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1970-12-08 第64回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月八日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村佐近四郎君       金子 一平君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       廣瀬 正雄君    古内 広雄君       森下 國雄君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       三木 喜夫君    新井 彬之君       北側 義一君    内海  清君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         行政管理庁行政         監察局長    岡内  豊君         経済企画庁総合         計画局長    矢野 智雄君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      植松 守雄君         経済企画庁国民         生活局水質公害         課長      白井 和徳君         経済企画庁国民         生活局水質調査         課長      山中 正美君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         大蔵省理財局地         方資金課長   星野 孝俊君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     榊  孝悌君         農林省農地局管         理部長     堀川 春彦君         通商産業省企業         局工業用水課長 原田  稔君         通商産業省公害         保安局公害部公         害第二課長   根岸 正男君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         自治省財政局地         方債課長    石見 隆三君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   竹本 孫一君     内海  清君     ————————————— 十二月七日  主要地方道水沢十文字線早期開通に関する  請願(椎名悦三郎君紹介)(第二六九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  下水道法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出下水道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村襄治君。
  3. 大村襄治

    大村委員 下水道法の一部を改正する法律案について若干の質疑を行ないます。  まず、建設大臣お尋ねいたしたいのでありますが、本改正案改正事項は、要綱にもいろいろあげられておるのでありますが、最も重点を置いておられるのはどの点にあるのですか、お尋ねをいたします。
  4. 根本龍太郎

    根本国務大臣 今回の下水道法改正重点は、最近公害問題が非常に強く取り上げられておる、それと相対応するということと、下水道の広域的な実施目途とするというところに主たる重点を置きまして、まず第一には、下水道法目的の中に「公共用水域水質保全に資する」ということを新たに追加いたしまして、水質汚濁に対応すべきことをこれで明確にしたわけでございます。  第二は、公害対策基本法に基づきまして水質汚濁にかかわる環境基準が定められました公共水域について、都道府県流域別下水道整備総合計画を定めるものといたしまして、この基本計画に基づき、より合理的な下水道事業実施することにしたのであります。御承知のように、従来の下水道市町村がこれをやっておりまして、市町村終末までやらなければならぬというかっこうが多かったのでありますが、これではなかなか普及しない。そこで、水質汚濁環境基準が定められた広域的な水域について総合計画をつくらせまして、都道府県がその主体となってこれを実施させるということが非常に大きな改正点となると思います。  第三は、流域下水道の完備に関する規定を設けまして、下水道に流入する工場排水に対する監督を強化する規定を設けた。  この三点が、重点と思っておるところでございます。
  5. 大村襄治

    大村委員 いろいろ重点事項はあるようでございますが、伺って、私の感じました点は、今度の国会公害国会といわれておるが、その公害国会に提案された以上は、その目的は、改正案に述べられておるところの「公共用水域水質保全に資する」といった点に最も重点が置かれているのではないかというふうに受け取るものでございます。もしそうであるとしますならば、現在進められております全国下水道整備事業、これは第二次下水道整備事業計画において、総額で九千億円、四十六年度目途として進行中でございますが、達成率はいまのところ六七%という状況で、これから非常に力を入れなければいけない。そういうやさきに本法が改正されて、また公共用水域水質保全という大きな任務が追加された。実質的にはそうではないと私は思いますが、少なくとも法の明文上は追加されてきた。そういった観点から申しますると、下水道整備計画の今後の推進にあたって一段と飛躍的な改善、くふうを加える必要がある、こう思うわけでございますが、この点につきましての大臣の所信をお尋ねいたしたいのであります。
  6. 根本龍太郎

    根本国務大臣 大村さんの御指摘のとおりでございます。現在の下水道整備五カ年計画がたとえ満ぱいいたしましても、とうてい現在の社会の要請にこたえるわけにはいかない。そこで、これは達成率を糊塗するとかなんとかいうことは全然考えずに、四十六年度初年度とするところの第三次五カ年計画を策定して、これを進めてまいりたいと思っております。その構想は、実は政府全体で了解をしておる経済企画庁が発案したところの例の経済社会発展計画、これが六カ年間で五十五兆円と内定いたしまして、その中で下水道事業充当しているのが二兆一千億でございます。けれども、これではとうてい足らないということで、私は、経済企画庁長官大蔵大臣並びに総理にも進言いたしまして、四十六年度初年度とする新しい下水道整備計画にはさらに五千億を追加すべきだ、それは五十五兆円のうち一兆円を予備費として確保しているのを、その半分をくずしてやるべきだということで基本的な了解を得たものと私は自分で判断し、今度の新しい五カ年計画には二兆六千億として、いま財政当局要求をしております。さらに引き続いて、昭和六十年度までに大体十五兆円の下水道投資をすべきだ——これはまだ閣議了解も得ておりません。しかしながら、建設省としては、そういうような長期の見通しのその一環として新しい下水道計画を進めてまいる、このようにして非常に立ちおくれておる下水道の問題を解決したい、こう考えておる次第でございます。
  7. 大村襄治

    大村委員 第三次整備計画を進められているというお話は、さきに行なわれました連合審査会における大臣の御答弁でも私は拝聴したわけでございます。ところが、大臣関係のある都市計画中央審議会下水道部会の報告というものを見ますと、環境基準適用されている水域下水道計画、これは環境基準適用後五カ年以内に実現しなければいかぬということがきめられておるわけです。目標はきめられているのでありますが、これを実現するためには、現在水域は四十七水域と承っておるのでありますが、必要な資金は三兆二千億、こう書いてあるわけです。いまの第三次整備計画の二兆六千億でございますか、二兆一千億プラス五千億、二兆六千億をこれはすでに上回っておるわけです。しかも目標は五年以内、こういうことになりますと、二兆六千億の第三次計画でもすでに十分といえないのではないか、そういう感じもいたすわけでございますが、いずれにいたしましても現行の九千億の三倍でありまして、この実現には非常に力が要る。私どもその点非常に責任を感じておるものでありますが、これの実現方について大臣の御決意を重ねて伺ってみたいと思います。
  8. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりでございます。この環境基準がきめられておる四十九水域のうち二十五水域は五年間で完成する。それから残りの二十四水域については八年かかる予定です。若干ここはずらさざるを得ない。御承知のように、必要なことは、道路であろうが住宅であろうが、各審議会が策定したものを全部充足することはなかなか困難でございます。下水については、現在の社会情勢政治情勢からいたしまして、これでも相当充足率が高い程度のものだと思っています。これ以上要求したい気持ちはありまするけれども、全体として五十五兆円ということを、総合的に、日本経済財政の判断からそういう総ワクを一応了承した形でありまするので、その点からするならばやむを得ないだろうという考え方でございます。しかし、この全体の五十五兆円の投資規模についても、日本社会情勢変化経済情勢状況によって、これは六年間固定しておくべきではないのだ、これはいわゆる計画経済をとっておるところの社会主義国家と違いまして、日本のような国においては一つのガイドポストになっておるにすぎないのである、その意味において弾力的にこの問題は考えるべきだということは、閣議でこの問題が了承されるときにあたって私は明確に発言をし、その旨は大蔵大臣経済企画庁長官も了承しておるということでございますから、いずれ社会情勢変化に応じては総ワクの変更もあり得ると私は思います。そうした際には、下水道に対する投資額もさらに増加することを私は要請するつもりでございます。
  9. 大村襄治

    大村委員 環境基準適用される水域事業実施を二十五河川と二十四河川に分けて実施せざるを得ないという点はわかります。しかしながら、環境基準適用される水域以外の公共下水道もございますし、さらに新都計法の適用によりまして、新たに都市施設として下水道をすみやかに建設しなければいけない区域も最近ふえてきたのであります。そういった事情を勘案して、ぜひとも第三次計画事業計画必要最小限は絶対確保するように一そう御努力をお願いしたいと思うわけであります。  そこで、この際あわせてお尋ねいたしたい点は、下水道に対する国庫補助率引き上げまたは国庫補助対象事業範囲拡大をお考えになっておるのかどうか。先ほど申し上げておりますように、下水道法改正によって任務も一段と追加された。国家的任務を拡充されているわけでありますので、従来の都市環境整備あるいは住民の衛生保全という点にプラスされておるものですので、そういった点につきまして建設省としてどうお考えになっておるか。さらに、先ほどの連合審査会におきまして同僚議員から質問のございました現行下水道法に基づく補助率政令ができていない。これはいつおきめになるか、その点をあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
  10. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在の下水道事業国庫補助率は、公共下水道については十分の四、流域下水道は十分の五、都市下水路は三分の一、特別都市下水路が四分の一となっております。これは三十三年から相当程度上げてきたのでありまするが、これで満足しているわけではございません。しかし、先ほど御質問がありましたように、下水道事業要望することが急に非常にふえているのであります。補助率を多くすることも必要でありますが、そうすると事業量が非常に制約されてくる。どっちをとるべきかという観点に立ちますれば、現在のところは、むしろ事業量を多くし、そうして補助対象を大きくしてほしい、これが実は市町村並びに関係都道府県の共通の御意見と思います。でき得れば補助率を上げてほしいけれども、まず補助対象、これをふやしてほしいということが第一と考えております。したがいまして、われわれとしては、来年度から始まるところの五カ年計画では、現在の補助率はこのままにして一応発足し、対象を大きくしたい、こう思ってます。そして政令に基づく補助率は、この新らしい五カ年計画を策定するときにあたって、政令を定めて実施したいと考えておる次第でございます。
  11. 大村襄治

    大村委員 ただいまの大臣の御答弁によりますると、補助率引き上げよりは補助対象事業範囲拡大にこの際重点を置きたい、こういうふうに承ったのでありますが、来年度予算要求において対象事業範囲拡大はどの程度要求されておるか、都市局長お尋ねします。
  12. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お答えいたします。  来年は新しい五カ年計画初年度ということに相なっておるわけでございますが、私どもは、この機会に御議論がありました補助対象事業拡大したい、こういう趣旨から、全体としまして六〇%の補助対象率、これは指定都市一般都市に分けておりますが、指定都市で申し上げますならば四五%、一般都市で申し上げますならば七五%の補助対象率ということで財政当局には要求をいたしております。
  13. 大村襄治

    大村委員 この問題はきわめて重要な意義を持つ問題でございまして、おそらく本委員会委員の方々が非常に関心を集めておられる問題だと思うわけでございます。  そこで大蔵省の御見解を承りたいのでございます。いまの段階だから、検討中ではなく、前向きの御説明をお願いします。
  14. 藤井直樹

    藤井説明員 お答え申し上げます。  下水道事業の問題につきましては、従来から予算の中で、公共事業伸びが全体として一八%のときに二七%の伸びというようなことで積極的にやってきておるわけでありますが、今後ともその方向で対処したいと思っております。  ただいま御指摘のございました補助対象率引き上げの問題につきましては、事実上これから事業費が増大いたしますと、国費の額もそれにつれてふえる。そういうことになりますのと同時に、今後の下水道整備実施にあたりまして、受益者負担の強化、起業者負担の増徴というようなことになりますと、その資金というものはそのまま地方負担の軽減にもなるということでございますので、現在の体系についてこれを変えるということは非常にむずかしいというふうに現在考えております。目下下水道事業全般につきまして、予算編成の過程で十分に検討している段階でございます。
  15. 大村襄治

    大村委員 次にお尋ねいたしたい点は、下水道整備事業推進に必要な地方財源をいかにして確保するか、その方策についてでございます。補助率引き上げられようとも、また補助対象事業範囲が拡張せられようとも、事業量拡大に伴いまして施行主体である地方自治体の財政負担がふえることは必至でございます。この財源をいかにして確保するか、その方策について自治省見解お尋ねいたします。
  16. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 御指摘のとおり、下水道整備事業が相当その事業費がふえてまいりますと、地方団体財源をどういうふうにして確保していくかということが問題になるわけであります。ただいま御指摘のように、国庫負担制度につきましては、私どもといたしましてもその充実を強く要請しておるわけでありますが、同時に、妥当な受益者負担制度というものもその安定した建設財源になるわけでございますが、いずれにしましても、大部分の財源は基本的には地方債に依存しなければならないということになると考えております。したがいまして、この地方債につきましては、必要な資金量の確保をはかるとともに、その充当率引き上げということも事業遂行上必要になると考えておりますので、その方向昭和四十六年度以降の地方債計画充実に極力努力をしてまいりたい、かような方針であります。
  17. 大村襄治

    大村委員 特定財源といいますと、事業分担金とか、あるいはでき上がってからあとの使用料の問題だと思うのでありますが、これを少々引き上げても、財源の中では占める度合いは少ないと思う。言うとおり、地方債が主として占めると思うのでありますが、いまの答弁で、現在行なわれております一般財源の投入、すなわち交付税算定における基準財政需要の点がちょっと漏れておったと思うのでありますが、この問題については今後どういうふうに対処していく考えなのか、その説明を求めます。
  18. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 現在、地方交付税算定におきましては、ただいま申し上げました国庫負担金あるいは受益者負担金の歳入並びに地方債充当ともにらみ合わせまして、その必要な一般財源につきましては、事業費補正を通じまして全額財源措置を講ずるということにいたしております。昭和四十六年度以降もその方針交付税算定に当たってまいりたい、かように考えております。
  19. 大村襄治

    大村委員 交付税については他と関連があるから具体的に言えないというふうな答弁に聞こえたわけでありますが、それではまた起債のほうに入ります。  起債引き上げを行ないたいという答弁でありますが、明年度地方債計画におきましては、充当率をどの程度改善するというお考えであるか、要求でけっこうですから答弁を求めます。
  20. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 地方債計画要求は、現在の段階におきましては、昭和四十五年度の場合と同様な方式により要求をいたしておりますが、これは、下水道整備計画改定によりまして、もう少し現実に即した充当方法をとってまいりたい、かように検討いたしております。したがいまして、これまでのように大都市分中小都市分というような分け方ではなしに、大都市中小都市も同様な充当方式考えてまいりたいということで、ただいま検討中でございます。ごく近い段階大蔵省のほうと協議をしてまいりたい、かように考えております。
  21. 大村襄治

    大村委員 全国市長会はじめ関係地方団体要望書を毎年見ておりますと、起債ワクの拡充と資金の質の改善、つまり償還期限の延長あるいは利息の引き下げについての要望が毎年熱心に行なわれている。ことしは一そう激しく出てきておるのですが、この点についての改善意見があれば、まず自治省から承りたい。
  22. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 地方債充当にあたりまして、各地方団体ごとに非常に問題になります点は、下水道事業の中における補助事業単独事業の割合というものが各年ごとに必ずしも明確ではない。そしてまた、その年度事業の執行によりましては、補助事業の多くなる年あるいは単独事業の多くなる年がございます。そういう意味におきまして、この起債充当にあたりましては、一律的な充当方式をとることが非常にむずかしいわけでございます。そういうことで、毎年、この資金量につきましては、計画額に対しまして、計画外ワク外として相当額起債許可をいたしておるわけでございますが、やはり今後もそういうような事態が継続されるのではないだろうかという感じがいたしております。そして、その場合のワク外債の分はどうしても縁故債にたよらざるを得ないという関係で、特に事業量がふえます団体単独事業が多くなります団体の場合には、その資金の構成がやや悪くなるという傾向にあるわけでございます。そうした事態を前提としながら新しい地方債計画は組んでまいりたい、できる限り単独事業が多く執行できるような方向資金充足をはかってまいりたい、かように考えております。  また貸し付け条件の点につきましては、現在、政府資金は御承知のとおり六分五厘でございますが、公営企業金融公庫資金につきましては、昭和四十三年に利子補給制度が設けられまして、これまでの七分三厘の利率が七分に下げられたわけでございます。さらに、本年度におきましては、御承知公営競技納付金資金を引き当てにいたしまして、一般公庫資金金利引き上げにもかかわらず、六分七厘まで金利引き下げをいたしておるわけでございます。今後も六分七厘の金利はできるだけ維持していきたい、こういうつもりでおるわけであります。  また償還期限につきましては、現在、政府資金につきましては二十五年、公庫資金につきましては二十一年の償還期限をもってやっておるわけでございますが、下水道耐用年数等関係からいいまして、この償還期限はまだなお改善の余地があるものと私ども考えております。償還期限につきましては、できる限りこれを延伸したいということで、関係省のほうとも折衝するつもりでございます。
  23. 大村襄治

    大村委員 ただいまの資金改善の点について大蔵省見解を承りたい。大蔵省から地方資金課長が見えているそうですが……。
  24. 星野孝俊

    星野説明員 お答えいたします。  貸し付け期限の問題でございますが、先ほど自治省からもお話がありましたように、公庫につきましては現在二十一年、それから政府資金につきましては二十五年の償還期限になっております。  貸し付け金利でございますが、政府資金につきましては六分五厘、それから公庫につきましては、ギャンブル等資金を導入することによって六分七厘、こういうことになっております。  ただいま自治省のほうからこれらの条件改定につきまして要求が出されているところでございますが、十分慎重に検討したいと思います。
  25. 大村襄治

    大村委員 あまり改善前進案がないのは残念ですが、時間の関係がありますから各論に入ります。  建設省政府委員お尋ねいたしますが、公共下水道定義をこの際改めて、終末処理場の所有または流域下水道への接続を要件としたことは、今回の改正目的からいいまして当然のことと考えますが、これを急いで強行しますと、いま行なわれている公共下水道建設が阻害されるおそれもある。この辺の移り変わりの措置についてはどのようにお考えであるか、お尋ねします。
  26. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 現状を申し上げますと、四十四年度末におきまして、公共下水道認可都市が二百五十五でございます。このうち終末処理場を持っておりません公共下水道が六十九都市でございます。これにつきましては、すでに二十三都市がいわゆる流域下水道につながることになっておりますし、また四都市が隣接の都市処理場につながる、こういうことになっておりますので、差し引きいたしますと四十二都市がまだ終末処理場計画もない。したがって、これから立てなければならないという都市に該当するわけでございます。これらの都市につきましては、今回の法律改正におきまして、いやしくも公共下水道というものは終末処理場を持っていなければならないというふうに定義を変えまして、それにつきましての経過措置で、三年間は終末処理場がなくとも公共下水道の扱いにしていこうということで提案を申し上げております。したがいまして、これらの都市につきましては、三年以内に計画を立て実行するというふうなことで、処理場建設に対しましても、私どもは、優先的に取り上げて、もって事業の促進をはかってまいりたい、これによりまして御指摘のような点は三年で大体解消できる、かように存ずるわけでございます。
  27. 大村襄治

    大村委員 次に、流域別下水道整備総合計画についてお尋ねいたします。  政令で府県を定める、その政令はいかなる内容になる見込みですか、政令内容についてお尋ねいたします。
  28. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 目下のところ、この計画対象にいたしますところの地域は、二以上の市町村にまたがるような流域というものを考えております。
  29. 大村襄治

    大村委員 そういたしますと、現在環境基準適用される水域は四十九ありますが、そのうち二以上にまたがるものというのは、ほとんど全部になりますか。若干はずれるものがある、そういうふうに受け取ってよろしいのですか。
  30. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 四十九水域に関しましては、ほとんど全部が二市町村以上にまたがるという水域になろうかと思います。
  31. 大村襄治

    大村委員 この計画の認可を受ける場合に、要件として実施順位を掲げるように項目に指定されておりますが、この実施順位というのはいかなる内容のものであるか、お尋ねします。
  32. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 流域別下水道整備総合計画の中でいろいろ基本的にきめることを書いてございますが、御指摘実施順位ということは非常に大事なことでございます。申し上げますのは、流域別下水道計画は複数の都市地域を対象にするのが原則でございまして、したがいまして、その都市関係水域の中におきましての水質汚濁に与えておりますところの影響度というものがまちまちでございます。でございますので、その各都市のそういうふうな影響の度合いというものをよく調査をいたしまして、どの都市流域下水道から、あるいは公共下水道から下水道整備していったほうが最も効果的であるかというふうなことを考えますのが実施順位の考え方でございます。また、同一の都市におきましても、この都市の地域の中のどの地域から整備をしていったほうが効果的であるかといったようなこと、それから全体といたしまして、環境、つまりパイプと処理場との建設のバランスの問題、そういうことが実施順位につきましての大きな内容になろうかと存じます。
  33. 大村襄治

    大村委員 次に流域下水道についてお尋ねいたします。  法案によりますると、流域下水道都道府県が管理するものとされておりますが、市町村に管理を認める場合があるような規定も見受けられるのでありますが、一体いかなる場合に市町村に管理を認めるのか、その運用の見通しについてお尋ねいたしたいのであります。
  34. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 流域下水道は、今日まで、その沿革的に申し上げますと、市町村が中心になりまして組合をつくってやってまいったのがかなり多数ございます。今回の改正では、御指摘のとおり都道府県を原則といたしておりますが、どういう場合に市町村に認めるかということにつきましては、通常下水道事業はばく大な投資を要しますし、また技術的に非常にむずかしい点もございますので、関係市町村財政上、あるいは技術上の点におきまして十分な管理体制が整備されておりまして、都道府県が行ないますよりも関係市町村が寄ってやったほうが能率的に建設管理ができる、そういうことが期待できるような場合もあろうかと思います。そういう場合におきましては、法律上は関係市町村都道府県知事と協議をいたしまして流域下水道事業実施させていくというように考えております。
  35. 大村襄治

    大村委員 そうすると、市町村がやる場合は例外的だ、あまり多く出てこない、そういう見通しですか。
  36. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 今後の見通しで、一がいに申し上げかねますけれども、相当な財政負担を伴う事業でございますので、おそらく県が中心でこの事業が相当進んでいくのではないかというふうに私どもは見通しを立てております。
  37. 大村襄治

    大村委員 そうしますと、府県が原則として管理する。ところが、費用は、この法案によりますと、関係市町村に受益の程度に応じて負担させることができるようになって、仕事を先にやってしまって費用だけあとから負担をおっかぶせられては困りますので、両者の間に調整する必要があると思いますが、法文上ちょっと見当たりませんけれども、その辺どういうふうにお考えでありますか。
  38. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 府県が実施いたします場合には、御案内のとおり二分の一の補助金が国から出ます。残りの二分の一は県費負担でございますが、今回、法律上の制度といたしまして、関係市町村が受益の範囲において一部を分担するというふうな規定を設けております。この趣旨は、県が残りを全部負担するということになりますと、流域下水道市町村が共同でやる場合とか、あるいは公共下水道市町村が原則であります。そういう場合とのバランスからいきまして、たとえば処理場につきましては、関係市町村が全然費用を負担しなくていいわけでありますので、そういう均衡上から、一部は受益に応じまして県費の一部を関係市町村に持ってもらうというふうな趣旨から設けられたものでございまして、そこで、その場合におきまして県と市町村間に十分な調整をはかる必要がある。今回の法律におきましては、県がそういう関係市町村に対する分担金を課すにつきましては、関係市町村意見を十分徴さなければならない、こういう規定を設けております。またその負担金の額等の決定にあたりましては、関係都道府県議会の議決も経なければならないというような手続も要件に掲げておりますので、これによりまして両者間の調整は十分にはかられるものと私どもは期待をいたしておりますし、その方向で今後やってまいりたいと存じます。
  39. 大村襄治

    大村委員 次に、今回の改正案によりますと、悪質な下水を排出する者の届け出、記録等に関する規定が新設されるようになっておりますが、どうも政令にだいぶゆだねられておる範囲が多いように見受けられるのであります。その政令内容はおおよそどういうようになるのか、それがわかりませんと全体がよくわからぬような気がしますので御説明願います。簡単に願います。
  40. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まず第一点は、十一条の二に工場、事業場の届け出のことを規定しておりますが、この政令に定めますところの基準は、水量におきましては一日五十立方メートル以上の工場排水を流す事業場、それから水質に関しましては、一般家庭下水の汚水の水質以上の水を流すもの、また有毒物質を含みます水を流しますもの、そういうものを政令できめるようにいたしたいと思っております。  それから十二条の二の水質定義務を課しますところの政令で定める水質は、いま申し上げました十一条の二の政令で定めますところの水質と同様のものにいたしたいと思っております。  それから十二条の二の「公共下水道を使用する者で政令で定めるもの」というのは、水質汚濁防止法案十四条により水質定義務が課せられておりますところの工場または事業場を予定いたしております。  最後に、三十九条の二に報告徴取の規定がございますが、この政令で定めますところの水質は、前段に申し上げました十一条の二の政令で定めますところの水質と同様にいたしたいと思っております。
  41. 大村襄治

    大村委員 次に、水洗便所の問題について若干お尋ねいたします。時間がございませんので、まとめてお尋ねいたします。  第一は、移行にあたりまして三年以内の猶予期間を設けた理由。第二に、市町村及び国が融通する資金条件。第三に、占有者が生活困窮者である場合にどうするか。以上、三点について都市局長の御答弁をお願いします。
  42. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まず、お尋ねの第一点の、三年にいたしましたのは、現在各都市におきますところの状況を見まするに、処理区域の公示をいたしましてからの水洗化の普及状況でございますが、大体三年目になりますと七割から八割程度までの普及率を達成いたしております。それから以後漸進的に普及してまいっている、こういう実情でございますので、私ども、今回の義務化にあたりましては、そういう過去の実績等を十分に勘案いたしました上で三年が適当ではないかということにいたしたわけでございます。  それから、第二点の、水洗に改良いたします際におきましての、国、市町村財政援助でございますが、国のほうからまず申し上げますと、現在国民年金の積み立て金の特別融資を、国の場合は関係市町村に行なっております。この場合の条件は、貸し付け金一戸当たり内地で四万五千円、北海道で六万円でございまして、利率六・五%、償還期限は六十カ月ということになっております。それから、この資金以外に、各都市が自主的にいろいろ補助金とか貸し付け金をいたしておりますが、これは各都市まちまちでございまして、二戸当たり補助金について申し上げますと、二千円とか六千円、東京都のような、ほとんど全額に近いものを補助金で出しているというものもございます。それから、貸し付け金につきましては、三万円から十万円程度の幅でございまして、利息につきましては、無利子から六・五%、償還期限は大体二十カ月から三十六カ月というような状況で、まちまちでございます。  それから、生活困窮者に対する措置でございますが、この点は今回の改正でもいろいろ議論があったわけでございますが、結局、今回の義務づけの改正措置の実行にあたりまして、生活困窮者のみならず、老朽家屋とか移転を近々に予定いたしております家屋、そういう特殊な事情でもって改造ができないというようなものにつきましては、下水道管理者が改造義務の実行の実施命令を猶予するというふうな道を講じております。したがいまして、法律上はそういう困窮者に対しましては義務の強制ということは例外的な扱いをされるわけでございますが、しかしながら、やはり下水は完備した以上は一〇〇%普及することが市町村の管理者といたしましていいわけでございます。その点につきましては、関係市町村を督励いたしまして、そういう困窮者に対する特別な援助措置の実効をあげますように、私どもは指導してまいりたいと考えております。
  43. 大村襄治

    大村委員 水洗便所について大蔵省に伺います。  わが国の水洗便所の普及率はわずか八%で、文明国として恥ずかしい。そこでいろいろ国、地方とも苦心しているのでありますが、民間では、融資の額をふやしてほしい、国からも補助を出してほしいという声がありますが、大蔵省見解お尋ねします。なるべく簡単にお願いします。
  44. 星野孝俊

    星野説明員 お答えいたします。  四十五年度地方債におきまして、水洗便所のための資金として地方に貸し付けます資金を十億準備してございます。四十六年度は、下水道事業推進等を考慮しましてかなり多額の要求が出ておるところでございます。私どもといたしましても、現在下水道事業の促進並びに水洗の促進ということを考慮しまして、前向きの姿勢でできるだけ配慮してまいりたいと考えております。
  45. 藤井直樹

    藤井説明員 私、ちょっと担当が違いますので、先生の御趣旨はよくお伝えいたします。
  46. 大村襄治

    大村委員 時間の関係で最後の質問に入ります。  下水道使用料についてお尋ねいたします。今回の改正案で、量及び水質に応じて徴収することができるというふうに変わっておりますが、どういう基準を設けようとするのか。いままでも標準条例ですか、そういったものがあったようでありますが、今後はこの改正に基づいてこれをどういうふうに運用する考えでございますか。  それから、時間の関係であわせて伺いますが、この場合「適正な原価」とありますけれども、一体この「適正な原価」とは維持費だけが入るのか、それとも建設費、償却費といったものも含まれるのか、およその考え方について当局の御説明を求めます。
  47. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まず、お尋ねの後段のほうの、下水道使用料の原価の考え方、使用料をとる場合の基本的な考え方でございますが、これは「適正な原価」というふうに法律に書いてございますが、この「適正な原価」といいますのは、下水道は、雨水と汚水が一緒になって入るという、いわゆる合流式の場合が大部分でございますが、そういう場合は汚水に相当する部分の維持管理費は当然でございます。それから汚水にかかるところの建設費のうちで、本来私人が負担すべきものを公共団体で立てかえまして、起債等でもって資金調達をいたしまして、そういうものの償還財源といったようなものが適正な使用料を徴収する際の考え方というふうに私どもは理解をいたしております。したがいまして、「適正な原価」というものはそういう範囲内においてまかなわれるということが申し上げられると思います。  それから水質、使用量につきましては、今回新しく使用料を徴収する場合に、その考え方を明記いたしたわけでございますが、これは技術的に非常にむずかしい点がございます。まだ確とした方針というものを立てておりませんけれども、基本的な考え方といたしましては、普通の家庭汚水以上の濃度の悪質汚水を出す工場、事業場、そういうものにつきまして、たとえて申しますとBODでございますとかSSとかPHとか、そういったような水質測定によりまして、その濃度の度合いによりまして、そういう工場、事業場の悪質汚水を処理するためにかかるであろう増加経費、あるいは維持管理費の増加費用、そういったようなものをそういう関係者に特別な使用料金として負担をしていただくというふうな基本的な考え方でございます。
  48. 大村襄治

    大村委員 下水道使用料について関連してお尋ねしておきますが、今回の費用負担法で、防除施設に事業が費用を負担した場合、下水道使用料とどういう関連があるか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  49. 植松守雄

    ○植松説明員 今度の費用負担法の公害防止事業の中に、特定の事業者が大部分を利用する下水道というのがございます。これはいわゆる従来でいう特別都市下水道がこれに当たるわけでございます。その場合には一定の費用負担を求めることになっております。ただしその費用負担も——これはその特別都市下水道で家庭用排水も同時に処理されるわけでございます。そういたしますと、家庭用排水の場合でございますと、たとえばBODで一五〇PPM以下の濃度の排水は、公共負担で下水道の施設が設けられて、一定の使用料で払えるという形になるわけでございますから、それとの均衡は考えなければならない。そこで、全額負担といいましても、その分は割り引かなければならないと思っております。これは費用負担法の政令でそのへんの詳細を書くことになっております。  今度は、そういう費用負担をした業者につきましては、いわば先ほど論議がございました水質使用料の一種の前払いというような観念になろうかと思います。そこで、その事業者に関しましては、将来水質使用料を払う場合に、初度負担を負担した限度においてそれを軽減する、免除するという形になるわけでございます。他面、その特別都市下水道に、新規参入者と申しますか、新しい事業者が進出してそれを利用する場合には、今度はそれをバランスのとれた費用負担という形で回収していく形になるかと思います。
  50. 大村襄治

    大村委員 いまの点は法文に用意したのですか。費用負担法ですか、下水道法ですか、どっちなんです。
  51. 植松守雄

    ○植松説明員 初度投資についての費用負担、これだけを費用負担法に書いてございます。そうしてそれとの調整の規定下水道法の二十条に書いてございます。
  52. 大村襄治

    大村委員 質問をこれで終わります。
  53. 金丸信

    金丸委員長 松浦利尚君。
  54. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは最初に行政監察局のほうに基本的な問題についてお尋ねをいたします。  実は、昭和三十八年の十二月十四日に、公害防止に関する行政監察を非常に詳しく行なっておるわけです。ところが、御承知のように、いま政府はいろいろな公害法案を出して、この勧告にこたえようとしているわけだと思うのですけれども、現実に、この三十八年十二月十四日の具体的な勧告を政府がそのまま守っておったとするなら、七年間の公害の拡散というものはある程度行政措置で防ぎ得たと思うのです。この行政監察の結果についての報告のしっぱなし、勧告のしっぱなしという問題が行政の中にあるのではないかという気がしてならぬのですが、監察局長が来ておられますから、御答弁願います。
  55. 岡内豊

    ○岡内政府委員 お答えいたします。  三十八年に私どもが監察をいたしましたときには、まだ、公害問題についての一般の認識といいますか、これが非常に薄い当時でございまして、関心が薄かったわけでございます。そのときに、私どもは、公害防止対策につきまして総合的な推進体制を整備する必要がある、それから大気汚染の許容限度を設定する必要がある、自動車の排気ガスにつきましても何らかの規制をする必要がある、それからまた、特定の有害物質に対する規制をする必要がある、公共用の水域の流水につきましても、その清潔を保持するための基準を設定する必要がある、それからまた、下水道整備をはかる必要もあるし、騒音の規制をする必要もあるというようなことを十九項目にわたって勧告をしたわけでございますが、その後なかなか対策が進みませんので、さらに昭和四十一年には、特に水質保全を中心といたしまして、この未改善事項の改善をはかるために、推進監察というものを実施いたしております。  その勧告の効果でございますが、三十八年に勧告をいたしました結果、これは総理府のほうに、公害防止対策の総合的推進体制を整備するために、閣議決定によりまして公害対策推進連絡会議というものが設けられまして、そこでいろいろ対策の協議を総合的にやるということが始まったわけでございます。それで、それがだんだん進展いたしまして、公害対策基本法というようなものになり、それからまた、先般、公害対策本部というものがあらためて設置された、こういう状況でございまして、それから大気汚染、水質汚濁、騒音防止等につきましても逐次法制が整備されてきておる、こういうことでございます。ただ、対策そのものが非常にむずかしい面がございますので、なかなか進展しておらないということがございますけれども、今回のこの国会におきまして、いろいろの対策がさらに規制を強化するということで提案されておる次第でございます。
  56. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長、あなた、三十八年十二月に勧告をなさって、いままで間違いなく国民のために効果があがった、こういうふうにお考えになりますか。具体的に答えてください。
  57. 岡内豊

    ○岡内政府委員 お答えいたします。  私どもの勧告を契機といたしましていろいろと対策が逐次進展していった、こういうふうに私ども了解いたしております。
  58. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの話を聞いておりますと、あなたは、逐一だんだん効果があらわれた、こう言うけれども、この七年間にあなたたちは——四十五年七月の公害防止対策行政関係参考資料、これはおたくからいただいたのですが、この中には非常にたくさんの国民の公害による苦情、公害による犠牲というものが報告されておる。また、きょうあなたからいただいた環境保全と公害防止の「公害苦情処理の現状と課題」、これを見たところが、この中には非常に多くの国民の苦情というものが出てきておる。行政のほうは遅々として進まないけれども、公害のほうはどんどんと先に進んだという結果が、あなたのところの監査結果報告によって出ておるのです。この点をどう思いますか。なぜこういうことになるのか、監察局としてどう思いますか。
  59. 岡内豊

    ○岡内政府委員 その問題でございますが、私どものほうといたしましては、いろいろそういうことで勧告いたしまして、各省庁の施策の進行状況を見守っておる次第でございます。  それで、現在私どもでとっておりますのは、こういった本庁の行政施策が末端でどのように実際に運営されておるか、そういう実体を常時監察する必要があるということで、私どもの出先に指令いたしまして、そういう現地における問題点があれば即刻報告をしろ、必要があれば現地でもって監察をしなさいということを通達いたしております。  それから、そこにあがっておる問題は、特に国民の日常生活における個々の公害関係の問題につきまして、私どもが率先して解決をした事例をそこへあげてあるわけでございまして、私どものほうとしては、各行政機関のほうにもいろいろと意見を勧告いたしますが、そのほか、現地で国民に接する面での個々の公害問題に対する苦情につきまして個々に解決をはかっておるということでございまして、決して勧告のしつばなしということではございません。
  60. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長、最後に一つ重要なことをお尋ねしておきますが、私は、公害問題が各省に広くまたがっておるから、広がっておるから、勧告してもそれが具体的に行政の中になかなかあらわれてこないんじゃないかと思うのです。確かに、いまあなたが言われたように、公害対策推進連絡会議がさらに本部となって、今日総理府を中心に山中総務長官がやっておられるのですけれども、現実的に、公害という問題については、各省間でそれぞれの立場で勧告を受けてやっておるというところに行政の障害があるんじゃないかというふうに私は思うのです。この際、われわれが言っておるように、環境保全省というものをつくって、そこにあなたのところが、公害問題はこうしなさいという勧告をしたら、具体的に早急に公害問題が解決してくるんじゃないですか。いままで七年間にあなた方の勧告が満たされなかった。やっといま曲がりなりにも——ざる法とは言いませんよ。曲がりなりにもこの法案が出されてきたというのに今日まで七年間かかった。ところが、公害というのは、その七年の間に異常に伸びておるのですね。あなた方が昭和三十八年十二月に勧告をしたより以上に公害というものが広がってしまったのですよ。だとするなら、これからもそういう保証はないわけだから、極端な言い方をすると、環境保全省というものを置いて、行管がそこに、公害の問題についてはこうしなさいという勧告をしたら、そこで即座に実現ができる、こういう行政の指導をすることのほうが、むしろ国民のためになるんじゃないですか。行政監察官としてどう思いますか。
  61. 岡内豊

    ○岡内政府委員 お答えいたします。  環境保全省という問題につきましては、私の一存でちょっとお答えいたしかねますが、現在、公害対策本部には私どもの官房審議官が兼任で行っておりまして、私どもの出先からあがってきましたいろいろな問題点につきましては、逐次その本部のほうに連絡をいたしましていろいろと措置を講じていただく、こういう体制になっておりますので、現在の本部でも十分に調整ができるのではないか、かように私は考えております。
  62. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ここに総務長官が来ておりませんので、あなたにそういう質問をすることは非常に酷だと思いますけれども、しかし現実に、この三十八年十二月十四日の勧告が具体的に出されておるのですよ。たとえば「自動車の排気ガス等の規制について」あるいは「気象観測体制の調整等について」「特定有害物質に対する規制について」、こういったものがほんとうに具体的に出されておる。三十八年十二月のこの勧告を即座に政府が実行しておったら——あなた方はここで行政的にできることをいっているのですよ。ところが、今度出された法律でもなおかつしり抜けがある。こういう大切な勧告というものが、せっかく金を使って、苦労されて、国民の立場に立って勧告なさったこの報告というものが、監査というものが、即座に——それは一年ぐらいの余裕があってもいいですよ、ところが七年でしょう。その間に国民の犠牲というものはふえているわけだから、そういう点についての行政の不備という問題を考えると、あなた方がこれを指摘したときに、公害問題を解決するための環境保全省といったものをもし設置しておったら、七年間のこういった公害という国民の犠牲は取り除くことができたんじゃないか、私はこういう気がしてならぬから、せっかくのこんなりっぱな勧告がしっぱなしで、国民のほうには犠牲のしわ寄せが出たということだから、くどいようだが私はあなたに聞いておるのです。このことはあなたに聞いてもちょっと無理と思いますけれども建設大臣が横で笑っておられるから、ひとつこの問題について、建設大臣、どう思われますか。
  63. 根本龍太郎

    根本国務大臣 行政官庁ができればすぐに解決するという簡単なものじゃないと思います。おそらく、私に対する質問は、こういう勧告があったにもかかわらずこういった公害が出てきたというのは政府の怠慢だということを言いたいんだろうと思うのです。ところで、日本において下水道の問題がこういうふうに深刻になった、あるいはまた公害問題が最近急にこうなったということについては、行政上の問題、制度上の問題もありまするが、発生源に対する国民の側の考えが非常に変わってきたということです。日本には、よく、何か、対立関係とかあるいはまた、非常に行き詰まった問題を解決する場合に、水に流すということがある。日本は昔から非常に多雨地帯です。降水量の多い、そうして工業的な生産物の少ないところでありますから、大ていのものは、汚物でも何でも水に流せば、自然の浄化作用によってこれが解決できるということが、これは古来からの長い習慣でやっております。さらに、日本の信仰によるところのみそぎというのも、結局水の中に入って、川に入って、海に入ってみそぎすれば、それでいいという、そういう思想すらあった。ところが、御承知のように、ごく十年前までは、日本の農村では全部排せつ物を肥料として使っておった。いまやそれは肥料として使わなくなったのです。畜産でできておるところの堆肥すら使わなくなった。さらにまた、養鶏の鶏ふんが、われわれの時代は非常に貴重なる肥料でございました。これが使われずに、むしろ公害のあれになっておるというふうに、社会生活の変化と国民意識の変化も、これは非常に大きく作用してきておる。そういう形から、特に下水の問題については、従来は市町村の仕事としてやってきた。重大な問題がそういうふうになっておって、しかもまた、市町村も、急激に都市化したところは非常に重大な問題にこのごろ取り上げられていますけれども、それほどまでに実は深刻に考えていなかった。その証拠に、私は昭和二十二年以来国会に出ていますが、こういう下水道の問題等が深刻に国会で論議されたのは、やはりこの十年近くでございます。特に最近がそうなっておるということでございまして、その意味において、いま行政監察局長のほうからお話があったように、これは政府の責任も大きいです。したがって、これに対応するために、政府としては、内閣に対策本部を設けて、総理自身が本部長になり、そうして担当大臣も置き、各省が総合的にこれに協力して、そうして今回は、野党の皆さんの御要請もあり、これは国会をあげて公害対策に取り組む、こういう段階だと思っております。
  64. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、よくわかりましたけれども大臣の言われることはわかるのですが、ただ、私が言わんとするのは、簡単なことなんです。国民の立場に立った公害防止に関する行政監察が政府に出された。それを直ちに受けて政府が対応策をとっておったら、今日のような公害という問題が大きく波及しなくて済んだかもしれない。そのことを言っておるのです。なぜ受けとめられなかったのか、このことについて大臣答弁を聞いておるわけです。
  65. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは、それぞれの勧告に従ってやったのでしょうけれども、それが十分なる効果をあげ得なかったということだと思います。全然しないということはないわけです。ただ、それが十分なる効果をあげ得ないということの事実は、これは現実の事実としてあらわれておるわけで、そういわざるを得ないのです。と同時に、これは政府の側も、国民全体の意識も、やはり大きな影響があると思います。私は道路関係を担当してきましたが、十二年前にいまの道路整備計画を立てたときには、今日のように整備すれば整備するほど交通戦争が起こるとは想定していなかった。これは一応道路整備されて、自動車も整備された場合においては、これを運転する人間がドライバーマナーを完全に守るということを前提にこれをやっております。しかるに、いまや道路ができればできるほど、この交通戦争が全国に起きておる、交通規制のために非常なきつい規制をしておっても、それがどんどん破られていく、こういうことでございまして、したがって、この問題は単に立法措置というだけではいかない問題です。それゆえにこそ、私は何も責任転嫁をするわけではないのですが、これはやはり国民的な合意によっての国民の努力なくしてはこういう公害問題はなかなか解決できないのです。そういう意味において、なかなかむずかしい問題であった、こう申し上げている次第でございます。
  66. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は非常に残念に思うのです。せっかく行管が三十八年にこういうりっぱな「公害防止に関する行政監察」というものを政府に出しておきながら、それに政府が対応し切れなかった。しかもその間に、国民に、公害に対する犠牲のしわ寄せが出た。そのことに対して、私は、せっかくこういう勧告が出されておるのだから、明らかにこれは政府の怠慢だと、そう言わざるを得ないのです。しかも公害防止対策行政関係の参考資料、四十五年七月に、その勧告についてどういうことが行なわれたかということをさらに詳しく監察局が出しておられるのです。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 これは二〇七とかナンバーが打ってありますが、どういうところにこの文書が出ておるのか私わかりませんけれども、少なくとももっと行政監察局の勧告というものをまともに受ける体制が必要じゃないか、そういうふうに思うのです。特に、その衝に当たる総理府は、いま植松審議官がおいでのようですが、これから——公害がすべて総理府に集中的にいっていますね。総理府はたくさんの仕事をかかえておりますね。人事の問題から、沖繩から、公害から、あらゆる各省にないものが全部総理府に、何かちょうどしわ寄せするようにきておるのですが、総理府で実際に公害問題をやっていけるという自信がありますか。現実にこの勧告によって総理府が指導しなければならなかったのだけれども、何もしておらぬわけだから、その点についてこれからやっていける自信があるかどうか、審議官としての考え方を述べてください。
  67. 植松守雄

    ○植松説明員 私は内閣の公害対策本部でございます。いま事務所がございませんので総理府の中におるわけですけれども、本部自体は、これは所属は内閣でございます。したがいまして、総理府というのは、各省のその他の事務に属さないものを何でもやるという形になっておるのですけれども、組織としては内閣の公害対策本部、これは独立いたしております。それで、十五名の審議官と、さらに全体で三十四名の職員が各省から出向いたしておるわけでございます。  いまお話しがございましたように、これまでややもすれば公害関係の対策が後手後手であったというそしりは免れないと思います。しかし、私は、いまこの三十八年の勧告を読ましていただきまして、確かに非常に総合的に整備された勧告であるということがわかったわけでございますが、それよりも、最近における日本経済の発展というのがさらに予想を上回ったものであって、四十一年度のGNPの、ことしはその倍になるというようなことでございますから、とにかくそれに伴って公害が激化してきたというバックグラウンドがあるということであろうかと思います。政府のほうといたしましても、確かに、四十二年の公害対策基本法というのはこの行政監察の結果の勧告を重要な参考資料として制定されまして、そして急ピッチで法制の整備を進めてまいっておるわけでございます。今回十四法案を取りそろえてこの公害国会に御審議願っておるわけでございますが、この公害対策本部発足以来四カ月の間に十四法案をまとめたというのは、やはりいままでの各省の行政だけではとうていここまでできなかったのではないかというようにわれわれ考えておるわけでございまして、やはり全体の調整機能としての公害対策本部として、それなりに十分に機能を果たしておるのではないかというように考えております。いままでの間はその法案の整備に追われたのでございますけれども、さらに実施の面につきましても、順次いろいろルールをつくりまして、各省の行政の調整をはかっていくという形で、これまでの四カ月の経験から相当やっていけるのではないかというようにわれわれとしては考えておるわけでございます。
  68. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの審議官のお答え、よくわかりましたけれども、いまここで幾ら追及してもしかたがないわけですが、しかし、私がここで言いたいのは、三十八年の十二月に公害問題でこういうすばらしい勧告を受けたのに——すばらしいということばは悪いけれども、こんな内容充実した勧告を受けたのに、いまの政府にそれに対応するだけの姿勢がなかったというところに、私は国民の立場に立って非常に不満を感ずるわけです。ですから、このことを幾ら責めてもしようがないですけれども、これからもあることですから、こういう問題については、すばやくこれに対応するだけの姿勢というものをぜひ政府はとっていただきたいということを注文つけたいと思います。  それでは監察局長、何か会議の御予定があるそうですから、どうぞお引き取りください。ありがとうございました。  次に、大臣のほうの御質問はちょっと控えさせていただいて、あとに譲らしていただいて、実は、この「公害防止対策行政関係参考資料」は、厚生省のほうにもすでに監察局のほうからこの資料がいっておると思うのですけれども、この四〇ページに、昭和四十五年一月十日のカシンベック病の問題が取り上げられておるのです。それで、御承知のように、公共用水の水質基準を適正にするための努力をこれから法改正その他によって、下水道整備によって行なっていくわけでありますけれども、このカシンベック病の原因というのが、実は千葉大学の滝沢名誉教授の話によりますと、飲料水の中に含まれておる有機物の量がそのカシンベック病の原因になると推定されておる。これは骨格の奇形を引き起こす病気ですね。この教授の研究結果によると、こういう患者を防ぐためには、飲料水中の有機物物質をチェックする以外にない。その濃度を低める必要がある。こういうふうに滝沢教授以下百名近くの教授が言っておるのですね。ところが、実際現在の水道法の水質基準では、厚生省令によって有機物の含有量は一〇PPM以下にしなければならぬ、こう定められておるのです。ところが、この一〇PPMの省令に対して、こうした滝沢名誉教授等を中心とする学者グループは、この一〇PPM以下となっておるのを少なくとも年間を通じて平均で七PPM以下に押えなければならぬというふうに現在言っておるわけなんですね。それで、東京都のほうを調べてみましたところが、東京都のほうは省令で確かに一〇PPM以下になっておるけれども、処理の目標としては三PPMにおさめるように努力しておる。三PPM以下に押えるためには通常の施設の十倍の金がかかるそうです。現在、何かむずかしい学術用語でパラヒドロキシ桂皮酸あるいはフェルラ酸というような有機物がそのカシンベック病の犯人になっているのではないか、原因になっておるのではないかという疑いがあるけれども、これが除去については現在開発研究中だ、したがって、カシンベック病を防ぐためには、活性炭の量をふやす等をして、全体の有機物を押えることによってカシンベック病を押える努力を東京都はしておるのだ、私が調べたら東京都のほうではそういう回答なんです。少なくとも、このカシンベック病の原因としてある有機物、これがあるからカシンベック病が起こるのかどうかという明確な学説というものは、確定的な要因はないけれども、疑わしいということだけは学説的にはある。だとするなら、この公害問題に関連をして現在ある省令の、上水道の有機物一〇PPM以下というのを七PPM以下くらいに押えるというふうに改めて、少なくともカシンベック病の原因になるという疑いがあるものを押えるということが私は必要じゃないかと思うのですが、この点について、厚生省の水道課長さんが来ておられますから、ひとつ説明してください。
  69. 国川建二

    ○国川説明員 カシンベック病に関することについて御説明申し上げます。  いま先生からお話がありましたが、大体において先生が申されたようなことでございますが、水道の水質基準と申しますのは、御承知のように健康障害だけでなく、利用障害その他を含めまして全体で二十七項目きめております。そして、そのそれぞれの項目ごとに、長い間に得られた知見並びに医学的な観点から数字を最大許容量をきめておるのでございまして、いま御指摘の有機物に関しましては、一応水中の酸化されやすい物質の量を測定するということから、過マンガン酸カリ消費量という項目で規定いたしておるわけでありまして、御指摘のように、水質基準の値は一〇PPMとなっております。参考までに諸外国の基準を申し上げますと、おおむね一〇PPM以上でございまして、WHOの基準も一〇PPM、西ドイツも一〇PPM、それからスエーデンあたりになりますと、二〇ないし四〇PPMというような基準を採用いたしておるわけであります。カンシベック病に関しましては、御承知のように、今世紀の初めに発見された疾病としまして、主として戦前はシベリア及び満州で患者が多いという報告がございました。戦後、また最近国内にもそういう患者がいるんだという学問的な研究発表が行なわれているところでありまして、その原因は千葉大学の滝沢先生によりますと、有機物との関連があるという御指摘があるわけでございます。しかしながら、先ほども説明申し上げましたように、有機物の量をはかる指標といたしまして、過マンガン酸カリ消費量で申し上げますと、基準値は一〇PPMでございますが、先生のおっしゃる七PPMという数字が、病気の原因物質との関連と申しますか、その因果関係が必ずしもなお十分でないような判断がございまして、実はこの病気の本体そのものにつきましても、学問的にも十分な知見が得られてないという段階でございます。しかしながら、御指摘のように、おそれがあるならば、それを下げるということはこれはけっこうでございます。また、事実、各水道におきましても、一〇PPMという数字は最大許容量でございますので、できるだけ下げるという目標で運転いたしておりまして、ほとんどの大部市の水道におきましても二ないし三、あるいは五PPM以下ぐらいで供給されておるのが実情でございます。したがいまして、この基準値の改定につきましては、疾病そのものの本体、その原因物質と思われるもの、研究発表の中ではフェルラ酸、パラヒドロキシ桂皮酸といわれておりますが、これだけなのか。あるいはこれが間違いないのかといったような判断もございますので、いま直ちに有機物量といたしまして過マンガン酸カリ消費量の一〇PPMを改定することについてはなお検討させていただきたいという考えを持っておりまして、なお、今後、この問題につきましては十分検討いたしまして、必要があると思われますれば、直ちに改正いたしたいというふうに考えております。
  70. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 水道課長の御説明でよくわかるのですけれども、現実に各都市が五PPM以下にしておるとするなら、疑わしいということは学説的に出されておるわけですから、東京都のように、有機物を、どの有機物ということじゃなくて、全体の有機物を押えるために活性炭をふやして三PPMにしておるわけです。だから、そういう疑わしい問題があるんだから、厚生省としては、省令ですから、これを現状に合わして五PPMなり七PPM以下に押えるということが、国民の立場に立って当然正しいことじゃないですか。実際に犠牲が出てからPPMを下げてもおそいですよ。おそれがあるというのを今度の公害基本法から除きましたけれども、それと同じですよ。人間が実際に病気にならなければPPMも下げない。そうじゃなくて疑わしいんだから、事前に省令で少なくとも一〇PPMを七PPM、五PPMに下げる。現実に各都市でそういうことをやっておるのですから、そのことについてはぜひやってもらいたいと思うのですが、厚生省どうですか。
  71. 国川建二

    ○国川説明員 ただいま申し上げましたけれども、一〇PPMを変えないと申し上げているわけではございませんで、七PPMという数字自体につきましても、はたして七PPMでいいのかどうかといったようなことにつきましても、基準を定めるといたしますならば、かなりの知見を得た上でいたさなければならぬ。全国の水道に適用されるということでございますから、したがいまして、それらのことも十分考えながら今後検討してまいりたいと思っております。
  72. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ水道課長、ありがとうございました。  幾ら公共用水等をよくしてみても、下水道をつくってみても、結果的に、取り入れ口で飲料水に戻るときにそういう問題が出たのでは非常に困りますので、ぜひ厚生省のほうでそういった点について御検討いただきたいというふうに思います。  それでは、たいへんほかのことに走りましたが、下水道の問題について若干これから御質問をいたしたいと思うんです。  昭和四十一年度下水道に関する行政監察を長期にわたって監察局が行なった、その結果を四十一年九月二日に建設省に対して勧告をしておるわけですけれども、その勧告に対して現状満足しておられるかどうか。昭和三十三年に下水道法が全面的に改定になりましたときに、下水道事業は、従来の下水、雨水の排除処理のためだけではなく、水質汚濁による公害に対処し、水資源の質的保全を確保するための抜本的な解決策であり、水質汚濁にかかる環境基準についても下水道整備なくしてその達成は不可能である、こういうふうに下水道法の全面改定のときに政府は提案趣旨として説明をしておられるわけです。ところが、実際には、昭和四十四年度末現在の全国市街地面積に対して、その普及率は二二%という低さなんです。ところが、昭和四十五年六月に建設省が出しました公害対策、この資料によりますと、昭和六十年には全市街地全体に公共下水道整備する、こういうふうにこの公害対策としては提案をしておられるのです。現状は二二%です。この建設省の公害対策でいうように、ほんとうに六十年までに全市街地に対して公共下水道整備する自信があるのか、その可能性があるのかということについて、まず大臣の所見を承りたいと思います。
  73. 根本龍太郎

    根本国務大臣 端的に申しまして、日本においては、下水道があらゆる社会資本のうちで一番おくれていると私は思うんです。これは、先ほども申し上げた国民的意識がそこまでいっていなかったということもあります。しかし、今日のような情勢からするならば、これは急速にやらなければならぬと思いまして、実は、四十五年度予算編成にあたりまして、特別に私は大蔵大臣と政治折衝いたしまして、この下水道予算については内閣全体として配慮すべきだということで、相当ふやしました。しかしながら、現在の下水道五カ年計画ではとうていこれはだめだと思いまして、そこで四十六年度初年度とする第三次下水道整備計画をいま出しておるわけです。これは企画庁を中心として、内閣全体として一応合意を見たいわゆる中期経済計画の一環としての社会経済発展計画の六年間の投資総額を五十五兆円と内定した。その中で占める下水道対策費用が二兆三千億になっております。これを五カ年計画に換算しますると、二兆一千億にすぎないのです。そこで私は、この五十五兆円の総ワクをきめるときにも、一応条件をつけております。これは、まず五十五兆円そのものの見方には、私は必ずしも同意はしかねる向きはあるけれども、せっかく全体としてまとまったから、これは了承はいたしましょう。しかし、そのうち特に下水道に対して六年間で二兆三千億というのはあまりにも過少である。これは、現実にわれわれのほうで道路五カ年計画を新たに策定して要請するつもりだが、このときにあたっては、このワクは弾力的に考えてほしいということを申し出ておきました。それを受けまして、来年度予算編成にあたりましても、本来ならばこのワク内では二兆一千億にきめられてしまいます。にもかかわらず、私は二兆六千億を要求しておる。それは、五十五兆円のうちの一兆円が、これは予備費になっています。その予備費の一兆円をくずして、その半分の五千億を下水道政策にこれを充当すべきだということで、これはその旨をいまから端的に引き受けたとは大蔵省は言えないでしょうけれども、普通ならば、御承知のように、伸び率が一五%かなんかで押えられているけれども、そういうことにかかわりなくこれは出しておるということです。そこで、この第三次下水道整備計画が達成されますれば、その次の五十一年度からは年々六%ずつその伸び率が達成されて、昭和六十年度には十五兆円の投資が達成される、こう思っております。それと同時に、御承知のように、今度国会の皆さん方の熱心な御提案によっていろいろな公害対策が次々とやられていきます。そういたしますれば、排水の規制も相当厳格になるというようなことでありまして、それから都市計画も総合的にやられていくということになりますれば、昭和六十年度において、市街地の総面積が大体一万二千数百ヘクタールになると予定されますので、その範囲内における下水道はおおむね達成される、こういう計算をいたしております。しかし、これはまだ閣議了解は得ておりません。これは、どこまでも建設省としての下水道に対する長期見通しとしてそういう策定をして、それに基づいて現在予算要求をしておる、こういう段階でございます。
  74. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これもやはり建設省の資料で調べてわかったのですが、第二次下水道五カ年計画の進捗状況、これは昭和四十五年度末で、総事業費目標の六八・四%、最終年度昭和四十六年度には、総事業費の三割近くに当たる二千八百四十億円の事業が残る。こういうふうに建設省自体が説明しておるのです。さらに、これから労務費とか資材費の値上がり分を計算しますと、第二次下水道五カ年計画達成率というのはさらに下回るのではないかということを非常に危惧するのです。しかも、これを建設省が分析をしてみましたら、国庫補助事業の進捗率は六五・二%、単独事業費が七三・二%、補助事業が六五・二%、国費の伸びが低いことが、下水道の第二次五カ年計画の進捗状況をおくらせておる、こういう原因をつくり出しておるのです。だとするなら、国庫補助、これに伴う補助事業拡大、こういうことについて自信があるのかどうか、この点について明確にお答えいただきたいと思います。
  75. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般他の委員会でも指摘されましたことですが、昭和三十三年に下水道法ができながら、なぜ政令ができなかったのかという御指摘がございました、これは、先ほども申し上げましたように、下水道事業市町村の仕事にまかせっきりでございまして、都道府県すら直接関与しないというような形であったわけです。そうして建設省事業を見ましても、末端処理については厚生省がやるとか、実は、上水道、下水道、工業用水、この所管争いがかなり続いたんです。実は、私が鳩山内閣の官房長官をしておるときに、何としてもこれを解決しなければならぬと思いまして、私のときに実はこれは三分させた。ところが、それが一部事務当局がへんな妥協をしたために、下水道の末端処理は厚生省にゆだねたというような形で、これがまた非常におくれました。そういうような形で、その時点で政令をつくると、何といいますか、国家がほとんど何もしなくてもいいような形に現状からならざるを得ない。ところが、最近ぐんぐん伸びてきまして、先ほど御指摘がありましたように、補助率も相当上げたし、それから国庫負担の対象も多くした。そこで、第二次計画の達成しない前に今度新しい発足をするというのは、対象も大きくし、事業量も大きくして、その際に政令で明確にきめて発足しなければ、これは毎年毎年大蔵省の事務査定に追従せざるを得ないというような形なんです。というようなことで、実は、全部達成しないけれども、四十六年度から始めよう、おくればせながら、たまたま公害の諸問題が大きくクローズアップしているときであるから、下水道がとにかく環境の問題では一番大きなウエートを占める、人間の健康についても非常に重大な影響があるから、この際、第三次の五カ年計画を発足させよう、そうしてその発足と同時に、全体の額がきまったならば、それに対応して政令もその際にきめてしまう、こういう決心で、私は相当の決意をもってこれに臨んでおる次第でございます。
  76. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それからこれは局長のほうの、技術的な問題になると思うのですが、公共下水道は御承知のように、道路に埋設されて、生活排水、産業排水、路面排水というものをその機能としているわけですね。だとするなら、本来公共下水道道路というのは並行整備が行なわれなければならない。ところが、実質的には、先ほど大臣から御答弁がありましたように、公共下水道整備というものは道路整備に非常に立ちおくれておった。下水道投資道路投資に立ちおくれたために、掘り返しとかそういった事業量の増大というものを呼んでおると思うのですね。そういった面について、私は下水道というものは道路行政と並行しなければならぬ。道路事業費と並行して進まなければならぬ、こういうふうに思うのですが、その点どうでしょう。
  77. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいま御指摘の点、全く先生のおっしゃるとおりだと私は思います。本来、下水道道路整備というものは並行して整備さるべきものだと私は思います。しかしながら、わが国の現状はまことに遺憾でございますが、下水道は非常に立ちおくれております。逆に道路整備下水道に対しましては進んでおります。そのために下水道があと追いのようなかっこうでもって、整備された道路の下に管渠等を敷設していかなければならない。そういう場合におきまして、いろいろな経費面のマイナスもあるやに伺っておるわけでございます。この現実につきましては、これは事実でございまして、私どもはこれから下水道投資を極力ふやしていきたいと思っておるわけであります。その際におきまして、まことに局部的な対策といわれるかもわかりませんが、これから道路を掘り返します際のいわゆる地下埋設工事につきましては——下水だけじゃございませんで、電気、ガス等々もございます。そういった関係事業者と道路管理者が中心になりまして協議会を年度当初に持つようにいたしております。そうして、その協議会でもってできるだけ掘り返しの調整をやっていくということを現在もやっておりますが、下水道投資がどんどんふえますので、今後さらに強力にこの協議会を活用いたしまして、関係の地下埋設工事の事業についての調整効果をあげるようにしていきたいということを申し上げたいと思います。
  78. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 将来そういう意気込みであるということでございますから、いままでなぜそうであったかという原因についての追及はやめます。  それから、これまた技術的なことですが、公共下水に工場排水と家庭排水が一緒に流され、終末処理場に流されていきますね。それは実際に活性汚泥法によって処理可能なのか。各工場に除害施設をつくって、そして公共下水道へ流す。それに家庭排水もずっと流れてきている。そして終末処理場に行く。実際に家庭排水と工場排水が同時に終末処理場に入って処理できるかどうか、私は疑わしいと思うのです。その点について、出てきたすべての金属と家庭排水を一緒に処理することが妥当なのかどうかということについての御見解を伺いたいということが一つ。  それから活性汚泥法によるケーキ、ヘドロ、このケーキが現実的に東京の場合には処分できずに海上投棄しておるのですね。御承知のように、どろの中には重金属、農薬等の毒物が含有されておる。これを海上に投棄するから海洋汚染源となっているのですね。ところが、実際問題として、東京が毎日出すケーキの量というのは千二百万トンになる、こういうふうに予測されておるのですね。都市の集中化に伴っての活性汚泥法によるケーキの処理のしかた、これについては実際に解決策があるのかどうか、この二点についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  79. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まず最初のお尋ねは、家庭下水と工場排水を共同で処理することがはたしてうまくいくのかどうかというお尋ねであったかと存じます。  先生も御指摘のように、特に悪質の、いわゆる有毒の重金属類等の物質を含みました下水、これは工場自体で処理をいたしまして、完全に処理したものを排水して下水へ流すということを、私ども、法律の上におきまして手当てをしておるのでございます。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、工場、事業場の排水につきましては、一般的にはある程度の除害施設を通って下水管のほうに入ってくるわけであります。一般の家庭下水と一緒になってこれは処理場に回るわけであります。都市の市街地におきまして下水道整備をやる場合、工場と一般家庭の排水を分けて処理することはなかなかたいへんなことであります。経済的にもいろいろ問題があろうかと思います。私どもは、今後、そういう工場、事業場も含めまして、一般家庭下水とともに下水道整備を極力はかっていきたい。その際に、そういう特殊な有毒物質を含みます下水につきましては、特に厳重な監督をいたしまして、工場の前処理でそういうものが入ってこないように徹底してまいりたいと思います。  それから第二点のほうの汚泥関係の問題でございますけれども、これは、これから下水道整備されるに従いまして、出てきます汚泥もふえてまいります。この汚泥の処理につきましては、物質循環の法則と申しますか、やはりもとの自然に返すというのが一番いいわけでございます。かつまた、そういう地域地域の都市状況によりまして活用の方法もいろいろあろうかと思います。農村地域におきましては、これをまた肥料に還元するという方法もありましょうし、都市地域におきましては、焼却いたしまして埋め立て関係の用地に使うとか、いろいろ方法はあろうかと思います。ただ、御指摘のようなそういう有毒物質、これはあくまでも発生源のもとにおきまして厳重に規制をしていくということをいたしませんと、現在の下水の処理技術ではとてもそういうものは処理しきれないというふうな状況でございますので、前段で申し上げましたような趣旨におきまして、そういうものがいわゆる汚泥の中に入ってこないように、なお一そうの指導なり監督を強化してまいりたいというふうに考えております。
  80. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、私、いまの答弁に対して具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  今度の法改正によって、除害施設の設置について、あるいは工場排水について、こういったものについてはすべて届け出をすることになっておりますね。ですから、今度の法改正で一応強化されたというふうに政府はお考えになっておると思うのですけれども、いまかりに除害施設の設置してある工場から届け出以上の水質を持った工場排水を排出したという場合に、どうやって予知しますか。今度の法改正によって届け出をすればこと足りると言っておられますが、工場が届け出た以上の工場排水を、ほんとうは有毒物質を処理しなければならぬのだけれども、流してしまった、それをどうやって予知しますか、具体的に答えてください。
  81. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 今度の改正におきまして、そういう一定の水質、水量を流す工場、事業場に対しましては、その流しますところの下水につきまして届け出の義務づけをいたしております。また、その記録保存、適宜報告の義務も課しております。御指摘のように、そういう下水につきましては、届け出によりまして、私どもは一定の基準によって除害施設を設置させるというふうな義務も課しております。そこで、その除害施設がはたして管理者のほうで示した基準どおりに動いているかどうか、操作されているかどうかということを、常時パトロールいたしまして監視いたします。かりに、違反があった場合には、直ちにその改善命令を出すことになっております。その改善命令に対して従わない場合におきましては、所要の罰則の規定を今回は設定いたしております。こういう方法によりまして十分そういうものに対処いたしますように万全を期していきたいと思っております。
  82. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私、いまのことは非常に大切だと思うのです。届け出をした企業を信用するわけですね。届け出たらそれでよろしい。ところが、いまそこで基準以上の、届け出以上の工場排水を出した、毒物を出した、それは予知できないでしょう。そのときに、常時パトロールするといっても、そこにつきっきりでおるわけじゃないのですから、それをどうやって予知するのですかと言うのですよ。いま言ったようなことで予知できますか。予知する問題について聞いておる。ですから、届け出義務じゃなくて許可制にする。実際にチェックしてみて許可をする。届け出をすればこと足りるというのではなくて、許可することによって、そういったものに対してもっときびしい制限をする。こういうことをすることによってそういった不正行為というものが防げる。流してしまったらだめですからね。事前に予知する、事前に予防する、こういう措置の法改正でなければならぬと私は思うのですが、いまのこの法改正でこと足りる、こういうふうにお考えになりますか。もう一ぺん答弁してください。
  83. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 法令でもっていろいろ順守しなくちゃならないということが規定されているにもかかわらず、それを守らないというものに対してどうするかということかと思いますが、先生御指摘のように、届け出を許可制にしたからそういうものが直ちにキャッチできまして、直ちに措置ができるというふうには私は思いません。この問題につきましては、やはり下水道管理者が、そういう除害施設を設置いたしましたものに対しまして常時管理監督を徹底するということも大事でございますが、当然に工場、事業場側の良心的な協力というものが必要でございます。しかし、万が一そういう不心得者があった場合におきましては、これは地域の住民なり、そういうものの協力を得まして早期にキャッチをいたしまして、直ちに適切な措置をとるということをいたすよりしかたがないわけでございます。それに対しましてなお順守しない場合におきましては、所要の罰則なり是正の手段を講ずるということをいたすよりしかたがないというふうに私ども考えております。
  84. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 せっかく下水道法改正するわけですから、そこが非常に大切なところなんです。だから、除害施設をつくらせ、常時パトロールするといったら、一体どれだけの人員が下水道管理者に要るようになるのですか。常時監督するということになれば、ものすごい人数が要るのですよ。あなたはそういうことによって防げると言われるけれども、業者が信用できる、こういうふうな前提に立てば、それは私はいいと思うのです。ところが、東京で除害施設をつくっておる工場といったら二〇%ですよ。残り八〇%は全部たれ流しですからね。東京で調べてみたら全部たれ流しですからね。そういう企業が信用できますか。これだけ公害が騒がれておって、東京都下の工場で除害施設があるのはたった二〇%、あとはたれ流しだ。そういう状態を考えたときに、除害施設をつくって、そして実際に業者の良心で流さないという保証ができますか。あなたはあると言われる。しかも、結果が起こったら処罰する、こう言われる。結果が起こったらもうおそいのですよ。毒物が流れて事故が起こったらおそいのです。流さないようにするための予知ですね。いま流したら予知できる、こういう体制についてどう考えておられるのですかということなのですよ。くどいようですが、これをもう一ぺん聞かしてください。
  85. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まず、許可制にするということにつきましては、これは下水道法のたてまえ上いろいろ問題があろうかと思います。と申しますことは、下水道というものは、一定の市街地におきまして公共団体整備するわけでございます。そういたしますと、一般の家庭のみならず、工場、事業場につきましても、ここに下水を流し込まなきゃならぬという、なかば強制的なそういう義務づけの規定もございます。そういうたてまえからいきまして、これを許可といいますか、禁止の解除といいますか、特別な許可制にするということは、これは法制上いろいろ問題はあろうと思います。それから、これをどう担保するか。かりに不心得者がおって流した場合には——下水道はこれから終末処理場というものを必ず持たせることにしております。かりに発生源の工場からそういうものが流れ出たといたしましても、一般公共水域に流れる前に、終末処理場におきまして、水量、水質の規制を下水道管理者はやることになっております。そういう段階でこれの状況をキャッチするという方法も私はあろうかと思いますが、やはり根本は、管理者、工場、事業場、それから関係地域の住民といったようなものがお互いに相協力し合って、そういうことがないように努力していくよりほか方法がないのじゃないか、かように存ずるわけであります。
  86. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうすると、工場のほうがいま言われたように届け出以外の毒物を流した、終末処理場でそれは処理される、こう言われますけれども終末処理場で処理されないものが流されて出ていく場合があるわけですね。御承知のように、終末処理場で処理できるものは限定されておるわけですから、終末処理場で処理できないものを除害施設で除害せよというのが今度の法の改正ですからね。そこから流れてきたものは、終末処理場で処理できないものはどうするのですか。しかも、汚濁法でいくと、BOD二〇〇で入ってきたものをBOD二〇に下げて放流するわけですね。そうすると、BOD二〇で出たら、これは普通の天水、流水、通水によって薄められて、BODがずっと下がるわけです。だから、出口でBOD二〇、こういうふうに基準が定められておると思うのですが、東京都のように流水とか通水のないところでは、BOD二〇で放流したものがそのまま川を流れるわけです。そうすると、BOD二〇では魚も住まぬわけですから、毒物が流されておるということになる。工場から流され、終末処理場でも処理できなかった、しかもBOD二〇に下げて放流された、そしてずっと毒物が流れておる。魚が住んでおれば、浮き上がって、これはたいへんだ、毒物が流れて生物が死んでおるからたいへんだということで、警報を発することができるけれども、BOD二〇では、魚も住まぬですから、警報も発せられないのですよ。これはどういうことなんでしょうか、その点をひとつ明確に答えてください。
  87. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 たびたび繰り返すようでありますが、結局、今回の改正を機会に、一定基準以上の工場、事業場につきましては完全な除害施設を必ず設置させる、それからそういう設置されました除害施設に対しての下水道管理者側の点検の強化をさらにはかっていく、そういう総合的な対策を講じまして、先生の御指摘のような、そういう事態が起こらないように、それを未然に防ぐということをいたすより方法がないと私は思います。  それから、先ほどの、処理場に来ました場合におきましては、これは確かに処理場でも処理不可能な性質のものもあろうかと思います。私は、その段階でそういうものを事前にチェックするといいますか、情報をキャッチして、直ちに手を打つという場合もあろうかという意味で申し上げたわけであります。
  88. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結局、監視パトロールを強化する以外に方法がない。これしかきめ手がないわけですね。いまの答弁を聞いておりますと、現在の法改正では、さらに実効をあげるためには、まず業者を信用する、そしてパトロールを強化する、こういう以外にないですね。それだけがきめ手で、あとはだめだ、こういうふうに理解をするわけですが、そうですか。
  89. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 パトロールを強化することも当然でございますが、その前に、そういうものが流れ込まないような的確な除害施設を設置させる、その点検を常時やる、こういうことかと思います。
  90. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 的確な除害施設をつくらせるということだから、的確な除害施設であるかどうかということで許可制にしたらどうなんですか。届け出じゃなくて、的確なものをつくらせる、つくったから使用を許可する。あなたの言っておることを裏づけるのは、当面の措置としては許可制にする以外にないじゃないですか。あなたはいまそう言っておるのですよ。どうです。
  91. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 届け出制か許可制かの議論は、先ほど私がちょっと申し上げました下水道法の現在の法制のたてまえからいきまして、はたしてそういうふうなたてまえがとれるかどうか、いわゆる許可制というものがとれるかどうかという点については、これは私、若干疑問もあろうかと思います。これは私どもも十分検討させていただきたいと思います。
  92. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 疑問があるからできぬのじゃなくて、公害というのは国民の生命にかかわる問題でしょう。国民の人体生命に影響があるとするなら、法体系上云々じゃなくて、そういうふうに法体系を改めていかなければいかぬのじゃないですか。逆じゃないですか。どうでしょう。
  93. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 本件につきましては、十分検討させていただきます。
  94. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 検討するそうですから、もうこれ以上申し上げません。  それで、課長さんにちょっと説明員になってもらいたいのですが、課長さんは、調べてみましたら、一九六〇年ごろに、この下水道の問題でイギリスに留学しておられますね。一九六〇年といいますと、一番テームズ川がよごれておったときなんです。ところが、たった五年後の一九六六年には、もうすでにテームズ川には魚が住めるような状態になっているんです。あなたはよく研究してきておられると思うのです。それから、建設月報によりますと、課長さんは米国の水質汚濁による公害対策も研究しておられますし、「新都市」によりますと、課長さんは、欧米における水質汚濁対策で、イギリス、フランス、アメリカ、あらゆる各国をずっと回っておられるのですが、実際に魚が住まないということはたいへんなことだと思うのです。水質基準がどうのこうのということがありますけれども課長さんのこの御報告によりますと、フランスでは水質基準が生きものによってきめられておりますね。水質基準の第一級は、サケが生息する、第二級及び第三級の河川はコイが生息する、第四級の河川はある種の魚が生息可能なところだ、こういうふうにフランスではきめられておるのだそうですが、水質の汚濁を予知できるのは、私はやはり生物だと思うのです。ところが、御承知のように、東京に例をとっても、多摩川、隅田川は魚などは一向に住んでおらぬですね。すると、直接人間に事故が起こってしまったんじゃもうおそいのです。植物とか、魚とか、動物とか、こういうものが被害を受けて初めて危険だということの問題について予知できるわけです。そうすると、東京なんかでは、実際にBOD二〇で活性汚泥法で出された汚水がそのままの状態で流されておるわけですね。そのほかの天水、通水は全然ないんですから、BOD二〇のまま流しておる。魚も何も生息できない。そうすると、毒物がそこに流れたときには、国民は予知できないのですよ。その周辺に生活している者はね。だから、一日も早く魚を生息させる状態、微生物を生息させる状態にこれを戻さなければならない。課長さんがたまたま一番よごれておるテームズ川の状態を見られた一九六〇年から五カ年の間に、もうテームズ川では魚つりができる、魚が住んでおるという状態になったんですね。隅田川あるいは多摩川を五カ年間で魚が住めるような状態にするという自信がありますか。もちろん、建設省以外のあらゆる各省にまたがった問題ですけれども。しかし、河川という問題、下水道という問題をかかえておる建設省の所管事項ですから、隅田川、多摩川については、テームズ川のように五カ年間で魚が住めるような状態にするということを国民の前に確約できますか。あなたは見ておられる。現実に行って見ておられるのですが、どうでしょう。
  95. 久保赳

    ○久保説明員 非常にむずかしい問題で、自信ありやという御質問かと思いますが、先生御指摘のテームズ川の問題でございますが、これはテームズ川の汚濁対策ということで、英国の政府がかなり綿密なる調査をいたしまして、どういう対策をもってテームズ川をよみがえらせるかということの対策を立てたわけでございます。それのまず第一は、第二次大戦中に非常に整備がおくれたロンドンの下水処理場の強化ということがございます。それからさらには、テームズ川上流におきます各都市の下水処理の強化、この二つを組み合わせることによって、約十カ年を要しましたけれども、最近では魚がのぼってくるという状況になったわけでございます。これはロンドン周辺の下水道がテームズ川に入り込みまして、結局テームズ川の酸素が欠乏して魚が住まなくなったという問題を解決したということになるわけであります。  そこで、隅田川あるいは多摩川という御指摘でございますが、隅田川につきましても大体事情は同じでございます。そこで、建設省でも、昭和三十八、九年ごろからこの問題に取り組んでおりますが、問題の解決方法は三つあろうかと思います。まず第一は、ロンドンのテームズ川と同様に、隅田川に流入する地域の下水道整備の問題でございます。これに対しましては、東京都の下水道整備地域——これは非常に広うございますけれども、その中で一番汚濁源の中心になっている地域の下水道整備重点を置いたわけでございまして、これは板橋地区、隅田川の一番上流の新河岸川の流域地区でございますが、この地区の下水道整備して、処理場を設け、処理をして放流をする、こういう事業を強化をいたしました。それからさらには隅田川周辺の、たとえば石神井川あるいは神田川周辺の下水道整備を行ないました。さらに、下水道以外の対策といたしましては、河川局長がおられますけれども、利根川から水を荒川に導入し、荒川からさらに隅田川に毎秒十トンないし二十トン近く導入をする計画実施したわけでございまして、そのほかの補完的な対策といたしましては、隅田川の河底にたまったヘドロを川底から取り上げる。この三つの対策を実施することによりまして、現在隅田川は必ずしも魚が十分住めるという状態にはなっておりませんけれども、そういう対策を実施する前にはほとんど魚が皆無という状況でございましたが、ごく最近の状況によりますと、非常に汚濁に強い魚、モスキートフィッシュとかという魚のようですが、ぼつぼつあらわれ始めた。たとえば下水処理場の隅田川への放流口には魚が集まってきております。したがって、いま言った三つの対策を強化する、特に下水処理を強化することによりまして、隅田川に魚が住む、隅田川で魚つりができるということも不可能ではない、かように私は考えております。
  96. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 よくわかりましたが、いつごろですか。行政というのは、先ほど言いましたように、遅速ではいけないのです。目標はいつごろですか。この「テームズ河の汚濁の現状と将来」によって見ても、ちゃんと目標を持って魚が住めるようにしたわけです。これは全部英国関係だが、あなたから聞いたのだから、課長さんのほうが私よりも詳しいのです。建設省目標を定めて、いつ魚が住める状態になるかということを答弁してください。
  97. 久保赳

    ○久保説明員 いつまでに魚が住めるようになるかという御質問でございますが、このたびの建設省が提案をいたしております第三次下水道整備五カ年計画、これが二兆六千億投資をすることに建設省案ではなっておるわけでございますが、その計画の中で、隅田川のように公害対策基本法によりまして環境基準がきまっておる河川は、その環境基準を達成する措置を五カ年以内にとれというような閣議の決定の方針でございますが、五カ年以内に二兆六千億では、どうしても環境基準が達成し得ない水域がかなりございます。隅田川もその一つでございます。したがいまして、五カ年で下水道投資二兆六千億を整備いたしましても、隅田川は、完全に環境基準を達成し、しかもなお魚が住むという状況になり得ませんけれども、可及的すみやかに整備をすることによって環境基準を達成すれば、非常に低級な魚が住むところまでは改善し得るのではないか、かように考えております。
  98. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 予鈴ですから、一応保留します。本会議が終わったあとで……。
  99. 金丸信

    金丸委員長 午後二時再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ————◇—————    午後二時十三分開議
  100. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  101. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、持ち時間がすでに経過いたしましたが、もうしばらく時間をいただいてお尋ねをいたしたいと思います。  大臣には一番最後にお尋ねいたしますが、その前に技術的な問題であります。  一つは、東京都下に工場排水のみを処理する工場、浮間処理工場がございます。コンビナート地区その他の地区においては、家庭排水と工場排水に対する処理というものは、終末処理を分けるべきだというふうに私は考えるわけですけれども、そういった意味で、浮間処理工場の内容を調べてまいりますと、廃水を排出する工場の種類は、メッキ工場、化学工場、薬品工場、パルプ工場がおのおの四分の一ずつこれに存在しておるようであります。性質の違う廃水をそれぞれの工場が出し合って、たとえばメッキ工場からシアンが出る、パルプ工場からまた違う性質のものが出る、そうしてそれぞれの工場で出す性質の違う廃水によってお互いが薄め合って、排出基準を満たすような結果というものが浮間処理工場の場合には出てきておるわけなんです。もう処理する前に、各工場から出す廃水が相互に薄め合って排出基準を満たす、こういう現象が出てきておるのです。こういう現象がはたして将来問題がないのかどうか、危険がないのかどうか、その点をまずお聞きをいたしたいと存じます。これが第一点です。  それから第二点、企業の負担の問題でありますけれども、専用で工場排水のみを処理する処理工場に対する企業側の負担——利用するための負担じゃありませんよ。建設するための負担、こういったものについてはどのように考えておられるのか。主として工場排水を処理するための処理工場建設に対する企業負担についてはどうなのか。  この二点についてお尋ねいたします。
  102. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まず、最初のお尋ねでございます東京都下の浮間処理場の現状と、これに対する今後の考え方いかんということかと存じますが、浮間処理場は、東京都が施行いたしました処理場でございまして、隅田川の最も大きな汚濁源になっておりますところの新河岸川流域のうちに、北区の浮間町周辺に約七百三十工場ございますが、これを対象にいたしまして、隅田川の浄化対策として、昭和四十年から工事にかかり、四十三年に一応計画が完了いたして運転を開始しておるのでございます。この処理場は、工場排水及び周辺の一般家庭汚水を暫定的な水路によって取り入れまして、これを、生物化学的な処理と薬品処理によりまして、BODで申し上げますと、大体一二〇PPMまでカットいたしまして、それを新河岸川に放流するという内容のものでございます。したがいまして、これはあくまでも暫定的な措置でございまして、引き続きまして、隣接の新河岸川の本格的な処理場を現在建設中でございます。この処理場建設されますと、浮間処理場の処理施設がすべてこの新河岸川の処理場に入ります。ここでさらに高級処理が行なわれまして、BODで申しますと、現在の排出基準でございます二〇PPMまでこれを下げまして隅田川に流すというふうなことに相なっておるわけでございます。浮間処理場は、いま申し上げましたように、そういう暫定的なとりあえずの緊急対策として実施いたしましたもので、今後、こういった、主として工場等の事業活動に伴いますところの下水の処理につきましては、従前から特別都市下水道ということで実施してまいっておりますが、これをさらに、今後は、公共下水道の一つの部門としてその整備をはかっていきたいと思います。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕  そこで、第二点のお尋ねの、そうした事業活動に伴いますところの工場排水を処理するための公共下水道というものの費用負担はどうかというお尋ねでございますが、今回の企業者負担法におきましては、そういう大多数の事業者からの排水を受けて処理するための公共下水道建設につきましては、その建設費の一部を企業者に負担させるたてまえをとっております。その負担の考え方はいろいろあろうと思いますが、建設費を、その企業が流しますところの工場排水の量並びに質に応じまして配分をして、全額負担させるべきであるという考え方もあろうかと思いますが、午前中からも御答弁がございましたように、やはり一般の企業といえども一般家庭汚水並み程度の濃度の下水は、これは防止事業として公共団体実施する以上は、その分は公的なもので負担させるのがしかるべきじゃないかというふうな考え方に立ちまして、工場側がそれぞれ除外施設はその排出基準に応じまして設けますが、それから下水に入ってきます下水の水質が、平均的な、一般的な家庭下水の水質以上に悪いのが通例でございます。その悪い分につきまして、各企業に建設費の一部を割り当てまして負担をさせるというふうな考え方が今回の費用負担法のたてまえになっているわけでございます。したがいまして、一般の家庭下水並みは、これは一般家庭下水と同じように受益者負担金なりあるいは使用料といったような面において負担するという関係に相なるわけであります。
  103. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 わかりました。その施設建設のための企業負担、これは具体的には政令できめるのですか。具体的なものはもうでき上がっておりますか。
  104. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 これは公害防止事業の費用負担法という法案が通過いたしましたならば、同法の政令でもってその割合の考え方を規定することになります。
  105. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その具体的なものはまだでき上がっておらないのですか。
  106. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 あの費用負担法は下水関係だけではございませんで、いろいろなものがございますが、下水に関しましては、通常四分の一から二分の一という範囲内においてそれは定めるというふうな案になろうかと思います。法律の考え方からいきますと、さっき私が申し上げましたような計算ですれば出てくるわけでございます。それがいろいろ前提のデータのとり方等によってしかく明確に割合が出ないという場合には、これは負担法共通でございますが、概定割合というふうなものを定めまして、施行者がその範囲内においてその負担をきめるというたてまえをとっております。それによりますと、おそらく政令では二分の一から四分の一というふうな建設費の負担ということになるのじゃないかと存じております。
  107. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 さらに技術的な問題ですけれども、御承知のように、公共下水道に家庭排水あるいは工場排水等が入るのが合流式ですね。ところが、実際にはそれが降雨した雨水も含まれて終末処理場に流れていく、こういう状態が出ておるのが現実だと思うのです。そうした場合に、現在の終末処理場の許容量、キャパシティ、これが具体的に雨量まで含めて処理する能力があるのかどうか。終末処理場建設する場合に、その雨量も計算されてできておるのかどうか。私が知る範囲内では、降雨量そのものが非常に多かった場合には処理場に入らずに放流される、処理能力がないために、処理場に入る前に公共用水路に放出される、こういう現実的なものがあるわけですけれども、こうした問題について、どのように終末処理場の許容量を計算をしておるのかどうか、その点をお答えいただきたい。
  108. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 技術的な問題でございますので、下水道課長からひとつ……。
  109. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、下水道の排除方式には合流式というのと分流式がございまして、合流式におきましては雨水も汚水も一緒に排除するやり方でございますので、降雨時にはその全量が終末処理場にくることになりますれば、膨大な終末処理場施設の建設となるわけでございますので、現行ではほぼその地域の状況に合わせまして、汚水量の三倍から六倍量の分だけを終末処理場で処理できるように考えておるところでございます。したがいまして、それ以上の汚水まじりの雨水は終末処理場を通さずに公共水域に放流される、こういうことになるわけでございます。
  110. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その場合に、たいへん技術的な問題になるのですが、処理場を通さずに工場排水が汚水と一緒に公共用水路に出るという場合に、何らかの不都合なり危険というものは考えられませんか。
  111. 久保赳

    ○久保説明員 降雨時に、先生御指摘のように、雨水まじりの汚水が処理されずに放流されるわけでございますが、一般的にいいますと、降雨時には河川そのものの流量がかなり多くなっておりますので、従来は、その程度のことで一般的な公害問題が起こらないという判断で計画設計をされておったわけでございますが、今後の非常に高密度な社会における河川におきましては、そのような場合でも公害問題が起こり得るということが予想されますので、目下、合流式の下水道のそのような水質的な弱点をいかに改善すればいいかという問題について検討中でございます。この次の第三次五カ年計画の中には、非常に著しいそういう弊害が起こりそうな場所につきましては何らかの改善措置をとるようにつとめてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  112. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 さらに技術的なことになるわけですが、工場地帯は別にいたしまして、最近は非常に家庭排水がふえてきておる、こういうことがいわれておるのです。工場排水につきましては除害施設を義務づける、こういうことによって一応その目的を達することができたにいたしましても、家庭排水までは規制することができない。ところが、御承知のように、いま、文化国家といわれておる日本において、一人当たりの水の使用量というのは三百リットルといわれておる。ところが、将来さらにどんどんと生活環境が変われば、一人当たり五百リットル近くの水を使うだろうというふうにいわれておるのです。しかも、それだけ大量の家庭用水を使うような状態になりますれば、その排水の内容が大きく変化をしてくる。特に、御承知のように、家庭洗剤、化学洗剤という、終末処理場で処理不能のものまでも各家庭で使われておる。こういったことを考えてまいりますと、各家庭ごとに除害施設をつくらすことは、これは負担する側からいえばたいへんな問題なんです。だとするなら、家庭で使用する洗剤、そういったものについてもある程度基準をきめて規制する必要はないのか。特にこれからさらに三倍から四倍近く各家庭の洗剤の使用量がふえるといわれておるわけでありますから、こういう洗剤等についての規制が行なわれなければ、家庭排水の汚水処理という問題が非常に大きな問題になってくるのですが、その点について、どういう見解建設省では持っておられるのか、お聞きしたいと思う。
  113. 久保赳

    ○久保説明員 下水道に入ってくる、主として各家庭で使われる洗剤の問題かと思いますが、従来、合成洗剤が開発された初期におきましては、下水の処理場では浄化できない。つまり、一般の下水の処理場におきましては、微生物の力をかりまして汚水の浄化をはかっていくのが一般でございます。微生物が分解できない形の洗剤が多く使われておりましたが、その後、そういう洗剤よりも値段は若干高くなりますけれども、微生物に分解できるような洗剤が開発されております。諸外国におきましても、洗剤が下水処理に及ぼす影響等も考えまして、微生物で分解できるような洗剤を市場に売って一般家庭に消費してもらうということで奨励がされておりますけれども、わが国におきましても、最近の洗剤はだんだん微生物に分解できる洗剤がふえてきておりますので、そういう洗剤が各家庭で使われることが確実に行なわれますと下水処理場でも支障なく消化できますので、われわれといたしましては、そのような洗剤が一般に使われることを期待をしておるわけでございます。通産省のほうでもその趣旨で指導をしておるというふうに聞いておりますので、それを期待したいというふうに考えておるところであります。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま、期待をしたい、こういうことですけれども、この合成洗剤の問題については、ソフト洗剤ということで、微生物に影響を与えない洗剤に早急に切りかえないと、家庭排水が公共用水路の水質基準を非常に悪化させるという現象を起こすと思いますので、できれば、建設省のほうから通産省に、こういう洗剤の規制を行なえる基準をきめてぴしっとせよということを、期待するのじゃなくて、きびしく申し入れてやってもらいたい、私はこう思うのですが、局長、どうでしょう。そのことは必要だと思うのです。
  115. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいま下水下課長からお答えいたしましたような現状でございますが、今後、そういった点につきまして、下水道行政を担当するわれわれの側からも技術開発なり実用化といったような面についての研究を十分重ねまして、それで、その成果に基づきまして、通産省へ私どものほうから強く申し入れするなり、要請をするというふうな態度で臨んでまいりたいと思います。
  116. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 よくわかりました。  それからもう一つ、今度の法改正で、特別都市下水路公共下水道に組み入れられまして、終末処理場をつくるということが掲げられたわけですけれども、それ以外の都市下水路——御承知のように、公共下水道の普及率は二二%です。これは公共溝渠というのですか、みぞのようになっていて、いつの間にか高いところから低いところに流れていくという旧来の水路ですね。こういったところに汚水がどんどんと実際には流されておるという現状なんですね。こういうものに対する規制を今後どうしようとしておるのか。しかも、都市開発が急激にどんどんと進みまして、旧来の農業用水路などが実際にはそういったものに利用されるという状態があちらこちらで出てきておる。そういうことが地下水をよごしたり、あるいは公共用水をよごしたり、こういった問題になってきておるわけですが、こういったものについて、今後下水道が完備されるまでどういう指導をなさろうとしておるのか、具体的にどういう行政指導をしようとしておるのかをお聞かせいただきたいと思います。
  117. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 現在の下水道の現状は、公共下水道、それから都市下水路という二つのものがあるわけでございます。将来の方向といたしましては、先刻来申し上げておりますように、やはりきちんとした処理場を持った公共下水道が完備されることが理想でございます。しかしながら、わが国の都市の現状を見ますと、地形的にも非常に低湿地等で排水状態が悪い。そのために生活環境上、衛生上いろいろ問題を起こしておるという地域もございます。そういう地域については、都市下水路によりましてとりあえず排水状態の改善をはかっていくということもやっていかなければならないという私どもの役割りになっておるわけでございます。しかしながら、仰せのとおり、都市下水路はたれ流しでございます。したがいまして、公共水域水質汚染という点から申し上げますと非常に問題があるわけでございます。今回の水質汚濁防止法におきましては、都市下水路公共用水域であるというふうなことにされることになった。したがいまして、都市下水路に悪質な工場等のそういう排水を流すものは水質汚濁防止法の水質基準の規制を直接きびしく受けるということになるわけでございます。しかしながら、一般家庭の雑排水につきましてはそういうことはなかなかできません。これにつきましては、すなわち公共下水道を普及していくということしか方法がないのじゃないか。せっかくそういう方向に向かってこれから政府推進をはかっていきたいと思います。
  118. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 最後に大臣お尋ねをするわけですが、今度の法改正によって、何といっても下水道事業というのは公害を起こしたやつを処理するための事業なんですね。だから、もともと、公害そのものを規制するよりも、公害の発生したやつを処理するための事業なんですね。そうなってまいりますと、先ほど大臣からお話がありましたように、第三次下水道整備五カ年計画の二兆六千億の財源が必ず確保できるのかどうか。御承知のように、われわれは第六十三特別国会で、道路財源としての十兆三千五百億というものを想定して、法律だけは通した。ところが、その財源については、とやかくのことがあって、まだ確定的な見通しは立っておらないという政治情勢なんです。大臣、これはこれと関係ありませんけれども、それと同じように、一応そういう下水道整備という問題を法改正によって努力をするという方向づけはされたけれども、一体財源は必ず確保されるのか。このことは法律が生きるか死ぬかという重要な問題だと私は思うのです。その点についての大臣の決意をぜひこの際お示しをいただきたいと思います。
  119. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、私は、ぜひこれは確立したいと思っております。すでに、私は、本年の春以来、これについてはかなり根回しをしたつもりでございます。それでありますから、社会経済発展計画の総ワク閣議了解のときにも申し述べ、さらにまた、先般の閣議においても、公害対策に関する諸法案を閣議決定する前のときも、特に財政当局に、それから経済企画庁長官にも申し入れをしたわけで、概算要求算定するにあたりましても、普通ならば二兆一千億でこれは遠慮しなければならぬけれども、そうはいかぬということで、一兆円の予備費の半分を取るということを宣言して、出して、実は大蔵大臣にもこれだけはぜひ必要であるという旨を言っておるわけであります。幸いにいたしまして、この問題は与野党を問わず公害対策の一つの大きな眼目として取り上げられておりますので、国会の皆さん方の御協力も得てぜひこれは実現したい、こう考えておる次第であります。
  120. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、私の質問はこれで終わります。  ありがとうございました。
  121. 金丸信

    金丸委員長 北側義一君。
  122. 北側義一

    ○北側委員 先般、各省を呼んでの連合審査でも少しお尋ねしたわけでありますが、きょうは三十分ではございませんので、じっくりひとつ聞いてまいりたい、こう考えております。  公共用水域水質汚濁が非常に進んでおるわけです。この進んでおる状況というのは、工場排水、家庭排水、このようになっておるわけでありますが、この工場排水の規制につきましては、水質汚濁防止法等でこれは規制されるわけでありますが、家庭排水につきましては、どうしてもこれは下水道整備を行なっていく以外にない、このような実態になっておるわけであります。先般も少し話を聞いたのでありますが、下水の集合場所とか、大気汚染の激しいそういう生活環境の悪いところにガンの発生率が非常に多い、このように言われておるわけです。このような実情から国民の健康と生活環境を守るために、どうしてもこの下水道整備を早急にやらなければいけないわけです。たびたび大臣の姿勢も聞いておりまするが、あらためて下水道整備に取り組む建設大臣としての姿勢をお伺いしたいものです。
  123. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般の連合審査並びに本日の他の委員の方の御質問に対してもお答えしたとおりでございまするが、日本においては、水に関する感覚がいままでどうも非常に麻痺しておったとぼくは思います。何と申しましても、川がたくさんある。それから降水量が多い。しかも、従来は日本の工業発展がそれほどでなかった。廃棄物も少ない。それに、都市集中も戦後のようにこんなになかったので、なかなかこれはおくれておる。ところが、欧米では、特に中世紀以来のコレラ、ペストが大陸諸国に対する非常に大きなショックを与えて、パリのあの共同溝をはじめ、欧州のすべての国家民族が下水をつくらなければ都市生活ができないという骨身にしみる経験から下水の発達ができておる。こういうところに歴史的な非常に大きな格差があると思います。しかし、過去は過去として、今日はこれほど水の汚濁が激しくなってきて、これを解決することなくしては高度成長も都市開発もどうにもならないということで、国民も、それからまた政府も、ようやくあらためてこの問題に真剣に取り組まざるを得ないということになったのであります。私も、実は、ことしの一月、第三次佐藤内閣発足にあたってはからずも建設相を命ぜられたときに、すぐに予算編成に取りかかりました。そこで私が驚いたのは、この下水に対する予算措置が非常におくれておる。それから、予算査定の姿勢も、どうもこれはほんとうじゃないということで、最後の政治折衝にまでこれを持ち込みまして、大蔵大臣によく話をして、そして、従来に比べればやや大幅の伸び率を設けた。しかしながら、この状況でいまの第二次下水五カ年計画をやっても、これはとうていだめだ。そこで、先ほど来申し上げたように、これは一定の伸び率を達成できないのをカモフラージュするとかなんとかいうことではなくして、本格的に下水道そのものを変えて、そして相当の長期見通しを立てた上でやらなければならないということで取り組んできて、先ほど申し上げたように昭和六十年までに十五兆円の投資をする。それだけの経済力が日本にあるという認識に立ち、その第一着手として、四十六年度初年度とする五カ年計画で二兆六千億、これは新全総の計算でいけば二兆一千億だろうと思います。さらに五千億をふやす。しかも、その上に、現在の中期計画の五十五兆円の社会資本の投入は、これは、ことしきめたことをいま変更せいとは言えないけれども、これは弾力的に考えていかなければいけない。そうでなければ、五十五兆円のあれは、バランスのとれた総合開発ということに重点を入れて公害的な問題を強調したとはいいながら、その強調のしかたがずっとおくれておるということをあらためて私は閣議においても発言をしておるわけでございます。そういうわけでございまするから、これは一建設大臣だけでできることではありませんが、政府全体はもとより、全国民的な決意をもってこの問題に取り組まなければならないと考えておる次第でございます。
  124. 北側義一

    ○北側委員 大臣が言われるとおりであると思うのですが、昭和六十年までに十五兆円の投資、この問題なんですが、先ほどの大臣答弁を聞いておりますと、この第三次五カ年計画を終わった時点から六%ずつ伸びていきますと、昭和六十年にこの十五兆円を達成する、このようなお話だったわけです。しかし、これは、この第三次五カ年計画の二兆六千億を達成した場合にそのようになるわけです。そこで考えなければいけないことは、この第三次五カ年計画昭和四十六年度の概算要求、これは国費の分七百一億やっておられるわけです。そうしますと、総額二兆六千億に達するための国費の額、それは毎年何%ずつ伸びていかなければそうならないのか、これはいかがですか。
  125. 根本龍太郎

    根本国務大臣 数字のことですから、事務当局から答弁させます。
  126. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 現在の試算によりますと、四十六年度の私ども要求額が全額確保されたということで、それを初項にいたしますと三八%くらいの伸び率ということであります。
  127. 北側義一

    ○北側委員 そこで私はいまお尋ねしたわけなんです。今後、四十六年、四十七年と、ずっと五十年までに毎年国費の負担分がはたして三八%ずつ伸びていくかという疑問がここで出てくるわけです。これについては、第三次下水道整備五カ年計画初年度である昭和四十六年度はやはりもっと大幅な予算というものが獲得されなければ、実質上の問題としてこの第三次五カ年計画の二兆六千億の計画がくずれてくるのではないか、私はこういう心配をいたしておるわけなんですが、これについてどうでしょうか。
  128. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御指摘のとおりに、この三次五カ年計画は、事業費伸び等からいきまして相当たいへんな計画であるというふうな認識を私ども十分持っております。実をいいますと、私どもは、四十六年度、つまり新五カ年計画初年度におきましてもう少し多くの国費を要求をいたし、大きく立ち上がっておきますと、以後二年以降の伸びは少し楽になるということになるわけでございます。御案内のとおり、概算要求におきましては、大蔵省方針で、対前年比二五%のワク内というふうなことで、各省庁別にそういうルールで縛りがございまして、そういうふうな制約等もございましたが、建設省の中におきましては下水道に最重点を置いていただきまして、下水道は、四十五年対比でいきますと、実は五〇%近い伸び要求をいたしました結果七百一億という要求額に相なったわけでありまして、私どもといたしましては、もう少し期待しておったわけでありますけれども、実はそういうようないきさつがございます。しかしながら、三次五カ年計画は、まず総ワクがきまりますれば当然閣議決定になるわけでございます。下水道整備というものが、公共投資の中でこれから最も重点を置いて行なわれなければならない事業であるという認識が広く持たれるようになるというようなことを考えまして、私どもは五カ年計画に対して十分な意欲と自信を持ってこれを進めていきたいというふうに思っております。
  129. 北側義一

    ○北側委員 私、建設大臣がこの問題につきまして非常に御苦労なさっていることも知っておりますし、また非常に意欲を持ってやっておられることもよく知っておるわけです。しかし、まだ第三次下水道整備五カ年計画が発足しておらないわけです。その段階ですでに三八%の国費の伸びがなければできないという計画はやはり納得できないわけなんです。計画前からそのような計画であってはならないと思うのです。非常にくどいようですが、三八%の伸び率を実際できるかどうか、それをお聞きしたいのです。
  130. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御激励の点はよくわかります。しかし、いまできるとかできないということを言っても、もう実際上しようがないことだと思うのです。これを達成するために努力するということに尽きると思いますが、私は、これはかなり可能性があると思っております。というのは、現在これほど公害問題が国をあげての問題となり、特に、大都市はもとよりのこと、中小都市に至るまで、水処理ができなければ地方自治体の使命は達成できないというところまで追い込まれてきておるのです。これだけの国民背景のあるときに、大蔵省財政上の理由をもってこれを軽く削るということは、おそらく私はできないと思うし、私もそういうことはさせたくないと思っています。  この問題に直接関係ありませんけれども、実は、十二年前、私が道路特別会計をつくったときに、あのときはこれほどの背景はなかったのです。むしろこれは冷ややかに見られたのです。これは党勢拡張じゃないかというようなことを言われたほどであったけれども、現実の社会の需要が猛烈にこれを取り上げてくれまして、一年たってもうすぐ改定した。今度は六次まで改定するということになりましたこの事実を見ても、私は、下水の問題は、単純に一般社会資本充実のための伸び率の過去の実績からだけで心配なさる点もわかりますけれども、これは何としても達成したい、こう思っている次第でございます。
  131. 北側義一

    ○北側委員 結局、先ほど都市局長がおっしゃっておられたとおり、大蔵省としては二五%のワクをきめてあるわけですね。そうしますと、くどいようなんですが、三八%といいますと、このワク下水道だけで一三%出るわけです。このはみ出たワクはどうするかというと、結局はこれは道路等、他の建設省内における関係とバランスをとってやっていく以外に私たちは方法がないように思うのです。そういう点どうでしょうか。
  132. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは必ずしもそうならぬと思います。というのは、これは概算要求するときにはこれでやっていきます。けれども、今度は二五%内で全部建設省でまかなえというようなことで、もう大蔵省に何も査定してもらう必要はないのですから、こっちでやれるのです。ところが、そうじゃなくて、一応そういうふうにして過大な要求を押えながらも、最後には、これは党も入りますけれども、最終的には閣議において、何を重点的に政治的に配慮するかという点に入ってくると思うのです。そのときには、いままでの概算要求をする場合におけるワクにとらわれずにいくのです。そうでなければ、これは政治がなくて、主計局の事務的な折衝の段階で終わるということになります。これは政治的に取り上げる問題でもありますし、私は、ぜひそういうふうに持っていくつもりでありますから、できるだけ皆さんの御要求に即応して最後まで努力いたしたいと存じます。
  133. 北側義一

    ○北側委員 大臣が非常に前向きな答弁をされて、閣議決定の際にもこれから概算要求以上のものを大臣としては取りつける、このようなお話でありますので、この問題はこれで終わりますが、先般閣議決定された四十九の水系ですね。この問題につきまして先ほども少し触れておられたわけでありますが、五カ年で二十五水系が達成される。その事業費としては一兆六千四百三億円、全部達成する場合には三兆一千六百四十五億円、このようになっておるわけですね。国でのこれらの対策について、公害防止に対する国民の強力なこういう要望を見たときに、道路整備緊急五カ年計画ですか、これは十兆三千五百億ですか、そのようになっておるわけです。この前も少しもめましたとおり、建設省内におけるいわゆる予算の配分、このバランスというものも相当大きな比重になってもいいのじゃないか、こう思うわけなんです。その点、下水道もいろいろあるわけでございますが、この下水に対して大臣としてはどのようにバランスを持っていきたいお考えか、それをお伺いしたいと思います。
  134. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほども申し上げましたように、現時点における金額そのものよりも、政策的な重点は下水に最大重点を置いております。と申しますのは、道路についてはもちろん要求すべき点が多々ありますけれども、一応これはレールに乗っております。それから住宅もそのとおり、河川もそのとおりです。ところが、下水のほうはようやく一つの方向づけがなされたのでありまして、まだレールが敷かれていない。したがいまして、政治的配慮の余地は最重点を置いておる、こういう段階であります。
  135. 北側義一

    ○北側委員 では、その問題はそれくらいにおきまして、現行法によるところのいわゆる水質汚濁対策としては、水質保全法とか、工場排水法とか、清掃法、これらがあったわけですが、これらの欠陥が現在の水質汚濁に結びついておるわけです。それで、このたび水質汚濁防止法等でこれを改正なされるわけですが、労働省が先般調査した工場の有害排液についての報告が載っておりましたが、それによりますと、六千三百七十四工場のうち千三百六十四工場が処理施設を持っておらない、そして有害物質をそのままたれ流しておる、こういう実情が出ておったわけです。水質汚濁防止法で、特定施設について今度は全部チェックをなされていかれるわけでありますが、その特定施設というのは幾らくらいあるのか。また、監視体制をどのようにやっていくのか。経済企画庁の方、来ていませんか。——それでは、この分はあとに回します。  ここで、今度の法案の中で、先ほど社会党の松浦君も指摘しておられたわけでありますが、非常に大事な問題は、公共下水道に対して各工場からいわゆる下水が排出される。その場合届け出制になっておるわけです。この問題につきましては、先ほど、松浦君の質問によりまして、許可制を検討する、このように都市局長は策弁なされたわけでありますが、これは非常に大事な問題なわけなんです。と申しますのは、先ほどから論議がなされておりますとおり、下水道というのはチェックするのに非常にむずかしいのじゃないか。また、終末処理場から公共用水域に排出される放流水についても、これは基準がきまっております。そうした場合に、かりに悪い企業がありましてこれを排出しますと、やはりそれは終末処理場まで来るわけです。そうしますと、終末処理場でたとえばそういう重金属類を除去できるかということを考えますと、これは非常にむずかしい。そうしますと、その放流水というものがどうしても基準より悪くなってくる、こういうことが考えられるわけです。そうなりますと、やはりこれは届け出制ではいけないと思うのです。先ほど検討なさるといわれましたが、建設大臣として、先ほどのやりとり、またそういういろいろな状況を勘案されて、この許可制の検討と言われた都市局長の許可制につきまして、各省との関係もあろうかと思いますが、どのような方向でいかれるおつもりか、それをお伺いしたいと思うのです。
  136. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 大臣からお答えを申し上げる前に、いろいろ今日の制度的な関連もございますので、私から一言申し上げます。  先刻、松浦委員からの御質問に対しまして、届け出制を許可制にできるかどうかということについて、私、検討すると申し上げましたが、許可制にするには相当にいろいろの問題もあり、十分検討せねばならぬのであります。  その理由といたしましては、先ほどもちょっと私触れておきましたが、下水道法というのは他のいろいろな公物管理法規、道路法、河川法、いろいろございますが、そういう公物管理法規と比較いたしまして特異な法規でございます。といいますことは、使用の強制を法律上たてまえにいたしております。下水道法では、公共下水道整備されました区域内では、宅地の所有者とか建築物の所有者等は、排出する下水をすべて公共下水道に流し込まなければならないというたてまえになっておるわけでございます。その趣旨とするところは、公共下水道整備されました区域内で発生いたします下水は、すべて公共下水道によりこれを排出し、かつ処理をするということが公共下水道の本来の目的でございまして、それが一番経済的合理的な措置であるという趣旨にほかならないわけでございます。したがいまして、下水道法の第十条第一項では、公共下水道の排水区域内におきましては、私人に排水設備の設置を義務づけをいたしております。とともに、そのただし書きをもちまして、逆に非常に良質な下水、たとえば工場等の冷却用水といったようなものは直接川に放流しても別に害がないわけでございますので、そういうふうな特殊なものにつきましては、逆に許可を与えて、下水道以外に排出してもよろしい、こういう立て方に実はなっておるわけでございます。  このような趣旨からいたしますと、十一条の二の届け出制につきまして、これを許可制にするということは公共下水道への下水の排出を妨げるような結果になるのではないかという心配も一つございますし、本来の公共下水道目的からいきまして、許可制にすることは十分検討しなければならないと私ども判断いたしているわけでございます。有毒の、悪質の下水を排出するものに対しましては、その予防的な効果を確保いたしますためには、除害施設の設置を義務づけまして、これの維持管理の適正化を必ず励行させる、そして常時その体制を下水道管理者は監視をするというふうなところに尽きると思うのであります。
  137. 北側義一

    ○北側委員 そのようなうしろ向きの答弁ですと、先ほどから松浦さんとやりとりをやっておったことを私はまたここでやらなければいけないわけです。  では、都市局長としては、そういう除害施設を設けなければいけない工場等は幾つぐらいあるか御存じですか。
  138. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 全国的な実情につきまして手元に資料がございませんが、東京都の例で申し上げますと、四十五年の十月現在で、除害施設の関係につきましては、公共下水道に下水を入れておりますところの工場が九千九十七ございます。このうち除害施設の設置を必要といたしますものが約六百でございます。
  139. 北側義一

    ○北側委員 これは四十五年十月の段階でこうなっておるわけです。これから公共下水道をずっと整備していくわけです。また、流域別下水道総合計画の策定も今度新しく規定されておるわけです。そうしますと、この数は非常にばく大な数になってくる。そうした場合に、それを監視員が一々チェックをしていかなければならないような段階も出てくるわけです。たとえば工場街が一方にある。そこで流されてはいけない有害物質が流された。下水道へ流された場合にはそれを一々チェックをしていかなければならぬわけです。その間にも流されておるわけです。まずそれだけのいわゆる監視体制がとれるのかという問題です。また、全国にこのような下水道整備がなされた場合、これは東京都の例ですが、全国的にはばく大なるそういう工場の数になってくるのじゃないかと思うのです。それではたしてそういう監視体制がそこまでいくかということです。その点どうでしょう。
  140. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 確かに、御指摘のとおり、監視体制の強化という点はこれからたいへんなことだと思います。その事柄と、そういう工場に対しましての今後の工場排水の始末をどういうふうにしていくかという事柄とは、私は別なことじゃないかと思う。関連はありますが、一応分けて考えます。やはり下水道を市街地に整備をしていく。そういたしますと、下水道法のたてまえからいきますと、家庭下水も含めまして、工場排水につきましても、やはり下水道へ歳とめて流し込むことが一番経済的でございます。ところが、一般の家庭下水に比して悪質な下水を流すものにつきましては除害施設を設けさせます。そうして除害施設でもってある程度の濃度まで確保いたしましたものを下水に流し込みます。実はこういうしかけになっておるわけであります。したがいまして、これをいかに除害施設を確実に設置させ、その適正な維持管理をさせていくかということは、これからの水質保全の立場からいきまして、やはり一番大事な下水道行政の一つになるのではないかと思います。したがいまして、その監視体制につきましては、下水道管理者に対して今後十分に指導の徹底をはかってまいりたい、かように思っておるわけであります。
  141. 金丸信

    金丸委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  142. 金丸信

    金丸委員長 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後三時十分休憩      ————◇—————    午後三時二十一分開議
  143. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  北側君。
  144. 北側義一

    ○北側委員 そこで私が考えますことは、あなたのいまいわれたようなことにつきまして、たとえばこの届け出制である場合に、そういういわゆる有害物質の除害施設を第十条で設けられております。しかし、実際問題として、流れた場合に、それは下水道に入っていくわけです。そうして終末処理場に入っていくわけです。終末処理場に入った場合に、その基準が第八条できめられております。終末処理場でそういう有害物質を除外できるか。実際はこれはなかなかできない。そういうものを放流した場合にだれが罰せられるかというと、下水道管理者が罰せられるわけです。やはり出すほうをきめておったら、入れるほうも相当なチェックをしなければならないと思います。  そこで私が思うのは、そういう有害物質を流す特定な工場については、これは少なくとも許可制にしなければいけないのじゃないか。私はこういう考えを持っておるわけですが、それについてどうですか。
  145. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御指摘の特定の有毒物質関係の下水につきましては、確かに御指摘のとおり取り扱いが非常に重大な問題でございます。下水道の中におきましても、この取り扱いをどうするかということは非常に重大な問題だと私は思います。これの取り扱いにつきましては慎重に検討をさせていただきたいと思います。
  146. 北側義一

    ○北側委員 慎重に検討する。それはよくわかりますが、検討するのが届け出制なのか、許可制のほうで検討するのか、それをあなたにお伺いしたいのです。
  147. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 むろん御指摘の許可制も含めまして検討いたしたいと思います。
  148. 北側義一

    ○北側委員 これ以上言っても押し問答になると思いますので、これは一応これでおいておきます。  これに関連して、水質汚濁防止法が現在審議されておるわけでありますが、先般労働省の調査でわかったところによりますと、有害工場の廃液について、関係六千三百七十四工場のうち、千三百六十四工場がその処理施設を持たずに有害物質を流している、こういう発表があったわけです。こういう発表がありまして、水質汚濁防止法でいう特定施設について、一体どれほどの特定施設を全国で見込んでおられるのか、また、監視体制はどのようにやっておられるのか、それをあわせてお聞きしたいと思うのです。
  149. 山中正美

    ○山中説明員 お答えいたします。  現在の工場排水等の規制に関する法律でございますけれども、これは通産省が所管しておりまして、現在特定施設の数等は私ども確実に把握しておりません。しかし、一応基準は水質保全法によりまして私どものほうで所管いたしております。現在御審議いただいております水質汚濁防止法につきましては、この両方を一体化いたしまして、経済企画庁と通商産業省が運用していく方針でございます。  以上でございます。
  150. 北側義一

    ○北側委員 監視体制のことも聞いておるのですが……。
  151. 山中正美

    ○山中説明員 失礼いたしました。  監視体制につきましては、一応工排法の監視、測定権限を十一月一日付をもちまして現在都道府県知事におろしておりまして、都道府県知事が監視しておる、こういうふうになっております。今後は一応やはり都道府県知事が全部監視、測定に当たるようになっております。
  152. 北側義一

    ○北側委員 この問題も、先ほどの下水道と同じように、特定施設の数、それに対する監視体制、ここらは非常に大きな問題があるのではないかと思うのです。これを完全にやらなければ、水質汚濁防止法ができても、実際はなかなかそのとおりいかないのが実情ではないか、こう思うわけなんですが、少なくとも、この特定施設について大まかな数くらいはあなたのほうでわかっていなければ監視体制の組みょうがないわけですよ。その点どうですか。
  153. 山中正美

    ○山中説明員 お答えいたします。  現在の工排法の仕組みの中で指定水域制度というものをとっておるわけでございます。指定水域に該当いたします各企業といいますか、現在工排法で特定施設と指定されておりますのが約七十ございます。それで、現在指定水域になっておるのが大体五十五ございまして、一水域当たり特定施設といたしましては約千内外ではなかろうかと思っております。そういたしますと五万五千くらいになるのではないかと思っておりますが、確実には把握しておりません。
  154. 北側義一

    ○北側委員 その問題についてこれ以上聞いてもなかなかお答えが出ないでしょうからこれでやめておきます。  それから次に、この下水道法の第十一条の二に「政令で定める量又は水質の下水を排除して」と、このようにあるわけですが、この「政令で定める量又は水質」という政令はどういう意味ですか。
  155. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 政令では、一定の水量、たとえば一日五十トン以上、それから水質につきましては、一般の家庭下水以上の悪質の水質を流す工場、事業場、そういうふうなものを政令で規制いたすわけであります。
  156. 北側義一

    ○北側委員 そうしますと、いま五十トンと言われましたが、五十立方メートルではないですか。——そこで、日量五十立方メートル以下の場合は、これは先ほど論議した問題なんですが、許可制にしても何にしても、現在あなたのほうの提出した法律では届け出なければならない、こうなっておるわけですね。五十立方メートル以下の場合は、これは有害物質であっても届け出しないでいいのですか。
  157. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 五十立方メートルといいますのは、現在の水質保全法ですか、そのほうの関係でいろいろ規制を加えておりますところの基準がございます。それを一応私どもは参考にしたらどうだろうかという、いまそういう考え方でございます。これは水量でございまして、普通の水の量でございます。  水質につきましては、また別な考え方を当然とらなければなりません。有毒物質を含みますものは、これは水質の問題でございます。
  158. 北側義一

    ○北側委員 では、次に、今回の改正によりまして新しく流域別下水道整備総合計画都道府県の責任で策定されるようになるわけです。この下水道法改正することによりまして、先ほどから論議が出ておりました監視員の体制とか、いろいろな問題が出てくるわけであります。たとえば、この一条をとりますと、この流域別下水道整備総合計画の策定にしましても、規定の要件を調査して計画を立てなければいけないわけです。そういう問題を考えてみますときに、地方公共団体財政負担というものがここで非常に出てくるわけでありますが、この財政上の措置につきましてどのような考えを持っておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  159. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 今度の改正の一つの眼目でございます流域別下水道整備総合計画というものを都道府県につくっていただくことに相なっておるわけでございますが、この計画の策定に要しますところの調査費等につきましては、来年度どものほうは二分の一の補助をいたしますということで要求をいたしております。それから、その計画に従いまして行なわれますところの流域別下水道事業あるいは関連公共下水道事業、そういうようなものにつきましては、これは来年度全体の下水道予算の中におきまして優先的にこの促進をはかってまいりたい、かように考えております。
  160. 北側義一

    ○北側委員 この都道府県が策定するところの流域別総合下水道計画ですね。この策定の期限なんですが、やはり建設するには当然ばく大なる予算がかかるわけでありますが、この策定につきましても、早急にやらなければいけない。でなければ、その水質の汚濁防止は非常におくれてくる、このように考えておるわけです。そこで、この策定の期限、またこれを策定した場合の——これは策定されておらないからはっきりわからないでしょうが、めどとしては大体どれくらいの期間を考えておられるか、それをお伺いしたい。
  161. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 目下のところ、環境基準が定められました水域につきましてこの総合計画をつくることにいたしておりますが、原則として、環境基準が定められましてから一年以内にこの総合計画をつくるというように指導してまいりたいと思います。
  162. 北側義一

    ○北側委員 そうすると、一年以内に都道府県が策定するということですね。そこで、現在の流域下水道の問題なんですが、流域下水道の設置または管理の費用については、受益の程度に応じて市町村に負担させることができる、こうなっておるわけです。今後このマスタープランといえる流域別下水道整備総合計画が策定されて、その建設にかかった、こうなってくる場合に、その建設、維持管理の資金は相当部分が地方公共団体の負担というふうになってくるのではないか。特に、維持管理につきましては、市町村が維持管理をやっておるわけです。この維持管理費も相当な額になってくるのではないか、こう思うわけです。そういう点の配慮を考えているかどうか。
  163. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 流域下水道につきましては、都道府県が原則としてこの建設、管理をやるという立て方にいたしております。例外として市町村がやる場合もあるわけでございます。そこで、先刻も御答弁申し上げましたが、やはり市町村が中心になってやりますところの公共下水道の場合は、自前でもって処理場をつくらなければならないわけです。ところが、流域下水道ということになりますと、幹線等の負担は県が全部やることになっております。そこにやはり負担のバランスというものもございまして、少なくとも処理場建設の経費につきましては、県がやりましたものについて、関係の受益市町村が受益の程度に応じて県が負担いたしますものの一部を負担してしかるべきではなかろうか。一応そういうような道を下水道法において開いておこうというのがこの規定の趣旨でございます。
  164. 北側義一

    ○北側委員 これは、なるほど法律でこのように規定されたことについてはわかるわけです。ところが、実際の問題として、現在の流域下水道を見たときに、市町村が維持管理の費用に非常に困っておる。これはいわゆる下水道使用料によってまかなっておるわけですが、実際下水道使用料というものは維持管理費の半分くらいしかないのです。これが実情です。その場合に、だんだん下水道がふえていった場合に、維持管理費というものは膨大になってくるわけで、そういう点を私は心配しておるわけです。やはりいままでどおり同じような方向でいくのかどうかということです。
  165. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 流域下水道に関しますところの維持管理の負担でございますが、これは流域下水道にぶら下がっておるといいますか関連しておりますところの公共下水道があるわけで々ざいます。末端がその各市町村からの下水を処理することになるわけでございますから、関係市町村におきまして幹線でありますところの流域下水道の維持管理費というものを持っていただくというのがたてまえでございます。また、県がその維持管理費を実際の下水道の使用者に使用料として全部それを持たせるか、あるいは市町村一般財源でもってそれを負担するかという問題はあろうかと思いますが、県と市町村関係はそういうふうなことで処理してまいりたいと思います。
  166. 北側義一

    ○北側委員 たとえばこういう例があるわけです。これは大阪の流域下水道の問題ですが、あなたも御存じかもわかりませんけれども、この夏に台風がきまして、実は下水が吹き上げたわけです。そして非常に浸水した。そのときに、市の管理しておる小さいポンプ場は排水するために非常に稼働したわけです。ところが、流域下水道の一番大きなポンプが動いていなかったという問題もあったわけです。御存じですか。この場合は、この流域下水道は組合が管理しておるわけです。そういう点、流域下水道の場合は二つ以上の市町村にわたるのですね。そういうポンプ場の管理とかいろいろな問題を明確にしておかなければ、そうなった場合に非常に問題が出てくるのじゃないか、こういう心配を私はしておるのです。これもやはり維持管理の問題に入ってきて、だれがその維持管理の責任を持つのかという、そこらがはっきりしていないのじゃないか、このように思うわけです。
  167. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 いま御指摘の大阪の事例は、私寡聞にしてまだ伺っておりませんけれども、今後もあり得ることだろうと思います。したがいまして、今度の下水道法改正では維持管理という点に特に重点を置きまして、でき上がったものの管理をどうするか、引き続いて県が管理するか、あるいは相手の市町村に共同して組合をつくって管理させるか、そういった点を明確にいたしまして対処いたしてまいりたい、かように考えております。   〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕
  168. 北側義一

    ○北側委員 今回の下水道法改正によって、公共下水道、また流域下水道、これは終末処理場を有さなければならない、このようになっておるわけですが、現在、公共下水道終末処理のないそういう下水道はどのくらいあるのですか。
  169. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 現在認可しておりますところの二百五十五の下水道事業の中で四十二でございます。
  170. 北側義一

    ○北側委員 この終末処理場建設といっても、このように法で規定しますと、その建設費の一部はやはり都道府県の負担になってくるわけです。そのように非常に都道府県の負担が多くなってくるわけです。  それから、経済企画庁に聞きたいのですが、そういう終末処理場を持った下水道については、水質汚濁防止法によって水質のチェックをなされないわけですね。それ以外の下水道についてはチェックしていくわけですか。
  171. 白井和徳

    ○白井説明員 お答えいたします。  今度の水質汚濁防止法案では、終末処理場を有している公共下水道公共用水域の中に入りませんので、したがって、これは、一般的な事業場としての終末処理場から公共用水域に水を放出するところでもって事業場としては規制いたしてまいります。  それから終末処理場を有しない公共下水道につきましては、一般河川と同じように公共用水域として扱うという考え方でございます。
  172. 北側義一

    ○北側委員 チェックのしかたはどうやるのですか。実際の問題としてチェックする方法はどうやっていますか。
  173. 白井和徳

    ○白井説明員 お答えいたします。  終末処理場を有するところは事業場としてわかりますから、これは終末処理場から公共用水域に水を放流するところでもってチェックできるわけです。  それから、終末処理場を有しない、いわゆるいまの一般的な公共下水道は、河川と同じように公共用水域として扱いますから、したがって、それは、その終末処理場を有しない公共下水道に工場または事業場が放出する段階でもってチェックしたい、かように考えております。
  174. 北側義一

    ○北側委員 ここらも非常にむずかしい問題じゃないかと思うのですね。工場で全部チェックなさるという。先ほどもこの問題で少しお聞きしたわけですが、そこの監視体制は全部都道府県にかかってくるのじゃないかと思うのですね。これはたいへんなことになるのです。それでお聞きしているわけなんです。  それとあわせて、河川法でいわゆる河川定義づけですね。これは一級河川、二級河川定義づけられておるわけです。それ以外に法定外河川といわれる河川がずいぶんとあるわけなんです。河川法第二十九条の河川の清潔のための禁止、制限、これは普通河川、そういう法定外河川においては除外されております。そういう除外された場所でありますので、当然河川監視員も監視しておりません。ところが、実際の問題として、現在、そういう普通河川または農業用水路へ生活排水なり有毒物質の工場排水等が流されておる事実が、先ほど述べましたとおりあるわけですね。これらに対して、河川対策としてのいわゆる水質汚濁防止対策をどのようにやるのか、それをお伺いしたいと思います。
  175. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お答えいたします。  ただいま先生のお話のように、河川法上の河川でございませんので、河川法あるいはそれに伴います政令による水質汚濁防止の措置はとれないわけでございます。しかし、やはり公共水域であることには変わりがございませんので、そういった意味で、公害対策基本法、それから現在審議されております水質汚濁防止法、こういった体系の中で排出水については規制を受けるのではないかと思います。  なお、その河川状況が、治水上あるいは利水上、また環境衛生上非常に重要な河川関係が多いというようなことでございますれば、現在の河川法の中でも、一級水系とかあるいは二級水系の末端にある小さい河川、あるいは農業水路的なものもございますけれども、これを河川法の中に組み込んで新しく河川に指定するということはできるかと思います。
  176. 北側義一

    ○北側委員 そういう指定をやはりやっていかなければいけないのではないかと思うのです。たとえば、これは一つの例なんですが、この夏、大和川のずっと上流のほうで、バキューム車がずっと並んで、全部川へ放出しておるのですよ。それが大和川へ全部入ってくるのです。大和川は、御存じのとおり、堺市が上水道を取水している場所なんです。堺市としてはその取水をとめたわけですね。こういうことも起こっておるわけです。そのような意味から、そういう普通河川に対しての水質汚濁防止対策、これもやはり相当力を入れてやらなければいけないのではないか、このように私は考えておるわけです。  この農業用水路の場合は、水利組合といいましょうか、そういう組合がありまして、これはまた非常にむずかしいのです。たとえば一例をあげますと、そこへ豚の死骸とかいろいろなものが夜間に捨てられる。それはどこが処理するのか。市当局としては、これは自分のほうは管理しておらぬからなかなかやらないわけですね。そして、もう十日も二十日もそのまま放置された、そういう例も私は知っておるわけです。また、この農業用水路の場合、だんだん市街化されていく。その地帯にあって、実際の問題としてはもう農地はなくなってきている。そういう場合、下水道へこれを入れかえるべきである、こう思うわけです。そういう区域においては、もうどろがずいぶん詰まって、子供が落ちたら子供の背だけどろがあった。そういう場所も、そういう新しく発展した市街化地域にはずいぶんあるわけです。こういう問題に対してどのように対処なさるのですか。
  177. 堀川春彦

    ○堀川説明員 農林省といたしましては、たとえば都市計画法によります市街化区域あるいは市街化調整区域の区域区分と、農林漁業の施策に関する調整の措置方針を、すでに昨年の段階におきまして、事務次官通達をもって明らかにいたしておりますが、その中におきまして、たとえば農林漁業施策に関する事業の完了した地区の農用地が市街化区域内に含まれるというような場合においては農林漁業施策の事業の受益の農地が都市化の進展に伴って非常に縮小してまいるというような場合におきまして、その農林漁業施策に関する事業の結果造成をされました施設の管理の方法なり、あるいはまた施設の管理の主体なりといったことにつきまして適切な変更を加えるべく検討せよということを明らかにいたしております。  そのほか、ただいま先生御指摘のようないろいろな事例も耳にいたしておりますが、農業の受益が非常に減少いたしまして、施設の農業者の利用ということが極端に少なくなってまいるというような施設につきましては、これは、まだ残存農地があります場合には、その残存農地に対しましての利水上の問題、そういった問題には配慮を払いながら、その管理の適正化という観点から、都市計画の当局と農林省で——都道府県段階におきましても同様でございますが、十分よくお打ち合わせをいたしまして、今後の管理の適正化をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  178. 北側義一

    ○北側委員 その点、そういう新しい市街化区域においての用が終わったような農業用水路については、もう一日も早く下水道整備をやっていただきたいと思うのです。  少しまた戻るわけでありますが、今度の場合、先ほど答えられたように、二百五十五の事業のうち四十二が終末処理場を保有していないわけですね。その場合は別として、たとえば終末処理場を持たない市町村、これはずいぶんあると思うのです。それと、かりに持っておったとしても、その終末処理場で能力を越えるいわゆる費用、そういうものについては、一体これはどうしたらいいのですか。
  179. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 終末処理場と清掃法の関係の消化槽の関係でございますが、私どもは、厚生省と十分緊密な連絡をとりながら、各都市の清掃法系統の屎尿処理の問題と下水道終末処理の関係のつき合わせを個別にやっておるわけでございます。したがいまして、御指摘終末処理場に、かりにその一部に屎尿投棄口を設けまして、バキュームカーで運んできて、そこで消化槽として処理するというふうな施設を持っておるところも過渡的にずいぶんあります。しかし、おのずからそこは御承知のようにキャパシティに限界があると思います。したがって、それ以上の屎尿処理につきましては、各都市で、今度の清掃法の関係の法律でもっていろいろなきびしい規制を受けますが、そちらのほうで、いろいろな方法で処理をさせたいということよりほかに方法がないのではないかというふうに考えております。
  180. 北側義一

    ○北側委員 そちらのほうでこれは処理してもらう以外に方法がない、このようにおっしゃっておられるわけですが、事実問題として、先ほどお話ししましたとおり、堺市が大和川からの上水道の取水をとめた。これについて、上流で大っぴらに——大っぴらといいましょうか、バキューム車がずらっと並んで一斉に川に放流しているのですよ。そういうことがなかったらこれはやらないのです。これから先終末処理場は、これはたいへんな莫大なる金が要るわけですね。また、そういう終末処理場を有している市町村についても、その能力に限界があるわけですね。それを、そういう次第では困ったもんだと思うのですよ。これはどうせいというのですか。これはどうしたらいいのですか。はっきりせぬことには困りますよ。
  181. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この問題につきましては、建設省だけじゃなくて、厚生省の関係の環境整備のほうの屎尿消化施設の五カ年計画をもって先方もやっております。この両方の関係計画をうまくつき合わせながら進んでいかなければならない問題かと、私は本質的に思います。むろん、私どものほうは、下水道終末処理場としてこれを実施するわけでございますから、御指摘のように、過渡的に屎尿投棄のための施設に一部これを使うということは極力活用していきたいということは考えておるわけでございまして、終局はやはり、厚生省のほうの終末処理場といいますか、屎尿処理施設を整備拡充するということ、それから、私どものほうの公共下水道終末処理場を拡充していくということになるわけでございます。
  182. 北側義一

    ○北側委員 拡充していって処理することはわかるのです。当面、いまの問題として、たとえば今度清掃法というものが産業廃棄物処理法案になったのでしょう。そうなっているわけでしょうね。そうしますと、そこでやはり罰則があるのじゃないですか。屎尿を不法投棄したら罰則があろうと思うのです。片方は罰則をきめておいて、そしてそういう余った屎尿をいま五カ年計画でやっておるといったって、罰則を受けるものはたまったものじゃない。だから、当面それをどのように処理していくのかということを聞いておるのです。当面の問題を言っておるのですよ。
  183. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先生のお尋ねの点は、直接は厚生省の所管の問題かと思います。私のほうの関係下水道終末処理場関係ですが、終末処理場におきましては、さっき申し上げましたように、余裕のあるものにつきましてそれを一部屎尿の投棄ないし屎尿の処理に使わしている、こういうことでございます。
  184. 北側義一

    ○北側委員 いまの問題は、厚生省が来てからもう一ぺんお尋ねいたしましょう。  そこで、そのような状況でございますので、終末処理場建設は非常に急務となっておるわけであります。そこでお尋ねしたいんですが、現行都市開発資金の貸付けに関する法律があるわけですが、この都市開発資金の中からこのような終末処理場建設資金を使えるようにしたらどうかという考えを私は持っているのですが、その辺どうでしょうか。
  185. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 これは、まさに先生御指摘のとおり、私ども来年から、この都市開発資金について、そういう処理場関係にも資金がいくような要求をいたしております。
  186. 北側義一

    ○北側委員 この点、ひとつ来年、いまはっきり答えられないから、そのとおりやっていただきたいと思うのです。  そこで、次に進みますが、今回の改正で、水洗便所への改造についての義務づけに関する規定が新設になったわけです。第十一条の三の三項の「必要な資金の調達が困難な事情がある場合」、これはどういう状況考えておられるのかをお伺いしたいと思うのです。
  187. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 通常、水洗便所に改造いたしますためには、必要最小限度四万五千円から六万円程度の改造資金が要るわけでございます。したがいまして、この改造資金を負担することが資力等においてできないというふうなものを考えておるわけでございます。
  188. 北側義一

    ○北側委員 この処理区域内におけるくみ取り便所の改善の義務については、建物の所有者たる者がその義務を義務づけられておる。借家人の場合は、これはその建物の所有者にならない。ここで非常に問題になるのは、義務づけのほうはそのように建物所有者になっておる。そうして入居しておるのは借家人の場合に、そのくみ取り便所から水洗便所に改善するところの費用、これについてのトラブルがずいぶんとこれまた起こってくるのではないか、このように私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  189. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この問題も、まさに先生御指摘のとおり、現在でも、水洗化ができるような区域内でもなかなか水洗化が一〇〇%普及しないという理由の中の一つとしまして、家主と借家人とのそういう費用負担関係についてのトラブルのために水洗化ができないという事例が多いということのように私ども承知いたしております。
  190. 北側義一

    ○北側委員 これまた市町村がその調停に——これはたいへんですよ。これはずっと一つ一つ見ていくと、負担が全部そのように管理主体にかかってくるのですよ。法律でこうやって水洗化をやる必要があるように私は思うのです。しかし、そうやって義務づける以上は、国としても、やはり相当の市町村に対する貸し付け金、たとえば大幅な補助というものを考えた裏づけがなければ、こういう法律で義務づけをしても実効というものには非常に問題が出てくるのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  191. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この法律が通りましたならば、三年間という余裕期間がございますが、御指摘のように、国としましても、この水洗化の促進のためには、現行のいろいろな融資制度がございますが、これを拡充することについて最大の努力をはかっていかなければならぬと私ども思います。これは私どものほうの建設省の所管の資金じゃございませんが、関係省庁ともその点十分に打ち合わせをしながら、御趣旨のような方向で促進をはかってまいりたいと思っております。
  192. 北側義一

    ○北側委員 この点をよほどしっかりやらなければ、これはトラブルのもとになります。これから義務づけする以上は全部そうなんですからね。こっちの意思は関係ないのですから、その義務づけに反した場合は罰則があるのですから、それである以上は、やはりそういう罰則を受けないでもいけるような方向は国として示していかぬといけないと思うのですよ。その点が抜けてしまうと、これも何にもならないのです。これはまたたいへんなことになるのだ。その点をひとつお願いしたいと思うのです。  それから現行特別都市下水路、これは現行補助率は四分の一、このようになっておるわけですが、特別都市下水路建設にあたっての企業負担は、現在原則としてどれくらいになっているのですか。また、そのきまった額に対して、その理由づけをお伺いしたいと思うのです。
  193. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 現在特別都市下水道実施いたしております事業の大体の企業者負担は、総事業費の四分の一ということになっております。これの理由でございますが、どうもまだはっきりした根拠というものをつまびらかにいたしませんが、大体、こういう特別都市下水道事業については、国、企業者、それから県、地元の市町村、それぞれ均等で四分の一ずつをやろうじゃないかというようなことからこの事業が発足したように私ども伺っております。
  194. 北側義一

    ○北側委員 私は思うのですがね。この特別都市下水路のような場合は企業負担が四分の一限度、大体これくらいと聞いておるのですが、これは少な過ぎるのじゃないかと思うのですよ。今度、御存じのとおり、公害防止事業費事業者負担法ができるわけですね。そして、この下水道法一部改正では、第二十条の三項で、公共下水道建設についての費用負担の項で、その使用料政令で定める基準に従って徴収しなければならないと、このようになっておるわけです。この事業者負担法と特別都市下水路の今度の関係、これについてはどう考えておられるのですか。
  195. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 これからは、従前やってまいっておりましたような特別都市下水道事業は、公害防止事業費事業者負担法の対象になりますような事業考えていきたいと思っております。この事業は費用負担法の政令でもって規定されることになっております。
  196. 北側義一

    ○北側委員 ですから、いままでの特別都市下水路の企業負担というのは非常に軽かったと思うのですが、ここらもやはりその率をはっきり改めてもらわぬといかぬと思うのです。  そこであわせて伺いますが、今後下水の——下水のみならず、水質保全の立場から、公害対策として、特に家庭排水などに関しては下水道事業が急速に伸びていくんじゃないかというふうに私は思うわけです。そこで、先ほどから幾つかの例をあげて、地方公共団体の負担が非常に大きくなってくるんじゃないかということを申し上げたわけでございますけれども、この地方公共団体の監視制度の組織とか、また技術者を重視していくこととか、そういう問題に対しての国としての対策はどのようにやっていかれますか。
  197. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 これから下水道事業伸びていくに従いまして、大都市のみならず、一般中小都市にもどんどんこの事業実施されることになってまいります。財政負担の問題、これは当然でございますが、それだけでなくて、技術者をいかに確保していくかという問題も非常に大きな問題になってまいります。実は、私どもは、技術者を確保していくということについて非常に大きな悩みを持っておりまして、これは早急に対策を今後立てていかなければならぬと思っております。人のことでございますから、なかなかそう急に、促成栽培といいますか、そういうようなことで養成できるものではございませんが、やはり長期的な見通しに立ちまして、いかに技術者の絶対量をふやしていくかということと同時に、現在ある技術者をいかに有効に活用していくかという、この二つの観点からこの問題に取り組んでいきたいと思います。  それから、これから市町村がかかりますもろもろの経費につきましては、建設省のほうでいろいろ助成をするというものになかなかなじまないものもあろうかと思います。そういう関係は地方財政全般として自治省のほうで十分な配慮を加えていただくように私どものほうから強く要請してまいりたいと思います。
  198. 北側義一

    ○北側委員 その点も、たとえば第十二条で除害施設を設けておりますね。その流れ出てくる水質を調べるにしても、相当の技術者がおらなければわからぬです。その点で、あなたの言われた養成等のこともことに急務を要する問題じゃないかと思うわけなんです。そういう点でお尋ねしたわけです。  次は財政的な問題でお聞きしておきたいと思うのですが、現在の第二次下水道整備五カ年計画が本年度でちょうど第四年度になるわけです。先ほど大臣は、その伸び率が悪いから第三次五カ年計画に移ったのでは決してない、このような御答弁があったわけでありますが、実際の問題といたしまして、本年末のこの下水道整備五カ年計画の第四年度としての実績率はいま何%になるのか。あわせて国庫補助——ちょうど九千億ですか、そのうちのたしか二千二百二十二億、これが国費になっておりますが、その進捗率は何%になっておるのか、それをお伺いしたいのですが……。
  199. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 第二次の五カ年計画の進捗率でございますが、総事業費で申し上げますと、昭和四十五年度末で六八・四%の進捗率です。それから国費で申し上げますと、六四・六%の進捗率、以上でございます。
  200. 北側義一

    ○北側委員 いまさらこれをとやかく言ってもいたし方ないと思いますが、実績率のほうはことしの末で六八・四%ですね。国費のほうが六四・六%、実績率より国費の伸びのほうが悪いですね。ここらは非常に問題があると思うのです。これ一つ見ても、第三次五カ年計画も同じようじゃ困るのですよ。その点どうでしょうか。
  201. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 現行計画が、全体の事業伸びに対しまして、確かに国費の伸びでやや落ち込んでおります理由はいろいろあろうかと思います。たとえば四十二年ごろに景気不調で財政緊縮というようなあおりを食ったというようなことで非常に伸び率が悪かったということも響いてきております。いやしくもこういう長期計画をつくる以上は、やはり計画的な財政的な裏づけをいたしませんと絵にかいたもちになることは申し上げるまでもございません。新計画におきましては、そういうことがないように、計画的に財源の裏づけが行なわれますように、最大の努力を私ども財政当局に対しまして要請をいたしていきたいと思っております。
  202. 北側義一

    ○北側委員 先ほど大臣がおっしゃった第三次下水道整備五カ年計画、これは第二次の進捗度が悪いから変えたんじゃないんだというお気持ちはよくわかるわけです。そこで、いま申し上げたのですが、この第二次五カ年計画の実績率、総額九千億に対しての伸び率は、第四年目の本年末で見ますと六八・四%なんです。ところが、第二次五カ年計画の国費は二千二百二十二億、その伸びは六四・六%なんです。実績率より国費のほうが非常に伸びが悪いわけなんです。こういう状況ではいけないと思うのですね。こういう点のバランスをきちんととっていけるようにならなければ、第三次五カ年計画を組んでも、実際問題としてだんだん事業がおくれてくるのじゃないか、こういう心配を一この第二次五カ年計画を見る以外にないので見てみたら、やはりそのようになっておる。これについて、大臣、ひとつ御答弁いただきたいのです。
  203. 根本龍太郎

    根本国務大臣 従来の経緯からそういう御不安があろうと思います。実は、この問題は、建設省のみならず、自治省も重大な関心を持っておることでございます。それで実は、先般も自治大臣と話をしましたが、計画はわれわれのほうでつくり、いろいろ世話をするが、現実には市町村であり、都道府県がやることだ。しかも、それは地方自治体にとって欠くべからざる必須の事業である。でありますから、国費でわれわれが補助する対象ワクを広げ、事業量をふやすこともやるが、地方自治体としても考えなければならない。だから、私は、いずれこの問題が閣議決定する場合には自治省と十分に意思疎通をはかりまして——一面においてはこれは地方の財政需要の一つの大きな項目になると思います。したがいまして、交付税の配分についても、こういう下水道事業を総合的に計画的にやるものについては当然認めるべきである。それからまた、例の使用料の問題についても、これは受益者負担の形、あるいは発生原因者負担の形でやりますが、そういうふうないろいろの手法を講じてやっていかなければならない。さらには、これについては起債のつけ方によって非常にまた違う。それから起債条件も、これが非常に大きくあるわけです。新しい五カ年計画を策定するときにあたって、基本的にそうした問題をきめて、そうしたことがはっきりと裏づけできるようにしてやっていきたい、こう思っております。近く——いまでもやっておるようですが、自治省建設省と事務局同士で十分に打ち合わせて、両方ともこれならいけるじゃないかというところまでやるべきである。いままでは、必ずしもそういう十全の打ち合わせなくして計画を立ててやっていくということもあったんじゃないかとすら私は思います。その点までも配慮しておる次第でございます。
  204. 北側義一

    ○北側委員 大臣、私の言うのは、結局国費の伸びが悪いということですよ。そうしなければ、幾ら地方がやろうといったって伸びない。これが基本なんですね。そういう点が今後ないようにしてもらいたいということを言っているわけです。  それから先般の連合審査でも少し申し上げたんですが、この四十九水系のこれを見ますと、五カ年で達成できる水系が二十五水域。その他達成できない水系を見ますと、やはり都市近辺の河川、これは達成率が非常に悪い、大体達成できないようになっておりますね。   〔天野委員長代理退席、委員長着席〕 これは都市に対して産業が非常に集中している、人口が集中している、そうなるのは当然だろうと思うのです。  そこで、この間も少し私は申し上げたわけでありますが、下水道事業の国庫補助金の配分の重点が一つの表になっておるわけです。これを見てみますと、昭和四十三年度は三百十二億一千百万円、この補助金総額のうち、受益者負担金徴収都市に対して九十六億八千九百万が割り当てられておる。大体見ますと三分の一弱です。昭和四十四年の国庫補助金の配分の重点を大体見てみますと、同じように総額が三百八十億九千万円、その補助金総額のうち、やはり受益者負担金徴収都市に対しては百三十八億一千七百万、このような配分になっているわけです。私はこの受益者負担金制度についてとやかく言っているわけじゃないんです。私の言うのは、ただ、その配分の方法にこのような配分をなさいますと——たしか昭和四十年十月にこの制度が採用になったわけですね。それ以前に下水道のある都市は、この受益者負担金制度の徴収は非常にむずかしいわけです。そういう都市はどういう都市かというと、結局は大きい都市になってくる。そういう大きな都市河川が非常に水系がよごれておる。そういうところに下水道整備の国庫補助金の配分が非常に悪くなってくる、このようになってくるわけです。なぜこういうような配分をやられたのか、それをまずお伺いしたいと思うんです。
  205. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 国庫補助金の配分の基本的な考え方についての御意見でございますが、受益者負担金を取っている都市だけを特に優先的に補助金をつけていくというふうな、そういうふうな強い方針を私ども出しておりません。ただ、事業実施という面におきまして、そういう制度を採用いたしておりますところの都市はやはり住民に対して約束をするわけでございます。そういうこととの関係で、計画的にこの事業を進めていくために国の補助制度もつきあっていかなければならない、地方債もしかり、こういうふうな考え方でございます。  それから大都市地域の問題でございますが、これは全く御指摘のとおりでございます。四十九水域のうちでも、五カ年達成の水域に入っておるものはほとんど数えるほどしかございません。これは、やはり大都市地域におきます公共水域の汚濁が非常にひどいということでございます。したがって、これは環境基準をきめましたけれども、基準内に、五カ年間に達成するにはばく大ないろいろな投資が要るということ等もございまして、そういう地域につきましては、五年以上あるいは十年以内に暫定目標を置きまして、これを漸次達成していくというふうなことにならざるを得なかった結果かと存じます。  下水道関係の補助費の配分につきましても、そういった点を今後配慮いたしまして、環境基準対策というものが一つの大きな柱になってまいりますので、十分配分に慎重を期してまいりたい、かように考えております。
  206. 北側義一

    ○北側委員 いま局長さんは、そういうような考えでこれは重点配分をやっておるのではないのだとおっしゃるけれども、額の上ではそうなっておるのですよ。総額の約三分の一近いものが受益者負担金の徴収制度をとっているのです。私は受益者負担金制度をとやかく言っておるのではないのです。ここに出ておる表と、いわゆる国庫補助金の配分の重点を見るとえらく違うじゃないかということが言いたいのですよ。これでは、一番きたない河川下水道整備を一番急がなければいけないところが一番国庫補助金の中で配分が少ないということになるのです。これでは下水道整備事業は進まぬですよ。そう言っておるのです。もう一ぺん答弁願います。
  207. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 今後は、下水道投資ワクもうんと拡大されることが大いに期待されます。したがいまして、そういう中小都市におきますところの受益者負担金制度をとっておる都市もむろんのこと、大都市地域も、十分に環境基準対策に対応いたしますために必要な下水道投資も積極的にやってまいりたいと思っております。
  208. 北側義一

    ○北側委員 大臣、いまお聞きになったとおりなんです。環境基準の悪いところを早く水準をよくするためには、こういう重点の配分のやり方では私はいけないと思うのです。その点、第三次五カ年計画において、大臣、このような配分はやられないで、やはりこれを環境基準にもっていくためにやっていただけるでしょうか。
  209. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま局長が説明したとおりでありますが、従来、大都市においても、現実に手をつけかねている向きがだいぶ多かったと思います。あまりにも条件が悪い。経費もかかる。それに対する具体的な計画も立っていない。しかも、受益者負担もやり切れないということのために、どうしてもちゅうちょしておる。ところが、一方においては、中小都市のほうは受益者負担もわりあい進んでいって、もうすでに約束したことだからと言われますれば、自治省建設省もそれに重点を置くわけではないけれども、そっちに引っぱられていった、こういう結果だと思うのです。そういうことの累積が今後続いてはだめだ。だから、やはり抜本的に考えなければいかぬ。それには流域別下水道というのが、これは国で初めてつくったんじゃなくて、やむにやまれずして大阪あたりから出てきたわけなんです。これは大都市を中心とする広域地帯に対する一つの新しい手法であると思いまして、これは法律上いままでないわけですが、今度はこれを明定して、下水道法改正にあたっての大きな柱としてはっきりきめて、そうしてそれを大都市における一つの大きな柱としてやろう、こういうふうになったわけであります。したがいまして、今後は、あなたが言われるような方針を貫くために、この下水道法改正も思い切って出した、こういうわけなんです。
  210. 北側義一

    ○北側委員 先ほどから何べんも言うておるように、この受益者負担制度についていいとか悪いとかいうことを言っておるわけではないのです。ただ、この表と比べてみて、どうしてもこういう配分ではおかしい、こう言っておるわけです。また、考えてみますと、この受益者負担金制度は、結局下水道があると地価が値上がりする。そこで、受益者負担として、当然値上がり分についての受益に対してこういう制度ができたんですね。ところが、受益があるのは、実際考えてみると、借地権者か土地の所有者です。借家人は土地の値上がりに対しては全然利益を受けないわけです。そういう点から見ても、国費の配分というものがそういうものできめられるということになりますと不公平になってくるのではないかと思うのです。そういう意味から申し上げたわけなんです。その点ひとつくれぐれもこういうことのないようにやってもらいたいと思うのです。  それから、先日の連合審査で少しお話し申し上げたわけでありますが、大都市には起債の能力があるので、大都市に対しての国庫補助率を落としておる、こういう答弁がこの間はあったんですね。いま言いましたとおり、どうしても大都市のそういう河川のほうが水質汚濁の割合が激しいのでちゃんとやってもらわなければいけない、こういうことで申し上げたわけでありますが、これは一つの例として聞いておいてください。一般都市と六大都市の国庫補助金の伸び率を見ますと、伸び率も非常に悪かったわけなんですよ。総額が四十四年が何ぼになりますか、とにかく総額が二四%の伸び率です。その補助金の伸び率を見ますと、四十四年から四十五年に対しての伸び率は、一般都市では四〇%、六大都市は三%になっております。四〇%と三%の伸び率の差というのは、これは大きいと思うのです。そういう点もぜひとも何とか改めてもらいたいと思うのです。  それで、下水道整備の国庫補助対象率、これが現在五四%でやられておられたわけですね。下水道整備の国庫補助対象率、これはどういうところによって根拠されてきめられていくのかという問題がこれは非常に疑問を持っておるわけなんですが、この点どうなんでしょうか。
  211. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 いつも、下水道事業につきましては国庫補助対象率が問題になるのでございます。五四%は根拠があるのかというお話でございますが、率直に申しまして、実ははっきりした根拠はありません。ただ、下水道事業が補助制度をとりましてから今日まで、補助対象の割合を引き上げていくということにわれわれは全力を傾注してやってまいって、第二次五カ年計画においては五四%まで持ってきた。私どもは第三次五カ年計画では六〇%ということで要求しておりますが、これは一応現在私ども考えております一つの考え方がありまして、処理場でありますとか、幹線とか、準幹線とか、そういうふうなものをもろもろの都市におきまして計算をいたしました結果、大体少なくとも六割程度は国が補助をしていくべきであるというふうなデータをもちまして今後補助対象割合を要求していくということでございます。
  212. 北側義一

    ○北側委員 この点もひとつ大いにがんばってもらいたいと思うのですよ。そうしなければ実際下水道整備はできないです。  もう時間も参りましたので最後に移りますが、厚生省の方お見えですね。——先ほどちょっとここで行き詰まってしまったわけでありますが、現在屎尿を処理するための終末処理場を有しておる市町村もありますし、ない市町村もあるわけです。かりにそういう終末処理場を持っておる市町村にしても、その処理能力はきまっておるわけですね。その処理能力以外の屎尿をどこへ捨てるのか、非常に問題があるわけなんですよ。これはどうなんですか。
  213. 榊孝悌

    ○榊説明員 屎尿処理の施設整備につきましては、現在、清掃施設整備五カ年計画をもちまして整備を進めているわけです。ところが、最近、人口集中とか、そういういろいろな要素のために、整備よりも人口の増とか、そういうものが非常に上回るというふうな事態もございますし、それから屎尿処理につきましては、いわゆる下水道で水洗化するというのが理想的なものでございます。そういうふうな関係から、私どもも、下水道整備と並行いたしまして、調整いたしまして実は整備をはかっているわけで、お話のような特に一時的に多くなるというふうなケースもある場合もございます。しかし、これはある程度の一時的な貯留というふうな形で、それの適正な処理場の運転というふうな形でできるだけ消化するように、そういうふうな指導で進めているわけです。しかし、現実には処理場がないというふうな問題につきましては、やはり農村還元によって行なうとか、あるいは場合によってはこれを海洋へ処分するというふうな方法によらなければならないところもございます。実態としてはそういう状態でございます。
  214. 北側義一

    ○北側委員 先ほどお話ししたのですが、堺市は大和川から上水道を取水しているわけです。その上流でバキューム車が並んで、その川へ屎尿をほうり捨てるわけです。そういう事態がこの夏にあったわけですよ。それで堺市は取水をストップしたわけです。もちろん下水道整備には水洗化が今度義務づけになっておりますから、あちらこちらでそうやっておるのですが、あり余るそういう処理能力以外の、また処理場を持たないそういう屎尿については非常に困るわけなんですよ。五カ年計画とおっしゃって、なるほど五カ年計画でやられるのはよくわかりますが、当面として結局どうするかということが先ほどいろいろ論議があったわけですが、結局海洋放棄ということ以外にないというわけですね。
  215. 榊孝悌

    ○榊説明員 いまお話がございましたケースはたしか昨年だったと思いますが、あそこの場合については、あの地域は全般的には施設の整備というのは相当進んでおりますので、そのほかの近隣の余裕のありますところに応援を頼んで、そして処理するというふうなやり方であの場合はいろいろ進めております。しかし、地域的には、お話のようなどうしても処理できないというふうな地域もございまして、そういうところでは、先ほど申し上げたような海洋へ処分するというふうな現実はございます。
  216. 北側義一

    ○北側委員 時間が参りましたので、これで終わらしていただきます。
  217. 金丸信

    金丸委員長 ありがとうございました。  卜部君。
  218. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣がおいででございますので、若干大臣にきびしいような話になりますが、今度の国会は申すまでもなく公害国会と名づけられておるわけであります。しかしながら、ちまたには、今度の国会は自民党の財界との癒着、いわゆるざる抜け法案だとか一歩後退した法案が提示されたとかなどということが言われております。それどころじゃなくて、今日、来年の参議院選挙の選挙資金をお願いをしたその場所で、財界のほうは即刻今度の審議の審議未了をお願いをした、そしてそこにはお互いに了解点が成り立ったなどということがささやかれておるわけであります。あなたは閣僚の一人として、私のことばはまことに耳痛いことばだと思うのです。しかしながら、根本建設大臣は有能な大臣で、朝からじっといろいろな答弁に耳を傾けておりましたが、その中でも、やはり私には、若干その政府の態度と相似通った点が感じられてならぬ点があります。ですから、私はその点についてこれからの討論を進めていきたいと思いますが、まず大臣としては、ちまたに流されておるそういう財界との癒着問題と、そして、そういう取引を行なったなどという問題とは別個に、建設行政のためにどう対処していくかという決意のほどを示していただきたい、こう思います。
  219. 根本龍太郎

    根本国務大臣 どうも御質問の趣旨がよくわかりかねますけれども、ちまたでいかなるうわさが流れているか、何の意図があってそういうことを流したものか、よくわかりません。しかし、少なくとも私が知る限りにおいては、財界と公害の緩和について取引があったということは私は毛頭存じておりません。もしそういう点があるというならば、具体的に究明されたほうがいい。どこそこでだれそれとどういう者が会ってこういうことがあったじゃないかと。そうでなければ、いやしくもこういう重要な問題はここで議題にされては、私ははなはだ迷惑です。これが一つ。  それから建設行政の基本的な姿ということでございまするが、これは御承知のように、現在の日本の高度成長下において非常にいろいろのアンバランスが出てきている。その一つとして取り上げられるのは、私企業の伸びは非常に世界的にも冠たる伸びを示しておるけれども社会資本の充実が非常におくれておるということはだれ人も指摘されるところであり、私もそれは是認せざるを得ない。しかもこれは歴史的な長い累積の結果でありまして、何もこの戦後の十数年というだけではないと思います。それで、現在では、そうした過去のいろいろのマイナスの面を払拭して、これから高度成長を若干セーブしても社会資本の充実をはからなければならない、こういうことが現在の日本の国民的な関心事だと思うのです。この観点から見るときに、建設行政が担当する部面が非常に多いのです。それはまず第一に道路であり、それからいま問題になっている下水道であり、住宅問題であり、都市の再開発であり、あるいは利水、治水の問題等広範にございます。しかも、そのうち、私も先ほど申し上げましたが、特におくれておるのが下水関係です。水に関する社会資本の投入が非常に少ない。それでも利水の方面は若干、御承知のようにダムとか、これはエネルギー政策あるいは治水の形ともあわせてやってきましたが、下水については格別におくれておる。  そういう観点からいたしまして、四十五年度予算編成にあたりましても、絶対額の点については必ずしもたいへん多くはなかったけれども、少なくとも政策の目標としては第一に私はあげたわけです。それでようやく伸び率の基礎をつくって、これを機会に、先ほど来申し上げておるように、来年度を基点とする新しい五カ年計画を策定しまして、しかもこれは政府全体で考えワクをこえた——いまだかつてこういうことをやったことはございませんけれども、そのワクをこえた予算要求までしておる。さらに引き続いて、この第三次下水道整備計画を基礎とした昭和六十年までの長期構想、これは閣議決定まで持っていきませんで、建設省としてその方向へ進めていっている。しかもこれは建設省のみならず、実は経済企画庁あるいは関係のある自治省にも同調を求めて、おおむねその方向に進みつつある、こういう現状でございます。
  220. 卜部政巳

    ○卜部委員 第二点目の問題はこれから具体的に討議をかわしていきたいところだ、こう思います。  第一点の問題について、大臣もえらくむっとされた表情をされるし、与党の議員のほうからもけしからぬという声がありましたが、私は何もそのちまたのうわさを聞いて言っているのじゃない。根拠があるから言っておるのであります。これはもう新聞各紙が取り上げて、十二月二日には公然とこう書いてある。「自民党首脳が財界首脳に「来年の選挙資金を」と頼みにいき、同じ席で財界は「公害罪法案を審議未了で流してほしい」と党に頼む。それが十日前だ。ききめは即座に現れる。財界の「圧力で……」と、どの新聞にもあった。「……ゆらぐ自民党」「及び腰の自民党」「苦慮する自民党」ゆらいだのは党で、政府は最後まで「法務省原案どおり無修正で通す」形でいた。しかし、そういう政府が必ずしも正義の味方だったわけではない。」なんということがたくさん書いてあるのです。これは私が言ったことでもなければ、根拠がないことでもない。現実にあるわけです。だから私は、そういう問題について、やはり公害国会でありますし、冒頭に若干申しますと、下水道法の問題等についても、ほんとうに国民の切実な声が大臣にも反映されて、ただ大臣や官僚がつくった法案をもってこれがこと足り得るなどという姿勢じゃなくて、少なくとも今日のこの下水道の問題でこれからいろいろな問題を提起いたしますけれども、こういう問題について大臣は耳を傾け、そうして最善の努力をする、こういうことをぜひしていただきたい、こう思うわけです。要らざることを申し上げて、だいぶ大臣も憤然とされたようでありますけれども、そういう趣旨でありますから、その点は御了解いただきたいと思います。  御承知のように、欧米では下水道がないところはもうスラム街だと言われておるわけですね。ですから、欧米なんかにおいては大体一〇〇%に近い率である。これは大臣も御承知のとおりであります。そういう一〇〇%というのが、では現実にいつあらわれたかというと、これがもう十九世紀末です。十九世紀末にこれが実現をしておるという状態。なるほど、直接的にこれが加速度的にその達成へと目ざしていったのは十九世紀の後半ですね。いわゆる産業革命、資本主義の勃興、それに都市人口の増加、こういう背景に基づいて出てきたということが直接の原因、だろうと思いますが、しかしながら、何といってもこの下水道の問題等については、いわゆる都市計画並びに都市に住む人口、そしてまたそれに対する人命、そうした問題についての必要欠くべからざる下水道であったということが言われるわけです。ところが、率直に申し上げて日本の場合は、先ほど北側委員のほうからも指摘をされてまいりましたけれども、この四十五年度実施計画を見てもわかりますが、さらにまた百万都市の現状を見ていただいてもわかるように、六〇%をこえるということが実際問題としてまれです。そして、その中から出てくるのは、先ほど大臣のほうからもちょっと指摘をされておりましたが、屎尿処理なんかの問題については今日農山村で問題になっておる。もう山林だとか海洋に投棄をしておるという、こういう状態が出てきておるわけですね。そういう面で、大臣の第三次下水整備五カ年計画云々とか、さらにはその予備費の一兆円の半分の五千億を割愛をするために努力をしておる云々ということは私は聞きました。聞きましたけれども、何だかんだといっても、これは財政的な補てんというものを行なわない限り下水道の拡充は万全を期しがたいと私は思っておるわけです。そういう面で、いまここに出てきておりますが、現行の十分の四という補助率の問題がございますが、こういう問題はやはり率の引き上げということを考えてやらなければならぬのではないかと私は思います。そういう点で、ひとつ大臣のほうからそれに対する御答弁を願って、それからいろいろなことを私も指摘をしていきたいと思います。
  221. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま卜部さんが言われるように、日本下水道のおくれは、端的に言えば二百年おくれておると私は思う。先ほど申し上げましたように、欧州は大体降雨量が非常に少ない。河川も少ない。そしてまた、あの小さな大陸に数十カ国が相接続しておる。しかも、御指摘のように、資本主義の発展過程において海外とも非常に交流が多かった。非常に伝染病が多い。これは十八世紀、十九世紀ですが、それで一番おそろしかったのがコレラ、ペストであり、赤痢である。こういうために、一国家、一都市のみならず、欧州全体が被害を受けた。こういうことからして、水に対する関心が非常に違ってしまったのですね。だから、国防に次いで下水という問題と取り組まなければ、国家、特に都市国家として発達した欧州ではちょっとできないことになった。ところが、日本のほうは毎年雨が降るし、至るところに清流が流れて、そして都市が非常に少なかった。しかも慣習として、屎尿は全部農地に還元して、むしろこれは都市のほうに野菜や金を出してまで処理をしてくれたというのがごく最近までの現状でございました。ところが、都市化してくるというと、その肥料に対する感覚が全然変わったためにこれがにわかに問題にされてきたということと、それから工業の発達が飛躍的であったために都市集中が行なわれて、下水に対する何らの認識もなく、投資もしておらなくて、特にこの約十四、五年間の水に対するところのマイナス作用が集積してきたというところにこの問題があると思うのです。それだけこれは非常に切実な問題であると同時に、これを解決するのに一挙に——議論としてはいろいろ手法があります。手法があるけれども、現実にこれをやるとなれば、若干の忍耐と時間的な経過が私は必要だと思うわけでございます。そして、従来はこれほどまでに深刻に考えていなかったものだから、下水道事業はほとんど市町村の固有の事務にしてしまって、国は、端的に言えば何もしてやらなかったということだと思います。都道府県に至っては、これは市町村がやっておることなんだからということで、これにたいした関心もなかった。これを一気にやらなきゃいかぬという段階にきたところに問題の深刻さがあり、またそれだけの困難さがあると思います。  そこで、まず第一に、いまの補助率の問題でございまするが、昭和三十三年に下水道法ができてからなかなか政令がつくられなかったというのは、わずかにあの当時——私が振り返ってみますというと、たしか私がこの前大臣をやめてから後であったと思いますが、これをやったのは、そのときより年間十億程度の国費の投入よりしていないのです。そうして補助率も国費が全体の一〇%程度なんです。そういう段階で、もしあれがその具体的な計数のまま政令をつくったならば、これは全然処置ないのですよ。そこで、ある程度まで下水道事業を伸ばし、国民の関心も深めて、しかる後政令をやらなければ、政令がむしろ逆に拘束してしまうというきらいがあったと思います。が、しかし、いまやそういう時期ではない。去年ことしと伸び率を相当ふやし、それからまた実際の投資額もふやしたから、今度は皆さんの御激励を受けまして、第三次五カ年計画が策定した段階政令をやろうということで準備をさしております。  ただし、その場合において、いまの補助率のことでございますが、先ほど御指摘になりましたように、補助率の前に補助対象率が非常に小さい。そうすると、補助率を上げると、その補助率を上げたところの事業をやるところが負担は楽でありますけれども、結局事業量が今度はぐんと減ってしまいます。ところが、現在は、どこでも都市という都市はいまじゃ何よりも下水道をやらしてくれというのです。私は去年から——去年は私は党におりましたが、去年からことしにかけての私に対する下水道に関するところの要請の最大なるものは、事業率もありますけれども、どっちかというと、むしろ事業量を多くしてくれ、それから補助対象ワクをふやしてくれ、そうして起債をとにかく早く許してくれ、起債条件をよくしてくれ、これが一番強いのです。現在の国家財政状況は、市町村長も知事諸君も、みんなそれぞれよく知っているのです。しかも、彼らは、屎尿処理の問題から、都市計画の問題から、住宅の問題から、あらゆるものを持っておって、その上で来ておりますから、ただ単なるムードによる陳情ではなくして、一つの理事者として、地方自治体の責任者としての考えからそういうふうに来ているようであります。私もこれがしかるべきことと思います。  まず第一に、現段階では、この事業量をふやすということと、補助対象率をふやすということ、これが第一段階で、それから後に今度は補助率アップというような作戦をとらざるを得ない。そのほうがより現実的であるというのが現在の私の心境でございます。
  222. 卜部政巳

    ○卜部委員 前段の問題ですが、大臣のことばにひっかかるわけじゃないのですが、前段は水論議が始まったわけで、ヨーロッパあたりとは水に対する感覚が違うという問題があるのですが、私に言わせると、明治官僚の芳川顕正あたりが主になって、河川、橋梁は本なり、家屋、下水は末なりという都市計画が始まったわけです。こういうものがやはり尾を引いてきておりまするし、戦後になりますと高度成長です。何だかんだいっても、やはり住民の生活というものに直結するものが忘れ去られた結果、資本蓄積、これは高度成長のやむを得ない姿でしょうが、そういうものが進行していく過程の中で、大臣が先ほど午前中にもずいぶん答弁されておりますが、ここ十年来こういう問題が起きてきたというのはそのことだと思うのです。ですから、私は、水論議もむべなるかなと思いますが、やはりそういう背景があるということをかみしめながら、そこからまた一つ、いま大臣のおっしゃられたその問題について、若干話を進めていきたいと思います。  現実に、四十六年の下水の事業の概算要求や四十五年の実施状況等をながめてまいりましても、実際問題として四十五年の下水道の国費の支出の問題については、これが三百六十二億でございますか、その総事業費というのは九千億、こうなっておるわけです。こういうような状態をながめてみると、国が支出したパーセンテージといったら、これは実質はほとんど二割しかないということです。それで、北側委員のほうでは、受益者負担は、これは問題じゃないと言うけれども、私は問題だと思うのです。(「問題がないとは言わない」と呼ぶ者あり)そういうふうなかっこうで実質的に二割ですね。そういうことでは、何ぼ事業費がふえたってそれは問題にならぬのじゃないかと私は思います。だから、いま大臣がおっしゃったような標準の云々という、いわゆる事業費全体のワク拡大をされ、補助対象が確立をされ、そして順次という国費の支出の云々という、こういうことになりますけれども、現実はそういうものじゃないのじゃないだろうか。ですから、現実に大臣がおっしゃっておられますけれども、第一次のこの五カ年計画、これはもう三カ年後に決定されて、その翌年は失敗して、第二次五カ年計画ができておりますね。これは大臣の御承知のとおりです。こういう失敗をした原因は何かということです。大臣は、先ほど北側委員質問に対しても、自治省と十分な検討を行なう云々ということを言っておりましたけれども、一九六九年の二月まで、市町村建設省、国との間の調停がつかなかったという事実もありますよ。こういうものは一体何か。これはやはり受益者負担というような問題もあるし、国庫補助率のそれがあまりにも低額だということが言えると思うのです。ですから、大臣の構想はよくわかりますが、差し迫ってそれが解決できなければ、大臣の指向するいわゆる万全を期さなければならぬ。二百年も立ちおくれている下水道は、あくまでも二百年のその道のりを縮めることができないだろうということが言えるだろうと思うのです。その点について私は冒頭いやみを言いましたけれども、やはりそういうところを、いやみじゃなく、大臣がそこら辺に英断をもって、一兆円の予備費の五千億、半分の金を取ったと同じように、やはりその補助率を上げていくんだということを、大蔵省関係もありましょうけれども、この委員会の中で表明されてこそ根本建設大臣である、私はこう思うわけであります。ひとつその点を明らかにしていただきたいと思います。
  223. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御激励を受けましてたいへん感激していますが、実際上、私は正直者でございますから、現実に概算要求しているのは、補助率は現状のままで出しております。そうして、そのワク拡大することと、それから対象量をふやす、ここに重点を入れているという段階です。これは、実は、ときどき私も閣僚の諸君からひやかされるのですが、私は一たん決意をして言い出すというと猪突猛進型でございまして、あるいは他の閣僚諸君に若干迷惑を及ぼしているのかもしれぬが、これは大事だから私はやっている。しかし、政治というものは、これはこういうことを申し上げてははなはだ僣越でございまするが、一挙に全部やろうとしてもできないので、かえってその戦略的な誤りのために今度は後退する向きが出てくるので、それをしたくないということでございます。現在の情勢から見るならば、こういうふうな提案をしてやっていったことが、やがて来年、再来年と、形式上は変わったと言われるかもしれぬが、むしろ前向きの進歩が相当出てくる、こう私は信じております。先ほどもちょっと申し上げましたが、十二年前に私が道路特別会計を設けようとしたときには、大蔵大臣はじめ全閣僚が政治生命をかけるといって反対したものです。前取りするとは何ごとだということです。それからさらに、都道府県知事の権限を建設大臣が取り上げて道路を一貫してやる、これにも反対がありました。けれども、これは当時のわが党の幹部の皆さんが了解してくれたのと、岸総理の英断をもってこれをやった。やったら一年で元が返っちゃった。最初は一兆円予算、というよりは、実質上は九千億だったのです。それで、翌年はすぐにまた変えざるを得なくなっちゃった。そうして今日になりますと、道路投資はこうやるのが当然だという国民の理解のもとに、一番優先にいったわけです。だから、私は、下水の問題は今後の日本建設省行政の中でも最も大きな成長株になるということを信じておるのです。その一つの証拠として、従来でありますれば、閣議で一兆の一応の中期計画で総ワクをきめた場合、そのワクまで全部要求したことはないのです。受け付けないのですよ。ところが、それを越えて、さらに予備費の半分も先取りすることを要求して、私は出しているのです。それを大蔵省ははねつけないのです。そこまでもってきているという段階ですから、これ以上激励を受けたということで言うならば、これは少し猪突猛進というもので、これが閣内においても、党内においても、何だ少し図に乗り過ぎているじゃないかということになると、これは少し知恵のないやり方じゃないかと思いまするので、これがほどほどで、いまが最高の限度じゃなかろうかと思うのです。だから、現在のところは、むしろこれの達成に最善の努力を尽くすということが現在の私の目標でございます。
  224. 卜部政巳

    ○卜部委員 まあ、大臣の言われることはよくわかるような気がするのですね。ただ、私がそこに一まつの不安があるのは、先ほど申し上げたように第一次五カ年計画の失敗、第二次五カ年計画も、これは建設省が出しておる「動向」の中にもありますように、五カ年計画の達成時でまだ六八%というふうに書いてあるわけですね。そういう点から、今度は第三次五カ年計画、これが発足をするわけなんですね。そうした流れの中にあって、いま一兆円というものの半分を先取りしたとしても、これの国庫負担というもののいわゆるかさ上げ、かさ上げというとおかしいですが、増額というものをやらなければ、現実には、北側委員もちょっと指摘をされたように、伸び率の問題とあわせて、国庫補助というものは二割の実質補助しかない。せいぜい三割ぐらいにとどまるような傾向で終わるのではないか。そして、その中に残されてくるのは、いわゆる自治体における受益者の過酷な負担というものが強行されてくるという危険性がある。そういうために一つも下水道というものは完備されてこないという不安を私は感ずるのです。ですから声を大にしてこういうことを言っておるわけでありますが、しかしながら、そうした面において、大臣は、いま建設省の中に受益者負担制度の採用都市の下水事業の促進という項目が通達の中にあることを御存じでございますか。こういうものがあるということは、大臣が先ほど北側委員質問の中で答えたときに、こういう点は特に重点を入れているわけではないが、というような答弁がございましたけれども、ともかく受益者負担というものをどんどん強めていこうという姿勢にあることだけは事実だと思うのですね。そういうことになってくるといまのような大臣の構想というものがぼけてしまう。こういう点がありますので、この点をひとつ、私は、老婆心とでもいいますか、ちょっと一言吹かしながら、大臣見解を聞きたいと思います。
  225. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは卜部さんも御承知のように、下水道事業をやっている都道府県は必ずしも多くないです。これからやるものがあるのです。だから、これからやるところについては国も出す。それから負担もやはり受益順位により負担してもらわなければならぬ、それから企業にも負担してもらわなければならぬ、こういうことを言っておるのでありまして、いままで負担しておる人からさらに多く取るというようなことではないのであります。  それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたが、地方自治体固有の、自分の住民税を取ってやれということにも、これは限度があるから、それで、自治省大蔵省とよく相談してこれから進めていくというのは、都市化しておるところの自治体にとっては、地方自治体の事業のうち非常に大きな項目がこの下水道事業になると私は思うのです。自治体の基本財政の一番大きな項目になり、基準財政を考慮するにあたっての大きな項目になる。そうしますと、これは交付税の配分に当たって、この下水道事業を真剣にやっている自治体とやらない自治体については当然差別をつけるべきだ。そういう意味においても私は財源の確保の道があると思う。  それからまた、そういう事業を積極的にやるところにおいては、これは地方自治体に対して特別の起債ワクを与えるべきである。そうしてその上に、起債の質についても当然考えるべきであるということを私は申し上げておるわけです。  それからまた、企業等についても、先ほど事務当局から一部申し上げましたが、この公害除去のために排水基準を守るために、大きい企業については開発銀行の融資を、これにワクを設けて、これをふやす。それから中小企業については、中小企業金融公庫等からも融資ワクを政策的に出す。こういうふうに多面的なことで行かないとなかなか目的を達成させることができないであろう。  そういう意味から、ただ単に補助率補助対象をふやすということだけではなく、各省全体にわたる一つの作戦をやらなければならぬということで、そういう意味のことも実は私は指示してやらしておるというわけでございます。
  226. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣の言うことはよくわかるわけですよ。わかるのですが、先ほど私が申し上げたように、受益者負担を徴収しないところの都市については補助金を制限をしているという事実がありますね。実際問題としてあるわけです。交付金問題その他もあるのでありましょうが、そういうようなことと、下水道の完成を急ぐ、達成を急ぐという趣旨というものはだいぶぼけてしまうだろうと思うのです。それで、その方向というのはどういうかっこうになるのかといえば、結果的に、負担金において下水道建設を——建設というのはおかしいのですが、達成を行なっていく、利用料金によって管理、維持費ですか、こういうものを整えていこうという、いわゆる企業化の方向がこの中ににじみ出ておると思うのです。少なくとも下水道というものは公共事業でしょう。郵便料金でもそのようなもので、山の中に七円のはがきを持っていったってもうけにならぬことはわかっていますよ。だけれども公共事業だからやっていくわけなんでしょう。それと同じように、やはり下水道公共事業の一環である以上は、独立採算だとか、そうした企業化の方向をたどるということはあやまちではないだろうか。そういうことをやる限りにおいては、冒頭申し上げたように、市町村との対立があって、大臣が今度は自治省と十分話し合う、関係市町村と十分話し合うと言うけれども、ここにもやはり配分をめぐっての問題が出てくるだろうと思うのです。しつこいようでありますが、私は、そういうかっこうでない補助金の問題の積み重ねというものを強調しておるところでございますが、しかし、大臣には、政治家としての遠大な作戦があると言われておる。こう言われた以上はどうしようもないわけなんですが、少なくとも今日の公害国会の中で、いま、国民は、そうした政府の一歩でも前進した姿というものを見きわめようとしているわけなんですよ。それが、第三次の下水道事業計画なんかを見ても、第三次も第二次も変わりがない。大臣がここで答弁された一兆円の予備費の問題はあるにしても、そういうもののスタイルが出ていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんです。したがって、私のほうは、それが大臣の作戦項目の中の一つの付帯した作戦項目としてその中にありまして、来国会、それから来々国会という方向の中でも、この方向に向かって、国民がほんとうに切実な要求として声をあげておるこの問題を解決するために努力を願いたい、こう思います。さらに、下水の問題の中には、許可制とか水洗便所なんかの問題等いろいろありますけれども、これらについては松浦委員や北側委員がいろいろ言われましたから重複を避けたいと思います。私はこの補助金の問題だけについて大臣に強く訴えておきたい、こう思います。  以上をもって私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  227. 金丸信

    金丸委員長 浦井君。
  228. 浦井洋

    ○浦井委員 初めに大臣に聞きたいのですが、今度の国会公害国会だと言われており、この建設委員会にも下水道法改正というものが出ておるわけなんですが、建設関係ではほかにいろいろ公害があるわけです。地盤沈下であるとか、あるいは建築騒音であるとか、日照権の問題、こういうものがあるわけなんですが、そういうものに対する対策は今度の臨時国会に出されておらない。一体法改正そのほかのどういうような対策を持っておられるのか、特に、大臣には、建築騒音と日照権の問題についてどのように考えておられるのか、この点を最初にお聞きしたいと思います。
  229. 根本龍太郎

    根本国務大臣 日照権の問題というのは、非常に都市化した地域において、ビジネスセンターと住宅、あるいは工場と住宅というふうに雑然としてあるところにこれが起こってくる問題でございます。普通の状態ではいままでなかったところであります。ところが、これはどこに基因するかというと、土地利用の目的の設定が混淆しているところにこれが出てくるのでございます。都市に住んでいる人にとって、一つの企業の面から見た場合における機能を高めるということになりますれば、できるだけ便利がいいところに高層のビルディングを建てるということになってきます。その要請が一方では非常に強いです。ところが、一方住宅として見た場合には、できるだけそういうもののない広々としたところに住んで、しかも都市機能はほしいという要求が出てくる。そこにこれが出てきたわけでございます。したがいまして、この日照の問題が直ちに公害であるということは、概念規定はできるけれども、現実の問題として見た場合に、はっきりとこれは公害である、これは公害でないということは一般的には規定できないですよ。  そこで、この問題をやはりバランスをとって解決しなければならぬということの結果出てきたのが都市計画法におけるところの用途指定でございます。特殊工場地帯として設定したところは、日照権よりも、できるだけ工場用地としての機能を高め得る条件を持たせて、そこには原則として住宅は存在せしめないということがむしろよろしい。それからビジネスセンターは、ビジネスの機能を十分達成させるために、そうした地域に集団していく、そこからは住宅は排除していく、こういうことになります。そうして、今度は商業地帯と住宅地帯との緩衝地帯をあるいは必要とする場合には設ける。そうして住宅地域については、現在は第一種、第二種とありますが、一種のほうは低層でそうしてすぐれた環境のところ、そういうところにおいては日照権は都市計画上も十分確保する。それから二種のほうになりますと、相当高度利用を住宅政策に使わなければならぬというときには中高層の住宅を建てる。それについては、今度は建築基準法で北側斜線というものを設けて、その点で確保していくというようなやり方をして調和をとっているわけでございます。  そこで、それにもかかわらずこれはいろいろな紛争が起こります。そうした場合に起こる問題は、これは民事上の訴訟で争われてくる。その訴訟で、日照権というものは判例上明確に認められたということになるわけであります。しかし、その場合においては、個々の具体的ケースにおいてこれが判定され、それに対する賠償責任というものも出てくる。また、そこまでいかなくても、御承知のようにこれは建築協定で日照を妨げるような場所に建物ができるというような場合には近隣の人と協定を結ばさせて、そこでそういう紛争のないようにさせるというような措置を講じているのであります。したがいまして、現在のところ、いわゆる一般公害の問題と日照権とをからめて概括的に規定するということは適当ではないということで、これは公害の対象にはいたしておらぬというわけであります。
  230. 浦井洋

    ○浦井委員 騒音と日照権の問題について大臣見解をお聞きしたわけなんですが、もう一つ建設関係の公害として見のがすことのできぬものに地盤沈下の問題があると思うのですが、これも今度の国会で法改正その他の対策が出ておらない。工業用水法、その工水法についての、通産省としての今後の手直しのスケジュールなり、あるいは要点なりをひとつ聞かしていただきたいのです。
  231. 原田稔

    ○原田説明員 お答えいたします。  従来から、工業用水の地下水の過剰くみ上げに基因する地盤沈下を防止するために、昭和三十一年から、工業用水法という法律に基づきまして、地盤沈下地域につきましては、一定の基準に合致しない工業用の井戸は新設を禁止するという措置をとるとともに、当該地域に工業用水道というのを布設しまして、基準に合致しないものにつきましては工業用水道への転換というのを強制してまいってきたわけでございます。現在までにそういった規制を実施しておりますのは全国で大体十三地域、主要な工業地帯はすべてそういった規制を実施いたしております。その結果、大部分の地域につきましては地盤沈下が大体停止している、あるいは無視し得る程度に緩和しているというような状態になっておりますが、ただ、東京あるいは埼玉といったような一部の地域につきましては、残念ながら、地下水から工業用水道への転換がまだ終了していないというような事情、あるいはほかのいろいろな条件が重なり合いまして、地盤沈下がまだ進行しているというような状態でございます。こういった状態にかんがみまして、私どもとしては、たとえば厚生省あるいは建設省、そういう関係の省とも連絡をとりまして、いろいろな調査を実施いたしておるわけでございますが、こういった調査の検討と並行いたしまして、現在、工業立地及び工業用水審議会というのがございまして、これは通産大臣の諮問機関でございますが、この場におきまして、今後の工業用水法の規制というのはどうあるべきかという点について検討をいたしております。この検討をまちまして、いろいろな点につきまして、なるべく早い機会に所要の準備あるいは所要の対策を講じていきたいというぐあいに考えておるところでございます。
  232. 浦井洋

    ○浦井委員 それで、ゼロメートル地帯というのは非常に少なくなったということなんですが、私が調べたところでは、むしろどんどんと拡大されていっておるというのが現状で、もう一日も早い、早急な対策を望みたいというふうに思うわけです。  時間がないのでその辺にしておいて、次に、特別都市下水路の問題に関連して建設大臣に聞きたいのですが、例の田子の浦のヘドロですね。岳南排水路というものが関連しておるわけなんですが、あのヘドロを富士川の河川敷に投棄するということを消極的に賛成をされたというふうに聞いておるわけなんでございますが、私、現地へ行ってまいりましたけれども、やはりまだまだ処理しなければならない問題が多いというふうに思います。たとえば、例のヘドロのしゅんせつをやったり、あるいは移動する際にH2Sが出る、それをどうするかという問題であるとか、河川敷に投棄した場合に地下水に対して影響がどうなるかという問題であるとか、あるいはいつまでも河川敷に置いておくわけにいかないから、最終的にどこかへやはり処理しなければならないが、こういう方法とか、そういうふうな点について県に命じていろいろ実験をさせておるようなお話を聞くわけなんです。けれども、なかなか地元の漁民をはじめとした住民は納得しておらないというふうに聞いておるわけなんでございますが、その辺の建設大臣見解をお伺いしたいのです。
  233. 根本龍太郎

    根本国務大臣 田子の浦のヘドロの問題につきましては、私の見解はこういうことなんです。あれを河川敷に持ってきた場合に第二次公害が起こるか起こらないか、これを明確に結論づけて、第二次公害が発生しないという場合には、これはあそこの場所を提供を要請された場合にはそれは拒否はできないだろう、こういうことだけです。したがいまして、まず第一に、いまあなたが御指摘をしたように、あそこに第二次公害を起こさないように第一次の処理ができるかいなかということに問題がしぼられております。そのことは建設省がやることではなくして、これは現地と公害対策本部がやっていることでございますから、そこで結論が出てきた結果、第二次公害の発生のおそれなし、ただし場所を提供してほしい、それにはいま適当な場所がないから、一時富士川の河川敷を使用さしてほしいという場合には、これは河川管理上実はあまり好ましくないのです。好ましくはないけれども、しかし、それの置くところがないために、あそこの田子の浦並びに関係住民が非常に困っているのを救済するためには、一時的にこれに使用許可することはやむを得ない、こういう意味で私は申し上げたのです。ところが、現実には、正式にあそこを使わしてくれという交渉は私のところまではまだ来ておりません。一つのサウンド程度に河川局並びに事務当局にあったということは聞いておりますけれども、私には、正式に静岡県知事からもあるいは公害対策本部からも何らの具体的交渉はないという段階でございます。
  234. 浦井洋

    ○浦井委員 それに関連して、大昭和製紙ですか、そういうようなところの汚水は、現在まだ、岳南排水路を使わずに河川に直接たれ流しておるということを聞くわけなんですが、これについて河川管理者としてどう見ておられるか、ひとつ見解をお聞きしたいと思います。
  235. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のお話しのとおり、河川といたしましてはこれはあまり好ましいことではございません。ただ、御承知のように、いろいろ各方面の方々が真剣にその処理方法等を考えておるわけでございますが、まだそのきめ手となるような処理方法がないわけでございまして、したがいまして、いまその流れておるのを云々するよりも、むしろ処理を急ぐほうが大事じゃないか。特に河川の立場といたしますれば、そういった都市下水路なりあるいは湾内の現在堆積いたしておりますヘドロの除去、こういったものを早急にやっていただくことが望ましい、こういうふうに考えております。
  236. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、工場自身には、適切な防除装置そのほかの処理施設をまだつけてはないわけですか。
  237. 植松守雄

    ○植松説明員 私、公害対策本部でございますが、いまの点についてお答えしたいと思います。  御承知と思いますが、約二カ月ぐらい前だと思います。経済企画庁のほうで水質基準の設定がございまして、これが一定の期間をおかなければなりませんので、正式に動き出しますのは来年の六月ぐらいでございます。しかし、それに間に合わせて、いま、大企業のほうは、それぞれもうすでに汚水処理施設を発注いたしまして、その準備は整っておるところでございます。  それから、問題は中小企業のほうの排水でございまして、その中小企業のほうは、結局は岳南排水路の終末処理場を使わなければならないだろうということになっております。それで、中小と申しましてもいろんな態様の企業がございますが、それをいまふるい分けをいたしまして、自分で処理施設を設けるものと、岳南排水路に入れるものと、その辺の仕分けをしておるところでございます。
  238. 浦井洋

    ○浦井委員 それで、汚水ですね。そういうような流される汚水がいつまでにどれくらい改善されるというような明確なメルクマールはここでわかりますか。
  239. 根岸正男

    ○根岸説明員 はい、わかります。ただいまのことについてお答え申し上げます。  先ほど植松審議官のほうから御説明しましたように、十月に排水基準がきまりまして、直ちにこれは恒久的対策と応急対策とに分けまして、恒久的対策は、これはきちんとした設備をしなければなりませんので、やはわ相当時間がかかりまして、四十六年の六月一ぱいで大体全部が完成する予定で、静岡県及び東京通産局から聞きました報告では大体順調に進んでおるようでございます。それで、応急対策としましては、ただいま大体二〇%ばかりのSSのカットをするということになっておりますが、実績は二四・五%までいっておるということでございます。ですから、大体こういう傾向で、その恒久設備が完成いたしますれば、逐次それ以上にSSのカットが進むという状況になっております。
  240. 浦井洋

    ○浦井委員 時間がないから前おきはそのくらいにいたしまして、下水道法質問に入りたいと思うのですが、まず最初に流域下水道についてお聞きしたいわけです。  それで、この改正案でいわれておる総合計画、これは改正案の第二条の二によりますと、都道府県が定めなければならないというふうになっておるわけでございます。さらに、そのあとの第二条の二の4によりますと、都道府県が、「総合計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係都府県及び関係市町村意見をきくとともに、」「建設大臣の承認を受けなければならない。」というふうになっておるわけです。また、ずっとあとの事業計画の項を見ますと、これは二十五条の三の2の項でございますが、都道府県は「あらかじめ、関係市町村意見を聞かなければならない。」というふうになっておるわけです。それから、さらにそのすぐ前にあります管理の項では、これは二十五条の二の2でございますが、「市町村は、都道府県と協議して、流域下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理を行なうことができる。」こういうふうになっておるわけなんです。そこでお聞きしたいことは、こういうように先ほどから読み上げております基本計画だとか、総合計画だとか、あるいは実施計画だとか、それからその後の管理をする場合に、法改正がやられて、あと関係市町村の議会の議決が一体必要であるのかないのかという点をお聞きしたいと思うのです。
  241. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいまの御指摘の点につきましては、自治省の行政局等とも十分調整をはかりました上で改正規定を設けたものであります。結論から申し上げますと、特に議会の議決を要するというふうな規定のございますもの以外は、法律は議会の議決を必ずしも要しないというふうに私どもは理解をいたしております。  なお、今回の改正の中で特に議会の議決を要するものにつきましては、県がやります例の流域下水道の一部を市町村に負担金をかけますときには県の議会の議決を要するというような規定がございます。御参考までに……。
  242. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうお答えなんですが、流域下水道関係する市町村が——今度の改正によって基本計画あるいは実施計画というものがそれぞれ基準に適合しなければならぬというふうに書いてあるわけですし、当然費用も分担しなければならぬというふうになっておるわけで、現に現行法の第三条の2の項を見ますと、都道府県関係市町村と協議して、管理を行なうことができるとなっており、その場合において、「関係市町村が協議に応じようとするときは、あらかじめその議会の議決を経なければならない。」というふうにあるわけです。だから、流域下水道においても、関係市町村とともに管理するときはもちろんでございますけれども基本計画やあるいは実施計画都道府県が定める場合、いまいわれたような、単に必要なときに市町村意見を聞くというだけでなしに、積極的に市町村の合意を求める、あるいはあらかじめその議会の議決を経なければならないというふうなことが必要だと思うわけでございますけれども、この点についてはどういう御見解ですか。
  243. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まず、流域別下水道整備総合計画でございますが、これはよく先生が御存じのとおり、市町村の行政区域をこえました広域にわたりますところの流域につきましての下水道整備についての総合計画をつくるという内容のものでございます。したがいまして、こういう計画は本来府県の事務とすることが適当であるというたてまえから、今回は府県がその計画策定の主体者ということにいたしたわけでございます。ただ、その計画関係いたしますところの市町村につきましても、この計画内容については大いに利害関係があるわけでございますから、その点は関係市町村意見を聞きなさいというふうな調整規定を設けたわけでございます。  それから流域下水道事業主体の問題につきましては、今回の制度では、その事業の性格から、本来都道府県がやるべき事業であるというたてまえをとったわけでございます。原則は都道府県でございます。ただし、例外的に市町村が行なう場合があろう、そういう場合は、今度は逆に市町村都道府県と協議をしてその辺の調整をはかりなさい、こういうふうな改正内容になっておるわけであります。  それから、いま御指摘現行法の三条の関係につきましては、公共下水道につきましては、たてまえは市町村が本来やるべきものであるということになっておるわけでございます。それを例外的に府県がやるという道が開かれておるわけでございます。そういう場合に、本来市町村がやるものを府県がやるわけでございますから、関係市町村関係地域の公共下水道について府県にその事務をお願いするという場合におきましては、たてまえ上市町村は議会の議決を経てそのことをきめなさいというふうな規定になっておる、かように理解をいたします。
  244. 浦井洋

    ○浦井委員 どうも質問にぴったりとお答え願っていないような感じがするのですが、私、思いますのに、そういうような形では、地方自治という観点から見て、むしろこの点は後退しているのではないかと思うわけで、私が先ほど申し上げたような関係市町村を重視するという方向改正されることが望ましいということを要望しておきたいと思うわけでございます。  次に経済企画庁お尋ねしたいのですが、つい先週の連合審査におきまして、企画庁の長官は、新全総というのは生態学的観点からいえば不十分かもしれないけれども、公害防止のための国土の再開発計画であるというふうに私は自負しておるというような発言をされておるわけでございます。新全総は、よく読んでみますと、大体いまから十五年後の一九八五年に市街地に日本の全人口の七〇%が集まる、そして東京、大阪、名古屋というふうな日本の三大圏に全人口の五三%が集中するという計画になっておるわけでございます。もしこの計画がそのまま進められていきますと、いま以上に各種の公害がどんどんひどくなって、その地域に住んでおる住民の生活の破壊が進まざるを得ないのではないかと私は思うわけであります。私だけではなしに、現に企画庁自身が試算されておる数字によっても、水質公害というのは五十年度の時点でいまよりももっとひどくなるというふうに試算をされておるわけなんです。それにもかかわらず、先ほどからいろいろ話題になっております公共投資の問題で、事業別公共投資額を比率で見ますと、道路は二一・三で、下水道が四・二というふうになっており、道路も必要でございますけれども道路に比較して下水道があまりにも少ないと思うわけでございますが、企画庁としてはこういうような現状をどのように考えておるか。そして、この現状を打開していくのに具体的にどういうふうな方策を持っておられるのか。そういうことと、それから決意ですね、こういうものをぜひここで聞かしていただきたいと思うわけです。
  245. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいまの御質問でございますが、新全総計画は確かに公害という字句がわりあい少ない計画でございますが、現実の問題といたしまして、環境を良好な状態に持っていこうではないかという考え方が相当強い計画だと私どもつくりました当事者としても考え、また実際の内容といたしましてもそうなっていると考えておるわけでございます。そこで、いまお話がございましたように、確かに、ほうっておきますれば人口がますます都市に集中する。その集中度を少しでも押えて、国土のでき得る限りの均衡ある発展というものをもたらしたいという考え方でございます。  そこで、具体的にどういう考え方でおるかという点を申しますと、たとえば、あの計画でも、一つの戦略として、大規模開発プロジェクトというものを大きく取り上げているわけでございます。その内容といたしまして、一つには、いわゆる交通通信のネットワークというものを整備しなければならない。幹線道路でございますとか、あるいは新幹線の鉄道であるとか等々の、いわゆる交通ネットワークを整備いたしまして、その交通ネットワークの整備によりまして、国土の非常に均衡ある開発ができるという考え方を一つ持っております。  また、産業面での開発といたしましては、御指摘のございましたように、たとえば従来の拠点開発方式というものの考え方から、むしろ工業の開発については逆に大規模な工業基地というものを計画的につくろうではないか一これは大規模であるがゆえに公害が防げるというものじゃもちろんございません。したがって、その計画整備実施いたします前提として、十分総合性のある計画を立てていきたい。いわゆるマスタープランを十分練って、その上で考えていきたいという考え方で大規模工業基地というものも考えていくべきではないかという考え方に立っておるわけでございます。ただ、長官も申しましたように、いわゆる自然の生態学的な問題の一つのバランスを失うために非常に問題になってくるということにつきましては、さらにこれは検討しながら、そのマスタープランをつくるという段階でもっと織り込まなければいかぬと考えております。お答えにならなかったかもしれませんけれども、一応そういうふうに考えております。
  246. 浦井洋

    ○浦井委員 私も新全総を読んでみたのですが、公害という項目が書いてあるのは、五〇ページ余りの総論の中の一ページ足らずなんですね。これでは、新全総というのは公害のために手直しをしたんだということは口がさけても言えないのではないかと思うわけです。  そのくらいにしまして、次に具体的な問題に入りまして、放流水の問題で、それの水質基準に入りたいのですが、施行令の第六条によりますと、たとえばBOD一つ取り上げてみましても、活性汚泥法であるとか標準散水ろ床法というような最も高級な処理方法でも二〇PPM以下でよいということになっておるわけでございます。それが非常に初歩的な沈でん法の処理によりますと、ぐんと上がりまして一二〇PPM、その他のちのになりますと一五〇PPM以下でよいということになっておるわけでありますが、先ほどからいろいろ言われておりますように、一般家庭の汚水のBODのPPMというものは大体一五〇といわれておるわけです。そういうことでいきますと、この水質基準というのは非常にゆるいのではないかと思うわけです。昔のように川にたくさんの水が流れておるというような場合には、あるいは希釈されて、それくらいの基準でよかったかもしれませんけれども、最近は御承知のように川に水がないという場合が非常に多くて、ときには下水道の放流水の水質がそのまま河川水質に近いというようなことも間々あるわけでございます。だから、この際基準をもっときびしくすることが必要だと思うわけですが、そのためには、具体的には、現在日本の国ではほとんど二次処理ぐらいしかやられていないそうでございますが、どうしても三次処理以上の高級処理をする必要がある。その三次処理についての技術的な見通しであるとか、あるいはそれを実際にやっていくための計画であるとか、そういうことの見通しなんかについてひとつお聞きしたいと思うのです。
  247. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 技術的な問題でございますので下水道課長から答弁させます。
  248. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  公共下水道からの放流水の水質基準に関する問題でございますが、御指摘のように、下水道法の第八条と、それを受けまして政令の第六条で、公共下水道からの放流水の水質基準をきめてあるわけでございますが、その中で、いろいろな処理法別に基準をきめまして、その処理法について、どういう公共下水道にはどの処理法を採択するかということは、これは下水道法の認可のときにきめることになっておるわけでございます。認可する場合に、その要件といたしましては、その終末処理場から出てくる水の下流側の水の利用の状況その他を考慮して定むべし、こういうふうになっているわけでございます。しかし、その政令の第二項のほうをごらんいただきますと、もしも公共用水域水質保全法、今度は水質汚濁防止法になろうかと思いますが、そちらのほうでその基準よりもきびしい基準がきまる場合には、それによるということで、水質保全法のほうを受けるような形で対処しておるわけでございます。  ところで、先生御指摘のように、川の表流水が非常に少ない場合、その場合には下水の放流水そのものが河川の流水になる、こういうような個所もかなり出てきております。したがいまして、そのような水域にありましては、従来の一番高度に処理をされておる、高度な処理法といわれております標準活性汚泥法とか、あるいは標準散水ろ床法による処理水、BOD二〇ではとても不十分だ、こういう地域がかなり出てまいりますので——私どものほうでも、このたびの環境基準がきめられた水域の中でそういう水域が数カ所ございます。したがいまして、この第三次の五カ年計画の中で、いわゆる三次処理の検討を開始することにいたしております。しかしながら、この三次処理につきましては、わが国でもまだ実例はございませんし、特にこの数年来、アメリカで、かなり大がかりな実験あるいは実験を終了して実用段階に出ておるところも一部ではありますが、実例としてはそうたくさんはございません。しかしながら、そのような実例等もございますので、私どもといたしましては、そのような例をよく研究をいたしまして、わが国で実施をするには、いかにすれば一番経済的に建設がなされ、維持管理についても、いかにすれば維持管理が経済的になされるかという技術の開発のめどを確かめた上実用化をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  249. 浦井洋

    ○浦井委員 次に、施行令の第九条の問題なんですが、工場排水ですね。これはやはり工場排水を出すところが、自分の費用で、少なくとも一般家庭が出す家庭汚水と同じくらいの基準にまで前処理をして放流する必要がある、これが原則でなければならぬというふうに私は思うわけで、さしあたって、それの規制として、施行令の第九条をもっときびしくする必要があると思うのですが、その辺についてはどうですか。
  250. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  施行令の第九条には、いわゆる除害施設の水質制限が定められておるわけでございます。政令でこの除害施設を書いておりますことは、下水道そのものが市街地に発生する汚水を集めて、最終的には処理をして公共用水域に出すにあたりまして、全体としていかにすれば一番経済的であるか、こういうことを考えなければならないわけでございます。その場合に、工場排水につきましては、この除害施設の条項からもごらんいただけるかと思うわけでございますが、下水道の機能を害するような、あるいは処理機能を害するような工場排水につきましては、その機能を害しない程度まで徹底的に除害をしていただく、極端な場合は全然出さない、一部の重金属類につきましては下水道に出さないというところまで除害をしてもらうわけでございますが、下水道終末処理でもって処理できる程度のものにつきましては、たとえば例で言いますと、生物化学的酸素要求量というような水質項目であるとか、あるいは浮遊物質量というようなものにつきましては、下水道終末処理で処理できる範囲のものはできるだけ受けまして、そして下水道終末処理場で浄化をした上放流をする、ただしその場合には、それに要する経費につきましては、その水質の濃度に応じて企業のほうにも負担をしていただく、こういうことをすることのほうが、管理もそうでございますが、市街地全体としての運営が最も社会経済的に適当である、こういう観点からそういう方針をとってあるわけでございます。
  251. 浦井洋

    ○浦井委員 時間がないので次に進みますけれども、水洗便所の問題です。すでに現在処理されておる区域内での水洗化の数字というのは全国的に六七・二%、これは多いというふうに見る見方もありますけれども、私は七〇未満にとどまっておる段階だというふうに思うわけでございますが、せっかく水洗便所にできるというのにまだ水洗便所ができておらない。この辺の原因についてはどういうふうに考えておられるか、ひとつお答えを願いたいのです。
  252. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この問題につきましては、私のほうで関係都市にアンケートをとったことがございます。それによりますと、いろいろな理由がございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、やはり家主と借家人との関係で、その費用負担について、家賃転嫁の関係でトラブルが起きており、なかなかきまらないといったような問題、それから非常に老朽家屋でもってやがて取りこわさなければならないとか、あるいは移転を予定しているとか、そういうことのために水洗便所に改良するのはちょっと待ってもらいたいというような問題、その他生活困窮者の関係とか、そういうふうな例がまだ水洗化ができていない事例のおもだったものじゃないかというように考えるわけであります。
  253. 浦井洋

    ○浦井委員 いろいろ理由はあると思うのですが、やはり一番大きな問題は、水洗化する際の費用の問題だというふうに思うわけでございますが、先ほどから言われておりますように、四万五千円ぐらいから六万円ぐらいかかるということで、これは一般勤労者にとって必ずしも負担の軽い額ではないというふうに思うわけです。だから、生活保護者あるいはそれと同等の人たちに対しては全額の補助、あるいは一般の家庭に対しても公費の補助、こういうようなものをぜひ制度化する必要があるというふうに私は強調しておきたいと思うわけです。  次に費用の問題で、公共下水道補助率あるいは補助対象事業の問題が先ほどからいろいろ出ておるわけでございますが、一つ質問したいのですが、公共下水道の国庫の補助対象事業というのは正式にはどういうことになっておるわけですか。
  254. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 下水道補助対象事業といいますものは法令上明記はされておりません。といいますのは、現在の下水道補助事業は地方財政法によりまして財政援助でもってやっておりますものですから、財政上の大蔵省とのルールによりまして補助対象事業というものをきめまして実施をいたしております。
  255. 浦井洋

    ○浦井委員 先ほどどなたかの質問で、おもな管渠とかというような表現が出てまいりましたが、その辺は具体的に言ったらどういうことなのでしょうか。
  256. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 第三次の今度の計画におきましては、そういった点も明確にすべきである、なおかつ、御指摘のとおり、政令にもそれをはっきり書くべきであるというふうな考え方から、この際明確にいたしたい。そこで考えられますことは、これから補助対象として取り上げていくべきものがあるとするならば、下水道の中で、幹線、準幹線、枝線、処理場とございます中で、処理場とかあるいは下水幹線、もしくは準幹線に相当するものを国庫補助対象事業対象考えていくべきじゃないかというのも一つの考え方でございます。そういうことでございます。
  257. 浦井洋

    ○浦井委員 先ほどからのお話では現在の五四%を六〇%に引き上げたい、こういうお話でしたけれども、これは七〇%ぐらいには上がらぬものでしょうか。
  258. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 これも私どもの試算でございますが、そういうふうなモデル的な計算をいたしてみました。そういたしますと、処理場ないし幹線、準幹線というようなものの標準的なものでその割合を出してみますと、たしか七〇をちょっと越します。それに対しまして、今後企業に対して新しく水質使用料的な負担を特別に考えていこうというふうなこと等もございまして、その分が一〇数%あるということから、私どもの来年度要求におきましては六〇%程度の国庫補助対象事業は至当であるということで要求いたしております。
  259. 浦井洋

    ○浦井委員 先ほど北側委員も言われたように、政令都市の場合には、表向きはどうあろうとも、総事業費の一二から一六%ぐらいが国庫補助、そして昨年から比率にいたしまして三%しかふえておらない。これはやはり補助対象事業ワクが狭過ぎるという問題になると思うわけで、ぜひワク拡大努力をしていただきたい。そういう拡大をやった上で、補助率引き上げというようなことに努力をしていただきたい。先ほどからいろいろそういう議論が出ておりますから簡単にいたしますけれども、さらにひとつ局長さんの決意を聞かしていただきたいと思います。
  260. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 全く、御指摘のような方向でもって私ども努力をしてまいりたいと思います。特に、大都市の問題については配慮を加えていきたいと思っております。
  261. 浦井洋

    ○浦井委員 最後に、下水道使用料の問題なんですけれども、「使用者の使用の態様」という項に加えて、今度の改正では、その文章の中に「下水の量及び水質その他」という表現が入っておるわけですが、非常に悪質な下水を排出する企業に対して、実際にどの程度の負担を使用料として課するのか、こういうことをひとつ聞かしていただきたいと思うんです。神戸市の場合、条例で、大体そういう企業に対しては一般汚水の五倍の範囲内で加算することができるというようなきめになっておるわけでございますが、その辺の模様をひとつ聞かしていただきたいのです。
  262. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 これは具体的に定額でどの程度というような計算はまだいたしておりませんが、考え方といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、悪質下水を排出する工場、事業場等におきましては、まず前処理といたしまして除害施設を設けさせます。除害施設である程度下水の濃度をカットして、普通BODで申し上げますと三〇〇PPM程度のものまでにこれを落としまして、そして下水に入れるというふうなことになるわけであります。そこで、一般家庭下水の平均的な濃度との比率を見まして、その超過した部分を対象にいたしまして、それを別途水質使用料のような考え方で、一般の水量につきましての使用料金に加算をいたしましてこれを徴収していくというふうな考え方が現実的ではなかろうかというふうな考え方であります。
  263. 浦井洋

    ○浦井委員 やはり実際に公害を出しておる、悪質な汚水を出しておる、そういう公害企業に対して当然取らなければならぬというふうに考えるのが庶民の現在の感覚でございます。そういうような方向で、決して住民の犠牲で下水道事業を行なっていくというような形でなしに、悪質な公害を出しておるところから大きな使用料その他のものを取るというような考え方でぜひ進んでいっていただきたいということを最後に要望しまして、ちょうど時間が来ましたので終わらしていただきます。
  264. 金丸信

    金丸委員長 次回は明九日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会