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1970-12-16 第64回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十六日(水曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 受田 新吉君    理事 加藤 六月君 理事 木部 佳昭君    理事 小峯 柳多君 理事 坂井 弘一君    理事 河村  勝君      稻村佐近四郎君    左藤  恵君       佐藤 守良君    斉藤滋与史君       山下 徳夫君    久保 三郎君       高田 富之君    横路 孝弘君       宮井 泰良君    東中 光雄君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      平川 幸藏君         警察庁交通局長 片岡  誠君         建設省道路局長 高橋国一郎君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     福田 勝一君         通商産業省重工         業局自動車課長 大永 勇作君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         労働省労働基準         局賃金部業務課         長       是佐 忠男君     ――――――――――――― 十二月十四日  交通安全施策財源確保に関する請願井出一  太郎君紹介)(第八六五号)  同(小川平二紹介)(第八六六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第八六七号)  同(小坂善太郎紹介)(第八六八号)  同(羽田孜紹介)(第八六九号)  同(原茂紹介)(第八七〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第九七四号)  同(松平忠久紹介)(第九七五号) 同月十五日  交通安全施策財源確保に関する請願下平正  一君紹介)(第一四五二号)  同(林百郎君紹介)(第一四五三号)  交通事故防止等に関する請願二見伸明紹介)  (第一七六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十一日  交通事故防止対策確立に関する陳情書  (第二  六一号)  交通災害防止対策確立に関する陳情書  (第二六二号)  交通安全対策確立に関する陳情書  (第二六三号)  交通安全対策に関する陳情書  (第三六〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  交通安全対策に関する件  請 願   一 交通安全施策財源確保に関する請願     (井出一太郎紹介)(第八六五号)   二 同(小川平二紹介)(第八六六号)   三 同(唐沢俊二郎紹介)(第八六七号)   四 同(小坂善太郎紹介)(第八六八号)   五 同(羽田孜紹介)(第八六九号)   六 同(原茂紹介)(第八七〇号)   七 同(増田甲子七君紹介)(第九七四号)   八 同(松平忠久紹介)(第九七五号)   九 同(下平正一紹介)(第一四五二号)  一〇 同(林百郎君紹介)(第一四五三号)  一一 交通事故防止等に関する請願二見伸明     君紹介)(第一七六八号)      ――――◇―――――
  2. 受田新吉

    受田委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を議題といたします。  これらの各請願につきましては、理事会において慎重に検討いたしましたのでありますが、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 受田新吉

    受田委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  本日の請願日程第一ないし第一一の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 受田新吉

    受田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 受田新吉

    受田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 受田新吉

    受田委員長 なお、本日までに本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してございますとおり、交通事故防止対策確立に関する陳情書外三件でございます。この際、御報告をいたします。      ————◇—————
  7. 受田新吉

    受田委員長 次に、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件につきまして、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 受田新吉

    受田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  9. 受田新吉

    受田委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小峯柳多君。
  10. 小峯柳多

    小峯委員 ただいまちょうだいした四十五年度版「陸上における交通事故」という資料でございますが、東京都の交通事故件数がたいへん実は改善されております。絶対数では人口も多いからトップをいっているようでございますが、上半期を昨年に比べると、たいへん私は改善されておると思いますので、当局の御努力にも深く敬意を表したいと思います。  そこで、この事故の死者、負傷者ひっくるめてですが、東京都の場合に、こういう区別をしているかどうか存じませんが、表通り裏通り事故件数がどうなっておるか。一ころ裏通り対策などということばを聞いたように記憶いたしておりますので、事故が減って、たいへん改善されておりますが、その内容において、表通り裏通り関係というものをひとつ教えていただきたいと思います。
  11. 片岡誠

    片岡政府委員 いま手元資料を持ち合わせておりませんので、後刻調査いたしまして、そういう統計が警視庁でとれておりますれば、差し上げたいと思っております。
  12. 小峯柳多

    小峯委員 私が、いまそういうお尋ねをいたしましたのは、いわゆる歩行者天国の問題との関連で、もう一つは、国道における交差点規制関係で、裏通り事故というものがかなりふえるような傾向にあるのじゃなかろうか。これは資料を見ての話ではございません。私の感覚でございますが、そういうふうに思いますが、その見方に対するお考えはいかがでございますか。
  13. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおり、幹線道路規制をきびしくいたしますと、裏通りのほうに車が流れていくのは、どうも一般的な傾向だと思います。したがいまして、従来はどちらかといえば、幹線道路の円滑をはかるために、たとえば大型車規制とか、いろいろやってまいったと思います。しかしながら、いまの段階になりますと、従来のこういう方針に少し検討を加えるべき時期が来ておるのじゃなかろうか。おそらく昨年なり一昨年あたりからそういう空気じゃなかろうか。通勤道路買いもの道路あるいは通学道路といったような生活道路を、歩行者のために確保するという方針がだんだん地についてきたように私は思います。したがいまして、将来の傾向とすれば、それをさらに強化していって、車はできるだけ幹線道路を走る。生活道路歩行者のために確保する、そういう方向に行くべきものだと私は考えております。
  14. 小峯柳多

    小峯委員 いつでしたか、新聞で読んだように——これも記憶なんでありますが、新宿歩行者天国ができて、その裏通りの車の通行量が非常にふえた、危険でもあるし、商売もしにくいというような新聞記事を読んだような記憶があるのであります。私どもは、この夏、受田委員長を中心に、個人的な資格でございましたが、欧米の交通安全事情を見せていただきましたときに、たまたまアメリカで、ニューヨークの交通事情を見ておりますときに、日本の歩行者天国が始まったような気がいたします。そのときに、向こうの交通局長でしたか、なかなかじょうずにやっておるじゃないか、歩行者天国道路規制はその場所だけでなしに、関連した周辺、それを総合的に、体系的にやらなければならぬものだと思うが、たとえば銀座でやってどうするのだという質問が出たくらいであります。歩行者天国というアイデアは、実はたいへんいいのでありますが、それをあまり局限的にやって、周辺のこと、あるいは前後の連係等をないがしろにいたしますと、そのことがかえって周辺部交通安全の問題に、非常に大きな差し響きを来たすように思うのです。新宿歩行者天国に関連して、私は新聞で読んだように記憶するのですが、そういう事実がありましたかどうか。また、ありましたら、何ほどか手でも打っていらっしゃるのかどうか。歩行者天国というものを局地的に押えないで、かなり体系的に周辺部をあわせて押えなければいかぬような感じがするのでございますが、その点いかがでございますか。
  15. 片岡誠

    片岡政府委員 歩行者天国というものは一体何だろうかということを、私自身も、交通局長になりまして、いまさらながらもう一ぺん考え直しているわけでございます。よかれあしかれ、あれはある程度の何らかの効果もあり、世論の支持も得たものだと私は思いますけれども、本来、たとえば銀座の場合に広い歩道がございますが、そういうところで、歩行者の安全のためだけのものなんだろうかという疑問も若干持っているわけでございます。しかしながら、少なくとも、マスコミにおいても、あるいは一般市民的な支持も得られているようでございますから、それなりの、歩行者道路を取り返すというシンボルとしての意味があるのかなという気もいたしております。  具体的な新宿の問題でございますが、私も、どの範囲にやっているか、まだ現実に見ておりませんので、できるだけ早い機会に見たいと思いますけれども、初めに若干そういう先生指摘のような問題があったように聞いております。しかし、現在ではむしろそういう声がなくて、地域を拡大してくれという声が地元のほうから出ているというような報告を受けております。
  16. 小峯柳多

    小峯委員 裏通り交通安全に関連してもう一つ。  国道交差点交通規制が、かなり裏通り交通の混雑を招来しているという事実を聞いたり、また自分でも体験しております。私は特別区の、ある交通安全協会の顧問ということになっておりまして、こまかい勉強にもなると思いますので、時間の許す限りその会合には出ております。たまたまその会合で、これは青梅街道の問題なのでありますが、国道交差点右折を非常にチェックしているものだから、地元の諸君は地理も明るいので、それほどまごつきはしないけれども地方から出てきた運転者がそのためにたいへん戸惑いをして、裏通り手探り手探りで非常に危険な運転をしている。本人の危険、その自動車の危険もさることながら、そのために、裏通り交通が非常に脅かされておるんだということを、しばしば実際の数字でお話を聞いております。私も、実はなるほどと思うようになりまして、少なくとも、国道交差点交通規制というものは、本来交通量が多く、そこが基幹になって交通というものが成り立っておりますから、それを押えるということに正直なところ疑問を感じております。そういう意味で、いまあなたの御答弁の中にもそういう趣旨のことがありましたが、その辺のことをどう御監督になっていらっしゃるか、ひとつお話を承りたいと思います。
  17. 片岡誠

    片岡政府委員 私、仰せのとおりだと思うのです。私自身が、自動車自分でもときどき運転するのでございますけれども右折禁止の標識がたくさんあり過ぎまして、ふところの大きい交差点右折禁止になっているというので、目的地に行くのにだいぶんぐるぐる回りをしている経験を常に持っております。あれは、やはり歴史的な経過があるように私は考えますけれども渋滞が激しくなって、特にラッシュ時なんかにまっすぐ行けというような形の規制をやった歴史的な産物だと私は思います。  しかし現実の問題として、片側が一車線の場合であれば、場合によっては右折禁止をしてさばかなくてはならない場合もあろうかと思います。しかしながら、片側が二車線以上もある相当ふところの大きい交差点で、はたして右折禁止をする必要があるかどうかという問題の交差点が、現にあると私は思います。そういう問題については、今後もう少し技術的な検討を加えて、合理性のあるもの、それから納得のいくものにかえてまいりたい、このように考えております。
  18. 小峯柳多

    小峯委員 これはいま申し上げた交通安全協会の会長なんでありますが、自分で調べても、裏通り事故は、地元の者が起こすよりも、地方から出てきた者の起こす事故のほうが多い。そこで、本来自由に曲がれなければならぬ国道交差点に、あまりにも規制が多いからこういうことになるんじゃないだろうか。少なくとも地方の者は、この国道ならこの交差点という目安で来ると、それが交通規制になっているというようなことに触れて、その御本人がこういう案を出しておるのであります。交差点のすみ切りを思い切ってやって、道路幅員の三倍の対角線の保持ができれば、その交差点に強い規制をしなくてもよくはないか、むしろそのほうが自然の流れになるので、いまのような裏通り交通安全の問題には非常に効果がある。もっとも、これは道路の問題に関連いたしますから、警察当局だけを責めるわけにもまいりませんけれども、あなた方のお立場で、この交差点のすみ切りによる交通規制の緩和ということが考えられるかどうか、その御意見を承りたいと思います。
  19. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおりだと思います。現に名古屋市の都市計画街路では、そういう配慮がなされておるように私記憶しております。これは当時の市長、助役というものが、都市計画家としてりっぱだったと私思います。交差点の手前だけ、百メートル前ぐらいからふくらんでおります。そうして左折レーン右折レーンをやりやすいように、ちゃんとそういうふうに都市計画ができ上がっております。全く同感でございますので、私どもとしても、道路管理者のほうにそういう希望は申し述べていきたいと思っております。
  20. 小峯柳多

    小峯委員 建設省道路局見えておりますか。
  21. 受田新吉

    受田委員長 局長が来ております。
  22. 小峯柳多

    小峯委員 いまの話は、町の交通安全研究象の提案なんですが、あなた方のほうは、そういうことを考慮して道路改造というふうなもの、特に都市道路改造というふうなものをお考えになったことがあるか、またお考えになろうとしているか、その辺のことを聞かしていただきたいと思います。
  23. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの先生指摘の、交差点のすみ切りを三倍程度にとったらいいではないかということでございますが、おっしゃるとおり三倍程度とれれば非常にいいわけでございます。おそらくは直進するものと右折するもの、それから左折するものというふうなことからじゃなかろうかと思いますが、従来われわれがやっております方法は、左折可の場合、この場合に対する車線は常に設けるようにしておりますが、右折の一場合が非常にむずかしゅうございまして、右折の場合は中央分離帯を置きませんと、右折する車が横断歩道通行を妨害いたします。したがいまして、中央分離帯という相当スペースを持っているところでないとなかなかできませんので、そういうふうなスペースの余裕のあるところは、たとえば青山通りにはございますが、そういうふうな車線もとっております。私どもの役所のまん前にもそういうふうなものをとっておりますが、結局おっしゃるとおり、交差点の付近における幅員を十分にとりますれば、おっしゃるような交通渋滞が少なくなろうかというふうに考えられます。  建設省といたしましては、最近道路構造令を新たに改定いたしまして、昭和四十六年四月一日から、その新構造令によって道路構造改造されることになるわけでございますが、その中にも、特にこういう交差点の処理につきましては、交通島と申しますか、トラフィックアイランドと申しますか、そういうものをつくったり、いまほど申しました屈折する車線などを設けるようなことを指導しているわけでございます。できるだけ御指摘のとおりにしたいとは考えておりますが、ただ、何ぶんにも大都市内におきます地価は非常に高うございまして、そういうような予算的な制約はございます。ですけれども、できるだけそういうふうな線に沿っていきたいと思っております。  なお、つけ加えて申し上げさせていただきますと、交通事故を同時になくするには、やはり立体にするのが一番ようございまして、四車線以上の大きな道路がぶつかる場合は、できるだけ立体交差にしまして、平面の中で右折左折をとって、直進はまっすぐ進むというような方法をとるのがもっと事故も少なくなりますし、いいわけでございまして、われわれの新しい五カ年計画には、大都市におきます交差点立体交差化ということに非常に力を入れて処理するようにいたしております。
  24. 小峯柳多

    小峯委員 お考えはわかりました。そうすると、道路構造令ですか、その中に、いま申し上げたような意味のことを盛り込んで強制するお考えですか、どの程度のきめ方をなさるおつもりですか。
  25. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 こまかく、たとえば三倍にとれとか、必ず右折車線を設けろとかということは規定いたしてございません。構造令には、道路が同一平面で交差し、または接続する場合においては必要に応じ、という文句が入っておりますが、屈折車線変速車線、これは速度を変えるときのための車線を別につくるわけであります。もしくは交通島、アイランドを設け、または、かつ適当な見通しができる構造とするものとする、というふうに規定しておりまして、こまかい構造等につきましては、技術指導というかっこうでやっておるわけであります。
  26. 小峯柳多

    小峯委員 いまお読みいただいた内容だと、いわば教訓規定みたいな感じがするので、国道の、特に市街地の交差点の問題をもう少し詳しくきめておかないと、実際問題としてはなかなかはかどらないと私は思うのであります。お説のとおり、空閑地でもあれば楽でございますが、私の申し上げますのは、そのすみ切りのために相当の犠牲を払っても、言いかえれば家もつぶしていただく。そして土地は買い上げる、そういうことまで、やや強力な姿勢で臨みませんと、正直なところこの問題はなかなか解決がつかないと思うのであります。私は、一般の道路を都会で拡幅するよりは、こういうポイントポイントに力を入れていったほうが、費用の面でもわりあい効果がありゃせぬかと感ずるものですから、特に、実際の現場に即して、私はそのことを痛感しておりますから、いまのような規定を、なお強制力を持ち得るような形でごくふうをするお考えはありませんか。これは私はたいへん重大な問題だと考えておるのであります。
  27. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの文章は、おっしゃるとおり教訓的かとは存じますが、実際はこれに従いまして、東京とか大阪、各地の大都市交差点につきましては立体交差化、並びにすみ切りと申しておりますが、こういうものに対して相当配慮をいたすことにして、五カ年計画は組んでおるわけでございます。  たとえて申しますと、通称玉川通りと言っております二四六、これはただいま玉電地下鉄工事をやっておりますが、三軒茶屋の三差路、あれは立体にいたします。それから先、上通り立体にいたします。そういうようなことでもって、大きい通りと交差するところは、ある工事が起きますと全部それに伴ってやっておるのが実態でございます。それ以外に、環状八号線と交差する瀬田という交差点がございます。これは非常に込んでおります。これにつきましては、別途に立体交差化をしようというふうに考えております。御承知だと思いますが、オリンピックのために残りました、環状七号線と国道二十号線との大原の交差点でございますが、これは当時はオリンピックには間に合わなかったのですが、その後拡幅してやっております。そういうふうな例がたくさんございまして、特に混雑するところにつきましては一カ所一カ所検討いたしまして、それに重点的に交差点改良を行なうようなことに、五カ年計画では考えておるわけでございます。
  28. 小峯柳多

    小峯委員 いま私が御質問申し上げたようないきさつでも御了解いただけると思うのでありますが、交通取り締まり上の要請というものが、道路建設にぴたっと反映するような、何かそういうくふうというものがあってしかるべきだと思うのでありますが、これは警察当局どうお考えになっておりますか。
  29. 片岡誠

    片岡政府委員 全くそのとおりだと思います。ただ、最近におきましては、御承知のように交通安全施設緊急整備三カ年計画を延長しまして、現在建設省警察が一緒になりまして、事故多発地点の解析をして、そして、ここは道路管理者がこういう手を打ったらいい、ここは警察がどういう手を打ったらいいというような、具体的な総合的な対策を両者で協議をいたしまして、一番有効な適切な手を打っていくという仕組みで仕事をやっております。できますれば、昭和四十六年度からも五カ年計画として、同じような発想、同じようなやり方で、道路管理者と一体となって手を打ってまいりたい、かように考えておりますので、現在、あるいは若干問題はあるといたしましても、その間に意思の食い違いだとか、連絡の悪さというものがないように協力してやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  30. 小峯柳多

    小峯委員 どうですか、いまのお話、協力してやっていきたいというのはわかるのですが、実際に協力ができる保証というものが何ほどかの形で確保されておりますか。その点、どうなんです。まあお気持ちはよくわかるし、気持ちは通じるということはよくあるのですが、しかし実際の行政の上でなかなか実現しない。ことに、いまのあなたの御答弁の中に、事故多発地点ということばがありましたが、私の申し上げているのは、その交差点交通規制が、間接的に裏通り事故をふやしているので、そんな事態が、多発地点でなくても大きな原因になっているという意味のことを申し上げたので、そういうことまで含めて、交通取り締まり当局と、道路を建設するほうの当局と、ぴしっとした、ゆるぎのない組み立てというものが何かありますか。また、なければ、どうしたらいいかということはありませんか。私は、交通安全対策特別委員というものは、そういうものに対する配慮が非常に必要だと思いますので、重ねてお伺いいたします。
  31. 片岡誠

    片岡政府委員 現実の問題としては、御承知のように、道路管理者は線でとらえております。公安委員会のほうは面でとらえております。したがって、ある交差点をとりましても、これは国道建設省工事事務所が管理している。それに交わっている道路は、県道だとか都道あるいは市町村道と、そういう問題が現にあると思います。したがって、道路管理者がたくさんおられるということになろうかと思います。私どものいままでの実績からしますと、建設省直轄区間については非常に連絡がうまくいきます。その次に都道府県道になりますと、まだいきます。ところが、御承知のように市町村道になりますと、指定市を除いて、財源の面でやりたくてもやれないという面もあろうかと思います。そういう面で、公安委員会と完全に協議をしてやる人的なスタッフがなかったり、財政面で困難であるという問題もあって、地方道に行けば行くほど、やりにくさが出てくる。国道なりあるいは都道府県道であれば比較的スムーズにいく、こういう実情ではなかろうかと思います。
  32. 小峯柳多

    小峯委員 これは委員長にも申し上げておきたいのですが、交通安全基本法というのができて、あなたはたいへん気負って、この問題の意義を認めておられるようにお察し申し上げます。小さいことのようですが、こういう問題をきちっとくさびを打つことが、特別委員会のできた目的ではないかと思いますので、どうぞ委員長におかれましても特にこの点を気をつけられて、ひとつ関係方面にきびしい御注意をしていただきたいと思います。  それからもう一つ、欧米を、これは薄っぺらに飛び歩いたのでありますが、私は歩いてみての感じが、交通警察というものが独立しているほうが、これからの交通問題がきびしくなるようなときには必要だ、このことを非常に強く感じてきたのですが、現職の交通局長にこんなことを聞いてはあるいは困るかもしれませんけれども、これほど交通の問題がやかましくなってきたときに、いままでのように治安警察と一緒にやっていくことで手に負えるとお考えになりますか。何ほどかそういうくふうが必要だとお考えになりますか。いかがでありますか。
  33. 片岡誠

    片岡政府委員 交通警察自身が、昔と違いまして次第に専門化してきているというのは事実だと思います。これは、専門的な自動車工学なり、道路工学なりあるいは人間工学なり、そういう科学的な知識も身につけ、しかも妥当な職務ができる警察官ということで、専門化する必要は非常にあると思います。しかしながら、総合的な力を考えた場合には、はたして独立することがプラスになるかマイナスになるか、その辺はよく検討してみなければいけないと思います。ただ、現に駐車違反の取り締まりなどをする場合に、初任教養で一年間も金をかけて一人前の警察官をつくって、それにやらすというほどのこともなかろうということで、御承知のように交通巡視員制度ができたと思います。したがいまして、そういう駐車違反の取り締まりなり、歩行者の保護をするような巡視員制度は、できるだけ人数もふやしてやっていくというようなこともあわせ考えてまいりたい、そのように考えます。
  34. 小峯柳多

    小峯委員 私はイタリアのハイウエーを視察しましたときに、道路管理者とそれから交通取り締まりの当事者が、同じ建物の中に同居している。事故の場合に遅滞なく処理しておるし、その事故を通して、新しい道路管理にヒントを得ているようでございまして、たいへん実はこういうことはならってもいいことだと思って帰ってまいりましたが、これはどうでございますか、あなたと道路局長とお二人のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  35. 片岡誠

    片岡政府委員 先生承知だと思いますが、建設省との問には人事の交流をやっております。警察のほうからも建設省に勤務をするようにし、あるいは建設省道路の技術者が、警察に勤務をするというような人事の交流もやり、その間にお互いの立場もよくわかって、共同してやるという雰囲気も、私できておると思います。したがって、わが国の場合にはそれなりの国情もございますので、いまの組織体制で、十分両者の交流その他を通じてやっていけるものだ、私はそのように考えております。
  36. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまのイタリアの例がございましたが、日本におきましても現在まだ六百キロ程度しかできておりませんけれども、東名、名神の高速道路には、道路管理者の事務所の中にやはり警察の部屋がございまして、われわれと一緒に——高速道路については、そういうふうなかっこうになっております。御承知のように、高速道路というのは非常に閉鎖的な道路でございまして、他から容易には入ってこれないというような環境にございます。したがいまして、これはどこの国でもそういう措置をとっているのではなかろうかと思いますが、一般の道路につきましては、ただいま交通局長からお話がございましたように、われわれ道路管理者とそれから取り締まりを担当されます警察とは、非常に密接にいっているはずだというふうにわれわれは考えております。具体的な、たとえば交差点の改良にいたしましても、道路工事をやる場合にいたしましても、十分に連絡をとってやっておりますので、こういう交通渋滞並びに交通事故の問題につきましても、両者で十分な連絡をとってやっておりますので、今後その方針で進みたいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 小峯柳多

    小峯委員 もう一問だけ、これは薄っぺらに外国を見てきましたので、そのことを少しただしたかったのでございますが、時間の御注意をいただきましたから、一つだけ……。  イギリスの交通事故がかなり目立って減っておるのであります。私ども現場を見た目には、道路標識の問題でも、あるいは道路構造の問題でもそれほど優等生だとは思いませんでしたが、わりあいに事故が少ないのであります。いろいろお話を聞いてみて、その一つの理由の中に、ハイウエーコードという、これは政府筋で発行した本でございますが、まあいわばバイブルと並んで、イギリスの国民生活の中に溶け込んでいる私はコードブックだと思います。そのハイウエーコードというものを幼稚園の生徒がかみ砕いたように教えられるだろうし、読めるようになればそれを読むだろうし、運転者の試験にもそれから問題が出るというふうに、私は、普遍的な交通安全教育にこれが非常に役立っていると思うのであります。日本でも道路標識の問題、道路構造の問題等々ありますけれども一つはやはり魂の教育の問題ですから、こういう普遍的なものを、運転者憲章とでもいうか、あるいはどういう名前をつけたらいいか、親しみやすい名前をつけて、子供もおとなもみんな、今日の公民としての一つの義務だというふうなものが打ち立てられますと、私はよほど違ってくるだろうと実は思うわけです。これは委員長と一緒でございましたが、委員長もたいへんその点を感銘しておられたようでありますが、そういうことに関する、これは文部省になるのか——しかし交通取り締まりのほうで、あなたのほうでイニシアチブをとらなければならぬ問題だと存じますが、そういうものをつくって国民共通の、しかも非常に小さな時代から、もう理屈でなしに、中に肉体化するような意味で、こういう問題を教え込むということが私は非常に必要だと思うのでございますが、そういう考え方に対する御批判はございますか。
  38. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおりだと思います。私も実は、数年前イギリスに参りまして、交通局の課長をしておるときでございますけれども、同じような感銘を受けました。  それで、帰ってまいりまして、事実上の問題として、ハイウエーコードと法的性格は異なると思いますけれども、「みんなが守る交通法規」という、こういうものをつくりまして、現在、これは隠れたるベストセラーだと思います。これをつくりまして、全日本交通安全協会で出して、運転者に一人でも多く読んでもらおうということで、ずっと続けてやってまいっております。ただ、現在の道交法のルールそのものが、現状に必ずしも合わない面も出てまいりましたので、次の通常国会には、その手直しをして御提案したい。と同時に、いままで事実上やっていますことを何らか法的に認められた形にいたしまして、わかりやすく、これは絵も入ってございますが、わかりやすいものにして、それが学校教育の副読本に使われたり、あるいは自動車の免許試験のときに、これだけ読んでおればもういいんだというような形にして、普及してまいりたいと考えております。いずれ次の通常国会にそういう趣旨で御提案いたしたい、そのように考えております。
  39. 平川幸藏

    ○平川政府委員 先生指摘のとおり、イギリスにおきましては、交通事故が人口十万当たりにつきまして世界最低でございます。それから自動車千台当たりにつきましても、〇・七という数字になっておりまして、アメリカに次いで低い数字になっております。私も実はハイウエーコードを知っております。これは法的には、いわゆる道交法という法律、法典ではなくて、もう少し砕いたような法典と申しますか、PRのような感じでございまして、非常にわかりやすく書いてあるということが特色でございます。われわれ見まして、確かにいま交通局長が言われたような、日本でもそういうのができておりますけれども、何かオーソライズされたものを一つ出して、ひとつ社会教育、学校教育にも資したい。イギリスにおきまして、特に最近幼児に対する教育が非常に盛んでございまして、タフティクラブというのがございます。これは、歩道と車道の縁石のところに行きますと、必ずストップしまして、三本の指をあげましてアイ・マスト・ストップと言いまして必ず声を出していく、必ずそこにとまるという幼児教育といいますか、そういう教育が非常に徹底しているということであります。だから、先生指摘のように、幼児の事故が減っておるという原因かと思います。要するにPRをわかりやすい形でさらに進めていく必要がある、私はこのように痛感いたしておる次第でございます。
  40. 小峯柳多

    小峯委員 私、初めてこれは見せてもらいました。だから、もうちょっと、いいものがあるなら出し惜しみをしないで、出さなければ意味がないと思う。パンフレットのような形で多少重さを持ったいいものにして、バイブルまでいかぬでも、ちょっと見て突っ込むのでなしに、大事に保存できるようなものを少しくふうなさったらいいと思う。そうして、それを日本国民のいわゆる交通に関する憲法にするのだ、血と肉にするのだという意味合いの、ひとつPRをしっかりやってください。特にこのことを希望申し上げまして質問を終わります。
  41. 受田新吉

    受田委員長 ただいま小峯君の委員長に対する希望につきましては、十分理解と協力をしてもらうべく、政府関係各部門に強力に働きかけて、御期待にこたえたいと思います。  なお、ただいま小峯委員の質問に対しまして、政府の御答弁の中で、委員長からもさらにこれをくみ取って希望を申し上げたいことは、交通バイブルの質問に対しましてのお答えの中で、もっと駅やあるいはたばこ屋などでもこれが市販されるように、周知徹底をくふうせられまして、総理府、警察庁等関係各機関が相談された、りっぱな交通バイブルを作成されることを、委員長からも希望さしていただきたいと思います。  次に、斉藤滋子史君。
  42. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員 ただいま小峯委員から、都市の交通災害につきまして種々具体的な質問があったようでございますが、私はさらに違った観点から、具体的な交通事故死について、いろいろと所見を承わりたいと思います。  去る七日に私、地方行政、交通安全特別委員会の連合審査会のおりにも、今般の道路交通法改正の意義について、敬意を払うと同時に、なおこの実行方について格段のよき指導力をお願いを申し上げたわけでございます。そのおりにも申し上げたわけでございますが、非常に産業公害という面については喧伝されておりますが、毎日の直接殺人ともいわれる事故死のことについて、わりあい国民意識が麻痺しておるのか、あまりにも毎日のことで、どうもどうにかなっておるのではなかろうかというような考えがなきにしもあらずであったわけで、あえてこの問題を取り上げたわけでございます。  本年秋の交通安全期間中におきましても、十日間に死者が四百三十四人という、一日四十三人の死亡者、これに動員された警察官が六万四千人といわれております。他の犯罪の多い時期に、交通関係だけでもこれだけの警察官が動員されたということをもってしても、警察当局のお骨折りはさりながら、まずもって私どもとしては心外にたえないわけであります。なお、十一月の連休には、三日まででございますが、二百五十一人の死亡者、私が七日に申し上げましたおりの、十一月二十五日で新聞では一万五千人を突破して、一日大体四十五・六人の死亡者があるという報道があったそのあと、もうこの十二月の十四日には、二万人をこえているというような、警察統計から二五%オーバーしたというようなことも報道されているわけでございます。  なお、つい先ごろ、私たち一年生議員で獅子会というグループをつくっておりますが、その中でいまの若い世代に一番こわいものは何かというアンケートをとったわけでございます。いわゆる昔から地震、雷、火事、おやじという発想でありますが、その中で現在一番こわいのは交通事故であるというような、若い世代の発言を見ましても、この問題につきましては、私はさらに一そう、当委員会にもさりながら、国家国民、何とかこの交通事故意識について、ぜひ考えおき願いたいわけでございます。  ちなみに、現在交通事故でございますので、自動車が対象になっております。生活環境基準では、五十五ホンが限界であるというようなことでございますけれども、限界を越すということは、当然人体に影響があるということになってまいるわけでございます。しかもなお、現在の技術をもってして自動車等の排気ガス、振動その他いわゆる構造関係の改善がおくれている実態の中で、今般の道路交通法の改正の中に、先ごろも申したのですが、私は人命、財産の尊重といいますか、保護保全ということばがないわけでございます。この点につきまして、重ねて将来、道路法になりますか、交通法になりますか、こうした問題も明言されてしかるべきと考えております。この点について、まず御所見を伺いたいと思います。
  43. 片岡誠

    片岡政府委員 御承知のように、道路交通法の第一条は、道路における危険を防止し、交通の安全と円滑をはかるというのが従来の規定でございます。それに「道路交通に起因する障害」という文字が加わった法案を、現在当臨時国会に御提案中でございます。危険を防止し、安全をはかるということで、大体いままでのところ、先生のおっしゃる人の命の問題をとらえておったと思います。しかし、ではこれで十分かということでございましょうが、そういう点につきましては、現在法改正の問題を検討しておりますので、今後そういう先生の御趣旨も体しながら、検討いたしたいと思っております。
  44. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員 御趣旨よくわかりました。実は後ほどまた、具体的な例で説明をしながら御意見を伺うわけでありますが、実際問題といたしまして、国一関係沿線におきましては、すでに防止と、あるいは施設等々の改善では間に合わない、現実に人命の危険にさらされ、毎日毎日が自動車との戦い、あるいは毎日毎日財産保持の戦いが現実に行なわれているわけでございます。したがって、この問題につきましては、ぜひ早急にひとつ道路関係につきまして御検討願うと同時に、残念ながら現在のそうした施設の改善、法律による取り締まりということとうらはらに、罰則規定ということについてもある程度手直ししなければ、この問題については解決しないのではなかろうか、かように考えておる次第でございますので、その点につきましても、よろしく今後ともお考えおき願いたいわけでございます。  ところで、私具体的にお手元に差し上げてあろうかと思いますが、実は国一の富士市の一部でございますが、全長二千七百メートルの区間において、交通公害から命を守る会というものをつくっている、これを中心にお願いといいますか、御意見を伺いたいわけでございます。  これは、二千七百メートルの国一の沿線に住んでおる方々が、みずからの資金、みずからの労力、全く他に依存しないで、住民あげてつくった資料でございます。日夜、国道一号線に沿って住まいしておるこの方々、代表の小川さん、高木さんという方々が主になって、この十年間における、自分たちの住まいする二千七百メートル区間の交通事故について調査した結果でございます。交通事故といいますと、先ほども一万五千人とか二万人とか、数字でいいますとぴんときませんけれども、この調査資料の一番最後に、実は図面で示したものがございます。これを見ますと、実際に交通事故というものがいかにおそろしいかということがよくおわかりであろうかと思います。全く道路に書き込めないほどの交通事故が、ここで起こっておるわけでございます。  この沿線の戸数が二百九十六戸あるわけですが、このうちに、飛び込まれない家というものは一戸しかない、十年間に十七名死んでおるわけでございます。飛び込まれた件数が四百二十一件、しかもこの図に出ておるこれは、車同士のぶつかったというものは一切含まれておらない、全部死亡事故と家庭へ飛び込んだ事故なんです。したがって、私はこの問題について、ひとつ御認識願うと同時に、これからいろいろと御注文申し上げるわけでございますが、御意見を聞きながらお願いを申し上げる次第でございます。  この沿線の人たちは、ここにも私ステッカーを持ってきたんですが、こうしたステッカーを自分で、一つ二百円かかったそうですが、これもみんな金を出し合って、それぞれの家庭の門の前へこれを張ってある。多いところは四つとか五つとか、これを張ってないのはいま申し上げた一戸しかない。しかもこの人たちが調べた沿線の日夜の生活音、あるいは障害その他の関係につきましては、もう生活基準をとっくにオーバーしておるわけでございます。日常生活音が生活環境基準よりも大体二〇%以上高いということ。しかもこのごろでは、もうどこへ訴えても何もやってくれないということで、先ごろは県へ行ってお願いして、照明灯を若干ふやしていただけるということと、それから防壁をやっていただくということになったようでございますが、とてもそんなことでは追いつかないというようなことで、ひとつ抜本的なことを考えてほしいということから、まあ本日の質疑になったわけでございます。この三千メートル前後に、沼津から富士へのバイパスを従前からお願いをしてあったわけですが、なかなかこれが予算の関係で実現できない。路線の決定はしておるようでございます。したがってこの問題につきまして、もし道路局長さんのほうで見通しがおわかりでありましたならば、この際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  45. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまお話がございました静岡県の沼津市と原町の間は、これは道路の幅は十メートル程度でございまして、交通量が一日三万台というふうなことで非常に混雑もしておりますが、いま御説明のございましたように、たいへん事故率が高いところになっております。私たちは、この区間につきまして、バイパスをできるだけ早くつくるというようなことから、調査は従前からなされておったわけでございますが、ただいまお話もございましたように、ようやく沼津のほうと、それから西のほうは通常富士川バイパスというふうに言っておりますが、依田橋付近まで現在着工中でございまして、問題の個所につきましては、ルートは大体きまっておりますが、いまだ着工してないというふうな状況でございます。ただこういうような事情もございまして、われわれといたしましては新しい五カ年計画にはどうしてもこれを組み入れて、できれば昭和四十九年度末には新しいバイパスを完了いたしまして、そちらのほうに貨物自動車は全部通したいというふうに考えております。なおそれまでに四年ほど日数がかかりますので、そのまま放置するわけにもまいりませんので、われわれいま検討しておりますのは、取りあえず歩道片側でもつくりまして、全線約三キロほどございますが、これにつきましては新しい交通安全対策事業といたしまして、歩道だけでも急いでつくりたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員 ありがとうございました。なお相当かかるようでございますが、歩道だけでもということでございまして、一日も早く歩道をつくっていただくようにお願いをいたします。この辺の人は、道路が狭められて渋滞してもよろしい、排気ガスを吸うよりも、直接飛び込まれて命をなくする、財産をつぶされるほうがもっとこわいということを訴えておるわけでございます。方位方角で、はなはだ表現がおかしゅうございますが、便所などもうちで取りつけ口というものがわかるわけですが、この沿線の人たちだけは、両側のうちのいわゆるトイレ、洗面所というものは、全部反対側へ持っていってあるというのが実情でございます。しかも交通安全のお札を自動車がつけるんでなく、この沿線の人はみな自分のうちへ張ってあるというようなことも、ひとつあわせてお知らせをいたしておくわけでございます。  なお、これは警察庁の関係になりますが、この加害者たちと被害者の関係でございますが、この夏にトラックに飛び込まれて、そのトラックがまだ現在軒へ——たまたまうちへかかっておらないということで、へいとうちとの間へ放置されたままになっております。これが要するに話し合いがつかないということでございます。こうした問題につきましても、ぜひ関係当局に御指示願って、ひとつこうした問題につきましては、特殊地域ということではありますが、ぜひ御指導を願いたい。  なおこの区間の十一人の死亡者の中で、ことしの春でございますか、七歳の子供が横断歩道を渡りながら、しかも手を上げて渡っていてはねられたのですが、その加害者は奈良県の男でありますが、事故をもう六回をやっておる。これは新聞にも出ておりますが、しかももちろん全部未解決だそうでございます。免許は停止中であるということでございます。しかも、これは営業者、運転者とも、どういうものか悪質といいますかもう話にならぬ。警察へお願いしても警察の管轄外といいますか、どうしても話がつかないということで非常に困っておられて、子供は死んだというような悲惨さ、これはもっとほかに両親をなくされたりいろいろありますけれども、とにかくこうしたことが昨今多いわけでございます。いわゆる悪質運転者の横行といいますか、特に冨士川をはさんだところは、砂利トラックや何かあるのですが、最近警察の方々の御努力で、そうした悪質さはありませんけれども、長距離トラックのこうした問題が非常にあるということでございますので、ひとつこの点につきましてもなお調査の上、未解決につきまして、しかも悪質の運転者等々につきましては、何とぞ早い機会に御解決の方向にひとつ御努力をお願い申し上げる次第でございます。  あれこれこうしてみますと、私は長距離トラックというものは、単に交通公害ではなく明らかに産業公害というふうに考えます。いわゆる経済活動を受けて、東京、名古屋、阪神へ向かって、東名はできましたけれども、有料ということで夜間はほとんど国一を通る。全く産業道路化しておるということになりますと、それも一つの産業活動の一環と考えまして、これは明らかに産業公害である。しかも直接殺人をもたらしておるということでございます。それで、私は何か施設、道路法等々においては限界があると思ったので、いろいろ地域の方々と考えましたところが、せっかく東名があるので、東名を何とか国一のかわりといいますか、夜間だけでも開放する方法があるやなしやということを考えたわけでございます。いろいろと道路交通法やら道路整備特別法やら、あちこち引っぱり回しておったのですが、公団道路が建設大臣の監督下にあるということと、高速自動車国道法によりますと、第三条に「運輸大臣及び建設大臣は」云々として、「高速自動車国道として建設すべき道路の予定路線を定める。この場合においては、一般自動車道との調整について特に考慮されなければならない。」という一項がございます。なお、高速自動車国道の意義の第四条に「高速自動車国道とは、自動車の高速交通の用に供する道路で」云々、「政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有するもの」云々とあります。こうした関係を見ますと、私は必ずしも国一を走っている長距離トラックを東名に移行させるといいますか、東名を走らせることが不可能ではないというふうに考えてきたわけでございますが、この点につきまして、どちらになりますか、御所見を伺いたいと思います。
  47. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま御指摘の高速自動車国道ないしは一般有料道路も含めまして、有料道路の料金を無料にするという規定はございます。ただし、それは特に政令で定めたもののみに限られております。それは、たとえば「警察庁又は都道府県警察において警衛、警護若しくは警ら又は緊急輸送その他の緊急の用務のため使用する」自動車であるとか、あるいは検察庁におきます犯罪捜査のために使用する自動車であるとか、あるいは災害救助とか水防活動、そういうものに使用する緊急自動車とか、そういうような車両と申しますか、自動車の料金を徴収しない自動車というものが告示できまっております。それ以外には、一般国道が災害等によって交通が途絶した場合に、建設大臣の指示によって無料で開放する場合がございます。ですけれども、ただいまのような一号線の交通混雑の緩和のために、東名高速道路を無料にするということは、現在われわれでは考えておらないという状況でございます。
  48. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員 もう一度伺いますが、有料の場合はどうですか。
  49. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 有料も、高速自動車国道も有料でございますので、一緒でございます。同じ取り扱いをしております。
  50. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員 私の申し上げるのは、東名のほうをなお有料で通った場合というようなことを申し上げたわけでございますが、よろしゅうございます。  実は、ここでいろいろと関係者とはかりまして、いまのお話でよくわかりましたけれども、東名の、私の調べたのは東京−富士間だけでございますけれども、現在一日大体二万六千台走っております。国一は大体三万台走っております。これは夜間、東名が大体五千五百台、東海道が五千二百台走っておるわけですが、この五千二百台を夜間だけでも、無料とは言いませんが、三分の一にした場合でも、原価算出基準台数料金、あるいは現在走っておる東名の自動車量等々勘案して、まだ東名高速道路自動車の容量もあるし、収入関係、もちろんこれは荒計算でございますけれども、収入関係においても、具体的に申し上げませんが、相当の利益が生ずるというようなことの計算になっておるわけでございます。  具体的に申し上げましょうか。一カ月当たりが、いわゆる三分の一の夜間通行料を取って、現在の国一を通っておる自動車を三分の一東名に逃がしただけでも一カ月一億九千万、二億ぐらいの利益が上がるという私たちの計算になるわけでございます。東海道大体三万台といいますと三秒間に一台、三秒間に一台ということは、年じゅうつながって走っておる状況でございます。これが東名へ、たとえ三分の一の料金で半分でも逃がすということになりますと、この国一の沿線というものは——何もこの地域に限らずに、いわゆる交通安全対策交通公害対策に最も有効なことであるというようにも私は考えるわけでございます。しかも、これは金が要らないということで、何にもしなくてもよろしい。そちらの考えで、これはどういう省令でありますか政令でやるのか、道路公団法でやるのか知りませんけれども、それを改正するだけで、一銭も要らないで交通災害、交通公害対策にもなるということでございます。人命が助かり、財産が助かる。あるいは今度の交通法改正によるいわゆる振動、汚染、こうした問題も解決する。しかも、なお公団も利益があがるというような、非常にメリットがたくさんあるわけで、この点につきまして、有料の場合、全然昼間と同じ値段だとどうしても国一を通ってしまいますが、東名のほうへ行ける可能性のある、いわゆる産業道路といってもよろしかろうと思いますが、有効に東名を使わすということの可能性があるかどうか、もう一度御意見を伺いたいと思います。
  51. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 夜間の割引につきましては、一般の有料道路については実施しておる例がございます。たとえば京葉道路とか、笹子トンネル、敦賀道路、こういったものにつきましては夜間半分の値段にしておるようなことでございます。こういう例はあるわけでございますが、東名高速道路とかいわゆる高速自動車国道でも実はこれを検討しておったわけでございますけれども、たいへん技術的にむずかしゅうございます。と申しますのは、延長が長うございますので、走行している車が、たとえば夜の十二時から六時までは通常一般有料道路につきましては、料金割引になるわけでございますけれども、そのときにおきます車というのが非常に把握するのがむずかしゅうございまして、途中で走行中の車がそういう状態に入るのだろうと思いますが、そういうようなことから、割引料金の徴収はゲートで徴収するわけでございますが、その徴収方法が非常に困難でございます。なお徴収するための機械が現在あるわけでございますが、これを変更することも簡単にできないような状況でございまして、いろいろ検討はしておりますけれども、なかなかむずかしいという結論に達しておるわけでございます。  なお、現在われわれのほうとしましては、大口の需要者に対しましては割引制度をとっておりますので、あるいは夜間と大口とのチャンポンが何か考えられるかどうかでございますけれども、現在われわれの割引制度は、大口の需要者に対してのみ行なっておるという現状であります。
  52. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員 聞きますと、技術的な問題で解決するようでございますので、なおこの点についてはひとつお考えおき願って、国一からの東名へのそうした問題について、前向きの姿勢でひとつよろしくお願い申し上げる次第でございます。  ところで、先ほど小峯議員も言われたようでございますが、欧米で交通局というようなものがあるやに聞いております。われわれも交通安全対策委員の一人として、これは委員長にお願いすることかもしれませんが、ぜひ行政面で統一、総合的な交通対策にかかわる一本の省、庁あるいは局でもけっこうでございますが、そういうものの実現方をひとつ私はお願い申し上げたいわけでございます。これは労働基準監督署というのが労働災害についてはあるわけです。しかし統計をとってみますと、昨今の交通上の災害、事故死というものは、いわゆる労働災害以上のものがあるのではなかろうか。しからば当然こうした監督等も行政上の問題として、いま行政改革上で非常にむずかしいかと思いますが、こうした問題も考えられてしかるべきである。とすれば、対策上の問題、あるいは事故処理の問題あるいは指導の問題等々も、統一的な形で行なわれるというように考えておりますので、この点もひとつよろしくお願い申し上げる次第でございます。  いずれにいたしましても、とにかく交通災害というものは、毎日毎日死に直面しておる人たち、また自分の家族から死傷者を出した人にとっては全く悲惨なものであります。子を失った親、あるいは両親を失った子供、あるいは柱を失った家族というものは非常にたいへんなもの。しかも先ほど申し上げましたように加害者というものが非常に不特定多数、しかも遠隔地という例が多いわけでございます。この点につきまして、ぜひ警察当局あるいはまた道路行政の面からもそうした問題も考えて、これからの道路建設等々におきましては何とぞ御配慮の上、ひとつこうした交通事故多発の問題、あるいは市街地の道路等々の問題もありましょうけれども、こうした問題については特に留意されて、バイパス等について建設方をお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  53. 受田新吉

    受田委員長 御苦労さまでした。  横路孝弘君。
  54. 横路孝弘

    ○横路委員 航空局のほうにお尋ねいたしますけれども、午前中も運輸委員会のほうで、航空局長、ことしの夏の例の混乱ぶりについて、一時間最高三十四機、三時間平均九十機という基準はやはり甘かった、冬になると風向きも変わるので、一日平均四百八十回の離発着に基準を押えていきたいというような話があったわけなんです。  そこで、少し具体的にお尋ねをしていきたいと思いますけれども、今月のスケジュールは、羽田で一日大体何回の離発着になっているのか、その辺からお答えをいただきたいと思います。
  55. 金井洋

    ○金井説明員 最高四百八十便におさめておりますけれども、その四百八十の中には小型機それから不定期、そういうものも入っております。したがいまして、定期便は四百六十以下ということに押えております。
  56. 横路孝弘

    ○横路委員 たとえば十一月の場合の一日の最高というのは五百二機ですね。平均で四百六十機です。十月の場合でも一日の最高は五百二十一機、平均でも四百七十機ですね。四百六十をこえておるわけですね。この上にさらに今度は臨時ダイヤを組むわけでしょう。二十五日から一月十五日の間。その臨時便の要求は、いまどういうような要求が各航空会社から来ているのですか。
  57. 金井洋

    ○金井説明員 具体的な数字は、各社別に出されておってまだ検討しておりますけれども、要するに、夏の苦い経験が二度と起こらないように、便を押えたいということで検討中でございます。
  58. 横路孝弘

    ○横路委員 私の聞くところでは、四社合わせて大体三百十四便ぐらいの要求が運輸省のほうに来ているそうですね。三百十四便ということになりますと、一日平均大体二十便ぐらいです。二十便といま認めている四百八十便を加えると、五百便になるわけですね。そうするとこれは夏どころじゃない、あれ以上の騒ぎになることは目に見えているわけです。やはり安全を守るという立場から、六月十日にもここで議論をしたのですけれども、最高三十四機、それから三時間平均九十機という基準そのものを変えない限り、私はこの夏と同じ混乱を繰り返すのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  59. 金井洋

    ○金井説明員 御指摘のとおり、夏は混乱したわけでございますけれども、あれはわれわれにとっても非常にいい体験でありますので、二度とああいうことは起こさないように必ず実行します。
  60. 横路孝弘

    ○横路委員 だから必ず実行するためには、おたくのほうできめている羽田空港の場合の基準があるわけですね、三十四機、それから三時間のトータル九十機というものですね。しかもその基準自体も守られていない。あとはフローコントロールで管制官にまかせているのだというのが、六月十日のときの航空局長答弁だったわけですけれども、いまもそれと同じ姿勢でやろうとしているわけですか。それともそこは変えて、フローコントロールでやるということじゃなくて、基準そのものを押えて、その臨時便の三百十便の申請について、その辺のところを考慮して認めていく。つまり押えていくということでなければならぬと思いますけれども、その辺のところはどうなんですか。
  61. 金井洋

    ○金井説明員 四百八十前後という基準は守ります。そこで押えるということです。
  62. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、たとえば十一月でも、スケジュールにない貨物便が大体一日平均二十六便ですね。そのほか定期が大体十五機ぐらい入ってきますから、四十ぐらい貨物が入ってきているわけですね。十二月になるとさらに入ってくるだろうと思うのですね。それと、不定期の関係はどうしているのですか。
  63. 金井洋

    ○金井説明員 不定期を含めて四百八十前後で押えるということでございます。
  64. 横路孝弘

    ○横路委員 夏の場合はほんとうにすさまじく、一時間も二時間も待たされたわけです。最近でもとにかく待たないでおりることはないのです。ひどいときには、千歳から乗ってきても四十分くらい待たされるので、何とかその辺のところをそういう方向でやっていただきたいし、またその結果を見守って、この次の委員会あたりでさらに詰めていきたいと思います。  そこで、最近新聞にいわゆる空中衝突、ニアミスのケースというのが非常にたくさん報道されているわけです。この問題について少しこれから質問をしていきたいと思いますけれども、まず最初、ことし一年間で報告があったのは何件ですか。
  65. 金井洋

    ○金井説明員 報告されたのは二十四件でございます。これは航空路あるいは空港周辺、すべて含めて二十四件です。
  66. 横路孝弘

    ○横路委員 聞くところによると、これは機長からの報告と管制官のほうからの報告と二つあるわけです。その報告されないニアミスというのは、管制官の話なんかを聞いても、大体報告されたケースの十倍から二十倍はあるだろう。そうするといま二十四件だというお話があったわけですけれども、これは十倍、二十倍ということになると、二百件、四百件とある、こういうことになるわけです。そこで何かおたくのほうで義務報告制にするようにしたという報道がなされているわけなんですけれども、そういう背後に隠されているニアミスというものについて、航空局のほうでも十分掌握されていることだろうと思いますが、その辺のところの対策をどうされるつもりか。大体ニアミス三千件で、空中衝突一回というような統計的な数字も出ているようなんで、そうするとほんとうにあぶないことになりますので、その辺のところをどのようにお考えになっているか、お聞かせを願いたいと思います。
  67. 金井洋

    ○金井説明員 まず第一の、報告されないものもあるだろうということでございますけれども、われわれもそれは大体五倍ぐらいはあるのではないかというふうな推定をしているわけでございますが、それは単なる推定でございますので、それは別としまして、とにかく報告されたものよりは多いということは御指摘のとおりでございます。  次に、義務づけるかどうかということでございますけれども、従来は航空路あるいは空港周辺において起こったニアミスについては、管制部とかあるいは空港事務所から報告を義務づけておったわけでございます。パイロットは、キャプテンレポートというものをまず会社の担当上司に出して、そして会社でそれをきびしく取り締まるというふうに、会社にまかせてございます。従来のこのような方法がいいかどうかということは目下検討しております。たとえばニアミスの報告様式がございますけれども、もっとこの報告様式を簡略化するとか書きやすくするとか、あるいは報告しても、勤務の評価といいますか、そういうものには何ら関係ないんだということを十分管制官、あるいはパイロットに周知徹底させるとか、そういうふうなことを加味しまして、将来、隠されておるニアミスをできるだけ掘り出すような方向で検討しております。
  68. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、ニアミスの原因、いろいろあると思うのですけれども、管制官のミスによるものを別とすれば、あとの原因というのは、わりあい自衛隊機や民間機の、いわゆる有視界飛行の飛行機と計器飛行の飛行機とのニアミスというのが多いわけですね。そこで、自衛隊関係とのニアミスというのは、ことし一年間で何件ございますか。
  69. 金井洋

    ○金井説明員 自衛隊機とのニアミスは、大体二十四件のうち八件、ただし空港周辺で二件、これは共用飛行場の千歳の場合ですけれども、二件でございます。二件でございますけれども、二十四件のうち空港周辺で起こったニアミスが八件でありますので、八件のうちの二件ということは大体四分の一でございまして、比率からいえば無視するほど低くはないということでございます。
  70. 横路孝弘

    ○横路委員 これは一件だっておろそかにすることのできないケースだと私は思うのですよ。つまり空中衝突寸前の状態であったというわけですからね。  そこで、自衛隊との関係なんですけれども、たとえば自衛隊とのニアミスがことしの場合浜松の周辺で二つあるわけです。ここで航空局のほうにお尋ねしたいのですけれども、いわゆる航空路がありますね。たとえば航空路を横切ったりする場合に、これは自衛隊からきちんと運輸省のほうに事前に連絡があるのですか。
  71. 金井洋

    ○金井説明員 一応航空路の管制は運輸大臣が実施しておりますので、航空路が特別管制区あるいは管制圏になっておる場合には、そこを横切る場合には管制部に通報しなければいけません。ただしそういう特別な管制区になっていない航空路を、VFR、有視界飛行で横切る場合には、通報する義務はございません。ただし、ある高度あるいは適当な間隔をもって、その航空路を横切れというふうなことになっておるわけでございます。通報の義務はございません。
  72. 横路孝弘

    ○横路委員 だから、そこが問題だと思うのですよ。民間のいまひんぱんに——たとえば浜松というと、これは東京−大阪のルートですね。そこでもって、ともかくどこかで訓練やって帰ってきたものが、これは有視界飛行だからいいんだといったって、現実にそういうケースでもって、ニアミスが起きているわけですから、やはりこれは航空路を横切るときくらいは、特別管制区域ではないとしても、きちんと事前に通報をさせるべきだと思うのですけれども、その辺のところ再検討されたことはないわけですか。
  73. 金井洋

    ○金井説明員 ニアミス防止のためには、通報あるいは特別管制区に指定する、特別管制区に指定すれば当然通報する義務が生ずるわけでございます。したがって特別管制区に指定するか、それとも指定しないで義務づけるか、二つの方法があるわけでございますけれども、私どもとしては特別管制区を設定して、それに基づいて義務づけられるという方向のほうがいいのではないかということで、その線で検討しております。
  74. 横路孝弘

    ○横路委員 自衛隊関係とのニアミスがあった場合に、これは自衛隊のほうとの連絡その他はどうなっているのですか。それはきちんとケース、ケースについて、何が原因だったのかというようなことをお互いに検討するような機関というか、機会というか、そういうことをやっておられるのかどうか。
  75. 金井洋

    ○金井説明員 これはわれわれのほうでも内部監査しまして、原因がどちらにあったかということをもちろんチェックします。それから、防衛庁のほうではもちろんその内部監査制度がございまして、そこで検討して原因を出すというふうに聞いております。したがって、もしその結果どちらかに原因があったとすれば、お互いに文書で、二度とこういうことが起こらないようにというふうに警告し合っておるというのが従来の方法でございます。
  76. 横路孝弘

    ○横路委員 自衛隊のほうにお尋ねしたいのですけれども、たとえばニアミスの状況にあったというような場合、自衛隊のほうから運輸省のほうに報告はあげているのですか、いないのですか。そういう義務はあるのですか、ないのですか。
  77. 福田勝一

    ○福田説明員 お答え申し上げます。防衛庁といたしましては、航空自衛隊におきまして達を出しております。その達によりまして報告を義務づけておりまして、その報告に基づきまして、さっそく航空局のほうには報告をするということになっておるわけであります。もちろん、実際はこれ以前に同じ事案について、運輸省のほうから連絡がくるという場合が多いのでありますけれども、私どもではそれぞれパイロットに義務づけて報告をさしております。出てまいりましたその報告に基づきまして、そういったニアミスの実際というものを調査いたします。これは調査する機関がございます。これは監察でございますが、監察のほうで徹底的に原因を調査いたしまして、しかる後、その原因がもしこちら側にあるとすれば、全自衛隊にまた通知を出して、またそういうミスのないように注意を促す、こういうことをやっております。
  78. 横路孝弘

    ○横路委員 たとえば千歳の飛行場周辺のニアミスのケースというのは、昭和四十年以降だけでも十件以上あるわけですね。しかもその内容、状況を見てみると、やはりこれはかなりおたくのほうが悪質なケースもあるわけです。たとえばことしの七月二十二日のやつだって、管制に従っておりているやつに、いきなり横から入ってきているわけですね。その辺のところを、スクランブルの場合は別にして、これをきちんと——いわば交通信号を守ってやってくるものを、赤信号無視でやったり、追い越し禁止のところをいきなり追い越ししたり、はなはだしい場合、一方通行を対面から来るようなそういう飛び方をしているケースもあるのですね。その辺のところ、運輸省としてこういうケースについて通報するというさっきの御答弁だったけれども、そうじゃなくて、もう少しきちんと厳重に取りきめ等をして、やはりこれは陸上交通と同じなんですから、きちんと信号を守るということを、やはり自衛隊のほうにも要求し、この辺のところをきちんとさせておかなければ、どんどんどんどんこれはふえるのではないか。最近、一週間に一ぺんくらいずつ何かニアミスのケースということで報告されておりますね。千歳でも先ほどお話があったように、特にひどいようなケースだけが報告されているのだろうと思いますけれども、二件発生しているということでありますので、その辺のところ、自衛隊との関係どうなされているのか。私はもう少し明確にきちんとすべきではないかと思いますがいかがですか。
  79. 金井洋

    ○金井説明員 管制方式につきましては、運輸省も、それから運輸大臣から委任されておる自衛隊の管制方式も、全く同じでございます。要はこのきめられた方式を守るかどうかということでございますけれども、これはお互いに運輸省については民間機に対して、それから防衛庁はおそらく防衛庁の使用する飛行機、パイロットその他に対して、各省庁でお互いに通達しておるわけでございますけれども、それが周知徹底されれば十分ではないかと思っております。
  80. 横路孝弘

    ○横路委員 しかし、その通達を出しておけば安全だという考え自身がおかしいのですよ。現実にどんどん発生しているのですからね。たとえば七月二十二日の羽田のケースの原因は、一体どこにあるというふうに運輸省のほうでは判断しているのですか。
  81. 金井洋

    ○金井説明員 まだこれについては詳しいことはよく聞いておりません。
  82. 横路孝弘

    ○横路委員 あなたのほうから出してもらった資料によると、たしかあれは調査中ではなかったはずですよ。結論出ているのじゃないですか。七月の事件ですよ。それでしたら答弁はあとでけっこうですから、二十四件全部のケースについて、原因を明確にした資料を提出願いたいと思います。
  83. 金井洋

    ○金井説明員 七月二十二日のものは出発方式が好ましくなかったので、それを変えるように自衛隊に申し入れまして改正されております。
  84. 横路孝弘

    ○横路委員 だから調査中ではなくて、きちんと原因は明らかになっておるわけでしょう。  もう一点お尋ねしたいと思いますけれども、航空自衛隊との関係で、いわゆる軍用制限区域の問題がやはり一つあるわけですね。たとえば宮古のポイントと千歳のポイントを結ぶスリーファイブのジェットルートの場合、レンジ一三一といわれる制限区域がちょうど航空路に接してあるわけです。航空路にもうきちっと接しているわけですよ。そこで、やはり航空管制をやっている方は非常に苦労されているわけです。ああいう航空路に接した特別制限区域なんというのは、やはり航空の安全を考えた場合設定するのはおかしいと思うのですよ。たとえば、そこに突如として何か気流が生じた、避けて通らなければならぬという場合に、避けたら、演習でもやっていればすぐその区域に入るわけですから、そういった意味で、たとえば一つのケースでこのレンジ一三一の場合、やはり航空路をずらすか、この区域をどこかに持っていくかしなければ、これはやはりニアミスの危険を非常にはらんでいると思いますけれどもそれはいかがですか。
  85. 金井洋

    ○金井説明員 一応国内の航空路の場合には十海里、航空路の幅があるわけでございます。もちろん演習地域あるいは制限地域は、航空路から十海里、さらにバッファーといいまして五海里ですか、それをとっておるわけでありますけれども、御指摘のように気流の乱れその他があって、その中に入るおそれがあるという御指摘でありますけれども、現在まで指定されておるところは、十分検討の結果、そういうところがないということでつくってあるわけですけれども、制限区域その他については、もう一度検討する必要があるものは検討いたします。
  86. 横路孝弘

    ○横路委員 自衛隊のほうはどうですか。このレンジ一三一はここでなくても、もう少しずらしてもかまわないわけでしょう。
  87. 福田勝一

    ○福田説明員 まことに申しわけございませんが、その旨御質問のあった趣旨をその所管の局課に伝えまして、検討させるようにいたしたいと思います。
  88. 横路孝弘

    ○横路委員 ついでに、レンジ一三一とこれは少し離れているわけですけれども、レンジ一二九、これもやはり積乱雲や乱気流があって避けた場合、飛行経路にひっかかるような区域の設定になっているんで、防衛庁のほうと話をして、その辺のところを明確にして、できれば航空路を移すか、特別制限区域を移すかどちらかにしなければ、これはやはりニアミスが非常に発生する危険性のある地域といえるんじゃないかと思います。  もう一つは札幌の丘珠飛行場の近くなんですけれどもレンジ一三八、これがやはり非常に障害になっているのは、ここで演習をやっていると、小型機の場合でも一万フィート以上に上げなければならぬわけですね。そして丘珠飛行場の十八マイルのところまでこの区域設定がされているんで、そこからいきなりすとんと落とすような形に航空管制をしなければならぬ。それで、これはやはり非常に苦労されているようなんで、いま札幌オリンピックを控えて、丘珠飛行場というのは飛行機が今後ひんぱんになるんで、やはりこんなすぐそばにこういうような特別制限区域を設けておいて、そこを飛行機を飛ばすことはできぬ、一万フィート以上の高さでなければならぬということになれば、やはり非常に危険もありますし、交通混雑ということにもなるだろうと思いますので、この点もひとつお考えいただきたいと思いますけれども、いかがですか、レンジ一三八について。
  89. 金井洋

    ○金井説明員 いま、これは射撃揚を含めた地域のことだと思いますので、これも検討します。
  90. 横路孝弘

    ○横路委員 これらの問題で、いずれも相当前に設定されたまま、つまり飛行機のような、相当伸びているにもかかわらず、こういうような制限区域の設定になっているわけですね。だから、それはやはりいまの飛行機の実情に合わせた形で考えていただきたいと思うのです。そのことをぜひ要望して私の本日の質問を終わりにしたいと思います。
  91. 福田勝一

    ○福田説明員 先ほどの御質問の趣旨と若干ずれるかとも思うのでございますけれども、実は射撃そのものが私ども主管でございますので、一言お答えさせていただきたいと思いますけれども、実際に射撃場に使いまして射撃の演習をやる場合に、標的機を飛ばしておるわけでございますけれども、標的を曳航いたしております私どもの練習機等によりまして、十分そういった周辺であるとか、あるいは近辺を飛んでいる飛行機のそういった状態を綿密に調べまして、安全を十分確認して、射撃演習をやっているという実情でございます。  なお、その場所そのものが適当であるとかないとかいう問題につきましては、また先ほどもお答えいたしましたように、それぞれの主管の局課に連絡いたしまして、検討していきたい、かように考えます。
  92. 横路孝弘

    ○横路委員 いまの話は、それはおたくのほうでやるとき注意されるのはけっこうなんだけれども、航空管制のほうでやっている場合には、その空域というものを使わないようにして飛行機を飛ばすわけですね。それが丘珠飛行場のすぐそばの八マイルのところまで来ていて、そこを飛ぶ飛行機、小型機を高さ一万フィート以上に上げなければいけない、大体七千から九千フィートくらいの一番いいコースをそういうことでもって使っているから、使っている場合だめだ、だからそこをずらすべきじゃないかということなんです。質問の趣旨はそういうことですから、これは航空局のほうでひとつ十分防衛庁のほうと打ち合わせをして、ぜひこの地域を横にずらすなり何なりしなければ、——先ほど航空局の推計では何か五倍ほどはあるだろう。そうすると年間百件ですね。ニアミスといっても、自衛隊のほうは有視界飛行だから、自分のほうは安全だろうといってもセパレーションを——計器飛行の場合はきちんときまっているセパレーションがあるわけですから、それを大幅に違反をして、さらに接近をした場合だけですから、報告をされているのは。接近したケースだけですから、それは六十メートルとか二、三百メートルというようなケースが報告されているのですから、そのセパレーション違反ではないわけでしょう。だからそんな意味で、私はこの二十四件とか、去年は十八件でしたか、そういうような数字は、その背後に隠されているものを考えた場合に、これは非常に考えなければならない問題だというように考えておることを御質問したのです。  終わります。
  93. 受田新吉

    受田委員長 坂井弘一君。
  94. 坂井弘一

    ○坂井委員 航空需要がここ数年来非常な増大を来たしております。そこで、将来を展望しましても、おそらく航空の大衆化時代といいますか、ないしは一億総飛行機時代というような、非常な発展をするのではないか、そう予測されるわけでありますが、そうした面から、やはり一番大事なことは航空の安全確保、これは十分か十二分でなければならない。特にそういうような中から私は取り上げたいのは、現在の大阪国際空港——伊丹空港、この過密状態、これは異常な状態まできておる。そういうような中から、いま申しましたような安全面、航空管理の問題の具体的な内容をお尋ねしながら、同時に、新国際空港の建設構想というものが最近取りざたされておりますが、それに触れてまいりたい、こう思います。  そこで端的にお尋ねいたしますが、現在の大阪空港の能力ですね、ほとんど一ぱいまできておるのではないか、こういわれるわけですけれども、限界の時期はいつごろと見ておられますか、まずお伺いします。
  95. 丸居幹一

    丸居説明員 先生指摘のとおり、大阪国際空港の伸びは、ここ二、三年の状況から見て非常に大きゅうございまして、昭和四十四年の国内線では前年の四割増しの約六百万人、国際線では五割増しの約四十万人がこの飛行場で乗りおりをしておるわけでございます。昭和五十年度では国内線で二千万人、国際線で二百三十万人の乗降客が予想されております。この飛行場の能力は十七万五千回と考えられておりますけれども、離着陸回数が昭和四十四年で約十三万回にすでに達しておりまして、このままの状態でいきますと、昭和四十六年度中に十七万五千回に達するものと予想されておるのでありますけれども、いまのところ四十六年度で一ぱいになられたのでは困るので、直行化、大型化ということをやりつつあります。直行化といいますのは、九州あたりから東京へ行きますのに、大阪で乗り継ぎをする客がかなりおります。九州の飛行場を大きくしまして、そして大きな飛行機で東京に直行さすということをやろうといたしております。またやりつつあります。それからもう一つは、大型化でございますが、YS11では六十人でございますけれども、これをジェットの特に大きいのにしていきますと、何倍かのお客を一ぺんで運べますので、そういう大型化をはかっていこうということになりますと、四十六年度では一ぱいにならないで、それが、五十年とか五十一年程度までには寿命が伸びるのではないかというふうに観測をいたしております。
  96. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま限界発着回数が年間十七万五千回、これは十二時間の計算でしょう。そうしますと、ピークのときが一番問題だと思うのですね。最近のピーク時における回数はどれくらいになっておりますか。端的にお答えください。
  97. 丸居幹一

    丸居説明員 ピーク時間は大体三十四回程度まではいけるんでございますけれども……。
  98. 坂井弘一

    ○坂井委員 実績ですよ。
  99. 丸居幹一

    丸居説明員 実績は、いま資料を持っておりませんが、三十回くらいだと、いま係のものが横で言っておりますので……。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 それはひとつ詳しく調べてください。これはかなり問題があります。  そこで、申し上げたいことはキャパシティーの問題、十七万五千回、ここに問題があるということが一点。キャパシティーもさることながら、あの伊丹空港は非常に特殊な地理的な環境条件下にあるわけです。六甲あるいは生駒山脈に、周囲が山に囲まれおる、こういう状況下で当然空域も制限される。航空管制という面にも当然支障が生じてくる。これが私は一番大きな現在の伊丹空港の問題点ではなかろうか、こう考えるのですけれども、この点はどうですか。
  101. 金井洋

    ○金井説明員 航空管制の空港処理能力からいいましても、先ほど答弁がありましたように、十七万五千回というのが一応大阪の限界というふうに考えております。したがいまして、新しい空港がどこかにできるまでは、できるだけその限界に達する時期を先に延ばすようにしたい。たとえば大型化ということもありますし、現在羽田で実施しておりますけれども、緊急必要な小型機以外の小型機の乗り入れを制限するとか、あるいはその他の規制をしまして、その限界に達する時期をできるだけ先に延ばすよりほかないのではないかというふうに考えておるわけであります。
  102. 坂井弘一

    ○坂井委員 そこで、まずさしあたって、やはり年末年始のピーク時ですね。これはかなり混雑するのではないかと予測をしておりますが、いまこのままの状態でいけば来年パンクですよ。直行便だ、あるいは大型化だ、それによってどうやら五十年、五十一年まで切り抜けよう、こういう方針だということなんですけれども、これはまた後ほど触れるとしましても、たちまち年末年始、これのピーク時にどれくらいの旅客数、離発着回数が予測されるか、計画立てておりますか。
  103. 丸居幹一

    丸居説明員 四十四年あたりは非常に臨時便が東京、大阪とも多かったのでございますけれども、定期便に次々組みかえまして、四十五年あたりは東京は減っております。大阪がちょっとふえておりますけれども、本年度あたりはだいぶ臨時便のほうを減らして、定期便のほうをふやすようにいたしておりますのですが、それらを合計いたしまして、一日四百八十便くらいという年末の予定でおります。     〔委員長退席、河村委員長代理着席〕
  104. 坂井弘一

    ○坂井委員 現状はもう御承知のとおりです。実際いま飛行機に乗ろうと思ってもなかなか時間に乗れない。これが現状です。旅客はどんどんふえております。そこで年末年始は当然相当な混雑、過密があるということは予測されるわけです。いまの御説明ですけれども、なかなかそういうわけにはいかぬだろう、そういう点が非常に心配になるわけです。  そこで、いま直行便というお話もございましたけれども、これはやろうと思えばすぐにできなければならぬとは思うのですけれども、ただし器材の移転をしなければならぬというような問題、あるいはまた実際問題、東京以遠から来たお客を大阪におろさないで直行で四国、九州、こういう層と、大阪へおりる層とその辺のバランスの問題ですね。同時にまた、実際都市間空輸で東京から大阪、これは大型機で来て、そこから四国、九州はプロペラにしなければならぬ。小型にしなければいかぬというような問題、だから技術的にもなかなかむずかしい問題があるんじゃないか。確かに直行便ということは、これはまあ一つ方法でしょう。しかしこれとてもそういういろいろな角度から検討してまいりますと、おいそれとそうはいかぬのではないか、現在やりつつあるといわれますけれども、しからばこれを一体どれくらいの直行便にするのか、具体的な計画をお持ちですか。
  105. 丸居幹一

    丸居説明員 いまちょっと資料を持ってきておりませんが、東京−九州、直行便というのが最近だいぶふえておりますので、そういうようなのが、計画というよりは実績という点になってあらわれてきつつあるものだと思います。
  106. 坂井弘一

    ○坂井委員 それからもう一つは、航空機を大型にして、ジャンボあるいはSST等にして、そうして便数を減らす、こういうのが一案として出ているわけですけれども、実際にはいまの空港の使用状況、時間的にはやはり制限ございますね。特に伊丹の場合は十時三十分でもう締め切りになってしまう。だからその辺が非常にむずかしいんではないか。特にまたチャーター機もそこへ入ってくる。ですから、そういう困難さがそこに入ってまいりますから、直行便にしろあるいは大型化にしろ、方法としては当然考えられますけれども、実際にやる場合においては、それがなかなかそうおいそれと簡単にはいかぬのじゃないか等々が考えられるわけでありまして、これは御答弁けっこうであります。  そういうような状況からしまして、伊丹空港の場合は非常に過密、もうパンク状態寸前にある、こういわなければならぬと私は思う。特にまた、先ほども質問にありましたニアミスの問題等々、そういう航空安全確保という面から考えますと、非常に危険な状態に来たっておるということがいえると思います。  そこで伊丹空港の場合もそうだと思うのですが、進入する飛行機の航路、これは設定されてある。ところが出発する場合には航路の設定がない、路線がきまらない、そういう問題がありますね。その辺はどうですか。
  107. 金井洋

    ○金井説明員 各空港について、進入方式及び出発方式は両方とも設定されておりますが、そういうものを設定して告示するということになっております。ただ、騒音関係その他で出発方式を変えることがございますけれども、変えるときに、告示のおくれその他ということは従来経験がありますけれども、原則としては全部両方式とも設定して、そして告示するということになっております。
  108. 坂井弘一

    ○坂井委員 小型機だとか報道機なんかの場合、有視界飛行、それに計器飛行、それらの区分がございますけれども、そういうものについてはないのでしょうか。
  109. 金井洋

    ○金井説明員 失礼いたしました。有視界飛行をやる小型機については、そういう方式はございません。
  110. 坂井弘一

    ○坂井委員 その辺も問題だと思うのです。それで、やはり発着航路というものを、われわれは当然きめなければいけないんじゃないかという問題が出てくると思うんですけれども、どうでしょう。
  111. 金井洋

    ○金井説明員 御指摘のとおりで、ニアミス防止のためにもそういう必要があるわけでございまして、東京とか大阪あるいはその他繁忙な空港につきましては、特別管制区というのを設定して、計器飛行で飛ばなければいけないとか、必ずタワーの許可をとるというふうな指示をしております。ただそういう特別管制区域を、従来きめておった区域をもっと拡大して、広範囲に管制する必要があるということで、目下検討しております。特に大阪の場合には、進入経路には特別管制区を設定してございますけれども、出発経路についてはまだしておりませんので、先日もその辺でニアミスがありましたので、出発経路についても特別な区を早急に設定するように考えております。
  112. 坂井弘一

    ○坂井委員 それからホールディングの問題ですね。これは最近はどうでしょうか。解決されておりますか。日航だけでも四十五年度年間通じて約三千時間ぐらいになるのじゃないか、こう予測されるということですが、特に伊丹空港の場合ホールドはどうでしょうか。
  113. 金井洋

    ○金井説明員 ホールディングですけれども、特にことしの夏は一機当たりに直しますと、平均六十分近く、それくらいホールディングがあったわけでございますけれども、現在は離発着機一機当たり平均約六分。もちろん二十分とか二十五分のものもありますけれども、平均に直しますと六分程度で、ことしの夏あるいはそれ以前に比べれば、大幅にホールディングの時間が減っております。将来ともこのホールディングをできるだけ減らすように努力するよう考えております。     〔河村委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 坂井弘一

    ○坂井委員 ただ、意見として申し上げておきたいと思うのですけれども、やはり航空の安全確保の面から考えますと、管制官ないしは検査官は非常に極限の状態にあるのではないか。実際問題としてちょっと手が薄いのではないか。同時にまた、たとえば、話は飛びますけれども、羽田空港の場合、機体の検査あるいはエンジンの検査に当たる検査官の詰め所が非常にお粗末だ。ああいう状態では、実際問題として大事な安全という面がおろそかになっていくのではないか、非常に心配されるわけであります。そういう問題につきましては、管制官の要員が非常に不足しておるという問題等が出てまいりますが、そうなりますと総定員法のワクということがからんでまいりますけれども、これはおのずからワクの中で配置転換というようなことも考えていかなければならない。実際航空局部内の職員の皆さん方の現在の状況を聞きましても、非常に過酷な現状に置かれておる。朝七時ごろから出勤して夜は十二時、一時だ。まして現場の第一線の検査官あるいは管制官等に至っては、もう心身ともに疲労こんぱい、極限に来ておる。これでははなはだ航空安全という面が心もとなくなるというわけでありまして、そういう問題につきましては、また別の機会にあらためてお尋ねをし、改善を促していきたい、私こう考えております。  そこでもう一点。伊丹空港に関係いたしましてお尋ねしておきたいことは、何を申しましてもやはり一番大きな問題になっておりますのは、例の騒音公害ですね。これにつきましては、一種空港でございますから、空港区域における騒音防止法、これの適用を受けておりまして、学校、病院とか大体公共のそういう部面に対する適用はなされておるようでありますけれども、これとてもまだ十分ではない。しかるに個人には全然適用がないというようなことでもって、非常に深刻な問題になってきておりますが、それらを含めまして、この騒音公害に対する対策というものを、法律を適用して拡大していくと申しますか、範囲を広げていくと申しますか、そういうようなお考えはございませんか。
  115. 丸居幹一

    丸居説明員 大阪空港の騒音対策というものは、われわれにとりましても非常に深刻な問題でありまして、いろいろ学校防音その他、先生いまおっしゃったとおりやっておるわけでありますが、やはり進入表面の直下というのはなかなかやかましい。これはどうしても立ちのきしていただくより方法がないというふうに考えまして、本年度から立ちのき補償を新たに制定いたしまして——なかなか立ちのきしていただくのにも土地がやはりむずかしゅうございますので、土地を地元の公共団体にお願いをして、あっせんをしていただくようなことをして、立ちのきを促進しようということでいまやっております。  それからいまおっしゃいましたもう一つの、個々人の家についての防音というものは、やはり非常にむずかしい問題がありますので、それにつきましては、もう少し十分研究をいたしまして、その上で決心をするより方法がないのじゃないかというふうに考えております。
  116. 坂井弘一

    ○坂井委員 伊丹空港の場合、先ほど申しましたような特殊なといいますか、山に囲まれているということ、同時に空港周囲が四面とも住宅が密集しておる。しかも特に国際線の場合、ジャンボ等大型機が入りますと——万博以後も非常に国際線の数が多い。しかもお客は満載だし、貨物を一ぱいかかえておる。非常に重量がある。あそこに入る場合には相当なカーブを切りながら急上昇して回転をして、そして着陸をする。ところが十分上がらないのですね。ですから、非常に低空でもって着陸という形になる。しかもエンジンはうんと吹かす。だから振幅が激しい、どんとたたきつけるようだ。ですから周辺の住民の騒音公害に対するあれは非常に深刻だという事情、そういう事情をよく考えて、いまお答えくださいましたけれども、十分個人に対する問題等まで御検討をひとついただきたい。この騒音については、大型機等ではある程度むしろ音を低くするというようなことが、技術的に最近開発されてきておるようですけれども、それはそれとしても、しからば現有機に対してはどうするか。この辺の担保、保証が何もないのが実情じゃないか。しかも現有機は七、八年ないし十年飛ぶでしょう。いま移転の問題等出ましたけれども、これもなかなかそう簡単にはいかぬ問題である。根本的にはやはり航空騒音、発生源である航空機そのものの技術的な改善によって、騒音を発生させないということが大事ではあろうと思いますけれども、いま現有機が七、八年ないし十年飛ぶというような実情からも十分御判断いただいて、この騒音に対する対策を手厚く進めていただきたい、これは要望をいたしておきます。  そこで、そういうようなもろもろの問題、キャパシティーが一ぱいになっておるというようなことから、当然新空港というような考え方になってきたのであろう、こう推測するわけでありますけれども、去る八日に芦原関西経団連会長が、大阪湾内の人工島方式による新大阪国際空港、これの建設が非常に有望ではないかというようなことを発表されたようでありますけれども、航空局当局は御承知になっておりますか。
  117. 丸居幹一

    丸居説明員 芦原関経連会長の御発表は、地元新聞に載ったそうでありますので、地元のほうからそういう連絡は受けましたが、関西新空港につきましてのただいまの調査の段階は、われわれのほうでももちろんいろいろの点を検討いたしておるのでありますけれども、関西新空港の候補地につきましては、非常に問題が多うございますので、とにかくわが国でこの方という専門家にお願いいたしまして、いろいろの調査をしていただいております。それが最近ぼつぼつ集まってまいっておりますけれども、それらの資料検討して決定すべきことでございまして、まだわれわれとしては何も大阪湾沖にきめたとか、あるいは泉南沖にきめたとか、淡路沖にきめたということは全然ございませんで、まだどっちかというと検討をあまりよくしてない、ただ、各候補地については検討しておるけれども、それらを総合して、どこを第一候補にあげるべきであるというふうなところまで、まだ検討していないというふうな状況でございます。
  118. 坂井弘一

    ○坂井委員 運輸省は、本年度年度内には建設場所を決定したい、こういう意向だと思うのですけれども、では、場所はどうとかとは申しませんが、いつ決定されますか。間に合わぬでしょう。
  119. 丸居幹一

    丸居説明員 さっきも申し上げましたように、大型化、直行化対策をやりましても、五十一年度くらいまでしか大阪空港はもつまい。そうすれば当然五十二年度には新関西国際空港ができ上がっておって、国際線とあるいは国内線の一部がそこへ移せるような状況にもっていきたいという希望をもってやっておるわけでございまして、それに合わしますと、やっぱりどうしても年度内にはあらかた候補地を決定するような段取りでないと、間に合わぬじゃないだろうかというふうに思っておりますけれども先生承知のとおり、関西に飛行場をつくります場合は、東京は比較的関東平野という大きいところに恵まれておるのでございますけれども、関西は人口が密集したところばかりでございまして、だというて大阪から非常に離れたところにつくるわけにもまいりません。やはり海であるとかあるいは島の山をつぶすとかいうふうなことが、自然候補地に大きくあがってくるわけでございます。しかし海の中につくるといいましても、海は非常に深うございますし、ヘドロも相当ありますし、またあまり接近したところですと、騒音対策上非常に問題があるということになりまして、なかなか技術的にむずかしい問題がございますので、できれば年度内にというつもりではおりますけれども、そういう問題もありますので、必ずしもそううまくいくかどうかわかりませんが、私たちはぜひ年度内にはひとつ見当をつけたいというつもりで、いま作業をいたしております。
  120. 坂井弘一

    ○坂井委員 私はやっぱり現状からしまして新空港は絶対必要だ、そういう考えに立ちます。いまも御説明のありましたとおり、五十一年といいますけれども、実際にはもう来年度でパンクの状態になるのではないか。少なくとも直行便あるいは大型化、そういう非常に希望的な考え方であって、現状を踏まえてまいりますと、もう寸前にきているという状態。その寸前の状態がやっぱり航空安全、安全弁が非常に脅かされるということ、そういう点から考えまして、新空港はどうしてもつくらなければいけない、そういうような考え方に立つわけであります。  そこで、人工島方式だとか淡路島とか、いろいろ取りざたされておりますけれども、淡路島においては、花こう岩であって非常にむずかしいんじゃないか。あるいは西宮、芦屋沖七、八キロの地点、これはヘドロの問題があるでしょう。それから地盤沈下の問題、しかもそれが変化がございます。それは無理でしょう、無理というか、非常にむずかしいでしょう。あるいは岸和田沖は地理的にどうだ、あるいは阪和沖はどうだとか、距離が都心とは一時間以上離れておるというような問題も出てまいりまして、非常にむずかしいということはよくわかるわけであります。しかし現実には、ボーリング等によって調査のほうもどんどん進められておるのでありますし、あるいはコンサルタント等を使いまして、相当深く煮詰まってきた段階ではないか。少なくともそうでなければ、関西国際新空港というものは、まさに絵にかいたモチだ、こういうことにもなりかねないと思います。そういう中で非常に大事なことは、絶対条件としては空域の問題があるでしょう。同時に土地が確保できるかという問題、さらに都心との交通の問題、これが出てくると思います。同時に公害は絶対発生させない。騒音公害、電波障害、この辺を踏まえて、こういう四つの問題が満たされれば、これは一番の適地であるというようなことがそこに浮かんでこなければいけない。そういたしますと、今日まで委員会あるいはまた調査研究室等を設置されて、しかも外部等にも相当働きかけて、実地調査をやってきた段階から、おおよそのところは浮かんでくるのではないか。  そこで提案申し上げたいことは、成田空港のああいう二の舞いをしてはいけない。やはり地方自治体のしかも下部機関、市町村、市ですか、そういう段階の機関と運輸省航空当局が、十分ひざ詰めで相談し合うというような、そういう場をまず設けなければいけない。抜き打ち的にここがきまったのだ、こういうことであっては、もう成田の二の舞いを踏むことは火を見るよりも明らかだ。ですから、やるということであれば、そういうかまえでもって十分に、自治体なりあるいはまた地元の住民との意見の交換の場を設けるべきではないか、私こう思うのですけれども、どうお考えになりますか。
  121. 丸居幹一

    丸居説明員 その点につきましては、もう先生の御意見のとおりでございまして、私たちもそういうふうに持っていきたいと思っておるのですが、実は、地元に少し誤解があったんじゃないかというふうに思います。東京国際空港を計画いたしましたときは、むしろ外部のほうが非常に関心が薄うございまして、関心を持っていただくのに非常に骨を折ったというのが実態でございますが、今度は架橋とも関係しておったせいなんでしょうか、外のほうで、地元のほうで非常に熱意が盛んございまして、その割りにこちらが調査も進んでおりませんでしたので、なかなか決心がつきませんでした。連絡に行こうにも行きようがない。どこにつくっていいのかまだ全然考えてもいない時分に、わあわあとおっしゃられたというふうなことで、むしろ地元にとっては、連絡もなしに非常にわあわあと言う、というふうな印象をお受けになったらしいように私は判断いたしております。しかし、こちらの調査が進みまして、この辺が非常に有力な候補地になりそうだということになりましたら、ぜひ先生指摘のとおり、地元の県なり市なり、そういうところに御協力をいただかないとなかなかうまく進みませんので、そういうところに連絡にあがりまして、十分御理解をいただくようにしたいというふうに考えております。
  122. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参りましたので終わりますが、やはりいま設置反対の一番の大きな理由というものは、騒音公害じゃないかと思うのです。ですから、現状において騒音公害がさっぱり解決されておらないというような状態を目の前に見ては、これはなかなか設置ということになりますと、地元が騒ぐ、これは当然そうなると私ども考えるわけです。ですから、先ほどから申しましたような騒音公害対策等含めまして、十分ひとつ、安全はもちろんのこと、検討をされまして、基礎的調査、実態調査というものをすみやかに終わって、そうしていまお話にございましたように、また要望申し上げましたように、地元とも十分な連絡調整等を持ちまして、そういう中で早急にひとつ決定されたい、こう思うわけであります。  いずれにいたしましても、今後航空需要というものが非常に急上昇するということは、火を見るよりも明らかでありますし、国民の足という立場から、十分その安全なりあるいはまた有効な空港の活用、需要というものに対応できるような、そういう空港をつくるということをひとつ基本に置かれまして、取り組んでいただきたいことをあらためて要望いたしまして、質問を終わります。
  123. 受田新吉

    受田委員長 河村勝君。
  124. 河村勝

    ○河村委員 初めに、建設省にお伺いします。  ことしの夏に当特別委員会で、九州福岡県から岡山県に至るまで、交通安全対策についての現地視察をやったわけでありますが、その際、各県の対策の実態を見てまいりまして、県あるいは地建、それに警察も協力をして、非常に熱心によくやっているということについては、私たちも感心したくらいでありますけれども、しかしなかなかいろいろな事情で、ほんとうにわれわれが期待するほど、特に歩道の面などについては進行がおそいような気がいたします。  前国会のこの委員会で質問をした際に、いまの道路局長ではないけれども、前の道路局長は、現在の道路整備五カ年計画が完了するときまでには、国道については、少なくとも街路については一〇〇%歩道が完備をするんだ、そういう答弁であったのですが、実態を見ておりますと、日暮れて道遠しみたいな感じで、どうもそろいうふうな印象を受けないのでありますが、一体建設省当局としては、どういう見通しを持っておられるか、それをまず伺いたいと思います。
  125. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 建設省交通安全施設等三カ年計画というものを——ことしは第二次三カ年計画の第二年度目になっておりまして、昭和四十一年から交通安全施設の整備につとめてきておるわけでございます。先ほど、前局長の簑輪局長からそういうふうなお話があったというようなお話でございますが、おそらくは全国道歩道ではなくて、必要な区間についての歩道を設置、これは基準がきめてございますけれども、それを全部つくるというふうな御発言じゃなかろうかというふうに私は感じます。いままでの交通安全三カ年計画につきましては、御案内のように、主としてとりあえず横断歩道橋に主力を置きまして、それから歩道の設置にも主力を置いたわけでございますが、歩道の設置の場合には、主として用地費を伴わない、つまり道路敷地内で歩道をつくれるようなものに重点を置いたきらいがございまして、こういう個所は全国至るところにあったわけでございますが、これを重点的に従来はやってきたのが原則でございます。なお、なかなか歩道の設置できないところにつきましては、人と車を分離するために、ガードレール等の防護さくを設けて、歩行者の安全をはかるような方策をつくってきたのが事実でございますが、もうすでにそういう道路がほとんどなくなりまして、いよいよどうしても用地買収をして歩道をつくらなければいかぬとか、あるいは人家をうしろに引かなければ歩道がつくれないというような個所が最近は残っておりまして、非常に時間と金がかかるような状況にいまやなっているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、来年度を初年度といたします、新しい交通安全の五カ年計画を策定いたしまして、その中では、主としていま申し上げましたような、いままで非常に困難であった区間の歩道をつくるための事業に着手したいというふうに考えまして、目下計画の立案中でございます。
  126. 河村勝

    ○河村委員 どうも私の質問に対する明確な答弁になっておらないのですが、前簑輪局長答弁は、もちろん全国道じゃありません。国道のうちの街路については、いまの既定の計画を進めることによって一〇〇%できるのだ、こういう説明だったわけですね。そうすると、それは間違っておって、実際は計画を改定してやらなければできない、こういうことですか。
  127. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 前局長の発言がどのようであったか存じませんが、当時計画しておりましたのは、指定道路歩道をつくるべき道路を指定しておりますが、この指定道路のうちで、歩道設置をする必要がある道路というのは、市街地で約二万一千七百キロ近くございます。これにつきまして、おそらく一〇〇%やりたいというふうな発言じゃなかろうかと存じますが、なかなか思うように進みませんで、今度の新しい五カ年計画で、どうやら一〇〇%になるような計画切りかえておる次第でございます。
  128. 河村勝

    ○河村委員 今度の新しい五カ年計画というのはどれですか、これからつくろうというものですか。
  129. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 これからつくろうとして、現在準備中のものでございます。
  130. 河村勝

    ○河村委員 それからついでに聞いておきますが、ずっと各府県を見ておって感じたのですが、地方単独事業ですね、これについては、各府県とも共通して、まるっきり反則金だけにおんぶをして、反則金を充当することだけで、ほかの財源は一切用いないで、それで計画を立てておるのですが、これで計画遂行は可能なのですか、いまの既定計画についてだけでも。
  131. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 私、まだ詳しく調べたわけではございませんが、反則金のほかに、一般財源も投入されて、計画的に進行しているように聞いております。なお詳しくは調べたいと存じますが、そういうふうにいま報告を受けております。
  132. 河村勝

    ○河村委員 少なくとも福岡、山口、広島、岡山、ずっと経由した県においては反則金だけでしたね。反則金というのは非常に不確定なものですね。これは、局長には具体的にその県でどうだということはわからないでしょうけれども、そういう印象が非常に強いので、これは一ぺん調べてみてください、お願いします。  そこで、いま新しい五カ年計画というお話でしたが、交通安全施設整備三カ年計画というのは去年から始まったわけですね。それを改定して新しいものにする、こういう意味ですか。
  133. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、御承知のように第二次交通安全施設整備事業三カ年計画の、ことしは二年度目になりまして、もう一年残っておるわけでございますけれども、たまたまことしの四月に交通安全基本法も制定されております。それに基づきまして、総理府が中心になりまして、各省それぞれ協力いたしまして、新しい交通安全の対策をつくっておるわけでございますが、建設省もそれの一環といたしまして、昭和四十六年度、来年度を初年度といたします新しい交通安全のための五カ年計画を策定するように、いま準備中でございます。簡単に申し上げますと、従来行ないました三カ年計画におきましては、特定交通安全施設等と申しておりまして、主として既存の道路におきます小規模な歩道設置であるとか、横断歩道橋をつくるというふうなことでございましたが、これだけではとても交通事故が減少いたしませんので、先ほどもちょっと申し上げましたように、改築事業とわれわれは申しておりますが、新しく道路をつくりまして、たとえば人家が連檐しておりまして、とても歩道がつくれないような個所につきましては、バイパスをつくりまして、大部分の交通をそちらに流しまして、原道には歩道をつくって、そうなりますとあるいは一車線しか通れないようなことになるかもしれませんが、そういうことをいたしまして人命を守りたいというふうな、いわゆる改築事業によります安全施設事業等も見込んでおります。なお、新しい方策といたしましては、たとえば現在の道路のわきに歩道がつくれない場合、特にこれが学童の通学路である場合には、たとえ道路から離れておりましても、その国道なり県道なりに並行する農道なり市町村道がございましたら、それにも国から補助をいたしまして、学童の通学路として整備させる、つまり、完全に道路から分離させた、歩行者だけの道路をつくったらどうかということの内容まで検討を進めておるわけでございます。そのほかにも、実は踏切の立体交差等の事業もありまして、現在われわれが準備中のものは総額一兆二千七百億という、相当大きな金額になっておるわけでございます。
  134. 河村勝

    ○河村委員 一兆二千七百億というのは、五カ年ですか。
  135. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 四十六年度から五十年度までの五カ年でございます。
  136. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、現在の計画が国家公安委員会分を含めて年額八百億程度ですね、地方単独事業をのければ。それを一兆二千億にふくらまそう、そういうことになりますと、財源措置というものはずいぶんたいへんなんですが、これは、これから予算編成にかかるわけですが、大体その見込みは立っておるわけですか。
  137. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま申し上げました交通安全施設の五カ年計画と申しますのは、現在われわれが道路整備を行なっております道路整備五カ年計画と四年間ダブるわけでございます。道路整備五カ年計画は、ことしの昭和四十五年度から四十九年度までになっておりますので、四年間ダブるわけでございますが、その四年間につきましては、この道路整備五カ年計画の中に入れるように考えておりまして、そのような財源手当てを現在考慮中でございます。
  138. 河村勝

    ○河村委員 ここで見通しについての議論をしているひまはありませんし、また時間もありませんから、ただ一つだけ聞いておきたいのですが、たとえば道路の担当の人たちは新しい道路をつくるのには非常に熱心ですね、おもしろくて興味があるから。だけれども、どうも既存の道路をいじって、歩道をつけたりなんかするのはしんきくさい仕事で、あまりやりたがらないという性質があるわけですね。そこで、これから予算編成にあたって万一、一兆二千億の計画が通らぬ場合には、通ることを期待しますけれども、通らぬ場合には、道路整備計画全体の中で、まずそれを優先的に先取りをして、かりに長大な国道を一本犠牲にしても、新しい道路をつくるのを犠牲にしても、安全の計画だけは落とさぬ、そのくらいの約束はできますか。
  139. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 これは建設委員会等で再度私は言明しておるわけでございますけれども、従来は御指摘のとおり、日本の道路はあまりにも外国に比べましておくれているために、道路建設に急でありまして、安全施設に対する配慮が若干欠けておる面がございます。そういう点を反省いたしまして、新しい道路整備五カ年計画の策定と同時に、われわれは道路構造令を改正いたしまして、従来市街地だけに歩道をつくるのを義務づけておりましたのを、新しい構造令では、地方部におきましても人の歩くところにつきましては、必ず人と車を分離するような、歩道ないしは自転車と歩道とが一緒になりました、自転車歩行者道というふうなものを設けることを義務づけるような、まず改正をいたしております。同時に御指摘のように、古い道路につきましても、できるだけの手当をいたしまして、歩道を設置するようにいま進めておるわけでございますけれども、今度の新しい五カ年計画は、たとえば財源が十分に取れない場合がありましても、まず交通安全は第一義的にやるべきだということでもって、そのつもりで準備しております。  なお、つけ加えて申しますと、十兆三千五百億の新しい道路整備五カ年計画は、ことしの三月に閣議了解になったわけでございますけれども、その閣議了解に、所要の財源については、四十六年度予算編成時までに検討するという文言がついておりまして、政府においてこれを閣議了解しているわけでございますので、われわれは必ず十兆三千五百億の財源措置はでき得るというふうに信じております。
  140. 河村勝

    ○河村委員 新設と並行して、それだけの財源が取れればけっこうですけれども、なかなか困難だ。予算は国会でつくるものだけれども、なかなか財源的に考えるとたいへんですから、いまあなたが言われたように、新設を犠牲にしても、交通安全施設だけは先取りするという方針でやりたいというその答弁に、大いに期待していますから間違いないようにぜひひとつそれを忘れないで、期待して見ていますからがんばってください。  それから次に、この九月に総理府交通対策本部で、東京都の都心部における交通規制の強化と輸送体系の整備等についてという、閣議決定したものですが、これを出しておりますね。この内容を見ますると、大型トラックの都心部への乗り入れ規制とかいうような、非常に市民生活そのものにも影響の多い、関連の多い問題があるのです。これをつくって出されるについては、総理府のことであるから、当然関係各省とは相談されたと思うけれども、一体これは、ほんとうに突き詰めて関係各省の合意のもとにこれを実行する、そういうつもりでつくられたのですか。
  141. 平川幸藏

    ○平川政府委員 九月十四日決定いたしました交通対策本部の都心乗り入れ規制の問題につきましては、各省とも長期にわたりまして協議いたしまして、完全に了解点に達しまして、この結果につきましては、特に警察庁、運輸省におきまして、強力に推進するということを申し合わせております。
  142. 河村勝

    ○河村委員 それならば伺いますが、これは警察庁と運輸省と両方にまたがる問題でしょうけれども、大型トラックの乗り入れ規制がこの文面で見ますと——時間を省略するために中身は申しません。当然御承知でしょうからね。相当大幅な規制をやりますが、一体都心に入ってくる物資というものは、直接自動車で入ってくるものもあるいは列車、船で来るものでも、都内を運ぶのはやはり自動車なんですね、トラックなのです。そうすると、トラックの乗り入れ規制をやったからといって自動車が減るわけではない。大型を禁止すれば小型に分散されて、道路占用面積はかえってふえるわけなのです。そうしますと逆に渋滞を増すはずだろう。その点は警察庁、運輸省は一体どうお考えでありますか。
  143. 片岡誠

    片岡政府委員 トラックの規制の問題は、私はこのように感じております。道路容量が一定であれば、二十四時間の有効利用というのが一つの発想だと思います。従来からトラックの規制について警察庁の考えておりましたのは、二十四時間有効利用の中で、夜間が御承知のようにすいておりますので、夜間に回り得る車は夜間に回す、そういう発想があったと思います。ただ、そういう発想でいままでも大型車規制をやっておったと私思いますけれども、そのときに問題点が二つ、三つあったと思います。一つ先生指摘のように、かりに昼間大型のトラックをとめますと、それが小型になってしまってかえって道路占用面積を増すというような問題がある。あるいは夜間に回すときに、トラック業者がその気になっても、荷主の方の協力が得られないという事情があったように思います。したがいまして、ほんとうに昼間にトラックが、貨物が動かなくて、早朝あるいは夜間に動くということであれば、それなりに合理性があると思いますけれども、どうしても荷主の側からの需要で、昼間動かす必要性があるとすれば、御説のような問題点が出てくるのではないかと思います。したがいまして、私ども一律に画一的なトラックの規制ということを考えるのはいろいろ問題があろう、そのつどそのつどの事情に応じた、社会経済生活をにらんだ、しかも渋滞緩和のできるような規制をやっていく必要があるのではないか、そのように考えておる次第でございます。
  144. 小林正興

    ○小林説明員 ただいまの問題につきましては、総理府で一般的な規制考え方を決定する際に、当然運輸省といたしましても、問題点につきまして意見を申し上げ、最終的に決定したわけでございますが、特にその際、私どものほうといたしましては、やはり現地の実情に応ずるような、きめのこまかい配慮をする必要がある。たとえば時間的な規制ということについては、やはり荷主の受け入れの関係、こういった点を配慮して行なう、あるいは具体的な道路を指定して規制されることになりますので、代替道路といいますか、そういったことを含めて、現場の実情に合うように十分考慮して、規制し得るということを基準にうたっておるわけでございます。したがいまして、東京の場合におきますれば、警視庁を中心に関係者が寄って、具体案を現在作案中だ、こういうふうに聞いております。
  145. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、実際現実の問題として荷送り、荷受けを全部早朝、深夜だけにやらせるということはできっこないわけですね。ことに対策本部の決定だとおそろしく機械的であって、原則として、大型自動車の昼間の時間別通行禁止規制を行なうというような、非常な全面禁止みたいな形で書いてあるけれども現実にはこれから具体的に実情に合うようにやろう、そういうことですか。
  146. 片岡誠

    片岡政府委員 現在警視庁でいろいろ当面の東京都内の交通規制考えているようでございます。まだ成案は得ていないようでございますけれども、基本的な考え方としては、生活道路からは大型車の通過交通を追い出していく、これが基本の一つだと思います。引っ越しその他どうしても需要があればやむを得ないけれども、通過交通を追い出していく。それから通勤ラッシュに備えては、朝夕の通勤時間帯は公共輸送機関を優先させる。バスレーンその他を考えていく。そして、平均化されないで通勤時にピークが来るような道路につきましては、通勤時間帯においては大型トラックは遠慮してもらう。そこはやはり人の通勤のほうを優先させてやる。基本的にはそういう構想で検討を進めているようでございます。
  147. 河村勝

    ○河村委員 バスレーンの話が出ましたが、いま玉川通りあるいは目黒通り等で実際やっておりますね。あれはたいへんいいことだと思うのです。実際私自身は被害者で、瀬田の辺から国会まで十五分ぐらいよけい時間がかかるようになって迷惑はしていますけれども、しかしこれはやるべきことだと思います。しかし、道路横断歩道橋に八時から九時半までバス優先車線と書いてある。あれは一体何ですか。道路標示ですか。
  148. 片岡誠

    片岡政府委員 現在は行政指導でやっております。
  149. 河村勝

    ○河村委員 一応その点もおかしいし、一体根拠法規は何ですか。道交法の中にあるのですか。
  150. 片岡誠

    片岡政府委員 現在の道路交通法七条というのがございます。これにつきましては、用途別に車の制限ができるかどうかという問題点がございます。これについてはいままで若干疑義があるというのが通説でございます。したがいまして、私どもはバスレーンなどの用途別の規制、あれは路線バスをやりたいわけでございますが、観光バスはやりたくないわけでございまして、そういう用途別の規制ができるように、道交法の規定を至急改正いたしたい。不幸にしてこの国会に間に合いませんでしたが、通常国会にはそういう規定の改正をやりまして、交通の事情に合うようにいたしたいと考えております。
  151. 河村勝

    ○河村委員 どうも同じ悪口は言いたくありませんが、公害防止などというきれいな文句だけを入れる改正は簡単にやるけれども、こういう根拠のあいまいなものは、なしでけっこうやってしまう。そういう精神ははなはだよろしくないと思うのです。  私は、時間がないからそれはあまり言いませんが、もう一つ関係各省の合意の問題で、三・五メートル以上六・五メートル未満の道路については、一方通行をなるべくやらせるのと同時に、歩道、防護さくを設置して、歩行者通行する部分を確保する、こう書いてあるのです。この点について建設省ばかりではないのかもしれません。これは都道府県、東京都がおもになるかもしれませんが、こういう点の具体的な合意と計画というのは一体あるのですか。
  152. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 交通対策本部の通達につきましては、建設省道路管理者として一応監督しておりまして、御指摘のいまの三・五メートルないし六・五メートル未満の道路につきましては、各道路管理者に通知いたしまして、歩道のできるもの、または防護さくのできるものについては、防護さくをつくるように指示しております。
  153. 河村勝

    ○河村委員 時間がなくなったのであまり伺っているひまはないので残念なんですけれども、どうも最近の通達は思いつきが多いような感じで、実際実行可能かどうかということを確かめずに出ているものが非常に多い。最近、十月二十八日ですかこれも閣議決定だという、たいへん発表は堂々としているのですけれども、例の東武鉄道でしたか、ダンプが列車をひっくり返した、あの問題であわててやったのだろうと思いますが、ダンプの事故防止、それから踏み切りの緊急保安対策についての閣議決定を出して、それで通達をしていますね。いままでいろいろ書いてきたこととあるいは通達したことと変わった内容のことが一体これにあるのですか。
  154. 平川幸藏

    ○平川政府委員 ダンプ対策及び踏み切道対策の、従来の施策と変わった点につきまして、こまかく申し上げると時間がかかりますので、簡単に二、三点だけ申し上げますが、たとえばダンプ対策につきましては、いわゆるダンプ規制法十二条による安全団体というのがございます。この安全団体を結成させまして、公共事業につきましては、少なくとも安全団体に加入したものから優先的に対象にするというような施策につきましては、これは全く新しい考えでございます。  それから踏み切り道につきましては、たとえば基本的な原則といたしまして、五百メートルおきに踏み切り道を間引いていく。そういう考え方は全く新しい考え方でございまして、またその他こまかい点につきまして、いままでの施策をさらに進めたものがいろいろございますけれども、新しい施策もかなり盛り込んだつもりでございます。
  155. 河村勝

    ○河村委員 ほんとうに私は疑わしいですね。ダンプ規制法による安全のための団体だって、これは法律でつくるようにやると書いてあるんですね。しかし実際は何もやっていないんですね。やっていないのでまた書いて、現実にないにもかかわらず、入っているものだけは公共事業優先なんていったって、実際できていないんだから役に立たぬわけです。五百メートルヘッドで踏み切りを整理するということだって、前から言っていることで、ちっとも新しくも何にもないのです。  これは日を改めてもう少し伺いますけれども委員長があとでせっかく関連質問をされたいそうですから、飛行場部長一つだけ伺います。  例の厚木の飛行場の返還の問題です。これは飛行場の容量が非常にふくそうしている現在、返ってくることは非常にありがたいことだと思っておったのですが、運輸省と防衛庁でしきりに取り合いをやっているわけであります。けさの一部の新聞を見ますと、厚木飛行場の全面的な運輸省への所管移管を主張していた運輸省も、原則的には同意しており——要するに防衛庁が使って一部民間機にも使わせるということで、運輸省も了解済みであるという記事が載っているのですけれども、ほんとうですか。
  156. 丸居幹一

    丸居説明員 どういう話が行なわれたかは知りませんけれども、私が知っております範囲では、そういうことにはなっていないというふうに聞いております。それはごく最近、出がけに聞いてまいった話なのでございます。ですから、どこでそういうことが行なわれて、そういう記事になったのか知りませんが、私のいま聞いておる範囲では、われわれはぜひ民間の管理する飛行場として、厚木を獲得したいというふうに考えております。
  157. 河村勝

    ○河村委員 それはあなたが知らないというだけでなしに、少なくとも現段階では、運輸省の最高幹部に至るまでそういうことになっておらないということですか。
  158. 丸居幹一

    丸居説明員 そういうことでございます。
  159. 受田新吉

    受田委員長 河村委員の質問に関連して、委員長からもちょっと質問をさせてもらいたいことがあるのですが、さっきからの横路君、坂井君、河村君等の質問、空の交通安全の具体策について懸命な要望が政府にされているのですけれども、具体的な対策がまだ示される段階でありません。私は、空の交通安全をはかることについては、まず空港整備、その中で貨物の空港というものを必要とするのではないか。貨物専門の空港、それからさっき政府から答弁があった小型機を締め出しておるそうだが小型機専門、やがてヘリコプターと自家用飛行機が各家庭で用いられる時期がきっと来ると思う。そういうときに備えて、空港の整備ということ、小型機、自家用機を含む将来の展望から見て、また貨物専門空港、貨物と小型機でいまの空港が混雑しているという理由も、政府の答弁にありましたが、こういう空港の整備というものについて、あるいは新設というものについて、いまの厚木飛行場等の返還、その他の米軍用空港の返還等に伴うて、そうした空港構想というものを持っておるのかどうか。  もう一つ、空の交通法規というもの、昭和二十七年にできた航空法もこれは行き詰まりではないか。新しい空の、航空安全法というものを、交通安全基本法に基づいて、もう一歩進んだものを考えるべきではないか。特に政府が、現に規則で出している空港管理規則などというもの、あるいは車両の使用制限とか、その他当然法律事項にすべきものが、規則にゆだねられていると思うのです。道路交通法が陸にあるように、空にも新しい空の交通安全法というものが、具体的に練られていいのじゃないか。この点、空の異常なばかりの混雑に対処して、新しい交通安全法の制定の用意がないか。二点にしぼって答弁を求めたいと思います。
  160. 丸居幹一

    丸居説明員 逆に簡単なほうから御説明をさしていただきますが、ヘリコプターにつきましては、従来調布の飛行場を使っておったのでありますが、どうもやはりヘリポートという専門の飛行場があったほうがいいというふうに考えまして、ちょうど東京都の埋め立て地、十四号地をヘリポポートとして使いたいと思っておったのですが、十四号地はまだ埋め立てが済んでおりませんでしたので、とりあえず七号地を臨時のヘリポートとして設置しようということを、ちょうど八年ほど前だかきめまして、そこで、現在七号ヘリポートというものを、東京周辺における公共ヘリポートとしては唯一のヘリポートとしていま使っておるわけです。ヘリポートで、公共ヘリポートという専門のヘリポートがあるのは、東京のそのヘリポートだけでございます。これを、だんだん埋め立てが進みまして、十四号地ができ上がりましたので、近く本格的に十四号地へ移しまして、東京ヘリポートをつくり上げようという予定にしておりまして、すでに補助金もたしか東京都へ交付したと記憶いたしております。近いうちにでき上がる予定になってございます。  それから、小型の飛行場でございますが、いま小型の飛行機は羽田を締め出しましたために、調布へ全部集まっておりますが、調布がそのために非常に混雑をいたしております。しかし近く立川飛行場が返還されるということでございますので、ここへ一部移しまして、立川飛行場と調布とを小型飛行場として使うようにしていきたい。  それから大阪周辺では、八尾を小型機の飛行場として使っていきたいというふうに考えております。大型、小型を分けて使うところはその二空港でございまして、あとは一緒に使いましても発着回数がそれほど多くございませんので、必要があれば、二種空港あるいは三種空港を大型、小型両方使っていく予定にいたしております。  それから、いま日本航空のほうで、新空港と東京との間が非常に時間がかかりますので、STOLという、滑走路が非常に短くて離発着いたします飛行機を飛ばそうというので、調布をその基地にしたいということで、検討は進んでおりますけれども、まだ決定をいたしておりませんが、そういうことになりますと、その基地は調布とあるいはどこかもう一カ所くらいつくらなければならぬと思っておりますが、適当な候補地がいまのところありませんで、目下あちらこちらさがしておるという段階でございます。  それから、貨物空港につきましてなんでございますが、おそらく先生の御質問は、国際貨物専用空港のことではないかと思いますが、もしそうだといたしますと、成田新空港ができ上がりますと、羽田から成田のほうへ移りますのが五万回程度になると思います。成田の収容能力が二十六万回という能力を持っておりますので、貨客合わせまして五万回でございますから、貨客合わせまして二十六万回まではまあ十年か十数年もつのではないだろうかというふうに考えておりますが、しかし、これも十年そこそこで一ぱいになるのではないかという見方もありますので、そうなりますと、東京周辺ではもう国際空港をつくる場所もございませんので、やはり成田の空港は東京から近うございますので、ここを旅客の専用空港にして、貨物専用機はやはりどこか先生指摘のとおりに、貨物専用空港をつくりまして、そこへ離発着させるようにするのが得策ではないだろうかというふうに考えております。  そういうことで、ほんとうはもうぼつぼつそういう調査なり研究なりを進めなければならぬ段階にあるのではないかと思いますけれども、先ほどちょっと御質問もありましたように、関西新空港の候補地の決定なり調査なりに追われておりまして、実は貨物空港につきましては、それほど検討をしていないというのが実情でございます。
  161. 金井洋

    ○金井説明員 次の、法律関係でございますけれども、航空法は、航空機の安全とか航空交通、航空運送事業、そういうものすべて含んでおりますので、それを四つとか五つの、安全法とか航空交通法とか、そういう単独立法に分けるべきである、こういう意見は局長以下全部持っておるわけでございますけれども、現在まで機会を得ず、実現できないわけではございますけれども、御指摘のとおり、分けるあるいは整備するという方向で検討を続けたいと思います。
  162. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  163. 受田新吉

    受田委員長 宮井泰良君。
  164. 宮井泰良

    ○宮井委員 ただいままで諸先輩の非常に真剣な討議がなされ、また、いま委員長みずから質問するという非常に真剣な委員会でございまして、私は今回初めてこちらの当委員会に所属いたしまして、きょう初めて質問をいたします。以前からの審議の経過あるいはそういった不備の点、重複する点もあると思いますが、よろしくお願いしたいと思います。  私は、交通事故の点につきまして御質問いたします。本日正午現在で、死者数が一万五千九百六十三名になっております。ある先日の新聞には、写真入りで、「パパはいない年の瀬」「遺児のため飾られたクリスマス・ツリー」ということで、母と子のさびしい写真が載っておりました。私は、この写真を見まして非常に胸を痛めたわけでございますが、交通事故の絶滅という願いを込めて、私は質問をいたしたいと思います。しかし三十分という時間でございますので、こまかい点はできません。残念でございますが、大まかな根本的な問題についてお尋ねをいたします。  最初に、昭和五十年までの自動車保有台数、この各省の予測につきまして、何台に計算されておるか、これをお尋ねいたします。
  165. 隅田豊

    ○隅田説明員 運輸省のほうで一応試算しております数字を申し上げますと、大体三千万台程度でございます。
  166. 宮井泰良

    ○宮井委員 各省の、それをおわかりの方ございませんか。
  167. 片岡誠

    片岡政府委員 私のほうも三千万台というふうに見ております。
  168. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘の件は、各省それぞれ違っておりまして、建設省は、ただいまの第六次五カ年計画の策定の時点においては、二千六百万台というふうに推定いたしましたが、その後最近に至りまして、経済企画庁と歩調を合わせまして、二千九百万台というふうに修正をしております。
  169. 大永勇作

    ○大永説明員 通産省におきましては、昭和五十年の保有台数を三千百三十五万台というふうに見ております。
  170. 宮井泰良

    ○宮井委員 それぞれ、建設省は二千九百万台——最初は二千六百万台、これを二千九百万台、あるいは運輸省は、私は三千三百万台と聞いておったのですが、現在は三千万台、通産省は三千百三十五万台、このように数字が違うのですが、なぜこのように数字が違うのですか。
  171. 受田新吉

    受田委員長 総理府の責任者として、平川室長に御答弁を願います。
  172. 平川幸藏

    ○平川政府委員 私のほうといたしましては、実は、私のほう自体におきまして自動車台数の推定はやっておりません。各省でいま申し上げました数字は、各省のそれぞれの立場におきまして、最も信頼し得る数字として発表されたものと思います。そういうことでございますが、問題といたしましては、将来の経済発展の見通しとか、そういった点につきましての見解の相違かと思います。
  173. 宮井泰良

    ○宮井委員 私がなぜこういうことを聞くかといいますと、山中長官が来られておれば聞きますけれども、きょうは来られていないので、総理府の方にお答え願いたいのですが、この自動車保有台数ということについて、政府としてはこのぐらいだという一本にまとまったものをきめるべきではないか、こう思うのですけれども、その点はどうですか。
  174. 平川幸藏

    ○平川政府委員 実は、総理府といたしましても、御指摘のような考え方で、関係省庁寄りましてやったこともあるわけでございますが、実際問題といたしまして、率直に申し上げると、現在までの段階といたしましては、ただいま各省から言われましたように、それぞれ立場が、若干ニュアンスが違う、若干というか、あるいは相当違うかもわかりませんが、そういうことで討議を重ねたこともございますけれども、実は合一点には達していなかったということでございます。  ただ、今後の問題といたしましては、こういった点につきましてさらに検討いたしたいと思いますが、問題は、それを決定すべきファクターをまず決定しなければ、それぞれ違った立場で幾ら議論をいたしましても合一点には達しないんじゃないか、やはりこの決定すべきいろいろな要素の点につきまして、まず基本的な話し合いをすべきではないかというような感じがいたします。
  175. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、それを基本的に進めてもらいたいとともに、自動車保有台数が、過去昭和三十四年からずっと、平均一八%ずつくらい伸びてきておるわけでございます。四十五年三月現在で千六百五十三万台に達しております。それにつれて死者の指数というものは——死者そのものは保有台数の伸びほども急激ではございません。しかし毎年二千人ずつくらいはふえてきておるわけですね。ところが負傷者に至りますと、昭和三十五年を指数一〇〇といたしましたら、昭和四十年に一四七、昭和四十四年においては三三四と急激に指数がふえておりまして急上昇いたしております。これを見ても、自動車保有台数と事故関係は、比率として明確に出ておると私は思うわけでございます。したがって、保有台数の予測というものをはっきり定めて、その上でそれに見合う道路整備、そうして安全施設の完備、交通規制の問題、先ほども出ておりましたが、そういった点をきめていかないと後手になっていくのじゃないか、こう思うわけですが、その点の御所見を伺います。
  176. 平川幸藏

    ○平川政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、死者と自動車台数の割合、比例は必ずしもしていないわけであります。自動車台数がふえましても、死者は若干ふえる程度で、横ばいあるいはちょっとふえる程度でございますが、負傷者等につきましては、ほぼパラレルにふえているということで、この点は先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、将来の見通しといたしましては、死者並びに負傷者全体を考えましての交通事故ということを考えますと、自動車台数というものは決定的な要因になると私は考えます。この点は全く同感でございますが、先ほど各省から申し上げましたような数字は、それぞれ厳格な意味においては相違があるかと思いますけれども、大体集約いたしますと、昭和五十年度におきまして、二千五百万台から三千万台ということにつきましては、ほぼ意見は一致している、このように考えるわけであります。  御承知のように、自動車台数の推移というものは、先ほど申し上げましたように、これを決定する要素はかなり多くの要因がございますから、その要因のとり方によってはいろいろ変わるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、必ずしも各省の数字に大きな開きがあるわけではございませんから、そういう意味における事故の推定ということは必ずしも困難ではない、このように考えているわけでございます。
  177. 宮井泰良

    ○宮井委員 そう大きく開きはないと言われますが、大体二百万台ふえましても——そのこまかい議論は私いまはいたしませんけれども、二百万台ふえまして、私の計算では千人の方がなくなる。一万人の死者数の比率からいきますと、そういうことになりますので言ったわけでございまして、その答えはけっこうでございます。  今日まで、車社会の進歩、あるいは発展にブレーキをかけていくということは、反文明的な行為であるというふうな考え方があったわけですが、最近の新聞の論調やあるいは学者の意見など、本を読んでみますと、この点について、文明の利器も使い方によっては非常に凶器に変じていくということで、わが国では交通戦争という名前までつきまして、戦後七百万人の死傷者が出たということで、これは、これまでの戦争、天災、疫病でもこれほどのものはないわけでございます。  ある人の計算によりますと、七〇年代の十年間に死者が三十万人、負傷者が千八百万人で、国民の十人に一人が何らかの事故にあうことになるということでございます。こうして審議いたしておりましても、私を含めまして政府委員の皆さん方も、これはいつ災難にあうかわからないわけでございます。もちろん自動車というものは非常に便利でございまして、ドア・ツー・ドア、また好きなところへ行けるということで、これほど便利なものはないわけでございます。自動車ほど私たち人類に大きな貢献をしたものはないと思います。まあ極端なことを私は言うわけではございませんので、ある人のように、貧乏人のくせに車に乗るなとか、あるいは特権階級だけが乗るのだという、そういうごく極端な議論を言うわけではございませんけれども、アメリカなどを見ましても、自動車安全法が制定されまして、排気ガスの問題、日本でもこれはだんだん起きてきておりますが、欠陥車の問題、そういったものが起きてまいりまして、自動車の抑制を主張する学者というものは非常に出ておるわけでございます。この点は、伸びるのをこのまま放置しておいていいのか、それとも何らかの抑制策を必要とするのか、その点をお伺いします。
  178. 大永勇作

    ○大永説明員 御指摘のような生産の抑制論、あるいは制限論というのがあることは、われわれも十分承知いたしておりますが、今後の考え方といたしましては、先生も御指摘になりました、ドア・ツー・ドアの輸送機関としての利便性、そういった社会の要求を生かしながら、他面において安全、公害に対する面に力を入れていくというのが、やはり本筋の行き方ではないかというふうに考えております。  また、実際問題といたしましても、自動車の生産制限につきましては、世界的にも例がございませんし、それから輸入車の問題を考えてみますと、これは御承知のように国際協調の見地からいたしまして、いま自由化をしておるということで、外からは幾らでも入ってき得る体制になっておるわけでありまして、そういったもろもろの点を勘案いたしましても、なかなか生産抑制というものは、実際問題としても非常に困難を伴うのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  179. 宮井泰良

    ○宮井委員 いまのお話にも私はだいぶん異論があるのですけれども、どこの世界でもそういう抑制策はないと言われましたが、諸外国、特にアメリカと日本などというものは国土が違うわけです。アメリカは非常に広い国土の中で、自動車というものを、まだまだその土地に対して、それだけの保有量を持つだけのものがあるけれども、日本はもう国土はきまっておるわけですから、その中で東京都などというのは、非常に狭い範囲の中で車がひしめき合っておるので、日本でこそそういうものを進めていくべきである、私はこのように考ておるわけでございます。  また、資本の自由化が来年の三月ごろからといわれておりますけれども、これも私はいまの事故の点からいきますと心配でございます。この上にさらに外車がどんどん——いま年間二万五千台ぐらいですか輸入外車が入ってきているといいますけれども、またその上に車がふえれば、交通事故が——日本の車よりももっと大きいものなので、非常に事故が大きくなっていくということを心配するわけでございますが、そういった観点で、私は、わが国から進んで世界に冠たるものをきめていかねばならないと思うものでございます。いまこのままでいきますと、ちょうどアメリカの状態と同じようになっていく。私はアメリカの轍を踏む必要はないと思うわけです。ニューヨークでは、一九二〇年代は歩行者事故が多かったわけです。ところが路上の死者数というものを安全施設でカバーしたために、歩行者と自転車の事故が一九・八%、他の自動車との衝突事故が三五・二%、道路がよくなりますと、車上死者の数がどんどんふえてくる。日本はその前の状態でありまして、歩行者と自転車の事故が四八・七%、他の自動車との衝突が一三・八%、歩行者と自転車の事故が四八・七%ではるかに多いわけですね。これはアメリカの以前の状態と同じである。今後はだんだんアメリカの状態に近づいていく。アメリカというのは三十五年前から自動車を使っていたわけですが、二百万人が死亡し、延べ数億人が負傷をしておるということでございます。それで、一九三五年の十月、リーダーズ・ダイジェスト誌のT・Cファースナ記者が同誌に、「そして突然の死」と題して交通事情を発表し、全米の世論がわき立ちまして、マスコミが論陣を張り、一般民衆は、人間のつくった自動車で人間が殺傷されるという、こんなばかな話はないじゃないかということで、この際自動車の製造を禁止せよ、こんな極論まで出たという話を私は聞きました。このようなことがわが国においても起こり得るかもわからない、だれもそれを否定することはできないと思うのです。絶対そういうことになりませんと、それを断言できるか、この点明快に御答弁を願いたいと思います。
  180. 片岡誠

    片岡政府委員 直接事故を処理している立場から、私お答えいたしたいと思います。  私は、事故自動車がふえるに従ってふえていくと思います。いま御指摘がございましたように、交通事故に二つの形態があると思います。一つは、いわゆる走る凶器型、つまり人をはねたり自転車をはねたりする。それからもう一つは、走る棺おけ型と称する、ドライバー自身が、あるいは車に乗っている人が衝突をして、第二次衝突で死んでいくという、そういう二つの形に大別できるだろうと私は思います。それで、アメリカの歴史を見ましても、走る凶器型から棺おけ型のほうに移行していったわけでございます。  私ども現在考えておりますのは、建設省と私どもが協力して安全施設の整備をはかれば、走る凶器型の事故は減らせると私は思います。また減らすべきだと考えております。しかしながら、自動車の数がふえてまいりますと、棺おけ型の事故は必ずそれに比例してふえていくというのが世界の傾向であり常識であろうと私は思います。その棺おけ型の事故をどうして防いでいくかというのがこの次に出てくる問題でありましょうし、これはアメリカの例もございますので、先取りをして、私どもはその走る凶器型と棺おけ型と両方の事故を減らす対策というものを真剣に考えていかなくてはならないのではないか、そのように考えております。
  181. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、まだ建設省のほうにも具体的に聞きたいことがあったのですが、次に回しまして、同じくこれは警察庁と建設省の方にお伺いしますが、一九六五年のイスラエルのテルアビブの国際公共交通会議で、デンマークのニールセンという方は、過去十年間の西ヨーロッパやアメリカの経験をまとめて、勤労者の所得水準の上昇とともに乗用車数は急増を続けておる。それに応じて、道路通行能力を増加させるため、道路改良や交通規制がなされてきましたが、自動車数がすぐに増加するので一時的効果しかない。混雑は一向に解決しない、このように言っておるわけでございます。私もこの意見に非常にあれしておるのですが、ある人は、道路が二倍になれば車は四倍になり、そして事故は八倍になる、このように言っております。車が道路をリードしておるようなものだ。いままでは車にもう道路が追っついていかないというような現状であると思います。現在千七百万台の保有数ですけれども、通産省では限界の保有水準、もう自動車が伸びてこれ以上もう伸びない、それは、私が聞いたのでは、昭和六十年で三千九百万台ぐらいと見ております。そうしますと、これまでの車の二倍強になるわけですね。三人に一台の割りに車を持つことになる。大体三人に一台車を持てば、それ以上はわが国においても伸びないでしょう、こういうわけでございますけれども、それに見合うだけの安全対策というものが、もう考えられておるか、この点をお聞きします。
  182. 平川幸藏

    ○平川政府委員 先ほどの質問に関連いたしますけれども自動車台数がどの程度で高原状態になるかという見通しですが、これは自動車から受ける利益と反利益がちょうどまじわる点において、おそらく平行、高原状態になるのではないか。要するに、いま自動車を持ってもこれ以上の利益が得られない、かえって不利益のほうが多くなるという点だと思います。理屈としてはそう申し上げますけれども、実際それが何千万台でそういう点になるのかということはきわめてむずかしい問題でございます。今後検討したいと思いますが、それと交通安全の施策の問題でございます。先ほども建設省あるいは警察庁からも——警察庁からはまだございませんが、交通安全施設につきましての基本的な考え方を総理府からまとめて申し上げますと、実は交通安全施設につきましては、単に交通安全の施設だけを整備するのでは不十分である、このほかに、たとえば安全教育でございますとか、免許証の問題でございますとか、あるいはさらに被災者の問題でございますとか、いろいろの面はございますけれども、基本的には、一番大事な面は安全施設の整備じゃないか、このような考えでおるわけでございます。先ほど建設省からお話がありましたように、昭和四十一年から三カ年計画の、本年度は第二次三カ年計画のまん中の年に当たっておりまして、実は四十六年もう一年残しておるわけでございますが、この四十六年を初年度といたします五カ年計画を、総理府が中に入りまして総合調整をいたしまして、まとめて概算要求をしているような状態でございます。それはただいま先生が言われましたように、このモータリゼーションに対処するためにできるだけ、何と申しますか、少なくとも一番弱者でございます歩行者事故を少なくとも半減はしたいというような願望と申しますか、そういう願望に立ちまして、計画を樹立さしていただいたわけでございます。今後といたしましては、この予算をいかに獲得し、いかに有効適切に運用していくかということに尽きるかと思います。  以上、私からその概括だけを申し上げた次第でございます。
  183. 宮井泰良

    ○宮井委員 安全施設ということに力を入れると言われておりますので、その点を強力に推進してもらいたい。特に歩道ですね。歩行者事故については、もちろん信号機もありますけれども歩道の点に力を入れてもらいたい。あるアメリカの調査団が以前参りまして、ラルフ・ワトキンスという方です。この方は、日本の道路はもう信じがたいほど悪い、このように語ったそうでございます。それは、近代交通に対する政策の立ちおくれであるということで、この点は日本におきましては、大正八年に道路法ができましたけれども、初めて道路建設に着手したのが昭和六年、これも失対事業のために道路をやって、以前は、聞くところによりますと、軍部が馬のひづめを痛めるということで舗装はさせなかった、こんなこともあったということで、本格的にやり始めたのが昭和二十九年のガソリン税の財源確立のときからである。それまでは、安全施設というものは道路の付属物になっておった。だけれども今度の道路五カ年計画では、その面も一兆何千億で予算が組まれておりますから、なかなか意欲的で、これは絶対実現してもらいたい。また警察庁の交通管制システム、これは予算が非常に困難であると私は思うのです。この計画はいいのですけれども、これは実現できないんじゃないか。建設省の十兆何千億というものがあるわけですから、これは、一部交通信号の面も、建設省の予算の中からやったらどうかというような意見も私は持っておるわけです。  話がちょっとはずれましたが、もう千九百年前のポンペイには歩車道があった。これは軍部の戦車が通るために、戦略的にそうしたということを聞いておりますけれども、何といっても歩道というものが大事なわけですから、この五カ年計画では、新しい道路も既存の道路についても、必要と見られるところは一〇〇%歩道を引いてくれるか、道路局長に確約していただきたい。できるかということと、いま言いました交通管制システムの予算ですね。道路をどんどん引いていって、あとからまた警察が信号機だけつけていく、土地の取得もたいへんだということですから、それも一緒にやったらどうか、この二点をひとつお伺いします。
  184. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、来年度からの新しい交通安全の五カ年計画におきましては、最終年度の昭和五十年度までに、現在の指定した道路歩道を設置することに指導を行なっておりますが、指定道路が全国で七万キロメートルになっておりますが、七万キロメートルの指定道路のうち、市街地の道路歩道の設置が必要な区間につきましては、これは一〇〇%実施することにきめております。地方部においては一〇〇%というところまではまいりませんが、これもできるだけ進めまして、主として歩行者の保護につとめたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほど御指摘のように、それ以外にも新しく道路を建設する場合には、必ず歩道ないしは自転車、歩行者道路をつけることを義務づけておりますので、今後歩行者事故は半減することを目標にやっております。五カ年計画ではそれを重点的に行なうことにきめておりますので、先生のいま御指摘のように、事故が半減するというふうにわれわれは信じております。
  185. 宮井泰良

    ○宮井委員 半減するということを約束されたわけですから、私はそれをほんとうに見守っておりますから、これは絶対実現してもらいたい。もちろん一人でも死傷者を出してはならぬのですが、半減させてもらいたい、こう思います。  時間もあまりありませんが、地方部においては、歩道は三〇%しか目標がない。  私、先日、交通安全対策委員会で、山口県の現地だけ視察に参加させていただきまして、みんな異口同音に、バスの中から、きれいに舗装はできているけれども、人間の歩くところがないじゃないかということばが出たわけです。なるほど、そういうところは人が歩いてはいけない、あるいはいなかの人はどこか回り道があるんだろうということもありますけれども、ヒッチハイクなどで、女子大生がそういうところで十数人事故が起きたとか、そういうふうなことがございますので、そういった点でいま事故というものは都内よりもむしろドーナツ型に農村部へ広まっていっているわけですね。農村ではもうマイカー二台、そして、それにつれて道路は完全に行き渡っておらない、そういうことでございますので、私はそういった点を、三〇%という目標ですが、そういうところにはここは人は通ってはいけませんという標示をはっきりして、どこか回り道をするなり、あるいはそこでもやはり道路を引く以上は、人間も歩けるように、車だけがびゅんびゅん飛ばしていく、こういうふうな実態ではなくして、何のために人間が——車が優先になって、人間というものが第二になっている。この前も標語で、「飛び出すな、車は急にとまれない」という標語がありましたが、それは逆だ。「スピードを出すな、子供は急にとまれない」というのがあたりまえじゃないかという意見もありましたけれども、そういった点で、そのような地方道でも歩道をつけるあれがあるかということをお聞きします。
  186. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほども御説明いたしましたように、従来の道路のつくり方は、市街地におきましては歩道をつけることを義務づけておりましたが、地方部におきましては、必ずしも歩道をつけることを義務づけておりませんでした。したがいまして、人家のある区間でありましても、歩道がない場合が大部分でございます。そういうことで、全国各地に御指摘のような歩行者事故が続出しておりますので、昭和四十一年度から交通安全の三カ年計画をつくりまして、歩道の設置につとめてきているわけでございます。先ほどのように、来年度を初年度とします五カ年計画におきましては、これらを含めまして、歩道の設置に全力を注ぐ所存でございますので、五カ年計画の最終時点においては、全国すべて歩道になるというふうにはまだまいらないのでございますけれども、主要なる個所、区間はほとんど歩道ができるというふうに考えております。
  187. 宮井泰良

    ○宮井委員 先ほどの信号機と警察の——建設省やる御意思はないかという、あれはお答えいただきましたかね。
  188. 平川幸藏

    ○平川政府委員 御承知のように、現在、道路という同一の物体に対しまして、道路自体につきましては道路管理者、それから道路に設置されている信号機につきましては公安委員会の権限になっております。諸外国の例等も研究しなければなりませんが、はたしてこの権限等につきまして、将来どういう配分をすれば最も有効に利用できるかということにつきましては、先生指摘のとおりかと思います。しかし、現在といたしましては、それぞれ省庁におきまして十分連絡をとりつつ、効果をあげておるものとは思いますけれども、制度としてこのままでいいのかどうかということにつきましては、基本的にわれわれとしては検討する機会を持たなければならないと私は考えております。
  189. 宮井泰良

    ○宮井委員 時間が来ましたから、もっとお聞きしたいことがあるのですが、最後にそれでは運輸省にお伺いします。  現在のメーカーというのは、いままで車のスピードというもの、それからスタイル、そういうものでどんどんみんなに購買心をつけて売ってきたということで、最近軽自動車なんか八十キロ以上出せばブザーが鳴るということで、これはなかなかいいことだと思いますが、スピードの出し過ぎということが事故につながっていっておるわけですから、これを一般の車にも、そういったことをどこまで具体的に業者に対して運輸省は指導しておるか。またつい二、三日前テレビに出ておりましたが、自動車停止装置のテストが行なわれておりました。ディーゼル機関には、電波の関係で役立たないということも聞いておりますけれども、それを採用できる可能性があるかどうか、その点をお伺いいたします。
  190. 隅田豊

    ○隅田説明員 先生承知のとおり、自動車事故の中でスピードという要素が非常に大きな要素を占めておるということは御指摘のとおりでございます。元来、自動車は人間が運転をいたしておるものでございますから、結局人間の能力と申しますか、人間の人間としての性能というようなものと、それから機械としての自動車というものがうまくマッチしておりませんで、機械のほうの性能が人間を上回るというようなことがあれば、これは確かに非常に危険なことでございます。そういう意味から考えまして、自動車の最高速度というものが、いまのように野方図に許されていいかどうかということにつきましては、われわれも率直にそのとおりだと考えております。いままでのところでは、確かに一部の軽自動車につきまして、行政指導をいたしまして、性能上の最高速度を百二十に押え、実行上八十以上出さないようにという行政指導をやってきておりますけれども、まだその他の普通の自動車につきましてはやっておりません。しかし、われわれとしても、いまこの問題を真剣に考えておりまして、どのくらいのところで人間的なものと機械というものとのバランスをとるかということで、研究所その他の意見を聞きながら検討しておる段階でございます。  それから先ほどの、この間うち実験のございました速度制限装置の問題でございますが、これは、ただいま御説明申し上げましたような、人間の性能と自動車というようなバランスの組み合わせの場合の速度を考えたものではございませんで、たとえば六十キロとか四十キロとか速度制限が行なわれている状況の道路で、速度制限を強制的に守らせようという装置でございます。そういう意味では、ただいま御説明申し上げましたような速度という観念と、もう一つ別個に、速度制限を守るということが事故にどれだけの価値を持つかということでございまして、これはもちろん警察当局、その他交通関係の工学の考え方が優先すると思いますが、もし、そういうことが自動車事故あるいは自動車の死者を減らすことに非常に効果があるということであるならば、現在の自動車につけるということ自体は、そうむずかしいことではないのではないかというふうに考えております。
  191. 受田新吉

    受田委員長 ちょっと委員長から、政府の皆さんがおられる間に一言要望しておきますが、さっき斉藤滋与史委員から、委員長において善処しろという要求があったのでございますが、まだその点を政府に要求しておりませんから、あなたの要求をここで果たします。  それから、さっきから小峯、斉藤、横路、坂井、河村、宮井各議員が、非常に熱心に、この交通安全について真心をここで披瀝されておるわけでございますが、予算の煮詰めの段階にも来ておるわけで、事務当局の最高責任者が、きょうはそれぞれ各省とも交通安全に関係のある方々が、いまここに居残っておられるわけで、どうか、委員各位の、人命は何よりとうといものであるという強い願いを、行政的に総括的、計画的に、総理府を中心にされて実績をあげてもらえるように、委員長として、人命は何よりとうといものであるというこの政治の原則を、ここにおられる皆さんに、ひとつ省にお帰りになられたら、強く各省へ浸透していただけるように、また予算でよい実が結ばれるように御努力をお願い申し上げておきます。
  192. 平川幸藏

    ○平川政府委員 ただいまの御意見に対しまして、われわれといたしましても、その御意見の趣旨をよく体しまして、各省それぞれ最善の努力をいたしたい、このように考えます。
  193. 受田新吉

    受田委員長 東中光雄君。
  194. 東中光雄

    ○東中委員 私は、タクシー事故防止、そういう観点から、タクシー労働者の労働条件の改善の問題との関係でお伺いしたいと思うのですが、昭和三十三年に、当時の総理府交通事故防止対策本部が、タクシー事故の防止対策要綱をきめて、その中で、事故の根本的原因を精査した結果、その労働条件を改善しなければ、事故防止の目的達成は困難であると考えられるに至った、こういうように指摘しています。このためにタクシー事業の経営者が、運転者をして安んじて安全運転をなし得るような、長期かつ安定した雇用条件のもとに就業させることが必須の条件である、こういうことを言ってからすでに十二年たっておるわけですね。タクシー事故の防止という点で、このタクシー労働者の労働条件の安定、あるいは改善ということに努力をする、そういう方針には変わりはないと思うのですけれども、その点、総理府、労働省に基本的な態度を明らかにしておいていただきたい。
  195. 小林正興

    ○小林説明員 タクシー行政におきまして、特にその安全を確保するために、労働者の労働条件というものが最も大事だということにつきましては、ただいま先生が御指摘のとおり、昭和三十年ごろからいわれておりますが、そのとおりでございます。したがいまして、そういった基本的な考え方に沿って、今日まで逐次諸般の法令の改正あるいは行政措置等を強化してまいってきております。基本方針に変わりはございません。
  196. 東中光雄

    ○東中委員 それで、昨年の十一月二十一日に、物価対策閣僚協議会と交通関係閣僚協議会が出した決定がありますが、「大都市タクシー事業の体質改善及び運賃の改訂について」、これで、大都市タクシー事業の「体質改善対策の速やかな実現を推進する。」こういっています。東京、大阪地区については、運輸大臣は、労働省関係の協力を得て、労働条件の改善状況を確認する等、タクシー労働者の労働条件の改善をはかるための所要の措置を講じた上で、運賃改定を行なうということであったと思うのですが、運賃改定後、この決定では、関係省は体質改善対策のための内容、労働条件の改善をはかるための「施策の実施状況につき随時監査を行ない、違反に対し厳しい行政処分をもって臨むものとする。」こういうふうに書いてあるのですが、東京、大阪について、どういうような随時監査を行なって、そしてきびしい行政処分をとったのか、この内容を明らかにしていただきたい。
  197. 小林正興

    ○小林説明員 ただいま先生指摘の、昨年十一月二十一日の交通関係閣僚協議会並びに物価対策閣僚協議会の決定によります、大都市タクシーの運賃改定に関連いたしまして、運賃改定のいわば条件として、体質改善対策を明らかにしたわけでございます。  その一つは、労働条件の改善でございます。労働条件の改善につきましては、すでに昭和四十二年二月九日付の労働省の通達、俗に二・九通達と称しておりますが、この通達によりまして、その後指導をしておったわけでございますが、先般の運賃改定の際に、労使間の確認書の交換あるいは就業規則、賃金規程の改善、確実な履行というようなことを条件といたしまして、運賃の改定を認めたわけであります。したがいまして、ことしの運賃改定が、東京と大阪と若干日にちが異なっておりますが、労働関係機関が厳密な確認、監査をしていただきまして、その結果によって、合格された事業者から逐次運賃改定を認めたという厳格な措置を講じたわけでございます。  それから、もう一つの、運転者に対します労働条件の一つといたしまして、いわゆる福利厚生の問題もございまして、これにつきましては、その後タクシー事業の業務適正化法という法律を整備いたしまして、これに基づきまして、現在、東京、大阪それぞれにタクシー近代化センターを設けまして、そこにおいて福利厚生施設の整備をはかりつつあるわけでございます。  ただいま直接御指摘がありました、その後の実施状況について常時監視し、あるいは随次監査を行なって、適切な処置を講ずるという問題につきましては、この政府の決定の後に、運輸省と労働省の間におきまして、覚え書きを交換いたしまして、それぞれの省庁において行なった監査の結果、これを相互通報制度と申しますか、こういった制度を確立いたしまして、目下その線に沿ってそれぞれ出先機関において、緊密な連絡をとらして監視さしておるわけでございます。  全般的に申し上げますと、今回の運賃改定に関連して、労働条件の改善は漸次進んでおる、また、さした大きな問題が起きてないように聞いております。
  198. 東中光雄

    ○東中委員 二・九通達にある、たとえば実作業時間十六時間をオーバーしている問題がずいぶん随所で起こっているわけですが、そういう問題についてどういう監査をやり、きびしい行政処分をやると書いてありますから、どういうふうにやったか、その点を……。
  199. 小林正興

    ○小林説明員 労働省の所管でございますので、労働省での監査の結果が出ますると、いわゆる通報制度によりまして、運輸省でまた所要の措置をとる、こういうことでございます。
  200. 是佐忠男

    是佐説明員 春、秋の交通安全週間にかなりきびしい一斉監督を実施しております。四十五年の秋の自動車一斉監督の結果を申し上げますと、監督実施事業場が合計で七千百五十四事業場を監督しておりまして、そのうち約八〇%に当たる五千七百十七事業場で違反がございました。この違反事業場につきましては、それぞれ違反内容によって対処しているわけでございます。監督の結果、すぐ改善するというような例もかなり見られました。東京、大阪の例で申し上げますと、これはこの三月の例でございますが、改善状況といたしましては、八三%の事業場ですぐ改善いたしているような次第でございます。残りの事業場につきましては、悪質なものはそれぞれかなりきびしい是正勧告をいたして、是正を迫っている、かように二・九通達なり、労働者の労働条件の向上確保について監督指導しているわけでございます。
  201. 東中光雄

    ○東中委員 悪質違反者に対しては、かなりきびしい是正勧告といま言われたのですが、そのほかのやつはかなりきびしくない勧告をやっておった。先ほど言った、昨年十一月二十一日の決定では、「厳しい行政処分をもって臨むものとする。」こうなっているのですが、一七%ですか、改善に応じなかった悪質違反者に対して、一体具体的にはどういうことをやられているのか、きびしい是正勧告というのは一体何ですか。法的にいうとどういうことをやっていらっしゃるのですか。
  202. 是佐忠男

    是佐説明員 お答えします。  昨年十一月二十一日の物価対策及び交通関係閣僚協議会の決定に基づきまして、クタシーの体質改善対策、特に労働条件の改善対策を推進いたしてまいったわけでございまして、この決定に基づきまして、労働省では、六大都市における関係事業場の就業規則あるいは賃金規程の審査を厳密に行ないまして、累進歩合というように非常に刺激の強い賃金制度を採用している事業場についてはその改善を求め、これはほとんど改善されている、こういう事実もございます。さらに、特に東京、大阪の地区では臨検監督を行ないまして、運転者の労働条件について法令違反のあるものはこれを指摘し、その是正を強く勧告いたしたわけでございます。この際、条件労働がきわめて悪いものについては、その是正が確認されるまでの間、運賃改定を保留するということは運輸省も合意したような事情もございます。なお、きわめて労働条件がまずい、是正の意欲のないものにつきましては、送検という最後の法的な手続もとったような次第でございます。
  203. 東中光雄

    ○東中委員 送検処置をとったのは全国でどれくらいあり、東京、大阪でどれくらいありますか。
  204. 是佐忠男

    是佐説明員 ちょっといま資料を調べまして、後ほどお答えしたいと思います。
  205. 東中光雄

    ○東中委員 それはあとで調べて答えてもらうこととして、時間がありませんから次に移りたいと思います。  随時監査をやるということになっておるはずなんですが、私、いま手元に、昭和四十五年の五月十日、午前四時三十分から午前六時までの間、全国自動車交通労働組合大阪地連が調査した、「深夜路上パトロール調査表」というのを持っているわけですが、これは、五月十三日、労働基準監督署を通じて大阪陸運局へ出しておるはずです。この調査表と現場の写真を添えて出しているはずですが、これを見ますと、たとえば駒姫交通、駒姫タクシーといった駒姫系のタクシー会社のタクシーが、この午前四時三十分以後六時までの深夜に、大阪で十四台が客待ちあるいは路上仮眠、こういった形であっちこっちに、たとえば大阪駅の中央口あるいは地下鉄の駅、こういったところにいる。あるいは福助交通が五台、弁天埠頭で仮眠あるいは国鉄大阪駅やホテル街で客待ちをやっている。あるいは国際タクシーが九台、国鉄天王寺駅や地下鉄駅前等で客待ち、仮眠している。合計いたしますと、この調査結果では三十五社八十七台が客待ち、路上仮眠など、いわゆる実作業時間中の状態で深夜にいるわけです。隔日勤務からいえば、これは明らかに十六時間労働をオーバーしているということになるわけですが、閣僚協議会の十一月二十一日の決定からいえば、これは明らかに違反しているということになるわけですよ。これは労働省で知っておられると思うのですけれども、こういうものに対してどういう処置を具体的にとられているのか。深夜労働の中での労働条件が非常に悪いわけで、このままでいけば事故が起こってくることは明白なんですから、どういう処置をされたか、具体的な問題についてひとつ答えていただきたい。
  206. 是佐忠男

    是佐説明員 お答えいたします。  その前に、先ほどの送検件数、四十四年で全国で八十九件いたしております。四十五年に入りまして、まだ年度は終わっておりませんけれども、現在まで六十三件になっております。  ただいま御質問がございました、全自交の深夜タクシーの実態についてのパトロール結果の件でございますが、四月下旬から五月中旬にかけまして、全自交が行なわれました点検表に基づいて、それぞれの事業場を所管する監督署へ申告がございました。該当事業場について監督を実施いたしました。そのうちほとんどの事業場に違反が見られました。なかんずく悪質な違反と思われる十三の事業場については、大阪陸運局のほうに通報いたしました。また違反事業場に対しては、そのつど是正方を強く勧告いたしていたわけでございます。  さらにこまかく申し上げますと、労働時間等につきまして、非常に悪質と思われる五つの事業場につきまして、そのうちの一事業場について目下検察庁に送検準備中でございます。残りの四件につきましては、監督官庁の勧告是正方を受け入れ、内容について是正しているような次第でございます。  なお、二十五事業場ぐらいにつきまして、勧告の趣旨に従って、是正をしている旨を確認いたしているようなわけでございます。
  207. 東中光雄

    ○東中委員 そういう違反が運賃値上げ後ずっと続いているのですけれども、随時監査ということを閣僚協議会の決定で言っているのですが、どういうふうにやらされておるのか。労働組合から言うてきて、やあこれはと腰を上げるようなかっこうに、実際はなっているのじゃないかというふうに思うのですが、随時監査というのはどういうふうにやられているのか。それから陸運局のほうで通報を受けて、その場合にどうされているのか。
  208. 小林正興

    ○小林説明員 労働基準局の監査の結果、陸運局に通報があります場合、その他直接、たとえば乗車拒否、道路運送法違反というようなことがもとになりまして、陸運局が監査をいたす場合もございます。また重大事故を発生したということで、警察からの通報によって監査をいたす場合もございます。いずれにいたしましても、その監査の原因、動機としては種々あると思いますが、運輸省陸運局といたしましては、道路運送法違反あるいは運輸規則違反ということによって、違反であるかどうかを監査いたしまして、その結果によって行政処分をいたすわけでございます。  ちなみに大阪について申し上げますと、本年四、五、六月につきましては、七件の監査をいたしまして、そのうち六件については、道路運送法令関係違反として、行政処分を行なっております。その内容といたしましては、三カ月の事業停止あるいは車両の使用停止、減車命令等、個々には若干の相違はございますが、六件の行政処分をやっております。  また、この秋になりまして、現在までに五件の監査を大阪だけでございますがやっておりまして、すでに二件については処分を決定しておりまして、いま三件について調査中でございます。東京につきましても全く同様でございます。  いずれにいたしましても、通報を受け、あるいは直接陸運局として監査を発動する場合もございますが、道路運送法令違反の容疑が明らかになりました場合に行政処分をいたしておる、こういうことでございます。
  209. 是佐忠男

    是佐説明員 労働省といたしましては、随時監督もこれは地方労働基準局単位で、監督計画に組み入れてやっております。  なお、全国的な問題といたしましては、春秋の交通安全週間には、行政の重点として監督を実施している次第でございます。
  210. 東中光雄

    ○東中委員 私、いまここにニュークラウンタクシー株式会社というのが求人募集のビラを出しておるのを持っておるのですが、写しですが、こう書いてあるのです。「ペアーで個人タクシーシステムを作ろう!」その中に、「現在、車の持込みをしている人、個人タクシーをしたい人、過去にタクシーの経験があり夢の満たされなかった人今がチャンスです」「年収百八拾万円(一ケ月平均拾五万円)をとろう!!」「皆さま方の知人を紹介下さい」「必らず満足できるシステムです」こういっているのですね。一カ月運転者に十五万円保証できる、そういう体制ということになれば、水揚げは、これは常識的にいって三十万近くにならにゃいかぬというのは、これはもう常識だと思うのです。そういう状態から見て、こういうことが公然とこう出されていっておる。これは大阪ですけれども、三百五十キロの走行距離制限ですか、あるいは十六時間実作業時間という点からいって、全然、頭から無視しているという体制がここに公然として出されている。こういう問題について、いまものすごい勢いで、あるいは深夜非常におそく走っているということとの関連でこれは起こっているわけですから、どういう監査をやり、規制をやるのかという点を、労働省、運輸省両省にお聞きしておきたいのです、実際こういうのが出ているのですから。
  211. 是佐忠男

    是佐説明員 労働省といたしましては、賃金の支払い形態につきまして、いわゆる二・九通達の線で、固定給とあわせて保証給を六割以上設けるということと、第二番目の問題といたしましては、非常に極端に労働者を使役するような歩合給制度は、これは交通事故にもつながるものであるから改めて、なるべく一定率の歩合給制度とするように行政指導を行なってきているわけでございます。いま御質問のありましたような、非常に賃金所得が、世上常識をはずれて高いというような実態がございますれば、それは賃金のきめ方についていささか問題がある面もあろうかと思いますけれども、われわれの姿勢といたしましては、あくまでも、先ほど申し上げましたように累進歩合給制というように、水揚げが上がれば、水揚げの上がり方よりもさらに激しい上がり方で、賃金の所得が上がるというような賃金のきめ方は、これはもうまずいということで強くその是正を勧告してまいっております。  以上のような行政指導でございます。
  212. 小林正興

    ○小林説明員 労働条件の具体的な問題につきましては、事柄によりまして、労使間で決定すべき問題、あるいはその制度の内容につきましては、労働省のお答えのとおりだと思うわけでありまして、特に運輸省といたしまして、給与水準が全体的に上がる現在では、全般的に低いというふうに感じておるわけでございまして、したがって、十五万円という額が妥当なものであるかどうであるかということは別といたしまして、給与条件が現在よりかよくなる方向に指導いたすべきものと考えておるわけでございます。
  213. 東中光雄

    ○東中委員 天王寺交通の場合、昭和四十五年五月分の水揚げについての、従業員の一覧表を会社自身がつくって裁判所に出した資料がある。それによりますと、この会社の第一順位の水揚げは月間三十一万二千三百七十円、一乗務平均走行キロ数は六百三十九キロ、第二順位が走行距離が五百八十七キロ、水揚げが三十万五千七百円、三位が五百五十八キロ、三十万一千七百九十円の水揚げ、どういうふうに五百キロをこえているのがずっと並んでいる。こういう資料が陸運局に実際出されているわけですね。しかしこれに対して陸運局は、この走行距離、これは倍ほど走っておるわけです。あるいはこれだけ走ろうと思えば、労働時間は明らかに基準法違反になるということ、現に大阪基準監督署は、基準法違反の事実があった。二十四条違反あるいは三十五条違反あるいは三十二条違反という違反の事実を認めている。しかしそれに対して基準局は、これを送検するという方法はとっていないのですね。陸運局はこれに対して処置をとらなかったという事態があるわけですが、こういうことではほんとうに交通事故というものは、タクシー事故というものは非常に危険な状態に、また運賃値上げが済んだらそこへいっちゃう。運賃値上げをやるための一つのキャンペーンみたいな形で、閣僚会議の決定が出されたということにしかすぎないようなかっこうになってしまうというふうに思うのですが、この天王寺交通の場合の処置について、まず運輸省、こういう走行距離が、具体的なデータとして会社側が出している資料として出ているのです。どうされたか、どうすべきであるかという点について態度を明らかにしていただきたい。
  214. 小林正興

    ○小林説明員 具体的な会社の資料が、どういう形で陸運局にどちらから提出されているかということについて、現在手持ちに資料がございませんので、はっきりいたしかねるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、労働基準の関係におきます悪質な違反というものの通報がございますれば、この当該会社につきまして監査をし、そしてその違反の態様が、道路運送法関係の法令に違反であると認められた場合に、処分をいたすわけでございます。
  215. 是佐忠男

    是佐説明員 お答えします。  天王寺交通の違反の件でございますが、実は五月八日に事業場におもむきまして監督をいたしましたところ、いま御質問のございましたように、労働基準法第三十二条及び三十五条、労働時間、休日の規定に違反する事実がございましたので、この点につきましては事業主を呼び出しまして、是正を強く勧告いたしました。また監督の際、これは申告の内容にございませんでしたけれども、三十六条の労働時間延長協定の時間をオーバーして長時間労働をやらしていたということに伴う割り増し賃金、賃金の増額分を支払っていなかったというような事実も発見されましたので、この点につきましてもあわせて是正を勧告いたしました。この労働基準法第二十四条違反のほうは、これも解決が終わりました。  その後、同じく、これは賃金の未払いの件で九月にも申告がございましたし、十月にも申告がございました。その後担当の監督署では監督をいたすと同時に、その支払い方を強く勧告をいたしまして、その間数回となく事業主については支払うべきことを強く勧告いたしてまいりました。九月分の賃金については十一月三十日に支払う、十月分については、遅滞なく十二月十五日に支払うというような確約書を、実はつい先日、十一月の二十七日に事業主から入手いたしました。今日現在、これはそのまま実行されまして、法律第二十四条違反は解決したようでございます。
  216. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間がありませんから最後に。いまの従業員募集ビラにしましても、それから天王寺交通の場合にしても、これは徹底して労働者を追い立てていく、なるほど累進歩合制でなくて、オール歩合制にして、基準法を無視して追い立てていくという方向が、いまずうっと出てきているわけですね。天王寺交通の問題を中心にして、こういう三十六条違反にしてもあるいは三十五条違反にしても、二十四条違反にしましても、裁判所の仮処分の決定が出て、やっとやるとかやらないとかいう問題が起こってくる。こういう悪質業者に対して、適切なきびしい行政処分をもって臨むものとするというふうになっているのだから、それを具体的に機敏にやらなければ、さらにいよいよこういう不当な無法状態といいますか、というのが起こってくると思うのですが、そういう点できびしく対処するという方向を強く要求しておきたいのですけれども、その点労働省の態度をちょっとはっきりしておいていただきたい。
  217. 是佐忠男

    是佐説明員 先生指摘の御趣旨よくわかりますので、今後の監督指導の姿勢といたしましては、より厳正にやりたいと思います。
  218. 東中光雄

    ○東中委員 終わります。
  219. 受田新吉

    受田委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十二分散会