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1970-10-27 第63回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月二十七日(火曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員の異動  九月十日     辞任         補欠選任      武内 五郎君     中村 英男君  九月十一日     辞任         補欠選任      中村 英男君     武内 五郎君  十月二十四日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     渡辺  武君  十月二十六日     辞任         補欠選任      渡辺  武君     河田 賢治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         園田 清充君     理 事                 亀井 善彰君                 高橋雄之助君                 達田 龍彦君                 村田 秀三君                 藤原 房雄君     委 員                 青田源太郎君                久次米健太郎君                 小枝 一雄君                 小林 国司君                 鈴木 省吾君                 田口長治郎君                 任田 新治君                 森 八三一君                 北村  暢君                 武内 五郎君                 中村 波男君                 向井 長年君                 河田 賢治君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        大蔵省主計局主        計官       藤井 直樹君        大蔵省主税局税        制第三課長    平尾 照夫君        厚生省薬務局長  加藤 威二君        農林政務次官   宮崎 正雄君        農林大臣官房長  太田 康二君        農林省農政局参        事官       岡安  誠君        農林省農政局植        物防疫課長    福田 秀夫君        農林省畜産局長  増田  久君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        食糧庁長官    亀長 友義君        林野庁長官    松本 守雄君        建設省計画局宅        地部長      朝日 邦夫君        自治省税務局固        定資産課長    山下  稔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (市街化区域内農地固定資産税問題に関する  件)  (米の生産調整問題等に関する件)  (林業関係除草農薬問題等に関する件)  (国有林野事業財政等諸問題に関する件)  (沖縄の農水産業振興対策に関する件)     —————————————
  2. 園田清充

    委員長園田清充君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査議題といたします。  農林水産政策に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 中村波男

    中村波男君 まず最初に、市街化農地固定資産税課税問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  四十五年の八月十四日の地価対策閣僚協議会決定閣議了承の「地価対策について」というのが発表になりまして、この中で「農地宅地化促進」という項目があるのでありますが、「市街化区域内の農地所有者開発意欲を活用し、農地とくに水田の集団的な宅地化促進するため農地所有者等による良質な住宅の建設に対する資金の融通の円滑化を図る。また、市街化区域内の農地固定資産税及び都市計画税について、農地近傍宅地との課税均衡を考慮し、土地保有課税適正化を図る。この場合において、土地売渡し代替地の取得及び転職について、所要の施策を講ずるものとする。」、こういう閣議了承事項があるわけでありますが、これが発表されまして、当該都市計画区域指定をされようとするような地域、あるいはすでに指定を受けておるような地域当該農民に大きな不安と動揺を与えておることは、私が指摘するまでもないと思うわけです。したがって線引きの作業にいろいろと支障が出てきておる。農民の強い反対が、私の見聞した範囲では強く出てきておる。そういう情勢の中で、大蔵省建設省自治省農林省、こういう四つの省の間で調整をおとりになって決定を見るであろうというふうに考えておるのであります。またこの閣議了承事項を読んでみましても、内容はまことに抽象的でありますから、したがって本日は各省の今日の時点における考え方方針を具体的にひとつお尋ねをし、お示しをいただきまして、方向づけをひとつお願いをしたいというふうに考えておるのであります。   〔委員長退席理事亀井善彰君着席〕  そこで、建設省お尋ねをいたしますが、建設省地価対策推進要綱、これを拝見いたしますと、閣議了承事項とほとんど同じ内容のことが書かれておるわけであります。したがって、ここで私が問題にいたしたいと思いますのは、税制改正ということが、いわゆる市街化区域内の農地宅地化促進するという政策的意図目的というのがありまして、こういう税制改正という考え方建設省大蔵省等々から特に強く出てきておるような気がいたすわけであります。したがって建設省の、まずこういう要綱にありますような考え方の背景といいますか、目的といいますか、そういうものについてお伺いをいたしたい、こういうふうに思います。
  4. 朝日邦夫

    説明員朝日邦夫君) 建設省宅地部長でございます。お答え申し上げたいと思います。  ただいま先生御指摘のとおり、建設省としてこの問題につきまして関与いたしておりますのは、都市計画法によりまして新たに設定をいたしますこの市街化区域は、御承知のとおり向こう十ヵ年の間に整備をいたしてまいり、それに対しまして調整区域はむしろ開発を抑制するというふうな、いわば土地利用の根本になる制度でございますけれども、ただいまその市街化区域設定が各県で行なわれているわけでございます。ただいまの時点で、予定をされております市町村のほぼ八〇%が見通しが立っているような状況でございます。  そこで、その市街化区域整備にあたりまして、この八月に政府地価対策閣僚協議会決定をみました事項、これを建設省としては、建設大臣閣僚協構成メンバーでもございますし、幹事の事務的なお世話をしたという立場でございますので、との閣僚協決定をもとにいたしまして、ただいま御指摘地価対策推進要綱というものも建設省として決定をした、こういうことでございます。  そこで、その考え方でございますけれども市街化区域農地につきましては、建設省といたしましては、少なくとも市街化調整区域農地と、評価のしかたと申しますか、そういったものは異にしていただく、こういう要望をいたしているわけでございます。なお、この問題につきましては、目下政府税利調査会でも御検討をいただく議題にのぼっているわけでございます。私どもといたしましては、その場でもただいま申し上げたようなお願いをいたしているわけでございます。
  5. 中村波男

    中村波男君 私が建設省にお聞きしたいのは、税の公平という立場、あるいは市街化区域あるいは市街化近傍農地実勢価格といいますか、地価の高騰というような点から、何らかの検討を加えようとする、こういう考え自治省あるいは大蔵省で出ることは、これはまあ一つ考え方としてわかりますけれども建設省が積極的にこの問題を取り上げておるということは、何といいましても政策目的を優先させた考え方ではないかという、こういうふうに考えておるわけです。そういう点についてただいまお尋ねをしたわけでありますが、建設省土地保有課税適正化ということを主張されますのは、どこに目的またそうしなければならない状況というのがあるのか、これをどのようにいま把握しておられるか、また、どういうふうに対処されようとするのか、もう少し詳しく御説明をしていただけたらと思うわけであります。
  6. 朝日邦夫

    説明員朝日邦夫君) ただいまも申し上げましたように、新しい都市計画法によりまして、都市計画区域の中に市街化区域というものを設定をいたします目的は、土地利用の混乱と申しますか、どうもその土地利用計画がはっきりしていないんじゃないかということが世上いろいろいわれておったわけです。それがまたその地価対策と申しますか、土地問題を混乱させておる原因だというようなことがございまして、過去の地価対策閣僚協議会におきましても、土地利用は明確化すべきだ、こういうことがございました。それによりまして御審議をいただいて都市計画法が成立をいたしておるわけでございますから、それで、市街化区域というのは、先ほど申し上げましたように、積極的に向こう十年の間に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域であるということで、同じ都市計画区域の中におきましても、市街化をむしろ抑制するべき調整区域とは性格を異にする。したがいまして、閣僚協決定もございますし、建設省地価対策要綱にもございますけれども、今後の建設省都市政策と申しますか、これはやはり市街化区域内の整備ということに重点が置かれるということでございまして、そのためには、市街化区域農地調整区域農地とはやはりその固定資産税評価においても差がないほうがむしろおかしいということでございます。積極的に市街化促進するためにやはりむしろこの問題が差がないことが、いわば市街化促進する立場から申しますと、まあ足を引っ張っておると申しますか、というむしろマイナス要因になっておる面があるように思いますので、少なくともそういうマイナス要因はこの際排除していただきたい、こういうことでお願いをしておるという立場でございます。
  7. 中村波男

    中村波男君 市街化区域が、計画的に市街化をはかるという、そういうことは十分わかっておるわけです。そのために固定資産税を大きく高く上げて、そうして農地としての保有をいわゆる税制面から不可能にして宅地化をはかっていくという、こういう政策意図がはっきりあらわれておるというふうに認識してよろしいわけでしょうな。
  8. 朝日邦夫

    説明員朝日邦夫君) ただいまも申し上げましたように、市街化区域趣旨が、この区域内は積極的に市街化をしていく。まあ現に市街化をしておるところ、並びに十年の間に積極的に市街化をさせるべき地域だということでございますので、まさにこの土地利用といたしましては、いわば農地、農耕のためのというよりは、やはり市街化をするための土地利用の面から申しますと、都市化をするべき地域として考えられておるわけでございます。そういうことで、その点から申せばまさに将来とも農業を継続していただく土地ではなくて、現に市街化をしておりませんでもいずれは市街化をするべき土地である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 中村波男

    中村波男君 私は納得がいかないのは、税の徴収というのはやはり収益を中心にして課税をすべきであるというふうに、一言で言えば考えているわけです。したがって市街化区域内の農地について、これが農地として経営され、また経営していこうという農民もたくさんあるわけです。それからもう一つは、これはまあこの場で議論をすべきことではないかもわかりませんけれども東京都の区長さんなんかの意見を聞きましても、いまある農地というのはやはり緑地帯的な性格を持たせる農業として残してもらいたいという、こういう意見も私たち聞いているわけです。これは市街化区域だから全部宅地にしてしまうという、こういう計画そのものに私は問題があるというふうに思いますが、それはそれとして、しからば建設省のお考えからいきまして、いわゆる土地保有課税適正化ということばが使われておりますけれども、これを引き上げることによって農地宅地化促進される、こういう見通しを持っておられるわけですか。
  10. 朝日邦夫

    説明員朝日邦夫君) その措置だけで宅地化促進できるとは決して考えておりません。しかし宅地化促進する上で、先ほど申し上げましたように、ほっておくことがむしろマイナス要因であるという意味におきましては、宅地との均衡をはかって課税されますことは、少くとも市街化促進する一つの誘因にはなるであろうというふうに考えております。なおこの点は政府部内におきましても、たとえば企画庁の土地政策委員会報告等でもやはり同じようなことを申しております。あるいは東京都知事の意を受けて御審議をなさいましたいわゆる都留委員会都留報告でも言われておりますし、まあ世上同じような趣旨のことが各方面で、都市問題あるいは土地問題に関しましての意見なり提言の中で、しばしば言われているわけでございます。私どももまさに促進をする一つ要因ではあるというふうに考えております。
  11. 中村波男

    中村波男君 それでは、「土地保有課税適正化」という表現ですが、建設省としてはどのように具体的に市街化区域内の農地固定資産税課税を改めていこうとしておられるのか、具体的にひとつその内容をお聞かせいただきたい。
  12. 朝日邦夫

    説明員朝日邦夫君) その問題につきましては、先ほど地価対策閣僚協決定は、まさに政府関係閣僚間の意思決定でございまして、これには直接この問題につきまして、制度の改善を担当されますのはもちろん自治省でございまして、いろいろ具体的には自治省で御検討いただいているわけでございますし、先ほども申し上げましたように、政府税制調査会でも御検討いただいているわけでございますが、まあいわば建設省としては具体的な課税方法内容につきましては、特に詳細な意見を申し上げる立場ではない——かと思いますけれども、要は、近傍宅地均衡がとれるように少なくとも調整区域農地扱いとは異なる評価をする、こういう要望をいたしております。
  13. 中村波男

    中村波男君 それでは、直接担当省であります自治省お尋ねいたしますが、いま私が質問いたしております問題について、自治省考え方をまずお示しいただきたいと思います。
  14. 山下稔

    説明員山下稔君) 八月に決定を見ました地価対策閣僚協議会できめられました方針に沿って検討いたしておるわけでございますが、その具体的な課税方法につきましてはただいま関係省意見も聞きつつ検討中でございまして、政府税制調査会にもはかりまして具体的な結論を得たいという段階でございます。
  15. 中村波男

    中村波男君 この問題については一昨年来当委員会においても、同僚、先輩からもまた私も自治省見解を尋ねたことがあるわけですが、九月の十八日の朝日新聞に「市街農地固定資産税 一気に引上げる 大蔵省方針」という見出しで報道がなされておりますが、その中で「自治省大蔵省に1農地固定資産税を一気に宅地並みにすると税負担が急増するので、農民のショックをやわらげるため、完全に宅地並みにするまで何年かの経過期間をおくことが必要だ2同じ市街化区域でもガス、水道、下水道などが整備されている既成市街地農地から順次実施する、という考えを示した」、こういう記事を読んだわけでありますが、この考え方が一、二年前からの大体自治省考え方であったというふうに私は理解をしております。いまの御答弁によりますと、閣僚協議会閣議了承事項を受けて検討中であるという実に答弁のための答弁をされたような感じがいたしますが、いま私が読み上げました考え方というのは、これはやはり後退したといいますか、検討をされておるのかどうかということについてさらにお尋ねをいたします。
  16. 山下稔

    説明員山下稔君) 私どもきわめて事務的な立場におきまして大蔵省はじめ関係省といろいろ意見交換をいたしておることは事実でございますが、ただいま御指摘がありましたようなことで自治省考え方がきまっているという段階ではございません。いまおっしゃったような意見もございますし、また経済審議会土地政策研究委員会のような考え方も別にございまして、いろいろの考え方がございますので、各種考え方を総合的に検討し、関係各省意見調整をはかっているという段階でございます。
  17. 中村波男

    中村波男君 最終決定を見ますまでには各省意見調整をされて決定を見ることはこれは筋道でありますが、しかし少なくとも自治省としてこうあるべきだという方針を持っておらなければ、ただ他の省の出方を見ながらきめていくという、こういう自主性のなさといいますか、課税をする立場における自治省としては私は不見識だと思うのであって、したがってもう少し率直に、自治省はこういうふうに考えておる、この考え各省協議をしていくというような態度が表明されてしかるべきだと思いますが、そういうきまった自治省としての方針態度というものはないわけですか。
  18. 山下稔

    説明員山下稔君) いずれそういう形で事を運ばなければならないということは御指摘のとおりでございますが、いまの段階では、そうした公にできる結論は省としてまだ得ていない段階でございます。
  19. 中村波男

    中村波男君 そうしますと、この新聞記事というのは、そういう言い方は私はいたしたくありませんが、全く事実無根の記事だというふうに自治省としては答弁されますか。
  20. 山下稔

    説明員山下稔君) 私どもがごく事務的なレベル段階各種意見交換をいたしていることは事実でございまして、いま御指摘のありました記事内容は私具体的には存じませんが、私が大蔵省各種の話し合いをしたことは事実でございまして、それをどういうふうに大蔵省が主としてお受け取りになったかそこら辺は私経緯を存じないのでございますが、先ほども申し上げましたように、こういうふうな形で自治省意見をまとめてそれを大蔵省協議したという形ではなかったわけでございます。
  21. 中村波男

    中村波男君 実に歯切れの悪い答弁ですが、これは従来自治省から局長その他が御出席になりまして、自治省見解を尋ねました場合には、この新聞に書いておりますような内容考え方を明らかにされてきておると思うわけです。  まあこれ以上押し問答しておりましてもらちがあきませんから、それでは、農林省としてはこの問題にどう方針を打ち出して対処されていこうとするか。これはひとつはっきりと農林省考え方をこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  22. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 先ほど、ことしの八月に地価対策閣僚協議会決定があったということはお話のとおりでありますが、あの決定につきまして、先ほど建設省のほうからお話もございましたとおり、私どもも、この決定趣旨につきましては、市街化区域内の農地評価について、全く従来の農地並みではなく、やっぱり何らかの検討を加えらるべきであるというような趣旨決定であるというふうに理解をいたしておるのであります。そこで私ども関係各省ともいろいろ事務的に折衝いたしておりますが、先ほど自治省のほうからも御答弁ございましたとおり、まだ確たる各省の御意見がきまった段階でもございませんので、私どももなお各省とも連絡をさらに密にいたしまして慎重にいたしたい。なお、近く税制調査会等におきましてもこの問題については審議が行なわれるというふうに聞いておりますので、それらの経緯、結果等を見まして私どももはっきり態度をきめたい、かように考えております。
  23. 中村波男

    中村波男君 どうもよそごとみたいな御答弁でありますが、少なくとも農林省は十二月の税調の答申を待って本ぎまりになるであろうということがいわれておるわけでありますが、もう十二月といいましても二ヵ月ないわけですから、したがって農林省としては、市街化区域内の農地については税制上かくかくこのような考え自治省あるいは建設省大蔵省と折衝すると、こういう確固たる方針というものをきめておるべきであり、きめておるけれども答弁としてはできないということなのか、その点もう少しはっきりしていただきませんと、そうですかと言って引き下がるわけにはまいらないような気がするわけです。
  24. 岡安誠

    説明員岡安誠君) やはり御案内のとおり市街化区域内の農地と申しましても、いろいろ都市計画線引き態様その他によりまして、また区域内の農地態様等によりましていろいろ違うわけでございます。私どももいろんな考え方を現在検討し、煮詰めております。事務的な段階ではいろいろな案もございますけれども、確たるこういう方針というのはまだここで申し上げられるようにはきまっておらないということを言わざるを得ないと思います。
  25. 中村波男

    中村波男君 くどいようでありますが、もちろん省議として農林省方針というものはきまっておらないことはよく知っております。したがって、いままで事務レベルで御検討されておる、そういうものがあるということをいまおっしゃったわけでありますが、それをこの機会に明らかにされるわけにまいりませんか。
  26. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 私ども先ほども申し上げましたとおり、閣僚協議会趣旨がやはり従来とは違った扱いというふうに理解いたしておりますので、いろいろ評価方法なりそれから課税方法等につきまして検討いたしておりますが、基本的には、かりにいろいろ評価をいたしました場合に、農民税負担につきまして非常に負担にたえられないような急激な増加になるというような場合には問題があるんではなかろうかというような観点から現在いろいろ検討いたしておる段階でございまして、具体的にどういう方法によってその目的を達成するかということにつきましては、まだ最終結論は得ていないというような状況でございます。
  27. 中村波男

    中村波男君 それでは大蔵省に進みます。  大蔵省お尋ねをいたしますが、さいぜん朝日新聞記事を引用いたしまして自治省質問をしたわけでありますが、大蔵省自治省考え方について容認できないという立場をおとりになっておる。その理由としては、「経過期間をおかずに一気に引上げる」、「市街化区域内であれば、既成市街地と新市街地を同時に引上げる、という方針を決め、十七日自治省に伝えた。」、こういう内容でありますが、これについてさらに具体的に大蔵省市街農地固定資産税に対する考え方を明らかにしていただきたいというふうに思います。
  28. 平尾照夫

    説明員平尾照夫君) ただいま御質問市街化区域内の農地につきましては、先ほど来いろいろ答弁ございましたように、「地価対策について」の「当面緊急に実施すべき施策」の中の「農地宅地化促進」ということで、「農地近傍宅地との課税均衡を考慮し、土地保有課税適正化を図る。」という閣僚協議会の御決定に基づきまして関係各省といたしまして事務的にいろいろ検討を進めております。この「農地近傍宅地との課税均衡」と申しましても、具体的にこれを詰めていきます場合に実際に負担がどういう関係になるかということについてやはり実務上いろいろ調査をいたしまして、負担関係の事実関係を明確にしていく必要があるということで、これは主として自治省お願いをいたしまして、そういう事前の検討を目下しておる段階でございます。したがって大蔵省としましてこの新聞記事に出ておりますような省議決定をしたということはございません。先ほど来御質問がございますように、税制調査会におきましてもいま資料を提出をいたしまして審議お願いしておる段階でございます。
  29. 中村波男

    中村波男君 そうしますと、この新聞記事というのは全面的に否定をされるわけですか。
  30. 平尾照夫

    説明員平尾照夫君) この九月十八日の朝日新聞記事は、その前日の九月十七日、先ほど来申し上げておりますわれわれの事務当局レベル検討自治省固定資産税課長といろいろ資料関係、あるいはいろいろな考え方について検討の打ち合わせをいたしましたその事実に関する記事でございますが、ここに書いてありますこと自身はわれわれが話し合いをしましたこととは関係はございません。
  31. 中村波男

    中村波男君 これまた省議できまったと私は理解はしておりませんが、少なくとも事務レベルにおいては「経過期間をおかずに一気に引上げる」、二番目には、「市街化区域内であれば、既成市街地と新市街地を同時に引上げる、」、こういうのがいまいわゆる事務当局としての考え方である、こういうふうに理解していいわけですか。
  32. 平尾照夫

    説明員平尾照夫君) いま読み上げられました二つの事柄、経過期間を置かずに一気に税負担を引き上げる、それから第二の二重線引きと申しますか、市街化区域内にもう一回線引きしてその内部だけを宅地並みにすることはできないという考え方が事務当局の中にあることは事実であります。それは閣僚協議会決定に関する解釈としてそういう考え方がある、しかしそれ以外の考え方もあるということもまた事実でございます。
  33. 中村波男

    中村波男君 そこで大蔵省としてそういう考え方をされますのは、いわゆる閣僚協議会決定をにしきの御旗として各省とも掲げられておるわけでありますが、しかし税の本質、税を徴税する基本的な態度として従来大蔵省は、税は税として純粋に考えるべきだという立場を私は堅持していたと思うわけです。したがってこの問題は明らかに政策目的、すなわち、市街化区域農地宅地化促進をする、もう一つ悪いことばで言えば、市街化区域農民農業からほうり出して宅地へいわゆる転用する、こういう目的が強くあればこそいま大蔵省の事務当局が考えられておるような一気に引き上げる、また差別はつけない、こういうようなことが出てくるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、この問題について税本来の目的あるいは徴税態度として好ましいことであるというふうにお考えでありますか。
  34. 平尾照夫

    説明員平尾照夫君) いま御質問で御指摘になりましたように、税の本質と申しますか、およそ租税を立法し、あるいはこれを実施に移すという場合に、公平あるいは適正な課税ということが第一の原則であるということは、われわれが常に守ってきたところでございます。また、そのように実行につとめておるわけでございますが、しかしおよそ租税の目的といいますか、あるいは租税の機能として考えられますのは、公平のほかになおやはり全体として経済社会の資源の最適配分であるとか、あるいは所得の再配分をするいろんな機能がおのずから混然となって復合的な租税の体系ができているわけであります。ただ、先生御指摘のように、その中で課税負担の公平ということが最も大切であるということはまさにおっしゃるとおりであろうかと思います。この市街化区域内の農地課税についても、考え方は基本的には変わっておりません。したがいまして、われわれとしましては完全な宅地に囲繞された農地があって、それが非常に負担が低いということはやはり税の公平負担という観点からゆるがせにできないんじゃないかという点は、先生御指摘のとおりでありますけれども、一方において閣僚協議会では全体として土地問題の解決という大きな政策的な課題を持っております。事務当局としてこの閣僚協議会できめられました施策を万全な形で実施するのがわれわれの最大のつとめだと思います。
  35. 中村波男

    中村波男君 自治省にもう一度質問を戻しますが、かりに市街化区域内の農地をいわゆる宅地並み課税に上げた場合に全国でどれだけ税の増徴になるか。もちろんこれは市街化区域はまだ一〇〇%決定を見ておりませんし、試算のまた試算になるかもわかりませんが、概算ですね、そういう試算が出てくると思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。
  36. 山下稔

    説明員山下稔君) 先生が御指摘になりましたように、市街化区域そのものがまだきまっておりませんし、またその市街化区域の中に農地がどのような形で存在するかもはっきりいたしておりません上に、かつ今後それを評価がえをいたしまして、そうして新しい評価額をつかむという経過を経なければなりません上に、どのような税負担の求め方をするかということにも関連いたしまして、いろいろの未確定の要素がございますために、全国でどのぐらいになるかということについて申し上げるような数字をまだつかんでいないというのが現段階の状態でございます。
  37. 中村波男

    中村波男君 各省の御意見を、また考え方をお聞きした感じでは、閣僚協議会決定を受けて、市街化区域内の農地固定資産税を大幅に上げるという、こういう方向で動いている感じがいたしますが、少なくとも市街化区域に線引をされた地域内には、まだ相当な農地があり、また農業経営で生計を立てようとする農民が多く含まれているのでありますから、この問題については、ただ税制の上から農民農業から離れさせるという、こういう目的のみをもって、これに対して結論を出されるということについては、私たちは全く反対をせざるを得ません。したがって、今後の方向としては、税調の答申を待って決定を見ると思いますけれども各省において実態等もよく御調査をいただくと同時に、少なくとも市街化区域指定をされた農地であっても、自治省の従来の考え方でありますように、ガス、水道、あるいは上下水道等々が整備をされて、全く市街化として形成がされておる地域について考えるという、これ以上のものであっては私はならぬというふうに考えておるわけです。したがって、以上要望を申し上げまして、この問題については質問をやめたいと思いますが、それにもう一つ関連をいたしまして、都市計画税についてお尋ねをしておきたいと思うわけであります。  閣議了承事項の中にも、「市街地開発事業を全面的に実施し、おおむね一〇ヵ年以内に市街化区域を健全な市街化として整備するものとする。このため、都市計画税の増徴、国の財政措置等財源の充実を図る。」とあります。この国の財源の充実措置については、また別の機会お尋ねをすることにいたしまして、「都市計画税の増徴」ということが打ち出されてきておりますが、増徴と言いましても、その問題は内容でありますが、これも一気に来年度から実施をするという考え方なのか、また増徴の幅はどのように考えているのか、自治省建設省大蔵省、それぞれひとつお答えをいただきたいと思います。
  38. 山下稔

    説明員山下稔君) 都市計画税の引き上げの問題につきましては、四十三年の七月の税制調査会でも取り上げまして、制限税率の引き上げを検討すべきであるという趣旨の答申をいただいておるわけでございます。また都市計画事業財源の充実という見地、あるいは都市計画事業によって土地所有者がいろいろの便宜を受けるというような事実、そういう点も考慮して、都市計画税の増徴をはかるべきだという御要望はいろいろ私どもも伺っているところでございます。ただ都市計画税につきましては、その負担の求め方が固定資産税よりもいわゆる負担調整措置を早いテンポで進めるということで進んで参りまして、固定資産税はまだ三十九年度に行ないました前回の評価額によって課税している土地もまだ多くはないという現状であるのに比較いたしまして、都市計画税のほうは四十四年度で全部三十九年度の評価がえによる評価額によって課税をいたしたわけでございます。したがいまして、本年度行ないました新評価がえによりまして、都市計画税税負担をどう求めるかということが、税制調査会でも検討されました結果、四十五年に行ないました評価額で一気に課税することには問題があるだろうというところから、四十五年と四十六年の二ヵ年間に限りまして負担調整措置をとるということにいたしまして、四十七年から新評価額によって課税するという仕組みがことし結論が出されたばかりでございます。そういう事情もございますので、先ほど申し上げましたような増徴の御要望もあわせて、今後税制調査会等の答申をも得て検討してまいりたいというふうに考えております。
  39. 朝日邦夫

    説明員朝日邦夫君) 建設省といたしましては、市街化区域を今後十年の間に優先的に整備をしてまいるといたします場合に、その都市施設の整備のための財源が相当な額にのぼるであろうということは想定いたしておるわけでございます。御承知のとおり、都市計画税は、まさにそういった都市施設を整備をいたすための財源を得る目的税でございまして、もちろん国の財政措置も必要でございますが、あわせてやはりその地域の住民がその負担の一端をになうという意味で、これの増徴はやはり必要であるというふうに考えております。ただ御承知のとおり、評価につきましては固定資産税評価と同じ基礎でございますので、固定資産税評価のしかたとも関連をいたしてまいりますけれども、一応建設省の試算、要望といたしましては、現在の額を相当上回った財源が得られるような増徴を期待をいたしておるわけでございます。
  40. 平尾照夫

    説明員平尾照夫君) 都市計画税につきましては、先ほど自治省からも御説明がございましたように、四十五年、四十六年と負担調整の経過措置をやりまして、正常な形になるのは四十七年度というのをきめたばかりという事情が一つにはありますし、他方、都市計画に伴う膨大な公共投資の財源の要求があるわけでございます。これらの問題をあわせ考えまして、事務当局でもいろいろ検討いたしておりますが、同時に税制調査会に目下審議お願いしておる段階でございます。
  41. 中村波男

    中村波男君 この問題は一応やめます。  次に四十五年度における過剰米の処理状況、特に飼料への転用を今日までどれだけ払い下げを行なわれて、また年度内の計画等をこの機会お尋ねしておきたいと思うわけであります。
  42. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 過剰米の処理につきましては、四十五年度におきまして輸出等を実施いたしております。いま四十五年度だけの数字を持って来ておりませんのですが、輸出を四十三年から始めまして、大体本年度中に、始めた当初から勘定いたしまして百万トンに達する見込みでございます。なお飼料用等の処分に関しましては、現在実施いたしておりますのは六万トンの試験売却をいたしております。この試験売却が大体今月一ぱい、若干来月にかかるかもしれませんが、飼料用に大体売却が終わる予定でございます。今後の計画といたしましては、いろいろえさのトウモロコシその他の原料の値上がりしております関係もありまして、早期放出を望む声が飼料業界でも強いのでございますが、私どもといたしましては、かなり大幅にやるとすれば、これは食管の負担、要するに赤字負担の問題が出てまいりますので、補正予算ともにらみ合わせながら本年度どの程度にするかを検討してまいりたいというふうに考えております。
  43. 中村波男

    中村波男君 今日まで試験的に飼料への転用をはかってこられたわけですが、その価格は幾らですか、払い下げ価格ですね。
  44. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 二万三千五百円でございます。これはトウモロコシその他の価格との関係で、私ども飼料価値というふうな関係考えております。
  45. 中村波男

    中村波男君 今後の計画について、具体的な内容のある御答弁がいただけなかったわけでありますが、新聞等によりますと農林省としても相当検討をしておられるようであります。したがって、古米の処理の大半は飼料への転用ということになっているようでありますし、ならざるを得ないのではないかと思います。そこでそれ以外の、飼料以外の転用の方法が具体的にないとするならば、いま長官もおっしゃったように、トウモロコシの不作等による輸入価格の値上がり等々で飼料が三回目の値上げが検討されておるということを考えましても、早急にそういう飼料対策の面から考えてもあるいは金利倉敷の点から考えても飼料以外に転用の方法がないとするならば、もう少し決断を持って迅速に処理をすることのほうがいわゆる金利保管料等を節減することにもなるのではないか。また飼料対策としても強く飼料関係者から要求が出ておる現状からいいましても何かそういう点については食糧庁、農林省ともに積極性を欠いておるのではないか、優柔不断な態度ではないかと、こういうふうにまあ疑わざるを得ないのでありますが、その間の考え方、事情はどうなっておりますか。
  46. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 過剰米の処理に関しましては、私どものほうで過剰米処理委員会というのを開きまして、学識経験者、消費者等の御参集を得ましていろいろ審議をいただきまして、その結果はすでに発表されておりますが、まあ飼料用に大体年間百四十万トンぐらい。輸出はこれはいろいろ相手の事情もございますし、援助資金等のからみもございますが、大体いままでの例から見て年間四十万トンくらい、そのほかに原材料用の売却等で二十万トンぐらい、合計二百万トンぐらいがいわゆる主食用途と別の用途、主食用途と食い合わない用途として可能であろう、こういう結論もいただいておるわけでございまして、私どもは大体その結論に従って今後この過剰米を処理してまいりたいと考えております。特にえさ用につきましては先生いま御指摘のとおりの強い要望がいまの飼料原料の事情のもとでございますので、私どももできるだけそれに配慮をして今年度内においてもできるだけ放出が可能なように努力をしてまいりたいというふうに考えております。ただいずれにしましても膨大な財政負担を伴うのでございまして、当然これには年度予算となればやはり全体の予算との関係、補正予算となれば年度途中のことでございますので補正予算のいろいろな財源なり使途というものとも関係をいたしますので、いまここで私が一挙に何万トン出すと言いましてもから手形に終わるということになりますので、そこら辺を財政当局と十分話をしながら御指摘のように飼料に向けるものはどうせ向けなければならないのでございますから、私どもできるだけ早く実現をするように努力をいたすつもりでおります。
  47. 中村波男

    中村波男君 米の生産調整問題等についても質問を予定しておったのでありますが、すでに予定の時間が経過しておりますから、もう一問だけ質問を申し上げまして交代をさせていただきたいと思います。  質問と申しますのは、米の生産調整対策費、もちろん四十五年度でありますが、この中で市町村が具体的に行なっております事務の中で、特に指摘をしたいのは、いわゆる作付転換、休耕等が中心でありますが、これの確認事務ですね。これは膨大な作業量にのぼっておるわけです。しかし実際にそれに対する交付金というのは、全く少ないということで、したがって、これはまあ予算を見ましても、国の全額負担ということでやられることになっておりますが、このやり方は正しいと思いますが、しかし実質的には市町村の財政負担を引き起こしておる、こういう実情、実態について、農林省としてどのように承知をしておられるか、こういう実態というのを調査して、私が指摘するような事項があるというふうに考えておられるかどうか、お聞きをしておきたいと思います。
  48. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 御指摘のとおり、今年度の生産調整の実施をいたしましたのが百三十九万トン余りの実績が上がったのでございますけれども、これは一々おっしゃるとおり市町村が中心になりまして、生産調整関係水田の確認をいたしまして、奨励金を支払うということになっておるのでございます。私どもも当初なれないといいますか、予想いたさなかった事態もございますし、それから一回やりました確認を二度、三度やらなければならなかったという事態も発生しているところもございます。そういう関係もございますでしょう、相当市町村によりまして、多額の経費をこれに食われた、また人もこれにさかざるを得なかったということも承知いたしております。予算上の、私どもの事務費だけではとうてい足らなかったというような市町村も私ども聞いております。そういう市町村に対しましてははなはだ申しわけないことをいたしたというふうに思っておりますので、今後さらにこの事務を進めなければならぬわけでございますので、私どもは実情等をさらに十分調査把握いたしまして、今後事務費等の面につきましては配慮いたしたい、かように考えております。
  49. 中村波男

    中村波男君 時間がありませんから、具体的な内容については避けますが、いま参事官のおっしゃるように、相当まあ町村の持ち出しになっておる、こういう実態にかんがみて、今後考慮するということでありますが、具体的には補正予算その他の方法をもって予算措置を不足分について行なうという、こういう確約をこの機会にしていただけるかどうかということでありますが、具体的にはどういう内容ですか。
  50. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 私ども検討いたしたいと申し上げましたのは、ちょっと誤解があるといけませんので訂正をいたしますけれども、今後ともこの事務を四十六年度以降、続けなければならない事態というふうに考えておりますので、四十六年度以降、こういう事務をお願いをする場合におきまして、十分予算措置等を考えたいということを申し上げたわけでありまして、四十五年度中にいまお話しのとおり、補正予算等措置をするか、こういうふうに言われますと、これはなかなかむずかしい問題であろうというふうに実は考えておるのでございまして、私どもは四十六年度以降につきまして十分配慮をしてまいりたいというふうに考えているのでございます。
  51. 中村波男

    中村波男君 次官にお尋ねしますがね、これは私、かつてこの委員会でも大蔵大臣に、県、特に市町村の事務負担というものは労力的にもまた経費の面でもばく大な金額に——計算いたしますとばく大なものになる、したがって完全に国で財政的に裏づけを行なうかどうかという質問をしたことがあります。大蔵大臣は、国で責任を持って行ないますという言明をいただいたという記憶がございます。そこでいまの御答弁ではことしのことはしかたがない、来年は今年度の実績、経験にかんがみて考慮するという、こういう無責任な答弁です。したがって補正予算が組めるとか組めないとかというような問題は、組む意思があれば組める問題だと思うのです。こういう経費を市町村に負担をさせて、農林省はほおかぶりしてこれを過ごすという、私はそういう考え方については納得いきません。したがって大臣がいらっしゃいませんから、次官から、少なくともこの問題について実際にかかった経費、それはやはり国で負担をするというこういう原則の上に立って財政措置をとられることを強く要望をいたしますし、次官からひとつこの問題についてのお考えを明らかにしてもらいたい、こう思うわけです。
  52. 宮崎正雄

    説明員(宮崎正雄君) 大蔵大臣からそのような御答弁があったということであれば、これはまあ大蔵省のほうも考えていただけるかもしれませんけれども、御承知のように、計画が百万トンを目標にしたところが相当大幅に上回ったわけですし、それからまた農林省としましても全部でどの程度のいわゆるそういうような超過負担になっておるかというような実態がまだ確認できていないわけなんですね。そこで、これからもそういうようなことをいたします場合、協力を得ます場合にことしの措置が御迷惑になるようなことであれば、将来のわれわれの業務を遂行する上にも大きな支障になると思いますから、これも非常に重要な問題だと思いますので、さらに御趣旨のような点も考慮して検討いたしますが、ただ、事務的に見ますと、もし相当の金額になるとしますと、年度中途におけるそういうような措置がはたして、財政当局との関係もございますから、いまここではっきりと、そのようにいたしますということは明言はできませんけれども、その精神は十分に尊重しなければいかぬと、こういうように考えております。
  53. 北村暢

    ○北村暢君 私はきょうは林業関係、特に除草剤の問題についてまず質問いたしたいと思います。  現在の国有林、民有林を含めまして除草剤の使用状況というのはどのようになっておりますか、まずそれからお尋ねいたしたいと思います。
  54. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 四十四年度の国有林の除草剤の使用状況について申し上げます。  塩素酸塩系が面積で五万四千ヘクタール、それから製剤量、薬の量で五千二百八十トン、それからフェノキシ系、これは二四五Tがこの中に入りますが、フェノキシ系が面積で一万九千二百ヘクタール、製剤量で五百七十トン、このうち二四五Tは七トンでございます。あと、スルファミン酸系という薬がわずか使われておりますが、量にいたしまして全体の使用量の一%程度でございます。  民有林についての使用実績はいま林野庁の統計が出ておりませんが、各地で逐次使用されておる、だんだん実用化されておるということを聞いております。実績につきましてはつかんでおりません。
  55. 北村暢

    ○北村暢君 いま御報告がありました四十四年度の数値はもう過去四、五年の実績から見れば塩素酸塩系並びにフェノキシ系等飛躍的に増加しているわけでありますが、そこでそれらの安全性についてお伺いいたしますが、これは林野庁でも相当数買い入れているかと思うのですが、「林業用除草剤のあらまし」という林業薬剤協会の発行しておりますいわゆる林業用除草剤のPR誌だと思うのですが、それによりますというと、まず、塩素酸塩系の塩素酸ソーダは劇物であるが、食塩よりも毒性においては低いくらいであって、同じ程度でごく安全なんだというPRがなされておるようであります。そこでですね。一体塩素酸塩系が劇物に指定されているというのはどういう点について劇物に指定されているのか。食塩よりも安全であったならば、劇物に指定する必要がないのじゃないかと思うのですが、その劇物に指定されているというのはどういうことで劇物に指定されているのか。さらにその使用方法、その他等についても出ておりますが、塩素酸ソーダは毒性が非常に低いためか作業員の健康上許される空気中の濃度、つまり許容濃度についてはきめられておらないというようなことが書いてあるのですが、後ほど触れますフェノキシ系は、これは劇物でも何でもない。それについては許容濃度というようなものは試験されておるのですが、この塩素酸塩系についてはそういうものはきめられておらない。こういうことが出ております。したがってどうも私の感じでは劇物としての塩素酸ソーダが非常に安全だ安全だということを重点に置かれて、かえってPRとしては劇物であるけれども安全なんだというふうに持っていっているように受けとれて非常に扱い方は危険だと思うのですが、先ほど申し上げたように、塩素酸ソーダが劇物に指定されたのはどういう点で劇物に指定されたか。この点について、防疫課長見えておりますか。——その点ひとつ劇物に指定した毒性の問題について御答弁していただきたい。
  56. 福田秀夫

    説明員(福田秀夫君) 劇物の指定と申しますのは、毒物及び劇物取締法に基づきまして政令で指定されておりますけれども、この指定は厚生省のほうでやっておりますので、詳しいことはよくわかりませんけれども、塩素酸塩系のものはいわゆる劇物あるいは毒物等に指定する場合の一つの基準としましてのマウスに対する経口投与による毒性を見ますというと、このマウスの経口投与による毒性値は非常に低いものになっております。一般に劇物に指定されるものよりもたいへん低くなっております。それにもかかわらず劇物に指定されたというのは、私どもにはよくわからないのでありますが、推定いたしますのに、一つは塩素酸塩は発火性と申しますか、酸素がたいへん多くて燃えやすいというような性質があるということでございます。それからまた手などでじかにさわった場合荒れるというようなことも言われておりますので、そのようないろいろなことを勘案しまして劇物に指定されておるものかと推定いたしますが、詳細は厚生省に尋ねませんとわかりかねますが、まあそういったことでございます。
  57. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 塩素酸ソーダは劇物に指定してございますが、その基準につきましては一般的に毒物、劇物の基準につきましては、LD50と申しまして実験動物の五〇%が死ぬその致死量、その量によって、量が少なくて五〇%が死ぬというものは毒物、劇物にそれぞれ指定するというのが原則になっております。塩素酸ソーダにつきましては、そのLD50がただいま農林省課長からお話がございましたように、一般の劇物よりも比較的その毒性は弱いということになっておりますが、しかしこれを劇物にあえて指定いたしましたのは、これは血液毒であってじん臓をおかす、それから血尿が出るというような症状が出る、そういう意味ではおそろしい薬でございます。重症の場合はけいれんを起こして死に至るというような、そういう毒性に着目をいたしまして、LD50は比較的低いわけでございますが、あえて劇物に指定いたしたという経緯でございます。
  58. 北村暢

    ○北村暢君 さらにお尋ねいたしますが、現在のBHC等の有機塩素系の薬剤は体内に蓄積する等の問題が大きく取り上げられて、使用の制限、停止等が問題になっておるわけなんですが、ところがこの除草剤の塩素酸ソーダは無機塩素であって、分解しやすいので体内に蓄積されることがなくて安全であるというふうにPRされているんですが、一体この塩素酸ソーダの分解する温度ですが、これは中央労働災害防止協会発行の「危険有害物便覧」、これによりますというと分解温度は三百度Cであるというふうに出ておるんです。したがってこの無機塩素は非常に分解しやすいので体内に蓄積されることはないんだと言うんですが、三百度Cで分解するということになればこれは相当高い温度なんですが、この分解の関係からいくというと、一体そういうふうに簡単に分解して大事故がないということが言い得るでしょうか。三百度Cなければ分解しないと、こう言っておるんですが、この点はこのPRは正しいのかどうなのか、私も非常に疑問を持つわけなんですけれども、その点はどうであるかという点について、これはちょっとどちらに聞けばいいんですかよくわかりませんけれども、どなたかひとつ答えていただきたいのですがね。
  59. 福田秀夫

    説明員(福田秀夫君) いまお話のありましたように、熱によります分解ということがございますけれども、これはいわゆる生物体内における分解とか、そういうものにつきましては一般に無機のものはあまり、そういうことが考えられない。食塩と同じような分解ということはございますけれども、そのことによって蓄積されるというようなことは考えられないと、これは一般的に考えられておりますけれども、特に塩素酸塩につきまして、私、いま準備が不十分でございまして、申しわけございませんが詳しいことはわかりませんけれども、林野のほうでたくさん使っております除草剤でございまして、何か林野庁のほうに分解等の御調査があったかと記憶いたしますが、ちょっとよくわかりません。
  60. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 分解に関する過程の調査は林野庁にもないようでございます。塩素酸塩NaClO3のO3が逐次酸化して出ていって、最後にNaCl、食塩だけになるのだということを聞いております。
  61. 北村暢

    ○北村暢君 その分解温度の三百度Cというのはこれはどういうことを意味するのか、説明できましょうか。そういうことが文献にあるのですがね。  それでは、化学的にはみんな、私、質問するほうもあまり強くないので、答弁するほうもおそらくわからないかとも思うのですが、いずれにせよ分解温度が三百度Cであり、しかも先ほど劇物に指定したときの理由等を聞きまして、また身体への影響では致死量は十グラムだ、こういうふうに出ておるのですが、十グラムも飲むことはないのだから安全なんだ、こう言えばそれっきりなんですが、十グラム程度で身体に及ぼす影響は致死量だということが出ている。そういうものについて、除草剤の塩素酸ソーダは無機塩で分解しやすいので体内に蓄積することはないから安全ですというふうに言っている。全く劇物というものに対する認識というものが、この林業薬剤協会のこれを編集した人の頭にはまずないのじゃないかと私は思う。事実、これは長崎県で牛がその散布したあとへ行って、そしてこれの処理が悪かったのかどうか知らぬが、袋が散乱している。そういうところへ行ってそれをなめたらしい。しかも食塩に非常に似ているので牛は好んで食べるということで、牛が数頭死んでおるわけですね。馬が死んでおる。こういう事実が出てきた。しかし、これは解剖した結果、塩素酸ソーダは出たけれども、それを食べたために死んだのだかどうだかはわからないということで、わからないことにはなっているんですが、いろいろ調べた結果は、食べたことは事実で、死んだことも事実のようです。そういうことが事実問題として出ているわけなんですが、牛は人間の約十倍ぐらいのものを食べたら致死量だと、こう言われているようです。ですから十倍以上のものを食べたんだろうと思うんですが、そういう点からいって非常にこれは取り扱いも厳重に注意しなければならない、そういうものだと思うんです。ところがこのパンフレットを見るというと、全く安全安全で、危険だなんていうことは一つも書いてない。こういうものを林野庁は予算でもって大量に買って、そして各営林署に配付している。しかも、団体交渉等でやれば、管理者はこのとおりに答弁する。安全なんだからと言って署長はなめてみせて、安全なんだと、こう言っているんですね。そういうことしかやってないんですよ。そういうことで取り扱い上いいのかどうなのかということは非常に疑問に思うんですけれども、ひとつこの毒物として指定している、先ほど言ったじん臓に影響があるとか、血尿が出るとか、こういうようなことの症状が出てくるというようなことなんだから、これは間違っても口に入らないようにしなければならない。あるいは散布する空気中に濃度の強いものであればそういうものが蓄積されてこういう症状が出てこないという臨床の実験なんていうものは何らされていない、そういうことでしょう。そういうことで安全性については林野庁の所管でないので、そういう研究は厚生省ですとか何とかと言いながら、一方PRは安全だというPRをする。こういう基本的に毒物に対する扱いというものについて、林野庁の態度というものは私は改める必要がある、このように思うんですがね、どうでしょうか。
  62. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 林野庁といたしましては、そういった誤解を受けるようなとらの巻と申しますか、資料だけによらないで、目下林野庁としてのそういう普及版なり、営林署の関係者に必要なとらの巻を作成すべく検討中でございます。その中には多少誤解を受ける向きもありますので、今後はそういうものでなくて、公式のものをつくってまいりたい。当然関係方面とも打ち合わせをしてやらなければいけないと思います。  それからなお先生いまおっしゃいましたが、十グラム飲めば致死量になるということを申されましたが、それは体重一キログラム当たりではないかと思います。塩素酸塩系は体重一キログラム当たり七千ミリグラムになりますと半数が死ぬであろう、半数致死量が体重一キログラム当たり七千ミリグラム、このようになっております。
  63. 北村暢

    ○北村暢君 これは体重一キログラム当たりだということになると、六十キロの人だとどのくらい飲んだらということが出てくるでしょう。だからそういう大量の物を飲むことはまあ絶対ないから安全だと、こういうことなんでしょう。死んだんではこれはたいへんなことなんでね。死ぬことを基準にしているのではなくて、他のいろいろな症状というものが出てくるということですよね。いま言ったのは致死量なんですから。ですからその点は論争があるかもしれませんが、それは避けまして、次にフェノキシ系のいわゆる二四五Tの問題でありますが、これについてもアメリカでは農業関係には使用を禁止した。林業関係は、若干厳重な監視のもとに使うことをまだ認めているようです。ところがこれは劇物でもなければ毒物でもない。そういう催奇性の問題が問題になって、使用の禁止が出ているわけです。ところがこのパンフレットを見ますと、フェノキシ系の除草剤についてははるかに安全だと、こういうことのように出ておる。ですからひとつこの問題について、先般の新聞によりますというと、スエーデンでも奇形児が出るという危険性があるというので調査をすることにした。ところがそれをつくっている会社は自主的に製造を中止したというのが新聞に出ていますね。そういう点からして、それに対する危険度というものは非常に高いということであります。これはベトナム戦争で枯れ葉作戦に使っているのと同じ成分のもので、ベトナム戦争では非常に大量のものを使っているということで、これの被害が相当出て、いま問題になっておりますね。そういうふうにフェノキシ系の除草剤については、国際的にも非常に大きな問題になってきているにもかかわらず、現在まで林野庁では安全性についてはまず危険というものはないのだということで、このパンフレットを見ましても、危険だということは一つも書いてない。そういうことで指導しているわけですが、一体今後どのようにこれを取り扱おうとするのか、この点についてお伺いしたい。
  64. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) アメリカとスウェーデンにおきます二四五Tに関する情報が入っております。アメリカでは先生いまおっしゃいましたようなことで、人家とか農耕地、それから湖水、堰堤、そういうところでは使うのを即時停止するというようなことでありますが、牧場とか採草地、林地、道路というものには、いまだにその使用は制限を受けておりません。それからまたスウェーデンにおきましてもそういった情報が入りましたので、公式機関を通じまして、いまその詳報を取り寄せ中でございます。いずれ近くその詳報は入ると思います。その国でどう処置したとか、そのメーカーがどういう判断で製造を中止したのか。採算にも乗らないからそれをやめたのか、あるいはそういった医学上の問題があることによってやめたのか。いずれにしましても、その詳報をいま問い合わせ中でございます。  そこで林野庁としても、いま登録されております農薬の安全基準に従いまして実施をしておりますが、なお念のために、人家とか河川とか農耕地、そういう近い所には使用しない。それから空中散布する場合にも、風が何メートル以上吹いているときにはやめるとか、風速によりましてそういった農耕地その他から何キロ以上離せとか、そういった散布基準をつくっております。  それから農薬でありますが、農業に使用される場合と違いまして、林業の場合は、山の奥で林木一代であります四十年か五十年の間に一回か二回、せいぜい三回しかまかないということでありまして、いままでの実験データによりますと、LD50あるいはTLMとか、そういった各種の安全基準に照らし合わせて、ほとんど問題にならない、影響のないような実験データしか出ておりません。そういうことでいままでやってまいっておりますが、しかし問題が出ておりますので、なお今後関係方面ともよく連絡をいたしまして、この問題についてどう対処するか、検討をするつもりでございます。  なお、念のために申し上げますが、二四五Tの属するフェノキシ系の使用の適期はもうすでに過ぎております。春から夏にかけて使用するのが普通でございまして、秋から冬の間に使うのはまれでございます。そういうこともありまして、十分な検討をして慎重に対処してまいりたい、このように考えております。
  65. 北村暢

    ○北村暢君 時間だそうですから一時質問を終わりますけれども、この問題だけちょっと片づけておきたいと思います。  どうでしょう、「週刊朝日」で非常にショッキングな取り上げ方をしております。これはすでに皆さん御存じだと思います。しかも「週刊朝日」の取り上げ方は、週刊誌に一般的に取り上げているものと違って、相当これは調べて権威あるもののようです。それによりますと、この二四五Tはそのものが催奇性のあるものではなくして、來雑物のダイオキシンが非常に微量であっても催奇性が非常に強いということが出ております。こういう問題について、それじゃ日本国内で、いま林野庁長官答弁では、アメリカなり、スウェーデンからの情報を収集しているということなんだけれども、日本国内において毒性なり催奇性の試験をやっているというところはどこにもないわけです。これは一体どういうことなんでしょう。外国のデータで、使っていないという理由ができたら、日本もやめるというだけですか。これを研究しているところがない。植物防疫所だの農薬検査所でもそういうことは研究されておらぬし、その毒性は厚生省だというんだが、厚生省もダイオキシンの問題については研究されておらぬし、しかも、林野庁の記者に対する答弁では、日本の二四五Tにはダイオキシンはほとんど含まれていないということで、ほとんど含まれていないんだから安全だというふうに受け取れるように言っているんですね。ほとんど含まれてないというのは、ほとんどとかほとんどでないとかいうのは、PPMは百万分の一ですけれども、このダイオキシンの場合はそれのまた百万分の一のPPTというやつで測るんですね。そういうごく微量なものが奇形児を生むことを促進する非常に危険性のあるものだということが言われているわけなんです。これはアメリカでは化学実験をやって、このダイオキシンを採用したものがはるかに高い奇形が出てくるという実験が済んでいるわけですね。  だからこの問題は私は、これだけ出てくれば、日本国内ではこれを危険であるとかないとかいうことを断定する機関がないんです。そんな危険なものを調べもしないで平気で使うということは許されないんじゃないか。ですから、ものの考え方なんですが、危険であるかないかわからなければいつまで使っていてもいい、奇形児がたくさん出てきてからこれはいかぬかったということでやめればいいんだという態度ではなくして、これだけ国際的に危険性というものが言われているんですから、もう危険であるかどうかわからないものは使わないという基本的な考え方で臨むべきじゃないかと思うんです。来年の散布時期まで時間があるから、資料等を集めて慎重に対処したいというのでありますけれども、いろいろな国際的なデータからいっても、慎重と言いますけれども、アメリカで森林とか何とかで使うのと日本とでは、日本の森林というのは水源地はみんな飲料水のもとになっているし、アメリカの広大な飛行機で行く森林とわけが違う。日本の森林はもう農村のすぐ近くにあると見て差しつかえないんです。そういう点からいっても、安全性を見れば、この二四五Tというのは私は使うということについては非常に問題があるというふうに思います。ですから、この点については大臣にも聞かなければならぬと思っておりますけれども、出てからではおそいので使い方をこれは慎重にしてもらわなければならない、このように思う。慎重でなくして、まず使用を停止しておいて安全性を確認されてから使う、こういうことでなければならないと思うんです。そういう態度で臨まれるかどうかまずその点をひとつお答え願いたい。これは非常に重要な問題ですから、長官と政務次官と両方から答弁してください。
  66. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 現在まで林野庁が勉強しております各種データによりますと、まず安全である、慎重に取り扱えばそういった公害を起こす心配はないという確信の上に立ってやっておりますので、今後停止するとか何とかということはいま考えておりませんが、ただ、ただいまも申し上げましたように、外国で一、二の具体例が出ておりますので、そういうものも取り寄せまして、さらに関係機関、そういった専門機関とも十分協議、打ち合わせをしまして、慎重に今後対処してまいりたい、このように思っております。
  67. 北村暢

    ○北村暢君 そんな答弁じゃ納得しませんよ。大臣来たらまたやりますよ。
  68. 宮崎正雄

    説明員(宮崎正雄君) 先ほどお話しがありましたように、非常に疑わしい点がありますれば、これは重要な問題でございますから、ひとつ徹底的に研究するように、どの機関が適当であるか、いまちょっと私は申し上げかねますけれども、安全であるということを早く確認するように研究に最善を尽くすというのが当面の私たちのとるべき措置じゃないかと、こういうふうに考えております。
  69. 亀井善彰

    ○理事(亀井善彰君) それでは午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩をいたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  70. 園田清充

    委員長園田清充君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査議題とし、質疑を行ないます。
  71. 北村暢

    ○北村暢君 午前中に引き続いて除草剤の問題について、大臣も見えましたので、しかも時間がございませんから質問をしぼってお伺いいたしますが、まず先ほどフェノキシ系の除草剤についての、少なくともフェノキシ系の除草剤についての催奇性の問題が非常に大きな国際問題になっているが、これについての今後の使用等についての考え方をお伺いしたんです。まず長官は、除草剤を使うということについて安全性を確認しておるので使うことについては変わりない、しかし、国際的にも問題になっているので、今後慎重に対処したい、こういう御答弁であったと思うのです。それで私は、これは農薬の登録をする際には、この催奇性の問題についてはおそらく考えに入っていないで登録されているものだと思うんです。もう非常に条件が違ってしまった。しかも、これはサリドマイドの奇形よりもはるかに強力であり、危険である、こういうことがすでに報道されておるんです。ですから、まず私は、このフェノキシ系については使用を停止して、安全性が確認できるまで使用を停止する、こういう基本的な態度で臨むべきである。すでにこれの製造をしている工場等においても皮膚炎等の障害が出た。そして、大牟田の工場等においては製造を中止するというような事態が出てきている。ですから林野庁は、予算ですでに使用を前提として大量に買い入れている、こういうような点から、どうしてもこれを使わなければならない、また来年度も使う予定で予算は組む、こういうことになっているだろうと思うんですが、そういう予算を組んでおるからどうしても買わなきゃならないと、こういうような姿勢というものはとるべきじゃない。これだけ今日公害問題がやかましく言われている時期に、国みずからが、催奇性が問題になっているのに、これの安全性を確認して使う方針であるというようなことを断定的に言うということはもう不見識もはなはだしい。でありますから、この物の考え方、薬剤に対する考え方、公害に対する考え方というものは、全く国民感情とは相反した、遊離した考え方だと思うんですがね。ですから、この点については、大臣は少なくとも、このフェノキシ系の除草剤については、安全性が確認されるまでは使用を見合わせる、こういう方向で今後検討するということでなければならないと思うんですがね。そういう点で、ひとつ確信のある答弁を大臣にお願いしたい。
  72. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 午前中もお話があったと思うんでございます。それからまた、この間しばしば役所のほうにもお見えになりまして、いろいろお話を聞いたりしておりましたので、林野当局もよく御趣旨のほどは承っておるわけでありますが、午前中にどういうふうに申し上げておるか承っておりませんが、北村さんのおっしゃることと、私どもよくわかります。そこで、農林省としてはそういうことについて、もちろん公害や自然保護について慎重な考慮を払いながら実施しなければならぬことは当然なことであります。けれども、それにつきまして、この除草剤についてはそれぞれ専門家が研究もいたしておることでありますので、ただいまそういうお話がございましたから、なおひとつ十分に慎重に検討をして対処するようにいたしたいと、こう思っております。
  73. 北村暢

    ○北村暢君 まあ長官よりは若干つつましやかな答弁ですから、それなりに承りますがね。この除草剤を使うということの経済性について、この質問に入る前に、林野庁から、除草剤を使った場合と手刈り、機械で刈り払いをやった場合の経済的な効果についてお伺いしましたら、まず薬剤を使ったほうが非常に人力が節約できて安上がりだということにはなっていない。人力で刈り払いをやっても、機械で刈り払いをやっても、薬剤を使ってやっても、ヘクタール当たりの単価では大した差がないということの資料をいただきました。したがって経済的な効果はない。ただ、林野庁は、労働力が非常に不足してきているので、省力化の技術として定着させたいという考え方を持っているようです。  で、私どもは逆に、この問題については、この除草剤を使うことを省力技術の定着ということで考えたいというのでありますけれども先ほど言ったように、経済的な効果もないし、地元からいえば、これでは山菜がとれなくなる。その上さらに薬害も出る。こういうことであれば、地元民がこれに反対するのはあたりまえなんだ。しかも、農業が機械化されてきますので余剰労働力というものが出てくる。したがって、これはもう副業として林野に働くということは、山村の就業構造からいってもこれは望ましいことなんだ、望んでいることなんだ。結局、この除草剤を使うことによって地元の過疎をさらに拡大して就業する機会というものを失わせるという結果になる。こういう点からいっても、私は何も林業を近代化して合理化していくことに反対するものではないのですけれども、除草剤万能主義で省力化技術で何でもかんでもそっちのほうにいかなければならないのだということは、農村社会における就業構造とかなんとかいうものを無視したやり方であります。また農村の山菜というものはばかにならないのですね。一戸当たりの山菜収入が年間十万から二十万というのがざらにある。そういうものを奪ってしまうという点からいっても——現在のところは進行過程にありますけれども、将来は大々的にこれを取り入れていこうということなんでしょう。計画を見ましてもそうなっているのでしょう。で、いま山村民からたいへんな反撃がきている。署名運動をやって反対運動が起きている。それには若干この農薬について、除草剤についての認識の欠けている点もありましょう。ありましょうが、農民ははだで感じて、やはりこの除草剤を使われるということについて経済的にも環境からいっても反対する理由というものを持っているわけです。そういうものを押し切って、なぜやらなければならぬか。これはもう、私が聞くところによるというと、除草剤を使うところの効果とか何とかいうものじゃない、これはもう地元を説得をし、そしていま労働組合が団体交渉でこの問題を取り上げている、メンツの上からいっても使わなければならない。もう感情的になっている。効果じゃなくて、とにかく使わないということになればメンツの問題だという感情問題でこの除草剤を処理されたんじゃ困る。そういうところまできている。  したがって、林野庁長官答弁先ほど出たように、除草剤を使うというのは安全性を確認して、断固これを使うんだ、基本的に。使うことをちゅうちょされるのだったらたいへんなことになる。したがってああいう答弁をするのだろうと思うのですけれども、これは私は安全性の問題もあるし、経済性の問題もあるし、就業機会の問題からいっても、これは除草剤の問題について総合的に判断をして、やはり地元の理解がなかなか得られないんですから、無理をしてこういうものを使わなければならないということは、いろいろな点から検討しても私は合理性が認められない。そういう意味で、この除草剤の問題についてはひとつ安全性そのものばかりでなしに、総合的に判断して、十分これは検討していただきたいと思いますが、大臣のこれに対する考え方をひとつ承っておきたい。
  74. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 北村さんのおっしゃることもよくわかりますが、私この間、皆さん方対策委員会をやっていらっしゃる方おいでくださいまして、いろいろお話を承りましたので、それぞれ担当者、専門的にやっておるものを呼びまして、御趣旨の点について検討をいたしたわけでありますが、私も科学的にはしろうとでございますので、やはり役所関係の専門家の意見を聞く以外には知識がないわけでありますが、そういう点については非常に安全性等について勉強もいたしておるようであります。  それからまた、もちろん、先ほど申しましたように、自然保護とか公害防止とかというのは、政府全体としても重大な仕事であるというたてまえをとっておりますので、もちろんこういう薬品の使用等については地元の皆さん方の御了解も得られるように十分努力もするようにという注意をいたして、私の注意の趣旨に沿うようにやっておる、こういうように報告も受けておりますし、私もそのように信じておるわけでありますけれども、本日この委員会であらためてただいまのようなお話がございましたので、なお念を押してそういう点について間違いのないように努力を続けるようにひとつ指導いたしてまいりたい、こう思っております。
  75. 北村暢

    ○北村暢君 この点はいまの大臣の抽象的な答弁ですけれども、時間がございませんから、いまの答弁が正しく行なわれるかどうか、私、監視しながらまたの機会に御質問いたしたい。  次に、最近の朝日新聞等で出ております国有林の財政の問題についてお伺いいたしますが、ごく簡単に長官から現在までの国有林特別会計の運用の状況等について若干説明を願いたいと思うのです。それから質問をいたします。特に、収支において赤字に転落したということが伝えられておるのですが、そういう面についても御説明を願いたい。
  76. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 国有林の財務状況は四十一、二、三ときわめて順調な決算を示しております。大幅な黒字を出しておりました。ところが、四十四年になりまして外材輸入の増大、代替材の進出に伴いまして木材価格が低迷をいたしました。他方、事業が奥地化をするということ等によりまして事業費が重なった。また設備投資の拡充が行なわれた。これは林道を含めてでございます。人件費の膨張があったということ等のために現金収支では十四億円の黒字にとどまりました。それから、損益計算では約三億円の黒字を計上することになりました。その前年に比べますと急転悪化をいたしました。  それから、これに続く四十五年度——今年度でございますが、鋭意努力中でございます。依然として木材価格が低迷をいたしておりまして、また仲裁裁定等による人件費の増高もございまして、九月時点見通しでは、損益計算で約三十億の赤字が出るであろうというふうに見込まれております。ところで、このような傾向は今後も当分続くであろう。国有林の経営収支の見通しは必ずしも楽観を許さない。このように考えるのでございます。そこで、事業の合理化とか、新技術の開発、導入、積極的な対策に取り組もうとして現在も取り組みをいたしております。  以上でございます。
  77. 北村暢

    ○北村暢君 時間がございませんから私のほうからも資料に基づいて話ししながらお伺いしますが、大体、国有林特別会計は損益計算で赤字になったというのは、昭和二十二年の特別会計創設以来わずか三回しかないわけですね。その利益の総額は千五百億からにのぼっておる。で、これは千五百億益はありますけれども、固定資産を含んでおりますから、いま特別会計の財政制度で利益の積み立て金と特別積み立て金——これは一般会計に入れて使えるようにしてあるわけであります。そういうものを含めて利益金は千五百億からの膨大な利益をあげている。固定資産を除いた歳計剰余金の累計が三百五十億程度あるのですね。そして、特別積み立て金全体が六百五十七億。そのうち約四百九十億使っておりまして、現在百六十六億残がある。こういうふうに今日まで国有林特別会計は、とにもかくにも相当の利益をあげてきたわけですね。それで、四十四年度から急激に落ち込んできた。しかも、四十五年度もそういう傾向であり、四十六年度はついに五十億の赤字予算を組まなけりゃならない。概算要求で五十億の赤字予算を組んでいる。しかも、将来こういうものは続くという説明のようでありますが、そこで、この赤字予算を組んだのは、その帳じりをどういうふうに合わせるかといえば、歳計剰余金を使いたいというのが考え方だろうと思う。  私は今日まで国有林が黒字をこういうふうにあげてきたのは、確かに御説明のように木材価格の、ほかの物価に比較して異常な値上がり、これに助けられたことは間違いないと思います。しかしながら、戦後の復興材、そのためのいわゆる増伐、そういうようなことで、生長量をはるかに上回った増伐が行なわれてきておる。そういうようなことを含めて、私は今日のこの利益金というのが出てきているんだろうと思う。したがって、この急激に落ちたというのは、この増伐の結果、最近における国有林の資源状況からいえば、これは生長量の先食いをやったんですから、国有林はしたがって荒れているという結果が今日出てきておる。荒れているというような言い方をすれば気に入らぬかもしれませんけれども、そういうふうに、非常に無理をしていることは間違いないと思う。それから、戦後造林を始めたけれども、その造林木はまだ切る段階にきていない。ここ十年間くらいは私は国有林の財政収支は非常に苦しいんじゃないかと思う。増伐したくても今後急速な増伐はできない、そういう状況だと思うんですね。十年たてば、これは戦後の植栽木が必ず切れるようになってまいります。そうなればこれは収入も相当あがってくる段階にくると思う。したがってこの十年間は非常に苦しい、そういうことだろうと思うんです。  ところがこの新聞を見るというと、これはどうもそういう実情ではなしに、国有林というのは経営が役人式の経営で非常に放漫だと。したがって、楽な気持ちでいままでの積み立て金を食っていく、そういうような安易な考え方であるようだ。したがって、根本的にこの国有林のあり方についてきびしい形で長期の収支見通し、あるいは事業の会計等をやらなければならぬ、こういうようなことが言われているわけです。確かに、私もこの点は全面的に否定はいたしませんが、とにかくいま申したように、国有林というのは、いままでの黒字を出したというのは、木材の値上がりに助けられた点が大であるけれども、非常に無理をして利益をあげている結果なんだ。したがって、今後は相当、やはり国有林というのは赤字覚悟でつぎ込まなければならない段階にきているのではないかと思う。  しかも、先ほど言った特別積み立て金の四百九十億というものは、これは利益金から一般会計へ繰り入れて、一般林政に寄与してきているわけですね。そういうことまでやってきているわけです。で、なおかつ三百五十億の剰余金がある。ところが大蔵省に、いままで簡単に国有林野ではなかなか使わしてもらえなかったわけですね。自分であげた利益であるけれども使えなかった。なぜならば、そういう面、確かに金のことですからきびしく言うのはいいんですけれども大蔵省の主計官も見えておりますが、そういう点からいくというと、この剰余金の取りくずしというのは今後どうしてもこれは続くんじゃないかと思われる。しかもこの利益金の半分が、特別積み立て金として一般会計に繰り入れることになりますから、それが赤字になるということになれば、これは必然的に特別積み立てになりませんから、残りが百六十六億、これを使い果たすというと一般会計への林政協力費といったものはなくなるわけですが、そういう面についてですね、もう一般林政へ協力をするというような余裕はなくなってきてるんじゃないかと、このように思うんです。そういう点について、この運用を今後どうされるのか。しかも新聞指摘しておりますように、私はやはりこの収支の長期の見通しというものを立てて、事業の運営についても当然これは近代化していかなけりゃならない。そういうものがないというのはまことにこれはけしからぬ話なんで、怠慢であると思うんですが、一体、この運営についてですね、今後いかように対処されていくのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  78. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 確かにいま申し上げましたように、国有林の経理状態は急激に悪化をいたしております。そこで今後どうするかというお尋ねでありますが、国有林はお話しのように単なる経済事業だけやっておるものではございません。国土保全、水源涵養、自然保護、観光、レクリエーション、そういった新しい時代の要請に従いまして、多目的的な経営を充実してやりつつあります。そうは言うものの、そういった森林経営とそういう新しい公益性についての要請、これはやはり一体として経営さるべきものであろう、これを分離しては、能率的に見てもまた森林の取り扱いの上から言ってもよろしくない、好ましくないということで、これはあくまでも一体として考えていかなけりゃならぬ、それが国有林の存在意義でもあるであろうというふうに考えますと、いままでの木材価格の値上がりの上にあぐらをかいて、どっちかというとそういうことが率直にいって言えるかと思いますが、あぐらをかいてやってきた国有林が、はたしてもっと合理化すべき、能率をあげていくべき余地がないのかどうかということの検討こそ先に来べきものだと思います。そこで、いまいろんな角度からその検討を進めておるわけでありますが、何ぶんにもその検討の範囲がきわめて広いもので、また複雑でもありますので、現時点ではまだそのあらましを公にするというところまで検討が進んでおりません。いずれにしても、そういう検討を通じまして今後の国有林経営というもののあり方をさらに慎重に精力的に考えてまいりたい、このように存じております。
  79. 北村暢

    ○北村暢君 どうも対策があまりはっきりいたしませんが、これは財務の点からいうと、ここ当分は赤字になるのでしょう。そういうことになれば、これは剰余金というのは三百五十億しかないのですから、これを食いつぶしてみたところでどのように運営するのか知りませんが、一体赤字になったこの特別会計というものをどのように考えているか、赤字はもうこれは当分続くのだという考え方なのか、これは何度か赤字に落ち込んだから早急に赤字がないようにするという、そこら辺の見通しはどうなんですか。
  80. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 見通しも幾つかの前提を置きましてやってはおります。しかしその前提が少しでも変わりますと、五年先、十五年先の見通しの幅が大きく変わりますので、いまここで申し上げるのもどうかと思いますが、いまのやり方でそのまま惰性でやっていきますと当然赤字が出てまいります。そこでその赤字を食いとめる方策、合理化、能率の向上というものにこれからまず取り組むのが先だということでいま検討中でございます。
  81. 北村暢

    ○北村暢君 ぼくこれでやめます。大臣にお伺いしますが、いま長官から御答弁あったように、最近急速に赤字になってきた、それを合理化でもって赤字を克服するようにいま検討中だと、こう言うのでありますが、先ほど私が申しましたように、どうその合理化してみたところで、ここ十年くらいは私は特別会計は非常に苦しいんじゃないかと思うのですがね。これはちょうどやはり戦時中の穴、ブランクがこの十年に響いてくるわけです。ですからこの際はそれは赤字に出るものを無理して赤字でなくするということをやってみたってこれはできないのであって、ある程度の赤字というものは覚悟の上でこの歳計剰余金の運用等についても考えなければならない。いままでこれはなかなか使えないわけです。預金部資金にいってほかの財政投融資に使われているわけです。これは大蔵省は取りくずしをきらうわけなんですけれども、これもやむを得ないのではないかと思うのです。安易な考え方で赤字を出していいということを言っているのじゃない。もうこれはどんなにやってみてもここ当分赤字が続くんじゃないか、いかなる合理化工作をやっても続くのであって、その見通しを聞いておるわけなんですけれども、取りくずし問題については大蔵省の主計官もおいで願っておるわけなんですが、この剰余金等の取り扱いについて大蔵省はどんなふうに考えているのか、またいま申した点について大臣は一体どういうふうに考えているのか、これをひとつお答えをいただきたいと思います。
  82. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 国有林野事業の収支が日に日に悪化しておりますということはただいま再三お話に出たわけでありますが、この最近の収支悪化の原因をどう考えるかということが一番問題かと思います。実際に木材価格がなかなか伸び悩んでいる。これは輸入材の輸入の増加等による原因もあるかと思いますが、基本的にはやはり人件費が毎年百億も伸びているというような体質にも相当問題がある。したがいまして今後長期にわたって経営の安定を確保していくという意味からは、やはり企業の合理化を強力に進めていかなければ本質的な解決にはならないと私は考えます。これらの問題については今後とも林野庁の当局とも十分御相談の上検討してまいりたいと思います。  それから剰余金云々のお話はこれから予算の編成作業を進めるわけでございますが、その段階でよく検討してみたいと思います。
  83. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど林野庁長官がお答えいたしましたように、林野庁、特に森林行政の使命というものはたいへん重いいろいろな重要な役割りを持っておるわけであります。しかしそれを全うしていくには経営が完備しておらなければいけないのに、先ほど指摘のように新聞にもこうして出ておりますし、われわれのほうでも十分にこういうことについては検討をいたしておるところであります。来年度予算編成等にあたりましても、なかなか問題も多いことだと思っておりますが、林野庁関係審議会の諸君にもいろいろ基本的な問題等も御相談をいたしまして、これの、林野庁の使命を全うすることのできるように経営をいたしていくにはどうしたらいいかということについて、いま鋭意わが内部でも検討を重ねておる最中であります。できるだけ早くその方向を立てて、そうして大事な使命を全うすることのできるようにひとつ方針を立ててまいりたいということに努力をしておる最中であります。
  84. 北村暢

    ○北村暢君 先ほど来申しておるように、いま赤字に落ち込んで……、合理化をやる、その努力をするということは、国の企業として私も当然のことだ、これが先ほど来申しておるように国有林特別会計はいままで国有林だけでなしに、あげた利益の半分を、これは三十六年からですけれども、半分はいまのところこれは、六百五十億というものは一般林政協力に、利益を出して協力しておるわけですね、国の財政に協力してきた。それでなおかつ剰余金があった。ところがもう国有林の財政そのものが赤字になってきた。ですから協力するだの何だの言っていられない段階にきたわけですね、これ。そういう余裕がなくなってきたわけです。したがって従来そういう協力をしてきた国有林というものがここで落ち込むんですから、私はそれは非常に無理してやはり利益をあげておると思うのです。ですから先ほど来言っておるここ十年ぐらいがきびしいんですから、それ以後はまた収入があがる可能性というものはあると思うのです。ですからそういう点の特別会計制度そのものについても私は考え直していく段階にきているのではないか、根本的にこの特別会計のいままでのこの積み立て金のあり方というようなものも再検討されるべき段階にきているんじゃないか、このように思うのです。そういうことを含めて私は要望しておきたいと思います。
  85. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私は最近沖縄のほうに行ってまいりました。いろいろ感じたことございまして、また倉石農林大臣も最近沖縄のほうにいかれておりますので、つぶさに農林水産業の現状調査並びに地元の陳情等を聞かれたことと思います。私もまいりまして感じましたことは、本土復帰の喜びとともに、まあ次にくる経済的不安、特に基盤の弱い農林水産関係についてはたいへん窮状を訴える声が大きいと、こういうことを聞いてまいりましたので、本日、大臣は非常にお忙しいということでございますので、総括的になるかと思いますが、若干の問題について御質問したいと思うのであります。細部につきましては、特別委員会等もございますので、ここでは避けたいと思います。  まず最初に、本土におきましても農政は一つの大きな転機を迎えておると、こう思うのでありますが、大臣はよくいままでのお話の中で、農産物の地域分担と、こういうこともいろいろ仰せになっておりましが、本土復帰を前にいたしまして、産業の振興、特にこの沖縄における農林水産業の発展、こういうことを考えますときに、この沖縄の発展のためには、どうしても、農林水産は大きな柱になるのではないかと、こう思うのでありますが、日本の農業の中にあって沖縄はどういう位置づけと申しますか、沖縄の農業についてはどうお考えになるかという大きな面から具体的に大臣のお考えをひとつお伺いしたいと思います。
  86. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) お説のように、沖縄は農業人口の比率も多いし、産業全体の中の農業の占める割合もたいへん大きいわけでありますが、米は御承知のようにきわめて少ないわけでありまして、おもなものは砂糖とパインであります。そこで従来もいろいろ協力してまいっておりますけれども、復帰を前にいたしまして、私どもは来年度予算の編成にあたりましても、この沖縄独得のサトウキビの農業に対して基盤整備等に特段の力を入れ、もう少し能率のよい糖業をやっていくように助成をいたしたいと、こう思っておるわけであります。それからついでに、御承知のように、パインにつきましても、先年来特別な保護的な措置を講じてやってまいっておるわけであります。これらは一口に本土並みとこう申して、すべて内地と同じような考えでやっていくようなわけにいきませんので、しばらくの間は暫定的にこういうような取り扱いを継続していかなければいけないのではないか、このように理解をしておるわけであります。
  87. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いま大臣のお話がございましたが、やはりこの沖縄の農業で一番中心になるのはサトウキビだろうと思うのでありますが、言うまでもなく、このサトウキビは沖縄農業の最大の農産物であり、農業総生産額の全体の四〇%を占める、このように言われております。また畑地の面積の五八%が作付されておる、こうも言われております。この沖縄のサトウキビにつきましては、本土政府のいろいろてこ入れがあって、過去十数年で作付面積については四・五倍、サトウキビの生産量については五・四倍、産糖量においては六倍と、こういう伸びを統計では示しておりますが、しかし最近の動向を見ますと、一九六五年から六六年を転機にいたしまして非常に停滞ぎみで衰退の傾向があらわれつつあると言われております。このようなサトウキビ作の停滞は、製糖工場の操業率の低下、ひいては沖縄砂糖のコストの上昇を招いておると言われておるのでありますが、政府はこのサトウキビ停滞の理由をどういうふうにお考えになっておられるか、またこれに対する対策はどのようにお考えか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
  88. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘のようにサトウキビの占める地位は沖縄農業の中でたいへん高いのですけれども、その生産はお話のございましたように、三十九年をピークといたしまして若干停滞傾向にあるわけであります。製糖企業の産糖量もしたがってサトウキビの生産の停滞を反映いたしまして伸び悩んでおる傾向であります。そういうような状態でありますので、生産は停滞いたしておりますけれども、サトウキビ産業の沖縄経済の中に占める地位はもうただいま御指摘のように一番高いわけでありますから、そういう状況にかんがみまして、私ども先ほど申し上げましたように、基盤整備等それから品種改良等に力を入れてあげて、そしてこの糖業が沖縄の農業のいま占めておる地位を維持できるように協力してまいりたい。で、今回沖縄にいらっしゃいましたからお気づきになったと思いますけれども、私ども実はずっと昔から沖縄の糖業を知っておる者の一人として、最近参りましたときに、このサトウキビを主としておる農業地帯に入ってまいりまして様子を見て懇談いたしましたら、みんなそのとおりだと言っておりましたのは、御存じのように、たとえば台湾とかその他糖業の盛んな地域はいつでもたいへん品種改良だとかそれから基盤の整備に継続して努力をいたしておりますが、沖縄では一ぺん植えたものを三年ぐらいそのままにして、まあ基地のようなものがあって働きに出られる、つまり兼業所得などもだんだん多くなってくるものですから、一方キビはほうっといても生長していくといったようなことで、どうも手入れがあんまりうまくいっておらないんじゃないだろうかという感じのままを農協の方々たちと事務所で話し合いますと、まさにそのとおりであると言っておりました。これは兼業が多いということで他の所得が多いものですからついそういう傾向になったんでしょうが、せっかくありますキビ、ことに先島等で非常にうまくやれば生産性の上がるものをいまののような状態にしておくのはもったいないことでありますので、この間参りましたときも皆さんに、本土政府は沖縄糖業についてもっと力を入れるつもりでおるのであるからそういう点について御協力を願いたいというようなことを申してまいったのでありますが、先ほど申しましたように、四十六年度予算ではそういうことに要する品種改良あるいは基盤整備等に財政的な援助をさらに加えてまいりたい、このように思っておるわけであります。
  89. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 積極的に援助しようというお話のようでございますが、いまお話ありました点についても私ども感じておりましたが、さらに収穫労働——収穫期にはたいへんな労働力を必要とする、こういうことで機械化ということ、それからかんがい施設の整備というこういうことが非常に大事なことではないかと、こういう点についても非常に感じたわけでありますが、収穫期における機械の開発と、こういうことがコストダウンにはどうしても必要である。こういう試験研究といいますかこういうものを現在どのように進めていらっしゃるか、それからまた今後についての考え方、それからかんがい施設すれば、まだまだ増産ができる。また未利用の資源がかなりあるように伺ってきたのでありますが、公共投資の負担によって、まだまだ進捗ができるし、高めることができる。こういうことも非常に強く感じてきたわけでありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  90. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) いま申し上げましたように、私ども観察いたしまして、いま御指摘のございましたような事柄、ことに基盤整備等、たいへん大事なことでありますので、例の、こちらから出しておりますお米の代金の積み立て金等、そういうものに活用するという方法で、基盤整備をうんとやってまいりたいと思っておりますし、機械その他の御指摘がありました。それも、私ども考慮いたしておるところでありますが、ちょっと具体的になりますので、園芸局長から申し上げさせます。
  91. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) サトウキビの収穫作業で、機械化ということが非常に問題になっておりますが、日本で鹿児島の一部、いわゆる奄美大島でございますが、そのほか、沖縄でキビのための収穫機械が必要と言われながら、外国の機械が相当みな大型でございまして、大型の機械を日本へ直ちに持ってまいりましても、なかなかうまくいきませんので、日本で独自に開発しようということで、政府においても、多少研究開発を行ない、かつ、いわゆる農業機械化研究所というのが農林省にありますので、そこにもお願いし、それから甘味資源振興会という財団法人がございまして、この辺でも研究開発を進めております。で、その中で、刈り取り機につきましても、同様に南西諸島の小区画の小さな島でも適するものを、現在中型刈り取り機として研究を続けておりまして、これは、ほぼ実用性が出てきて、近く実用化の段階にいくんではなかろうかと、こう思っております。また、脱葉機につきましても、従来、小型のものが幾つか製作されましたが、現在、中型のものにつきまして、国でも鹿児島県に補助いたしまして、研究開発を進めておりますので、これも近く、近年中に開発されるものではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  92. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 次は、沖縄の砂糖につきましては、糖価安定事業団による価格支持というのが実施されておるわけでありますが、この価格支持は、本土産糖に比べて二つの面で非常に異なっておるのであります。その一つは、価格支持の対象になるのは本土に買い入れる分だけである。で、その二つは、同じ砂糖を生産する鹿児島・奄美が主でありますけれども、支持価格に相当大きな差がある。このように言われておりますが、最初の、一番目の問題でございますが、政府に施政権のない本土側にとっては、やむを得ないことだろうと思うのでありますが、沖縄の自家消費分は価格支持はないわけでありますが、しかし、この点についても、現地では非常に片手落ちじゃないかというふうな声もあるようでありますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  93. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 現在、沖縄の甘蔗糖は、沖縄産糖の糖価安定事業団によります買い入れ等に関する特別措置法というのに基づきまして、国内産糖に準じて、糖価安定事業団が買い入れておりますが、沖縄の甘蔗糖は、鹿児島県の南西諸島、この甘蔗糖に比べまして、原料キビの価格は同一でありますけれども、工場規模が平均的に相当大きいわけでありますから、平均の精糖コストが相当低くなっておるわけであります。したがって、買い入れ価格も低く定められておるわけでありますが、沖縄が復帰いたしました後の買い入れ価格の体系をどのようにするかということにつきましては、なかなかいろいろな事情もございますので、今後そういうもろもろの事情を十分勘案いたしました上で慎重に検討して定めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  94. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは精糖工場でありますが、非常に企業が副業的に行なわれておりまして、各小さい島々についてはいろいろな条件があるわけでありますが、含みつ糖につきましては弱い立場にあるだけに企業が買いたたかれるといいますか、そういう声も聞かれておるわけでありますが、これに対する今後の考え方、それからサトウキビの価格が大きな影響を持つ精糖工場が工場能力が非常にばらつきがある、いわゆる零細的なものが非常に乱立しておる、こういう現況の話を聞いてまいりましたけれども、こういうものに対する今後の考え方についてお聞きしたいと思います。
  95. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 藤原さんいらっしゃっても陳情をお受けになったと思いますが、私も受けました。それからきょう農協大会がございまして、あちら側の会長も見えておりました。それで、ただいまの含みつ糖、黒糖の話、みんな一生懸命で、お説のとおりでございます。そこで、これもやはりほうっておくわけにいきませんので、復帰に備えてこのことについて善処してまいるように、いま役所のほうで検討さしております。
  96. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ、いまの答弁で大体積極的に取り組むという姿勢はわかったのでありますが、いままでの経過からいたしまして、いろいろなことがございました。米の過剰問題以来、農産物の価格政策というものに対しては非常に政府としても慎重を期しておるようでありますが、砂糖はお米と違いまして自給率が非常に日本においては低いという、こういうこと、それから沖縄の農業の主産物であるという、こういう点から特に配慮がなければならないと思うのでありますが、これは状況がちょっと違うかもしれませんけれども、奄美の屋久島におけるキビづくりを廃止するという、政府は屋久島のキビづくりは廃止に持っていくような形になってしまったわけでありますけれども、東北のてん菜に準じた特別の処置をとってこういう姿になったと、こういわれておりますが、ほかの農産物と違い、沖縄における非常に重要な農産物であるだけに、砂糖キビについては、このてん菜糖のような追い込むような状態になってはならないというようなことを強く感じたわけでありますが、いま大臣からも、いろいろな観点から積極的に取り組むというお話がございましたけれども、少し重複するようなことになりますが、この点について再度所信を伺いたいと思います。
  97. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 沖縄といたしまして大事な部分を占める糖業でありますので、十分立ちいくように対処してまいる、こういう方針でございます。
  98. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それからお米のことでございますが、沖縄に送られる米が評判があまりよくないというようなことを聞いてまいりましたが、政府の沖縄に送っておる米の最近の数量とか価格とか品質、こういうことについてお聞きしたいと思うのでありますが、いろいろな条件があるだろうと思いますが、この沖縄に送っておるお米、内地米が非常に評判が悪いというのはどういうところに原因があるのか、こういうふうに考えさせられたわけでありますが、沖縄県民の感情というようなことも考え合わせますと、こういう点は払拭しなければならない、こう思ってきたわけでありますが、この点についての現状ですね、どういうお米を送っていらっしゃるか、どういうものを送っていらっしゃるか。また、この問題についてどうお考えか、この点について食糧庁長官から。
  99. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 沖縄へ送っております米は、大体産地としましては九州各県の米でございます。現在沖縄に三万五千三百トンを送る計画がすでに実行されておりますが、このうち九州の福岡、佐賀、熊木、宮崎、鹿児島というふうな米でございまして、そのうち一番多いのは熊本の米、あるいは佐賀の米でございまして、米質から言いまして決して悪い米ではないと私ども考えております。年産別につきましては、昨年暮れに送りました四十三年産米三千三百トンのほかは、すべて四十四年産米でございまして、内地の配給と同様、四十五米穀年度における新米に該当するものでございます。したがいまして、結果的に九州各地における内地の配給と全く同様の状態の品物をお送りしておるという事情でございます。いろいろまずいという話を私も聞きまして、調査をいたしたのでございますが、どうも私どもとしては、九州各県に比べてそのようなことは品質的にはないという確信を持っております。
  100. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それで漁業のことでございますが、沖縄の漁業について一番言われましたことは、漁港の整備が非常におくれておるという、いわゆるこの漁場の調査が非常に不完全である。それから水産物の流通組織が非常におくれておる、こういう点が指摘されておりました。また、漁業近代化の一環として実施した以西底引許可統数という問題でありますが、復帰後本土政府がこれらのことをどのように判断してなさるかということに現地の人たちは非常に大きな関心を寄せておったのでありますが、これからの沖縄漁業に対する政府の所信というものをお伺いしたいと思います。
  101. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私ども今度参りましてやはり同じようなことを感じたわけでありまして、漁港につきましては、漁業の基地でありますし、重要な生産基盤でもございますが、本土に比べまして若干の立ちおくれも見られます。そこで沖縄におきましてはこれから漁港の整備促進することは沖縄漁業の振興をはかる上で最も必要なことだと考えておりますので、この点も来年度のそれぞれの予算に心がけておるところでございます。漁港の整備はぜひいたしたいと思っております。  それからお話のように立ちおくれが見られる水産一般関係でございますが、沖縄の水産関係調査研究体制に立ちおくれが見られておりますのは事実でございます。今後漁場の開発それから増養殖技術の開発、資源の生態、海洋等の調査などに力点を置きまして、こういう調査の立ちおくれを取り戻すようにいたしたい。私も参りまして漁業関係の人たちのいろいろ意見を伺って参りまして、そういうことを痛感もし、私たちの意見も述べた次第であります。  それから沖縄漁業の振興の基本の方針につきましては、漁港関係者の所得、それから生活水準の向上と漁業生産性の向上を目途として、いろいろな施策を重点的に推進して参りたいと思いますが、たとえば沿岸漁業、それから沖合い漁業に重点を置きまして、漁場の開発、技術の導入等、それから経営の近代化を進めるように指導してまいりたいと考えます。  それから漁業基地として重要な漁港を、先ほど申し上げましたように計画的に整備いたさなければならないと思っております。  それから漁協組織を育成強化することが必要である。こういうことがたいへん立ちおくれているように私ども感じております。で、これを通じまする金融等の充実をはかることが必要であると、こう思っております。  それから沖縄は、ごらんのように、養殖漁業について非常に適しておるところのように見受けられますので、実態に即した養殖漁業を推進してまいるようにいたしたいと思っております。  それから全般的にやはり漁業の振興でありますので、市場、冷蔵庫等を整備いたしまして、流通加工の近代化をはかってまいりたい。漁業についてはたいへん有望であると見ているわけでございます。
  102. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もございませんので、最後でございますが、畜産ということも非常に有望な産業と、こう言われております。その中で沖縄は昔から養豚については非常に力を入れておるわけでございますけれども、いかんせん副業的なそして雰細な飼育が非常に支配的であり、生産も需要も雰細多様な現況からしまして、その流通もますます複雑多岐にわたっておる。こういうことで価格の支持制度も十分な効果をあらわしていない、こういう不満の声もたいへんあったわけでございますが、今後の畜産振興、特に養豚関係のことについてどういうお考えでいらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
  103. 増田久

    説明員(増田久君) 先生御承知のように、沖縄におきます養豚業の振興ということについては、今後非常に重大な柱になると思っておりますわけでございますが、先生の御指摘のとおり、これを振興する上にはいろいろの問題があるわけでございます。特に畜産の養豚を考えます場合に、決定的とも言うぐらい問題になりますことは、一つは消費の形態が、われわれのように内地のように冷凍で枝肉で取引するという形ではなしに、常温でその日必要なものだけを買って取引するという、そういう消費形態をとっているわけでございます。そういうわけで、小売りのほうも、小売りのおやじさんが同時に家畜商を兼ね、卸屋を兼ね、屠殺業も兼ねる、こういうような非常に雰細で複雑な人格を兼ね備えているような実態があるわけでございまして、これはやはり沖縄のそういう消費形態というもののバックから当然に発生してきている問題ではないか。そういうことを考えますると、その点を直していくということは、これは容易なことではないと思っております。しかしながら、今後本土に復帰するということを契機といたしまして、当然畜産物価格安定法の適用も受けるということになりますれば、そういう流通に必要な合理化施設というものを設置して、そういう流通段階、加工段階の合理化をはかっていくということがぜひ必要ではないか、かように考えておるわけでございます。
  104. 向井長年

    ○向井長年君 大臣は二時半に退席ということになっておりますね。委員長、時間が延びて、十分で大臣に私と河田君とが質問すると、こういう時間しかないのですが、そういうことですか。大臣の時間はそれぐらいですか。二時半に退席されるのでしょう。
  105. 園田清充

    委員長園田清充君) 二時半に退席しなければ間に合わないということでございます。
  106. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、河田君と十分で分け合って質問すると、こういう結果になりますので、そのあとは林野庁長官に私は具体的にお聞きいたしたいと思います。  実は、私は、林野行政全般について大臣並びに林野庁長官質問いたすわけでございますが、これについては一般林政、あるいはまた国有林改革、こういう二点に分かれるかと思います。先ほど北村君から除草剤の問題あるいは特別会計の問題が質問されまして、私も若干重複する点もありますが、できるだけこれは省きたいと思います。特に私の質問は二十点ばかり質問をいたしまして、その見解をひとつ林野庁長官なりあるいは大臣から明確にしていただく、そして時間が許すならば具体的にこの問題を突っ込んで質問いたしたい、時間がなければ次の機会にしたい、こう考えておりますので、その点をまず御了承いただきたいと思います。  そういうことで、わが国の林業が、木材の需要が増大しつつ現在ございますが、にもかかわらず現在衰退の一途をたどっておるということ、この原因はしからば那辺にあるか、これは第一次産業としての宿命的なものがあるにいたしましても、林業地域の過疎化の問題、あるいはまた無統制の外材輸入の問題、政府の無責任な高度経済成長政策、このひずみというものがいま林業を圧迫しておるといっても過言ではないのではなかろうか、こう私は思うのであります。すでにわが国は森林国といいますか、林業国といわれておる。にもかかわらず木材の需要が約五〇%が輸入材でまかなわなければならぬという現況、これは少なくともこの林業界の不況、あるいはまた国有林経営に及ぼすこの国有林野の特別会計の赤字がますます四十五年度から転落の一途をたどる、こういう経過になっておると思うのであります。これは今日までの林野行政の、いうならば政策というものの一つの誤りと申しますか、若干そこに大きな原因が私はあると思うんですよ。そういうような観点に立って私は二十点ばかりの質問をいたしたいと思う。ひとつ見解をお聞きいたします。  まず一般林政の問題についてでございますが、特に大臣にお聞きいたしますが、わが国の林業は今日ますます先ほど申しましたように斜陽化しつつある。この斜陽化する林業に対して、原因は先ほど私が言いましたけれども、この原因をいかに食いとめて今後この林政確立のために対処されようとするのか、これをひとつ大臣からお聞きいたしたいと思います。あわせて大臣から、今日木材市況の五〇%が外材輸入である、ソ連なりあるいはアメリカなりから輸入されてる、この輸入の問題について、国内林業を先ほど言ったように圧迫をしておりますから、これをひとつ調節するいわゆる考えはあるのかないのか、今後。この二点まず大臣にお聞きいたしたいと思います。
  107. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) わが国の林業が今日のようになりましたにつきましては、いろいろ理由が重なっておると思います。お話のございましたようなのもあるいはその原因の一つかもしれませんが、私どもとしては現状を踏まえまして、やはりわが国の、とにかく二千五百万ヘクタールの林地を持っているわけでありますからして、これについてあらゆる欠陥を指摘をいたしまして、それについて掘り下げて検討して、いまやっておるわけであります。したがって、そういうところで、どこをどういうふうに改めるべきであるかということを最終的に検討いたしまして、そして経営、運営その他を改善してまいる、私どもの皆さん方に対する、国民に対する御期待に沿うようにするにはどのようにしたらいいかということで、先ほど北村さんにもお答えしましたように、審議会その他を経て十分に検討をいたしておる、要はやはりこういう非常に有利な立場に立っておるわが国でありますので、これを最大限度に生かして、能率をあげるための努力をいま重ねておる、こういうことであります。したがって、いまはもう御存じのように、たとえば戦争中、あるいは戦前に過伐いたしましたようなものに対する補給は、御存じのようにたいへん立ちおくれておりました。その後も鋭意やっておりますが、まだ間に合っておりません。したがって、私どもは計画的にそういうものを増強いたすように努力をいたしまして、外材の占める分野についてはそう伸ばしていかなくてもいいような体制を国内において整えてまいりたい、このように思っておるわけであります。
  108. 向井長年

    ○向井長年君 ただいま大臣から、今後林野行政の立て直しのために十分検討する、こういう答弁でございますが、非常にけっこうかと思いますが、そういう一つの第一段階として、もちろん一般林政の問題で民有林の問題を考えた場合に、特に林業を発展させるためにいわゆる森林組合の育成という問題、そういう立場から新しく森林組合法を制定する、こういうような形で助成していく考えがあるかないか。あわせて、特に林業の再建には長期的な輸送網というものが非常に現段階において必要になっておりますが、それはもちろん林道の拡充という問題になりますが、これに対しましても特に林道法等を制定して、この補助制度等も大きくこれを転換していくと、こういう考えが直ちにじゃなくとも、一応の構想としてあるかどうか、この点をひとつ大臣から御答弁いただきたいと思います。
  109. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) お話のございました森林組合のあり方につきましては、広い視野から検討する必要がございますので、ただいま林野庁内に学識経験者、それから系統団体の関係者を御委嘱申し上げまして、森林組合問題等の懇談会を設けまして、森林組合問題、それから森林組合についての法制、それから組合に対する育成対策等について検討を進めておるわけでありますが、私どもといたしましては、来年度の予算編成にも、造林、林道等の予算等には特段の力を入れてまいりたい、民有林の造成についてもうんと力を入れなければならない、このような決意でやっておるわけであります。
  110. 河田賢治

    河田賢治君 大臣に、いま問題になっております米の減反問題について政府のほうでは、特に農林省では自民党の総合農政調査会小委員会世話人に対して説明され、また同じ二十六日全国の知事会、これの特別委員会に生産調整方針について説明されておるわけですが、これは一応自民党のほうでもまだこまかい点で一致を見なかった、それで本日午後三時からか会合があって、それでかなりそこを煮詰めるというような話がありますが、一応三百万トン五年継続というような大まかな方向として説明されておるわけですが、この点は農林省自体としては大体動かさない大ワクとしておきめになっているわけですか。
  111. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもの基本的な考え方を率直に述べさせていただきますが、もちろん政党政治でございますので、私ども政府は、政府農林省としての考えはもちろんそれぞれの基礎に基づいて考案はいたしますけれども、そういうものについて固定した観念を持ってそのまま独善的に進めることはよくありませんので、いまお話にもございましたように、党のほうにそれぞれの機関がございます。そこでわれわれのほうから持ち出したデータをも参考にいたしまして相談をいたしておる。したがって、四項目とか何とかというのが伝えられておりますけれども、これはわれわれが固定した考えを持っているのではありませんので、党の専門家の委員の中でこういう意見もある、こういう意見もあるというのが大体四つほど出てまいりましたので、そういうものをたたき台にいたしまして、それでこの御討議を願っておる。したがって、農林大臣としての私から、一つも一ぺんも方針等を述べたことはございませんので、そういう関係にいまある。こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  112. 河田賢治

    河田賢治君 党のほうはそれでいいと思うんですが、全国知事会に出したとすれば、これは特別小委員会ですけれども、もうすでに一つの行政機構なんですね。その長に説明しているわけですよ。私は悪いと言うんじゃないです。むしろ農林省は、減産対策については早く方針をきめて、そしていろんな手続を経てやるべきだ。特にあなた方のほうで出された減産対策についての報告書の中にも第一番に問題点がどこにあるのかということについてここにこう書かれている。「生産調整について将来の基本的方向が示されないまま、本対策が実施されたため、農業者は今後の営農に不安を抱いている。」と。今後はさらに昨年よりも大規模になるわけですから、この不安はもう一そう大きいわけです。そうすれば、もちろんあり余った米をじゃんじゃんつくる必要はないわけです。しかしまた、他のものに転換するとすれば、それなりの方策やいろんな処置をとり、また、それを実行するについても十分農協やその他の民主的な諸団体、こういうような意見も取り入れるような政府方針を持って、党だけでなくて、そして私は当たるべきだと思うんです。そうしないと、現に知事会の中でも、今日このような段階ではもう法制的な処置をとってもらわなければ、私たちは実行する力がないというようなことも申されておるようです。  それからまた、市町村段階におきましても、この前の転換では奨励金というものが非常に少ないので、各地方の自治体が二千円なり五千円の、それに積み増しをして出しておるという報告にも出ておるわけですね。下へ行くほどこの問題に対する関心も強いし、またこれを実際に実行するについては相当の不安と、また政府がはっきりきまらぬときにはいろんな疑問を持つだろうと思うんです。そういう意味で、私はもっとこの問題については早くやらないと……。それで政府が大体こういう案をきめた。さらにどこどこの団体、民主団体とか農協その他のいろんなものをまじえてやるということをやりませんとこれは手おくれになる。  現に来年の農林省自体が麦、なたね、それからビール麦、こういう三点については十月の十七日ですかおきめになって、各地方長官のところに、知事のところに出しておられるわけですね。そして、裏作をやったならば、春になって田植えをしない、稲をつくらぬところには同様な奨励金を出すとまで言われておる。だから、農業をやっている人にとって、来年春になって何をつくるか、かにをつくるか、もう秋から始まっているところもあるわけです。  そうしますと、やはり農林省は、いつもあっちこっちの顔ばっかり見てあれがきまらぬ、これがきまらぬ。また、党のほうでも、小さなことまで一一行政上のこまかいことにまで言われてうろちょろしているようでは、これはたいへんなことになると思うんです。ですから、この点で大体この問題をいつごろまでに処理をして一応農林省としては、それから他の農業団体にもいろいろこの問題の手続をとる。そして、大体最終的にはいつごろまでには終わるかというようなあなたのほうの確信なり抱負がありましたら、この際言っていただいてそれを実行していただきたい。まあ内容については局長その他についてお聞きいたしますから、その点だけひとつお聞きしたいと思います。
  113. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 知事会の皆さんにもきのうお目にかかりまして、いろいろなことを御相談いたしております。要するに私どものとっております態度は、こちらの研究に基づけばこういうようなことが考えられると、そういうことについて、どのような御判断を願えるでありましょうかというようなことで、なるべく多くの方、たとえば農協等においても、いろいろな御意見をすでに私どものところにお申し出がございますので、そういういろいろなその関係者の御意向を十分に承りながら、それにただいまお話のようた、決して右顧左べんするわけではありません。十分に各方面の御意向を拝聴いたして、それを参考にして、政府方針決定するのはきわめて早くやることが必要であるのは御指摘のとおりでありますので、なるべく早く決定をして方針を明らかにいたしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  114. 向井長年

    ○向井長年君 林野庁長官に引き続き質問いたしますが、先ほど申しましたように、林業を再建するためには、特に過疎化の中において、生産のにない手である労働者の確保というものがまことに重要になってまいっております。で、これが安定しなければ、なかなか林業再建もたいへんだというように私は思うのでありますが、そのためには、やはり賃金をはじめ労働条件の向上あるいは厚生施設や社会保障の充実等いろいろな諸問題を解決しなければならぬ大きな問題がただいまの急務ではなかろうか、こう思うわけであります。これに対して、今後林野庁長官としては、具体的にどういう方向で進めようとしておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  115. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 林業の労働力の安定的な確保をはかるためには、いままでも各種の対策を実施してまいっております。四十五年度では新しく林業労働者の就労期間を延長さぜるための方策あるいは失業保険等の社会保障制度適用のための条件整備ということが、林業労働者の所得向上に資するというところから、林業労働者通年就労対策というものの実施を始めまして、また林業労働力流動化対策、これは地域間流動を促進する、そういう内容でありますが、そういった労働力対策の強化をつとめてまいっております。なお、今後とも林業構造改善事業とか、山村振興対策等とも関連をしまして、それらと調整をはかりながら、さらに労働力対策を充実してまいるということを考えております。
  116. 向井長年

    ○向井長年君 次に、大体国民一世帯一住宅ということをわれわれは提唱し、また政府もその方向で進んでおるんですが、そのためには安価な建設資材を供給しなければならぬのでありますが、そのために流通機構の合理化をはじめとする強力な行政措置というものが必要になってくると思うのです。現在のように無方策では、これは決して安価な建設資材が確保できないと思うのでありますが、これに対して必要な具体策を林野庁として考えておられるか、その点いかがでしょうか。もちろんこれは流通機構の問題でございますから、通産にも関係を持つと思いますけれども、この点いかがでしょう。
  117. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 最近の建築様式が毎年大きく変化をしようとしております。そこで林野庁といたしましても、建築動向、建築様式の動向調査を今年度から始めております。そういった調査の結果を、関係方面にも提供いたしまして、情報化の時代に即応するような体制をとってもらうということ。  さらに今度は材木の供給の面でございますが、四十三年と四年と国産材が停滞をいたして、その分以上に外材が入ってまいっております。そこで国産材の供給力がはたしていま限度にきているのかどうかという生産力調査というものを今年度から始めておるわけであります。そういった生産と需要というものの情報をとりまして、それを今後の国の施策あるいは県あるいは関係方面の業界の対策というものに参考に供していくと同時に各種の試験研究も始めております。それはいろいろ木材の使われ方、今後どのように使われていくのかというところも、関係機関のほうへ委託をいたしまして調査を進めております。
  118. 向井長年

    ○向井長年君 ただいまの答弁に関連するのですが、製材、木工等の、いわゆる林業関係の中小企業、これに対して協同組合化といいますか、こり方向を推進しておられますね。これはしかし、遅遅として進んでおらないと思うのです。これに対して、企業の安定発展のために、木材の供給、需要対策というものを強化する必要があると思うのですが、この点について、いまどの程度この協同化という問題が進んでおられるか、あるいは今後これをどう具体化していくか、助成対策をどうするか、こういう問題についてお聞きいたしたいと思います。
  119. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 製材とか木工等、林業関係の中小企業、これは確かに先生おっしゃいましたように、これからの方向は協業化の方向をとるべきだろうと思います。そこで、協業化を促進させるために幾つかの対策を考えております。また、どの程度進んでおるかということでございますが、これはいまここで数量的に申し上げる資料を持っておりませんが、地域によりましては相当思い切った協業の進んでおるところもございます。まだまだ進んでおらないところもございます。  そこで、どういう対策をとっておるかということでございますが、まず例といたしまして申し上げますと、林産物流通合理化促進指導事業というものを始めております。その内容は県とか関係業界に出荷協議会を開催させまして、協同組合の組織の強化とか、共同出荷とかJASの普及、そういうものを促進させるための協議会、また一方では研修会を開催いたしまして、協同組合の職員の資質の向上というものにもつとめてまいる考え方でございます。
  120. 向井長年

    ○向井長年君 再質問はあとでいたします。  次に、国有林の改革問題で質問いたしますが、これは先ほど北村君からも出ておりました国有林野事業の特別会計が四十五年度から恒常的な赤字に転落する、こういう予想でございますが、約八万人の労働者は雇用その他、労働条件の低下に非常に不安を持っておると思います。特に、今後合理化ということも、先ほど答弁の中で言われておりますが、やはりそういう合理化の中では人件費の節減というような問題が中心になってくるのではなかろうか。そうなってまいりますと、雇用あるいは労働条件の低下、こういう問題が非常に問題になるわけでございますが、それに対する政府の具体的な対策はどう考えておられるか、この点を質問いたします。
  121. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) そのような状態を踏まえまして、とるべき対策といたしまして、またそれを考える場合に、国有林が単なる企業的に、経済的にばかり運営はできない公共的な面も非常にたくさん持っておりますので、そういう面も考慮をいたしながら、経営の抜本的な改善あるいは生産性の一そうの向上ということをはかりまして、職員の労働条件の内容の改善につとめる考え方を基本といたしております。
  122. 向井長年

    ○向井長年君 この問題につきましてはまたあとから質問いたしますが、とにかくこの赤字転落による労働者の不安というものはこれはあくまでも排除しなければならぬと思うのですよ。これが一つのやはり林野行政の大きな指針でなければならぬと思うのです。そういう中で、いま申しました合理化という名目は広い意味で考えられますけれども、しかしそういう中で雇用なりあるいはまた人件費の節減というものは、これはあくまでも労働者の犠牲の中から行なってはいけない、こういう立場に立っていま長官が答弁されたと、こう考えてよろしいですか。
  123. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 現在、定員内職員約四万人、定員外の作業員約四万人近くかかえております。この職員をかかえた国有林企業としては、この職場をどうして守ったらいいか、合理化を進めたらいいか。これは労働組合なり職員の理解と協力の上に立ってやらなければいけない。一方的な対策が、今後の改善方策としてそれだけでは推進されるべきものとは思っておりません。当然そういった方面の協力を得ながら実施してまいりたい、このように考えるわけであります。
  124. 向井長年

    ○向井長年君 次に、林野庁の中には全林野と日林労という二つの団体があります。職員組合、労働組合があるわけでありますが、この日林労は、国有林経営が場当たり的である、政府が抜本的に改善しない限り永続的な赤字は解消されない、こういうことを言っております。組合みずからが改革案を作成して、林野庁長官に提出していると私は聞いております。その実施を求めておるが、政府として、あるいは林野庁長官として実施する考えがあるのか、ないのか、これをひとつ明確にしていただきたい。これは私から言うまでもなく御存じだと思いますが、提出されておりますから。
  125. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 確かに労働組合から一つの、今後に対する問題点の指摘と対策の提示がございます。林野庁としても独自にいま検討中でございまして、当然その過程におきまして、組合の言われている点で参考にすべきもの、採用すべきもの、当然これは取り入れていかなければならない、このように考えております。
  126. 向井長年

    ○向井長年君 取り入れていかなければならないと考えているというのですが、それは提出されておるわけですから、検討されたのですか、しないのですか。
  127. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 検討をいたしまして、そのある点につきましてはその一部を、すでに組合に当局の考え方を返事をいたしております。その残りにつきましては今後さらに検討を進める、このつもりでおります。
  128. 向井長年

    ○向井長年君 林野行政の、長官なり林野庁で考えておることよりも先に、組合のほうが、抜本的にこういう改革をしていかなければ赤字も防ぐことはできない、こういう形で、相当積極的にこういう問題を取り上げておるように私は聞いておるんですよ。したがって本来、全林野なりあるいは日林労なりから提出されて、それからいいところだけ取るというようなその考え方は、もう根本から誤まっているのじゃないか。みずからやはり抜本改革というものをつくって、そうして両組合に示して、そうして改革をしていく、こういう姿勢がまずない限りにおいては、ただ出されたやつをいいところだけ取るというようなものの考え方は、林野行政のおくれた一つのゆえんのものではないですか。これはどうですか。
  129. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 決してそのように考えておりませんし、先ほども、独自の考え検討を進めているというお話をいたしましたが、まあ当局で考えます場合に、抜本改善といいましても、その検討の範囲がきわめて広くなります。そこで、林野庁だけでできない問題もございます。当然、関係方面との話し合い、協議を進めていかなければならない、そういう関係がありますので、精力的に真剣にこの問題には取り組んでおります。まだその成案につきまして公表の段階に至らない、あるいはその途中必要な——林政審議会という総理大臣の諮問機関がございます、当然そういうところにも逐次かけてまいらなければいけない。そういうことでいま検討中でございます。
  130. 向井長年

    ○向井長年君 林野庁は国有林経営の責任官庁として、先ほどからも北村君からもお話ありましたように、赤字会計、特別会計の赤字、これに対してはやはり国民の前に明確にしなければならぬのじゃないか。で、一般会計で今日まで協力してきたという問題についても、これもやはり十分国民に知ってもらわにゃいかぬ。そういう中からこの赤字に対しての何らかな一つの別な措置というものが生まれてくるのではなかろうか、こう私は思うのですよ。そういう問題について非常に消極的であるやに私は感じるんですけれども、いまこそ次々と赤字転落、見通し立たぬという状態でしょう、黒字になる見通しが。そうなれば、今日までの一般会計協力体制という問題については、国民の前に赤字の問題、あるいは協力の問題、今日までのこの問題を明確にしてこの赤字体制について取り組むべきだと、そしてやはりその中で働く国有林の労働者にも協力体制を求める、こういう態度がなけりゃいかぬのじゃないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  131. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 消極的であるという御指摘がございましたが、はなはだ残念に存じます。決して消極的に取り組んでおるつもりはございません。ただ、いまも申し上げましたように、問題の幅と深さが非常に深いものでありますから、その成案を、ある程度の成案を得ませんとそれが外部に出せない。そういうことで、外部から見ると消極的なように見受けられる点がないとは申しませんが、決してそのようなへっぴり腰でこれに取り組んでおるつもりはございません。
  132. 向井長年

    ○向井長年君 まあ長官の自信のほどを伺って、一言、若干安堵いたしましたけれども、そうなれば、高生産、高賃金、労使の責務ですね、これは。そういう中で、特にそういう意味から正常な労使関係というものが必要だと思うのですよ、協力体制とるためにも。そうなれば、労使協議制の実現が私は必要だと思います。これに対して、労使協議制という問題を林野庁として考えておられるかどうか、この点を具体的に答弁願いたい。
  133. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 当然その新しい、しかも抜本的である問題をまあ提示をいたしまして、これは国民的な合意も得られなきゃいかぬと、当然労働組合の協力も得られなければいけないということで、その検討の過程におきまして、労働組合ないし組合員の協力を得るための話し合いはやるつもりでございますが、ただ、協議制という制度として、管理運営事項まで含める内容でありますと、これはなかなかとり得ないわけで、労働条件に関する内容でありますと、これは当然団体交渉の対象になるわけでありますが、管理運営事項に関してはお話し合いをして協力をしていただこうと、このように考える次第でございます。
  134. 向井長年

    ○向井長年君 また再質問のほうでお伺いしますが、次いで、最近秩父とか屋久島等で、全国各地で国有林の原始林の伐採等、自然の破壊が問題になっておるようですね。国有林の自然保護に対する基本政策はどういうように考えておられますか。
  135. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 国有林のうち約四割、これは面積でございます、四割は何らかの形で制限を受けておる森林でございます。特にその中で、国立公園の各種地域がございます。非常に窮屈な制約を受ける地域と、寛大な制約でもいいという地域区分をいたしております。これは自然公園法に基づいて林野庁と厚生省と協議をいたして、その森林の取り扱いについて計画を立ててやっているわけであります。それから文化財保護法による制約も受けております。いずれにいたしましてもそういう従来の取り組み方はございますが、最近急激に社会的な情勢が変わりまして、森林に対する、自然に対する国民の世論、都市生活者その他の、国民が必要とする森林の休養の場といたしまして国有林を提出しようということで、すでに全国で二十五ヵ所ですか、自然休養林を設定をいたしております。それからさらに最近におきましては、枢要なところにおける森林施業の再点検をやろうではないかということで、営林局に指示をいたしまして、その調査も始めております。森林は多くの場合、完全な森林施業とそういう自然保護、国土保全というものは必ずしも矛盾をしないという基本的な態度に立って再点検をやるつもりでおりますので、今後ともそういう面の拡充強化を一そうはかるように努力をいたしたい、このように考えるわけであります。
  136. 向井長年

    ○向井長年君 いま答弁ありましたように、自然保護と開発と不可分密接な関係にあるわけでございます。いま長官の答弁のように自然休養の場にする、それから国民間の公害からこれを排除していく、こういう木材生産第一主義と二段がまえで進むということで、これは私はその点につきましては了といたしまして、今後そういう対策で進めていただきたいと思います。  ただそこで、先ほど北村委員からも質問ありました除草剤の問題、これが問題になっておりますが、これは先ほどからだいぶ討議をされましたので、私は重複を避けます。ただ基本的に林野庁としてはまだ進めるつもりだという長官から答弁がありましたが、これはひとつまず経済効果というものはどのくらいでどうなるかという資料、それからもう一つは、人畜の被害が科学的にこうだという、先ほど若干答弁なさいましたが、これはひとつ資料として委員長お願いしたいと思うのですが、経済効果の問題ですね。除草剤の問題、そして一方は人畜の被害の科学的資料、これは被害にならない、人体に被害はないのだ、あるいはまたこれくらいになればこうなるのだという科学的な資料、これをひとつ出していただきますように、委員長のほうから御要望願います。  次に国有林経営は特別会計であるために、自然保護や治山治水に無理が生じたり、あるいは国有林の準公共的な使命を十分に果たし得ない向きもあるわけですが、準公共的な部門については一般会計の負担において管理すべきであると思うけれども、この点はどうか。一般会計で負担すべきだと思うが、準公共的な部門については。この点いかがでしょう。
  137. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 森林の取り扱いを基本的に考える場合に、公益的な地域と、公益を主とする、まあ主目的考え地域と、経済林業を自由にやる地域とある程度の区分けはつくってできないことはございませんが、しかしなかなか現地に行きますとそれが入り組んで、一つ線引きをすることがなかなかむずかしい点もございます。また線引きをいたしましてもその両方の機能というものは、決して自由な、制限がない森林だから、水源涵養効果がないのだということにもならないわけで、森林の取り扱い方はその両者の機能を一体に考えて取り扱うというのが一番よろしいと思うわけであります。  そこで林野庁としましては、それに必要な予算、必要な経費というものはできるだけ経営の努力で生み出すのが第一である。かりにいまこれは治山事業を他会計から援助を仰ぐとかいうことも意見としてはお聞きをいたしておりますが、その前にまず能率化、経営の合理化をはかっていかなければならない、そういうことが先決であるということで鋭意努力をいたしております。
  138. 向井長年

    ○向井長年君 経営の合理化とかあるいはまたそれに対する能率化で大いにやるということはいいにいたしましても、そうやったからといって、これは赤字というものはどんどんふえますよ。準公共的な問題についてはやはり一般会計で行なうという姿勢があっていいのじゃないですか。それは何も遠慮しなくてもいいと思うのですよ。それはそれで進める。しかもそれで赤字がなくなるわけじゃないんだから、こういう問題も一つの合理化の一環じゃないですか。そういう点を私はいま長官にただしているわけですよ。別にあなた、まずこれだけで、これを度外視する必要はないのじゃないですか。これも合理化ですよ、一つの。そうじゃありませんか。
  139. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) お話はよくわかるわけでありますが、現時点の林野庁の姿勢としてはとにかく合理化、内部の経営の改善というものを進めたいと思います。そういうことでまず考えさしていただきたいと思います。
  140. 向井長年

    ○向井長年君 長官としてはいまの立場ではそう言わなければならぬと思いますけれども、しかし消極的といったらそういうことを消極的と私は言うのですよ。堂々と一般会計でやってもらうというやつも大いに出したらいいじゃないですか。それが本来の赤字解消の一途となり、あるいは合理化の一環として進められるわけですから。まずやはり経営の合理化なりあるいは能率化もはかっていく。あわせてこのほうも考える。そういう姿勢があってしかるべきだ。それがないならば、消極的だと言わざるを得ないと思います。これは要望しておきますから、けっこうです、時間がございませんから。  続いて、特に私は国有林野職員の賃金なり労働条件というものは他に比してやっぱり劣悪だと思うのですよ、いろいろ資料を見ますと。この劣悪な一つの原因は何かというと、やはり特別昇給制度がないということじゃないですか。そうでしょう。林野庁の職員の中には、一般公務員の場合と、公労法適用の場合と、あるいはまた日給制の八条適用の問題と、三通りあるでしょう。それぞれ違うでしょう。そこに私は大きな不合理があると思うのですよ。同じ長官の部下ですよ。長官の下で業務担当しておる職員が、それぞれ労働条件が違うというのはおかしいじゃないですか。制度が違うのですよ。賃金が違うのはこれは違うでしょう、人によっては。しかしながら、制度が違う。業務の内容によって、一般公務員法の適用を受ける人、あるいは公労法の適用を受ける人、あるいは日給制の八条適用の問題、こういう三通りあるということは非常に不合理だ。これをやはり是正する必要があるのじゃないかとこう私は思うわけです。特にこの問題については昭和四十三年以来歴代の長官が、何とかして調整、是正しますと、努力しましょうと、こういうことを言明されておるのですね、松本長官、前の長官も。しかし現実にできない、これが。しかもこれ、昭和四十二年だったですか、公労委において仲裁の中で調停案が出ておるのですよ。これは調整することが望ましいから労使で十分話し合いをしなさい。こういう調停案が出されて、これに対して、しかも労使は受諾しているのです。よろしい、そうしましょうと受諾している。なぜできないのですか。これは歴代の長官が実現しようしようと言うてきながらなぜできないか。こんな三通りの、同じ長官の部下であり職員である諸君が、一般公務員の適用だ、あるいは公労法の適用だ、あるいは日給制のあれだということで、それぞれ特別昇給がないということはこれは不合理と言わなければならぬでしょう。これが労働条件の劣悪というのですよ。この点どう考えておりますか。
  141. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 確かにいま林野庁に籍を置いております職員は一般会計所属の職員と特別会計所属の職員とそれからブルーカラー、これは特別会計でございます、そういうものがございます。一般会計職員は特昇制度というものを受けておるわけでございます。ところが特別会計職員は特昇制度をいま適用しておりません。両組合、まあ組合が二つの系統がございまして、それに賛成をしていただけるという組合と絶対反対という組合と両方ございます。当局はすでにその特昇制度について提案をいたしております。両方の組合との話がなかなかまとまらない。これは給与に関することでございますので当然労働協約というもので解決をしなければいかぬ。一方的に全職員を縛るわけにはまいりません。そういうことでいま鋭意その実現方についても努力中でございます。
  142. 向井長年

    ○向井長年君 確かにそれは反対だということがあれば実施はなかなか困難だし不可能だと思いますけれども、それはやはり当局の説得というか話し合いというのがまずいのじゃないですか。特昇やるというのをいやだというような組合はおかしいですよ、それは。特別昇給させてやろうというのに要らぬというそんなことはないと思うのだ、職員としては。したがってこれはやはり、理解さす程度の能力が欠けておるのじゃないですか。私はそう思うのですよ。それはだれだって、特昇やろうと言うのに、わしはいやだというようなことを職員として言うはずがないと思う。ほかはもらったのですよ、その他の公共事業においてはね。したがってそれはやはり当局として、しかも公労委でも受諾しておる以上は、それの鋭意努力、しかもこれ二年——三年たっているのじゃないですか。そういうものをいままで置き去りにしておるということは当局の怠慢、なおまた無能力、こう私は言わざるを得ないと思うのですよ。反対を押し切ってやれぬことはわかりますけれども、それは説得なり話をしていけばこんなものは解決できますよ。それができないというのは私はおかしいと思う。その点はひとつ今後も大いに努力すべきだと思います。  それともう一つは、特に最近労働力の不足といわれておりますが、過疎化の中で特に国有林に働く労働者は非常に深刻になってきておるのじゃないですか。そういう中で作業員が二十年なり三十年なり働いても、日給制によって月収がまことに劣悪である。こういう状態が現在の状態かと思いますが、民間においては、一般的な臨時雇いと申しますかこういう諸君は、若干の経験を得るならば直ちにこれは雇用して、しかも月給制にしておりますね、民間はね。したがって、国の企業であるならば、そういうことを促進するべきだと思うのですよね。いまこの問題について身分の問題があると思いますが、特に作業員と申しますかね、これは常用あるいは定期雇用あるいは臨時雇用、三通りあるやに私は聞いておるわけですよ。少なくとも常用は月給制にすべきじゃないかと思うのです。それから定期の場合においてもこれは雇用が完全ですからこれもやっぱり月給にして、下山当時においてはいわゆる休業手当という形で考えるべきじゃないかとこう私は思うわけなんです、まあ臨時の場合はこれはやむを得ないといたしましても。こういう制度をつくる考えありますか。私はやっぱり二十年三十年働いておるこの日給制の作業員を優遇しなければ、これから若い諸君は寄りますか。来ませんよ。労働力不足といわれておるそういう中で、やはりこういう問題の改善というものは私は重要になってくると思う。この点について長官は今後どう対処されますか。
  143. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) お話のように作業員には三種類ございます。で、常用作業員というのが一年じゅう仕事がある——林野庁としましてもつとめて雇用の安定、常用化ということをはかるべくここ二、三年非常な努力をいたしまして、常用作業員がふえて臨時とそれから定期のほうが減っております。でありますから、通年化されたものがふえて臨時的なものが逐次減っておるという形になっておりますが、何せ林業作業というものは自然の季節的な影響に非常に制約がございます。一年じゅう造林するわけにもまいりません、雪も降ります、そういうことで通年化するには非常にむずかしい壁があるわけで、そこで、まず通年化できる技術を開発しなければならぬということで技術体系をそのように組み合わせるべき検討もいまいたしております。ただ、人がおるから通年化する、常用化するというのでなくて、仕事があるからそういうことをするんだという考え方に立って今後ともつとめるつもりでございます。定員法その他の制約がございましてこういった作業員を定員内に繰り入れる制約もございますが、今後総合的な国有林の抜本問題を考える際に、当然こういう問題にも触れて考えてまいりたい。
  144. 向井長年

    ○向井長年君 大体時間がきたようですからこれで終わりますが、私のきょうの質問は大体羅列して見解を聞きましたので、具体的に一項目ずつ突っ込んで見解を聞いておりません。これはひとつ次の機会に具体的にその答弁に従ってまた質問をいたしたいと思いますから、その点を保留いたしまして終わります。ありがとうございました。
  145. 園田清充

    委員長園田清充君) 長官、資料の要求があったのは次回の委員会にひとつ御提出を願いたいと思います。
  146. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) そのように取り扱わせていただきますが、ただ林野庁だけでつくれない資料もあるかと思います。衛生上の問題ですね、厚生省関係方面とも連絡をいたしまして、そのようにひとつ取りはかりたいと思います。
  147. 河田賢治

    河田賢治君 先ほど主要な問題は大臣に聞いたんですが、若干減反問題について農林省関係局長お尋ねしたいと思います。  御承知のように、いま農林省の案としては三百万トン、五年間の継続というようにして、さらに六日ごろに自民党の総合農政調査会の小委員会には、転作促進についての検討事項ということで、主として農林省が基本構想として、できるだけ転換する作物の対象として飼料作物とかあるいは飼料穀物——麦、大豆など——つまりできるだけ自給率を高めるという方向の案が出ております。これは私たちも従来から主張して、できるだけ国内で自給率を高めて外国からの輸入を減らすと、それが農業を健全にするゆえんだということを主張してまいりましたので、この点は農林省案も若干前進しておりますが、しかし、今度の減反の面積からしましてもまた数量からしましても、非常に巨大なものになっております。したがって、この内容についてはあまり出ておりませんけれども、従来一割減反ということでいわば無差別に作付面積に応じて一律の配分をしたと、こういう点で若干の反省が加えられておりますけれども、これに対する、確実にこれをどう実行するかと、またどれが一番正しいかということはあまり項目にも出ておりません。ただ問題点が指摘されておるだけということになっております。この問題について最終的な案がきまりませんでも、当時の問題をどのような方向でこの三百万トン、これに対する減反、これらを、かつて農業地域分担ということもお話しがあったりしましたが、これも秋ごろになればそれに対する大体の構想ができるという当委員会でも言明がありましたが、今後この問題を実施する上において大体どのような方向でこの減反の内容をおきめになるのか、またこれを持ってこられたときにはすでにある程度固まっておるのか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  148. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私どもが明年度におきましても現在の自給の状況から見まして減反政策を進めざるを得ないと考えておることは先ほど大臣からもお答えのとおりでございまして、一応その目標といたしましてはおおむね毎年三百万トンくらいを対象にしてまいりたい、そこでこの目標数量の割り当ての方式でございますが、一応都道府県別に配分することにいたしておりますが、その配分にあたりましては、ただいま先生が御指摘になりましたところの農業生産の地域分担の結果が大体十一月ごろ明らかになりますので、これを参酌いたしまして要減産数量が出ますからそれをひとつ参考にする、さらに平年収量あるいは政府買い入れ数量、こういった三つの要素を勘案いたしまして都道府県別の数量を決定するというふうに現段階においては考えておるのでございます。
  149. 河田賢治

    河田賢治君 そうしますと、この十月の十七日になたねそれから小麦、ビール麦というようなものについては、一応裏作でつくったものには——表作のものには出さない——表作つくらぬ、水稲をつくらぬでも奨励金を出すという通達が出ましたですがね。これによって相当この数量は増大すると大体お考えなんですか、これはやはり今後の生産についても影響するところですから。
  150. 太田康二

    説明員(太田康二君) こういった措置をとりますことによりまして直ちになたねなり麦なりが増産されるという大きな期待は持てないわけでございますが、われわれといたしましては、少なくともなたね、ビール麦、小麦等につきましては、先ほど先生が御指摘のように、国内で生産をしても米とは違いまして直ちに過剰になるというようなこともないわけでございますので、一応これらは裏作のものでございますが、すでに作付等の時期も麦については迫っておりますし、なたね等についてはすでに作付も行なわれておるわけでございますが、明年度転作に対する奨励金が出されるというような場合には、これらも一応表作の転作に準じて水稲をつくらない場合には補助の対象にするということで、少しでも転作の面積をふやしてまいりたいというような趣旨で早目にそういった通達をいたした次第でございます。
  151. 河田賢治

    河田賢治君 この転作の対象と同時に価格の問題が相当やはり大きな影響を与えると思うのです。御承知のようにいま奨励金が出まして——奨励金と作付してそれによる若干の利益をあげる。ところがこの農作物におけるたとえば一律の農業日当としては米が二千何百円とかあるいは千円以下のものもあるとか、千五百円というような、かなり差があるわけですね。特にこれから大いに奨励してつくらせようという麦にしましても大豆等々もかなりこれは労働日当というものは低いわけですね。こういう問題については、まあこの奨励金も一律でございましたけれども、こういう内容について何かお考えがあるわけですか。
  152. 太田康二

    説明員(太田康二君) 実は転作を奨励する場合に一番問題になりますのは、稲作にかわって他の作物をつくるわけでございますから、稲作を行ないましたときと同じ所得をぜひあげられるように、転作作目で所得があげられる、これが必要であろうと考えておるわけでございます。そこで各作目別に現在の平均的な反収等から見ましてどのくらい所得があがるか、それと稲作の通常の反当所得との差を奨励金で交付するというようなことも実は今回の奨励金を交付する場合の基準として考えておるわけでございまして、そういうことを考えることによりまして転作を大いに進めたいと考えておるわけでございますから、転換が円滑に進めるように持ってまいりたいと、こういうことで目下奨励金の水準を検討いたしておる段階でございます。
  153. 河田賢治

    河田賢治君 そこをちょっと突っ込んで聞くわけですが、かなり米にしましても優良の農地とそうでないとことかなりありましてね、米もいわゆる平均反収でいま計算されておりますけれども、かなり他の作物でもこれやはり自然的な条件、それから土地の肥沃度等々のかなりの差があるのじゃないかと思うわけですがね。こういう場合はある程度何か加味されるわけですか。  それから、従来のたとえば麦にしましても、これは新しく対象になるというとこは奨励金でやりますわね。ところが、従来つくっていたとこはそのままということになりますね。これまで小麦をつくっていた、あるいはなたねをつくっていた、大豆をつくっていた、そういう場合はそっちは対象でないからしんぼうしてくれと、そういうわけですか。
  154. 太田康二

    説明員(太田康二君) 確かに転作を奨励いたすわけでございますが、土地の条件によりましては直ちに転作が不可能なところがあるわけでございますから、やはり休耕というものは認めざるを得ないだろうというふうに考えております。  それから、いま先生が後段におっしゃいました問題は、今回の措置では一応対象にならないというふうに考えておるのでございます。
  155. 河田賢治

    河田賢治君 これも相当の面積になる。農協あたりでも二段米価には反対だというようないろいろな今日まだ問題が残っておるのですがね。大体いま農林省のお考え農業団体なりあるいはいろいろな民主的な農民の団体等々とこういう話をされる時期はあるのですか。
  156. 太田康二

    説明員(太田康二君) この点につきましては、先ほど大臣もお答え申し上げたわけでございますが、われわれの案を押しつけるというような形ではとてもできる仕事ではございませんので、まず地方公共団体の協力を得なければなりませんし、なお農家を指導しておりますところの農業団体等の意見も聞かなければならないということで、実は順次接触を始めておるのでございまして、十分こういった方々の御意見を拝聴いたしまして、最終的な案の作成に取りかかってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  157. 河田賢治

    河田賢治君 はい、けっこうです。
  158. 園田清充

    委員長園田清充君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十四分散会