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1970-12-17 第64回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十七日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 田中 榮一君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 永田 亮一君 理事 山田 久就君    理事 戸叶 里子君 理事 大久保直彦君    理事 曽祢  益君       石井  一君    西銘 順治君       藤波 孝生君    村田敬次郎君       豊  永光君    堂森 芳夫君       松本 七郎君    山本 幸一君       西中  清君    松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省欧亜局長 有田 圭輔君         外務省条約局長 井川 克一君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         通商産業省繊維         雑貨局長    楠岡  豪君  委員外出席者         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月五日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     増田甲子七君 同月七日  辞任         補欠選任   増田甲子七君     村田敬次郎君 同月九日  辞任         補欠選任   石井  一君     鹿野 彦吉君   鯨岡 兵輔君     前田 正男君   藤波 孝生君     赤城 宗徳君 同日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     藤波 孝生君   鹿野 彦吉君     石井  一君   前田 正男君     鯨岡 兵輔君 同月十二日  辞任         補欠選任   松本 善明君     不破 哲三君 同月十六日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     松本 善明君 十二月七日  日米安全保障条約廃棄等に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第三号)  同(浦井洋紹介)(第四号)  同(小林政子紹介)(第五号)  同(田代文久紹介)(第六号)  同(谷口善太郎紹介)(第七号)  同(津川武一紹介)(第八号)  同(寺前巖紹介)(第九号)  同(土橋一吉紹介)(第一〇号)  同(林百郎君紹介)(第一一号)  同(東中光雄紹介)(第一二号)  同(不破哲三紹介)(第一三号)  同(松本善明紹介)(第一四号)  同(山原健二郎紹介)(第一五号)  同(米原昶紹介)(第一六号)  同外六件(川崎寛治紹介)(第一七号)  同(柳田秀一紹介)(第一八号)  同(青柳盛雄紹介)(第六九号)  同(浦井洋紹介)(第七〇号)  同(小林政子紹介)(第七一号)  同(田代文久紹介)(第七二号)  同(谷口善太郎紹介)(第七三号)  同(津川武一紹介)(第七四号)  同(寺前巖紹介)(第七五号)  同(土橋一吉紹介)(第七六号)  同(林百郎君紹介)(第七七号)  同(東中光雄紹介)(第七八号)  同(不破哲三紹介)(第七九号)  同(松本善明紹介)(第八〇号)  同(山原健二郎紹介)(第八一号)  同(米原昶紹介)(第八二号)  同外三件(川崎寛治紹介)(第八三号)  同外五件(中谷鉄也紹介)(第八四号)  同外三件(美濃政市紹介)(第八五号)  同外五件(山本弥之助紹介)(第八六号)  同(青柳盛雄紹介)(第一二六号)  同外十五件(上原康助紹介)(第一二七号)  同(浦井洋紹介)(第一二八号)  同外一件(川崎寛治紹介)(第一二九号)  同(小林政子紹介)(第一三〇号)  同(田代文久紹介)(第一三一号)  同(谷口善太郎紹介)(第一三二号)  同(津川武一紹介)(第一三三号)  同(寺前巖紹介)(第一三四号)  同(土橋一吉紹介)(第一三五号)  同(中谷鉄也紹介)(第一三六号)  同(林百郎君紹介)(第一三七号)  同(東中光雄紹介)(第一三八号)  同(不破哲三紹介)(第一三九号)  同(松本善明紹介)(第一四〇号)  同(山原健二郎紹介)(第一四一号)  同(米原昶紹介)(第一四二号)  同(青柳盛雄紹介)(第二一一号)  同外一件(上原康助紹介)(第二一二号)  同(浦井洋紹介)(第二一三号)  同(川崎寛治紹介)(第二一四号)  同(小林政子紹介)(第二一五号)  同(佐藤観樹紹介)(第二一六号)  同(田代文久紹介)(第二一七号)  同(谷口善太郎紹介)(第二一八号)  同(津川武一紹介)(第二一九号)  同(寺前巖紹介)(第二二〇号)  同(土橋一吉紹介)(第二二一号)  同(中谷鉄也紹介)(第二二二号)  同(林百郎君紹介)(第二二三号)  同(東中光雄紹介)(第二二四号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二二五号)  同(不破哲三紹介)(第二二六号)  同(堀昌雄紹介)(第二二七号)  同(松本善明紹介)(第二二八号)  同(美濃政市紹介)(第二二九号)  同(山原健二郎紹介)(第二三〇号)  同外一件(山本弥之助紹介)(第二三一号)  同(米原昶紹介)(第二三二号) 同月九日  日米安全保障条約廃棄等に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第二九五号)  同(浦井洋紹介)(第二九六号)  同(小林政子紹介)(第二九七号)  同(田代文久紹介)(第二九八号)  同(谷口善太郎紹介)(第二九九号)  同(津川武一紹介)(第三〇〇号)  同(寺前巖紹介)(第三〇一号)  同(土橋一吉紹介)(第三〇二号)  同(林百郎君紹介)(第三〇三号)  同(東中光雄紹介)(第三〇四号)  同(不破哲三紹介)(第三〇五号)  同(松本善明紹介)(第三〇六号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇七号)  同(米原昶紹介)(第三〇八号)  同(阪上安太郎紹介)(第三〇九号)  同(田代文久紹介)(第三七六号)  同(谷口善太郎紹介)(第三七七号)  同(青柳盛雄紹介)(第四四一号) 同月十二日  日米安全保障条約廃棄等に関する請願井岡大  治君紹介)(第五四九号)  同(三木喜夫紹介)(第五五〇号)  同外一件(岡田利春紹介)(第六六七号)  同(津川武一紹介)(第六六八号) 同月十四日  日米安全保障条約廃棄等に関する請願外一件  (岡田利春紹介)(第八八七号)  同(井野正揮君紹介)(第九二六号)  同(北山愛郎紹介)(第九二七号)  同(八百板正紹介)(第一〇〇六号) 同月十五日  日米安全保障条約廃棄等に関する請願楢崎弥  之助君紹介)(第一二三一号)  同(美濃政市紹介)(第一三二二号)  同(卜部政巳紹介)(第一五六六号)  同(高田富之紹介)(第一五六七号)  同(林百郎君紹介)(第一五六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月八日  国際連合平和維持機能強化に関する陳情書  (第五四号)  在日朝鮮人帰国事業再開に関する陳情書外二  件(第五五号) 同月十一日  日米安全保障条約廃棄等に関する陳情書外九  件(第  二六五号)  日米安全保障条約即時廃棄に関する陳情書外  三件  (第二九一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 田中榮一

    田中委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
  3. 戸叶里子

    ○戸叶委員 国会もあしたで臨時国会は終わるわけですけれども、国民の多くが聞きたがっておりました中国問題に対する政府態度が何かまだはっきりしておらない。中国との国交回復ということは、国民全体の望んでいるところでございますので、どの程度の決意をもって、どういう形でやっていくかということは国民の多くが知りたがっていたところだと思います。しかし、そのことが伺えなくて国会が済むということはまことに残念でありまして、きょうも私は中国問題に対して二、三点質問をさせていただきたい、こう考えるわけです。  第一にお伺いしたいことは、国連への中国の加盟という点から考えますと、いま大体二つに煮詰まっている。これは一つ中国論でいくかあるいはまた二つ中国論でいくか、アルバニア方式でいくかあるいはまた台湾中国というふうな形でいくか、この二つ以外にはないと思われますけれども、日本はそういうふうな二つの案をとらえてどういうふうにしていこうかという立場をとっておられると思いますが、ほかに何か案というようなものが考えられるのかどうか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまもおしかりを受けておるわけですけれども、中国政策全体について政府が何を考えているかわからない。これは、政府として中国問題についてどういう考え方でこれを表明するかということについては、残念ながらただいままだこれといってクリアカット政策を打ち出す時期ではなくて、政府としてもクリアカット意見を申し上げる段階ではないということはしばしば申し上げた次第でございますが、この臨時国会中にもこの問題については非常に活発な御質疑がございまして、またできる限りお答えもしてまいったつもりでございますが、考えなければならないいろいろの問題や要素がだんだん浮き彫りになってきて、これに対していろいろとまた国民的ないろいろな角度からの論議がこれからも活発なことだと思います。それらの中から、国益に最も応じ得るような見解というものを政府としても建設的に考えていきたい、かように存じておるわけでございます。  そこで、御質問の核心の点でございますが、それはそうとして、国連は毎年一回あることでありますし、来年の国連ではこの問題についてどういう態度をとるのか。これは、自主的な中国対策というものがまだ政府として申し上げる段階ではございませんものですから、自然、それと密接不可離関係にある国連での中国代表権問題に関して、どういう扱い方をするのか。アルバニア案重要事項決議案というものが現在までの取り上げ方だったが、その二つについて、どういう態度を表明するか、あるいはそれ以外に、どういう考え方方法論があるかというお尋ねだと思いますけれども、いま申しましたように、本質についての方針というものをまだきめていない場合に、方法論というわけではないかもしれませんけれども、国連における代表権の取り扱い方、これについて、どういうやり方をやったらいいかということについては、本論と相関連して検討を加えなければならない、かように存じております。観念論といたしましては、いろいろの方法論がやはり本質論と関連して考えられると思いますけれども、これらについて、こういうやり方がいいではないかということについてまだ申し上げる段階ではございません。
  5. 戸叶里子

    ○戸叶委員 二通りあるわけで、政府としてはどちらを選ぶかということになると思いますけれども、中国の事情を考えてみたときに、そう簡単にはいかれないというような問題もあろうかと思います。そこで中国国連への代表権の問題を決定する前に、当然日本政府としては北京政府に対するはっきりとした態度というものをお持ちになって国連に行かなければならないと思いますが、その点はどうでございましょうか。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはやはり日本として、主体的に中国に対してどう考えるかということを持ち、そしてこの国連における代表権問題の討議に対する態度というものがきまるのは自然であると思います。しかしそれで全部が片づくかどうかというようなことではない。相関連して考えていかなければならないとは思いますけれども、いま申し上げたような政府立場でございますから、仮定的に、こういう場合はこう、こういう場合はこうというところまではまだ申し上げることはできません。
  7. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまも大臣がちょっと触れられましたように、代表権の問題に対する態度をきめる前に、やはり日本としても北京に対する態度というものをはっきりさせていかなければならない、これは私はだれが考えても当然であろうと思います。そういうことから発展してまいりますと、いまたまたま香港のほうに外務省の主要な方々が行って、いろいろな情勢を探りながら、中国問題の解決をはかろうとされているということも報道されているわけでございますし、きょうの新聞等によりますと、アメリカのほうにも外務省相当首脳の人を派遣して中国問題について相互に話し合うんだというようなことも報道されていたわけでございますが、アメリカのほうに行く前にやはり日本政府としては日本考え方、自主的な考え方というものを持っておくべきではないか。ただ行くについては、アメリカさんどうお考えになりますかというふうな形でいらっしゃるのか、それとも日本としてはこういうふうに考えますというくらいの基本方針というものを持っていかれるのか。やはりこの点のことははっきりさせておかなければいけないと思いますが、大臣はどういうふうな態度アメリカ中国問題を話すために人をやろうとされるのか、この辺のことをお伺いしたいと思います。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず前段の香港での会議でございますけれども、これは随時こういう会議をやっておりますので、特に時節時節でございますだけに注目を浴びたと思いますけれども、これは毎年一、二回恒例のようにしてやっておることでもございます。これは相互情報交換を主としたやり方であります。やはりできるだけ政府としても的確に情報分析をし、あるいはそれに基づいた意見交換をするということでございますから、私としてもその会議の結果を十分一つの参考として検討いたしたいと思っております。  それから二番目のお尋ねでございますが、これは実は私としてはまだきめておりませんで、新聞の報道によりますと具体的に名前官名をあげて、こうこういう人たちが何月にアメリカに渡ってどうこうということが報道されておりますけれども、まだそういうことを具体的にきめておるわけではございません。ただ、これはアメリカに限らず、この節は各国ともずいぶん外交活動も活発でございまして、政策情報等担当者が随時協議し、話し合っていることは、ほかの国との間にも相当活発に行なわれております。もちろんアメリカとの間にも、従来ともに情報交換分析は相当活発に行なっておる。これは御案内のように他の国々との間にもこういうことはやっておりますから、自然その中で中国問題等についての話し合いといいますか、こういうふうに出ますけれども、そもそも日本としては、主体的に外交政策の指針というものはきめるべきものでありまして、最近の各国相互やり方も、いわば事務当局間の情勢分析とか意見交換とかいうことは活発にやる必要がございますけれども、政策決定はあくまで別個にやるべきものでございまして、かりにいま報道されているようなことが行なわれるんだといたしましても、中国問題について、あるいは国連における態度についてということを主題にして、そこで政府基本姿勢をきめるとかあるいは政府基本姿勢をまずきめて持っていってアメリカと折衝する、そういうような態様のものではございませんし、またさようであってはいけないのではないだろうかというのが私の基本的な考え方でございます。
  9. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、きょう報道されたアメリカ日本外務省から首脳の方を派遣するということは、まだ決定しておらない。しかしいずれの国ともそうした話し合いをすることは好ましいことであるから、そういうこともあり得るというふうなお話でございました。だといたしますならば、アメリカへもおそらくそのうちにはどなたかを派遣されると思いますし、政策についてもお話をなさると思う。その間で、いま外務大臣のおっしゃった中には、政策決定はやはり独自なものを出していくべきだというお話でございましたので、私もそのとおりだと思いますが、ことに中国問題というものは日本にとってアメリカよりもっと関係のある問題でございます。隣国です。しかもアジア一つの国でありますから、この問題については日本が独自の立場をとって、そしてアメリカ日本はこう思うというような話し合いを進めていくべきではないか。戦後二十五年もたって、もう外交の上に日本独自性を出してもいいときがきているのじゃないか。ことに中国問題に対してはそうではないかと私は考えるわけでございまして、まだきまっていないとしたならば、いずれはそういうこともあり得ると思いますが、そうしたアメリカへ人をやる前には必ず日本一つ政策をきめられて、その上でアメリカへ行くんだ——別情報交換だけに行くんじゃないと私は思いますけれども、一体どっちの線で行かれるのか、この点をはっきりさせておいていただきたいと思います。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そこが私も非常に重要なポイントだと思うのでありますけれども、たとえば中国政策をきめるためあるいは中国政策について具体的な相談をするためというようなかっこう会議ということは、私は全然考えておりません。先ほど来申しておりますように、事務当局情報交換あるいは相互見方というようなものを交換し合うということは、最近相当活発に行なわれておりますから、アメリカとの間にもそういうことはあり得るだろうと思います。しかしそれはあくまで政策決定には関係ないことでございます。たとえば、これはよく御承知と思いますけれども、今回ようやく外務省設置法が、本日参議院の本会議を通過すれば成立するわけですけれども、従来そういったような仕事は国際資料部、今度調査部という名前に変わり、また実態も明確にしてもらうつもりでございますけれども、そういうところが担当しておるものである。地域的なたとえばアジア政策については、外務省内部におきましてもこれはアジア局が主管して決定をするための政策決定の中枢の機関でございます。そういうところが直接に一つの問題についてどこの国とどこの国とというようなアプローチは私は考えておりません。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 情報交換ということも外交の上では必要だと思いますけれども、ただ問題は中国問題についてアメリカとの情報交換をしてもそれほど効果がないんじゃないかと私は思うのです。むしろそれよりも日本基本姿勢をはっきりと持って、そしてアメリカ日本はかくかく考えるというふうな態度のほうが必要なのであって、あなたのほうはどう考えますか、こっちは別に何も言えない、こういう情報交換中国問題に関してはすべきではない、こういうふうに私は思いますけれども、この点の考え方は間違っているでしょうか、この点を大臣にお伺いしたい。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 国会におきまして、もう率直に政府としてはこれだけの重大な問題であり、特に世界の中で中国については当然のことながら日本が最も至大な関係を持っている、そういう問題であるだけに練りに練って国内の世論にも十分伺って政策決定すべきものである。したがって、この前も率直に申しましたように、時間を切ってどうこうというふうには政府考えておりません。そのくらいでございますから、国会政府としてこうこうだということを申し上げられない、あるいは申し上げない前に、他国と政府はこうやるんだなどというようなアプローチのしかたというものは、まさに自主外交などとはとんでもない考え方でございますから、そういうことをやる気持ちは私としては持っておりません。
  13. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、やはり国会である程度政府の腹がきまって発表をされて、そしてこういうふうな態度でいくということがわかってからアメリカのほうとの意見交換をする、こういうふうに了解してもよろしゅうございますね。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 同時に、たとえば国連における代表権扱い方などについては、従来の国連の運営も、よく御承知のとおり、どういう形の決議案をどういうふうなところが出すであろうか、また一つ一つの国が基本的にどういうふうな考え方を持っているからこういうふうな決議案を新しく作成してみようとか、そういう場合にはどこの国がどういう反響を示すであろうかというようなことはずいぶんぎりぎりの段階でもいろいろの動きがあるのではなかろうかと思いますから、そういう場合には基本線考え、そして国連におけるそういう場合のいろいろの活動等については、国連戦術とでも申しますか、そういうことも考え合わしていかなければならない。したがって、AからZまで全部を前もって御了解をいただいて、そしてそれ以外のことについては全然政府を縛るというようなかっこうでいかれるのもまた困ると思いますけれども、基本的な考え方ということについてはもちろんただいまおっしゃったような方向でいくべきものである、それが筋だと考えております。
  15. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは次に伺いたいことは、一昨日の衆議院予算委員会総理大臣が、北京政府との間には法的には戦争状態があるかもしれないがという発言をされて、これを外務大臣が打ち消されて、そしてきのうからは参議院予算委員会で、北京政府との間には法的にも戦争状態にはないというふうにはっきりおっしゃっておられるわけです。この答弁の推移を私はずうっと見ておりましたときに、政府自身もこの問題ではやはりすっきりと言い切れないものがあるように感じたわけですが、国民もそれを心から信じられないものがたくさんにあるわけです。それは、北京政府日華条約の継承をするということはだれも考えられないと思うのです。そこで旧政権条約というものを新政権が承継するのが普通であるという一般の伝統的な国際法の慣例というものはありますけれども、この場合にはそういうことは言えないんじゃないか。というのは、一九四九年に北京政府が独立をしていて、そしてそのときの会議で、いわゆる国民政党、つまり台湾政党がきめた条約については、自分たちのほうで十分検討して、そして廃棄するかとるか、これは自分たちがきめるんだというふうな発表をして、そして五二年に日華条約ができているわけですから、したがってその間にズレがあると思います。必ずしも日華条約北京政府が承継しているんだというような見方には無理があるんじゃないかと私は思いますけれども、この点は政府としては、やはりこれを承継しているんだというふうにお考えになるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は何度も申し上げておりますのでお聞き苦しいかと思いますが、政府考え方は、総理も私も意見が全然違っているわけでも何でもないのでございまして、この外務委員会でも私申し上げているとおり、日華平和条約というものの成立したとき並びに条約論といたしましては、第一条にありますように、中華民国という国と日本国という国との間の戦争状態は終結したというのがこの条約であり、その条約によって中華民国という国と日本国との関係戦争状態が終結したものであるというのが政府見解で従来からあるわけでございます。同時に、中華人民共和国としては、そもそも日華平和条約は認めていないという立場もありまするし、また戦争状態の問題については、法的には日本国中国本土との間には戦争状態が続いている、こういう見解を強くとっておられるという事実も日本政府は認識いたしております。これが政府見解でございます。  それから条約論のこまかいことは一応抜きまして実際問題今度はそういうことと離れまして、私どもは中国本土との間にも戦争状態が続いているものとは思いません。それだからこそ従来におきましても平和的に貿易も行なわれている、人の往来も相当行なわれている。たとえばこれも私よく申しますことですけれども、アメリカよりはよっぽど日中の関係は現実には進んでいると私は思うのです。アメリカはほかに方法がないんだからでございましょう。米中大使会議ということに非常に熱を入れて百数十回もやっているけれども、そこからは新聞記者の交換も学者の交換もいわんや貿易というようなことも、何ら具体的な結論も実効もあらわれておりません。こういう状況から見ましても、これは常識論に今度はなるかと思いますが、私ども日本国民は——私はそう思いますし皆さまもそうお思いになっていると思いますが、戦争の状態がまだ継続しているのだ。戦争状態が継続していることになれば、いつでもまた交戦をするということに常識的にはなるわけなんでしょうけれども、そんなことは毛頭考えておりませんということも、事実認識として私としては強調したいところである。これが戦争状態問題についての法的並びに相手側の非常に強い意向も承知をいたしております。事実関係において戦争状態とは思いません、これが政府見解でございます。
  17. 戸叶里子

    ○戸叶委員 相手があることですから、相手を無視して、日本政府がかってな解釈をしても、外交関係というものはうまくいくものではないということは、私が申し上げるまでもないと思います。そこで、相手の考え方というものがどこにあるかということもおっしゃったわけですから、そういうことから見れば、日華条約が法律的にも北京政府のほうにまで及んでいるというような、戦争が終わったというような、そういう見方というものは、相手の立場から考えるなら、とうてい出てこない。日本政府は、いままでお述べになったような歴史的な事実から、そういうふうに考えるのだけれどもという、そこに非常に大きな矛盾をしたものがあると私は考えます。そういうことを今後どういうふうに解決していくかということが、やはり中国問題をどう解決していくかというキーポイントになるのだろうと思います。時間がないですから、私はいまあえてここでその問題をもっと追及しようとは思いません。  そこで、この問題に関連してお伺いしたいことは、この日華条約によりまして、台湾政府というのは、台湾及び澎湖島に限る限定政権である、こういうふうな言い方をしている方もあるし、また、そうでもないという言い方をしている方もある。この限定政権であるという見方をしている人に対して、政府はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはやはり条約的に見ました場合と、常識といいますか、事実関係と、両方の角度から見ていかなければならない問題である、かように存じます。  条約論として見ましても、たびたび申し上げておりますように、国と国との関係を律するものと、それから、たとえば人の往来とか通商関係とか、あるいはそのほかいろいろございますが、そういう関係とは、条約のワクの中でも、区別して考えなければいけないというのが、条約論の通説ではないかと私は思いますが、そういう考え方から、日華平和条約につきましても、交換公文といいますか、書簡の交換があって、適用地域のところにも触れておるのはそのためであると思います。したがって、人事の交流の問題とか通商関係とかいうことについては、実際適用すべくもないわけでございますから、この点は書簡の交換等によって解釈が明瞭になっておる、私はかように存じておる次第でございます。  それから、実際の常識的な事実問題として、中国本土には現に国民政府の施政権が及んでいない、これまた事実上の問題としては、これはだれしも認めているところであり、政府としても、これは事実として認めておるということも、しばしば申し上げておるとおりでございます。
  19. 戸叶里子

    ○戸叶委員 交換公文ではっきりしていることは「中華民国に関しては、中華民国政府の支配下に現にあり、又は今後入るすべての領域に適用がある」というふうなことばが書いてあるわけですね。そうすると、一体そういうことが今後も考えられますか。現にあり、今後入るであろうと思われる地域、こういうふうなこと、この交換公文は現段階においても、そのままそっくり生きていくでしょうか。たとえば、政府の答弁を聞いておりますと、北京政府台湾政府話し合いで、武力不行使でうまくいってくれるなら、お互いに一つ中国と言っているのだから、たいへん望ましいことだ。こういう立場から見ても、武力不行使で平和的に解決して、そして台湾政府に「今後入るすべての領域」ということが言えるでしょうか。この辺が、どうも私は読んでみてふしぎに思うのですが、この交換公文というものは今後において生きないのじゃないか。こういうものは何とか話し合いをして、そして解決するなり何なりでいかなきゃならない問題じゃないか。一体こういうことが現に行なわれるのかどうかということを疑問に思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 このいま申しましたような点から申せば、これはもう事実関係を律していくよりほかにない事柄であると思います。ですから、現に支配しているというところは——政策論は別といたしまして、現に支配している地域にこれが適用されているということは、事実問題としてそのとおりなんだと思います。問題は、これから支配下に入るべきというのは、私は、観念的な条約構成上の問題であり、あるいは、条約締結の相手方の立場というものの尊重であったと、その当時は考えられますけれども、これから施政区域が広がることを期待しているのかという御趣旨の御質問に対しては、これはやはり本論に戻って、そもそも国境紛争から始まった現状のような状態でございますから、筋論からいえば、両方の間で内輪の問題として平和的にお話し合いをつけてください。その結果、こういう点が基本的に解明されることが望ましい、こういう立場で、その結論といいますか、そういう状況ができれば、これを認めて、その上に立っていろいろの調整をやらなければならないということになるんだろうと思いますけれども、いまのところは、それ以上のことは申し上げる段階ではないと思います。
  21. 戸叶里子

    ○戸叶委員 大臣のおっしゃろうとすることはわからないでもないのですけれども、やはり当時の立場を尊重してこういうものがあったとすれば、いま情勢は変わっているから、日本政府としても、こういうふうな交換公文というものは現実においては役に立たないのですから、こういうところからまず、台湾といろいろお話しし合っていくということが必要じゃないでしょうか。お互い北京台湾との国が武力不行使で融合していくんだ、しかも、政府はまだ、大臣北京に行こうともなさらない。だとするならば、台湾との交流はあるんですから、台湾に対して、今日の国際情勢を説得していくというような、そういう態度が私は政府として必要じゃないかと思いますけれども、この中国問題に対しては、台湾とそういう説得の態度というものをおやりになる御意思はないかどうか、この点も伺いたいと思います。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはやはり基本問題に関連いたしますから、それに対してクリアカットにお答えはできませんけれども、戸叶さんのおっしゃることも御意見として十分承っておきたいと思います。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私、もう少し伺おうと思ったけれども、時間が過ぎたという札がきたんでやめざるを得ませんけれども、ニクソン大統領がこの間記者会見のときに、中国を承認すべきであるというようなことに近い発言をされているわけで、アメリカでさえもそういうふうになってきているときに、日本政府がどうも割り切れない形でいるということは、私たち国民にとっても、ほんとうに悲しむべきことだと思うのです。ですから、あんまりかたくなにならないで、やはりいま申し上げたようなことから手始めに、台湾を説得をしていくということぐらいの努力、積極外交というものをやっていただきたい、このことを私は要望いたしまして、大臣のその御決意のほどをちょっと伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まあ私も、中国問題に何とか取り組んで、御期待に沿うようなことをやりたいという意欲を持っておりますだけに、現在のところは、国内はもちろんのこと、国際的ないろいろの世論というようなことにも十分聞き、そうして十分周到に練り上げてやらなければならない、それほど複雑でむずかしい問題であるというふうに考えておるのが、現在の心境でございます。
  25. 戸叶里子

    ○戸叶委員 国会が終わりますので、この間の委員会で、質問しっぱなしでそのまま条約局長考えておいてくださいと申し上げたのですが、この間、承継国家方式というものを、そんなこまかいことは私はわかりませんといって私突っぱねられちゃったものですから、少し不満に思っているのですが、そういうこまかいことでも勉強していらっしゃってくださったかどうか、少しそれで説明していただきたいと思います。
  26. 井川克一

    ○井川政府委員 先日、たいへん私不勉強で、存じませんで申しわけございませんでした。決してこまかいことであるからというわけではございませんで、私が不勉強で存じ上げなかったわけでございます。その後十日間、一生懸命勉強さしていただきましたけれども、このいわゆる継承国家論と申しますか、承継国家論と申しますか、いずれにいたしましても、この議論はいわゆる日の目を見たものではございませんし、また舞台の上に登場した議論でもございませんので、何ら確実な資料がございません。そこで、新聞などを調べてみますと、一九六〇年から六一年ころ、新聞報道によりますと、アメリカにおいて、国連における中国の議席について考えられたのではないかという説だそうでございます。その説の内容はこの中国というものが、二つ政府がございますけれども、中華民国政府といわゆる中華人民共和国政府一つ中国の当然の承継者としてそのまま国連に入れる、その場合に、いわゆる加盟の手続を経ないでいいのだという説と申しますか、考え方だそうでございます。このことは、いわゆる承継国家論というほどのいわゆる国際法的なものでは全くないと思います。単に国連における議席をどうするかというような問題にすぎないのではないかと思います。いわゆる国際法に確実な基礎を置いたものということはできないと思います。いわゆる承継国家に似たような先例といたしましてはインド−パキスタンとUAR——シリアの問題がございます。御存じのとおり、一九四七年八月十四日にパキスタンがインドから分離いたしまして独立した際に、パキスタンを新加盟国とみなす必要があるかないかという議論が行なわれました。アルゼンチンなどは、そうでなくて、単に信任状提出によって、手続問題としてパキスタンは議席を獲得し得るという考えをとったようでございまするけれども、結局パキスタンは、いわゆる法律的問題から離れまして、新規加盟の手続をとる用意があるということを明らかにいたしまして、新規加盟で入ったわけでございます。ところがUARとシリアは、御存じのとおり、エジプトとシリアが五八年二月にアラブ連合を結成いたしまして、二つございました議席が一つになりました。ところが六一年の九月にシリアが離れまして、このときシリアはいわゆる国連加盟の新しい手続をとることなくして、そのまままた復帰が認められたわけでございます。こういうふうな先例が二つあるわけでございまするけれども、いずれにいたしましても十年前あたりに考えられた国連の、国連社会の中における一つのこういう国々の議席の取り扱いであるという考えで、一番冒頭に申し上げましたとおりに、日の目を見たものでもございませんし、舞台の上に登場した議論でもないと思います。
  27. 戸叶里子

    ○戸叶委員 よく説明をしていただきまして、十日間もどうもすみませんでした。それはそれといたしまして、ただ一九六一年にアメリカ国連でこの問題を取り上げたわけですよね。ところがあちこちからいろいろ言われまして、そのまま立ち消えたということを私は聞いているわけなのですけれども、そこでいまのような論からいきますと、もしも今後承継国家論なんということを言い出しますと——それを言わないかもしれませんけれども、台湾国連に加盟していると、いまの論からいえば、北京政府もそういうことは現実の問題として認めませんからあり得ませんけれども、北京政府も手続的に入れるのだ、こういうことになるわけなのですね、承継国家論から、アメリカがもしもそれを言い出したとするならば。そういうことですね。
  28. 井川克一

    ○井川政府委員 私が調べましたそのときのいわゆる承継国家方式ではそのようなことを考えていたと思います。
  29. 田中榮一

    田中委員長 石井一君。
  30. 石井一

    石井(一)委員 お許しをいただきまして、きょうは北方領土の問題、なお時間が許されましたら安全操業の問題についても触れてみたいと思うわけでございます。  そこで、沖繩以降の最大の外交課題というのは北方領土の返還といわれておりますし、総理御自身も国連でかたい決意の表明もなされたわけでございますが、あまり時間はたっておりませんが、その既定方針に従って、その後何らかの強力なアプローチをソ連側に外務省としてはなされたか、あるいはまた非公式か何かの形でソ連側から何らかの反応が外務省のほうに届いておるか、その後の経過について一言お話しをいただきたいと思います。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政府態度には全くごうまつも変更はございません。国民的な願望にこたえ、何とかして北方領土返還の問題にケリをつけるという、同時にそれによって日ソ間の平和条約を締結をして、あらゆる意味において日ソ間の関係を改善いたしたい、この政府考え方にごうまつも変更はございません。これに対してソ連側の反応といたしましては、この問題についてやはりソ連側としても従来の言い方を繰り返しておるのが現状でございます。ことに最近は、正確な件数などここに資料を持ってきておりませんけれども、十一月が最近では最盛期ではなかったかと思いますけれども、ソ連のプラウダとかイズベスチヤでありますとか、こういう報道の上に非常に執拗に何回も何回も繰り返し繰り返し、二日に一ぺんぐらいの度合いといっても常識的によろしいかと思いますが、日本においては一部復讐主義者があって、それらがこの北方領土問題に対する主張を大いに展開している、で、それに政府が乗っかって、政府の高官等が公開の演説会などで北方領土問題を展開しているのは、日ソ両方が現状において親善関係にあるその関係をむしろこわすものであるというような主張が繰り返し紙面に出ております。  私は先般、ごく最近でございますけれども、たとえばトロヤノフスキー大使がしばらく本国に帰っておりまして、帰りましてすぐ参りましたときにも、やはりその記事の繰り返しというわけではございませんが、御承知のソ連の政府の口上書というのがございましたが、この趣旨を繰り返してソ連の態度を申しておりましたから、こちらはそれに反駁いたしまして、日本としてはソ連との間の関係においては、たとえば独ソ間の国境問題などと全く違った性格のもので、われわれとしてはあなた方のお国とますます親善友好関係を展開したい、平和条約を結びたい、そうしてあなたのほうにはこれはさしたる問題ではないはずだということを繰り返し繰り返し強調して、いわば平行線のような状態である。それから、たまたまでございますけれども、最近いろいろの機会にソ連の最高首脳のような人と会う機会がございましたけれども、基本的にソ連の態度というものには変化が見受けられない。これはなかなか忍耐強くかつ力強く全国民的な基盤において気長にこの交渉というか、問題の解決に当たっていかなければならないという印象を得ているわけでございます。
  32. 石井一

    石井(一)委員 私は本年になりましてから過去二回、北方領土の問題を取り上げさしていただいたわけでございますが、外務大臣おそらく御記憶と思いますが、その要旨は、もしこの北方領土を無防備中立のような状態に置いた場合に、非常にかたい冷え切ったソ連の態度というものに対して何らかのくさびを打ち込めるのではないか、そういう積極的なアプローチというものが考えられないだろうかということを訴えたわけでございますが、最近非常に興味ある記事を私拝見いたしましたので、この記事に関して、もし新聞報道が正しいとすれば、これは私はやはりソ連の一つ態度の変化というものを証左しておるのではないかと思うのでございます。これは十二月七日の「北海タイムス」でございますけれども、外務省はその北方領土の四つの島の無防備宣言を国際的に表明することによって、ソ連側との交渉妥結の糸口をつかむことを検討しておる、それからさらに「ソ連政府筋は最近「百年間の租借という形であれば、ソ連側は四島を日本に貸す考えもある」」ということを非公式に日本側に打診してきておる、こういうふうな報道がなされておるわけでございますが、まずこの事実関係について御見解を承りたいと思います。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申し上げたところにつけ加えることはございませんけれども、ソ連の論調あるいはソ連側から出たと思しき記事をいま御言及になりましたけれども、これは何と申したらよろしいでしょうか、私もその記事を読みましたし、それからそういうことがうわさとして伝わっているやに見受けられますけれども、政府としては、これは国有の領土であるという主張であり、これは全国民がさように理解されておるわけですから、かりにソ連筋が伝えられるようなことを考えているとしても、これは私は問題にならないのじゃないかと思います。  それから、その次に二つの問題を御提起になったわけですが、無防備というような点ですが、この点については、私が直接この衝に当たりましてからは、そういう話は出してもおりませんし、出てもおりません。これはあくまで固有の領土であるということを認めてからの——考えられるとしても、それからの話であるかと私は思っておりますからですが、しかし、ずっと前の時期において、日本としてはもちろん国後、択捉を軍事要塞化するなんという気持ちはさらさらないんだというようなことは日本側の気持ちであるということは向こうにも伝わっていると私は感じております。  それから、百年間の租借云々というようなことは、これは何にも政府筋としては承知しておりません。しかし、かりにそういうアプローチがありましても、これは固有の領土の主張とは全く食い違うものでございますから、これに対してただいま直ちにコメントせいということであれば、これには耳をかすことはできないと申し上げざるを得ないと思います。  それからもう一つ、念のために申し上げたいと思いますのは、ソ連の新聞論調その他の中に出てまいりますのは、日本は歯舞、色丹はもちろんのこと、国後、択捉の返還を要求しているんだけれども、かりにこれが日本の思うつぼになれば、さらに進んで、極端にいえばそれ以外の北方地域にも及ぶであろうというようなことを言っている向きもございますから、この点は、政府といたしましては国後、択捉が固有の領土であるという主張であって、そうしてこれがまとまれば平和条約の締結に即時応ずる用意がある、これが政府基本姿勢である、こういうことを繰り返し申しておるような次第でございます。
  34. 石井一

    石井(一)委員 大体政府の御見解、理解いたしましたけれども、いまの問題で一、二点だけもう一度確認をしておきたいと思いますのは、まず第一点は、それではそういうふうな非公式のアプローチがソ連側からなされたのかどうかという点。ただうわさということで新聞が取り上げ、政府も想像をしておられるのか、それとも、もう少し具体的なそういう問題があったのかという点。それから第二点は、ただいまのお話で、北方領土は固有の領土であるから租借には応じられないという政府の御見解のようでございますけれども、それだと前へ話は進まぬわけでありますが、私が以前から主張いたしております無防備中立という案を検討せよというふうな形でアプローチがなされた場合には、政府は当然前向きに考えるのかどうか、ここまでお答えいただけるかどうかわかりませんが、この二点についてもう一度確認をさせていただきたいと思います。
  35. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一段でございますが、無防備宣言の問題並びに百年間の租借云々といったようなこういう情報については、ソ連から政府筋間におきましては何も言ってきておりません。これが事実でございます。  それから、先ほど申し上げましたように、私どもとしては国後、択捉の返還を要求しているのは固有の領土であるからであって、これを軍事力増強のために用いるなどということは毛頭考えておりません。この点は必要があれば対ソ関係において強調することにやぶさかではございません。
  36. 石井一

    石井(一)委員 私はこの夏にソ連を訪問したわけでございますけれども、一言にしての印象は、非常に北方領土はむずかしいということを痛感すると同時に、ああいうソ連というふうな国は非常に口がかたい、なかなか自由な表現といいますか見解というものが得られないというふうな感じを私受けたわけでございます。そういう中にあって、非公式にしてもこういう話がどこからか聞こえてきたというのは、やはり一つのソ連政府の微妙なる態度の変化であるというふうに考えてもいいのじゃなかろうか。また、政府としても、いま問題が硬化して解決が非常にむずかしい問題になっておるだけに、こういう糸口をうまくつかんでもう少し事態を前へ進展さすという努力があってもいいのじゃなかろうか。その結果がうまくいかない場合もあると思いますけれども、私はそういう意味で外務大臣に本席をかりて、どうかひとつそういう点積極的に、国民の願望であるこの問題について、こういう機会に、そういううわさのような話でも真剣に取り組んで、真偽のほどを明らかにして、何らかの解決の余地の糸口がつかめないかという御努力をいただきたいということをお願い申し上げる次第であります。  そこで、時間がありませんので次に移りますが、先ほど外務大臣もちょっとお触れになりました、八月に独ソ条約が結ばれて調印されて、十一月に西ドイツはポーランドとの条約でオーデル、ナイセ地区のポーランド編入というものを事実上認めたということが起こっておるわけでございますが、外務大臣はやはり国際緊張緩和という意味では非常に歓迎だというふうな談話をどこかで発表されておったようでありますけれども、このヨーロッパでの領土問題に関する動きに関して政府は何らかの影響をお受けになったのか、御見解がありましたら承りたいと思います。
  37. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず最初のお尋ねですが、ここで私も申し上げておきたいと思いますのは、日ソ関係は領土問題以外におきましては私は決して悪くないと考えております。たとえば、具体的に申しますと、ウランゲル港の建設についての話し合いが、先方の非常な要請があり、またこちらも十分事務的にも関係方面におきましても検討いたしまして、その結果話し合いがまとまりまして、これなども最近の日ソ関係としては双方の喜ぶべき事柄ではないかと思うのです。それから、これも先方の都合で非常に延び延びになっておりますが、いま非常に急いでおりますのは安全操業の問題でございます。これも基本的には向こうは話し合いに乗るという態度はずっと続けておりますので、そう遠からざる機会に話し合いは行なわれる見込みでございます。こういったようなわけでございますから、領土問題にはゆるがざる主張を堅持し、かつ、いかなる機会にもこの主張を繰り返しながら、やはり日ソ関係の融和ということについてはこの上とも具体的に積み上げてまいりたい。これも本日成立するであろうと思いますけれども、外務省設置法ができ上がりますれば、レニングラードと大阪の総領事館が新たに開設をする。これも日ソ間の一つのよいあらわれであると思いますし、そういう方面の努力を今後とも続けてまいりたいと思います。  それから、根拠がどこから出たかわからぬが、よかりそうな話が出ればそれにも耳をかして、何か手がかりにしたらどうかというようなお話でございました。これも十分そういう点の成り行き、背景等がどういうことであるのかわかりません。第一その情報の根拠がまだ雲をつかむようなことでございますけれども、十分留意しておきたいと思います。  ドイツとポーランドとの関係が国際的な緊張緩和という環境の中ででき上がりましたことは、私は歓迎すべきことだと思います。ただ、政府として非常に念を置いてはっきりさせておきたいと思いますことは、オーデル・ナイセの問題とそれから北方島嶼の問題とは、その沿革からいい、最近の歴史的な移り変わりあるいは世界政治の上のいろいろの要素、いろいろの点から考えて全く性質の異なった問題ですから、あれだけの国境問題が解決したんだから、あるいは凍結されたんだから、それでは——ソ連が、本来日本の領土であるところへ戦争が終結して、日本がポツダム宣言を受諾したあとに実力で占有したこの国後、択捉島との関係とは全く性質の異なる問題である。オーデル・ナイセがきまったから北方領土はあきらめろ、あきらめなければならないというような感じ方がかりそめにも出てくることは最も留意していかなければならない点であると思います。  そういうふうなこともございますから、たとえば国連における記念総会での総理の演説でも分裂国家等に言及し、かつ、平和的な話し合いというような考え方を出しましたが、これと特に北方領土について言及をしておきましたのは、やはりそういう考え方をあらわしているものだ、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  38. 石井一

    石井(一)委員 時間がやってまいりましたので、最後に、この前の委員会で、たぶんこれは戸叶委員の、なぜ国連でこの問題を取り上げたかというふうな問題に対して、愛知外務大臣が、最近におきましては、国際的にも相当の関心を呼んでおるように北方領土の問題でわれわれも観察しておる。私は、政府はそういう見解をとっておられませんが、この北方領土がソ連側に編入されたのはヤルタ協定が現実には一つのきめ手であったという考え方をいたしておりまして、われわれはそれに参加しておりませんから拘束はされないということはよくわかっておりますが、それにしましても、アメリカやイギリスの立場というものをも北方領土返還に対してはわれわれは十分活用していかなければいかぬという考え方を持っておるわけでございまして、外務大臣が国際的に関心が高まっておるということを具体的に御指摘になっておりますので、どうか日本とソ連との友好関係を推進するということのみにとどまらずに、いわゆるヤルタ協定の当事者である中国問題でもアメリカとの話し合いが非常に必要であるという先ほどのお話でございましたけれども、私は北方領土問題に関してもアメリカ、イギリスとの話し合いも必要であろうと思いますし、それは法理論的には必要ないかもしれませんけれども、現実の問題としては必要だと思いますし、それから、場合によっては共同の会議の提唱というようなものも、私は、非常に必要だと思うわけでございます。そういうことについても北方領土に関係して何かお考えになっておるか。この点一言御所見を伺いたいと思います。
  39. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、国際的にも相当関心が出てきていると思いますけれども、やはり事柄は性質上は二国間の話し合いでそういう環境の中で進めていくべきものである、かように存じておりますので、いま直ちに国際的な会議等については考えておりません。
  40. 石井一

    石井(一)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わらしていただきますが、私はきょうは、バイラテラルなベースで両国の友好状態を推進していただくと同時に、うわさ程度の問題でも微妙にソ連の態度の変わりが見えるというふうな状態に対しては、積極的に取り組んでいただきたいということ、さらに、マルチラテラルなベースでこの問題を解決するということが、結局国民の悲願を解決する問題である。私はそういうふうに確信をいたしておりますので、これらの諸点について、御要望もかねまして質問を終わりたいと思います。
  41. 田中榮一

    田中委員長 堂森芳夫君。
  42. 堂森芳夫

    堂森委員 限られた時間でありますので、私は、日米繊維交渉に限って、質問を許された時間やりたいと思うのであります。  外務大臣承知のように、この日米繊維交渉が始まったのはすでに昨年の五月であることは御承知のとおりであります。すなわちスタンズ商務長官一行が来まして、わが国に対して繊維自主規制について二国間の交渉をと、こういうことでありました。もっとも正式に具体的にアメリカ側から交渉のあったのは昨年の十月、アメリカ政府から吉野公使に申し出があった、こういう経過でございまして、ことしの六月に一たん決裂しまして、そうしてまた今日の新聞の報道で伝えられておるような状態になっておるのであります。この長い経過をとっておる日米繊維交渉が、一体どういうわけでこういう経過をとってきておるのでありましょうか。まずこの点について私は外務大臣からあらためまして承っておきたい、こう思うのであります。
  43. 愛知揆一

    愛知国務大臣 日米繊維交渉はお話しのように昨年の五月、スタンズ長官が来日したときから具体的に問題になって、今日ただいまに至りますまでまだ解決いたしておりません。御指摘のとおりでございますが、一口に申しますれば、ちょうどスタンズ長官が来たときに際会しますが、衆議院の本会議でも米国の繊維品輸入制限に関する決議というのが決議されております。政府といたしましても、当時も御趣旨ごもっともでございますから、この御決議を尊重して対米交渉を善処いたしますという趣旨のお答えをいたしておりますが、今日に至りますまでその姿勢に変わりはございません。要するに政府といたしましては、この国会の御決議の趣旨に沿うて、アメリカと何べんにもわたって話し合いをかなりこまかいところまでやっておりますけれども、アメリカ側の主張といいますか、希望するところと折れ合いがつかない。したがって、話し合いがまだまとまっていない、これが現状でございます。またそれだけに双方の見解がずいぶん隔たっておる。ときにはだいぶ接近したようにも思いますけれども、なかなかまだ妥結するに至らないというのが現在の状況でございます。
  44. 堂森芳夫

    堂森委員 もう臨時国会は明日終わります。それから通常国会が二十六日でありますか、再開されるのでありますが、もちろん閉会中といえどもわれわれは委員会を開いて政府に向かっていろいろ質問を展開したり、意見を言ったりする当然の権利があるわけでありますが、一応明日で国会は終わるわけであります。昨日も全国の繊維に関係した業者が集まって、政府の対米交渉に臨む態度にどうしても納得ができない、こういうような態度で大会を開いておるのでありまして、全国の業者あるいは国民も非常な関心を持っておるところであります。たとえば私のような県の出身の者にとりましては——私の県は御承知のように繊維産業というのは県の最大の産業であります。閉会で帰れば、何かといろいろな機会に報告もしなければならぬわけであります。そうすると、政府はいろいろと新聞には書いておりますが、できるならば年内にも解決したいのだ、どうしてもしたいのだ、何とかしてしたいのだ、こういう態度を続けておられるというふうに理解していいのでありましょうか。この点も承っておきたいと思います。
  45. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは交渉ごとで、しかも去る十月に交渉の再開ということに合意いたしましたから、誠意を尽くして交渉に当たって、できるならば妥結をしたいという気持ちを持っております。しかし同時に、これはもうよく御承知のところでございますから、あえて繰り返すまでもないのでありますが、そもそもがこの国会の御決議の中にもその趣旨が十分ございますような基本的なものの考え方をはっきりさせたい、それから方法論としては、これはあくまで自主規制という方法論でなければならぬわけでございますから、自主規制をやるものはだれか、これは政府ではございませんから、関係の業界の納得と協力を得なければならない。そこにやはりぎりぎりの線があるわけだと思いますので、私どもとしてはその間に立ちまして、日本側の納得のいくような線でまとめたい。米側に対しましてその理解を求めることにただいまも連日奔走しているようなわけでございます。そしてガット精神とか、自由貿易というものを大事にすることとか、方法論としては自主規制であるとか、これはそもそも初めからの問題でございますから、一つの問題の解決の基本となるものの考え方、フィロソフィということも言えるかと思いますが、それを解明しながら、方法論としてはこちら側がやる自主的規制が関係者の納得の上にやらなければならない性格の問題であることを、いやが上にも米側の協力を求めて、そしてこれならばというところが出ましたならば、妥結をするのが望ましい、かように思っておるわけでございます。
  46. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣の御答弁ですが、そんなことは初めからわかっていることじゃございませんでしょうか。たとえば私はあなたのお部屋でことしの四月ごろもお目にかかったことがあります。そのときから、業界の了解を得なければできないことだ、あるいはガットの場でこれは解決すべき問題であるとかいろいろなことを言っておられますが、最近もきわめて最近の政府の出先機関である駐米大使から意見の具申が来た、こう新聞は言っているわけです。今日になると、妥結するためにはどうしても、ことばは違うかもしれません、全面的にアメリカの条件をのむ以外にはとうてい妥結に向かうことはできないのではないか。たとえばこの数日前の予算委員会でも、あるいはきのうの商工委員会でも、予算委員会総理大臣あるいは商工委員会で通産大臣は個別規制——アメリカが言っておるような個別規制はしないのだ、応じないのだ、こうも言っております。そうして業界の了解を得ないでは絶対妥結はしないのだあるいは最終的な妥結については日本の業界の了承を得てからほんとうの妥結の調印といいますか、そういう状態に持っていくのが望ましいのだという答弁を大臣はしておるのであります。しかしそんなことを出先の大使は、今日となってはもう絶対に向こう側の要望をのんでいく、全面降伏ということばが当たるかどうか、とにかく全面的に向こう側の強い主張というものをのんでいく以外には、それはもう妥結する道がないのではないか、こういう意味の意見を具申してきておる。そうして政府ははたと困って、しばらく待とう、こういうような状態になってきておるといっていいのでありましょう。あなたは外交交渉の過程だから詳細には言えない、こういう御答弁なのかもしれませんが、どのような意見の具申を牛場大使は政府に送ってきたのでありますか。発表できる範囲で御答弁を願いたい、こう思います。
  47. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まずこれだけ何回も長くやっておりますから、私としては言い過ぎかもしれませんけれども、報道されているところでは、日本側が譲歩、譲歩たびごとに譲歩というふうに書かれておりますことは非常に残念でございまして、アメリカ新聞では、日本が強くてそうしてアメリカのほうがこうやってどんどん妥協しているではないか、譲歩しているではないか、——なるほど先方からいえば、先方は先方の立場でずいぶん譲歩をしていると言うかもしれません。そういうところも相当見受けられます。そうして先ほどもちょっと申しましたように、だいぶ向こうも、こちらのものの考え方方法論等にもなるほどという点がだいぶ出てきた。それがただいま牛場・フラニガンの間で交渉しているわけですけれども、そういうことも認めてまいっているところもございますが、しかし交渉ごとですから、こちらとしてもまとめたいけれども、何でも言うことを聞いて妥協するならいつでもできることでございますから、そこをねばりにねばっていることは、双方ともねばりにねばっているというところが現状でございます。しかし問題点としては、意見の対立しているところがだいぶ接近してまいりましたようにも見受けられますので、牛場大使としては、交渉に当たっている当事者として、この辺で何とかまとめる方向に向かったほうが、大所高所からいいのではないか、そういう趣旨の意見を言ってきておりますけれども、しかし、これは交渉者は本国の訓令によって動くべきものでございますから、現在それに対して、まだ政府として意思表示をいたしておりません。そういう段階でございます。
  48. 堂森芳夫

    堂森委員 大臣のせっかくの答弁ですが、抽象的なあなたの御答弁ですけれども、もっと具体的に言いますと、どんな点をアメリカ側は譲歩してきたのでしょう。あるいは日本側の主張を認めてきたのでしょう。たとえば、もちろん向こうは二十品目であったのを十九品目におりるとか、あるいは十七ワクでありますか、これを六ワクに日本の主張を認めてもいい、そうは言っておりますけれども、実際は個別の一品目ずつの厳重な規制をやることはおりていないのですよ。あなた、そんなことをごまかしてもだめです。ごまかしていないとあなたはおっしゃるかもしれぬけれども、何も向こうはおりてきていないですよ。私はそう思います。どんな点が日本に近づいたのでしょうか。最初はことしの春ごろは、一年間の暫定的な措置である、こう言っておった。このごろはそんなことは言わぬじゃないですか。このごろは、もうすでに期間は二年九カ月ですが、向こうは二年八カ月、一カ月だけはおりてきたということは言えるかもしれません。しかしながら、もうわが国の政府は、私の聞いておる範囲では、もう期間の歯どめはいい、これは綿製品の国際協定と同じになってもいいんだ。従来は、たとえば十月三十日にアメリカからお帰りになった佐藤さんは、業界の代表を官邸に呼んで、絶対に綿製品協定のような長期間になるようなものにはしないとか、見切り発車はしないとか、でたらめな約束ばかりしておる。業界はますますおこって、こういうことが起こってきている。私は、外務大臣のせっかくの答弁ですが、アメリカは何も日本の実質的な主張に近づいてきているとは思いません。かえってわが国のほうの態度が、期間の歯どめはもうどうでもいいというような態度でいる、こういわれておるのです。あるいは、牛場大使はこう言っているじゃありませんか。アメリカ政府は、日本政府はすでに個別規制に同意をしておるという約束をしているじゃないか、こう言ってきておるんだ、こう牛場大使は政府に言ってきているのですよ。政府は一体だれがそんな約束をしたのか。佐藤さんがされたのか、あるいは愛知さんがされたのか、あるいは通産大臣がされたのか、それはわかりませんが、日本政府はすでに個別規制についてはもう同意をしているんだ、こういうことを牛場大使が政府に向かって言ってきておる、こう新聞は報道しておりますよ。どんな点をアメリカ側は日本の主張に対しておりてきたのでありますか。この点についてひとつ私は教えてもらいたいと思います。
  49. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、そしていまよく御承知ですから、こまかい点をくだくだと申し上げませんけれども、先ほど私が申しましたように、そもそものフィロソフィーの問題それからやり方の問題、そこで対立したところが納得ができなければということで、こうやって長丁場をがんばり通しているわけでございますから、したがって、これからまたどういうふうに交渉の内容が展開するかわかりませんが、その点はわれわれとしてははっきり事態を認識しておるつもりでございます。したがって、私は、さっき率直に申しましたが、この一年半、あるいは去る六月私もお手伝いに参りましたが、うまくまいりませんでしたが、いろいろ過去の長い経過から見て、たとえば期間のことにも御言及になりましたが、最初は向こうは五年でございますから、そういう点から見れば、ずいぶん譲ったと向こうは言っておるわけでございます。それから品目の数などにいたしましても、初めは毛化合繊について、カバレージですね。われわれはずいぶんと大きく希望しておった。それが品目にも関係いたしますし、それから被害の問題にも関係いたしますから、これも二十前後というところまでは、これは経過から申しますと、ずいぶんおりてきたし、カバレージもずいぶんその当時から見ればおりてきておるということはたとえば言えるわけだと思います。それからたとえば六ワクというようなことも、これはフィロソフィーに関連したところですけれども、こちらの考え方に相当に歩み寄ってきた考え方ではないかと私は思います。ただ実施の方向においてそういうところが実施面においてくずれるようであっては、これはこちらの主張とたいへん食い違いがございますから、そういう点を十分煮詰めていかなければならないということで、依然として話し合いのみすえがどうなるかということについては、ちょっといままだどうとも言われないような状況でございます。
  50. 堂森芳夫

    堂森委員 どうも答弁を聞いておると、私は頭が悪いせいかわからぬのですが、一体この交渉は妥結する見込みは十分お持ちでやっておられるのでしょうか。あるいはもう決裂してもやむを得ないのだ。こちらの原則は、ぎりぎりの原則だけは最後まで守っていって、決裂してもやむを得ないのだ、こういう態度でございますか。総理及び通産大臣等のおりに触れていろいろ答弁しておられることを聞いておりますと、そのようにもとれるのだし、また総理は十月二十四日にニクソン大統領と会って、合意をするという目途で両国は努力をしよう、こういう話し合いができた、これは私はあってもいいと思うのです。しかし、それはわが国としてはあくまでも条件でありますね。そこで、一体この交渉の経過は今後どうなるのでありましょうか。必ずまとまるのでしょうか。あるいはこちらは原則をあくまで守っていく。たとえば、佐藤さんが業界の代表に十月三十日約束されたように、業界の納得なしには絶対に妥結することはしない、あるいは綿製品協定のような長期間のものにはしないとか、あるいは個別規制——こちらは総ワク規制といいますか、そういう態度でありますが、向こうはあくまで一品目ごとの強い規制でやっていこうという基本的態度は変わっていないのでありますから、そうすると、そういうものを主張していくとすれば決裂せざるを得ない。業界はきのうも大会があって、通産大臣に会ったところ、これは新聞の報道でありますが、通産大臣は、利害得失を考えて業界は観念的な主張ばかりでもいかぬのじゃないかと思う、こう言ったところ、業界は、いや、もう今日ではわれわれは損得じゃないのだ、意地づくだ、やってみるならやってみろ、こういう態度に出てきておると、これは新聞に書かれております。そういうことだとすると、業界も非常に強硬な態度だろうと思う。そうしますと、一体この交渉はどういうめどがついているのでありましょうか。ちゃんと、一国の外務大臣でありますから、一つの見通しというものを持って外交を展開されておるとわれわれは信じざるを得ないのでありますから、これからの見通しをもう一ぺん御答弁をお願いしたい、こう思います。
  51. 愛知揆一

    愛知国務大臣 交渉事でございますから、始めました上は結論をつくりたい、これが一つの、ことに私の立場としてはそうでございます。しかし、私も何でもかんでもまとめればいいということは考えておらないことは、これまでの状況で御理解をいただきたいし、御協力をいただいたのでこういう状況である。つまり冒頭に申し上げましたように、私は、国会の御決議の線に沿うた妥結でなければいけない、これを念頭に置いて、そしてばりばりやっていきたい、こういうふうな心境でございます。
  52. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、外務大臣は国務大臣ですから、内閣としては、国会の決議の線——これは結局、少なくとも業界の最後の主張の線ですね、そういうものを守りつつ交渉していって、それは決裂する場合もあり得るかもしらぬ、外務大臣としてはそういうことをおっしゃりたくないでありましょうけれども、そういうふうな場合もあり得るというふうな考え方である、こういうふうに理解してもいい、こう思うのでありますが、これは答弁は要りません。  そこで、繊維局長来ておられますね。きのう、おとといあたりの新聞では、妥結のしかたによっていろいろな影響が出てくるであろう、それについては、金はいつでも出せるようにしておけばそれでいいではないか、そのとおりかどうか知りませんが、そういうことを通産大臣は言っておる、こういうふうに新聞にも報道されております。しかし、私はこれを読んで、まあ通産大臣はそんな気持ちじゃないんでしょうけれども、一方ではアメリカの主張にできるだけ譲って妥結しておいて、業者は札束さえ差しつければうんと言うだろう、何か例によって、従来からよくいわれるところの、最後は札束で横つらを張ればいいというふうな、これは下品な表現かもしれませんけれども、そういうふうに私はとったのでありますけれども、そんな簡単にはいかぬと思うのですが、今度の日米交渉の妥結というものは、こういう交渉が去年から始まって以来、繊維業界——繊維業界といっても、関連した中小企業、零細企業もうんと多いわけでありますから、たいへんな影響がすでに出てきておるのでありますが、この妥結ができた場合に、これはちょっと乱暴な質問かもしれませんが、一体どれくらいの損害、被害というものが出てくるものであるか、そういう想定といいますか、あまりよくない想定でありますが、そういうことをしておられるのでありますかどうか、そういうことはしていない、やってみなければわからぬということでありますか、その点承っておきたいと思います。
  53. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 被害の問題でございますが、大臣も、被害を生じたときは政府はこれに対して救済措置はとらなければならないけれども、しかし、救済するから何でも言うことを聞けというわけではないという御答弁を予算委員会でしておられますが、私ども、救済しさえすればいいじゃないかという態度はとっておりません。したがいまして、ただいま先生おっしゃいましたようなことは、私どもから業界に言っております事実はございません。  損害額でございますが、これは交渉の仕上がりによりましていろいろ違ってまいりまして、ただいまこれだという数字をはじいていないのでございます。アメリカが規制要求しておりますものの六九年の金額を推算してみますと、大体二億四千六百万ドル程度でございます。これが七〇年にかりに二億七千万ドルになったといたしまして、もし一割減るというようなことがありますれば、計算上約百億の損失、七〇年の実績に比べて輸出が百億減るというような数字にはなりますが、それでは具体的に、どこの産業がどれだけ損失があるだろうかという点につきましては、私ども今後の問題として考えたいと思います。
  54. 堂森芳夫

    堂森委員 時間も参りましたから質問を終わらなければなりませんが、繊維産業というのは、局長承知のように、関連産業、しかも中小企業、零細企業のたいへん多いものでありまして、その影響がもうすでに出ておるのでありますから、これをやったらこれぐらい、さっきのような、そんな小さなものじゃないと私は思うのです。それは、あなたはたいへん内輪に見積もっておるような、きわめて希望的なというか、ある意味ではごまかしじゃないかと思うような数字だと思うのでありますが、その点はきょうは時間もありませんから終わりたいと思います。  最後に、愛知外務大臣に、私は重ねて、たびたびこの委員会質問をいたしてまいりましたので、もう一度要望のような発言をしておきたいと思うのであります。  これは日米間の今度にとってたいへん大きな問題であります。単なる繊維産業だけの問題ではない、他産業にもまた今後大きな影響を及ぼすような日米間の経済問題に発展していく、こういうような性格をはらんでおる問題とも言えるのであります。しかも、業界は強硬な態度でおる、そういうことであります。また国会でも昨年決議が行なわれておる、こういうことであります。あくまでも従来からの態度をもって堂々とこの問題について取り組んでいかれますように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  55. 田中榮一

  56. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 国民各位からは、今臨時国会が公害、日中、繊維の問題を多く取り扱うということで期待をされておったわけでございますが、公害以外の日中、繊維につきましては前進のあとといいますか、発展の状態にありませんで、私、その問題を担当する外務委員の一員といたしまして、非常に遺憾に思っている次第でございます。きょうは、おそらくこれが大臣にお伺いする最後のチャンスであるかと思いますので、いささかこまかい点にまで及ぶかと思いますが、日中の問題についてお伺いをしたいと思います。と同時に、今臨時国会、今時点における政府の御見解並びに日中問題の争点というものをまとめて確認をさせていただきたい、このように考えております。  その前に、先ほど戸叶委員からも御質問がございましたけれども、例の香港の会合でございますが、定例のことであって目新しいことではないということでございますが、大臣の御発言にもありましたように、時期が時期だけに脚光を浴びている。私も、現在わが国が置かれた微妙な立場等を考えまして、何かそこに建設的な意見交換なり具体案の取り上げがあったのではないか、こういうように期待しておったわけでありますけれども、明日でございますか、そちらへ行かれた方がお帰りになる予定でございますが、様子はいかがなんでございましょうか。もしお差しつかえなければ伺っておきたいと思います。
  57. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、この種の会議は随時やっておりますので、外務省といたしまして特に今回を選んでやったわけではございません。  それから、いろいろの情報交換をやってきたはずでございますから、明日じゅうには東京から参加した者が帰ってまいりますから、私もとくとその報告を聞いて参考にしたいと思っております。途中の状況は、もう帰ってくる関係もございましょう、電信等では詳細な報告がございませんし、また先ほど申しましたような性格の会議でございますから、途中で電信で報告を要するというようなことではございませんので、帰りまして、いずれとっくりと報告を聞きたいと思っております。
  58. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 今国会におきます日中問題の論議並びに政府見解は、私は、要約しまして四点にまとめられるのではないかと思っております。  一つは、法的に中国との戦争状態は終結している。二番目としましては、日華条約は蒋政府の支配下以外には適用されないが、ここのところが微妙なんですけれども、法的には大陸に及んでおる。三番目は、重要事項を再検討する。四番目は、中華人民共和国の国連復帰につきましては、日本は国際信義という立場から非常に微妙な立場に置かれておる。大体四点このように認識をいたしておりますが、それでよろしゅうございますか。
  59. 愛知揆一

    愛知国務大臣 問題としては、こういう問題が論議せられたということは、私も御同様に認識いたしておりますが、内容的には、率直に申しまして、私といいますか、政府考え方の御理解がちょっと違う点もあるのではないかと思われます。  第一の法的な戦争状態の終結という問題については、先ほども詳しく申し上げましたように、そしてこれは第二点と関連するわけでございますけれども、およそこの種の条約では、条約のきめる対象が大きく分けて二つあると私は思う。一つは国と国との関係を律する、あたかもこれは国の国連における代表権の問題とやや似た性格の国と国との関係の問題だと政府は理解をいたしておるわけでございますから、そういう点からいって、国と国との間の関係戦争状態は終結した、こういう立場政府はとっているわけでございます。同時に、その条約の上におきましても、交換公文でも明らかでございますように、人と人との関係とか、通商の関係、そのほか万般のいろいろの事象があると思いますけれども、こういうことは現実に適用の地域の問題を離れては考えられない問題でございます。そういう点については、法的には現在の日華平和条約というものは、現に支配している地域に現実には及ぶしかない、観念的には、今後入るというところがあればそれも入りましょう。しかし法律的、条約的に申しましても、人の往来とか通商関係については、現に支配権が及んでいるところに適用されるというのがこの条約の性格でございます。  それから、なお今度は政策論といいますか、それにさらに時間的な要素を入れて考えますと、今後はどうかということに関連して、中華人民共和国政府は、法的に日本との戦争状態は終結していないという非常に強い立場をとっておるという事実も、この第一項についてはわれわれは認識をいたしております。これが政府見解でございます。  そしてもう一つは、先ほど申しましたように、常識的に申しても、私どもは中国本土戦争状態に現にあるのだ、それじゃ何どきでも戦争、また何か戦闘行動でも起こる可能性があるというふうなことは、全然私ども考えておらない、こういうことを申しておるわけでございます。  これが第一項と第二項のお尋ねの点についての政府見解でございます。  それから第三点は、国連代表権の問題をどう扱うかということについては、先般の総会でのいろいろの経過もあり、従来のようなアルバニア決議案、重要事項指定方式というようなことにだけ固執して考えていっていいかどうかということは今後の日本政府中国政策というものが実質的にだんだん煮詰まって固まっていけばそこから割り出される、むしろ方法論でございますから、そういう意味を全体を含めて扱っていかなければならないという趣旨を申し上げたわけでございます。いままでのような形で扱われるならば、これはやはり国連憲章上の重要事項であることは私は間違いないと思います。政府見解といたしましては。   〔委員長退席、永田委員長代理着席〕 ただ、もし今後の問題として中国対策というもののまとまり方等においては、こういうものをも含めていろいろと新しい考え方が国際的にも出てくるかもしれない。これは今後の可能性の問題でございます。そういう場合には、日本としてもいろいろまた考えていかなければならないこともあり得るでございましょう、こういうふうに申し上げたのでございます。  それから第四番目の中国国連加盟については政府は反対である、こういうふうに御理解なすったようでございますけれども、これらの点につきましては今後十分に考えるべき問題でございまして、いいとか悪いとか、あるいはそれに対してこうやればいいとかいうことを政府見解として申し上げたわけではございません。中国問題全体をわれわれとしては考えていかなければならない、こういうふうに申し上げたにとどまっておりまして、これについては何ら言及はしておりません。
  60. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 ただいまの御答弁の冒頭にございました日華条約は国と国との問題であるという大臣のお考え方には、私は全く賛成なんですけれども、過日の予算委員会におきまして総理から、日本が交戦したのは蒋介石政権であるから、その蒋介石政権と平和条約を結ぶのは当然であるというような御意見を伺って実は驚いたわけなんですが、国と国との問題であるならば、蒋政権が退場した後の新しい政権とその間に戦争状態の処理、また条約等がかわされることは当然のことだと思っております。  大臣も御承知だと思いますが、一九四九年十月、中華人民共和国新政府樹立の二日前にその協商会議において新政府の聖定憲法とされます共同綱領が採択されている。その中に北京政府の、蒋介石政権が締結しました条約の処理の方針が明らかにされております。これは五十五条でございますが、その五十五条の内容を見ますと、国民政府が外国政府と締結した各種の条約及び協定に対しては、中華人民共和国政府は、これを審査し、その内容により、それぞれ承認、廃棄、修正あるいは再締結を行なわねばならない、このようにうたっておるわけでございます。これによりますと、蒋政権が締結をしました条約はすべて無効ではない。むしろ審査した結果、内容によって妥当なものは効力を継承するのがある。また修正をしてそれを継承することができるということをはっきり打ち出しているわけでございますが、これは国際法的にも当然な見解であり認めらるべきものだ、私はこういう認識を持っておりますが、いかがですか。
  61. 井川克一

    ○井川政府委員 私が申し上げますことは、いつもきわめて純法律的、抽象的でございまして、先ほど戸叶先生のおことばにもありましたけれども、いわゆる伝統的国際法立場に立ちますならば、一国の政府が締結いたしました条約は、その政府がかわったときには、他の政府はこれを承継するというのが伝統的国際法に基づきました理論でございます。
  62. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 その問題をやっておりますと時間がなくなりますので飛ばしますけれども、御承知のように、日華条約そのものは、新政権が樹立した三年後にかわされておる。ここに大きな問題があると思うのですけれども、私が思いますのに、この日華条約北京政府に承継されるというような期待は、大臣は持っておられるのかどうか。この点はいかがですか。
  63. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は、しばしば申し上げるのでございますけれども、私は、その中国政策全体の練りあげというものができませんうちにとやかく申すべきものではないので、現状までにおけるところのこの条約に対する政府見解を申し上げておるわけでございます。
  64. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 大臣がしばしばおっしゃっておられますように、そうであるならば、この日華平和条約は法的に大陸まで及ぶという考え方は、これは間違いである、私はこういうふうに認識しておりますけれども、それは私の間違いでしょうか。
  65. 愛知揆一

    愛知国務大臣 間違いであるとか間違いでないとかではなくて、政府見解をるるいつも申し上げておるわけでございますが、同時にその見解に対して、中華人民共和国政府は逆に、法的には戦争状態日本との間にはまだ続いているのだ、こういう立場を強くとっておるという、この事実は私はよく認識いたしております。
  66. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 北京政府が、そういう法的戦争状態が続行しておるという認識を大臣はお持ちである、にもかかわらず日本政府としては、一方的に法的戦争状態は終結をしているんだという見解を持っておられるわけでありますが、将来日中の国交回復、正常化等が論議になった際に、こういう論議の食い違いというのはどういうことになるのでしょうか。
  67. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は中国政策全体の態度がきまりませんうちは、何とも申し上げられません。
  68. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 それではちょっと別の問題に移りますが、過日参議院外務委員会におきまして、本席におきましても曽祢委員からの確認がございましたが、台湾の日華経済協力委員会においても現状程度で深入りしないで歯どめをする必要があるのではないかという参議院における質問に対して、外務大臣は検討するという答弁をなさっておられたわけでございます。現在日中関係の改善、こういった国民世論の盛り上がり、またいろいろな問題を積み上げていく意味において、私は、検討するということがきわめて妥当である、このように思っておるわけでございますけれども、具体的に用意があるとするならば、貿易制限というようなことをお考えになっておられるのか、その辺はいかがでございましょうか。
  69. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政府といたしましては、政府自身中国政策全体に対して非常に慎重な、真剣な態度を持し、かつ、かりそめにもまだ政府がこういう考え方を持っているらしいと想像されるような言動は慎んでいるつもりでございます。したがいまして、やはりこういう重大な問題でございますから、国民的に問題点を、皆さんがその重要性のあることをいろいろな角度から御認識いただいて、そして真剣に、慎重に対処していただくという意味も含めて、各種の委員会等のあり方等についても慎重にやっていただきたい、こういう意味を含めた私の発言でございます。
  70. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 そのあとで総理予算委員会で、台湾政府からの借款の要請については応ずる用意があるという答弁をなさっておるわけでございますけれども、先進工業国として開発途上国に経済援助をすることは当然であり、台湾政府への借款は前向きで交渉する、こういう御答弁であったわけです。これは理屈としては確かにこのとおりであるわけでございますけれども、現在日中間の正常化云々という問題が盛り上がっておりますときに、こういった何かそれに水をさすような発言をするということはきわめて問題ではないか、このように思うわけでございます。最近、台湾への資本投資、貿易高は明らかに増加の傾向にあるわけなんですが、こういった現象がリアクションとして周四原則等にも見られるのではないか、こういう見方もあるわけなんですね。少なくとも現状以上に経済的に深入りを差し控えることが将来の日本の国益に合致する行き方ではないか、このように考えるわけでございますが、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  71. 愛知揆一

    愛知国務大臣 考え方としては、この前の予算委員会総理が申し上げたような、あるいは正確に申し上げますと大蔵大臣だったと思いますが、そういうかまえでよろしいと思います。具体的には台湾関係では二億五千万ドルの借款の要請が出ていることは事実なんですけれども、その具体的な内容についてはまだ政府としては承知しておりません。  この扱い方といたしましては、一般の経済協力に対する私どもとしての基本的なフィロソフィーとしては、プロジェクトベースで検討すべきものである、つかみで何億ドルというようなやり方はやるべきでない、そうして与えるほうの対象の国においては、平和的な国民生活の改善、福利の増進といったようなことを目的にするところのプロジェクトに対して、こちらが十分検討をして納得のいくものに対して協力をする、これが経済協力のフィロソフィーでありますから、このフィロソフィーに照らして、千四百万人の台湾というところに住んでいる人たち国民経済の安定とか、あるいは福利の増進ということにかなうようなものならばよろしいということで、やってまいりたいと思っております。
  72. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 時間がありませんので、最後に覚書貿易と輸銀のことについてお伺いしておきたいと思います。  来年から中国の第四次五カ年計画が開始されることになっておりますが、この計画を前に、西欧諸国、イギリス、イタリア、西ドイツ等が明年早々視察団を中国に送って中国の需要に応ずるというような動きが現在見られております。しかし一方、そうした西欧諸国の中国貿易の拡大という意図とはうらはらに、わが国の覚書協定は年内で時間切れになるわけでございまして、来年の交渉にもかなり難航が予想されておるわけでございますけれども、これは常識的に考えまして、西欧諸国の製品が生産設備、機械、トラックとかいろいろな輸送機具、そういったものが一たん輸出されて中国に固定しますと、その後日本製品がそれにとってかわるということは現実的にはきわめて困難であろうと思っております。こうした中国の第四次五カ年計画といったものに相合わせまして、覚書貿易が非常に難航するのではないか、こういう予想下にある現在、総理のおっしゃっている国益を守るという立場からこれを見ますと、日本は国益ということについてはきわめて逆行する状態にあるのではないか。まあ七〇年代の問題とはいえ、一たん生産設備等、大型のプラントが中国に固定しますと、日本としては後手も後手、身動きならなくなってしまう、こういうことも思うわけでございます。この国益を守るという総理の御見解に現在の日本はきわめて逆行しているのではないかという点についての、外務大臣見解をお伺いしておきたいと思います。
  73. 愛知揆一

    愛知国務大臣 覚書貿易につきましては、直接政府関係ではございませんけれども、政府といたしましても覚書貿易というのは大事な一つの路線である、そういうような点からこれが現状よりも拡大するように、なかなか前途困難を予想されるでございましょうけれども、関係の方々の御努力に期待をいたしておるような次第でございます。
  74. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 西欧諸国のそういった攻勢に対処しまして、わが国としてここで何らかの手を打つようなお考えはございませんでしょうか。
  75. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は、私は、覚書貿易にいたしましてもそのほかの友好貿易にしましても、他国と比べものにならないような、これは主として貿易の量ではございますけれども、十分に日本とも関係が定着しているように思われますし、また問題の提起のしかたによっては、他国に対しても同様でございますが、この面であまり国益、国益といいますことは、ともすれば海外に対する疑惑を受ける、経済力による進出というふうにとられないように配慮することも逆に私は必要じゃないか、こういうふうに思いますので、この面においてもあまり国益、国益ということは政府立場からは考えておりません。
  76. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 この友好貿易、覚書貿易が国益の範疇に入らないという意味ではないと思うのですけれども、日中貿易がこのままでいいとは大臣もお考えになっていらっしゃらないと思いますが、現在非常な大きなネックになっているのは、御承知のように輸銀使用の問題であると思います。これに関しまして、吉田書簡がいままでの政府見解では、一私簡である、また一私簡であるので、それを破棄するとか有効であるとかいうべき性格のものでないというふうにいままで見解を述べられてきておるわけでありますが、現在友好貿易等の商社にとりましては吉田書簡ほどの障害はない、こういう意見が現在強く出ておる現状でございます。吉田書簡ほどの障害はないと言われているこの書簡、またプラント輸出に際しましても輸銀使用を現実には認めていない、こういった現実の問題等を考えまして、吉田書簡に対するいままでの一私簡であるという態度をずっと続けていかれるのか、それともこの際吉田書簡に対する正式見解を公にする必要があるのではないかと思いますが、この点はいかがでしょう。
  77. 愛知揆一

    愛知国務大臣 吉田書簡につきましては、もう従来からの政府態度で十分私は内外の方がおわかりいただいているものと思います。あらためてこれに対して政府が統一見解を出すなどということは全然考えておりません。
  78. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 それでは、輸銀使用の問題についてはいままでケース・バイ・ケースという御答弁であったと思っておりますが、どれがだめでどれが認められているかという具体的なお答えをいただけますでしょうか。
  79. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ここしばらくの間具体的な問題が実はないように私承知いたしております。これは前国会でございましたか、予算委員会でもかなりこまかく、輸銀の最高幹部も参考人として予算委員会でお呼びになって、ケース・バイ・ケースという意味は、輸銀の業務方法書ですかによるところの審査によって具体的な問題を審査するのでございます、こういう答弁を、輸銀の当局者からも政府閣僚全部列席のところでいたしておるようなわけでございますから、まさしくケース・バイ・ケースに純経済的に取り扱うべき問題である、そういう意味におきまして、従来からそういうあれでございます。したがって、私は正確には存じませんけれども、私のいままで承知しておりますところでは、具体的な案件が出て、何は断わり、何は融資したかという事例は私承知いたしておりませんが、おそらくここしばらくの間は何らそういう案件が、つまり輸銀の業務方法書に規定されるところによって申請が出て審査したという事実がないんじゃないかと思いますが、この点はなお精査いたしまして、しかるべきときにお答えをいたします。
  80. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 以上で質問を終わらしていただきますけれども、いずれにしましても、日中問題がこれだけ大きく国民の話題の焦点になりながら、前進が具体的には見られなかったということについては、私自身きわめて遺憾に思っているわけでございますが、どうか国民世論を反映して、日中国交正常化に対する動きに前向きな姿勢をとられますことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  81. 永田亮一

    ○永田委員長代理 曽祢益君。
  82. 曾禰益

    ○曽祢委員 きょうは実は日米繊維交渉についてお伺いするつもりでしたけれども、先ほど戸叶、大久保両委員が触れられた日中問題についても、ごく重要な二、三のポイントだけを外務大臣から伺いたいと思います。  私は、この十一月十七日、十二月四日の本委員会における質問で申し上げましたように、政府政策転換は必至である、必要である。ただその間この国会を通じて政府の今後の施策の大綱というものが出ていないことは非常に残念である。残念であるけれども、ただまだ検討中というだけなら私はまだいいと思いますけれども、本国会中における特に総理大臣質疑応答の、応答の態度といいますかにおいて、どうもたよりないという感じがしてならぬ。したがって、ほんとうならば本委員会総理大臣に出ていただいて、みずから本委員会の権威において伺いたかったのですが、それができないのが非常に残念だと思います。そこで、やはり外交問題でありまするから、むろん総理大臣の統括下ではありまするけれども、責任者は外務大臣であられるわけなんで、総理の補佐という意味からいっても、きょうは総理にかわって外務大臣を責めるんではありませんが、外務大臣からお答えを願いたい。  私が心もとないというのは、たとえば本委員会でも現在問題になりました日本と大陸との間の戦争状態があるのかないのか、その法的解釈についてです。これは従来の保守党政府は、一貫して、国民政府との条約戦争状態は全中国において終了したという見解をとっておる。そのいい悪いは、政策論は別です。それが、この重要な中国問題を論議するこの国会において、少なくとも総理大臣参議院における、予算委員会における答弁で、第一回では、その法的は少し怪しい、だから事実上は戦争じゃないが、国交は回復してないけれども、戦争状態ではないじゃないかという答弁、これは重大な一つの方向転換かと思う。翌日はまたそれを否定して、そして従来の解釈のとおり、法的にもやはり全中国に対して戦争状態は終わったという解釈に戻った。   〔永田委員長代理退席、委員長着席〕 そういう重大なことが一日くらいでぐらぐらっとするんでは、国民としてはまことに心もとないんじゃないか、こういう感じがする。  第二の点は、今国会の約一月前、たったわずか一月前、一月二十一日の国連二十五周年記念総会において、わが総理大臣はわざわざ出かけていって、そして演説しておられる。その中で中国問題もやはり分裂国家の問題であるということを明確に言っておられる。私も事実そうだと思います。国々によってそれぞれ分裂国家のやり方がいろいろあると思いますけれども、一民族国家に二つ政府が争っているという点をもし分裂国家というならば分裂国家に違いない。分裂国家の場合には絶対に戦争で解決するな、武力行使は避けなければならぬ、これも総理大臣の言うとおりであります。そうして、さらに進んで総理大臣は、「恒久的な平和のために最も必要なことは相互理解による解決であります。相対立している当事者が、それぞれの住民の意思を尊重して話し合うことが問題解決の基本であります。」私は原則として正しいと思う。しかし、この問題がもし中国問題にこのまま適用されるとすると、私は相当そこに重要な問題がある、これは民族自決権をどっちに対しても、すなわち小さいほうに対しても認めるべきだということを含意しているんだと思うのですね。そういう重大な政策発表なりが国連の総会において行なわれ、次に大切な国民に告げるときになると——その間にいわゆるアルバニア決議案がとにかく多数で可決するという重大な事態の変更が国連総会において起こったことは事実であると思う。それにしても今国会における総理大臣態度中国問題に対してどうかというと、完全にこれは逃げの姿勢ですね。いわく国際主義は守る、国益は尊重する、第三には国際緊張緩和にプラスする、私がこの間も言ったあたりまえのことを言っている。いま考えているということはわかる。少なくともここまで国連総会で大きな政策宣明みたいなことを言っている総理大臣が、そのことについて一言も触れていないということ自身が、国民に対してどうも情ないのではないか。その内容のいい、悪いは別として、私は中国問題に対する総理大臣の姿勢においてまことに心もとない感じがしてならない。そういうことから新聞は、先ほど戸叶委員が指摘されたように、そう言っては悪いけれども、どんなに高級であっても一外務官僚がアメリカに事務的な検討の問題に行くんだろうと思う。それが何か日米間に今後少なくとも国連総会における中国政策に関して何か打診的な、あるいは予備会談的な意味を持つんじゃないかというふうにマスコミが追っかけるのが無理ないくらい、この今国会における総理大臣中国問題に対する姿勢は、国民に対して重大な信頼感を持ちながら、国民はそれに時間等をかして必ずしも性急な解決を求めていないと思うけれども、少なくとも自信に満ちた建設的な歩みをしていないのじゃないかという感じを持たせていると思うのです。したがって、私は戦争状態の問題についてはもう御答弁を求めません、それはもうわかっているのですから。ただ、こういったような、ぐらぐらしないように、ひとつ外務大臣もしっかりやってもらいたいということと、少なくともこの分裂国家と住民の意思を尊重するという点についての国連総会における総理大臣の発言は、中国問題を含めて一つのプリンシプルとしてそういう方向を考えておられるのかどうか、この点についてだけ御返答を求めます。
  83. 愛知揆一

    愛知国務大臣 国連における総理の演説は、ただいま御指摘をいただいたとおりでございまして、これには政府としての基本的な分裂国家に対する考え方が出ている次第であります。そして国会における演説につきましても、この国連総会の演説をクォートしているわけでありますけれども、全文をクォートしていないために、この点は消えたのかというような意味のおことばもございましたが、そうではございません。それから政府全体としての立場におきましても、この国連演説に示された基本というものが政府の根本的の立場である、かように御理解をいただきたいと思います。  今度の国会における説明ぶり等については、時間の関係やいろいろ御質問に対するお答えという形でありますから、あまり歯切れがよくなかった点も私も認めざるを得ないと思いますけれども、基本的にはこの国連演説に示されたとおりでございます。要するに、一口に分裂国家といっても、歴史的背景や対立する二つ政府が現在の国際社会の中で占める地位などそれぞれに異なっており、事情は複雑でありますけれども、平和維持が何よりも大切であることを考えればこの問題は避けて通ることのできない国際的な問題であり、そして国際社会全体としてもこの点について大きな関心と責任をもって当たりたいという趣旨であると思います。ことにいまお示しがありましたように、武力を行使するということは絶対に避けなければならない。それぞれの立場を譲り得ないものであるとしても、目的達成のために武力を用いることだけは絶対に排除するということを強調いたしておるわけでございまして、私どもは、一つ中国ということの主張は両方とも非常に強く譲り得ない問題として主張をしておられることはよく知っておる。しかも一方がある国と国交を持てば他のほうは国交断絶するというような立場を堅持しておられることは知ってはおるけれども、しかし基本的には中国の場合もやはりいま引用いたしました総理演説の気持ちでもって、話し合いで解決すべき問題であるし、またそういうことができるような環境、国際的な情勢をかもし出すことにもみんなで協力していこうということが、その気持ちとしてこの国連演説に私はにじみ出ているはずであると思いますから、やはりこの基本的な気持ちでもって、今後いろいろ考えてまいります場合の一番の基本である、したがって、その方法論とかというようなことは観念的にはその次にくる問題ではないだろうかというのが、一貫した政府立場でございます。
  84. 曾禰益

    ○曽祢委員 あまり歯切れがよくないのですけれども、しかし総理のこの国連演説の趣旨が日中問題についての政府考えの基本にあるという意味において、その点はそういう御答弁と了解しておきます。  次に移ります。日米繊維交渉についても同僚委員からお話があったのですけれども、これもなかなか微妙な段階へ来ておりまするが、少なくとも私が心配するところからいいますと、やはり実際的に国会の決議、すなわち第一原則は被害のないところに規制なし、第二原則は、これは自主規制だからいわゆる業者、業界に押しつけるものではない、第三は、やはりガットの精神を守って二国間だけの協定で日本が縛られるということではいけない。こういう趣旨がどうも最近の詰めの段階になってみるとあぶなくなる。いろいろたとえばこまかい点については向こうが譲った点もございましょう。あるいは基準年度がいつになるかとか、あるいは来年の伸び率がどうか、ここら辺のことはそれこそまさに互譲といいますか、細目の問題、だがいまの三つの原則から一番重大な問題は、少なくとも包括規制はいかぬ。それもまあ十九品目か二十品目に品目は一応押えた。がしかし日本側の非常な重要な主張は、やはりそれはグループといいますか、カテゴリー別の程度で分けるのであって、そのカテゴリーの中では相当な融通性を認めるというところにこそ日本側の主張がやっと生きるのではないか。ところがその点も、どうもわれわれが新聞等に出ている情報を信頼するならば——もしそうでなければそうではないとおっしゃっていただきたいのですけれども、残念ながらアメリカは六つのグループまでは認めているけれども、実質的にはほとんどシフトを認めないような、いわゆる品目は限定するけれども個別規制だという点でアメリカのあれがあるいは通るのではないか。これは一番重大なポイントの一つだと思う。  それから第二の問題は、一年間でやるか何かは別として、少なくとも日本側の基本的主張は、かりに自主規制と称する協定ができて、業界もこれをやむを得ないとのんだときにも、それにはしり抜けであってはいけない。その協定そのものがまた自動延長するような抜け穴があってはいけない、こういう点。どうもこの点も譲らされるところに来ているのではないかということが心配されるわけです。そういうようなことであっては、私は業界が納得するかどうかという問題が残ると思いますが、どうも非常にその点を内容的に、これは重大な二つの原則だと思うのですね。この点を譲るようなことにならないで、しかもいわゆる双方の互譲によって解決されるのが一番望ましいんだ、外交交渉をやっているのがいつの間にか交渉が中断してしまうとかなお決裂するというようなはでやかなことは望ましくないと思うから、交渉の成立を祈念するけれども、いまのような重大な点にまで譲歩があってはならないんではないか、こういう感じがするので、二点について伺いたいと思います。
  85. 愛知揆一

    愛知国務大臣 全体を通じまして率直に申し上げますと、ただいまお話しの点は私も全く同じ立場、同じ姿勢で本件に当たっておるつもりでございます。お話しのように、問題は、内容的に申しますと一つはやっぱり基本のフィロソフィーの問題にいつも戻りがちなんです。つまり、向こうはコンプリヘンションということが一番の希望であるし、こちらはそこまでアメリカ側が希望されればコンプリヘンシブではだめですよ。つまりいわば六ワクということがいろいろ報道されておりますけれども、中ワクのところでならばまあまあ双方のフィロソフィーの妥協点が見出されるのではないか、こういう考え方でございますが、フィロソフィーでは妥協できても問題はきわめて具体的な実行上の問題になりますし、そしてそこがまた日本の業界としての最も関心の深い、あるいは死活問題だということばが使われるぐらい重大な関心事でありますから、この点についてまず交渉に当たるわれわれが納得して、そうしなければ自主規制をやっていただける方々にお願いもとてもできない、こういうことで、この種の交渉としては実に延々たるものであり、今回再開いたしましてからも牛場・フラニガンでももう十回以上の話し合いを——この延々たる時間を通算しただけでもたいへんな問題だと思いますけれども、そのくらい政府としても筋も通し、かつ実情をよくわきまえて検討しておるつもりでございます。ガットの関係あるいは伸び率の問題等これもそうでございますし、それからかりに交渉がまとまって、期間の話がまとまってもこれはこれだけの限りであるということをはっきりさせなければならぬという御趣旨だと思いますけれども、そういう点も十分に私どもとしてはわきまえておりますから、これらの数点につきましてはなお一そう精力的にわがほうの主張の貫徹につとめていく、そして米側を説得して何とかまとまるものならまとまらせたい、こういう気持ちでさらに今後もがんばりたいと思っております。
  86. 曾禰益

    ○曽祢委員 政府は非常にデリケートな橋を渡っておるわけでありまして、どうも新聞の伝えるところによれば、一応暫定合意書なるものの文案すらややできかかっているやに聞いておる。それができたならば——内容いかんによるわけですけれども、それで一応今度は日米間の交渉を中断してといいますか、一応たな上げにして、今度はその暫定合意書に盛られる内容について業界との説得といいますか、協議に入れる、こういうことのようでありますけれども、大体そういうプロセスをお考えであるかどうか。そしてむろん業界のいかなる渋いあれでも納得なしに、今度こそは見切り発車は許されないと思いますが、その点はいかがでございますか。
  87. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題は二正面作戦とでもいいましょうか、そういうふうに取り上げられております。つまり一方においては対米交渉を何とか円満にまとめたい。しかし事柄の性質上、政府といたしましては国内の関係業界あるいはこれに関連する労働界の方々、そういう意味で二正面作戦、両方でうまくいかなければならない。ところが私どもの立場から申しますと、さらにそれ以上に考えなければならないもっとほかの正面もたくさんございます。保護主義というようなものがこの機会に強烈に台頭してくることは、何としても努力をしてこの勢いを阻止したい、こういう面でもう一つの正面を持っておりますし、それからまたヨーロッパ等との関係それから本件に最も関心と、影響を受けるであろうところのアジア日本の周辺の国々、これとの関連、動向も十分見据えてかかってまいらなければなりませんから、実はこうした四正面か五正面をまた考え合わせてまいりますと、全く困難な問題であるということはいまさら申し上げるまでもございませんけれども、それはそれといたしまして、何としてもぎりぎりのところ対米交渉がまとまるように、しかしそれは日本業界との話し合いのつき得るぎりぎりのワクの中で、いまのところはこの二つの正面に全力をあげて対処しておるつもりでございますので、何とか今後とも努力に努力を重ねてまいりたいと思います。
  88. 曾禰益

    ○曽祢委員 私もかねてから日本の対外通商経済政策全体から見れば、保護貿易的な色彩を何とか押えていくということがほんとうである。そういう意味では交渉は互譲の精神に基づいて、できればこれによってアメリカのいわゆる通商法案ができることを押える。少なくともその内容の非常に悪いものだけは押えていく。これが日本の利益のみならず、やはり国際的にも日本側がアメリカとの話し合いをうまくつけてくれればなという期待はOECDにもアジアにもある。そういう点を考慮して、私は断絶論でやめちゃえという議論はしてないわけです。そういう点で申し上げているわけですけれども、ただ残念ながら、やっぱり何といっても日本国内、身内の問題で、この交渉は初めから不幸にして政府、特に総理の姿勢と業界の間にズレができちまった。それで昨日、御承知の繊維産業連盟と全繊維同盟一緒の決起大会にあらわれたものは、国民的結集のあらわれであるし、国会もこれをバックアップしておるし、またきのう自民党の国会対策委員長も、そう言っちゃあれですけれども、かりにしぶしぶであっても、そういったような国会の決議を守る交渉をせよということに賛成しておる。私は、この国民的なあれが、政府のいままでの態度によって、ともすれば断絶、信頼の欠除ということになるのは非常に困ったことだと思うわけであります。そういう意味で外務大臣はしっかりした態度で交渉の成立に努力する、非常にむずかしいことであるけれども、そう申し上げるのは当然だと思う。そういう意味で先ほど伺いましたが、もし合意書ができて、それで業界に断わられた場合には、これは政府の責任は重大です。それでも見切り発車はしませんか。私はできないと思うのですけれどもね。業界に対する押しつけということはできないと思うのですが、一たん約束したものが業界にけられた場合はどうされるおつもりですか。その前に、業界の納得なしに、いわゆる見切り発車といいますか、アメリカとの正式の約束はできない、事の性質上。その二点についてのはっきりしたお答えをお願いいたしたい。
  89. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まだ実質的な話し合いの合意がなかなかむずかしい、見据えがつかない状況でございますから、その後のことはあまり実は考えておりませんけれども、外交上のテクニックといたしましても、こういう特殊の性格の問題でございまして、政府が責任をもって法令を施行するというようなことではございませんですから、それはやりたくないわけでございますから、そうすれば業界の納得ということがどうしても必要である。したがいまして、その辺のところは、だんだんもし話がまとまる方向へいきますれば、真剣にそれらの点について配慮いたしたい。外交上のテクニックともあわせまして、十分政府が責任をとれるような対外的あるいは対内的、いわば非常にむずかしいところですけれども、むずかしいところを何とか接点を求めてやるべきである。そういう意味において、見切り発車ということばがすっかり有名になりましたけれども、見切り発車という意味もいろいろの意味に解せられましょう。その辺のところは御了察をいただきまして、政府の善処に御期待をいただきたいと考えます。
  90. 曾禰益

    ○曽祢委員 最後に一言だけ。まあ予算の問題も始まるわが国の状況であるし、向こうさんは向こうさんで議会のいよいよぎりぎりの会期の問題にきているように思いますが、ただ単に予算の問題等、日本側のそういったことがいかに政治的に重要であっても、予算の成立がおくれていいというわけではありませんが、重なっても、ただそういう観点だけで交渉がどこかへいってしまうということのないように、かりに来年に持ち越してもしっかりした交渉で、とにかく業界の納得が得られるような内容のある交渉をがんばって、そうしてできるならば、国会の議決に沿い、したがって、業界が労働組合を含めて、これをやむを得ずでも納得するような妥結に努力してほしいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  91. 田中榮一

  92. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣に、最初にベトナムの侵略戦争の拡大の問題についてお聞きしたいと思います。  十一月の二十一日北爆が行なわれ、そしてまた最近ニクソン大統領が北爆の全面再開があり得るということを言いました。この問題は決して軽視すべからざる問題であります。ベトナムの侵略戦争が拡大の方向にいくということであります。私は、これはきわめて遺憾なことであろうと思います。この点について、かつて参議院の代表質問で、この十一月二十一日の問題についてわが党の春日議員がお聞きしましたところ、コメントする立場にないということを総理は答えられました。政府はこのベトナム侵略戦争の拡大に反対をするという考えはないのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  93. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政府といたしましては、もちろんベトナムの平定化ということについては至大な関心を持っておりますことは、いまさら申し上げるまでもございません。
  94. 松本善明

    松本(善)委員 私がお聞きしましたのは、北爆の全面再開というのはベトナム侵略戦争の拡大の方向の問題である、これに反対する気はないのかということであります。
  95. 愛知揆一

    愛知国務大臣 今回の北爆ということにつきましては、ただいまも言及されましたが、本会議政府が御答弁申し上げましたとおり、コメントすべき立場にないという立場をとっております。
  96. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣にお聞きしたいのでありますが、ニクソンドクトリンというのは、これはアジアへの介入を避けていく、戦争を縮小するというふうにいっていますけれども、実は違うではないか。北爆を全面再開するという方向であれば、むしろ拡大ではありませんか。外務大臣はこのニクソンドクトリンについてどうお考えになっておりますか。
  97. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は米国を代表してお答えするわけにまいりませんので、その点はごかんべん願いたいと思います。
  98. 松本善明

    松本(善)委員 そういう問題ではないと思います。ニクソンドクトリンに基づいて、それとの関係で沖繩についての日米共同声明、それの一環として、アメリカはやっておるわけです。ニクソンドクトリンについて何も考えがないということで、日本外務大臣がつとまりますか。何もアメリカ政府を代表して答えろと言っているのではありません。日本政府としてニクソンドクトリンをどういうふうに考えているのか、現実に起こっているのは戦争の拡大の方向じゃないか、これについてどう考えているのかということを伺っているのであります。
  99. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ニクソンドクトリンと申しましても、いろいろその中には声明その他もございましょうし、何日の演説かステートメントかをお聞きになっているかわかりませんが、私は総体的に、ニクソン政府としてもベトナムに対しては何とか早く戦争状態をおさめたいという願望でおりますことには私は間違いないと思っておりますし、そういう線で累次大統領自身もいろいろなステートメントや意見発表しておる、かように理解しておりますから、その意図するように平和状態が早く来ることを日本としては期待しておる。そういう意味において、ニクソンドクトリンとおっしゃるものを私は理解をいたしておるわけですが、ただ、これは相手方のあることですから、一方の立場だけの非難攻撃という立場をおとりになるようなことでございますと、私は何かそれに御答弁はできる立場でないという趣旨を冒頭に申し上げただけでございます。
  100. 松本善明

    松本(善)委員 この国会におきまして、内閣委員会外務大臣は、これはアメリカの軍事行動は国連憲章五十一条の行動である、全体として支持をするという立場を表明をされたわけでありますけれども、この北爆、アメリカの軍事行動については、全体としてはいいことである、国連憲章五十一条に基づいた、支持できることだ、こうお考えでありますか。
  101. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、基本的に平和状態がくるということについて期待を持っている。そうして、それに対して米側としてもずいぶん真剣ないろいろの努力をしているように見受けておる、こういうふうに、大ざっぱですが、考えておるわけでございまして、私はコメントいたしませんけれども、米側としては今回の北爆についてもこうこう言っているのであって、これはエスカレートして北爆を徹底して再開するというものではなくて、むしろ全体としての平定計画が促進されるためのものであるという説明をしているということは、私は事実として承知いたしております。それに対してコメントすることは、個々のこういう行動について、一々これはよろしいとかこれは悪いとかいうことは、日本政府としては申すべき立場にはない、これが私の一貫した気持ちでございます。
  102. 松本善明

    松本(善)委員 一つ一つの作戦についてコメントしないというふうに言われるわけでありますけれども、アメリカの軍事行動全体について、これを肯定をする方向で、しかもこの時点において反対をするという意思をはっきり表明されないということは、私はこの北爆再開という方向を支持をしているというふうにしか考えられないと思います。  この問題はこの程度にいたしまして、もう一つお聞きしたいことは、八月二十一日にわが党中央委員会が沖繩問題についての公開質問状を提出いたしましたところが、政府のほうで十二月十四日付で沖繩・北方対策庁長官の名前で回答をいただきました。この中の重要な点について少し伺っておきたいと思うのであります。  沖繩からB52はすでに撤去をされたということのみが触れられておりましたけれども、これはもう決して来ないということでありましょうか。この点についての外務大臣の御意見を伺いたいと思います。
  103. 愛知揆一

    愛知国務大臣 正確な日付は、あるいは私の記憶違いかとも思いますが、九月二十四日だったと思いますが、B52は沖繩から撤退したという通報を、かねがねいろいろの経過はございますが、日本側にそういう通報がございました。将来についてどうこうということはその通報にはございませんけれども、従来の話し合いの経緯から申しまして、私は、さらにB52があらためて入ってくる、大量に作戦行動のために入ってくるというようなことは考えられません。
  104. 松本善明

    松本(善)委員 新聞報道によれば、再配備の可能性もあるということもいわれております。いま外務大臣は、大量にやってくるということは考えられないということを言われましたけれども、大量でなければやってくるという可能性があるということでございますか。
  105. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、作戦行動等の目的のために、戦力として入ってくるというようなことは考えられません。たとえば人道的とかなんとかいう立場で避難とかなんとかいうことまで封殺するわけにはいかないかもしれませんが、私の申したのはそういう意味でございます。
  106. 松本善明

    松本(善)委員 そういうことがありました場合には、政府は抗議をされますか。
  107. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いま私はそういうことを考えないのです。再び入ってくるというようなことは考えておりませんから、もしそうなった場合というのは、その態様あるいは起こる事実があるかないか、それによって判断するしかございません。
  108. 松本善明

    松本(善)委員 その御答弁は、やはりその可能性があるということを、やはり外務大臣としては、気持ちとしてはお持ちになっているというふうに理解せざるを得ないと思います。  もう一つ、毒ガスについて伺いたいのですが、この毒ガスの問題については、沖繩返還前に撤去をされるだろうということが回答書には書いてございました。しかし現在すでに毒ガスについての被害が発生をしております。これは沖繩県民にとっては、すぐきょうあすの生命や身体の問題であります。日本政府としては、この状態が二年続くということを——もし政府の言うように返還前にすべて撤去される、七二年ということであれば、二年かかるということです。二年この状態を黙って見ておる、これはやむを得ないものだ、こういうふうにお考えであるわけでございますか。
  109. 愛知揆一

    愛知国務大臣 毒ガスにつきましては、十二月四日通報に接しましたから、いよいよこれで沖繩から撤去ということが確定をした、あと戻りはしないという確証を持って、私もその限りにおいてほっといたしましたが、同時に直ちに対米折衝を開始いたしました。その結果、ある部分は御承知のとおり広く報道もされておりますが、まずこの毒ガスの移送については、いわば公開の原則で行なう、したがって、日中以外には積み出したり、運び出したりはしない。それから日本側官憲の立ち会いを求めて、これらは向こうが承諾した。こういう基本的な原則のもとに、十二日でございましたか、本件の米側の責任者であるヘイズ司令官を東京に招致いたしまして、まず第一回の説明会、打ち合わせ会あるいは質問あるいは要請、いろいろ詳細にいたしましたことは御承知のとおりでございまして、まず問題を二つに分けて、徹底的に安全であるということを、事実の上において納得を求めなければなりません。われわれ自身が納得しなければなりませんから、それで積み出しの方法、移送のコンボイの組み方、それから医療車、救急車等の配備、それから沿道の警戒、沿道の県民に対する安全と安心を求めるための十二分の措置、それから今度船の積み込みに四日間要するわけですが、その場合における措置、これらについてはさらにまだなすべきところもあるように思いますので、専門的、技術的に検討と交渉を続けております。第一回が百五十トンでありますことは、まさにまことに微量でございます。しかし安全輸送ということが、同時に非常に大きな本件の要素でございますから、米側といたしましても、船積みの、何ということばを使うのでございましょうか、積載可能の限度からいえば、百五十トンというのはまことに微々たるものでありますが、船倉の管理それから検査等々において、第一回の事柄でありますだけに、十二分の用意をいたしておるわけです。したがいまして、これが完全に安全で納得される形で行なわれますならば、第二船、第三船等については、船便の都合と配船をスピードアップすることによりまして、第二回以降は積載可能量はぐんとふえますから、一万三千トンの移送については、当初米側が考えた時期よりは、かなりこれはスピードアップされるという、しろうとながら私としてはそういう考え方を持ちましたから、それに基づいて米側に全体の撤去のプログラムを早急に具体的に固めてもらうように要請をいたしております。私は、沖繩返還は一九七二年のできるだけすみやかなる時期ということで交渉をいたしておりますしいたしますから、それにこれが関連してくるとは絶対に思いませんし、またさようにやっては絶対にいけない、つまり、それまでには、いくらおそくともきれいさっぱりにしなければならない、またそれができるという角度から本件の折衝を進めているわけでございます。
  110. 松本善明

    松本(善)委員 早くなる見込みだというふうに言われますけれども、いま外務大臣が御自身でおっしゃったように、まことに微量でございます。あと残っている大量のものをいつまでに完了するか、これはもう沖繩県民にとってもたいへんな関心事だと思います。外務大臣としては、少なくもいつまでに撤去をしろということでアメリカ側と折衝をしておられるのかどうかということと、それからいま言われるアメリカの撤去計画についてはいつ返事をもらうことになっているのか、この二つをお答えいただきたいと思います。
  111. 愛知揆一

    愛知国務大臣 すでに衆議院におきましては本件についてさきに決議もいただいておりますし、昨日は参議院の沖特で全会一致の決議で、一日もすみやかに撤去を安全にするように、米側に対して再度申し入れよという御決議をいただきましたが、私は、その御決議に対して誠意をもって努力をいたすつもりでございます。  それから第二点は、いま折衝をごりごりやっている最中でございますから、いずれ全貌が明らかになりましたら、御安心をいただけるように、特に沖繩の県民の方々には十分の御説明をして御納得をいただきたいと思っておりますが、そういう順序でございますから、いまは何よりも百五十トンを、初めての事態ですから、何としてこれを安全に御納得のできるような移送計画をやるかということにまず集中し、そして次のスケジュールの作成等に交渉を及ぼしていく、こういうふうな順序でございます。
  112. 松本善明

    松本(善)委員 終わります。      ————◇—————
  113. 田中榮一

    田中委員長 この際、申し上げます。  本委員会に付託になりました請願は百四件であります。  各請願の取り扱いについては、理事会において協議いたしましたが、いずれも採否の決定を保留することになりましたので、御了承願います。  次に、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、四件であります。この際、御報告いたします。      ————◇—————
  114. 田中榮一

    田中委員長 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお国際情勢に関する件について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会