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1970-04-14 第63回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十四日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      亀田 得治君     岡  三郎君      渋谷 邦彦君     沢田  実君  四月十四日     辞任         補欠選任      岡  三郎君     亀田 得治君      亀田 得治君     木村禧八郎君      木村禧八郎君     小野  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         八田 一朗君     副主査         片山 武夫君     委 員                 小山邦太郎君                 柴田  栄君                 高橋文五郎君                 山本茂一郎君                 木村禧八郎君                 山崎  昇君                 横川 正市君                 沢田  実君    政府委員        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   並木 四郎君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        議 事 部 長  海保 勇三君        記 録 部 長  西村 健一君        警務部長兼人事        課長事務取扱   植木 正張君        管 理 部 長  前川  清君    衆議院事務局側        事 務 総 長  知野 虎雄君    国立国会図書館側        副  館  長  岡部 史郎君    説明員        宮内庁長官官房        秘書課長     福留  守君        大蔵省主計局給        与課長      谷口  昇君        大蔵省主計局主        計官       金光 邦夫君        会計検査院事務        総長       佐藤 三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十五年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十五年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十五年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 片山武夫

    ○副主査片山武夫君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  分科会担当委員異動について御報告いたします。  予算委員異動に伴う欠員の補欠として、昨日、沢田実君が、また本日、木村禧八郎君が本分科会担当委員に選任されました。     —————————————
  3. 片山武夫

    ○副主査片山武夫君) 昭和四十五年度総予算中、皇室費について審査を行ないます。  宮内庁当局からの説明は、これを省略しまして、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山武夫

    ○副主査片山武夫君) 御異議ないと認め、さよう、取り計らいたいと存じます。  それでは、これから質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  5. 横川正市

    横川正市君 まず最初に、予算の直接の関連ではありませんけれども、お聞きをいたしておきたいと思います。  新憲法の制定に伴って、国民皇室との関係というのは、全くこれは密接な関係を保持するような体制に変わってきておるわけでございます。私どもは、いい意味での天皇政治などというような意味で、一般庶民皇室との間の連関性といいますか、密接な関係というものを見ることができますけれども、一面においては、今日の政治の内紛やら問題やら、そのことによって何か押えられているというような印象もなきにしもあらずだと思うのであります。これは、天皇あるいは天皇一家皇室の問題ではなくて、一般国民天皇家との接触を阻害しているのは宮内庁だ、これはあまりにも形式と時間、タイムでおおって、もっと接触すべきところをあまりにも疎外をさせているのじゃないかという一般の声があるわけであります。これは、いわば皇室における行事その他に私ども参画をいたしましても、たとえば参議院議長天皇との間の新年のごあいさつ、三行ですね。一体これは、行事として、こういうような状態で、天皇家一般国民との間の親近感というものは維持されるだろうか、いわゆる旧来のしきたりをそのまま新しい憲法下にも保持しようとしているのではないか、という点を実は私ども日常感ずるわけであります。たまたま私決算委員長のとき、委員長としてお茶の会に御招待がありまして、そして天皇と同じ卓で、わずかな時間でありましたけれども、歓談する機会を与えていただきました。非常に接触することによって天皇人間味というものに実はじかに触れることができるわけであります。そうすると、人間味に触れることの機会というものを阻害しておくことは、実はこれは、国民立場に立っても、あるいは天皇一家立場に立っても、これはプラスではないんじゃないか、もう少し密接な関連性というものがあっていいんじゃないかという、そういう感じを実は持つわけであります。  一面において、日本の国には依然として天皇大権を志向する団体がありまして、天皇問題について何らかの批判的なこととか、あるいは言辞を弄しますと、必ずもう間髪を入れず脅迫状が舞い込んでまいります。一体こういうことは関知せざることではありますけれども、私は実は天皇国民を疎外する大きな原因ではないか、そのことについて責任はだれがとるのかはわかりませんけれども国民一人一人の考え方ですから、くつわをはめることも、捕えることもできないので、それはしかたがない。しかし、実際には、国民天皇家との間の密接な関係といいますか、これを、行事その他の中でも、もう少し具体的に接触を深めるような方法をとったらどうであろうかというふうに私ども感ずるわけでありますけれども、一部言われておるような、宮内庁国民天皇との間を阻害する最大の原因だと言われるような批判に対して、宮内庁自身としてはどういうふうにお考えになり、さらには国民天皇とのいわゆる接触、こういったことについて、現体制で、現状のような状態でいいとお考えになっておるかどうか、このことをお聞きしたいと思います。
  6. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮内庁といたしましても、いま横川先生がおっしゃいましたお気持ちの点は十分わかるわけでありまして、決して違った見解を持っておるわけではありませんのですが、新しい憲法下においては、天皇は国の象徴として、国民統合象徴として、国民との親しさを一そう増していかれて、そのことがおのずから国民統合の上に寄与されていかれるというところに大きな意義があると思いますので、この天皇国民との接触関係は、以前の旧憲法下のときのような考え方ではなくて、一そう親密に接触をされることが望ましいと、われわれも考えております。  いろいろの行事についての御批判がございましたが、この行幸啓のときの時間の関係なんか相当こまかく刻んでありますが、これは、その御予定を円滑に実施されますためには、やはりある程度の時間がきちっとしておりませんと、結局、その一日の御予定を終えられることができませんものですから、一応立ててあります。しかし、その時間は、時によっては幾らか動いている場合はございます。あまり動きますと、警備の方の配置等関係で困られる点があるものですから、迷惑をかけてもいけないというような点で、あまり動かないように考えておりますが、あまりしゃくし定木にならないように、たとえば御視察の先で、非常に御興味をお持ちであり、また、皆さんとの関係でもう少し時間をおとりになってもいいというような場合には、お延ばしになっておる場合もあるのであります。  それからなお、いま委員長さんのお茶の会のお話も出ましたが、これも数年前から実施をされたわけで、その前はそういうような会はございませんでしたが、しかしながら、やはりそういうようなことが意義があるということで、数年前から実施をされたわけでありますが、そのやり方につきましては、なおいろいろくふうをする余地は確かにあると思います。現状でこれでもう十分であるというふうにも考えておりません。いろいろ反省をしながら、よりいい方法があればそれを実施をするようにくふうをすべきであるとわれわれも考えておりますので、宮内庁天皇国民との間の接触を妨げるというようなことがあってはいけないということは、われわれも考えております。  それから、問題は、先ほど申しましたように、いろいろの行事を円滑に予定どおり行なわれるようにというようなことを考えまして、時によりますと、整然といくようにというようなことを考えるために、そこらあたりが何か阻害しているんじゃないかというような御批判を受けるのかと思いますが、それらの点はなお今後とも十分反省をして、よりいいやり方をくふういたしたいと考えております。
  7. 横川正市

    横川正市君 瓜生さんの答弁は、もうありきたりのものなんですよ。もっとやはり宮内庁自身が、行事の立て方にしても、日常の国民天皇との接触についても、もう少しくだけてこないと、実は結果的にあまりいいあれじゃないんじゃないですか。やっぱり、何かこう、関係が、いわゆる親しさとか親しみとかいうものから、だんだん疎外されてしまうんじゃないかという気がいたしますね。私は元旦の新年恒例会に毎年出かけていくわけですけれども、女房を連れて。しかし、これは一行か二行のあいさつを交換するだけでいいことなんだろうかという、そういう感じをいつも持つわけなんですよ。そういう、確かに主はかわっても天皇自身はかわらないから、いろいろな点をおもんぱかって行事を立てられるんでしょうけれども、しかし、それにしてもあまりにも形式だけじゃないか。形式の中には親しさというのを求めるのは少し無理なんじゃないでしょか。もう少し、何かこう、行事の持ち方というものに変えられる内容というようなものはございませんか。どうお思いですかね。毎年皆さん立ち会われて、まあ控えの間にいるときには歓談しておるわけですよ。これはまあ三十分なり四十分歓談をするわけですね。それからごあいさつをする部屋にお移りになると、何分でしょうな、それで、もうあとは思い思いに、食事をいただくんじゃなくて、持って帰るわけですね。だから、そういう行事のしかたは、私はもう少し宮内庁自身考えていいのではないだろうか、もう毎年、そういうふうに感ずるわけなんですが、これはもう都合で、万やむを得ない行事の持ち方ですということなのか、まだくふうの余地があるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  8. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 新年の行事は、新年祝賀の儀というので、あれは憲法第七条の天皇国事行為の中の一つとして、正式の儀式として行なわれるわけでありますが、儀式の面は儀式として、一応ああいうふうにきちっとならざるを得ないんじゃないかと思います。あの場合に、陛下が、あとお祝いのお酒、食事をなさいますときにもお出になることができれば、そのほうがより親しみもわくわけでありまするが、あの行事は、次々とまた、みんなお帰りになったあと、別の組の方がおいでになるというふうに、次々と行なわれるものですから、儀式の面を中心に陛下はお出になって、祝酒、お祝いの酒の席にはちょっとお出になれないわけであります。それで、あの行事としては、なおくふうしてみたいと思いまするが、そう大きな変化はむずかしいんじゃないかと思います。天皇誕生日の場合でありますると、これはおいでになる方と一緒食事をされて、お祝いを受けられるわけでありまするから、あのときでありますと、新年の場合と違って、一緒食事をなさいますからよろしいのですけれども、これは国内の場合は一回であります。それから外国人の場合、もう一ぺん別の機会になります。一回だけですから、それも可能でありますけれども、しかし、新年の場合は次々とありますので、そのあたりがむずかしい。儀式だけになるという点は、これはやむを得ないんじゃないかと思いますが、なお、陛下が、戦前と比較しますと、最近では、いろいろとお茶の会なんかなさっております。たとえば、オリンピックの関係あたりで苦労してきた人を、済んだあと選手なんかも宮殿にお呼びになって一緒お茶の会をなさいますが、その際は、選手と、みんなと、いろいろお話しになったりもいたします。そのほか そういうような会は、いろいろくふうをされて、なさっておりますのでございまするが、まあ、以前から見れば、ある程度前進していると思いますが、まだ足らない点があるという御批判があるだろうと思いますが、なお検討して、くふうしたいと思います。
  9. 横川正市

    横川正市君 そういう一面があるかと思うと、たいへんくだけた一面があるわけですね。こういうような本をごらんになったことありますか。これは毎週発行になる週刊誌ですね。これを見ますと、全部皇室写真なんです。これは、本とか婦人雑誌——婦人皇室との関係が何か別にあるのかと、いろいろ考えてみましたが、特別何もあるわけじゃなくて、言ってみれば、週刊誌が売れるための一つ商業目的皇室というのを利用するような傾向というのがあるんじゃないか。私は実はもっと健康な——この週刊誌かどうというわけじゃないんですけれども、健康な皇室との関係というものが立てられていいんじゃないかというように思うんですがね。これにはいろいろあると思いますよ。ちょっとこれを見てくれないですか。見たことありますか、瓜生さん。
  10. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 週刊誌その他雑誌類で、皇室関係した記事とか写真の載っているのは、一応、報道係という係がありまして、そこに付せんをつけまして私のところに回ってくるようになっております。毎週数冊、多いときには十冊をこす場合もございます。一応全部見ております。
  11. 横川正市

    横川正市君 週刊誌に載ることがいい悪いじゃなくて、そこまでくだけられているのなら、もっとやはり一般国民との親しさというものを何らかくふうされていいんじゃないだろうか。そういう週刊誌グラビア版を通じてだけ天皇家の中というものが一般国民に知らされているということだけでは、なかなかほんとう意味の親しさというものは出てこないんじゃないだろうかというふうに思います。この写真はなかなかりっぱな写真なんですが、何枚かめくっていきますと、もう似て非なる写真が載っかっているわけですよ、同じ写真の中に。それは別にとがめだてすることではないのかどうか、私ども判断に迷うわけですが、たまに写真が出ているというのならば、これはあえていろいろことあげする必要はないと思いますけれども、毎週その写真が大半載せられて、そしてそのあとに全く似て非なる写真記事が載っているという、そういう関係は一体どう理解したらいいのかと戸惑いをしているわけなんです。宮内庁としてはどうお考えでしょうか。
  12. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 週刊誌皇室関係写真記事がよく載っている、特に女性を対象とするというような週刊誌にそれが多いのでありますが、その写真とか記事の中に、まああまり適当じゃない扱い方皇室の品位をそこなうようなおそれのあるような、われわれから見てどうかなと思うものも、ときによってはあります。そういうようなことがありまする場合には、雑誌協会というのがありますが、雑誌協会を通じ、また直接その社の編集局のほうへ、ああいう扱い方はどうも好ましくありませんがというように、相手方の良識に訴えてお考えを願うという場合もございます。雑誌協会のほうとは常に密接な関係をとっておりますが、雑誌協会お互い雑誌全体の一つの共同の会でありまするけれども、そういうところで、皇室関係記事を扱う担当者の会というのが年に何回かあります。そういう場合には、宮内庁から、報道関係担当しています総務課長、それから東宮職のほうの事務主管、その他係が出まして懇談するような機会を持っております。それで、こちらのほうの意向も申し上げております。雑誌協会全体の空気といたしましては、それは国民的な良識に訴えて、国民からひんしゅくされるような扱いは避けようということも言っておられるわけですけれども、ときによると、そうでないのが出ます。その雑誌協会でそういうふうに申し合わせができているもんですから、こういう扱いはおかしいじゃないですかと言いますと、ああそうですかというふうに改められる場合が多いわけであります。しかし、またしばらくすると、担当の人が変わられたりするような関係もあるのかと思いますが、またくずれるという場合もあります。しかしながら、またこちらの意見を申し上げております。意見を申し上げる程度でありまして、現在、表現の自由、編集権というようなものがございますから、そう深く立ち入ることもできないわけです。そういうことで、いまの程度に保たれてきているわけでありまするが、われわれのほうの考えから言いますると、新聞雑誌に適当に皇室のあり方を国民に知らしていただくということは、これはまた皇室国民の親しさを増していくことでありまして、これは決してマイナスではないので、プラスの面が多いと思いますが、しかし、扱い方が悪いと、これはまた別の、いやな印象国民に与えて、変な結びつきになっても感心いたしませんし、そこらあたり国民良識に訴えてということで、われわれも努力をいたしておるつもりでございます。いま先生が提示されましたこの週刊誌については比較的問題が多いので、電話をかけて意見を言うことの多い雑誌でございますが、全部が全部そうとは限らないのであります。
  13. 横川正市

    横川正市君 実は私は、国民天皇家接触についてのいろいろな行事その他を経験をし、それに対して考え方を持っているのと、それから一面がらりと変わって、週刊誌がおもでありますけれども、その取り扱いのくだけ方といいますか、それには、あまりにも開きがあり過ぎて、ほんとうの健康な意味での国民との接触というのが全く阻害されているのじゃないか。小学校の子供たち天皇家の話を聞いて出た答え新聞世論調査に出ております。これはごらんになったと思うのでありますけれども接触がない結果として、出てくる答えというものが非常に大きいのです。六〇数%というものがそういう形になっているわけです。私は、いろいろな意味で、このことは、それぞれ一人一人考え方が違うわけでありますから、違うごとに全部どう対応するかということは不可能なことでありますけれども平均的に全体に象徴としての天皇家国民との間というものをもっと健康的に親しさを持たしめるような、そういうことがあってしかるべきじゃないだろうか、こう思いまして、この問題ちょっと質問をいたしたわけであります。どういう方法があるかと言われても、ちょっと私どもも思い当たることはございませんけれども、この点はひとつ宮内庁自身で検討していただけたら幸いだと、かように思います。お答えあればお答えいただいて、私の質問は終わります。
  14. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いま横川先生のおっしゃいましたその点は、われわれも宮内庁につとめて仕事をしている際に常に考えておることでございまして、いろいろの行事をやります際に、以前はこうやっていたが、このとおりでいいだろうか、特に国民との接触国民との親しさを増していかれるというような点で、さらにくふうをすべき点がないだろうかということは常に考えておるつもりでございますが、今後もなお一そう十分ひとつ考えてまいりたいと思っております。
  15. 沢田実

    沢田実君 時間の都合もございますので、要点だけお尋ねをいたしたいと思いますが、東京大気汚染というものは、御承知のとおり、たいへんな状況でございますが、皇居内の大気汚染について、その汚染度を測定されるというようなことが行なわれでいるかどうか。行なわれているとすれば、亜硫酸ガスでどの辺までの汚染度で、いわゆる都内とはどのくらいの違いがあるか等についてお尋ねをしたいと思います。
  16. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居内につきましても、大気汚染について調査をいたしております。宮内庁衛生監というのがありまして、環境衛生のほうの担当でありますが、そのほうでやっておりますが、三、四年前から特にまた厚生省のほうの協力を得まして、機械を備えてやっております。その結果は、大気汚染程度は、要するに、あそこは千代田区でありますが、千代田区の汚染程度を幾らか下回ったところだということで、千代田区というのは東京都全体から見ますると、あまり空気のきれいなところじゃございません。千代田区ですとか、それから台東区ですとか、大田区とか、そういうのは悪いほうに入っているわけですけれども皇居内は千代田区の平均よりは、やはり堀をめぐらしていて、木もありますから、その奥のほうですから、その奥のほうへ入りますと比較的よろしいけれども、しかしながら、それにしても、たとえば文京あたりに比較したら、それよりも悪いのであります。いま数字をうろ覚えでありますが、亜硫酸ガス関係はたしか〇・〇五PPMでしたか、平均その程度であります。東京都庁あたりへ行きますと、それよりもずっと悪くて、たしか〇・一くらいいっておったと思います。文京あたりへ行きますと、たしか〇・〇三か四くらいで、〇・〇五よりももっと低いのでございます。結局、どうもそういう関係を見ますと、必ずしも空気はきれいだとは申されません。しかし、そういう関係もありますので、陛下のお住まいになっております吹上御所、それから行事の行われます新しい宮殿、これは空気浄化施設をいたしておりまして、中の空気はきれいになっておるのでございます。
  17. 沢田実

    沢田実君 それから用水については、皇居内のいわゆる用水ですが、あれは都市水道とは違うものをお用いになっていらっしゃるわけですか。
  18. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 都市水道と、それからあの中で井戸を掘りまして、そこからの水も使っておる。両方あわせて使ってあります。
  19. 沢田実

    沢田実君 地下水も、建物の関係で非常に低下をしたりなんかしているのですが、その辺の水の問題については問題ございませんか。
  20. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 地下水は確かに低下いたしております。そういう関係上、新宮殿をつくる際にいろいろ掘さくしまして、差しつかえない地下水を見つけまして、その部分から多量に水を汲み上げております。
  21. 沢田実

    沢田実君 お堀の水もたいへんきたなくなっているようですが、浄化するかなんかの方法をお考えになるような御計画はございませんか。
  22. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) お堀の水の皆さんの目に触れますところは厚生省の所管になっておるわけでありますが、厚生省でもある程度考えになってはいますけれども、そう完全とはいっていないと思います。
  23. 沢田実

    沢田実君 次は、下田御用邸の問題ですが、いままで沼津にありましたものを下田のほうに引っ越されたように承っておりますけれども、どういう理由でお引っ越しになったのか。あるいはまた、下田のほうの御用邸の規模といいますか、また建設の進捗状態等を承りたいと思います。
  24. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この下田御用邸を設けますようになった理由でありまするが、いまおっしゃいましたように、静岡県の沼津御用邸がありました。なお、近くでは神奈川県の葉山にも御用邸が、これは現在もございますが、そのうちの沼津御用邸は、あの付近が開発をされ、海の水がだいぶきたなくなってまいりまして、海水浴等には向かなくなりますし、それから海岸のほうがだんだん侵食をされてまいりまして、以前は御用邸地先砂場がございましたが、砂場も全然もうなくなって、ようやく岸壁で潮を食いとめるというふうなことで、ずっと侵食をしてきております。そういうようなこともあって、あの沼津御用邸をあまり御利用になることが最近なくなりました。で、海水浴なんかなさる場合には、あすこではどうもなされないというので、たとえば浩宮さまあたりは浜名湖あたりまで最近は行って、浜名湖で海水浴を行なっているというようなことにもなっております。で、まあ、かわりの御用邸考えたほうがいいということが、まず沼津御用邸との関係においても考えられます。  それから葉山の御用邸でありますが、このほうは、東京に近い関係で、あの葉山の付近は非常に最近人出が多くなっております。特に夏場でありますると、もうぎっしり詰まるくらいにたくさんの方が出ておられまして、この海面も、もう人で埋まるようなぐあいになってきております。   〔副主査退席、主査着席〕 で、葉山の御用邸につきましても、夏もお使いになるということはだんだん不適当になってきております。それから葉山の御用邸につきましては、陛下は相模湾の生物の採集をなさる関係は、夏でない冬とか、春、秋、まあ人のあまり行かないとき、持に冬なんか多いわけであります。おいでになりますから、引き続き維持はされますけれども、だんだん将来を考えますと、かわるべき御用邸考えておかなければいけないというようなことがございまして、その関係で、この数年前から、伊豆の海岸地帯がいいのではないか、伊豆の海岸地帯に適当なところがないかということでさがしておりまして、海水浴もできる場所、できれば温泉も引ける場所で、なお陛下の御趣味であるこの生物の採集にもおいでになるのに便利なところというようなところをいろいろと物色してまいりまして、その結果、いま工事中の下田の須崎地区の元三井別邸のありましたところを中心とするところが適当ということで、そこを買収をして、御用邸の工事を始めておるわけであります。  買収いたしましたのは昭和四十三年度でありますが、四十四年度は、そこに御用邸をつくるための敷地の造成、それから道路の建設、道路の造成ですか、そういうようなことをいたしました。それから四十五年から建築にかかりますが、四十五年の新御用邸施設費というのは、予算書に出ております金額の三億二千八百六十二万二千円でありますが、これでこの工事を進めます。でき上がりますのは四十六年の秋になると思います。したがって、四十六年度におきましてもさらに残りの経費をお願いいたしまして、工事を進めていくわけでありまして、残りの経費につきましては、最初は二億円余りと考えておりましたが、物価の値上がりその他で、それはもう少しふえると思いますけれども、いま正確な数字は——さらに来年度予算の要求までに出したいと思っておりますが、来年の秋には、十月一ぱいには完成したいという目途でやっております。
  25. 沢田実

    沢田実君 沼津、葉山のほうは、そういたしますと皇室用を解除するということになりますか。
  26. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 沼津御用邸につきましては、昨年の十一月に皇室用財産を解除いたしまして、現在は皇室用財産ではございません。葉山のほうは、先ほど申しましたように、夏は非常に適当じゃないのですけれども、まだ生物採集をされますためにはよろしい点がございます。それから東京に近いという点もございますので、当分はやはり御用邸としてお使いになるつもりでございます。
  27. 沢田実

    沢田実君 下田のほうに、静岡県警といたしまして、警備のために、予算五千万ぐらいで建物を建築する予定になっているようでございますが、それは宮内庁としては全く関係ないものかどうか。いままで沼津にはそういうものはなかったように思うのですが、特に下田にそういうものをつくるのは一体どういうわけなのか。もし宮内庁のほうでそういう要望をなさったとすれば、その理由等も承りたいと思います。
  28. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その下田御用邸の警察の警備の関係で、側近護衛の関係で、皇宮警察のための建物、それから県警察のための建物ができる予定にはなっておりますが、その敷地は、皇室用財産であるこの用地の一部分を無償で貸与するということになっておりますが、その建物の建設費は、皇宮警察のほうは、これは警察庁のほうの予算ということになりまするし、県警察のほうは県の施設ということで、静岡県のほうの予算というようなことになるのでございまして、予算関係宮内庁とは関係がございませんのです。  では、そういう施設が沼津にはなかったがという点でございますが、まあ、沼津は特に町続きで、近くに警察施設もあったりして、そういう関係上、特にその近くに特別のものはなかったのでございますが、那須のほうの御用邸でありますと、だいぶ町から離れたところにございまして、那須の御用邸につきましては、やはり皇宮警察の施設、県警察の施設がこの御用邸の敷地内にあるわけでありまして、那須とちょっと似た感じのところでございますし、そういう施設が警察の立場から見れば必要と考えられている、したがって、われわれのほうとしても敷地の提供をするというようなことをいたしておるのが実情でございます。
  29. 沢田実

    沢田実君 次は、三里塚の牧場の件ですが、空港のために栃木県のほうへ引っ越されたようですが、そちらのほうの御料牧場の規模とか、その点、お教えいただければと思います。
  30. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 三里塚の御料牧場が栃木県のほうへ移りましたのですが、三里塚にありました下総御料牧場の牧場の面積は四百三十九ヘクタールでございましたが、今度の栃木県の高根沢の御料牧場は二百五十二ヘクタールでございますから、下総に比較いたしますと六割ぐらいで、四割ぐらい面積が減っておるわけでございます。しかし、これは牧場の経営合理化をしていくというようなことで、面積はこれだけでもやれるということで、三里塚の場合と違いますのは、たとえば馬でいいますと、軽種馬、つまり競馬なんかに使いますサラブレッドの馬は飼育いたしません。普通の乗馬と輓馬、このほか、牛、羊、豚、鶏、これは三里塚の場合と大体同じでございます。羊の飼育の頭数は三里塚よりふえますが、まあ大体三里塚と同じでございます。で、この新しい牧場の持つ点は、下総とちょっと距離が幾らか遠いんですけれども、しかし、それでも、上野から急行で行きますと日帰りのできる程度のところでございます。特に日帰りのできる程度のところというのを考えましたのは、毎年、外交団の接伴というものが御料牧場で行なわれております。ことしのは、この新しい高根沢の牧場で、五月の十九、二十日でしたか、そのころ行なわれます。朝、大公使その他外交団のおもな方が出かけられて、この牧場で接伴をするのであります。  で、この新しい牧場につきまして、職員等も以前から見ると減りました。以前の場合ですと、去年の一月ですと百十五人の者が下総におりましたが、現在の牧場では九十一名というように減っておりますが、これも、面積が減ったり、それからサラブレッドをやめたりなにかした関係で減っておるのでありますが、そういう人が新しい牧場に行ってからの生活状況等もわれわれも気にいたしておりましたが、いろいろ聞いてみますると、幸いにしまして、宿舎も新しくなったし、まあ幾らか買いもの等で不便な点もあるけれども、またいい点もあるというので、皆さん不満を持っておられないようでありまして、われわれもこの点は安心をいたしておる次第であります。
  31. 沢田実

    沢田実君 宮内庁の職員のことに関連して若干お尋ねをしたいんですが、時間の関係で私の説明はいたしませんけれども、結論を申し上げますと、一般職じゃなしに特別職にしたらどうかという考え方があるわけですが、御所見を承りたいと思います。
  32. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 現在、特別職の人——侍従、女官等は特別職ですが、その他の職員は一般職の国家公務員であります。で、勤務が特殊な勤務でありますため、もっと特別職の数をふやしたらどうかというふうなことで、たとえば行政管理庁だとか人事院なんかと相談したこともございますが、——しかし、特別職になりますと、採用をする際の採用資格が国家公務員としての場合よりは幾らか自由な裁量の余地が広いものですから、そういう点では、適当な人をとるという場合にとりやすいということもございますが、しかし、また一面、特別職については、一般職の場合に比較しますと、国家公務員法に基づく身分保障等が十分でない点もございます。で、こういう短所もございまするし、なお、先ほど申しました採用の場合のことにつきましても、一般職でも特別の職員については特別の選考任用というのができる道もございますので、そういう道もありまして、実際におつとめしていただく方は、一般職のほうの基準から見ても採用のできる人が、最近——たとえ特別職の侍従、女官にしましても、そういう方でございます。で、ぜひ特別職にしなければいけないということもないように考えて、いまのところは、大部分の者は一般職のままでおるわけであります。
  33. 沢田実

    沢田実君 これは人事院の所管になると思いますので、それ以上お聞きをいたしませんけれども、立法府、司法府の職員がみんな特別職だというようなことで、仕事の性質上、全員特別職にしたらどうかという意見もありますので、また御一考をいただきたいと思います。  最後に、時間が過ぎてしまいましたので、もう一点だけお尋ねしたいわけですが、宮内庁の職員の平均年齢というのは、他の省よりも非常に高くなっております。私は、何かの方法でもって、その辺に根本的な、何といいますか、若い人たちが希望を持って働けるような職場に変える必要があるんじゃないかというようなことを考えるわけですが、お考えがございましたら、承りたいと思います。
  34. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまおっしゃいますように、宮内庁の職員の平均年齢は一般の公務員よりは高いのでありまして、ここに表がありますが、昭和四十四年四月一日現在、国家公務員全体では平均年齢が三十八・五歳、宮内庁の職員のほうは四十二・四歳と、約四歳、四年高いわけでございます。これは、宮内庁の職員は、大体あそこへ入りますと、ずっとあそこでつとめている人が多いわけです。一部他の役所との交流はございますけれども。それで、なれた人で、元気な人は長くつとめているというようになっております。しかも、あそこの職員につきましては、やめてから他に転職をする場合に、なかなか、ちょっと転職先というのもそうたくさんはないのでありまして、まあ経済官庁なんかですと、会社なんかへも行かれるようでありますけれども、そういうような転職をするのにふさわしいことを勤務中にずっとやってきているとも限らないわけでありまして、まあ、やめた方で他に行っておられる方は、社会事業関係の赤十字社のほうへ行かれるとか、あるいはその他の社会事業団体のほうへ行って世話をするとか、あるいは明治神宮あたりの職員になるとか、そういうような人はいますけれども、会社方面には普通なかなか行かないわけでありまして、そういうような関係で、元気な間には普通の役所よりは長くつとめているということになっておりますので、したがって、平均年齢も高くなっているわけでございます。
  35. 沢田実

    沢田実君 時間の都合で、ほんとうに飛び飛びになりましたが、私どもは、新しい憲法下において、国民ほんとう象徴として尊敬する陛下のあり方というものを考えた上での考え方でございます。宮内庁の皆さまのお考えによって、また国民から天皇陛下が離れられるような、離されるような危険がありますと、非常に問題だろうと思いますので、若干質問をいたした次第でございます。その点、お含みいただくことを希望いたしまして質問を終わります。
  36. 片山武夫

    片山武夫君 私は、宮内庁所管の、特に京都事務所、この関係について二、三御質問をしたいと思うんですが、京都事務所の現在定員は四課九十六名、非常勤六名。これはたしか四十四年十月ごろの定員だと思いますけれども、これはたしか、総定員法によって五%削減、こういう各省庁の方針があったはずでありますけれども、その影響があったと思いますが、これは済んだあとの定員であるか、まだ、これから削減が行なわれるのか、その辺のところを少し詳細に御報告願いたいと思います。
  37. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 京都事務所の職員につきましては、五%削減の関係につきましては、四十四年度に京都事務所の職員が一名増員になるというふうになっていたのが、結局、差引き増員にならなくて、それで九十人となったままであります。四十五年度には、宮内庁全体では二十三名さらに減員になりますが、京都事務所のほうは減員はないのであります。そのままというふうに考えております。
  38. 片山武夫

    片山武夫君 それで、続いてお尋ねしたいんですが、非常勤六名、これは非常勤はないことになっておるわけでありますが、この取り扱いを今後どうなさるおつもりですか。
  39. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 非常勤は、特に万博の期間中、外国人の客が、御所ですとか、離宮の参観に来られる人が相当多いという見込みで、そういう関係上、語学のできる人を非常勤として四十五年度限り採用するということを認められて、それが予算上に載っておるのでございます。
  40. 片山武夫

    片山武夫君 十月現在の組織の表を見ますと、各係にそれぞれ一、二名ずつ配属されておるようになっております、この非常勤ですね。具体的に申し上げますと、庭園係長、庭園係ですか、これが二名、参観係一名、監査係一名、庶務係二名、こういったような形で配属されておりますけれども、いまの御答弁とはちょっと食い違うような気がいたしますけれども、これは定員外であろうと思いますが、いかがでございましょうか。
  41. 福留守

    説明員(福留守君) お答えいたしますが、ただいま先生のおっしゃいました六名というのは確かに常勤的なものがおりまして、先ほど次長のお答えしました分につきましては、万博関係につきまして、これは当然本年度限りでございますけれども、九人ばかり臨時に雇うことになっております。
  42. 片山武夫

    片山武夫君 そうすると、この六名以外に万博対策のために九名ほど増員をしたと、こういうことでございますね。
  43. 福留守

    説明員(福留守君) さようでございます。
  44. 片山武夫

    片山武夫君 これはあとで申し上げますが、京都事務所の所管の皇室用財産、これは非常に広範な数と土地にまたがっておりますが、具体的に、京都御所あるいは桂離宮、修学院離宮、いろいろございますけれども、その個所ごとのいわゆる管理の人員ですね。これを具体的にちょっとお知らせ願いたいと思います。
  45. 福留守

    説明員(福留守君) 京都事務所全体といたしまして、管理課職員が二十六名、課長以下おるわけでございますが、このうち、特に現場に出ておりますのは、監守係というのが京都御所関係七名でございます。それから大宮御所関係で二名でございます。それから桂離宮関係で三名でございます。それから修学院離宮関係で四名でございます。それからほかに参観係というのがございまして、桂離宮に一名、それから京都御所に二名ということでございまして、京都事務所の本庁のほうには、その他の職員、なお先ほどの非常勤の六名中の二名が参観係につとめております。
  46. 片山武夫

    片山武夫君 個所数も非常に多いし、広範な土地、これを管理される人員としては、実は少し少ないような気がするわけですけれども現状これで差しつかえなく管理がされているかどうか、その辺の事情をちょっと御説明願いたいと思うんです。
  47. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この管理要員、御案内する係員の数の関係、これは手一ぱいだと思います。で、よく予算の要求の際には、増員の要求を何名か宮内庁から出す場合には、京都御所の関係のもいつも出すわけで、ことしも出しておりますが、しかし実際は、行政管理庁、大蔵省のほうでどうしても通らないでおるわけであります。そういうこともあって、先ほどちょっと申し上げましたが、行政整理の例の五%減の場合も、京都だけは減らさないというふうにやっているというのが実情でございまして、何とかやってもらっているというふうに思っておりますが、相当忙しいということは承知いたしております。
  48. 片山武夫

    片山武夫君 最近、国民の間にもいろいろこういう文化的な思想が高まってきて、参観者が非常に多いと聞いているんです。話に聞くと、何か二カ月か三カ月ころ前に申し込まないとどうも参観できない、こういったような実情があると聞いておりますけれども、その辺の事情はどうでしょうか。大体京都へ行くのに三カ月先の予定を組んでいくというようなこともなかなかできかねると思うんですが、そういう点の事情はどうなっておりますか。
  49. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 特に柱離宮、修学院離宮の参観のことであると思います。京都御所につきましての参観は、これはそうむずかしくございません。柱離宮、修学院離宮ですと、いままで一日二百人という定員をきめまして、その範囲内で許可をいたしておりまして、そういう関係で、あるいは三月ぐらい前に許可願いを出さないとなかなか許可にならないというような事情があることも聞いておりますが、しかし、日によりましては、そう三月前でなくとも、一月ぐらい前でも可能な場合もございます。そういうような関係で、いまおっしゃいましたように、柱離宮、修学院離宮についての参観の希望者が非常に多いために、相当早めにその申し込みをなさいませんと、先着順の関係上、許可がおりるのがむずかしいという実情にあるのは承知いたしております。そういうこともありまして、この万博期間中につきましては、特にいろいろ外国人もございましょうが、日本人の方もたくさん行かれるだろうということで、特別にその定員をふやして、見ていただけるようにしようというので臨時の非常勤なんかを認めてもらったりして、でまあ幾らかふやしているわけでございます。
  50. 片山武夫

    片山武夫君 続いてお尋ねしようと思っていたんですが、いまちょうど、ことしは万博の年でもありまして、外国から相当参観者が多いのではないか、そういう点も懸念されるわけでありますけれども、いまのお話ですと、柱離宮あるいは修学院離宮ですか、これは非常に参観者が多い。これは現状このままでいいのかどうか、何か今後対策をお持ちなのか、もう少し自由に見られるような状態にできないものかというふうに思うんですが、これは、御承知のように、特に皇室の財産でもありますし、国民皇室の接点にもなっている、そういう意味で、あまり窮屈な形にしておきますと、やはり、先ほども指摘されましたように、皇室国民の間が離反するというような傾向も生まれるし、そういう意味において、こういう文化を通じての接点として非常に私は重要だと思う。そういう意味で、何か改善の方法を具体的にお持ちになっているかどうか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
  51. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この柱離宮、修学院離宮については、現在の定員ですと、なかなか希望者の方が多いために、ごらんいただけない方が相当ある点は、われわれも何とかできればということは考えないわけではありませんが、また反面、こうしたところの参観の方があまり多いと、そこが損傷していたむ、荒れるという点がございますので、そういう文化財の保持を強く考える学者あたりからは、また、あまり人をふやしてはかえってせっかくの名園が荒れてしまってはいかぬからという御意見もございます。したがって、数をふやし、参観の人の数をふやすというほうがいいという点も考えられる一面、また、そこを荒らしてしまってはいけないというような点もあって、なかなかむずかしい点がございますが、しかし、万博の機会には、数でいいますと、柱離宮は、平生一日二百人だったところを三百五十人と、一日百五十人ふやしていく。それから修学院は、平生二百人であったところを四百人と、倍にふやしていくというようなことの実施を現在やっておるわけでありますが、まあそういうような模様を見ながら、さらに将来どういうふうに考えるか、万博期間が終ったあと、前のとおりにするか、あるいはもう少しふやすことを考えるか、ということを検討さしていただきたいと思います。
  52. 片山武夫

    片山武夫君 最後に、先ほど、いわゆる外国人の参観、これについての御意見が出ておりますが、これは特に何か便宜をはかられるような処置をとられておるのかどうか、この点が一点です。相当数が多いんじゃないかと思いますけれども、それについて具体的な策がありましたらお伺いしたいと思います。同時に、先ほども申し上げましたように、これは皇室国民一つの接点の場として、やはり多くの人に接する機会を与えるということのほうがいいんではないかと思いますが、いま言いましたように、二カ月、三カ月もたたなければどうも参観もできない、こういうようなのが何か悪く勘ぐられることもあり得ると思いますので、その点は、宮内庁として十分に予算化とともに充実していただいて、なるべく自由に見られるような対策を今後十分講じていただきたい、こういうことを特に希望いたしまして、質問を終わります。
  53. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 外人の関係は、たとえば外人だけを御案内するという会を設けまして、そういう関係上、万博あたりに来られた方というのは、そんなに早くからなかなか許可の願いを出せないわけですから、数の範囲内ですと、そう早目に願い出ておられなかった方も見られるというふうにしております。そういう関係上、桂百五十人、修学院で二百人ふやした。これは外人関係が主でありますが、そういう点で一応まかなえるというような現状でございます。それからなお、一般の方に対しましての参観の関係がどうも窮屈な点もありますので、現在、春と秋、二回にわたりまして一般公開というのをいたしております。これは、日を限ってありますけれども、この機会ですと、そう早目に許可を願い出られなくてもよろしいというときを、春と秋と一週間くらいずつを設けて、そういう時期をつくっております。
  54. 八田一朗

    主査(八田一朗君) ほかに御発言がなければ、皇室に関する質疑は終了したものと認めます。     —————————————
  55. 八田一朗

    主査(八田一朗君) 次に、昭和四十五年度総予算中、国会所管を議題といたします。  事務局側からの説明は、これを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 八田一朗

    主査(八田一朗君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 図書館関係について質問いたします。  最初に、ちょうど四年前ですか、昭和四十一年の予算分科会で、私は、滞貨図書の整理、それと、明治期の刊行図書目録というのですか、この作成について河野館長に質問したわけです。その際に、今後人手の不足あるいは大口寄贈等で滞貨が生まれるであろうから、非常勤職員ということではなくて、正職員を採用して、また、整理も簡略ではなく、五カ年計画ということにとらわれずに行なうようにされたい、また、明治期の刊行図書目録についても、きちんと予算を取って、よいものをつくるよう努力されたいと要請したわけですが、その後、今日まで四年間経過しておりますが、現状はどうなっておるかを、まず伺いたいわけです。
  58. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 四十一年に、ただいま木村先生から要約してお述べになりましたような御質問がございまして、その御意向をできるだけ私どもといたしましては指針といたしまして、過去四年間やってまいりまして、滞貨整理につきましては本年度で第五年度に入りました。それから明治期のものにつきましては、これは当初から八カ年計画でございます。そこで、明治期のものについては、いまちょうどその半ばであるという状態でございますので、まず、これらにつきまして結論的に申し上げますと、滞貨整理につきましてもほぼ予定どおりにまいっておりまして、本年度の進行ぐあいをよく勘案いたしまして、幾らか残っているものをルーティンの整理事務の中に流して処理し得るか、あるいはさらに、やはり特別な滞貨処理事務として特定して、これを従来の体制のまま継続する必要があるかを、明年度の予算要求の段階までに決定いたしたいと思っておりますが、私どもといたしましては、この滞貨整理というものは非常に大事なことでございますから、無理に、五年度でこれを無理やりに仕上げるというつもりはございませんので、必要があります場合においては、これを明年度——あるいは一、二年少なくともこれを延ばしてでも滞貨整理を処理いたしたいと思っております。それから明治期刊行図書所蔵目録につきましては、この前先生にお答え申し上げましたが、四十四年度からこの所蔵目録の第一冊を刊行する予定でございましたが、結局一年おくれまして、本年度から第一冊を刊行する計画になりまして、いまのところ総タイトル数が十二万タイトルでございますので、これをやはり三万タイトル、四分冊にいたしまして、さらに索引一巻をつけまして、この五冊を四十五年度から四十八年度までに完了いたしたい、そうして四十五年度においては、ヒューマニティーズ関係のものでありますが、これを刊行する予算も本年度の予算に計上いたしまして御審議いただいておるわけでございます。したがいまして、ほぼ予定どおりいくんじゃないか。  それから、これに従事する職員につきましても、その事柄の性質上、私どもとしては、非常勤及び賃金形態の職員を臨時のものとして採用しておったのでありますが、これはもともと臨時の仕事であるということと、それから図書館とか、それから書籍についてのかなり高度の知識を持っている中高年の専門家を、あるいは他の図書館を退職したとか、そういう中高年の専門家を活用したいという方向だったものであります。その方針に基づきまして従来やっておりまして、しかし、この責任はあくまで正規の職員がこれを負い、その指導監督のもとに非常勤職員を利用してやってまいっている、こういうような状態でございます。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 御承知のように、当時滞貨問題というのはずいぶん新聞でも指摘されて問題になったわけですが、そこで、四年目にしてまだこれが最終的処理ができてないというお話なんですが、それと、この関係では、人員増がないんですね。定員増がないんですね。やはり非常勤とかアルバイトを使っておる。もちろん、正規の職員がその衝には当たるけれどもというお話ですけれども、私はあまり図書館のことは知らぬけれども、私の娘が慶応図書館にいっておりまして、聞きますと、相当専門的な知識が要るんだそうですね。試験がありまして、図書館の司書になりますのは。したがって、やはり正職員を養成されまして、それで整理を急がれる——まあ拙速じゃいけませんけれども、やはりこれは、だんだんあとでまた質問してまいりますけれども、結局、予算との関係になってくると思うのですよ、定員増なりその他が。予算との関係では私も一つ意見があるのですけれどもあとでまた質問いたしたいのですけれども、ほぼ計画どおりというお話ですけれども、どうもわれわれから見ると、計画どおりではない。要望されていることが十分実現しておらない。  それから、本年度から明治期の刊行図書目録の第一分冊ですね。これはいつごろ出るんでしょうね。
  60. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 大体今年度の後半になると思っております。  それからなお、ちょっと申し落としましたけれども、ここ数年と申しますか、この前私が木村先生にお答え申し上げましてから、大規模の、すなわち大口寄贈というものがなかったもんでございますから、その点で、その他の整理はルーティン化されているということをあわせて申し上げておきます。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで、今後の見通しはどうなんですか。その滞化書籍の整理、大体の見通しは。
  62. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) まあ、いままでのところは、この滞貨整理は、そういうわけでありますから、今明年度には軌道に乗る、そうしますと、それ以外の年々のカレントな図書の整理というものは、これは大体順調にいくという見通しでございますが、今後ますます図書の流入数量というものがふえてまいりますし、仰せのとおり、図書の整理というものは専門的な技術を要します。図書館業務の、あるいは図書館活動の基礎でございますから、これはぜひ第一にその能力を充実していかなければならぬと考えております。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に伺いますが、国立国会図書館の機能、業務、これは新憲法下の議会の一つの重要な要素になって、アメリカからこういう制度が輸入されたわけですけれども国民は国会図書館の機能なり業務のあり方については非常に注目しているわけですけれども、その期待も大きいわけですけれども、最近、コンピューターの導入を計画していると伝えられているのですけれども、これは新聞等にもいろいろ出ておりましたが、コンピューター導入関係の四十五年度予算要求と、それから大蔵省の査定はどういうふうになりましたか。
  64. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいまコンピューターの問題についてお尋ねがございましたが、その前に、先生も仰せられたとおり、私どもといたしましては、国立国会図書館の目的というものが国立国会図書館法によっても確立しており、その目的を果たす機能というものも、おのずから確立しておる。その機能を一そう充実するために、ますます資料が多くなるわけでありますから、その機能を果たすために、職員の充実——これは質、量の充実をはかるとともに、一そうその機能、あるいは能率、その機能の能率を増進するために、できるだけ機械化すべきものは機械化しようということで、ここ数年来研究を重ねてまいりましたが、昭和四十五年度の大蔵省への予算要求におきましても、その機械化の予算を概算要求をいたしまして、その当初の要求は一億ちょっとでございます。それに対しまして、ただいま御審議中の概算要求においては、六千七百万円が計上されておる次第でございます。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省のほうの方、来ておられますか。この要求、一億ちょっと、一億三千万ぐらいですか。それを大蔵省で六千七百万円に査定したのですね。その経緯をちょっと説明してください。
  66. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) こまかいことを省略いたしまして、まず、使用の機械がどのくらいの容量でしかるべきかということにつきまして、国会図書館の事務局側といろいろ一緒に検討いたしました結果、当初は二台という御要求が出たのであります。一三一KBと三二KB、これをこまかに線表を洗いまして事務量を算定いたしますと、六五KBの容量があれば十分であるという話し合いになりましたので、その関係が大きく出ているわけでございまして、当初の計画から業務量がずれるということなしにいけるのじゃないかというふうに考えております。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ、国会図書館のほうは当初約一億三千万円要求したけれども、六千七百万円に査定された。それで当初計画を立てたわけですけれども、それでいいんですか。
  68. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいま金光主計官から申し上げましたとおり、私どもといたしましては、その使用コンピューターの本体が一三一キロバイトの容量のもので、それに基づいて、最初から、ここ一、二年のうちに端末機器の操作によるいわゆるオンラインの仕事までもやるというような計画だったのでありますが、そのオンラインのほうの仕事はここ二、三年延ばして、館内中心のプログラムに重点を置くので間に合うのじゃないか、どうせこのコンピュターは逐年すばらしく発展しておりますから、しかもレンタルでございますから、ここ二、三年後には、さらに必要があれば、大きな容量のものにかえることができるわけでありますから、そういう意味で、私どもといたしましても、当初の計画は本来の業務に関する限りは六五キロバイトのものでやれるという見通しがつきましたので、六五キロバイトの導入ということに変えたわけでございます。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですか。それじゃ、当初計画を変えたわけですね。
  70. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 当初要求を引っ込めたんでございます。長い間の大蔵省との折衝がございますから、その間に、この六十五キロバイトでも当方としてもやれる、異存はない、ということで話し合いがついたんでございます。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはまたあと質問をいたしますが、そういう国会の予算要求と査定の問題は、図書館——これはまあ、具体的には図書館の問題として出てきているんですけれども、要求を引っ込めたと言うんなら、これはまたあれですけれども、とにかく要求を打ち切られたというような場合、図書館がどうしても必要であるというのに大蔵省の査定で打ち切られた場合は、これは財政法から言っても、これは要求する権限はあるんですからね、それがいれられるかどうか知りませんけれども。やはり一回も国会でそういうことはしたことがないと思うのですがね、大蔵省に。しかし、財政法のたてまえから言うと、三権分立のたてまえからいけば、やはり自主的に要求する権限は与えられているんですから、このことはいままで一回もそういうことはされてないと思うのですけれども、いまお話を聞くと、話し合いでこっちの要求を取り下げたと言うんならあれですけれども、まだ国会でもそういう問題がありますから、あとで伺いますが、業務機械化準備室というのがあるそうですが、それによると、コンピューター導入十カ年計画というものがあるそうですが、それはどういう計画なんですか。
  72. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 先ほど申しましたとおり、私どもの基本的な態度といたしましては、国立国会図書館の目的を実現するための機能を一そう合理化するために、特に中央図書館の立場としてはその業務を機械化しなきゃならない、しかも、図書館業務というものは一体的になっているものでありますから、それを機械化すると図書館業務の全般に及ぶであろう、しかし、このような機械化ということは、一挙にこれを実現するということはやはり望むべくもないし、混乱も生ずる、そういうことで、ほぼ機械化し得る作業を機械化するためには相当な年月を必要とする、しかも、それはやりやすいものからやっいかなきゃならない、そこで、長期の計画を立てまして、ほぼ十カ年で大幅な機械化を実現しよう、そのうち、これを第一期と第二期に分けまして、第一期の五カ年計画においては、そのうちのやりやすいものからやる、その第一期計画の初年度がこの四十五年度から開始するということでありまして、四十五年度の開始業務につきましては、従来四十年度から、これも大蔵省から予算をもらいまして、数百万円ずつでありますけれども、実験に実験を重ねてまいりましたものを実施に踏み切るということでございます。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四十五年度から実施に踏み切る前提として、研究実験のために四十四年度は予算がついているように伺っていますが、六百八十万円ですか……。
  74. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 四十年度からついておるんでございます。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四十年度からずっと……。
  76. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) すでに四か五年間、長い間研究を重ねてきたんでございます。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、どういう研究をやられ、その結果はどうなっているんですか。
  78. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 四十年度から当館に業務機械化調査会というものを設けまして、それから四十三年度からはさらに業務機械化推進本部という形を設けまして、館内の機械化へ向かう体制というものをつくり上げてまいったのでありますが、機械化の導入に際しましての一番大事なことは、何と申しましても、館内の職員が機械化の方向への理解と熱意を示すことでありまして、そういう理解が十分なしには、やはり機械化についての不安、抵抗感というものがあるものでございますから、そういうようなものをできるだけ排除するために、こういういろいろな組織、全館的な組織で、できるだけ広く職員の理解、支持というものを得たい、また、あらゆる機会をとらえまして、この研修講習等に参加させる、それからいままで、やりやすいいろいろな書誌目録も、これも外部に発注いたしまして、いろいろなものを毎年つくっているわけでございます。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四十年度から予算がついて、共同研究グループというものを設けて、いろいろ研究されたようですけれども、この中でシソーラスというのがあるんですね。これはぼくは資料で、慶応の先生が何かこれについて——これは非常に専門的で、ぼくはよくわからんですが、浜田敏郎という人の「情報管理におけるシソーラスの作成について」という、こういう論文が出ているのですね。慶応大学文学部図書館情報学科ですか。私はあまりよく具体的に知りませんですがね。これはいままでの図書館のような分類法と何か非常に違うようでして、どうもようわからんですが、これを全分野にわたって作成するのはたいへんな仕事のように聞いているわけですけれどもね。これをどういうふうに進めていくのか、それから四十五年度内に印刷刊行する予算がついているようですが、はたして可能なのかどうか、大体シソーラスというのは具体的にはどういうことなのか、ちょっと、しろうとにわかるように説明してください。
  80. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 私も、どうも木村先生を前にして専門家ぶって申し上げるのは非常に恐縮でございますけれども、シソーラスというのは、いわゆるコンピューターを処理するために必要なキーワーズというようなものが必要なんで、そういう用語の字引きなんでございますね。そこで、シソーラスは、それぞれの分野において必要なシソーラスがある、図書館には図書館に必要なそういうシソーラス、件名の辞書をつくらなければならない。これはそれぞれの分野によって違いますので、そういうシソーラス、それで、調査局で使うシソーラスと、それからたとえば参考書誌部で使うシソーラスとも違うだろう。その基礎には、相当広範な使用漢字の頻度調査というようなものを基礎にしなければなりませんし、それからそのシソーラスも、したがってある特定部局だけのシソーラスでは片寄りますので、いま木村先生よく御存じでおそれ入りましたが、共同研究グループ、いわゆるプロジェクトチーム——各部局からその関係者を集めましたプロジェクトチーム、そういうプロジェクトチームをたくさんつくっているのでございます。それによって縦割りの組織を横に活用しようという、そういうプロジェクトチームの一つとしての共同研究グループと言っておりますが、そのうちでそういう件名あるいはコンピューター用の辞書を作成する、それがコンピューター化の基礎作業の一つとしてやっておるわけでありまして、これは小規模のもの、それから一そうさらに完成させなければならない、その程度がございますから、本年度におきましてできたものについて、これをやはり刊行したいと考えております。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この共同研究グループというのは、いろいろな部門に分かれてやっておるようですが、これは一応まとめられて資料みたいにしていただけるのですかな。
  82. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) この共同研究グループの作業は、もちろんすべて今後の図書館活動の基礎と参考になるものでございますから、お役に立てば喜んで差し上げることにいたします。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 本来、国会のほうで、たとえばぼくは庶務小委員じゃないですけれども、こういうものをちゃんと成果を踏まえて知っていて——われわれのほうでほんとうは知っていなければなりませんですが、知っていて、せっかくそういういい成果があるんだから、それを踏まえてやらなければいかぬわけですからね、われわれの問題でもありますけれども。そこで、本をさがす場合、件名とシソーラスと、本質的にどう違うかですね。
  84. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 本のさがし方、すなわち本の検索、リトリーバルでございますね。本の検索には、大別して三つの方法があります。著者名から引き出す場合と、それから書名から引き出す場合、それからその次は、件名と申しておりますけれども、この件名というのは、要するに、著者も書名もわからなくても、経済学なら経済学というのが一つの件名になりますので、その経済学という中でカードをつくれば、その中に木村先生の本が入っているとか、こういうことになるわけでありまして、そういう三つの方法から引き出せるわけなんです。そういう従来の図書館技術の基礎の上にその件名で引き出すことを機械化しようというのが、そのシソーラスの考え方でございます。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その次に伺いますが、漢字をコンピューターに乗せることですね。これはまあ相当困難があるんじゃないかと思うのですが、漢字プリンターの開発、生産、これはやっとやり始めたばかりと聞いておるのですが、いまの段階で導入することはどうなんでしょうか。
  86. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 確かに、この漢字ということがわが国のコンピューターの利用を困難ならしめる、アルファベットあるいはかなに比しまして。しかし、この漢字のコンピューター化ということが最近において急速に進んでまいりまして、今度図書館に導入するコンピューターのシステムの中にも漢字処理機が入っておるわけでございます。しかも、私どもといたしましては、ことに国立国会図書館といたしましては、どうしてもこのコンピューターの漢字化ということが必要で、しかも実際進んでおりますから、できるだけその方向に進めたいと思います。お手元に差し上げております国会会議録索引、あれなんかも、コンピューター化すればもっと早くお手元に届けられてお役に立つと思っておりますが、ああいうものにつきましてもコンピューターによる編さんをなるべく早く、もう初年度からこれにとりかかる予定にしておるわけでございます。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは新聞なんかにもだいぶ出ておったのですが、コンピューターをかなり早急に導入して、それがまた使えなかったり、相当不経済なことにおちいっているというようなことも新聞報道の中にありましたが、図書館の場合はどうなんですか。
  88. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 仰せの点につきましては、私どもも最大の配慮をいたしてまいりました。でありますから、先ほど申し上げましたとおり、かねてから、この図書館業務の機械化ということに進むべきだと考えておりましたけれども、四十年度からその調査会を設けたりしまして、いろいろ研究調査をいたしましたのも、早急にコンピューターを導入して、非能率的な使い方をしたくないということで、数年間いろいろこれを外注したりしてならしてまいったのでございますが、当館に設置されております科学技術関係資料整備審議会の委員になっておられる各界の一流の学者たちも、もういまの段階においては、コンピューターを図書館に導入をして、一刻も早くコンピューター化に踏み切るべきだというような激励も受けているわけでありまして、われわれといたしましては、いま先生のおっしゃったことは十分気をつけますけれども、十分今年度はこれはこなせるものと確信しております。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私も、行政の効果を判定するのに、やはりいろいろ問題がありますけれども、PPBSなんかはやはり導入すべきだと思うんです。大蔵省及び経済企画庁を中心にやっておるようですが、これはプログラム・ストラクチャーをどんどんやっておるようです。それに賛成なんです。われわれ国会の側では非常に立ちおくれるんじゃないかという気がしているんです、むしろ。アメリカあたりでは会計検査院なんかもかなり導入して行政効果をあげておる。政府のほう、行政のほうはPPBSをどんどんやっておる。しかし、それがまだ成功はしておりません。地についておりませんが、いろいろ問題はありますけれども、まごまごしたら、国会のほうがどんどんおくれてしまうんじゃないかという気がする。ですから、私は、これから行政のほうのPPBS化に対応して、国会も導入しなければならないので、コンピューターの導入等については、われわれはむしろおそ過ぎるんじゃないかぐらいに思っているのですけれども、しかし、どうしてもそれを導入する過程においては、労働条件に非常に重大な関係が出てくるわけです。ですから、そういう場合には職員組合と——私はどうも産業革命によく似ていると思うんですが、そういう場合に、一どきに高度の機械が入ってくるわけですから、いろいろな問題が起こると思う。ですから、十分に職員組合の方々と話し合いながら、あるいは労働強化の問題とか、あるいは配置転換とか、いろいろ労働条件がいままでより不利になる可能性が出てくると思う。それをよく話し合って、そうでないように、コンピューターを導入したために労働条件が悪くなったというんではなくて、かえってそれは労働条件をよくするように導入しなければならないのですが、そういう点の配慮はどうなんですか。
  90. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 全くその点については、私ども図書館の管理の責任に任ずるものといたしましては、十分御趣旨のとおりの配慮をいたしたいと思っております。私ども考え方といたしましては、図書館には非常に機械的な単調な仕事が、しかも大切な仕事が多いわけでございまして、一例をあげれば、ユニオンカタログの総合目録、非常に何十万タイトルのものを印刷し、それを一々校正するというような骨の折れる作業があるのでございます。そういう作業を機械化することによって、あるいはそういう機械の利用によって、単調な作業にとってかわるということによって、私はむしろ図書館活動の内容を充実し、人間らしい生きがいのある仕事ができ、労働強化になるというようなことはしないように、できるだけ心がけたいと思っております。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 コンピューター導入関係について、五カ年で三十名の増員を計画して、四十五年度はこの計画によって八名増員を要求したそうですが、大蔵省の査定はどうなんですか。
  92. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 仰せのとおり、機械化に際しましては、直接機械の操作に当たるような職員というものが必要となりますので、それは、システムアナリストとか、プログラマーとか、そういう職員につきましては、いままでの実験に従事しておりました専門の職員が七人おりますので、それに対して今年度においては八人さらに要求いたしました。その八人は、形式的にはその増員を一人も認められませんでした。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省、どうして認めなかったんですか。
  94. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 前のことですけれども、図書館を新築いたしましたときに、大体五十名程度ふやさなければ運用がむずかしかろうというような図書館側との話し合いで、初年度四十三年度に二十三名、四十四年度に十四名、四十五年度に十三名程度を目安にして計画を立てたわけでございます。四十四年度まではそのとおりまいりまして、四十五年度はそのテンポでまいりますと十三名の増、それからいまお話のコンピューター関係でさらに八名という要員が必要になってくると、合計二十一名は必要になろうかということでございます。一方、四十五年度に減の要素はなかろうかということを考えてみましたところ、ゼロックス関係の複写を委託にすれば六名減る、それから静嘉堂の文庫が廃止になるので四名、それから機械化をすれば約三十名という減の要素を踏まえまして、ただいまの二十一名の増をプラスマイナスゼロにすれば十分まかなえるんではなかろうかという考え方で、形式上は、副館長が言われましたように、増という要素が立っておりませんけれどもプラスマイナスでまいっているというわけでございます。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、庁仕のあきの定員を埋めたり、それから前の支部の静嘉堂文庫というんですかね、その廃止に伴う四名のあき定、それを埋めて、結局は、ですから定員内でやり繰りをやったということですね。
  96. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 前に申し上げましたとおり、形式的には増員はいたしませんでしたけれども、本来減るべき静嘉堂の支部廃止に伴う四人とか、あるいは従来使用しておりませんでした行(二)の労務職を行(一)への繰り入れを認めていただきまして、実質的には約十名の増員になるのでありますから、これらのうちから機械化に必要な人員を充てることができる、したがって、当面、機械化ということは、館の職員全員がこれに取りかかることでありますけれども、直接に機械の操作に当たる職員についても、そういうような範囲内においてこれをまかなえると考えております。
  97. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうような私は増員、コンピューター導入によって、しかたでいいんですかね。どうもね、私もわからぬものですから、慶応図書館で情報センターつくってどういうふうにやったかと私聞いたんですよ。そうすると、やっぱり非常に専門的なあれが必要でね。プログラマーとか、それはそれで工学部等からとるんだそうですね。そうして、普通の図書館のいままでの図書保存とか閲覧とか、そういう業務、そっちのほうの人もやはりあれはあるそうです、移転、異動はありますけれども、いった場合には必ず補充はとるというんですよ。補充して、こっちは差しつかえないようにしているというんですよ。ですから、コンピューターを導入すれば、新しいそういう専門的な人が必要なんですよ。そういうやりくりでやるような性質のものじゃないと思うんですよ。国会図書館ですよ。もう少しほかの図書館のやり方を見て、どんどんほかのも進んできていると思うんですよ。
  98. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 私が不十分に申し上げましたから誤解があると思いますが、それは、定員の形と実質とは、これ、区別していただかなきゃなりませんので、コンピューターに従事するためには、あるいはプログラマー、システムアナリストには、それぞれ専門的な知識経験を必要とする、しかも、それはどちらかといえば、何も必ずしも社会科学あるいは人文科学の者が不適当だとは申しませんけれども、自然科学出身者が適している、あるいはそれが必要なことは、これは言うまでもございませんけれども、私どもは、図書館といえば人文科学系統の者が集まり過ぎておりますけれども、ここ数年来、極力困難な事情にもかかわらず、自然科学出身者を集める努力をしてまいりまして、現在においては二十名をこえております。これらの者をこれらの方向に配置あるいは従事させているわけでありまして、他の行(二)から来た新人をすぐ充てると、こういうことでございませんので、私が前に申し上げましたのは、定員の形式上のやりくりということでございます。したがいまして、この機械化の問題で、専門的な知識を、専門家を必要とするということについては当然でありますし、ほかの図書館については、そういう点についてのそういう理解には私は劣ってないと考えております。
  99. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もちろん、分野が違うわけですからね。そういう機械をやるといってもできないのですけれども、それにしても業務が相当ふえてくるでしょうし、また、新館ができましたね、その後に。ですから、定員がちっともふえないというのは、どうも私は、あんまり何か消極的なように思うのですけれどもね。あるいはまた、この庁仕のあき定員なんか、これは、聞くところによると、清掃業務を業者に下請させるということによってあくとか、何か非常に、こそくのように思うのですけれども、どうなんですか、もう少し積極的に……。
  100. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) どうも、表現によっては非常にこそくに見えるのでございますが、人一人でも定員をふやすということは非常に大事なことでございますし、それから、たとえば清掃業務は従来用務員によってすべてやらせていた。ところが、その清掃業務を、他に専門の能率のいい清掃会社ができましたので、その清掃会社に下請させる、そうすると、ここに行(二)の定員のあきができる。これは、したがって落とされてもしようがないのでございますけれども、これを行(一)の定員に活用するということで、先生非常によく御承知ですから、何か手続がこそくのように見えるかもしれませんけれども、それは形だけでございまして、人は、人の内容は、その方面に向いたりっぱな職員を試験採用で全部とるわけでございます。
  101. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 要するに、四十五年度はまあ定員増なしであったということなんですけれども、今後どうなんですか。五カ年で三十名の増員要求ということだったのですが、認められなかったと。四十六年度以降もそのままでいいんですか、どうですか。
  102. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) この点は、私は非常にありがたい御質問をいただいたと思っております。業務の機械化というものは、大局的に見れば人力を省く要素というものは限りなく大きい。しかし、その重点というものは、いままでの人力でできなかった面を、これを機械化するという点に、この点に基本的な方向があるわけで、さしあたり機械を処理するためには相当な人員を必要とするということは、これはいなむことのできない事実で、この事実を否定するから私は当初の機械の導入がうまくいかないという現象があると思っておるのであります。四十五年度においては幸いこの点が解決、いま申し上げましたように、つきましたけれども、今後においては、この機械の導入にあたっては、むしろ直接に私は増員の要素があるというように考えておりますので、今後ともひとつよろしくお願いいたします。
  103. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省はどうなんですか。問題は大蔵省ですよ。
  104. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 新しく機械を入れるという場合は、当然機械だけではもたないと思います。従来やっているハンドライティングのものを機械化しようということは、当然効率がよくなければいけない。減員の要素があることは当然だと思います。ただ、したがいまして、先ほど申しましたような四十五年度増員のプラスマイナスゼロの経緯になっておるわけでございますけれども、国会図書館の機械化の問題につきましては、これは非常に重要な問題でございます。すべての先駆にならなければならないし、すべての模範にならなければならない。先生御指摘のように、しくじってはならない。そのために、かなり慎重に扱ってまいる。副館長みずから研究されたというような経緯もございますし、人が足りなかったから、しくじったということでは、非常に問題があろうかと思います。かといって、一方、政府機関関係は、御承知のように、五%の削減をやっておりますし、副館長も申されますように、人一人も慎重にやっております。国会関係も模範を示していただくわけでございますが、政府機関関係の電子計算機を導入する場合の例を考えますと、現在従事しているこれこれの方は、こういう仕事が、電子計算機が入ればそれだけ人員がプラス・マイナス減るであろうということから、先ほど三十名ということも申し上げましたが、なおやってみて、どのようなことになるのか、その推移も見まして、また国会図書館、特殊なケースも出ようかと思いますので、具体的な御要求に応じまして慎重に検討させていただきたい、かように思います。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これには重要な二つの問題を含んでいると思うのですが、一つは、四十五年度はさっきのような話で一応まかないをつけたわけですけれども、しかし、これは新しい分野の開拓ですから、普通の労働力不足による合理化の問題とは違うんですから、だから、これを導入することによるいわゆる省力投資と違うんだな。労働力を省くための機械化、合理化と違うわけです。これは新しい分野を開拓するんでしょう、図書館業務の。だから、どうしてもそういう専門的な人が必要ですよ。その点を大蔵省は頭を向けておいといていただきませんと、国会図書館の問題はわれわれの問題でもあるんですよ、議員なんかの活動に。そのことは、みな国民に、民主的政治をよりよくするための努力の一つなんですから、そういう意味で、やはり一応四十五年度はそういうやりくりでまかなったとしても、それをずっと今後もそういう形でやっていくという考え方ではなくて、新しい業務の開拓なんですから、開発なんですからね、一つの。それが一つと、それからこれは各党でやはり考えてもらわなければならぬ問題だと思うのですけれども、図書館の増員とか、それから予算要求のときは各党とも話をするのですか。ぼくは知らないのですけれども、どういう要求のしかたをするのですか。国会としての要求のしかたは。
  106. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 国会図書館の予算に関します限りは、国会図書館は直接には議院運営委員会の監督のもとにあるわけで、議院運営委員会の特に図書館運営小委員会の御指導、御援助によりまして予算要求——御了解の上で予算要求をする、あるいは予算の折衝についてもたいへんな御援助をいただいているわけでございます。
  107. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは、われわれとして考えなければならぬのは、財政法十九条ですね。十九条によると、これは三権分立のたてまえから、もし大蔵省が国会の要求を削減したという場合には、国会あるいは裁判所なり、あるいは会計検査院は独自の要求を提出できるわけですよ。それで、それには財源を指定しなければならぬわけですけれども、そういう規定があるんですよ。ですから、一ぺん、しょっちゅう妥協ばかりしてしまわないで、また要求が根拠がなければいけませんけれども、それでへっこんじゃうようじゃいけませんけれども、はっきりした根拠があるならば、国会予算を大蔵省が削るということは僣越なんですよ。三権分立のたてまえから言うと、立法府の予算を行政府がかってに削るということは、これはほんとうは許されないはずです。ところが、国会のほうの要求が弱いから——弱いというのは、何というか、その主張に対して十分な根拠を持っていないから大蔵省に説得されちゃう。そこのところは国会のほうも私は反省しなければだめだと思うのです。もし国会のほうで合理的な根拠から、どうしてもこれをやっていくということだったのを大蔵省が削ったら、これはやはり国会がまた出すべきなんですよ。  それで、削られて出した場合は、大蔵省側は、政府側は、それに対して詳細を歳入歳出予算に附記しなければいけないわけですね。財政法第十九条「内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、国会が、国会、裁判所又は会計検査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。」、こういうふうになっていますが、まだこうした例は一回もないでしょう。私は、裁判所でも会計検査院でも、しょっちゅう内部でぶつぶつ言いながら、大蔵省に削られちゃうと言っているのですけれども、そんなら、はっきりと出してみたらいいと思うのです、国会に。そうして大蔵省が削った趣旨を、これは詳細を歳入歳出予算に附記しなければならぬということになっているのですから、国会図書館でもそういうことをやってみたらいいと思うのですね。そういう主張をされたらどうですか。
  108. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) どうも、はなはだお答え申し上げるのも僣越のような気もいたしますけれども、そういう制度があることは十分承知しておりますが、幸いにして、国立国会図書館の予算は、まあ今年度におきましても総額で二二%の伸びでございますし、そういうようなことを私どもがぜひお願いをしなきゃならぬように考えるほどには至ってないように、大蔵省の当局の査定も国会図書館の予算に対して相当な理解を示し、協力していただいたと考えております。
  109. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省どうですか。
  110. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 先生御指摘の二重予算につきましては、かねがね慎重に取り扱っているところでございます。二十七年でしたかに、裁判所が一度提出されました。
  111. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう例があるのですか。
  112. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 審議には至りませんでした。審議は願わずに取り下げになった。そういうような例もございまして、国会関係予算は特に慎重に御意見を伺っておる次第でございます。  なお、予算の御要求されるときのいきさつもお聞きのようでございましたが、内部の作業手順のお話でございますけれども、最終事務、たとえば国会図書館でございますと、図書館の事務局の方、副館長、いろいろ事務的に話を詰めまして、最終は議運のメンバーに庶務小の方がお入りになって最終の調整がございまして、そこへ私ども出向いてまいりまして意見をお聞きしているというようなことでございますので、例として二重予算をやってみたらどうかという御意見、ないようにしてまいりたいと思います。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がまいりましたので、あとちょっと簡潔に伺いたいと思うのですが、国立国会図書館ですから、国立の図書館の閲覧とか、それから複写などのサービス、文化財としての図書館資料の保存、これは大きな責任があると思うんですけれども、特に複写ですね。特に電子複写による資料の破損が少なくないということを聞いているのですがね。実態はどうなのか。それから、複写サービスに走るあまり、資料の保存がおろそかになる危険がないか。それから、資料の保存の問題なんですがね、どういう対策を考えておられるかですね。それで、保存用の副本購入といいますか、あるいはマイクロフィルム化など真剣に考えていると思うんですが、どうですか。
  114. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいま木村先生御指摘の問題は、私どもかねてから非常に重大な問題と考えております。と申しますのは、図書館の閲覧態勢というものが実質的にいま変わりつつある。それは、本を読んでノートを取るというのではなしに、ゼロックスによってその必要な部分を電子複写する。この量が非常に年々激増してまいります。四十四年度においては年間七十万ページをこえるというような状態。したがいまして、そのために資料を乱暴に取り扱いますと、非常にいたみが激しくなってくる。これはまさに図書館の公害じゃないかと思って私は心配いたしております。これの対策といたしましては、ゼロックスの機械の改善ということを私は要求しなければならぬと思っております。それと同時に、製本方法を、ことに固くとじたもの、あるいは厚い本はいたみが激しゅうございます。したがいまして、製本方法も、ゼロックスに適するような製本の方法に、開きの大きいような方法に改善していかなければなりませんけれども、しかし、根本的には、資料の保存ということがきわめて大事でございますから、私は、ゼロックスをある程度まで制限する処置も講じなければならぬと思う。この点は館内でもかねがね心配して配慮しているところでございますので、ただいまも御注意がございましたこの点は万全を期したいと思っております。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっきちょっと落としましたが、大蔵省の定員削減の問題ですがね。これは、四十三年度予算で五%ですか、削減方針を出しておりますね、財政硬直化の対策の一環といたしまして。しかし、立法府の国会に、この点が、模範的とは言いましたけれども、それは適用さるべきものではありませんし、それは立法府は立法府として独自で考える。あの財政硬直化対策としての定員削減は、あれは行政府の問題なんです。前に、四十四年度の分科会で、館長さんが、行政府の閣議決定は国会図書館を拘束するわけではございませんと答弁されているのですがね。これはやっぱり再確認しておかなければいけないと思うんですが、いかがですか。
  116. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) お説のとおりでございまして、特別機関関係は適用になっておりません。ただ、自発的にそのように努力していただくことを希望しているわけでございます。
  117. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから図書館業務の民間委託の問題なんですがね。民間委託からいろんな問題が起こってきていると言われているのですけれども、たとえば、委託業者から複写料金の値上げが申請される。これは当然の理由があればしかたがないかもしれませんけれども、あまり委託をしたために、値上げされても断わることができなくなってしまったり、あるいは不良な製品が出てくるとか、あるいは業者の利潤追求、成績主義などによって、機械の点検や整備などに手抜きが出てきたり、要するに、業者に対する監督指導が不十分になって、そうしてせっかく民間委託したけれども、かえって効果がマイナスになってしまうというような、そういう弊害もあるのではないかと言われておるのですが、この民間委託の問題、どうなんですか。
  118. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) いま木村先生のおっしゃったのは、ゼロックス作業の民間委託、すなわち複写業務の過程の機械的な業務の一部の民間委託のことと考えますけれども……。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうです。複写業務の一部。
  120. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 複写業務は、私は、国会図書館がやはり責任を持ってやる、ただ、先ほど申し上げましたとおり、年間七十万あるいは八十万、百万枚の複写という機械的な業務になりますと、相当多量である。これに対処するためには、それこそ必要な職員を増加しなければまかなえませんけれども、その点の弾力性が得られない。それからまた、年間におきましては、月によって非常にその需要が変動するのでございます。そうしますと、それを処理するために業務をストップしたり、停滞したり、滞貨が生じまして注文主に非常に迷惑をかける。それから、こういう機械的な作業は、それぞれの専門業者が相当発達しているならば、そういうものにやらせたほうが私は職員のためにもなるというようなことで、昨年の十一月からこれに踏み切ったわけでありまして、その結果としましては、心配していたような弊害が出ないで、ほとんど問題がないようにスムーズにいっておりますので、今後もこれを継続したいと思っておりますが、しかし、ただ、御指摘のいろいろな点、たとえば業者が値上げを要求するというようなことは私まだ知りませんけれども、これは私どものほうといたしまして、原価計算によって対処すべきものでございますし、それから業者の監督ということは、これは当然やるべきことでございますし、十分監督をやる。それから、いままでそういう機械的な作業に従事していた人員は複写業務のほうに今度は振り向けたわけでございますから、振り向けることによって、いままでのユーザーに対して手の届かなかったサービスを一そうよくやれるようになったというのが実情でございます。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま私が申しましたのは、複写業務中の電子複写、それからマイクロフィルムからの電子式引き伸ばしというのですか、その製品作成等の業務を民間に委託させるということです。それ以外の図書館業務の民間委託ということは考えていないのですね。
  122. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) いま民間委託しておりますのは、館内の清掃業務と、それからゼロックスのことで、それ以外、図書館プロパーの業務の民間委託などということは毛頭考えておりません。
  123. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから最後に一つ、図書館職員の国会手当と賄雑費の問題なんですが、これは前から問題になっているのですが、多少は差が縮まってはきているのですけれども、これはどうなんですか。われわれ考えますと、この差があるのは、どうも私はうなずけないのですけれども、大蔵省のほうに伺いたいのですけれども、どうして衆参と国会図書館との格差がこんなにあるのか。
  124. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 国会図書館の業務の内容は、一般の図書館の業務の要素と、それから衆参の事務局に準ずるような業務と、あるいはその中間と、三つに大別されるかと思うのでございますが、そのような特殊な性格から、従来、この国会特別手当、すなわち国会開会中における勤労の強度が著しい業務に従事した職員に支給される手当を図書館の職員にも適用するかどうかという過去の経緯がございましたのは御承知のとおりでございます。その場合に、衆参の職員と同じような仕事をしている方々と、それ以外の方とに分けて考えられました点と、それから衆参の職員と国会図書館との職員とを対比して見まして、その間にある程度差異があるじゃないかということでバランスを考えたこととの二点から、過去何年か経緯が続いてまいっているわけでございます。そこで、衆議院、参議院のバランスの問題、あるいは衆議院、参議院と国会図書館とのバランスの問題ということにつきましては、特別手当にかかわりませず、すべて非常に予算の作業をする上に気を使うところでございます。特別手当等につきましては、そのバランスは従来の経緯というものを尊重して、国会図書館内の間差については是正してまいろうという考え方で、このようなことになっているわけでございます。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも納得できないのですけれども、国会図書館のほうから、当局のほうから、国会手当と賄雑費の要求、これはやはりもっと縮めるようにという要求を出されたわけでしょう。
  126. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) そのとおりでございます。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに対して、大蔵省が削った理由ですね。いま述べたのですけれども、これまでのバランスを尊重して行なうというのですけれども、いままで格差ができた理由として、勤労の強度ということも一つ理由にあげられていたようですが、いろいろ点検して見ますと、それは国会開会中は国会図書館だってやはり相当仕事がある。たとえば、国会開会中、緊急の調査にも応ぜられるように職員は一定時間の拘束を受けている。それから図書館の職員は、衆参両院のいずれか一方で審議が行なわれているときでも、一つ委員会だけでも審議が行なわれていれば、全館をあげて奉仕体制をとっているようですね。それから議員の調査要求に応じられることが要求されている。ですから、勤務体制であるから、一がいに衆参と比較することはできないので、業務の態様とか、それから勤労の強度は国会職員全体に還元して考えるのが妥当と思うわけです。それで、国会の機能は御承知と思うのですけれども、これは有機的に一体化されている。国会図書館の機能も国会の重要な機能の一つなんですよね。国会図書館というのがあって、われわれもあって、それで運営されているわけですから、国会図書館の人が差別されるというのは、どうも私はおかしいと思うのです。それから、いまの勤労の強度からいっても、衆参の職員がやっていないようなこともやっている。たとえば、夜間の閲覧業務を八時までやるでしょう。そういうことも総合的に考える必要があると思うのですよ。ですから、だんだんと格差が解消されて、少しずつ縮まってきておりますが、まだかなりな部分、四十五年度、国会図書館のほうが一律〇・三七五、衆議院が〇・七五、参議院〇・七五でしょう。ちょうど半分。ですから、今後の問題ですが、今後この格差解消について、いま私が申し上げましたが、大蔵省ももっといろいろよく調査されて、そこのところを——こんなに格差が開くというのは、われわれから見ましても、一体的な運営という点からいっても、格差があるのはおかしいと思いますので、この点について、もっと前向きに今後考えていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  128. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) お説のとおりだと思いますけれども、国会図書館の職員の手当が低いからというだけの問題でなくて、これはもう〇・〇五——従来とおりの上げ方は上げて、さらに間差調整はしているわけですが、さらに衆議院、参議院とのバランスを縮めろという点のお話でございますと、やはり国会関係の方々ともよく御相談さしていただいて、検討さしていただきたい、かように思います。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 衆議院、参議院は同じ〇・七五でしょう、職員については。その職員と国会図書館のほうの職員、そこに非常に差があるんですよ。四十四年度までは図書館の職員内部にもまた差があったんですね。四十五年度は今度は一本化したようですが、衆参職員と図書館の職員との間に差がある。半分です。その点を言っているわけなんですよ。この格差をもっと解消すべきだと思うんですよ。一挙に〇・七五と——本年からやはり近づくように、もっと私は考えるべきだと思うんですがね。いかがですか。四十一年度予算からだんだん縮んできているんですけれどもね。
  130. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 国会の皆さんの御意見も伺って、御検討さしていただきたいと思います。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四十一年から見ますと、かなり縮まっている。四十一年は四百十五人については〇・二七五、その他の人はゼロなんです。それで、衆議院は〇・五五、参議院が〇・五五、こんなに差がある。それがようやく縮まって、四十五年度国会図書館一律〇・三七五、衆議院が〇・七五、参議院が〇・七五、ようやくここまで、半分まで解消されたんですから、やはり格差が非常にあるということについては大蔵省側も不合理だと考えているんでしょう。だから、だんだん縮んできたと思うんですがね。この点はもっと前向きに、もう少し実態をよく調べられて……。この格差もおかしいと思うんですよ、どうしても。同じ職員でありながら、おかしいと思いますから、これは格差が解消するように努力されるように要望しておきますが、最後にひとつ答弁されて、それで私の質問を終わります。
  132. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 国会図書館の上げ幅の問題と、衆議院、参議院の上げ幅の問題とが、また別の問題として出てまいりますので、むずかしい問題だと思いますけれども、検討したいと思います。
  133. 八田一朗

    主査(八田一朗君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      —————・—————    午後一時二十四分開会
  134. 八田一朗

    主査(八田一朗君) ただいまから予算委員会第一分科会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国会所管について質疑を行ないます。
  135. 山崎昇

    ○山崎昇君 質問に入る前に、衆議院の総長にお聞きをしたいのですが、あなたがたいへん急がれるという話なものですから、一番最初に原則的なことだけお聞きしようと思ったんだけれども、いま連絡があって、何か少しおられてもいいというような話も聞いたのですが、どうですか。
  136. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) けっこうでございます。
  137. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃたいへん恐縮ですが、図書館から少し聞かせてもらいたい。  午前中、木村委員のほうから総体的に図書館の問題をお聞きになったそうでありまして、私おりませんでしたのでダブったら失礼をすることになろうと思いますが、ひとつお聞きをしておきたいのは、国会図書館の環境の整備についてお聞きをしたいんです。建物はたいへんりっぱですし、中身もかなり整備をされているというふうに見るわけなんですが、残念ながら利用者から見ますと、少し環境整備がおくれておるんではなかろうかと、あるいはきわめて悪いのではないかと、こう私どもは思うわけですが、そこで環境の整備についてどういう計画があるのか、まず計画があればお聞きをしたいと思います。
  138. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 私ども、とかく図書館の機能、内容の整備充実に気をとられまして、ただいま御指摘のとおり、環境整備につきまして意を用いることが足りなかったんじゃないかと反省いたしますが、おかげさまでやっと増築工事が一昨年完成いたしましたが、まだ三十六年に両院の議院運営委員会で御決定に相なりました国会周辺地区整備計画の中に含まれる民有地が、約一千坪ございますので、これのなるべく早い買収ということを心がけてまいりましたが、やっと今年度予算でその緒につきまして、今後その実行に、年次計画に移してまいりたいと思っておるのでありますが、そういう買収計画が完了いたしまして国会図書館の周辺が手をつけられるようになりましたら、そういう点についてやりたいと思っておりましたが、いまのところ、整備計画につきましては内部でプライベートの案はつくっておりますが、オフィシャルな整備計画はございませんし、御指摘のとおり、もっともっと手を加えて、小さなことでも利用者に快適な感じを与えるような努力をすべきだと思いますので、御指摘の点について意を体して今後つとめたいと存じます。
  139. 山崎昇

    ○山崎昇君 プライベートな計画はいろいろ議論されているようだというんですが、そうすると、その整備計画に基づいていつごろぐらいまでにそういう計画を立てられておるか。大体まあ完成といいますか、年度を、どれくらいの目標を置いてやられるのか。個人的見解でもけっこうでありますが、もしそのアウトラインがあればひとつお知らせいただきたいと思います。
  140. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいま申し上げましたとおり、千坪の土地の買収というものは、これはなかなか巨額に達するものでございますので、一挙にはこれは片づかないと思っております。私どもの心がまえといたしましては、これを三年計画で実現したいということで大蔵省にお願いし折衝しておるのでございまして、その三年計画が私どもの希望どおりまいりますれば、その後一両年でその環境の整備の充実が十分はかられるのじゃないかと考えております。
  141. 山崎昇

    ○山崎昇君 その計画が出てから私どもまたいろいろ意見を述べるのが筋道かと思うんですが、ただ私は党務でよくあそこの前を通るものですから、見ながら——学生諸君あるいは一般の利用者が朝来られて、そうして勉強される。ところが、昼になってもやはり、何といいますか、気持ちを解きほぐすといいますか、あるいは楽な気持ちにするといいますかね、そういうゆったりした気分になかなかなるところもありませんし、そのような環境になっていない。ただいわば利用者からいえば、もう少しそういうことに気をつかってもらいたいという声がかなり多いと思うんですね。そういう意味で、三年計画で民有地等を買収されてやられるそうでありますが、ぜひその点はお考えになっているようにお進めをいただきたいというふうにひとつ考えるわけです。  そこで、きのうもちょっと事務当局の方にお聞きしますと、いまの図書館というのは収容能力大体千三百ぐらいというんですね。そのうち一般の人が千百ぐらい利用されておって、かなり毎日並んで、あぶれる人もおられる。そこで一たん外へ出ると、なかなかもとのところを維持することができない、こういうようなお話があって、この環境の整備に関連をして、利用者の数が多いために問題があるようにも聞いているわけです。そういう意味で利用者のそういう問題点をどういうふうに解決されようとするのか、あわせてお聞きをしておきたい。
  142. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいまの御指摘は、図書館界を通ずる根本的な問題の一つでございまして、これは国立国会図書館だけで解決できない問題であろうと存じます。現に国立国会図書館の国会議員席を除く座席というものは千百五十三席しかございません。それに対しましてこれを常に上回る利用者があるわけでございまして、そういう過密な利用者の状態が実は利用者にとって主観的な不便を感じさせるもとになるわけでございます。全く先生のおっしゃるとおり、図書館というものは常に快適なゆったりした閲覧ができる全体の体制がととのうべきだと思いますけれども、こういう行列、極端に申しますと、ある時間行列をして待たなければならないというようなことが利用者のローテーションを必要とする、したがって、一たん出た人にまた戻ってくるというようないわば特権的な地位を与えにくくなる、待っていた人を優先させなければならない、こういう図書館界は貧しい状態なんです。しかも、図書館の閲覧を望む都民、市民の数というものはまだまだ限りなくあるのでございますが、これは日比谷図書館をはじめ、都内の公立図書館及び学生については大学図書館等とも協力体制を組んで解決しなければならない問題だと存じております。
  143. 山崎昇

    ○山崎昇君 計画が出ましてからあらためてまた、それらに関連をしてお聞きをしたいと思いますが、いずれにしても国立図書館というのは、建物と内部はかなり整備をされたけれども、環境というのは、どうもおくれておる。むずかしい問題もあるでしょうけれども、鋭意ひとつ私は整備をしてもらいたい、こう思うわけで、これは国会議員側からいうと、少し都合のいい言い方になりますが、何とか国会から地下道か何かで図書館に行けるような仕組みにならぬかどうか。一度外へ出ていく。たとえば雨なんか降るとなかなか行きにくくなってくるというようなこともあります。そういうことが一点。  それから二点目は、一般閲覧者と同じように晩五時まで使っているわけなんですが、いろいろ先生方の意見を聞いてみますと、もう少し夜おそくまで利用できないかという意見、それから土曜日の午後あるいは日曜日なんかでも多少利用できないかという意見等もあります。ただ、これは議員がどれだけ使うかは私もこれはわかりません。わかりませんし、自信もありませんが、何かそういうせっかくの国会図書館なんで、国会議員がもう少し利用しやすいような方法が講ぜられないかどうかという意見がありますので、お考えおきを願いたい。
  144. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) お尋ねの第一点の、国会図書館と議事堂構内とをつなぐ地下道の問題につきましては、これは議員さんの図書館利用の便宜を考えますと、当然必要なことだと存じております。したがいまして、国会図書館建築の際の地下構造におきましても、それから今度できました参議院の新委員会庁舎の地下構造におきましても特に地下道をつける場合の用意はいたしてございます。したがいまして、今後の問題といたしましてこれをいつから具体化するか、あるいは予算化をはかるかということはいまはまだ申し上げられませんけれども、かねてそういう用意はいたしておりますので、いずれこれは実現の機会があろうかと思いますけれども、御承知いただきたいと思います。  それから議員さんが国会図書館を御利用になることにつきましては、国会図書館のたてまえとして、もう議員さんの国政審議のお役に立つように、これは優先的に私ども考えておるわけでございます。平素におきましては、閲覧時間が一般には五時でごさいますが、特定の必要のためには毎日平日は八時までやっておりますので、議員閲覧室ももちろん八時まで御自由にお使いいただきたいと存じますし、また、私どものほうのたてまえといたしまして、議員さんが御勉強になっておる間は、私どものほうも勤務体制をそうとっておりますから、御遠慮なしにひとつ御利用いただきたいと存じております。土曜日もこれは五時までやっております。ただ日曜は、これは図書館サービスは日曜もやるべきだという意見もないわけじゃないのでございまして、そういう要求ももっともだと思っておりますが、ただ何しろ日曜開館ということは、職員の勤務体制、健康管理、勤務条件の問題、これは非常にむずかしい問題を含んでおりますので、いまのところ国立国会図書館が日曜に開館するということは非常に困難だと思っております。しかし、もしも国会が日曜にも審議をなさる場合においては、当然図書館のほうも開館の体制をとっております。
  145. 山崎昇

    ○山崎昇君 ただ、先生方の中には、そういう事情をやはり知らない方もかなりおられまして、たいへんどうもありがとうございました。  次にお聞きをしたいのは、図書館のやはり整備拡充というのは、私ども議員にとりましてもきわめて密接不可分でありますし、重要だと思います。そこで、ここに勤務されます職員の方々のうち、特に調査といいますか、こういう方々がどれだけ私どもにお手伝いしていただけるかということも、これまた重要だと思います。そこで、私も経験があるわけでありますが、そういう方々の研究のためにいろいろ図書等買われると思うのでありますが、これは図書館のやつを使えばいいと言えばそれまでの話でありますし、あるいはだれかのものを借りて使ったらいいじゃないかということになればそれも一つ方法論だと思いますが、お互い研究するのは自分のもので研究したいというのが本旨だろうと思います。いろいろ聞いてみますと、かなり個人で勉強もしておるようでありますが、それにふさわしいようなやはり待遇方法がとられてないようにも聞いておるわけです。そこで全部の人ということじゃ私は申し上げませんが、少なくとも調査に携わる人あるいは研究する人について、図書購入についてある程度のことを考えてもいいのではないだろうか、こう思うわけです。私も給与法をずっと洗ってみまして、なかなかどんな方法がいいかということになると問題点があると思いますが、一般職でいうならば、給与法の十条でいう俸給の調整額等を利用されてやればやれないこともないのではないだろうかというふうにも考えるのですが、これは予算関連しますが、副館長の見解を聞きたい。
  146. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいままことに国会図書館の職員の実情について御理解ある御意見をいただきました。国会図書館の職員の種類を大別いたしますと、参事、司書及び調査員と分かれておりまして、いま先生の御指摘の点は、特に調査員、これはその職務が主として調査研究に従事する、したがって、そのための特別の資料を手にする必要がある。それは公のものでは間に合わないので、どうしても他の職員に比べて、平均的に見れば図書資料購入費がかさむのであります。したがって、これに対して何らかの配慮というものが必要じゃないかという意見が館内にもあることは承知をしております。ただそれを具体的にどう実現するかとなりますと、これはなかなかむずかしい問題で、一つのアイデアではありますけれども、他の職員との均衡あるいはもっと広い均衡の問題がある。それから先生は給与法の十条をおっしゃいましたが、そのほかに調査員の身分を研究職として確立するというようなことも、これも考えられる。しかし、研究職の俸給表が必ずしも現在のこの調査員の俸給表に比べて有利ではないというような難点もあるというようなこともありまして、この問題は非常にむずかしい問題で、あるいはまあこそくな案かもしれませんけれども、確かに現実は先生のおっしゃるような必要があるのでございます。それを解決する、あるいは解決するに役立つ方法として現実の問題は何かと申しますと、一つは国会図書館の図書の充実ばかりじゃなしに、調査員が勤務しております調査局が自由に利用できる資料、消耗的に利用できる資料、いわば消耗的にといいますと語弊があるかもしれませんが、そういうふうに自由に利用できる資料をできるだけ潤沢に供給するということが一つ方法になるんじゃないかと、したがいまして、私どもはそれを立法資料と申しておりますが、その立法資料の充実に毎年努力してまいりまして、今年度におきましては約五百五十万円をこえておると思っておりますが、こういう資料をもっと格段に充実するということ、それからまた、そういう資料のみならず、図書館に入りました資料の必要なものをゼロックスその他を利用しまして、その複写を容易に手に入れて個人的な使用にあて得るような措置を講ずるというようなこと、こういうようなことがさしあたってやれることなんでございますが、まあその調整額という問題も検討に値する私は提案だと思いますが、ただいま何ともお答えいたしかねますので、今後一そう研究させていただきたいと思います。
  147. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは、私はお互いに専門分野を担当する人というのは、私どもそれほどではありませんが、やはり自分で赤線を引いたり、青線を引いたり、自分の本としてやらなければ身に入らぬのですね、実際問題として。そういう意味でいうならば、私は、そういう人にそう法外なことはできませんけれども、やはり考えてやることが、ひいては私ども国会におる者としては、国会議員の役に立つわけなんで、それがまた国会の権威を高めるゆえんでも、遠回しではありますが、なるので、この点はぜひひとつ御検討をお願いしたい、こう思います。  その次にもう一点お聞きしておきたいのは、一般行政官庁では、在外研究員制度がありまして、何人か派遣をして外国の事情なりあるいは国際的な視野というものを勉強さしておるわけなんですが、残念ながらこの国会の場合は、どうもそういう制度が確立されておらない。これはあと衆議院、参議院の事務当局にも聞きたいと思う一点でありますが、図書館としてもこれはやはり若い人でどうしても専門分野で外国等に派遣をして研究をさしたいというようなものについてもあるのではないかと思うのですがね。在外研究員制度というものについてどうお考えになるのか聞きたいと思います。
  148. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 山崎先生御指摘の在外研究員制度ということは、公務員全体にとって非常に望ましいし、また必要なことだと存じます。したがいまして、これは私どもといたしましては、その実現というものをほんとうに心から望んでいるのでございますが、ただ図書館の特殊事情を申し上げますと、日本の図書が国際的に、他の外国の種々の大きな図書館に非常にたくさん蓄積されるにつれまして、これの整備利用、レファレンスのために優秀な日本人の図書館員がほしいという要求が非常に国際的に強いわけでございます。そういう需要に応じましてここ数年間は短年数名、現在はたしか五名外国に行っていると思いますけれども、大体二年ぐらいの期間で在外の有力な図書館に働いておりまして、日本の図書館界の高いレベルの技術その他を紹介し、また、日本の文献の利用に役立つように努力してまいっております。そういうことがこの国会図書館の特色でございまして、こういうことは図書館間の国際的な協力として私どももっと拡充いたしたいと思っておりますが、根本的には私は在外研究員というのは非常に望ましい制度で、その実現を今後ともぜひ望んでいきたいと思います。
  149. 山崎昇

    ○山崎昇君 午前中木村委員から総体的にやられたと思いますから、私はまあ特にいま一番私どもが見て整備を要すると思われる点を二、三お聞きをしたわけなんですが、今後とも私どもにたいへんこれは御援助いただかなければなりませんので、図書館の機能の整備だとか環境整備、あるいはいま指摘したような点について早急にひとつ実現されるように努力願うことをお願いをして、一応図書館についての質問を終わらしていただきます。  続いて衆議院の事務総長と、これは参議院にも当然関連してくると思いますが、お聞きをしたいと思います。いま図書館という形でいろいろ質問したのですが、国会の権威を高めるというのでしょうか、あるいは議会制度の充実といいますか、そういう点から、私ども衆議院なり参議院の事務局というものをながめますと、もっとやはり整備されなければならぬ点があるのではないか。たとえばまあ調査機能でありますとかその他の点等でもあるのではないだろうかと思うのですが、毎年毎年いろいろ苦心をされていると思うのですが、両事務総長から、議会の事務局というものの機能拡充といいますか、充実といいますか、整備といいますか、そういうことについてまずお願いをしたい。
  150. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) ただいまお話しのありました事務局の機構の拡充といいますか、整備充実という点でございますが、やはり議会制度、それからその発達、そういうことのためには事務局の機構というものがやはり十分整備しておらなければならぬことは先生の御指摘のとおりであります。議事運営に当たります事務局の各部局におきましては、日ごろそういう研さんを多年続けてまいっておりますが、もう一つの面の調査機能でございます、これは御承知のとおり、戦後発足をいたしました各常任委員会の調査室に待つところが多いわけでございまして、現在のところでは、各常任委員会がそれぞれ別個の調査室というものを持っているわけでございます。人事の交流の面におきましても待遇の面におきましてもいろいろ整備しなければならぬところがございまして、衆議院におきましては、この人事につきましても、できるだけこれを統一的にといいますか、まあ委員長からある程度御委任をいただきましてそして適任者のそれぞれ適材配置といいますか、そういうふうな中でりっぱな調査員が育つような方法を最近とっております。  それから特に参議院も同様でございますけれども、沖繩問題が非常に最近の問題になってまいりましたものですから、特に沖繩特別委員関係調査室の機能というものも拡充をいたしまして、そういう時代に即した調査機能の充実というものはいまもはかっておりますけれども、今後ともそういう問題につきましては、十分内容の充実をはかっていきたいと考えている次第であります。
  151. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ただいま衆議院の総長が述べられたのと同感でございますが、事務局——大きく事務局と申しますが、各事務局、法制局を含めまして国会の調査機関でございますこれらの制度につきましては、開設以来幾度かその機構が論議され、またいろいろ変遷をしてきたわけでございますが、とりわけ議事部、委員部、こうした方面の議事の点につきましては、旧来の帝国議会を継承いたしまして、それらに携わっている職員もあまり断層がなく継承されて、まあ私の口から申すのもいかがかと思いますが、まあまあやってきているわけでございます。ただいま衆議院の総長が申し上げた調査、これらの点につきましては、もう二十年の経験を持つわけでございますけれども、始めまして早々の間は非常に混乱して御迷惑をかけた点が多々あったかと思いますが、しかしながら、二十年を経過した今日といたしましては、これらの調査事務に携わっている諸君も非常に精選をされまして、一応私は軌道に乗ったのではないかと、こう思います。しかし、これからまだその素質の練成といいますか、素質の向上という点につきましては、大いになさなければならない分野があると、こう思います。それから一般の管理の部面につきましては、衛視及びその他の庶務、自動車。管理のほうはこれはまあ一般の事務でございますが、これも大いに力を入れなければなりません。また速記のほうにつきましては、後ほど機会があると思いますが、速記のほうも大いに技術と陣容の充実をはかりたい、大体そういう考え方で今後まいりたいと思っております。
  152. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま両院の事務総長から説明がありました。私は、やっぱりこの調査機能なり、事務局というのを整備するには、人的な面もありますし、物的な面もありますし、そこで、いま人事の面については、衆参の人事交流も幾らかやられておるという話も聞いているんですが、どうなんですか。たとえば衆議院の事務局におる者が参議院と交流するとか、あるいは衆議院の調査室におる者が参議院に来るとか、そういう意味の人事交流というのはあるのですかないのですか。
  153. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 人事の交流ということは、ひとつ人的な構成を、資質を向上する意味において必要なことであると、これは申し上げるまでもないところでございます。そういう一面におきまして、人事の交流の点につきましては、私のほうは、先年調査室の刷新要綱をつくって、議運でつくっていただいた中にも大きく取り上げております。それに基づきまして、人事交流を逐年実施いたしてまいっておりまして、これは図書館、法制局、それから行政庁こういう方面は相当実績があがっておりますが、お隣の衆議院との交流の点につきましては、これは旧帝国議会から私ども少し関係しておりますが、もうほとんど、絶対にないといっていいくらいでございます。特に一、二特殊な事情で衆議院から私どものほうに来た者、私どもから衆議院におじゃまにあがった者はこれは微々たるものでございます。どういうわけか、行政庁との交流はございましたが、衆議院との交流は皆無といっていい状態でございます。
  154. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはどういう事情によるのでしょうかね。参議院は参議院の特殊性があるでしょうし、衆議院は衆議院の特殊性があるでしょう。あるでしょうが、どういうわけで帝国議会始まって以来、衆参の交流というのが、議員のほうだってたまには衆議院から参議院のほうに来るやつがおるのですが、どうして職員——私は限られると思うのです。そんなに一般行政官庁みたいにすうすう交流ができるものだとは思いません。思いませんが、少なくとも何といいますか、幹部といいますか、管理監督に立つ者といいますか、そういう程度の者の交流はあっていいのではないかという気がしているのですが、これはどういう点に隘路があってできないのか、差しつかえあればけっこうでありますが、差しつかえない程度で聞かしていただきたい。
  155. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ちょっと速記をとめて……
  156. 八田一朗

    主査(八田一朗君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  157. 八田一朗

    主査(八田一朗君) 速記を起こして。
  158. 山崎昇

    ○山崎昇君 その点は何かわかったようなわからぬようなあれですが、深くはもう申し上げません。  そこで、先ほど図書館にも申し上げたのですが、やはり衆参の事務局としても、この在外研究員というものは考えていい制度ではないかと私は思っておるのです。で図書館の場合には、先ほど国際的ないろいろな面から五人ほど派遣をして、日本の図書のいろいろ整理の方法だとか何かを教えているそうでありますが、衆参ではこういうことについて検討されたのかされないのか。もしされているとすれば、大体いつごろから実現をしていこうというお考えなのか。いままで私ども外国に行った例を見ますというと、どうも議員にくっついていって、課長さんか何か知りませんが、上の者が二、三人旅行してくるという程度でありまして、ほんとう意味の議会制度の研究なりあるいはその他の研究という意味で派遣をして研究させるという体制がないのではないかと、こう思うのですが、その点についての御見解を聞きたい。
  159. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 両院の職員が、特に議会制度といいますか、議事手続その他の問題につきまして、一般諸外国の例にも精通しておらなければならないというのはもう先生おっしゃるとおりだと思います。現在までのところは、御承知のように、列国議会同盟に事務総長会というのがございまして、毎年両院から事務総長あるいは事務次長、それから部長、課長の人たちが会議に出ておるわけでございますが、ここでは、各国から持ち寄りまして各国の議会制度の研究をやっておりまして、そこにはできるだけ職員を派遣しましてお互いに討論をしたり、お互いにまた各国の事情を知り合ったり、そういうふうなことをやっておりまして、この事務総長会の中に議会職員の研修計画というのがございます。これはたとえばその事務総長会が音頭をとりまして、日本からイギリスに行く場合とか、あるいは東南アジアの諸国が日本に来る場合とかいうような計画があるわけでございまして、そういうような計画に乗りましてやろうという話が進んでおるわけでございますが、現在のところ、長期間にわたりまして在外研究員を派遣をしてやるというところまでは行っておりませんけれども、これは将来ともそういう点は検討をして実現をするようにしなければならぬと私は考えております。
  160. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 参議院におきましては、先年国連の援助計画で七人海外に半年くらい留学いたしました。そういう奇特な勉強家がおったわけですが、人事院のほうからの通達で、人事院の在外研究員の試験を受けるように推薦してくれという御依頼がありましたので、これに対しまして事務局から二、三名試験を受けさせたのでありますが、最初は、四十一年のときは三名ばかり合格いたしましたのでございますが、その年、予算がないもので実施できなかったわけでございます。あらゆるそういう機会を利用して海外に出さなければならぬと思っておりますが、何ぶん予算関係実施が不可能だということでございますが、努力してそういう練成をいたしたいと思っております。
  161. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま説明があって、もちろん予算関係だと思うのですがね。ただ私は、行政庁のほうは、これは人数も多いですから、いろいろなことが行なわれておるが、どうも衆参のほうは、何かよほど持株な場合のほかはこういうことがやられていないというのは少し私は片手落ちな気もします。私ども議会人からいえば、どうしても私ども将来援助していただくためにはそういう方々を育ててもらって、そうして議会制度というものをやはり発達させていきたい、こう思うわけですから、まあことし来年すぐというわけにはまいりませんでしょうが、ぜひこういう点については実現方を要望しておきたいと思うのです。  そこで、その次にお聞きをしたいのは、私は、この国会を職場にしておられる方々というのは特殊な勤務形態になっていると思うのですね。いろいろこの国会の特殊性ということについては事務総長のほうが私どもより詳しいと思うんですが、特別職の公務員ではありますけれども、直接政治の場に勤務されるんですね。したがって、行政的な判断も必要であるけれども政治的な判断がかなりここの職場の人というのは要求される。それからまた参議院で言えば、議員が二百五十人おれば二百五十人が監督者みたいになっているんですね。もう何かの先生に言われるとすぐそれを処理をしてこなければならぬ、こういう環境の職場におる職員というのは、同じ公務員であったとしても、一般職の公務員と同様のようなしばり方というのは私はいけないんではないか。したがって、公務員法上では特別職になっていますけれども、給与その他の面でいきますと、かなり一般職に準じてしばられているというふうに私は受け取るわけです。そういう意味で特殊性を持っておる国会職員の給与というものについて、一体事務総長はどういうふうにお考えになるのか、私は一般行政官庁の給与とかなり違ったものがあっていいのではないかという気がしているんですが、それについてまず見解を聞きたい。
  162. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 確かに御指摘のとおり、両院の事務局は普通の行政官庁と非常に違った組織であると思います。まず接しまするのが衆議院では四百八十六名、参議院では二百五十名の先生方に接することが一番大きいわけです。そういう意味で普通の行政庁のように三角形をなしまして、底辺が非常に広がっておるというのとは著しく違うと思います。給与の面におきましても、やっぱりそういう特殊性からくる変わったものがあってしかるべきである。まあそういう意味で、たとえば定数なんかはほとんど変わらない場合でも、やはり管理職と申しますか、役付の職員がふえていくという傾向に当然あっていいんじゃないか。普通でありましたら課長の下に課長補佐がおって、それから係長がおって課員がずっと多いというふうになるわけでございますが、ここの場合は、やはり係長以上の職員が大ぜいいることが国会議員の活動にまあ便宜を供するという意味で必要でございます。そういう意味の特殊性というのは、やはりまあわれわれが予算折衝をいたしておりましても、大蔵省あたりでも十分認識してもらっておりまして、多少まん中がふくれているといいますか、下が少なくて上が多いというふうなことを言われますけれども、これはまあ当然のことではないかというふうに考えておりまして、そういう意味では定数の増というものがありませんでも、まあ上の職員がふえていくというふうな傾向は今後もあり得ると考えております。  それから給与の面におきましても、たとえばここには速記職でございますとか議警職でございますとか、よそにはないやっぱり職種がございまして、こうい人たちの給与につきましても、まあ著しく月給が高くなきゃならぬかどうかは別にいたしまして、実際上の俸給の単価その他につきましては、各省よりはよくなっておるんではないか、もちろんいろんな面で不利なところもございますし、先生ごらんになりましてでも国会職員はかわいそうだと思われるような面もあろうかと思います。しかし、そういうふうなものはやはり国会職員の特殊性というふうな面から逐次改善をしていくという心がまえで私たちもおるわけでございます。
  163. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで私は、いまの公務員給与というのは、これはあなた方も御存じのとおり、行政機構で言えばライン組織中心につくられておるわけですね。ところが、国会の場合には、課長があって課長補佐がおって、その下に係長がおってという、あなたの言う三角形のようなことではなかなかいかない。そこで、どちらかと言えば、この衆参の職場というのは、私はスタッフ職が主力みたいな形になっていると思うんです、まあ大きく言えば。そこで必然的に給与も一般官庁でやっているようなライン中心の、いわば職制中心の給与体系というのはかなり改めなければ、私はこの特殊性に応ずる給与体系になってこないのではないか。しかし、まあ全く違うものをつくれと言っておるわけではありませんよ。ありませんが、総体的に言えばそういうことに私はなると思うのですね。そういう面から私はいまのこの国会職員の給与というものをながめますと、どうも職制中心の給与体系がある程度まで中心になっておって、あなたの説明されるスタッフ職的な給与体系になっておらない。ここに私はこの職場に勤務される方方からいろいろやはり不満が出、問題が出されておる根源ではないかと実は思っておるわけです。そういう意味で後ほど具体的にお聞きをしていきますが、この給与体系そのものについて、一般行政庁を準用して、まるっきりそれと同じ仕組みというものをとられておるようですけれども、これを変えなければならぬのではないかと思うのですが、どうですか。
  164. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 先生はそのほうの専門家でいらっしゃいますから、私たちよりもお詳しいのでございますが、いまお話にもありましたように、全く新しい俸給表というものをつくるということのむずかしさを実は私どもも痛感しているわけでございまして、いまの給与体系も、人事院のようなああいう大きい組織がありましても、なお完ぺきなものができないくらいでありまして、われわれが国会の特殊性ということを認識した上で、全然新しい観点に立った給料表と申しますか、給与体系というものができますならば、非常に望ましいのでしょうけれども、そういうことからくるまた欠陥が生まれたりするおそれもございます。そういう意味で、現在は行政職の給料表を使いながら、できるだけ国会の特殊性を生かして、有利な適用をしていくということで、いままでまいっているわけでございます。
  165. 山崎昇

    ○山崎昇君 有利といっても、あまりたいした有利ではないんですね、私調べてみますと。なぜ私はそういうことを言うかといいますとね、一般行政の場合であれば、たとえば指定職俸給表はほとんど局長ですね。しかし、参議院、衆議院を調べてみると、副部長さんまで、全部ではありませんけれども、指定職俸給表にしているということは、上級職員については、それらのことがかなり配慮されていると私は思う。ところが、下級職員にまいりますというとね、これは一般給与体系が当てはまってきて頭打ちがかなりおる。あるいは昇格基準についてもかなり厳格なことをやられておる。これは等級別定数についてもあとでお聞きしますが、そういう形では私はやはりいけないのではないかという考え方を持つわけです。そういう意味で、いまこの国会の職場というものは、給与体系をある程度一般職と違ったものをつくる必要があるのではないかという考え方に立って、これから二、三お聞きをしていきたいと思う。  第一点は、これは両事務総長ともすでに答弁されているんだが、この行政(二)表の撤廃ということをあなた方約束した。なぜ実行されないのか。それから撤廃するまでの間、三年間で行(一)に全部移行させますという約束もしている。これも果たされていない。なぜ果たさないのか。その責任をまずお聞きしたい。
  166. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 行(二)撤廃の問題でございますが、前に行(二)撤廃の方針で進めるということを両院で申し上げましたことも事実でございます。それからそのときに三年間をもって大体撤廃をする方針で進みたいということも申し上げたわけでございます。現在までに行(二)から行(一)に移行いたしました者は、実は衆議院につきましては、三十八年ごろに三百六十五名の行(二)表の適用者がおりましたが、四十一年から大幅に約五十名ずつその移行をいたしまして、今日まで二百四十名ばかり行(一)のほうに移行しまして、現在四十五年度予算が通りますると、百二十五名ばかり衆議院では残ることになります。  問題はこの百二十五名をどうするかということでございまして、これが残っておりますから、まあ約束を果たしてないということで、責任をどうするかということでございますが、実は行(二)から行(一)への移行の基本的な考え方は従来と変わりないのでございますが、実際問題といたしまして、行(二)表適用者の人たちというものは、非常に私どものほうでは採用難と申しますか、人を求めることがなかなかたいへんな事情もございます。それに初任給基準なんかのこともございまして、現在の行(二)表をある程度適用をいたしまして、そしてこれを行(一)に移行していくというやり方が有利な面があるわけでございまして、そういうふうなことを考えまして、まあ前の言明から言いますと後退したようではございますけれども、若干の人を残すと申しますか、まるきりなくしますよりも、若干残して有利な適用をはかっていくということがいまはやむを得ない状況でございまして、そういう点につきましての御理解をいただきたいと存じておる次第でございます。
  167. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 参議院におきましては、この移行の制度が発足したときに二百名、自来五カ年にわたりまして百二十七名移行して、ただいまは振りかえ等ございまして、現在は六十九名残っております。これも既定の方針によりまして、大蔵省方面にお願い申し上げていかなければならないと思っておりますが、山崎先生御承知のとおり、もう行(一)の制度といたしましては、先年タイピストが一度に移行した当時から非常に問題になっておりますこれらに匹敵する交換手とか、自動車運転手とかは、大蔵省のことばをかりれば行(一)的色彩が濃厚だ、こういう意味合いにおきまして、相当数移行が認められてきたわけであります。純粋に労務職といたしましては、行(二)制度の根幹的な面に触れるわけでありますから、ただいま私のところでも、現在残っておる実数を見ますれば、庁務用員関係が四十八人残っております。これは三等級、四等級でございます。これらも非常に三等級の上部に位しておりますので、一番不利な待遇を受けておるわけでございまして、これらの点につきましては、私たちといたしまして非常に良心的に悩んでいるわけであります。毎年庶務小関係、議運の理事会等で御指導いただいておる次第でございますが、その辺大蔵省の御理解を得て順次解消していきたいと、こう考えております。
  168. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、行(二)のあなた方の考え方が少し誤っているのじゃないかと思うのですね。たとえば学校を卒業して、そして別な資格試験をとらなければつけないような職業の人ばかりですね、用員の方を除けば。たとえば自動車の運転手にしろ、その他にしろ、そうですね。だから極端なことを言うならば、高校を出て事務総長にはなれるかもしらぬけれども、運転免許をとらなければ運転はできないのですよ。そういう技術というものについてもう少しやはり考えるべきではないか。単に給与表だけ行(一)、行(二)と分けて扱えばいいというものではないと思う。ですから、私はそういう意味では、基本的に両総長ともこの行(二)を撤廃させると発表されたことには敬意を表しておる。敬意を表しておるのだが、守られていないということにやはり問題点がある。そこで、いま守る、守らぬということだけで終始したのではとても前進しませんから、残された衆議院で百二十五名、参議院で六十九名、図書館で三十三名、合わせて二百二十七名、この行(二)の者については即刻行(一)に移行してもらいたい。これは強い職員の要望でもあるわけですから、したがって、ふだんの勤務意欲にもこれは関係してまいります。それから先ほど私が特殊性ということを申し上げた意味も入ってまいりますが、いずれにしても、これは約束どおり昭和四十五年度で全部が一ぺんにむずかしいなら、四十六年度までに必ずやりますとか、きちんとした返事をしてもらいたいと思う。そうでないと、あなた方が、撤廃をします、三カ年計画でやります、しかし、現実は残っておりますでは、これは答弁になりません。どうですか、四十五年度中でやれますか。大蔵省の給与課長も来ておるようでありますが、大蔵省はどうしてこういうものを認めないのか、給与課長の見解があれば聞いておきたいが、私はこれはやはり衆参の事務総長が腹をきめてやればやれないことでもないと思う。どうですか。四十五年度で全部やりますか。
  169. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 全部撤廃の方針で申し上げたわけでございますけれども、実際の運用上、行(二)職に若干残っております人たちを行(一)で採用するということになりますと、いろいろ初任給、それからそのあとの昇給等の待遇の問題等もございまして、もちろん行(二)というものが全部評価がえされまして、それらの適用を受けておりましたいろいろ技能的な特殊職種の人たちが、別の初任給基準でございますとか、歩み方でございますとか、そういうことがきちっとしますればあれでございますが、いまの状況では、若干残りまして、あとは運用上で行(二)撤廃というふうな基本線でやっていくというふうなことが若干は残るのではないかと、正直に申し上げまして考えておるわけでございます。
  170. 山崎昇

    ○山崎昇君 先ほど採用困難だというお話なんですね。だから、私はいま採用されておる者は、当然これはあなた方が約束したことなんだから、それは行(一)に移行する。これから採用する者が多少二、三名残ることが、どうしても行(二)でなければぐあいが悪いというならば、私はある程度妥協して認めていいと思う。しかし、いまおる者についてはあなた方が約束をしながらやらないということは、これは不当ですよ。だから、私はあらためて申しますが、四十五年度中にこれは移行してもらいたい。ここで約束できますか。どうです、両総長。
  171. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 四十五年度中に必ず移行するかというお話でございますが、そこまでのお約束はちょっとまことに残念でございますけれども、いたしかねる次第でございます。
  172. 山崎昇

    ○山崎昇君 いつまでにやれるのですか、はっきりしなさいよ、あなた方の一たび口から出たのだから。
  173. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 先ほど来申し上げておりますように、行(二)撤廃という方針でスタートしたことでございますけれども現状から見まして、若干の行(二)適用者の数というものを残しました上で、それを有利に、有利にといいますと非常にずるい言い方でございますが、運用していきたいというふうに考えておるわけであります。
  174. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、気持ちの上では四十五年度中にやってもらいたいと思う。しかし、やるのはあなた方のほうの作業ですから、私が幾らいきまいてもなかなか進まぬわけです。そこで、若干というお話で内容は聞いておりませんけれども、やはりいま運転手で残っておるものとか、電話交換手で残っておるものとか、そういうもの等々詳細に検討して、そして少なくとも来年度中くらいまでには事実上行(一)に移行するように、これは強くあなた方に要求しておきたいと思う。  そこで、これに関連をして、行(一)に移行するのはいいのだけれども、移行のしかたを誤りますと、かなり本人に不利になるわけです。したがって、この移行の時期というものがきわめて私は重要だと思う。そこで、いままでの例を言えば、たとえば運転手でいうならば、三等級の五号か六号くらいで移行しなければ移行後あまりいい状態にはなってこない、こういうふうに考えます。具体的なことはあまり触れませんが、移行に際しては本人の不利にならないように、そして移行したあと昇給間差額がぐっと下がるというようなところで移行させるというようなことがないようにこれは指摘をしておきたいと思うのですが、どうですか。
  175. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 移行につきましては、ただいま先生御指摘のように、不利にならないように、また移行いたしましたあとの人たちができるだけ希望を持ってその移行したあとの職務に精励できますように、配慮を十分していきたいと思っております。
  176. 山崎昇

    ○山崎昇君 それから昇格基準が不明なものがあるし、それから昇格についてかなり資格がついたときと実際と、年数が違っておる者があるんですね。そういう点は、昇格基準に達したらすみやかにひとつ昇格するようにしてもらうことと、それからいま、たとえば三等級、四等級等々、これは職種によっても違いますけれども、頭打ちの者がかなりおります。この頭打ちの者についてはどういうふうにされるのですか。私は、三等級で頭打ちなら二等級にして解消するとか、そうしなければ特号者がふえていくんですね。そういう意味で頭打ちの解消についてどういうお考えを持っているか聞いておきたい。
  177. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 頭打ちの問題は、まあ行(二)適用者のみならず、各俸給表適用者にそれぞれあるわけでございます。これらの点につきましては、暫定定数の活用でございますとか、できるだけそういうものを活用いたしまして解消していきたいと考えております。
  178. 山崎昇

    ○山崎昇君 暫定定数というのはどういうわけですかね。なぜ等級別定数が直らぬのですか。これは大蔵省の給与課長も来ておりますが、給与課長に聞くが、暫定定数って何ですか。これは説明してくれませんか。
  179. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 級別定数は、御承知のとおりに予算書その他ではっきりきまっておりますが、それだけではとても運用のむずかしいということの場合に、当該省庁あるいは国会とよく相談の上で運用さしていただいておるものでございます。
  180. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、給与課長、暫定定数というのはかなり弾力的な幅がありますね。たとえば暫定定数いま四名認めておるが、これを五名にすることはまかりならぬということはありませんね。何か暫定定数をきめるについては基準がありますか。もしないとするならば、かなり私は幅のある問題だと思うんですが、どうですか。
  181. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 特に等級別定数の運用についてというのが一般職の場合にはございます。先生十分御承知のとおりでございますが、それの中に暫定定数の運用ということがございますが、一般的にはそれで運用さしていただいております。
  182. 山崎昇

    ○山崎昇君 国会職員にはないでしょう。だから一般職のやつを多少準用している程度の話でしょう。ですから私は衆参の職場というのは、先ほど来言っているように、特殊性を認めるならば相当程度の弾力性をもってやってもいいのではないか。そんなにこれが、人件費が全体予算に響くほどのものではない、こういうふうに考えるならば、頭打ち解消の問題とも関連をして、この暫定定数というものはほんとうは私は改正すべきだと思うんですが、しかし、そういう運用でやるというならばやるように、もう少し幅をもってもらいたい。後ほど大蔵省と衆参の事務局と相談をされると思うんですが、どうですか大蔵省。
  183. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 先ほど答弁いたしましたように、一般職の暫定定数の運用についてはそのようになっております。国会の特殊性を見ながら、われわれは国会当局ともよく相談をさしていただいて、いろいろ運用さしていただいておるつもりでございますが、ただ私どもの気持ちといたしましては、一方で国会の特殊性を尊重さしていただきながら、他方で他の一般職員の問題もあわせて考えていくという立場にございますので、双方均衡のとれたところで運用さしていただきたいと、実はかように考えております。
  184. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、あなたに重ねて確認しておきますが、ぎちぎちしたものではありませんね。両事務総長が行って相談をされるときに、衆参の特殊性というものを相当程度頭に置いておいて、これは弾力的に運用してもらう、そしていま現実に頭打ちになっておる者がおるわけですから、そういうものを解消してもらう。その数も三百も四百もおるわけじゃないので、いわば運転手でいえば四、五名であって、交換手でいえば四、五名であって、せいぜい私はこの定数を是正したとしても、十か二十是正することによってそういう内部の不満なりが解消できる。そうして衆参両院の特殊性というものがある程度実現できる、こういう形のものができ上がるとするならば、大蔵省はもう少し幅を持って判断をすべきだと思うが、どうですか。あなたで答弁できませんか、これは。
  185. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 先ほど答弁いたしましたように、われわれのほうでは、やはり国会の特殊性とか、いわゆる一般職員でございますね。その一般職との均衡等を十分考慮さしていただきながら当然きめていくべきもので、国会の御要望はもちろん承りますが、他方でやはりそういう配慮も当然せにゃならぬ、こういうことでそういう運用ということにならざるを得ない、かように考えております。
  186. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは給与課長を幾ら責めたって、なかなか言えぬでしょうがね。  そこで私は、両事務総長は、この問題はあなた方の部下の問題であり、そうして内部にこれはくすぶっている問題ですから、そんな大ぜいの問題でもないんですね。ですから、この問題についていま大蔵省にも言ってありますが、とにかく頭打ちにいまなっている者については解決するというふうにしてもらいたいと思うんですが、その決意を述べてください。
  187. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 今後もその解消には努力をしてまいりたいと思います。
  188. 山崎昇

    ○山崎昇君 それからあわせて級別定数を私は調べているんだが、これも暫定とからんでくるものですから、なかなか根本的な解決になっていないんですね。ほんとうは級別定数というのは私は撤廃をすべきだという見解をとっている一人なんですが、なかなかいまそこまでいかない。そこでこの級別定数の改定について、両事務総長、いま何か考えがあれば聞かしてくれませんか。これもかなり頭打ち者がおります。
  189. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) ただいまの点は、先ほどの国会職員の特殊性につきまして申し上げましたときにも触れたわけでございますが、課長補佐でございますとか、それから係長、四等級、五等級につきましては、ことしも御承知のように、定数では、総定員ではふえておりませんけれども、これらの定数増ははかっておりまして、毎年その点につきましては、大蔵省でもかなり国会の特殊性を認めて、四等級、五等級の級別の改定については協力していただいていると考えております。今後も先ほど申しましたように、上のほうがふくれてくるようなところはございますけれども、これらは国会の特殊性ということを強調しながらふやしていきたいという考えでおるわけでございます。
  190. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ことしの級別定数の点につきましては、前年に比較しますればかなりよくなっておりまして、特にわれわれといたしましては上のほうをちょうだいしまして、おのずから下は順繰りということになってまいります。われわれの力を入れるところはやはり上のほうでございまして、それらの点につきましては、ことしは前年以上のものになっております。
  191. 山崎昇

    ○山崎昇君 私の調査では新三等級ができて、あるいは最近また四等級係長なんというのができてから、一般行政官庁の場合は、たとえば五等級から四等級の定数是正等はおおむね一〇%ないし一五%ぐらいやられているようですね。ところが、衆参の事務局で調べると、それの半分以下です。五%か六%ぐらいしかこれはいっていない。だから、私は、あなた方特殊性があるとかどうとかという答弁はするけれども、実際の扱いを見るというと、それに伴っていないんですよ。ですから、いま例として五等級から四等級という話を出しましたけれども、四等級から三等級にしても、あるいはまだ行(二)で移行されていない方もおりますが、二等級から一等級にするにしても、もう少し私は真剣にこういう級別定数の是正だとか、昇格の問題だとか、頭打ちの解消だとか、こういう点についてやってもらいたいと思うんです。どうですか。いま私は自分で調べた限りではそういう数字になっているんですが、間違いありますか。もし間違いないとするならば、一般行政官庁並みにしてもらいたい、せめて。そういうことについて大蔵省の給与課長、どうですか。あなたは一般行政職と均衡をはかるはかると言うが、昇格の等級別定数を調べると、そうなっておらない。国会のほうがずっと低い。そういう点について、どういうふうに考えてますか。
  192. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 四十五年度の四等級の係長の数で申し上げますと、国会の場合には三十三ということになっております。で、一般省庁は六百八十七というふうになっておりますが、これのほかに、御承知のとおり、暫定定数が六十三ついております。四等級の係長として、国会には六十三ついております。で、それらを両方合計いたしますと、国会の場合には九十六になると思います。で、そのことの結果、一般本省庁の比率よりは国会のほうが高いという数字になっております。
  193. 山崎昇

    ○山崎昇君 それは、あなた、暫定を入れての話じゃないですか。私の言っているのは級別定数の是正のことを言ってる。ここに各省の全部調べたのを持ってる。全部調べたのを言えというなら言ってもいいですがね。総括していうと、衆議院は四等には十四名しかいかないんだよ、あんた。参議院はわずか十二名。現在おる者は、衆議院の場合には四十五年度二百六十三、そして十四しかいかない。参議院は百五十二、十二です。だから一般行政官庁より少ないことは歴然たるもんですよ。私は数字に基づいてあなたに言ってるんであって、暫定は、あくまでもあんなの運営です。あんなもの定数是正ではないです。そういうことは区別して大蔵省は考えてもらわないと、私どもが追及するというと、一般行政官庁と均衡をとると言う。均衡がとれてるかと思うととれておらないのです。これはそういうことのないように、これからしてもらいたいということを指摘だけしております。  その次に、両総長にお聞きしますのは、速記職について聞いておきたいと思うんです。これが、ほかの官庁にない職種なんですね。この速記職というのは、国会あるいは地方議会くらいしかありません。これほどたくさんの方々を雇ってるところはないんですね。そこで、この速記職というものですね、どういうふうに位置づけするのか、どう評価をするのかによって、そのものの給与というのは、おのずから大ワクというのはきまってくると思う。そこで、この速記職に対してどういうふうに考えられておるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  194. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 両院の速記職というのは、私が、まあここで申し上げるまでもなく、帝国議会が始まりまして以来、両院の優秀な速記者が全部の速記を残しておるわけです。それから、戦争中、戦後の、非常に人が少なくなりました時期でも、速記者の人たちが、ほんとうに、その議会の速記といいますか、記録を守るという精神で、まあ研さんをしてこられました。帝国議会以来の速記が全部完全にそろっているというのは、そういう意味では両院の速記者のほんとうの努力のたまものでございまして、そういう意味で、速記者の方たちは、誇りと申しますか、非常に自負心を持って、いわば速記者魂というふうなことで今日までやってこられた、そういう速記者の人たちの仕事につきましては、われわれは最大の敬意を払っておるわけでございます。その点で、まあ給料につきましても、昭和三十二年でございましたが、特に速記職給料表というものを新しくつくりまして、このときは、両院の速記職の人たちとよく相談をしまして、これでやっていけるということで、まあ新しい速記職給料表というものがスタートいたしました。初任給等につきましても、速記者というのは両院とも速記者養成所で非常にやかましい訓練をしまして、日本の速記界の最も優秀な人たちだけが両院におるというふうなことで、初任給につきましても高くなり、あるいは昇給につきましても、その後の試験制度の運用によってさらにまた上がっていくというふうなことでまいったわけでございます。ただ、最近速記職の給料表も、ようやく手詰まりと申しますか、これではなかなかやっていけないという段階に来ておるわけでございまして、そういう点で、われわれは速記者というものが特別の給料表を持っておるのには、やはり十分な意味がありますし、これはやっぱり過去の速記者、現在の速記者の実力にふさわしい、やはり待遇というものを考えなければならないというのが基本的な考えであります。
  195. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、速記職というのは、ほかの官庁ではあまりありませんために、少しオーバーな表現になるかもしれませんが、やっぱり希少価値に属するものだし、全く専門職だと思うんですね。そういう意味で、冒頭に国会のこういう方々の俸給というものを、ライン職で見るというのはおかしいという言い方をしたのは、そういう意味も含まれているんです。そういう点からいきますと、専門職に属するこういう方々の給与というのは、これは人事院の勧告もなければ何もないわけですから、したがって、国会としてきちんと組み立てなければならぬと思うんですね。ところが、これはまだ組み立ててない。そこであなた方やむを得ないものだから、一等級は速記監督の職務だとか、いわば官庁の職制機構に合わせたような等級体系にして給与というものは与えていく、これは私は誤りだと思うんですね。ですからそういう意味で、専門職である速記職の給与というものを、早急に私は衆参で相談をされて、そして、確立をしてもらいたい。そしてその専門にふさわしい給与体系というものは、むずかしいでしょうけれども、つくってもらいたいと思うんですが、どうですか。
  196. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 速記職給料表が非常に問題になりまして、ここ一両年速記職給料表の抜本改正ということを、先生方からも指摘され、私たちもその時期に来ておるというふうに申し上げてまいったわけでございます。で、現在、すでに速記職給料表というものがありますけれども、速記監督の上のほうの人たちというのは、この給料表ではまかない切れませんで、行(一)の二等級の俸給表を使っておるというのがある程度——衆議院でも十名以上の数の人が、行(一)二等級の俸給表を適用いたしております。このこと自身速記職給料表ではまかなえないということが明らかになっておるわけであります。まあこれにつきましては、両院の速記職の間でも、いろいろ意見がございまして、仮定の話でございますけれども、新一等級的なものを加味するといたしましても、いまの行(一)二等級を適用しておる人たちをはめただけでは、またやがて、そういう問題が起こります。そこで現在の段階では、一度両院の速記者の人たちが、統一的によく検討してもらって、何らかの統一的な見解といいますか、結論が得られまして、それをまたわれわれのほうでもよく検討をした上で、一つの案ができますならば、それをもって大蔵省とも折衝したいということで、現在そういう検討の時期を持っておるということでございます。
  197. 山崎昇

    ○山崎昇君 それは抜本的な対策というのは、いつごろをめどにして、どういうふうにされるわけですか。私は、これはおそらく事務総長のほうでも関係する速記の方々と、話もしておるでしょう。また、組合ともいろいろ相談をされておるのだと思う。やはり、しかし、現実におられる速記の方々は、その話が出てからでも、すでに私の聞くところによれば、大体四、五年たっているんですね。何か四十年ごろに、そういう話が出て、検討している検討しているということになってるそうですが、なかなか抜本策というのは出てこない。そこであと一体どれくらいのあなた方かかったら、ほんとうのそういう抜本策というのはできるのか。どこにめどを置いているのか、明らかにしてもらいたい。
  198. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) この点は、速記の監督という職務内容とも実は関連がございまして、私のほうでは、できるだけ速記者の優遇もしなければなりませんし、速記者そのものを確保しなければなりません。ところが、衆議院におきまして、速記監督というのは、校閲監督という非常に大事な任務でございますが、それがうんとふえますと、今度は現実に速記する人の数との関連がございます。そういうふうな問題がございまして、両院の速記者の間でひとつ意思統一をしてもらおうと、衆議院と参議院とではまた頭のつかえ方で、若干微妙な違いのあるところもありまして、そういうふうなところを一応検討してもらった上で、われわれのほうがそれをまた検討をするということになりますもんですから、来年度予算の概算要求までにそれができますかどうかは、まだそういう検討を経た上でないと、いつ何年にはできるということはちょっと申しかねると思います。
  199. 山崎昇

    ○山崎昇君 いつ何年までとは申しかねると言うんだが、おおよそのめどがなければ、話をしに行く速記の方だって、組合の方だって話の方法がないじゃないですか。ですから、四十五年度予算案はもうきまるわけですからね。間に合わないということは明らかであります。ですから、四十六年度でこれはきちっとするとか、そういうことでもある程度のめどを立ててもらわなきゃ困る。また、あなたのほうで言ってしまってから、できなきゃ責任追及されて困るなんという腹の中もあるかもしれませんが、しかし、いずれにしても、これは早急にやってもらはなきゃ困る、こう思うのです。  それから大蔵省の給与課長ね。いまお聞きのとおり、速記というのは議会にしかあまりいないのですね。そういう意味では国会みずからがこれについての給与体係なり何なりというものをつくり上げていかなきゃならぬわけですから、そういう相談のときに、あなたのほうであまり予算だとか、一般職がどうだとかいうことを言われると、これまた進まないので、その辺のことは十分話を聞いて相談に乗ってやってもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  200. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 速記職の問題については、かねてから衆議院事務当局からもお話を承っておりまして、われわれも関心を持っている職種の一つでございます。したがいまして、衆議院事務当局あるいは参議院事務当局のほうでそれぞれ御勉強が進みまして、いろいろの案が出てまいりますれば、われわれもこれを検討するにやぶさかではありません。ただ、先ほど来申しておりますように、われわれ一方では他の問題、一般職の問題も考えながらやっておりますので、速記職は御承知のとおりに、あとは裁判所とか、非常な特殊なところしかございませんが、それらの問題等も若干ございますので、おのずからその均衡は考えざるを得ない。しかしながら、ともかく案が出てこないことには私どものほうも検討いたしかねる状況がございますので、成案が得られますれば、私どもも先ほど申しましたように、検討いたすことにやぶさかでございません。
  201. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ重ねて事務総長に伺います。四十六年度予算編成までにある程度の成案をつくれますか。そうして大蔵省と相談できますか。
  202. 知野虎雄

    衆議院事務総長(知野虎雄君) 私どもがいま考えておりますのは、今度の国会がもしあまり長くならずに終わるようでございましたら、早急にとりかかりまして、できるならば、この概算要求までにまとめたいとは思っておりますが、両院の関係もございますので、目標としてはそう思っております。これがことしになりますか、ことし間に合いませんかは、これからやってみた上でと思っております。
  203. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ、十分ひとつ速記の方なり組合と相談をして、これは四十六年度に間に合うように成案づくりをやってもらいたいということを強く要望しておきたい。  それからその次に、衛視の方々の問題なんですがね。これはまた頭打ちがおるのですね。そして昇給が実際おくれているんだな、聞いてみるというと。ですから、この衛視の問題についても、大蔵省に言わせれば、公安職との関係があると、こう言うんでしょうがね。しかし、一般の公安職とまた違う任務もありまして、そういう意味で衛視の昇格のおくれていること、それから頭打ちがおるということ、こういうことは一々こまかに指摘しませんが、そういう点解決するようにしてもらいたいということと、それからあわせて、最近私のほうに、若い衛視の方々もおられて、独身寮の設置の問題について要望があります。  そこで、事務当局のほうでもいろいろ検討されているんだと思うのですが、職員全体の宿舎の問題とも関連するでしょうが、特に衛視の方々等の独身寮についてどういうお考えを持っているか聞いておきたい。
  204. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 衛視の独身寮につきましては、はなはだ申しわけございませんが、参議院ではちょっと立ちおくれておるのでございます。私どもも最近若い、学校卒業したての衛視を採用してやってまいりました。この世の中の変動でございますので、宿舎という点につきましては、これが一番ガンになっております。これさえ解決すれば、相当多量に採用ができたわけですけれども、そういう意味合いにおきまして、急遽便法を人事課と管理部で相談して講じておりまして、自動車課のあそこにありまする仮の宿舎を改造いたしまして、ただいま十八名くらい、それから永田町分室に六名、青梅橋に八名、早急にやっておりますけれども、申しわけないのですけれども、宿舎を独身寮に当てたり、いろいろな方法を講じてやってまいりますが、ことしも予算要求でこれをお願いしましたが、速記者の養成所の学生の寮は認めていただけましたが、衛視のほうはオミットになりましたので、大蔵省にお願いしまして、来年早急にこの近くに建てようと、こういう計画になっております。
  205. 山崎昇

    ○山崎昇君 一般的に衆、参両院の事務局では、宿舎がやっぱり少ないのではないかと思うのですね。それからわりあい運転手さんなんかの宿舎が遠いところにあるのですね。私ども夜運転手さんをお願いをしても、何かこれから一時間半もかかって帰るのですよ、なんと言われますと、とても頼むのにちゅうちょしますね。朝なんかでも。そういう意味で、私は宿舎があまり遠いということについては、つくられたとしても価値は半減すると思うのですね。しかし、東京のいまのような土地の事情ですから、そうぜいたくも言えないでしょうけれども、特に夜間といいますか、自動車の運転手のような場合には配慮をしてもらいたいと思う。そういう点はどうですか。
  206. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ただいまのお説ですが、私どものほうといたしましては、なるべく現場の職員を議事堂周辺の宿舎に入れて、だんだん上級に行くごとに遠くにいたしていこうと、こういう方針でやっておりますが、何ぶんにも絶対数におきまして少ないものですから、非常な御迷惑をかけておりますが、ただいまお述べになりました夜間おそくなって自動車課に自動車を持ち込んでくる職員が、それから帰らなければならぬというようなときに非常に不便を感じますので、応急の措置といたしまして、四十畳くらいの大きさの部屋はとってございますけれども、地下三階でございますので、換気その他が非常に悪いものですから、衛生上あまり弊害が起きてもいけませんので、これは早急に地上のほうと交換いたしまして、そういう応急な場合に宿直できる部屋をつくることを考えております。それから常時待機する宿直が一、二名おります。これは事務室の横の宿直室に待機しております。これは問題ないだろうと思います。
  207. 山崎昇

    ○山崎昇君 そちらから宿直の話が出ましたがね。やっぱりあまりいいところでないようですね。それから、泊まった方々から私聞くと、やはり休まれておらぬというような点もあるようですね。そういう意味で、ここには申し上げませんが、宿直についても相当私は整備をしてもらいたいと思います。  それから、参議院側に主として聞きたいのですが、昭和二十四年から三十七年くらいまでの間に採用された臨時の人のアンバランスの是正ということがずいぶん叫ばれているようですが、一向にはかばかしくないようですね。これは一体いつごろまでにどうされようというのか。きちんとした方針をひとつ明示しておいてください。
  208. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) アンバラ是正につきましては、参議院独自の操作でありまして、毎年毎年この分科会で指摘を受けておるわけですが、調整総数が大体二百七十号数でございまして、これは二、三年経過いたしまして、四十六年に全部一応のアンバラ是正は到達することに相なっております。
  209. 山崎昇

    ○山崎昇君 内容を私ども聞いてみますと、やっぱり経歴換算のしかただとか、それから共済組合の適用の問題だとか、ずいぶん多くの問題点を含んでいると思うのですね。しかし、これは間違いますというと、一生人によってはこれらの給与がついて回るわけですから、したがって、この人の受けた差別というものは一生ついていくわけですね。極端に言うならば、年金までいうなら、死んで奥さんにまで差というものがついていくわけですから、やはり早急に是正をしなければ私はいけないのだと思う、こういう問題は。ところが、どういうかげんか知らぬけれども、なかなかはかばかしく進んでおらない。この点は私はほんとうに強い不満として申し上げておきますから、一々内容はもう言わなくてもあなたのほうで御存じですから、再計算するならして、それから共済組合との関係だとかその他の関係だとか一般の職員ときちっと差別のないようにやってもらいたいということを強く申し上げておきます。  私の時間がもう迫ってきましたから、あと一、二点お聞きをしておきたいのですが、上級職試験の甲乙の差別がいまだに行なわれておるのですが、これは今後も続けるつもりですか、撤廃するつもりですか。
  210. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 人事院試験の甲合格者を参議院が毎年一、二名ずつ採用をしてまいっております。これは先ほど山崎先生お話しの特に調査事務の充実ということを非常に私たち要望されておりまして、この調査機関並びに議事部の議事運営その他の重要な高度の知識を要する面に人材を吸収しなげおばならないという御要望がございまして、現在の日本の学生、卒業者は、公務員志望と申しますか、そういう分野におきましては、大体この人事院試験に集まってきておるわけでありまして、私たちは、そういう御要望を充足させるためには、どうしてもその人事院の試験の合格者の配置をいただかなければ、参議院だけで試験をしておってもとれないような情勢でございますので、やむを得ず、その人事院試験の甲の合格者を毎年採用して、特にその採用者を調査機関に、調査室に入れておるわけであります。そういたしますると、やはり私も申し上げるのですが、甲は乙と比較いたしまして相当な開きが採用後起こる。六等になるのは片方は一年、片方は三年という最初から開きがあるので、私たちとしてはいい制度とは思いませんが、現在のそういう職員の需給の関係でしかたなしに甲の試験の合格者をとっておるのでございます。
  211. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは人事院にも私はやらなきゃなりませんが、私はやはり公務員法に違反をしていると思うのですよ。採用試験であるのに、試験の方法は違ってやって採用する。そして、私のもらった資料によれば、甲で採用した者は十一年三カ月くらいで三等級にいく。片方、乙のほうは十八年三カ月ぐらいたたなければ三等級にいけない。いわば採用試験でありながら、就職した後においては資格試験みたいな存在だ。こういうものを私どもは認めるわけにはいかないのです。だから、採用されたあとに、その人の能力をどうするかということは重大な課題であり、その能力をどう判定するかということも、私どもは勤評というやり方には反対だけれども、人間の能力の判定ということはあり得ると思う。それをせずに、わずか一日か二日の採用時における試験のやり方を変えただけで、その人の一生が左右されるなんていうやり方は、私どもは少なくとも国会ではやめるべきだと思う、人事院がどう言おうとも。そういう意味で私は甲乙の区別のしかた、これはやめてもらいたいと思うのです、どうですか。やむを得ないなんていうことでは、おさまらない問題ですよ。本人にとりましては、たまさかその日によって論文がうまく書けなかったかもしれぬ、しかし、乙で採用された人だって、すばらしい能力を持っているかもしれぬ、こういうやり方で人間を差別して、一生その差がついて回るなんていうやり方はすべきではないと思うが、どうですか。
  212. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 山崎先生のおっしゃること、私も十分に拝承いたすわけでありますが、甲の試験の採用は私のところだけではなしに、全公務員の機構においてそういうことをやっているのでありまして、私どものところだけがこれを採用いたして、乙の試験と同じような昇格期間でまかなっておると、ちょっと採用の約束に反するわけでございますので、一般行政庁が行なっております昇格基準をたどって昇格さしているわけです。とりわけいまの御質問によりまして採用いたしましても、人によっては非常に成績が悪いとか、能率があがらないというような例外な者はございます。そういう者はどしどし人事課で査定をいたして、基準どおりは上げません。また、乙の試験で採用された者でございましても、成績が抜群で、特に課長、係長の後半にくれば、もう甲の採用者と同じくらいの成績をあげておる者もございますからそういうような者は人事課におきましてこれを抜てきしていく、そういう操作においては、お説のような趣旨で操作はいたしております。何せ甲の試験の採用というのは、一つの大きなワクがございます。これにそむいて採用者を乙と同じにするというわけにはまいらないと思います。
  213. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは人事制度全般にわたる問題だから、これは国会だけ責めてもしようがないという気持ちも持っておりますよ、持っておりますが、少なくとも一番国権の最高機関と言われる国会では、こういうことは率先してこれはやめてもらいたい。いま事務総長の説明では、事実上は差別のないような扱いだというなら、その点については一応納得をしておきますけれども、しかしながら、こういう形で試験をして採用するというやり方はやめてもらいたいということを強く私は指摘をしておきたいと思う。もう二、三分ですから、あと二問でやめたいと思います。  その次は、参議院では、女子事務員の待遇がかなり差別させられておるというふうに私ども聞いております。そこで、この女子職員については、たとえば行(二)であるなら三等級への昇格でありますとか、あるいはおおむね七等級、六等級に押えられているというふうに聞いておりますが、昇格の問題についてもきちんとしてもらいたいと思う。それから先ほども申し上げたが、行(二)から行(一)にかりに行くにしても、間差がダウンされるところで行ったのでは、これも意味がありませんから、これをつけ加えて女子職員の差別は撤廃をしてもらいたいし、差別にならないように今後運営をしてもらいたい、こういうふうに指摘をしておきます。  それから最後に、電話交換手からまた私に意見がありまして、これもどうも昇格基準がやはりおくれておるというふうに聞いております。それから行(一)への移行も必ずしもスムーズに行っていないようにも聞いております。そういう意味合いも含めて、電話交換手等の問題についてもひとつきちんとしてもらいたい。ただ、これは言っていいかどうか知りませんが、私の調べた限りでは、どうも参議院のほうが衆議院より少し待遇が悪いのじゃないかという話もあるんですよ、うわさですが。どうですか、電話交換手について全く衆議院と参議院と差別はありませんか、そういううわさがかなり私どもも聞いているのですが、なければないでけっこうですが、もしあったとしたら、これはひとつ直すようにしてもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  214. 植木正張

    ○参事(植木正張君) ただいまの電話交換手の問題でございますが、これは人事院の規則に準じて行なっておりますので、その扱いにおいて両院に差別はないと思います。ただ、もしかりに差別があるとすれば、特別昇給だとか、そういう問題、あるいは移行に際しての人員構成の問題、そういう問題であろうと思います。
  215. 山崎昇

    ○山崎昇君 ほんとうはまだまだこまかく聞けばたくさんあるのですが、主査のほうから、私の割り当て時間が三時までであるから、一応これで終わりたいと思うのですが、いずれにしても、私ども衆参の事務当局がよくなるということは、間接的ではありますが、私どもがよくなることでありまして、いま指摘していることは自分自身に言い聞かせて、言っていることでありまして、どうかそういう意味で、議会制度を充実させ、あるいは発展をさせるという意味で、そこに働く職員の方方の資質が上がる、あるいは待遇等が改善をされる、そういうことによって議会が前進できるならば、これは一番しあわせだと思いますので、今後いままで指摘したような事項等を中心にして、ひとつ十分組合とも相談の上、改善をされるように最後に強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。     —————————————
  216. 八田一朗

    主査(八田一朗君) この際、分科担当委員異動について御報告いたします。  木村禧八郎君が辞任され、その補欠として小野明君が選任されました。     —————————————
  217. 横川正市

    横川正市君 私は、衆議院のほうとも関連がありますけれども、おもに参議院ですから、衆議院の皆さんはお帰りになっていいです。  私のきょうお聞きいたしたいのは、大体議院運営委員会で取り扱われるもの、あるいは庶務小で取り扱われるもの、それから参議院の機構の中で事務総長の権限の中で取り扱われるものと分かれておりますけれども、その中で調査室の調査室長、これの選任について、いままでのいろいろな方式があったと思うのですけれども、概略どういうような選考のしかたをとられているのかという点、これを一つ
  218. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 調査室長である専門員の採用につきましては、当該の委員長の御推薦がありました場合に、私が議院運営委員会の御承認と議長の御同意を得てこれを任命いたすことに相なっております。過去長い間、調査室の人員の拡充につきましては、新しく出発した制度でございますので、多方面からこれを採用した関係もございまして、とかくの御批判をいただいたようでございまするが、最近はおかげさまをもちまして、二十年の経過とともに非常に人材が豊富になりましたので、大かたの専門員、室長は部内からの昇進でまかなうことができるように相なっております。ただし、御承知のとおり、非常に分化されている制度でございますので、横すべりと申しますか、そういう方法はやりにくい制度でございまするので、特に次の後継者が若く未熟の場合にはやむを得ずこれを行政庁なり外から持ってきておる。そういうのが一、二件はございます。大体は部内登用でまかなえるようになっていることを喜んでおります。
  219. 横川正市

    横川正市君 実はそういう任命のしかたについて異論をはさむわけではございませんけれども、この国会活動の中の調査室の占めている役割りというものが、現状のままでいいかどうかという問題が一つあると思う。それからもしそういう調査室の現状に対して改革を加えるというような、そういう前向きの姿勢があれば、私は室長の選任というのは、やはり将来部内任用ということが可能でもありますし、そういうふうにいくべきであろうと、こう思うわけです。全体として部内任用が可能になったが、部分的にまだできないということはこれは事情があることですから、その事情については別にお聞きいたそうとは思いません。しかし、できればやはり部内任用が中心になって室長の選任が行なわれる、これが基本じゃないかと思いますので、このことは任用についてはひとつ心がけていただきたいと思います。  そこで、実は調査室がいまのままでいいかどうかということは、議員の立場に立ってみますと、国政調査権というものを持っているけれども、その調査権というのは、実は議員の能力とか努力の範疇にだけあって、その努力とか勉強の範疇だけで負うことのできない国会としての任務のある調査問題については、これはやはり国会図書館とかあるいは調査室とか、そういう機構からのいろいろな手助けを必要とするわけですね。私どもは、日常の案件を調査する場合には個人の努力というのが非常にたいへんなんで、それを積み重ねていかないと問題を落としてしまったり、見落としてしまう。それから通り過ぎてしまってから非常に大切な問題を忘れていたということに気がつくわけですが、そういうことを万々なからしめるための調査活動というものが、国会の立場で十分でなければいけないんじゃないかというふうに思うわけです。午前木村委員から図書館の岡部さんにいろいろ質問をされたときにも、たとえば行政府と立法府と分けて、行政府は非常にりっぱな調査活動あるいは研究、資料その他を整備するための努力、機械化の問題も入れてどんどん進められておるのに、国会は、調査室ももちろんありますが、図書館もそれほどに整備をされておらない。これはいわば三権分立のうちの国会というたてまえからすれば、機能を十分発揮するのにいささかこれは不十分なことにならないか、この点が指摘されたわけですね。もちろん議員個人の努力というのは、これは政党活動の中にもありますし、それから個人にもあるわけですから、そのことの努力がだれか第三者によって全部補われるということはこれはもちろん避けなければならぬと思うんですが、しかし、それであっても、記録とかそれから事案に対するところの諸外国の比較であるとか、あるいは立法の過程であるとか、いろいろな問題がそういう個人の努力に負うて検討するということは不可能に近いわけですね。そういう点からいろいろ考えてみて、いまの調査室はこのままでいいだろうかという点を実は私ども少し考えてみたいと思っておるわけであります。これは実際上議会の中にあって、調査室が誕生してから日が浅いというわけですけれども、いまの時点で調査室のあり方について事務総長としてはどういうお考えをお持ちでしょうか。   〔主査退席、副主査着席〕
  220. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) お答え申し上げます。ただいまじゅんじゅんとお述べいただきました御趣旨は十分拝承いたしますが、国会の事務局機構といたしまして、われわれは新しい国会ができてから長年論議をしてまいってきました。大きく分けまして純粋の事務局、それから調査担当する調査室、それから法制をつかさどる法制局、それから国立国会図書館の調査立法、こういうふうな制度がいまできておるわけでございまして、しかも、この種の論議をいたす場合につきまして、極端な議論をすれば、そういう機構は衆議院、参議院を通じて一つでいいじゃないかというような御議論があります。議長が警察権を持っている衛視なんかは一緒にできないが、その他は一緒でもいいじゃないかというような活発な御議論を承ってまいりましたですが、両院法制局も別々、それから調立は一本で衆参両院の調査を受け持っております。調査室は、その間におきまして調査局という制度が非常に考えられまして、これは両院に一つずつ調査局をつくれと、こういう案でございまして、初めにつくり出したころは調査部と称して、事務局の一部であった調査部とともに法制部と申しまして一部事務局にあったのが、独立して法制局となったわけであります。法制局と調査部というものも別々にあったわけであります。それらの点でいろいろな御議論を私は承って混乱するぐらいでありましたが、これはやはり根本的には議院内閣制とアメリカの二院制度という制度の根本をはっきりきめてかからなければ、どうしても中途半ぱになるんじゃないかという考え方を私らは最近持っておりまして、しかし、そういう機構論の点につきましてはいろんな御議論もございまして、十分審査しなければならぬのでございまするが、私ら実際を担当いたします者といたしまして、どんな機構でもいいから——それは極端でございますが、どんな機構でもいいから人材をなるべく入れなきゃだめだ、国会に人材を入れてからその配置分合をしてつくってもおそくはないのだから、どうしても人材を先に国会に吸収しなければならぬという要請を先に打ち出しまして、機構のことはあまりいじっても何だからというような御議論もありまして、今日に至っておるわけでございまして、もうあれから何年になりますか、そろそろ機構問題もまた頭を持ち上げてくるような時期になっておるのでございます。そういった点を考えまして、これからの調査室の点につきましてはいろんな思案をめぐらさなければならぬものだと思っております。個々別々に常任委員一つを担任いたしまして、これをトレースしていく制度がいいのか、あるいはまた、全部一緒にして調査局というものをつくって、調査局長が主導権をにぎって議員の調査に資するのがいいのかという議論も、私は制度としては適当な議論だと思っております。その点につきましては何分の御指導をいただきたいと思います。
  221. 横川正市

    横川正市君 この成り立ちから言うと、人間の英知でもって考えついて、まあこれがよかろうと、こういうことで現行制度というのが存在しているということはうなずけるわけですけれども、ただ委員部それから法制局と違って調査室の持っている仕事というのは非常に複雑多岐になってきているんだろうと思うんですね。ですから機構上からいっても、いまのままでいいだろうかという機構上の問題もありますし、それから調査活動をもっと広めるために人材の問題もありますし、陣容の問題もありますし、これはどうしたらいいのかということもあります。さらには、ほかのほうでコンピューターを入れて情報化時代に対処し得る状態をつくっているけれども、まだその点は不十分であるという点で、私は調査室の現状に対してやはり改革をすべき点があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、ただここで抽象的な論議だけしておっても前向きになりませんから、この点はぜひひとつ検討をしておいていただきたい、検討すべき事項として取り上げていただきたい、こういうふうに思います。ことに、国会としていろいろな資料があるわけですが、これは国会図書館と国会の調査室との関係ですね。これはもう当然違うわけですから、分けておくべきが当然だとは考えておるわけですけれども、いまのままでいきますと、もう少し連絡だけでも密にならないか。ここで例を申し上げますと、私どもは資料はどうかといってお願いするわけですね。そうすると、やはり大蔵省なら大蔵省の関係者に話をされて資料が来るわけです。それでは実は私ども十分でありませんから、今度は国会図書館に行っていろいろ資料をお願いするというふうになるわけですが、そうすると、私どもの資料そのものは、やはり国会図書館とそれから調査室とそれから各行政府の担当局から出される資料、こういうふうになって、あとはもう独自の情報活動とか、あるいは研究とか、あるいは他から、いろいろな本からの知識とか新聞の知識とかということになるわけで、そういったものをどれだけ一人の議員が一つの問題にぶつかったときにむだな、何といいますか、時間を浪費するかというたいへんな経験を私どもするんです。それと同時に、議員というものはほとんどそれに終始するんではなくて、党活動とか、自分の選挙のための活動とかいうので八割以上浪費をするんで、この形態からいけば一体国民の負託にこたえた議会活動というものがやられているんだろうかどうかといって反省させられるわけですよ。もちろん秘書制度もありますし、至れり尽くせりだけれども、大体全部が半ばなんですね。秘書なんかにしても、これはもうほんとうに片腕になって働く秘書を雇えるような状態にはありませんから、これもまあ半ぱな状態だ。それからいま言ったような、議会から何らかのものを得ようと思ってもそれも十分じゃなく、議員が日常活動の中でこれもまた半ばである。こんな状態では私はやはり議員の国民の負託にこたえられる議会活動というものは、これは十分果たすことができない、こう思うんですね。だからその点で何を一番われわれとしては求めるかといえば、やはりあらゆるものを総合的にいつもちゃんと備えておいて、そうしていつでも議員の期待にこたえるような資料であるとか、あるいはいろいろな問題とかいうようなものが提起できるような状態が必要だと思うのです。これはもちろん党派に拘泥するものではなしに、ほんとうに機関として、公平な立場での機関ということになるのじゃないかと思うのです。  それからいまの室長の選任なんかの場合にも、たとえば常任委員長の推薦なんかということになりますと、私はやはりそこで一体ほんとうの人材というものが得られるだろうかということを一面で疑う。これは選びようによっては最良の人事ということもあり得るわけですから、そういうこともあり得ると思います。ですから、私はやはり調査活動に最もふさわしい人を選任のできる選任機関というものがあっていいのではないか。その点議会というのは非常にあいまいな点がたくさん残されていますね。そのあいまいの根源は一体何かというと、選良として出てきておる議員の存在があまりにもあらゆる面に影響しておって、そうしてつじつまを合わせなければならない点であいまいさというものをつくっておるのだというふうに思うわけですが、調査活動だけはそういう点からひとつ脱却をした公正な機構、人事、それから十分な調査活動のできる機構、これをつくるべきじゃないだろうかというふうに思います。これはまあ意見でありますから……。総長はいままでの成り来たりからいろいろな意見があればということでしたけれども、私どもは私どものそういうふうな考え方で、議会の中で議員が十分に国民の負託にこたえられる活動ができるような、そういう立場に持っていく、そういう調査というものが必要なんじゃないか、そういうふうに思っておるわけなんですが、その点は、総長としてどういうお考えでしょうか。それから実際上、ここに室長さんがいれば室長さんの意見も聞きたいわけですけれども、正式な発言でなくても、速記をとめてでもいいと思います。
  222. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) いまじゅんじゅんのお話で、私も全くそのとおりだと思います。議員諸氏が何の心配もなく御活動できるように調査機構をフルに活用して、補佐申し上げる事態が一日も早く来たらんことを希望しておりますが、実はこの人員は九十名でございまするが、調査室長十四名、これは次官のちょっと下ぐらいで、各省庁におりませんような人材が十四名もおるわけでございます。それ以下の級別に相当な高給者がおるわけでございまして、御不満のようなことを露呈して申しわけないと存じております。これらの人材をフルに使ってこれから能率をあげていくにはどうしたらいいかということは、これまた重大な問題でございます。じみちにいまの意見に沿ってみんな努力しておると思いまするが、いまちょっとお話にありました委員長の御推薦の任命によって最高の室長を任命いたすのでございます。一時は常任委員長が非常におかわりになる度数が激しかったのでございまするけれども、近ごろはずっと間隔をおきまして、その一つの常任委員会に、もう委員長を経験したり、理事を経験したりした先生方が平の委員でおられましたりして、もうその委員会ではベテランの先生方が数名ずつはおられるわけでございまして、委員長の推薦と申しましても、委員長が単独で推薦するわけじゃございませんで、理事はもちろん、そういうベテランの先生方、長年委員会に御経験を持っておられる、職員をよく知っておられる先生方が御相談になって御推薦をいただくわけでございまして、御推薦についてはみなりっぱな方を推薦していただいておるわけでございまして、形式的な委員長の推薦では意味をなさないというような議論も昔は聞きましたが、いまはそんなことは絶対にございません。そういう次第でございますので、何といたしましても室長の人事というものは一番大事な問題でございまして、室長に人を得るかいなかは調査室の活動を左右するものでございますので、十分これから慎重にいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  223. 横川正市

    横川正市君 あわせてどうでしょうか。機構とそれから調査活動の実際に現状で不十分なものを、他の行政機関あるいは国会図書館にコンピューターの導入をして、そして実際の機能を十分に発揮できるような体系に持っていきたいという意思表示をされておりましたが、調査室で機械化についてはまだ手をつけておらないわけですか。
  224. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) まだその点については申しわけございませんが、研究はいたしておりますが、手をつけると申し上げる段階には至っておりません。予算的にもまだ認めていただいておりませんが、一応図書館でおやりになっておるわけでございます。そういうものと連絡いたしまして、この機械化の時代でございまするから、調査室の諸君にも御意見をお伝えいたしまして、十分研究の緒につくようにいたしたいと存じます。
  225. 横川正市

    横川正市君 私は、外国の国会なんかでは、大体議員が立法までして、そして議会活動では独自な能力を発揮いたしておりますね。日本の場合に、衆参通じて一体どうだろうか、もちろん国会というのは眠っていれば行政府が一番楽なわけですね。ここが活発な活動すれば、いまでさえ国会に呼び出されて仕事ができないといってぶうぶう言っているのに、あわせて行政府より以上な能力を持つような国会になれば、行政府はたいへんだと言って大騒ぎするかもしれませんけれども、しかし、それは私はお互いが独立した機関として果たすべき責任の分野なんですから、その独立機関として果たすべき責任の分野を十分ならしめるための一般水準程度のものは国会も持つべきじゃないだろうか。その点では実は調査室が整備していくということが非常に大切なんじゃないかと思っているのですが、委員部と法制局はそれほどいまの状態からいって改革を必要とするというようなことは思わないのですが、調査室というのはもうずいぶん変わっていくんじゃないでしょうか。調査活動というものが、普通の活動の状態ではもうほんとうにおくれてしまうという状態に置かれているのじゃないかと思いますがね。ですから、そういう点では、調査室を私どもは重視をし、これの整備、まあ人材の登用も含めてやはり急ぐ必要があるのじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。私は、議員生活十四年ちょっとやってみまして、自分で振り返ってみますと、人間というのは、一年間にやった仕事なんというのは全く鼻くそみたいに微々たるものだという反省をするわけですが、こんな反省をしているような国会じゃほんとうの機能を発揮しているというふうには思われないわけなんですね。私の場合は、もうほとんどの国政に関係した案件を約二百くらいなタイプに分けまして、そうしてそれぞれ一つ一つ図書館から資料を取り寄せたり、それから本や何かからとった資料を一つにまとめまして、これを全部整理して置いてあります。ところが、置いてあるだけで、これを手がけて頭に入れるだけの時間もひまもありませんものですから、資料はあるけれども活用ができないという一番大きな悩みを私たち自身がなめているわけですね。そういう点から、ぜひこれは調査室がかわってくれというのは、虫がいいのかもしれませんが、しかし、全体の議員に寄与すべきところですから、かわるべきじゃないだろうかというふうに思うのです。  で、私どもも含めてですけれども、議会活動というのは、来て、賛成するときに立って、反対するときにすわっていればいいというものじゃありませんから、一人一人がこれはもう百二十分に要請されて活動する、そういう場所ですから、それをフルに動かせるような体制というものが一体議会の中にないということになりますと、これもまた不備な点では一番私ども責められる問題じゃないか、こういうふうに考えるわけです。ですから、総長の言うように、室長の人選がどうで、現在の室長がどうでというような消極的なものでなしに、もっと前向きに、調査室というものの機能といいますかを内容的に充実していくということは、これは当然考えていいことなんじゃないかと思います。この点ひとつ、きょうどうということじゃありませんから、十分含んで検討していただくようにお願いをしたい。私はこの問題だけ質問をいたして、あと終わりたいと思います。
  226. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 調査室の機能の漸進につきまして、いろいろ御指示をいただきまして、まことにありがとうございました。仰せのとおり、調査室の室長ばかりでなしに、全員いまの御趣旨を体しまして、能率のあがる運営をいたさなければ相ならぬわけでございます。これら調査室の経費等につきましても、いろいろな配慮はいたしておりますが、国家予算立場上非常に不備でございますが、よしんば予算が少なくまた設備が悪くても、これを人的な結合によって克服していかなければならないというような覚悟をいたさなければならぬわけでございまして、調査室に御趣旨の点を伝えまして、御期待に沿うよう努力いたすつもりでございます。
  227. 沢田実

    沢田実君 いまの政治のあり方から考えまして、請願、陳情というのが非常に多いわけです。で、私ども考えとしては、請願について特別の委員会をつくってやったらどうかというような考えを持っておりますが、そういう議論はきょうは別にいたしまして、事務局といたしまして、請願を各国会ごとにどの程度受け、それをどんなふうに処理して、どんな取り扱いをしていらっしゃるかということをまずお尋ねしたいと思います。
  228. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 請願につきましては、新国会になりまして各常任委員会がこれを審査していただくことに相なっております。  それらの経過、処理につきましては、お手元に資料がありますので、この資料に基づきまして詳しい説明を議事部長から申し上げます。
  229. 海保勇三

    ○参事(海保勇三君) ただいまの御質問にお答えいたします。  常会についてのみ申し上げますが、ここ昭和三十八年から四十年ころにかけまして三千件前後でございましたが、昭和四十二年になりますと四千件をこえる、この前の六十一常会においては九千六百三十六件という請願が提出されております。  それで、これらの請願が、採択される請願は——この前の常会は、特殊な事情でございまして、請願の最終的審議が行なわれないで済みましたが、その前の常会の五十八回の例を申し上げます。  五十八回国会におきましては五千三百七件ございます、受理件数が。そのうち、採択された請願は二千四百件でございます。審査未了となりました件数が二千九百六件でございます。このうち、採択せられた請願のうち内閣に送付されたものが、採択された請願と同一でございまして、二千四百件ございます。これが内閣に送付されますと、それぞれの内閣におきまして請願の処理をどうしたかということが、内閣から処理経過の報告が年二回提出されております。五十八回常会の点につきましては、四十四年一月二十四日、その報告に接しております。  この資料を申し上げてはあれですが、ただいまお配りいたしますから、この資料でごらんをいただきたいと思います。
  230. 沢田実

    沢田実君 わかりました。  ただいまの報告はよくわかりましたが、そうすると、採択をされて実際に内閣に送付され、内閣で処理したということにはなっておりますけれども、実際にその請願が、請願者が希望しているようなとおりになったかどうかということまでは、あまりはっきりしないわけです。で、この辺については、また先ほど申し上げたようなことで、私どもは私どもとしていま考えておるわけですが、事務局といたしまして、これを取り扱うために、もう少しこれを拡充して、実地の調査なり、あるいは結果の追跡なり、請願者への連絡なり、やる必要がないかどうか、総長はどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  231. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 請願につきましては、何と申しますか、非常にじみな審査でございまして、上院としての参議院がこの請願の審査を徹底的にやるにふさわしいんじゃないかというように、私も従来考えておりました。  この点につきましては、新国会になりまして常任委員会がその所管の請願を取り扱うということでございまして、それの調査機構を担当しておる調査室が、これについて全面的に先生方の調査の補助を申し上げると、こういう体制になっております。調査室の活動に待つわけでございます。
  232. 沢田実

    沢田実君 調査室の問題については先ほどお話がございましたが、特別委員会の調査室というのは独立してなくて、常任委員会の調査室がかねているようなことになっているんですが、特別委員会の調査室を独立してつくる必要がないのかどうか、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
  233. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) この調査室の点につきまして、特別委員会におきましては衆参別個になっております。衆議院は特別な調査室を持っているように聞いておりますが、参議院におきましては、この特別委員会設置以来、その調査事務は関係委員会の常任委員調査室がこれを行なう、こういうことになっておりまして、たとえば一例を申し上げますと、災害対策特別委員会につきましては建設委員会の調査室が主になりまして、これと関係の深い地方行政、社労、農水等の調査室がこれを補助する、こういうことになっておるわけであります。また、極端な例でございますが、公職選挙法の特別委員会ができましたときには、これは地方行政の調査室で選挙のことはやっておりましたものでございますから、これはもうどこの補助もなしに、地方行政委員会の調査室が公職選挙法の調査事務をやる、こういう、非常に有機的なつながりの深いところで調査を兼務してやっていく、こういう制度がいいんじゃないかということで、議院運営委員会の理事会で御決定になりまして発足いたしまして、現在も私たちはこの制度でいいんじゃないか、こういうことでございまして、特別委員会の人員の不足を来たしておるものでございますから、事務局から応援が七名、増員が最近、去年二名、ことし三名——でございましたか、そういったことを勘案いたしまして、人員を全部常任委員会の調査室に、それらの職員を配置いたしまして、特別委員会の調査の万全を期しておるわけでございます。
  234. 沢田実

    沢田実君 調査室の調査旅費ですが、調査活動は非常に大事だと思いますので、もっと増額する必要があるんじゃないかと思いますが、あわせて特別委員会の調査のほうの旅費ですか、そういう点もどんなふうになっているか、承りたいと思います。
  235. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 管理部長から……。
  236. 前川清

    ○参事(前川清君) 常任委員会の調査室の旅費につきましては、四十五年度予算につきましては二百七万四千円計上してございます。これは常任委員会と特別委員会と両方を含んでおります。
  237. 沢田実

    沢田実君 それでそれはわかりますが、もう少しよけいないと実際の調査活動ができないんじゃないかという考えを持っておりますので、皆さんのお考えはどうですかということです。
  238. 前川清

    ○参事(前川清君) 旅費につきましては、毎年かなりの額を予算要求しておるわけでございますが、従来からなかなか旅費の額の増額を認めていただくのは非常にむずかしい問題でございまして、なかなか予算は要求どおりにはいっておりませんが、特別委員会の設置がされた場合とか、あるいは旅費法が改正されるとかそういうときには当然上げざるを得ないと思いますので、当然その際には増額されておりますが、それ以外には、特別にこういうことをやるということがはっきりいたしませんと、なかなか増額ということはむずかしい現状でございます。なお、今年度におきましては、職員の海外派遣と申しますか、沖繩の現地調査、連絡と申しますか、そういうための予算が初めて認められているわけでございます。
  239. 沢田実

    沢田実君 先ほど給与の話等たくさん出ましたので、そういうものは省略いたしまして、衛視の方の何か六品料か何か出ているらしいのですが、それが若干値上がりしたらしいのですが、今月から引かれる部分もあって、実質的にはほんのわずかしか値上がりになっていないというようなことをお聞きするわけですが、どういう基準に従ってほんのわずかの値上がりをなさったのか、その辺のいきさつ等お尋ねをしたいと思います。
  240. 前川清

    ○参事(前川清君) いわゆる六品料、これは被服代料と申しておりますが、これは衛視につきまして、御存じのように、一定の服制がございますので、一定の服装のいろいろな品物を貸与したり、給与したりしておりますが、六品料と称しまして、ネクタイとか、くつとかくつ下、あるいはワイシャツ、手袋等、これは本来現物で支給するのがたてまえかと存じますが、これは現物にかえてそれらを購入する費用として、現在年額三千八百四十円が予算についておったんでございます。これを毎年予算の増額要求はいたしておりましたが、四十五年度予算では年額四千九百二十円に増額が認められたわけでございます。ただいま先生のほうから、そのうちに引かれるものがあるとおっしゃいましたが、おそらくそれは四十四年度までついておりました衛視宿料と称するもの、すなわちこれは月額一人五十円、年額六百円でございますが、それが本年度から廃止になりましたので、その分のことを含めておっしゃられたのかと存じますが、これにつきましては、昨年もこの席でちょっと御質問がございましたのでお答えいたしましたが、衛視宿料と申しますのは、これは旧帝国議会時代から衛視につきましては、その職制上一定の距離、すなわち国会議事堂から一定の距離以内のところに住んでいなければならぬというような、ある程度の義務づけもございましたので、それに見合うものとして、宿料が、当時のお金で相当額支給されていたわけでございますが、それが戦後のいわゆる住宅事情の困難から、そういうことがなかなか実現がむずかしくなりましたので、衛視宿料もその後は値上げはほとんどせず、月額五十円という、まことに非常識な線で、ただ有名無実という形で残ってきたわけでございます。実際はそういった宿料で、いわゆる住宅手当のようなものを支給するという考え方とは別に、公務員につきましては、その必要度に応じまして、公務員宿舎を提供するという考え方で現在運用しておりますので、この衛視宿料という過去の遺物はもはや必要ないという考え方のもとで廃止いたしまして、それとは別に、被服代料のほうは物価の値上がり等もありますれば内容を充実するという意味で引き上げを要求し、引き上げられてきたわけでございます。われわれのほうでは大蔵省の予算のつけ方については、いま申し上げましたように認識しておるわけでございます。
  241. 沢田実

    沢田実君 そういうわけで月額に換算をいたしますと、九十円に値上げになる。ところが、実際こちらのほうに五十円引かれるから四十円の値上げしかないと。物価が上昇しておりまして、ほんとうに困っているということが実情のようなので、もう少し何か考えることができないかということを申し上げたわけです。またひとつ御検討をいただきたいと思います。  それから自動車は何台あって、運転手さんは何人いるのか、ちょっとお尋ねをしたい。
  242. 植木正張

    ○参事(植木正張君) 現在事務局で持っておりますものは百十台でございます。内訳を申し上げますと、議員の配属車、それの予備車七十九台、それから修理とか車検の車の応急車としまして七台、あとバス四台、それから小型貨物、それから救援車——レッカーでございますが、これが二台、残りの十八台が一応事務局ということにしておりまして、これを議員車に事故があった場合に回すとか、あるいは事務局の連絡に使う、そういうことにいたしております。
  243. 沢田実

    沢田実君 運転手さんに不足を生じていないかどうかということをお尋ねしたいわけですが。
  244. 植木正張

    ○参事(植木正張君) ただいま申し上げました車に対しまして、現在運転手は九十八人おります。議員用のは全部専属で七十九人つけております。それからバスに二人、それから夜勤者がありますので、常に一人は夜勤明けで休むということでございます。したがいまして、残りの十六人が一応先ほど申し上げました十八台の車に対応しておるわけでございます。しかし、この十六人の実態も、現在の段階で申し上げますと、軽勤務でちょっと乗れないというのが二人おります。それから一人、二人は病欠その他で事故がございます。したがいまして、車に見合いの人員ということになりますと、あと五、六人の人員がおればちょうどいいと、そういう状態でございます。
  245. 沢田実

    沢田実君 いまおっしゃるように、きょうはこれで休みますと言って、よくいらっしゃらない日があるもんですから、お尋ねをしたわけですが、そうすると、その欠員については補充するような計画になっておりますか。
  246. 植木正張

    ○参事(植木正張君) これは欠員と申しますか、できれば新規の増員で補充したいと考えておりますので、毎年予算の要求の当時に要求をずっといたしておるんでございますけれども、実際問題として増員にならない、こういうことでございます。もし、どうしても運転手のほうが欠員ができまして、実際の業務に支障を来たすというような場合には、行(一)のほうの人数を削って運転手に持ってくるとか、内部の合理化で処理せざるを得ない、そういう状態であります。
  247. 沢田実

    沢田実君 それから、話は変わりますが、最近、参議院の議員の定数の問題でいろいろ議論されているようです。また、沖繩から参議院議員が選出されるようなことになったといたしますと、二百五十名以上になると思うんですが、その場合に議員会館等さっそく困ってしまうんじゃないかと思いますが、その点の計画を、ございましたら、承っておきたいと思います。
  248. 前川清

    ○参事(前川清君) 議員会館には、現在、議員室以外に議員談話室と称するものがあそこに二部屋ございます。四階と六階の東側と申しますか、これがちょうど議員室と同じ広さでございますので、もしそういう場合には、沖繩の議員さんが出られた場合には、二名と、ちょっと新聞で聞いておりますので、もし二名であれば、ちょうどうまくそれを利用されるのではないかと存じております。  なお、現在の利用状況と申しますのは、大体多い日で一日に一回その部屋をお使いになる、そのほとんどの場合はそれ以下であるというような状況を聞いておりますので、それは、そういう場合には、いずれ議院運営委員関係あるいは自治委員会の御承認を得て、きめていく考えでございますが、事務局の現在の考えでは、以上のとおりでございます。
  249. 沢田実

    沢田実君 ついでに、もし来年の参議院選挙で定数が是正されるということになりますと、足りなくなると思いますが、そういう準備はよろしいんでしょうか。
  250. 前川清

    ○参事(前川清君) もしそのような場合が起きましたならば、そのときに急に議員会館を増設するということはすぐには間に合わないと思います。したがいまして、まだ私個人の考えでございますが、現在の会館の一階にある内談室等を一時それに充てる、それで恒久的な措置は別途講ずる、そういうふうに考えております。
  251. 沢田実

    沢田実君 先ほど来機構の問題やら、それからいろいろなことを論議されました。特に、速記の方々の問題については大事な仕事であるので、ということで、特別に議論も出たし、それに私は反対じゃございません、賛成でございますが、現段階ではそうでしょうけれども、将来は速記も機械化されていくのではないか、そういうようなことが考えられるんですが、そういうことに対して、もし研究していらっしゃるようなことがあれば、この際発表しておいていただきたいと思います。
  252. 西村健一

    ○参事(西村健一君) ただいまお尋ねの件につきましては、御承知のように、参議院規則には「会議録には、速記法によって、すべての議事を記載」するとなっております。しこうして、国会におきましては、いわゆる手書きの速記を行なっているわけでございます。裁判所等では、ステノタイプという機械を用いて速記をしておるようでございますが、私どもとしては、これまでいろいろ検討いたしましたところでは、やはり手書きによるのが最も正確を期することができると、こういうふうに考えております。したがいまして、もし国会において機械化をはかるといたしますと、手で書きました速記符号を普通文に翻訳いたします段階以後のことになるかと思いますが、その場合、一般的に考えられますのは、タイプライターの利用と録音機の利用ではないかと思います。外国におきましては、速記者がタイピストの前で符号を翻訳しながら朗読いたしまして、その場でタイピストがそれを普通文でタイプに打っていくという方法をとっておるようでございますが、日本語の場合、相当複雑でございますので、これはかえってめんどうでもあり、時間もかかるのではないかと考えております。  次に、一応手書きで普通文に翻訳いたしましたものを録音と照合して正確を期するということでございますが、これは現在でも予算委員会等につきましてすでに実施いたしておりまして、相当な効果をあげております。しかし、これを全部の委員会に及ぼすには、録音機の操作に必要な人員の問題等がございまして、なかなか容易には実現できない状況でございます。それから予算委員会以外につきましても、公述人とか参考人とか部外者の方が委員会に出席をいたしまして、相当むずかしい専門的な発言をされる場合がございますが、そういう場合には必要に応じて録音を利用しております。最近、御承知のように、カセットという、まあ携帯用の精巧な録音機ができておりますので、それらの利用につきましても、つとに検討をいたしておりますが、いずれにいたしましても、私どもの基本的な立場は、録音はあくまで手書きの速記の補助として活用するという立場でございます。今後の問題といたしましては、より早く、それからより正確な会議録を作成するためにもし機械が役立つならば、進んでこれを取り入れていくことにやぶさかではございません。そうして、実際にも記録部の内部におきまして、すでに担当者を定めて、機械化の問題を積極的に検討を始めております。こういう実情でございます。
  253. 沢田実

    沢田実君 以上でございます。
  254. 片山武夫

    ○副主査片山武夫君) ほかに御発言もなければ、国会所管に関する質疑は終了したものと認めます。     —————————————
  255. 片山武夫

    ○副主査片山武夫君) 次に、昭和四十五年度総予算中、会計検査院所管を議題といたします。  事務局からの説明はこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 片山武夫

    ○副主査片山武夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それではこれから質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  257. 横川正市

    横川正市君 二、三の問題に関連して、検査院に質問いたします。  一つは、事例をあげまして、その事例にどう検査院として処置をされたかという問題なんですが、これはまあ卑近な例ですから、皆さん御案内のことだと思いますが、最近専売公社とか電電公社で、公費をゴルフその他費用に使われたという事件がありまして、これが尾を引いて職員部長が最近左遷をされたというような事件にまで発展をいたしておる。これを例題にあげて質問をいたしたいと思うわけです。検査院法の二十三条によって、掲示の検査を行なう場合、これはあらかじめ検査内容については、この検査されるそれぞれの公社または官庁へ通告をされるわけですか。それとも全く検査内容については通告をせずに、全般問題ですからいわば抜き取り検査といいますか、そういう検査の方法によるわけですか、どちらでしょう。
  258. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) これは検査の対象といたしましては、院法二十二条それから二十三条と両方に検査の対象が規定されておるわけでございます。それで二十二条のほうは、これは検査院の必要検査対象でございまして、このほうは通告を要件といたしておりません、法律は。それから二十三条のほうは、これは読んでおわかりのとおり、「検査をすることができる。」ということで、選択的検査の規定になっております。この場合には、第二項によりまして、これを関係者に通知する、そういうふうな規定がございます。これは検査の、いわゆる指定の通知でございます。さてそれでは実地に検査する場合どうするか、こういう場合でございますが、この場合は通常は通告検査をいたしております。しかし、犯罪の事案があると、たとえば架空経理をしておると、証拠書類を見ておりますと、どうもおかしいぞというようなものがあることがございます。そういう検査をする場合には、抜き打ち検査をやっておるのが現状でございます。
  259. 横川正市

    横川正市君 三十七条の二項に、支出について意見を求められるということがあるわけですが、通常こういう事例はありますか。各官庁からこの支出についてはどうでしょうかと検査院の意見を求められるような、そういう場合がありますか。
  260. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 横川委員のおっしゃるのは、三十二条二項の関係だろうと思いますが、一項のほうはこれはもう絶えず参っております。一項による意見の表示、これはもう絶えず私どものところでやっております。それから二項のほうの「会計事務を処理する職員がその職務の執行に関し疑義のある事項につき会計検査院の意見を求めたとき」と、これは文書で参りますのはほとんどございません。実際問題といたしまして、担当者担当の局、課に、こういう問題はどうしたらいいだろうかということを聞いてまいりまして、それに対してこちらもまた電話なりあるいは向こうの人が出向いてくるのに対して意見を申し上げるというようなことで運営しております。
  261. 横川正市

    横川正市君 三月の二十七日の参議院の決算委員会で公明党の黒柳君が公費の問題を追及をいたしましたが、これは二十九条の法律、政令、予算に違反をし、不当と認められる案件だとお考えになっているんでしょうか、それともこれは単なる道義的なものというように受け取られますか、検査院としての立場でひとつお聞きをいたしたい。
  262. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) いま横川委員の御質問の具体的例、専売公社のそれでございますか。
  263. 横川正市

    横川正市君 はい。
  264. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) この問題は内容を調べてみませんと私のほうとしては、不当事項になる場合もあるしそうでない場合もあろうかと、こう考えるわけなんです。たとえば、これも仮定の問題でございますが、いわゆる公費でもって職員だけがゴルフをして遊ぶというようなことがあれば、これは不当使用になろうかと、こう考えておりますけれども、これはもう少し事態がはっきりいたしませんと、私のほうとしては、まだ何とも申し上げかねる次第でございます。
  265. 横川正市

    横川正市君 検査院の検査は大体そういうような手を尽くした結果でありましても、事後に発見をされるということになるわけですね。で、事後に発見をされる、始末をするという経験の積み重ねから事前に防止をするというようなことで、各省に検査院としては常時どういう処置をとっていらっしゃるのか。
  266. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 会計検査院といたしましては、おっしゃいますように、不当事項を指摘するだけが、それでもって事足りるというものではございませんで、その不当事項の原因を探求して、そうしてそういう事態が二度と起きないように努力をしなくちゃならぬ立場にあるわけでございます。したがって、いままでの検査報告の不当事項につきましても原因をよく探求いたしまして、そして、たとえば補助工事の出来形不足、いわゆる手抜き工事、こういったものが相当見受けられておりましたので、農林大臣あるいは建設大臣にそういう事態が起きないように改善意見を出しておりますし、また、検査報告の中にも、たとえば、健康保険の保険料の徴収不足というような例がこれ毎年出ておりますけれども、こういった事態につきましても、どこに原因があるかということを考えまして、たとえば、納めるほうの昇給月を、よく所管で把握すると、そういうことによって昇給が、アップしたときにはそれだけたくさん保険料を取らなければならぬわけですが、そういう昇給月をよく把握するようにしろとか、あるいは前年の報酬月額と比較してみておかしいなというようなものがあれば、それがまあ追徴する端緒になりますので、そういった前年分の報酬月額と比較してみるというような、そういったことを検査報告にも書いてございます。それから、それ以外にも常時検査してまいりますと、こうしたらいいんではなかろうかというようなことがございまして、たとえば保険で申しますと計算の簡素化ですね、計算が非常に複雑になっておりますので、納めるほうがつい間違えてしまうと、その結果、徴収不足が出てくるというような事態もございますので、計算を簡素化したらどうだろうかということで、検査の担当官から向こうへ意見を申し述べて、それで向こうがそのとおりに直してきているというようなことで、まあいろいろな手を使ってそういう面では努力しておりますが、今後ともそういう面では努力していきたいと存じておる次第であります。
  267. 横川正市

    横川正市君 まあおいおいお聞きをいたしますが、たとえばこの専売のゴルフ、公費をゴルフに使ったという記事は、これはまあ頭から公費という扱いをいたしておるわけですね。ですから、公費がどういう理由で、たとえば厚生費の一環として職員の健康保持のための全体的な施設としてつくりました、それは体操用具であるとかあるいはテニスくらいなものであるとかというようなものが施設としてつくられましたというのと、それからまあゴルフというようなものに使われたということに一応の社会通念上差をつけて、ものごととしては区別をつけるわけですね。その区別をつけられたものを指摘されましたら、専売公社は全廃をするということを言っております。それから国鉄は半減する、電電公社はそのままにしておきますと、いずれもこの三つの指摘をされた公社が取り扱いがいろいろ別な取り扱い方をしているわけであります。で私は、まずこの検査院の立場に立って、ゴルフのために、専売公社の場合にはたしかこの記事で読みますと、業務費、手数料の中から三千六百万円の公費を支出して、流用して購入していると、ですから普通の何十万という金じゃないわけですね。相当の多額な金であります。それから国鉄の場合は全国で百十一カ所、百六十六口加入というわけですから、大体二倍半ですね。そうすると約一億くらいのものになるでしょう。それから電電公社は、これはずいぶん前で、三十七年に大橋総裁のときに、ゴルフ場券があまり多過ぎるというので五、六口に会員券というのを縮小している、現在残っているのはその縮小されたものだというので、大体普通必要とするに一般常識的に持っていてもいい数字だろうという判断なわけですね、電電公社の場合はそのままにしておくというのは。こういう各公社の取り扱いがまちまちであるという事実を、これは検査院としてはこれがどういう金でやられたものなのかによって違法となるかあるいは合法かと判断されるのか、それとも検討してみなければというのは、こういう事実があっても適法だという事実がありますと、だから検討してみて当てはめてみなければいけないというふうにもとれるわけですが、実際の判断としてはどういう判断をされているのでしょうか。
  268. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) ゴルフの会員券の問題でございますが、これはまず取得の最初ですね。当初がたとえば厚生経費と一般に認められているもので、そしてそれがほんとうに、職員の厚生用に、たとえば順番で職員がゴルフ会員券を使うのだというような使い方をする場合には、これはまた私のほうとしては文句の言いようがなかろうかと考えるわけです。  それからもう一つは、対外的におそらく使うということも考えたんじゃなかろうか。これは実際そうかどうかは私はまだはっきり承知しておりませんけれども、たとえば貿易関係でバイヤーとの商談に使うというようなことで必要だということでお買いになった分には、これまた検査院として文句の言いようがなかろう。問題はそれを取得後の使用の形態が、むしろ問題になってくるんじゃなかろうかという気はするんです。したがって、それがほんとうにそういう当初の目的に使用されているかどうか。それによって判断が分かれてくるんじゃなかろうかという気がいたします。
  269. 横川正市

    横川正市君 この新聞記事によれば、業務費、手数料から支出したということになっておりますね。そこでこの公費でゴルフの会員券を買ったということのよしあしは、これは一応検査の結果出るものだと思いますが、いままでに電電公社、国鉄、あるいは専売公社の検査の中で、事実問題としてこのことが検査対象として対象になったことがありますか。
  270. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) このゴルフの会員券の問題は、いま始まったことではなくして、過去においても確かに問題になったことがあるように私は記憶しております。それで一応公社のやつを全部調べるということで書き出させて、そして自粛を促したことがございます。これは正式に書類で出すというようなことはしておりませんけれども、検査の作業として自粛を促したことはございます。
  271. 横川正市

    横川正市君 検査院のその立場でそこまで手を尽くしていたのならば、これはやはり自粛のためのもっと強い指示というものがあってよかったんじゃないか。  それからもう一つは、法に定めた手続で専売にしても、公社にしても、国鉄にしても、こういう金でこういう施設をしたい、こういうふうに使いたいがという、その検査院に対する問い合わせみたいなことをあらかじめやるとか、そういうようなことが行なわれておらない。そういうこともやはりこれは手落ちじゃないかというふうに思うのですか、その点はどうですか。
  272. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) この専売公社についてはおっしゃるように、その取得のときに検査院に伺いを立てるということは確かになかったように記憶しております。しかし、そのほかの公庫、公団ございますが、こういうところでゴルフの会員券を買うのはどうだろうかということを担当のほうから相談を受けたことがございます。これに対してはどうも買う理由がないじゃないかといって、いままで突っぱねてきております。しかし、おっしゃるように、公社の場合には私どもに相談を受けた覚えがございません。
  273. 横川正市

    横川正市君 まあ検査院の検査のしかた、あるいは検査を受ける側のそれぞれの立場というものの中に、私はもっと何といいますか、あからさまなものを出して、いいものはいい、悪いものは悪いという判断をつけるような癖をつけるような指導をすべきじゃないかと思うのですが、検査院としてはどうですか。
  274. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) おっしゃることごもっともでございまして、私どももそういう方向で努力いたしたいと、こう考えております。ただゴルフの件の問題は、おそらくその使用の状況ということが非常につかみにくいというようなことから、現在に至ってこういうことになったんじゃなかろうかと考えるのでございますが、横川委員のおっしゃることはまことにごもっともでございまして、私ども今後その線で努力いたしたいと考えております。
  275. 横川正市

    横川正市君 私は、やはり検査院に対してずいぶん気を使っていながら事実行為はどうも少し無視をするような結果がたくさん出てくるという、そういう状態はあまり正常じゃないような気がするんです。そんなことではなしに、理由のあるものについては当然行なうことができる。理由のないものをこそこそやることは、これはやってはいけないというようなけじめがつけられてしかるべきじゃないだろうか、こういうふうに思います。特にいままで総長の説明を聞いておりまして、ちょっと私もふに落ちかねるのは、こういうことをしたいがどうだろうかといって聞きにこないということも、これは不都合ですけれども、実は検査院の側に立って、もうすでに何回か問題になっているわけです。私ども何回か耳にはしている問題です。それが何か時間的に経過すると、特別に三段抜き五段抜きの記事として扱われるという、いわば社会に対する背信行為のような状態で取り扱われる。これをどういうふうに見るかということが問題だと思うのです。一般常識上から考えてみると、いささかやはり逸脱しておるから記事になるのであって、記事を見て、いわば不法行為という感じを持つわけなんです。その点の私は罪感というか、不正に対する良心というか、そういうものを日常やはり検査院としては相手側に対して呼び起こすような指導のしかたということがやられてしかるべきじゃないだろうか。これは一職員が不正を行なったのと違いまして、公社という名目で堂々とやられているわけですよね。いま言われるように、一体専売公社で、ゴルフというものはどういうふうに必要なものなんだろうか。会社なんかの場合にあるとすれば、これは他から収賄行為とか買収行為だとかというようなことがあっては困るから、自分のところだけで持っていれば定例に提供してやれるのじゃないかというような幹部の親心みたいなものがあるかと思います。それから一般的に、やっている人は、ゴルフというのはもう庭先でまり投げているのと同じくらい一般化しているかもわからぬ、そういう感覚でやっている場合もあるかもわからない。しかし、いずれにしても一般の社会の感覚からすれば、まだこういうやり方は不正だととられるほうが絶対的に多いわけですから、そういうようなものに対してはあらかじめ検査院に、事実上どうですかといって聞いて、あとからあなたのほうがしりぬぐいをしなければいけなくなるというのも困るだろうけれども、おそらくそうなれば常識上からいっても、それはいけませんよという答えを出すのじゃないかと、そう私どもは思う。それならば、あらかじめそういうようなことをしないようにということは、指導の中にあっていいのじゃないかというふうに私どもは思うわけなんですが、そういう点で、この点はぜひひとつこれから注意をしていただければ幸いだと思います。  そこでもう一つは、大蔵省の関係の人にちょっとお聞きをしたいのですが、予算単価というのがありますね、予算単価。予算単価というのは求められた完全な工事をするに足る単価として予算化されているかどうかという点なんです。形式的にそういうふうにお答えになるかもわかりませんけれども、私はどうも予算単価というのが、非常に最近の一般的な情勢を勘案してみて、低いのじゃないかというふうに思うのですが、大蔵省では予算単価はどういうようにお考えになっていますか。
  276. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 予算単価という中にも、工事費あるいは旅費、すべていろいろございますが、工事費関係は私の担当でございませんけれども、建設省そのほか専門的に研究いたしまして、これでできるというたてまえの単価と聞いております。なおこれが実際にどうなっているかという状況は、またいろいろな面から実際に調べに行ったりして検討をしております。
  277. 横川正市

    横川正市君 世の中のことがわからないで予算組むわけじゃないでしょうから、世の中のことがよくわかっていて予算を組んでいるわけですね。ですから、一つの工事を請け負われて、それを遂行するまでの延べ人員の総数といいますか、その総数の中に、たとえばことしの二月に大工の賃金が三千七百円に値上がりいたしました。そうすると、予算単価では、これは三千七百円に大工の賃金というのはなって組まれるというのが普通だと思うのですね、実際。左官が幾らだとか、あるいはとび職が幾らであるとかいうふうに単価というものはきめられてくるべきだと思うのですが、それが実情とはおおよそかけ離れた積算方式といいますか、それをやられて、計算やられたものが、それが一つの工事の請負価格になってきている。その状態を直したらどうかということをずいぶん言われているのじゃないかと思うのです。予算単価というのは。そのときそのときの事由に合わして単価というものは正当に組まれていくべきだ。そうしないためにいろいろな問題が起こるわけでして、その問題を今度は会計検査院側がとらえますと、いまのような予算単価で請け負って、大体官庁と一般の場合と比べてみますと、一般の場合よりか官庁の場合は何割か低いようですね、請負い価格というのは。それで結果は完全なものを要求される。そのことがどうも世の中の一つの常識みたいになってやっているということに問題が私はあるのじゃないかと、こう思うのですが、担当でないということで、どうも適切なあれはないかと思いますけれども、大蔵省としてはそれは直す考えがあるかどうか。
  278. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 担当でないので詳しいことはなんでございますけれども、一応のマン・アワーなり、予算単価なり設定いたしまして、非常に計画がずれるかもしれないという性質のものは別途に自主計画のときに細部設計で御相談するというような仕組みをしておりますし、それから従来いろいろやりくりできるというような小さいものは、しいて自主計画の承認という事項に当てないで、仕事をやっていただいているというようなことをやっておりますので、非常に誤差が出るということでございますと、その段階である程度見直しているというのが現状であると聞いております。
  279. 横川正市

    横川正市君 検査院側としては、いまの予算単価に対して、この単価では無理だと、もっと単価の是正をすべきだという意見をお持ちになってはおりませんか。
  280. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) いまの単価の問題でございますが、私たち検査しておりますと、いわゆる工事費というのは、歩がかりとそれから人夫賃単価、これとの相乗積ででき上がっているわけです。それで、人夫賃が安いなと思うときは歩がかりのほうをふやしております。結局、結論においてはいいところに落ちついているというようなことでございまして、私どもといたしましては、いますぐ予算単価が低過ぎるじゃないかという意思表示をする、そういう段階には現在ございません。
  281. 横川正市

    横川正市君 そうすると、もちろん検査院としては、いまの業界の体質上持っている非常に大きな問題ですね、これはどうという発言はしないのが当然だと私は思いますが、いまの業界が持っている体質というのは、実は私ども非常に大きな不合理をかかえているというふうに思います。だから、適正な単価といってみましても、事実上工事費というのはその単価でまかなわれるはずなのに、実際の工事のかかった費用というのはどこかで手抜きがされてしまう。それが一つの不正行為のようなかっこうで出て、その件数がたくさんになり、国損が大きくなってくる。それをどこかで直さなければ、いつまでたっても実は国損をかけたという検査院の指摘案件、これは減らない。しかもその大もとには手が触れられないというような矛盾を実は持っておるのじゃないかと私は思うわけです。いまのままのいわゆる業界の体質で、その単価で適正な結果というものが出るというふうに考えておられるのでしょうか。
  282. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 非常にむずかしい御質問なんでございますけれども、私ども補助工事等相当見ておりますけれども、こちらで一応予想した単価、これでもってりっぱに工事をやっているものが相当多いわけです。それが手抜きが非常に多いとか、悪い工事がほとんどだというような状態になればこれはまた別ですが、現在の単価でもりっぱに工事をやっているのが他方多数あるという状態を踏んまえてみますと、いますぐ単価が悪いから手抜き工事が多いのだというふうな結びつきは、そこまでいくのはどうだろうかというような感じでございます。
  283. 横川正市

    横川正市君 実際に問題をとらえて、そしてこれはどうかということじゃありませんから、抽象的な論議ですから、そういうふうにとられる点もあろうかと思いますけれども、私はやはりいまの国家予算の中の工事単価、いわゆる大蔵省がいろいろ検討されている工事単価というのは、これはやはりずいぶんいまの経済状態の中では低過ぎるのじゃないか、単価の手直しをすべきではないかということを感ずるわけであります。ことに工事なら基礎部門を担当する場所ですね、これなんかはもうほとんど労働力が枯渇してまいりまして、そして不要にそこに労賃というものの引き上げというのが行われていって、工事請負者はそれをまかなうために他のところに非常に無理をするというような状態が出てきておりますね。それからもう一つは、やはり直接工事を行なわないで下請にまわしてしまう。そのときには単価どおり下請に仕事を渡すということはまず万々ありません。ひどいところは二割五分とか、あるいはいいところでも一割五分とかいうピンはねが行なわれる。そういうことから工事全体を行なっている業界の体質上の問題もありますけれども、私は、やはり、一般の民間の工事と比べてみて官庁の工事というのは単価が低過ぎるんじゃないか、これはもう当然手直しをすべきじゃないかというふうに思っているわけなんで、私は、これは検査院の不正指摘あるいは国損指摘が行なわれるときに、当然、その点を十分調べて、そうして改善意見という形のものが出されれば一番いいんじゃないかというふうに思うわけなんです。そのことが、ひいては下請企業の体質改善にまで手が伸びればこれはもう一番いいことなんですけれども、それまでは期待できなくても、完成した工事に不正がないということをより確かにする手段としては一番いい方法なんじゃないだろうか、こういうふうに思いますが、御意見はどうでしょうか。
  284. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 補助工事のいわゆる単価の問題は、建設省なら建設省、それから農林省は農林省なりで一応の基準をつくりまして、それでもって、こういうあれで工事費を積算してこい、それに対して補助金をつけるぞと、こういうかっこうになりまして、前哨的な問題でございます。したがって、おっしゃいますように、その基本を直さなければ、あるいは非常に苦しくて変な工事をするということもあり得るかとも思います。したがって、今後は、そういう手抜き工事の原因一つとしてそういう単価の問題がひっかかってこないかということを、ひとつ特に検討さしていただきたいと存じます。
  285. 横川正市

    横川正市君 もう一つ、私ども、やはり安いのではないかという一つの証左になると思うのは、入札制度というのがありますね。それで、入札制度は、やはり積算されたもので採算がとれる最低札だというのが落札札になるわけです。ところが、いまの官庁の請負工事で、落札札が一回に出るということはまずないんじゃないかと思いますね。たとえば、十社なら十社というのが指名に参加をいたします。そして二回とか三回とか入札をする。それでも積算された予算単価よりまだ高い。そこで最終的に今度は談合が始まるというような形態をとっているのが、いまの業界とそれから施行側の一般の常識じゃないかというふうに思いますね。これは、やはり損をして仕事を取れないし、それからこれ以上の予算は出せないという、その両者のかみ合いから生まれてくるいわば人間の知恵かもわかりませんけれども、しかし、そのことが非常に結果的には問題を起こすんじゃないか、私、そう思うわけでありますから、私は、やはり、どういう工事者が信用あるかどうかは、これは選択で指名するわけなんで、その中で、当然、何を使って、どうして、どういう工法でという所定の実施要領ですか、それに基づいてつくり上げられた結果というものに、やはり、請負者が最低価格を入れた場合には、それでもなおかつ請負者に、これはまあいくらかもうかりますなというようなかっこうにしないと、いろいろな問題というものが起こってくるんじゃないだろうか、こう思うわけでありますね。そういう点からも、当然、予算単価というようなものについてもっと配慮をするところがあってしかるべきだろう、こういうふうに思うわけです。これはひとつ、これからの検査院の仕事の中の一環として、検討できればひとつ検討していただきたい。  それからもう一つは、検査院自体が、非常にたくさんある案件の中から、一年間にこれぐらいあるだろうからそのうちのどれぐらいのものは現在の能力で検査ができると、こういう問題について、どうでしょうか、お答えいただけるでしょうか。
  286. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 非常に取り方がむずかしいのでございますが、たとえば要検査個所という面からまいりますと、これは全体としては八%現在見ておるわけでございます。もっとも、八%、内容を割って見ますと、本省とかその他出先の大きいところ、いわゆるAクラスについてはこれは毎年検査をやっております。それからその次のBクラスには、これは隔年または三年に一回。それからその他の、郵便局の小さいところ、あるいは駅ですね、こういったようなCクラスについては、五年ないし十年の間隔で一度見るというようなことではやっておるわけでございます。それから証拠書類についてどの程度見れるかという問題、これはもう非常に個人の能力差がございまして、どの程度書面検査で人が要るか、書面検査だけした場合にどの程度要るかということも、これはいま盛んに審議室で積算、計算さしておるのでございますけれども、まだ、これは結論出ないような状況でございます。それから全体の国家予算の、何兆という国家予算の中で、検査院の検査をした金額がどのくらいあるかというのも、これも書面検査と実施検査と、両方一々、検査した金額をメモしなきゃならぬものですから、相当な作業量になります。したがって、そういう作業をしておりませんので、そういう面からはちょっとお答えできないというような状況でございます。
  287. 横川正市

    横川正市君 検査院自体としては、ことしの予算では参事官一名、調査官十五名しか充足をはかっておらないわけですが、これは要求と、それから実際とはだいぶん違っておったのでしょうか。それとも要求が全部認められたわけでしょうか。
  288. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 一応、概算要求いたしました数字は五十九名でございます。
  289. 横川正市

    横川正市君 その五十九名中十五名の増員を見たというわけですね。これは、大蔵省は検査院の定数については、どういうお考えだったのでしょうか。
  290. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 検査院の総数はふやしておりませんけれども、検査に従事する人員はふやしていくという状況でございまして、政府機関が、御承知のように、削減計画を立てておりますので、検査院等の特別機関におきましても、自発的に、できるだけその線に沿っていただくという趣旨で、さようなことになっております。
  291. 横川正市

    横川正市君 検査官がたくさんになれば、いろいろ指摘されて困るから、これは少ないほうがいいだろうということじゃないと思うけれども、事実上、やはりずいぶんここの、第一分科会担当する省庁は、裁判所にしても、それから国会図書館にしても、国会にしても、会計検査院にしても、いわば国の行政機構からは独立機関で、しかも相当重要な役割りというのを負うているわけで、その重要な役割りは、先ほどちょっと私も聞いているように、全体としての重点項目でも全部を見るわけにいかない。三年に一回とか五年に一回だ、そういうことが実は行政サービスが低下したり、行政の中に不正が出てきたりする大きな原因で、どっちが損か得かといえば、ある程度人員をふやして、常に検査機能というものを発揚しておいたほうが、これはまあ国の立場からすれば得だということにもなるわけで、一般政府機関の定数と同じように大なたをふるうというのは、あまりしゃくし定木な考え方じゃないかというふうに思います。これも委員会で、たしか定数問題とか、それからそのほかのいろいろな要求項目は、私どもが検査院、担当して、決算委員会でやっていた当時からずっと一貫して問題になってきておった点ですから、この点については、ぜひひとつあなたのほうでも次にはもう少し充実するような方向で考えていただくようにお願いしたいと思います。まあ検査院の皆さんには、この定数でどの程度やれますかと聞くのは酷ですから、いま聞くのはやめますが、いろいろな面で必要最大の要請にこたえて実績をあげていただくように願いして、私の質問は終わります。
  292. 沢田実

    沢田実君 国の予算が年々膨張いたしております。したがって、検査対象も非常にたくさんになっているわけですが、いまお話もございましたように、検査院の機構の拡張をいろいろはかられているというお話でございますけれども、今年度においては予算定員等において、まあいまのお話のようで満足するわけにはいかないと思いますけれども、計画された検査だけはやり得るという、そういう確保をなさっていらっしゃるかどうか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  293. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 国家予算も膨張しておりますし、かつ予算の内容が非常に複雑多岐にわたってまいりまして、これを検査いたします私どもといたしましては、いかにして国民の要望にこたえるかということで、まあ日夜苦慮しておる次第でございます。したがって、人員、それから旅費——検査院の事業費とも言うべき旅費、こういったものについては絶えず増員要求あるいは旅費の増額の要求というようなことをしてまいっておりまして、そういう線で本年度も一応国会の御審議には十五名、それから参事官一名、それから旅費については前年度より三千七百万円の増ということで御審議いただくことになっておる次第でございます。
  294. 沢田実

    沢田実君 いまお話もございましたように、検査の対象の内容が非常に複雑になっているというお話し、確かにそのとおりだと思います。そこで防衛庁の兵器関係なんかがどんどん出てまいりますと、検査上技術者のいわゆる検査官が必要になってくるように思うわけですが、そういうことに対処してどういうふうな人の充実をなさっているか。ずっと過去を見ますと、防衛庁については不当事項というのはほとんどないように見ているわけですが、そういう点は専門的な知識を持っている人がいらっしゃらないために十分な検査ができないんじゃないかというようなことも考えられるわけですが、その点の状況について承りたいと思います。
  295. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 防衛庁は最近電子関係の兵器が非常に多く取り入れられてきております現状で、検査院としてもこれの対策に苦心しておるのでありまして、ただでさえ、民間においてさえ電子関係の技術者が獲得困難でございまして、まして検査院に電子関係の技術者が進んで来るというような、どうも客観情勢にないとみえまして、採用する意図は十分ございますのですが、公務員の試験に合格した名簿を見まして声はかけておるんですが、来てくれない。それではどうするかということで、四十四年度、昨年でございますが、技術専門官を一名認めていただきまして、そうしてこれは電信電話関係の専門家でございますが、課長クラスでございますが、この増員を認めていただきましたので、それがいま防衛庁関係の電子関係担当しております。それからなお庁内でも比較的技術者を防衛庁関係に集めるという努力をしております。現に防衛の検査一課長は東大の造兵の出身でございますというふうに、そのほうに極力意を用いてはおるのでございますが、御承知のように、非常に人材不足の折柄でございまして、手当てに苦慮しておる、こういう実情でございます。
  296. 沢田実

    沢田実君 検査院法の施行規則によりますと、技術事項については顧問を置くことができるということになっておりますが、顧問を置いてそういうような技術検査を強化するというようなお考えはございませんか。
  297. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 顧問制度につきましては、戦前のいわゆる旧院法時代にもやはり顧問制度はございまして、これは土木、機械というふうに顧問を四、五人置いておりました、建築も入れまして。ところが、戦後そういう顧問を常置するということがはたして検査院の検査上効率的かどうかということを考えますと、非常に技術が分化してまいりましたので、それで顧問を置いても、毎月と申しますか、毎月でもまだいいんですけれども、そう活用する余地がどうもなさそうなんです。それでむしろ検査院といたしましては、そういう問題が起きたたびごとに権威ある人に質問をいたしまして、そうして御意見を伺う、そうしてそれに対して謝金を出すというようなやり方でまいっておる次第でございます。これは院法の二十八条に「会計検査院は、検査上の必要により、官庁、公共団体その他の者に対し、資料の提出、鑑定等を依頼することができる。」という法律がございまして、これを活用したほうがむしろ効率的じゃなかろうか、こういま考えておる次第です。
  298. 沢田実

    沢田実君 院法によりますと、支局の設置が規定されているわけですが、この問題については考慮していらっしゃいますか。
  299. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 会計検査院法に支局の設置を可能であるという規定はございますが、実際の会計検査院の実務の運用から申しますと、支局を置いてもあまりこれに委譲すべき権限がないということなんでございます。原局の意思決定機関は御承知のように検査官会議でございます。したがって、支局を出しましても、そこで会計検査院の意思を決定することはできません。全部検査官会議まで上げてこなくてはならないわけです。したがって、そういうことを考えますと、むしろ中央集中で現在の体制のほうがより効率的ではなかろうか、こう考えておりますので、現在のところは支局を設置しようということは考えておりません。
  300. 沢田実

    沢田実君 大蔵省、通産省等が、コンピューターを採用しつつあるそうでございますが、会計検査院のほうも、したがってそういうものを導入いたしませんと、検査活動がそれだけおくれるんじゃないかということが心配されるんですが、その点はいかがでしょう。
  301. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) ごもっともな質問でございますが、コンピューターの導入につきましては、ものによっては数億の資本を投下しなくてはなりませんので、導入については非常に慎重に考慮しなくちゃならぬと考えております。現在のところは、むしろ相手官庁といいますか、受検官庁といいますか、検査を受けるほうの相手がコンピューター化を逐次やりつつあるわけです。したがって、会計検査院といたしましては、そういう会計経理までコンピューターに乗っていくという事態になりますと、そういう検査を一体どうやったらいいかという、その検査の方法からまず先にやりませんと検査に支障を来たしますので、まず最初に、そのコンピューター化されている会計に対して検査をどうすべきかということをもっぱらいま検討しておる段階でございます。で、検査院自身コンピューターを導入するという問題は、これは検査院自身の業務が非常に判断を要する高等と申しますか、少し語弊がありますが、高度な判断を要する事情がございますので、コンピューターに乗せるのが非常にむずかしいということはおわかり願えると思いますが、そんな関係で、まず最初に、受検官庁がコンピューターを使うために、会計検査のほうはどうするかという問題にまず取っ組んで、それからその次にそれじゃ検査院でコンピューターを導入する余地はなかろうかということを検討いたしたいと、こう考えておる次第でございます。
  302. 沢田実

    沢田実君 検査対象の選択の問題ですが、今年度なら今年度は大体どういう基本方針に基づいて検査個所をきめるというようなことがあると思います。検査前にそういうことは当然発表できる問題ではございませんけれども、検査を終わったいわゆる検査報告でけっこうですが、こういう基本的な考え方で検査対象というものは選択したんだというようなことを御報告いただくわけにはいかないものでしょうか。
  303. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 会計検査院が検査をいたしますのは、もちろん一つの方針を打ち立てて検査計画というものを、ことしですと一月から二月にかけて検査計画を立てます。その検査計画に従って個所及び項目というものが一応きまってくるわけでございます。それによって各局、課で検査に行くと、こういうことになっておりますので、その内容を発表するということは、これは検査が済んでしまったあとでは私たちちっとも支障ございません。したがって、検査報告に書くことも別に支障はございませんが、書くかどうかについてはなお検討さしていただきたいと、こう存じます。
  304. 沢田実

    沢田実君 検査報告の話が出ましたので、もう一点申し上げたいんですが、検査報告のページ数が毎年薄くなってきた、非常に簡単になってきたというような傾向のようでございますけれども、ずっと前には何か図面まで入れて非常に詳しい報告があった。こういう傾向のようですが、もう少しわかりよくということは、努力なさっていることはわかりますけれども、そういう面でもう少し詳しい報告をというようなことを希望する面が多いわけですけれども、その点はどんなものでしょうか。
  305. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 会計検査院の検査報告が非常にわかりにくいというおしかりを前から受けておりまして、私どももはなはだ恐縮に存じておる次第でございますが、この四十三年度の決算検査報告をつくる際には特にその点気をつけまして、掲載のスタイルをがらりと変えております。文章もこれは国語研究所の専門家に、私たちこういうふうな文章で書くんだが、これで一般の人にわかるだろうかというようなことを相談しまして、そうしてかなり直していただいて、そのスタイルで今後じゃあ書こうじゃないかということで、この四十三年度の決算検査報告はでき上がっております。その際に図面をという話もあったのでございますが、まあことしは図面を書かなければわからぬというほどの問題もなかったということで、決してその図面を書かないという方針じゃありません。図面があればわかりやすいという問題でございますれば図面も書こうじゃないかということで、院内では話がきまっているのです。
  306. 沢田実

    沢田実君 次の問題は、検査院の方が地方へ参りまして、不当と考えられるような問題をたくさん持ち帰ります。検査報告によりますとある都市は三千件あった、五千件あったというようなことになっているわけですけれども、これは実際に不当事項として指摘されるものはほんの一部分になるわけです。その点の経過についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
  307. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) ごもっともな御質問でございますが、これは検査報告の編さん技術の問題がからんでいるのでございまして、四十三年度の決算検査報告に例をとって申し上げますと、租税の徴収過不足は四十六件ある、こう書いてございます。ところがこの四十六件というのは一税務署を一件と勘定いたしたのでございまして、その内容は千六百七十五件でございます。それが税務所ごとに書いたものですから、四十六件、こういうふうに書かれたわけで、照会はだから千六百七十五と出ているわけです。結局三千数百件とこう出ておりますが、検査報告にこのうち載った照会の件数だけを拾い上げますと、二千五百余件が検査報告に載っかる、照会で勘定いたしますと。そのほかのものは、これは調査官が調査した際にこれは不当ではないかという疑いを持ちまして照会を発しましたところが、向こうの答弁がなるほどもっともだというような回答が来る、あるいはその後本院で独自に調査しておりますと、向こうの言うほうが正しいというような資料が参ります。そういった場合には、これは不当事項にはならぬわけでございます。あるいは不当事態はあるけれども、事態が非常に軽い、たとえば補助金の返還が一万円以下になっちゃったというようなものについてはこれは載っかっておりませんので、そういった経緯で差が出てまいっている次第でございます。
  308. 沢田実

    沢田実君 いまおっしゃったように、個所という計算がほんとう一つで一カ所というのがありますしあるいは青森県で幾つかの場所ですね、それからまた宮城、福島とそれで一カ所になって報告になっているのがあるわけです。ですからいまおっしゃったように、たとえば五千件のうち実際にここへ三千件載っているとかあるいは三千件のうち二千五百件載っている、そういう統計が出ておりませんので、われわれが見て非常にわかりにくい報告になっている。不当事項二百六十何件と書きますと、そうすると三千件が二百六十件になっちゃっているのではないか、こういうふうにちょっと見えるような数字しか出てないわけです。実際問題としては一カ所が何十件という院のほうでおっしゃる。一件が千何百になっているというようなこともあるわけですが、そういう点、単位を統一して報告書をおつくりいただくというわけにはいかないものでしょうか。
  309. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) できるだけそういう面は明らかにしようと思いまして、たとえば税務署の例で申しますと、千六百七十五という数字が千六百七十五事項といたしまして検査報告には載せているのでございます。しかしそれじゃそういう形式でみなやっているかと申しますと、必ずしもそうはやっておりませんが、その点はどうしてもそういう数字が必要だということならばまた検討してもいいがと思っておりますが、これは決して私どもそれを隠す必要は全然ございませんので、編集技術上そうしているまででございます。検討させていただきます。
  310. 沢田実

    沢田実君 なぜそう申し上げるかと言いますと、たとえば三千なり五千なり持ってきたものの中から、要するにその不当事項として報告される分とそうでない分とができます。それが要するにもっと経験の積んだいわゆる検査官の目で見れば、これはほんとうの部分的なもので不当事項とまですることはないのだというものを持ってくる場合もあると思うのです。反対に、そうでなく、当然その取り上げてもらいたいものが各省のいろいろな立場から途中で何となく減るんじゃないかといううわさもあったりなんかいたしまして、その点をはっきりいたしたいという希望があるわけです、考え方が。  それからもう一つは、検査院のほうとしては、検査を受けるほうの立場考えてみると、指導型であっていただきたいという希望なんです。実際に検査院が行ってやる場合には、現実的には摘発型とこういう意見が非常にあるわけです。そういう点を申し上げたわけでありますが、そういうことでなければ幸いなわけです。そこで私は、一つだけ具体例でお尋ねいたしたいわけですが、検査院として非常に厳密な検査をなさること、国費をむだづかいしないように、工事にしてもりっぱな工事ができること、これはたいへんけっこうなことであり、そうしなくてはならないと思うのですが、検査院の方が相当きびしい検査をなさる結果、土木工学的にはそれほどいいものでなくても十分に耐え得るはずなのに、いろいろ言われるので質のいいものにしてしまう。要するにコンクリートにしてもセメントをよけい使う。ですから学問の上ではそんなにりっぱなものにしなくてもいいものを、ついその何割かコンクリートをよけい使ってしまうというような専門家の意見等もありますので、そういう点についてはどんなふうにお考えになっていらっしゃるかお尋ねをいたしたい、こう思うわけです。
  311. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 具体的な例で判断しないとちょっとむずかしい問題なんでございますけれども、私、おっしゃるようなことから推察いたしますと、たとえば玉石でいいのに純コンの工事をやるというようなケース。これは検査院の検査がきびしいからそういうことをやるのではなくして、玉石を使う場合には非常に監督がむずかしいのです。で、その意味では監督管理という面から申しますと、純コンを使ったほうがやり安い、そういうことから純コンを使うというケースが多くなってきておるので、決してその検査院の検査がきびしいから純コンでやるということではないだろうと、こう考えておるのですが、それでむしろ検査院としては、玉石で安くできるものを純コンで高いのでやれば、むしろ検査院としては不当事項として批難しなければならない事態ではないかと、むしろそのくらいに考えるのでございます。
  312. 沢田実

    沢田実君 そういうことで、たとえば穴をあけて水を入れて検査をなさる、そのことについてはやっぱり第一線の技術者と検査院の方との意見の対立がある、結局両方の意見があるものですから、いろいろ言われるならもっといい設計にして、言われないようにしようというような傾向があるやに聞くわけです。ですから実際問題は、土木工学的に考えると、もう三割くらいいわゆる値段を下げてもいいのだけれども、そういう点があるので、結局橋をつくるにしても道路をつくるにしてもあるいは砂防堰堤をつくるにしても、三割くらい高いものをつくっているという結果になっているんではないかというような、そちらの専門の方のお話もあるものですから、検査院の方のお立場の御意見もお聞きするわけでございますが、特に砂防堰堤なんというのは、いまおっしゃる、玉石の話なんか出ましたけれども、そういうものを使っても十分に耐え得るということが計算されると、あるいは橋のあれにしましても、普通の建築物と同じだけのセメントのパーセントを使わなくても十分耐え得るのだけれども、その点で、最近の工事というのはここ数年前の工事から見ると格段といいものができている。いいものができることはけっこうなんですけれども、土木工学的に耐え得る以上のものをつくるよりは、もっとよけい工事をしたほうがいいのじゃないかというような立場もありますので、この点をお尋ねをしたいわけです。
  313. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) むしろおっしゃるような問題の場合には、検査院では過大設計ということばを使っておりますけれども、玉石でいいものを純コンで高い工費をかけているというような設計については、これは過大設計ということでむしろ批難しております。したがって、私どもといたしましては、私どもがきつい検査をやるからそういうことになっているというふうにはどうも合点がいかないのでございます。しかし、その辺のところはなお帰りまして調査官にその真偽のほどをなお確かめます。またもし何か間違っていることがありますれば直させたいと、こう考えております。
  314. 沢田実

    沢田実君 その指導型、摘発型という考え方についてはいかがですか。
  315. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) 別に本院の調査官は、その摘発型それから指導型と分けて検査をしているわけではございません。ただ私どもふだん申しておりますのは、検査はきびしくやれ、ともかくなれ合い的なというか、譲歩があってはいかぬ。その結果出てきたものについてどう処理するかは、これはまた上司がきめることでございます。で、その段階において指導という問題も起きてこようかと思うのでございますが、ともかく材料を集めるだけはしっかり集めてこいと、こう申しておりますので、それがはたして摘発型、指導型と、こうはっきり分けられるかどうか、そこら辺になりますと、私どもとしては非常に疑問でございますし、まあ両方一緒にやっているというのが実情じゃなかろうかと、こう考えておるのでございます。
  316. 沢田実

    沢田実君 会計検査院としては、当然きびしい検査ということも大事だろうと思いますけれども、よりいいものを、国費を大事に使ってつくっていくという指導をするということが大事じゃなかろうか。何か地方の市町村長あたりを締め上げて、締め上げるということばは不適当かもしれませんけれども、お話によりますと、そういうようなまるっきり摘発するような態度といいますか、そういう検査があるのだということを、実際に検査を受けるほうの立場の方々のお話を聞きますとそういう点があるわけです。ですから検査院としては、当然私は厳正な検査が必要だと思いますけれども、検査態度等については、あるいは根本の精神についてはよく指導し、何でもかんでもいろいろなものを見つけてこようという考えだけじゃない検査の考え方が必要じゃないかというようなことを、実は検査を受けるほうの立場の皆さまの意見を聞いて実は感じたわけでございます。何せ、先ほど来お話しありますように、非常に少数の方で膨大な検査をやるわけでございますので、いろいろなことがあろうと思いますけれども、若干申し上げましたことを御参考にしていただいて、一そうよろしくお願いをいたしたいと思います。  以上で終わります。
  317. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) いろいろと御指導いただきまして非常にありがたく感ずる次第でございますが、検査に行きます者の態度につきましては、これは私どもは別に犯罪捜査が業務ではございません。あくまでも国の経理が適正に行なわれるということが根本な問題でございますので、犯罪人を見るような、そういう誤解を生むような態度がないように今後ともひとつ気をつけていきたいと存ずる次第でございます。
  318. 片山武夫

    ○副主査片山武夫君) ほかに御発言もなければ、会計検査院所管に関する質疑は終了したものと認めます。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後五時十分散会      —————・—————