○北村暢君 時間がございませんから私のほうからも
資料に基づいて話ししながらお伺いしますが、大体、国有林特別会計は損益計算で赤字になったというのは、昭和二十二年の特別会計創設以来わずか三回しかないわけですね。その利益の総額は千五百億からにのぼっておる。で、これは千五百億益はありますけれ
ども、固定資産を含んでおりますから、いま特別会計の財政
制度で利益の積み立て金と特別積み立て金——これは一般会計に入れて使えるようにしてあるわけであります。そういうものを含めて利益金は千五百億からの膨大な利益をあげている。固定資産を除いた歳計剰余金の累計が三百五十億程度あるのですね。そして、特別積み立て金全体が六百五十七億。そのうち約四百九十億使っておりまして、現在百六十六億残がある。こういうふうに今日まで国有林特別会計は、とにもかくにも相当の利益をあげてきたわけですね。それで、四十四年度から急激に落ち込んできた。しかも、四十五年度もそういう傾向であり、四十六年度はついに五十億の赤字予算を組まなけりゃならない。概算要求で五十億の赤字予算を組んでいる。しかも、将来こういうものは続くという
説明のようでありますが、そこで、この赤字予算を組んだのは、その帳じりをどういうふうに合わせるかといえば、歳計剰余金を使いたいというのが
考え方だろうと思う。
私は今日まで国有林が黒字をこういうふうにあげてきたのは、確かに御
説明のように木材価格の、ほかの物価に比較して異常な値上がり、これに助けられたことは間違いないと思います。しかしながら、戦後の復興材、そのためのいわゆる増伐、そういうようなことで、生長量をはるかに上回った増伐が行なわれてきておる。そういうようなことを含めて、私は今日のこの利益金というのが出てきているんだろうと思う。したがって、この急激に落ちたというのは、この増伐の結果、最近における国有林の資源
状況からいえば、これは生長量の先食いをやったんですから、国有林はしたがって荒れているという結果が今日出てきておる。荒れているというような言い方をすれば気に入らぬかもしれませんけれ
ども、そういうふうに、非常に無理をしていることは間違いないと思う。それから、戦後造林を始めたけれ
ども、その造林木はまだ切る
段階にきていない。ここ十年間くらいは私は国有林の財政収支は非常に苦しいんじゃないかと思う。増伐したくても今後急速な増伐はできない、そういう
状況だと思うんですね。十年たてば、これは戦後の植栽木が必ず切れるようになってまいります。そうなればこれは収入も相当あがってくる
段階にくると思う。したがってこの十年間は非常に苦しい、そういうことだろうと思うんです。
ところがこの
新聞を見るというと、これはどうもそういう実情ではなしに、国有林というのは経営が役人式の経営で非常に放漫だと。したがって、楽な気持ちでいままでの積み立て金を食っていく、そういうような安易な
考え方であるようだ。したがって、根本的にこの国有林のあり方についてきびしい形で長期の収支
見通し、あるいは事業の会計等をやらなければならぬ、こういうようなことが言われているわけです。確かに、私もこの点は全面的に否定はいたしませんが、とにかくいま申したように、国有林というのは、いままでの黒字を出したというのは、木材の値上がりに助けられた点が大であるけれ
ども、非常に無理をして利益をあげている結果なんだ。したがって、今後は相当、やはり国有林というのは赤字覚悟でつぎ込まなければならない
段階にきているのではないかと思う。
しかも、
先ほど言った特別積み立て金の四百九十億というものは、これは利益金から一般会計へ繰り入れて、一般林政に寄与してきているわけですね。そういうことまでやってきているわけです。で、なおかつ三百五十億の剰余金がある。ところが
大蔵省に、いままで簡単に国有林野ではなかなか使わしてもらえなかったわけですね。自分であげた利益であるけれ
ども使えなかった。なぜならば、そういう面、確かに金のことですからきびしく言うのはいいんですけれ
ども、
大蔵省の主計官も見えておりますが、そういう点からいくというと、この剰余金の取りくずしというのは今後どうしてもこれは続くんじゃないかと思われる。しかもこの利益金の半分が、特別積み立て金として一般会計に繰り入れることになりますから、それが赤字になるということになれば、これは必然的に特別積み立てになりませんから、残りが百六十六億、これを使い果たすというと一般会計への林政協力費といったものはなくなるわけですが、そういう面についてですね、もう一般林政へ協力をするというような余裕はなくなってきてるんじゃないかと、このように思うんです。そういう点について、この運用を今後どうされるのか。しかも
新聞で
指摘しておりますように、私はやはりこの収支の長期の
見通しというものを立てて、事業の運営についても当然これは近代化していかなけりゃならない。そういうものがないというのはまことにこれはけしからぬ話なんで、怠慢であると思うんですが、一体、この運営についてですね、今後いかように対処されていくのか、この際明らかにしていただきたいと思います。