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1970-09-11 第63回国会 参議院 法務委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月十一日(金曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————    委員異動  七月十一日     辞任         補欠選任      阿具根 登君     松澤 兼人君  八月十四日     辞任         補欠選任      浅井  亨君     山田 徹一君  八月十七日     辞任         補欠選任      中村喜四郎君    久次米健太郎君      山崎 竜男君     西田 信一君  九月十一日     辞任         補欠選任      西田 信一君     山崎 竜男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小平 芳平君     理 事         河口 陽一君                 後藤 義隆君                 亀田 得治君     委 員         上田  稔君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 山崎 竜男君                 小林  武君                 松澤 兼人君    事務局側        常任委員会専門        員        二見 次夫君    説明員        文部政務次官   西岡 武夫君        文部省初等中等        教育局長     宮地  茂君        最高裁判所事務        総長       吉田  豊君        最高裁判所事務        総局行政局長   矢口 洪一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○派遣委員報告検察及び裁判運営等に関する調査  (裁判運営に関する件)     —————————————
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、西田信一君が委員辞任され、その補欠として山崎竜男君が選任されました。
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行ないたいと存じます。  選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と叫ぶ者あり〕
  4. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山田徹一君を指名いたします。     —————————————
  5. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 最高裁判所事務総長から発言を求められておりますので、この際これを許します。吉田最高裁判所事務総長
  6. 吉田豊

    説明員吉田豊君) 一言ごあいさつ申し上げます。  去る七月最高裁判所事務総長を命ぜられました吉田でございます。御存じのように憲法は、法の支配の確保と、基本的人権の擁護という崇高な使命裁判所に負託しておりますので、その責務は重大だと存じます。私どもは、裁判所のその使命を達成し、国民からますます信頼される裁判所とするよう、あらゆる努力をいたしたいと存じます。幸いにして、法務委員会の皆さまの深い御理解と力強い御支持によりまして、司法制度充実がはかられてまいりましたが、今後とも一そう御支援を賜わりますようお願いいたしまして、私のあいさつといたします。
  7. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました検察及び裁判運営等に関する実情調査のための委員派遣について派遣委員から御報告願います。河口君。
  8. 河口陽一

    河口陽一君 派遣委員を代表し、北海道班報告をいたします。  去る六月二十九日から七月二日までの四日間、小平委員長と私の二名が、北海道地方における青少年非行監獄法等矯正法規運用状況登記制度運用状況及び簡易裁判所における営繕状況調査してまいりました。  まず六月二十九日、札幌高等裁判所において調査事項に関する説明関係当局より聞き、その後札幌法務局を視察し、翌六月三十日には釧路地方及び家庭裁判所網走支部および網走刑務所を視察し、七月一日釧路地方及び家庭裁判所において調査事項に関する説明を聞き、その後釧路刑務所を視察し、七月二日には釧路地方及び家庭裁判所帯広支部帯広少年院及び帯広刑務所を視察の後、同日帰院いたしました。  なお、今回の調査にあたり、現地関係当局から終始懇切なる御協力をいただいたこと、また最高裁判所から今江総務局参事菊池家庭局第三課長、法務省から亀山刑事局参事官大西事務官が同行し、種々御便宜をお取り計らいいただいたことを特に報告して御礼を申し上げます。  以下、調査項目に従い申し上げます。  調査項目第一、青少年非行に関する事項について申し上げます。  最近の少年非行について札幌家庭裁判所における受理事件数推移に沿って述べます。六年前当委員会が行なった調査の際は、北海道地方青少年非行傾向としては裁判所受理事件数はそれまで激増の一途をたどっておりましたが、その後の昭和三十九年から同四十四年に至る六年間について見ますと交通保護事件を除いた一般保護事件では、昭和四十年の九千四件をピークに、以来かなり比率減少し、昭和四十四年には七千六百四十八件となっております。  また、交通保護事件についても、この間車両数増加にもかかわらず、昭和四十二年の増加を除き、事件数減少傾向にあります。  このうち、刑法犯事件罪種別に見ますと、割合の最も高いのは窃盗事件でありますが、昭和四十四年は五〇・八%となっており、全国平均の三八・二%に比べて相当高いことが特徴であります。粗暴犯兇悪犯比率推移全国平均のそれとほぼ並行しておりますが、業務過失致死傷事件昭和三十九年三百八十一件、同四十四年一千六百九十九件と絶対数においても全体との割合でも著しい増加を示しております。  また、年齢層別事件数推移を見ますと、年長少年非行事件業務過失事件増加を反映して増加傾向を示し、中間少年横ばいぎみ年少少年窃盗犯粗暴犯減少を反映して減少傾向を示しております。  なお、札幌における少年非行事件に見られる特色は虞犯事件増加であります。一般保護事件全般的減少傾向全国のそれと軌を一にするのでありますが、虞犯事件については、全国ではここ六年間大体横ばい状態であるのに対し、札幌では逐年増加傾向にあります。すなわち、虞犯事件の絶対数だけでも全国のそれに比し著しく多く昭和四十三年、同四十四年における統計では全国事件総数の一割を占めております。  これは、札幌市内の各警察署市民生局をはじめ関係機関民間篤志家団体による不良行為少年に対する街頭補導活動活発化によって虞犯通告が多くなったためで、この補導活動から見ても早期発見早期治療の効果があがっているものとされ、地域社会内の住民、関係機関協力がこの好影響をもたらしているものとされております。  次に、少年院において見られる傾向を申し上げますと、札幌矯正管区内の年間入院数は、昭和四十年六百九十六人をピークにその後漸滅しており昭和四十四年には三百七十五人となり、最高期のほぼ半分という状況であり、罪種別には窃盗、恐喝が減少し、強姦、わいせつなどの性犯増加し、年齢構成年少少年比率が一時比較的高かったのが低下を示し、反面年長少年の増大を示しております。なお、最近の傾向としては、在院者中、精神障害者比率増加傾向がみられることであります。  少年鑑別所で取り扱った非行少年についての鑑別状況札幌少年鑑別所について申し上げますと、精神状況の正常な者(これは知能が普通以上で性格異常を認めない者)は一・〇%、準正常者知能限界の者及び性格異常の者を含む)九一・九%、精神薄弱及び精神病質者その他は合わせて七・一%であります。  保護観察所が取り扱う保護観察事件処理状況は、一号観察、二号観察とも昭和四十一年をピーク漸減傾向にあり、終結事件について特に一号観察では成績良好による期間満了前の解除が昭和四十三年以降顕著な増加を示していることが認められます。  次に、少年法少年院法及び保護観察制度運用に関し当面改善すべき点について現地当局意見を申し述べます。  各地方家庭裁判所地方検察庁より実務上より見た少年法改正について傾聴すべき意見がありましたが省略いたします。制度運用施設運営について両者がともに指摘するところは、管内少年院少年鑑別所保護観察所の現状はいずれを見ても職員負担過重施設の貧弱であり、少年矯正教育の実をあげることは望むべくして達しがたい状況にある。当面保護処分執行面人的物的配置設備充実の上に、効果的な処遇方法を確立することが必要であるとのことでありました。  少年院保護観察所からは、保護観察制度運用については保護観察官年間一人当たり担当件数が百件前後になる程度保護観察官補助職員増員を行なうこと、  仮退院中の少年の戻し収容の決定を地方更生保護委員会が行なえるよう法改正をすること、  満齢満期退院者に対しても保護観察を実施できるよう法改正をすること、  満齢満期退院者についても更生緊急保護法上の更生保護を受けられるようにすること、また、少年専用更生保護会を設置すること。  そのほか、保護司会の経費は概ね保護司自らの負担によってまかなわれているので、その負担解消をはかること、等の意見が述べられております。  次に、調査項目第二、監獄法等矯正法規運用についてであります。  札幌矯正管区内の刑務所収容者総数は約三千五百名で八九%の収容率を示しております。視察いたしました釧路帯広網走の三刑務所を合わせると収容者数は千二百名をこえ、いずれも過員状態であります。しかし、これらは、他の刑務所へ移されるまでの一時的収容の者や、その収容力を定員には算入しない本所以外の附属施設収容者があるためであります。  各刑務所とも受刑者社会復帰の意欲を起こさせることを処遇の主眼としているように見受けましたが、その点から、次の諸点が問題とされ、また要望されました。  まず、収容者食糧費副食代増額であります。刑務所成人受刑者副食代一人一日当たり四十円五十二銭、少年院入院者四十六円三十五銭でありますが、この副食代増額と並んで少年院では特くに心情安定食費の大幅な引き上げが要望されております。また作業賞与金収容者災害補償についても改善方が望まれております。  次に刑務所舎房改善について申しますと、釧路帯広網走の各刑務所はいずれも明治、大正年間木造建築で老朽の度がはなはだしく、暖房その他の設備もまた決して良好とは申せない状態にあります。建物を近代化して暖房を完備し、用便所水洗式にするなど生活環境整備が教化に寄与するところも少くないものと、いずれも改築が熱望されております。なお、帯広刑務所については敷地の狭隘に加えて、同地が市街中にあり、帯広市の道路計画の対象となっているために移転が望まれておりますが、幸い刑務所移転受け入れ先確保し得る状況にあるので予算上の措置が早急にとられるよう同市市長から陳情がありました。  調査項目第三、登記制度運用に関する事項についてであります。札幌法務局管内においては、昭和四十七年開催予定冬季オリンピック関連工事をはじめ、最近の都市周辺商工業発展整備は、法務行政全般事件増となってあらわれ、特に登記事件は逐年累増の一途をたどっているとのことであります。  昭和四十四年の事件数登記甲号事件が約四十二万二千件あり、同三十五年の約二・二倍また乙号事件が約三百八万件あり、約五倍に達しておりますが、職員増員が伴わず、札幌本局においては甲号事件処理に四日から五日、乙号事件でも三日から四日を要し、同局管内百九庁中即日処理をなし得るのは、十カ所程度とのことであります。  事件処理迅速化をはかるため大幅な人員増と現在の職員超過勤務実働分に対する手当の完全支給が望まれております。  また、職員執務環境改善のため法務局出張所には役務費として渡切費が支給されておりますが、冬季石炭購入費についてもここから支出されるため、現行最低支給額ではまかない得ないので、寒冷地特殊性を考慮した増額を望んでおります。  札幌本局を視察してまいりましたが、登記事件の急増のため庁舎が狭隘となり、そのため昭和四十一年月寒に出張所を開設したにもかかわらず、本局の書庫、事務室閲覧室などはすでに使用の限界に達し、よって札幌市北地区に出張所の新設をもくろんでおり、そのための敷地確保の見込みもついているので、新営実現のための予算上の措置が望まれております。  最後に関係施設営繕状況について申し上げます。  まず裁判所庁舎について申しますと、帯広簡裁網走簡裁を視察いたしましたが、二庁とも釧路地、家裁の甲号支部と併設されていることもあって、鉄筋三階建てあるいは二階建てでスペースも十分にあり、施設整備されている模様で、たとえば個別の調停室を設けるなど、今後の調停制度運用円滑化にも役立つであろうと期待されております。  札幌法務局及び釧路等の前記三刑務所庁舎及び房舎状況並びに要望については前述したとおりであります。そのほかに、札幌地検岩見沢支部、同小樽支部及び苫小牧区検庁舎は戦後の資材不足期木造庁舎のため朽廃の度著しく、早急改築の必要があり、矯正関係ではさきに述べた三刑務所のほか、千歳少年院、函館、釧路少年鑑別所も同様の必要に迫られているとのことであります。  なお、少年院はおおむね整備されつつありますが、勤務する職員の宿舎については不足しているので充実が望まれております。  以上報告大要でありますが、詳細は調査室保管資料により御承知いただきたいと存じます。
  9. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまの御報告に対し、御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ派遣委員報告はこれをもって終了いたします。     —————————————
  10. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 検察及び裁判運営等に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 小林武

    小林武君 最高裁お尋ねをいたしますが、私の尋ねることは司法権独立ということに関してであります。このことは、最近もかなりその種の問題が起こっているように考えますし、ただそのことを直接にお尋ねする前に、司法権独立の問題については、浦和事件というのがございまして、参議院法務委員会における国政調査権司法権のチェックの問題が双方の間に対立をいたしまして、そのことについてやはり最初にお尋ねをしておきたいと思います。  最高裁がその際に、国政調査権というようなものが司法権独立というものを侵すという見解をとったのは、どういうことであるか。やや個条的に簡潔にお答えを願いたいわけです。私は専門家でございませんので、あまりむずかしいことを並べられるとわからなくなって、また質問が長くなりますから簡潔にお願いしたいと思います。
  12. 矢口洪一

    説明員矢口洪一君) 小林委員御指摘の浦和充子事件というのが、昭和二十三年の春に刑事事件として発生いたしました。この事件は、浦和充子というおかあさんが、だんなさんが非常に家業を顧みてくれないということで、それを苦にいたしまして、三人の幼い子供とともに心中しようとしたのでありますが、結論といたしましては、三人の子供を絞殺いたしましたが、自分は命が助かったという事件でございます。  この事件を契機といたしまして、当時の参議院司法委員会が、この事件につきまして、具体的な事実の認定、それから量刑の問題ということについて調査をなさろうといたしたわけでございます。それに対しまして最高裁判所といたしましては、国会憲法六十二条によって国政調査権をお持ちになっているということは当然ではございますけれども、具体的な現に係属しております事件でございますとか、確定した事件でございますとか、具体的な事件について事実の認定量刑等調査なさり、意見をお出しになることは、国政調査権範囲外の問題ではないかということで、両者の間に論議が戦わされた。これが浦和充子事件における当時の論争の大要でございます。
  13. 小林武

    小林武君 その事件についてはある程度私も記録によってわかります。私のただしたいのは、それに対して最高裁判所反論をした、その反論見解ですね、いかなる見解に立って反論したか、それを要点的にひとつ述べていただきたい。
  14. 矢口洪一

    説明員矢口洪一君) 昭和二十四年五月二十日であったかと存じますが、最高裁判所長官代理でございました塚崎裁判官が、参議院議長にあてて、参議院法務委員会における検察及び裁判運営等に関する調査についてということについて申し入れ書を提出いたしておるわけでございます。その中に、司法権は、憲法裁判所に専属するものであって、他の国家機関がその行使につき容喙するがごときことは、憲法上許さるべきではない。この意味におきまして、参議院法務委員会が、個々の具体的裁判について、事実認定もしくは量刑等の当否を審査批判し、または司法部に対し指摘勧告する等の目的で事実認定あるいは量刑調査をなさるということは、憲法国会に許された国政に関する調査権範囲を逸脱するものであるといわなければならない。裁判官に対して民主的な監視の方法というものがなければいけないし、またあるのであって、それは憲法の定める最高裁判所裁判官に対する国民審査であるとか、裁判官に対する弾劾の制度があるのであって、その方法によらるべきではないか。で、司法権はあくまで裁判所に属しておって、裁判官はその法律良心に従って独立判断をするものであって、そのことについて云々されるということは憲法上好ましくない、そうあってはいけないということを申し上げたわけでございます。
  15. 小林武

    小林武君 司法権独立について、他の国家機関による司法権行使への容喙干渉は許さない。それから国政調査権に対する見解も、最高裁参議院法務委員会とは違いましたね、多少。まあそのことはさておいて、私お尋ねいたしたいのは、国家機関による司法権行使への容喙干渉というのは、もっと広く言ったらどういうことになりますかね。その広く言ったらというのはあれですけれども、どういうことが司法権行使への容喙になり、干渉になるのか、この場合には、浦和充子事件に対して量刑が不当である、そういう認定のもとに、まあ最高裁側から言えば干渉したと、これは少なくとも司法権独立というものに干渉したことになるということで、ここに反論したということになるわけでありますが、これはいかなる国家機関もということになります場合、どういうことになりますか。
  16. 矢口洪一

    説明員矢口洪一君) ただいま申し上げましたように、裁判というものは定められた手続によりまして、裁判官法律とその良心に従って独立判断を下すものでございます。したがいまして、その具体的な事件におきます訴訟当事者以外の者であって、しかも国家機関が、これに対して訴訟手続上の問題とすることなく、その裁判のなされたこと、あるいは内容あるいは結果ということについて云々するということは、これは裁判に対する容喙であるというふうに私ども考えているわけでございます。
  17. 小林武

    小林武君 云々するということ、たとえば国政調査権の場合において、その浦和事件における昭和二十三年の参議院法務委員会のとった態度ですね、量刑が不当であるというたてまえに立って、具体的にはどういうことをやったわけですか。
  18. 矢口洪一

    説明員矢口洪一君) 浦和充子事件の場合には、いろいろ具体的にお調べになりまして、浦和充子本人も当時の司法委員会に喚問されたというようなことがございます。
  19. 小林武

    小林武君 いわゆる国政調査権という憲法上の一つの権利といいますか、権限をそこで使ってやったという参議院側見解でしょう。他の一体国家機関というようなものがこれに干渉するという場合ですね、行政事件訴訟法というのがありますね。あの中にたしか、あの法律が出たときにかなり論議を呼んだのは、二十七条の総理大臣停止権ですかの問題がありますけれども、これはまあしかし、いまそこに一つそれがどうかということを議論をするのはちょっと時間食いますから、また、聞く必要ないと思いますが、そういう種類のものの行政的な措置というのは、行政庁がそういうことをやる、あるいは内閣がやる。総理大臣の場合はその法律にはありますからね。できてしまったらしようがないことかどうか知りませんけれども。そうすると、先ほど言った、あなたの御答弁になった裁判について云々するということは——云々というと、これはきわめて何かばくとした感じなんですけれども、具体的にはどんなことになるのかということですね。これが明らかにならないと、私はちょっと参議院法務委員会最高裁との間のあれはなかなかわれわれのようなものがあとから見ても、ある意味では最高裁なかなかいいところあるというようなことを感ずるんですね。司法権独立のために気概がある——参議院議員がそういうことを言うとおかしいかもしらぬが、私はそういう点において一つ信頼感というようなものが持てると思うんです、これは一般庶民の気持ち。しかし、その他の国家機関といえども、これは参議院というのは一つ立法機関なんですけれども、権力の分立というたてまえからいった場合、必ずしもこれは、私は非常に行政事件訴訟法の中の二十七条というのは問題だと思っているんです。しかし、それはまあこの法律の中にある。その他の一体行政的なものとか国家機関と称するものが、どの程度のことをして悪いのかということですね。裁判の係属中のものであるとか、先ほどもお話しがあった、あるいはすでにそれが確定したものであるとか——してならぬことというのは一体限界はどこですか。
  20. 矢口洪一

    説明員矢口洪一君) きわめてむずかしいお尋ねでございまして、的確にお答えできますかどうか非常に危惧の念を持つものでございますけれども訴訟というものは、元来、対立当事者構造をとっているわけでございます。したがいまして、甲の当事者と乙の当事者がありまして、お互いにその主張が異なるところに訴訟が発生せざるを得ないわけでございます。したがいまして、甲の当事者自己に有利な主張をなすでありましょうし、乙の当事者はまた、甲と違った意味での自己に有利な主張をなすわけでございます。私どもそういった主張は、訴訟手続によって法廷の場において完全に戦わされることを期待しているわけでございます。また裁判所も、甲の当事者主張と乙の当事者主張が異なります場合に、そのいずれをとるべきか、あるいは第三の見解をとるべきかというようなことにつきましては十分検討いたします。ただ十分検討すると申しますそのときに、やはりその検討の場に供せられる資料等は、すべて厳格な訴訟手続にのっとった資料でなければいけないわけでございます。単にどこかよそで仄聞したとかというようなものは、これは訴訟手続にのっとった資料ではございませんので、そういったものを用いてはならないわけでございます。ここに訴訟の公正さと申しますか、裁判所判断の厳格さと申しますか、そういったものが要求されておるわけでございまして、そこでそういった訴訟に関連いたしまして、当事者でない者が、どのような手続が行なわれたかということの的確な判断もなくして、あるいは訴訟に上程されておる資料からではなくして、自己の厳密な、リビューを経てない資料等に基づいて、あるいは考え等に基づいて、裁判の進行につき、あるいは裁判内容につき、あるいは裁判によって示された判断につき云々すると、これは極端なことを申しますと、その判断がいいとする場合も同様でございますし、いけないとする場合も同様だと思いますけれども、ともかくもその判断内容について厳密な手続を経ることなく、これを批判するということは、やはり訴訟の公正さ、司法制度独立を保障した意味をそこなうという意味で、なさるべきではない。このように考えておるわけでございます。
  21. 小林武

    小林武君 いまの答弁で明らかになったと私も思います。いまの御答弁を聞いておって、それは裁判をする場合においては、裁判が行なわれる前にそれは十分の証拠その他あるいは口頭の弁論もやるでしょうし、手続上のことについてはもう欠けるところはないと思うのです。その出す裁判官のあれは、司法権独立というものによって、裁判官良心に従ってやる。そのことは少なくともいかなる権力といえどもですね、それについて干渉容喙するというようなことは許されないということがあって初めて私は司法権独立というようなことが言えるだろうと思う。それがあって初めてこの裁判に対する信頼感が持てるということになると思います。  そこで私はですね、これは権力の分立という立場から言えば、司法権に対していわゆる立法の面からチェックするものがあったとか、あるいは行政面からいろいろなことがあったとかということも、これは重大なことだと思う。だから日本国憲法をわれわれから見れば、少なくともその意味では旧憲法よりもはっきりした態度をとっている。ところが、そのことについては裁判所も責任を持つべきだと思うんです。たとえば、これは庶民の声ですからね、皆さんはそんなことは歯牙にかける必要はないというお考えがあるかもしれぬ。けれどもね、きょうの新聞にも出ているが、日本の労働者は石田最高裁長官に対して「五月二日の記者会見で表明した「極端な軍国主義者やはっきりした共産主義者は裁判官として好ましくない。下級審は軽々しく、憲法判断をすべきではない」という、いわゆる石田発言を「司法権独立を侵すもの」と重視、」して、「同長官に対し現在最高裁で係属中の労働事件の審理に加わらないよう「回避勧告」を行なった。」という、これは労働組合がそういうことを言い出したということだけじゃとらえられないと思う。これはいろいろな司法権独立について学者の間でもいろいろそういう議論がある。内部が司法権独立というものをくずすというようなことが、吹田黙祷事件というような際における通達というものも、私はあげてそういうあれが見られると思う。私はそういう意味で石田最高裁長官のあれを取り上げて云々するわけじゃ、そのために質問やっているわけじゃありませんけれども、私はいかなる権力といえども裁判の、司法権独立というものを侵すというようなことがあってはならないという意味で質問しているのですけれども、厳重にやはり最高裁自体も反省するところがあるのじゃないか、こう思うのですけれども、それは、あれですかね、まあ司法権独立干渉したということになりますか、私のような質問は。
  22. 矢口洪一

    説明員矢口洪一君) 小林委員の御質問は決してそのようには理解いたしていないわけでございます。むしろ裁判所に対する深い理解を示していただいたものだと思っているわけでございます。
  23. 小林武

    小林武君 それでは最高裁についてはこれでよろしいです。  文部省にひとつ。  政務次官にお尋ねするのですけれども、四十五年の八月七日、初等中等教育局長から出た「教科書検定訴訟の第一審判決について」の通知、これは通知と通達とどこが違うのですか。
  24. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) ちょっと、政務次官のお尋ねでございますが、事務的でございますので私からかわってお答えさせていただきます。  まあ先生も御承知でしょうが、国家行政組織法の十四条に「各大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。」、こういうふうに書いてございます。ところで、通知のほうは命令ないしは示達ということではございませんで、これにつきましては、まあ私どものほうは文部省の文書処理規程というのがございますが、そこに通知は、通達以外の文書で、所掌事務に関して必要な事項を知らせるために発するということで、通知というのは、通達といった命令、示達といった程度のものでないというふうに私どもは理解いたしております。
  25. 小林武

    小林武君 命令示達というのは、示達というのは命令をした場合に示達というのかね。示し達したのでしょう。それは命令が入っておるわけでしょう。通知の場合は何が入っている、こういうことがあったぞということを教えたのですか。
  26. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 示達ということばは、これは国語的な解釈をいたしますといろいろニュアンスが出てまいりましょうが、そのことばにとらわれないで申し上げますと、知らせるということと、指示命令するといったようなことに分けられるかと思いますが、通達のほうは権力的な権限に基づいて命令をし、そのことを必ずやらさせるといったような意味のものが通達であろうと思います。通知のほうはそれほど強い意味でなく、ある事実を知らせるといったようなものが通知として出される場合の内容であろうかと存じます。
  27. 小林武

    小林武君 政務次官、そこにその通知をお持ちでしょうか。その通知をちょっと見ていただきたいのですが、その文書を。文初検第三九八号昭和四十五年八月七日、これを見ていただきたいのです。私はいま宮地局長から話が出ましたけれども、これいまの説明ではなかなか理解できないところがあるのです。まず控訴したというところまで第一節として、これはこういう判決が出たのだけれども承服できないから控訴するというのは、先ほど来最高裁でも言っているとおり、これは文句があるなら控訴するのはあたりまえだから、これをやめさせられたらたまらないということなんですね。しかしその次の段の文章で「教科書検定その他の教育行政がこの判決により何ら影響を受けるものではありませんが、判決理由に述べられている教育権、教育の自由、教育行政の範囲などについては、下記のように問題が多いことにご留意のうえ、国民全体の付託に応ずる正しい学校運営に遺憾のないよう特段のご配慮を願います。」——特段の御配慮です。ということは、これは私は文書は通知であっても、何ら一つの、これはたとえば教育委員会とか知事とか、そういうところに行くのだと思うのです。これをながめた場合に、ああこういうこともあったというような通知と受け取るか、これはもう文部省の事務当局はそういういろいろな解釈があるかと思いますけれども、われわれの場合ならば、政務次官もそうだと思うが、ここはそんな、どっかでそういうことがあったから知らせておきますというふうには御理解できないでしょう、どうです。私はこの中に明らかに命令があると思うのですよ。遺憾のないようにやりなさいと、こういうことでしょう。どこに一体違いがあるかということですよ。私は全くのごまかしで、私はそういうようなやり方でやる行政なるものはきわめて不明朗だと思うのですよ。これが私は、全般のあれでこういう判決が出たけれども、われわれとしては承服できないから控訴しました、これならば文部省の態度を通知したということ。しかし後段のあれが入った限りにおいては、「国民全体の付託に応ずる」と、日ごろ言っていることだ。「学校運営に遺憾のないよう特段のご配慮を願います。」ということ、これは命令ではないか、私はそういうふうに端的に受け取るんですが、私も受け取る側にもあったのですから、これは単なる逃げ口上みたいな話でなくて、さっぱりした話で政務次官から意見を承りたい。
  28. 西岡武夫

    説明員(西岡武夫君) お答えいたします。  先生の御指摘でございますが、これはあくまでも命令ではなくて、当事者としての文教行政の責任をあずかっております文部省といたしまして、今回の判決についての立場を明らかにするということからこの通知を出しているわけでありまして、御指摘の通知文の内容でありますが、これについてもあくまでも命令ということではなくて、以下内容についていろいろ述べておりますような点について十分留意していただきたいという、あくまでもお願いと申しますか、そういう意味でこの通知が出されているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  29. 小林武

    小林武君 では宮地さんに聞きましょう。「国民全体の付託に応ずる正しい学校運営に遺憾のないよう特段のご配慮を願います。」、特段の配慮を願うということは、いままでやったとおりやれということでしょう。判決がどうであろうが何であろうが。あとのほうに判決間違っていると書いてあるからね。これは最高裁のあれからいえば、先ほどの見解に従えばですよ。まあこれはあとで言うけれども、そういう見解の上に立ってやれというんだから、結局、前と変わらずにやれということでしょう。そういう判決があろうがなかろうがやれということですわね。
  30. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 判決があろうがなかろうが、そんなものはたいしたことはないから従来どおりやれという意味で申しておるわけでは毛頭ございません。判決はそういう意図で言ったんではございませんで、控訴いたしました、民主的な手続に従って——国といえども被告でありまして、法の命ずる手続に従って控訴いたしたわけでございます。いたしますと、今日のたてまえでは、現憲法下のたてまえでは、控訴しました事件についてはその裁判は確定していないんだ、したがって、確定していなければいままでどおりであるということを申したわけでございまして、結果的にはいままでどおりだという意味にもとれましょうが、先生のお尋ねのような、御意見のような、問題にする必要ないんだという意図でやれということでは毛頭ございません。
  31. 小林武

    小林武君 もう少し論理的に言ってくれないかな。あなたの言う、ぼくのほうも認めているのは、控訴するというのは認めている。それから、少なくとも控訴したからには、その判決についても遮断することができる、そうでしょう。これは遮断能力を持っているということは認める。しかし、裁判所の判決というものに対して行政当局が問題が多いと書いているが、その次の「記」という以下の文章をお読みになったらどうです。教科書検定に対する問題については、教育基本法第十条に反しないと、こう言っている。教育の権利についても、そこで裁判は誤りだと、こういっている。そういう一々の、1、2、3全部読むのたいへんですが、3、4とずっとありますね。一々それに対するあなたのほうの反論を述べているわけでしょう。いわゆる裁判に対する批判をやっております。私は先ほど来最高裁とやりとりをやっている段階で、浦和充子事件について法務委員会が取り上げたのは、何ぼ自分の子供でもその子供の命をかってに親だからといってとるというのは、そういうものの考え方に対して裁判所量刑に問題があると、こういうことらしい。それについて一体国政調査権が入ることさえなかなか許さないというものですから、その中に確定とか未確定ということは両方の場合を言っているんですよ。あなた読んだときそういうこと知っているだろうけれども、局長は。そうすると明らかに裁判批判ではありませんか。ぼくは問題にするのはそこなんです。文部省の見解はそうですということまでも、いままでがいままでだからそのくらいは言いかねないと思う。しかし裁判を徹底的に批判するということは、これについては一体そういう前例がなかったようにぼくは聞いている。いまだかつて通達、通知をもってやるというやり方なんて前例のないことです。これについてはやはりどうですか、専門家の間でも問題にしている人があるのではないですか。これは新聞の記事だけれども、伊藤東大教授(法律学)も、この反論は疑問がある。三権分立のたてまえからいっても、いかに未確定とはいいながら行き過ぎた一審判決批判は好ましくないと、こう言っている。先ほど来の最高裁のあれからいったら、もっときびしいですよ、最高裁の答弁は。一番論争になったときに、最高裁参議院法務委員会でやったときに書かれている中には、「司法権独立は、他の国家機関による司法権行使への容喙干渉を許さない。」「裁判官の民主的監視の方法は、自ら他に存する。」と、こう言っている。このくらいのきびしい態度で出ているから先ほど来の答弁が出ているわけです。だから、あなたたちちょっとやり過ぎじゃないの、正直言って。宮地さん、だいぶそういう声があるよ、文部省初中局長は少し裁判をないがしろにするような、司法権独立干渉するような行動をやっている。
  32. 西岡武夫

    説明員(西岡武夫君) 先生の御指摘でございますが、この文部省としての通知につきましては、あくまでも当事者という立場に文部省があるという点を御認識をいただきたいと思うわけでございます。したがいまして、今回の通知は当事者としての文部省が控訴しました理由についてその立場を明らかにするという意図をもってこの通知が出されていると、そういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。その点につきましては、先ほどからの御指摘の国政調査権云々についての議論とは別の観点があるのではないか、かように考えるわけでございます。
  33. 小林武

    小林武君 政務次官が出られたからひとつお尋ねいたします。  私はこの通知というようなものが少なくとも憲法及び法律の解釈において私どもはなかなか承服できない。だからこれについては控訴しましたと、こういうことを述べて、それについては混乱を引き起こさないようにしなさいという程度ならばこれは認められます。文部省としては下部末端に対してそういう通達を出すべきだと私は思う。しかし、あなたの考えの中には「記」という以降を見てない。「記」以降の内容をあなたはどうごらんになるかということです。「記」以降の内容をあなたはどうお考えになるか。ここで裁判批判というものがないかどうかという問題です。だれが見たって、この東大の先生の見方も、あれは批判やっていると、こういうのでしょう。問題はこの批判なんですよ。この後半の「記」以降がなければいい。一体文部省がいままでやってきたことにぼくは同情してきたんだ。それは被告だってだまっているわけにいかぬだろうから、それぐらいのことはやっても罪にはならぬ。たいしたことでもないということはある。それはやってもいい。しかし、この「記」以下のことは、あなたお読みになったと思うんだが、これが裁判批判でないかどうか。法律を研究している学者も裁判批判だと言うし、ぼくも裁判批判だと思う。とにかくまっかになるくらい線引いて読んだんだからね、ぼくは。これは裁判批判でありませんか。どうですか。それはひとつあなた、答弁するなら具体的に言ってくださいよ。こう言っているけれども、これは裁判の批判じゃない、こういうふうに言ってもらわなければ。
  34. 西岡武夫

    説明員(西岡武夫君) お答えいたします。  「記」以下の問題でございますが、「記」といたしまして以下書いております内容は、どういうところについて判決のとっている立場と文部省の立場がどう異なっているのかということを明らかにしておる。そういうふうに「記」以下の内容を御理解いただけばおわかりいただけるのではないかと思うわけでございます。
  35. 小林武

    小林武君 それは、政務次官には気の毒だけれども、そうあなたのおっしゃること自体が批判でありませんか。裁判の判決について私のほうの文部省がとっておりました考え方とは違いますと。それはそうなんだよ。文部省の考え方に違うから訴訟を起こしたわけだから。だから行政事件訴訟法によって裁いたわけだ。裁いた結果、先ほども最高裁の言っているように、でたらめに判決を下したんじゃない。正確な資料というもの、しかもかってにどこかにあった資料でやったんじゃない。要件の備わった資料を見て、そしてそれぞれ両方からの参考人も出、証人も出て、口頭の弁論を経て、その上に立って裁判官はとにかく判決を下したんでしょう。違うはずなんだよ、それは。だから、判決を下したものが文部省として納得できないということは当然なんだ。片っ方のほうの原告は、いやこれで満足しましたというような——全部満足したかどうかは知らぬけれども、いやもう大かたわれわれの思うとおりになりましたと、こう言っているでしょう。それについて不服だということは当然で、これはぼくはいいと思うんですよ。それがなくなったらえらいことですからね。われわれにしてもそれは同じだ。しかし、行政庁が——これはまあ個人といえどもというのは法律学者が言っていることなんだが、個人でもやっぱりそう全然いいかげんにやることはできない。言論人として、自由人としての批判というものは、ある程度大目に見られたとしても、もうあなたにそんなことを言うまでもないけれども、三権分立のたてまえからいって、行政の立場から司法権独立に関するような文書を出して、だれも通知だというけれども、通知だと思っておらぬ、通達だといっている。通知でもいい。文部省にはいろいろな手があると見てもいいけれども、そういうものを出すということが、それが越権のさたではないか。ちょうど参議院浦和充子事件に対して、国政調査権という憲法上の権利を出してもなかなか承服できませんという法に対立が起こったのです。そのことはあなた御理解できませんかな。——できない。できないというのはおかしいでしょう。裁判の批判やったことは間違いないでしょう。
  36. 西岡武夫

    説明員(西岡武夫君) お答えいたします。  先生のおことばでございますが、あくまでも当事者という点を御理解をいただきたいことが一つと、文部省といたしましては、単なる文部省だけの問題ではなくて、教育行政の責任を負っております観点から、今回の判決によって教育の現場が混乱することは、やはり文教行政の立場からはこれは防がなければいけない、そういう立場から申しますと、判決についての文部省の控訴した立場、理由というものはここにあるのだということを明らかにするのは当然の文部省としてはやるべきことではなかったか、かように思うわけでございます。
  37. 小林武

    小林武君 じゃひとつちょっとあれを変えてお尋ねをしますが、もし今度二審、三審で敗訴をしたらどうなりますか。同じ判決が出たらどうなりますか。
  38. 西岡武夫

    説明員(西岡武夫君) それはあくまでも想定の問題でございますので、想定されての御質問でございますのでお答えすることはいかがかと思います。
  39. 小林武

    小林武君 しかしそれは同じことでないのですか。控訴したからといって確定していないということでしょう。それはもう立場からいえば平等でないのですか。第一文部省の責任、責任というけれども、文部省は持っていない権能まで振り回していると、この判決になっているのですね。判決お読みになったのですかどうですか。判決、宮地さん言ってみてくれや、どういう判決になっているか。判決文言ってみてちょうだい。
  40. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 全部読むのですか。
  41. 小林武

    小林武君 それ初めのほうから言ってみてちょうだい。それがあんたわからんていうのなら始末悪い。
  42. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) お尋ねの問題は、主文を読めということと思いますので……。
  43. 小林武

    小林武君 主文読んでください、主文でも読んでください。
  44. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) いやお尋ねをはっきりして。
  45. 小林武

    小林武君 主文読んで、それからあとも読みなさい。
  46. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 全部読みますけれども、これは膨大な——相当一時間ぐらいかかりますが読みますか。
  47. 小林武

    小林武君 そんなこと聞かなくてもいい。理由の初めのほうを読み出してくださいと言っている。
  48. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) それではストップがかかるまで読み上げます。「判決」そこに原告、被告いろいろ手続的なことがありますがそれは省略いたします。「主文1被告が原告の昭和理二年度用教科用図書高等学校日本史(第三学年用)改訂の原稿審査において、左記改訂箇所について、昭和四二年三月二九日付でした各検定不合格処分は、いずれもこれを取り消す。」次読みますか、よろしいですか。
  49. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記とめて。   〔午前十一時二十八分速記中止〕   〔午前十一時四十分速記開始〕
  50. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を起こして。  ただいまの小林委員が問題としておられます判決文と文部省の通知を次回の当委員会までに参考資料として御提出願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  51. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 次の会までに提出させていただきます。
  52. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。   午前十一時四十一分散会