○林(義)委員 ただいま向山先生からのお話でございますけれ
ども、私は、
公害対策のまさに中心になるのは、環境基準の問題、また排出基準、排水基準というのがございますが、こういったのが一番の問題になる中心点だろうと思うのです。これについて
政府がどういうふうな考え方でやるかというのが、一番の大きな問題ではないかと私は考えております。
法律の形としましては、いろいろ考えてみました。私も考えてみたのですが、現在の
政府提案のように、閣議決定や
総理府令云々というようなかっこうに、政省令に譲っておられるというかっこうでございますが、
法律の形としては、どうもこれよりほかにしょうがないと思います。しかしながら、政治的には、私は環境基準をつくる、この点についてはっきりした考え方をするのが一番大切なことだろうと考えております。まさにこの基準というものは、
国民的な合意のもとにおいてやられなければならないものであるからであります。特に
法律の
目的が改正されまして、従来のものと変わった点がございます。当然でございますが、
国民の健康を守るという点と
生活環境を守るという
二つの点の、後者の点について大きな改正がございます。したがって、環境基準、環境保全につきましても、これをどういうふうな形で環境保全の基準をつくっていくか、
基本的な考え方を聞かしていただきたいと思うのでございます。
これは具体的に申しましても、私の地元で、洞海湾からいろいろな汚水が流れてくる。だんだん魚がとれなくなってくる、こういった問題があります。それから瀬戸内海でも、だんだんだんだん漁業がやっていけなくなってくる。工場廃液が原因ではないかというようなことがいろいろいわれております。私はこの
公害環境基準、その他排水基準、排出基準の具体的な基準をどうするかということの前に、
基本的な考えとして
政府がどういうふうに考えておられるかということを
お尋ねしたい。
これはいわゆる生態学的な見地からいたしますと、人類はこのままでいったら滅亡するだろう、あるいは原始的な
生活に返らなくちゃいかぬだろう、こういう考え方も極論としてあるようでございますが、私は、やはり現代の体制におきましては、技術の進歩、医学の進歩等があれば、そんなことはやらなくてよろしい。科学的に
公害の実態を見きわめて、そして
公害絶滅のための技術開発というものに体制をつくっていけば、私は十分できることだと思うのです。一体こういった点におきまして——先ほど厚生
大臣から御
答弁がありました。まだ科学的な研究が十分進んでないから、絶対的な基準というものをはっきりするわけにはなかなかいかない、基準としては、疑わしきは罰せずという考えではないことは考えておるのだ、こういうふうな御
答弁があったようでございますけれ
ども、私はむしろ環境基準であるとか排出基準、排水基準というものにつきましては、やはり先ほど来申しましたような、ナショナルミニマムとしての定められた、
国民各層が広く納得するようなものでなくちゃならない。
法律の形としては政省令にゆだねておられる。しかしながら、それは
行政庁の
行政官僚の手にまかせておいたのではいけないと思うのです。やはり広く
国民各層の納得のいくような基準でなくちゃいけない、私はこれは大前提だと思います。したがって、
政府としては、単にこの
法律を制定したらそれで終わりということではないのです。私は医学的な問題についても、またそのほかの観点からして、いろいろな点をはっきり
国民に明らかにしていかなくちゃいけない。こういった基準をつくったならば、これは医学的にはどういう影響があるのだ、また、こういった環境基準をつくれば、こういったような魚に対して影響がある。また、いろいろなプランクトンだとかなんとかいろんな影響があるということをはっきり言って、
国民が納得するような基準というものをつくってもらわなくちゃいかぬと思うのです。まさに私はそういった
意味ではっきりした基準というものを、数字の上でなくて、
国民が納得するような平易な、いなかのおばあちゃんでも、おじいさんでもわかるようなものの考え方をしてやっていかなくちゃいかぬ。これは私は
公害対策の
基本だと思うのです。そういった
意味におきまして、基準をつくられる際に、従来〇・一PPMであるとかなんとかいう基準をつくっておられました。私は思いますけれ
ども、ここであれですけれ
ども、マッチをすります。このマッチの中から出るガスがどのくらいあるかということです。この第一委員室の部屋の中で、おそらく私の勘定したところでは〇・〇一PPMが若干下ではないかと思うのです。おそらくこの中で、マッチをすっておられる方がたくさんあります。そういったようなものだけで済んではいけない。こういった基準をつくったならば、お互いの健康はこうして守られるのだ。また、こうした基準がお互いの食糧なりまた漁業に対して、どういうふうな影響をもたらすのだということを、基準をつくると同時に、はっきり
国民の中に周知をしていただきたい。私は、なかなか具体的な問題としてはむずかしい問題がたくさんあることは承知しておりますが、やはり
政府としては、そういったことをはっきりと打ち出していただくことがぜひ必要ではないかと考えております。この辺についての山中総務長官の、あるいは厚生
大臣でもけっこうでございますが、御所見を承りたいと思います。