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国務大臣(
坂田道太君)
高等教育機関に学ぼうとする
学生が非常に増加をしたということは、単に
日本だけじゃなくて、諸外国同じなんです。したがいまして、
戦前においては諸外国においてもそういうことはあまりなかったわけです。限られたエリートだけが
大学にいけばよかったというような形でございます。ところが戦後におきましては、あらゆる
人たちに
高等教育を受けさせようという気持ちが
社会全体としての、あるいは国全体としての考え方に変わってきたということ、これはやはりその時間的なあるいは歴史的な変化というものをやはり頭に置いて考えなければいけないので、
日本は非常に悪かったのだというようなことでは私はないと思います。戦後におきましてわれわれは六・三・三・四をとり、そして
私学の方々が一生懸命になって子弟の
教育に当たられたということが相待ちまして、とにかく
当該年齢人口の二〇%の
人たちが
高等教育を受けるということになったということは、これは私はすばらしいことだと思うのです。それは先進国といわれるイギリス、フランス、ドイツが、今日わずかにイギリスが一一%
程度あるいはフランスが一二%
程度、西ドイツがわずかに八、九%
程度しか
高等教育機関に学ぶことができない。しかもそれは
経済的諸条件、あるいはまた場合によっては身分
制度そのものがまだ温存されているがゆえにそれができないというような、そういうところに
原因があるに引きかえまして、戦後の
日本におきましては、あらゆる
能力のある
人たちに、
経済関係あるいは身分関係というものを考えずして、とにかく
教育を受けさせようという気持ちが非常に高まってきたし、またそういうような施策というものが十分ではございませんけれ
ども、行なわれるようになってきたということはひとつ一応認めていただきたいというふうに思うわけでございます。その
一つの
事柄が今度の
私学に対する
助成でございまして、それを
先生が御
指摘のように、あまたの才能のある
人たちにも
高等教育機関がほとんど同一条件でもやれるような姿に持っていくことが望ましい国の姿ではなかろうか。この点については私も同感なんでありまして、そういうような方向へ進まなければならぬという
意味合いにおいて、今度
私学助成、人件費を含む
経常費助成に踏み切ったということでございまして、この芽は小そうございますけれ
ども、この芽を育て、花を咲かせ、実り多きものにしていくということが、いま
先生の御
指摘になりましたことを実現することにつながっていくというふうに私は思います。
また、先ほど管理局長が申し上げましたように、今日百五十万以下の年収の家庭から
私学にも五四・七%の人がいっておる。
国立の場合はもっと多い六〇・数%の
人たちが、あるいはもっと上になるかと思いますけれ
ども、入っておるということがやはりそれを物語るわけでございますが、同時に、今度は百万の
私立大学に学んでおる
学生の家庭を考えた場合には、
相当いいうちの子供
たちも入っておると思いますが、そのいいうちの子供であってすらも、
私立大学にもし二人の
学生を出しておるとすると、それはたいへんな
負担でございます。こういうようなことを考えると、私はやはり銀行貸し付け
制度と申しますか、そういうようなものも一面において考えていく必要があるのではなかろうかということで、本年度の予算におきましても調査費を計上いたしまして、
アメリカ等でやっておりますような
制度も導入をしたい。できれば来年度からはこれを実施に移したいというような気持ちも持っておるわけでございます。あるいは今後は育英会の
制度というものを十分活用するというようなこともあわせて考えていかなければ、
先生の御
指摘の
理想というものを実現することはできないというふうに考えるわけです。そういうことを総合的にひとつ考え、策定し、そうしてそれに
財政措置を合わせて考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。