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1970-04-15 第63回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十五日(水曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      山田  勇君     市川 房枝君  四月十五日     辞任         補欠選任      小林 国司君     大森 久司君      川村 清一君     亀田 得治君      鶴園 哲夫君     鈴木  強君      鈴木 一弘君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         足鹿  覺君     副主査         柳田桃太郎君     委 員                 大森 久司君                 木村 睦男君                 任田 新治君                 亀田 得治君                 鈴木  強君                 二宮 文造君                 市川 房枝君    国務大臣        郵 政 大 臣  井出一太郎君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        運輸大臣官房会        計課長      中村 四郎君        運輸省海運局長  澤  雄次君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山口 真弘君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        運輸省航空局長  手塚 良成君        海上保安庁長官  河毛 一郎君        気象庁長官    吉武 素二君        気象庁次長    坂本 勁介君        郵政大臣官房長  野田誠二郎君        郵政大臣官房電        気通信監理官   柏木 輝彦君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        郵政省郵務局長  竹下 一記君        郵政省人事局長  中田 正一君        郵政省経理局長  溝呂木 繁君    説明員        防衛庁防衛局運        用課長      半田  博君        文部省初等中等        教育局財務課長  説田 三郎君        自治省財政局指        導課長      篠原 幹雄君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        長浜 正雄君        日本国有鉄道理        事        小林 正知君        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君        日本電信電話公        社総務理事    黒川 広二君        日本電信電話公        社職員局長    玉野 義雄君        日本電信電話公        社営業局長    武田 輝雄君        日本電信電話公        社運用局長    好本  巧君        日本電信電話公        社経理局長    中山 公平君        日本電信電話公        社資材局長    三宅 正男君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      壺井 宗一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十五年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十五年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十五年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 足鹿覺

    主査足鹿覺君) ただいまより予算委員会第三分科会を開会いたします。  本会担当委員異動について御報告いたします。  本日、鶴園哲夫君が委員辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。  また、本日、予算委員異動に伴い、大森久司君、亀田得治君、二宮文造君がそれぞれ本分科担当委員に選任されました。     —————————————
  3. 足鹿覺

    主査足鹿覺君) 一昨日に引き続き、郵政省所管の質疑を行ないます。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、米軍との間で電話使用料金未払いになっている問題について伺いたいと思います。  平和条約が発効した昭和二十七年度から四十三年度までは決算上はっきりしていると思いますが、できれば四十四年分もわかっておりましたら、含めて、現在米軍公社に支払わなければならない専用設備使用料金のうちで未払いになっておる額は、正確には幾らになっておりますか、それを教えてもらいたい。
  5. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) 米軍に対します料金につきましては、占領当時は、米軍が当時の逓信省ないしは電気通信省支払いませんで、終戦処理費支弁逓信省ないしは電気通信省に支払われておりました。平和条約発効と同時に、米軍地位協定に基づきまして、公益サービスの対価を支払うということになったわけでございます。そこで二十七年以降、米軍公社支払いました金額は、専用線収入で、四十三年度までに三百四十億五千万円でございます。なお、四十四年度ではおそらくこれが二億円くらいふえるであろうと思います。したがいまして、四十四年度で申し上げますと、三百四十二億円くらいの金額が支払われるのではないかと考えます。そのほかに普通の電話料金として支払いを受けておりますこの額が四十三年度までで七十七億四千万円、四十四年度はおそらくさらに一億円ぐらいの収入が入ってくるものと思われます。したがいまして、専用料並び電話料金として入ってまいりました額は、合計いたしまして四十三年度までで四百十七億九千万円でございます。それからそのほかに、終戦処理費支弁ないしは安全保障諸費支弁建設をいたしました施設、この施設につきましては、公社基地内の設備につきましては保守委託をいたしております。それから、保守委託をいたしておりますこういったような金額、並びにUSケーブルと申しまして、アメリカが所有いたしております設備について公社保守委託をいたしておりますが、その保守委託収入が百六十五億七千万円ほど四十三年度までにございます。以上、合計いたしますと、四十三年度末までに入りました金額は五百三十八億六千万円でございます。  なお、このほかにTOWJGCPにつきましては、地位協定解釈をめぐりまして紛争がございまして、これらの設備については米軍地位協定二条に基づきまして、ただで使用できる性質のものではないかということを言っております。しかしながら、日本側といたしましては、七条にいう公益サービスであるから、当然に料金をもらいたいということで意見が対立してまいっておりまして、この分につきましては今日まで意見が対立したまま解決に至らず日米政府間の問題として残っております。しかしながら、これにつきましても、昭和三十年に暫定協定ができておりまして、TOWJGCPとも基地内の設備については、修理に要した費用米軍が支払う、またTOWにつきましては、基地外の分についても米軍修理費を支払うということになっております。ただし、JGCP基地外部分につきましては、公社負担において修理を行なうということになっており、そのほかに、もしこのTOWJGCP設備がかり専用線であったとしたなら、どのくらいの金額になるだろうかということを計算して出す、米軍はこれを受け取りますが、いつでも削除できる権能を有するという暫定協定ができておりまして、この暫定協定によりまして、公社が毎年米軍に提出いたしております計算書の額が、四十三年度までで八十億九千万円ほどになっております。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、まあ回りくどいことは要りませんから、現在とにかく米軍公社に払わなければならない、そういう金は八十億九千万円あるわけですね。その八十億九千万円のうち終戦処理費支弁施設と、それから安全保障諸費支弁施設とあるわけだが、この内訳はどうなんですか。
  7. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) 支払わなければならない額ということでございますが、この額につきましては米軍との間に紛争になっておりまして、暫定協定によって一応計算書だけを出すというものでございます。この内訳は、終戦処理費支弁のものが六十一億九千万円、それから安全保障諸費支弁のものが十九億円でございます。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 この問題は毎年毎年この国会論議になりまして、国民から見ると、当然、アメリカ電電公社施設を使っておるんだ、使っておれば払うのはあたりまえだ。これは地位協定がありますから、いろいろ無償で使える分もあるのですけれども、一応国民の感じとしては、アメリカただで使っておるじゃないか。要するに、使ったものに対して代償を払うのはあたりまえじゃないか、それを払わないのはおかしいという、一般国民電話ですと何日か払わないと通話停止される。アメリカ軍のものについてはずいぶん寛大な措置をしておるじゃないか、いろいろ批判があると思うのです。だから、私はきょうは少し紛争料金と言っておるものは何なのか、われわれは日米間の交渉に移してもこれを解決すべきである、しなければならぬと、長い間主張してきたんです。ところがさっぱり進まない。一体何だろうということを非常に疑義を持っておる。そうして料金値上げとか、調整になると、そういう金があるのだから、なぜ吸い取らないかという意見も出てくる。だから、私はこういう問題をいつまでもいつまでもこういう状態にしておくことはいけないと思うのです。だからして、早い機会にいずれかに決着をしないといけないという立場を私はとるのです。そういう意味で少し伺いたいんですが、まずこの公社側米軍側見解相違している点ですが、これはいまお話しになりましたように、地位協定七条、それから第二条ですね、それから二十四条、ここにあると思うのです。ですから一般的に言うと二十四条の提供する義務ですね、要するにただで使う、合衆国に負担をかけないという、こういう二十四条ですね、これを米軍のほうは根拠にして払う必要はないと、こういうことになっておるんですね。日本のほうは第七条、第二条です。こういう点からして請求権ありと、こうしておると思いますし、したがって、いまもお話しになっているように、毎年毎年公社一般専用料金で算定をして、でき上がった料金請求書をつくってアメリカ側に提出している。この提出しているということは明らかに支払い請求書というふうに解釈をし、債務はあるという考え方でもって払ってくれと、こういうのか、計算するとこうなりますよという通知を出しているのにとどまるのか、その辺がちょっとわからないのですよ。だからして、私は公社予算を見た場合に、もし未収金であるならば、これは未収金として当然計上しておくべきだと思う、会計処理上、これは未収金にはなってない。したがって、何か支払い請求書でもない、計算書アメリカ側に出しておるということなんだが、その辺が少し公社側見解が弱いように思うのです。それにはまずたださなければならないのは、この終戦処理費支弁施設と、安全保障諸費支弁施設というのは、これはお話しのように講和条約発効前からあったんですね。これは日本が全部金を出してアメリカ軍のために提供した施設ですか。公社になりまして平和条約が発効されてから、公社が金を出して新しくつくった施設というわけではないのですね。その辺をひとつはっきりさせてもらいたい。
  9. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) 地位協定の七条のものであるか、あるいは二条に該当するものでありまして、施設及び区域ないしはそれの運営に必要なものである。したがって、ただ米軍が使えるものであるかということにつきまして争いになっているわけでございます。いま御指摘のございましたように、公社資金と申しますか、一般専用回線に充当するような回線を使っておるものにつきましては、米軍も明らかに七条の施設ということで料金を支払っておるわけでございます。この額が先ほど申し上げましたように三百四十億ほどになっております。で、いま紛争になっておりますのは、おっしゃいましたように、終戦処理費支弁米軍要求によりまして建設されたもの、ないしは平和条約発効安保諸費で支出され、そして安保諸費資金建設されたものでございまして、一般専用回線のように公社資金建設されたものではないわけでございます。したがいまして、アメリカの言い方といたしましては、そういう終戦処理費ないしは安保諸費支弁といった特殊の資金によって、米軍要求に基づいてつくられた設備であるから、当然施設及び区域運営に必要なものである。したがって、二十四条でただ米軍が使える性質のものであるというふうなことで、平和条約発効と同時に争いになったわけでございます。  そこで、公社米軍で話をいたしましたが、話がつきませんので、日米合同委員会におきまして、さらに日米合同委員会のほかでも何回か話し合いが行なわれたわけでございますが、話がつかないで、そうして今日政府間の問題として残っているわけでございますが、その間におきまして、昭和三十年の八月にTOWにつきましては暫定協定が結ばれまして、TOWにつきましては基地内、基地外とも米軍修理に要した金を公社に支払う。それからなお二カ月後、すなわち三十年の十月には、JGCPにつきましても、暫定協定が結ばれまして、JGCPについては基地内の分については保守に要した費用を支払う。ただし、基地外の分につきましては話し合いがつきませんで、当分の間、公社負担において保守をすると、こういうことになっております。  なお、そのほかに公社といたしましては、七条による公益事業役務ということを主張いたしましたが、それならば一応、話はつかないんであるけれども、もしそうだとしたときには、どのくらいの額になるかということをはっきりさせるために計算書を出すということで暫定協定が結ばれて今日に至ってきた、こういう状態でございます。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 根拠ははっきりしましたね。このアメリカ軍側は、専用線設備は、地位協定第二条にいうところの施設であるから該当する。したがって、二十四条によって無償でいいじゃないか。ところが、日本側はそうではない。七条に言うところの公益事業及び公共の役務を提供するための施設であるから、通常、日本の官庁が支払う専用料金を払うべきだと、こう主張している。この点は地位協定上はっきり両者の見解があったわけです。ところが、それが見解相違があるために、日米合同会議だとか、交渉を進めるためにいろいろな場所でやっていると思うのですね。ところが、それが一向に解決をしないということは、いまお話しのように三十五年ですか、TOWのほうの暫定協定、それから三十年のJGCPのほうの年月日はどうですか、年月日はちょっと私はわかりませんが、いつしたかわかりませんが、その暫定協定というものが結ばれたということは、これは大事なことだと思うのです、私は。そういうものがあったにかかわらず、なお、公社は従来の主張を変えずにきたわけでしょう。そこら辺の関係はどうなりますかね。
  11. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) 一般専用設備につきましては、当然七条のものであるということは、日米意見が一致したわけでございますが、TOWJGCP支弁によって建設された施設におきましては、いま御指摘のような争いがあったわけでございます。そこで、いつまでも争っておってはTOWJGCPについて公社修理ないしは保守をしてまいるについて、公社ただでやらなければならぬというような形になりますし、保守のやりようがございませんので、根本的な争い解決はそれはそれとして、別途やることとして、昭和三十年の八月に終戦処理費支弁施設につきまして、また同年の十月に安全保障施設支弁諸費につきまして暫定協定が結ばれて、そうしてJGCP基地外部分を除いてはすべて米軍において修理ないしは保守費用を支払うということになりまして、それによってサービスが提供できる、こういう形になったわけでございます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 同じようなことの繰り返しになってしまうんですけれども、そういう暫定協定を結んでTOWのほうは基地内外についての話がまとまったわけですね。それからJGCPのほうは基地外を除いては話がまとまっておるわけですね。ですから、ある部分ですわね。もう極端にいえば極限された部分になっていると思うのですね。  そこで、大臣、これは長いこの紛争ですね、さっき申し上げたように国民の側から見ても非常にこれは困ったものだと思うわけですよ。したがって、取るべきものはちゃんと取らなければいけませんね、これはどうしても。しかし、何らかの解決策というものをやはり考えなければいかぬのじゃないでしょうか。平行線のまま、これはいつまで続くかわかりませんけれども、そういう状態をこのままにしておくこともこれまずいと思うのです。で、郵政省なり外務省でも、この問題についてはすでに両国政府間の問題としていろいろ御苦労をいただいているわけですけれども、大臣はこの問題についてさらにこの見解相違を縮めるために、よこせ、よこさないの話を続けていかなければならないと思うのですけれども、それもまあ限界があると思うのです。ですから、どういう方法かでこれを私は処理しなければいかぬと思うのです。ですから、何かこれからの扱い方についてお考えがありますか。
  13. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この問題は今国会においてだいぶ大ぜいの方から御意見が出ました。しかし、まあきょうは鈴木さんは一番詳しく御質問のようでありますが、これはまあ法律論としますれば、こっちはまあ請求権があるのだ、向こうはそうじゃない、二条あるいは二十四条、これをまあ固執しておる。これではいつまでたってもきりがございません。そうかといって、まあ国益をえらく損ずるということであっちゃ相ならぬと思いまするし、その返、外交交渉に移っておりますから、外務省ともよく相談をしようと思うのです。  それからさらに公社のほうの腹づもりもよく伺わなければなりませんし、まあそういう点を少し煮詰めて、やはり毎回この議論を繰り返すというのも知恵のない話でございますから、そういう方向をひとつ考えさしていただきたい、かように思います。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 昭和四十四年二月十八日に外務省郵政省から衆議院決算委員長にあてて、「在日本軍電気通信料金問題」というので報告といいますか、見解といいますか、そういうものが出されておることは大臣も御承知だと思うのですね。その中にも、「政府としては、本件施設占領下終戦処理費をもつて建設されたものおよび米軍専用のため安全保障諸費をもつて建設されたものであることを考慮しつつ、関係省間で更に十分協議のうえ、本件解決のため一段と努力いたしたい所存であります。」と、こういうものが出ているわけですよ。これは去年の二月ですから、もう一年経過しておりますね。したがって、まあ井出郵政大臣の御就任前のことですけれども、まあ毎年毎年、問題になりまして、もうすでに八十億数千万円というところまでいったわけですね。やがてこれは百億になるかもしれません。ですから、ここに述べておられますように、特別な、占領下において終戦処理費とか、安全保障諸費でつくったものを電電公社が引き継ぎ、平和条約によって米軍との見解の差ができたということですから、いまお話のように、関係各省間で十分協議の上一段と努力するというのだが、その努力が一体いままで何をしてきたのか私にはよくわからぬわけですよ。だから、もう少しこういう問題については、政府も忙しいでしょう、忙しいことはわかりますけれども、積極的にあなたは部下を督励して、外務省意見が一致しているわけですから、この見解については国会に対する見解として。だからして、もう少し積極的にこれを解決するという努力をしてほしいと思うのです。きょうは総裁も見えておりますから、総裁としてこの問題に対してどういう考え方を持っているか、もし所信があったら聞かしてもらいたいのです、見解を。
  15. 米沢滋

    説明員米沢滋君) お答えいたします。  先ほど来、営業局長から紛争料金の問題と、それから米軍との間におきますその他の料金、それらにつきましての額や、その他につきまして御説明いたしましたが、私は先ほども大臣がお答えになりましたけれども、急速にこの問題を政府にお願いいたしまして、解決していただきたいと実は思っているわけでありますが、その際に、昭和三十年の暫定協定でやられた内容というものを、実はこの間うちからずっと詳しく私自身も検討いたしました。いままでこの暫定協定中身等につきまして、国会であまり詳しく御説明したことは、私いままでなかったんじゃないかと思うのでありますが、とにかく三十年にできて、その暫定協定の中でTOWあるいはJGCPに対しまして、基地内のものについては、いろいろこの協定による収入というものは公社に入っているわけであります。しかも、それは昭和三十年でありますから、現在もう十五年たっている。この協定の事実ということは、今後残っております紛争料金処理に対しまして、やはりいろいろ考えなきゃならぬ要素であるというふうに考えております。いずれにいたしましても、郵政省あるいは外務省等にお願いいたしまして、急速にこの処置に当たりたいというふうに思います。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 総裁の御見解は、私もどうもそんな気がしますね。もう全然払ってないというならこれは別ですけれども、少なくともTOWの場合には基地内外ともやっているし、JGCPの場合には基地外を除いてやっているわけですから、ですからして、米軍側の言われることについても、その協定があることを聞きまして、私もちょっと理屈があるような気もするわけですよ。ですから、その辺をどういうふうにまとめるかということがこれからの交渉になると思うのですけれども、大臣のおっしゃるように、われわれはき然としていままで主張してきた考え方というのがあるわけですけれども、ただ暫定協定というものは率直に言ってようわかりませんでした、私たちも。そういうものが公社にあるとするならば、公社はそういうものを結んだ以降、一体従来のような形でよかったのか、多少請求書の帰属についてもその辺は除いてあるかどうか、これはまた武田さんにあとで聞きますけれども、除いておればいいと思うのですけれども、除いてないとすれば、これは問題なんで、除いていると思いますけれども、そういう点からしても根拠によって多少の修正をするようなことも必要ではなかったかと思うわけです。ですから、これは過去のことですので、まあ言ってもしようがないことですけれども、そういう点も踏まえて、大臣のおっしゃるように、何も卑屈になって私はこれを妥協する必要はないと思うのです。だから取るべきものはちゃんと取る。しかし、理屈で妥協できるものがあれば、これは多少修正してもいいと思いますけれども、そういうき然たる態度で、とにかく総裁意見もわかりましたから、外務大臣とも御相談いただいて、ひとつ来年のこの国会でこういうことが論ぜられないようにしてくださいよ。私も十数年間、同じことを毎年毎年やってきているんで、迷惑千万です。来年はひとつ国会論議にならないようにしていただきたいことを確約してくださいよ。
  17. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) いま鈴木委員のおっしゃる方向努力をいたす所存でございます。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 武田さん、さっきの保守費をもらう部分については、そこに入っているわけでしょう。
  19. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) TOWJGCPにつきまして、暫定協定によりまして保守費を請求するということになっておりますが、この金額につきましては、正式に請求書を発行いたしまして向こうに要求し、おさまっておるわけであります。それから紛争になっておりまして、毎月計算書を出しております分につきましては、ただ計算書を出しておるだけでございまして、正式に請求書も出しておりません。調停にもかけておらないということでございます。したがいまして、計算書を出している分と保守費として正式に請求書を出しておる分とは、したがって、ダブっておるという形になっております。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 そういう点もわかりましたですから、大臣、筋を通して解決していただくようにお願いします。  それからきょうは時間が制約されておりまして、幾らもございませんので、もう一つ国内の電報電話料金で未収の処理になっているというのは、どのくらい年間ありますか。
  21. 中山公平

    説明員(中山公平君) いま手元に新しいものはございませんが、四十三年度の決算におきましては、未収金が四十四年の三月末日現在でございますが、三百六十億円となっておりますけれども、これは御承知のように三月三十一日の時点で切るものでございますから、まだ納期が——支払い請求書は出しましたけれども、納期が来ていないというようなものも入っておるわけでございまして、御指摘未収金というのは、相当長期にわたって焦げつきになっておるというものをお指しになっておると思いますけれども、それにつきましては、大体パーセンテージで申しまして〇・八%程度ではなかったかと思いますが、いま調べまして額をお答え申し上げたいと思いますので、ちょっとお待ちを願います。——総収入に対する○・八%ぐらいだったと思います。——失礼いたしました。いま申し上げます。四十三年度末で滞納料金の総額は八億九千万円でございまして、これは年間の電話収入、四十三年度の七千百二十四億円に対しまして、〇・一三%、こういうことに相なっております。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 これは一番長く滞納しているというのはどのくらいのがありますか。
  23. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) いま経理局長が申し上げました、全体の収入の〇・一二%と申し上げました金額は、電話で申し上げますと納期がまいりましてまだおさまっておらぬというものでございます。そこで、納期がまいりまして十五日ないし二十日たちますと、大体通話停止をいたすということになっております。通話停止をいたす時点におきましては、ほとんどの金が入ってまいっております。しかしながら、若干残るものがございますが、これらにつきましては公衆法上聴聞を行なって契約を解除するという道がひとつ開かれております。それからなおおさまらないものにつきましては、あらゆる方法を使って収納をはかる。しかし、もう従来の加入者が不在で、行くえ不明になってしまったというふうなことがだんだんはっきりしてまいりますと、二、三年たちました時点において不納欠損にかけるということにしておりますので、長いもので二年程度じゃなかろうかと思うわけでございます。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 あとでけっこうですから、銀行の払い込みですね、それが料金収入の中で何%くらいになりますか。資料がございましたら、ひとつ出していただきたいと思うんですが。
  25. 中山公平

    説明員(中山公平君) 後日正確な資料を御提出いたしますけれども、私の記憶するところでは、大体、銀行経由のもの、特に銀行振りかえによるものが概数で五〇%になっていると思います。金額では六〇数%に達しておったと記憶しております。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 資料でけっこうですから教えてもらいたい。  それから、公衆電話を三分打ち切り制に切りかえたのもあるし、これから切りかえようとするのもあるんですが、これを実施しましてから特別に公社に対してたいへんな苦情が出ておりますか、どうでしょうか。それからもう一つは、三分打ち切りになると公社はもうかるんじゃないかという風評があるんですが、あの三分打ち切りにするための機械の改造ですか、そういうものにも金がかかると思うんですが、大体、収入、そういうものから見たら幾らかふえるようになりますか。まだ実施したばかりだからわかりませんか。わかったら教えてもらいたい。
  27. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) 三分打ち切りは、まだ全体を実施したわけでございませんで、大体三分の一程度したわけでございますが、そのときにいろいろの方に面接調査等で意見を聞きましたところ、まあ八五%ぐらいの方々が賛成であるというような御意見でございました。それからなお、本社、東京、近畿でございますが、相談所等に照会がまいっておりますが、その件数は一月で二十五件、二月七十五件、三月で二十一件といったようなものでございますけれども、その内容は、実施地域がどこなのか、それから打ち切りの対象になる公衆電話はどういうものなのか、チャイムは相手に聞こえるのか、あるいは、市外通話は打ち切りになるのかといったような照会、それが大部分でございまして、そのほか意見、要望として若干ございますのは、PBX等にかけた場合困るというようなことで、また、新聞等におきましても、継続はできないのかということでございまして、大多数の方々はこの制度を、足らない公衆電話、しかも行列しておられる公衆電話をみんなで機会均等に使える制度であるということで、大多数の人はこれを快く受け入れていただいておるというふうに考えております。  それから、もうかるかということでございますが、大体九六%ぐらいの通話は三分以内に終わっております。ちなみに公衆電話の平均保留時分は実施後は一通話一分三十三秒くらいになっておりまして、三分以内に九六%以上のものが終わっております。したがいまして、再びかけ直していただいておるパーセンテージというのは非常に低うございまして、二、三%くらいの方がかけ直しているんじゃないかと思いますが、再びかげ直されるという方は非常に少のうございますので、それほど増収ということはないと思っております。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 それからこまかいことで恐縮なんですけれども、東京の電話番号簿というのは二冊に分冊されているのですけれども、どうも数がふえてまいりますから見るのにたいへん苦労するわけです。小さい字で、扱いも二つで、なかなか重くてちょっと不便で、難儀するのですけれども、何かこの扱いをもう少し便利化するというような方法は考えられないものでしょうか。
  29. 好本巧

    説明員(好本巧君) 東京の電話番号簿でございますが、東京以外の地方のほうの番号簿の五十音の番号簿が非常に薄過ぎる、収録範囲が狭過ぎるというような御指摘がございまして、これは収録範囲を広げるというふうな方向で、現在、改正方を実施中でございます。御指摘の東京のように、二百四十万も加入者がありますと非常に膨大な簿冊になる。これをどういうふうに加入者の方、利用者の方に引きやすく、見やすく、わかりやすい便利なものにするかということも現在鋭意検討中でございまして、東京のようなきわめて広い加入区域で、非常にたくさん加入数のあるものを、現在、五十音と職業別とも上下二分冊にしておりますが、これを、もう本年度からは二分冊ではとても製本技術上きわめて困難だと思われる、と同時に、御指摘がありましたように、活字、数字の大きさも、現在は新聞の活字よりもっと小さくなるというようなことに相なっておりますので、こういうものをどういうふうな収録にして、どういうふうな見やすいものにするかということについて、早急に検討をして結論を出すように現在われわれのところで鋭意検討中でございます。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 ひとつ見やすい、扱いやすいものにしていただきたい。お願いします。  それから、中には広告なんかも出ておりますが、たとえば交通反則金の点数の問題ですね、多少ミスがあったりして、実際に迷惑をしている人もあるようですけれども、これの編集についてはひとつぜひ十分御注意をいただきたいと思います。  それから、次に船舶、自動車、航空機、列車、こういうものとの間の公衆電話ができるようにしてほしいということも国国みんなの願いなんです。現在、船舶の場合とか、あるいは列車の場合は東海道の新幹線がありましたね。それから前の旧特急にありましたか、あと航空機とか、自動車——自動車と言っても、タクシーとか、ハイヤーとかになると思うのですが、そういうものに対して、何か公衆電話、乗っておりながら電話が使えるようなものは何か考えておられますか。
  31. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 航空機あるいは自動車につきましては移動体でございますので、無線で通信をしなきゃいかぬということで、種々実験を重ねまして、技術的には完成いたしておりますが、郵政省にお願いしまして、周波数の獲得がなかなか困難であるという事情で、まだ実現はみておらないというような状態でございます。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、郵政省のほうで周波数が認めてもらえればできる態勢ですが、郵政省のほうはどうですか。
  33. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) いろいろ日本の経済あるいは社会の発展に即応しまして、そういう関係の通信需要というものは非常にふえてくると思います。そういう意味で、郵政省としましても、そういう需要に即応できますように、諸般の準備を進めてまいりたいと、かように考えております。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。ぜひよろしくお願いします。  それから、その次に、経理局長にお尋ねしたいのですけれども、昭和四十五年度の公社会計予算は、政府の経済見通しをこの際受けて組まれていると思うのです。実質成長一一・一%、物価上昇四・八%、ところが私が非常に心配しているのは、経済見通しもだいぶこれは違うと思うのですけれども、この数年間のを見ますと、新経済社会発展計画で一〇・六%ですか、新しい実質成長をきめて、政府の一〇・六よりも〇・五だけ低く見ておるわけですが、これは私たちふしぎに思う一つなんですが、それはともかくとして、消費物価の点、それから卸売り物価、ずいぶん上がってきておるわけです。それで四・八%の見通しが——四十四年度を見ても見通しよりも物価が上がっているわけですね。したがって、この予算を実行する場合に四・八%の物価高として組んでいくとすれば、これから線材機材の購入、建設負担金をふやしていく問題、労賃の問題、それから労働組合その他の間にはベース改定の問題も当然出てまいりますから、そういうものを含めて実際この予算を執行する場合には、電電公社だからといったって鉛筆を五円のものを二円にまけてくれるということはないと思うのです。ですから、たいへん予算執行上困難があるように思うのですが、そこらは何かくふうをしてやれますか。ほんとうなら編成の基礎が変わってきたのだから組み変えなければならぬですよ、やり直さなければ。しかし、それもできないでしょうから、たいへんわれわれは心配するわけですが、どうでしょう。
  35. 中山公平

    説明員(中山公平君) ただいま御指摘の点でございますが、物品につきましては、私ども予算要求をいたします際に工事負担金表というものをつくりまして、工事の種別に従って物品それから労務費というものの単位をきめまして、それに対する単価をきめております、工事負担内訳表と申しておりますけれども。その際に物品につきましては毎年これを改定いたしまして、資材局のほうでつくってもらいまして新しいもので要求をいたしておる、こういう次第でございます。それにいま御指摘のような事情もございますけれども、おそらくはメーカーのほうにおきましてもいろいろと経営努力もしておられると思いますから、何とかいけるのではないか、かように思います。なお、請負費の中の労賃でございますけれども、これにつきましては時期おくれになっておりますが、四十二年の八月から四十三年の八月までの一年間の屋外労働者職種別の賃金調査結果の報告、こういうようなものが労働省から出ておりますので、これによる平均のアップ率の一六・七%というものを見込んで、四十四年度予算のときも今回は増額をして負担金表をつくっておる、こういうことでございますので、まあ予算としては諸物価あるいは労賃の値上がりを見ておるつもりでございます。なお、実行に際しましては、そうは申しましても御指摘のようなことも部分的に出てこようかと思いますけれども、これはいろいろと努力をして所定の工程を消化いたしたい、かように考えます。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 まあ線材機材の四十五年度購入の見込み等についても伺いたかったのですけれども、時間がありませんから、資材局長に。私が心配しているような点が実際に線材機材の購入に対して問題がないかどうか、どのくらいのアップをみて予算を組んでありますか。
  37. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) ただいまのお尋ねの点でございますが、線材機材ともに大部分が大量生産による工業製品でございますので一般の物価の影響はほとんど受けていない。大体におきましてメーカー側の生産の合理化といったような点で吸収できているという状態でございます。私ども物品購入の契約をいたしますときの単価等につきましてもほとんどのものは上がっておりません。むしろ下がりぎみでございます。その点は心配なくやっていけると存じます。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 それからもう一つ。ことしは加入電話二百十万個架設することになりましたね。まあ当初の要求からみると多少減りましたけれども、しかし、私たちが第四次五カ年計画の長期を展望したときから見ると、基礎工程百八十万のサービス開始というようなことでやっておったものが二百十万ということになりますと、かなりサービス工程と基礎工程とのギャップがあるのではないか。しかも建設工事というものが二百十万の架設をするのに足るだけの態勢があるかどうか。これはもう機械設備なり基礎設備なり、そういうものを含めて心配をするわけです。ですからその態勢というものは私が心配するようなことはないと、こういうふうに総裁考えておいていいですか。
  39. 米沢滋

    説明員米沢滋君) お答えいたします。  第四次五カ年計画の中におきまして昭和四十五年度は百八十五万をつけるということで最初考えておったのでありますが、本年度の予算におきましては、特に最近の電話の需要の増加に対しまして、それに応ずるという意味で二百十万の一般加入電話をつけるということでいま予算の御審議をお願いしている次第でございます。  ところでこの二百十万になった場合に、その基礎設備との関係でございますが、もともと、たとえば東京あたりで見ますと、最近積滞が東京のたとえば二十三区の中では大体一万五千ぐらいしか積滞がないというふうな状態になっておりますし、結局、一番積滞がふえてまいりましたのは東京周辺並びに大阪周辺の大都市周辺に多い。その他県庁所在地もございますが、数からいきますと東京周辺、大阪周辺が多いわけでございます。したがって、これらの場合には基礎設備でどのくらいそれを食いつぶすかということも十分考え、また一方トレーラー交換機を特にいままで四百ぐらいしかできなかったのが、トレーラー交換機が二千までいくようになりました。トレーラー交換機を一応東京周辺、大阪周辺に持ってまいりまして、そこである程度電話の架設を行なう。それからまたトレーラー交換機は移動がききますから、五年なりあるいは七、八年たった場合には、トレーラー交換機をまた別のいなかのほうに持っていくということもあわせてやっていきたいと思います。  それから工事の能力でございますが、これは結局平準化してやるということが工事能力の上で一番問題でございまして、特に早期準備をしたりして進めていけば私はこの二百十万の架設はやれるというふうに思います。ただ、最近特に問題となってまいりましたのは、道路の使用の問題で、地方の自治体とか、あるいはその他との交渉、これが一番問題となってくるわけでございまして、私は工事能力というよりはむしろそういう道路の使用、そういう点の準備、これに非常に力を入れていく必要があると思います。いずれにいたしましても、予算がきまりましたならば、関係公社の内部、あるいはまた部外の請負会社等にもよく連絡要請をいたしまして、そして企画に合った完全な設備をつくることに万全の努力をしたいというふうに思っております。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 もう時間がありませんから、最後に私は要望と多少の見解を聞きたいのですけれども、実は第四次五カ年計画が終わる会計年度四十七年、実際には暦年で昭和四十八年三月三十一日には、申し込んだらすぐつきますよ、どこでも全国早くつきますよという構想でスタートした公社の計画が その後の経済の異常な発展に伴って、御承知のようにいま二百七十万から八十万の積滞があるそうであります。幾ら敷いても電話は足りないというこういう状態にあると思います。したがって、その積滞を解消するということが、これは公社に対する至上命令だと思います。それからさらに市町村が合併しておりますが、合併したにかかわらず、まだ電話局が二つも三つもある。加入区域は普通、特別、域外と、こういうふうに分かれておりまして、電話を同じ日本人が引く場合でも、そういう区域が違うために高い金をとられるということ、こういう矛盾がありますから、これを直さなければならぬ、これも、私、至上命令だと思います。一方、電報というのは、これはやればやるだけ赤字でありまして、たいへんな、経営は最悪の事態にきていると思います。これをどうやっていくか。それから新しい情報化社会に対応するデータ通信というもの、公社でいろいろサービスも考えておられますが、これらの新規サービスと技術開発については、これからほんとうに一生懸命やっていただかなきゃならぬと思うのですが、そういうふうなもろもろな当面する国民課題をひっさげて公社にやってもらうわけですが、先般、新社会経済発展計画も発表になりまして、今度は五兆三千億、公共投資の点で一応認めておりますね。ですから、こういうもの等十分に考えながら、ひとつできるだけ早い機会に、第四次でわれわれに長期計画で約束をした、申し込めばすぐつく電話、どこへでも即時に通ずる電話、こういうひとつ方向にぜひ持っていっていただきたい。これを公社に強く期待します。まあ、建設資金その他については、拡充法の期限切れ等もありまして、これは先般予算委員会のほうで、大蔵大臣も善処を約しているようですから、そのほかの資金調達等についても、十分考えてやってほしい、こう思います。  それから、もう一つ要望しておきたいのは、いま春闘で、全電通労働組合との間で賃金交渉をやっていると思います。公社のほうは他の企業と比べますと、非常に熱心に団体交渉を続けていただいて、私はこれは非常にいいことだと思います。ただ一面、現在の公社法上、予算総則上における給与総額があり、たいへん難儀をしてるわけです。私は総理大臣にもこの点は委員会でただしておきました。公務員制度審議会が太田・池田会談の結果持たれておるんだが、なかなか公社の当事者能力というものについては遅々として進んでおらない。そういう中でことしもやるわけですから、政府としても、そういう、まあ当事者能力が十分ない中での交渉だからバックアップをしてほしいということを申し上げておきました。総理も予算の中で十分に考えようということを言っておりましたけれども、とにかく団交を煮詰めて、そしてその問題解決方向努力していただきたいと思うのです。いま言っているように六・四%も物価が上がって、たいへん国民は物価の面では苦しんでると思いますから、そういう点を配慮して、ひとつ労働問題については、従前にも増して積極的に団交を重ねて、その一つの要求を満たしていただくように、解決していただくようにお願いしておきます。ちょっとこれについて見解を承ります。
  41. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 今年度のベースアップにつきましては、全電通は三月十三日一万三千円の要求を出しておりますが、それにつきまして、二十七日に回答をいたしました。自後、民間賃金、物価、その他の資料を双方で確認しながら、見解をいま整理してきておりますが、昨年まで過去三年、調停の中で実質的に決着してきたことで、いろいろ私どもで努力してきたわけでありますが、先生がおっしゃいましたように、団交でできるだけ煮詰めながら進めていきたいと思っております。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣からもちょっと答えていただきたい。いま私の申し上げた公社に対する公社計画の今後の問題について。
  43. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私も予算委員会鈴木さんが総理とやりとりなさったことをそばで聞いておりました。いま職員局長が答えましたように、団交でできるだけ煮詰める。そして、これは政府も一枚かんでいるわけでございますから、そういう御趣旨に沿いまして努力をいたす所存であります。   〔主査退席、副主査着席〕
  44. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は電々公社関係の仕事に対する知識も経験もありません。全くのしろうとに過ぎませんが、もし誤っておった点があったならば御指摘をいただいてけっこうでありますので、そういう立場から御質問を、あるいは素朴な意見を交えて申し上げるかもしれませんが、よろしくお願いいたしたいと思います。  第一に、農山漁村電話普及計画についてでございますが、御当局のこの参考資料によりますと、地域集団電話、農村公衆電話、地域団体加入電話、有線放送電話等、三百十八億の予算を計上しておられるようであります。しかしながら、私はよくわかりませんが、現在までの普及の実績は、この種目別に農山漁村においてどうなっておるか、これをお尋ねしたい。  また第二点は、農山村電話申し込みに対しまして、充足率はどういうふうになっておるか、まずこの二点を当局からお答えいただきたい。
  45. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) 農山村におきます電話状態でございますが、まず第一に地域集団電話、従来、農集といっているものでございますが、これが四十四年度末で約九十七万ほどございます。それから農村公衆電話、これが四万ほどございます。それから地域団体加入電話、これが十一万七千、それから有線放送電話に公衆線を接続いたしまして、公社の加入電話と一定地域内でありますが、通話ができるようになっている制度が設けられておりますが、これによりまして、公社の一定範囲内の加入者と通話ができるようになっております。有線放送の施設が七百一施設電話機の数におきまして百万ほどございます。それから農村のほうにおきます積滞でございますが、全般的に申し上げまして、四十五年度二百十万の電話をつけたわけでございますが、それでも充足率は約四〇%程度のものでございます。農村のほうは都市より比較いたしまして、若干それよりも悪くなろうかと思います。しかしながら、農村集団自動電話、現在の地域集団電話は四十五年度は四十四年度に比較いたしまして充足率がよくなろうかと思いますので、地域集団電話を含めて、農村の充足率ということになりますと、大体四〇%程度ではなかろうかと思っております。
  46. 足鹿覺

    足鹿覺君 実情を承ったわけでありますが、この計画をさらに拡大強化されまして、充足率の拡大促進のために御努力をわずらわしたいと存じます。そこで、以上のような実績を踏まえまして、郵政大臣から特に御所見を承りたいのでありまするが、御承知のように、農山漁村と申しましても、最近は奥地あるいは都市の周辺等には過疎現象が著しく生じております。また、そういうところでは、奥地等におきましては、部落が点在をし、相当の距離がありますために、また戸数の少ないというような状態の中で遠方から架設をしていくためには、従来からの実例を見ておりますと、地元負担という形で電柱その他の施設費を負担しておるのであります。それがために必要を認め、希望はあるのであるが、なかなか負担にたえ切れないで実現困難の悩みが今日に至っておることは、御承知のとおりだろうと思います。そこで過疎対策の一環といたしましても、郵政大臣においても重視していただきまして、今国会成立見込みの過疎地域対策緊急措置法との関連をもお考えになり、自治省方面とも連絡を密にされまして、農山漁村の環境整備の一環として、農山漁村電話普及計画の樹立、拡大、促進のために今後御善処をしていただきたいと存ずる次第であります。特に先ほど指摘いたしました架設費の地元負担等につきましては、格別の配慮をいただきたいものだと、かように考えますが、この際御所見を承りたいのであります。
  47. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 長い間農協運動あるいは農政活動に努力をされてこられました足鹿委員が、こういった困難な状況にある農山村の実情に思いをいたされますことは、私も全く同感でございます。ただそういった地帯というものは、いま御指摘のように遠距離を架線するといいましても、たいへんコストが高くなるという実情はあろうかと思います。そういう事実関係公社のほうから御説明を願うことといたしまして、御趣旨は私も全く同感でありますし、ことに過疎地域の対策立法等を講じられるという事態でございますから、それらの各省とも連絡をとりまして、できるだけ御指摘のような方向に問題が解決できますように努力をする次第でございます。
  48. 足鹿覺

    足鹿覺君 次に、データ通信に関する法制度の改善につきまして若干の問題点を私なりに指摘して伺ってみたいと思います。  これからの社会は情報化社会であるといわれております。すでに各企業や団体等の中で稼働しておりますコンピューターの数は、昨四十四年九月末で五千六百一台、金額にして五千百九億円と飛躍的な数にのぼっておるのであります。また、先般の経済審議会の答申について、鈴木さんも先ほど触れられましたが、新経済社会発展計画の中でも、情報のネットワークの整備について、政府が積極的に取り組むべきことを強調しております。こうした情報化社会への展望は、単にこういう技術のコンピューター導入にとどまるのみならず、広く社会的にデータ通信、つまりデータ伝達とデータの処理を普及していただきまして、発展させることによって可能となるものであることは、今日の一般的な常識になってまいりました。そのためには政府が積極的に法制度の改善や情報処理施設を進めることは当然のことでありますが、同時に、だれもが自由に活用できる、いわば開放されたデータ通信制度を整備することが大切ではないかと、かように思うのでございます。こういう観点から二、三お尋ねをいたしますが、きょうは非常に時間がございませんので、要約して私も申し上げます。御当局の御説明も急所をついた御答弁をわずらわしたいと思います。  その一は、本国会に公衆電気通信法等関連法の改正案を提出される構想と聞いておりますが、どうでありますか。すなわち昭和四十四年十一月、郵政審議会においてデータ通信のための通信回線の利用制度について答申が出されております。政府としてはこの答申に基づいて本国会に公衆電気通信法等関連法の改正案を提出する考えだと聞いておりますが、今時点における政府の態度を伺いたいのであります。   〔副主査退席、任田新治君着席〕
  49. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 情報化社会に対する展望につきましては、ただいま足鹿さんお述べになったと同様でございます。まあ日進月歩の非常な動きを示しているこの問題に対しまして、私どもも昨年十一月の郵政審議会における答申を踏まえまして、これを立法化しなければならぬということで公衆電気通信法の改正を企図いたしまして、せっかくその準備をしてまいったのでございます。しかしながら、この国会というのは非常に短期の見通しでございまする上に、このデータ通信をめぐる諸問題というのは非常に重要な問題を含んでおりまして、まだ法律を整備するのにはもう少し時間もかかろうかと思っております。おおむね三月二十日をもって提出法案は一応締め切る、その時点までにどうも時間的、物理的に間に合わなかったというのが実態でございまして、残念ながらこの国会には見送るという結論に達しました。しかし、これはほうっておくわけにはまいりません。したがいまして、次の国会を目ざしてこの改正に取り組む、こういう所存でおるわけでございます。しかし、現在もうすでに電電公社が試行サービスとしてデータ通信の仕事は一部やっておるのでございますが、当面特に支障があるということはなく、しばらくはいける、こう考えますので、これからの期間、鋭意法案の取りまとめに努力をいたしまして、次の国会にはぜひ提出したい、こう存じております。
  50. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいまの大臣の御答弁によって、本国会の特質もあり、十分慎重を期し、次期国会に提出したいという御意向のようでありますが、そういうことでありますれば、なお以下二、三御要望をかねて御見解を承っておきたいと存じます。  すなわち、データ通信の自由化についてでありますが、これまでいわゆるデータ通信の自由化につきましては、法解釈の運用によってわずかながら前進してまいっておると思います。情報化社会に向けて最も重要なことは、国民生活に密着し、低廉で自由な活用がデータ通信に確立されまして、そのためには、すでに欧米諸国におきまして発達しておるような、一般の加入電話網によるデータ通信の整備がはかられてもよかろうと私は考えるのであります。したがいまして、今後技術的には検討すべき問題は多くあると思われますが、まず政府一般の加入電話網によるデータ通信の自由化を認めるという、これはなかなか大きな問題でありますが、基本方針を打ち立てられて取り組まれるべきではないか、このように考えるのでありますが、いかがなものでありましょう。
  51. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 若干技術的、専門的の問題にもわたっておりますから、まず政府委員から御説明いたさせます。
  52. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。  ただいまの先生の御主張の加入電話網を開放することをまず方針としてきめてというお話でございますが、実は現在の加入電話網と申しますものは、これは電報と電話を主体にいたしまして、そうしてつくり上げられました通話網でございます。したがいまして、電話と同じような通話の状態、利用の状態ということでありますれば、技術的な問題は同じに解決されるわけでありますが、データ通信というものは電話と同じ利用状態になるかどうか。つまり電話の利用状態というのは、一つの通話の度数と一つの通話の使っている時間によっていろいろ勘案されるわけでございますが、それと同じようになるかどうかということをよく検討してみなければ、この点の技術的解明がはっきりいたしませんと、なかなかむずかしい問題があろうかと思います。しかしながら、現在では諸外国でも多くそれを実行している現状もかんがみまして、開放するということを含めて、先ほどの大臣の答弁にございましたように、検討を重ねて、それを含んで検討して、データ通信のための、公社法の改正に着手してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  53. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで農業の関連においてお尋ねを申し上げたいのでありますが、大臣も御承知のように、系統農業協同組合をデータ通信回線網のサービスの対象企業とすることについて検討しております。また、各地ですでに散発的に施設が行なわれております。そういう現状からして、農業における自由化の要請をはじめ、特に畜産や青果などの農業の伸展に即応いたしまして、今後農業の生産と農産物の流通をめぐる情報ネットワークの開発、これはきわめて重大に考えるべきだと思うのであります。特に安定した主要食糧をはじめ生鮮食料あるいは畜産関連食品等の確保をはかるには、農協を中心とした農業団体による情報網の整備が私は必要であると思います。さきの郵政審議会の答申では、企業グループによるデータ通信回線サービスを開設すると述べておりますが、来たるべき法改正案の中では、企業グループの中に市町村の単位農協、それから都道府県連農協、全国農協、こういうふうになっておりまして、これを一口に申し上げますと、大臣も御承知のいわゆる系統農協と言っておるのでありまして、これをデータ通信回線サービスの対象の企業グループとしてお考えいただくことは、今後の日本農業の体質の改善をしていく上におきましてもきわめて重大な問題であると存じますが、特に御配慮をいただかなければならないと存じますので、郵政大臣から御答弁をわずらわしたいと思います。
  54. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 農協関係におかれましてこの問題にたいへんな関心を示され、まあコンピューターの数だけでも五千に余ると先ほど承りました。私も農林中央金庫であるとか、あるいは全共連などで持っておる施設は現場を見たことがございます。これを通信回線に結びつけると、こういう御要請でございますが、まさに時代はそういうところへきておると思うのでございます。いまお述べになりました生鮮食料品の関係などは、物価対策の上から申しまして、その中間的な流通秩序をどう正すか、そのためには的確な情報が一番優先的にキャッチされなければならぬわけであります。したがって、こういった一連の系統を通しての情報を完備する意味から申しましても、いま御指摘のような構成員をもって、そうしてデータ通信を利用されたい、こういう御要望であるならば、これは私は時宜に適したものだと、こう考えておりまするが、おそらく電電公社においても、そういうお申出があれば、これに十分応じ得る態勢になっておるのではないか、かように考えるわけであります。
  55. 足鹿覺

    足鹿覺君 総裁、いかがですか。
  56. 米沢滋

    説明員米沢滋君) ただいま郵政大臣がお答えになりましたが、私もそういう御要望に対しましては、いろいろまた実際のシステムの内容等伺いまして、それに対応できるようにしたいと思います。
  57. 足鹿覺

    足鹿覺君 最後に料金制度の改善について伺いますが、この数年来農協におきましても、先ほど申し上げましたようにコンピューターの導入やデータ通信の導入の要請が高まっており、また導入を行なっておる地区もございます。ただ問題は、導入を妨げている大きな原因の一つに、データ通信に関する現行の料金制度に問題があると私は見ておるのであります。加入をいたします市町村農協あるいは県段階の農協にいたしましても、とても負担に応じ切れないと、やりたいけれども、残念ながらやれないと、また、計画をしても、実施の段階で、加入を決意するところもありますし、二の足を踏むというので、足並みはそろわない、こういうような実情にあると存じます。そこで農業協同組合は、法の定めるところによって、先ほども申し上げましたように市町村段階、都道府県段階、全国段階のそれぞれに組織される非営利法人であります。まだこのほかにいわゆる専門農協、その他各種の特殊な形態を持つものもあるわけでありまして、大きな組織であることは電電公社もお認めになると存じますが、特に社会公共性の事業活動をすべき団体間の情報処理につきましては、異種企業の間の情報処理とみなさないで、同一企業間の情報処理に準じて料金制度、通信回線の使用料等を改善をしていただきたい。これが私どもの現在の切なる願いでございます。いままでの経過を見ますと、自身の企業内だけでの利用をしていた専用回線に対してまでも割り増し料金が適用されるのであって、これでは形式的には自由化でも、実質が伴わないとのそしりをも免れないと考えざるを得ません。ぜひ再検討をしていただきたい。いますぐにとは申しませんが、そういう構想のもとに来たるべき通常国会に御提案になります改正案に織り込まれるように、御配慮をいただきたい。かように考えておるものでありますが、特に大臣の御構想を承りたいと存じます。
  58. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 電信電話料金は、原価を勘案いたしました上、技術の進歩に対応して合理的なものにしていかなければならぬ。したがって、今後機会あるごとにこれは改正をしなければならぬと考えておるのでございます。そこでまあデータ通信の専用料金も、この料率については、電話料を基礎にいたしまして定めておるものでございますから、その関連性を十分に考慮して、合理化をしなければならぬと思うのでございます。したがって、公衆電気通信法の改正に際しましては、この料金体系も当然一つの大きなテーマになるわけであります。ただまあ、農協という団体の持っておる、ただいまお述べになりました非営利法人であるがゆえに特別料金というふうなことがはたしてできるかどうかは、私もまださだかでございません。そういった細目につきましては、あるいは公社のほうから御答弁申し上げましてもけっこうでございます。
  59. 米沢滋

    説明員米沢滋君) お答えいたします。  ただいまの御質問は、専用線の問題ではないかというふうに理解したのでございますが、専用線につきましては、データ通信のこの間うちの検討、それからまた郵政審議会等の答申を見ましても、私たちは、市内の専用線がむしろ安過ぎて、むしろこれは上げるべきじゃないか。それから市外の、ことに遠距離の専用線についてはむしろ下げる。いわゆる市内を上げて、市外を下げるというほうが技術の進歩なり、あるいはまた、情報産業の発展等に対して私は望ましいんではないかというふうに考えておりますが、それをどの程度にするかということは、今後つくります七カ年計画、これは四十六年から五十二年の間に電話の拡充とか、あるいは情報社会に対するデータ通信の拡充とか、そういうものを含めてつくりたいと思っておりますが、その中で検討したいというふうに思っております。   〔主査代理任田新治君退席、主査着席〕
  60. 二宮文造

    二宮文造君 私は時間をいただきまして、郵政互助会の問題と、それから郵便速達、あるいは電報の請負人の待遇改善などを伺い、なお時間がありますれば、CATVの問題について若干お伺いをしたいと思うわけであります。何しろ時間が非常にわずかでございますので、あるいはそちらのほうに入れないかもわかりませんが、あらかじめ御了承いただきたいと思います。  最初に、郵政互助会の問題でありますけれども、この財団法人郵政互助会は、御承知のように、昭和二十九年に発足をいたしまして郵政職員二十八万会員と伺っておりますけれども、それらの方々の退職給付あるいは災害給付を目的として月々の給与から三%を天引きして、それらを資産にして運用をはかる、こういう非常に大事な役割りを持った組織のように伺っております。おそらく最近では、その資産内容は四百数十億円に達するのではないかと思います。  で郵政互助会では四二・五事件とこう称しておるようでありますけれども、四十二年当時、この資産の運用をめぐりまして若干疑問な点も出てきた。もしも運用を誤りますと、二十八万会員の方にたいへんな御迷惑をかける。ぜひその方針を明確にして、会員の皆さんの心配のないようにしていただきたい、こういう立場から四十二年の六月に決算委員会で質疑をいたしました。その当時私の質問の要点は、特定金銭信託などという方式をとって、公益法人が許された日歩二銭のワクをこえて融資をしていくことは、会本来のやり方には少しそぐわないのではないか、当時特定金銭信託はたしか百十億円を数えておったと思います。こういう資産の運営はまずいのではないか、さらにまた会員外貸し付けというのがありまして、ややともすると資産内容がそうよろしくない会社に対して、八億円などという膨大な金額を融資している。こういう融資のしかたも、資産の運用としてはまずいのではないか、あるいはまた、土地を対象に投資をしますのに、買い戻しの特約つきというふうな条件で、年間一割五分もの使用料を取って運営をしていくという方式もまずいのではないか。さらにはまた、土地の運用で収入をあげていく、利潤をあげていくといった方式はわかりますけれども、俗に言う士族の商法といいますか、その点でも非常に問題があるのではないかと数々指摘をいたしまして、どうかひとつ郵政互助会の将来の運営のためにこれらの点を再検討願いたい。特に郵政大臣認可の財団法人でありますので、郵政省としてもこれらの点に気をつけて是正をしていただきたいというのが、私の質問の当時の要点でございました。  その後、郵政省のほうも互助会とよく話し合っていただきまして、若干の方式が改まったと聞いておりますけれども、それらの点を踏まえましてまずお伺いしたいのは、最近の会員数と郵政互助会の資産総額、これは幾らになっておりますか、お伺いしたい。
  61. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 郵政互助会の退職給付の加入者の数でございますが、現在二十七万六千名ほどございます。資産は、四十四年、最近の資産状況四百二十四億円ということでございます。
  62. 二宮文造

    二宮文造君 四百二十四億円はたしか四十四年三月期の資産だと思うんですが、その後一年間に掛け金が約三十数億円ふえてございますから、おそらく四十五年三月期では四百五十億円をこえるような資産内容になるんではないかと思いますが、この点いかがでしょう。
  63. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 仰せのようなことになろうかと存じます。
  64. 二宮文造

    二宮文造君 そこで四十二年の六月に私のほうから、先ほど申しました四点、五点にわたりまして、資産の運用について今後留意をしていただきたいということで提案をいたしましたが、その後どういうふうに変革をされたか、改められた点をお伺いしたい。
  65. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 四十二年六月ごろ郵政省から郵政互助会に対しまして次のような勧告をいたしたわけでございます。  まず第一点といたしましては、資産の運用にあたっては法令に違反しないことはもちろん、公益法人にふさわしい運用を行なうということ、こういう趣旨、それから第二点といたしまして、退職給付率を確保するために必要な運用収益率を明確にし、その運用収益をあげるために適切な運用方法を長期的に策定するとともに財源確保を十分に行なうこと、こういう勧告をいたしたところでございますが、郵政互助会はこれに従いまして次のように措置をしてまいりました。  まず、特定金銭信託、会員外貸し付け及び買い戻し特約付き不動産売買を廃止する、そういたしまして公益法人にふさわしい資産運用を行なうということ、それから第二点といたしましては、給付率の確保に必要な運用収益率は年七分七厘三毛となるので、四十四年度は七分九厘、四十五年以降は八分に運用する計画である、また財源の確保については万全を期することとする、こういう態度を互助会から郵政省に対し回答いたしまして、その後この線によって具体的に措置しております。  具体的に申し上げますというと、特定金銭信託につきましては、四十二年三月三十一日現在では九十四件ございましたけれども、四十五年三月末現在では六件になっております。それから会員外貸し付けは四十二年三月末現在十八件であったものが、ただいまのところは五件になっております。それから買い戻し特約付き土地は当時は九件ございましたが、ただいまはゼロということに形の上ではなっております。  以上でございます。
  66. 二宮文造

    二宮文造君 私記憶をいたしておりますが、当時郵政省のほうから答弁がありましたのは、会員の退職給付を確保するためには、年利回りを九分にしなければ退職給付が確保できない、これが非常に無理があると私も指摘をしました。当時の小林郵政大臣もこの点は検討しなければならぬというお話でありましたけれども、いま伺いますと、利回りの目標を八分におろされた、これではたしていうところの退職給付が確保されるのかどうか、この点はどうでしょう。
  67. 中田正一

    政府委員(中田正一君) ただいま申し上げました運用収益率と申しますのは、収入からすべてのものを、税金そういったものを控除をいたしましてその後の収益率でございます。納税後の収益率でございまして、そういうものを含んだ場合には当然先ほど申した数字を上回った九分前後、九分以上ということになろうかと思いますが、正確な最終的な収益率の数字でございます。
  68. 二宮文造

    二宮文造君 そこに、その資産運用に無理をしなければならないという点がまだ残っていると思うのです。  それらの点についてはまたこまかく質問をしてまいりたいと思いますけれども、もう一つ私予備的にお伺いしておきたいことは、関係法人として子会社ですね、子会社として弘信商事あるいは弘信産業あるいは弘信観光という関係法人をおつくりになっておりますが、弘信商事は別にしまして、弘信観光は、この前お伺いした四十一年の九月期で資本金五百万円に対して累積赤字が千八百万円とお伺いしております。それからまた弘信産業は、四十一年の三月期で資本金五千万円に対して三億七千一百万円の累積赤字、こういうふうに伺ったわけでありますけれども、その後の弘信観光、弘信産業が経営が建ち直りましたか、あるいは累積赤字はどうなっておりますか、最近の状況をお伺いしたい。
  69. 中田正一

    政府委員(中田正一君) まず弘信観光の関係でございますが、昭和四十三年度の決算書によりますと、四十三年度におきましては三千六百三十万円の黒字が計上されまして、累積赤字はほとんど解消されております。  それから次に弘信産業でございますが、四十三年度において約三億三百三十万円の黒字が計上されまして、累積赤字は五億二千万円というふうに減少いたしまして、経営努力が逐次実りつつあるというふうに考えております。
  70. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと待ってください。弘信産業のほうが四十三年度で三億三百三十万円黒字を計上して累積赤字が五億に減ったというのは、どういうことですか。
  71. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 弘信産業の従来の累積の赤字が八億円以上あったわけでございますが、昭和四十三年度では黒字に転化して三億三百三十六万円の黒字が計上されました結果、差し引き累積赤字は五億二千二百万円に減少しておるということでございます。
  72. 二宮文造

    二宮文造君 それからそれは一応おきまして、その次に個々にお伺いしたいのですが、弘信商事が、その当時私がお伺いしたのに東拓伊豆開発に対して四億六千万円の買い戻しつき特約で融資をしておりますが、この結論はどうなりましたか。
  73. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 昭和四十一年十月に貸し付けました五億円につきましては、昭和四十六年十月までの月賦返済になっております。契約条件どおり、元金、利息とも確実に返済されております。四十四年十二月末日現在の元金の残高は二億二千八百万円というふうに相なっております。
  74. 二宮文造

    二宮文造君 それから互助会が当時買い戻し特約つきで津久井湖観光に対して八億円の残がございましたけれども、これはどうなりましたか。
  75. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 津久井湖観光に対する八億五千万円の貸し付け金の問題でございますが、八億五千万円の貸し付け金以上の価値があるゴルフ場の土地が互助会の名義になっておりますので、債権の確保については問題ないと思いますが、ゴルフクラブの関係等も考慮しながら慎重に処理する方針であると聞いております。
  76. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっといまのお話しで、結論は津久井湖観光は結局買い戻しの特約をつけておりましたけれども、事件もありましたし、経営も難航しましたので、私の聞いている範囲内では、弘信商事が引き取って、さらにまたそれを互助会が最近引き取ったと、こういうふうな話を聞いているのですが、その点をもっと明らかにしていただきたい。
  77. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 買い戻し特約つきでございましたけれども、一定期間内に貸し金が返済されなかったために、問題の土地が郵政互助会に移転し、互助会としては弘信商事にその土地を売却いたしまして処理をしたのでございますが、登記面についてはまだ手続が済んでおらないというようなことで、先ほどのような答弁を申し上げた次第でございます。
  78. 二宮文造

    二宮文造君 もう少しはっきりしてください。登記面は郵政互助会がいわゆる所有権を持っている。ところが、弘信商事に売却をした、この辺の決済関係はどうなっているのでしょうか。
  79. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 郵政互助会が所有しておるゴルフ場の土地を弘信商事に売却いたしましたので、互助会としては債権を確保したという形になっておりまするが、所有権の登記面では完全に手続が済んでおらないということでございます。
  80. 二宮文造

    二宮文造君 私、郵政互助会と弘信商事の関係は、それは確かに関係法人ではありますけれども、経理面は、あるいは債権債務の問題は、同じ子会社であっても明確にしなけりゃならぬと思うのです。いまお伺いしたところによりますと、所有権は互助会が持っている。ところが、弘信商事に売却をしたので津久井湖観光との問題は消えたかもしれません。ですけれども、互助会と弘信商事が何かどんぶり勘定のような経営をなさっているような答弁に私聞こえるのですが、この辺ちょっと明確にしていただけませんか。
  81. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 先ほどの答弁が少し説明不足、あいまいで申しわけありません。あくまでも互助会の土地を弘信商事に売却いたしたわけでございますから、当然所有権も弘信商事に移っておるわけでございます。ただ登記面だけが済んでいなかったと、だから、これからその土地を弘信商事が第三者に売却するについては登記的な面が残るということが頭にあったものでございますから、それを一括して先ほどのように申し上げましたが、弘信商事と互助会との関係ではこれははっきりとした契約を取り交して決済が済んでおるわけでございます。
  82. 二宮文造

    二宮文造君 重大な発言がございました。取引はしたけれども登記面の移転はやってない、こういうやり方があとにまた問題を起こしているわけです。一般社会の通念によりますと、土地が売買されますと、売買と同時にいわゆる登記面の所有権も移転しなければ善意の第三者にはこれは対抗できないわけです。こういうずさんな運用のやり方があとに申し上げる問題に尾を引いてまいっておる、これは私一応指摘をして次の問題にまいりたいと思います。  また今度は、互助会が、四十二年当時私が質問したときに、修善寺ニュータウンに対してこれまた買い戻しつき特約で融資をいたしました。使用料を年間千五百万円、約一割五分の使用料を取ってやっておりましたが、残金が約一億円あったはずです。これは一体どうなりましたか。
  83. 中田正一

    政府委員(中田正一君) すべて返済済みというふうに聞いております。
  84. 二宮文造

    二宮文造君 これは、修善寺ニュータウンは、あとに出てまいります技研興業の子会社ですね。
  85. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 新聞情報等によりますと、そのようでございます。
  86. 二宮文造

    二宮文造君 そこで、もう一点、私これは資料がございませんのでわかりませんが、十分に確信持っておりませんが、弘信産業が四十三年で——三年の何月期かわかりませんが、おそらく三月期だろうと思うのですが——三億三百三十万の黒字を計上した、こういうお話でございますけれども、もしか——これは私の調査が不十分ですから、もしかというふうにただし書きをしておきますけれども——この三億三百三十万の黒字の中に、千葉県の市原の土地造成の問題にからむ二億円が収益として計上されておりませんか、これはどうでしょう。
  87. 中田正一

    政府委員(中田正一君) ただいま詳細な資料を手持ちしておりませんので、そこまで十分承知いたしかねます。
  88. 二宮文造

    二宮文造君 そこで最後に技研興業との関係、それから綜合企画株式会社と互助会ないしは弘信産業との関係、これらについて年次を追い、金額を追って御説明をいただきたいと思うのです。
  89. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 郵政互助会と綜合企画との関係でございますが、まず四十三年十二月越ケ谷の土地を買却しております。  それから次に横須賀……。
  90. 二宮文造

    二宮文造君 金額を言っておいてください。
  91. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 金額は一億八千八百六十四万円で買却ということでございます。  それから第二は、横須賀野比の土地の購入及び買却がございます。年月は四十四年の二月に野比の土地を二億五千五百八十九万円で購入しております。  次に、八王子市の土地の購入で関係がございます。八王子館町の土地を四十四年の四月に十億八千四百六十五万円で綜合企画から互助会が購入しております。  それから次は春日部の土地の購入がございます。これは四十四年の十一月に九億一千四百九十一万円で互助会が綜合企画から購入しております。  大体郵政互助会と綜合企画との関係は以上のとおりであります。  次に、郵政互助会と技研興業との関係でございますが、修善寺の土地の購入と買却の問題がございます。四十三年の五月に技研興業から二億百六十二万円で互助会が購入しております。  それから次に四十四年二月修善寺ニュータウンに二億四千百五十万円で買却しております。こういう関係でございます。
  92. 二宮文造

    二宮文造君 申し上げましょう。私のほうから出し入れを申し上げますけれども、まず綜合企画と、それから郵政互助会ないしは弘信産業との関係を、四十四年度中を申し上げますと、互助会は四十四年の二月の二十四日に野比の土地を二億五千五百八十九万三千四百円で購入をしております。また、春日部の土地を四十四年十一月二十日に九億一千四百九十一万二千五百円で購入をしております。また四十四年四月十二日に八王子の土地を十億八千四百六十五万三千円で購入をしております。いわゆる購入の土地契約の互助会関係の総合計は二十二億五千五百四十五万八千九百円と相なっておるはずです。  それに対しまして互助会が支払いました金額は、八王子については九億五千五百三十九万九千五百四十円、春日部については三億六千万円、野比については二億五千五百八十九万三千四百円、合計十五億七千百二十九万二千九百四十円が互助会から支払い済みの金額です。  さらに弘信産業はこの表の示すところによりますと、四十四年二月四日川越第一と称して三億三百八万四千円、四十四年三月二十日川越第二と表示をしまして一億八千五百九万四千円、四十四年八月五日越ケ谷と表示をしまして四億一千百五万、合計八億九千九百二十二万八千円、これが購入契約をして、支払い済み額はこの八億九千九百万円に対して四億二千六百四十五万三千四百円、したがいまして、互助会と弘信産業を合算いたしますと、契約金額は四十四年度中で三十一億五千四百六十八万六千九百円、そのうち支払い済み額が合計をしまして十九億九千七百七十四万六千三百四十円。倒産をしました技研興業——綜合企画はその子会社であります。子会社というよりもむしろトンネル会社と申し上げてもよろしいかもしれません。しかもその技研興業は御承知のように、一月の末に倒産をいたしまして、社長の示したところによりますと、赤字の負債総額は七十億円台に達し、しかもどうしても五十何億くらいはもう差し引きをしても足りない。会社更生法の申請をして、いわば会社の更生に乗り出している。御承知のように、この八王子の土地につきましては、互助会からいただいた資料に基づいて申し上げますと、支払い総額九億五千五百三十九万九千五百四十円に対して、互助会が所有権を獲得する、要するに土地の引き渡しを受けた坪数は、契約の五万七千余坪に対して二万六千七百九十八坪、要するに十億になんなんとする金額支払いながら、契約坪数の半数にも満たない土地しか引き渡しを受けてない。この債権の確保をどうなさるのか。また反面、春日部におきましては契約金額が九億一千四百余万円に対して三億六千万円しか払っていないのに、契約面積の三万四千五百二十五坪の所有権移転の保存仮登記これをやっておる。これらのことを見ますと、八王子のほうでは一体半分しか引き渡しを受けてない、これを互助会がどう債権を確保するのかという問題が出てきますし、また、春日部のほうでも契約金額の半分以下しか契約を履行してない、支払いをしてないのに、全地域に対する所有権移転の仮登記をしている。おそらくこれで債権が確保されていると互助会はお考えでしょうけれども、その相手の会社が倒産ないしは——親会社か倒産すれは子会社もその余波を受けるわけですから、債権の配当加入などという債権者の会議が行なわれますと、おそらくこの春日部の土地についてのこの全坪数を互助会が確保することはむずかしかろう。こういうように私は常識で推定するわけです。こういうふうに、もとは二十八万になんなんとする会員の退職給付を目的とした資産であるにもかかわらず、こういうずさんな運営をして、はたしてその会員の方々に安心が願えるかどうか。この債権確保の面について答弁をいただきたい。
  93. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 郵政互助会が綜合企画から購入した八王子の土地につきまして、実際土地が引き渡しされてないのに、代金をよけいに払っておるというようなこと、これはまことに重大な問題だとわれわれも考えております。そのことに関して互助会のほうにいろいろ確かめたわけでございますが、先ほど御指摘のように、互助会としては、八王子の土地についてはそういうことであるけれども、またそうであったから、急速春日部の土地について契約をし、代金をある程度払っておったものについてそれを上回る土地について登記を済ました。八王子の債権を確保するために、春日部の土地について努力を払ったということでございます。御指摘のように、これで表面上はなるほどバランスはとれておるということになりますが、問題がこれですべて解決したというふうにはわれわれも考えておりません。互助会としてもこの両者の関係をにらみ合わせてこれから慎重に処理する方針であるというふうに聞いております。いずれにいたしましても、債権確保が十分はかられていない。土地の売買にからんで十分の措置が行なわれておらないということは事実のようでございますので、郵政省といたしましては、前回の勧告の際にも、債権確保に十分留意するように勧告した次第でありますが、その点が現時点においても必ずしも完全にいっておらない状況であります。まことに遺憾な次第であります。  そこで、郵政省といたしましては、三月の初めに立ち入り検査を行ないまして、現在、その結果を分析して、近くまた郵政互助会に対してあらためて勧告をし直さなければならぬであろうと思います。いずれにいたしましても御指摘のように、郵政互助会は郵政職員の福祉のために設立されたものでございますので、その趣旨に従って運営されなければならないということで、今後とも互助会に対してはきびしく監督を重ねていかなければならぬというふうに存じておるところでございます。
  94. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと結論を急がないでください。もう少し確かめなければならないのです。  春日部の土地を、債権を確保しましたとおっしゃいますけれども、これは農地です。農地の転用が許可されない限りは、その登記簿の移転はできないはずです。債権が確保されたということは、いまの答弁では仮登記をもって債権を確保されたような言い方をしておりますけれども、本登記が終わりましたか。春日部の全地域三億六千万円しか払っていないのに、その全坪数が所有権移転の登記が終わりましたか。
  95. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 御指摘のとおりでございまして、仮登記は済んでおりますが、本登記は済んでおりません。先ほども答弁申し上げましたように、形の上では一応バランスがとれたことになっておりますが、これで問題がすべて解決しておるというふうにはわれわれ見ておりません。
  96. 二宮文造

    二宮文造君 それから答弁がございませんでしたけれども、弘信産業が、総額八億九千九百余万円の契約をして、支払いが、まだその半額に満たない四億二千六百万円でとどまっておりますけれども、この川越第一、川越第二、越ケ谷と表示されました土地、弘信産業と契約した土地は登記を終わっておりますか。契約は一体どうなっているのか。
  97. 中田正一

    政府委員(中田正一君) ただいま十分な資料を持ち合わせておりませんので御答弁できかねるわけでございます。後刻また資料によりまして御報告申し上げたいと思います。
  98. 二宮文造

    二宮文造君 お伺いをしておりますと、先ほどの津久井湖観光の場合も、売買をしながら、あの所有権移転の登記をなさない。それからまた、綜合企画、いわゆる技研興業の子会社である綜合企画との取引についても非常にあいまいな取引内容をもって、お金を支払ったにもかかわらず、問題の土地を登記をしない。こういうことは互助会に対して損害を与えた、いわゆるその役員の責任問題に私はなると、あるいは背任問題にも、損害を与えるわけですから、自己の過失によって損害を与えるんですから、背任問題まで私は引き起こしてくるのじゃないかと思うのですが、その点の感覚はどうでしょう。
  99. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 郵政互助会のこの面、売買の面における事務手続というものは、まことにずさんだというふうにわれわれ存ずるのでございます。これはただ一担当役員の問題だけでなしに、内部の事務運営組織が不十分である。相互牽制の実が上がっていない。元来であれば契約書のとおり動いておるかどうかということを見ながら金の支出を行なわなければならぬ。そういう面のチェックというものは十分にきいていないというふうなことで、事務組織の運営が不備であるというような点もございます。また、当時の担当の役員が、事を進めるのに配意が足りなかった、また理事会全体の運営が十分でなかった、いろいろの問題がからみ合っておるように存じます。
  100. 二宮文造

    二宮文造君 そういうふうな紋切り型の、何か責任回避のような答弁では、私は相済まぬと思うのです。私が指摘しましたのは、背任問題まで起こってくるんじゃないか。そういうものについて、監督官庁である郵政省が、どういう決意でいわゆる立ち入り検査をし、そして責任の所在を明確にしていく、そういう姿勢があるかどうか、これを私はお伺いしたい。これは二十八万会員にとっては重要な問題ですよ。
  101. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 先ほど申し上げましたように、立ち入り検査の結果を現在整理して検討中でございます。当時の担当の者が、背任行為に当たるかどうかというようなことは、これは関係当局の解釈をまたなければなりませんが、郵政省としても、監督の立場からそういった問題も含めましてさらに検討を続けてまいりたい、こういうふうに存じます。
  102. 二宮文造

    二宮文造君 いま何か担当役員と、こうおっしゃいましたけれども、担当役員はどなただったんですか。
  103. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 郵政互助会の事務組織、いろいろ分かれておりまして、総務とか企画とかいろいろ分かれております。まあこういう土地売買については、これは運用部というのがございますが、運用部長というのもおりますし、また、役員としては運用担当の理事というものもおるわけでございますが、運用担当の理事は現在す  でにその職を去っておりますが、担当の理事がおります。
  104. 二宮文造

    二宮文造君 どなたですか。
  105. 中田正一

    政府委員(中田正一君) 木ノ脇という者でござ  います。
  106. 二宮文造

    二宮文造君 木ノ脇さんというお名前なら、木  ノ脇久藏さんのことでしょうか。
  107. 中田正一

    政府委員(中田正一君) お尋ねのとおりでござ  います。
  108. 二宮文造

    二宮文造君 私、これは別にからませてお話しするわけじゃないのですけれども、ちょっと参考までに申し上げておきたいんですが、木ノ脇さんは昨年まで相模原で居住をされておりました。相模原で郵政互助会の分譲土地をお買いになって、そして三十七年でございますか、そこへ平屋建てで新築をされて昨年まで居住をされていたようであります。ところが、昨年の四月に、目黒のほうへ約六十坪——前には、相模原では八十七坪の分譲宅地をお買いになったようでありますけれども、目黒で約二百平米ですか、六十坪ぐらいの土地をお買いになって、そこへ百十平米の二階建てのお宅をお建てになっております。これは別に私どうこう言うわけじゃありませんけれども、巷間ではいろいろなうわさがされております。したがいまして、私は、当時担当役員として、そして二十八万会員の資産運用の重要なポストに立っておられた方が、おそらくや十億にも相当するような債権が確保できないような仕事を残しておやめになった、この責任の追及は私今後、互助会の運営の正確を期するためにも、その責任の所在の追及というものはしっかりしていただかなければ会員の方が納得できない、こう思います。したがいまして、今後の互助会の運営の問題にからみまして、これはひとつ厳にお取り締まりをいただきたい、責任の所在を追及していただきたいし、また、いま私が申し上げました技研興業あるいは総合企画、これらにからみます債権の確保に努力をしていただきたい。  最後に私非常に心配なので、互助会からいただきました決算報告書で一点だけあげておきますけれども、この一般会計損失金計算書によりますと、昭和四十四年の三月三十一日現在で、郵政互助会は四十一億三千六十七万四千百三十三円の繰り越し損失金を計上しております。資産総額は四百五十億円といわれておりますけれども、繰り越し損失金が四十一億円、しかも半年後の四十四年の九月期におきましては、再び二億五千六百万円の当期損失金を計上しまして、繰り越し損失金の総計は四十三億八千七百四十五万千四百九十五円、こういうふうに計上されております。こういうふうな繰り越し損失命を毎期計上して、いま毎年三十数億円の掛け金が入っておりますから何とか給付に事を欠かないことはわかりますけれども、これは俗に言う自転車操業であります。こういうふうな形態が続けられて、はたして目的とする退職給付が可能なのかどうか、これは将来の問題として検討していただかなければなりません。  それから私、まあ言わないでおこうと思ったんですが、説明によりますと、特定金銭信託の方式はやめた。ところが、弘信商事に対する資金を互助会から送り込んでいくためには、互助金は金銭信託をして一応表面上はその金利だけで収益をあげているようなかっこうをとりながら、弘信商事の資金のためには債務保証をして、債務保証料を年四分取っている。これもまた脱法行為です。前には特定金銭信託をやって金利を指定して弘信商事に金を流していた。これが公益法人のいわゆる収益事業に見られて税金を課税されるようになった。だから今度特定金銭信託方式はやめて、互助金は金銭信託だけでございますと、その金利だけでございますと言いながら、弘信商事のために債務保証をして、資金流入の道をつけて保証料を取る。しかもこの決算書を見ますと、その債務保証は一向にこの決算書には出てきません。普通の経理ならばこういう決算書には債務保証は当然これは支払いの義務を持つんですから、債務保証をした分は計上しなければなりません、債務として。それがこの互助会の決算書には抜けております。少なくとも財団法人、公益法人であり、四百数十億円の資産を運用する、そういう団体としての経理内容ではない。ここいらに私は互助金の運営に非常に問題が出てくるし、おそらくやこのままやっていったんでは、何回も繰り返しますけれども、職員の方々が楽しみになさっていらっしゃる退職給付というものは不可能になるんじゃないか。当面のずさんな経理、そうしてそれを糊塗せんとする決算諸表の扱い方、あるいは一部の担当役員が巷間いろいろのうわさをされるような運営のしかた、こういうものをひっくるめて善処していただきませんと、この互助金の運用はきわめてむずかしい不明朗なものになります。この点を申し上げまして、郵政大臣の答弁をいただいて終わりにしたいと思います、本日のところは。あとまたいろいろと先ほど調査をし報告をいたしますと、申されたことは当然のこととして報告をしていただく、これを私はお願いをしておきます。最後に大臣の答弁をお伺いしておきます。
  109. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 二宮さんから前回にも御注意、御指摘がございましたにもかかわらず、いま伺いますと、その後決して改善されておらないのみならず、何かエスカレートしているような感じも受けました。私も就任と同時に、郵政省の言うならば外郭団体とでも申しましょうか、互助会を含めて、その実態、あり方等を一当たり当たってみたのであります。その結果は、私も大ぜいの職員の諸君の貯金を願ってその利殖をはかった上に退職の際の一助たらしめる、この目的のためにはたして十分な運営がなされておるかどうか、私も実はたいへん心配したわけでありまして、したがって、この立ち入り検査ということも急速にこれをやらなければいかぬということでやらせたのでございます。したがって、まあその結果はまだ私もごくあらましだけしか聞いておりません。詳細にわたってその検査の結果を検討をいたしまして、先ほど来局長との間に質疑応答がございました点を十分に踏まえまして、先ほど御心配になりました点を未然に防ぐと言いましょうか、できるだけの配慮をいたしたい、かように考えております。
  110. 足鹿覺

    主査足鹿覺君) これにて郵政省所管の審査は終了いたしました。     —————————————   〔主査退席、副主査着席〕
  111. 柳田桃太郎

    ○副主査柳田桃太郎君) 昭和四十五年度総予算中運輸省所管を議題といたします。  まず、政府側から説明を求める順序でございますが、時間の都合もありますので、説明は省略し、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 柳田桃太郎

    ○副主査柳田桃太郎君) 御異議がないと認め、さよう取り計らいいたします。  これより質疑に入ります。足鹿君。
  113. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、去る三月二十四日、予算委員会における総括質問の際述べました過疎地域の交通対策等、あるいは一般質問で述べました気象行政の強化拡充の問題について、お尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、地方の中小バス運行維持対策について伺いますが、高度成長政策による産業社会構造の変化に伴いまして、地方の過疎地域のバスの輸送需要の激減による路線の休廃止対策については、ただいまも述べましたように、総括質問において大臣にお尋ねをいたしましたが、本日は、大臣への御質問は具体的な問題でありますからあとといたしまして、所管政府委員より具体的に伺いますので、簡明直截な御答弁をわずらわしたいと思います。  その一点は、公共性が強いこれらの地方バス路線の廃止等につきましては、これを認めない方針を堅持されるかどうか、この点について伺います。
  114. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) われわれといたしましては、ハスは最後の公共交通機関でございますから、これを維持するという方針のもとに、不採算のもとに対しましては補助金制度を逐次拡張してまいっておる次第でございます。しかしながら、さらに非常にお客が減るという場合におきまして、休止であるとか廃止の申請が出ております。これに対しましては、それにかわりまして地方公共団体等が事業を行なうというふうな場合も予想されますので、それに対しましても車両の購入をするのに対して補助をするという制度を今回から開いたわけでございます。で、そのほかの休廃止路線につきましては、地元の御要望、御意見等も十分拝聴いたしまして対処する所存でございまして、原則といたしましてはなるべく維持をしたい、どうしてもお客がないところにおきましては代替のことを考える。また、廃止につきましてはさらに地元の御意見を十分承りまして善処していきたい、こういうふうに考えております。
  115. 足鹿覺

    足鹿覺君 広島陸運局関係が現状においては最も廃止申請が多く、二千二百十五・九キロ、十二件の廃止申請が出て、休止も若干あるようであります。この傾向は、今後ともふえるとも減らないと思いますが、地方自治体等に肩がわりをするという道も開いていくというお話もあり、運行維持のためには本年度予算に若干の車両購入費補助等も計上されておりますが、これは抜本的対策とはならないかと存じます。将来、車両購入費の補助の増額をはかるとか、あるいは自動車購入に対する税制上の面で配慮するとか、あるいは新しく金融面についても考慮をする等、公共事業として特別の措置をはかるべきではないかと考えますが、そういう御検討はなされておらないのでありましょうか。
  116. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 廃止路線代がえバス車両購入費補助金という制度は、今回の新しい制度でございまして、いろいろ自治省と相談いたしまして、こういうふうな予算を計上したわけでございますけれども、今回これを実施いたします場合におきましては、さらに各地におきまして、どれほど具体的な要望があるかというふうなことも十分検討をいたしたいと思っております。  それからさらに、この地方団体等が肩がわりいたします場合等につきましては、これは自治省で所管されておりますところの財政の問題もございますから、そういう問題につきましても、十分検討していただいております。なお、その具体的な方法につきましては、地方公共団体がやりまする場合、それから自家用車の共同使用のような場合、ケースによりましていろいろ方法があるかと思う次第でございまして、この方法につきましても、従来から打ち合わせいたしておりますけれども、今後この予算がきまって実行いたしますので、さらに具体的に両省でもって連絡を密にいたしまして、対処する予定でございます。
  117. 足鹿覺

    足鹿覺君 ぜひそういう方向で急速に、かつ抜本的な対策にまで進めていただきたいと存じます。  そこでこの際、まだ未成立の法案を爼上にのせて直ちに御見解を求めるということはどうかと思いますが、これは衆議院各党各派の共同提案によりまして今国会で成立の見込みであります過疎地域対策緊急措置法がございます。御承知のことだと思います。これには過疎債として百三十億円を計上されておるわけでありまして、そのつけ方等についてはいろいろと検討されておると思いますが、この問題を中心にしていかに活用し、新しい方途を生み出していくかということについて、私どもはでき得るならば、このような法案は総合立法として、政府提案によって完ぺきを期したかったのでありますが、何しろ地元の実情が、過疎地帯の実情が、一日も成立を見のがすことのできない緊急に迫った立場から、緊急措置法と改めて、今回各党一致の提案ということになっておる。そういう意味をも含めて十分考えていただきたいと思いますが、自治省におかれては、以上の経緯、自動車局長の御答弁、また私がいま述べた過疎立法等の面もよく配慮いただいておると思いますが、ただいまの点についてどのように対策を講じられんとしておりますか、承りたい。
  118. 篠原幹雄

    説明員(篠原幹雄君) 過疎債につきましては、本年度、四十五年度の予算といたしまして新たに百三十億予定されておりますことは、先生がおっしゃったとおりでございます。私どもはこの過疎債百三十億を、過疎対策のために十分有効に活用し得るための対策を目下検討中でありまして、これは、配分としましては過疎対策緊急措置法に基づきますと、過疎市町村振興計画というものをつくりまして、その計画に基づく事業についてこの過疎対策債を発行し得ることになっております。目下この過疎地域振興計画の樹立のしかた等について、県を通じて指導いたそうといっているところでありまして、その状況等を見ながら、過疎債の配分計画を検討いたしてまいりたいと、こう考えております。
  119. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいまの過疎地域のバス運行維持の問題も含めて検討されるわけですね。
  120. 篠原幹雄

    説明員(篠原幹雄君) 過疎バスが過疎債の対象になるかどうかということは、現時点ではまだきまっておりません。と申しますのは、法律で過疎債の対象にし得るものを規定いたしておりますが、現在法律で明記しております過疎債の対象としてはあげておりませんが、この地方債について規定しておりますところの第十一条第一項の十一号というところに、その他「政令で定める施設」という規定がございまして、この「政令で定める施設」の中に、お話しのように過疎対策のための自動車を取り入れるかどうかということによって、これが取り入れられることになりますと過疎債の対象になるわけでありますが、私どもが目下、地方債のことでありますので、大蔵省とこの政令対象にするかどうかということで話し合い中であります。その結果によって、過疎債の対象になし得るかなし得ないのかがきまるのじゃなかろうかと思っております。私どもとしては、対象になし得るように話を持ち出しております。
  121. 足鹿覺

    足鹿覺君 去る三月二十四日、自治大臣も、私のただいまのような趣旨の質問に対しまして、過疎立法成立を待って交付税、地方債の運用により、実際に即して適当に処理すると答えられております。これらも踏まえまして運輸大臣も早急に財務当局、自治省当局ともよく話し合いをなさいまして、ぜひ善処をいたしてくださるようにお願いいたしたいのでありますが、御所見を承りたいと存じます。
  122. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 足鹿さんの御質問の趣旨は、現在運行しておるそういう地域の定期バスが、とうてい引き合わない、そういうものに対しても、この新しい皆さんの立法しようとなさっておる法律によって適用されないか、こういう意味でありますか——そういう意味でありますと、この法律はこう書いてありますね。第十五条ですが、「国の行政機関の長は、過疎地域の交通を確保するため、過疎地域の市町村が、その区域内で他に一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者がない地域について、一般乗合旅客自動車運送事業を経営し、又は自家用自動車を共同で使用し、若しくは有償で運送の用に供するときは、道路運送法に基づく免許、許可又は認可について適切な配慮をするものとする。」、運輸省としては、この法律によれば、十五条は、そういうような申請があったならば優先的に許可をしてやれ、こういう法律になっておるし、かつまた、そういうところにやった場合は、先ほど申し上げましたいわゆる百三十億円の一部がここで使われる、こういうことになっておるわけであります。ただ、申し上げられることは、そういう地域に対してある会社がやっておったけれども、とても引き合わない、やめてしまったと、そうなりますというと、その市町村なんか、そこに運行をあらためてやらなくちゃならぬ。その場合には、これは許可をしてもらいたいという願い出があるわけです。それに対してこの法律は、それを許可してやれと、こういうような法律に私は読んだのです。皆さんのいわゆるこの法律の考え方相違があるかないか、法律はそう書いてあります。ですからして、もし民間なり何らかがやっておって、できなくなった、やめたと、こういうことになって、あらためて申請をするということになれば、この法律が適用されるし、かつまた財政的な措置も講ぜられると存じます。しかし、そうでない場合、民間が営業権を持っておる、しかしながらこの区間はとても容易じゃない、あるいは全線が容易じゃない場合もありましょう。それに対しては、先ほど自動車局長お話し申し上げましたように、四十五年度におきましては、車両の補助もする。こういう従来の優遇措置を講ずるということが、現在の立法及びやってきました助成策であります。ただ、これを、将来ともに財政の許す限り優遇措置を考えるべきであるということでありますれば、もちろん、これは将来、これらの経験等にかんがみまして、なお民間企業並びにその地域における交通を確保すると、こういう意味において、もっと積極的にやる必要があると、かように考えます。
  123. 足鹿覺

    足鹿覺君 次に、競合路線の問題についてでありますが、これは私の県を例にとってみますと、全国でもまれな事例だそうでございますが、起点、終点を同一とする全国に異例の運転許可が行なわれておる。同時発車が許され、旅客の見苦しい争奪が行なわれておる、競合路線であるにもかかわらず、定期券の旅客について共通利用が認められておらない。同一地域内に差別運賃が実施されておる。その是正がなされておらない。こういうような特殊なケースがございまして、再三、路線その他についての過当の競争が現実に調整がととのわず、現在に至っております。運輸当局としても、従来いろいろと御苦心をなされて、その調整に当たられておるようでありますが、問題はこの一点に現在集中しておるようでございます。これらの点に対して、その後何らかの強力な調整措置を講ぜられ、いま私が指摘した特殊な問題に対して、どのような調整を今後進められていかれ、そして過当競争を是正し、調整をされて、全般としては過疎地域の運行維持にも寄与されようとしておりますか、その態度なり具体策を承りたい。いや、大臣でなくてけっこうです。
  124. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 鳥取県の場合におきましては、御指摘のように、日ノ丸自動車と日本交通の二つの会社がございまして、相当競合をしておるわけでございます。たとえば、日交の場合におきましては八七・三%、日ノ丸につきましては三三%がその免許路線の中で競合しておるというようなことでございます。で、両社の調整につきましては、従来からいろいろ苦心をいたしてまいった次第でございますけれども、地方の交通を確保するという非常に重要な問題でございますから、知事も間に入って、いろいろ調整の努力をしていただいております。両社が現在路線の調整につきまして折衝をやっておる次第でございますけれども、競合路線で、必要な回数を確保するけれども、無用の競争はやめようと、その具体的な方法につきまして、どのようにしていくかということでございまして、それにつきまして現在話が相当進行いたしておりまするので、われわれといたしましても、具体的に両社を呼びまして、陸運事務所、局でもってそのあっせんもいたしております。現在、それらの話し合いに伴いまして、確保する必要回数等につきまして検討しております。で、確保いたします場合におきまして、一日の平均の回数をどうするかということと、それから、バスでは特に朝晩のラッシュアワーのときが非常に重要でございますから、それらを勘案いたしまして、現在調整をいたしておるわけでございます。われわれといたしましては、すみやかにこれを調整いたしまして、結論を出していきたい。現在においては、両社が非常に競争していくという時代じゃなくして、いかにして路線を維持して、地方の住民のための最後の交通機関としてがんばっていくかということでございますから、この認識につきましては両社ももうすでに意見は一致しておるわけでございます。いまは具体的なその内容を一日も早く調整するということでございますので、われわれといたしましても、陸運事務所、陸運局を督励し、さらに知事の御協力も得まして、早急に結論を出すようにいたしたいと思っております。
  125. 足鹿覺

    足鹿覺君 知事もいろいろと努力をしておるようでありますが、やはり地方自治体の長としては限界もあるようでありますし、特段の配慮を陸運局を通じ、いつまでもこういう宙ぶらりんのかっこうでは片がつきませんので、さらに一そうの御善処を要望いたしておきたいと存じます。  時間もありませんので、次にはスクールバスの運行維持対策につきまして文部当局に伺いますが、鳥取県の場合は、大部分企業体が、バス会社がスクールバスを運行しておるのであります。ところが、先ほど述べましたような状態で、何億の赤字が出て、これをやめる、やめないでもめておる。で、地方自治体に肩がわりをして、マイクロバス等を購入した場合には大幅な補助をする等の措置を講じ、文教上必要な措置を講ずるべきではないかという声は相当あります。先ほど述べました過疎地域対策緊急措置法の成立を待って、十分対策を早急に講ぜられるべきだと考えておりますが、その検討状況、今後の方針を承りたい。
  126. 説田三郎

    説明員(説田三郎君) 現在、スクールバスにつきましては、僻地等、または僻地に準ずる過疎地域における学校等の場合におきまして、遠距離児童生徒の通学条件の緩和をはかる、こういう見地から、その講入費につきまして、補助金によりまして、一台二百万円の予算でその二分の一補助ということで補助をいたしております。そして、その維持運営費につきましては、これは主として内容は運転手の人件費なり燃料費、こういうものでございますが、これにつきましては、地方交付税制度によりまして、その財源措置が行なわれておるわけでございまして、四十四年度におきましては、ほぼ実績程度の、バスの運営費、維持費といたしまして一台当たり約九十八万円、これが措置をされておる次第でございます。
  127. 足鹿覺

    足鹿覺君 これは自動車局長に伺いますが、いまのような情勢であるとすれば、しょせんは、まず肩がわりはスクールバスからと、そういうことも私はやむを得ないではないか。そして可能な限り地方自治体に肩がわりをさして、これについては過疎債の活用であるとか、あるいは補助にいたしましても、基準財政需要額に見込んで、地方自治体を助けるとか、いろいろな措置を考え合わせないと問題は解決しないではないか。ただいまの大臣の御答弁のように、地方自治体ならともかくも、企業体にむやみやたらに補助はできない、こういうことであり、過疎債の適用もそのことにはなかなか難色がある。こういうことになりますと、問題の処理は、そういう方向へ、好むと好まざるとを問わず、向けて問題の解決をはからざるを得なくなるのではないか。この点、文部当局とも、地方自治体当局とも、真剣にひとつお打ち合わせ、協議を遂げられまして、近い将来に問題が解決できるようにされたいと思いますが、いかがですか。
  128. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 過疎地域におきます交通の維持では、一番重要なことは通勤と通学でございます。特に通学を確保するということは非常に重要なことでございますので、これを重点に考えるわけでございます。したがいまして、文部省のほうでいまお話しがありましたような対策がございます。それからわれわれのほうにおきましても、自治省と具体的に、地方公共団体の受け入れの方法がいろいろあると思います。それで一応車両等購入いたしまして、だれかに運用を委託するということもございますし、スクールバスでやるという方法もございます。具体的な場所に応じまして、ここではどのようにやろうというふうなことをこれから打ち合わせすることになっておりますし、その場合におきましては、先ほど、法律にありましたように、運輸省といたしましては、道路運送法の適用によりまして、実情に応じて適切にやるということに相なっておりまするので、さらにこれらの点につきましては、予算要求から実行に、全部自治省とわれわれのほうと、あるいは文部省——スクールバスの関係は文部省でございますので、具体的に打ち合わせをして、従来からやっておりますけれども、今後もさらに具体的にすみやかに実施するように、関係省の間で打ち合わせを十分やっていきたい、かように考えている次第でございます。
  129. 足鹿覺

    足鹿覺君 次に、国鉄の財政再建合理化計画に基づく赤字線、中間駅の廃止並びに駅の無人化等につきまして若干お尋ねをいたしたいと思いますが、赤字線の廃止、中間駅の廃止、無人化等、国民の足の不便を増大することは必至だと考えます。したがいまして、計画の再検討を要望する声が地方自治体あるいはその議会等において熱心に検討され、要路に向かって要請がなされておることは御承知のとおりであろうと思います。中間駅の無人化は、中間駅廃止の不安を増大させるものでありまして、地方民としては納得ができないようであります。国鉄財政再建計画、再建の合理化計画もありましょうが、国民全体に及ぼす影響はきわめて大きいのでありまして、地方自治体、地域住民の了解なしに一方的に実施を行なうべきではないと私は考えるものであります。すなわち、本年秋から実施を予定されておるところもあるように聞きますが、やはり地方民の声を聞き、その代表である地方自治体等の要請を尊重し、当面延期をするとか、何らかの緩和措置を考えられるべきではないか。ただがむしゃらに強行するだけが能ではないのではないか、このように考えておるわけであります。この点について運輸大臣に伺いますが、どうしてもこれを強行されなければいけないのでありますか、弾力的な運用をはかられる御所存はないですか、運輸大臣並びに国鉄当局に御所見を承りたい。
  130. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 過疎地帯ということばですが、やはりこれは過疎地帯に関係が出てくるわけですが、私はこう考えるわけです。近代産業の構造の変化といいますか、それが社会の人口の分布に根本的な影響を与えてきておるのでありますからして、たとえば、先ほどの自動車、バスの問題でも、最近農村でも二戸に一台当たりの自動車を持っておる。これはライトバンにしても乗用車でもかまわないが、そういうように人口が減ったからじゃなくて、人口はあまり違わないのにかかわらず、バスを利用する人が減ったというのは、オーナードライバーで自分で自家用車を持っておる。自家用といってもライトバン、そういう社会事情の変化が出てきて、そういう点で人口の少ないというか、そこにいろいろの乗り物にあらわれて、バスのお客さんが減ってきておる。こういう点が最近ではバスの問題では大きな問題でありますが、同様に、鉄道におきましても、産業がある地域に集約されてきておる。それは足鹿さんの県でもそうだと思います。そういうことでありますから、ある駅においては乗客が非常に減ってきておる。そういうことから考えて、一つには国鉄の能率をあげる、能率をあげるためには、やはり貨物等の引き込み線とか、貨物に時間をとるという点をできるだけ整備して、そうしてスピードアップをする。要するに、短距離はひとつ乗り合いバスでもって使ってくれないか、こういうことからして、国鉄の考え方は、そういうところから無人化駅を考えざるを得ないということであります。ただ、私は駅の無人化につきましても、できるだけ地域の住民の皆さんに納得してもらい、そうして、できれば、ものによっては無人化ではなくて、やはり国鉄自身がやるか、あるいは委託にするか、いろいろの面で利用者に不便をかけないようにということで、方針としては、原則としては、国鉄の考え方をわれわれは支持せざるを得ませんが、その実行方法等につきましては、住民の十分理解のもとに、また、その市町村地域の利害関係等も考慮して、そうして無理のない進め方をしてまいりたい、かように考えております。
  131. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま大臣がおっしゃいましたように、国鉄の財政再建につきましては、昨年法律を設定していただきまして、いまその線に沿って進めているわけであります。最近の輸送情勢の非常な変化によりまして、一つの例を申し上げますと、たとえば全国で旅客駅が約五千弱でございます。五千の旅客駅のうち約半分、二千五百くらいの駅で乗りおりされるお客さんは、全体のお客さんのわずか二%でございます。半分の駅で二%程度のお客さんしか扱っていない。貨物にしても、約半分の駅で大体二%くらいのものしか扱っていない。非常に込むところは込むし、ほとんど利用客のないところは少ない。これは御承知のように一世紀前に鉄道ができましたときに、荷馬車と人力車を補助機関として鉄道が独占しておった時代の形が今日まで続いているわけでございます。これを何とか合理化しなくちゃいけないということで、旅客駅につきましては駅を廃止——駅を廃止するということは利用を奪うことになるので廃止しないで、駅に張りつけている職員をそこから撤去する。そうしてちょうどいまハイウェーでもバスがたくさん走っておりますが、これは全部無人の停留所でございます。バスと同じように、停留所にしてまいりたい。旅客については、それを五千の駅で約半分につきましては停留所化したい。それから、貨物につきましては、たいへんお恥ずかしい話ですが、現在、国鉄の貨物列車は平均時速二十キロでございまして、二十キロと申しますのは、荷主の発駅から、駅から駅までの全部の時間で距離を割りますと二十キロでございます。二十キロで汽車が動いていたんじゃ、とてもこれはお客さんが利用してくださいませんので、駅をなるべく少なくして、そしてそのかわりスピードを速くするということによって国鉄利用の荷主を確保しない限り、国鉄の貨物の輸送は衰退の一途をたどるだけだと、こういうふうに考えます。しかしながら、幸い道路がよくなりましたし、貨物の駅は人手をうんと減らしまして、そのかわり、残った駅については荷役の機械化をして流通経費を下げる。一方、各駅でとまっておった列車を、数駅に一つだけとめるというふうにすれば、速度は速くなるというふうなことで、荷主にとってみますれば、速達という利便があり得るわけであむます。そういうことがございまして、私どもといたしましても、極力利用者に対する御迷惑のかけ方を少なくしてやりたいというふうな考え方でおりますが、いまいろいろやっております中で、いわゆる無人化ということばから出てまいります、何か駅舎が廃屋になってしまう、あばら家になってしまう、ルンペンの住みかになってしまうんじゃないかという極端な話も出ておりますが、そういうことにつきましては、確かに町や村の玄関でございますので、そういうことのないように、具体的にいろいろ地元と御折衝しておる最中でございます。  それから、貨物につきましては、大体、なるほど道路がよくなって自動車ができた。それならば、何も隣の駅に持っていってもたいした不便はないということで、着々と貨物駅の集約化が進んでおるわけでございます。そういうふうに国鉄の営業体制を新しくしない限り、やはり私は鉄道事業というものは衰退の——特殊な地域を除きましては、衰退の一途をたどらざるを得ないと、こういうふうに考えるわけでございまして、この点、何とか過疎地域等における鉄道の輸送を、もう少し能率的にするという角度からこの問題を取り上げなければいけない、こういうふうに考えております。
  132. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいま運輸大臣からもお話しがありましたように、無理をしてはならぬという御所見に基づいて、国鉄当局においても慎重にやっていただきたいと、いまも磯崎さんが申されましたように、無人化ということは廃止につながり、やがてはレールもあげてしまうんだと、こういうふうに地方民は受け取るんですよ。ですから、そういう点については、地方自治体なり議会が、真剣に、住民の意思を代表しておるわけなんでありますから、これとの意思の疎通を欠いて、無理をしないで、弾力的にこれを、事を運んでいただきたい。これが私は偽らざる地方住民の声である。ただ、労使の面からのみものを判断されないで、地域住民というものの声というものをよく取り上げられる態度で善処をし、無理をしないで暫時延期をする、どうしても了解を得られないならば、延期するならするという方針でもって対処していただきたい。このことを、私はこれ以上申し上げませんが、よく御善処いただきたいと思います。いただけますね。
  133. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 十分、足鹿先生のおっしゃったことは、私も実施上につきまして下部機関に十分伝えて、無理をしないように十分地元の方々とのお話し合いの上でやってまいりたいと思っております。
  134. 足鹿覺

    足鹿覺君 きょうは何しろ時間がありませんので、あと気象行政の問題について伺いますが、おそらく中途半端になろうと思います。これは内閣委員会等において、さらに引き続き質問を行なうということを前提にして申し上げておきたい。  第一国会以降、国会は会派をこえて、災害の未然防止対策の強化について、政府にその実施を災害対策委員会はもとより、多くの関連委員会あるいは本会議の決議、法律案、予算審議等の中で要請しておることは、御承知のことと思います。最近の例を一、二紹介すると、四十三年八月二十三日に、本院災害対策特別委員会は、あの悲惨きわまる飛騨川バス転落事故を引き起こした岐阜県等における集中豪雨に伴う災害対策に関する決議の中で、「急激な気象の変化に伴う集中豪雨等に対する観測予報体制を強化し、予報及び警報について各関係機関は、その周知徹底を図ること。」としており、さらに一昨年九月十九日の衆議院災害対策委員会でも、地象、気象観測施設を整備拡充することと決議しておるのであります。災害の発生があるたびに、しかも数十年間このような趣旨の決議が繰り返されてきました。私は、国会指摘しておるこの問題を、政府がどれだけ真剣に考慮しておられるか、疑問に思っておるのであります。国会は決して自己満足のために多くの決議をしておるわけではございません。いやしくも国政に参与する者として、国民に負っておる当然の責務を、立法府として意思表示をしておるのであります。附帯決議あるいは本院の決議等は、単なる議事運営上の締めくくりに終わってしまうのではなく、これが、行政当局がその決議を受けて、政治上に、行政上にいかに活用するかにかかっておると思うのであります。決議が行なわれたあとには、必ず当該大臣あるいは次官等が、委員会の席上において、決議の趣旨を体し善処いたしますと、必ず約束をしておられますが、しかるに実態を見ますというと、必ずしも守られておらないということを遺憾に思うものでございます。  そこで、災害の未然防止と気象行政の強化などの政策は、各党共通のものでありまして、決して政策の不一致のあるものではございません。国会の決議は国民の総意であり、別に問題はなく、要は政府当局の熱意いかんにかかっておると思います。災害は忘れたころにやってくると申しますが、以上の点をよくお考えになりまして、政府として、自然災害の未然防止と気象行政の強化整備対策について、新たなる御決意をもって対処されますやいなや、運輸大臣は、この国会のたび重なる決議に対していかように対処されますか、承りたいのでございます。
  135. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 具体的な関係については政府委員から答弁させますが、足鹿さんのおっしゃる、いわゆる国会の決議は、われわれは心からこれを尊重し、その方針に従って措置をしておるわけであります。ただ、御了解願いたいのは、このようないわゆる科学的な仕事になりますというと、人間の問題もありますけれども、問題は、設備いかんの問題であります。でありますからして、最近の産業を、私が申し上げるまでもなく、いわゆる生産性の向上ということは、単に人の熟練の度合いをあげるということもありますけれども、それを言っておるのではなくして、いかにして機械化を行なって、そこで一人当たりの生産性を引き上げるか、この前もちょっと申し上げたかもしれませんが、今度は鹿島港にできますいわゆるコンビナートの生産性というものは、いわゆる四日市のコンビナートに対して約三・六倍という一人当たりの生産性をあげておる。人の問題とは関係がありません。そういう意味において、気象庁にいたしましてもできるだけ正確ないわゆる気象情報を伝え、あるいはまた、先ほど申しましたような集中豪雨その他台風等に対してどうすれば対処し得るか、こういうことについては最善の措置を講じてまいっておるのでありますからして、したがって、その決議に対して、われわれは決して尊重しなかったのではなくて、尊重して、それらの機械化の十分な設備を、もちろん一挙にできないにいたしましても、方向としてはその面について地域住民なり全体の国民生活の上に不安なからしめんがための万般の措置を考えておるわけであります。具体的な問題については、政府委員から具体的に御説明申し上げます。
  136. 足鹿覺

    足鹿覺君 時間がありませんので、運輸大臣の御答弁はその程度に本日は承っておきます。  気象庁長官に伺いますが、先日、一般質問の際に、私はあなたにいろいろな御質問をいたしました。そこで、まず一点伺いますが、佐藤総理大臣が四十四年四月八日衆議院内閣委員会において、気象観測で人を減らしていいわけはないと発言しておられますが、長官はこの発言をどう受けとめておられますか、今日までの国会の記録をよくお読みになり、前長官等との関連もよく考えて御出席になっておりますかどうか、御所見を承りたい。
  137. 吉武素二

    政府委員(吉武素二君) 佐藤総理が申されたこと、国会の速記録をよく読ましていただいております。いままで前柴田長官とも考えにおいて私は全然変わっておりません。そしてどういうことを国会で申されているかということも承知しております。
  138. 足鹿覺

    足鹿覺君 具体的にお尋ねいたしますが、柴田長官は、「全国の気象官署全部が毎時観測をやり、レーダーも毎時ずっと引き続いて運転をするということが一番望ましい」と昭和四十四年三月十九日衆議院災害対策委員会において発言をしておられますが、現在でもあなたはこの姿勢に変わりはございませんか。
  139. 吉武素二

    政府委員(吉武素二君) いま先生が御指摘になったことを国会で前柴田長官が発言しておられることも、私は承知しております。しかし、その発言のうちで、全気象官署が二十四回の観測通報をすることが望ましいんだということについては、いまの私をはじめ気象庁の中で、みんな技術屋さんが現時点でそういう問題を去年私が着任以来議論いたしました。しかしそれは、もしそれほどのことをやるのであるならば、また、観測といいましても、普通の観測所でやることだけが観測ではございません、観測体制全般から考えるならば、もしみんながそういう観測をやるのであるならば、たとえばレーダーというものを二十四時間運用したほうがいいんじゃないか、そういうような考えにいまはなっております。
  140. 足鹿覺

    足鹿覺君 時間が参りましたので、いま一問だけ申し上げて、あとは内閣委員会の審査の際に申し上げますが、大阪は昨年の四月から、東京は本年の四月から、観測回数を二十四回から八回に減らしたということでありますが、大阪でも東京でも現場の技術者が自主的に二十四回観測を続けていると聞いている。長官は、昨年の四月二十四日の参議院内閣委員会で、職員は引き続き二十四回の観測をやってくれておりますと認める発言をしておられます。現在もこれをお認めになっておると存じます。先般の私の予算委員会の質問の際において、この労を多とすべきではないかということについては一言の御発言もございませんでしたが、どのような御心境でございますか。職員は手弁当で国民を災害から守ろうと自主的に観測をしておる、これはたいへんりっぱな行為だと思います。しかし、現場の管理職は、自主観測を進めると処分をする、あるいはまた用紙を使ってはいけないとか言って、やめさせようとしておると聞いております。また、四月一日からは、自主観測で送られてくる東京と大阪の気象電報を機械的操作によって全国に送るのをやめてしまったとも聞いております。こういう事実があるかどうか。あなたの先ほどの御答弁には、姿勢としては前長官の姿勢を受け継ぐ、しかし回数の問題等については自分の判断による、こういうことでありますが、減らさないほうがいいのではありませんか、その姿勢を聞いておるのであります。以上の事実等について御答弁をいただき、あとは後日に譲ります。
  141. 吉武素二

    政府委員(吉武素二君) いま足鹿先生がお話しになりましたことは、先生のおっしゃるとおりでございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、私たちはやはり、二十四回普通の測候所でやっておる観測だけにたよって仕事をしていこうとは思っておりません。高層観測とか、あるいはレーダーとか、そういうような新しい最近の気象観測測器を使ってやろうとしているわけでございます。ですから、いま組合との間で先生のおっしゃったようないざこざがあるわけでございますけれども、やはりそういうことに労力をかけないで、もうちょっと観測全体を考えて、そちらのほうにみんな協力してほしいものだ、それで決して技術的に見て防災気象業務の弱体化とかあるいはサービスの低下はないものと私たちは判断し、また組合員にもよくその趣旨を説明して、できるだけわれわれが考えておる方向に持っていくようにいまつとめております。   〔副主査退席、主査着席〕
  142. 木村睦男

    ○木村睦男君 私は、国内航空事業の集約化、国内空港の整備等に関しましてお尋ねをいたしたいと思います。  戦後、今日まで、日本の航空旅客の増加というものは非常に急激にふえてまいっておるわけでございます。ことに長距離の国内旅客として従来国鉄が大半これを担当しておったのですが、航空事業の発達とともに航空旅客のほうが非常にふえてまいってきておる。私の手元にあります資料から考えましても、昭和四十年ころの国内航空旅客の指数を一〇〇としますというと、四十三年度では一六四、おそらく四十五年の実績がまとまればさらに相当ふえてくるものだと思います。それに引きかえまして国鉄は、昭和四十年ころの輸送人キロを一〇〇といたしますと、四十三年が一一一くらい、一一、二%の増加のように私見ておるわけでありますが、しかくかように航空旅客はふえておるわけです。その間にあって、国内航空事業を担当する航空事業に対して、あるいは不況のとき、あるいは今日のように次第に好況になってきた、その間にあって、運輸省としての国内航空事業に対する指導というものはどういうふうに変わってきておるか。持に最近、国内航空事業の集約化といいますか、再編成というものが、一部は実現しつつあるし、一部はまたその途上にあるという状況ですが、その今日までの国内航空事業の集約に対する運輸省のとってきた方策につきまして簡単に御説明いただきたいと思います。
  143. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 航空企業におきましては、何といいましても、安全性の確保ということが事業の大前提になるわけでございます。したがいまして、その基礎はやはり企業の経営基盤の強化ということがございませんと安全性に欠くるおそれがあるということでございますので、できるだけこれを集約化して基盤の強化をはかるということを大前提、大基本方針ということに考えておるわけです。具体的なそういった方針につきましては、ずいぶん古くから各方面でそういう方針が打ち出されまして、政府自体といたしましては、昭和四十一年の五月二十日に、航空企業の経営基盤の強化ということで、各企業の経営合理化の徹底をはかると同時に、ローカル路線運営企業の幹線運営企業への統合を促進するという政府の閣議了解方針がきめられております。この方針に従いまして、現実いろいろそういう統合を実施してまいったわけでございますが、四十年の二月には中日本航空というものの定期部門を全日空に継承をいたしております。四十二年の十二月には長崎航空の定期網を同じく全日空に継承をいたしております。なおまた、そのほかの会社ともそれぞれ業務提携の緊密化というものの話し合いが進められてきておるということでございますが、残った会社は、御承知のとおり、国内におきましては、日本航空を除く三社が定期路線運営をいたしておりまして、そのうち国内航空は、四十六年の九月を目途に日航と合併をするということで、これまた着々とその体制が現状は進んでおるという状態でございまして、あとの東亜と全日空、この二社につきましても昨年来話は進みつつございましたところですけれども、現段階におきましては両者の話し合いが若干とんざを来たしておるというのが現状でございます。
  144. 木村睦男

    ○木村睦男君 ただいまお触れになりました全日空と東亜の合併の問題ですが、もうちょっと詳しく、どういう条件で指導され、現在どういうところに問題があってまだこれが実現ができないか、その辺もう少し詳しくお話しただきたいと思います。
  145. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 昨年来からこの両社の間には、自主的な合併についての話し合いが行なわれてきたわけでございます。それ以前から言いますと、実は非常に歴史が古うございまして、昭和四十年の二月二十七日に一応開銀総裁にあてまして合併に対する基本的態度を文書をもって意思表示されております。さかのぼって昭和四十一年の六月十七日には、大阪−出雲線の開設に伴いまして、やはり航空局長あてに四十二年度を目途として合併につとめるという旨の意思表示がなされております。その後そういう方向で、主として東亜航空の体質改善をはかるという意味で、種々、路線の免許、便数増、機材増ということが行なわれてまいっておりますが、昨年の八月ごろにだいぶ同社の意思が合併の話し合いに進んでまいりまして、当時運輸大臣もその仲介に立つようなことをし、合併の要請をさらに重ねてするというような事態がございまして、両社そのつもりで非常に熱心に自主的に話し合いを行なったわけでございます。しかし、結論的に申し上げますと、要するに両社の合併比率という問題が最終的に折り合わないということに相なり、その過程におきまして全日空においては一部事故等が起こったりいたしました関係で、その話の前進がおくれている、こういったことが両社の現状でございます。
  146. 木村睦男

    ○木村睦男君 そうしますというと、四十一年ごろに両社合併の意思は一応合致したと、その後いろいろの事情で今日まで合併ができていないわけでございますが、もちろん民間会社同士の合併で、行政指導にも限界もあろうと思います。しかし、いままでずっとこれを指導されておって、運輸省として、合併の意思がありながら、比率その他において問題があって今日まで延々延びているのですが、その間において一体この両社が、どちらが合併に対する意欲がないといえばないのか、あるいはどちらがもうちょっと努力をしてこの目的を達成すべきであるのか、そういう問題について、両会社が今日までとってきたやり方というものに対しては、運輸省としてはどういうふうに見てきているか、この点をお尋ねしたいと思います。
  147. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 話が非常に微妙なことになりますけれども、全日空自体は合併比率につきましては一応自社の方針を打ち出しておりますが、当時の仲介に立ちました運輸大臣に対して、最終的には、一応権威あるといいますか、こういった合併事情に精通した中立的第三者が立って、その第三者の裁定がおりるならば、必ずしも自社の比率に拘泥しないという意思を表明をいたしております。他方の東亜航空におきましては、やはりある一定の比率を固執いたしまして、その比率でなければ絶対に合併ができない、そういうかたい当初の決意どおりのものを打ち出したまま、そこで話が進まないという状態でございます。両社ともに、第三者的な代表者をそれぞれ出しまして、それぞれの代表が話し合いを進めておるわけですが、まあいまの点がやはり、そういった第三者的なそれぞれの代表者におきましても、現状においてはさらに打開が困難だ、こういう実情でございます。
  148. 木村睦男

    ○木村睦男君 第三者に条件を一任をして、その第三者の示す方針に従って合併するという事態があったようなわけでございますが、それがまあいまだにそのままになっておるということで、これは運輸省としては、今日の段階においてこの国内航空事業の再編成ということが非常に重要な問題でもあるし、一日も早く実現することが航空事業の安定のために、また国内航空の安全のためにも必要だと私は思うのですが、今日の時点でまだこれがそのまま停滞しておる。これに対しては、運輸省としては、これからどういうふうな方法をとりながら運輸省の大政策であるところの国内航空事業の再編成を実現していこうと考えておられるのですか、今日並びに今後の、これからの進み方についての運輸省の考え方というものをお示しいただきたいと思います。
  149. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあこの問題は、政策の問題に関連しますから、私から答弁申し上げますが、   〔主査退席、副主査着席〕 私は、閣議で決定しました経営基盤の強化、この方針に従って、いわゆる集約化は、これはもうできるだけ早くしなければならぬ。ただ、前提として一つ考えなくちゃならぬことは、最近民間のある航空研究団体のある研究員は、昭和六十年にはおそらく飛行機を利用する国内航空の旅客は一億二千万に達するだろう、そうしてそれに使用される飛行機は大型化して三百人ないし五百人のエアーバスが中心になるだろう、したがってそれに必要とするところの資金というものは約三千億円に達するだろう、これはまあ長期展望から見た一つのマクロ的なものの見解であります。そういう見解に立ちますというと、いまのこの中小企業的な飛行機業界というものが妥当かどうか、これはもう火を見るよりも明らかなんです。にもかかわらず、なかなかこの集約化が進まない。これにはいろいろの問題があろうと思います。われわれがいわゆる定形的にただおまえら合併しろ、こういうことだけでは済まない問題があるから、したがっていまなお従来のものが、ある程度はできたけれども、それ以上進んでおらない。これは航空政策の問題があります。たとえば、国際線が、いまの法律は国際線が一社である、法律的に日本航空がこれを行なうことになっておる。しかし、これから十年とか十五年の将来を考えた場合に、国際といいましても長距離国際と近距離国際とがある。これをどう考えるかという問題があります。それから、国内航空にいたしましても、いま申しましたように十五年先ではありますが、この数字は私も少しかたいとは思いますけれども、それにいたしましても、いわゆる一億二千万という膨大な人間を運ぶ、しかも投下資本は三千億円になる。こうなりますというと、航空企業というものは、その内容としては近代化されなければならない。近代的な組織、企業感覚、これを持たなくちゃならぬ。にもかかわらず、私は、日本のいまの企業体はこのような近代的感覚を十分に持っているかといえば、必ずしも十分ではないのではないかという疑問すら感じます。遊覧飛行でもやっているようなつもりでやっておられたんでは困るのですね、人命の安全の問題から考えて。そういう意味で、これはまあ従来運輸省で進めてまいりました方針を私は修正する考えはありませんけれども、しかし根本的なものの考え方から立ってこの問題を調整いたしませんとなかなか進んでいかない。そういう意味において、いわゆるこの閣議決定の方針はもちろん堅持いたしますが、それらの政策等についてはもう一度検討し直す必要があろう。そうして、やはり基本的な方針に従って強力に指導する、こういうような考え方をしなければならぬと思っております。従来の経過はただいま手塚航空局長から申し上げたとおりの経路でありますけれども、私自身はもちろんその方針を特に逸脱する考えはありませんが、よりやはり幅広いものの考え方から、航空政策といいますか、こういう政策を総合的に考えていきたい、かように考えております。
  150. 木村睦男

    ○木村睦男君 大臣の、今後に対する航空行政のあり方について、この流動する社会情勢等に対応しながら、過去の業務、基本方針というものはこれを守りながら、さらにこれを発展していくのだというまことにけっこうな方針を伺いまし七、まことに私も同感を禁じ得ないのであります。  ところで、具体的な問題といたしましてお聞きしたいのですが、この国内航空の合併問題がいかないということのために、これは一つの航空政策でありますが、その余波を受けて一般国民大衆の立場に立って非常に迷惑をしておるという事実があるわけです。具体的に申し上げますというと、私は岡山でございますので、岡山の問題でございますが、実は岡山の空港には現在東京から全日航の便が三便あるわけでございます。岡山を起点にいたしまして、あるいは松山に、あるいは宮崎にという希望が非常に強うございます。で、一昨年の五月に東亜航空がこの申請をいたしまして、そして運輸省内においての事務的な処理、内容の検討等においては、これはよろしかろうという一応事務的な結論が出ておりまして、四十三年の九月一日をもっていよいよ新空路の開始をやるんだという大体の見通しが当時ついておった。そこで東亜航空としては、航空開始の一週間くらい前から非常に大々的に宣伝をいたしたわけでございます。当時、秋でございますので、新婚旅行等のシーズンでございます。この航空路の開設を、当然そうなるものと思って、新婚旅行のコース等もこの新航路を利用してやろうというふうなところで、いろいろ切符を前買いをしまして準備をした。ところが、開始のたしか二日くらい前に突然、九月一日の開始はまかりならぬということで、非常に当時各所に悲劇が起こったわけでございます。で、よくよく聞いてみますというと、先ほどの国内航空事業の合併問題で、全日空とそれから東亜航空の合併問題がこじれて、なかなか運輸省の指導のとおりに順調に進まなかった。で、当時われわれの聞いておるところでは、この合併問題について東亜航空のほうの態度というものが従来の運輸省の指導の線に必ずしも沿っていない、そういうことが合併が進んでいない理由である。そのために、東亜航空の申請をしておったところの新空路の開設に待ったがかかった、こういうふうな事情と聞いております。私もその当時のことをいろいろ尋ねてみたり調べてみたりしたのですが、まあ大体そういうようなことの模様であることは間違いない。しかも航空事業の再編成ということは非常に重要なことでございますので、これはやはり私は、運輸省として従来の方針を堅持されて、そうしてその方針の実現に強力にこれを推進していただきたいと思うのでございますけれども、この合併集約の政策は非常にけっこうでございますけれども、そのとばっちりが一般国民大衆に及ぶということがあっては、これはやはり私は片手落ちの点があるんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、私はこの際、大臣にお尋ねしたいわけでございますが、こういうふうな問題のときに、私は、国民大衆のために航空路を開設するという問題と、それから航空事業の再編成というものとは、一応切り離して処理をしていただくことがいいんではないか。しかも、運輸省の堅持されておるところの航空事業の再編成ということは、運輸省の基本の方針に従って、これはあと戻りをしてはいけない。これはそのまま進めていただきたい。したがって、新空路の開設にあたっては、運輸省のその方針がいやしくもそこなわれないように、そのくふうは十分されるべきであると思いますけれども、いたずらに、合併の時期がなかなか実現しないために、国民の待望しておる新空路の開設あるいは航空輸送力の増強というものがそのために犠牲になって延々日を重ねていくということは、私は非常に残念なことだと思うわけでございます。したがって、こういうふうな場合に、従来の合併方針を堅持しながら、しかも一般大衆のために予定されておるところの輸送力の増強、新航空路の開設ということを進めるという方向で、私はぜひ運輸大臣としてお考えいただきたいと思うのでございますが、それについての御所見を承りたいと思います。
  151. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 方針につきましては大臣からお話があるかと思いますが、いまお話の過程に出ました事実問題についての内容について若干御説明をいたしたいと思うのです。  いま御指摘になりました岡山からの新線の申請について、中途でもってこれを中止するということに相なったわけですが、その間の実情といたしましては、こういった新しい線を当該会社がいろいろ申請をしてくるということに対しましては、先ほど経過で御説明いたしましたように、当然前提としてすでに明白に意思表示をされておるところの合併ということが大前提で、その合併のために、こういった新線を認めるあるいは開設するということが体質改善になって合併がむしろ促進されるというような観点から従来事を処してきたわけであります。この新路線を認める場合の考え方にいたしましても、一応そういうようなことが基本になり、あわせて利用者の立場というものを並列的に考えたわけでありますが、その前段におきますところの従来の基本線に対しまして、当時当該会社における意思の確認がなされた際に、これがきわめてあいまいな事態になったわけでございます。つまり、過去の基本方針とは異なり、あるいは約束された事態と違った意思表示がなされるような状態が看取されたわけでございます。そういったことから、実は会社のほうでもその辺をなお検討をするという意味であったと思いますが、本路線の実施については自主的に中止をしたいということを申し入れをされたわけでございまして、私どもはやはり、旅客の皆さん方がすでに予定されておることでもあるので、非常に混乱を来たすのではないかということを当時心配いたしましたけれども、会社は自分でその辺は十分処理できるので御心配なくというお話までありまして、そういう自主的な中止がなされた。しかしながら、それによって一般の皆さんが非常に混乱と不便をお感じになったということについては、私どもも一半の責任は感じておるものでございまして、またこういう利用者の皆さんのお立場ということは私どもも十分考慮をいたさなければならない。こういう基本線を進める過程において、先生のおっしゃる分離とまではいきませんけれども、やはり十分考慮をいたさなければならない。そういう意味におきまして、先般万博対策という意味も兼ねて相当なる増便の申請がございましたけれども、これらについては全面的に私どものほうはこれを受け入れる会社にぜひそれをやっていただくというような立場をとっておるわけでございまして、仰せのように、利用者に本問題について至大な不便をおかけするということがないようには十分配慮をし、しかしその間において基本方針は守って先生のおっしゃるような方向を促進するというような配慮をしておる次第でございます。
  152. 木村睦男

    ○木村睦男君 大臣のお答えをいただく前にもう一言私申し上げたいのですが、航空事業の路線開始等はもちろん免許事項でございますから、申請がなければ許可するわけにはいかないわけです。私が申し上げておるのは、航空事業の再編成にこういった免許問題をからませてはいかぬというように言い切っているわけでもないのです。もちろん、一つの政策を実行するためには、いろいろと方法を講じてその実現に運輸省としては努力されなければいけないので、あるいはその場合に、当該会社の免許事案についても再編成との関係をつけて、そしてこの目的である再編成の実現を期するということは私はあってもいいと思うのですが、したがって、一方旅客に対するサービスということのために、もし具体的な空路をどうしてもやってやろうと、しかし現在の申請者にやらすということは再編成に非常に障害があるというふうな場合には、やはりこれは行政指導でもってもう一つの側のほうに申請をさせて、そしてそれにやらすというふうなくふうも私は当然政策としてあってしかるべきだと思います。そういうふうな意味合いにおいて私はお尋ねをしておるわけでもございますし、また合併会社には経済的な基盤の強弱もございますので、四十三年に申請のあったころはあるいはこの申請を十分やるだけの力があったかもしれませんが、今日の段階においてはあるいは機材、要員等の問題について実際はもうできないというふうに、あるいは事情が変わっておるやもしれないとも考えられるわけでございますので、私は、この再編成の問題、大方針の実現と、航空路の開設あるいは航空輸送力の増強という目標は、いま私が申し上げましたような考え方によって両々相立つようにひとつやっていただくことが一番私はいいんじゃないかと思って、大臣の御方針をお尋ねしておるような次第でございます。
  153. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 木村さんの御提案といいますか、一つの考え方を申されましたが、なかなかいま御承知のように合併問題が進んでおるおりからして、将来の合併あるいは強化等に影響があっても支障がありますので、皆さんの一種の御提案、御提言というものは大いに関心を持つ問題でありまするが、ここで明確なる答弁をすることのほうが好ましくないと考えますので、その点は御了承願いたいと思います。
  154. 亀田得治

    亀田得治君 私三つばかりお尋ねいたします。  その第一は、非常に古い話ですが、昭和二十年十月七日に室戸丸が西宮沖で沈没した問題です。当時この沈没した個所が安全であったかどうかということを一番よく知っていたのは、船舶運航の責任を持っていた当時の船舶運常会だと思います。それから第二にはまた、運営会の監督官庁である当時の運輸省というふうに私考えます。したがって、乗客にはこれは全く責任のない問題なんですね。結果としては非常にたくさんの死傷者が出たわけですが、まあいろいろこれは関連する法規もありいたしますが、全体として冷静にこれを考えてみますると、私はやはり、責任の第一はこの船舶運営会であり、また運輸省にあったものと思います。で、この遺族たちの中で非常にお気の毒な自殺者等が出たりいたしまして、その結果、四十一年三月二日、前代議士の野原覺君が、当時の運輸大に、この点について、予算分科会だったと思いますが、質問をいたしたわけです。当時の中村運輸大臣は、事情を聞かれまして、できるだけのことはするという明確なお答えを分科会でやっておられることは、御存じのとおりだと思います。ところが、その後、問題が片づかない。しかし、遺族の方々は、そういう運輸大臣の公式の席上における言明ということで、非常に期待も希望も持っておるわけなんです。で、その後これがどういうふうに検討されておるのか、この際、まず事務当局からお答えを願って、大臣には最終的にひとつお考えを承ることにしたいと思います。
  155. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 事情は、先生のおっしゃいますとおりでございまして、中村運輸大臣があたたかい気持ちで前向きに検討したいとおっしゃいましたあと、事務当局といたしまして、まず第一に、現行法制度のもとにおいて遭難者や遺族の方々に対して何らか補償する方法はないかということで、防衛施設庁、法制局、総理府、大蔵省などと折衝をいたして検討いたしましたが、どうしても補償の根拠を見出すことができなかったわけでございます。それで、防衛施設庁からは、その御質問のあった月の終わりに、たしか遺族の方に、現行法上どうにもやむを得ないという御通知を差し上げておるはずでございます。また、新しく立法措置ができないかということも関係省庁といろいろ折衝をいたしたわけでございますが、いかにしてもこういう立法をすることがいろいろな関係からできないということで、御遺族の方にはたいへんお気の毒でございますが、現在までのところ何とも政府として措置のいたしようがない、こういう状態でございます。
  156. 亀田得治

    亀田得治君 船舶連常会に責任がないと、この点はどういうことになるんでしょう。防衛施設庁からの回答は私も拝見いたしましたが、これは主として別個な角度からのお答えになっておるようですね。私は、事件全体をずっと見て、これは船舶運営会こそがこの最大のやはり責任を感じなけりゃならぬのじゃないか、こういうふうに思っているんです。その点はどうなんです。
  157. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先生のおっしゃいますとおり、船舶運営会が事業主体でございまして、船舶運営会が全責任を負っているわけでございます。
  158. 亀田得治

    亀田得治君 なぜそれが責任がとれないのですか。
  159. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 船舶運営会は、当時の遭難船客救護措置内規という、一種の補償の規定でございますが、これによりまして、なくなられた方には千五百円、それから負傷された方には百円のお見舞い金を出しておるわけでございます。当時の船舶運営会としては、一応これで補償が済んだと、このように考えていたんではないかと思うわけでございます。
  160. 亀田得治

    亀田得治君 いまおっしゃった見舞い金というのは、昭和十八年に制定された遭難船客救護措置内規という、その内規によって出されたものだと思います。これは、遭難があれば、一応乗客の責任でないということであれば、出していく見舞い金にすぎないわけです。それが出たからそれで終わりだと、そんなもんじゃないので、被害者にしてみれば、ともかく自分の生活の支柱を失って困っているときですから、それは持って来れば受け取るのはあたりまえなんですよ。それは自賠法の賠償にしたって、これは自動的に出るわけですね、現在は。しかし、それで賠償責任が一切終わったかどうかということには、これはならないわけですね。もっと基本的な要求というものは、訴訟によってきちんとこう判定を求めることができるわけなんですね。だから、そういう関係なんですから、ともかく現在のお金に直してもほんのわずかの金額にしかならないものを渡したからもうそれで終わりだと、そんなことは、まあほかの個人間のやりとりなら言ってもいいが、国というような堂々たる立場にある者が言うべきことばじゃないと私は思うのです。それよりも、運輸省が法律的に一つの問題点として考えておるのは、船舶運営会の債権債務は現在国のほうに受け継がれておらないのだと、法律的に、そういうふうにお考えになっているんだと思います。どうなんです、その辺、そこに問題があるんじゃないですか。
  161. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) きわめて形式的な、法律的な御答弁で申しわけないのでございますが、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、昭和二十七年に商船管理委員会の解散及び清算に関する法律というものが出ております。船舶運営会は後に商船管理委員会と名前を変えたわけでございますが、この法律によりまして商船管理委員会が解散いたしますときに、清算人がすべての債権者に対して、債権があれば申し出てもらいたいということを三回にわたって催告をいたしております。これは通常の法人の解散と同じでございますが、そうして、どうにも処理できないものは、この法律の規定に従いまして、運輸大臣が告示で、次の債権債務は運輸大臣が承継する、それ以外の債権債務は消滅する、こういう法律のたてまえになっておりまして、それでその関係で、運輸大臣が告示した以外の債権債務は運輸大臣が引き継いでいないと、こういう法律のたてまえになっているわけでございます。
  162. 亀田得治

    亀田得治君 そこなんですよ、問題は。だから、そういう何ですね、船舶運営会が後ほど商船管理委員会になる、その商船管理委員会の処理についての法律が昭和二十七年にできたと、そのとき運輸大臣が告示しなかった項目は、もうこれであとからは取り上げることができないんだと、こういう理解をされておるわけなんですね。そこが私は間違いのもとであると思うんですよ。そういうことに類似した法規というものがほかの場合にもありますが、基本的に国民が権利を持っておるものについて、はたして政府のほうで一方的にそういう規定をつくったからといってそれで打ち切りということが成立するものかどうか、これは根本的に疑問があるわけですね。運輸大臣がずっと告示をして並べたものだけは受け継いでいきましょう。本来ならば、そういうときに、告示に対して、もっとこれも告示に入れろとか、告示自身に対して異議の規定などが普通の整備された行政法規ならなきゃならぬですよ。一方的に権利義務を運輸大臣が消滅させるなんて、そんなことはできるものじゃないですよ。そういう異議申し立ての規定もない。したがって、私はそういう点では不備だと思うんですよ。したがって、昭和二十七年の整理に関する法律があるから、もうそれで終わりになったんだと、そんな理屈は、私は、これも私人間のやりとり、攻防をやる場合には使われることがあるかもしれませんが、国たるものがそんなみみっちい三百代言のような理屈を振り回したらいかぬと思うんです。実質的に国に義務があるものであれば、やはり昭和二十七年の告示になくってもその点に対して検討を加えていくということに当然してもらうべきものだと私は思うわけなんですね。だから、そういうわけで、この問題は、遺族の皆さんが、そういう自殺者等が出て、会をつくって、何とか死人の納得のいくような措置をしてもらいたいものだと、どれだけ完全なことができるかどうか、そこまで私は考えておらぬと思うんですね。あまりにもひどいじゃないかという気持ちで、こうずっと長い間くすぶっておる問題なんです。これは野原代議士が非常に熱心に取り組んでおりまして、不幸落選されたものですから、私が非常にるる依頼を受けた問題なんです。お聞きしてみると、なるほどもっともだと思いまして、本日これお尋ねしているわけですが、これは大臣どうなんでしょうか。前の中村運輸大臣も、事情を聞かれて、何とか措置できるものならしたいという意味のお答えがあり、しかし関係法規を調べると直接きちんと当てはまるものがないようだというふうなことで、はなはだ残念だが処理のしようがないのでというふうな意味の連絡を受けているわけですが、私は本件に限らずにこういう種類の問題が多々やはりあるのじゃないかと思うんです。本人には責任がない。よく考えてみると、やはり本人には責任がないんですから、国なりあるいはそれらを扱っておる者に責任があるようだ。しかし、一直線にその責任者にかかっていく手っとり早い法規もない。そういうことならば、どうしても請求しようということであれば裁判でやってくれ、こうなるわけですね。しかし、これは遭難して一銭の金もなくなって困っている者にとてもなかなかやれることではないわけなんです。だから、まあこれから社会もなかなか複雑になりまして、この種のことがいろいろこう予想されるわけですが、何か国としてこういう問題を処理するについての考え方というものを検討してもらえぬかと思っているんですがね。大臣はともかく党内においても全般について発言権もある方でもありまするし、これは当事者にとっては非常な大問題なんです。まあそういう何らかの制度ができたからといって、税金をそう簡単にどんどん出していくということ、これはもちろんそんな乱雑に運営しちゃならぬと思います。思いますが、やはり何かそういう救済の仕組みというものがありませんと、どうも現在ある法規だけをたてにとられてどうにもならぬ、泣き寝入りする、そういうことがずいぶん社会を私は暗くすると思うんですね。そういう意味で、大臣の御所見をひとつ承っておきたいと思うんです。できれば、本件についても何かお考えになる点があれば、あわせてお答え願えれば、一番けっこうだと思います。
  163. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 室戸丸の方々が、不慮の災難で三百数十名の生命を失って、遺族の方々が困窮しておられるという事情をお聞きして、まことにお気の毒にたえないと思います。  この問題、いろいろ私も、短時間でありましたが、調べてみたんですが、これは、いま亀田さんおっしゃるように、なかなか法的根拠としてはむずかしいというところでありまして、いまおっしゃったように、この事件だけでなく、広くこういう事件があるのじゃないか。そのように、広くこういうような事件がそれに類似した原因でたくさんあるわけであります。それらを考えて、事務当局なり、前の中村寅太運輸大臣は一生懸命努力してくださったようであります。にもかかわらず、なかなか名案が浮かばないということで、きょうのような海運局長の御報告になったわけでありますけれども、実際この種の問題は、ああいう戦時中あるいは戦後に起きた事件、占領下における事件でもありますので、非常にむずかしい問題が多々多いようであります。しかし、考えなきゃならぬ点もまたあるわけでありますけれども、しかし、現行法規といいますか、現在の規定の上でそれを生かすことができるかといえば、まあ海運局長の言うような答弁にならざるを得ないと思いますが、私党内で別にたいした力もありませんからして、私の力だけではまいりませんけれども、きょうの亀田さんのだんだんの親切なる御質問、それらを十分に踏まえて、これをお聞きして、そうして考えてみようと思いますが、非常にむずかしい問題だということは、これは亀田さんもだいぶ御承知のようでありますからして、ただ当時千五百円の見舞い金でいいかどうかということになれば、これはまあいろいろな事情がありましょう。当時はさような方針で大体全部が処理されてきたということであります。きょうは、亀田さんの御意見を十分に拝聴したということで、答弁にはなりませんけれども、御了承願いたいと思います。
  164. 亀田得治

    亀田得治君 十月七日というと、まだ西宮の本件室戸丸が沈没した場所、安全であるという水路告示が出ておらぬのですね。こんなことは一般の人はよく知りません。運営会は知っている。省だってよく知っている。それが出たのは、沈没があって後十一月二日の日です。その十一月二日の水路告示を拝見しても、五百トン以下の船で七五%の安全率、五百トン未満であれば九五%の安全率と、こういう水路告示が出ておるのですよ。そういう状態の中で政府がこの別府航路の再開を許した。また運営会が船を出した。実際に運転する航海士というのですか、機関士というのですか、その方は一たん船を出すことを拒否したようです。しかし船舶運営会が強引に出さしたという、そういういきさつまで入っているわけですね。私は、そういういきさつは、これは新聞等に出ておる関係で、どこまで真相かわかりませんが、しかしそういう派生問題に触れるとかえって問題はややこしくなりますから、ともかく水路がどういう状態にあるかということは、これは船舶運営会は一番知っておるのですから、知っておってやっていた。乗っておる人は知らない。これは責任がない。だから、これほど明白なものはないと思うのです。それで、船舶運営会の責任関係というものは、私は先ほどもちょっと申し上げましたが、国にやはり引き継がれておるものと見なければ、はなはだ正義に反すると思うのです。そういうことですから、大臣のほうでもう少し積極的に取り組む姿勢を示してほしいのですがね。まあよく地方自治体等では、いろんな災害等があった場合、実際上お気の毒だという場合、あまりやかましく言わないで、議会に必要な場合にははかったり、あるいは非公式に各党の代表の了承を得たりして、この措置をしているようなこともありますね。まあ国の支出ということになりますと、もっと慎重を要する点があるのだと思いますが、もう少し前向きにこの種の問題と取り組むべきだと思いますね。大臣は、一応お説を拝聴したというところに力点のあるようなことでちょっと終わったものですから、私も少しもの足らぬ感じを受けているのですが、これはどうでしょうかね。決してこれによって大きな浪費が出るとか、そんなものじゃないですよ。天下周知の中で出されることですから。どうでしょうか、もう少しこれは全体の問題として考えてやってほしいと思うのです。
  165. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) たいへん恐縮でございますが、事務的にいま関係省と打ち合わせた経緯をお話し申し上げますと、まず法律論的には、先ほど御説明申し上げましたように、事務的に非常に法律的に困難である。それから立法論あるいは特別の予算を含むという問題につきましては、先ほど大臣もおっしゃいましたように、終戦後のこういう事態のもとにおいてこういうケースが無数にあるだろう、これは政府の関知しないものもあるかもしれない。したがいまして、本件について特別の措置をとるということになると、これは非常に全体的に大きな問題になるのではなかろうかというようなこと。それから、たいへん事務的な説明で恐縮でございますが、こういうものはやはり厚生省の一般の厚生措置で処理すべきではないかということは、先般中村大臣の御発言のあと関係省が集まりましたときの一応の事務的な見解でございます。
  166. 亀田得治

    亀田得治君 まあ第一の点は、ちょっと納得がいかぬのですね。無数にあるだろう——それじゃあ無数に国が責任を回避しているということにもなるわけです。だから、やはり問題は、回避していい問題であるかどうか。責任を回避してならない問題であるということであれば、たとえ無数であっても、政府は私は取り組むべきことだと思います。いやあそれは責任をとるべき問題じゃないということなら、どんなこと言うてきたって、そんなことあたな相手にする必要ありませんよ。だから、その数がどうこうというようなことできまる問題じゃありません。  したがって、第二の点ですが、一般の厚生措置という形式をとることも一つの方法かと思いますが、その中に若干でもそういう経過というものを踏まえて、そうして手厚くやはり処置をしていくということも考えられると思うのですね。それは、たとえば自殺をした尾崎さん——野原君が国会で取り上げたこの人などは、この事故で背中の骨を三本折って働けないわけですね、それからずっと寝たきり。そうして幾ら国に言っても何もしてくれない。自殺をしたわけなんです。私は、そういう方と、自然に一般の保護対象になっている人と、多少そこにやっぱり違いがあってしかるべきだと思うのです。特に遺族の立場などから見たら、これは当然ですよ。だから、何かその辺にやはり血の通ったことを考えてやってほしいと思います、多少の出費はしても。そのことが私は国の政治なり社会全体に対して大きくまた貢献してくるというふうに感ずるわけですね。だから、これはひとつ大臣、もう少し掘り下げて研究させてほしいのですよ。
  167. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) なかなかむずかしい問題といいますか、内容はむずかしくないのですけれども、金の問題がありますから。全く御同情にたえないことでありますが、ただこういうような立場でお互いに話をすることはなかなかめんどうな点があると思います。どうかまたゆっくり非公式の場において何か方法ないかというような御相談で考えてみるほうがかえっていいのではないか、かように思います。
  168. 亀田得治

    亀田得治君 それではまあ、次の問題に時間の関係で移ることにします。  次は地下鉄の安全性の問題ですね。大阪でああいう大事故が起きまして、たいへん世論から注目をされておるわけですが、この地下鉄を運輸省が免許する際に、もう少しその点についてのはっきりとした約束を取りつける、こういうふうにできぬだろうか。実際に地下鉄の免許をして、次に施工の認可を運輸省がする、そういう段階でも、どういうものができ上がるんだろうかというふうなことだけのようですね。どういう過程を通ってそういうものができるんだろうか。つまり、具体的な工事の方法ですね、そういう点については特に対象になっておらぬようですね。まあそれは地上の軌道とかそんなもんだったらそこまでの必要はないんだと思いますが、私は、地下鉄に限っては、その施工を認可する段階で厳重に安全性という点についてはどういうやり方をとるのか、ここを運輸省自体が押えるべきじゃないかというふうに思うんです。この点、どうでしょうか。
  169. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 鉄監局長からこまかくはあとで申し上げますが、おっしゃるとおり、施工認可を取るとき非常に具体的に、ことにガスの取り扱い方はガス会社まで協定さしてやってます。その順序を詳しく申してもらったほうが御理解しやすいと思いますから、鉄監局長から申し上げます。
  170. 町田直

    政府委員(町田直君) 地下鉄の認可と申しますか、私鉄全般一緒でございますけれども、忍可の方法について申し上げますと、まず、地方鉄道法と軌道法と両方のケースがございますが、地方鉄道法について申し上げますと、地方鉄道法の免許、これは地方鉄道法十二条でございますが、免許の申請がございます。この免許に際しましては、それに必要な書類をつけて申請してくるわけでございます。それで運輸大臣が免許をするわけでございます。それから同時に、その地下鉄と申しますか、そういう私鉄が道路を使用するという場合には、地方鉄道法の四条によりまして、道路上の敷設の特別な許可というものを建設大臣に申請するわけでございます。で、建設大臣に申請します場合の申請の内容も、ただいま申しました免許と同じような書類をつけて申請してくるわけでございます。これの認可がございまして、その次に工事施行の認可 ——ただいまお話しでございました工事施行の認可がございます。この工事施行の認可につきましては地方鉄道法十三条に規定してございますが、これはやはり非常に詳細な実測平面図、それから断面図、鉄道の規格諸元、それからトンネルの場合は、それの施工断面、応力というような、非常に詳細な、大体二十項目ぐらいの書類を添付いたしまして申請してくるわけでございます。ただ、この段階におきましても、ただいま先生御指摘ございましたように、具体的な内容は、地下鉄ができ上がった状態がどういうものであるかと、こういうことを中心に申請をする、こういう形になっております。ところで、次に道路を使用する場合の先ほど申しました地方鉄道法四条の許可がございますと、今度は道路管理者のほうに対しまして工事施行の方法書の承認と、こういうものを提出いたしまして承認を受けるということに相なっております。これは、ここにおきまして具体的な道路の使用の場合の使い方、工法というものを書きまして、道路管理者の承認を受けるという形に相なっております。同時に、その場合に、今度問題になりましたようなガスあるいは水道、電気というような地下埋蔵物がございます場合には、それらの埋蔵物の占有者と施行者である地下鉄の業者との間におきまして協議をいたしまして、協議書をもって、その協議に従ってこれらの工事を行なうというような形に相なっております。ただいま申しました道路管理者の工事施行の方法の承認あるいは各占有者との協議というものは地方鉄道法の系統のものではございませんけれども、こういうものが全部そろいまして初めて地下鉄業者は工事に着手できるという形になっておるわけでございます。
  171. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、いまの御説明を聞きますと、運輸省が免許並びに認可の段階で安全性の問題には直接はタッチしておらない、道路使用の認可をする者がその段階で工事の施行者あるいはガス管の占有者——ガス会社ですか、そういうものとの関係というものを検討する、こういう御説明のようですが、そこに私は問題があると思うのですよ。その道路は、国道の場合には国、府県道、市町村道と分かれるわけですね。こういう安全性というような問題についてはやはり一元的にどこかで、きびしく、きちんと締めくくるという必要があるように思うのですよ。いろいろな国道、府県道、市町村道とこう続いている場合には、みな違っていくわけでしょう。だから、こういうことが一貫した安全性という面から見ると、どうも不十分になるのじゃないか。まあ、これは国のほうでは認めてくれたんだということになれば、府県のほうでは、そうそっちのほうがいい言ったんならこっちもよかろうということにならぬとも限らぬし、どうしてもその辺に少し検討すべき点があるようですね。もしそうであれば、現在のようなやり方をやめて、工事施行の認可権を持っている運輸省において、これは先のことになるが、その辺の関係をきちんとこの段階で出せと、それがはっきりしなければ施行の認可自身をおろさないくらいの強い規制をしていいのじゃないかと思うのですね。免許もおりた、事業の施行認可もおりた、あとはもうやるばかりだということになると、気分的にも早うやらしてやれと、こういうことになるわけでしょう、関係者みんな。そうじゃなしに、きちんとした納得のいくものがこなければやらさぬ、施行の認可自身をおろさぬ、こういうふうにするためには、これは法規の改正が要るんだろうと思いますが、どこかその辺のところに多少私は欠陥があるように思いますがね、どうなんでしょうか。
  172. 町田直

    政府委員(町田直君) もちろん、運輸省の認可に際しましても、工事の安全性ということは当然重視しなければいけないことでございますので、行政指導としては安全性を確保するということについて十分指導しておるわけでございます。ただ、具体的に道路管理者と相談をして、どういう方法で道路を使うかというような問題、あるいはこの間にさらに詳細に申し上げますと、道交法の七十七条による道路使用の許可というものが別途所轄の警察署長との間で許可が要るというようなこともございまして、それぞれ所管に従いまして、それぞれの所管で承認なり認可なりいたしておりますので、そういうものを全部ひっくるめまして、一カ所で許可をするということはこれはなかなか手続上むずかしいことではないかというように存ずる次第でございます。そうかといって、それらのことがそれぞれ別々の方針で行なわれるということは決してよろしいことではありませんし、ということでありますので、むしろ、それらそれぞれの所管のところで許可をする場合に、安全性について同じ基準で行なうということの打ち合わせなり、協議なり、協調なり、こういうことが行なわれていくことが最も望ましいのじゃないか。たとえば今度の場合なら、ガスの扱い方というようなものにつきまして、たまたま今回の事故を契機といたしまして、通産省のほうでガス事業法の改正に伴いまして、ガスの扱い方の規制をいたすというふうなことになっておりますが、そういう際に私どもあるいは道路管理者というところと十分に協議をいたしまして、一つの、何と申しますか、統一された方針によってやる、こういうことが必要ではないかというふうには考えております。
  173. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 亀田さんの御心配ごもっともでありまして、私もあの事件が起きました直後、いろいろ関係者を呼んで調査をし意見を徴してみたのですが、ああいうような問題が再三あっては困りますけれども、かなり、工法等については安全性を中心にしたいわゆる技術基準というものがあるわけなんですね。しかしながら、いまおっしゃったように、必ずしも一元化をされておりません。ただ、いま対策本部で、今後の措置についても、各省の事務当局のトップレベルが集まりまして、何か今後こういうような問題についての安全性を確保する方法がないかどうか、もちろん、またいろんな費用の問題等もありますけれども、それは第二の問題にして、安全性を確保する方法について目下検討を重ねております。今度のガス事業法なんかも一つの方法でありまして、たとえば、ガス管を他に移管をして工事をせよとか、できない場合にはこうせよというかなりきびしい法律が出てまいっておりますが、それをどこで一元的に直接に監督施工するかということになりますと、なかなかこれはめんどうな点があります。もし運輸省でやるということになれば、それこそ全部責任がありますから、一カ所に何十人という人を配置しなければならぬ、しかも、専門的な知識もガスについては持っていないとか、いろいろな点があるものでありますからして。しかし、これはもう安全性は大事な問題でありますから、今回の問題にかんがみまして、政府としては、各関係方面の総合的なひとつ力を合わして、もし法律の改正が必要であるならば法律の改正をこの際しようと。その前においては、もちろん、総合的に実際的には一元化されたような形でひとつこの問題の善後措置を講じていこうということになっております。それですから、考え方としては亀田さんと全く政府考え方も一緒でありますけれども、ただ、法律的といいますか、行政的に一元化することができるかというと、なかなかその点めんどうな点が、技術的にもめんどうな点があるようでありますが、しかし、趣旨に従ってやっていきたい、このように考えております。
  174. 亀田得治

    亀田得治君 趣旨は御了承願ったと思いますが、一つ希望しておきますが、結局、運輸省が施工認可の段階できちんとこう歯どめをつけるということになっても、いろんな各省の協力を得なければならぬと思いますね。それで、私が言うのは、施工認可がおりてしまってからだと、いや、これはもう運輸省の許可もおりておるし、もう事業をやることが前提なんだということが先にかかってくるわけですね。私は、それじゃいかぬと思うのです。もう施工認可の段階でほんとうに運輸省の担当者が了解できるような説明が安全性につかぬ以上は、これはもう施工認可をしないということのほうが強いわけですね。そういう意味で言っているわけです。しかし、それにこだわるわけじゃありません。実質的にきちっとしたものができればいいわけで、ひとつ意見として申し上げておきます。  それから、あと六、七分でありますが、これは国鉄に聞きますが、ニュースで東京−大阪間、第二次新幹線をつくるということが盛んに言われるわけですが、これは速力とか、完成の予定年とか、大まかな経費とか、こういうふうなことはどういうふうになっているんですか。簡潔にひとつ御説明願います。
  175. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 第二東海道新幹線をつくる必要があるような時期に至れば、いまの車とレールの摩擦でもって列車を動かすということはもうすでに古いのじゃないか。大体、いまの摩擦による速力では三百キロくらいが限度であるというふうにいわれております。それを三百キロから三百五十キロの壁を破るにはどうしても摩擦以外の力でもって走らなければいけないということで、実は私のほうの研究所で五年ほど前からリニアモーターという研究をずっと始めておりまして、同時に、フランスではジェットトレーン、それからイギリスではホーバークラフト——水の上を浮くホーバークラフト、あれを陸上に応用するというホーバークラフトであります。あるいはアメリカではチューブの中を空気圧で通るというふうな方式、いろいろ各国さまざまな新しい三百キロの壁を破る研究をしておったわけです。日本のリニアモーターは、実はすでに五年ほど前に鉄道研究所の一隅に模型をつくってやっておったのでありますが、一つの難点は、幾らモーターが速く走りましても、その列車をガイドするものがない車じゃだめでありますから、どうしたらその列車がガイドできるかということで非常にここ一、二年壁にぶち当たっておったのでございますが、最近になりまして、御承知のいわゆる超電導と申しますか、私も技術者でございませんのであまり詳しく申し上げられませんが、特殊な金属を零下二百七十度くらいの冷たいところで合金にいたしまして、その特殊合金に磁気を通じますと、車のほうの磁気と磁気同士で反発が起こるわけでございます。反発いたしまして若干浮いて走るというふうなことが最近大体技術的にわかりまして、で、このたび万博の政府館にごくちゃちなモデルを出展いたしましたけれども、結局駆動力はリニアモーターで、これは普通のコイルモーターを、コイルの部分を分けて、片っ方を平地に置いて片っ方を車に置く、これはごく簡単な理論でございますが、これは相当大きな模型をすでに研究所でつくっておりますが、そのモーターと、それからいま申しました超電導の特殊合金のレール——と申しますとちょっとおかしいのですが、レールみたいなものですが、それとをくっつけたいわゆる超高速鉄道が技術的に走り得るのじゃないかというような段階にまで最近達したわけでございます。すでに部内では超高速鉄道の研究所をつくっておりまして、いま先生の御質問の費用その他について検討いたしておりますが、まあ問題はその零下二百七十度の合金がどのくらいでできるかということがポイントになりそうでございますが、いまのところは、東京−大阪間五百キロを約八千億くらい、新幹線が約三千八百億かかっておりますが、約八千億くらいでやれるのじゃないか。もちろん、用地の問題その他いろいろございますが、一応八千億前後。それから速度が大体五百キロ、これは車がございませんので非常に安全性は高いわけでございます。大体鉄道の事故の一番大きな原因は、しょっちゅう車とレールとのコンビネーションによる事故が一番大きいものですから、これは安全性は非常に高い。それから気象条件に対しても非常によろしい。  それから問題の公害でございますが、フランスのジェットトレーンなんかは非常に大きな音がいたしまして、とてもそばにいられません。イギリスのホーバークラフトも非常に多くの空気を絶えず左右に吐き出しますので、左右数メーターはとても人が通れないという、いろいろ公害等の点から見ましても、このリニアモーターと超電導の混合方式がいまのところ一番いいのじゃないかというふうな空気になっておりまして、私のほうでは、主としてこの方式を中心として今後具体的にもう少し検討を進めてまいりたいと思って、その関係の技術者を集めてグループをつくっておるのであります。  その一方、運輸省でも運輸技術懇談会、その関係のいろいろやっているものを参考になさいまして、どれが最もコストが安く安全であるか、公害が少ないかという角度から検討をしておられる最中でございます。  私どもといたしましては、いわゆる二十一世紀の近代化された鉄道というものを、軌道を動く、あるいは道路を自動車で走る方式というようないままでの鉄道の姿ではもうだめだ。そういう新しい鉄道——ということばがいいかどうかは別といたしまして、新しい鉄道方式によらざるを得ないのじゃないかというふうなことで、技術者の中では、十年あればとにかく何とかしてみせるというふうに、決して空論ではなしに張り切って勉強いたしておりますので、私どもといたしましても、それが一つの将来の期待し得る新しい鉄道の姿だというふうに考えているわけでございます。  以上たいへん簡単でございますが、私あまり詳しい技術的なことを御説明できませんので申しわけございませんが、考え方はそういう考え方でございます。
  176. 亀田得治

    亀田得治君 それ以上詳しいことを聞いてもこっちがわかりませんから……。いや、非常に詳細に御説明願ったから、もうこれで終わります。   〔副主査退席、主査着席〕
  177. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 最初に、国鉄の総裁おられますから、運輸大臣に私は国民の素朴な国鉄に関する質問を一つだけさしていただきたいと思いますが、交通機関の近代化に伴いまして、国鉄が合理化に努力されておることはこれはもう当然でございますが、国民ひとしく労使ともに非常に国鉄が努力しておるということは認めております。しかしながら、その公共性のゆえに合理化を思いどおりに実行できないところに非常に悩みがあることは申し上げるまでもありません。本日も御質問がありましたが、不経済路線の廃止あるいは無人駅をつくるというような問題も、これは企業性を追求すればそうなるのでありますが、それができない。しからば政治的な目的を達成するために不経済路線を廃止することもできない、あるいは無人駅をつくることはできないということになれば、それについては当然開発利益を受益者負担金で取るとか、あるいは関連事業を認めるとか、あるいは中央・地方からしかるべき補助を与えるとかいう非常にわかりやすい問題でございます。そうしないと、あまりに国鉄労使のみに新時代に即応する新線の建設要求し、反面合理化を追求しますと、この国鉄一家という非常に統制のとれた団体が、私はいつか皆さん方の苦しみがひどくなってくるんじゃないかということを痛感するものでございますが、国鉄に対してもう少しわかりやすく、的確にこれの合理化ができるような方策を運輸大臣はひとつ指示していただきたいと思いますが、御意見をお聞きしたいと思います。
  178. 町田直

    政府委員(町田直君) 国鉄の合理化でございますが、合理化の中に御指摘のように二つございまして、現在すでに国鉄としての使命が終わっているというような、いわゆるローカル赤字線というものをバス等に転換していく、こういう面の合理化と、それからもう一つは、近代的な鉄道に脱皮させるためにいろいろな新しいシステムを入れて近代化していく、こういう二つの方向があると思います。いずれにいたしましても、その二つをあわせ行ないまして新しい鉄道にしていくということが、国鉄近代化の、国鉄の再建の非常に重要な一使命であると、こういうふうに考えておりますので、昨年の九月に閣議決定をいたしました「再建の基本方針」におきましても、そういう線で十分、何と申しますか、納得できるような基本方針をつくりました。それに従いまして、国鉄からもことしの二月にそれに基づく再建計画というものが出てきて、それを推進する、こういう形になっております。具体的にはその点でよく国鉄と政府とも相談をしながらやっていく、こういうふうに考えておる次第でございます。
  179. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) いま局長から申しましたが、私は国鉄財政再建計画ということばが悪いと思うんです。国鉄財政再建計画——何か借金しているから、借金をなくするほうが第一目的のように聞こえる。内容を皆さんがごらん願えるとわかりますように、そうじゃなくて、国鉄事業近代化改善計画と言ったほうが意味はわかると思うのですね。国鉄事業近代化改善計画、結果として、財政のいわゆる改善を考える、また生産性の向上も考える、こういうことであって、どうも名前が悪かったんじゃないかと思うのです。そこで、しかしただ、国鉄には一つの無理難題——無理難題と言っちゃあまり国鉄を弁護し過ぎるかもしれぬけれども、義務を負わしてというか、やはり国家直接の経営じゃありませんが、国営的性格を持っておりますからして、そこで、企業に対して採算を度外視した計画と、いわゆる全国鉄道網といいますか、そういうものを原則としてしょわしておる。ところが、ある地帯、たとえば東京−大阪間のごときは、現在の運賃よりも、あるいはもっと安くしても引き合うのかもしらぬですね。しかしながら、いわゆる地方鉄道に至っては、全くこれはほとんどが赤字である。しかしながら、国がいやしくも国の機関としてやる以上は、国全体のいわゆる輸送計画といいますか、国民生活の向上安定というものを考えなければならぬ。しかし、国鉄に対しては独立採算制という一つの義務を与えておる、こういうところに非常にむずかしい点があります。したがって、国鉄当局が説明しましても、そういう一つの矛盾の上に立ってのことでありますからして、なかなか説明しにくい点がありますために、一般の人にはわかりにくい。ただ、こういうことはわかってもらえると思います。  最初申しましたように、国鉄はいわゆる新しい形に近代社会の変革に伴って近代化をしなければならぬ。その近代化の内容は、一つはスピードである、一つはいわゆる能率の向上、事業主体の能率の向上である。いわゆる別の意味では、大都市中心のいわゆる通勤関係の計画もこれにあわせ行なわなければならぬ。こういうためには、全体として近代化をするとともに、従来の衣を着直すと申しますか、新しい着物を着なければならないような現状まで追い詰められている。それがいわゆる国鉄の再建計画である。こういう意味で、やはり国民の理解といいますか、了解がなければ、また協力がなければ、ほんとうには進んでいかない、かようにわれわれは考えておるわけであって、国鉄当局もその方針に従って、関係住民の協力のもとにこれを推し進めていきたい、さように考えておる次第であります。
  180. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 次に、海上交通と海難等の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、さきに海上交通法というようなものを提案しまして、その後この海上交通の状況を見ますと、非常に海上交通が狭水道においてふくそうするのみならず、さきに通産省の発表いたしました石油供給計画を見ましても、石油の原油類の輸入量は著しく増大するということは明らかなようでございますが、現在の海上交通法規で十分に取り締まりができるのかどうか。新しい法規の制定は必要がないかどうか。これは海上保安庁にまずお聞きしておきます。
  181. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) ただいまお話しのございましたように、特に狭水道を中心といたしまして海上交通が非常にふくそうしておる現状でございます。そのような状況におきまして、やはりなるべく早い機会に海上交通法案というような名前のもとに、海上交通を一方通行、あるいは航路の設定、その他海上の新しいルールをきめるという観点から、海上交通法案をなるべく早く制定することが望ましいという状況でございますが、諸般の事情から、まだ国会提案という運びに至っておらないわけでございます。このような法案につきましては、私どもといたしましては、過去二年間、各関係方面と折衝を続けてまいりましたが、現在一番問題は、漁業関係とある意味でいろいろ折衝を要する点が多いわけでございますが、この際、沿岸漁業対策上何らかの措置を講ぜられたいという要望が非常に強いわけでございます。したがって、このような問題を解決しないと、この法案を制定するということが困難ではなかろうか、このように考えております。そこで、今後ざらにこのような問題についてどのように努力していくかということにつきまして検討もし努力を重ねてまいりたいと、こう思います。ただ、差しあたって、このように非常に船の込んでおります狭水道につきましては、私どもといたしまして航路標識を整備する、あるいはまた、交通環境の改善につとめる。さらに巡視船を大体常時一隻必要な場所に派遣いたしまして、その場における行政指導に当たっておるというようなことで、当面、海上交通によって安全が阻害される、また災害が起こるということのないように努力いたします。
  182. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 原油の輸入につきましては、日本は世界一の輸入国で、その増加量も著しいのでございますが、世界的な傾向としては、港のそとにCTSを置いて、パイプをもって石油プラントあるいは消費地に輸送するというのが最近の新しい傾向でございます。しかるに、わが国の現在行なわれておる港湾建設計画あるいは次の新港湾建設計画の中にも、この石油のCTSパイプ輸送計画、CTSについては多少の考慮があるようですが、石油のパイプ輸送という問題については、海においては運輸省の港湾局、陸においては国鉄のほうで幾らかそういう考慮があるように聞きますが、世界的傾向として、海陸輸送の合理化あるいは安全化のためにパイプ輸送が非常に発達しつつあるのでございますが、これについて運輸省側の御所見を承りたいと思います。
  183. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) まず海上におけるCTSの関係でございますが、現在わが国の石油精製基地の大部分が東京湾、伊勢湾、大阪湾あるいは瀬戸内海と、非常に海上交通の混雑する狭い水道を通らなければ到達できない場所に存在するということがございまして、大型船が湾内あるいは内海に入るわけでございまして、これにつきましては、やはり御指摘のように、たとえば現在鹿児島湾に非常に大きな石油の基地ができておりますが、こういった構想を今後進めていただくことがきわめて望ましい、こういうふうに私ども海上保安庁としては考えております。
  184. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいまお触れになりました国鉄の石油パイプライン輸送計画でございますが、これにつきましては、国鉄再建の閣議決定にも、国鉄でパイプライン輸送を計画することは適切であるということを述べておりましたし、国鉄といたしましても、現在具体的な計画をいたしておる最中でございます。これは諸外国でもやっておりますように、大体、国鉄の線路事業を利用いたしまして必要なところにパイプライン石油輸送をする、こういうことでございます。現在では、川崎地区から南関東地区に至る鉄道輸送にかわるパイプライン輸送というものを計画いたしております。できれば来年度くらいから実施に移したい、こういうことでございます。
  185. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 次は、もし油の災害事故というものが現在の東京湾あるいは瀬戸内海等で発生をいたしますと、さきの大阪のガス爆発以上の大きな災害を生むことになりますので、私は憂慮にたえませんのでお伺いいたしますが、現在の大型化学消防艇は何隻配置になりましたか、まずお伺いいたします。
  186. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) ただいまお話しのございました大型の化学消防船は、現在横浜に一隻、これはすでに就航いたしております。それから四日市に一隻、これもこの三月就航いたし、現在就役を始めております。さらに四十五年度におきましては、和歌山下津港に一隻、これだけを計画いたしております。
  187. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 私は、大型化学消防艇、並びにこの油の災害を極限に食いとめるための必要資材を急速に整備をしていただきたいと思います。化学消防艇を本年度で三隻ようやく整備されることはけっこうでございますが、この資材関係を見ますと、昭和四十三年に中和剤が四十トン、四十四年に十トンというように中和剤のストックをするそうですが、一体このトリー・キャニヨン号という一つのタンカーが遭難した場合にどのくらいの中和剤を使ったかと調べてみますと、二千二百トン使っておるのであります。日本の瀬戸内海に不幸にしてもし一万トン級の原油が流れたとしますと、私はこれでもなお足りないと思うのでございますが、まあ、ストックは五十トンだけれども、日本では何千トンでもすぐに手に入れるというならば私は安心しますが、どういうことになっておりますか、ちょっとお伺いします。
  188. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) ただいまの特に大型タンカーの油の流出の起こりましたときの中和剤の問題でございますが、海上保安庁といたしましては、さしあたり緊急に巡視船が使用するものといたしまして、ただいまお話しのございましたようなものを備蓄いたしております。しかし、御指摘のように、これだけでは十分ではございません。で、横浜あるいは四日市その他主要な石油港を控えておりますところでは、私どもの指導によりまして官民合同の大型船事故防止対策協議会というものを設置いたしまして、私どもの資材は緊急用でございまして、全体の必要なものは民間サイドにおいてもこれを備蓄し、また、必要に応じ調達するという体制をとっておりますが、今後このような体制はさらに強化してまいりたいと思っております。
  189. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 次は、中遠距離用の海難防止用の航空機の問題をお伺いいたしたいと思いますが、本件は遭難通信の問題と関連してお伺いをいたしますが、この二月九日に御承知のように「かりふおるにあ丸」というのが野島崎沖で遭難をいたしましたときの海上保安庁のSOSを受理した体制についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  190. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) 「かりふおるにあ丸」の遭難事件はまず二月九日の午後十時三分から約二十分間「かりふおるにあ丸」が遭難通信、つまりSOSを発信いたしております。このSOSを海上保安庁の七つの個所の通信所と一隻の巡視船がこの時間に直ちにキャッチいたしておりまして、このキャッチした遭難通信に基づきまして遭難状況を確認した上、巡視船あるいは付近航行船舶への救援の協力依頼、あるいは海上自衛隊その他の関係機関への派遣要請あるいは協力依頼を行なっております。
  191. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 新聞に出たことを見ますと、海上保安庁は十時三分に受理したが、海上保安庁の双発ビーチクラフトが離陸したのは翌日の六時四十五分であった。しかるに、私はここでお伺いしたいのは、出動要請のないアメリカの横田基地にある第三十六宇宙救難回収中隊はこのSOSを受けて、日本の要請は二月十日の一時五分であったにもかかわらず、米軍のほうでは二月十日の零時六分、日本の要請を受けるより一時間早く前にすでに現場に出動いたしておるのに対して、海上保安庁は翌日の六時四十五分、それから自衛隊は七時十分に要請を受けて九時に離陸したということになっておりますが、片や、わらをもつかむ心境でいるときに、アメリカのこの救難隊が出動しているのに、日本側の機関は翌日まで待った。その理由は、私はこれは日本の責任感の問題じゃなしに、救援に向かう適当な航空機がないからではないかということを思うのでありますが、その理由を明らかにしてください。
  192. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) ただいまの海上保安庁等の日本側の航空機の立ち上がりの問題でございますが、これは確かに御指摘のように、主として海上保安庁側の現在の航空機の体制が、二十四時間体制をとっていない現状にあるということに大きな原因があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後特に早急にこのような中遠距離海難におきまして航空機の果たす役割りは非常に効果があり、また大きいものでございますので、早急に私ども自身の中遠距離の航空体制というものを整備するように努力をしてまいりたい、このように考えております。
  193. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 海上自衛隊の方、お見えになっていますか。これは私、責任を追及するという意味ではないんですけれども、これは一般の船舶並びにこの船員法、船舶法によれば、海上保安庁に限らず、SOSを受理したときの義務が規定されてあります。ところが、海上自衛隊はさらに念入りに自衛隊法八十三条の二項、要請がなくとも派遣ができる。あるいは三十七年の訓令で、災害派遣を要求されるかもしれないから、準備体制を整えておく、しかも、事前にできれば偵察までしておくということが訓令で規定されてあるにもかかわりませず、この今度の「かりふおるにあ丸」の例を見ますと、翌日の七時十分に要請を受けて飛行機の用意をしたりなんかして、九時に離陸をしたというのですが、これはアメリカのほうはその要請を待たずに即時に出てくれておる。一時間後に要請を受けておる。自衝隊のほうは自主救助、自主防衛というようなことばばっかり使って、要請を受けてまだ二時間もプロペラを回すなんということは、これはあまりに日本人としてふがいないと思うのですが、どういう理由でこういうふうになるのですか。
  194. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) お答えいたします。  ただいま御指摘のとおりでございまして、なお申し上げますと、七時十分に正式の要請があったということでございますが、実はそれよりはるか前に、この二月十日の一時十五分ごろすでに情報は受けておるのでございます。で、そういうことでございまするが、当時の四空軍のほうの先任幕僚の判断が甘かったと申しましょうか、そういうようなことで直ちに出動の準備を整え得なかった。この点まことに申しわけなく存じます。そういうようなことで、長官からも強い御指摘がございまして、今後においては遭難通信等を受信して、これは海上保安庁の能力が及びそうもない、こういうふうな状況であり、かつ緊急を要する、こういうふうな場合には、まず独自で行動を起こし、それから関係の向きのほうに通報するというふうな体制を確立するということで、先般の高級幹部会同におきましても、長官からそういう点の訓示をいたしておるところであります。そういうことで私たちも深く反省をいたしておる次第であります。
  195. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 次に、海上自衛隊にもう一つお伺いをいたしますが、第三次防計画でPS1という四発の四千百キロの中遠距離用の哨戒機を十四機お買いになるということが新聞に出ておりますが、第四次防の中で一機こういうような救難用のものを買うとか買わないとか、きめるとかというようなことが出ておりますが、やはり海上自衛隊の重要な任務の中にこういうような救難派遣ということが含まれているとしたならば、やはりこの十四機のうちの一機を、すみやかに救難用に改造してお使いになることはできないものかどうか、お伺いしたい。
  196. 半田博

    説明員(半田博君) このPS1はもともと対潜哨戒艇として開発をされたものでございますが、ただいま御指摘のような事情がございまして、これを救難用に改造するということは現在検討いたしております。そのためには、御承知かと思いますが、このPS1は陸上におりることができません。非常に足が弱いというようなことが一つ問題点としてございましたのですが、あとはドアをもっと大きくするとか、そういうふうな改造を加えまして、これを救難用に活用すべく現在検討中でございます。
  197. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 自主救助のできる体制をすみやかにつくっていただくことをお願いいたしまして、次に移りたいと思います。  次は、遭難通信の問題でありますが、遭難通信が非常に多く出るということは、これは痛ましいことでございますが、遭難通信自動発信機を使わない遭難通信があるということを聞いておりますが、これはその利用方法が慣熟していないせいか、あるいは非常災害、緊急災害でやむを得ないかということかと思いますが、せっかく遭難信号自動発信機を使いながらその効果がないものが四十一年、四十二年には相当見えておりますが、最近はどうなっているか、ひとつお聞きしたいと思います。  次は、きのうのテレビでやったと思いますが、アメリカの船位通報制度、日本は通報制度はまだないのでありますが、この船位通報制度があれば、遭難をしたときにも、遭難救助に指令をする場合にも、これは非常に便利なものであると思いますが、日本側アメリカのアンバーをキャッチして利用しているということを聞いておりますが、どうして日本は船位通報制度をつくらないのかどうか、なぜつくらないのか、この二つお伺いをしたいと思います。
  198. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) まず遭難通信の自動発信機——普通SOSブイと言っておるものでございますが、現在この自動発信機を持っております船は非常にふえておりまして、昭和四十一年には約一千隻にすぎなかったわけでございますが、四十五年現在では二万隻以上のものが使用しております。それから、具体的に遭難を起こしまして、この遭難信号自動発信機によってSOSが発信された件数は百四十九件でございます。ただ、先生御指摘のように、これを持ちながらこれ自身が使われていないというケースが間々あるわけでございます。これは結局、その緊急時におきまして、その操作それ自身に慣熟していないというようなことがおもな原因でございますので、特に私どもの海難講習会その他におきまして、このSOSブイの取り扱い、特にその設置する場所を使用しやすい場所にするというようなこと等について指導を行なっております。  それからもう一つの問題は、船位通報制度——普通アンバーと言っておりますが、これは先生御指摘のように、海難救助、特に遠距離海難の場合には、やはり付近航行船舶にこれを知らせまして、それが救助におもむくということが非常に効果がございます。そのためにアメリカで世界各国の一般船舶に参加を求めましてこれを登録いたします。その登録された船舶が常に自船の位置を、アメリカのコースト・ガードでございますが、これに打ち込みまして、コースト・ガードは全体の海域における位置を常時知っており、具体的に遭難が起こりましたときにはこれを海難救助に役立てると、このような制度でございます。これにつきましては、現在わが国が自分自身のアンバー制度を持っておる段階ではございませんが、海上保安庁といたしましてはわが国の船がこのアメリカのアンバー制度に自分自身を登録するということを勧奨いたしております。  それから、同時にそのような船がどこにいるかという位置の通信につきまして中継業務を行なっておりますが、独自のアンバーを今後持つということは私どもの今後の大きな研究課題である、このように考えております。
  199. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 時間が参りましたので、もう質問はこれで終わりますが、油濁について、栽培漁業の発達とともに非常にこの油濁の損害が各地に発生をいたしておりますが、一ぱい船主が多いために、賠償能力がない場合が非常に多い。したがって、第三者に与えた損害を補償するいわゆるPI保険を私はしばしば提唱するのでございますが、これは運輸省におかれましてもひとつ真剣に前向きで御研究なさって、そうして日本ではなぜできないのか、でかすにはどうすればいいか、泣き寝入りをなくするためにはどうすればいいかという問題をひとつぜひ御研究をしていただきたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わります。
  200. 鈴木強

    鈴木強君 ハイジャック事件が起きまして、たいへん日本国じゅ大騒ぎをしましたが、ようやく十日たちました。で、大臣に伺いますが、乗務員の皆さんはもうすっかり元気を回復されましたでしょうか。
  201. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) だいぶ元気は回復したようであります。まあ健康上は大体心配ないようであります。
  202. 鈴木強

    鈴木強君 これは、ここで大臣に御意見を承るのは妥当であるかどうかちょっと私も迷いますけれども、実は四月九日の運輸委員会に石田機長と江崎副操縦士を参考人としておいでいただいて、当時の、特に板付から金浦までの状況を——これは委員会満場一致できまったのですよね。八日になって、五日間の、健康上の理由というので、静養を要するという診断書をつけて、出席できないということを言ってきたわけです。一たん国会で議決したことが——健康のことですからこれはやむを得ないのですけれども、しかし、五日間ですから、たしか十二日には、その診断書から見ましても、健康は回復するということになっているのですね。ところが、その後さっぱり国会のほうに出ていただけないわけですね。これは国会運営上のことですから、それはまあ大臣に聞いてもしかたがないわけですけれども、むしろ監督の立場にある運輸省として、大臣として、やはり進んで国会に出て国民の聞こうとすることに答えるというのが筋じゃないでしょうか。そういう意味からいって、確かに私は、羽田に引っ返してきて間もなく、やはり一時間テレビの前で石田機長、江崎副操縦士が記者団の質問に答えておりましたけれども、たいへんだろうという一面、気の毒だという気持ちもありましたが、と同時に、勇気をもって国民の期待に沿って記者団の会見を通じて当時の実情を知らせようというその勇気について、私は時宜を得たことだと思うのです。ですから、ましてや国会が議決して出ていただくということに対して、出てこないということについては、どうも納得ができないわけです。これは国会運営上の問題ですから、大臣に聞いてもしようがないと思いますが、ただ願わくは、むしろ、そういう状態ですから、大臣の立場としても健康が回復すれば——これは健康上のことであれば、われわれもそれをあえて出てこいという非人道的なことは決して言いませんが、健康が回復したら積極的に出てきて、当時の実情を国会を通じて明らかにすべきだということを、大臣を通じてアドバイスをしてもいいと思うのですが、その点はどうですか。
  203. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私もまだ健康が回復しておりません。ですからなかなかこういう委員会に出るのもつらいのですが、ちょうど出発前七十三キロだったものが六十八キロになって、五キロ回復しておらないような状態でありますから、乗務員の諸君はそれ以上の精神的な苦痛あるいは肉体的な損傷は十分考えられます。ただ国会運営の問題ですから、鈴木さんがおっしゃるようにわれわれが容喙すべき筋合いではありません。しかしながら、皆さんのほうで御論議がありますように、責任を持つ者がこういうことをお話をすることが妥当ではなかったのだろうかという意味では、日本航空当局もその意思をくんで十分の措置をしていると思いますが、国会運営の問題ですから、あまりとやかく申し上げると政府が干渉しているかのごとき感を与えますから、国会運営の形において、そのほうでひとつお話を進められたいと、かように存じます。
  204. 鈴木強

    鈴木強君 次に、けさ、あるいはゆうべの新聞を見ますと、日本海の兵庫県香住沖などを常時パトロールしている第八管区の海上保安本部三国保安署の巡視艇「あさぎり」——六十七トン、船長は富田清司船長——この「あさぎり」が十四日の未明、北朝鮮の工作船らしい小型漁船を——約十五トンと書いてありますが——香住沖二キロの海上で見つけて、停船を命じたが、逃走した、北へ約二百二十キロ追跡して約三百メートルに接近、写真をとろうとしたところ、甲板から自動小銃を乱射して北朝鮮元山方面に向かって逃げた、「あさぎり」には幸い被害はなかった、ということでございますが、この事件について、海上保安庁長官来ておりますから、ひとつ報告してもらいたいと思います。
  205. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) こまかい点といいますか、詳細は海上保安庁長官からお答えいたしますが、事件の概要だけを私から申し上げます。  巡視警戒中の巡視艇「あさぎり」は、十四日零時十五分、兵庫県城崎郡竹野町猫崎東方一マイルの海上において国籍不明の不審船を発見、零時五十分停船を命じたところ、該船はこれに応ぜず、速力二十二ノットで北方に向け逃走を開始した。  「あさぎり」はこれを追跡し、再度停船を命じたが、これに応ぜず、該船はジグザグコースで逃走を続けたため、五百メートル以内に接近できず、午前五時三十分ごろまで約百二十マイル追跡を行ない、同午前五時三十五分ごろ写真撮影を行なったところ、その直後、該船より二、三回の銃撃を受けた。  右銃撃による巡視艇の被害はなかったが、これ以上の追跡を続行すれば燃料欠乏により航行困難となるため、午前五時五十分該船の追跡を断念した。  これよりさき、第二管区海上保安本部仙台航空基地から発進した五〇七号機(ビーチクラフト)は午前八時五十分ごろ北上中の該船を発見し、写真撮影を行ないつつ警戒に当たったが、午前九時五分に至り、これ以上追尾することは燃料切れとなるので、反転した。  なお、第八管区海上保安本部は「あさぎり」のほか七隻の巡視船艇を出動せしめ、「あさぎり」の追跡行動に協力せしめるとともに、付近海域の警戒に当たらせ、さらに陸上職員による沿岸警戒を実施し、警察に対しても協力を依頼した。また、第九管区海上保安本部は二隻の巡視船艇を出動させ、警戒に当たらせた。なお現在までのところ、沿岸において、密航者その他不審事象は発見されていない。これが大体概要であります。
  206. 鈴木強

    鈴木強君 新聞に報道されているのですと、この船が北朝鮮の工作船らしいというふうに言っているんですが、その点の確認はできていますか。
  207. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) そのような確認はいたしておりません。
  208. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、その確認を今後いろいろの情報を集めておやりになると思うんですけれども、そういうことの追跡はしてまいりますでしょうか。
  209. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 問題は、不審船なるものはもうかすめて行ってしまいましたから、こいつをつかまえるわけにもまいりませんので、その航跡のあとに残った物的証拠があるかどうか、あるいはその船が日本の陸地に何かの痕跡でも残しておればこれを調査する手がかりはあると思いますが、目下のところなかなかその点はむずかしいようであります。
  210. 鈴木強

    鈴木強君 海上保安庁の長官いないですか。
  211. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 要求なかったから帰ったようだが、あとでまた呼んできますから……。
  212. 鈴木強

    鈴木強君 じゃああとでこれは呼んでください。保留しておきます。  次に、先ほどから国鉄再建についていろいろ御質問がありましたが、私もこの点についてお伺いしたいと思いますが、まず国鉄財政再建十カ年計画、これは、大臣のおっしゃるように、見出しは必ずしも私も適切ではないような気がするのですね。しかしおっしゃるように、合理化、近代化をして国鉄を再建しようという、そのために国も応分の財政の負担をしようし、また利用者にも応分の負担をしてもらいたいということであろうと思いますね。そこで、いま国鉄には二兆円の負債、それから二千八百億円の累積赤字がある、こう言われておりますが、二月におきめになりました再建計画、その中の第一に、これから十年間にとにかく国鉄経営は黒字にするんだと、こういうことですね。その間二回運賃の値上げをしようと、こういうことも含まれておるわけです。  それでまず私は、この十年間に国から国鉄に財政再建として投入される額ですね、それが幾らになっておるか。それから四十五年度予算には幾らになりますかね、それも教えてもらいたい。  それからもう一つは、運賃の値上げを二回やるということなんですが、どの時期にどの幅でやるのかということもやっぱりこれは聞いておかなきゃならぬと思うんですね。それですから、現段階で国鉄の総裁としては、いつごろ、大体どういうふうな幅でやろうとするのか。この二つをまずお聞きしたい。
  213. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まず、十カ年間に政府が援助してやろうといっていま法律で骨子がきまった金額は約二千億でございます。それには利子補給金と交付金と二種類ございますが、合計いたしまして約二千億でございます。  それから運賃につきましては、一応試算では、四十八年度と五十二年度、二回実収一割の運賃値上げができるということを仮定して積算をいたしております。それで五十三年度の黒字を出すことにしたいわけです。
  214. 鈴木強

    鈴木強君 その利子補給と交付金の二千億の内訳をちょっと教えてください。
  215. 小林正知

    説明員小林正知君) ただいまお尋ねの政府からちょうだいいたします再建の助成金の内訳でございますが、二つございます。  その第一は、再建法の第七条に基づく財政再建補助金であります。これは工事費に対しますところの利子補給の実質を持っておりますが、十年間の累計で、これは投資規模が今後どうなるかということによって変化がございますが、十年間にこの計画の試算の中に織り込んだ三兆七千億が投資されるといたしますと、九百五十六億ということに計算をいたしております。  それから二番目が財政再建債利子補給金、これは再建法の第六条に基づくものでございまして、十年間の受給額は千五十三億というふうに計算をいたしております。
  216. 鈴木強

    鈴木強君 この四十八年度と五十二年度に実収一割の運賃値上げをやろうというんですけれども、これは貨客もそういう一割ということなんでしょうか。
  217. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点はまだ——たとえば昨年の運賃のときには貨物運賃いじっておりません。これは、ほかのトラック、船、飛行機、マイカー等の競争機関の運賃の現状によってきまってくると思いますので、実収として全体の一割という収入の面だけしか見ておりません。テクニカルにどっちから幾ら取るということはまだ全然きめておりません。
  218. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、一応込みにして収入に対する一割ということですが、それによって増収は幾らになりますか、四十八年と五十二年。
  219. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 約十年間に、四十二年度の分を入れまして二兆……。
  220. 鈴木強

    鈴木強君 違うのです。値上げをして幾ら増収になるか。
  221. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 値上げの分だけ、上積みの分を入れまして二兆五千五百九十四億です。
  222. 鈴木強

    鈴木強君 それが増収になるわけですか。
  223. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) さようでございます。それは値上げをした分です。もし値上げしなければ、大体十年間の収入を十五兆くらいに見ておりますので、値上げをしなければ、それだけ少ないということです、逆にお考えになれば。
  224. 鈴木強

    鈴木強君 それから第二点は、六万人の職員を削減するということなんですが、これはどういうふうに計画を立てておられるのですか。合理化との関係があると思いますけれども、大まかなところを……。
  225. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 三兆七千億の投資規模のうちの約六千億を純粋の合理化と申しますか、機械化、近代化に使う、そのほか電化その他の問題もございますが、それらを合わせまして六万人の減耗不補充による室員の減を考えたいと、こういうふうに思っております。
  226. 鈴木強

    鈴木強君 そうですが。そうしますと、言い方は悪いかもわかりませんが、実質的な首切りですね、そういうものはないということですか。
  227. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) それは絶対に私はいたさないつもりでございます。
  228. 鈴木強

    鈴木強君 それからこの六万人を、要するに自然減耗を待って定数を減らしていくということですから、それは合理化によってその分が個々人のオーバーワークになるかならないかということはこれからの勝負だと思いますけれども、首切りは絶対やらない、これは明らかになりました。それから第三点の赤字ローカル線の廃止、それから赤字ローカル線の中で小さい駅を廃止するとか、あるいは無人駅にするとか、また貨物や荷物の取り扱いを廃止したり、あるいは受け付けの制限をするとかということを言っていらっしゃるのですけれども、これは合理化をすることだと思いますね。合理化というのは、その利益を、経営者の皆さんと働いている労働者の方とわれわれ利用する者と均等に享受するというのが私は合理化の基本的な考え方と理解をしているのです。ところが今度の国鉄の計画を見ると、赤字だ。なるほどこれは赤字で再建しなければなりませんが、その合理化を地域住民の利用者にしわ寄せするというのは、もうたいへん問題な合理化が出てきているわけです。で、聞くところによると、赤字ローカル線の経営については、さっきも柳田先生からちょっとお話ありましたが、民間の会社に切り離して、そこで多角的な経営をさしてやったらどうかというようなことも国鉄では考えられているようですが、もう少し総体的に考えてみて、その赤字線の合理化については一考する必要が私はあるのではないかと思うのです。第一次の小駅の廃止とか、あるいは無人化、荷物の取り扱いの受け付け制限というのは、幾つの線で、幾つの駅をなくし、無人化しようとするのでしょうか、ちょっとその数だけでもいいから最初に教えてください。
  229. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いまの御質問の第一の六万人の減らし方でございますが、大体私のほうは、いま年間約一万人から一万一千の自然減耗を考えております。したがいまして、これをかりに半分しか埋めないということにいたしますれば、年間、実員が五千ないし六千人ずつ減っていきます。もちろん地域別にあるいは職種別にアンバランスはございますけれども、総体的に見ますれば、減耗補充を半分しかしないということにいたしますれば、十年間で六万人減らすことはそうむずかしいことではないと思います。  それから、いまおっしゃった小駅の問題は、いま手がけておりますものは、全国で五十線区です。各地域全部に飛んでおりまして、線名は省略いたします。約五十線区でございます。そして、停留場化、いわゆる旅客駅を停留場化するのが八十五、それから駅の仕事をよそに頼む、これが三十七でございます。駅の廃止が七つ、それから貨物を大きな駅に集約するのが百三十七駅、これは第一次として、現在各地でもっていろいろ地元の方と御折衝しているわけでございます。これによって約二千人の職員を浮かすつもりでございます。
  230. 鈴木強

    鈴木強君 当初国鉄再建委員会で、赤字線をなくすべきだという勧告をしたわけでしょう、勧告というか、答申というか。その赤字線というのは幾つあって、それは実際にやれるのですか、赤字線廃止というのは。
  231. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これは、この委員会は国鉄の委員会でございます。政府委員会ではございません。国鉄総裁の諮問機関でございますが、これは一昨年の九月、八十三線区、約二千六百キロでございます。そのうち昨年度に廃止いたしましたのは全部で貨物線等入れまして、約六十二キロ廃止いたしました、昨年度、四十四年度でございますね。しかしこれは、いま先生おっしゃったとおり、地元との話がなかなかうまく進みませんで、必ずしもテンポが早いとは思っておりません。しかし、現在、たとえば青森県の一部におきましては、地元との間に協議会をつくりまして、そして必ずしも廃止を前提としないで、ほんとうに将来その地域に産業が興るのか、ほんとうに住宅ができるのかということを突き詰めまして、そして具体的に地元と国鉄が、県が中に入りまして、協議会によって話を具体的に進めていこうじゃないかというふうな体制をとっているところもございますし、また直接地元の市町村とお話しているところもございます。
  232. 鈴木強

    鈴木強君 六十二キロを昨年やっただけですね。そうすると、それは線は幾つありますか。一つの線ですか、二つの線ですか。
  233. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 七線、七カ所でございます。
  234. 鈴木強

    鈴木強君 これは、八十三線二千六百キロは絶対にやるという自信と確信に満ちて、十カ年計画でやっているわけですか。
  235. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 十カ年計画自身は、私は率直に申し上げまして、非常にむずかしいと思っております。決してなまやさしいやり方でできるとは思っておりませんが、どうしてもこの程度のことをして、むしろ赤字の救済と申しますよりは、もう鉄道はずうたいが大きくてむだだというふうな考え方です。赤字線から申しますれば、たとえば幹線の赤字がずっと大きい。ですから私どもといたしましては、二千六百キロについては、どっちかといえば、鉄道の使命の終わった線区だというふうな考え方でもって、したがって、これを道路と自動車輸送にかえることはそう無理ではないのだというふうな見方をしております。大きな赤字は、むしろ大幹線の赤字が大きいわけです。
  236. 鈴木強

    鈴木強君 まあこの赤字線というのは、非常にむずかしいと私も思いますね、あとからまた伺いますけれども。そこで多角的な経営、いわゆる私鉄がやっているようなゴルフ場だとかホテルだとか観光だとか、そういう方面の仕事を一緒にやって、共同経営していくような会社をつくるという構想ですね。これはいまの国鉄の線を幾らかで払い下げるのじゃないかと思いますが、そしてその会社が譲り受けて、ローカルでやっていくという、こういうことだと思いますが、その構想はいませっかく検討中なんだそうでございますけれども、それが出てきた場合、いまの国鉄法を改正しなくても、それはできるわけですね。払い下げという方法で、法律の改正は関係ないですか。
  237. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実はその考え方は、大臣からひとつこういうことを考えてみろといってお教えをいただいた問題でございますが、いまいろいろ具体的に検討いたしております。しかしどうも現行法のままでは私不可能じゃないかと思っております。というのは、国鉄法第四十五条に、法律によらなければ、譲渡したり、抵当権を設定したりするということはできない、ということが書いてありますので、やはり法律改正をしなければ無理じゃないか。逆に地元からいえば、払い下げられたのじゃ困る。というのは金を払わなければいけない。だから現物出資にしてくれ、ただ使わせろと。国鉄はそれでもいいわけです、赤字が減りますから。現物出資をして地元と一緒にやろうじゃないかという御意見が出ております。どうしても法律改正が要るんじゃないかと思っております。
  238. 鈴木強

    鈴木強君 これは地元——大臣の構想らしいんですが、総裁が言われたように、払い下げでなくて、国鉄の財産ですね、これを一応貸せるわけですわな。どういう契約になるか知らぬが、貸与するか何か知らぬが、そういう形でやろうとするのか、それとも払い下げという考え方でやるんですか。
  239. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) いま総裁が言われましたように、私は譲渡する必要はないんじゃないかと思います。したがって、無償貸与の形式でもやはり法律改正は要るんじゃないか。他の公団といいますか、公社のあれを見ますとそうなっておりますので、無償貸与にしましても、要ると思います。どっちにしろ、一貫輸送というか、運転は国鉄がやらざるを得ない。その地方鉄道にやらせるのではなくて、運転は結局国鉄がやらざるを得ないんじゃないか。ただ経営的なものを、合弁か、もしくは地方の団体と——地方公共団体でもいいんですが、それと協力してやる。それを別な人をもってやるということは、これはまたたいへんなことになってきますから、したがって運転はやる。それに対してどれくらいの金を払うかどうかという問題はありましょう。いずれにせよ、そういうこまかい点は国鉄当局で検討して、そうしてなるべく地域にそういう軌道が残っておる状態、これはぜひともやりたい、かように考えております。
  240. 鈴木強

    鈴木強君 一つの皆さんの考えるアイデアではあると思うんですね。しかし私は、これはいまの十カ年計画に重大影響を与える問題ですよ、要員の問題にしても。ですから、管理運営権だからといって労働組合と全然相談をしないで進めるということも、これは重大問題がありますからね、労働条件に関連があるわけですから。ですから、その辺は慎重に配慮して、一つの構想をまとめるならまとめていただいて、私はあえて反対しませんけれども、実施については、法律との問題もあるし、そう簡単にいかぬと思いますから、これは慎重にやっていただきたいと思う。お願いしておきます。  それから、次に——いま私が伺ったのは、簡単にいって、大綱、十カ年計画の内容だと思うんですが、ところが、私は最近国鉄の監査委員をしております角本という方が——新幹線の営業部長をやられ、本社の事務管理統計部長をやられた方、四十一年から監査委員をやっておられる角本さんが、先般、座談会ではありますけれども、少なくともこれは重大な発言をしているわけでして、彼は国鉄再建十カ年計画というものはむだなものだと、こういう計画は。こういう趣旨の発言をされているんですね。たとえば自動車、航空機との競争の中で、いまの国鉄がどのような合理化を進めても採算ベースには乗らない。現行制度の改革こそ再建の第一歩だと思う、こういうふうに言われておるわけです。結局いま皆さんが苦労して一生懸命やろうとしていることはむだだと、こういう意見が同じ国鉄の中の役員から出ているということは、これは重要なことだと思うのです。しかもこの発言はわれわれが見てもなるほどという点もあるのですよ。したがって、まあそのあと国鉄総裁が、日経新聞の三月二十二日号を見ますと、「このような発言を私自身がしなければならない時期があるいは来るかもしれない。)、こういうふうに言っておられる。ですから、必ずしもこの角本発言というものは奇想天外なことでもないし、あまりかけ離れたことでもない、こういうふうに総裁も思っていると。ただ、せっかく国会も再建のために財政的な援助をしようということで、ただ国鉄だけにこの経営の最悪な状態をおおいかぶせてはいかぬ、しょわせちゃいかぬということで国全体が考え直そうという時期に来て、せっかく一つの案をまとめているにもかかわらず、そういう時期にこういう発言が出るということは非常に重大な問題だと思う。しかし一面、さっき申し上げたような面もありますので、この扱いについて、私はあえて角本氏の責任を追及しようとかというようなことはいたしません。そういう点はひとつ国鉄総裁が最高責任者としおられるわけですから、この監査委員というものはあなたの指揮下に入る役員だと私は思います。したがって、そういうタイミングの問題についてはひとつ御考慮いただくこととして、こういう意見は一つの意見としてあると思いますね。だからして、国鉄が、公社か、あるいはその前の国鉄当時でも、独立採算という中でやるということになりますと、これはたいへんだと思うのですよ。したがって、今回約二千億の十年間に国が負担をしてくれるというのだが、これではとても、料金値上げを二回やって、二兆なんぼかの増収をはかるという計画のようですけれども、実に至難だと思うのですね。あなたは、またさっきもお話のあったように、東京−大阪間を一時間で突っ走る五百キロの新しい新々幹線をつくろうと言う。一体その金はどこから出してくるか、五十五年度でやろうということですから。そうすると、財政再建十カ年計画の中でその八千億の金をどこから出してくるか。だから、一面そういう中でぱっと出てくると、ああ国鉄は何だ、そんな余裕があるのかというようなことにもなりますね。だから国民の受ける感じというのは非常にデリケートなんですよ。それでまた一方では、国会が、議員が発議をして、全国に新幹線を張りめぐらそうというのは、一体それはやれるのかな、しかし、だれに聞いてみたって悪い話ではない、できればいいことですからね、ぜひやってほしい、こういう意見がある。ただし、それを建設をし、運営をしていくのは国鉄当局ですからね。それは国民の利益になることであれば、万難を排してやらなければならないが、問題は建設資金の問題ですね。こういう問題はもう少し社内の中で私は徹底的に討議をしなければならぬし、むしろしたと思うのですね。そういう討議もして、その上でなおかつ鉄道再建の、財政再建の十カ年計画をつくったものと思いますが、いろいろな論議があって、その上で決定したものか、それともそういう論議もなしに決定したということであるならば、それはあとから、わしはこうだという意見も出るかもしれないが、少なくとも皆さんが英知を集めて、そういう独立採算制をはずして、やっぱり赤字のときには国から負担してもらう、そうでなければ国鉄はどうにもならぬのだという論議も十分やってみて、なおかつそれはだめなんだ、現実はこの三つの基本を含めた十カ年計画でいこうということであるならば、角本氏の発言というものは少し行き過ぎだと思う。いずれにしても、そういう段階を迎えているだけに、私は率直に国民一も疑問を持っておるしするので、この際ひとつ総裁から直接、この委員会を通じて国民に明らかにしていただきたいと思います。
  241. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) たいへん御親切な御忠言をいただきましたが、確かに角本君の発言は時宜を得たもので私はないと思います。しかし事自身、交通評論家的な立場に立てばああいうことを言うのかと実は思いまして、実はこの間二人でゆっくり話をしたのですが、いずれかの機会にもう少し、座談会ではあるけれども、自分の言い方の言い足りなかった点、まずかった点については訂正したい、こういうふうに申しておりますので、まあその点を待っているわけでございますが、ただこれをよく読んでみますと、前提が相当置いてはあるわけです。たとえばこれから収入が絶対ふえないかどうか、あるいはいまのようなベースアップがどんどん行なわれるかどうか、あるいは貨物輸送がいま以上よくならないのかどうかという前提が三つ、四つあって、それがどうしてもだめならば、いまのままではどうにもならない、こういうふうに言っているわけでございまして、その点、結論だけつかまえますと、非常にその次元が違った次元のものになっておりますけれども、考え方としては、彼も私どもと一緒に来た人間でございますから、そう現状を無視したことを言ったわけではないと思います。しかし私どもといたしましても、とにかく昨年、おかげさまで政府から十年間に二千億の金を、税金をいただくということなりましたし、また運賃も上げていただきましたし、やはり国鉄自身としての企業努力をこの際どうしてもしなければならぬ。昨年御迷惑をかけましたEL機関車乗務員の問題も一応片づきまして、一応部内的な合理化につきましても相当テンポが調子よく進んでおります。したがっていま、これからあとは部内の方々の御協力を願う点でいろいろ御無理も申し上げますが、私どもといたしましては、できるだけこの再建の線に沿って、からだを張ってやってまいりたいと思っておりますが、しかし非常に私どももむずかしいと思っております。  このほかに、いま御質問ございませんでしたけれども、ベースアップが九%と聞いております。この九%と組みましても、ベースアップ分だけで二兆七千四百億かかります。先ほど申しました二回の運賃値上げの増収分が二兆五千五百億。六万人減らしまして、毎年九%、そのうち定期昇給が三%ございますので、定期昇給を引きまして、六%でコンスタントにベースが上がっていくとした場合の上積みのベースアップ分だけで実に二兆七千億であります。したがいまして、十年間の運賃値上げがそのままベースアップに当たるということにもなりますので、今後の人件費の問題も非常に問題になります。それやこれや非常にむずかしい問題が山積いたしておりまするが、できるだけ私は微力を尽くしてやってまいりたいと思います。
  242. 鈴木強

    鈴木強君 きょうは時間がないものですから、また運輸委員会のほうでもう少し詰めて時間をかけて承りたいと思いますので、一つだけ。  ローカル線の廃止は非常にむずかしい。まあ無人化あるいは廃止等の合理化について、かなり大幅におやりになるようですけれども、地元からはこれに対してものすごい反発がありますよ。私は山梨ですけれども、たとえば身延線の金手駅というのを今度なくそう——あそこの人たちが、年寄りも子供さんもみんな集まって反対運動をやっている。先般も知事以下議会の人々全部そろって国鉄にも陳情に伺いました。そういうようなわけですから、これの実施は相当にむずかしいと思います。しかもいままで複線化するからというので、土地をあっせんする、一生懸命力をかしてきた。国鉄債も持てと言うから持った。にもかかわらず今度複線ができたら、駅を減らしたり貨物を扱わないというのは一体何事かと言う。こういうことで、合理化もいいですけれども、利用者に不便をかけるような合理化、要するにサービス・ダウンの合理化というのはやめてほしいと思う、正直いって。だから、だれが見てもなるほどということは、これはある程度おやりになることもやむを得ないと思いますけれども、これは大衆の足ですからね。そこで公共性と採算性の問題でいつも悩むわけです。大体赤字経営のものをやれったって、これは民間企業でだれがやりますか。公共企業体経営だからこそどうにかこうにかやっているので、民間の人たちにこういう仕事をやれったって、みんな逃げ出してしまいます。そういう中の経営だから、ある程度のことはわかりますけれども、少なくとも大衆が、だれが見てもけしからぬということはやめてほしい。計画は計画としてお立てになったか知らぬけれども、これの実施については、ほんとうに地元とも十分話し合いをして、議会で納得をいただくような方法でやってほしいと思う。その点、総裁からはっきり確約しておいてほしいです。
  243. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほど足鹿先生にもお答え申し上げましたけれども、旅客の場合と貨物と、やり方が違っております。旅客の場合、いまの金手は別でございますけれども、あとは大体、職員を引き揚げたい、駅としては残しておく、バスの停留所のようにしたい。金手は非常に距離が近いものですから一応廃止に入っておりますが、廃止駅はさっき申しましたように七つぐらい、非常に少ないです。これは一応極力地元の方の御了解を得るようにいたしますが、あとの、駅の無人化ということは、非常に化けもの屋敷のようになると言うと叱られますが、バスでもいまハイウェイ・バスは全部停留所でやっておりますので、バスができてうちができないはずはないというふうに考えまして、バスのような停留所にしていく。それから貨物のほうは、これはむしろいまのように四キロに一回ぐらいとまったのではとても、時速二十キロ未満の貨物輸送をやっていたのではどうしてもトラックに勝てない、あるいは船にも勝てません。だからある程度駅を間引けば早くなるし、結局市場に到着する時間も早くなるということで、必ずしも荷主としては不利なことばかりではないと思います。そういう点は十分地元とも話し合った上でやってまいりたいと思っております。
  244. 鈴木強

    鈴木強君 ローカル線というのは、特急が通って、なるほどある駅とある駅の間はスピードアップしていますけれども、特急や急行のためにローカル線が犠牲になって、時間待ちを何分もつけられるという不満があるときです。だから慎重にも慎重を期していただきたい、こういうことを私はお願いしているわけです。  それから経営全体で、もっともっと聞きたいのですけれども、十カ年間で踏切を無人化するとか、都市の貨物に対してどういうように輸送力を増強していくとか、いろいろあると思いますが、これもちょっと私けさの新聞でしたか、きのうの新聞だったか拝見しますと、その一つの例なんですが、「総武線複々線工事の七つの踏切」というので、「またぐのは道か線路」かというのですね。これは千葉県の国鉄総武線稲毛と千葉駅間のことですけれど、国鉄では金を地元の千葉県から出せと言う、千葉県はとんでもない、これは国鉄がやれ、こう言うので、一向に踏切が高架されない、こういう苦情が出ているわけですよ。これはどっちがどうか私よくわかりませんけれども、もう少し、まあ苦しい財政だからたいへんだろうと思うけれども、大体いつごろ——東京でも、まだ国鉄の場合にはないですけれども、私鉄の場合なんかは、ゴーストップで電車が通る間はとめられてしまう。ところが最近は、玉川電車みたいに、赤になったら電車がとまるというところもできている。いずれにしてもあれは高架にしなきゃいかぬと思うわけです。この稲毛と千葉駅間の問題は、時間がないから具体的に内容は言いませんけれども、千葉市とよく相談をして早うひとつやってくれませんか、これ。いつやってくれますか。
  245. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) これは総武線のいま津田沼まですでに線増工事はやっておりますが、それに引き続きまして津田沼から千葉までの線増をやります場合のやり方、これを平面交差を高架にするか、あるいは道路を上へ上げての立体交差方式にするか、これはいろいろ地形の問題、あるいは千葉駅に近くなりますと千葉でまた線路が、総武本線と房総線と分かれるというようなことで、立体交差とか、線路自体のそういう問題がいろいろございまして、技術的に非常にややこしい問題がございます。それらをいま市、県と調整中でございます。  費用負担につきましては、これは建設省は、いわゆる道路管理者側と鉄道側との費用負担方式はきまっておりますので、そのルールに従ってやっていきたい、こういうふうに考えております。
  246. 鈴木強

    鈴木強君 費用は大体三十六億ぐらいかかるのですか。国鉄が持ち出す分が八億ぐらい増と言われていますね。だからその程度の金は出してもうやるのだという方針を打ち立ててくださいよ。そしてそれはいつやるかということになると、あしたやれと言ったって無理ですから、何カ年でいつごろにはできるというそういう目安を与えてやれば、地元の人たちだって、ああそうか、このところはいま不便だけれども、何年たったら高架になってちゃんと便利になるのだなということになる。ところがいま言った争いが続いて、いつできるかわからぬ。だから、見通しをいつごろやるかということをはっきりきめて、そして財政措置とってやってください。そんないつかわからぬようなことでは困る。
  247. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) これは新聞には争いというように出ておりますが、そういうことでございませんで、意見が一致しないということでございますが、これはいま申しますように、津田沼から千葉までの複々線工事をやりますときにどうするかということをきめなければなりません。
  248. 鈴木強

    鈴木強君 いつやるか。
  249. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) これを早くやるとなると、早く決定しなければならぬ。われわれとしてはいま津田沼まで複々線やっておりますので、できるだけ早くそれ以後の千葉までの複々線をやりたい、こう思っております。予算その他との関連を見ながら、できるだけ早く千葉までの複々線を進めていきたい、こういうふうに考えております。その際には、当然その問題は解決して着工する、こういうことになります。
  250. 鈴木強

    鈴木強君 おおよそいつですか。
  251. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 用地買収にかからなければなりませんので、これは今年度あるいは来年度にわたります予算の見通しその他をつけなければなりませんので、なるべく早く着工したいと思っておりますが、まだ最終的に計画の調査、測量その他もやった上でないと、いつからどれぐらいになるということはきまりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、来年度以降なるべく早い時期に着工したい、こういうふうに考えております。
  252. 鈴木強

    鈴木強君 これは総裁から答弁をしてください。それから大臣からもひとつこれは督励してくださいよ。そしていまのようなわけのわからない雲をつかむようなことではいけないんで、計画はいつごろか、そしてそれまではひとつ地元の皆さんもがまんしてくださいと、こういうことを出さなきゃだめですよ。
  253. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 津田沼−千葉間の複々線化はまだ具体的に予算化されてないわけでございます。予算化するにあたって、地元の千葉市といろいろ折衝するわけでございます。それに先走って、新聞に、両方で技術的な折衝をしているのを争いがあるように書かれておりますが、ことしはまだとても津田沼から千葉まで延ばすだけの工事に入っておりませんので、これは津田沼までが急ぐので、津田沼−千葉間はまず三年、五年先の話であります。それまでいまの複々線のことは問題にならぬ。それを複々線のことをいまから取り上げて、技術的な折衝のことを書いたわけです。それから計画がきまったときには、もちろんそれは道路の上か線路の上か、当然きまってから工事を始めるわけであります。
  254. 鈴木強

    鈴木強君 ぼくが言っているのは、無理を言っているのじゃない。十カ年計画をつくったのでしょう。その十カ年計画の何年度にこの複々線工事はできるのかということですよ。それがきまってない。それだったら十カ年計画が何兆かかるということはきまらぬでしょう。十カ年計画の何年目にそれをやるのか。それを聞いている。だから別に無理を言っているわけではない。そうすれば五年先であるか、六年先であるか知らぬが、それまでにやりますよということになれば、それは子供じゃないんですから、あしたからやれと言ってもしようがないから、そういうことを言っている。これは総裁から。
  255. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私ども逆に終期を昭和五十年度で押えております。ですからいつから始めるということはきめておりません。五十年度までには完成したいということです。というのは、毎年毎年予算はばらつきが多いものですから、各地各地いろいろございまして、そこだけに金を入れるというわけにいかないわけです。いまのところは津田沼までしかきちっと予算に入れておりません。津田沼−千葉間はいま千葉県と折衝中の問題であります。そういういろいろな問題がありますものですから、それがきまった上でないと、予算に組みましてもむだになりますから、しかし昭和五十年度までには完成させたい、こういうことです。
  256. 鈴木強

    鈴木強君 五十年度ですから、あと五年ですね。そこくらいわかれば、われわれもまた聞かれても待てと、五十年までにはできるぞと、こう言ってやれるわけです。そういうことを私は聞いているのです。  あと時間が三分ぐらいしかないので、鉄建公団の役員の方に来ていただいておりますが、私は本年三月五日の運輸委員会で、鉄建公団の汚職事件を取り上げました。その後の経過をちょっと伺いたいと思いますが、私が三月五日に取り上げましたのは、元鉄建公団の用地第二部二十四係長小高甲という男が公団在職中に、昭和四十三年十二月から四十四年一月末にかけて、用地買収にからむ代替地及び残地計十三筆で帳簿価格が二千二百七十六万円余、これを彼の地方建設局時代の友人である石井秀夫という男と共謀して、支社長の印を盗用し、そして不正行為をはかって問題を起こしたという事件です。そのほかにこの小高という人は越谷市の公団の代替地を不正に売り飛ばした疑いで逮捕されている。この事件は埼玉武蔵野銀行の越谷支店の次長らに、公団がこの土地を買収するはずになっているということを小高が漏らして、ある不動産屋に買わしてしまった。ところがそのあとで事情が変更になって、その土地を公団が買わなくなってしまった。そこでまた不動産屋とごたごたになって、小高に頼み込んでそれを買い戻したという、そういう事件であるわけです。そこで一括お答えいただきたい。時間がありませんから、また運輸委員会ででもやります。  ところがよくわかりませんので一つ聞きたいのは、この汚職がさらに広がっておるようだが、それはどうかということ、それから支社はどこに事務所があるのか。支社長の判というのは総務課長が保管をしておるそうだが、その保管のしかたは問題がなかったのかどうなのか。それから契約書に支社長印を押す場合、一体だれがそれを責任持って押すのかということもわかりません。だからしてきわめてずさんではないかという関係で、これは総務課長さんは少なくとも責任をとってもらわなければいけないと思います。まあ私は少し立ち入るようで失礼ですけれども、国民の気持ちとしてはそういうふうに思うのです。ですからそこのところをちょっと伺いたいのです。  それから海上保安庁長官に来ていただきましたので、——さっき、けさの、おたくの船がやられたことですが、北朝鮮の工作船だというふうに新聞にも書いてあるのですが、それが確認できるかどうかの問題。それから、今後この事件は非常に重要な問題ですから、追跡をして調査をして、一体どういう船が鉄砲を撃ってきたか、そういうことをやっぱりはっきりする必要があると思うのです。そういうことを積極的にやってもらいたいと思っているのですけれども、その点がちょっとわからなかったものですから、その鉄建のあとで、済みませんがお答えいただきたい。それで終わります。
  257. 壺井宗一

    参考人(壺井宗一君) 先ほどいろいろ先生から御質問があったわけでございますが、先だって三月五日に御質問がありまして、その後の話はどうか。先ほど先生がおっしゃいました事件そのものは大体そのようなものでございますが、三月十三日に浦和地検から両名起訴されまして、第一回の公判は五月一日に浦和地裁におきまして開始されるということになっております。  それから二番目に御質問になりました小高甲に対しまする追起訴、それから長島喜一でございますが、それと銀行の支店長及び次長二名が、これは先ほど申し上げましたように、三月五日に逮補されまして、三月二十日に起訴になっております。この事件は、新聞によりますと、小高甲が中に情報を流しまして、わしがめんどうをみてやるからそのリベートをよこせというようなことでございました。それをずっと私のところでいろいろ調べてみますというと、この第二の事件は、長島なる者から全部で一億五千三声三十五万の土地を買っておるわけでございますが、そのうちの一億一千二百八十四万の中で不正が行なわれたのではないかというような報道になっておるようであります。これを調べてみますというと、まあ東京支社といたしましては、規定どおり、鑑定あるいは実例あるいは土地の精通者いろいろ置きまして、大体一平米八千円から九千六百円というようなのがありましたので、これはまだ耕地整理実施中のものと整理完了後のものとございますけれども、これは五千八百円から六千六百円、それ以下の値段で決裁をとりましてこれを売却したということになっておりまして、正式の手続、あるいは書面の上から見て何らやましいところはなかったわけでありますが、それにつきまして、小高甲が長島に対しまして、実はこれには相当力をいたしたのだ、リベートよこせというようなことで、情報を流し、百万円ですか取ったというようなことになっておるような次第でございます。これは二十日に起訴されまして、このほうもおそらく五月一日から始まる公判で次第に明らかになるだろうと思いますが、それ以外のことは私にはいまわかりかねる次第でございます。  その次に先生がおっしゃいました公印の盗用の問題でございますが、この点につきましては、公印の使用方につきましては非常に厳重にやっておるのでございますけれども、盗用されたかあるいはこの点偽造されたかという結論はまだ警察のほうで出しておりません。もしか盗用されたといたしますれば、結果的に見まして管理がずさんであるというように御指摘になったとおりでございまして、はなはだ申しわけないというふうに考えておるわけであります。で、この公印の管理につきましては、「公印及び検印規程」というのがございまして、それによりまして厳正にやらせておる次第でございます。その取り扱い者は総務部の総務課長及び、特に補助者として総務課長が指定し得ることになっておりますが、東京支社の場合は文書係長が補助者としてこれを取り扱っておったわけでございます。常にその規定の命ずるところに従いまして、保管も施錠できる小さな箱に納め、そして使用しないときは大きな金庫に保管をして施錠するということで、厳格に保管させているわけですけれども、どういうことかまだ警察の調べはございませんけれども、その間盗用されたということになるわけであります。私たちの想像するところによりますと、何ぶん用地の登記関係書類というものが、一時に膨大な書類に公印を要する場合がございます。多いときには二百ぐらいもございますが、まあ本件は本人の供述に待たねば明らかではないと思いますけれども、そのすきに乗ぜられたのではないかというふうに考えております。これの監督責任といたしましては、公印の盗用であるかあるいは偽造であるかという警察の結論が出ましてからしかるべき処分をいたしたいと、こういうふうに考えるわけであります。  で、このような公印の管理を厳正にするという立場から、直ちに一月の二十日に用地部長会議あるいは総務課長会議を一度に開きまして、細部にわたりまして通達を出し、また目下各支社におきまして公印の監査というのをただいま行なっておるというような状態でございます。
  258. 足鹿覺

    主査足鹿覺君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  259. 足鹿覺

    主査足鹿覺君) 速記をつけて。
  260. 河毛一郎

    政府委員(河毛一郎君) ただいまお話のございました、昨日起こりました事件に関連いたしました当該不審船でございますが、これは巡視艇の停船命令に対しまして、これにこたえず逃走をしておる、また最後の段階において銃撃を加えてきておるという状況から判断いたしまして、当該船舶は外国船であるということはほぼ間違いない、このように考えております。ただその船がどこの国籍に属しておるか、またどういう行動目的を持っておるかということについては、現在までのところまだ確認するに至っておりません。ただ本件につきましては、私どもの巡視艇あるいは航空機が写真撮影に成功いたしておりますので、このような証拠写真その他の資料によって今後さらに御指摘のような点を検討してまいりたい、このように考えております。
  261. 二宮文造

    二宮文造君 もう時間がございませんので、簡単に質疑をさしていただきます。  その前に、午前中に郵政省関係で郵政互助会の質疑をいたしましたが、その中で、千葉県の市原市の土地造成の問題につきまして、弘信商事が二億円の利益を計上している云々という発言を私いたしました。その質問いたしております間にも、これは資料が明確でありませんがと、こう再三断わっておきましたけれども、その後確認いたしましたところ、これは弘信商事ではなくて、郵政互助会でございました。したがって、その部分に関するところを将来誤解を生むと困りますので、会議録等を見て訂正さしていただきます。これを主査のほうで御了解をいただきたい。これをひとつお願いしておきます。
  262. 足鹿覺

    主査足鹿覺君) 了承いたしました。
  263. 二宮文造

    二宮文造君 それから、次に運輸省関係でお伺いをしたいと思うんですが、昭和四十二年度を初年度とする空港整備計画、総額千百五十億円の財源をもって整備をすると、こういうふうに閣議決定がありましたし、また、ことしも空港整備特別会計法がこれまたきめられまして、そこでお伺いをするわけですが、問題を地方空港に限りまして、昨年閣議決定をしました空港整備五カ年計画では、地方空港のうち緊急を要するものについては、原則として滑走路を二千メートル級または千五百メートル級に整備するとともにと、このように、滑走路の延長というものを非常に重視をされております。そこでお伺いをしたいわけでありますが、この四十五年度の予算の執行に伴いまして、いわゆる地方にあります二種空港の滑走路は一体千五百メートルになりあるいは二千メートルになる、この辺どの空港がそうなるかということをお伺いしたいわけであります。
  264. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 四十五年中に二種空港といたしまして滑走路の延長工事を完成いたしますのは、熊本空港一港でございます。
  265. 二宮文造

    二宮文造君 そういたしますと、手元にあります資料では、仙台空港、これが二千メートル新設、それから新潟空港、これが滑走路千五百メートル延長完了、こういうふうにただし書きがついておりますが、これは事業に着手するということであって、この年度では千五百ないし二千メートルの滑走路は完了しないんだと、こういうことでしょうか。
  266. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 着手はもうすでにいたしておりまして、完成も、実は仙台などはすでに四十五年中には完成いたす予定でございました。しかし、仙台については二、三の協力者が得られない土地事情がございまして、これは一年ぐらい延びるということに相なったわけでございます。先ほど二種空港の中で熊本空港が二千メーターの完成をすると申し上げましたが、そのほかに新潟空港が、これが千二百メーターを千五百にするという予定になっておりまして、これはすでに完了をいたしておるわけです。
  267. 二宮文造

    二宮文造君 逆の質問のしかたをしたほうがよろしかったかもわかりませんが、二種空港が十六ですか、ございまして、その中で千二百メートルのまま放置されて、そしてその予算措置が今年度もないというところを聞いたほうが早かったかもわかりません。
  268. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 二種空港につきましては、これは全部千五百あるいは千八百ないし二千ということにするべくこれは着手をいたしております。ただ、御承知の高知空港のごときは、これは現在千五百メートルの状態でございまして、これは着手といいますとおかしいんですけれども、千五百ないし二千にするという意味では、現状でまあ千五百になっておりますので、これは調査ということで、直ちに着手はいたしておりません。なお北海道につきましては、たとえば稚内あるいは釧路、こういったところが千二百のままでございまして、釧路につきましてはこれは調査を始めることにしておりますが、稚内については、これはまだ手をつける予定はないわけです。ただこれらの空港は非常に利用の率が少ないわけでございますので、これらの北海道におけるこういった千二百の一、二のものにつきましては、すでに計画が次の五カ年計画ぐらいに入ってよろしかろうというふうに考えながら実施をいたしておるわけであります。
  269. 二宮文造

    二宮文造君 いまお話がなかったんですが、昨年も私この分科会でお伺いしたわけですが、高松空港です。高松空港は現に千二百メートルの滑走路で、予算の概要のほうを見ましても、四十五年度は実施設計調査として一千万円がついただけで、まだいわゆる千五百メートルにいつ延長されるのか、あるいは二千メートルにはどういうふうな事業計画があるのか、この点が明確でないわけです。高松空港に関してどのようなプランを持っていらしゃるか、お伺いしたい。
  270. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 昨年、先生から高松空港について詳細な御質問をお受けしまして、一部お答えいたしましたが、この高松空港については、調査そのものは非常に早く実は始めまして、たしか昭和四十年、四十一年と続けて調査をやって、四十三年に一年休んでおる。それから四十四年に再度調査を始めておるということでございますが、この空港につきましては、非常にお客の乗客率がよろしいにもかかわらず、これの欠航率が非常に高い。これは地形的に見まして、御承知の五色台と屋島という間を通って、盆地に近い状態の高松に降りるということで、欠航率が高くなっておるわけですが、この乗客輸送事情の状態から見まして、これは早急に大型機の運航を可能ならしめなければならぬということで、いま申し上げましたように、相当早くから調査に着手いたしましたが、地元の御協力がなかなか得られないということのためにだいぶおくれたわけでございます。で、昨年これにつきまして私どもで調査をやりましたが、これには地元の県御当局の非常な御協力を得たわけでございます。そうして結論的に申し上げますと、現在の場所で、約二十度で、そうして二千メーターのものにするということで、地元の県御当局あるいは市とお話がついたのではなかろうかというふうに考えております。それによりまして、昭和四十五年度は実施設計調査費ということで一千万円というものを計上いたしております。この予算によりまして、必要な測量、土質の調査、工事設計ということで、この場所で実際に工事を始めていくという上に必要な具体的な調査を実施をする。なお、この計画には約八十万平方メーターの用地の買収が必要でございます。これにつきましては、買収が円滑に進められますように地元香川県の御協力を得ることにお話し合いをしております。いわゆる先行買収ということによってこれを実施することにしていきたいというふうに考えております。
  271. 二宮文造

    二宮文造君 そういたしますと、その先行買収が県当局等の努力によりまして用地買収が進むその度合いによって、直ちに工事は着工できるというようなかまえでしょうか。
  272. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) この空港の拡張あるいはこういったリロケーションにつきましては、どうしても地元の絶大な御協力が必要になるわけでございます。国際空港のようなことになりますと、相当無理をしても時期的な要請も考えて取り進めていかなければなりませんが、高松空港についてももちろんそういう必要性がないわけではございませんけれども、やはり十分地元の御納得を得て、地元の御協力を得られるという態勢を考えていく必要があると考えます。その意味で、いま申し上げた一番問題の用地の買収ということについて、まずもって先行買収を県にお願いをする。それで県が先行買収を順調に進められるというようなことになりますれば、それに引き続いて現実の建設工事そのものというものが進められることになると考えております。したがいまして、私どもはこれの完成予定時期というものについては、いま直ちに何年というところまで計画はいたしておりませんが、お願いした先行買収の経緯とにらみ合わせて、できるだけ早く完了の時期にもっていきたい、かように考えております。
  273. 二宮文造

    二宮文造君 時間がございませんので以上でとどめたいと思いますが、ひとつ大臣のほうも、いま局長からお話がありましたように、高松空港の航空上の事情、地形上の関係、あるいは用地買収が難航したということで工事がおくれておりますが、その点ひとつ踏まえて、よろしく督促方をお願いしたいと、このように思います。
  274. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいまの二宮さんの御希望といいますか、御意見、十分尊重いたしまして、強力に推進して、なるべく早く完了をするようにしたいと考えております。
  275. 足鹿覺

    主査足鹿覺君) これにて運輸省所管の審査は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会の審査はすべて終了いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 足鹿覺

    主査足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後四時三十二分散会      —————・—————