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佐藤(守)
委員 次長さんの話を聞いておりますと、少なくともいまのところ、どうも
人為的要素が加わっておると思うけれ
ども、まだ具体的な
結論は出ず、認めにくいという感触が私はするわけです。個人的な話をすれば、おそらく私の意見に同感すると思われるけれ
ども、お
立場上言えないと思うのですが、どうしても
自然条件プラス人為的要素が入っているという見方が私は正しいんじゃないかと思うんです、
程度の差はありますが。そうしませんと、いままでは少なくともそういうことがなかったわけですよ。新しい現象として出てきたわけです。しかも、いわゆる
臨海工業地帯とか、少なくとも急激に伸びている都市の付近海域に多くなっているという事実が、このことを裏づけていると思うのです。ですから
自然条件をこわしている。それは
食いものと
環境であるというような
感じがするわけです。
そこで、実は私は、ここで
次長さんとその問題で押し問答をするというのではなくて、実はこのためにたいへん
瀬戸内海の漁業者が困っているわけです。
広島の場合をちょっと申し上げますと、現在漁民が、
広島だけで言いますと、漁業従事者が四千六百戸ございます。それから養殖
関係が約二千戸あると思います。全部で六千戸の漁民がおるわけでございますが、その中で四千六百戸の漁民の収入が、四十四年度で五十一億でございます。それから養殖業者の収入が、約九十億ということになるわけですが、そうすると、漁業従事者の一戸当たりの平均収入が百十万円なんです。今度の
赤潮によりまして、平均約四十日間出漁できないわけです。この損害は、いろんな見方がありますけれ
ども、大体私は一億七、八千万だと思っておりますが、一戸当たり十二、三万円という
被害をこうむっておるわけです。この百十万円というのは収入でございます。そのうちから、油代とかえさ代とかあるいは船の償却を入れますと、約四割というのがとられるわけです。そこで、百十万円から約四割を引きますと、年間収入がよくいって約六十万前後になるわけです。そうすると月に五万円です。しかも、特に漁業従事者というのは子供も多うございますし、それから老人をかかえております。そういうなことで、月五万円で平均五人家族だと思いますが、やっていけるかどうかということです。しかも、現在
御存じのように、高校を出たような方が月に四、五万円をとっておるような状態です。しかもボーナスもない。しかも、国も何ら補助もめんどうも見ない。ただ漁業共済があるだけでございます。
そういうふうなことで、実はたいへん困っておるわけでございます。といって、いま
次長さんがおっしゃるように、
原因が出てというのでは、漁民は死んでしまうわけです。そしてまた、実はこれはいろいろな説があると思いますが、通説とすれば、来年も
赤潮が
発生するのではないかというように、私はいろいろな人から聞いておるわけです。で、私は特にそういうような現状認識をしていただきまして、もちろん
自然的条件のみか、あるいは
自然的条件プラス
人為的要素が入っておるのかどうか、いろいろな要素があると思いますが、これを常識的に判断すれば、
人為的要素が入っておると思うのです。
そういうような
立場からすれば、現在の漁民
対策を講じてもらいたい。こうした漁業者というのは、五万四千世帯あるわけです。これは
広島県だけではありません。岡山県、山口県あるいは四国全部にこのような問題が起きてきておるわけです。
そういうような
意味から、ひとつ応急的な
対策と恒久的な
対策をぜひ講じてもらいたいと思うわけでございますが、そのような
意味からいきまして、現在
次長さんが
考えられております応急的
対策と恒久的
対策のお
考えを、ひとつ聞かしていただきたいと思います。