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1970-12-16 第64回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十六日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 小山 省二君 理事 高橋清一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 森下 元晴君    理事 華山 親義君 理事 浅井 美幸君    理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    中川 俊思君       中村 弘海君    中山 利生君       水野  清君    綿貫 民輔君       田中 武夫君    日野 吉夫君       鳥居 一雄君    瀬長亀次郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         会計検査院事務         総局第二局長  鎌田 英夫君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 十二月十五日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     赤城 宗徳君   水野  清君     福永 一臣君 同日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     中村 弘海君   福永 一臣君     水野  清君 同月十六日  辞任         補欠選任   勝間田清一君     田中 武夫君 同日  辞任         補欠選任   田中 武夫君     勝間田清一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十三年度政府関係機関決算書  昭和四十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (郵政省所管)     —————————————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  郵政省所管について審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川俊思君
  3. 中川俊思

    中川(俊)委員 郵務局長、前へ出てください。  先般の当委員会で、第三種郵便物認可の問題についてお尋ねしたのですが、どうも私、その後いろいろこの郵便法等を見て感じるのですが、私が先般申し上げたように、内規だとか郵便規則だとかいうような、あなた方がかってにつくる規則でなく、やはり一定条件を具備しないものについては、法律によって取り消すとかなんとかということをなさったほうがいいのじゃないかと思うのです。最近取り消された事例、たとえば一カ年間にどのくらい取り消しておるか、そういうようなこともあわせてひとつ御所見を承りたいと思います。
  4. 竹下一記

    竹下政府委員 最近の数字でございますが、昭和四十四年度におきまして取り消しました数が五百三十数件あったように思います。  それから、最初のお尋ねでございますが、取り消し事由等法律ではっきり書いたほうがいいではないかというお尋ねでございますが、私どもも、できましたらばそういうことは望ましいと思います。ただ、法技術的にそういう表現ができるかどうかにつきましては、今後勉強もいたしますが、たいへんむずかしい面もかかえておるように思います。私ども第三種郵便物管理をいたしておる者の立場からいたしますると、第三種郵便認可をいたしますにしましても、これを取り消すにいたしましても、実は日常業務といたしまして非常に苦労をいたしております。それは相手さまがあることですから、相手は必死になって免許を得ようとされるし、また、一度得た免許は絶対離さないように全力を尽くされるわけでありまして、そういう問題を事務的に処理します場合には、私どもはたいへん実は板ばさみになりまして困る事例が多いわけでございます。したがいまして、できるならば法律でもって規制ができるならば、それは私どもといたしましても望ましいことでございます。
  5. 中川俊思

    中川(俊)委員 具体的な問題を私は用意しておったのですが、実は詳しい調査をしたのを私手元に持っておりません。いま田中さんのところにありますから、田中さんがあとから具体的にお話しになると思いますが、たとえば、そういう一定条件を具備しない場合には郵政省警告を発する、警告を発しても、なおかつその警告を発した期間、たとえば半年なら半年間に規定どおり発行をしない場合には取り消すということになっておるのですけれども、そのとおりに行なわれていないのですよ。その具体例田中さんがちゃんと用意しておりますが、行なわれていないのです。こういうことができるとか推定するとかということで、法律でないから非常にまぎらわしいのです。あなた方が内部でかってにおきめになる。できるとか推定するとかいうのは、考えようによっては非常にずるい言い方ですよ。そういうことはやってもいいんだ、やらなくてもいいんだ、こういうふうに解釈できる。また、事実やることがそうなっておる。  ですから私の言うのは、先般もお話し申し上げたように、非常にむずかしいけれども、一罰百戒で、法律できちっときめておけば、そういうずるいことをやらなくなってしまう、発行人もそう無理な第三種郵便物認可をとるためにぺこぺこ頭を下げていかなくてもよろしい。きちっとした法律があれば、それに基づいてやる、そうすれば、どっちも私は都合がいいと思う。やってもやらぬでもいいのだというような意味が——この内規の中にこういうことをすることもできる、推定でこうだというようなことをみな書いてある。だからこれは非常にまぎらわしい。  それから、あなた、いま四十四年度に五百三十数件の取り消しをしておる、こういうのでしょう。なぜそういう一カ年間に五百三十件も取り消しをしなければならないようなルーズな認可をしたかという責任をどうするというのです。あなた方が認可をする場合には、十分にいろいろ御検討になって、この人はまあこういう申請をしておるが、これなら間違いなく続行していくだろう、きめられた発行日を守っていくだろう、また、きめられた範疇の中でうまく発行していくだろうという認定に基づいて認可をするのでしょう。それが認可をしたのに五百三十数件も一カ年に取り消したというのは、裏を返せば、あなた方の認可がいかにルーズであったかということを証明することになりませんか。私はそう思うのです。だから、そういうふうになるということは、私が冒頭に言うように、やはり法律できちっとはっきりしておけばこういう問題もおのずと減少する。発行する者は非常に熱心にいろいろなことを言ってくるといまあなたは言うけれども、同時にまた、取り消されたものは非常に不平を持ちますよ。  五百三十数件も取り消したということについて、郵政大臣どうお考えですか。一カ年間に郵政省認可した第三種郵便物を五百三十数件も取り消した、こういうのです。私は、非常に不用意に認可をされた結果がこういうことを招来したのではないかと思いますが、責任者としての大臣の御所見はいかがでしょうか。
  6. 井出一太郎

    井出国務大臣 五百数十件四十四年度中に取り消したものがある、これは考えようによっては、厳正に運用審査をした、こういうことにもなると思いますが、私もまだその末端事情をつまびらかに掌握はしておりませんが、先ほど来の郵務局長との御問答を伺っておりますと、やはり郵便法というものを受けて郵便規則ができておる、要は、これを厳正に運営をしていくというところに問題があろうかと思うのでございまして、御指摘の御注意を十分に体してこれから運用の厳正を期したい、かように存じております。
  7. 中川俊思

    中川(俊)委員 私は与えられた時間が十分しかないから早く切り上げますけれどもひとり郵便局だけでないと思います。昨今特に郵政業務がふくそうしておるわけですね。ですから、この間も局長お話しのように、精一ぱい管理しておる、管理しておっても、なおかつミスがあるわけですね。  そこで、私はいま思いつきですけれども、大体郵政省は、自分がやれないものまで自分のところにかかえておく必要はないのではないかと思います。少し飛躍した問題ですが、民間に少し業務委譲したらどうですか。広告をたくさんとってみたり、いろいろつまらぬことをやっておるでしょう。そういうことまで郵政省がやるべき問題じゃないと思うのです。いろいろおやりになっている。おやりになってもいいが、責任を果たされておるのならよろしい。責任を果たすことができなくて、そうしていまのように、たとえば第三種一つをとってみても、年間五百三十件も取り消しておる。あなた方が認可したものをあなた方が取り消しているのですよ。天に向かってつばしておるのと同じですよ。そういうことまでやって多くの権利を自分手元に集中しておかなければならないという官僚意識が、今日のいろいろの社会の混乱を招いておる。だから、できないことはどんどん民間に委譲したらよろしい。また、あなた方が発議して、それぞれの機関に対して、これはとてもわれわれは人手が足りないのでこういうことはできない、どれとどれを委譲したらいいかということは、むろん私はいま具体的に考えておるわけではありませんが、委譲してやらなければならぬ問題がたくさんあると思うのです。  たとえば、話は別ですけれども国鉄なんかでも、あんなばかな赤字をどんどん出していて、どんなことをやってみても、国鉄のいまのやり方を継承しておる限り赤字がふえていくのです。あれを民間にやらせてごらんなさい、絶対損しませんよ。それでも役人というのは自分のところに権力を集中したがる。そうして内規と称して、こういうことができる、やってもやらぬでもいいのだができるのだ、われわれの推定に基づいてこうしておるのだというような、われわれから考えたら一般国民を非常に迷わすような文章を規則だとか法律の中に入れておいて、そうしてその解釈は、全くあなた方の自由な解釈に基づいてやられておる面がかなりあるんじゃないかと思う。ですから、とても郵政省のわずかな限られた人員ではこういうことはできない、国民に迷惑を及ぼす、郵便配達国民に迷惑を及ぼしておる、年賀郵便もはたして正月に配達できるかどうか疑問である、こういうような問題がたくさんあるわけですね。いまデパートでも、年末になって忙しいときには民間からアルバイトを雇って配達させているのです。郵政省アルバイトを雇っておりますけれども、あなた方でできなければ、たとえば配達業務民間に移すということもできるんじゃないかと思うんだ。民間はちゃんともうけて、そうして国民に迷惑をかけないような配達をやりますよ。あなた方は、その力に余ったことをやろうと思っているんだ。何でもかんでも大きな網を打っておいて、その中に国民を入れておこう、こういうことが今日の役人意識の中には私はかなりあると思う。各方面に迷惑を及ぼしている点がたくさんある。郵政省だけじゃありませんで、どこの省にもそういう面がたくさんあると思うのです。  ですから、そういう点をひとつよく検討していただいて、要するに、憲法できめられておるように、あなた方は国民奉仕者ですから、公共に奉仕しなければならない。公共に奉仕しなければならない役人が、奉仕するどころか、かえって国民を何か一つのワクの中へ入れて、そして自由にコントロールしようというような考えがもしありとするならば、これはとんでもないことですからね。そういう点を十分注意していただきたいと思うのです。  具体的な問題については、田中さんがおやりになるようです。私は与えられた時間が十分しかないのですが、いまの私の意見に対して、大臣、どうお考えになりますか。あなたも政党人ですから、きっすいの役人じゃないのですからひとつ……。
  8. 井出一太郎

    井出国務大臣 来年は郵政歴史が始まって百年という年を迎えるわけでございます。そういう折り目、節目の時期に際会をいたしまして、いま中川委員のおっしゃるようないろんな問題を洗ってみる一つの時期が来ておると私も思うのであります。何も事好んで郵政省があれもこれも取り込んでひとり苦労しておるというようなことに対しましては、私も一つの見解があるのでありますが、いまお示しの、たとえば小包郵便というようなものを例に申しますならば、これは国鉄の小荷物との競合関係もある、のみならず、民間にもいろんな配達にたよらなければならぬという仕事があるわけであります。そういうものをむしろ一括して何らかの機関をつくったならばどうか、こういうような考え方で、実は私のところへも具申をしてきておるアイデアもあるわけであります。したがって、こういうものは十分に検討に値するものであろう、かように考えますので、先日来、中川さんお示しのもろもろの御意見とあわせまして、これを重大な御示唆というふうに考えまして取り組んでいきたいと存じております。
  9. 中川俊思

    中川(俊)委員 私の持ち時間をあまり過ぎては恐縮ですから、これで御無礼しますが、私、まだ特定局長任命の問題について、きょう人事局長さんにも来ていただいておるので実は質問を続行したいのですが、理事会の申し合わせがございますから留保いたしまして、これで私の質問を終わります。
  10. 濱野清吾

  11. 田中武夫

    田中(武)委員 まず、大臣にお伺いいたしますけれども全逓との年末闘争についての話し合いがつきまして、一応滞貨は解消できるであろうといったようなことが伝えられておりますが、労働組合あるいは従業員当局に対する不信の念は強うございます。一応話し合いをつけたあと全逓臨時中央委員会においても、御承知と思いますが、当局に対する不信というものが各地の代表から出されております。そういう中にあって、年賀状は新年に必ず配達できる、あるいは、いまたまっておるところの膨大な滞貨は必ず解消する、あるいは小包等で、年末の歳暮といいますか、そういうもので腐るようなものが、置かれていたために腐敗しておった、そういうようなことについての責任あるいは賠償、こういうことも含めて、この年末の滞貨及び新年の配達の問題について、自信のほどを伺いたいと思います。
  12. 井出一太郎

    井出国務大臣 全逓の年末闘争というものが相当長期間継続されまして、このため、いま御指摘のような郵便滞貨について国民の皆さまにたいへん御心配をおかけし、また御迷惑をわずらわしたことは、まことに遺憾にたえません。  しかし、この間、われわれといたしましては、誠意を尽くして精力的に話し合いを続けました結果、去る十四日大綱において妥結を見たわけであります。それを全逓中央委員会へ持ち帰りまし七、そこで承認を得るという段取りに相なっておるようでございます。しかし、大局的には、組合執行部の諸君が私ども話し合いをつけて、そうして解決を見ました線に沿うてこれが末端のほうにもおりてまいりまして、郵政省労働組合ともども、いま置かれておる時期の重大性を認識いたしまして、正常化方向に向かうということは、これは私間違いなかろうと思っております。したがって、そこにまだ若干の調整の余地があろうかもしれませんけれども、それはもう大体ほぐれていくであろうという自信は持っております。  したがいまして、十五日から受付を開始いたしました年賀状にしましても、あるいは年末年始の贈答品にいたしましても、まず、これから鋭意努力をすることによりまして、御心配のないような方向で問題は処理されるであろう、このように考えておるわけであります。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 一番いま問題なのは、当局に対する下部の人たち不信感なんです。後ほど不当労働行為の問題について私触れますが、そういうように、組合の分裂をはかるとか、労基法あるいはその他の法規に抵触するような方法をもって労務管理をやっておるところに当局に対する不信感が強い。したがって、それが今後も続く限りうまくいかないと思います。どうでしょうか。不信感が強いことに対して、どういうようにして大臣はおこたえになろうとしておられますか。
  14. 井出一太郎

    井出国務大臣 実はこの春も、郵政省労務姿勢に対する批判から出発をいたしまして全逓がストをかまえられた、こういうこともございまして、その際、私は全逓幹部誠意を尽くして話し合いをいたしまして、その結果、一つ確認条項というものに到達をしたわけであります。これが末端まで十分な浸透を見まするならば、かような問題は漸次解消をするはずと心得ておりましたし、またその意味において、あらゆる機会をとらえてこれが伝達をはかったのでございます。  しかし、田中さんも御承知でございましょうが、なかなか郵政労使関係というものは長い歴史と沿革がございまして、その間に双方の不信感というものが現にあったということは、これは私もさように思うのであります。そこで、鋭意これを解きほぐさなければならない。何といっても、郵便仕事というのは大部分が労務にまたなければならない、そういう宿命を持っておるということからしまして、この人的関係というものを大事にしていかなければならぬ、これが私の基本的な考え方でございます。そういう点がまだ十分に至らないという御指摘は私も甘受しなければなりませんが、方向としては四月の確認というのは一つ前進であったと思いまするし、今回それがさらに、再度このような形で郵政省労務姿勢が問われるということは、これは私も遺憾千万であります。  しかし、労使関係というものは、何としましても、これは相対的なものであると私は思います。労働組合が省に対していろいろな御要求があると同時に、役所の側からすれば、やはりこういう点は改めてほしいという要請もあるわけであります。そこはお互いがアプローチしまして、そして近代的な労使関係にこれを改善をしていくという努力をひとつしんぼう強くやらなければなるまい、こういう考え方のもとに、今回非常な御迷惑をおかけし、また犠牲を払ったわけでありまして、これを教訓としてさらに数歩前進をさせたい、それには少しは時間がかかるということも、ひとつお認めをいただきたいのでありまして、基本的な考え方はそういう態度でございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 要は、まず当局大臣はじめ管理職にある方が誠意を示すことだと思います。  それから答弁が一つ落ちておりましたが、滞貨のために年末の贈答品等が腐敗したような場合はどうなのです。当然賠償に応じますね。
  16. 竹下一記

    竹下政府委員 そういうことが起きませんように懸命に排送に努力いたしますが、そういう事例が起きました場合には賠償いたします。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、次にまいりたいと思います。  いま人手不足ということで、都会の団地等ではいわゆるママさん配達といいますか、そういうことで団地主婦を使って配達しておる。その実態がどのようであるかということをまず明らかにしていただきたいのです。  さらに一つは、団地に住む人たち、いわゆる団地族といわれる人たちはできるだけ他人の干渉を受けたくない、マイホーム型というかあるいはプライバシーを守るというか、自分たちの生活を人にすき間からのぞきに来てもらいたくない、そういう心理の強い人たちだと思うのです。そこで、同じ団地ママさんが、主婦の方々が配達をしている中には、あまり他人に知られたくないような郵便物があるだろうと思うのです。もちろんそういうものは封書だからということであろうが、たとえば税金督促とかあるいは月賦の催促とかいったようなたぐいに至るまであまり見せたくないという郵便物があろうと思うのです。   〔委員長退席小山(省)委員長代理着席〕 そういうことで、私の聞いているところでは、このママさん配達というものは団地の中ではあまりいい感じを受けていない、評判がよくないと、こう聞いておりますが、その実態はいかがでございましょうか。さらに信書の秘密というか、そういう問題と関連いたしまして、この制度についてどうお考えになっておりますか、お伺いいたします。
  18. 竹下一記

    竹下政府委員 団地ママさん配達は、昨年の都市化現象の激化、労働力確保難、こういう事情からやむを得ない対策として生まれてきましたものでございまして、東京、大坂、名古屋の地におきまして、おおよそ五百名ばかりのママさんがいわゆるママさん配達に従事しておるという姿でございます。  このママさん配達をやるにつきまして一番私どもが気をつけましたのは、いわゆる通信秘密確保ということでございまして、このためには、ママさん方をまず身分的に公務員ということにいたしまして、辞令を渡し、かつ、郵便局幹部通信秘密等につきまして十分教え込みまして徹底を期したわけでございます。今日まで、通信秘密のことにつきまして懸念をいたしておるわけでございますけれども、この問題でトラブルが起きたことはございません。  それともう一つは、郵便物の中には多分に個人のプライバシーに属するものがございます。御指摘がございましたような税金督促であるとかいろいろなことがございますが、これにつきましては、ママさんに自分が居住する地域にあまり密接したところの配達をやらせますと、いま申し上げましたように、対人関係が非常に濃厚でございますから、相手さんのプライバシーにぶつかるということもございますので、私どもといたしましては、ママさんが配達する地域はその身近な所をはずしまして、少し距離を置いたところの地域について配達をする、こういったことを心がけるように監督郵便局に指導いたしておる次第でございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題でトラブルが起こったことはいままでにないと、こういうことですが、相当非難といいますか、そういう声が出ているようですね。これは十分気をつけてもらわなければいけないと思います。  それから次に、これは去る十二日の新聞記事ですが、「郵便局組合員”勤評”」、「通信簿なみ5段階」、こういうことで見出しがつきまして出ております。これは札幌郵政局人事部長が通達か何かで出しまして、いわゆる普通の勤務ぶり等々のこと以外に、たとえば社会党を支持するというか、あるいは社会党系の者には二点、共産党系の者は一点、全逓組合員は一点、全郵政組合員は五点というような点数をつけて評価をする、そういうことを札幌郵政局人事部長がやっております。また名古屋でもこれに類したことが行なわれております。これは憲法信条思想等々の自由を保障するところの人権に関する問題であります。さらに、労働基準法にもうたわれておるところの、これらの差別をしてはならないということに対して、思想信条によるところの差別をはっきりと行なっておったという事実であります。あるいは、全逓をやめて全郵政へ入れ、こういったような不当労働行為、こういうものが横行いたしております。この郵政省ないし郵政局労務管理のあり方あるいはそういった態度が今日の不信を招いていると思います。一点から五点まで点数をつけた、この事実についてどう思っておられますか。大臣にまずお伺いします。
  20. 井出一太郎

    井出国務大臣 私もその新聞記事を目にいたしまして、直ちに調べるように申し伝えてあるのでございますが、私のとりあえず承知しておる報告では、その内容というものがどうも誤り伝えられておるようでありまして、いまどき、いま御指摘のありましたそういう評価基準というふうなものがあり得るであろうか、ずいぶん非常識な話でございます。  そこで、私のいま承知していますのは、その点数というようなものではなくて、それは何かコードナンバーとでもいいましょうか、そういうものであるというふうに聞くわけでございます。それで、いずれにもせよ、そういうふうなことではたいへん不穏当でありまして、十二日の記事でございますからまだ詳細な調査はございませんけれども、私もこれは重要に考えまして、よく事実関係を明らかにせよと、かように申しておるわけでございます。  それからもう一つ、何かその書類というのは昭和四十三年というふうに聞いておりまして、それがいまの現事態、今回のトラブルの直接の問題ではないというようにも報告を聞いておるわけでございます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 何か新聞記事によると、団交の席上で証拠を突きつけられて、当局側も、人事権の乱用があったことを認めて改善を約束した、こういうようにも出ておりますが、いずれにいたしましても、それが二年前であろうが現在であろうが、憲法で保障せられた基本的人権、これを侵すものだと思うのです。当然公務員はあるいは大臣は、まっ先に憲法を守らなければならないところの義務があります。にもかかわらず、このようなことを、あるいはこれに類することをやっておったとするならば問題であります。調査の結果明らかにしていただきたいと同時に、もしこのとおりでなかったとしても、これに類するようなことがあったとするならば、その当該者ははっきりとした処置をしてもらいたい、私はそのように思いますが、いかがですか。
  22. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいま先生御指摘の問題につきましては、十二月になりましてから組合のほうからも提起がございまして、組合のほうと私どものほうと、いろいろお互いに調査を詰めてまいったわけであります。ただし、昨日、組合との間でその問題等も含めまして大綱妥結したわけでありますが、その場合に、なお——本問題につきましての当方のただいまの見解は、先ほど大臣から申し上げたとおりでありますけれども、なお、本問題につきまして、当方といたしましても十分調査をする、その上で当方としてのこの問題についての見解を明らかにして、そしてその上で、必要があれば適当な措置をとる、こういうことを約しておる次第でございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 お聞きのように、いま人事局長はこのような答弁をいたしました。  そこで大臣、この取り調べられたところの結果及びその処理、これをひとつ一それはいつ結論が出るのかわかりませんが、当委員会のほうへも提出をしていただきたい、そう思います。委員長、よろしいか。
  24. 小山省二

    小山(省)委員長代理 承知しました。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 このように、郵政省内といいますか、郵政局内等には公然とした不当労働行為が横行しております。いま申しましたような一例ですが、差別待遇の問題あるいは組合干渉の問題、中には自分の上司から、おまえは全逓組合員であるが、それはよくないからやめなさい、あるいは全郵政のほうへ行かなくちゃいけないとか、等々の干渉を受けて、その結果自殺をした者が三名おります。北海道に一名と山形県と静岡県、これはそれぞれあなた方に言わすといろんな理由があるかもわかりません。しかしながら、これははっきりとした上司からの組合活動に対する干渉、圧力、このために板ばさみになって自殺をしたことは明らかであります。こういうような問題についてどう考えられておりますか、あるいはどう責任を感じておられますか、お伺いします。
  26. 北雄一郎

    ○北政府委員 先ほどの件を含めまして、十二月になりましてから組合のほうから約五十件、そういうような問題、すなわち組織介入があったという問題が提起されております。これにつきまして、その五十件すべてにつきまして昨日まで両者で突き合わせをしてまいりました。  その結果、一部につきましては誤解であるというようなこともございましたけれども、大部分につきましてはなお調査をする、実は十二月の五日に五十件ほど持ち込まれましたので、精力的に突き合わせをやりましたけれども、そういう関係で、今後なお十分調査をしていこうということであります。また、それは省と組合との間で六人委員会というものを設けまして、その中で検討してまいりました。労使間の約束で、六人委員会の中身については外部へは話をしないで、そうして労使間でできるだけそういった案件を解決していこう。こういう取りきめになっておるわけであります。  まあ、そういうことでございますので、詳細は遠慮させていただきたいと思いますけれども、ただいままでに、はっきりこれは不当労働行為であるというふうに当方で確認いたしたものはございません。しかし、先ほど来申し上げておりますように、組合のほうで、なおそのうちの相当部分につきましては組織介入ではないかという考えがございますので、今後十分調査をいたしまして、それをさらに突き詰めていく、こういう労使間の約束になっておるわけであります。  以上であります。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣にお伺いします。  そういう具体的な過去の問題については労使双方で処理をしていこう、そういうことですから、私はあまりこれ以上介入したくありません。しかし、要は、組合介入、組合干渉、こういう問題、言うならば、いわゆる不当労働行為なんです。こういうことはもうやらさない、もしあった場合ははっきりと処置をする、そういうことをひとつ確約をしていただきたいと思います。
  28. 井出一太郎

    井出国務大臣 おっしゃるように、この間の役所と組合側の幹部の会談におきまして、ただいまのようなことについて話し合いがまとまったわけであります。したがいまして、不当労働行為があってはなりませんし、また、もしそういうものが明らかになったという場合には、これに対して、当然私の責任において措置をしてまいる、こういうことが約束されたわけであります。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、時間の関係もありますので、この種の問題は留保いたしておきまして、次にいきたいと思います。  そこで、中川委員質問に関連してでございますが、まず第三種郵便、これの取り消しの問題なんです。これはその規定が法の二十四条にありますね。これは「取り消すことができる。」となっている。すなわち行政裁量の余地を残しておる。だから、どうでもいいんだ、取り消しても取り消さなくてもいいんだ、こういうように考えておられるようですが、私は、まず郵便法の第一条及び第六条、すなわち一条の公共の福祉、六条の差別をしてはならないということ、この条文を受けて考える限り、三種郵便というのは、特に公共の福祉ということに立って特別の安い料金で配達しておる、こういうことなんです。したがって、言うならば、第三種郵便というのは特例であります。例外規定であります。したがって、例外規定は厳格に解釈するのが法のたてまえであります。したがって、することができるというから、しなくてもいいんではなくて、せねばならないと読むべきであろうと思います。どうでしょうか。
  30. 竹下一記

    竹下政府委員 私どももそのように考えております。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 であるとするならば、先ほど来、あるいは先日中川委員が申しましたように、現に取り消すところの要件、これを満たしておるといいますか、取り消されるところの要件が出ておる。それに対して、まず口頭で警告をした、そしてまた二十日間ですか、二十日ほどして今度は文書で警告した、そういうような手続をとっておられる。これを中川委員は、一体なぜそういうことをやったのか、こう言うと、行政措置だ、こう言われたというのが先日の質問でありました。  そこで、一体行政措置というのは何なのか、あなた方が行政上のことをやる限り、いかなる場合であっても、法とか規則とか、そういうものの上に立ってやらねばならない。じゃ警告を重ねていってできるだけ穏便に済ましてやろう、あるいは保護してやろうというそういう態度は、法的にどこに基礎がありますか。資料としてもらいました規則、通達等々を見ましたが、そんなことは一つも載っておりません。一体そのような態度は、どういう法規等々に基づいてその根拠を持っておりますか。行政措置なら何でもやれるとあなた方は考えておるのですか。何なら、ここに内閣法制局長官を呼んできて、堂々とひとつ法律論争をやろうじゃありませんか。どういう基礎を持っておるのか、はっきりしてください。
  32. 竹下一記

    竹下政府委員 行政の基本は、やはり法律に準拠するということでございますから、行政措置でもって何でもやれる、法律の趣旨、法律の規定、それを逸脱してやれるものではございません。  その点につきましては、私どもは十分戒心いたしましてやっておるつもりでございますが、この法律あるいは規則で極力事こまかく規定をするということが一番望ましいことでございますけれども、法技術的な関係その他をもちまして意を尽くしてない面があるのでございます。これは郵便法だけではないと思いますけれども、その場合にはやはり行政措置という面が顔を出してくるということはやむを得ないことだと思います。  それにいたしましても、あくまでも、法が目ざしておる方向を離れることはいけないことでございますので、定められたワク内をよくわきまえまして運用をしていく、こういうことだと思います。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 したがって、郵便法の二十四条には第三種郵便物認可取り消しの規定があります。それを受けまして、規則の二十一条の六の一号に「前二条の規定による届出を怠ったとき」、こういうのがあります。しかも、基本的には、先ほど申しましたように、第一条の郵便法の精神、さらに六条の差別をしてはいけない、公平にやらねばならないという点から見て、この三種郵便は第六条の例外である、したがって例外規定は厳に運用すべきである、これはもう言うまでもありません。先ほどあなたがそれを確認いたしました。ならば、そういった法なり規則なりに、もう取り消しあるいは取り消しをすべき要件が備わっておるのですよ。それをなぜ口頭警告さらにまた文書警告、そして今度は週刊が月刊に変わる、それが二十一条の四ですかによるところの届け出でいいんだ、こういうことが先日の当委員会中川質問に関連して出てきたと思います。  いま申しましたように、第三種郵便物は、第一条の公共の福祉ということをまず受けます。したがって、公共の福祉にならないようなものはもう当然失格です。さらに六条において、すべてが公平にあるいは差別をしてはいけないということになっております。条文を読み上げると、「何人も、郵便の利用について差別されることがない。」そうなっておるのです。したがって、この種の特別の安い料金で受け付けるということは例外なんです。しかも、それは公共の福祉ということが前提となって例外を定めておるのですよ。人の悪いことを書いたり、それを脅迫の道具に使ったり、そういったようなものまでなぜ公共の福祉だということで認めるのか。しかも、欠格の条件を備えておる法二十四条及び規則二十一条の六の一号等々であるのに、なぜそんなに警告とか、あるいは善意に解釈をして、発行の定日に変更があった、規則の二十一条の四の発行日の変更の届け出だ、こういうように善意というか、きわめて穏便な、あるいは相手に対して救済的な態度及び解釈をどうしてとったのですか。行政措置というのは、その中は、行政処分を行政指導に分かれると思います。行政処分は当然法によるべきである。行政指導も法の上に立って郵政省設置法の権限内において行なうべきであります。したがって、すべて法に準拠を持たなければならぬわけなんですよ。どうなんです。私の言っておることに間違いがありますか。
  34. 竹下一記

    竹下政府委員 第三種郵便物の制度は、御指摘のとおりに郵便法第一条、第六条から見まして、あくまでも特別の取り扱い、恩典だと思います。したがいまして、この第三種郵便物発行実態が第三種郵便物の制度の趣旨に沿ってあくまでもなされることは当然のことでございまして、そうでなくなるということは制度の趣旨を逸脱するということでございますから、これは御指摘のとおりだと私ども考えております。  ただ、たとえば運行状況といいますか、第三種郵便物発行実態を監査いたします場合の実務的な一つの難点ということを申し上げますと、何かの都合でもって発行定日を変更するという場合、あるいは題号を変更するといった、それに類することは実際しばしば出てくると思うのでございますけれども、届け出が実際なされたかどうかということの認定につきましては、間々事務上の行き違いがございまして、向こうさんは届け出をしたと言う、それに対して、こちらはそれを受理していない——これは事務上の行き違いかと思うのでありますが、かりにこの行き違いでもって三種郵便認可を取り消すということになりますると、これはやや問題が出てきはしないかと思うわけでございまして、そういう点が過去にもございましたので、いわば慎重を期するという意味合いをも込めまして、一応警告を発してくれということを従来からいたしておるわけでございます。しかし、欠格の実態がはっきりいたしました後におきましては、おっしゃいますように、これを断固と.して取り消すという措置をいたしておるわけでございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 中川委員が提起しましたこの問題、中川委員もその発行物の名前を言っていませんので、私もわかっておりますが言わないでいきたいと思うのですが、郵便規則の二十三条で、六カ月間で四分の一以上の休刊をしたときには欠格条件を備える、こういうことになっていますね。この刊行物は四十四年の二月に七回以上の休刊ということで、要件を備えなくなったわけです。それに対して、五月二十日に口頭で、六月十日に文書で警告をしたようですね。そして、その後発行日の変更ということで落ちつけた。二十一条の四の発行日の変更の届け出、これは私は何も言っていないわけですよ。前にこのようないわくのあるものが、今度そう変わったときにまでも善意に二十一条の四でなぜ解釈をしたのか、こういうことです。しかもその前に、中川委員も言っておりましたが、口頭で警告をし、さらに文書をもって警告する、そういうような二重、三重の手続をとってまで保護する必要があるのか、こう言っておるのですよ。  しかも、それは一体なぜであったかといえば、行政措置だ。行政措置で、文書あるいは口頭の警告をやった後でなければ取り消していけないということは全然何もないのですよ。それが横行しておるというのならば、あなた方は法律を曲げて解釈をしているというわけです。いわゆる欠格条件が出てきたときでも、警告を発し、しかる後でなければ取り消してはならないと読むようなことになっておるじゃありませんか。そうじゃないですか。したがって、あなた方の言っている行政措置というのは、法の精神を曲げておりますよ。警告して後でないと取り消せないというなら、警告して後でなければ取り消してはならないというふうに書くのです。そういうようにあなた方は運用しているじゃないですか。これでもって郵便法を適確に運用していると言えますか。どうなんです、大臣
  36. 竹下一記

    竹下政府委員 まず事務的なことを申し上げまして、大臣に答弁をしていただきますが、御指摘になりました定期刊行物につきましては、御指摘のとおり六カ月問で休刊……(田中(武)委員「そんなことはいいのだ、警告をしなければ取り消しができぬのかと言っている。」と呼ぶ)それにつきましてお答えいたします。  警告しなくとも取り消しができるわけでございます。なぜ警告をしたかということにつきましては、この場合、あるいは通例でございますけれども、これは温情に過ぎるという御指摘を受けるかもしれませんが、私どもといたしましては、長年第三種郵便物として発行を続けてきましたものでございます場合、ほんの一回だけ休刊が多かったといったような、一回のミステークをもちまして認可を取り消すというようなことになりますと、せっかく長年やってきた仕事が台なしになるということ、そこがよけいなことであるという見方もあろうかと思いますけれども、通例、大体善良なる発行をしておるというのが第三種郵便物実態でございますので、その点を考えまして、ある程度電光石火の措置をいたしませんで、温情と言われてもいたし方ございませんけれども、ちょっと間をおいた措置をやる場合があるのでございます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど来私言っているように、大臣、これはあくまでも公共の福祉の増進に寄与するということが大前提ですよ。そうでなくて、それを脅迫の材料にしたり、あるいは人の悪いことを書いたりするようなものに対して、なぜそれまでする必要があるのか。しかも、第六条でいう無差別の原則に対する特例であります。したがって、二十四条は厳格に解する、これが法の常識であります。ところが、いま郵務局長の答弁したように、警告をして、それが温情であるかないかは別として、いつもそうしておるというのならば、二十四条を、これこれの場合は口頭で警告をする、一カ月たって今度は書面で警告をする、それでも改めないときには取り消すことがあると、そのように条文を変えなさい。いまのような答弁では、法のまじめな運営あるいは法の精神をくんだ運営とは思えません。どうです。当然例外規定ですよ。例外の問題は厳格に扱うべきです。しかも大前提としては、何回も言っているが、公共の福祉増進に寄与するということが法の精神です。郵便の精神なんですよ。どうなんです。局長の言うようにするなら、条文二十四条を、警告をし、しかる後一カ月を経過した後でなければ取り消すことができないと書きなさい。それでもって法の精神にのっとった運営といえますか。もっと法律的な論議をやろうというなら、時間をいただいて幾らでもいたします。どうです。法の改正をするか、そんなことをやめるか、どっちをとります。
  38. 井出一太郎

    井出国務大臣 私もただいま伺っておりまして、まさに筋論は田中委員のおっしゃるとおりであろうと思います。従来、一つの因襲になじんだといいますか、弾力的な運用ということがあったと思いますが、まさに法理論的にはおっしゃるような次第でありまして、警告とかなんとかということは郵便規則にないわけですから、それを挿入するというふうな方向において改正をするか、その点はきょうの御指摘を十分意に体しまして研究させていただきたいと思います。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣はそうおっしゃっているからこれ以上申しませんが、私も何も一回したから直ちに切れと言っているのではない。それは相手方によりますよ。はたして公共の福祉に寄与しておるのかどうか。そういうものでないものを、二回、三回の警告をしなければといったようなことをする必要はない。もしいつでもそうやっておるのなら、二十四条を書きかえろ、そう言っておるわけなんです。  中川委員が関連質問があるそうですから、私はこの程度できょうはおきます。しかし、今後のやり方を見た上で、いつでもまたあなた方にいやみを書いたいと思います。
  40. 小山省二

    小山(省)委員長代理 中川俊思君
  41. 中川俊思

    中川(俊)委員 しばしば私の問題が出ましたから、私に関連があることをちょっと申し上げたいと思います。  これは大臣に伺っておきたいのですが、いま田中委員からお話がありました問題は、公開の席上ですから名前は申しません。名前は申しませんが、事務当局はよく知っておるものであります。この問題については、私のところへしばしば局長はじめ来ておるんですから、よく知っておる問題であります。ただ、いまも田中委員お話しのように、第三種郵便物は例外規定ですから、公共の福祉に沿うような印刷物でなければ第三種はなかなか認可されないのが常識なんですね。  そこで私は伺っておきたいのですが、世の中には非常に悪質なものがあると思うのです。うまいぐあいに地方の郵政局長なんかだまして、あるいは恐喝してやっておるのがあると思うのです。たまたまいま問題になっておるのは、いま広島で刑法上の問題になっております。近く判決があると思います。私の想定ですが、おそらく年内に判決がある予定です。有罪の判決のあった場合には、そういうものでもなおかつ三種の認可を継続しますかどうか、これははっきり伺っておきます。
  42. 井出一太郎

    井出国務大臣 原則論は先ほど田中さんにお答えしたとおりであります。いま、今度は各論的に中川さんがお示しになったわけであります。  そこで、郵便法のたてまえから申しますと、悪質、良質という判断を郵便の立場ではたいへんしにくい問題のように思いますが、しかし、その事例が司直の手にまかされて、そこで結論が出たという場合は、これは私どもも十分慎重に対処をいたしたいと考えます。  それから、先般郵政審議会の答申もございまして、郵便の正常運営を期するというために、あるいは郵便法の改正ということもお願いしなければなりませんので、ちょうどそういう機会に際会をいたしておりますから、こういう問題をひとつ総ざらいにして先生方の御趣旨に沿うようにいたしたい、かように考えます。
  43. 中川俊思

    中川(俊)委員 慎重に対処されるという、また非常な含みのあることばですが、慎重に対処されることはけっこうです。それに文句をつけるわけじゃありませんが、そういうものは公共の福祉に反しないと——こういうことはけしからぬじゃないかというので、司直の手に渡って有罪の判決があった場合でも、なおかつ郵政省は第三種郵便物認可、特例の処置をずっと継続していくことが妥当であるかどうかということについて、私は非常に疑問に思うのです。ですから、そういう場合には、一罰百戒で、断固として郵政省はやるべきだと私は思うのです。それを、慎重に対処するとか、意味はわかりませんけれども、そういう場合には井出さん、はっきりした態度示してもらうほうがいいのですよ。これは私はあなたに非常に期待しておることは、郵政審議会あたりからも今度いろいろ答申が出ておりますね。私がちょっと触れました郵便業務の一部民間委譲といいますか、民間にまかすというような問題も、これはよけいなことだけれども、そういう点もたくさんあるだろう。たくさんあるけれども、いまのような問題にはっきり司直が、これは公共の福祉に反するのだ、おまえ一体何やっておるのかというので有罪の判決を言い渡した場合には、私は郵政省は断固として処断すべきである、こう思うのですが、もう一度重ねてお伺いしておきます。
  44. 井出一太郎

    井出国務大臣 私も法律的な立論についてはしろうとでございまして、そういう点の検討も十分しなければなりませんが、いまおっしゃるように、司直の手によって有罪であるという結論が出ました場合は、これはもう非常に有力な判断の材料、こういうことにして処置をいたしたいと思います。
  45. 小山省二

    小山(省)委員長代理 鳥居一雄君。
  46. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私は、東京地区におけるところの超短波放送、FM放送が、すでにFM東京の名において放送開始をしております。本免許を引き続き受けたものですから、もう現在放送事業が始まっております。この免許をめぐる疑惑につきまして、きょうは時間の都合もありますので、ポイントをぜひお伺いしなければならない、こう思う次第です。  まず、この免許申請につきましては、六十社をこえる免許の申請が確かにあったようであります。免許の受付は、昭和二十九年の十月ごろからFM放送の申請受付が行なわれました。   〔小山(省)委員長代理退席、高橋(清)委員長代理着席〕 そうしてチャンネルプランを発表した。その後に申請の締め切りをし、そうして六十数社あった中で、独占排除ということから三十一社にしぼられてまいりました。三十一社が残り一社にしぼられましたいきさつについて、まず簡単に概要について説明していただきたいと思うのです。
  47. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  御指摘がございましたように、FM東京の免許につきましては、六十六社の申請があったわけでございますが、そのうち三十五社につきましては、郵政省で定めましたいわゆる放送局の周波数の割り当て計画というものがございますが、それに適合しないということでそれは保留いたしまして、残りの三十一社につきまして、御指摘がありましたような一本化を行なった、そういういきさつでございます。
  48. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 東京地区の八十五メガサイクル、この電波を与えることにつきましては、かなり前から非常にけしからぬうわさが流れておりまして、うわさの一つは、佐藤総理大臣が林屋亀次郎氏を呼びまして、あなたに免許を与えたい、こういう話をなすったそうであります。そういう巷間うわさされる話が流れました。このFM放送に関するチャンネルプランの発表は四十三年十一月二十九日であります。このチャンネルプランの発表があった後にこれが公衆に公示されまして、そしてその後の段階、チャンネルプランの内容がよくわかった上で申請の締め切りをやる。この申請の締め切りの手続でありますけれども、二十九日にチャンネル。フランが発表になりまして、三十日に申請の締め切りをやっている。これはどういうわけですか。
  49. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  おっしゃるように、従来FM放送に対する東京地区におきまする免許の申請というのが、長いことたまっていたというわけでございまして、郵政省としましては、免許の申請を行なう人はもうこれで十分である——十分というよりも、これでもう出尽くした、そういう意味におきまして、チャンネルプランというものを発表した日から遠くない日におきまして申請を締め切りまして、免許自体をすみやかに行なおう、そういうふうにいたしたわけでございます。
  50. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そこが問題だと思うのです。  チャンネルプランの発表というのは、放送区域あるいは割り当てる周波数、出力、設置場所、この具体的な、東京地区においてはこういうプランで免許したい、こういうことが公示された後に申請の手続をとるために幾日か要することは当然の常識のことであります。チャンネルプランの発表の翌日に締め切ったというのはどういうわけか。しかも、うわさの中にありました林屋亀次郎氏に与える、こういううわさが流れていたやさき、林屋氏の申請を待つようにして、チャンネルプランを発表した翌日にこの締め切りをやっております。どういうわけですか。  それからもう一つは、電波法の二十六条、これによりますと、チャンネルプランと、すでに割り当てました周波数の現状を示す、つまり公衆の閲覧に供しなければならない。——これは閲覧に供したといえますか。どうですか。
  51. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  初めの件でございますが、先ほども申し上げましたように、チャンネルプランというものは、周波数と出力と申しますか、そういったものを指定いたしまして、東京地区に何局割り当てることができるかということを示したわけでございまして、このFM東京に関するいわゆる東京地区におきますチャンネルプランとしましては、周波数としては、いわゆる民間放送の、しかもFMの特性を生かした放送というものに適合するチャンネルプランというものは一波である、すなわち一局である、そういうことを発表したわけでございまして、先ほど申し上げましたように、長年この申請がたまっているわけでございますので、郵政省といたしましては、できるだけ早くこの要望にこたえるというためにも、早く締め切りまして免許を行ないたい、そういうことで締め切ったわけでございます。  なお、あとの部分の電波法の二十六条におきまする周波数の公開につきましては、これは公衆の閲覧に供するようになっておりまして、周波数のリストというものが公表されております。ただFMの場合は、いま申し上げましたように、チャンネル。フランというものによりまして公表したわけでございますから、どれだけの周波数を割り当てることができるかということは、もう一波しかないわけでございますから、それで十分公衆にはわかる、そういうふうに考えたわけでございます。
  52. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは伺いますが、公衆の閲覧に供しなければならない——公衆の閲覧に供したという効果がはっきりつかめているわけですか。供していれば、見ようが見まいがかまわぬということですか。現に、供してから翌日締め切るということはどういうわけですか。公衆の閲覧に供して、そしてその条件であれば私も申請できる、こう判断した段階にはおそいじゃないですか。どうなんです。それでは、その点については非常に行政上のひずみだと私は考えるわけですが……(「答弁を聞け」と呼ぶ者あり)その点はどうなんですか。
  53. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  私、まことに申しわけないわけでございますけれども、当時その局長でございませんでしたのでその間の詳しいいきさつは存じ上げておりませんけれども、趣旨としましては、先ほど来申しておりますように、十年近くも申請がたまっていた、そして、東京地区におきまする早く免許してくれという要請が高まっていた、そういうふうに判断しまして、チャンネルプランというものを発表いたしまして間もなく締め切ったということだと思います。
  54. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 当時あなたは関東電波監理局長として、実際にその免許の申請を受け取る係をなさっていたはずですから、後にまた伺うようにいたしますけれども、独占排除ということで六十六社の中から三十一社にしぼられた、その三十一社を一本化するのにどういう手続をとり、どういうふうにしたのですか。
  55. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  六十六社から三十一社にしぼったいきさつは、先ほど申し上げましたように、FMの特性にふさわしい放送ということで、いわゆる音楽的なものを主体としたものが三十一社ということになったわけでございまして、郵政省としましては、その三十一社の申請に対しまして、一波しかない電波をどういうふうにして割り当てるかということが問題になるわけでございますが、この点につきましては、おのおのの申請書を検討しました結果、現在の電波法に基づきます免許の基準がございますが、それに照らし合わせましてなかなか優劣がつけにくいということでございますので、その当時東京商工会議所の会頭をされました足立さんに一木化の調整をお願いしたといういきさつでございまして、それにおきまして一本化が行なわれた、そういうふうないきさつでございます。
  56. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 三十一社を一本化するために足立さんがどういうことをなさいましたか。私のところの調べによりますと、一社だけを残して、残り三十社の取り下げ届けを取って歩いた。取って歩いたのは郵政省の事務官です。そうして、この間にはそれに応じない向きもありましたけれども、これにはいろいろな条件をつけた。新しくできるFM東京の株を与えよう、こういう条件で取り下げ届けを書かせた、こういうふうに聞いておりますが、この点どうですか。
  57. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  足立さん自体がどういうふうなこまかいことをやられましたかは、私どもは足立さんにお願い申し上げたわけでございますから、つまびらかにいたしておりません。ただし、いまお話がございました郵政省の事務官が取り下げをしたという点につきましては、足立さんからこの依頼を受けまして、事務的にただその取り下げをお願いしに参った、そういうふうに聞いております。
  58. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 申請いたしまして、その内容の審査をしないで、三十一あるからということで申請届けをとって歩くということ自体が問題だと私は思うのですよ。どうなんですか。そういう姿勢で、電波行政が公平に、公正に行なわれると思いますか。  もう一つは、足立さんを中心にしまして、有志会という名前の調停のための、三十一社を一本化するための任意の有志会がございました。御存じですね。有志会はいつできましたか。
  59. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  有志会の点につきましては話に聞いておりますけれども、先ほど申しましたように、私はその責任の地位になかったものでございますから、どういうことになったか存じ上げておりません。
  60. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それじゃ答弁にならないですよ。私の調査によりますと、このとき、足立さんを中心にしまして十八人の有志によりまして、これは財界の皆さんでありますが、現在もそうでありますが、足立さんをきめたのは、当時事務次官をやっていらっしゃる浅野賢澄さんから、足立さんにということで、大臣も御存じであろうと思いますが、指名をしてきめております。それからそれ以外の十七人につきましては、構成メンバーは最後には十八人になっておりますけれども、この十八人の、三十一社を一本化しようとした、そのための話し合いを進めていこうというその十八人による有志会でありますけれども、これが存在したことはわかりませんか。どうですか。あなたは関東電波監理局長をおやりだったですね。東京の電波行政をつかさどるそういう立場でおわかりにならないわけですか。その点、どうなんですか。電波監理局長が前からの引き継ぎを受けていないというのは、どういうわけですか。
  61. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、この足立さんに郵政省としては一本化をお願いしたわけでございまして、足立さんの御指示によりまして、その取り下げ願いを一、二郵政省役人が回ったことはございますけれども、足立さん御自身がどういうふうにこまかくその一本化をされたかということは、私どもとしては存じ上げないわけでございます。
  62. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そこが私はおかしいと思うのですよ。  それじゃ、これは郵政省としては足立さんに委嘱したその根拠はしっかりしたものがないということですか。足立さんのもとで、郵政事務官が現に動いて、三十社から取り下げ届けを受け取るその事務手続をやっております。おかしいじゃないですか、それは。
  63. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  その、郵政省役人が取り下げ届けを足立さんの依頼を受けまして回ったというのは、たしか二件か三件であったろうと思います。その三十社の大部分は自分で取り下げを出された、そういうふうに聞いております。
  64. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そのときの条件としては、新しくFM東京が発足したときの株を与えるという条件だったそうでありますが、それは御承知ですね。取り下げさせたというのがほんとうじゃないですか。その点、どうですか。
  65. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  そういうふうには私どもは聞いておりません。
  66. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 その足立さんを中心にいたしまして十八人の有志会が発足いたしました。そして、その有志会の趣意書がここにありますが、とにかく東京地区のおくれているFM放送の免許をなるべく早く、しかも公正に一本化をして出したい、こういう意図で有志会が発足したわけです。昭和四十四年六月十日、これは第二回でありますが、郵政省の事務官がぐるぐる回りまして、三十社の取り下げ届けを集めました。昭和四十四年三月三十一日、この日にまとまっておりますけれども、第一回の有志会が開かれたのが三月十四日であります。もちろん有志会の目的は、調停の依頼を郵政省から受けた足立さんを中心にしまして、そしてでき上がった調停のための会合でありまして、メンバー構成をごらんになればわかりますが、この十八人は財界の方ばかりであります。そして第二回、第三回、第四回と、こう進んでまいりまして、第五回が昨年の十二月九日、この間五回の会合を重ねております。そしてこの有志会のほうの決議によりまして、郵政省並びに総理大臣に対しましてこの決議を提出しているわけです。この決議を受けておりませんか。大臣どうですか。
  67. 井出一太郎

    井出国務大臣 その時期が、実は私の前任者の場合でございまして、ちょっとつまびらかにしておらぬのでございます。決して責めをどうこうというのではございませんが、事実関係だけ申し上げますと、そういう次第で、少なくとも私の記憶にはないわけであります。
  68. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ともかく、今回のこのFM東京に関するポイントになっているのがやはり有志会の存在であります。有志会について、郵政省としてはっきり認めているのか認めてないのか、まずそれを伺いたいと思うのです。
  69. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  有志会なるものが、先ほど先生もお読み上げになられましたように、東京地区におきまするFM放送の局を早く発足したいということのようでございまして、先ほどお話しになりました決議というものは、役所としてはもらっております。ただ、大臣のところではなくて、たしか事務次官のところに持ってきた、そういうふうに記憶しております。そういう次第でございます。
  70. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大臣は、その点は御存じないですか。
  71. 井出一太郎

    井出国務大臣 さっき申し上げましたように、私、存知いたしておりません。
  72. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 事務次官のところに持っていった、これはうなづけるわけであります。現にこの有志会の中に、電波監理局長それから浅野賢澄次官それから放送部長がオブザーバーという立場でこれに参加されております。ですから、民間のあいまいな団体であれば、参加していること自体おかしいことになるわけですけれども、調停という意味で正式に郵政省が依頼をしているんじゃないですか。その点、どうなんですか。
  73. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  そのオブザーバーとして入られたという話は、私はあとから聞きましたけれども、実は私自体ではございませんので、ただ先ほど申しましたように、足立さんのほうに大臣から一本化の調停をお願いしているという状態でございますので、おそらくそのときに足立さんからのお話があってオブザーバーとして出られたのじゃないかと思いますが、つまびらかなことは存じ上げません。
  74. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これをめぐりまして現在一つの紛争が起こっているわけですけれども、これは郵政大臣からの答弁書でありますけれども、この答弁書の中にははっきりそれを認めていらっしゃる。有志会がありまして、その中に浅野さん自身がオブザーバーとして出ている、それを認めていらっしゃるわけですから、いまさらここでそういうことは知らないと言うわけにはいかないだろうと思うのですがね。  それで、この有志会は正式に会合を持ちまして、そして五回の会を重ねているわけですから、会の成り行きがどうであったかまで郵政省に対して報告しているはずなんです。それを知らないというのは、どういうわけですか。決算委員会には答える必要がないという意味ですか。しかも、FM放送に関する質疑があることは、前もって政府委員室との連絡でもはっきりしているはずなんです。電波監理局長はそれはどういうわけなんですか。
  75. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど私が存じ上げないと言ったのは、その当時私は局長じゃなかったものですからその会合には出てないわけでございますので、そういった意味でつまびらかにしないということを申し上げたわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、今度の訴訟の関係ではいろいろその書類が出ておりまして、前次官の浅野次官がそこに出席したということは承知しております。
  76. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、現電波監理局長として伺いますけれども、第四回のこのときの決議、これをごらんになってますか。浅野次官のところに出たという決議ですけれども、これはごらんになってますか。
  77. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  第四回というのはいつのことでしょうか。もし浅野次官のところに出たのであれば、私がまだ着任する前でございますのでわからないわけでございます。
  78. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは十二月三日の分です。有志会から出た十二月三日の決議を御存じありませんか。——それじゃ、申し上げましょう。現在放送業務を始めておりますFM東京の第一回発起人会がどこで、いつ行なわれたか、御存じですか。
  79. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  おそらく発起人会があったということであれば、あとから通知があったと思いますけれども、まことに恐縮でございますけれども、いま、いつであったかということは存じ上げておりません。はっきりいたしません。
  80. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 三月十六日に現在放送しておりますFM東京の創立総会が行なわれました。そうして創立総会の席上、創立に至るまでの経過の報告がありました。公の、これは間違えているとは私は思いませんし、また法人として認められたFM東京であります。  このFM東京の創立事項報告書の中に、昭和四十四年十二月三日、第一回発起人会を開いた、そうして次の六人を発起人代表とすることにきめた、こういう報告があります。一方では、大臣並びに総理大臣のもとに決議として出された、これは有志会の決議であります。この有志会の決議の中で、新しく東京につくるFM放送の代表取締六人を発起人代表としてきめる、それから会社の役員をきめる、こういう決議をいたしております。これは同じ会合ですよ。これは開かれた場所は紀尾井町にあります赤坂プリンスホテル、二十六号室において東京地区FM放送設立のための有志会を開催した、そうして決議した内容は次のとおりである。その場所をさして、FM東京の第一回発起人会としているわけです。この事実をどう考えますか。いいですか。発起人会というのは、いわば相撲でいえば行司役です。行司役でありますから、相撲を仕切る立場でありますけれども、三十一社あったその相撲をとろうというそれを押しのけて、そして自分がふんどしを締めて勝った勝ったと言っている、あたかもそのように見えてならない。この当時十八人おりましたその三十一社取りまとめ役の有志会が、そっくりそのままFM東京の発起人会になっております。この事実を御存じですか。
  81. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  いま先生が御指摘になったような点につきましては、御存じのように、現在東京地裁に訴訟が提起されておりまして、そういう状態でございますので、そこでそういった点が明らかにされるのじゃないかと思います。したがいまして、私どもとしましては、これ以上申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
  82. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それは決算委員会を無視した発言ですよ。東京地裁における争いがどういう訴えによる争いであるか、御存じですか。門前払いを食って、郵政省の行政上のこの問題に対して異議を申し立てたことが取り上げられないということで地裁に訴えが出ているわけですよ。それとは関係ない、全く事実関係をこの委員会で聞いているわけです。どうなんですか。  私の調査によりますと、この厳正、公平な立場の行司役であった有志会のメンバーに次の三名が加わりました。大野勝三氏、松前重義氏、大友六郎氏、その三名が加わりまして、そうしてFM東京の発起人会になっております。いいですか、三十一社を一本化するために、三十社がこの申請取り下げ届けをしたのです。残ったのは中央FM音楽放送株式会社です。その行司役をしている最中に、これは発起人会が回を重ねてやってまいりました。そうして発起人会の第四回のこの会合の席上で——四回は十二月三日です。その三日の段階で、新しくできるFM東京の発起人代表をきめているその事実、新しくできるFM東京の役員をきめている事実、これは一体どういうわけか。そうして、後にどういうからくりが行なわれたかといいますと、十二月十七日、これは免許が出る寸前です。免許をおろすのは最終的にさっとおろすわけですけれども、その免許がおりる寸前になった一社残った中央FM音楽放送の名前を訂正する——以下、名前ばかりじゃありません。創立事務所を訂正する、株式の引き受け人を訂正する、資本金を訂正する、一切がっさいを訂正してFM東京ができ上がったわけです。つまり、その訂正届けが出ましたのが十二月十七日であります。事実は十八日であります。事実は十八日に出ているんですが、本省の指導で十七日に受け付けたということになっております。これは証拠があります。そうして予備免許が出たのはいつかといいますと、その翌日十九日です。この受付は事務手続上十七日となっておりますけれども、実際にこの訂正届けが出たのは十八日受付です。そして予備免許が出たのは十九日です。こういう離れわざをやってのけているのです。  郵政省はこの事実関係はどうですか。私は証拠見せましょうか。本件は、事務処理上の都合により、昭和四十四年十二月十七日付決済で処理のことといたしたい、本省指示、そうして押した判こまで十八日を十七日と改めています。つまり、これは後に問題になったときに、訂正が出たその次の日に、一日もおかずに予備免許を与えることはどうしてもまずい、こういう配慮から一日前に受け取ったことにしておこうということになったんだろうと私は思いますけれども、その点どうなんですか。特に関東電波監理局長ですから、実際に免許を受けたそういう立場でひとつ。
  83. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十四年の十二月十七日に訂正の届けが出た、そういうふうに私どもは認めておるわけでございます。それで、郵政省としましては、長年たまっていた申請でございますから、先ほども申しましたように、一日も早く予備免許をおろそうということで、事務的には非常に無理をして、その翌日ですか、十九日の電波監理審議会にかけまして予備免許をおろした、そういうことになっておるわけでございます。
  84. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私の手元にこのときの訂正届けの写しがあります。それから、訂正をする前の状態のもの、つまり昭和四十三年三月三十日、中央FM音楽放送としてこれは初めて免許を申請した段階です。このときの届け出によりますと、ここに七人の発起人代表の名前が列記されておりまして、そうして申請がなされたわけです。  この申請に対しまして、郵政省に届け出ましたこの訂正届けのほうはどうかといいますと、この申請をしたときの発起人代表とは全く違う足立正氏をはじめとするいわゆる調停役でありました有志会のメンバーが代表になって変更届けをやっておるわけです。これは明らかに乗っ取りという以外の何ものでもない、訂正の実態は乗っ取りである、私はこう心得ております。どうですかこの点、そんな訂正ができるものかどうか。
  85. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  郵政省としましては——いま私個人、ちょっと書類がございませんのでこまかい点ははっきりいたしませんけれども、しかし私どもとしましては、電波法、放送法、それに基づく法令によりまして適正な審査をいたしまして予備免許をおろした、そういうふうに思っております。
  86. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ともかくこの話は大事なポイントが全部答えられていないわけです。  私は理事会にはかっていただきたいと思いますが、当のFM東京の会長をやっていらっしゃる林屋亀次郎氏を当委員会に参考人として呼んでいただけるようにお取り計らいいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  非常にかみ合っていないので、話が進まないで困るわけですが、そういう訂正届けができるかどうかなんです。藤木さんの名前を私が変えているみたいなものですよ。実体が違います。明らかに、中央FM音楽放送は昭和四十三年以来、この申請をしたと同時に会社設立のためにいろいろ準備してまいりました。株式引き受け証を発起人から集める、あるいはまた発起人を引き受けたという証文を集める、いわゆる設立準備にかかったわけです。一方では、有志会が五回会合を持ってまいりましたけれども、有志会のメンバーがそっくりそのままFM東京発起人、そして名前を変え、実体を変えようとかかった、これは歴然たる事実です。この事実関係をひとつお調べになってみませんか、大臣。もしその実体が違うとすれば、明らかに乗っ取りです。同じもの、同一性があると認める場合には、これは名前の変更でいいと思います。明らかに実体が違いますよ。実体の違いがわかりませんか。もし実体が違うとすれば、これは予備免許をおろしたこと自体に大きな誤りがあったことになります。その点どうですか。
  87. 井出一太郎

    井出国務大臣 私としては、有効にして適正な処理が行なわれておった、こういうふうに報告を聞いておるのでございますが、しかし、事実関係をやはりわれわれとしても十分つまびらかにしておかなければなりませんから、そういう点の資料等は私みずからもひとつ督励をしましてトレースをしていきたい、こう考えます。
  88. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大臣は前にもそういうことをおっしゃっておられるのですが、いつまでに、どういうふうにするのですか。具体的に伺いたい。
  89. 井出一太郎

    井出国務大臣 御承知のように、これは訴訟に持ち込まれておるという関係もございますから、その立証要件としまして十分な準備をしなければなりませんので、そういうことにも備えてこれから資料を整えたい、かように考えます。
  90. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 非常に不満であります。この委員会でいろいろ質問してまいりましたけれども、全部お答えになっていない点、先ほど申し上げましたけれども、ぜひ参考人を呼べるようにお取り計らいいただきたいと思います。  それから、このでき上がりましたFM東京の役員のメンバーを見てみますと、これがまた非常に大きな問題だと思うわけであります。この役員の中には、もちろん三十一社調整したという名のもとに、取締役の中に免許を申請した三十一社の中からも名前をかりて入れている、名前をかりて、本人が知らない間に名前が入ってしまっているという事実が幾らでもあります。そういうかっこうでこの役員構成がなされたわけでありますけれども、この役員を見てみますと、郵政省の元役人がきわめて多いわけです。三分の一以上占めております。社長の大野勝三さんが元郵政事務次官、代表取締役の梶井剛氏が元逓信省工務局長、電電公社総裁、松前重義氏が逓信院元総裁、それから秋山龍氏が元逓信次官、常務取締役の石川義憲氏が元郵務局次長、小金義照氏が元郵政大臣、藤井丙午氏が取締役でありますが、郵政審議会会長、前田久吉氏が関西テレビ会長、中山次郎氏が、監査役ですが、元逓信省電務局長というぐあいで、三分の一以上が郵政省の高級官僚をやっていたという方です。これを称しまして、巷間ではFM東京じゃなくてFM郵政だ、こうまでいわれているこの現状、こうしたゆがみが一体どこから出るのか、私は免許に至るいきさつの上でこうしたゆがみが生ぜざるを得ない、こういうふうに思うのですけれども、どうですか、この天下りの現状について。三分の一以上ですよ。役員の三分の一が郵政省の元高級官僚です。大臣はこれに対してどうお考えになりますか。正しい姿だと思いますか。
  91. 井出一太郎

    井出国務大臣 いまお示しになりましたメンバーは、かつて郵政省に非常に関係があった方々をおあげになりましたが、何も天下りというような、その時点においてそういうふうな配慮があったものではなくして、従来電波関係にそれぞれ深い御縁を持った人々のように思いますので、たまたまそういうことに相なったのではないか、私はそういうふうに見ているわけであります。
  92. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 昭和四十三年ごろ盛んにうわさにたった林屋亀次郎氏を社長に——そのとおり社長じゃありませんけれども、会長という立場でFM東京が発足したわけです。きょう指摘した点、まだ疑問が解消できたわけではありませんし、今後さらに参考人においでいただいて、この点の究明をしたいと思うのです。そういうわけで、質問を留保いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 吉田賢一君。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣お尋ねするんですが、郵務事業の諸問題につきましては、すでに先年来あらゆる機会に各方面において論議せられて、政府におきましてもだんだんと審議会その他におきまして研究、検討を重ねてきておられるものと、こう思うのでございますが、やはり依然として国民はこの事業の現在と将来性がどうなるんであろうかということについて、多大の関心を持っておるわけでございます。もちろん、これは一つは、全国民におけるサービス事業であるという面もありますが、反面におきまして、最近の物価高騰の影響もそれぞれとありまして、郵便料値上げというような問題にまで発展してまいっておりますので、が然、ここにまた新しい角度からこの郵政諸事業、特に郵便の事業の実態究明に向かって国会は取り組むべきときである、こう考えるのであります。  そこで率直に伺いたいのでございますが、郵便物が、政府の発表の統計によりましても逐年増量いたしておりまして、四十四年度には百十一億通にものぼるらしいのでございますが、こういうような増量もしておるが、三十二万の郵便職員、外勤十二万ですか、ということでもってこれを処理していきますが、これは郵便事業というものは、究極するところ、しょせんは超労働集約事業として採算の合わぬものであろうか、あるいは、考えようによって、研究していくならば、これは採算の合う独立採算までいき得る可能性があるんだろうかどうだろうか、ここが究極の一つの点だろうと思うんですね。そこに一ぺん立ってこれを考えていくというぐらいな姿勢が私は必要だと思うんです。  率直に大臣、この点についてどのようなお考えになっておられましょうか。もちろんこれはあなた、そう神さまでないから、何もかも御承知という意味で申しておるのではありませんが、いまのあなたのお立場でどういうふうにこの問題をお考えになっておるであろうか、これが非常に大事な点であろうと思うのであります。
  95. 井出一太郎

    井出国務大臣 吉田先生、十分に何もかもお知り尽くしの上で御質問と思いますが、お察しのとおり、まことにただいま重大な段階にあるわけでございます。公共サービスを旨といたしまするこの事業の重大性、これはもう御指摘のとおりでございますが、さて、この運営にあたりましては、人力を主として。八割ぐらいまでは人手にまたなければならない、こういう性質の仕事でございます。機械化とか合理化とか、こういう面もここ数年鋭意やってまいっておるわけでございますが、なかなか追っつかない。郵便物数は、いまおっしゃるように年々五、六%ずつはふえております。しかし、経済成長の率に比べ、あるいは人件費のアップに比べ、これは追っついていない状況でございます。したがいまして、これを一体どういうふうに運営していくか。この点については、先般郵政審議会からも御答申をちょうだいしておるのでありますが、従来、たてまえはこれはどうしても独立採算だ、受益者負担だ、こういうことで貫いてきておるわけでございまして、私どもいまこれを踏まえておるのでありますが、これは日本のみならず各国ともに悩みを包蔵しておるのでありまして、国によっては、公共性なるがゆえに一般会計からある程度の補てんをしてもらっておる、こういう国もあるようであります。しかし、われわれとしましては、このところやはり独立採算で何とかやっていきたいということで、今回審議会の答申にもありますような料金体系の是正ということにも表現されておるわけでございまして、たいへん困難な事情ではありますけれども、何とかこの点をこぎ抜いてまいりたい、かように決意をいたしております。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 郵便事業が、経済的観点から、企業性的な角度から検討される場合に、これはやはり根本の問題もございましょうし、あるいはまた、個々の具体的なあらわれた事象に対しまして取り組んでいく問題もございましょう。  そこで、たとえば一つは例のダイレクトメールというものが、最近の経済成長に伴いまして次第にその分野を拡大しつつあることは御承知のとおりであります。われわれの家庭におきましても、真に信書として待ち遠しいそれにあらずして、またしても広告か、またしても宣伝かというような、そういうものがどんどんと投入されていく現状でございます。そうするならば、このダイレクトメールの占むる比重が次第に拡大しつつあるという現状、そしてまた、型も限定しておらぬらしいし、はがきならば、あるいはまた封書ならば一定の型でおよそ常識がありますけれども、重量といい、あるいはまた大きさといい、どうも限定しておらぬようでございますので、こういったものにつきまして特別にひとつ検討する機関、機会を持って取り組んでいくことはいかがであろうか。もっとも、いま郵便事業というものの収支、損益の状況を見てみまするというと、収入の面から見て相当の分野を占めておるようにも考えられます。考えられますけれども、やはりこれは本来国民へのサービスを基調とすべきものだという観点に立ちますと、やはり別個の要素を持った一つ通信書ではないであろうか、こう思われまするので、これはやはり積極的に取り組んでいかれるという姿勢がこの際特に必要ではないであろうか。たとえば民間事業として委託をするということも、あるいは可能かもわかりませんし、あるいは特別の規格、料金等の設定もこれについては可能かもわかりませんし、何かそこは発案、構想、いろいろと練りましてこれに対処するということを企業的角度から考えまして、やはり何らかの結論を持たねばなるまい、こういうふうに考えますが、この点いかがでございましょうか。
  97. 井出一太郎

    井出国務大臣 おっしゃいますように、郵便物の態様と申しますか、中身がこのごろはだいぶ変わってまいりました。個人から個人へ送達する信書というものがその発足点であったと思いますが、このごろは企業間における、あるいは企業対個人、個人対企業、こういった姿のものがおそらく七、八割を占めるという状況に相なってまいっております。その中にいま御指摘のダイレクトメールの問題がクローズアップされてきておるわけでございますが、さてしからば、どの部分がダイレクトメールであるか、これの選別というものがなかなか困難ではないかという感じがいたします。そこで、この自動選別取りそろえの機械とか、自動押印機とか、こういったものに乗せまするためには——郵便番号もたいへん御協力をいただいておりまするが、これは定形郵便物というものが一番望ましい形でございます。したがいまして、定形外の形の大きな、主としてダイレクトメールはこういうものになるということを想定いたしまして、これについては、あるいは料金体系における何がしかの考慮をしなければなるまいかといったようなことは、寄り寄り私ども検討しておる点でございまして、御指摘のダイレクトメールをどうとらえ、どう対処するか、これは当面私ども一つの課題である、こういうふうに申し上げたいと思います。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題はやはり漸増の情勢はおおうべくもございませんですし、いわゆる昔の信書なるものが相当圧迫を受けておりまして、その影がだんだん薄くなってくる、こういうふうでありますから、やはり適当に早い時期にこれに対処して具体案をつくるというところへ持っていきませんと、やはりある期間を経過して定着をするということにだんだんなってまいりますと、それからはこの問題と取り組むことはだんだん条件が至難になるのではないだろうか、こう思いまするので、せっかくその御意向がありまするならば、これはやはり積極的にお取り組みになってはいかがか。私は必ずしもこれは全面的に排除したがいいだろうという即断をするような、そういう経率なことは考えておりません。おりませんけれども、やはり郵便事業という角度から考えたら、新しい近来の現象としてこれをとらえて、鋭敏にこれに向かって取り組んでいくという姿勢がなければいけません。企業ならば、こんなことはもうとっくに重役会の議を主に株主総会の決議で、あるいは、場合によれば内部構成に至るまで変更いたしまして取り組んでいかねばなりません。いろいろな意味において圧迫を受けておることは事実のようでございますから、これはぜひ具体的に取り組まれんことを強く御要望申し上げておきます。どうか別の機会に、こういうふうに進みつつあるとか、こういうふうに進もうとしておるということの御報告がいただけたらたいへんしあわせだと思いますから、それをお願い申し上げます。  それから次は、外勤のいわゆる集配の問題です。特に配達の問題でございます。われわれの昔のイメージは、郵便屋さんという親しみを持った感じで郵便配達をなさる人を見たのでございますが、最近見るならば、超重労働でないだろうかというふうな感じさえいたします。七円のはがきを雨の降る中をわざわざ持っていかねばならぬということは、何という時代錯誤だろうか。こういうような情報化時代に入って、郵便事業の置かれる地位というものは一体これでいいのだろうか、科学技術の進歩のすばらしい時代においてこれでいいのだろうか、六尺の男を、大切な若人をそんなことで使うてもいいのだろうか、そんな感じさえちらっとすることなきにしもあらずでございます。そういうことを思いますると、やはりこの外勤の労務者ともいうべき配達なさる職員の立場については、根本的に深甚の配慮をしていくという姿勢が必要ではないだろうか。それなら、どうするならば労務を軽減できるか、どうするならもっと、おっしゃるような、答申にもうたっておりましたように、送達の速度が万全になるということもかねまして、正確に受信者に伝わるかという、その機関としての立場をぐっとあたたかい立場で見守っていくという配慮がどうしてもなければいけません。これも一般民間企業と比較しますると、民間企業で少し鋭敏な社長ならばぴんときます。そして、これはこうしなければいかぬということで、即日断を下して、これに対して、あるいは特殊な外勤手当とか、あるいは雨降りにおいては特別に何か優遇するとか、あるいは休暇を特別に与えるとか等々して、次の労働力確保する、あるいはまた勇躍してあしたまた配達に従事する、そういう人間的なものを植えつける機会を持たなければいけません。そうしませなんだら、やはり問題は絶えますまい。そう思いまするので、この点は、特に雇用問題との関係におきまして重視すべきだと私は思う。特にいま、たとえば百人を募集いたしましても十人しか集まらないと伺います。あるいはまた、郵政省におきましても転退職者の量は相当な数にのぼるらしい。三年間に二〇%ですか、全逓のごときは五年間に五〇%というような数字を出しておるようでございます。  こういうようなことを考えてみますると、この激務に耐え、そして、その与えられる処遇と比較すればこんな割りの悪いことはない、こう割り切ることになるのではないだろうか。その機微をやはりつかまなければいけません。人事管理というものは、そういう辺につきましてやはり先手を打ってやってもらいたいと私は思うのですね。ですから、人事管理の面にもなるでしょう、あるいは事業管理の面にもつながるでしょう。いずれにいたしましても、労働力不足の現在、特に若人の不足しておる現在におきましては、外勤の配達職員の立場に最大の重点を置いて考えていかれるというととが、国民の側から見ても言い得るのでございますが、その点いかがでございましょうか。
  99. 井出一太郎

    井出国務大臣 たいへん行き届いた御質問で、お答えを申し上げるすべもないほどでありますが、おっしゃるとおり、郵便外勤の問題がいまわれわれの大きな悩みの一つでございます。いろいろ手は打っておるつもりなんでございまして、たとえば給与条件も内勤に比べるとはるかにいいわけでございます。あるいは宿舎の問題等も特別な考慮を払っておるつもりでございます。それにしても、最近の交通事情からいいますと、危険もなしとしない。高層建築が林立してまいりますと、配達も一そう骨が折れる等々、いろいろな支障もございまして、われわれもこれは当面の一番の重要事項として対処しなければならぬと思うのでございます。  そういう次第で、きょうの御示唆に富んだ御質問の点などを参考にいたしまして、これを当面の最も重要な対策として善処してまいりたいと思います。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 労働力対策の重要な一環として、やはり婦人労働力の活用という面がございます。これはすでに団地等におきましては取り入れられておる現状でございますが、これは政府の労働政策の一環といたしまして、パートタイマーその他の主婦あるいは若い婦人の労働力をこの種の外勤もしくは内勤等におきまして活用するということが、日本の労働力の公平な、もしくは合理的な経済的な配分の見地から見ましても、この際大切な問題ではないであろうか。ことに、他の例でありますけれども、企業で申しますと、ヤクルトというのがありますね。ああいうのがありますが、ああいう社員さんの話を聞いてみましても、わずか一本一円の純利益をもちまして、二千万本配達することが可能である。それほどに、若い婦人が自転車に乗りまして、そして一つの制服をちゃんと着て、きちきちっとやっているあの姿を見ますと、これはやはり規律、訓練、指導等々によりまして、適当な処遇をいたしましたならば、私は婦人労働力の活用というものは男性に劣らない面が必ずあると思うのであります。ことに団地とかあるいは密集したそういう都市形成の地域におきましては、積極的に全国的な一つの新しい企画としまして、この際これは具体化されるというほうへ進めていかれる必要があろう。もちろん、これにつきましては相当手を入れておられることは伺いますけれども、伺った範囲におきましては、まだまだ試みにすぎません。もうすでに労働省あたりにおきましても当然早くやらねばならぬと私も申す次第でございますが、ひとつこれも積極的に取り組んでいただかれんことを強く御要請を申し上げたい。
  101. 井出一太郎

    井出国務大臣 当面、労働力不足対策のためには、おっしゃるように、婦人労働あるいは中高年齢層、リタイアした人々などをも活用しなければならぬ、こういう時期に来ておることは、御指摘のとおりでございます。  そこで、このママさんパートは、先ほど郵務局長がお答えを申し上げましたように、現在では三都市で五百人程度でございますが、幸いこの試行はたいへん好評でございます。そして新しいユニホームなどもつくりまして、誇りを持ってこの仕事に従事をしていただいておるようであります。ですから、これをもう少し制度として定着するような活用の方向を見出してまいりたい、このように考えております。
  102. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最近特に問題になりました例の郵便物遅配の問題でございますが、どうしてもこれは国会として触れざるを得ない問題でございます。  そこで、遅配の問題につきまして、労働組合の新聞その他の言い分、主張等も聞いております。あるいはまた、郵政省側における御主張等もよく聞いておるのでございますが、郵政の職員に対する人間の関係につきまして、別の角度から、これは公務員といたしましてこの際もう一ぺん考え直す必要があるのではないであろうか。私はそういう観点に立ちまして、言うなら抜本的に今後郵便の遅滞、滞貨等の起こらないようなところまでねらいを定めまして、公務員制度にもう一ぺん取り組んでみたらどうであろうか、こう考えるのであります。実は、国会なんかでのんきな話をしておるようでございますけれども、この遅配のために、たとえば最近の例ですけれども、姫路である知り合いの弁護士が、大阪からぜひ必要な刑事裁判の書類を九日までに届けてもらわなければいかぬというので、十二月二日に大阪を速達で発送したものが十日に到着いたしまして、結局大阪から姫路まで速達で九日間かかっておる。そこで弁護士さんは怒り心頭に発して、郵便局にねじ込んだということを私は直接聞いたのでありますが、そういうふうで、非常に深刻な滞貨国民への悲劇であるということもぜひと毛頭に置いていただきまして、公務員のあり方につきまして根本的にひとつ御検討を願いたい。  一つの問題は、やはり公務員制度全体につながる問題でございます。私は、きょうは深く論議を重ねる時間がございませんから、一、二の点にとどめます。ただ、公務員でありますので、一般民間労働組合ではございませんから、一般民間労働組合ならば、皆さんは生活を守る戦い、あるいはまた、企業自体は利益の追求というようなことで、相対立して論議しておった世界でございますが、その企業界におきましても利潤追求だけが終局にあらず、やはり参加しておるすべての人間を尊重しなければいかぬ。したがって、人間を尊重するというたてまえで企業も労働組合も対処するという、その別の次元におきまして両者の関係が取り上げられていくという傾向がいま顕著でございます。でございますから、企業も利潤、経済一本でいく時代ではございません。労働組合も同様でございます。それならば国家公務員——地方公務員も同様でありますが、公務員というのは、申すまでもなく憲法によりましてすべての国民に奉仕する。したがいまして、企業における労働組合なんかとは本質が違うということも一つ考えてみなければいけませんですが、その場合に一つの大事な点は、やはり公務員としてのモラルは何であろうか、公務員としてのモラルを確立するということが必要でないであろうか。だから、モラルという場合には、自分たちの生活を守ってくれと言う前に、自分は何をすることが自分の責務であろうかということに対する自覚がほしい。ただし、奉仕だけをしろ、公共精神のみを発揮しろ、士気高揚のみをしろということでスパルタ教育をするような、そんな考え方は持つべきではございません。やはり文化的な生活をし得るところの国民でありますから、だからこの両全を期さなければいけませんので、私は、やはりそこで前者におきましてほんとうの公務員のモラルを確立してもらいたい。どういうふうな道徳的な姿勢を持って職場に、国民に対処すればよろしいか、せねばならぬか、これをみずから持ってもらいたい。反面、全国民は、もしくは管理者の立場は、どうしてこの人が人として全き生活をし得るかということについての配慮について最善を尽くさなければいかぬ。そして、国はもちろんであります。  そこで処遇の問題が起こります。働きやすい、魅力のある職場を与えるということにつながってまいります。理屈になるようでございますけれども、現状を見ましたら、郵便局の局舎で三十年以上たっているのは全国で何ぼでございましたか、私その統計を持っておりますが、郵便局の局舎というのは一万六千ばかりあるようでございますが、何か郵便局というたら、古ぼけたあの局舎かという感じがします。しかし、電電公社の建物なんかということになりますと、すばらしい鉄筋のコンクリートの大きな建物だという感じを受けます。そういうようなものです。その中で仕事をしている。ろくに娯楽をする場もないのかもしれません。ということでありますから、環境の問題あるいはまたその他の処遇の問題、あるいは経済的待遇の問題等々の配慮を全体としてもらう。同時に、公務員自身に対しましては、公務員としての姿勢をしゃんとしてもらいたい。国民への奉仕は第一義的に守っていくべきものだ。そして両全期するところに私は日本のあしたへの姿があるのでないか。七〇年代における郵政事業における全職員の持つべきかまえはこれでないかと私は思うのです。  大臣、こういうふうにいたしまして、公務員制度の改革ということで若干触れたいのでありますが、やはりその姿勢でこの問題に取り組んでいただくということが大事でないか。そうしたら滞貨問題も根本的に解決するという方向が見つかってくると思うのですが、どうでございましょうね。
  103. 井出一太郎

    井出国務大臣 おっしゃいますことには全く同感であります。私も職員などの会合へ参りまするときに、諸君は労働組合員であるよりも先に郵政職員であるのだ、こういう自覚の上に立ってもらわなければ困るというふうなところから説き起こすのでございますが、しかし現状は、先生御指摘のように必ずしもわれわれの期待するものとはいささか遠いというのが、残念ながら現実であります。  そこで、国家公務員の立場でございますから、憲法を順守しなければならぬことはもとよりであり、公共のために奉仕をすると考えるべきである、このたてまえは貫かなければならぬのであります。しかし同時に、管理をする側の立場から申しますと、いかにして勤労意欲を十分に燃焼させるような職場環境をつくるか、こういうことが私どもの任務でなければなりません。  そういう点から、あるいは局舎問題にもお触れになりました。その他待遇、条件、たとえば、明年度の予算においては外務員の控え室などには、ひとつクーラーを入れるくらいまでいこうではないかというくらいの配慮もいたしておるわけでございます。したがって、単にお説教だけで事が成り立つものでございませんから、ひとつ十分な環境条件を一方において整えるということに努力をいたしまして、さて、われわれもこういう誠意示したんだ、諸君もひとつ本来の立場に、原点に立ち返ってこの仕事にいそしんでもらいたい、こういう交流をいままでよりもっと密にする。お互いに、何か当局労働組合との間で肩ひじを怒らせて角突き合いをしておるというのはまことに不幸なことでございます。  したがって、そういうコミュニケーションを重視すると同時に、一方においては、やはり公務員という立場をわきまえて、その秩序を厳として守ってもらわなければならぬ。少なくとも、それはストが許されるべきものではないはずでありますから、そういうふうな点もわれわれとしてもっと力を入れて啓蒙的な活動もしなければなるまいかと、かように心得るわけであります。
  104. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはこの委員会においてもしばしば問題になる天下り人事などのそういう心理的な面にも関連があるわけでございますが、私どもは、もしわが国におきまして公務員の行政における倫理綱領的な具体的なものができるならば、この際やはり必要ではないだろうか。日本の今日の経済発展の実態から見まして、新しい社会的、経済的、あらゆる地位に躍進してまいる実情にかんがみまして、欠けたものが一つある。それはどうもモラルでないだろうか。モラルといっても、いま大臣のおっしゃるように道徳説教みたいな、そんなことになりましたら、これはナンセンスですから、さにあらず、やはりみずから率先して範を示すということが必要ではない。そこで、かりに、文章化することはどちらでもいいといたしまして、そういう具体的な基本姿勢をきめるという場合には、政府といたしましては人事院が相当重要な関係になると思うのです。  きょうは島職員局長が見えていますが、先般天下り人事などが問題になりましたときも、あなたのほうで何かと論議されたはずでございますが、やはり人事院の立場から見て、そのような面について何か一本打ち立てるべきときが来ておるのではないだろうか。どっかで起案するということになりますと、人事院はさしあたってその衝に当たるべきものでないかとも考えるのです。これらの点につきまして、要は、行政執行者としての公務員のモラルをどう具体的に規定すべきか。規定というと少し語弊があるようでありますけれども、どう考えたらいいであろうか。こういう点につきまして、人事院の意向でもありましたら、ひとつこの際、簡単でよろしゅうございますからちょっと述べてもらいたい。
  105. 島四男雄

    ○島政府委員 ただいま公務員のモラル確立をいかにすべきかというたいへんむずかしい問題が論議されておりますが、私どもといたしましては、当然公務員がそれぞれの職責をいかにして果たすかということはたいへんむずかしい問題ではありますが、現在の公務のあり方として必ずしも十分でないというふうに考えております。  ただ、これを具体的にどういうふうにしたらば公務員のモラルが確立されるのかというと、一つは、やはり公務員がそれぞれ使命観に徹するということでありますが、同時にまた、順法精神に徹するということも必要でなかろうか。たとえば、いまお話しのございましたストの問題でございますが、御承知のように公務員は争議権を禁止されております一公務員に争議行為を認めることは公務の正常な運営を阻害し、引いては国民生活に重大な影響を与えるということからこのような立法がなされたものと思いますが、したがって、公務員各人がなぜ争議行為が禁止されているかという点に思いをいたすならば、おのずから自分の行動がそこから規制されるというふをに考えるわけであります。  いま倫理綱領のお話が出ましたが、私ども実はいろいろ検討はしてまいっております。が、なかなか具体的に戦前の官吏服務紀律のようなものをこの際つくるということは、実際問題としていかがなものであろうかという点で、まだ検討中であるということしか申し上げられませんが、非常に重要な問題でございますので、人事院といたしましても絶えずこの問題については関心を持って、前向きで取り組んでおります。  あまり具体的な考え方を申し上げられなくて恐縮でございますが、そういう姿勢であるということを御理解願いたいと思います。
  106. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間の関係がございますので、あと簡単にしたいと思うのであります。  このたびの例の郵便料値上げの問題でございますね。非常にこれはいろいろ苦慮された結論の一つかと思います。また郵政審議会の諮問を経、その答申に基づいておるということになりますと、あらゆる角度からかなり検討なさったものであろう、こう思うのです。  そこで一つの問題は、たとえば郵政審議会におきまして、諮問事項は、郵便事業の正常運営を確保するための方策いかん、こういうことであったようでありますが、これについて、その諮問の趣旨の説明もついております。しかし、これは結論的に見ると、郵政審議会の答申なるものの大きな柱は何か、これはやはりどうも郵便料値上げに帰しておるのではないだろうか。もちろん配達の速度を安定せしむるという面もありはします。あるいはその他、若干いろいろな面におきまして機械化し、あるいはその他国民の協力を求めたりするような面も出ておりますけれども、しかし、どうも姿勢といたしましては、要は、財政の健全化のためには、赤字を生まないためにはこの際郵便料を値上げする以外に方法はない。答申といたしまして平均三割五分値上げするというような、大体そういうようなことになるようでございますが、大臣、この問題はすでに省としてもあるいは閣僚会議も経ておる問題でございますので、ちょっと三分や五分の議論では意を尽さないのでありますけれども、ただ考えていただきたい点は、いま一口に申しますと、日本人は、言うならば、政府も国会もインフレ歓迎のような空気に満ちておるのではないだろうか。少々物が上がっても、つまり上がることはやむを得ない、上がらざるを得ない、上がること必至なり、インフレは世界の傾向なり、したがって、上がってもよろしい、月給がふえたらよろしい、所得がふえたらよろしい、そうしたら遊びにも行けるし、物も買えるじゃないか、こういうふうな風潮が満ちておるんじゃないか。郵便料の値上げは、これに対する一つの刺激剤をまた与えることになりはしないかということを心配いたしますので、もちろんこれは今後の見通しとしまして、累年赤字がずっと見通されておるようであります。四十六年から五十年まで総額六千数百億円の累積赤字になるような見込みが大体されておるようでございます。せっかく黒字であったものが赤字に転換した、赤字がだんだん累積していく、どうにも身動きがならぬというふうになっていくのが郵便事業の今後である、これが大体今後の見通しらしいのでございます。  そういう点から、そこに重点を置いてのこれは一つの答申の姿勢であろう、こう思うのでありますけれども、反面において、やはりどうするならば、事業をもっと合理化して、もっと原価計算を厳格にして、そして企業として成り立ち得るかということの面に対する深謀な配慮、もっと端的に言いますならば、これはやはり大臣、長期計画を立てねばいくまいと思うのであります。何もあなたの任期がというか、大臣の任期が短いからというわけではございませんが、ともかく、ともしますると計画が短期に終わりまして、そしてある大臣がこっちを向くと、またある大臣になるとあっちを向くというような面が、過去の事例ではなきにしもあらずでございます。また、郵便事業というものはアメリカでも赤字になっておりますし、ヨーロッパにおきましては大体黒字でありますが、しかしこれは郵便と電話と両方一緒にやっておりますですからね。しかし、日本の郵便事業は完全に電報、電話が抜けてしまった郵便事業でありますから、言うならば、かすをつかんでおるわけであります。そういうかすをつかんでおるわけですから、これを黒字に転換するのは容易ではありませんけれども、それなりの立場で、私は、徹底的な長期計画を立てるという面から、なお検討の余地があるのではないだろうかということで、すぐ郵便料値上げに踏み切っていくということは少し即断ではなかったであろうか。もっとも、権威者ばかりお集まりの審議会でありますから、一知半解なこのような批判は当たらないかもしれませんけれども、私は、国民の批判といたしましては、こんなようなインフレの横行時代、インフレ必至なりというあきらめの時代におきまして、またインフレの拍車になるようなこの郵便料値上げについては、実は幾多の疑問を持つのであります。もっとも、すでにあなたのほうで省議決定をして、大臣の決意も相当あり、まあ国民に問うとか、あるいは大蔵、企画庁等、三者一緒に御相談になるようなことになったらしいのでありますけれども、私はやはりこの問題は日本の経済と財政に与える影響が大きいと思うのですが、何かその点について特に配慮をしておいて対処しようと——いまの基本姿勢をやめてしまわねばいかぬというほど強い根拠を私は十分持ちませんけれども、しかしこのままではいくまい。何かいま言うような憂慮すべき幾多の条件が周囲にはありますから、これに向かって取り組んでいく面が必要ではないか、こう思うのですがね。
  107. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま料金の問題にお触れになりましたが、いまの段階におきまして、応急措置と恒久措置と、二通りの検討をしなければなるまいかと思っております。そういう意味で、当面の郵便財政を切り抜けますためには、審議会の答申もこれあり、やはり郵便料に触れざるを得ないというところに来ておると思いますが、これは御指摘もございましたし、できるだけひとつ国民生活への影響を最小限度に食いとめるというような努力を払いつつ、三省協議の際には臨みたいと、こう考えるものであります。  そして、おっしゃるように、長期計画を持てと、こういうことでございますが、たとえば電信電話公社は長期七カ年計画というものを提示してまいりました。郵便のほうがこれにマッチしたようなものがはたして生まれるかどうか、事情が少し違うと思いますけれども、これもひとつ御指摘をまつまでもなく、そういう長期計画というか、恒久措置をもあわせ考えてまいりたい。そのためには、郵政省の中にも郵便近代化の委員会等を設けておりますから、そういうところで一そうの検討を加えてまいりたいと思っております。
  108. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間がございませんが、金子さん来ておるのですね。——大蔵省が見えておりますので、ちょっと済みませんが、いまの問題でございますけれども、やはりこのインフレ必至というような国民的ないまのあさはかな考え方がある現在、大蔵省あたりにおきましては相当警戒をしながら常に発言するという場があってしかるべきではないか、こう思うのであります。ことに、消費者物価の上昇率についても、政府の見通しと現在とではあれほど違ってきておりますし、最近の十六の長銀、不動産を合わせました組織銀行の統計発表によりましても、やはり来年の経済見通しにおきましては、消費者物価は六ないし七%上昇という大体の見当をつけておるようでございますので、言うならば、消費者物価の上昇率、上昇趨勢というものはとめどもなく進んでいくような、そこへもってきて外貨五十億ドルを準備というような、そういうきわめて積極的な姿勢が見通しとしてされておるようでございますし、外国に対する貿易は、日本の自動車にしましてもその他にいたしましても、相当率が高くなりつつあるというのが現状でございますし、こういう点から見ましても、やはり将来は円の切り上げというような国際的な圧力が加わってくるようなことさえ今日は考えられる時代でありまするので、こういう際に、大蔵省の姿勢といたしましては、インフレ当然なり、公害も何ぼでも公債発行したらいいのだ、金が要るならば公債でまかなえばいいのだ、公共事業費でうんと金を使えばいいのだという式のうわついた考え方で財政膨張に上積みするようなことにいきまするならば、これは日本の財政を破綻せしめる。自転車操業みたいに、日本の経済は、この十一月におきましては歴史上二番目の中小企業の倒産が報告されておるのでありますから、こんなこともかんがみまして、相当警戒ぎみをもちまして常に対処するという姿勢を持たすようにせねばいくまいというふうに私は考えるのです。主計局がその先頭的な立場で省議に寄与するということがあってしかるべきではないか、こう思うのですが、ちょっとあなたに御意見を聞いておいて、これで終わります。
  109. 金子太郎

    ○金子説明員 お答え申し上げます。  先生の言われました御趣旨は、全く私ども考えておるところと同じでございまして、先般の閣僚協議会の御結論も、ほぼ先生の言われました御趣旨と同じだと私ども考えております。そういう方向で今回の郵便料金の問題にも対処してまいらなければならないと思いますが、この際、担当官として一言言わせていただきますと、郵便関係の労働者の置かれております職場環境というものは、隣接する貯金とか保険とかいう環境に比べまして非常に悪いわけでございまして、また、その職場環境を改善するために思い切った処置を講ずることができますのは郵便料金の改定される年、今回は五年に一ぺんでございますが、そういう機会をおいてほかにあまり多くを望み得ないという情勢でございますので、そういう方面からは、多少ゆとりのある値上げを認めてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、基本的には先生のおっしゃるお考えと全く違うところはございませんので、その方向努力してまいりたいと考えております。
  110. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わります。
  111. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 瀬長亀次郎君。
  112. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 郵政大臣にお聞きする前に、数字的な問題がありますので、郵務局長にお聞きしたいと思います。おわかりでなければ、知りませんということでいいですし、おわかりであれば簡潔に答えていただきたい。  一つは、日本政府の赤字とも関係がありますので、琉球政府の郵政庁の赤字が大まかに幾らぐらいになっておるかということをおわかりであるかどうか。さらに、沖繩の郵政事業で取り扱っておる郵便物数量について、大体どのくらいの件数が一年間に取り扱われているかといったようなことで、おわかりであれば報告していただきたいと思います。
  113. 竹下一記

    竹下政府委員 ただいまの二点につきましては、この場所ではわかりかねます。帰りましたらば資料がございますので判明すると思います。ただ、赤字でございますが、これはかなりの数字にのぼっておったように考えます。
  114. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 郵政大臣にお聞きいたします。  郵政大臣はすでに沖繩に行かれましたので、沖繩県民の苦しみというのはどこら辺にあるかということは大体おわかりだと思います。もちろん、これにつきましては一言では言えないような幾多の原因があります。沖繩県民に対する重圧は、一番大きいのは基地の重圧であります。さらに、基地を維持するためにアメリカがつくり上げた行政組織、琉球政府立法院なるもののからくりの中から生まれ、さらにアメリカの占領支配の中での植民地的収奪経済、こういったような柱が大きい柱となって重圧は年々ひどくなっていく、その中で、私は琉球政府郵政庁、これに限定いたしまして、こちらの赤字問題と関連して質問いたしますが、いま私が郵務局長質問いたしましたのは、実はその点をもしおわかりであれば、琉球政府主席や琉球政府郵政庁がたびたびにわたって郵政大臣にお願いしたと思う国家事務事業費の全額日本政府負担の問題がすでに解決されていたのではないかと思ったから私は質問したわけであります。  時間が制限されておりますので全部は申し上げかねますが、琉球政府郵政庁の赤字は、七〇年度、これは年度はここの年度とは違いまして、アメリカの年度をとっておるものだから現在は七一年度——七〇年度までに赤字総計が二百十万ドルになっております。これはもちろん円に直しますと七億五千六百万円、これは少額とは言えません。いまうわさされておる郵政事業の赤字が七百億、まずいわれておりますその百分の一、百分の一といいますと、沖繩からいえば実に大きい額になります。こういったような赤字をどう琉球政府は処理しなければならないかということで六九年に借り入れ金六万ドル、七〇年に四十五万ドル、さらに七一年度、この年度でありますが、実に百三十万ドル、合計百八十一万ドルの借り入れ金をやっております。その中には運営費、建設費——建設費は復帰の時点では当然日本政府の所有物になると考えられるものでありますが、この建設事業費などもあるわけであります。そこで、七〇年度になりまして、建設費からでありますが、三十万ドル日本政府の融資が行なわれております。この点につきましては、郵政大臣承知であるかどうか、お聞きをしたいと思います。
  115. 井出一太郎

    井出国務大臣 まず、今回新たに国政に参加せられました瀬長さんに敬意を表しまして、以下お答えをいたしたいと思います。  沖繩の特殊な環境からきますいろいろな困難性というものに対しては、私もある程度承知をしておるつもりであります。去る九月、私も現地へ伺いまして屋良主席にもお目にかかり、あるいは郵政庁長ともお会いをいたしました。いろいろその際御陳情にも接しておるわけでありますが、ただいま二百万ドル以上の赤字郵政事業がかかえておられる、このことも大体承知をしておるわけでございます。たとえば、沖繩の郵便料金が本土と比べまして少し安目にきめられておるという現実もございまして、これらは本土復帰の際にはぜひ同じ列にそろえていただきたいというふうな御要望もいたしてまいりました。  それにしましても、この困難な事情を七二年における復帰の際にどういうふうに調整をするか、こういう問題をかかえておるわけでありますが、当然、復帰の暁は日本の諸法規が適用される、こういうことでございまして、そういう御準備を願うということはもとよりでありますが、その特殊事情をどういうふうに考えてまいるかということは、これは日本政府全体の問題でありますから、なおひとつ、かすにしばらくの時間をもってしていただきたい、かようにとりあえずお答えをいたすわけであります。
  116. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そこで、復帰の時点における借り入れ金、赤字を含めて特に借り入れ金に対して、日本政府はこれを肩がわりする用意があるかどうか。いま申し上げました借り入れ金だけでも百八十一万ドルの借り入れ金をしており、そのうちで三十万ドル、これが日本政府のたしか資金運用部資金から出ており、簡易保険関係のものから出ているということも調査の上でわかっておりますが、これは肩がわりできるかどうか。さらに、総体に見まして、現在までの借り入れ金は当然日本政府が肩がわりしなくちゃならない性質のものであります。といいますと、琉球政府の予算の中で、ことしですでに国家事務事業費だけで六千万ドル——二億ドルの予算のうち六千万ドルにやがて近い国家事務事業費があります。その中で郵政事業は全部国家事務事業費であります。ところが、一円もその面における日本政府からの支出はありません。ただ、出されているのはいま申し上げました三十万ドル何がしかの融通関係であります。したがって、これは琉球政府屋良主席からも強く要請されていると思いますが、この借り入れ金は日本政府が当然肩がわりすべき性格のものでありますが、これに対する大臣の御意見を承りたいと考えます。
  117. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 お答えいたします。  琉球政府の中の郵政庁の赤字問題でございますが、先ほどお話しになりましたように、最近財政が赤字に転じておるようでございます。その中で、借り入れ金の中に性格が二つあろうかと思います。  一つは、資産として局舎その他を建てるために借りた借り入れ金と、それから損益の中で、赤字になった分について借り入れた分と二つあろうかと思います。そこで、損益として借り入れた分については、ちょうど日本の中において郵政事業が赤字になった場合、料金によってそれがカバーできない場合は一般会計で補てんするという形をいままでとっておりますように、できれば琉球政府の中で、琉球政府の中の特別会計の赤字は琉球政府の一般会計においてこれを補てんしていただくのが筋ではないかというふうに考えております。それから局舎等の資産になった借り入れ金、これは一方当然、資産として私のほうに引き継ぐ場合にはそれに見合う借り入れ金も私のほうで引き継ぐ、こういうことが筋になろうかと思います。  そこで、過般琉球政府の郵政庁から来られたときにも、われわれも郵政事業の採算という点で、常に赤字をなくしていくために、料金問題その他いろいろ苦慮をしておりますので、琉球政府におかれましても、いまの郵便料金の体系その他見ますと、国内、日本のと比較しましてかなり低位に置かれておる問題、そういったようなことを十分考慮して、とにかく損益における赤字は何とかひとつ食いとめていただくよう格段の御努力をいただきたいというふうにお伝えしてある次第であります。
  118. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私の聞いておるのは、そういったような予算のワク内における一般会計と特別会計との関係を聞いておるのではなくて、国家事務事業費が、特に郵政関係では一円も出ておりません。したがって、これは当然のことながら、国家事務事業費は出すべきであったにかかわらず出ていないから、これを大臣に聞いておるだけの話であります。だれも一般会計、特別会計との関連はわからぬはずではないわけであります。そういった意味でひとつ。  もう一つは、これははっきり回答をしてもらいたいために申し上げますが、現在、郵務局長にお聞きしましたあの郵便取り扱い数量であります。いかに沖繩における全逓労働者のいわゆる劣悪な待遇、さらに労働の強化、これに関係しておるかということで、大体その数量、六四年から六九年までこれはすでに計算済みでありますが、この年次別の数字をあげますと時間がかかりますから、合計して申し上げますと、六四年から六九年、すなわち六年間で本土へ沖絹から来ておる数量は二千五百四十五万一千五百七十一件であります。逆に、本土から沖繩に流れてきた郵便物が、これははがきとか封書、全部ひっくるめてでありますが、四千百四十一万三百七十二件、その差額が千五百九十五万八千八百一件になっております。これだけでもわかりますように、本土からどんどん流れてくる郵便物と沖繩から本土に来ておる郵便物との件数は実にたいへんな数字になり、これが圧力になります。全逓労働者のそういった集配事務に対する圧力となり、さらに赤字の問題とも関連してきます。賃金が本土と比べて安いということとも関連いたしまして労働強化の問題もあり、そこで結局この六年間で千五百九十五万八千件余りでありますから、一年間平均二百六十五万九千八百件という平均が出てきます。次に、七〇年は、実績と推定を含め、いわゆる七二年返還とかいわれておる時点まで推定しますと、七〇年から七二年まで三カ年で本土へ沖網から来る郵便物が千六百九十一万二千件、さらに本土から来るものが三千三百四十八万七千件と予想される。こういったような実績と推定、この推定は、過去のいま申し上げました六カ年間の実績を基準にして推定された額であるわけなんです。それから申し上げましても、この郵便事業なるものが、郵政事業なるものが沖繩はほとんど本土から完全に見放されていた、そういったような事実に基づいて、井出郵政大臣が沖繩に来られたとき、この郵政事務事業費だけでも国家経費として、国家事務として全額国から交付してほしいということを強く要請しております。私は立法院議員時代にもそれをじかに郵政庁長の口から、さらに企画局長の口から聞いております。これに対する大臣のお考え——いまの赤字の問題を将来肩がわりするかせぬかという問題と基本的な姿勢、さらに、こういったような七二年度予算はすでに出されておると思います。これは総理府でまとめておりますが、郵政事業も出されております。七二年の予算の時点で、どういうふうにこの郵政事業に関係する事務事業費について国家で保障する、あるいは、国から出すかどうかといった方針がもうすでにあられると思いますので、そういった基本姿勢について御質問いたしたいと思います。
  119. 井出一太郎

    井出国務大臣 実は屋良主席あるいは郵政庁長とお目にかかりました際に、いま瀬長さん言われるような、そこまで数字にのっとった詳しいものではなかったのであります。したがいまして、こちらにも数字があるはずでありますから、そういう点は十分つけ合わせをいたしてみようかと考えます。  そこで、いま七二年度とおっしゃるのですが、この国の予算とすれば四十六年度、これを、まだ時期も尚早でございまして、そこまで具体的に措置をするというところへはいっておりません。おそらくこれは総理府でおまとめをいただき、国家事務とおっしゃいましたが、どういうものを、いかなる形で取り上げるか、こういった総合的な判断をする機会がいずれ出てくるであろうか、こういうように思いますので、きょう御質問に対する的確なお答えを申し上げるということはまだ少し時期が早いのでありまして、おっしゃいますことはよくテークノートしまして、そして、いずれ具体的なお答えをする機会があろうか、かように考えます。
  120. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま七二年度と申し上げますと、すでに四十六年度予算が年内に、第一次査定までいかぬにしても一応は煮詰まる。その中で、すでに琉球政府からは、総理府に出されておるこの予算の中に郵政事業費があるんです。私はそれに対して、せめて井出大臣の親心を示してもらって、沖繩の声をとう郵政事業に——いま申し上げましたような赤字の問題と、さらに郵便物の取り扱い数量の具体的なものの中からも、いかに郵政事務事業が困難な立場に追い込まれておるかということがわかるわけなんです。  そこで、いま大臣の——沖繩における郵政事務は、これは全部国家事務なんです。本来ならば県であるべき沖繩が、アメリカの占領支配を強めるためにつくり上げられたあの琉球政府という、政府という性格があるためにこのような苦しみを負っておる。それに対する郵政事業の、郵政行政の首長であられる大臣は、何らかの方針があるんじゃないか。これは沖繩県民はほとんどそう考えています。だから、その点を実はあらためてお聞きしたいと思うのです。
  121. 井出一太郎

    井出国務大臣 御質問の趣旨は、沖繩の地域というものは一つの県にひとしいものである、こういう扱い方をするならば、当然国の行政の中に包含され、吸収されてしかるべきだ、こういう立論の趣旨であろうと思うのであります。  そういう点に関しましては、従来の考え方といたしますと、国対国、こういう観念で臨んでおったと思いますし、たとえば郵便物などについても、国対国ということになれば、一種の相互主義みたいなことにも相なるわけでございまして、そういう点、きょう御提起になりました考え方というものはわれわれとしても今後検討をいたし、国全体の総合的な観点から結論を出す、こういう問題になろうかと思うのでございまして、本日のところは、まことに御期待に沿い得ないかもしれませんが、とりあえず先ほど来申し上げておるようなお答えにとどめたい、このように御了承をいただきます。
  122. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので、この郵政事務事業費の全額日本政府負担については、あらためて質問主意書の中で出す計画でありますのでそれに譲りまして、最後に、郵便料金の問題について御質問申し上げます。  新聞紙上で発表したところによりますと、物価対策閣僚協議会は、これは佐藤総理も出席されて行なわれた中で、一年間公共料金の値上げをストップする、ところが、郵便料金については関係閣僚の間で討議してきめるのだ。ただし、この前の決算委員会でも郵政大臣は御答弁あったと記憶しておりますが、何か、郵便料金を上げなくちゃいかぬようになるんじゃないかといったような答弁がありましたが、私、基本的に郵便料金の値上げを現時点でされることに反対であります。反対する立場で、料金は一体上げられるのか上げられぬのか、大臣の方針を承りたいと思いますが、この問題は、本土において郵便料金が値上げされますと、必然的に沖繩の郵便料金が上がります。いま琉球政府では——県民はやはり物価高に非常に苦しんでおります。そのことを屋良主席は同様知っております。ですから、郵便料金はせめて上げたくないというのが基本方針であります。ところが、一方的に日本政府が郵便料金を値上げされますと、現在普通郵便が三セント、これが四セントないし五セントに上がるんじゃないか。いまの郵政審議会ですか、これがきめた答申が発表されておりますが、さらに、はがきは一・五セント、これが二・五セントないし三セントにまで引き上げられるんじゃないか、こうなりますと、これは県民の生活に対する影響が非常に大きくなるので、その点につきましては、料金は上げないと七百億近くの、あるいはそれ以上の赤字を埋め得ないということになって、料金を上げるということになりますと、これはもう国民の生活を圧迫する大きい要因となる。上げないでも方法は幾らでもあると私考えます。まず、独占資本のいわゆる独占価格の問題があるし、さらに軍事費、ここでは軍事費とはいわないかもしれぬが、自衛隊あるいはその他に関する費用は準軍事費的なものであるし、さらに海外出進の費用の問題、いろいろあると思います。いま自然増の形でも一兆二千億円くらいの自然増があるのじゃないか、見込まれるのじゃないかということまで発表されている段階でこの郵便料金だけ上げるということについては、沖繩の県民も反対しておるし、さらに琉球政府でも非常に心配しております。これについて井出大臣の御見解をお聞きしたいと考えております。
  123. 井出一太郎

    井出国務大臣 事情は御承知のとおりでございまして、郵便財政の現状をどのように打開をしていくかという点、郵政審議会の答申を踏まえまして先般の物価閣僚会議に出たわけでありますが、郵便料金については、三閣僚の間でさらに慎重に議を練るようにということで持ち越されております。私も現下の物価事情はよくわかりまするし、また、公共料金がそういう場合にいかなる役割りをするかということも考慮しないではありませんが、しかしながら、ここでもしも料金に手を触れないという場合には、先行き一そう傷が深くなるというような心配もしているわけであります。  したがいまして、ただいまの政府の方針を体しながら、その中で郵便料金のあり方をいかにきめるかということはこれからの問題でございまして、私も国民生活に対する大きな影響をできるだけ最小限にとどめたいという気持ちで臨みたい考え方でおります。  同時に、このことが沖繩の郵便料金に一つの影響を与えるであろうという点も御指摘がございましたが、とのままでいきますと、現在すでに格差のあるものが一そう格差が出るという点の御心配だろうと思うのでございます。したがいまして、それはそれとして、当面の国内の郵便問題については、いま申し上げましたような態度で、現在においては未決定の状態である、かように御了承をいただきたいと思います。
  124. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 要望だけ一点申し上げておきます。  これは今度の予算とも関連すると思いますし、さらに赤字の問題と関連いたしますので、私が最初に郵務局長にお聞きいたしました琉球政府の郵政事業から出ておる赤字、年次別に、それと郵便物の取り扱い数量、さらに赤字を処理するための借り入れ金、借り入れ金の原資及び日本政府の会計との関係、こういったような資料をぜひ出してほしいと思います。  以上をもちまして質問を終わります。      ————◇—————
  125. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 この際、おはかりいたします。  国が資本金を出資している法人の会計に関する件の調査のため、日本航空機製造株式会社より参考人として関係者の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  なお、参考人出頭の日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  次回は、明十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会