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政府委員(
池田俊也君)
農業者年金基金法案につきまして、
提案理由を補足して御
説明申し上げます。
本
法律案を提出いたしました
理由につきましては、すでに
提案理由説明において申し述べましたので、以下その
内容につき若干補足させていただきます。
第一章は、基金の
目的、事務所等について定めた総則的な
規定であります。
第二章は、基金の組織に関する
規定でありまして、基金に、
役職員のほか、被保険者等のうちから任命された評議員三十人以内で組織する評議員会を置き、理事長の諮問に応じ基金の業務の
運営に関する重要事項を調査
審議することとしております。
基金が行なう業務につきましては、第三章に
規定しておりまして、その一つは、
農業者年金事業についてであります。
まず、
農業者年金の被保険者でございますが、農地等につき耕作または養畜の事業を行なう国民
年金の被保険者でその事業に供する農地等の面積の合計が
政令で定める面積以上であるものは、当然に被保険者となるものとしております。ただ、
年金受給権の取得に必要な拠出期間を満たすことができないことが明らかな者は、被保険者から除外することとしております。
任意加入の被保険者につきましては、第二十三条に
規定しておりまして農地等の面積が当然加入の被保険者の農地等の面積未満であっても作目の構成等から見てこれらの者の経営の規模に準ずる者、
農業生産法人の
組合員等で一定の要件に適合する者及び耕作または養畜の事業を行なう者の直系卑属でその事業の後継者として指定された者は、基金に申し出て
農業者年金の被保険者となることができるものとしております。
また、脱退につきましては、第二十七条及び第二十八条に
規定しておりまして、その者が耕作または養畜の事業を引き続き行なうことが著しく困難であるとき、その事業にかかる農地等の面積が一定規模を下回ることとなったとき等の場合には、被保険者でなくなることができるものとしております。
次に、
農業者年金の
給付につきましては、第三十二条から第六十三条までに
規定しておりまして、
給付の種類は、経営移譲
年金、
農業者老齢
年金脱退一時金及び死亡一時金とし、それぞれ、支給要件と支給額を定めております。
経営移譲
年金は、保険料は二十年以上納付した者が後継者または他の
農業者年金の被保険者等に経営移譲をした場合に六十歳から支給することとしておりますが、その者が廃疾の状態にある場合には六十歳未満であっても支給することとしております。
農業者老齢
年金は、経営移譲
年金の受給権者のほか、六十歳まで被保険者であった者で保険料納付済み期間が二十年以上であるものに対して支給するものとし、その額は、保険料納付済み期間が二十五年の場合
月額四千五百円としております。なお、これらの
年金額につきましては、国民の
生活水準その他の諸
事情に著しい変動が生じた場合には、所要の
改定措置を講ずることとしております。
また、脱退一時金及び死亡一時金は、保険料納付済み期間が三年以上である者が中途脱退し、または死亡した場合にその者または遺族に対して、保険料納付済み期間に応じて、一定額を支給することとしております。
経営移譲
年金の支給要件としての経営移譲につきましては、第四十二条及び第四十三条に
規定しております。経営移譲の
相手方は、その者の直系卑属で一定の要件に適合する一人の者すなわち後継者であるか、
農業者年金の被険保者等でなければならないものとしておりまして、後継者に移譲する場合には、その経営にかかる農地等のすべてについて所有権または使用収益権を移転しなければならないものとし、
農業者年金の被保険者等に移譲する場合には、その経営にかかる農地等のうち一定規模以内の自留地を除いたすべてについて所有権または使用収益権を移転するか、使用収益権を設定しなければならないものとしております。なお、
農業生産法人の
組合員等である者が経営移譲をする場合には、その持ち分のすべてを譲渡しなければならないものとしております。
さらに、これらに関連して、その被保険者の資格に関する決定、
給付に関する決定等についての不服を審査する機関として、委員九人からなる審査会を置くこととしております。
次に、基金が行なう第二の業務である農地等の買い入れ及び
売り渡し等の業務につき申し上げます。
基金は、
農業者年金の被保険者等が離農しようとする場合に、その申し出でを受けて、農用地区域内にある農地等を買い入れることができるものとし、また、
農業者年金の被保険者等が、離農しようとする者から、農用地区域内にある農地等を取得しようとする場合に、農地等の取得に必要な資金の貸し付けを行なうことができるものとしておりますが、経過的
措置として
昭和五十年三月三十一日までの間は、農用地区域に準ずる一定の地域内の農地等であってもこれを買い入れ、あるいはこれの買い入れに要する資金を貸し付けることができるものとしております。
第四章は、基金の財務及び会計に関する
規定でありまして、区分経理、予算、事業計画等についての主務大臣の認可、余裕金の運用方針等について定めております。
第五章以下は、監督その他の
規定であります。
付則におきましては、基金の設立手続、所要の経過
規定、
関係法令の
改正規定を設けるほか、離農
給付金の支給業務に関する
規定を置いております。
離農
給付金の支給業務は、この
法律の施行の日から十年をこえない間行なうこととし、その
給付金は、一定規模以上の農地等について耕作または養畜の事業を行なう者で
農業者年金の被保険者となっていないものが、
農業者年金の被保険者等に対して農地等を
売り渡して離農した場合に支給することとしております。
なお、この財源につきましては、基金は、国庫から交付金の交付を受けることとしております。
以上をもちまして
農業者年金基金法案についての
補足説明を終わります。
次に、
参考資料について簡単に御
説明申し上げます。
第二ページでございますが、それは年次別農家戸数の
推移を示しておるわけでございまして、
昭和四十三年におきましては、
農業調査によりますと、農家戸数は五百三十五万戸になっておるわけでございます。前年に対しましては七万戸ないし九万戸くらいが
減少いたしておるわけでございます。
次に、三ページに一種二種農家戸数の
推移を示しておるわけでございまして、いずれも
減少いたしておるわけでございますが、それぞれの種類によりまして若干ずつ相違がございます。
それから次に、四ページに経営耕地規模別農家戸数を出しておりますが、いずれも
減少傾向にあるわけでございますが、しいて申しますと、一種農家では中間層以下がやや
減少傾向にございまして、それは都府県の場合でございますが、二ヘクタール以上は
増加傾向にございます。北海道の場合も大体似たような
傾向でございまして、十ヘクタール以上は
増加傾向にございますが、それ以下の階層は若干ずつの違いはございますが、
減少傾向にございます。二種農家につきましても若干
減少の
傾向にあるわけでございます。
それから五ページに新設あるいは離農農家の戸数について出してございますが、新設農家につきましては、最近はかなり
減少いたしておりまして、五、六千戸の
状況でございます。離農農家につきましては、九万戸ないし七万戸であったわけでございますが、ここ三年ほどはやや離農農家の数が
減少ぎみにございます。
それから六ページに離農農家の離農前の経営耕地規模別戸数を出しておるわけでございますが、これは離農農家といたしましては、経営規模の小さい農家が圧倒的に戸数としては多いわけでございます。
それから次に七ページに、年齢別、公的
年金加入別の
農業経営主の数を出しておりますが、全農家で見ますと五百三十五万戸のうち国民
年金に加入しておる者が三百十八万戸、被用者
年金加入者が六十九万戸
程度に相なっておるわけでございます。
次に、八ページは耕地面積の
数字でございますが、これは御
案内のとおりだと存じます。
それから九ページに地域別耕地面積の
数字を出してございます。
それから十ページに農地の権利移動許可の実績の
数字でございますが、面積でみますと、最近は大体十二万ないし十三万ヘクタール
程度でございます。その中で所有権移転によりまして有償の自作地の所有権移転が七万ヘクタール
程度に相なっておるわけでございます。
それから次に、十一ページに
農業就業人口の
推移を示してございますが、
農業関係の就業人口は四十三年で九百七万人でございまして、全体の中で占める割合といたしましては、一八%
程度に相なっておるわけでございます。
それから次に、十二ページに年齢別、男女別基幹
農業従事者の数を出してございますが、男と女の比率は最近では大体四十三年をみますと、男が四二%くらい、女が五八%くらいに相なっておるわけでございます。なお、年齢別でみますと、かなり年齢の高い者の割合が多くなってまいっております。たとえば四十三年でみますと、五十歳以上が四一%
程度を占めておるわけでございます。
それから次に、十三ページに新規学卒者の
農業就業動向でございます。これは学校基本調査の
数字でございますが、四十四年度におきましては、新規学卒者の
農業就業者が五万二千人
程度ということでございまして、若干
減少ぎみにございますが、その
内容をみますと、高校卒の割合がかなり上がってきておるわけでございます。四十四年度では七一%くらいが高校卒になっておるわけでございます。
それから次に、
農業生産法人の数の
推移を示してございますが、全体といたしましては逐次
増加の
傾向にございます。
それから十五ページに
年金の
給付の仕組みを一覧表にして載せておるわけでございまして、これは上のほうに書いてございますのは保険料の納付済期間に応じまして、経営移譲
年金あるいは老齢
年金なりがどういう額になるかということと、それから国民
年金の
関係の
給付がどうなるかということを示しておるわけでございます。それから下の図はいまの
農業者年金の仕組みを図解したものございます。
それから十六ページに国民
年金の
概要を示したものでございますが、これは省略させていただきます。
それから十七ページ以下に
関係の
審議会におきまして
審議されました結果の意見等を載せてございまして、国民
年金審議会、それから二十二ページには社会保障制度
審議会の答申等を載せておるわけでございます。
以上をもちまして
説明を終わります。