第二項は、実際に発動することはむしろまれなケースとして起こるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。また、現実の問題として一般廃棄物処理業、現在の清掃事業をやっておる業者もないわけではないのでございまして、まれではございますけれども、計画の中に業者を入れるという余地は残しておかなければならないということでこのように整理されたものでございます。
  59. 山本政弘

    山本(政)委員 私は、直営の原則というのを局長が非常に力強く主張されたことに対しては、たいへんけっこうだと思うのです。だけれども、余地を残すのに、非常にゆるやかな余地を残したほうがいいのか、あるいはきびしくしたほうがいいのか、これは私は不法廃棄とか不法処分というものがあるから申し上げるのですけれども、それなら、なぜ新法に、前条第一項に規定する区域内においては、その区域を管轄する市町村長は、当該市町村における一般廃棄物の収集及び処分が困難であり——あるいは運搬も入れてもけっこうだと思いますが、同時に、環境衛生上の支障が生ずるおそれがあると認めるときに限って許可する、ということをなぜここにお入れにならないのですか。あなたは直営を原則としているのだと言うのだったら、それだけきびしいものを入れて、そして、やむを得ざる限りにおいて下請というものを認めるということが私は正しいと思うのです。なぜそういう主張をするかというと、これから大型ごみ、粗大ごみとかいうことになりますと、なまなかな資本ではできませんよ。だから、都道府県広域的なごみ処理あるいは廃棄物処理について責任を負うんだということをあなた方はお書きになったのでしょう。非常にお金がかかると思うのです。事業者に対しては、それだけ厳密にしていいはずなんですよ。何でそこにそんなに甘い一そしてそれは法文の整理上何ら支障がないではありませんか。その点お考え直す必要がありませんか。大臣それをひとつ……。
  60. 内田常雄

    内田国務大臣 どうも山本さんにさからうわけではございませんけれども、私は一向差しつかえないと思います。市町村長がやる、しかし、市町村長がやらないで、市町村長が下請させている業者を、市町村長がそのほうがいいと思う場合には、これは一定の基準に従って許可したほうがいい。ただし、その許可はルーズな許可をしていけないということで、六条二項に、市町村長は一定の「計画に適合するものであり、かつ、環境衛生上の支障が生ずるおそれがないと認められるときでなければ、前項の許可をしてはならない。」ということを書いておるのですから、昔の法律がいいというよりも、昔の法律ではカバーしにくくなっているから、いませっかくこういうようになった。昔の法律によりますと、屎尿特定地先海面二百メートルよりも先に持っていって捨ててもいいようなことが書いてあるのです。私はそういうことはよくないので、法律のたてまえとしてはやはり改正させたほうがいいと思って改正させておる。しかし、山本さんのおっしゃる意味はわかるのですよ。法律の問題ではなしに、ごみ処理には歴史があって、従来から請負業者も市町村もやっておるので、いろいろそういうような組織上の実態もあるものですから、私はそういう配慮を行ないまして、全部こわして法律をつくるのではなしに、一般廃棄物については、市町村あるいは市町村のもとにおける業者の組織というものを、現行のままできるだけ生かすというようなことをとりながら、新しい事態の産業廃棄物その他こういうものに対する世の中の頭の進歩というものを取り入れて実は法律をつくっておるつもりでございます。もし、あなたの言うようなことをやりますと、厚生省の頭が古い、まだ昔どおりのことを言うのかと必ずおしかりがあるに相違ない。その辺は注意をいたしまして、提案理由の趣旨におきましても、わざわざ「第三に、」というところで、現行の清掃法におけるところの体系を踏襲ということを申し上げておりますので、これはぜひこの辺で御理解をいただきとうございます。
  61. 山本政弘

    山本(政)委員 私が申し上げたのは、何もそんなことを言っているのじゃないのです。清掃法の十五条の二は、「市町村長は、当該市町村による汚物の収集及び処分が困難であり、かつ、環境衛生上の支障が生ずる」こういっているのですよ。そのときには下請にやってもやむを得ないのだ、こういう考え方が貫かれているわけでしょう。これが局長の言う直営の原則なんです。直営の原則がなぜ必要かということは、むしろ下請業者に安易にそれをまかしたときには、大臣のおっしゃるように、不法投棄とかなんとかいうことが行なわれるから、こういう考えがあるのだと思うのです。そうすると、廃棄物の場合だって、同じことが生じやしないか。つまり新法のような考え方をすると、いたずらに下請業者に出していって不法投棄や不法処理やらが起こる可能性がなきにしもあらずでしょう。そういう可能性というものがむしろ多いと見なければなりませんよ。だから、困難であり、かつ、環境衛生上支障がある、ということを入れたほうがいいのじゃないだろうかというのが私の主張なんですよ。古くも何ともありませんよ。きれいにする、生活環境をよくするという原則を私は貫いているつもりなんです。もう一ぺんお願いいたします。
  62. 内田常雄

    内田国務大臣 現実には、市町村長が固有業務として清掃処理をやることは従来と同じようで、その辺のことは十分頭に置きまして、しかし業者がやる場合には、市町村長が自分にかわって法の六条一項、二項等にありますような範囲内においてやらせる、こういうことは従来と同じで、私ども市町村の仕事を業者を第一としてやらせるということに考えているわけでは決してございません。これらのことにつきましては、私は実はあまり気もつきませんでしたが、厚生省の諸君が市町村と接触して非常に苦労もしておりまして、その辺は十分頭に置いて新しい法体系の中にいままでの仕組みはそのまま生かすということでやって、苦労してきておりまして、実質的にはあなたのおっしゃるとおりのことで心配はないと私は考えております。
  63. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ、しつこいようですけれども再度お伺いしますが、法文というものは厳格にやっておらなければ、それは非常に甘く解釈されるわけですよ。現実にそういうことは幾らでもあるじゃありませんか。困難と書いてありません、環境衛生上支障があるとは書いてないじゃありませんかというのが今後のあなた方の答弁になるのですよ。つまり、何かトラブルがあったときに、だから許可をいたしましたということになりかねないから私は言っているわけです。政府はいままで、公害の問題に関しては特に法律の拡大解釈をずっとやってきているじゃありませんか。公害の問題に対して、これほど拡大解釈をされたことはありませんよ。もう一ぺん答弁をお願いいたします。
  64. 内田常雄

    内田国務大臣 これは市町村がやるか、あるいは市町村長の監督のもとに市町村における特定の業者がやるかということは、厚生省が許可をするわけではございませんで、ここに書いてありますように「市町村長の許可を受けなければ、」というので、その市町村長が業者に一定の衛生基準を守らせながらやらせるほうがいいと思う場合には許可をする場合もあり得るでございましょうが、市町村長がみずからやって十分だという場合には市町村長が許可を与えなければそれで済むわけでございまして、おことばのように、厚生省が甘過ぎて、それを市町村長にやらせないで、厚生大臣が業者に許可するということは全くありませんから、御懸念はないと私は思います。
  65. 山本政弘

    山本(政)委員 そうじゃないのですよ。市町村現実にそういうことが拡大しつつあるのですよ。これは屎尿処理ごみの収集、処理についてそういうことがあるのですよ。だから私は申し上げておるのです。不法処理の問題が至るところにありますよ。だから、そういうことについての規定をきちんとしなければまずいのじゃないかというのが私の言い分なんです。だから、大臣のほうで私の申し上げておることについて何か勘違いをされているのじゃないかと思うのですが、局長、もう一ぺん御答弁願います。
  66. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほども御説明したとおりでございますが、今回の条文の表現は、中身は現行のものと実際上は全然変わりがないと考えております。また、いままでの実績でございますが、市町村直営思想というものに基づきましての市町村における清掃事業の指導もいたしました。年々、廃棄物処理業者の数そのものは減少してきておるという状況でもございます。おことばを返すようですけれども、特に御趣旨のような文言を加える必要はないのではないかと考えております。
  67. 山本政弘

    山本(政)委員 これはあとで先輩の田邊委員からももう一ぺん御質問があると思いますが、そういうことについて私はたいへん残念に思います。一般廃棄物については清掃法を全面的に踏襲をしているのだということをおっしゃりながら、肝心な点になるとそれを抜かしておられるということは、私は厚生省のお考えとしては見識を欠いた考え方だと思うのです。  いまのに関連がありますので、それの第九条ですけれども事業者排出責任原則として九条の一項があるわけですね。そして、市町村については単独もしくは共同で、それから広域にわたる処理については都道府県で、こういうふうになっておると思うのですけれども、九条一項の「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」という原則は、事業者排出責任原則だけれども、ほんとうにその原則を貫いていくとするならば、前処理ということについてもっと明確な規定を置くべきだと思うのですけれども、置いておりません。この点は一体どうなんでしょう。
  68. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほどもお答えしたと思うのですが、十一条の(事業者処理)の中身といたしまして、第二項では「事業者は、自らその産業廃棄物の運搬又は処分を行なう場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準に従わなければならない。」第三項では「事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、厚生省令で定める基準に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。」ということで、その中身といたしまして除害、除毒、安全無害化といったようなことについては十分配慮できるものと考えております。
  69. 山本政弘

    山本(政)委員 そうおっしゃっておるけれども、安全無害ということは一つも入っておらないわけですよ。しかも、これはきわめて抽象的に、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」、ただこれだけのことなんです。十一条ですか、「事業者処理」というのがもちろんありますね。だけれども、これは運搬、処分、そして産業廃棄物処理を業として云々と書いてあるけれども、ただそれだけのことじゃありませんか。このことについては清掃法にだって似たものがあるのですよ。全面的に改正したと言うけれども、このあたりの条文については全面的に踏襲しているんです。つまり、皆さん方のおっしゃっていることは、要するに清掃法において都合の悪いところは削除し、きわめて都合のいいところは清掃法を全面的に踏襲しているという、たいへんずるいやり方をやっておるわけです。そして、産業廃棄物をともすれば一般廃棄物にしわ寄せさせて、それを地方自治体に負担させている、それが実態じゃありませんか、この法案の性格からいえば。その点は一体いかがです。
  70. 浦田純一

    ○浦田政府委員 その点では、むしろ従来はっきりとした基準がなかったわけでございますが、今回の十一条の第二項、これは政令にゆだねることになりますけれども産業廃棄物に関しまして収集、運搬及び処分に関する基準というものを新たに設ける考えでございます。  ここで、具体的にいえばどういった場合かというふうな疑問があるいはおありかと思いますが、このような処分をする場合には、当然、人間環境影響のないような形でもってしなくちゃならないということで、たとえば産業廃棄物の汚泥につきましては、有毒物質または特定有害物質の混入率を一定以下にするとか、あるいは含水率を一定パーセント以下にするとかいった基準、またタールピッチ問題につきましては、焼却原料を一定パーセント以下にする、有毒物質または特定有害物質の混入率を一定以下にといったようにきちんときめるということになっております。  それから第三項の、保管しなくてはならない場合の厚生省令で定める基準、これは従来なかった規定でございます。また、それに加えまして、第四項によりまして、都道府県知事は、事業者のこのような産業廃棄物の運搬もしくは処分が基準に適合しないといったような場合には、その変更命令あるいは必要な措置をとることを命ずることができるということで、きびしくなっておるわけでございます。
  71. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは、ちょっと具体的に質問いたしましょう。たとえば、いまターピッチというものがありましたね。タールピッチの処理、処分をする。そうすると、処理あるいは処分の方法いかんによっては、これをもう一ぺん再処理、再処分しなければならぬ場合も出てきますね。あるいはプラスチックならプラスチックの廃材というものがたくさん出てくる。これをどこかに処理、処分しなければならぬ。しかし、これはそのまま土壌の中に埋めるわけにもいかぬでしょう。そういう場合に、今度は市町村なり都道府県なりがこれを処理する。そして、兵庫県の宝塚の例のように、何か第二次公害が起きたときには、一体その責任はだれが持つのですか。市町村が持つのですか、都道府県が持つのですか、それとも事業者が持つのですか。その点は一体どうなんですか。つまり、第二次公害が起きた場合に、その最大の、そして最終の責任者といいますか、それは一体だれなんです。
  72. 浦田純一

    ○浦田政府委員 事業主がたとえば廃棄物をその工場から出すという場合には、必要に応じましては、それを一定寸法以下に裁断する、こまかく砕くといったような前処理を必要とするようになると思います。その施設は当然事業者の費用でもってまかない、その運用もまかなう、こういうことになると思います。  それから、それを運搬いたしまして、このような形であるならば市町村側の焼却施設あるいは特定施設がそれを受け入れてもよろしいという判断で受け入れる、そういう場合におきまする焼却の費用というものは、これは応分にやはり事業主が負担することになると思います。ただし、市町村の持っておる焼却施設から出るいろいろなばい煙その他の公害発生原因についての責任ということになりますと、これはその市町村長、その施設を維持管理しているものたちにあると思います。
  73. 山本政弘

    山本(政)委員 だいぶ具体的になりました。たとえばプラスチックを裁断するまでは事業者責任ですね。これが一つですね。確認いたします。  第二番目に、今度は工場で焼却をする場合の費用に対しても事業者の負担ですね。そうすると、それを焼却することによって生ずる第二次公害といいますか、そういうものについての設備については地方自治体がやるというわけですね。
  74. 浦田純一

    ○浦田政府委員 市町村といたしましては、その設置、維持管理しております焼却施設の能力に適応するものにして事業者が運び込めというように命ずることができるわけでございます。したがいまして、実際問題としては、その当該焼却施設から有害なガスあるいは有毒なばいじんが出るということはあり得ないわけでございます。いずれにいたしましても、この産業廃棄物処理に関しましては、終始一貫して事業者のほうの責任ということになるわけでございます。
  75. 山本政弘

    山本(政)委員 どうもそこがはっきりしないのですがね。裁断は事業者責任、そして要するに処理施設に対して、そこまでは結局適応する能力にして飛び込めというのですか。そうすると、依然として化学成分としてのプラスチックのそういう本質的なものは残るわけですね。そうですね。それを今度は焼却するわけですよ。焼却をしたときには、今度はガスか煙が発生するわけです。そうすると、この発生した責任は一体どうなるかと私は言うのです。本質というものは残ってくるのですから、どんなに裁断しようが、変形しようが、焼却をすれば有毒ガスあるいは煙は出てくるのですから。そうすると、それは設備をしなきゃならぬ市町村責任があるのだ。市町村はそういうものを当然設備しなきゃならぬ、こうなるわけですね。その点いかがなんです。
  76. 浦田純一

    ○浦田政府委員 山本先生のお話、二つの話があるかと思います。  一つは、事業者がプラスチックの処理を全部自分の施設内で行なう。つまり、焼くのもその事業場の焼却施設で焼く場合と、それから、そういった焼却施設を個々につくるのにたえられなくて、共同で処理するという形でもって事業場外に持ち出しまして処理する。その場合に、事業者の共同処理施設という場合と、また一般市町村処理施設というものにゆだねる場合と分かれると思います。  第一番目の場合は、これは事がおのずから明らかであると思います。第二番目につきましては、これはただ形を変えただけで、やはり第一番の場合に該当するものと思います。共同処理施設でございますが、これは利用者がみずから全部が出し合って処理し、あとの維持管理をするということになるわけでございますので、第一の場合に該当します。  したがって、問題は第三の一般市町村の焼却施設において、事業主が廃棄したプラスチックをどのようにして受け入れ、処理するか。また、その場合に起こる問題はいかんということになろうかと思います。この場合には、まず第一にその運搬の費用、それからその施設を利用する利用費、これらはすべて事業主の責任でございます。また、市町村側といたしましては、その場合は焼却施設のりっぱなものをつくって受け入れができるように対処するということになるわけでございます。したがって、場合によりましてはプラスチック専用の焼却施設をつくる、あるいは出てまいります有害なガスの除去装置をつくるといったようなことでそれに対処すべきものと考えております。
  77. 山本政弘

    山本(政)委員 一つの工場の脱硫装置をきちんとする場合ですら、企業というものはそのことに対してなかなか進んでおやりになろうとしない。ましてや、廃棄物処理施設というものをかりに共同、つまり複数でやる場合ですら、積極的に企業のほうでそれをおやりになると大臣考えですか。
  78. 内田常雄

    内田国務大臣 現実の問題、いろいろあると思いますが、この法律では、事業者処理あるいは前処理等が、厚生省令ですか政令ですか、定める基準に合わない場合には、都道府県知事が改造命令ですか、処理の変更を命ずることができる。その命令に従わない場合には、これは単なる罰金ではなしに、法律のたてまえは体刑までも用意してある、こういう規定を準備しておるわけでございます。しかし、それは現実にその産業廃棄物処理する際に、ガスが出るとかばいじんが出るとかいう問題を徹底的に私ども防ぎたいと思いますが、さかのぼってまいると、そういうプラスチックというようなものの生産を一体どこまで減少させるかという問題にもなる場合もあろうかと私は思います。
  79. 山本政弘

    山本(政)委員 罰金最高十万円。懲役ももちろんあります。懲役もありますけれども、罰金は五万円、十万円ですね。そんなものでやったら、企業のほうは喜んで五万円や十万円を出すのじゃありませんか。共同施設をつくるのに比べれば安いもんですよ。かりに私が企業者であるならば、そして良心的でないならば、喜んで五万円や十万円出しますよ。そんな甘っちょろいものがどこにありますか。そういうことだからだめだ。罰金が一億とか五億ならわかりますよ、五億あれば一つ清掃工場ができるでしょうから。罰金がある、体刑があるからといって——体刑だって要するに最高の責任者のところにはいかぬ法体系にいま現実になっているのです。そうすると、最終的な責任というものは、要するに地方自治体にしわ寄せをされるということにしかならぬじゃありませんか。  何で私がこれを申し上げるかというと——自治省の方、来ておられますか。——国の補助金ですよ。国の補助金というのは、この廃棄物処理法に関しては、清掃法と同じで、市町村には補助金を出すけれども都道府県には出さないことになっているでしょう。これは一つの例ですよ。武蔵野市と三鷹市が共同でごみ処理施設をつくっている。四十三年、四十四年の共同事業のお金は二億三千万円の予算です。国の補助はその中で幾らあるとお思いになりますか。一千三百万ですよ。しわ寄せをされて、そして補助金はそんなものだ。そんなことで局長のおっしゃるような、企業責任を——要するに単独でそれがやれないとするならば共同でやれという。共同もそういうふうに大きな金がかかるとすれば、罰金覚悟でそれをつくらぬということになってくるのです。いやでもおうでもかかってくるのは地方自治体じゃありませんか。そのときに、いまのような例の中で、二億三千万円のうち国の補助は一千三百万。いいですか、起債の一億三千九百万、市の持ち出し二千九百五十五万という、つまり半額以上が今度は市民の負担になっているのですよ。そういうことを平然と国のほうはお考えになっておるし、そして、そういう処理法案についての思想が貫かれているということなんですよ。あなた方どうお考えですか、自治省の方のお答えをお願いしたいと思います。
  80. 長野士郎

    ○長野政府委員 問題が二つあるわけでございますが、一般廃棄物と、それからいま問題になっておりますのは産業廃棄物が問題になっておりますが、一般廃棄物につきましては、これは従来からたてまえといたしましては、先ほども厚生大臣が申し上げましたように、市町村の固有事務といいますか、そういう考え方で出発しておる。したがって現在のところでは、市町村の単独事業的な色彩が非常に強くなってきております。その点で、補助も国から出されておりますけれども、その点につきましては、厚生省と私どもといろいろ意見の違うところも実はございます。私どもは、どちらかと申しますと、現在の補助対象に採択しておられる基準というものは、どうも少し実情に即さないのではないかというような気がしておりまして、これは今後とも厚生省の御当局に大いに奮発してもらうように私どもはお願いをしておるところでございます。逐次改善がはかられていくと思います。  産業廃棄物につきましては、いろいろお話がございましたが、私どもは、法案にありますように、産業廃棄物処理事業者がみずから処理するのが基本のたてまえだろうと思います。したがいまして、産業廃棄物につきまして、市町村は当然に産業廃棄物処理するということじゃなくて、一般廃棄物とあわせて処理するようなことが適当であり、あるいは可能であるというような場合に市町村がする。あるいは広域的に処理する必要がある場合には府県が考えていくというようなことでありますが、その場合にも、産業廃棄物処理事業者処理原則、たてまえでありますから、これに対する経費につきましては、施設費については企業者の負担、あるいはそれが不特定多数の場合でありますならば、いわゆる手数料といいますか、処理料といいますか、そういうものにはね返しまして、当然に事業者が負担する、こういうのが私はたてまえであろうと思います。その原則の上にこれが考えられていく。したがって、国の補助その他の規定におきましても、一般廃棄物と同様には考えておりません。産業廃棄物については、そういうたてまえがありますから、そのことが従来の規定から変わっておる、こういうことのように私は理解をしております。
  81. 山本政弘

    山本(政)委員 産業廃棄物処理については、自治省のほうが私は厚生省より前向きのような感じが実はするわけです。  もう一ぺん第九条に戻りたいのですけれども事業者のほうで処理をする、それから共同で処理をする、それができない場合には市町村広域的には都道府県ということになるのですけれども、結局、それだけの補助、つまりいまの国の補助というのは、処理施設の整備については補助率が四分の一ですね。そういうことで、実際については非常に地方自治体が苦労をする。そうすると、要するに資金の調達もあるでしょう。融通あるいはあっせん、そういうことをすることも書いておるけれども、しかし、なかなかそれができなくなってくる。なかなかそれができないということになれば、安全でない有害なものが、結局市町村、あるいは都道府県といってもいいのかもわかりませんが、ともかくも地方自治体処理施設から出てくるということになって、私は手数料の問題をとっても、非常におかしな問題だと思うのです。そうなってきたら、被害者が手数料を負担することになると思うのです。  時間がないからそこまで触れられませんけれども、しかし、いずれにしても最終の被害者というのは、地方自治体もしくは市民だということになってくる。わからないのは、九条に、その産業廃棄物をみずから処理をしなければならないということに対して、何で、無害かつ安全にという項目が入れられないのだろう。それが入れられなければ、結局は、最終的には一番末端の自治体もしくは市民が被害を受けるのじゃないだろうか、こう思うのですよ、あなたの話を聞いている限りは。安全、無害ということをお入れになる気持ちはありませんか。あなた方は生活環境審議会でちゃんとそういうことをお書きになっていることを御存じないのでしょうか。そこまでしないと、要するに事業者責任というものは免罪されないと私は思うのです。
  82. 浦田純一

    ○浦田政府委員 なるほど先生のおっしゃる御意図はよくわかるわけでございますが、この法律のそもそもの目的が、第一条にございますように「廃棄物を適正に処理する」ということで、項目的にはっきりとうたってありますし、また「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る」ということもあわせてうたっているところでございまして、また、先ほど申しましたように十一条におきまして、その適正な処分基準というものに関しましては、それぞれ政令または省令で定めるということでございますので、全体的な立場から考えました場合に、特にここに先生の御指摘のような字句を入れる必要はないのではないかというふうに考えております。
  83. 山本政弘

    山本(政)委員 適正というのは多分に主観的な考えが入るのですよ。安全、無害というのだったら、これは非常に客観性を帯びているのです。あなた方は、何かそういうことにトラブルがあった場合に、これは適正ですということで逃げようと思えばお逃げになることができるのです。私が言っているのはそのことなんです。幾らもいままでそういうことばをお使いになって逃げておるじゃありませんか。何で安全、無害ということをこの中に入れないのかわからぬです。適正ということは、繰り返して申し上げますけれども、多分に主観的な判断が出てくるのです。出がちなんです。しかし、科学的に要するに安全である、科学的に要するに無害であるということは非常に客観性を帯びていることになるでしょう。その違いなんですよ。そしてこれは、この新法のあなた方の考え方、つまりどこかにそういう甘い、そしてきちんと押えられないようにお考えになっている気持ちが、この法案全体に通じているのです。全部にこれがあるわけです。手数料の問題にしたってそうです。最後にそのことについてひとつお答えをお願いいたしまして、私は時間がきたようですから……。
  84. 内田常雄

    内田国務大臣 私は山本委員のおことばを厚生省に対する激励のつもりで承ります。実は政府のやること、私ども出す法律が、これは性悪説といいますか、わざと問題の処理をはぐらかすようなつくり方だと、こういう前提にお立ちになっているように聞きますが、厚生省に関します限りは、これは健康官庁、衛生官庁でありますから、文章の書き方は、それは法律に書くか、あるいはもっと客観的に政令に書くか別といたしまして、健康の前進のために、善意の立場に立って御批判なりお力入れをいただきたいと思います。  いま御指摘のあったことにつきましては、十一条の政令、省令で、単に主観的に適正というような基準をつくるのでなしに、おことばもございますので、私は、御指導のもとに、客観的な、御納得のいけるようなそういう基準を示すような中身にいたしたい、そのことでお答えといたします。
  85. 山本政弘

    山本(政)委員 御答弁は、たいへん私は不満なんです。大臣は、私は性善だと思いますよ。だけれども政府の方々がお集まりになって法案をつくるときには、性悪になっているのですよ、現実に。なっておりませんか。いままでの公害における連合審査を見てごらんなさいよ。かつ、あなた方のいままでの答弁を見てごらんなさいよ。何で安全が入らないのか。無害が入れられないのか。そして、困難な場合あるいは生活環境に障害があるおそれがある場合という、そういう項目をあなた方はなぜ入れられないのですか。入れて法律の運営上差しつかえがあるならば私はそういうことは申しません。法体系の中から見ても、それから条文から見ても、入れたって一向差しつかえないじゃありませんか。むしろそのほうが法の性格としてきちんとなっておるわけですよ。再度御答弁願います。
  86. 内田常雄

    内田国務大臣 そういう考え方のもとに法律の整理もいたしてございます、 これはほんとうに。
  87. 倉成正

    倉成委員長 この際、午後二時十分まで休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ————◇—————    午後二時三十二分開議
  88. 倉成正

    倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。田邊誠君。
  89. 田邊誠

    ○田邊委員 最初に委員長と特に与党に対して警告をしておきます。  公害国会といわれて、しかも短期間に重要な法律案を成立せしめるという任務を持った委員会の運営が、きわめて委員の出席が悪いという状態は遺憾であります。はたしてこの国会でもって、国民の負託にこたえる審議を正常に行なって法律案の成立を期す熱意ありやいなや疑うものでありますが、今後一そうひとつ努力されるように強く要望いたしておきます。  午前中に同僚委員から質問がございましたので、それにふえんをしていろいろとお聞きをいたしますが、その前提としての問題について若干まずお伺いしたいと思います。  経済社会が発展をいたしまして、特に都市を中心とする産業の開発が進み、あるいはまた近代的な生活が営めるようになりましてから、その生産過程やあるいは生活の中でもって起こるところの各種の物質が増大することは疑いない事実であります。一体これは現在どういうふうなぐあいになっておるかという現状を正しく把握することが必要であると同時に、将来産業構造なりあるいはまた生活状態というものがどういうふうに変革を遂げていくかという正しい認識がなければ、それに対処する正確な政策も出てまいらないわけでありまして、そういう点から経済企画庁にお伺いいたします。  いま人口都市集中化が非常に進んでおるようでありますけれども、特に首都圏をはじめとするところの三大都市圏あるいはまた太平洋ベルト地帯、こういったものに対する人口の集中度というものが、ここ数年間にどのような角度でもって進んでおるのか、これからまた今後五十年あるいは六十年、いわゆる七〇年代といわれる年代においてこれが推移は一体どういうふうになるのか、それをどのように把握されており、これの統計的な把握は一体どうなっておるのか、この点に対してお伺いしたいと思います。
  90. 山本純男

    山本説明員 人口が集中していく趨勢というものは、経済計画の立案その他に関連いたしまして十分勘案いたしておるわけでございますが、ただいまちょっと手元にその具体的な数字を持ってきておりませんので、すぐにお答えいたしかねますが、そういう趨勢というものは十分に把握いたしまして計画その他に反映させたいと思っております。
  91. 田邊誠

    ○田邊委員 大体今度の法案の一番原動力になるのは、産業廃棄物なり都市廃棄物という都市に集中するところの、いわば産業の発達からくるところの廃棄物処理生活の近代化、都市化というものが進む中でもって行なわれるところの家庭廃棄物処理、そういったものを一体どうするのかということが問題なのでありますから、その前提が明確でない限りにおいてこの種の法案の審議というのは実は正確さを欠くのであります。したがって、それならばいま市街地、都市に対する人口の割合は一体どのくらいか。その中で三大都市圏はその市街地区域の中でもって一体どのくらいの人口密度、人口の割合を持っているのか、それから最近五カ年間における市街地地域の増加分の中でもって、この三大都市圏に集中している割合は一体どのくらいあるのか、このくらいはわかるでしょう。
  92. 山本純男

    山本説明員 人口集中地区ということで把握しております人口の比率を申し上げますと、三十五年度は四三・七%でございましたが、その後四十年度四八・一%、四十三年度五二・八%、五十年度には六五・七%というふうになっております。
  93. 田邊誠

    ○田邊委員 そんな大ざっぱな答弁じゃだめだから資料を持ってらっしゃい。  それで、昭和六十年度に全人口の中で市街地区域が占めるところの人口の割合は一体どのくらいになる見込みですか。
  94. 山本純男

    山本説明員 新全国総合開発計画に推定資料がございますので申し上げますと、首都圏と近畿圏、中部圏三つにつきまして、昭和四十年には首都圏が二七・四%でございました。それが全国総合開発計画では六十年に三一・九%に増大しております。近畿圏は一八・四%から二〇・三%、中部圏は一六・八%から一七%に増加するという見通しになっております。
  95. 田邊誠

    ○田邊委員 市街地区域は一体総人口の中でどのくらいのパーセンテージを占めるのか。
  96. 山本純男

    山本説明員 市街化地域ということでは数字はわかりませんが、先ほど申し上げましたように、人口集中地区における人口というものは、昭和五十年度で六五・七%まで増加するという見通しであります。
  97. 田邊誠

    ○田邊委員 大体あなたのほうのいろいろの統計によれば、三大都市圏におけるところの集中度は今後幾らか鈍化するけれども、全体の市街地区域における総人口の割合は、大体一億二千万の人口に対して八〇%に達するだろう、こういうのがあなた方の見込みであります。そのとおりですね。
  98. 山本純男

    山本説明員 全総のいまの数字を合計いたしますと六九・二%ぐらいでございます。
  99. 田邊誠

    ○田邊委員 いまの三大都市圏の割合、いわば首都圏をはじめとするところの都市圏、それの今後の趨勢というものと、それから、それ以外の都市に対するところの人口の集中度合いというものは、今後におけるたとえば清掃事業なるものの計画にあたっては、私は一つの大きな指標になると思うのですよ。そういう意味合いでお聞きをしているのでありまして、ひとつあとでけっこうですから、この審議の経過の中でもって、先ほど私が段階的に申し上げたような点に対して、あなた方は一こまずつズレて答弁があるけれども、ひとつ正確な数字をお教えいただきたいということをお願い申し上げておきます。  いま大臣お話にありましたように、いろいろとその中身については、東京や大阪、名古屋等のまん中におけるところの状態というものは鈍化するけれども、その周辺地区はさらに増加をする。それからまた、首都圏についていえば、五十キロ圏から七十キロ圏にいま人口の集中は移りつつありますけれども、しかしこれが五十年度までには百キロ圏くらいまでに密度がさらに移行しながら拡大するだろう、こういうふうに見られているわけであります。そうなってまいりますると、当然これに伴うところの産業活動というものの進展、あるいはまた生活の密度の過密化、こういったことからくるところのいわば廃棄物の出る量というものは、また急速度にふえてまいるのではないかと私は思いまするけれども、これは一体どのように把握をされておりますか。
  100. 内田常雄

    内田国務大臣 私はこの問題には少なくとも二つの面から当面をいたしております。  一つは、現状においてさえも、いまから四、五年前に想定しておったとまるで状況が変わったような廃棄物の出方であって、いまの清掃法、あるいはまたそれに対応するために四、五年前につくられた清掃施設緊急五カ年計画というものではとうてい防ぎ切れないということがまず第一でございます。  次には、でありますから当然先の見通しといたしまして、いま御指摘がありましたようなそういう対策、周辺の膨張率を中身とした清掃施設の長期整備計画というものをつくり直さなければならぬと思います。幸か不幸か現行の五カ年計画が明年度をもって満了いたしますので、私どもといたしましては明年度から新しい整備計画というものを出発させる。ちょうど昭和五十年を目標とする新経済社会発展計画などもございますので、少なくともそういうものと対応せしめつつ当面の中期計画もつくりたい、こういうことで準備をいたしております。
  101. 田邊誠

    ○田邊委員 環境衛生局長はあれですか。いま言った都市人口の過密化、それから産業のいわば都市集中度、こういったものと、そこから出るところの廃棄物、これは総括的にお伺いしているのですけれども、これの増加の率というものをお調べになったことはございますか。
  102. 浦田純一

    ○浦田政府委員 私どもは、いま市町村によって行なわれております一般清掃事業の整備計画を立てるにあたりましては、その排出量というものを計画してあります。第一次五カ年計画におきましては、そのスタートではごみ排出人口一人当たり五百グラムという想定でございましたが、逐次改定してまいりまして、先ほど大臣のほうから御紹介がございました今後の新しい計画の目標といたしましては、それをおよそ昭和五十年あたりでは千百四十グラムくらいというふうに想定をいたしておるわけでございます。また一方では、単にごみの量がふえるということだけでございませんで、田邊先生のほうからも御指摘がございましたように、人口都市集中化、また総体的に収集区域がふえるといったようなことも勘案いたしましていままでの計画も立ててまいりましたし、今後の計画を立てるにあたっても、そのような根拠でもって考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  103. 田邊誠

    ○田邊委員 そこで大臣、もう一つの要因は、これはもう言わずもがなの話ですけれども日本産業構造というものが、原料乏しくて外国から輸入する。特に鉄にしてももう鉄鉱石をいわば八〇%以上も輸入する。原油のごときは九九%輸入する。それを加工して国内の消費や、あるいはまた輸出に向ける、こういう形態であります。いわば加工国でありますから、その生産の過程におけるところの廃棄物というのは、諸外国に比較してまさに一段と多いのではないかというふうに私は思うのですよ。しかもそれは狭い国の中で処理をされる、都市に集中をする、こういう状態でありますから、いまの局長の一応概念的な答弁がありましたけれども、いわば今後の廃棄物の増加の予測というものは、いままでの計算よりもさらに上回った形でもって見込まないことには、実際に即応できないのではないか、私はこういう考え方に立つわけですけれども、私の基本的な考え方に対しては、そのとおりでございますか。
  104. 内田常雄

    内田国務大臣 私も同じような感じを持っております。
  105. 田邊誠

    ○田邊委員 そこで、これは実は通産省にお伺いするのが本筋なのでありますけれども、法案の提案をしておる厚生省でもある程度わからなければいけませんから伺いますが、廃棄物処理処分状況調査というのを通産省でやっておるわけであります。私は実はこれの調査の結果について疑問を持っておるのでありますけれども、いま大体一日に排出される廃棄物の総量、これは一体どういうふうに見ていらっしゃいますか。というのは運輸省の運輸統計によりますると、廃棄物のトラック輸送というものは、昭和四十二年で年間およそ四億五千六百万トンというふうに報告されておる。これはアメリカ経済がやはり日本の十倍くらいの規模を持っておるということで、アメリカの総廃棄物の物量が年間三十五億トンということからいって、日量百万トンというのは多くないだろう。こういうようにいっておるのであります。通産省の調査によりますと、調査をいたしました対象工場が二百人以上の五千工場ということでの抽出調査でありますから、ことしの八月十九日の調査における結果というのは必ずしも正確ではないと思います。相当な食い違いがあるのでありますけれども、一体一日の総排出量をどのくらいと把握されてそれに対処されようとするのか、まず前提条件をお聞きしたいと思います。
  106. 内田常雄

    内田国務大臣 これは数字が違いますればまた補正させますが、私が大臣として頭にありますのは、従来のいわゆる家庭ごみが一日五万トンくらいなのに対して、その他の産業廃棄物、それから都市廃棄物あるいは建設廃棄物というようなものを含めますと百万トンをこえる、こう私の頭に残っております。しかし今度の法律で申します産業廃棄物一般廃棄物というものの定義の分け方に従いますと、家庭ごみ以外の、いま私が申しました毎日百万トン程度の廃棄物の中に、この法律でいう産業廃棄物のほか、都市廃棄物等の中には一般廃棄物となって市町村処理対象というようなものになるものも相当あるわけでございますので、その辺、法律上の区分と違いますが、全体の状況はいまのように把握して私は間違いないと思います。
  107. 田邊誠

    ○田邊委員 私も、現実に廃棄されるところの量の把握というものは、いま大臣お話しのようなぐあいに、一日百万トンをこえるというのが大体通例的な考え方じゃないかというように思っておるわけでありますけれども、その中で、燃えやすいもの、あるいは燃えるけれどもその経過の中で煙等の問題があるもの、それから泥状あるいは粘状の不燃物、そして固体状の不燃物というようなものについての状態がある程度調査をされておるわけでありますが、この中で固体状の不燃物というものがやはり圧倒的に多いわけであります。そういうことになってまいりますと、この処理というものが一体どういうふうに行なわれているかということが私は問題になろうと思うのであります。  まず、事業の活動によって起こるところの廃棄物の中で、いま企業でもって前処理として行なっている処理が一体どの程度まで行なわれているかということに対する通産省の調査が出ているわけですけれども、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  108. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先生がいま御指摘の大阪府の調査の結果に基づくものでございますが、まず種類別の廃棄物の量を考えてみますと、容易に焼却できるもの、たとえば紙くずあるいは木くず、繊維くず、わらくず、こういったようなものが全体の量から申しますと三・二%でございます。その他燃えやすいもので雑ごみといたしまして約九一%という結果が出ております。それから特別な前処理を要するもの、たとえば植物性あるいは動物性の残滓とか、合成樹脂のくずであるとか、あるいはタールピッチ、廃油類といったようなものが約四・六%ということでございます。そのほか同じく廃酸類とか廃アルカリ類、それから御指摘の汚泥、家畜ふん尿等で一四・五%ということで、これらが合わせましていわゆる前処理を要するものであろうと考えております。  それから再生利用できるものといたしまして、たとえばガラスとか金属類でございますが、これが九・七%。残りの五八・九%は実は石炭がらとかあるいは亙れきとか土砂、灰といったようなものでございまして、これはそのままいわゆる埋め立て処分ということで始末できょうかと思います。  御指摘の前処理を行なうほぼ一九%のものにつきまして現実にどの程度処理が行なわれておりますか、私は現実としてはいまこのものは前処理は行なわれていると考えておりますが、つまびらかにしておりません。
  109. 田邊誠

    ○田邊委員 通産省の前処理状況というのを見ますと、大体総排出量の三一%を前処理をやっている。廃油、廃酸、汚泥、それぞれ大体同じくらいの率で行なわれておるわけでありますけれども、この中でやはり自分のところで処理をしているというのが圧倒的に多いのであります。また、民間委託や公共委託等も行なわれているのであります。いまにおいても民間委託や公共委託が行なわれているわけでありますから、これに対する今後の趨勢というものはわれわれとして注目しなければいけないのじゃないか、こういうように思っておるわけであります。  それから、その前処理の次に、処分の状態の中で、同じく自社で処分をしているものが通産省報告七〇%、業者二六%、公共処分三%、こういうふうになっておるわけでありますけれども、これが一体適切に行なわれているのかどうか。その中には資源化をするものもあるいは埋め立てをするもの、投棄をするものとなっておりますけれども、一体その埋め立てというものがほんとうに適正なのかどうか。あるいはまた、投棄をしておりますけれども、これが不法投棄ではないかどうかということに対しても目が届いていないのじゃないかと私は思うのであります。実際にいろいろと私がお聞きをいたしましても、なかなかその状態について把握してない、こういう状態でありますから、現状において必ずしもこの処分状態というものが良好に行なわれているというふうには見受けられない点があるのじゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。
  110. 浦田純一

    ○浦田政府委員 田邊先生御指摘のように、いわゆる産業廃棄物につきまして前処理の状況は、たとえば通産省の調査でございますが、先ほど先生が指摘された数字が実態であろうと思います。また、最終的に処分されるにあたりまして、従来の例で申しますと、結局この処分地の問題、あるいはそれに至りますまでの輸送の問題、あるいはさかのぼりましてその前処理の状況、それらを勘案いたしまして、残念ながら必ずしもすべてが衛生的にあるいは環境保全上遺憾のない方法で処理されておったという実情じゃなかったということは、認めざるを得ないと思います。
  111. 田邊誠

    ○田邊委員 それにはいろいろいま局長お話しの条件もあります。投棄をする海洋の問題もあるし、あるいは埋め立て地の問題がある。しかし、前処理にしても、処分にしても、これはいわばそれに要する経費の問題があると思うのです。  そこで私は、実は企業責任の確立という面とからめていま質問をいたしているわけでありますけれども、たとえば廃油についてトン千六百三十二円くらいかかるだろうというようなこと、合成高分子系のくずはトン当たり三千百五十六円かかるであろうというようなこと、こういういわばその処理、処分に要する経費というもの、特にその中で一番大きく業界の中で占めているのは鉄鋼業でありまして、これは六十七億六千七百万円ぐらいかかっているという報告でございまするけれども、こういう処理に要する経費というものの捻出について、業界の認識とそれに対するところの手だてというものが十分でないじゃないかと思うのです。したがって、今後いわば産業廃棄物処理、処分を企業責任を負わせる、あるいはまた地方自治体が肩がわりにしてやるについても、それに対する費用はその事業主から取る、こういうことについて、やはり業界に対するところの指導というもの、監督というものが十分行なわれなければ、所期の目的を達することはできないじゃないか、私はこういうように思うのでありますけれども、これらに対しては一体どういう手だてを講じますか。
  112. 浦田純一

    ○浦田政府委員 まず第一の点といたしましては、従来ややもすれば問題を生じがちであった廃棄物の処分につきましての事業者責任ということを明確にすることであろうかと思います。しかしながら、それを担保するためにはやはり必要な施設あるいはそれぞれの要する費用というものが裏づけがなくてはならないわけでございます。これらにつきましては、現在あります種々の財政助成措置、ことに公害防止事業団の事業計画というものの中に融資のワクとして考えていくといったようなことも必要であろうと考えております。  それからさらに、一般廃棄物処理と関連して、市町村あるいは場合によりましては都道府県の段階において広域的に処理をしなくてはならないといった問題も起こり得ようかと思います。これらにつきましては、先ほど申しました事業者責任という原則を貫き、費用の徴収ということもその線に沿って考える所存でございますけれども、さらに、場合によってはこういった処理施設に対しての全般的な立場からの財政の措置補助金あるいは起債、融資といったような点については、今後とも拡充強化してまいりたいと考えておるわけでございます。さらに、これらの事業主責任を推進するための最終的な担保といたしましては、罰則というものを考えまして遺憾なきを期していくようにしたいという考えでございます。
  113. 田邊誠

    ○田邊委員 罰則ももちろんわれわれは必要だろうと思いますけれども、その前に企業者自身の認識と、それに対して当たるところの経費なりあるいは施設なりというものが、一体その企業ベース、採算ベースに乗るのか乗らないのかという心配もありましょう。したがって、それらを含んで、やはり政府企業に対して十分な手だてと指導を行なわなければ、所期の目的を達することはできないとわれわれは思っておるわけでありまして、それに対するところの万全な対策というものができるかどうかというところが非常に心配なのでございますけれども、さらに努力をお願いすることにして、本題に入らなければなりませんからもう一つだけ前提としてお聞きしたいのは、科学技術庁もお見えだろうと思うのですが、いわばこの廃棄物処理については、一つの循環サイクルがある。ところが、いまは正常な状態ではない。また、環境受容能力が完全でない。したがって、どうしてもある程度人為的にコントロールする必要があるという、こういう前提的な考え方に立っての処理体系をどう確立するかということが問題だということを指摘をされておるわけでありまするけれども、このいわば廃棄物処理体系というものに対して、これは自然の循環系統に入れるということ、あるいは再生できるものは再生をするということ、あるいは処分をすべきものについては完全な処分をするということ、今日膨大な産業廃棄物あるいは廃プラスチックを含めて、いわば不燃性のもの、その処分の過程において有害物を発するもの、こういったものに対して、一体技術的な面における解決が現在可能であるというようにお考えであるのかどうか。  一つには資源化の問題があります。それからもう一つには、処理の完全化という問題があります。いずれにいたしましても、この状態を見ても、われわれとしてはよほどこれに対するところの技術的な開発というものが一緒について回らなければ今後起こり得るところの事態に対処することができないだろうというように思っておるわけでありまするけれども、この可能性があるのかどうかということと、もう一つは、現在の実態に対して一体どういうふうに調査されるのか、あるいはまた、そのよって起こるところのいろいろな原因の追及というものが的確に行なわれているのかどうか、あるいはまた研究に対するところの投資が一体十分であるのかどうか、こういう面に対して私は大きな不安を持っておるわけでありまするけれども、一体、科学技術庁なり厚生省はこれに対してどういうふうな対処をされているわけですか。
  114. 浦田純一

    ○浦田政府委員 田邊先生御指摘のように、現在起こっております公害問題の究極の原因と申しますと、近ごろとみにその生産並びに消費がふえてまいりましたいわば人工的な産物の環境サイクルヘの十分な還元が起こっていないというところにあろうかと思います。したがいまして、これら人工産物、ことにその代表として考えられますものは、私はやはりプラスチックであろうと思うわけでございます。あるいはその他農薬とか、あるいは種々の添加物薬品ども考えられるかと思います。こういったようなものがまず第一に環境サイクルに十分に乗っていく、またその場合に、人体に影響のない形で還元が行なわれるということであるわけであります。  結論から申しますと、プラスチックの問題につきましては、まず第一点といたしましては、やはりこれは石油に基因するところの非常に貴重な資源でもございますので、これらの再生、再利用ということは、私は長い目でぜひ必要なことであろうと思っております。ことにプラスチックの持っております燃料エネルギーとしての性質については十分着目する必要があると思っておるわけであります。  それから、最終的には、いずれにいたしましても廃棄物として処分地あるいは処理場に運ばれるわけでございますけれども、これの処分、処理の技術的な背景はどうかということでございますが、プラスチックにつきましては、すでに試験の段階を終えまして、完全な焼却炉の開発にも成功しているように聞いております。それから、ことに熱可塑性のものにつきましては、再び建築材料あるいは土地の舗装の材料あるいはその他の再利用の方法も開発されているように聞いております。  また、これは少し別のことになるかと思いますが、農薬あるいは添加物その他につきましては、これはそれを製造する、あるいは使用する段階から規制して、自然環境サイクルの汚染を防ぐということで、いまこれらは先生御案内のとおりに総点検を実施しているところでございます。これらにつきましては、関係各省の方に厚生省といたしましても十分お願いいたしまして、新しい技術の開発、さらにその改善ということについて努力しておるところでございます。
  115. 田邊誠

    ○田邊委員 実は牛乳びんのプラスチック問題は、あと山口君が質問する担当でございますので、実は私がそれに入り込むことは避けなければならぬと思っておりますが、さっき山本委員が言ったが、ワンウエー方式でもって家庭で使い捨てになるところの状態の中で起こるこの処理の問題、中には学者によりますと、プラスチック容器の処理の中に、いわばプラスチック容器に添加物がある、この添加物に発ガン物質のタールから取るフェノール系とアミン系の物質が使用されている。したがって、これに熱を加えるとこれが表面に浮き出してくるということで、かなりの安定剤を使わないとその中から発ガン物質が出るのではないかというようなことを言っている学者もあるわけでございます。これは実はちょっと私は、この学者の調べたのが、きわめて狭い範囲調査ではないかと思っておりまするけれども、しかし、そういう危険なことを言っている人もあるくらいでありますから、いわば高熱処理がなかなかむずかしいというだけではなくて、そういう有害的なものが派生的に起こってくるということのおそれも絶対ないとは言い切れないというようなこともありまして、処理については非常にむずかしい技術的な問題があると思うのです。いま局長はそれの開発がすでにできつつあるというお話でございましたけれども、これはやはり普及化、市販化、大量化がはかられてない、それはコストに合うのかどうかという、そういった焼却炉の建設等についても非常に急がなければならぬと思いますけれども科学技術庁はそれに対して対応するところの対策はお持ちでございますか。
  116. 楢林愛朗

    楢林説明員 いま先生が御指摘のとおり、資源の廃棄に関しまして科学技術的にはさらにまたこれを再資源化するという大きな計画はあると思います。それに従いまして資源化できるものはすべてそれを日本の資源の少ない現状にかんがみて回収するというような科学技術、これを今後大いに科学技術庁といたしましては開発していきたい、こういうふうに考えております。  なおいまの薬品とプラスチック等の問題につきましても、この燃焼に伴いますいろいろな弊害もございます。これにつきましても、先ほど環境衛生局長から御返事がありまして、いま開発中でございまして、今後こういう専用の燃焼炉、こういうものについても関係機関で実験を推進中でございます。今後そういう問題について取り組んでいきたい、かように考えております。
  117. 田邊誠

    ○田邊委員 あまり抽象的な論議では私は満足していないのでありまして、もう少し的確な御答弁もいただいて、安心をしながらいわば廃棄物処理の今後の方途を見出していきたいというように思っておるわけですけれども、時間がありませんので、早急なそういった面での技術的な開発なり、対処を心からお願いするわけであります。  途中でありまするけれども、さっき企業が前処理や処分について、非常に的確性を欠くということで、やはり十分でないという御答弁がありましたが、現在のいろいろの製造業においていろいろなものを排出をいたしておりまするけれども、ただ排出をすればいいわけではございません。この排出のしかたが適切でなければならないのでありまして、シアン等のたれ流しやいろいろなばい煙の問題、重金属の被害等、いろいろな問題がいま出ているわけですけれども、これは一体労働基準法に照らして万全であるのかどうか。最近労働省は調査をされて、その不完全さについて指摘をされておるわけでありますけれども、私は基準法上からいって、こういったものに対する調査の結果、それに対するところの処理、これの万全を期さないと、これはやはりなかなか厳格にこれが行なわれないじゃないかというように思っております。私は今度の一連の公害法案が成立をし、いまこれからお聞きしますけれども、大蔵省の主計官や自治省の局長がお見えでありますが、万全の財政の措置がはかられるということになりますならば、これに対するところのいわば企業側の対処のしかたというものは、ますますもって重要になってくると思うのであります。したがって私は、この基準法の安全衛生規則あるいはまた労働安全衛生規則の中において現在対処されているものではなかなか十分でないという状態が出てくるのではないかと思いますが、労働者の健康診断——私はさきに東邦亜鉛安中製錬所の労働者が、尿の中にかなりカドミウムが含まれているということに対する指摘をして、労働省の注意を喚起したのでありますけれども、そういったものに対する対処は一体どういうふうになっておりますか。今後よりこれに対するところの厳格な基準が必要になってくるのじゃないかというように思いますので、そういった面における基準法なり労働安全衛生規則の一歩を進めた改正も必要になってくるのじゃないか、こういうように思っておるわけでありますけれども、まとめてひとつ労働省の側からこれに対して見解を承りたいと思います。
  118. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、労働基準法は先生御案内のように、第五章で、安全衛生に関する基本的な基準を規定しておりまして、それに基づきまして安全衛生規則を、全般的なそれを受けて実施していく細目について規定をし、さらに特別な物質、たとえば鉛等につきましては特別な規則を設けて実施しておるということになっております。  ただいま御指摘のいろいろな産業廃棄物等につきましては、労働基準法は原則といたしまして、工場、事業場内における労働者の安全衛生の確保というたてまえからいろいろな規定をいたしておりますが、一部特別に有毒物質等もございますので、安全衛生規則の百七十四条には、これを処理していく場合に、ろ過、収じんその他の処理をして排出するという規定も設けております。  そこで、この公害に関連いたしましても、何と申しましてもそれを発する源が工場、事業場にございますので、従来のいわゆる工場、事業場の労働者の安全衛生を確保するための規則をさらに充実いたしまして、それから、事業場から排出されます有害物質についてはできるだけ無害にして出していくということをすべきだと考えております。そのためには、この間の九月に実施いたしました総点検の結果、先生御指摘のように、必ずしも排出処理が十分でない、また非常に悪いという面もございますので、物質別に少し検討いたしまして、必要があれば特別の物質別の安全衛生規則を制定するとか、あるいは健康診断につきましては、ただいま雇い入れ及び定期の診断については全面的に規定をし、さらに特別の場合の特別検診については、一部にしか実は規則による規制をやっておりませんので、これをどこまで広げていくかということを検討すべく、関係専門技術者の特別な委員会を招集いたしまして、本日から第一回の会合を開いて、その意見を待ちながら、できるだけ早く整備をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  119. 田邊誠

    ○田邊委員 ひとつ時代に即応した労働安全の法的な面や実際的な規制について、やはり遺憾のないように特に努力をしてもらわなければならぬ。いまのいろいろな個別的な区分のしかたや基準の定め方等についても早急な結論を見出してもらうことを、ひとつ私はお願いしたいと思うのであります。  科学技術庁の方とそれから経済企画庁の方は、あとで資料をいただけばよろしゅうございますから、それから労働省はけっこうでありますから、どうぞひとつ……。  そこで、いろいろな廃棄物が出ますけれども、いま申し上げたようなことで、なかなかその処理がむずかしいという状態である。当然施設の改善をはからなければならない。これにこたえ得るところの施設の完備をしなければならないということもあります。  それからもう一つは、この処理をするにあたっての労働力の確保はなかなかむずかしいのじゃないかというように私は思っておるわけでありますけれども、これに対しては一体どうでしょう。  それからもう一つは、廃棄物の運搬というものがいまの都市の過密化、交通の渋滞、あるいはいろいろな運搬の現状というものがそれにたえ得る状態でない、こういうことからいって、たとえば国鉄なんかの、貨車よりも客車を優先しなければならぬというようなこともありましょうから、そういった面におけるところの廃棄物運搬の困難さというものの増加、これも私は無視できないことじゃないかと思うのですけれども、このいわば処理の労働力の確保の問題と運搬上の困難性の増加という問題に対して、一体どういうふうに対処されるおつもりですか。
  120. 浦田純一

    ○浦田政府委員 清掃事業の運営等に要します関係経費は、ただいまのところ地方交付税によって措置されているところでございます。したがいまして、この中で積算の基礎と申しますか、清掃事業に要する人員の考え方というものの今後の拡充強化ということに相なろうかと思います。昭和四十五年度におきましては、御承知かと思いますが、標準団体におきまして清掃事業の人員は九十九人ということでございます。それから収集、運搬に要する車両の数でございますが、これは二十九台という規模でございます。これらを画期的にふやすということをただいませっかく検討努力中でございますが、当座目標といたしまして人員を百三十人程度にふやしたい。また運搬にいたしましても四十台程度にふやしたいということで、これを一応の目標として努力しているところでございます。  それから全般的な清掃事業の計画立案に関連してくるかと思いますが、最も効果的な収集処理体制の確立、これはすでに川崎市その他でもって一つの方程式をつくって、場合によりましてはコンピューターにもかけてやるというようなことで、最も効率的な配車、収集、運搬、処理体制というものをやっているところもございまして、私どもはこれらの例を見習いながら、いろいろと実際に市町村あるいは都道府県でもっていわゆる広域処理計画というものを立てる際には指導をしてまいりたいと思っております。
  121. 田邊誠

    ○田邊委員 局長がいま言われた程度では、実際にこれから先増加する廃棄物処理に即応できる体制は整わないと私は思います。  きょうは実は運輸省その他呼んでいませんから実際の状態はわかりませんけれども都市の過密化によるところの交通渋滞等によって、いわば処理施設はなるべく近く置きたいけれども、それがなかなか近郊に置けない。そこに運ぶには時間がかかる。それから処理をするところの人たちのいわば待遇の問題もあり、労働条件の問題もあって、実は人員の確保はなかなかむずかしい、こういうことが悪循環としてなされて、そのことによって、先ほど山本委員の質問に対して、これは市町村の固有の事務であるから清掃事務については原則として直営が望ましいという政府考え方が事実上なしくずしにされる、そういうおそれがあるわけでありまして、われわれとしては、これに対してさらに万全の体制を整えてもらいたいと思うのです。  実は、私は法律案の中身について逐条いろいろとお聞きをしたい点がありますが、せっかく大蔵省の相原主計官もお見えでありますから、この際簡単に、これら激増するところのこの廃棄物に対する処理——あとで実は一般廃棄物産業廃棄物との区分についてお聞きしたいのでありますけれども、結果として産業廃棄物のかなりの部分が地方自治体のいわば処理にかかってきている。これは私どもとしてはあまり望ましくないのでありますけれども、そういう状態というものが現実に起こりつつあるという現状に照らして、地方自治体の負担というものは増加をするという結果にならざるを得ないというように私は思っておるわけでありますけれども、さっき山本委員からの質疑がありましたとおり、ごみの焼却施設等において国の補助等はまさにスズメの涙ほどであって、あとは市の負担、いわば住民の負担等によってまかなわなければならぬ、こういう状態でありまするが、一体この地方自治体における一般会計において地方財政計画上この清掃事業の占める割合というものをどれくらいまでに引き上げておったらば今後十分な処理ができるのか。  それから屎尿やあるいはごみ処理について現在補助率がそれぞれ三分の一なり四分の一になっておりますけれども、これらの補助率の中で一体地方自治体は今後において対処することができるのかどうかということになってまいりますならば、私は非常に困難ではないかと思うのでありますけれども、これらに対して国の考え方というものをさらに一歩進める御用意があるのかどうか、まずひとつお伺いしたいのであります。
  122. 相原三郎

    ○相原説明員 ただいまの御質問の中で、地方財政の中でどれくらいの割合がいいかという点につきましては、自治省のほうからお答えしたほうがいいと思いますが、御承知のとおり、たとえば四十五年度の予算で申しますと、ごみ処理施設に十一億、屎尿処理二十五億、三十六億という一般会計の補助金になっております。それから起債につきましては、ごみ処理施設百十八億、屎尿処理四十六億、合計百六十四億という相当多額のものが組んであるわけでございますが、それでもなおかつごみ処理施設につきましては、先生の表現をおかりしますと、スズメの涙ほどだというようなことになっておるわけであります。その点につきましては種々諸施策とのバランスもございまして、なかなかむずかしい問題もございますが、例年大蔵省としても努力してきておるところでございまして、補助率の問題等も種々御議論あろうかと存じますが、いま私たちとしてはできるだけのことをしているというぐあいに考えております。
  123. 長野士郎

    ○長野政府委員 地方財政計画上どれだけ見込んだらいいかというお話ですが、これは結局将来のごみ処理施設衛生処理というものを何年のうちにどれだけやっていくかという施設関係、この関係では、私どもは正直にいいまして現在の五カ年計画では数量的にも非常に少ないのじゃないかというふうに思っております。午前中の御質問にもお答えしましたが、同時に、補助対象として見ておるところの積算の基礎、これが実態に即していないというふうにも実は思っております。これが改善方を関係各省には強く要請しておるところでございます。そういうことでございますので、国の補助二五%というものが全体の事業量の中で非常に少ない割合になっておるということになるわけでございます。それから同時に、補助事業と単独事業の割合というものは、むしろ単独事業のほうが非常にふえておるというかっこうで推移をしておるわけでございまして、私はその点では改善を非常にする必要があるというふうに考えております。  それから、これは積算の基礎にいろいろあると思いますから議論は多様に分かれるわけでありますけれども、今後五年ないし十年の間に衛生処理というものをそのままにほうっておくわけにはいかぬだろう、そういう意味処理率をどの程度あげるかによって相当財源を必要とするというふうに考えておりますが、同時に、先ほどからの御議論は産業廃棄物の御議論でございますけれども産業廃棄物等につきましては、私どもとしては財政措置というようなものも、いままでいろいろお話がございましたが、ほとんどなされていないといっていいんだろうと思います。同時に、私ども産業廃棄物につきましては、今度の法案にも明らかでありますように、産業自体がまずみずから処理をする、これが原則だと思います。したがいまして、そういう意味特定の事業、産業にかかわる廃棄物でございますならば、これは処理施設のための経費それ自身も産業が負担するのが当然である、また処理に要する経費も負担する。それがかりに一般廃棄物と同時に処理すればいいというようなことで市町村あるいは県が行なうという場合におきましても、その産業廃棄物の量に応じましては、その部分につきましては手数料その他にはね返しまして、これは当然に産業が負担をするということをたてまえにすべきだろうと私は思います。  これは荒い計算でございますが、今後のごみ処理につきまして、家庭のごみ処理、つまり一般廃棄物でございますけれども一般廃棄物を昭和五十五年度で厚生省当局のいろいろ資料を推定いたしましたときに、一〇〇%処理をするということを考えました場合は、なお相当、約七千億近いものが必要だというふうに私どもは推定をしております。それを急いでやるということになれば、伸び率は非常に大きくなるということが出てくるわけであります。  また同時に、先ほどお話がありましたように排出量もまた、どんどん生活が向上することによってふえてまいります。そのほかに産業廃棄物であるとか粗大ごみであるとかいうことは、なお別のことでございます。私ども考えておりますのは、その面では産業廃棄物関係において当然に地方団体が一般財源をもって処理するということには必ずしもならない。むしろそうではなくて、特定のものがまず負担をする、その上でなお公共的な必要があるという場合に、これは公害防止事業として国がまず相当考えていくというのが順序ではなかろうか、私どもはこのように考えておりますが、なお厚生省その他大蔵省ともいろいろ協議をいたしまして、この事業の必要度というものはだれしも異論がないところでございますが、その処理を矛盾のないように進めていくように努力してまいりたいと思います。
  124. 田邊誠

    ○田邊委員 いま大蔵省からできるだけの努力をするというお話もあって、自治省から今後の見通し等についてお話がありました。  そこで厚生大臣、第二次五カ年整備計画というものが昭和四十六年で終わるわけでありますけれども、いわば新しい器をつくらんとしているのであります、法律を提案をしておるのであります。当然新しい酒を盛らなければならぬのでありまして、いわばこの五カ年計画は四十六年で終わるにいたしましても、来年度からは新しい観点でもってこれに対するところの整備計画を早急に立てなければならぬ。これはもちろん緊急措置法等の関係等もあります、改正もあります。したがって、法律改正と新しい何年計画なり長期計画というものを樹立をして、これは当然大蔵省なり自治省のそれぞれのいわば協力が必要なわけでありますけれども、出発を新しくしなければならぬところにきていると私は思うのです。私は、本来的な厳格な意味からいえば、この新しい法律案を出すと同時に整備計画というものを新しく出す、一緒に出す、こういうことがなければ、これはいわばざる法みたいなものでありまして、法律はつくるけれども実際の財政措置はしないということであっては何にもならぬわけでありまして、これに対してひとつの新しい整備計画なり、それに基づくところの法律改正等、次の通常国会で御用意をなされるお考えがあるのかどうか。  それから、いま予算編成期でありますから、細密な今後におけるところの長期計画というものがまだ完成していないことは十分わかりますけれども、しかし少なくとも私どもの資料の審議の過程において、そのアウトライン、その上のデッサンくらいは示されるのが当然私は成り行きではないかと思うのでありますけれども、そういった具体的な中身についてお示しをいただく御用意があるかどうか、この際ひとつ審議の進行ともあわせて明確な御答弁をいただきたいと思う。
  125. 内田常雄

    内田国務大臣 ごもっともの話であると存じます。私は法律による緊急整備計画というものを改定することも、もちろん手続上の必要があろうかとも思いますが、いまの緊急事態のもとにおいては、それよりも前に四十六年度においては、現状に即して、またある程度の将来の見通しを加えまして、これまでの五カ年計画の年度割りというようなことだけに縛られないで国からの助成もし、あるいは財政投融資などもめんどうを見なければ現実に即せないとも考えまして、そこで実は四十六年度の予算の概算要求並びに財政融資の要求におきましては、たとえば予算の補助金は四十五年度にはわずかに三十億円余りでありましたのを六十二億円近い補助の要求、つまり倍くらいの補助の要求もいたしておりまするし、財政投融資におきましても、これも倍近いような要求を出しております。そうして現実に即しながら、緊急整備法などは、これも数年間の先を見てやらなければならないわけでありまして、現在各主要都市の計画などもせっかく集めておりますので、それとの見合いにおいてつくってまいりたい。ただ一つ幸いなことには、本年に決定いたしました新経済社会発展計画というようなもの、これは昭和五十年を目標といたしまして、一つ一つ明確ではありません、かなりどんぶり勘定のようなところもございますけれども、三千数百億円というようなごみ屎尿処理についての事業費の目標もきめておりますので、そういうものは一つの目安になるだろうと思いますので、明年の要求もいたしておる、こういう次第でございます。
  126. 田邊誠

    ○田邊委員 具体的なものがありますか。
  127. 浦田純一

    ○浦田政府委員 概略は大臣のお答えのとおりでございます。   〔委員長退席増岡委員長代理着席〕  新しい五カ年計画をつくるかどうかという点でございますが、これは一部、たとえば産業廃棄物につきましては、大臣お答えのとおり、まだ計画を都道府県で作成中のところもございますし、できないところもあるというようなこともございまして、それを個々の形では取り入れることはできませんけれども、全体的な見通しといたしましては新経済社会発展計画の中のワクも千億余りでございますし、これで処していけるものと思っております。また一般的な現行五カ年計画につきましても、新たに昭和五十年を目標といたしまして新しい計画を、その事業内容を拡大してただいま細部を計画準備中でございます。
  128. 田邊誠

    ○田邊委員 本来は私がさっきこまかく言ったように、たとえばこういう法律案を出して処理体系を確立させる、処理の万全を期する、こういうことであれば追っかけていわばある程度の長期計画の中身というものが明らかにされなければ、私どもに何にも字づらだけの審議をしているわけじゃございませんで、一体どのような具体的な計画があるのかということが最も国民が知りたい、あるいは地方自治体もいわば一番知りたい中身なわけですね。いま市町村では、この法律ができたら、われわれのほうは財政負担ばかりふえてしまって、とても耐え切れない、一体どうしてくれるのだ。いままでのような三分の一や四分の一の補助くらいじゃ、とてもまかない切れぬ。実際、私ども強調して歯どめをつけたいと思っておりますところの産業廃棄物企業者負担というものも、実際には都道府県なり市町村がかなりその処理を受け持たなければならぬ部面があるから、これの費用というもの、その設備費なり運営費なりというものがほんとうに市町村の負担になるのかということに対する不安をぬぐい去ることができないわけです。ですから私は強く言えば、実際はこれが示されなければ、その後の審議はできないというところまで言い切りたいところなのでありますけれども、そういうふうにもまいらぬと思うのでありますが、一体いつごろまでにできますか。いま大臣は新経済社会開発計画の中において三兆一千四百億が環境衛生関係になっておるという、こういうお話もございました。しかし、一体これが現状に即応して適確なのかどうか。それからこの中における下水道関係や簡易水道あるいは清掃施設都市公園等のこういった中身が一体どういうふうなぐあいになっているのかということについて雲をつかむような話では困るのでありまして、ある程度これに対するところの肉づけがわれわれとしては必要ではないかというふうに思っておるのでありますけれども、何か出ませんか。
  129. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ただいまの、現行のいわゆる第二次五カ年計画に沿って延ばすということにつきましては、ある程度数字も持っておるわけでございます。これに加えまして、さしあたり四十六年度におきましては、新しい事態としてたとえば大型ごみ、固型物それから産業廃棄物という新しく加わった要素にどう対処していくかということでございますが、一部についてはすでに四十六年でもって予算要求中でございます。それから全般的な遠い将来といたしまして、先ほど申しましたように、昭和五十年を目標とする事業投資額が幾らかということは、新経済社会発展計画の中でもって出ている数字があるわけでございます。これらはまだ事務当局の検討の段階でございますけれども、数字で申しますと……。
  130. 田邊誠

    ○田邊委員 これはちょっとあとで数字ください、時間がないから。
  131. 浦田純一

    ○浦田政府委員 はい。四十六年を初年度としまして、昭和五十年を目標とする第三次の五カ年計画を立てたいということで、その目標は、まずごみにつきましては、ごみ屎尿も同じでございますが、目標国民人口の九〇%、そして九五%にしたい、それから……
  132. 田邊誠

    ○田邊委員 早めるわけだね。
  133. 浦田純一

    ○浦田政府委員 はい。九五%にいたしました。  それから新経済計画におきまする全体のワクが三千五百億円でございますが、これは産業廃棄物の分として約一千億円というものを盛り込んで、その中で処理していきたい。いずれも目標の年度は五十年ということでございます。
  134. 田邊誠

    ○田邊委員 あとでひとつ中身についての資料をいただきたいと思います。よろしゅうございますね。——返答かないけれどもよろしいと解釈するから……。  そこであと時間がないから、法案の中身について、それぞれの議員からまた質問があると思いまするが、簡単にお聞きします。まとめてお聞きします。  まず、第二条の定義について。一般廃棄物の中には商店街から出るごみは入っておりますか。それから、事業をやっているビルから出るところのごみは入っていますか。それから産業廃棄物というのは、事業活動をみずから処理した後の燃えがう等はどうなっているのか。この点に対してはどうですか。
  135. 浦田純一

    ○浦田政府委員 お尋ねの商店街から出る廃棄物はどうなるかということでございますが、これは第二条の第三項によります場合を除きましては一般廃棄物に入るわけでございますが、この法の趣旨からいきますと、産業廃棄物というものが原則かと思います。それからビルから出るもの、これは産業廃棄物でございます。それから事業所でみずから処理した残りの燃えがらでございますが、これの始末もやはり産業廃棄物として事業者責任になるわけでございます。
  136. 田邊誠

    ○田邊委員 その点、一般廃棄物というのが家庭廃棄物以外のいろんな部面でもって錯綜していると思います。やはり従前の家庭廃棄物というところの概念というものが一つの規定づけになりませんね。これを別に取り出して規定をする必要はありませんか。
  137. 浦田純一

    ○浦田政府委員 この定義で、一般廃棄物産業廃棄物の区別をいろいろと議論したわけでございますが、終局のところ、産業廃棄物というものを明確にするということによりまして、一般廃棄物はその反対としてとらえられていくという考えに落ちついたわけでございますが、この法律の二条第一項ですでに廃棄物という概念については具体的例示を掲げまして、しかも従来明確でなかったものについてもあげることによりまして、かえって現行の法律に比べれば整備されたのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  138. 田邊誠

    ○田邊委員 説得力がない。しかしその点はあとでもってわれわれのほうから主張いたします。  それからこの定義の問題については、時間がないから省きますが、やはり廃棄物処理という概念はきわめて消極的ですね。いわば起こってくるものに対して、押し寄せてくるものに対してどう受けとめるかということだけなんです。実際にはいままでの清掃という概念からいいますならば、やはり環境を保全し、環境を改善をする、生活環境をよくしていく、こういういわば積極的な意味というのが概念的にとらえられていない、こういうふうにわれわれ主張しますけれども大臣、それに不服ならあとで答弁してください。  その次の問題として、第九条にいうところの、産業廃棄物処理責任というのは、これは原則的には事業者責任ということになっているけれども、やはり第二項と第三項において、これが市町村都道府県処理責任を規定しています。したがって法文の趣旨として、廃棄物の主たる処理責任というものはどこにあるか。やはりこの面でもってぼやけてくる、こういうおそれがあると思うのでありまするけれども、私がこの表をつくりましたけれども、単に処理上から見た区分からいいますると、産業廃棄物という中には、企業が自己処理するものが一つ、それから次には都道府県または許可業者というものが、広域的に処理することが適当である産業廃棄物についての処理をする、こういう部面がある。それからさらに、市町村単独または共同あるいはまた許可業者が一般廃棄物をあわせて処理することができるもの、あるいはまた、そういう必要があると認める産業廃棄物産業廃棄物については、いわば処理をする三つの部面がありますね。それから一般廃棄物として一般家庭が自己処理するもの、それから市町村または許可業者が処理するもの、こういうものがありますね。したがってこれを今度逆に言いますならば、都道府県広域的には、産業廃棄物について、適当であると思ったときにはこれを処理する、こういう責任分野がある。それから市町村は、一般廃棄物についての処理をすると同時に、いま言ったように、単独または共同でもって一般廃棄物をあわせて処理することができるもの、あるいは必要であると認める産業廃棄物について処理するところの責任分野がある、こういうかっこうになりますね。したがって責任分野という面から見れば、これは入り組んでいるのであります。そう明確でないのであります。したがってわれわれとしては、産業廃棄物についての処理責任というものが全的に地方にあるという認識に立ち得ない、こういうふうに思っているわけでありますけれども、このいわば処理区分からくるところの責任体制というものについて一体どういうようにお考えですか。
  139. 浦田純一

    ○浦田政府委員 まず、産業廃棄物、これが一番問題であると思いますが、産業廃棄物処理区分につきましては、この第九条——あるいは第三条にも書いてございますが、第九条に掲げてありますように、事業者みずから処理しなければならないという、いわゆる事業者責任は明確であると思います。しかしながら実際上の問題といたしまして、市町村の現在あります処理施設あるいはさらにはそのために特別の処理施設というものをつくって、産業廃棄物市町村処理したほうが効率的である、便利であるという面があろうかと思います。その施設の設置費あるいはその施設の利用、それにつきましては事業者責任ということでございますので、事業者が負担するという形になるわけでございますが、そういった施設市町村がつくる、あるいは運営するということを全然できないというふうにしておきますと、実際上の問題、たとえば八百屋あるいはおでん屋さんとか、そういったところから出てくる、商売に伴う廃棄物、あるいはもう一つの場合といたしましては、実際的には最終的に事業者がその責任としても、処分地になかなか困るといったような、たとえば燃えがらとか汚泥とかいったようなものもあるわけでございまして、こういったようなときに市町村が手を貸す、しかしその費用はあくまでも事業者が負担するという形でもっての市町村の関与ということはあってもいいじゃないかという考え方でございます。また三項の、都道府県について行ないます広域的に処理するための事業というものも、市町村が行ないます場合と同様の考えでもってその余地を残しておくということでございまして、この法律全般を通じまして、産業廃棄物にかかる事業者責任というものは明確であると考えております。  家庭廃棄物につきましては従来の考えでございますので、市町村の固有事務としては最終責任市町村にかかるということでございます。
  140. 田邊誠

    ○田邊委員 しかし事業主の責任をいわば第一義的に考えているという説は、この廃棄物処理責任というものが、ほんとうに必要悪も置いてはならない。こういういわば公害の基本的な原則に基づいてなされておるとすれば、私はさらに厳格にしなければならぬと思うんですよ。ただこの三条の二項に「適正な処理が困難になることのないように努めなければならない。」となっていますけれども、私はこれはこういう努力規定だけでは実際には幾らでも抜け穴があるわけでございまして、さらに企業責任を厳格にするということになれば、そういった者が適正な処理ができないという場合には、製造販売等をしてはならないというふうに規定をすることが、より今度の公害防止環境保全のいわば原則に立った国の考え方からいえば当然の措置でないかと思っているわけでありますけれども、この点はいかがですか。大臣どうですか。
  141. 内田常雄

    内田国務大臣 この三条の規定は、実は私はもう若くありませんので、法律の規定まで文句を言うつもりはございませんでしたが、正直に申しますと、三条を入れることについて、これはぜひ必要だということで私は非常にがんばったことがありました。ということは、三条の規定の特に二項をお読みいただくとわかるのですが、これは必ずしも産業廃棄物として残されるものではなしに、事業者がつくって消費者に売り渡す、ある入れものに入れて百貨店に納めてしまう、そのあと処理のことについてもその事業者がある種の公共的な、社会的な態度を持ってほしいし、また責任もとってほしいという意味で入れましたかなり思い切った規定でございます。事業者そのものの産業廃棄物規制する規定は九条以下に並べてございますが、三条の規定はそういうふうにお読みいただきたいと思います。  それから立ちましたついでに、清掃法という名前のことでありますが、名前でございますから私はこだわりませんが、私どもといたしましては、いままでの限られたる範囲ごみとかあるいは屎尿処理、そういうものよりも産業廃棄物等を含めまして、そして環境をきれいに保つということから、できるだけ広い体系的な処置をするという意味から、この際名前も変えたほうがいいのではないかということを実は考えまして、清掃法という名前にしなかったわけでございます。しかしたびたび申しておりますように、その中身の一般廃棄物、ことに市町村主体とするそれの処理の体系などにつきましては、従来地方の組織などの問題もございますので、できるだけその体制を重んじて活用するということを取り入れておりますことを御理解いただけると思います。
  142. 田邊誠

    ○田邊委員 いま大臣はたいへん努力をされているようなお話でありました。もちろん抵抗があったと思いますよ、抵抗があったことは私はある程度うかがい知りますけれども、しかしこれでは抜け穴なんです。実際には努力目標ということは、あなたみたいに性善説だけとるような人ばかりいるわけじゃございませんで、やはり業界は採算ペースに乗ってなるべくもうけようという精神でありますから、そういったものができなくて、罰則があっても、十万円や五万円の罰金でもって処理しなくても済むなら、そのほうがよほど金がかからぬはずです。だからそういうような悪徳業者がいるということも踏まえて、あなたみたいなお釈迦さまか聖人のような方々ばかりおるわけではないのでありますから、行政に携わる以上は、そういった抜け穴のないような処置をとることが当然の責任である、私はこういうふうに思っておるわけでございまして、この第三条はそういう意味合いから言うならば、やはり厳格な意味において禁止するというふうに変えていくことが当然の成り行きではないかと私は思うのであります。大臣はこれに対してあまり明確な反対はないと私は認識をいたしておりますから、そのようにひとつぜひ進めさせていただきたいと思っておるわけであります。  実は時間がございませんので、あと許可の問題について山本委員から質問がありました。許可業者の問題については、新しい六条の規定によって許可業者以外は認めてはならない。したがって届け出も許可も要らないような再生業者等を許すことは、今後に非常な危険を生むとわれわれは認識をいたします。  それから許可をする際におけるところの基準というのは、今度の改正によっていわば市町村が計画をした第五条第一項による一定の計画というものをきめたときに、その計画に適応するものであればこれは全部認めるということなんです。環境衛生上の支障を生ずるおそれがないと認める、こんなのはあたりまえの話ですよ。こんなのは、この種の業者で環境衛生上の支障があるようなものはありっこないのであります。これはいわばあってもなきがごとき規定なんでありまして、計画に当てはまれば何でも認めるという、そういういわば請負化というものをさらに促進するような考え方というものは、これはやはり持つべきでないというふうに思っておるのであります。私はひとつこの際大臣に、やはり清掃の仕事というのは市町村の固有の事務であるから、したがって直営が望ましい、直営の方向でいきたいと特別国会で言われたということでありますから、いわゆる直営の方式というものを、そして原則的にいえば家庭廃棄物については手数料を取らない、これがやはり望ましい、しかし現に手数料を取っておるところもありますから、にわかに変えがたいわけでありますが、それはそれとして過渡的な措置は必要でありましょうけれども原則的にいえばやはり直営で無料化というのが望ましいというあなたのいままでの主張というものをこの際やはり私は明確に貫くべきであるというふうに思っておるわけでありますけれども、ひとつ厚生大臣、この際あなたのいわば初心を貫く御用意があるかどうか、あらためてお伺いしておきたいと存じます。
  143. 内田常雄

    内田国務大臣 法律の規定のしかたとしては、私はこだわるわけではございませんけれども、これでいいと思いますので、あとは許可行政等の運用の問題あるいは使用料徴収等の運用の問題でございますので、基準もできるわけでございますから、ただいまの御意向を十分取り入れまして、そうして人々の考えているところによって私どもは行政を行ないたい。なかんずく国会は国権の最高機関でございますので、御意見のありましたところをよくテークノートいたしたいと考えます。
  144. 田邊誠

    ○田邊委員 それじゃあとはひとつほかの委員に譲りましょう。終わります。
  145. 増岡博之

    増岡委員長代理 山口鶴男君。
  146. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 産業廃棄物処理法案につきまして、主として高分子物質、プラスチックの問題を中心にして、具体的な点を幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  まず、合成高分子物質、いわゆるプラスチックにつきましては、この法律で規定しております一般廃棄物産業廃棄物、この区別は私はきわめてむずかしいんではないかと思います。御案内のように、プラスチックの種類は非常に多うございます。たとえばユリア樹脂は食器類に使われています。ポリエステル樹脂は建築用材、釣りざお、その他ふろ等の材料に使われておる。塩化ビニールはフィルムあるいは建築用材あるいは水道管等に使われている。スチレン樹脂、これは贈答品等のパッキングに使う発泡製品ですね、くしあるいけ皿、コップというような食器類に使われている。ポリエチレンはポリバケツ、コップあるいはフィルムあるいはヤクルト等の乳酸菌飲料の容器に現在使われているのでしょう。  こういうものを考えた場合、いわば石油化学工場で製造の過程で出る産業廃棄物もあると思います。それからこれを買いまして、いろいろな形に加工する加工業者から出る産業廃棄物もあるでしょう。それからさらに加工したものを買ってきまして、それを具体的に詰めるとか、いわば使用者という立場から、ユーザーということになりましょうが、これから出る産業廃棄物もあるでしょう。最終的には家庭へ行きます。ところが家庭へ行きましても、このプラスチックの性質からいって腐敗をしない、燃焼しがたい、酸化しがたい、こういうものでありますから、そのままの形でいわば家庭用のごみとして出てまいります。  そういった流れを考えました場合に、このプラスチック製品は、一般廃棄物それと産業廃棄物とは一体どこの段階で、製造、加工、使用そして家庭、この四段階を考えた場合に、一体どこで区別ができますか、これをまずひとつお伺いいたしたいと思います。
  147. 浦田純一

    ○浦田政府委員 今回の改正法の第二条の定義のところでもありますように、まず第一段階では廃棄物ということで大きく網を広げまして、そこで第一項で具体的な例示をしてございます。また第二項におきましては、第三項との関係におきまして、産業廃棄物というもの以外のものは一般廃棄物として扱うという考え方で整理されておるわけでございますが、お尋ねのプラスチックに具体例をとりまして、メーカー、加工業、ユーザー及び家庭という四段階におきまして、同一のプラスチックが一体どのような区分で産業廃棄物一般廃棄物になるかという点につきましては、いずれもメーカーあるいは加工業、ユーザー——たとえば牛乳容器で申しますと、牛乳容器としての原料をつくる段階それからそれをびんに加工する段階、それからそのびんを使いまして牛乳の中身を詰める、配達する、その段階はいずれも産業廃棄物としての範疇に入ります。一たん家庭、消費者の手に渡りまして家庭から出されますときには、これは一般廃棄物という区分になるわけでございます。
  148. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一応わかりました。そういう定義で家庭から出るものはすべて一般廃棄物だというふうに割り切るといたしますと、このプラスチックが今年の生産で約五百万トンですね、その分類でいった場合に、それではいわば家庭から出る一般廃棄物として出てくるものが一体何万トンで、それから産業廃棄物として出るものが一体何万トンくらいあるのか、おわかりですか。
  149. 浦田純一

    ○浦田政府委員 つまびらかな数字は手元にございませんが、大体昭和四十五年、今年度の全体のいわゆるプラスチックの生産量はすでに年間四百万トンをこえておるというふうに承知しております。そして大体塩化ビニールが百万トン、ポリエチレン、これがほぼ同量、それからポリプロピレンその他が四、五十万というふうに記憶しております。これらが先ほど申しました一般の家庭からどの程度の廃棄量になるかということについてはつまびらかな調査は私存じておりませんが、年間の生産量のほぼ半分が廃棄量として出てくるということのように聞いております。四段階いずれの段階においてどれだけ出るかということについては、私現在承知しておりません。
  150. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう点はっきり押えられぬと、一般廃棄物中のプチスチックが一体どのくらいであって——この処理が実は自治体が行なう清掃事業として一番困ることなんですから、これがやはり押えられなければ、私は話にならぬと思うのです。いまのお話でしたら、結局本年ほぼ五百万トンの生産になるでしょう。三分の一が塩ビ、三分の一がポリエチレンというようなことは常識ですから、そんなことはお答えにならぬでよろしい。そうしますと、その半分がこの家庭から出る廃棄物、いわゆる一般廃棄物として出るだろうということでありますから、そうすると、昭和四十五年は二百五十万トン。年間ごみの伸び率はおおむね四%ぐらいですけれども、プラスチックの伸び率は二〇%ですね。そうしますと、昭和五十年でいきますと、一千二百万トンというプラスチックが生産をされる。そうすると、昭和五十年におきましては六百万トンのプラスチックの一般廃棄物が出る、こういうように了解してよろしいわけですな。
  151. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現在のままの処理体制、あるいはメーカー側の生産体制がそのまま推移しますと、お説のようになることも予想されると思います。
  152. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それではこの問題はまたあとで問題にいたしますが、次の問題をちょっとお尋ねしたいと思うのです。  先ほど田邊委員も問題にしておりましたが、この法律の第三条「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」第二項といたしまして、さらにいろいろ書いてございますが、通産省にお伺いいたしますが、通産省はこの合成樹脂の生産につきましては大いに奨励をしておられるようであります。たしか私の記憶によりますと、一九六〇年、十年前はプラスチックの生産はせいぜい八万トンくらいだったんじゃございませんか。それが十年たった現在五百万トンに伸びている。この調子で増加いたしますならば、一九八〇年代にはボリュームでいっては鉄の量をしのぐ、こういうふうにいわれていますね。しかも現在はプラスチックの原料になりますエチレン、ナフサを分解してエチレンをつくるわけですが、そのエチレンは三十万トンプラントが常識になっておるでしょう。新規設備についての認可基準を三十万トンにしたのは一体いつですか。
  153. 山下英明

    山下政府委員 現在三十万トンエチレンプラントを九基つくる計画で進めておりまして、その最初の一基は去年、昭和四十四年にできたわけでございますが、この計画は私どものほうで持っております石油化学の設備に関する協調懇談会というもので、昭和四十二年ごろより論議をして相談しながらやってきた計画でございます。
  154. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 設備協調懇談会で相談しながらやってきたというのですが、一九七五年、昭和五十年にはプラスチックの生産はおおよそ千二百万トンになる、こういわれていますが、おおよそそうなりますか。
  155. 山下英明

    山下政府委員 プラスチックの一般的な需要見通しにつきましては、先ほど先生のおっしゃった一九八〇年には鉄の容積をこえるだろう、かつ七五年には現在の倍以上にいくであろうという見通しは私どもも尊重しております。と申しますのは、日本でも世界でもその種の需要は伸びております。ただ政府の公式の需要予測は現在まだ確定しておりません。御承知のように合成木材、合成紙等の問題等を詰めてからにしたい、こう思っております。
  156. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 従来使われておりますもののほかに、いまお話があったように合成紙あるいは合成木材というものにまでさらに積極的にプラスチック製品の使用目的を広げていこうというのが通産省のほうのお考えであるように聞いております。エチレンの新設許可基準を、従来は年産十万トンだったものを一九六七年、三年前の六月ですか、引き上げたんじゃありませんか。そうでしょう。
  157. 山下英明

    山下政府委員 そのとおりでございます。
  158. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうふうに通産省としてはプラスチックをどんどんふやす。年率二〇%をこえるくらいの勢いでふやしていくという勇ましいお考え方を持っておられる。私は、厚生大臣にこのことをよく認識をいただきたいと思うのですよ。  さてそこでお尋ねしたいのは、先ほど申し上げた事業者の責務、第三条です。「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任にお  いて適正に処理しなければならない。」こう書いてありますね。まず通産省に聞きましょう。現在メーカーがこの最も処理のむずかしいプラスチック、煮ても焼いてもということばが昔からありますけれども、まさにこのくらい煮ても焼いてもどうにもならぬものはないでしょう。南氷洋の鯨のおなかをさいたらビニールのハンドバッグとナイロンの靴下が出てくるという、こういう時代なんですから、海の下にはこのプラスチックの廃棄物がうようよ浮いておる、こういう時代なんですから、これはたいへんなことであります。はたしてその事業者は今日まで、みずからの責任でこのプラスチックの産業廃棄物をどのように処理する努力をやってきましたか。具体的にどんな施設を幾つつくり、その処理能力は何トンであって、どのように動いておりますか。
  159. 山下英明

    山下政府委員 先ほど御指摘がありました自社内及び産業内の廃棄物処理については、従前とも、各社現にやっているもの及び研究を続けておりますが、一般廃棄物について事業者が問題に取り組みだしたのはごく最近でございます。その産業廃棄物の自社内の処理施設につきましては後刻資料を整備して御連絡申し上げたいと思います。
  160. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 後刻資料を整備して出してもらうなどということではまだるっこしくて困るのですがね。通産省からいただいた資料を見ました。「合成高分子廃棄物処理のあり方について」に対する作業分科会報告書。これを見ると、わが国でただ一つの塩化ビニール製品のくず共同の焼却工場のコストを例示すると、処理量一日二十トン、この設備費は約五千万円、運転費はトン当たり約五千円であって云々ということで、塩化ビニールに対してこの産業廃棄物の共同焼却場がたった一つしかないという状況じゃないですか。こんなことでどうしますか。わずか一日二十トンです。それではいままでの企業産業廃棄物は、一体どんな処理をやってきたのですか。その現状をひとつ御報告をいただきたいと思うのです。
  161. 山下英明

    山下政府委員 加工の際に出ます切削くず等は自社内でできるだけ処理しておったわけでございますが、いま御指摘のように、多種の塩ビ製品を共同で処理する施設はまだまだ十分に稼働しておらない現状でございます。それと工場からの廃品業者に対しては、事業者もその処理に指導を進めてきた段階でございます。
  162. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 環境衛生局長、いまの御答弁聞いておったと思うのですね。せっかく法律でこんなことを書いたって、実際にメーカーのほうを指導しておられる通産省の側は、産業廃棄物の具体的な処理のことについてもきわめて不熱心だ。実情もほとんど把握しておらぬ。こういうようなことで一体どうなんでしょうか。三条にこんなりっぱなことを書きましても、現実にこれはさっぱり動く可能性はないじゃありませんか。特に私強調したいのは、石油というのはほとんど九九%まで海外に求めるものでしょう。やがてその石油資源というものを日本が有効に確保できるかということも、将来大きな一つの問題点とされておる時代ですね。そういうときに、私はやはり貴重な石油資源を使ってつくりました合成高分子物質、プラスチック、これをこの法律に書いてあるように、さらにその次にも書いてありますが、「廃棄物の再生利用等を行なうことによりその減量に努めるとともに」と書いてあるじゃありませんか。その再生利用等に十分努力をして、いわば資源保護という観点からも、私はここにあります三条の第二項というものは厳密にやらなければいかぬ問題じゃないか、かように思うのです。この法律立法の過程で主管官庁たる厚生省は通産の側に、一体事業者産業廃棄物をどのように処理をしてきたのか、今後五カ年計画で一体どういう施設をつくって、どういう処理をプラスチックにおいてはやろうとしておるのか。またこの事業活動に伴って生じた廃棄物の再生利用については、資源の上からいっても重要である、また環境保全という点からいっても重要である。そういう点で、「減量に努める」とあるが、この再生利用等、あるいは減量を行なう、こういった計画は、石油化学工業界ないし加工業界では一体どうなっておるのかというくらいのことは私はある程度話をし、詰めたんじゃないかと思うのですが、厚生省、一体その点はどうなっておりますか。
  163. 浦田純一

    ○浦田政府委員 プラスチックが廃棄物となって出た場合に及ぼすいろいろの影響につきましては、厚生省としてはすでに数年来研究をいたしておるところでございます。またその結果といたしまして、どうしてもひとつ根本的には製品の開発そのものについて、最終的な処分を考え製品にしてほしい。それからなお一方、自治体側は、最終的には市民の生活から出てまいりますこれらの廃棄物、これもだんだんに世の中が変わってきたわけでございますので、当然その中で占める比率というものは増してくるわけでございます。これらの施設の強化拡充と申しますか、これらについてはひとつ強力に対処してほしい。またそれらに対して私どもとしては種々技術上あるいは財政上の援助措置も講じてまいったわけでございますが、これら全体の問題について長期計画を立ててどうするか、長期構想をどうするかという問題と、それからさしあたって迫ってまいりますいろいろな問題、たとえば市町村におきまする焼却施設の能力の限界の問題、そういったことにつきまして、通産省あるいは農林省その他関係の各省に、さしあたっての問題とそれから長期的な対処方法ということについてこちらからも十分に御相談、御要望申し上げ、さしあたっての策については、ことにただいま各省庁間で検討中でございます。
  164. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうなんですか、通産省の側はそういった五年計画等、産業廃棄物に対して、メーカーあるいは加工業者というものの産業活動に伴って生じた産業廃棄物なんですから、これはいまでも問題になっているわけですから、当然きちっと整備をすべきだ。どういう構想で一体やるのかということは、当然業界とすでに話し合っているべきだと思うのですが、そういう計画は立っておるのですか。   〔増岡委員長代理退席、伊東委員長代理着席〕
  165. 山下英明

    山下政府委員 すでに去年の八月から私どもの軽工業生産技術、審議会の中に、合成高分子廃棄物処理のあり方についての諮問をもとに、特別の委員会審議を重ねてきております。この審議会で技術的な点その他も含めて審議いたしまして、その作業分科会の報告はことしの五月に受け取ったわけでございます。政府側が従来いまおっしゃいました五カ年計画で進めたいと言っておりますのは、処理の技術面を基礎的に五年間かけてもじっくり進めまして、根本的な対策を立てようということでございますが、御指摘現実の問題につきましては、五年を待たずに着々とまた措置をせねばならぬ、こう思っておりまして、それなりの予算要求をしておるところでございます。
  166. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 五月十八日出ましたその答申というのを拝見しましたけれども、とにかく熱処理、焼却処理についても、あるいは微生物を使う処理についても、あるいは酸化で劣化させる問題についても、むずかしい、むずかしいということが書いてあるだけじゃありませんか。そうでしょう。ただむずかしい、むずかしいということを書いてあって、これから五カ年かかって技術開発を進めていこうというのんびりしたことでは、当面とにかく本年五百万トン、昭和五十年には千二百万トンなんですから、それだけ膨大に生産されるプラスチック、しかも半分が一般廃棄物であって、その残った半分の相当部分が産業廃棄物でしょう。そういうものがどんどん出てくる。それに対する具体的な処理の計画もないというようなことで一体わが日本はどうなるのですか。通産省のほうはまさにふやすこと、生産することばかり考えておる。十万トンの設備許可基準を一挙に三十万トンに引き上げる。そしてどんどんふやすことを考える。厚生大臣どうですか。国務大臣としてお考え方をひとつはっきりお示しいただきたいのです。
  167. 内田常雄

    内田国務大臣 私は先ほどから聞いておりまして、ある意味で私が考えているようなことの一部を実は山口さんが言ってくださっているようなところがございます。ところが、いま取り上げていらっしゃる第三条などの規定も、これはよく読んでいただくとわかるのですが、議論いたしておりますように、プラスチック製品をつくりましても、それが消費者のほうに渡ってしまいまして消費者のほうから一般廃棄物として出てまいりますので、したがって事業者責任からはずれてしまうことに法律のたてまえ上はなってしまいますので、ここでわざわざ、いろいろな方面の思惑はあったでございましょうけれども、断固容器までこの規定を入れました。そこで、あなた私を追い詰めておりますが、厚生省としてはこういうものに対する通産省の処理計画が立っていなければ、この廃プラスチック等の産業廃棄物等に対する処理責任あるいは処理体制というものを規定しないで済むかというと済まない。それは横になってもさかさになってもこれはぜひひとつ事業者の面でいろいろ考えてほしいし、事業者製品として百貨店や化粧品店あるいは乳業者に売り出すときに、あとのことまでも考えてもらうようにしなければ厚生省としては役目が果たせない。そればかりではありませんが、連合審査会でもお話がありましたように、これは農林省のほうでは、従来はそういうプラスチック類によるワンウェーの牛乳容器の奨励さえもやっておりました、しかし厚生省の御意向もありますので、今後は厚生省の言うことによく相談に乗って、そして方向転換をいたします、こういうことを言っております。現にこれは五カ年計画でどうするかということは、私はスケジュールがどうなっておるか知りませんが、これは厚生省ばかりで幾ら強がってもできることではございませんので、通産省も経済企画庁も農林省も入れまして、厚生省としてはこの法律の成立と関連いたしまして、この廃プラスチック類の現実処理をどういう技術的な検討を進めてまいるかということにつきまして関係機関に対して協力会議を求めてやっておるわけであります。でありますから、この法律は決して悪い法律ではなしに、あなたのお考えのようなところまで私が心配しておりますことを、そういう見地から一歩を進めて、これでメーカーのほうも、また利用業者のほうも考えてほしい、こういう趣旨で私はこの法律をつくらせました。
  168. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 法律の趣旨はいろいろ御説明もありましたが、ただ、この書き方では不十分だということを先ほどわが党の田邊委員指摘しておりますから、この法律論の問題はおきましょう。  さらに私は、実態の問題として話を進めたいと思うのですが、塩化ビニール、プラスチックあるるいはポリエチレン、それぞれ問題がありますが、まず塩化ビニールの問題ですね。これについては自治体も非常に苦労しています。とにかく塩化ビニールを燃焼させるということになれば、三百度くらいに熱しますと、塩化ビニールの中には塩素が入っているわけですから、その大部分がHCl、塩素のいわば蒸気となって出てくる。いま大気汚染が問題になっていますが、確かに大気汚染原因になっている元凶、悪硫酸ガス、SO2、それから酸化窒素、これはNOはいろいろありますからNOXでいいでしょうが、一酸化炭素とありますが、とにかくこのうちの酸化窒素あるいは一酸化炭素は自動車の責任だと思いますけれども、これ以外に最近都内の大気を調べたらHClが出ているのです。都内の場合HClがあるということは、これはもう明らかに塩化ビニールの焼却によって出る以外にその要素は考えられないじゃありませんか。どうですか、環境衛生局長
  169. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ほかからの産業活動によるものもあると思いますが、その大部分はやはり塩ビのものが主体を占めているのではないかと思います。
  170. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 HClの排出基準環境基準というものはいまどう考えているのですか。
  171. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現在まだ設けられていない段階でございます。
  172. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まだ設けられていないですね。いろいろ調べてみましたら、清掃工場ではこの塩ビを燃しているわけですから、その周辺の大気に占めるHClの量が非常にふえている。東京都の調査の場合、はなはだしいときは一〇〇〇PPMという事態があったそうです。厚生省のほうでいろいろ調べたデータも拝見をいたしましたが、これを見ても平均五八三PPM、そういう膨大な量に達しているという報告がございます。労働衛生基準は一体どうなっているのでしょうか。
  173. 浦田純一

    ○浦田政府委員 つまびらかな数字は記憶しておりませんが、いま御指摘の濃度よりは下回っているというふうに思います。
  174. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 こちらはしろうと、おたくのほうは専門家ですから、つまびらかではないというのは困りますね。ですからそれは、もちろん労働省だと言うんでしょうけれども、しかし厚生省にはちゃんと公害公害課もありまして、そしてアメリカの労働衛生基準をもとにして、環境基準を幾らにしようかという作業をやっておるのじゃありませんか。それが私のほうではない、労働省だろうという顔をされては困ると思いますよ。そうじゃありませんか。そういう点はひとつはっきりしていただきたいと思うのです。とにかく労働安全衛生基準を上回るような悪条件のもとで清掃労働者が働いている。こういうことはやはり厚生省としても一日も早く改善しなければいかぬと思うのです。そういったHClを除去するための焼却炉の開発については厚生省はどのような研究開発を現在やっておりますか。
  175. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現在焼却炉のばいじんの除去施設、あるいはそれから出てまいります有害ガスの除去施設につきましては、生活環境審議会のほうの専門家の御検討に待っておるところでございます。また、公衆衛生院あるいは環境衛生センター、これらの研究施設に対しましてこの研究の推進をお願いしているところでございます。
  176. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 あとCOCl2、これはどのくらい出ておって、その対策はどうですか。ホスゲンですね。
  177. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ただいま手元に資料の持ち合わせがございませんので、さだかにお答えいたしかねます。
  178. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは審議中にわかる人を呼んできてちゃんとしてください。とにかくあれでしょう。大臣一般廃棄物の焼却の際に一番問題になっているのは何だと自治体が言っていますか、大臣も知っているでしょう。プラスチックの処理で一番困っているのはもう明らかなことでしょう。そういう中で、産業廃棄物に関する処理法律もお出しになったのですから、一般廃棄物の中にとにかく、さっき言ったようにプラスチックが膨大な量が入っている。この処理の場合の問題点はどうかということくらいはやはりよく勉強して出てきてもらいたいと思うのですよ。そうでなければ、この廃棄物の中のプラスチックなどという問題はたいした問題じゃない、こういうふうに厚生省は認識していると言われてもしょうがないじゃありませんか。いかがですか。
  179. 内田常雄

    内田国務大臣 プラスチックを焼却いたしますと、御承知のとおり非常な空気が要るから、空気が足りなくなってばいじんが出てくる、塩素ガスが出てくるというような弊害がございますので、あのままで放置できないということから今度の改正も出発いたしまして、少なくとも、前処理をするとか、プラスチックを一般ごみから分けるというようなことをいたしまして、いまお互いが指摘しているようなそういう悪い影響を除去するようなそういう前提のもとに私どもは、この産業廃棄物あるいは一般廃棄物の中におけるプラスチック類の処理基準を別につくらなければならないと思っております。こういう基準でやりなさい——これは事業者がやる場合と、それから事業者が一部市町村に委託といいますか市町村一般廃棄物処理と一緒にやる場合と、それからまた、さらには都道府県がやる場合もありまするし、専門の業者がやる場合もありますが、いずれの場合におきましても、その多量な塩素ガスが発生しないように、ばいじんが発生しないように、そういう処理基準をつくるということをこの法律の中にうたい込んであります。私は技術者じゃありませんが、この基準は、私どもは、それはもうさか立ちしてもぜひつくって、そしてそれは政令ではっきりして、こういう基準処理施設をしなさいということに相なるわけでございます。
  180. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 処理基準ですね、これは政令できめるわけですね。一昨日私は、全政令について一体いつ出すかということを山中総務長官に聞きました。少なくとも次の通常国会審議中にお示しをして国会審議対象にする、こういうような御答弁でしたが、 いまの処理基準の政令、これは一体いつごろまでにお出しになるわけですか。
  181. 浦田純一

    ○浦田政府委員 最終的には、この法律の附則にもあると思いますが、九カ月後ということでございます。中身は現在鋭意検討中でございます。
  182. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 九カ月たったときでは、国会は開会中じゃありませんので、これは少なくとも大臣、次の通常国会審議中に政令案を示して、立法府の論議の対象にしていただく。もちろん、政令ですから、国会が通す通さぬということじゃないことは私も承知しておりますが、要は、どういう内容であるか、国会でもひとつ議論の対象になるようにやっていただきたいと思いますが、その辺はお約束できますかね。
  183. 内田常雄

    内田国務大臣 これは、たとえばこの法律の十四条——あるいは十一条等にもあるかもしれませんが、十四条などで、政令で基準を定めることになっておりますので、私どもは、これは技術的な内容は持っておって、その技術開発がどこまでいっておるかどうかわかりませんが、いま申しますように、これはさか立ちしても、この法律を有効に運営するためにはできる限り早くその基準をつくって改令で一般に示す。それができない間は、三条等が動きますので、三条等でこれらのプラスチック類の製造、加工、あるいは場合によってはその容器などの処理につきましても生産者に義務を負わせる。その義務を負わない限りそれの製造を許可しないこともあり得る、それくらいのつもりで私どもはやっております。   〔「これは法文上どこからそうなる」と呼ぶ者あり〕
  184. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 法文上どうだという疑問が出ておりますから、それを答えてください。
  185. 内田常雄

    内田国務大臣 たとえばこういうことになっております。牛乳のびんでいいますと、牛乳のびんはガラスで透明なものでない限り、ほかのものは使えないことになっております。ほかのものを使おうとすれば、食品衛生法上厚生大臣の許可を受けなければならぬことになっております。そこで、いまのプラスチックびん等で牛乳その他の食品容器をつくります場合には、それの処理についての基準ですか、方法論が確立されていない限りは許可しない。ただし、これは多少純法理論上から問題になるわけでありまして、あとのプラスチック類の中に有害な組成分が入る、たとえば可塑剤が浸透している等で、そういう場合にはこれは許可しないことになるわけでございますが、有害なものは入っていない、あとで捨てられたときの処理が困難だということのためにその容器を許可しないということについては、多少問題があると思ますが、これはまあ、力と力の問題でありますし、行政指導の問題でもありますから、私が厚生大臣をしている間は、容易に私は許可をいたさないというつもりで部下を督励しております。
  186. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの問題は、私は、地方行政委員会で、山中総務長官を呼びまして、当然この問題は厚生大臣だけにまかせるべき問題ではない。産業廃棄物一般廃棄物、特にプラスチックの処理が問題になっているときに、これはやはり処理の問題を十分念頭に置いて、公害対策本部に上げて、そうして関係省、厚生省から農林省、自治省等で相談の上方針をきめるべきだということを申しまして、それを山中長官は承諾いたしました。そして、あと処理の問題が解決つくまで許可せぬという方針をきめていただいたことは、私はけっこうだと思っております。これは単に厚生大臣——食品衛生法の上からいえばこれは厚生大臣の問題でしょうが、しかし、やはりいま公害がこれだけ問題になっているときですから、単に内田厚生大臣の任期中ということじゃなしに、現在の佐藤内閣としてこれはわれわれに約束をした問題だ、こう私どもは受け取っておりますから、この点はひとつ明確にしておきたいと思います。  さてそこで、話が横へ飛びましたが、塩化ビゴールの処理についていろいろ問題点がある。ポリエチレンだってそうでしょう。現在の焼却炉というのは、セルローズを焼却することを念頭に置いて設計してありますね。ですから、能力からいえば、発熱量についてはキログラム当たり四千キロカロリー、それから、必要な酸素量はキログラム当たり一・二立方メートル、こういうのが設計の基準です。ポリエチレンは一体、発熱量は何キロぐらいで酸素の必要量はどのくらいですか。
  187. 浦田純一

    ○浦田政府委員 大体普通の五、六倍、一万二、三千キロカロリーだと思います。それから、それに要する送風量は約十倍から十五倍ぐらいに及ぶと思っております。
  188. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そんなに大きければたいへんです。そんなに大きいですかな。そんなに大きかったらどうにもならぬじゃないですか。現行の空気が十倍以上要るなんて、そんなことだったら一体処理できますか。
  189. 浦田純一

    ○浦田政府委員 隣に通産省の専門の方もおられるので、あるいは私の数字が間違っていれば御指摘いただけるかと思いますが、私が記憶しておる限りでは、普通の送風量の十倍の送風量が要るということで、現実の問題としてそういったような送風量が期待できませんので、結局は不完全燃焼ですすが出るというふうに記憶しております。
  190. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 おたくの厚生省調査では、二倍でよろしいことになっておりますが、とにかく空気がたくさん要ることは事実です。そういったポリエチレンを焼却する場合の炉の設計というものはすでにでき上がっておるのですか、これから何年かかって技術開発をするというゆうちょうなものなんですか、この点は一体いかがですか。
  191. 浦田純一

    ○浦田政府委員 これも私が本から得た知識でございますので、現物を承知しているわけではございませんが、少なくともこれらのプラスチックの燃焼につきましては、これは一次、 二次、三次と、三次焼却によるといったようなことで、特殊な耐火れんがをうちに張りまして、大体完全燃焼できる炉の設計は、すでに試作の段階を越えている。一部現実に使用されておるというふうに承知しております。
  192. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは、たとえば一日当たり百トンあるいは二百トンという処理をいたします場合、現状の炉に比べてどのくらい経費がかかる見通しですか。
  193. 浦田純一

    ○浦田政府委員 特殊の耐火れんがを必要とするということ以外には、あとは設計上の問題があるだけでございますので、普通の焼却施設より格別高額であるというふうには考えられないのであります。
  194. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省、おりますね。現在、自治体がそれぞれ焼却炉を設置をいたしておりますす。当然厚生省からの国庫補助もあるわけですが、それが現実に、建設をいたします場合の補助率はきまっておりますけれども、充当率その他によって現実の補助率はよりずっと下がっていると思いますが、実際の、実地に当たった場合に、どの程度の率になって、そうして自治体としてはどの程度の超過負担と申しますか、そういうものを負うているかっこうになっておりますか、現状をひとつ御報告をいただきたいと思います。
  195. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 四十四年度の実績で申し上げますと、ごみ処理施設につきましては、施設整備に支出いたしました金額が百七十六億でございます。そのうち補助対象事業費といたしましては約百五十九億でございますが、そのうち補助基本額としてとらえました数字が約三十三億、したがいまして、補助基本額と補助対象事業費との比率は約二〇%程度ということになります。
  196. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 あとの分は起債で処理していると思いますが、起債は、すべて補助対象額あるいは補助対象にならなかったものについては、満額起債対象になっておりますかどうですか。
  197. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 清掃施設の整備につきましては、補助事業費、単独事業費含めましてその地方負担額を算出いたしますが、大体地方債で充当いたします部分は約六〇%程度でございます。その他の経費につきましては、普通交付税の算定におきまして事業費補正をもって措置いたしております。大体満額財源措置は行なわれているというふうに考えます。
  198. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 現在自治体におきましては、ごみ焼却場の用地の取得、建設等につきましては、各自治体の首長が非常に苦労しているわけですね。そういう中で、さらにプラスチックがふえている。現在プラスチックのごみ全体に占める比率につきましては、まあ数字のとり方はいろいろありましょうが、おおむね九%程度、こういうふうにいわれておりますが、これが昭和五十年には一七・六%、昭和五十五年には実に三四・九%にも達するであろう、こういうふうに見込まれておるわけであります。しかも、先ほど厚生省のほうも言われたのですが、全生産のほぼ半分がこの一般廃棄物、自治体が処理すべき部分にかかってくるということなんですから、これはまさに膨大なものを処理しなければいかぬということになるだろうと思います。  さて、そこで経済企画庁にお尋ねしたいと思うのですが、経済企画庁は国民生活審議会等の答申等によりまして、流通過程を改善をする、そういう中で牛乳のポリ容器、これをある程度進めるというような傾向もございました。農林省もおられますが、そうだったと思うのですが、少なくとも経済企画庁は、日本経済全体を見る重要な役割りを持つ官庁ですね。それが、一昨日も大蔵大臣とちょっと議論しましたが、新経済社会発展計画では、公害等の問題も考えて、成長率は実質一〇・六%、ある程度押えた、こういうことなんですから、当然プラスチックの廃棄物に対して問題だということくらい承知しておっただろうと思うのですね。そういう中で、なぜこの牛乳のポリ容器——確かに、ポリ容器六千万本全部牛乳で使ったといたしましても、出てくる量は十五万トン程度です。ですから現在五百万トン、そのうち二百五十万トンが一般廃棄物になる。その中の十五万  トンはたいしたことはないという議論はそれはできるかもわからない。しかし、いまこれが問題になっているときに上乗せをしていくということは避けるべきだということで、先ほど大臣もおっしゃったような方針を政府としてもおきめになっておるわけです。そういうことを考えました場合、経済企画庁がこれからの問題について見通しがなかったということは、私はいえぬと思うのですね。一体どういうことなんですか。
  199. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 確かに、御指摘のとおり廃棄物等の増大の問題というものは非常に重大問題であるという意識は、企画庁の中でもつとに持っております。現に、昨年五月にきめました新全総計画におきましてもそういった記述が行なわれておりまして、昭和六十年までの御説明等に、こういった粗大ごみとかあるいはプラスチックのような処理困難なごみの量の増大ということは非常に問題だということを出しております。私ども、十分それは承知しておるつもりでございます。  しかし、いま御指摘の点は、御質問の中にもございましたように、去る六月の物価対策閣僚協議会における問題、これは当面の物価対策ということで、相当きめこまかいことを並べ立てておりますが、その中において、特に牛乳のワンウエー化の問題に関連しましてこれを進めていったほうがいいのではないか、これは農林省の御意見もあったわけでございますが、そういう形で私ども取り上げておるわけでございます。  これはもう御案内のとおり紙とポリエチレンが問題になっておりますが、紙についてはすでに始まっております。ポリエチレンについては、食品衛生法上の安全性の問題等もまだ未確認でございましたので、そういった点を確認の上にこれを考えたほうがいいのではないか、こういうふうに取り上げております。もちろん、これがいわゆる廃棄物処理という全体の中の問題として当然考えられなければならないことは、ただいま申し上げたことで明らかでございますが、当面の対策として、これがもし全体の体系の中でできるものならそれをひとつやっていただきたい、こういうことでこの記述が書かれた、こういうことに承知をいたしております。  しかし、その後厚生省のほうでもいろいろこの廃棄物全体についての問題を御検討になって、最近になってこのポリエチレン容器の問題は、そういう対策の一環として検討する必要があるという御意見も出ておりました。私ども、それはごもっともと思いますので、関係各省に十分これから御相談した上で、この問題を取り上げるべきか、あるいはもっと待つべきか、そういうことをきめたいと思っておったわけでございます。先般先生の御質問もありまして、山中総務長官の御答弁もあったわけでございますから、そういうことで対処してまいりたいと考えております。
  200. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間がありませんから、これだけ聞いてやめておきたいと思いますが、先ほど田邊委員が問題にいたしました第五条の第六項「市町村は、当該市町村が行なう一般廃棄物の収集、運搬及び処分に関し、条例で定めるところにより、手数料を徴収することができる。」という規定、これは大臣の御答弁もありました。私は、これはやはり取るべきでない。特にごみ処理にあたりまして一番問題になっているのはプラスチックの問題なんですね。プラスチックにつきましては、厚生省も十分ではないと私は思いますが、しかし厚生大臣、さかさになってもこの処分の基準の政令をきめる、処理技術の開発についても大いにやる、こういうお話ですから、そういうことに大きく期待をいたしたいと思います。  ただ問題は、そういうもので自治体の負担が重くなる、だから、とてもやりきれぬので手数料を取る、こういうことになっては困るわけなんです。ですから、私は一つ提案をしたいと思っております。それは、いまごみ処理するのに一体幾らかかるかと申しますと、東京の場合、焼却をいたしますとトン当たり五千七百八十五円、埋め立てますと四千九百五十円かかるそうであります。その他の都市では四千円程度だというような数字が出ておるのでありますが、とにかく五千円近い経費がかかることは事実であり、キロ当たりにいたしますと五円です。現在塩化ビニール、ポリエチレン等は、キロ当たりの価格はおおむね百円あるいは百二十円ぐらい。やはりこの際、公害については、企業はその社会的費用というものは完全に持つべきだ、かように私は思います。また、そうすることが、いま公害国会としていろいろ議論しております事業者負担、この原則を貫くことだろうと思います。  そうしますと、プラスチックが、ことしの場合五百万トン生産され、半分が一般廃棄物になる。この二百五十万トンのプラスチックの廃棄に関する経費というものは、これはメーカー、それから加工業者、ユーザー、その三者の分担の比率はともあれ、その三者が、キロ当たり五円については負担をする、こういうことが私は正しいと思います。そういたしますと、昭和四十五年の場合、二百五十万トンに対してキロ当たり五円、トン当たり五千円ですから、計算をいたしますと、百二十五億円になるのであります。その百二十五億円というものは、自治体が苦労しているだろうと私は思うのですね。昭和五十年になれば、一千二百万トンのプラスチックができる。そういたしますと、これで計算をすれば、その半分が一般廃棄物ということになれば、その処理費は五円のコストは変わらぬとして、キロ当たりで計算をすれば三百億円という金額に達するはずであります。昭和四十五年百二十五億円、昭和五十年の見通し三百億円、こういうものは私は、物品税あるいはいろんな形はあろうかと思いますが、少なくとも企業の負担として国が取る。それがこの法律にも書いてある。国は処理に関する技術開発の推進をはかるとともに、市町村及び都道府県に対し十分責務が果たせるような必要な技術的、財政的援助を与える、こう書いてあるのですから、その分ぐらい国が業者から徴収をして、そうして人口当たりのごみの収集量等に案分をいたしまして、基礎的自治体である市町村に財源として付与したらよろしいんではないか。またそのぐらいのことがなければ、私はプラスチック業界は社会的責任は果たせないと思うのです。こういった私の考え方に対して、ひとつ厚生大臣、それからプラスチック業界の奨励だけは大いにやっているが、このあと処理の問題についてはきわめて不熱心と思われる通産省、それから地方自治体の財政を直接担当しておる自治省の御見解を聞いて終わりたいと思います。さらに私の質問で御答弁できなかったものは、これは保留をしておきます。
  201. 内田常雄

    内田国務大臣 手数料の件でございますが、この件につきましては、五条の第六項に規定をいたしておりますが、政令とか省令とかで手数料徴収の基準とか範囲とかいうものをきめておりません。これは全く市町村の条例におまかせをいたしておりますので、国がいまの山口提案をそのままいれまして、国で一部の料金に相当するものを取って市町村に交付するというようなことが直ちにやれるものかどうか、その辺にわかに私はお答えもできないと思います。  また、一般廃棄物につきましても、私は現状はどうなっているかよくは知りませんが、取っているところも取っていないところもあるわけでございますが、一般廃棄物の中には、産業から出てくる、たとえばいろいろな市場とか魚屋さんとか料理屋さんとか、そういうところから出てくるものは、業務に関連して一般廃棄物になる、こういうものでありますから、そういうものに至るまでただでいいのか、それとも条例の定めるところによって、一般家庭から出るものとは別に何がしかのものを取るということもあると思いますから、その辺のことにつきましては、私のほうで別に基準一つの型をつくっておりませんですが、あなたのお考え方も時代に沿った一つのお考えとして私は耳を傾けておきたいと思います。
  202. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほどお尋ねの点につきまして、資料がまいりましたので……。  まず、ホスゲンでございますが、私どもの実験の結果では、塩化ビニールを燃焼させます場合に、一グラム当たり一万分の一グラム、すなわち一〇〇PPMのホスゲンが出る可能性があると承知しております。  それからホスゲンの毒性でございますが、空気中に二五PPMあるときには、三十分から一時間の吸入によって重大な障害を起こす、一PPMでありますと、一時間は耐えられるという状況でございます。  それから塩化ビニールでございますが、労働基準法上のいわゆる許容量はさだかにしておりませんが、一〇〇〇PPMをこえますと、三十分から一時間で重症の病状を呈します。それから四PPMで約一時間耐えられる、そういうふうな結果が出ております。
  203. 山下英明

    山下政府委員 最近、関係業界は累次委員会を開きまして、自社あるいは産業廃棄物のみならず、一般廃棄物に取り組まねばならぬということでやっている段階でございまして、塩ビ関係の六団体のみならず、石油化学工業協会でも全体として取り上げた次第でございます。通産省は、いままで技術開発を中心に五カ年計画でまいりましたが、現実の問題としてモデル地区を想定して首都圏等のモデル・プロジェクトを進めていきたいといま考えております。御批判の趣旨はとくと頭に入れまして、今後研究していきたい、こう思っております。
  204. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 市町村一般廃棄物処理に要する経費について、その財源を一般の租税負担によるべきか、あるいは受益者負担によるべきかということを考えます場合に、一般廃棄物の性格上、私どもは受益者負担に適するものだというふうに考えているわけでございます。やはり原則的には手数料をもってその財源の一部に充当すべきであるというように考えております。
  205. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣一般廃棄物ということになれば、先ほどの大臣のようなお答えがあると思うのです。現に東京都等においても大量にごみを出すというところには、トン当たり千八百万円とかいう形で手数料を取っている。それは当然です。ですから、一般廃棄物という規定だから問題になるので、この中には家庭廃棄物と業者が出します廃棄物とやはり二つに分けらるべき問題だと思います。私の特に強調したいのは、家庭から出ます廃棄物についての手数料は取るべきではない、そして自治体が特にごみ処理について苦労している以上、しかもその原因の相当部分がプラスチックである以上、そのプラスチックの業界に対して、家庭から出るにしろ、もとはメーカーであり、加工業者であり、そして使用者でありますから、そういう三者の負担区分は検討するとしても、その三者に対して、当然現在かかっておりますキロ当たり五円、トン当たり五千円程度のコストは持たせるべきではないかという趣旨で御提案を申し上げたわけです。その点はひとつ明確に区別した上でお聞きをいただきたいと思います。  さらに、私が求めましたホスゲンあるいはHCl、それからポリエチレン等の燃焼に要するカロリーないしは酸素量、こういったものはひとつ資料としてあとでお出しをいただきたいと思います。この点委員長におはかりをお願いいたしまして質問を終わらせていただきます。
  206. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 後藤俊男君。   〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 後藤俊男

    ○後藤委員 実はいままで社会労働委員会でも数回にわたって話も出ておったのでありますが、あまりきれいなものの話ではございませんので、特に一番最後にしてもらうようなところまで気を使いながら質問をさせていただくわけです。  今度の法律で、修正されるかされぬかわかりませんが、廃棄物処理法という新しい法律もでき上がるわけです。それまでは清掃法だということでいろいろな問題の処理の基本になってきたと考えております。そこで、先ほどちょっと申し上げましたように、国鉄関係のこのふん尿のたれ流しの問題なんです。これは社会労働委員会におきましても小林議員が二回くらいおやりになったと思うのです。さらに去年も話があって、一昨年も話が出ております。ところが、何回この話をいたしましても解決しないわけなんです。ですから、あまりきれいな話でございませんけれども、解決するまではこの問題を取り上げざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。それで今度の新法によりましても、第十五条六項でございますが、書いてあるわけです。六項に「便所が設けられている車両、船舶又は航空機を運行する者は、当該便所に係るし尿を環境衛生上支障が生じないように処理することに努めなければならない。」これはなかなか現状を考えながら書いてある文章だと思うわけでございますが、さらにいままでの清掃法によりましても、第五条の四項でございますか、同じことが書いてあるわけなんです。しかも国鉄ができましてやがて百年になろうとしておるといわれておる今日でございますし、さらに、先ほど言いましたように、国会におきましても数回となくこの問題が取り上げられておるにもかかわらず、何ら進展しておらぬ——とは言いませんけれども、その進展は微々たるものである。現在調べてみますると、便所のついておる車が一万七千車両ある。これが全国の各地を走りながらたれ流しをやっておるわけなんです、約二万キロにわたって。しかも、もう一つ大きい肝心な問題は、一昨年でございますか、大阪におきましてこのふん尿たれ流しの実験をやりました。鉄道沿線から約五十メートルのところまで飛散するわけなんです。これは実際にやったわけでございます。そうしますと、国鉄の四十七万の職員の中で六万四千人というのが、これはあえて皆さんのと言うていいと思いますけれども、皆さんのふん尿たれ流しのその粉末の中で六万四千人の国鉄職員が働いておるわけなんです。これは毎日のことでございます。たとえば、例を申し上げますと、夏暑いときには上着をとって縮み一枚で線路で仕事をしておる。三日もしますると白い縮みのシャツが黄色くなってしまう。これも中から出る汗で黄色くなるわけではなしに、外から出るところの黄害によってシャツが黄色くなってしまう。これは現実に調べていただければわかる問題であろうと思います。さらに、たとえばいま厚生大臣にいたしましても、汽車にお乗りになって便所へ行かれると思います。そうするとこれは加害者になるわけです。さらに厚生大臣が踏切等で汽車を待っておられるとこれは被害者になるわけなんです。こういうふうな考え方をいたしますると、日本国民一億が被害者であり加害者である。話はオーバーになるかもわかりませんけれども、そう申し上げましても言い過ぎではないと思うわけでございます。  そこで、今回の臨時国会で、公害国会といわれるぐらい公害問題があらゆる角度から、あらゆる委員会で、あらゆる問題に対しまして検討されております。その中でも特にいま私が言っておりますところの、具体的にはどこに該当するんだといえば、いま申し上げました、いま問題になっております廃棄物処理法の第十五条の六項にこれは該当するわけでございますけれども、ただ私は、きょうのこの委員会で適当な、抽象的な返答をいただいて、そうでございますか、それじゃよろしくということじゃこれは済まぬ問題だと思うわけでございます。ですから労働省なり厚生省なり、さらにきょうはまことに有名な運輸政務次官も来ておられますが、ぜひひとつこの辺の問題を、時間は短時間でけっこうでございますけれども、いままでの締めくくりのような意味におきまして、それとあわせて公害問題、いわゆる今度の国会の開催等も考えまして、ぜひこの問題の解決に全力を尽くす方向へ具体的話を聞かしていただきたい、こういうつもりで申し上げるわけでございます。  いろいろと申し上げたいことはたくさんあるわけでございますけれども、時間の関係がございますし、時間もたいへんおそうございますから、私が言わんとするところをあまり多く申し上げようとは思いません。ただしかし、いま申し上げましたところのこのたれ流しの問題につきましては、特に大臣等も駅に行かれまして汽車にお乗りになる。新幹線等はそうじゃございませんけれども、在来線にお乗りになりますと、駅の待合室へ行けばたんつぼもちゃんと準備されております。これはいたずらにたんを吐き捨てると軽犯罪法にひっかかる。ですからそれにひっかかっちゃいかぬというので、たんつぼがちゃんと準備されておるわけなんです。それでお乗りになるお客は、そのたんつぼにたんを吐いて、汽車に乗ろうとしてホームに出る。ホームへ出ますると、線路の中を見れば、いまの話じゃございませんが、ふん尿があちらこちらに飛び散っておる。この現実考えると、一体どういうふうに解釈をしたらいいのだろうか。軽犯罪法の面から考えましてもこれは非常に問題があると思います。さらに保健所法から考えましても問題があると思います。さらに清掃施設整備緊急措置法から考えてもこれは大きな問題になろうと思います。さらに、いままでありました清掃法から考えても問題になりますし、今度できょうといたしておりますところの廃棄物処理法から考えましてもこれは問題になるわけでございます。この問題を一体どう解決したらいいのだろうか。くどいように申し上げますけれども、先ごろから数回委員会で論議が行なわれておりますけれども、抽象的な論議に終わってしまっております。おそらくこのままいきますとこのままのかっこうでまた済んでしまうのじゃないか、そういう心配もあります。  その心配と、その反面、先ほど言いました、日本の全国二万キロにわたる国鉄を、夜となく昼となく守っておるところの保線の労働者がおるわけなんです。六万四千人おるわけなんです。その方方々がまるかぶりで、そういう衛生上まことに悪いところで作業をしておられる。そこで働いておられる保線労働者の立場を考えましても、これは国鉄に金があるとかないとかいう問題じゃないと思います。少なくとも国鉄というのは国家機関の一部だと私は考えております。日鉄法の六十三条を読んでみましても、やはり国鉄というのは国家機関であり、国鉄総裁というのは大臣に匹敵するような権限も与えられておる。そうなりますと、国家機関の一部である国鉄が、こういう法律を守るためには率先垂範をしなければいけない。その機関が長い聞こういうような状態で放置されておる。これは許しがたい現実であろうと思いますし、とにかく早急に解決する必要があるというふうに私は考えておるわけでございます。  そこできょうは、国鉄の常務理事が御出席だと思うわけでございますけれども、いま私が申し上げました問題等も含めまして、去年の十月末でございますか、国鉄の常務理事会におきまして、ふん尿たれ流しの黄害対策として予算約五十五億を投じて東京、大阪、福岡に基地を設ける、また車両を改造する、これはタンク貯留式にするわけですね。そして昭和四十六年度の初めから東海道、山陽本線の優等列車について使用を開始をする、これを大体新聞記者会見で国鉄としては発表されておると思うのです。これが新聞記者会見で発表されておるということは、国民の皆さんに、こういうふうにやります、申しわけなかったというので確約されたと言ってもこれは間違いじゃないと思います。  ところが、現在どうなっておるかと申しますると、予定されておるところの三つの基地のうち、着工して年度内に完工予定は大阪の宮原のみでございます。これが大体予算が三千万円から四千万円、東京なり福岡等は着工予定もなく、したがって四十六年度初めから使用開始というのはこれはできない。これからの計画というのはできておらないというふうに私聞いておるわけでございます。これらを全部完了するためには、予算として車両関係で四百億くらいですか、基地関係として四百億、八百億くらいの予算がないことには、全車両貯留式でタンクをつけることはむずかしいというようなことも聞いておるわけでございますけれども、去年の新聞一記者会見で発表されました以降、一体今日どういうふうな考え方になっておるか、常務理事お尋ねいたしたいと思います。
  208. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 列車の汚物処理のいきさつ、それから去年からことしにかけての事情、いま先生のお話しのとおりでございますので、それをもう少し具体的な数字で申し上げたいと思います。  先生の御指摘のとおりのホールプランのもとで四十四年度におきましては車両設備で百二両、工事費一億五千七百万円、地上設備は全然かけることができずにおります。そうしてこの設備は地上設備と車両設備が一緒になってはじめて効能を発揮するわけで、地上設備ができない段階において、車両設備の準備工作といいますか、タンクが取りつけられるようにする準備でございますが、この準備工事施行車両が三百九十九両でございます。  それから四十五年度につきましては、車両設備としてタンクをつけましたのが五十六両、工費としまして八千百万円。それから地上設備といたしましては、ただいま先生御指摘のとおり、宮原の地上設備について着手しまして五千万円を投入して合計で四十五年度一億三千百万円。そのほかに、先ほど申し上げました四十五年度分の準備工事としての車両数は五百十四両でございます。したがいまして、現在まで工事費としまして二億八千八百万円、準備工事を施しました車両が九百十三両、このようになっております。
  209. 後藤俊男

    ○後藤委員 簡単でいいからこれからの計画を……。
  210. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先生お話しのように、全体につきましては大体八百億かかるであろうということで、資金の許す限りこれを実行していくということでございます。そうしてまず地上設備につきましては、品川と田町について急いで設けなければならないということで、目下地元と協議中でございます。この協議ができなければ地上設備は着手することができない、こういう状況でございます。  それから向日町、南福岡、この場所については町のほうに浄化槽がないという状況なので、これにどのように対処していくか、これからの問題でございます。  車両につきましては資金の許す限り逐次やっていく、こういう状況でございます。
  211. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま国鉄から説明がありましたような現状なんですね。ですから国鉄としても——国鉄の財政状況についてはここで私とやかく言うつもりはありませんけれども、まことにきびしいことは言うまでもございません。ですから、いまの説明を聞いておりましても、財源で何とか見通しがついたらやっていきましょう、こういうふうな説明であったわけです。  そこで労働基準局長お尋ねしたいわけですが、労働基準法というのはいわば労働者の憲法であるというふうにいわれております。しかも労働基準法そのものが二百条から成り立っておりますが、その中の第四十四条だけは労働者の順守規定になっております。それ以外は全部使用者の義務規定になっておるわけなんですが、その中の四十三条なり五十条なり五十四条なり五十五条等を読んでみますと、衛生関係のことがきめられておるわけなんです。そういう労働基準法に照らしましても、いま言いましたようなまことに衛生に悪い、何と申しましょうか、もう法律どうこうじゃなしに、衛生以前の問題として、ふん尿粉末の飛び散っておる中で六万四千人の国鉄労働者が働いておる。しかも国鉄をとめてはいかぬのだ、線路を守らなければいかぬのだ、衛生にどうあろうとも、身を犠牲にしたような形で六万四千人が今日昼夜働いておるわけなんです。しかもあなた方労働省としては、労働基準監督官というのは全国で二千七百人くらいおいでになると思います。しかも労働基準法でかなりの権限を持たされておるわけですね。そうすると、こういう職場から労働省なり労働基準局へ、いままでもいろいろと提訴と申しましょうか、問題提起があったと思うわけなんです。ところが、問題提起がありましてもそれを棄却してしまう、取り上げないという態度が数回あったということを私は聞いておるわけです。そういうことではいけないと思います。  その問題も大事でございますけれども、その前に、六万四千人の労働者がこういう不衛生な事業場で働いておる。労働基準法から見ようと、どこから見ようと、これは違反の職場なんです。これらをいまだ解決もせずに、しかもこのままずっと長年月にわたって放置されておるということについて、労働省なり労働基準局長としては一体どういうふうにお考えになっておるのだろうか。しかも企業が国鉄企業ですね。国鉄企業なら、先ほどの話ではございませんが、国の経営なんです。国が経営しておる職場で国がつくった法律を守らない、しかも半年や一年ではなしに、長年月にわたって放置されておる。その被害をこうむっておるのは、保線労働者であり沿線の住民なんです。この点を一体どうお考えになっておるか、この問題を将来どうすべきであるかということについて御意見を聞かしていただきたいと思います。
  212. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 ただいま後藤委員の御指摘がございましたように、労働基準法は、工場、事業場に働いておる労働者の健康と安全を確保する、これが非常に重要な課題でございまして、御指摘のような条文を基準法に設けて、さらに具体的には、安全衛生規則その他特別の規則をもって規制をいたしておるわけでございます。  御指摘の国鉄の車両の問題につきましては、従来安全衛生規則の中に、これに的確に対応する規則が十分整備されておらないのもまた事実でございます。ただ、御承知のように、安全規則の中には、身体等に汚染を起こすおそれのある事業場に対するいろいろな、洗浄その他の設備を設ける等の規定はございますが、必ずしも、いま御指摘の国鉄車両の問題に対応するに十分でないと思われるわけでございます。したがいまして、基本的には、そういう屋外職場でございますが、保線という重要な仕事をしている職場で、そういう労働者がいろいろな面で健康に必ずしもよろしくない状態があるということについては、できるだけ早く是正をすべきであるということを考えております。ただ、具体的に実施にあたりまして、いまのような設備が一日も早くできるよう御要望を申し上げるとともに、必要がありますならば、私ども、規則においてどういう規制をするか等も将来の問題としては考えてまいりたい。ただ、十分実効があがる方法を実施されるべきであるということを基本的に考えておるわけでございます。
  213. 後藤俊男

    ○後藤委員 きょうは労働大臣おいでになりませんので、大臣のかわりで御出席いただいたと私は思っておるわけです。あなたの話を聞いておりますと、これはよくないことだから将来直さなければいかぬ、一口に言えばそういうことなんです。それならば、そこで毎日毎晩働いておる六万四千人の労働者は、何とかなるまではしんぼうせい、こういうことなんですか、いかがですか。
  214. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 できるだけそういう状態はすみやかに是正さるべきだと思っております。ただ、私どもの規則上の具体的な規制がございませんので、いま直ちに法令上の処置をとり得ない状態であるということを申し上げたわけでございまして、いまのまま放置してよろしいということを申し上げたわけではございません。
  215. 後藤俊男

    ○後藤委員 しかし、法令上の規則を見ますと、あなたがさつき言われた労働安全衛生規則の百七十二条なり百七十四条ですか、これにも該当するんじゃないですか。  さらに、いまあなたが言われました説明を聞いておりますと——私はあなたが労働省という立場で質問しておるのですよ。いままで長い聞こういう県境、いわゆる悪い衛生環境の中で働かしておいて、今日になって、なるべくすみやかに解決したいと思っております、こういうことでは私は通らぬと思うのです。しかも、先ほど言いましたように、去年もおととしもさきおととしもこの問題が委員会でやられておるわけなんです。それと同じような抽象的な返答は私は聞く必要はないわけです。何べん聞いたって前進しません。一緒なんです。少なくとも二万キロの国鉄を守っておるところの、そういう環境の悪いところで働いておる労働者というのは、法律がどうあれ、法律以前の問題として、もう少しあなたは、そこで働いておる人々を守るという気持ちになりませんか。適当な抽象的な返答は私は聞きたくないわけです。しかも、これだけ公害問題が最高になっておるこの臨時国会あたりでは、この問題の解決に労働省としてはもう全力を尽くしてその方向へやってもらわないことにはいかぬと思うのです。  運輸政務次官にちょっとお尋ねしますけれども、これはおとといだったと思うのです、さきおとといでしたか、向こうの連合審査の会場で小林進議員のほうからもこの話が出ました。そこで運輸大臣は、できるだけ早く解決するようにつとめましょうというような返答で終わったと私は思うわけなんです。私も聞いておりました。それはもういままで何べんともなしに聞いた返答でございまして、そういうことではわれわれとしては納得するわけにまいりませんし、この問題に対しまして、大臣もああいう答弁をされておりますけれども、運輸省として、一体いま申し上げました問題を早急にどう解決しようと考えておられるか、しかも、現在解決しようとする方向がまとまっておらぬとするのならば、この問題を早急にどういうふうにしてどういうふうにやろうという方向へ考えを進めておられるか、この点の御説明をいただきたいと思います。
  216. 山村新治郎

    ○山村政府委員 国鉄の便所の汚物処理、これは運輸省としては基本的に現在の新幹線で採用しておるようなタンク式の処理方式を在来線にも取り入れたいということが運輸省としての基本方針でございます。しかしまた、先生先ほどおっしゃっておられますように、いわゆる便所つきの車両というのが全体の一万七千車両、そしてまた要する費用が八百億というような、現在の国鉄財政においてはとてもというような巨額な資金を要するわけでございますが、同時にまた、いわゆる地上受け入れの設備と申しますか、これについての地方自治体の協力を得なければできない。終末処理というようなことになるわけでございますが、現在まで一応いろいろなことがありましたが、少なくとも四十五年度大阪の宮原ではこれに着工する。そして、聞いておりますところによりますと、品川のほうにしても、いままで都市下水への受け入れはとても無理だといっておったのが、大体オーケーだというようなことにもなり、また京都の向日町ですか、ここはいわゆる都市下水はございませんもので、いわゆるたんぼの用排水路に流し込むというようなことでございますが、しかしこれは地元が絶対に拒否してだめだということでございまして、そしてまた、いわゆる向日町の基地から大体四キロくらいになるそうでございますが、桂川または小畑川に流すように基本計画を変更してひとつやってみろというようなことで、大体いわゆる地上受け入れ施設というものはどんどん進んでおるように見えております。運輸省としては、これらの問題については積極的に取り組んでいくよう国鉄に督励していくという以外に方法はないと思います。
  217. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうすると次官、いま国鉄としてもどんどん話が進んでおる、こう言われますけれども、これはちょっと違うような気がするわけなんです。さっき常務理事が説明されましたように、大阪の宮原ですか、ここについては一応できた。ところが、あとの問題については、これから土地の確保の問題やいろいろな関係がある。それよりか大事なのはお金の問題ということだと思うのです。この逼迫した国鉄財政で、土地の話がついたからどんどんやっていけということじゃないと思うのです。国鉄自体としてもやりたい、やりたいとは思うけれども、さいふの中に金がないので八百億の融通がつかぬ、こういうことで話が進まぬというのが一番大きな原因じゃないかと私は思うのです。そうなりますと、今度の新しくできましたところの廃棄物処理法によりますと、融資の問題なりあるいは国が援助をするという問題なり入っておるわけなんですね、法案の中には。だから、これらを読みながら私いろいろ感じたわけでございますけれども、運輸省自体として、この問題は国鉄企業の問題であるから全部国鉄でやるべきであるというふうな考え方に立っておられるのか、いやそうではない、国鉄も今日非常に苦しい情勢にある、これは当然国が援助をして捨てておく問題じゃないから早くやるべきである、その具体的相談についてはこれからだが、こういうふうな気持ちでおられるのか、その辺のところをお伺いいたしたいと思うわけです。
  218. 山村新治郎

    ○山村政府委員 いまのところはたいへん申しわけございませんが、工事費内でのやりくりということで考えております。
  219. 後藤俊男

    ○後藤委員 次は厚生大臣お尋ねいたします。厚生大臣といえば、私が言うまでもなく、日本衛生行政の最高の責任者であります。いままでいろいろとお話し申し上げまして、この中身についてはもう十分おわかりだと思いますけれども、これに対してどうお考えになっておるだろうかという、厚生大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  220. 内田常雄

    内田国務大臣 私のほうは、それが列車であるからといって、あるいは国の特別の法律で設立されている国有鉄道の施設であるからといって、生活環境の悪化を来たすような状態をいつまでも存続しておかれることはたいへん困る、迷惑しごくだと実は考えております。実はこの法律は、別に厚生省が運輸省なり国鉄なりを督促したりする法律ではございませんで、現在の清掃法でもそうでございますし、今度成立する法律でもこれは天下の法律でございますし、また、単に国鉄だけのことではなしに、運輸省が監督をせられておる地方鉄道でも、同じ場合にはやはり厚生大臣はもちろんのことでありましょうが、その監督に当たる運輸省としても進めていただくような仕組みの法律と心得まして、従来も機会あるごとに私どものほうもこの条項による措置が前進をいたすように督促をいたしてまいってきております。ことに今度の改正にあたりましては、勇み足のようなことになるとおしかりを受ける場合なきにしもあらずとは思いましたが、二つの点においてさらに積極的な姿勢を実は私どもはとっておりました。これは従来の清掃法では、いわゆる特別清掃地域を走る汽車だけについて、それがふん尿まき散らしを衛生的に処理することを要求いたしておったにすぎません。主として市街地だけを特別処理対象として考えてまいりましたが、今度は一般公害についての考え方と同じように、もう原則として国土の全部につきまして環境の整備をはかることにいたしましたので、従来からありました特別清掃区域内を走る汽車というその区域限定をとってしまいました。したがって、どこを走る車であっても、ふん尿まき散らしのないような設備をしていただかなければならない。そのことと、もう一つは、いままでございませんでしたが、汽車と同じ意味において、船舶、航空機等につきましてもやはりふん尿まき散らしはいかぬ、こういうことに実はいたしてございます。これは日本の船ばかりではなしに、外国の船、航空機等についても当然この法律の適用を受けましょうし、また日本の船であります場合には、領海の外に出ていった場合にも、法律の属人主義によりまして、ひとの地域ならば、船なり航空機なりはたれ流しをしておっていいということにはならないような、そういう簡単な規制でありますが、そういう面をも加えまして、非常な難題を吹っかけたようなことになりますけれども関係機関とともに私どもはこの面において前進をさせなければならないという覚悟をきめております。
  221. 後藤俊男

    ○後藤委員 鉄道が敷設されてだいぶ長い間たっておるわけでありますけれども厚生省として、ふん尿たれ流し方式については、厚生省の立場で認可が出ておると思うのです。こういう方向でこうやります、これは最近の話じゃございません。だいぶ歴史をさかのぼらなければいかぬと思うのです。そうしますと、いま厚生大臣が言っておられるような考え方にありとするならば、ふん尿たれ流し方式というのはもうだめだ、改善しなさい、こういう行政命令を厚生省として出すべきではないかと私は思うわけです。あれでいいというならしようがないですけれども、あれでいかぬというのですから……。しかもそれを出すだけの権限と申しましょうか、これは厚生大臣にあると思うのです。あの方式にあなたが賛成だというなら私はそういうことを申しませんけれども、一刻も早く解決したいという気持ちがありとするなら改善行政命令を出すべきだと思います。  それからもう一つの問題は、先ほどからわれわれがいろいろ説明をいたしておりましても、まだまだ大臣なり厚生省としてもその実態をつかんでおられぬと思うのです。そういうことになるなら、全国の保健所長に、いま申し上げましたような実態調査をさせたらどうでしょうか。厚生省としてそういうことをおやりになったことがありますか。何べんもくどいようなことを言いますけれども、何回となく委員会でやられ、しかも二、三日前にもやられ、毎年毎年やられている問題が、実態がどうなっておるだろうか、それすら調べようとするお気持ちにおなりになっておらぬと思うのです。実態調査をしたことがあるならあるということで、あとから御説明いただきたいと思います。  私、ここで二つ問題を出しましたのは、厚生省として改善行政命令を出してもらう。たれ流しふん尿方式については厚生省が認可をしておるはずです。これを改善しなければいけないということなら、改善命令を出すべきだと思います。しかも、その実態をつかむ必要があるとすれば、全国に保健所長がおるのですから実態調査も行なう。そういうことすら今日まで何もやられておらぬわけなんです。ただ昔からああなっておるからしようがないじゃないか、わあわあ言うけれども、そのうちに何とかなるわいという気持ちが、こういうところでやりますとそういうことは口に出しませんけれども責任者の腹の中にはあるのじゃないかと私は思うわけなんです。そんなことをやられたのでは、沿線の住民も助かりませんし、さらに、先ほど言いました六万四千の保線労働者も助かりません。もう少しやる気になられたらどうですか。解決するならする方向へ一歩踏み出されたらどうかと思うのです。それがきょう新しく出た問題なら別問題です。そうじゃないのです。また国鉄のふん尿か、またきょうも国鉄のふん尿の話があったぞ、それくらい何回も何回もこれはやっておるわけなんです。実態調査もしなければ何にもせぬ。何とか解決してもらいたいと思うけれども厚生省として、国民衛生を預かる最高責任者として、直させるのなら直させるで、行政命令で改善を命令すればいいのです。いかがでしょう。
  222. 内田常雄

    内田国務大臣 さからうわけではございませんが、実態調査をいたしたかどうか知りませんが、実態調査をいたすまでもなく、私どもが駅に行ってみますると、鉄道の線路の中には汚物がへびりついていて、雨が降るのを待っているような状態であることは、これはだれでも知っていることでございますので、そこで私どもも、今回の法制の改正がございましても、同じような規定をさらに強化する——先ほど述べましたような趣旨の規定を措置いたしておるわけでありますし、また、鉄道のたれ流し方式は、決してこれは法制上にもまた事実上にも厚生大臣の認可事項にしておりません。国鉄なるものは厚生大臣の監督下にある機関ではございません。その監督は一般監督も個別監督もこれは運輸大臣が持っておられることでございますし、それから運輸大臣にいたしましても、たとえばこれは運輸省が海洋汚染防止法を今回出しているような状況でございますので、このことにつきましては何とか改善いたしたいという意欲を、厚生大臣も運輸大臣も持っておるわけでございますので、私どもも運輸省のしり押しをいたしながら、運輸大臣にも大いに監督機関として国鉄の措置を進めていただき、またそのために金が要るなら、助成の方法につきましても運輸省にも考えていただきたい。さらにさっきも触れましたように、今度は地方鉄道も入ってまいりますから、国鉄には地方鉄道監督局というのでございましょうか、監督部門もあるわけでございますから、それらのものについても便所を備えている車両がありますならば、今度は新しい十五条の第六項によりまして、運輸省には一そうこの面の措置を進めていただかなければならないと考えております。私どもはのがれるつもりはございません。要するに権限がどうであろうとなかろうと、これはぜひやっていただかなければならないし、機会あるごとにこれは運輸省とも知恵を出し合って進めてまいるようにいたしたいと思います。
  223. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま大臣言われましたが、駅に行くとふん尿が見える。確かにそうだと思うのです。だから、いま国鉄がやっておりますのは、停車中は便所を使うな、発車してから使いなさいというようになっています。あれはわれわれから言うと逆だと思うのです。かたまって落ちるところには——これは存在かはっきりしておりますから、あすこにあるわいとわかるわけです。走ってからたれ流すものは、粉末になって飛ぶわけなんです。その粉末になって飛ぶのが二十五メートルから五十メートルまで被害があるわけなんです。その中には大腸菌もおれば、赤痢患者もおれば、伝染病患者もおるわけなんですね。そういう作業場で働いている労働者の人が六万四千人おるのですよ。これを一体どうしてくださるのだというのが、長い間われわれが叫び続けてきた問題なんです。  あなたは、厚生大臣として国民衛生を守る最高の責任者だ。こんなものはもういいかげんで解決してもいいじゃないですか。運輸省が運輸省がと言われますけれども、こういう衛生関係ある問題は、運輸省にまさるも劣らないところの厚生大臣としての義務があると思うのです。そういうところで働いている六万四千人を、一体このまましんぼうしなさいということでやっていくのかどうか。これも口すっぱいように言いますけれども、長い間すったもんだ、すったもんだやりまして、結局現状は一緒だ。宮原にできかけたのがちょっと前進ですけれども、それもさっきの説明を聞きますと、国鉄に一万七千の便所のついた車両があるわけなんです。一万七千軒の家がその便所を一ぺんにたれ流ししたのと一緒なんです。毎日毎日東海道線だけで四十万トンから四十五万トンのふん尿がまかれておる。幸いにして走って固体になっておらぬ、粉末になるものですから、これは切実に考えない面もあるかもわかりませんけれども、ただ国民の中の、そういう職場で働いておる労働者の人や沿線住民の立場に立つ場合には、これは厚生大臣としても一刻も早く解決しなければいけない。これは大臣の返答をまつまでもなくそうだと私は思うわけなんです。そうならそうで具体的にどう進めるのかということを私は聞きたいわけなんです。抽象的なことを聞いてみたって、いままで何回も聞かせていただいたからしようがないのです。もう抽象的な返答ではわれわれがまんできませんよ。これは、私自身ではなしに、一番痛切に感じておる六万四千人の労働者がもうがまんできぬ。その人方に厚生大臣としてどう答えていただけるのかということなんです。いかがですか。
  224. 内田常雄

    内田国務大臣 お説のとおりでございますし、私もまことに同感で、これは何とか処理しなければいけない問題だと常に考えております。しかし、先ほども述べましたように、これは責任を避けるわけではございませんが、国鉄というのは運輸省の一般監督及び個別監督を受けておる機関でございます。私のほうが市町村屎尿処理施設に対する補助金やあるいは起債を国鉄のほうに回してしまうというわけにも実はまいりません。私どものほうが大蔵省から予算を取ってまいったり財政投融資を取ってまいります場合に、これは仕組みが市町村等の設置する屎尿処理施設に対する補助助成でございます。国鉄に対する補助助成は、これはあくまでもやはり私どもの気持ちを気持ちとして運輸大臣考えて、そして運輸省の方面で金の援助をするなり何なり方法を考えていただく以外にございません。しかし、これはいわば厚生大臣も共同責任でありますので、たびたび申しますように、私も責任を感じまして、運輸大臣とも知恵を出し合い、またここでこうやってたびたび話を聞いておりますので、運輸省も厚生大臣の顔色を見て、あまりこわい顔色しないからほっておけということではないと思うのでありまして、私はぜひ運輸大臣にも国鉄のこの問題は、天下の法律にこう書いてあるし、今度の改正法でも、運輸省とも相談してこういう規定を改めてまた入れたわけでございますので、これはもうお互いの共同責任として前進をさせたいと私は考えます。
  225. 後藤俊男

    ○後藤委員 それでは次に大蔵省にちょっとお尋ねいたします。おられますか。——まあ、いままで種々申し述べまして、大体話の中身はおわかりと思います。率直な話を私申し上げるわけですが、国鉄自体が、財政上の問題から考えますと、非常に逼迫しておると思うのです。さらにいろいろ多くの問題をかかえておると思うのです。ですから、先ほどの運輸次官の話じゃないけれども、国鉄の工事費のほうでやれというようなことを言っておりましたのでは全然解決せぬ——とは言いませんけれども、この緊急な課題がなかなか容易に解決するとは私思われぬわけなんです。  そうなりますと、冒頭申し上げましたように、国鉄というのは国の機関である。国の機関である以上は国が責任を持つべきだ。国鉄がそういうふうに財政が逼迫しておるなら、もちろんいま厚生大臣も言われましたように、運輸省なり厚生省なり労働省なりあるいは大蔵省、あるいは国鉄が緊急解決しなければいけない課題として協議をしていただいて、いわば列車ふん尿処理施設の緊急改造特別資金というような方向で、何かひとつ具体的に考えを進めるというわけにはまいらぬものだろうか。そうでもしない以上は、この問題は解決しないと私は思うのです。全然せぬとは言いませんけれども、だいぶん遠くへいってしまうと思うのです。その点いかがですか。
  226. 金子太郎

    ○金子説明員 国鉄の黄害問題でございますが、私どもの立場からいたしますと、公共企業体といえども企業でございまして、公害問題におけるところの企業責任というものが公共企業体の場合にはたして免れるべきものなりやいなやという基本的な問題があるかと思います。  それからもう一つは、本件に関しましては原因者ないし利用者というものがはっきりしておるわけでございまして、原因者負担という考え方が私どもの立場から申しますと当然に出てくるわけでございます。一般的に納税者一般というものに、なぜ原因者、利用者がはっきりしている場合に、他からの税金でこの問題を処理しなければならないかという点は、相当説得的な説明を要する問題があろうかと思われるわけでございます。したがいまして、現在考えられておりますような東京−博多間数十億円程度の計画そのものでございましたら、地上施設の受け入れという面で、地元の協力さえ円滑に得られるならば、国鉄の工事費の中で近い将来にやるということはさほどむずかしいこととは思いませんが、先ほど御指摘がありましたように、少なくとも約四百の地上施設というものを全部やるということになりますと、それに見合う財源をどういうふうにして確保するか。一つ考え方によりますれば、近い将来に運賃体系の改定があるような場合には、たとえば列車のトイレを利用する者は長距離旅客に多いわけでございますが、現在の運賃体系の中には長距離旅客運賃逓減という考え方がある。したがって、その逓減の度合いを若干少なくすることによって財源を得ることはできないだろうかというような考え方も当然出てくるわけでございまして、そういう問題をすべてあわせまして関係当局と検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  227. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまあなた言われました廃棄物ですね。これは一般廃棄物に入るのか、産業廃棄物に入るのか、どちらに入るのですか。
  228. 金子太郎

    ○金子説明員 その問題につきましても、まだ突き詰めて議論をしていない段階でございます。
  229. 後藤俊男

    ○後藤委員 これは大蔵省では、列車たれ流しふん尿が一般廃棄物産業廃棄物か、これから御相談なさるわけですか。
  230. 金子太郎

    ○金子説明員 関係当局とよく相談して結論を出したいと思います。
  231. 後藤俊男

    ○後藤委員 それで、先ほどからいろいろ申し上げまして、聞いておる人もくどいと思うほど同じことを言っておりますから、私この辺でやめたいとは思うのですけれども、ぜひひとつ私、第一番に取り上げたい問題は、その職場で働いておる保線労働者の立場というものを考えてもらいたいということなんです。  それからさらに、これと同じように沿線住民国民皆さんの立場ですね、これはもう十分考える必要があろうと思います。そうだとするならば、これを一刻も早く解決をしていただく。解決するためには、国鉄だけにまかしておいて解決できるか。私は、別に国鉄出身でございますからといって国鉄をかばう気持ちも何もないわけなんです。率直な話を私言っておるわけなんです。そうなりますと、厚生大臣にしたって、あるいは運輸次官にしたって、労働省にしたって、この問題解決に反対する者は一人もないわけなんです。仰せのとおりじゃ、ごもっともじゃ、ごもっともじゃと首を振りながら解決せぬのがこの問題なんです。ですから、これを早急に解決する。しかも今度の公害国会機会に、さらにはこの新法ができるのを機会に、こういうふうなことにもなろうと思いますので、国鉄なりさらに厚生省、労働省、運輸省、大蔵省と、これらの関係機関で、ぜひこの国鉄の廃棄物処理の問題につきまして協議をしていただく。そうして、この問題を一体どう解決していくか。早急にやるためには金が足らぬ、足らぬお金は一体どうする、これはとにかくやらなければいけない問題だということを前提に協議をしていただく。そうして一刻も早くこの問題を解決しまして、再びこの国会でこういう問題を取り上げなくともうまくいくような方向へ、おのおの皆さんにぜひお願いをいたしたいと思うわけでございます。  これはこのまま捨てておきますと、これまたえらい失礼な言い方になりますけれども、どんどんと先へ行ってしもうて、また来年この問題を取り上げなければいかぬというようなことにもなりかねないと思いますから、いま申し上げました関係官庁で協議していただいて、この問題の解決の方法がきまりましたら、ひとつ委員長を通じましてわれわれの手元へも御報告をいただきたい。このことだけはぜひひとつお願いをいたしたいと思います。  最後に、厚生大臣、さらに運輸次官、労働省から、簡単でけっこうですから、いま申し上げました問題に対する最後の御返答をいただきたいと思います。
  232. 内田常雄

    内田国務大臣 私は、たいへんありがたい御提案だと思います。いまも隣にすわっている運輸次官に、ひとつ運輸次官が招集をかけてくれ、われわれもその希望を申し出るし、知恵も出そう。しかし、だんだん詰めてまいりますとこれは銭の問題のようでございますし、それから産業廃棄物かどうかということでありますが、産業廃棄物というのは、事業者が事業活動に伴って排出する廃棄物でございまして、ふん尿というものは、それは汽車そのものが石炭がらをほうり出すのは産業廃棄物になるかもしれませんが、その上に乗っかっておる人間が出すものでありますから産業廃棄物じゃない。むしろ公衆便所に類するようなものとして、私はその考えで、国鉄に銭がなければ公衆便所に対する助成とかいろいろな道もあるいはあってしかるべきようにも思いますし、あるいはまた料金制というお話も出てまいりましたので、みんなでひとつ協議をしてぜひ片づけていただきたい問題だ。どうぞ運輸次官、よろしくお願いいたします。
  233. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま厚生大臣のほうから、ほんとうに運輸省としてはありがたいお話を伺いました。特に先生言われましたように、この保線労働者の六万四千人、また沿線住民の身になりまして、前進的にひとつみんなで検討してまいりたいと思います。
  234. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 先ほども指摘ございましたように、労働省、特に所管しております労働基準法は、あくまで事業主に対しまして、そこで働く労働者の健康と安全を保持するというための努力規定を大前提として設けております。したがいまして、先ほど具体的に実はその規定がないと申し上げましたけれども、何らかの方法で一日も早くこういう事態を解決することが労働基準法の本旨でもあろうと思いますので、いろいろな討議の場を通じまして、さらに運輸省にもあるいは事業主としての国鉄にも強く御要望申し上げたい。そういう方向で進めてまいりたいと考えております。
  235. 後藤俊男

    ○後藤委員 終わります。
  236. 倉成正

    倉成委員長 次回は、明八日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会