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1970-12-09 第64回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月九日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村佐近四郎君       金子 一平君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       古内 広雄君    森下 國雄君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       三木 喜夫君    新井 彬之君       北側 義一君    内海  清君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         経済企画庁審議         官       西川  喬君         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局水質公害         課長      白井 和徳君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     榊  孝悌君         農林省畜産局畜         産経営課長   藤井 伸夫君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 十二月八日  自然公園地域内の公共下水道整備に関する陳情  書  (第九六号)  国道五六号線の舗装整備等に関する陳情書  (第一七二号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  下水道法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)      ――――◇―――――
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出下水道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田之久君。
  3. 吉田之久

    吉田(之)委員 きのう大臣は、この委員会におきまして、下水道わが国において特におくれてきたいきさつについてるるお述べになりました。特に、水に流すとか、みそぎとか、ずいぶんしゃれた表現で、自然の川とともに生きてきた日本歴史的風土という御説明もありました。しかし、これは何も日本にのみ特に言えることではないと思います。諸外国におきましても、人間歴史というものはそういうところから始まっておる。ところが、ヨーロッパの場合は、特に、ペストであるとかコレラなどの大流行による社会的な甚大な被害を防止することから、きわめて早くから下水道というものが促進されてきた。こういう歴史的条件との比較は、確かに聞いておくべき一つの説だと思います。ただ、私は、今日このように公害が深刻な危機に直面しているわが国下水道対策として、ただ単にそういう歴史的な背景のおくれについては、それはそれとして、これからひとつ本格的に馬力をかけてやり直そうではないかというだけの認識では、少し心もとなさ過ぎる感じがするわけなんです。もっと深い、深刻な認識が必要だと思うのです。それはわが国GNP伸びわが国におけるGNPと諸外国のそれとを比較した場合の比較にならない高密度、高生産という事態をしっかりと認識しなければ本格的な対策が出てこないのではないかという感じがしてならないのであります。わが国GNPは、御承知のとおり、現在千四百二十億ドルだと言われております。これを三十七万平方キロで割りますと、一平方キロ当たり三十八・五万ドルになります。ところが、アメリカの場合は、GNPは八千八百億ドルであります。これを九百三十六万平方キロで割りますと、一平方キロ当たり九・四万ドルということになります。アメリカの場合が約十万ドルであり、日本の場合が約四十万ドル、一平方キロ当たりGNPといいますか、そういうふうな数字が出てくるわけであります。きわめて平面的に見ましても、アメリカの四倍の高密度、高生産をやっておる。しかも、日本というのは、御承知のとおり、平たん部はきわめて少ない比率しか持ち合わせておりません。そういうほんとう生産可能な有効面積で割っていくならば、諸外国のそれと比べて、日本のこの高密度、高生産というものは、おそらく数十倍に匹敵するのではないかという感じがしてならないのであります。にもかかわらず、アメリカでも、今日公害対策政治の急務になっております。そういうものとの深刻な比較の中から、日本公害対策をどう進めなければならないかという問題につきまして特に大臣は御検討なさったことがあるかどうかという御質問をいたしたいと思います。
  4. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘のように、一平方キロに対するGNPの問題が高密度であるということは、御指摘のとおりです。しかも、日本都市化近代化が、端的にいえば、戦後の現象と言ってもいいくらい集中的に行なわれてきました。しかも、そのうち過去十年間が特に著しくなってきた。ところが、意識が、政治も企業も一般国民もそこまでそれを追及していなかったところにこうした急激なる公害問題が深刻に出てきた、これは率直に言えると思います。そういうとらえ方からして、今回与野党を通じての一つチェンジマインドというか、政治考え方を変えようということが今回のこうした公害国会となってあらわれてきたのであって、これはすべての階層が重大な関心を持ってきたということでありまして、これはおそきに失したといえばおそきに失したと言えましょう。しかしながら、過去をどう言ってもしょうがないから、問題はこれからいかに対処するかということにあると思います。  実は、私がことしの初めはからずも建設大臣を拝命したときに、おそまきながらその感を痛切に感じましたがゆえに・実は、本年度予算編成にあたりましても、私が、閣僚折衝のときに、最後政治予算折衝の場合において、特に下水道重点を入れた。それを引き受けて、今度は新しい下水五カ年計画を発足させよう——しかもその際にあたっては、経済企画庁大蔵省考えておるいわゆる経済社会発展計画ワクではとてもだめだというところまで強く申し上げた。先ほど来何回も申し上げたように、予備費の半分を切りくずして、そうしてこれを優先的に出すべきだということで、これは従来の予算折衝では例のないことでありまして、少し乱暴なように見えますけれども、これが必要だと思ってやりました。これに対しては、大蔵省も、普通ならばこれは全然相手にならぬことですし、経済企画庁も、そんなかってなことでは困ると言うのが普通でありますけれども、それほどの強い抵抗はせずに、これはやはりやらなければならぬなあということでいまのところまできているわけでありまして、下水道に関する限りはまだまだこれは不十分です。不十分であるけれども、この段階で行かざるを得ない。後ほどいろいろ問題があると思いますが、金の問題もさることながら、実は技術者がいなくて私は非常に心配しているのです。下水技術者はたいへん不足です。市町村にこれに該当する人間はほとんどいないのです。大都市においてもようよう数名、府県でもそのとおりです。したがいまして、予算確保と同時に、この技術者養成、あるいはまた、少数の技術者をいかに有効適切にこの事業に動員するかということはなかなか苦心のあるところであります。そういう観点から、私は、実は、建設関係技術懇談会を設けまして、学界、業界、政府研究機関、全部まとめて、この技術開発人間養成について相当強い姿勢でいかなければならぬというふうな——これは全体の建設の問題でございますが、そのうち特にこの下水道関係水質の問題については早急にやらなければならぬということで、実はそういう問題すら取り上げて発足させておるという段階でございます。
  5. 金丸信

    金丸委員長 ちょっと待ってください。大臣は、参議院の内閣委員会へ行って、お経だけ読んでまた帰ってきますが、しばらく政務次官でお願いいたします。
  6. 吉田之久

    吉田(之)委員 それじゃ大臣はちょっとお留守のようですので、政務次官にあと続いてお答えをいただきたいと思います。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席〕  いま大臣からも御説明がありましたように、ただならぬおくれが日本の場合には想定されます。そこで、その技術者不足を補うためにいろいろと対策を講じようとなさっておりますけれども、これは早急に技術者養成の何らかの機関を設置するということをしないと、ただ意識の高揚や協力の促進だけをはかっておったのでは、とてもこの膨大な下水道普及事業には追っつかないと思うのです。政務次官局長のほうで、その点何かさらに具体的なお考えがあれば伺いたい。
  7. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいま大臣から、特に技術者対策の問題の重要なことの御答弁がございましたが、まさにそのとおりでございます。私どもは、この問題に五カ年計画の策定と同時に真剣に取り組んでまいりたいと思います。私どもの内部におきましてはいろいろと検討は加えております。要は、恒久対策と、それから当面の対策との二つに分かれると思いますが、恒久対策としましては、何と申しましても技術者の絶対量をいかに早くふやしていくかということに尽きると思います。そのためのいろいろな対策を講じなければなりませんが、当面の対策としましては、現在ある技術者をいかに有効に活用するかということになろうかと思います。御承知のとおり、現在の技術者は、大都市中心都市におきましてはかなりのスタッフがそろっております。これから中小都市下水道が普及してまいりますと、中小市町村におきましてはとても技術者はおりませんので、大都市におります技術者をいかに、プールと申しますか、有機的に中小都市に対する応援として活用していくか。たとえばでございますが、海外技術協力事業団国内版みたいなものが考えられないかどうかといったようなことについていま検討を加えております。いずれにいたしましても、まだ具体的な案を得るまで至っておりませんが、新計画の発足と同時に、直ちにこの構想具体化に鋭意努力を進めていきたいと思います。
  8. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、大臣は先ほど、うしろ向きの話はなるべくやめることとして前向きに考えようではないかということでございましたけれども、少しうしろ向きの話ですが、私はこだわらなければならない問題があると思います。と申しますのは、公害対策基本法ができたのは昭和四十二年でした。実は、第二次下水道五カ年計画というのは昭和四十二年から始まっております。しかるに、その進捗状況を見ますと、きのうもいろいろ論議がありましたけれども最終年度の来年を残して、現時点における達成率はわずかに六一%で、三九%も残っているということは、公害対策日本政府が本格的に乗り出してから、なおかつ下水道問題については真剣な配慮が払われていなかったということの証明になると思うのです。もちろん、政府は、来年度には、現下水道整備五カ年計画流域下水道関係分二百四十億の残額に対して二百六十九億の要求をしておられるようでございますけれども、帳じりを最後で埋め合わせればそれでいいのだというふうなことでは、私はやはり政治姿勢がおかしいと思います。こういう点についていかがお考えですか。
  9. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 来年度は、昨日から申し上げておりますとおり、現行第二次計画最終年度でございます。ところが、この計画を一年繰り上げまして、来年から第三次五カ年計画を発足させるということにいたしたわけであります。しかるに、御指摘のとおり、現行計画進捗率は必ずしも芳しいものではございません。そこで、せっかく計画を拡大改定する以上は、その初年度として、四十六年度は相当大幅な事業費並びに国費を確保しなければならぬことは当然のことでございます。しかしながら、昨日来申し上げましたように、概算要求にあたりまして、政府部内におきまして、大蔵省から要求ワクの限界がございまして、建設省といたしましては、実は最重点下水道しわ寄せをしたような、シフトしたような要求をしていただきまして、やっと対前年比四八%増の要求という形をとったわけでございます。私どもから申しますとまことに不満であったのでございますが、諸般の情勢上やむを得ず了承して、目下財政当局と折衝いたしております。これでいきますと、現行計画でまいりますとたしか九七%の達成率でございまして、一〇〇%あるいはそれ以上というところまで期待できなかったことは非常に遺憾に存じておりますが、一に今後の新計画に大いに期待をいたしまして、このおくれを取り戻してまいりたい、かように考えております。
  10. 吉田之久

    吉田(之)委員 先ほどの数字流域下水道関係分ですが、特にこの流域下水道中心に問題を考えていきたいと思うのです。  そこで、今度の法改正で、流域下水道というものが非常にはっきりと規定づけられてまいりました。この改正に伴って、今後流域下水道をつくろうとする水域が非常にふえてくるということは容易に想像できます。法改正後全国において今後どんどん需要伸びてくるであろうこの流域下水道の当面想定される総事業量というものはどのくらいのものなんだろうか。たとえば、昭和五十年の時点ではどのくらいになるだろうか、昭和六十年ではどのくらいになるだろうか、この辺の数字をあらかじめそろそろ御検討になっているはずだと思うのですが、御説明をいただきたいと思います。
  11. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 今後の流域下水道は、下水道整備計画の中の中核的な事業として大いに推進をはかってまいりたいと考えておりますが、現在の私ども計画では、二兆六千億の次期五カ年計画の中におきましては、三千七百億円のこの関係事業投資を見込んでおります。御参考までに申し上げますと、現行の五カ年では六百億でございますので、これは六・二倍の事業量要求でございます。この三千七百億円の投資額の中で、先般来水質環境基準の設定を見ました四十九水域事業量をまかなってまいりたい、かように考えております。
  12. 吉田之久

    吉田(之)委員 さっきも言いましたように、いままでの流域下水道は、いわばまだほとんど手がついてない。入場券を取った程度進捗状態です。だから、その六百億と比べて六・二倍になった。確かに伸び率はたいへん大きなようについ錯覚いたしますけれども、私は、それは、積極的に今後やろうとする証明にはほとんどならないというふうに思うのです。問題は、向こう五カ年間の、いわゆる第三次五カ年計画の総ワク二兆六千億の中で、特に流域下水道分は三千七百億ぐらいでいいのだろうか。要するに、私が聞きたいのは、全部の下水道関係の総事業量の中で、流域下水道といえばその根幹をなすものだと思うのですが、それが二兆六千億分の三千七百億ぐらいでバランスがとれていくんだろうか。この問題をまず伺います。
  13. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 少し説明が舌足らずでございましたが、先ほど申し上げました五カ年計画の中の三千七百億といいますものは、流域下水道だけの投資額でございまして、むろん、御指摘のように、流域下水道といいますものは、関連公共下水道と一体をなして整備されなければ効果があがるものじゃございません。でございまして、関連公共下水道整備を含めまして、当面四十九水域関係流域関連投資額は、今度の二兆六千億の中では一兆六千四百億程度のものを予定をいたしております。
  14. 吉田之久

    吉田(之)委員 専門的にはそのくらいでいいんですね。この総額二兆六千億で足りるか足らないか。とても足りないと思いますけれども、一応バランスの問題でお聞きしますが、二兆六千億のうち、四十九水域にかかる流域下水道並びにその関連公共下水道分は一兆六千四百億である。そのうちの一番しんになる流域下水道は三千七百億である。われわれよくわかりませんが、そのくらいのバランスで走っていって、それは全体としての機能を発揮するわけなんですか。その点の自信があるのかないのか。単にいままでの予算額との比率の中で、六倍にもなったんだから、これ以上は要求できないんではないかというふうな考え方が基礎にあるとするならば、先ほど大臣に申し上げましたように、この流域下水道根幹とする下水道行政というものは進まないのではないか。われわれの懸念は、そこにあるわけなんです。
  15. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この点のバランス調整は十分はかりました上でこういうふうな計画の内容になっております。
  16. 吉田之久

    吉田(之)委員 そこで、この五カ年計画が終了した時点において、いわゆる流域下水道水域内に入る対象処理人口というものはどのくらいを想定しておられるのか、それから、今後さらに十年、十五年先のその対象人口というものはどの程度伸びていくものであるか、そういう点についてお伺いします。
  17. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この処理対象人口でございますが、御参考までに申し上げますと、四十五年度末におきまして流域下水道によりまして処理を行なっております人口は約十一万人でございます。そこで、第三次五カ年計画が私ども要求どおり計画が達成されるということを前提といたしますと、昭和五十年におきましては、この処理対象人口は約六百万になるという予定をいたしております。なお、下水道整備長期構想におきましては、昭和六十年に市街化区域下水道を完備するという目標を持っておりますが、これが完成いたしました暁には、約四千六百万人の人口がこの流域下水道関連によりまして処理されるというふうに想定をいたしております。これも御参考までに申し上げますと、昭和六十年度の市街地におきます総人口九千三百万人の約五〇%に相当するということに試算をいたしております。
  18. 吉田之久

    吉田(之)委員 この間「都市開発」という本に書いてありましたが、大臣官房審議官小林さんの説でも「とくに下水道事業水質汚濁防止という意味からいっても、従来全市街地の二〇パーセント程度にすぎないので、これを一〇カ年間で、全域でやることは非常に困難だ。だから、その財源をどう調達するかが、政策実施上の重要な問題になりはしないか。」というふうに指摘をしているわけです。これはひとり小林さんだけでなしに、関係のある皆さんすべての一番重要な関心事だと思います。  そこで、いまのお説のとおり、昭和六十年に想定される都市人口が九千三百万人、それの約半分である四千六百万人を対象に、これを全部下水道の恩沢に浴させようという構想は非常にりっぱであり、かつ、きわめて膨大なことであろうと思います。  そこで、大臣お越しになりましたが、この六十年までにいま局長から申されました目標額を達成するためには、総額流域下水道をはじめその他公共下水道一切がっさいの総事業量、それに見合う財源の捻出という点については、相当真剣に考えないと、これはただ単に机上のプランではどうにもならない問題だと思います。私どもは、一般財源の補てんのための国債を発行することには強く反対をいたしております。しかし、こういう深刻な公害に直面した日本国家において、その公害防止対策上一番焦眉の問題は下水道を完備すること、これはいまさら論議をまたないところであります。その下水道を完備するためには、私は、目的国債というようなものが当然考えられなければ、この財源の裏づけは不可能だと思うのです。政府は、そういう基本的な問題について今日までどのような討議をなさっておりますか。
  19. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、いわば、資金調達というのは非常に重要な問題でございます。そこで、先日までに一応申し上げたのは国庫補助対象率をふやすということ、それからその次に、補助率を高めるということも考えなければなりません。そのほかに、いわゆる基準財政需要がこの都市下水をやっているところに当然重点的に考慮されるべきだと思いまして、これは大蔵並びに自治省にはそういうふうな査定のほうも考えてほしいということも言っております。それから、使用者負担の原則に従いまして、特に、水量と、もう一つは、御承知のように水質についても今度規制されていきますから、そこからやはり使用料を取るということも当然考えてよろしいと思います。そのほかに、御指摘になりました起債ワク地方において認めて——実は、特に、去年私が党におったときに、指定都市市長さん、それから大きな都市を持っておる知事さん方の考え方においては、われわれに特別の起債ワクを設けてくれないか、そうすれば自分の責任において地方債を発行して、何も財投から——それは借りられればなおいいけれども、そうでなくとも、たとえば東京なり大阪なりあるいは名古屋等では、自分たちの手で特別債をやってもいいのだというくらい、実はこれはせっぱ詰まったための要望だと私は思います。そういうことをも私は考えなければならないと思っております。いずれにいたしましても、それをやる前に、全体の五カ年計画事業量をまず国で認めさせて、そうして今度はそれの財源調達の問題として、これは精力的にその問題も取り組みたいと思っておる次第でございます。
  20. 吉田之久

    吉田(之)委員 そこで、いま各市長らの要望についても大臣からお話がありましたが、私も、最近出ました日本下水道協会要望書を拝見いたしまして、各自治体の長のせっぱ詰まった気持ちが全く痛いほどわかるわけなんです。ただ、いまもお話しになりましたが、補助対象並びにその補助率の問題ですけれども、国は補助する、補助するといっても、二分の一を持つのだとか、十分の四がどうであるとかいうようないろいろなことをおきめになっておりますけれども、実際はそれの五四%であるというふうな、ずいぶんごまかし的な行政をやっているといわざるを得ないと思うのです。この五四%になっていることに対しましても、これは市町村しわ寄せというものは想像以上のものがあります。一般市では七五%で押える、六大都市では四五%で押える、平均して五四%程度だと聞いておりますけれども、それを今度は新五カ年計画では六〇%まで上げようということなんですが、大体こういうからくりというのが私は行政上一番不愉快な点なんです。二分の一といえば、ほんとうは半分出るんだとだれも思います。ところが、実はそれの六〇%なんだという計算にしかならない。こういうきわめてしり込み的な姿勢で、はたしてこの膨大な国家的事業というものが達成できるのだろうかという点が私は懸念にたえないのであります。したがって、先ほども申し上げましたように、この緊急にしてどうしても達成しなければならない下水道事業のためには、国において、あるいは地方において、大胆に起債国債や公債などを併用しながら、何としてもその強力な財源を確保していくという一段の姿勢が必要だと思います。この点は、さらにひとつ積極的に政府におかれましても検討を進めていただきたいと思います。  そこで次の質問に入らせていただきますけれども、特に流域下水道がある程度完備いたしましても、この流域下水道というのは御承知のとおり幹線でありまして、その下のほうに大きな処理場があるということでありますが、この幹線ができても、それにつながる公共下水道や各家庭の水洗便所というものがほんとうにできなければ、これはまさに無用の長物で終わってしまう。いま申しましたような苦しい中であらゆる財源を捻出して流域下水道をつくってはみたけれども、それを利用しているのは既成市街地ないしは新しい新都市計画法に基づく市街化区域だけであったということであっては、これはかけた投資に対する社会的な効率というものは非常に小さいものになってまいります。そこで、この際、水洗便所をいかに普及徹底させるかという問題に一つの重要な焦点を向けなければなりません。ところが、今度の法改正では、これは義務規定のようになっております。もしも三年間に行なわないところに対してはさらにいろいろと命令をする。しかし、一つ水洗便所をつくるにしても、大体五万円から十万円かかると言われております。しかも、生活困窮者という人たちも当然その中に含まれてまいります。しかも生活困窮者ほど奥まった路地裏の中で生活しているというのが、今日の常識でございまして、そういうところを水洗便所化することは他の場合よりも非常によけいな経費がかさむかもしれない。こういう問題点が出てくると思うわけなんです。  そこでまず、零細な所得者ないしは生活困窮者に対して水洗便所を完全に普及徹底させるためには、ただ一片の法律だけでは不可能ではないか。政府はこの点どうお考えになるかということをお聞きします。
  21. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御指摘のとおりに、水洗便所の改造にはかなりの資金を要します。したがいまして、義務づけに関連いたしまして、いわゆる低所得者階層に対して下水道整備をいたしまして、一〇〇%水洗化を普及いたしますためには、関係市町村がこれに対して特別な援助を行なっていかなければならぬことは当然の責務であると私は思います。これにつきましては、現状におきましても、すでに各下水道を完備いたしました関係市町村においては、困窮者に対して一部助成金を出したり、あるいはまた困窮者とかボーダーラインのような階層の方に対しましては貸し付け金という制度を実施いたしましたりしていろいろやっております。これは、国がこれに対しても、昨日来申し上げておりますような国民年金の還元融資というような形でもって実際の資金の裏づけをいたしておるわけであります。しかしながら、これは決して十分な状況にあるとは私どもは思っておりませんで、さらにこれの資金の拡充なり、さらにきめのこまかいそういう援助というものをこれからとるように私どもは強く指導してまいりたいと思います。この水洗便所改造についての困窮者に対する援助につきましては、これは本来市町村がそういうことは考えるべきたてまえのものじゃないかと私ども思うのでございます。といいますことは、せっかくばく大な投資をいたしまして下水が完備したにもかかわらず、水洗化が行なわれておりませんと、依然としてくみ取り業務を一方では清掃法の関係でやらなければならぬという義務が市町村にあるわけであります。そこで二重投資というようなかっこうになるわけでありまして、そういう点からいきまして、たとえ困窮者に対する特別な一般市費での援助をいたしましても、そのことによりましてくみ取りの経費が長期に見ました場合に節約されるというようなこと等を考えますならば、私は、決してこれはむずかしい問題ではないというふうに理解をいたしております。しかしながら、いろいろ現行の国の援助というようなものもございますし、これの拡充については国としても大いに努力をいたしていきたい、かように考えております。
  22. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま局長はたいへんじょうずに、末端行政が二重投資になっても困るであろうから、みずから何とか捻出してやるだろうというふうな説明をされておりますけれども、たいへんこれは甘い話だと思います。末端行政は決してそれほど財政的に楽だとは思われません。まして、やるのは水道だけじゃないですからね。いま問題の公害対策全般にわたっての地方自治体に対するしわ寄せは歴然たるものがあります。  そこで、いまお話しの国民年金の還元融資の場合でも、大臣承知のとおり、これは年に十五億円程度振り向けようという計画のようでございます。年に十五億円といいますと、たとえば二戸当たり一万円の融資をしたとしても十五万戸しか処理できないと思うのです。先ほどの、膨大な、国民の半数を下水道の完備した近代的な生活の中に持ち込もうという構想と比べればまるで小さ過ぎる対策でしかない。これは確かに思いつきの一つの手段ではあっても、それは本質的な対策には全く縁のないものだというふうに考えるわけであります。そこで、私は、ひとつこの際電話の普及——これはまことにおそろしい勢いで普及いたしました。しかも、今日の日本の社会においては、別に強要しているものではありませんけれども、この電話が普及しているというベースに基づいてすべての生活あるいは行政が営まれている、あるいは経済が成り立っておると言っても決して言い過ぎではないと思います。下水道、特にこの水洗便所の普及というものも今後そうならなければならない。もしもこの辺の普及がちぐはぐであった場合には、バキューム車というものがいまのような有効な役割りを果たさない時代が必ず来る。そうしたときに、一体どうなるんだろうかという感じが私はいたします。現在でも、末端の市町村に参りますと、きのうも話が出ておりましたように、屎尿処理の施設が十分じゃない。バキューム車は川の上流から暗夜に乗じて流す。いろいろなもめごとが出ますから、彼らはサボタージュをする。そうすると今度は、ここでは屎尿処理はくみ取りという手段さえ失ってしまってくる。そういう今日の現状では非常な社会問題になってきております。七割、八割が水洗便所になった。しかし、二割がいままでのような便所のかっこうで残っておる。幾ら勧告したって金がなければ彼らはできるはずはありません。しかも、そういう時代になってくれば、もはやバキューム車は過去の遺物になっているでしょうし、そういう事業を積極的にやろうとする自治体もないだろうし、効率の悪いものになる。そこで、どうしてこの水洗便所をじょうずに普及徹底させるか。私は、この際、電話がやった例にならいながら、水洗便所国債といいますか、表現がたいへんむずかしいのですが、電話公債に似たようなものを出すとか、あるいは何らかの公社をつくるとか、何かそういう方法で、とりあえず金のある者はその公債を買って助ける、ない者はそれを売ってでも処理するということにしたらどうかと思う。これなら、たいへん安易に、たいした財政的負担なしに、やろうと思えば国家全体としてもやれる。国民の協力を得てその辺の行政というものがきわめてスムーズに進展したというような手法を使わないと無理なのではないかという感じがいたしますが、いかがなものでしょうか。
  23. 根本龍太郎

    根本国務大臣 一つのたいへん新しいアイディアとして傾聴すべき問題だと私は思います。ただし、これを国の公債でやるかどうかというところに問題があると思います。これは実施するのが地方自治体並びに都道府県でありますから、しかもそのやる場所も非常に特定されておるということからすれば、むしろ、先ほどお答え申し上げたように、特別起債ワクを設けまして、その起債をそうした地方で発行できる方法を考えてはどうか。それはいま考えておりますが、しかし、これは大事なことでございまするので、その構想を生かすようなことで、今後建設省並びに自治省、大蔵省と十分に協議をして、前向きでそういう方法をも検討したいと思います。
  24. 吉田之久

    吉田(之)委員 特に、流域下水道というものは都道府県が主体になってやる事業でございます。その辺とマッチしながら、場合によれば都道府県でいま申しましたような方策を講じさせてはどうかと思うので、政府側におきましてもひとつ早急な検討を進めていただきたい。  それから次は、いま、海洋汚染防止法というので、船舶の廃油処理施設を義務づけるとか、あるいは勧告程度にしようかという点でいろいろと論議が進められているわけでございますが、海のほうの廃油の処理についてそれほど重大な関心が払われているのに、一方、陸のほうの、特に自動車修理工場等において流す廃油ないしはもろもろの廃液——こういうものはいわゆる工場排水のワクにも入らないだろうとぼくは思うのです。そして、そのまま前の下水路に流されておる。しかし、それは御承知のとおり多分にいろいろな不純な油その他を含んでおるものですから、たいへん下水をよごしております。あるいは下水管というものの周辺に付着してたいへん障害を起こすおそれがあります。今日の都市河川が、あのどうにもならない黒ずんだよごれ方をしているということの一つの重要な原因はそうしたところにあるのではないかというような感じが私はいたします。そこで、この際、下水道を推進して公害処理しようとする建設省においては、この自動車修理等に伴って生ずる陸上の廃油をどのように処理しなければならないかという点についても検討を進められないと、これはたいへんな片手落ちになる。この点についてどのような御検討をなさっておられますか、お伺いいたします。
  25. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御指摘の、陸上におきますところの修理工場等からの廃油、洗浄水といったものにつきましては、現在の下水道法におきましても、公共下水道の排水区域内にあるそういう該当工場がそういう油類を多量に排出するものにつきましては、工場側に除害施設を設けさせまして、その除害施設におきまして、下水道へ受け入れてもよろしい程度の基準まで濃度をカットさせるというふうなたてまえになっております。これは下水道法の施行令に、そういう場合の除害施設の設置に関する条例をつくります際の基準を九条で規定いたしております。この中には、油脂以外のBODでございますとか、あるいは浮遊物質関係とか、あるいは温度でありますとか、そういった下水道の機能に障害を及ぼすような物質につきましての一般的な除害施設の設置基準がございます。当然その中に御指摘のような油類の関係も規定されております。それでやってまいりたいと思います。
  26. 吉田之久

    吉田(之)委員 その条例は守られていると思われますか。あるいは今後もその程度でいいとお考えですか。
  27. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 現在、下水道法ではこういうたてまえでもって市町村を指導しておりますし、条例をつくっておりますところの都市におきましては、この基準に従ってやっていると私どもは存じております。この規定で十分かどうかという点につきましては、これは今後の技術開発なりあるいは下水道全体の汚濁といったような問題等も時々刻々変わってまいりますので、そういう点もあわせましてわれわれは絶えず研究を続けまして、この基準の、時代に合ったような改定なり、そういったことについていろいろ、研究は続けてまいりたいと思います。現状はこれで十分であろうというふうに私どもは存じております。
  28. 吉田之久

    吉田(之)委員 たいへんその辺の現状認識がわれわれと違うようです。  そこで大臣、この陸上の廃油の処理について、いま局長から御説明があったように、いろいろな各自治体に協力を求めての処置はしておられるようではありますけれども、たいへんむらがあります。場所場所によりますと、その廃油をちゃんと集めてきて完全処理し、また再生して利用するところもあるようです。しかし、多くの場合は、東京都内におきましても、全然そういうめんどうなことをしてくれる機関もなかったり、あるいは体制がとれていないものですから、どんどん下水に流し込んでおるというふうなことが随所に見られます。これでは話にならないと思う。一部分が空洞になっているというようなたいへんな感じですから、いますぐに法改正をしろというわけではございませんけれども、今後この公害対策を進めていくについて、下水道法の中に陸上の修理工場等において排出される廃油そのものの処理について入れるということも相当深刻に考えるべきではないかということを感じますので、特にひとつ大臣の胸におさめておいていただきたいと思います。  そこで最後——私は先ほど来いろいろ御質問いたしておりますけれども、この流域下水道をはじめ公共下水道、そういうものが普及し、そして水洗便所が普及していく中で、当然現在の新都市計画法というものが手直しされなければならない問題が出てくるのではないか。と申しますと、いわゆる市街化区域というものをきめて、その市街化区域を市街化するために優先的に公共投資をやる、道路をつける、下水道をつくる。これが新都市計画法の発想であったと思います。ところが、あまり忠実にそればかりをやっておりますと、幹線はできたけれども、たとえば調整区域、あるいはやがて調整区域に入るであろう現在の農業振興地域、そういうところでは下水道を積極的に引いてはならないという考え方がつきまとってまいります。もしもそういうことをやっておるとするならば、先ほどおっしゃったような都市人口の半数にも達する下水道分野に入れることはできない。そこで、公害という問題がこれほど深刻にならなかった時点における新都市計画法考え方は正しかった、しかし、今日公害を防止するというたてまえから立つならば、そしてそういう意味で下水道日本全国に完備していくとするならば、都市計画法というものの考え方公害防止という面ではある程度修正していかざるを得ないのではないか、ないしは都市計画ワクをむしろ積極的に乗り越えて、こういう公共施設というものを完備しなければならないのではないかという感じが私はいたすわけでございます。この点につきまして、大臣のお考え方と、特に厚生省側からも、いわゆる環境改善のためには、あるいは農村の文化生活向上のためには、この新都市計画法公害防止推進の諸政策との食い違い、あるいはそれを克服しなければならない問題点などにつきまして、今日御検討されている点を御説明いただきたいと思います。
  29. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のような危惧もありまするから、これは実際の運用にあたりましては、重点はそこに指向しておるけれども、特に流域下水道なんかの場合には、かなりの広範な面積において活用されるわけでありますから、運用面ではしゃくし定木にならないように十分に注意いたします。  なおまた、実施過程において非常にそれが障害になるというならば、御指摘のように、新都市計画法等の改正をすることも決してやぶさかではございません。問題は、法律のために行政が穴が出たり、それからアンバランスが出てはいけませんから、その点は立法上も行政上も十分に配慮をして公害の除去につとめたいと思います。
  30. 榊孝悌

    ○榊説明員 お尋ねの点でございますけれども、厚生省といたしましても、下水道整備の問題とあわせて、環境整備の問題というのは地域の生活環境の汚染を防止する上でやはりきわめて重要な問題だろうと思っております。私どものほうは、主として屎尿処理施設あるいはごみ処理施設等の整備をいたしておるわけでありますが、この整備計画にあたりましても、いわゆる下水道整備計画というふうなものと計画的にもやはり斉合性を保って進めるという形で計画をいたしております。御指摘のような、特に人口集中地域というふうな問題に対する対策といたしましては、特にそういう地域に重点的に生活環境の確保とかいろいろな公共施設の整備というものを進めなければならないというふうに感じております。
  31. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣が運用の面でかたくなにならないように指導していくつもりだとおっしゃいました。それはわかりました。しかし、実際問題として、たとえば都市計画税をとっていない地域も、公害防止の面からいって、文化生活の向上からいって、環境整備からいって、下水道は普及さしていかなければならない。そうすると、今度はおれたちは税金を払ってやっているんだ、あの辺は税金を取らずにやっているじゃないかというふうないろいろな問題が出てくるはずであります。だから、やはり単なる運用の面だけでは処理できないのではないか。新都市計画法というものはこういうものである。しかし、公害防止の面からは、その点は水道面でははみ出しますぞ。はみ出す地域についてはあらためて都市計画税に準ずるようなものを徴収してよろしいとか、何かその辺の手だてを講じないと、たいへんちぐはぐな問題が下部で生じてくるだろうと思います。まして、財源的にも非常に難儀な、しかしやらなければならない事業であります。税金を取らずに、そこだけはただ恩恵的に幹線を引くのだ、公共下水道を引くのだというわけにもまいらない。しかし、全体としては、この際あの線引きにあまりこだわりながらこの下水道事業をやったのでは、将来また道をぶちこわして下水道をつくらなければならぬというふうな、非常な国家的効率の悪さを露呈してまいります。この辺は、今後建設省として、特に大臣としては真剣に御検討いただかなければならない問題が出てまいったと思います。その点は特に御検討をわずらわしたいと思います。  それから、特に榊課長に申し上げますが、きのう、北側委員質問に対しましても、たとえば大和川の上流におきまして、だんだん屎尿処理場が各市町村に完備してまいりました、したがって、終末処理場のキャパシティーの足りない方面は併用方式で処理できると思いますという考え方をお述べになりました。しかし、これは全くの認識違いであります。一度いらっしゃったらわかると思いますけれども、たとえば大和高田市に屎尿処理場をつくるときには、市長はぶんなぐられて、その後病気になって市長をやめております。周辺の橿原市は、いま大騒動が起こって、忌部山騒動と呼んでおりますけれども、屎尿処理場をつくらせないという住民側と、どこかにつくらなければならないという市長側とが対立しております。私の町もその周辺にありますけれども、全く同様の状態でありまして、もはや各町村単位の小規模な屎尿処理場は、この公害被害意識の充満している今日の日本の社会においてはなかなかっくれるものではないということはあなた方の基本的な認識にしなければなりません。その辺は、この公害問題を抜本的に解決するために、先ほど来るる申し上げておりますような思い切った下水道施設というものを徹底、普及していく以外にない。したがって、あなたのような考え方の、上流での市町村はそれぞれいままでどおりの屎尿処理をやってくれ、下流のほうは流域下水道中心にして大処理をやりましょうというような併用方式というものは、今後住民には受け入れられないと思うのです。したがって、くどいようでございますけれども、厚生省側としても、いままでの方式をかなぐり捨てて、一挙にこの際この水道による事業の達成のほうに全面的に乗りかえるというような基本方針をもって、先ほど申しましたように、新都市計画法との食い違いをどう処理していくか。各省庁にわたる総合的な検討を財政的裏づけのもとに積極的に進められたいということを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  32. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 井上普方君。
  33. 井上普方

    ○井上委員 私は、このたび国会におきまして水質汚濁防止法という法律が出てまいりましたが、これと河川法との関連問題についてお伺いいたしたいと思います。  河川法第一条の目的には、明確に「国土の保全と開発に寄与し、もって公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。」とありますし、かつまた、二十九条には河川を清潔にしなければならないという項目があるのでございます。したがって、このたびの水質汚濁防止法とこの河川法との相関関係について、大臣はいかなるお考えを持ち、御処置なさるおつもりであるか、この点をお伺いいたしたいのであります。法案自体につきましての非常に重要な問題でございますので、これは大臣から承りたいと思います。
  34. 根本龍太郎

    根本国務大臣 河川法と公害の問題は非常に密接な関係がございまするので、御承知のように、水質基準の問題とあわせまして——実は、従前河川法上の政令ができてなかったのを、先般の国会で指摘されて、各関係省庁と合意の上すみやかに政令をつくりまして、従来は、環境基準が指定されたところについてはいろいろ規制があるけれども、それのないところは流しっぱなしでも処置なしというように非常に穴があったので、これを直させました。なおまた、御承知のように、最近において、河川のうち汚濁の非常に激しいのが都市河川でございます。中小河川のうちの都市河川、それが普通河川のようになっておって法の適用も何もないというところが非常に汚濁されて、下水都市河川とが実質上全く一緒になってしまっております。これもいけないということで、都市河川については、意欲的な予算措置を講じてこれの整備に当たってきました。しかし、これでも現在のところではとうてい河川の汚濁は救済されないということで、今回下水道法改正いたしまして、従来河川と下水道との関係がうまく組み合わされていなかったのを、これでひとつ解決しようということから、流域下水道構想を特に法律上明定しまして、その事業を拡大するとともに、その事業主体も明確にしていく、こういうような有機的な関連をもちまして、河川法と公害との関係重点を置いて下水道改正をいたして御審議を願っておる、こういうことでございます。
  35. 井上普方

    ○井上委員 私は、このたびの水質汚濁防止法案は、建設省が共管事項になっていないということに対して大きな不満を持たざるを得ないのであります。河川法二十九条を受けて、河川法施行令の十六条の五に「汚水の排出の届出」という条項がありまして、この中に「河川に一日につき五十立方メートル以上の汚水を排出しようとする者は、あらかじめ、建設省令で定めるところにより、」「河川管理者に届け出なければならない。」という条項があるわけでございます。この河川法施行令は現在生きておるのですが、片方におきましては、また、水質汚濁防止法によって届け出をしなければならないということになってまいりますと、末端におきましては混乱も生じましょうが、しかしまた、行政面からすれば、公害防止の面においては非常に効果もあり得ると私は思うのであります。したがって、ここらの関係を一体どう事務的に処理されようとするのか、ここらをお伺いいたしたいのが一点。  なお、河川法施行令第十六条の五の届け出は、いままで一体幾らあったのか、件数並びにこれに対する建設省としての態度をお伺いいたしたいのであります。
  36. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お答えします。  先生ただいまお話しのように、河川法二十九条に清潔に関する条文がございます。それに伴います政令が、ずいぶんおくれておりましたが、この八月の七日に公布されまして、十一月の七日から施行されておるわけでございます。これは河川の管理者といたしまして、単に環境衛生の目的だけではなくて、あるいは地域的な一府県の問題だけではなくて、水系を一貫いたしまして、ダム等の水量操作もやっておることですから、やはり河川の流水の正常な機能の維持、それから河川の流水の適正な利用、こういった面からこの政令を定めておるわけでございます。したがいまして、河川法におきましても、環境衛生に対する関係というのは、別に水質汚濁法の趣旨と反するわけではございませんけれども、多少守備範囲の点では違っておる点があろうかと思います。しかし、念には念を入れて、河川法でも河川管理者として寄与できるところはできるだけ寄与していきたい、こういう趣旨で政令がございます。したがいまして、特に併存しても混乱は生じないのじゃないかというふうに考えております。  なお、政令は十一月七日から施行されておりまして、現在各出先機関等でいろいろその辺の事務を進めておりますが、まだ施行いたしましてから日が浅うございますので、先ほどお話のございました届け出の件数等につきましてはまだ手元に資料が参っておりませんので、まことに申しわけございませんが、わかり次第また御報告をさしていただきたいと思います。
  37. 井上普方

    ○井上委員 それで、経済企画庁審議官が来ておられるようですが、この河川法施行令による届け出があなた方にありましたならば、一体何件かということはわかると思います。この点どうでございますか。
  38. 西川喬

    ○西川政府委員 水質汚濁防止法は新法でございますが、現行法におきましては、基準の設定は水質保全法で、これは経済企画庁の所管になっております。それに伴いまして取り締まりますほうは、工場排水規制法等十一の実体規制法がございます。この十一の実体規制法につきましては、それぞれの所管官庁がございまして、それぞれのほうで所管いたしておるわけでございます。いろいろ取り締まりその他の面で差異がありますものですから、それを一元化しようということで、今回新しい水質汚濁防止法案をつくったわけでございます。  いま先生のおっしゃいました届け出の数につきましては、実は、基準設定の段階におきましてはそれぞれ調べておりますけれども、その後の新設、増設等がございますので、所管官庁でございません私どものほうでは、現在のところ、指定水域につきましても、その全体の数字というものは、申しわけございませんがとらまえておりません。御了承願いたいと思います。
  39. 井上普方

    ○井上委員 そこで、十一月の七日と申しますと一カ月たったわけでございますが、ともかくこういう五十立米以上の汚水云々の河川法施行令が実施せられることになった。工場排水等に関する規制法が廃止になって、新しく水質汚濁防止法一本になるわけですよ。水質汚濁防止法一本ということになってくると、ここで問題が出てくるのは、この水質汚濁防止法と河川法施行令との関係なんです。片方におきまして、先ほど大臣も言われたように、公害問題がなぜいま大きくなっておるか。都市河川に対するたれ流しが多い。これが公害を出しておる最大の問題だ。東京都下においても、日本航空電工におけるカドミウム汚染問題、これも都市河川に対するたれ流しの結果、府中等におけるカドミウム汚染という問題が大きくクローズアップされてきておるのです。したがって、どういたしましても、この都市河川に対するたれ流しといいますか、これをやはり行政機関はがっちりと握る必要がある。それには、このたびの水質汚濁防止法によると、特定施設を持つものは届け出をしなければならないということになっている。しかし、特定施設を持つ工場の指定は政令にゆだねられておる。そこで、一体どこまで政令で特定施設を持つものを指定するのか。公害防止という面からするならば、この点が非常に私どもは疑問に思うし、かつまた、末端における——特に、いままででございましたならば、一級河川にいたしましても、あるいは二級河川にいたしましても、都市河川にいたしましても、河川管理者がいる。河川管理者に対してはこういうような届け出をするということでございますから、河川の実態については、最もよく河川管理者がこの実態を把握しておった。そういう面において、この水質汚濁防止法を建設省がむしろこの河川法施行令による共管事項にする、連絡を密接にするということによって、公害防止に大いに役立つと私は考える。したがって、そういう方向で行政を進めていただきたいと思うのでございますが、大臣いかがでございますか。
  40. 根本龍太郎

    根本国務大臣 井上さんのお考え方は非常によくわかります。ただ、公害立法をするにあたりまして、関係省が非常に多いものですから、それを一々みんなやるとたいへんうるさくなるから、そこで、山中国務大臣のもとで、処理するにあたってできるだけ簡素化をはかるために、厳重にこれは協議はするけれども、共管をあまり多くすることはかえってめんどうじゃないかというような形で、われわれはあえて共管を主張しなかったのです。われわれのほうとしては、御指摘のように、河川法上の届け出を受ける立場にありますから、届け出させることができるのです。(井上委員「しなければならない。」と呼ぶ)しなければならないことになっていますからね。したがって、防止法上の問題はそちらのほうにゆだねてもあえてこれは脱落するわけじゃないというような考え方で、この問題についても、汚濁防止法上の共管を強く主張しなくても、実質上は同じことになるというふうに考えておったのでございます。
  41. 西川喬

    ○西川政府委員 現行法の工排法におきます特定施設といたしましては、製造業及びガス供給業にかかわります施設ということで限定されております。これが現行法における特定施設でございますが、新しい水質汚濁防止法における特定施設は、そのような縛りをいたしておりません。ほかの実体規制法で取り締まっておりましたところの、たとえば砂利採取場、あるいは屠畜場、斃獣処理場等、いわゆる二次産業だけじゃなしにそれ以外におきましても、あるいは一次産業あるいは三次産業に類する特定施設、いわゆる汚水を出す施設というものをできるだけ幅広くとらえてまいりたいというのが、新しい法律でございます。ですから、この規制になじまない一般家庭汚水等はこの特定施設にはなり得ないと思いますが、それ以外の事業形態といたしまして、汚水を出すような施設といいますのは、幅広く、一次産業、三次産業も含めまして、新しい法律におきます特定施設として規制する予定でございます。  それから河川法二十九条とこの水質汚濁防止法との関連でありますけれども、先ほど河川局長からも答弁がございましたように、水質汚濁防止法は、水域の汚濁を防止するということの観点に立っておるわけでございます。これは河川だけではございませんで、海域その他農業用水路等も全部入るわけでございます。それに対しまして、河川法の二十九条は、河川管理上の問題としてこれをとらまえておりまして、やや範囲が違うだろうかと思います。それで同じような届け出制度があるわけでございますけれども、その間の調整規定といたしまして、水質汚濁防止法によりまして届け出を必要とする業種は、これは届け出の対象者が都道府県知事でございますから、全部都道府県知事に届けます。そういたしますと、都道府県知事は、そういう水質汚濁防止法のほうからの届け出を受けましたものは、河川管理者にこれを通知することになっております。それで河川法の二十九条の政令のほうにおきましては、この通知によりまして届け出にかえるという調整規定をとっておりまして、いわゆる汚水を排出する事業者にとりましての二重行政はその点で避けておるわけでございます。
  42. 井上普方

    ○井上委員 重複は避けておると言うのですが、この河川法の目的からいたしますならば、国土の保全と公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的としておるのです。それに基づいてやはり清潔条項があるわけなのです。それに続いての、これは汚水の排出の届け出が施行令で義務づけられておる。そうなってまいりますと、私ども考えますならば、どういたしましても、河川法というものは、いままでのような河川管理、流水あるいはまた流域の変更、こういうものだけではなく、大きい意味の防災、すなわち公害というものに対するある程度の規制というふうに広義に解釈するならば、この目的にも公害防止の意味は私は含まれてきていると思うのです。したがって、この河川法施行令の汚水の排出の届け出の制度というものは時宜に適した処置である、私はこう言わざるを得ないのですが、しかし、一方において、この汚濁防止法を見てみますと、どうも河川法との相関関係というものが十分になされていないように思われてならないのであります。大臣の御答弁によると、関係各省が多いのだからということでございますけれども、実際問題として、カドミウムの汚染にいたしましても、あるいはまた有機燐酸の汚染にいたしましても、先般の砒素の問題にいたしましても、工場から出されて全部これが都市河川あるいはまた中小河川に流れ込んで、これがあふれ出て被害を出しておるのが実情ではないかと思う。こういう面からするならば、建設省はもう少し積極的に水質の清潔条項をたてにとって、もう少し大きく——しかも監視員というのはいま現在おるのですから、新しく予算措置をすることもない。ここらあたりもう少し努力していただきたいのですが、どうでございますか、河川局長
  43. 川崎精一

    ○川崎政府委員 河川法から見ました国土保全とか公共の福祉、こういった意味で非常に河川が重要な使命を持っておるというふうなことで非常に先生から激励をいただきまして、たいへんありがたく思っておる次第でございます。しかし、これを水質汚濁といいますか、環境衛生の面から国として取り上げていきます場合に、すでに水質保全法というようなものが昭和三十三年からスタートいたしております。そういった意味で、環境の面からまいりますと、河川だけではなくて、もう少し広範囲な、公共水域の問題とか、あるいは大気の問題とか、いろいろございます。したがいまして、公害防止の基本法の精神に基づきまして、単に河川だけからすべてを見つめるということは非常に無理があろうかと思います。したがいまして、少なくとも水質汚濁の、河川に排出されるものの規制については水質汚濁防止法にゆだねる。しかし、やはり河川管理者としましては、川の水の利用とかあるいは水量の調節の問題、さらにしゅんせつだとか、あるいは浄化用水の導入等もやっておりますので、そういった意味から、公害問題に対しましても河川の立場からできるだけ積極的に努力をする意味で、やはり届け出制というものを今後とも存続いたしまして、管理者の立場でそういった今後の汚濁の状況等を把握してまいりたい、こういうことで進めておるわけでございまして、決して河川が逃げ腰ということではございませんで、むしろ河川法の立場からできるだけそういった公害行政にも参画をしまして、河川の流水の清潔を保持するように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  44. 井上普方

    ○井上委員 私は、通産省が水質汚濁に関与しておる問題につきましては、これは事業者サイドからものごとを見ようという考え方に立っておると思うのです。しかし、建設省の側からすれば、国土の保全という面から、国土の保全ないし公共の福祉ということをはっきりうたっているのですから、下流流域住民の被害を最小限にとどめるという考え方からするならば、当然共管事項にすべきだと私は思うのです。これは、いままでの河川行政があくまでも堤防だとか水利あるいは利水という面に重きを置き過ぎておったがために、視野が非常に狭くなっておるのじゃないか。一体、流水を利用するのは何のためにやるのかというと、流域住民に河川の流水から恩恵を受けさせるという面から大きい意味があると私は思うのです。そういう面からするならば、水質汚濁という問題についても、河川流量の清潔さを保つ上からいきましても、建設省がさらに御努力を願うことがより実務的であり、かつまた流域住民の福祉には貢献するゆえんでないか、このように思いますのであえて伺っておるわけなんです。
  45. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、私どももいままでからいわゆる改修等に多少重点があったことは確かだと思います。ただ、決して水質汚濁に対しまして無関心ではございませんで、実は、すでに三十三年ごろから河川の水質の測定等を行なっております。したがいまして、先般来、公害対策基本法によりまして、河川流域の環境基準を経済企画庁中心に進めておりますが、そういった場合の少なくとも一級水系等につきましての現状の水質がどうであろうかというようなことは、私どものほうで毎年水質年表というものを出しまして、環境基準の設定の基礎資料にこれをいたしまして、大いにその点では寄与をしておるというふうに自負はいたしておるわけでございますが、しかし、今後とも、私どもの守備範囲というものもございますし、結局水質汚濁を防止するということは排出の規制に一にかかっておるのじゃないかと思うのです。したがいまして、排出の規制とか、下水道整備とかといった面になりますと、河川から外に出まして、それぞれの所管の、いわゆる企業等に対する規制の措置でございますが、これを河川のサイドから一律にやるということは非常に困難ではなかろうか。しかも、そういった排出水は単に河川だけではございませんで、河川につながる農業用水路とか、あるいは普通河川だとか、いろいろ出ておるわけでございます。したがいまして、そういったものは水質汚濁防止法にゆだねざるを得ないのじゃないか。しかし、私どもの守備範囲でもできることはたくさんございますので、今後ともせっかく努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
  46. 井上普方

    ○井上委員 いま局長のお話を承りますと、おそらくそれだけの水質の年表まで出しておる役所というのは少ないのじゃないかと私は思う。ほとんどないでしょう。それだけ実績をあげておる建設省が、なぜこの汚濁防止法の共管に参加しないか、私はふしぎでならないのです。これが一つです。  それからもう一つの問題としては、工場規制という面から、排出の規制という面からいたしましても、流れ込まれるのはどうしても河川なんです。現に都市河川がヘドロや有毒物質で汚染され尽くしておるでしょう。これを直すとするならば、やはり建設省都市河川の費用でもって直さなければならないじゃないですか。しゅんせつにいたしましても、あるいはヘドロを除去するにしても、全部これは都市河川の費用として建設省は出しているのでしょう。そういう面からするならば、これの防止のために都市用水や普通河川が汚染されるのを積極的に防ぐ姿勢建設省にあってしかるべきだと私は思う。施行令で届け出制を導入したことは一つの進歩だとは思いますけれども、しかし、被害を受け、金を出すのは、あと始末をさせられるのは、これはいつも建設省でございましょう。河川局でしょう。そういう面からするならば、このような工場排水に対しては、これはこうしてほしい、ああしてほしい、あるいはまた実態はどうだということを河川局は当然主張してしかるべきだと私は思うのですが、いかがでございますか。
  47. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほど大臣からの答弁にございましたように、やはり水質の汚濁の問題は公共水域のいろいろな多様性の問題、これは河川だけではございませんで、港湾とかそれにつながる公共の水路等がございますが、そういった水域の多様性の問題と、それから原因である排出につきましてもいろいろ所管が分かれております。したがいまして、あまりそういった守備的な所管の問題を云々しますとかえって公害対策行政が繁雑になるのではなかろうかというような意見が圧倒的でございまして、私どももその意見に承知したわけでございます。しかし、今回の水質汚濁防止法の案にもございますように、河川管理者といたしましては、知事が公共水域水質の測定計画を立てますときには、やはりこれに参画をいたしまして、できるだけ私どもの知識なりそういったものをそれに反映をして、河川管理の立場から、また当然測定を必要とするものもございますし、そういったものもあわせた測定計画が立てられるように進めていきたいと思っております。  なおまた、防止法の二十四条に、河川管理者といたしましていろいろ意見を述べるような舞台も用意されておるようでございますので、そういったものを活用いたしまして、先生のおっしゃるように進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  48. 西川喬

    ○西川政府委員 水質汚濁防止法の問題につきまして、いろいろ所管の問題があるようでございますけれども、いわゆる水の問題につきましては、これを利用する側、あるいはこれを汚水としての排水として利用する側、いろいろございます。さらに水域そのものも、港湾もあり海域もあり漁港もある、農業用水路もあるというようなことになっております。そのような観点から、はっきり申しますと、いわゆる加害側、それに対しての被害側、そのようなものの間の調整といたしまして、経済企画庁がいわゆる中間をとって所管をいたしておるわけでございますけれども水質汚濁防止という広い意味で申し上げますと、これは企画庁が所管いたしております排水規制だけではございませんで、環境基準の達成条項の中に入っておりますが、下水道整備は非常に重要な意味を持っております。  それから河川のしゅんせつとか港湾のしゅんせつ、あるいは流況の改善、これらの問題も非常に重要な大きな意味を持っておりまして、それぞれの所管でやっているわけでございます。  企画庁が所管いたしておる水質汚濁防止法でやっておりますのは、そのうちの一部門でございます。重大な一部門でございますが、排出規制というものをやっているわけでございます。この排出規制、それから公共的な社会資本の整備充実、さらにこれに立地規制というものが加わりまして、これが公害対策基本法におきます三本の柱になっておるわけでございます。  それぞれの所管でそういうことをやっているわけでございまして、この水に関しまして、それに幾ぶんなりとも関連するものがすべてかかわりがあるからということで所管するということになりますと、これは非常に範囲の広いものになります。そのような観点から、企画庁が一元的にやるという形になっておりまして、それぞれの所管の大臣は、関係大臣ということになっているわけでございます。  環境基準を定めます場合には、すべて関係省が集まりまして、その後のいろいろな政府としての施策というものを決定してきめております。それから排水基準等をきめます場合にも、企画庁はあくまで加害者、被害者側の調整機関でございますので、関係省全部集まりまして、もちろん建設省にも十分御意見も伺いますし、河川管理者としての立場の協力もいただいております。また下水道大臣といたしましての計画につきましても、御協力をいただいておるようなわけでございます。そのような観点で、一応主務大臣とはなっておりませんが、水質汚濁防止という観点からは十分協力をいただいておるということになっておるわけでございます。  それで、従来の水質保全法等におきましては、公物管理者の立場が非常にあいまいでございました。何らの規定がございませんでした。ただ単に関係行政機関の長ということだけしか入っておらなかったわけでございますが、その点につきましては、今後公共用水域水質汚濁防止をはかっていきます上に、公物管理者というものの立場は非常に重要な問題でございます。そのような観点から、新法におきましては公物管理者の意見具申というものを改めて、河川管理者、港湾管理者等という、二十四条でございますか、これを一項を起こしましてはっきりさせたわけでございます。  さらにもう一つの点では、監視、測定体制の整備ということにおきまして、従来は監視、測定体制というものは何らの規定がなかったわけでございますが、今後この公共用水域水質の保全をばかります上に非常に重要なことでございますので、監視、測定体制というものにつきまして新たに章を起こしまして、十六条におきまして測定計画をつくって、それに基づいて国、地方は全部一丸となって監視、測定を行なうということをきめたわけでございます。この中に河川管理者は当然公物管理者の立場として入ってきて協力していただきたい、このように考えているわけでございます。
  49. 井上普方

    ○井上委員 私は、やはり納得しがたいものがあるのでございます。  それはそれでおきまして、続いては「水質汚濁に係る環境基準について」というものが四十五年五月二十九日に閣議決定されておるようであります。これを拝見いたしますと、下水道公害防止施設の整備の促進のために、一つは排出規制と並んで、公共下水道流域下水道、汚水処理施設、続いてが廃液処理施設等公害防止施設の果たす役割りがきわめて大きいことにかんがみ、こういうことをわざわざいってあるのでございますが、特に流域下水道、汚水処理施設等々につきましては、一応水質汚濁防止法では出ておるようでありますが、廃液処理施設についてはどうもなさそうでございます。この点いかがになっておるのでございますか、まず経済企画庁及び続いては都市局長にこの項についての御説明を承りたいと思います。
  50. 西川喬

    ○西川政府委員 先生のお持ちになっておりますのは廃液じゃなく廃油、廃油処理施設だと思いますが、これは水質汚濁防止法におきましても特定施設として指定する予定になっております。ただし、廃油処理施設につきましては、前の海水汚濁防止法がさらに改正されまして、今国会に出されております十四公害法案の一つとして海洋汚染防止法が出ておりますが、この海洋汚染防止法の中におきまして、廃油処理施設を規制することになっておりますので、水質汚濁防止法におきましては、鉱山等と同じように実際の取り締まりは海洋汚染防止法にゆだねるということで適用除外というふうに考えておりますが、一応水質汚濁防止法の対象といたしましての特定施設としては指定いたします。それで、適用除外になっておりません。直罰あるいは都道府県知事の立ち入り検査、これらのものはすべて水質汚濁防止法において適用になるということになっております。
  51. 井上普方

    ○井上委員 私が聞いておるのは、海洋のことを聞いているのじゃないんです。海洋の汚染のことをいま問題にしているのじゃないのです。むしろ陸上における廃油の施設をどうするかということをお伺いしているのです。
  52. 西川喬

    ○西川政府委員 陸上におきましての油の問題は、現在非常に問題になってきておりますが、このような形で海洋におきますタンカーその他から出ます油の廃油処理施設というようなものを、現在陸上におきまして規制するような法律はございません。ただし、ガソリンスタンドその他から出てきますような油を処理する事業、廃油処理業というような事業を行ないまして、一つ事業場として行ないます場合は、当然水質汚濁防止法の規制対象業種となるわけでございます。現在そのような処理業を行なっておりますところは、やはりその処理施設というものを特定施設に指定いたしまして、規制の対象といたしております。
  53. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 下水道の完備いたしました下水道整備区域内にございます工場、事業場等からの工場排水等につきましての機械関係の廃油、そういうものにつきましては、下水道法のほうで除害施設というものを設けさせまして、その一定の基準以下のものにして下水管に流すというふうなことになっております。
  54. 井上普方

    ○井上委員 そうなっておるけれども、実際問題として終末処理において一番問題になるのはやはり廃油の問題じゃないですか。これは完全に行なわれていないでしょう。おっしゃる法律のとおり行なわれておらないがために末端処理場において非常に難儀しておるということを聞いておるのですが、いかがでございましょうか。
  55. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まさにその問題が今後の公害対策関連いたしまして非常に大きくクローズアップされてきておるわけでございまして、今回の下水道法の一部改正においても、先生御指摘のようにどうも現状があまり励行されてないじゃないか、その管理、監督、監視体制を強化すべきじゃないかというようなことから、今回の一部改正におきまして、下水道の管理者が届け出をさせまして記録を保存させ報告を聴取する。除害施設等につきまして、監督措置に違反する場合には罰則の規定を整備いたしまして、そういうことが徹底して励行されますようなことを期待いたしておるわけでございます。
  56. 井上普方

    ○井上委員 そうしますと、政令で定める水質下水を排出する者は、その下水水質の記録を保存するとともに、求めに応じてこれを報告するものとするという条項の中に廃油施設は入っているのですか、どうなんですか。あるいはこれは政令を出していただかぬことにはわからないのですが、政令はもうできておるのでしょうな。
  57. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 昨日も申し上げましたけれども、まだ確たる政令はできておりませんけれども、大体の考え方といたしましては、水量につきましては一日に五十立方メートル以上の水を出す工場、それから水質につきましては、一般の家庭下水水質よりも悪い濃度の水を出すもの、あるいは有毒物質を含んでいるようなもの、そういうものを対象にいたしまして今回の規定をかけていきたいと思っております。
  58. 井上普方

    ○井上委員 私は、せめて政令要綱でも出していただかぬことには、法律審議の上においては非常に問題があると思うのです。これはいつも私は申しておるのでございますが、この御用意はあるのですか、どうでございますか。あるなら要綱だけでもお出し願いたい。でなければ、安心して法律の審議をすることはできぬのですが……。
  59. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 一応全般的に政令要綱案なるものを準備しておりますので、別途提出させていただきたいと思います。
  60. 井上普方

    ○井上委員 それでは、委員長におかれましては、その政令要綱をわれわれの手元にまでお届けいただきまして、それに基づきまして質問することにして、その条項については保留いたしたいと思います。
  61. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 了承。
  62. 井上普方

    ○井上委員 御善処方をお願いいたしたいと思います。  その次に問題になりますのは、これはまことに変な話でございますが、「一般家庭からの排出水は、水質汚濁防止のためには無視し得ないものであるにもかかわらず、排出規制になじみ難いものであるので、」とこの資料にあるのでございますね。そうしますと、「排出規制になじみ難いものであるので、」といいますと、下水道において、家庭排水の中でいま一番問題になる物質は一体何なんでございますか。
  63. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいまの先生の御質問の趣旨がよくのみ込めなかったのですけれども、ここに書いてございます「排出規制になじみ難いので」というのは、一般家庭は非常に不特定多数でございまして、各戸から家庭の残廃水なり屎尿といったものが出てくるわけでございます。そういうものを工場なんかと同じように個別に排出規制をすることは非常にむずかしい、だからそういうもののために下水道整備してやる、こういう趣旨だと私は理解いたしております。
  64. 井上普方

    ○井上委員 そもそも下水道の目的は住民の生活しやすいということ、あるいは住民の福祉の向上、健康の増進ということが主たる目的で下水道法というものはつくられておると思うのです。ところが、いまのお話でございますと、あるいはまたこの文章からいきますと、工場廃液が主であって、家庭の排水のほうが従のような書き方がなされておるような気がしてならないのであります。  それで家庭排水で一番問題になるのは一体何なのか、現在の科学が日進月歩のときでありますので、新しい物質が出てくるだろうと思うのです。しかし、いま家庭排水の中で処理するのに一番むずかしい物質は一体何なのだということをお伺いいたしたい。一時は中性洗剤であるというお話も聞きました。しかし、中性洗剤の問題につきましても、現在では技術的には処理できておるのでしょう。そういたしますと、科学的に申しましていま一番処理しにくいものは一体何なのだ、工場廃液の中で終末処理場において一番処理しがたいものは何なのだ、これをお伺いしたいのです。家庭から出される汚水の中では何が一番むずかしいか、あるいはまた工場から排出されるものでは一体何が一番むずかしいのか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。といいますのは、日本下水道というものの歴史は非常に浅い。諸外国と比べて非常に浅いけれども、これはお伺いするのですが、しかし、下水道の耐用年数が大体四十年ということを承っておる。ところが、西欧におきましては、これはもう皆さんも御承知のようにジャンバルジャンの昔から下水道というものがあって、おりおり修理はしておるけれども、これは百二、三十年間使われておる。ところが、日本においてはコンクリートでつくって、コンクリートパイプであるがために耐用年数が非常に短い。したがって、いま古い下水道がこわされて新しいものに置きかえられようとする時期にすらはや現在来ておる。そういった原因は一体どこにあるのだということを考えるならば、その中へ入っておる廃液の化学的な物質が問題になってくるのではなかろうか。これは良心的に考えますとまことにそう思わざるを得ないので、家庭用水で問題になるのは一体何なんだ、工場用水において下水管をいためるものは何なんだということを聞きたいわけです。
  65. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 普通家庭下水の場合におきましては、特に下水処理の点で問題になるのは窒素とか燐、たとえばそういうものがあります。それから工場の廃液、排水につきましても、いろいろ御議論が出ておりますような重金属類、それから下水管の関係で一番問題になりますのは、水素イオン濃度PH、これがある一定以下になり酸性が強くなりますと下水管を腐食させるかと思います。  それからお尋ねの第二点の下水管の耐用年数でございますが、日本の場合におきましては、陶管でありますとかコンクリート管を主として使っております。大きなパイプになってきますと現場打ちの鉄筋コンクリート管でやっております。こういうものは耐用年数は大体五十年ということになっております。御指摘の西欧諸国のものにつきましては、古いものはれんがとかあるいは石でもって築造しております。こういうものは百年くらいもつということで今日もまだ機能を発揮しているものもあるように伺っております。最近では、やはり日本と同じような材質のものを使ってつくっておられるのではないかというふうに思います。
  66. 井上普方

    ○井上委員 いまのお話によりましても、コンクリート管が耐用年数五十年と申されますが、しかし、コンクリートのほかの建造物における耐用年数というものはもっと長いと思うのです。ところが、下水管においては五十年ということになってくると、やはり廃液のいまおっしゃられたようなPHの問題、水素イオン濃度の問題がかなり影響してくるのではなかろうか。そこで、この廃液、特に工場から流される廃液についての規制というものを当然行なわなければならない。水質的に廃液の水質の規制というものを行なわなければ長もちしないのではないか。現在ではもう、重金属だというお話もございましたけれども、こういうものをどんどんたれ流しにされた場合には、おそらく下水道の本管のほうもいたんじゃうんじゃないかというような気がいたしますので、この点お伺いいたしたいのですが、どういうような規制方法をこの下水道法というものにおいては考えられておるのか。
  67. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、今回の改正におきまして、一定の水量または水質下水を流すものにつきましては、新しく下水道管理者に届け出る義務を課しております。その対象となりますものは、関係政令案要旨で——これは後ほど資料としてお配りいたしますが、問題になっておりますところの十一条の二の関係においては、政令で定める量は日量五十立方メートル以上のものにつきまして、それから政令で定める水質は、一般家庭下水水質以上または有毒物質を含む水質を排出するものにつきまして届け出の義務を課しております。そこで、あらかじめそういう届け出がございましたならば、今回の改正にも関連いたしますが、まず下水道法施行令等に定められましたところの基準に従いました有毒物質等につきましては、除害施設を設置することを管理者が命ずることになっております。そういう施設の設置とその施設の管理運営といいますか、そういうものについての管理者からの指示がなされることになっております。それから、新しく今回追加いたしましたのは、そういう一定の悪質の下水につきましては、常時水質を記録して保存しておかなければならないという義務を新しく課しております。また、下水道の管理者は、必要に応じてこれについての報告を求めることができる。さらには立ち入り検査につきましては、従前は昼間だけしか立ち入りができなかったのでございますが、深夜営業等の工場もございますので、二十四時間常時検査のために立ち入りができる、こういうふうな規定にいたしております。そういうことで、除害施設の的確な設置とその管理が行なわれているかどうかということの励行等についての監視体制等を徹底してやるように指導してまいりたいと思っております。
  68. 井上普方

    ○井上委員 そこで、日量五十立米以上の廃液を出すものは、これは届け出なければいかぬというようなことになっていますが、実際、下水管がいたむような廃液を出しておるものを発見するのはなかなかむずかしい問題ではないかと思うのです。したがって、少なくとも工場廃液を出す人たちに対しては書類を提出させる。書類を提出させたところで、除害施設をつくるつくらぬは別にいたしましても、一応見つけたならば、——これを排除するということはなかなかむずかしいというような関係からいたしますれば、昨日も問題になったようでありますが、やはり許可制を導入する必要があるのではなかろうか、このように思うのでございますが、どうでございますか。私は、今度は下水管の使用年数を長引かすという意味において、いためさせない、傷つけさせないという意味において許可制を導入する必要があろうかと思うのですがどうでございますか。
  69. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この問題につきましては、昨日来いろいろお尋ね等がございまして、私からお答えを申し上げたのでございますが、基本的には、下水道法といいますのは、先生もよく御存じのように、他の公共施設と違いまして、下水整備された区域内において関係のものは下水に汚水を流し込まなければならないように義務づけられておるたてまえになっております。したがいまして、そういう下水道法のたてまえからいきまして、下水道管理者が、その区域内の汚水処理については一切責任をもってこれを管理する。そのためには必要な使用料金をいただくことは当然でございますが、そういう制度のたてまえでございますが、ただし、何でも流してもいいという意味ではございません。やはり現在の下水道処理技術というものは段階がございまして、昨今の水質環境基準といったようなきびしい情勢もございます現在、私どもは、そういう悪質な下水、特に有毒物質関係下水につきましては、工場、事業場におきましてそういうものを完全に処理をいたしまして、支障のないような程度にまで処理をいたしまして下水に流し込みなさいということで、そのための除害施設を設けさせることを今回の改正でもって強化してまいったわけでございます。問題は、そういうものが流れてこないようにすることが問題なのでありまして、それを担保するにはどういう方法があるかということに尽きるかと思います。その手段につきまして、許可制がいいとか、あるいは現行制度が不十分であるとかいうような議論も多々あると思いますけれども、私どもは、現行の制度で届け出をさせまして、それに応じて管理者が直ちに行って点検をして計画をチェックして、除害施設をまず設けさせる、それからあとは、使用開始後は、常時記録の保存等の点検や監視体制を励行することによりましてこれをチェックしていくということに期待をいたしておるわけであります。その許可制というものがはたして下水道法のいまの体系になじむかどうかという点について、私ども若干まだ疑問点も持っておるのでございます。その辺は昨日来申し上げておるようなわけでございます。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 井上普方

    ○井上委員 私は、このたびの公害諸法を拝見いたしまして、国民が望んでおる方向と非常に違っておると思うのであります。それがはしなくもいま都市局長から出されておる。このためにきびしい基準が設けられたんだから、こうおっしゃられますけれども公害対策基本法でいっておるのは、その基準というものも「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」ということになっておるのです。これはおたくのほうと関係ないですけれども、こういうような、「維持されることが望ましい基準」を次のように定めるということできめておるわけなんです。第一、この水質汚濁防止法の基準なんというものもしり抜けなんですよ。そこに私はこのたびの公害諸立法に対しまして大きな不満を持たざるを得ないのであります。望ましい基準なんだ、この基準というものは努力目標なんだというようなことを言っておる。私は、この環境基準というものはどうも国民の期待に反したものであるといわざるを得ないのであります。これがきびしい基準であるという御認識に立っての御答弁ということになると、私どもはどうも合点がいきかねる。その証拠に、いまの下水道に流される廃液の問題につきましても、言いかえますならば、局長は、これは結局は事業者の良心にまつんだというような考え方が基礎になっておるように見受けられてならないのであります。しかし、これは私どもが直接関与している問題でありますが、たとえば私らのくににおきましても重クロム酸カリが堂々と流されている。あるいはまた四塩化炭素が流される。四塩化炭素といえば、これはもう劇物中の劇物、たん白質凝固物質ですよ。こういうものすら平気で企業者は現在流しておる。そのために公害問題が起こってきておるのです。重クロム酸カリ、これまたひどい物質です。劇物なんです。だから、彼らに良心を期待したところで無理じゃないか。企業利潤追求のために彼らは何をやるかわからない。こういう心がまえでこの下水道法水質基準につきましても考えなければならないんじゃないか。吉兼局長、重クロム酸カリが流された事実を御存じでしょう。あるいはまた、カドミウム、燐、砒素等々も流されたことも御存じでしょうが、これは長い間の蓄積によってあらわれるものではない。重クロム酸カリ、これはまさに劇物中の劇物、四塩化炭素、これもまた劇物中の劇物、こういうものが堂々と一般の用水の中に流されておる。これほど現在の企業者の良心というものが麻痺しておるという実態についてわれわれは考えなければならない。ここから現在の公害問題というものが出てくるのじゃなかろうか。したがって、この企業者の利益追求のための姿勢のもとにおいては、彼らに良心を期待することはむずかしいのじゃないか。むしろ、法的にこれを押えることによってのみ国民の健康を保持し、かつまた環境を守ることができるんだ、こういう立場に立たなければならないのではないかと私ども考える次第なのであります。したがって、先ほども申しましたように、下水道管をいためる、あるいは終末処理場をいたある、PHの問題にしても重金属の問題にしても、こういうものを流す工場に対しては、むしろ許可制によって厳然たる姿勢を示すことによって初めて下水道事業が円滑に進むのではないか、こう思いますのであえて私は申すわけでございます。  大臣、途中でございますが、企業者の非常な非良心的な行為というものが現在の公害問題を生んできたんだ、私は、こういう立場に立って、水質保全にいたしましても、あるいはまた下水道の管理にいたしましても、やらなければならないという気がいたすものでありますが、大臣の御所見をひとつお伺いいたしたい。
  71. 根本龍太郎

    根本国務大臣 昨日来指摘されて問題になっておりますが、御趣旨は私は全く同感なんです。ただ問題は、工場等は、下水道に流さなければならないという義務規定にしているわけなんですな。義務規定にしておいてさらに許可ということになると、ちょっとそこに法制のたてまえ上、若干の問題があるということだけのことなんです。問題は、そうした非良心的な企業者が、当然なすべき第一次の除害措置をせずして免れることのないようにするということが基本だと思います。その観点に立ちまして、いまのところでは、関係省庁と打ち合わせた結果、許可にすることによってそれを防ぐことが強くなるかどうかということの価値判断の問題ですがね。義務づけしておるから、義務づけをした上にさらに許可ということは、一体法制上どういうふうなことになるのかということで問題であります。しかし、せっかくのことですから、これは検討して、そのほうがより的確であるとなればそういうふうにして差しつかえないと私は思います。  良心の問題になってくると、私も実は、現在の中小企業等に対しても、現実にやっておるところを見ると、かなりの疑点があることは事実だと思います。しかしまた、最近の情勢を見ると、これだけ公害を出したものはいわば国民の敵なんだというふうなひどい批判を受けることから、従来に比べればその点はだいぶ反省してきていると思います。法律の立場は、完璧を期すということと同時に、すべてが最悪の人間なりという前提でそれを漏らさずにやるということになると、これはかなり立法上の問題もありますが、要するに、井上さんの言うことは私もよくわかりますので、十分に前向きで検討してまいりたいと思います。
  72. 井上普方

    ○井上委員 昔から「法は常なり」あるいはまた「法は三令あれば足れり」ということわざもありますが、大臣は私の言ったことに対して共感を持たれたようでございます。しかし、立法技術というテクノロジーによって左右せられるというのも、これまた国民にとっては大きな問題だと思のです。そういうようなことから考えますと、どういたしましても、これはもう世間で通用するところの、先ほど申しました「法は常なり」という考え方でものごとを進めなければ、いままでの法体系のもとでにっちもさっちもいかぬということでは前進は一歩もあり得ないと思うのです。そこらあたりをお考えの上で、今後ともひとつ前向きの検討をお願いいたしたい、このように考える次第であります。  最後にちょっとお伺いするのですが、この予算等々につきましては、後ほど一わが党の委員から質問があるだろうと思うのであります。先ほども吉田委員から質問がありましたが、四十九水域についても下水道考えられておるようであります。それに要する金額は二兆六千億というお話でございますけれども、実際、都市計画法都市計画地域に都市施設を完備さすという面からいたしますならば、この二兆六千億でも足らないのじゃないか。新経済社会発展計画によりますと、二兆一千億というような金になるそうでありますけれども、実際問題として、市街化区域に対する都市施設の完備という面からするならば、二兆六千億でも不足であるということはいえるのじゃございませんか。大臣、どうでございますか。昭和六十年の市街化区域に対して都市施設を完備するためには、下水道事業は一体幾ら要るのでございますか。これは将来の展望でございますので、あけすけにひとつお伺いいたしたいと思うのでございます。
  73. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは前提条件が非常にたくさんありますから、必ずしも的確とはいえませんけれども、われわれとしては、一応現在の時点で判断するところは、昭和六十年で十五兆円あれば大体目的は達成できるんじゃないか、こう思っています。しかし、これは一応の是正処置でございます。本来からいえば、以前からいろいろ井上さんたちから指摘のあった大都市なんかは、共回溝をつくってやればほんとうは一番いいのです。共同溝をつくって、そうしてそこにみんな持っていく、そうすればこれは下水のほかにいろいろなことにも使えるし、非常にいいのですけれども、これは非常に膨大な金がかかりますので、そのことはこの計画の中にはまだ入ってないというのが一つです。  それからまた、先ほど吉田さんから指摘されたことですが、市街化区域のみならず、昭和六十年になりますれば、かなりこれは国民の生活が向上し、生活意識もまた違ってくると思うのです。そうした場合においては、農村地区といえども屎尿の処理については、昔のように肥料として還元するということがなくなってくると、地方においてもかなりこれは要望が出てくるといったような考えも出てくるわけです。そういうことを考えると際限もなく伸びていくので、一応昭和六十年に市街化される地域を一つ目標にしておるというところの一つの条件がついております。そういう点から申すならば、これは必ずしもこれで十分であるというわけにはいきませんけれども、一応の国民的な常識において、この程度やったならば下水としてはまあまあというところにいくというのが現在の、昭和六十年十五兆円と、こういう見通しであります。
  74. 井上普方

    ○井上委員 時間もまいったようでありますので最後に申し上げますが、特に現在の企業者というものは、利潤追求のためにはともかく手段を選ばない、これが実態ではなかろうかと思うのです。また私どもから考えましても、汚水の中に重クロム酸カリの濃度の高いものを入れてみたり、あるいはシアン化塩素を入れてみたり、人の見てないところでは何をやり出すかわからない。その一つのあらわれが、ここ数年来問題になっておるカドミウム汚染、こういうものを平気で現在まで東京のまん中で使っておる事実、こういうことを考えますと、私どもも企業者の利益追求のどん欲さにほとほとあきれ返るのであります。したがって、これを規制するにはなまやさしい態度でもってやったのではだめだ、少なくとも旧来の法体系をはみ出してでも厳重に規制するものは規制するという態度でなければならない、このように考える次第であります。この点ひとつ御留意の上、今後の行政の上で効果をあらしめるように格段の御配慮方をお願いいたしまして、質問を終わります。
  75. 金丸信

  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まず大臣にお尋ねいたします。  きのうから公害問題と下水道関係について質疑が展開されているのでありまして、私は、単なる下水道法案の審議のみでなく、この問題が日本公害に大きな影響を与えているということにかんがみまして、上下水道にわたっていま質問をしたいと思っているものであります。  そこで、私がまず第一番目にお尋ねしたいことは、新都市計画法の新住建設五カ年計画についてですが、この計画においては、民間自力建設が五百七十五尺政府施策住宅が三百八十万一尺計九百五十万戸と聞いております。こういった問題が下水道問題に大きな関係があるということを私は認識しておりますが、来年、昭和四十六年から始まります新住宅五カ年計画の九百五十万戸のこの問題につきまして、新たに策定されますところの、同じく四十六年よりの第三次下水道計画の二兆六千億円、こういう問題とのからみ合いで、民間自力建設の五百七十万戸のうち水洗トイレなり、また公共下水道はどの程度これらの方々に実質の面で有効になっていくのか、こういう御計画があるのかどうかという点からまずお尋ねしたい。
  77. 根本龍太郎

    根本国務大臣 かなり事務的な計数の問題にもなりますので、事務当局からまず御説明いたさせます。
  78. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お尋ねの住宅五カ年計画の中において、はたして水洗化があの計画の中でどの程度予定されているかということについて、ちょっといま突き合わせの資料がございませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
  79. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは私いつも考えますことは、都市問題というのは、特に都市計画法におきましては、住宅と下水、公園、道路、こういう問題は位置づけがはっきりしておりますね。そういう問題を個々にとらまえていくところに私は問題があると思うのであって、住宅、道路、下水という三本の大きな柱がこの昭和四十年代から五十年代に入るところに——第三次五カ年計画とか、下水道、道路といういろいろな問題の長期計画が、ことしから来年にかけて建設省計画されておるわけですね。第六次道路整備五カ年計画におきましては十兆三千五百億円、これも市街化区域とか、そういった問題もからみ合わせて財源問題が論じられておる。道路のほうは十兆三千五百億です。片一方では、下水道のほうは二兆六千億、これをどうするか。また、九百五十万戸の住宅については、まだ吉兼さんから私聞いていないのですけれども、これも膨大な何兆円という金が出るだろう。そういうことを踏まえて総合計画というものを立てなければならない。それを建設省サイドでは、いつも、住宅は住宅だ、下水道下水道だ、道路は道路なんだと言う。まあ、それは確かにアンバランスがありますから、個々のケース・バイ・ケースによってそういう計画を立てていくということはわかりますけれども、そういう点、総合的な五カ年計画なり長期ビジョンというものを打ち立てなければならぬ。これは何も全国総合開発計画等に、経済企画庁やそういうところにまかせるのではなくして、建設省独特の、昭和五十年代にこのような姿になるためには下水道はこうあらねばならないということが、他の面とあわせてはっきりしてこなければならない。  そこで、私がいま聞いたように、住宅問題の五百七十万戸の民間自力建設の水洗トイレは、この五カ年でどのくらい張りつけられるか。その数字がまだあがってこないところに疑問が出てくる。この点いかがでしょうか。
  80. 根本龍太郎

    根本国務大臣 小川委員が御指摘になった点は、確かに従来そういう欠点があったことも事実です。そういうことから、私が就任して以来、いわゆる同じ省内における各局のセクショナリズムはやめろ、たとえば住宅政策をやる場合にはこれは用水の問題、下水の問題、みんなからんでいますから、住宅政策をやる場合においても各局がこれに協力し、みんなそういう体制でやれということで、機構まで変えたわけです。そこで審議官を設け、その審議室では、さらにそうした他局に関連するところの参謀部的な仕事をさせているわけです。そういうことは総合的に一応やっているのでありますけれども、いまだ足らざる点があることは事実だと思います。  いま御質問になりました下水計画といわゆる新都市計画法に基づく都市計画、さらにその中に占めるところの住宅政策、さらにその一つの各論になるところの水洗便所をどういうふうにするかという点については、私は、まだ必ずしも十分な裏づけがないかもしらぬと率直に思います。ただ、概数的なものは持っています。原則として、政府政策住宅としてはこれから全部これは水洗便所にすること、これは間違いございません。ただ、民間の問題は、民間のそれだけのものをつくらせるということに重点を置いておりまして、水洗便所まで、配意しているかどうか、これはまだ必ずしも確信は持てません。そこで、都市局長も率直に、現在の資料を持ってないから、いずれその点は調査の上御答弁申し上げるということであったわけでありますが、いま御質問の趣意、これは十分に今後体して改善さしてまいりたいと思います。
  81. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで、七〇年代のテーマとして、国民的課題として公害という問題が入ってきている。確かに、環境基準とか、生活基準とか、人間の生命、健康に関する問題が七〇年代の都市問題として浮かび上がってきた。そこで、いま建設大臣が苦慮なさっている問題は、そういう横の線、セクションですね。これを有機的に結びつけなければならない。そこでわが党は、都市問題、こういった建設問題を含めた中で国土省というようなことをいま考えておりますけれども建設省を主体にして、これを解体して、国土建設省のようなもの、また国土省のようなものをつくっていかなければいまのような問題すら解決できないということになりますと、公害対策という大きな問題がこれからしり抜けになってしまうように考えますが、私のこの考えについて、大臣、率直にいかがでございますか。
  82. 根本龍太郎

    根本国務大臣 実は国土省の構想はもう二十年来あるのです。実は、二十年前においてはむしろ災害対策ということが中心になって出てまいりました。その次には、いわゆる各ブロックごとの均衡ある総合政策をやるべしということから出てきました。最近では、いまの御指摘のように公害という問題から出てきておりますけれども、これは議論としてはなかなかりっぱでありますけれども、現在の日本行政機構を根本的にひっくり返さなければならない。これはなかなかむずかしいです。私は吉田内閣のときにも政調でこれを取り上げてみたことがございます。鳩山内閣のときには、政府としてやろうじゃないかというところまで決意したけれども、なかなかむずかしいです。現在も行政委員会あるいは行政管理庁でこれを取り上げてみましても、これはなかなかむずかしいんです。実質上これははたして効果があるかということについても実はむずかしいです。たとえば国土省ということになりますれば、まず農林省の林野庁、これはほとんど全面的に一緒にならなければならない。さらに、現在の港湾、運輸関係は、これはほとんど全部国土省の所管にしなければ動かなくなっちゃう。現在の行政機構をぺたっと分けて、これを今度は一緒にするということになると、むしろその抵抗があることと、それから今度は百年の長きにわたる官僚のセクショナリズムを破るということになって、実質上これはできかねるような気がします。そこで次善の策として、むしろこれは、いろいろそういうふうに国会等において御提言くださることによって行政の総合化ということが強く取り上げられて、それによってだんだんだんだんやっていったほうがこれはいいではないかと思いまして、残念ながら、現在のところにおいては、政府も、私個人も、これに対してぜひ政治的な情熱を傾けてやろうというところまではまだいっておらないのでございます。
  83. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 実力大臣である根本大臣が、吉田内閣時代、鳩山内閣時代から構想をせっかくあたためられていながら後退していくということは、私は非常に残念だ。いみじくもいまから十五年前、二十年前に大臣が卓見ある政治の感覚の中からお考えになったこの問題は、あの当時とは段違いに行政が複雑化し、また公害問題等も起きている今日ですから、今日こそ国土省をつくらなければならない時代じゃないですか。それを、むずかしいという一言でせっかくの大臣構想をつぶすということは、野党としてもこれはもう見るに忍びない。そこで私は、この問題を、あえてこの下水道法案の審議の場において議事録にとどめおきたいと思って発言しておるわけなんですが、そんな勇気のないことではなくして、あくまでも初志を貫徹すべく、ひとつトラのごとく大勇猛心をふるって前進あらんことをまず御期待しておきます。根本さんらしくないので、私は一言しかっておきたいと思います。  第二点、これは大臣並びに部長にお尋ねしたいのですけれども、きのうまでお尋ねしましたいろいろな各委員へのお答えを聞いておりますと、戦略的、戦術的に、下水道問題というのに対しては大臣は非常に前向きである。道路が第一か、住宅が第一か、下水道が第一か。私はここで択一は望みませんが、特にこの三者がからみになっている都市問題ですね。そこで私は具体的な例でお尋ねしたいのでありますが、まず第一に、現在のままの状態で進んでまいりまして、予算がそのままで進んでいきますと、昭和五十年には、現在の水質汚濁というものは四十年代に比べて何倍に上がるのか。これが一点。  第二点は、先ほど大臣が申しました二兆六千億の第三次下水道整備計画が完成された暁には、昭和五十年には現在の水質汚濁が改善されるのか、それとも後退するのか、それよりも何%上積みになるのか、これは建設省の試算があると思いますので、お尋ねしたいと思います。
  84. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 水質環境基準関係下水道投資二兆六千億を要求いたしておりますが、この関係で、五十年時点におきまして水質の汚濁状態がどういうふうになるかというお尋ねかと思いますが、四十九水域につきましては、環境基準をそれぞれ各水域ごとに設定しておりますが、その設定されました基準を五カ年内に達成できますものが二十五水域であります。具体的に河川名を申し上げますと長くなりますから省略させていただきますが、残りの二十四水域は、私ども計画では、あと五年を含めまして八年ないし十年で基準に達する、こういう状態が期待されております。
  85. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 局長、私が聞いているのは、現状よりよくなるのか、現状よりも悪くなるのか、汚濁状況が現状より何%になるのかということを聞いているのです。
  86. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 現状との関係につきましては、むろん各水域によって若干趣を異にしておりますが、大体に申しまして現状よりはよくなるということが期待されます。
  87. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、日本経済新聞の四十五年八月二十七日の記事によりますと、「工場に対する規制下水道による処理状況が昭和四十年と同じ状態で推移すると、昭和五十年には汚濁は四十年度の二・二倍になってしまう。また下水道の普及率を三八%程度まで引き上げ、工場排水を積極的に下水道に受け入れたとしても、なお汚濁は一・三倍になるという試算結果が出ており、河川公害はますますひどくなる傾向にある。」と出ておりますが、これは経済企画庁の試算したものですね。経済企画庁の方もきょうおられると思いますが、経済企画庁の試算と建設省の試算との食い違いが出ているということが、いま各委員会でいろいろと問題になっている問題の一つなんです。そこで、この下水道をどうするかという問題が今度法案になって出てきた。予算の裏づけはどうだとか、いや工場排水のチェックの段階におけるところの許可制がどうだとか、こうだああだという問題がいま浮き彫りになってきた。ところが、大まかに言っても建設省の試算と経済企画庁の試算は違う。経済企画庁ではまだ一・三倍も汚濁になると言っている。これより伸びると言っている。局長、そういうところは、調整できないんだろうか。そういうところの見込み違いなんだろうか。そういうところがあるから、私は、建設省が主体となって国土省をつくらなければだめなんだということを大臣に言っているわけです。これはどうでしょうか。
  88. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、私ども要求いたしておりますところの二兆六千億の五カ年計画というものが策定され、しかもその計画どおり事業が達成されたという場合におきまして、個々の水域によって若干事情は違いますが、投資した結果五十年度には大体現在の水質基一準よりはよくなるということであります。
  89. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 局長、それは二十五水域投資されたところはよくなるでしょう。私が言っているのは日本全体を言っているわけですね。だから、二十五水域に二兆六千億をつぎ込むことの是非というものが国会論争になっているのです。だから、ここで私はその点は大臣を責めないのです。ただ、二兆六千億の財源といったらたいへんなものですよ。五カ年間で二兆六千億といったら、一年間に五千億円ずつつぎ込んでいくことですよ。六千億近い金をつぎ込まなければならない。いま五カ年計画で九千億足らずでしょう。そういうことは財源的にたいへんだということを各委員から言われている。私はそのことをいま責めませんけれども、少なくとも国民は、四十六年から始まる第三次下水道整備計画ができて、二兆六千億をつぎ込めば、現在日本全国で起きておるところの水質汚濁がいまよりもよくなると信じているわけです。それが経済企画庁の推計では一・三倍もふえていくのだという推計だ。そこに建設省との違いがあるからどうかと言っているのです。
  90. 西川喬

    ○西川政府委員 いま先生のおっしゃっておりますのは、新経済社会発展計画におきます今後の公害におきます汚濁の増加の見込みというもので書いた数字であろうかと思います。この場合の前提といたしましては、四十年に対しての倍率で考えております。それから、経済社会発展計画におきましては、下水道整備そのものは、すでに御承知かと思いますが、六カ年計画で二兆三千億。現在下水道のほうで要求いたしております五カ年計画の二兆六千億というものに対比いたしますと、二兆一千億を一応前提として考えております。この数字そのものは非常にいろいろな想定が入っておりますので、あくまで見通しでございますが、一・三と申しますのは、工場排水におきます想定でございます。家庭排水につきましては、家庭排水の汚水量の増加が相当ふえるということを前提といたしましては一・二、それほどふえない。現状から増加いたすわけでございますが、ケースのとり方によりますが、一人当たり排水量のBOD負荷量の考え方の問題でございますが、計算によりましては〇・八という数字が出てきております。四十年に対比いたしまして、家庭排水については〇・八ないし一・二というような結果が出てきているわけでございます。これはあくまで経済社会発展計画を策定いたしましたときの予想、見通しであるということでございます。
  91. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 新経済社会発展計画はもう手直ししなければならぬ段階に来ている。都市化のスピードも相当早く、互いに耐久マラソンレース時代に入っている。このことを一番よく知っているのは建設大臣だ。私は建設大臣の肩を持つわけじゃありませんけれども都市問題の対策責任者としてはいまたいへんな問題に到達している。だから、私は、これから御質問したい問題は下水道公団の問題を提起したいのですけれども、道路に、または住宅に、いろいろな問題のウエートの立て方は下水道が根本になっている。これが欧米の社会の都市対策の基調的な考え方なんだ。それがいまあなたの御説明では〇・九、〇・八ということで、下がると言いますけれども、工場排水においては伸びていることはお認めになっている。それも都市化が新経済社会発展計画よりも現実は進んでいる。昭和六十年には国土の七〇%が都市化する。太平洋沿岸ベルトに集中してくる。こうなっている中でいろいろな問題が取りざたされているのですから、この点、ただいまのお答えを聞いて、建設省として、局長、何か反論的なことばがございますか。いまのお答えに対してはわがほうではこうだという考えはまだありませんか。
  92. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいま先生の御質問の点につきましては、私どものほうは、都市局の立場におきまして、下水道だけじゃございませんで、これからの都市化に対処いたしまして、昭和五十五—六十年の長期の市街化区域都市整備というものについて、積極的に取り組んでいかなければならない大きな課題を背負っております。その中で下水道整備というものが非常に重要なウエートを占めていることはもちろんでございます。そういう観点から、下水道の新計画には意欲的に取り組んでまいっておるわけであります。むろん下水道だけじゃありません。それ以外の都市整備関係のほうにも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  93. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まだはっきりした試算ができておられないように私見受けられますので、大臣のおられる前であなたをこれ以上責めることは酷でありますから責めません。  そこで、私は大臣にお尋ねいたしますが、下水道公団の考え方についてお尋ねしたい。いままで財源問題についてはいろいろ論じられました。今度は責任委譲の問題で地方公共団体にこの権限が与えられる。権限が与えられるということは、建設に対する責任も与えられてくることなんです。これは建設省の若手の人たちには相当なる抵抗があると思う。ただし、監視の体制とか、そういうものは地方公共団体に委譲してもいいけれども下水道整備の責任はあくまで国が負っていくんだ。この姿勢だけはくずされますと、ただでさえも、きのうからの御答弁では——これは建設大臣ただ一人にお求めしても無理と思いますが、大蔵大臣でさえも、さいふの都合がありますからと連合審査では答えておりますし、自治大臣は、基準財政需要額の算定の方法については検討する、そして地方交付税については検討するとまで答弁が出ているのですが、私はさらにもう一歩進めて、道路公団、住宅公団のように公団システムがある今日、下水下水道公団があってもおかしくないのではないかと思う。一般会計予算、財政投融資、そして民間資本としては、生命保険とか、火災保険とか、銀行とか、こういった、いまの資本主義体制の中で大量に庶民の金を集めておる金融機関から、社会の一つの責任体制として当然この公団システムというものを考えていく段階に来ているのではないかと思う。ただし、公団公庫については非常なる規制がありまして、私どもも一がいに賛成するというわけにはまいりませんが、住宅公団、道路公団のある今日、下水道公団というものを考えてもしかるべきである。ただ、戦略体制だけではだめであって、戦術体制というものもここで確立しなければならぬ。この五カ年計画に対する財源の裏づけというものは今日までいまだ何一つ出しておりませんので、ひとつこの点をお聞きしたい。  その次には、いままで議論になっております監視体制のモニターとか、公害監視センター、これは何も水質汚濁ばかりじゃない。大気汚染も含めまして、こういった機関を国に設けなければならぬじゃないかという点が一つ。  その次には研究機関ですね。これからの重金属、微量金属の問題について——あとで私セレニウムについてお尋ねしたいのですが、セレン等については規制がない。先ほども他の社会党の委員からもお話がありましたように、劇物、毒物がこれからもっと使われてくるような化学薬品、化学工場というものが出てくる。こういうときにあって、現在の排出基準だけでははたしてどうかという点も議論になっております。そこで、第三点として、こういった薬品の研究機関というものを国で設けなければならぬのじゃないかと思うが、この点、私は、ほかの政府委員では心もとないですから、実力大臣と言われております根本建設大臣の御構想をこの際お伺いしたいと思います。
  94. 根本龍太郎

    根本国務大臣 下水道財源問題は、先ほど来非常に重要な問題として取り上げられ、私も一応お答えしておったのでありますが、いま小川さんから具体的に下水道公団の構想が述べられました。発想はよくわかります。しかし、御承知のように、下水道の仕事は非常に地域的な特殊性がございます。現在の法体系においても、従来は市町村が主体であった。今度は流域下水道の手法を取り入れるということで、これは都道府県がその主体になるというようなことになります。そういうような実態からいたしまして、国で全体の下水道をめんどう見る公団ということは必ずしもなじまないのじゃないか。これは住宅については、住宅公団がやっておるのは、特に大都市行政区域と居住者との間に非常に遊離した状態があるためにこういうふうな発想をしたのでありまして、その後、御承知のように住宅供給公社というものを地方自治体中心にやらした。こういう観点からするならば、流域下水道をやる場合には、都道府県単位の現在の住宅政策でいうならば住宅供給公社的な構想の発想のほうがむしろより現実的ではなかろうかと私は思う。これは地方自治体がそれをやる場合においては、国でやる場合よりもより弾力的運用ができるわけです。関連して、いろいろの、たとえば回収してそれを還元するという方策もとれるでしょうし、あるいはまた、使用料の弾力的な活用ができます。国でやりますというと、東京も大阪も名古屋もみんな画一的になるということで、これはなかなかむずかしい。ところが、地方的なものでいくならば、その地方の特殊性というものを十分に勘案していかれるので、これが可能である。  それから、先ほど私が申し上げたのでありまするが、地方において特別の起債ワクを認めてくれ、そうすればわれわれは相当思い切ってこの下水道事業を進めることができるということは昨年から言われておるのです。それともちょうど相符合いたしまして、それで地方一つ政治社会の一番大きな問題になりまするから、そうした構想でいうならば、地方銀行なり地方の企業、あるいはいろいろの職業団体がこれに出資もしくはその地方債を引き受けるというような形になると思いますので、一つの非常に新しい構想だと思います。ただ、いまのところ、私のほうでは、端的に申し上げまして、実はそこまで検討しておりませんでした。しかし、今後この下水道法ができ、公害関係のいろいろの予算ができますれば、それを最も有効適切に活用するために、ただいま御提案になりました点は、関係省庁、特に自治省とも打ち合わせしまして、前向きで検討してまいりたいと思います。
  95. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣の発言の中で非常に大事な一点がいま含まれておりました。私も非常に心強く思ったのですが、残念なことに下水道公団のところまで行かなかったのでありますが、住宅供給公社にかわるべき下水道供給公社、下水道建設公社を地方に設置しても妥当であるというようなお考えを述べられたのでありまして、これは地方にとっては非常に大きな問題になったと思います。その点については、今後ただ財源論を論ずるのではなくて、限られた国家予算の中で、金はどうするんだ、住宅によこせ道路によこせとただ論ずるのではなくて——道路だってそうじゃありませんか。これは道路特別会計で財源を求めなければならぬ段階に来ている。そのためには揮発油税の二〇%の値上げがもくろまれている。また、自動車新税ということが打ち出されておる。そういう社会的な背景の中にあって、たとえば下水道だけに金を回せない。これは十分わかっております。そこで、私がいま提案した下水道公団とか下水道供給公社のようなもの、こういうものはいいとか悪いとかの議論の段階を越えて、八千万の人口昭和六十年には集中するこの都市問題を解決していくんだという意欲をひとつ燃やしてもらいたいと思うんです。  それからもう一つ提案がある。メッキ工場とかシアン工場、こういうところから出てきます濃硫酸とか、塩酸とか、こういった酸を集める機構がいまないですね。たとえば今度の海洋汚染防止法によりますと、海水の汚濁を防ぐために廃油処理センターというものをいま義務づけておりますけれども、それが数が少ないので海にたれ流しておる。私はあとで土地問題に触れていきますけれども、メッキ工場とか中小零細工場の方々の廃酸処理センター、これは国がつくってあげるとか都道府県がつくるとか義務づけないと、ただだめだだめだと規制のチェックばかりを言ったってだめじゃないかと思う。私が言いたいのは、法律をつくれば解決するという考え方でなくして、法律をつくる以前に、もっと実も花もある施策を研究テーマにして、国とか市町村などがそういう面は私どものほうで引き受けてあげますよという段階がなければだめじゃないかということなんです。大阪では廃酸処理センターというものが民間ではございます。東京ではまだあるように聞いておりませんが、これを市町村経営とか、または県、国等でやってはいかがかと思うんですが、大臣いかがですか。
  96. 根本龍太郎

    根本国務大臣 非常に建設的な提案で、私も基本的には全くそのとおりだと思います。ただ国でこういう機関をやるということは、現実にはなかなかむずかしいと思います。工場の分布その他から見ましても非常に地域的な特殊性がありますので、こういうものなんかも、やはり権限も相当移譲されており、監督、実施の責任体制を今度とることになりました地方自治体、特に府県がやることが一番大切じゃないかと私は思う。そうした場合に、問題は資金の問題だと思いますから、そういう観点から、現在の日本開発銀行の資金はおおむねそうしたほうにやるべきだというのは、実は五年前からの私の個人的な主張だったんです。佐藤総理が社会開発を言われたときに、私は、非常にいいことを言われた、これを裏づけするためには、日本開発銀行を社会開発銀行に名前を変えると同時に、そうした方面に持っていくべきじゃないかという意見を持っておったのでございます。私の主張がだんだん理解されて、現在では、都市の再開発、それから公害を起こすようないろいろの企業に対する開発資金等も、現在開銀の対象になっておるのでありますけれども、これは開銀の対象になるのはかなり大きいんです。それで中小企業については、農林中金等政府政策金融もめんどうを見るようにわれわれは提案をしておるのでありますが、ただいま小川さんから提案されたように、公害源となるものをそのままたれ流しにしておるのはいかにも知恵がないんじゃないかということ、これだけ技術の進んでおる現在でありまするから、そうしたところの有害物資をむしろ回収して、これを一つの製品として他に転用するところの積極的な機関を設け、あるいは技術開発をすべきだということ、まことにそのとおりだと思います。これはたいへんけっこうなことでございますが、私どもの所管としては、ちょっといまそこまで手を伸ばしかねるので、十分関係方面とも連絡の上、そうした方面に持っていくように今後協力させていただきたいと思います。
  97. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 局長にお尋ねいたします。  建設省は最初の原案で、下水道法の一部を改正する法律案の要綱を四十五年の十一月四日に出しましたが、それによりますと、第四に「公共下水道の設置の特例」というのがありまして、「市街地開発事業等を施行する都道府県又は日本住宅公団等は、関係市町村と協議して、当該事業の施行のため必要な公共下水道を設置することができるものとする。」とある。御存じのとおり、市街地再開発事業というようなものは、高度の土地利用をするところに限られておる。こういうところに大規模の市街地再開発を行なうところの都道府県並びに住宅公団に、関係市町村と協議して、当該事業の施行のために必要な公共下水道を設置することを義務づけるようになっている。これをなぜ落としたのか。これは非常に後退だと思う。第二は、「都道府県又は日本住宅公団は、前項の規定により設置した公共下水道関係市町村に引き継ぐときまでの間に限り、その維持管理を行なうことができるものとする。」、これもいままで現実に行なわれている問題ではありますけれども、この問題がはっきりいたしておりますと、今度、公共団体、特に市町村は県に対して、また日本住宅公団に対して、明確にこの維持管理というものができるのじゃないか、まことにいいことです。第三、「国は、公共下水道を設置する日本住宅公団等に対しても、その費用の一部を補助することができるものとする。」、これは家賃にはね返り、住宅公団の家賃値上げの問題がいま論じられておりますが、こうした地域開発の問題というものが、住宅公団の各市町村、各県の受け入れ拒否反応となってあらわれている現在、なぜこの重大な問題を新しい法案になった時点でおろされたのか。その次に、水洗トイレの義務化の中で生活保護者をおろした問題がありますが、この問題はちょっと疑義がありますので落としてもいいのじゃないかと思う。生活保護者については、住宅との関係で定義づけがむずかしいので、この辺は削除していいと思いますが、いまの「公共下水道の設置の特例」について、(1)(2)(3)をはずしたことについてのお考えをひとつ具体的に御説明いただきたいと思います。
  98. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいま御指摘のように、今回の下水道法改正案の検討段階におきまして、日本住宅公団等につきまして、公共下水道の管理者にする資格を与えたらどうかというふうな考え方が出ておりました。私どもも、この機会と思いまして、いろいろ関係方面とも折衝を進めたわけでございますが、結論といたしまして、成案を得るに至らなかったわけでございます。  その理由といたしましては、日本住宅公団の性格論にもつながる議論でございますが、やはり、日本住宅公団は、公団法に規定されておりますように、大都市近郊の勤労者のための住宅を供給するということを主たる任務といたしました公団でございます。こういう地域の各市町村が本来やるべきところの道路とか公園とか下水道、そういった公物管理権まで住宅公団に与えるというようなことについては、基本的にもう少し議論する必要がある、単に下水道だけの問題じゃない、こういう見解が主として自治省方面から出ているということでございます。また、現在やっておりますところのいろいろな大規模の開発事業に関しましての関連公共公益施設というものを相当公団が負担をして実施しております。これにつきましては、所在の関係市町村との負担関係についていろいろトラブルがいままであって引き継いでおるわけであります。これをどういうふうに今後改善していくかという大きな課題がございまして、この関連公共公益施設という中に下水道も当然入っておるわけでございます。それについての新しいルール化について、来年度の予算とも関連いたしますので、目下財政当局建設省全体として折衝中でございます。そういう際でもあるし、この際公団が直接公共下水道の管理者になって、しかも、直接補助金を国から受けて下水道だけ突っ走るのはいかがか、時期尚早だという議論もございまして、何しろ非常に時間がございませんでしたものですから、残念ながら今回は見送らざるを得なかったという状況でございます。  それから第二点の管理の問題につきましては、公団が設置者になりましてやるという場合に当然そういう規定が必要になってくるわけでございます。公団がそういう法律上の管理者でなくて、現行のようなやり方ではたしてうまくいっているのかというお尋ねかと存じますけれども、これは御案内のとおり、現行では下水道に関しましては町村の代行を公団が事実上やっておるわけでございます。むろんその費用も一部持ってやっておるわけでございますが、でき上がったものにつきましては、地元の市町村と協議をいたしまして、当然公共施設として、本来所在市町村が管理すべきものは市町村に引き継いでおりますし、またそれに至らないものにつきましては、公団自身が共同処理施設等につきまして管理しているというふうないろいろなケースがあろうとか思いますが、大体話し合いでうまくいっているように私ども伺っております。
  99. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私はその点を一つ一つ追及する資料がきょうできておるのですけれども、もう時間がないし、お気の毒になっちゃうのでやめますが、一つの例をあげますと、いままでの公共下水道事業の市と県の負担の割合は、いまあなたがおっしゃいましたようにいろいろトラブルがある。たとえば福島県は二十分の一県が持つ、埼玉県が二十分の一、神奈川県は実に百分の六しか持たない、それから大阪は管渠処理場については六分の一、こういう一例が出ておりますけれども、こういうふうに市と県の負担割合というものが明確でない。だから、その維持管理の問題が問題になってくるのでありまして、局長、その問題はどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。きのうからこの財源配分の問題は非常に議論に出ております。でありますけれども、その問題をいまここで蒸し返しはしたくありません。こういった各都道府県と市町村との負担1これは流域下水道ではありませんよ、公共下水道事業費の負担割合が違うのはどういうわけか。これをはっきり明文化しなければいかぬのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  100. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 公共下水道につきまして、国が関係市町村に対しまして補助する割合等につきましては、今回の五カ年計画関連いたしまして、政令でその点を明確にいたしたいと思っておりますが、お尋ねの県と市町村との関係、これはそれぞれ各県の事情がございまして、県費補助の扱いもまちまちのようでございます。これにつきましては、私どものほうで画一的にこうしろとかああしろとか言えるような立場でも現在ございませんし、それぞれ各県の財政事情あるいは関係市町村の財政事情等もございますので、その辺のところは話し合いの上でそういうふうなルールを定めておられるものではないかと私どもは伺っております。国の補助金に関しましては、きちっとしたルールをつくってまいりたい、かように思います。
  101. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ここは県会の本会議とか委員会ではございませんから、たとえば埼玉県議会じゃございませんから、そこのトラブルの問題をここでわあわあ言うわけにいきませんが、本来これは自治省が来ていれば一番いいのですが、こういう問題が非常にトラブルになって下水道の進捗がとまっておるということは、やはり国も認識しなければならない。こういう問題は地方公共団体に権限を委譲した、だからあなた方におまかせするのだ、下水道のほうはよろしく頼むよという姿勢であってはならぬと思うのですが、この点大臣はどうお考えになっておりますか。
  102. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、従来の下水道法によってやってきた実績からすると、非常にアンバランスです。これは市町村の仕事にしておりまして、いわば県がこれを間接的にめんどうを見るという体制になっておる。国はさらにもっと間接的だというようなことであるために、非常に下水道事業がおくれている。そこで、今度は、いわゆる流域下水道については県が主体になってやらせる。そして従来負担区分も非常に不明確であったものを、今度はこの新しい五カ年計画策定と同時に、負担区分も明確に示そうじゃないか、それを政令できめよう、こう思っています。これには、私のほうだけではなかなかできません。特に自治省との関係大蔵省との関係がございますので、十分そういう点を協議の上、現在の実情に合うようにもっていきたいと考えておる次第であります。
  103. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 下水道はつくればいいのでありますから、そういった問題をひとつ閣僚会議——これはお約束いただきたいのです。いま私が申し上げましたのは流域下水道ではございませんで、公共下水道の市と県との財源の配分、これが負担の割合が非常に不明確であります。いま私が数字をあげて御説明いたしましたような実態でございますが、これは自治大臣をきょうはお呼びすることができませんので、ひとつ閣僚会議でこの問題をテーマに建設大臣から御提案をいただきたい。こういろ問題が解決しませんと、公共下水道のほうの問題がおくれをとる。建設省で幾らこういった計画を立てても、これはたいへんだ。こういう財源問題で他の問題もございますから、よろしくお願いしたいと思います。  次に、畜産問題について、農林省の方も来ておられますから私聞きたいと思うのですけれども下水道法では畜産排水は除外しておると考えておりますが、大都市周辺の人口急増地帯、特に市街化区域内における農地という問題は、これは大臣がいつもおっしゃっておりますように、減反政策とのからみ合わせもあるし、また市街化区域内の農地というものはこれからは市街化していくわけです。そのために、土地を放出させるためには、市街化の農業政策というものは、どんどん都市化にしていくのであるから、固定資産税の宅地並みのことも考えている。ところが、依然として農業をおやりになりたい。そこで、高度収益農業ということを考えられておる。そこで、この畜産問題が都市問題とともに大きな問題になってまいりまして、埼玉県の例を申し上げますと、——昭和四十四年二月一日の農林省の農業調査によりますと、関東地方の豚は、東京都で八万九千頭、埼玉二十四万頭、千葉三十二万頭、神奈川十八万頭、一都三県でも、四十四年二月一日現在の豚だけでこれだけです。養鶏についてはもっとたくさんでございます。こういう問題は、下水道に与える影響というものは非常に大きいので、農林省としては、この下水道を設置するために、何らかの形でこういう方々に負担をさせるために、農業政策の面から、市街化区域内にあって養豚、養鶏といった畜産関係でこれからも農業をやっていこうとする方には、何らかの形で援助がまず与えられるのかどうかという点が第一点。  第二点は、水質保全の目的がこの問題では達成をされないと思います。この例としては所沢がいい例でございますが、畜産排水と屎尿処理の問題については、一頭が人間の何倍にも当たる量を排出しておると聞いておりますけれども、この点については、今回の法改正とどう関係があるか。これはなぜここに出ないのか。こういう点をひとつお聞きしたいと思います。
  104. 藤井伸夫

    ○藤井説明員 ただいま先生の御指摘のように、都市化の進展に伴いまして家畜のふん尿の処理が非常に大きな問題になっておることは御指摘のとおりでございます。畜産局といたしまして、家畜ふん尿の処理考えといたしましては、まず土地に還元するということが一つの方法でございます。それからもう一つは、長期的にはふん尿がそういう問題を起こさぬようなところに経営を移転していくというような考え方でございまして、現在の方策といたしましては、処理については適切な処理方法の技術開発のためにいろいろな実験を行なっておるところでございます。  それから移転につきましては、団地造成に対する助成とか、あるいは移転のための費用についての長期低利の融資というふうなことを行なっておるわけでございまして、ただいま先生の御指摘下水道の利用につきましては、現在全国で下水道比較的整っております大都市において一部その利用を見られますが、ほとんど利用されていないという状況でございます。基本的にはただいま申し上げましたような方向でそういうものの処理をいたしていきたいと思いますが、下水道の利用につきましては、下水道整備状況とにらみ合わせまして、関係のところと相談いたして適切な処理をいたしたいというふうに考えております。
  105. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 下水道整備されました区域内にありますところのそういう家畜関係のふん尿の処理でございますけれども、午前中からいろいろ議論がございましたところの下水道法の施行令でもって、一定の水量、水質を排出するものには除害施設を設けるという規定になっております。したがいまして、そういう関係の業者の排出いたしました畜産関係のふん尿につきましても、もしこの基準に該当する場合は除害施設をつくりまして、ある程度濃度をカットしたもので下水に入れていただくというような指導をいたしていきたい、現にそういうことでやっておる次第でございます。
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 人間のほうの水洗トイレが義務づけられたのでありますから、今度は畜産のほうの豚や牛の水洗トイレ、鶏のほうの水洗トイレということになってくるので、終末処理場ではどうなんですか、水洗トイレ化されたようなかっこうで処理場に入っていった場合には処理できるのですか。
  107. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 大体豚一頭は人間十人分くらいの量だそうですが、質的にはそう本質的な差はないのじゃないかと思います。したがいまして、現在の処理場処理施設をもって処理できるものと存じております。
  108. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ここであなたと私がうんこ談義をしてもしょうがないのですが、これは同じ生きものなんです。われわれ人間は豚を食べる生きものだけれども、それが還元していくのだけれども、水洗トイレがどうだとか、そういった問題がまだまだ非常に不明確です。私はまずこの点をはっきりさせておかなければならぬと思います。  そこで、工場排水の問題になるのですけれども、土地問題に関係するからちょっと聞いていただきたいのですが、たとえばメッキ工場がシアンとか、クロームとか、硫酸とか、塩酸とか、こういった工場排水に適合するだけの基準に定められたものを処理する処理施設というものは、土地がなくてもできるのか、できないのか。何か小さな機械を通せば処理されていくのか。聞くところによりますと、相当な施設の土地が要るということを聞いておりますが、大阪とか、荒川とか、江東区とかの町工場などで処理施設に要する土地を確保できるかどうか。大体一坪二十万円も三十万円もするような土地、それも金を出せば買えるならいいですよ。市街化区域のまっただ中に昔の工場がぽつぽつとあって、特に東京では千七百だか千八百の工場がある。そういう人たちが処理する場合に、私はしろうとですから聞きたいのですけれども、大体土地がなくてもできるものなのか、できないものなのか、その点いかがですか。
  109. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 下水道課長のほうからお答えいたします。
  110. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃる除害施設でございますが、これは工場の中に敷地がなければ一般的にはできません。その大きさは排水の性質によって異なります。
  111. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、ここが問題なんです。ただいまの下水道課長の久保さんは、アメリカ、ヨーロッパ、至るところへ行って研究なさってきた下水道の神さまと言われている方なんです。その方が言っているんだから間違いないのですけれども、除害施設をつくるには土地がなければだめだと言っているのです。これは土地政策と関連があるのですけれども、土地のないところ、あき地が全然ないところに工場があって、それで除害施設をつくれつくれと法律では定める。そうすると、つくりたくてもつくれないような条件にあるものはどこかに移転させちゃうのか、それとも四階か五階に積み上げて、上のほうに処理場をつくってやるのか。土地政策はいま一番大きな問題になっておりますが、この点に対する土地の問題はどう考えますか。
  112. 根本龍太郎

    根本国務大臣 具体的な事例を検討してやらせたいと思いますが、私は、公害防止事業団等が指導して、工場が共同で除害施設をつくるというようなことでやれば、狭いながらも相当程度融通ができるのじゃないかと思います。それから畜産関係でありますれば、相当面積の少ない土地でも、自分の農場で出す排せつ物を処置するぐらいのことは技術的に可能だと思います。
  113. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 共同施設でやればいいと言いますけれども、だから、さっきの廃酸処理センターというような、集約的なものを考えなければならぬ。これは国でやらなければいかぬ問題になってきたのですよ。これがさっき言った公害防止事業団のやる仕事なんですよ。土地がないのですから、やろうたってできない。工場設備をやりたいんだ、私はどこかにやらせていただきます、だけれども、どないしたらやれるのですかと開き直られたらどうするのですか。それは十軒、二十軒まとまってやるんだけれども、そういうものもない。だから、そういうものでまかなえない仕事があるのです。どんどん流している。それを一々まとめて処理したらいいだろうといったってできないのです。そういった技術的なテクニックの問題もある。ただ規制のほうだけをきびしくしておいて、いま言った届け出の義務ということで、今度はデータを出せとか、ああだこうだといったって、第一、測定器だってつけなければならぬ。ところが工場の処理施設というのは、何といったってまず敷地がなければできないのです。それがわが国の土地問題と関連しているということを私はさっきから言っているのです。これは大臣でなくてよろしいですから、その点をお伺いします。
  114. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先生御指摘のとおり、既成市街地におきましては、そういう土地を持つということが相当たいへんなことであることは事実でございます。これにつきましては、下水道の管理者、これは市町村長でございますが、当然市町村下水道関係関連業務の一環として、そういう関係の業者に対しまして土地の取得についてのあっせんをするとか、そういう面について公共団体の特段の協力というものを私どもは相当期待をしていきたいと思います。またそういうふうに指導してまいりたいと思います。  それから、そういう施設につきましては、先ほど御指摘のような公害防止事業団、そういうものを活用いたしまして、除害施設が共同的に、効率的なものができますような方向にいけるようにしてまいりたいと思います。
  115. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 全然ピントはずれの答えになっていますがね。土地問題は、国土総合開発計画なんてどでかいことを言わなくても、小さい範囲ですから、区画整理事業みたいなことになっちゃうのです。  もう少し突っ込んで聞きますが、区画整理事業では、下水道設置の義務づけを行なっていますか、いませんか。水質汚濁の原因を生じているので、都市計画法の開発行為と同じ程度の義務づけが当然必要となってくる。そういうところに執着していくと、いま言ったような、私が心配している区画整理がきちっとできているところ、できてないところ——またさっきの再開発の問題等々、建設省考えられたその考え方は非常にいいと私は思っているのです。でありますから、いまの土地問題の点が解決しない限りは、もう少し煮詰めていただかないとこの問題も解決しない。許可にしろとか届け出にしろなんということも、まだ私の頭の中で踏み切れないものがあるのはそれなんです。そういう問題が解決しないで許可制に踏み切った場合には非常なる抵抗が出るんじゃないかという考えがまだある。それはなぜかというと、建設省がそういったところまで配慮してないから心配になってきた。それは当然配慮しなければならぬ。その点が一つと、それからいまの区画整理に位置づけられていない点ですね。もう一ぺん申し上げますと、区画整理事業下水道の設置の義務づけを行なっていないのですけれども、この点はどうでしょう。
  116. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 区画整理法自体の中にはそういうものはございませんけれども都市計画法並びに都市計画法の運用の面におきまして、新市街地等におきましては、開発許可というふうな場合に条件をつけております。そういう場合は、区画整理事業を行なう者が、区画整理に関連して、必要最小限度の道路とか公園とか下水管の設置について、管理者の負担においてこれを行なわなければならないというふうなたてまえになっております。
  117. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 都市計画のほうで逃げられちゃったのですけれども、そこで私、大臣にもう一点、大きな問題でお尋ねします。  先ほど落としたのですが、道路財源のように目的財源というものを下水道でもつくったほうがいいんじゃないかという考えを持っている。たとえば自動車の場合は自動車税、それから石油ガス税、こういうものは全部道路に使われるわけです。でありますから、下水道の特定財源を設けるためには、そういった特定財源で道路と同じような考え方をこれから持つべきであると私は考えておるのですが、これはちょっと大きな問題ですから大臣に答弁していただきたい。
  118. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど公団の構想が述べられたときに、私は国として一つの公団をつくることはいかがかという問題を提起し、これはむしろ各都道府県単位で地方公社をつくったほうが適当ではなかろうかと申しました。もし地方公社的なものがつくられるということになりますれば、これは地方事業として利用債を発行する権限をそこに与えれば同一の結果を来たすのじゃないか。税金として取るということはなかなかむずかしいと思いますので、まず利用債的なものとしてこれをやらせ、そしてこれを使用する者に使用料としてそれの消化の裏づけをすれば、小川さんの発想が生きてくるのじゃないかというふうに感じます。
  119. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は何もこれをやれと言っているわけじゃないのですが、そういう考え方でこれから論じていくという前提をとらまえていま聞いているわけなんですがね。それは私は、あくまで道路財源と同じようにしろと言うのじゃないけれども、確かに、大臣がきのうからの答弁の中でいろいろと言われているその戦術体制というものが問題になってくる。戦略の位置づけはわかったけれども、今度は戦術体制が問題になってくる。この戦術が問題であって、私は、これからいろいろ問題があがってくるであろうと予想される問題をいま一つ一つ洗い直しているのです。どうかひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。  次に、私は水道の問題でちょっとお尋ねしたい。上水道の問題でありますから、下水道審議とはちょっと的はずれのようにお考えになる方もあると思いますけれども、ここに公害対策公害問題と結びつけて下水道法案が出された。何も公害問題がなければ、来年の通常国会に出してもいい法案なんです。ところが、社会的にこういう問題が起きてきたから建設省でも下水道問題を出してきた。その下水道関係がある上水道についてお伺いしたい。私は、小川のやろう、何だ、下水道のときに上水道をやるのか、あまのじゃくじゃないかといわれたら困るが、やらしていただきます。  水道法においては原水の基準というものがあるのですか、まずそれからお尋ねいたします。
  120. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  水道法では原水の水質基準については定めておりません。
  121. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういたしますと、問題が出てまいりますが、どんな悪い水でも取ってよろしいのですか。
  122. 国川建二

    ○国川説明員 水道法のたてまえでは、水道から供給される水、つまりじゃ口から出る水が、衛生上その他の観点から見た基準に合致しておる、つまり飲料に適するという状態にして供給すればいいというのが最終的な考え方でございます。したがって、もちろん水道を計画いたします場合には、原水はできるだけ水質のきれいなほうが、浄化処理その他いろいろ都合がいいわけでございますから、原水といたしましてはできるだけ清浄なものを選びますが、そういう観点から、原水の水質につきましては規定を設けていないわけでございます。
  123. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、「公共用水域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定について」、これは昭和四十玉年九月一日に閣議決定になっておりますから当然生きてまいりますが、それによりますと、水道に原水を取るに必要な水は、一番いいのがAA、その次がA、その次はB、その次はC、その次はD、こうなっておりますが、その基準についてひとつお願いします。
  124. 国川建二

    ○国川説明員 私から答えるよりも、あるいは経済企画庁のほうからお答えしたほうが適当かと思いますが、環境基準のAAあるいはA、Bというクラス分けをいたしたわけでございます。AAと申しますのは、一般にいいまして非常に汚濁負荷の少ない清浄な水質の状態のものをいい、それに若干下回るような水質のクラスのものをAとし、順次、水質の汚濁負荷の多いものをB、C、Dというようにクラス分けいたしておるわけでございまして、たとえばAAで申しますと、これは非常な清浄な水でありますので、非常に簡単な浄化方法で十分に水道法に定める水質基準に合致するようなものにし得るという水準のものでございます。
  125. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私が調べたところによりますと、「水質汚濁に係る環境基準」、「AA、水道一級」、「自然環境保全およびA以下の欄に掲げるもの」として、PH六・五以上、八・五以下、BODが一PPM以下、SSが二五PPM以下、DOが七・五PPM以上、こうなっておりまして、大腸菌群数は五〇MPN・一〇〇ミリリットル以下、こうなっています。その次A、これは水道二級、これに基準があります。それからB、水道三級、ここまでは水が取れる。Cというのは水産三級。水産三級というのは、何か魚がいるかと調べたら、フナ、コイ——コイもあぶないというのですね。ハゼぐらいじゃないですか。水産三級、「工業用水一級およびD以下の欄に掲げるもの」となっておりまして、Dというのは工業用水二級、Eというのは工業用水三級です。  そこで、私がお尋ねいたしたいのは、水道の原水として環境基準で取れるものはAA、A、B、ここまでなんです。ところが、先ほど申しました「公共用水域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定について」四十五年九月一日閣議決定、これによりますと、多摩川中流、拝島から調布堰まではCですから、これは水道を取れないのですけれども、それが昭和四十五年現在水をどんどん取っている。ちょっと説明いたしますと、どういう状態になっているかと申しますと、私、四十三年のデータしか持っていないのですけれども、BODが一〇・五〇です。これはBODでは水道の原水を取る基準は一〇・五〇まではないでしょう。それからアンモニア性窒素が四・一〇、亜硝酸性窒素〇・一三、過マンガン酸カリウム消費量が二〇・六、鉄〇・七一、マンガン〇・一五、ABSが一・四九とここまではなっておるけれども、もっとおそろしいことがある。ここで先ほどきめました水道三級限度ぎりぎりのBでいきますと、大腸菌群数五〇〇〇MPN・一〇〇ミリリットル以下と書いてある。ところが何と、水道協会で調べたデータは三十四万八千。何倍になりますか。この五千に対して三十四万八千。一般の細菌数は四十七万四千ですよ。一番ぎりぎりに見て五千以下に押えなければならない大腸菌が三十四万八千、一般細菌が四十七万四千もいるということは、私は、これを殺菌する水道技術というものが心配になってきた。特にBODは基準よりも二倍にもなっておる。この多摩川の水が原因になって、きのうも松浦さんが御質問になったカシンベック病というものが出てきて、いま多摩川の水が取水が中止になっている。ところが、カシンベック病が出なかったら、この水をどんどん飲まされている。一体これは妥当と思うのか、妥当と思わないのか、このカシンベック病の原因についてはどうなんでしょう。
  126. 国川建二

    ○国川説明員 お答えします。  環境基準で水道一級、二級、一二級、つまりAA、A、Bと分けましたものは、これはまた別に、水道事業の立場から、水道原水として望ましい基準というものが考えられるわけでありまして、もちろんこの望ましい基準を考えます場合には、現在の水道の状況、つまり浄水方法とか、あるいは浄化機能とか、あるいは各自治体が行なっております水道の管理水準その他から考えまして、全般的に共通して用いられる基準、考えられる基準、好ましい基準はどこであるかというのを引きましたところ、おおむねBクラス、水道三級程度までは大体いけるということで、その判断のもとに、水道一級、水道二級、水道三級というふうに分けたわけであります。簡単に申し上げますと、水道一級と申しますのは、先ほども言いましたように、たとえば非常に管理水準の低い小規模な水道で、比較的簡単なろ過で浄化し得るような水質のもの。水道二級と申しますと、これは通常の市町村段階建設し、管理し、浄化し得るレベルの水質。水道三級となりますと、これはかなり高度な水準のものを考えたわけであります。したがいまして、B級以下、つまりC級の水といえども、必ずしもこれは絶対使えないというものではございません。御承知のように、多摩川等におきましても——もちろんそのほかの河川でも多摩川に準ずるよごれた河川もございますが、そういうところでは、通常の浄水方法に加えまして、前塩素あるいは活性炭の注入等特殊な処理をさらにつけ加えて行なっているわけであります。したがいまして 現在の段階では、そういう現在とっております浄水方法でいっております限りにおいては、供給される水は、水質基準、つまり水道法で定めております水質基準に十分合致した水を出されておりますので問題はないと考えます。ただ、今後さらに汚濁が進行し、あるいは河川の流況等が変わりまして非常に悪化した場合を推定いたしますと、たとえば現行の方式のままでいけるかどうかといったことについては、これはまた別な問題があります。  なお、カシンベック病につきましては、昨日もちょっと申し上げましたけれども、いまの段階では水質のうちのいわゆる有機物の量との因果関係がなお必ずしも明確でない、それだけの因果関係をはかるだけの試験設備を持っていないというのが現状でございます。したがいまして、直ちにはカシンベック病の問題とそれに必要な施策がとり得ない状況でございます。ただ、これらの問題もございますので、全般的な問題も含めまして、たとえば多摩川等非常に汚染されている河川におきましては、種々な浄水方法の研究開発を進めているところであります。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、この閣議決定をしたものはそのとおり守らなくちゃいけないと思うのですけれども、守らなくてもいいのですか。
  128. 根本龍太郎

    根本国務大臣 閣議決定した事項は、これを実行するというたてまえでやっております。ただし、時間的なずれがあることも間々ありますが、これは内閣が存続する限り、それは継承しても、変更しない限り、これは実行する責任を持っております。
  129. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは人の健康に関するものでなければ時間的な問題をかけてもけっこうです。毎日毎日の飲み水が、政府はこの基準でなきゃ危険だと認める。ここが公害罪の「おそれがある」状態じゃないですか。たとえばこの公害罪の問題で「おそれがある」という文字を抜いたということは、いろいろな重金属やいろいろな有害物質が河川を通して流れ込んだ、そうしてその川のプランクトンにその有害物質が入った、そしてそのプランクトンを魚が食べた、その魚を人間が食べるまでの間が要するに「おそれがある」状態です。それを、長い間その魚を食べ続けていたから、それで阿賀野川に水銀事件が、イタイイタイ病という事件が起きたということは、故意であれ、過失であれ、とにかくその因果関係がはっきり立証されれば罪になる、こういうように国会答弁がなされていますね。そこで、問題になっているこういうような状態というのは、この問題こそ「おそれがある」状態じゃないですか。閣議でもって、たとえばAは幾らだからいけないんだ、Bはどうだ、Cはどうだ、水道としてとってはいけないときめた水質の基準をオーバーしているために、ここに多摩川中流、拝島橋から調布堰までは水道に取っちゃいけないとなったのでしょう。取っちゃいけないとここできめているのを取るというのはどうですか。「おそれがある」状態じゃないのですか。
  130. 国川建二

    ○国川説明員 環境基準で設けられておりまして、分類してそこにあがっております用途は、それがたとえば水道三級のBクラスになりますと、Cクラスの水質のものは原水としてはならないというような性格のものではないというように考えております。もちろん、水道の立場からいいますと、いわゆる水道三級クラス、つまりかなり高度な浄水方法をとっております場合には、原水として望ましいのはBクラスの水質が望ましいといっているわけでございます。したがいまして、水道の立場からいたしますと、すべての水源がBクラスに合致するというような状態になりますればこれは一番望ましいわけでございますが、現状といたしまして、きわめてわずかな部分でそれをオーバーするところがあることも事実でございます。したがいまして、たとえば多摩川等につきましては、先ほど申しましたように特別な注意を払い、特別な浄化対策と機構をとり、さらにまた十分な安全性を見込んで操作を行なっておりますが、万が一それのおそれがあるような、あるいは疑いが毛ほどでもあるような場合においては、取水調整その他の実行の段階で運営いたしておりますので、私ども考え方としては、たとえCクラスでもそれが直ちに取水してはいけないというようなものだとは考えておりません。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だけれども、私が聞きたいのは、水道の水なんか一人、二人が飲んでいるのではないですよ。多摩川の調布取水場は、一日十六万トンの水を、品川とか、蒲田とか、鶴見とかいった地域の対象人口二十数万以上の人たちに供給しているのです。そこでカシンベック病の疑いが出たから、こんなひどい水を飲んだのでは危険だといって、いま多摩川では水をとめているのでしょう。ところが、これは三カ月の猶予で、来年一月から取るといっている。まあ多摩川の例はいいですよ。しかし、それと同じようなことが大和川にあるじゃないですか。寝屋川にあるじゃないですか。遠賀川にあるじゃないですか。日本全国にこういったところがある。ここにいらっしゃる根本建設大臣が閣議決定で、水道の水というのはCは取れないのだ、基準はBまでなのだ、よろしゅうござんすねと言って、そこでよろしいと言っておきながら、規格の水質をオーバーして万が一それが出た場合には、これは「おそれがある」じゃないですか。人の健康に「おそれがある」状態にまでいま公害が発生しようとしている。だから、そこで、「おそれがある」状態というのは好ましくないから、こういう状態で水道の原水を取るということは——確かに水道法では基準がないけれども、環境基準というものをきめて、ここまでは工業用水に使おうじゃないか、ここから上は水道に使おうじゃないかということで、まるでわれわれは工業用水を飲まされているじゃないですか。もう人間が工場並みではありませんか。それが第一点です。  それでは、今度は処理を聞きますよ。第二点は、そういう多摩川の水とか、寝屋川とか、遠賀川とかのこれに類する水を約〇・二PPMですか、これを今度は水道としてこの基準に値いするまでに高度処理をするためには、塩素、硫酸礬土、ポリエチカル・アルミニウム——これは凝集剤ですが、その他のむずかしい珪酸類とかなんとかを八種類も入れるのですね。あなた、金魚を買って多摩川の水へ一ぺん入れてごらんなさい、五分もしないで浮き上がってしまいます。金魚が浮き上がるぞと言ったら、金魚は弱いから浮き上がるのだと言う。フランスではサケがどうのこうのときのうも出たと思いますけれども、サケが上がってきて適する水が人間に合うのだとか、ヤマメとか、イワナとか、水質一級の水に合うのはどうだとか、動物実験の段階できめているのですね。ところが、多摩川のあそこの水では魚はみんなぽかぽかと浮き上がる。そういう水質は危険であるからといって、閣僚会議で基準をきめたのでしょう。昭和四十五年の九月一日です。これはもう出ちゃっているのですよ。それは水がないからだと言われれば、今度は水資源の問題になってくる。だから、私が一番先に聞いたのは、昭和五十年にこれより水がよくなるのか悪くなるのかということを聞いている。よくなるとはだれも答えていないのです。そこで、たとえ一・二、三倍でも水が悪くなるとすると、そうすると現在飲んでいるものがもっと悪くなる。昭和五十年現在には水はそうなるのです。そうすると、たとえ二兆六千億という予算がまるまるついて、あの下水道事業量が全部でき上がっても、なおかつ、昭和五十年には水道の水源の水質というものは一・三倍も汚濁されるのだということが、先ほど厚生省の方から私の質問に対して答弁があった。これは議事録にも載っておる。そういうことを考えていま私は質問をしている。それを多摩川ではハじゃないですか。イというのは五年以内にやる、口というのは五年をこえてもいい、ハというのはもっと先だというのです。多摩川の水質はCのハですよ。それから淀川の下流はBのハです。このBというのは、水質基準の八つも九つも十もある中で一つか二つがBに適しているだけであって、あとは全部Cだというのです。こういう問題と、大腸菌を三十五万も四十七万も殺すには塩化水素ですね。塩素ですね。塩素というのは殺菌剤です。これは非常な害がある。この塩素を多量に入れなければだめだ。それで水道協会の人たちはもうはらはらしてこの水をいま供給しているのだ。副作用が出るか出ないか、それを質問していったら、答えがないのです。これだけの薬品を八種類も九種類も混合して入れて、これを長い間、長年月飲んで、人体に害がないなんという保証はどこにもないのです。だから、カシンベック病が出たというのでびっくりして、東京都は取水を中止したのです。その結果をまず聞きたいのです。
  132. 国川建二

    ○国川説明員 まず、非常に悪い水質を水源としているために、工業用水並みの水かというようなお話しがございましたけれども、決してそういうことではございませんで、一応水道法に定められました水質基準で、これは世界各国との水準等から見ましても、日本水質基準は非常にきびしいほうに入っておるわけでございます。しかしながら、いろいろな問題が最近次々と起こっております段階におきましては、私どもといたしましては、必ずしもこれで十分だとは考えておりません。いろいろな重金属その他の問題もございます。現在までに、数年前いわゆる洗剤の水質基準を新たに設け、あるいは昨年、カドミウムにつきましても、暫定的ではございますけれども新たな検査項目も加えるというように、次々に基準につきましては改定を検討いたしております。また、さらに、来年度以降におきましても必要な改定を検討していきたいというように考えております。  それから、いろいろな薬品を浄化のために使っております。もちろんこれも限度を越えますならばいろいろな問題も起こることが考えられるわけでありますが、現在それらの問題も含めて十分な水質のチェックを行なっておりますので、いまの段階では、凝集剤あるいは凝集補助剤等にかかわる問題の心配は要らないというように考えております。  なお、カシンベック病の問題につきましては、東京都が現在東京都の多摩川の水質の調査会を設けまして、それぞれの専門家の方々の集まりをいただいて研究に着手しているという段階でございまして、まだ始まったばかりでございますので、その結論あるいは見通し等につきましては私ども承知いたしておりませんが、厚生省といたしましても十分な関心を持っておりますので、これにつきましても必要な対策考えていきたいというように考えております。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、いまの私の話を聞いてもわかると思うのですけれども、そうすると、大腸菌が四十七万個も検出されるというような多摩川の水でも、カシンベック病の疑いがないということが判明した場合ならば、この二十万トンの水を今後取水するのかどうかという点が一点。それから、多摩川の流域下水道ができ上がるまではこの問題は一応中止をしていくという考えがあるのかどうかが第二点。次に、これと同河川である遠賀川とか大和川、寝屋川、こういった河川については多摩川と同じような態度をとるかどうか。これは水資源と同じような問題になってまいります。  そこで私は、水道行政を厚生省が持っていること自体が気に食わないのです。そんなことは建設省が監督しなければいかぬです。上下水道というのですからね。下があって上がないという、そんなばかな話はない。上と下がある。そうして初めて総体して人の生命、健康に関する基準が生きてくるし、生活環境というものが生きてくるのであって、厚生省の答弁を聞いたって、閣議決定なんかてんで問題にされてないのです。こっちは処理さえよくすればいいんだ。好ましくないのだけれどもしょうがないのだ。しょうがないというのは、水がないからです。水資源が確保できないからそんなきたない水だって飲まざるを得ない。そこへ論争が発展していきますと、首都圏の水資源問題に発展していっちゃって、これまた延々と二時間、三時間の論議になってしまうので、私はきょうはやめますけれども、厚生省所管の上水道の監督というものは、水資源問題と、下水道問題と、工場用水と、この三つがからみ合って、市民、国民の健康と生命を維持していくのに一番必要な水道の水の問題——井戸水なんか現在は飲めないですからね。水道の水を確保するためには建設省がやらなければならぬ。そこで、さっきから言うように建設省の問題が出てきてしまうのです。そこを二十年以上前に建設大臣が見抜いておるのです。そんなにえらい考え方を持っていたあなたが、むずかしいむずかしいということでだんだん元気がなくなってしまって、つめをもがれたトラのようになってしまってはまずいと思うのですよ。だから、私が言いたいのは、水の行政というものはどうしたって建設省が所管しなければいかぬということなんです。だから、そういう立場で、もっと大きな意味から言えば、建設省は、どうしてもこの問題は厚生省の分野の問題までも考えてあげるという段階にきておるのです。この問題を大臣は国策としてぜひ取り上げてもらいたい。  そこで、いまのような、閣議決定された問題が全然水に流されてしまうようなことであってはならないのであって、この問題についての御所見はいかがですか。
  134. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず第一に、多摩川の問題は、御指摘のとおりなかなか重大な問題だと私は思っております。現実にこれを取水しておるのは東京都なんです。私は何も美濃部知事さんを非難するわけじゃないけれども、こういろ問題は、実は、多摩川水系についてはほとんど東京都下が多いのです。三多摩のほうから来ていますからね。あそこはむしろ広域下水道をもう少し早くやるべきであったと思うのです。その点は、大阪のほうが関係隣接県とも連絡をとってやっておった。ところが、いままではそういう積極的な水の浄化については努力はしておるようですけれども、それほどの決断がなかったというところがああいう結果になったと思います。  それから、厚生省の上水道を建設省所管にしたらどうかということでありますが、それは所管せいというふうに機構ができれば私は喜んでやりますけれども、実は、これは前からの問題でございます。鳩山内閣のときに、この上水道、下水道、それに工業用水と、三人の大臣がすっかりがっちりとけんかになってしまいましてね。当時の通産大臣は石橋湛山先生、厚生大臣小林英三という参議院議員でした。それからあれは馬場君だったかな、建設大臣は。それで、どうにもならなくなって、私が官房長官のときに、それを調整しろと言われまして、中に立ちまして、そのときにきめたのが、実は、上水道は厚生省、それから下水道は全面的に建設省、それから工業用水と、最も簡単な分け方をいたしたのです。それまでは末端と何かえらくこんがらかっていて、そこまでしたのです。ところが、それもまたすぐに役人同士の何かの取引があったと見えて、下水道が、終末処理下水道の本体とのあれが出たというようないきさつでございまして、なかなかむずかしい経路をたどっています。が、しかし、いまこれを一挙に、行政機構をというか、所管を全部こっちによこせということを言ってもいまのところはむずかしいと思います。そこで、結局は、それぞれの分野において、各省大臣が十分なる責任を持ってやってもらえば現在でもできることですから、御趣旨の点は私は関係閣僚にもよく申し上げて、十分なる措置を講じてほしいと思います。特に、私は、東京都においては何といっても水資源の開発が大事だと思う。ところが、この水資源開発をする場合において、東京都には開発する地点がない。どうしてもこれは関係県との協力関係が必要です。ところが、これがどうもあまり努力されていない。主張だけはするけれども、本来の意味における関係自治体との間の心理的な交流が非常に円滑を欠いているような気がします。しかし、その問題はそのまま放置しておくわけにいきませんから、われわれといたしましては、水資源開発公団の仕事なり、地域的な利害関係なりを調整しながらこれから進めてまいりまして、上水道水資源をこれから大いに開発してまいりまして、不足のないようにいたしたいと考えております。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで厚生省の方にお尋ねしたいのですが、多摩川の水はカシンベック病の原因がはっきりした場合は取水を中止するのか。はっきりしなかった場合はこのまま来年も取水をするのか。この点が一つ。  それから、水資源の問題が解決しない以上は取水ができないというようなお考えでは困るので、利根川の——私は埼玉県でございますが、利根導水路から朝霞用水路を通って小河内ダムに入る武蔵水路、これは昭和三十九年、私が県会議員のときに——鳩山内閣のようなそんな古い話ではありませんけれども昭和三十九年のときに、あのオリンピックの担当相である河野さんが荒川の問題をやりまして、私どもは水を東京都へ緊急送水を行ないました。このときもいろいろと水論議が行なわれたのでありますが、私は、玉淀のダムとか荒川の隠しダムとかいわれている水を放流しても東京へ送るべきであると主張して、これは実現しました。いまは毎秒五十トンの水が流れておりますけれども、この水資源の解決がつかないうちは多摩川の水をそのまま使うのか。また同じように大和川、これは大事な大阪の——北側君がきのうも言っておりましたが、大和川においては屎尿処理のバキュームカーが何十台と並んで放水した、そこで一時中止したけれども、いま取っております。この大和川の水、遠賀川の水、この汚濁疑似水系の水は多摩川と大体近いのです。十九万、二十万もの大腸菌がおる水を、今後水資源が解決するまでは取っていくのかという点が第二点。  第三点は、先ほどお答えいただかなかったのですけれども、水道の原水が悪いために、水道料金が非常にはね上がっておりますね。また水道の使用薬も十倍使っておるそうです。こういったいろいろな薬を配合して人体に影響がないのか、副作用がないのか、この三点を聞きたい。それからあとは、追って、その答えによって聞きたいと思います。
  136. 国川建二

    ○国川説明員 第一点と第二点と関連すると思いますが、現在多摩川の取水をストップしております理由は、カシンベック病の問題が出まして都民にいろいろな不安が起きたということもさることながら、渇水期に入ってきまして、かねてからの水質の悪化がかなり進行しておる、そういうことから、今後に対処するために、取水基準あるいは浄水場の運転基準等をもう少し科学的に明らかにしたいという判断からとりあえず取水をとめたということに聞いております。したがいまして、このカシンベック病の問題がさっそくに片がつくのかどうか、これはなかなか推測はできないと思います。したがいまして、この問題はこの問題といたしまして、今後一月あるいは三月を一体どうするのかといったことにつきましても、あらかじめの予定がわかるとは私ども承知いたしておりません。したがいまして、今後東京都の水道局ともそれらについてはよく打ち合わせていきたいと思います。  また、御承知のように、河川の流量次第で水質もかなり変動があるわけでございます。たとえば、CクラスあるいはDクラスというような状態でありましても、流量の多い場合にはかなり水質もいいわけでございまして、そういった場合に取水することは、これは水質の面から、また安全上から見ても十分安心できることでありますし、さらにはまた水資源の観点から見てもいいのではないか。したがって、多摩川の取水を将来どうするかといったことについては、今後の水道事業全体の、東京都の水道事業の全体の問題といたしまして慎重に考えていきたい、このように考えております。  それから大和川につきましても、水質の観点からいいますと同じような問題でございます。したがいまして、これらにつきましても、できるならば好んで悪い水質のものを使いたくないという気持ちはあるわけでございます。これにかわるべき水源等が容易に得られるようでありますならば、これも切りかえるということも将来としては考えられると思います。  なお第三点の、浄水のために種々の薬品を使っておる、それが人体に対する影響はどうかといったことにつきましては、使用する薬品は大部分が水質基準で定められた水質検査の項目として測定し得るものに入っておる。したがいまして、逆に薬を入れ過ぎますと、その薬のために水質基準に反するということにもなり得るわけでございます。理論的に申し上げますとそういうことになり得るわけであります。したがいまして、それにはおのずからの限度があるのは当然でございまして、これらにつきまして十分注意して維持管理に当たっておりますので、現在のところ、人体への問題等につきましては考えられないということになると思います。
  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 多摩川の水をこれから使うか使わないかというのは社会問題になっておりまして、この問題は非常に大きな問題だと思うのです。大臣、端的に言って、いまのような私とのやりとりを聞いていらっしゃいまして、多摩川の水をカシンベック病と結びつけて考える場合と結びつけない場合では、水質汚濁の点でもう工業用水にしか使えないという多摩川の水の基準がきまっておるにもかかわらず、今後使ったほうがいいのかどうか。これは要するに、水資源との関係がありますので、東京都が一番危惧するのはやっぱりその点だと思うのです。危険な水とわかっていても、水がなければやむを得ないじゃないかということになると、ここに公害の非常な危険な問題が起きるし、万が一事故があると、二十万人から三十万人の方々が大事故を起こし、社会に非常に恐慌を起こす。人の生命、健康に関する基準がそのために定められたのですから、その人の生命に関係する環境基準をオーバーしてこういうものを使うという姿勢、これはどんなことがあっても早急にやめなければならぬと私は思うのですが、建設省サイドからの水の問題とからめて、多摩川の用水を今後どうするかという一点にしぼって、大臣の御答弁をいただきたいのであります。
  138. 根本龍太郎

    根本国務大臣 せっかくの私に対する御質問でございますが、これは私が明確に答弁することはどうも適当じゃないと思います。せっかく水道課長が現在万遺憾なきを期しておると言っておるときに、知識もない私が遺憾なきを期してもだめだと言うわけにはいきません。ただ、一般的な御心配の点はよくわかりますので、この点は、厚生大臣に対し、こういうような問題が非常に深刻に取り上げられておる、国民ももちろんであるが、特にこれを利用しておる人が一段と心配であろうから、この点、現在の状況においてほんとうに心配ないということをわかるような何らかの方法を講じて周知せしめること、あるいはまた、これの改善方法あるいはカシンベックの問題との関連もさることながら、一般の用水として、多摩川水系の水道の資質の向上のためにどういう措置を講ずるか、これは責任ある措置を講ずべきであるということを私はよく連絡しておきたいと思います。
  139. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 本来、きょうは厚生大臣がおいでになれば一番よかったのであります。だからといって、課長さんをばかにして言っているわけではありませんが、一番専門のあなたがそうおっしゃるのですから、私は多摩川の水は不適当であると思いますけれども、現状ではやむを得ないと理解したわけです。  そこで、利根川の水でくさい水事件が起きたんですけれども、そのくさい水事件の結果はいまだにわからない。それについては、群馬県渋川市が群馬県と一緒に化学工場の汚染地下水をポンプアップして、近くの利根川に放流することをきめたんです。その内容を申し上げますと、これは群馬県の企画部の水質調査でありますが、「汚染地下水は蒸発残留物四千PPM、塩素イオン千百PPM、COD十三PPMで、鼻をつく悪臭がある。」というのです。これを毎日約五百トン利根川の水に流すということです。御存じのように、渋川市のあの辺は利根川の水を上水に使っております。そして利根川の水はさらに下りますと行田まで参りまして、行田から東京都の小河内へ行く水になる。明らかにくさい水であり、こういったいろいろな有害物質を含んだ工場排水が地下水にしみ込んだ。その水を揚水してくみ揚げるわけなんです。何のためにくみ揚げるかというと、農業の作物保護という名目で一日五百トンの水をくみ揚げている。その有害物質を含んでいる水を利根川に流してしまう。その下流では、東京都、埼玉県が飲み水にしております。また千葉県の飲み水になっておりますが、こういうことは一体どういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
  140. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、かねてから、ことしの正月以来いろいろ問題になりまして、その原因、特にくさい水につきましては、その原因調査に懸命に努力を続けたわけでございますが、いわゆるにおいを発する物質というものを突きとめるということは具体的に非常に困難をきわめましたために、最終的にはその物質名を明らかにすることはできなかったのであります。  また、二番目の、汚染された地下水のくみ上げによります利根川の全体の水質の悪化、並びにそれが水道水源としての影響はどうかということでございますが、この問題が起きましたときにも、前回のくさい水の問題がございましたので、非常な注意を払いましてその後の水質検査を続けてまいっております。具体的には、たとえば利根川水系から荒川水系に入ります武蔵の取り入れ口におきましては、水資源公団等におきましても、水質検査を依頼するなど、引き続き定期的に、定時的に水質測定を続けておりまして、現在のところ、それに起因するという影響は出ていないようでございます。なお、今後も引き続き注意を払っていきたい、こういうように考えております。
  141. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 水道課長にちょっとお尋ねしたいのですが、民間会社がこういうものを流したらどうしますか。
  142. 国川建二

    ○国川説明員 いまのは市や県ですね。渋川市と県がやっているわけです。
  143. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから、一民間企業会社がこれと同じ状態のことを現出したらあなた方はどう対策を練りますか。水質基準のきまった利根川へ、明らかに有害物質を含んでいる水を一日五百トン工場の排水路から流した場合どうしますか。
  144. 国川建二

    ○国川説明員 ちょっと、厚生省といたしましてお答えできるかどうか、私もよくわかりかねますが、県あるいは工場、どこでもよろしいのでありますが、そういう悪い水質の水を河川に放流した場合の対策と申しますか、水道の立場から申しますと、原水としての水質についての関心をもって、必要な対策を、その問題を扱っておりますそれぞれの関係省庁で協議いたしまして善処していくということになろうかと思います。一般的な河川の水質の問題になりますと、経済企画庁のほうの御意見もちょっと伺っていただきたいと思います。
  145. 白井和徳

    ○白井説明員 工場から、あるいは市町村から出てくる水質につきましては、公害河川なりあるいは水域の利水の目的に応じて必要な規制を行なっているわけです。ところが、今度の利根川の問題は、あれは地下水のくみ上げということでございまして、地下水のくみ上げた水を、群馬県の農業被害を防止するという観点からあのように流した。こういうように聞いておりますが、先ほども水道課長からも答弁いたしましたように、あの問題については、東京都の水道局が非常に神経質になりまして、したがって、利根大ぜき等において十分監視した結果、利根川全体の流量と日量五百トンの当該地下水のくみ上げによって流される汚染については、流量等の関係から影響ない、こういう判断があったと聞いております。
  146. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それが「おそれがある」状態なんです。(「みんな神経が太いんだよ」と呼ぶ者あり)みんな神経太いからいいけれども……。化学工場の廃棄物のところから有害物質が地下水にどんどんしみ込んでしまったんです。その地下水をポンプアップしているのです。その水を農業用水に使っているのです。ところが、作物に危険だからというので使わない水を、水道のほうに流して、それを人間が飲む。作物に危険なのに、なぜ人間の飲む水のほうに流していいのか。それを県や市がやっているということで目をつむる、農業政策のためなら目をつむるのだ。それが一企業会社、何と私企業会社がやったらどうするのですか。作物が大事なんですか、人間の生命のほうが大事なんですかという議論になるじゃないですか。
  147. 白井和徳

    ○白井説明員 いま先生の御指摘の人の健康にかかわる物質を含んでいたかどうか。環境基準についてきまっておりますのは、御承知のようにシアン、それから水銀、それからカドミウム、それからクローム、こういう物質でございますが、そういう物質は、あの地下水のくみ上げの中の水質検査の結果一切含んでおりません。
  148. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは調査の結果何が入っていたのですか。
  149. 白井和徳

    ○白井説明員 先ほど先生御指摘のSS、浮遊物質とか、塩素イオンとか、そういうものが含まれているということでございます。
  150. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その程度のものは作物に有害であるということで、農業公害になってしまうのですね。人間のほうには、人畜には無害なんですか。
  151. 白井和徳

    ○白井説明員 その放流水の地点において、その下のほうでもって農業用水等に被害が出るかどうかという問題になろうかと思うのですが、先ほど申し上げましたように、排水量の五百トンと利根川における自然流量との関係からいって、その程度の流量においてはいまのところ被害が出るということはないと思っております。
  152. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、これは好ましい状態ではないと思います。聞いていてあまりいい感じがしないのです。そういういやらしい感じがこの問題についてはしている。利根川は一級河川ですね。やはり環境基準の排出基準が決定されている。たとえそれが、先ほどあちらで申されたように、人の健康に関する環境基準の項目の薬品が摘出されないにしても、これはあまりいいことではないのであって、これはひとつ大臣としての立場から、河川の管理者の立場から——国が管理しているこの水は、大臣もよく申されているように、水利用、それから治水、治山、それだけではない。今度のように公害問題の水の管理ということを考えると、こういう問題が起きたときには、当然渋川市や群馬県に対して何らかの規制の方法を訴えたほうがいいのじゃないかと私は思うのです。
  153. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いわゆる法律的な責任問題からすれば、何か責任がないような話をやっておるようでありますが、しかし、感情の問題としては、小川さんが指摘されたように非常に不快な感じを受けることはだれ人も同様だと私は思います。実害の立証がないからいいじゃないかというだけでは済まないと思います。これは、あるいは実害があるけれどもそれがわからないというのかもわかりません。そういう状況でございますから、これは厚生省と経済企画庁のみならず、農林省にも協力してもらいまして、これに対して適切な措置を講ずることができるように、私のほうから提案してみます。そうして、あそこの市長さんのそういう見解がそのまま通っていて、あとのほうは法律でどうにもならないというようなことはちょっと見過ごされないような気もしますので、関係方面によく連絡して、善処するように私どものほうからも提言をしたいと思います。
  154. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ありがとうございました。それでこそ、その姿こそが政治ですね。  次に、セレニウムについてお尋ねしたいのです。これは俗にセレンと言われておりますが、本年五月二十九日に閣議決定された有害物質には、シアン、アルキル水銀、有機燐、カドミウム、鉛、クロム、砒素、総水銀の八項目があります。この中には磁器インク、プラスチック等の工場にぜひとも必要なセレニウムが含まれておりませんが、セレニウムの害毒というものはあるのかないのか。また、他国においてはセレンについての環境基準や水質基準があるのかないのか。米国、ドイツ、イギリス、こういう諸国においてはセレニウムを環境基準の中に入れてあるのかないのかという点、そういう点をお尋ねしたい。
  155. 白井和徳

    ○白井説明員 セレニウムについては、ちょっとここに資料を持っておりませんので、御答弁は差し控えさせていただきます。
  156. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、この研究はまだ日本では進んでおりませんか。
  157. 国川建二

    ○国川説明員 セレニウムにつきましては、現在までわが国では水あるいは食品を経由したセレニウムによる中毒だとか、そういう疾病だとかいうような報告事例はほとんどございません。また、職業病といたしましても、これは労働衛生の方面になると思いますが、そういう面でもほとんどないように聞いております。したがって、現在、私どもの水道法ではセレニウムを定めておりませんが、WHOあるいはアメリカ等におきましては一応基準を〇・〇一あるいは〇・〇五PPMというようなことで定めておる次第でございます。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席
  158. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いまお答えいただきましたWHOのヨーロッパ基準が〇・〇五PPMであり、WHOの国際基準が〇・〇一PPM、それからアメリカの公衆衛生局の基準では〇・〇一、コロラド州の基準が〇・〇五、オランダが〇・〇五、ソビエトにおいては〇・〇一と、実にきびしい規制があります。これを今後早急にやらないと危険である、これのおそろしさはカドミウム並みである、こういったことから、欧米先進国においては各国がやっております。この点の研究は、きょうは資料をお持ち合わせでないようでございますのでこれ以上追及しませんが、どうかひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  時間もだいぶたちましたので、最後に綾瀬川の件についてお尋ねしたいのですけれども、東京の中小河川で一番汚濁の激しいところはどこなんですか。
  159. 白井和徳

    ○白井説明員 東京周辺には非常に大きな河川があるのですが、東京城南の立会川とか目黒川、この辺が一番汚濁がひどいのじゃないかと思っております。
  160. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私の手持ちの資料でいきますと、綾瀬川が一番になっているのですけれども課長さんはどの資料で目黒川をあげられたのですか。
  161. 白井和徳

    ○白井説明員 九月一日の環境基準の閣議決定の前提といたしまして、水質保全法に基づきます指定水域についての水質汚濁の状況、これはBODで計測したものでございますが、綾瀬川につきましては、四十四年、内匠橋のところでPH六・〇から八・五、BCD九という数値でございます。
  162. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 綾瀬川はCのハになって、中小河川の中では最も汚濁率が激しいように聞いておるのですけれども、何かお間違えじゃなかろうかと私は考えるのですが、いかがですか。
  163. 白井和徳

    ○白井説明員 私の言ったことについて先生が誤解なされると困るのですが、私は、綾瀬川がよごれてないということを言っているわけではなくて、東京周辺の河川でどこかということだったので、いま私の手元の資料でお答えしたわけでございます。
  164. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まあいいでしょう。一番であろうと二番であろうと、とにかく悪いことには変わりはない。ものすごく悪い。私の資料では綾瀬川が一番悪くなっております。東京都周辺では一番に悪くなっています。その綾瀬川がなぜハになっているのですか。
  165. 白井和徳

    ○白井説明員 御承知のように、環境基準は、行政目標としてできるだけ類型のいいほうに近づけていくということが水質汚濁の防止の観点から必要だと思うのですが、当該水域のそれぞれの利水目的があろうかと思いますし、一つには、そこに立地している工場、事業場、あるいは都市化の動向等、そういう対策事業のテンポと合わせまして、綾瀬川について先生御指摘のような基準で環境基準がきまっておる、かように考えております。
  166. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それで、綾瀬川はBODが五四・三、これは一九六九年の数値で、月日は出ていませんが、第二位が旧中川で四二・六、その次が目黒川です。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 この辺がランクの中でひどいのですが、これは少なくとも口の、五年以内に改修をしてその基準をよくしてもらいたいという中に入れてもらわなければ困る。それを五年以上たってからよくするというほうのハの部門に入れたということは、私は最も疑問に思うのです。私の言っていることは、大体わかりますね。東京の中小河川の汚濁の中で一番汚濁の激しい綾瀬川がハの部類になっておるということは河川対策上好ましくない。そのためには、終末処理場下水道の設置、そういった面をやらなければならぬと思うのですが、それの手直しができないかという質問です。
  167. 白井和徳

    ○白井説明員 御承知のように、日本全国四十九水域で環境基準の当てはめを終わっているわけです。当該水域の類型でそれぞれ当てはめておりまして、それと同時に、その達成の施策として、いろいろ閣議の参考資料としてあげているわけですが、綾瀬川を含む隅田川、荒川流域につきましては、これは最近における郊外の都市化の現象等によりまして、やはり汚濁は家庭汚水のウエートが高いわけでございます。ということで、下水道整備と、それから河川の流況の改善という施策が進めば、われわれとしてはできるだけ早くこの目標を達成したい、こう考えております。
  168. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは時間がまいりましたので私はこれでやめますけれども最後にお願いを一つだけしてやめます。綾瀬川には綾瀬病という病気がある。これはあなたは御存じあるかないか知りませんが、きょうはこの綾瀬川の住民の被害者も来ております。私、これをあなたのところにあとで回しますが、とにかく原因不明の頭痛、目まいというものが出て、対策に非常に悩まされておるわけです。これは埼玉県とも関係がありまするし、綾瀬川対策というのは総合的な問題としてこれからも組んでいっていただきたいと思っておりますので、この点要望しておきます。  たいへん長時間にわたって私一人で占有した感があり、申しわけございませんでした。非常に重大な問題を、私は私なりに質問させていただきましたのですが、大臣、お疲れのところをたいへんありがとうございました。
  169. 金丸信

    金丸委員長 午後四時三十分再開することとし、この際休憩いたします。    午後三時一分休憩      ————◇—————    午後四時四十七分開会
  170. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐野憲治君。
  171. 佐野憲治

    ○佐野委員 先日来いろいろ法案をめぐりまして真剣な討議がかわされておるわけですが、私、そうした論議を聞きながらやはり感じますことは、公害というものは発生してからではもうおそい。発生すれば八〇%敗北だ。ですから、今日公害対策を皆さんが苦労しておられ、政府関係者も一体となって努力しておられるのですけれども、いまたいへんな問題に当面しており、公害が起きているという現実の中で私たちは幾多の教訓を学んでおるわけです。そういう意味からいたしましても、やはり公害というものは発生しない前に予防措置をとる、発生しない前に規制をするということでなければならない。このことを考えるわけですけれども、そこで大臣は、やはり閣議の中におきましてもこれを主張していただきたいし、どうしても今日の公害を予防する、事前に規制をするという立場に立っていろいろ発言していただきたい、かように考えるわけです。  と申し上げますことは、先日産業公害対策特別委員会で山中長官なり各省の方々といろいろ質疑応答をいたしましても、その点に対しては建設省のほうがいろいろな問題でどうも一歩前進している、いろいろな経験を持っておられると私は思うのです。ですから、やはりそういう経験を生かして問題の対処に当たっていただきたい。そういう意味で私は公害の問題を考えますときに、建築基準法が長い国会の中でいろいろな問題を呼び起こしながらも一応通過いたしましたが、あのときにおける論議、そういうことがいま非常に参考になるのじゃないか。特に、住宅問題におきましても、違法建築というものが非常に大きな問題となると同時に、現に違反建築をされて、そのような状態になってしまっておることに対しては、都市再開発なり、あるいは区画整理なり、都市改造なり、たいへんな経費とたいへんな問題にぶつかる。同時に、違法建築に対しましては、もう違法建築ができてしまってからではたいへんだから違法建築が起こらない前に、事前の規制あるいは事前の予防対策をどうするかということで、論議もそこに集中されてまいっただろうと思います。そういう中で論議され、そこで国会の意思としてもまとまり、政府としても、その中においてとるべき今後の措置としていろいろな点が明らかになってまいったわけですが、そういう問題点の二、三を申し上げて、大臣の所信を一応伺っておきたいと思います。  と申し上げますのは、一つは執行罰の問題についてでありますが、今日の公害関係諸法案を見てまいりますと、行政罰が科せられておる。しかしながら、執行罰という制度を採用いたしていないわけです。少なくともやはり違反建築に対する措置として、この不作為義務と申しますか、たとえば公害の場合におきましても届け出をする。それを虚偽の届け出をした場合においては処罰をする。また届け出ない場合にもやはり処罰、行政罰の対象になっておるわけですが、しかし、届けなくて実はどんどんと工事を事実上やっておる。これが今日における慣行とまでなっておるのじゃないか。ですから、労働基準局が調べましたところの一万三千六百六十五の事業所の中において、排気におけるところの清浄装置を持っていないというものがまず七割からある。ほとんど出しっぱなしだということが明らかにされておるわけですが、同じようなことを私たち考えてみるべきじゃないか。そうした場合に、起こってしまった、届け出をしなくてやったんだというものに対しては処罰をするのだ、だからいいではないかと言う。届けたから、ここにおきましていろいろな規制をやる。場合によれば改造命令なり改善命令を出す。それまでは事業停止をする。けれども、それを、何だ、おれのところはやらなくちゃいけないんだ、計画がもうできてしまっておるじゃないか、用地も買収したのだ、それ始めろという形において始まってくる。これは建築の場合もやはり同じことだと思うのですがね。土地を買った。そとに、基準法上におけるところの、人の健康、環境のためのいろいろな基準が国で設けられておる。それに従って建築確認申請をすればいいわけですけれども、そんなことやっちゃいないというのが違反建築をばっこさせた大きな原因なんですが、その場合に一番問題になってまいりますのは、そういう処罰があるからいいじゃないかというのじゃなくて、そういう不作為の義務、やっちゃならぬぞ、あるいはまた停止しなさい、こういう場合に、これを聞かない場合に処罰をする。当然これは裁判に訴えなくちゃならない。時間がかかってまいる。相手は、それだけの罰金を払えばいいじゃないか、だから工事を進めてまいる。進めてまいりますときには、もはや完成してしまう。完成してまいりますと、実は、建築の場合におきましては、人の居住だと生活権の問題が出てくる。同じく工場の場合におきましても、人員は採用されておる。やはり従業員のことも考えなくちゃならない。資金計画もできてしまって、もう投入されておるのだ。これを変更を命ずるということはたいへんな問題となって出てまいる。ですから、事前にこれを押えるために執行罰の制度を導入する。この点につきまして大臣、非常に誤解されておるわけですね。執行罰というと、何か、罰金を取る、罰金が二つつくじゃないかという誤解をされておるわけなんですけれども、終戦後の国会の中において行政執行法というものが廃止になったときに、一般法として手続として執行罰を持ってもいわゆる実効性がないじゃないか、だからこれは一応廃止する、しかし、特別法の中でやはり執行罰というものがとられてもよろしいのだという考え方が明らかにされておるわけです。ですから、考えてまいりますと、この執行罰というのは過料にすぎない。ですから、これをやってはいけないというのにやる場合に、一日幾らずつ罰金を、過料をふやしていく。そうすることによって、罰金を払えばいいじゃないか、実はおれ知らなかったのだ、だからやったというのじゃなく、もう停止をやる。そういう場合に執行罰をかけることによって、一日幾らだと、これは建設省関係の砂防法の中に現在まだ生きておるわけです。ですから、そういう制度を採用することによって、違反建築の場合でも、公害の違法な工場の建設に対しましても、事前に規制することができるのじゃないか。こういう意味においては、執行罰という問題につきまして、きのう質問いたしましても、何か罰金と勘違いしておられたり、あるいは反則金のようなものかという誤解があって、執行罰に対する理解は非常に薄いわけですけれども、英米法の中においては、事前に措置する不作為義務に対して強制執行をやるという場合に、やはり執行罰が一番有効な手段じゃないかというので、英米法においてもずいぶん取り上げている。ドイツ法の中においても最近多くなってきておる。先般におけるニクソンの教書の中でも、執行罰一日幾らという制度をとるべきであるといっている。これは日本から見ますと、非常に限定が甘い中でやるのですから、日本の場合には非常に問題があるといたしましても、執行罰というものは採用さるべきではないか。大臣、こういう点を建設委員会の中で論議いたしたわけです。他に有効な方法があるだろうか、できてしまえばしょうがないじゃないか、作為義務を科する、いわゆる移転させる、あるいはまた代執行によってこれを取り除く、こういうことができるから必要ではないじゃないかというのが法制局の意見だったのですけれども、実際問題として、もうでき上がってしまったら、それをこわすなり何なりするというのは、ほとんどこれは代執行というものがやりにくいことは建築の場合ももう一緒だと思いますね。昭和二十三年に八千件違反建築があった。その中において代執行をやったのはわずか四件だ。と同時に、大臣、届け出だからいいんだ。しかし、届け出しなくてやるというのは現在ほとんど慣行化されておる。そういう中で、それを押えようとする場合に、告発すればいいじゃないか、検察権が発動すればいいじゃないかといっても、違反建築の場合もそうですが、今日の公害のこういう問題に対しまして、取り上げて研究するというひまに工事はもうどんどん進んでいってしまうわけです。だから、違反建築の場合でもほとんど検挙されていない。八千件のうち検挙したのはわずか二十件だ。あとは警察に訴えても、ほとんどがまあまあということで、そのうちに建物ができ上がってしまう。こういうことですから、法制局の皆さんの言われる摘発をどんどんやればいいじゃないかというのは、実効性がほとんどあがっていない。また、今日の警察なり検察の中においても、公害に対する科学的な判断なり何なりをするための機関を持っていない。調査部門を持っていないという中で、摘発だとかなんとかというのをやったって、これはほとんど取り上げられないのが現状じゃないか。だとするなら、やはりここで行政的な強制執行としての執行罰が必要になってくるんじゃないか、こう考えるのだが、この点は、官房長が、幸いにして当時におけるところの住宅局長であり、その論議をよく御存じなわけですから、そういう点を、ひとつ閣議の中においても、執行罰というのは常識的な意味における罰を科するのではなくて、不作為の義務に対する停止なんだ、こういう点をひとつ明らかにして——しろうと用語ですから非常に誤解されますけれどもほんとうはこうなんだ、こういう制度を採用してみたらどうだということは、建築基準法の場合も論議いたしまして、やはり現在における日本においてやっていないし、やれといってもなかなかなじまない面があるからひとつ研究させてみろ、ぜひそういう方面に検討したいということになればこれを法律の中に入れようじゃないかというので附則の中に検討条項を——法律の中に検討条項というのは実はおかしいわけです。やるものはやればいいのに、検討条項というのはおかしいのですけれども、ひとつ入れようじゃないか、こういうことで執行罰というのが非常に大事なかぎになるんじゃないか。そこで検討するという検討条項を附則の中に入れたわけです。そのことも政府内部にちっとも理解されてないわけですから、質問しても何のことか意味がわからない。こういう点に対して大臣としてひとつやっていただきたい。これに対する大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  172. 根本龍太郎

    根本国務大臣 佐野さんの言われたことは実際論とて非常に大事なことと思います。日本における法体系が、いわゆる法律専門家の理論的な一つの体系と重複を避けるということについては非常にあれだけれども、その法律が現実に国民に守り得るか、あるいは守らせ得るかということの点についてどうも欠ける点があると思います。   〔委員長退席、服部委員長代理着席〕 そのほかにまた、法律にはいろいろつくってみたけれども、今度はそれを現実に肉づけするところの政令の策定に当たりましては、今度は各省間のいろいろの意見の対立のために、これがまたそのままたな上げされたり、あるいはまた、それが歪曲されるという点が従来あったということは、私も率直に認めざるを得ないと思います。そういう意味から、私が建設大臣を仰せつかりましてから、いろいろそういう問題が過去にあったことは当然のことでありますから、関係閣僚あるいは閣議において発言をして、従来なかなかまとまらなかったものを少し強引にまとめてきたのだというのも、実はそこにあるのでございます。  いまの執行罰については、私はこれは大いに考える必要があると思うのです。ところが、現在の日本の、特に戦後の立法例からすると、これは意識的か無意識的か知らぬが、これは無価値というような判断までしたかどうかはわかりませんけれども、これはほとんど取り上げていません。しかしながら、現実の一般の国民の意識というか、あるいは企業者の意識、こういう点から見るならば、やはり必要にしてかつ効果のあるものならば、法体系上若干の議論があっても私は考えてよろしいと思うのです。したがって、この問題は、いま直ちに、しからばこれを法律改正して執行罰を下水道法にやるということについては、これはなかなかむずかしいのですけれども、法制局にもよく相談をし、かつ、公害については非常に重要な問題でありまするから、これのまとめ役になっておる山中国務大臣に、この点を前向きで積極的に検討すべきだということを私は申し入れたいと思います。また、建設省自身については、今後そうした行政罰について、必要があると思うものについては前向きで検討するように事務当局に指示してまいりたいと思います。
  173. 佐野憲治

    ○佐野委員 それでは、法律の中にも検討条項が設けてあるのですから、そういう点もわが国の法体系の中に採用できるようにやはり道をつくっていただきたい。  ですから、憲法上から考えても、法理論から考えても、法制局との質疑の中では問題はないというわけです。法律上問題ない。しかしながら、日本において初めての新しい制度としてどう組み入れるか、こういう点に対して問題だ。過去における国会の論議を見てまいりますと、やはり実効性がないのじゃないか。金を持たない者から一日幾ら幾らという罰金を取っても、一体実効性がないじゃないか。旧河川法というものの中にもこれはなお生きておったのですが、新しい河川法をやるときには実効性がないから削ろうじゃないかといって、河野さんの名において削られておるのです。しかしながら、これは、実効性という、金がない者から取ったってしょうがないじゃないかという意味なんですが、それよりも行政罰によって、場合によれば監獄に入れればいい、こういう考え方から出発している。しかも、人権という考え方からいくと、特に公害の場合は、その建物ないし資産があるわけですから、その資産を捨てるか、それとも罰金を納めるか、改善をするか、停止をするかということに問題がなってくるのじゃないか。非常に合理的じゃないか。金を持たない者から取る——砂防法の場合ならばそういうことがありますけれども公害関係諸法案だとか違法建築の場合は、建物があるわけですから、そういう意味において採用しやすいのじゃないかというふうに考えるのが第一点です。大前提として、当時の審議の過程におきまして、イギリスなり、アメリカなりのいろいろな執行罰に対する法律を取り寄せたわけです。そして委員会の審議の参考にもするために、実は委員に配付されておるわけなんです。ですから、各委員も、当時、非常に参考になる、やろうじゃないかと言って、こういうぐあいに国会の意思はなったのですけれども、もう少し検討させてくれ、こういういきさつだということも官房長はよく存じておりますから、またそういう点に対して配慮を願いたい。  第二の点は、そのときにもあったのですが、やはりできてしまってからではおそい、人が住んでしまってからではおそいということで、もうすでに事業活動してしまってからではたいへんだ。同じ意味におきまして電気、ガスを停止したらどうか。違反建築の場合でも、人の入らない前に電気、ガスをとめてしまう。入れませんよ。公害の場合におきましても、そういう違法な工場の操業はさせませんために——できてしまえば違法であろうと何であろうと、片っ方は罰金さえ支払えばいいのですから、事業をやっていく。その場合に、命令だなんていっても、これは裁判に争わなくちゃなりません。どんどんできてしまったのはしようがないじゃないかということになりがちですから、その場合に、開始前に電気、水道をとめてしまう。そうすれば違法建築の場合でも、水道もガスも入ってないところへ入る人はいないということになります。と同時に、違反家屋につきましても、罰金を納めればいいからどんどんやるんだということに対して、電気、ガスを事前にとめる、このほうが有効な措置じゃないか、こういうことで、当時与野党を問わず、その点を法律の中に入れようじゃないかということが論議になったわけです。この点に対しましても、実は非常にいろいろな問題点があるんじゃないかということで、当時、電気の場合におきましては通産省の公益事業局と、それから水道の場合におきましては建設省の住宅局と厚生省の環境衛生局、これらと覚え書きがかわされたわけです。この覚え書きによりまして、違反であるということを相手に通告する。しかも、なおもやっておる。そういう場合において、水道、ガスはとめますよという警告を発する。それでもなおやるという場合におきましては、電気の場合は通産省から電気事業者に対して、こういうわけだから電気の供給を保留する、こういうことなんです。水道の場合におきましても同じような形で、そのことを水道事業管理者に対して厚生省のほうからやる。その覚え書きができたわけです。と同時に、これに対しましては連絡会議を開いてやっていく。こういう覚え書きができたから、国会のほうにおいても、この運用によっていくから法修正だけはやめてもらえないか、こういう意思表示が政府のほうからなされた。ですから、そういう覚え書きがあるとするならば、法律の中で記入することに対しましては一応慎重に考えてみようじゃないか、こういうことで、御承知のとおり附帯決議の中にその点を明確にして、運用に対しましてはあくまで覚え書きに基づく停止措置をとらせるというように措置を講じなくちゃならないということを明確にすると同時に、その覚え書きが重要なポイントになっておるわけです。ところが、公害対策委員会で聞いてみますと、   〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 厚生省は、実はそんなものがあるのは知らない。それは担当者じゃないからやむを得ないだろうと思いますけれども、通産省の次官もそんなものがあるのは全然知らなかったというような発言がなされるし、実はびっくりしたという。そういうようないきさつを目の前に見まして、この際われわれが建築基準法なんかを中心として、違法性なものを事前に規制をするというために、電気、ガスの停止という非常に重要な措置でありますけれども、違反の現に進行しておる過程におきましてそういうことを警告してやる。供給を保留しますよ。これくらいの強いものが当然今度の公害関係諸法案の中にとられるべきじゃなかったか。しかしながら、実は採用されていないので、こういういきさつもあるじゃないか、どうなんだと言いますと、ちっとも知らなかったということなんですけれども、この点きめ手として執行罰、電気、ガスをとめるというくらいの意思表示を法律的にやることが公害防止の大きなきめ手になるのではないか、そういう点、大臣いかがですか。
  174. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど申し上げましたように、公害関係の法律にそれをすべて適用するかどうかは私ここで明確に答えることはいまのところ立場上できません。ただし、協定を結んだ問題については、これは厳重に私のほうから事務当局を通じて、関係の、主として都道府県等において実例が出てくるわけだと思いますから、特にやらせるようにしたいと思います。どうも日本におきましては、その場その場で言いのがれれば、あるいはまた、立法上いろいろ注文を出されたときに条件づきで了解すれば、あとそれで終わったというような——これは非常に悪いことです。それこそ私は国会の軽視だと思うのです。私は、いまどこまでこの地位におるかわかりませんけれども、少なくともそういうことについては、協定をつくったなら、いま協定は現実にあるわけですから、生きておるということですから、やらせます。それをやらなければ、私はやらないところの責任を追及します。それでなければ、幾ら法律をつくったってこれは何にもならないのです。不当にしてそして強引な利己主義者だけが得をして、まともな人間がたくさん迷惑するということ、これは許すことはできないと思うのです。したがいまして、過去のことはどうか知りませんけれども、そういう事例があったのならば、びしびしそうした方向で措置するように行政指導をいたしたいと思います。
  175. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は建設省関係を聞いておるのじゃなくて、そういうものの考え方——やはり有効な措置としてとられるなら、公害関係諸法案の中でもそういう趣旨を生かすべきじゃないか。そういう努力があってしかるべきじゃないか。それが法案の中にも全然姿が出てこない。せっかく建築基準法というような形を通じてそういうものに対する政府考え方が明らかにされてきたにもかかわらず、公害関係諸法案の中で全然そういう点が配慮されていないということに対して、一応公害関係の閣僚会議なりが開かれた場合におきましては、実はこういうことで成果もあげているのだし、公害関係法案の中にそういうものを取り上げるべきじゃないかということ、そういう点を主張してもらいたいという考えであるわけなんです。  次に、問題として、許可といわゆる届け出、この問題が非常に論議になっておりますね。この問題におきましても、違反建築などという具体的な問題を、建設省は他の官庁と違いまして、実は取り扱っている。そこにやはりなまなましい経験なり、あるいは行政の敗北なり、いろいろな欠陥というものを身をもって体験していると思うのです。そういう立場で考えてまいりますと、たとえば違反建築の場合にいたしましても、国が基準をきめる、これに対して届け出なくて確認申請をやる、こういう形をとっておるわけですね。確認申請をやって初めて確認許可書がくる、これで建築ができる。しかし、それでも実はいろいろな問題が出てきておる。あるとするならば、同じ意味におきまして、許可制というものを実は採用すべきじゃないか。許可制と同じことをやっても、そういう問題が発生してくる。だからこれをどう防止するかというために、建設省としては一番頭の痛い問題だし、官房長は局長時代におきまして、そういう具体的な問題で非常に苦しんでまいったわけですが、そういう意味から考えましても、その経験から考えると、やはり許可制にしてもなお多くの問題が残るのだ。だから、届け出制よりも許可制に踏み切るべきではないか。もちろん公害関係論議をいろいろ聞いておりますと、どうやら現在はこれで運営していって、将来においては考えるというふうな発言も総理からも出ておりますけれども、やはり許可制に踏み切っても先ほど申し上げた問題が出てくる。ですから、届け出制というものはすでに建築関係の場合はとられておるわけですから、とられてもなおいろいろな問題が起こっておるという経験から考えると、やはりここで許可制という問題を真剣に政府としても考えるべきではないか。一、二の都道府県の条例を見てまいりますと、やはり条令で許可制に踏み切っておる、こういうところが出てきておるわけです。それからまた届け出制度に対しましては、御承知のとおり改正をしなければこれではどうにもならぬじゃないかということで、条例改正における直接請求をやっておる都道府県も実は出てきておるわけです。ですから、現地における県知事といたしますならば、委任された権限のもとでやはり実効性をあげるとするならば、許可制にして、これに対する建築基準法のパトロール、あるいは監視員、あるいは公示、こういうようないろいろな制度が許可制の中からつくり出されてまいったわけですね。同じようなことが公害の場合におきましてもやはりとらるべきではないか。そうするとやはり許可制というものが必要になってくるのではないか、こういうことを感じますので、一応その点に対する大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  176. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御発言の趣旨は私もよくわかります。非常に共鳴する点が多いのでありますが、現在、公害立法を日本において総合的にやったのは今回が初めてだと思いますし、したがって、これは法理論的にもかなりいろいろな欠陥があるとは思います。また、実質的なあれがあると思いますけれども、法律というものはあまり完ぺきを期して、完ぺきを期したがために今度は実行上かえっていろいろな困難性が出てくるという場合もあり得るのです。  そこで、いま御指摘の点はよくわかりますので、公害立法ができた後——私がこういうところで申し上げていいかどうかわかりませんけれども公害立法の閣僚協議会のときには、一たんできたからこれでいいというふうに考えてはいけない、実行上どんどん修正する余地を持ってやらなければだめですよという発言も実はしておるのです。そうでありませんと、官僚のその部署、部署の立場の議論をしておると、十五法案のようなものがわずか半年でこんなことはとてもできないですよ。実は、これほどたくさんの法律を実質上わずか三カ月やそこらでまとめるということは、おそらく日本の立法史の中で画期的なことだと思うのです。それだけ山中国務大臣は努力もし、また各省も協力したけれども、顧みて一つ一つの難点を考える場合に、幾多の難点があることは事実だと思うのです。しからば、それをもっとまっすぐに直すためにまた時間をかけておったら公害が依然として進行してしまう。それよりまずやって、そうしてその欠陥を次の通常国会で直してもいいじゃないかというくらいの、ことばは悪いかもしらぬけれども、拙速をとうとんで、まず、公害立法として、政府も、行政機関も、企業も、国民も、全部が公害に対してえりを正して取り組むということをやるべきでないか。しかる後に今度は、次から次へと実施した結果に基づく修正をこれから有機的にやるということ、これが公害立法に対する、現在の国民に対する政府並びに立法機関としての議会の責務ではないかと思っているのです。いろいろ議論されればたくさん矛盾のあることは私もわかりますが、そういう態度で、御指摘の点は私はよくわかりますので、今後閣内においても、あるいは党側においても、あなたの意見のほとんど大部分というものは、そういう方向で十分に検討すべきだと思っておる次第であります。
  177. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は、特に建設大臣公害対策閣僚会議の中で大きな発言をしてもらいたいし、また、発言する十分な根拠を持っているのは建設大臣じゃないか、実際具体的な問題でいろいろな経験を持っているのは建設大臣じゃないかという意味において実は述べたわけですけれども、そういうような意味におきましても、たとえば都市計画にいたしましても、市街化区域、市街化調整区域、あるいはまた八つの用途地域をつくって、その中におきましても、工業地域あるいは準工業地域、工業専用地域というようなぐあいにできてまいるわけだし、これに対しまして、この開発許可の場合におきましては、わずか七十坪の土地を持っておって、その中におけるところの開発に対しましても、一切許可制をしいておるわけです。また、同時に、地域区分も空地地区等いろいろな区分ができておる。これに対しても、やはり許可制が動いてくるわけですね。あるいは土地にいたしましても、先買い権なり買い取り請求権なり、こういうものも出てきて、私権に対する制限というものが非常に大きくとられておる。これも、人の健康と生活環境をよくする手段としてとられておるわけです。その場合に、やはり自治体の首長とするならば、片方においては七十坪の土地といえども許可制でやっておる。あるいは自分の土地であっても制限区域を設けてかってに家を建てさせない。あるいはまた八つの用途地域を設けまして、この中において制限する、こういう場合におきまして、片方におきましては、工場の施設なり設置なりだけは届け出でいいんだ。片方はわずかなことにいたしましても許可制でもってやっていっておるわけですね。これでは自治体の首長としては非常に矛盾を感ずる。人の健康なり生活環境を守るためにこそそういう私権に対する制限というものを設けて、いわゆる工場の公害発生源施設というものに対してもっと許可制というものが動いてこなくては、自治体の首長としては実際悩むのではないか。現在の市街化区域、市街化調整区域をつくるために非常に難航しておられる。しかし、都市計画の画期的な意味を何としても生かして新しい町づくりをやりたい。それこそ公害発生防止に役立つことになる。こういうことを大臣の立場として身をもって感じておられる。その大臣の立場に立って、同じ行政府の中において、実はこういう許可制をとるほどきびしい私権制限をやっているのに、片方発生源に対してだけは届け出制でやるというのは実際矛盾をしておるではないか。第一線における自治体の皆さんの苦しみというものは建設大臣が一番よく知っておられるだろうと思うのです。そういう意味においてひとつ発言をしていただきたい。  それから、そういう経験を持っておるから、住宅政策の場合には、公害関係法律を見ましても、ぐっと前進しておると私は思うのです。たとえば建築協定にいたしましても、いま公害協定がつくられておる。しかしながら、この場合におきましても、紳士協約の場合、私法上における損害賠償を含む協約の場合、あるいはまた公法上の意味にとれるところの協約の場合、いろいろなものがばらばらにとられておる。ですから、実際やっても、こんなものは全くしり抜けであったとか、単なる紳士の話し合いだったというようなことで、いろいろな住民の間における紛争が起きておる。こういう場合、住宅協定の場合は違いますけれども、やはり法律の中で的確な基準をつくるためにこういうのをとってもいいじゃないか。公法上の位置づけを明確にするわけです。ですから、公害の場合におきましても、事前にそういう協約が持たれるとすれば、それをもう少し法律の中に意義づけるということも、現に建築基準法の中で法律化しておる建設大臣ならば、公害対策閣僚会議においても発言でき得る根拠にもなるのではないか。こういう意味において一言触れさせていただいたわけであります。  時間もだいぶ迫ってまいりましたので、具体的な問題としてお聞きしておきたいわけなんですけれども、例の事業者の費用負担の法律ですが、事業者に費用負担をかけるという根拠、法律の性格、この点大臣はどうお考えになるかということです。と申し上げますのも、この場合におきましても、御存じのとおりいろいろな説があるわけです。たとえば不法行為による当然のこととして費用負担をさせる、あるいは受益があるじゃないか、受益に基づく費用負担だ、こういう考え方もあるわけですね。あるいはまた、公害対策基本法の第三条による社会的責務としてこういうものを課せるのだという考え方、それからまた、第四番目としては、原因者の行為に対して当然のこととして費用負担をさせるのだ、この四つの解釈がばらばらの中で実は取り上げられておるわけです。そういう意味におきまして、もっと性格を明確にしておかなければ将来混乱が起こるのではないか、こういうことも感じますので、大臣としてどのような性格と理解しておられるか、あるいは政府の統一見解があるならば、その統一見解を聞かせていただきたいと思います。
  178. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず第一に、建設省が私権制限を相当広範にやりながらも、一般の善良なる市民、社会の秩序と幸福を確保するために相当やっておる。その観点から、公害に対しても相当強い発言をしていいだろう、私もそう思って、実は少し出しゃばるほどしゃべったことは事実です。がしかし、御承知のように、従来他の産業官庁の意識が非常に違っておって、端的に言えばそれがいろいろの社会問題を起こしたことも事実でございます。しかし、現在は、宮澤通産大臣もその点は非常に前向きに相当思い切ってやっておられるけれども、やはり何といいますか、一つの流れを急にばっとということは、ことばとしてはできるけれども、事実立法行為となればなかなかむずかしかったと思います。けれども、これは佐藤総理が、皆さんからいろいろ批判は受けておるけれども、非常な決意でこれをやったからあそこまでいったのでありまして、その意味においては、私は内政上の前進だと思っています。しかし、先ほど申し上げましたように、今度の国会で一連の公害立法ができますれば、今後これが国民に及ぼす心理的な影響は相当大きいものと思います。これは真剣にやらなければならない。そういう一段階を経て、今度は次にさらにきめこまかに詰めていくということは、実際政治をやる者として、また立法機関としても、やはりそれはやむを得ないのではないか、こう思っております。  それから、いまの公害発生源者に対する負担の問題が法理論上どうかというのは、これは私専門家じゃありませんからよくわかりません。しかし、いずれにしてもこれについては、法制局なり事務当局にさらに検討を十分さして、私もそれについて意見も加えて、適当な機会に申し上げたいと思います。いずれにしても、国民の常識として、公害を発生する原因をつくったものは、やはりそれに対して償いをする、他人に迷惑を及ぼしてはいけない、さらに環境を悪くしたものは、やはりそれだけのものを弁償する必要がある、こういう常識的な考えで私はいいじゃないかと思うのです。これを裏づけする理論はいろいろあるだろうと思うけれども、私はそのほうがむしろ健全だと思うのです。そういうことによって、こういう公害を発生したものは、いかにいいものやおいしいものをつくっても、その償いをしなかったならばそれは一つの社会的な犯罪だという意識を全国民とともに企業者に持たせるということが意味があると思うのです。そういう意味で、学説については私いまはなはだ勉強が足らないでちょっとわかりませんし、またいわゆる法理論上どういう見解をとるかについては、実はいまだ閣僚協議会で出ていないので統一見解はないだろうと思いますが、御趣旨の点はよくわかりますので、今後勉強してまいりたいと思います。
  179. 佐野憲治

    ○佐野委員 やはり性格を明確にしなくてはあとから問題が起こる要素があると思います。たとえば不法行為による当然のものとして負担させるという場合だと、負担したから損害賠償の対象にならぬじゃないかとか、あとのいろいろな問題が出てくると思います。ですから、受益者負担の意味におきましては明確に——そうなるとどの性格が負担法をつくらしたんだ、こういうことがやはりはっきりしてこなくちゃならぬ。と申し上げるのは、政府の厚生省にしろ、通産省にしろ、諮問の答申を読んでみますと、この二つがまっこうから——片方は、先ほど言いましたような公害基本法の第三条に基づく社会的責務だ、こういう解釈でいくべきだという。片方におきましては原因者が持つ費用だ、こういう解釈をとっておる。だから、出てくるのを見ますと、いま申しましたような論拠が出てくる。この法律ができて適用になる事業者は一体どの意味において費用を負担するんだ。この性格があいまいのままで動いてまいりますと、私は非常に危険じゃないかと考えましたので、できるだけ統一基準を明らかにして臨んでいかなくちゃならぬじゃないかと思う。  やはり関連してお聞きしておきますが、受益者負担ということの中で、たとえば下水道建設の区分の中で、一般のいわゆる受益者負担というのがとられておる。そこで、この場合の受益者負担というのは一体何に根拠があるのだ、事業者の費用の負担ではなくて一般公共下水道の場合におきましては。建設省は受益者負担を取らなければ工事の採択は認めない。あるいは事業費の配分にいたしましても、受益者負担金を取らなければ実は配分しないのだ、こういうことを行政上の強力な措置としてとっておられるわけですね。この点につきまして、大臣、現在とられておるものは、多くは、国の仕事として、国政事務として町村に機関委任をしておった。その機関委任をしておった場合におきましては、負担金の問題は建設省の省令で取っておるわけですね。建設省はこういう負担金を取るべきだという省令を出して、地方自治体はそれを受けてこれを徴収をしておるという形をいままでとってまいったのですね。ところが、新しい都市計画法として、いわゆる下水道事業市町村の事務だということになってまいりますと、建設省令で受益者負担金を取れということじゃなくて、条例でこれを定めなくちゃならない、こういうことになってまいります。しかしながら、その条例を制定するときにおきまして、一体受益者負担金というのはどういう性格のもので取るのかということが条例作成の過程において非常に混乱を呼び起こしておるわけです。こういう点は大臣もお聞きだろうと思いますが、その点でどうお考えになるかということと、課長さんからでも局長さんからでもけっこうですが、現在公共下水道を設置している市町村の数と負担金を徴収しておる数、これをひとつ参考までに示していただきたいと思います。
  180. 根本龍太郎

    根本国務大臣 都市局長からこれは答弁いたさせます。
  181. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 下水道関係の受益者負担金につきましては、都市計画法の七十五条を根拠にいたしまして実施しております。これの考え方につきましては、もう先生も御承知のとおりでございまして、下水道というのは一つの排水区をきめまして管理しておるのでございますから、これができ上がりますと排水がよくなる、また水洗便所も可能になるというふうなことで、土地の利用の増進が著しく期待できる、そういうことがひいては地価の値上がりという効果も期待できるというふうなことから、建設省の中では、他の道路とか河川等にも同じような制度がありますけれども下水道だけにつきましては、こういうことで受益者負担金制度が現実に採用されて実施されておるわけでございます。また、一面、下水道は非常に立ちおくれておりますので、事業の性格上、やはり国、公共団体、住民が一緒になってこの事業を促進するという面もあろうかと思います。  それからお尋ねの現行の数につきましては、現在公共下水道事業を認可をいたしております都市が二百五十五都市でございまして、このうち受益者負担金の制度を採用している都市が百六十五都市でございます。  以上でございます。
  182. 佐野憲治

    ○佐野委員 二百五十五の市町村公共下水道を設けておる。そのうち百六十五は負担金制度を導入している。他のところはやってはいない。ここに一つ問題があるのじゃないか。大臣、どうです。都市計画法ができて町村の仕事になってきた。これは条例できめなければならない。これは理論的な根拠を明らかにされなければなかなかつくれない。こういうので、都市計画法が適用になる一年間の猶予期間、この間に殺到してまいった。建設省の命令において取るのだから、おれのところはやむを得ないから負担金を取るのだという形で、それまで四割程度しか取っていなかったものが、都市計画の切りかえの時期に、建設省の命令で地元負担金を取ったほうがいい。新しい条例でどこに根拠を置いたらいいか、市町村は非常に悩んでおるわけです。こういう点を考えてまいりますと、いま局長は、都市計画法の七十五条で取るんだと言うが、この七十五条をお読みになればわかるように、都市計画法には受益に応じて取ってもよろしいという規定があるわけですね。都市計画事業としてやる場合におけるところのそういう根拠法のそれぞれには、受益者負担金を取ってもいいというものを記入しておるわけですが、しかし、公共下水道制度の場合は記入せずして、都市計画法の中におけるものを引用してきておるわけですね。ここに一つの問題が起こってまいるというのが第一点。  第二点として、地方自治体が困ってくる問題としては、ここで固定資産税という法律があるわけです。下水道が完備する。快適な土地ができ上がる。これは利益があるから、それに対しては固定資産税をもって評価をしていく。そういうところに固定資産税の評価を上げる。これによって税金を取るというのが現在の法律の中にあるわけですね。もう一つ都市計画税というのがある。都市計画税によってやはりそういう事業を進める。こういう道もできておるわけですね。特に、だれかが利益を受ける場合に、利益に応じた負担金を取るという都市計画考え方がそこにあるのじゃないか、ここの順序からいいますと。それをこっちへ持ってくる。理論的にどうも矛盾してしまうのじゃないか。大臣、そうお考えになりませんか。
  183. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 受益者負担金の根拠を都市計画法に求めておりますのは、下水道事業は、御案内のとおり、直接都市計画法上の都市計画区域内で都市計画事業として行なう場合が通常でございますので、この都市計画事業に伴いますところの一種の受益者負担金制度として、その根拠を都市計画法に求めておるというふうに私どもは理解をいたしております。  それから固定資産税との関係でございますが、固定資産税は地方税法の中の一つでございまして、土地と家屋について、一般的に財産に対しまして課税をいたしますところの税体系の一つであります。したがいまして、これは一般市町村の税収入になるわけでございますが、受益者負担金のほうは、これは下水道整備いたします区域内の土地につきまして、さっき申し上げましたような趣旨で負担をしていただくということでございまして、したがいまして、一般の普通財産的な国有地といえども納めていただくということで現在やっております。その負担金の主たるものは、当然下水道に使うという方向でございます。
  184. 佐野憲治

    ○佐野委員 固定資産税も土地でしょう。皆さんの省令で示されておるのも、受益者負担とは土地の値上がりその他を考える根拠があるから、土地に対しての受益者負担金になっておるでしょう。利益に対するところの把握じゃなくて、土地が値上がりするから土地に対してかけろ、こういう指示になっておるでしょう。土地以外にかけておりますか。  それから第二点として、東京都の場合を見てまいりますとよくわかるのですが、地下鉄も都市計画事業としてやられておる。地下鉄ができることによってその付近の土地は上がってきておる。それにもかかわらず、これに対しては何ら指示をやっていないわけですね。これは固定資産税があるから、固定資産税で土地の値上がりは還元するのだから、だから、地下鉄ができたからといって、付近の土地の値段が上がったからこれに対して受益者負担で取っておりますか。あなたの論法からいえば、これにも取らなくちゃならなくなってきている。保育所の場合もしかり。都市計画事業として保育所をやる。都市計画事業としてやるいろいろな事業に対しまして、土地を対象とした受益者負担なんというものを一体どう理解したらいいのか。どうしても二重課税になるのじゃないか。自治体の考え方とすればなるのじゃないか。こういう疑義がぬぐいされないという中で建設省令によって大部分の町村はやっているので、新しくこれから採択されたところは、条例をもってきめようとすると、その根拠を条例の中にどう生かしていくか、こういうところを非常に悩んでおるわけだ。公共下水道を推進しなければならない立場に置かれている町村のなかにはよくわかります。しかしながら、その根拠というものは明らかにしておかないと一しかも単独法の中には姿がない。都市計画法の中にしか姿がなくて、それもばらばらである。しかも、二重課税のそしりというものをどう答えていくかという点に市町村が悩んでおるわけですね。こういう点をもっと明確にしておかなくちゃ困るのじゃないか、こう考えるのです。  しかもそれに対しまして、この点について、たとえば、全国の市町村長さんたちの下水道研究会が発足した。その研究会の荻野委員会の中で出された答申、これにはそういう問題が触れております。それを唯一の根拠としておる。建設省は省令として負担金を取る根拠にそれを置いておられたのです。しかし、この場合にいたしましても、やはり他の方面からの反論も、二重課税だから困るという答申も出ておるわけです。そうすると、一体どこに根拠を置くかということです。  他方におきましては、御存じのように雨水その他は公共事業として取り扱わなくちゃならない。雨水が七〇%、汚水が三〇%だ。大部分が雨水であるというような解釈から、いままでは公共事業として解釈されてまいった。ところが、建設省もそういう委員会の見解をもとにして省令を出されるとなると、ここで非常に問題が起こってきておるわけですが、そういう点を明確にせずに、新規採択事業にいたしましても、ただでさえ乏しい新規採択に対しまして、その負担金を取る計画がなければ許可しないとか、あるいはまた現在やっておるものでありましても、地元負担金を取るということでなければ事業は認めない。起債もつけない。こういう法的な根拠の中で行政権をもって町村に臨むということも、臨まれた町村は一体住民に対してどう説明するか。こういう点に対してもう少し統一的な解釈をやらなければ二重負担になるのではないか。  その意味において、下水道統計年報によって百六十五の下水道事業を見てまいりますと、やはり建設省のなにがありますから、三分の一、四分の一あるいは五分の一、こういうので大体統一されてやっておりますけれども、しかしながら、実質的においてはこのとおりいっていない。決算面において見ましても、大体一五、六%にとどまっておる。形式上は、取りなさい、取るように計画はつくりましたといっても、実施段階に至っては、これではとても住民を説得できないというので、一五、六%に下がっておる。あるいはまた自治省は、御存じのとおり、やる場合におきましても、財政計画を立てる場合におきましても、交付税でどの程度見るか。一般財源として、公共性に対しては当然一般財源で持つべきだ。だから、この分は一般財源としてどう付与するか。こういうことで配慮された計画を立てておるわけですけれども、その事業を推進していくために出てくる一つの問題点として、やはり自治省の場合といえども大都市の場合におけるケースと一般都市における場合のケースを考えて、いろいろ起債なり一般財源の配分をして事業の完遂をはかっておられる。ところが、この場合におきましても、荻野委員会なり建設省委員はそうだけれども、実際上の財政計画を立てる上においては一%と見る。こういうような計画で、一%が受益者負担があるものとして、その他の部分に対しましては、あるいはそれぞれ起債なり考えておられる。ですから、たとえば補助事業にいたしましても、補助事業の分に対して一般の負担並びに起債——言ってまいりますと受益者負担金というものになっておる。ですから、一般の負担と国保事務に対するところの地方負担と、この場合において都市の場合だと七三%、あるいは一般的な都市の場合においては六〇%と見なくちゃならないとか、そういう中において受益者負担というのは実は一割程度しか見込まれないのではないか。現実から考えて、こういうようなことを一応やっておるわけです。  しかし、こうであったとしても、御存じのとおり単独事業というものは非常にふえてまいっておる。補助対象事業が出てくる。そのために実際は起債も受けられない。しかしながら、皆さんが組んでおる単独事業以外の単独事業がまた関連して出てくる。ですから、この分に対しては起債分を——たとえば昭和四十三年度の場合は五百八十八億円の起債公共下水道にあったとしても、百五十八億円ですか、これだけは別ワクとして、非適正事業だ、いわゆる起債の中には入らないけれども、こういうものが出てくるからこれを見ていかなくちゃならないというための起債を別に用意していかなくてはならないというようなことが明らかになってきておるわけです。そういう面から考えてまいりましても、実は問題が多くあるのではないか。これはまた次の下水道におけるいろいろなときにもつと掘り下げて私は検討してみたいと思いますけれども、こういう点も考えて、地元負担に対するところの定義づけ、性格をはっきりさせないと、これはほんとうに二重課税のそしりは免れないと思いますので、どうかそういう点をひとつ明確にしていただきたい。できますか。皆さんのほうはそういう基準を明確にして、だからこうだと言うことができますか。  これは使用料の問題とも関連してくるのですよ。使用料を何も取らないというのなら理解できるのですけれども、後ほど聞きますけれども使用料を取るのですよ。しかも片方におきまして地元負担。これは同じく建設省の中においても考えていただきたいのですが、たとえば道路のほうの場合においても受益者負担を取ってよろしい、こう書いてありますがね。しかしながら、地方財政法の中で、国から補助をもらうような県道からは地元負担金は取ってはならない、こういうぐあいに、地元負担というものに対するところの解釈というものを非常にきびしくしてある。いわゆる超過負担なり、意味のない負担を取ってはならない、財政が苦しいからといっても、根拠のないいわゆる負担金を取ってはならないということで、そういう規定が財政法の中に出てまいったわけですね。片方におきましては、そうじゃなくて、いま申し上げますような問題点が出てくる。そういう点を、局長はどう理解されますか。そういう基準を皆さんのほうは出せますか。単なる荻野委員会の答申というものをたてとするんじゃなくて、行政の中においてこうだという基準というものを明確にしなくちゃ、これはたいへんな点じゃないか。それから、皆さんの行政的ないろいろな何が出てきておるわけでしょう。そういう点はひとつ明確にする考え方があるかどうか、この点をお聞きしておきたいわけです。
  185. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 確かに、御指摘の受益者負担金制度につきましてはいろいろ議論がある問題だと十分承知をいたしております。しかしながら、私どものほうは、いま先生御指摘のような、一般の固定資産税等の租税体系のものとは違って、こういう制度があるということは、それだけの意味があるというふうに理解をいたしております。ただ、下水道だけじゃなくて、しからば地下鉄とか道路の場合も同じじゃないか、こういう御指摘もございましたけれども、これは、たてまえとして、私は同じ性質のものだと思います。ただ、実行はできないのは、そういう利益を受ける範囲というものが、負担する際に技術上非常にむずかしい点もありまして、なかなか実行しにくいということで終わっておるわけでございます。これに対しまして、下水道の場合は、負担というものがきまりますとその点がきわめて明快になるわけでありまして、各家庭の庭先まで下水管が入っておりますから、そういうことから、負担金の制度になじみやすいというようなことからこの制度が実施されてきておるんじゃないかと思います。しかしながら、基本的には、一般の租税と受益者負担金制度との関係については非常にデリケートな議論があることは十分承知いたしております。したがいまして、第一線の都市でこれから下水道を大いにやっていく際に、この制度を採用するについて、その基本的なものの考え方について、いままで私どもの実施している点について十分じゃなかったという点もあろうかと思います。その点は私どもなりに十分よく検討いたしまして、建設省なりの考え方を明快にいたしまして、この指導徹底をはかっていきたい、かように考えております。
  186. 佐野憲治

    ○佐野委員 使用料の問題についても、時間もありませんから簡単に触れさせていただいて見解をお聞きしてみたいと思います。  使用料を取っておる団体は、この二百五十五のうち、数はどうですか。
  187. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 下水道使用料を徴収しておる都市は百四十都市でございます。
  188. 佐野憲治

    ○佐野委員 やはり考えてまいりますと、使用料が取れない、取らない、こういう中にも問題が残されておるんじゃないですか。ですから、使用料の基準は一体どこに置くか。これは、この場合にまいりましても、現状を見てまいりますとやはりみんなばらばらだと思いますが、たとえば、建設の場合におきましても、荻野委員会では、七〇%までは雨水だ。三〇%は汚水だ。一しかしながら、この場合といえども、やはり雨水はいわゆる公共事業として負担すべきものである。こういうことは明らかにしておるわけでしょう。皆さんのほうの書いてあるあれじゃなくて、雨水部分は公共事業としてやりなさい、汚水部分はある程度まで企業的な性格もあるから、というわけでしょう。しかしながら、この場合に、終末処理場を持たない公共下水道は一体幾つありますか。終末処理場を持たない公共下水道ですね。
  189. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先ほど申し上げました百四十都市のうち、処理場をまだ持っていないのが四十二都市ございます。  それからちょっと補足させていただきますが、認可都市二百五十五の都市のうち百四十と申し上げましたが、これは、まだ工事中で供用開始に至っていない都市がかなりございますので、完成しておりながらいまだに徴収していない都市、この差ではございませんので、その点だけちょっと申し上げておきます。
  190. 佐野憲治

    ○佐野委員 終末処理場を持たない公共下水道がある。しかも使用料を取るというのは、選択がない営造物——実はそれを使用しても使用しなくてもいいという場合には、使用料を取るというのはおかしいのじゃないか。選択の余地のない営造物に対して使用料を取る。これが一貫したいままでの考え方として、行政通念として貫かれておったわけですね。そういうことを考えてまいりますと、非常に無理があった。だから、使用料を取ることができるとしながらも、使用料に対しては強制徴収の道が実は書けなかったわけです。ですから、いままでの下水道においては、使用料を取ることができる。しかしながら、実際上において義務づけられておる終末処理場もある。しかも、これをどうしてもやらなくちゃならない。いま水洗便所は設けなければならない。こういうことになって初めて使用料というものは義務化され、場合によれば強制徴収ができるという規定が初めて今度入ったわけでしょう。いままではそうではなかったから、たとえば下水道ができたといっても、自分のところは浄化槽を持っているじゃないか、こういう場合が出てまいりますから、これは、そういう選択の自由があるというものに使用料を取るということ自身が行政通念から見ておかしいじゃないか。だから、あなた方の法律の中を見ても、強制徴収の道が実はなかった。今度は、初めて義務化することによって徴収の根拠法が法令として生まれてまいったわけですね。こういうことを一々申し上げるより、次の機会にまた論議させていただきたいと思いますけれども、ただ、この使用料を見てまいりまして感じますことは、非常に問題になるのは、使用料の原価に対する、原価料金をどうするかという問題になってまいりますと、たとえば基本的な管が六十年ももつのに、実は二十年しか起債——政府債は二十年だ。二十年しか見ない。片方におきましては六十年ももつものを、二十年しか起債を見ないという場合が起こっておる。そうすると、料金の原価を計算する場合に、耐用年数として見ていくのか、あるいはまた起債を受けた起債の償還期限によって原価の中に見ていくのか、これはもう使用料を取っておる皆さんの統計を見てまいりましても、全くばらばらだと思います。この点につきまして、私は、質疑応答するよりも、これから考えていただきたいのは、こういう六十年間ももつものを都市根幹的なものとして進めておるのに、二十年間しか見ない。公営企業から借りたやつは十八年しか見ない。これだけで返さなければならない。返すのを、年々における使用料の中にたたき込んでいく。これはいかにもひどいじゃないかということで、耐用年数と起債の償還年限との間の差額を一般会計で埋める。いや埋めなくてもいいんだ。だから、これを使用料金の中に入れていく。これでは使用料金の差が非常に大きく出てまいるわけです。  もう一つやはり考えてまいりますのは利子の問題。下がってまいっておりますけれども、この利子もやはり使用料の原価の中に入っていくわけですね。いまの利子、そしてまた実情に合わない返還年限、しかも耐用年数はもっともっておる。こういう問題に対して、この使用料を取る側から考えてまいりますと、とても矛盾に苦しんでおるわけですね。だから、皆さんのこの資料によりましても、ほんとうの維持管理として要する費用を使用料によってまかなうものの比較が出ておりますね。ほとんどまかなっていないわけですね。いわゆる使用料をもってしては料金をまかなうことができないということになっておりますから、各自治体ともばらばらな使用料を取らざるを得ないということが各町村の実態の中で明らかにされておるわけですね。そこで、大臣、いま申し上げましたような六十年ももつ都市根幹となるものに対してわずか二十年で返せ、償還しろと言う。こういうことに対しまして償還期限を延ばす、実態に近づける、こういうために大臣としてどういう考えを持っておられるかが第一点。  第二点として、利子ですね。利子はもっと下げてもいいのじゃないか。そうすることによって負担を軽くするということも考えられますし、もしその差額があるとするならば、下水道をやっている市町村において、実態において差額があるのだ。その差額分は交付税の中においてはっきり位置づけさせる。もちろん、維持管理費は、使用料だけではなくて、御存じのとおり交付税の中においても見ておりますけれども、しかしながら実態に合っていない。こういうことの悩みが、公営下水道を進めようとしてもやはり一つのガンとなって、いろいろ困難な状態を呼び起こしてまいっておるのだ。こういう点に対しまして、大臣としてどのような改善方法を持っておられるか、こういう点をお聞きしておきたいと思います。
  191. 根本龍太郎

    根本国務大臣 非常に重要な問題でありまするが、従来の非常に事務的な問題等もあるようです。したがいまして、お説も十分に検討しまして、要するに下水道事業が円滑に遂行され、かつこれを利用する人々も御納得ができるような体制で今後研究を進めてまいりたいと思います。
  192. 佐野憲治

    ○佐野委員 最後に希望だけを申し述べさせていただきますけれども下水道事業に対しまして非常に熱意を持って取り組むということを大臣はしばしば本委員会でも言っておられるわけですけれども、それはやはり具体的な中で示していただきたい。と申し上げますのも、第二次下水道五カ年計画昭和四十二年に閣議了解になっておるわけです。二年間の後において、昭和四十四年に閣議決定だ。閣議了解がされて五カ年計画が発足しておるにもかかわらず、財源の裏づけその他もあったのでしょうけれども、あるいは国庫補助対象事業の問題もあったのでしょうけれども、実は二年間も閣議決定ができない。この間に市町村においては実際混迷しただろうと思います。閣議了解ができて、二年間たっても閣議決定ができない。やれやれ昭和四十四年二月にできたと思えば、一年たつかたたぬうちにまた第三次五カ年計画だ、こう打ち出されてくる。はなばなしい印象を与えます。と同時に、そういう緊急性に迫られてくることも事実でしょう。しかしながら、いままでの過程を見てまいりますとどうなんだろうか。閣議了解したものが二年間も実はうっちゃられて、一年たつかたたぬのにもはや改正だといわれる。地方自治体なり住民の立場はどうなるのか。  もう一つ考えていただきたいのは、各委員指摘いたしましたが、下水道法の三十四条、この点に対しましても、大臣、よく考えていただきたいと思います。いろいろな事情があったにいたしましても、政令で補助対象事業なりあるいは補助率を定めなくちゃならないのに、実はそれすらも今日まででき得ずに放置しておった。こういうことが地元の住民なり何なりに、法律はできた、政令事項が定められない、一体国会議員はどうしておったのだ、政令で定めるとなっておるのに実は十年間も政令ができていないじゃないか、どうなんだとわれわれ国会として追及を受けたときに、政令は政府に委任してある事項だからとは言っておられない。流域下水道の場合にいたしましても、これは下水道法の中になかったわけでしょう。ないわけですね。ないのに対して、三つか四つ市町村を貫く場合に、根幹的なものだけでも県がやってくれないか、あとはおれたちが引く継ぐぞ——しかしながら、下水道法には流域下水道というものはないわけですね。ないのだけれども、おれたちがやらなければどうにもならぬじゃないか、こういうことで県に迫る。県は建設だけは引き受ける。引き受けたあとはまた町村が分担をしていくのだという形の行政措置がとられてまいったわけですね。ですから、末端の町村にまいりますと補助対象事業もわからない。これも皆さんの地方財政計画なり自治省の資料を見てまいりましても、必要なところにはよけい配るのだ。必要でないところには少なくするのだとか、いろいろ現実的な案分をやらざるを得ない。そうすると地元の町村にしてみれば、おれのところは一体どれだけ補助対象事業になるのかならないのかもわからなくて、計画をつくれ、つくれといったって計画ができないでしょうということになる。どうなるのかわからない。緊急性に応じてこのなにをつくっておるわけですから、そういう意味におきまして非常に不信感があるわけです。そういう点から考えてまいりますときに、きちんとするものはきちんとする。そういう考え方でないと、先ほど申しました事業者の費用負担にいたしましても、性格もあいまいな形できめて、きめたからやればいいじゃないかというのでは、相手のほうでは、国と地方の間にさえも負担区分はできないじゃないか。できないで十年も待っておるのに、おれたちだけに費用負担をさせる、一体性格は何だ、こういうぐあいに追及されると実は困ると思うのです。ですから、国と地方におけるところの負担区分なんかは明確にして、だれが見てもわかる、こういうことを法律が要求しておるにもかかわらずやっていない。これは事業者負担の公害法の中でもやはり問題を引き起こす危険性がありますから、この際に大臣もこういう点を銘記して臨んでいただきたい。こういう希望を申し述べまして、質疑を終わります。
  193. 金丸信

    金丸委員長 阿部昭吾君。
  194. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は簡潔にお尋ねをしたいと思うのでありますが、今度の国会が公害国会といわれ、国民が大きな期待をもって見守っておるわけであります。私どもは、今度の国会において政府から提案された下水道法案については、連合審査をはじめ、各党あまたの質疑を通じまして、その問題点を掘り下げてまいったところであります。そうして、その中から国民の要望にこたえよう、こういう立場で努力をしてまいったわけでありますが、特に私は、この機会に、社会党、公明党、民社党の野党三党がかたく手を握り合いまして、今度の下水道法案に対して国民の望んでおるような考え方を盛り込みたい、こういう立場で実は修正案を準備をしてまいったところであります。  私ども、この修正案につきましては、理事会その他においていろいろと話し合いをいたしましたが、一部分は与党の皆さんとも合意に達し、今回、修正が理事段階では見通しが立ったのでありますが、多くの点につきましては、現段階においては、社会党、公明党、民社党三党と与党との間に直ちに合意を見出す段階に至らなかったのであります。そこで、私ども、将来のある意味での課題として、展望として、今回三党が提起をいたしておりまする修正案の概要について申し上げ、そして大臣の前向きな御見解を伺いたいと思うのであります。  いまお手元にも私ども三党の修正案の内容を参考資料として差し上げておるところでありますが、簡単でありますので読み上げてみたいと思うのであります。    下水道法の一部を改正する法律案に対する修正案   下水道法の一部を改正する法律案の一部を次ように修正する。   第十一条の二の改正規定を次のように改める。   (使用の開始の許可又は届出等)  第十一条の二 継続して政令で定める水質下水を排除して公共下水道を使用しようとする者は、条例で定めるところにより、公共下水道管理者の許可を受けなければならない。その許可に係る水質の変更をしようとするときも、同様とする。  2 前項の政令は、次の各号に掲げる水質下水について定めるものとする。   一 著しく公共下水道若しくは流域下水道の施設の機能を妨げ、又は公共下水道若しくは流域下水道の施設を損傷するおそれのある下水   二 多量の有毒物質を含む下水その他公共下水道からの放流水又は流域下水道から河川その他の公共の水域若しくは海域に放流される水の水質を第八条(第二十五条の十において準用する場合を含む。)の技術上の基準に適合させることを著しく困難にするおそれのある下水  3 公共下水道管理者は、第一項の許可の申請があった場合において、その申請が政令で定める基準に適合するものであるときは、これを許可しなければならない。  4 公共下水道管理者は、第一項の許可に関する処分をしようとする場合において、その管理する公共下水道流域下水道に接続するものであるときは、第二十五条の二の規定により当該流域下水道を管理する者の意見をきかなければならない。  5 継続して政令で定める量の下水を排除して公共下水道を使用しようとする者は、建設省令で定めるところにより、あらかじめ、当該下水の量及び使用開始の時期を公共下水道管理者に届け出なければならない。その届出に係る下水の量を変更しようとするときも、同様とする。   第十一条の三第七項の改正規定を同条第九項とし、同条第六項の改正規定を同条第八項とし、同条第五項の改正規定の次に次の二項を加える。  6 市町村(第四十二条第二項の規定により特別区が公共下水道を管理するときは、特別区。以下次項において同じ。)は、くみ取便所を水洗便所に改造しようとする者に対し、条例で定めるところにより、その改造に要する費用の三分の一以内を補助することができる。  7 国は、前項の規定により補助金を支出した市町村に対し、政令で定めるところにより、その補助に要した費用の一部を補助するものとする。   第二十一条第一項の改正に関する部分中「改める」を「改め、同条に次の一項を加える」に改める。   第二十一条第一項の改正に関する部分の次に次のように加える。  3 公共下水道管理者は、汚水ます及び終末処理場から生じた汚でい等のたい積物については、有毒物質の拡散を防止するため、政令で定める基準に従い、適正に処理しなければならない。   第四十九条第一号の改正規定中「第十一条の二」の下に「第五項」を加える。附則第十一条中下水道整備緊急措置法第二条第一項の改正に関する部分の次に次のように加える。   第四条第一項中「政府は、」の下に「前条に規定するもののほか、」を加え、同条を第五条とし、第三条の次に次の一条を加える。   (国の補助の特例)  第四条 国は、地方公共団体が下水道整備五箇年計画に基づいて行なう下水道整備事業に要する費用について、下水道法第三十四条の規定にかかわらず、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、公共下水道及び流域下水道の設置又は改築については四分の三以内を、都市下水路の設置又は改築については二分の一以内を地方公共団体に対して補助するものとする。   附則に次の一条を加える。   (下水道整備緊急措置法の一部改正に伴う経過措置)  第十二条前条の規定による改正後の下水道整備緊急措置法第四条の規定は、昭和四十六年度の予算に係る国の補助金から適用し、昭和四十五年度以前の年度の予算に係る国の補助金で昭和四十六年度以降に繰り越されたものについては、なお従前の例による。  以上が、私ども、社会党、公明党、民社党の三党の修正でありますが、この考え方は、すでに申し上げておりまするように、いままでも質疑の中で明らかにされましたように、おもに四つの点にわたっておるわけであります。  第一の点は、政府が今日まで、社会資本の充実、それから住民優先の環境整備をはかる、こういうたてまえに立って国民の前に政策を示しておられるわけでありますが、特にその意味で、いままでの質疑の中でも明らかになりましたように、下水道設備の施設のおくれは著しいものがあるわけであります。これを住民福祉優先の立場で整備をするということになります場合に、地方自治団体の財源難ということが非常に大きな問題になるわけであります。そこで、この財源対策について国の責任というものをもっと強化をして、そうして地方自治団体が公共下水道あるいは都市下水路その他の整備のために大きく前進することができるようにしていかなければいかぬというのが一つのわれわれの主張であります。  第二の点は、悪質な下水を排出するようなものに者に対して、現在の届け出制では残念ながら十分の規制を加えるということは非常に困難だ。何せ、終末処理場にいたしましても、下水道施設にいたしましても、多額の投資を行なうのでありますから、この規制が不十分なために、その施設を保護し住民の利益を守るということが非常に困難になってくる。そこで、どうしてもその規制の完ぺきを期していく必要があるであろう。そういう観点で、今回、届け出制はやはり許可制にすべきではないか、これが第二点であります。  第三点は、終末処理場あるいは汚水ます等にたくさんの汚泥等、堆積物が沈でんをするわけであります。この中に含有される有害物質、これを排除をしていく、このために一定の基準というものを明確にしてこの措置がとられるようにしていく必要がある、これが第三点。  第四点は、水洗便所の改造を義務づけることに今回の改正で相なるわけでありますけれども、現状の段階では改造義務を負うことになるのでありますが、新たにこれから住宅等の新設をやっていこうというような場合は、これはまた解決の方法が新たに出てくるわけでありますけれども、すでに現状の状態にあります方々が、今回の法律改正に伴って水洗便所の改造義務を負うということになりますると、問題は、何といってもその設備に要する費用の問題、こういう観点から、その事業費に対して国が一定の公的補助の道を開いていくことがこの改造の義務化を行なっていく場合にどうしても必要だ。  この四点が、実は、私ども社会党、公明党、民社党三党が今回相提携して修正案として提起をした内容なんであります。  幸い、これらの点について、第三の終末処理場汚水ます等の中に含有される有毒物質の排除に関しましては、与野党間の意見の一致を見ることができまして、修正のめどが立ったのでありますが、他の三点につきましては、考え方としては与野党が全く一致をする、しかし、現状で直ちにこの他の三点全部を法案の中に盛り込むという段階にまだ至らないという状態だったのであります。いままでも大臣答弁の中で前向きないろいろな見解も示されておるのでありますが、最終的に今回のこの質疑を終わるにあたりまして、大臣からいまのこの三点に対して明快な御見解、前向きな御見解をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  195. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま阿部さんから三党の共同提案になる修正案の内容を詳細に拝聴いたしました。なおまた、今日までの連合審査から本委員会におけるところの審査を通じて、この点は、各委員の方々から、これまたさらに詳細なる御意見を拝聴して、私も非常に共鳴し、かつ感銘した点が多々あるのでございます。しかしながら、先ほど来答弁申し上げましたように、この公害立法の全体の立法の趣旨については全くその各党の方々と同感なんです。ただ、これを現実の具体的な法律とするにあたっては、まだ政府はおいてこれを受け入れるだけの十分なる基盤もできていない点もあります。さらにまだ研究しなければならぬ点もある。こういう点から現在は政府提案として出したのが政府の現在までの心境でございます。しかしながら、本委員会におきましては、御指摘の第三項の汚泥等の堆積物の処理に関する点については合意を得ておるということになりますれば、これは立法機関の全政党がそういうふうに決定すれば、当然行政府としてそれに応ずることはあたりまえだと思います。  その他の点につきましては、私も審議の過程で申し上げましたように、自分の心境としては、これについては、心情的には非常に共鳴する点も多々あるということを申し上げた点でございます。しかしながら、ただいまも申し上げましたように、まず第一項の建設事業費、国の負担区分の問題は、明らかに政令で負担区分はいたしたいと思っています。しかしながら、御指摘のように負担率を高くするということについては、国の負担率を高くするというここの修正案でございますが、これにはいま直ちに応ずるだけの準備がなかなかできておりませんので、これは前向きに今後とも検討いたしたい。しかも、これは国の負担分のみならず、先ほど来非常に新しいアイデアも出てまいりまして、いわゆる公団方式による財源調達というようなことも出ましたが、これも前向きに検討いたしたいと思います。そういうような意味で、今後の前向きの検討の課題として努力いたしたいと考えております。  それから、悪質な下水排出者に対する許可制度の確立、これも趣旨には私は賛成を申し上げたのです。ただ、現在の法律体系上、工場を経営しておる人々に対して下水を使用することを義務づけておる今日、さらにそれをもう一回受けて、今度は許可制度にするということについてかなりの法理上の議論もございましたので、これも先般来御答弁申し上げたように、趣旨にはわれわれも共鳴いたしておりまするので、これも前向きで検討してまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、水洗便所の改造義務化に対する公的助成措置の設置、これは特に生活の豊かでない人々に対しての非常な配慮だと思います。配慮だと思いまするが、これを直ちにこの下水道法で直接にこれに対する国家補助ということを規定するのがはたして適当かどうかというところの問題もございます。しかしながら、三党の趣旨とするところはよくわかります。何らかの形でこれは措置しなければならないと思うのであります。これも前向きに積極的に善処いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  196. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 以上で私の質問を終わりたいと思うのでありますが、いま大臣の御答弁でも申されましたように、いま私が社会党、公明党、民主党、三党の立場に立って、私どもの見解を申し上げ、最終的な大臣の御見解も伺ったわけであります。  特に、この機会に、最後にもう一点だけ、いままでも御議論が出ておりますが、確認の意味で伺っておきたいと思うのでありますけれども、私どもは、悪質なる汚水を排出する原因者に対して、現状のように公害対策行政当局がばらばらな状態では指導、監督、いろいろな規制というものはなかなか十分にまいらないと思うのです。いま国民の望んでおるのは、現状に対して適合するような的確な対応策を行政当局に望んでおるわけであります。そういう意味で、私どもは、監視、指導の体制を強化できるようなものにしていかなければならぬと思うのであります。私ども三党は、この点につきましても、環境保全基本法というものを提示をいたしまして、いま各省にばらばらに、ある意味では拡散、分散されております公害対策の機能というものを一つに集中をして、強力な監視指導体制というものをつくるべきだ、こういう見解を申し上げ、問題を提起しておるのでありますが、これらの点につきましても、特に大臣におかれましては、政府部内において強力にそういう方向に向かって努力をしてもらいたいということを最後に御要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  197. 金丸信

    金丸委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  198. 金丸信

    金丸委員長 この際、天野光晴君、阿部昭吾君、小川新一郎君、吉田之久君、浦井洋君から、下水道法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。     —————————————     —————————————
  199. 金丸信

    金丸委員長 提出者天野光晴君から趣旨の説明を求めます。天野光晴君。
  200. 天野光晴

    天野(光)委員 ただいま議題となりました下水道法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元に配付してあります。  汚水ます及び終末処理場から生じた汚泥等の堆積物には、人の健康を害するような有害物質が含まれている場合も考えられるのでありますが、現在、これらの堆積物は何らの規制も受けずに、農業用肥料、焼却、埋め立て等に処理されておるのでありまして、これを放置いたしますと、公害を防止すべき施設である公共下水道が有害物質を拡散し、公害の発生源となるおそれがあります。したがいまして、公共下水道管理者は、汚水ます及び終末処理場から生じた汚泥等の堆積物につきましては、たとえば肥料に含まれる有毒物質の基準、焼却処分をする場合の焼却炉の構造基準等、政令で定める基準に従い、適正に処理をしなければならないこととする規定を新たに設ける必要があると考えます。  以上が下水道法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いいたしまして、趣旨の説明を終わります。
  201. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本修正案について別に発言の申し出もありません。     —————————————
  202. 金丸信

    金丸委員長 これより両案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、天野光晴君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  203. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  204. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、下水道法の一部を改正する法律案は、天野光晴君外四名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  205. 金丸信

    金丸委員長 ただいま議決いたしました本案に対しまして、天野光晴君、阿部昭吾君、小川新一郎君、吉田之久君、浦井洋君から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者阿部昭吾君から趣旨の説明を求めます。阿部昭吾君。
  206. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、ただいま修正議決されました下水道法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付したいと思います。  まず、附帯決議の案文を朗読いたします。    下水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の運営にあたり、左の諸点について、特段の考慮を払うべきである。  一 下水道の極端な立遅れと公害、災害等弊害の多発化の最大の原因は、膨大な下水道設置費を負担する地方公共団体の財源難にある。緊急課題である下水道整備の促進をはかるため、国は次の財源措置に努めるとともに、下水道設置費の負担区分を明確化するよう努めること。   イ 現行公共下水道十分の四、流域下水道十分の五、都市下水路三分の一を公共下水道流域下水道各四分の三、都市下水路二分の一の方向で大幅に引き上げること。   ロ 現行幹線管渠、終末処理場等限定された補助対象を改め、地方公共団体が設置する下水道施設を、公共下水道流域下水道都市下水路の区別なく、すべてを対象とすること。また、補助の採択にあたっては、基準を政令で設け差別なくすみやかに措置すること。   ハ 地方公共団体の起債に対しては、起債枠を拡大するとともに、政府債、公庫債ともに、償還期限、据置期限の延長、利率の引下げ等大幅な条件緩和を図ること。   ニ 国の財源負担の強化に伴い、受益者負担金制度は検討することとし、当面、一般需要者の大幅軽減に努力すること。  二 政令で定める悪質な下水を排出する者に対し、その量または質の排出基準を厳守させ、事前に予防効果を確保するため、届出制を許可制に改める検討をすすめるとともに、当面、届出制に対しても厳しい事前調査、改善命令等の措置のもとで許可制と等しい権限を地方公共団体に確保させるようにすること。  三 水質汚濁防止を確立するため、ばらばらな公害行政を改め、国は一元的な機関のもとで強力に監視指導体制を確立するように努めること。  四 国又は公共団体は水洗便所の改造義務を課せられる者に対し、融資措置にとどまらず、改造費の三分の一程度を負担し、また、生活困窮者に対して全額を負担できるよう努力し、その助成措置をとる地方公共団体に対し、補助、融資等充分な資金を保証するよう努力すること。   右決議する。  御承知のとおり、本法律案につきましては、去る十二月四日、五日の公害対策特別委員会と他の関係委員会との連合審査会及び当委員会において慎重に審議されてまいったのであります。  特に、審議の過程におきましては、下水道整備事業の飛躍的拡大、地方負担の軽減、除害施設の設置義務の履行の確保、終末処理場の汚泥処理の適正化、水洗便所に改造する者に対する国、市町村の助成、公害行政の一元化等の諸問題が真剣に審議せられたのであります。  これらのうち、終末処理場の汚泥処理につきましては、新たに所要の規定を設けることとし、先ほど修正案が可決されたのでありますが、その他の重要問題につきましては、附帯決議を付し、政府下水道整備事業の重大性を再認識し、その推進に最大の努力を傾注することを要請する必要があると考えるのであります。  以上が、下水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨でありますが、委員各位の御賛同をお願いいたしまして、趣旨の説明を終わります。
  207. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  208. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、天野光晴君外四名提出のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、根本建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。根本建設大臣
  209. 根本龍太郎

    根本国務大臣 委員各位の連日御熱誠なる御審議に対しまして、まず心から感謝申し上げます。  ただいま御決議のございました下水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、政府といたしましても、御趣旨を尊重し、その運用に遺憾のないように措置してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  210. 金丸信

    金丸委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は来たる十一日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十九分散会