○
政府委員(
新谷正夫君) いろいろ
法務局の
問題点につきまして御
指摘をいただきまして、恐縮に存じます。
最初にお尋ねの
地図でございますが、これは御
承知のように明治初年の
地租改正の時代からの沿革がございまして、税務署から引き継ぎましたそのままの
状態で大部分は現在まで至っておるのでございます。あの
地租改正のいきさつがいろいろございますために、
地図そのものが必ずしも正確なものではなかったのでございますが、
登記所で引き受けました以上は、これを正確なものにして、
権利関係を明確にしていくということはどうしても必要なわけでございます。ところが、残念ながら
現状はただいま御
指摘のとおりでございまして、私
どもとしましては
地図の
整備ということが非常に重大な
関心事の
一つになっておるのであります。もうすでに数年来、いろいろの試みをやっております。たとえば
土地改良あるいは
区画整理等の場合にでき上がります
図面、さらに
国土調査事業によってでき上がります
図面、こういったものもできるだけ
登記所で利用できるものはそれを取り入れていこうということのほかに、さらにいろいろ
市町村等で備えつけてある比較的精度の高い
図面もございます。こういったものをマイラーで取りまして、それを
登記所の備えつけの
地図に利用しようということを年来やってまいっておるわけでございます。この問題はたいへん重要な問題でございますだけに、私
どもも
一つの
予算上の重点としてこれまでやってまいったわけでございます。ただ、そのような
地図の手がかりのあるところはその方法もとれるわけでございますけれ
ども、ごく一部でございますけれ
ども地図が必ずしもないところもあるようでございます。こういったところにつきましては、やはり新規に測量いたしまして
地図の
作製にかかる必要がございます。これはなかなか重大な問題でございます。現に
国土調査を
経済企画庁でやっておられますが、このほうとも緊密な連絡をとりながら、できるだけこれを推進していただくようにお願いはいたしておるわけでございますけれ
ども、
登記所で必要といたしますものと
国土調査の面でやっておられます面が必ずしも一致しない面もございます。そこで、最近
経済企画庁等とも相談をいたしまして、この
仕事の分野をもう少しお互いに明確にして、
法務省でやれるものは
法務省で積極的にやれないだろうかということも協議いたしておるのでございます。その
着手いたします
準備作業といたしまして、実はモデル的に若干のところを指定いたしまして、
実地に測量いたしまして
地図の
作製作業もやってまいりました。来年度もそれをさらに推進してまいりたいと、このように考えておるわけであります。
予算の面で申しますと、四十四年度におきましてはこの
地図の
作製整備の経費が四千百万円計上されておりましたが、来年度は四千九百万に
増額になっております。わずかではございますけれ
ども、できるだけこの
地図の
整備を
促進したいという考えで、このような措置を講じておるわけであります。
次に、
登記所の謄本がまことに不鮮明であるというおしかりを受けます。庁によってはそのようなところもないではないようでございます。私
どもも、
機会がありますたびに、一般国民に迷惑のかからないように謄本は鮮明なものにして出す必要があるということをたびたび注意はいたしておるのでございますが、御
承知のように、
登記所はいま非常に人手不足で、事件はふえますし、まことに多忙のきわみを尽くしておるわけであります。そのような
状況下でつい事務の扱いが粗漏になる場合もあるのじゃないかというようなことを私心配いたしておりますけれ
ども、ただいま申し上げますように、この点はたいへん重要な問題でございますだけに、
機会をつかまえまして、そういうことのないように指導をいたしておるわけでございます。そのためにどのようなことをしたらいいかということが問題になるわけでございますが、これは
原本が、御
指摘のように、不鮮明なものがございます。終戦直後の粗悪な用紙を使って登記簿をつくりましたものは、機械になかなかうまく乗っておりません。そこで、まずその根源を直す必要があろうというので、これも前にも申し上げたのでございますが、粗悪用紙の移記
作業と称しまして、悪い用紙を使った登記簿の
改正作業をやらせております。これが完成いたしますと、機械にも乗りやすくなりますし、また登記簿そのものの保存の面から申しましても有用であろうかと思いまして、鋭意その点につきまして努力もいたしておるような次第であります。
予算の面を申し上げますと、四十四年度におきましては約四千万でございましたが、来年度におきましては六千万に
予算がふえております。この粗悪用紙の移記
作業ということは
登記所の中ではことに重要な
仕事でございますので、できるだけすみやかにかような粗悪用紙がなくなるような方策を積極的に推進してまいりたいと、このように考えております。
なお、この用紙を
改正いたしましても、機械が十分でございませんと、やはり謄抄本の
作製が完全なものになりませんので、これもいろいろと私
どものほうでも研究いたしまして、機械の導入について積極的にやってまいっております。
御
承知のように、最近機械の開発がたいへん進んでおりまして、毎年のように新しい機械が次々に出ております。これも十分
調査いたしまして効率のいいものを採用しようということで、この
登記所の事務の機械化ということを、これも
一つの重点項目といたしまして努力いたしておるわけでございます。来年度におきましては、いろいろの複写機がございますけれ
ども、合わせまして全部で約三百七十台くらい購入の予定でございます。その
金額は約四千九百万円をちょっとこえるぐらいの
金額になっております。
いずれにいたしましても、現在の
登記所の事務量の増加に対処しますために、増員のほかにこういった内部的な事務の取り扱い方の積極的な改善が必要であろうと思いまして、そのほかにもいろいろございますけれ
ども、ただいま御
指摘の点につきましては、ただいま申し上げますような
状況で、積極的に私
どもとしましては推進してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。