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説明員(
淵脇学君) 厚生省の
年金局の数
理課長でございます。ただいま村田先生から御
質問されましたことを詳細にちょっと時間をいただきまして御説明申し上げたいと思います。実はこの
年金制度が発案されました当初から
考えなければならないわけでございますが、厚生省といたしましては、これらの
年金設計のために必要な基礎資料を得るために、
昭和四十四年の五月に約二万世帯の農民を調査いたしまして、農業者
年金のための基礎調査をいたしました。その調査の結果を国民
年金審議会の専門部会でございます農業者
年金専門部会の先生方にいろいろとお知恵を拝借いたしまして、基礎資料等の手直し等をいたしまして、
年金を設計いたしたわけでございます。
まず一番先にお尋ねでございました数理計算のための基礎資料、これはいろいろあるわけでございますが、一番最初にどのくらい加入するであろうか、任意加入制もございますので、任意加入を含めまして加入者数は二百万人というふうに踏んでおります。
次に、最もこの制度の根幹になります経営移譲率というものがどういうふうに変化するであろうかというお尋ねだと思うわけでございますが、この調査時点におきましては、約六十歳のところにおきまして現状で一四・二%の経営移譲率があるというふうに出てまいったわけでございますが、この
年金制度を実施するために経営移譲率が促進されるということで大体年齢分布が五歳ずれる。五歳ぐらい早まるという仮定をおきまして、その経営移譲率のカーブの訂正をいたしましたところが、六十歳時点における経営移譲率が、まあ各歳における経営移譲率があるわけでございますが、六十歳における経営移譲率が一四・二%が二五%
程度にふくらむというふうに踏んで計算をいたしました。
なお
年金計算をいたしますにあたりましては、加入者の方々が年々どのように減少していかれるかということも
考えなければなりませんので、経営移譲率だけではございませんで、当然なくなる方もございますので、死亡率というものも
考えなければなりません。死亡率は厚生省で作成しておりますいわゆる国民生命表の第十二回の男子の死亡率のカーブを使用いたしました。
なお経営移譲ということでなしに、離農をされる方も途中においてはあると想像されますが、これは農家就業動向調査、
昭和四十年でございますが、
農林省によるものでございますが、これから推計いたしまして、男子の世帯主で主として農業に従事した者の離農率を計算して推定したわけでございますが、この数字を申し上げますと、二十歳において五・四%
程度、四十歳において二・〇%
程度、五十歳において一・一%
程度というふうに離農率を踏んでおるわけでございます。
この経営移譲それから死亡、離農というものが三本のカーブとなって年齢別に出てまいるわけでございますが、このカーブを合成いたしまして、脱退残存表というものを作成いたしまして、年齢別に脱退カーブが出てまいるわけでございますが、それをいたしますと、
年金計算が可能になってくるわけでございます。
で、この際になお有後継者率というものが必要でございまして、後継者がどのくらいあるかということでございますが、これは
農林省による調査で農業者
年金実態調査というのが
昭和四十四年に行なわれておりますが、五十歳から五十五歳までが七五%、五十五歳から五十九歳までが七七%、六十歳がら六十四歳までが八四%、後継者と農業経営主との年齢差というものは約二十八歳と出ておりますので、これをつなぎまして
年金の計算をいたしました。
なお、先ほどお尋ねにありましたが、農業者は年々減っていくであろうというふうなことでございますが、この最初二百万の加入者がどの
程度減少していくであろうということは非常にむずかしい問題でございますが、いろいろと統計から推定いたしまして年率一、五%
程度の加入者の減少といったふうに踏んでおります。したがいまして、約三十年の後には百四十万
程度、五十年の後には百万
程度、その先少しまた減りまして、安定的には、最終的には約九十万
程度に落ちつくということで一応の設定で
年金計算をいたした次第でございます。もちろんこれは現在得られる情報からあとう限りの精密な計算をしてみたわけでございますが、
年金制度というものは五年目ごとの再計算によって手直しをしていくということになりますので、この諸基礎が変動いたしました際には、五年目ごとに手直しをしながら運営をはかっていくのが
年金の常識でございますので、最初のめどとしては大体この
程度というふうに
考えておる次第でございます。