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1970-12-09 第64回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月九日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 内藤 良平君 理事 松本 忠助君    理事 和田 春生君       上村千一郎君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    砂田 重民君       關谷 勝利君    谷垣 專一君       西村 英一君    長谷川 峻君       古屋  亨君    井野 正揮君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       斉藤 正男君    米田 東吾君       田中 昭二君    宮井 泰良君       田代 文久君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         水産庁長官   大和田啓気君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         海上保安庁長官 手塚 良成君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局水質公害         課長      白井 和徳君         外務省条約局外         務参事官    山崎 敏夫君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     榊  孝悌君         水産庁次長   藤村 弘毅君         運輸大臣官房参         事官      原田昇左右君         運輸省港湾局機         材課長     西村 俊之君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月九日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     上村千一郎君   楯 兼次郎君     角屋堅次郎君 同日  辞任         補欠選任   上村千一郎君     河野 洋平君   角屋堅次郎君     楯 兼次郎君     ――――――――――――― 十二月九日  過疎地域赤字バス路線に対する財政援助に関  する陳情書外二件  (第一八〇号)  国鉄ローカル線赤字地方公共団体負担反対に  関する陳情書外二件  (第一八一号)  港湾施設整備促進に関する陳情書外一件  (  第一八二号)  山陰本線等の小駅無人化反対に関する陳情書外  一件(第一八  三号)  国鉄福塩線の小駅廃止反対等に関する陳情書  (第一八四号)  国鉄財政再建計画に伴う貨物運送改善に関する  陳情書  (第一八五号)  第二次空港整備五カ年計画の推進に関する陳情  書  (第一八六号)  農林水産物鉄道貨物運賃割引存続に関する陳  情書  (第一八八号)  奈良県における国鉄各線整備充実に関する陳  情書(第一八九  号)  地方交通機関の確保に関する陳情書  (第一九〇  号)  筑豊地区山陽新幹線停車駅設置に関する陳情  書  (第一九一号)  山陰新幹線及び陰陽新幹線早期建設に関する  陳情書  (第一九二号)  山陰新幹線早期建設に関する陳情書  (第一九三号)  国鉄会津線の小駅無人化反対に関する陳情書  (第一  九四号)  四国循環鉄道開通促進に関する陳情書外一件  (第一九五号)  大村、対馬空港建設促進に関する陳情書  (第一九六号)  国鉄中、小駅の無人化反対に関する陳情書  (第一九七号)  国鉄阿佐東線早期完成に関する陳情書  (第一九八号)  国鉄合理化対策に関する陳情書  (第一九九号)  国鉄踏切無人化反対に関する陳情書  (第二〇〇号)  東北、北海道新幹線建設促進に関する陳情書  外六件  (第二〇一号)  関西本線複線電化促進に関する陳情書  (第二〇二号)  日豊本線の複線電化促進に関する陳情書  (第二〇三号)  宮崎空港整備促進に関する陳情書  (第二  〇四号)  関西国際空港の泉南町区内設置反対に関する  陳情書外三件  (第二〇五号)  国鉄真岡線廃止反対に関する陳情書外二件  (第二〇七  号)  北回り新幹線建設促進に関する陳情書外一件  (第二〇八号)  北回り新幹線建設促進等に関する陳情書  (第二〇九号)  青函トンネル早期完成に関する陳情書  (第二一〇号)  国鉄複線電化促進に関する陳情書  (第二一二号)  国鉄只見中線建設促進に関する陳情書  (第二一三  号)  米子空港整備に関する陳情書  (第二一四号)  海難救助活動に対する補償強化に関する陳情書  (第二一六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  海洋汚染防止法案内閣提出第一八号)      ――――◇―――――
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  海洋汚染防止法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。關谷勝利君。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  本法案がまことに理解しがたく、かつ、その実際の効果をあげるという点について疑念がはさまれておりますゆえんは、政府委員説明不足政令法令等の制定に対しまする熱意の欠除並びに法案そのもの表現の拙劣さにあると思います。  海洋汚染発生源は、陸上施設からの排せつ物が最も多い。船舶海洋施設からのものは、それに比してきわめて少ない。しかも、その規制を本法案によって強化するのだ。なおまた適用除外は、項目は多く列挙してあるけれども、これはこの程度の軽微なもので、したがって、本法案が成立をしてこれを施行したならば、実際の効力はあがるのだという明快な説明が書かれておらないのは、まことに遺憾に思います。  この法案中に含まれておりまする「政令」という文字が、十七カ所あります。それから「運輸省令」というのが四十四カ所、両方合わせて六十一カ所あります。私はいまだかつて、この程度法案でこれだけの政令省令というものが並べ立てて数多く出されておるのは、初めてであります。あまりにも多い政令運輸省令は、本法律案をきわめてあいまいなものにし、この法案に対します疑念もそこから発生しておると思うのであります。  しかしながら、法体系からいって真にやむを得ないというのであれば、これは容認しないでもありませんが、それなら政令省令案というものは、法案提出と同時に提出をして、法案審議を容易ならしめるべきである。もしその点が明らかに示されておったならば、もう少し審議というものが順調に進み、また理解を深めることができたと思います。昔は法律案を出しますというと、政令あるいは省令の案というものを出したものであります。法律案を出しまして、政令の案、省令の案でこのようにします、そうすると法律というものの全貌が明らかになって、したがって、審議は非常に進みやすいのですが、このごろはまことに怠慢なことで、出したことがない。政府委員としては、これは将来大きく気にとめてもらわなければならぬと思う。そういうふうなことについて、当局がこれは怠慢と言われてもしかたがないと思うが、所見はどうですか。
  4. 高林康一

    高林政府委員 御指摘のとおり、政令が非常に多い、また省令が非常に多いということでございます。  そこで、省令につきましては、大体この法律で四十数点省令にゆだねておりますけれども廃油処理事業許認可等のいろいろな手続、あるいはまたその他の技術基準というようなものを大体省令にゆだねておりまして、それらの点は、通常省令の委任として考えられるごく、手続的あるいは技術的なものでございます。  それから政令につきましては、確かにこの法律案の重要な中身をなす点が、ことに十条等では多いかと思います。そういうような点については、やはり御審議過程で、私どもの可能な限りいろいろまた御疑念にお答えするというふうにさせていただきたい。  ただ、いま御指摘のございましたとおり、いろいろそういうような点について、まだ十分政省令が技術的な点から熟していない点もありますので、今日までの段階では出ておりませんけれども、できるだけ早い機会にこれを備えて、関係者意見を聞いて制定したい。これらの点については、十分今後とも留意をして努力をしてまいりたいと考えております。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 技術的な面だから、こういうふうに省令政令というものが多いと言うが、この法律をやるのには、技術的にそういうところを明らかにしてやるということを示さなければ、みんなにはわからないのですよ。そうすると、技術的な面だからと言うて、一片の答弁でこれを延ばすなんていうようなことは、私はまことに不都合な話だと思う。そういうふうな答弁は、これまたまことに誠意のない答弁といわなければならない。省令政令案がすべて明らかにされたならば、すみやかに当委員会提出してもらいたいと思うのですが、まだこれから関係者意見を聞いてとは何事です。この法律をつくるのに、何も関係者意見を聞いていないのですか。その点を答えてみてください。
  6. 高林康一

    高林政府委員 やはり政令で一番問題になります点は、おそらく十条関係だと思います。十条関係で、政令といたしまして規定しておりますのは、まず十条の二項の一号でカッコ内のところのものが多いと思います。この政令につきましては、一定搭載人員、大体百人ないし三百人の間において、その範囲をどの程度にするかを考えたいと思います。  それから、そのあとに続きますところの「港の区域その他政令で定める海域」、この政令で定める海域といたしましては、東京湾あるいは瀬戸内海、伊勢湾等の内湾を考えたいと思います。  それから、次にあります「政令で定める廃棄物排出」につきましては、ふん尿、ごみなどを廃棄物として考えたいと思います。  「政令で定める排出方法」といたしましては、航行中であること、それから一定の時間帯におきまして、そして一定の量、キロリットルその他を考えるということでございまして、そういう一定の量というようなものについて、これはもうちょっと検討を要する点があるのではないかというふうに思っておる次第であります。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 その政令省令ができて、ここへ提出するのはいつごろになりますか。
  8. 高林康一

    高林政府委員 政令案としてはっきりいたしますのは、できるだけ——もちろん通常国会までの期間にはこれを出したいというふうに存じております。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 この法律案ぐらい表現のまずいものはないと私は思います。この法案で一番大事な点は、第四条の本文、それから第十条の本文、第十八条の本文、この三つであります。ところが、この三つは、これは原則的に禁止するのだということできわめて簡単に、何人も、海域において、船舶あるいは海洋施設から油あるいは廃棄物排出してはならない、こういう意味のことが全部書いてあるのであります。ところが、そのあとに実に長々と適用除外条項が列記してあります。あたかも本文はきわめて簡単に書いてあり、あと適用除外条項が列記をいたしてありまするので、そのために本文が抹殺せられたり、あるいは影をひそめるような書き方であります。まことにへたな、これほどへたな書き方はないと思います。さきに私が指摘いたしましたように、政令省令合わせて六十一カ所も使うのなら、もう一つ二つふやして、もう少しじょうず書きようもここにあるだろうと思う。人命船舶、積み荷の安全を守る場合、またはやむを得ない事故等による油あるいは廃棄物排出等を防除する場合のほか、何人海域において油または廃棄物排出してはならない、これをがんと押えておいて、それで、省令政令をそれほど使いたいのなら、ただし、運輸省令で定める軽微なものはこの限りでないと、これを列記するのならばまことにじょうずに聞こえるのに、このくらいへたな法律は世の中にないと思うのですよ。たとえ内容が同じであっても納得ができる。そして軽微なものが羅列してあるというふうなことも了解してもらえる。それなのに、こういうふうな一番まずい書き方をしておる。  なお、政令省令具体的説明が非常に不親切なというか、てきぱきとそのつぼを押えたような答弁一つもしてない。そのために誤解を深めてきたというような感じがいたしますが、そういうふうな感じがいたしませんか。
  10. 高林康一

    高林政府委員 書き方の問題につきましては、一つは、油濁の関係については大体条約規定をとっていったということによって、いま御指摘のような感じはいたすかもしれませんが、しかし、条約そのものを国内法化するというたてまえから、このような表現にならざるを得なかったと思います。  それから、ここで除外例というものが、確かに先生指摘のように行数においては非常に多いかと思います。ただ、これは非常にたくさんのものを除外しておるものではございません。根本的には、船舶または人命の安全というものが除外例になる。たとえば、「瞬間排出率が一海里当たり六十リットル以下であること。」その他の除外例をずっと羅列しておりますけれども、これらはすでに条約採択過程におきまして、ほぼ海上汚染に影響がない度合いというものを考えまして、ごく軽微なものとしてこれを書いたものでございます。  したがいまして、それらの点において、非常に軽微な事項でございますけれども条約上の表現その他を尊重し、また他の条文もそれに合わせて整理していったということで、このような表現になったものでございます。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 それだから言うておるのだが、軽微なものなら軽微なような書き方をしろということでございます。それから、国際条約に合わせてというふうなことでありますが、国際条約に合わすのなら、政令省令というものはないはずです。アメリカあたり立法例を読んでみると、これを政令にゆだねるあるいは省令にゆだねるというふうなことはありません。そうすると、国際条約に合わすのなら、ことごとく全部政令省令というものをなくして、そこでそれらのものを入れるのならこれは話がわかるが、国際条約に合わす面だけは出ておるのだけは合わす、あと政令省令ということになってくると、軽微なところが大きく出てきて、重要なところが没になるというようなことになってくる。  それだから私は、最初からなぜそういうふうな表現をしなかったか、まことに拙劣だと言うのでありますが、そういうふうな、法律としてまことにへたなという感じがいたしませんか。感じませんか。
  12. 高林康一

    高林政府委員 立案の一部を担当いたしました者といたしまして、もちろん表現上さらにもつと直す、みがきをかけるというようなことは、あるいはあり得ると思いますけれども、われわれといたしましては、法制局とも審議いたしまして、いわば可能な限り最善表現をとったつもりでございます。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 最善努力をしてこれだけしかできない者に、それ以上やれと言ってもできますまいから、やめます。  それから、第四条第二項に列挙しておりますように、「油分の瞬間排出率が一海里当たり六十リットル以下」また、「油分排出される油一万立方センチメートル当たり一立方センチメートル未満」ということが書いてあります。ことばで書きますとまことにむずかしい。これを、しろうとわかりにわかるようにするにはどうしたらいいか、これの説明一つもない。したがって、これだけ書いてあると、まことに大きく書いてあるからどんなものであろうか、こういうようなことに見えるのでありまするが、これは船舶の乗り組み員あるいは乗客、海洋施設職員等でなく、この法律に対しまして全国民がわかって、そうして協力をしなければ実効をあげることがとうていできないのでありまするが、これがどの程度のものということが、しろうとに具体的にわかるような説明一つもしていない。これはどの程度のものだと言って、しろうと国民全部にわかるように——このとおり読んで字のごとしであります、ではわからぬ。実際にこういうふうな状態でありますということを、はっきりと国民がわかるようにしなければならぬ。これはどう説明されるのですか、どなたからでもいいですから。これはこのとおりでございます、このとおり軽微なものでございますというようなことで、目で見てこうなるんでございますというような説明一つもしていない。いままでの答弁一つもない。こういう点を、ひとつ国民のだれにでもわかるように説明してもらいたい。法律というものは、あなた方だけの道具じゃない。これは全部が守らなければならない。全国民がわからなければならぬ。それに対しましてはわかるような説明をしなければいかぬ。ここの委員会答弁を通じて、全国民が、ああなるほどそうかとわかるような答弁がしてほしい。具体的に説明してみてください。
  14. 高林康一

    高林政府委員 ここの四条二項あるいは四条の五項、こういうようなものにつきましては、一般的にこの表現をとりましたことは、一つは、国際条約表現をとったということでございます。それで、この内容といたしまして意味することは、たとえば「一海里当たり六十リットル」ということばがございますけれども、この一海里当たり六十リットルの排出では海洋汚染が認められず、かつ船舶安全航行にも支障がないと考えられる範囲のものを、具体的な数値で示したものがこの「一海里当たり六十リットル以下」というものでございます。これは、イギリス等でいろいろ実験を行ないました結果、この程度排出ではほとんど海洋汚染原因にはならないということを見て、そしてそれが条約で採択され、その表現をとった。五項についても同様なものでございます。  したがって、一般的に抽象的に申しますれば、その排出によって海上汚染が生ぜず、かつ船舶の運航が安全に、支障のない程度の油の排出というものがこの内容になっているものでございます。(「それではわからぬ。」と呼ぶ者あり)
  15. 關谷勝利

    關谷委員 それではわからぬと、いま野党の席からもあったが、それでは国民もわからぬ。私が聞いておってさえわからぬ。油が流れて、それで船舶航行ができるのできないのと、そんな大げさなものだったらやってもたいへんです。そんな答弁ならなお国民が迷います。それよりも、目で見た場合に、油膜肉眼で見える程度のものか、油膜肉眼では見えない程度の薄いもので、これなら汚濁しておるのか汚濁しておらないのか判別のつかない程度でありますくらいな答弁があってほしい。もう少し研究して、もう少しじょうずに発表してもらいたい。参事官からでもいいから、じょうず説明してみなさい。   〔委員長退席宇田委員長代理着席
  16. 原田昇左右

    原田説明員 六十リットル・パーマイルという表現でございますが、これは国際条約会議の席上……(關谷委員国際条約も何にも要らない。国民にわかるように簡単に言ってもらいたい。」と呼ぶ)イギリスが詳細な実験をやったというその報告をいたしたわけでございます。その報告によりますと、タンカーが六十リットル・パーマイルずつ流していった場合、ヘリコプターその他によって上から監視をして、そうして航跡において油が目で見えないという程度のものであるという説明であります。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 いまのは第四条第二項でありますが、第十条第二項記載の条項、これも具体的にわかりやすく説明してもらいたい。
  18. 原田昇左右

    原田説明員 百PPMは、大体外から見まして透き通っておって、しかしながら、油が若干きらっとわかるという程度でございます。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 まあまあそのくらいなところで、しろうとわかりがすれば、ややいい答弁とでも言わなければなりますまい。  それから、この廃棄物処理法案と本法律案が成立いたしましたならば、これとの併用によって海洋汚染の防除ができるという自信があるのか、ないのか。この点を私がなぜお尋ねするかといいますと、本法の第四十七条の第三項に、「農林大臣は、油又は廃棄物排出により漁場効用が著しく低下し、又は低下するおそれがあると認められるときは、運輸大臣に対し、」その間にいろいろ文句がありますが、「適切な措置を講ずることを要請することができる。」と書いてある。廃棄物処理法とこれとでできなければならぬというように、これは法律をつくっておるのでありますが、こういうふうな場合が起こり得ると初めから想定しておるのなら、廃棄物処理法とこの法案と両方合わせても、できないのだということを予想してこの法律をつくっておるのではないか。まことに自信のない法律ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、これについては、これはひとつ大臣からはっきりと答えてもらいましょうか。技術的な面であるというようなことで、これは官房長からというのならそれでもいいですが、お答えを願いたい。
  20. 高林康一

    高林政府委員 当然、法律といたしまして、海洋汚染に関しましては、本法とそれからさらにまた廃棄物処理法、あるいはまた水質汚濁防止法、これらの法案と相まって、海洋汚染というものを極力排除して、そしてきれいな環境保全したいということでありますが、これらの法案の運用と相まって、環境保全というものは十分担保できると考えます。  ただ、環境保全のうちで水産資源保護というようなことについては、水産資源保護法がまた別個にございます。それらの水産資源保護法関係、それらを十分調整しながら進めていく必要があるかと思います。それらの点で、農林大臣漁場効用というような観点から、これをやはり意見を述べ、また要請をする、このことは、やはり水産資源をより有効に保護するゆえんになるというふうに思います。さらに、できるだけ完全を期したいという考え方で、このような条文を置いた次第でございます。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 それは、廃棄物処理法のほうでやったらできるという自信があるのなら、そんな場面が起こらないと私どもは思う。また、起こらないようにしなければならない。それが、こういうふうなことがあるであろうということを予期しておるというから、まことに自信のない考え方だというふうに私はお尋ねしておるので、その魚族保護だの水産資源保護というようなことは当然考えなければならぬことで、私たちも考えておるのだが、そういうことのないようにするための法律で、これで完全にできなければならないものが、あるいはできないことがあるのではなかろうかというような、この書き方がまことにあいまいであって、自信のないあいまいな表現になっておって、そのためにこの法律は、ひょっとしたらざる法になるのではないかというような疑念を持たれるのです。  そこでもう少しはっきりと、そういうことは起りませんというようなことを——これは書いておると、起こりませんと言い切れないのかもわからないけれども、そこら辺は自信がありますが、ということぐらいはちょっとほのめかしてもよかろうと思う。万が一のことはわからぬから、これは万全を期してやっておるのだが、普通の場合は、ヘリコプターで上から見ても、油膜肉眼で見えない、こういうふうなことになるのですから、魚族保全というような面には何ら差しつかえありません、これはことばでは書いておりますが、そんななにではない、自信がある、ということくらいの答弁をしてみたらどうです。そんな答弁をする自信がありませんか。
  22. 高林康一

    高林政府委員 先ほど答弁の中でも、より完ぺきを期するためと申しましたけれども、これ自身で、それと廃棄物処理法、こういうような法体系によりまして、私ども十分環境保全ということが可能であると考えます。  しかしながら、確かに先生指摘のように、より完ぺきを期し、そうして万一の場合を考え、それらの「要請」というような規定を設けた次第でございます。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 外国の船と日本の船と、これは条約の発効の時期が違ったりいたしますために、その間に起こる不平等、不公平等につきましては、時間がもしありましたらお尋ねすることにいたしまして、これはたくさん時間がかかろうと思いますので、省略をいたします。  次に、現在のわが国周辺の海洋汚濁の原因は、陸上施設から排出せられるものが大部分を占めておることは、議論の余地がないと思います。これらの陸上施設からの排出物による汚染と、海上施設からの排出物による汚染の確実なものというようなことは、これは答弁ができないと思いまするが、その比率が大体どのような程度のものであろうか。程度でけっこうでありまするが、どのような程度であろうか、これは推定せられる比率を答えてもらいたいと思います。
  24. 高林康一

    高林政府委員 廃棄物あるいは油濁、それらの海洋汚染原因というようなものについては、先生指摘のとおり、一般に海上それから陸上、この二つの発生源があると思います。これの発生源の区分けというものについては、正確な資料というものがございませんけれども、非常に大胆な推定をさせていただければ、まず、一番大きい原因になっております油でございますが、この油につきましては、たとえば、海上保安庁が四十四年度に状況を調査いたしましたところ、全体で二百七十三件のいろいろ汚染原因になったところのものがある。そのうち、船舶によるものが大体百七十五、不明のものがかなりございますが、陸上のものは二十九というようなことで、油の面につきましては、やはり海上と申しますか、船舶、これの汚染原因によるところのものが相当パーセンテージとしては高いと推定されます。  それからふん尿等につきましては、たとえば東京湾につきましては、大体四割程度海上に投棄されておるというのが現状であると思います。全国的な推計は困難でございますが、やはり相当程度海上にいっておる。  次に、産業廃棄物でございますけれども、これについての統計はわかりませんが、たとえば、通産省が二百人以上の企業で五千工場を昨年計査いたしました。それで固形の産業廃棄物、これは年間大体五百万トンございます。これは陸上と海上を含めたものでございます。一方、海上保安庁が調査いたしました固形産業廃棄物というものは、対象その他が非常に違いますけれども、大体年間で推計いたしますと、百五十万トンないし二百万トン弱というようなことでございます。固形廃棄物については、陸上原因というものが相当程度むしろ多い。対象その他から見まして、限定された調査でございますけれども多い。  そのほかに、いわゆる工場排水というものが非常に大きい。これは陸上を原因とするところの汚染原因になっているものでございますが、これは非常に多いと推定されまして、むしろ油以外におきましては、やはり陸上原因というものの比率が非常に多いというふうに推定をしておる次第でございます。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 これについての数字的な比率というなことは、これは無理だと思いますから、そこまで答弁しろとは言いませんが、工場排水その他を合わせますと、これはヘドロ等の関係を含みますというと、陸上が大部分であろうと思いますので、これはその程度答弁で了承しなければいかぬと思います。  この法律案が成立をして後に、これが効果があるようにするかしないかということは、政令省令内容いかんと、政府の積極的かつ具体的な姿勢でなければならぬと思いまするが、これにつきましての運輸大臣の決意を、ひとつお尋ねしたいと思います。
  26. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 だんだんの關谷議員からの御質疑、われわれ聞いておりましても、たいへん十分に参考になりましたので、政令省令等の場合におきましても、その点を十分に勘案しながらやってまいりたいと思います。  ただ、この法律は、御承知のように海洋汚染を防止するというのでありまするが、なかなか法律だけで完全なる目的を達成するということは、非常にむずかしい問題があります。したがって、何といっても国民各位の協力がないと、実際上の効果が薄れる場合があり得る。たとえば、監視体制がいかに厳重でありましても、またこの法律がありましても、すきを縫ってやるという公徳心の欠如がありますれば、なかなかこの目的を達成することが十分には行なわれない。そういう意味におきまして、この前の公害委員会で古屋議員からも、これはこの法律海洋問題だけではありませんが、こういうことが国民生活にとってどうしても必要なんだ、ことに豊かなる生活をするためには、お互いが、こういう法律が出たけれども、この法律を守っていくという国民的総意があらわれなければいかぬ、こういう趣旨の質問があり、したがって期間をきめて、こういうような国民的運動を起こしたらどうかというお話がありました。關谷先生のお話を聞きましても、それに近い御意見と思います。運輸省といたしましてはできるだけ、関係者のみならず一般にも、あるいはパンフレットの方法なりあるいは皆さんと協議することによって、この法案の趣旨を十分に徹底して、そして所期の目的を達成したい、かように考えておる次第であります。
  27. 關谷勝利

    關谷委員 いま大臣からお話がありましたように、法律だけではとうていその完ぺきを期することができない、その公徳心の欠如があってはならない、国民も協力しなければならない、それは当然でございます。そこで、この法律を設定したりあるいはいろんな法律の中身によって施設をしたりいたしましても、それがほんとうに守れるような状態に置かなければならないというのが、この主管である運輸省の責任でなければならぬ。  かりに一つの例をとりましても、廃油処理場を設置した川崎の港の例を見ましても、取り締まりを厳重にした場合の一カ月の処理量が一万八千トンのときがあった、それ以外の場合には大体一カ月千トン程度である、こういうような本委員会の政府答弁がありました。船舶が荷役を終えて処理施設で廃油その他の処理をして、その後また造船所に回航したりあるいは出航するというようなことになって、たびたび船を動かすということは、その経済的や時間的のロスが多いために、これは海洋投棄というような結果になるので、そういうようなものをなくすためには、何としても移動式の処理施設をつくらなければならぬ。本法の二十一条一項二号のイにこれは記載してありまするが、船舶である廃油処理施設を奨励する以外にその完ぺきを期することはできないのであります。船自体に、どの船も全部動けといっても動けるものではない。その廃油処理、移動式の船舶の上に取りつけて廃油処理施設を持っておるものが、これがタグボートなり何なりで引っぱっていってそしてこれを処理する、こういうことにしなかったならばできない。何ぼあなた方が法律をつくり、監視を厳重にしてみたところで、これはできるものではない。これを効力あらしめるためには大事な点であります。  いま、こういうふうに民間においてこの種の移動処理船を建造して、一般に利用せしめようというような動きがあるのでありまするが、こういうようなものに対しては、奨励のために、財政的な援助を与えるというようなことを考えておるのかどうか。これは、地方公共団体でやらした場合には二分の一の補助があります。ところが、民間の場合にはない。しかし、その公共団体にこれをつくれと言いましても、自分の港だけよくすればいいという公共団体では、わざわざそういうものをつくろうはずはないので、自分の港に廃油処理場を取りつけて表面をつくろったらいい、こういうふうなことにしかならないのでありますから、港湾管理者にこれをやれと言ってもやれません。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕 そうして実際に効果あらしめようとするというと、こういうふうなものをつくらなければならない、こういうことになるわけでありまするが、これについて、こういうふうなものを奨励し、それに対しては財政的な援助を与えようという用意があるかどうか、伺っておきたいと思います。これは港湾局長のほうからお答え願うのがほんとうであろうと思いますが……。
  28. 高林康一

    高林政府委員 御指摘のございましたように、二十一条におきまして、船舶により廃油の収集を行なうという事態を想定しておるわけでございます。それで五十条におきまして、廃油処理施設その他について国の援助を規定しておるわけです。私どもといたしましても、いま御指摘のございましたように、廃油収集船と申しますか、そういうものについてはできるだけ援助をしていきたいというふうに考えておりまして、具体的には、これらの場合において、大型船については開発銀行、それから小さいものにつきましては船舶整備公団によってこれの援助を与えていくということを考えたい。船舶整備公団のものにつきましては、昭和四十六年度予算の折衝過程において、できるだけこれの実現に努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  29. 關谷勝利

    關谷委員 これらをつくりますのが、公共団体であると補助をする、民間企業であると補助をしないというようなことは、奨励する意味において考えなきゃならぬことではないかと思います。ことに、公共団体はこれをやろうとはしないと思います。そして民間でやるのに対しましては、二十条だか何条でしたか、許可制度ということでずいぶん厳重に縛っております。そうするのなら、料金等もやはり許可の条件には入ってくるだろうと思いますが、そういうふうなことも含めてすべて許可するのなら、不当なことを要求するのでもなければ何でもない、こういうようなことでありますので、これは補助すべきものだと思う。この法律案によりますと、公共団体のものは補助もする、起債も認める。一方ではただ融資だけである、あるいは公団を利用さすだけだというようなことで、公団利用といっても金を借るだけであります。  そういうようなことになるので、まことに片手落ちなことだと思いますが、これについては、この法案の効果をあらしめるためには、ひとつやはり大臣とよく相談をして、民間の企業に対しても補助をするくらいな気持ちにならなければ、とうてい完ぺきなものはできません。いままでに民間から運輸省にいろいろ相談に行ったけれども、原田参事官が政策課長の当時行ったけれども、そんなら公害防止事業団へ持っていってみましょうかだの、新技術開発事業団へ持っていこうだの、ただうろうろさしただけで、運輸省から何も回答が出ない。また、これを扱うのが港湾局の機材課、港湾機材についての課のところでこれをやれと言ったところで、こんなものはあまりありがたくない。やろうとしない。こんなことで、そばから見ておりますと運輸省はきわめて冷淡であります。  こういうふうなことについて、もう少しほんとうにこれのわかる技術者も入れるし、政府においてももう少し積極的に取り組んで、この法律の万全を期するようにしてもらいたいと思うのですが、これに対しては、大臣に御答弁願うほうがいいかと思います。
  30. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 私は、この問題に限らず、国の会計法ですか、あるいは法律のたてまえであると思いますけれども、一種の不公平を感じております。御承知のように、たとえば地下鉄にいたしましても、公営もしくは営団の場合は二分の一の補助が出ている。しかし、私鉄の場合は補助が出ない。あるいはバス会社にしましても、私鉄の場合については、たとえば高知における災害の場合においても、バスが損害をこうむってもこれの助成ができない。したがって私は、私個人の主張でありますけれども、交通事業に従事するというものは、公営と私営とを問わないと思います。問題は、これが公共的な事業であるかどうかということによって考えるべきではありますが、残念ながらいまの制度ではそれができておらないのであります。したがって無理やりに、たとえば埠頭をつくるにいたしましても、公団以外の会社をつくる場合に、特殊法人という形で法律をつくって助成措置を考える、こういうような措置を講じないと、助成金、補助金が出せない。こういう制度は必ずしもいいとは思いません。  したがって、いまおっしゃるように、このような船、いわゆる収集船をつくりましても、はたしてペイするかどうか。高い料金でやってペイするのであれば利用者が少なくなるであろうし、そういう点を考えますと、将来この種の問題については、制度の上で何らかの方法を考えるとか措置を考えないと、円滑な運営はできない、かように心配をいたしておるものであります。
  31. 關谷勝利

    關谷委員 大臣の誠意のある御答弁でありますので、事務当局において、それを実現するためにはどんな姿のものをつくったらいいか、地方公社のようなものをつくるとか、あるいは地方公共団体の委託を受けたものならいいとか、いろいろ方法はあると思いますが、そういう方法を考えて、補助その他が公営であろうと民営であろうと同じようにやれるようにして、効果をあげるようにしていただきたいと思います。実力者の大臣のおられる間に、皆さん方よく相談して、これが実現するようにしていただきたい。  まだ、これからいろいろお尋ねしたいことがたくさんあるのでありますが、ことに外国船と日本船との比較、あるいは逐条にわたっての具体的な問題でお尋ねしたいことがたくさんありますが、時間が参りましたので、ここらで質問を打ち切ります。
  32. 福井勇

    福井委員長 次は加藤六月君。
  33. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 今回、当委員会にかかっております海洋汚染防止法は、いろいろ問題点があるわけでございますが、一番最初は大臣にお伺いしますが、大臣、海を汚染するものは何と何と何でしょうか。
  34. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 この法律関係しての御質問のようでございますが、海を汚濁するものはたくさんあると思います。産業廃棄物、それから国民生活における廃棄物もあります。屎尿のごときもの、それから油のような関係者において廃棄するもの、その他たくさんあると思います。ことに陸上からの廃棄物もありますので、種目をあげると数限りなくあると思います。
  35. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そこで経企庁から来ておりますか。——水質の場合には、水質汚濁防止法ということばが使ってありますね。海の場合は汚染ということばを使っておりますが、汚濁と汚染というものは、類型的にどういうように判断されますか。
  36. 白井和徳

    ○白井説明員 水質汚濁と水質汚染の問題でございますが、非常にむずかしい問題と思いますが、われわれの法律では、公共用水域につきましては、水質汚濁ということでもって汚濁問題を取り上げまして、排出のところで、工場の出口のところは汚染ということばでもって表現しております。したがいまして汚濁というのは、一般的な水域が何か汚染物質が入ってよごれていく過程を明示するものである、汚染物というのはそのもの自体がよごれている、かように解釈しております。
  37. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そこで公害基本法におきまして、水の状態ということで温度、それからいままでの汚染ということで色というものを新しく加え、これに対するいろいろな議論等をやったわけでございますが、海の平常なる温度以上の水、温水を流す場合に、これは海洋を汚濁する、汚染するものになりますか、なりませんか。
  38. 白井和徳

    ○白井説明員 お答え申し上げます。  公害対策基本法の中に、水質以外の水の状態の悪化することを含むということで水質汚濁が定義されておりまして、当然この中には、熱汚染による水質汚濁というものを含むと思います。
  39. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そこで、一番先に私が大臣にお伺いした、海洋汚染するものは何と何であるかという場合に、もちろん当委員会において議論しておるものの中には、廃油を中心とするいろいろなものがございますが、昨日の当委員会において、わが党の佐藤委員並びに社会党の大原委員が、赤潮という問題についてずいぶん質問されましたが、いま瀬戸内海で、この問題でずいぶん起こっておりますのは温水騒動であります。たとえば、ある地区におきまして一日五百トンの温水を海洋に流してくる。それで排出口の温度調査をやったところが、一番高いところが三十八度、低いところは二十三度。ところが、当日における海水の一般の温度というのは何度かということになりまして調査しましたところが、十四度ないし十五度が普通温度である。ところが、港湾一帯について三十八度から二十三度もある温水が五百トン以上どんどん流れ込んでくる。この場合に、この温水は海洋汚染の対象になるかならないかという問題を、いま激しく争われておるところがあるわけなんですが、温水に対するそういう取り締まりというのは、企画庁のほうの水質汚濁のほうではどういうようにいたしておりますか。
  40. 白井和徳

    ○白井説明員 お答え申し上げます。  現行の水質保全法では、先ほど申し上げましたように、水質以外の水の状態を悪化することを含んでおりませんので、現在は温度に及んでおりませんが、ただいま国会に提案中の水質汚濁防止法におきましては、温度の問題を含みまして将来規制対象にしていきたい、かように考えております。   〔委員長退席宇田委員長代理着席
  41. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そこで、官房長にお伺いしますが、海を汚染するものとして、この海洋汚染防止法の中には温水ということはあまり触れていないわけですね。将来温水が水質汚濁防止法その他によって基準をきめられ、いろいろやってきた場合に、この海洋汚染防止法は、そういうものも取り入れて修正する気持ちはありますか、ありませんか。
  42. 高林康一

    高林政府委員 いまの温水の問題でございますが、海洋汚染防止法案におきましては、船舶または海洋施設からの廃棄物でございます。そこでこれらのものにつきまして、今後水質汚濁防止法等によりましていろいろ規制がきめられていきます場合は、これらの温水につきましてもやはり取り入れるように、政令の姿において検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  43. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 海をよごすものとしての温水というものがあるのですが、この関係をやっておりますと時間がかかり過ぎますので、いまの官房長答弁でいいと思いますが、またこれが政令ということばになるので、当委員会では、たびたび政令省令の問題をやっておるわけです。  企画庁からおいでですからついでにお伺いしますが、汚濁防止法で公共用水域の水質の汚濁の状況を、地方公団体は、都道府県知事は常時監視しなければならないということになっておりますね。そうすると、この海洋汚染防止法で海上保安庁のやる仕事との関連は、どういうようにお考えになっておられますか。
  44. 白井和徳

    ○白井説明員 確かに水質汚濁防止法の十五条で、都道府県知事は、公共用水域の汚濁の状況を常時監視しなければならぬということになっております。それで、常時監視という監視の意味でございますが、それは、単に見ていては水質汚濁の状況というものははっきり把握できないということで、これはやはり科学的に測定ということをもって把握していくということで、十六条におきまして、都道府県知事は関係行政機関と協議して、公共用水域の水質の測定計画をつくるということになっております。その測定計画に基づきまして、国及び地方公共団体がそれぞれの地点において十分測定した結果を、都道府県知事に資料として送付するという形において、最終的に都道府県知事が全体を監視しておるというようなメカニズムとして考えておるわけでありまして、この監視の有力な手段としての測定は、これは単に都道府県知事だけではなくて、川にあっては河川管理者、あるいは海上にあっては海上保安庁、あるいは港湾にあっては港湾管理者の協力を得てやっていくことによって、水質汚濁防止に対する監視に万全を期したい、こういう考えでございます。
  45. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうしますと、われわれの海洋汚染防止法の中にも、公共用水域というものをはっきり入れておるわけでありますが、この公共用水域の場合は、主たる監視者は都道府県知事であって、海上保安庁その他はサブ的なものであるというように解釈すればいいわけですか。
  46. 白井和徳

    ○白井説明員 これは、サブ的とか主体とかいうのではなくて、監視について、公共用水域全体については、最終的には、水質汚濁防止法においては県知事が常時監視をするということになっておりますが、それぞれの目的に応じてそれぞれ役目があると思うのですが、少なくともその測定計画において科学的な測定を行なう場合には、国と地方公共団体が一緒になってやる、こういうことでございまして、主体、サブというような考えでなくて計画のシステム化、こういうふうに御理解いただきたいと思うのです。
  47. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私が心配しておりますのは、責任のなすり合いになるのですよ。たとえば、いま私が一番最初に出しました温水の問題がある。この温水の問題で、非常に大きな被害が起きておるのです。漁民が何百隻船を持っていって、工場の温水の排水口に土のうを積んで、旅順港閉鎖をやるのだ、われわれはそのために何十人逮捕されてもかまわないという決意で現在やっておるところがあるのですよ。そのときに、海上保安庁は港則法違反で、逆に漁民のほうを逮捕するのではないだろうか、警察もそっちにいくのではないだろうかという問題があって、それでもやる、こういう問題になっておる。そのときに、この常時監視ということですね。それだから温度を全部はかってくれ、どこがはかってくれるのだ、これは港の中に落ちるのだから、都道府県知事がはかってくれるのか海上保安庁がはかってくれるのか、どこがやってくれるのかというような問題が、法律以前の問題として起こっておる。  ところが、実際折衝してみると責任のなすり合いですよ。まあまあ待ってくれと、どこもかしこも言ってきておるということで、海洋汚染防止法におけるところの海上保安庁の役割りというものと、水質汚濁防止法における都道府県知事の常時監視という場合の権限の問題についてはっきりしておかなければ、海上保安庁に行ったらいい返事をしてくれない、都道府県知事のところに行ったらいい返事をしてくれない、漁民はこれをどこへ持っていったらいいかということで、決死隊をつくって、何十人逮捕されてもやむを得ぬということまでありますので、はっきりしたものをつくってもらわなければいけないということなんです。サブであるとかメーンであるとかいうのは、ことば表現でおかしいかもしれませんが、そういう監視をし測定してくれる責任者は、それぞれ海洋汚染防止法、水質汚濁防止法において完全な話し合いがついておるのではないですか。
  48. 白井和徳

    ○白井説明員 水質汚濁防止法は、少くとも工場、事業場から出る排出水による公共用水域の汚濁全体について、工場、事業場を規制していくという法律でございまして、それによりますところの汚濁全般につきましては、水質汚濁防止法に基づきまして、第十五条でもって都道府県知事に常時監視の義務を課しております。ただ、先ほども申し上げましたように、その常時監視ということは、具体的な手段として測定ということ、したがってその測定については、国もやっておるし、県も独自にやっている場合もあるということで、その測定をいわゆるシステムを組んで効率的にやっていく、責任のなすり合いがないように測定計画の中でもって十分調整してやっていく、こういう趣旨でもって計画をつくるということになっておりますので、その計画に基づいてやれば、お話しのようなことはないようになると思います。われわれは確信しております。
  49. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 時間がありませんので、この問題はこの程度にしまして、港湾局長おいででございますので、港湾局長にお伺いします。  当委員会において、自家用廃油処理施設としての第三十四条の問題がいろいろ議論されておるわけでございます。これは石油業者が設ける専用埠頭というのがありますね。その専用埠頭その他船舶向けの施設には、廃油処理施設を義務づけたらいいんじゃないかという意見等が非常にあるわけでございます。そこで、当局にいただきました資料をもとにしまして質問してみたいと思います。  先般、いわゆる東京湾におけるいろいろな問題が起こったので、これを視察あるいはまた調査いたしたことがあるわけでございますが、川崎に設けられております廃油処理施設は、能力が一日二千五百トンだ。ところが、利用実績というものを調べてみますと、一日千百七十五トンしか使ってない。あるいは横浜市の設置されてある分を調べてみますと、能力は一日千五百トンだ。ところが、実際利用実績は百五十一トンしか使ってない。あるいは千葉県に設けられておる能力は、一日二千トンの能力がある。ところが、利用実績は驚くなかれ一日五十トンだ、こういうのです。五十トンですよ。二千トンの能力があって五十トンしか使ってない。  まず私が一番最初にお伺いしたいのは、川崎は二千五百トンの能力があって、これは大体マスコミや皆さん方の圧力で、多くの船がこれはいかぬということで使ってもらっても千百トンだ。ところが、千葉は二千トンの能力があるところに五十トンしか一日使ってない。これはどういう現象でこういう問題が起きたのでしょうか。
  50. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま御指摘のとおり、利用度がはなはだ低いという御指摘でございます。そのとおりでございますが、ただ川崎のほうは、結局千葉、横浜よりも約一年早く供用開始いたしたわけでございます。そういう意味では、一般のPRが相当行き届いておるというふうに理解しておるわけでございます。特に千葉につきまして非常に悪いけれども、実は、使い始めました期間がかなり短いという点もあろうかと存じます。それからなお、施設整備港の指定がおくれまして申しわけない次第でございますが、川崎と横浜、千葉を比べますと、かなり川崎のほうが早く進んでおったという点もあろうかと存じます。
  51. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうしますと、今回の海洋汚染防止法のこういう一連の法律その他をやっていきますと、利用実績はふえるとお考えでしょうか、限界に近いぐらい。また、一日この港は二千五百トン、ここは二千トン、ここは五百トンというような能力がありますね。この能力というのは、たとえば水バラストが何ぼ、ビルジが何ぼ、あるいはタンク洗いが何ぼ、その他の船舶の材木や何かのかすが何ぼという、大体の入港する船舶の量その他等を計算しておやりになったのでしょうか。それとも、試みにこの程度でいいというところでおやりになったのでしょうか。どうなんですか。
  52. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 いま御指摘のございましたのは、港湾管理者がつくっている施設でございますが、各港へ一応入ってくる、これは港によってずいぶん違いますけれども、たとえば石油精製工場を持っておるものは、油を積みにくるタンカーが多いということで水バラストが非常に多い。しかし、造船所のあるところですと修繕船が参りますから、今度はタンククリーニングの汚水というふうに、特徴があろうかと思います。各港によりまして、そういう水バラストの問題あるいはタンククリーニングの問題というように重点的に別にやりますけれども、港湾管理者がやりますのは一般の船というものを対象にいたしますので、どちらかといえば水バラストの小さい船が主になろかというふうに考えております。そういうものを配分いたしまして港ごとにやりまして、港湾管理者が残ったものを拾うという姿で考えております。
  53. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そこで、いま局長から港湾管理者と民間の問題が出てきましたが、今後こういう廃油処理施設は、幾つくらいの港で一カ所できるように計画を指導されておりますか。
  54. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 新しく本法が施行されますと、小さな船がたくさん対象になります。したがいまして、いままで予定していなかった港、小さな船が入る港がふえようかというふうに考えております。それで、現在約三十四港考えておるわけでございますが、これはいずれも大きな港でございます。これ以外に比較的小さい港が、やはり三十港以上くらいは追加してやらなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。
  55. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それで、当委員会で石油業者が設ける専用埠頭の問題が出るのですが、港湾局からいただきました資料を見ますと、「処理施設整備総括表(四十七年末)」というところに、石油関係として港数二十六に廃油処理施設をつくるのだ、造船所が六カ所だ、専門業者がやるのが十カ所、その他一カ所、港湾管理者がやるのが三十五カ所、港数において合計六十六だ、そして個所数において八十八だ、こういう資料等もいただいておるのですが、別に現在の「廃油処理施設整備状況一覧表」というのを資料要求してもらっておるのを見ますと、たとえば茨城県は、茨城県がやっておるのと鹿島石油がやっておるのとありますね。あるいは千葉県へいきますと、富士石油、出光興産、極東石油、こういうものの処理能力がそれぞれ二千トン、三千トン、二千六百トンというようになっておりますが、この二十六石油関係の施設ということでいきますと、専用埠頭を持っておる石油関係業者はほとんど全部か、あるいは何割くらいがこの廃油処理施設を持つようになるのですか。
  56. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 石油精製業者は、大体自分の精製過程においてそういう処理施設が要りますので、それをあわせて使うという意味で、極力全部使えるようにということでございます。
  57. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 ちょっと私の質問申し上げたのを局長さんは誤解されておるのじゃないかと思いますが、当委員会質疑しておる中で、石油業者が設ける専用埠頭その他船舶用の施設に、廃油処理施設を、法案の中で義務づけたらどうだろうかという考え方意見が出てきておるわけですよ。ところが実際は、石油業者はいまでも相当やっておる。そして四十七年末までには、港で二十六、個所で三十六カ所やるという計画表をもらっておるのですが、それは現在石油業者が持っておる専用埠頭その他の関係において、全部か、八割か七割かということをお尋ねしておるわけです。
  58. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 全部というふうに理解していただいてけっこうでございます。
  59. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうしますと三十六カ所は、現在石油業者の持っておる製油その他の施設として全部であると判断していいわけですか。
  60. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 石油精製工場がございますが、これは大体全部網羅しておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  61. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私はこの石油業者という概念の中に、たとえば漁港で十トンや二十トンのタンクを港に設けて、これを漁船に積んでやるようなサービスをしておる石油業者がありますね。ところが、これが全部義務づけられるようになるとたいへんだということで、この法律改正といいますか、これはどうも不十分だという皆さん方の意見に対して、それはちょっと検討する余地があるということ等を言っておったわけですが、そういう点をはっきりしなくてはならぬわけで言っておるのですが、これは港湾局長の管轄ではないのですけれども、漁港の大きなものというのは、八戸その他ずっとありますが、こういうところには、現在どの程度の施設ができておるか、御存じですか。
  62. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 私のほうは的確につかんでございませんけれども、まず御指摘のような八戸港とか、あるいは下関というのはすぐそばに商港がございまして、両方一緒に使えるという意味では、漁港区の中にあるいは漁港の中に、そういう処理施設はないのではないかというふうに思います。
  63. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それではもう一点、廃油の処理施設についてお伺いしますが、これは港湾局が指導するしかないかという問題なんです。  石油関係業者あるいは造船関係業者が廃油処理施設をつくりますね。これは一般向けに開放させて、中小船舶その他のものに利用さすように指導されますか。それとも、うちのつくった施設だから、うち以外に使わせないとするのか。この問題については、どういう指導をされる方針ですか。
  64. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 これは現在、現行法によりましても、各港の製油所につきましては、一般に開放してくれというように指導して、港湾管理者その他関係者と現地でも話し合いをしてもらっております。
  65. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 わかりました。この問題はこの程度にいたします。  その次は、三十六条の「港湾管理者への勧告等」ということでございます。「運輸大臣は、」云々とずっとあって、最後に、「所要の廃油処理施設を整備すべきことを勧告することができる。」ということがあります。公害委員会の連合審査会あるいは今回政府が提案されました公害関係法案その他につきまして、これはとりようでいろいろなことがあるわけですが、勧告では弱過ぎる、命令ということにしないと、ほんとうにそういう施設をしてくれないんじゃないかという意見等が出てきておるわけでございますが、まず勧告と命令というものについての法的な違いを、官房長あるいは審議官にお伺いしたいと思います。
  66. 見坊力男

    ○見坊政府委員 勧告と命令との違いといえば、端的に申し上げれば、命令は非常にきつい、勧告は勧告でございます。しかし、この法律の中で勧告ということをいっておりますが、港湾管理者は実質的に地方公共団体でございます。それで、地方公共団体は公害防止に関する責務を有し、またその施策を実施しておるところでございますし、実際問題として、運輸大臣が勧告をした、それで地方公共団体がこれに従わないということは、起こらないというふうに考えます。  また、運輸大臣が港湾法四十八条によりまして、重要港湾以上については、港湾計画提出させてそれを審査する、そして必要と認める場合には変更を命ずるという規定が港湾法上ございます。また港湾法の規定によりまして、港湾管理者の業務としまして、廃油処理施設を設置すべき旨の業務規定もございますので、この立て方としては勧告ということになっておりますが、実質的には非常に強い規定であるというふうにわれわれは考えております。
  67. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 いまの審議官の答弁は、最後の強い規定であるというところが正味の味であったと思うのですけれども、もし、勧告して港湾管理者が聞かなかった場合に対する制裁あるいは処罰というものは、どういう方法がありますか。
  68. 高林康一

    高林政府委員 勧告と命令は、この場合、地方公共団体に対しましては実質的に同一の効果を持つものと思います。港湾管理者は港湾法二条の規定によりまして、当然地方公共団体でありますから、中央が地方公共団体に対して命令をするということは、地方自治法の精神から見て妥当でないということで、ここは実質的には命令というような機能を持つものでございますが、勧告ということで担保しておるわけでございます。  これに対して、違反にいかなる制裁があるかということでございます。これについては、先ほど審議官が申しましたように、四十八条によりまして、当然運輸大臣はいろいろ港湾計画について修正を要求することができる。最終的にそれが担保されないときいかようにやるか。これは、地方公共団体とそれから国との関係の問題でございますけれども、これは予算、公共事業費その他の措置を通じまして、とにかく港湾法におきまして、当然港湾管理者の責務というふうになっておるところでございますから、実質的には十分担保され得るものと考えております。
  69. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 もう時間がないので、いまの程度で三十六条を飛びまして、ちょっと四十四条の内容についてお伺いしておきたいと思うわけでございます。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕  四十四条は、「港湾における廃棄物処理施設等の整備計画」でありますが、これは本法案を通じて全体でも言えることでございますが、いろいろな点で不十分だという意見は出ておるわけでございます。  そこで、これは港湾局長にお伺いするのがいいのか、官房長にお伺いするのがいいのか、条文を見ますと、「船舶又は海洋施設から廃棄物排出され、海洋汚染されることを防止するため必要があると認めるときは、当該港湾において廃棄物処理施設の整備が促進され、及び廃棄物の処理場所が確保されるようこれらの建設又は配置について港湾法第四十八条第一項の計画その他の港湾の整備に関する計画に定めなければならない。」こうあるわけですが、この場合に、一般の船舶が港へ入ってきて、一般の船舶が廃棄する一般廃棄物、これは四十四条の中に入るのでしょうか、入らないのでしょうか。
  70. 高林康一

    高林政府委員 四十四条につきましては、船舶または海洋施設から廃棄物排出される場合においての規定でございます。一方、第三条の「定義」の規定におきまして、廃棄物とは「人が不要とした物」ということでございますので、当然この一般廃棄物はここに包含されると解しております。
  71. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その場合、具体的な質問になるわけですが、船舶が港湾へ入ってきますね。そのときに、さっきも問題になりましたバラストとかいろいろな問題は正式の施設がありますね。ところが、一般の船から出る一般廃棄物について施設しなければならないという、その施設の解釈ですが、たとえば、一般家庭にごみをとりにくる収集車がありますね。これは清掃法の改正でわれわれも議論したのですけれども、各家庭にごみをとりにくる収集車があります。それと同じように、特定の一定の限られた港湾の中に、一般船舶が持ってきておる一般廃棄物を集めて歩く、例の陸上におけるごみの収集車のようなもの、これは施設の中に入りますか、入りませんか。
  72. 高林康一

    高林政府委員 これは、収集船につきましては、廃棄物処理施設としては、この場合入らないと考えております。
  73. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 港湾局長、これはまた非常に問題になるのですよ。ざる法ざる法であるゆえんであると、こう言われるようになるのです。港湾局長は港湾管理者を指導して、こういう一般廃棄物収集船のようなものを持たすような考え方はおありですか、おありでないですか。
  74. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 現在、御承知のように各港の中でごみがたまった場合、これは港湾管理者だけではございませんけれども関係業界その他が金を集めまして、各港によりまして違いますけれども、特殊法人をつくったりあるいは任意団体にやらせております。ただいま御指摘のございましたようなものにつきましても、現在そういうごみ処理船などを持っておりますから、そういうもので一緒に考えたらというふうに現在考えております。
  75. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 これは、野党の皆さんが言うとおりです。まず、これは取りにくるだろうか、たいてい来ぬのじゃないだろうか、その次には、収集船が集めたものを、一体どこに持っていって処理するんだろうか、適当なところに捨てたら同じじゃないかという議論等も出てきておるわけですが、各港湾によって収集船を持っておるところ持ってないところ、ばらばらですが、港湾整備計画の中に、こういう問題についてのはっきりした指導を打ち出す気持ちは、おありでないですか。
  76. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 港湾整備計画と申しますのは、新しく港湾を開発するというのが主になっておるのでございまして、いま御指摘ございますような点は、むしろ港湾管理という面に属すると思います。現実に港湾管理の面で、港湾管理者は管理水域をきれいにするために、しゅんせつ船を持っておるというのが実態でございます。
  77. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その場合に、そういう船を持っておるのが、集めてから処理する施設を持っておる港湾はどの程度あるでしょうか。
  78. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 現実には、集めまして、揚げる場所をきめまして、それからあとは市中の生活廃棄物と同じようにごみ処理になる。焼却場その他に運ぶ場合もございますし、それから港によりましては、埋め立て予定地に運搬して、埋め立て地の中に閉じ込めてしまうという方法も講じております。たとえば、東京湾の夢の島のような場合でございますと、むしろ一般の陸上の生活廃棄物というか、その中に一緒に入れるという措置も講じてございます。
  79. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 時間がきましたので、私の質問はこれでやめますが、最後に一つお伺いします。  きのうも瀬戸内海の赤潮が問題になったのですが、政令省令がないのではっきりわからぬわけですが、瀬戸内海には屎尿処理として捨てさせる場所を決定するつもりですか、しないつもりですか。太平洋の沖まで持っていかなくてはならぬように将来はするわけですか。全国的に見ますと、一日一万四千キロリットルの屎尿が今日海上に投棄されております。私たちは、この海洋汚染防止法の非常に大きな問題点といたしておりますのは、屎尿投棄船はこういう船で、こういう帳簿を備えて、こういうふうに記号をつけなければならぬというので、海洋に屎尿を投棄するのを奨励しておるような気持ちさえ、最初の段階においては持ったわけです。そこで厚生省を呼んで調べてみましたら、屎尿処理計画の五カ年計画というのを、第一次、第二次とこうやっておる。今日幾ら捨てておるのだ、こう質問しましたが、一万四千キロリットルだ。一万四千キロリットルということは、昨日の答弁でも明らかになったと思いますが、一キロが大体一トンだ、こういうのですね。そうすると、毎日一万五千トンのおわいが海洋に投棄されております。  そこで、先ほど關谷先輩からも御質問がありました十条、四条というところの省令政令という問題が出てくるわけですが、世界の公園といわれておる瀬戸内海が非常によごれてしまって、海水浴もできなくなった。大腸菌は出るわ、あるいは海洋そのものについては、赤潮問題あるいは温水問題、次々といろいろな問題が出てきて、まさに洞海湾とか東京湾とかいろいろな問題が出てきましたが、このままほっておきますと、瀬戸内海そのものも洞海湾と同じようになってしまうということですが、瀬戸内海のどこかに海洋投棄を認める方針ですか、方針ではないのですか。
  80. 高林康一

    高林政府委員 屎尿の瀬戸内海投棄については、これを禁止する方針で今後考えてまいりたいと思います。  ただ、現行清掃法におきましては、これが一定区域認められております。したがいまして、先ほどおっしゃいました五カ年計画等の状況を見て、逐次その政令範囲において禁止区域を拡大するというような措置で、最終的には、瀬戸内海においてこれらの廃棄を禁止するという段階に早く近づけたいというふうに考えております。
  81. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 最後。そうしますと、この法律を読んでいきますと、たとえば屎尿投棄は、あるいは廃油処理施設も同じことですが、その廃油処理施設をつくる計画は、たとえば廃油処理施設の場合は、四十七年末で大体完備する。採尿処理は昭和五十年までかかる。こうなりますと、そういう時点において、こういうものを完全に海洋に投棄させないという本来の原則に返るような修正等は、あるいは厚生省が約束を守らぬ場合には、そこまで持っていく決意がありますか、法律改正をするという。
  82. 高林康一

    高林政府委員 御指摘ございましたように、海洋における投棄というものは、原則的に禁止されております。したがって、当然禁止が前提であると思います。その場合におきまして、私どもといたしましては、この政令で投棄方法、排出方法を定めます場合に、いまおっしゃった御趣旨によって関係各省と十分協力して、その原則を貫くように進めていきたい。将来は、これらの点を目途にいたしまして、全体的な行政の姿勢を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  83. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 これで終わります。
  84. 福井勇

    福井委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  85. 福井勇

    福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮井泰良君。
  86. 宮井泰良

    ○宮井委員 数日間にわたりまして、海洋汚染防止法案に関し、いろいろと同僚議員から真剣な質疑が行なわれてきたわけでございますが、私はこの質問をするにあたりまして、国会の閉会中、瀬戸内海の汚染状況を調査いたしました際に、われわれの調査船のまわりに漁師の方々が船で集まってまいりまして、漁場を失った漁師の方々が悲痛な叫びをしておったことを忘れられないのでございます。瀬戸内海のハマチ養魚場におきましても二万匹が死滅した、あるいはもう死の海と化しておるということばは、何回かこの委員会でも出ました。私も実際生まれて初めて潜水服を着まして、ヘドロの海にもぐって実態をこの目で見てまいりました。  そこできょうは、死の海といいましても、ことばで言っても実際わからないので、そのときの資料を大臣に見ていただきたい。そして、それから質疑を始めたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。
  87. 福井勇

    福井委員長 どうぞ。   〔宮井委員、写真提示〕
  88. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、いま写真で見ていただいたとおり、あるいはメタンガスが発生し、あるいは水の中はあめ色で三十センチ向こうも見えない。あるいは生体実験をいたしますと、ハマチなどはその水によりまして四、五分で死にました。いろいろな状況で、このままでいきますと瀬戸内海は完全に死滅する、こういう状況でございます。また大きく言いますと、人類の生存の上にも大きな問題であります。  米国のウッズホール海洋研究所の試算では、昨年の世界の石油生産量は十八億トンであり、そのうち十億トンが海上輸送され、その途中タンカーから流れ出す量を〇・一%とすれば、約百万トンに達するといわれております。そして油類が長時間海面をおおうと、海水の蒸発が押えられて水温が上昇する。かつて地球の歴史時代繰り返し襲った間氷期に解けた氷が水位を高め、やがて陸地を水面下にのんだことに思いをいたせば、水温上昇の影響は明らかであります。特に日本の沿岸工業地帯の多くが低地帯にあることを考えれば、人類の将来ということを考えても真剣に取り組んでもらいたい。  このことを要望もし、まず大臣にそれらについて、海洋汚染防止の御決意についてお聞きしたいと思います。
  89. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 御意見全く同感であります。したがって政府は、多少おそきに失しましたけれども、今回の海洋汚染防止法並びに水質汚濁防止法等によってこれらを一日も早く回復したい、また将来防止、いわゆる汚濁しないようにしたいというのが今回の目的でありますので、一時間も一日も早くこの法案を御採決いただくことをお願いいたします。
  90. 宮井泰良

    ○宮井委員 その問題を長くやっておりますと時間がございません。また、私に与えられた時間はわずか四十分でございますので、この間に海洋汚染の問題を討議せねばならないということでございます。私も質問は簡潔にお尋ねいたしますから、御答弁のほうもできるだけ簡潔にお願いをいたしたいと思います。  そこで、この汚染防止法の第十条第二項第三号には、「廃棄物処理法第五条第三項又は第十一条第二項の政令において海洋を投入処分の場所とすることができるものと定めた廃棄物その他政令で定める海洋において処分することがやむを得ない廃棄物政令で定める排出海域及び排出方法に関する基準に従ってする排出」と、ここに廃棄物適用除外ということが出ておりますが、この件について関連のお尋ねをいたします。  まず厚生省にお尋ねいたします。——それでは、厚生省は来てないそうですから、あとへ譲ります。  その問題はあとにいたしまして、次に海上保安庁の関係で、海洋汚染状況の監視で、第四十五条では、「海上保安庁長官は、本邦の沿岸海域における海洋汚染状況について、必要な監視を行なわなければならない。」と、このようにございますが、この「必要な監視」というのはどのくらいか。ここはたいへん重要なところでありまして、幾らいい法律ができましても、それを守る体制がないといけない。違反船が出ておるというようなことは、昨日来の同僚議員の質問の中にも幾たびかございましたが、この点を明快に御答弁願います。
  91. 手塚良成

    ○手塚政府委員 この海洋汚染防止法あるいは水質汚濁防止法、そのほか海洋関係いたしますところの法案が施行になりました暁に、一般的な海洋における汚染の監視並びに法令の順守という仕事が、新たに保安庁の仕事になるわけであります。  これをやりますについて、当委員会におきましても再三御説明したかと思いますけれども、私どものほうの船艇、飛行機、こういったものの使用の方法あるいは組織、定員、こういったものについて、特に組織につきましては、公害関係の専門の組織あるいは専門家の養成、そういうことを含めまして、こういった監視に万全を期したい、かように考えております。
  92. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、具体的に海上を監視する場合は、どういう方法をとられますか。
  93. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私どものほうの保有しております船艇約三百隻ございます。航空機二十一機、ヘリコプター等一般の回転翼航空機でございます。これらの船艇と航空機の配属につきまして、まずこういった問題の起こる重点的な場所に配属をする。これらの使用にあたりまして、航空機などは特に監視に非常に有効であり、またヘリコプターが非常に有効でございますので、こういったヘリコプターの配属についても同様に公害問題の多発する地域に置く。特に船艇につきましては、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、こういった地域については、これは問題の非常に多いところでございますので、重点海域といたしまして、常時二隻ないし五隻の配備、監視船を出そうというふうに考えております。  組織等につきましては、これはやはり何としても公害の専門家、専門の組織が必要でございますので、本庁をはじめとしましてそういった重点的な場所の管区本部に公害専門の組織、通称私ども公害監視センター、あるいは現在十月一日から公害班というのを置いてやっておりますが、そういうものの設置をして重点的、専門的に当たらせる、かように考えております。
  94. 宮井泰良

    ○宮井委員 ただいま船の話が出ましたが、私の聞くところによりますと、船の監視ではどうしようもないということでございます。と申しますのは、あそこで巡視しているぞ、巡視船が見えておりましたら、一般の船は不法投棄はしないのでございます。したがって、船の監視というものは非常に効力を発しない、このように聞いておりますが、いかがですか。
  95. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私は、取り締まるという面からだけではなくて、やはりこういった不法投棄をさせないということが必要でございますので、船自体で取り締まって犯罪を検挙するという以前に、やはり船がいればそういう不法なことをしないという効果は、それはそれとしてあると考えております。具体的ないままでの事例で、船自体でそういった検挙をするということは、十分過去の実績がございます。  ただ、これは行動の範囲が狭いし、スピードの問題もありますので、やはり今後は飛行機を多用いたしまして、飛行機と船との連携ということをやりたい。飛行機で上から見ますと、油が帯状に浮いておるというのは非常によく見えます。そういうことを多用をいたしたい。しかし、これらにもやはり限度がありますので、さらに私どもで考えなければならないと思いますのは、機器の研究開発ということを進めなければいかぬのじゃないか。船自体からどれだけの油が流れるというようなことを、自動的に記録できるようなものを考えなければいけない。あるいは飛行機から、船からという場合でも、油であるかどうであるかということを、捜査しやすいような機器の開発ということを考えなければならないということで、私どものほうで、現に保安大学校の研究室等において、そういうものを指示をいたしまして研究等をやっております。  なおまた、私ども自体のそういった船艇あるいは航空機等だけではもちろん十分ではないとも思いますので、民間の監視体制というようなものの整備もはかっていきたい。こういうことによりまして、官民の協力体制ということも一つの監視機構であろうかと考えております。
  96. 宮井泰良

    ○宮井委員 飛行機の話が出ました。後ほどお聞きしますが、船は抑止力がある、防止するために、検挙というよりも、一歩手前でそのような不法投棄をしないという押えがきくと申されましたが、それに見合うだけの船は、具体的に言いまして、第三管区海上保安部にそれだけの十分な船がございますか。
  97. 手塚良成

    ○手塚政府委員 十分という意味がなかなかむずかしゅうございますけれども、現在配属しております船等を、そういった重点的な配備あるいはパトロール、こういうものに回すのには、現状においてある程度のことは可能である。なお、船の老朽度あるいはスピード、そういうものを勘案いたしますと、予算でいろいろお願いしておりますように、さらに代替建造等を必要とするという事態はございますけれども、現実にいま言ったような問題を解決していくのには、極力そういった効率的な活用のもとにやっていけば、三管本部等においてはやり得ると考えております。
  98. 宮井泰良

    ○宮井委員 満足なお答えをいただいておりませんが、あまり時間がございませんので、それでは飛行機のほうに移ります。  飛行機といいましても、私の知っている範囲では、船を観測、識別するのには非常に低空飛行せねばならぬ、こういうふうなことで非常な危険な行為が伴う。したがって、ヘリコプターが必要である、このように感じておるわけですが、その点はどうですか。
  99. 手塚良成

    ○手塚政府委員 いま御指摘のとおりでありまして、飛行機でスピードが速いというのでは、そういう油などの識別が困難であります。むしろヘリコプターでスピードを落として、しかも相当程度低くおりられるということが必要でありますので、そういう意味で、ヘリコプターが非常に効果的であると考えます。
  100. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、ヘリコプターが効果的であるというふうにお答えになりましたので、この第三管区においてヘリコプターは何機あるか、お知らせ願いたいと思います。
  101. 手塚良成

    ○手塚政府委員 ヘリコプターは、三菱のS62A型一機、シコルスキーS58型一機というので、三管区、羽田を基地にいたしておりますところには、現在二機を配備いたしております。
  102. 宮井泰良

    ○宮井委員 合計何機ですか。
  103. 手塚良成

    ○手塚政府委員 いまヘリコプターが二機、飛行機が三機でございます。
  104. 宮井泰良

    ○宮井委員 この二機で、実際に海上汚染を監視するだけの、見合うだけのものがあると確信をお持ちですか。
  105. 手塚良成

    ○手塚政府委員 パトロールのしかたによりますけれども、これらのもので、東京湾内あるいは駿河湾内を回るのには、この二機が完全実働と考えるならば、相当程度の効果をあげ得ると考えます。
  106. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、なぜこんなにくどくど聞くかといいますと、何も海上保安庁を責めるとか、そういう意味ではないわけで、実際に私は監視に当たってもらいたい。海上保安庁は非常にたいへんな仕事であります。少ない人員の中でやっておるということは十分知っておりますが、これだけのものはぜひ必要なんだ、予算は必要なんだということを提示していただければ、われわれも十分それに御協力いたしましょう、こういう意味でお尋ねをいたしておるわけでございます。  くどくどは申し上げませんが、現在の状態ではやはり監視においてはどうしようもない、こういうことでございますので、四十八廣までに監視体制は完全なものになるか、その予算要求はどのくらいになっておるか。もうあと二廣しかございません。それを実際できるのか、この点をお尋ねします。
  107. 手塚良成

    ○手塚政府委員 いまの三管の例で申しますと、いまヘリコプターが二機、飛行機が三機という状態でございますが、今後の方針といたしまして、飛行機が非常に効率的である、救難の場合を含めまして効率的である。先般大臣からもお話がありましたように、YS11型が一機ございますが、さらに来年一機入れるというようなことを考えておりますし、また、ヘリコプター効用が非常に高いというのはいまお話しのとおりで、さらに大型のヘリコプターを来年はぜひ一機入れたいということで、予算上の要求を考えております。今後の船艇の整備におきましては、数の増強もさることながら、代替建造によって機能の向上をはかった船をつくりたい。非常に古い船がございますので、そういうのをつぶして、そしてトン数を大きくし、スピードを速くするというようなことで考えておりますが、そういうようなやり方におきまして、将来五カ年間に機能を一新したいということで、現在二年目を進んでおるわけであります。
  108. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、重ねてお尋ねしますが、先日から公害班というものの話が出ておりましたが、何人の要員で、勤務体制はどうなっておりますか。
  109. 手塚良成

    ○手塚政府委員 本庁におきます公害班というのが、まず現在六名おります。それから地方の三、四、五、六という管区本部に、四ないし五名という要員を置いております。この要員は、現在のところ、公害の専門要員ということで、この要員自体がもちろん公害取り締まりにも当たりますけれども、さらにその専門知識で、現場におります保安部、保安署の要員を指揮をいたしまして公害の監視に当たる、そういうシステムをとっております。
  110. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、その点をしっかり充実さしてもらいたいと思いますが、一斉取り締まりのことは、わが党の松本議員からも詳しい数字等も出ましたが、検挙された船の数が新聞にも出ておりましたが、その際は、取り締まるぞ、取り締まるぞということを発表しておいてすら、これだけの状態でございます。今後監視体制をさらに考慮し、実効のあがる具体的なものにしてもらいたい。このことについて、最後に大臣にお尋ねします。
  111. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 御意見のごとく、しっかりやってまいりたいと思います。
  112. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは次の問題に移りますが、厚生省、来ましたか。−厚生省がまだ参ってないようでございますので、次に進みます。  第三十四条では、たびたび問題が出ておりますが、自家用廃油処理施設についての規定を設けています。石油業者は専用埠頭を持っているのでありますから、そのような場合は、業者は廃油処理施設をつくる義務があると思いますが、どうでしょうか。
  113. 見坊力男

    ○見坊政府委員 石油事業者は、海洋汚染の責任者といたしましては第二次責任者でございます。直接第一次は船舶からでございます。そこで、第二次責任者に罰則を設けて義務づけるということは、法制的にも妥当でないというふうに考えます。
  114. 宮井泰良

    ○宮井委員 罰則のことを私は聞いているんじゃないのです。義務づけるべきではないか、こうお尋ねしているんですが、いかがですか。
  115. 見坊力男

    ○見坊政府委員 ただいま法制的に申しましたが、義務づけることが適当であるかどうかということにつきましては、現在の石油輸送の体系といたしまして、新たにパイプライン輸送等も考えられておるわけでございます。輸送の形態が、将来の発展に伴って非常に流動的でもございます。法制的な面も考えまして、また現実の面も考えまして、義務づけることは適当ではないということでございます。
  116. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは次にお尋ねしますが、運輸省の原案では、港湾管理者に廃油処理施設を計画的に整備させるとともに、一定規模以上の石油精製業者、造船業者などに廃油処理施設を整備させるものとする、こうなっていたというんですが、間違いありませんか。
  117. 見坊力男

    ○見坊政府委員 案につきましては、大臣からも御答弁申し上げましたように、この案が運輸省の最初の案でございまして、案としてまとまったものの中にそういうものを入れたことはございません。もちろん、事務的にいろいろ議論はいたしましたが、それは案にはなっておりませんで、案として出てきたものはこれだけでございます。
  118. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、それはそれとしまして、廃油処理施設を必要であると考えておるのか、それともこれ以上必要でない、計画以上のものは必要でないと考えておるのか、どちらですか。
  119. 見坊力男

    ○見坊政府委員 法律が全面的に施行になりまして、油の投棄が全海域禁止という大原則になりますと、当然廃油処理施設が整備されてなければならないわけでございます。   〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕 現在、港湾整備五カ年計画の中において、三十四港の五十五カ所という整備計画を進めておりますが、さらに全国的に見た場合に、三十数港の港について施設を整備しなければならないという状況でございますが、それらを合わせまして、法律の施行までにはその整備が間に合うという計画で、現在進めておるわけでございます。
  120. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、いま間に合うというお話でございました。港湾局長も午前中加藤委員に答えて、三十七カ所の施設でも網羅することができる、間に合う、このようなことばが再三出ておりますが、各主要港における廃油総量の予測と、それに見合う処理能力があるか、その点を具体的に数字で示してもらいたいと思います。
  121. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 現在計画してございますのは三十四港でございます。——例示でよろしゅうございますか。全部あげるのはたいへんな数字になりますけれども……。
  122. 宮井泰良

    ○宮井委員 わかる範囲で示してください。三十四港ですか、それでけっこうです。
  123. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 これは、処理能力という問題になりますといろいろ問題があるわけでございますけれども、現在三十四港に対しまして、一応発生処理量が千九百万トン程度ございます。ただ、千九百万と申し上げましても、これは油を含んだ水の量でございます。しかも、その内容につきまして申し上げますと、御承知のようにタンカーが持ってまいります油のバラスト水、あるいは船が出しますビルジ、あるいはタンククリーニングをやりましたあとのクリーニング水というふうに、廃油と申しましてもいろいろな種類がございまして、いろいろとそれに対するケースによっておのおの能力が違うわけであります。先ほど申し上げましたように、それに対します年間の処理能力は約三千八百万トンと考えてございますけれども、実は先ほど申し上げましたようにいろいろな態様がございますので、一日当たりの能力というものがさまざまでございます。
  124. 宮井泰良

    ○宮井委員 とにかく、間に合うといいましても、廃油総量とその処理能力というものがはっきりいたしませんと、間に合うかどうかということは言い切れないわけでございまして、もっとその点はこまかくひとつ計算をしてもらいたい。それで、午前中官房長が、命令と勧告では命令のほうがきびしい、しかし、この勧告というものはもう命令と同じようなものです、このように答えたのですが、それじゃ、この海洋汚染防止というきびしい、海をきれいにしていこうという観点に立って、勧告と命令がほぼ同一のものならば、なぜ命令ということはできないのですか。
  125. 高林康一

    高林政府委員 勧告または命令の対象になりますところの港湾管理者は、港湾法上は地方自治法に基づくところの地方公共団体でございます。その地方公共団体に対しまして中央がいろいろ命令を発するということ、このことは、やはり地方自治法の精神、考え方から見まして適当ではない。そこで、地方公共団体は当然固有事務として、また港湾管理者は港湾法によるところの業務として、それぞれの仕事を当然遂行するということが、信頼関係として十分にあり得る。そこで、勧告ということによって実際のことは担保できるというふうに考えて、そのようにした次第でございます。
  126. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、もしやらない人が出てきたらどうしますか。
  127. 高林康一

    高林政府委員 地方公共団体または港湾管理者が、港湾法に基づきますところの業務、これは十二条に規定してございますが、それらの業務を十分に果たすということが、地方公共団体については当然期待され、またそれが固有事務として、みんながその処理をやり得るというふうに考えておるところのものであります。したがって、これは、やらないという場合はまず考えられないというふうに考えております。
  128. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、さらにその点が納得いかないのですが、そういうモラル的な問題で自主的にやらすというのか、そこを明確にうたっておく必要がある、このように思うわけです。まあ石油業者などは、海の汚染を防止するという国民の公共的な立場に立ちまして、当然廃油処理施設を設けるべきだ、そのために国も施設の援助をしておるわけですから。くどいようでありますが、その点、義務規定をきめて条文をつくる考えはないか。そうでないと、タンカーなどの廃油の投棄規制をきめても、これでは法律の実効はあがらない、このように思いますが、もう一度お答え願いたいと思います。
  129. 高林康一

    高林政府委員 これらの港湾管理者は、地方公共団体としての職能上当然果たすということで、あくまでも地方公共団体にいろいろの仕事をやらせるということを、公害防止全体といたしまして、それを前提として考えておるわけでございます。その点は、地方公共団体はその責務として十分やっていく。  また民間事業者につきましては、けさほどの答弁にもございましたように、これらがそれぞれの自分の仕事としてやっていくということは、当然廃油処理施設等についても考えられるというふうに思っておる次第でございます。
  130. 宮井泰良

    ○宮井委員 そういう議論をしておりますと時間がありませんので、次に移ります。  先ほどの海洋汚染防止法の第十条第二項第三号に関係いたしましてお尋ねをいたしたいと思いますが、廃棄物処理法案第五条第三項、「市町村が行なうべき一般廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準並びに市町村が一般廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準は、政令で定める。」こうなっておりますが、まずこの「政令で定める。」とあるその政令内容はどうなっておりますか、お伺いします。
  131. 榊孝悌

    ○榊説明員 収集、運搬等の基準につきましては、これは、それらが環境衛生上支障がないような方法で行なわれることを担保するための基準でございます。この場合焼却等を含みますが、焼却のいろいろな技術的な基準、それから最終的にはそれが埋め立てまたは海洋処分等の処分になるわけでございますが、その場合の埋め立てなら埋め立て、これはその後の生活環境汚染することのないような技術的な基準が定められます。それから海洋を処分場所とすることができるような、そういう性質のものについては、海洋汚染することがないような、そういう状態まで処理した後に海洋処分する、こういうふうな技術的な基準が内容になると思います。
  132. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、屎尿投棄の場合はどうですか。
  133. 榊孝悌

    ○榊説明員 屎尿の海洋処分につきましては、私ども現在五カ年計画を策驚いたしまして、むしろこれは将来解消すべきものとして、現在陸上の施設の整備をはかっております。これは下水道の整備計画とあわせた形で、最終的には、下水道に水洗便所による処理というふうなものが適切でございますが、その間の補完的な立場として屎尿処理の施設の整備をやっておるわけでございますが、これにつきましては、最終的にはこれは解消したいと考えております。しかしながら、非常に人口集中度が激しい地域とか、そういう地域におきましては、現実のところ海洋処分をせざるを得ない状態がございます。これも年次計画等によりまして、こういう地域は特に重点的に整備をはかりまして、こういうものはできるだけ早急に解消したいと思っております。  しかし、その段階での海洋処分の方法につきましては、海洋を可能な限り汚染しないような一時的な処理、たとえば來雑物を除去するとか、あるいはこれのある程度の拡散が非常に急速にできるような状態までにする、あるいは細菌学的に問題のありますようなものにつきましては、これはある程度の消毒その他を行なうとか、そういうような措置をした上で海洋処分をするというような方法で行ないたい、このように思っております。
  134. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、その件で東京湾はどうする、瀬戸内海はどうする、伊勢湾はどうするという具体的な計画はありますか。
  135. 榊孝悌

    ○榊説明員 現在、東京湾につきましては、海洋への投棄ということは禁止されております。それから瀬戸内海等につきましても、一部残っておる地域がございますが、これについても禁止されておる地域が非常に多うございます。  この問題につきましては、将来は海洋汚染防止法のほうで、実は投棄場所については政令で定められることになっておりますので、われわれのほうとしては、やはり定められた地域以外には、そういうものは海洋処分できないということになります。
  136. 宮井泰良

    ○宮井委員 私のお尋ねしているのは、禁止区域外の投棄のことです。それでそのことは厚生省が所轄ですから、その点をお尋ねしておる。
  137. 榊孝悌

    ○榊説明員 禁止区域内についての投棄の問題でございますか。
  138. 宮井泰良

    ○宮井委員 外です。内は絶対禁止されておるのです。もちろん当然です。内なんかに流したらたいへんですよ。不法投棄ですよ。
  139. 榊孝悌

    ○榊説明員 禁止区域外の投棄につきましても、屎尿につきましては、先ほどお話ししましたように、これは今後私どものほうとしては海洋処分しない方向で持っていきたいということで、これは昭和四十二年以来実は年次計画で、この解消策をはかっておるのでございます。しかし、先ほどお話ししたような事情で、まだそういうことが解消できない地域もございますので、それにつきましては、先ほど申し上げたような、海洋汚染することをしないような方法というようなものを、可能な限り講じまして処置をしていきたい、こういうふうに思っております。
  140. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、それはこれからつくる、現在その原案を作成しているのであって、具体的にはまだきまってない、こういうのですね。
  141. 榊孝悌

    ○榊説明員 処分の基準につきましては、技術的にもいろいろ大事な問題がございますので、現在作業をしておりますが、最終的には、先ほど申し上げたような、そういう生活環境保全する上で必要な技術的な基準という形できめてまいりたい、このように存じます。
  142. 宮井泰良

    ○宮井委員 それではいま検討中、このように了解しておきます。  そこで、具体的なお話が出ないので私のほうから申し上げます。清掃法施行令第三条、これには「投棄禁止海域」として「法第十一条第三号に規定する海域は、別表のとおりとする。」とある。そこで、別表においては東京湾あるいは伊勢湾、大阪湾というふうに禁止海域規定されております。ただいまのこれから進めていくという、その具体的な進めていくという問題が、この施行令と同等の範囲であると考えていいか、それとも大幅に変わるのか、その点をお伺いします。
  143. 榊孝悌

    ○榊説明員 ここにきめておりますような投棄の禁止区域というふうなものについては、今後は海洋汚染防止法のほうできめられることになります。
  144. 宮井泰良

    ○宮井委員 汚染防止法のほうできめるといいましても、この清掃法の関係で厚生省の所轄ではないのですか。あなたのほうがそれをきめて海上保安庁は協力してそれを監視する、こういうことじゃないですか。
  145. 榊孝悌

    ○榊説明員 投棄場所、投棄場所における投棄の方法については、今後は海洋汚染防止法によって行なわれる、こういうことになっております。
  146. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、時間がありませんので一歩進めまして聞きますが、昭和三十二年に、清掃法施行規則の中の別表にあります投棄禁止区域が適用されておりますが、投棄禁止区域の内外にわたって、海流調査をやったことがありますか。
  147. 榊孝悌

    ○榊説明員 実は、この施行令を改正いたします時点では調査をいたしております。その後については、国としては調査をいたしておりません。
  148. 宮井泰良

    ○宮井委員 直後にやったんですか。もう一度聞きます。その以前はどうですか。
  149. 榊孝悌

    ○榊説明員 その前の段階でやっております。
  150. 宮井泰良

    ○宮井委員 やったのなら、その具体的な、どういう方法でどういうふうにやったか教えていただきたいと思います。
  151. 榊孝悌

    ○榊説明員 実は、いま具体的な資料を持っておりませんのですが、この当時の調査といたしましては、水産庁、海上保安庁等も御協力いただきまして、海水の汚濁状況の調査あるいは海流の調査、そういうものを行なっております。
  152. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは伺いますが、これは春夏秋冬、四季によって海流の変化があるだけではなく、海は生きておるわけでございまして、全体的に大きく海流が変化しておる。こういう状況でありますし、まして瀬戸内海というふうなところにおきましては、海流が全然変わらない。そういったところにおいては、私は常時、ときどき定期的に海流の調査を行なわなければならないと思いますが、どうですか。
  153. 榊孝悌

    ○榊説明員 その必要はあると思います。
  154. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、これからそれをやるお考えはありますか。
  155. 榊孝悌

    ○榊説明員 今後の調査につきましては、海洋汚染防止法のほうで調査をされるということになると思います。私どものほうも、関係の機関として十分協力をしてやっていきたい、このように考えております。
  156. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、運輸省のほうではその点どうですか。
  157. 見坊力男

    ○見坊政府委員 海洋汚染防止法の第四十六条にその規定がございますが、「海上保安庁長官及び気象庁長官は、水路業務又は気象業務による成果及び資料を海洋汚染の防止及び海洋環境保全のために活用するとともに、これらの業務に関連する海洋汚染の防止及び海洋環境保全のための科学的調査を実施するものとする。」こういうことでございます。海上保安庁及び気象庁において調査を実施することになります。
  158. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点を、きちっとこれから調査をしてもらいたい。  実は、時間がないから最後にしますが、瀬戸内海の屎尿投棄船も見てまいりました。現場において実際見まして、その処理段階において酸化第一鉄というふうなものがまざって、それが魚に害を与えてそうして死滅していく、あるいは瀬戸内海が汚染されておるという状況も、私は実際この目で見てまいりましたが、そういった点につきましても、海流の調査等を十分やっていただきまして、この海洋汚染の防止に当たっていただきたい。  以上、要望いたしまして、最後に大臣に一言、その点をお答えいただきまして、私の質問を終わります。
  159. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 いろいろ貴重なる御意見を拝聴いたしましたが、その御意見を十分に参酌いたしまして、極力この法案の目的を達成したいと思います。
  160. 箕輪登

    ○箕輪委員長代理 角屋堅次郎君。
  161. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、議題になっております海洋汚染防止法案につきまして、大臣をはじめ政府委員の方々に質問をいたしたいと思います。  本来ならば、海洋汚染防止法案関係は、私が直接所属しております農林水産委員会に非常に関係のある問題でありまして、時間が許せば連合審査という形が望ましいわけでありますが、必ずしもそういう事態にまいりません点もございまして、委員の差しかえをお願いして、持ち時間三十分ということでありますが、その範囲内で所要の質問を申し上げたいと思います。  最初に、これは大臣もしくは外務省関係でもいいわけですが、わが党の斉藤さんの質問に対して、過日、本委員会で、海洋汚染防止法案を今回提案いたしましたのは、当然四十四年十月のIMCO総会における海水油濁防止条約改正案、満場一致できまったものを取り入れまして、本法の改正が行なわれたというふうに承知をしておるわけですが、過般の質問に対して、大臣並びに外務省関係から、この改正案については、来たるべき通常国会において国会の批准を求める、同時に、これは三分の二以上の国の賛成が必要になってまいるわけでありますが、そういうことについても、国際会議等を通じて、大臣自身が御努力されるというふうな答弁があったやに承知をいたしております。  この問題に関連をいたしまして、これはIMCOの総会におきましては、四十四年の十一月に、さらに油濁事故が発生した場合における公海での措置に関する国際条約、一般的に公法条約というふうにいわれておりますが、これは日本も含めて賛成三十八、反対がなくて棄権七という形で通ったものでありますが、同時にそのときに、私法条約と一般にいわれております油濁損害に対する民事責任に関する国際条約、この点については賛成三十四、反対一、日本は棄権の国の中に入っておりまして、棄権が十、こういう形で、この問題も国際会議で通っておるわけでありますが、第一番目の問題は、斉藤さんの質問に対して御答弁願っておりますので、この点はけっこうでありますけれども、四十四年十一月のIMCO総会におけるいま言った二つの問題について、政府としては今後どういうふうに取り扱われる方針でおられるか、この辺のところについて、まずお伺いをしておきたいと思います。
  162. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。  いま先生がおっしゃいましたように、現在のこの六九年の油濁防止条約のほかに二つの条約が採択されておるわけでございます。  それで第一のいわゆる公法条約、正確には油濁災害に対する公海における措置に関する国際条約に関しましては、これは内容的には、海難等の結果油濁により生じます重大な危険から沿岸国の利益を守るために、沿岸国が公海上において必要な措置をとることができるという趣旨の条約でございますが、これにつきましては次の通常国会におきまして、今回の六九年改正と並んで国会の御承認を受けるように準備を進めております。  さらに、実はそれをやるにあたりまして、実際に公海上において措置をとる場合どこの官庁がその責任を持つか、こういう問題もございましたので、この点につきましては運輸省といろいろ御協議いたしまして、実はこの海洋汚染防止法案の第四十二条に、海上保安庁長官が緊急の事態の場合には措置がとれるというふうな規定が設けられておるわけでございます。したがいまして、この海洋汚染防止法案が国会で御承認をいただきますならば、その公法条約についてわれわれは加入しても、国際的義務は十分果たし得るようになっておる次第でございます。  次に、先ほど御質問がございましたいわゆる油濁の私法条約でございますが、これに関しましては先生御案内のとおり、この油濁事故を起こした場合の民事責任の原則を書いたものでございまして、詳しく、一般的な無過失責任とか、その他船主の責任限度を規定しておるわけでございます。しかしながら、これに関しましては国内法上いろいろ問題がございまして、まず第一に、わが国の商法におきましては、この油濁私法条約のような金額主義はとっておりませんで、船主責任については最終的には委付と称しますが、船を投げ出してしまえばよいという制度になっておるものでございますから、こういう金額主義の条約に入ることについては国内法上いろいろ問題がある。  そこで、まずその点につきましては、現在法制審議会の商法部会におきまして検討中と承っております。それ以外にも、船主責任の相当な過重になりますので、この点についての保険制度、またそのための基金の設置その他について、現在国際的に協議が行なわれておりますので、その点もわれわれとしては見守っておりまして、さらに運輸省その他と御協議をした上で、この条約への加入について検討いたしたいと思っております。したがって、この私法条約に関しましては、さしあたり次の通常国会に出すことは、ちょっと間に合わないかと存ずる次第でございます。
  163. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの御答弁のうちで、前二者の考え方についてはよくわかりました。来たるべき通常国会に出されるとともに、大臣が過般御答弁のように、これが国際的にも発効いたしますように御努力をお願いいたしたいと思います。  今回、旧法を全面的にといいますか、相当書き改めまして、海洋汚染防止法案というのが提案されたわけですが、まず最初に簡単にお伺いしておきたいのは、もちろんそのとおりだと思いますけれども、今回のこの海洋汚染防止法案は、先ほど申しました四十四年十月のIMCO総会における海水油濁防止条約の改正案というものを、全面的に取り入れて提案をしておるというふうに判断をしておるわけですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  164. 見坊力男

    ○見坊政府委員 さようでございます。
  165. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで、今回の臨時国会は、御承知のように公害国会というふうにいわれるように、政府でも公害対策基本法をはじめ十四の関係法律案を出されまして、それぞれの委員会で鋭意公害対策前進のための審議が続けられておるわけであります。私も数年来党の公害対策委員長などをやっておりました関係上、静岡の田子の浦だとか、あるいは富山のイタイイタイ病だとか、新潟の水俣病だとか、あるいは瀬戸内海、各方面に調査団長で現地に行ってまいりましたが、大臣も御承知のように、最近の空といわずあるいは海といわず、あるいはわれわれの住んでおりますこの大気といわず、環境は悪化の一途をたどっておるわけであります。当面の水に関係のあります河川なり湖沼なり、あるいは港湾なり海洋というふうな関係の問題を考えてまいりましても、水に関しては今回の水質汚濁防止法案、それから海洋汚染防止法案、さらにそこに持ち込まれてくるいわゆる廃棄物処理法案、こういったものが一番関係の深い法律になるわけであります。  そこで、水質汚濁防止法案との関連については、後ほど時間があれば若干お聞きしたいと思うのでありますが、この海洋汚染防止法案は、本法でもうたっておりますように、「この法律は、船舶及び海洋施設から海洋に油及び廃棄物排出することを規制し、」と、以下目的が書いてありまするけれども、いわゆる船舶及び海洋施設から、海洋に油及び廃棄物排出することを規制する前提に立っておるわけであります。いわば海のよごれというふうなのは、その相当部分は担当しておりますけれども、全部というわけでは必ずしもない、こういうふうに考えております。  そこで、あらかじめ言ってありましたので若干御準備を願ったかと思うのでありますけれども条文上で第二章の「船舶からの油の排出の規制」ここでは、原則としては「何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない。」こういうふうにうたっておりますが、あとに、第一項においても第二項においても例外規定がございまして、これは第三項、第四項、第五項、第六項までありまするけれども、そういうことで例外規定がございまして、ある程度の例外的な排出ができるというふうに、御承知のようになっておるわけでありますし、また第三章の「船舶からの廃棄物排出の規制」につきましても、第十条では、原則としては「何人も、海域において、船舶から廃棄物排出してはならない。」こうはいっておりますけれども、「ただし、」ということで、「次の各号の一に該当する廃棄物排出については、この限りでない。」ということで、例外規定が、第一項においても第二項においてもそれぞれ認めた形になっておるわけであります。   〔箕輪委員長代理退席、委員長着席〕 さらに第四章では、先ほど来の「海洋施設からの油及び廃棄物排出の規制」というものがございますし、さらにあとのほうに、御承知のように「海洋汚染の防除のための措置」というところに、大量の油の排出というものが起こった事態においての排出油の除防等についての関連の問題がございます。むしろこの第六章のほうは、いろんな緊急事態なり衝突その他自然の災害の中で起こる、そういうノーマルな形以外のケースを想定しておる内容を多分に含んでおるかと思うのであります。  そこで、そこまでこまかく海のよごれの相対的比重というものを判断できるのかどうかという点については、事務当局としても若干むずかしい点があろうかと思いますが、船舶からの油の排出の規制の条項に関連した海のよごれの総量というものは、一体どれくらいと見ておられるか。第三章にある「船舶からの廃棄物排出の規制」に関連をした海のよごれというものは、全体の中でどれくらいのものだと判断をしておられるか。さらに海洋施設からのものについてもそうであります。それから第六章の「海洋汚染の防除のための措置」というのは、これはウェートとしてはどの程度か、全体から見ればウェートとしては軽いのじゃないかと思いますけれども、これらの実態の問題について、事務当局からでけっこうでありますから御説明願いたい。
  166. 見坊力男

    ○見坊政府委員 船舶からの油の排出でございますが、船舶から出る油性汚水量は年間二千万トン程度と推定されておるわけでありますが、現行の油濁防止法で適用除外となっておりまして新たに適用になった分、つまりタンカーにつきましては百五十トン未満、一般船舶については五百トン未満三百トン以上という範囲のものにつきましては、全体の二二%強という程度でございます。
  167. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 どうもはっきりしない。海洋汚染の問題に関連して、本委員会が始まりましてから私もこちらのほうで、各委員の熱心な質問を承っておりますと、東京湾の問題あるいは静岡の田子の浦問題、伊勢湾、瀬戸内海あるいは北九州の海域、いろいろな地域の現実の問題が提起されておるわけであります。  そこで、特に漁業サイドからこの法律のそれぞれのところに目を向けてまいりますと、先ほども若干御指摘になっておりましたが、第十条の「船舶からの廃棄物排出の禁止」という見出しのところの第二項第三号のところ、これは法律としては廃棄物処理法になるわけでありますが、「廃棄物処理法第五条第三項又は第十一条第二項の政令において海洋を投入処分の場所とすることができるものと定めた廃棄物その他政令で定める海洋において処分することがやむを得ない廃棄物政令で定める排出海域及び排出方法に関する基準に従ってする排出」、これは基本的にはたいへん問題を含んでおるというふうに思うわけであります。つまり、国際的な海洋汚染を防止する全体的な姿勢の中で旧来の条約の改正等を進める、さらにこれを前進させるというような形がとられてまいっておるわけでありますけれども、いわばここでは、一定排出海域あるいは排出方法によって、海上投棄を立法的にも認める根拠規定ということにもなってくるわけでありまして、私どもとしては、海はそういうものをみだりに投棄する場所では絶対ないはずであるという立場から、ここでいう二つの政令がそれぞれどういうふうな内容を含んでおるかという点も含めて、海洋汚染防止という立場から見て、一体ここで取り上げる場合の基本的な考え方というものについて、ひとつお話し願いたいと思います。
  168. 高林康一

    高林政府委員 お答え申し上げます。  ここの三号にありますところの、廃棄物処理法によって「海洋を投入処分の場所とすることができるものと定めた廃棄物」といたしましては、土砂、瓦れき、それから問題がございます屎尿、それから汚泥というものが、もし廃棄物処理法でそういうふうに定めるならば、それを受けとめて、ここにいうところの廃棄物、こう考えるわけでございます。  ただし、その場合におきまして、「政令で定める排出海域及び排出方法に関する基準に従ってする排出」というものにつきましては、たとえば屎尿につきましては、先ほど来御質問がございましたように、屎尿等については五カ年計画によって海洋投棄というものは原則禁止のところへ当然持っていくべきだ、こう考えますので、その最終的な段階におきましては、屎尿というものは全面的に除かれるというふうになるかと思います。その場合、若干の経過期間はあるかと思います。  それから土砂、瓦れきにつきましては、やはり一定の水深以上を有するところの水面、そして一カ所に堆積しない方法というようなものを、この「政令で定める排出海域及び排出方法に関する基準」というふうにして処理してまいったらどうかというふうに考えておる次第であります。
  169. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの御答弁に関連をいたしまして、数カ月来、国の段階でもあるいは県市の段階でも非常に大きな問題になったわけでありますが、この第三号の規定は、たとえば田子の浦に今日生じておるああいう問題の海洋投棄が話題にのぼりましたけれども、そういうものは、この根拠規定とは関連がないというふうに判断をしていいわけですか。
  170. 見坊力男

    ○見坊政府委員 田子の浦のヘドロを船舶に積み込みまして、それを外洋投棄するという場合には、当然本法の対象になるわけでございます。
  171. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本法というのは、この条項ですか。
  172. 見坊力男

    ○見坊政府委員 はい。
  173. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは、基本的に議論をしなければならない問題は含んでおりますけれども、少し始めたら、あと十分だという連絡を受けましたので、次に進みたいと思います。  海洋汚染防止という立場から見て、第八条の油の記録簿あるいは第十六条の廃棄物処理記録簿というもののメリット問題であります。たとえば、海洋汚染で漁業に非常に大きな被害を与えた海域はわかっておる。その場合に、そこを通過した船舶から、油あるいは廃棄物等の処理のいわゆる例外規定に基づいて、本来ならば出たであろうそういうものをさらにオーバーして出るというケースが、最近しばしば出ておりますけれども、この油記録簿あるいは廃棄物処理記録簿というものは、そういう海洋汚染の問題が大きく出た場合において、だれがどこでいつやったかということにたえるしっかりしたものを内容として含んでおるのですか。そこまでの問題についてはなかなかわかりがたいということで、この両者のメリット問題というものについて、少し御答弁願いたいと思います。
  174. 手塚良成

    ○手塚政府委員 油記録簿につきましては、これは船舶に備えつけを強制するわけでございますが、この記録簿の記載事項につきましては、船舶の必要な性能、構造あるいは油に関するポンプの能力、その他所要のことを記録するということになっておりまして、この記録簿のそういった内容と、そのほか船舶に搭載しておりますところの航海日誌あるいは機関日誌、こういうものとの照合をいたしますときに、その油がいかように取り扱われ、いかように排出されたかということの内容が、ある程度わかるというものでございます。したがって、私どもが立ち入り検査といいますか、そういった取り締まりの面から考えますときには、やはりこういったものの効能、効力というものは相当考えなければならぬし、これを処理するという義務は、非常に必要なことだと考えております。
  175. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 第三十八条あるいは第三十九条の大量の油の排出に対する防除問題と関連をして、数日来の議論の中でも、いわゆる海上保安庁を中心にした防災体制、こういうことが、いろいろ機構整備、人員強化という問題と関連をして議論されておりまして、私どもも、この仕事の重要性から見て、基本的に賛成であります。  そこでお伺いしておきたいのは、いわゆる、数年前にすでに国会を通過しております災害対策基本法との関連で、国の防災基本計画あるいは都道府県の地域防災計画という中において、最近のタンカーの大型化その他いろんな問題と関連をして、国はもちろんでありますけれども、県あるいは該当の市まで含めて、国の防災基本計画あるいは都道府県の段階の地域防災計画というものを整備充実する時代に来ているんじゃないか、こういうふうに思っておりますが、これらの問題については、現在どういう現状であり、今後どういうふうにやっていかれる方針であるか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  176. 手塚良成

    ○手塚政府委員 油の排出が大規模で特に必要があるという場合には、いま御質問の災害対策基本法に基づきます災害対策本部というのが設けられ、その対策本部の処置の一環としてこれを処理するということで、災害対策に関する計画の中にも、こういった内容を盛り込むように現在やられておりますし、また、今後その不備なところは強く整備していきたい、かように考えております。  そのほか、本日午前中からもお話がございましたのですが、やはり、こういった海上の災害防除につきましては、それ以外の官民の協力体制というのが非常に必要である。そういうことで、主要な地区、港ごとに大型タンカー事故対策連絡協議会というものを設けまして、官民、関係企業その他メンバーになりまして、必要な防除の機器、施設の整備、あるいは事故が発生した場合における協力体制、そういうものと取り組めるようにして進めております。この連絡協議会、必ずしも全国まんべんなくというふうにでき上がってはおりませんが、少なくともこういった問題の起こる重点地域におきましては、ある程度充実をしておるかと思っておりますが、なお、さらにこういうものも充実整備をはかっていきたい、かように考えております。
  177. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま、他の委員会で議論されております公害防止事業費事業者負担法案、この中で、第二条第二項第二号のところで、いわば海洋汚染防止法案関係のある「汚でいその他公害の原因となる物質がたい積し、又は水質が汚濁している河川、湖沼、港湾その他の公共の用に供される水域において実施されるしゅんせつ事業、導水事業その他の政令で定める事業」というふうな条項が公害防止事業として第二条の中に含まれておるわけでありますが、数日来の議論でも明らかなように、これはいわゆる事業者にその費用の全部または一部を負担させるものとして、国または地方公共団体が実施する公害防止事業ということになるわけですけれども、長年の蓄積で、これとこれとが責任者であるということが不明確な中で、非常に深刻な海洋汚染の状態が現実に出てきておる。やはり公害の予防問題、公害に対する排除問題、あるいは公害にかかわる被害の救済問題、公害対策上はいろいろ問題はございますけれども、現実に相当悪条件にある海洋については、積極的にきれいな海にするということを考えなければならぬ、こう思うわけであります。そういう立場から見ると、公害防止事業費事業者負担法案の中に含まれておるこの第二条第二項第二号の点だけでは、今日の現実の要請にこたえるものとはいえない。  そこで、海洋汚染防止法案の中では全くないかということになれば、運輸省の関係では、それは海洋汚染の防除のための措置、いわゆる三十八条、三十九条、四十条というふうな関連の中に大体考え方としては出ておる、こういうふうに思うわけでありますけれども、あの海域の非常に深刻な状態のところを、海をきれいにして、漁業資源が再び息を吹き返すような形にするというふうな積極的に読める条項というものは、残念ながらこの法案から読み取ることができないわけであります。これらの問題については、どういうふうな考え方で対処されようとしておりますか、お伺いしたい。ひとつこちらのほうから答弁があったあと、水産庁のほうからも御答弁を願いたい。
  178. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 この費用負担法で、漁場が非常に汚染した場合のしゅんせつ土砂あるいは港湾客土等の費用負担の原則が書かれておるわけでございますが、それによって私ども漁場の復旧をやります場合と、それ以外の事情で、たとえば養殖等によって有機物が底にたまって漁場が非常に悪くなったような場合、現に浅海漁場開発事業ということで相当大がかりな公共事業をやっております。なお、そういう大がかりなものではございませんでも、来年度の予算といたしまして、漁場が荒廃した場合の漁場復旧についての相当の努力をいたすつもりで、現在予算の要求をいたしております。
  179. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に、時間の関係もありますから結びにいたしたいと思うわけであります。  最近のこの公害、海洋汚染の状況というふうなものについて、水産庁の調査資料はどうだとかあるいは運輸省関係の調査資料がどうだというようなことでまいりますと、ここの条項の中のあとのほうに、「科学的調査」なんて値打ちのある表現が書いてあるのですが、必ずしも深刻な海洋汚染の状態がクローズアップするような、そういう形になっていないのですね。たとえば海洋汚染防止法案は、県知事というところでは、この海洋汚染の状況についての公表なんという条項はないけれども水質汚濁防止法案の中では、県知事は、水質の汚濁状況について天下に公表することになっておる。ところが、公共用水域と海洋という水域は重なっておるのですね。海洋ははるかに他国までの海を含んでおりまするけれども、しかし、いまさら公共用水域の定義を見るまでもなく、これは重なっておる。そうすると、水質汚濁防止法案では、知事は水質汚濁の状況についてはこれを天下に公表する。公表するところに意味があるのではなしに、そのことも重要でありますけれども、その現状をどう改善していくかというところに大きな目標があると私は思うのです。やはり法律は各省がつくると各省のくせが出るのでありますが、同じようなパラレルな法案については、必要なことについては、やはり均衡を保つということも必要だろうと思うのです。  公害対策基本法のたしか第七条だったと思いますが、いわゆる公害対策について講じてきたところの問題あるいはこれから講じようとする施策については、国会に書類を出すことになっております。そういうところでは、河川といわず海といわずあるいは大気といわず、自然環境汚染の現状はこうである、それに対して従来はこういう手を打っている、これからはこういう手を打ちたいということを当然明らかにしていく。そういうための立法的背景としては、海洋汚染防止法といい、水質汚濁防止法といい、同じようなこういう形にこたえるような体制というものがなければいけない。  ただここで、両法案とも原子力の汚染問題については除去しておるわけでありますけれども、これは今日ではまだ原子力の問題はスタートした数年の段階だろうというふうに私ども思っておりますけれども、これから将来を見渡しますと、ある人は、もう原子力時代に入りつつあるということを言っておりますが、どういう形でこれを今後推進するかは別として、海洋汚染問題の中における原子力汚染という問題が、大きくクローズアップしてくるという可能性はあるわけであります。ところが、原子力基本法の中では、そういう原子力汚染という問題については何ら条項的に触れてない。しかし、水質汚濁といいあるいは海洋汚染といい、原子力汚染というものを含んだ形のやはり全体的な公害把握をしなければならない時代に入っているんじゃないか。そういうものは、各省それぞれのセクショナリズムの中で、それぞれの法律に依拠して、よりかかっておるというだけでは済まない時代になっている。われわれは公害行政の一元化問題ということを基本的に提起しておるわけですけれども、そういうことも含めて、大臣に最後にお伺いしたいのでありますが、今日の公害の現状及び将来の展望の上に立って、特に大臣が責任をもって担当なされる海洋汚染問題、それはやはり経済企画庁等が中心になってになっていく水質汚濁にも関連は十分持っておる。これは重なっておるのです。そういう点で、今後の海洋汚染を中心にした公害対策の基本姿勢について、大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  180. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 お話しのように、将来原子力船等が、あるいは海水自身の別な意味での汚濁ということも考えられなければならぬと存じます。放射能等については厳重な規定がありますから、その点はいいといたしましても、冷却用のための熱湯の問題等、それがどういう程度になるか、これはいわゆる科学調査をまたなければなりませんけれども、そういう問題も将来は検討してまいらなければならないと思います。  ただ、この汚染防止法は、角屋さんも農林水産委員をやっていらっしゃるようでありますから、おそらく漁業界、漁民の皆さん方から非常な歓迎はされているだろうと思うのです。従来は汚濁防止、いわゆる油によるところの防止については一応の規制があった。今度の場合はそれを非常に強化して、より以上にその汚濁度を少なくしようということで、将来油による汚濁は、特に漁場に与えることのないような措置を講じたい。その上に、御承知のように廃棄物をやってはいかぬ。これはたいへんな問題であります。その点においては、おそらく漁民各位は、ぜひともこの法案については早く解決をしてほしいという希望があろうと思います。  ただ、残念ながらこれは日本だけの法律でありまして、国際的には通用いたしません。日本の船が外国に行ってもやれなくなります。そういう意味において、将来国際条約の上においても、単に油による汚濁だけではなくて、廃棄物についても十分に考えてもらいたいという一つの先べんをなす、こういう意味においては海洋環境保全という立場からいうと、かなり重要な意義を持つ法案であろうと存じます。われわれはこの精神を十分に体得し、皆さんの御意見を十分に尊重しながら積極的な姿勢で進んでまいりたい、かように考えております。
  181. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 たいへんどうもありがとうございました。  以上で終わります。
  182. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  183. 内藤良平

    ○内藤委員 私は、十分程度質問いたしまして、あと関連で斉藤委員に御発言をお願いしたいと思います。  簡単にまとめて御質問を申し上げますけれども、きょうまでの審議の中で、省側の御努力はよくわかります。しかし、またなかなか容易ならざることであると思います。私は、こういう例を出すのは当たるか当たらないかわからないのですけれども、私なりに試算をしてみて、こういう点からも考えられるんじゃないか、こう思ったわけです。  いわゆる新全総では、日本で五十年度にはどのくらい石油類を使うかということが出ています。私のつかまえた数量では、エネルギー関係で四億七千四十万キロリットル、この中で七三%は石油類だ。換算いたしますと、五十年度には石油類は三億四千三百三十九万キロリットル必要になる、こういう計数が出ている。これは、わが国には全部船で持ってくるわけですね、国内産は微々たるものですから。これに伴ってどの程度の廃油が出るか。これは私たちの仲間での話では、〇・一%は見てもいいのではないか。間違っておったら指摘願いたいのですが、千分の一ですね。そういうぐあいに考えますと、総体的に相当の数の廃油が出るというぐあいに考えられる。  たとえば、この中でもっと年次が近いのを考えますと、四十四年度の実績では、いま申し上げたような計数の試算ですけれども、石油は一億八千四百八十七万キロリットル入っておる。いまの新全総の五十年までの増加を、年次平均に六年間の年率に換算しますと、大体三〇%ぐらいずつふえるようなかっこうになります。そうしますと、四十五年度は二億四千三十三万キロリットル程度の石油が入る。これの〇・一%廃油を想定した際には二十四万キロリットル出る、こういう状態ですね。   〔委員長退席宇田委員長代理着席〕  そこで、いままでの審議の中では五十五カ所に廃油処理施設をつくる。これは四十七年までの計画でしょう。これはどの程度の処理能力があるか、どういうものになるか、いろいろその場所やその他の関係があるでしょうが、五十五カ所の平均で四千キロリットルの処理能力、これは違いますかな。私の例が違った場合は指摘願いたいのですが、ただ私が率直に言いたいのは、五十五カ所を四十七年までにつくって、それで処理をされる。ところがいま申し上げたように、新全総の計画では、これは計画ですから変わる場合もあるかもしれませんが、年々石油関係が三〇%伸びていく。そういう中で廃油の処理をして、完全ということはなかなかいえませんが、極力海をよごさないということにいけるかどうかということです。これをまず伺ってみたいと思います。私の申し上げたような見方で、新全総によってわが国に入る石油というものを考え、それから出る廃油というものを考えて、それでいまの処理施設でこなしていけるかどうか、これをまず聞きたいわけです。計数的には違っておるかもしれませんが、その点は御訂正願います。
  184. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 数字上のことはまた政府委員からお答え申し上げますが、ただ、問題は二つあると思います。一つは、これだけ海洋を利用して日本に持ってくるのが多くなって、そこで海洋を汚濁することはないかということが一つと、それから廃油がたくさん出てくるけれども、その処理能力に十分なかまえがあるか、こういう二つだろうと思います。  最初のほうの問題は、廃油には関係がないわけであります。廃油は海に捨ててはいけないとなっておりますから、廃油は海を汚濁するほうには関係はない。これは御承知のとおりです。今度国際条約でもって、条約に加盟した国は海に捨ててはいけない。したがって、廃油によって直接に汚濁されることは、加盟しない国もありますから全然ないとは言えぬが、原則としてはない。ただ問題は、それだけ船が激増してまいって、現在法律規定したビルジ、これは国際条約によって規定しておりますけれども、そのビルジの量をこの程度の制限において、船が何十ばいといいますか、たくさん動いた場合に、個々の規制はあっても量がふえた場合に、汚濁するだろうかしないだろうかという問題があると思います。この問題は、外洋においてこの程度の規制をすれば、一応将来ともに海は汚染しないだろうという見地に立っております。これは、私も科学者ではありませんので、数字を計算したわけではありませんが、一応国際会議において専門家が集まって将来の予測を考えて、そこでこの程度規定すれば汚濁しないであろうというところに根拠があるだろうと思います。したがって、第一の問題はそれで御理解願えると思います。  第二のほうの廃油処理施設の問題ですが、一応運輸省の計算では、この計画に従って各地に設置してまいります。この法案が出る前から、三十四港、五十五カ所の計画を進めてまいりましたが、この法案を上程するにあたってなお三十数港を追加して、そうして全国で六十六港で大体間に合わせる、こういう方針でやっております。それによっての処理能力は、これは集め方にもより、あるいは集中する場合もありますから、完全な答えにはなりませんが、その平均しての見解から言うなれば、大体倍近い能力を持っている、こういうことは言えるのであります。ただ、問題はどちらかというと、私の心配しておるのは、収集する能力がうまくいくだろうか。というのは、小船がたくさんありますからね。今度はいわゆるタンカーは全然できないとなると、その小船の連中が道徳的にどうして持っていってくれるかどうか、こういうことは行政指導の問題に入ります。法制上の問題ではない。であるからして、行政的な手段として——収集船等を考えますけれども、はたしていまのような程度計画で、小船のタンカーあるいはその他から持ってくるビルジや廃油を、十分に能力的に集め得るかどうかという問題があるかと思います。これは十分これから行政指導の面の上においてもやっていきたい。  また、先ほど私は大体能力があると申しましたが、それらの料金等の関係からして、なかなか設置がむずかしい場合がいろいろあると思います。そういう場合に、将来考えなければならぬ——これは法案の上ではありません。法案としてはこれでよろしいのですが、そういう場合において、これはやはり国が力をかして、そしてそういうものを設置するということを考えなければいかぬのではないかという事態が起きれば、遅滞なく運輸省としてはそういうような制度、たとえば、外貿埠頭をつくるにあたって外貿埠頭公団というものをつくった。しかし、場所によっては必ずしも埠頭公団ではなくて、いわゆる特殊会社をつくって国がある程度助成してやらせる、こういうことも実際上の行政的な措置としては可能である。こういうことを考えますれば、御心配の廃油の処理については、われわれは御心配かけないような措置でやっていけるという確信をもってこの法案を提案しておる、そう御理解願いたいのであります。
  185. 内藤良平

    ○内藤委員 これはやってみなければわかりませんから、このあと一年、二年、三年、四年たってどうであるか、こういうことになるでしょうが、ただいまの状態は、公害問題につきましては、全体的に追いつけ、追い越せのようなかっこうですね。政府の対策なりあるいはわれわれの心がまえもそうであるかもしれない、国民にしても。そういう中で、これは私の心配だということであればそれでいいのですが、どんどん石油の使用がふえる、輸入がふえる、それに見合って廃油の処理施設をどんどんやっていかなければならぬ。この廃油の処理施設という事業はもうかる事業でもないでしょうし、またきれいな仕事でもないでしょうし、よほど国ででも高い見地で応援をしなければ、勧告してさあやりなさい、公徳心とか公害の見地からやりなさいと言っても、進むものかどうか。いつまでも追いつけない状態でいってしまうのではないか。海上保安庁のほうの話がいろいろ出ましたけれども、取り締まりをやるとしましても、これはなかなかどうにもならぬということは、私あり得るのじゃないかと思うわけです。  そういうわけで、心配ない、心配だと言う、これは見解の相違になりますけれども、ここでおととい以来言われておりますように、国の規制といいますか、あるいはその規制に伴う援助といいますか、こういうものをもっと強化してやるべきではないか。そういうことで若干手直しなりをしてもいいのじゃないか。何も政府で出すものを、与党がこれを守り、野党がこれを攻める、そういうことだけではなくして、公害問題はいわば全国民、政党にとっては超党派、こういう立場で国会の可決まで、攻防戦という立場ではなくやるべきではないか、こういう考え方で私たちはやっているわけですけれども、そういうものに対して大臣としても、いまの追いつけ、追い越せ、こういう状態を幾らかでも断ち切るためによろしいという判断に立った場合に、これは手直しなり修正なりしてもいいのではないかと思いますが、その点は、きのう、おとといにも違うような御発言もあったようでありますが、もう一ぺんお考えを尋ねたいのです。
  186. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 この法案を出した段階においては、ただいま申しましたように、十分にやっていけるという見地で出しております。あとは行政的指導でできるのではないか。  たとえば、お話しの件は、港湾管理者に対して義務づけたらどうかというお話だろうと思うのですが、これは先ほどもお話があったように、港湾管理者というものは地方公共団体、すなわち県当局でありますから、どちらかといえば県当局は被害者の立場にあるわけです、海を荒らされたり海岸をよごされたりして。したがって、こういうことは積極的にやるような気持ちがあるわけです。問題は、そういうことがあっても金が足らぬということがあり得るかとも思いますので、法律では二分の一のいわゆる助成をするということになっておるわけです。したがって、先ほどお話がありたように、港湾管理者がこのようなことをすることが、いわゆる地方自治体としての固有の業務である、港則法というものがある以上は国有の業務であって、それを怠るということは、みずから公務員の仕事を怠るということになるのですから、命令したとか義務づけたとかいうことでなくても、これは遂行され得るのではないか、またされるべきものである、こう考えます。  しかし、将来問題は、料金等の関係からして引き合わないという問題が出てくれば、別の問題であって、義務づけるという問題でなくて、いかにしてこれらを十分に設置せしめるか。たとえば収集船にいたしましても、これはやはり県当局がこしらえたっていいのですから、二分の一の助成も考えられるわけでありますから、行政的にいろいろな万全の措置を講じていけば、必配がないと私は思います。しかし、将来やってみて、われわれが現時点で考えなかったことが実際上出れば、また大いに検討することにはやぶさかではありません。ただ、いまはその必要はないであろう、こういうふうに考えます。
  187. 内藤良平

    ○内藤委員 大臣の御答弁を聞いて終わります。
  188. 宇田國榮

    宇田委員長代理 斉藤正男君。
  189. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 一昨日のお尋ねで、なお不十分な点もありますし、ただいま内藤議員がお尋ねした御答弁の中からも、なおお尋ねしたいことがございますので、続けてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  まず第一は、油による海水汚濁防止のための国際条約との関連を一昨日も伺いました。そしてこの国際条約よりも、今度の海洋汚染防止のための法律のほうがきびしい、上向きだということも、一、二点具体的に例をあげて御説明をいただきました。  しかし、私がなおここでお尋ねしたいことは、この四条あるいは五条等、特にこの四条で、たとえば瞬間排出率一海里当たり六十リットルの問題だとか、あるいは当該船舶の総貨物艙積載容積の一万五千分の一だとか、あるいは五十海里だとかいうような具体的な数字について関係者がお尋ねしたところ、IMCOの事務局があるイギリスにおいて詳細な研究調査をした結果、客観的な数字としてこれが出ている、したがって、本法案にもそのとおり載せた、こういうことでありました。これもわかるわけでありますけれども、しかし、私はこのIMCOの事務局が調べたであろうロンドン付近あるいはイギリス、あるいは西ヨーロッパといったようなものの対象海域と、わが国が当面している海水汚染海域とはだいぶ違うと思うのですよ。はたしてお答えいただけるかどうかわかりませんけれども、このドーバー海峡と瀬戸内海、あるいはテームズ川河口と東京湾といったようなものの現状を比較したときに、SSの問題、あるいはCODの問題、BODの問題等々について、運輸省は、テームズ河口はしかじかだけれども東京湾はこうだ、ドーバー海峡はしかじかだけれども瀬戸内海はこうだということを、おつかみでございましょうか、いかがでしょうか。
  190. 高林康一

    高林政府委員 具体的にテームズあるいはドーバーと瀬戸内海、東京湾というようなものが、いろいろ水質と申しますか、そういう面でどのように違うかということは、残念ながら、私どもまだ十分には調査していない点が多いわけであります。
  191. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 本来は、運輸省がやるかどこがやるかは別として、やはりIMCOの事務局がこういう客観的な数字をあげて、世界的に共通なものだと言った以上、しからばわが国の問題の海域なり水域はどうなっているのかということまで比較対照して、このように動かすことのできない数字を出すべきだというように私は思うのであります。  そういう観点からいきますと、まず一点伺いたいことは、これからの海水の汚染の防止は、本法の成立、施行によって望みはかけられるけれども、今日までに汚濁し、汚染をした海水の対策には、この法案は全く役に立たぬと判断してよろしいかどうか。——おわかりですか。これからの海をよごすいろいろな条件については規制ができるけれども、いままでによごれた海水の浄化については、この法律では何の効力もないというように判断してよろしいか。
  192. 高林康一

    高林政府委員 この法律も、当然現行の海水油濁防止法を引き継いでおるものでございます。したがって、現在までのものについても、海水油濁防止法において、この法案よりは目は荒うございますけれども、かなりの規制をやっておるということは言えるわけでございます。  ただ、いま公害が問題になっておりますように、それの措置が十分でなかったということで、今回の改正案というものが、さらに強化された姿で出てきておるわけでございますけれども、やはり今後の問題といたしまして、たとえば四十条にありますように、いろいろの緊急の場合において、やはり防除措置というようなものが考えられておる。また、廃棄物処理法あるいは水質汚濁防止法、これらのものによって、いろいろの措置を考えられておる。これらのものと相まって、やはりいままでの堆積したもの、それから先ほどの基本法その他によりまして、相当程度これは機能を果たし得るものというように考えておるものでございます。
  193. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 提案者としてはそういうお答えしかないと思うのですけれども、私は本法施行によっても、今日いまの段階でよごれている、しかも放任することのできない海域の汚濁については、救済の道は全くない法律だというようにしか思えないわけでありますが、まあ提案者としては、そういう答弁をしなければならぬでありましょう。しかし、先ほど申し上げましたような形のきわめて科学的な、きわめて客観的な根拠に立っての条章に盛られた数字でないということは、これはぜひ御理解いただいて、今後の対策には万全を期していただきたいと思うわけであります。  二点目といたしまして、一昨日も申し上げましたし、きょうもまた關谷先輩からきびしく追及があったわけでありますけれども省令政令適用除外、私の計算ではあまりに多くてわからないのでありますけれども省令できめなければならないとか、省令ということばがずいぶんたくさん出てきておりますが、どうしても省令できめなければならぬものはほんとうに正確に言って幾つなのか。これは立案者だからわるかと思う。省令できめなければならぬものが幾つあるか。政令できめなければならぬものは十六とも十七とも言うけれども、一体正確には幾つなのか。それから除外規定として「この限りでない。」というのが十一、「適用しない。」というのが十、「排出を除く。」と「排出に限る。」というのがおのおの一つずつで二つ、何々の場合を「除く。」というのが二つ、合計して適用除外が二十五あると思うのですけれども、この点、大ざらいとしてもう一ぺん正確にお答えください。
  194. 見坊力男

    ○見坊政府委員 政令につきましては十六、省令につきましては四十二ございます。「運輸省令で定める」と書いてありますが、ほかの条文で引いているところがございますので、そのダブりを整理いたしますと、以上のような数字でございます。  それから、いまの「適用しない。」「排出に限る。」あるいは「除く。」という字句の数については、申しわけございませんが、数えたことはございません。
  195. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私ら審議する立場でも、数えるたびに違うので、あまり数が多いものだから、それで聞いておるのですよ。私の調べたところでは、先ほど申し上げましたように二十五は間違いなくあるというように思ったのです。これは繰り返すようでありますけれども、いま正確な答弁がありましたように、運輸省令にまつもの四十二、政令にまつもの十六、そして適用除外規定二十五。何となくプロポーションはわかる、しかし大きさなんか全然わからぬような、全くばく然としたお化けみたいな法律というように私も思うのであります。關谷先生からも、十条のカッコ内の政令について、若干例をあげて答えよということでお答えがありましたが、これとても、カッコ内だけに四つの政令をつくらなければならぬのですよ。そして、私が伺ったところが間違いでなければ、關谷議員のお尋ねに対して、「とう載人員の規模が政令で定める」という政令は、大体どんなものかと言ったら、百ないし三百と、こう言った。百と三百ではたいへんな違いですよ。ゆるくやろうと思えば三百くらいになるし、ちょっと締めようと思うと百になる。あるいはこれが五百と言ったってそう違いはない。こういうことになってきますと、全く政令法律の生命を預けた法律だということが言えると思うわけであります。  そこで、これも念を押してもう一度伺います。その十条のかっこ内に政令が四つあるのですが、「政令で定める人員」、さらに「政令で定める海域」、さらに「政令で定める廃棄物」、さらに「政令で定める排出方法」、それをもう一ぺん、四つわかれば、あと大体どんな政令になるか検討がつくわけですが、お答え願えませんか。
  196. 高林康一

    高林政府委員 まず、最初の搭載人員の規模の政令でございますが、先ほど申しましたように、百から三百までの間で大体これを考えるということを考えておるものでございます。  それから第二番目に、「港の区域その他政令で定める海域」というその政令でございますが、その政令で定める海域といたしましては内湾、具体的には瀬戸内海、東京湾伊勢湾等政令で定める海域で考える。  その次の「海域における政令で定める廃棄物」につきましての政令といたしましては、屎尿、ごみ等を考えておるということでございます。  それから、最後の「政令で定める排出方法に関する基準」というものといたしましては、航行中であること、それからその排出規模が一時間にどれだけリットル、あるいはキロでなければならないかということをきめたいというふうに考えておるものでございます。
  197. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 それなら、先ほど關谷さんにもお答えしたんですよ。航行中で一定の量のものという、その一定量というのは大体どんなものですか。
  198. 高林康一

    高林政府委員 何リットルということは、やはりいろいろ関係者意見を聞いて考えなければならないというふうに思っておりますけれども、ふん尿、汚水等の問題については一カ所に集中しないで、これを分散して排出するということ、そしてその規模、量というものを、極力少量にとどめるということで、いま関係の機関と相談をしておるという状況でございます。
  199. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 押し問答になって、やはり納得できるような答弁はいただけませんので、良心的な政令の設定にまちます。  次に、水産庁に伺いたいのでございますけれども……。
  200. 宇田國榮

    宇田委員長代理 ちょっと斉藤君、何かおくれておるようだから、あとに回せないですか。
  201. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 では海上保安庁長官。今度の法律によって海上保安庁法も補強をされ、従来の「海上において、人命及び財産を保護し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎮圧するため、運輸大臣の管理する外局として海上保安庁を置く。」という組織があり、所掌事務としては、「海上保安庁は、法令の海上における励行、海難救助、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮補、水路、航路標識に関する事務その他海上の安全の確保に関する事務並びにこれらに附帯する事項に関する事務を掌る。」ということで、いままでもたいへんなお仕事だったんですね。ところが、今度「海洋汚染の防止」ということが加わって、これまたたいへんなお仕事だと思うわけです。  ところが、過日朝日新聞の記事が引用されましたが、第三管区が大々的な取り締まりをやりました。ところが、あれを見ますと、本庁並びに各管区の協力を得て第三管区はやったと書いてある。第三管区独自では能力がなくてできなかったのか、機械器具が不備でできなかったのか。本庁並びに他の管区の応援を求めてやってあの程度の効果だったということになりますと、これは本法成立後海上保安庁の仕事がふえ、ますます忙しくなるのでありますけれども、あの記事が間違いないとするならば、たいへんな人手不足、機材不足、あるいは古い機材というようにしか私は考えられないわけであります。いままでたびたびヘリコプターがどうだ、YS11がどうだというお話がありました。しかし、これは画期的な補強をしなければどうにもならぬじゃないかという印象を持ったのでありますけれども、いかがでしょうか。
  202. 手塚良成

    ○手塚政府委員 前段にお話の出ました、先般の取り締まりにつきまして、他の管区本部の協力という意味合いは、実はこの取り締まりの方法について、いまいろいろ研究をある意味でしておるわけでございます。先ほど、油記録簿等によっての照合というようなお話もありましたが、そういうものも含めまして、船の実態を含めてこの取り締まりの指示をした。というのは、どういう船がどこから出てきて、どういう行動をとって、それで廃油処理施設に入るのか入らないのか、そういう一連の行動を、出発から入る港までチェックしてみたい、こういうことを今度の取り締まりの中の重要な一つの柱にいたしましてやった。そのやり方といたしまして、たとえば出港地の海上保安部は、どういう船がいつ自分のところからどういうものを積んで出港したか、途中の通過の管区本部では、そういうものをある程度哨戒船を張りまして、そういうものがいついつ通過した、そういう連携をとっての一つの取り締まりということを、サンプル的にやったわけでございます。今後、こういった重い使命を課せられましたにつきましては、やはり正直に申し上げまして、十分なる船艇、機材等は増さないかと思いますので、そういったくふうによりまして、効率的な取り締まりの方法というものを考えていきたい、かように考えておりますので、いまのようなことでございます。  将来につきましては、当委員会においてたびたび各委員からの御叱声、御指導、御鞭韃もございますので、そういった面の整備には万全の努力を払いたい、かように考えております。
  203. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、海洋汚染防止法もできることだし、それから、いわゆる陸上における広域捜査というようなことを海上にも当てはめてやっていたということであって、必ずしも機材、人員等が少ないとか、あるいは老朽だからということで、本庁並びに各管区から応援を求めたということではないというように解釈をしてよろしいのか。
  204. 手塚良成

    ○手塚政府委員 他管区の応援を今度やりましたのは、主として先ほど申し上げたようなやり方の問題としてやったわけでございますが、やはり種々重点的な取り締まりということは、それぞれの重点海域においてやる必要があると思います。そういう際には、やはり他管区からも応援をするといいますか、そこに重点的に船艇、航空機を集めるというようなことは、これは当然必要かと思うのです。そういうやり方は、今後とも考えたいと思っております。  しかし、平時の監視体制というので日本全般の、しかも、先ほど来お話のありますように、今後船の隻数もふえていく、臨海工業地帯の発展も広がっていくというような事態に対処しましては、やはりそれなりの整備を続けていかなければならない、かように考えております。
  205. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 水産庁がおみえのようでございますので、伺いたいわけでありますけれども船舶の油による汚濁発生と被害者救済ということで、私どもも資料をいただいておるわけでありますけれども、このうち水産物、水産関係ですね、これに与えた油の汚濁による被害あるいは油でないものの被害といったようなものの実態は、統計上どのようになっておられるか、最も新しい資料でお答えを願いたい。
  206. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 都道府県からの報告によりますと、四十三年度の油による被害は、件数にいたしまして二十五件、被害額にしまして約十億でございます。四十四年度は、件数にいたしまして八件、被害額にしまして三億八千万。それから油以外による被害は、件数にいたしまして八十七件、十一億三千万、四十四年度は、件数にいたしまして五十五件、約九億二千万円ということでございます。
  207. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 いまの数字によりますと、かなりなものがあるようなことが明らかになりましたけれども、このうち、加害者が明らかであったものあるいは加害者が不明であったもの、これは油とその他のものに分けておわかりでございましょうか。
  208. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 ただいま手元に持っておりませんので、わかりかねます。
  209. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 手元にない資料ではどうにもなりませんから、最終的に伺いますけれども、漁業振興なりあるいは水産業者保護という立場に立った水産庁として、今回提案されている海洋汚染防止法、十分だと思いますか、いかがでございますか。
  210. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 現時点において、やむを得ないものだと思っております。
  211. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 十分だというのと、やむを得ないものだというのとだいぶ違うのです。私は十分だと思っているかと聞いたんですが、やむを得ないものだと思っているというと、ほんとうの腹というのは、だいぶ違うんじゃないですかな。私は十分だと思っているかと聞いた。いかがですか。
  212. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 現状から見ますると、この程度の進歩でやむを得ないものというふうに考えます。
  213. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 やはりやむを得ないがっくですね。あたりまえだと思いますよ、水産庁としてみれば。何となれば、全国の水産業者から運輸省へも水産庁へも、今回の新法について強い要望が出ていると思うわけであります。これを総括して言うならば、特に第一条「目的」において、海洋生産物資源の保護と漁業環境保全を明文化してほしい、これでは、海洋航行とかあるいは海域の安全とかいうことはなるほど確保できても、海洋生産物の資源の保護だとかあるいは漁業環境保全だということには役立たないというように言っております。したがって、おそらくこれが農林水産委員会で私がお尋ねすれば、もっと違った答弁になるかと思いますけれども、それにしても次長のお答えは、現況やむを得ないものだということが最終的につく。私は、法案全体を通じて、やはりいま申し上げましたような点できわめて不備であるというように思うわけであります。  時間が参りましたが、大臣がトイレへ行った間に、きわめて重要な質問を私はしたわけでありますけれども、最後の問題がきわめて必要なんで、この法律が効力を発生しても、現状よごれている日本の海水の浄化にはならぬ。残念ながら自然浄化作用といったようなものにまつだけであって、この法律は、これ以上よごれることを何ぼか防ぐことはできても、いまよごれている海を浄化することには役立たぬ。同時に、水産庁次長が遠慮しいしい言っているように、現状ではやむを得ないものだということは、私はやはりもっと強く規制をすべきだというように思うわけであります。しかし、いろいろな考え方があるわけですから、ないよりはましだ、やらぬよりはいいじゃないかという言い方もあるかと思いますけれども、特に水産業者が悲痛な叫びをあげている現状にかんがみ、政令省令の設定等との関連からいきましても、もう一度大臣に確固たる信念のほどを伺って、質問を終わりたいと思います。
  214. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 この法案が積極的に原状回復に役立つか、こういう御質問に対しては、残念ながら積極的に役立つ法律ではない。しかし関係法案、いわゆる水質汚濁防止法あるいは廃棄物処理法等の法案がありますので、それらを総合的に行なうなれば、積極的な価値も出てくる。  ということは、原状回復の場合に、これはいろいろな問題が連合審査会でも話が出ましたが、これに対する防除事業を行なう場合の、だれが金を持つかという問題では、明確になっておるものはもちろん企業者が負担する、不特定でこれを判別し得ない場合においては、原則として公共事業として行なわざるを得ない。こういうような防除事業が行なわれた場合に、もしこの法律がありませんと、たとえば田子の浦のどろをとっても、この法律がないと、いいかげんなところに捨てることが可能なんですね。今度はこの法律が出たために、いいかげんなところに捨てられないという積極的な作用があるわけですね。それから今後、あるいは現状がもう少しで危険になるという一歩前の段階の状態、こういうものに対しては積極的な効果があるということは、そういうものを今後捨てちゃいかぬぞ、こういう政令省令等で定めた方法でなければ捨ててはいかぬ、こういうような両面からの規定がありますので、したがって、原状回復におきましても、私は消極的とは申しましたが、これらの法律を総合的に適用してそうして処置するならば、ある意味においては積極的な効果を持っておる、こう私は理解してもよろしいのじゃないか。  このような方針において、あくまで、いわゆる魚族の保護等も考える。この目的の中にありますように、「海洋汚染を防止し、もって海洋環境保全に資する」ということは、当然魚も住める状態をつくる、こういうことでありますからして、御意見のとおり、この法律とその他の法律を政府としては十分に駆使して、そうして海洋保全及び魚族の保全に対して万全の措置を講じたい、かように考えております。
  215. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 終わります。
  216. 宇田國榮

    宇田委員長代理 田代文久君。
  217. 田代文久

    ○田代委員 私は、質問に入る前に、現在、公害に対しましては、今度公害国会でいろいろの法案が出て可決されると、これは解決できるんだというような期待をもって全国民が見ているわけですね。したがって、そういう意味でこれは非常に慎重審議しなければならないけれども、この委員会でも……。   〔発言する者あり〕
  218. 宇田國榮

    宇田委員長代理 静粛に願います。
  219. 田代文久

    ○田代委員 まだ参考人を呼ぶというようなこともとられておりませんが、そういう意味で、参考人を呼ぶとかいうことで手を尽くして慎重にやって、そうしてりっぱな法律にして、公害をなくするということをやるべきだということを、まず要望しまして質問に入りたいと思うのです。  第一番は、造船所から排出されておる工場排水は、水質汚濁防止法によって取り締まるのか、それとも、本法でいう廃油の処理施設で規制することになるのか、どっちでやられるかということを御答弁願いたいと思うのです。
  220. 見坊力男

    ○見坊政府委員 造船所に船が参りまして、そこでクリーニングをする、そういう油性汚水は本法の対象でございます。
  221. 田代文久

    ○田代委員 油の適用の除外規定がいろいろありますが、処理施設がまだ足らない。現在は間に合っているというお話でありましたけれども、これは大体年度計画でふやすことになっておるわけですね。この経済の高度成長政策の中では、当然公害がますます飛躍的に増大することは明らかなので、したがってそういう施設が、先ほどもお話が出ておりましたけれども、間に合うようにしなければいけないのですが、そういう処理施設ができ上がるまでに、実際にこういう廃油とか汚染はあるわけですね。そういうものは海洋へそのまま投棄したり、たれ流しという状態はやむを得ないんだ、こういう見解に立たれるのか、そういう場合においてはどういう処置をされるのかということをお答え願いたい。
  222. 見坊力男

    ○見坊政府委員 第四条の規定は、四十八年三月三十一日に全面適用になります。それまでの間は、現行の油濁防止法が有効でございます。したがいまして、五十海里以内は投棄をしてはならないということでまいります。ただ、新しい法律が公布されますので、この法律の趣旨は十分に周知徹底をはかってまいりたいと考えております。
  223. 田代文久

    ○田代委員 現行の法律では、それは十分処理できていないから、現実における海上の汚濁とか汚染というものは増大しておるわけです。そういう趣旨を、この法案が通過しなくても徹底させることによってというお話でございますけれども、相手はそういうなまやさしい甘いものではないと思うのです。そういうことで、すぐ打てば響くように責任者なり関係者がしてくれれば、こういう汚染は拡大しないと思うのです。ですから、事実としてはそういうたれ流しとか廃棄とか汚染とかいうものは続かざるを得ないんだ、それに対しては手の打ちようがないんだということが結果であろうと思うのです。そういう法的な体制になっておると思います。  そういうこととの関連で質問をいたしますが、廃油の処理施設を設置しなければならぬ、その設置についてはだれが責任を負うべきかという責任の所在ですね、これをお答え願いたいと思います。
  224. 見坊力男

    ○見坊政府委員 この法律の立て方といたしましては、全国的に運輸大臣が見ている。したがいまして、民間の廃油処理事業者が許可を受ける、あるいは自家用施設について届け出をする、それでなお運輸大臣は不十分と認める場合には、港湾管理者に勧告をするという立て方になっております。それで、港湾管理者につきましては、先ほども説明申しましたように、重要港湾以上につきましては、港湾法四十八条で港湾計画提出を求めて審査をし、またその必要があれば変更を求めるという規定もございます。それによって全国的な廃油処理施設の整備をやっていこうという体制でございます。
  225. 田代文久

    ○田代委員 はっきりしないのですが、そうすると、いまの御説明では、廃油処理施設を設置しなければならない責任は、港湾管理者になるのかあるいは運輸大臣になるのか、あるいは石油の排出については石油業者になるのか、どの辺になるのか。いまの御説明では、何か地方自治体の港湾の管理者であるかのごとき印象を受けますが、どこが責任を負うべきですか。この点が非常にはっきりしていないと思います。
  226. 見坊力男

    ○見坊政府委員 廃油処理施設の設置につきましては、全国的に見た場合に、港によっていろいろ事情があるわけであります。石油業者がつくる施設のほうがいい場合とか、あるいは専門業者が積極的にやる港があるとか、いろいろ事情がございます。そういう場合には、まずそういう人にやってもらう。それで、港湾管理者はその需給を見まして、その当該港において施設が不足であるという場合に、運輸大臣の勧告に基づいて施設を整備するということになっておるわけでございます。
  227. 田代文久

    ○田代委員 依然として私の聞きたい責任の所在については明確になりません。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕  具体的に質問いたしますが、油性汚水の八〇%というのは大体タンカーから出る。この油性汚水バラストが、外航船の大型タンカーでは外国の沿岸をよごしておる。また内航船のタンカーでは、日本の石油のコンビナートとかあるいは石油精製所付近の海をばく大によごしておるわけですね。海の汚染についてはこれが圧倒的なんです。油性汚水のバラストの処理については、だれが責任を持つかという点についてお答えを願いたいと思います。
  228. 見坊力男

    ○見坊政府委員 タンカーの油性汚水の処理でございますが、これにつきましては、まず廃油処理業者がそれを行なうという原則でございます。ただ、その港においてどうしても足りないという場合に、三十六条の規定が働くということでございます。
  229. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、結局そういう責任とそれから廃油処理施設をつくることについては、石油業者が負うべきだという見解なんですね。
  230. 見坊力男

    ○見坊政府委員 石油業者ではございませんで、廃油処理事業者でございます。
  231. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、タンカーがとにかく石油を積んできたり、あるいはそれを持ち出したりする中で、こういう油性水バラストというやつはできるわけですよ。そうすると、それをどこに持っていってどう処理するか。あなたたちの説明では、処理場はとにかく地方自治体がつくる、その処理場に持ち込むというのですけれども、しかし実際において、そのバラストを一切積んで、最大の汚染の原因を持っておるのがそういう石油精製業者なり、いわゆる石油に関係する業者で、これがそういう責任を持たなければならぬということになるのじゃないですか。その場合に、石油業者はおかにおるし、直接の責任はないんだ、関係はないんだ、それはタンカーのほうにあるのじゃないか、船主のほうにあるのじゃないかというような議論もあったような気もしますけれども、実際の問題においては、石油業者とタンカーのほとんどの多くは、長期的な用船契約を結んでおって、そしてその命ずるがままに石油を運んでおるわけですね。したがって、多くのタンカーの航行によって生ずる公害というやつは、ほんとに利潤をあげ、利益をあげ、もうけておる石油企業が全責任を負うべきであるということは、これは全く自明の理であると思うのですが、この点どうです。
  232. 見坊力男

    ○見坊政府委員 油性汚水を排出する第一次の責任者は船舶であります。したがいまして、第二次責任者である石油業者、これは運送を委託したものでございます。第二次責任者にまず第一次の責任を課するということは、適当ではないというふうに考えます。
  233. 田代文久

    ○田代委員 これはしかし、いま第一次、第二次というような形式的な区別をされることによって説明をのがれようとされますけれども、実際において、これは第一次と第二次というふうに分くべき性質のものではない。というのは、大体運搬する人は自分自身のあれでやっているわけじゃないのですね。いわゆるあなたがいま第二次とおっしゃるそういう業者が、運んできてくれ、それに対しては運賃を払いますよと、こういうことでやっておるわけですね。ですから、ほんとうの中心的な責任は、あなたのおっしゃる第二次業者じゃないですか。ほかの産業でもそうでしょう。たとえば大きな土建業者があって、下請に仕事を回した。そうすると、下請が事故を起こしたという場合においては、下請に回した業者は責任はありませんか。第二次責任者だといって責任が軽くなるとか、のがれるとか、そういう措置になりますか。私はそういうことにはならないと思う。はっきりした責任はそうした区別をすべき性質のものじゃないと考えますが、どうですか。
  234. 見坊力男

    ○見坊政府委員 ただいま先生が例をもってお話がございましたが、たとえば契茶店に便所をつくるという場合に、契茶店に便所がないからといって、それを罰則をもって担保するということは、現行法の体系からいって、また実際問題としても不適当であります。
  235. 田代文久

    ○田代委員 わかりました。そういう例は全くごまかしで、子供だましで問題にならぬです。しかし、これは一歩譲ってしますが、そうしますと、そういう油性水のバラストの全責任は、いま政府側の説明によると、これは運搬業者、したがってタンカーの所有者、運ぶことによって運賃をもらっておる、そこにある、こういうことになるわけですね。
  236. 見坊力男

    ○見坊政府委員 第一次責任は船舶でございます。船舶は広域的に移動するものでございます。したがって、その寄港する港すべてにみずからの廃油を処理する施設を整備することは、実際問題としてはできないわけでございます。したがいまして、この法律の立て方は、全体的に運輸大臣整備を勧告するという立て方にいたしております。  そこで、その港の事情によりまして、廃油処理事業を行なう者については許可を与える。この許可というのは、需給の関係もございますし、そこが新たな公害発生源にならないという構造基準に合うようにチェックをするという意味におきまして、許可をとっておるわけでございます。しかもその需給を見まして、運輸大臣は港湾管理者に不十分な場合には勧告をする、そういう立て方でございます。で、勧告の意義は、先ほど来申し上げましたように、実質的には命令に近いような意味を持つということでございます。
  237. 田代文久

    ○田代委員 そういう形式的な分離をされるから、実際船はあっちこっち行くんじゃないか、だからこれは押えることができないから、責任を押えられないということに発展しちゃって、国民をごまかす結果になるんですよ。ですからはっきり、少なくとも第一次にしろ第二次にしろ、それは一括してとにかく業者にあるということは明らかになります。そうすると、いままでの法律なり、またこの法律のたてまえとしましては、港湾の管理者が国から補助金をもらうか、あるいはまた地方自治体の税金を納めた金ですが、これで廃油の処理施設をつくるというんでしょう。こんなばかなことがありますか。実際これは、さっきも大臣やあなた方も御答弁したんですけれども、被害者でしょう、港湾の管理者なり地方自治体なり国民は。被害者がみずからの金で加害者のために施設をつくってやって、どうぞというようなばかな話があるかというんです。  ですから私は、したがってこの法案に対しては、非常にそういうごまかしがあるし抜け穴があると思う。ですから明確に答弁願いたいんですが、私どもはそういういろいろの全体の責任というのは、そういう企業が負うべきである、これは明確にして、そうしてしたがってそういう廃油の汚濁、廃油の処理施設というのは、国がめんどうを見るとか——ことばの上での援助はしていいんですよ。しかし物質的に、国民の血の出るような税金まで使って、そういう加害者に対して施設をつくってやるということはやめなければならぬ。したがって、当然これは業者にそういう廃油処理施設の整備を義務づけるということでなければ正しくないと思うんですが、この点どうですか。
  238. 高林康一

    高林政府委員 先ほどから第一次、第二次というお話がございましたが、形式的ということでございますけれども、やはり船舶所有者あるいは船舶運航者というものが、運送行為の主体として責任を持っておるもので、それに対して第一次的な責任を期待しておるということでございます。  石油精製業者あるいは一般の石油販売業者その他いろいろございますが、石油精製業者等につきましては、けさほどいろいろ御質疑過程でお答え申し上げましたとおり、現実には一〇〇%に近く廃油処理施設というものを設置しております。これはすでにその面においては十分進めておりますので、これらの点については、やはり精製業者として責任というものを十分企業においても自覚し、そしてそれを進めておるというのが現状だろうと思います。私どももそういうような現状に立ちまして、さらに関係当局とともにこういうような廃油処理施設の整備につとめていく。それと同時に、港湾法で期待しておりますように、そういうようなものが不十分である、不足するというような場合、やはり港湾管理者が港湾管理者としての職能に基づいて充実、強化をしていく、これはやはり当然期待していっていいのではないかというふうに考えておるものでございます。
  239. 田代文久

    ○田代委員 依然としてこれはとにかく非常に弱いし、甘いし、これではほんとうに私は業者に対して、責任を明確にすることはできないと思うのですよ。いまの話では、業者の良識によってそういうことをやっているのだ。すでに自発的にそういう処理施設もつくっておられるのだ。しかし私は、これは明確にとにかく法的にも、加害者の立場にある企業でそういうものをつくらないという連中もおるわけですから、単なる道徳的な良識だけでは済まされない問題ですから、はっきり法的に、あなたたちは加害者なんだから、とにかくあなたたちが良識によってやることは当然だけれども、それをやらない場合には、これは義務としてやらなければならないぞということを明確にすべきである。それでなければこの問題は解決できない。さっきおっしゃるように、とにかく第何次計画によって、どの港で幾ら施設をふやすとかおっしゃいますけれども、船は行く先でわからぬようになっておる、こういうことですね。だから、そういう点でこれを明確にして、船が着くところにはどこでもさせるということに義務を負わせることは、私たち国民として考えて、決して行き過ぎではないと思うのですよ。  ですから、私どもはこの点においてははっきりそういう業者責任を明確にして、そうしてその明確にした上で、義務としてこれはやるべきだという点に修正すべきが正しいのじゃないかと思うのですけれども、いまの御答弁、それから先日の橋本運輸大臣の御説明でも、この点ではそういうふうにはならない、勧告で十分じゃないかというようなことで逃げておられますけれども、これでは私たちは、こういう点は十分処理できないというように思います。  そこで、次に質問いたしますが、ことしになって、日本の近海で操業しておる漁民が非常に大きな被害を受けている、原因者不明の廃油による汚染によって。最近私も陳情を受けましたけれども、伊豆七島の近海では、廃液ボールがずっと流れてきて魚がとれない、とても漁業がやれないのだというようなことで、これは一体どこが責任を持ってくれるのだ、私たち漁民をどうしてくれるのだというような陳情を受けておるわけですけれども、こういう原因者不明の漂流油については、一体どこが責任を持ってその処理あるいは除去をするようになっておるか、またしなければならないかということをお答え願いたいと思います。これは海上保安庁のほうでしょうね。
  240. 手塚良成

    ○手塚政府委員 八丈島の、スラッジがもとで、ボールのようなものが海岸に押し寄せておる、前国会御審議の際であったと思いますが、やはりそういう問題が提起をされまして、どこだということでございましたが、私どものほうでは、本法にもございますように、一般的監視というたてまえにおきまして、一応その問題を取り上げまして、私どもの研究所で、その内容の分析あるいはそれの流れてくる潮流の関係、こういったものを調べつつございます。今後この法律が成立、施行されますと、やはり水路部関係におきまして、そういった潮流の問題を現在の業務との関連において調査研究をしていくことになっております。加えて、ただいま申し上げた一般監視の任務があるということで、その限りにおいて私どもも本件について調査を進め、研究を進めなければならぬ、かように考えております。
  241. 田代文久

    ○田代委員 監視は大いにやってもらわなければならないですけれども、漁民は監視をしてもらっただけでは問題は片づかないですよ。ですから、漁民諸君からこういうことが続いてどうもならない、これはどけてもらわなければならないという要請があった場合に、海上保安庁なり運輸省なりは、その処理のためにすぐ出動してそういう作業をやりますか。そういう責任をとられますか。ただ見て回って監視しただけでは役に立たないですよ。
  242. 手塚良成

    ○手塚政府委員 本法によりますと、私どもが具体的にそういった汚染に伴いますところの被害の防除をいたします場合は、四十条に書いてございます内容によってやることになるかと思いますが、この条文にもございますように、一口で言いますと、緊急でその障害が非常に著しいというようなものに該当する場合に、私どもが出動してそれを取り除くということになると思います。  ただいまの場合が、具体的にそれに当たるかどうか問題があるかと思いますが、先ほど来も問題になっております、長年の蓄積によるようなものにつきましては、たとえば地方公共団体等が行政上の措置なり、あるいは具体的な地方公共団体の任務としていろいろやるべきことがあろうかと考えるわけで、それらに対する対策などが明白になることを前提にいたしまして、地方公共団体との協力、そういう措置、そのあとでなおかつ障害が著しい、取り除かなければ人の健康に多大の影響があるという、法律の構成要件に該当した場合に私どもが出る、かようなことに相なると思います。
  243. 田代文久

    ○田代委員 いまの御説明によりますと、これは実際漁民は納得しませんよ。私たちの被害をどうしてくれるのだ、これは地方公共団体に相談して……。そしてまたいまのお話では、海上保安庁はそのために必要な予算を組んでおられるようでもありませんし、全く抽象的に、何とかしなければいけませんということでは、何もかにもずっとたまってずるずるいくだけじゃないですか。その間、漁民の生業なり暮らしは全然成り立たないのです。大臣、どうでしょう、こういう無責任なことは許されないと思うのです。そういう点は十分考慮して、漁民の要請があったらすぐ出動して取り除くという誠意を、少なくとも示さなければならないということを私は要望しまして、次へ行きます。  洞海湾の問題ですが、先日来橋本運輸大臣は、洞海湾の汚染については調査する必要があるので、一千万円の予算を組んでやっている、全国では三千五百万円の予算を組んで、とにかく調査を進める手を打ったということで、何かそれだから洞海湾なり全国の港湾の汚染が取り除かれるような、鬼の首でも取ったとは申しませんけれども、そういう形の手が打たれたような話であります。一千万円の予算を組んで調査していると言いますが、一体この調査はいつ完了しますか。それで実際に調査が完了したら、その時点において、大体運輸省はどういう処置をとられるのであるかということを、お答え願いたいと思います。
  244. 西村俊之

    西村説明員 洞海湾の一千万円での調査は、本年度実施する予定でございます。この結果を見まして、あとの対策について検討するという予定になっておるわけでございます。
  245. 田代文久

    ○田代委員 本年度に大体洞海湾のそういう汚染調査は完了する。そしてほかに全国で三千五百万円予算を組んでやっておる。そうすると、ほかも大体本年度においてそういう調査を完了される、そしてその上で実は手を打たれるということですね、予算措置にしろ具体的にどうするかということを。
  246. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 御趣旨のとおりでございまして、ことし調査をやって、一応目鼻がつけば、それを受けまして具体的な対策を立てる、かように考えております。
  247. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、これはきのうもお話がありましたが、瀬戸内海にしろ洞海湾にしろ伊勢湾にしろ有明海にしましても、全くたいへんですよ。瀬戸内海の話が出ましたけれども、全く瀬戸内海は死の海になって、率直にいって、こういうときこそ非常事態宣言をやって、瀬戸内海をきれいにしようという手を打たなければならないと私は思うのです。そこまできている。ですから、洞海湾を例に出しましたが、調査を本年やって、いろいろ手を打たれると言いますけれども、手を打たれた場合に、この法律やその他の関係において、これをほんとうにもとどおりにきれいにするということについては、だれの責任でもとどおりになるか、何年ぐらいしたらそれをもとのように魚の住めるような、そういう油のない海になるかという概略を御答弁願いたい。
  248. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 いま洞海湾の例をおとりになって御質問がございました。洞海湾で申し上げますと、現在陸上の工場から排出されるもの、これは水質保全法でいろいろな規制がございます。それをとめるのは、そちらの法体系になろうかと思います。包括的に港湾管理者というものがございまして、港湾施設といいますか、港湾区域内の保全の義務がございますので、いまの汚染物質の排出がとまらないと、いまいじりましても、途中でまたたまってくるということもございます。順序からいきますと、まず上から出てくるきたないものをとめて、とまったあとでどうするかということになろうかと思います。
  249. 田代文久

    ○田代委員 大体それはいつごろきれいになるのか、それをみな国民は要望しているのですよ。とにかくこれは運輸省だけでは片づかない。そうでしょう。当然政府の責任においてやるべきですね、各省との関係で。それはわかりますが、実際において、具体的にそういう処置をとるということになっていないと思うのです。  そこで、私は海上保安庁にお伺いしますが、洞海湾を非常にきれいな海に取り戻す、またほかの海でもそうなんですが、そうするためには、監視の強化ということは、この法案でもそうだし、もうすでに考えておられるわけですね。そうすると、いままでの保安庁長官の御説明では、大体いままでの機構なり体制の中で、重点的にやれば監視はできるんじゃないか、こういうような答弁であったように思いますが、しかし、実際においてこれはできない。これは予算をふやすなり人員をふやすということが、その監督強化とマッチしていかなければ、この問題は解決しないと思うのです。しかし、御説明では人員をふやす必要がないし、予算もいまのままで、重点的にやることでいけるんじゃないか。こういうことでは、洞海湾にしろほかの港湾の汚染なんかについては、永久に片づかない。永久にと言うより、ますます拡大するんじゃないかと思うのですが、そういう予算をうんととるとか人員をふやすというような計画を持っておられるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  250. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私どものほうは、結論から申し上げますと持っております。予算要求はいたしております。ただ、そういうものの実現の程度もありますので、ある程度現用のものを使いながらこういうことをやることが、現実的ではなかろうかということから、現実面の解決として、いままで御説明申し上げたようなことを申しておるわけでございます。将来ともに現状で十分であるということを申し上げたつもりではありません。定員にしろ船艇にしろ飛行機にしろ、今後増強はぜひやっていかなければならない、かように考えております。
  251. 田代文久

    ○田代委員 もっと思い切って予算もとるとか、人員を増加するというような措置によって、汚染されている地域の住民が安心できるような、そういう監督を強化していただきたいということをお願いしておきます。  最後に、これは水産庁ですけれども、有明海でノリ業者が海水の汚染によって、全くノリも売れないというような状態が起きているわけですね。こういう問題について、水産庁はどういうふうな情報を得て、また漁民の営業権あるいは生活権に対する補償というようなことについてはどういう手を打っておられるのか、また今後打たれるかという点を御説明願いたいと思うのです。
  252. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 私ども、有明海で汚染によってノリが売れないということは存じておりませんで、現在、在庫で売れないものが相当あると聞いておりますが、汚染で売れてないという話は聞いておりません。ただ、大牟田等あるいは佐賀県の一部の地区におきまして、カドミウム等の含まれているノリが出たということは聞いておりますが、これも玄海灘等に比べて多いという程度で、人間に影響するというような汚染のしかたではないというふうに聞いております。
  253. 田代文久

    ○田代委員 これは、現実の漁民の方々の意見とあなたの意見は非常に開きがあるのですね。私は実際に調査に行きました。そうすると、いまの水産庁のお考えでは、有明海において、私らは汚染と言っているけれども、あまり汚染はないとおっしゃいますが、ノリの業者が非常に困って販売ができないとかいうことは、カドミウムなんかによる汚染によって起こったのではなくて、心配要らぬ、ほかのところに比べても、カドミウムの汚染によるノリが売れないとかいう問題はたいした問題ではない、こういう御見解ですか。
  254. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 カドミウムの量がたいしたものではなくて、大牟田におきますカドミウムの量は、一日九十枚食すると人間に影響があるという程度のカドミウム含有量でありまして、そんなにノリを食べることはございませんので、人体に影響はないというふうにいままでのところ結論を得ておりますが、さらに佐賀県、福岡県ともに漁場の調査をいたしております。いままでのところはそういう影響は出ておりません。
  255. 田代文久

    ○田代委員 これは重ねて申しますけれども、現地の業者なり漁民の方と政府の考え方は天と地ですよ、実際のところ。実際にノリが売れなかったという問題を私は訴えられましたよ。いまの御答弁によりますと、それは心配ない、幾らカドミウムがあってもそれを食ったって人体に影響ないのだから、ノリの販売なり生産を継続することについては何らの打撃を受けないのだ、だからそのとおりやっておけばいいじゃないか、こういうことになってしまっているのですね。しかし、実際においてこれはとんでもないことだということをはっきり申し上げまして、私は、いかに政府が漁民あるいは現地のそういう零細企業によって生活を立てておる諸君に対して、冷酷きわまりない態度であるかということがはっきり暴露されたと思うのですよ。  その点を確認して、時間があればまだ質問いたしたいのですけれども、これで質問を終わります。
  256. 福井勇

    福井委員長 関連して和田春生君。
  257. 和田春生

    ○和田(春)委員 きわめて簡単に、いままでの質疑で、法案に対する賛否は別にいたしまして、関連法との関係で重大な疑義が出てまいりましたので、一点だけ大臣にお伺いいたしたいと思います。  港湾法の第二節第十二条に、港湾局の行なう業務を定めておるわけであります。その十二条第一項八号に、「船舶に対する給水、離着岸の補助、船舶の廃油の処理その他船舶に対する役務が、他の者によって適当且つ十分に提供されない場合において、これらの役務を提供すること。」というふうに港湾局の業務内容をきめているわけでございます。いまの油による海水の汚濁を防止する法律の中には、船舶の廃油が入っていたわけでございますけれども、今回、海洋汚染防止法によりまして、廃油のみならず他の船舶からの廃棄物もすべて海洋投棄をしてはならない、こういうふうになってきたわけでございますが、この点の改正が提案をされておりません。  そこでお伺いするわけですが、「廃油の処理その他船舶に対する役務」と書かれておりますけれども、今回の海洋汚染防止法が制定されたといたしまするならば、その場合には、この中に廃棄物の処理に関する役務も含まれるかどうかということを、運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  258. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ただいまの和田さんの御質疑でありますが、「その他船舶に対する役務」には、当然船舶からの廃棄物に関する役務を包含しておると解釈しております。
  259. 和田春生

    ○和田(春)委員 質問を終わります。
  260. 福井勇

    福井委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。    午後五時三十三分休憩      ————◇—————    午後七時二十九分開議
  261. 福井勇

    福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  海洋汚染防止法案を議題とし、議事を進めます。  本案に対する質疑は終了いたしております。  ただいま委員長の手元に、加藤六月君、内藤良平君、松本忠助君、和田春生君から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四派共同提出にかかる修正案が、また田代文久君から、日本共産党提出にかかる修正案が、それぞれ提出されております。  両修正案は、お手元に配付してあるとおりであります。     —————————————     —————————————
  262. 福井勇

    福井委員長 提出者から、順次趣旨の説明を聴取いたします。内藤良平君。
  263. 内藤良平

    ○内藤委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党を代表して、本委員会に付託になりました海洋汚染防止法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、修正案を朗読させていただくわけですが、その修正案文はお手元に配付してございますので、朗読を省略させていただきます。  修正の内容は、港湾法の港湾施設に、「船舶又は海洋施設において生じた廃棄物の受入れのための施設」と、「船舶又は海洋施設において生じた廃棄物の受入れ」の用に供する船舶を加えようとするものであります。  その趣旨を簡単に御説明申し上げますと、今回の本法案によりまして、船舶及び海洋施設からの海洋への油及び廃棄物排出は原則として禁止され、従来旅客船、フェリーボート等から海域に捨てられていたごみ、屎尿等は、すべて陸上処理施設において処理しなければならないことになりますので、船舶からの廃棄物の受け入れのための陸上施設と、主として港湾内の海域において、船舶からの廃棄物の受け入れに従事する船舶港湾施設として港湾法に明定し、もって船舶からの廃棄物海域への排出禁止を担保しようとするものであります。  以上でありますので、何とぞ本修正案に皆さまの慎重なる御審議の上で、御賛成をくださいますようにお願い申し上げまして、提案理由の説明を終わる次第であります。(拍手)
  264. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  265. 田代文久

    ○田代委員 私は、日本共産党を代表して、本案に対する修正案を提出いたします。  内容につきましては、全文につきましては印刷したものをお手元に配付しておりますので、詳細に見ていただきたいと思いますが、内容をごく簡単に御説明申し上げます。  一つは、石油業者に廃油処理施設の整備を義務づける。それから二番目は、港湾管理者の行なう廃油処理施設の建設、改良に要する費用の四分の三を国は補助する。三番目には、海洋汚染防除の応急措置に必要な器材(オイルフェンス、中和剤等)を船舶所有者、海洋施設設置者に備えつけさせる。最後に、海上保安庁長官は、漂流して漁業被害等の原因となる廃油ボールの除去処理を行なう。  以上でありますので、慎重審議の上、よろしくお願い申し上げます。  終わります。
  266. 福井勇

    福井委員長 以上で両修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、田代文久君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定によりまして、本修正案に対する内閣の意見を聴取いたします。橋本運輸大臣
  267. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 田代委員御提案の修正案につきましては、政府として賛成いたしかねます。     —————————————
  268. 福井勇

    福井委員長 これより海洋汚染防止法案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、田代文久君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  269. 福井勇

    福井委員長 起立少数。よって、田代文久君提出の修正案は否決されました。  次に、加藤六月君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  270. 福井勇

    福井委員長 起立多数。よって、加藤六月君外筆名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  271. 福井勇

    福井委員長 起立総員。よって、海洋汚染防止法案は、加藤六月君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣
  272. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ただいまは、海洋汚染防止法案につきまして、慎重御審議の結果御採決をいただきまして、まことにありがとうございました。  本法案の実施にあたりましては、廃油処理の施設の整備について遺憾なきを期するとともに、関係事業者の廃油処理施設の整備について適切な指導を行ない、さらに、海上保安庁の監視取り締まりの体制を強化することに努力いたしたいと思います。     —————————————
  273. 福井勇

    福井委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  275. 福井勇

    福井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十七分散会