運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-03-11 第63回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十一日(水曜日)    午後一時十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         横山 フク君     理 事                 小枝 一雄君                 竹田 四郎君                 阿部 憲一君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 大森 久司君                 鈴木 省吾君                 高田 浩運君                 山本  杉君                 吉江 勝保君                 鈴木  強君                 竹田 現照君                 藤原 道子君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣  佐藤 一郎君    政府委員        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        経済企画庁国民        生活局長     矢野 智雄君        経済企画庁総合        計画局長     八塚 陽介君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        農林省蚕糸園芸局        野菜花き課長   小原  聰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (物価対策基本方針に関する件) ○派遣委員の報告     —————————————
  2. 横山フク

    委員長横山フク君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査中、物価対策基本方針に関する件を議題といたします。  本件に関して質疑のある方は順次御発言を願います。  竹田君。
  3. 竹田四郎

    竹田四郎君 まず最初に、私と同じ選挙区でともに戦ってまいりました佐藤さんが今度経企庁の長官になられまして、いま政府の中で一番重要な物価担当をお引き受けになっておりまして、こうした点では祝意を表するとともに、まず、今後の御健闘をお願いをしたいと思います。  そこで、問題の第一番目でありますが、総需要抑制問題についての御見解をいただきたいと思いますが、何せ時間が非常に限られておりますので、御答弁のほうも簡明にひとつお願いをいたしたいと思います。  そこで、来年度予算関連いたしまして物価安定政策会議が去る一月の二十日に提言を行ないまして、物価上昇機運を払拭するために物価安定を経済政策の第一義の目標として立ててきびしい態度で臨むことを要請いたしまして、「総需要政策重要性を再認識し、経済全体の需要の膨脹が物価上昇圧力とならないよう、財政金融政策によって厳しく管理すべきである。」と提言しているわけでありますが、これに対しまして、政府は、政府財貨サービス購入伸びが一四・八%であって、経済見通し名目成長率一五・八%より一%低いから、総需要抑制にもなって、景気を刺激することはない、こういうふうに言っておりますけれども、多くの経済学者が、今度の予算景気を刺激する心配がある、こういうふうに言っておりますし、いままでの実績から見ましても、四十三年度は当初の予想が一一・七%であったけれども実績は一四・八%と、こういうふうになっておりますし、四十四年度においても、おそらくこの率はかなり上回っていくだろうと思います。特に地方財政地方団体投資的経費というようなものも当然上回ってくるということを見ますと、今度の名目成長率政府財貨サービス購入との関係というものは、おそらく政府が言っているようなことにならないだろうと思います。  佐藤長官は、就任以来、インフレと対決をしていくということをおっしゃっておりますし、経済演説の中でも——たいへん政府の中ではこのインフレということばをきらっておられるようでありますが、長官は、経済演説の中で、「今や、インフレとの戦いに安易な態度は許されないのであり、この戦いに勝つことなくして、今後のわが国の発展はあり得ない」と、かなり強い態度で述べられているわけでありまして、そうした勇気に対しましては非常に敬意を表したいと思いますが、しかし、実際の問題から考えてみますと、どうもそう簡単な問題ではありませんし、一方、日銀券発行等々から見ましても、最近は二〇%台の日銀券発行残高という形で非常な増加を示しております。アメリカにおいては、ニクソン大統領がこの通貨量抑制ということをかなりきびしくやりましたけれども、その他財政支出の縮減というようなこともいたしましたけれども、しかし、それでもなお、まだアメリカにおいてもインフレ傾向というものは抑制をされていない。こういう意味では、かなりきびしい態度で進んでいかないと、今日の日本物価上昇という動きをとめるわけにはおそらくいくまい、こういうふうに思うわけであります。  そういう意味で特にお伺いしたいわけでありますが、数年前でありましたか、たしか、政府公共投資を年の前半に持ってくるとか、あるいは年の後半に重点を置くとか、まあこういうようなことをやって、そうしたバランスをとった経験があるわけでありますが、今年度予算の状態から見て、そうした政府公共投資等々を繰り延べるということになるわけでありますが、そういうことで、実際、年度途中においてもそういう手段を講じて物価上昇を押えるというような措置を、そうなった場合におとりになるのかどうなのか。あるいはもう一つは、日銀券発行というような問題につきましても、ある程度そういうものの増勢をとめていくというような、通貨量抑制というような措置を、私ども、とるべきだと思うのです。そういう面に対しての政府対策というようなものを、どんなふうにお考えになっているか、お述べいただきたいと思います。
  4. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) いま竹田さんからお話のございました、まず予算の点ですが、これは確かに、何といいますか、一七・九%という伸びが、従来のバランスから見ても、特に物価問題がやかましくて引き締めをやろうという際に、少し甘いじゃないか、こういう感じだろうと思います。まあ私も、率直に申し上げまして、現状をまず見てみますると、何といいましても、民間設備投資中心とする需要の急激な増大、こういうことがやはり今日の物価高の一つ中心になっておる。財政需要ももちろんそれについていっておるのでありますけれども、やや追随的な形であるというふうに感じているのです。そこで、政府といたしましては、まず重点金融引き締めに置いてきたわけであります。  御存じのように、従来、金融財政とのバランス論というのがしょっちゅうありまして、日本は、国際収支が赤字になるというと、すぐ引き締めをする。そのときに、いつも金融と一緒に財政も道連れで引き締めをくっておる。それを繰り返しているうちに、いつの間にか社会資本の充実ということが立ちおくれてしまった。民間資本だけがどんどん伸びていく。今度は、それはそれで、そのアンバランスから来る、そのボトル・ネックというか、輸送にしても、その他社会資本の立ちおくれがやはり物価にも影響してくる。そういうような感じが強かったと私は思うのです。そういうことで、まず今日の場合においては金融引き締めを先行させる。私は、アメリカはちょうど逆だと思うのです。アメリカは、GNPに対する財政支出の比率は、日本が一割に対して、二割です。非常に財政の比重が重い。皆さんも御存じのように、いろいろアメリカ内でも議論のあるような、はたして生産的かどうか問題になっているようないろいろなものに財政支出がある、これがやはり物価の一番主なる原因であるというふうに指摘されている点もあって、いま財政に集中していますものをアメリカも一時金融でやったのですが、どうも金融だけじゃだめだ、こういう経験を持っておったわけです。  私どもも、もちろん、いま御指摘のように、金融引き締め効果を見守っている際でありますが、これが十分でないというようなことになりますと、これは大事に至りますから、いま竹田委員も御指摘のように、公共投資を押えるということはなかなかつらいことでありますけれども年度の途中においても、場合によって、そういう調整措置を必要とするというような感じが出てきましたときには、これは大蔵大臣にも私たちそういう要請をしなければならぬ、こういうふうに感じております。率直に言いまして、昨年、竹田さんもお調べになったと思いますが、四月から六月にかけてのいわゆる通貨増勢というものが、あまりにも、前年の倍であるということでありまして、これは、長い間金融引き締めをやっておった、それを解除した勢いもあったと思うのですが、海外の市況の反映等もあったと思いますが、とにかく一挙に民間伸びてしまった。そういうことで再び九月から金融引き締めをやった、こういうことでございます。金融引き締め財政バランスというのがあまりにもアンバランスになってくると、民間のほうから、なぜおれたちだけ締めて財政をやらないのだという不満が来ます。ですから、金融引き締めを円滑にやる意味においても、ある程度の財政引き締めというものをやらなければならない。しかし、いつもおつき合いしておると社会資本の立ちおくれがだんだん激しくなる。そこはつらいところでありますけれども、しかし、全体としての大義にはかえられません。金融引き締め効果というものが不十分である、インフレ的な要素がますます進んでくる、こういうようなことになってはたいへんであります。そこらはよく見守って、お説のように、年度の途中でもそういう措置を講ぜざるを得ない、こういうことも起こってくると思います。
  5. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまの長官の御答弁ですが、私は私なりの別の意見を持っておりますが、時間の関係でその点は申し上げません。  それから第二番目は、これは長官も前々から言っておられましたけれども物価問題懇談会以来、物価対策に対する処方せんというのはすでに書かれておる。しかしながら、低生産性部門に対するところの近代化、これもあまり進んでいない。あるいはまた、私ども一般国民の目から見ますと、はたして政府物価抑制対策を真剣にやっているのかどうなのかということを、しばしば不信の眼で見ざるを得ない、こういうような事態もおそらくあると思いますけれども、昨年の五月十二日の物価安定推進会議提言の中でも、特に各省との関連というようなものが指摘をされておりまして、各省施策の中には、物価安定以外の独自の政策行政目的を持った多くの、物価安定というそういう目標とは違ったことをかなりやっているのじゃないか、そういう意味各省庁との間の横の連絡をもっと緊密にしろという提言をしておるわけでありますけれども、どうもその辺が、国民の目から見ますと、縦割り行政——具体的な事業といたしましては、何か、生産者保護のみに片寄っており、ほんとうの消費者保護という目標というものはあまりやられていない、こういうふうに感ぜられてならないわけでありますが、政府のほうも、四十一年でしたか、各省物価担当官を置きまして、相互の横の連絡をとって総合的な物価政策というものを進めるような組織をおつくりになったわけであります。さらに四十三年の二月末には、事務次官等申し合わせによって、物価に重要な影響のある施策については、その企画立案総合調整を担当する、そういう趣旨をもっと徹底させろ、こういうふうな申し合わせがされておりまして、各省とも横の連絡を積極的に推進しなければいけないということを四十三年にはきめておられるわけでありますが、私ども見ておりまして、どうもその辺の点で横の連絡というものは必ずしもうまくいっていない。物価担当官会議というものも、どうもただ単に事務的連絡程度に流れておりまして、これはたしか企画庁が主管をされておると思うのでありますけれども、そういう横の連絡があまりとられていない。そうして、各省庁はその関係団体の利益を保護するという立場だけで、そういう意味では、せっかくこういうようなものがつくられても、各省の出先の集まりでは何ら成果をあげていないのじゃないか、こういうふうに私ども見ているわけですが、こういう形では、おそらく物価政策というものはあまり進んでいかないのじゃないかというふうに思うわけであります。  そういう意味で、私どもは、物価庁というようなものをつくって、強力に、全面的な、統一的な施策というものを行なうべきじゃないかと、いままでも主張してきておるわけですが、こういう関係で、一体経済企画庁として物価担当官会議を今後どういうふうに運営をしていくのか。そのいかんによっては、おそらく私は、それもあまり成功しないだろうと、こういうふうに見ているわけでありますが、そういう意味では、物価行政を専任的に進めていく省庁というようなものをつくらなければ、いまの政治の中では一番大きい課題になっております物価の安定という問題がおそらく解決しないではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、そういうものの政府施策の進め方、態度、あるいは決意というようなものを具体的にお示し願わなければいけないではないか。それでなければ、後ほど述べますけれども国民の間にインフレマインドがどんどんと進んでいってしまって、それがインフレの悪循環へとつながっていく、そういう形をつくってしまうのではないか。そういう意味で、特に今後物価担当官制度というものをどう運営していくか。それによっては物価庁というようなものも考えられるのではないかと思うのですが、その辺に対する長官のお考え方を伺いたい。
  6. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) いまお話がありましたように、とかく物価対策の遂行あるいは政府の腰がまえがなまぬるいと、こういう御批評でありまして、私もそれを否定できないと思います。率直に言いまして、物価問題というものの重要性というか、物価問題の意識というものが、やっぱり最近非常に急激に高まってまいりまして、だいぶ——少しずつでありますけれども政府部内の関心もよほど変化しつつあるように私は感じておりますけれども、まだまだ十分ではない。この辺、やはり気持ちをまず物価問題に向けていくということから相当しっかりやらなければならないことであるというふうに私も実は就任以来痛感をしております。確かに、御指摘のように、縦割り行政弊害といいますか、生産第一主義ということで終戦後日本がやってきた。そして、今日の高度成長を生んだ一つの大きな原因がこの縦割り行政にあったと私は思っておりますが、それはそれで、ある時期の役割りを果たしてきたと思うのですが、今度は、物価の問題にしても、公害の問題にしても、横の問題ということになると、どうも適応性がまだ十分にいっていない、そういう感じが、率直に言って、いたします。  そこで、一足飛びに、物価庁というお話も出てくるだろうと思いますが、私は、そこまでいく前に、政府としましても、そういう意味の欠陥を意識しまして、物価対策閣僚会議にいたしましても、あるいは物価担当官制度にいたしましても、一応制度というものをつくりましたのでありますから、これをひとつできるだけ御趣旨のような方向に沿って運用するのが、まず、さしあたってわれわれとして第一に考えなければならぬことではないかと、こういうふうに感じております。昨日も本会議で私申し上げましたように、農林省は単なる農村省ではなくて、食糧省である、食糧供給省である、あるいはまた、通産省は同時に公害の省である、こういう意識がだんだんと強まっていることも事実であります。それもまた、しかし、決して十分ではない。そういうことで、私たちも、もっと閣僚会議を今後活用しようと思います。それから担当官会議にしましても、単なる事務的なことに終わらないように、もっと中身に入ってできるだけやりたいと、こういう気持ちを強く持っております。何といいましても、長い間生産者立場中心にした行政が多かったのですから、これを転換するのにちょっと歯がゆさを感ずるのです。が、これもわれわれの努力の不十分な点もありますから、ひとつ、企画庁としても精一ぱいやって、各省を引きずっていくといいますか、そういう気持ちでやっていかなければならない。しかし、残念ながら、また、現実の行政推進は、現状においては各省がやることになっておるたてまえでありますから、各省が、やはりいいかげんなおつき合い心でなくて、本気になってやってくれるような気分になってもらわないと、本物にはならない。そういう意味においては、各省がやはりその気持ちになっていただいて、そうして進めていくようにするにはどういうおぜん立てをしたらいいか、私は、これがやっぱり企画庁としては、いま第一にとるべき対策である、そうして、それは結局、物価問題に対する認識、意識、こういうものの深さ——私は、今度やってみまして、これの啓蒙がやはりまだまだ足らないように思います。そういうことで、いま御指摘になりました点は、私も実は痛感をいたしております。  先ほど処方せんお話が出ましたが、私は、いままでの処方せん——物価懇談会やなんかのいろいろな提言をずっと見てみました。そうして、それについて各省がこういうことを実行したというようなものを見ていますが、どうもまだまだ抽象的な点が強くて、具体的な対策ということがなかなかうまくまいっていないような感じであります。でありますから、処方せんは書いてあるようであるけれども、抽象的な処方せんが多いようである。これから、実は、いまわれわれも、現在ある物価安定会議等においても、できるだけ具体的な提言を得ようと思っておりまして、いまお話しになっている各省行政介入物価にどういう影響を及ぼしているかということで、これについてごく最近に提言発表になると思いますが、なまじ各省が口を出すために、かえって、下がるものも上がる、あるいは下がらない。こういうようなこともあるようであります。そうしたことの具体的な提言をいただいて、そうして、これはぜひひとつ、できるだけ各省と折衝して実現したいと思っております。まあ一例でありますけれども、いずれにしても、今後その縦割り弊害をなくして、少しでも減らして、そうして実行を進めてまいる、こういう心づもりだけは持っておるつもりでございます。いろいろ御批評もあろうということはよくわかっておりますが、ひとつよろしくお願いしたいと思っております。
  7. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまの御答弁を聞いておりますと、どうも、もう少しやる気を出してもらわなければ困る、総合的なものをやってもらわなければ困る、こういう感じもいたしますが、こまかい点は今後の機会に申し上げたいと思います。  第三点でありますが、経済企画庁は近く新経済計画を御発表になるというような段取りになっておるようでありますが、日本経済は六〇年代の後半からたいへん労働力不足ということで悩まされて、若年労働者賃金というものはかなり引き上げられてきておりますし、それが今度は低生産性部門への波及というようなことで、物価上昇さしていっているわけであります。最近の経済学者の話では、いままでは大企業の場合には賃金の値上がりというものを労働生産性上昇によって吸収をしてきた。したがって、それが物価に、商品価格にはね返ってくるということは何とか免れた。ところが、六九年、昨年あたりから、労働生産性上昇率名目賃金上昇率というものとが、同一あるいは逆転をしてきている部門かなりある。こういうように言われてきておりまして、福田大蔵大臣も、これは新聞紙上でありますが、賃金大幅アップ物価を押し上げてきている、だから、ひとつ経済団体と労組の代表とが話し合って、三カ年ぐらいの長期賃金安定協定というものをつくり上げてくれないかというようなことを言っておりますし、新経済社会発展計画政策編等々見ましても、——これは今後のいろいろな仕事、そうしたものとも関連をすると思いますが、いままでの所得倍増計画にいたしましても、あるいは中期経済計画にいたしましても、大体、賃金上昇目標といいますか、そういうものは数字に出たわけでありまして、この前の経済社会発展計画の中では、たしかその点は示されていないと思いますが、今度の計画の中でも、ひとつそういうような賃金数値というものを示そうではないか、こういうような意見があると聞いておりますし、いろいろな資料によりましても、国民的なコンセンサスの成立を目ざすために、ひとつそういうような賃金数値というものを示そうではないか、こういうような御意見があるようでございます。  これについては、もちろん、カナダにおけるような所得政策、こういう形で、公的な抑制の中でそういう誘導をしていくというような強いものではないようでありますけれども、しかし、そういう賃金数値を示すということになりますと、現在の関係では、それは私は、一種所得政策という形に結びついていくのではないか、こういうふうに思うわけですが、そうした所得政策というものを進めていかれるつもりがあるのかどうなのか。所得政策ということば自体定義自体に、いろいろと解釈がまちまちでありますが、私の考えておる所得政策というものと、長官の考えられております所得政策というものとは、はたして一致するかどうか、これはかなり詳しく議論しなければならないわけでありますが、全体として所得政策的なものを新経済計画の中に織り込んでいこうとしているのか。この点が、計画についての第一点であります。  第二点は、やはり物価に非常に関係が出てくるわけでありますが、食管制度の問題について、いままでの案ではあまり明確な意思表示計画の中にされてない。新経済計画においては食管制度は一体どうするのか。  この二つの点をお伺いしたいと思います。
  8. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 第一点の所得政策の問題でございますが、これについては、ただいまお話にありましたように、現在いろいろな意見があります。われわれも、これについての検討を十分に行なうということには、やぶさかではないのでありますが、そうしてまた、今日の事態におきまして、雇用、所得賃金というものと、それからいわゆる生産性というものが均衡した形で上昇していく、これが望ましいことは、これはもうだれも異論のないところだろうと思います。そういう意味におきまして、価格なり、賃金決定について、もっと国民経済的な広い視野でこれが決定されていく、これが望ましいことも、これは確かでありますが、しかし、さて、その具体的な問題ということになると、竹田さんが一番御承知のように、いろいろの問題がございます。われわれも、たとえば新計画におきまして、御指摘のように、今度初めて賃金数値を入れてみようと思います。これは初めてなんですが、これを入れてみるについても、ずいぶんこれは神経を使っておりまして、これがあまり誤解を生まないようにという神経を使っているのです。私どもは、別にまだ——経済社会発展計画賃金数値を取り扱うことに、馬場委員会勧告等もあって、決定はいたしましたけれども、これをガイド・ラインというような意味政策の具体的な指標にすると、こういうところまでの気持ちで入れておるのではないのであります。民間設備投資や、その他の数値と同じような、いわば条件つきの、一種予測値である。そうして、これはあくまでマクロ的なものでございますからして、個々の賃金決定にあたってこの数値をたてにしてどうこうと、こういうたぐいの取り扱いをするようなものとして入れるわけではないのでありますが、それにしても、いろいろなそうした議論なんかを通じましても、まだ日本において、いろんな意味がありますが、いわゆる所得政策というものをはっきり打ち立てるというところまで私はなっていないと思います。もう少しこれは十分に議論をし、そして検討しないといけない問題がたくさんあるように思っています。  これは、もう問題点はよく御存じのとおりだと思うのでありますが、そういうことでありますので、まず、やはり国民的コンセンサスというものが一体どうして生まれるかという基礎的な問題からやっていかなければならない。ですから、そういう意味においては、ただ賃金ということだけを個別的に取り扱うのでなくて、経済全体の将来を一体どうするんだ、日本の成長は一体どうあるべきであるか、あるいはその中において賃金なり利潤なりがどうなるか、こういうような話し合いを、今後労使双方でもって経済全体の行き方について話し合うという点についてはわれわれもやぶさかでないと、こういうような声も聞くのであります。まあやはり、そういう点から、一緒になって、日本経済をどう持っていくか、そういう角度からまず話し合いの場をつくっていく、こういうことが、さしあたって大事なんじゃないかと私は思っております。そういう意味で、具体的な、ガイド・ラインを設定する意味所得政策は、私はまだ今日考えてはおりません。ただし、先ほど触れましたように、新しい計画におきましては、一応初めての試みでありますけれども賃金数値を出すことにしようと、こういうふうに思っております。  それから第二点の、食糧管理特別会計、これにつきましては、御存じのように、さしあたっての生産調整問題、目前に控えておる生産調整問題を一体どういうふうにするか、これのめどを、まずさしあたって、つけることが第一義であるというふうに考えております。やっぱり、そうした実態面の見通しというものが立ちませんと、一体食管制度というような基本的な問題をどうするかということを、すぐなかなか、結論づけるにいたしましても、議論の一致を見ないと思います。そういう意味におきまして、私たちは、今回は、この点について、まずそうした生産調整を実態的に解決することを中心にして考えていくと、こういう考え方に立っております。
  9. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がございませんので、若干あとで鈴木委員のほうからも円切り上げの問題で御質問があるようでありますから、この点は私は省きたいと思います。もうあと、六七分しかございませんので、最後に……。  長官は、特に公共料金のストップということについては、就任以来、たいへん強い御発言をなさっておりましたし、かなりこれについては行動的に動かれた点も、新聞紙上を通じて拝見をしているわけでありますが、どうもその辺が、初めの勢いとはだんだんしぼんできたような感じがするわけです。最近のごあいさつでも「極力」という文字に——だんだんだんだんしぼんでいく。非常に私は残念だと思います。いままでに、この一月以来、六つの問題について公共的料金が上がってきておりますが、最近、いずれ、もうほぼ確定的と思われるものに、大手私鉄の運賃の値上げがある。新聞紙上を見ますと、きょうの新聞でも、都内の私立高校の授業料も上がるというようなことが書いてあります。建設省方面では、五年以上経過した公営住宅の家賃については上げていきたい、あるいは公団住宅の共益費用等についても上げていきたい、こういうふうにいわれているわけでありますし、また、東京あるいは大阪の高速道路の料金も百五十円から二百円に上げていくというような意見がずっと出ているわけでありますが、そういう点で、長官が公共料金はストップするのだと言うものに対して、引き続き公共料金値上げということが出ているわけです。まだそのほかにもあるかもしれません。いまあげたような、都内における私立高校の授業料値上げ、それから高速道路の料金、大手私鉄の料金、それから公営住宅の家賃、共益費用、こういうようなものに対してどういう措置をおとりになるつもりなのか、この点について一つ。  それからもう一つ、時間がありませんから……。万国博がこの十五日から開幕されるわけでありますが、この万国博について外人の参観者も非常に多いというようなことで、この前も私ども福岡県に視察に行きましたときに、消費者モニターから、一部の業者がタマネギ等々についてはどうも買い占めをしているというようなことが言われておりますし、また、最近の新聞でも、サケ、 エビ、タコ、あるいはオヒョウ、こういうようなものもたいへん値上がりをしている、これは万国博によるところの業者の買い占めではないか、野菜等におきましても、いま話が出ましたタマネギ、ジャガイモ、あるいはレタス、そういうようなものもたいへん値上がりをしている、こういうようなことが言われているわけでありますが、この前、オリンピックにはあまり外人が来なかったというようなこともあったかもしれませんけれども、今度の場合には半年という長期間でありますし、かなりそういう点では外人客も見えられるし、あるいは外人客だけではなしに、日本国民かなりこれには動員をされるであろうというふうに予測されますと、そういう意味での万国博を中心としての万博物価というものが吹き荒れる心配が非常にあるわけであります。それにかてて加えて、おそらく交通事情の混雑ということで、そうした生鮮食料品の輸送というようなものも、また、とだえてくる心配があるわけでありますが、こうした万博物価、こういうものに対してどういう措置をお考えになっておるか。  この二点をお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  10. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 私も、私立高校の授業料のお話を新聞で見まして、びっくりしたのでありますが、これは残念ながら、いわゆる公共料金といいますか、政府が手のつかない形に現状ではなっております。そういうことで、私たちもいかんともしがたいんですが、これは記事なんかを読んでみましても、生徒の数が少なくなって経営難に陥るとか、そういうようなことで、もし上げていけばじり貧になって、悪循環になるわけですから、これはこれでむしろ教育自体の問題としての問題があろうと思いますし、そういうことで、文部大臣にも私これを善処を求めてみたいと思っておるのでありますが、遺憾ながら、公共料金という範囲ではないのであります。  公団、公営住宅の家賃の問題、私もまだ耳にいたしておりません。どういうことに建設省が考えておりますか、これはさっそくひとつ検討したいと思います。  それから高速道路、これについては、やや普通の物価とも違う点もありますけれども、工事との関係を考えまして、新たに相当の路線が開通するというようなときに、料金主義に立っておるたてまえ上、料金の引き上げを認めざるを得ない、こういうことがあることは事実でございます。いま御指摘になりましたような点がございますけれども、もちろん、私のほうは、公共料金については、できるだけこれを押さるように——「極力」というのは、はなはだ何か、不十分、あいまいなような感じをお与えしているのでありますが、もちろん、物価の一部でありますからして、絶対永久に据え置くということも可能でない場合も十分あるわけであります。しかし、私たちとしては、十分納得がいくというか、絶対に、安易な態度でもってこれを認めるというようなことをするつもりは毛頭ございません。各省においても十分審査してもらいますが、私たち自身も十分審査をし、そうして閣僚協議会にかけるべきものはかけるという手続を十分踏んで、そうしてできるだけひとつこれについては安易に流れないようにやってまいりたい、そういう気持ちでおります。  それから万国博の問題ですが、これは実はいろいろのうわさが流れておりまして、私どももちょっと調べてみたことがあるのですが、われわれが調べますと、地方都市別の、そこの物価の情勢というものを指数的に調べてみたりする以外にないのであります。どうも、言われているほどに、万国博のために物価の水準が上がっているという数字がつかめないようであります。タマネギなんかの例の思惑というようなことは新聞の記事でわれわれも拝見しまして、心配をしております。あるいはそういう事実があるかもしれません。まあ逆に、思惑のあとでこれが暴落するというか、下落をするという事態も十分に考えられるという話でありますが、これらの点の実態は必ずしも十分につかめておりません。むしろ、もうすでに万国博が開会の運びになろうとしているわけでありまして、今日までの一年なり二年間、相当その地方の物価に刺激的であったじゃないかということは、これは一般的に私は十分言えると思います。ただ、よく、何というのですか、大工さんであるとか建築関係賃金がこれで非常に上がったり、また、建築関係関係する価格なり物価が相当上がったんじゃないかということで調べてみるのでありますが、まあ現在、残念なことに、むしろ大阪より東京のほうが高いという状況です。これはまあ、結局、全体としての需要と供給の関係でこういう事態になっていると思います。ですから、この中に隠されておる万国博の影響というものは明らかに理論的にはあるはずですし、隠されていると思うのですが、数字的には必ずしも的確にはつかめてない、こういう実情でございます。
  11. 横山フク

    委員長横山フク君) 鈴木君。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん時間に制約されておりますから、私はもう前段は全部抜きにして、端的にお尋ねをいたします。  本来、これは、世界経済の見通しや国内経済のこれからの見通しを十分お聞きした上でないと失礼な質問になるかもしれませんが、いま外貨準備高が三十六億をこすというような見通しの中で、これは外国筋からの意見もあるかもしれませんが、世上、円切り上げについていろいろ意見のあるところですが、経済企画庁長官として、この円切り上げに対してはどういうふうな、いまお考えをお持ちになっておるか、まず、これを最初にお伺いしておきたいと思います。
  13. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) これにつきましては、直接に通貨価値の維持の担当者である大蔵大臣は、もう触れるのもいやである、この問題、もう答弁するのも問題にならないというくらいに、きびしくこの円の切り上げについては拒否しておりますが、まあ私も、円の切り上げということは、まだ日本の今日の立場において、考える必要もない、そういう時期でもなければ、必要もないと、こういうふうに実は考えておるのでございます。もちろん、かねて物価対策の一環ということで、輸入価格を引き下げるというような意味からいっても切り上げが有効じゃないかという議論のあることは十分承知しております。ただ、これには、私はいろいろな前提が要ると思うのでありまして、現に、西ドイツ、あれだけ相当力のある国でございますが、一九六〇年に第一回の切り上げをやって、これは失敗といわれております。これはたしか五、六%やったと思いますが、それで、この間もなかなか踏み切らなかったのですが、とうとうまあ踏み切りましたが、どうも結果は、予期したところとだいぶ違った結果になっておる。これはいろいろと、事情が、条件が違うところもありますから、一がいには言えないと思いますが、切り上げをしたからすぐ物価が下がるというふうに、なかなかならない。私は物価対策の見地からこれを重視しているのですが、どうもうまくいかない。たとえば、千円で入ったものが九百円でもって入ることになるはずなんですけれども、その際に、千円のものを正直に九百円に下げてくれるということの保証が要るわけであります。もしそれが行なわれませんと、物価は下がらなかった、逆に海外競争力だけは弱くなってしまった、こういう点だけが残ってしまう、こういうようなことでも困るわけでありますから、よほどこれらについては十分に考える必要がある。特に、御存じのように、日本におきましては、まだ輸入制限、これがずいぶん残っております。でありますから、円の切り上げをやって輸入の促進をはかろうということになりましても、肝心の輸入制限の網が張りめぐらされておりますと、十分の効果を発揮しない。そういう意味においては、まあ日本は、まだまだ輸入制限の撤廃、その他自由化をまず進めることが先である、そして、ある意味において裸の経済になる、そういうことからやはり手をつけていく、その結果として日本というものがりっぱに世界経済の中で一本立ちをしていけるかどうか、その際において、この円の切り上げということが国際的にも取り上げられるかどうか、そういうことになろうかと思うのであります。少なくとも現状においては円の切り上げは問題にする必要はない、こういう感じを持っております。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 大臣から、その必要がないという理由を伺いました。一つは、日本経済にどういう影響を与えるかということだと思いますね。もう一つは、それとの関連で、あなたの所管の物価にどういう影響を与えるかというところに、まだ、確たる見通しと言いますか、ないように伺っておるわけですが、実は、松永安左衛門さんが理事長をしておる電力中央研究所というものがございますが、これは大臣も御了承と思いますが、ここで、計量モデルを使って、円切り上げが日本経済に及ぼす影響というものを体系的にかなり詳しく分析をして、その結果として、円の切り上げは物価安定に役立つし不況は招かない、こういう結論に達したということを私たちは聞きました。計量モデルは、日本経済研究センターがつくった国民経済短期予測をモデルにしておるようですから、これは相当確実性のあるものであると私は思いますね。ですから、あなたの言われる物価安定に役立つかどうかという問題についても、すでにこういう権威ある結論も出ているわけですから、そこいらを十分考えていただいて、もう少し私は、そんな、どこ吹く風かわからぬような、のんきなことに聞こえるようなことでなくて、真剣にこの問題には政府としても対処してほしい。特に物価の面から、長官のおっしゃったような点もあると思います。ですから、この点も、もう少し突っ込んだ検討をしていただくように私は期待するのですが、いかがですか。
  15. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) この松永さんの研究所の計算のこまかい点は、実は私も十分研究しておるわけではございません。新聞等で簡単にちょっと拝見をした程度でありますから、いま御指摘のような点は十分に一ぺん検討させます。まあ結局、マクロの数字は数字としまして、問題はやはり条件だと思います。ですから、どういう条件を設定し、どういう条件が見のがされているか、そこいらをよく検討さしていただきます。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、次に、当面の物価問題で少しお尋ねいたします。  二月二十七日に総理府統計局が発表しました一月の全国消費者物価指数を拝見しますと、一月の全国消費者物価が、前年同月に比べて七・八%、実は五十七カ月ぶりの大幅上昇をしているんですね。二月分については、もしおわかりでしたら教えていただきたいと思いますが、まだ数字が確定しておりませんから、私もつかんでおりません。しかし、引き続き上がっていることは間違いない。そこで、政府では、四十四年度物価を四%台に押えたい、こういうことを盛んに言っておられました。あなたの前任者の菅野長官も、そういうことを繰り返し繰り返し言っておったわけですが、ついに五%をこすという羽目になって、二月の十四日の閣議で五・七%に見通しの改訂をいたしましたね。ところが、私はこの五・七%の根拠をいま聞きたいんですが、聞きたいんですけれども時間がないから、それはいいです。いいが、 この一月、二月、三月にかけての生鮮食料品を中心とする異常な物価高、こういうものを考えましたときに、五・七%では私は済まぬと思うんです、見通しとしては。大体どういうふうに長官としては見ておられるか。六%をこすと私は見ているんですが、どうでしょう。
  17. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 前長官が四%とおっしゃったそうですが、御存じのように、四十四年度の当初見通しは五%だったわけです。そこで、この五%の見通しが、結局、五・七に中間で先日変えたわけです。このときは、十二月までの——十二月相当上がっていたんですが、十二月まで上がっていたのを、かりに横ばいにした場合、まず五・七という計算だったんです。その後また一月になりましてたいへん上がってまいりました。率直に申し上げまして、私は六%をこえると思います。なかなかこれも、しかし、専門家と議論していますと、三月に落ちるかもしれぬ、そういうふうに確定的なことは最後まで言えない、こういう話もあるんですが、いまの勢いでいくと六%をこえるんじゃないか。いま御質問のありました東京都が、季節商品等を含めまして二月が八・二です。でありますから、残念ながら六%をこえることになる、こういうようなことになろうかと思います。そういうことです。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 これは、暮れの総選挙のときにも、自民党が、物価安定というのは至上命令であって、これには絶対力を尽くすということで、国民にも公約をしているんですね。ところが、正月早早、さっき竹田委員からもお話があったように、横浜、名古屋等六大都市のタクシーが値上げになりました。それに続いて、理髪料、パーマネント、入浴料、これが値上げになり、また二月から医療費が上がり、加えて生鮮食料品、白菜、ホウレンソウ、キャベツ、ネギ、大根、ジャガイモ、大衆野菜が非常な値上がりをしておる。したがって、国民としては、政府物価安定政策を求め、自由民主党も政党内閣としてそれを約束をしておるものですから、大きな期待を持っておったと思うんですが、その期待がみごとに裏切られた。こういうわけで、もう自民党には期待できない、政府には、極端に言ったら。そういう、私は、あきれてものが言えないというような実情にあると思うんです。さっきもいろいろ聞きましたけれども、もっと経済企画庁というのはリーダーシップをとってもらいたいんですよ。そうでないから、会社の宣伝部長だなんという皮肉を言われてしまうんであって、経済企画庁を置いた経緯というものを私たちはよく知っておりますから、それだけに、もっともっと強力なリーダーシップを持って、各省庁との関係において安定政策推進してもらわなければ、こういう状態はちっともよくなっていかない。そうでなかったら、物価庁でもつくって竹田委員が言うようにしなければ、これは何にもならぬのです。ですから、もう少し、こういうふうな国民の期待を裏切るようなことでなくて、前向きな積極的な安定政策というものを打ち出してほしいと思うんですがね。  長官は、大阪の万博便乗の問題についても、上がってないようなことをおっしゃいますけれども、東京よりもむしろ安いようなことをおっしゃるのだけれども、実際に大阪商工会議所の発表による資料を見ますと、たとえば、タマネギも四百五十グラム二十円のものが一挙に七十円に上がっている。キャベツも百グラム二円が六円になっている。一枚十円の油あげが十五円になっている。これは相当値上がりしているのですよ。これは明らかに万博に便乗した一部の業者の、そういう悪徳業者のやり方だと思うのですよ。だから、これを何とか押えるという方法を十分考えるべきじゃないですか。そして具体的に、まあ異常乾燥があったか何か知りませんけれども、こういうふうな異常な物価上昇がある場合には、外国からの輸入も、できるならばどんどんやったらどうですか。私は、タマネギなんかは、これは自由化品目になっていますから、もっと思い切って入れたらどうですかね。当面こういう物価高に苦しむ国民気持ちをよく考えるならば、もっと納得できる安定政策、値下げ政策というものを示してもらいたいと思うのです。これは、農林省からもきょう私は出席を要求しておりますので、この当面のどんどん値が上がってまいります物価抑制策というものを、具体的に、きょう示してもらいたい。
  19. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) いろいろなものが上がったということで、政府物価政策について信頼がおけない、こういうお話がありました。私たちも、できるだけ上げないようにしておるつもりでありますが、ただ、多くの物価の中で、公共料金の数目もずいぶん多いのであります。でありますから、それが何らかの料金が入れかわり立ちかわり毎年爼上のぼってくる、こういうことは事実であります。それでも私たちとしてはできるだけ押える——タクシーの料金にしましても、これはまあ昨年の暮れにきまったことでありますが、いろいろ事情を聞いてみますると、五年間ずっと据え置いておって、そして結局、サービスの質が悪くなる一方であるというようなことを考慮して上げた。ただし、そのアフター・ケアは、御存じのように、必ずしもうまくいってないことは御存じのとおりでありますけれども、しかし、そうした経緯に基づいて上げておりまして、決して安易に上げているというわけのものではないと私は思うのでありますが、しかし、何らかのものが毎年爼上にのぼってまいります。私鉄料金が、四年間据え置くという約束で、今度ちょうど四年目がやってまいった、こういうことで、いま問題になっております。これは、今後運輸省等と検討しまして、どういうふうにするか、私たちも十分これを慎重に取り扱いたいと思っておりますが、しかし、総体として見ますと、公共料金のいままでの上昇率というものは、全体から見るとだいぶよくなっておることは事実であります。まあ、毎月何か話題があるものですから、どうもこれが物価全体をおおっているような感じを大衆の皆さんにお与えしておる。その間に、いま御指摘になりましたような便乗値上げ、こういうことが明らかに行なわれておることも事実でありますし、理髪その他の点は、われわれもちょっと手のつかない、公共料金外の問題でありますけれども、しかし、こうした問題も、今後、人件費が上がったからといって野方図にこれを上げていいものではございません。こういう点も、いわゆる公共料金外でありますけれども、どういうふうにして扱うか、ここいらもひとつ十分われわれのほうとしても考えなきゃいかぬと思っています。  野菜にしましても、ちょっと値上がりがひど過ぎる。私も、着任しまして最初に、野菜のあまりな急激な上昇にびっくりしたのであります。農林省もタマネギの台湾からの輸入やなにかやっていますけれども焼け石に水である。出荷の督励をやっておるけれども、もともと前年非常に豊作で暴落したものですから、作付け面積が減ってきておるところへ、この雪であるとか干ばつであるとかいうことで、もう生産地自身の出荷量というものが基本的に減少しておる。しかし、かりに出荷量が減少をするにしましても、そういう野方図な値上げを認めるような現在のやり方というものは、明らかに私は問題があると思います。そこで、まことにおそまきではあるのでありますけれども、いま物価安定政策会議でもこの問題を、特に生鮮食料品等を中心にしまして、至急にいま私たちも検討、提言を求めております。とにかく、今日ではべらぼうな上がり方のないようにこれは考えなきゃいかぬと、こういうことを深く感じております。  どうも、一つ一つ取り上げますと、大きく上がっておるわけであります。ただ、現在いわゆる生鮮食料品のような季節品を除きますと、まあまあ五%くらいのところで一応あるわけであります。もちろん、これで満足できるものじゃございません。これを今後下げていくように努力をなお続けていきたい、そして、そういう季節的なものについても、一つ一つできるだけ暴騰を防ぐ、たとえ天候がどうあろうとも暴騰を防ぐような対策というものも十分ひとつ研究しなきゃいかぬ。これはもう、農林省にもやかましくいま言っておりまして、私たちも一緒になってこれを研究しなきゃならぬというふうに感じております。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 どうも抽象的に、値上がりを防ぐためにいろいろやっているということだけでは納得できませんので、もっと具体性を持った、そういうような——タマネギがたまたま出ましたから、タマネギについては一体どういうことで安定させますという、そういうことを国民の前に明らかにしてもらわなければ、国民は納得できないのですね。確かに、台湾から七千二百トンの緊急輸入をするということを発表しておりますよ。その後それがどういうふうに輸入されているのか、聞きたい。それからさらに、民間のほうでも、オーストラリアとかニュージーランドから三千トンくらいのタマネギを輸入したいという、そういう輸入ワクの払大を申請していると思いますけれども、そういうものをどんどん許してやってどうですか。もう少し積極的に、輸入によって、そういう上がる品物は、物価は下げていくというような積極的な姿勢を示してもらいたいと思いますよ。
  21. 小原聰

    説明員(小原聰君) いまお話がございまして、野菜輸入の関係について、農林省でございますが、御説明いたしたいと思います。  生鮮野菜の輸入につきましては全面的に自由化されておりまして、商社としても採算が合う限り幾らでも輸入できるということになっております。このうち、タマネギにつきましては、計画的に輸入をする物資といたしまして輸入組合が結成されておりますが、長官からもお話がございましたように、当初の計画六千トンでありましたものを、タマネギの値段の高騰ということで、これを急遽七千二百トンに増ワクをいたしたわけでございますが、これも、台湾の供給事情を十分勘案しまして、供給余力一ぱいに近いところまで輸入の計画数量をふやしたわけでございます。  今後、タマネギにつきましては、いまちょうどタマネギの品がれの時期でございますけれども、三月の末になりますと浜松のわせのタマネギが出回ってまいります。四月になりますと西のほうから黄タマネギという黄色いタマネギが出回ってまいるということでございます。農林省といたしましても、一月、二月の野菜の異常値上がりということに対しまして、出荷の面におきまして促進をするということで、地方農政局を通じまして指導いたしておりますけれども、この結果も若干ございまして、最近では入荷も一月に比べますとだいぶふえてまいっておる。卸売り価格で見ましても、二月の上旬をピークにいたしまして、その後卸売り価格の面では若干値下がりをしているものが多いということでございます。  以上御説明申し上げました。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 いや、よく聞いておいてから答えてくださいよ。七千二百トンの緊急輸入をやっている。実際に幾ら入ったかです。
  23. 小原聰

    説明員(小原聰君) 台湾からのタマネギの輸入につきましては、きょうの午後、横浜に船が到着することになっております。上場はあすからということになろうかと思いますが、これに引き続きまして、順次台湾からのタマネギの輸入の船が日本に到着をするという予定になっております。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 きょう来るのは何トンあるのですか。
  25. 小原聰

    説明員(小原聰君) ちょっと詳しい数字をいま持っておりませんが、二十キロの箱で、たしか九千箱ということと聞いておりますが、第二船はもう少し数量がふえてまいると考えられます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 ワクの拡大のやつは、ひとつ長官から答えてください。さらにオーストラリア、ニュージーランドから三千トンの輸入を考えている……。
  27. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) これは、私は、まことに申しわけないんですが、いま伺いました。いま初めて伺いましたが、これはもちろん採算に合うものはどんどんはいれるはずなんです。いまの説明もありましたように、はいれるはずであります。ですから、具体的にどういう手続になっていますか、これらももちろん促進するような方向でもって当然やるわけでございます。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 農林大臣と相談してやってくれますか。
  29. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) これはさっそく相談しましょう。
  30. 横山フク

    委員長横山フク君) 阿部君。
  31. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 佐藤長官に、二、三御質問したいと思います。  ただいまお話がありましたように、一月の消費者物価指数は総合でもって前年同月比で七・八%、前月十二月より一・六%暴騰したわけでありますが、このために、四十四年度の消費者物価上昇率は六%を上回るということは、ただいま長官もお認めになったようでございますが、六%も上回った非常な事態であると私は思います。このような大幅な上昇は、数字の上で、完全にもうインフレ的です。インフレ的な症状だ、こう断定せざるを得ないわけでございます。総理の諮問機関であります物価安定政策会議は、去る一月の提言で、「物価情勢は最近ますます激しさを加え、このような状況を放置すると、消費者・卸売り両物価上昇がますます激しくなり、日本経済インフレへの道を進む危険がある」、このように警告をしております。物価上昇は、国民生活を圧迫するばかりではありませんし、また、日本経済の根底を揺るがす重大な問題になってまいりました。そのような重大な時期に物価の安定を最重点課題として取り組んでおられる経企庁の新しい長官に対しましては、国民は非常に大きな期待を集めています。その意味におきまして、新長官の御健闘を特にお願いし、お祈りしている次第であります。  さて、四十五年度経済見通し経済運営の基本的態度、これにつきまして申し上げたいと思いますが、四十四年度経済見通しでは、経済成長率を実質で九・八%、物価上昇率が五%でありまして、これは先ほどお話がありましたとおりですが、しかるに、四十五年の見通しは、実質一一・一%と、一〇%をこえる高成長を見込んでいるのに対しまして、物価上昇は四%台、四・八%を目標にしておられるようであります。上昇率をそのように立てておられるわけであります。成長率と物価の間にはトレード・オフの関係があることは一般的にも認められているところでございます。もし政府が高成長のもとにおいて物価の安定を実現しようとするならば、具体的な物価安定対策を必要とすることは明らかでございます。成長率を昨年度当初の見通しよりも高く見込んでおいて、それで、物価上昇率を昨年度当初見通しよりも低い四・八%、こういうふうに見込んでおることは、装飾的、作為的な感じがいたしますのですが、この四・八%以下に抑制し得るということ、具体的な方策をひとつお示し願いたい。
  32. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 一般的に、成長と物価との間にトレード・オフ的な関係があるというふうによく言われております。これは、長期的に見ますと、確かにそう言っていいと思います。ただ、阿部さんも御存じのように、その年度年度によって、まあこれはいろんな事情があろうかとも思います。あるいは公共料金の抑制というようなことになりますと、いわゆる経済外の事情も入ってくるわけであります。  それで、いまのお示しの、四十四年の見通し九・八の成長で五%と見通した。ただ、これは、御存じのように、実績で申しますと、九・八が一三・二になってしまいまして、そうして、五・〇というのが一応五・七にしましたが、これは、いま御指摘のように、六%をこえようというところでございます。この実績で見ますと、やはりトレード・オフ的な傾向は、まあ、あまりいい形じゃありませんが、あらわれているというふうな感じはします。昭和四十一年が、たしか実績が、実質成長率一一・四でありまして、物価が四・七であったと思います。そういうようなことでありますから、決してできない相談ではないと、まあ私たちは思っております。もちろん、あのときとは事情は違っています。あのときは不況の四十年から立ち直ろうとした年でありますし、今日は四年間続いたところの高度成長が加速度を加えてきておるということで、むずかしさとか、事情はいろいろと違う点はあろうと思うのであります。が、御存じのように、五・七、あるいは六・〇というようなことも、まあ季節性の食品の関係でありますので、それらを除いた点は大体五%ぐらいのところに、今日、四十四年度、大体いく見込みなのでございます。  それで、来年の見通し、四・八というのは少しきつくないかというお話でございますけれども、そうした季節商品以外のものも、やや安定をしながら、ちょっと強含みです、率直に言いまして。しかし、これをやはりわれわれ何とか努力によって、それを押えていきたい。一方、卸売り物価が上がっておりまして、この卸売り物価と消費者物価との共通品目がずいぶんございます。この卸売り物価の上がりというものを押えるということが、同時に、消費者物価上昇をある程度抑制する、こういう足しになるものがずいぶんあります。そういう意味においては、私たちは、いま金融引き締め効果というものを非常に重視しておりまして、卸売り物価がどの程度これによって鎮静するか、あるいは海外も少し落ちついてきている面もありますが、そうしたことも頭に入れて、全体として消費者物価がそうべらぼうには上がらない一まあ、季節商品、いまの野菜やくだものでありますけれども、私たちもびっくりしたんですが、これは何年ぶりの異常な事態のようであります。そうした特別のことは別といたしまして、来年多少の値上がりが、かりに生鮮食料品が、何か季節的な理由であったとしましても、天候その他でありましても、大体その程度のものをのみ込んで、大体四・八ぐらいのところに、全体の物価が、いまの情勢から推して、何とかいけるのじゃないか。これは、ある意味においては、作為的という御指摘がありましたけれども、同時に、私たち政策努力の目標ということでもございます。そういうこともあわせて、まあ四・八ぐらいに何とか持ってまいりたい。こういう感じであります。
  33. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 あまり具体的な方策ということについては伺えなかったのですが、いまの長官お話の中で、それぞれ具体的に発展があると、こういうふうに思います。  その中に、先ほど触れられましたが、輸入自由化の問題です。これは、いまおっしゃっている中で、野菜の問題、これはもちろん自由化している。そのほかには、別に普通雑貨、それからその他のものがたくさんありますが、この自由化について、いままだ残存輸入制限税目が百十八、これを六十六税目にするというふうに政府では決定しておりますが、四十五年度に一体どのような計画を考えておるか、政府として。ちょっとお伺いしたいと思います。  それからもう一つ、外国からも安いものを輸入する、いままで輸入しておりましたのですが、国内において実際に消費者の手に入るときには非常に高くなっている。むしろ、国内の製品の値段を引き下げるという作用をするための意味の自由化だろうと思いますけれども、そうでなくて、国内の高物価に右へならえして、せっかく輸入しても、国内の物価に協調すると言いましょうか、同調するようなかっこう、これが現状じゃないかと思いますので、この点についてどういうふうにお考えですか、ちょっと……。
  34. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 輸入の自由化の問題は、御存じのように、百二十品目のうちで、半分を四十六年の末までに一応やる、残りのものについてもできるだけ繰り上げるように努力する、こういう決定になっておるわけでありますが、四十六年の末までと言っておりますものも、まず六、七割は四十五年中にやりたい、こういうふうに考えております。なお、四月あるいは六、七月のころにも繰り上げてやっていきたいと、いま検討をしております。  それから、いま御指摘になった点が、まさしくあります。輸入が自由に行なわれても結局いろいろな形でもって価格が下がらないじゃないかというものがあるわけです。これは、率直に言いまして、流通機構の問題に関係する問題が非常に多いと思います。これらは、私たちも、そういうあまり顕著なものからさっそく検討しまして、そして、せっかく輸入の自由化をしたのに何か特別な仕組みのためにそれが下がらないようなことになっておりますということがわかれば、これはやはり十分検討して、これを下げる方向に持っていかなきゃならぬと思っております。そういうものがなかなか多いようでありますから、これはわれわれの一番大事な一つの検討課題だと思っております。
  35. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ただいまの生鮮食料品の問題が出ていますし、また長官も、生鮮食料品の流通合理化のためには格段の努力を払うというような御決意と承っておりますが、流通の不合理にメスを入れるために、流通機構を詳しく分析し、そして流通コストの指数として一目でつかめるようにしようというねらいの流通コスト指数を作成する費用、これが、本年度、四十五年度予算には計上されておらないように見受けますが、どうしてでしょうか。  それから、聞くところによると、これがもし完成すると、世界に例を見ないような画期的な物価統計になるということで、三年がかりで研究していたようですが、この辺、実情をちょっと御説明願いたいと思います。
  36. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 政府委員に説明させます。
  37. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) お尋ねの流通コスト指数は、経済企画庁調査局で検討を二、三年にわたってやっておりまして、何とかその実現方を努力してまいったわけでありますが、品目別に具体的に調査していかなきゃなりませんので、それを各都道府県に依頼しておりましたが、四十五年度は各般の調査が非常に錯綜するということと、この調査かなり手数のかかる、具体的な品目によって生産者から小売り段階まで全部追跡していくという非常に手間のかかる調査でありまして、まだ十分、それだけ手間をかけて効果があがるかどうかの自信が持てませんので、もう少しその辺の検討を進めてから実施に移したい、こういう段階であります。
  38. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、来年度あたりには一応でき上がるお見込みでございますか。
  39. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) 四十五年度では、ただいま申しましたような理由で、具体的な調査を実施いたしませんが、さらに検討を進めまして、何とか実効ある調査ができそうだという目安がつけば、ついたときにやるということになろうかと思います。四十六年度にやるという目安はまだはっきりついておりませんで、実効があがるかどうかの検討をさらに続けているという状態です。
  40. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 先ほど竹田委員からもお話が出ておりますし、また、その後も公共的料金のことについていろいろお話がございましたが、公共料金を抑制していくというような方針のように承っておりましたけれども、やはり物価を安定させるためには、どうしても公共料金という、最も政府の力できめることができるようなもの、これを押えていくことが一番大切なことじゃないかと思いますし、したがって、経済企画庁におかれても公共料金を押えていくということについては格段の御努力を願いたいと思います。まあ大いに御信頼申し上げるわけなんですけれども、この公共料金の値上げ、これは、公共料金そのものだって、やはり値上げを絶対に押さえるということが可能不可能という判断が出てきますし、無理に押さえても、結局二年、三年たつと大幅な修正をしなくちゃならぬということにもなりますけれども、しかし、現在物価の値上がりというのは、ほぼ定着しているといいましょうか、物価は上がるものだというムードに全国的になっておりまして、こういうムードを打破するためにも、たとえ半年でも一年でも、物価をとめる、安定させる、そのために公共料金、要するに政府の力、だけで、一般の経済界の協力とかその他なくても、政府の方針だけできまる、この物価を安定させるための手段として、公共料金をストップさせる、絶対一年間なら一年間上げさせない、そういうような御決意が必要じゃないかと思いますけれども、これについて長官のお考えを承りたいと思います。
  41. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 公共料金は確かに一つの目安になる問題でありますから、私たちもそういう意味で慎重にやらなきゃならないと思っています。たしか、三十九年でありましたか、阿部さんの御指摘のようなことをやったのですけれども、必ずしも実は成功しなかったのです。そのあとでもって、ぼんぼん上がってきまして。一年間ひとつ押さえてみようということで、やったことはあるのです。まあしかし、いずれにしても、公共料金をやはり押え、いや応なしに合理化に追い込むということは私は大事だと思いますから、御趣旨のようにできるだけ押えていく。まあこれは一律に、一年間がいいかどうか、過去の経験等もありまして、もちろん、そのとき足らない分を直せばいいわけなんですけれども、やはり多少の無理は出てくるのじゃないか。こういう感じはいたします。それよりも、一つ一つのものを何年間か押え込んでいく、こういうやり方を一つ一つ積み上げていくということで、やはり目的が達成されるのじゃないかとは思っておりますが、まあこの間、通運料金のときにも、例のパレット方式を使うとか、コンテナ化をするとか、いろいろ条件をつけているわけです。問題は、そういう条件をトレースを十分するかどうか、そういうことも伴わないと、結局合理化が進まないわけです。今後はそういう方面にも十分力を入れなきゃならぬかと、こういうふうに考えております。
  42. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ、公共料金ストップのことについては三十九年の例をあげられましたけれども、三十九年と現在とはだいぶ情勢も違うと思いますし、まだあの時代は、現在ほどの物価の値上がりというものは定着していない時期だと思います。また、当時の景気そのものも、現在のような過熱化しそうな雰囲気じゃなかったと思います。そういうわけで、三十九年にうまくいかなかったからこの方法はやめるというようなお考えではなくて、むしろ、長官として蛮勇をふるって、この際物価を安定させてみせるというような決意で対処していただきたいと、こう思う次第でございます。  なお、時間もございませんので、次にまいりますが、先ほど竹田委員からも御質問があったことで、重複する個所もありますが、財政の規模と物価関係でございますが、これは、長官のいまの竹田さんに対する答弁については、まあ民間のほうの過熱というようなことに対して非常にファクターが多いんだというような発言でございましたし、また、そのためにも、景気の過熱を押えて物価の安定をはかるためには、むしろ、現在の金融引き締め政策、これに重点を置いているんだということでございますが、しかし、ほんとうに物価の安定のための効果をあげるためには、金融財政と、この一体になった政策運営、いわゆるポリシー・ミックスが必要だと、こういうふうに思うわけでございます。この点から、四十五年度予算につきましては、できるだけ支出規模を押えて、財政面から景気を刺激しないことが望まれておったわけでございますが、しかし、政府案によりますと、一般会計の伸び率は一七・九%、財政投融資の伸び率が一六・三%、これは、四十五年度の総生産伸び率一五・八%、これは名目でございますが、これをはるかにこえております。物価安定という立場からは、景気刺激性の強い、物価上昇が濃いものとなっておりますけれども、この点、いかがでございましょうか。
  43. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) まあ、先ほども御説明しましたが、同時に、政府財貨サービス購入伸び率というものを、もうちょっと押えるべきであるという御意見もあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、一面で、やはり財政というものの持つ資源配分機能というものもある程度重視しなければならない。そこで、今度は、まあ財政景気政策に対する適応のしかた、いろいろあろうと思いますが、財政規模というよりも、むしろ重点は、法人税の引き上げであるとか、あるいは国債関係を千二百億円減額するとか、そっちのほうでできるだけしっかりやる、そうして、一方において、全体としての規模は、いろいろとそういう御意見もありますけれども、まあ公共事業あるいは社会保障、そうしたものの推進というようなことで両者をからみ合わせて、いわゆる警戒中立型の予算というような気持ちになっておると思うんです。まあ、法人税引き上げにつきましても、いろいろ議論もあります。もっとやったらという意見もありますが、まあまあ、初めての試みとしてはよくやったと私は思っておりますけれども、そこいらがからみ合って判断していいんじゃないかと思っています。もちろん、歳出面でいろいろとまた、やらなきゃならぬことがあるにしましても、全体の経済をこわしてはいけないわけですから、御指摘のように、私たちも情勢に応じて、前にもやったことがございますけれども、また先ほど竹田さんから御指摘がありましたような繰り延べの措置をとるとか、景気に応じて弾力的に対処してまいる、そういう姿勢だけは常に保ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  44. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 時間がなくなってしまったんですが、もう少し続けたいと思いますが、ごく簡単にもう一問お願いします。  先ほど竹田委員からもお話がありましたけれども、要するに、通貨の供給抑制ということは物価の上において非常に大きな影響があると、こういうふうに思うんですけれども、これは、数字を見ますと、昨年中の卸売り物価急騰に先行して、金融面でマネー・サプライの急増していることでございます。特に、昨年一月から三月期には、前期比伸び率で一九・三%、四月−六月が二四・八%、七月−九月期には二三・三%増になっておるわけでございます。金融引き締め実施後の十月−十二月期に至って若干鈍化したとはいえ、なお二〇%余り高い増勢が続いていることは御存じのとおりでございます。このことにはいろいろと複雑な条件もからみ合って、単純に結論を出すことはできないと思いますけれども物価上昇一つの要因になったと考えられるということは事実でございます。  それで、昨年来日しましたフリードマン・シカゴ大学教授は、インフレ原因が不適当な急速な通貨の増発にあり、インフレ抑制のための唯一の効果的な方法が通貨増加率を引き下げることであると明言しております。また、物価安定政策会議提言でも、このような最近の高い通貨増加率にかんがみ、政策当局が当面一そう通貨量抑制し、物価安定と経済の健全な成長の実現にさらに努力することを期待したいと、このように述べております。四十五年にとろうとしております物価対策の中で、特に通貨面における具体策はなかったと思います。この点について長官のお考えを承りまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  45. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 率直に申し上げまして、四十三年の引き締めのあとということで、それの引き締めの解除をいたしまして、むしろ昨年の年初には、まあ供給過剰で景気にかげりが来るんじゃないかという議論が出たぐらいであったんですが、それが反転しまして、春から急激な生産上昇、それに伴って通貨の増発というものが目ざましい増加率で行なわれました。もちろん、対前年増加率といいますのは、その前の年の事情を調べてみないと何とも言えないんですけれども引き締め後にあったその前の年に対する増加率でありますから、多少の割り引きはしてもいいと思いますが、それにしても相当高い通貨の増発率があったことは事実でございます。そういうことで、いわゆる二割をこえるような状況が出てくるようになりました。まあそこで、結局、おそまきでありますけれども、九月から金融引き締めに入る、こういうことになったわけであります。最近、やや二〇%を割るような状況が少し出てきましたが、しかし、これで決して十分とはまだ考えられません。もうちょっと通貨の増発率というものを押えてまいらなければいけない。そうしてまた、それによって一体どの程度卸売り物価等が鎮静してまいるか、そこいらも十分見守る必要があろうと思います。そういう意味においては、現在の引き締め基調というものをしばらく続けまして、そうして模様を十分見たい、こういうふうに考えています。
  46. 横山フク

    委員長横山フク君) 中沢君。
  47. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 みんなで佐藤長官を総攻撃のような形になりますが、この間の長官のごあいさつの中に、先ほどから何べんも出ておりますけれども、「低生産性部門生産性向上、特に生鮮食料品の流通合理化のため格段の努力を払い、輸入の自由化や競争条件の整備をはかり、経済の効率化を進める」云々と、ごあいさつしておられるわけですね。そこで、私こちらに寄せていただきましたのは、ちょうど昭和四十年ですけれども、そのころに物価対策特別委員会というのができて、一番初めの長官が藤山長官であったわけですが、もうそのときから、ずっと一貫して、低生産性部門生産性向上をすると、こういうことが言われているわけですね。もう、まる五年たっているんです。それに、相も変わらずこのことばを言わなくてはならない、ちっともこれが進んでいない、こういうところに、私は、この物価問題の一つの大きなガンがあるんではないかと、こういうふうに思います。  そこで、これは新聞報道ですけれども、新聞の報道によれば、参議院の自民党さんのうわさを裏切って——裏切ってといいますか、思いがけなく予想を裏切って、佐藤さんが長官に抜てきをされた。非常に佐藤総理から信頼が厚い。そして、きっとおそらく手腕も高いいまの佐藤長官でございますから、この辺で低生産性部門生産性向上をやるというふうなことを再び三たび言わないように、何とかここら辺で強力な腕をふるっていただきたいと思いますが、その辺をひとつ伺いたい。
  48. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 私も、中沢さんと同じ実は感じを持っていまして、さかのぼって見てみますと、ずっと低生産性部門の構造対策というようなのが出てきます。まあ、それだけ一面においては問題もむずかしいのかもしれませんけれども、しかし、見るほうにとっては決して感心したものではありません。ただ、これはいままでの物価政策についての擁護になるかもしれませんが、三十年代の後半が、大体大まかに言いまして、六%台の物価上昇でありました。それが四十年代になりまして大体五%台の物価上昇ということでほぼ安定してまいりました。ただ、今年だけが、この野菜ということで、わりあいに安定しているつもりであったのが、予想外なことになりましたけれども、まあまことに、歯がゆい遅々たるものでありますけれども、やはり努力はしまして、それは実っているのだと私は思います。しかし、そんなことで十分だというわけでもありませんし、もう少し一つ一つの問題を具体的に解決をしていくという、いつまでも低生産性部門と言わないようにというお説は、私もよく感じはわかるのであります。しかしまた、どこまでもこの低生産性部門は残ってきますから、いつまでも出るかもしれませんが、問題は、具体的にもっとピッチを上げてこれをやれと、こういう御趣旨だろうと思います。まあこれは、実を言いますと、産業全体の問題でありますし、関係も深いのですから、いま非常に御激励をいただきましたように、これは内閣全体として取り上げるように、ひとつ企画庁が音頭をとって、物価対策の側面でもあり、産業政策でもあるわけですが、これを取り上げるようにしたいと、こういうふうに考えています。
  49. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ことしだけが野菜が特別に高いというのではなくて、去年はたいへん安うございましたが、おととしもおそらくずいぶん野菜が上がって、皆さんが騒がれたと思います。私も台所を預かっておりますが、去年はレタスが一個三十五円から四十円ぐらいことしは何と百七十円から二百円でなければ買えません。そして、この間私がちょっと調べてみますと、タマネギが一個五十円ぐらいするのです。大体このごろはポリエチレンの袋に入れてみんな売っておりますが、一つ買いがはやっているわけです。二、三日前のこと、麹町の市場に行ってみますと、何と、大根一本を三つに切って、三分の一にして売っているのです。いままで私は東京でこういう売り方を見たことはございません。大阪ではこういうことをやりますけれども。まあ、この状態を見ても、ほんとうにいまの庶民の暮らしがどれだけ生鮮食料品に苦労しているか、これでお察しをしていただきたいと思うのです。  先ほども万博物価というふうなことがございましたけれども、私どもも、そういうことはあっちでもこっちでも、ひしひしといろいろなところで聞かされているわけです。それで、この生鮮食料品について、天候の関係もあるでしょうけれども、私は、長官もおっしゃったように、流通合理化のための格段の努力を払うと言っているのですが、この流通機構に対して、これに本格的に力を入れていただきたいと思っております。  それはちょうど去年の十二月の半ばごろでしたが、あの選挙のときですけれども、私は鹿児島に参りました。鹿児島に参りますと、鹿児島はまあ生産地には違いないのですけれども、スーパーマーケットで売っている白菜が百グラム一円でございます。それから飛行機で飛んで帰って神戸に参りまして、神戸の市場を調べてみますと、二日経ったあと、神戸では、その白菜が、まあ種類も違うかどうかしれませんけれども、百グラムが五円から七円です。鹿児島は生産地には違いないけれども、それでもスーパーマーケットで売っているのが百グラム一円です。神戸ではそれが五倍から七倍ぐらいになっている。一体どこでどうなっているのか、どこでだれがもうけているのかと、こういうような感じを私は非常に強く持ったわけです。  そこで、流通機構ということにほんとうにメスを入れなければならないと、こう思いますのは、先ほど阿部議員もおっしゃったとおりでございます。そこら辺にほんとうに力を入れていただきたい、こういうふうに思います。そこで、いまの商取引の合理化、こういうことをやらなければならない。そうして東京とか大阪とかいうような大消費地に品物がずっと集まってまいりますけれども、それはやはり、いまの中央卸売り市場にいろいろ問題があろうかと私は思いますけれども、こういう大消費地にだけ物を集めるのではなくして、地方の市場にも支払い能力を強めれば、もう少し地方の市場にも物が集まっていくのではないか。そうしなければうそだと思います。それから、バイパス方式というのですか何というのですか知りませんけれども、たとえば、漁業協同組合、漁協みたいなところは、集配センター、そういうものをつくって、そうしてやるべきではないか。そうして、いまの流通の問題については、何か私どもしろうとで、よくわかりませんけれども、それにしても、先ほどの白菜の例をとってみても、特にその流通機構の大きな一つの動脈というようなパイプがない。行き当たりばったりで、スーパー・マーケットができればスーパー・マーケットの対策を考える、デパートが大きくなればデパートの対策を考える、どこかに市場みたいなものができればまたそれを考えるということで、継ぎはぎだらけのものを一つにして何かやっているような感じを受けるのです。そこら辺で、もしもそういう流通機構の太いパイプみたいなもの、そのことに長官が何かビジョンを持っていらっしゃれば、お漏らしをいただきたい。
  50. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) いま御指摘になった点は事実だと思います。実は、先ほどちょっと申し上げましたが、現在、野菜の関係等の提言を求めて、物価安定政策会議でもやってもらっているのですが、今度の調査は、単に中央だけでなく、消費者の末端までの追及をわりあいに克明に一生懸命やってもらっています。そうして、いま御指摘になりましたように、直結方式、こういうふうな問題も取り上げて、そうしてこれをぜひ農林省にも考えてもらって、そうしたパイプも同時につくっていく、そのことがやはり全体の合理化の促進にも非常になるのじゃないかというような感じを持っていますし、地方の市場を大きくするということはもちろん大事であります。これは、御承知のように、今度市場法を改正しまして、ぜひそれを実現したい。どうもしかし、最近の事情を聞けば聞くほど、相当大きくなっても、みんな築地に集まってしまう。築地に来ると、千住の市場で百円のものが、築地だと百五十円で売れる。千住も小さい市場ではないのだけれども、どうも持って行けない。これは魚であります。そうしたことがどうも全面的にある。一体こうした事態も、どういうことであるのか、ひとつよく研究をさしたいと思いますが、やはり、市場をできるだけ方々につくるということも非常に大事なことでありますし、そうしてまた、場合によっては、いまの直結方式を行なう。いずれにしても、いろいろなことが従来からのしきたりで行なわれているわけですから、これはできるだけ検討したいと思っております。
  51. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もう少しこの問題は煮詰めていきたいのですけれども、私も、三時二、三分過ぎたら、おそらく委員長から差しとめられると思いますので、ちょっと飛躍をいたしますけれども、先ほどからも出ておりました輸入の自由化ですね。この輸入の自由化によって必ずしも全部の物価は下がらないと思います。いまの阿部議員のおっしゃったとおりだと思うのですが、その中を一つとってみますと、たとえば砂糖の問題。今度チクロが禁止になりました。そうして、チクロが禁止になりますと、おそらく今度砂糖を使ったびん詰め、かん詰め、いろいろなものが値上がりをするのではないか。これをいま私ども非常におそれているわけですね。いままで七十円ぐらいで飲めたものが、ひょっとしたら九十円ぐらい出さなければ飲めないのじゃないか。こういうふうに、チクロが追放になったために、それだけ砂糖が値上がりをして、砂糖の輸入も、国内のテンサイ糖やなにかに配慮をされて、非常に砂糖は過保護されていると思います。この砂糖をもう少し引き下げる。たとえば、関税の問題、課徴金の問題、いろいろございますね。そういう点で、私は砂糖をもう少し安くしてほしい。砂糖を安くするか、あるいは今度、砂糖を使った、たとえばびん詰めのジュースみたいなもの、そういうものの免税点を上げて、物品税ですが、免税点を上げていくようなことをして、いままでのチクロで飲まされていたものも、砂糖を使ってもそれほど値上がりはしない、こういうひとつ英断をやっていただきたい、こういうふうに思いますが、そこら辺のお見通しを一ぺん聞かせていただきたい。  それと、もう時間がありませんから、最後にもう一つだけ、ついでに申し上げさしていただきたいのは、この間、婦人議員でみんな牛乳会社を視察に参りました。視察に参りましたときに、牛乳会社で伺った話ですが、やっぱり牛乳が生産地でも相当だぶついているし、それから町でも、なかなか最近は消費量が伸びなくて非常に困る。それから牛乳の容器ですね。びんでは中身よりも外身のびんのほうが重い。びんで配達をすれば、またそれを取りにいかなくちゃならないという、やっぱりいま人手不足の中で、そういう二重なことをやらなくちゃいけないとか、いろんな問題があるわけです。それで、いまだんだんこれをワンウェイ方式にかえていこう、こういうふうなことを一部で言われている。そして、今度紙袋にするならば、いまの一八〇ccだったのを二〇〇ccくらい入れて、そして牛乳をもっとたくさん飲んでもらおう、こういうようなことも考えられておりますけれども、ほんとうは、そのオートメーション化した、びんのあのりっぱな機械を、また紙のほうにかえるということが、なかなかメーカーのほうではむずかしい問題だろうとは思いますけれども、しかし、長い将来性を考えるならば、そこら辺にもやっぱり私はてこ入れをしなくてはならないんではないか、こう、いうふうに思います。  それから、もう一つは、先ほどからタマネギやジャガイモの話が出ておりましたけれども、こういうものも、いわゆる社会資本といいますか、政府のほうで、もっとほんとにお金を出して——たくさんとれたとき、その次は安くなるもんですから、次はつくらないわけですね、そうすると今度みたいなことになるのですから、大型の冷凍庫ですね、そういうものをやっぱり政府のほうが本格的に力を入れて、たくさんできたときにもかかえておくような、そういう社会資本を投下するような方法を考えてほしいと思います。  それから、これは少し話が違うかもしれませんけれども、この間、やっぱり農家に参りましたときに、農村のほうでは、またお医者さんの費用がかさむ、国民健康保険の値段が上がって非常に困る——特に、いなか、あるいは辺地、農村、そういうところに参りますと、お医者さんの来てがないんですね。診療所があっても、なかなかお医者さんの来てがない。それなのに、なぜ自分たちの医療費ばっかりが上がっていくんだろう、こういうふうな非常な嘆きの声も聞いてまいりました。そういうことですから、この物価問題というのは、タマネギやジャガイモばっかりではなくして、そういう医療費なんかもひっくるめて、とにもかくにも、いま国民の皆さんは非常に物価問題には神経を使ってるわけです。どうか、佐藤さんの長官であるときに、ほんとに一生懸命で、とにかく国民優先だということで、ほんとに本格的にやっていただきたい。こういうことを要望して、質問を終わらしていただきます。
  52. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 砂糖の問題は、まあ確かに非常に問題の多い問題だろうと思います。ただ、チクロの影響は、われわれも計算してみましたけれども、少なくとも計算上はほとんど取るに足らない数字になっております。ですから、もしチクロを砂糖にかえたという理由で、そういうものの値上げが行なわれるとしましたら、これは明らかに便乗値上げでありますから、これはわれわれも関係方面に注意を促すつもりでおります。しかし、この砂糖は、三十七年でしたか、八年、自由化になりまして、明らかにあのとき一ぺん下がりました。下がったんですけれども、国際的な相場とは、なお相当開きがある。結局、関税だ、物品税だ、あるいは課徴金だと、いろんなことがあります。これは、結局、国内産業との関係、これを私たちもやっぱり……。しかし、非常に高いと思いますので、よく見ておるのですが、つまり、砂糖の値段が二つございまして、オランダであるとか、国内の砂糖事業をかかえておる国の砂糖の値段、これと大体わが国はいいところにいってるんです。それから今度、外国の砂糖を中心にするイギリスとか、そうした国の値段から見ると、明らかに高いんです。まあそういうことで、結局、帰するところ、国内産糖事業を一体どう持っていくのか、ここいらの調整がむずかしいところでありますけれども、しかし、今後こういう御時勢になってきまして、やはりそうした高い保護関税をいつまでも固定しておくべきものでは私はないと思います。まあ、砂糖のほうの生産性が北海道でどの程度上がっていくかということも、からみはむずかしい問題でありますけれども、これはやはり、そのまま固定さしてほっておくという問題じゃなくて、やはり常に検討して、少しでもそういう余地が出ないか、これはやはり農林省とよく打ち合わせてみたいと、こういうふうに思っております。  それから牛乳の問題は、私はこれは、農林公庫にしても、そのほかの農林中金にしましても、今後の融資の問題を、積極的に、そうした新しい、たとえばワンウェイ方式というものにどんどん——金がどの程度出るか、これはやはり今後における牛乳の配給をどう持っていくかという方策がまずきまって、きまった上で、そうしたものにも十分金が回るようにすべきであると私は考えています。でありますから、牛乳の問題は何か非常にむずかしい問題のようですけれども、これは当然、配給制度の中で一番重要なポイントでありますからして、こうした点も検討をわれわれが怠ってはならないというように考えております。  タマネギの冷凍など、野菜の問題ですが、これは私たちも最初に考える問題なんですが、魚はどうやら日本は冷凍ということが家庭にまで大体しみ込んで、今日は冷凍魚というものを大体あたりまえというふうに消費者も考えてきておりますが、残念ながら、まだ野菜については、冷凍野菜ということがまだ一般の消費者に魚のようなぐあいにいっておりません。どうしても、鮮度というか、なまというか、そういうものを中心に求める。また、そういう意味では、食生活の習慣というか、パターンというものがそこまで進んできておらない。そのために、どうしても天候に支配される度合いが非常に高い。これはまことに残念だが、事実であります。しかし、結局、こういう経験を繰り返しているわけにいかないわけでありますから、あるいは多少全体としてのコストが上がっても、異常な高さがなくなるという意味で、そして生産地でばかに安くて消費地でばかに高いということをなくす意味においても、やはり野菜の備蓄というようなことも、これから十分に考えなければいかぬ。実際それがコストが安くて済むように、技術的な点から検討を私はしなければならぬ問題だと思っております。  お医者さんの問題は、実は私たちも頭が痛い問題でありまして、新経済社会発展計画におきましても、高福祉・高負担という一つの原則の問題があります。しかし、いまのようにサービスが全然上がらないで、それで負担だけふえるということになれば、これはその原則にはずれるわけであります。これは具体的な問題でありますから、こうしたものを、もっとサービスの中身をよくしていく。そうしなければ医療費を上げた理由が成り立たないわけであります。これはまた一つむずかしい問題でありますからして、簡単に解決できる問題ではありませんが、医療制度全体の問題でございます。ひとつ厚生大臣にもよくそういう点は今後の問題として話してみたいと思います。  まあ、一つ一つとりますと、それぞれむずかしい問題でありますからして、なかなか歯がゆいのでありますが、できるだけひとつ個別的に解決をしていくように進めていきたい、こう思っています。
  53. 横山フク

    委員長横山フク君) 渡辺君。
  54. 渡辺武

    ○渡辺武君 長官は、前回のこの委員会でのごあいさつの中で次のようなことを言っておられるわけです。「物価安定には必ずそれなりの代償が要求されるということであります。経済全体の効率化をはかり、物価の安定を達成するためには、従来の産業保護的な制度、慣行に大きな変化が要求される場合も数多く予想されます。」、こんなふうに言っていらっしゃるわけでありますけれども長官の言われた、それなりの代償が要求されるということは、どういうことなのか。また、従来の産業保護的な制度、慣行に大きな変化が要求されるということは、どういうことなのか、具体的にお話ししていただきたいと思います。
  55. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) まあ、皆さまも御存じのように、代表的なものは、やはり輸入の自由化の問題なんかあろうと思います。これによって、やはり少なくとも、従来のままでもって維持しようとすれば、何らかの意味で、国内の農家等に大きな影響を与える問題はたくさんあるわけであります。しかしまた、輸入自由化をしたらば必ずこれだけの損失をこうむるのだという保証が確実にあるわけじゃありませんから、そこいらでもって、わりあいに過大に評価せられている面もなきにしもあらずである。われわれは、そういう意味では、よく事態を把握して、そして誤解を解きながらやっていく、そして場合によっては、ある程度のマイナス的なものを覚悟せざるを得ない場合があるでしょうが、しかし、たとえば最近においても、われわれも、ですから、くだものやその他の自由化に備えるために、農林関係の融資をその方面に、ことしあたりもずいぶんふやしたのでございますが、それはやはり、自由化に備える意味でもって、その方面の合理化を進めていく、そういうような対策を伴わなければならない。そういうような点が典型的な問題であろうと思います。流通機構の問題一つとりましても、御存じの貨物駅を取り払うというような問題一つとりましても、やはりそこでもって衣食しておったところの運送業者に大きな影響をもたらすわけでありますが、これらもやはり全体の流通合理化ということで進んでいかざるを得ない。いろいろと取り上げると、そういうむずかしい問題が、特に輸入の自由化、あるいは流通の合理化という問題にはどうしても伴ってくる問題が多いというふうに感じております。
  56. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、結局、長官の言われることは、それなりの代償と言われることは、つまり、従来ずっと、先ほど中沢委員も御指摘されましたけれども、農業、中小企業など低生産性部門生産性向上ということに伴う、農家あるいは中小企業の受けるさまざまの深刻な影響ということを覚悟せよというふうに言われたと見てよろしゅうございますか。
  57. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 合理化、近代化ということの過程においてそういう問題が起こるわけでありますから、そうしたことのショックをできるだけ緩和しなければいけませんし、いま申し上げたように、いろいろなそれに対する対策をとっていかなければならない。そしてまた、そうした新しい体制に入り得るように、政府としても責任のある措置をとっていかなければならぬ、そういうふうに感じております。
  58. 渡辺武

    ○渡辺武君 物価対策としては非常に遺憾な立場だというふうに私は考えざるを得ません。と申しますのは、農民にせよ、中小企業家にせよ、あるいは長官のあいさつの中にも述べられております賃金の問題も出ておりますけれども賃金を受け取る賃金労働者にせよ、これは現在の物価値上がりの被害者だと思うのですね。ところが、その被害者にそれなりの代償を要求するというような物価政策では、いまの深刻な物価値上がりの問題が解決できるのか。私は絶対できないと思う。そういう立場であるからこそ、いままで何回も物価の安定は最重点施策でございますということを表明しながらも、一向に物価問題は解決できないということになっているんじゃないかと思います。  いまの物価値上がりのこの原因、これはいろいろあると思う。いろいろあると思いますけれども、その最大のものは、私がまず最初に言わなければなりませんのは、いまの大企業の製品の不当な価格のつり上げ、私どもこれを独占価格と呼んでおります。近代経済学では、これを管理価格などと呼んでおりますけれども、いずれにしても、大企業の製品価格が、実際の値段以上に不当につり上げられておる。ここに一つ大きな原因があると思う。もう一つは、いままでの政府が公共料金を次から次に引き上げてきた。物価安定を口にしながら引き上げてきているというところにある。第三には、やはり、いままでの政府インフレ政策をとってきたというところにあると思います。しかし、きょうは時間もありませんので、この問題には全面的に触れることができませんが、次の点を伺いたいと思うのです。  佐藤さんが長官になられる前の経済企画庁では、この委員会でも、前長官が来られて、大企業の生産性の上がっているようなところで製品の値段が下がらない、この問題を解決しなければならぬと思っているのだということをたびたび言明されておられたわけです。そういう立場からだと思いますけれども、新聞記事によりますと、経済企画庁は、特に政府が関与する価格、それから大企業の価格決定方式、この二つに根本的なメスを入れるという立場から、与党である自民党あるいはまた経団連、その他の大企業との懇談に入るというようなことが新聞記事に出ておりました。その際、この政府が関与する価格として具体的に名前があがっているのは、特に生産性向上の著しい東京電力、関西電力などの電気料金、それから東京瓦斯、大阪瓦斯などのガス料金、これは引き下げることが必要だということを言い、それから大企業の価格の価格決定方式の中では、実例として、鉄鋼、家庭電器、薬品、これらの価格は引き下げられるということをはっきり言っておられるようであります。ところで、公正取引委員会の谷村委員長も、二月十八日の記者会見で、管理価格問題について本格的に取り組むというような趣旨のことを述べておられまして、特にその席上では、アルミ地金、写真フィルム、合成洗剤、これらの品目については管理価格の疑いがあるのじゃないかというような趣旨のことも述べられているようであります。  特に私申し上げたいのは、この六十三特別国会の開会壁頭での佐藤首相の施政方針演説ですが、首相は、この演説の中で物価問題に触れられて、こういうことを言っておられるのですね。「高い生産性を実現している産業においては、その成果の一部を価格の引き下げという形で社会に還元するよう努めることを強く期待するものであります。」、こういうことを言っておられます。それぞれ十分、不十分はあったと思うのですが、特に首相が大企業問題について強く期待するなんということばを吐かれるということは、行政府の責任者としてはまことにこれは手落ちな発言だというふうに私ども考えざるを得ませんけれども、いずれにしましても、こういうような形で大企業が生産性を急速に上げながら、しかも製品価格を下げていないという問題、これが一つ大きな問題になってきているということは、いま私があげた幾つかの実例でよくわかっていただけるのじゃないかと思うのです。私どもは、先ほど申しましたように、いまの物価の値上がりの問題を解決するためには、この大企業の製品価格、これを引き下げさせなければならぬということをかねがね主張してきておりますし、これらの動きがあらわれてきたということについては、それ相当の評価をしなければならぬというふうに考えております。  ところが、長官の所信表明演説、これを拝見しましても、またこの前のこの委員会でのごあいさつを伺っても、公共料金については触れられておりますけれども、しかし、大企業の独占価格、いわゆる管理価格といわれるもの、これの引き下げについては何一つ触れられておらないわけであります。一体、長官は、物価担当官庁の責任者として、この重要な問題について解決するおつもりはないのかどうか、それを伺いたいと思います。
  59. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) まあ、渡辺さんの御意見、前々から私も承知しておりますが、大企業の独占価格が成立しているかどうかという問題は、現在のところでも、いわゆる日本のそうした日本産業全体にわたる独占性というような問題は、私たちは、そこまでいっていない、日本はまだ競争力が十分に支配する市場構造になっている、というふうに認識をいたしております。  ただ、個々の問題について、先ほど御指摘になりましたように、たとえばフィルムとか合成洗剤について、この間も谷村委員長と私会いましたが、御指摘になったように、そういう点は調査をしよう、こういうことを言っておりました。調査の結果どういうふうに出ますか、これはまだわかりませんが、まだそういう段階であろうかと私は思っております。  それから、電力その他の問題につきましては、これにつきましては、一方においていわゆる積み立てがふえてきている、こういう事実がはっきりございます。また、その金額の幅から見ますと、一面において、御存じのように、電力の事業資金というものはばく大なものを必要とする。特に、御存じのように、電力供給の伸び率というものが最近非常に低下いたしてまいりまして、いわば危機を意識されているというような電力業界の状況であります。あるいはまた、いわゆる原子力関係の発電が問題になるというようなことで、新たな投資を、さらに巨額な投資を迫られる。そういうようなこともあって、あの程度の規模のものが、はたしていま御指摘になったようなことになるのかどうか、ここは今後の投資の予想ともからみ合うわけでありますけれども、慎重に検討しなきゃならぬというふうに私たちは考えております。一がいに、いますぐ、たいへんなもうけが出ているじゃないかというふうに言い切れるとも、まだ断定をいたしておりません。しかし、よく調査をしてみたい、こういうふうに考えています。そのほか鉄鋼問題等も同様な状況だと思います。  まあ、総括いたしまして、われわれとしましても、私、特に所信表明に出ておらなかったかもしれませんけれども、もちろん、事情に応じて、そうしてその点については、またそのときの事情に立って、十分弾力的に対処していくというつもりでおります。
  60. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまから調査されると言うんではね、これはまことに迂遠きわまりないんじゃないですか。いままでも、大企業の製品価格の問題については、いろいろ公正取引委員会などでも問題にしてきております。国民一つの世論になっていると思うんです。長官就任早々でいろいろ文句言っちゃ悪いけれども、しかし、やはりこれ、いまごろ取り上げて調査いたしますなんというようなことでは、なかなかこれは解決しないと思うんです。やっぱり、前の長官がおられたときの経済企画庁で、すでにちゃんと具体的に、鉄鋼だとか家庭電器だとか薬品だとか、あるいはまた東京電力、関西電力、東京瓦斯、大阪瓦斯、という名前まであがっているわけですから、それ相当の資料が私はそろっていると思う。すぐに手をつけていただきたいと思う。  それで、電力についてですね、もうけが出ているかどうかわからぬというようなことをおっしゃいましたけれども、私、公式の資料として手に入れたものだけでも、これは電力の生産力の状況を間接的にあらわしていると思いますけれども、従業員一人当たりの販売電力量で見てみますと、昭和二十六年に比べて、昭和四十三年の倍数ですね、これが六・八倍になっております。つまり、それだけ電力の労働生産性は上がったというふうに判断してもいい数字だと思うんですね。ところが、電気料金というのは、少なくともここ数年は、もう据え置きになっていて、一回も下げられておらない。つい数年前に、中国電力でもって、あまりもうけが多いせいか、とにかく電力料金を下げますというような話が出て、結局、落ちついたのはどこかというと、家庭用電力は据え置いていて、そうして大企業の、大口のほうを引き下げる、こういうような大企業擁護の政策をとっておる。で、こういうような事情で、生産力は上がっているのに、料金はほとんど据え置き状態ということで、ばく大なもうけが出ている。  たとえば、昨年の三年期の東京電力の当期純利益ですね。これは、いろいろな社内留保その他を差し引いたものですけれども、どのくらいのもうけが出ているかといえば、百八十一億五千七百万円、半期でですよ。それから関西電力は百三十八億百万円、半期でそれだけの利益を出している。ばく大なものです。これに、いろいろな留保金その他、先ほど長官も御指摘になったけれども、ばく大なものがある。それをつけ加えてみれば、これはもう、いまの電気料金を下げるだけの余裕は十分あると見なければならぬと思うのです。  それは確かに、若干の、何ですね、電力事情の窮迫状態があらわれようとしてきておるし、今後原子力発電その他をやらなければならぬという資金需要はあるでしょう。しかし、資金需要が膨大だということと、現在ばく大な利潤をあげていて、料金の引き下げの条件は経済的にも十分に保証できるということとは、これは全くの別のものであります。その点をもう混乱さしてしまって、将来の資金需要があるから、だから現在料金を下げるわけにはいかぬというような立場では、物価問題というのは私は解決できないと思うのです。長官自身も盛んに強調しておられますように、もし物価安定を最重点……。
  61. 横山フク

    委員長横山フク君) 渡辺さん、発言中ですが、もう時間が過ぎておりますから、結論を急いでください。
  62. 渡辺武

    ○渡辺武君 施策についてとか、将来の投資がどうかということよりも、まず、現在の物価を安定させるために、急速に生産性が上がってばく大なもうけが出ている、こういう大企業の料金や製品価格、これを下げることを直ちにやるべきだというふうに思いますが、実際すぐやるだけの決意がございますか。
  63. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 先ほど申し上げましたように、利益は出ております。そこで、最近の電力問題一つとりましても、実は、この資金のめんどうを十分になかなか政府が見切らないのです。また、おそらくあれだけの需要というものを一般の資金市場でもってやりますというと、ほかの産業に相当大きな影響を与えると思います。ある意味においては、電力というものは、そういう意味で、ずっと自前で今日までやってきておる、こういう式の資金経営方法というものをとってきていると思うのです。そういう意味においては、この自己資本の充実ということをかねがね非常な大きなたてまえにしておる。しかも、これから、先ほど申し上げたような巨額な資金需要をまかなうには一体どうしたらいいか、こういうことでもって、一面においては大きな苦労を持っておる。そういうことも考えながら私たちはやはり見ていかなければいけないのじゃないか、そういうふうに申し上げたわけです。もちろん、利益の出ておることはわれわれもよく承知しております。全体としての社会的に見た利益率、こういうようなことも資本主義社会においては考えた上で、そうしてこの事情をよく勘案してみた上でもって、やはり今後の方策をきめなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  64. 横山フク

    委員長横山フク君) 本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。     —————————————
  65. 横山フク

    委員長横山フク君) 次に、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました当面の物価等対策樹立に関する調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願います。  まず、第一班の報告を願います。山本君。
  66. 山本杉

    ○山本杉君 第一班について御報告をいたします。  第一班は、去る二月一日から四日までの四日間、佐野理事、中沢理事、吉江委員と私の四名が参加し、広島県、岡山県下の消費者行政及び公正取引委員会地方事務所の実情を調査いたしましたほか、野菜指定産地、牛乳クーラーステーションを視察するとともに、消費者代表、業界代表と物価問題等について意見の交換をしてまいりました。  以下、調査の概要について御報告いたします。  まず、両県の消費者行政について申し上げます。  広島県においては、消費者保護基本法の趣旨に沿って、消費者の利益の擁護をはかるためには、均衡のとれた行政が必要であるとの見地から、消費者物価抑制、生活環境の整備などの問題を含めた広い意味での生活行政を行なうべく、昭和四十二年四月、企画部県民広報課に消費者行政専管の係を設置し、関係行政総合調整につとめています。  その施策は、大きく分けますと、消費者保護対策、消費者教育対策、流通改善合理化対策の三本立てになっています。  すなわち、消費者保護対策においては、企業側が消費者に対する商品、サービスの提供にあたって、量目の適正化、安全と衛生の確保をさせるとともに、品質、内容表示の適正を保持するよう指導監督を行なっております。消費者教育対策においては、消費者が商品、サービスの購入、消費にあたり、合理的な選択なり、使用なりができる知識を啓発して、生活の改善合理化に資するよう、消費者の主体性を高めようとしております。  流通改善合理化対策につきましては、一般に現在の消費者物価上昇は、農林水産物、中小企業製品、サービス料金等の部門における生産性の低さ、流通経費の増大等にそのおもな原因があるということがいわれているおりから、まず、生産者から消費者に至るまでの流通経路、価格形成の実態を正確に把握する必要があるとして、企画部で商品流通の実態調査や生鮮食料品購買動向調査を実施しております。また、農政部においては、生産、集・出荷の合理化をはかるため、卸売り市場の整備統合を実施しつつあり、特に広島地域が指定消費地域に指定されるようつとめております。商工部においても、流通近代化の一環として卸売り団地建設に必要な調査を予定する等、積極的な姿勢で消費者行政に取り組んでおります。  次に、岡山県の消費者行政であります。  県当局では、昭和四十年九月、県臨時行財政審議会の答申に基づいて、昭和四十一年四月、企画課に消費生活係を設置し、市町村、消費者団体等を通じて消費者行政への認識を深めるとともに、消費者利益を守り、県民の生活優先の考え方に基礎を置いた行政体制を確立しております。  昭和四十五年度における行政重点は、第一に、消費生活モニター制度を充実強化すること、第二に、生産流通対策として、野菜、食肉、牛乳対策推進すること、第三に、消費者を啓発するための資料の整備と地域の消費者リーダー養成など、消費者教育の充実に努力しております。  なお、両県とも、四十五年度中において、消費生活相談、及び苦情処理、商品テストの実施、商品展示、消費者啓発事業を主要業務とした消費生活センターの設置を予定しています。  次に、広島県において行なわれました物価問題懇談会の概要について申し上げます。  これは、今回の現地調査の目的の一つ物価問題に対する地方のなまの声を聞くことにありましたので、あらかじめ、消費者代表と流通段階を受け持たれている業界代表を適宜選定し、懇談会を持ったものであります。  当日出席されましたのは、県地域婦人団体連絡協議会、県生活協同組合連合会、広島消費者モニタークラブ、呉市消費者協議会、県商店街連合会、県食糧協同組合連合会、県LPガス協会、県牛乳商業組合、広島市青果商業協同組合、東広島食糧企業組合の代表等九名の方々であります。  まず、消費者代表からは、消費者運動を進めていく上での組織づくりの困難さが述べられました。特に政府に対しては、第一に、消費者行政及び物価担当の窓口を一本化し、消費者庁ともいうべきものを設置すること、第二に、生活センターを各地につくり、消費者の保護、教育に配意すること、第三に、さきに成立をみた消費者保護基本法のアフターケアの諸法律の改正の促進をはかることを強く要望されました。その他、生活協同組合の育成拡大、流通機構の改善、公正取引委員会の予算人員の増加、再販売価格指定品目の早期洗い直し、チクロ使用の全面禁止等を望む意見が表明されました。  次に、業者代表からは、中小小売商の立場から、第一に経済成長の伸び所得の格差が生じていること、第二に、労働力の逼迫が経営上の隘路となっているので、生産性向上のために思い切った中小企業対策を講じられたいとの意見が述べられたのであります。また、青果商のほうからは、卸売市場の機構改革が必要であり、安くてよいものを選択できるような知識を身につけるための消費者教育を徹底すべきである、さらに乳製品販売者のほうからは、米作転換後の酪農製品の長期需給見通しを政府が作成すべきである、米穀業者のほうからは、新米だけの配給を確保すること等、各業界の当面する問題について要望がありました。  次に、公正取引委員会について申し上げます。  御承知のとおり、物価対策の面で公正取引委員会の果たします役割りは、企業の公正かつ自由な競争を通じて一般消費者の利益を確保するということにあります。  近年、消費者の利益を守る政策を一そう強化する必要があるという声が強くなっているおりから、地方事務所では、常日ごろ消費者とか業者とかと直接触れ合って、きめのこまかい仕事をする必要が大きくなり、その業務量は日ごとにふえております。現在、広島地方事務所は定員九名であり、現在総務課と審査課の二課より成り、わずかの職員で中国地方全域を担当しているわけで、最近の事務量の増大、関係諸機関との連絡調整等、機能の一そうの充実のため、定員増加の強い要望がありました。  次に、岡山県矢掛町の野菜指定産地視察に関連して申し上げます。  野菜の生産は、近年需要の増大により年々増大してきております。したがいまして、その価格の安定をはかることは、農業経営上からも、消費者の家計の安定の上からも、きわめて重要な問題となっています。  現在、岡山県当局においても、野菜生産出荷安定法に基づき、国の野菜指定産地として指定を受けた産地に対して、生産者の自主的な組織を育成して、計画的、組織的な生産を行なわせることによって野菜の安定的供給をはかろうとしております。現在のところ、岡山県当局では、国の野菜指定産地のうち、四十三年度までに経営改善計画を樹立した産地に対して、近代化施設の導入を実施しておりますが、野菜の生産及び供給の安定化をはかるため、野菜価格安定基金制度の拡充強化、適正補てん等のため、市場調査及び補てん基準単価等の調査研究を行なっております。  矢掛農協におきましても、ここを安定産地化するために、省力化の実現と商品性の高揚を目ざして選果機を導入するとともに、塩蔵加工等によって出荷の量盛期における暴落等に対処しておりました。  次に、清音牛乳クーラーステーションに関連して申し上げます。  牛乳につきましては、消費者への配達方法、包装の問題等、いろいろありますが、生乳生産者から牛乳処理業者に至るまでの集送乳にも問題があります。すなわち、その経費は諸外国に比して相当高く、飲用牛乳コスト上昇の一因となっておりますので、集送乳路線一元化等の集送乳段階の合理化の必要性がいわれているのであります。  清音クーラーステーション周辺地区では、従来四つの農協と県経済連の五路線によって四企業に送乳されていたものが、この施設が完成したのを機会に、県当局、生産者の努力によりまして、このクーラーステーションに一本化され、集送乳路線の一元化に成功したといわれております。このため、年間諸経費の節約は約一千万円とも試算され、その路線整備状況はクーラーステーション設置とともに一段と進んでいるようでした。  最後に、広島県下の大型精米工場視察に関連して申し上げます。  米価そのものの決定方式は別といたしまして、現在、消費者の利益を守る観点から、米の品質の向上、加工流通の改善等についても配慮する必要が高まっているところであります。大型精米所の設置による集中精米とプレパッケージの推進、品質及び量目についての監視の強化について措置することは、去る昭和四十一年、すでに物価問題懇談会においても提案されているところであります。  この精米工場は、右の方針に沿って、昭和四十三年に、補助対象として、建物、機械設備等九千五百九十万円を基礎とした千五百万円の国からの補助を得て設置されたものでありますが、現在、全工程を自動化し、近代化した各装置を少数の技術者によって運転し、品質の均一化、自動包装された小袋による量目の確保がはかられておりますことは、今後のこれらの行政に明るい見通しをもたらすものではないかと思われました。  以上、報告を終わります。
  67. 横山フク

    委員長横山フク君) 次に、第二班の報告を願います。阿部君。
  68. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 第二班は、去る二月一日から五日までの五日間にわたり、高田委員、竹田委員、藤原委員と私の四名で、福岡県及び熊本県の物価問題等の実情について調査いたしてまいりました。  まず、福岡県につきましては、県の物価対策の進め方、消費者行政等について説明を聴取し、引き続き消費者代表との懇談を行なった後、市の食肉市場、日本専売公社福岡支局、公正取引委員会の地方機関の実情を調査いたしました。  熊本県におきましては、県当局から消費者行政の実情について説明を聴取した後、八代市の野菜指定産地及び熊本総合市場を視察するとともに、県果実連代表と懇談を行なったのであります。  以下、その調査の概要について御報告いたします。  まず、福岡県の消費者行政でありますが、その基本方向として、最近急激に増大してきた消費者行政需要に対応して消費者の利益を尊重しようとしております。  すなわち、消費者保護基本法に基づき、消費者行政総合調整、消費者教育及び保護の推進、消費者団体の育成、商品テスト室の運営等を柱として、生活の科学化の推進がはかられてきたのでありますが、県及び市町村当局の指導と県民の積極的参加により、県下全域にその機運が高まりつつあり、その活発な実践活動が期待されております。  昭和四十五年度重点施策として、消費生活相談員制度、消費者向けテレビ番組の設置、消費生活実態調査、地域啓発活動機能の充実、試験検査等を通じて、必要な商品の知識の普及並びに利益を擁護するための消費生活センターの開設等に積極的な姿勢を示しています。  物価対策として、本県におきましては、野菜、果実、畜産、水産物の生産流通対策、中小企業対策等を通じて、県民が一致協力して積極的に推進しております。福岡市及び北九州市における消費者物価は昭和四十三年五・四%で、全国平均五・三%よりやや上昇率が高かったにもかかわらず、四十四年には全国平均五・二%を下回る五・一%となっております。  次に、消費者代表との懇談の概略について申し上げます。  御出席になりました方々は、消費者協会、消費生活コンサルタント、県消費者生活モニター等の代表十一名で、福岡市、北九州市等からお集まりいただいたのであります。  約一時間にわたり、非常に熱心な雰囲気の中で活発な意見及び要望が述べられました。  その概略を申し上げますと、  政府物価対策は、生産者または企業サイドに重点が置かれがちである、特に畜産振興事業団による食肉価格の操作や野菜生産出荷安定資金造成事業等では生産者を過保護しているのではないかという疑いを持つものであり、消費者にもそれに類する何らかの保護政策がほしいとのことでした。  昭和四十四年の消費者物価上昇率は五・二%であるとの発表であるが、生活必需品について見ると、実感として二〇〜三〇%の上昇率である。このことは指数品目の取り方、統計上に問題があるのではないか、特に地価が指数品目に入っていないことは適当でない。  こういうことで、所得の低い階層、特に産炭地の人々には物価の高騰はきびしい影響を与えており、生活保護を受けている人が非常に多い状況であります、また、団地主婦の団結により酒の直売運動を行ない、その結果定価を下げることができたが、実験上いろいろな問題が多いこと、消費者保護基本法及び決議の趣旨に基づいて、有害食品、添加物の排除について格段の配慮をお願いしたいこと等、その他多くの、そして熱心なる意見、要望が述べられました。  次に、公正取引委員会福岡地方事務所について申し上げます。  当所は、現在総務課と審査課の二課よりなり、定員十一名で総務課の職員が審査課を兼務しなければ業務の執行が困難な状況であります。その上消費者保護基本法の施行に伴い、管内各地方公共団体との連絡協力、大衆消費時代を迎えた最近の消費者動向による業務の急増等のため、総務課と審査課のほかに新しく取引課を設置したいこと、また、業務活動を円滑にするための定員増加と、積極的な審査を行なうための予算の増額等について強い要望がありました。  次に、熊本県の消費者行政でありますが、本県では、昭和四十年に企画部企画第一課に消費者行政の窓口を設置し、四十二年から消費生活モニターや消費者教育など具体的な事業を実施し、特に商工、農政、衛生など関係十七課により消費者行政連絡協議会を設け、消費者行政連絡調整を行なっております。また、昭和四十四年七月、消費者、企業者、学識経験者、行政機関の代表よりなる消費生活懇談会を設けるなど、組織の整備、強化をはかっています。  昭和四十五年度には、消費者行政の強化のため、消費者行政担当課の新設と消費生活センターの建設を予定しております。また、消費者行政連絡協議会を軸に、市町村、国の出先機関との連絡を密にし、特に消費生活懇談会の運営による行政の円滑化と消費者問題の自主的解決を助長する等、消費者行政を総合的に推進する姿勢を示しております。  本県は、どちらかといえば、農畜産物の生産県でありますが、果実の生産、特に代表的なミカンの生産量は、四十三年度十二万四千トン、販売量十万六千トンで、うち、県内消費はわずか二千トンで、ほとんど全部が県外に出荷されております。  野菜は、生産量三十七万四千トン、販売量三十万四千トンで、県内消費十六万八千トン、県外出荷十三万五千トンであります。  畜産物については、肉豚が出荷頭数約十八万七千頭、肉牛は約一万四千頭の出荷頭数であります。肉豚、肉牛は、県内向けが四〇%、県外移出が六〇%の割合になっており、特に肉牛についてはほとんど生体出荷になっております。  果実、野菜の中間経費及び農家手取り割合を見ますと、小売り価格を一〇〇とした場合の農家手取りは、三〇〜四〇%、小売り粗利益三五から五〇%、荷づくり包装費一一〜一八%、その他となっております。  本県におきましては、消費者に良質で安い商品の供給と生産者手取りの増加をはかるため、県当局及び業界は、それぞれ果実関係では計画出荷、集荷施設の整備、共販体制の確立や輸送の円滑化を積極的に講じようとしており、また、野菜関係では、需給の不均衡による価格変動の調整、遠隔地輸送の対応策、産地の組織化、集団化、近代的な流通機構としての地方市場の整理統合及びその運営改善の促進等に努力いたしております。  畜産物対策としては、現在の取引規格が温体取引であること、及び規格付けの複雑等について抜本的な改革が必要と思われます。  このように、本県は農産物生産県として生産拡大につとめ、県外出荷の実をあげ、同時に、農家所得の増大を目標として関係者の協力が行なわれております。  次に、熊本総合市場について申し上げます。  本卸売り市場は、市場の用地、建物並びに隣接して設置されている鮮魚、塩干物等の問屋団地の一切が民営で建設、運営されております。人口の割合では、東京の中央市場の二十四倍の広さであり、県内のみならず、他県にまたがる流通機構としての役割りを果たしており、その取引内容及び取り扱い量におきましても、市場法による中央市場に相応するものであります。  理事者側との懇談会におきましては、たとえば、売り場の拡張、駐車場の建設、これに伴う土地取得等、市場の近代化のための設備については市場関係者の責任と能力において実施するが、当市場を取り巻く道路網の整備については、すみやかなる公共事業の実施について強い要望がありました。なお、地方卸売り市場を含む卸売り市場のすみやかなる法制的整備、当市場においては中央市場に準じ、卸、仲買い、光参買い出し人の制度化についても強い要望がありました。  次に、野菜指定産地、八代市の金剛農協について申し上げます。  まず、金剛農協におきましては、野菜生産出荷近代化事業の一環として、春トマト及び冬トマトの共同育苗施設、特に大型ビニールハウスや暖房機、集出荷貯蔵施設、自動梱包機の購入等に重点を置き、価格の安定、生産所得の増加に懸命な努力をしております。  ここでの意見及び要望を一、二申し上げますと、野菜生産出荷近代化施策のための資金を、団体及び個人に対しても、農業構造改善事業推進資金と同様な長期低利融資を行なってもらいたいとの強い要望がありました。また、生産者手取りの増加、出荷価格の安定、流通機構の改善、ハウス病対策等について国の積極的な援助を期待しているとのことでした。  次に、県果実連幹部との懇談について申し上げますと、  わが国のかんきつ生産、特に甘夏については、その生産の四割を占める本県にとって最も重要かつ緊急な問題は、昭和四十六年末からときまったグレープフルーツの輸入の自由化の問題であります。  代表者の話によりますと、われわれは、国の指導と果樹振興法に基づいて、もっぱらかんきつ類の増植や集団産地の形成につとめてまいりました。政府が突如果実の自由化に踏み切ったことは、国際競争力体制の整備されていない果樹農家の実情を無視したものであり、ぜひ果実自由化を撤回してほしい。また、レモンの自由化のときに見られたような巨大資本の強引な販売政策は、たとえば自由化した当初だけ価格が低下しても、競争相手の国内生産者が淘汰された後において価格を二倍にも三倍にもつり上げてしまうような実情で、消費者にも迷惑をかけることになります。  米国産かんきつ類の生産費は、わが国に比べ約半分ぐらいの経費だといわれ、生産コストの面からは、とうてい太刀打ちができません。したがいまして、県果実連としては、国際競争力をつけるための補助政策として、低金利の融資、税法上の優遇措置生産性向上のための生産地の育成、集荷並びに選荷揚の建設、労働力流出に対処する省力裁培施設等への国の積極的な援助と保護を希望し、それについて強い要望がありました。  以上、派遣報告を終わります。
  69. 横山フク

    委員長横山フク君) 別に御発言もなければ、派遣委員の報告はこれをもって終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会      —————・—————