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国務大臣(
橋本登美三郎君) おっしゃるとおり、基本的には入れものと、いわゆる入れるものとの
関係がアンバランスである、これはまあ事実であります。ただ、この
自動車を持つということ、マイカー族と言っていますが、こういうものはこれは
日本だけじゃなくて、これは世界的な傾向ですね。ある
意味においては一部分がアクセサリー的に
考えられている。いいことか悪いことか別として。そういう
意味において非常に
自動車の数がふえてきている。問題はこれからの、何と言いますか、市民生活といいますか、こういうものがやっぱり通勤用じゃなくて、大部分レジャー用にも使われているという、社会生活の複雑化というものも
自動車が激増した大きな原因の
一つであります。しかし、実際上大都会における道路のキャパシティが十分かといえば、これは不十分であります。これに対しては、もちろんこれは根本的にはその問題にメスを入れなければなりませんが、根本問題を言っておったら、これはなかなか容易じゃありませんから、それはやるとともに、まず現実としてやるべきことは、やはり交通規制を強めていく以外に道はない。同時にまた第二にはいわゆるドライバーのマナーの問題がございます。あるいは歩く人のマナーの問題もある。この点も合わせてやはり
考えていかなければ、なかなか交通
事故を押えることは困難である。ただ、最近の
数字で、御承知と思いまするが、都会における裏通りの
事故が約三〇%強減ってきております。これはまあ
一つは裏通りの
自動車交通に対して相当思い切った規制をした結果が、この二、三カ月の間に、半年の間にあらわれてきている。一面やむを得ませんからして、そういう規制を強化していく。こういうことが大事なことだと思います。なお先ほど来の
お話の中で、いわゆる組合の立場も十分にこれはわれわれも理解し、また組合員の意向、運転手の希望なりは十分に聞きながら、やはり
運輸行政に、特にタクシー
行政はこれは反映していく必要がある。ただ、もちろん岩間君も
数字をお持ちでありましょうが、
東京で申しますと、
東京の三百五十社のうち百台以下のいわゆる小企業者というものは三百余もあります。
〔
委員長退席、理事八田一朗君着席〕
それで百台以上のいわゆる比較的中及び大、大のほうはこれは五百台以上で、これは五社ありますが、これは全部労働組合ができている。先日私は労働組合の人に会ったのですが、その諸君も言っておりました。われわれは大企業であるからしてまあまあ何とかいろいろなことが言える、これは労働組合がちゃんとしているからでしょう。しかし、小企業になるとなかなかそうはいかない、
大臣も十分察していただきたいという
お話しでありました。もっともだと思います。
そこで、いまのこのタクシー事業というものは、昔のような思い切った利益が上がっていないのではないかと思います。したがって、労働改善等についてもなかなか小企業は困難である。すなわち管理費というものが、大であっても小であっても、ある程度必要でありますから、一台当たりの管理費というものは、小さければ小さいほどかかるわけであります。それに対して一部のものが、大企業に対して偏重してはいかぬ、小企業といいますか、三十、五十のものを
認めろ、こういう意見も一部にはありますが、私はタクシー事業の将来の近代性という
意味から
考えれば、そういった
考え方はもう一度
考え直す必要があるのではないか。いわゆる水揚げ量というものは、もういま労働組合があり、あるいは労働組合がなくても、自分はきょう幾ら働いたということがはっきりわかってくるわけです。これは他人が働いたものではない。自分が持って来たやつです。これはもうわかるわけですね。そういうような
意味においては、収入ははっきりと一種のガラス張りである。したがって、その間における合理化というものは、管理費の合理化以外にはない。それが一部の人が大企業に偏重してはいかぬとか、大企業には許可をするが、小企業には許可をしないというものの
考え方自身が、これは私はタクシー事業の近代化に――これは私の私見でありましておそれ入りますけれ
ども――将来、前近代的な企業というものをほんとうにやはり近代的に直すためには、そういう点をも
考える必要があるのではないか。そういう点も
考えておるわけでありますが、もちろんこれは小企業を圧迫しようという
考え方からではありません。そのためには、他の競合方式といいますか、そういうものも
考えて、小企業の生きられる道も
考えなければならぬ。それによってタクシー事業の近代化を促進していくという
考え方を持つべきではなかろうか、かように
考えておるわけであります。