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説明員(
江上不二夫君) 現在でも
日本学術
会議法に従って学術
会議は
運営されておるわけで、しかし、具体的にはやはり二十年の経験によりまして、学術
会議が発足した二十年余り前といまとでは、学術、科学技術が
社会において持っている
役割りというものも重みがまるで変わっておりますし、
意味がかなり変わっておりますので、そういう点におきましては、学術
会議の実際の動きというものも、もちろんそれに応じて変わっておるということは申せると思います。
それから、学術
会議自身、また、二十年余りを経過いたしましたので、今期第八期でありますけれ
ども、第八期に、まあ二十年になりますので、それを振り返って、ただいま御
質問がありましたような経験、いままで学術
会議が学術
会議法に従ってどれだけのことをやってきたか、そしてそれがどれだけの効果をあげてきたか、そういう歴史を振り返り、そうして現在、今後かくあるべきであるという
あり方を検討するというような
委員会などをつくって、ことしの十月ころの総会までにはそれをまとめたいというふうに思っておる。反省すべきところは反省して
改革に進んでおるというのが実情でございます。一番大事なことは、
日本学術
会議というものは
日本の科学者の代表機関でありますので、
日本の科学者全体がどういうことを希望しておられるかということを学術
会議でまとめまして、それを、学者がこういうことを希望しているのだということを
政府に勧告する、あるいは申し入れる、そういうことが一番大事なんで、全体の学者の総意を結集する、そのために、先ほど申しました、これは第七期朝永会長のときからむしろ始めたことなのでございますが、最初のころはやっておらなかったことでございますが、先ほど申しました三百六、七十ほどの
日本の代表的な学会の方々に、年に何回かその代表の方に集まっていただきまして、それぞれ専門学会としての御希望をお伺いする。それはもうだいぶ前からでありますけれ
ども、「
日本学術
会議月報」、こういう印刷したものを各学会にお配りする、そうして希望を集める、そういうことは、最初からそういうたてまえでやっておりましたのを、むしろだんだんと経験を踏みまして具体的にやるようになったということだと存じます。これが国内問題としては一番大事なことだと思います。
それからもう
一つは、学術
会議は
政府の諮問にこたえるというととがございますが、諮問ということはむしろだんだんと少なくなっているというのが実情でございます。しかし、
法律によって学術
会議に諮問することがきめられていることもありますので、そういうこと、たとえば民間
研究機関の助成に関することといったようなことは、
法律によって学術
会議に諮問する、どういう民間
研究機関に助成すべきであるかというようなことは諮問することになっておりますし、それは現在も続けられておる。そういうことはございますけれ
ども、全体として、諮問という形のものは非常に減っているということは申せると存じます。しかし、学術
会議は、もちろん、諮問がありそれにこたえることは重要でありますけれ
ども、何と申しましても一番大事なことは、
日本の学者の希望を集め、それを勧告するということで、それは従来も行なわれておる。
もう
一つは、学術
会議の仕事として、学術
会議は本来諮問機関でございますけれ
ども、
日本の外国に対する国際的な代表機関という
法律の規定に基づきまして、
日本の科学者も外国に対する代表機関としてはやはり実施的な面も行なわなければならないのでございます。そういう面では実施的な面も行なっているわけで、たとえば
学問の国際的な組織、たとえば物理とか化学とかそれぞれについてインターナショナル・ユニオン・オブ何々という形で国際学術団体ができております。たとえば物理の連合、化学の連合、そういうものがたくさんございますが、そういうところに
日本学術
会議は
日本を代表して加盟をしております。さらに、そういう国際学術団体が全部で、国際学術連合
会議を組織しております。これはユネスコなどとも密接な関連のある
会議でありますが、
日本学術
会議はこれにも
日本を代表して加盟している。
日本の内外の代表機関であるという
法律に基づきまして、
日本の学術の代表機関として国際的にやらなければならないことを、実施機関としての
役割りを果しております。そういう大きな国際組織はしばしば世界のいろいろなところでもって国際
会議を催しますが、今度は
日本でやってもらいたいというような国際的な世論が起こりますと、また
日本のほうも
日本の
学問の発展のために今度は
日本でやるほうがいいだろうというような、国際的な学者の要望と
日本の学界の要望とによって、
日本でそういう専門の国際
会議をやったほうがいいだろうということになりますと、
日本学術
会議主催で、
日本で国際
会議を開催するとそういうこともやっております。そういうことも古い時代から続けてやっておりますが、それはやはり
学問が、あるいは科学技術が
社会に占めている
役割り、あるいは科学技術の国際性というものの高まりにつれまして、徐々に
日本学術
会議がそういうものをやるのもふえつつありますが、しかし、予算の関係で私
どもが希望するにはほど遠い、あるいは要求している額の二倍くらいは少なくともやらなければならない、国際事例から見て、
日本の力から言えば二倍くらいやらなければならないと思いますけれ
ども、もとよりはふえつつあるということは申せると思います。そのほかには、実施機関と申しますが、世界の各地で開かれておりますが、そういうところに
日本の学者を派遣する、
日本の学者としてはこういう方がそこに行かれたらいいのではないかという、
日本の学術
会議のそれぞれの部会あるいは
委員会などで検討いたしまして、最も適任の方を世界各地で行なわれている国際
会議に代表として派遣いたします。それも
学問の国際性の増すに従って、また
学問が
社会における重みのふえるに従って、どんどん国際
会議の数がふえておりますけれ
ども、学術
会議のその
方面の予算があまりふえないというのが実情で、やはり
日本の現在の力を
考えますと、もっとふやしていただいて、学術の国際交流における
日本の責任を果したいというふうに
考えておりますが、そういうようないろいろなことにぶつかっておりますけれ
ども、
日本学術
会議法の精神に従って、学術
会議が最初にできたときに、第一回のときに、これからの学者の
あり方として声明を発表しております、その声明の基本的な姿勢に基づいて、
日本の学術の健全な発展のために微力ながら
努力いたしておりますけれ
ども、さらに
あり方を検討して直すべきは直そうとしているのが実情でございます。