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1970-03-04 第63回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月四日(水曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員の異動  三月四日     辞任         補欠選任      小山邦太郎君     上田  稔君      二木 謙吾君     佐田 一郎君      杉原 荒太君     長屋  茂君      三木 忠雄君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         堀本 宜実君     理 事                 植木 光教君                 木村 睦男君                 柴田  栄君                 山本 利壽君                 吉武 恵市君                 鈴木  強君                 横川 正市君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君     委 員                 岩動 道行君                 上田  稔君                 大森 久司君                 梶原 茂嘉君                 川上 為治君                 剱木 亨弘君                 郡  祐一君                 佐田 一郎君                 西郷吉之助君                 白井  勇君                 田村 賢作君                 任田 新治君                 中村喜四郎君                 長屋  茂君                 八田 一朗君                 林田悠紀夫君                 平泉  渉君                 増原 恵吉君                 柳田桃太郎君                 足鹿  覺君                 小野  明君                 岡  三郎君                 加瀬  完君                 亀田 得治君                 木村禧八郎君                 鶴園 哲夫君                 戸田 菊雄君                 羽生 三七君                 山崎  昇君                 黒柳  明君                 塩出 啓典君                 鈴木 一弘君                 松下 正寿君                 須藤 五郎君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  小林 武治君        外 務 大 臣  愛知 揆一君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  坂田 道太君        厚 生 大 臣  内田 常雄君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   宮澤 喜一君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君        郵 政 大 臣  井出一太郎君        労 働 大 臣  野原 正勝君        建 設 大 臣  根本龍太郎君        自 治 大 臣  秋田 大助君        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君        国 務 大 臣  佐藤 一郎君        国 務 大 臣  中曽根康弘君        国 務 大 臣  西田 信一君        国 務 大 臣  保利  茂君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局第一        部長       真田 秀夫君        科学技術庁原子        力局長      梅澤 邦臣君        法務省刑事局長  辻 辰三郎君        外務省アジア局        長        須之部量三君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君        外務省経済局長  鶴見 清彦君        外務省条約局長  井川 克一君        外務省国際連合        局長       西堀 正弘君        大蔵省主計局長  鳩山威一郎君        農林大臣官房長  亀長 友義君        農林省畜産局長  太田 康二君        通商産業省通商        局長       原田  明君        通商産業省繊維        雑貨局長     三宅 幸夫君        労働省職業安定        局長       住  榮作君        自治省行政局長  宮澤  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        自治省行政局選        挙部長      皆川 迪夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)(内  閣提出、衆議院送付) ○昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○派遣委員報告に関する件     —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計補正予算昭和四十四年度特別会計補正予算  以上両案を一括して議題といたします。  昨日に続いて質疑を行ないます。黒柳君。
  3. 黒柳明

    黒柳明君 おはようございます。  内政、外交にわたりまして質問いたしたいと思います。よろしくお願いします。  まず初めに、内政問題について質問いたしたいと思います。特に、政府労働対策あり方、なかんずく失対事業について、まあ、とりわけて、これまでたびたび問題となっております全日本自由労働組合——全日自労の幹部の不当行為について私は明確にしていきたいと、こう思います。  御承知のように、失業対策事業に対しては国と地方との予算をもって行なわれておるわけですが、多少問題は残すとはいえ、私自身、政府失業対策事業に対する努力というものは評価してるつもりでございます。本年度の予算、この失業対策事業には五百九十八億の予算が組まれておるわけでございますが、まず、総理——当然、これらの予算国民の税金、血税であることは言うまでもございません。その血税の適正なる運用については当然なされるべきであると、こう思うわけですが、この所信からお伺いいたしたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお尋ねがありましたが、もちろん、政府予算というものは、申すまでもなく、国民の負担によってまかなわれるものでございます。したがいまして、それが適正に、また有効に使われる、これは当然でございます。政府は、予算を計上する責めにあると同時に、その執行にあたっては万全を期して、いやしくもその目的を失することのないようにすべきである、かように考えております。
  5. 黒柳明

    黒柳明君 そこでですね、この失業対策事業の全国の実情、まあ、これまでの実情を見ますと、詐欺行為あるいは暴力行為などがしばしば見られたわけでございます。私たちは、これらの行為については遺憾であると、こう思っているわけでございます。また、全日自労の、ある意味においては、団体の強い圧力と申しますか、このような中で、行政当局としては、き然たる態度でこの問題について対処が要求される、あるいは要請される場合もあるかと思うんですが、このあたりについてはいかがでしょうか。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 詐欺行為暴力行為が許されてはなりません。そういうことは厳正に取り締まるつもりでございます。なお、詳細は労働大臣からお答えいたさせます。
  7. 黒柳明

    黒柳明君 質問を続けましょう。  そこで、私、具体的に労働大臣のほうにお伺いしたいと思うのですけれども、失業対策事業就労することについて、労働大臣認可要件許可要件というものが数点あると思うのです。その中で特に大事なのは、必要なのは、所得額——法律にも、職安局長が定める所得の額と、このような定めがあって、これをオーバーしたものは失対事業につくことができない、こういうことが定められていることは、もう当然、大臣も御存じだと思います。  そこで、私がお伺いしたいのは、地方議会議員の中で、報酬等をもらい、当然それが高額の所得である、そうして同じく失対事業に従事している同地方公共団体から、またこの失対賃金をもらっている、このような事実があるやに私は伺っておりますが、大臣は、もしこういうことがあるとすれば、どうお思いになりますか、御意見をお伺いしたいと思います。
  8. 野原正勝

    国務大臣野原正勝君) お答えいたします。  失対事業失業者の生活の安定をはかるための措置でありますが、そのため、一時的に就労の機会を与えることを目的として実施されておるものでありますから、一定基準以上の所得を有する者を失対事業紹介就労させることは、緊急失業対策法の趣旨にかんがみまして適当でないのであります。また、中高年失業者等、特別の就職促進措置を受けるために、その所得一定額をこえないことが必要とされております。このことは、地方議会議員であるといなとにかかわらず同じことであって、御指摘のように、高額の所得を有する地方議会議員が失対事業就労していることは適当でないと考えております。
  9. 黒柳明

    黒柳明君 私も、まあ当然そうだと思います。失対事業あり方が、そういう高額所得——まあ高額といっても、私が認識するところでは、三万五千ないし四万の報酬をとっていますと、大体これに該当するのではないか。そうなりますと、市議会議員でございますと、大体いま大臣がおっしゃいました高額所得一定所得、それをオーバーしている者は失対事業就労することができない、この範疇に入ると、私はこのように認識しているわけでございます。要するに、高額所得者は失対事業就労できない。当然、地方議員であるなしとにかかわらずですが、私は、まずここで、公職の立場にある地方議会議員というものに焦点をしぼって取り上げたわけです。  そこで、労働省では、私がただいま指摘しましたその地方議会議員所得について、状況をつかんでいらっしゃるかどうか、もしつかんでいらっしゃったら、ひとつ状況説明をしていただきたい、こう思うわけです。
  10. 野原正勝

    国務大臣野原正勝君) 近年、失業対策事業への紹介対象者の中に相当高額の所得を有する者が多いと聞いております。が、労働省としましては、その実態について正確な報告を受けていないのであります。必ずしも詳細には承知しておりません。一定基準額以上の所得を有する者について、・失業対策事業への紹介就労もさせるべきではないことは、当然、従来からも明らかでありますが、実情必ずしも十分に徹底されていなかったのであります。今後十分この点を検討したいと考えております。
  11. 黒柳明

    黒柳明君 いま大臣が、思わしくない、一定額以上高額の所得を持った地方議員が失対事業就労することはうまくない、その所得については十分には調べてない、詳しくはお調べいただいてないということは、不十分でも調べてるんじゃないか、あるいは一部でも調べてるんじゃないかと、私にはこういうふうに受け取れるわけでございますが、もうちょっと詳しく調べた事実というものをお知らせいただけるならばと、こう思うのです。また、所得について疑いが生ずるときは調べなければならないと、こういうことにもなっているやに思うんですが、大臣、いかがでございましょう。
  12. 野原正勝

    国務大臣野原正勝君) この問題につきましては、まだ十分に調査ができておりませんので、いずれこの問題についての調査を進めたいと思っております。
  13. 黒柳明

    黒柳明君 しつっこく聞くようでございますが、私は生来淡泊のほうですけれども、やっぱりこういうところでは問題を煮詰めたいと、こう思います。緊急失業対策法十条に基づく施行通牒、その四項に再審査という項目がある。私、これは言うまでもなく、釈迦に説法になるかと思いますけれども、その中を読まさせていただきます。再審査、「紹介対象者が、紹介対象者要件を具備しているか否かを、あらかじめ樹立した再審査計画に従って、年一回以上実施するように努めること。なお、紹介対象者紹介対象者要件を欠いている疑いが生じたときは、その都度速やかに再審査を行なうこと。」と、こういうふうに明文化されているわけでございます。年に一回は当然、疑いが生じたときは審査しなさい、あるいはもしその所得疑いが生じたときにはすみやかに再審査をしなさい、これがここの条文に明確化されていることでございます。こういう事項について労働省のほうとしてはおやりになっていたのか、なっていなかったのか、あるいは怠慢な点があったのか、あるいはおやりになっているけれども、先ほども言いましたように、一部はわかっていらっしゃるのか、もしおやりになっていらっしゃっていたならば、だめなこと、それについていけないことに就労している者の名前所得、これはぜひここで公表してもらいたい。おわかりになっている部分だけでもけっこうです。どこの地方議会の、何という市の、何とい名前議員歳費をどのぐらいもらっているのか、失対事業就労して思わしくない、しかしながら現在一部把握しているものはこういう状態である——ひとつその名前所得、わかっている分だけでも公表していただけないでしょうか。いかがでしょう。
  14. 野原正勝

    国務大臣野原正勝君) お答えいたします。  地方議会議員報酬等公表されております。したがって、把握がしやすいと思われるのですが、労働省としましては、全員について必ずしも正確に所得額までを把握しているわけではないのであります。できるだけ早く調査させることにしたいと思いますが、個人の問題にわたることでありますので、その氏名公表等は困難であろうと考えます。
  15. 黒柳明

    黒柳明君 こういうことは再三国会において取り上げられまして、私もふつつかながら、そういう御議論というものを末席で聞いております。個人の名誉にわたること、そういう点については、当然避ける必要がある、あたりまえだと思います。ただし、いま大臣は、思わしくない、また十分じゃないけれども調べている——まあ調査続行中のことと思います。私も実は調べているわけです。この私の調べが、権威のある労働省当局調べとどの点が一致するか、私がここで一方的に発言しますと、万が一、誤りがあるためにその個人の方にご迷惑をおかけする場合もあるかと思います。こういう配慮のもとから、ぜひとも、わかっているなら、いけない、思わしくないということであるならば、その人の事実関係くらいは、当然ここで公表してもしかるべきである。これがいいとか悪いとか、わからないことであるならば、これはもう公表なんかする必要はないと思います。避けなければなりません。個人の名誉のために。悪いとわかっていることで、また、一部であっても、若干であっても、調べてあることであるならば、ひとつ、大臣勇断といいますか、特別な勇断というような大それたことでもないと思いますが、部分的にでも、名前所得を教えていただきたい、こう思うのですが、重ねて御見解をお承りします。
  16. 野原正勝

    国務大臣野原正勝君) 重ねてお答えしますが、先ほど申しましたように、個人のことにつきましては、公表はできないと思います。地方議会議員であるといなとにかかわらず、一定基準額以上の所得を有する者につきましては、従来から失業対策事業への紹介はしないことになっております。高額所得を得ている地方議会議員等についてこの実態十分調査の上に、所定の法律に基づいて早急に善処いたしたいと考えておりますが、個人氏名等については発表はできないと考えております。
  17. 黒柳明

    黒柳明君 まあ、朝のさわやかな空気で、あまりしつこいやりとりをしても御迷惑かと思いますので、この辺でこの問題は打ち切りたいと思います。ただし、いま労働大臣がおっしゃいました、この問題については早急に善処しておいていただく、その善処という問題については、当然、これは思わしくないことについてはやめさせるのが妥当である、私はこのように思いますので、ひとつ早急に善処すると、こういうことの内容、実りのある内容を含めて、前向きの姿勢でやっていただきたい。私は、ただいまの大臣答弁、それを早急に、前向きにやっていただくことを期待いたしたいと思います。  そこで、次の質問に移りたいと思いますが、法務大臣にお伺いしたいと思います。  先ほども申しましたように、この失対事業関係に関しては、過去に刑事事件もしばしばありました。私は、これから犯罪容疑に近いような刑事事件として当然問題にすべきである、こう思います。このような観点において、まあこれから徐々に取り上げていきたいと思うわけですけれども、そのことについて、ひとつ、これは仮定のことになりますけれども、もしもこういう事実があったら、どう判断したらばいいか。仮定のことで申しわけございませんが、御判断願いたいと思います。  それは、たとえば、ただいま労働大臣がおっしゃいました、一定所得をこえているもの——高額と言ったって、再び言うようですけれども、三万五千から四万の報酬です。地方議員の方。この方が失対事業就労している、そうして議会出席している、委員会なり、本会議なり、こういう場ですね。あるいは議会から公に出張として派遣されている。その場合に、同時刻に、同日にちに失対事業就労していることになっている。報酬のほうはもらうことは当然ですけれども、そして失対事業のほうからも労賃をもらっている。こういうことがあったとするならば、私はこれは——申しわけございません、こんな幼稚なことを質問して。当然これは詐欺行為である、こういうふうに私は断定したいと思うのです。幼稚な質問で申しわけございませんが、大臣、いかがでございますか。
  18. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまのお尋ねのことでございますが、要するに働かないのに働いたとして賃金を受け取ると、こういうようなことがあったとすれば、私は詐欺罪を構成する疑いがある、かように考えます。
  19. 黒柳明

    黒柳明君 まあ私も当然あたりまえだと思います。そこで一つの具体的な事実、これは多くの中の一つの具体的な事実をあげたいと思います。あるいは先ほど労働大臣個人名誉云々と言われまして、私個人におこられるかわかりません。あるいはその方はもしかすると、まあ運が悪かったと、こういうようなことであるかもわかりません。いまごろくしゃみでもしているのではないかと思いますけれども、あえて取り上げざるを得ないので、ここで取り上げさしていただきたいと思います。  これは福岡山田市の市議会議員、所属は日本共産党名前西村悟さん、さんとしたいと思います。三十八年当選、二期当選、失対に就労したのは当選以前三十七年からでございます。こういう方が、これは仮定ではございません。現に九州の山田市原市営住宅というところにお住みになっていらっしゃいます。まあいまもここにいらっしゃるかと私は想像いたします、いまの時期にですね。この方の、私はただいま仮定の事実として取り上げ、議会出席している、議会から公的な命令出張になっている。それと同時刻に、おかしいですね、これは。失対事業就労している。しかもそこから賃金をもらっているというケースをここにはっきりした資料でとっております。これが、福岡紹介票綴昭和四十二年、昭和四十三年、昭和四十四年、三年間、三十八年からとりましたけれども、さあこれ一枚でも相当お金かかりますので、とりません。三年分しかとりませんでした、歳費のかげんで。これが出張命令、四十二、四十三、四十四年、三年間、これが公的な議会に出ていたという公的な出席書です。これが四十二年から四十四年まで、ここには総務委員会と書いてあります。これは特別委員会、本会議、いろいろ各種委員会がございます。これに出席していたという、これは公的な文書の写真の写しです。そしてここにあるのが、まあ大臣先生方お忙しいと思います、私一覧つくってまいりました。これがこれの一覧です。だから委員会に出てて、同人物が失対事業に出てて、ここにみんな出席になっていますよ、この西村さんとか。しかもここに給料をもらっています。これが一覧です。こういうことがある。まあこういうことがあると言っても、私ちょっと離れていますので、ぜひ総理大臣に見ていただいて、できれば労働大臣法務大臣御足労いただいてこの実態見ていただきたいと思います。——赤線引っぱってあります、西村さんというところに。——どうもありがとうございました。こういうことです。こういうわけでございます。これは当然考えられないことですね。しかし、これは議会に出てて就労しているその議会の記録だから、これはあるのですね。昭和三十八年からこの方、聞くところ、この失対の出席書は満ぱいです。毎日これは出ているようになっています。聞くところによると、議会に出てない日も、一度も顔を見せたことがないということなんです。私は聞くところによると、とこうしたい。なぜかならば、こういう公文書がない、ある場合においてうわさか推量でばんばん発言する人がいらっしゃる。私はそんな無責任なことはやりたくない。あくまでも事実関係、しかも公的なものを土台としてそして発言することこそ、国会議員の責任ある能度である、私は、まあ未熟ながらこういう見解を持っております。こういう態度からして公的な文書、これ以外、要するに議会に出てないとき、顔を出したことがないという、それについて私は断定はいたしません。なぜかならば、私は証拠がないからです。こういうことを私は事実知っていますけれども、らしいということにとどめておきます。要するに、この範囲であるならこれは間違いない。四十二年から、三十八年からなんです。いま言いましたように、その間四年間というのはあまり書類が多くなるので持ってこれません。こういうことに関してはこれは明らかに法務大臣がおっしゃったように、詐欺行為だ、思わしくない。さらに労働大臣が冒頭に申しました所得に関して、四十二年のこの人の所得は、失対から約十九万二千、歳費から五十一万、約ですね。四十二年、失対から二十三万歳費は六十三万、四十四年は失対が二十三万、歳費は六十一万、四十二年は七十万、四十三年は八十六万、四十四年は八十四万、三年間で二百四十万、このようなばく大な歳費をもらって、失対から賃金をもらって、しかもなおこういう詐欺行為類似行為をやっておる、こういうようなことはあり得るのか。私はこれに対してもう絶対に許せない、不当だ、こう思うわけですが、私だけの一方的な発言になってもこれはどうかと思いますので、ひとつ政府側の御答弁をお伺いしたいと思います。労働大臣、そして先ほどそういうことがあったら詐欺行為であると、こうおっしゃったひとつ法務大臣の御答弁をお伺いしたい。
  20. 野原正勝

    国務大臣野原正勝君) ただいま拝見をし、またお話を承りましてびっくりいたしましたが、そういった事実につきまして明確なものができました場合には、厳重にひとつ行政上の対策を講じたいと考えております。昭和三十八年からの失対法改正の契機は先ほどお話しのような不正行為の絶滅を期してまいったところでありますが、その後におきましても、まだ福岡その他の一部の地域におきましてそのような事実があったということも、今日まで積極的に正常化対策を強力に推進してまいっておりますが、必ずしもまだ実績を上げておりません。今後は、十分に厳正にこの問題に対しまして対策を講じてまいりたいと考えております。
  21. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 検察当局は、犯罪の疑いがある端緒を得れば捜査をする、こういうことになっておりますが、犯罪がたとえば公務員あるいは官庁関係等において不正があるとするならば、その長が告発をするべきではないか、かように考えまするし、いずれにいたしましても、今日かようなお話がありますれば、私どもの関係当局からその所轄の検察庁に連絡をいたしてみたいと、かように考えます。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 冒頭に申しましたように、大事な国費を使うのでございますが、国にはもちろん決算委員会等があり、不正不当な支出につきましてはしばしば警告も、また注意もいただいておりますし、ただいまは具体的な事例についてお話がありました、とくと私どもも本来の趣旨から見まして十分調べて、しかる上に処置すること、これが適当ではないかと、かように思いますので、一言つけ加えておきます。
  23. 黒柳明

    黒柳明君 もう総理大臣はじめ各大臣答弁、私はすなおに受けて、ひとつ早急にこの事態というものを究明し、またメスを入れていただきたいと、こう思います。  そこで私は、すみません、ちょっと声が大きくなって……大きくならざるを得ない。いまのは一個人の問題。ところが、日本共産党のこの失対に対する問題私は推測や憶測や仮定や、あるいは一新聞の断定——すみません、新聞社の方に——を取り上げてじゃなくて、事実というものをここに調べた、責任を持って私はここで公表したいと思います。また、政府にその見解をただしたいと思います。というのは、このただいま労働大臣がおっしゃった思わしくない、一定所得以上高額を取って失対に従事しているのは思わしくない、そういう範疇に入るらしき人、入ると思われるらしき日本共産党所属の市会、若干町会、こういます。町会の場合には残念ながら歳費が低い、副業というものはわからない、ここでまた私はここでは名前は言いません。というのは、やっぱり総収入というものは調べなければなりませんから、歳費の面からだけ見た観点です、まあそれだけつけ加えます。全体で二十七都道府県、七十名の地方議員がいる、一番多いのは福岡県の二十二名、しかもこの七十名の報酬の総額四十四年度、大体五千五百九十万余になります。失対からもらった賃金、一千三百四十万余になります。しかもこの中には二百万以上報酬を取っている者が六人、百万以上報酬を取っている者が九人、七十万以上取っている者が十八名、五十万以上が十四名、このようにそれこそ文字どおり高額な所得、月十五万です、北九州なんか。尼崎しかり、三鷹しかり。十万、十五万というのを、年間百万、二百万とい所得を取りながら、そうして失対事業というものは、そういう人のためにある施策でないことは私言うまでもない。だから労働大臣がうまくないと、こうおっしゃった、こういうことです。こういう実態がここにあるわけです。しかもこの七十名の日本共産党所属の地方議員、高額歳費を取りながら、しかも口では失対事業について非常に甘言を用い、労働大臣のおことばをかりるならば、うまくないということを現にやっている。私は、この良心のほどを疑いたい。しかもこの七十人の中には、当然先ほど西村某と同じように詐欺類似行為を働いている者がある、田川市の松岡政春さん。まだあがっています、こっちに。これをあげると時間がありません、外交問題もやりますから。こういうことについてこれはどうなるか、もうちょっと時間があればやりますけれども、しかもこれらの人々は全部各地方全日自労の委員長格の人です、こういう全国的に。労働大臣が、そうして総理大臣の御心痛をわずらわすような、血税をむだずかいするような、こういう、私はあえて言いたい、悪徳であると、こういうふうに私は疑いたいと思います。こういう議員がいることについてひとつこれは大いに問題になると思うのですが、労働大臣、この処置をお伺いしたい。
  24. 野原正勝

    国務大臣野原正勝君) 失業対策事業就労者に高額所得者がおるということが明らかになりまするというと、地方議会議員であるかいなかを問わず、その所得一定基準額をこえる者については、正確に調査をいたしまして、失対事業には紹介しないということを考えております。今日までの失対等で詐欺行為があったというふうな話がありましたが、こういう問題につきましては、いずれ厳重に調査をいたしまして処置いたします。
  25. 黒柳明

    黒柳明君 最後が、すみません、私ちょっと聞こえませんので。厳重に調査をして……。そのあとちょっと聞こえなかったので。
  26. 野原正勝

    国務大臣野原正勝君) 厳重に調査をして対策を講ずるということでございます。
  27. 黒柳明

    黒柳明君 厳重に調査をして対策を講ずる、ひとつ早急にこれをやっていただきたい、やることを私は信じております。  さらに、これは一段と声が高くなります、問題なのは、一議員不正行為、そしてそれが七十名の議員、その上部団体、これは言うまでもなく、全日本自由労働組合ですね。この役員、これは一、二名を除いては全部日本共産党入党あるいはそのシンパ、まあ党員ないしそれに準ずる者ですね、これ一覧に書いてあります。もう一々あれするのも時間ありませんから、しません。こういう人たちがこの全日自労の役員、幹部でございます。ここに書いてあるのは全部日本共産党、一、二名は違います、ですけれども、ほかは全部日本共産党、入党の年月日から、現職から全部、まあ一生懸命調査しました。こういうことです。ということは、これはどういうことになるか。これが全日自労の中央執行委員長、中央執行副委員長、書記長、執行委員、これらの共産党の幹部の指導のもとに、先ほど申しました地方議員が職安法に違反する疑いのある行為並びに不正受給をしていることはほぼ明確になった。さらに私は、昭和四十三年三月の十九日、福岡県の田川市田川職安で失対事業の不適格者二百数十名を除外する事件があった。これに対して、事もあろうに田代文久さん、渡辺武さんも、ちょっと私忘れっぽいもので、どこかでこの名前お聞きしたことがあるなと、こう思うのです。この方が乗り込んできた。そしてこの問題について、地元では抗議と称して圧力をかけた。私はそう思いたくないのですが、地元ではそうおっしゃっている。こういうような事実がある。そしてまた、地元のある人は明らかに共産党本部からこの田代、渡辺両氏は派遣された人である。ならば、この一連の失対事業対策というものは共産党として組織的にやっていることではないだろうかと思われる疑いがあると思うのですが、どうでしょうか。こういうことを私は調べた。地元の人がおっしゃったとおり私は発言したいと、こういうことです。  そこで私は、国家公安委員長に聞きたいと思うのです。いまの事実、労働大臣がおっしゃった、私繰り返すのもくどいかと思いますが、高額所得を取っている者は失対事業に従事してはならない。その中で詐欺類似行為不正行為を働いている。これが全国的に七十名、さらに私はまだ握っております、詐欺類似行為、さっきと同じことですね。ある、さらに。複数です。それが七十名おります。しかもその上部団体、その上は当然組織的に動いていると思う節があるということを事実をもって私はここで述べてきたわけです。それらしいということをですね。こういうことに関してひとつ国家公安委員長としては今後どのような対処をされるか。私はこういう事実が、疑いがあるときは至急調査をしていただきたい。こういうことを国民の立場、弱い者の味方、失対事業に従事している人は当然日陰の暮らしをしている方です。そういう方の味方になって、一部その幹部が不正をしていることに関しては断固として許せないと、こう思うのですが、ひとつこれについての御所見をお伺いしたいと思います。
  28. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  警察は、一般的に申し上げまして、犯罪の捜査、証拠の収集、検挙というものをいたします。そこに犯罪があるならば、政党政派、信条のいかんを問わず、どんなえらい人だろうと、えらくなかろうと断じて許さんということを国民に責任を負っている立場でございます。まあ、いろいろお話も承りましたが、お話のことは労働行政ないしは労働に関する地方行政に関連することのように拝聴いたしました。刑事訴訟法は、公務員はその職務を行なうにあたり犯罪ありと思料するときはこれを告発せなきゃならぬとある。だから主管庁である労働省ないしは地方行政の担当のほうとも連絡をとりながら調査をいたしたいと存じます。
  29. 黒柳明

    黒柳明君 非常に前向きの御答弁関係当局と連絡をとって調査をしたい。この調査に対して私のみならず、国民は全幅の信頼を寄せていると、私はこのように思います。ひとつよろしくお願いしたいと思います。  そこで、最後に総理大臣に。まあ、まとめになるかと思います。いま言ったような事実、非常に私はこういうことについて、先ほど申しましたように、経済の高度成長、非常に総理大臣の手腕を買うと——こう断定はできないと思いますよ。しかしながら、自民党政府のこの前向きな国民を思う、こういう政策というものが、やっぱりこの失業対策事業でははっきりあらわれている。失業者は少なくなり、また失業対策というのが年々減少している。この面について私、当然すなおに評価すべきことは評価しなきゃならない、こう思っております。ただし、その経済の急速なる成長の陰にやっぱり泣いてる人が、失対事業に従事している二十二万という人、社会福祉の恩恵をこうむらない人が多くあるわけです。こういう人がもし一部の不当なる者においてリードされ、そして国民の大切な税金、血税がこのようなむだづかいをされていることに関しては私は断固許せない。このような乱脈に対しては、当然総理大臣先ほど所信をお述べになりましたけれども、さらにかたい御決意でこの問題についてひとつ対処されていただきたいと、こう希望も含めまして再度御所信をお伺いいたしたいと思います。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) それぞれの担当大臣から詳細に御報告いたしましたので、わかっていただけると思います。最近の経済はたいへんな発展でございまして、いわゆる国民皆労働と申しますか、皆就労、そういう状況になっております。そこで、特別失対などは整理するという、そういう方向になっております。しかしながら、なお、一般失対事業は残っておるのでございます。それが適正に行なわれることは望ましいことであり、国民の一部からもそれを期待しておる次第でございます。ただ、いまいろいろ国家公安委員長等も、それぞれの官庁からこういう問題を提起されればと、こういう話もございましたが、私は何よりも黒柳君が国会の場でこの問題を説明された、そうしてわれわれの信ずるところ、所信を尋ねられたこと、このことが何よりもこの問題を等閑に付してはならないことだ、かように私は考えておりますので、それぞれの官庁をして十分調査をさせて、そうして納得のいくような処置を取り計らいたい、かように思います。
  31. 黒柳明

    黒柳明君 時間がございません。この次は外交、防衛問題に入りたいと思います。外交ですから、できるだけ一致点を見出していきたいと思います。  新聞の情報によりますと、ことしの十月十九日から六日間、国連創設二十五周年記念行事ですか、ここに各国の元首、総理級が出席して、まあいわゆる新聞によりますと首脳総会と、こういうふうに名づけてありますが、開かれる。ここに総理出席されるのではないかと、こういうふうな記事が出ておりますが、総理大臣出席になられる御予定かどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まだ案内もまいっておりませんし、どういうように国連が行なわれるのが詳細わかっておりません。ことしは私どもも万博を控えておりまして、外国からの重要なお客さんがたくさん見えますので、はたして私自身が国連に出かけ得るかどうか、ここらのところはとくと十分——健康状態なども考えなきゃならぬのではないかと、かように思っております。まだ事務当局からそれらの話は全然伺っておりませんから、ただいまお尋ねになりました国連の二十五年記念大会、どういうようなものであるか、これは外務大臣からお答えさしていただきたいと思います。
  33. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 国連は御承知のようにことしが二十五周年に相なるわけです。それを前にして、昨年の第二十四回総会あるいはその後におきまして二十五の国が委員になって、この二十五周年の意義のある年を迎えるに際して、大体十月の二十四日をいわば山場にしてその前後数日間を記念の会期とする。そして平和と進歩と正義と、このことばを一つのスローガンにして各国の元首、総理大臣を招いて式典と申しましょうか、そういう会をやってはどうかということの話が、寄り寄り議題になって相談が続けられておりますが、情報によりますと、今月中ぐらいに各国の元首、総理大臣に招待状を早ければ出すようにしたいということで相談がされているようでございます。この二十五の国の委員会の中には日本が参加しておりませんけれども、しかし、情報としてはそういうことでございまするので、おそらくそういう運びになるだろう、こう思いますけれども、ただいま総理がお話しのとおり、まだ招待状もまいっておりませんし、また招待状がくる際にはどういうふうな順序あるいは方法でこれをやるかというようなことも詳細に説明もあるはずでございますので、それを前にしていま軽々に政府としての意見を申し上げるのもちょっとまだ早過ぎるかと思っておるようなわけでございます。なお、今年も九月の第一週から当然定時総会は開かれるわけでございます。これとは別にその後ということに一応考えられて相談が進んでいる、こういう状況でございます。
  34. 黒柳明

    黒柳明君 当然、政務多忙ですし、おからだにも御留意されていただきたいと思いますし、また、万博もあることです。ただもし、いまの外務大臣のお話ですと、まあ招待状もくるんではないかと、私なりにこう判断するわけですが、そうなりますと、吉田総理以来になるんですか、私の記憶が正しければ。ある新聞においてはそれを契機に総理の花道を飾るなんていうようなことを書いてある。私はそれを契機に総理が文字どおり国際的な大飛躍をすると、こう断定はできませんけれども、そういうふうな感じがいたします。そこで、もし、国連についてはいろいろな問題があるわけです、総理がいらっしゃるとすれば——仮定なことでほんとうにこれ申しわけないと思いますけれども、いろんな問題をかかえた国連、そこに総理大臣が御出席なさる、もうこれは日本の七〇年代、国際的にも非常に重要な立場に立つ、そういう糸口をつけるといいますか、もう国をあげての注視の的、世界の注視の的になるかと思うんですが、できますれば、総理としてはどのような国連強化策と申しますか、あるいはそこに臨んでの御所信と申しますか、そこらあたり吐露できるならばお伺いしたいと思います。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) せっかくのお尋ねですが、ただいまの段階でいろいろ申し上げることは誤解を受けやすいと、かように思いますので、差し控えさしていただきたいと思います。
  36. 黒柳明

    黒柳明君 また国連の常任理事国に立候補するというような話も伺っているんですが、いつごろと——こう言ってもなかなか御無理かと思うんですが、立候補する。また、ある情報によりますと、もうこれは相当下準備もできている、こういうようなことも聞いてるんですけれども、その点いかがでしょう。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御承知のように、国連ができました際、いわゆる敵国条項というようなものがございましたが、いまもなおそういうものは残っている。そういうわけで、なかなか常任理事国というような形にはいまのままではすぐ加入はなかなか困難だろうと思います。しかし、一方ではもう日本の国連に対する協力出金とでも申しますか、出資金ですか、そういうものはもう三番目になるだろう、かように思っております。だんだん日本の経済力がつくと同時に、国連におきましても、重要なる役割りを果たしつつある。この辺が日本としてやっぱり発言する機会が与えられてしかるべきじゃないだろうか、こういう意味でいろいろ外務当局が苦心し、そういう機会をいまいろいろさがしておるというのが現状でございます。私はもう国連自身も新しい時代に入って二十五年たった今日でございますから、さきの戦争云云、そのときの敵国条項、これなどはもう消えてしかるべきだ、かように実は考えておる次第であります。詳しいことは外務大臣に答えさせます。
  38. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま総理の御答弁のとおりでございますが、安保理事会の構成等については、憲章というか、国連全体の組織に関係する問題でございますから、ことしはちょうど二十五周年にも当たりますから、ひとつ憲章についても、あるいは運営の方式等についても、この際改善することについて前向きに国連参加国全体が考え直していい時期ではなかろうかということを、昨年も私も提案をいたしたわけでございますけれども、これはやはり相当長い目で、なかなか手続的にも困難な点もあると思いますので。しかし、主潮としては日本のような国が当然国連の運営について相当の発言権を持ってしかるべきではないだろうかと思いつつ、こういうふうな問題に対して一段と積極的な態度をとってまいりたい、かように考えているわけでございます。  なお、非常任理事国でも現在ございませんけれども、これは現在の制度のもとにおいて、改選期には立候補する資格を十分持っているわけでございますから、少なくとも非常任の理事国にはぜひ立候補し、かつその席を獲得するように一段と努力をしたいと、かように考えております。
  39. 黒柳明

    黒柳明君 常任理事国にもしなるとすれば、当然この安全保障問題についての責任がとらされるわけですけれども、その中で、やっぱり国連軍を派遣すると、こういうことが発言の一つの基礎条件になるかと思うんですが、そういう権限を有するようになると、こう思うんですが、もし常任理事国になった場合に、一部の意見では自衛隊法を改正して、そして自衛隊を国連軍にすれば、海外派兵はできるんじゃないかと、こういう意見があるわけですが、そこらあたりいかがでしょうか。
  40. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 現在の五カ国で構成されている安保理事会の構成国については、国連に対するいろいろの意味での積極的な協力ということが期待されております。そしてそれが慣行にもなっておりますけれども、しかし、これはまだ十分練れた考えではございませんけれども、私の考え方としては、日本のようなこの徹底した平和主義が定着し、また国際的にも私は日本国のイメージとして相当広く認識をされているところでございますから、日本国としては、いま仰せになりましたようなことではなくて、いかにも日本らしい立場で、しかも日本らしい立場で協力ができるということで、こういう国が安保理事会の中に参加するというようなことが国連全体のためにもいいのではないか、こういうふうな考え方でございますから、現在までの安保理事国としての約束とか、あるいは慣行とかいうことではなくて、新しい考え方で日本のような国を入れることがいいのではないか、こういうふうな考え方で進みたい、こういうふうな考えでございますから、現在までこうであったからといってそのとおりの条件といいますか、やり方でそれを前提にして、その中に従って入っていこうというのではございません。この点は十分研究もし、また十分の努力もし、また先ほど申し上げましたように、いろいろの手続きその他の問題もあり、各国の理解と納得を得ることについては相当の努力が前提になることは申すまでもないところである、かように考えているわけでございます。
  41. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると現在のままであると、そうならざるを得ない、それは可能である、こういうことが言えるわけですか。
  42. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは日本一国だけの考え方でどうなるものとは言えませんけれども、あるいは現在のような状況でありましても、日本の海外派兵というようなことは絶対にやるべきでもないし、考えてもおらぬところでございますから、その日本の立場においても参加でき得るのではないかとも思いますけれども、これはまあ日本一国の解釈や態度でいくものではございませんから、まず前提としてその点をはっきりさせておく必要がある、かように考えております。安保理事国になりたいからといって海外派兵というような問題になるようなことは、これは厳に避けて、別問題として考えていかなければならない、私はかよりに考えているわけでございます。
  43. 黒柳明

    黒柳明君 了解しました。それで総理大臣。国連の中国の重要事項指定方式というのが毎年問題になって、これは頭が痛い事柄だと思うのですけれども、まあ中国自体が国連加盟の最低の必要事項である国連憲章を順守する一はだして中共という国は国連憲章を順守する国であるかどうか、このような観点はどうですか。たとえば、アメリカは聞くところによりますと、重要事項指定方式あるいは国府追放、中国加盟の決議、これについてのバランスが非常に微妙だ、票を集めなければならない、こういうことでせんだってまでは中共というのは国連憲章を守らない国であるからということで、また、最近は国府は国連憲章に従う国であるから、こういうことで、この国連の票を集めておる、こういうことを伝え聞くわけですけれども、そうなりますと、ここでまた国連憲章を順守する国であるかどうかということは、非常にやはり一つの国連加盟の当然の条件だと思いますが、はたして日本の国としては、中共に対するいままでの総理態度は聞いておりますが、国連憲章を中心に見た場合に、中共はこれを重んずる国であるかどうか、こういうことはいかがでしょうか。
  44. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 現状でまだ中国自身が国連憲章を順守するとも順守しないとも、そういうことを申しておらない。まあ、そこでいろいろいままでやってきたことで、はたして順守するだろうかどうだろうか、いろいろ疑しいような疑問を生じておるように思います。まあ、最近の問題で、そういう点で疑問を持っているのは、国連の北鮮に対する決議、それあたりはどうも否定的な態度を明確にした、こういうところに問題があるのではないかと思います。しかしながら、私は、やり世界の常任理事国、安保理事国でもいろいろそれぞれの意見が違っておることがございますから、そういうような場が与えられたときに、反対なら反対でもその意見がはっきりすればしごくけっこうなんだろうと思いますし、そうして大勢というものを無視しなければそういうことでけっこうなんではないだろうか。それぞれの国は民族自決のもとにそれぞれの国ができるのでございますから、われわれがとやかく言う筋のものではない。ただ、国際社会において自分がどういうような役割りを果たすか、そういうことが明確になることが望ましいのではないだろうかと、かように私は思います。そこで、私の施政方針演説でもそういうような意味で私は触れたのでございます。別に内政に干渉する意味から申し上げたのではございません。そこらの誤解のないようにお願いしておきます。
  45. 黒柳明

    黒柳明君 時間がないのでちょっと早口になります。  そこで、昨年の鶴岡大使の演説で、提案説明で、現在は中国が国連のメンバーになることが国連の権威を高めることの積極的な要素になるかどうかは疑問だと、こういうことをおっしゃっているのですね。これに対して「人民日報」はさっそく反発しております。何かはっきり中国敵視ということをうたっているようですが、いかがでしょう。
  46. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 昨年の国連における中国代表権の取り扱いの問題のときの発言と思いますけれども、これは代表権に対して重要事項に指定するということの提案国の一つとして、他の提案国との協議と申しますか、他の提案国からの要請に応じて提案の説明をいたしました。これは、国連において共同提案をする場合におきましては、同種類の問題でございますと毎年順番みたいになりまして、昨年は日本がその順に当たったと申しますか、そういうところで申しておりますことで、従来の中共の政府筋あるいはそれに近いところから国連に対するいろいろの言動がありましたところを頭に置いて述べたところでございまするので、そういうことで御了承をいただきたいと思うのであります。同時に、国際情勢はきわめて流動的でもありますし、やはりこういう問題は相対的な問題だと私は思うのでございまして、お尋ねの範囲を逸脱するかもしれませんが、およそ一国の代表権をどういうふうに扱うかということは、私は確かに重要事項として扱わねばならぬと思いますけれども、それから先の今後において日本がどういう態度をとるかということにつきましては、まだ今年の定時総会も年年以上も先のことでもございますから、十分に研究をし、まだ今日のこの段階においてはっきりしたことを申し上げる段階ではなかろうと、かように考えております。
  47. 黒柳明

    黒柳明君 まあ、代表といっても、その中に日本の意思も当然含まれると、こう受け取られざるを得ないと、こう思います。  また、核の問題に若干触れたいと思うのですが、総理大臣昭和四十二年の十二月二十二日、いわゆる核アレルギー解消論と、こういうことを——これはマスコミのつけた名前だと思いますけれども、衆参の沖縄特別委員会でおっしゃったわけです。国民が核というものにだんだん理解を持つならば核アレルギーは解消するだろう、その点で努力したい、こうおっしゃっているわけです。最近の中共のICBM、アメリカのABM網、あるいは米ソのSALTの軍縮会議、あるいはラムダの成功、こういうようなことで、内外で核問題がまたいろいろ話題をにぎわしておりますが、これは四十三年——二年ちょっと前ですが、現在では、総理大臣国民のこの核アレルギーはどうなっていると思うか、また今後どうなってほしいと思うか、核時代を迎えてですね、いかがでしょう。
  48. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いわゆる核アレルギーはだんだん私は解消しつつあるように思います。これは国民の感じ等から見ましても、四十三年いわゆる平和利用について国民が関心を述べたものが一七%でございますが、しかし、四十四年——翌年は三四%にふえております。また、原水爆というような戦争に関連のある事柄を述べたものが四十三年は六八%、かようにありましたが、四十四年になると六四%に下がっておる。だんだん核アレルギーというものは解消しなければならないし、またそういう方向に向かいつつある、かように思います。まあ早い話が、今度の万博なども、敦賀の原子力発電所から電力が送られる、こういうような状況でございますから、国民が平和利用ということについてはだんだん理解してきたんじゃないかと、かように私は思っております。
  49. 黒柳明

    黒柳明君 まあ、政府の施策が、アメリカの核抑止力に依存すると、こういうことですけれども、これはアメリカのある人のリポートですけれども、相当の権威ある——要するに、アメリカに対してポラリス潜水艦ないしはICBMあるいはその相手方によって安全保障を求めることは、日本人がアメリカ人に対してサンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークを東京、京都、大阪の人質に求めることである。要するに、ICBMを日本の核抑止力としてアメリカがしたくないと、こういうことです。当然日本も東京、京都、大阪をシカゴ、ニューヨーク、ワシントンの人質にはこれはできないと、こう思うのですけれども、そうなると核の抑止力というものも非常にたよりなくますますなりつつある、こう思うのですが、いかがでしょう、アメリカの核の抑止力は。
  50. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、核の抑止力というものは、核戦力のあらゆる力を総合したものだと、かように私は思います。二大強国にしても——アメリカ、ソ連してもかりですが、この核の抑止力というもの、これを戦争したらたいへんだという、そういうことについて非常に警戒しておる、かように私は感じておりますし、また、新しく核兵力を持った国と言われる中共においても、先んじて使うというようなことはしない、こういうような点を発言しておることなどを見ますると、私はやはり、核抑止力というものは総体としてやっぱり各国とも認めておるんじゃないだろうか、ただいま言われるように、どこの地域を犠牲にして云々と、こういうものじゃない、まあ総体的なものじゃないだろうか、かように思っております。
  51. 黒柳明

    黒柳明君 当然そういう意見もあると思います。ただし、攻撃と同時に防御、ABMというものもやっぱり必要だということが米・ソの意見、こういう意見が相当強いわけですね。と同時に、中共のMRBMが当然七〇年代に実戦に配備されるだろう。その射程距離はアメリカじゃなくて日本なんですね。そうなると、中国の核の脅威と、こういうことをおっしゃっていらっしゃった関係上、やっぱりアメリカに対して核の抑止力を、これはICBMじゃなくてアメリカが言っているABM網、これについて何らかのやはり処置を願わなきゃならないのか、そこらあたりいかがでしょう。日本にアメリカがABM網の先端を持ってくる、こういうようなことになった場合、これはいかがしたらいいでしょうか。
  52. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどの私の答弁で総体的と言ったのは、相対するということじゃなくて、全体をひっくるめてという総体でございますから、これは速記のほうで間違いないようにはっきり書いていただきたいと、かように思います。その観点に立って、いわゆる均衡の問題じゃなく、その全体の核兵力の力、戦術あるいは戦略、そういうようなものから、力が戦争抑止力というものを発揮しておる、かように私は考えておりますので、中共自身の射程距離が日本だけだ、日本をねらっている、かように考える必要はないんじゃないか。また、アメリカ自身持つ力というものは、これは世界各国をどこにでも撃ち得るような状態でございますから、そういう意味で私は、核の兵器、核兵力というものがやはり限界にきているというか、戦争がしにくくなっている、そういうような状態ではないだろうか、かように考えております。
  53. 黒柳明

    黒柳明君 ABM網のことについて、私言うまでもなく、いま本体、網というものをつくっているわけです。さらに六カ所に対しての本土に本体を置く。当然これはあまり命中率はない。より先端にABM体系網というものを出したほうがいい。これは当然沖縄ないし日本にもということを言っているわけですけれども、その場合、要求された場合にはどう処置したらいいか、こういうことなんですけれども。
  54. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはもう何度もこの席から申し上げましたように、日本の場合、非核三原則、これを厳守する、かように申しておりますし、また、今回沖縄が返ってくるに際しましても、現存するものはまず撤去する、またその後におきましては本土と同様に扱われる、したがって持ち込みも許さない、かような状態でございますから、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  55. 黒柳明

    黒柳明君 以上です。どうもありがとうございました。
  56. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 以上をもちまして黒柳君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  57. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、松下正寿君の質疑を行ないます。松下正寿君。
  58. 松下正寿

    ○松下正寿君 核防条約のことについて総理大臣にお伺いしたいと思います。  核防条約は非常に問題の多い条約であることは、御承知のとおりであります。このような非常に問題が多い条約であるにかかわらず、政府はこれに調印をされたにつきましては、これがはたして日本の基本的なナショナル・インタレストを阻害しないという確言を持っておられたことと想像いたしますが、その点についての総理大臣の御所見をお伺いいたします。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 調印するのが適当な時期だと思って調印した、そういうことでこれはお答えが終わるわけですが、そこでもう少しつけ加えて説明をいたしますと、調印する以上、当然批准を前提としておるのではないか、こういう問題があると思います。しかし、この場合には、批准をいたしますまでには、もう少し私どもが確かめなければならない問題があるわけであります。そういう状態がある。批准を前提としない調印がある。こういうことはやはり調印をいましておくことが、そういう場合の発言権、その発言のしかたが楽だと、かように思いますがゆえに、仲裁についての発言が調印国になることのほうが楽だ、かように思いましたがゆえに調印をいたしたのであります。したがいまして、さらに問題のあることは、御指摘のとおりであります。それらの点は、これからも続けていかなければならない問題でございます。もうすでにウイーンにある原子力委員会等にも働きかけておると、こういうような状況でございます。
  60. 松下正寿

    ○松下正寿君 批准の前にいろいろ検討して、また日本が要求しなければならない問題がたくさんあるということが前提になっておるようでございますけれども、総理大臣は、それを幾つかに分けて、こういう点は最も検討をしなくてはならないという点がありましたら御指示願いたいと思います。
  61. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) まず第一に手続的な問題で申しますと、御案内のように、四十三カ国が批准の寄託をやりますればこの条約が効力を発生するわけでございます。すでに四十三カ国以上の批准は相当前に完了しておりまして、さらに多くの国が集まって最も近い機会に批准の寄託式が行なわれることになります。そうなりますと、効力が正式に発効するわけでございますが、そうなると日本の態度の表明ということが非常にむずかしくなる。つまり、効力が発生した以降になりますと、条約に参加するかしないかということになりますと、初めから批准と同様の問題が起こってくるわけでございます。そこで、そういうふうな情勢を目前にいたしまして、まず署名をしておいて、そして批准というものについて慎重な検討を加える余裕を持ったほうが、ただいま総理大臣の言われましたように日本の国益の立場からいって妥当であると、こういう結論を政府としては得たわけでございます。しからば、これからどういう点について具体的に問題かといいますと、大きく分ければ二つかと思います。一つは安全保障の問題、それからもう一つは原子力平和利用の問題それらの点につきましては、すでに署名に際しまして相当長文の日本政府としての態度を内外に表明いたしまして、世界各国にこれは公文書として提出もし、また国内的には、全国民的に問題をともに考えていただきたいという意味合いから国内にも十分政府態度というものを表明いたしたわけでございます。  そこで、かいつまんで申し上げますならば、安全保障という命題で考えてみますと、核兵器保有国とそれから核兵器保有をしていない国とが既成事実の上に立って非核保有国が永久に不利な立場になるというようなことはできるだけ避けなければならない。そこで、この条約がそもそも国際的に話題になり議題になりましたときに、御承知のように、日本政府としてはずいぶん努力をいたしまして、核兵器保有国の核軍縮義務というものを本文の中に入れることには成功いたしたわけです。それから、五年ごとにレビューをするということを本文に入れることにも、これは主として日本の主張が通っている。こういう経過もございますので、こういうことに踏んまえて、これは六八年の国連総会で勧奨決議が出たときの日本が賛成するときの態度にも表明されておりますが、今後核兵器保有国がほんとうに真剣に核軍縮ということについての義務を履行するような努力が誠実に積み重ねられていく、同時に非核保有国に対する脅威を与えない、あるいは非核兵器保有国の安全保障ということについて十分の配慮がこらされているということの誠意と努力を見きわめていくということが、これからの日本側としての努力の中心課題であると思います。これは基本的な態度の問題である。  もう一つは、非常に具体的な問題になりますが、平和利用につきましては、日本はもう世界的にも現在すでに相当な立場を持っておりますし、これからの可能性の問題から言えば、もう世界の第一級の国になりつつあるわけでございますが、これに対して、現在すでに日本が服しておりますIAEA——国際原子力機関の査察については、日本は最も忠実にこの査察に服しているわけですが、現状でもユーラトム諸国に対しても相当不公平な扱いになっておりますから、この機会にまず、ことばは悪いかと思いますが、失地を回復する、さらに進んで将来長きにわたって日本の平和利用について過重なる査察あるいは不平等なる査察を日本だけが不公正に受ける、こういうことがあってはならない。で、その点については先ほど総理からも触れられましたけれども、すでに先月の末から国際原子力機関、すなわちIAEAにおきましては、すでにどういうふうな保障措置協定ができればいいか、モデル協定の相談なども国際的に始まっておりますが、幸いにして日本の委員、あるいは原子力機関の部長クラスにも日本の代表者が入っておりますが、かなりの国際的な信頼を得ながら、日本の立場を表明しながら国際的なモデル協定のよいものができるようにということについては、かなりの日本としてはよい立場を得つつあるように思われますので、この点については具体的な、また当面する問題として一段と努力を進めてまいりたいと考えておるわけであります。これはもういまさら申し上げるまでもございませんけれども、この条約は多数国間の条約であるということと、同時にですね、この肝心の平和利用に対する査察の問題などについては、査察協定を守る義務というものは条約に明らかにされておりますけれども、肝心の守るべき協定の中身というものは条約発効後二カ年以内にできることになっておりますから、守るべきものができないうちに守る義務だけを持つということについては、いささかこれは日本のような立場の国としては問題があるわけです。そういう点から言って、通常二国間の条約などの場合には、調印即批准ということは当然のことと思いますけれども、この条約の性格や特色から申しまして、調印と批准ということについては特殊の考え方をとってしかるべきではないかというところも、先ほど政府が署名に踏み切りましたときに考慮いたしました一つの要素でもあるわけでございますから、特にこの査察協定の日本に不利のないようなでき上がりということについて今後努力を払って、そして、たとえばユーラトムが受ける査察と実質的に不平等にならない、平等が確保されるということを見据えた上でなければ最終的に日本の態度を明確にすることができない、こういうふうな態度をとることは私は当然ではなかろうかと思います。  大体以上申し上げましたところで、この条約をめぐる政府の考え方というものは御理解をいただけるかと思う次第でございます。
  62. 松下正寿

    ○松下正寿君 調印と批准とを分けて考えておられることを伺って非常に安心いたしました。二つ問題がある、第一は安全保障の問題第二は平和利用の問題だろうと。その安全保障の問題についてもいろいろ私も意見がございますし、またお伺いしたいことがありますが、時間が何ぶん限られておりますから、これは外務委員会等でまた再び総理大臣なり外務大臣なりにお伺いすることとして、問題を平和利用の一点にしぼって、特に査察の問題、この査察のうちでも、特に核燃料の開発等の関係についてお伺いしたいと思うのであります。  この条約に日本が参加した場合に、核兵器国と日本とのこの格差、技術的な格差、現在相当な格差があることは確かなんでありますが、これがもっとこの格差が大きくなりはしないかということが非常に心配されるわけであります。そこでこの第三条によりまして、いま外務大臣説明になりましたように、IAAとの協定に関してこれからいろいろ交渉が進められるわけであります。それについて日本政府の腹案といいましょうか、どんなようなことを希望しておられ、その腹案がはたして実現されるかどうか。また、その腹案をおつくりになる上においてどの程度に準備をされたかということについて、外務大臣なり科学技術庁長官の御答弁をお願いしたい。
  63. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 非常に専門的な問題でございますから、私だけでお答えし切れない点があろうかと思いますけれども、一口に申しますと、簡素化ということではないかと思います。この査察につきましては、実は私もいろいろと今日までのIAEAの日本に対してやっておりました査察のやり方、それからユーラトムにおける査察のやり方等につきましてもいろいろと検討いたしてみたのでございますけれども、たとえば一口に言うと、こういうことが言えると思うのであります。これから日本においては、原子力平和利用というものは非常な勢いで発展するだろうと思います。あるいは世界的にも相当な発展が予想されると思いますが、現在IAEAがやっておるような非常にこまかい、率直に言えば厳重過ぎる査察のやり方では、いにか国際機関であるところのIAEAでも、とてもたいへんな巨額の経費と、そうして膨大な技術陣を必要とする。そういう観点だけをとりましても、私は国際的に査察というようなものは、必要にして十分な、要するに核兵器に転換しないのだというところの一点を押えるような簡素化された合理的な察査を最小限度に行なうことが適当ではないか。特に日本はこの点が私は十分の主張の根拠になると思うのでありますが、核兵器というようなものを持たないのだと、非核三原則を頂点にする日本国の、あるいは国民態度というようなものに対する信頼というものを置いて日本に対する査察をしてもらうということが、私どもとしては大いに主張したいところであるし、必ず私は国際的な評価と信頼を受け得る性質の問題ではなかろうかと思います。したがいまして、できるだけ簡素化すること、そうして国に対する信頼ということを基礎にして、必要にして十分な査察ということを主張すべきであると考えております。  それから見通しの問題でございますが、これはまあいろいろの国際的な、相手の多いことでございますから、ひとりよがりで、これでできるということを断定的に希望的な話はできませんけれども、私は、日本の主張というものは、技術的にもあるいはその他の面から言っても、こちらから言えば十分理のあることだと思いますので、努力のしようによっては、日本の立場というものは相当程度に生かされるものである、こういう自信の上にさらに努力を続けていきたい、かように考えるわけでございます。
  64. 西田信一

    国務大臣(西田信一君) 本条約に対しまする政府の基本的な考え方につきましては、総理並びに外務大臣からお答えしたとおりでございます。  そこで、私に対するお尋ねは、平和利用に対しますところの保障措置、つまり査察につきましてどういう対案を持っているか、そういうお尋ねと存じます。この条約第三条によりまして、日本がもしこれに加盟いたしますれば、当然IAAとの間におきまして保障措置の協定を取り結ぶことになるわけでございます。現状を申しますと、現在、わが国はアメリカから核燃料物質の供給を受けておりまして、この日米間取りきめによりまして、これが査察の面におきましては、IAEAにこれが移管をされております。そういう立場から現在IAEAの査察を受けておるわけでございます。で、先ほど外務大臣もお話しになりましたが、ユーラトム諸国等におきましては、これは直接IAEAとの関係を持っておりません。ユーラトム諸国間におきまして、いわゆるその国々がお互いに査察をし合うという自主査察の方法をとっておるわけでございます。その内容等につきましては、私どもいまいろいろ検討いたして調査をいたしておるところでありますが、内容はつまびらかではございませんけれども、直接IAEAの査察を受けますのと自主的な査察をやっておりますのとの間におきまして平等性が保たれておらない、こういう点におきまして、私どもはこれをぜひ是正をいたしたい、かように考えておるのであります。わが国におきましても、相当の頻度で査察を受けておりまして、心配されます点は、非常にその頻度が多くなりますと、この産業活動が阻害をされないか、あるいは商業機密が保持できないのではないか、こういうような心配があるわけでございます。そこで、調印をいたしました立場におきまして、私どものほうも技術的な面におきましては中心となりまして、すでに科学技術庁の中に保障措置というものをつくりまして具体的な検討をする機関もつくりました。また、外務省、通産省等の間におきまして連絡協議会というものをつくりまして、連絡を密にいたしましていろいろと対策を練っておるわけでございます。また学者、あるいは産業界のエキスパート、これを動員いたしまして査察技術に関しますところのいろいろな検討を加えますとか、あるいはまた査察技術の開発につきまして、機械的な開発につきましても、それぞれ権威のあるところに委託をするとか、あるいは直接研究をいたしまして機械による査察、こういうことにつきましても最善を尽くしておるわけでございます。  そこで、どういうことを主張するのかということでございますが、まず私どもが第一に主張いたしたい点は、わが国は御承知のように原子力基本法もございますし、それから原子力等に対する規制の法律もございまして、厳重な管理体制をしいておるわけでございます。したがいまして、わが国のみならず、各国のこのような管理制度の活用ということをまず取り入れてまいりたい。そしてさらに保障措置の技術の開発、この成果を十分に査察の中に取り入れていくようにいたしたい、かように考えておるのでございます。そのような手段によりまして、国際原子力機関が行ないますところの保障措置をできるだけ簡素化する。具体的なことを一、二申し上げますと、たとえばシール封印をするというような措置、あるいはまた自動的な計測方法を考案する、こういうようなことによりまして査察の回数を減しますとか、あるいは各国の管理制度を十分に活用して、これに信頼を求める。こういったような諸般の方法によりまして、少なくともユーラトム諸国とわが国とが非常な差別的な扱いを受けるということはこの際ぜひこれを排除いたしまして、そして各国が共通な簡素化された査察制度のもとにおきまして保障措置を受けるように、こういうようなことに進めてまいりたい。そういう立場からへあるいは近くわが国の原子力産業界から相当権威のある人を海外にも出てもらいまして、そうしていろいろな研究等いたしますと同時に、IAEA等に対しましても、わが国の主張をあらゆる機会を通しましてこれを認識させ、そうしてまた近くIAEAに保障措置に関しますところの委員会が設けられると考えておりますが、この委員会等におきまして、十分ただいま申し上げましたような主張を貫いてまいるよう努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  65. 松下正寿

    ○松下正寿君 外務大臣の御説明、科学技術長官の御説明、原則として私は大賛成でございます。しかし、これはわれわれ日本人として、平和利用については反対する人一人もないと思います。いわばあたりまえなことである、そういうことになると思います。  ところで、私の質問のやり方がへたであったからかもわかりませんが、私のお伺いしたいのは、こういう一般論でなくて、技術長官からちょっと具体的な例として一つほどあげられましたが、これが一般的な外交交渉と違いまして、非常な技術的な専門的な交渉でありますから、日本がこれから大急ぎで六カ月の間に交渉する場合に、その技術陣ができているかどうか、それからこちらのほうの案というものがもっと具体的にどんなものができているか。  たとえばちょっと一例としてお伺いしたいわけでございますが、昨年の十二月の末だと思いましたが、IAEA主宰の査察技術会議というものが東京で開かれたわけであります。このとき日本の代表が何か提案をされたと思いますが、そういうことと関係があるかどうか、その提案が一体どういうものであるか。また、こちらだけできめるわけにいきませんから、先方にのめるようにやるには、やはり技術的に可能な、だれが見ても可能な案でないと、向こうがのんでくれないと思いますから、その点を非常に心配するわけであります。  それを外務大臣、科学技術長官からもうちょっと詳しく内容について御説明願いたい。
  66. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたように、私も技術的に専門ではございませんが、昨年東京で開かれました会議等においても、日本の考え方というものはかなり具体的に出ていると思います。そういう面と関連してでございます。同時に、日本側の発言というものは、先ほど申しましたように、相当程度信頼性と高い評価を現在のところ受けつつあるように私は承知いたしております。
  67. 西田信一

    国務大臣(西田信一君) 昨年の会議の模様につきましては、政府委員をして答弁させます。
  68. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) お答え申し上げます。  昨年の会議は、核防に入る入らないということは別でございまして、いままでのIAEAの査察がございます。そのために査察の関係を技術的にどう解明していくかというのを、IAEAで会議いたしております。私たちのほうも現在までもやはり査察を簡素化するということで、技術的解明をしております。  それでそのやり方といたしましては、核物質が入るところとそれから出るところと、その二つを押えればいいのではないか。途中の関係については、ある方法が、商業機密その他がございますが、はっきりある程度のことがわかれば、そこを押えればはっきりするのではないか。そこのところに機械的な関係を入れまして進めようという技術課題の検討をいたしております。そうしてその技術課題の中で明確になっておりませんところは、現在委託費を出しまして研究を進めているところでございます。
  69. 松下正寿

    ○松下正寿君 ちょっと伺いますが、燃料サイクル全面にわたっての査察ではなくて、頭としっぽだけを査察する、そういう意味でございますか。
  70. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 要するに、考え方といたしましては、核燃料がある程度、途中で使いますとロスその他がございますが、やはりその物質の流れというものがどう流れているかということをはっきりいたしますところは、始めと終わりが一番大切だと思います。そこの点をはっきりさせるということに主眼を置いた技術解明というものが一番問題でありまして、そういう関係のところを機械的にはっきりさせるというところで現在考えております。
  71. 向井長年

    ○向井長年君 関連。ただいまの質問で、査察についてユーラトム諸国とIAEAの査察の不平等を解消していくのだ、こう言われておるのです。具体的にしからばどうするかといえば、管理制度等の簡易化を主張している、こういうことですが、このユーラトムのほうではわが国の主張に対してこれまた反対するでしょう、おそらくや。そこで、この簡素化の具体的措置というものは、これは不明確だと思うのですよ。この点ひとつ科学技術庁のほうで具体的にどういうように、燃料の問題等もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  72. 西田信一

    国務大臣(西田信一君) お答え申し上げます。  ユーラトム諸国とわが国におきます査察の不平等性を是正するということを申し上げましたが、これは核防条約というものが発効いたしまして、そういう時点におきますところのIAAの査察の制度につきましては、加盟いたしました各国あるいは調印先も含まれると思いますが、これが最も適当な査察制度を検討するということになっておるわけでございまして、したがいまして、いまユーラトム諸国がどういう主張をするか、こういうことは私どもまだよく承知をいたしておりません。しかしながら、この世界加盟各国に共通した簡素化された査察制度というものにつきましては、私どもは先ほど申し上げましたような主張を強くいたしてまいる所存でございまして、具体的にユーラトム諸国との関係につきましては、いま申し上げることは、これからの折衝でございますので申し上げることは適当ではないと存じますが、またそういう時期でもないと存じますけれども、十分われわれの研究の成果をもって、そしてわれわれの主張が通るように努力をしてまいるということで、ひとつ御了承願いたいと思います。
  73. 松下正寿

    ○松下正寿君 外務大臣も科学技術庁長官も、頻度を弱めるとか、あるいは簡素化、あるいは日本の考えておることは非常にりっぱなんであるからいれられるだろう、いろいろおっしゃっておるのですが、非常に何か抽象的で、まだそれで十分納得できないわけです。そこで、私のもっと具体的にお伺いしたいのは、この日本の一般技術といったような査察の技術がどの程度進んでいるか、この技術が進んでなければ交渉する場合非常に不利であると、そこが心配になるわけであります。日本はいままでどのくらい査察についての費用をお使いになったか、あるいは、査察の技術陣がどのくらい整備をされているか、それをお伺いいたします。
  74. 西田信一

    国務大臣(西田信一君) 外務大臣もお触れになりましたIAAには、わが国から部長クラスの者が二名参っておりますほか、査察委員も、三名でございましたが、また一名わが国から増員されまして、四名になりました。そういう面におきましても、わが国のIAAにおきますところの査察に対する地位というものは、かなり高く評価されておると存じます。そういう立場でございますし、また、わが国が原子力の開発というものが非常に急速度に進んでまいるという立場から申しましても、国内におきましても査察に関しましては相当の研究が進められておりまして、詳しくは政府委員から答弁させますが、わが国の国際的な査察に関しまする評価なり地位なりは、相当高いものがあると考えておりまして、さらに今後従来の研究に加えまして、この事態に対処するための研究を鋭意進めておりますので、私どもは、われわれの研究の結果をもってIAAに積極的な折衝をいたしたいと考えております。
  75. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 査察の研究につきましていままで使いました経費は、約四千万使っております。それから、本年は非常に強化いたしまして、やはりその程度のものを出さなければいけないのじゃないかと思っておりますが、現在その研究課題について諸先生と相談中でございます。それから、そのほかにもちろん原子力研究所が一般研究費で査察の研究を従来からやっております。
  76. 松下正寿

    ○松下正寿君 私の調べたところと大体同じで、いままでの査察開発費は大体四千万円と私もそう調べております。ところで、日本は査察を受けるほうで、査察からあまり利益を受けないだろうと思うのですが、アメリカのように査察を受けないで、やるほうの国は、すでに私の調べたところでは三十四億を開発費だけに使っているわけであります。私は金額だけでもって技術の程度をきめることはできないと思います。核防条約の話はもう十年前から起きているわけであります。これに対する査察技術の開発について、いままで四千万円というと、この数字から見たところではまことにお粗末のような感じがするわけであります。また技術員については、大学の先生方にいろいろ頼んでどうこうということを言っているわけでありますが、大学の先生はみんな本職が大学であるわけであります。専門の方がどのくらいおられて、そうして専門の方がどのような地位を持ち、具体的に言うと学位を持っておられるかどうか、どういう方であるか、御説明願いたい。
  77. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 査察の研究につきましては、実は日本におきましては、東海村の発電所ができまして、今度初めて敦賀に発電所ができるわけであります。実際に発電所ができまして動きましたのが最近でございます。したがいまして、査察の研究をすることにいたしましても、そういうものに合わせてしなければならないというところで、いささかおくれて現在の金額でございますが、いよいよ発電所もでき上がりましたので、これから強力な研究が進められると思います。それから陣容につきましては、もちろん私たちのほうの委託費で出しておりますのは、各会社に出しておりまして、会社が運転その他の整備をやっております。そこで、実際的な研究をそこで進めるという形で、それ相応の人員がそこに整っております。したがって、産業界のエンジニアと、それから、それに大学の先生の指導という形で現在進めております。
  78. 松下正寿

    ○松下正寿君 どうも追及してみまするというと、はなはだ査察技術開発についてはおくれているという事実を確認したわけであります。この点過ぎたことは仕方ありませんから、ひとつ大蔵大臣も十分お考えをくださって、査察技術の開発について非常に大急ぎでやっていただきたいということを希望しておきます。  次に、外務大臣にお伺いしたいのでございますが、外務大臣はきょうも、またその他の会合においても、ユーラトム並みということをおっしゃっているわけです。これが具体的にどういうことか。御承知のとおり、ユーラトム、これはヨーロッパの六カ国の相互の協定でございますが、私も勉強してみたのですが、形式を見ますというと、非常に厳重なようです。むしろIAAよりかもっと厳重ではないかと思うのですが、しかし実際六カ国間の協定だけでありますから、なれ合いと言っちゃ語弊がありますが、仲のいい間ですから、相当簡略といいましょうか、いいかげんじゃないんでしょう、簡略にやっておるわけであります。外務大臣のおっしゃっておるのは、その実際やっておるほうのことをお考えになっておるのか、形式的なことのほうをお考えになっておるのか。
  79. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ことばの使い方の問題にも関連するんですが、私ども政府が申しておりますのは、実質的に少なくともユーラトム並みと、実質的にと申しておりますところに意味があるわけでございまして、一つは、やり方の制度的な面でございますね。つまりお仲間同士で仲よく——これは私どもの言うべきことばではございませんけれども、いまなれ合いということばを先生がお使いになりましたが、私から言えば仲よくやっておられる、仲間同士で、こういう制度的な問題と、それから技術的にどういう査察のやり方をやっているかという実質的な問題、これを合わせてわれわれは、少なくとも実質的にユーラトム並みと、こう申しておりますところに政府の気持ちを御了察いただきたいと思います。
  80. 松下正寿

    ○松下正寿君 実質的であるということをお伺いして安心いたしました。  ところで、もう一つお伺いしたいのでありますが、一九六九年の三月、これは昨年の三月十一日に、イギリスとオランダと西ドイツの間に三国の会談が行なわれまして、これが具体的に案がまとまったと。この内容は、遠心分離法によるところのウラン濃縮に関するものである、これは御承知のとおりであります。これが三月の四日というと、きようでありますが、きょうあたり発効するといううわさも聞いておりますが、これについてもし御存じならば御教示願いたいということが一つであります。  それからこの内容には、西ドイツには本部を置いて、そうしてオランダとイギリスには工場を置くということになっておるというふうに、これは私の調べたところはそうなっております。違っておったら御訂正願いたいわけであります。そこでオランダのほうは非核兵器国でありますから、これは問題ありませんが、イギリスは核兵器国になっておるわけで、査察を受けないということになっておるわけです。そうしますというと、このほかのウラン濃縮の技術なら別としておいて、遠心分離法に関する限りは、これはどうなるんでしょうか。ドイツの工場であっても、イギリスであるがゆえに査察を受けないということになるでしょうか。その点がちょっとわからないので、お伺いしたいのです。
  81. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいまお尋ねのイギリス、オランダ等の協定は調印されましたけれども、まだ効力は発生していないようでございます。  それからその他の点は——じゃ国連局長から御答弁いたします。
  82. 西堀正弘

    政府委員(西堀正弘君) いまお尋ねのウラン濃縮遠心分離法によるところの濃縮のあれでございますけれども、平和利用に関する限りは、もちろんこの条約によりまして査察を受けるということに−もちろんこの協定が発効してからの問題でございますけれども、査察を受けるということになります。
  83. 松下正寿

    ○松下正寿君 英国でもですか。
  84. 西堀正弘

    政府委員(西堀正弘君) 英国につきましても、もちろん平和利用につきましては、松下先生御承知のように安全保障に関するもの以外のものについては自主的に査察を受けると、こういう言明がありますので、われわれも、米英ともに、必要とあればと申しますか、平和利用に関する限りは査察を受けるというふうに相なると存じます。
  85. 松下正寿

    ○松下正寿君 どうもその点で少し何か不平等な感じがするわけであります。やはり工場であるから、ドイツに置いてもイギリスに置いてもかまわないわけです。同時にまた、フランスに置いてもいいんじゃないかと思います。ユーラトムはむろんフランスが入っておるわけで、フランスは核兵器国であるだけでなくて、この条約に参加していないし、また、する見込みも当分ないと思うのです。その場合にドイツ、フランス、その他の国がこの遠心分離法なり何なりで新しい工場をフランスに置いた場合、これは査察は絶対にできないんじゃないかと思いますが、こういう場合どうでしょうか。そうなりますというと、日本と西ドイツ、西ドイツ並みと、こう言われるわけですが、非常な格差が出てきやしないか、外務大臣にお伺いいたします。
  86. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) いろいろこまかく御心配、御懸念の点を伺いまして、たいへん参考になるわけでございますけれども、先ほど来申しておりますように、具体的なこまかい点についてはこれからのことで、これは科学技術庁長官からも御答弁がありましたような次第でございますから、それらの心配になりますような、あるいは各国の状況なども十分見澄まして、先ほど申しましたように、実質上少なくともユーラトムと同待遇になるように、そういう点を確保してまいりたいと、かように考えております。
  87. 松下正寿

    ○松下正寿君 何べん問答をしてみましても、同じような結果になって、まあひとつこの程度にしておきますから、よろしくお願いいたします。  そこでこの点について最後にお伺いいたしたいのは、これは総理大臣の御意見を伺いたいわけでありますが、いま、もろもろの問題でなかなかうまくいかぬと思うのです、この査察の問題等で。ところで、これは日本の将来の原子力時代に処する大きな障害になることが非常に心配になるわけでありますが、この点についてほんとうに満足のいくようなというよりか、つまり平等の立場を得られなければ、これはこの条約に批准をしないという決意を持っていらっしゃるのかどうか、その点を総理大臣からお伺いしたい。
  88. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 冒頭に申しましたように、調印はする、普通ならば、調印は必ず批准を前提にして調印するのでございますが、しかし、この場合はそうではないのだということを説明したとおりでございます。したがいまして、ただいま言われますこと、わがほうで納得がいかない限り、これは批准は皆さん方もなさらないだろうし、また私ども政府も、もちろんするつもりはございません。  ただいま御指摘になったように、もう多くを言うことはないと思いますが、これから先は原子力時代になるだろうと、かように思いますので、平和利用の点についておくれをとるようなことがあっては、日本の進めかたについて非常な悪影響があると、かように私思いますので、この批准について私ども慎重である、このことを申し上げておきます。
  89. 松下正寿

    ○松下正寿君 非常に強硬な態度で、非常に安心いたしました。  そこでもう一つ、項目にありませんが、外務大臣に簡単なことでありますからお伺いしたいんでございますが、この条約の第四条第一項で、締約国の一般的な権利というものを保護している。第二項においては、設備、資材、その他科学的及び技術的な情報云々、それを「可能な最大限度まで交換することを容易にすることを約束」云々と書いてあります。これはこのとおりでけっこうだと思うのですけれども、実際原子力というものは、戦争にも使われるし平和にも使われるわけで、核兵器国が、いや、これは軍事的であるというので この十分な交換をしないということがありゃしないかどうか、この「可能な最大限度まで」の云々ということのことばの解釈をお願いいたします。
  90. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは普通の条約文の解釈等とはまたちょっと違った面があるかと思いますけれども、やはり誠実にその文面を核兵器保有国においても順守されることを申し合わせたということを基本にして、そのとおり実行されるように、誠実に条約の参加国が守ってくれるようにという期待をかけていきたい、そう申し上げるよりほかにないのではないかと思います。
  91. 松下正寿

    ○松下正寿君 私の調べたところでは、現在すでに日本では、情報の入手についていろいろな困難があるということを聞いておるわけです。特に査察の面で非常な不利益を現在受けておるわけでありますが、この条約に参加しますというと、現在の日本の不利益の地位というものがもっと悪くなるか、もっとよくなるか、その点をもう一ぺんお伺いいたします。
  92. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この点は、この条約に参加することによって、私は、国際協力というものがよりよくなる、こういうふうに理解いたしておるわけでございます。
  93. 松下正寿

    ○松下正寿君 科学技術庁長官にお伺いいたします。  これから原子力時代を迎えようとしておる。そこで、日本にとって一番大事なことは、いろいろありますけれども、特に二つあると思います。  その第一番が、燃料資源をどうするか。現在、原子燃料資源の大部分を海外に依存しておるわけであります。この核燃料の自給ということは、絶対に必要であると思いますが、日本に核燃料自給の具体的な政策があるかどうか。これを二点に分けまして、ウラン鉱の確保について、どういったような具体的な策を持っておられるか。第二は、ウラン濃縮技術の開発にどんな案を持っておるか。また、いままでにウラン濃縮技術についての開発費としてどのくらい経費を投資されたかという点をお伺いいたします。
  94. 西田信一

    国務大臣(西田信一君) ウラン燃料の確保の問題でございますが、これは、松下先生も御承知のとおり、現在主としてアメリカから入れておるわけでございます。しかしながら、さらにわが国の原子力発電等が飛躍的に増大すること等を考えまして、私のほう、通産省ともどもに、海外の探鉱あるいはその他につきましても、積極的な姿勢をとっておりますし、また、アメリカ以外の国、アフリカあるいはフランスその他からも、民間ベースを通じ、そういうウラン鉱あるいはウラン燃料の確保につきましての積極的な対策も講じておりまして、将来の飛躍的な増大に対処していきたいと考えております。  次は、お尋ねの点は、ウラン濃縮についてどういう対策を持っているかといお尋ねと存じますが、御承知のとおり、現在アメリカからウラン濃縮を入れておりますが、将来さらにその需要が著しく増大することが考えられます。したがいまして、ウラン濃縮への依存度をなるべく軽くする、こういうことが必要であると存じますので、そういう意味合いからいたしまして、その方策として、天然ウランあるいはプルトニウム、これを燃料とするところの新型転換炉あるいは高速増殖炉、これらの動力炉開発につきまして計画を進めておるわけでございます。しかしながら、当面、現在行なっております軽水炉型の発電所の建設がかなり計画されておりますし、濃縮ウランの需要も当然ふえてまいりますのに対処しまして、ウラン濃縮の研究開発を進めておるところでございます。原子力委員会では、昨年の八月にウラン濃縮の研究開発につきまして、四十五年度を初年度といたしまして、第一段階を原子力特定総合研究に指定をいたしまして、ウラン濃縮研究の基本計画を定めたのであります。  この計画によりますと、研究開発の第一段階といたしまして、大体四十七年度を目標にいたしまして、ウラン濃縮に関しますところの技術的な、基本的な諸問題の解明の見通しを得ることにいたしております。その時点になりましたならば、諸外国におきますところの進展の状況を勘案しながら、各方式の研究開発の成果を評価をいたしまして第二段階に移ってまいりたい。大体五十年ごろと考えております。  現在、わが国では、御承知のとおり、ガス拡散法と、それから遠心分離法の二つの方式につきまして試験研究を行なっておりますが、いずれもまだ基礎的な段階でございます。ガス拡散のほうが少し早く手をつけておりますけれども、そういう段階でございまして、この開発の見通しをつけますためには、今後、さらに技術的な問題を解決いたさなければなりませんし、また同時に、相当多額の資金を要するものと考えております。  そこで、現在までにどのくらい金をつぎ込んでおるかという点でありますが、昭和四十五年度は動燃事業団及び原子力研究所の中におきましてウラン濃縮の基礎研究を進めることにいたしておりますが、これに対します予算は合計四億円程度でございます。
  95. 松下正寿

    ○松下正寿君 いままでどのくらいお使いになりましたか。
  96. 西田信一

    国務大臣(西田信一君) 先ほどちょっと私、間違って申しました。早く手をつけたのは遠心分離法のほうでございます。遠心分離法のほうは三十四年から始めておりまして、トータルで四十五年度を加えまして三億程度でございます。ガス拡散法のほうは、四十五年度を加えまして一億一千万円程度。合計、合わせまして四億一千万円余りであります。
  97. 松下正寿

    ○松下正寿君 原子力全体に対する投資の額はどのくらいになっておりますか。
  98. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいまの数字はっきり申し上げますが、遠心分離法、ガス拡散法、これを三十四年ごろから研究いたしておりまして、現在まで出しましたのが約三億五千万でございます、全体を合わせまして。四十四年度まででございます。それから四十五年度は特定総合研究になりまして、非常に大きくなりまして、四億一千七百万円を計上いたしたい、こう思っております。
  99. 松下正寿

    ○松下正寿君 私がお伺いしたいのは、原子力全体に対する投資の額をお伺いしたいのです。
  100. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 原子力全体に対しましての投資額でまいりますと、たとえば本年でまいりますと、本年、原子力全部で三百八十七億でございます。それに対しまして、ことし要求になりましたのは四億ということでございますから、約一%という形では現在おります。
  101. 松下正寿

    ○松下正寿君 その内訳をお願いいたします。
  102. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 原子力全般の内訳でございますが、そのうちの約二百六億でございますが、これが先ほど大臣が申し上げました新型転換炉、それから高速増殖炉の開発でございます。それからあとは大体基礎研究、それから先ほどのウランの探鉱、全般の開発研究費、原子力研究所の百億円の計上がそのあとを占めております。
  103. 松下正寿

    ○松下正寿君 私はけっこうだと思うのです。動力の開発は、これは非常に大事なことなんですが、それについてこの新型の転換炉とかあるいは高速増殖炉、これはいわば夢の原子炉でございます。将来、非常にけっこうなことであると思いますが、私の調べたところによりますというと、高速増殖炉がほんとうに経済性を帯びるのは一九八〇年代の終わりじゃないか。これは、私がかってに考えたのじゃなくて、アメリカの原子力委員会の開発部長のショウが上院で証言しておるわけであります。将来を考えるとこれでもいいと思いますが、問題は、その前ですね。夢の原子炉が実現される前に一体どうするか。それまで全部もしくは大部分をアメリカの濃縮ウランに依存するかどうか。日本自体が、この非常に大事な十年もしくは二十年という間は、ウラン濃縮の技術というものを開発しないでいいかどうか。ことに、いまのように、非常に原子力発電というものが重要になった場合に、とりあえず日本にとって必要なのが濃縮ウランじゃないかと思うのでありますが、それについての開発というものが、いま原子力局長の御説明によりますというと、パーセンテージが非常に低い。大部分はこの夢の原子炉のほうに使われておるようであります。私は、この夢の原子炉のほうに使うなと言うのじゃありませんが、しかし、目下の問題としてここ十年、二十年の間、ウラン濃縮の技術の開発についてほんとうにおやりになる気があるかどうか、その点を科学技術庁長官からお伺いしたいのです。
  104. 西田信一

    国務大臣(西田信一君) お答え申し上げます前に、先ほどちょっと数字が間違っておりましたので……。昨年まで使いましたのが約三億五千万、本年度が四億二千万程度でございます。  松下先生が御指摘になりますとおり、わが国の原子力開発の将来を考えますと、ウラン濃縮につきましては真剣に取り組まなければならぬと考えております。しかしながら、相当基礎研究その他実験研究等を積んでまいりませんとなりませんし、また、それがどの程度の経済性を有するかというようなことにつきましても、見通しをしっかりつけなければなりません。また、いよいよ建設となりますと相当多額の経費を必要といたします。しかしながら、積極的な姿勢で研究開発を取り進めまして、そうして早くその結論を得るようにいたしたい。また、二つの方法がございますが、どちらが最も経済性があるか、合理性があるかということにつきましても早くひとつ見通しをつけるように努力をいたしたいと、かように考えております。
  105. 松下正寿

    ○松下正寿君 あと二分きり時間がございません。  政府は、根本的なお考えとして批准と調印とを分けて、調印のほうはもろもろの事情があったから調印を急いだ、しかし批准については非常に慎重にやる、この点私もお伺いして非常に安心いたしましたが、しかし、できれば、調印をして批准をしないということがまずいことはこれはあきらかでありますから、あまり文句のないような条件を入れられれば批准することのほうが望ましいことは確かだろうと思います。ところで、それを可能ならしむる方法としては、やはり私はいろんな点があると思いますが、第一番に、非常に急いでこの査察の技術を強化するということ。これに対して相当なやはり費用をかけなくちゃいかぬのじゃないか、それが第一。  それから、その次に、高速増殖炉のような遠い将来のこともお考えになるのはけっこうであると思いますが、ここ十年、二十年、非常に大事なウラン濃縮の技術を早急に開発する必要があると思うのであります。それについて、総理大臣、大蔵大臣、それから科学技術庁長官の御意見をお伺いしたい。
  106. 西田信一

    国務大臣(西田信一君) 私も全く同感でございまして、大蔵大臣の御理解のもとにひとつ積極的に進めてまいりたいと思います。
  107. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま技術庁長官からお話のとおり私も考えます。  それで、査察技術につきましては、四十五年度は二千万円の予算を見ております。これは非常に大事なものでありますから、十分その開発をしなければならぬと、かように考えております。また、濃縮ウランにつきましても、これもたいへん大事な問題でもありますので、大蔵省としても理解を持って取り組んでいきたい、かように考えます。
  108. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 重ねて付け加えることもございませんけれども、ただいま御指摘になりましたような点は、これからの原子力時代に対して最も大事なことだと思います。  最近のわが国の平和利用の技術は、各国に負けない水準に達しておると私は自負しております。また、事実そのとおりじゃないかと思っております。それから、ただいまの遠心分離法等による濃縮ウランの問題にいたしましても、わが国の場合は非常に進んでいる、そうして安くてそういうものができる、かような技術まで到達している、かように伺ってもおります。私は、ただいま松下君が御指摘になりましたような点を、これからの原子力時代において、私どもは前向きに取り組むべきそのときだと、かように実は考えております。  私も、かって科学技術庁長官をしたことがございますけれども、その際にウイーンの会議にも出て、また、他の国の原子力研究所等も二、三見てまいりました。イギリスの場合はたいへん進んでおりまするけれども、私が見ました他の国の場合だと、日本のほうがより進んでいるように思いますので、それらのことを考えながらただいま取り組んで、いわゆる調印はいたしましたが、その批准についてさらに慎重な態度で取り組んで、わが国が不公平な取り扱いを受けて、そのためにわが国が損をするというようなことのないように、また国際協力の実をあげていきたい。むしろ、兵器を持たない原子力関係の国としては、日本は指導的立場にあるのじゃないだろうか、かようにも思っております。そういう意味で、りっぱに国際的な立場においてわが国の役割りを果たしていく、そういう方向で進んでいきたいと、かように思います。
  109. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 以上をもちまして、松下君の質疑は終了いたしました。  午後一時十五分再開をすることといたします。これにて休憩をいたします。   午後〇時二十八分休憩      —————・—————   午後一時三十二分開会
  110. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 午前に引き続き質疑を行ないます。須藤五郎君。
  111. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 質問に入るにあたりまして、一言明らかにしておきたいと思います。  先ほど公明党の黒柳氏から、日本共産党について発言がありました。ここであげられた事実については十分調査したいが、わが党が失対賃金の不正受給を方針としているものでないことは、ここではっきり言明しておきます。なお、名前をあげられた田代、渡辺両議員の行動も不正受給を主張したようなものでないことをはっきりとさしておきたいと思います。  私は日米共同声明に関して、特に七〇年代の日米経済関係の基本方向をきめる重大な内容を持つ第十二項に関して、総理にお伺いいたします。  日米共同声明第十二項は、国際貿易及び国際通貨の制度の維持と強化について、日米双方がそれぞれ重要な責任を負うと述べ、これに関連して、日米双方が自国の決意を表明しております。まず、アメリカ側はニクソン大統領が、より自由な貿易を促進するとの原則を米国が堅持すると述べております。この、より自由な貿易を促進するとの原則という抽象的な表現の具体的中身はどのようなものか、総理はこれをどのように理解して調印されたか、伺います。
  112. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。よく読んでいらっしゃるようですが、在来からアメリカがとっている貿易政策、その中には、自由貿易を基調にいたしまして、特殊な品目についてはみずからやはり保護的な処置もとっておる。その状態のもとに、この状態をより進めていく、そうして自由貿易を拡大していこう、こういうことを前提に、基礎としてただいまのような発言をしていると私は理解しております。
  113. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは繊維の対米輸出自主規制をアメリカが日本に要求していることは、より自由な貿易を促進する原則にかなっていると総理は考えておりますか。
  114. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあそれだけで見ると、ただいまの状況は逆な方向に向いている、かように思います。それだけで見ると……。
  115. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、総理がこの声明に調印するときには、このような状態が起こらないというふうな理解で調印をされたのか。こういうことでは何らアメリカの手を縛っていない、こういうふうにわれわれは受け取るわけですが、そこはどういうふうに……。
  116. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん私が申し上げるまでもなく、それぞれの国にそれぞれの立場がございます。したがって、そういうものはやはり守っていくだろうと思います。しかしながら、総体としてはやはり貿易の拡大、自由化の方向にさらにさらに踏み出そう、こういう話を実はしたわけであります。したがって、日米間のように経済的に密接に関係を持っておる二国間におきましては、ひとり繊維ばかりではない、いろいろな問題が起こる、お互いに摩擦も生ずる、そういうのが現状ではないかと思っております。そういう事態をできるだけつくらないようにお互いに話し合っていこうと、これが基本的な態度であります。
  117. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 佐藤総理は、共同声明の中で、さらに具体的にはと、次の三点を明らかにしております。すなわち第一に、広い範囲の品目につき日本の残存輸入数量制限を一九七一年末までに廃止すること。第二に、残余の品目の自由化の促進に最大限の努力を払うこと。第三に、貿易自由化の実施を従来より一そう促進するよう一定期間を置きつつその計画の見直しを行なうこと。この三点であります。アメリカ側はこの第十二項で、原則を堅持すると、一言一般的なことを述べているにすぎないと思うのですが、これに対しまして日本側は、一般的に日本政府の意図を示すにとどまらず、さきに述べたように二重三重の具体的な義務を負わされることになっております、三点具体的に述べておるから。アメリカには軽く日本には重い義務を負わせる、このような形式、内容は平等の原則に反する一方的かつ不平等なものであると思いますが、総理はどういうふうに考えるか。
  118. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日本の貿易自由化、残存品目が比較的多い、また資本の自由化なぞもたいへんおくれて、まあおくれではない、ただいままで相当制限をしておる、こういう形でございますので、昨年十月閣議決定をいたしたものがございます。その閣議決定によっては、私どもはもっと大幅に残存輸入制限を解除していこう、前向きにそういう方向で自由貿易の線を、それを拡大していこう、こういうことをすでに自主的にきめております。ただ、ただいま言われた点は、私どもが自主的にきめたことをアメリカに説明したにすぎません。また私は最近の経済の発展等からみましても、やはりわが国自身がこの自由貿易と真剣に取り組むとい態度が国際的には望ましいのではないか、かように私考えておりますので、その意味で、いわゆる責任を負わされたとか、あるいは負ったとか、こういう意味のものではない。私どもが自主的に実はきめておる基本路線を誤解のないように説明をした、こういう状態であります。
  119. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ここにいわれる広い範囲の品目というものは、どういうふうに総理は理解しておりますか。
  120. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま総理から御答弁がありましたように、ちょうど昨年の十月でございますけれども、それまでもたびたび日本政府としては自主的な決定をいたしておりますが、決定されておることは、一九七一年末までにおおむね半分の残存輸入制限品目について自由化をする、それから残余のものについてもできるだけ早く輸入の制限をとるように努力をする、それから全体として自由化のテンポを速めようと、こういう閣議決定をいたしておるわけでございますから、その自主的なわがほうの態度というものがそこにも抽象的にあらわれているわけでございます。そのいかなる品目についてということについては、そのときの閣議の決定や付表がございますから、御必要なら後刻御説明いたしたいと思います。
  121. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 はなはだ時間が少ないので、もっと質問を詰めたいと思うができないのは残念に思うが、その次に移りましょう。  この日本側の約束した具体的内容の第一ですね、残存輸入制限品目の廃止について昨年十一月二十一日のナショナル・プレス・クラブにおける佐藤総理の演説は、先月日本政府は現存輸入制限品目を一九七一年末までに半減し、さらにその他の品目の自由化の促進についても最大限の努力を払うことに決定しましたと、こう述べております。ところが、日米共同声明の中にこの部分は「広い範囲の品目につき」と、こういうふうになっております。残存輸入制限品目の半減という、これはあなたがアメリカに行く前に日本政府で決定した点だと思うのですが、その日本政府の決定を踏み越えて、それ以上のことを約束したことになると思いますが、どうですか。
  122. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) それはただいまの私の答弁で御納得がいくはずだと思いますけれども、閣議決定そのものが、おおむね百二十の品目が残っておって、その中の六十は十一月末まで、しかし残余のものについてもできるだけ努力をして自由化につとめようということが閣議で決定されておるわけですから、何にもその間にそごも何もございません。
  123. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 昨年七月、通産省は非関税障壁による日米の被害バランスシートを作成したと聞いておりますが、その内容をここで説明していただきたい。通産大臣……。
  124. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆるNTB問題は、ジュネーブの交渉が始まりましたので、いろいろな参考資料など事務当局が検討しておると思いますけれども、そういうバランスシートなるものを役所として公につくったことはございません。
  125. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういう重大な研究も資料もつくらないで、何を根拠に今日アメリカとの間に交渉しておるのですか。それじゃ交渉の根拠がないじゃないですか。何を根拠にしているのですか。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今日アメリカとの間に別にNTBの交渉はしておりません。
  127. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ここに新聞に出た資料がありますが、あなたのほうに何ら計算もしていない、資料もないということになれば、こちらから出さなければならない。ぼくは時間をとられるのがいやだからそちらから出してもらおうと思ったが出さない。これによりますと、アメリカの加害額、つまりアメリカが自主規制やバイアメリカン、関税法四百二条、ASP制度、エスケープ・クローズ・アンチ・ダンピング、関税評価法などで日本の正常輸出を妨げている額、その時点におきまして年間四億三千三百万ドル。一方日本の加害額——いま言ったのはアメリカの加害額、一方日本の加害額、すなわち残存輸入制限や輸入担保金でアメリカの輸出を妨げている額は三億一千五百万ドルになっておる。日本の被害額がはるかに大きくなっておるじゃないですか。どうですか。
  128. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはたしか私も昨年の夏ごろでしたか、新聞で見たことがございますが、これはもう御承知のとおりいわゆる非関税障壁というものは、もう数えましたらお互いに切りがないような話になるわけでございますから、どういうふうにまずそれを定義をするかということから始めなければなりませんし、その結果どれだけ貿易に支障が生まれたかなどということは、事実計算をしようと思ってもできるものではない。これはもうちょっとその辺のことを御存じであれば、おそらくすぐにおわかりいただける種類のことでございますから、当然須藤委員にはおわかりいただいておると思うのでございます。
  129. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通産大臣説明ではわかっておるはずだというけれども、私はわかりませんよ。そういう表現ではわからない。私たちは、アメリカのほうが日本にこれだけの被害を大きくかけておるのだ、アメリカの被害のほうが少ないのだということは、これではっきりすると思う。このような不平等がすでに存在しておる。その上に日本は日米共同声明で具体化された義務を守って、たとえばグレープフルーツのごとき非関税障壁を急速に取り払い、他方アメリカは繊維の自主規制などでその障壁を高くする。日本はアメリカのため完全に自由化をし、他方アメリカは貿易制限をこれまで以上に強めるという、全く不平等な関係になってきておると思うのです。日米共同声明は、こういうふうに現存するところの不平等関係を強めるものだと思いますが、どうですか。まして、繊維の自主規制はこの不平等を一そう拡大することは明らかになると思います。自主的で平等な対米関係を築く上からも、繊維の自主規制には応じるべきでないと思いますが、どうですか、総理大臣答えてください。あなたの決意が必要なんだ。いま国民は非常に心配しているのだから、あなたの決意が必要なんだ。
  130. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどの通産大臣説明でもおわかりのように、この非関税、どれだけの損害を与えているのか、こういうものの計算はなかなかむずかしい。これはしろうとである私にもたぶんむずかしいだろうな、かように聞き取れたのであります。したがいまして、先ほどお読みになった資料、これはもちろん特別な資料であろうと思いますが、それを大体否定している、かように私は聞いたのでございます。しかし、ただいまお尋ねになるように、これから先一体どうするのか、かような点でございますが、これは先ほども申しましたように、わが国が輸入制限をしておる品目は非常に多い。さらにまた関税を課している品目も非常に多い。ずいぶん制限をつけ加えております。それらのものをだんだん撤去して、そうして自由貿易拡大の方向へ私どもは歩を進めてまいるつもりでございます。  また、アメリカとの間に非常に不平等なものがあるのじゃないか、かように御指摘でございますが、私は、ただいままでケネディ・ラウンド等の関税についての特別措置を提案したり、あるいは自由化品目も非常に多いアメリカだと、かように私は考えておりますので、アメリカは日本と比べて日本のほうでもっと改善すべきものがあるだろう。私は、自主的に考えてもさように実は思っておる次第であります。しかしこういう事柄は、それぞれの国がそれぞれの産業に及ぼす影響を考えまして、そうして善処する筋のものでございますし、そういう意味では自主的に国内問題はわれわれが責任を持って処理する。ただいまの繊維の対米輸出の問題について、これに私は何度もお答えしたとおりでございます。こういう問題がいつまでも解決されないで長くいることは、これは繊維業界が不安な状態に置かれるということで、私はたいへんなことだと実は思っております。もともと言ったことが不都合であるとか、こういう議論をしておったのでは、いま繊維業界の不安は除けないのじゃないかと思います。かつてこの席でも申し上げたかと思いますが、繊維、第二次の関係の方々も工賃なども半減しておるような状況で、先行きは全く模様がわからない不安な状態だ、かように言われております。こういうことを考えると、問題は、皆さんが理解し、安定し、安心してその事業が遂行できるようにしなければならない。それは政府の責任だと思います。ましてや日米間においてこういう事柄は話し合えば必ず解決のできることだ、かように私は確信いたしますがゆえに、こういう問題をいつまでも長く解決をしないでそのままに過ごすことは、両国のためにならない、かように私は思っておるのであります。  私が、特に専門ではございませんから、それじゃどういうように解決するつもりだ、かように言われても、私はいま総理自身がどうこうするということではない、かように思いますので、また、ことに自主規制という限りにおいて、これは業界自身が納得をしなければ話はつくものではございませんし、またいままでも国際間の問題につきましては、それぞれのルールがある。まあ、ガットというような非常にはっきりしたルールがございますから、そういうようなルールは守られてしかるべきじゃないだろうか、かように私どもは思っておる。この政府態度にはただいまも変わりはございません。
  131. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この繊維問題は経済問題じゃないんだ、アメリカの国内の政治問題だと、こういう意見がずいぶん前から流されておりました。この日経にもちゃんとそのことが、繊維規制について出ておりますが、あなたがニクソンと会ったときに、ニクソンからいろいろ、前の選挙のときに公約を与えておるので、この点はそういうふうにあなたがニクソンから頼まれていて、ニクソンはその選挙に対する公約を果たすためにいま苦労しておるのだ、こういうことがはっきり言われております。また、あなたたちの党の中でもそういう意見を持っている人がありますよ。私、現に聞いております。  そこで、もう時間がありませんから最後に質問しますが、繊維の自主規制についてスタンズ長官は、昨年四月ヨーロッパ諸国を歴訪し、続いて五月、日本、韓国、台湾、香港を訪れたが、いずれも成果はなかった。その後アメリカは日本に対して執拗に高姿勢で迫っておる。ある新聞の社説には、この点について、米国側の身がってな高姿勢が目につく。同時に、日本側の態度の中にも、無知か政治的理由に基づくものかは知る由もないが、何か対米迎合的な、ないしは米国側にこの問題について誤解されているような節があったこともいなめないのは遺憾というほかはない、こういうふうに指摘しております。日本には大幅な自由化を要求しつつ、みずからは繊維の自主規制を押しつけようとするアメリカの態度は、だれが見ても筋の通らない話であります。政府はなぜきっぱりとはねつけないのか、日米間の対話がとぎれないようにと言って、一方通行の互譲の精神を説いて妥協の方向に傾く政府の姿勢の背景に、何かが隠されているのじゃないかと国民疑いの目を向けているのです。私は国民の疑念を晴らす最善の方法は、政府が道理に合わないアメリカの要求をきっぱりとはねのけ、繊維の自主規制には断じて応じないということを明確に表明することであると思いますが、総理の決意をもう一ぺん聞きましょう。
  132. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この問題はもうたびたびお話、お答えをしたのでございますから、もう誤解はないと思いますし、また、私はそのつど別に変わった答弁はいたしておりませんから、速記をよくごらんになればおわかりかと思います。  先ほども申しますように、日米間における懸案事項、これはできるだけ早く解決することが望ましい、そういうものをいつまでも残すことは両国の親善友好の関係に害はあっても益はないとかように私は思いますので、お互いにあまりそう理屈だけを言って肩を怒らすこともない、やっぱり妥協すること、こういう互譲の精神で話し合っていくということが望ましいのではないか、かように思います。
  133. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 日本が一方的な互譲じゃないですか。
  134. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん一方的な一方交通ではない。私はアメリカに対しても同じことが言えると思います。やはり心あるアメリカの人たちも一方的な話は日本を納得さすゆえんではないと十分理解しております。私の知っているアメリカの友人諸君も、アメリカでもこういう問題で日本の国民を納得さすのにはやはり一つのルールが守られなければならない、かように申しております。私はそういうように思っておりますが、いま最も大事なことを指摘された。これは選挙の公約だ、かように言われました。私はしかしそういうもの自身は私の関知するところではありません。また誤解を受けないようにこの機会に申し上げておきますが、この繊維問題が私と大統領との話に、会談の中に出ないことではございません。出たということも申しました。しかし他との取引でこの問題を処理するということの問題でないことはこれはひとつはっきりさせておきたいのでございます。  私が参りました当時もうすでにジュネーブで一応繊維交渉が始まっております。したがってわれわれはこの繊維交渉の成果に期待するということは申しました。また、同時に、早く問題が解決することも期待している、そういう心持ちではございますけれども、そのために特別の圧力を受けたとか、あるいはどうこうしたとか、こういうものではなく、どこまでも自主的に、先ほど申し上げるような観点でとにかく終わりのないつき合いだと、かように思いますがゆえに、エンドレスなつき合いでございますから そういう関係でお互いに話し合って、そうして相互に、時には完全に満足だとは申しませんが、しんぼうできることはしんぼうして解決すべきじゃないかと、かように私は思っている次第でございます。
  135. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 以上をもちまして、須藤君の質疑は終了をいたしました。     —————————————
  136. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に市川房枝君の質疑を行ないます。市川君。
  137. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は三つの問題について伺いたいと思っておりますが、まず、昨年末に行なわれました総選挙に関連して総理並びに自治大臣に伺いたいと思います。  去る二月二十四日の衆議院の予算委員会で西宮議員が閣僚の皆さんに法定選挙費用をお尋ねになりましたが、どなたもお答えができなかったようであります。総理はその後お調べになりましたか。あなたの選挙区山口県の第二区の法定額とお届けになりました支出額をお伺いしたいんです。
  138. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 市川君より前もって御通知いただきましたのでちゃんと調べてございます。三百六万七千五百円、これが法定費用でございます。私が同時に選挙管理委員会に届け出をいたしました金額は、これは二百四十四万六千六百五十円というふうに報告をした、さような報告を受けております。
  139. 市川房枝

    ○市川房枝君 そのとおりでございます。私は山口県の一月三十日の県報で実は拝見をいたしておるわけでございます。  東京都内で当選されました三十九名の方の届け出の支出を調べてみますと、法定額の平均は三百八十四万円ですが、その六一%の二百三十五万四千円しか使っておいでになりません。新聞などでは、一億円なら当選するけれども七千万円では落選するなどと言われておったのに、あまりの違い過ぎだと思います。総理の場合を含めてこういう届け出は正直に届け出られているとお思いになりますか、どうでしょうか。これはどうせうそっぱちだということは社会通念になっておりますが、しかし、こういう数字がそれぞれの県なんかの公報に掲載されて堂々とまかり通っているという現実、それでいいかどうか。私は国民のいわゆる政治不信、だんだん強くなってきておって、これはいつも総理も御心配になっておるようですが、その第一歩はここから始まっておるんだというふうに思っておりますが、総理の御見解をお伺いしたい。
  140. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の選挙事務を担当した出納責任者、これは厳重にただいま申したとおり、報告したとおり支出したと、このことを確認しております。ただいままさか私について疑問を持たれておるわけではないだろうと思いますが、私はことに立場も立場でございますし、あらゆる面から実は監視されておる人間でございます。したがいまして、この選挙費用について各候補とも厳重に正確な数字を、金額を報告されると思いますが、ことに私の場合はあらゆる面で監視されておる、かように考えますので、間違いがあってはならんのだと、厳重に、実は厳達いたしております。よもやただいまのお話が私を含めての御批判ではなかろうと思いますが、もし、さようなことがありましたら、その点はただいま私が申すとおりでございますから御訂正を願いたいと思います。
  141. 市川房枝

    ○市川房枝君 事実をお届けになったというんでしたら敬服をいたします。  そこで自治大臣に伺いたいんですが、この間の選挙の特色の一つは、選挙法の改正によって初めて各政党が無制限に印刷物を発行、配付したことだと思うんです。この改正は無所属候補に対してずいぶん不公平だという問題はありますが、これはいまは別といたしまして、とにかくそのために相当金がかかっている。お困りになった政党もあったやに聞いておりますが、各政党は正式に政治資金規正法の第十三条によって届け出ることになっておりますが、自治省では各政党の選挙費用の調査がおできになっているかどうか。まだだというんでしたら、あと集計をして御発表いただけるかどうか、それを伺いたい。
  142. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 各政党の選挙費用につきましては、各選挙を管理いたしました選挙管理委員会に届け出、そこから公表されることになっておりまして、資料はまあ、自治省は持っておらないわけです。そこで、持っておらないなら、その公表をされたところを集計をして持っておるかということになりますが、これはたいへんな、全国にわたる選挙を一々これを十分精査をいたしまして、合計、集計をすると、たいへんな事務量になっておるそうでございまして、ただいまのところそれをいたしておらないことを御報告申し上げておきます。
  143. 市川房枝

    ○市川房枝君 三十五年の総選挙の際には各政党が全国でお使いになった選挙費用をまとめて都選管にお届けになっておったのです。ところが今度はいまお話しのように、それは自治省は関係ないんだ、知らないんだと、こういうような御意見ですが、事実調べてみますると、ここに調べたものがあるんですが、自由民主党本部は東京都内だけの収支を、民社党は収入は全国、支出は都内だけ、社会党は東京都連の収支だけを都選管に届けておられます。ここにそういう書類を持っておるのですが、それで法律は別に改正されたわけではないのですが、いつからそういうふうに変更なすったか、その理由はどういう理由か、伺いたい。こういうことでは私は、自治省は日本の選挙の事務全体を取り扱い、また選挙法の立法の案をつくるところなんですね、政党が一体どのくらいの費用を使っておるのか御存じないんじゃ、私はそんな法はないと思うんだけど……。
  144. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 私からお答え申し上げます。  従来は御指摘のように、昔は全国選挙管理委員会でございますが、中央政府で届け出を受理しておった時代がございます。その取り扱いを変えましたのは、御承知のように、選挙に関する政治団体の収支でございますから、その選挙が行なわれる場所において届け出を受理し、それを公表したほうが趣旨に合うんじゃないだろうか。ことに今回のように全国統一の総選挙でありますると、これを全国的にまとめるという意味もあろうかと思いますが、国の補欠選挙あるいは地方選挙、こういうものが年間一千件以上行なわれておるわけでございまして、そういうものを一々政党が東京において報告をし、東京においてこれを公表いたしましても趣旨に合わないだろうということで変えたのが第一でございます。  それからもう一つは、法律の純粋の解釈といたしましても、政治資金規正法の十三条は、当該選挙を管理する選挙管理委員会に届け出ろと、こうなっておりますので、そのほうが解釈としてもいいんじゃないか。  もう一つは、御承知のように、その選挙のつど選挙に使いました金を全国的に集計して公表するということはいたしておりませんけれども、それは他の選挙以外の政治活動の経費と一緒にいたしまして、年に二回中央において公表する、そういうことに取り扱いをいたしております。そういう法律の仕組みになっておりますので、全体として見た場合にこのような取り扱いが至当ではないか、こういう考え方で扱っておるわけでございます。
  145. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまの自治省当局の御説明にはちょっと間違いがありますけれども、それは時間がかかるからやめます。  それから、いまのようなお話だと、各政党がその県の選挙運動の費用をみんな届け出なくちゃならないんです。一体そういう煩瑣なことが——まあやっておいでになりますかどうか、私は東京都だけを見たのですから、これから調べてみますけれども、そんなことは政党としてはできないと思う。まあいろいろの問題がありますが、それは別の機会にいたします。  そこで、今度の選挙では三万票で当選し、十二万票で落選といった定数のアンバランスがいままで以上に明らかになり、有権者の間には非常な不満が起こっております。困難な区制とからめないでできるだけ早く是正すべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、このアンバランスは参議院の地方区ではもっとはなはだしく、現在第六次選挙制度審議会に諮問されておりますが、来年の参議院の選挙には間に合いましょうか。総理のお考えを伺いたい。
  146. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 先般の衆議院選挙における定数のアンバランスの問題、たいへんひどいものがございまして、私といたしましてもこれはぜひ是正しなければならないと考えております。しかし、なかなか、御承知のとおり、これを是正いたしますのに複雑な問題がございまして、総定数との関連、なかなか減らすということが実際上むずかしい点がございますので、その間のいろいろの問題があることはひとつ御了承を願いたいと思いますが、とにかく何とか是正をしなければならぬ。これには区制の問題も自然ある意味においてからんでくる。かつまた、ことしの十月の一日に、御承知のとおり国勢調査も行なわれるわけでございますから、その調査によって得ました数字に即して正確を期すべしということも当然考慮されなければなりませんので、これらの点をよく考えながら処置をいたしてまいりたいと考えております。  なお、参議院の定数是正についても同様の感がございます。これはただいま第六次の選挙制度審議会において、これらの点を中心に御審議を願っておりますので、その御答申を得た暁において善処をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  147. 市川房枝

    ○市川房枝君 いま一つ政治資金規正法の改正の問題について伺いたいことがありますが、これはまた別の機会にいたします。  次には、沖縄の返還に関連した問題について、総理並びに法務大臣にお伺いしたいと思います。  総理のお骨折りで一九七二年に沖縄が返還されることになり、私もそれを信じて善んでおる一人でありますが、その際に沖縄の婦人だけが取り残されるのではないかといううわさを聞いて、実は心配しておるわけであります。というのは、婦人の人権を認めて制定されました売春防止法、これが沖縄にはございません。したがって、返還の際には何年か本土並みの法律を施行されることが延ばされるんじゃないか、こういうことが言われておるわけです。私どもは特に婦人として断じてそういうことがあってはならぬと強調するのですが、総理はその問題についてどうお考えですか。
  148. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 沖縄を担当いたしております私からお答え申し上げます。  御指摘のとおり、現在沖縄におきましては、米軍の弁務官布令第百四十四号による主として米軍要員に対する売春の禁止、並びに一般刑法による管理売春の禁止、あるいは琉球政府の立法による婦女を売春せしめたる者等の処罰に関する法律等々が一応あるわけでございますけれども、それらの問題は、市川委員御指摘のとおり、現状において、米軍みずからが定めたそのような禁止法令が守られているかいないかは、はなはだ疑問に思われる点が現象としてございます。そこで私も沖縄の現地をよく知っておるわけでありますが、そこらの事情の視察だけを私いたしておりませんでしたので、総理府の売春対策審議委員の方をわずらわしまして、下調査と申しますか、現状を把握していただくように、いまお願いをいたして、もう出発されるころでございますが、結論といたしましては、本土に返りましたならば、売春防止法は直ちに現地に適用できるよう、その前に現琉球政府におきまして、本土の売春防止法そのままの、準じた立法をしていただくよう、またそれに対して琉球政府が立法の措置をいま議会に対してとっておられるようでございます。以上のことを御報告申し上げておきます。
  149. 市川房枝

    ○市川房枝君 いま総務長官、沖縄でそのほうの問題だけを見てこないとおっしゃったのですが、実は一昨年秋、当時の園田厚生大臣が沖縄においでになって、そうしてひそかに視察をなさった。さて、お帰りになってから、日本の新聞で「厚相、がく然、沖縄の売春」なんていうような見出しで大きく発表されたのですが、現在の数字は約七千四百人売春婦がいると——過去五年間にこれが倍数にふえているのですね。それでその九九%が平均五、六百ドルから、最高は四千ドルぐらいの前借金があって縛られ、まるで戦前の日本の遊郭の仕組みそのままが現在適用されているらしいのです。それでしかも、その総数の七七%は生活のために売春をしている。それから四〇%以上が子持ちだ——子供を持っている人たちだ、こういうことであります。これはまあ基地沖縄の社会経済構造のしわ寄せが、この女の人たちに集約されているわけであって、非常に私どもはつらい思いをしておるわけであります。いま山中長官がおっしゃいましたように、沖縄立法院には昨年の六月に本土とほとんど同様な内容の売春防止法が提出されているらしいのですけれども、ほとんど進展をしていない。非常な何か反対の勢力が強い。こういわれておるのです。現在の沖縄立法院は、御承知のとおりに自民党の方々が過半数を占めておいでになりますから、私は総理から総裁として、ぜひ立法院ができるだけ早くこれを成立させ、そうして準備をしていただきたい。女の人たちの更生あるいは業者の転職といいますか一そうして完全に本土復帰のときには婦人の人たちも、日本のいわゆる憲法のもとで人権が守られると、そういう状態にしていただきたいのですが、総理からちょっとお願いしたい。
  150. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 総理は私に沖縄のことはまかしていると言われますので、私から答弁いたします。  本土におきましても、売春防止法制定までにはいろいろの議論がありまして、紆余曲折をたどったことは御承知のとおりでありますが、やはり同じような縮刷版とも申すべきものが琉球においても議論されておるのであろうと私も想像いたしております。でき得る限り私どもの党といたしましても、政府といたしましても、いずれ本土に返った場合には、自動的にそのような法律はかぶるわけでありますから、それまでの間、婦女子の人権を基本的に守るという立場において、すみやかな立法の促進を要請したいと思いますが、さらに本土におきまして法律をつくりましたときには、たしか国民金融公庫、中小企業金融公庫等から、政令措置でございまするけれども、転業資金その他についてあっせんもいたしておりまするので、そこらの点も、善をなすに当たってやはり犠牲になる、ある意味で逆の人たちも見捨てるわけにいきませんので、それらの人々に対する措置も、本土のほうで何かの相談ができるものならば、それらの措置も講じてあげつつ、すみやかな実現を期するように努力をしてみたいと考えております。
  151. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま総務長官から詳細にお話をいたしました。私はもうこれで十分かと思いますが、これは政府態度でもあることで、一言つけ加えておきます。ただ、総務長官だけの態度ではない、政府自身が——と申しますことは、私の責任においてこの問題が徹底するようにいたしたいものだと、かように考えております。そのことをつけ加えておきます。  また、ただいまの重大な問題は、禁止も禁止だが、同時に基地経済から抜け出る、そのためにどういう処置をとるか。いろいろ救済措置等につきましても万全を期する。このこともつけ加えさしていただきます。
  152. 市川房枝

    ○市川房枝君 時間がなくなりましたので、次は簡単に一つだけ申し上げます。それは総理及び農林大臣地方競馬の問題についてお伺いしたいと思います。  東京都の二十三区で組織しております特別区競馬組合は、管理者の名で去る一月十七日に農林大臣に対して、東京都が八王子、三鷹市にかわって開催してきました四回二十二日を、この四月から二十三区にさせてほしいという要望書を出しております。二十三区は、競馬法の四十一条によって、競馬場のある品川区におぶさって「当分の間」行なうことを認められて、現在十六回九十日開催し、各区平均二億円近いギャンブル収入があるのに、その上に今度の要望ですが、一体どんな理由で申請をしているのか。なお、法の「当分の間」というのは一体いつまでのことなのか、これは農林事務当局でいいのですが、伺いたい。  それから、ついでに伺いたいことをもうちょっと申し上げます。三鷹、八王子は来年四月からは実はギャンブル収入は一文もなくなるわけです。それに比し、二十三区はいままで二億円あって、今度はまた各区五千万円ふえるんです。どっちが財政需要が多いかといえば、二十三区は人口がだんだん減ってきているんですから、周辺の都市のほうが需要は多いと思うので、それは非常に私は不公平だと思うのです。こういうことが一体許されていいのか、そういう観点で、一体農林大臣はこの申請を許可なさるのかどうか、そういうような点もあわせて伺いたい。
  153. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。  東京都からは一月中旬に文書で、昭和四十五年度の開催回数を四回減らしたい旨の申し出を受けております。同時にまた、特別区からはその四回をかわって開催いたしたい旨の申請がございましたが、この取り扱いにつきましては、本件は大井競馬場の従業員、大井競馬場を含めた南関東四競馬場に所属する騎手、馬丁等の生活に関係することでもあり、また特別区を含めて全国の施行者の昭和四十五年度の開催回数との関係におきまして検討すべき事項でございますので、現在それらのことについて処置をどうすべきかを検討いたしておる最中でございます。
  154. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 以上で市川君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  155. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) この際、委員長から御報告をいたしたいと存じます。  昨日、亀田委員の御発言中、たまたま古野公使が帰国中なので、当委員会出席を求めて説明をさせるべきだとの要求がございました。亀田君の要求に応ずるため、委員長としては、理事会でも再三再四協議をいたし、外務省を通じて出席を要求をいたしましたが、同公使の時間の差し繰りがつかず、残念ながら亀田委員の要望にこたえることができませんでした。はなはだ遺憾に存じます。  以上、御報告を申し上げます。  亀田君。
  156. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいま委員長から吉野公使を呼ぶことについての結論の報告がありましたが、私としては非常に残念だと思います。本来こういう国民が非常に関心を持っておる問題、そういうことについて国会が十分審議を尽くしていこう、これが非常に大事なことなんですね。理事会の模様等を聞きましても、筋としては自民党の諸君も賛成をされたように聞いております。しかるにもかかわらず、それが実現できない。私は、こういうことをやっておるから政治に対する不信の——それだけではもちろんないと思いますが——やはり一つの大きな原因になっておると思います。やはり問題があればそれを深めていく。だれもそのことに異議がないわけですから、この問題に関する限り。で、そういう意味でたいへん残念です、結論は。まあ外務大臣が公使を呼ばぬでも自分がわかって説明すると、こういうお考えなんだろうと思いますが、これは何といっても、直接本人から聞くのと聞かぬのとでは、これは非常に違うわけですね。われわれにしても、国の出先機関として、アメリカで吉野公使なり下田大使が活動なさっておるわけですから、日本の国会がこういうことについてどういう意見を持っておるか、たとえ短時間であってもそのことに触れて帰ってもらう。私は、これはまた国全体の立場から見て、いろいろな意味でプラスがあろうと思うのです。官僚組織ということがよく批判されますが、その中でも外務省か一番保守的だ、こういうことがよくいわれるし、また書かれてもおります。そういう意味からも、これは日本の内部との接触がどうしても切れるからそうなっちゃう。これは人間の弱さです。そういう意味でも、この取り扱いは私ははなはだ残念です。アメリカの国会等を見ておりましても、たとえば沖縄問題が非常に微妙なところにくれば、やはり高等弁務官が国会に呼ばれて証言をさせられておる。それをだれもはばもうとはしておりません。どうも日本の場合には、何か参考人、証人ということになりますと、政府側にあまりおもしろくないと思われるような事案になると、何だかかんだか言って、それが実現しない。最後の結論、これは多数決でやることになるでしょう、よしあしは、最後は。しかし、疑問点をほぐそうというのは、何としてもその場所を与えてくれなきゃこれは困るじゃないですか。そういう意味で、私はこの措置は、何べんも言いますが、はなはだ残念です。佐藤総理は、何かこの問題について、衆議院では下田大使を呼んでいるのだ、そっちが実現しておらぬのにこっちだけ先回りすると云々というようなことを何か言われたようにも聞くのですがね。これは衆議院が下田大使を呼んだ段階では、吉野公使はこっちに来ておらぬわけです。だから、下田大使に直接焦点を当てて要求をしたにすぎないわけです。おそらく衆議院においても吉野公使が来ておるときに審議があれば、それはちょうどいいからすぐ来てくれと、こうなったに違いないわけなんです。決して私はそういうことで衆議院の諸君が、参議院が出過ぎだとかなんとか、そういうふうなことを思う人はだれもありませんよ。もしある人があるとするなら、それはあまりにも形式的な観念にとらわれ過ぎておると私は思う。まあ、予算審議ももう予定の時間過ぎておりますから、これ以上文句言ってもしかたないわけですが、先ほどのニュースによりますと、きょう吉野公使が自民党の繊維対策特別委員会ですか、並びにこの商工部会、その合同の部会に出て説明をされたと、こういうことを聞きまして、私は、そのニュースを聞いてからよけい腹を立てるわけです。そういう時間があるんなら、なぜこの国会に短時間でも、正式に足を運ばないのか、外務大臣を通じて委員長としては折衝されたことと思いますから、外務大臣からひとつどうして来れないのか、そこを明確に説明してもらいたいんです。単に時間の都合、そういうわけにはいかぬと思うんです。ほかの予定がありましても、それを短縮したり、これは政治家はお互いやってるわけなんです。予算のほうは、もう昼の適当な時間に済むわけですから、ほかの用事を若干おくらしてもらうとか、そんなことは私はやれぬ問題ではなかろうと思うんです。ほんとに国会の審議を深めていこうというのであれば、外務大臣としては、私はそこまでの措置をとってほしいと思いますし、そこまでやっても、なおかつそういうことがどうしてもできなかったのだということなのかどうか、ひとつ外務大臣から、この点御釈明を願いたいと思うんです。
  157. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 本件につきましては、昨日来、委員長各党の理事の方々はじめ皆さまにたいへんどうも御迷惑をおかけし、また結果において、たいへん御趣旨に沿い得なかったことを申しわけなく思っておりますが、一言釈明させていただきますと、実はこの問題はしばしば御論議をいただいておりますように、政府としても大きな問題でございますし、それからひとつ私といたしましても、十分いままでも努力を尽くしているはずではございますけれども、さらによく現地におきましても、日本側の考えておるところを、基本的な姿勢、これも十二分にひとつ頭に入れさせる必要があると思いまして、きわめて短期間、先月二十八日から五日までの予定で一時帰国を命じたわけでございますが、アメリカとの関係もございますので、いわば話し合いといいますか、これを断絶するようなことになるのは一方におきまして、はなはだ不適当と思いましたので、きわめて短期間私どもの部内の打ち合わせということを中心にして呼びました。したがって、時間的な予定がもう全く一ぱいになりまして、せっかくの御趣旨に沿うことができなかったわけでございます。また、自民党の会合の問題でございますが、これも弁解がましくお聞き取りになるかもしれませんけれども、今朝も早朝来部内あるいは特に通産省との打ち合わせが非常に大事な段階でこまかい数字の突き合わせ等もございますもんですから、予定しておりました時間を、早朝でありましたために、慫慂を受けて暫時出かけたということでございまして、他意はなかったわけでございまして、どうかそういう事情でございますので、委員長をはじめ各位に、御希望に沿い得なかったことを申しわけなく思いまして、おわびを申し上げると同時に、本件の今後の取り扱い等につきましては、さらに国会の御論議も十分いただいて、間違いなきを期してまいりたいと思っております。
  158. 亀田得治

    ○亀田得治君 あまり外務大臣に最終段階でぐちを言うようなことは申し上げませんが、吉野公使が下田大使の大臣あての書簡を持って来られた、私的な書簡であれば、そんなことはお尋ねしませんが、これだけはひとつここでどういう内容のものか、結論はどういうことを言っておるのか、それを公式にはっきりしてほしいと思うのです。公使が来られれば、吉野公使に直接これは聞きたいところなんです。ただ手紙だけをお渡しになるわけがない、手紙を渡すにあたって、下田大使がさらに吉野公使に話を何かしておるに違いない、そこらまでをお聞きしたいわけですが、それはかなわぬわけですから、せめて書簡の中身ですね、これだけでもひとつこの場で明らかにしてほしいと思うのです。それだけひとつ要求しておきます。
  159. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 下田君から私あての私信を吉野君に託して持って参りました。その中身は二点ございますが、一点は、先般衆議院の予算委員会で大いに御追及を受けた点なんでありますが、自分が、世の中に伝えられるような下田私案というようなものをアメリカに提示したというふうに報道関係などで伝えられ、さらにそれが国会の問題に取り上げられたようで、たいへん自分としても迷惑をしておる。さようなことはあり得ざるはずであるということを大臣においても了解していただきたい、さようなことは断じてございません。自分としては、政府の訓令に従って忠実に職務を履行しておるつもりである。これが第一点。  それから第二点は、アメリカ側も依然としてなかなかきびしい状況にあるように自分としては見受けられるが、幸い吉野君を一時帰国を命じてもらったので、吉野公使から、いさい詳細に聞き取ってもらいたい。この二点が内容でございます。
  160. 亀田得治

    ○亀田得治君 そしたら、もう政府とのやりとりはこれで終わりますが、委員長にお願いをしておきますが、これは私のほんとうの気持ちから言えば、予算委員会で決議をして、そうして吉野公使に来てもらう、そのくらいの強い措置をとってもらいたいくらいに思っておるんです。しかし、時間的にも差し迫っておることはわかっておりますし、きょうじゅうに予算案が上がらぬと、何か明日の支払いにも困るというふうな事情もあるようですから、そこまではこだわりませんが、各党の理事の方が、それはそうだというふうなことになっておりながら、それが実現しないというのは、はなはだこれは残念でありまして、今後ともこういうことにはならぬように、再度そういうことがある場合には、ひとつ委員長としてもやはり国会という立場から、政府に対して強い態度で当たってもらうことを要望いたします。委員長のお気持ちを一言だけお伺いしておきたいと思います。
  161. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 先ほど報告を申し上げた中にも、きわめて遺憾なことであると申し上げておりますし、また、理事会におきましても、この問題で四回の理事会を開きました。なお、詳細に申し上げまするならば、国会対策委員会にもこれを持って出て交渉をしたのでございます。したがいまして、私は委員長の席にありましたので、直接に出かけることができなかったことをきわめて残念に思いますが、遺憾なことであるということだけは身にしみて承知をいたしております。今後かかることのないよう努力をしてまいりたいと、かように存じております。  以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了をいたしました。よって補正予算両案の質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  162. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) それでは、これより両案の討論に入ります。  通告がございますので、順次発言を許します。発言者は、賛否を明らかにしてお述べを願います。横川正市君。
  163. 横川正市

    ○横川正市君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十四年度補正予算二案に対し反対の討論を行なわんとするものであります。  まず最初に指摘したい点は、本年もまた総合予算主義が実行できなかった、このことに対する政府の責任についてであります。政府は、昭和四十三年度より予算編成の基本方針として、総合予算主義を採用し、従来のような恒常的な予算補正の慣行を排除して財政の硬直化を防ぎ、体質の改善を行なうことときめたのであります。四十四年度予算についても、福田大蔵大臣は財政演説の中で、四十四年度も引き続き総合予算主義のたてまえを堅持し、補正要因の解消につとめると、公約したのでありますが、この約束を無視して、このような補正予算案を提出したことは何としても納得できません。加えて、昭和四十四年度補正予算千九百十二億八千万円の内容を見ると、必ずしも予算作成後に生じた事由に基づく特に緊急を要する経費とは認めがたいものがかなり計上されており、逆に緊急を要すると思われる経費が見送られていることはまことに遺憾と言わなければなりません。すなわち、米の生産調整特別対策事業費二十億円や、土地需要緊急調査費一億円のように、昭和四十五年度において米の生産調整対策を実施することに関連して組まれたものでありますが、これは財政法第二十九条から見て問題があると思います。政府算出でも千九百六十八億円にのぼる税収増加があるにもかかわらず、公務員給与の改善を人事院勧告どおり実施しないことは、政府みずから勧告尊重の公約を破るものであり、はなはだしき政治不信と言わなければなりません。多年にわたり不当に押えられてきた公務員給与の改善をこの際実行することこそ緊急を要する補正要因と言うべきであって、これに目をつぶった政府態度は許すことはできません。  次に、具体的項目について反対の理由を申し述べます。  第一は、米の生産調整のための経費についてでありますが、前にも指摘したとおり、米の生産調整特別事業費の二十億円と土地需要緊急調査費一億円は、四十五年度予算の編成途上でにわかにつくり上げられた米の減産対策のための政治的なつかみ金とも言うべきものでありまして、いわゆる総合農政の全貌も明らかにされず、水田転用の具体的計画も実質効果も不明のままに四十四年度補正に組み込まれていることは明らかに不当であります。特に、米生産調整特別対策費二十億円があらかじめ繰り越し明許となっていることは、とりもなおさず明年度予算に計上してもおそくはないことを物語っているものでありまして、財政法の規定する緊急補正の性格に反するものであります。  第二は、地方財政と交付金についてであります。  新しい情勢に即応する国と地方との財源配分のあり方という根本問題の解決には目をつぶり、地方財政が豊かになったからという一方的解釈を根拠として、大蔵、自治両省が昨年からの約束をほごにして、またもや国と地方との財源の貸し借りや、地方交付税、地方交付金の繰り上げ返済などという当面の糊塗策を補正予算を利用することによってごまかすやり方は、これは断固反対せざるを得ないのであります。  第三は、酪農畜産振興事業団費についてであります。場当たり的な酪農畜産農政をそのままにしておいて、畜産振興事業団の財源が不足したからといって安易に交付金を交付したり、出資金二十一億円を追加したりすることは、補正予算を隠れみのとする無責任なやり方であって、決して許容することができません。  第四は、既定経費の節減と不用額についてであります。歳出追加の財源に充てるため、既定経費の節減と不用額の減額を約三百八十三億円計上しておりますが、これだけ経費の節約ができるとは驚くほかありません。このことによって行政面がダウンしないとしたら、たいへんふしぎなことであります。あらためて官庁予算あり方について検討する必要があると思います。減額補正の中には公害、物価安定、人命保全等の絶対切ってはならないと考えられる経費が削減されていることは見のがすことができません。  以上、時間の関係で簡単に申し述べましたが、昭和四十四年度補正予算二案は、その中身においてあまりにも合理性がなく、また説得力のない組みかえ補正であることを申し上げ、反対の討論を終わります。(拍手)
  164. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 木村睦男君。(拍手)
  165. 木村睦男

    木村睦男君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十四年度一般会計補正予算外一件に対し賛成の討論を行なうものであります。  本年度当初予算編成にあたって、政府は、前年度に引き続き財政の体質改善のため、当初予見できる予算補正の要因を排除し、財政本来のあるべき姿として、いわゆる総合予算主義の考え方に立って編成運営されたのでありますが、わが国社会経済の変化と進展は、今年度も当初予算に対し総合予算主義の限界を守りながら、緊急補正の措置を講じなければならなくなったことはやむを得ないものと考えるものであります。  以下、一般会計歳出の主要項目について述べてみたいと思います。  まず、公務員給与改善費についてでありますが、これは食糧管理特別会計への繰り入れとともに従来とも二大補正要因の一つであります。昨年十二月に成立いたしました給与法改正に基づきまして国家公務員の給与を一〇・二%アップし、六月にさかのぼって実施するために必要な財源の事後処理でありまして、その所要額は千八十八億円となるのでありますが、すでに当初予算においてあらかじめこの給与改善に備えて四百四十三億円を計上していたこと並びに七十八億円の人件費の節約を行なったため、今回の補正では、五百六十六億円の歳出追加にとどめておるのでありまして、もとより人事院勧告の完全実施は理想とするところでありますが、その内容がかなり予想を上回るものでありましたため、やむを得ずこの額で措置せざるを得なかったことと思いますが、今回の措置により完全実施にさらに一歩近づくことができたものと考えるものでございます。  次に、補正の最大の要因であります食糧管理特別会計への繰り入れについてでありますが、今年度は生産者及び消費者の両米価を据え置きいたしたにもかかわらず、国内米の買い入れ数量が当初の予定を大きく上回ったためによるもののほか、輸出等に伴う損失及び過剰米処理損失を含めまして、食管特別会計の経理運営の改善をはかるため、一般会計から食管特別会計調整勘定に五百六十億円を繰り入れるものであります。また、今回の補正では、最近の米の需給事情にかんがみまして、米の生産調整特別対策事業費と土地需要緊急調査費とを計上いたしておりますが、これは政府が今後行なおうとしている米の生産調整対策に資するため緊急に措置を要するものとして時宜を得たものであると思うのであります。今回の措置は、わが国総合農政が新しい段階に一歩を進めるものであるだけに実効のあがる運用を強く望むものであります。  次に、今回の補正額の過半を占める地方交付税交付金についてでありますが、追加額は、九百九十五億円が計上されております。これは国税三税の増収に伴う六百十五億円の増加額並びに四十四年度の特別措置としての交付金の六百九十億円の減額を修正して、三百八十億円を追加交付する額との合計額でありまして、地方財政の健全合理化のために必要妥当な措置であります。  その他、歳出の追加事項として、義務的経費の追加二百七十一億円、診療報酬改定に伴う増加経費五十九億円、琉球政府への米穀売り渡し経費五億七千万円が計上されておりまして、今回の補正の追加規模は、既定経費の節減、予備費の減額を差し引き、一千九百十二億円となっております。これに充てる財源としましては、ここ四年来の経済の好況による自然増収を見込むほか、公債の減額でまかなっておるのでありまして、政府の財政に対する節度がうかがえるのであります。  また、特別会計におきましては、国立学校特別会計等七特別会計において、給与改善等により必要な補正が行なわれておりまして、これまた妥当なものと思うのであります。  以上、今回の補正予算は、その内容、金額ともに現行の法規、制度から見て緊急を要する最小限度の措置でありまして、あくまでも総合予算主義の限界を守り、また、財政の国民生活に及ぼす配慮からも、きわめて適切なものであると思うのであります。  政府におかれては、今後とも総合予算主義の原則を堅持して、財政の体質改善と健全な運営をはかられるよう要望いたしまして、賛成討論を終わります。(拍手)
  166. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 矢追秀彦君。
  167. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十四年度補正予算二案に対し、反対の討論を行なうものであります。  第一の反対の理由は、今回の補正予算は、その主たる内容は、国家公務員の給与改善費の五百六十七億円と食糧管理特別会計調整勘定への繰り入れ五百六十億円であります。これらはいずれも当初予算作成の際に当然予想できたはずであります。公務員の給与改善費については、高度経済成長下における民間勤労者所得上昇の実態を無視して、単に五%アップ程度を見込んだのみか、その実施時期についても初めから人事院勧告の完全実施をほおかむりする気で七月実施として計上したこと、また、食管の調整勘定へ繰り入れざるを得なかったのは、国内米の在庫数量、買い入れ数量等に大きな見込み違いがあったことで、それは政府が食管対策の一環として実施した自主流通米制度が、現在、政府が予想した当初見込んだ量の二分の一程度しか処理されていない事実でも明らかであります。  したがって、今回も、前年度に引き続き追加補正を組む結果となり、せっかく掲げた総合予算主義を、またまた、くずしてしまう結果となり、もはや総合予算主義の看板は、おろさざるを得なくなったのであります。しかも、米生産調整特別対策事業費二十億円、土地需要緊急調査費一億円については、四十五年度予算における総合農政に関する諸経費の中に組み込まれてしかるべきものであり、今回の補正予算こそ、四十五年度予算の先食い的性格さえ持っており、さらに地方交付税交付金三百八十億円の繰り上げ返済の措置は四十五年度に地方から三百億円借りる身がわりの措置であり、これは明らかに予算の単年度原則を破る財政法違反の疑いが十分存在すると思うものであります。  第二の反対の理由は、歳入の面で、自然増が二千億円以上も見込まれるというのに、なぜもっと減税に回さなかったのでしょうか。税収の見込み違いか、さもなくば意図的に税収を押えて減税を少なくする口実としたのか、国民の強い要望である減税が不十分となっているのであります。さらに、もし補正を組むならば、四十五年度予算に計上される性格のものを補正に組み込んでいるにもかかわらず、どうして緊急を要する物価対策費を入れなかったのかということであります。物価対策こそ緊急かつ重要な課題であります。これをおろそかにしていることは、本補正予算こそ国民不在の予算であると言わざるを得ないのであります。  以上の理由をもって補正予算二案に対する反対討論といたします。(拍手)
  168. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 向井長年君。
  169. 向井長年

    ○向井長年君 私は民社党を代表して、ただいま議題の昭和四十四年度補正予算両案に次の理由から反対いたします。  その第一は、すでに総合予算主義が崩壊しているのにかかわらず、今年度当初予算においてもこれを持ち続け、結局またしても補正予算を提出せざるを得なくなったことであります。すなわち、政府の財政に対する無計画、無責任性を如実に示すものと指摘せざるを得ません。この際、政府は言うべくして行ない得ない財政政策を改め、いわゆる総合予算主義を放棄するか、あるいは今後補正予算は絶対に出さないと確約するか、その態度を明確にすべきであります。  第二の理由は、大幅な租税増収と、その背景をなす経済見通しが、根本的に誤っている点であります。すなわち政府は、当初経済見通しにおいて、いかにも客観的予測であるかのごとく発表しながら、その実、過去の例でも明らかなように、常に経済実態とかけ離れた過小見通しをしてきたのであります。そして当初予算において、租税及び印紙収入を必要以上に過小見積もりをし、それを理由に国民の切なる要求、大幅減税を押えてきたと断言して差しつかえなかろうと思います。もしここに計上されている千九百六十九億の租税増収を当初において正しく見積もるならば、大幅減税は今年度において実現できたはずです。はなはだ残念と言うほかありません。  第三の理由は、当初予算において、すでに補正予算の計上を考えて既定経費の操作が行なわれていることであります。そもそも行政事務費の節減は、当初予算においてきびしくやるのが当然だと考えます。ところが、毎年補正予算の中に、いとも当然のように既定経費の節減が行なわれる。経費の節減自体は、大いに多とするものでありますが、このような姿は、まことに不明朗きわまりないことでありまして、強く反省を求むるものであります。  最後に反対する理由は、農業政策の失敗であります。すなわち、当初、政府が提唱いたしました自主流通米制度はきわめて不評であるため、結局予定せざる米の買い入れ増となり、そのしりぬぐいが食管会計へ五百六十億の追加繰り入れとなったものであります。現在の場当たり農政の欠陥がここに象徴的にあらわれていると言わざるを得ません。  以上の理由から、私は、補正予算案に反対するものでありますが、同時に、この際、政府に以上の四点の欠陥を是正すべく真剣に検討されることを求めて、私の討論を終わります。(拍手)
  170. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 須藤五郎君。
  171. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、昭和四十四年度補正予算二案に反対いたします。  反対の第一の理由は、国家公務員等の給与問題であります。  人事院勧告は、民間に比べて低水準にある公務員の給与を民間の水準に引き上げようとするものであり、たとえこれが完全実施されてもなお、公務員の給与は、公務員労働者の切実な大幅賃上げの要求から見れば、きわめて不十分なものであります。  みずからは不十分な人事院勧告さえ踏みにじるのみならず、人事院勧告を尊重し、完全実施に踏み切った美濃部東京都政に対しては圧迫を加える。この政府態度は、単に公務員のみならず全労働者に対する政府の低賃金政策を露骨に示すものであり、断じてこれを容認することはできません。  反対の第二の理由は、食管会計の問題であります。  政府は四十四年度に自主流通米制度を創設して、食管制度のなしくずしをねらい、買入れ数量を七百五十万トンと不当に低く押えましたが、実際は八百八十六万トンの買い入れとなり、五百六十億円の補正となりました。これは自主流通米制度の破綻、総合予算主義の破綻を意味し、政府の重大な責任であります。しかるに、政府はその責任にいささかの反省もなく、さらにこの補正予算で、米生産調整特別事業費補助二十億円、土地需要緊急調査費一億円を組んだことは重大であります。農民に休耕、転作を強要し、農民を土地から強制的に切り離し、新たな労働力を生み出そうとすることをねらいとするこれらの経費は、四十五年度で大々的に推進しようとしている米作制限、農民切り捨てのいわゆる総合農政の布石にほかありません。一方では農産物の自由化、他方では総合農政という相矛盾した政府の政策は、日本の農業を破壊するものであり、われわれの要求する日本農業の自主的民主的発展の方向とまっこうから相対立するものであります。  最後に、地方交付金借り上げに対する返済の問題であります。この補正予算において三百八十億円を繰り上げ返済すると言っておりますが、しかし、これは本来四十五年度において八百四十億円返済すべきものの一部を繰り上げ返済するものにすぎず、しかも四十五年度において新たに三百億円を借り上げるとい措置をとっております。本来、地方自治体固有の財源である交付金を国が借り上げること自体、地方自治体の財政自主権に対する重大な侵害であります。現在、地方自治体は、地方道、教育、衛生施設、交通、公害対策など財政需要が逼迫しております。この財政を圧迫することは許されません。まして、地方財政を国の反動的予算編成の調整財源として吸い上げることは許せないことであります。  本補正予算は、一言で言うならば、労働者、農民、広範な住民の利益に反するものであります。  以上の理由から、私は本補正二案に反対するものであります。
  172. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了をいたしました。よって、補正予算両案の討論は終局したものと認めます。  それではこれより両案の採決に入ります。  昭和四十四年度一般会計補正予算昭和四十四年度特別会計補正予算、以上両案を一括して問題に供します。両案を原案どおり可決することに賛成の方の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  173. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 起立多数と認めます。よって、両案は原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。     —————————————
  175. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、予算の執行状況に関する調査を議題とし、派遣委員報告に関する件についておはかりをいたします。  先般、当委員会から三班に分かれ委員派遣を行ないましたが、各班から委員長の手元に報告書が提出されておりますので、これを会議録に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会をいたします。   午後三時五分散会      —————・—————