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1970-05-08 第63回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月八日(金曜日)    午後二時三十七分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月七日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     宮崎 正雄君  五月八日     辞任         補欠選任      宮崎 正雄君     矢野  登君      山本茂一郎君     田村 賢作君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 足鹿  覺君                 上田  哲君     委 員                 源田  実君                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 田村 賢作君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 矢野  登君                 鶴園 哲夫君                 矢山 有作君                 山崎  昇君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        運輸大臣官房長  鈴木 珊吉君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山口 真弘君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        運輸省航空局長  手塚 良成君        気象庁長官    吉武 素二君        気象庁次長    坂本 勁介君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        労働省労働基準        局監督課長    大坪健一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  運輸省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 足鹿覺

    足鹿覺君 最初に改正の第一点ないし第二点に関連をいたしまして伺いますが、従来運輸審議会なるものがあり、許認可等中心にして運輸行政についての諮問機関等の任務を果たしてまいり、今回は付属機関として運輸政策審議会並びに運輸技術審議会設置するということであります。そこでこの運輸政策なり運輸技術という点になりますと、範囲が広くありますので、私はまずこの点について、航空政策ないしは航空行政について伺いたいと思います。  最近の民間航空の著しい普及と、利用者が激増しておるようでありますが、ここ数年間の実績、特にどういう路線需要が増大しつつあるか、その実情等について御調査になっておるものがありますならば、御発表をいただきたいと思います。
  4. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 路線の編成は、空港の種別で申し上げますと、第二種、第三種という空港がありますが、この第二種、第三種につきまして、日本の特性でもございますが、大体東京大阪とを直に結ぶ、こういうのがわが国の路線特殊性をなしておりまして、そのほかに二種と三種ごとを結ぶ、あるいは特定のものについては三種ごとを結んでおるものがございます。そのほかに北のほうから南に向かっての幹線空港というのがございまして、この千歳から東京大阪、板付、こういう結び方になっております。  そういたしまして、いま御質問の実際の需要といいますか、お客乗りおり関係を見ますと、この幹線関係につきまして、これは一番伸びが激しい。特にその中で東京-大阪間というのが、これは非常に伸びが激しゅうございます。いっとき東京-大阪間に新幹線ができました直後におきましては、これが若干減りましたけれども、現時点におきましては、万博の関係もございますせいか、これが非常に伸びが激しくなっております。それから、それ以外におきましては、東京からビームライン式に結んでおります線、大阪、関西で言いますと、大阪中心にした大阪-松山大阪-高知、あるいは大阪-鹿児島大阪-宮崎、こういったところが非常に伸びが激しい。これに続きまして、大阪から裏日本へ結んでおりますところの鳥取米子、出雲、こういったところの伸びがこれに続いておる。そのほかに島を結んでおりますのがございます。たとえば東京-八丈東京-三宅、大島、あるいは九州地方で言いますと、鹿児島-種子島、屋久島、こういった島、離島関係がまた非常に伸びが大きい。概略の数字で申し上げますよりも、要するに幹線、これが一番伸びが激しい。それから続きまして、いま申し上げました東京大阪中心にした二種空港を結んでおるところ、続いて裏日本関係、それから離島関係、かようなぐあいで伸びが激しゅうございます。     ―――――――――――――
  5. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 委員異動についてお知らせいたします。  本日、宮崎正雄君が委員辞任され、矢野登君が選任されました。     ―――――――――――――
  6. 足鹿覺

    足鹿覺君 この空港需要の予測でありますが、四十一年にたび重なる外国機並びに国内機の大事故が続発いたしまして、自来運輸省としても鋭意その対策を検討しておられると聞いておりますが、五カ年計画というものもあるという話を聞いておりますし、その中心は何であるかというようなことについても、これから少し触れたいと思いますけれども、少なくともいま述べられたような需要実勢ないしは路線別需要の見通しというようなものを含めた御説明を願っておりますと、時間を空費いたしますので、すみやかに資料として出していただけませんか。また、将来の点についても、今後の航空輸送ビジョン問題点なる一文もあるやに聞いておりますが、そういう資料は直ちに御配付になって、今後の航空行政あり方について、私どもも検討したいと思っておりますし、いま申しました航空需要路線別あるいは空港別等資料も含めた、いま私が述べたような資料をお配りになって、そして納得のいく説明を補足していただきたいと思いますが、どうですか、もらえますか。
  7. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) いまの空港別あるいは路線別需要伸びの姿、私の手元にある程度資料がございますけれども、非常に中身がこまこうございますし、数字のことでもございますから、後日先生のお手元資料として御配付いたしたいと思います。  補足的になりますけれども、この伸びというのは非常に激しいということで、その概括の数字を申し上げますと、国内線全線需要伸びというのが、四十四年度では、対前年三五%の増、こういう状態でございます。全線の各路線別お客が乗っておりますいわゆるロードファクター、実際に飛行機を飛ばした座席の数と乗りましたお客の比率、要するに満員度というものをあらわします、こういうロードファクターというのが、四十三年が七二%でございましたのが、四十四年では七六%というふうになっておりますので、器材の伸びを勘案いたしても需要が非常に伸びておると、こういう姿でございます。  資料で先ほど申し上げた路線空港別資料をお出しすることにいたしたいと思いますが、さらにちょっとお触れになりました五カ年計画というものにつきまして若干申し上げますと、これは空港整備につきまして長期計画を立てました内容でございます。これは昭和四十二年から始めた四十六年までの五年間を対象にした内容でございます。そういたしまして、全体の事業費は千百五十億というふうな押え方にいたしまして、そのときの需要目標、四十六年の需要目標を、国際線は三百五十万人、国内線が三千二百万人、合計して三千五百五十万というような数字前提にいたしたわけです。金額的に千百五十億の内訳としまして、国際空港整備及び維持が三百七十億、それから先ほど申し上げた第二種並びに第三種という地方空港整備及び維持、こういうものは五百五十億、そのほか単独事業調整項目というものを加えまして二百三十億、それで合計して千百五十億というものをきめまして、これは四十三年に閣議了解、昨年三月二十五日に閣議決定、こういうふうなことにいたしまして、これで空港整備をいたしておるわけです。この空港整備のしかたとしまして、滑走路の長さを、第二種空港につきましては、これを原則として二千メーターにしたい。それから、三種空港については、需要の頻度に対応いたして、逐次千五百メーター級にしたい。こういうこと、それに伴う航空保安施設充実強化をはかる、こういうこと。そのほか国際空港は、東京国際空港大阪、両国際空港について滑走路の延長あるいはエプロン、航空保安施設整備、こういったものをやろう。こういう内容でございまして、さらに具体的に御理解を得るという意味におきまして、これまたひとつ資料として御提出申し上げたい。かように思います。  それから、もう一点お話しのございました航空ビジョンあり方問題点というようなお話がございましたが、これはちょっと内容的にどういうものを御指摘なのか、よくわかりませんが、最近時におきまして、私のほうでいろいろこの今後の需要伸び、それに伴う空港整備のしかた、あるいは航空界のかかえております問題点、そういったものについていま省内に、学識経験者等も交えまして、いろんな検討をやっております。先般一部新聞等にも報道されましたのには、この国内線需要などが昭和六十年には一億二千万になるだろう。国際線については四千万ぐらいになるだろう。こういうような需要中間報告という形で出したものがございますが、こういった資料内容がいま御指摘の一部になるかと考えますので、これもひとつ後日御提出して差しつかえないと思っております。
  8. 足鹿覺

    足鹿覺君 聞くところによりますと、一県一空港主義というもので、空港整備に当たられ、あるいは新設に当たられて、ほとんどその目的を達成されたと聞いておりますが、一種、二種の府県飛行場別の数はどういうふうになっておりますか。たとえば松本市はその名を天下にとどろかしておりますが、一県一空港もけっこうですけれども、ヘリコプター以外には飛べない一県一空港などというものを御認可になる。私は少なくとも、大臣、おかしいじゃないかと思う。一県一空港もけっこうですけれども三種にも該当しない、小型の飛行機も飛べない、民航も安全がはかれなくて就航しない、こういうものを過去においてあなた方はお認めになっておる。そして一県一空港主義だと。これでは私は一体いまの航空政策のうちで、一番安全を旨としていかなければならない、特に事故等は離着陸のときに非常に著しく多い、そういう点から、一県一空港主義もけっこうですけれども松本市の飛行場が示しておるような矛盾、こういう点についてもよく御反省になって、当初からもはや三種などというようなものを認めること自体が私はおかしいではないか、かような感じがいたします。聞けば運輸大臣直属の私的な諮問機関等もお持ちになっておるようでありますが、少なくとも現内閣の一番最重要閣僚として、過去の実績といい、手腕といい、経験を持たれる橋本さん、いかがですか。少なくとも御反省にならなければいかぬじゃないですか。
  9. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) もっともな御意見でございます。まだ一県一空港主義というものも具体的には考えておりませんし、私の考えの中にもまだありません。問題はこの航空網といいますか、飛行場飛行機というものが人間――将来貨物等相当関係がありましょうが、人間輸送体系の中で占める位置は何か、こういうことをまず考えなければいかぬと思います。将来、この国会にもいまかかっておりますけれども新幹線網というものが、鉄道新幹線網が将来、ある程度の期間を要しましょうけれども、これがひとつ決定を見るということになり、かつまた自動車道路、これはすでに議員提案決定をされて、実際の実行に移っておるわけであります。そこでこれは人間輸送体系から見て、この自動車新幹線というものが二つの大きな柱になりはしないか。そこで航空というものは、もちろんこれは大きく言えば三大柱と言えますけれども、その能力からいいますというと、中、短距離というものは、やはりこれは自動車高速道路に回る、これは原則だと思うのです。中、長距離、これは新幹線鉄道、これに回る。同時にまたスピードの上からいって、それに補足するものが飛行場、いわゆる飛行機網航空網というものになるだろう。これは中、長距離の問題です。こういうにらみ合わせから考えて――ただ、従来は必ずしも、自動車幹線道路とか新幹線というものを考えずに、いろいろの事情から、あるいは需要度のことからして飛行場というものが開設をせられた。こういう意味において、必ずしもこの交通総合体系の上から考えられておったかどうか、私は疑問がありはしないかと思うのです。そういう意味で、地方の要請に応じたり、あるいはまた、そういうような体系上の問題を別にして、こういうことが設置をせられたというきらいがなきにしもあらずでありまして、その点足鹿さんのおっしゃるように、やはりこの飛行機の性能、ことに安全度、特にまあ飛行機の場合は、飛行場だけをつくったら飛行機が飛べるという問題ではありません。もちろん飛行機が必要であると同時に、それ以上に必要なのは、いわゆる熟練した操縦士機関士を持つということであります。ところがなかなかこのパイロットあるいは機関士というものの養成は一朝一夕にはできません。  最近各地に非常に飛行機利用者が多い。そういうことからして、よく地方から増便を願う、あるいは新路線を希望する、こういう要求がありますけれども、私はまず大前提として、そういうものを許す場合に、操縦士が十分であるかどうか、あるいは飛行場整備がそこまでいっているかどうか、こういう問題をまず解決できずして新路線認める、あるいは増便認めることによって、万が一いわゆる人命に大きな事故が起これば、これはたいへんなことになる。政府がこういう行政を所管しているゆえんのものは、ただ需要に供給するというだけではなく、その供給がいかに安全であるかどうか、また、総合的であるかどうか、こういうことを見ることが行政府のこれは仕事でありますので、いまお話しがありましたように、それらの点につきましては十分に考えつつ、かつまた、しかしながら、必要である飛行場に対しては、できるだけ財政的措置を講じて、完全な飛行場にしていく。こういう方針のもとにやっていきたい、かように考えております。
  10. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま一府県飛行場ということは知らぬということなんですけれども、私どものところの鳥取県の知事が、ことし予算の査定のときに本省へ伺ったら、一県一空港主義だ。鳥取県には二つある。一つ自衛隊との併用飛行場ですが、鳥取にあなた方は千二百の第三種を数年前にお認めになった。これは純粋な民間飛行場ですが、これを滑走路を延ばさなければ需要に合わない、こういうのでいったら、一県一空港主義で、二つともだめだ、若干の施設があった、こういって新聞に報告しております。一県一空港主義というものは、大臣は知らないとおっしゃるが、航空局長、そういうものないですか。一県の知事はそういううそをつくものでしょうか。
  11. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 空港整備の基本的な考え前提といたしまして、当時巷間一県一空港主義という簡単な言い方で言われたことがございます。また事実いま結果から見ますと、そういうふうな結果が非常に多いわけで、必ずしもその全部があるわけではございませんけれども、まあ非常に多いわけでございます。問題は、いまおっしゃいましたその鳥取米子との関係においてのお話のようでございますが、これは過去の経緯からいたしまして、米子というものについて、これは軍と民が一緒に使う、使っておるという姿でございますので、これを純粋な民の空港というものを独立してつくったらどうかということで、鳥取というものが初めて整備されることになったということでございまして、言うなれば、当時これをつくりますときには、鳥取には民間空港がないから純粋な民間空港をという意味でつくられたわけです。これは何も一県一空港という意味からでき上がったものではないのです。最近この鳥取空港につきまして、現在の長さを、千二百メートルを千五百メートルにしたいという地元の強い御要望がございます。これは特に四十一年の事故の直後からそういうようなお話が非常に強くあがりまして、私どもも当時の事故経緯等から見まして、これは非常に望ましいことであるというふうに考えて、その整備の努力を払ってまいったつもりでございますが、これにつきまして若干予算上のいろいろなつけ方について、話の過程において、まあ知事がおっしゃったかどうか、そういう一県一空港主義であるので、両方空港整備について同時にやるというようなことがなかなか困難であるやのお話があったのではないかと推察いたしますが、全体の予算規模関係から、そういった両者を一度に手がけるということがなかなか困難である。これはまあ実情でございまして、そういうときの言い方として、端的なお話でそういうのが出たのではなかろうかというふうに考えるわけでございまして、私どものほうでは、やはり必要性に応じては、一県一空港であろうが、あるいは将来において二空港必要であれば、二空港というものをつくらなければならないと思っております。そういう意味からは一県一空港主義で、それに非常にこだわって、いま申し上げたような事実についてどうこうするというつもりはないわけでございます。鳥取米子整備については、両方ともやらなければならぬと思いますが、ただその先後について、いろいろ財政経済状態がありますので、勘案をしながら進めなければならぬ、かように考えております。
  12. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、何も陳情したり、米子整備してくれとか、鳥取整備してくれとか申しておるのではない。航空法三十八条ですね、等によれば、許可権運輸大臣が握っておられる。先ほど、二種は二千メーター三種は千五百という基準を持っておるとおっしゃったけれども、明らかに鳥取ができたときには、数年前でありますが、千二百で許可しておられる。この種の千二百のもの、千五百のもの、二千のものの分布、数はどうなっていますか。そういうものを認可しておいて、あとで危険だから云々というようなことは、私はあなた方の行政が一貫してない。そういうのを認めておるということ自体がおかしい。したがって、純然たる民間飛行場を完備したいということは、これはだれしも念願することですよ。  いま、あなたは軍と民と言われた。軍なんてのはどこにありますか。そういうものはわれわれは知りません。米子飛行場があるというようなことは、私ども併用空港自衛隊輸送飛行団というものはありますけれども、軍なんかありません。えてしてそういうことばをあなた方はすぐ使う。きょう中曽根防衛庁長官は、空軍、海軍ということばを使って、いま問題を起こしておるわけなんで、日本国憲法には軍なんというものはございません。そういう点からいって、併用飛行場主義でいくのか、単独の純粋の民間飛行場整備を、少なくとも何を基準にしてこれから進めていこうとしておるのか。従来千二百で許可したものであるならば、それはあなた方の許可基準が間違っておったんで、輸送需要というものを見込めなかったんだ、こういうことにならざるを得ない。そういう点で、この基準を改めて、そして民間空港整備をはかっていくと、こういう御趣旨なら私どもわかりますけれども、どうもその間、少し私の質問をはき違えておられるようであります。いかがですか、大臣、どうですか、これは。
  13. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ一つは、足鹿さんも御承知のように、いわゆる飛行機自体変化をしてきている。いわゆる輸送機にしましても、だんだんと大きくなってきているわけですね。まあ、最近はローカルにおきましても、YS級である、もしくはバイカウント、フレンドシップというようにだんだん大きくなってきておるわけです。四十二年に認可したんですから、まあそのころすでにバイカウントは来ておったわけですけれども、なおかつ当時はもう少し小さい飛行機も動いておった。小さい飛行機であれば千二百メーター滑走路でも間に合ったということが言えると思うんですが、何せ飛行場整備については、ある程度の時間を要するということのために、当時つくった基準が、もちろんこれは今日においては適正でないということからして、最近五カ年計画を立てるに至りましては、千二百メーター滑走路は千五百メーターにして、少なくても準大型といいますか、中型の大きいもの、こういうような飛行機も安全に着けるようなふうに改造をしていきたい、整備をしていきたいということが、まあ飛行場整備五カ年計画の本旨であります。  そういう意味において、ただ予算が十分でありませんので、今回の五カ年計画が本年度で三カ年になるわけでありまするが、その整備状況も、必ずしも五カ年間の間に、われわれの考えておった一〇〇%までは行きにくい状態でありますけれども、そういったことからして、本年度からその会計法上の特別会計として、できるだけ積極的に空港整備をはかっていこう、こういう考え方で、いわゆる千二百メーターはこれを千五百メーターにする。かつまた大型機を将来必要とするのでありますからして、そこで千五百メーターのものは二千メーターまでこれを整備実施しよう、こういう意味でありますから、まあ時代変化とともに、やはり入れものは違ってきますが、同時にまた入れるものが違ってくる。入れるものが変わってくりゃ入れものも直さざるを得ない。こういう意味で、千二百メーターで許可したのだから、なぜ、当時は間違っておったといえば、先見の明がないといわれれば言われましょうけれども、いわゆる限られた財政の中でやる場合は、なるべく合理的に、その範囲内で整備していこうという考え方のもとに、当時は千二百メーターで許可したものと考えます。しかし、もう時代はそういうことを言っておれない。あるいは千五百メーターでも、私はだんだん窮屈になりはしないか。しかし、一ぺんにはできませんから、そういうことからして、漸次五カ年計画によってこれを整備して、近代的な飛行場に直していこう、こういう意図のあるところは御了解願えると思うのです。
  14. 足鹿覺

    足鹿覺君 航空局長ことばじりをぼくはとらえるわけではありませんけれども、用語は慎しんでいただきたいと思う。まあ大臣のおっしゃることも、昭和四十二年に認可になっている。だけれども、それができたのは、飛行機が飛び出したのはおととしですよ、実際問題としては。ですからそうその古いことではないんです、入るものと入れものとの関係は。ですから私は別にこの点で航空行政の失敗をなじるとかどうとかいうことはありませんけれども、とにかく、じゃ、いつから千五百メーターから二千になったのか、少なくとも、この航空法に基づいて改正になったのはいつですか。それからこの千二百メーターの現在飛行場は何飛行場あり、千五百、二千と、二種、三種民間飛行場の数、それから自衛隊との併用飛行場、これはおそらく三種級はないと思いますが、少なくとも千五百以上だろうと思いますが、その数、これはどうですか。
  15. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 先ほどちょっとことばの上で失言いたしましたが、その点は訂正させていただきます。  いまの御質問ですが、一種空港、これは原則が三千メーター級滑走路、それからなおその中に新東京国際空港のごとく、四千メーターのものも含みますが、こういったものを持っておるのを、いわゆる国際空港ということで第一種空港と称しておりますが、これが新東京国際空港を含めまして三港ございます。まあ新空港はまだ建設中でございますけれども、それから第二種といいます運輸大臣設置管理する空港、これが十七ございます。それから地方公共団体を主にいたしまして、設置管理をし、これに国が補助をするというかっこうの第三種空港、これが二十九ございます。それから米軍と共用の空港が三つ使っております。それから防衛庁と共用のものが六ということでございます。  そのほかこまごましたものがございますが、以上のものが民間空港の定期ラインの主たるものということになりまして、合計いたしまして五十八になるかと考えます。で、その第二種空港の中で、二千メーターでありますものは現在はございません。ございませんが、これを二千にすべくいま整備中であるというもの、これは九港ございます。その九港は、大体ことしと来年一ぱいをもちましていずれも完成の予定ということになっております。  それから第三種空港につきましては、いま千五百というものは最近できました。最近できたばかりでございますが、松本空港が千五百メートルでございます。秋田が千五百メートル、その二港だけが現在千五百でございます。あと、いま問題になっております鳥取空港、それから八丈島の空港というのが……。鳥取は、失礼いたしましたが、これは土地を地元で買収しておられるということでございますが、これはまだ千五百の着手にはなっておりません。出雲と隠岐がいずれも千五百、出雲が千五百ということ、それから種子島、八丈、それからそういうのがいま千五百ということで整備中ということでございます。  それからそのほかの自衛隊との共用の空港につきましては、これは現在千歳について二千七百を三千にするという工事をやっておりまして、これは今年度一ぱいで整備が完了する予定でございます。その他は防衛庁、自衛隊飛行場そのものについては、私どもで手がけておるものはないので、現状の長さのものをそのまま使っていくという計画にいたしております。
  16. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしますと、鳥取は用地はあるけれども、来年はやらないということですね。それから千歳を除いては他に本年も来年も、延長または角度の変更あるいはその他の整備ということはお考えになっておりませんね。
  17. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 私どもの民間の必要性に応じて滑走路そのものを、そういうふうに変更するというようなことを考えておるものはございません。ただ、たとえば徳島空港のごときはタクシーウエー、誘導路といいまして、滑走路からできるだけ早く逃げて出て、そして実際の飛行機に乗り得るターミナルビルまで行く誘導路、こういうものを民間航空必要性から整備をしていこうと考えておるものはございますけれども、基本施設であるところの滑走路そのものについて、これを私のほうでやることについては、考えておりません。
  18. 足鹿覺

    足鹿覺君 よくわかりました。そこで大臣に伺いますが、民航側からも要望があるけれども、慎重を期しておるということであります。つくるときには思い切ったものをつくるべきだと、こういう御意思だろうと思うのですが、私もそれがよろしかろうと思うのです。現在あるものを手直しするときには、なかなかこれややこしい問題が、併用のときには出てまいりますので、その辺はいまの御答弁はよくお守りをいただきたいと思います。運輸大臣の御方針として、航空政策上、飛行場については併用を随時、まあいままでの実績実績として、これを民間の専用飛行場へ切りかえていかれる御方針でありますかどうか。
  19. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 原則としては、いま足鹿さんがおっしゃったように、これは民間は民間専用が好ましいと思います。ということは、使用目的が違いますからして、また、飛行機自体も全然違ったものを使う場合もあります。したがって航空自衛隊、まあこれはいろいろありますけれども飛行機の中で、そんならば輸送関係はどうするのだという問題もありますから、併用を全部やめるということはいかがとも考えます。ただ、しかしながら、航空自衛隊が戦闘等の訓練用に使う場合、そういう場合、はたしてこういう輸送機を主として扱う飛行場併用することが、将来の安全性の上から考えてどうか、こういう問題等がありますが、ただ問題は、御承知のようにまた整備された飛行場、非常に少ないおりからでありますから、いま直ちにこれを考えておるようなぐあいに変更することはいささか困難がある。しかし将来の長期の考え方からいえば、いまいったような用途別のいわゆる飛行場というものは、航空自衛隊との関係においては考えるべきであろう。しかしながら、これらの問題、こまかい点もありますからして、当然関係者、特にまあ航空審議会等に十分にはかった上で将来の対策は考えていきたい、かように考えております。
  20. 足鹿覺

    足鹿覺君 航空局長、現在航空自衛隊のほうから、何か併用飛行場整備拡充をするとか、あるいは角度の変更をはかるとか、その他の申し入れ等を受けておられる地区がありますか。
  21. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) いま正式に、ここを来年から必ずやりますというようなことでのお話というのは、まだ私どもとしては承っておりませんが、まあそういう御計画があるやに伺っておりますものには、やはり、ただ、先ほど来申し上げております米子あたりが一つございます。それから自衛隊との分離問題で、いままでずいぶんいろいろお話が出ましたのは、千歳にございまして、これを自衛隊と分離をしてはどうかという話が前に出ました。千歳につきましては、私どもと北海道開発庁と自衛隊という三者で協議体を持っておりまして、寄り寄りそういった分離の方向で研究調査を進めておる。なかなか結論に到達いたしませんが、いまそういう形態を続けております。こういった程度でございまして、それ以外におきまして、私どものほうではっきりつかんでおるものはまだございません。
  22. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま一応あげて米子飛行場の話もありましたが、あるやに聞いておる、こういう御答弁でありますが、その程度ですか。
  23. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) ことば言い方かもしれませんが、そういうことでございまして、一応予算が確定をし、図面が引かれますと、こういうふうになりますと、それに伴って民港関係のいわゆる駐機場あるいは誘導路、そういうものは直す必要があればそれをもとにして訂正をしていく、こういう段取りをつけていくわけでございますけれども、まだいま、そういうふうにしなければならないというようなお話が出てまいり、私のほうで具体的にいまのような計画が変更をされておるものはない、こういう内容でございます。
  24. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の調べたところによりますと、相当はっきりしておるのですがね。もし間違いであれば間違いだとおっしゃっていただきたいし、そういう具体的な話は聞いておるけれども、協議がととのっておらぬならおらないと、現時点で将来の見通しを承りたいのですが、現在の美保飛行場ですね、これは自衛隊のほうで滑走路の改修をお考えになっておるようです。で、これには現在のターミナルを、滑走路の反対側に移転をする必要が生じてきておる。そこで運輸省と話をして、エプロン、ターミナルビル、駐車場等、民航施設のための用地として、約一万二千平方メートルの土地を防衛庁から運輸省に所管がえをする、こういうことを聞いておりますが、お知りにならないですか。
  25. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) その事実はおっしゃるとおり、私のほうも知っております。知っておりますが、先ほど申し上げました意味は、滑走路を確実にこういう方向に何メーター延ばす、向きを変えるというような意味で、正式なお話として承っておるものではない。たしか、まだ私のほうで調査不十分なのかもしれませんが、そういう意味予算がはっきりついたというようなこともまだ承っておらない。従来調査費でそういったことをおやりになっておるということを承っております。しかし、いま一部の地域につきまして所管がえという話は私のほうで十分理解しておりまして、その過程は、実はそういった調査の結果の結論がこうなるであろうということを、実は内々に防衛庁との話で伺っておりまして、それを前提にして、いまのような所管がえということを実はやっていただいておるわけです。まあこれを正式にきまったと申し上げていいのかどうか、私どものほうの仕事ではございませんので、ちょっとあいまいな言い方をいたしておりますが、大体そういう方向にきまるということになるのではなかろうかと、私ども考えておるような次第でございます。
  26. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなた方の大阪の出先はどういう機関ですか。
  27. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 大阪の出先には、この地元の大阪国際空港を所管しております大阪空港事務所、それから名古屋から以西を管轄いたしますところの大阪航空局、こういうのが大阪にありますが、そのほかに八尾というところに飛行場がございますので、八尾空港事務所というのも、言うなれば大阪にある出先機関でございます。
  28. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなた方が出先機関としていまお示しになったものに対して、その方面から防衛庁の出先機関といろいろとその手続を進めておるというような報告なり受けておられますか。また、あなた方が指示をしてそういう折衝を進めておられますか。正直に言ってもらわぬと困りますよ。だんだん追及されて事態を明らかにするというようなことは許しませんよ。
  29. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) いまの所管がえのお話だと思いますが、所管がえの手続は進めておるということでございます。
  30. 足鹿覺

    足鹿覺君 そのどこと、所管がえについて、あなた方の出先の何という役所と、防衛庁の何という役所がそういう話を進めておるのですか。
  31. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) この美保、米子飛行場は防衛庁の管理の飛行場でございますので、ここからある地域を所管がえを受けますときには防衛庁とやるわけで、私どものほうは、出先としては大阪航空局がその衝に当たっております。防衛庁自体といたしましては、まず地元の御了承を得る意味で、おそらく現地の空港における御了承という意味の折衝をやっておると思います。いずれその内容東京に上がってくることと考えております。
  32. 足鹿覺

    足鹿覺君 何が東京へ上がってくるのですか。
  33. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 所管がえというので、民間空港のターミナルビルをつくります。あるいは駐車場の一部にもなるかと思いますが、その必要な面積の土地を防衛庁の財産でいま所管しておりますから、それを運輸省財産に所管がえという手続をとるわけです。国有財産上のそういう手続でございます。
  34. 足鹿覺

    足鹿覺君 それじゃ、だいぶあなた知っているんじゃないですか、ほのかに聞いているという騒ぎではない。何でも知っているんじゃないですか。こういうことはお互いフェアプレーでいきましょう。追及すると、ちくりちくり出すというようなことでは困りますよ。ですからもう少しフェアにやってもらいたい。そこで、話がここまできましたから、私どもまだ工事費は知っておりません。あなた方のほうも、まさかこんなことの必要な工事費はわからないと思いますが、ターミナルビルは、これは移転するかしないか私は知りませんが、これは民間で持つでしょう、その場合は。そうするとですね、四十六年度以降の運輸省予算に組むと組まないともまだ全然わかっていない、こういうことですね。
  35. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 前段のフェアプレーのお話で、ちょっと言いわけがましくなりますが、私どものほうではっきりしていないと申し上げましたのは、ランウエー、基本施設自衛隊自体の御計画が確定しているかどうかということについて、情報の入手を明確にしておりませんので、その点でややそういった不明確なお話を申し上げたわけです。これはあそこの飛行場が、自衛隊自体の管理をされます飛行場ですから、滑走路の向きを変える、あるいは長さを延長される、これは防衛庁、自衛隊自体でおやりになる内容です。したがって、私どものほうでそういうことを一々お打ち合わせなり、情報をいただかないと、確定的なことはよくわからないのであります。そういう意味で先ほど申し上げたわけで、私どものほうではっきり申し上げましたのは、自衛隊のほうで所管しております飛行場の一部をそういった民間空港用の地域として、向こうから国有財産の移しがえをしてもらうということについて、いまのように地方で話をし、その内容を明白にしておることを御説明申し上げたわけです。したがって、私どものほうで隠しごとその他で不明確にしているつもりはないわけです。  それからいま御質問をいただきました工事費の問題につきましては、これはまだきまっておりません。それから四十六年度にどうするかということは、これから来年の予算を編成する際に検討することでございまして、その内容がいま確定しておるわけではございません。
  36. 足鹿覺

    足鹿覺君 一万二千平方メートルの所管がえを受けられる目的は何ですか。
  37. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) そこに地元とされてはターミナルビルをつくられるという、ターミナルビルですね。その面積の一部に駐車場が入っておるかと考えますけれども、ターミナル地域が大半であると考えております。
  38. 足鹿覺

    足鹿覺君 防衛庁がいま進めておられる事務的な問題で私ども聞いておるのですけれども、四十五、四十六年度には六億四千万円とはっきりしているのです。これはことしの予算にも載っておりますから、四十五年度には三億四千四百五十万円が計上され、二年間で六億四千万円ということになっておりますが、それも御存じないですか。
  39. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) ただいまちょっと私どもは具体的にそこまでは了知いたしておりませんです。
  40. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま私どもが聞いておりますのは、現在千八百ある滑走路が、いまのままでいきますと、このターミナルビルを移転されますと、角度が変わってくるわけですね。そうしますと大体千六百程度に縮まるのですよ。それであなた方の併用の目的は何ら支障はありませんね。
  41. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 滑走路の位置が変わってまいりますと、現状の姿のままではぐあいが悪い。そこで、いまの新しく所管がえの手続を進めております場所は、先ほど申し上げましたように滑走路の位置が変わるであろうということ。そして、まあその内容が、いま予算はお示しいただきましたが、防衛庁で大体そうなるであろうというお話前提にして、将来もしターミナルが変わり、あるいは新しいものをつくるというときに必要だという面積の場所を、防衛庁の所管から所管がえしていただくと、こういう手続をやりつつある、こういうことでございます。
  42. 足鹿覺

    足鹿覺君 防衛庁がおやりになろうとしておるのは、この滑走路がいたんでおるものを、これをやりかえられるのです。角度を変える補修なんです、言うならば。非常に滑走路がいたんでおるからかえたい、これなんです。厚さは二十センチ、こういうことなんです。で、あなた方が知っておられるかどうか知りませんが、一部にこれはこの際思い切って防衛庁の滑走路改修等の計画に乗っかかって、併用飛行場だから、ほとんどただで運輸省にやってもらう。ただしターミナルビルだけは自分らでやる。つまり滑走路と誘導路の工事は運輸省の来年度予算に計上してもらう、こういう説が流布されておるのですよ、とうの昔から。だいぶ前から流布されておるのです。だから私はさっき大臣に申し上げておるのですが、併用を主としていくか、単独民間飛行場整備でいくかということを念を押しておる。あなたもそれでいくと、大臣もそれでいくんだと、こういうことになっておる。これは、だからあなた方は延長も含みとしておやりになっておるのですか。防衛庁の考えは、千六百ないし千六百余です、ちょっとです。逆に減っても、メーターは減っても発着に支障はない、こういうことなんです。あなた方は、一万二千平方メートルの所管がえを受けて、今度はうんと滑走路がふえて、そしてその経費を大部分防衛庁に乗っかって、民間飛行場整備するという、そういう単純な――これが民間飛行場であれば私どももとやかく言いません。一方においては、現在は輸送航空団でありますけれども、先ほど大臣が言われたように、戦闘機種その他の問題になると、これはなかなかむずかしくなる、そこに問題があると。ですからね、きわめて慎重を期してもらいたいと思う。そういう滑走路の延長とか、あるいは滑走路の厚さとか角度の変更とか、エプロンとか、一連のものです。そういうことは、非常にこれはデリケートな問題でしてね。これはこれ以上申し上げませんが、大臣、人のゴボウで法事をするということばがうちのほうにありますが、防衛庁に銭を出させ、国有地を所管がえをさせる、ターミナルは民間で建てさせて、そして利用だけは民航にやらして、大型機ないしは現在のものをふやすよりも、現在の一便を二便にしてやったほうがずっと利用率も高まりますし、地方民が便利になる。現在一便しかないわけです、米子東京間は。米子鳥取大阪間は二便あるのです。これは東亜航空がやっている。全日空との合併になったかどうかよく知りませんが、そういうことになっている。ですから、そういう疑惑を生み、非常に問題になりそうなところに、そういうことをぐんぐんあなた方お進めになるとなると、これはとてもあなた方の民航整備方針としては受け取りがたい状態がかもし出されてくると、こういう点を私は申し上げておる。  それよりも、むしろ現在一便のものを二便飛ばしたほうがずっと、現在就航しておりますものは中型といえども一ぺんも事故を起こしたことはない、きわめて安全です。みんな安心感を持っておる。特にあれは海辺でありまして、突風等があればローリングをする、言うなれば鳥取飛行場よりもよろしいけれども、確かに問題のあるところなんです。そういう角度ないしいろいろお考えになっておやりにならないと、人のゴボウで法事をし、しかも地元民は、民航の大型が就航するんだというような形で一つずつ実績を積み上げて、ある時期がきたときには、ふたをあけてみるとえらいことになっておるというようなことになるくらいなことは、いまの私ども航空知識の乏しい者でも知っておりますよ。私はこれ以上申し上げませんが、慎重な判断をもとに対処されたいと思う。  これ以上申し上げません。大臣、慎重に、この問題については、事務当局の現在述べられたような事実が進んでおりますが、十分慎重なる態度をもって御善処いただきたいと思いますが、いかがですか。
  43. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) おそらく米子飛行場の場合は、自衛隊自身の必要度があって改装計画を進めておるのだろうと思います。したがって、運輸省のほうは、具体的の事実がよくわかっておらなかったということを見ても、運輸省のほうが人のふんどしで相撲を取ろうという考え方でないことは御了解いただけると思います。おそらく自衛隊自身が、航空気象の上において必要の度合いからそういう整備をしようとしておるのであろうが、先ほど申しましたように、私は民間飛行場といわゆる自衛隊飛行場とは、原則としてこれは将来は分離していかなくちゃいかぬ。ということは、使用目的がだいぶ違います。あるいはまた、たとえば民間飛行機はだんだんと型が大きくならざるを得ない。ということは、同じ人員をもって倍の人を運べるということになりますれば、これはなかなか操縦士の訓練というものは、そう二年や三年でできるものじゃないのでありますからして、世界各国やはり大型化になってきておる。そういう意味において、どちらかといえば、いわゆる今後の飛行場の改修は滑走路中心になって、ある程度、中、長距離滑走路にならざるを得ない。しかし自衛隊の場合は必ずしもそうでないだろうと思う。戦闘機中心、専守防衛、自衛隊は専守防衛でありますから、足の長いいわゆるB52や何かを使うような飛行場はわりあいに必要ではないだろうと思いますから、そういう意味で、米子飛行場航空自衛隊でどういう整備をしておるか、私は詳しくは存じませんけれども、しかし、いま足鹿さんがおっしゃったように、将来これらの問題、併用飛行場の問題等については十分慎重に、いやしくも民間飛行場としての、あるいは民間飛行機運営の上において支障のないように、慎重なる態度をもって善処してまいりたいと思います。
  44. 足鹿覺

    足鹿覺君 この問題はこの程度で、慎重に検討するということでありますから、まだいろいろ資料はたくさんありますけれども、きょうは打ち切ります。大臣のただいまの御答弁を私は高く評価をいたし、将来を期待しておきます。  これから言いますことは、もう予算委員会の総括、一般、分科会を通じてしばしば述べたことでありますから、大臣も御迷惑でしょうが、ちょっとつき合っていただきたい。気象庁の長官も、ちゃんと姿勢を正して前を向いて私の顔を見て、そうして答弁してください。  そこで、この気象行政の問題なり、あり方なりについては、もうこの間からずいぶん言いましたので、端的にひとつ伺いますが、山崎委員予算委員会で御前崎の問題を取り上げられた。去年の衆議院の内閣委員会では総理が、気象観測に当たるような重要なところでは定員を減らすようなことはいたしませんと、ちゃんと議事録に載っておる。こういうような点から見て、私は気象行政の画一化に御反省を求めてまいりました。そこできょうは端的に伺いますが、大臣がこの前仰せになりました、人数は増加しておるという予算委員会における御答弁は、調べてみますと、あれは中央と地方関係もあるようでして、実際は、四十三年度末との比較では全体で六十五名減っておりますし、地方機関で四名の減ということになっておるようです。ですから、そのことをここでとやかく大臣にあげつらう気持ちはありません。が、問題は、この前も衆参両院における災害対策委員会その他の委員会の決議をお示しをいたしまして、特に災害時における異常緊急の事態における予報がうまくいかないために、飛騨川事件の惨禍を起こし、またその他のいろいろな事件が起きておる。いままでの論議は、そういう点についてもっと弾力的な、定員の問題についても考え方を持たれ、そして緊急事態に備える体制が遺憾なきを期してもらいたいという、質問の趣旨はそういう趣旨でありました。しかし現状をもってしますと、あなた方にはあなた方の定員法という一つの問題もありましょうし、いつまでも並行線をたどっておってもいたしかたがありませんから、きょうは角度をひとつ変えてお尋ねをいたしますが、人員が減れば、これは職員に労働強化が起こってくる、こういうことになる。したがって再検討をして対処なさることが今後の運用上必要ではないか、こういうふうに考えます。  この間から御質問を申し上げたんですが、観測回数は減らさないんだ、しかし通報を八回にするんだ、こういうことを繰り返し気象庁長官は述べておられる。前任者の柴田さんは、去年はまことにそれは残念だと、困るんだと、何とかもっと強化してほしいという答弁を委員会でしばしばなさっておるんですが、人がかわれば、これはまた方針も変わることもあり得ると思いますが、少なくとも緊急異常の事態に備えていくためには、それに相応する弾力的な、労働過重を避け、職員がその任務に精励できるような姿勢なり態勢をふだんから持つということが私は必要ではないかと思う。この点、この前は御再考になるようにということで質問を打ち切っておりましたが、いま私が述べたような趣旨の線に沿って、御検討なり、今後対処できますかどうか、運輸大臣にひとつお尋ねをいたします。
  45. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 前置きを長くしては申しわけありませんが、時代変化というものと、人間がそれに伴っていくということはなかなかむずかしい問題であります。特に時代変化といいますか、そういうもののために、ある業務は非常に激増していく、そしてある業務はだんだんそれが斜陽的になっていくという場合における人間の配分の問題ということになると、特にお役所においてはむずかしいようであります。民間じゃ思い切ってそれがやれるんですが、その点お役所の機構というものは、いろいろの定員法なりその他の法律がありまして、なかなか簡単に右から左にまいりません。ことに気象関係、あるいは自動車等もそうでありますが、社会の変化に伴って非常に仕事が激増している、したがってその方面の増員は必要である。しかし、同時にまた一方においては、御承知のように一種の機械化が進められてきております。ことに最近においては非常な勢いにおいて機械によって人間の労働力をセーブしていく省力作用というものが行なわれておるわけであります。しかし、なかなかそうは言いましても、われわれの国民生活といいますか、個人生活から考えましても、そういう機械がこれまでできたからして、したがって機械を幾人かに見積って、それだけをいきなり人間を減らすことは、なかなか実際むずかしいのです。ことに最近人間は一種の感覚派といいますか、たとえば東京-大阪間、必ずしも飛行機で行くことが近いわけじゃない。飛行場へ行って三十分も待たされるなら、新幹線で行ったほうが早い。人間はスピード感という、一つの何といいますか、魔術というか錯覚というか、そういうものにとらわれております。でありますからして、東京-大阪間の飛行機大型を相当何十便動かしても、なおかつ運び切れない。時間はほんとうは違いはせぬです、実際言って。飛んでいる時間はなるほど四十五分ですが、羽田まで行って、またすぐに飛び乗るわけにはいかないのですから。そういうことから言って、新幹線よりおそい場合もあるにもかかわらず、われわれ人間というものは、そういうようなことでなかなかついていけない場合がある。  話がそれましたけれども、気象通報あるいは気象観測というものは、いまや国民生活にとっては非常な重要性といいますか、われわれの生活の一部分をなしておるのでありますから、一面において、いわゆる学問的にのみ考えずに、いわゆる人間の生活感情に訴える。たとえば、おっしゃるのは、二十四時間通報というものは、やはり一時間置きでも知りたいのだ、それはあまり変わりがなかろうがあろうが、人間としては知りたい。全くそのとおりだと思うのですね。そういう面において、もし定員を減らして行なえば、そういうことは実際上できないじゃないか。学問的に言えば、従来長官が答えておったように、それで間に合うかもしれません。けれども、必ずしもそれだけで人間生活が満足できるかというと、なかなかできない。ことに、御承知のようにテレビ、ラジオ等が三十分、一時間ごとに気象通報をしておる。こういう状態でありますからして、いろいろの点を勘案しまして、いわゆるわれわれの人間社会生活というものと機械との関係及び国民生活の上におけるところのそうした気象通報といいますか、気象の問題等も十分に勘案しながら、いわゆる国民の皆さんが納得し得るようにこれは考えていきたい。同時にまた、組合側もやはり時代の進運と歩調を合わせつつ、そしてこれらの合理的解決、こういうものを十分に検討してまいりたい、かように考えておる次第であります。
  46. 足鹿覺

    足鹿覺君 きょうはだいぶ人間味のある御答弁ですので、これ以上大臣に申し上げることありませんが、緊急事態の例を一つ例にとって申し上げますと、レーダー伝送網が今度整備したのですけれども、ところが、夜間はこのレーダーが動かないのです。したがって伝送網が整備いたしましても防災体制上のプラスということはいまのままではいかぬですね。したがってやはり気象通報、気象観測というものは、二十四回やって二十四回通報するということが必要となってくる、こういうことも言えるわけなんです。ことに天候の急変する日本の気象事情からいえば、いざ動かしたいというときには観測員がいない、せっかくつくったレーダーが十分その効果を発揮しない、こういうことでありますが、一日二十四時間ずっと監視ができるような体制をつくっておらなければ、いざというときには、せっかく大きな金をかけてつくった伝送網その他が機能の発揮ができない。そこでこの間も申しましたように、災害というものは忘れたころにやってまいりますので、そういうときに備えて職員を大事にする、そうしてその労働を加重しないようなやはり体制を私はふだんからとっていかなければならぬという、やっぱり現場の長官としてはそれくらいのあたたかいお気持ちを持たれなければ、非常事態には、あなたが何ぼ力まれても、どんな優秀な機械を置かれましても、職員があなたの思うように動かなければ、私は機械は死物化すると思うのです。ですから、大阪の職員がいわゆる非番のときに自分たちの休養の時間をさいて奉仕していることに対しても、やはり感謝されてしかるべきなんです。そういう点をとくとお考えになって、一例をあげましたが、今後御対処になり、労働の強化にならないように、そうしてせっかくのレーダー等が緊急非常の事態に即応するような点について、職員等ともよく話し合われて、そうして遺憾なきを期せられる御用意がありますかどうか、この点お伺いいたしたいと思います。
  47. 吉武素二

    政府委員(吉武素二君) 二十四回観測通報という問題で、ずいぶん先生方の御心配をわずらわしまして、まことに申しわけないことであります。組合の職員ともきょうよく話し合いまして、お互いに十分理解し合った上で仕事を今後進めていきたい、特に労働過重にならないようにそういう点は十分注意して、職員と融和を保ちながらやっていきたいということを申し上げたいと思います。
  48. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま申しましたように、よく話し合われたそうでありますが、その話し合いの結果は、今後具体的にどのようにこのレーダー伝送網の活用の面や、あるいは二十四時間の観測の八回通報制の問題や、あるいは御前崎等の人員整理の問題等についても、具体的によくあなた方が話し合われて、そうしてその結果が、職員もいわゆる十分協力のできるようなあなた方が姿勢を示され、そうしてその結果、いざ有事というときには、国民から感謝をされていく、天気予報もよく当たる、こういう結果になってあらわれなければ私はならないと思うのです。従来の日本のこの夏型あるいは秋の初めころの集中豪雨のあの悲惨な状態を見ておりますと、常に緊急予報連絡がうまくいかない。ですから一年じゅう遊んでいるような姿勢をしておっても、そういうときにぴしりと効果があがれば、これはふだんはひまであっても、十分国民はその存在理由を認めるわけでありますから、いたずらに職員を刺激し、そうして画一的に事態を処理して、事を起こすことが長官たるのゆえんでなく、気象庁をお預かりになるあなたとしては、そういうことをおやりになるべきでないと私は思うのです。したがっていま伝送網とレーダーとの関係も申し上げ、いろいろ配置等の問題にも触れましたが、そういう点について私はこれ以上この場で申し上げませんが、十分、この次にお目にかかるときには、こういう結末になって、りっぱに体制がうまく進んでおりますと、こういうお話が聞けるように御善処いただけますね。
  49. 吉武素二

    政府委員(吉武素二君) いま先生がおっしゃったことと私は全く同じことを考えております。そのために毎日私は努力しているつもりです。ただ、今回組合員との間で何か意見の相違があったということで、いろいろごたごたしたことはまことに申しわけなかったと思っております。
  50. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 運輸省設置法等の一部を改正する法律案の審査にあたりまして、六点だけお伺いしたいと思います。  初めにまず第一点としまして、行政改革三カ年計画の中で陸運行政の問題があるわけでありますが、まずそれについてお伺いしたいのですが、運輸省では陸運事務所を出先機関にすることをきめておりますし、また三カ年計画によりましても、第二次の行政改革の計画において、陸運行政機構についてはその覚え書きの趣旨に沿って検討する、そういうぐあいになっております。それを私は実はきょういろいろと勉強してみたのですけれども、その覚え書きもここに持ってきておりますけれども、当然このことにつきましては運輸省当局としましても、いろいろな面から検討を進めていらっしゃると思うのですが、具体的にどういうぐあいに検討を進めていらっしゃるか、その点について初めにお伺いしたいと思います。
  51. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 従来の経過等でありますからして、自動車局長から具体的にお答えいたさせます。
  52. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 運輸省自動車行政の機構は、現在本省自動車局と、全国九カ所にございますところの陸運局、それから都道府県にありますところの五十二の陸運事務所でもって所掌をいたしております。その末端の陸運事務所の制度は、現在業務運営につきましては知事が監督をする、そして都道府県の機関でございますけれども予算なり人事の関係につきましては運輸省で所掌している、いわゆる地方事務官という制度でございます。この陸運事務所の機構は、戦後できました機構でございまして、これをすみやかに改善する必要があるということでございまして、おりおり協議してまいったわけでございますが、一昨年の十一月の十六日に、行管長官、運輸大臣、自治大臣の三大臣でもって覚え書きが交換されまして、さらに二十六日の閣議にも報告され、了承されたわけでございます。その内容は……。
  53. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 簡単でいいです。
  54. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) その内容につきましては、まず第一に輸送関係の仕事、それから車両検査、登録の仕事、その他整備の事業の監督というふうなことはございます。で、車両検査につきましては、現在約三〇%継続検査につきまして民間にやらせておりますけれども、これを極力民間にやるようにしよう。それから登録につきましては国の事務とする。輸送関係の事務につきましては、「陸運当局の責任において行なうものとするが、県に委譲可能なものについては、両省事務当局で協議してきめる。」、こういうことになっておりますので、その後両省の事務当局間でおりおり協議いたしております。その焦点は、現在やっております輸送の管理行政、運送事業者に対する監督の面でございますが、これを陸運局と事務所でもって現存分け合ってしているわけでございます。これを仕事がしやすいように協議してきめる、こういうことになっておりますので、現在おりおり自治省と話し合いを進めておる状況でございます。
  55. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまちょっとお話しがございましたけれども、この覚え書きの中の第一項に、要するに「県内の陸運行政は、陸運当局の責任において行なうものとするが、県に委譲可能なものについては、両省事務当局で協議してきめる。」、要するに委譲可能なものについて、運輸省はどういうふうなものを具体的に県に委譲すると考えていらっしゃるか、その点について伺いたいと思うのです。
  56. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 原則的には、現在陸運事務所で行なっております仕事、すなわち知事の職権として行なっておる仕事につきましては、これを知事に委譲する。しかしこの中でも輸送力に関係するようなものにつきましては、これからどう考えるかということについて話し合いを進めていく、それから陸運局で所掌しておりますものにつきましても、たとえば事業の確認の仕事であるとかいうふうなものにつきましては、これを知事のほうでやってもらうというふうにも考えておりまして、要するに原則的には、現在局と事務所の関係の仕事を考えるわけでございますけれども、例外的にはさらに落とすべきものは落とす。それからまた仕事の関連上、非常に同じところでやったほうがよろしいという仕事があるとすれば、まあ陸運局で所掌するということもあり得るわけでございますけれども、権限的には非常にたくさんの仕事がございますから、一つずつにつきまして事務当局間で話し合いをしておる状況でございます。
  57. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ハイヤーとかタクシーですけれども、これにつきましては、これらの事業はほとんどが同一県内にとどまる事業だと私は思うんですけれども、そういうような場合、現地の実情に沿わせるためにも、まあ規則とか監督の面についてやはり知事に委譲したほうがいいんじゃないか、そういうふうな意見が強いと私は聞いているわけですけれども、この点については、運輸省はどういうぐあいにお考えですか。
  58. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) ハイヤー・タクシーの行政監督につきましても、免許とかというふうな輸送力を直接設定するもの、それから運賃の問題がございます。で、この輸送力の設定につきましては、ハイヤー・タクシーとバスあるいは鉄道というふうなものとの関連性がございます。それから運賃行政につきましては、これもやはり関係交通機関とのバランスというふうなものも考えなきゃなりませんし、物価問題等がございますので、これらの問題につきましては、陸運局で総合的に所掌したほうがベターではないか。しかし事業計画の変更の問題、営業所の問題でありますとか、車庫の問題でありますとか、それからいろいろ届け出事項等がございますけれども、これはやはり直接窓口を、事業者に近い、すなわち都道府県の段階において所掌していただいたほうがいいのではないかというふうに考えまして、要するに一つの事業に対する仕事につきましても、権限の内容がいろいろございますので、その内容に応じて具体的にきめていきたい、かように考えます。
  59. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ハイヤーとタクシーの業者の問題ですけれども一つはいわゆる個人タクシーですね、個人タクシーの業者数は現在どのくらいあるのかということが一つと、それからもう一つはその車両数、規模、何といいますか、タクシーの車両数ごとの業者数ですね、これわかりますでしょうか。私はこの点について、個人タクシーを除きますと、ちょっと報告を聞かないとわからないわけですが、私たち先般委員会の視察をいたしましたときにも、この点出てきたわけでありますけれども、十台以下の事業者というのは非常に多いわけですね。現実の面としまして、まあ多いかどうかちょっと答弁聞かないとわかりませんけれども、しかしそういう点から考えてみても、車両の増車を認可する場合、運輸省はどういうふうな基準で行なっているのか、その点をお伺いしたいと私は思うんです。  特にいわゆる中小業者には非常に割り当てが少ないんじゃないか、こういうぐあいに私たちが質問しましたら、そんなことはない、そういうことはないと言うものですから、それではここ二、三年にわたって一ぺん調べてみろということで、現実に私たちはあの調査に行きましたときに聞きました。ところが現実に、実際にその内容にわたって調べてみますと、もう中小業者はほとんど割り当てがないわけです。みんな大業者に渡っておるわけです。これは山口県の例でありましたけれども、そういう点を考えてみましても、いわゆる中小業者に対する割り当て並びにこの大業者に片寄っていないという点ですね、ここら辺の実情はどういうぐあいになっておるのか、この点お伺いしたいと思います。
  60. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 四十三年度末、すなわち四十四年四月の数字でございますけれども、全国でハイヤー・タクシーの法人の車両数が十七万四千六百九十台でございます。それに対しまして個人の車両数は一万五千六百四十七台でございます。規模別に見ますというと、十両までのものが全体の事業者数におきまして一四%、個人タクシーは一両でございますので、これが一両として見まして七〇%になります。十両までが一四%、それから個人タクシーが七〇%、それから三十両までが九%、五十両までが三%、百両までが三%、百一両以上が一%というふうに、百一両以上の会社は全国で二百ございますけれども、そういうふうな分布になっております。東京なり大阪等につきましては、さらに詳細なデータを持っておりますけれども、さようになっております。  で、増車の場合につきましては、地区によって違いますけれども、たとえば東京地区でありますとか大阪地区におきましては、三十五、六年のときに免許いたしました規模が、大体三十両かそれ以下でございました。増車の場合におきましては、それらの業者を五十両の線までレベルアップするということを基準考えまして、優先的に配分をしてきたわけでございます。その増車の場合の要領は、会社割りというものと車両割りという二つあるわけでございまして、会社割りは大きな会社でも小さい会社でも同じ両数を割り当てる。それから規模別には、その所有の両数に対しまして何%というふうな、まあ両方をかみ合わしてするわけでございますけれども、その場合におきまして累減――会社の規模が小さいものに対する増車の率を高くするというふうなことで、その全体の増車数の割り当てをさようにいたしておりました。しかしながら、昨今におきましては、東京大阪等は運転手の不足という状況もございまして、一昨年の暮れに千七百両の増車をいたしましたけれども、私たちは、その後は東京においては増車をいたしておりません。地方におきましては、その他の都市におきましても、いま申し上げましたようないわゆる業者割りというものを重点に置きまして、なるべく事業者のレベルを合わしていきたいというふうなことで指導をいたしておるわけでございます。
  61. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまですね、あなたがおっしゃるとおりになっていけば、私はいいんじゃないかと思うのですけれども、現実はそうではない。私たちが視察に行きましたときも、実情はどうかということでずいぶん聞きました。実情はそういうぐあいになっているという説明だったけれども、それなら、それでは実際に内訳を出してみろということで、詳細に二、三カ月分をチェックしました。半年分ぐらいだったかとも思いますけれども、そうしたら、実際はそうなっていないわけです。これは非常にいろいろな面から問題があると思うのです。私はきょうはいろいろな点にわたって質問いたしたいと思っておりますので、あまり詳細聞きませんけれども、実際はそういうふうになっていないように思うのです。  たとえば、いま会社割りとか車両割りとか、また五十台未満のところには特に力を入れるようになっていると、あなたのおっしゃる、そのことが現実にそういうぐあいになっているかどうかということについては、これは最近一年間の増車割り当て等についての資料をあとで出していただきたいと思うのですが、委員長、お願いします。
  62. 西村尚治

    委員長西村尚治君) よろしいですか、運輸省
  63. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) いまの資料につきましては、たとえば東京-六大都市の意味でございますか。あるいは地方におきましてはまあ会社の数も非常にたくさんございますけれども、どの範囲か、御指示を願いたいと思います。
  64. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 六大都市でいいのではないですかな。
  65. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) それでは提出いたします。
  66. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから先ほどもちょっとお話がございましたけれども、陸運事務所の自動車の検査の問題ですけれども、先ほどの話ですと、その検査については二〇%民間に委譲しているということでありますが、三カ年計画のあの覚え書きによりましても、車両の検査についてはすみやかに民間に委譲する、登録は国の事務とする、こういうぐあいになっているわけですけれども、まだ非常に進みぐあいが悪いのではないかと思うのですが、特に最近欠陥車の問題等もずいぶんやかましく言われておりますし、これからの責任ということが非常に重大だと思うのですが、ここら辺のところも考え合わせて、これからどういうぐあいにやっていくつもりか、どこら辺をメドに全体を委譲していくつもりなのか。また民間に委譲した場合に、いま二〇%を委譲しているということでありますが、その場合には、検査の基準等についてはどういうぐあいになっているのか、この点もあわせてお伺いしたいと思います。
  67. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 民間に委譲の場合には、受け入れ態勢といたしましては、指定整備工場というものがございまして、全国で整備工場は六万四、五千でございますけれども、その中で指定いたしたものが二千から逐次三千というふうに上がってきております。で、これはその工場の検査の設備と、それから検査をする人的要素という条件がございまして、その条件に合致しない限りにおきましては指定ができませんので、逐次量的質的にそれを拡充していくということで、現在計画をしてふやしておる次第でございますけれども、いまの二〇%は四十四年度のことでございまして、四十八年度におきますところの目標といたしまして七〇%を、継続検査の七〇%を指定整備工場で検査をやるというふうな目標にいたしております。で、検査の基準は、道路運送車両法に保安基準という省令がございまして、その省令に合致しているかどうかということを見るわけでございますが、その方法といたしましては、検査基準につきましても型式指定、認定をいたしてやっております。いわば国の検査場に匹敵するそういうふうな設備を持って、かつ保安基準に合致しておるかどうかということで、国がやりますと同じような検査が可能であるものを指定して、これを四十八年度には七〇%の線に持っていくという目標でもって進めておる次第でございます。
  68. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは最後に、陸運事務所の問題につきまして、やはり陸運事務所については、私は監督義務というのは運輸省にあると思うのですけれども、先般から問題になっておりますあの山梨の陸運事務所の問題ですね。私は非常にけしからぬと思うのですよ。要するにこの山梨交通という会社は、大体もともと赤字に悩んでいる会社ですね。その赤字に悩んでいる会社が――いままで市内にあった陸運事務所が市のはずれのほうに引っ越した。引っ越したところが、要するにバスが来ていないから、わざわざバスの路線を引かした。しかもその引かしたそれは、路線認可をとってやるから、陸運事務所のいわゆる車検場の前までバスを仕立ててほしい。そういうぐあいにしてわざわざバスの停留所を引いて路線を延ばして、それの赤字が今度年間百二十万円にもなっている。こんなことでは、私は何をやっているのかわからないと思うのですよ。しかも、それだけではなくて、もう職員のほとんどの人が無料パスで乗っているのですよ。こんなことでは、私は陸運行政そのものが、これから先思いやられると思うのですね。この点についてはどういうぐあいにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
  69. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 山梨バスの問題ですが、まことに皆さんに御心配をかけて恐縮に存じます。ただ実情を調べますというと、その路線延長になりました地点には会社あるいは官庁等が二十幾つぐらいできておりまして、したがって、まあ必要性はあったようであります。しかしながら、李下に冠を正さずということばがありますから、これが陸運局の役人であるだけにさような誤解を受けているわけでありまするが、まあ無料パスも実際上仕事の上で回ります場合には、仕事の都合上行く場合には当然あるそうでありますけれども、しかし、それらがほかに乱用されないとは限らない。さような意味において、李下に冠を正さずでありますからして、さようなことは、今後県に注意を促しまして、さようなことのないように措置をすることを厳重に申し渡してありますので、この点御理解を願いたいと思うのであります。
  70. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題についてはそれで終わります。  次に私は、このたび設置法の中で交通安全公害研究所というのがあるわけですが、これに関連いたしまして、交通の安全ということについて特にお伺いしたいのですが、特に今度こういうぐあいに研究所もできる、そういう点から考えまして、この設置法でこういうふうな研究所ができることによって、交通安全という面でどういうぐあいにプラスになっていくのか、この点について初めにお伺いしたいと思います。
  71. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 運輸省の研究機関で自動車関係につきましては、現在船舶技術研究所で二部をもって研究をいたしております。おもなる仕事は、自動車の保安の問題と、それから公害防止の問題でございまして、保安の問題につきましては、昨今非常に欠陥車問題等を契機といたしましても重要な問題でございまして、それに対する研究体制としては十分ではない。それから公害の問題は、自動車の排出ガスの問題につきましても、近来非常に問題が大きくなってきておりますので、それの研究体制を向上させていくという必要性があるわけでございます。安全の面につきましては、自動車をメーカーが生産いたしまして、市場に出す場合におきまして、型式指定という方法でもって、同一型式のものを調べまして、それが合格すれば市場に持っていく、その第一回の検査は省略できるというものでございますが、これを現在は本省の機構でもってやっておるわけでございまして、今回の公害研究所におきましては、審査部というものを新設をいたしまして、そこにメーカーのほうで車を持って来さして、耐久試験等を行なったものを検査をして型式指定をするというような関係にもなっております。  それから保安の面につきましては、最近におきます高速道路等が発達してまいりましたし、自動車の性能も上がりまして、スピード等も上がってきたわけでありますから、それに即応するために保安基準改正というふうな問題があるわけでございまして、そういう問題について研究を進める必要があるというふうに考えておるわけでございまして、これが機構が拡充せられますれば、われわれの自動車行政に直接裨益するところが大きいものであると思っております。
  72. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はきょうは交通の安全ということについて特に具体的にお伺いしたいんですが、特に鉄道貨物の輸送ですね、この安全の問題についてきょうは具体的にお伺いしたいんですが、国鉄の貨物の輸送につきまして、火薬類の運送規則というのがありますが、この運送規則に基づく、いわゆる火薬類を輸送する場合の安全輸送をはかる上に、国鉄ではどういうふうな処置をしているのか、この点について初めにお伺いしたいと思います。
  73. 町田直

    政府委員(町田直君) お答えいたします。  国鉄の危険品の輸送につきましては、運輸省令等の各種の法令がございまして、それに基づきまして貨物の性質あるいは輸送事情などを考慮いたしまして、国鉄の内部規程に危険品の範囲、それから輸送の方法、あるいは荷づくり包装について定めておるわけでございます。特にただいま先生の御指摘になりました火薬類、高圧ガス、四アルキル鉛を含有する――これは特に危険なものでございますが、それらのものと、及び放射性物質につきましては、特殊の危険物といたしまして、積載貨車の制限、あるいは積載法の制限、作業上の注意及び危険防止の措置等を定めまして、その取り扱いに特別に注意を払っておるというのが実情でございます。
  74. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その場合、具体的に事故が起きたらどういうぐあいにするのか、その点についてはどうなっていますか。
  75. 町田直

    政府委員(町田直君) 具体的な事故が起きた場合には当然、たとえば火事等が起こりました場合には、消防関係その他のお力を拝借いたしまして、これに対する措置をする。同時に国鉄といたしましては、国鉄の自分の力でもそれに対する善後策を講じるということでございます。
  76. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もっと具体的に言わないとわからないと思いますので、具体的に言いますけれども、消防等の力をかりるなんていったって、消防自動車、またはその消火設備のあるところならいいよ、けれども、ないところを走っていることが多いわけですね。もちろん事故の起きるところは、それあるところかもわかりませんけれども、要するに、たとえば爆発とか燃焼物、たとえばガソリンですね、ガソリンを積んだタンクが事故を起こした、燃え出した、その場合にはどういうぐあいな処置をするのか、具体的にお伺いしたいと思うのです。
  77. 町田直

    政府委員(町田直君) やはりガソリンが燃え出したというような場合には、これは国鉄自体の力でこれを消したりなんかすることは、実際問題としてそれだけの力も持っておりませんし、やはり消防庁に御連絡をして至急にそれを消しとめる、こういうことより……、ということがやり方でございます。ただ、当然のことながら、そういうことが起こらないための措置を講じておるというのが、ただいま申しましたような危険品の輸送方法のやり方ということでございます。
  78. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はこの勉強してみたんですけれども、非常に無責任なんですよ、大臣ね。あとでもっと具体的なこと私言いますけれども、消防等の力をかりるとかいっても、たとえばトラック輸送の場合には、たとえば消火器を積むとか、ああしろこうしろといって、消防庁の制限というのはものすごくたくさんあるのですね、一つのものを輸送する場合でも。ところが国鉄の場合にはそれがないんですよ。要するに、たとえば第一次的な処置というのは、私はどうしても国鉄がみずからその消火に当たる。消防庁に電話できるところはいいです。ところが電話できないところで事故が起きたらどうするか、それがちゃんとなっていないように私は思う。もし何らかの点でもってなっているとすれば、私は教えてもらえばけっこうですけれども、いろいろ私の調べた範囲ではちゃんとなっていないのです。この点については、やはりいろんな点からもっと力を入れてやるべきじゃないか、そう思うのですが、いかがですか。
  79. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいま先生の御指摘の面で、消火器を積むとか、そういうことにつきましては、具体的な規定があるかどうかいま調べておりますけれども、実はただいま御指摘のございましたガソリンタンクを積んで、それが爆発するというような場合に、消火器を積んでおって、はたしてそれでその消火ができるのかどうか、やはりそういう場合には科学消防で、当然のことながら、大規模な消防をしなければならない。そういう場合に、国鉄自体にそういう組織なりそういうものを持っていれば別でございますけれども、そういうものは実は国鉄としては持っておりませんので、国のそういう組織をかりて消火していただく、こういうことであろうというふうに私は考えております。
  80. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、いまの局長の答弁というのはほんとうによくないと私は思う。何でかというと、今度の大阪ガスの爆発を見てみなさい。それは大事故になる前に必ず小さな事故がある。その小さな事故を消せるだけの能力は持ってなければいけない。必ず消化器なり何なり、そうでしょう。爆発事故なんて言えば大きいかもしれないが、それまでに至るには小さな事故が必ずある。ちょろちょろガソリンが燃えていて、火がついた、それをちゃんとやれば消えてしまうのに、うまくちゃんとできないために大きな事故になってしまうというのですね。これは私は、ガソリンを積んでいて爆発して、大きな事故だから、それはとても私たちの手に負えない、そんな無責任な話ないと思うのです。私はもっとほかに、きょうこれからまだやるのですけれどもね、具体的にやはり一ぱいいろいろとある。調べれば調べるほど、非常に無責任な体制になっているのです。これでは私はいかぬと思うのですが、どうですか、大臣
  81. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私もこまかい点について承知しておりませんことは申しわけないと思いますが、ただいまのお話、ごもっともであります。これは衝突して爆発したなんという不手ぎわもありますまいけれども、あるいは電気等からして、それが拡大して客車なんかが燃える場合もありますからして、第一次的な措置を講じさせるということが必要と存じます。したがって、この点は国鉄当局に命じまして、いわゆる第一次措置をまず考える。消火器なり、あるいは化学消火器なり、小型のものもあるわけでありますから、こういう点を、どこまでこれをどう整備するかどうか、予算の問題もありますからして、あしたにやるというわけにもまいりますまいが、可能な範囲内において至急にそういうことがされるように改良いたしたいと思います。
  82. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣のほうがずっと前向きな答弁なんですがね。もっと具体的に申し上げますけれども、アルミニウム・アルキル類というのがありますね。これの輸送について当局はどういうぐあいにお考えですか。これは要するに危険物と考えているのか、何と考えているのかですね。
  83. 町田直

    政府委員(町田直君) 危険物と考えております。
  84. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しからば危険物と考えていらっしゃるならば、これに対する対処はどういうぐあいにしているか、この大体アルキル・アルミニウムというのを、こういうぐあいに、相当国鉄の路線でも長い期間運んでいるわけですね。これは消防署ではたいへんな手を尽くしています。トラックで運ぶ場合でも、このアルキル・アルミニウムというのは常温で無色透明の液体、空気に触れると発火する、そして水と接触すると激しく反応して、危険性のきわめて高いものだ、有毒ガスを発生する、ぬれた砂をかけたら爆発するという、それでしかも、この種の化合物が発火した場合、消火はきわめて困難である、こういうぐあいに消防署は言っているわけです。現実にそのためにこれを運ぶためには、消防署はトラック類については相当研究をし、いろんな面でやっている。ところが、国鉄については、いま危険物だという話ありましたけれども、一体どういう対処をしているのか、一ぺん具体的にお伺いしたいと思います。
  85. 町田直

    政府委員(町田直君) 先ほど申し上げましたように、いろんな規定に基づきまして、国鉄では営業規則によりまして危険物の取り扱いをいたしておるわけでございます。その危険物の一つとして、ただいま御指摘のアルキル・アルミニウムにつきましての規制をいたしております。その規制の内容につきまして、こまかく御説明いたしますことは省略いたしますけれども、大体六十キロ以下のものにつきましての規制のしかたと、それから最近は特に六十キロよりもふえてまいるものがございますので、それ以上につきましての規制のしかたにつきまして、非常に詳細な規定がございまして、この規定に従いまして輸送をしているわけでございます。これはおそらく消防庁でお考えになっている規制と同等あるいはそれ以上のものであるというふうに私ども考えておる次第でございます。  なお、詳細につきましては、全部規定がございますので、必要でございましたら読み上げてもよろしゅうございます。
  86. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はもう一回お伺いしますけれども、国鉄の六法の中に危険物の規約がありますが、その中の規則の何条に、いまのアルキル・アルミニウムというのが入っているのか、どういう部類のところへ入っているのか、それをまずお伺いしたい。  それから詳細きめていると言いますが、私は詳細の規制は聞かなくてもいいですけれども、現実に貨車で輸送している場合、貨車にどういうものを積んでいるのか、消防署と同じというからには、どの程度の消火剤を積んでいるのか、一ぺん言ってみなさい。
  87. 町田直

    政府委員(町田直君) まず、御質問の第一点のどういう規定かということでございますが、先ほどの営業規則の中の等級表の「五四 引火性液体」、その「五四三九 その他の引火性液体、引火点二五度C以下のもの」という項でございます。そしてその内容は、たとえば内装法につきましては、「厚さ三ミリメートル以上の円筒形銅製容器に入れ、注入口に窒素を充てんする。」、それから施封法――封をする方法でございます。施封法といたしまして、「注入口は、銅製バルブで密封するか又は鉛製パッキンを施して真ちゅう製キャップで密封し、さらに銅製おおいで厳封する。」、それから外装法といたしましては、「板の厚さ一・二センチメートル以上の木わく箱(横転防止のため足をつけたもの)に入れる。」、一個の重量、「六〇キログラム以下とする。」、こういうことでございます。六十キロ以上のものにつきましては、さらにこまかいそれ以上の規定がございます。こういうことでやっております。  それから何を持っているかということでございますが、先ほどから消火器のお話がございました。私はたいへん失礼な答弁をしたかもしれませんけれども、消火器につきましては、消火器備えつけの規定がございます。消火器は備えつけておるわけでございます。ただ私が申しましたのは、消火器を備えつけましても、いざ爆発をしたような場合には、やはり消防の力をかりなければならないということを申し上げた次第でございます。
  88. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまのはあなた全部違っておりますよ。あなた、まずアルキル・アルミニウムというのは比重が幾らか知っていますか、比重。それがわかれば、大体六十キロというのはおかしいじゃないですか、第一。大体おかしいですよ。この容器はいま国内で生産、最近つくり始めたんですけれども、消防庁のほうでも最近つくり始めて、ほとんど輸入ですよ、これ。いまあなたがおっしゃったのとはずいぶん違いますよ。  それから規則の中には、それじゃ消火剤を積むことになっているというのですが、何という消化剤積んでいるのですか。
  89. 町田直

    政府委員(町田直君) 先ほど消化剤の点はつけ加えて申しましたので、消火剤の備えつけというのが、先ほど申しました日本国有鉄道運転規則というものの中にございまして、列車を組成している車両の、一般的なこれは危険品を輸送する場合でございますが、その乗組係員が執務する車室には消化器を備えつけておかなければならない、こういう規定があるということを申し上げたわけでございます。
  90. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなたの答弁はほんとうにだめなんですよ。あなたがその規則に基づいてその列車に備えつけている消火器を、もしこのアルキル・アルミニウムにかけたら爆発するのですよ。ちゃんと取りかえているのですか、このときには。
  91. 町田直

    政府委員(町田直君) どうも話が一緒になってしまったので、私は、先ほどの要するにアルキル・アルミニウムの話と、その前に一般的な消火の場合の話がございまして、消火器くらいを備えつけるのはどうか、こういうお話でございましたので、それは四十七条の規定をもちまして、それで備えつけている、こういうことを申し上げました。この消火器の備えつけは、消防法に基づくものでございますから、これがアルキル・アルミニウムで爆発する場合には、アルキル・アルミニウムのところには備えつけないということになるのであろうと私思いますけれども、いずれにしましても、規定上そうなっているということでございます。
  92. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは何を一体備えつけているのですか。それじゃこのアルキル・アルミニウムを現実に福山から千葉まで運んでおるでしょう。初めは十トンくらいだったのが、最近では月四十トン、五十トンとふえているでしょう。これからもどんどんふえるというのでしょう。現実にこういうようなことに対して、いろいろな事故が一ぱい起きているわけですよ、現実にね。このアルキル・アルミニウムじゃないけれども、実際新宿の駅で、前にガソリンタンクが切りかえの失敗からひっくり返って燃えたことがあるのですね、現実に。そういうぐあいにして、いろいろな事故が、何個所でも組みかえてくるわけですから、事故が起きないとは限らない。こういうふうな危険なものを運ぶ場合には、それに合った消火剤というものを積むだけのその規制というものは何にもしていないと、私はさっきあなたが、営業規則の五四の五四三九にあると言いますけれども、これだって最近でしょう、アルキル・アルミニウムをきちんと当てて規制したのは。そうでしょう、最近でしょう。そういうようないろいろな点から考えて、もっと要するにこれは安全ということを考えないといけない、ほんとうなんです。これはだからもし事故が起きてからじゃたいへんなんです。だから私は消防庁のほうでも、安全確保のためには、もういろいろな面で必死になって勉強しているわけですね。国鉄のいろいろな規則を調べてみても、非常にあいまいなんですよ、この点。消火器は昔から積んでいるようなことを言う。その規則に基づいた消火器というのは昔から積んでいるであろう。その消火器で、もしそんな事故が起きて爆発したら、これみんな死んじゃいますよ。自分が運んでいる列車の中にそんな危険なものがあるということはまだ知らない。そうなるとますます危険です。消防庁をけさ呼んで聞きましても、国鉄が運んで、それには危険物だという表示はないというのですよ。だから事故が起きてからではおそいから、私はこういうようなものについては真剣に検討する必要があると、こう言っているわけです。私はこの質問はこれで終わりますけれども大臣どうですか。
  93. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 峯山さんのたいへん貴重な御調査、たいへん恐縮に存じます。おそらく国鉄としても、できるだけのことはしておるとは思いますけれども、最近確かに化学化合物の新しいものがどんどん出てまいりまして、したがって、必ずしもそれに伴ってそれらの措置ができているかどうかということは、御指摘のように御心配の点があると思います。私たちもお話聞いておりまして、今後より密接に、国鉄の関係者がおりましょうから、これと消防庁と、あるいは化学薬品等の関係研究所と十分連絡をとらせまして万一の事故がないようにさしたいと、さように考えますので、その点御了承願いたいと思います。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  94. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、いま国鉄のことに関連しまして、この間私は決算委員会で、国鉄の運賃の小口扱いの貨物の運賃の値上げについてお尋ねしたのですけれどもね。そのとき私は、どうもはっきりした答弁が受けられなかった。というのは、私まあ逆に言えば、私はごまかされたわけですよ。しかし、きょうは私はがっちりした資料をいただきましたので、ごまかされませんから。ちょっとだけこれは確認しておきたいんですけれども、このことしの二月一日から小口扱いの貨物の運賃が上がった。ところがこれは私たちだれもが知らないところでばっと上げられたわけです。そのときの資料によると、全体で一二・五%の値上げである、こういうぐあいになっているわけです。ところが、実際に私たちが計画してみると、その値上げの率は、これは私が国鉄からいただいた資料ですが、その資料によると、六割七分の値上げになるんですね。非常にたいへんな値上げです。しかも、もちろんそれは値上げになってない分もあるんです。ありますけれども、私たちがこの間言った点については、少なくとも六割七分からの値上げになっている、これは非常にひどいと思うんですが、どうですか、これは。
  95. 町田直

    政府委員(町田直君) 国鉄から先生のほうに差しあげた資料のとおりでございまして、したがいまして、一割二分の値上げでございますというふうな発表をいたしましたのも実は国鉄でございますので、全体を平均いたしますと一割二分になります。しかし、個々のものについては六割七分のものもございますと、こういうことでございますので、これは全く御指摘のとおりでございます。
  96. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ほんとうにいまみたいにぱちっと言ってくれれば、あのときによかったんですけれども、そういうぐあいに言わなかった。とにかくほんまけしからぬわ。前のときは、とにかく一割二分の値上げですと、確かに平均では一割二分になる。しかしながら、私たち庶民が使う十キロまで、二十キロまで、三十キロまで、四十キロまでの荷物については、たとえば十キロまでは六割七分、二十キロまでは六割七分、三十キロまでは六割七分、四十キロになってやっと二割五分の値上げになる。こういうぐあいに現実になっておるわけですね。いま監督局長からおっしゃいましたように、そういうようなことは一言もおっしゃらなかった。二月からずいぶんたったんで、ここら辺でほとぼりがさめたからということで、これはいかぬな、ほんまいかぬわ、これは。私いまこういうぐあいに確認して、確かにそのとおりですなんと言ったって、何ともないんです。こんなことじゃ私はとんでこないと思うんですよ。それならそうと初めからちゃんとやってもらいたいと思うんです。国鉄部長さん横にすわっていらっしゃるけれども、ほんとうにけしからぬと思うんです。  それから、これはもうはっきり認められたんですから、私はこれ以上言いませんけれども、もう一つ私鉄の運賃の値上げですね。これは要するに運輸審議会に最近諮問していらっしゃるそうですが、これはどうですか、大臣
  97. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) いまお話しのように、現在のところは運輸審議会でこれが検討を加えております。ただ最近私のほうから指摘しましたのは、先だっての私鉄賃金の値上げ、ベースアップ、こういうものが一応自主的交渉の間においてきめられたんでありますから、従来の経営の内容において、これがどういう地位を占めるとか、これだけのものを捻出するだけの力があるのか、それとも将来にこれらが尾を引くことになっておるのか、この点を十分に関係会社の諸君を呼んで審議会でも調査をしてほしい、その上においていろいろ条件が明らかになる、その意味において考える、こういうことでありまするが、ただ御承知のように、私鉄料金というものが公共料金というものの中に入っております。したがって、物価全体から見て、どういうような私鉄の扱いをするかということは、私一存でも決定しかねる。御承知のように、経済閣僚協議会でこれを処理するという方式になっておりますので、目下は審議会において検討中でありますので、いまどう扱うかということを申し上げる段階になっておりませんので、その点も御了承いただきたいと思います。
  98. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、いま大臣がおっしゃったようなことを、先日、私もテレビで保利官房長官おっしゃったのを聞いておったのですけれども、あの官房長官の談話を聞いておりましたら、聞いていたニュアンスとしては、私鉄の運賃値上げについては公共料金でもあるし、国民の生活に非常に密接に関係があるので、しばらく見合わせたいということは、直接言いませんけれども、そういうようなニュアンスがありました。いま大臣の話で聞いておりましても、そういうふうなニュアンスを感ずるわけでありますけれども、いずれにしても、ひとつこれはどうですか、答申はいつごろ出る予定なんですか。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  99. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まだ具体的な中間報告を承っておりませんが、あれには公聴会の日取り等が必要になります。公聴会には約一カ月あるいはちょっとぐらい時間を要することになりますので、したがって一カ月以内に答申があることはない、当然それ以上の先になると思います。その答申があってから初めてこれが運輸省においてももちろん研究をいたしますが、同時に閣僚協議会においてこれを取り扱いをきめる、こういうことになるわけであります。  ただ御承知のように、最近われわれが心配しておりますことは、大都市交通圏における通勤通学のラッシュ、こういう問題はどう解決していくべきかという問題があります。国が全体的にこれを見るということになれば、そこには問題は解消されますけれども、一部は解消されますけれども、これらの問題等を考えますというと、かなり慎重に考えざるを得ない。四十五年度予算におきまして、地下鉄の建設の必要部分の二分の一を国が持つ、こういう制度をつくったゆえんのものも、大都市における通学通勤におけるラッシュを解決するためには、何といってもやはり地下鉄も一部を負担している、こういうような意味で、これらが急速に建設が進められなければ、いわゆる通勤のラッシュあるいは通学のラッシュを防止することができない、こういう問題点もありますので、これら総合的な観点からこの問題は考える、そこに運輸大臣としてはこの点は十分に考えていかなければならぬ、かように考えております。
  100. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、わが国の航空輸送の状況並びにパイロットの養成の問題について二、三お伺いしたいと思います。  先ほどから種々航空関係について質問ございましたが、航空予算の状況並びに路線、それから運航回数、それから輸送量等が最近非常に大幅に伸びてきていると思いますが、それらの実情は大体どういうぐあいになっているかという点と、それからその伸びに従って、当然私は航空就業者、中でもパイロットの需要が年々増加していると思いますけれども、毎年どの程度の養成をやっているのか、またどの程度の要員が必要なのか、ここら辺について初めにお伺いしたいと思います。
  101. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 航空輸送需要伸びにつきましては、先ほども質問が出まして、一部御説明申し上げたつもりでおりますが、国内線におきましては対前年度約三〇%ないし三〇数%の伸びを示しておりますし、国際線におきましても二〇数%ずつ対前年度伸びるというようなのが概略の伸び方でございます。人員的に見ましても、これから先の昭和五十五年、六十年というのを見ますと、現在の十数倍という伸びになるかと考えます。ただいま五百数十万の田内輸送につきまして、これが六十年ごろには一億二千万前後ぐらいという見方も現在出ているような状態でございます。まあ、これがまた飛行場の離着陸回数等を見ましても、やはり同様な伸びをいたしておるわけでございますが、こういったものに対応いたしまして、パイロット数は非常に急速な伸びというか、必要乗員数を要求をいたしております。たとえば昭和五十五年というのをただいまの数字等を基礎にいたして算定いたしますときに、必要乗員数というのは約四千四百名ぐらいの必要数になります。これを現在に比較いたしますと、約三倍弱というような数字になるわけでございまして、これらの養成ということに対しては相当思い切った大規模な養成規模を必要といたします。なお、また、器材の技術革新のはなはだしい現状におきましては、その質的な向上ということもともに要請される内容でございます。
  102. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 パイロットの養成につきましては、相当の経費を要すると私は思うのですが、当然国としてもその養成には積極的な処置を講じる必要があると思うのですが、いわゆる国の養成機関であります航空大学校ですね。ここではどの程度のパイロットの養成を行なっているのか。また、そういう点から考えても、私は航空大学校の充実、強化ということが当然要望されていると思いますし、また、これからも充実、強化していかなければいけないんじゃないか、こういうように思うのですが、この点についてどういうぐあいにしていらっしゃるのか。また、その教育課程の中で、ジェットパイロットの養成も、これは当然これから必要なことだと思うのですが、ここら辺についてはどういうぐあいになっているのか、簡単でけっこうですからお伺いいたしたいと思います。
  103. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) ただいまの航空大学校は、その養成規模は九十名でございます。これでは先ほどの需要に間に合いませんので、来年度予算ではこれを五割アップして百三十五名にする。こういう予算にいたしております。  養成内容は、入学資格が高等学校卒業した者でございます。三カ年を要しまして、一年を学科、二年、三年で実科ということにいたしております。この実科は、飛行機が――飛行機といいますか、非常に基礎的な実技、いわゆる単発の飛行機に乗ることだけをやっております。時間にして二百二十五時間乗せまして、これで操縦士の免状としては一番下の免状の事業用操縦士の免状と、それから計器飛行証明というものとを与える段階までをやっております。さらに四年の専攻科課程に入りますと、YSクラス、それからジェットの航空士クラス、機関士内容、そういった程度をやっております。したがって、われわれとしましては、できるだけジェット課程等までにほんとうは持ち上げたいわけでございますけれども、費用その他の関係によりまして、それは各社において自主的に行なう、こういうのが養成の内容であります。
  104. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあいろいろとお伺いしたいことずいぶんあるのですが、いま聞いておりましても、航空大学校のその程度では、とてもじゃないけれども需要には足らないんじゃないかと思うのですが、先般防衛庁にも同じく委託しているということをお伺いしたんですが、まあ防衛庁に委託しているのも一つあるでしょうし、それからもう一つは、防衛庁のパイロット自体が転出するということも私はあるのじゃないかと思うのですが、実際問題は、防衛庁で若手の人が転出するということは案外少ないのじゃないかと私は思うのですが、特に高年齢になってから一般の航空会社に入るにしましても、これはやはりいろいろな条件が合わないのじゃないかと思いますが、ここら辺のところについては、これは防衛庁と何か話し合いなり、協定なり、何か行なったことはあるのでしょうか、どうでしょうか。
  105. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 防衛庁の委託につきましては、これまた先般御説明申し上げたかと思いますが、いまのお話によりますと、いわゆる防衛庁からの乗員の割愛――私どもは割愛と呼んでおりますが、大体従来は毎年二十名ぐらいの割愛を受けております、この割愛されました方々の内容は、まあいろいろでございます。必ずしもきわめて商年齢であとどうにもならないという方々ばかりではございません。相当な年配の方もおられますが、たとえばジェットには不向きではあるけれども、ジェットまでいかない課程ではいいというような課程の方、あるいは年齢的には民間のほうが長続きをするというようなたてまえで、それほどの年でない方が転身をはかられるということで、非常にバラエティーはありますけれども、非常に高年齢層の御心配だと思いますけれども、必ずしもそういう方々ばかりではございません。
  106. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 特に高年齢層の場合には、安全基準とか何らかの検査もあるのだろうと思うのですが、そういう点が一つと、それからもう一つは、外人の雇用というのは、先般からいろいろ出ておりましたけれども、これについてはどういうぐあいにしているのか。特に外人ですから、雇用の条件とか、いろいろな弊害もあるのじゃないかと思うのですが、ここら辺についてはどういうぐあいにして指導していらっしゃるか、この点について。
  107. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 割愛を受けました方々につきましては、これまた民間機に乗ります場合には、民間としての試験をやはり通過をいたさなければなりません。したがいまして、試験を受けるための準備は当然その前段にある。この試験の内容は、それぞれの課程によりまして、いろいろな免状内容がございますが、その免状に応じた、対応した試験を全部受けていかなければならないということでございます。  もう一つの外人の採用の場合でございますが、これは御指摘のとおり相当な人間を、言うなれば日本航空界のために応援を求めなければ現状まかなえないということで、日本航空並びに全日空が外人を雇っております。この外人を採用します場合にも、やはり無条件的な採用はもちろんいたしておりません。外国においての従来の経緯経験、あるいは実技の力量等をもとにして一応採用内定をいたしますが、これが実際にわが国の飛行機を運航します場合には、やはり定期運送用操縦士という資格を必要といたしますので、そういう資格を取得させる、そのための前段としての社内訓練を行なう。こういうことをいたしまして、国におきまして、他の一般日本人のパイロット同様な実地試験を受けさせます。学科の試験におきましては、一部向こうと共通しておりまして、まず資格審査、書面審査で済むものはそれであれしておりますが、航空法規だけは必ず学科として受けさせる、かようにいたします。一応国家試験は普通並みということで、そのパスした者だけを採用する、こういうようにいたしております。
  108. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 次に、ジェットパイロットを養成するための練習飛行場の問題なんですけれども、練習飛行場が必要だということは前からいわれておりますのですが、特に運輸省当局として、どういうぐあいに検討しているのか、それから硫黄島とか沖繩が候補地にあがったということも私たち聞いているのですが、それからずいぶんたつのですが、いまだに実現されていないのですが、これはどういうぐあいになっているかという点と、それからあと民間の会社でも、特に国内に練習飛行場がないために、外国まで行って訓練をやっているということを私も聞いているわけですが、先日米国のワシントン州にある飛行場で、事故を起こして五人の死傷者を出しております。そういうような点からも、特に練習飛行場の問題が重要な問題になっていると思うのですが、特に訓練の上でも酷になっているのじゃないかというような、いろいろな面があるのじゃないかと思いますが、この点についてはいかがでしょう。
  109. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 御指摘のとおり、訓練飛行場につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、パイロットの訓練ということが非常に現下の最大重要な問題の一つでございます。それに伴って訓練飛行場というのが非常に重要性があり、早急に場所を決定して建設をしなければならぬとかねがね思っているわけでございます。で、そのために従来いろいろな場所を具体的に検討いたしてまいりました。たとえば硫黄島、あるいは九州鹿児島県の馬毛島、あるいは宮崎県の新田原、いろいろやってまいりましたが、なかなか一長一短がございまして位置の決定までに至っておりません。このような際に、この訓練飛行場のいろいろな要素を加味いたしまして、最も適当というのが、実は昨年来から内定をいたしてまいりました。お聞き及びだと思いますが、沖繩の宮古島群島の下地島というところでございます。これは地元の琉球主席からも御支援を受けることになりまして、御同意を得られることになりましたので、ただいまこれを一応訓練飛行場ということで内定をし、予算的にもこれは沖繩援助費の一部になっておりますけれども、四十五年度予算で総理府の予算として八億という予算がつきましたので、ここを多年懸案でございます訓練飛行場として整備をしていきたい、かように考えております。
  110. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題についての最後でありますけれども、特にこの空の輸送ということはこれから特に重要になってまいりますが、特に国内線国際線ともでありますが、輸送量がふえるとともに新しい機種の飛行機がどんどん採用になるわけでありますが、その結果、先ほども言いましたように、パイロットの不足ということも出てくるわけですが、ただ単に急場しのぎでやったのでは、これから将来とも問題になってくるのではないかと私は思うんですが、根本的に、これは運輸省としても特にパイロットの養成とか、並びに空港整備とか、そういう点については特に重点的にやっていかなければいけないんじゃないかと思うんですが、これに対する政府のこれからの所信をお伺いして、この問題については終わりたいと思います。
  111. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 全く仰せのとおりでございまして、乗員の養成というのは現在の最大の急務でございます。輸送量の増加になかなか対応できません。飛行機、機体そのものは資金さえあれば何とかなります。それも現在の企業形態、企業収支内容におきましてはおおむね可能と考えておりますが、乗員はなかなか一朝一夕にできません。資金だけの問題ではないわけでございますので、私どもは一番重要だと考えております。このパイロットのソースといたしまして航空大学校、先ほど御指摘の防衛庁からの割愛、あるいは防衛庁への委託、あるいは会社自体が自社養成をする、こういうふうにいろんなソースでやっておるわけでございます。これも一応足らざる分を何とかしのいで、できる限りの努力をするという意味でやっておりますが、やはりその教育課程なり、教育のプロセス、あるいは最終でき上がりという段階において、ソースがバラエティーがあるということは必ずしもいいかっこうではございません。そういうことからこの規模の拡大あるいは質の向上という面から、こういったばらばらの養成体制についてはなお十分検討して、なるべく、できれば一本化という方向のことを考えなければならないということで、実は目下部内におきましてそういう面を慎重に検討いたしております。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 最後に審議会のことをちょっと聞いて終わりたいと思うんですが、今回新たに設置されることになりました運輸政策審議会と、それから運輸技術審議会でございますが、これにつきまして具体的にどういうふうな問題を審議していくのか、その点が一つ。  それから、この両審議会の設置につきましては、企画部門の充実強化ということが書いてありますが、ここら辺の関係をあわせてお伺いしたいと思います。
  113. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) お答え申し上げます。  このたび考えておりまする運輸政策審議会でございまするが、従来までございまする各種審議会が各局ごとにございます。従来の審議会は、ある特定の輸送機関の分野について限定されたそういったような事項につきまして審議するというのが主でございまして、このたびの運輸政策審議会あるいは運輸技術審議会は、そういった特定の輸送機関の分野に限定されないで、いままでそういったようなことを審議しておりませんでしたから、総合的な、あるいはまた横割り、そういった見地から見ました総合政策、こういったものをこの審議会で御審議を願いたいということであります。それからまた、そのためには特定の輸送機関のたとえば長期的なビジョンとか、それから長期の計画とか、そういった非常に基本的な政策につきましては、ここの政策審議会、技術の面では技術審議会でやはり調査、御審議をいただきたいというふうに考えている次第でございます。  具体的に申し上げますれば、新しい政策審議会にたとえば運輸政策の今後の方向とか、あるいはそういった何といいますか、マスタープランでございますね、そういったものを提示していただき、それでその結論に沿いまして今度個々のそれぞれのたとえば航空とか、海運とか、港湾とか、そういった個々の審議会が個々の分野におきまして具体的な政策とか、あるいは具体的な計画を審議するというような関係になると思うのでございます。ちょっと抽象的でございますが、そういったようなことの関係で新しくつくりたいという趣旨でございます。  それから企画部門との関係でございますけれども、これにつきましては、実は今回の改正法案には計画官というものを一名ふやすために船舶公団の監理官を廃止するという、一項目がございませんけれども、実は省令の段階におきまして、すでに昨年度におきましてある程度ほかの課を整理いたしまして、それの課長の数を七名ばかり計画官へ振りかえまして、実際はすでに企画部門の充実に乗り出しているわけでございます。今回ここでもう一名ふやしまして、計画官を八名置くということでございます。それで企画部門と申しましても、これはやはり特定の局を実はつくりたいのでございますけれども、新しい局をつくるということはなかなかむずかしゅうございますので、現在、官房に審議官というのがございますので、審議官がそのスタッフの長になり、その下に計画官を八名そろえまして、そういったスタッフ組織、システムでもって、こういった横割りで基本的な計画とか、総合的な問題とかいう問題を取り上げていきたいということでございます。したがって、その企画部門が今後いろいろ政策を立案します場合に、いま申しましたような新しい政策審議会なり、あるいは技術審議会の事務局といたしまして、そこでの事務的な仕事もあわせてやっていくという趣旨でございます。そういう関係になっていると思います。
  114. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これで時間も超過しましたので終わりますけれども、すでに現在、前は運輸経済懇談会、最近は名前が変わって運輸政策懇談会ですか、というのがございますが、非常に懇談会はいろいろな面で活躍をしているようでありますが、この懇談会の設置の目的と今度新しくできる運輸政策審議会との関係ですね、これは要するに、いま運輸政策懇談会というのはすでにいろいろなことを諮問していらっしゃるのだろうと思うのですが、最近新聞でも二、三回にわたって相当いろいろな重要な問題を含んだ答申等が行なわれているようでありますが、この関係ですね、今度新しく政策審議会ができるとこの懇談会はどういうぐあいになっていくのか。やはりこれは重要な問題だと思うのですが、ここら辺のところをお伺いして、私の設置法に関する質問は終わりたいと思います。
  115. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 端的にいえば、その政策懇談会というものの実体は、今度の法的に根拠を持つ政策審議会のほうに移ることになります。したがって、委員のメンバーも大部分は変わりはないということになるわけであります。運輸省が政策審議会と技術審議会を持ちました大きな目的は、いま官房長が言いましたように、実は従来の運輸行政といいますか、これは運輸行政に限りませんけれども、ややもすればミクロ的なものの観点が強過ぎる、そうして今日たとえば建設省で言えば全国自動車幹線網といいますかね、こういうものができる、あるいは国会に今回提案されて検討されておりますが、新幹線鉄道網ができる、あるいは空港五カ年計画、あるいは港湾五カ年計画等、それぞれミクロ的なものの見方が強く出ておる、これは考え直す必要がありはしないか、そうしてこれをひとつミクロ的な観点からとらえて、これらを有機的につなぎ合わせる、政策的につなぎ合わせる、こういう考え方をぜひ政策審議会で考えてもらいたい。たとえば一例で申し上げますならば、新幹線網ができるといたしましても、これをみんな東京に集めるのか、地方東京に集めるのか、それとも実際上の問題として、新宿なり、あるいは至るところにもう一つの点を考えてこれを有機的に結ぶのか、そういう問題等も考えますと、従来のミクロ的な考え方ではできません。また、当委員会でもいろいろ御審議がございましたが、過疎地帯におけるところのバスは、私営の場合においては、これは収益が伴わない。それがためにいわゆるこれは私企業でありますから、もうからぬところをやめたいのもやむを得ない。やめてもよろしいのかというと、やめてよろしいというわけにはいかない。それはそうなれば国の政策として、あるいは運輸行政としてはどうこれを国が取り扱うべきか・こういう問題があるわけであります。そういう意味においてひとつ政策の上から大きな国策としてものを考える、こういう点で運輸政策審議会という一つ考え方を持っていきたい、これは企画政策等を含めて申し上げたわけであります。また、技術審議会のほうもこれも懇談会の形式でやっておりましたが、これらは最近、御承知のように船にしても大型化してきている、あるいはまた欠陥自動車等の交通事故等もあります。こういう場合に技術という面と、ただ経済的な面だけから追及していくという考え方は、よほどこれは規制する必要がありはしないか。したがって、大型化する場合においては、その技術基準というものは、どういうところまで引き上げるなり、考える必要がある、あるいは自動車にいたしましても、いわゆる自動車量が多くなったからといって、ただ一般が使えばいいという問題ではない。安全性というものは十分に考えられなければならぬ、こういう意味において、もちろん従来の技術の検討も加えますけれども、同時に新時代に即応した多様な変化に伴う技術の研究、特に私は超安全性の確保と、こういうことを言っておりますが、そういう面からも十分に審議してもらいたい、そういうような時代に即応した形での新しい体系が必要であるということで、政策審議会、技術審議会と、こういうものを発足させたい、この点は御理解を願いたいと思います。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 おもにタクシーの問題、時間が許せば航空の問題について伺いたいと思うんですが、第一に、昨年の暮れに大都市におけるタクシー事業の体質改善及び運賃改定について閣議で出されたわけですが、このねらいは簡単に言えばどういうことになりますか。
  117. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) タクシー事業の体質を改善する、その体質を改善することが必要である、と同時に、またそれを推進いたしますためには運賃の改定、あるいは体系を合理化する必要があるということでございまして、そのためには体質の改善の対策の大きな柱といたしましては、労働条件を改善するということと、また、運転手の登録制度等を実施いたしまして、タクシー事業を近代化するということでございます。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 答弁を簡単に、要点を尽くしてください、こっちの質問も簡単にします。それからおもに大臣とやりたいですね、政策論議だから。  そこで、これはどうなっていますか、運賃改定は。六大都市ですか、六大都市においてどういうふうになりました。この実施の結果ですね、どういうふうになっていますか。東京で何社、それから東京大阪、それから横浜、名古屋、京都、神戸ですか、こういうところで、数はわかるでしょう。
  119. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 東京地区におきましては、法人タクシー約三百五十社でございます。横浜地区法人タクシー百二十社、それから名古屋地区が八十三、京都四十四、大阪百六十六、神戸地区百十一で、さらにたとえば東京都におきましては、個人タクシー八千七百四十七、大阪におきましては二千四百九十というふうに個人タクシーが、その他の都市におきましても個人タクシーが入ります。  それから四大都市として、東京以外の四大都市は一月一日から実施いたしておりますが、大阪につきましては、大多数のものは二月十五日、一部のものにつきましては三月の八日に実施いたしております。東京につきましては、大部分のものは三月一日、一部のものにつきましては三月十五日に実施をいたしております。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 体質改善の結果をはっきり見きわめて、その上に立って、これは運賃改定を許可した、こういうことになるわけですね。その点どうですか。
  121. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) まず二つございまして、第一点は、所定の就業規則、賃金規程等を完全に提出しているかどうかということを調べまして、その結果認可いたしました。それから東京大阪につきましては、それらの点が実際に守られておるかどうかにつきまして労働省のほうの監査を受けまして、一部不合格のものにつきましては延ばしたわけでございますが、合格したものにつきましては、三月一日から実施いたしました。それから体質改善の労働条件の改善で閣僚協に指摘されております点は五項目ありますけれども、この点につきましては極力これをすみやかに改善していくというふうな項目も含めておるわけでございまして、閣僚協の決定の中に就業規則等の確認と、それから監査というふうなものを実施いたしまして、運賃改定を認可し、指定をいたした次第であります。
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 その後の実施状況ですね。これは聞きたいのは、うまく運賃改定はされた。しかし、これらに伴うところの条件ですね。これが守られておるというふうに考えておりますか。これは大臣どうです。この運賃改定はもうやったわけです。値上げはしている。じゃ、その成果がほんとうに出ているというふうにお考えになりますか、どうですか
  123. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 具体的な数字をお聞であれば政府委員から答弁させますが、ただ、実施以来まだ満一カ月とちょっとでありますからして、現在においては確実なものをつかんでおらない、かように申し上げたほうが妥当かと思います。     ―――――――――――――
  124. 西村尚治

    委員長西村尚治君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山本茂一郎君が辞任され、その補欠として田村賢作君が選任されました。     ―――――――――――――
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうですか、この調査、運賃改定をやるときに立ち入り調査、これは実態はどうか。抜き打ちでやったのか、それとも一つ一つ全部これは調査でもしたのか、そうしてその結果合格したというので許可したのだと思うのですけれども、その後どうですか。これに対するどういうふうに実施されておるかという問題について絶えずこれは調査しておりますか、これは監督局に伺いたい。
  126. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 自動車の労働基準法上の問題点についての監督は運輸省のなさっておられます自動車の事業主に対する監査と別に、全く私どものほうで労働条件の監督としてやっておるわけでございまして、たまたま昨年の安全週間に一斉監督いたしました結果に基づきまして出てまいりました比較的問題のある事業所について、運賃引き上げの関連で本年の一月に監督をいたしたわけでございます。で、昭和四十二年から昭和四十四年まで、私どものほうで適用事業場が八千四百ほどございますが、それに対しまして延べ一万五千八百四十の監督をいたしております。その結果、特に問題がまだ残っておる事業場が、ことしの一月に私どもの監督の対象となったわけでございます。監督いたす場合には、もちろんいま先生御指摘のとおり、事前の連絡なしに監督をいたしております。監督後の結果は、逐一運輸省に御報告をいたしてありますけれども、本年の四月に入りまして、交通安全週間がまた持たれましたので、その機会に東京では再度自動車関係して監督を行なっております。その結果は五月の中句になると判明いたすと思っております。ただいま調査中でございます。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは何人でやりました。一万何カ所か延べやったと言うんですけれども、何人でやったんです。
  128. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 東京大阪についてやったわけでございまして、東京は各監督署に配置しております監督官全員でございます。大阪も全員でございます。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 全員って、どのくらいですか。
  130. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) たしか百八十名だと思います。数字はいま調べてみます。おそれ入りますが、ちょっと。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどのような調査をやるんですか。これは一緒に行ってみると一番わかるんだがね、監督のしかた、いろいろあることはわれわれ知っているんだ。監督官を監督する必要が出てくる。
  132. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 監督官も御承知のように非常にいま人手が足りませんでおりますが、特にこの自動車に関しましては二人一組にいたしまして二人で監督をいたしております。監督のいたしかたは、まず事業場に参りまして、賃金に関する諸帳簿を克明に調べますると、労働時間の状態その他が全部判明をいたします。それを前提として、口頭で質問を繰り返しまして、状態を把握しておるわけでございます。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 おもにだれに聞くんですか。
  134. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 当該事業場の責任のある立場の者でございます。そこにおります者が、たとえば労務課長であれば労務課長に聞くということになります。  先ほど御質問のございました監督官の従事者数でございますが、東京は約百五十名でございます。大阪が約百名でございます。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま体質改善の検査のしかたについて聞いたんですが、監督官が東京では百五十人、大阪では百人、動員してやられた。これは多としますけれども、監督のしかたですね。事業所だけで聞いたってわかるだろうか。実際は私はやっぱり労働者に聞かなきゃこれは話にならぬ、というのは、私たちしばしばタクシーに乗るわけです。よく深夜なんか乗った場合に話しかけて聞いてみるけれども、そうするとどうです、運賃は値上げされたが、さてそれに伴うところの条件、ことに労働条件――賃金の問題、労働時間の問題、その他のいろいろな労働条件の問題が、ほんとうにこれは改正されておりますか。ほとんど私の会った範囲内では、これはあるいは形だけで、実際何も恩恵はありませんよと、こう言うわけです。これは大臣お聞きになっていますか。あなたもタクシーにお乗りになるといいんですが、乗っておられますか。乗ってみないと、これはちょっとわからないのですがね。どうですか。
  136. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 乗っているか乗っていないかというと、私どもだいぶ乗っております。自分のところの運転手が一年ばかり寝ているものですから夜はタクシーをだいぶ利用しておりますが、そこで最初のほうへ戻りますけれども、大体ハイヤー、タクシーというものはどういう分類に入るか、ここからやっていったほうがいいですね。そこで、ハイヤー、タクシーというものは不特定多数の人を運ぶいわゆる公共的な機関ではなくて、特定多数の人が利用される公共的性格を持つ事業である。こう私は岩間さんが簡単に規定せいというから、簡単に言えばそういうことになる。もう一つハイヤー、タクシーの運転手というものは普通の会社員的な性格を持つものであるかどうか、これは私はいろいろな意味において、もちろん会社員的な月給取り的な性格もないとは言いません。けれども、そのハイヤー、タクシーの運転手は、ある意味において個人企業的な性格を持つものである、こう私は考えておるのです。これは間違いであればいろいろ御意見を聞きたいと思うのですが、そこに個人タクシー在存の理由も出てくるわけですね。  そこで、こういうような準公共的性格を持ち、そして特定多数の人々を運ぶ機関である。こういう意味からしていわゆる一種の公共料金扱いに、六大都市のタクシー、ハイヤー等については、まあ政府がかなり強く干渉の態度をとっておるわけです。今回の料金改定にあたっても、その基本的姿勢はぜひひとつタクシー業というものを近代化さしていかなければならぬ、同時にまた、一方、働く運転手諸君に対していわゆる待遇改善を行なうべきである、それには労働条件の改善及び給与の改善を含んでおる、これらを目標にして料金改定が行なわれたわけであります。ただ、一応目的としては、いま申したような目的のもとにやってまいったんですが、はたしてその実績が上がっているかどうかという御質問であれば、実はまだ日も浅いことでありますから、もう少し様子を見ないと実績があがっておる、あがらないの判定がわからない。それからもう一つは、今後ともにこのような、いわゆる先ほど申しましたような非常に多様な複雑な性格の事業体である。こういうものに対する近代化は、運輸省ができるだけの指導監督をして、そして実現可能であるかどうか、こういう問題があります。私は当然閣僚協議会等においても決定した条項でもありますし、かつまた経済物価安定会議等においてもいろいろのサゼッションを与えられておる、あるいは行政監理委員会からいろいろなサゼッションを与えられておりますので、これらを十分に資料とし、かつ皆さんの御意見等もあわせてもう一度このいま私が申し上げましたような前提に立って考えるべきものではなかろうか、あれだけでもって全部近代化ができるとは私も自信が持てませんから、やはりもっと突っ込んで労働組合の諸君の意見も聞き、あるいは働く運転手諸君の十分な意見を徴しながら、この近代的な産物であるこうした非常に複雑な事業体、同時に個人労働、こういうものに対してやはり綿密ないわゆる態度をもって善処する必要があろうと考えております。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま大臣の意見をお聞きしたんですが、そういう面がたくさんこれはあると思います。ただ、これの改善についてどれだけ本腰になるかという問題なんで、その点で、私は実はあなたがタクシーにお乗りになっているかとお聞きしたのです。何といってもこれは労働者の問題ですよ。経営の問題もあります。それからもっと大きく言えば、これは当然いまの政府の交通政策の問題があります。道路と、それから自動車生産を非常にこれはもう急激にふやしているアンバランスが、いまの交通事故を起こしている根本原因ですから、こういう問題まで、ここまでほんとうはやらなければならぬわけです。しかし、そこまでやっていると、きょうの時間に間に合わないから、私はきわめていま端的なことを聞いている。かつて三十三年、神風タクシーの問題が起こった、私はそのとき運輸委員をやっていて、小委員会ができた、一年間かかって神風トラックの問題とタクシーの問題を取り上げた。これは相当現場を抜き打ちに見たり、それから、当時、永野運輸大臣であったが、永野運輸大臣はこれは乗ったですよ、実際に乗りました。タクシーに乗った、トラックも。深夜の現場もやった。われわれは国府津あたりまで実際乗った。実情を把握するのにそこから始めた。問題の非常に焦点になっているのは、やはり労働者のこれは労働条件をどう改善するかというところにある。だから当然このようなこれは勧告が出され、その勧告のもとになるところの労働基準局の、これは労働者の労働条件の改善の問題がその前に、十日前ですか、昨年の十一月十日に現実に出されている。だから、ここのところを私は、そういう何といいますか、一つのこの問題に対決する姿勢ですね、この問題を実は大臣に伺いたかったわけです。どうも官僚政治家じゃだめなんで、その点は橋本さんに期待するところ私は大きいわけです。  ところで、この前、運転手が言っていたんだが、とにかく運賃は値上げされたが、のどもと過ぎれば熱さ忘れるじゃないけれども、少しも待遇改善はされない。それで、そのような実情について運輸大臣に実は手紙を書いた、そしてそれは送ったんだけれどもナシのつぶてだと言うんだな。そういうのがございますか。あなたのところに届いているかどうか、わからないですか。
  138. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 残念ながらお手紙はちょうだいいたしておりません。  また、これに関連して、立ちましたから答弁いたしたいと思いますが、もちろんこれは労働条件の改善、今回の労働省が調査いたしましたのもその点に重点を置いて調べておるわけであります。しかし、これは岩間さんも御承知のとおりに、タクシーを御利用になっていればわかりますが、私も事業所も何カ所か値上げ直後に行ってみました、食堂まで入り、修理工場まで入って。しかし、運輸大臣と言わなかったので向こうはわからなかった、やはりあまり顔を知っておらぬと見えましてわからなかったのでございますが、とにかくそのほうがいいと思いまして数カ所を見たり、タクシーにも今日までおそらく百数十回乗っております。それで、問題は岩間さんも御存じのとおり、普通のいわゆる工場労働者、今日は近代産業でありますので、ベルトコンベヤー式に一定の時間に一定の数量をあげ得る、これは普通の近代産業の特色です。ところが、このタクシーに至りましては、ある時間には水揚げが上がる、ある時間には水揚げが上がらない、これはもう現実の問題ですね。そこで、八時間といいましても、その八時間の中でいわゆる彼らが水揚げをすべき時間がきまるわけであります。そういう一つのむずかしさがある。でありますからして、いまの制度、いわゆる歩合制度が原則です。これは業界においても歩合制度を早くやめて、一種の会社並みの本給制度にせい、こう言っております。いまの歩合制度がありますというと、当然その三分の二は歩合によって収入になる。三分の一が――まあ三分の一強でありますが、あるいは五分の二といったほうがいいかと思いますが、五分の二が本給制であって、五分の三が歩合の収入である。その五分の三の歩合を上げるためには、いわゆる水揚げし得るところに行かなければ収入にならないわけです、流しタクシーの場合。そういうような特殊事情があるところにやはりなかなかむずかしさがある。やはりこれは考えなければならぬ。先ほど私が言いましたいわゆるハイヤー、タクシー運転手というものは個人企業的性格があると言ったゆえんのものはそこにあります。こういう意味におきまして制度の上においても考えなければならぬ、現在の制度の上において、はたしてわれわれが希望するような運転手、労働者の待遇改善が時間的にも内容的にも可能かというと私はなかなかむずかしい、それにはやはり制度の上からも考えなければならぬ、かように申し上げておるわけであります。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまのお話を聞いておりましたが、労働者にこれは会ってもっと聞いてみたらどうでしょう。労働者を集めて実際は懇談会でも開いたら私はいいと思うのです。これは大臣としてでなくても何ぼでも方法があるわけですから、これを聞かなければこの問題は解決しませんよ。業者というものは、私もずいぶん業者の実態、そういうものに触れてきたつもりです。とにかくほんとうにこれはいまのいわば中小企業に類するのが非常に多いわけですね。それから最近の交通事情、あるいは非常な競争の激化、こういうことでなかなか――一ころわれわれが神風タクシーやっていた時代には、一年間一台運転すれば百万円くらい利益が上がるといった、そういうふうになっていないかもしれない。金融のほうも結局は大企業に統合されるというような形をとってきておるわけです。そういう中にいま言ったように、前近代的な労働条件、これはタクシーの姿というものは全く特殊なものです。日本の労働者の、ほんとうに労働形態の中で特殊なものです、これは。基準監督局でもこの点は見ていられると思うのですが。だから、ここのところを直さない限りは、やはり私はいまの、根本的にそれで全部変わるということではないけれども、少なくとも事故の問題、さらにまあ乗車拒否の問題、こういうものを変えるためにはそこにタッチしなければならぬと思うのです。そこで、私はとにかく運賃値上げしたのですから、そのときの条件が出されたわけでしょう。それはみんな集まっておるわけだから、全部そうでしょう、報告求めて全部出したわけだ。ところが、これはペーパープランになっておることが多いんではないか。実際に守られない。運賃値上げのためにこれは出す、出すけれども、ほんとうに守る腹があって出したのかどうかわからない実態が多い。だから、少なくともこういうものに違反をした、そういう事態についてはどういうふうに処置するのか、この点についてほんとうに厳密な何ができるんですか。たとえば、いまの陸運局でこれができますか、できると大臣はお考えになっていますか。陸運局は、私たちはこれはほんとうに陸運局の姿も見てきた。業者と陸運局というのは非常に、いまだにやはり相当くされ縁がある、これは事実なんです。こういう点で、だから神風タクシーのときにも非常にこれは問題になった。中にはずいぶん深い関係があるわけです。そこがつうつうだから業者の非常に不正なやり方というのはそのまま通っている。そうしてそのしわが一切労働者にかぶさっているという実態を私たちは見ました。特に当時横浜の陸運局が問題になった、サクラタクシーの問題がこの委員会でも取り上げられたんですがね、そういう点でどうですか。この監督がいま十分にできるような、そういうことになっておりますか。運賃は上げたんだ、しかし、ほんとうにこれは守られていますか。どうも私は何人も乗った、そんなにたくさん乗ったというわけではありませんが、とにかく私は相当乗りましたが、そういう運転手に聞いた範囲内では、とにかく今度の運賃値上げによって利益を受けておるという人がまあないんですね、これはどうなんですか。
  140. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 労働時間の問題その他についてはまた関係政府委員から答弁いたしますが、ただ岩間さんの中でまことに気になることは、陸運局、運輸省がくされ縁があるというお話でありますが、私のそれは以前の問題で、過去にあったかもしれませんけれども、いやしくも運輸行政として、あるいは運輸省として、陸運局としてそういうくされ縁はないということだけは御理解願いたいと思います。ただ、岩間さんにもこれはおわかり願えると思いますが、運転手の人とお話しになったということだからおわかりになっていると思いますが、二十五歳のたとえば三年もしくは五年の経験のある運転手の収入と、四十年あるいは三十年の経験のある運転手の収入はどっちが多いと思います。これはほとんど同じで、あるいは若い人のほうが収入は多いのであります。こういうような経験年数というものが加味できない制度、これはやっぱりこのタクシー業というもの、あるいはタクシー運転手というものの中のむずかしさがある。しかしながら、もちろん労働時間は厳守されなければならない。したがって、今回において賃金ストップをいたしましたのは労働条件、いわゆる特に労働時間が厳守されない、そういうタクシーに対しては労働省の報告に従って私はこれを押えたのです。賃金の内容については当時いろいろの話し合いがあったようであります。しかし、原則としていわゆる労働条件の改善なるものは使用者と被使用者の間において自主的に交渉せらるべきものであります。労働組合に運輸省自身が権力を持って関与するということは好ましくない、これは当然岩間さんも御承知と思います。そういう意味において、もちろんわれわれは監督行政にありますからして、この業者が、あるいは運転手諸君が不当なる立場に置かれることを見のがすという意味ではございません。しかし、具体的な内容改善、具体的な問題については、いわゆる労働法の指し示すところによって行なわれることは、これは筋道である、この点は御理解願えると思います。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣実情を御存じない。労働組合をつくったためにひどい目に会った労働者がたくさんいるのです。タクシーの労働組合をつくるために暴力的な扱いを受けた者は枚挙にいとまありません。例をあげますか。司タクシーの問題、それから三幸タクシーの問題、これは私はもう現実に行っている。中にはひどい、これはもう暴力団に殺された何までありますね、委員長が。実際はだから組織率は非常に低下しているのです。団体交渉をやろうたって、やるその前に、事前に近代的な労働組合をつくれないのがたくさんなんですよ。だから、組織率が五〇%これはいってないのですよ。私は当時この小委員会で十六則の個条をきめて小委員会の結論として出したはずだ、だから労働組合をつくってなくても、労働者の代表を選んで、そして今度は業者と話し合いをする、そういう体制を認めた。しかしそれはできなかった。その番後には非常にそういう暴力支配が背後から行なわれているという実態、そういうものに私たちは触れている、警察もこれに対して関係をした、こういう例があるのであります。そういう中で、私はまあそこのいきさつをいつまで言ってもしようがないからお聞きしますけれども、この出した通達ですね、通達の中の給与水準の引き上げというのは、これはどういうふうになされておりますか、具体的にこれは統計か何かとっておりますか、運賃値上げ後の給与水準の改正はどうなっていますか、これをどうつかんでいますか。
  142. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 御承知のように、労働基準局は最低労働条件の監督をいたす役所でございまして、原則として私どもが依存しておりますのは労働基準法とこれに関連いたします諸法規でございます。タクシーの場合、一番問題になりますのは、これは走行キロとの関係もございますが、非常な長時間の労働が結果的に出てくるような形の賃金体系なり勤務体制が問題である、そこに焦点を合わせて、私どもはいわば労働時間とそれから累進的な賃金制度についてきつい規制を実はいたしておるわけでございます。そういう規制の中でどういう賃金を取るかということは、実はただいま春闘のまっ最中でございまして、御承知のように東京でも、タクシーはちゃんと東京のタクシーの労働組合協議会でステッカーを全部タクシーに張って走っておりますが、おそらく七月ないし八月には賃上げの結果が出るものと思います。私どもとしては、運賃引き上げがどういう形で労働者の賃金にはね返るかという問題は、あくまでも、ただいま運輸大臣が申されましたように労使の交渉を通じて実現する問題である、その場合に、もちろんタクシーの運転者がタクシー業界の要望にもかかわらず非常に少なくなっておる、あるいは労働力が一般に不足をしておるというような事情も反映はいたしますけれども、結果的にはやはりタクシーの労使で十分協議の上決定さるべきものと存じております。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは自動車局長さんどうですか、賃金形態表というものをとったわけでしょう、それによって、まあ春闘の結果を待たなければ詳しい何はできないと思うが、この賃金形態表ですね、向こうから運賃値上げの条件としてとったもの、こういうものからはじき出して労働者の賃金はどういうふうになっているかというような、そういう何はできないのですか。電算機時代だから、これはそんなにむつかしくないと思いますが、どうですか、できていますか、簡単でいいですが、これはどのくらいどうなったか。
  144. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 公労協におきまして各会社の賃金の調査をいたしております。われわれのほうでは、その後におきましてもまだ、先ほどからお話がありましたように春闘なり、交渉の最中でございますから、それの経過を見まして実態は明白になってくるものと思われます。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体運賃値上げをやってどれくらい労働者の賃金値上げ並びに待遇改善がされればいいと考えたか、この見込みなしにただやったのですか。これは大臣どうですか。運賃値上げをやって労働者の待遇をどれくらい改善せよという一つの何はなかったのですか、指導的な立場としてはなかったのですか。
  146. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 今回の東京の場合におきますところの増収予定額は二二・五%でございまして、その中で特別人件費といたしまして一・六八%、これはほかの運送事業に対してアップが従来アンバランスになったものを是正しようとするものでございます。それから、通常の人件費のアップの内容といたしまして一一・〇四%というふうな数字のものとに二二・五%を算定した次第でございます。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 これね、出しているわけだな、賃金形態、これ、いろいろ私たちもらっていますから、ここに名前あげないことにしましょう、名前あげてもいいけれども、これ、守られているかどうかということですね。実際のど元過ぎれば熱さを忘るということが多いのだ。だから、運賃は上げてもらいたい、労働者の改定はやりたくないという、そういう腹があるうちはこの前近代的な体制は変わらぬですよ。  そこで、どうですか、第一にお聞きしますが、これは第一に、値上げで水揚げがふえると、それに伴って足切りということをやっているのじゃないですか、ノルマの。つまりいままで十万大体取って、十三日稼働で、そして十万で、その上を歩合給でやっていた、これを十一万にするということはこれは行なわれておりますね、これが一つ。  その次は、どうです、累進歩合制というのは、これは完全に廃止されていますか。これは廃止するようにあなたたちとして指導したはずでしょう、これはどうですか、行なわれていますか。
  148. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 足切り制といいますのは、歩合給計算の方法でございまして、月間の水揚げから一定額を引きまして歩率をかけるということで歩合を計算するわけでございまして、これは逆に言いますというと固定給の算出にもなるわけでございまして、その点からいいますと六〇対四〇のものを七対三にするというふうに指導をいたして一おるわけでございまして、現在、歩率四〇%以下では据え置くというふうにやっているわけでございますが、この点につきましては現在労使で交渉中でございます。  それから、累進歩合制につきましては廃止されたというふうにわれわれは考えております。
  149. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから、固定給ですね。これは七割の指導を今度やっているわけですね。これ守られていますか。  それから何ですね、欠勤した場合、御承知のようにたとえば十三分の一減らせば、これはあれに合うでしょう、これは。ところが実際は、皆勤手当ですか、それから無事故手当、そういうものが二千円、三千円とあるわけです。そういうものはゼロになるんだから、したがって、一日休むというととんでもないことだ。一万二千円とか、そういうふうに引かれる。そこで生活ができない。そこでしかたがないから、病気を押してこれは実際は仕事をやっている。ここでしょう、ここが前近代的なところなんです。この問題をほんとうにこれは立ち人って一体調査しているのかどうか。こういう問題についてほんとうにメスが入っているのかどうか。ここが非常に大臣、私は必要な課題だと思うんですが、どうですか。この点についての指導はどうなっているか。
  150. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) このたびの運賃改定に際しまして、昨年の十二月でございますが、運輸省と御相談の上、各事業場の内部における労働のあり方についての規則がございます。就業規則と申しておりますが、基準法の規定に基づきます就業規則を全部点検をいたしまして、就業規則に賃金規定が付属いたしておりまして、そこで賃金の支払い方法が書かれております。まず制度的にその賃金の支払い方法の中で累進歩合制と言われるものは全部廃止をさせたわけでございます。  次に、そういう累進歩合制がなくなったにかかわらず、賃金制度を事業場の中で実際に運用する場合に、どういう形にするのかということが問題でございます。それを監督の場合に現に見ましても、悪質なものは私どものほうで摘発をいたしたわけです。したがいまして、実際上は率直に申し上げますと、いろいろ問題があるわけでございます。たとえばハイタクの送検処分を私どももいたしておりますが、その場合に不起訴になる場合がございます。不起訴になる場合に、つまり長時間労働をする労働者の意思と、これはもちろん賃金が低いという事情があるかもしれませんが、実際上は労働者が長時間労働をしているので、犯意があるとは認められないという形で不起訴になっているのが三〇%実はあるわけです。この辺は、やはり労働者の条件というものは労働者が自主的にみずから守るということで、実際上使用者とお話し合いをなさっていただけませんと、私ども役所が最低労働条件を守るだけでは現実に問題は解決しないというのが、私どもが監督に際して切実に感じている問題点でございます。この点はぜひ御了解を願いたいと思います。
  151. 岩間正男

    ○岩間正男君 悪質な内容をあなたたち把握されただけ、これは具体例たくさんあるでしょう。これは何か資料でもいいけれども、名前は書く必要はないけれども、これは出してもらいましょう、ここで一々聞いていると時間がありませんから。  これはひどいのありますね。五人の運転者で実は四回も一カ月公休を返上して、中には二カ月間一日も公休のないという例がある。神戸新聞指摘している。これは運賃値上げが一月一日でしょう、運賃改定。神戸は六大都市、そうして、しかもこれはどうやっているかというと、運転日報を全部つくり直して、そこで実際は元運転手をやっていたとか、あるいは現在長欠をしている、その名前は幽霊運転手がずっとあがっている。そうして、実際は一人で働いたものを分散して、そうしてそれは帳簿の面だけではこれは分散して、一人の無理な労働がないようにやっている場合が指摘されているわけです。これについて、あるタクシーの運転手、二十七歳で経験が四年、給料が安いし、水揚げの少ないときなど疲れていてもつい次の日は乗ってしまう。料金値上げの条件だったはずの劣悪な労働条件、低賃金はちっとも変わらない。これはこういう嘆きを持っている労働者が、交通労働者がたくさんいるんだということですよ。単に神戸の一例じゃない。それから、労働基準局の監督官もこう言っているね、ほとんどの会社が違法行為をしている。これはあなたたちが調べたのだからね。そうして、ただだんだん手口が巧妙になる一方だし、担当する会社、それは営業所の数が多くて、一年一回平均しか監査ができない実情だ。こういうことを神戸の監督官は言っておりますが、これはどうですか。この実情は実際こうですか。
  152. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) おそらくその実例は、明確な出典があればわかりますが、全体の基準法適用事業所に対する監督の状態を言っておられるのだろうと思います。その点については、残念ながら先生御指摘のとおり、現在基準法の対象になる事業場は二百六十万ほどございますが、監督官は全国で二千七百名しかおりませんので、人間の能力を越える努力をいたしましても……。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 タクシーについて言っている。
  154. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) タクシーにつきましては若干事情が異なりまして、集中的に監督をいたしておりますので、そういうことはないと思います。  それから、もう一つ、ただいまたいへん事業主のほうで、いわば悪質な秘匿の事実があるようなお話でございますが、そういう場合には、労働基準法では労働者の申告という制度がございまして、労働者が直接労働基準監督署にお申し出になれば、そういう問題については、私どものほうでは積極的に取り上げて、当該事業場を監督することにいたしております。したがいまして、そういう制度を御活用いただきませんと、実際上問題を秘匿した場合には、これは正直に申し上げて、なかなか発見がむずかしいという事情があることは事実でございます。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 単純にそう言われますけれども、これは生活というものともからまっているわけです。それで、監督局へ行った。監督局がほんとうにこれを発動して調べた。そこで、業者が今度はそれで報復手段をやる。そうして首になる。食えない。こういうことにからまっているから、そんなことを言ってもできないし、それから、監督局に行くともみ消しが始まるのだ、業者が。こういう例を私たちはこれはずいぶん知っていますから。だから、まあ労働大臣も、先ほど申しましたように、どうしたってこれは当然労働組合法によるこの労働者の団結権というものを、むしろ認めて、どんどんこれは団結させなきゃならぬし、そこでほんとうに正常なそういう労働条件をつくり上げる、それから、業者もそういうような労働者の権利というものを対等に見て、そうして、これはやるという方向にいかなきゃならないんだ。そうでない前近代的な形が全く残っているのです、これは。ほんとうにこれは古い親分子分の関係でまだやっているところもあるし、その背後には暴力団や警察がはっきり、これは共謀しているところがあります。われわれ具体的に、こういう例をあげることができる。こういうものに対して対決しなければ、これは話にならないわけですね。  それから労働時間の問題どうです。労働時間の問題をお聞きしますが、これは守られていると思いますか、一日の走行キロ、これは三百六十五キロですか、これは神風タクシーのときとさっぱり変わりはないのだ。われわれがやったときは、三百六十五キロだった。いまでもそうですか、どうですか。
  156. 大坪健一郎

    説明員大坪健一郎君) 走行キロについては運輸省のほうからお答えいたします。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 幾らですか、それ言ってください。
  158. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 東京都区内におきましては三百六十五キロでございます。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 三百六十五キロを十六時間で走れると思いますか。拘束は変則八時間労働でしょう。二日間で十六時間ということになっているのでしょう。ところが実際はめしを食ったり休む時間も入るから、これは一日十五時間とする。そうすると、大体いまの交通事情では十八キロしか走れない。とてもどう無理したって、これは走れるものじゃありません、いま。そうなると、どうです。十五時間、十八キロに十五時間かけてごらんなさい。二百七十キロしか走れませんよ。ところが三百六十五キロ走って、めしが食えるようになっている。ところが、二百七十キロしか走れない。そうすると、めしが食えないから無理をして、今度は十六時間労働がオーバーになって、それが二十一時間から二十四時間というのが現状じゃないですか。どうなんですか。だから、何ですか、あれは二時ごろ帰れというのですか。そういうことを言ったって帰れないんです。みんな妻子もかかえている、生活を背負っているのだ、この労働者の立場というものをほんとうにあなたたち、これだめなんですよ、口先で何とかうまくいっているようなこと話したって。この実態にほんとうに入って、そしてその問題をほんとうにはっきりつかんで、その立場に立っていかなければ労働者の生活条件、労働条件というものは改善できない。これが改善できなければ絶対に乗車拒否の問題あるいは事故の問題、こういうような問題というものを正常に解決することはできない。こういう大きな私はジレンマの中にあると思うのですが、労働大臣いかがですか、こういう問題ほんとうにおつかみになっておりますか、どうなんです。
  160. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 御指摘の三百六十五キロは最高限度でございまして、それ以上走ってはいけないということでございまして、したがいまして、平均といたしましては昨年一年では三百五十七キロぐらいになっておりますけれども、本年に入りまして最近におきましては三百三十キロ程度に相なっております。この最高限度の問題につきましては、当時と違いまして、高速道路ができてきたという事情がございますし、反面、都内におきましては非常に交通がふくそうしてきているというような実情もあるわけでございますので、その点につきましては今後検討をしていかなければならぬと思っております。まず走行キロと一つは労働時間の問題、これもちろんうらはらになるわけでございまして、労働時間につきましては、先般来、就業規則等の提出をしてもらい、そして労働省のほうでこの点は最重点を入れまして監査をしていただいたわけでございまして、この点は内容につきましては労働省のほうからお話があるかと思いますけれども、われわれといたしましても改善をされておるというふうに判断いたしております。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかくあなたたち、何か改善するとか、調査するといったって、ほとんど業者をつかむんですね。だから、もう実態がわからぬのですよ。労働者にやはり聞くというここにいかないと、もう一つおりなきゃ。ところが、仕事が簡単なものだから会社に電話かけて、そこの労務担当係、課長でも呼び出してそこで報告させる、この報告というのは実態に即し得ないのだ、そういう点から考えますと、どうしてもフルスピードで、しかも長時間労働をやらなければならぬ。ことに走行キロを、ほんとうにノルマを達成するためには夜間をやらなきゃ、深夜やらんというととてもできない。昼間じゃとても間に合わない。深夜なら相当スピード出せるから結局はそういう労働になる。結局タコが自分の足を食っているように、自分の体力を食っているのがいまのタクシーの労働者じゃないか、私はそういうふうに思うのですがね。この問題にほんとうに対決するというのは、大臣も先ほど言われましたように、非常に特殊な、日本の労働の中では実に前近代的なある特殊な形になっている。同時に、私はあと時間ございませんから最後にもう一問だけお聞きしたいのですが、タクシーの労働者の問題も問題ですけれども、一体なぜ交通事故が減らないのか、それから乗車拒否が減らないのか、ここのところはどうしても、やはりいままでは、ちょっと述べましたが、労働条件の問題や賃金体系の問題になってくる、この問題を立法、行政の措置のみで真にこれは解決することはできないと思う。私もいささかこの問題を国会の中で一年にわたって自分で体験した。まあ情勢はだいぶ変わってきておりましょうから、十二年前のそのときの体験がいまでも生きている面と変わっている面もあると思います。しかし、原則的にはなかなかこれは変わっていない。われわれの出したそのときの勧告――結局、運輸省に勧告を出したはずです。忘れているでしょう。もうわかっていないでしょう。十六則出したはずです。わかっていない。ところが、ほとんど十六則の原則というものは守られていない。情勢も変わった。そういう中でどうですか。私はどうしても同時に業者だけ責めても非常に気の毒な面もひとつ出てくる面があります。それは何と言ってもいまの交通政策ですね。先ほど申しました、どんどん自動車をつくる。まあこれは自動車の生産数というのは六〇年に比べると、六〇年の六倍になっていますね。五十五年に比べると四十八倍だ、実に。道路はどうです。この道路というやつもまたほんとうに大きな道路とか、産業道路とか、スピードの道路、こういうものにはこれは膨大な投資をやるわけです。しかし、一般の道路というやつはそういうふうになっておりません。ここからくるアンバランスですね。こういう問題と対決しなければ交通事故の問題、それからいろいろのこれに付随してくる問題というやつは私はなかなか解決できないのじゃないかと思う。私はこういう点でどういうふうに考えておりますか。こういう交通政策、ことにいまの交通事故と乗車拒否とか、そういう形、現象面だけの、そこだけが議論されているのだが、その根底になるところの政府の交通政策そのものについてのやはり深い反省ですね。これについてのメスを入れる。そういう対策が絶対必要だと思いますが、いかがですか。
  162. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) おっしゃるとおり、基本的には入れものと、いわゆる入れるものとの関係がアンバランスである、これはまあ事実であります。ただ、この自動車を持つということ、マイカー族と言っていますが、こういうものはこれは日本だけじゃなくて、これは世界的な傾向ですね。ある意味においては一部分がアクセサリー的に考えられている。いいことか悪いことか別として。そういう意味において非常に自動車の数がふえてきている。問題はこれからの、何と言いますか、市民生活といいますか、こういうものがやっぱり通勤用じゃなくて、大部分レジャー用にも使われているという、社会生活の複雑化というものも自動車が激増した大きな原因の一つであります。しかし、実際上大都会における道路のキャパシティが十分かといえば、これは不十分であります。これに対しては、もちろんこれは根本的にはその問題にメスを入れなければなりませんが、根本問題を言っておったら、これはなかなか容易じゃありませんから、それはやるとともに、まず現実としてやるべきことは、やはり交通規制を強めていく以外に道はない。同時にまた第二にはいわゆるドライバーのマナーの問題がございます。あるいは歩く人のマナーの問題もある。この点も合わせてやはり考えていかなければ、なかなか交通事故を押えることは困難である。ただ、最近の数字で、御承知と思いまするが、都会における裏通りの事故が約三〇%強減ってきております。これはまあ一つは裏通りの自動車交通に対して相当思い切った規制をした結果が、この二、三カ月の間に、半年の間にあらわれてきている。一面やむを得ませんからして、そういう規制を強化していく。こういうことが大事なことだと思います。なお先ほど来のお話の中で、いわゆる組合の立場も十分にこれはわれわれも理解し、また組合員の意向、運転手の希望なりは十分に聞きながら、やはり運輸行政に、特にタクシー行政はこれは反映していく必要がある。ただ、もちろん岩間君も数字をお持ちでありましょうが、東京で申しますと、東京の三百五十社のうち百台以下のいわゆる小企業者というものは三百余もあります。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕 それで百台以上のいわゆる比較的中及び大、大のほうはこれは五百台以上で、これは五社ありますが、これは全部労働組合ができている。先日私は労働組合の人に会ったのですが、その諸君も言っておりました。われわれは大企業であるからしてまあまあ何とかいろいろなことが言える、これは労働組合がちゃんとしているからでしょう。しかし、小企業になるとなかなかそうはいかない、大臣も十分察していただきたいというお話しでありました。もっともだと思います。  そこで、いまのこのタクシー事業というものは、昔のような思い切った利益が上がっていないのではないかと思います。したがって、労働改善等についてもなかなか小企業は困難である。すなわち管理費というものが、大であっても小であっても、ある程度必要でありますから、一台当たりの管理費というものは、小さければ小さいほどかかるわけであります。それに対して一部のものが、大企業に対して偏重してはいかぬ、小企業といいますか、三十、五十のものを認めろ、こういう意見も一部にはありますが、私はタクシー事業の将来の近代性という意味から考えれば、そういった考え方はもう一度考え直す必要があるのではないか。いわゆる水揚げ量というものは、もういま労働組合があり、あるいは労働組合がなくても、自分はきょう幾ら働いたということがはっきりわかってくるわけです。これは他人が働いたものではない。自分が持って来たやつです。これはもうわかるわけですね。そういうような意味においては、収入ははっきりと一種のガラス張りである。したがって、その間における合理化というものは、管理費の合理化以外にはない。それが一部の人が大企業に偏重してはいかぬとか、大企業には許可をするが、小企業には許可をしないというものの考え方自身が、これは私はタクシー事業の近代化に――これは私の私見でありましておそれ入りますけれども――将来、前近代的な企業というものをほんとうにやはり近代的に直すためには、そういう点をも考える必要があるのではないか。そういう点も考えておるわけでありますが、もちろんこれは小企業を圧迫しようという考え方からではありません。そのためには、他の競合方式といいますか、そういうものも考えて、小企業の生きられる道も考えなければならぬ。それによってタクシー事業の近代化を促進していくという考え方を持つべきではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に。結局、まあ公企業としての面があるわけですが、こういうものに対して、これは政府の保護、指導育成、そういう面の施策が十分にいっているかどうか。それから取り締まりが非常に多くなるのですが、今度の法案なんかについても、私は委員外発言を、実は参議院で運輸委員を持っていなかったので、求めたのですが、許可がなかったので、実はやれなかったのですが、タクシー業務適正化臨時措置法案、これはさっき、きょう通ってしまったのですね。これに対して労働者、業者も必ずしもこれに満足していない。業者も労働者もことに反対している。特にこれによって非常に生活権が左右される。そういうことが非常に規制される点について大きな問題を持っておる。そうしてまた、労働者の、いまどうすれば交通事故をなくすることができるかということで、労働者は労働者としての立場から、これはなかなかいい意見を出しておるわけです。これはお聞きになりましたか。たとえばこれは、「労働基準法を守らせ、賃金水準を引き上げ、ノルマ的刺激制度を廃止し、日雇、臨時など人命を輸送する労働者にふさわしくない雇用形態をやめさせ、社会的地位の向上をはかる。」、第二に、「政府は前時代的、並びに悪質経営者に憲法をはじめ、労組法等関係法令を順守するよう指導すること、労働者は労働組合に結集し、公共の福祉を自主的、自覚的に守るモラルをつくりだすために努める。」、こういうことをはっきり自分で自覚しているわけですね。だから、政府は総合的都市交通対策を早急に立てること、他面、「通勤輸送を優先する通勤電車の複々線化をはかり、マイカー通勤を自主規制し、混雑緩和をはかるための措置を講じ、バス、タクシーなど大衆輸送機関優先の政策をたてること。」、まあこういうようなことで、たくさんあげているわけですね。これは聞くに値する。そして実際は職場でほんとうに苦しんでいるのですから一番わかっていると思うのです。だから、私はまず大臣に最後にお願いしたいのは、こういう労働者を少し集めて懇談会を開く考えがあるかどうか。それから自動車局のほうでは、これは局長さんにお願いしたいのだが、どうですか。抜き取りでもいいから、何人か、これは千人ぐらいに出せばいい、全国の交通労働者にアンケートを出したらどうでしょう。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 このアンケートによってほんとうに何を欲し、何が一体ネックになっているかというような問題をここでもう少し身近につかむ、そういう努力をされることはむだじゃないと私は考えるわけです。真剣にこの問題と取り組んでいくという、そういう姿勢があるなら、これはできないことじゃないと思うんですが、この二点を最後にお聞きしたいと思います。
  164. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私はこの前も言いましたが、組合の幹部諸君とひとつ機会を得て十分に懇談をしたいと、かように申し入れてありますから、適当な機会にこれはやろうと思っております。  また、アンケートのほうは十分検討させていただきます。
  165. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) たいへん示唆に富みました御高説と存じますので、十分検討したい、実施したいと思っております。
  166. 山崎昇

    ○山崎昇君 それでは、全く時間がありませんから、ごく簡潔に二、三お聞きをしておきたい。ほんとうはきのう大臣にお聞きをした運輸行政改革計画の中身について私は詳細に聞いてみたいと思っておりましたが、そういう時間がありません。そこで、これはまあ省略して、二、三お聞きをします。  一つは、今度の法案に運輸政策審議会というのが出てまいります。これは運輸行政の基本的なものについて審議されるようになっておるわけなんですが、そこでお聞きしたいのは、運輸省設置法を見ますと、常設機関として運輸審議会というのがあるのですね。これは各省にないものがここにある。これは各省の設置法を見ても、こういう形の審議会というのはないわけです。諮問機関という名称にはなっておるけれども、実際は行政委員会のような性格にもなっておる。特に司法的な権限さえ与えておる。これにはからなければ、運輸省の大かたの行政というのは遂行できないような規定になっているわけです。そういうものを私は考えてみますと、この運輸政策審議会というのは何をやるのか、これとダブってくるのではないか、こう考えるのです。  そこでお聞きしたい中心は、運輸政策審議会できめたことを運輸審議会にはかって、運輸審議会で答申あってから運輸大臣が施行する、こういうかっこうに私はなるのじゃないかと思うのですが、どうですか、その関係をお聞きをしたい。
  167. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) お答え申し上げます。  設置法に運輸審議会というものがございまして、先生も御指摘のように、これは特殊な性格のものでございます。それで、いわば準司法的の手続で行なって、いわゆる行政委員会的な性格を持っております。したがいまして、同じ審議会でございますけれども、ほかの審議会とはこの点は違っております。ただ、先生がおっしゃいましたように、これと政策審議会とダブるのではないかという点でございますけれども、運輸審議会はこの法律第五条以下にございますように、運輸大臣が行なうべき、たとえば運賃料金とか、そういったようなものの設定とか、あるいは海陸空にわたりまして運輸事業の免許とか、それからあるいはまたそういった営業とか、事業の休廃止とか、そういったものの許可でございますね、あるいはまたこういった処分に対する行政不服審査法による不服の申し立てに対する決定、こういったようなことをやる場合に、そういった個々の案件につきまして運輸大臣が運輸審議会に諮問をするというのでございます。個々の個別の申請事案につきまして運輸審議会がそれぞれ判断して答申を行ない、場合によりましては公聴会も開くということでございます。ところが、運輸政策審議会のほうは、こういった個々の具体的な、免許とか、あるいは運賃とかいう個々の具体的な申請によりまする案件を審議するのではなしに、個々具体的ではなしに、たとえば海陸空を通じての新しい輸送方式がどうあるべきだとか、あるいは各輸送分野別の、たとえば社会資本の配分はどうあるべきかとか、そういったようないわば一般的、抽象的なような事案について審議を行なうということでございまして、その点はやはりその審議の対象が違うんではないか、審議の内容が違うんではないかと存じております。したがいまして、両方がダブっているというふうには私ども考えておらないわけでございます。
  168. 山崎昇

    ○山崎昇君 設置法は私は知っているのですよ。この第六条を見ますと、膨大な権限ですね、これは。そして、これにはからなければ運輸大臣は執行できないんですね。ですから、ほかの省にはこういうものがない。ところが第六条に諮問事項になっておるのですよ。諮問事項ですから、したがって、付属機関としてこの運輸審議会は設置をされておるのだけれども、中身は行政機関みたいな存在になっている。そして、準司法的な機能さえ与えておって、もしこれにはからないでやれば瑕疵ある行政行為ですから、取り消さざるを得ない場合もあり得るのですよ。ところが、政策審議会というのは、いまあなたが言うように政策の基本に触れてやるということになっている。ところがこの内容をずっと見ましたら、基本政策に関するようなことはほとんど入ってきますよ、これは。ですから、そういう意味では、私はこの運輸審議会のあり方いかんによっては、政策審議会なんぞというものは必要ないんではないか。特に、七人も委員がおって、常置機関です、これは。どうしてこの上にこの運輸政策審議会というものがなければできないのか。これがあなた方の言っているいわゆる利用者の利便を確保するための行政に移行するという証明になっておるのかどうか。私は、そんなことではないんじゃないかと思うのですね。さらに、このうちの一人は運輸次官なんですね、委員のうちの一人は。他の六名は国会の議決を経なければ任命できないような委員になっている。  で、いまあなたにお聞きしましたように、運輸審議会へ、基本政策ができてそれがまた運輸審議会にかかって、それが結論が出なければ運輸大臣は執行できないんじゃないですか。そういう順序になるでしょう。ですから、私はこの運輸審議会のあり方いかんによっては、何にもこんな政策審議会なんというものは必要ないのではないか、こう考えるわけです。  第二番目にお聞きをしたいのは、閣議決定で私ども聞いているのは、おおむね委員会というのは二十名前後の人員で構成をするというのを原則にしているようですね。ところが、この設置法を見ますと、今度の案を見ますと四十名、そのほかに専門委員を置く、調査委員を置く、膨大なものですよ。こういう政策審議会というもの、どうしてこういうものが要るのか。私はやはり屋上屋ではないだろうか、こういう気になってどうしようもないのです。性格の違いは私も知っております、これを読めばわかりますから。どうですか、さらに今度技術審議会もある。技術部門だけ取り出している。こういうことが、私はいま審議会等を整理しなければならぬこういう段階のときに、どうしてこういうものが必要なのか、運輸大臣、ふしぎだと思いませんか。あなたの行政を執行するのにほとんどの事項といっていいくらい、運輸省の所管事項の半分程度のものはこの審議会でやらなければならない。審議会の答申がなければあなたは執行できない、これはそういう規定になっております。そして一番私がふしぎに思うのは、第七条を見ると、「運輸審議会は、前条第一項に掲げる事項に関し、職権により、又は利害関係人の申請に基き、運輸大臣に対し、必要な勧告をすることができる。」、ただしですね、この審議会が軽微だと認めたものだけはかけなくてもよろしゅうございます。見方によっては運輸大臣よりもこの審議会のほうが権限を持っておる、そういう見方さえできるようなこの規定になっています、これは。これはほんとうに私は基本的に運輸審議会と運輸政策審議会運輸技術審議会との関係というものは私は考え直す必要があるのではないか、こう思うんです。いまここですぐこれを修正せいといってもそれはできない相談でしょうが、どうですか、運輸大臣、こういう観点について。
  169. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 運輸審議会の職能は、性格は、いま官房長から御説明申しましたし、また山崎さんも御了解願ったようでありますが、なぜ運輸審議会のようないわゆる行政委員会のようなものが必要であるか、これは一つには私は運輸行政というものはかなり許認可事項といいますか、行政上でいえば行政機関としてはそういう国民大衆と接触する部面が非常に多いわけでありますね。そこで、たとえば料金の決定にしても、直ちにこれは国民生活に影響する。それを官僚独善の立場でものをきめることは好ましくない。そこで、第三者の機関において、もちろんこれは運輸大臣が諮問するわけですけれども、こういうものをひとつ、要求はこうきめたいとか、そういう場合において、第三者的な立場からこれを公平に判断をして、そこでやはりこれはよろしい、これはいかぬというような権限を与えておくことが官僚独善を防ぐということから私は生まれたものと思います。審議会なるものは。そこで、運輸政策審議会なるものは、これは全然観点が違う。たとえば新幹線鉄道網というものの考え方がもしこの政策審議会で考えたといたしましても、これは運輸審議会にかける必要はありません、政策でありますから。したがって、この運輸政策審議会一つの総合交通体系の上からの運輸省の交通政策、一つの例だけを申し上げるのですが、したがって、この委員には学識経験者の中に建設省関係の人も入ってもらうというのは、幹線道路なり一般道路を除いて交通の体系考えても、これは考えようがありません。あるいはまた、内航海運の関係者を除いても交通総合体系はできない。そういう意味において、やはり学識経験者を広く各方面から集めるためには、十名や十五名では不十分であるというところからして、相当数の委員を任命して、ここでひとつ総合体系についても、あるいはこれからの都市づくりの問題も出てくると思います。たとえば、超特急のようなもの、リニアモーターといっておりますけれども、そういうものをはたして東京-大阪間にこれをつけることが総合体系の上からいっていいのかどうなのか。これは技術の問題も別にあります。こういう意味において、この政策審議会なるものは、一つのマクロ的な見地からものを考えていく、運輸行政を。一方の審議会のほうは、具体的のミクロ的な問題を、これを、それがいわゆる官僚独善になるかしらぬが、国民大衆の上から見て利益か不利益か、こういう観点からものを判断する。こういうことから考えて、運輸省としては、ことに情報社会における将来の問題から考えて、きょうの問題を考えると同時に、やはり明日の問題を考えていくべきであろう。たとえば一つの港湾をつくるにいたしましても、少なくとも重要港湾といわれるものは、十年かからなければその能力を発揮しない。あるいは鉄道にいたしましても、新幹線等、長距離のものになれば、十年、十五年、二十年の長年月を要する。そういう政策を考えていくということになれば、やはりこの運輸政策審議会というものは必要である。こういう観点から、このようないわゆる審議会設置をお願いしておる次第であります。
  170. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは私どもから言うと水かけ論になるおそれがありますから、多くのことは触れませんが、ただ、私はいま大臣の言うように、なるほど官僚の独善を防ぐという意味で運輸審議会というものをつくったのだというあなたの御説明ですね。そうならば、私はまたもとに戻るわけですが、この運輸行政というのが規制型から誘導型に変わるというのですね。それであれば、当然それにふさわしいような内容がついてこなければならない。その一つが私は運輸政策審議会というふうに理解をしてもいいと思っています。しかし、私は、同じ諮問機関というものが、片や常置機関として、一々申し上げませんけれども、たとえば地方鉄道の免許一つやるにしても必要になってくる。航空もそうである。あるいは道路輸送についてもそうである。そのときに、必ずかなりの議論がなされるであろうし、また全体の輸送の中でどうするかということが論議をされるであろう。こうも考えますというと、どうもこの政策審議会というのはぴんとこない。さらに、その上に技術審議会という技術部門だけまた別に取り立てて審議会をつくるというやり方なんですね。ですから、私はどうも屋上屋の感がありますが、しかし、これはやられるという、あなたのほうがどうしても必要だということでありますから、私はあえてこれ以上申し上げませんが、やりようによっては私は運輸審議会とかなりダブる面が出てくるのではないだろうか。あるいは運輸審議会の運営いかんによっては、こういうやり方というのは必要ないのではないだろうかと、こう考えますから、今後、運輸政策審議会の私は運営の実態を見ましてから再び議論したいというふうに考えるわけです。  そこで、さっきちょっと触れましたように、この委員の数なんですがね。普通の諮問機関の倍ですね。そのほかに専門員あるいは調査員を置かれるわけですから、この政策審議会の機構というのは膨大な機構になるわけなんですが、その辺は閣議決定でつくっております原則との関係はどういうふうに理解をしたらいいのか、説明を聞いておきたいと思います。
  171. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 御指摘のように、考えております二つの審議会は、数が四十名、それから技術審議会が三十名でございまして、閣議決定の線からいいますと確かに多いと存じます。で、実は私どもといたしましては、運輸省全般の現存しておりまする審議会を一ぺん再検討いたしまして、それで時代の要請にそれほどそぐわないようなものはひとつ廃止すると、それでできるだけこの政策審議会なり技術審議会のほうに移行させようということでございまして、そういう整理を実は行なったわけでございます。その結果、運輸省関係の全般の審議会の数も、三十現在ございましたのが、今回十七に整理する、それからまた、三十の審議会の委員の全般の数が五百四十八名でございますけれども、このたび十七の審議会に減らしますものでございますので、数が三百七十一名、百七十七名ばかり減るということになりますが、そういったような努力をしたのでございまして、そういう点につきまして、関係の御当局のほうにも十分御説明申し上げまして認めていただいたような次第でございます。
  172. 山崎昇

    ○山崎昇君 次に伺いたいのは、観光行政で一、二点伺っておきたいと思いますが、たとえば新全国総合開発計画を見ましても、将来この観光というものが私はたいへんなものになるんではないだろうかと、こう思います。ところが、いまこの観光行政を扱う機関というのは、御存じのとおり各省にまたがっておるわけです。この観光行政の一元化という問題はきわめて重要なんですが、いま総理府で協議会のようなものをつくってある程度の一元化的な運営をはかっているようでありますが、私はまだまだ足りないのではないだろうかと、こう思う。なぜならば、この観光が進めば当然それに伴って人が動きますから、今後はこの人が動くには必ず輸送機関あるいはマイカーで行くわけであります。したがって、交通事故と関連をしてくる、それから人が多く行くということになると、これが俗に言う公害問題が発生をしてくる。それがどういう結果を生むかというと、自然というものがだんだんだんだん侵食をされていく、こういう一連の動きになってくると思うのです。そこで、観光行政の推進と交通事故対策とそれから公害対策とは、私は切っても切り離せないような関係になってくるのではないだろうかと、こう考えている一人なんです。そこで、この観光行政の推進の中心である運輸省として、それらの関係についてどのように今後対処されていくのか、方針を聞いておきたい。
  173. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 実は、この観光行政の一元化は運輸省内においても意見が戦わされており、閣内においてもいろいろおっしゃるような意見が非常に多いのであります。ただ、観光といっても観光地帯の手段が違い、目的が違う、あるいはまた観光に伴う公害あるいは公益といいましょうか、逆の問題、こういう実は観光というものは非常に多種多様でありますために、なかなかこれは、たとえば観光省というような一省をつくってもまとめ得るかというと、たとえばうらはらとして、こういう地域については清浄化が行なわれなければならない。清いほうの清浄化ですね。そういうことになれば、厚生省へ、また公害を起こすため通産省なんというものに引っかかってくる、そういう意味において、考え方としては何とかして一元化したいという考えを持っておりますけれども、どうも観光それ自体の目的、手段、それらがそれぞれに全く違った性質のものを持っておりますために、観光ということばからいうと一つのように聞こえるんですが、そういう点においてなかなかむずかしいが、何とかしてこれをひとつ総合的に運営していきたいというので、一応閣内には観光閣僚協議会なるものをつくっておるのですが、おっしゃるように、なかなかその実をあげることは困難でありますが、つとめてさような意味において一元化にひとしいような実績をあげていくことのために努力をいたしたいと考えております。
  174. 山崎昇

    ○山崎昇君 これはほんとうかうそか、私はまだ確認しておりませんが、ことしの十月にアメリカで日米合同の国立公園の会議があるというのですね。これに厚生省から初めて公害掛当官を国立公園の会議に出席をさせるということを厚生大臣が述べたという報道があるわけです。それほど観光というもの、あるいは国立公園の管理にいたしましても、公害という問題を抜きにしてはもうできない状態に私はなってきているのじゃないか。特に最近は国際的なシンポジウムもありますが、あれは主として産業公害についての会議が行なわれているようでありますが、私はこの観光についても、どうしても公害という問題もよほど考えておきませんと、たいへんなことになるのではないだろうか、こう思うのです。そこで、先ほど来その中心である運輸省にお聞きをしているわけなんですが、いずれにしても、この観光の推進ということと、交通事故ということと、公害ということですね、公害といってもたくさんありますが、それからあわせて人がたくさん行くわけでありますから、そこに住んでおられる地域住民がかなりな被害をこうむっておるという実態もあるのであります。そういう点等を考えますと、新全国総合開発計画では、たとえば北海道なんかは大観光地帯にするなんと、こう上がっておりますけれども、その裏にはこういう問題が私はあるのではないか。そういう意味では政策の上でも立法の上でも、あるいは行政上でも、それにふさわしいような対策を講じておかなきゃならぬのではないかと思うのですね。そこで、いま大臣から大筋の話を聞きましたけれども、もう少し何か将来の観光について、いま申し上げたような交通事故だとか、公害等の問題に関連をして大臣の見解があれば、この機会にお聞きをしておきたいと思います。
  175. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 観光と公害の問題、まあ公害にしてもいろいろ種類がありまして、たとえば、私、建設大臣のときにたいへん苦労したのですが、日光の太郎杉の問題ですね。あれは観光という点から見るとこれはそのままにしておきたい。逆に今度は交通渋滞とか、交通事故の面からいえば、あれははずして道を広くしたい、こういう観光と公害との間に逆な立場に立つ場合があります。あるいは奈良の古都でありますが、飛鳥古京、私も非常に関心を持っておりまして、これひとつ保存したいというので、具体的に近く努力したいと思いまするが、そういうものもひとつ古都として非常に広い、広域にわたって規制を加えるというと、そこに住んでおる人たちには別の意味での今度はマイナス面があるわけですね。そういうふうなことがありまするが、おっしゃっておることは全くそのとおりでありますからして、そういう姿勢、観光というもの及び公害との関係一つの姿勢として今後行政をやっていきたい、かように考えます。
  176. 山崎昇

    ○山崎昇君 それではあともう一つ聞いておきたいと思うのですが、気象測器製作所が今度廃止になりますね。これはほんとうになくなるのですか。なくなるとすれば、ここにおられた方々はどういうような処置になるのか、お聞きをしたいと思います。
  177. 坂本勁介

    政府委員(坂本勁介君) 布川にございます気象測器製作所というのは昭和十九年にできたものでございますけれども、相手が、まあ極論すれば気象庁だけの測器で、いわば民間会社で当時まだつくるような能力もない、おそらくペイイング・ベースに乗らないというようなことから、気象測器の製作、修理というものを中心につくられた付属機関でございます。その後、社会情勢の進展につれまして、かなりの会社で相当の能力を持ちますいろいろな測器会社ができてもまいりましたしということで、そういった部門を外注に移すことにいたしました。ごく少数の修理部門等はまだ残しておりますけれども、ほとんどそういったものは民間会社に外注できるような情勢になってまいりました。それと同時に、大体年とともに測器製作所の性格が変わってまいりまして、いわば気象測器の試作、開発部門と申しますか、そちら側のほうに事実上として重点が移っておったわけでございます。そういうことから、実は工作部門のほうで大体十四名ばかり人が要らないじゃないかということになりまして、その点で一つ規模が小さくなったことと、もう一つの、いま申し上げました試作開発部門というものが重点的にそこで行なわれるということになりますれば、東京にあります気象本庁の観測部と直結させて、そこのワンセクションとしていろいろ仕事を行なわせたほうが機能的にははるかにベターであろうと、こういうことになりまして、付属機関を廃止することにしたわけでございます。
  178. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、これもやはりごまかしがあるのだね。法律上では付属機関の廃止というからそっくりなくなるような勘定になる。しかし、実際はいまあなたの説明を聞くと、気象観測器製作工場という名前のもとに残されるんですね。そしてこの気象観測部というのは、これは省令で置かれているのですね。したがって、法律上で置かれる機関から省令で置かれる機関に変わるだけであって、多少、規模は小さくなるかもしれませんね。しかし、私どもが審議される説明書を見ると、まるっきり付属機関がなくなるような説明である。これはきのうも農林省のときにも問題になりましたが、どうも私は最近政府のやり方というのは、表面的には何か整備したようなかっこうになる。しかし、実際は多少の規模が違ったり形が変わったりするかもしれませんが、ちゃんと厳然と残っておる、こういうやり方が最近の一般的な傾向なんですね。私は全くけしからぬと思うのですよ。しかし、これはいまここで攻めても、ほんとうは行管にものを言いたいのだが、どうもいまの政府のやり方というのは、国会の論議がうるさいのかどうか知りませんが、なるべく国会の論議が出ないような省令機構に変えていくような措置になっている。そして表面的には何かしら機構整理をされた、たいへん行政改革に熱を入れておるんだと言わぬばかりのやり方をするわけですね。こういうことは私はどうしても納得できないんじゃないか。これは現在、総務課と技術課と二課あって二十九名おられる。そうすると、すでに十四名ばかりの人はもういないわけですか。十五名だけが測量部へいくんですね。残された十四名というのはどうなりますか、その人はいないのか、その辺のことはどうなっていますか。
  179. 坂本勁介

    政府委員(坂本勁介君) 本庁と同じ場所でございますけれども東京管区に測器課というものが新たに実は新設されております。それは昨年の話でありますけれども、そういったところの要員に充てるとか、本庁の観測部の測器関係のいろいろな検定要員にそういう人間を充てるとか、その他いろいろな本人の意図に反しない限りでの配転を行ないまして、現実に十四名というものはすでに布川にはおりません。
  180. 山崎昇

    ○山崎昇君 私どもがお聞きをしなければ適当にやっておるわけだ。それはいいとして、私はあなた方がこういうものを考えるときに、やっぱりいまの私は給与制度が悪いから、あなたを攻めてもしようがないと思うんだが、行政機構が下がれば、機構上の権威が下がれば給与も下がる仕組みになっているんですね。それはどういうことかというと、単独付属機関から測量部の何かになれば、いまおる人はそのまま移行するんでしょう。しかし、やがてこの機構はいまの職階給制度からいくと下がることになっちゃうから、必然的に下の人も一ランク下がるということになるんだ、昇格基準もそうです。もっとあなた方の身分で言うならば、ここの、たとえば所長さんはおそらく私は特別調整額をもらっておるんだと思うのだが、やがてそういうものが測量部の一部局に戻れば相当率が変わってまいります。だから、私はこういう機構を考えるときには、そこに働く職員の私はやはり待遇、給与、昇格、そういうものをどうするかということも考えて、これは私は考えませんと逆に昇格する場合はいいんですよ。独立する場合は上がっていきます、黙っていても。そういうことを私は痛切に感じますので、これは大臣もおられますが、今後同じ仕事をやらされながら、仕事は何にも変わりがないのに、ただ機構面で一ランク下げられるから、この人の給与が下げられるということになると、一生ついて回ることになるわけでありますから、今後そういうことのないように配慮してもらいたい、このことを大臣に申し上げておきたいと思うのですが、どうですか。
  181. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 十分に検討して研究したいと思います。
  182. 山崎昇

    ○山崎昇君 時間ですから私の質問を終えたいと思いますが、いずれにしても、先ほど来気象庁の問題についてもお聞きをしたかったし、陸運事務所の府県移行の問題についてもお聞きをしたかったけれども、時間がありませんからやめますが、いずれにしても一、二名の定員を削ることによってたいへん気象行政なり、それが低下をするなんということのないように、重ねて私は要望して私の質問を終えておきたいと思います。
  183. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。  別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  運輸省設置法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  184. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十七分散会      ―――――・―――――