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1970-05-13 第63回国会 参議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十三日(水曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 足鹿  覺君                 上田  哲君     委 員                 鬼丸 勝之君                 源田  実君                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 矢野  登君                 安田 隆明君                 鶴園 哲夫君                 矢山 有作君                 山崎  昇君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        外 務 大 臣  愛知 揆一君        国 務 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        防衛政務次官   土屋 義彦君        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁人事教育        局長       内海  倫君        防衛庁衛生局長  浜田  彪君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛庁参事官   江藤 淳雄君        防衛施設庁長官  山上 信重君        防衛施設庁総務        部長       鐘江 士郎君        防衛施設庁総務        部会計課長    高橋 定夫君        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君        防衛施設庁労務        部長       長坂  強君        外務政務次官   竹内 黎一君        外務省アジア局        長        須之部量三君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君        外務省条約局長  井川 克一君        外務省国際連合        局長       西堀 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     —————————————靖国神社国家護持早期実現に関する請願(第  二号)(第二三号)(第四八号)(第六一号)  (第八二号)(第八三号)(第九九号)(第一  〇〇号)(第一一九号)(第一二〇号)(第一  四一号)(第一四八号)(第二七七号)(第二  八三号)(第二八八号)(第二九五号)(第七  〇四号)(第七〇七号)(第七一三号)(第七  四三号)(第七五三号)(第七五四号)(第七  八六号)(第七九四号)(第八一三号)(第八  四四号)(第八八一号)(第九二一号)(第九  二二号)(第九二三号)(第九二四号)(第九  二五号)(第九二六号)(第九二七号)(第九  二八号)(第九二九号)(第九三〇号)(第九  三一号)(第九三二号)(第九三三号)(第九  三四号)(第九三五号)(第九三六号)(第九  三七号)(第九三八号)(第九三九号)(第九  四〇号)(第九四一号)(第九四二号)(第九  四三号)(第九四四号)(第九四五号)(第九  四六号)(第九四七号)(第九四八号)(第九  四九号)(第九五〇号)(第九五一号)(第九  五二号)(第九五三号)(第九五四号)(第九  五五号)(第九五六号)(第九五七号)(第九  五八号)(第九五九号)(第九六〇号)(第九  六一号)(第九六二号)(第九六三号)(第九  六四号)(第九六五号)(第九六六号)(第九  六七号)(第九六八号)(第九六九号)(第九  七〇号)(第九七一号)(第九七二号)(第九  七三号)(第九七四号)(第九七五号)(第九  七六号)(第九七七号)(第九七八号)(第九  七九号)(第九八〇号)(第九八一号)(第九  八二号)(第九八三号)(第九八四号)(第九  八五号)(第九八六号)(第九八七号)(第九  八八号)(第九八九号)(第九九〇号)(第九  九一号)(第九九二号)(第九九三号)(第九  九四号)(第九九五号)(第九九六号)(第九  九七号)(第九九八号)(第九九九号)(第一  〇〇〇号)(第一〇〇一号)(第一〇〇二号)  (第一〇〇三号)(第一〇〇四号)(第一〇〇  五号)(第一〇〇六号)(第一〇〇七号)(第  一〇〇八号)(第一〇〇九号)(第一〇一〇  号)(第一〇一一号)(第一〇一二号)(第一  〇一三号)(第一〇三八号)(第一〇三九号)  (第一〇四七号)(第一〇四八号)(第一〇七  二号)(第一二四〇号)(第一二七二号)(第  二五〇八号)(第二五八三号)(第二八四〇  号)(第二八六九号)(第二八七三号)(第二  八七四号)(第二八八九号)(第二八九〇号)  (第二八九一号)(第二九四五号)(第二九八  〇号)(第二九八一号)(第三〇一二号)(第  三〇四一号)(第三〇四二号)(第三一三九  号)(第三一四〇号)(第三二三〇号)(第三  二三一号)(第三二六一号)(第三四〇三号)  (第三四一六号)(第三四一七号)(第三四四  二号)(第三四九八号)(第三四九九号)(第  三五八〇号)(第三五八一号)(第三五八二  号)(第三六八二号)(第三六八三号)(第三  八一七号)(第三八一八号)(第三八一九号)  (第三九二五号)(第三九二六号)(第三九七  三号)(第四〇〇九号)(第四〇一〇号)(第  四〇二五号)(第四〇二六号)(第四〇四七  号)(第四〇四八号)(第四〇四九号)(第四  〇八八号)(第四一一六号)(第四一一七号)  (第四二一七号)(第四二一八号)(第四二一  九号)(第四三七一号) ○元満鉄職員であった公務員等恩給共済年金  通算等に関する請願(第九号)(第二一号) (第三一号)(第三四号)(第三八号)(第六  二号)(第六三号)(第七九号)(第一四二  号)(第一五一号)(第一七二号)(第一九五  号)(第二〇四号)(第二九四号)(第四七二  号)(第四七五号)(第五六七号)(第七八四  号)(第七八五号)(第八二四号)(第八三一  号)(第一二七一号)(第一二八四号)(第二  〇六〇号) ○一世一元制法制化促進に関する請願(第一九  号)(第一八一号)(第二七九号)(第三一六  号)(第七〇五号)(第八四五号)(第八七九  号)(第八八〇号)(第一〇一四号)(第一〇  一五号)(第一〇一六号)(第一〇四四号)  (第一三七三号)(第四〇七九号) ○元満州拓殖公社員であった公務員等に対し恩給  法等特例制定に関する請願(第二七号)(第  二一三号)(第八七五号)(第八七八号)(第  一三三〇号)(第一三七六号)(第一四九五  号)(第一五六八号)(第一八三九号)(第二  〇四六号)(第三六八〇号) ○富山県福光町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三三号) ○靖国神社国家管理立法化反対に関する請願  (第五二号)(第五三号)(第五四号)(第五  五号)(第五六号)(第五七号)(第五八号)  (第一〇八号)(第一〇九号)(第一一〇号)  (第一一一号)(第一一二号)(第一一三号)  (第一一四号)(第一二四号)(第一二五号)  (第一二六号)(第一二七号)(第一二八号)  (第一二九号)(第一三〇号)(第一五七号)  (第一五八号)(第一五九号)(第一六〇号)  (第一六一号)(第一六二号)(第一六三号)  (第一六五号)(第一六六号)(第一六七号)  (第一六八号)(第一六九号)(第一七〇号)  (第一七一号)(第一七三号)(第一七四号)  (第一七五号)(第一七六号)(第一七七号)  (第一七八号)(第一七九号)(第一八六号)  (第一八七号)(第一八八号)(第一八九号)  (第一九〇号)(第一九一号)(第一九二号)  (第一九六号)(第二〇六号)(第二一二号)  (第二一九号)(第二二七号)(第四六四号)  (第四六五号)(第四六六号)(第四六七号)  (第四六八号)(第四六九号)(第四七〇号)  (第五一一号)(第五一二号)(第五一三号)  (第五一四号)(第五一五号)(第五一六号)  (第五一七号)(第五四一号)(第五四二号)  (第五四三号)(第五四四号)(第五四五号)  (第五四六号)(第五四七号)(第五五一号)  (第五五二号)(第五五三号)(第五五四号)  (第五五五号)(第五五六号)(第五五七号)  (第五五九号)(第五六〇号)(第五六一号)  (第五六二号)(第五六三号)(第五六四号)  (第五六五号)(第五八三号)(第五八四号)  (第五八五号)(第五八六号)(第五八七号)  (第五八八号)(第五八九号)(第五九二号)  (第五九三号)(第五九四号)(第五九五号)  (第五九六号)(第五九七号)(第五九八号)  (第六一八号)(第六一九号)(第六二〇号)  (第六二一号)(第六二二号)(第六二三号)  (第六二四号)(第六二六号)(第六二七号)  (第六二八号)(第六二九号)(第六三〇号)  (第六三一号)(第六六四号)(第六六五号)  (第六六六号)(第六六七号)(第六六八号)  (第六六九号)(第六七〇号)(第六七二号)  (第六九一号)(第六九二号)(第六九三号)  (第六九四号)(第六九五号)(第六九六号)  (第六九七号)(第七一九号)(第七二〇号)  (第七二一号)(第七二二号)(第七二三号)  (第七二四号)(第七二五号)(第七二七号)  (第七二八号)(第七三一号)(第七三二号)  (第七三三号)(第七三四号)(第七三五号)  (第七三六号)(第七三七号)(第七三八号)  (第七三九号)(第七四〇号)(第七四一号)  (第七四五号)(第七四六号)(第七四七号)  (第七四八号)(第七四九号)(第七五〇号)  (第七五一号)(第七五七号)(第七九〇号)  (第八一五号)(第八七三号)(第九一五号)  (第一一〇二号)(第一一〇七号)(第一一五  九号)(第一一七三号)(第一一七四号)(第  一一七五号)(第一一七六号)(第一一七七  号)(第一一七八号)(第一一七九号)(第一  一八〇号)(第一一八一号)(第一一八二号)  (第一一八三号)(第一一八四号)(第一一八  五号)(第一一八六号)(第一二二五号)(第  一二四六号)(第一三七八号)(第一六五四  号)(第一六九八号)(第一七二二号)(第一  八一八号)(第一八二六号)(第一八七〇号)  (第一八七一号)(第二〇二九号)(第二〇三  〇号)(第二一五五号)(第二一五六号)(第  二四四四号)(第二四四五号)(第二四四六  号)(第二四四七号)(第二四四八号)(第二  四四九号)(第二四五〇号)(第二四五二号)  (第二四五三号)(第二四九二号)(第二四九  三号)(第二五二一号)(第二五二二号)(第  二五二三号)(第二五二四号)(第二五二五  号)(第二五二六号)(第二五二七号)(第二  五二九号)(第二五三〇号)(第二五三一号)  (第二五三二号)(第二五三三号)(第二五六  八号)(第二五六九号)(第二五七〇号)(第  二五七一号)(第二五七二号)(第二六〇〇  号)(第二六〇一号)(第二七〇八号)(第二  七〇九号)(第二七一〇号)(第二七一一号)  (第二七一二号)(第二七一三号)(第二七一  四号)(第二七一九号)(第二七二〇号)(第  二七二一号)(第二七七八号)(第二七七九  号)(第二七九九号)(第二八〇〇号)(第二  八〇一号)(第二八〇二号)(第二八〇三号)  (第二八〇四号)(第二八〇五号)(第二八〇  六号)(第二八〇七号)(第二八〇八号)(第  二八三二号)(第二八三三号)(第二八三四  号)(第二八三五号)(第二八三六号)(第二  八三七号)(第二八三八号)(第二八四三号)  (第二八四四号)(第二八四五号)(第二八四  六号)(第二八九九号)(第二九〇〇号)(第  二九〇一号)(第二九〇二号)(第二九〇三  号)(第二九〇四号)(第二九〇五号)(第二  九〇六号)(第二九〇七号)(第二九〇八号)  (第二九六二号)(第二九六三号)(第二九八  八号)(第二九八九号)(第二九九〇号)(第  二九九一号)(第二九九二号)(第二九九三  号)(第二九九四号)(第三〇二二号)(第三  〇二三号)(第三〇二五号)(第三〇七八号)  (第三〇七九号)(第三〇八三号)(第三〇八  四号)(第三〇八五号)(第三〇八六号)(第  三〇八七号)(第三〇八八号)(第三〇八九  号)(第三〇九〇号)(第三〇九一号)(第三  〇九二号)(第三一八〇号)(第三一八一号)  (第三二〇〇号)(第三二〇一号)(第三二〇  二号)(第三二〇三号)(第三二〇四号)(第  三二一八号)(第三二一九号)(第三二二〇  号)(第三二二一号)(第三二二二号)(第三  二二三号)(第三二二四号)(第三二二五号)  (第三二二六号)(第三二七二号)(第三二七  三号)(第三二七四号)(第三二七五号)(第  三二七六号)(第三二七七号)(第三二七八  号)(第三三八三号)(第三三八四号)(第三  三八五号)(第三三八六号)(第三三八七号)  (第三三八八号)(第三三八九号)(第三三九  〇号)(第三三九一号)(第三四三二号)(第  三四三三号)(第三四三四号)(第三四三五  号)(第三四三六号)(第三四三八号)(第三  四三九号)(第三四六七号)(第三四六八号)  (第三四六九号)(第三四七〇号)(第三四七  一号)(第三四七二号)(第三四七四号)(第  三五一一号)(第三五一二号)(第三五一三  号)(第三五一四号)(第三五一五号)(第三  五一六号)(第三五一七号)(第三五一八号)  (第三五一九号)(第三五二〇号)(第三五六  二号)(第三五六三号)(第三六二二号)(第  三六二三号)(第三六五三号)(第三六五四  号)(第三六五五号)(第三六五六号)(第三  六五七号)(第三六五八号)(第三六五九号)  (第三六六四号)(第三六六五号)(第三六六  六号)(第三六六七号)(第三六六八号)(第  三六六九号)(第三六七〇号)(第三六七七  号)(第三六七八号)(第三六七九号)(第三  七六七号)(第三七六八号)(第三七八九号)  (第三七九〇号)(第三七九一号)(第三七九  二号)(第三七九三号)(第三七九四号)(第  三七九五号)(第三七九六号)(第三八六二  号)(第三八六三号)(第三八六四号)(第三  八六五号)(第三八六六号)(第三八六七号)  (第三八六八号)(第三八六九号)(第三八七  〇号)(第三八七一号)(第三八七二号)(第  三八七三号)(第三八七四号)(第三八七五 号)(第三八七六号)(第三八七七号)(第三八  七八号)(第三八七九号)(第三八八〇号) (第三九〇二号)(第三九〇九号)(第三九一〇  号)(第三九一一号)(第三九一二号)(第三  九一三号)(第三九一四号)(第三九一五号)  (第三九一七号)(第三九一八号)(第三九三  五号)(第三九三六号)(第三九三七号)(第  三九三八号)(第三九三九号)(第三九四〇  号)(第三九四一号)(第三九四二号)(第三  九四三号)(第三九四四号)(第三九四五号)  (第三九四六号)(第三九四七号)(第三九四  八号)(第三九四九号)(第三九五〇号)(第  三九五一号)(第三九五二号)(第三九五三  号)(第三九五四号)(第三九五五号)(第三  九五六号)(第三九五七号)(第三九五八号)  (第三九五九号)(第三九六〇号)(第三九六  一号)(第三九六二号)(第三九六三号)(第  三九六四号)(第三九六五号)(第三九六六  号)(第三九六七号)(第四〇〇一号)(第四  〇〇二号)(第四〇〇三号)(第四〇〇四号)  (第四〇二〇号)(第四〇二一号)(第四〇二  二号)(第四〇二三号)(第四〇二四号)(第  四〇九九号)(第四一〇〇号)(第四一〇一  号)(第四一〇二号)(第四一〇三号)(第四  一〇七号)(第四一〇八号)(第四一〇九号)  (第四一一〇号)(第四一一一号)(第四一一  二号)(第四一一三号)(第四二七三号)(第  四二八三号)(第四二八四号)(第四二八五  号)(第四二八六号)(第四二八七号)(第四  二八八号)(第四二八九号)(第四二九〇号)  (第四二九一号)(第四二九二号)(第四三二  五号)(第四三二六号)(第四三二七号)(第  四三二八号)(第四三二九号)(第四三三〇  号)(第四三三一号) ○国防省設置に関する請願(第六九号)(第二三  二号)(第二三三号)(第二五〇号)(第二五  三号)(第二五八号)(第二五九号)(第二六  〇号)(第二六一号)(第二六七号)(第二七  四号)(第二八〇号)(第二五九号)(第三〇  四号)(第三四七号)(第四〇八号)(第四四  九号)(第四五〇号)(第四八八号)(第四八  九号)(第五一八号)(第五二五号)(第五六  八号)(第五九〇号)(第六〇九号)(第六四  一号)(第六六〇号)(第六七七号)(第八二  〇号)(第八二一号)(第八四六号)(第九一  三号)(第一〇八四号)(第一一三七号)(第  一一七一号)(第一三五四号)(第二八一五  号)(第二八一八号)(第二八一九号)(第二  九四一号) ○人事行政の厳正に関する請願(第七〇号)(第  二三四号)(第二三五号)(第二五一号)(第  二五二号)(第二六二号)(第二六三号)(第  二六四号)(第二六五号)(第二六六号)(第  二七五号)(第二八一号)(第二九九号)(第  三〇五号)(第三四八号)(第四〇九号)(第  四五一号)(第四五二号)(第四九〇号)(第  四九一号)(第五一九号)(第五二六号)(第  五二七号)(第五六九号)(第五七〇号)(第  五九一号)(第六一〇号)(第六四二号)(第  六六一号)(第六七八号)(第八二二号)(第  八二三号)(第八四七号)(第九一四号)(第  一〇八五号)(第一一三八号)(第一一七二  号)(第一三五五号)(第二八一六号)(第二  八一七号)(第二八二〇号)(第二九四二号) ○新潟県糸魚川市の寒冷級地引上げに関する請願  (第七八号) ○恩給共済年金受給者処遇改善に関する請願  (第九二号)(第九六号) ○寒冷地手当の改定に関する請願(第一〇四号)  (第九〇五号) ○消費者保護行政の確立に関する請願(第二三一  号)(第二八二号)(第三九七号)(第四五三  号)(第四七一号)(第五二〇号)(第五二八  号)(第五二九号)(第五四〇号)(第六二五  号)(第六七一号)(第七〇六号)(第一六二  八号)(第一六二九号) ○恩給年金増額スライド制早期実現に関する  請願(第二九三号) ○新潟県の寒冷級地引上げ等に関する請願(第三  〇〇号)(第三七五号)(第五二四号) ○山形市、天童市及び上山市の寒冷級地引上げに  関する請願(第三〇一号)(第三〇二号)(第  三〇六号)(第三〇七号)(第三六九号)(第  三七〇号)(第三七一号)(第三七二号)(第  三七三号)(第三七四号)(第六四四号)(第  六九〇号)(第七一五号)(第七一六号)(第  七一七号)(第七一八号)(第七七六号)(第  七八〇号)(第七八一号)(第七八二号)(第  七八三号)(第七八九号)(第八〇八号)(第  八二八号)(第八五五号)(第八七七号)(第  一〇四二号)(第一〇七四号)(第一六一六  号) ○新潟県長岡市の寒冷級地引上げに関する請願  (第三一〇号) ○新潟県水原町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三一一号) ○新潟県南蒲原郡下田村の寒冷級地引上げに関す  る請願(第三一二号) ○岐阜県の寒冷級地引上げ等に関する請願(第三  一五号) ○栃木県日光市の寒冷級地引上げに関する請願  (第三一八号) ○栃木県今市市の寒冷級地引上げに関する請願  (第三一九号) ○栃木県鹿沼市の寒冷級地引上げに関する請願  (第三二〇号) ○滋賀県愛知川町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三二一号)(第三二二号) ○滋賀県龍王町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三二三号)(第三二四号) ○滋賀県伊香郡西浅井村の寒冷級地引上げに関す  る請願(第三二五号)(第三二六号) ○滋賀県新旭町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三二七号)(第六〇六号) ○栃木県粟野町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三二八号) ○栃木県足尾町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三二九号) ○栃木県上都賀郡西方村の寒冷級地引上げに関す  る請願(第三三〇号) ○兵庫県朝来郡の寒冷級地引上げに関する請願  (第三五二号)(第三六八号)(第三八八号)  (第四一〇号)(第四二四号)(第四七六号)  (第二四二七号)(第二四九七号) ○兵庫県村岡町及び美方町の寒冷級地引上げに関  する請願(第三五三号)(第三五六号)(第四  一一号)(第四二六号)(第四三五号)(第四  四二号)(第四七七号)(第五七一号)(第六  一二号)(第七〇八号) ○兵庫県養父町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三五四号)(第三五五号)(第三八九号)  (第四一二号)(第四二五号)(第四七八号)  (第五三一号)(第二四二八号)(第二四二九  号)(第二四六二号)(第二四九八号)(第三  〇〇二号)(第三〇五九号) ○兵庫県多紀町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三五七号) ○兵庫域東町寒冷級地引上げに関する請願  (第三五八号)(第三九〇号)(第四一三号) ○兵庫県浜坂町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三五九号)(第四三六号)(第二四三二  号)(第二四六三号) ○兵庫県波賀町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三六〇号)(第三九一号)(第四一四号)  (第四二七号) ○兵庫県一宮町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三六一号)(第三九二号)(第四一五号)  (第四二八号)(第四七九号)(第五三二号) ○兵庫県千種町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三六二号)(第四一六号)(第四四三号)  (第四八〇号)(第五七二号)(第六一三号)  (第七〇九号) ○兵庫山崎町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三六三号)(第三九三号)(第四一七号)  (第四二九号)(第四三七号)(第四八一号)  (第五三三号)(第五七三号)(第六一四号)  (第七一〇号) ○兵庫県青垣町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三六四号)(第三九四号)(第四一八号)  (第四三〇号)(第四三八号)(第四四四号)  (第四八二号)(第五三四号) ○兵庫県安富町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三六五号)(第三九五号)(第五七四号)  (第六一五号)(第七一一号) ○兵庫県日高町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三六六号)(第四四五号)(第五七五号) ○兵庫県豊岡市の寒冷級地引上げに関する請願  (第三六七号)(第三九六号)(第四一九号)  (第四三一号)(第四三九号)(第四八三号)  (第五七六号)(第六一六号)(第七一二号) ○栃木県塩原町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三七六号) ○栃木県塩谷町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三七七号) ○栃木県藤原町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三七八号) ○栃木県塩谷郡栗山村の寒冷級地引上げに関する  請願(第三七九号) ○栃木県那須郡湯津上村の寒冷級地引上げに関す  る請願(第三八〇号) ○栃木県那須町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三八一号) ○栃木県黒磯町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三八二号) ○栃木県西那須野町の寒冷級地引上げに関する請  願(第三八三号) ○栃木県黒羽町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三八四号) ○栃木県大田原市の寒冷級地引上げに関する請願  (第三八五号) ○兵庫県温泉町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三八六号)(第四二〇号)(第四八四号)  (第二四六四号)(第二四九九号) ○兵庫県西紀町の寒冷級地引上げに関する請願  (第三八七号)(第四四六号) ○兵庫県丹南町の寒冷級地引上げに関する請願  (第四二一号)(第四三二号)(第四八五号) ○兵庫県篠山町の寒冷級地引上げに関する請願  (第四二二号)(第四四〇号)(第四八六号) ○兵庫県神崎町の寒冷級地引上げに関する請願  (第四二三号)(第四四七号) ○兵庫県大河内町の寒冷級地引上げに関する請願  (第四三三号)(第四三四号)(第四八七号) ○兵庫県香住町の寒冷級地引上げに関する請願  (第四四一号)(第五七七号)(第六一七号) ○兵庫県一宮町及び波賀町の寒冷級地引上げに関  する請願(第四四八号) ○滋賀県長浜市の寒冷級地引上げに関する請願  (第五九九号)(第六〇〇号)(第八五六号)  (第八九九号) ○滋賀県湖北町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六〇一号)(第六〇二号) ○滋賀県日野町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六〇三号) ○滋賀県高島郡朽木村の寒冷級地引上げに関する  請願(第六〇四号)(第六五四号) ○滋賀県信楽町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六〇五号)(第六五五号) ○滋賀県彦根市の寒冷級地引上げに関する請願  (第六四五号)(第八六六号)(第八八九号) ○滋賀県秦荘町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六四六号)(第六四七号) ○滋賀県虎姫町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六四八号)(第八六七号) ○滋賀県高島町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六四九号) ○滋賀県山東町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六五〇号) ○滋賀県高月町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六五一号)(第八九〇号) ○滋賀県土山町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六五二号)(第八九一号) ○滋賀県五個荘町の寒冷級地引上げに関する請願  (第六五三号)(第八六八号)(第八九二号) ○滋賀県近江町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八五七号)(第九〇〇号) ○滋賀県水口町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八五八号) ○滋賀県甲良町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八五九号) ○滋賀県石部町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八六〇号)(第九〇一号) ○滋賀県伊香郡余呉村の寒冷級地引上げに関する  請願(第八六一号) ○滋賀県坂田郡伊吹村の寒冷級地引上げに関する  請願(第八六二号) ○滋賀県木之本町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八六三号)(第九〇二号) ○滋賀県愛知郡愛東村の寒冷級地引上げに関する  請願(第八六四号)(第八六五号)(第八九七  号)(第八九八号) ○滋賀県米原町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八六九号) ○滋賀県蒲生町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八七〇号)(第八九三号) ○滋賀県甲西町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八七一号)(第八九四号) ○滋賀県能登川町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八七二号) ○滋賀県マキノ町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八九五号) ○滋賀県永源寺町の寒冷級地引上げに関する請願  (第八九六号) ○滋賀県多賀町の寒冷級地引上げに関する請願  (第九〇三号) ○滋賀県東浅井郡びわ村の寒冷級地引上げに関す  る請願(第九〇四号) ○岩手県前沢町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一〇四三号)(第一〇六九号)(第一一三  九号)(第一二〇五号) ○岩手県住田町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一〇七〇号)(第二〇四七号) ○岩手県田老町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一〇九二号)(第一二〇六号)(第一三二  二号) ○岩手県下閉伊郡新里村の寒冷級地引上げに関す   る請願(第一〇九三号)(第一三二三号) ○岩手県胆沢郡衣川村の寒冷級地引上げに関する  請願(第一〇九四号)(第二〇四八号) ○岩手県胆沢郡衣川村外五市町村の寒冷級地引上  げに関する請願(第一一四〇号) ○長野県の寒冷級地引上げ等に関する請願(第一  一九二号)(第一二〇四号)(第一二二四号)  (第一二六八号) ○岩手県宮古市の寒冷級地引上げに関する請願  (第一三二一号) ○退職公務員の医療給付制度等に関する請願(第  一四七五号)(第二四二二号)(第二七三七  号)(第二七三八号)(第二七七〇号)(第二  八四七号)(第二八四八号)(第二八四九号)  (第二八五〇号)(第二八五一号)(第二九一  〇号)(第二九一一号)(第二九一二号)(第  二九一三号)(第二九一四号)(第二九四三  号)(第二九六七号)(第二九六八号)(第二  九六九号)(第二九七〇号)(第三〇〇三号)  (第三〇〇四号)(第三〇〇五号)(第三〇一  八号)(第三〇一九号)(第三〇三〇号)(第  三〇四九号)(第三〇五〇号)(第三〇五一  号)(第三〇五二号)(第三〇五三号)(第三  〇六四号)(第三〇八一号)(第三〇九七号)  (第三〇九八号)(第三一二〇号)(第三一二  一号)(第三一二二号)(第三一二三号)(第  三一三五号)(第三一三六号)(第三一八三  号)(第三一八四号)(第三二二八号)(第三  三〇四号)(第三三〇五号)(第三三〇六号)  (第三三九七号)(第三四二〇号)(第三四四  五号)(第三四四六号)(第三四四七号)(第  三四四八号)(第三四七六号)(第三五三一  号)(第三五三二号)(第三五七七号)(第三  六一六号)(第三六一七号)(第三六一八号)  (第三六四四号)(第三六七一号)(第三六八  九号)(第三六九〇号)(第三六九一号)(第  三八〇六号)(第三九〇六号)(第三九七五  号)(第三九七六号)(第四〇八〇号)(第四  〇八一号)(第四一三一号)(第四二七四号)  (第四二七五号)(第四二七六号)(第四二七  七号)(第四二七八号)(第四二九五号)(第  四二九六号)(第四二九七号)(第四二九八  号)(第四三六七号)(第四三六八号) ○島根県浜田市の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五一六号) ○島根県江津市の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五一七号) ○島根県安来市の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五一八号) ○島根県益田市の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五一九号) ○島根県川本町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二〇号) ○島根県仁摩町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二一号) ○島根県佐田町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二二号) ○島根県美都町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二三号) ○島根県桜江町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二四号) ○島根県多伎町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二五号) ○島根県伯太町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二六号) ○島根県鹿島町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二七号) ○島根県大社町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五二八号) ○島根県大田市大田町の寒冷級地引上げに関する  請願(第一五二九号) ○島根県匹見町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三〇号) ○島根県瑞穂町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三一号) ○島根県三刀屋町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三二号) ○島根県東出雲町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三三号) ○島根県斐川町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三四号) ○島根県西郷町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三五号) ○島根県大東町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三六号) ○島根県津和野町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三七号) ○島根県加茂町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三八号) ○島根県横田町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五三九号) ○島根県仁多町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四〇号) ○島根県温泉津町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四一号) ○島根県邑智町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四二号) ○島根県出雲市塩治町の寒冷級地引上げに関する  請願(第一五四三号) ○島根県海士町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四四号) ○島根県掛合町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四五号) ○島根県美保関町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四六号) ○島根県頓原町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四七号) ○島根県日原町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四八号) ○島根県広瀬町の寒冷級地引上げに関する請願  (第一五四九号) ○島根県邑智郡羽須美村の寒冷級地引上げに関す  る請願(第一五五〇号) ○島根県飯石郡吉田村の寒冷級地引上げに関する  請願(第一五五一号) ○島根県隠岐郡五箇村の寒冷級地引上げに関する  請願(第一五五二号) ○島根県隠岐郡布施村の寒冷級地引上げに関する  請願(第一五五三号) ○島根県八束郡八雲村の寒冷級地引上げに関する  請願(第一五五四号) ○島根県八束郡八束村の寒冷級地引上げに関する  請願(第一五五五号) ○島根県鹿足郡柿木村の寒冷級地引上げに関する  請願(第一五五六号) ○教育職員の給与改善に関する請願(第二〇七四  号) ○退職公務員の恩給共済年金等に関する請願  (第二二六一号)(第二四二三号)(第二七三  四号)(第二七三五号)(第二七三六号)(第  二七七一号)(第二八五二号)(第二八五三  号)(第二八五四号)(第二八五五号)(第二  八五六号)(第二八五七号)(第二九一五号)  (第二九一六号)(第二九一七号)(第二九一  八号)(第二九一九号)(第二九四四号)(第  二九七一号)(第二九七二号)(第二九七三  号)(第二九七四号)(第三〇〇六号)(第三  〇〇七号)(第三〇〇八号)(第三〇二〇号)  (第三〇二一号)(第三〇三一号)(第三〇五  四号)(第三〇五五号)(第三〇五六号)(第  三〇五七号)(第三〇五八号)(第三〇六五  号)(第三〇八二号)(第三〇九九号)(第三  一〇〇号)(第三一二四号)(第三一二五号)  (第三一二六号)(第三一三七号)(第三一三  八号)(第三一八五号)(第三一八六号)(第  三一八七号)(第三二二九号)(第三三〇二  号)(第三三〇三号)(第三三二九号)(第三  三九五号)(第三三九六号)(第三四二一号)  (第三四二二号)(第三四四九号)(第三四五  〇号)(第三四七七号)(第三五三三号)(第  三五三四号)(第三五七六号)(第三六一九  号)(第三六二〇号)(第三六四五号)(第三  六七二号)(第三六九二号)(第三六九三号)  (第三八〇七号)(第三九〇四号)(第三九〇  五号)(第三九七七号)(第三九七八号)(第  四〇一七号)(第四〇八二号)(第四〇八三  号)(第四一二九号)(第四一三〇号)(第四  二七九号)(第四二八〇号)(第四二八一号)  (第四二八二号)(第四二九九号)(第四三〇  〇号)(第四三〇一号)(第四三〇二号)(第  四三六六号) ○兵庫県出石町及び但東町の寒冷級地引上げに関  する請願(第二四三〇号)(第二四三一号)  (第二四六五号)(第二五〇〇号)(第三一六  二号) ○戦争犠牲追放警察官の救済に関する請願(第二  五〇一号) ○長野県富士見町の寒冷級地引上げに関する請願  (第二五三七号)(第二五四九号) ○長野県更級郡大岡村の寒冷級地引上げに関する  請願(第二五三八号)(第二五五〇号) ○長野県小海町の寒冷級地引上げに関する請願  (第二五五一号)(第二九〇九号) ○山梨県の寒冷級地引上げ等に関する請願(第二  五九二号) ○島根県平田市の寒冷級地引上げに関する請願  (第二八九四号) ○島根県金城町の寒冷級地引上げに関する請願  (第二八九五号) ○島根県赤来町の寒冷級地引上げに関する請願  (第二八九六号) ○島根県旭町の寒冷級地引上げに関する請願(第  二八九七号) ○島根県西ノ島町の寒冷級地引上げに関する請願  (第二八九八号) ○退職公務員の恩給共済年金及び医療給付制度  等に関する請願(第三〇一七号)(第三一三四  号)(第三四七五号)(第三六一五号) ○傷病恩給等の不均衡是正に関する請願(第三〇  八〇号) ○恩給年額の調整に関する請願(第三四四三号)  (第三五六八号)(第三五七八号)(第三七〇  八号)(第三八〇八号) ○共済年金の額の調整に関する請願(第三四四四  号)(第三五六七号)(第三五七九号)(第三  七〇九号)(第三八〇九号) ○石川県七尾市、羽咋市、鹿島郡及び羽咋郡の寒  冷級地引上げに関する請願(第三九二三号)  (第四〇七八号) ○福島県会津若松市、塩川町、本郷町、河沼郡河  東村・湯川村及び北会津郡北会津村の寒冷級地  引上げに関する請願(第四一五三号) ○派遣委員の報告 ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 矢山有作

    ○矢山有作君 防衛庁の設置法の問題に関連いたしまして、三、四点の問題についてお伺いしたいわけですが、まず最初に国防の基本方針に関連する問題でお尋ねをいたします。政府自民党は七〇年代のわが国の防衛構想をまとめる方向で、従来の国防の基本方針を改定しようとしておられるようですが、現状はどうなっておりますか。特にその内容としてどういった点をお考えになっておるかということをまず承りたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 次の防衛計画を策定するに際しまして、いままでの国防の基本方針をそのまま維持していいかどうかは疑問に思う点がございます。それは現在の国防基本方針は昭和三十二年につくられたものでございまして、当時と環境がだいぶ変わってまいりました。特に内容につきまして、たとえばあの中の第三項に、国力国情に応じて必要限度の防衛力を漸進的に整備するというような文章がございましたが、国力国情ということに応ずると、たとえば日本の経済成長がいまのようにすばらしく伸びていきますと、その比例でいくと、はたしてほかの国策との見合いにおいてどうか。あるいは第四項におきまして、外敵の侵入に際しては、国連の安全保障の機能が満たされるまでは日米安保条約を基調としてこれに対処するという文章がございますが、これは端的に考えますと、外敵の侵入に対しては安保条約で処理すると、そういうような考え方で、自主防衛という線が非常に薄くなっておるわけであります。何でも外国との関係でこれを処理するという以前に、やはり自衛権を発動してみずから守る、足らざるところは外国との協力で行なうというのが筋ではないかと思うわけであります。そういう点からいたしまして、新しい環境に即応するようにこれを検討する必要があるんではないか、そういう考えに立ちまして国防会議等との御意見も伺って検討を進めてまいりたい、そう思う次第でございます。
  5. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは大体いつごろまとまる予定ですか。
  6. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 新しい防衛計画をつくります一つの基準といたしたいと思いますが、新しい防衛計画は大体秋ぐらいまでの間に防衛庁としては策定いたしたいと思いますので、国会が終わりましたら関係各省等とも打ち合わせまして、そういう検討の努力に入りたいと思います。
  7. 矢山有作

    ○矢山有作君 国防基本方針の改定をされる理由を先ほど述べられたようですが、その理由は、現在ある国防の基本方針は三十二年当時つくられた、当時とだいぶ環境が変わったのでということがあげられたわけですが、具体的に言うと、その三十二年当時と現在とどういうふうに環境が変わっておるのか、その点をどう考えておいでになるかを、具体的にもう少しお聞かせを願いたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 一つは、三十二年当時は旧安保条約でございました。それが三十五年に新安保条約に変わりまして、安保条約の内容も変わったわけでございます。それからことしの六月、自動継続ということになりますと、また安保条約の内容、関係が変化してまいりまして、特にことしからは一年の予告でいつでもやめられるという体制に入るわけであります。それは非常に大きな環境の変化であると思います。それから国内的には日本の自衛隊の防衛力も漸次整備してまいりましたし、経済力も著しく伸びてまいりました。そして七二年には沖縄が返還されるという事態にもなりまして、多分に環境が変わってきたように思うわけでございます。
  9. 矢山有作

    ○矢山有作君 一つの大きな環境の変化としてあげられたのが、安保条約というものが自動延長ということで変わったということが言われたわけですが、私どもも昨年の秋の日米共同声明以後、安保条約というものの質的な大きな変化があった、非常に強力なものにされようとしておるという認識を持っておるわけです。あなたの場合に、六月の自動延長で安保条約の内容が変わるというのは、どういうとらえ方をしてその内容が変わると言っておられますか。
  10. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 米国側が一方的にやめようと思えば一年の予告でいつでもやめられるし、日本側も同じようにやめようと思えば一年の予告でやめられる、これは非常に大きな変化であると思います。
  11. 矢山有作

    ○矢山有作君 いつでもやめられるようになったということだけが大きな変化ですか。私は、それもなるほど大きな変化だと思いますが、やはり内容的に私どもが問題があると思っているんですが、あなたは従来の政府答弁どおり、内容においては一字一句変わっておらぬから全然変化はありませんとおっしゃるつもりですか。
  12. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは見解の相違でありますが、私は変わらないと思います。
  13. 矢山有作

    ○矢山有作君 見解の相違でお逃げになりましたけれども、私は六月における安保の自動延長を考える場合に、昨年の秋の日米共同声明というもの、さらにプレスクラブにおける佐藤総理の、この共同声明を発した後における演説の中で示された意見、これらを切り離して安保条約の内容が変わった、変わらぬと論議するわけには私はいかぬと思う。そうした場合に、なるほど字句としては一言一句変わっておらないとおっしゃる、そのとおりであります。しかし、字句は変わっておらぬが、その内容の運用の面においては私は非常に大きな変化ができてきたんじゃないかと思う。見解の相違で片づけられればそれまでですが、一つは、私どもが考えておるのは、安保条約というものが従来は私は日本の防衛ということに、まあ限定されておったというと言い過ぎかもしれませんが、そこが非常に力点が置かれておった。ところが今度の場合は、いわゆるアジアの安全と日本の安全を直接的に結びつけることによって、アジアの安定ということに非常に力点を置いて考えられており、また安保条約の運用も、今後そういう方向になっていくのは、これは必然的なんじゃないか、これが一つの大きな私は変化だと思う。  それからいま一つは、沖縄返還に伴う核の問題、これが政府は非核三原則を守るんだということでこれまではきておられます。しかし、沖縄返還という問題に関連して、沖縄への核持ち込みを認めておるんではないかと解釈されるような点が私はあると思うんです。そういう点で、この沖縄返還問題とからむ安保条約の内容の変化ということで、核持ち込みという点が私はしり抜けになっておるんじゃないか、核の問題がしり抜けになっておるんじゃないか、こういう点、これも私は内容における非常に大きな変化だと思っていますが、その点の御見解はどうですか。
  14. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 矢山委員は極東条項に非常に重点を入れるようになったというお話でございますが、日本側の立場といたしましては、憲法、自衛隊法等の法の範囲内において、いままでどおり専守防衛ということで、海外出動とか、その他のいままでやらないと言ってきたことはやらないわけでございます。  それから、沖縄における核の問題につきましても、返還時には核は置かない、日本側の意向を尊重する、そういうあすこに文章も書いてあるのでありまして、現にアメリカ側も、それに即応するような体制をとりつつあると思います。そういう意味からいたしまして、内容的に変わっているところは今日もないし、将来も政策的にないと私は思います。
  15. 矢山有作

    ○矢山有作君 なるほど、海外出動というものは、現在の憲法上からは許されぬとおっしゃる。自衛隊法上も許されぬとおっしゃる。それは、法律をあなた方がほんとうに正しく守るという姿勢があるならば、現在の法律解釈としてはそうなっておると思うのですね。ところが、それでは、私が聞きたいのは、日米共同声明で総理大臣は、「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要である」、こう言っておられますね。それから「台湾地域における平和と安全の維持も日本の安全にとってきわめて重要な要素である」、要するに韓国、台湾地域の安全と日本の安全というものが、ここで結びつけられておると私は思うのですがね。じゃね、朝鮮の安全がもし侵される、つまり朝鮮地域で紛争があった場合、あるいは台湾地域で紛争があった場合、こういう場合に日本政府はどういう態度をとるのですか。
  16. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 重要であるという認識を述べたのでありまして、その場合における日本政府の対応策は、政府がいままで言明してきた範囲を出ません。これは総理大臣、外務大臣が言明してきたことでございます。
  17. 矢山有作

    ○矢山有作君 私はちょっとおかしいと思う。朝鮮における紛争が、なぜ日本の安全に影響がありますか。そういう認識が問題なんじゃないですか。台湾地域で起こった紛争が、どうしてすぐ日本の安全に影響してくるのですか。台湾地域で起こった紛争は台湾地域で起こった紛争であって、私は、日本がこれにかかわりを何ら持つことさえしなければ、日本の安全には何ら影響を持ってこないと思うのです。日本が、台湾地域で起こった紛争あるいは韓国で起こった紛争に、何らかの形でかかわりを持てば、それは日本の安全に関係を持ってくる。わざわざ韓国なり台湾地域の安全と日本の安全を結びつけたという裏には、やはり何らかかかわりを持とうとする姿勢があるのじゃないですか、これらの地域と。どうなんです。
  18. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) かかわりを持とうという意思はないと思います。ただ、平和が破れて、いわゆるステータス・クオが変われば、やはり日本には影響がいろいろくると考えなければならぬと思います。まわりの客観条件が変わるということは、やはりそういう影響を持ってくると思います。
  19. 矢山有作

    ○矢山有作君 いや、客観条件が変わったところで、台湾地域の問題は、これは私どもの立場にすれば、中国の内政問題ですよ。朝鮮の問題にしたって、これは朝鮮民族自身の問題ですよ。そこでどういう事態が起こっても、日本には関係ないじゃありませんか。  では、たとえば、具体的にお伺いしたいのですがね。朝鮮で紛争が起こった場合に、日本がこれに全然かかわりを持っておらなければ、私は繰り返して言うように、日本の安全には何ら影響はないと思います。ところが、その場合に問題になってくるのは、在日米軍基地というものがありますね。これをどうするかという問題なんです。もし朝鮮で紛争が起こった。在日米軍基地を利用してアメリカ軍が戦闘行動に入るということになれば、これは、私は日本の安全にかかわりを持ってくると思うのですね。台湾地域の場合も同じだと思います。ですから、たとえば、朝鮮や台湾地域で紛争が起こった場合、日本は、米軍基地を、それらの地域における戦闘行動には一切利用させないという立場を堅持すれば、これはすこぶる日本は安全なんじゃないか。そこを利用させると、これはやはり問題になってきます。その点で私は、日本の安全と、それら台湾地域なり朝鮮との安全と、かかわりを持たせない、いわゆる日本が日本の安全を守るという立場に徹しようとするならば、私は、そこまで政府としてははっきりした態度をとられる必要があるのじゃないかと思う。どうなんですか。
  20. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱり、平和が破れまして、そうしていままでのステータス・クオが破れる、変化するということになれば、日本のほうにもいろいろな影響が及んでくると、政治的にも考えざるを得ません。そういう意味からああいう文章ができておるという、これは認識のことを言っておるのでありまして、だからといって、いままで政府が言明した範囲を逸脱した行動をやるという意味ではありません。
  21. 矢山有作

    ○矢山有作君 いろいろな影響が出るというのは、どういうことなんですか。そういう私は抽象的な御答弁ではわからないのですよ。あそこの政治情勢が変わったら、具体的にどういう影響が日本に出てくるか。私は、日本国民の常識としては、朝鮮地域あるいは台湾地域で起こった紛争に対して、日本がかかわりを持ちさえせねば、そこの影響というものは何にも日本にはないと。だから、もし紛争が起こった場合には、在日米軍基地というものを一切利用させないと、戦闘行動には。その方針を政府が堅持してさえくれれば、日本の安全は何にも脅かされることはない、こう考えるのは日本国民の常識だと思う。これくらいのことは小学生でもわかる理論だと思う。これがいやに政治的に何か影響があるのだとかいうような議論をしますと、妙なところでこれは妙なことになっちゃう。どうなんですかね。単純明快じゃないですか、関係を持たなければいい。
  22. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、平和が日本の周囲において破れて、そうしていままでの現状が破られるということになれば、やはり直接間接、いろいろな影響が出てくる。それで、それを認識として述べたので、政府の行動については、先ほど言うように、いままでの言明の範囲を出るものではないと思います。
  23. 矢山有作

    ○矢山有作君 認識があって行動に発展するのですからね。そういう認識を述べたということが、行動に発展していく場合の一つの伏線を敷いたことじゃないですか。だから、私たちにね、そういう疑惑を持たせぬために、私が最初に具体的に言ったことにずばり答えていただけば、私も、そうでございますかといって納得をするし、国民の皆さんも納得されると思うのですよ。  だから、くどいようですがね、韓国なり台湾地域で起こった紛争、その場合に在日米軍基地は戦闘行動には一切利用させない、戦争には一切利用させない、これははっきりさせませんか。そうしたら私は、こういう認識が述べられておったとしても、なるほど認識にとどまって行動には発展するおそれはないということで、これは国民も安心するし私も安心する。ところが、それがはっきり述べられぬのに、こういう認識を述べられておると、それはやがて行動に発展するということの私は危険を感ずるわけです。だから、あなたがほんとうに日本の安全というものを守ろうという立場からなら、そこのところをもうちょっと、もう一度明確にお答えいただきたいと思うのですがね。そうでないと疑問が残る。
  24. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 在日米軍基地の問題は、事前協議の対象として出てくると思いますが、これは総理や外務大臣が言明しておりますように、自主的にそのときに判定する、その態度は変わらないと思います。ただ、騒乱が海峡の向こうで起これば、これはやはり日本の内部におきましてもいろいろ動揺が起こるでしょうし、世論の微妙な変化もあるでしょうし、この間のカンボジアにおける、アメリカ大統領ニクソンに対する学生の集会みたいなああいうことも起こっておりますし、ともかく大なり小なり影響は非常にくるだろう、こういうように考えざるを得ません。
  25. 矢山有作

    ○矢山有作君 いま長官のおっしゃったようなその問題は、日本の安全それ自体にかかわるような問題じゃないじゃないですか。なるほど、それは隣に何か起これば、いろいろなさざなみくらい立つでしょう。しかしそれは、日本の安全を脅かすような問題じゃない。日本の国内で、たとえばアメリカのカンボジア侵入に対して、アメリカ国内で起こっておるような反対の意見が表明されたり、反対の行動が起こるというのは、これは政治的な活動の自由は保障されておるのだし、政治的な意見を述べることは保障されている。政府の政策に盲従することは義務づけられておらぬ。政府の政策がどうあろうと、それに対して批判のあるものは批判したり、あるいは反対のものは反対行動をとることは自由に許されているわけです。そんなものは日本の安危にかかわる問題じゃない。だから私は幾らこの問題を繰り返しても議論はかみ合ってこないと思いますが、要するにこういうふうに韓国なり台湾地域の安全と日本の安全とを密接不可分に結びつけてきた、そこに安保条約というものの大きな質の変化が出ておる。さらに、この中を見てみると、インドシナ地域の問題にまで言及されております。だから現在の安保というのは、従来の安保で考えられておったよりもその適用範囲というのは非常に広くなったということですね。そのことだけは私は明確に出てきたと思うのです。  これは総理はこういうことも演説しておられます。昨年の九月二十五日に松江市の一日内閣で言われておることですが、「国際社会における日本の立場というものを展望いたしまして、アジアの安定という問題について主役を果すのは日本であり」と、こう言っているわけです。要するにこれはアジア全域の安全という問題と日本の安全というものを、ことばをかえて言うならば結びつけて考えておる思想なんです。これは安保条約の適用の範囲の大幅な拡大でしょう。そういう点が私どもは問題だと言っているわけです。  それから核の問題についても、先ほどあなたおっしゃったけれども、これはだれか言っていましたね。その共同声明を読んでみても、何を言っているのかわからぬし、それから大臣の答弁を聞いておっても、一体何を言っておるのかわからないわけです。私も読んで、「核兵器に対する日本国民の特殊な感情及びこれを背景とする日本政府の政策について詳細に説明した。これに対し、大統領は、深い理解を示し、日米安保条約の事前協議制度に関する米国政府の立場を害することなく、沖縄の返還を、右の日本政府の政策に背馳しないよう実施する」、こう言っているんですね。これだと、核の持ち込みの問題をきちっと拒否したということにはならぬのじゃないか。アメリカが現在沖縄に核を保有しておるということは、大体これまで国会で政府も認められたところでしょう。そうして沖縄がこのアジアにおけるアメリカの戦略配置の中で果たしておる役割り、特に現在のインドシナ戦争等で果たしておる役割りというものについても十分認識をし、そうしてそれに対しても日本政府は大きな評価をしておるわけでしょう。そういう前提があって、沖縄の返還の場合に、核の問題は、これは日本としては、これは置いておいたら、あるいは持ち込まれたらたいへんだという説明をされたでしょう。ところがその場合、アメリカが沖縄を基地としてアジアにおいて果たしておる大きな役割り、それを評価して、それを阻害することのないように事前協議制度で一応相談しましょう、こういうのですからね。そういう意味でしょう。米国政府の立場を害しないのですから。そうすると、核はこれは持っておってもよろしいということにもなってくるわけですね。有事の際には核を持ち込んでもよろしいと、こういうことにもなってくるわけです。非核三原則が明確になっておるわけじゃないわけです。沖縄返還の問題と特にからんで核の持ち込みということは、やはりこれはしり抜けになっておると考えざるを得ないのじゃないですか。これも見解の相違か、解釈の相違ですかね。
  26. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、アメリカの何か法律か何かの関係で、原爆がどこにあるとかないとかということは、アメリカとしては言明してはならぬたてまえになっておるとか聞いております。したがって、共同声明においてもそういうことを明示することを避けて、日本政府のいわゆる非核三原則というものを、いまのような間接的表現であらわしたのではないかと考えます。それから、アメリカの立場を害することなくというのは、事前協議の権限まで捨てたものではありませんよと、そういう意味の念のためのことばをそこへ添えたのではないかと、そういうふうに私は解釈しておりますが、この文章をつくった一人であるアメリカ局長が来ておりますから、アメリカ局長から正確にはお答え願いたいと思います。
  27. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 核の問題に関しましては、本土におきましても、日米間の関係としては、事前協議を要する事項となっておるわけでありまして、日本の政策として非核三原則ということになっておるわけであります。共同声明の文句は、沖縄返還後は、核の問題に関しましても本土と全く同じようになるという意味でございます。
  28. 矢山有作

    ○矢山有作君 核の問題について本土と全く同じようになるということは、いわゆる沖縄の場合にも非核三原則が適用されるという意味だろうと思うのですがね。それならそれではっきり書いたらいいじゃないですか。こんなだれが読んでもわかりにくいような文章にしないで、日本は非核三原則を堅持しておるのだ、だからアメリカはその日本の非核三原則の立場を支持して、核を沖縄に置いたり持ち込んだりはしませんと、そこの表現はいろいろありましょうが、そういう点を明確にしたらいいじゃないですか。なぜこんな回りくどい、どちらにでも解釈できるような書き方をするのですか。アメリカはアメリカのほうでもこの文章を解釈して、沖縄返還で沖縄の核の持ち込みなり沖縄に核があるということを妨げるものではないというふうにおそらく解釈すると思うのですね。私もはっきりは記憶しておりませんが、何かアメリカの国内向けにはそういう説明を政府はやっておるというようなことをちょっと聞いた記憶があります。日本政府は日本政府で、非核三原則をわれわれは堅持するのだから、核の持ち込み、そういった心配はない、核があれば持って帰るのだ、こういうような都合のいい説明ができるわけですね、この一つの文章で。それに対して、アメリカはアメリカの立場に立って自分に都合のいいような説明ができる。日本政府は日本政府の立場に立って自分の都合のいいように説明ができる。そういう文章をなぜつくるのですか。どちらの側に立っても異なった解釈の生まれないような文章表現というものは、優秀な頭脳を持った皆さんにはできるはずでしょう。どうしてやらないのですか。どうしてあえてこのようなわかりにくい表現をやったのですか。
  29. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) ただいま申し上げましたように、核に関しまして本土に関する日米間の関係並びに日本政府の政策というものを、そのまま返還後の沖縄に関して書けばああいう表現になるということで、ああいう表現をとったわけでございます。
  30. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、返還後の沖縄における核の問題が明確にされないで、どちらにでも解釈できる状態で沖縄返還が実現すれば、これは名実ともに施政権が日本に帰って日本の領土になるのですから、日本に核持ち込みを認めたと同じことになるじゃないですか。そこから本土にも核を持ち込み得るという突破口が開けるのじゃないですか。私は核の問題については重大な事実を聞き及んでおります、あとで申し上げますがね。そういうことになるのじゃないですか。それが常識でしょう。なぜもっと正確に、こういうような重大な問題については明確に国民の前に示して、疑点を一点でも残さないようにして、国民の判断、批判を受けようとする姿勢がないのですか。国民の目をごまかして、いいかげんなことで、自分たちの好む政策を遂行しようというのは、大きなそれは間違いです。どうしてそんなことをやるのですか。
  31. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) これは政策の遂行というようなことになりまして、私が答えるのもいかがかとも存じますが、先ほど申しますように、本土に関しましては、核の問題に関して、日米間の安保条約の関係では持ち込みは事前協議の対象ということでございます。現在日本政府の政策として非核三原則ということを内外に明確に堅持しておる、この関係を返還後の沖縄にそのまま表現すれば、共同声明の表現になるということでございます。
  32. 矢山有作

    ○矢山有作君 いずれにしても、あなた方はいろいろと口の先でごまかして、その実態を説明しようとはなさらぬでありましょう。しかしながら、国防の基本方針が変わってくる大きな理由は、安保条約の内容が変わったからだということは、防衛庁長官から言われたことです。その安保条約の内容がどう変わったかというと、それは自動延長になったとか、一年限りで廃棄できるようになったとか、そういう問題よりも、もっと本質的に安保条約それ自体の運用の問題、安保体制の中身の問題に大きな質的な変化があったから、それで国防の基本方針を変えるというところに至ったと、こういう結論に私はなると思うんです。  そこで、そこだけにとどまっておっても進みませんから、質問を移しますが、そういう理由に基づいて国防の基本方針が変えられ、自主防衛ということが打ち出されてきたわけですが、今後の日本の防衛というものを考える場合に、アメリカの極東戦略と全然無関係でこれは考えられるものなんですか、どうですか。かかわりを持たずに考えられますか。
  33. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 安保条約というものはございますから、安保条約を通じまして相互に連絡するところもあり、協調するところもあると思います。
  34. 矢山有作

    ○矢山有作君 そんなにややこしい持って回ったような言い方をなさらぬで、要するに日本の自主防衛、これを考える場合にも、やはりそれは私は端的に聞いておるんですから、アメリカの極東戦略と一切無関係でやれますか、やれませんかと言っているんですから、安保条約云々言わないで、安保条約というものを前提にして——無視してはやれぬわけでしょう、アメリカの極東戦略との関係を。だから、それならそれで、明確なことばを使ってください。安保条約云々と言われると、これはまああなたのような優秀な人はわかりますけれども、一般の国民にはわかりにくいんです。私は一般の国民にもわかりやすいように、自主防衛の体制を考える場合に、アメリカの極東戦略と全然無関係で考えられますかと言っておるんですから、無関係で考えられぬなら考えられない、無関係で考えられるんなら考えられるんですと、そこのところをはっきりおっしゃっていただきたい。
  35. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 無関係ではございません。
  36. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ無関係でないということが言われましたので、私はこれはまたあとで議論しますが、私どもが従来考えておった、自主防衛と言おうと何と言おうと、アメリカの極東における戦略体制というものをはずれて日本の防衛体制はあり得ないんだということが、私はこれで明らかになったと思うんです。もっと言うならば、自主防衛などと耳ざわりのいいことばは使っておりますが、要するにアメリカのアジア極東戦略のワクの中に組み込まれた日本の防衛体制であるということがはっきり私はしてきたと思います。  そこで、次にもう一つ質問を移します。長官建二月の二十三日の衆議院の予算委員会で、自主防衛という場合の防衛力に関してのこれは発言ですが、防衛力は、「客観情勢に応じて変化していくべきものであって、防衛といえば、やっぱり周囲の脅威の大きさに比例して移動していくものだろう」と思うと、こういうふうにおっしゃっておりますね。「周囲の脅威」というのは、これは何を言ったんですか、具体的に言ってください。
  37. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは防衛一般について基本的な考え方を申し上げたのです。私は、日本の場合は直接侵略と間接侵略から日本の平和と独立を守るのが自衛隊の任務である、そういうことを申し、また法律にも書いてございますけれども、そういう守るという場合にどの程度の力を整備するかという以上は、やはり一般的に言って、周囲の脅威というものは一つの大きなファクターである、そういう意味で申し上げたのであります。
  38. 矢山有作

    ○矢山有作君 じゃあ、その防衛力を整備する場合には、現状でどういう周囲に脅威があるという御判断を持っておられますか。
  39. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛の問題を考えるときには短時点で考えないで、かなり歴史的、長期的に、そして平均的な考えを持つ必要がある。おまえは何を守るんだと言われましたときに、私は祖先から子孫に引き継いでいく国民の生活体並びにその国土、それを守る、そういうふうに答えましたけれども、これはやっぱり明治維新以来、近くは日清、日露、欧州大戦、第二次世界大戦、こういう長い歴史の過程も考えてみて、そしてその大きな歴史の中で日本がどういう程度の防衛力を持っておることが適当であるか、そういうつかみ方も非常に一つは必要である。それから短時点をとらえて、現在潜在的並びに顕在的脅威というものがどの程度、どういう性格で存在するかということを考えてみることも必要である。そのほか内政とのバランスであるとか、あるいは外交その他における平和努力であるとか、あるいは国民のコンセンサスの問題であるとか、いろんなファクターがございます。その多元的なファクターの一つとして申し上げたのでございますけれども、しかし、歴史的に見て、平均的にある程度のファクターとしてそういうものを考えなければならぬのじゃないか。目前のことばかりにとらわれてはいけない、そういうように考えているわけです。
  40. 矢山有作

    ○矢山有作君 だから、そんな回りくどい御説明は要らないんですよ。短期であろうが長期であろうが、それは防衛構想を立てる場合に、長期的な構想も、見通しも持たなければならぬでしょう。現在における判断もしなければならないでしょう。それはあたりまえの話です。私が聞きたいのは、そういう判断の中に、周囲の脅威というのが問題なんですから、これは一般論じゃないと思うのです。防衛計画を立てる場合に、相手なしで何が何かわからなくて適当な防衛力なんというのは、そんなものはないわけですからね。やはり一つの何というんですか、対象というのか、仮想敵というのか、そういったものがあるというのが当然でしょう。明治、大正、昭和の歴史をひもときながらいろいろおっしゃいましたが、私は、明治、大正、昭和を通じて、かつての旧軍時代には、一つの周囲の脅威というものを具体的に想定をして、その中で防衛計画が立てられてきたと思う。だから現在あなたが防衛計画を立てる、自主防衛計画を立てるという場合にも、その周囲の脅威とわざわざおっしゃっておる以上は、周囲の脅威というのは何かということを、やはり国民に明示をする必要があるんじゃないですか。こういう脅威が具体的にあるのだ、だからこういう防衛力の整備が必要なんだ。こうならなければ、そんな何かわからぬようなあやふやな説明では、これは膨大な経費を食う仕事ですから、税金を納める側のほうの国民は納得しませんよ。最近は大蔵省だって予算をつけるときに、やはりはっきりしろと言っておるわけでしょう。そこのところをはっきりしてください。回りくどいこと要らぬですよ。周囲の脅威、これは現在において、長期展望において、具体的に何を想定しているのかということを答えていただきたい。
  41. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の防衛を考える場合には、やはり非常に総合戦略のもとに諸般の考慮をしていかなければなりませんので、大きくは核抑止力というものはどういうふうに作用するか、具体的にはアメリカとソ連の核抑止力、中国のICBMの発展の度合い、そういうあらゆる諸元を考えながら、総合戦略というものをつくり上げていかなければなりませんし、また短期的にはもう少し小さい部面では、アメリカとか、あるいはソ連、中国、北鮮、台湾、韓国、あるいはアジアの情勢、そういう周囲の各国の動向、そういうものを全部考えていく必要がある。そういう総合的判定のもとに日本の防衛力というものはどの程度のスケールで、どの程度時間的に配慮を加えながらやっていったらいいか、そういう考えを持つということであります。具体的にどこが仮想敵国であるか、そういうような考えは持っておりません。
  42. 矢山有作

    ○矢山有作君 だから、あなたのおっしゃること、私はわかるのです。まあ総合的に考えて、それは防衛力というものは整備されるんでしょうから、アメリカの核抑止力の問題あるいはソ連の核抑止力の問題、それらを考えるということはわかりました。それから韓国の問題、台湾の問題、いろいろ考えるのだとおっしゃった。中国のICBMの問題も飛び出した。ところで、そういうものを考えながらですね、日本における現実の脅威として考えておるのは何かということです。いまの日本の状態では、アメリカを脅威とは考えておられぬでしょう、韓国を脅威とは考えておられぬでしょう、おそらく。台湾を脅威とは考えておられぬでしょう。防衛力を整備する、計画する場合にはそれらの状況も把握することが必要でしょう。しかしながら、それらを脅威とは考えておられぬでしょう。脅威と考えておられるのですか、脅威と考えておられるのは何かと聞いている。
  43. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 仮想敵国は持たないという方針でありますから、いまのように各国のいろいろな相互関係等々を勘案しながら、また歴史的に見まして、日本の置かれているいままでの立場あるいは政治学的位置、そういうものを考えて、スパンを長くして、そして大体平均的にこういう程度の防衛力が要るだろう。すぐそれが役に立つとか役に立たぬということは離れまして、国として存在している限りまる裸でいるというわけにはいかぬと、そういう観点から、最小限の防衛力というものはこの程度のものは要るだろうと、そういう総合計算に基づいて計画立案しているのであります。
  44. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ、周囲の脅威は具体的になかなかおっしゃれそうにないですね。じゃあね、伺いますが、先ほど長官は、アメリカの極東戦略体制と、日本の防衛力を整備する場合にそのかかわり合いはあると、これはアメリカの極東戦略体制と無関係で日本の防衛ということは考えておらぬとおっしゃったんですが、アメリカの極東戦略体制の中においては、アメリカは何を脅威として、もっと言うならば、何を仮想敵として極東戦略体制を立てておるんですか。アメリカはそんなもの何にもなしに極東戦略体制を立てておるんですか、その点が伺いたいんです。
  45. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカの極東戦略体制と関係があると申しましたのは、現在の国防の基本方針において、外敵の侵入に対しては国連機能が充実するまでは日米安保条約を基調としてこれに対処すると、そうあるんでありますから、やはりアメリカの政策、戦略が日本にそういう安保条約を通じて影響してくる。それから次の段階を考えましても、これを補完にすると、これも同様であるだろうと思うわけです。それでアメリカがどういうような仮想敵を持ち、どういうふうにしているか、私はつまびらかにしませんが、日本に関する限りの問題としては、日本としてはアメリカとどういう協調、提携していったら安保を有効に活用し得るか、そういう考えを持ってアメリカ側と随時協議し相談をしているわけであります。
  46. 矢山有作

    ○矢山有作君 日本の防衛を担当する最高責任者の長官ともあろうお方が、アメリカの極東戦略体制との関連で、日本の防衛力を整備するのに、アメリカが何を極東における脅威と考えて戦略体制を整えておるかということがわからぬというような不見識なことがおっしゃれますか。あなたは、少なくとも歴代防衛庁長官の中で、そうした防衛に関する識見においては自分自身で自負しておられるんでしょう。その自負しておられる長官が、日本の防衛と深いかかわり合いを持つとあなたがおっしゃるアメリカの極東戦略体制が、何を脅威と感じて組み立てられておるのかということがわからないということはありませんよ。それは言えませんとおっしゃるのなら、それはまたこれまでの政府の態度からして、なるほど言えないのかと、これも隠すのかということになりますけれども、わかりませんというのはちょっと聞こえませんね。わからぬのですか、ほんとうに。ほんとうにわからぬとすれば、これはこのくらい無能な防衛庁長官ないということになりますがね。
  47. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私はそういう自負は持っておりません。ぼんくらでございますから、ともかく一生懸命努力して防衛の責めに任じようと思っているわけであります。
  48. 矢山有作

    ○矢山有作君 一生懸命努力されるのに、何も努力の目標がなしに努力されるんじゃ、これはどうにもならぬじゃないですかね。私の聞きたいのは、あなた、ほんとうにアメリカの極東戦略体制の組み立てが、何を脅威として組み立てられているのか、ほんとうにわからないのですか。
  49. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は向こうの責任者とまだ会って話したことはないんです。したがいまして、下僚の書きものや、下僚が断片的に出先のものに聞いてきたようなものは、まだ私は責任を持って判断して申し上げるというものではないと、そう思うわけであります。
  50. 矢山有作

    ○矢山有作君 ひとつ話が進みますね。下僚が聞いてきたこととおっしゃいましたね。それはあなたの立場で、その下僚の聞いてきたこと、それを判断の素材にしてあなたの御意見を言うことはできないとおっしゃるなら、それはわかります。あなた、じゃ下僚からどういう話を聞いておりますか。
  51. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは部内の報告でありますから、外に申し上げることは慎んだほうがいいと思います。
  52. 矢山有作

    ○矢山有作君 それでは長官、あなたね、防衛問題についてほんとうにまじめに論議をしよう、日本の防衛を真剣に考えようといって、政府が幾らおっしゃっても、これは考えようがないじゃありませんか。何にも国民に知らせずにおいて、防衛の問題を真剣に考えろ、みずから国を守る気概を持て、そんな話は受けとれませんよ。やはりあなた方が真剣に防衛の問題をあなた方の立場でお考えになるなら、やはりそれに対しては国民的な合意が要るわけでしょう。そうすれば、やはり私は言える最高限度のところまでは言うべきじゃないか、なるほど軍事にはいろいろな問題があるでしょう。しかし、いまのようなことが言えないというのじゃ、これは判断材料というのは国民に一切与えられませんよ。そういう中で防衛力整備だというのは、これは無責任きわまるのじゃないか。たとえ部内の発言であろうと、下僚からどういうことを耳にしましたというくらいの話はできるでしょう。それを私がどう判断するか、国民がどう判断するかは、これは別問題ですよ。私はあなたの判断を聞きたいとも言っておりませんよ。私の判断も言いませんよ。あなたの判断もきょうは聞きませんから、そういうお約束のもとに、下僚からどういうことを聞いたということを一口おっしゃってくださいませんか。
  53. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 未確認情報をあまり言うとおこられますし、そういうものは外に発表するものではないと思います。私は、今度五月十九日ごろ日米安保協議委員会を開くとか聞いておりますが、そのときに初めてアメリカの責任者に会うのでありまして、そういう責任者に会った話でないと私としては申し上げられませんし、また話の内容や結果によって判断をして発表すべきものであると思います。ここへせっかく大統領や国防長官に会っていらっしゃる外務大臣が来ていらっしゃいますので、責任者に聞いたほうが適当ではないかと思います。
  54. 矢山有作

    ○矢山有作君 うまく逃げられましたね。それでは外務大臣におはちが回ったので、外務大臣、あなたしょっちゅうアメリカに行かれるし、国務省の幹部や、あるいは国防省の幹部、大統領ともよく会っておいででしょうから、その中でアメリカの極東戦略体制というのは、どういう脅威を対象としてつくったというお話をお聞きになりましたか。
  55. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まあどういう脅威とか、戦略体制とかいうことに対する的確なお答えは、私もできかねるかと思いますけれども、たとえば日本の周辺の状況からすれば、御承知のように、アメリカは米韓条約を結んでおりますし、あるは米華条約もあり、あるいは米比条約もあり、そのほかいろいろの極東の諸国との間に防衛条約を結んでいる、これは御承知のとおりでございます。そして条約文もそれぞれ書き方も多少違っておりますけれども、要するに一言にして言えば、それらの国々の防衛に対してできるだけの協力をしよう、こういう姿がとられておる。それでやはり一番の基本は、国連憲章に基づくそれぞれの国の自衛的なかまえに対して協力をしよう、これが考え方の基本であると思うわけでございまして、それらの国々の安全が全うできるようにということが、いまお尋ねの点の少なくとも一部にはお答えになるかと思いますが、これが極東に対する一つのかまえであるということは言えると思っております。同時に日本に対しましては、日米安保条約によってアメリカが受けている義務というものを完全に履行するということが、日本の安全を防衛するということについてアメリカの負っておる義務であり、体制である、こういうふうに考えてしかるべきじゃないかと思います。
  56. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあアメリカがアジアで結んでおる米韓条約、米華条約、その他の相互防衛条約ですか、こういったものの、あるいはまた日米安保条約の義務履行として、アメリカは極東戦略体制を組み立てておるのだ、簡単に言ってしまってこういう意味のことをおっしゃったと思うのですね。それではアメリカはそういう条約を結ぶときに、一体条約を結んだ相手国に、どういう具体的な脅威があるかということが全然わからないで私は結んではいないと思うのですね。やはりアメリカがこれらの国と相互防衛援助条約を結んで、一朝事あるときには自分の武力を投入していこうということになれば、これはその国に与えられておる脅威というものは何かということを認識して私はやっていると思う。それなしに、日本の中曽根防衛庁長官のように、何やらさっぱりわからずに戦略体制を組み立てておるというようなばかなことはしてないはずなんです。そこで、あなたがお聞きになったお話の中で、米韓条約なり、あるいは米華条約なり米比条約を結んだときに、何を脅威として結んだんだというお話をお聞きになりましたか。
  57. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 一々それらの条約についての結んだ経緯というようなことをつまびらかに質問をしたり、あるいは意見交換したことはございませんが、これは先ほど来防衛庁長官も言っておられるように、それぞれの国としては、自国の安全を全うしたいという基本的な考え方で、国策の基本にしているはずだと思います。その基本目的に対して協力をするというのがアメリカの体制である、かように考えるわけでございます。それで、これは各国によってそれぞれ状況も違うと思いますけれども、たとえば韓国、米韓条約などにつきましては、現に全く希望もしないし、そういうことを予見もしてはおりませんけれども、三十八度線を中にしてのやはり緊張状態がある、こういう緊張状態を前にして韓国の安全をはかるということについては、アメリカのみならず、国連全体としても非常な関心を深くしているわけでございますから、そういう点から申しまして、大ごとになって戦争が勃発するというようなことがないように、緊張の起こらないように、抑止するという立場で条約をつくり、あるいは所要の協力もしておるというのが現状である、かように理解できるのではないかと思います。
  58. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょっと話が前に進みましたね。たとえば米韓条約についていえば、韓国の場合には三十八度線を中心にして非常な緊張状態がある、そういう緊張状態の中で韓国の安全を守ろう、こういうために米韓条約がつくられた、こういうふうにおっしゃったわけです。そうするとその場合に三十八度線を中心としての緊張があるということは、どことおっしゃらぬでも、これはもうだれが聞いても北にある朝鮮民主主義人民共和国であるということは、これは自明の理ですよね。もう自明の理でしょう。三十八度線をはさんで緊張があると、そのときの緊張の相手国として考えられておるのは、韓国でいうならば、三十八度線ということばが出ておるのですから、もう朝鮮民主主義人民共和国であるということははっきりしますね。そうでしょう。
  59. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その点は、たとえば大韓民国とアメリカとの相互防衛条約を見てみますと、いかなる潜在的侵略者も云々ということばも使われておりますから、いかなる潜在的なというような形容詞がかぶっておれば、特定の国を仮想敵国にするというような考え方ではないのじゃないかと思いますけれども、これはまあアメリカと韓国の間の条約ですから、この条約に対しまして私がいろいろコメントするのもあるいは行き過ぎかと思いますけれども、条約の上にはそう書いてございます。
  60. 矢山有作

    ○矢山有作君 じゃ、外務大臣、認識だけでいいのですが、三十八度線を中心にした緊張という場合に、これはやつ。ばり最大のものが北じゃないのですか、朝鮮民主主義人民共和国じゃないですか、現状において言えば。
  61. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはむしろなんでございますね、休戦協定とか、あるいは国連における、まあこれは毎年決議も行なわれておるし、あるいは国連のあるいはアンカーク委員会においてもさようでございますけれども、そういうところのやはり考え方というものも、大韓民国の安全が保たれなければならないということを中心にしているわけですから、いま矢山さんのおっしゃるように、しかし実際問題としては北との対立ではないか、あるいは北からの侵略というものが考えられているのではないかというお尋ねですが、実際問題としてはそうだろうと私は思いますけれども、それ以上いろいろ他国間の条約についてコメントすることはいかがかと思います。私はきわめて常識的にいまお答えいたしたわけであります。
  62. 矢山有作

    ○矢山有作君 わかりました。中曽根防衛庁長官、いま外務大臣と私とのやりとりを聞いておられて、いま外務大臣がおっしゃった程度の認識はお持ちですか。
  63. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いま話を聞いていて、筋の通った話だと思っております。
  64. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、大体もうはっきりしましたね。要するに米韓条約で例をあげて言うならば、その韓国の安全を守るというための一番の問題視されているのは北にある朝鮮民主主義人民共和国だと、こういう想定があって米韓条約が結ばれたのだろう、こういうことは大体出てきたと思うのですね。すると、米華条約についても米比条約についても、大体まあそうしたあまり質の違っていないものだと判断せざるを得ぬですがね。それで特に問題になるのは韓国と台湾ですからね、判断せざるを得ませんが、そうなると、アメリカの極東戦略体制とかかわりを持ってくる日本の防衛というものは、やはりそこに、あなたが何と言い抜けをされようと、極東戦略体制、アメリカの極東戦略体制にかかわりを持っておるのだから、そこの中でおのずから日本が脅威と感じておるものというのはこう浮かび上がってきつつあるのじゃないですか、私はそういう感じがしますね。そうじゃないですか。
  65. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカはアメリカの主権の範囲のことで考え、日本はやっぱり日本独自の観点に立って考うべきものであると思います。
  66. 矢山有作

    ○矢山有作君 それはもうおっしゃるとおりですね。ところが、政府は日本の安全とアジアの安全を結びつけているのでしょう、先ほど言ったように。これは私が言っているのじゃない。九月二十五日に、先ほど申し上げたように、総理の演説で、日本の安全とアジアの安全はぴたっと一体になってしまっているのです。そういう前提があるということも、アメリカの極東戦略体制にかかわりを持ちつつ日本の防衛力が整備される、こうなれば、日本は日本の立場で考えます、アメリカはアメリカの立場で考えますと言ったところで、おのずからあなた、アメリカがアジアの極東戦略体制をつくる、その場合に結んだ米韓条約、そのときの脅威はいま出てきたわけですから、それとのかかわりを持って考えるならば、日本の周辺における脅威といって、いまあなたが言っておられること、具体的に言いなさいと言っても、何としてもあなたがおっしゃらぬことは、およそそういうふうな話の論理をずっと追っていけば出てくるじゃありませんか。周囲の脅威は、アメリカが極東戦略体制において脅威と考えておるものと同じだということに結論的になってくるじゃありませんか。そこらはあんまり持って回った言い方をしないで、やっぱり私は最初言うたようにはっきり答えなさい。そうしなきゃ防衛力整備に、その整備する対象、脅威というものが具体的にわからぬで防衛力の整備ができるわけがありません。まあ、一ことにとどまっているわけにいきませんから、もう一つ話を進めます。  あなたはいまいいことを言ってくれたのです、防衛庁長官。あなたは、下僚から聞いたことはここではどうしても言えないらしい、下僚から聞いたことは。ところが、あなたは、近く開かれる日米協議委員会で向こうの責任者と会って話しをする、その話の結果であなた自身が聞いたことなら自信を持って言えるわけだ。これはあなたそうおっしゃったのですから、下僚の話を聞いたのではここで言えない。あなた自身は聞いていない。しかし近く日米協議委員会が開かれ、そこで責任者と会って話を聞いて言います。言ってくれますね。
  67. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そのときも申し上げましたが、内容により取捨選択して申し上げる、そういうように申し上げたつもりであります。
  68. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうなってくると、いつも言うのはへにもならぬようなことを言って、肝心かなめのこっちの聞きたいことはさっぱり言わない、こういうことになるのがあなた方の通例です。だから、責任者である方でもと言った場合に、早くも言わないで済むような逃げ道をこしらえているわけだ。私はそういう姿勢ではどうにもならぬと言うのです、そういう姿勢では。自主防衛力の強化を国民に呼びかげて、大きな負担をかけようというのなら、具体的に明示をして、国民の論議の場にのせなさいよ。そういうようなばかげた話というのはない。  それで、私はこの問題に対する議論はこれで終わろうと思いますが、いままでの議論を通じて私は明らかにされたのは、自主防衛力と言っておるけれども、これはアメリカの極東戦略体制と深くかかわりを持っておるものである。しかもそれは沖縄返還問題を通じてクローズアップされてきた。そういういままでの背景を考えるならば、自主防衛力などと言っておりますが、自主などというものはどこにもないだろう。アメリカの極東戦略のワク組みの中にがっちり組み込まれて、身動きのできないような形の中で、そのアメリカの極東戦略体制の推移に応じて自主防衛力の整備になるのだろうと私は断ぜざるを得ないのです。じゃ、なぜあなた方が自主防衛力ということばを使うか、これは国民的な感情に訴えているんですよ。そういう自主だ自主だという、いかにも国民の心の中にあるナショナリズムを呼び起こして、その感情に訴えて、そして防衛力整備を強力に推し進めようという、そういう私は策謀であるとしか感ぜられません。いまの議論の経過から、この問題については、きょうの質疑を通じて、私の認識というのを集約的に申し上げて述べておきます。そういうような国民をごまかすようなやり方というのは厳に慎むべきだし、私はやめるべきだと思います。そのことを厳重に私は申し上げておきたいと思います。  それで、次の質問に移りますが、最近政府は盛んに平和外交あるいは国連中心外交、こういうことばを言っている。特に防衛庁長官は、最近外交優先の防衛政策という発言すらやっておられますね。そこで、私が聞きたいのは、日本の過去の歴史の中で、軍事に優先した外交というものがあった時期が具体的にありますか。あなたの該博な近代における日本の歴史を思い浮かべながら御答弁が願いたいのです。
  69. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) わりあいにそういうケースは少ないように思いますが、たとえば小村寿太郎が講和条約をやったようなのはその例ではないかと思います。
  70. 矢山有作

    ○矢山有作君 外務大臣、どうですか。やっぱり同じですか。
  71. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 一々歴史的に具体的な例をあげて申し上げるだけの用意をいたしておりませんけれども、私の理解しているところでは、歴代、戦前におきましても外交が優先すべきであるという意欲のもとに外交を諸先輩がやってこられたように思いますけれども、事実あるいは結果はその所期のごとくでなかったというのが大体において歴史の示しているところではないだろうか、かように考えます、過去の例としては。
  72. 矢山有作

    ○矢山有作君 私も残念ながら、いま防衛庁長官なり外務大臣がお述べになったような考え方を持っております。過去の日本の歴史の中で外交が軍事に優先したことはない。常に軍事に日本の外交は振り回されてきた。そういうわれわれは苦い歴史的な経験を持っているわけですね。そういう状況の中で、一体外交優先の軍事政策のあり方というものが具体的に確保できますか。これは私は今後の日本にとっては非常に重大な問題だと思うのですね。防衛庁長官に聞きたいのです。
  73. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 旧憲法下におきましては、統帥権の独立とか、陸海軍大臣現役武官制度というような制度があって、特にこの二つが、軍事が政治を引っ張り回した原因になりました。新しい憲法のもとにおいては、国会が国権の最高機関として、内閣は国会に全責任を有するたてまえをとり、自衛隊法、防衛庁設置法、その他の法体系におきましても、文民統制が全うされておる体系になっております。それで歴代外務大臣を見ておりますと、りっぱな人がなっておって、私は愛知外務大臣を尊敬して兄事しておりますから、一緒に協調してやっていくようにつとめておりますいまの体制はいいと思っております。
  74. 矢山有作

    ○矢山有作君 事実はおっしゃるとおりだと思うのですね。それなら私は、国会が国権の最高機関で、内閣が国会に責任を負って、今後いわゆる外交と防衛というもの、それを考えながら政策を進めていくのでしょうから、それなら国会でやはり防衛の問題で十分議員が知識を持って十分に論議できる場が与えられなければならぬのじゃないですか。ところが肝心な問題については、先ほどの答弁で明らかなように、一番国民が関心を持っている問題については、全部これを知らせない。全部ことばの言い回しでごまかしてしまう。そういう中において、国会が軍事を統制していく確信が持てますか。私はできないと思う。やはりあなたが常々言われる外交を優先させるということの背景には、いわゆる軍事に対するシビリアンコントロールという問題があるでしょう。そのシビリアンコントロールをほんとうに生かしていくために、一体どうしなければならぬのか。あなたが国権の最高機関であるという国会の場で、洗いざらい問題を出して、論議の対象にのぼせなければ、何にもわからぬうちに防衛力が拡大強化されていき、そのうちに軍事優先の方向に突っ走っていく、そうなるのじゃありませんか。そう考えたときに、あなたがおっしゃった戦前と同じで、ただ形が変わっただけで、実質は何にも変わってないということになるのじゃありませんか、どうなんですか。
  75. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまの状態で満足しておるわけじゃございません。できるだけ対話をかわしながら、建設的にものを進めていきたいと思っております。私はそういう一つとして、国会に防衛に関する常任委員会をつくっていただいて、常時自衛隊を監督するなり、あるいは防衛国策を論議していただくという場もほしいと思っておりますのも、そういう一つでございます。
  76. 矢山有作

    ○矢山有作君 対話をかわしたいと思うとおっしゃっても、われわれも対話をやりたいから、こうして口からあわを飛ばして、青筋を立てて議論しておるのですよ。幾らわれわれがこれを言っても、肝心なところを全部知らせないで対話が成り立ちますか。そういう議論をすると、あなたは、防衛委員会をつくってくれ、防衛委員会をつくったって、やはり肝心なことは言わないでしょう、防衛委員会がつくられたところで。それで私は、全部あなたが洗いざらいみんなそこの場に持ち出して言うなら、それはまた別の問題として考えが出てくるかもしれませんよ。しかし、私がそんなことを言ってみたって、これまでの国会の経過から見て、それは出さないと思います。防衛を専門に論議しているのは内閣委員会でしょう。内閣委員会の場へ、先ほどから質疑しておるように、重大な問題が全部出てこないのですから、隠されておるのですから、おっしゃられぬのですから、そういう姿勢を守り続けていって、そうしてあなたは、国会で対話をやりたいとか、防衛委員会をつくってくれればそれでやれるとか言っても、そんな議論は出てきませんよ。そういう姿勢では、私はシビリアンコントロールはきかないし、外交優先の軍事政策ということにはならぬと思う。また戦前の二の舞いで、軍事優先外交になってしまう。うしろから銃剣を持ってついてこなければ外交ができない、そんなことになってしまうのじゃないですか。その点を国会議員たる防衛庁長官は真剣に考えなければいけませんよ。多くの集団が強力な近代兵器で装備され、そこに一つの指揮命令系統を持った強固な団結が生まれたときに、それがどんなにおそろしいものかということは——あなたは軍人でしょう。軍隊に行ったことがあるでしょう。あるとするならば、戦前の経験でそれは知っているでしょう。私も短期間であるけれども兵隊に行きましたけれども、主計なんというのはよくわからぬのかもしれませんけれども、軍隊のことはわれわれいやというほど軍隊の内部で見てきました。もうだから私は口先だけのシビルコントロールではなしに、口先だけの軍事に優先する外交でなしに、それを実のあるものにして、あなたがやるとおっしゃるなら、そういう姿勢を政府みずからが示すべきだ。私はこのことはあなたにも、それから外務大臣にも、あなた、れっきとしたいまは文民ですから、れっきとした、しかも国会議員ですから、強くこのことを申し上げておきます。  そこで、私はもう一つあなた方に御意見を聞いてみたいことばがあるのです。これは私、この間、あちこちひっくり返しておったら、これは私はたいした見識を持った発言だと思って読んだのです。それを御紹介いたしますから、それに対するあなたの御感想を言っていただきたい。吉田総理が第七回通常国会で、「わが国将来の安全保障につき多大の関心の生ずるのは当然のことであるが、わが憲法において厳正に宣言せる戦争軍備放棄の趣旨に徹し、平和を愛好する世界の世論を背景にあくまでも世界の平和と文明と繁栄とに貢献せんとする国民の決意それ自身が、わが安全保障の中核をなすものである。戦争放棄の趣旨に徹することは自衛権の放棄を意味するものではない」云々と、こう言っているわけです。私は、吉田総理の戦前におけるあの軍国主義はなやかなりしころの深刻な体験から生まれたことばだと思っております。これは私はたいした見識だと思うのです。防衛庁長官として、これを私いまゆっくり読みましたからお聞きいただいたと思うのです。これを聞いていただいてどういう感じがいたしますか。あなたがいま考えておられることを、きのうの内閣委員会からきょうの内閣委員会にかけて、あなた自身の口から出たことを反省しながら、私は感想をお聞かせ願いたい。
  77. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 政府は国会におきます声明におきまして、いつも平和国家を建設する、そして憲法を守っていくと、そういうふうに言明しているので、基本精神においては吉田総理と変わっていないと私は思います。吉田総理も、自衛権を認めると、いま最後にそういうおことばがございましたが、自衛権を認め、その自衛権を有効に保障する自衛力として自衛隊も存在している。そして憲法の範囲内において日本の防衛についておると、そういう点から見ますと、そのことばと私は現状はそう変わっているとは思わないのであります。
  78. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ大臣というのはだいぶ心臓が強くないとこれはつとまりませんね。ぬけぬけとあなたそんなことをおっしゃる。なるほど吉田総理も、私読んだように、自衛権の放棄を意味するものではないとおっしゃっているから、自衛権は認めておられる。しかし、私が一番たいした見識だと思うのは、わが国の安全保障の中核は世界の平和と文明と繁栄とに貢献せんとする国民の決意それ自身だと言っていることです。そこが私は日本の安全保障を考える場合に、いまにして重大な反省をして見るべきときではないか。アメリカの戦略、極東戦略体制のワク内で、それにかかわりを持ちながら、自主防衛力の強化だといって、国民経済の大きな発展があったから軍備はもっとふやしてもいいのだ、そういうことで軍備増強に突っ走るこの姿の中ではこの吉田総理の言っている精神というのは看取されないではありませんか。あなた方は、平和外交に徹しているとか、あるいは平和に徹するのだということを総理以下口にされますけれども、平和に徹する国が、なぜ平和に徹するそのことばそのまま実現するような外交方針が出てこないのですか。平和に徹するということは、どこの国とも緊張状態をつくらない、どこの国とも戦争に発展するようなおそれのある関係を持たない、どこの国ともそういう緊張状態があるならば、その緊張状態をなくして、お互いに理解を増し合って仲よくやっていきましょうという平和環境をつくる、その方向に外交が進まなければならぬのじゃないですか。ところが、あなた方の場合は、平和に徹する平和外交だと口ではおっしゃるけれども、やっていることは逆なんです。ある一方の陣営の国々とは過剰なほどのかかわり合いを持っている。ある一方の国々とはほとんど断絶状態をつくり出す。何らのかかわりを持とうとしない。口先でかかわりを持つらしく国民に聞こえるようなことは言うけれども、腹の底からかかわりを持とうとしない。それで平和に徹すると、そういうことが言えるのですか。平和に徹するならば、私は日本の外交の方針というものは愛知さん考え直してほしい。そうしてほんとうにだれの目で見ても日本が平和に徹した国である、平和に徹するための外交というものが強力に推進されている、その認識があり、それが現実の問題として出てきたときに、初めて外交によって軍事をコントロールできるのじゃないですか。私はアメリカのいまの例を考えていただきたいのです。最近のカンボジアの問題にしたところで、アメリカのいまの外交というのは、これは全く軍事に指導された外交という感じを受けますよ。私はそういう轍を踏んではならぬと思うのです。愛知外務大臣に伺います。
  79. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 非常に建設的な御意見を伺って、私も感ずるところが多いわけでございますが、私どもといたしましては、決して口先だけではなくして、いわゆる平和への戦いということを一つの基本的な考え方とし姿勢として具体的な行動をやっておるつもりでございます。同時に、しかし、なかなか国際関係も複雑であり、微妙でもございますので、こちらだけがひとり芝居といいますか、ひとり相撲をいたしましても、なかなかその目的が達成できないこともある。あるいはその過程においていろいろ私どもの考え方ももっと詳細な説明を必要とすることもある。広く国民の方々に訴えて、できるだけ御協力をいただきたいとかねて念願いたしておりますけれども、なかなか、主として国際関係の複雑さということからわれわれの思うようにいっていないところが多いことを残念に思いますけれども、しかし、先ほど来防衛庁長官も言っておられるように、戦後の状況というものは、制度的にも全く変わっておりますし、それからこれを私は甘いという御批判を受けるかもしれませんけれども、表面に出た他国の批評はともかくとして、多くの国々の指導者はもちろん、国民も、日本が平和国家として戦後再建の努力をしているというこの事実、あるいはその基本となっている考え方については、ずいぶん私は定着してきたと思っております。憲法の持っている意味、それからそれに対する日本国民の受け方、守り方、この状況、あるいはその考え方というものが、私は国際的にずいぶん浸透してきている。このことは私がはだに触れて感ずるところでありまして、どうかしてこのようなクライメートが国際的にもますます定着し、ゆるぎのないようなものになるようにしたい。その中で具体的な問題の処理に当たっていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  80. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は外務大臣いいことばを使われたと思うのですが、確かに平和への戦いというのはいいことばだと思うのです。戦いというのは、私はきわめて大きな困難が伴うものだと思っているのです。そうすれば、私は、平和への戦いを標傍される外務大臣は、その戦いの中の困難を押し切って、日本を取り巻く周辺に緊張状態があるならば、それをなくするように、新しく起ころうとするならば、それを起こさせないように、そういう姿勢が私は実際に要るんじゃないかと思うのですね。それはなるほど、あなたのおっしゃったように、日本は平和国家として努力しておる。これは国民がそういう努力をしておるということは、国際的に定着をしておるとは私も思います。ところが、国民が平和国家への努力をしておるのにもかかわらず、政府は全くその国民の意志と反した方向にいこうとしておるから、その政府の姿勢に対して国際的な批判が出てきておるのじゃないですか。国際的に平和国家への努力をしておるということで日本政府が評価がされておるのじゃないのです。日本政府に平和国家への努力をやっておるという姿勢があるという考え方が国際的に定着しておるのじゃないです。国民の中にそういう努力が行なわれておるという考え方が国際的に定着しております。その国民的に定着した平和国家への努力をぶちこわそうとするのが日本政府、そこに問題が起こっているわけでしょう。それは日米共同声明発表以来の安保条約の私が先ほど来指摘した非常な大きな質的変化、これは私一人が言うのじゃない、多くの国民がそういった疑問を持っておるし、またそういう点に対して国際的な批評というか、批判というか、それも出てきているわけなんですよ。だから私は平和への戦いを標傍される外務大臣は、国民の中に定着した平和国家建設のその意欲をこわすのでなしに、その意欲を引き出して、それを背景にしてある緊張ならなくして、新しい緊張なら生まれないようにする、そして私は日本の周囲に平和な環境をほんとうにつくり出してもらいたいのです。  たとえば中国の問題においても、ただ大使級会談を呼びかけてくればやりましょうとか何とかいうのじゃない。中国との問題を阻害する一番の原因は何かということは、すでに政府にもわかっているのです。その障害を取り除くということはきわめて困難であるということもわかっています。中国との問題で一番障害になっているのは日華平和条約でしょう。台湾の問題でしょう。しかし、この台湾の問題も中国の内政上の問題であるというふうに現実に立って割り切ってしまうならば、そこから私は中国との平和友好関係を確立するための平和への戦いの第一歩が踏み出されて、それは必ず成功すると思うのです。そういう努力がなくては私はいけないということを申し上げているわけです。重ねて御所見を承ります。
  81. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は先ほどもお断わりをいたしましたように、必ずしもこの平和への戦いが思うように進まないということについては、国際的な障害もある、政府の努力の足りないところももちろんございます。しかし、いま、たとえば中国の問題を御提起になりましたけれども、私どももこの中国が一つである、一つの中国でなければならないということは、これは中国大陸においても、あるいは台湾においてもそれぞれが非常に強く主張しておられるところでありますから、これは一つの中国であってほしいというわれわれの願望からすれば、何とかひとつ国内的にこれは平和的な解決をしてもらいたいということを期待を一方に持っているわけでございますが、同時に、最近も問題になりましたが、一方がいかなる手段に訴えても一方を解放するというようなことが万万一にあれば、武力大抗争があり、そして現下の国際情勢でありますと、それがたいへんなことになるということにでもなると、これはすぐ一衣帯水の日本としても、日本の安全の問題としてとらえざるを得ない。そういう角度から、予見したくないことではあるけれども、万々一の場合に備えた抑止体制というものがやはりどうしても必要であるという角度から、かねがね日米安保条約もできて、日本の自主防衛というものを補完するということに、ますます性格的にもそういうふうな考え方が、補完作用としての日米安保条約というものの考え方が、とらえ方というものが、だんだんこれも定着しつつあるわけでございますが、そういう角度から、日本の安全が侵かされないように、万一の場合が起こらないような抑止体制が必要だということで、政府としては自主防衛の確立と、これを補完する日米安保条約ということで考えているわけでございます。  これはまあ時間がかかりますから多くを申し上げませんけれども、日米安保条約について、沖縄返還に伴って安保条約の性格が変わったんじゃないかというような一部に疑念を持たれる方もあるようでありますけれども、今国会を通じましても、その点は政府の説明で大多数の国民の方々は御理解をいただけたと思うのであります。政府としては、沖縄返還に従いまして安保条約の性格が変わったなどということは全然考えておりませんし、また沖縄の返還についてはいわゆる本土並み核抜きということが貫徹されたことも、それを明確に物語っているものだ、こういうふうに考えているわけでございます。しかし、たびたびお断わりしておりますように、将来の平和への戦いということについては、ますます政府といたしましても努力を積み上げていきたい、かように考えております。
  82. 矢山有作

    ○矢山有作君 いまおっしゃった共同声明、それに関連する安保の問題は、先ほど来議論して私の意見は申し上げましたから、蒸し返しになりますから、いまのお話は承っておくということで、私どもの意見は、あなたがおっしゃられた意見とは全く違いますから、それは論議としてもう蒸し返しません。ただ一つ私が気にかかったのは、台湾地域の問題が話に出たわけですが、これも先ほど私が申し上げたのは、台湾地域のあの問題が、あなたがおっしゃったように、中国の国内問題だという原則で、その原則が確立されて、外部の勢力が一切なくなってしまえば、私は紛争は起こらないし、双方の台湾と中国本土との間で話し合いで解決つく問題だと思うのです。その話し合いができないような情勢が、外から生まれているからそれができない。私はそういうふうに認識をしますし、それからそういう情勢の中で、台湾地域に紛争が起きたといたしましても、これは中国の国内問題だということになる、割り切ってしまえば。そうなるなら私は日本の安全には何ら関係を持ってこない。ただ日本が在日米軍基地を使わして、その台湾地域の紛争に介入することを認めるなら、これは日本の安全にとって非常に大きな問題になる。しかし、それは日本はやらないのだ、台湾地域の問題は中国の国内問題である、この立場を厳守して、アメリカが日台条約の関係でどういうことをしようとも、その台湾地域の紛争に対して日本のアメリカ軍、軍事基地は一切使わせない、こういうふうにはっきり割り切ってしまえば、これは日本の安全と台湾地域の安全というのは、台湾地域に紛争が起こっても別に日本の安全に何ら障害がない。そういうことをいままでのあなたとの議論で繰り返してきました。そこで私は申し上げたいのは、あなたにはぜひ先ほどおっしゃったように、中国の国内問題という立場で割り切っていただけば、中国との間の窓口は必然的に開かれてくるのではありませんか。現にカナダがすでに長い月日にわたって中国との国交回復について積極的な接触をやっているのも御存じでしょう。イタリアがやっているのも御存じでしょう。要するに国内問題だとして割り切ってしまうならば、そういう踏み切りが私は日本政府にもできるはずだと思う。そこが国内問題として割り切れないから、なかなかそういう姿勢が出てこぬのではないか、こういう私は考え方を持っております。  しかし、これはあなたのほうからの考え方とは食い違うということもわかります。きょうは外交問題についての論議は中心ではありませんから、この程度にして、きょうの本題である防衛関係に戻らしていただきますが……。
  83. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  84. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 速記を起こして。  それでは、本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  85. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  86. 矢山有作

    ○矢山有作君 外務省の御都合もあるようですから、先に米軍基地の縮小なり日米共同軍事基地の日米共同使用の問題から入らせていただきます。  これは簡潔にお答えいただきたいと思うのですが、在日米軍基地の数は、正確にはいま何ぼありますか。
  87. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 提供施設といたしましては、現在百二十五でございます。
  88. 矢山有作

    ○矢山有作君 昨年一年間に返還された基地の数、それから個所、わかっていますね。
  89. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 現在百二十五でございますが、一昨年の十二月には百四十八でございました。したがいまして、今日までの一年半の間に二十三返還されておる、こういうことでございます。
  90. 矢山有作

    ○矢山有作君 今年度中に返還される米軍基地というのはどれくらいありますか。それと場所はどういうところが考えられますか。  それから前の二十三カ所の返還は、これは答えてもらうと長くなりますから、どういう個所が二十三カ所返還になったのかということを、あとで資料にでもして知らせてください。個所を言ってもらいたいわけだが、時間がかかりますから。  それからいま言ったように今年度中に返還される米軍基地の数と場所はどれくらいある予定ですか。
  91. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 一昨年約五十の施設につきまして返還、共同使用あるいは移転等の協議がなされて、その後日米委員会で合意せられましたものが二十八でございます。そのうちすでに実地に返還なり共同使用なりの措置が済みましたものが二十六でございます。残り約二十のものが残っておるのでございまするが、本年度中に幾つかということはいまここでちょっと数を申し上げかねる次第でございまして、われわれといたしましては、できるだけ残りのものについてすみやかに返還、共同使用あるいは移転等の措置ができるように努力いたしておる。どのくらいということはちょっと申し上げかねますが、本年度予算において一応予定いたしておりますものは、十三カ所のものについて移転等の予算を計上いたしておると、こういうことでございます。
  92. 矢山有作

    ○矢山有作君 先ほど御説明いただいたそれぞれのものについての場所を明らかにした資料というのは後ほど御提出なされますね。
  93. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 提出いたします。
  94. 矢山有作

    ○矢山有作君 防衛庁で在日米軍基地の返還後の使用の方針というのは、いろいろ考えておられると思うのですが、どういう御方針ですか。
  95. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 基地基地等によりまして、機能にも差がございますので、自衛隊で必要とするものは自衛隊で使わしていただく、それから一般民間に返還して活用していただくというものも出てくると思います。そういうものはできるだけ公共目的に使っていただいたらいいと思います。それから米軍と共用するというのもあると思います。基地基地によって違ってくると思います。
  96. 矢山有作

    ○矢山有作君 二、三、東京周辺の基地の問題だけちょっと伺っておきたいのですが、王子の陸軍病院はいま閉鎖されておりますね。これの返還の見通し、いつごろになっているか、それから返還後の使用方針はどうか、これが一つ。これは事務当局でいいです。  それから立川基地の飛行業務が昨年でやめておると思うのですがね。これもそうなると早く返還させればいいと思うのですが、いつごろ返還になるのか、返還後の使用目的。  それから三つ目は、東京練馬の米軍宿舎のグランドハイツですね。これも昨年返還の約束ができておると思いますが、具体的にはいつごろ返ってくるのか、それから返還後の使用の方針。  それからもう一つは、神奈川県の相模原の米軍基地、これはいつ返されるか、それから返されたときの使用方針。同じく座間の米軍補給基地、それについてもいつ返るか、それから返還後の使用目的。これをちょっと聞いておきます。
  97. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 施設庁長官から答弁申し上げます。
  98. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 王子につきましては、昨年、病院閉鎖ということに相なりまして、その後米軍といたしましては、この中にある施設等の移転ということを前提といたしまして、返還の模様でございまするので、その話し合いを進めておる段階でございます。これにつきましては、私といたしましては、でき得れば本年度内にそういった返還の実現ができるようにいたしたいというふうに考えております。ただし、これは希望でございまして、必ずしもそこまでできるという確言を申し上げるわけではございませんが、そういった見込みでございます。また、その後の使用の用途等につきましては、これは返還されますと、国有財産につきましては大蔵省所掌に、普通財産でございますから戻りまするので、どういうふうに使用するかということは、その他の問題を含めまして、私がここで責任をもってお答えするわけにはまいらぬと思いますが、大体地元の利用に供せられるなり、あるいは病院的なもの、いろいろ福祉施設等に使われるのではないかというふうに考えております。  それから立川でございますが、立川については、米軍は現在のところ返還するという考えを必ずしも持っておりません。と申しまするのは、ランウエーを除くその他の施設につきましては、補給なり、あるいは住宅なり、病院なりといったようなものが存在しております。したがってそれらのものを管理運用するということで、滑走路及び飛行部分につきましては、自衛隊あるいは運輸省等において航空目的のためにこれを使用したいという希望がございまして、これらについて米側との共同使用ということについての話し合いをいまいたしておる段階でございます。したがいまして、これは直ちに返還ということは少なくとも短い将来においてはむずかしいんではないかというふうに考えております。  それからグランドハイツにつきましては、これは本年度から約四カ年計画で移転をさせたいということで、あそこにありまするところの住宅を米軍の現存する基地の中に移転させて、それを返還させようという考えでおります。これは主としては、あの地区の返還後は、これまた私がどうするということを申し上げるわけではございませんが、いまの予想では主として住宅施設になるのではないかと、その他の利用も幾らかあるかとは思いまするが、そういうふうに考えております。  それから相模原並びに座間につきましては、現在のところ直ちに、近いうちに返還というようなことは、いま私どものほうでは承知いたしておりませんので、具体的に申しかねる次第でございます。
  99. 矢山有作

    ○矢山有作君 最近、基地公害の問題がやかましくなっておりますし、私は返還される米軍の基地というのは、できるだけ自衛隊でそれをすぐ使うんだというような方針でなしに、やはり基地の縮少、廃止という方向を基本線にして事後の問題を考えていくべきではないかというふうに思っておるんですが、これは長官の考え方とまた食い違うと思いますが、その点長官はどうですか。
  100. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本側に返還されましたものについては、必要最小限度のものを自衛隊で使わしていただいて、その他のものはできるだけ民間で活用願うように配慮したいと思っております。
  101. 矢山有作

    ○矢山有作君 そういうふうにひとつお願いをいたします。  それから、次に質問いたしますが、防衛庁長官、あなた在日米軍基地の自衛隊との共同使用構想というのを最近発表されましたね。あれの具体的な内容はどういうふうなお考えなんでしょう。
  102. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の国土は日本の主権下にあるものでありますから、米軍の基地にいたしましても、管理権を日本側が持つということが望ましい姿であると思っております。したがいまして、提供された施設、区域等についても、できるだけ日本側が管理権を行使し得るように改善したいと思っておるわけです。そういう考え方に立脚してアメリカ側とも話し合いを進めて、先方といろいろ協調しながら、アメリカ側の施設を日本側が管理するというその一つの形態として共同使用という形が考えられる。それは具体的には地位協定第二条第四項(b)号、すなわち二四(b)というのに該当いたします。日本側に返還してもらって、そうしてあらためてアメリカ側にある期間を限って使用させる。たとえば東富士演習場はいまそうです。そういう形に進めるのが一歩前進ではないか、そういうことをとりあえず一つの問題として考えておるわけであります。
  103. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、具体的に場所をどこというようなお考えはまだないわけですね。あるいはどういう対象の基地、たとえばこの空軍基地とか、この射撃場とか、この演習場とか、そういったものはまだはっきりしていないわけですね。
  104. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これから話し合いを始めようというのでありまして、まだありません。
  105. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は、あなたの基地の共同使用という構想は、ちょっと危険な要素が出てくるのじゃないかと思うんです。それというのは、たとえば日本本土でも沖縄基地でも両方問題になることだと思うんですが、米軍の機密保持との関係ですね。もし基地を共同使用するという場合、現在の自衛隊に課せられている以上の、機密だ、機密だということを守るための法的措置というようなものが出てくるおそれがあるんじゃないですか。
  106. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは返還の態様の際に、アメリカ側と話し合って協議してきめていくことであるだろうと思います。しかし、私は現状よりも一歩前進である、そういうように思います。第一、共同使用という考え自体を返還促進の一過程として考えたいと思っております。しかし、これは相手側もあることでありますから、いろいろ協調的に話し合いを進めていかなければならぬと思いますけれども、できるだけ日本の管理権のほうに移行させるという一つの便法としてもそういう方法が考えられておるわけであります。その中の規制の問題につきましては、これは両方で話し合うことになりますが、少なくとも現状よりは前進していくだろう、こういうように思っております。
  107. 矢山有作

    ○矢山有作君 質問の観点がちょっと私は違うのですね。その共同使用の場合に、やっぱり機密保持というようなことで特別な法的な措置が必要になってくるというようなことになるおそれはありませんかと言っているのですね。米軍基地の場合には、御存じのように秘密保持のための特別の法律ができておりますね。現在は自衛隊の秘密保持の義務というものは自衛隊法の五十九条にあるわけですからね。ところが米軍基地の共同使用ということになりますと、自衛隊法の五十九条だけでは問題が片づかなくて、米軍との関係において、自衛隊自体としても機密保持を強化しなきゃならぬというような問題に発展するおそれはありませんかと一こう言っているわけです。
  108. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 特別の立法措置は必要ではないと、このようにいま考えます。
  109. 矢山有作

    ○矢山有作君 特別の立法措置をやると言ったら、これはまたたいへんな問題ですから、私は特別の立法措置なんかを共同使用という背景のもとで考えられるべき、いま憲法上のたてまえからいっても何からいってもないのです。その点は私は長官の御意見承りましたが、一そうそうした逸脱した方向に突っ走らないように、この際強く御注意申し上げておきます。  ところが、そうなってくるとやっぱり問題は出るのですね。沖縄の基地に毒ガスというものがありましたね。ところが米軍との共同使用ということになった場合に、そういう毒ガスのようなものがあるのかないのか、これについても私は、もし毒ガスが貯蔵されておると、その共同使用に、これは自衛隊だってその共同責任を負わなければならぬことになるのじゃないですかね。私は毒ガスの貯蔵というものは、自衛隊では、先般来の国会の論議を聞いておっても、認めておられぬと思いますがね。一そうなると米軍が毒ガスを貯蔵しておっても、沖縄ではつい最近までわからなかったような状態ですから、そういうような状態を背景に考えると、自衛隊が知らぬのに毒ガスが貯蔵されておる基地が共同使用だ、私は自衛隊の重大な責任問題が起こると思うのです。その点はどうなんですか。
  110. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まずアメリカはCBガスというようなものは持っていない、そう言明しておりまして、人間に致死的な影響を与えるような危険性なガスはない、こういうようにまず考えられております。それから第二に、いまの保管貯蔵の場合でありますが、これは話し合ってみて、ケース・バイ・ケースで、いまのおっしゃるような危険性が出るか出ないか、これは検討に値する問題であるとは思います。そのときよく検討してみて、自衛隊の本来の趣旨を全うできるような考え方に立って処理すべきものである、そういうふうにお答え申し上げる以外にないと思います。
  111. 矢山有作

    ○矢山有作君 米軍が致死性のは持っておらぬというようなたしか御発言だっと思いますが、沖縄に置かれておったガス、それでいま撤去が問題になっているガス、あれは致死性だったと思いますね。だから致死性のガスはないということは言えないのじゃないかということが一つ。それからもう一つは、ケース・バイ・ケースで考えてみるというのですがね。自衛隊のほうには何でしょう、米軍と基地共同使用やった場合に、米軍がどういうものを保管しておるか、調査権限ありますか、ないわけでしょう。だからないとすれば、そんなものはありませんと言われたらそれっきりになっちゃうわけですね。自衛隊は何にも知らずに、致死性の毒ガスが持ち込まれておるところで同居しておった、こういうような問題は起こってきやしませんかね。調査権限があってやれるんなら別です。話し合っただけでは、なかなか私は向こうがほんとうのことを言わぬと思うのです、軍事機密だということで。沖縄のあの致死性のガスだって長い間わからなかったという前例もある、その点はどうですか。
  112. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の現在の本土に関する限りは、先方も日本側の照会に対しては答えてきて、真相を明らかにしております。沖縄についてはまだ施政権下にあるので、こちらからは管理権が及ばないという情勢でありますから、特別のケースだと思っております。沖縄のCB兵器については、まだ施政権下にない場所に存在するということで、これは施政権下に入る段階には、そういうものはもちろん撤去されることになると思います。
  113. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあアメリカの言うことをそのままそうだといって信じてしまう立場からは、それで済むと思うのです。ところがなかなか、私はあとでちょっとひとつ問題を出しますがね。自衛隊が、日本政府が、アメリカが一体どういう兵器を日本に持ち込んでおるのか、致死性ガスを持っておるのか、核を持っておるのか、そんなことは実態として私はわかってないのじゃないかと思うのですがね。持ってないと言うから持ってないと思うと、こういうことでしょう。絶対持ってないのだ、どこを調べてみても絶対なかったということではないのですね。アメリカが持ってないと言うから持ってないのだ、こういうことなんでしょう、端的に言うならば。
  114. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本が強制捜査権をもって臨検でもしない限りは確証を得るわけにまいりませんが、やはり安全保障条約下にあっては、相互信頼というたてまえでものごとは運行しておるので、そう信頼していく以外にないと思います。
  115. 矢山有作

    ○矢山有作君 わかりました。まああなたのおっしゃることを信ずる以外にはありませんという結論です。私はおそれるのは、軍事の常道として、なかなかうちわは見せないものですからね。第一同じことばで議論しておる日本政府の防衛庁長官たるあなたですら、肝心なことについてはすっぱりわれわれに教えてくれぬのですからね、言わぬわけですからね。それを考えたら、異国の軍事的なものをそう簡単にほんとうのことを言うわけもないし、これはもう全く向こうの言うことをばか正直に信頼する以外にはないということでしょう。そうなってくると、私がそういうところに、日本政府は非核三原則だといって、核はつくらず持たず持ち込まずと言っているけれども、私はきわめて物騒なものだと、ましていわんや共同使用ということになってくると、これはアメリカのほうから核を持ち込んできたところで、それがあるのかないのかというようなことは日本政府にはわからない。核を持ってないのだと言えば、そうですかということになる。ところが実際は持ち込まれておった、その基地が日米両軍の共同使用であった、こういうことになってくると、これは私は共同使用ということで、これは非常に危険な面が出てくると思います。したがいまして、そういう点は私はおそらく長官、慎重な配慮をなさるのだろうと思いますが、これは配慮にも限界がありまして、これはとうていつかめる問題ではないと思います。押して意見を聞くのも何かと思いますが、私はそういうふうに思っておる。くどいようですが、もう一ぺんお答えになってください。
  116. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 共同使用を行ないますときには、そういうところの分界点は明瞭にいたしたいと思っております。しかし、また一面、共同使用という考えの背景には、共同使用というふうにして日本の自衛隊をそこへ引っ越しさしていって、いまおるところをあけさせて、それを住宅に転用すると、そういう政策的考慮も実はあるわけであります。そういう意味で都市の中にある自衛隊というものは、できるだけ米軍基地のほうへ共同使用という形へ持っていって、住宅政策に協力しようと、そういう意味も実はあるのでありまして、まあ功罪を考えてみると、私は積極的にそういうふうにしていったほうがいいんじゃないかと思っております。
  117. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は、功罪を考えたら、むしろ長官と全く逆だ、危険の面のほうが大きい。それは住宅に使わしてもらったって公園に転用してもらったって、肝心かなめな、われわれ全然わからぬうちに致死性のガスが持ち込まれておる、自衛隊は知らないで共同使用をやっておる、核を持ち込まれて知らないで共同使用をやっている、このほうの危険のほうがよほどこわいので、その辺のところから自衛隊もだんだん毒ガスを持つようになり、核を持つようになる、そういう方向に私は危険性を非常に強く感じておるのです。だから申し上げておるので、決していい面ばかりじゃないですよ。いい面よりも危険な面のほうが強い、それを私は強調しておきます。  それから、この間、四月の十日の週刊朝日を見ますと、青森県の三沢基地に核兵器貯蔵の可能性が濃厚であるといわれておりますが、この問題に関連して私は一、二お伺いしたい。  この三沢基地は、米国の第五空軍にとっては非常に重要な基地ですが、ここに配備されておる米軍機ですね、これはどういうものが配備されておりますか。
  118. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛局長をして答弁させます。
  119. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 三沢に配置されております航空機は、F4Cファントム戦闘機と、それからRF4Cというファントムの偵察機が主力になっております。
  120. 矢山有作

    ○矢山有作君 これは最近かわっておるんじゃないですか。第五空軍の四七五戦術戦闘連隊の基地で三個中隊あります、あそこには。そこで私の承知しておるのでは、F4Dのはずです。F4D三個中隊、一個中隊編成十八機ですから五十四機のはずです。
  121. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 失礼しました。正確にはF4Dでございます。
  122. 矢山有作

    ○矢山有作君 ここにさらに最近、三月十七日ごろからだと思いますが、あなたのおっしゃったRF4C、これが来ておるようですね。これは御存じのように、第十六戦術偵察中隊、これもたしか十八機編成だと思いますが、これが三月十七の日に最初四機来ておった。それから大体これが全部くるんじゃないですか、私はそういうふうに聞いておりますが、どうですか。RF4Cがおるということをおっしゃったから、それは御存じでしょうね。
  123. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) RF4C、一飛行隊十八機がいるというふうに承知しております。
  124. 矢山有作

    ○矢山有作君 ところで、このF4Dというのは、これは核搭載可能な飛行機ですね、そうでしょう。
  125. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 搭載可能の機種でございます。
  126. 矢山有作

    ○矢山有作君 そのはずです。私はF4Dの機内を写した写真を持っておりますけれども、お見せしますが、それの前座席にちゃんと核投下ボタンというのが一つある。それから後座席には、核搭載庫スイッチというのがあるようですから、それはおっしゃったように、F4Dというのは核搭載機であるということは自明のことです。ところで第四次防で主力戦闘機のF4EJ、これは核搭載はどうなるんですか。
  127. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) わが国で生産いたしますF4EJはもちろん核を搭載いたしません。設計上も核搭載不能のような設計に改修いたしまして生産をいたすことにしております。
  128. 矢山有作

    ○矢山有作君 そこで長官、いま手元に写真を差し上げましたが、その写真の白十字の中に、バディ・ニュークリア・カジュアルティ・ケアと、こう書いた標識がありますね。この標識は何か御存じですか。
  129. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは何を意味するか、私いまよくわかりません。いま事務当局に聞いておりますけれども、事務当局の者もよくわからないと言っております。いずれ調べまして御報告いたします。
  130. 矢山有作

    ○矢山有作君 しかし、あなた英語、達者なんですから、そこへ書いてある字はわかるでしょう。日本語に訳していただけば皆さんにわかりやすいと思う。何と書いてあるのか、そうしてそれがどういう意味を持った標識なのかね。
  131. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私にはまだよくわかりませんから、いまよく調べまして御答弁いたします。
  132. 矢山有作

    ○矢山有作君 日本語に翻訳ならできるでしょう。
  133. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 翻訳もあまりむずかしいのでよくわからないんです。
  134. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは詭弁だ。それはいけません、はっきりしなければ。あれほど英語の達者な長官が何を言っておるんですか。
  135. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 何かパズルを解けみたいな感じがする。
  136. 矢山有作

    ○矢山有作君 単語を言ってくださいよ、単語を日本語に訳して、わからぬですか。長官、英語、達者なんだが、謙譲の美徳を発揮されて翻訳をなさらぬのだろうと思いますが、私は英語がへたですから字引き、引き引き、これは一体何と書いてあるんだろうかと思ったので、その単語を申し上げます。バディというのは呼びかけ語でしょう。君とか諸君とか、おまえさんたちとか、呼びかけ語でしょう。それからニュークリアというのは、これは核です。核兵器の核、それからカジュアルティといったら災害、ケアといったら注意。並べてどうなるんです。
  137. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 判じものみたいですから、それでいまわけを調べるように命じてあります。
  138. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは間に合わんね、それは困りますよ。要するにその単語を並べてみれば、君たち——呼びかけ、核の、カジュアルティ——災害に、ケア——注意せよ、こうなっているんです。諸君核災害に注意しろ、こう書いてある。これは長官、あなたとぼけるのもたいがいにしなさいよ。だれだってこのくらいの単語を引いてみれば、私が言った諸君核災害に注意せよということになるのはわかり切った話じゃないですか、そうじゃありませんか。その単語の訳は違いますか、私の言った単語の訳は。
  139. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私はバディということばがわかりませんでしたが、いまそうであるとすると、ニュークリア・カジュアルティ・ケアというのは、おっしゃるような意味があると思います。
  140. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、諸君核災害に注意しろというような、こういう標識が米軍基地の倉庫に麗々しく張ってあるということは、これはどういう意味なんでしょう。私はこれは三沢に核兵器が貯蔵されているというふうに考えておるのですが、この辺の判断はどうですか。
  141. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 沖縄の例で見ましても、核兵器を貯蔵しているところは非常にリストリクトエリアというような場所にして、軍用犬を置いたり、歩哨を立てたり、人が近づけないような、また写真なんかもとれないような特別の手当てをしておったと思います。そういう点から見まして、この倉庫のぐあいを見ますと、これは簡単な倉庫のように見えまして、こういうところに核が貯蔵されているとはちょっと常識的に想像されません。また、アメリカ側も核は持ち込んでおりませんと、前から確約しておるところでありますから、私は核はないものと確信しております。
  142. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは私は何もこの倉庫に核が置いてあると言っているのではないのです。これは三沢の基地に現実に入った人の話を聞きますと、あなたがおっしゃったように、非常に広い範囲にわたって警戒厳重で絶対に近寄れないような場所があるようです。あるといって現認してきていますから、あります、これは。そこに、あなたは沖縄の例で言われたが、そこに核兵器がある。だからその基地の要所要所にこういうふうに、諸君核災害に注意しろと、こうやっているのではないですか。そうじゃありませんか。私はこの中に核があると言っているのではないのです。
  143. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まあこれは向こうの責任者に聞いてみないと責任あることは申し上げられませんが、いままでアメリカ側が日本政府に確約してきたこと等を見ますと、核はないとわれわれは確信しております。
  144. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ信ずる者は幸いなりと、こうだれかが言いました。全くそれはしあわせだと思いますよ。そこで、私はひとつ聞きたいのですが、一九六二年の四月三十日、AP電がこういうことを言っています。アメリカ太平洋軍司令官のオドンネル大将が、オーストラリアのキャンベラで記者会見をした際の発言です。その発言によると、これは日本の新聞にも出ておりますが、米国は日本、韓国、沖縄、フィリピンの各基地を含め太平洋の諸基地に核装備をした軍用機を持っている、こういう発言をしているのです。これはどうでしょうか。オドンネルがうそを言ったのでしょうか、それともAP電が間違いだったのか、そこら辺で逃げられると思うのですがね。
  145. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ほかの国のことは存じませんが、日本については核は入っておりません。
  146. 矢山有作

    ○矢山有作君 核は入っておりませんとアメリカが言っておるからそう思いますということでしょう。アメリカ自身がところがこういうことを言っているのです、オドンネル大将というような責任のある人が。これは一つの疑いの気持ちを持って見るべきではないですか。何もかにも、アメリカがこうだと言うから、はいそうですか、おおこうだと言うからそのとおりでございますかというのは、これは全く追従そのものです。アメリカの責任ある政府の高官が、軍の高官が言っているのですからね。そうすれば、日本政府としては、少なくともこういうことがあれば、ここまで公表されておるならば、一体どうなんだ、おまえさんたちはわれわれをだまくらかして核を持ってきているのではないか、このくらいのことは言う姿勢があっていいのではないですか。それとも、信じさえずればいいのだから必要ないとおっしゃるお気持ちですか。
  147. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の総理大臣とアメリカの大統領が厳粛に約束していることでありますから、そして事前協議というのは国民が最も関心を持っている重大なポイントでありますから、アメリカ側がわれわれを裏切るようなことはないと思います。
  148. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあしあわせでございましょう、そういう考え方でしたら。それで大きな迷惑を受けるのは国民と、こういうことになります。ところが、私は軍事常識として、あの三沢の軍事基地等は、あなたも十分御承知のように、常時臨戦体制にあるわけでしょう。そういう臨戦体制にあるものが、一体いくら近いところに、日本でなくて近いところの釜山あるいは沖縄に核が置いてあるからといって、もし一朝事があったときにそこまでのこのこ核を取りにいくなんて、そういうことは軍事常識として考えられますか。臨戦体制のもとにおいて、そういう釜山や沖縄へ、たとえ近いとはいいながら、そういうところに核を置いておいて、さあというときに核をのこのこ取りにいくなんというのでは間に合わないのです。いまの戦争では間に合わないということは御存じでしょう。そうすれば当然、核塔載の可能なF4Dがおり、しかも核災害に注意しろということが要所要所に張り出してある。しかも三沢の基地の中には、だれ人も容易に立ち寄れないような個所がある。そうして常時臨戦体制にある。こういうふうになれば、手元に核を置いておるという疑いぐらいは持ったらどうですか、疑いぐらいは。そうしてかけ合ってみるぐらいの気になったらどうですか。幾ら大統領と佐藤総理の約束だといったところで、約束を破るのが政治家だということばもあるようですから、その点はどうです。
  149. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱり国家間の厳正な約束というものは、国際環視の中にあるものでありまして、アメリカ、日本が約束したことは誠実に守らなければならぬと思っております。アメリカは、この核の問題について日本人が特に重大な関心を持ち、デリケートな感情を持っているということは、今度の沖縄の共同声明にも書いてあります。沖縄のような場所ですら、施政権下にあっても核も撤去すると、そう言っているのでありまして、いわんや日本本土に核を置くというようなことは考えられないところであります。
  150. 矢山有作

    ○矢山有作君 まああなたはそう強弁されるから私はもう一つ言っておきますから、それでもなおあなたが信ずるというなら、これは何をか言わんやでありますけれども、ここまで私が的確に申し上げれば、少なくともあなたのほうでは調べてみるところまでいかぬでも、聞き合わせてみるぐらいな姿勢はとってほしいのです。というのは、昨年の春ごろの記録です。三沢基地内の秘密地下室に、三沢基地に百五十個以上の核兵器が貯蔵されているということを記載した記録が保管されておるという情報があります。これは長官おそらく御存じないとおっしゃるだろうと思う。個数は百五十個以上と私は表現しておきますが、その個数も明確になっておる。それだけのものがあるのだという記録がちゃんと保管されております。その場所は三沢の基地の中にある。地下室の倉庫番号九百二十六号です。九百二十六号の地下倉庫をさがしていただければ、三沢基地に百五十数個の核兵器が貯蔵されておるのだという記録は保管してあるはずです。ここまで私が申し上げておきますから、これをどう処理されるか。そこまで私は的確な数字を申し上げているわけですから、少なくとも聞き合わせてみるとか、調査をしてみるという姿勢は、私は当然出てくると思うのですが、それでもほったらかしにされますか。
  151. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ただいまの三沢の地下室倉庫番号九百二十六号、百五十個の兵器があるという点は、これは調査してみます。
  152. 矢山有作

    ○矢山有作君 調査された後の結果については私どもにひとつ御報告を願いたいと思います。  それでは問題を次に移していきますが、先ほど在日米軍基地の共同使用の法的根拠として、長官は地位協定の第二条四項の(b)ですか、これをお示しになりましたね。これをお示しになりましたが、これは私は、これによって共同使用をやろうというのは、これはいささか逸脱するのじゃないですか。私の解釈するところでは、第二条の四項の(a)にしろ(b)にしろ、要するに一時的な臨時的な使用ということを前提にしているわけです。共同使用というような継続的な長期的なものを私は予定しておる法文ではないと思う。それを第二条の四項の(b)を拡大解釈されてそういうふうにされようと、こういうのだろうと思うのですがね、それはちょっとおかしいのじゃないでしょうか。
  153. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 外務省側の見解、協定に関する解釈といたしまして、たとえば断続的に使用するとか、そういうような場合についてはこの条文で適用できるだろう。ですから、港湾であるとかあるいは滑走路なんかも、断続的にある期間を限って使用する、そういうような状態が続く場合には適用できるんではないか、そういう見解のようであります。これは外務省から答弁さしていただきます。
  154. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 御承知のようにいまの二条四項(b)でございますが、これはこの前の協定改正のときに、射撃場または演習場のようなという修飾辞があったのを取りまして、なるべくこれを広くやろうという改正があったわけでありますが、なるほど、いま先生のおっしゃいますように、やはり一時的なという観念が残ってておりますので、それを実情に即しましてなるべく活用していこうという考えでございます。
  155. 矢山有作

    ○矢山有作君 しかし、あなた一時的、臨時的な使用のほうの趣旨だということは承認されたわけでしょう。今度それを長官のおっしゃるように断続的にずっと利用していくんだということになると、なるほど四六時中使うことはないでしょう。あるいは滑走路の例でおっしゃったけれども、飛行機が飛んで、たとえば飛行機が滑走路へおりてきた、その次におりるまでに、その次の日本の飛行機がおりるまでに二十分まだある、そういう形で断続的使用ということを考えておるならば、これはとんでもない話ですよ。断続的な使用ですけれども、それだったら実質的には続続使用でしょう。そんな拡大解釈というものが地位協定のたてまえ上許されるのですか、私はいまの答弁でも、外務省と防衛庁長官の間に微妙な食い違いが出たと思いますけれども、私はそんな拡大解釈は許されぬと思いますよ、どうなんです。
  156. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまの条文の適用の問題は、ケース・バイ・ケースにあたって外務省と相談をして、どの場所はどの条項が適用する、両方で相談をして一致して実行していくつもりなのであります。
  157. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、これは何でしょう、四項の(b)は「合衆国軍隊が一定の期間を限って使用すべき施設及び区域」、これは合衆国軍隊の使用それ自体にも一つのワクがはまっておりますね。ところが、問題は、米軍基地の場合の問題は第三条のほうなんでしょう。アメリカが全面的にいわゆる管理しておる、長期にわたって。そういう基地の場合は全然これはお考えになっておらぬということなんですか。
  158. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 場所によってはそれは適用する場所も出てくるだろうと思います。
  159. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、第三条によって使用されておる米軍基地においても共同使用ということがあり得る、こうなると、私はそういう地域というのは全くの治外法権ですよね、いわば。そこで日本側から共同使用だということで法の拡大解釈で、そこにまでもその法の適用を広げていくということになると、問題ははね返りの問題が出てきはしませんかね。それだけにアメリカが完全管理して使用しておるその治外法権のその基地は、日本も共同使用されるのだ、かわりに日本のほうはどうしてくれるんだという、地位協定上確保されておる日本側の権利までそれを見返りにして取られてくるということが起こりはしませんか。これは私は慎重に扱わにゃならぬ問題だと思いますよ。大体完全な占領下にあってアメリカが自由自在に使っておった軍事基地を、それが平和条約ができ、安保条約ができ、地位協定が生まれて、そういうアメリカの軍事基地の使用に関する一定のワクがはめられたわけでしょう。つまり占領時代における軍事基地の使用からいうならば、ぐっと縮められてきたわけですよね、ワクが。そうすると、その中で第三条にいう基地がある、治外法権的な。そうするとそれを共同使用で日本側がそこへ入っていく、そうなると、アメリカとしてはそこまでくるんなら、じゃかわりにもっとおれのほうにどうとかこうとかいう、要するに日本の側の権利が、地位協定で守られているその権利のほうにまでしわ寄せが起こってくるという、見返りの重大な問題が生まれてきやしませんか。
  160. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまのようなケースは北富士演習場に現にあります。しかしその場合、特に日本の国益がそこなわれるという状態はございません。これからそういう各ケース・バイ・ケースによって適用していく場合には、日本側の国益を損しないように、いろいろ善処していきたいと思います。
  161. 矢山有作

    ○矢山有作君 外務省どうですか、そんなことできますかね。
  162. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) ただいまの三条による基地というのはちょっと私わからないのでございますが、先生のおっしゃいますのは、二条一項によって提供された基地、その三条の管理権、こういう意味でございますか。
  163. 矢山有作

    ○矢山有作君 私の言うのは、完全にアメリカ軍が掌握をして全面的に管理をして、治外法権が与えられているそういう基地を言っているわけです。その基地に共同使用で入っていくということになると、いわばアメリカ側の権利はそれだけ狭められてくるわけですから、かわりにこちらに対する過重な要求が起こってきやせぬかということなんです。共同使用なんですから、一時使用、臨時使用じゃないのです。一時使用、臨時使用というのは四項の(a)で「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないとき」の問題でしょう。使用してないときには日本側が使えるという規定です。使用してないとき、いいですか。あなた条約の専門家じゃないのかね。四項の(a)は「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないとき」、その基地ですよ。使用してない、そのときに日本に使用させる場合ですね。これはもうおのずと一時的使用、臨時的使用、明らかでしょう。それから(b)のは、「合衆国軍隊が一定の期間を限って使用」する区域、施設ですよ。たとえば合衆国軍隊が二年なら二年、一年なら一年と限って使用するところですね。これもだからいわば一時的、臨時的使用だと、あなたもおっしゃったし、私もそう考えている。そういう基地を使わしてもらう場合にはそうでしょう。一定期間限られて、そこで日本が使わしてもらう。共同使用ということになれば、これはやはり期間の制限がきちっとはまっているわけです。これは一時的、臨時的なものであるかもしれない。ところが問題は第三条の規定なんです。頭ひねることないでしょう、あなた。
  164. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 大臣のおっしゃられた米軍の専用基地に自衛隊が共同使用するというのは、法規的にいいますと二条四一項(a)によって入る、共同使用する、こういう意味だと私は承知します。と申しますのは、三条というのは管理の内容のことを書いてあるのでございまして、これは二条一項によって提供している施設、それを四項の(a)によって共同使用する場合は、未来永劫いつまでもという意味ではないけれども、相当長期間にわたる使用でも一時的というふうに理解されて、そういうふうに運用されることを承認されております。したがって、たとえばある飛行場に、三沢なら三沢の中に航空自衛隊が庁舎を持っている。そこに共同使用をしている。これは二条四項(a)によって使用している、こういった形態をさすのではないかと思っておりまして、特別法律的にはおかしくない、こういうふうに考えております。
  165. 矢山有作

    ○矢山有作君 私の言い方がちょっとあいまいだったかもしれませんが、三条のほうは、それは基地の内容の、あるいは管理ですか、管理上のことを言っている。私の言いたかったのは、いわゆる(a)の基地というのは、これは専用基地を言っているわけです。アメリカが一時的に使用しないというような基地でなしに、いわゆる専用で、一定の期間の定めなしに使用しているところ、あるでしょう、現実に。佐世保であるとか横須賀であるとか、例をあげれば一番わかりやすい。こういう基地の共同使用も考えているとおっしゃったわけです。その基地と、それから四項の(a)に言う「一時的に使用していないとき」の基地というのは、そういう基地であるかもしれません。しかし、それは私がいま言っているいわゆる専用基地とは別の範疇で私は考えておる。別の範疇で米軍が専用で使っておる基地に日本が共同使用で入っていくと、そうなると、米軍の専用基地というのは治外法権が認められておるわけです。日本がそこに共同使用という形で入っていくと、アメリカ側からするならば、そこに対していわば権利の侵害が起こると言ったらいいのか、何と言ったらいいのか、そういう治外法権の基地を使わせる、継続的に共同使用でということになると、それの見返りとして、日本に、じゃ、そこまで共同使用でというんなら、おれのほうにはこういう条件をよこせというような形になってきて、まずいことが起こりはしませんかということを言っている、将来の問題に対して。そういうことなんです。
  166. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) NATO諸国の例を見ますと、そういう基地もイギリスとかあるいはドイツにはあるやに聞いております。そういう場合にいろいろ紛議があるかというと、必ずしも起こっていないようです。しかし、日本の場合は、アジアの特殊性がありますから、そういうことを適用する場合には、われわれは慎重に対処して、国益を減じないようにやっていきたいと思っております。
  167. 矢山有作

    ○矢山有作君 それでもって私はじゃこの問題の締めくくり的な意味で言いますが、一つは、そういう共同使用の形で、法が、地位協定が考えておらない共同使用というものをやっていくことに、法の解釈上問題があるということを一つはここに申し上げたい。そういうことを法の不当な拡大解釈によってやるのが間違いである、これが第一点。そういうような不当な法の拡大解釈をやって共同使用ということを推し進めていく、専用基地についてまでそれを考えていくということになれば、これはアメリカの側のほうから、必ず見返りとして、日本に対するもろもろの要求が出されてくるおそれがある。つまり地位協定が守られている、日本側の。今度は逆に権利の侵害が起こってくるおそれがある。この二点を言っているわけです。ですから、そういう基地使用については邪道ですね、これは。邪道とでもいうか、裏街道というか、そういうような私は方向を考えるのはきわめて悪い、よくない。さらにまた、そういうことをやることによって、先ほど来言ったように、毒ガスが入ってくるのやら、核兵器が入ってきているのやら、そういうことはアメリカの言うことを信用するだけで、さっぱり日本側は調査権限がなくてわからないんだから、そうすると、そのことについても共同責任を自衛隊は持たなきゃならぬようになる、こういうことをいっているわけです。  それから、次のもう一つの問題と言いますか、米軍基地、自衛隊基地、これは大体こうはっきり分かれていますね。特に専用の重要な基地、アメリカの極東戦略において特に重要だといわれている三沢、横田あるいは佐世保だとか、あるいは横須賀とか、こういう基地は専用基地になっておる。ところが、完全に共同使用ということになると、これは行く行く日米共同作戦という、いわゆる日米混合軍が編成されて、日米共同作戦という方向に出ていく、そういうことにもなるんじゃないですか。一緒のところにおるんですから、大事な基地に。そういうことになりませんか。
  168. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それはやはり日本の防衛に関する諸法規並びに安全保障条約によってしかるべく規定されているとおりにやるのでありまして、日本の基地が敵によって攻撃されるとかいう場合には、これは共同防衛になるだろうと思います。日本の本土防衛については、両方とも提携してやるという可能性は残してあるわけであります。しかし極東条項については、これはまた別であります。そういう意味において、ちゃんと限界は確立してやってまいりたいと思います。
  169. 矢山有作

    ○矢山有作君 極東条項なら、また安保の運用の話に戻ると、午前中の話の繰り返しになりますから、午前中の議論で私の考え方とあなたの考え方がはっきりしているから、私はもとに話を戻したくない。幾らでも無制限に時間くれるなら話を戻しますけれども、話しする時間も限られておるので、戻さないが、要するに共同使用ということになれば、日米混合軍ができるということになるのじゃないか。客観的に見ればそういうことができるわけです。日米混合軍ができる、そういうふうな方向へ発展して、いわゆる共同作戦ということで、それはなるほどあなたのおっしゃるようにあるけれども、それが常時共同ですべてのことに対してやられるというような姿にまで発展をしていく危険性があるということも、これは私は、客観的に見て事実だろうと思う。そういう点で、私は共同使用ということには法的に一つの大きな疑義がある。  それともう一つは、共同使用に踏み切った場合には、われわれのほうの側にも、共同使用に見合っての向こうからの権利要求が出てくる。そういう危険性もあるし、さらにいま一つには、日米混合軍が客観的に見て誕生するというような形にも見える、そういうような危険な道というものを私は考えるべきではない。共同使用によって、日本が、これはアメリカ軍の基地は全部日本が管理しているのだ、アメリカに使わしているのだ、いわゆる自主防衛に合わしたものの考え方です。形は自主防衛、実態はアメリカの極東戦略のワクにはめ込まれて身動きができない。ところが形の上では自主防衛と言わぬとぐあいが悪い。自主防衛という言い方をしたほうが国民に納得をさせやすいだろうというような考え方が連なって、米軍基地があるというのはどうもかっこうが悪いじゃないか、だから米軍の基地は、実質は、形式的には日本が管理しているのだ、で、アメリカに使わしているのだ、こういう形を形式的に整えて、いわゆる基地の面で自主防衛ということばに対応する自主的な姿を見せる、そういうことにしか私は考えられない、実態はきわめて危険である、こういうことを思っております。——それでは、まあどうもお答えになりたくないらしい。まあ答えるときには、やっぱり言いくるめるか、うそを言うか、どちらしかないのでね。  じゃ、話を次に移します。ただ、私がいま申し上げたことは事実だと思うのです、客観的に見たら。だからその点は十分気をつけて、何もキャッチフレーズだけ打ち出すことが防衛庁長官の仕事じゃないのだから、キャッチフレーズだけを打ち出すことがほんとうに日本の国民に害にならぬような道を、真剣に探求するのがあなたの立場ですからね。特に平和憲法下において、憲法順守義務がある防衛庁長官の立場ですから、その点をよくお考えになって、あまりキャッチフレーズに振り回されずに、自分で出して振り回されているのですがね、その点をひとつ御注意いただきたい。  次は、国防会議のことでちょっと聞きたいのですが、国防会議というのは、日本の防衛機構の中でどういう位置を占めているのか、長官の考え方を聞きたい。
  170. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の国防に関する重要事項について、内閣総理大臣の諮問機関として審議する機関でございます。いままで国防会議が十六回、議員懇談会が四十四回、計六十回開かれております。
  171. 矢山有作

    ○矢山有作君 だから国防会議というのは、要するになんでしょう、日本の防衛政策を立てる場合に、政治全体を見渡した大きな場から、日本の防衛というのはいかにあるべきかということを十分審議すべき一そうして計画を立てていくべき機関なんですけれども、そうすると、この役割りというのはきわめて重大な役割りをになった機関だということになるのですね。まあその機関の事務局を担当する補佐官の中心でしょうが、これは事務局長が一任されたのならたいへんだがね。そういうようなことになると、国防会議の軽視だということになるがね。私はシビルコントロールの実質的な面というのは、この国防会議の機能を十二分に果たさせるところにあるのではないか。もちろん、長官のおっしゃるように、シビルコントロールの最高のものは、それは国権の最高機会である国会、こういうことになる。そのとおりであります。しかしながら、このシビルコントロールを実際の面で生かしていくのは、私はこの重大な任務を持った国防会議だろう、その考え方には同意していただけますか、どうですか。
  172. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 非常に重要な会議であります。
  173. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうなると、この国防会議の機能というものは、いま長官がこれまでに何回会議をやったということをおっしゃったが、これは会議はやっておるけれども、その国防会議の運営の実態を見ておると、その重大な責務を果たすのに十二分に対応できるようなことには私はなっておらぬと思います。そういう点があるから、私は最近国防会議を強化する、こういう議論が出てきておるんだと思うのです。特にシビリアン・コントロールの立場から国防会議の改組、強化が必要だ、こういう考え方になってきていると思うのですが、このことについてどういう方向に強化をしていくのか、どういう方向に改組するのかということで、もしも防衛庁長官に一つのお考えがあるならば、あなたもこの国防会議の重要な構成要員の一人ですから、そういう立場で御意見がお聞かせ願えれば言っていただきたいと思う。
  174. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国防会議はこれから大いに活用していくべきもので、これの改組は目下考えておりません。
  175. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、あなたの頭の中にいまのところは具体的な考え方はないというわけですね。あなた、よくいろいろな考えを持っては発表されるのですが、もしあるならば、きょう発表していただけば非常にいいのですが、いまはないということですか。
  176. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国防会議の改組の考えは目下ありません。
  177. 矢山有作

    ○矢山有作君 次は、四次防の構想がいま打ち出されておる。この問題に関連して防衛庁長官と海原国防会議事務局長との間で意見の相違があるように新聞には伝えております。きょうは私は実は海原さんにも出てきていただいて、あなたと一緒にお話をお聞き願ったら一番いいと思ったのですが、まあそれもということで、きょうは海原さんには申し上げなかったのですが、海原批判ですね、防衛庁長官の見解に対する海原批判、新聞の伝えるところでは二つほど海原批判が出ておりますが、この批判をあなたどう受けとめておられますか。
  178. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は海原君を批判した覚えはありません。
  179. 矢山有作

    ○矢山有作君 いえ、あなたに対する海原批判。
  180. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それも私はないと思うのです。衆議院の予算委員会で、そのとき私はお答えいたしましたが、海原君の真意ではあるまい、つぶやきか何かを部分的に伝えられたのだろう。私は海原君の書いたものを読みましたけれども、あの言っていることの中には、かなり考えなければならないいいところがある。ところによって私と全く同じ考えを持っているところもある。そういう点で、私はむしろ彼の考えに対して敬意を表しておるところもあるので、対立しているところはない、そういうことを衆議院の予算委員会でも申し上げました。ただ、防衛の国策について、官僚がリーダーシップをとったり、きめてはいかぬ、これは国会に議席を持つ政治家が責任を持ってやるべきことで、事務局長という事務官がそういうものに出ることはよろしくない、そういうことは言いましたけれども、政策の内容自体についてはそう対立しているところはないと思います。
  181. 矢山有作

    ○矢山有作君 そういうふうに官僚がそういう国防政策の問題で意見を言ったとか、つぶやいたということであなたがこっぴどくおこられた、こういうことですね、要するに。ではお聞きしますが、私は、四次防を立案するときに、三次防の総点検をしないで四次防に入るのは間違いだという海原さんの新聞に伝えられる意見というのは、これは私は正しいんじゃないかと思うのです。現在自衛隊要員の確保の問題にしても、さらに費用の面からでも——費用の面から言うならば、四十六年度で三次防を完成させるということが非常に困難だというようなことがいわれておったようですけれども、もし四十六年度中に三次防を完成させるということになると、これは新聞に書いてあることなんですが、七千百三十億円をこえる経費が要る、それは前年度予算に比較をして、つまり四十五年度予算に比較すれば二五%以上の伸びになる、こういうことでなかなか費用の面からいってもむずかしい点があるのじゃないか、こういうことともあわせて計画期間中の三次防達成がむずかしい、こうふうに伝えられておりますが、そのとおりでありますか。もし三次防の達成が要員確保の問題あるいは費用の面から、それをやるにいたしましてもむずかしい時点にきておるとお考えになっておられますか。もしむずかしい時点に立っておると考えられるならば、その困難さはどういうところからきておるのか、その原因は何か、それをひとつお答えください。
  182. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 三次防を点検した上で四次防を考えなくちゃいかぬという考えは、私と同じでありまして、これは私が着任早々三次防の総点検をやる、そういうことを申したのと思想は一致しておるのであります。  それから三次防の達成率でございますが、いままでの達成率は、本年度分までを入れまして七三・八%でございます。そして三次防の経費が等比的に伸びるものと仮定して、四十五年度までの年割り累計額に比較しますと達成率は約九七%になります。おもな装備品等の問題は順調に進んでおりますけれども、一部の事業について若干遅延しておるものがございます。具体的には防衛局長から答弁していただきます。
  183. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) まず金額的に申し上げますと、三次防の計画額は二兆三千四百億円、プラス・マイナス二百五十億がついておりますけれども大ワクは二兆三千四百億円でございます。このうち等比的に毎年伸びるものと仮定して四十五年までを見ますと、一兆七千七百五十九億円になる予定であったわけでございます。ところが実績を見てみますと、四十五年まででの予算累計をいたしますと一兆八千五百六十三億円でございます。予定よりふえておるわけでございますが、実はそのうち計画から除外しておりました人件費のベースアップ分が実際の予算にはついております。これを四十五年までの分を累計いたしますと、このベースアップ分が千二百九十五億円でございます。これを差っ引かないと比較になりませんので、差っ引いてみますと、実績の、ベースアップ分を除いた実績は一兆七千二百六十八億円と相なります。そこで達成率を見てみますと、予定計画に比較しまして実績は九七・二%ということに相なっております。全般の進捗状況は四十六年までを一〇〇といたしますと、四十五年までは進捗が七三・八%というふうに金額的には相なっております。  それから先ほど新聞報道のことについてお触れになりまして、四十六年度でこれを全部完遂するといたしますと云々というお話がございましたが、大体お話のようなことになろうかと思います。かりに一〇〇%達成いたすといたしますと二十数%の伸びがなければできないということに相なります。なお経費以外のことについては……。
  184. 矢山有作

    ○矢山有作君 要員の充足。
  185. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 要員の充足につきましては、陸上自衛隊で申し上げますと、目標は十八万でございましたが、四十五年度までで十七万九千ということで千人ほど差が出ております。海、空におきましては、要員のほうは若干の差が出ておりますけれども、これはおもに艦艇または航空機の機数で比較すべきものと思いますけれども、海上自衛隊では三次防目標十四万二千トンに対しまして四十五年度までで十三万七千トンの予定でございます。それから航空自衛隊は航空機の機数がおもになろうかと思いますが、三次防末で八百八十機の予定のところを九百三十機が四十四年度末現在でございます。
  186. 矢山有作

    ○矢山有作君 きょう私は自衛官の充足状況をちょっとお尋ねしたいのですが、自衛官の充足状況を資料でいただいておりますから、これで間違いないと思うので、こまかいことはいろいろ申し上げませんが、陸上で八八・六%の充足率、海上で九六・九%、航空で九七・九%、全体で見ると九一・三%の充足率、こういうことになっておりまして、充足率の悪いのが陸だと、こういうことになるわけでしょうが、こういうふうに充足率が悪い原因は、これは一体どこにあるとお考えになっていますか。
  187. 内海倫

    政府委員(内海倫君) もとより定員に全部満つることが理想でございますけれども、現状から考えまして、定員一ぱいということはやはり無理でございます。したがいまして、年度当初に年間における充足目標というものを設定いたします。その場合における設定の基礎というものは、過去における充足状況というものを参考にしながら、同時に対象人口というものを考え、さらにその年における一般企業の求人の状況、こういうふうなものを総合勘案いたしまして充足率を定めます。したがって、なぜそういうふうな比率かということですけれども、やはり一つは対象人口の減少という問題と、もう一つは一般企業の求人というものが年々増加しておるということ、さらに年々上級学校への進学が増加いたしております。したがって、自衛隊が対象とする中学卒業程度の学力を有する十八歳以上二十歳未満という者は非常にその層が薄くなりつつある、こういうふうなことが原因ではなかろうかと考えております。
  188. 矢山有作

    ○矢山有作君 御丁寧な答弁もいいですが、私の質問を簡単にやるのだから、あなたのほうの答弁ももう少し簡単にやってもらえばいいのです。なぜ充足ができないかということを聞いておるのだから、ややこしい答弁は要らないんで、景気がいいから来ないのだとか、そういうふうに簡単に言うてもらえばいいのです。  私は、充足率が悪いのは、いまあなたが御説明になったことよりも、もっとほかのところに本質的なことがあるというように——大体政府は自主防衛力の強化だと言って一生懸命になっていますが、国民のほうの側は、まあ軍隊——あなたは軍隊と言われた。軍隊というようなものは、こんなものは必要でないという意見が強いのですよ。それが充足のできない原因なんです。私はそういうふうに考えておるのです。そこで、それで議論すればまたすれ違いですから、それは議論しません、私も急いでおりますから。そこで、私は募集の問題で聞きたいのですが、実は自衛隊の募集は、日ごろどこかの会社の社員を募集しているような調子でやっておられるようですから、どういう要領で募集しているのか、募集要項なり志願案内を見せてくれと言った、それがここにある。志願案内見たら、なるほどこれはどこかの企業が人員募集の広告をやっておるようなものだ。こういう募集の方法はこれでいいのですかね。私は、防衛庁長官はいわゆる得意の国防論をぶち上げられるのですが、そういった点をこの募集要項には書くべきじゃないですか。「夢が咲き希望が実る自衛隊」、「保障された身分、有利な待遇」、自衛隊に入れば「これだけの国家免許を取る機会があります。」、無線通信士何とかかんとか、こうたくさん書いてあります。これではどこかの学校の生徒募集か会社の社員募集です。この募集の方法間違っていやしませんか。長官の立場から見てどうですか。
  189. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国の防衛に任ずるという使命感を与えることも非常に大事でありますが、使命感を与えるだけでは現代っ子というものは動かない要素があります。そういうわけで、大体自衛隊というものは、国を守る場所であるということはみんな知っております。が、しかし、さらに勇躍入ってもらうために、何らかのメリットがないと現代っ子は動きません。そういう意味でメリットの部分を書いたのであります。
  190. 矢山有作

    ○矢山有作君 国を守るということが大事だということを自衛官はきちっと知っているとあなたはおっしゃるけれども、知るもんですか。ここに五月八日の週刊朝日がある。「拝啓中曽根防衛庁長官ドノ」、「ご存じですかデモシカ自衛官の心のうちを」、あなたが言うような、国防意識の高揚に対応して自衛官が国防意識を高揚さしている、そんなことはありやしませんよ。それは私はともかくとして、あなた募集なさるときにやはり一番大切なのは、自衛隊の任務は何か、自衛隊の任務はちゃんと自衛隊法にきめられている。自衛隊の任務はこうである。自衛隊に入ったならば、防衛出動もしなければならぬ。治安出動もしなければならぬ。そういう義務がある。防衛出動命令、治安出動命令に違反したら懲役何年以下の刑に処せられるのだ、禁固何年以下の刑に処せられるのだと、こういうことをやっぱりこれは入れておくべきではないか、これじゃあまるであなたペテンですよ、この募集は。だから自衛隊員に聞くと、入ってみたら募集の要項なり志願案内見たのと、入った現実の自衛隊とはだいぶ違うと言うんですね。やはりそこに矛盾が起きてくるのじゃないですか。だから「夢が咲き希望が実る自衛隊」と書かれるのも一つの方法でございます。しかしながら、少なくとも、私が先ほど言ったような自衛隊の任務、防衛出動、あるいは治安出動という、自衛隊に課せられた任務、さらに、それに違反したらどうなる、こういうことを明確にして、募集をしなければ、これは防衛庁が自衛官を募集するのに、こんなごまかしの私は募集要項や志願案内を出しちゃいかぬと思うのですね。どうですか、その辺は。
  191. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 入る前に面接もいたしますし、それから誓約もいたすので、ちゃんとその際にはそういうことを申し渡しておるわけであります。そういうことを全然教えもしないで、漫然としてなだれ込ませるというようなものではありません。
  192. 矢山有作

    ○矢山有作君 入るときに言うのではなくて、募集するときに、あなたのいままでやってきた言動から見れば、募集するときにみんなに知らせておくべきでしょう。そのことが私は重要だというんですよ。それに全く人をだまくらかして集めるような、そういうやり方というものは、私は大きな間違いですよ。  それから、私はきょうは時間がないから申しませんが、自衛隊の要員の充足の状況というものを、できるだけ詳しく資料で出してほしいのです。たとえばパイロットが非常に不足しているという話も聞いております。戦車操縦士が不足しているという話も聞いております。それから通信だとか医官だとか、あるいは歯科医官だとか、いろいろの自衛隊の中には、職種ということばを使うのがいいのか、どういうのか、ぼくは専門家でないからわからないけれども、そういうふうなものに分けて、重要なもの、そうした重要なものという意味は、鉄砲を撃つとか、あるいは大砲を撃つというのはけっこうです。鉄砲はちょっと習えば撃てますから。鉄砲を撃つのではなしに、そういうような重要な職種ですか、それについての充足の状況というものを資料でぜひともお出しいただきたいと思います。出していただけますか。
  193. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) はい、承知いたしました。
  194. 矢山有作

    ○矢山有作君 それから次に移ります。  海原さんが防衛庁長官を批判した、批判したのではないと言ってもいいです。いわゆるあなたの防衛の考え方に対して、問題点として出した第二点が、海空重点の四次防はおかしいと言っているわけですね。これはどういう意味で言われたのか、これは海原さんに聞けば一番いいのだけれども、海原さんがおられないから聞くわけにはいかないが、あなたも、どういうわけで言われたかと言えば、それは海原さんに聞いてくれと言うだろうから申しませんが、私は、あなたは海原さんと違って、海空に重点を置いておくという考え方をどうも持っておられるようですね。そこで海空重点というものは、私は非常に日本の防衛のあり方から言ったら、憲法上のたてまえを勘案しながら、危険な面が出てくる、こういうふうな私は考え方を持っておるのです。どうでしょう。
  195. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 攻撃的な性格に転化すると危険であります。
  196. 矢山有作

    ○矢山有作君 それはおっしゃるとおりです。ところが海空を強化するというのは、これはちょっとほかの機会で議論したところでもありますが、制空権、制海権の把握という問題につながる。さらにあなたの考え方によれば、日本の防衛のためには公海の先までも攻撃することがあり得る、こういう発言をいままでなされておるようです。こういう形でいくと、従来の領土、領海、領空を守るという範囲から、制海権、制空権の掌握ということになって、外へ外へと伸びていくことになる。一体制海権、制空権の掌握の範囲はどこまでですかというと、あなたは、そのときの状況によって変わってくるとおっしゃるのだから、これは範囲の限定がつかぬ。そうしていくというと、攻撃は最大の防御ということで、専守防衛、攻撃は最大の防御、こうなっていって、領空権、領海権の範囲が沖へ沖へと出て行っちゃって、ついにはどこかの向こうの岸まで届いちゃって、これはやられそうだから先に向こうの基地をたたいたほうがよかろうという方向に、外に非常に出ていく姿勢が見えるので、非常に危険じゃないか、海空重点という考え方は危険だ、こういうふうに思っておるのです。
  197. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 攻撃的性格を持たせないように注意しながら整備していけば、危険性はないと思います。
  198. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは攻撃的な性格を持たせないようにするといったって、制空権、制海権の範囲がどんどんどんどん広がっていけば、それは攻撃のほうにいくのじゃないですか。攻撃的な性格を持たせないといったって、だんだん制海権、制空権を掌握するという形で広がっていく。防御するには攻撃したほうがいいのだということに広がっていくのだから、これは歯どめがあるのだからと、ことばの上では言えると思うのですけれども、歯どめというものが、そうなってくると客観的に歯どめをする基準、そういうものがなくなるということを私は言っておる。ここまでという基準がなくなる。特にあなたのように制空権、制海権の範囲はそのときの情勢によって異なってくるという発言が出てくると、ますますこれは限界がなくなってくるということなんだ。限界がなくなっちゃって、向こう岸に届くということなんだ。私はそういう危険があるということをあなたに指摘しておる。陸上重点なら、これはまあ海外派兵はしませんと言っても、私らはそういうふうに、なるほど陸上重点で海外派兵はしないということも考えられるのですが、海空重点ということになって、輸送力が強化され、機動力が強化されると、いつでも外に向かって伸びる体制ができると、やがてそういうふうな思想が海外派兵というほうに道を開いていく、そういう方向をたどるのではないか、こういう危険性があるから私は言うておる。だから、もし何でしたら、あなたのほうで、情勢によって制空権、制海権の範囲は違うのだ、どこまでというふうにはきめられないのだというふうなことはおっしゃらないで、大体どこの範囲ということは明確に示されませんか。
  199. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) われわれは専守防衛でありまして、本土並びに国民生活を守るという考えですから、日本の領土、領空、領海、これを基本にしまして、それを守るに必要な範囲の近接地帯に影響力を持つ、そういう形であるだろうと思います。本土を守るに必要以上に遠隔の地へ出るというようなことは心がくべきではありません。ただ、輸送船を守るという場合があります。この場合には公海を移動いたしますから、公海を動くということになりますけれども、その場合でも、大体本土の近海というふうに心がけておるわけであります。
  200. 矢山有作

    ○矢山有作君 次の問題を中心にして三、四聞いてやめますが、衆議院の三月七日の予算委員会で、あなたはこういうことを言っておられますね。陸上自衛隊は、「必ずしも一〇〇%充足しておく必要はない」、「いざというときにそれだけ充員できる、そして予備自衛官も招集し得る、そういうフレームをつくっておいて、常時は質のいいものでこれを維持しておく。そういう潜在力が非常に大事である」と思う。こう言っておられるのですね。これは非常に問題だと思うのです。「いざというときにそれだけ充員できる」というのは、これはどういう考え方でおっしゃっているのですか。
  201. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 定員が一〇〇に対して充足率が八七%というような場合に、一〇〇%まで満ぱいにしておくということは必ずしも必要でない。無理をして質の悪いものを入れて九五%、九六%にしたところで、それは効率的にはかえってよくない。九〇%なら九〇%、九一%なら九一%にして、そして質のいいものを大いに練成させてやったほうが、そのほうが全体としては強化される。そういう思想を述べたのです。それで、もし一たん緩急あるというようなときには一〇〇%まで充員するように努力する。そういうワクをつくっておくということも、またこれは大事であるけれども、常にいつも一〇〇%満ぱいの状態にしておくということばかり心がくべきではない。質を重視する。そういう意味で強調したところであります。
  202. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは私の質問に対する的確な答弁にならぬと思う。「いざというときにそれだけ充員できる」、どういう方法で充員するのですか、いざというときに。いざというのは一朝事あるときということでしょう。そのときにはどういう方法で充員するのですか。絶対数がいま足りないわけでしょう。
  203. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういうときには、やはり国民の中にも非常に国土防衛に対する認識も高まりますし、自分もやろうという気持ちを起こす人もかなり多いと思います。したがって、そういう愛国心に期待するという部分もわれわれとしてはある程度考えておいてよろしい、そういう意味であります。
  204. 矢山有作

    ○矢山有作君 それじゃなんですね、「いざというときにそれだけ充員できる」というのは、これだけこれから国防意識を大いに強調しながら、いざというときには充員に応じてくれるようにしよう、その程度の考え方ですか。それを一歩踏み出すとたいへんなことなんですが、徴兵ということになるんじゃないですか。
  205. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 徴兵しようとかなんとかいうような考え方はありません。いま申されたとおりであります。
  206. 矢山有作

    ○矢山有作君 そこで、私は念のために申し上げてみたいのですが、現在の自衛官の幹部、曹士、これの比率は、これは私が計算すればできるのだが、計算するのがややこしいから、どうなっていますか。それと戦前の日本の軍時代の将校、下士と、それから兵との比率、これはどうなっていますか。もしわからないなら、これは資料でぜひ出してもらいたい。わかれば、いまわかる部分だけでもおっしゃってください。
  207. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 局長をして答弁させていただきます。
  208. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 資料はございますが、いま手元にちょっとすぐ見あたりませんので、後刻書類をもって提出いたしたいと思います。
  209. 矢山有作

    ○矢山有作君 私の経験からの感じで申し上げます。私もこの資料でそろばんはじいておりませんし、それからきょう旧軍時代のそれも調べておりませんから、正直に申し上げて。ですが、私の軍隊におったときの感じ、それからきょういただいておる資料の感じから見ると、幹部、曹士の比率というのは、旧軍時代に比べて、幹部や曹に非常に重点がかかっておるということです。幹部、曹の数に比べて士の数が非常に少ない。このことは、私はあなたの「いざというときに充員できる」という思想とつなぎ合わせていくと、非常に私は危険なものを感ずる。要は軍隊を動かす場合には、用兵にたけた、あるいは武器の操作にたけた、そういう知識を十分持った幹部、曹が充実しておれば、士は、兵はこれは集められる、こういう思想を裏書きしているのじゃないか。だからいざというときにはそういう兵を集めるのだ、あなたは徴兵はやらぬとおっしゃった。それはまさかやるとは言えぬでしょう。何としても集めるんだ。あるいはへたをすると、自主防衛力の強化で徴兵ということにつながってくるかもしれない。徴兵制がしかれたとき、幹部、曹が充実しておれば、十分に運営できるわけなんです。そういう背景が、この幹部、曹士の比率から見て、私は危険性が感ぜられるんです。その点どうです。
  210. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 前と比べて確かに曹のクラスが非常に多いと思います。これは第二次世界大戦後、エレクトロニクスが非常に発達して、どの国の部隊も機械化されております。そういう意味で、曹というクラス、ある程度年限を経て、練達した人間を常に養っておくという各国共通の現象であります。これは自衛隊だけではございません。
  211. 矢山有作

    ○矢山有作君 そこで、もう一つ聞きますがね。じゃいざというときどういう手段ですか、かり集めたその兵が、あなたのおっしゃるように、いまの非常に科学技術が進歩し、武器も非常に精度が上がり、非常に操作に熟度を要するような、非常なものが整備されておる、そういう兵器を操作するのに、かり集めの自衛官で間に合うとお考えですか。私はこれはたまよけにはなっても、実際にそういうものを扱ってやるためには、私は問題があるんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  212. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは教育ということでそのとき補っていく、三ヵ月教育とか六ヵ月教育とか、そういうことで順次練成して、練度を高めていくというのは、各国の通例でもあります。
  213. 矢山有作

    ○矢山有作君 ところが、充員できるとあんたがおっしゃっているのは、いざというときの充員ですよ。いざというときに充員したものに対して、そんなにあんた、じっくり近代兵器を操作する、訓練をするひまがあるんですか。いざというときに充員できるという、いざというときに充員してそんなひまがあるんですが。私そういう非常な大きな矛盾したことをあなたが平気でおっしゃるから、あなたのいざというときには充員できるという考え方、幹部、曹士のこの比率から見て、あなたは徴兵制というものを頭の中に描いておられるんじゃないか。それで自主防衛力の強化ということをこれ宣伝つとめ、さらに国防意識の高揚ということをこれ宣伝につとめているんではないかと言うのです。
  214. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 前にも申し上げましたように、徴兵制などは絶対考えておりません。
  215. 矢山有作

    ○矢山有作君 私はそうあることを望みます。決してそういう方向に突っ走ることは許されないし、あなたがたとえそういう考え方を持っておったとしても、これは国民は承知せぬでしょう。  まだほかに二、三聞かなきゃならぬことがあるんですが、何ぶんそこらの席がやかましいので、これでやめますが、要するに私はきょうあなたに申し上げたいのは、安保の質的な変化に伴って自主防衛力の強化ということを盛んに言い出した。自主ということばがついておるけれども、アメリカのアジア極東戦略の中に組み込まれて、ニクソン・ドクトリンによって撤退していくアメリカ軍の肩がわりをする、そういう軍事力強化のために自主という名前をわざわざ使っただけの話だ。その実態は自主どころの話ではない。アメリカの戦略の中でがんじがらめになって、肩がわりをつとめさせられるだけの、そういうあんたは防衛力の充実を考えているのだ。ただ自主防衛力というのは、自主という名前を使ったほうが、いかにも日本の独立性が、自主性が強調されたようで、国民の中に納得されやすい方便であろうと思う。そのことが一つあるのです、あなたの頭の中に。さらに安保に反対する勢力に、自主防衛力だというようなことを打ち出すことによって、国民の中のナショナリズムを呼び起こして、そうして押えていこうという、安保反対勢力を押えていこう、そういう私は悪らつな意図がある、あなたには。そういうような自主防衛力の強化ということは許されないし、また、自主防衛力の強化ということで、あなたが防衛五原則を打ち出しておられる。その防衛五原則を見ても、自主防衛力の限界はどこか、この限界は一つもない。限界をきめるためには、おそらくあなたが言う周辺の脅威は何かということを正確に見積もって、そして初めてそれに対応する防衛計画ができ、そして限界が生まれてくるのだけれども、周辺の脅威というものは何もないですとおっしゃる。周辺の脅威というものについて明示されない。そういう中で、一体どの程度の防衛力を持つかということも、われわれもちょっとわからない。要するに、あなた方が主観的に判断をした周辺の脅威につれて、防衛力は制限なしに拡大をされていくおそれがある。しかも、その拡大の方向というものはどの程度拡大するかということは、日本独自の判断でなしに、アメリカの戦略体制との関連で、それのほうの意向のまにまに動いていく。そういうような無節操、無原則、全く自主性のない、そういう防衛力の増強をあなたは言っておられるんだと、こういうふうに私どもは考えざるを得ないのです。そういうような自主防衛力の強化というものには、私たちはどうも賛成できない。そういう立場を明らかにして、きょうの質問は終わります。
  216. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 たいそう長時間にわたりまして、防衛のいろんな問題でお疲れのことと思いますが、私は具体的な問題につきまして二、三お伺いしたいと思います。すでに同僚の議員から出た問題につきましては、できるだけダブらないようにして質問をしたいと思います。  私は、初めに在日米軍基地の問題についてお伺いしたいと思います。日本が米軍に基地を提供している法的根拠でありますが、この点についてはいままで何回も言われておりますが、きょうの話を進めていく上におきまして重要でありますので、初めにお伺いしておきたいと思うのであります。
  217. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 基本的には安保条約であり、それを実行するものとして地位協定があります。
  218. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのとおりですが、安保条約の第何条に当たるのか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  219. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 安保条約第六条に「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」云々という条項がございます。
  220. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの長官の説明でよくわかるわけでありますが、この第六条に出てまいります、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」、この「施設及び区域」というのは、これは具体的に言いまして、何ですか。
  221. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 施設庁長官をして答弁せしめます。
  222. 山上信重

    政府委員(山上信重君) これは陸上及び海上におきまして米軍が使用するところの区域、施設、これらをさすものであります。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはいま長官のおっしゃったのは、この第六条に書いてあるとおり、いまおっしゃったわけでありまして、これは要するにこの「施設及び区域」というのは、これは具体的に何かということですね。どういう施設まで含むのか、またどういう区域まで含むのか、これを具体的にわかりやすくすぱっとおっしゃってもらえばけっこうです。
  224. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 施設、区域と申せば、これは土地及び建物並びに水面も含む、こういう範囲でございます。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 非常に抽象的なんですが、もう少し具体的にお伺いしたいのですけれども、これはあまり抽象的ですと非常にやりにくいわけですが、この施設と言いましても、たとえば端的に私は申し上げますが、きょう私はゴルフ場の問題もちょっと取り上げて話をしたいのですが、ゴルフ場なんというのは、これは日本国の安全及び極東の平和のために必要な施設の中に入るのか、これはどうですか。
  226. 山上信重

    政府委員(山上信重君) ゴルフ場は直接に安全の目的を達するわけではないと思いますが、地位協定の第十五条によりまして、「合衆国の軍当局が公認し、かつ、規制する」、いろいろな諸機関、これらには社交クラブであるとか食堂とか、そういったレクリエーション施設等も含んでおるわけでございますが、そういうものが日本国に所在するところの施設を使用することができるという規定がございます。したがいまして、その条項を適用いたしまして、これらが提供する施設を使用することが許される。提供する施設は、いま申したように、広い意味においてそういう目的に奉仕しておる在日米軍の使用に供せられる、こういうことでございます。
  227. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、いまのは地位協定の何条ですか。
  228. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 第十五条でございます。
  229. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはあとで問題をやりますが、いずれにしましても、ゴルフ場の問題をきょうこれから詳細にやっていきたいと思っておりますのですが、それじゃ初めに、在日米軍基地の中で、現在ゴルフ場がある基地をあげていただきたいと思います。そしてそのゴルフ場に当たる面積がそれぞれ何平米ずつになるか、お伺いします。
  230. 山上信重

    政府委員(山上信重君) ゴルフ場のございます施設といたしまして、北のほうから申しますと、第一が三沢飛行場、これは三沢飛行場の面積千六百万平方メートルのうち約七十九万平方メートルがゴルフ場になって用いられております。それから多摩弾薬庫、これが約二百万平方メートルございますが、このうち六十六万平方メートルがゴルフ場でございます。次が、キャンプ朝霞でございます。これは約三百十八万平方メートルございますが、このうち四十九万平方メートルがゴルフ場でございます。次に厚木飛行場、これは五百三十三万平方メートルございます飛行場の、三沢と同じように、安全地域がゴルフ場になっておりますが、これが六十四万平方メートル。次がキャンプ座間でございます。これが総面積二百三十九万平方メートルございますが、このうち約五十二万平方メートルがゴルフ場に使われております。次が、岩国飛行場、五百五十九万平方メートル面積がございます、このうち約十七万平方メートルがゴルフ場に使われておる。それから雁ノ巣空軍施設、これが五百二十八万平方メートルございます、そのうち約五十五万平方メートルがゴルフ場になっております。次に、崎辺地区、長崎県佐世保の近辺、そこが面積約三十三万平方メートルございますが、そのうち約二十五万平方メートルがゴルフ場に占められておる、こういうことに承知いたしております。
  231. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ちょっと、もし資料そこにございまして、いまゴルフ場があるのは結局八カ所でありますが、この八カ所の合計の面積とゴルフ場の合計の面積をちょっと言ってくれませんか。
  232. 山上信重

    政府委員(山上信重君) ちょっといま合計の数字が出ておりませんので、後ほど計算しまして御報告申し上げます。
  233. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、あとでそれは教えていただくとしまして、しかし、米軍のいわゆる施設の中にゴルフ場が八ヵ所あるわけでありますが、この中で今度は防衛施設庁がゴルフ場をつくるために幾らかの予算を使ってゴルフ場をつくったのだと私は思うのですが、それぞれのゴルフ場をつくるにあたって、当然私は米軍がそのまま自分のところでつくったのもあると思うのです、しかし、たとえば多摩の弾薬庫あとにつくりましたゴルフ場なんというものは、これは防衛施設庁がお金をかけてつくったのだと私は思いますが、そういう点含みまして、それぞれゴルフ場建設にあたって、現在までずっと、過去から現在までどの程度の予算を使っているか、具体的にお伺いしたいと思います。
  234. 山上信重

    政府委員(山上信重君) ゴルフ場は、先ほどの答弁の中で若干触れましたが、飛行場の周辺等における安全地帯の活用というようなこともあってつくられておりますが、そうでない場合もありますが、いずれにいたしましても、これは米軍の将兵並びに家族等がいわゆるポケットマネーと申しますか、そういったような費用を出してつくっておる場合が多うございます。いかなる場合でも、従来は原則として政府が金を出してつくっておるのはなかったわけでございます。ただ、多摩弾薬庫につきましては、これは御承知のように昭島の地区にありまするゴルフ場についてこれを返還せしめるということのために、その代替施設として多摩弾薬庫内におけるところのゴルフ場を日本政府が費用を負担してつくって、そして昭島の返還を求めた。これは御承知のような昭島地区についての民事訴訟がございまして、その訴訟に基づくところの裁判所の和解勧告を政府が了承いたしまして、それに基づいてつくったものでございます。その他の施設につきましては、これは米軍もしくは米軍人が直接費用を出してつくったものでございます。なお、これも多摩弾薬庫について使いました費用は約五億円であったと承知いたしております。
  235. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま長官は、これらのゴルフ場は米軍の将校とか家族の専用であるような話がちらっとありましたけれども、実際はそうではない、それぞれのゴルフ場では、先般も新聞にも出ましたけれども、これは要するにほとんどが日本人だというのがあるわけですね。これはそういう点からいくと、またずいぶん趣旨も変わった。しかもこれは四十三年の決算委員会でも一、二取り上げたことがあるわけでありますが、その当時からこのゴルフ場の問題については相当いろいろな問題が出ていました。いま長官がおっしゃいましたように、あの当時の昭島の問題については、ちょっといま一言出てまいりましたけれども、この多摩の弾薬庫をつくるにあたって五億円という相当な国民の血税が使われているわけでありますけれども、私はこの昭島からいわゆる多摩に移ったいきさつですね。これは要するに裁判所の勧告だとは言いますけれども、これはいろんな問題が含まれております。どういういきさつで多摩に五億円という相当なお金をかけてつくらなければならなかったのか、そこら辺のいきさつをお伺いしたいと思います。
  236. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 私が先ほど申し上げましたのは、米軍が専用に使っておるというふうに説明したのではございませんで、米軍もしくは米軍の将兵が金を出してつくったものですということを申し上げたのでございます。当然米軍が主として使うということになると思います。それから多摩の弾薬庫に移設いたしました経緯は、先ほども答弁の中で触れましたが、これは突然の質問でございますので、ちょっと私年次を失念いたしましたが、昭和三十五年ごろからだったと思いますが、昭島の住宅地区と称せられる区域に米軍がつくったゴルフ場があったわけでございます。ところが、この昭島の土地は、たしか昭和飛行機工業株式会社という民間の会社の所有地でございましたので、この所有者が政府に対して返還を求めてまいった。で、これを政府といたしましては米側にこの返還を求めたところ、やはりこれはレクリエーション施設として必要であるから、なかなか困難だというような話でございましたので、当時これについて所有者との間に訴訟となった。その第一審におきまして、国はこの訴訟に敗訴いたしたようでございます。そこで直ちに上級裁判所——高等裁判所であると思いますが、これに提訴したと、そこで東京高裁におきまして審理中に、高裁側から、これはひとつ和解をして、別に施設を政府でつくってやって、そうして返還するようにしたらどうだというような和解勧告がございました。政府といたしましては、これはその勧告に応ずるということで、その土地を求め、たまたま多摩に適地がございましたので、ここに政府の資金でゴルフ場をつくり、そして昭島の施設の返還をいたしたと、かような経緯になっております。なお、この昭島は民間の所有地でございまするので、年々一億数千万円というような使用料を払っておったことも、その際そういうものを受諾しようという契機になったと承知いたしておるのでございます。
  237. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは昭島のこの裁判において、第一審で国が敗訴しているわけですね。その敗訴した理由は何ですか。
  238. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) ただいま手元に資料を持っておりませんので詳しいことは御説明できませんけれども、おおむねの推移といたしましては、この施設が接収になった当初には、米軍の補給所というような形で接収になりまして、講和発効後も引き続き同じような目的に使われたわけですが、発効後しばらくたちましてから、その補給所としての機能を有する枢要な部分が逐次返還をされた。そして残る部分は、すでに当初の目的から見ますと、かなりかけ離れた姿になって、これはどうも本来の接収の当時の目的とは変わってきておるというようなことから、この当初の目的からいって、残ったものがゴルフ場である、あるいは住宅であるというようなことは、本質的に異なるから、占領期間中並びに講和発効後ある期間は契約したけれども、たしか三十五年ごろかと思いますが、実態が変わってきたので、従来の契約はもうすでに所有者が契約の継続を拒否している以上は存在しないというような理由から、一審において敗訴したというふうに承知いたしております。
  239. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほど私一番初めお伺いしたわけでありますが、この昭島の昭和飛行機の土地を接収したのは、安保条約の第六条の基地の提供、いわゆる第六条に基づいて接収したんですね、これは間違いないですね。
  240. 山上信重

    政府委員(山上信重君) さようでございます。
  241. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、いまちょっと説明がありましたけれども、判決理由の中に明快にこういうぐあいに書いてある。これは要するに第二審では控訴したといいましても、これはあとで、解決するために裁判所のほうからいろいろ和解をせよということであったんでしょうけれども、第一審における判決では、はっきり「本件賃貸借の使用目的とみるべき前記行政協定実施のためにする使用とは、結局において安全保障条約第一条の米軍駐留の目的を達成するために必須的な使用方法を意味するとみるべきところ、ゴルフ場に使用することは右目的に副うものとはいい難い」、これは判決理由の中にあるわけです。ということは、使用当局としては、ゴルフ場を使うということ自体は、これは要するに地位協定十五条並びに安保条約第六条の、先ほど言いました施設及び区域とはならない、こういうぐあいに私たちは、単純ですけれども解釈するわけですけれども、この点どうですか。
  242. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 第一審ではさような理由で一応国側が敗訴いたしましたが、国といたしましては、ただいま私が申し上げましたように、地位協定の第十五条によってこの施設の使用ということは認められておるものであり、したがって、決してゴルフ場として使用することは違法でもないし、そうではないというふうに考えておるのでございまして、したがいまして、国としても、これは当然控訴すべきものであるということで控訴いたしたのでございます。たまたま裁判途中において和解の勧告があったということでございまして、この動機となりましたものは、先ほど私もちょっと触れましたように、年々多額の借用料を払っており、当時においてすでに一億三千万円であったか、相当の金額になっておりまするし、年々借用料というものは御承知のように高騰を示しておるような実情のもとにおいては、むしろ他の施設の中でこれをまかなうほうが経済的にもいいではないかという考慮も働いて、この勧告を受け入れて、そうして多摩に移して返すと、またその土地自身が民間の土地でもございまするから、できるだけ民間の土地については民間の希望に沿うほうがいいではないかというようないろいろな考慮からさような判定をしたものと私は考えるのでございます。
  243. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはそうでしょうけれども、しかしながら、もし裁判で最後まで勝てる見込みがあるならば、何もわざわざそのときに五億円も出して多摩につくることはないわけですよ。私が聞いておるところでは、とてもじゃないけれども勝てる見込みはない、一審の判決をくつがえすことはできない、そういうような見込みに立って和解の成立をやった、こういうぐあいに聞いておるわけです。この点はそうじゃないとおっしゃればそれまでですけれども、しかしながら、その裁判に出てきたいろいろな意図というものは、これはこの行政協定とか、並びに安保条約の趣旨からいっても、ゴルフ場というものが適当なものであるかどうかということになってくると、これはやっぱりいろいろな道義的な面から考えても私は問題があると思う。裁判所のほうでは、ゴルフ場というのは適当じゃないと、はっきり言っているわけです、明快にね。ここのところは、やはりもっと前向きに、これは検討すべきである、今後の問題としてですね。その当時もゴルフ場は幾つもあったわけです。しかも、先ほどゴルフ場の面積を聞きましたけれども、いわゆる米軍基地の中のほとんど半分以上はゴルフ場というのもある。しかもそういうところに米軍だけ行ってるんじゃなくして、会費をとって日本人がたくさん行ってる。そういうのがあるわけですね、現実に。そういう点から考えて、私は、こういうふうなゴルフ場というのがあるということ自体が、日本人の感情からしても、これは思わしいものではない、好ましいものではないと思うが、これは大臣、どうですか。
  244. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 必ずしも好ましいものであるとは思いません。ただ、安保条約を維持していくために、米軍の将兵のレクリエーションとか、あるいは体力増強という面も考慮してやらなきゃならぬ面もあると思います。そういう面の調整を、日本の民生の問題であるとか、いわゆる基地公害というものにならないように、われわれとしては配慮してやるべきものであると思います。
  245. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、この問題についてはアメリカ側のほうで、当然これはアメリカ側のほうでは、もっと明快におっしゃっているわけですね。東京周辺に、米軍基地の中にゴルフ場があるというのは非常にゴルフ場が多過ぎる、こういう言い方をしていますけれどもね。ということは、もう向こうでも、在日米軍基地の縮小ということや、いろんな面で検討していらっしゃると思うのです、私はね。そういう中で、こういうような基地があるということは好ましいことではない。もっとわかりやすくいえば、ぜいたくだというような感覚じゃないかと私は思うのですけれどもね。そういうような感覚は現実にあるわけですね。そういう点からいくと、私たちはもっと積極的に、たとえば安保条約のあの基地の問題については、地位協定ですね、地位協定の第二条ですね。第二条の第三項についても、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」と、こんなこと私一々言うことはないわけですけれどもね。第二条の二項、三項、いずれも、どうしても必要なものかどうかという点からいいますと、やっぱりいろんな面で、国民感情からいっても、私は疑問じゃないかと思うのですね。そういう点からいくと、私は、もっと積極的にこういう点については取り組んでいただきたい、こういうぐあいに思うのですが、この点いかがでしょう。
  246. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 同感であります。
  247. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、私はもう一点お伺いしておきたいのでありますが、これは四十三年の二月ですけれども、ゴルフ場の問題につきまして、私のほうの議員がいろいろ質問いたしました。それは、ゴルフ場をつくるということについては、先ほどからいろいろ目的等については話ございましたけれども、要するに米軍の方々がたくさん行っているというお話、また米軍の人たちがポケットマネーをはたいてつくったんだと、そういうような話もございましたけれども、その当時、たとえば昭島のゴルフ場においては、防衛庁のほとんどの幹部の人たちが、いわゆる名誉会員とか、いろんな会員になっておる。その当時の官房長もきょう来ていらっしゃいますけれども、その当時入っておられたそうですけれども、その後これはどういうぐあいに処置をされたか、また今回の多摩の弾薬庫のところにゴルフ場をつくられた、それについての処置はどうなったか、これをお伺いしておきたいと思う。
  248. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 防衛庁の幹部についての詳細は、ただいま私手元に資料もございませんので、承知をいたしておりません。
  249. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 承知してないということは、これは要するに会員に入っておる人とか、または名誉会員とか、そういうのには入っていないということもわからないということですかね。ということは、この点については、その当時の長官の答弁でも、これは善処するという話があったわけですけれども、その後はどういうぐあいに処置をしたか、これはあとで教えてもらいたいと思います、よろしいでしょうか。
  250. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 防衛庁の幹部が米軍のゴルフ場の会員になっておるという事実、当時御指摘ございまして、一部会員になっております。会員と申しましても、名誉会員でございますが、その状況は引き続き続いておるのではないかと私は思います。ただ当時申し上げましたのは、米軍の施設につきまして、自衛隊の幹部がこれをしばしば利用しておるということについては、いろいろ問題があろうという御意見ございまして、私どもとしましては、その点につきましては、まあできるだけ自粛いたしまして、われわれ公務員としての立場というものを考えてまいりたい。できるだけ自粛していきたいというふうな御答弁を申し上げておると思いますが、そういう方針はその後も引き続き厳守をいたしておりまして、利用度も米軍との親善のための交歓競技と申しますか、そういうことが行なわれておると思いますけれども、それ以外の場合につきましては、できるだけ自粛する、こういう状況が継続しておるというふうに私は考えます。
  251. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、これはいまでも続いておるということですね、結局ね。これはこの間は問題になったのは、昭島のゴルフ場でありましたから一そうだったですね。そうすると昭島のゴルフ場が今度多摩に移ったわけですね、五億円という予算をかけて多摩へつくった。また多摩へ引き継がれて、名誉会員か何会員か知りませんけれども、続いておるわけですか、現在でも。
  252. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 名誉会員になることを辞退するという、そういう方針でもございませんので、そういう状況は今日も引き続き継続しているというふうに考えますが、それはそれとしまして、まあたとえば堂々とウイークデーに行くとかなんとかいうことは、これはできるだけ自粛するということで、休日に利用するということは、引き続き行なわれておると思いますが、全体的にそういうふうな自粛自戒しよう、こういう内部の申し合わせをいたしておるわけであります。
  253. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あまりしつこくは申しませんけれども、この問題については、先ほど東京地裁の裁判の判決の中にもありますように、先ほど長官も答弁になりましたけれども、確かにこういう問題は国民感情としても好ましいものではないと思うんですね。そういう点から、この点については善処方をお願いしておきたいと思うのですが、いかがですか。
  254. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 善処いたします。
  255. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 次に、私はきょうは裁判の問題ばかり取り上げて申しわけないのですが、先日の内閣を委員会で少し申し上げましたけれども、北富士の演習場の林野雑産物補償金の請求事件について、本年の四月二十七日、東京地裁で裁判が行なわれました。これも国が全面的に敗訴したわけです。すぐあとで国は控訴いたしましたが、これはやはりこの点について、どういういきさつになっておるのか、これからまた、どういうぐあいに対処していくつもりか、これは具体的にお伺いしたいと思います。
  256. 山上信重

    政府委員(山上信重君) これは前回もお答え申し上げましたが、北富士演習場の林野雑産物についての訴訟と申しますのは、御承知のように忍草入り会い組合にかかわるものでございまして、これは昭和三十五年度から七年度までの林雑補償についていろいろ折衝をしておりました過程において、補償金算定の基礎になる項目の中間的な確認というようなために、従来合意に達した点について整理、確認した文書を取りかわした問題にかかる訴訟でございまして、その際に運賃計算方法等につきまして、当方が意図していたところと非常に不合理な点が発見されましたので、それについての訂正を国側から組合に対して求めた。それについて当時の組合の顧問をされておった、非常に従来有力なる方と話をしたところ、まあいいであろうというようなことで、そういうつもりでおりましたところが、組合の側は、組合の代表権がないということで、この撤回はぐあい悪いということになりまして、そのために覚え書きの撤回を拒否した。そうして有効な契約書であるということで、履行を求める訴訟を提起されたわけでございます。国側は、この覚え書きは必ずしも法律上の契約ではない、いま申した交渉途上の中間的確認であるということと、撤回の申し入れは、従来この代表の方が組合を代表して交渉に当たられてきたのであるから、そういった意味では有効ではないか。それから、そういう意味合いの文書が、撤回を申し入れた点についての明文がないということでございまするが、これは従来もそういうことは口頭で話をしてきたというようなことで、わが方といたしましては、この訴訟に対して反対であるということでございましたが、第一審におきましては、この覚え書きは契約にひとしい効力があるんだ。それからまた、組合代表でない者との話はいかぬというようなことで敗訴いたしたわけでございます。ただ国側といたしましては、代表者が従来組合代表として交渉されてきた経緯並びにその内容について、通念的に見ても、修正された点が妥当ではないかということで争っておるのでございます。控訴はいたしましたが、これらにつきましては、われわれといたしましても、できるだけすみやかに解決をはかるように県とも話し合い、具体的な話の解決ができるようにいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  257. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、先日もちょっと申し上げましたけれども、これは防衛庁のいろんなやり方について、非常に私は重要な問題を含んでいると思うんです。まず第一点は、そのいわゆる合意書というのがかわされた、書類がかわされているわけですね。かわされたその合意書が契約書ではないと、こう防衛庁はおっしゃっておられる、結局は。それからもう一つは、顧問である人にその撤回を申し入れたといいましても、それはあくまでも口頭であり、文書ではかわしてないわけですね。そういうふうないろんな点から見て、私はこれは今後いろんな契約をやる場合に非常に重要な問題だと思うんです。今後いろんなものをやる場合に、こういうぐあいにいいかげんなことをしておれば、いまこういう裁判における控訴がどうなるかはわかりませんけれども、いずれにしても、これから、いわゆるこういうふうな交渉をやっているところがずいぶんたくさんあると思うんです。そういうようなところで絶えずこういうようなことをやっていると、いつまでも問題は続発する、こういうぐあいに思うんです。そういう点から、やはりこれは前向きで解決するようにしないといけない。もう施設庁としても手落ちが一部にあったわけですから、その点は認めて、やはり前向きの交渉をしないといけないと思うんですが、どうですか。
  258. 山上信重

    政府委員(山上信重君) おっしゃるとおりだと思います。できるだけすみやかに前向きの解決をはかるようにいたしたいと思います。
  259. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから私は、昨年この北富士の演習場の林野雑産物補償について、一部の受給資格者がまだもらってないというのがございました。その点どうなっているかということをきょうは聞きたいのですが、先日の委員会のときに、私は当時の有田長官にいろいろお伺いしたわけですが、そのとき長官は、この問題は相当長くなっているので、早急に解決するようにしたい、そういうふうな意味の答弁を聞いております。その後この問題についてはどういうぐあいに処置をされたか、お伺いしたいと思います。
  260. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 本件につきましては、去る四月末に供託という形で支払いを済ませ、組合側はこれをすでに受領していると聞いております。これが非常に長引きましたのは、組合の内部におきますところのそういった紛争をできるだけ避けていくようにという気持ちで、何といいますか、北富士演習場の問題ができるだけ円満にいくようにという気持ちで、いろいろ組合の中の不和を避けたいという気持ちが強かったわけでございます。したがいまして、これの解決につきましては、御承知のように県に演習場対策協議会という、県会議員さん全部が参加したような大きな組織がございまして、これらの組織を通じていろいろなそういった点についての御希望もございました。かたがた、いろいろ検討してまいりましたが、いま申しましたように、去る四月末に供託によって支払いを済ませております。
  261. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その契約は組合とやったのじゃなくて、いわゆる個人個人との契約だと私は思うのです。やはり一人一人に渡るまでの、いわゆる補償金が行き渡っているかどうかということを確認する義務があると思いますが、これはどうですか。
  262. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 供託をいたします際に、一人代表者を選定いたしまして、その方の名義で供託をしてございますが、この代表の方が、自分はこれこれの者の代表として受け取るということを確認をいたしておりますので、受領後は関係者に当然配付されるべきものというふうに了解をいたしております。
  263. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 昨年の六月、いまお話しのございました演習場の対策協議会というのができているわけでありますが、この対策協議会から施設庁長官のところに要請書と、それから決議が出されていると思いますが、これは要するに、私は地元の人たちは、この決議の中にもありますように、この「北富士演習場を速やかに返還し、国民的期待に応えて活用できるよう最大の努力を傾倒すること。」、それから「北富士演習場に直接関係をもつ住民の諸権益に関し、未解決の状態にある諸問題については誠意をもって積極的に対処し、県民が納得する解決をはかること。」、こういう決議が出されておりますが、これはどういうぐあいにお考えですか。
  264. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 北富士演習場の返還の問題といいますのは、御承知のように昭和三十六年に基地問題閣僚懇談会と申しますか、閣僚の大部分の方がお集まりになって方針を決定いたしております。それによりますれば、北富士演習場は自衛隊の演習場に使用転換しよう、そうして米軍には自衛隊の管理のもとでの使用をさせる。なお、周辺の対策については万全を期するというようなことであったと承知いたしております。したがいまして、ただいまでもこの方針に変わりはございません。特に自衛隊におきましても、この使用法についてきわめて強い要請を持っておりまするし、米側においても、使用転換後、さらに引き続き共同使用によって使用したいという要求を持っておりまするので、さような基本線に沿ってではございまするが、返還をせしめ、そしてこれを自衛隊の管理に移し、米側にも使用させるという基本的な線に沿って解決をはかりたいと思っておるのでございます。  なお、いろいろな諸問題の解決と申しまするのは、たとえば入り会いの問題、林野雑産物の補償の問題あるいは借料等の問題でございまするが、これらにつきましては、演習場対策協議会ともども最近まで話し合いを進めておりまして、すでに相当の部分につきまして演習場対策協議会との間で話し合いを進めて、いわば非公式ながら話し合いのついておるものも相当ございます。あとは地元の足並みと申しますか、これがそろうのを待ってさような方向によって解決することを望むのでございます。ただ、地元の足並みという問題も、そろえるのについてはいろいろ問題も複雑でございます。政治的な御判断を要することもあり、あるいはむずかしい問題もあるかと思いまするが、さような方向で今後極力すみやかな期間に解決をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  265. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほどから長官へのいろんな質問の中に、自衛隊員の充足率の問題について話がございました。その中で長官は、特に自衛隊員の質の向上ということをずいぶんおっしゃっておりました。私も聞いておりまして、実際はずいぶん現在でも、優秀な自衛隊員を募集する、採用する、そういうふうにつとめておるとおっしゃっておりながら、現実にはあまりいい自衛隊員が集まってこないのじゃないか、逆にいいますと、不良自衛隊員がずいぶん入っているのじゃないか、こういう心配がずいぶんあるわけですが、この点についてはどうお考えですか。
  266. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 実際問題といたしまして、自衛隊員の良質な者を確保するにはかなりの困難が出てくると考えております。いままでの例を見ますと、景気の波動と反比例いたしまして、景気が非常に上昇してくると質のいい人が少なくなり、景気がダウンするとかなり集まってくる。それが三十年代から四十年代にかけてのおおむねの動向であります。今後の七〇年代の日本経済を見ますと、景気の動向あるいは若年層の低下、大学進学率の上昇、そういうものを見ますと、困難はますます多いように思うのであります。したがいまして、思い切った抜本的な措置を講じなければいけない、そういうことを考えまして、先般も連絡部長会議を開いて、全国から招集いたしまして、いろいろ対策を協議し、また新しい防衛計画の基礎の、一番の基盤は人間の問題でございますから、非常に大きな重大問題として取り上げまして、これから処理しようと考えておるわけでございます。
  267. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 自衛隊員の募集につきまして、先ほどは募集のことについて話がいろいろございました。その募集ということについても、私は種々問題があると思いますが、今度は入隊の検査についてもいろいろ問題があるだろう。入隊の検査については具体的にどういうぐあいに検査が行なわれるのか、いわゆるそれぞれ地方で募集要項に沿って募集をして、そこでそれぞれ配置されるまでのいわゆる手続というものは、一体どういうふうな手続を踏んで自衛隊員、一人前の自衛隊員になっていくのか、その点を初めにお伺いしたいと思います。
  268. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 応募してまいりました者に対して試験をいたします。その試験は、身体検査、それから適性検査、さらに筆答によります学科試験、これはそれぞれ一定の基準を設けております。それに合格した者が一応採用になります。さらに新入隊員を受け入れる教育部隊のほうにまいりました際に、もう一度身体検査をいたします。その上で部隊に配置されるということであります。
  269. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまおっしゃいました初めに試験をすると。一番初めの身体検査、適性検査、学科試験ですね、これはどこでやるんですか。
  270. 内海倫

    政府委員(内海倫君) それぞれ地方連絡部が各都道府県ごとにございますので、地方連絡部において行ないます。
  271. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その地方連絡部で試験を受けて合格とされますね。そうして今度はそれぞれのところへ集めてまたもう一回身体検査等があるとおっしゃいましたが、これはどこからが自衛隊のいわゆる隊員としての資格があるのか、正式の資格は全部試験を通ってしまわないとないんだと私は思うのですが、たとえば地方の連絡部で合格すると、これはもうある程度拘束力があるのか、自衛隊員なのか、どこからが自衛隊員なのか、その点お伺いしたいと思います。
  272. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 合格いたしまして、さらにその者が指定された部隊に参着いたしまして、自衛隊員であることの任命を受けたときから自衛隊員の身分になります。
  273. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、地方で採用されたときには、これはまだ自衛隊員じゃないわけですね。それぞれの部隊に配属されて、そうして身体検査があって、そのあとでこの辞令をもらうわけですね。そういうわけですか。
  274. 内海倫

    政府委員(内海倫君) もう一度申しますと、ただ合格したというだけではもちろん自衛隊員になったわけではございませんで、合格をいたしますと、何月何日にどこそこの部隊に参着するようにということを通知いたしますから、この通知に応じてその部隊に参着して、そこで任命をされますと、そのときから自衛隊員になる、こういうことでございます。
  275. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということはですね、地方の連絡部で試験があって、そうしてその試験に合格した、そのあとその人に対してどこそこの部隊にいついつ集合せいと、こういうふうな通知がきますね。その通知をもらったときが自衛隊員ですか。
  276. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 参着して、任命を受けたときから自衛隊員であります。
  277. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 参着してその任命を受けるというのは、これはそれぞれの部隊に入って、いっその任命を受けるんですか。
  278. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 必ずしも一定はいたしておりませんが、原則的には、月の初めにそれぞれ教育隊に入隊をするようにさしておりますから、原則的には月の初めの参着した日に任命が行なわれる、そのときが自衛隊員になるときであります。
  279. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは月の初めというのは、それぞれ個人に対して指示をしているわけですね。そうしますと、私がお伺いしたいのは、まず地方の連絡部でやる身体検査というのは、どういうふうな身体検査をやるのか。また、それぞれどこそこの部隊へ行けということで指示を受けて、そうしてこの隊員としての証をもらうわけですが、そのとき、もらうまでにこれはまた身体検査が私はあると思うのですが、そのときの身体検査はどういうことをするのか、お伺いしたい。
  280. 内海倫

    政府委員(内海倫君) いま私、身体検査の細部の内容については資料を持ちませんが、私の承知をいたしております範囲で、地方連絡部で行ないます身体検査は、身長、胸囲、さらに病気の有無、これはレントゲン写真をあわせてやるわけでありますが、そういうふうな一般的にいう身体条件の全体について検査をいたします。さらに入隊時におきましても、おおむねそれと同等の検査をいたします。こういうように考えます。
  281. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 地方における検査はわかりました。これは確かに身長、胸囲とかですね、一般的レントゲン等の検査であろうと思うのですが、入隊時における検査もこれと同じですか。
  282. 浜田彪

    政府委員(浜田彪君) 身体検査のことでございますので、私からお答えしたいと存じますが、入隊時の場合と、それから選考時の場合の身体検査の差でございますが、選考時の場合には、大体地方連絡部で委託医師にお願いいたしまして、身長、体重、胸囲と、基準を明確にして採用しているわけでございます。その人たちが教育隊に参りまして、入隊時の身体検査をやりますときには、大体においてより精密なもの、それから伝染性の疾患、そういったものに重点を置いて、集団生活に耐え得るかどうか、選考時の場合には、全身を見るといいましても、できるだけ本人に不快な感を与えないというふうな考え方がございますので、性尿器でございますとか、あるいは梅毒あるいは皮膚病、そういったものについては、大体特別のものがありました場合に、入隊時でそういうものを除外するということになっております。大体の率は数%、二、三%程度のものがこれではずされるのであります。一番多いのは性尿器〇・七%、梅毒〇・三%、皮膚疾患〇・三%、それから長期の健康診断等を行ないます場合に、やはり入隊時の場合でございませんと、耳のほうの、正確な聴覚等がはっきり出ませんので、そういったものをやっておるのが現状でございます。そういう点でより精密なものが行なわれるというのが入隊時でございます。
  283. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私の手元に、これも裁判の記録でありますが、入隊時に防衛庁の検査で、本人は梅毒だと言われた。それでいろいろ経過はありますけれども、本人は自殺したのです。裁判が行なわれて、結論としては防衛庁は勝ちました。勝ちましたが、結論的には防衛庁の検査は間違っていたわけですね。こういう裁判が行なわれた記録があるのですが、これは衛生局長も詳細に御存じの問題でありますが、私は入隊時の検査というものは、これは当然——この梅毒の検査なんというものはいろいろな検査の方法があると思うのですが、不完全な方法で検査をするというのは私は非常にけしからぬ、本人の人格を無視したものになってしまう。ほんとうにそういう人がそういう病気ならかまわないのですけれども、あとで検査してみたら違っていた。私の手元に来ております人の記録によりますと、本人は入隊検査でそういうように言われて、まあいろいろなことを言われたと本人は言っておりますし、また防衛庁のほうでは、そんなことは言わなかったと言っておりますけれども、本人としては相当なショックですね。めしも食わないで家出をしてしまった。そして二、三日してから家族からやんやと言われて近くの病院に診察に行った。しかし病院では、町医者ですが、そんなことはないと、そうじゃないと言われたわけですね。しかしながら、本人のショックはもう変わらないわけです。そうして結局、数日後に電車に飛び込んで自殺した。これは相当こういうふうな問題が現実にあるわけですが、入隊時における検査というのは、相当慎重に私はやるべきだ、こういうぐあいに思うのですが、いかがですか。
  284. 浜田彪

    政府委員(浜田彪君) ただいま御指摘のございました例につきまして御説明いたしたいと思いますが、実は入隊時に行ないます血液、特に梅毒の検査の場合には、集団的に検査をいたします関係上、どうしても鋭敏度の高い血液検査を行なうわけでございまして、当然その中には梅毒はもちろん入るわけでございますけれども、梅毒以外の疾患も入ってくる可能性のあるものも行なわれるわけです。これは公衆衛生的な集団検診を行なう場合にはやむを得ず手軽な、しかも比較的精度の高いという検査をせざるを得ないわけでございまして、そういう点で入ってきたのでございます。しかし、この場合も、当然あとでそういった疑いがありますので、他の適当な医療機関で十分追試をするように話し合いをすべきものだと私は思っております。こういったことで、非常に不幸な結果を見たようでございますが、その後私たちは、できるだけそんなことのないように、したがいまして、本人に、十分に親切に隊員としては扱うようにということを注意をいたしたのでございます。その後はそのようなことのないように私たちも配慮しているのでございます。
  285. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はその当時ガラス板法で検査をやった、こういうように聞いております。しかし、こういうような検査は非常に私は慎重を要する。またこういうことをするという場合でも、本人にそういうことを言う場合非常に慎重に言わないといけない。特に年若い、まだ二十にしかならない青年に対して、少年ですね、こういうことを言うのは、本人にとっては相当なショックであるわけです。ですからそういう点についても十分私は注意して、これからやってもらいたいと思いますし、また、もっと前向きに、これからの検査の方法としても、現在はどういう検査をやっているか知りませんけれども、現在はどういう検査をやっているのかということが一つと、それから今後、やはりこういう問題については慎重に取り扱っていくべきだと思うのですが、いかがですか。
  286. 浜田彪

    政府委員(浜田彪君) 現在の血液の検査法は、学会でもガラス板法が一番いいということになっておりますので、その問題で依然として続けておりますけれども、ただいま御指摘になりましたような考え方で慎重に配慮しているのは事実でございます。今後新しい検査法、あるいはもっとよりいい検査法がありますように、私たちとしても努力はしてまいりたいというように考えております。特にこのような事故の起こらないように十分に衛生科隊員には注意はいたしたいというふうに考えております。
  287. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この裁判で防衛庁が勝った原因は何ですか。
  288. 浜田彪

    政府委員(浜田彪君) 私もいま手元に判決の詳細な資料は持っておりませんので、大体記憶で申し上げて恐縮ですが、大体裁判の結果では、このガラス板法による検査は集団検診の検査法としては適当なものであって、この検査法が誤りであるというふうには指摘できない。それからなお、御指摘の問題等につきましても、必ずしも梅毒と言われたことだけが自殺の原因というふうには結びつかない。その後、他の医師をたずねまして、梅毒でないということをほかの医師から言われておりますので、本人は梅毒でないということをすでに容認しておるというような状況等でございまして、裁判の結果では、防衛庁のいろいろな判定についての誤りがなかったというような判決になっておったというように理解しております。
  289. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのとおりですね。防衛庁がこの裁判に勝った根底的な原因は、この判決文にも明らかでありますとおりに、要するにその少年が親に連れられて町医者に行って見てもらった。その町医者から簡単な方法で検査を受けて、梅毒ではないと言われた。そのことがいわゆるこの裁判所における防衛庁の勝利になった原因です、結局は。しかしながら、本人はやはり防衛庁の検査というものを非常に重んじておったということは、父親や、また家族の人たちの証言でも明らかですし、本人が相当ショックを受けておったということも明らかです。この問題についても当然私は、一体その裁判は防衛庁は勝ちましたけれども、その家族やみなに対してどういうぐあいな処置をしたのか。私は父親にも会いましたけれども、非常に冷たいというのですね。そういう話がございました。この点については私は、こういうような問題については、裁判には勝ったが、やはり重要な問題でありますので、やはり慎重に取り扱い、かつ家族に対しても丁重に、何といいますか、これからそういう点についても、本人がおっしゃっているのは、これから同じような犠牲が二度三度起きては困る、二度とこういうような犠牲が出ないように何とか言ってくれないか、こういうふうなぐあいに言われて私はきょうも言っているわけですが、そういう意味においては、やはり先ほどもお話しのありましたように、梅毒は〇・三%だとおっしゃいましたけれども、パーセントで〇・三%ですが、人数にしますと相当な人数になるわけですね。地方で通って、そしていわゆるそれぞれの部隊に配属されてだめになる人がずいぶんいる。そういうふうな人たちに対するいわゆる処置というものは、特に今回の裁判の場合は、その地方の試験に通ったので、自衛隊に通ったというのでものすごくお祝いをして、そして家族みなそろって送り出した。送り出したあとで、それぞれの部隊に行って、そしてこういうことがあって帰ってきたわけですね。そのために本人はうちに帰れなかったというのです、要するに。あれだけみなが見送ってくれたのに、いまさらそんなことで帰るわけにはいかないというので、近くの病院で見てもらったけれども、なかなかすっと帰れなかったというのですね。やはり、こういうようなことがあっては私はいけないと思うのです。そういうような点から、これは慎重に取り扱っていただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  290. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまお話を承りまして、たいへん申しわけない事態であるように思います。裁判の勝敗にかかわらず、こういう人権を守ることにつきましては、今後とも慎重にやっていきたいと思います。
  291. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題はもうこれくらいにしまして、あと二、三お伺いしたいと思うのですが、現在、在日米軍基地に働く労務者の皆さんが相当いると思うのですが、どのくらい現在いらっしゃるのか、これを初めにお伺いいたしたいと思います。
  292. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 昨年末現在で約四万六千人、これはIHAという諸機関関係の従業員約九千人を含んでございます。
  293. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この労務者は、在日米軍のほうからことしの一月ですか、三千九百人に対して整理の通告があったように聞いております。このうち六百人については三月の末または四月の初め付で整理される。そしてあと残りについては六月三十日までに整理するということになっていると聞いておりますが、これについてはどういうぐあいに処置をしていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  294. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 現在、米軍からの整理の申し出の数はもう少しふえておりまして、六月末までで約五千百八十人という数字にのぼっております。これはもちろんIHAも含んでのことでございます。一月から三月末までに整理される人間は、このうち六百三十八名でございますが、四月の一日というのもございまするので、現在、四月一日までに解雇された数は約千三百人でございます。  なお、ロングランといたしまして、九月までの見通しとしましては、約五千二百人ということがいまわかっている数でございますが、これらの整理の者について一体どういう措置をとっておるかということでございますが、御承知のように整理退職者に対しましては、従来からも離職対策に対するところの措置の基本的な要綱というものがきめられておりまして、これに基づきまして各種の措置を定めておるのでございます。離職者臨時措置法、この法律に定められたいろいろな就職援護措置、あるいは国からの特別給付金というものも支給いたしております。御承知のように昭和四十四年度からは従来の特別給付金を約三倍にふやしまして、かような大量整理に備えたわけでございます。  なお、整理された方々に対するところの就職の援護ということが非常に大事でございますので、労働省、その他関係機関といろいろ密接な連絡を持ちまして、再就職が十分できますように最大の努力を払っておるのでございます。現在、早期に離職する者に対しましては、いろいろな防衛産業関連産業等にもまた就職できるようにというような話もいたしておりまするし、かたがた離職対策、再就職ということに全力をあげている次第でございます。
  295. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 このように大量の解雇者が出ているわけでありますけれども、これは私は、事前の予告というのは何もなかったのですかね。こういうふうな四万数千人という人たちの身分保障ということになりますと、当然私は事前に相談があってしかるべきであると思うのですが、不安定な状態でほっておくというのは非常によくないと思いますし、また、ある日突然にこういうぐあいに大量に解雇の通知があるなんということになりますと、いろんな面で支障を来たしてきますし、また、そういう人たちも安心して働くことができないのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  296. 山上信重

    政府委員(山上信重君) その点につきましては、まことにごもっともでございまして、現在労務基本契約におきましては、事前の予告期間は、契約上保障されておる期間は四十五日でございます。したがいまして、昨年末におきましては、非常に米軍の国防費削減というようなことから、非常に短い期間の整理が行なわれたり何かいたしましたが、これらに対しまして、われわれといたしましては、整理通告をできるだけ前広に、いわゆる再就職の際の調整期間をなるべく長くするようにということを米側と折衝してまいりました。契約改定を目標にしていろいろ努力してまいったのでございまするが、米側といたしましても、契約改定は直ちに実施が困難であるというような実情から、本年の一月に当庁事務次官と米側参謀長との間で、今後整理する場合におきましては、事前の調整期間を極力九十日以上にするということについて了解せられたのでございます。したがいまして、原則といたしましては、これらの調整期間は九十日以上にするようになっておるのでございます。ただ、今回の整理にあたりましても、多数の者は九十日以上になっておりますが、やはり各般の米側の努力にかかわらず、ある程度の数の者が九十日未満ということになっておりまして、われわれといたしましては、今後できるだけ九十日以上の線にするように、実際面におきましても努力いたしますとともに、今後これらの問題についての契約改定について、なお米側とさらに折衝を続けて努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  297. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あと二、三聞いて終わりたいと思いますが、それは基地労務者の雇用の形態ですね。これはどういうぐあいになっておるのか、お伺いしたいんですが、これは防衛施設庁が雇用して、そうして職場は米軍基地である、こういうぐあいに聞いておるんですが、この雇用の具体的な関係というのはどういうぐあいになっておるのか。たとえば給料についてはどういうぐあいになっておるのか、そこら辺のところを具体的にお伺いしたいと思います。
  298. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 雇用主は名目的には防衛施設庁長官である私が雇用いたしておるということになっております。したがいまして、日米間におきまして、一般の労務者につきましては労務基本契約、それから諸機関従業員につきましては諸機関労務契約、それぞれの別のものがございますが、日米間に契約を結び、その契約の大体の内容に基づいて労務者の雇用をいたしておるわけでございます。それの給料等につきましては、従業員に対しましては日本政府が現地の各県に労務管理事務所というのがございまして、その労務管理事務所から給料を支払っておる。そうしてその金はどういうふうになりますかというと、特別会計かできております。特別調達資金という特別会計かございまして、その会計の中へ米軍からその金額を払い戻してもらう、戻入してもらうということになっております。したがいまして、実質的な給料の支払いは米側がいたす、給料だけでなく諸手当もすべてでございますが、あとからレイムバースを受けるというふうになっている次第でございます。——特別会計と申しましたのはちょっと誤りで、特別資金でございます。
  299. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 暫時休憩いたします。   午後四時十三分休憩      —————・—————   午後四時三十八分開会
  300. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。中曽根防衛庁長官。
  301. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど矢山委員の御指摘の十字のマークについて、在日米軍指令部から回答がありましたので、御報告申し上げます。  結論は、あれは核防用の薬の置き場のしるしである。そういう回答であります。  まず、十字マークについては、米空軍の基準に基づく手続としてきめられたものであり、米本国のみならず、世界各地の米空軍基地内に置かれているものである。これは、緊急の医薬品の所在を示すためのものである。ケアはメディカル・ケアを意味する。バディーはバディー・システムのことであり、戦友同士で救護し合うことを意味する。したがって、バディー・ケアは、バディー・システムによる救護所の所在を示すものである。いずれにせよ、核兵器は日本には存在しない。こういう回答でございます。
  302. 矢山有作

    ○矢山有作君 委員長……。
  303. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) それでは、簡単に願います。
  304. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは長官、どういう方法で調査されましたか。
  305. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 米軍司令部へ電話で照会いたしまして、向こうから正式の回答としてあったものであります。
  306. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は、電話で米軍司令部に聞かれるのが、あなたの調査だということだろうとは思っておりました。そんなことをすれば、それは向こうは、核があるとは言わぬですよ。それは単なる、核に対する、災害のあったときに注意せいというような調子くらいなもので、それくらいな答弁が関の山ですよ。  だから私は、問題は、百五十数個の核が保管されておるという内容を持った記録が、九百二十六号倉庫といいましたかね、その中に保管されておると、昨年の春ごろ保管されておるという事実は、確実に私どもはその情報を持っているから、もしあなたが本格的に調査しようというなら、この重大な問題を九百二十六号倉庫へ行って見せろと、その記録を、それでなければ国民は信用しませんよ。そこまで調査をするのが調査であって、電話一本で核はどうでございますか、核ありません、そうですか、じゃあこのとおり報告します、これは調査のうちに入りません。私はそれは調査とは受け取りません。私は明白に核を保管されておるという、九百二十六号倉庫に保管されている、そこまで言っているのですから、調査というなら、あなたがそこ京で出向いて行って調査をすべきなんです。
  307. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまの矢山委員の御指摘の倉庫については、引き続いて調査をいたしてまいります。
  308. 片山武夫

    ○片山武夫君 私は、防衛庁設置法の審議にあたりまして、この内容も多少四次防計画に関係がある、こういう立場で、四次防計画の構想について少し質問をしたいと思います。いままでたいへん長時間にわたって各党から質問がございました。したがって、重複する点も多少あるかと思いますけれども、御承知のように、わが党は防衛措置を認めるという立場にありますし、したがって、よりいわゆるこの防衛問題については重要な関心を持っております。これは私は私なりの立場で理解をしていきたい、こういう意味に立って質問をしていきたい、かように考えておりますので、御了承願いたい。冒頭にお断わり申し上げておきたいと思います。  きょうまでの質問の中で、長官の御答弁、その中に四次防計画については四十六年八月ごろまでに閣議にはかりたい、こういう計画が報告されております。現在その基本方針についていろいろ構想を練っているんだということも言われました。その中で特に四次防というよりは、むしろ新防衛体制計画を樹立したいという構想も漏らされております。また、うわさによれば、四次防計画構想は当初と少し変更があったというようなこともうわさされておりますが、その辺の事情について詳しく御説明をお願いしたいと思うのであります。これは変更があったらあった、なかったらなかった、もしあったとしたら、どういう点に変更があったかということをひとつお知らせ願いたい。
  309. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 次の防衛計画に関する順序につきましては、いま片山さん御指摘のとおりでございまして、来年の夏に閣議決定、国防会議の決定に持ってまいりたいと思っておりまして、その前に、この秋に防衛庁としての案をまとめたいと思います。  それから内容でございますが、これは現在いまいろいろ検討中でございまして、三次防との相違というものは多少出てくるように思うんです。どういう点が違うかと、こう言われますと、一つは、次の防衛計画になりますと、国防の基本方針がいままでどおりでいいかどうか、その点の問題がございます。これらはいずれ国防会議においていろいろ御検討願うことになると思いますが、その国防会議の御検討の結果、その基準が少し変わってくるということになれば、その運用や基準が多少変わってまいります。たとえば、先ほど申し上げましたように国力、国情に応じ自衛力を漸増的に効率的に整備する。国力、国情という面がそのままでいいかどうかという点、他の国策とのバランス、そういう問題がございます。  それから、いままでは外敵の侵入に対しては安保条約を基調として対処する、これはアメリカに頼むというように一言で言えば受け取られます。それをみずから守る、安保条約は補完に使う。そういうふうになりますと、そういう運用において変わってくるだろうと思います。そういう観点のほかに、私の考えでは、やはり空、海にもう少し力を入れる必要がある。それから、人員を募集するという問題が非常に大きな問題として登場してまいりますし、その面から待遇その他についても改革が必要じゃないか、あるいは装備の国産化という問題もございます。そういうような問題を踏まえまして、新しい防衛計画を策定中でございますので、そういう点には、いままで考えられていた三次防と若干変わった要素が付加される、かように考えます。
  310. 片山武夫

    ○片山武夫君 続いて、今日まで質問されて答弁された中で、ちょっと疑問の点がありますのでお伺いしたいと思いますが、第四次防基本構想の中で考えられている、いわゆる現在の国際情勢あるいは国の状態、そういうことから判断して、直接侵略と間接侵略が考えられるけれども、特に間接的侵略というものを重点的に考えなければならない状態だという御答弁がされておりますけれども、それと、いま言った海、空に重点を置いたほうがいいのじゃないかという構想とは、何か矛盾を感ずるように思うのです。これについて長官は、すでに陸上においては十八万体制が確立されたのだから、したがって、これはこれでよろしいのだ。こういう見解に立っておられるように思いますが、その辺のところはどう理解したらいいのか、重ねてお伺いしたいと思います。
  311. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私が申し上げましたのは、間接侵略がわりあいに等閑視されていた、直接侵略の比重に対して間接侵略を考える比重が少なかった。それをある程度修正をするという意味でありまして、そのために直接侵略はいれないとか、考えないという意味ではないのであります。いままでよりももう少し間接侵略というものにウエートを置いて考える必要があるという意味なのでありまして、直接侵略に対する対策も依然として考えていく必要がある、そういうように考えておるわけであります。
  312. 片山武夫

    ○片山武夫君 そこで、重ねてお伺いしたいわけでありますが、いま言われましたように、いわゆる間接侵略というものも相当ウエートを置いて考えていかなければならない。ここに三次防と四次防の構想の変化があるのだ、かように考えたいのであります。したがって、いわゆる陸上の十八万体制についてはさらに整備の必要があるのじゃないかと思いますが、今後の構想の中においては海、空に重点を置いた計画を進めていきたい、こう言われております。したがって、私は、ことばじりをとらえるわけじゃありませんが、その辺に多少矛盾を感じますので、もう少し具体的にお聞きしたい、かように考えております。
  313. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 陸上自衛隊につきましては、人間の点はこの点で足踏み、そのほかに装備において機動力をもっと増す必要があると思います。それから火力等においても、もう少し増す必要があると思います。そういうような点について、陸上自衛隊につきましても整備を要する部面がまだ多々ございますが、いままでの陸、海、空という比重から見ますと、陸よりも海、空に少し重点を入れかえていく、そういう方針をとってまいりたいと思うわけでございます。
  314. 片山武夫

    ○片山武夫君 これは長官のお考えはわからぬではないのですが、やはり私は依然として疑問があるわけでございます。これは、ことばの上では一応わかったとしても、実際これから計画を立てていく考えの基礎になる考え方ですね、これに多少矛盾があるのじゃないか、かように感ずるわけですが、これは考え方の相違だと思いますので、この点で打ち切っておきたいと思います。特に三次防が今日まで、はたして計画どおりに進行しているかどうか、こういう点についてはいままでも質問がありましたから、これについては私は再度質問をすることを避けていきたいと思いますけれども、いまも指摘されましたように、陸上自衛隊のいわゆる省力化、機械化、こういうものを進めていく、このこと自体が四次防の計画の中に入っていくのか、あるいは三次防の終了する段階で一応整備されていくのか、この点について少しお伺いしたいと思うんです。
  315. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 陸上自衛隊の省力化、機械化は三次防にもございます。三次防から次の防衛計画について引き続いてそれは継承されて進められるべきものであると思っております。
  316. 片山武夫

    ○片山武夫君 特にこの中でいろいろ心配されている面は、いわゆる人員の確保の問題、これについては、これは基本的に重要な問題がありますけれども、これを論争していると日が暮れてしまうかと思いますのでやめますけれども、これはいわゆる国論の統一、こういうところに問題をしぼっていかないと、この人員の充足は非常に私はむずかしい問題、ここに根本的な問題があろうかと思います。したがって、これについては政府は一番責任を持っていると私は思われるわけであります。国論を統一する方法として、一体どのような具体的な方策があるか、その辺のお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  317. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その点は全く同感でございまして、自衛隊あるいは防衛というものに対する国民的な合意をできるだけ拡大してつくっていきたい、そうしてわれわれの立場からいたしますと、国を守るという一つの使命感を日本の青年たちが分け合うようにいたしたい、そういうように念願をしております。しかしそういうふうに持っていくためには、国民に直接呼びかけ、われわれとしても一生懸命努力することも大事でありますが、日本の有力政党間においてそういう合意をつくっていくように努力することも非常に大事であると思います。私はそういう点から、きのうの上田委員の御議論を非常に傾聴したわけでございますけれども、われわれ自民党としても、この一九七〇年代の変化の時代に、いたずらに旧套を墨守することなく、客観情勢の変化に柔軟に反応していけるような弾力性をもって進めなければならない、そのように思います。
  318. 片山武夫

    ○片山武夫君 もう一つの問題としては、先ほど長官も触れられておったように、四次防の中ではいわゆる隊員の待遇の改善、こういうことをやはり考えていかねばならぬというふうに言っておられましたが、具体的にはどのような方法を考えておられますか。
  319. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 一つは端的に由し上げると給与の問題があると思います。現在の自衛官の給与と警察官の給与あるいは警視庁の機動部隊の給与等を見ますと、私は事実上において差がかなりあるように思います。これは身体を拘束されている時間の長さ等も考えてみますと、かなりの差が出てくるように思います。それから居住性におきまして、まだまだ足りません。それからやはり、何と申しますか、社会的な待遇と申しますか、受け取られ方というものも非常に大事であると思うんです。社会の方々が自衛官に対して御苦労さんとみんなが言ってくださるような、そういう空気を醸成していくということも、人間が励みを持つために非常に大事な要素でもあるように思うんです。そういう諸般の点について改正を要しますし、それから、これはきのうもちょっと申し上げましたけれども、自衛隊に入った場合のメリットの問題、これも考える必要がある。実際問題として考えますと、数年のうちに、曹の停年を若干延長いたしましたが、五十歳で停年満期になる曹が毎年毎年相当出てくる。その人たちの就職の問題もいまから考えてやらなきゃならぬという問題があるわけでございます。そういうことに頭をいためておりまして、そういう将来性についても、要するにみんな人生計画を持って若い者はおるわけでございますから、その人生計画の中に、自衛隊というものをどういうふうに当てはめていくかと、そういうわりあいに深みを持ったいろんな諸般の政策を持ちませんと、現代の青年はなかなか入ってまいりません。そういう点について改革をしていかなけりゃならぬと思うわけでございます。
  320. 片山武夫

    ○片山武夫君 続いて、国防会議の問題について少し質問をしたいと思います。  防衛庁設置法の六十二条、六十三条ですか、ここに国防会議の設置がきめられております。その目的は、五項目にわたって、抽象的ではありますけれども、審議すべき項目が掲げられておりますけれども、非常にこれは抽象的であると私は思います。したがって、たとえば第一項の「国防の基本方針」、この基本方針の中にはどういうものがあるかということについて、何か規定みたいな本のがあるのかどうか、この点ひとつお伺いしたいと思います。できれば一項、二項、三項、四項、五項、この五項目にわたって、内規的な、あるいは申し合わせ的なものがもしあったらお知らせをいただきたいと思います。
  321. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国防の基本方針につきましては、昭和三十二年にできたものがございまして、それがもはや検討の段階に入ったと、そういうことを申し上げているのであります。そのほか、防衛計画の大綱、調整計画の大綱、防衛出動の可否、その他の事項等々ございます。  国防会議がこういうものをどういうふうに処理していくかということは、私よくまだ知悉いたしませんが、この内規その他につきましては、いまのところまだよく承知いたしませんので、もし御必要ならばあとで報告いたしたいと思います。
  322. 片山武夫

    ○片山武夫君 これは先ほども質問があったように、この国防会議軽視の傾向があるんではないか、こういうふうに実は私考えて御質問申し上げておる。いま言われたように長官は一これは関係者としては最大の責任のある方だと思うのであります。その方が、一体どういうものが国防会議にかけられなければならないかという範囲を心得ていないというのは、非常に残念だと思うのであります。  それはそれとして、先に進みたいと思います。これは、いつか総理にも質問したことがあるのですけれども、国防会議はそうしばしば持たなくても、現在までにいわゆる国防会議議員懇談会ですか、こういうものがしばしば持たれておるので、大体そこで十分国防会議を持たなくても、防衛の基本方針を決定するにあたって差しつかえはないんだと、こういったような答弁をされたことがございます。先ほども長官がお答えになりましたように、国防会議は、十四年間たっておりますけれども、回数は何回でしたか——十六回、大体年に一回ぐらいの割合で開かれたというふうに言われておりますけれども、しかし懇談会のほうは四十四回、非常に回数が多く持たれております。いわゆる議員懇談会と国防会議、この位置づけをどちらを重く見ておられるか。これは総理にお聞きしなければならない問題だと思うんでありますけれども、これは当の運営上の問題として、ひとつ長官の見解を一応承っておきたいと思います。
  323. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 法的には全部これは国防会議なのであります。それを便宜、大体ものを決定するときは国防会議という名前をいい、相談をするときは懇談会と、そういうふうに取り扱いをしているので、全部これは国防会議ということである。そういうふうにいままでの取り扱いをやっておりますが、今後われわれも、できるだけ国防会議ないし懇談会を開きまして、意思疎通を綿密にしていきたいと思っております。
  324. 片山武夫

    ○片山武夫君 また疑問が起きてきたわけなんですけれども、国防会議には大体総理はじめ外務、大蔵、防衛、企画庁長官、これは一応規定されておりますね。しかし議員懇談会にはより以上の閣僚が入った懇談会が持たれているように聞いております。規模からいうと、この懇談会のほうが何か上位のような気もします。これは何もきまったものではないわけでありますが、一体閣内ではどのようなこれの位置づけをしておられるかということになります。したがって、いまこれは国防会議なんだよと簡単におっしゃられるけれども、なぜ国防会議というものがありながら、規模を大きくした懇談会を持つ必要があるのか、こういうようなことにもなるわけであります。その辺の事情を長官の見解としてひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  325. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 正式に決定する場合には、正規の構成員で国防会議として決定をいたしますが、一応国防会議として呼んだ場合でも、たとえば科学技術の問題等については科学技術庁長官を呼ぶとか、そういうふうにして適宜閣僚等を呼んで意見も聞いたりしてやっておるのだろうと思うのです。その運用のしかたは、私はわりあい弾力性があっていいのではないかと思います。
  326. 片山武夫

    ○片山武夫君 これは便宜的な方法として理解はできないわけではないのですけれども、国防会議としての一つの機関があるわけでありますし、そういう意味からいうと、何かこの国防会議軽視の傾向があらわれているように思うのであります。そこで先ほども御質問したわけなんですけれども、いわゆる国防の基本方針とか防衛計画の大綱とかという範囲が、それぞれあるわけだと思うのであります。そこでこのこまかいことについては、いま御答弁の必要はありませんけれども、国防上の問題として、当面問題になった沖縄返還に伴うところの米軍基地の取り扱いや、あるいは防衛上のこちらの処置、あるいはまた核防条約締結による国防上の関係、あるいは安全保障条約の中の極東条項あるいは事前協議条項、こういうものの取り扱いいかんによって、これは国防上に非常に大きな関係が私は生じてくると思うのでありますけれども、これはいわゆる国防会議にかけるべき重要な事項だと思うのでありますけれども、これはかかっておるかどうか、この点ひとつお伺いしたいと思います。  いま一つお伺いしたいわけでありますが、これは先ほど御答弁がありましたので、これは答弁は要らないわけでありますが、四次防計画については、あなたは国防会議にかける、これははっきりおっしゃっておられますので、これはまあいいとして、その他の問題について御答弁をいただきたいと思います。
  327. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国防会議ないし国防会議懇談会を開きますときに、大体情勢報告というような中で、いままでの経過や、そういうその間における重要問題等については報告がなされているだろうと思います。ただ、アメリカの国家安全保障会議みたいに、重要政策をやる前に、総理大臣がすぐに全部呼んでやるというようなことは、いままで日本の例にあまりございません。これは議院内閣制の国と、それから大統領制の国との差で、議院内閣制の国にあっては、やはり内閣が国会に対して責任を負っておりますから、内閣はそういう問題はてきぱきと片づけて、したがって、閣議でそういう問題はありますけれども、国防会議は総理大臣の諮問機関という地位にございますので、その点では少し内閣よりも関連度が薄い、そういうように考えられると思います。しかし、この現下のいろいろな情勢を見ますと、七〇年代というのは非常に変化と流動性の時代でございまして、国防会議もできるだけひんぱんに開いて、常時打ち合わせを行なうべき必要があるように思います。
  328. 片山武夫

    ○片山武夫君 質問に対して具体的な御答弁がなかったようでありますが、いま言われましたように、最終決定は閣議でやるということは、これはわれわれも承知しております。したがって、国防会議で決定したものは閣議にかけられて最終決定を見るんだと、閣議にかけられる手続として国防会議というものは私はあるんだと、かように理解しておるのですね。それがいわゆる閣僚懇談会ですか、あるいは閣議という形で、この問題が国防会議を素通りしていってしまうということは、法の精神に照らして正しいか正しくないか、こういう問題があろうかと思います。しかし、それは、いや、われわれ閣僚がきめていくんだから、そんなに心配することはないのだと言ってしまえば、私はそれまでだと思うのですけれども、法の精神はそうではないのじゃないか、かように考えられます。いかがでしょうか。
  329. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まさに同感でございます。
  330. 片山武夫

    ○片山武夫君 同感だけでは困るわけでありまして、今後十分ひとつ御考慮を願いたい、かように考えておるわけであります。先ほどの結局、数項目をあげました問題については、これは国防会議を経由せずして閣議にはかって態度がきまったと、こういうように理解してよろしいですか。
  331. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国防会議の法律にある部分については、これはみな手続を経ていままではやっております。
  332. 片山武夫

    ○片山武夫君 御答弁が先走っているようですけれども、先ほど指摘しましたように、いわゆる沖縄返還に伴うこれからの沖縄の合意に関する問題、米軍基地の関係もあろうかと思います。そういったような問題については、どう扱われたか、あるいはまた安全保障条約は、これは自動継続という態度がきまっているようでありますが、その中におけるところの沖縄返還期におけるところの極東のいわゆる極東条項、事前協議条項があるわけです。これもやはり国防に非常に大きな関係を持つわけであります。その取り扱いについて、こういう問題は国防会議の議題になったかどうか、これはですね、私申し上げるのを忘れましたが、国防会議の中における審議の内容、これはマル秘になっているのですね。秘密を守れということになっているのですね。だとすると、これは何も言えぬということになるかと思うのですけれども、その辺のところはどういう関係にあるか、ひとつ。
  333. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 沖縄問題につきましては、昨年総理が渡米する前に、国防会議議員懇談会を開催して、沖縄に関する諸般の問題の討議をやっております。それから安保の問題、自動継続の問題とか、それから次に出てくる防衛計画の問題とか、そういう問題につきましては、おそらくその前に国防会議を開いていろいろと討議をすべき問題であるだろうと思いますが、そういう段取りに至るのではないかと思います。
  334. 片山武夫

    ○片山武夫君 問題は、この国防会議が設置された根本の理由はシビリアン・コントロール、これの実をあげるということで国防会議が設置されたのだというように聞いておりますけれども、いままでの経過をいろいろ聞いておりますと、この国防会議が軽視されているような傾向にあるので、この点はひとつ運営上十分に御配慮を願いたい、私は強く希望するものであります。  次に、御質問したいのは、いま日本の防衛、これは量から質に移行すべき段階にあるんだと私は思います。ところが、たしかこれは予算委員会のときか何かに大蔵大臣が、いわゆる安上がりの軍備、こういうような発言をされたことを私は聞いておるのですけれども、これは真意であったかどうかわかりませんですけれども、これは議事録を見ればわかると思いますが、そういった発言をされたことがあります。これは安保条約との関連において私は発言されたことだと思うのでありますけれども、そうなってくると、先ほど長官が言われたように質的にも充実していかなければならない、こういう重要な段階にあたって、これは非常に支障になる考え方じゃないかと思うのですが、長官はどうお考えになりますか。
  335. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣としましては、国費節約のために安上がりということばを使ったものと思いますが、われわれもむだをしようとは思いません。税金をむだ使いしないで、まことに効率のいい防衛力を整備する、そういう基本的考えに立って調整してまいりたいと思います。
  336. 片山武夫

    ○片山武夫君 重複を避けるために、飛び飛びな質問になってたいへん申しわけないのですが、いまの問題に関連しまして、現在自衛隊が陸、海、空、いわゆる縦割りの体制をとっておられる。したがって、総合的ないわゆる統括運営という点に難点があるやに聞いておりますけれども、これは長官は鋭敏な長官でありますから、そういうことがないようにお考えになっておられるかと思いますが、これは各国の例を見ても、いわゆる部隊編成については十分総合的な対策が立てられるような状態になっていると思いますが、その辺、わが国のいわゆる自衛隊の縦割り方式というものについて再検討の要があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  337. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その点は非常に重要な問題でありまして、確かに検討すべき課題でもあると思います。しかし、自衛隊をつくりますときに、旧陸海空が、星といかりでけんかいたしまして、それが国論の分裂をつくったり、非常に大きなマイナスを国政の上につくりましたが、それはアメリカでも現在まだそういう弊害があるようで、世界どの国にもあるようです。自衛隊法あるいは防衛庁設置法をつくりますときに、そういう点はかなり考慮いたしまして、防衛庁長官のもとに補佐機関としての内局を置いて、そしてまた防衛庁長官の麾下に統合幕僚会議を設置して、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を統合する、そういう形にして、そうしてその上に、内局の長官補佐のコースをたどってからすべてが調整されてくる、そういうシステムにしましたのは、やはり機能的統一ということを考えて実はやったのであります。そのほか、たとえば防大生を、昔は陸軍士官学校、海軍兵学校に分かれていたのを、いまはみんな同じ所に泊めまして、そしてある課程は一緒にやって、途中で陸、海、空に分かれていく、そういうふうにしまして、同じめしを食わしておるのも、やはり統合ということを考えてやっておるわけでございます。しかし、防衛戦略等を見ますと、これは陸、海、空は完全に協調して一体になってやらなきゃできないものでありまして、そういう意味の戦略的統合という面においてまだ十分ではないのじゃないかと私は反省しています。これは私みずからもう少し勉強して目を通してみたいと思っているところであります。しかし、現在の段階におきましては、これをにわかに改めるということはむしろロスのほうが大きい、そういうように思いまして、現状を基礎にしながら改革していこう、そういう考えでございます。
  338. 片山武夫

    ○片山武夫君 最後に一つお伺いしておきたいのですが、長官あるいは総理をはじめ言われておることですが、いわゆる自主防衛体制を確立していきたい、これが根本的な一つの方針であるやに聞いております。先ほども申し上げましたけれども、いわゆる直接侵略あるいは間接侵略、それから内乱、こういったような種類が幾つかあると思います。その内乱も独自の内乱といわゆる外敵の影響による内乱、こういったことが想定されておるのであります。これを論じていくと、これは非常に重要な問題になって、御答弁もできないような問題に波及する心配もありますので、この討論はやめたいと思いますが、それで、いわゆる自主防衛体制というのは、一体どういうものか、これを一応分析して考えてみますと、現在は安保体制を堅持する、こういう形になっておりまして、安保の関係が出てまいります。いわゆる日米の関係が出てまいります。特に核に対する抑止力、あるいは戦争抑止力という形で安保条約が締結されているということは、これは完全な自主防衛体制ではない。私はかように判断しております。  それから、もう一つ、再守防衛という基本的な態度を言われております。これは、いわゆるこの最終的な段階では、これは純粋な、いわゆる日本の自主防衛体制というのは、こういったいわゆる安保体制から脱却して、そうして安保条約がなくなったときに初めて自主自立のいわゆる防衛体制だということが言えるのではないかと存じますけれども、この考え方は誤っておりますか。
  339. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それも一つの御見識だと思います。フランスのドゴールなんかはそういう考えに近いと思います。しかし、われわれは、現在の世界情勢を見ておりまして、いかなる国といえども、単独で自分を防衛し切れる国はないと思います。たとえ米ソであってもそうであるだろうと思います。そういう情勢で、結局集団保障という形で自国の防衛をみんながやってきているのが現実でございます。したがって、そういう割り引きされた防衛体系自体も、自主防衛と今日では認めていいのではないか。したがって、自主防衛というものは、必ずしも単独防衛ではない、集団保障体系をとることも、主体的にそれがとられ、かつ運用されれば、自主防衛として成り立つ、成り立たない場合もありますけれども、その力によっては成り立つ、そういうふうにわれわれは解釈いたします。それで、日本はアメリカとの安全保障条約という形によって、それをひとつの属性としながらも、自主防衛体制をさらに前進していきたい、国力の整備に応じて、また国内の諸般の情勢の発展に応じて前進していきたい。安保条約の改定の歴史を考えてみますと、そういう日本人の努力の足跡がうかがえると思うのであります。で、七〇年代はいろいろの変化の多い、柔軟な対応を必要とする時代であります。そういうやはり観点に立って、安保をいままで改正してきた、その延長線上において、われわれは主体的努力をさらに継続していきたいと考えておる次第であります。
  340. 片山武夫

    ○片山武夫君 私も集団保障、これは否定するものではありませんし、そのために国連の強化ということも考えられると思うのであります。そこで、私はいま一番心配しておりますのは、いわゆる外敵による侵略、あるいは間接侵略、あるいは内乱、こういったようなことが一応想定されるとするならば、一番問題になるのは、いまアメリカの基地の問題が国内問題として一番大きな問題になりますし、将来これがどういうふうに、日本の防衛の目的を達成するために、いろいろ問題が私は起きてくるかと思うのであります。これは将来の問題として、十分にそれに対処するだけの体制というものは、これはぜひ立てて置かなければ、日本の防衛というものは根底から私はくつがえっていくと思う。特に内乱であるとか、間接的な侵略であるとか、そういう問題を考えたときに、このアメリカの基地がどういう作用をするかということは、これは将来に向かって非常な私は大きな問題だと思うので、今後それに対しては十分なひとつの対策をぜひ考えておいていただきたい。いますぐでないが、考えておいていただきたいという御注文を申し上げまして、私質問を終わります。
  341. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間が非常に制限されており、あっさり質問をしなければなりませんので、簡単明瞭な答弁をしてほしいと思います。  いま自主防衛の問題が問題になりましたが、私は、この問題を米軍の基地の問題、並びに自主情報の問題、あるいは安保条約、地位協定、日米合意書、このような問題と関連さして、時間の許す範囲内で質問したいと思う。  その前に、この前、防衛庁長官の「これからの日本の防衛」というものを予算委員会でもらいました。検討したのですが、その中で、この基地の問題、「米軍基地を協議の上徐々に自衛隊の自主管理に移し、現在の米軍基地に日の丸を揚げ、それらの基地司令には日本人である自衛官がなるようにしたい。」、こういうことを述べているわけです。そこで私は、そういう中に当然これは協議委員会で今後も継続してこの交渉がなされると思うのでありますが、そういう中で基本問題として、この基地の自主管理あるいは返還、こういうような問題を決定するためには、第一にアメリカの極東戦略との関係、こういうものをこれは考慮せざるを得ないだろう。第二には、日米共同作戦体制、こういうものとの関連、こういうものをこれは検討しなければならぬ。こういうふうに思うわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  342. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 米軍の動向というものは、やはりわれわれが防衛問題を考える上には非常に重要なファクターの一つであると考えます。
  343. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは次にお聞きしますが、次のような非常に基幹的な在日米軍の基地、つまり横田、三沢、岩国、厚木、横須賀、佐世保、こういうような非常にいわば米軍にとっても基幹的な基地ですね。こういうものは一体対象になるのか、ならないのか、この点をまず伺います。
  344. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 政府委員をして答弁せしめます。
  345. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 米軍基地を自衛隊が維持管理していくという対象といたしまして、各種の基地について考えられるわけでございますが、これらの基地につきましても、将来の状況の推移によってこういう問題も考えられないことはないというふうに考えておる次第でございます。
  346. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあどちらかといえば政策の問題ですね。ですから、これは施設庁の長官の見解じゃない、ことに、まあ日米安保協議委員会のメンバーですからね、防衛庁長官は、そういう点からこれはどう考えますか。
  347. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いま御指摘がありました横田、三沢、岩国、厚木、横須賀、佐世保基地というものは、アメリカにとりましては相当重要な基地であると私は想像いたします。したがって、一部は別といたしまして、これらの基地を全面的に返還するということは困難ではないか、目下のところそのように考えます。
  348. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの自主防衛という立場からいうと、先ほども指摘されたようにナショナリズムをここで非常に奨励するようなそういう口調が非常に出ているわけです。そういう中で、たとえば、先ほどの文書によりますというと、こう言っておりますね。「たとえば横須賀地区についてみても現在海上自衛隊は旧倉庫地区である田浦地区を使用しており、旧鎮守府のあった主要施設は依然アメリカが管理しているがこれでは自主防衛はできない。」、こう言っておるのですね。この当然の立場からいえば、いまのような答弁は私は出てこないんじゃないかと思うんです。こういう問題に迫るのですか、迫らないのですか。はっきりこれは協議の対象に少なくともするのか、しないのか。
  349. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 協議の対象にいたします。私が申し上げましたのは、全面的返還はむずかしい、それはお互いに使い分けをするという方向で、そういう努力をしてみたいと、こういう考えを持っているんでございます。
  350. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは将来全面返還を目ざして相談と考えていいですか。
  351. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは国際情勢、そのほかアメリカ側の考え等もよく聞いた上で、慎重に考えなければならぬと思います。
  352. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは具体的にお聞きします。  横田の基地は、これは現在どういうことになっておりますか。拡張計画はどうなっておるのか。それから現在の面積、施設はどう。それから四十二年度からすでに拡張が始まっておると思うのでありますが、この概略でいいですから、もう詳細にやっていると時間がありませんから、さらにこの拡張の目的は何なのか。滑走路が三千メートルからさらに南北に千八百メートルくらい延長される計画があると聞いていますが、これはどうなのか、この現状についてお聞きします。
  353. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 横田の基地につきましては、現在滑走路の拡張計画というものは私どもは承知いたしておりません。安全地帯のために一部提供した地域はございます。しかしながら、横田の基地の拡張、いわゆるランウエーを延長するというような意味の拡張は承知いたしておりません。現在の……。
  354. 岩間正男

    ○岩間正男君 もういいです。承知していませんというのじゃしょうがない。  それでいいですか、防衛庁長官、さっき答弁の中でこう言ったでしょう。日本の国土は日本の主権下にあると言った。この主権下にある基地の状態を、いまのような施設庁長官が答弁をしておっていいのですか、これはとんでもない話だ。あなた行って見ましたか、われわれ行って見ているのです。
  355. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 拡張計画ということは、われわれのほうとしては承知していない、そういうのが現状であると思います。
  356. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは四十二年あたりから拡張されている実態を御存じないですか。たとえば拝島のあそこの堀向という町があります。この町はこれは五百戸くらいのところでありますけれども、ほとんどもうゴボウ抜きになっている。そうして最初は、これはふろ屋とか医者とか床屋とか、そういう生活上欠くことのできないところを先に移転さしてしまって、だんだんそこに居つくことが困難なようなかっこうになって、そうして結局はそこのところをこれは取り上げる、そういうことをやっておって、そうしてこれは拡張計画がないとか言っていますけれども、どうなんですか、やっているじゃないですか。現に一つの部落がほとんどこれは全滅になっているじゃないですか。
  357. 山上信重

    政府委員(山上信重君) ただいま御説明のございました部分につきましては、これはいわゆる集団移転ということで、住民の希望によりまして、滑走路の延長の五百メートルもしくは千メートルの区域内のものについて、住民の方々の希望がある場合には、住宅もしくはそこの住宅の中に住む方々の農地の移転について補助をする、助成をするということになっておりますので、いわゆる集団移転である、希望によって移転をしておるというのが、そういった大きな移動になっておるということでございます。
  358. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛庁長官、ここに反対同盟があるのですよ、これを聞いてごらんなさい、いまのようなことを言ったらおこりますよ。そうじゃないのです。それはいろいろと背後から策謀されていますよ。さっき言ったように、床屋とかふろ屋とか、こういうところが先に移って、生活ができないようなかっこうでどんどんくずしていく、だから東京には基地が拡張されてない、縮小されていると言いますが、一番基幹的なアメリカの核戦略には絶対欠くことのできない、返還できないところは、逆にこのように拡張され、強化されているのです。これが実態じゃないですか、これが実態でしょう。  それで、私は次にお聞きしますけれども、大体横田基地というのは、アメリカの極東核戦略の中ではどういう一体位置を占めるのですか。これはどういう系統になっていますか。たとえば太平洋空軍、これはハワイにありますね。ここらの系統では、どういう形でこれは横田の基地というのはあるのか。単にこれは日本にある米軍の基地という単独なものじゃない。アメリカの全極東戦略の上の一環として、はっきりこれは日本にあるわけだ。こういう構造的なものは明確にしなければ、この問題は私は明確にならぬと思うんです。この点どうですか、どのような基地なのか、横田の基地というのは。
  359. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 横田にはF4ファントム三個飛行隊、偵察一個飛行隊を中核とする戦術戦闘航空団を駐留させて、日本における空軍抑止力の主体になっているほか、輸送センターとなっております。
  360. 岩間正男

    ○岩間正男君 この系統をここで明らかにすることは非常に重要だと思うんですが、どうです。米軍のこのこういうなにがあるでしょう、機構のなにが。こういう点から系統的に言えますか。
  361. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカの太平洋空軍のもとに、第五空軍というものが極東に展開しておりますが、その第五空軍の麾下に横田は所属している、そういう関係でございます。
  362. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはわれわれの聞いた点で、これは確かめて間違いがあったら正していただきたいんですが、まず第一に、太平洋空軍、ハワイの太平洋空軍、それは太平洋地区空軍保安司令部、これもハワイにあります。それから三沢の六九二一保安連隊がその下部機構になり、さらに六九八八保安中隊が横田、こういうふうになっているでしょう。第二には太平洋空軍ハワイの太平洋空軍、さらに太平洋空軍につながる太平洋空軍空輸局。そしてそれが今度は立川、これは空輸中隊、こういうふうになる。それからさらに太平洋空軍は第五空軍につながる。これは府中にある第五空軍。そうしてそれがさらに第三四七戦術戦闘機連隊、これは横田にある。第六五軍事空輸大隊、これは横田にある。  以上、戦術戦闘隊、軍事空輸隊、保安隊、このような重要な極東核戦略の中での位置を占めておるんだというこの横田です。これを明確にしなければ、私はいま置かれているこの首都の中の最も重要な横田基地の正体というものはわからないと思うんですね。これはどうですか、私がいまあげましたことは間違っておりますか。
  363. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) お話しのような指揮系統になっていると思います。
  364. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛局長からの答弁によりますように、まさにそのようなものです。だからわれわれは背景を明らかにすることは必要だ。横田の基地だけここで見ておって、全体系の中における横田の役割りは一体何なのか、そういう点が非常に重要だと思います。こういう中で私はなぜ拡大されておるのか。これを先ほど私はお聞きしました。ことに日米共同声明以後の体制、ニクソンのグアムドクトリン、こういうものとの関連においてこれは考えなけりゃならない。核戦略体制の中で横田の果たしている任務というのは、非常にこれは拡大され、特にC5Aというものが入ってくるということがもっぱらうわさされているわけであります。こういう点を明確にして、この上に立って国に対する国民のコンセンサスを明確に聞いてみるということでなきゃならぬだろうと思う。これはどうなんです。よく国民のコンセンサスと防衛庁長官言われます。自動車の運転手からお手伝いさんまで防衛力を明らかにするのだと、こういうことを言っていますが、こういうことを明らかにしないでおいて、どんなにPRばかりやったって、いいところばかりやってもだめです。この前は女優さんと何か対談されたでしょう。いかにもあれ見ているというと、何か自衛隊が楽しいものだというような、そういうかっこうになるんでありますが、その陰には、きれいな花の陰にはまさにおそろしいイバラがあるということになるのですよ。あなたの言い分を借りればそういうことになると思う。どうですか、この点はっきりさせる必要がある。  第二に、それじゃ三沢基地を聞いてみましょう。三沢基地については、先ほど矢山委員から質問がありました。核があるかどうか、これは論争の中心になり、週刊朝日がこれは相当なスペースを使って明らかにしたところでありますから十分になにしております。三沢の基地はどうなっておりますか。施設庁長官にこれはお伺いします。
  365. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 三沢の基地につきましては、いわゆるF4Dを中核とするところの戦闘機中隊並びに偵察中隊が所在しておるわけでございまして、この基地につきましては、現在三沢の面積は約千六百六万九千平方メートル、三沢飛行場につきましてはでございまして、そういった飛行部隊を中心にした施設でございます。
  366. 岩間正男

    ○岩間正男君 基地はなるほど面積はふえていないようだが、しかし機能は非常に強化されているのじゃないですか。たとえばベトナム戦線から撤退した兵力は日本列島の北辺にそのまま投入されて、三沢は米軍の最前線基地として沖縄に次ぐ強力な空軍力を備えている。ここには戦術戦闘機F4D三中隊、先ほど問題になりました五十四機がいる。それから昨年の十二月、これまでのF4Cにとってかわったばかりの火器の能力の正確度、それをささえる火器管制装置の電子回路系統が大幅に改良され、明らかに性能アップがされておる。そうしてまたこういう中で核弾頭があるかないかということが非常にいま問題になっておる。私はお聞きしたいのですが、この三沢の米極東戦略の中における位置はどういうものか、これ系統について明らかにしてください。
  367. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 第五空軍に属します基地に三沢と横田がありますが、横田と並びまして三沢は、極東の平和と安全のための重要な空軍抑止力を形成している位置だと思います。
  368. 岩間正男

    ○岩間正男君 系統言ってください。ハワイの太平洋空軍、それにつながる太平洋地区空軍保安司令部、六九二一保安連隊、これが三沢にある。こういう意味では非常に重要な本土の中の米核戦略の中では動かすことのできないそういう基地である。これは兵力は増強されていないが、性能アップされておるということは先ほど述べたとおり。  それから最近あすこの軍人の数はふえているでしょう。これは軍人どうですか、この数は。これは施設庁なり外務省なりに報告はないのですか。アジア局長どうなんです。こういうものは一体報告ないことなんですか、通告は。日米合同委員会によればそういうわけにはいかぬと思うのだが、どうなんです。
  369. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 兵員は約四千七百名でございましたが、最近若干増員しているように聞いております。
  370. 岩間正男

    ○岩間正男君 若干というのはどのくらい。若干というのは日本語です。日本語というのは不便です。これは軍人が三千五十三人、軍属、家族が五千二百八十九人、その他戦闘機連隊、そういうものが入ってきて九千六百四十二人、一万人近い数になっておると聞いておる。これは基地縮小どころか基地拡大、機能の強化、こういうことは明確でございます。こういうことであります。岩国基地、米海兵隊岩国基地報道部、こういうところの発表によりますと——これは二月二十日でありますが、「ベトナムのチュライ基地から米海兵隊第十二飛行大隊(四個中隊編成)が岩国に移駐することになり、十九日までに同大隊第二百十一攻撃中隊の一部が移駐した」と、こういうふうに発表されておりますが、いまベトナムの撤兵、三回にわたって撤兵されたということになっておる。その行く先がこれは問題だと思うのです。この行く先はどうなんです。全部米本国に帰っておりますか。これは防衛庁長官でしょう。
  371. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 沖縄へ来ているのもございますし、それから沖縄から一部岩国に来ているのもあると思います。
  372. 岩間正男

    ○岩間正男君 この移動については、これは米軍から報告があると思うのですが、いかがでしょう。
  373. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 一々報告があるというわけではございませんが、たとえばいまの海兵隊の岩国及び沖縄の展開等、こういうことについては話はございます。
  374. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどうも地位協定が泣いているんじゃないですか。これは時間の関係からやりませんけれども、地位協定によりますと、通過する米軍について、これは把握されるわけでしょう。これは外務省、合同委員会分科委員会で少なくとも把握する努力をしなきゃならぬ。ところが、実際は全くこれは安保体制下において、これがもうどんどん通過しているというのが日本の姿です。ここに安保の実態があるんだから。安保条約そのものがほんとうにこれは完全に守られていないことを、われわれは委員会の中でいままで指摘をしてきた。これはどうです。非常にこれはこういう中で第三次撤兵に伴うもので、現在同基地には航空機が八十五機、兵員が五千三百五十人の大規模のものにこれはふえているんですね。これはアジアの戦略体制の中で、再びこれは出動する、そういう体制じゃないですか。これは撤退という考え方、撤退の姿というものはどういうことなんです。岩国ではとてもこれは撤退という形では考えられない。あそこにもちゃんと待機して、またにらましている、こういう形でやられている基地の姿というものを、ほんとうにこれは考えてみなきゃならぬと思うのです。この系統でやりますと、時間がかかるわけですが、次にこれは岩国はどういうことになります。米空軍の戦略のなにになるとどういうことになります。これはついでにやっておいてください。明らかにしてください。非常に重要だ。
  375. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 指揮系統のお話だと思いますが、岩国の部隊はアメリカの太平洋艦隊司令部がございますが、その指揮下に第七艦隊司令部がございます。その指揮下に第一海兵派遣部隊というのがありまして、それが岩国に展開をしております。具体的に申し上げますと、第一海兵航空団司令部と、さらに細分いたしますと、それが二つの航空団に分かれております。また艦隊航空団というのもあります。そういうふうな指揮系統になっております。
  376. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、横須賀基地について伺います。私たちこの前、横須賀を視察したのです、現状を。そうすると、泊浦ですね、あそこが埋め立てられているでしょう。これは施設庁、御存じでしょう。この実況についてここで報告してもらいたい。
  377. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 泊湾の埋め立てというのは、これは横浜にございますところの住宅を移転返還するために、現在当庁におきましてこの泊湾を埋め立てて、この地域に米軍家族住宅を建設いたしまして、そして横浜の現在市内にありますところの住宅を返還させよう、こういう計画で、当庁で埋め立てを実施しつつあるところでございます。
  378. 岩間正男

    ○岩間正男君 埋め立ての面積、すぱっと答えてください、時間がないから。
  379. 山上信重

    政府委員(山上信重君) ちょっと面積の詳細、後ほどお答えいたします。
  380. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく、あんたたちなにするようで悪いですけれどもね、私の立場を、苦衷を察していただいて、ここに追い込まれて質問をしているんですからね。われわれも三時間もこれは要求をした。それしかとることができなかった。こういうところに総理が来る、そういう限定された中でやっているんですから、これは論議をもっとほんとうはここで展開したいのですが、十分にいかないと、そういうことが起こると思います。そういうところはお互いに協力してやってください。論議はこれはどんどんやらなくちゃならない。
  381. 上田哲

    ○上田哲君 議事進行について。委員長は時間制限をしたんですか。岩間委員に対して時間制限をしたのですか。
  382. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 事前にちょっとお約束はしてあります。
  383. 岩間正男

    ○岩間正男君 めどでしょうね。そういうふうに予解をしております。
  384. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 制限ということじゃございません。
  385. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間制限ではありませんね、ありがとうございました。そういう形でやりたいと思います。  そこで、これは約三万坪でしょう。ところが丘を削っているので、実際には倍近い面積になると、こういうふうに現地の人は見ておる。現にわれわれは視察をしたのですが、この中まで入れなかった。高い所から展望して説明を聞いた。これはわが党の市会議員の案内によったものでありますから、市会で戦っている問題ですから、もっと具体的に明確になりました。  それで、ここに先ほどの米軍の住宅が移ってくる。この戸数もわれわれは四百二十六戸と聞いておりますが、こういう形で、ここは拡張はされていないけれども、これは何かというと、非常に集中化をやっているわけです。ばらばら離して置いたんでは機能的にうまくない。そこであそこの、先ほど長官の言う鎮守府のところに全部集中して、もっと高能率なそういう市街化をやっていく。だからあそこの通信の何なんか、ほんとうに横須賀に行くと鉄塔が無数に立っていたり、そういう形は、われわれは特に極東戦略の現場と感ずるわけですよ。あそこを歩いてみると、感覚のある者ならそういうことになるわけです。そういうような形でこれはやられておりますけれども。この横須賀は非常に重大な、アジアにおいて最も重要な、日本の本土の中で最も重要なこれは基地であるに違いない。したがって、この指揮系統はどういうふうになっておりますか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  386. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 太平洋艦隊司令部のもとに在日米海軍司令部がございまして、その下に横須賀の艦隊基地隊がございます。そういう指揮系統になっております。
  387. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 先ほどの面積、十一万四千平米でございます。
  388. 岩間正男

    ○岩間正男君 太平洋艦隊、これはハワイ。それから第七艦隊の旗艦がオクラホマシティ、それから第七機動技術部隊、第七巡洋駆逐戦隊、第七潜水艦部隊、これが横須賀に。それからまた太平洋——ハワイの太平洋艦隊、それが在日米海軍ということで、この司令部が御承知のように横須賀にある。そしてこの下に海軍艦船気象部隊が、在日海軍通信部隊、病院、こういうものが全部横須賀にある。さらに横須賀は御承知のようにアジア最大の艦船修理機能を持ったところである。そうすると、まさに横須賀なくして第七艦隊はこの機能の相当部分を失う。こういう状態に、これは戦略構想の中においてはっきり位置づけられておるわけです。この点はいかがですか。
  389. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 横須賀は修理能力その他から見ましても、アジアにおいては相当重要な海軍基地であるとアメリカは考えておると思います。太平洋を考えますと、ハワイに帰って修理する以外には、あとは横須賀か佐世保しかないだろう、そう言われております。
  390. 岩間正男

    ○岩間正男君 それならついでに佐世保、佐世保ではどうですか。こういうことが最近われわれの情報として言われたんですが、エンタープライズの接岸できる、そういうような形で増強されている。そして最近佐世保を訪れた米大型空母の飛行司令官が、秋までにエンタープライズの寄港を確信している、こう語っと言われておりますが、これはいかがでしょうか。こういう情報について防衛庁長官、いかがですか。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  391. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういう情報は知りません。
  392. 岩間正男

    ○岩間正男君 三月十五日だったかと思いますが、あなたは、外務と防衛庁の連絡の会議をいまやっておりますね、新聞の報ずるところによるというと、米軍のそういう構想ですね、戦略構想、それからアジアの情勢、そういうことについて語ったと書いてありますが、そういう中で、いまのようなことは情報としてはこないものなんですか。防衛庁長官というのはたな上げなんですか。
  393. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) エンタープライズの情報は知りません。
  394. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、これが実態でしような。日米共同作戦行動なんて言っているけれども、まあ必要な——たいしたところでないことは、これは日本の防衛庁長官に知らしておけ、ポラリスは絶対に知らさぬ、エンタープライズはこれはもうわからぬと、こういうところに置かれているんですね。そうして自主防衛でございますと。何のためです、自主防衛。戦略体制の中において、ワクの中における自主防衛でございます——これは先ほどもうずいぶん論証されたところだから、私は繰り返そうと思いません。しかし、以上あげた基幹的な重要なアメリカの核戦略体制の中におけるところの基地というものは、米軍は絶対いまのアジアの戦略を彼らが捨てない限りは放さないんじゃないかと思うんですがね。どうですか、これ。基地を確保し、さらにこれを拡張もしているし、機能アップをしている。そういう体制の中でいわゆる今度の基地という問題が扱われている。だから基地返還、基地返還、そうして百四十六の基地がなにされた、そういうことになっておりますが、そのうちの二十五は返ってなにだといって、きのうから当委員会でこれは報告をされました。しかし、この内容は何ですか。まず第一にはっきりしたいことは、今度の米軍基地というやつは、核戦略のために絶対に必要なこういうものは、拡張もしくは機能アップをしこそすれ絶対にこれは返さない、これがまず一つ明確。第二に、返されておるのは、これはまあ核戦略の中ではもうあんまり必要がない、むしろドル防衛の立場から返したほうがぐあいがいい、あるいは国民感情の立場から返したほうがいい。しかもなおこれに対して、返しておいても、いざというときは使えるというかっこうで、自衛隊管理という、そういう形をとってきているじゃないですか。  きのうの説明によりますというと——これはお聞きします。自衛隊に移管した、民間に移管した今度の二十五の基地におけるこのパーセンテージを述べてください。これは私が言うより、あなたのほうから言ってもらいたい。
  395. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 一昨年の日米安保協議委員会で、百五十二の施設が協議されました以後、合同委員会で合意されましたのが二十八で、返還実施されたものが二十六でございます。返還せられます二十六につきまして、自衛隊に移管になりましたもの、もとから自衛隊の施設でございましたものが自衛隊に戻ったというのが五つでございます。それから返還後、自衛隊の使うようになりましたのが五つでございまして、合わせて十でございます。その他の十六につきましては、これは民間もしくは自衛隊以外の使用に供せられる予定と承知いたしております。
  396. 岩間正男

    ○岩間正男君 面積を聞いている、面積を。もうさっきからそれを聞いています。
  397. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 面積は約六千万平方メートルのうち、自衛隊の使用部分は約九五%でございますが、これは先ほども御説明したと思いますが、もともと自衛隊分が多いということからでございます。
  398. 岩間正男

    ○岩間正男君 九五・五%は、これは自衛隊に戻されているのですね、これは。これは地位協定二条四項(b)によりますというと、ちゃんと返還協定があるわけです。この返還協定で、どういうことになっておりますか、防衛庁長官に伺いますが、これは防衛庁長官、知っていなければ、これが成り立たないんですよ。さっきのあれ、さっきのやつどういうことになりますか、返還協定があるんですけどね。そうでしょう。返還協定を、東富士だってこれは出しているわけです。この協定どうなんですか、御存じないですか。防衛庁長官御存じなければ困るな。
  399. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 返還協定と申しまする意味は、ちょっと不明確に感じまするが、返還される場合におきましては、もちろん返還の合意がなされます。その返還せられる場合に、単純な返還もございますれば、自衛隊への使用転換を前提とした返還もございます。いまお述べになりました東富士につきましては、返還後米側に使用せしめるということで使用転換の協定ができております。これは、自衛隊の管理に移すと同時に、米軍も自衛隊の使用条件とほぼ同じ条件で必要に応じて使う、こういうことの協定ができております。
  400. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、この前も実は委員会でやったことがございますから、あまり深追いしようと思いませんけれども、米軍がいつでも必要なとき、安保条約にきめられた、そういうあらゆる権利、権能というものが行使できるような、そういう形でのこれは協定なんです。そういうことになっているんです。結局は、ドル防衛の立場から、向こうは、これは自衛隊にやって管理させる、日の丸は立った。しかし、実際はいつでも米軍が使えるかっこうで、ここまでやはりどう欲にアメリカというものが支配しているんですね。わずかに四・五%が民間に返された。これは宣伝用、宣伝用、こういうかっこうで、一体、基地返還というものの正体というものを、核戦略体制の中ではっきり位置づけるということが、今日非常に私は重要だと思うんです。自主防衛、自主防衛と言っているけれども、この自主防衛の正体を具体的に、基地問題を、ほんとうに短い時間の中でいま二、三触れましたけれども、こういう中でこういう形がはっきり出てくる。この点を一体防衛庁長官どう踏まえて、どういうふうに一体これは対処しようと考えているのですか。あなたのPR誌によりますと、ちょっとこれはほんとうにだまされそうです。池内淳子さんとやっていますですからね。あれを見ますと、ちゃんとここにあるんです。そうでしょう。どうですか、あんた。そういうことです。ちょっとお伺いしたい。
  401. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本にはアメリカの核基地はございませんし、核兵器の持ち込みは断わっております。日本は日本の主体的立場において、固有の戦略体系をつくり、そしてアメリカのそういう防衛力をいかにしてうまく利用するか、相互調整して、お互いに活用していくかと、そういうことで安保条約ができておるのでございまして、われわれは、われわれの国益を基礎にして安保条約を運用していこうと、これが基本的な立場であります。
  402. 岩間正男

    ○岩間正男君 よくミイラ取りがミイラになるというけれども、利用しようと言って利用されている。そういう形のこの姿というものは、はっきり国民の前に、ほんとうに運転手さんからお手伝いさんまで、はっきりしなきゃだめですよね。そうでしょう。私は、これはまさに本土の沖縄化、これで全部と言わぬけれども、まさに本土の沖縄化が始まっている。この実態を明確にしなきゃならぬということです。今日、日米共同声明体制下の中で、このような実態がもうすでに始まっている。準備されつつある。そうして、いますぐに、これは昨年の十一月から始まったなどというものじゃない。相当こういう既成事実をつくって、その上に日米共同声明というものが乗っかっているという事実を明確にしなければならない。  第二の問題に移ります。自主防衛問題、この前、予算委員会でも防衛庁長官にお聞きをしたのですが、自主防衛は自主情報から、こういうことで盛んにこれはPRをされているようですね。小さい物音でも聞き分けることのできるウサギのような長い耳、こういうふうななかなか美文なんで、ちょっとほろりとさせられる。しかし、あなたははっきりこれは国会答弁の中で、米軍情報をたよっているだけでは心もとない。今後は自主情報の確立に努力するということを、この前私の質問に対しても答弁されたし、その他これは何回も国会答弁をされているんですがね。現在はこれは、第五空軍に空の情報というのはほとんど依存している。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 そうすると新たなここでうたっておられる情報を拡大するというやり方は、これは具体的にどういうことをされる。この自主情報のほんとうに強化拡大についてお伺いします。具体的にどういうことをされようとしているのか。
  403. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) たとえば事前協議の際にイエスとかノーとかということをきめるというのは非常に大きな問題ですが、そういう場合に、日本がみずから得ている情報で判断をしないと非常に間違いが起きるという危険性もあります。そういう面から国際情勢全般について、主体的な情報をできるだけ獲得しておこうというのが私の基礎観念にもあるわけであります。そういうわけで、一つとしては、在外勤務の自衛官、いわゆる武官という、これをもう少し拡充し、また活動を活発ならしめるということが必要であるだろうと思います。それから、内部におきましては、三自衛隊の内部にいろいろ情報関係のところがございますけれども、それが重複していたり錯雑していたり、総合して機能を発揮するという力がまだ足りないように思います。そういう部面において、必要な改変を加えるということも大事であるのではないかと思います。そういうような庁内的ないろいろな機構、人事、そういう面について改革を加えていきたい。そして一番大事なことは、情報の判定を行なうということでございますが、そういう点につきましても所要の改正を加えていきたいと思うわけでございます。
  404. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどうでしょう。たとえばレーダーサイトですね、これをふやすというのは全国に強化する。それから防衛駐在官ですね、これを増強して各国の情報をもっと豊かにする。こういうようなことが考えられておると聞いておりますが、こういうこともございますか。
  405. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) レーダーサイトは目下のところは計画はございません。防衛駐在官については、必要なところに逐次配置していきたいと思います。
  406. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在駐在武官ですね、防衛駐在官というのはどこどこに派遣されておりますか。アジア、極東、名前だけでいい。どうしようとしているか。
  407. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 国名をあげますと、米国、ソ連、それからイギリス、フランス、西ドイツ、トルコ、インド、タイ、南ベトナム、インドネシア、中華民国、韓国、今度の予算でビルマが増加になりました。以上でございます。
  408. 岩間正男

    ○岩間正男君 総員は。
  409. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 人数は十七名で、今度ふえまして十八名になる予定です。
  410. 岩間正男

    ○岩間正男君 自衛官としてはどれくらいの資格ですか。
  411. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 一佐クラスが原則でございます。一部二佐もございます。
  412. 岩間正男

    ○岩間正男君 どういうニュース系統をとりますか。情報のニュースですね。これは、大使のところに行くわけですか。大使館、それから外務省に入って防衛庁、そういうことになるわけですね。そういうことですか。
  413. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) さようでございます。
  414. 岩間正男

    ○岩間正男君 四次防で移動レーダーですね。それから空飛ぶレーダー機、こういうようなものを考えられておると言うんですが、その点いかがですか。
  415. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 次期防衛力整備計画では、警戒機としてお話しのようなものを検討いたしたいと思っております。
  416. 岩間正男

    ○岩間正男君 「よど」号で明らかになったことは、日本の空、韓国の空、沖縄の空、この極東の空、こういうところは第五空軍、その背後にある太平洋空軍の支配するものだということがはっきりしたことだ。そうして、これらの情報の中で、いまの日本の自主情報ということができますか。今度の日本のレーダーも、情報、朝鮮民主主義人民共和国あたりの情勢も相当入る性能もあるんだということを聞いていますけれども、しかし、識別圏を越えて、さらにこれはどこまで延ばすのか。これは公海、公空の問題、先ほど論議されました。そういうものとも関連して、自主防衛、自主情報のこの構想というものは、一体どういうことになるのか。この点お聞きしたいと思います。
  417. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) レーダーにつきましては、いまたしか二十四カ所ございますけれども、これは日本側が全部管理しておりまして、そうして日本側の得た情報をアメリカ側が受けている。そういうことで、むしろ主体性は日本側にあります。  それから防衛駐在官につきましては、先ほど申し上げましたように逐次強化してまいりたいと思いますし、一番大事なのは、いろんな出てきているデータあるいは調査資料というものが、いかに眼光紙背を徹して読まれるかということである。その読まれるかという点に関する整備の状況が、非常にまだ不徹底であるように思うのです。そういう点につきまして改革を加えていきたいと思います。
  418. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは専守防衛ということが盛んに言われておるのですが、この範囲と識別圏を越えて他国の状況をキャッチする、こういうものには限度があると思うんですが、九条との関係におきまして、これはどうなりますか、この点お伺いしたい。
  419. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 防空識別圏は領空侵犯の際の要撃をするために、国籍不明かどうかを識別するための……。
  420. 岩間正男

    ○岩間正男君 越えていくでしょう。越えていって、そこまで知らなきゃならぬというのが今度の情報のあれでしょう。識別圏の中だけじゃ足らぬと、そこまでじゃ、そうなったらどうですかと言うのです。どんどんアジアのほう、ずいぶん遠距離まで伸びていく。そうでしょう。そうでなければあまり意味がない。
  421. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) レーダーの機能はなるべく遠くに届くほうが防空のためにはよろしいと思います。したがって、現在持っておりますレーダーは三次元レーダーに変えまして、なるべく遠くに届くようにしたいという考えは持っております。
  422. 岩間正男

    ○岩間正男君 眼光紙背に徹するということがありましたが、これもまあ熟練を要する問題だし、そういう体制の中で自主情報ということが考えられているのだけれども、これも限度があるわけでしょう。どの辺を一体限度に考えるのか。これはやられるほうはあれですわね、非常に刺激しますよ、相手を、そうでしょう。それから、それだけじゃ足りなければ、やはり今度は情報官のようなものもつくるのじゃないですか。こういうことになって、自主防衛の具体的なあらわれが、情報面ではこういうかっこうでどんどん一つの制限を越えていくという、こういう事態が起こるとたいへんだと思うのです。  この問題と関連してもう一つ私はお聞きしますが、今度のカンボジアの侵入問題で、米軍から日本に情報が入ったのですか、日本政府に事前報告がありましたか、あるいは事後に報告がありましたか。これは非常に安保の独立性、安保、ほんとうに相互条約と言っているのですけれども、そういうものと関連して、さらに日米共同声明体制の中で重要な課題だと思うのですが、これは防衛庁長官御存じでしょう。
  423. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 外務省に聞いてください。
  424. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなた協議委員会のメンバーですからね。
  425. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 四月三十日のニクソン大統領の決定は、最後まで大統領自身が考えておったようでございまして、ワシントンにおきましても、最後の瞬間までなかなかあらかじめ知ることはできなかったようでございますが、演説の直前にこの要旨を、われわれもアメリカ側から承知いたしました。
  426. 岩間正男

    ○岩間正男君 何月何日何時何分。
  427. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 一時間足らず前と聞いております。
  428. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは正確に資料として出してください。非常に重要だ。北爆のとき私は聞いたのですよ。そうしたら、ほんとうに記者会見をする、その前に電話で報告ございました。何月何日でございます。何回でございます。そうすると、当時の椎名外務大臣は、いや、十回ございましたとかなんとか言って、資料を出しなさい、電話がきたらちゃんと記録しているだろう、記録していないとすれば怠慢だ、出しなさい。出せなかった。今度のは出してくださいよ。とにかく、これはもう情報をアメリカにたよっているというのだから、「よど」号事件で試験済みなんです。情けないかっこうなんですよ。ですから、自主情報ということになるけれども、これには限定があるのだ。そうしてその上に立ったこれは自主防衛である。こういうところの性格を明確にやはりすべきであるということが、今日のほんとうに重大な問題です。これは事実ですから、事実の上に立って問題を論及しなければならぬが、時間の関係があるから次に入ります。  日米共同作戦体制の中で、これは防衛庁長官にお聞きしたいのですが、この安保条約の第五条の日米共同作戦体制、これを見ますというと、直接の武力攻撃があった場合となっていますね。ところが、一方、自衛隊法七十六条の防衛出動の場合を見ますと、これは「外務からの武力攻撃」、それだけじゃない、カッコして「(外務からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)」、こう書いてある。したがって、自衛隊の防衛出動の範囲というものは、安保五条の共同行動のときよりもはるかに広いわけです。そうすると、これは私は五、六年前に予算委員会でこれもお聞きをしたのでありますけれども、当時はっきりした答弁がなかった。沖縄に、いま返還されて、自衛隊が一個師団あるいは戦略空軍——軍と言っちゃいけなかったですね、自衛隊。航空自衛隊あるいは海上自衛隊、そういうのがついていく、そういう事態で、これは安保の適用が沖縄になされるということになる。そうすれば安保についてやはり明確にしておく必要がある。なぜかといえば、御承知のように、沖縄は依然としてこれは極東のかなめ石だ。相手から攻撃される危険だって本土どころの話じゃない。ところが、ここへ武力攻撃が行なわれた、そういうふうにしますというと、第五条の発動によって共同作戦体制をこれはとらなければならないのでありますね。そういうことですね。ところが、そういうことをやっていたんでは間に合わないというので、ちょうど自衛隊法が言っているように、その「おそれのある」というような段階でも、これは防衛出動が行なわれる。そういう体制が実はこれは安保の取りきめとは違った形で実際は行なわれておるのが現状じゃないですか。私は沖縄の問題と関連して、この安保の五条の問題、それから自衛隊法が結局これは適用されるでありましょうが、そこに米軍との間に食い違いが起きてくる。これどういうふうに処理されますか。
  429. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛隊は外部からの武力攻撃が発生した場合と、そのおそれがある場合とに際してわが国を防衛するため必要があると認めるときに防衛出動が命ぜられます。また米軍は、わが国の施政の下にある領域に対して武力攻撃が発生した場合に、発生したこれに対処するため行動いたします。しかし、出動を命ぜられた自衛隊の武力の行使は、現実の武力攻撃が発生した場合に限られることでありまして、武力攻撃の要件は、自衛隊と米軍と同一の要件のもとにあるものと考えます。
  430. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは共同行動というやつはどこの線からとれるのか。武力攻撃がなければ、これは五条ではできないわけでしょう。直接の武力攻撃がなければできないわけだ。そうでしょう。そうすると、自衛隊の場合は、これはそのおそれがある場合にもこれは出動ができる、こういうことになっている。そうすると、そこのところがぴしゃっといってないわけです。したがって、当然この間の取りきめがあるはずだと私は思うのですが、これはございませんか。
  431. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 取りきめはございません。
  432. 岩間正男

    ○岩間正男君 三矢の当時からわれわれ聞いてきたのでありますけれども、証拠をあげて聞いてきたのですけれども、お答えにならない。だから三矢作戦を出せと言っておる。三矢のまだ全文出ておりません。フライイングドラゴンもまだ出ておりません。また、いわゆるブルラン計画も出ておりません。こういうものを明らかにする必要があります。こういう秘密の文書がそのままになって、陰のほうで何かやられておるというような印象を受けるのはまずいのです。  それから、共同作戦がとられるこういう体制の中で、指揮の問題どうなりますか。アメリカの指揮者がおり、日本の指揮者がおる、こういうことになるのですか。そうして共同する、こういうかっこうですか。そういうことは、これは現実の戦闘作戦行動の中でそんなことができますか。ナンセンスじゃないですか。二人いたって、頭でっかちで、しょっちゅうなにしているわけです。結局はあそこを見ればわかるのだ。防空を見ればわかるでしょう。空港へ行けば、ちゃんと第五空軍の司令部と日本の航空総隊司令部というものが全く一つ所に同居しておる。そうして、これがどっちがやっておるか、これは松前・バーンズ協定ではそのこともきめられておる。これは時間の関係で、詳細やればいいのですが、こういうところで詳細やることができませんけれども、松前・バーンズ協定が、実際に非常事態に入る前までの準備態勢としては、日本にある米軍の指揮権は認められておる。それから先どうなるかわからない。指揮権については全く不明瞭です。これはどうなんですか。近代戦には合わぬじゃないですか、そんなことをやって。
  433. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 指揮権は日米双方がそれぞれの系統において行使し、日米間に緊密な連絡協議を行なって、両者の間にそごを来たさないようにしてあります。
  434. 岩間正男

    ○岩間正男君 ありますと言ったって、これじゃできないですよ。これと安保じゃできないです。食い違いが出てくる。何かそこのところはちゃんとこれは協定か何かができておるはずなんだ。それを見せないのですね。これじゃ困ると思うのですね。これじゃとても国民のコンセンサスなんていったってできませんよ。いわば隠しておる。このところが非常にやはり一つのそういう黒いものの上に、暗黒の上に居すわったのではだめです。暗黒の上に立った自衛隊では自主防衛も何もあったもんではない。こういうことを私はここで指摘したい。  もう一つ最後に地位協定、それから附属議事録、日米合同委員会合意書、これが安保の実態ですよ。安保条約の条文について論議されること、これも非常に重要であります。しかし、実態はどうかということ、それを見るためには、私たちはこの地位協定をまず明らかにしなければならぬ。それから安保のこれに基づくところの日米合同委員会の合意書というものを、これは明らかにしなければならぬ。ところが、これはどうなるのですか。これは全く国民に明らかになっていないのですね。きのうアジア局のほうから最近の資料をいただいたのです。これもまあ時間がございませんから簡単にこれは説明してほしいのですけれども、どうなっておるのですか。この合意書というのはふえておるのですか、ふえてないのですか。ちょうどこれは予算委員会で要求した。三十五年三月二十五日に第一回のやつが、名目だけのやつをもらいました。それから三十七年四月二十八日にまた要求して、片々たるものをもらいました。今度はきのうさらにつけ加えて四十四年二月十七日付で外務省からもらった。そうすると合同委員会の合意書というのは全体で幾つありますか。
  435. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 御指摘のように、地位協定、それからそれに伴う合意議事録、それから合同委員会のいわゆる合意書なるものがあるわけでございます。いわゆる合意書と申しますものは、合同委員会で地位協定のワクの中でいろいろな手続とか準則とかというものをきめたものでございますので、当初いわゆる合意書なるものがたくさんあったわけでございます。それは三十五年のときに国会にその要旨を出しておいてございます。その後年月を経るに従いまして、合同委員会の仕事もだんだんますます定型化しまして、最近の合同委員会の議事はもっぱら個々の施設の返還なり提供なり、こういうことが多いのでございますので、いわゆる合意書になる性質のようなものは最近はほとんど数は減っております。たとえば最近では、横田の飛行場で出入国の手続をできるようにする、そういったようなことでございます。いまお話しのように三十五年、三十七年、四十二年、四十四年とお出しいたしましたが、その後はいわゆる合意書というようなものはほとんど数が少なくなってきております。
  436. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは今度どうするんですかな。沖縄返還の問題と関連してくるわけです。ことにもう間もなく、あと半月でこの固定期限の終了日を迎えるわけなんです。こういう中で防衛庁長官、どうですか。安保の改定は七二年の返還後に延ばすんだということを言っているが、私がお聞きしたいのは、改定したいという意向はあったんでしょう、あなたは。しかし、事情がどうもぐあいが悪い、いまこれをやったんではぐあいが悪い、そういうことで延ばしたということですね。そう受け取ってよろしゅうございますか。
  437. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまのは地位協定の話だと思いますが、安保じゃなく。地位協定につきましては、その後いろいろ検討しました結果、ある程度弾力的運用でこれが対処し得る、そういうことで弾力的に運用していきたいと考えております。
  438. 岩間正男

    ○岩間正男君 弾力的というのはくせ者なんですね。地位協定の具体的なやつがいま申しましたこれは合意書になわけですね。この合意書を見ますというと、改定というのは、条項が非常に出てくる。しかも、なおかつ十分でない。だから実は地位協定並びにこれに附属する合意書なんかも当然改定される。どういう点が悪いと思っておられるんですか、改定しようと考えておられるんだったら、当然悪いと考えるところがあるはずだ。どういう点か、これは指摘してください。
  439. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 当分改定しないと、つまり運用解釈でやっていけると、そういう考えでいく考えなのであります。
  440. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは外務、防衛庁の連絡会議では検討しておりますか。
  441. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 改定は研究しておりません。
  442. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはやる必要があるんじゃないですか。これも自主防衛にたくさんかかってくるんですね。私たち合意書の問題、ずいぶん長い間かかって一つ一つ最後まで調べたわけです。時間の関係でもう私は触れませんけれども、治外法権の問題、特恵条項、とにかくどうです。たとえば自動車の免許証、免許証は基地内だけでしか使えないのに、これは基地外でもどんどん使っておる。このための自動車事故というのは非常にふえている。あるいは軍人、軍属の家族、こういう人たちはこれはいろいろな物資を入れてぐる。このときには免税でしょう。全部免税でしょう。こういう形でどんどん入ってきて、一ころこれは非常に重大な問題になりました。こういうような問題、裁判権の問題、その他あげれば数限りない、不平等条約が。この正体がまさにこのような地位協定にあるんです。そうしてこの合意書の中に明確なんです。これが国民の権利を侵犯しているんです。こういう事態にぶつかってきたわけです。中には生命を奪われたものも、このジラード事件をはじめとしてあるわけです。こういう問題をこのままにして、弾力的運用などということばでごまかすことができますか。そうして安保条約の、ここで自動延長などということで居直ることができますか。どうですか。
  443. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 政府の方針は、ただいま申し上げましたとおりでございます。
  444. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは防衛庁長官も検討されたと思いますが、しかしそんなに詳しく読んでいない。合意書は全部で、ここにあるだけでも五十幾つでしょう。もっと多いはずですね。私たち最初求めたときは八十幾つあったと思いますな。これに附属文書もあるわけです。これを一つ一つ見なければわからないわけですね。基本労務契約なんというものは、スパイ提供までやっている。そうでしょう。これは問題になります。八年前か九年前、これは予算委員会で当時大きな問題になりました。黒い協定だということで、こういうものは名前を変えちゃった。スパイとは書いていない。別に名前を何とか情報官……。しかし、依然としてこういう実態になってあるわけです。この正体を明確にしないで安保の正体を論ずることはできないのです。非常に大きな論議になっています、国会の論議は。これは実際はわれわれの権利、われわれの生活、われわれの平和、われわれの生命が大きくこういうもので非常に影響を受ける、こういう規定がふんだんにあるのです、こういう形で。これを見送るのですか、そうして自動延長ですか、いかがですか。
  445. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたとおりでございます。
  446. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく検討もしないというのは、これはおかしいですね。協議委員会、こういうところにこういう問題を出すべきだし、こういうことは、このままで自動——弾力的運用などでごまかされちゃならぬと私は思うのです。  時間が非常に足りませんので、最後に伺いたいのですが、一体どうですか、こういう中でいま自主防衛ということが非常に問題になっている。ですから、アメリカの戦略構想とこの自主防衛の関係というものを、何回か社会党のほうからも追及されました。私たちも具体的に幾つかの問題をあげてやってきたわけです。これはどういう必要からきているか。これは日本の一体必要からですか、アメリカの核戦略との関連で……、これはどういうことになっていますか。第一の問題は、佐藤総理はこの前、九日の外務委員会の私の質問に対して次のように答弁した。横須賀の基地、横田基地、こういう基地というものは、これは手放せません。なぜか。日本の海空の自衛隊が弱いから、そこで手放しませんと、こう言った。海空の自衛隊がもっと強化されれば、こういう基地は縮小されるのだと言わんばかりでありました。そうすると、アメリカは総体的にこのような基地体制、アメリカの核戦略体制と日本の自衛隊というものを、全くこの中に繰り込んで、その一環としていまこの日米共同声明の中で、こういう体制をつくろうとするのがこのねらいではないでしょうか。これはどうなんですか。
  447. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本は日本の国益を守っていき、かつ太平洋アジアの平和にも貢献していく、そういう考えに立って自主防衛を基本にし、かつまた、アメリカとの安全保障条約で対処していく、こういう考えでおります。
  448. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ問題はことばじゃないですね。ことばでどんなにまぎらわしいことを言ったにしても、実際実態がどうなっているか、現状がどうなっているか、客観的事実がどうなっているか、こういうところで、私は今日この日米共同声明体制の中における日本、そうして安保の自動延長の問題は明確にしなければならぬと思うわけです。この中で自衛隊の位置づけというものは明確になされなければなりません。まあしかし、この論議、自衛隊に入る時間の余裕はございません。  私はそういう中で、最後に資料を要求したいと思うのです。資料要求をやって——これは委員長、時間の制限はどうなりますか。
  449. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 総理が見えるまでいいでしょう。
  450. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ最初に資料要求やりましょう。航空総隊発の領空侵犯に関する達というのが一九五九年に出ているはずですね。これを出してほしいのです。これはどうですか。
  451. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 調査いたしたいと思います。現在手元にございませんし、あるいは秘密の書類があるかもしれません。調査して検討いたしたいと思います。
  452. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは秘密と言っても……。
  453. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) ちょっと、先ほどのあなたの質問に対しまして、資料要求のあれに対して、外務省のほうから答弁をしたいという要望が出ておりますから……。
  454. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 四月三十日のニクソン大統領の声明でございますが、これは東京時間五月一日の午前十一時です。その要旨を日本側に知らしてまいったのが九時五十分でございます。
  455. 岩間正男

    ○岩間正男君 五月一日の午前七時五十分ですか。
  456. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 演説が午前十一時でございまして、先ほどおよそ一時間前と申し上げたのですが、九時五十分だそうであります。およそ一時間十分前でございます。
  457. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、あの演説の前に日本はもらったということなのですね。その後はどうですか。その後は各国もらっているのですか、情報は。どうなのですか。
  458. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) これはまあ、特にカンボジア情勢に限らず、カンボジアあるいはベトナムに関しまして、大使館と外務省、あるいはワシントンにおきましても、随時いろいろ情報はとっております。
  459. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは系統的に出しているのですかね。どうもそういうところ、これは明確にしてもらいたいですがね。それで、その情報というのは、いまの眼光紙背に徹すると、それで見ているわけですか。だれですか、外務省で眼光紙背に徹するのは。そしてああいうことになったのですか。だからあなた、これはやむを得ない、これを理解をするということになったのですか。それであの国会の場面になったのですか。防衛庁長官、あれはどうですか、眼先紙背に徹したことになりますか。
  460. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 情報及びアメリカ大統領の演説につきましては、これは外務省の関係でございまして、われわれが言及する限りではございません。まあわれわれとしては、自主的にできるだけ確実な情報を集めて、日本の国益を守るということをやりたいと思っております。  先ほど岩間さんへの御答弁の中で、私、自主防衛と安保条約との関係で、アジア太平洋の平和に貢献いたしますと申しましたが、これは誤解を受けるおそれがありますが、安保条約の文章は極東の平和と安全の維持に寄与するというのであります。これが正しいので、極東の平和及び安全の維持ということばが、安保条約の関係においては使うべきであると思いますが、私がここで申し上げましたのは、平和に貢献すると、そういう意味で申し上げたのでございまして、その点は明確に申し上げて、区別しておきたいと思います。
  461. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、それは聞いておきましょう。  さらに資料要求ですが、今回初めて採用しようとしている海上自衛隊の予備自衛官三百名は、これは初年度定員ということですか。四月三十日の「朝雲」という新聞によりますと、本格的に軌道に乗るのは四十七、八年度からであろうと言っているのですが、今後どのくらいこの予備自衛官はふやすことになるのですか。  第二には、航空自衛隊の予備自衛官の構想もあるのか。それから、陸海空ともどれくらいの規模の予備自衛官の構想を持っているのか、これは資料としてもらえますか、あるいはここで答弁できたら……。
  462. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) いまお答えいたしたいと思いますが、海上自衛隊の三百名につきましては、将来もっとふやしたいつもりでお願いをいたしております。三次防中におきましてもやはり三百程度、四次防にかかりましてもさらに増強をいたしたいという構想で検討いたしております。  航空自衛隊につきましては、三次防中にその予定はございませんけれども、次期防におきまして採用いたしたいという方向で検討いたしております。陸海空とも予備自衛官は増強いたしたい。きのうも申し上げましたが、大体現在の二倍程度の見当でいま作業を進めている、こういう状況でございます。
  463. 岩間正男

    ○岩間正男君 さらに次の五つの資料をお願いしたいのです。第一に——ゆっくり言いますから書いてください。四十年以降の各年ごとの治安装備の購入状況、これは四十五年の計画を含む、これが一つです。第二は、師団の標準治安装備。第三は、師団の編成と標準装備。第四は、自衛隊の海外出張状況。第五は、自衛隊の海外訓練、留学状況。これは資料としていただけますね。これは当然であると思います。
  464. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 調査いたしまして、秘密にわたらないものは提出いたしたいと思います。
  465. 足鹿覺

    足鹿覺君 総理並びに長官にお伺いをいたしますが、まず初めに、防衛力整備計画と所要経費の問題について伺いたいと思います。  最初に長官に伺っておきますが、わが国の防衛力整備計画の特色として、所要経費という財政的規模の面が計画決定の主要要因となってきた点が特徴としてあげられると思うのであります。防衛力整備計画とは、どれだけの防衛力を必要とするのか、その防衛構想をきめることが第一であり、それをどのような方法、手順で取得するか、つまり財政面等は第二の問題となるべきである。これが手順であり、筋であろうと思いますが、所管長官としてこの筋についての御所見を承っておきたい。
  466. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛力整備につきましては、まず第一に積み上げ作業を行ないまして、そうしてどの程度これがふくれ上がってくるか、つまり積み上げがまず第一の基礎であると思います。しかし、積み上げだけではまたいけないと思いますので、これはほかの国策との調和という問題がございます。そこで、社会経済発展計画の中でどういう位置を占めたらいいか、そういうような別個の考慮も必要で、そういういろいろな諸般の考慮をして調整していくべきものである、そういうように思っております。
  467. 足鹿覺

    足鹿覺君 私が聞いているのは、現在の時点においてわれわれが考える場合においては、まず財政規模が先にきまっていく、こういう形ではないか、かように思うから念のために申し上げたのでありまして、社会経済諸般の情勢について位置づけをするということはこれは当然でありましょう。後者の分についてその手順が逆ではないか、こういうことを私は主として伺っておるのであります。
  468. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 大体専門家の各部門から来る要求というものは、かなり大きいものが来るのが例であります。これは各省とも、概算要求の場合には非常に大きなものがみんな出てまいります。それで、それをぶった切りまして、国策全体としてのバランスの中におさめ込むというのが、実際の現実の問題になっているわけであります。そういう意味から、論理的に積み上げをやりまして、そうしてその基礎に基づいてものを考えるというのが自然でありますけれども、やはり財政のワクというものも考慮の中に入れて最終的に仕上げていかなければならない、そのように考えます。
  469. 足鹿覺

    足鹿覺君 総理に伺いますが、いまの長官の御説明にもかかわりまぜず、わが国の従来の場合を考えてみた場合、財政規模にウエートがうんとかかっている。それは長官がただいま言われたような趣旨はよくわかりますが、しかし、各省から出てくるものに大きな山がかかっておるから、これを査定するんだ、こういうようなこと。防衛というような厳粛な問題については、さようなことがあってはならないと国民は思っております。必要最小限度に構想を打ち立て、それに基づく正当な予算措置を要求していくことが私は正しいのではないか、こういうふうに考えますが、総理の御所見はいかがでありますか。
  470. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いま中曽根君も、そういうような意味のお答えをしたんではないかと、私は聞いておりました。ただ、別な表現で、いままでは国力、国情に応じ国防予算を考える、いわゆる自衛費、自衛隊費、これを考える、こういう言い方をしておりますから、いま言われるように、何でもかんでも財政計画が先だと、こういうものではございません。そこらは、国民が納得がいくという、そういう筋のものが各財政計画の上にも盛られるわけで、そういうふうに、先ほど中曽根長官から説明したように、くふうがされるわけでございます。
  471. 足鹿覺

    足鹿覺君 今国会で、これは衆議院の予算委員会であったと思いますが、中曽根長官が示唆した四次防の所要経費、大体六兆四千億以内の額である、こういうことを申しておられました。ではそれに裏づけをする防衛構想があるかというと、それはまだ先のことだ、こういうことになっております。また、よくいわれる、GNPの一%の額を目途としたものである、こう言いますけれども、その妥当性は疑問があろうかと思います。このように、明確な防衛構想がないために、たとえば財界、特に日本兵器工業界あたりは、昨年のGNPの四%の防衛費を要求する、また船田自民党安保調査会長は、GNPの二%という船田試案を発表しておる、こういうふうになっておるのでありまして、関連して、あげくの果ては、防衛庁を国防省へ昇格するんだと、こういうような、一つの、何と申しますか、根拠があって財政を裏づけをするのではなくして、妥当性に欠くものを、それを基準に置いて、おのおのが、しかも政府を動かす与党の中心や、あるいは財界の中心になっておる方面からこのような構想が出るに及んで、ますますこの防衛予算の膨張が案じられておると私は思うのであります。特に、四十四年度予算における防衛費の国民総生産実績見込みに対する比率は〇・七九%です。四十五年度も〇・七九%で見通しが立ててありますが、国民総生産そのものが増大されますれば、その〇・七九%に変わりがなくても、総体として上がっていくじゃありませんか。これらの点についてはどうですか。
  472. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いま四次防というものが云々されておりますが、私は他の委員会でも申し上げましたように、まだ政府、私自身が伺ってる範囲内ではまだないのでございます。まだ生みの親である防衛庁長官のところでいろいろ案を練ってる最中じゃないかと、かように考えますので、その問題は別といたしまして、また、中曽根君がしばしば言いましたように、同じ率であっても、GNP自身がどんどん上がっていくんだから、金額的には非常にふえる、だから率を維持しているから差しつかえないんだと、こういうことにはならないんで、それこそもっとパーセンテージを下げていくと、こういうようなことも必要な場合があるんじゃないか、こういうような説明をしておられますが、まだその点について、足鹿君ただいまお話がありました、同じ率だからといっても、GNP自身どんどん上がっていくんですから、同率で金額がどんどんふえる、これは御指摘のとおりになります。そこらのところを、国民が納得のいく自衛力、こういうものを整備する、こういう考え方でわれわれは取り組んでいかなきゃならない、かように私は思っております。
  473. 足鹿覺

    足鹿覺君 昨日の当委員会で、上田委員が推定数字をあげて、第四次防所要経費についてただしたのに対し、中曽根長官は、上田委員が言われる線に大体落ちつくであろうと、一応その規模を示されまして、それは大体五兆五千億円、こういうことであります。大体総理もその線をお考えになっておりますか。
  474. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) この数字はまだ総理にも申し上げていないので、上田委員から大体の、上田委員自体が数字を示されての御質問で、大体目見当でそんな辺だと思うと、それはある条件をつけてありまして、GNPの伸びその他によりましてそう申し上げていったので、これは確定した数字として申し上げたのではございません。私がそのことで申し上げたいと思っておりましたのは、この前楢崎委員が上限についておっしゃいました、あれが六兆何千億円でございましたか、これはGNPに〇・八%を掛けると、GNPが上がったり下がったりするについて、最大の場合はこの程度、GNP下げればこの程度という意味で申されたのだと思います。実はそういう意味で、上限ははっきりしておいたほうがいい。それ以上はふえないんだという歯どめをお示しする必要があると思いましたので、特に上限に力を込めてその見当でしょうと申し上げた。今度は上田委員が大体そのまん中をとってきまして、そのラインはどうかと言ってまいりましたから、大体その見当だろうと、自分の腹組みは大体その辺の目見当を持っておる、そういう意味でありまして、具体的に積み上げ作業及びそのほかの社会経済条件を見ながら、変動はいたしますが、私はできるだけ節制をもって予算というものはつくっていきたいと、現在はそういうふうに考えております。
  475. 足鹿覺

    足鹿覺君 衆議院の予算委員会では、六兆三千億という数字を大体一応示された。今度は最高限度を大体上田委員が言われたから五兆五千億という程度に押えた。ここらあたりも、いわゆる財政優先で、まず予算のワクからきめて、そして裏づけの根拠となるほんとうの四次防そのものができないうちから、もうすでに長期にわたる膨大な経費が組まれる、こういう数字になっておるところに、国民が大きな不安を持っておるということを指摘しておきたい。  そこで、第三次防の所要経費の総額は二兆三千四百億をめどとし、二百五十億円程度の幅を見込むこととしておりました。それでも二次防のほぼ二倍に相当する巨額なものでございます。この第三次防のあとを受ける第四次防の整備計画については、昨年十月に有田前長官より事務当局に原案作成の文書指示があり、来年の十月ごろまでに成案を得るのだと言われておりますが、このような防衛費の急増は、わが国が軍事大国を志向し軍国主義復活への道を開くことを国の内外を通じて憂えられており、かつ警戒を起こしつつあると考えておるのであります。この際、総理の第四次防の財政規模に対する統一的な御所見、これに見合う防衛構想の今後の手順、そういうものについてこの際明らかにしていただきたい、かように思います。
  476. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっと、この席で第四次防のひとつ輪郭を示せ、かように言われても、私はまだそういう段階でない、かように答えざるを得ないのです。実は、全然材料ございません。ただ私の言い得ることは、他の席上でもしばしば申しましたように、過去の歴史から申しまして、いわゆる経済国、経済大国は、同時に軍事大国でもある、これが歴史の示すところであります。しかし、日本の場合は、いわゆる経済大国にはなるが、軍事大国にはなりません、平和に徹します、こういう言い方をしてまいっております。その考え方をただいまも変えるような気持ちは毛頭ございません。私は、いまも内外から、日本が軍国化するだろう、こういうような言い方をされますが、国内においての——外国がどういう見方をするか、それは別といたしまして、国内で、われわれのいま歩んでいる道が軍国主義化するのじゃないのだ、その道だけははっきりひとつ認識してもらいたいと思います。私は、大多数の国民はさように考えて、平和に徹している、政府の態度、また私どもの主張、これをよく理解してもらっている、私はかような確信を持っておりますから、どうか党派は違っておりましても、私どもが誤解を受けないように、いわゆる軍国主義化しない、軍国化しない、こういうように、平和を愛好し、そのほうに徹底するのだ、どこまでもわが国の国土防衛、それだけに必要な軍備を、いわゆる自衛力を整備しておる、これをひとつ十分理解していただきたいと思います。せんだっても、ことばの使い方で、あるいは陸軍、海軍と言ったというだけで、これだけでもたいへんしかられた。どうも私どものような年配になりますと、とかくそういうことばを使いたがりますが、どうかそういうことのないように、どうも自衛力、これを——(「腹の中は違うのだ」と呼ぶ者あり)腹の中じゃない、口で申しますのはそのままですから、どうかひとつその点を御理解いただいて、他国に脅威を与えない、自分たちの国土防衛、そのために必要な自衛力、これの整備だと、かようにお考えをいただきたいと思います。したがって、私どももうすでに、兵器としても、この核兵器は持たない、つくらない、あるいは使用しない、こういうことまではっきり約束いたしておりますし、この一事をもってしても、いわゆる軍事大国にはならないのだ、このことは御理解がいただけるんじゃないだろうか、かように思いますが、どうかひとつよろしく御理解のほどをお願いしておきます。
  477. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいま、明確に輪郭も示されない、こういうことでありますが、四次防が名実ともにまとまるのはいつごろの見通しですか。
  478. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 正式に決定するのは、希望といたしまして来年の夏ごろお願いいたしたいと思っております。そうして防衛庁内で固めて、九体内定したいのはことしの秋でございます。
  479. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで、今後の見通しが明らかになりましたので、防衛力整備計画と国会との関係について伺いたいと思いますが、防衛力整備計画というものは、法律的に申しますと、国会への報告事項にはなっていない、そのものは。また予算審議権においても、防衛庁予算は年度ごとの予算をわれわれは審議をしておるのでありまして、さらに繰り越し明許、国庫債務負担行為等によってあらゆる弾力的行政運用が認められておることは、御承知のとおりであります。がしかし、少なくとも五カ年計画という防衛計画、この裏づけであるところの財政措置というものは、これは予算拘束を受けるわけであります。このような形というものが妥当だとお考えになっておりますかどうか。この点重要でありますので、いわゆる国会との関係、国民の、主権者である国会が何らの報告も受けない、どうもこれは私はふに落ちませんが、総理も同じく明治のわれわれと年代をひとしくする方ですが、どうですか。
  480. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いま足鹿君の御意見を聞いていながら、国会で予算審議をする、やはりいろいろな問題があるが、これは自衛隊費、防衛力の予算というものに非常に力が入っているものじゃないでしょうか。私どもずいぶん時間を、大部分の時間をさいて、総括質問でも、防衛費について、またその防衛費の背景をなす国際情勢等についていろいろ聞かれる。また、専門部会においては、これはもうはっきりそれだけについて聞かれると思いますが、私はこういう意味で、国政の一部である国防費予算、自衛予算というもの、そういうものは十分審議される、かように私考えておりますが、それが何か特別に抽出してでも審議を受けないといけないのですか、どうもちょっとわからないのですがね。私はやはり、予算委員会そのものの審議等を通じて見ますと、これが大部分というか、その中心をなしているように思いますがね、いかがなものでしょうか。
  481. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の質問をよく御理解になっておらないと思いますが、確かに論議は行ないますけれども、防衛計画そのものは、国会の承認事項でもなければ、報告事項でもありません。しかし、これを裏づける予算は、年次別に、当該年度の予算の中でわれわれが論議をする。その論議を通じ追及されて、全貌ないしはその一部が出てくる、こういう姿になっておると思うのです。これは理屈じゃありません。衆参両院の予算委員会の実態をごらんになれば、論議はありますけれども、とにかく論議を通じなければ、自発的に進んで国会の場を通じて国民に知らしめるという、そういう点において欠けておるのではないか、こういうことを言っておるのです。
  482. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) どうも私も、ただいま金だけの問題で審議をいただいているとは、かようには思いません。やはり中身の問題についての皆さん方のお尋ねがあり、また皆さん方から御批判を受けておる、かように考えますので、そういう点で、それがあるいは金の面での形で取り上げられる、こういうことはあるかと思いますけれども、全貌についての圧迫、言論の圧迫とか、あるいは質問の圧迫とか、そういうことは全然ない、これはもう。(「大事なことを言わぬからいかぬのだよ」と呼ぶ者あり)そこでいま、不規則発言だから、別にこれ問題にしなくてもいいのですが、大事なことを言わない——これはしかし、特に問題としてしゃべれないこともあろうかと思います。しかしながら、それぞれの方法がございますから、秘密会議の方法もございますし、そういうような事柄によりまして政府は特に大事な国会、それにないしょで別な事柄を考えておる、かようにお考えになることは、これはちょっとどうかと思います。私どもは、いわゆる大事なことを言わない、しゃべらないと、こういうようなことでおしかりを受けるという、そういうような意味ではない、かように思います。もしさような点でもっと明確にしたいと、こういう点があれば、御遠慮なしにどんどんひとつお尋ねをいただいて、政府も心ゆくまで説明をすると、こういう態度でありたいと思っております。
  483. 足鹿覺

    足鹿覺君 その心ゆくまで説明するということを、進んでその全貌を国会に出すことが義務づけられておらないし、また承認や報告することが慣例にもなっておらない。ただ財政審議の場において、あるいは当委員会等において追求を受けて、これを全部積み重ねてみるとやや全貌らしきものが国民に伝わる、こういう程度でありますから、これを進んで国会に提出をして報告をする、こういうよい慣例はできないものですか。私は隠れてあなた方が悪いことをしておられるなんていうことは一言も言っておりません。原稿をちゃんと持っておるのでありますから、誤解のないようにあなたこそ御答弁願いたいと思います。私はちゃんと原稿で言っておる。
  484. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) どうも不規則発言のほうに力が入って、足鹿君からしかられましたが、いわゆる国防の実情というものについて私どもが積極的に説明しろと、こういうようなお話かと思いますが、そういう点については、もう少し私どもよくくふうしまして、しかる上で確たる返事をするということにいたします。この際にいろいろ思いつきでお話しすることはいかがかと思います。
  485. 足鹿覺

    足鹿覺君 その御答弁は一歩前進だと思いますから、そこで念のために申し上げておきますと、従来の防衛力整備計画はいずれも国会閉会後に決定される。私は何か印象としては、ことさらに国会の論議の的にされることを避けているようにも受け取らざるを得ない、こういう印象は確かにあると思うのです。ですから、全国総合開発計画や、あるいは経済社会発展計画、うらはらのこれらのものがやはり国会開会中に提案をされるがごとく、その全貌が明らかにされることが私はよろしい、要らざる誤解を受ける必要もないし、いま総理が思いつきでは言わないが十分検討してみるということでありますので、これ以上は申し上げません。十分御検討いただけますね。長官も御異存ありませんね。
  486. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 総理大臣と同じでございます。
  487. 足鹿覺

    足鹿覺君 防衛力整備計画とその裏づけとしての財政措置等は国会へ報告をする、いま検討してみるということでありますから、私がまあしろうとながらにいろいろと考えたことを申し上げて、御参考に供して御所見を承るわけでありますから、報告をするように慣行をつくるか、あるいはこれを義務づけるか、そのものを承認をするかしないかということもあわせてひとつ考えてみる必要があろうと思います。いろいろやり方があろうと思います。これらのルールと申しますか、制度化、まあ一番きびしくいくならば防衛計画そのものを国会で議決を要すると、こういうふうにすれば一番私はすっきりとすると思いますが、それは制度上の問題でありまして、十分ひとつルールなり制度上の問題について長官としてもひとつよく御検討いただく、総理も検討するということでありますから、そして秋ごろには部内の一応の成案を得るというただいまの長官の御答弁でありますから、大体秋の臨時国会ごろには、機密にわたらざる範囲内において一応は私どもが第四次防の概要について国会開会中に進んで御説明を承ることができるように御配慮がいただけますか。
  488. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 秋に臨時国会があるかどうかわかりませんが、私はないと思っております。かりにあったといたしましても、そういう五カ年計画のような正規の長期計画は、やはり国防会議で正式に認めていただいたものでないと外へ出すことはまずいと思うのです。したがいまして、かりに御要望に応ずるといたしましても、国防会議並びに閣議で決定したものについてそのように御報告を申し上げるとか処置していただくということが適当であると思います。
  489. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 申し上げるまでもなく、ただいまの民主主義下において、国民がたいへん関心の深い問題は、これはわが国の安全の問題だろう、かように私は思います。その他にも幾つかございますが、まずその基本的な問題として、この問題は国民の最大関心事だと思っております。政府は国力、国情に応じというようなことばは使ってはおりますが、また足らざるところは日米安保条約によってこれを補うとかいうようなことは申しておりますけれども、一番心配な点、そういう点を国民が納得のいくような形で御説明することが、政府に課せられた最も大事な仕事だと思っております。足鹿君の先ほど来のお尋ねも、そういう意味からのお尋ねだと、かように思っておりますので、私もできるだけ明確にできるものはこれは明確にしたいと思いますし、また機密にわたらざる限りということばもお使いになりました。私も、そういうような意味で、できるだけ詳細に国防の実情をやはり国民に訴える、こういうことが必要だろうし、したがって、そういうような防衛の対策というか、対応策、これにつきましても、わが国の考え方はここにあるのだ、こういうことをやるのだ、こういう点は明確にしておく必要がある。これは、いまの民主主義の時代でございますから、当然のことだと思います。それをそういう意味で先ほど来からお答えをしているのであります。基本的態度についてはどうか誤解のないようにお願いしたいと思います。
  490. 足鹿覺

    足鹿覺君 この際念のためにお断わりをしておきますが、私のいまの質問は、いろいろとうわさにのぼっております、国会に防衛委員会を設置するなどということは毛頭考えておらないのです。付言しておきます。  そこで、シビリアンコントロールの本旨に沿うから、私はその本旨に基づいてただいま質問しているようなことを申し上げているのであるということをしかと胸にとめておいていただきたい。念のために申し上げますが、戦前の憲法で帝国議会がありました。当時の軍事費に対し、その審議権は帝国議会では及ばなかったのであります。そして、ついに総額予算の半額に達するような膨大なものに膨張しても、何ら国会はこれを制御する機能を失っておった。この点は、非常に今日日本が置かれているこの状態のもとにあって、深く省みなければならない問題であろうと思います。そういう点からも、先ほど来総理が言っておられますように、軍国主義復活が憂えられていることは、これは決して虚構の事実ではないと思います。そういう意味から、十分配慮していただきたい、こういうふうに思っておるのでありまして、先ほども申し上げましたように、帝国議会でも、私どもも傍聴もし、有名な兵庫県選出の斎藤イサオさんですが、時の軍部に向って粛軍の演説をして除名を受けた事例もあり、そのあと引き続きみごとに立候補して当選してきたりっぱな事実を、私どもは教訓として学ばなければならぬと思います。首相にその気概がございますか、中曽根さんにその決意がございますか、その点をしかとお尋ねをいたしておきたいと思います。——斎藤隆夫さん。
  491. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま御訂正になりましたが、斎藤隆夫先生、これはもう私が申し上げるまでもなく、ちゃんとそのとおりだと思っております。私は、大事なことは、昔の帝国議会、そういうような歩み方を戦後の日本はしていないということ。まだ、戦後の日本がまたああいう歩み方をするのではないか、そういう心配をやはり外国から受けておる。この点、私まことに残念でございますから、あらゆる機会に、そういう点をはっきり申し上げて、生まれ変わった日本だと、そうして平和に徹しておる日本ですと、こういうことを申し上げて、仮想敵国も絶体に持ちませんし、またあらゆる他国に脅威を与えるというようなことは一切いたしませんということ、これもはっきり申し上げてきておるわけであります。私は、この新しい行き方、これは順次理解されつつあるのではないだろうか、かように思います。  いま、経済協力あるいは技術援助等にいたしましても、また昔のような帝国主義的なにおいがすると、こういうようなはね返りの批判があります。政府としては、せっかくする経済援助、技術援助、それがそういうように解釈されないように、あらゆる努力をしておるわけであります。エコノミック・アニマルでないと同時にミリタリー・アニマルでもないんだ、この点をはっきり、国民がお互いにあらゆる機会にまず徹底さすということ、そのことが絶体に必要だと、かように私は決意をしておりますので、今日この場におきましても、同じことを申し上げるような次第でございます。どうか、よろしく御理解をお願いします。
  492. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、政治家として、斎藤隆夫先生に負けないようにしっかりやりたいと思います。
  493. 足鹿覺

    足鹿覺君 アメリカのカンボジア出兵をめぐって、アジアの情勢は再びこんとんとし、ベトナム戦よりもさらに大きく拡大をし、アジアの危機が訪れるのではないかと案じられております。この際、ジャカルタ会談が十六日から開かれることは御承知のとおりであり、アジア諸国会議に出席をして、アメリカの軍事介入にてこ入れをなさるおつもりでありますか、この点を明らかにしていただきたい。  衆議院の去る五月七日の、欠席すべきではないかという質問に対して、積極的にこれに出席をする、こういう御発言がございますが、積極的に出席をするならば、共産圏はもちろん、非同盟諸国からも敬遠されておるこの会議に、どのような目的とどのような手段をもって臨むか。総理が言われた、カンボジア問題が一日も早く平和的に解決されるべきことを広く世界の世論に呼びかけることが当然の態度だと、こう言っておられますが、問題は、その具体的な手段方法であり、関係国とどのように連携をしてその目的を達成されようというお考えでありますか、重大な意義を持つジャカルタ会談に臨む基本的姿勢を伺いたい。
  494. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 日本がやはり国際的にものを言う日本になる。いままでは、黙っておれば日本の役割りが果たせるということであったかもわかりません。しかし、今日、日本の地位は国際的にも評価されるようになっておりますから、ぜひその地位にふさわしい発言はしたい、かように思っております。そこで、出かけたら一体何を言うかというお話でございます。私は、いまのカンボジアの問題、これは一体どういうわけで起きたか、それをよく国民の皆さんにも知っていただき、どうも新聞にはあまり実情が詳細に報道されておらないで、ただ米軍並びにベトナム軍がカンボジア領域に攻め入った、攻め入ったと、かように申しておりますが、この地域、ただいま戦闘が行なわれておる地域、これはもう長い間、北ベトナム、同時にまたベトコン等が占拠しておる地域であります。これは、御承知のように、シアヌーク殿下の統治下におきましても、さような状態が現にあった。したがって、シアヌーク殿下もしばしば退去を命じた。しかしながら、なかなか退去しない、そういう状態でございます。しかし、これがただそこに駐留しているだけなら、あるいは問題はなかったかもわかりませんが、これを拠点にして、そうしてベトナムを攻めるとか、あるいはベトナムにいる米兵が攻撃を受けるとか、こういう状態になると、これはどうもほうっておくわけにいかない。そこで私は、自衛力、自衛の立場から米軍は立ち上がった、ベトナム軍も立ち上がった、かように考えておりますが、この点がどうも明確になっておらない。とにかく、この事実を明確にする。  しかし、私ども、そういう事実があったにしても、問題が拡大化する、さらに長期化する、こういうことは私はたいへんな問題だと思います。したがいまして、出かけましたら、十二分にそれらの原因についても追求し、そうして、しかる上で、問題が拡大化するとかあるいは長期化しないように、そういう点を米軍自身にも、意味のない戦いをするはずはございませんが、もしも万一あるならば、そういうものは差し控えてもらいたい、かように私は思うのであります。私が地理的なカンボジアを説明するまでもなく、このカンボジアと北ベトナムとの間には、ラオスやベトナムの国があるわけでございます。その国を通り越して北ベトナム兵がカンボジアに駐留している。しかも、そのカンボジアという国は、一九五四年に中立が保障されておる。その保障されているからこそ、シアヌーク殿下も、退去してくれろ、退去してくれろ、かように言ったわけであります。そういう状態でありますから、これは、一日も早くこれが平静に帰して、そうして本来の姿、いわゆる中立の状態に返ることができれば、それにこしたことはない、かように思うのであります。そうしてまた、ベトナムからアメリカが十五万の撤兵計画を、ベトナムにもうすでに発表いたしております。私は、安心して撤兵のできるという状態からも、この事態がおさまる、これが望ましいことじゃないか、かように思っておるのでございます。私どもは、何か積極的に米軍に加担するとか、米軍を応援するとかいうような言われ方をしておりますが、私はもう積極的に米軍を支援しておるものではございませんし、また日本の自衛隊をあそこまで持っていって米軍を補強するというような考え方は毛頭ございません。これはもう憲法からいっても、自衛隊法からいっても、わが自衛隊が出かけられる筋のものではございませんから、さようなことはございません。したがって、ただいま申し上げるように、その原因を、なぜアメリカがあそこでカンボジア領に入ったか、その原因をよくひとつ追及して、それから同時に、ただいま申すように、できるだけ拡大しないように、また同時に長期化しないように、これをひとつ心から願っておるわけであります。そういう点が、出かけましたら、外務大臣から明確にその点を説明し、そうして各国が、いわゆるベトナム参戦国であるにしろ、ベトナム戦争の参戦国であってアメリカ側の立場に立っておるにしろ、この状態は私どもとしてはいつまでも放置するわけにはいかぬ、かように思っております。幸いにいたしまして、ただいま米国のニクソン大統領自身も、六月中には必ず撤兵する、かように申しておりますし、深くは入らない、かようにも申しております。それらの点も、ただいまの国連における安保理事会における説明で、私どももただいまのところは信じておりますが、これをさらに、われわれもぜひとも、六月一ぱいというまでもなく、もっと早くでも撤兵ができるような、そういう状態にあってほしい、これをジャカルタ会議では十分に話し合ってみたい、かように私は思っております。
  495. 足鹿覺

    足鹿覺君 わが日本社会党は、この会議に参加することは、日本のカンボジア紛争への介入を意味し、昨年の日米共同声明以来露骨に進められている米帝国主義の肩がわりと、海外膨張への野心のあらわれである、また、政府筋は、求められるならば国際監視委員会に参加する用意があると述べているが、日本はすでにベトナム侵略戦争の一方の加担者であり、その資格はない、声明の一節で党の態度を明らかにいたしております。要するに、ただいま総理から言われましたことを要約するならば、一方に偏せず、中立的姿勢で、原因も確かめ、各国に呼びかけ、そうして一日も早くこの問題の解決に全力を注ぐ、こういう中立姿勢と解しました。さように解してよろしいのでありますか。  いま一つは、この国際監視委員会への参加の問題について、どのように現在解釈をいたし、今後対処されようとしておりますか、この点を最後にお尋ねをいたしまして、あとは上田委員にかわりたいと思いますので、以上御答弁をわずらわしたいと思います。
  496. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの中立的立場とおっしゃるのは、どういう意味かよくわかりませんが、私ども、いわゆるアメリカ側というか、自由陣営の一国であること、これは間違いございませんし、また日米安保条約を結んでおるアメリカとの間に緊密な連携のあることも、これも御指摘のままでございます。しかし、戦争に関する限り、私どもは、入る、またそれに加わる、こういうような意図は毛頭ございませんし、またわが国の憲法も、自衛隊法も、さようなことを許してくれませんし、私も憲法無視や自衛隊法まで無視するほどの乱暴な男でもございませんから、そこのところはひとつ御理解いただいて、中立的な立場とおっしゃるのが、戦争に介入しない立場、かように考えていただくならば、そのとおりでございますとお答えをいたします。  また、いわゆる監視委員会から求められるならばということを申しておりますが、これも軍人として参加するのではない、さような点は、私は、シビリアンとしてそういうものに参加できる方法があるならば、そういうことは可能ではないか、そのように私どもはいま考えておるのでございまして、国際会議でも持たれるならば、もちろんそういう場において強い発言権を持つ、そうしてアジア、極東の平和、それに努力する、これが私どものつとめだ、かように考えておりますので、ここらの点は誤解のないようにお願いしておきます。
  497. 上田哲

    ○上田哲君 予定によりますと、六十三特別国会はきょう終わるようであります。その六十三国会の途中でたいへん大きく提起された問題が軍国主義批判の問題でありまして、この問題についてはいろいろな御答弁もありましたけれども、いよいよきょう終わる予定でもありますし、当委員会の分担すべき主要課題でもありますので、決着をぜひつけておきたいと思います。  中曽根長官との質疑は私はすでに終えておりますので、その上で総理にずばりお伺いをしたいのでありますが、総理は再三にわたって、わが国の姿は軍国主義ではないし、また軍国主義化を避けていきたいと言われています。軍国主義ということばがはなはだよくわからないことばでありまして、おおむね通用している定義は、軍事政策が政治、外交、経済、文化すべての諸政策に優先するのだというものです。これは私をして言わしめれば、現在の国際、国内政治情勢には適応しない古典的定義であろうと思います。現段階における軍国主義とは何であるかという点について御見解をいただきたいと思います。
  498. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) どうも軍国主義というものを積極的に説明すると、いまのような古典的な軍国主義だとか、新しい軍国主義の観念だとか、こういうようなお話が出てくるのではないかと思いますが、私は逆に、日本が軍国主義でない、そういう立場から、日本のあり方は平和に徹するということをあらゆる機会に言っておる。まさか仮想敵国も持たないと言っている。また他国に脅威を与えるようないわゆる軍備は持たない、こういうことも言っている。そういう点で御理解をいただきたいと、かように思います。
  499. 上田哲

    ○上田哲君 そういう議論を中心に、この委員会でもいろいろな面の検討が行なわれたわけであります。確かに、単なる紙に書いたことばだけでこの軍国主義の問題を議論することは、私ども正しくないと思います。十分にこれを追うことはできないでありましょうけれども、いま総理が言われたように、平和に徹する、つまりあらゆる国の行なう諸政策が、すべからく戦争ではなくて、平和の方向にその努力の道筋を向けるということでなければならない。国の政策努力はそこにあるべきであろうという観点からすれば、以下これから申し上げることは、中曽根長官に対して私どもが行なった質疑の中でおおむねコンセンサスを得ていることでありますから、一国の最高責任者として、総理のさらにこれを肉づけする、あるいは前進させる御答弁をいただきたいわけであります。  さて、軍国主義という怪物がどんなものであるかは別として、この軍国主義なる怪物がますます大きく成長していかないための幾つかの歯どめを慎重にかませていくということが必要ではないか。私はここに五つの問題点を提起して中曽根長官と議論をかわしたわけであります。その五つとは、歯どめでありますから、限度の策定という努力が必要なんでありますが、第一に、シビリアン・コントロールを確保できる限度をさがし出していくべきではないか。第二に、軍事の波及効果を過大にしない限度を策定していくべきではないか。第三に、兵器生産能力の限度を策定していくべきではないか。第四に——しばしば、きょうもここで二回総理は言われましたけれども、他国に脅威を与えないようにすべきだということでありましょうが——外交に軍の脅威を及ぼさない限度を策定していくべきであろう。外交は相手があることでありますから、こちら側がどう思おうと、向こう側の気持ちを尊重するという意味における限界の設定であります。第五に、国民意識を過度に誘導しない限度。こうした幾つかの歯どめを考えていくことが軍国主義という魔ものを成長させないための政策努力であろう、こういう議論を尽くしてきたわけでありますが、この点について、この考え方を評価し、積極的に前進させる御見解を承りたいと思います。
  500. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま上田君は、中曽根長官と十分意見の交換をしたんだ、そういうことで五点ばかりの点をあげられました。私も、それらの点が最もいわゆる軍国主義化しない重要な点だろうと、かように思います。そういう意味におきまして、これを進めていくことが必要だろうと思います。ことに、いわゆるシビリアン・コントロール、こういう問題になりますと、これはやはり、ただ自衛隊内の構成ばかりでなく、何といいましても、国民を代表する国会の積極的なコントロールというか、発言、これが一番大事なことではないかと、かように実は思っております。したがって、そういう意味で、先ほども足鹿君にお答えしたように、ただいまの状態では国会こそそういう問題について積極的な発言をしなければならぬ、かように申したのであります。  また、もう一つ大事なことは、何といいましても、この経済的な問題でしばしば言われる、指摘されるように、産軍合体とか、あるいは合一とか、こういうような問題、そういう問題を引き起こさないということ、そこにいわゆる軍事生産——軍需生産といいますか、そういう問題が一つあるし、それは国内で消費するばかりでなく、外国への輸出の問題等も含めて、その産業のあり方、今後のあり方について、積極的にわれわれが拡大膨張しないような、そういうことを絶えず注意する必要があると、かように思っておる次第であります。  その他の点につきましては、ただいま言われますように、国民全体が、とにかくこの国の安全確保、これについては私はなかなか敏感だと、かように考えております。いわゆる国際情勢そのものについても、口にこそ出さないが、たいへん敏感だと思っております。したがって、こういうような民族的な第六感、こういうものをよくつかんで、そうして誤りない防衛意欲、そういうものをやはり涵養していく、こういうことが必要ではないだろうかと思います。私どもが、ただ単に愛国心、愛国心の高揚をはかっておる、かように申しましても、これはから念仏に終わったり、国民が受け入れない、そういうものであってはならない。しかし、国民のほうはもっと国際情勢については敏感に受けとめるものでございますから、そういう点から、やはり自分たちの祖国、これは自分たちが守る、同時にどこまでも祖国を愛する、そういうような気持ちの発露が必ず出てくる、かように思いますので、そういう点をやはり政治家は適当に指導することも必要ではないか、かように私は思います。
  501. 上田哲

    ○上田哲君 はなはだ積極的に評価をいただいて、けっこうだと思います。まあしかし、この五つの項目は、私の側から提起したものであり、現にはなはだ抽象的な表現になっておることもありますし、具体的な限度をどこに求めるかという問題になれば、おそらくはまたきびしい議論も必要になるだろうとは思います。しかし、どうかいま御発言の趣旨を生かして、私どもが共通に求むべきでない、いまわしい軍国主義の方向を歩む道をとらないように、ぜひひとつ格段の御努力をいただきたいと思います。  これまでの議論の中で出てきたことですけれども、たとえば、かつてトルーマン大統領がマッカーサー元帥を解任した例、そこに見せた、いわば心意気とでも私たちが評価し得る、いうならばデモクラシーの奥行きというもの。そういう形でのやはりシビリアン・コントロールを中心にした幾つかの歯どめ、まさに中曽根長官も再々言われたのでありますが、政治家の見識というところに帰着すべき大きな立場というものが求められると思うのであります。  そこで、そういう問題から次に発展をいたしまして、総理であると同時に国防会議議長である立場からの御答弁を、これもまた同じような議論を尽くしてきた問題の上に乗って二、三お尋ねをいたしたいと思います。  問題は一国防基本方針の改定の問題です。総理は一時は軍国主義批判に対してはなはだ強い姿勢での反発を示されたが、ぜひひとつ、こうした批判がゆえなき批判であるというのならば、ゆえなき批判であるということを具体的に内容的に示すことが必要でもあるわけでありますから、先ほど足鹿委員にも御答弁がございました、秋を目ざす防衛庁での四次防の原案策定、その四次防の原案策定の前にというのが常識になっておる国防基本方針の改定をいつごろお出しになるお気持ちであるか、まずその点を伺いたいと思います。
  502. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 国防の基本についての改定ということを簡単に口にされますが、実はその問題は、他の委員会でも申しましたように、慎重の上にも慎重にいたします、こういうように答え、いまなお私は、たいへん慎重に取り扱うべき問題だと、かように思っておりますので、ただいまお尋ねになりましても、その点は同様なことをお答えするだけであります。これで御了承いただきたいと思います。もちろん、新しい第四次防、この計画は、まず防衛庁で原案は作成するにいたしましても、しかる上で、私が議長である、そういう立場でこの会議を持ちますから、そういう際にさらに原案についての腹蔵のない意見交換がなされるものだと、かように御理解をいただきたいと思います。
  503. 上田哲

    ○上田哲君 ややお聞き違いがあったかもしれませんが、私が申し上げたのは四次防ではないのでありまして、四次防は防衛庁原案が秋ごろにはというお話がありましたけれども、その四次防の原案が出される前に、当然の手順として常識化されております、例の昭和三十二年に策定されたままになっている国防基本方針の問題です。これについて、当然これは四次防原案の前になるわけでありますから、これをいつごろお出しになるのか、まず時期の問題であります。
  504. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いま私が答えたのも、ただいま言われる防衛基本方針、その問題は慎重の上にも慎重に、こういうことを申したのでございます。そこは誤解がないようにお願いいたします。しかし、第四次防が出るというその前には、やはりこの問題についてもう一度お互いに十分意見を交換する、この必要はございますから、ただいままとまるかまとまらないかは別といたしまして、その問題が審議されるのは第四次防の前だと、かように御理解されてけっこうでございます。
  505. 上田哲

    ○上田哲君 四次防の前に討議がされて、討議が終了すれば、四次防の前に提出されると、発表されるということがあり得るわけですね。
  506. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 改定の必要があれば、そうでございます。改定の必要なしという結論になれば、これまたそのままでございますから、さように御理解をいただきたい。
  507. 上田哲

    ○上田哲君 そこで、改定の必要の問題でありますけれども、これはまあ改定の必要があるかないかという問題ではなしに、すでに総理自身が、中曽根長官のいわゆる自主防衛五原則、この五原則を再々の御答弁で追認になっていると思います。そういうことであれば、三十二年に策定されているこの基本方針のいわゆる四項目、憲法を守るとか民生の安定とかというところに異論のあろう道理はありませんけれども、具体的な問題になっている国力、国情——先ほど来そうした問題をGNPとの関連において総理自身が御説明になりましたから、これは野方図なGNPとの算術比例だけでいくものではないにいたしましても、当然四次防を策定するその前の基本方針が変更を来たすのは、これは算術的なことでありまして——そういう意味では、国力・国情論をどういう表現に変えられるか。たとえば中曽根長官の自主防衛五原則によれば、それを必要論というような形で表現されているように思います。また、もう一つ安保条約を基調にするという考え方を改定する方向づけとしては、安保補完論というべき形になるということが出ておりまして、その辺を総理はすでに各委員会あるいは本会議の答弁でお認めになっていらっしゃるわけです。私は、こまかい表現はともあれ、当面総理の御判断として、GNPの単純比例でない防衛規模の問題をどのようにお考えになるか、分け入ってお尋ねします。  通常言われているのは、社会保障費などなどとの関連においてバランスをとっていくのだという考え方もございましょう。あるいは、軍事の側面から言えば、対外的な脅威の見積もりに対してどれだけが必要かという問題もあろうと思います。そこで一点ここをお尋ねしたいのでありますが、いろいろ社会保障費等々の予算バランスをどうとるのかという問題と、いわゆる脅威の見積りに対応する立場、この二つの側面というものをたとえば均等にとられるのか、あるいはこれについて若干の比率を考えられるような傾向であるのか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
  508. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) そういう点でしばしば誤解を受けるというか、あるいは日本が軍国主義の道を歩んでいるとか、かように外国から評価される、そういう場合もございますが、そういう点で実は表現にもずいぶん注意しなければならないし、また予算そのものについてもやはり位置づけについてよほど心得てやらないといろいろ誤解を受ける、かように私思うんです。別に日本が軍国主義化する、その道を歩んでいる、おそらく私どもが胸を張ってさようなことはございませんと、かように申しておりますが、しかし、予算的なたてまえを見ても、だんだんわが国軍備費が、いわゆる防衛費が多くなるんじゃないか、こういうふうなことが指摘されがちでございますから、そういう点はよく注意する必要があると思います。またことに安保、この最初の十年の固定期限が切れる、その後においても、安保体制は私は必要だと、かように申しております。同時に、アメリカのほうといたしましても、自主的な防衛力を整備しろ、こういう要望は必ず出るだろう、かように思いますので、そういう点で他から誤解を受けないように私どもが処置する、これはよほど大事だと思います。私は、他から誤解を受ける前に、国内で誤解を受けないようにすることが必要だと思うんです。それには、軍備が必要でないと言われる社会党の皆さんに、まずわれわれのとっていることが、いわゆる軍備強化、軍事強化、その方向じゃないんだ、それだけを少なくとも、立場は違うけれど、これはいわゆる自衛力としてはその程度のものはやむを得ないだろう。いろいろ理解していただく表現のしかたもあるだろうと思います。そこらにも問題があるように思います。私は、外国がとやかく言うことは、これはもう外国の自由ですから、それは自由にまかしてけっこうです。それをとやかく私どものほうで反発する、また反駁する必要はないと思います。なるべくそういうものには触れたくありませんが、私が一番心配しているのは、国内においてこういう事柄でコンセンサスができない、こういうことを一番私は心配しているんであります。でありますから、ただいま話をしながらも、どうもそれぞれの党の立場がそれぞれある、そういうことで、ただニュアンスの相違の程度でなくて、基本的な相違がある、こういう場合に、説得することはなかなかたいへんだ、かように思っております。その辺の誤解はないように、私どもも皆さんの立場を十分理解をするが、同時に皆さんも、われわれの自民党の立場、政府の立場もよく御理解いただきたい、かように私は思います。
  509. 上田哲

    ○上田哲君 私は誤解をしないことを旨としておりますので、ぜひひとつ誤解をしないために、具体的に御説明をいただきたい。あまりこまかく追い込むつもりはありませんし、時間の関係もありますから、一言お答えいただけばけっこうだと思います。非常にシンプルに伺います。  一体、このあと国防基本方針の改定への心組みとして、四項目の中にあるいわゆるいままでの国力、国情に従ってという部分を変えていく必要があるならば、私がいまあげた二つの柱のどちらに重点を置くのか。つまり、国内の社会保障費なり文教費なりの予算配分のバランスの中でウエートをきめるのか、それともそれ以外の尺度で考えるのか、それだけのシンプルな聞き方でお尋ねをいたしますので、イエスかノーかでけっこうです。
  510. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) どうもこれはイエスかノーで言うと、ちょっと誤解を受けやしませんか。そう簡単なものじゃないように思います。私は、いまのGNPに対する割合、それは確かにGNPはどんどんふえていく。したがって、〇・七五にいたしましても、その金額ふえる、これはべらぼうなものになる、かように思います。これは適当な歯どめが要るだろうと思います。それは大体予算の伸び率からいきまして平均でいいのか、こういうようなことになっても、これも私はたいへんだ、伸び方が大きいのじゃないか。しかし、どうもそこらにいきますと、どこにするかは別といたしまして、いま自衛力として何が一番必要なのか。中曽根君が海軍だとか空軍だとか言ったのがたいへん問題を起こしたようですが、私は海空の自衛力はまだ不十分のように思います。そういうものはやはり整備せざるを得ないのじゃないか、かように私は思っております。そういうような事柄が、やはり時期的な問題もございますから、長期に見ればそういうものはそう高いウエートは持たないにしても、やはり時期的にはできるだけ早めに整備されないことには、自衛力自身でございますから、それが整備がおくれるということは、これは意味をなさないことになる、かように思いますので、そこらの点がなかなかむずかしいことだ、かように思います。だけれども、基本的な態度をよく説明していわゆるその外国に脅威を与えないようにする、そういう一つの歯どめがあると、おのずからさような点も理解できはしないか、かように思っております。
  511. 上田哲

    ○上田哲君 うしろから時間の催促がありますので、私もきわめて簡単に、くどいようですけれども、その点についてもう一つだけ、大方針、大方向だけでけっこうですから、総理のおっしゃるように、誤解を招かないためにも、簡潔にお答えいただきたいのであります。今後の防衛費を策定していくための基本原則としては、GNPというようなものに掛け算をしていくような形ではなしに、いろいろな社会保障費その他の予算バランスを中心にするということに大きな方向が変わっていくだろうというふうに理解してよろしゅうございますか。
  512. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 大体それでよろしいかと思いますけれども、じゃ社会保障費がうんとふえたからといって、自衛力も、自衛の必要、需要はうんとふえる、そういうふうな均衡のとれてふえるものじゃない、そういうことだけは申し上げます。
  513. 上田哲

    ○上田哲君 つけ足しがありましたけれども、大綱においてお認めいただいた上で納得をいたします。  最後に、これもまた締めくくりでありますから、ぜひひとついままで議論してきたことの上積みで御意見をいただきたいのでありますが、つまりわが国の長期の安全保障についてのナショナル・コンセンサスに向かってこの際ひとつ突っ込んで伺いますし、あるいは具体的な提案をもってお話しいたしますので、ひとつ胸を開いて御答弁をいただきたい。  こういうことが言えないか。たとえば、前回私が本会議で述べたように、日本の大体国民的な合意は、武装、非武装の別を越えれば、中立論についてはほとんど過半を制している。そこのところはかなり思い切ってものを言っているつもりです。総理は、そんなことを言うけれども、非武装は一七%じゃないかと言われた。これはちょっと私は言いがかりじゃないかと思うのです。その辺をひとつ胸を開いて私の申し上げることに耳を傾けていただきたいのですが、徴兵せず、核を持たず、海外出兵せず、そうして軍備を純粋に防衛のみに限って、同盟保障への依存度を軽減する方向をとるというならば、自衛権論と中立論という二つの問題の対比において、このことをテーマとして、次の三点について全国民的合意を目ざして論議の出発点を求めることはできないかということを私は申し上げたい。  その第一は、対米経済関係の対等改善。その第二は、現憲法の付属規定としての中立宣言の起草。三番目は、日米安保条約自身を含む日米軍事体制の長期検討。  この三つをテーマとして、きのうの議論で大体一致したところは、いま、おおむね全国民の合意の流れというのは、「九条——自衛権——中立」だろう。この一本の線でつながるところに、そちら側からもこちら側からもいろいろな不満はあるけれども、コンセンサスをみることができるのではないか、ということで大体話が合ったところであります。あしたあさってどうだというようなことは申しませんが、大いにひとつ広い展望において御見解を承りたい。  誤解のないためにもう一ぺん申し上げましょう。対米経済関係の対等改善、現憲法の付属規定としての中立宣言の起草、安保条約自身を含む日米軍事体制の長期検討。長期とか起草とか改善ということばにいろいろ知恵を働かしているつもりでありますから、そういうようなところを目ざして一方に自衛権論と中立論、この二つについての国民的コンセンスを目ざす共通の討議の場はできないか。これは足鹿委員も言われましたように、直ちにそれが防衛委員会というような小さなところに結びつくのではなしに、もっと大きな展望においてひとつ総理から大きな御答弁をいただきたい。
  514. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) どうもいまの話でも第二に私自身は抵抗を感ずる。一と三は、これは問題はございません。二の中立というところに問題がある、かように考えます。
  515. 上田哲

    ○上田哲君 そこの部分を含めて……。
  516. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 上田君に申し上げます。時間を超過しておりますので簡単に願います。
  517. 上田哲

    ○上田哲君 内閣委員長は総理が見えているので非常にハッスルして時間制限に努力しておりますので、百二十日つき合ってまいりました委員長に協力していきますから。  一つは、日本の国の運命に静かに耳を傾けてもらいたい。二つは、先ほどのカンボジアの問題で総理はこう言われた。カンボジアでは中立化ができているのだから、それを尊重してと。つまりカンボジアの中立化というものが果たしていることの意味をお認めになっていると私は理解する。日本の中立化を、あしたとは言わない、あさってとは言わない。それなら大きく目を将来に伸ばした観点から、ここから国民的合意を目ざしての共通の討議の出発点を求めることができないかということを一つ申し上げたいのであります。
  518. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 重ねてのお話ですが、あるいは私に夢がない、あるいはロマンがないのかもしれませんが、ただいまの二番目はちょっと私は抵抗を感じます。カンボジアの中立は、これはもうすでに一九五四年に関係国で中立を保障した、こういういきさつがある、こういうことでございます。日本の場合はまだそういう状態でございませんし、また中立自身は日本のとるべき道じゃないと私自身は思っております。御了承いただきます。
  519. 上田哲

    ○上田哲君 この点について理解をお持ちになりますか。
  520. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) どうも非常に長い期間と言われれば、これから先どういう変化がございますか、そこらは私のただいまお答えをする筋じゃないと思います。
  521. 上田哲

    ○上田哲君 理解と言ってくださいよ。
  522. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) その程度で御了承をいただきたいと思います。
  523. 上田哲

    ○上田哲君 御了承をということばが出ましたから理解をしておるという意味も胸の中にあるというふうに考えます。自民党の石原慎太郎君は、総理をロマンチストと言ったそうでありますが、総理は、それほどロマンチストでないと言われた。私はそのだれよりもはなはだロマンチストだという気がいたします。けれども、歴史はロマンであります。ロマンチシズムを持たずして、やはり大きな政治の夢は国民の胸に浸透しないでありましょう。ぜひ総理の胸の中から理解のことばを引き出して政治の夢に期待をもちたい。  いろいろ申し上げたいけれども、時間がありません。十分にひとつわれわれの申し述べた真意をそれこそ総理の側も誤解されずにくみとっていただきたい。まさにエコノミック・アニマルなり、ミリタリ・アニマル、そういう形ではなくて、平和な日本の国をつくるための政治の責任者としての御努力を、先ほど御確認いただいた幾つかの上にぜひお願いいたしたいと思います。これが本国会の、そして一番最後に残っている委員会の最後の野党の主張であり、質問でもあります。どうか、もしこの防衛三法が通過するならば、この防衛三法の通過が最も忌まわしい軍国主義などの方向に一歩を進めることがないように、十分な政治的見識をお訴えして社会党の質問を終わります。
  524. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 本国会最後の御質問、たいへん私はその点に深い感銘を覚えているわけであります。しかも、ただいま防衛関係の法案を通そうというお気持ちがあらわれている、かように思いますので、その意味でたいへん私、感激をしておるのでございます。もちろん御賛成だと申すわけではございません。そうしていわゆるいまの中立論にいたしましても、社会党もやはりわれわれとほんとうに他の場所でまたいつか話し合うことができるような、そういう気もする、かように受け取りまして、ただいまのお話を聞いたわけでございます。やっぱりこういう場所で、委員会を通じて私どももその立場立場にとらわれた議論はいたしますけれども、おそらくいつの日か必ずその立場も越えて話し合うことができるのじゃないか、かように私も思う次第でございます。どうかひとつよろしくお願いします。
  525. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 国防の基本方針につきましてただいまも質疑がございましたが、このことは長官にもお伺いをいたしまして、すでに昭和三十二年に決定をした国防方針でありますので改定の要がある、そこで改定するとすればどういうところを改定すればいいのか、こういうことでお伺いしたのでありますけれども、特にこの第四項の「米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」、この項目は、その後、昭和三十五年に安保が改定になりました。そういうことで今後は自主防衛が主で安保が従になる、こういうようなこともおっしゃったわけでありますが、なお、この改定の時期につきましては、秋ごろまでに第四次防衛計画の原案ができるので、その前に当然これは四次防計画の基準になるものだから改定をしたいという御意向があったのですけれども、それに対してただいまの総理の答弁はやや不明確でありましたので、確認の意味で私はお伺いしておきます。
  526. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私自身、まだ中曽根防衛庁長官と、事前になりますか、第四次防衛計画あるいは防衛の基本方針だとか、こういうものについて意見の交換はまだいたしておりません。それだけははっきり申し上げておきます。したがって、あるいはまた二人の間に意見の一致を見ない点もあろうかと思いますけれども、しかし、いま言われますように、いままでのただ単に日米安保条約に依存する、そういう態度からやはり抜け出て自主的な防衛政策を持ちたい、そういう意欲は十分私自身にもあるのでございます。これはアメリカのいわゆるグアム・ドクトリンによってもそうならざるを得ない、かように思っております。そのことがどういう表現をすれば誤解を受けないで、そうしてわれわれが必要とする自衛力の整備をすることができるのか。ただ単に、ただいま申しますように自主防衛力をふやすのだ、こういうことで立ち上がりますと何らか誤解を受けやすい、かように私思いますので、その点を注意しなければならぬと、かように先ほど来実はこの点についてお話を進めておるような次第でございます。しかし、何といいましても、われわれが自分の国土、自分たちの生まれたこの国、この国を愛すればこそ、みずからの手でこの国を守る、そういう気概を持たなければならぬ。そういう気概が旺盛になれば自主的な自衛力というものは整備いたされる、かように私は思いますので、これはいわゆる日本の軍国主義化と、こういう方向ではなくて、それこそ純粋な愛国心の発露だと、かように理解されることが望ましい、かように思っております。そういう意味で、誤解を受けないような方向で、いわゆる自主の立場の自衛力の整備、これをはかっていくつもりでございます。
  527. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 自主防衛はこの次にお伺いをしますが、次に、第四次防衛計画の経費、この点につきましても、まあ総理の答弁がまだこれから検討の段階とおっしゃいますけれども、ほぼ大体五兆円から六兆円ぐらいの点でおさまるのじゃなかろうか。これが長官の答弁でありましたけれども、そうなりますと、五カ年間に平均いたしまして約一兆数千億という膨大な軍事費が予算化されることになるわけであります。これは非常にお隣の韓国でさえ驚異の目をみはっておる。しかも、これがこのようにどんどん膨張していきますと、核兵器を持っておるような英国ないしフランスなんかの軍事費に追いつくのじゃないか、こういうふうにまた心配している。そうしますと、予算の面から見てみましても、はたしてこれが自主防衛と言えるかどうか。自主防衛という域を脱しているんじゃなかろうか、このような各国の心配もあるわけですね。そこで、総理にお伺いしたいのは、それほど軍事力を増強しなければならないのか。国際情勢がそのように変化をしてきたのか。いわゆる軍事増強のこの背景をどのように政府は把握しておるか、それをひとつお答え願いたい。
  528. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 中尾君にお答えいたしますが、五兆円だとか、六兆円だとか、たいへん簡単に言われますけれども、いま言われるように、もしもこれが一年になれば一兆円こす、これはたいへんな金額でございます。これはみんな国民の負担においてなされる。そういうことでございますから、この長期防衛計画にしろ、必要度、またその金額はよほど慎重に検討しなければならない、かように考えるのでございまして、ただいま提起なさいましたこと自身は、たいへん軽々しく五兆円だとか、六兆円だとか口にされますけれども、そういうものではない。あとで説明なさったようにたいへんな問題でございます。私はただいままだ聞いておりませんだけに、そういう点についてもよく考慮し、くふうしていかなければならぬ、かように考えます。ことに先ほども説明いたしたのですが、私が見てどうしても不十分だと思うのは空海の自衛力、かように考えます。空と海の自衛力がどうも足らない、かように考えますと、それはあまり時間をかけて整備すべきものでないかもわからない、非常に必要なものかもわからない。それがただいま言われるような、いわゆる国際情勢、そういう点からも生まれてきますが、あるいは自衛力を整備することによって心配な国際情勢も鎮静することもあるわけでございます。したがって、国際情勢に左右されて自衛力を整備するという何か脅威を感じてするのでなしに、抑止力としての自衛力の整備というもの、こういうものも必要ではないだろうかと私は考えざるを得ないのであります。そこらの点をまだまだ考慮する要がございますから、そういうこともさらにひとつ考えさしていただいて、そうして四次防計画というものの全貌を明らかにするその時期を、できるだけ、こうしていろいろ議論されただけに、国民にも納得のいくようにしたいものだと、かように思っております。ただいまのように申しましたからといって私はこの四次防自身が海や空の自衛力をふやすのであって、他国に脅威を与えるようなものでない、これだけはこの機会にもはっきり申し上げておきたいと思います。でありますが、ただいまのような、私どもがどんな考え方にしろ自衛力を整備すれば、それは必ず他からは軍事的な、軍事力、軍事化の方向に歩んでいる、かような誤解も受けるのじゃないか、かように思いますので、それらの点を特に誤解のないような方法でやらなければならない、そこらにむずかしさがあるのじゃないか、かように思っております。
  529. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いろいろ誤解があるから私は聞いているのでありましてね。総理がおっしゃったように第三次防が二兆二、三千億、それから四次防が五兆円も六兆円もになりますと、ましてこの防衛につきましては全然しろうとの——しろうとといっては申しわけないですが、防衛につきましては非常に関心を持っていますといったって、何もそんなに詳しい知識のない国民が、数字を聞いただけでびっくりしちゃうんですね。この点がやはり明確にしておかないというと、ただ抑止力が必要だからそうする、抑止力って何だろうと、とにかく数字を見ただけでこれはびっくりするわけであります。それで私は聞いているわけです。しかし、日本の経済の発展から経済成長、予算の規模の面から申しましても、大体そのほかGNP等のことも出ておりますけれども、大体の線が長官から話されているわけであります。この点につきましては時間がありませんのでお伺いしませんけれども。  次は四次防計画で陸海空の装備の改定等もあるわけでありますけれども、特に陸上自衛隊におきましては、今後、間接侵略に対処するための部隊装備の編成あるいは機動力の充実というようなことが中心となるとも言われているわけです。この点も中曽根長官からも若干の答弁があったわけでありますが、これにつきまして、まあ答弁のできにくい点もありましょうけれども、間接侵略に対処する体制を整えるという理由は那辺にあるのか、また具体的にどういう間接侵略が想定をされるのか、また自衛隊は間接侵略に対してどういうような訓練をしているのか、またわが国の立地条件から見て、直接侵略の可能性よりか、むしろ間接侵略の可能性があるとお考えのもとにおやりになるのか、この辺のところを総括的に総理から一括して御答弁願います。
  530. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんむずかしいお尋ねでございます。こういう事柄は、どうも間接侵略に備える。間接侵略のおそれありや。そういうおそれがありますと言えば、たいへんに不安を与えることになります。おそれなし、かように申しますと、あまりその事柄を軽視し過ぎた、こういうことにもなります。私はどうもそこらで、こういう問題をお尋ねになりますが、たいへん答えにくい問題である。そういうことを一応申し上げ、私どもがいま自衛力を整備するというのは、この目的は、直接侵略はもちろんでありますが、同時にまた間接侵略にも備えるためだ、こういうことだけ、自衛隊の目的とするものだけを明確にいたしておいて、どういうようなことをやっているか、どういうことが考えられるかとか、こういうような点はしばらくあずからしていただくわけにいかぬでしょうか。私はたいへんむずかしい事柄で、国民に無用な不安を与えたり、あるいはあまりにも安心感を与えてもいかぬ、かように思いますので、そこらは適当にひとつ御了承いただきたいと思います。
  531. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあそういうことで防衛委員会ができないことになるんですね。それはまあ私は深追いをいたしません、時間がありませんから。  次の項目に入りまして、先ほど自主防衛を総理は盛んに強調なさったわけであります。みずからの手で国を守る気概を持てと。これは、私も何べんもお伺いをしまして、相当国民の間に定着をしてきつつあるような感じがするんでありますが、わが国の自衛隊は、年々防衛が増強されまして、第三次防衛整備計画では、航空機、誘導兵器の国産化もはかられ、中共を除いてアジアで最強の実力をつけるようになったわけであります。そこで、この第四次防では、先ほど申し上げましたように、六兆円にのぼる防衛整備計画が予想される。そして、まあ今後ますます増強の傾向があるように見受けられるわけであります。そこで、この自主防衛ということは何を言っているのだろうかと、こういう疑いがいろいろと出てくるわけであります。そこで、きのう、きょうを通じまして、ほとんどこの当委員会の審議の対象になったのは、自主防衛とは一体何だ、こういうことが論議になったんであります。ですから私は聞くのでありますが、いままで出た論議を申し上げますと、特にこの日米共同声明に関しまして、佐藤総理がナショナル・プレスクラブにおきまして演説をなさった。その内容につをましてはもう御存じでありますが、特に朝鮮、台湾の安全が日本の安全にきわめて緊要である、あの項目ですね。そしてまあ、そういった侵略行為があった場合は、積極的、前向きに、事前協議ですみやかに態度をきめると、このような総理の答弁もあったわけであります。そうなりますと、これはまああまり詳しくは申し上げませんが、結局米軍の出動を許すというようなイエスの返事が出る場合がかなりある。全然ノーばかりではなかろう、ある場合も、まあ本会議の答弁では、イエスもある、ノーもある、全部がイエスでもなければ全部がノーでもない、まあこういうように私はお伺いしておりますが、まあいずれにいたしましても、これはイエスの場合はかなりの覚悟をきめなければならない、相当向こうのほうから報復的な手段を通じて攻撃がかけられた場合、当然これは戦火に巻き込まれるというようなことが想定される。そうなりますと、どうしても自衛隊の防衛出動というようなことが考えられるわけでありますね。そうすると、結局は米軍が前線を受け持って、自衛隊が後方を受け持つと、こういうようなパートを分かって、その関係性は一体性になってくる、まあこういうことが考えられるわけですね。そういう点から、政府の言うこの自主防衛というものが、はたしてわが国の自由な選択に基づいたものでなく、安保体制下における米国の極東戦略下に組まれたものであって、このための自衛力増強のための単なる国民向け愛国心の高揚をはかる精神論ではないか。まあこういうことが疑われておるわけであります。この点がきのう、きょうの論議の的になったわけでありますので、私は、はたしてこの自主防衛というものは何であるか、総理の頭に、脳裏に持っていらっしゃることをお伺いしたい。あわせて、ほんとうの自主防衛、真の自主防衛というのは、わが国が安保を解消してこそ、その上に立った防衛がほんとうの自主防衛ではないか、このようにも思われるわけです。その辺のところの総理の見解をお伺いをいたします。
  532. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの日本の実情から、自主防衛論をいいますと、いま御指摘になりましたように、多分に精神論的なものになると、かように私は思います。いわゆる自分たちの国は自分たちの力で守れ、その気概を持てと、かように申しますが、その気概を持つことにおいてはだれも異存はない。しかし、ただ精神論だけではなかなかこの国の安全を確保できない。そしてこの国の安全を確保する手段として、方法としてどういうことが考えられるか、それがいわゆる自衛隊でございます。この自衛隊にいたしましてもやはり武器には制限がある。攻撃的な武器は持たない。また外国に脅威を与えるような武器も持たない、かような制限があって、そのもとにおける自主防衛、こういうことでございますから、ただいま言われるように、多分に精神的なものじゃないかと言われる、これも当たっておるだろうと思います。しかしながら、何にも持たないというのとは違っておりまして、これはまた近代的な通常兵器はそういう意味で一応整備をする、しかも、それにはやはり憲法上の歯どめがあるし、自衛隊法の歯どめがあるし、また先ほど来議論いたしましたような国民的コンセンサスもあるし、シビリアンコントロールもあるし、いろいろの歯どめがございますが、とにかくそういうものがわが国の持つ自衛隊そのものではないかと、かように思っております。私は、自衛隊をつくるにいたしましても、この国を守る気概がなかったらそれこそ何のための予算か、かように私は国民からおしかりを受けると、かように思いますがゆえに、まずその気持ち、気概、これは気概はぜひ持ってほしいし、また、なければならない。またそれにふさわしいもの、それをいまのように限定した範囲において、その方法、手段をきめておる、かように御了承いただきたいと思います。
  533. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 再度お伺いをいたしますが、結局、総理の自主防衛というものは、自主防衛というように納得でき得るような国民向けの合いことばによって安保体制下におけるアメリカのアジアにおける肩がわり分を引き受けている、こういうことではまずいので、その自主防衛を使ってどんどんふやしているのじゃないか、まあ簡単に言いますとですね。ここのところが問題だ、その辺はもう少し明確に御答弁を願いたい。
  534. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 自主防衛論が別にアメリカの負担を軽くすると、こういうものではないと私は思っております。本来、私どもは自分の国は、自分の国を愛するがゆえに、だれよりも愛するがゆえに自分たちで守るのだ、そういう気概を持つ、先ほども声を大にして申しましたが、それが望ましいことだ。いやしくも外国の援助がなければこの国が守れない、さようなことでいわゆる独立国家、真の独立国家といえるかと、私はそういうような気持ちすらあるのでございます。しかしながら、そうかといって、やはり使う兵器、これにはおのずから限度がある。だから核兵器は持たない、あるいはさらに核兵器は使用しない、こういう制限はいたしております。また相手に脅威を与えると、こういうようなものもしない、攻撃的な兵器は持たない、こういうような限度はございますけれども、とにかくこの国、独立国である以上自分たちの力でやはりこの国を守る、この気概はなければならない。また、外国からの援助がなければこの国を守れないという、そういうような、通常兵器によってすらも守れないというようなそういう状態、情けない状態では私は真の独立国家といえないのじゃないか、かようにすら実は考えるのでございます。私はその点を誤解のないように先ほど来いろいろ申し上げてきたわけであります。やはり、ただいま申しますように、アメリカにかわるとか、肩がわりするとか、そんな実はけちな考え方じゃない。本来の姿、これは日本の国は日本人が守る、それは本来の姿でございます。しかしながら、私どもがいま武器等について一つの限度を設けておりますから、そういう意味でわれわれが攻撃にさらされれば国を守れない、こういうことがあるのでいま安保条約を必要としておる、こういうことでございます。
  535. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは次へいきます。  自主防衛のお話はそのくらいにいたしまして、私は外交問題で、中国のことにつきましてお伺いいたしますが、結局、軍事の増強、これが自衛隊の増強ということですが、これだけに力を入れないで、もう少し外交面におきまして、特にアジアの平和を守るためには日中親善ということも考えなきゃならぬきょう日、中国大陸を支配しているものは北京政府であって、しかも七億の人口があるという、もうぼちぼち総理も頭を切りかえなければ乗りおくれていくんじゃないかと、まあこういうような気がしましてお伺いするわけですけれども、当のアメリカでさえ、ベトナムでああいうふうに紛争をかかえておりますけれども、ジョンソン時代から米中会談、これはワルシャワですかで進めて、中国接近の動きも見られるわけですね。また、きのうのテレビでは、カナダが中国を承認するような動きもあるわけであります。ところが一方わが国のほうはどうかといいますというと、この前、古井さんが覚書貿易の件で行かれまして、それからまた特に佐藤総理の日米共同声明の点から、日本は軍国主義であると、このような非難、中傷を受けたわけでありますが、そういうのが政府の中国姿勢の現状と、こういうことになるわけでありますが、はたしてこういうことでいいかどうか非常に私どもは危惧の念にかられておるわけであります。ところが総理は、国会でも答弁がありましたが、日中間の大使級会談ぐらいのことは考えてもいい、これに応ずる用意がある、こういうふうな答弁を聞いたわけでありますけれども、これはもう少し積極的に、具体的な事件の解決を目標にして前進ができないものなのか、それともとにかくもう少し機が熟するまでやっかいな問題だから、特に台湾と北京の問題はやっかいだから、もう少し静観をしようとしておられるのか。この辺もう少し前向きの答弁を期待したい、お伺いをいたします。
  536. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、この中国大陸の問題は、もうたびたび同じことを答えておりますので、きょうは簡単にひとつお許しを得たいと思います。いままで話したことと今日も変わっておりませんことだけを申し上げておきます。いままでのような、また繰り返すことをあえて避けさせていただきたいと思います。
  537. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういう姿勢が私よくないと思うんですね。簡単にあしらおうというところにまだ機が熟しておらないということが見えるわけであります。だから私聞いておる。まあきのうもお話したんですが、ここはわが国の防衛を審議する委員会なんですよ。ただ自衛隊が幾らにふえるとか、どういう装備を持ってどういうふうになるんだとか、ここだけの審議じゃ、これは防衛の審議というのは進展しないんですね。どうしても外交から、経済から特に自衛隊の問題から総括的にこれは審議をしないというと防衛三法の審議にはならぬ、ですから私は聞いているんですよ。  それでは、もう少し具体的にお伺いします。この前、古井さんが中国に行かれまして、そしてその結果はやっとあの細いパイプをつないでまいった。そしてあの軍国主義というようなありがたくない声明をいただいたわけですけれども、とにかく北京政府はあの貿易の会談をする前に政治会談をやる。この政治会談におきましては必ず政治三原則というものが出て来て、日本は中国の摘視政策をしているとか、それを撤回せよとか、こういうような二つの中国をつくる陰謀に加わっちゃいかぬとか、こういうことをおっしゃるわけですね。ところが政府の答弁は、政府は中国に摘視政策はとっておりませんと、こういうような答弁をちょいちょいと私は聞くんでありますが、こういうようなことだから、私は中国は硬化して前進をしないように思うんです。時間が——こう札が回ってきましたもんで、要約して申し上げますけれども、第一点は、総理がお考えになっておる中国の敵視政策ということはどういうことをお考えになっていらっしゃるんですか。これ一つお伺いしましょう。
  538. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) これはもういままでも何度もお答えし、私のほうもやっていることについては繰り返して説明をしておるはずでございますが、過去の戦争を、これはもう蒋政権と戦争したということでサンフランシスコ講和条約締結後に中国の代表者として選んだものが、あの戦争の相手であった蒋政権そのものと平和条約を結ぶことであった、かように思っております。そこで、その当時の事柄は、ただいま言うような過去の戦争相手だという意味において平和条約を結んだことは、これは好ましいことじゃなかったかもしらないが、これはやむを得なかったというようなある程度の了解は示してくれているように思います。しかし、ただいまもその平和条約を結んだ台湾にある中華民国、これを私のほうは代表者としてとにかく平和条約を結んで、国際的な権利義務がある、それはやっぱり信義は重んじなきゃならない、かように私ども思っております。いわゆる中国が二つの中国でない、これは台湾省の問題とかようには言われますけれども、とにかくわれわれが認めたものが現に存在しておる限りにおいて、国際的な信義は重んじていく、これが日本の国際的な地位、その立場だと、かように思うのでございます。しかし、われわれが承認し、また平和条約を結んだ相手が中国大陸を支配しておらないことは、これもはっきりわかっておりますから、ただいま北京にある北京政府といろいろの話し合いもしておるというのが現状でございます。しかし、このこと自身は、私どもは国際的な信義を重んじておるというその一事にただいまとらわれておるというか、さように見られてもしかたない。私どもは一たん国際的な権利義務を生じたその政権、それが存在する限りにおいて、それを尊重していく、いわゆる二つの中国ではないのだ、あれは一つの中国だ、ここに問題がいつもあるのでございます。ただいまもお話しになりますように、大きなところでいつまでも台湾にとらわれる必要がないじゃないか、こういうような言い分をなさいますけれども、私は国際的な信義を重んずることが日本の国際的な地位、それをやっぱり裏づけてそこに発言権があるのだと、かように私は理解をいたしております。だから国際的信義はやっぱり重んじていく。日本国民もその態度だけは堅持したいと、かように思っております。しかし中国内部の問題だから、それについては私はとやかく干渉するつもりはございません。ただ問題は、いまの時代ですから同一民族が一国家を形成するということ、どこまでも話し合いでやっぱりやっていただきたい、こういう願いはございますけれども、中国内部の問題なんだと、かように思っておるのでございまして、それを適当にこの辺ですりかえろと言われても、そういうわけにはいかない。これはもうしばしばいままで他の機会にもお話いたしましたが、さっきは、簡単にもうおわかりだろう、私どもの主張は私どもなりに御理解いただいておるのじゃないかと、かように思って、別に軽んじた意味ではございません。同じことを何度も申し上げることはくどい、こういうおしかりを受けるだろうと思って先ほど申したような次第でございます。御了承願います。
  539. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  540. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 速記を起こして。
  541. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、そのような理解がむずかしいのであり、話があまりこまかいところへいっていないようですが、大きなふろしきで包んでしまうような総理の答弁でありましたけれども、結局、日本が中国敵視政策をとっておるというようなことは、政治、経済、軍事の面からちょっと項目をあげてみますと、経済的には輸銀を使用しないとか、輸出品を制限するとか、チンコムとか、いろいろそういうものがある。政治的に言いますと、国連において中国加盟の重要事項指定のお先棒を日本がかついでいるとか、あるいは軍事的に言いますと、いまの安保体制のもとで中国を包んでしまうというようなことであろうと私は思うのですが、したがって、総理が大使クラスの会談の用意があるとか、いろいろおっしゃるけれども、こういうような問題をこれはやはり何らかの方法で解決の方向へ持っていかないと、いつまでたってもこれは横ばいですよ。現状の打開はできない。そのうちにまた不幸なことがあったらこれはたいへんなことになる。ですから、この辺は先ほどもおっしゃったように、日華条約を結んでおる云々、それはよくわかりますけれども、その辺が北京と台湾の問題は、これは国内的な問題で話し合いを歓迎するような答弁も本会議でございましたから、そういう意向があるならば、むしろ中国を、カナダも今度は承認の意向ですが、日本もやはり積極的に中国を承認する方向にいって初めて台湾と中国との話し合いが進むんじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、そうしない限り、これはもういつまでたってもこのままですよ。そして自衛力ばかりどんどんふやしてみたって、いつまたひょんなことから問題が出てきて、不幸な現象が起きたらたいへんだ。ですから、その辺のところはよく検討を前向きで考えていただいて、しかも、中曽根長官も一九七五年ころは安保条約も再検討してはどうかというような御意向を持っていらっしゃるように私は雑誌等で拝見をいたしておりますが、その辺の見解はいかがですか。
  542. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 中尾君の言われ方も私は誤解はしているつもりはございません。私は先ほど申しましたように、わが国としてはやはり国際信義を重んずることが、これは何よりも必要なことだ、かように思っております。したがって、この点では中尾君がせっかく、佐藤おまえ考えろと、こう言われましても、国際信義にもとるような、そういうことは私はやらない、これをはっきり申し上げてお答えといたしておきます。
  543. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 総理はいま日中関係は積み上げ方式でいこうとか、こういうような話があったのですが、今日まで一体どこを積み上げてきたのですか。積み上げてきたところをひとつ説明してください。
  544. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 私はただいま日中貿易あるいは友好商社の貿易量、覚書貿易量、そういうものが進んでおった、これは一つの積み重ねだと思っております。また、郵便協定も実際に行なわれ、小包郵便はちょっとルートが違いますけれども、そういうものがやられておる。あるいはまた漁業協定、これは民間ではございますが、漁業協定がやっぱりなされておる。ただいま日本の漁業がやっぱり中国沿海まで出て漁業をしている。それらのものもやはり両国間の話し合いの結果、申し合わせでできておる。私はこういう事柄がさらにもう一歩進んでいけばいいんじゃないだろうか、かように私は思います。最近は交流といいますか、やっぱり相互の交流はやや遠のいている。一時は記者諸君にいたしましても多数日本に送り込まれた。あるいはLT貿易の事務所も内容が充実していた。それが最近はたいへん閑散というか、人が減ったとか、こういう意味において最近はたいへんぐあいが悪いと、かように私はたいへん心配しております。ことにこの共同コミュニケなどにいたしましても、ことしのものは、昨年に比べてはよりきつい批判的なものである、かような状況でございます。パイプがだんだん細くなっている、そういうことを感ぜざるを得ない、たいへん私はその点では残念に思っております。しかしながら、私どもはやつ。はり相互の理解と相互の認識、これはやはり深めていくという努力を積み重ねていくことが、何よりもこういうような事態が起これば起こるほど、そのことが必要ではないだろうか、かように思っておるような次第でございます。
  545. 片山武夫

    ○片山武夫君 私は総理に質問をいたしたいと思います。いろいろな角度から防衛問題についての質問がありました。私も内容的に重複するような点があるのではないかと思いますが、できるだけ重複を避けて質問をいたしていきたい、かように考えております。  そこで、日本の安全と防衛、これを考える場合に、いま計画されている内容から考えまして、今後ますます自衛隊の整備拡充、こういったような傾向がうかがえるのであります。この防衛体制を確立するにあたっては、まず第一に、国民の合意を得られる防衛計画が樹立されていかねばならない、これは申すまでもないことであり、先ほども総理が答弁されたとおりだと思うのであります。いまのように、いわゆる国論がいろいろ乱れておる、こういうような状態の中で、どのようにりっぱな防衛計画をし、また防衛対策を立ててみても、これは砂上の楼閣になりかねない危険性がある、私はそういう実は心配をしておるわけであります。現状、端的に言いまして自衛隊はまま子扱いにされておる、こういったような状況もあり、あるいはまた定員の充足もそういう状態の中でなかなかできない、こういったような状態もあります。したがって、この内容を充実するためには、対策として超党派的な立場に立って、特に総理が中心になって、そうしてその調整に努力すべき重要な時期だ、私はかように考えております。そこで、そういう問題についてもいろいろ総理も答弁があったようでありますが、答弁としては理解し得るような答弁でありますが、中身がない。そこで、この重要な時期に具体的に一体どうしたらいいのかということについて、私は真剣にお考えになっておられると思うのでありますけれども、その所信について、もしいま一度お答え願えるならばお答え願いたい、かように考えております。
  546. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 片山君から佐藤の言うことはわからぬでもないというお話を聞いてたいへんありがたくお礼を申し上げます。申すまでもなく、自衛隊というのはまま子扱いされておる、こういうことでは自衛隊の方々にも申しわけがない。また政府といたしましても、これだけの予算を使って国民に対して申しわけないことだ、かように思っております。だから、どうしても国民の皆さん方から納得のいくそういう立場で自衛隊がなければならない。政府もそういうことについて、もっと積極的な態度で説明をして国民の理解を得るように、またコンセンサスを得るようなそういうことでなければならない、そう私も思っております。それがただいままで不十分だったかもわかりませんけれども、毎年の予算を通じて皆さん方から忌憚のない批判を受けておる、かように私は信じております。そういう意味で、政府としてなさねばならないこととしては、どのようなものであるかは予算で皆さん方の御審議をいただいておる、かように私は思っております。これはたいへん失礼な言い方ですが、とにかく政府といたしましては、この国を国民の皆さんからまかされているというか、政局を担当しておりますその立場において、何としてもその安全を確保する大きな責任がございます。抽象的なものである、また内容がよくわからない、かようにおっしゃっても、とにかく私どもは国民を守る、国土を守るという重大な責任が基本的にございますから、その意味において私どもはできるだけの措置はとってきておる。また、この上ともそれを取り続ける、このことを申し上げて、ただいまのお尋ねのお答えにいたしたいと思います。
  547. 片山武夫

    ○片山武夫君 続いていま一つの問題は、これは先ほど来、防衛庁長官にいろいろお尋ねしたんですが、現在の国防会議というものが法律できまっている。しかしながら、いろいろ経過的に報告を聞いておりますうちに、これは何か無用なもののような気が実はしてきたわけであります。かつて、総理に私は直接質問をしたときに、国防会議はある、しかし、そのかわりとして国防会議議員懇談会というか、こういうものがあって、これで十分役割りを果たしておる、こういう御答弁がございました。内容をいろいろ検討してみますと、国防会議はたしか総理をはじめ外務、大蔵、防衛、企画、こういうふうに閣僚が規定されておりますね。ところが、議員懇談会というのは、もっと幅の広い形で、いろいろ討議される、こういうふうに聞いております。そして、最終決定は国防会議の決定を経てから、閣議にはかる、そして最終決定をされる。こういう手続が踏まれておるように答弁をされております。そこで考えたわけでありますが、この国防会議にかわるべき議員懇談会、これが大幅な、大規模な形で設置されているし、そこで十分討議されているということになりますと、国防会議はこれは要らないような状態がある。ただ法律があるから形式的に持っているのだ、こういうふうに感じるわけでありますけれども、その辺について確かに総理も実質的には議員懇談会で十分その役割りは果たしているということも言われたことを私記憶しておりますので、この国防会議を廃止したらどうかという気もするわけなんですが、この点についての総理の見解をひとつお伺いをしておきたいと思います。
  548. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) この国防会議そのものになりますと、とにかく、いや議案提出者はだれだとか、非常に煮詰まった議論になる。どうもこういう問題は、やっぱり構成メンバーは同じでも、やはり懇談会形式のほうが忌憚ない意見の交換ができる。こういうことで、大体まず懇談会、これでやります。そして十分意見を交換した上できめるべき最終決定は、いまの国防会議できめる、こういうような形をしばしばとっておる。かように私も理解し、またそういうように運用しておるつもりでございます。したがって、ただいまも同じものならやめたらいいじゃないかと言われるけれども、やっぱり日本人としての、ある程度形式を重んずるところもございますので、やっぱり両方とも必要なようにただいまのところ考えております。これからさき特に弊害が生ずるようでしたら、この点は片山君の御指摘のように、さらにくふうをこらしてちっとも差しつかえないことだと思います。別にただいま弊害が生じておりませんし、むしろ運用の妙味はいまのような議員懇談会と国防会議と二つあることがたいへんけっこうなように思っております。私はあえて廃止する、そういう必要はないように思います。あるいはもっとアメリカにあるような国家安全保障会議だとか、こういうようなものも持つことも一つの方法でしょうし、またそういうようなものは、これからさらに国防会議、議員懇談会等でもっと議論を煮詰まらして意見を交換して、しかる上でどうしたらいいか、そういうような実態に即した取り扱い方をする、このようにいたしたいと考えております。
  549. 片山武夫

    ○片山武夫君 いまの総理の考え方から聞いても、何か国防会議というのは法律があるから、形式——そして日本人の通弊として形式にとらわれるような傾向があるということが閣内においても私は行なわれているのだという気がするのですよ。そこで、私は国防会議を廃止することに賛成しているのじゃない。むしろこれをもっと重視していくべきだという見解に立って、実は逆の面から質問したわけなんでありますけれども、どうもいまの総理のお考えですと、あってもなくてもいいような形式になってしまうという印象を受けてしかたがない。だから、むしろ議員懇談会、同じ顔ぶれで国防会議、こういうふうに発展していくわけですから、したがって、議員懇談会をやめて国防会議の中でやっていけば、それこそ十分に法の精神も尊重されるし、目的も達成されるのではないか。そういう意味で、逆にこの議員懇談会をやめて、国防会議をもう少し幅広いものにして、私はこの中でやっていくことが法の精神であり、シビリアン・コントロールを貫くものだと、こういう見解に立って質問したんですが、総理の答弁には私は多少失望したわけでありますけれども、いま一度私の見解に対してのお答えをお願いしたいと思います。
  550. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いままでの実際を私はそのまま説明したわけであります。ただいま片山君から新しいというか、議員懇談会をよしたらどうかという御提案でございます。それらの点については実際の運用上どういうような支障があるかもう一度よく検討いたしまして、なるべくむずかしい懇談会だとか、あるいは国防会議だとか、二つにしないように、そういうことができるような方向をとるようにいたしたいと思います。
  551. 片山武夫

    ○片山武夫君 防衛問題については一応終止符を打ちまして、最後に、今国会はもうきょうでおしまいになる。非常にこの国会は順調に進行してきた。私も皆さんとともに御同慶にたえないわけでありますが、この内閣委員会の模様を見ておりますと、何か私は不安を感ずるものでありまして、最終段階を迎えて、せっかくここまで正常に進んできたこの特別国会、これは有終の美を飾るために、どうかひとつ、総理は自民党総裁として、この点に対して十分私は留意をしていただいて、これからあと何時間もありませんから、再び昨年のような混乱が起きないように配慮をしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  552. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 一言お礼を申し上げます。  たいへんおそくまで、最終日にかかわらず、こうしていろいろ御審議をいただきまして、その点で厚くお礼を申し上げます。いわゆる有終の美をぜひともおさめたい、かように私も心から願っております。何とぞよろしくお願いいたします。
  553. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないので、端的にお伺いします。  まず、第一に、旧安保条約の締結のときは、日米両国間が合意に達しないままに、占領当時の継続として使用された基地が五十カ所にものぼっております。それが今日でもまだ継続されているのもあります。それで今度、沖縄返還協定が結ばれるわけでありますが、その調印までに、返還後に米軍が使用する基地について交渉するだろうと思います。もしその際に日米間の合意が見られないで、米側があくまでも使用を要求する基地が出ることも当然考えられるわけであります。そうした場合に一体総理はどうするのか、これに対する基本的態度をお伺いしたいと思います。
  554. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の軍事基地、これは米軍に貸与しているが、いわゆるさきの戦争、占領の遺物だと、こういう感じが多分にある、これは御指摘のとおりでございます。私どもも新しい時代に入っておるが、そういうものがやはり払拭されなければならない、かように思っております。共産党も多分に日本の軍事基地のあり方等についてお調べになったと思います。この点では公明党の方にも特にお世話になり、いろいろ調査をされて、逐一詳細な報告を受けております。私は新しい時代というか、そういう立場から、こういうものは検討されてしかるべきだと思います。ただ、いま沖縄が返還され、沖縄の軍事基地、これはたいへん密度の高いものでございますから、ただ密度が高いばかりじゃない、質的にもずいぶんいろいろな問題がある、かように思いますが、これは返還に際しては、これらの問題について十分実情を把握すると同時に、できるだけ縮小するようにいたしたいものだと思います。そう短時日の間にできないにいたしましても、順次本土並みにこういうものが変わっていくことを心から願っております。これはやはりそういう方向で努力すべきだと、かように思っております。ただいまお尋ねになりましたのは、あるいはもうちょっと違う意味もあるかと思いますが、私は、いまの基地そのもののあり方について、ただいま申すような方向に整理されることを心から望んでおりますので、ただいまもそういう意味でお答えを申し上げたわけであります。
  555. 岩間正男

    ○岩間正男君 結局、合意に達しない基地を絶対認めないという態度をとるのかどうかということです。これはとるべきじゃない。この前の旧安保のときですね、これを締結するときには、占領時代のそれを継続して、まあ、あの時代の力関係もあったでしょうけれども、これを認めた。それがいまだに続いている。そういう面が出てきたわけですね。これは非常にまずい。口では、まあ、対等とか何とか今度のことも言っているわけですけれども、実質的には政府のその態度がどういうふうに出るかということを、国民はこれは監視しているわけですね。したがって、これに対してはき然たる態度で、合意に達しないものはあくまでもこれを拒否するんだ、認めないんだという態度を確認すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  556. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 合意に達しない基地を存在を許すという、そんなことはないと思っております。これは必ず合意があるからいまやってきておるのだから、それにしても、もっと、最近の立場から申しまして、整理さるべきじゃないかと、かように私は考えて、先ほどのようなお話をしたわけであります。どうか、私どもに御硬撻をお願いしておきます。
  557. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、そういう場合に、話がうまくつきゃいいんだが、合意に達しない事態だってこれはあるだろうし、こちらの主張が明確であればそういう事態が起こるわけです。そういうときに、あくまでそれを、はっきりこれは認めないという態度をとるべきだと思いますが、もう一度伺います。
  558. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 十分、両国の間で納得のいくものがある、かように御理解をいただきます。
  559. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないから、次に入ります。  今年に入ってから、防衛問題の基本にかかわる問題がたくさん取りざたされているわけですね。その一つに、国家安全保障会議という問題が出ています。このことについて伺いたい。まず、党の安保調査会では国家安全保障会議の新設を検討中だということが言われていますが、総理はこれに対してどうお考えになりますか。
  560. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) まだ、議がまとまったというか、まだ煮詰まったという段階ではございません。煮詰まれば、総裁である私が必ずその全体について知るわけですから。まだ私の耳にまで達しておりません。ただいま、ちょうど煮ている最中じゃないでしょうか。煮えくり返っている最中かもわかりません。そういうことですから。
  561. 岩間正男

    ○岩間正男君 中曽根防衛庁長官は、先ほどの答弁の中でも、日本の防衛というのは、全国民でやる防衛であって、自衛隊や防衛庁はその前線の一部を負担しているにすぎない。国民の心でまず防衛すべきであり、そのほか、文化力とか、交通力とか、経済力とか、あらゆるものが備わらなければ防衛はできない。その意味において、防衛産業というものもその一部を負担すべきであって、それが正しく生き生きと発展することが望ましい、こういうことを述べている。しかし、この考えを推し進めれば、これはまさに国家総力戦構想というものにつながってくる。そういうことがこれは言うことができると思うんですが、この点、いかがでしょうか。
  562. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 無限大に発展すると、いま言われるような心配が生ずると思います。しかし、前提として、中曽根長官の言っていることは私も賛成でございます。これは無限大に、議論どおり発展するものでないこと、これはわが国の憲法、また、自衛隊法、そういうものが認めておらない。限度をちゃんとこしらえている、かように御理解願います。
  563. 岩間正男

    ○岩間正男君 国家安全保障会議ですね、こういうものにもう一つのねらいがこれは私はあると思うのであります。それはシビリアン・コントロールのことです。自衛隊のシビリアン・コントロールについては、憲法や国防関係の法規でもって明らかに規定されている。それにもかかわらず、その機能は十分に確立されていないのが現状だと思う。で、現在、内閣に、先ほどから問題になりました国防会議が設置されていますけれども、これはシビリアン・コントロールの機能を十分に果たす機構にはなっていない、これが実情です。そこで、国防会議を改組して、米国の国家安全保障会議のように、首相の、総理のスタッフとして安全保障会議を新設し、外交、海外経済協力などの面を含めて、防衛問題を総合的に調整すべきである、こういう論議がなされています。いかにも、これはシビリアン・コントロールを進めるために、それを機能させるためのものだということが盛んに宣伝されているわけです。だから、国家安全保障会議の新設は望ましいのだ、必要なんだということを言っている。しかし、このようにシビリアン・コントロールの問題をPRすることによって、それが目的だということに見せかけることによって、実は、一方で、背後で、どんどん国民総動員体制を強化していくのがこのねらいじゃないか、こういうふうに思うのでありますけれども、どうですか、総理の、さらにこれに対する御見解をお聞きしたい。
  564. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) たいへん思い過ごしのように思います。そこまでお考えにならないようにお願いします。さっきも申しますように、憲法はあるし、また、自衛隊法もございますし、大きなワクがはまっております。また、国会の機能としても、ただいまの国会は、主権在民、そういう形において、ただいまのように独断専行は許さない、こういう状態でございますし、国家総動員なぞはとんでもない。そういうことばは、私ども口にするさえ、ただいましないことにしておりますが、共産党はそういうことを簡単に口にされるようですけれども、共産党御自身、そういうことを考えていらっしゃるのですか。もし、そうでないならば、もうそういうことはおっしゃらないで、お尋ねになるだけでも、私はたいへん誤解を受けるのじゃないか、かように思います。
  565. 岩間正男

    ○岩間正男君 共産党は大衆的政党だから、いつでも共産党の言ったような方向で動いてきたでしょう。そうすると、総理は、これはまだ海のものとも、山のものともつかないのだと。しかし、十分にこれは研究しなきゃならぬ。結局は、設置に反対なんですか、賛成なんですか。もしも、こんな設置に反対だというなら、はっきり、そういうものは設置しないんだと明確に言い切ってください。あいまいじゃだめですよ。
  566. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) まだ、私はその中身をよく聞いておらないものですから、ただいま賛成だとか、反対だとか、申し上げるわけにまいりません。また、いずれそういうものが必要だということになれば、中身はよく明確にいたしまして、少なくともいままでのそういうものならば必要なのだなと、これ考えたのと違うとかというようなことまではっきりさせないと、なかなか国民が納得しないだろうと、かように思いますので、こういうような事柄についてこそ、先ほど来申しておりますように、政府は慎重な上にも慎重に、いままでのやり方を変えるということはよほど慎重でなきゃならない、誤解を受けることは一切避けなきゃならぬ。かように思っております。
  567. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたのほうの安保調査会の中間報告も、これは受けていられないのですか。だから、そういう点があればいつでもそういうふうに答弁されてしまう。私はちょうど五年前ですか、四十年の三月の予算委員会の総括質問で、臨時国防基本法の問題について、あなたにこれは質問したことがありますね。そのときもちょうど同じような答弁をされているわけですね。しかし、一方では総動員体制に通ずるようないろいろな準備がなされておるということもまぎれもない事実ですよ。いまの形ではほんとうにこれはこの自衛隊の機能を発揮することができない。ことに先ほど中曽根防衛庁長官が言ったような、国家の総力戦ですね。総力戦体制、そういうものなしには現代の近代戦は戦えない。そういうような方向でこういうものが一方で論議されているんでありますから、こういう点について、私はもしもそのような危険に対してはっきり対処するんだ。ことに軍国主義の復活が問題になっているさなかのことでございますから、明確にやはりこの議場を通じて総理はこの態度を明らかにしてほしいと思うんです。これが何よりもいま必要なことではないでしょうか。中国問題なんかについて態度反発をされておりますけれども、そういう中でこういう問題が問われている、こういう問題に対して明確な態度をとるか、とらないか、この態度いかんがやはりあのようなことになるのでありますから、この点について明確に回答をされることをもう一度私は要望します。
  568. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) もう一度でなく、何度でも申し上げますが、実はちょっともう皆さん方も聞きあいたと言うんじゃないかと実は思っております。過去の歴史、これはわれわれの知っておる歴史では、いわゆる経済大国は即軍事大国、こういうことが言えるような状態であったと思います。今度、戦争に負けたのちの日本、新しくスタートした日本、これは今度は、それを歴史が示したものと変わった道を歩もうとしているのでございます。これは何度申したかわかりません。だから、日本は経済大国ではあるけれども、軍事大国にはなりません、ミリタリー・アニマルには絶対になりません。それが、われわれが憲法、新しい平和憲法で誓ったことばではないでしょうか。このことを何度も繰り返して私は申し上げておるのです。私は、このことをこの際に重ねて申し上げまして、ただいまの点の誤解を解きたいと思います。いかにむずかしいことか、さらにこれを抽象的だからもっと具体的に言えとおっしゃるなら、いずれの国とも仲よくする、仮想敵国などは絶対に持ちません。他国に脅威を与えるような自衛隊は持たない、自衛力は持たない、これをはっきり申し上げます。そうしていずれの国とも仲よくする。先ほど上田君からお話がありましたが、いわゆる外交優先の立場でものごとはきめていく。そういう形で日本の国を進めていくのでございます。先ほど中曽根君が指摘いたしましたように、私は経済大国である日本が、今日のような発言権を持っておるのは、これは軍事大国でないからこそこの発言権を持ち得、またこれを使うことができるのじゃないだろうか。かように私は思います。もしも、これは日本が軍事大国であったら、これまた別の意味のものになるだろう。かように思います。われわれもずいぶん遠慮しなければならないと、かように思っております。今日かってな議論ができる。これは経済大国であって、しかも、その経済力をお互いの繁栄としあわせのために使おう。こういう協力をしようという、そういう国柄になったこと、これはほんとうに胸を張って大いに宣伝してしかるべきではないか、かように思っております。これは別に総動員体制をいまつくろうとしておる、あるいは経済協力、経済の力を、これも一つの戦力だと、かように考えたような昔のような考え方、それは持っておらない。私は岩間君より年が上じゃないかと思うのですが、私のほうがだいぶ新しい考えを持っておる。どうもその点で、どうも昔のような、いわゆる総動員体制というようなことばを聞くと身ぶるいがするような気がします。どうかその辺は誤解のないようにお願いいたします。
  569. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ時間の経過がはっきり事実を示すだろうと、このことを一言言って終わりにします。
  570. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 別に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  571. 上田哲

    ○上田哲君 私は日本社会党を代表いたしまして防衛三法について意見を申し述べたいと思います。  たまたま今国会の半ばにわが国に対する軍国主義批判が提起されました。昨年暮れの沖縄安保問題を中心にする総選挙の終了後に、本来その問題を中心に論議されなければならなかった国会が、どちらかと言えば、そうした問題を中心にしない論点に流れるかに見えた。その中で、私たちはこの軍国主義批判の問題をとらえて、いま最終段階の防衛三法の論議とともに、安保問題あるいは長期を見通すわが国の安全保障論について十分な論議を政府に対していどんだ次第であります。その中で、私たちが、特に明らかにしたかった問題として整理するならば、それは第一に本法案の中にも込められておりますわが国自衛隊の軍事力としての実体、なかんずく四次防策定の見通しでありました。そうして、第二に、わが国を取り巻く緊張の実情について、そうして、第三に、さらに長期に及ぶ今後の安全保障論について十分に政府の所信を問い、われわれの主張についての反応を得たいとしたわけであります。  特に私たちはこうした問題について、この問題が大きくわが国の国民生活、文化のあり方、政治の未来にかかわるという観点から全国民的なコンセンサスの構築にいかなる条件やフィールドを提供するであろうか。こういう立場からの提案を含める討議も行なった次第であります。  こうした議論の中で、私どもが幾つかの疑問の中からそのおもなものとして提起したものは、四次防を間近に見通す今時点において、日本の政府自民党からする安全保障論としての軍事同盟体制論あるいは戦略論の中に、それ自身の中に今日基本的な問題提起、疑問の分析ということが込められているのではないかという点。もう一つは、広く国民自体が核を含めてばく然たる国の将来、安全保障論の未来に対する疑念を持ち、その疑念の集約点としての自衛隊に深い関心を持ち、今や切り込んだ認識を求めているという問題。そして第三に、日本の国運に第一の責任を負わなければならない各政党が、公党のよって立つゆえんの中で、いたずらに抽象的な観念的なたてまえの議論に終始することなく、深く国民生活と未来への国運への責任を果たす立場における具体的なデータを提起しての議論を持たなければならないときではないかという問題と疑問、私たちはそうした諸点についてみずからの意見を込めながら政府の見解を問うたのであります。そこにおられる中曽根長官。私たちは昨日来の討議をお互いに重ねながら長官にも申し上げたし、今日もなお長官に長官の胸の中の鼓動を聞きたい思いがするのは、これまでの防衛論議の中で長官自身がはたしてその論議を続けることのかなたに、その延長上に、何がしかの実りを期待し得ると思ったでありましょうか。埋めがたい隔絶の中にことばのやりとりのみに終始してしまうというむなしさ。私たちは一九七〇年代冒頭の七〇年初頭のこの六十三特別国会の議場の中で、民主政治の責任において少なくとも一歩、半歩前に進めるための努力を果たすべきであります。野党に負うべき責任はともあれ、与党の中に、たとえば先ほど来の総理に対する質疑に足鹿委員その他が提起いたしましたように、何とも言えず薄暗いベールに包まれた自衛隊の姿、防衛のイメージ、こうした問題を私たちは打ち破ることができなかったし、また政府の御答弁の中にも胸襟を開いた開陳とは言い切れなかった姿がありました。何とかして政治の果たす課題がそうした国運をかけての国民的感覚の亀裂を埋めていくというような方向に討議さるべきであった、そうした責任をより多く三百議席の勝利を誇り、大きな生殺与奪の権を国会に有する政府与党に向かって間わなければならないと私は思います。  やや具体論に入りますならば、まず自衛隊の現状、中曽根長官が外国記者団に対して行なった記者会見の資料などを私たちは材料としながら、中曽根長官の言うセカンド・レイト・パワー——私は中流国と訳すよりは二流国、二流軍事国と訳すべきだと思いますが——二流軍事国という問題を、そのイメージを、その方向を、その可能性を問うた次第であります。先ほどの一、二時間前の議論の中で、長官自身は安全保障の中の割り引きされた自主防衛ということばをお使いになりました。簡単に言えば集団保障と中立論ないしは同盟保障論の区別すら十分にわきまえない議論が横行している俗論の中で、まあ集団保障論の位置づけの中での割り引きされた自主防衛ということばの意味を私もこれは買いたいと思います。しかし、はなはだ分明を欠いていた今日までの防衛論争の中でこれを取り立てて申し上げるならば、私たちの結論は舳艫相ふくんで大艦隊が直接攻撃をしてこないだろうという認識は当然の認識として共通するとしても、結論はこれから先の日本自衛隊のあるいは防衛戦略の見込むところは、直接侵略の仮想敵から間接侵略の仮想敵に向かっての姿勢を持っていることが今後の防衛論争の重点になるであろうということを確認をしなければなりません。こうしたわれわれの国を囲繞する緊張論の上に三核大国のパワーによって形成される均衡論、そうした問題をこれからもひとつ具体的に討議をしていきたいと思います。そのとっかかりとしての四次防、残念ながらただいまの総理を招いての質疑の中でも、いささか三百代言めいた、あるいはみずからの確信を欠いたに似た御答弁の中で、ステーツマンとしての展望を聞くことができなかったのははなはだ残念であります。なお、四次防について中曽根防衛庁長官はこれは単に四次防と呼ぶよりも新防衛計画と呼ぶべきであろう、こういうことを言われました。私も同感であります。新防衛計画とはしからば何か。これも結論を先に言うならば、新防衛計画のほんとうの姿は残念ながら私たちの手にしているデータからも、政府からの答弁をつなぎ合わせて見ても、十分にはその姿をつかみ取ることはできませんでした。少なくとも新防衛計画は一次防、二次防、三次防と積み上げてきた、大まかに五年きざみというような計画を、将来に延ばすというようなインターバルではなくて、少なくとも今後七二年から八二年の十年間を一つの区切りとする大きな防衛戦略であり展望であり、それは経費の面からも政府自身の口をもつてすら、GNPの単純比例から導き出してはならないとするほどの巨額なものであることが実証された。私どもはこの四次防の中に含まれているいろいろな問題点から、四次防がいろいろな歯どめにもかかわらず、国民の希求しない方向に走り出していくような心配を持ちます。口先だけのシビリアン・コントロールというような歯どめによるのではなくて、単に野党の危惧のみならず、与党を含め全国民を含めての不幸にして危険な状態にのめり込んでいくということに対するさらに大きな警鐘をここに打たなければならないと思います。具体的にはわずかにその姿をのぞかせた程度でありましたけれども、少年自衛官、あるいは婦人自衛官、あるいは予備自衛官の増員等のさまざまな問題がございました。たとえば少年自衛官の問題はかつての幼年学校の復活を思わせるニュアンスを持ち、あるいは自衛隊をして国民教育の場にしようとする意図も見えた。家庭が困窮で、親の力をもってしては進学の道をいくことができない子供たちに力を貸そう、手を貸そうという美しい説明にもかかわらず、実はそれは防衛教育、軍事教育の復活ではないかという危惧をついに私どもは払拭することができませんでした。また産軍共同体への危惧は、さまざまな打ち消しにもかかわらず、予備自衛官の就職先が軍需大企業に偏向しているという実情を背景にしながら、予備自衛官の現状を肯定するという計画は、陸上自衛隊十八万に対する予備自衛官七万八千という大きな数字の比率からしても、はなはだ大きな危惧を私たちは新たに今日までの危惧の上に積み重ねたということを特に強調しておかなければなりません。そうした状況の上に立って、われわれと中曽根長官との質疑の中で、さらに今日、佐藤総理の答弁を含めて、私、野党側から提起をした軍国主義の方向に歩んでいかないための歯どめとしての五項目、第一に、シビリアン・コントロールを確保できるような限度を設定すること、第二に、軍需の波及効果を過大にしないような限度を策定していくこと、第三に、兵器生産能力の限度を確定していくこと、第四に、外交に軍の脅威を及ぼさない限度を確定していくこと、第五に、国民意識を過度に誘導しない限度を確定していくことという、目下まことに抽象的ではありますけれども、この考えを総理自身が認められたということは、今後のさまざまな問題がむしろここから起こることがあり得るにしても、私たちはこの軍国主義歯どめの五項目を中心にして、今後われわれの主張を政府に突きつけ、政府の具体的な政策努力を求めていく決意であります。しかしながら、たとえば、一言、軍需の波及効果の限度という問題について申し上げるならば、実は今日までの防衛庁当局のみならず、通産省当局を含めての軍需の波及効果についての追及に対しては大きな不満を表明します。それは十分な答弁がなかったということではなしに、そのような問題について純経済学的試算を全く行なっていなかったということが明らかになってきたということです。この点は率直に、中曽根長官から、産業連関分析やパイロットモデル、マスターモデルを中心とする波及効果の純経済学的な分析をデータとして御提出あることが約束されましたので、今後の議論をそうした方向に深めることを期待をいたしたいと思います。  ついでに申し上げるならば、時間の制約で申し上げなかったのでありますが、四月十日の参議院本会議において私がいたしました質問、わが国からの兵器輸出の数量はいかに対して、総理の御答弁は、四十四年度四百万円ということでありました。通関統計の数字を見るならば五千四百万円であります。頭の数字を一つ落としたと見るのはむしろ好意的な観測であります。通産大臣のことばを借りるならば、アメリカの貴婦人のハンドバックの中に入れるピストルだけのものではないかというような観点でこうした問題が見過ごされ、あるいは強弁をされるということになるならば、いかにエコノミック・アニマル、ミリタリー・アニマルたるべからずという総理の御答弁にもかかわらず、日本政府は、そうした方向と背馳する方向に走っているではないか——少なくとも怠慢ではないかとのそしりは免れないということになるでありましょう。また自主防衛ということばについて申し上げるならば、在日米軍基地の自主管理という問題が当然の日程となってくるはずであります。自主管理の問題については、私どもは時間がないために、さきの質問ではこれを割愛いたしましたけれども、たとえば、たてとやりと称せられるやり基地を、完全にわが国自衛隊が、わが国の財政がこれを保持するという問題は、港湾基地、造船ドックなどの部分を含めて財政の過重負担の問題が出てきます。また、憲法上からいいましても、攻撃用の基地を日本自衛隊が直接支援する点などは、今後に大きく影を落とすことになるでありましょう。そうした方向を含めて、中曽根長官の言われる一九七五年時における安保見直し論というものに、実質的な討議をさらに重ねていかなければならないと思う次第であります。  いろいろな問題点の中で、最後に私は中立論争について触れておきたいと思います。およそ中立保障論は人類不変の理想でなければならないと思います。わが国における中立保障論の論争というものは、まことに御用学問的な一部の学者によって−今日国際法学会におけるその種の意見は数%にも及ばないほどの微少意見になっているのでありますが、——たとえば、スイスが戦略的価値を持っていないなどという説明の中で中立保障論は俗論の中にその身を沈めてまいりました。総理のただいまの御答弁を見ましても、中立論とはつまり戦時中立論しか頭に置いてお話をされていないようであります。戦争が起こったときにそれに参加しないのだ、これは局外中立にすぎません。私どもはプリミティブな単なる局外中立論などを国の未来をかける中立保障論として提示し論議しているのではさらさらありません。中曽根長官がしばしば言われるように、舳艫相ふくんでくるような大艦隊、大空軍、大兵力の直接侵略があった場合、四次防はおろか、五次防、六次防を展望しても、いささかも反撃能力がないことが説明されています。私たちは戦時中立というような概念をそこで強調しようとは思いません。攻められたときに裸でどうするのかなどという戸締まり論的な議論に私たちは国の未来をかけているのではありません。われわれが議論する学問的なジャンルの中で申し上げたい中立論は、平時における中立保障論であり、まず戦争が起きないようにするための国際中立論です。条約に基づく場合、もしくは国際条約的義務にはかかわりない平時における中立保障論なのでありまして、そうした立場においては、私は十分な国民的な議論が欠落している中での国会における、あるいは専門分野における議論を、この方向に向かってさらに促進しなければならないと思います。中曽根長官は、私どもが提起したオーストリア型の中立論という形に激しく興味をそそられた、こういう見解を述べられたことに今後の議論の出発点を見得るのではないかという気持ちを持ちます。ふえんするならば、ベルギー、ルクセンブルグというような例を引いての議論に反駁します。永世中立国をすでに第一次世界大戦で放棄したベルギーが、永世中立国でありながらドイツの軍靴のもとに屈したと言うような歴史を知らざる議論を、私どもはここに明らかに退けておかなければならないと思います。  以上いろいろ申し述べましたが、すでに時間は九時二十九分であります。六十三特別国会会期ぎりぎり。一九七〇年五月の十三日はあと二時間と三十一分であります。私は最後の結論に入ります。ぎりぎりの会期を前にして、私たちは中曽根長官をはじめ防衛庁、政府首脳に申し上げたい。百年の展望において国運を論ずるというロマンチシズムのあり方を否定しては国民は政治に未来の夢を託してくれることはないでありましょう。トルコがそうであったように、イギリスがそうであったように。はたして太平洋に覇を唱えるアメリカの勢威がいつまでその姿を保ち得るかいなかについてもわれわれは冷徹に見抜く見識をいま持たなければならないと思います。そうした立場から、長期にわたる安全保障論を展開する何らかの糸口をこの国会の論議の中に見つけ出し、そのことを大きく広げて国民的コンセンサスを得るための出発点としようとした私たちの意図は、先ほどの提起に対して三分の二を佐藤総理の認めるところとはなりましたけれども、この壁を最終的に破ることができなかったのははなはだ残念であります。つまり、私たちはわれわれ一億国民のただの一人もこぼしてはならないはずの、この国全体の平和と豊かな未来の設計のために、ナショナルコンセンサスとしての政治への国民参加を、今日これまでの論議の中で獲得することができなかったことを激しくうらみといたします。そしてその中で膨張する軍備の実体を十分に把握することができなかったことを大きく不満に思います。将来を含む中立保障論、ついに野党があと二時間二十数分の時間を残してぎりぎりまで政府に迫りながら、その合意を得るに至らなかったことに大きな不満を述べ、そして、政府が日本の未来に対してわれわれの意見を十分に参酌して、政治的、また政策的努力をこの上とも尽くされることを要望し、そして、この法安の成立が忌まわしい軍国主義のためへの忌まわしい一歩を進めることのないように十分なる戒心を要望し、防衛三法に反対の意見を述べて日本社会党を代表しての討論を終わります。
  572. 八田一朗

    ○八田一朗君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対して賛成の意を表明するものであります。  本案は、第三次防計画の四年目に当たり、昭和四十五年度業務計画に基づくものでありまして、まず、海空の自衛官の増員は、三次防計画で決定している艦艇及び航空機等の就役並びにナイキ部隊の整備に伴うものであり、予算で認められている自衛隊の装備の適切な運用のためにもぜひ必要とされるものであります。  また、今回新設の准尉制度については、曹クラスの処遇改善をはかるとともに、部隊運営の効率化に資するものと思われ、これもぜひ実現さるべきものと存じます。  さらに、基地対策等の充実をはかる防衛施設庁の審議会の統合、改組及び自衛隊予備勢力確保のための予備自衛官増員等の措置も、わが国防衛力の漸進的整備のため妥当と認めるものであります。  私は、国の防衛という重責をにない、日夜訓練に励み、災害派遣及び民生協力の面でも国民とともにある自衛隊の士気高揚のためにも、本案は、すみやかに成立せしめる必要があると思うのであります。  最後に、国の安全保障という問題は、自衛隊のみに負わせて全うされるものでなく、国民全体がこれに認識を持ち、自分の国は自分で守るという自主防衛について国民的共感を高めることが必要なのでありまして、政府としても、今後この方面の施策を強力に推進されることを強く要望して私の賛成討論を終わります。
  573. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は公明党を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案、いわゆる防衛三法について反対の意思を表明するものであります。  わが公明党はかねてより、日米安保体制の段階的解消を主張し、その実質的形骸化をはかるため、日米安保条約の実質的要素である在日米軍基地の撤去を推進してきたのであります。すなわち昭和四十三年には、在日米軍基地百四十五カ所の総点検を実施し、米軍基地の撤去を要求する国民的合意を盛り上げ、その結果は同年十二月二十三日、日米安保協議委員会で五十数カ所の整理縮小計画として発表され、今日まで二十数カ所の返還の実現を見るに至っております。しかしながら、いまだ主要な米軍基地は数多く残存しており、狭小な日本国土における米軍基地の存在がいかに大きな不利益をもたらしているかが、今回の基地再調査の結果によっても鮮明となったのであります。現在まで返還された二十八カ所に及ぶ米軍基地のうち、自衛隊に使用されているものは名寄演習場ほか八カ所であり、面積の上から実に九五%以上が自衛隊に継続使用されているという点であります。しかも、問題なのは、返還された基地が正式に返還されてから半年も一年もそのままの状態で放置されているということであります。この点は住民の福祉のためにすみやかに政府があと地利用計画について地方自治体と協議し、積極的な推進をはかるべきであると思うものであります。  さて、自衛隊員及び予備自衛官の充足についてでありますが、陸上自衛隊は昨年六千名の大量定員増加が強行され、現在十七万九千名を数える状況でありますが、その充足率は四十四年十二月末現在で七・五%、すなわち二万二千四百余名の欠員があり、実質的には二ないし三個師団分不足している実情であります。諸種の実情から七〇年代の欠員状況を考えるとき、その募集はさらに困難になることは、火を見るよりも明らかであります。隊員募集については特にいろいろの甘言を加えたり、万策を用いておりますが、これよりも人間尊重の立場より、隊員の最高の待遇改善こそ急務であると思うのであります。たとえば医官の充足、訓練時の事故補償等の処遇の改善こそ先決であると主張するものであります。  次に、防衛庁長官は、去る三月七日、衆議院予算委員会において、自衛隊員の完全充足は必ずしも必要でない、少数精鋭主義で隊員の質の向上をはかることに重点を置く一方、予備自衛官の潜在力を強めることが必要だと、自衛隊の基本的な考えを述べておられるが、予備自衛官三千三百名の増員も、これに対する充足にやっきとなっておられるが、この予備自衛官の増員を強行しようとすることは、十八万体制を確保することとともに、危険な方向への布石となりかねないのであります。さらに、自主防衛及び来たるべき四次防に対する膨大な予算について考えてみますと、本年度の防衛関係予算は自衛隊発足以来の大幅な伸びを示し、その増加率は、軍事費を削減し抑制せんとしている米ソはもとより、ヨーロッパ各国の増加率をはるかに上回っているのであります。また、四次防の総経費は国民総生産の〇・八から一%、すなわち五兆ないし六兆といわれておりますが、本年度の防衛予算の拡大、政府の四次防の膨大なる経費は国民生活を圧迫しているものであります。むしろ七〇年代は内政の充実、すなわち国民生活の向上と安定をはかる生活防衛こそ最優先にすべきであると考えるものであります。  また、防衛庁長官は、制海、制空権の確保、戦闘機によるパトロール体制の確立、公海上における侵略排除のため対艦爆撃機、対潜水艦作戦用空母の必要性を述べられておられますが、これこそ明らかに自主防衛に名を借りた軍備拡張であり、攻撃的兵器を自主防衛の中に取り入れることであり、中曽根長官の言う自主防衛五原則に反するものであり、断じて承認できないところであります。本年度予算にもわが国初の国産揚陸艦建造費が計上されており、また対潜飛行艇等の経費も計上されているのでありますが、長官が常に強調されるところの自主防衛の強化、四次防における空海力の強化は符合を合わせており、今後一そう国産兵器、武器の大量生産が行なわれることは必然であり、いわゆる産軍一体化問題は、今後財界の強い要請となって政府に迫ることも予想されるのであります。六兆円にのぼる第四次整備計画とあわせ考えてみますと、政府のいう自主防衛とは私どもの自由な選択に基づくものではなく、安保体制下における米国の極東戦略のもとに組まれた自衛力の増強のための国民向け愛国心の高揚をはかる手段にすぎないと思われるのであります。  最後に、わが国の安全保障の基盤は国民生活の向上、政治的、経済的、社会的な安定と発展であり、社会保障の充実を基盤としない自主防衛力は真の安全保障となり得ないのであります。  以上をもって、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案には強く反対するものであります。
  574. 片山武夫

    ○片山武夫君 私は民社党を代表して、反対の立場で意見を申し述べます。  先ほど来、総理並びに防衛庁長官等に対していろいろ意見をまじえて質問をいたしました。しかしながら、その中でなかなか満足の得られるような答弁がなされておりません。特に時間も切迫しておりますし、その意見の中で十分私の反対の理由はおわかりのことと思いますので、重複する点は避けまして要約して申し上げまするならば、現在の防衛体制、特に自衛隊の持つ本質的な問題の中でも解決の努力が私はまだ不十分であるし努力が足りない、こういうふうに考えておりますし、同時に、そういう状態の中で今度の法案が提案されたわけであります。この法案の内容を考えてみても、これは自衛隊の持つ本質的な問題解決にはほど遠いものでありますし、特にまたプラスにもあまりならない、こういうふうな観点から私は本法案に反対するものであります。  以上、意見を申し述べて討論を終わります。
  575. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表して防衛三法案に反対するものであります。  中曽根防衛庁長官は、就任以来、自主防衛なるものを打ち出し、あらゆる角度から目下その宣伝につとめています。しかし、結論からいって、アメリカの極東核戦略に従属し、日米共同声明体制を推進し、安保条約の自動延長をはかる限り、自主防衛はあり得ない。こうした中での自衛隊の強化拡充は、それ自身の目的というよりも、アメリカの新たなる戦略の一環であり、アメリカの核戦略を補完するための肩がわりであることはあまりにも明確であります。かつてマクナマラ前米国防長官は、ABMの配備にあたっての記者会見で、理解しなければならない重要なことは、わが戦略核戦力は米国の安全と同盟諸国の安全にとって死活的に重要かつ絶対的な役割りを果たしているかというに、それは本質的に限定された役割りということである。つまり、これらの戦略核戦力だけでは効果的に抑止できないような水準の侵略に対処できる相当数の通常兵力を維持しなければならない、したがって、米国とその同盟国にとって安全保障は全段階にまたがる抑止力を保有して初めて生まれるものであると述べ、同盟諸国の軍備強化拡大を示唆しています。これはまたニクソンのグアム・ドクトリンの趣意でもあり、また、これを受けて締結された日米共同声明の趣意でもあります。つまりアメリカの極東核戦略の構想は、日本の自衛隊を含むアジアの反共諸国軍を増強し、これをベトナム、台湾、韓国の前進基地に展開配置して、これを維持確保するとともに、その後方にアメリカの戦略報復部隊、戦略的核戦力と機動力のある全般目的部隊、戦術核装備を含む通常戦力を置いて、いざ鎌倉というときには、アメリカは核脅迫を強めながら、まずアジア連合軍を投入するというものであります。こうした中で自衛隊の強化はアメリカヘの依存度を少くするところにねらいがあるのではなく、その真のねらいはアメリカの負担をできるだけ軽くし、日本がそれを肩がわりする方向で、アメリカの核戦略の中での責任分担をできるだけ拡大しようとするところにあります。これがいわゆる自主防衛の正体であります。こうしたアジア人とアジア人を戦わせるアメリカの核戦略の背景のもとに行なわれる防衛力増強政策は、具体的には国民生活を圧迫するものであります。われわれはこのような法案に絶対に反対するものであります。  次に、法案の問題点に触れます。今回の改正では、海上自衛隊五百十人、航空自衛隊四百七十四人、合計九百八十四人を増員しようとしています。海上自衛隊の増員は、第四護衛隊群や、北海道余市防備隊の新編、新しい艦船、航空機の就役等に伴う海上、航空及び陸上要員を確保しようとするもので、自衛隊の行動範囲を公海、公空にまで押し広げた戦力強化の方針を具体化する第一歩となるものであります。航空自衛隊の増員は、ナイキ、ハーキュリーズ部隊の北海道、京阪神地区への配備、その他部隊の改編に伴う増員であり、自衛隊装備のミサイル化を一そう推進するものであります。  次に、防衛施設庁の付属機関の中央調達不動産審議会と被害者給付金審査会を統合して防衛施設中央審議会に改組、整備する点でありますが、このおもなるねらいは、自衛隊の基地拡張や、米軍からの基地移管が進行する中で、北海道の長沼等に見られるように、これに反対する地元民や国民の戦いの高まりで、その計画が大幅に狂ってきている中で、自衛隊基地の整備拡張をスムーズに行なおうとするためであります。また、いわゆる基地公害に対する補償について民意を反映させる機関として、国民との間のパイプとなる公正さをよそおい、実際は防衛庁の意思を通す第三者機関を設置する必要があったからであります。つまり、この審議会は、他の一連の審議会と同じように、審議会の議を経ることによって民意を反映させたとし、国民的合意の名のもとに、自衛隊の基地拡張等の計画を政府が一方的に推進するための道具となるものであります。  次に、准尉制度の採用でありますが、これは旧軍隊の階級制度の復活であり、そのねらいは隊員に昇任率向上の期待を与えることによって、人事管理権を強化し、あわせて幹部の育成、強化を目ざすものであります。  また、今回の予備自衛官三千三百人増は、陸に三千人増、海に初めて三百人を誕生させるが、これら予備自衛官は、自衛隊法七十条によって防衛招集が発令された場合は、強制的に動員され、自衛官と同様の資格と権限が与えられるものであります。したがって、実質的には形を変えた自衛官の増員にほかならないのであります。  われわれ共産党は、以上述べた諸点によりまして、防衛三法に反対し、あくまで安保条約の発棄並びに沖縄の完全復帰を目ざし、日本の中立を目ざして戦うことをつけ加えて私の討論を終わります。
  576. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) ほかに御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  577. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  578. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  579. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 請願を議題といたします。  本委員会に付託されております請願は、第二号靖国神社国家護持早期実現に関する請願のほか、千二百九十六件でございます。  これらの請願の審査は、先刻御協議いただきましたとおり、国家行政組織関係十四件、国家公務員関係三百八件、恩給、共済関係二百二十一件、計五百四十三件の請願は議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものとし、靖国神社国家護持早期実現に関する請願外七百五十三件は留保するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  580. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  581. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  582. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 去る四月二十六日、二十七日両日、本委員会が行ないました陸上自衛隊日本原演習場の実情調査につきましての派遣委員の報告につきましては、口頭報告を省略し、報告書を会議録に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  583. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  584. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 次に、継続調査要求に関する件についておはかりいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査は、閉会中も継続して調査を行ないたいと存じますが、このように決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  585. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  継続調査要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  586. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  587. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 閉会中の委員派遣についておはかりいたします。  ただいま決定されました二件の継続調査が承認されました場合、これらの調査のため委員派遣を行なうこととし、これが取り扱いにつきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  588. 西村尚治

    委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時五十三分散会      —————・—————