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1970-04-14 第63回国会 参議院 文教委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十五年四月十四日(火曜日) 午前十時二十一分開会
—————————————
委員
の
異動
四月八日
辞任
補欠選任
大松
博文
君
渡辺一太郎
君 四月十日
辞任
補欠選任
渡辺一太郎
君
大松
博文
君 四月十三日
辞任
補欠選任
土屋
義彦
君 剱木
亨弘
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
楠
正俊
君 理 事 田村 賢作君 杉原 一雄君 安永 英雄君 委 員
中村喜四郎
君 二木 謙吾君 宮崎 正雄君
田中寿美子
君 内田
善利
君
萩原幽香子
君
国務大臣
文 部 大 臣
坂田
道太
君
政府委員
文部政務次官
西岡 武夫君
文部大臣官房長
安嶋 彌君
文化庁長官
今 日出海君
文化庁次長
安達
健二
君
事務局側
常任委員会専門
員
渡辺
猛君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
著作権法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
楠正俊
1
○
委員長
(
楠正俊
君) ただいまから
文教委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について報告いたします。 昨十三日、
土屋義彦
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
剱木亨弘
君が
委員
に選任されました。
—————————————
楠正俊
2
○
委員長
(
楠正俊
君)
著作権法案
を議題といたします。
政府
から
提案理由
の
説明
を聴取いたします、
坂田文部大臣
。
坂田道太
3
○
国務大臣
(
坂田道太
君) 今回
政府
から提出いたしました
著作権法案
につきまして、その
提案理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申しあげます。 この
法案
は、明治三十二年に
制定
された
著作権法
の全部を
改正
するものであります。
現行法
は、
制定
以来数回の
改正
を経て現在に至っておりますが、その基本的な体系は、
制定
当時のままであり、今日の
複写
、
録音等
の
複製手段
並びに
出版
、
放送等
の
伝達手段
の目ざましい
発達
、
普及
に照らし、
著作者
の
権利
の
保護
に欠け、あるいは
著作権
の
制限規定
が
実情
に適しないなど不備な点が種々指摘されるに至っております。 一方、
著作権
の
国際的保護条約
である
ベルヌ条約
は、第二次大戦後
昭和
二十三年にブラッセルで、また
昭和
四十二年七月にストックホルムで
改正
されており、また、
昭和
三十六年には、
実演家
、
レコード製作者
及び
放送事業者
の
国際的保護
を
目的
としたいわゆる
隣接権条約
が成立いたしました。このような
国際的事情
を背景に、
欧州諸国
においては戦後次々に
国内法
の
全面改正
を行ない、近代的な
著作権制度
が整備されるに至っております。しかるに、
わが国
の
現行制度
は、
昭和
三年にローマで
改正
された
ベルヌ条約
の基準にとどまり、国際的にも立ちおくれたものといわざるを得ないのであります。 このような
事情
にかんがみ、
政府
は、
現行制度
を抜本的に
改善
する方針のもとに、
昭和
三十七年
文部省
に
著作権制度審議会
を設け、
制度改正
についての諮問をいたしましたが、同
審議会
は、四年間にわたる
慎重審議
の結果、
昭和
四十一年四月に
答申
を行なったのであります。
政府
は、この
答申
に基づきこのたびの成案を得たのでありますが、この間試案を
公表
して
権利者
、
使用者
その他
関係者
の意見の聴取を行なう等慎重を期してまいりました。 なお、
昭和
三十七年以降の
改正作業
中に
保護期間
の
経過
により、その
権利
が消滅する
著作権者
を救済するため、四回にわたり
保護期間
の
暫定延長
の
措置
が講ぜられましたことは、御承知のとおりであります。 以上の
経過
によって明らかでありますように、この
法案
の趣旨とするところは、最近における
著作権保護
の
国際的水準
にのっとり、
著作者等
の
権利
の
保護
を厚くするとともに、
著作物等
の公正な
利用
に留意して
著作権等
について妥当な
制限規定
を整備し、もって
文化
の
発展
に寄与することであります。 すなわち、
著作者
の
権利
の
保護
を厚くするため、その
権利
を
著作者人格権
と
著作権
に大別してそれぞれの
内容
を明定いたしました。特に、従来からの懸案であった
レコード
を用いた
音楽等
の
放送
、
有線放送
及び
演奏
について
著作権
を認めることといたしましたが、
レコード
による
演奏
については、
わが国
における
レコード使用
の
実情
にかんがみ、当分の間、
政令
で定める
営利事業
において行なわれるものに限って、
権利
を認めるよう
経過措置
を講じております。また、
著作権
の
原則的保護期間
について、
現行
の
著作者
の死後三十八年までを
国際的水準
である死後五十年までに延長することといたしました。 次に、
著作権
の
制限規定
につきましては、今日の
複写
、
録音等
の
複製手段
の
発達普及
を考慮して、
私的使用
、
図書館等
における
複製
、
教育目的
のための
使用
、その他特に必要と認められる場合について
著作権
を
制限
し、
著作物
の公正な
利用
が確保されるよう
措置
いたしました反面、
利用
の
要件
を厳密にし、また、
教科用図書
に
利用
する場合等には公正な
補償金
を支払うべきものとするなど、
著作者
の
権利
を害しないように
配意
をいたしました、 さらに、
俳優
、
歌手等
の
実演家
、
レコード製作者
及び
放送事業者
を
保護
するため、
著作隣接権制度
を創設することといたしました。すなわち、これらの者には、
著作物
の
伝達
を行なうものとして、
著作権
に準じた
権利
を認めることが必要かつ適切と考えられますので、
昭和
三十六年の
隣接権条約
の定めるところを参考としつつ、
わが国
の
実情
に適した
保護
を行なうこととするものであります。 その他、
裁定
による
著作物利用
の
制度
、
著作物
の
登録制度
、
著作権
に関する
紛争処理
のための
あっせん
の
制度等
について定め、また
著作権等
の
侵害
に対する
罰則
を整備する等、
現行制度
の
全面的改善
をはかっているのであります。 なお、若干の
関係法律
について、この
法律
の
施行
に伴い必要となる
整理等
の
措置
を講ずることといたしております。 以上がこの
法律案
を提出いたしました
理由
及びその
内容
の
概要
であります。なにとぞ十分御
審議
の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
楠正俊
4
○
委員長
(
楠正俊
君) 次いで
補足説明
を聴取いたします。
安達文化庁次長
。
安達健二
5
○
政府委員
(
安達健二
君) ただいまの
文部大臣
の
説明
を補足して、
法律案
の
内容
について御
説明
申し上げます。 第一は、この
法律
の
目的
、
用語
の
定義
及び
適用範囲
を定めることについてであります。 この
法律
は、
著作物並び
に
実演
、
レコード
及び
放送
に関し
著作者
の
権利
及びこれに隣接する
権利
を定め、これらの
文化的所産
の公正な
利用
に留意しつつ、
著作者等
の
権利
の
保護
をはかり、もって
文化
の
発展
に寄与することを
目的
とすると
規定
し、この
法律
の
目的
が
著作者等
の
権利
の
保護
に重点をおき、あわせて
著作物等
の公正な
利用
を確保するための方途を講ずることにあることを明らかにしたのであります。
用語
の
定義
におきましては、「
複製
」とは、印刷、
写真
、
複写
、
録音
、
録画
その他の
方法
により
著作物
を再製することをいうこと、「
美術
の
著作物
」には、
美術工芸品
を含むこと、「
映画
の
著作物
」には、
映画
の
効果
に類似する視覚的または
視聴覚的効果
を生じさせる
方法
で表現され、かつ、物に固定されている
著作物
を含むものとして、固定された
テレビ著作物
は
映画
とみなして取り扱うことなどを
規定
いたしました。また、「
上演
、
演奏
、
口述
」には、これらが
録音物
、
録画物
を再生して行なわれる場合を含むこととして、従来
出所
の
明示
を条件として
自由利用
が認められていた
レコード
を用いてする
音楽等
の
演奏
に
著作権
が及ぶことを明らかにしたのであります。 この
法律
の
適用範囲
につきましては、
著作物
に関しては、
日本国民
の
著作物
のほか
最初
に
国内
において
発行
された
著作物等
が、
実演
に関しては、
国内
において行なわれる
実演等
が、
レコード
に関しては、
最初
に
国内
において音の固定が行われた
レコード等
が、また、
放送
に関しては、
国内
にある
放送設備
から行なわれる
放送等
が、それぞれこの
法律
の
保護
を受けるものと定めました。なお、
実演
に関しましては、当分の
間外国人
の
実演家
には、
原則
としてこの
法律
を
適用
しないことといたしております。 第二は、
著作者
の
権利
を定めることについてであります。 その一は、
著作物
についてその例示を類別して詳細に掲げるとともに、憲法その他の
法令等
その
性質
上この
法律
で定める
権利
の
目的
とすることが適当でないものを明定いたしました。 その二は、
著作者
について、
著作者
の
推定
に関する
規定
を設けるとともに、
法人等
の
従業者
が職務上作成する
著作物
で
法人等
の
著作名義
で
公表
されるものの
著作者
は、特約がない限り、その
法人自体
であるとして、
法人等
が
著作者
となり得る場合を明らかにし、また、従来その取り扱いが明らかでなかった
映画
の
著作者
について、制作、
監督等
を担当して
映画
の全体的形成に創作的に寄与した者を
著作者
とする旨を定めたのであります。 その三は、
著作者
の
権利
の
内容
について、
著作者
は、何らの方式の履行を要せずして、
著作物
を創作したときから、
著作者
の
人格的利益
にかかる
著作者人格権
と、
著作物
の
経済的利用
にかかる
著作権
を享有するとして、
著作者
の
権利
が
著作者人格権
と
著作権
に大別されることを明らかにいたしました。
著作者
の
人格的利益
の
保護
について、
現行法
は、他人の
著作物
の
著作者名
を隠匿し、その題号、
内容
に
改ざん変更
を加えてはならないと
規定
しているにとどまるのに対し、この
法律案
では、私法上の
権利
として積極的に
著作者人格権
を
規定
いたしました。その
内容
としては、未
公表著作物
の
公表
を決定する
権利
、
著作者名
の表示のいかんを決定する
権利
及び
著作物
の改変を禁止して
著作物
の
同一性
を保持する
権利
を定め、さらに
著作者
の名誉・声望を害するような
方法
で
著作物
を
利用
することもまた
著作者人格権
を
侵害
することとなるものとするなど、
著作者
の
人格的利益
の
保護
に十全を期したいのであります。
著作権
については、
複製権
、
上演
・
演奏権
、
放送
・
有線放送権
、
口述権
、
展示権
、
映画
の
著作物等
の上映・
頒布権
、
翻訳
・
翻案権等
を含むものとしてそれらの
内容
を明らかにするとともに、
翻訳物
、
翻案物等
の
利用
について原作となった
著作物
の
著作権
が及ぶことを
規定
いたしました。 その四は、
映画
の
著作物
の
著作権
の
帰属等
について
特例
を設けました。
映画
の
著作物
の
著作権
につきましては、
映画
の
著作者
の
多様性
、
映画
の
製作
における
映画製作者
の寄与の大きいこと、
映画
の
利用
を容易ならしめるため、
権利
を集中させる必要があることなどの
理由
により、この
法律案
においては、
ベルヌ条約
や諸
外国
における
立法例
をも勘案し、かつ
わが国
の
映画製作
の
実態
をも考慮して、通常の
映画
の
著作物
の
著作権
は、
映画製作者
に帰属するものといたしました。さらに、
映画
の
著作物
の
著作権
が
映画製作者
に帰属した場合には、
著作者
は、その
公表
に同意したものと
推定
する
規定
を設けて、
著作者人格権
の面でも、
映画
の
著作物
の特性に着目した
措置
を講じております。 なお、従来、
嘱託
による
肖像写真
の
著作権
は、
嘱託者
に属することとされていましたが、このような
規定
は設けないことといたしております。 その五は、
著作物
の公正な
利用
をはかるため、今日における
複写
、
録音手段等
の
発達普及
及び公共の
利益
との
関係
を考慮して、
著作権
の
制限
の
規定
を整備いたしました。 従来の
私的使用
、引用、
教科用図書等
への掲載、時事問題に関する論説の転載、政治上の
演説等
の
利用
、
営利
を
目的
としない
上演等
及び
裁判手続等
における
複製
に関する
規定
を整備するとともに、新たに、
図書館等
における
複製
、
学校教育番組
の
放送
、
学校
その他の
教育機関
における
複製
、試験問題としての
複製
、点字による
複製等
、時事の事件の報道のための
利用
、
放送事業者
による一時的固定、
美術
の
著作物等
の原作品の
所有者
による
展示
、公開の
美術
の
著作物等
の
利用
及び
美術
の
著作物等
の
展示
に伴う
カタログ等
による
複製
について
規定
を設けることといたしました。さらに、
著作物
を
利用
する場合にそれを
翻訳
しても
利用
することができる場合等について明定し、その他
出所
の
明示
、
著作権
の
制限
の
規定
によって作成された
複製物
の
目的外使用
について
規定
いたしております。これらを
規定
するにあたっては、
著作権
の
制限
による
著作物
の
利用
の
要件
を厳密にし、また、
教科用図書等
に掲載する場合には所定の
補償金
を支払うべきものとするなど、
著作者
の
権利
を害しないよう
配意
いたしました。 なお、従来問題となっております
適法
に作成された
録音物
を用いてする
著作物
の興行及び
放送
については、
さき
にも申し述べましたように、
著作権
が
制限
されるたてまえを廃止することとし、また、
文芸学術
の
著作物
の楽譜への
充用等
の
規定
は、設けないことといたしました。 その六は、
保護期間
について、
著作権
の
原則的保護期間
を
著作者
の
生存
間及びその死後三十八年間から
著作者
の
生存
間及びその死後五十年間に延長することといたしました。これに伴って、
無名
、
変名
の
著作物
及び
団体名義
の
著作物
の
保護期間
は、
公表
後五十年間とし、
映画
の
著作物
については、
公表
後五十年間
保護
することといたしました。また、
写真
の
著作物
については、現在
発行
後十三年間であるのを
公表
後五十年間と大幅に延長することといたしました。なお、遺著の
保護期間
に関する
現行
の
特例規定
は存置しないこととし、さらに
無名
、
変名
の
著作物
に関し、その
著作者
の死後五十年を
経過
していると認められるものは
保護
しない旨を定めました。 その七は、
著作者人格権
及び
著作権
についてそれぞれの
性質
を考慮して
規定
を整備し、
著作者人格権
の
一身専属性
、
著作権
の
譲渡性
その他について定めました。 その八は、
裁定
による
著作物
の
利用
について
著作権者不明等
の場合の
著作物
の
利用
及び当事者間で協議がととのわない場合における
著作物
の
放送
にかかる
裁定
に関する
現行規定
を整備いたしました。また、新たに、
音楽
の
著作物
を
商業用レコード
に
録音
することについて
裁定
の
規定
を設けました。これは、
音楽
の
著作物
についての
録音権
が長
期間
にわたり独占されることのないようにし、
音楽
の
著作物
の
利用
を容易にするためのものであります。さらに、これらの
裁定
の
手続
、
補償金
の
供託手続等
に関し、
規定
を整備いたしております。 その九は、
著作物
にかかる
登録
について、従来の
規定
を整備するとともに、
著作物
の
著作年月日登録
の
制度
を廃止して、新たに
著作物
の第一
公表年月日登録
の
制度
を設けました。 第三は、
出版権
についてであります。
出版権
に関しては、その
存続期間
の
起算点
について「
出版権
の設定後」を「
最初
の
発行
後」と改めたこと等若干の
改善
を行ないましたが、おおむね
現行
の
出版権
に関する
規定
を踏襲し、これを整備するにとどめました。 第四は、
著作隣接権制度
の創設についてであります。
わが国
では、現在
演奏歌唱
及び
録音物
については、
著作物
として
保護
することをたてまえといたしておりますが、これらはその
性質
上
著作物
としての
保護
になじまない点もあり、また、一九六一年に
実演家
、
レコード製作者
及び
放送事業者
の
保護
に関する
条約
が成立したことをも考慮して、
著作物
の
利用
に関連を有する
実演家
、
レコード製作者
及び
放送事業者
を
保護
するための
著作隣接権制度
を創設することといたした次第であります。
実演家
とは、
演奏歌唱者
のみならず、
俳優
、
舞踊家等著作物
を演じる者及び
著作物
を演じないがこれに類する芸能的な
性質
を有する
行為
、たとえば曲芸などを行なう者をいい、さらに
演劇等
の
演出家
及び
音楽
の
指揮者
を含むものとすることを明記いたしました。
実演家
は、
実演
の
録音
・
録画
、その
録音物
・
録画物
の
増製
及び
実演
の
放送
に関し、これらを許諾する等の
権利
を有し、また、
商業用レコード
が
放送
または
音楽有線放送
において
使用
される場合に二次
使用料
を請求する
権利
を有することとなります。この一次
使用料
の
請求権
は、
国内
において
実演
を業とする者の
相当数
を
構成員
とする
団体
で特に指定するものがあるときは、その
団体
によってのみ行使できるものといたしました。
レコード製作者
は、
レコード
を
増製
する
権利
を有し、及び
商業用レコード
が
放送
または
音楽有線放送
において
使用
される場合に二次
使用料
を請求する
権利
を有することとなります。二次
使用料
の
請求権
は、
実演家
の場合と同様に、
国内
において
商業用レコード
の
製作
を業とする者の
相当数
を
構成員
とする
団体
で特に指定するものがあるときは、その
団体
によってのみ行使できるものといたしました。なお、
実演家
及び
レコード製作者
の
レコード
の二次
使用料
を請求できる
範囲
につきましては、これを広範に認める
立法例
もありますが、
わが国
の
実態
に照らし、
放送
及び
音楽有線放送
に限定することといたしております。
放送事業者
は、
放送
を
録音
・
録画
し、その
録音物
・
録画物
を
増製
する
権利
、
放送
を受信して再
放送
する
権利
及び
テレビジョン放送
を
拡大装置
を用いて公に
伝達
する
権利
を有することとなります。 これら
実演
、
レコード
及び
放送
にかかる
権利
の
保護期間
については、それぞれ
実演
を行なわれたとき、
レコード
が作成されたときまたは
放送
が行なわれたときから二十年間これらを
保護
することといたしました。その他、
著作隣接権
の
制限
、
譲渡
、消滅、行使、
登録等
に関しては、
著作権
に準じて取り扱う旨の
規定
を設けております。 第五は、
著作権等
に関する
紛争処理
のための
制度
を設けることについてであります。
著作権等
に関する
紛争
について
実情
に即した簡易な
解決
をはかるため、
あっせん
の
制度
を設けることとし、
著作権紛争解決あっせん委員
を置くこととしました。 第六は、
権利
の
侵害
について定めることについてであります。 この点につきましては、
特許法等
の例にならい、
著作権等
の
侵害
の停止、予防のために必要な
措置
の
請求権
について
規定
し、あるいは
著作権等
の
侵害
にかかる
損害額
の
推定規定
を設ける等この
法律
が認める
権利
の
侵害
に対する救済が有効に行なわれるようにいたしました。また、
著作者
の死後におけるその
人格的利益
を保全するため、
著作者
の遺族または
著作者
が遺言で指定した者が、死亡した
著作者
の
人格的利益
を害するような
行為
に対し、適切な
措置
を講ずることができるよう定めました。 第七は、
罰則
についてであります。
著作権
の
侵害
につきましては、
現行
の二年以下の
懲役
または五万円以下の
罰金
を三年以下の
懲役
または三十万円以下の
罰金
に引き上げるとともに、
著作者人格権
の
侵害
についても
著作権侵害
の場合と
同一
の刑罰を科することとするなど、
罰則
を整備いたしました。また、新たに、いわゆる
商業用レコード
の海賊版を防止するため、不正競争防止的な観点に立ってこの
法律
によって
著作隣接権
を認められない
レコード
の原盤の提供を受けて
国内
の業者が
製作
した
商業用レコード
を
商業用レコード
として無断で
複製
した者は、一年以下の
懲役
または十万円以下の
罰金
に処するものといたしました。このほか、
罰則
を実効あらしめるため、
法人等
の
従業者
の
行為
についての両
罰規定
を設けております。 次に、この
法律
の
施行
に伴う
経過措置
の主なものについて御
説明
申し上げます。 この
法律
は、従来の
保護期間
の
暫定延長
の
措置
をも考慮し、
昭和
四十六年一月一日から
施行
するものといたしております。この
法律
は、
著作物
に関しては
旧法
による
著作権
が消滅しているもの以外のすべての
著作物
に
適用
され、また、
実演
、
レコード
及び
放送
に関してはこの
法律
の
施行
後に行なわれた
実演等
に
適用
されますが、従前の
演奏歌唱
及び
録音物
につきましては、
旧法
によるこれらの
著作権
の
存続期間
のうちこの
法律
の
施行
の日において残存する
期間
か、この
法律
の
施行
の日から二十年間かのいずれか短い
期間
、この
法律
の
著作隣接権
の
制度
が
適用
されるものといたしました。 次に、
翻訳権
につきましては、
現行法
におけるいわゆる
翻訳権
十年留保の
制度
は、世界の大勢や
著作権保護
の精神などから、これを廃止すべき段階にきているものと判断し、今般廃止することといたしました。ただし、急激な変動を避けるため、すでに
翻訳権
が消滅している
著作物
について遡及
適用
しないこととするとともに、この
法律
の
施行
前に
発行
されている
著作物
についてはこの
制度
の
適用
があるものとし、実質上この
制度
をなお十年間維持する等の
経過措置
を講ずることといたしております。 また、
適法
に作成された
録音物
を用いてする
音楽
の
著作物
の
演奏
につきましては、
さき
に申し述べましたように
現行法
のたてまえを改めることといたしておりますが、
わが国
における
レコード使用
の
実情
を考慮して、当分の間、
音楽喫茶等政令
で定める
営利事業
において行なわれるものに限って、
権利
を認めるよう
経過措置
を講ずることといたしました。 最後に、この
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
の
内容
を御
説明
申し上げます。 まず第一に、この
法律
において新たに
実演家
、
レコード製作者
及び
放送事業者
の
権利
として
著作隣接権
を定めることに伴い、
文部省設置法
、
破産法
、
関税定率法
、
相続税法
及び
放送法
中の
著作権
に関する
規定
に
著作隣接権
に関することを加えてこれを整備するとともに、この
法律
において
著作隣接権
に関する
登録
の
制度
を設けることに伴い、
登録免許税法
において
著作隣接権
の
登録
にかかる税率を定めております。 第二に、
日本国
との
平和条約
第十五条(C)の
規定
に基づき、
保護期間
に関し旧
著作権法
の
特例
を定めている
連合国
及び
連合国民
の
著作権
の
特例
に関する
法律
、及び
万国著作権条約
の
実施
に伴い、
保護期間
の
相互主義
、
翻訳権
の
特例等
を定めている
万国著作権条約
の
実施
に伴う
著作権法
の
特例
に関する
法律
について、これらの
特例
をこの
法律
の
特例
とする必要がありますので、
所要
の
改正
を行なっております。 その他、
著作権
に関する
仲介業務
に関する
法律
、
学校教育法
、
教科書
の
発行
に関する
臨時措置法
、
文部省著作教科書
の
出版権等
に関する
法律
及び
登録免許税法
の
規定
において、この
法律
の
規定
に照らし、
用語
の
変更等所要
の整備を行なっております。 以上、この
法律案
の
内容
について
補足説明
をいたした次第であります。
楠正俊
6
○
委員長
(
楠正俊
君) 本案についての質疑は、次回に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十時四十七分散会