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1970-05-07 第63回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月七日(木曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 足鹿  覺君                 上田  哲君     委 員                 源田  実君                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 安田 隆明君                 山本茂一郎君                 鶴園 哲夫君                 矢山 有作君                 山崎  昇君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君    衆議院議員        内閣委員長代理  塩谷 一夫君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        総理府統計局長  岡部 秀一君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        行政管理庁行政        監察局長     岡内  豊君        文部省体育局長  木田  宏君        農林政務次官   宮崎 正雄君        農林大臣官房長  亀長 友義君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農政局長  池田 俊也君        農林省畜産局長  太田 康二君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        農林水産技術会        議事務局長    横尾 正之君        食糧庁長官    森本  修君        食糧庁次長    内村 良英君        林野庁長官    松本 守雄君        水産庁長官    大和田啓気君        運輸大臣官房長  鈴木 珊吉君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        運輸省航空局長  手塚 良成君        気象庁長官    吉武 素二君        気象庁次長    坂本 勁介君        建設大臣官房会        計課長      大塩洋一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  鴛淵  茂君        農林省農林経済        局統計調査部長  岩本 道夫君        農林省農政局普        及部長      田所  萠君        食糧庁業務部長  中村健次郎君        通商産業省企業        局立地公害部立        地政策課長    黒田 四郎君        自治大臣官房参        事官       立田 清士君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十  四年度における公共企業体職員等共済組合法に  規定する共済組合が支給する年金の額の改定に  関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の  一部を改正する法律案内閣送付予備審査) ○運輸省設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 矢山有作

    矢山有作君 まず機構にも関連をして聞きますが、総論的なことからお伺いをしたいと思います。  今日のわが国農業を取り巻く諸条件は、非常にきびしさを加えておりますが、七〇年代のわが国農業方向づけを政府はどのように考え、また、どのような具体策、具体的な構想を持って進められるのか、これを御説明いただきたいと思います。
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御存じのように、ただいまわが国農業は、いろいろな意味においてたいへんむずかしい情勢に囲まれておると存じます。国内においてすでに中小企業農業は、比較的生産性が低いといわれておるわけでありますが、さらにそういうところに加えて、御承知のように貿易の自由化というような波をかぶる、いろいろな情勢のもとで、私どもはこの農業をどのようにして維持、強化してまいるかという課題と取り組まなければならないわけであります。そこで、そういうことのために、政府は、総合農政推進についてという方針を出しておるわけでありますが、つまり私どもといたしましては、規模が大きくて生産性の高い、いわゆる高能率農業経営ないしは農作業単位をつくってまいりたいと、今後農政推進におきまして、いま私が申し上げましたような方向をできるだけ広範に育成してまいることが基本的に重要であると存じます。で、このためには、自立経営農家農業中核的なにない手といたしまして、それを着実に発展させることが必要であり、また、そうして生産においてはそれらのものがかなりの部分を占めることになるように育成をしてまいりたい。同時にまた、こういう自立経営農家とともに、わが国で現在いわゆる八〇%近くは兼業農家でございますので、こういうものも比較的長時間存在するわけでありますので、こういう人たちをも一緒にすることによって、広域的な営農集団をつくってまいったらどうだろうと、同時にまた、そういう人たちの中で、御自分の判断によりまして、むしろ農業の基礎である農地を他につまり転貸するなり、あるいは委託の経営をするなりして、自分はその余剰の労働力でさらに所得を得たいというような希望をされるような方々には、そういうことの目的の達成されるような便宜をつくってあげるといったようなことをして、農業はとにかくあとう限りの努力をして維持してまいりたい、このように考えております。
  5. 矢山有作

    矢山有作君 高生産性農業実現したいという政府考え方は、いままでたびたび聞いておりますから、私もわかるんです。ところが問題は、いまお聞きしたところでは、まあごく断片的な話だけなんですが、その高生産性農業育成するというのには、具体的に実際の予算上の裏づけを考えながら、どういう施策を展開していくのかということを私は聞きたいわけです。いまおっしゃったのは、自立経営中心とし、さらに、それと兼業との関係、あるいは離農の問題等々に触れられただけですね。それでは私は高生産性農業実現するということはできぬと思うんです。だから、高生産性農業というのはどういうのを一体高生産性農業というのか、また、それに至る過程でどういうふうな具体的な施策をやろうというのか、それがはっきり示されてこないと、いまの農民はなかなか安心しておられないんですよ。いろんなことをおっしゃってるだけで、実が伴わぬのですから、ちょうどヤマブキみたいなものでね。その内容をおっしゃっていただきたい。
  6. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これからもろもろの施策を講じてまいらなければならぬと思いますが、私どもやっぱりいま申しました自立経営農家中核にいたしたいと、こういうことを言っておりますが、この自立経営農家育成して、つまり生産性を上げるということが目的でございますので、したがって、それに伴うような構造改善事業あるいは土地改良等、そういうことを並行して行なうことによって、能率をあげてコストを引き下げることに努力をする、そのようにいたしまして、この自立経営農家というものが、いままあ先ほど私が申しました、それに配するに兼業農家土地等活用も申しましたが、そのようにいたしまして能率をあげることに努力をする、そのために必要な措置を講じてまいりたい。たとえば機械の活用であるとか、あるいはその他、いま申しました構造改善圃場整備その他のことを並行して推進してやることによって能率をあげてまいりたい、こういうことを考えておるわけであります。
  7. 矢山有作

    矢山有作君 まあいろいろとおっしゃっていますが、私は、自立経営農家育成それ自体にしたところでなかなか容易なことではない、そのことはまあ私よりもむしろ政府のほうがよく御存じなんです。だから、いまおっしゃったようなことを実現するにしてみたところで、たいへんなことだろうと思うんです。しかし、ここだけでとまっておりますと時間制限がありますから、次に進みます。  七〇年代わが国農業を、先ほど来おっしゃっているように生産性の高いものにすると、こういうこともおっしゃっておるし、それからまた、魅力のある農業にするんだと、こういうことを別の場所ではおっしゃっているわけですがね。ところが私は、そういう点で一つ疑問に思うのは、最近発表されました新経済社会発展計画というのがありますが、これの産業連関モデルで見ると、農林水産業生産額年平均伸び率は、四十四年から五十年にかけて二・九%、これは過去の実績、二十八年から四十三年の十五年間の実績ですが、これが八・三%の伸び率を示しておるのに比べると、非常に大きく下回ってるわけです。これに比べて製造業のほうは、四十四年から五十年の年平均伸び率が一二・五%、それから商業サービス業は一一・二%が見込まれておりますね。毎年の生産額伸び率にこんな大きな格差があるんですね。こんな大きな格差があって、はたしてこれは魅力ある農業だとか、あるいは高生産性農業だとかということがいえるでしょうか。私はそういう意味では新経済社会発展計画との関連で、政府のおっしゃる高生産性農業実現魅力ある農業実現ということに非常に大きな疑問を持っているわけです。
  8. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 確かに矢山さん御指摘のように、私ども自立経営農家育成と一口にそう申しますけれども、大体すでに過去において農基法制定以来今日までの経過を見ますというと、われわれが農基法制定に参画いたしました国会であれを審議いたしました当時は、これ私自身のことを申してはなはだ申しわけございませんが、私どもは今日のように経済社会が大きな変化を生ずるとは、実はそんなに想像しておりませんでした。また、地価の高騰等もわれわれの予想外のことであります。したがって規模拡大と申しましても、容易ならない事情であることは、私どもも痛感いたしておるところでありますが、しかしながら、このたびいま御指摘の新経済社会発展計画の中で申しております魅力ある農業と申しておりますのは、まあ高生産性農業実現をはかることであることはもちろんでありますが、基本的考え方におきましては、総合農政近代的農業育成といっておることと、相違はいたしておらないわけであります。  ただそれにしても、それがわれわれの希望どおりになったとしても、他産業に比べて格差があるのではないか、こういうことでありますが、やはり私は、先ほど申し上げましたような自立経営集団的生産組織育成助長とともに、これらの経営組織などを含めまして、広域営農集団育成をはからなければならないのでありますが、新計画では何かシステム化ということばを使っておると思いますが、とにかく矢山さん御存じのように、わが国だけじゃなくて、ヨーロッパの諸国、アメリカでもそのようでありますが、他産業と比べまして農業が比較的収益性の率が低い、これはあることでありますけれども、それにしても、私どもはやはりだれにも制約を受けない、自主独立で、きれいな空気を吸って、天然を相手にして、そして自分の発明くふうをそのまま生かし得る、しかも農業従事者がみずから期待されるような環境をつくっていくことができれば、私はかなり魅力を持ち得るのではないかということも考えるわけでありますが、私どもがしばしば申しております、将来四ないし五ヘクタール、搾乳牛にして二十頭前後のものを目標にすると申しておりますが、それが完成したといたしましても、私はその他の先進国に比べてまだ十分であるとは考えておりません。したがって、問題は非常に多くあることは否定いたしませんけれども、やはりわが国でいま必要な農業であり、しかもこれに対してかなり人たちが待望しておられる農業でございますので、できるだけわれわれの理想に近いものに育成していくことに全力をあげなければならない、このように思っておるわけでございます。
  9. 矢山有作

    矢山有作君 まあ魅力ある農業といいましてもね、二十八年から四十三年の過去十五年の年平均伸び率が八・三%だったんでしょう。それを新経済社会発展計画では二・九%見ているわけですね。ところがその他の制造業商業サービス業は、それぞれ一二・五なり一一・二の伸び率を見ているわけです。こういうような状態で、はたして魅力ある農業といえるかという問題なんです。魅力ある農業でなかったから、年率八・三%で過去十五年間伸びてきたけれども、きたけれども農業ではやっていけぬというので農業を見捨てるというような形がたくさん出てきたわけでしょう。だから空気がよかった、環境がいいだけでは農民やっぱりやっていけないわけで、やはり他産業が伸びるなら、それと同じように伸びていって、他産業従事者と同じような所得が確保されるということがなければ、これは私は魅力ある農業ということにはならぬとそう思うのです。その点でやはりことばだけで済まそうというのでは困るんじゃないか。だから新経済社会発展計画自体の中にも、先ほど言ったような数字を前提にしながら、「農業について強力な施策が展開されないかぎり、わが国経済が成長をつづけるなかで農業と非農業との生産性所得格差は今後ますます拡大する方向をとるおそれがある。」、こういっているわけです。だから少なくともそういうことにならぬようにするためには、そのための具体的な施策はどうするかということを、私は先ほど来聞いておりますのはそれなんです。それも口でこうするああすると言っただけでは、いままでの繰り返えしにしかすぎないわけです。いままでわれわれは、総合農政はどうだこうだといっていろいろ聞かされました。総合農政が言われ出してかれこれ三年になります。しかしながら、それを具体的に裏づけて、そうして魅力ある農業にするための予算上の措置、それを伴うた施策は行なわれておらないわけです。私はその点を問題にしているのです。だから魅力ある農業というものにするのには、一体それだけの予算上の措置を伴いながら具体的な施策として実現していくという覚悟があるのかないのか、そこのところが一番大切だと思っているから、今後のあなたの考え方として、そこまで進めていくのかどうか、それとも従来どおりことばだけで、ことばのあやだけで済まそうとするのか、その辺をだめ押しのような形になるけれどもお聞きしたい。
  10. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私どもといたしましても、たいへんむずかしい困難な問題ではあると思いますけれども、やはり考えますのに、先ほど来申し上げましたような方向で、それから同時にまた、私どもは必要な農作物についてはぜひ生産をしなければなりませんので、そのためには、先ほど申し上げましたような自立経営農業中核にした集団的営業組織をやっていくことが必要だと、こういうことのためには、それに必要なる手だてはあらゆる努力をいたしまして生産性をあげてまいることに全面的に努力をいたしてまいりたいと、こういうわけであります。
  11. 矢山有作

    矢山有作君 つまりそういうような高生産性農業実現するためには、生産の問題あるいは価格の問題、流通過程の問題、いろいろ具体的な問題たくさんあるわけですが、それぞれの問題の具体的な問題についてはきょうは申しません。要するに私がいままで大臣からお聞きしたところでは、高生産性農業だとか、システム農業だといっても、それを具体的に実施していくためにどうやっていくんだということについてのその成案というか、確固たる計画というか、そういうものが立っておらぬだろう、こういうふうな推察をする以外にはないということだけを申し上げておきたい。  次にお聞きするのは、非常に激しく日本農業を取り巻く条件が変わってきているということは、その日本農業の激しく変わりつつある諸条件を検討して、これに真剣に対処し、七〇年代の農政をリードしていく決意が農林省にあるとすれば、これは私は農林行政のあり方あるいは行政組織運営の上にも反映されないはずはないと思うのです。そういう点から、現在の農林行政組織総合農政推進にふさわしいような組織になっておるかどうかということについて所見が伺いたいのです。
  12. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) やはり行政組織でありますから、時代の進展に伴ってそれに対応するように改めることは、前提としては必要であろうと思いますが、私ども、ただいま大きく国民の間に物価の問題も叫ばれております。これは数年来のことでありますが、ここ数年来、かつては生産部面全力をあげておりましたが、農林省におきましても、昨今は流通関係かなり予算を割愛いたしまして、また部内にも企業流通部というようなものを設けまして、そういうことに真剣に取り組んでおります。それからまた、最近の農業関係は非常に国際的な関係を多く持つようになりました。で、矢山さん御存じのように、もうあらゆる国連関係の、たとえばFAOであるとか、OECDであるとか、その他の機関にもわれわれが参加しておる状態でありますので、そういうことに対処するために国際部を設けてそのほうを担当せしめる。それからまた、今度農林省でやっております統計調査の仕事というのは、世界的にも非常に権威あるものであると推賞されておるそうでありますし、こういうものもやはり地方農政一緒にすることが、能率をあげ効果あらしめるのに必要であると存じますので、今度もこの御審議を願っております中にもそういうことを入れておるわけであります。  私どもも、いまお話しのございましたように、情勢の変転に伴ってどんどん改めるべきは改めてまいりたいと思いますが、ただいまのところ、私が閣僚として見ますのに、農林省機構というのは比較的うまく運営されておる形があると思いますが、まだその他技術関係であるとか、いろいろ改善すべき点はあるのではないかと思っております。さらにそういうことについては慎重に検討して、時代におくれないように対処してまいりたいと思っております。
  13. 矢山有作

    矢山有作君 行政需要に見合って行政組織がつくられなければならぬということは、私は一面の真理を持っておると思うのです。今日の農林省行政組織は、時代の要請にほんとうにマッチしたものと言えるかどうか、私は、いま部分的な御説明ありましたが、この際根本的に再検討すべき時期にきておると思います。  そこで、一、二のことを申し上げてみたいのですが、まず食糧庁主食中心需給調整役割りから、ほんとう国民食糧安定的供給実現する組織に変更するということなども当然考えられていいのではないかと私は思うのです。それからまた、林野庁国有林野管理運営に偏するだけなしに、畜産行政とタイアップしての国有林野を含む林野畜産的利用によって国民食糧、この場合には畜産物ですが、それの安定供給可能性も追求するという行政組織に切りかえることを考えるべきではないか、こういう点を考えるわけです。  それからさらに、いままでやってこられたことを振り返って感じますのは、かつて選択的拡大であるとか、あるいは主産地形成というようなことがやられましたね。これにしても地域指定をやっただけです。で、これの生産数量だとか価格支持との関連性が全くないままに地域指定だけが行なわれてきた。こういう点でも主産地指定地域生産物価格について、地域指定とあわせて、やはり生産費所得補償方式価格の支持安定をはかると、こういうようなことが行なわれておらなかったから十分な効果を発揮しなかったのではないか、こういう点を一つは感じておるわけです。  要するに、いままでの縦割り行政組織運営では、私は目的は達せられない。それこそ高生産性農業だとか、あるいはシステム農業ということを考えられるのであれば、やはり行政組織自体をそれに合わせたものに変えていく必要が積極的に行なわれなければならぬのじゃないか、こう思っておるのですが、まあ二、三の例をあげたので、それを中心に御答弁願います。
  14. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 野菜等の主産地形成、それからいま野菜指定産地、各所にだんだん数多くやっておりますが、こういうことについての価格政策とマッチさせるべきではないか。私どもといたしましては、そういうことにつきましても一つ矢山さんの御見識だと思いますが、なかなかこれはちょっといろいろ検討してみなければ、即座に何とも申し上げかねる問題でありますが、とにかく指定産地指定して、いろいろそれに対して生産、出荷に農林省も協力いたしておりますが、さらにこれが、本年、野菜のひでりのためにたいへん一時冬野菜も高値を呼びましたようなときの一般市民要望等にもかんがみまして、これらにつきましては掘り下げて検討する必要があるのではないかとわれわれは痛感いたしておる次第であります。  林野庁食糧庁運営につきましては、これも御意見のあるところをよくひとつそういうことを思量いたしまして、検討いたしたいと思いますが、林野庁などは数年前から肉牛を放牧いたしまして、最初私がこの前農林省におりますときに、全国で四カ所いたしましたが、ただいまはそれがふえて十カ所になっているそうでありますが、これらはやはり地方においても喜ばれておりますし、成績をあげております。したがって私どもは、法制のもとに与えられたる組織というものに拘泥することなく、やはり行政運営にあたりまして、その行政効率をあげ得るために、なお一そう部内において十分に検討して、行政全体の効率化をはかってまいりたい、こう考えておるわけであります。
  15. 矢山有作

    矢山有作君 質問の観点をちょっと変えます。政府のあらゆる経済政策は国際化づいておるという感じを私は受けております。農業についても、一次産品を発展途上国から購入しなければ輸出の見返りがないとか、あるいは米国などの過剰農産物を半強制的に買わなければならないなどの情勢から、国内での農業振興を本気ではかろうと考えてはいないのではないかと思うのです。特に国際不況のほうが世界の潮流だというような財界筋の声も強いようですが、この点農林省考え方はどうですか。
  16. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) せんだって衆議院でまだ予算審議が行なわれておりました予算委員会で、社会党の北山愛郎君からたいへん変わった御意見が出まして、それは防衛力も含めてのことでありましたが、いまのような状態でアジアに一たん事あったときに、わが国は一体どうなるのかということを——防衛のことは私に関係ありませんから別といたしまして、食糧については一体どのくらいな用意ができているのだというふうなお話がありました。私どもはそういう御質疑をなさった方の御質疑中の御説明を承っておりましても、やはり自給度をできるだけ強化していかなければならないという御思想が中に含まれておったようでありますが、いま矢山さんのお話しのございましたように、われわれはなるほど国際社会に生存していくわけでありますからして、もちろん経済的にも国際協調いたしてまいらなければなりませんし、われわれが参加いたしておりますOECD、その他の国際機構の中でも、わが国がいまの経済繁栄を継続いたしてまいりますためには、それと協力体制をつくるのは当然なことでありますけれども、したがって、国内の多くの人々の御要請にもありますとおりに、やはり、ある程度の貿易の自由化というものは必要ではあろうと思います。しかしながら、米をはじめ、わが国の最も重要なる主食のものにつきましては、私どもは一線を画しておることはもう御存じのとおりでありますが、いまお話しのように、よその国からほとんど半強制的に入れられておるというふうなものは、農林省においてはそのようなものはありません。ただ、私どもがこれから、たとえば畜産を考えましても、酪農を考えましても、必要とする諸飼料等について、われわれができるだけ自給いたしたいと考えてみましても、もうすでに一般が御存じのように、わが国では困難なものがたくさんあります。そういうものについて輸入はいたしておりますけれども、それにしても、やはり米の生産調整をいたすにつけても考えられますことは、また農林省が一生懸命で対処いたしておりますのは、わが国で必要な畜産、酪農等のために要する飼料原料等については、できるだけ増産をいたしたいということで努力いたしておるわけであります。  最後にお話しのございましたような、財界筋がいろいろなことを言っておるというお話は、私も実は聞いております。しかし、そういうお話を、北山さんの御質問に関連させるわけではありませんけれども政府はやはりできるだけの食糧自給度を維持していくというたてまえをくずしておらないのでありますから、そういう方向に反するような処置というものは政府はいたす意思はございませんし、また、何でも安ければ輸入することによって、わが国のそれに競合している作物をつくっておる産業がどうなろうともかまわないのだというふうな考え方政府としてはとらないのでありますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  17. 矢山有作

    矢山有作君 食糧自給度の問題になりましたが、私は、食糧自給度を大体、具体的にどの程度のところに置こうかということが一つの問題だと思うのです。で、全体の自給度としては八〇%程度だろうと思うのですけれども、しかしながら、中を見ると、米の場合は一一〇何%ですか、ということで、米は余っておるということです。ところが大豆のごときはたしか八%くらいじゃなかったかな、それから麦類にしても五八、九%くらいですね。それからえさがやはり自給度が五〇%くらいじゃないかと思うのですが、この数字は確かではありません。大体その程度のことじゃないかと思う。そうすると一体自給度を維持する、維持するとおっしゃるのですが、具体的には主要食糧についてどの程度の自給度を維持しようとするのかということが、私は一つは問題だと思うのです。いまの御答弁の中に自給度の問題が出たから申し上げるのですが、また、その自給度を維持するための具体的な施策というものも必要になってくるわけですね。大豆や麦類というのは、もう年々生産が減っているわけですから、それを一体どの程度の自給度に回復さして、そのためにどういう施策をとるのかということも、自給度の話が出ましたから、ついでにお考えがあれば承っておきます。
  18. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 農産物自給率の見通しをかつて出しましたが、われわれが一応つくりましたのは、五十二年度を目途にいたしたわけであります。いま矢山さんのおっしゃいました米がいまは一一八%、それを入れまして八三%でした。今度は五十二年度でありますから、米を一〇〇%にいたしますと、他のもの、麦、大裸、野菜、くだもの、牛乳、乳製品、肉類等、合わせまして七五ないし七九%程度の自給率を見こんでおる、こういうわけでありますが、私どももこの程度の自給率というものは絶対に維持していきたいと、このように考えておるわけでございます。
  19. 矢山有作

    矢山有作君 えらいしつこいようですが、三十七年でしたかね、農産物の長期自給見通しをつくられた——そうでしたね。そのとき以来その見通しに反して、いま言ったような大豆だとか麦類だとか、その他どんどん自給率減ってきているわけですよ。それを五十二年に七五から七九%に回復させるということになると、これは私は容易なことじゃないと思うんですね。それに対する具体策というのは、具体的な施策というのはこれはたいへんですよ。一体具体的にはどういうことを考えておられるんですか、減る一方ですからね。
  20. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどお答えいたしましたように、五十二年を七九と見たいと、そこでそのときには米は一〇〇になりますが、小麦は一四%に減っているわけです。それから大麦、裸麦は四四から四五、野菜、これは一〇〇ないし一〇二%、現状でも大体、果実が八〇ないし九〇、牛乳、乳製品が八七から九六と、こういうそろばんでありますから、大体麦がうんと劣っているだけでありまして、あとは現状でもこういう自給度を維持することは、他のものにつきましては御存じのように不可能ではありません。可能であると私どもは考えております。ただこの麦の状況というものは、時間もかかりますからくどくど申し上げませんが、御存じ状態でこれがずっと下がってきている。そういうことだと思います。
  21. 矢山有作

    矢山有作君 先ほど私がお聞きしたのは、あなたがおっしゃった数字を間違えてとっておりましたから、その点は私の質問のほうが数字で誤っておったと思いますが、しかし、いずれにしても、麦類の自給度というのはいまよりももっと下がる見通しですね、五二年については。それでえさのほうはどういう見通しを持っておられるのか知りませんが、畜産の問題を一つ取り上げてみても、やはりこれはえさとの関連を抜きにしては考えられないわけですから、そうすると、それらの問題を考えながら自給度は考えていかないと私はいけないんじゃないかと思うんですよ。麦にしろ、大豆にしろ、これらが主要食糧ですね、だからやはりこれらの問題を飼料との関連において、さらに畜産との関連において私は生産の増強をはかっていくことが必要じゃないかと思うのです。しかし、まあきょうの質問はそういう点に重点を置いておりませんから、その辺でやめておきますけれども、次の質問に入ります。  新経済社会発展計画で見ますと、農業就業者は四十四年の九百三十万人ぐらいから五十年には六百七十万ぐらい、年平均五・四%の減少を見込んでおるようですね。ところが他方、重化学工業の就業者は年率で二・九%、建設業就業者は年率四・六%ふやそう、こういう計画になっているようです。これをやるとすれば、どうしても離農の促進と農地の流動化ということが推し進められていくわけですね。それに最近総合農政の名のもとに、最も力を入れておられる米の生産調整、こういう一連の政策を見ておりますと、私はこれは明らかにもう農業の縮小再生産に踏み切っている、こういうふうに感じているんですがね。そういう状態の中で、先ほどおっしゃった自給率の維持というのが可能になってくるのかどうかということが、私は大きな疑問を持っておるわけです。またあとで米の生産調整の問題での減反の問題にも触れていきたいと思いますが、私はちょっと現実に推し進められておる農業政策の方向と、自給率をこの程度に確保するのだということは、どうもうまくかみ合っていないような気がするのですがね。大臣そういうふうにお考えになりませんか。
  22. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これもなかなかむずかしい問題だと思いますが、わが国自立経営農家育成したいと先ほど申し上げましたけれども、やはり労働生産性の問題だと思うのであります。たとえばイギリスのような国でだんだん、やはりここで想定いたしておりますように、現在でも三・八%くらいに農業就業者が減ってきておるようでありますが、生産は逆にふえてきております。私どもはやはり生産性を高めた自立経営農家育成したいと、こう申しますのは、やはり労働力は少なくて生産性を上げていくということでなければだめではないだろうか、そういうことを考えておりますのが一つ。もう一つは、そういう考えがあるなしにかかわらず、やはりこの日本の労働力というものは減少してまいりますので、そういうことを考えますと、やはりどうしても一人当たりの労働生産性を上げ得るような規模組織にしていかなければならないではないだろうか、こういうことを考えるわけでありまして、決してこの目標が楽なものであるとは私は申しておりませんけれども、そういう角度で反当たりに従う労働力が減っても生産性は維持できるというふうな、そういう規模を拡大した経営をしていかなければならないのではないか、こういうふうに見ております。
  23. 矢山有作

    矢山有作君 まあ農林水産委員会でないから、どうも話をかみ合わせるように持っていくと時間もかかるし、なかなかやりにくいんですがね。いろいろとおっしゃっていますが、私は政府のいまのやり方はこういうふうに解釈しているのです。要するにいま若年労働力の不足が顕在化してきた、そうしてこのことが経済成長のネックになることがもうはっきりしてきたわけですね。そういう状態の中で次に打たなければならない手は何かといったら、農業縮小再生産農業を縮小再生産の形に追い込みながら、余剰労働力を二次産業のほうに引き出していく、私はそのことしか頭にない、そのことだけしかが。そのことが実際問題として行なわれる。いろいろおっしゃるけれども、実際の問題として、高生産性農業育成するとか何とかいうのは、一つの私は何というのか、ことばが悪いから失礼かもしれませんが、口先だけの言い方だろうと、私はそういうふうに思っておるのです。それはそれとして、私がさらに問題だと思うのは、国際化の問題と並んで、いま農業生産者に対して加えられている重圧は、いわゆる消費構造の変化を理由にして野菜、果実、畜産等の農産物について、需給事情を勘案し、すべて農民の責任で生産をさせようという政策が強化されてきている点が私はひとつ問題だろうと思う。そうしてさらに、これらの農産物も国際価格に比べると割り高であるというので、輸入自由化が消費者のためになるという宣伝が政府で強く行なわれております。農業生産者が、はたして需給事情を十分勘案できるだけの情報を現在持つことができるかどうか、私はこれは不可能だろうと思うのです。農林省ほんとうに日本の農業というものを高生産性方向に持っていこうというなら、私はこういう面でももっと真剣に取り組んでいくべきではないか。すなわち需給事情の調査、生産計画を立てる、こういうようなことも、国民食糧安定供給という趣旨からもっと前向きに取り組んでいくべきだと、こういうふうに思っておるわけですから、こういう点で農林省として特に考えられておることがおありですか。
  24. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 野菜、くだもの、そういうものについて、生産者に全部をおっかぶせておるということではわれわれはないのでありまして、さっきからお話しを申し上げておりますように、指定産地指定をいたしましたならば、それぞれそれらに予算をつけて、生産の増強を援助しておるわけであります。それからまた、ただいまはだんだんとテレタイプその他のものを活用いたしまして、たとえば産地にありますくだものの状況等は、すぐに中央に情報が参ります。それを全国の統計調査部に流しまして、それがまた地方のマーケットにもすぐに速報されて、状況を十分把握することができるようになっておるわけでございまして、したがって、そういう生産の方々に一般の市況等もよくわかるようにしてやりますし、それからいま御指摘になりましたように、需要の動向について大体の情報をわれわれが持ちまして、それをそれぞれの地方の主産地に、いま申しましたように流しておるのでありますから、非常にオーバープロダクションで捨てるようなことにならないように、あらゆる指導をいたして協力しておるわけでありますからして、いま生産される方々も、そういう農林省の出します指標に基づいておよその計画を立てられるわけでありますが、私は国会が済みましたならば、なおひとつそういうことについて、ただいま物価面等もいろいろ議論があるところでありますから、さらに万全の措置を講じて、生産者も消費者も合意を得られるような価格で入手できるように、ひとつ努力してまいりたいと思いますが、いまおっしゃいましたように、全然当てずっぼうではありませんし、また、まかせっきりというわけではございません。なお努力してまいりたいと思っております。
  25. 矢山有作

    矢山有作君 まあ高生産性農業実現の問題という点についてはいろいろ問題点もありますし、具体的な施策に立ち入って論議をかわさなければならぬと思いますが、これはまた他の機会に譲りまして、次の質問に入りたいわけです。  四十五年度に始まった米の生産調整について伺いたいわけです。百五十万トンの減産計画のその後の推移を報告してもらいたいと思います。これは例の百万トン分は休耕、転作でやっておられるようですから、休耕、転作、それぞれ分け、さらに転作ではどういうものに転作をしておるのがどの程度の反別あるか、これをお示しを願いながら御説明いただきたいのです。
  26. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 事務当局から……。
  27. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 生産調整の実施見込みにつきましては、四月の終わりごろ集計をいたしましたものでございますが、実質は三月末もしくは四月初旬現在での報告でございますが、都道府県の生産調整の見込みは、一〇〇%以上達成見込みが二十一県、ほぼ一〇〇%達成見込み、もしくはそのため努力中のものが二十三県、現在のところ一〇〇%達成が困難と認められるものが二県でございます。  なお、転作、休耕の別につきましては、休耕は転作をやや上回る見込みであります。地域的には西日本のほうが東日本に比べて転作の割合が多くなっております。各作目別の見込みにつきましては、これも三月末もしくは四月上旬の段階での数字の集計でございますが、転作の合計が五万六千四百ヘクタール、この転作の内訳は、飼料作物、豆類、野菜、果樹、桑と相なっております。さらに土地改良の通年施行によるものが三万三千ヘクタール、それから林地植林、あるいは養魚池あるいは畜舎建設等への転換が三千六百でございます。全体の目標面積は、平均の収量で計算をいたしますと二十二万四千五百ヘクタールという計算に相なります。したがいまして、先ほど申し上げました転作、土地改良通年施行、林地、養魚池等への転換の合計が約九万三千ぐらいに相なろうかと思いますので、二十二万四千五百と九万三千との差額、約十三万が休耕に相なろうかと思います。しかしながら、この二十二万四千五百というのは、あくまで架空の数字でございますので、低生産地を実施いたした場合にはそれだけ面積がふえるというシステムに相なっておりますので、休耕等の数字につきましては、なお今後変動があろうかと考えております。  以上でございます。
  28. 矢山有作

    矢山有作君 百万トン分の休耕、転作については、これは私は反別をこなすことができるだろうと思います。つまり奨励金が八百四十億ですか、これはこなせるだろうと思うのですが、ほんとうに百万トンの減になるかどうかということは、私は大きな疑問を持っておりますが、これはいまから議論しても早過ぎる、秋に議論すべき問題ですから、これはあとに残して、問題は五十万トン分の農地転用のほうなんです。これがどういう計画になっておるのか、これをお伺いしたいんです。
  29. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これは各省それぞれ調査費を分けて、その省の関係自分関係筋にそういう目的の達成されるために努力をいたしておるわけでありまして、その用途別の目標数字が概定されておるわけですが、用途別の目標面積は、工場用地に二万ヘクタール、住宅地域用地五万九千ヘクタール、道路等交通用地一万五千ヘクタール及びその他建物施設用地二万四千ヘクタール、こういうことでございます。今回の目標数値は、過去の農地転用の実績、それから近年における土地需要の伸び、水田転用許可基準の暫定的緩和措置、国、地方公共団体等による用地の先行取得等の促進措置等を総合的に勘案いたしまして定められたものでありまして、各省庁があげてその実施の促進に当たることになっておるわけであります。
  30. 矢山有作

    矢山有作君 いま示された数字は、私もそのとおりだといままでの発表で承知しておりますが、問題はその算出された根拠を私は、実は聞きたいんです。というのは、従来の農地の転用の実情から見て、こんな十一万八千ヘクタールというのが、いま示されたような区分で転用が可能であるとは私にはどうしても考えられないからお伺いするんですが、まず一つずつ聞いていきましょう。  買い上げるのは、一体民間がどの程度予定されておるのか、公的機関がどの程度予定されておるのか、これが一つです。それからもう一つは、府県別には大まかにどうなっておるのかということを聞きたい。それから、御承知のように四十四年度の補正予算で、土地需要緊急調査費が一億円計上されました。それで、これはおそらく各省庁にばらまかれて、いろいろ調査をされておると思うのですが、その各省庁ではじき出した数字はどういうふうになっておるか、それを聞きたいのです。
  31. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 各省割り当てた分担のものにつきましては、いま実施中でありまして、その集約をまだいたしておらないわけであります。それが五月中旬から下旬にかけて全部集約をいたすようにいたしておる模様であります。
  32. 矢山有作

    矢山有作君 それで、大臣でなくてもいいです。民間と公的機関にどういうふうに、それから府県別に行なっていますか。
  33. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 民間公共の別は、私、各省の計画でございますので、自治体先行取得の場合以外はそういう区別はない。全体としての計画というふうに聞いております。府県別につきましても、特に府県別の目標という数字をつくって各県に指示するとか、百万トンというようなやり方はいたしておらないというふうに、各省から承知をいたしております。
  34. 矢山有作

    矢山有作君 だからこの十二万八千ヘクタールを住宅用地、道路用地、工場用地その他の公共用地に分けて、民間の買い上げをどの程度考えておるのか、公的機関の買い上げをどの程度考えておるのかということも不明だということがいまはっきりしました。それから府県別にどういうふうに買い上げを予定しておるのかということも不明だということがはっきりしたわけです。そこで私はさっぱりこれわからぬようになったんですがいままでの農地転用の実績はどうなっているのですか。私が調べたところを言いますから、これで大臣、何でしたら事務当局でいいですから、違っておれば違っておると、それでその数字はこうだということをおっしゃっていただけばいいんです。  これは農林省で出されている四十五次の農林省統計表で調べたのです。そうしたら三十九年の宅地用地が九千六十ヘクタール、四十年が一万三百ヘクタール、四十一年が八千九百四十ヘクタール、それから四十二年が一万一千一百ヘクタール、それから四十三年が一万九百ヘクタール、四十四年はわかりません。  工場用地は四千二百十ヘクタール、これは三十九年、四十年が三千三百ヘクタール、四十一年が二千二百九十ヘクタール、四十二年が二千九百四十ヘクタール、言いましたね。四十三年が三千三百七十ヘクタール。  それから道路、鉄道敷という表現ですが、これが三十九年が千七百ヘクタール、四十年が千八百九十ヘクタール、四十一年が二千二百二十ヘクタール、四十二年が二千百七十ヘクタール、四十三年が二千五十ヘクタール、いずれも四十四年はわからぬですが、合計して三十九年が一万四千九百七十ヘクタール、四十年が一万五千四百九十ヘクタール、四十一年が一万三千四百五十ヘクタール、四十二年が一万六千二百十ヘクタール、四十三年が一万六千三百二十ヘクタール、こうなっています。今回の転用の目標は、住宅用地といわれたのが五万九千ヘクタール、そうすると大体五倍ですね。それから工場用地といわれたのが二方ヘクタール、これもこれは六倍ぐらいなんですね。それから鉄道、道路敷といわれたのが一万五千ヘクタール、これも七・五倍から八倍になりますね。その他公共用地というのが別に何ぽかありましたね、二万四千ヘクタール、これはどこの分類に入るのかわかりませんが、そういう実態から比べて、私ははたしてこれだけの転用ができるのかどうか。大体何でしょう、四十四年の転用の見込みでも、おそらく二、三万ヘクタールぐらいじゃないかと思うのですがね。それが四十五年度一カ年度で十一万八千ヘクタールというものの転用ができるのかどうか、私はこれは全くわからないのです。  こういう数字をどこを根拠にどういうふうにはじき出されたのか。だがらいま私が言った数字が間違っておれば訂正していただけばいいし、それから、多少の数字の出入りはあったとしても、いずれにしても宅地用地、工場用地、道路用地等、五倍から八倍の転用を見込んでおる。全体としては、まあ何というのですか、二、三万ヘクタール、四十四年が見込みとするならば、十一万八千ヘクタールだから、これまたたいへんな数量を見込んでいる。一体こういう数字をどこからどうはじき出したのかということが私は疑問だと思うのです。ただ五十万トンの生産調整をやるために十一万八千ヘクタールくらいの転用をしなければいけない。その十一万八千ヘクタールにつじつまを合わせるためにはこういうふうになったんじゃというのでは、これは全く権威のない話だし、そういうようなことであっては私は困ると思うのです。どうなんですか。
  35. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) この予算を決定いたしますときには、政府部内でもいろいろ議論がありまして、およそ三年ぐらいの計画で農地を買い上げていく考えがよろしいという意見もございました。私どもの立場から申しますと、それは農地と言いましても、やはり一種農地は絶対に確保しなければならぬたてまえで、とりあえず本年、いまお話しのような計画を立てたわけでありますが、現実にまあいろいろ資料もございませんので、私がここで申し上げてもいかがかと思いますが、御在じのように農地転用というものが非常にきびし過ぎるということで、地方産業を持っていこうとする民間会社などから非常にしつこく要望もありました。そういうこともあわせ、それからまた民間会社だけではなくて、いろいろな公的な機関でもそういう希望を申し出ておったところもございますので、そこで今度農転を緩和する次官通達を出させたわけでありますが、そういうことに基づきまして、いわゆる産業界の人々がかなり地方に、そういうことの緩和の機会に進出を計画いたしているものがあるようでありまするが、また自治省では、地方自治体の先行取得等についてこの際どんどん進めろというような指示もいたしているようであります。それからいま、まあ私ども地方を歩きまして話を聞きますのは、ことしの転用のために反当たり三万五千七十三円もらえるのが、八月末ごろ実際に転用されたかどうか、休耕をされたかどうかを調査の上で金を支給することになっているものですから、売買の話し合いは進めておっても、まずそういうものを先へもらってからだという、そういうのもかなりあるといううわさも耳にいたしているような次第でありまして、地方的にかなり進行しているようでありますが、実態をまだ集約したものを把握いたしておりませんので、何とも申し上げかねるのでありますが、私どもの見ているところでは、このことはかなり進行するのではないか、こういうふうに確信を持っているわけであります。
  36. 矢山有作

    矢山有作君 いまのは失礼だけれども説明にならぬのですよ。ただ確信だけで、まあまことに説明にならぬ。それで従来の農地の転用実績は、いま言ったように農林統計表で言ったわけですから、これでよろしいね、官房長——。それじゃ私一つ言いたいのは、こういう数字をきちっとはじき出しておいて、その根拠が一切不明だというのでは、私はこれは政治責任としては、とんでもない話だと思うんですよ。特に私はもう一つ問題なのは、この最終的な数字、いまおっしゃった数字ですね、住宅用地五万九千ヘクタール、その他の数字が出る前の段階ですね、三月の初めごろに、これは農林省、通産省、建設省などの関係各省が担当官会議を開いて、非公式に、一体農地の転用、いわゆる水田の転用がどの程度やれるだろうかということで、「推計したところによると」ということで、これは三月七日の日本経済新聞に出ておるんです。それを見るとこういうことを言っておるんですね。「四十五年度の民間、公共を合わせた水田買い上げの需要は最大限見積もっても約三万五千ヘクタール程度しか見込めないことが明らかになった。これは政府が買い上げを予定している十一万八千ヘクタールの三分の一以下の水準であり、生産調整の決め手として登場した水田買い上げ構想の実現は民間需要がかなり大幅に伸びない限り、事実上困難なことがますますはっきりしてきた。」、三万五千ヘクタールの内訳として、「国が行なう公共事業などによる公共用地の取得は約一万五千ヘクタールで、そのうち水田の転用による分が約六千ヘクタール」、六千ヘクタールですね。「また過去の農地転用実績のなかで最も大きい住宅用地については四十五年度公共、民間合わせて約百六十万戸の住宅建設が予想されているが、これに必要な用地のうち水田の転用が約一万八千ヘクタール」、それから「農地転用基準の緩和により最も大きい伸びが期待されるのは民間の工業用地需要である。通産省によると、最近の都市の過密化や労働力不足などから地方へ工場が進出するケースがふえており、四十五年度は少なくとも七千ヘクタールから八千ヘクタール程度が期待できるものとしている。このほか地方公共団体の行なう道路や河川の整備事業、また学校用地やその他植林事業などで若干ふえるものと見込まれている。こうした四十五年度三万五千ヘクタールの転用見込みについて各省はあくまで現時点で考えられる“期待値”に過ぎないとみており、」云々ということが言われておるのですね。  そうすると、三月の初旬の段階で、五十万トンの減産のために十一万八千ヘクタールの減反をやらなければならぬ、それができるかできぬかということで各省で検討した数値は、いま言ったようにやまやま三万五千ヘクタールだと、こういっておるわけです。それが予算委員会その他の委員会でいはたして十一万八千ヘクタールの転用ができるのかどうか、どういうふうに転用する計画なのかということが追及された結果、いま言った住宅用地五万ヘクタールその他の数字が出てきたのですね。これは数字のごろ合わせです。これでは私は実は問題だと思うんですよ。私どもは数字のごろ合わせを聞いているのじゃないのでして、一体こういうふうに数字のごろを合わしたその根拠は何かということを聞いておるわけです。  ですから、そこで私は一つ具体的にお聞きしていきたいのです。というのは、こういう水田転用を十一万八千ヘクタールときめた時点では、国や地方公共団体の公共事業の予算のワクというものはもうすでにきまってしまっておったはずです。そこでこういうふうな水田転用をやるという場合に、一つ地方の公共機関に買い取らせるということが予定されておるんだろうと思うんですが、そうすれば一体地方財政計画の中のどの費目でやらせようとしておるのか。地方債の起債で見るというなら、すでに見込んだ額がどのくらいあるのか、これやっぱり具体的にはっきりしてもらいたいと思うのです。もしこの転用を促進するために起債を認めてやらなければいかぬだろうというなら、はたして大蔵省との間で、その起債を認めましょうという確約ができておるのかどうか、この辺のところを、はっきりしたところを聞きたい。これは大蔵省もおそらく見えておると思うので、どういうふうにお考えですか、自治省、大蔵省。
  37. 立田清士

    説明員(立田清士君) 自治省でございますが、まず地方団体でいろいろ用地を先行取得いたしましたり、用地を取得した場合にいろいろな方法があることは、すでに御承知のとおりでございます。現在行なわれております方法といたしましては、一つは四十四年度から各地方団体で土地開発基金を設置いたしております。それにつきましては、四十四年度に当初予算、最初の地方交付税の算定におきまして措置を約六百億いたしております。それからなお四十四年度の補正予算に基づいて地方交付税の中におきまして約三百五十億ほどの振りかえ財源の措置をいたしております。それから四十五年度の地方交付税法の改正、ただいま国会で御審議中でございますが、そこにおきましても、土地開発基金について基準財政需要額としての増額を考えて予定をいたしております。  それから次に、いわゆる地方債の関係でございますが、御承知のとおり二、三年前に地方団体の土地需要に対応いたしまして、特に公共用地の先行取得に関連いたしまして公共用地の先行取得債という起債が設けられたことはすでに御承知のとおりでございますが、四十四年度地方計画につきましては約二百億、その先行取得関係地方債が予定されておりましたし、四十五年度の地方計画におきましては、約五十五億増額をいたしまして二百五十五億の先行取得債を予定いたしております。  なお、それ以外の地方計画においてそれぞれ用地の——先行取得ではございませんが、義務教育施設等その他をはじめといたしまして、土地関係の所要の必要額を地方計画上も設けております。なお実際の運用におきましては、地方団体で用地を取得いたします際に、私たちといたしましては、できる限り地方団体として必要とする土地につきまして、水田の買い上げをお願いするように、地方団体のほうにいろいろそういう意味で指導をいたしております。したがいまして、そういう場合におきまして、既定の地方計画とにらみ合わせまして、そうして実際に地方団体のほうでこの関係でいろいろ地方債を必要とする向きにつきましては、いまの地方計画とにらみ合わせて弾力的に運用をはかっていきたい、こういうふうに考えております。したがいまして、この点につきましては、ただいま御質問もございましたが、大蔵省との関係もございますので、この点についてはそういう弾力的運用をはかっていくということで話し合いができておる、こういうことでございます。
  38. 矢山有作

    矢山有作君 予算措置はわかりましたが、いま説明になった予算措置は、これは十一万八千ヘクタールの水田転用に見合ってつくられたのですか。おそらく私は十一万八千ヘクタールの水田転用をやるということがきまった段階では、いま説明になったような予算はもうきまっていたと私は思うんですがね。新しく十一万八千ヘクタールを、地方自治体がそのうち何ぼを消化するということの基礎に立って出された数字なんですか。
  39. 立田清士

    説明員(立田清士君) 地方団体が用地を取得いたします場合は、御承知のとおり農地のほかにも宅地もございますし、いろいろな用地の利用があるわけでございます。ただいま申しましたいろいろの措置につきましては、地方団体が実際に土地を取得する場合に対しての措置でございますので、私たちといたしましては、地方団体がそういう土地を取得される場合におきましては、可能な限りその水田を取得をしてもらうように、そういう指導をいたしておるわけであります。
  40. 矢山有作

    矢山有作君 それは答弁にならぬですね。要するに十一万八千ヘクタールの水田転用のうち、地方団体が何ぼを消化すると、それに見合うものとしてこういう予算措置をしたと、こうおっしゃるなら、十一万八千ヘクタールの転用についての予算措置がちゃんとできておると、こういうふうになると思います。しかしながら、いまの説明で解釈すると、十一万八千ヘクタールを、そのうち何ぼを地方公共団体で転用するという目途のもとに特別に講ぜられた予算措置ではないと、こういうふうに解釈してよろしいね……。
  41. 立田清士

    説明員(立田清士君) 先ほど農林省のほうからお話しがございましたとおり、十一万八千ヘクタールのうちで、いわゆる地方団体がどのくらい持ち分があるかということは、現在のところ別にきまってないわけでございます。そういう観点からいたしまして、実際に私たちのほうとしては、土地を地方団体が——民間は一応別といたしまして、取得する場合には、やはり地方団体としてそういう必要な土地を取得されるわけでございますが、その中においてできる限りこういう水田を取得していただきたい、こういう前提で指導をいたしておるわけでございます。  したがいまして、私たちのほうとしては、特にまた地方債の点においていろいろそういう土地の問題で、しかもその水田の関係等も含めまして、必要とする地方債につきましては、先ほど申し上げましたとおり、既定の地方計画とにらみ合わせまして、弾力的な運用をはかって、できるだけ地方団体の要望といいますか、そういう地方団体の要望にこたえていきたい、こういう考えでおるわけでございます。
  42. 矢山有作

    矢山有作君 だから、答弁を繰り返す必要はないわけですよ。私のほうの質問時間は限られているので……。  要するに、だから十一万八千ヘクタールの水田転用について、地方公共団体がその責めを果たすべき水田反別はこれだけである、それに対しての財政的裏づけはこれだけであるということで自治省は予算編成をしていないと、このことははっきりしているわけでしょう。それだけ言うてくれればいいわけです。そうですね。そうならそうだと言ってください。
  43. 立田清士

    説明員(立田清士君) 先ほども申し上げましたとおり、地方団体の分が幾らだということが前提になってきまっておるものではございません。
  44. 矢山有作

    矢山有作君 わかりました。  それから、次は、自治省は——大蔵省に聞いたら大体一緒だろうから聞かぬでもよろしいわ。大体資金的な裏づけも何にもないということがはっきりした。住宅用地として十一万九千ヘクタールを見ておりますね、建設省は。ところが、第一次住宅建設五カ年計画、これは四十一年から四十五年まで、この五年間における宅地供給目標が五万三千ヘクタールであったわけですね。これに比して四十五年度だけで五万九千ヘクタールを、これを住宅用地として転用しようというのですから、これは、まあたいへんな計画なんですね。これは一体、その裏づけというものははっきりしておるのですか。しかも、公営住宅などで四十五年度建設予定の用地取得というものは大体終わっているわけでしょう。そうすると、この五万九千ヘクタールというのは、これはでたらめと言ったらしかられるかもしれませんが、全くでたらめな数字だと言わざるを得ぬのですが、建設省はどうですか。
  45. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいまの数字の中には、住宅敷地用地としまして、商業地域とか、あるいはその中の公園とかいうようなものが含まれた全体の数字でございます。そうしてその中の住宅部分には、公共用住宅も民間用住宅も含まれておるのでございますが、その内訳につきましては、積み上げたものではございません。
  46. 矢山有作

    矢山有作君 それもまた答弁にならぬのだな、全く。住宅部分と云々とおっしゃったけれども、別に水田転用の中にはその他の公共用地というので、学校や公園等というので二万四千ヘクタール見ていますよ。そうするとこの住宅用地というのは、大体住宅転用が中心になっているのじゃないですか。いま話を聞くと、何か公園なんかも含まれているようなことをおっしゃっておりましたが、それが一つと、それから民間、公共、また公園まで含まれておると言うなら、その面積はどうなっているのか。それから、公園が含まれておるということなら、その他の公共用地ということで公園、学校等で二万四千ヘクタールというものが別に水田転用計画として出ておりますが、これとの関連はどうなるのですか。
  47. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず第一点の住宅地域用地、住宅地域でございますので、その中には住宅地域の中の商業的な場所だとか、あるいは子供の遊び場だとか、あるいは小公園というようなものも含んだ地域というような中身になっておるということを申し上げたのでございます。公共用地としての大規模公園、一ヘクタール以上の公園とか何とかという公共施設用地は、その他の建物施設用地等に入っていると思います。  それから次に住宅の中身でございますが、公共用が幾ら民間用が幾らということは、先ほども申しましたように、面積はしるされておりません。ただし住宅の建設目標というものは大体推計できますので、公共につきましては、公営住宅は何戸ということは、ことしのノルマはあるわけでございますから推定はできますけれども、積み上げられてはいないということでございます。
  48. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、過去の実績に徴して見ると、五万九千ヘクタールを一年間でやろうというのですから、これ。これは数字を積み上げておらぬとおっしゃったが、それは正直なおっしゃり方だと思う。これはできっこないでしょう。住宅建設五カ年計画で、五カ年間に五万三千ヘクタールの転用ですよ。それが五万九千ヘクタール四十五年度でやるというのは、これは建設省、自信持ってやりますか。自信持ってやるとここで言えば、これはいずれ来年の三月三十一日には問題になるのです。自信持って言えますか。これは自信持って言えますね。どうですか、その辺は。簡単に答えてください。自信持って言えるなら言えると。
  49. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) これは予算委員会等におきましても説明いたしておりますように、目標額として設定された数字であります。建設省はそれを一つ努力目標といたしまして考えておりますが、ただ一つ民間敷地の用地取得がその中に含まれております。先ほどの農地転用の緩和等によりまして、最近の需要から考えて相当伸びがあることを期待し、そちらのほうの数字をどの程度今後見込めるかということをただいま調査中でございます。集計中でございます。
  50. 矢山有作

    矢山有作君 しかしそれは苦しいおっしゃり方じゃないんですか。民間でその五万九千ヘクタールの大部分を消化するなんというのは、とてもじゃないができませんよ。大体住宅建設計画ですね、この中に公営住宅も、民間で建てる住宅も含んでいるわけでしょう。それでそろばんはじき出しているのでしょう。それが五万三千ヘクタールでしょう。五年間で、幾ら民間に期待するといっても、一年間で五万九千ヘクタールはできない、これははっきりしたですね。あなた方としてはあまりここではっきりは言えぬかもしれませんが、はっきりしたんです。こんなことはできやしないでしょう。ましていわんや、民間が何ぼで、公営住宅が何ぼで——公営住宅のほうははっきりわかるかもしれませんが、民間のほうは全くわからないでしょう。これは不確実な数字ですね。
  51. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 積み上げた数字ではございません。したがって、ただいま鋭意調査をした結果を集計中であります。
  52. 矢山有作

    矢山有作君 集計できないだろう、これはおそらく。集計できるとはあなたもおっしゃりますまい、言うておったら一年先がたいへんなことになるから。  それから次に移ります。道路用地の取得、これが一万五千ヘクタールぐらい予定されておるようですが、これはまあ道路公団だとか、首都、阪神高速道路公団だとか、いろんなところで考えられておるのだろうと思いますが、これで実際予算措置は、この一万五千ヘクタールについてはどうなっているんですか。これも当てずっぽうでしょう。
  53. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 道路用地につきましては、既存の四十五年度の事業費、これとそれから先行取得の一種でございますが、先行的に協会、公社等に買わせるというような諸施策を含めて、その道路用地の面積がその中に含まれているというふうに考えております。
  54. 矢山有作

    矢山有作君 いや、それはそういうふうに考えているでしょうが、三月の初めの段階で、建設省は大体六千ヘクタールほどしか道路交通用地には転用できないという結論を出していますわね。それが数字のつじつまを合わせるために、それから後しばらくして一万五千ヘクタールと、こうなったわけだ。それで先行取得の分を見込んでおるというのですがね。これも先行取得の分をどれだけ見込むのか、先行取得ということになると、金を先に払っておくわけですから、工事が始まる前に。これの予算上の措置というのはできておるのですか。
  55. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 先行取得と申しましても、次年度以降に着手すべき事業用地の先行取得という意味でございます。したがいまして、大体五カ年計画等で認められました近く着手するということがきまっております路線等につきましては、早目に手を打つという意味におきまして、補助金はあとでつきますけれども、事業費は、先に手当てをしておくという事業費を含んでおるという意味でございます。
  56. 矢山有作

    矢山有作君 それはわかるのですよ。それもわかるのですがね、そんなに先に手当てをするようなことができますか、これ。道路用地でやる場合に、国にしても地方公共団体にしても、あるいは道路公団等にしても、そういうように先に手当てをするだけの予算措置というものをきちっとやったんですか、やってないでしょう。
  57. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 従来から先行取得につきまして、本省で承認いたしまして……。
  58. 矢山有作

    矢山有作君 だから、一万五千ヘクタールについてやったんですかというんです。
  59. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) その一万五千ヘクタールというものと面積とは、先ほど申しましたように見合っているわけではございません。
  60. 矢山有作

    矢山有作君 そういうようにあんたよくわかっているくせに、答弁、手間の要るようなことを言うんだ。それは一万五千ヘクタールの中には、現実に道路用地としてもう今年度やるというのもあるんでしょう。これははっきりしたものがあるわけですから、それはわかっているのですよ、こっちは。それ以外の先行取得という分は何ぼあるかということを聞いたら、あんたは数字をおっしゃらぬのだ。先行取得を何ぼ予定しておるのかということですね。その数字をあなたにわかるなら、先行取得何ぼ予定しておるか、それについての予算上の裏づけはあるのかと言っておるわけです。ないならないと言ってもらえばいいわけです。
  61. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) いま言いましたのは、財源措置として何億という金のことを申し上げたのではございません。先行取得という制度がありますということを申し上げたわけです。
  62. 矢山有作

    矢山有作君 制度だけですね、金のほうは考えてないわけですね、まだ。
  63. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) はい、それを裏づける金と見合った数字は考えておりません。
  64. 矢山有作

    矢山有作君 これも一万五千ヘクタールというのは、単なるこれだけできればいいがという期待にしかすぎない。これも全くでたらめだということがわかったわけです。  それから次は工場用地への転用について二万ヘクタール予定していますね。いま金融引き締め政策が実施されている最中です。企業の資金繰りも苦しくなってきているようでありますが、過去五カ年の実績に比べて五倍にものぼるような工場用地の手当てが行なわれるのですか、行なわれないのですか。これは通産省がちゃんとよく御存じだろうと思いますからお聞きしたいのですがね。四十四年の通産省の工場用地に転用される水田の見込み面積というのは大体七、八千ヘクタールと言っておりますね。ところが、二万ヘクタールですから、これもたいへんな数字だと思うのですがね。通産省でははっきりしたそういう裏づけを持ってこういう数字をはじき出されたんですか。本会議で大蔵大臣はこういうばかげた答弁をした、金融引き締めだから、その工場用地に水田の転用がこういうふうに二万ヘクタールもできるのかと言ったら、いや、それは水田を売った人がまた銀行に大部分金を預けますと、だから、またその金を借りて用地の買収をすれば、これは転用可能だと、こんな小学生に言うような答弁をしたわけです。そういうでたらめな答弁は、本会議の言いっぱなし、聞きっぱなしならいいけれども、委員会では許されません。
  65. 黒田四郎

    説明員(黒田四郎君) 先ほど御指摘になりました四十三年の数字は、工場用地としての四十三年の転用実績につきましては三千三百七十ということでございますが、四十四年におきましては約五千ヘクタールということでございまして、そういう点から、もちろん五十歩百歩というようなふうに御指摘になるかもしれませんですけれども、そういうことで二万ヘクタールということは、この四十四年の約五千ヘクタールに対しまして約四倍という、こういうことになります。その四倍ということにいたしましても、相当大きな数字であると、こういうふうに私たちは思っておるわけでございますが、そうしてまた、最近の金詰まりとか、そういうようなことを考えてみますと、問題もあろうかと、こういうようなふうにも感ずるわけでございますが、最近におきます社会経済情勢からいたしまして、土地に対する需要というものが非常に強いということが一つと、それから、先ほど来言われておりますように、農地転用基準の緩和が大幅になされたということ、そういうことに加えまして、これまで工場用地が、農地転用というものがうまくいかなかったというのは、そういう制度的な問題であるとともに、農業サイドと工業サイドというものが接点を持たないままにきておったということが問題であったわけでございますので、私たちといたしましては、農林省と相談をいたしまして、三月十七日に農業と工業との対話ということをやらさしていただきまして、相互理解を深めるということが非常に大事でございますので、それを行ないますとともに、そういう場を通じまして水田の買い上げについて、民間企業に対し指導をさしていただいた次第でございまして、私たち二万ヘクタールというのは、相当大きな数字だとは思っておりますけれども、そういう目標に向かいまして大いに努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  66. 矢山有作

    矢山有作君 まあ私は四十四年の通産省の実績見込み水田の転用が八千ヘクタールと言ったんだけれども、事実は、いま聞いてみると五千ヘクタールだから、もっと少ないようですね。そういう実績で、いまいろいろおっしゃいましたが、四倍にのぼる二万ヘクタールというものが確実に消化できるとは私は考えられません、現在の金融引き締め状態の中で。幾ら土地転用基準が緩和されようと、それから工場用地がほしいと言っておろうと、問題は土地を買う金がなきゃどうにもしょうがないわけですからね。だから、通産省ではことしの各企業の設備投資計画がどの程度だと、その中で土地投資がどの程度だということは大体つかんでおられるでしょうから、それから見て私はとても——努力されるのはいいですよ、それは、あなた方これきめられたら努力しなきゃしょうがないでしょうが、努力するのはいいが、とてもできぬでしょう。できるとおっしゃる自信ありますか。自信ないでしょう。簡単に言ってください。
  67. 西村尚治

    委員長西村尚治君) できるだけ簡潔に願います。時間がないからできるだけ簡潔に願います。
  68. 黒田四郎

    説明員(黒田四郎君) 金詰まり等を勘案いたしますと、非常にむずかしい問題もあろうかと思いますけれども、先ほど申しましたように、農転の緩和とか、あるいは土地に対する旺盛な需要と、そういうようなことからいたしまして、目標数値に対して大いに努力したいと、こういうように思っております。
  69. 矢山有作

    矢山有作君 まあこれも先ほど来ずっと出てきましたように、全く根拠のない数字をはじき出されたという結論になると思うのです。要するに十一万八千ヘクタールの水田転用ということは、まあ住宅用地に五万九千ヘクタール、その他といって示されましたが、これは何らの根拠のない数字である。十一万八千ヘクタールを転用しなければ五十万トンの米の減産ができない。そういうところから単に数字のつじつまを合わせただけ、こういうことになると思います。これでは私は政治の責任としては、こんなでたらめなことでは私は許されぬと思うのです。そういう点で一体農林省どう考えられるのですか。いま各省別におっしゃっていただいたけれども、全くみな自信がない。根拠がない。それでですね、十一万八千ヘクタールの水田転用ができて、五十万トンの減産が可能ですか。これもあまり詳しく言わぬでもいいです、簡単に。
  70. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 各省たいへん一生懸命でやっていていただけるので、私どもはそれを十分期待いたしておるわけであります。
  71. 矢山有作

    矢山有作君 まあ一生懸命やっておることはやるとおっしゃいますけれどもね。全部自信がないようですよ。やれそうでないと言っている。これはこんなでたらめなことをやってはね。私は農林省としてはたいへんじゃないかと思うのです。やはり米の生産調整なら生産調整として、やはり長期の展望に立って確たる方針を堅持してやらないと、一時しのぎにその転用をやれば片づくと、しかも転用をやれる見通しもないものを提げてやられるということは、私はたいへんだと思います。この点は私は政府、さらに直接担当の農林省に対しても猛省を促したいんです。  それからもう一つ、異なった点からお伺いしたいんですが、私どもはかつて新都市計画法に反対をいたしましたが、これに対する線引きが行なわれて、最近の新聞は、市街化区域と市街化調整区域のきめ方で大混乱が起きているといっておりますね。これは御存じのとおりだと思うんです。この水田転用計画に乗せた水田は、市街化区域、市街化調整区域、どちらに含まれておるものの転用ですか。つまり水田転用計画十一万八千ヘクタールというのは、新都市計画法にいう市街化区域、市街化調整区域、そのどちらに含まれておるか。
  72. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 両方の区域にもちろんございます。それから、両方に含まれない、要するに市街化区域あるいは調整区域外にもございます。全体として十一万八千ヘクタールということでございます。
  73. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  74. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記つけて。
  75. 矢山有作

    矢山有作君 政府は新都市計画法を設ける趣旨として、都市の無計画な拡大によって農地のスプロール化を防ぐことが、計画的な都市づくりの上からも、農業政策の上からも必要なんだといって強調されたわけです。今回、幸か不幸か、政府が政策的に水田転用をはかろうというのであれば、新都市計画法の立法の趣旨に従って線引きの実効をあげるやり方をとるのが一貫した政策の進め方だと思うんです。ところが、いま聞いてみると、市街化区域にも市街化調整区域にも、その他の区域にも、水田転用の十一万八千ヘクタールは含まれておるんだということになると、これは一体どうなるんですか、私ちょっとわからなくなってきたんですがね。
  76. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御存じのように、市街化区域に入っております農地は農転を必要としないということにしてあることは御存じのとおりであります、線引きが行なわれて市街化区域に入りました農地につきましては。そこで私どもといたしましては、いまお話しのようなことにつきまして、農林省の立場としては、農業に必要な第一種農地、こういうものは原則として農地転用の許可をしないことといたしまして、したがって、単なる資産保有や投機目的での農地取得は従来どおり認めないことといたしておるわけであります。つまり大事な農地のスプロール化することをわれわれの立場としては防いでいかなければならない、こういう立場であります。
  77. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、これは私は、新都市計画法の——建設省も聞いているだろうが、立法の趣旨から言えば、これは市街化区域の水田転用を中心に考えていくと、そしてスプロール化を防いでいくという立場はわかるんですよ。ところが、市街化調整区域の中でも転用をやるわけでしょう。それ以外のところでも転用をやるわけでしょう。そうすると、これはやっぱりスプロール現象というものは防げないんじゃないですか。それと、もう一つ関連が出てくるのは、農業振興地域ですね。ここもやっぱりこれは転用で食い荒されるのじゃないですか。一体ここらの関連をどう考えられておるのかということが問題なんですよ。しかも農地転用基準まで緩和してやるんですからね。こんなことをやっていたら、都市計画法の立場もくずれてしまうし、農業振興地域指定するといって法律までつくった立場もくずれてしまうし、要するに米の減産をやるための減反のためなら、従来の新都市計画法の立法趣旨が全部くずれようと、農業振興地域指定法律の趣旨が全部くずれようとかまわぬということになるんですか、これは。
  78. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御存じのように、われわれが土地改良等をやりまして、まだ五年に満たないようなところは転用を許す方針ではありません。それからして、いまお話しの、この前、新都市計画法ができますときにきめました方針で、市街化区域に編入されました農地につきましては農転を必要といたさない。その他の地域で、いま私が申しました農地として必要な第一種農地については転用を認めないことを原則としております。それから調整区域、線引きの外のほうにあります調整区域につきましては、道路であるとか、それから二十ヘクタール以上の大規模開発計画、こういうものだけは特に例外として許可をするということでありまして、その他のことにつきましては許可をいたさない方針でありますので、私どもの立場としては、いわゆる、あなたの御指摘のように、農地のスプロール化をそういう形で防いでまいりたいと、こう思っているわけであります。
  79. 矢山有作

    矢山有作君 おことばですが、開発行為をやるほうの側は、市街化区域に編入されたところよりも、調整区域に残されるところのほうが地価が安いわけですよ。それだから調整区域に進出しようというので、非常に積極的な姿勢を見せているのでしょう。二十ヘクタール以上まとまれば、これは転用許可になるのですから。そうなると、調整区域として向こう十年間ぐらい農地として残すというところが、現実にはやっぱりスプロール化されていくんじゃないですか。これは幾ら二十ヘクタール以上でなければ許されぬのだから、それは抑制できるとおっしゃっても、開発業者のほうは、調整区域のほうに出向いて行って開発をしたほうが有利ですから、どんどんそういう動きが出ているわけですよ。その現実の動きに目をつぶってものを考えちゃいかぬ。そこへ持ってきて、農地転用基準が緩和されるわけでしょう。むしろ減反の奨励のために水田を早く転用しろといって奨励するわけでしょう。そうすれば調整区域なんというものは、これはスプロールのいわゆる絶好のえじきじゃないですか。調整区域はスプロールの絶好のえじきですよ、これは。大臣、頭をひねらぬでも当然そうなってくるじゃないですか。だから私はこれはおかしいと思う。
  80. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そういうことについて、われわれもたいへん心配しているわけでありますが、いま線引きがはっきりいたしておらないときかもしれませんが、おおよその予定で、線引きがされるということを想定いたしました中に、大体農地が二十九万ヘクタールぐらいあるそうであります。そのうち水田が十八万ヘクタールといわれておるわけでありますが、そこで、いま私どもといたしましては、調整区域の中の、いま先ほど申しました十万ヘクタールの開発とか道路とかというものを除外いたしましては、原則として許さない方針でありますので、あなたの御指摘になりましたようなことも頭に入れまして、われわれは農転の許可については十分に戒めてまいるつもりであります。
  81. 矢山有作

    矢山有作君 これは農地局に聞くのがいいか、農政局に聞くのがいいかわかりませんが、十一万八千ヘクタールの水田転用について、事務当局のほうでは、市街化区域が何ぼ、調整区域が何ぼ、その他が何ぼと、一応目安ぐらい立っていますか。
  82. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 別にそういう区域別の目標は立てておりません。また、市街化区域につきましても、現段階ではまだ確定をいたしていない県もあるような事情でございます。ただ、先ほどから大臣からお話しのように、市街化区域予定のところには十八万ヘクタールの水田がある。したがって私どもとしては、相当部分が市街化区域で行なわれるということを期待いたしているわけであります。
  83. 矢山有作

    矢山有作君 結局いまの答弁聞いてみると、何にもないわけですよ。どこでどういうふうに、どういう方法で具体的に転用していくのかということが何にもない。ただ、市街化区域の中の十八万ヘクタールですか、それだけの農地があるから云々というだけの話で。ところがあなたの先ほどの答弁では、市街化区域も市街化調整区域も、その他も、全部十一万八千ヘクタールの減反の対象になるのだとおっしゃる。そうなると、これは全くでたらめじゃありませんか。新都市計画法の趣旨も貫かれてなければ、農業振興地域として指定するという、これもまた、その振興地域として指定しようと思うところが、また、さんざんぱらこれが水田転用で食い荒らされて、指定できなくなりますよ、こんなことをやると。まさに、いまずっとこう聞いてみると、水田転用計画計画じゃないですね、計画どころの話じゃない。期待や希望でもなく、全くこれは空虚ですよ。全く五十万トン減産せにゃならぬ、五十万に見合うのは十八万八千ヘクタール、だからその数字のつじつまを合わせる、そこからだけしか出てきてない。こういうやり方をしておると、農民農林省を信用しませんよ。いままでだって農林省の言うとおやりやってたら損する。農林省と逆のことをやってりゃ農民がそのほうが得するんだと、こういうふうに考えているんですから、こういうでたらめなことをやろうとしていると、農民はそうしか考えようがなくなりますよ。これは私はやはりこういう態度というのは改めていただかなきゃならぬと思うし、もし、私はそこまできびしく申し上げて、反論があるなら、私は具体的にどの地域にどういうふうにどういう計画のもとに転用していくんだということをはっきり示していただきたい。それがはっきり出てきて、さらにそれに対する各省の予算的な裏づけがきちんと出てくるならば、私は頭を下げますよ。あなたたちにそんなもの出っこないでしょう、きょうの質疑において。だから私はでたらめだと言うんです。そういうことは、私は大きな反省をしてもらわなければならない。それから、この生産調整は四十五年度限りの生産調整で、米の過剰は解消される見込みですな。
  84. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 百五十万トン生産調整が行なわれるにいたしましても、まだこれで十分につじつまが合うとは申しかねると存じます。
  85. 矢山有作

    矢山有作君 おそらく私は農林大臣が正直におっしゃったように、四十五年度だけの生産調整では過剰米解消されぬのだろうと思うんです。四十六年度以降生産調整が必要なんじゃないかと、そういう大臣の御答弁からすれば思うんですが、一体この点はどうなんですか。四十六年度に、四十五年度休耕、転作したものが稲作復帰が行なわれてくれば、これは米過剰はさらに拍車がかかってくる。こういう問題がありますね。そこで一体、生産調整は四十六年度以降の計画はどうかということが一つです。もう一つは、大蔵大臣衆議院予算委員会でこういうことを言っている。政府としては現在三十五万ヘクタール、これは百五十万トンに見合う面積だと思いますが、この三十五万ヘクタールの農地をすべて三年から五年間で転用するという計画を持っているわけではない。しかし、四十五年度の十一万八千ヘクタールの減反に続いて減反を実施するとすれば、計算上三年程度かかると見られる。転作が完全に実施され、定着すれば、水田の転用と同じ効果を上げるわけだが、根本的には三十五万ヘクタールの水田の他用途への転用が必要だと判断をする。こう言っているわけですね。それとこれらの問題を含めまして、四十六年度以降の生産調整というものを具体的にどうしようと考えておるのかということをこの際明らかにしてほしいんです。
  86. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 生産調整につきましては、いま百万トン分については先ほど来お話しのありましたように、生産者が鋭意努力を続けておってくれるわけです。それの成り行きを見なければいけないと思います。それから、五十万ヘクタールについても、各省あげて御努力を願っておる最中でありますので、そういうことの結果があらわれましたときに、かりに全部が目的どおりであっても、あるいはその中で一部不成績であっても、それぞれの事態が生じてくると思いますが、そういう事態に直面いたしまして、やはり先ほど申しましたように、若干のなお米の生産について余裕が出てくると想定いたしますので、それに対処してどのようにこれからやるべきであるかということを、またあらためて政府部内において、その時点において再検討してみなければならぬのではないかと、こう見ておるわけです。
  87. 矢山有作

    矢山有作君 これは米の生産調整というのは、農民所得にも関係しますし、重大な問題なんですよ。いま農民が言っているのは、一体四十五年度はこれで反当たり三万五千幾らもらえる。それから減反の方針も出ている。一体四十六年度以降どうなるんだ。この不安というのは非常に強いわけですよ。この不安をやっぱり解消するための積極的な姿勢が農林省に要るのじゃないですか。私は米の生産調整をやろうというのならば、真剣にこれを長期の展望に立ってやろうとするならば、やる方法はあると思うのですよ。やはり他の作目、これがその転作をしても、米以上には不利にならないというだけの生産条件あるいは価格条件、その他流通条件等いろいろ整備をして、そうして転作をスムーズに実現できるような措置を講じていく、そういう方法もやっぱり積極的に考えられなければいけぬのじゃないか。行き当たりばったりで問題を処理しようとするところに、私は農政の停滞が起こるし、農民農政に対する不信感が出てくると思うのです。こういう点は私はもっともっと農林省としては、米が過剰だというのであれば、真剣に私は取り組んでいただきたい、こういうふうに思う。どうですか。
  88. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 大事なことを御指摘いただいたわけでありますが、予算編成にあたりましても、そういう点についていろいろ長時間議論をいたしたわけであります。しかし、予算はまあ単年度主義でありますし、本年は初めてのことであるからして、こういうことで一応本年やる、こういうことでありますが、その場合でも、それからその後においても、私も予算委員会等で申し上げておりますように、農政というものは長い目で見てやっていかなければならぬ問題ですから、私といたしましては、最善の努力を傾注して、先ほどお話しのようなことにしてまいりたいと、こういうことに努力を継続するということを言っておるわけであります。
  89. 矢山有作

    矢山有作君 もうあと二、三問で終わりますが、これは答弁を求めておると長くなりますから、私のほうで言います。  四十四年度末の政府在庫米の数量、そのうち古米、古々米の数量、これを承知したいのですが、これはこういうふうに理解しておいていいですか。予算審議の際に提出された農林省資料によると、四十四年度末の政府在庫一千百七十万トン、そのうち古米四十三年産米、これが二百八十一万トン、古々米が、四十二年産米百十三万トンとあります。この数字はそれでいいかどうかということと、この過剰米の処理方針はどうなっておるかということをお伺いしたいのです。
  90. 森本修

    政府委員(森本修君) いま言われました数字は、私どもの数字としましては、四十五年の三月の数字では、四十二年産米が百十二万五千トン、それから四十三年産米が三百二十万九千トン、そういうことになっております。いわゆる古米、古古米の数字であります。
  91. 矢山有作

    矢山有作君 処理方針は。
  92. 森本修

    政府委員(森本修君) こういった古米なりあるいは古々米が出ておりますが、もちろんその中には将来通常の用途で消費を見込まれるといったようなものもございますけれども、相当大量のものがいわゆる過剰米ということで今後処理を要するということになろうかと思います。私どもとしましては、もちろん海外に対する輸出でありますとか、あるいは学校給食あるいは一般の消費拡大とかいったようなことを通じまして、過剰米の数量をできるだけ減少してまいるということに一つ努力をいたしたい。しかし、それだけではとうていこういった数量をはくわけにはまいりませんから、過剰米としての特別の処理を要するものも相当残る。従来からどういう用途にこういったものを処理すればいいかという、何と言いますか、着想を民間、あるいは私どものほうにも伝えられておるわけでありますが、そういったものにつきまして、できるだけ早急の間に学識経験者にお集まりいただきまして、近々のうちにこういった会合を開きたいと思っておりますが、そういった人人にお集まりを願って、全体を通じての処理の用途あるいは処理のテンポ、またそれを処理していきますについての財政処理のあり方といったようなことを詰めまして、全体を通じての処理のめどをつけていきたいというふうに現在思っております。なお、一部の用途につきましては、そういった検討の資料にも資するということで、試験的な売却を実施したらどうかということでいま検討しておるところでございます。
  93. 矢山有作

    矢山有作君 試験的売却というのは、飼料用だとか加工用という意味ですか、そうですね。それで、けさ実は新聞見ていたら、私どもこれもびっくりしたのです。古古米ですね、これを輸出だとか学給だとか、一般の消費の拡大とか、えさ用、加工用、こういうふうに言っておられますが、これは何か古古米に有毒カビが出たという問題が出たわけです。そうすると、これは処理の上に非常に大きな影響を持ってくるのじゃないかと思うのですが、この点のところはどういうふうにお考えになっているんですか、この関連は。
  94. 森本修

    政府委員(森本修君) 古々米は現在主食用には用いていないということでありますが、先ほど申し上げましたように、過剰米処理として今後どういうふうに処分をするかという際に、御指摘になりましたような学問的な見解が一部の学者から提出をされておりますから、さような点についても十分処理上注意をしなければいかぬということで、私ども目下厚生当局と打ち合わせをしておりますが、近く最終的な打ち合わせ会議をやりまして、どういった注意をしながら、あるいは調査をしながら売却をしていけばいいかというふうな処理方針を決定したいというふうに思っております。
  95. 矢山有作

    矢山有作君 それからもう一つ聞きたいのは、この間の委員会で足鹿さんがちょっとお触れになりましたが、例の事故米を加工米として払い下げした、それが横流れをしたという事件があったり、それから茨城県では何か古々米を一たん払い下げをしたやつを集めて、また農協の職員が一緒になって新米だとして、また政府に再売り渡ししたという事件が起こっているようでございますが、これは私はやっぱり古米、古々米の処理の場合にこういった問題が非常に起こりやすいのではないかというのは、加工用で払い下げをする場合なんか見ても、これは非常に安い価格ですから、そうするとこれはそいつを横流しすることによってもうけようという不逞なやからというのは案外出てくるのじゃないかと思うのですね。特に東京食糧事務所で起こった事故米を加工用として払い下げた場合でも、これは食糧庁の職員の方でしょうが、精白すれば事故米でも配給米として十分やみルートに乗るのだろう、こう言っているようです。これは取り調べに対して言っているのだということだから、言っているのでしょう。そうすると、これは古米だ、古々米だとか言っていますが、これはもっともいまカビの問題が出てきたから、これはたいへんな影響があると思いますが、しかし、いずれにしても、私はこういう事件というものがなかなかそれはあとを絶たぬのじゃないかという気がするのですよ。一体これを食糧庁としては、加工用米として払い下げた場合に、こういう横流れをやって不当な利益を得ようというやつに、具体的にどうして防止されるのですか。これは払い下げの問題の方法も考えなければならぬでしょうし、その後のどういうふうに使われるということの調査も要るだろうし、いろいろたいへんな問題だと思うのです。
  96. 森本修

    政府委員(森本修君) 御指摘になりました二件は、私どもいま調査をいたしておりますが、茨城県の事件は、現在まだ最終的な捜査の結論は出ておりませんけれども、私どもが得ております情報では、問題になりました米は古米ではない。それから、政府から払い下げを受けたものを政府のほうに売却をしてきたという形跡は、いまのところ薄いというような情報を得ております。  それから東京事務所のほうは、何ぶんにも、昨日大臣から御答弁がございましたように、目下調査中でございまして、食糧庁のほうから払い下げを受けました米が、どういうルートでどういうふうに行っておるかということは、まだ必ずしも十分つかめてないという段階でございます。いずれにしましても、古々米なり古米の過剰米の処理につきまして、目的の用途以外に使用されるということになりますと、これは私どもとしてもたいへんなことになりますから、さようなことができるだけ起こらないように、先ほど来申し上げておりますような試験的な売却にあたりましても、飼料工場に対する販売の方法について、横流れ防止措置をできるだけ完全にするというふうな方途についていまいろいろ苦心をしておるというところでありまして、たとえば売却にあたりましては、直接加工工場に搬入をする、加工工場としてもできるだけそういった取り締まりがしいいような近代的な施設を備えたような加工工場をできるだけ数少なく選ぶ。試験売却につきましても、それから製造の過程につきましても、私どもの職員が常駐をいたしまして、さようなことのないようによく監視をするとか、いろいろいま御指摘がございましたようなことが起こらないように、できるだけ役所としても対処しながら売却をしていきたいということで、いま頭を痛めておるという段階でございます。
  97. 矢山有作

    矢山有作君 この業務米の払い下げを受ける業者というのは、これは農林大臣なり知事がたしか指定するはずですね。ところがその指定業者の中に、実際に自分のところで業務米を使って仕事をやっていない人がおるのじゃないか。いわゆるペーパー業者というのですか、指定だけは受けていて、実際払い下げは受けても、自分のところでは使わないで、そいつをぽんとよそへ売り飛ばす、こういう人もおるのではないかと言われておるのですが、指定業者の実態をつかんでおられますか。
  98. 森本修

    政府委員(森本修君) 加工用米に売却をいたします対象になる工場なり業者は、原則的に各都道府県の知事がそれぞれの施設を調べまして推薦してくるとか、そういう形でやっております。一部では私ども、あるいは関係の各省に御協力を願いまして、さような調査をして対象の工場を選んでおるということでございます。毎年一回そういった設備の状況は、都道府県知事のほうに連絡をしてくるといいますか、報告をしてくるということになっております。しかし実態とそういった報告が合っておるかどうかということについては、御指摘がございましたような点からいきますと、なお精査を要するといったようなこともあろうかと思います。東京事務所で問題になりましたような対象業者につきましては、さっそく東京都並びに私どものほうの食糧事務所から行きまして、よく調べておりますが、一般的に御指摘になりましたようなことは、一応たてまえとしてはできておりますけれども、なお実態とたてまえがうまく合うかという点については、今後十分ひとつ精査をしなければならぬというふうに私どもは思っております。
  99. 矢山有作

    矢山有作君 これはひとつ至急に調査していただいて、指定業者の数と、それからその指定業者のうちで、自分のところで実際に加工用に使っておる業者と、そうでない、いわゆるペーパー業者、この実態を資料にして一ぺん出していただきたいと思うのです。  それから、やはりこういう問題が起こるというのは、その指定をしたら指定しっぱなしで、案外、食糧庁の監督というのか調査というのか、そういう点が非常にずさんな問題があるのじゃないかという感じもするわけです。これは今後やはりこういう横流れ防止ということについては、十分の私は措置をとっていただきたいが、措置をとるにしても、これは言うほどやすくないと思うのです。試験払い下げの段階で、加工用に十六万トン、それからえさ用に六万トンやってみようかという時期なら、それはまた横流れ防止の対策もとりやすいかもしれませんけれども、三百万トン、四百万トンというやつを加工用に払い下げて、それがほんとうに横流れになるかならぬかということを調査して、横流れを防ぐというのは、これは私はたいへんな仕事だと思うんです。これをやるということは私は非常にむずかしいと思うんですが、おやりになる自信があるからやると言っておられるんだろうと思いますがね。この辺も今後のあり方として十分に御注意を願いたいのが一つと、それからもう一つ最近の例としては、従来の指定業者のほかに加工用米の払い下げを受ければ、これは大もうけができるというんで、盛んに指定業者になるべく運動しておるという連中もおるようです。私ども一、二聞いていますがね。そういうところでまた私は問題が増幅してくるおそれがあると思うんですよ、東京食糧事務所で起こったような問題がね。だから、この辺を十分御注意を願いたいと思います。その点もう一ぺんお答えを願いたいと思います。
  100. 森本修

    政府委員(森本修君) 前段の調査でございますが、これは何ぶんにも全国的にわたっておりますから、さような資料について私どもとしてもかなり時間がかかることだというふうに思っております。  それから、たびたびの御注意でございまして、私どもとしても、かような膨大な数量を適正な形で売却をし、また適正な形で使われるということについて、実はこの一、二年くらい非常に頭を悩ましておるわけでありまして、容易なことでないという御指摘も、確かに私どもとしても十分わかっておるわけでありますけれども、何ぶんにもかようなものを処理する態度としては、そういう点についても十分目を行き届かしてやるべきであるというたてまえには、これは変わりはないわけでありますから、さような点について、役所としてできる限りの措置をとってまいりたいというふうに思います。
  101. 矢山有作

    矢山有作君 最後に一つ。それは十分の御注意を願いたいと思います。そのためには、やはり食糧庁機構なり運営というものについても抜本的に考え直してみるような点もあるんじゃないかと思いますが、その点もあわせて御検討いただきたい。  それから、なお食管法の運用の問題についてお聞きしたいと思っておったんですが、私に充てられた時間をいささか超過しておるようですから、私の質問これで一応終わります。
  102. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  午後二時まで休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時十二分開会
  103. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は御発言を願います。
  104. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 午前中も若干質問があったのでありますけれども、例の米のカビの問題につきまして、私はもう少しこまかく分析をしてお伺いしたいと思います。  最初に、この米のカビの問題の現状を農林省はどういうふうに把握しておるのか、その辺からまずお伺いしたい。
  105. 森本修

    政府委員(森本修君) まず米の保管管理という点から申し上げますと、私どものほうではかなり多量の米の在庫をいたしておりますけれども、少なくとも一カ月に一回はそれぞれ政府倉庫ないしは政府指定倉庫を見回りまして、それで品質が低下する、あるいはカビがはえそうだというような場合におきましては、早急に薫蒸するというようなことでやっております。したがいまして一般的に申し上げますと、政府所有米についてはカビの発生は少ないというふうな感じを持っております。ただ、御指摘がございましたように、新聞等に政府所有米についてカビの発生ないしは有毒な菌を出すところのカビがあるのではないかというふうなことが最近特に指摘をされております。そこで、四十三年、四十四年に私どものほうとしましても、さような観点から定量検査あるいは菌の培養の検査というのを四十二年産米等についてやったわけであります。そのやりましたところでは、通常、有毒であるとされておりますところのアスペルギルス・グラウカスという菌、並びにいわゆる黄変菌を出しますところのペニシリウムというような菌の発生は認められておりません。ただ、アスペルギルス・グラウカス以外のアスペルギルス属に属しますところのカビ、あるいは黄変菌を出すといわれております菌以外のペニシリウム属に属するカビ、それからクラドスポリウムといったような属のカビ、そういったものが若干発見をされておるという状況であります。  まず、とりあえず概況だけ申し上げました。
  106. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは問題を煮詰めていく点から一つ一つ聞いてみたいと思います。  まず去年の六月、七月、食糧研究所でこれは抜き取り検査をやったわけですね。それで最初に東北の四県、北海道の九つの倉庫の四十二年産米について検査をおやりになったそうでありますが、その結果がどうであるか、カビがあったのかなかったのか、どういうカビがあったのか、その辺からお答え願いたいと思います。
  107. 森本修

    政府委員(森本修君) 北海道についてやりましたところでは、先ほど申し上げましたアスペルギルス・グラウカス属、これは一つのそういう総称の名称でありますが、そういうものについて若干発見された、北海道についてはアスペスギルス属その他のものが若干発見されたという程度でございます。
  108. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから二番目に、今度は岩手県の一カ所、それから福島県の三カ所の検査をおやりになった、これも聞いておりますが、その結果は、カビの発生状況はどうであったか。
  109. 森本修

    政府委員(森本修君) 岩手県と福島県にサンプルをとりましたのは、カビの発生が目で判別できるというような状態のものをサンプルをとったわけでありますが、したがいまして、先ほどの北海道のものよりはカビの発生の状況が比較的多いということになっております。やはりカビの種類としましてはアスペルギルス・グラウカス属といったようなもの、それからペニシリウム属の毒性物質を出す以外のその他の菌というのが発見されておるという状況でございます。
  110. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 東北四県、北海道並びに岩手県、福島県の検査の結果、一応カビが出ておることは明らかであるわけでありますが、問題はそのカビが毒性があるのかないのか、この辺が問題になるわけですが、いま長官がおっしゃいましたように、カビの種類はアスペルギルス属のものとペニシリウム属のものとある。ところが黄変菌を出すペニシリウム属は認めなかった。けれど、アスペルギルス属のグラウカスグループのものがこれはある。これは認めるわけですね、いかがですか。
  111. 森本修

    政府委員(森本修君) アスペルギルス・グラヴカスグループのものは若干発見されたということであります。
  112. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで学者の意見には、いろいろこういった菌に対しても毒性があると、このように言われておるわけですが、この辺のところを、これは厚生省の方おいでになっておりますか、見解をひとつ示していただきたい。
  113. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) ただいまのグラウカスグループについてでございますが、一応グラウカスグループとしては、これはアスペルギルス属のグラウカスグループという菌の種類でございますが、大体五種類ございまして、その中で毒性があると  一応報告されておりますのはアスペルギルスシベリウスという株がございます。キサントシリンという毒素を出すと言われておりまして、ほかのものについてはまだ確たる報告はあがっていないようでございます。
  114. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 アスペルギルスのペリシリウム属の数が一グラム中に千個以上もあれば、食糧はもちろん家畜のえさにも使うべきでないと、このような学者の意見があるわけです。それで私は聞いておるわけなんですが、いまあなたがおっしゃったように、私の調べましたところ、これは学者の一意見等でありますが、アスペルギルスシベリウス、これはキサントシリンという毒素をつくり出す。これが動物実験の結果、心臓障害から肺出血を起こす、こういうようなデータが出ているわけですね。それから同じくアスペルギルス属のグラウカスグループのもので、二番目がアスペルギルスアスプテラダムというのですか、これは英国で鶏の中毒事件が起こった。三番目にはアスペルギルスベルジカラー、これがスペリグマトシスチンという毒素をつくり出す。これは肝臓ガンの発ガン性があるんじゃないか、こういうことで、いまこれは東大、千葉大で調査をしておると、このようなことを私は伺っておるわけです。そういうことで厚生省のもう少しあなたの詳しい見解を聞きたかったのです。厚生省の見解はどうですか、いま私が申し上げたようなこと。
  115. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) ただいま申されたように、いまのアスペルギルスベルジカラーの毒素はスペリグマトシスチンでございますけれども、肝腎障害を一応実験動物において証明した。ガンの証明は不勉強で私聞いておりませんが、一応肝腎障害を起こすという報告はあるようでございます。実験動物で起こっておりまして、人体に直ちにこれが障害を起こすかどうかということについては今後の研究課題かと思いますが、カビにつきましてはいろいろ、先ほど食糧庁の長官がおっしゃいましたように、非常に普遍的に有毒だとされておりますのは、アスペルギルスフラブツ、それから黄変米菌のペニシリウムイスランヂリムというようなものでございまして、一応毒素を産生すると報告されたものはそのほかに十数種類あるようでございます。ただ、これはまだ詳しくお聞きはいたしておりませんけれども、ただいま先生がおっしゃいましたように、この毒性につきましては、一グラム中の菌数によりますが、その菌数を継続的にとれるかどうかということが、この病源の発見には非常に大きな要素となるわけでございます。  それからもう一つは、このカビが発見されましても、はたしてその毒素を産生するかどうかというのは、その環境条件によりまして非常に違うようでございます。このカビの発育に非常に適した環境条件が与えられますと、毒素を産生するようになる。ただ、カビがいたがらすぐあぶないというような性質のものではなさそうでございます。やはりこのカビ毒の検出をいたします場合には、培養検査と同時に毒素の検査というのが非常に重要なことになるものと思っております。
  116. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 このカビの毒素の問題は、それはまあ断定的に言えないにいたしましても、こういうような毒素を出すようなカビがはえているということは、これは間違いない事実でしょうね。検査の結果が東北方面の一部のものであった、こういうふうになるわけですが、これは全国的に見まして、やはり二年も経過をいたしておりますので、かなりカビがあるんじゃないか。われわれ消費をする面から見れば、非常に心配なあまり推定をせざるを得ない。ですから、これは食糧庁にお伺いしますけれども、この検査の結果から推定をされて、全国的にカビがどの程度はえているのか。大まかなことになるでしょうが、これも全然ないとは言い切れないでしょうと私は思うんですね。その辺のところを、現在の保管状況等から考慮して、どういうふうにお考えになりますか。
  117. 森本修

    政府委員(森本修君) 冒頭に申し上げましたようなことで、私どもとしては保管管理についてかなり注意をいたしておりまして、たびたび薫蒸等をやっております関係から、カビの発生についてそれほど大量のものが発生しておるというふうに思っておりません。ただ、肉眼でカビの発生が認められたものは、処理にあたりましても、食用なり間接に口に入るような形にしないということでやっておりますから、まず処理上問題はないというふうに思っておりますが、肉眼で発見されないといったようなものにつきましても、先ほど来御議論がございますようなことで、学問的にもいろいろ見解があるように思います。したがいまして、さようなものについてできる限り調査をいたしまして、それぞれ整理をして処理に当たりたいというふうに考えております。
  118. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 確かに毒素の問題は、これはガンが発生するもとになるということですから、非常に神経過敏になるわけですが、これから食糧庁は、今後この研究に対してはどういうふうな方針でおられるのか。食糧研究所においても研究をなさっておるわけですけれども、どうしてもやはり農林省の中でやることは——こういうことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、どうしてもこれは、どちらかといえば身内の検査ですから、外部にもほんとうは検査を依頼して、その真相はこれははっきりしないというと、こういうことでは非常にこれは大きな社会問題になってくる。鳥のえさにやるのだからいいじゃないかと、そうもいかないと思いますが、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  119. 森本修

    政府委員(森本修君) 私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、農林省だけではございませんで、厚生省ともよくお打ち合わせをすると、なお学者のいろんな見解もお聞きをするというふうなことで、統一的な考え方のもとに調査をし、また調査の結果につきましても、さような観点からよく精査をしていただきまして、今後の処理に当たりたいというふうに思っております。
  120. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 話が前後になりますけれども、全国的に米の保管状況はどうなっておるのか。その倉庫はどのくらいあるのか。さらにいまあなたがおっしゃったような薫蒸ができる装置のある倉庫はどのくらいあるのか。その薫蒸のやり方はどういうふうにしてやるのか。年に何回ぐらいやるのか、もう少しこまかく、ひとつその辺のところを説明してもらいたいのですが、参考に。
  121. 森本修

    政府委員(森本修君) 現在私どもで保管をしております倉庫は、一つは低温倉庫というものがございまして、一定の温度以下に常に倉庫内の温度を保つというふうな倉庫がございます。これは虫の害あるいはカビの害については、ほとんどカビなどは発生しないというふうな形の倉庫であります。それ以外の倉庫はいわゆる常温倉庫と言っておりますけれども、これは外界の温度に左右されるというふうな形になるわけです。さような倉庫につきましては、先ほど申し上げましたように、少なくとも月に一回見回りをいたします。それから、そういう状況でカビが発生しそうであるということになれば薫蒸をする。まあいろんな薬品を使いまして薫蒸をする。それは臨時的な薫蒸もございますれば、定期的に少なくとも年一、二回はそれぞれのものについて薫蒸をする、それ以外にあぶなそうなものにつきましては、臨時的に薫蒸をするというふうなことで保管をやるようにしておるわけでございます。
  122. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 参考にお伺いしておきますが、低温装置をするのに、これはどういうやり方になっているのか。それともう一つ、これは試験でしょうけれども、琵琶湖の水に試験的に沈めて、そして保存状況を検査をいたしていらっしゃる、こういうことも聞いておりますが、その結果はどういうふうになっておりますか。その辺のところもこの際ひとつ聞かしておいでください。
  123. 森本修

    政府委員(森本修君) 低温倉庫にするのにどういう機械装置なり、あるいは構造にするかということは、ちょっとあとで業務部長のほうから、専門的なことですから、お答えいたします。  それから後段の琵琶湖における水中貯蔵の試験の結果はどうかというお話でございますが、これは去年の四月から十一月の間に、各種の容器を用いまして、米を詰めて琵琶湖の湖底に沈めて試験をしたということになっておりますけれども、その容器の種類はゴムの袋、それから合成樹脂の袋、それから塩化ビニールといったような三種類の容器に詰めまして、琵琶湖の湖底に沈めたということであります。七月に一回引き出し、それから十一月に一回引き上げるといったようなことでやりましたけれども、そのうちのあるものについては漏水をする、水が漏れるというようなこと、あるいは袋が完全でなかったために、中に湿気が入ってうまくいかなかったというふうなものもございますが、若干のものについては無事に引き上がってきて、それほど米の品質には影響がないといったようなものもあります。  したがいまして、まあその試験の結果の判断でありますが、私どもとしては、一部についてさような関係のものがあるわけでありますから、完全に引き上がったものもあるわけでありますから、また他の一部については、材質からいってうまくいかない、あるいは構造からいってうまくないといったようなものもありますから、技術的にまだ統一した見解といいますか、結果といいますか、そういうものを判断するわけにはなかなかいきにくいという感じを持っております。なお経済的に見ましても、そういった袋に詰める費用、それからそういった湖まで持っていきます費用、また引き上げたりする費用、いろいろなものを計算いたしますと、他の低温倉庫等に貯蔵するという場合よりは若干コストがかかり過ぎるというような感じを持っております。したがいまして、技術的な点、経済的な点、両者あわせてなお十分詰めなければならぬというふうに思っております。
  124. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 低温倉庫でございますが、これは建物は側壁、天井に断熱材を使いまして、外の熱が倉庫内に入りにくいような構造のまず倉庫をつくります。それに冷凍機——クーラーをつけまして、庫内の温度の上がったときには冷やす、さらに除湿、加湿の装置をつけまして、水分の調節をやる、湿度の調節をやるということによりまして、室温が最高のときでも十五度以上には上がらない、湿度が七〇%ないし七五%に保てると、こういった調節をして米の保管をする、こういう構造でございます。
  125. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでこういった過剰米が現在どのくらいあるのか。その前に、三月の末で米の在庫の状態はどういうふうになっているのか、それをひとつ古々米と古米と新米とに分けまして説明を願いたいと存じます。
  126. 森本修

    政府委員(森本修君) 米の在庫の状況でございますが、ことしのこれは三月末の状態で、四十二年産が百十二万五千トン、それから四十三年産米が三百二十万九千トン、それから四十四年産米が七百三十五万トンという状況であります。
  127. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでこれは合計しますと、大体千二百万トン近くになるわけですが、このうち、いわゆる過剰米と称するものが一体どのくらいになるのですか。
  128. 森本修

    政府委員(森本修君) これは今後の米の売却なり、あるいは使用の見込みから逆算をいたしまして、過剰になると思われる数字を推定するという形でありますが、四十二年産米のほうは、今後の過剰米の処理いかんによりますけれども、現在の状況では百十二万五千トン、これが過剰米になるであろう、それから四十三年産米のほうは二百八十一万トン程度、それから四十四年産は二百九十万程度、合わせますと六百八十四万トン程度が今後の処理の推定をいたしますと過剰になる数量ではないかというふうに思います。
  129. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと大体六百八十万程度は過剰米ということになりますが、四十四年米で二百九十万トンの過剰米というのは、これはちょっと私としては意味がわかりにくいのですがね。四十四年米というのは新米ですから。
  130. 森本修

    政府委員(森本修君) 過剰米といいますのは、一つは数量的な概念でありますから、確かに四十四年度米は新米でありますから、十分そのものの性質としては、食べることにたえるといいますか、十分食べられる性質の米でありますけれども、今後ずっと所要量を計算をして、どの程度配給に回し得るかというふうなことを計算してまいりますと、将来一、二年先においてはやはりこのくらいのものは残っていく、配給に回しまして、あとこのくらいのものは四十四年産としては残っていくであろう、そういうふうな意味のこれは数字であります。このものがいま現在食べられないというふうなことを言っておるのではないのであります。
  131. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 四十四年米として二百九十万程度は残るであろうという、その辺が了解がしにくい。古米、古々米は過剰米であることは了解できますけれども、新しい米がこれは過剰米——それならば新しいのを先に回せばいい、配給に。
  132. 森本修

    政府委員(森本修君) 最近は、特にことしの四月からは希望があれば全量新米を配給するというふうなことでやっておりますから、別段これをうしろへ残しておいて、故意に余らすというふうなつもりはないのでございます。さような配給の計画によって、将来どういうふうに推移するかを推定といいますか、見込みを立てますと、なおこのくらいのものは先ほど申し上げましたようなことで、一般の消費には向かないで残るであろう、そういう意味のこれは数量から推してきた数字であります。
  133. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでこの六百八十万程度の過剰米の処理を、今後はどういうふうにおやりになるのか、その辺はどうですか。
  134. 森本修

    政府委員(森本修君) これは御指摘がいまございましたように、この六百万トンの中には新米もございますれば古米もございますし、あるいは古々米もあるということで、いま一どきにこれを処分をするというわけにはいかない性質のものでございます。したがいまして、現在主食用に向けることが適当でないと思われる数量から、逐次過剰米の特別処理というふうなことで売却をしていくべき性質の在庫であろうというふうに私どもは思っておるわけであります。  したがいまして、そういった性質の米あるいは数量の米をどういうふうな用途に向けていくかということでございますが、一つは先ほどもお答え申し上げましたように、たとえば毎外に対する輸出でございますとか、これは新米なり古米なりは十分輸出にたえるわけでありますから、さような用途にできるだけ処理をしていこう。あるいは輸入の米を従来は使っておりました用途について、外米の輸入をとめるというふうなことから、こういった内地米が代替して使用されていくというようなことで、処理の促進をはかるということをまずやりたいと思っております。そういった用途だけではこういう数量は十分はけないということがありますから、従来米を通常の形としては使っていなかった分野についても、こういった古い米を今後は使ってもらいたいというふうな意味の特別の処理をしていかなければならない。そういう用途としては、いわゆる工業用といったような分類のものもございますし、あるいは飼料用といったものも考えなければならない。工業用の中にもいろいろな種々雑多な用途が私どものほうにも提案がされておることでありますから、まずそういった用途については、どういうものにはどの程度向くであろうというふうな用途の確定をいたしまして、こういった米の年産別の分類もございますから、どういうテンポで処理をしていくか、また処分に伴って財政処理のあり方をどうするかといったような全体のことについて、早急に詰めて対策を立てていきたいと思っております。なお、そういった新しい用途に向くかどうかということを、計画を立てます際に、試験的に売却をして、実験をしてみるというふうな必要もございましょうから、全体的なめどの立つ前に試験的な売却についてもひとつ考えてみたいということで現在検討しておる、こういう段階でございます。
  135. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この過剰米を処理した場合に、これは一体どの程度の損害になるのですか。
  136. 森本修

    政府委員(森本修君) これは今後どういう用途にはどういう考え方で値段をつくっていくべきかということを、いま検討しておるところでありますから、最終的に用途別に確定した売却値段というものは出てはいないわけであります。しかし大体の荒見当という意味でお聞き取りを願いたいと思いますが、輸出用に向けるということになりますれば国際価格、これはそのときどきフレてまいりますから、一つの値段ではありませんけれども、大体五、六万円といったような値段になろうかと思います。それから工業用、これはいろいろな用途がございますから、用途によって若干値段がフレると思いますが、概念的にいえば四、五万円といったような形、それから飼料用となれば、大体八万円から九万円といったような程度の、現在の在庫の評価額に比べまして損失が出るというような状況になっております。
  137. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、過剰米の処理の方法には、輸出に回すのと、工業用あるいは飼料用、こういうことになるけれども、どういうふうにするかは今後検討しなければならない、こういうことらしいのですが、これは食管法には赤字を計上しているわけでしょう、四十四年度の食管会計には。これは今度の補正にも幾らか出ていましたね、四十四年の補正予算では五百六十億を繰り入れているわけですが、これを見ますと、この中には輸出等に伴う損失及び過剰米処理による損失も含んでおると、こういうふうに出ておるのですが、四十四年度は過剰米の損失をどの程度見込んでおるのか。
  138. 森本修

    政府委員(森本修君) 四十四年の補正予算にあたりましては、輸出用として売却をした、あるいは近く売却をすることがきまっておるものについて約五十億……。
  139. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 五十億というのは、これは——数量を明確にして、ある程度わかりやすいようにして言ってください。輸出用が幾ら幾ら、これを換算したらこのくらいになると、こう言わなきゃこっちはわかりやしない。輸出用が幾らと、大まかなことでは…………。
  140. 森本修

    政府委員(森本修君) ちょっといま前後を間違いましたが、飼料用に試験的に売却するということで約六万トン分として約五十億、それから輸出用は、先ほど言いましたように、すでに輸出として出しましたもの、あるいは予算編成時においては近く出すことがきまっておるものといったようなものが、沖繩、韓国、インドネシア、ナイジェリア向け、それからパキスタン、そういった数カ国に向けるものがございますが、それを合わせまして六十七億、輸出用五十億と申しましたが、六十七億、そういうことになっております。
  141. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、飼料用の六万トンの損害で五十億、輸出用は幾らですか。
  142. 森本修

    政府委員(森本修君) 輸出用全部合わせますと六十七億でございます。
  143. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 百十七億になるわけですね。
  144. 森本修

    政府委員(森本修君) 端数の関係をなにしますと、約百十六億でございます。
  145. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、六百八十万トンの中で六万トンが飼料用、あと若干の輸出用があって、残りは一体どうなるのです。
  146. 森本修

    政府委員(森本修君) 残りにつきましては、原則としては、今後処理をしてまいるにつれて損失が発生するわけでありますから、さような形で財政処理をするということになると思います。なお、四十五年度予算には七十億程度こういった処理に伴う損失としてあらかじめ見込んでおるという予算関係になっております。
  147. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 四十五年度の食管の過剰米処理の赤字が七十億、こういうふうに見込んでいるわけですが、この七十億の算定はどうなっているのですか、赤字の算定の中身。
  148. 森本修

    政府委員(森本修君) これはとりあえず最も過剰米処理として近く起こってくるであろうというふうに思われました輸入の米の代替に売却する、いわゆる工業用の用途というものに十六万トン程度が見込まれるのではないかということで、予算の積算の基礎としましては、工業用十六万トンということで七十億を計上したということでございます。
  149. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 結局、六百八十万トンから、いまあなたがおっしゃったこういうものを差っ引いた残りの分はまだこれから、きまってないわけですね、これから検討する。そうしますと、いまのカビの問題で六万トンを飼料用に流すということは、当分見合わせるということになっているのじゃないですか。そうして、もしさっき申し上げたような、こういうようなアスペルギルス・ベルシカラー、こういうカビの毒素は肝臓ガンの発生のもとになる疑いがある、こういうことですから、これは当分しばらく見合わせる、そういうことになるわけですか、先ほどちょっとお伺いしたのです。
  150. 森本修

    政府委員(森本修君) 私どもとしましては、そういったカビ並びに毒性の問題について、先ほどお答えをいたしましたように、厚生省、しかるべき学者の人と打ち合わせをいたしまして、どういう調査をすればいいか、その調査結果をどう判定すればいいかといったような手順を踏みまして、しかるべき処理をしたいというふうに思っております。その結果を待って処理をしたいということでございます。
  151. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もしそれが、そういうすい臓ガンの発生のもとになるということが検査の結果はっきりした場合は当然ですけれども、あるいははっきりしない場合でも、こういう疑いのあるもの、発ガン性の疑いのあるものは、こういうものをかりに飼料にやっても、動物にまたガンができる可能性がある、そういうものをまた人間が食べるとなりますと問題がある。ですから、そういうことになりますと、飼料用にも使えないということになります。飼料用に使えない。飼料用に使えないとなりますと、結局は工業用になる。そういうことになると、工業用にした場合に、一体どの程度の損害なのか、その辺のところをひとつ。
  152. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  153. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を始めて。
  154. 森本修

    政府委員(森本修君) 御指摘のようなこと、われわれとしては、そういった調査の結果を見ないと、いまどういう処理をするかということははっきり申し上げられませんけれども、飼料用でなしに工業用、特に工業用にしても染色用のりとか工業用のアルコールとか、そういったものについての一つの用途ということになるだろうと思うのですが、工業用のたとえばのりとアルコールといったようなことになりますと、処理の値段としては、トン当たり一万五千円から二万円といったような程度になるのではないかというふうに思っております。
  155. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 工業用といっても、何もアルコールだけじゃないのです。お伺いするところによりますと、みそ、しょうゆ、こういう方面にも回されるようなことを聞いていますが、これは当然使えないわけですね。私が先ほどからこの問題をお伺いしているのは、一つは公衆衛生上の面から、こういう危険性のあるカビのはえたものは、当然これはわれわれ消費者の側から言うと非常に危険がある。あなたのほうでは、これは配給には回してないとおっしゃるけれども、けさの午前中にも話があったように、飼料に回したら、その飼料に回ったものをまた横流しをする、そういうような危険性がある。だから私はこういうふうに言っている。もう一つの問題は、財政上の部面からいって、こういった過剰米処理していったんじゃ膨大な額でしょう。これは結局税金のむだ使いということになるわけでしょう。で、保管の問題、保存状態の問題につきまして、今後農林省としてどういうふうにやっていくのか、それが一点。  その前に私は厚生省にお伺いしたい。いまお話をお伺いしたように、カビの問題について非常に不明確である。毒があるともないとも、これから検討しなきゃならぬ。けれども、そういう疑わしいものは、われわれとしては困るわけです。食品公害は、この前から問題になっているチクロの問題にしても、あるいは牛乳のBHCの問題にしても、毒が少しあるというふうな学者もあれば、たいしたことないじゃないか——そのうちにうやむやになっちゃって、それがどうも行政指導がはっきりしないうちに忘れられてしまう、こういうことになるので私も聞いておる。それでこういった米のカビの検査基準というようなものは、厚生省は考える必要はないのかどうか、その辺お伺いしたい。
  156. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) ただいまの検査基準でございますが、先生の御指摘がございましたように、カビの検査は非常に高度な技術を要しますので、現在日本でも数カ所の機関でございませんと、はっきりした検査ができないような状況でございます。また未解明の部分も非常に多うございまして、その点は厚生省の中でもガン研究助成金というのを出しまして、委託研究でいろいろ研究をお願いしておるわけでございます。現在までに判明しました検査法につきましては、各都道府県の衛生研究所に対しまして、特殊技術講習会というのをいたしております。現在できる範囲の検査については、一応講習をいたしておるわけでございますが、なかなか毒性検査等、カビの種類も、一説には十万ないし十五万種類とも言われております。その中で毒素を出す菌が十数種類という程度でございます。それを分類して見つけ出すという手法はなかなか簡単なようで非常にむずかしいわけでございます。その点は今後いろいろ御検討を学者の先生方にお願いいたしまして、早く基準をつくりたい、このように考えております。
  157. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、農林省のほうはこういったようなカビの汚染防上策を現状よく分析して、なお一そうこれは確立すべきじゃないかと思うのですがね。その辺の見解をちょっと聞かしてください。
  158. 森本修

    政府委員(森本修君) 私どもとしても、そういった保管管理の状態に十分注意をいたしまして、さようなことが発生しないことが一番大事である。何といってもこういったことは、保管状態なり、あるいはその温度というようなことに非常に関係がありますから、一般管理の条件なり、あるいは倉庫の整備、たとえばいま言いました低温倉庫の普及、政府倉庫でも低温倉庫を建てておりますが、あるいは民間におけるそういったものの普及、それ以外の倉庫につきましては、できるだけひんぱんに見回りまして、手当をするということをできるだけひとつやりまして、さようなことが起こらないようやってみたいと思っております。
  159. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは最後に資料の提出をお願いしておきたいと思いますので、これを委員長に御了解を願いたいと思います。  四十二年、三年以前からの米の処分状況を用途別に時期を明らかにして出していただきたい。それから、その保管倉庫別の現在量をこれもひとつ書き加えて資料を出していただきたい。委員長、ひとつ……。
  160. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 出せますか。
  161. 森本修

    政府委員(森本修君) できるだけ急いで出したいと思います。
  162. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 議事の都合により、本案に対する審査は後刻に譲りたいと思います。     —————————————
  163. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  164. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま議題となりました昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、公共企業体の共済組合が支給しております旧国家公務員共済組合法及び現行公共企業体職員等共済組合法に基づく既裁定年金の額につきまして、このたび、別途国会に提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じまして、所要の改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、年金額の改定内容でありますが、公共企業体の共済組合が支給しております既裁定年金の額につきましては、昭和四十四年度におきまして年金額算定の基礎となる俸給を、昭和四十年度改定後の額に対し四四・八%増額いたしましたが、さらに今回、その増額率を五七・四七%に改めることとし、昭和四十五年十月分以後、年金額を増額することといたしております。  次に、最低保障額の改正でありますが、旧法年金につきましては、退職年金及び廃疾年金の受給者のうち、七十歳以上の者の最低保障額九万六千円を十二万円に、遺族年金の受給者のうち、七十歳以上の者及び七十歳未満の妻、子及び孫の最低保障額四万八千円を六万円にそれぞれ引き上げることといたしております。  以上のほか、今回の恩給法等の一部を改正する法律の改正に伴い、所要の改正措置を講ずることといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  165. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 本案の審査は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  166. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、運輸省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  なお、本案は衆議院において修正議決されておりますので、その修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理塩谷一夫君。
  167. 塩谷一夫

    衆議院議員(塩谷一夫君) ただいま議題となりました運輸省設置法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、その要旨を申し上げますと、原案のうち、海運企業整備計画審議会の廃止及び大臣官房の所掌事務の一部移管に関する改正規定については、昭和四十五年四月一日から施行することとなっておりましたが、衆議院における議決の時期が四月一日を経過しておりましたので、これを公布の日から施行することに改めた次第であります。  修正の実質的な内容は、以上のとおりきわめて簡単なものでありますが、修正そのものがたいへんめんどうな形になっているのは、全く法制技術的な理由からであります。  以上が本案修正の趣旨であります。
  168. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それでは、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  169. 山崎昇

    ○山崎昇君 全くこま切れ審議で、私どものほうもやりにくいわけなんですが、きょうは技術的なことを二、三お聞きしておきたいと思います。  まず、この法案に入る前に、四月二十九日に、私もちょうど羽田の空港におったわけですが、あの国内線の空港待合室が全部停電になりまして、二時間ぐらい停電なわけです。ゴールデンウイークのはしりでありますから、人は大混雑ですね。アナウンスはできない。それから、どういう経過になっているのか、その報告も何にもない。一番ひどいのは便所でして、これはまっ暗でどうしようもない。そこでまず大臣にお聞きしておきたいのですが、ああいう空港の建物といいますか、ああいうものがこういう事故が起きた場合に、どういう代替措置といいますか、自家発電をやっておるのか、あるいはその他の施設というものがなされておるのか、ないのか。約二時間、私も飛行機がおくれましたから一時間半ばかりおりましたけれどもほんとうにこれはひどい状況になっておったんですが、一体ああいう施設に対してどういう日ごろ監督をされておるのか、また、どういうそういうものに対処する設備がなされておるのか、大臣の監督責任の問題でありますけれども、具体的なことは政府委員でけっこうだと思いますが、お聞きをしておきたいと思います。
  170. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まことに申しわけない次第であります、たいへん御迷惑をかけまして。空港ビルだけの部分的停電のようであります。結局、原因等は関係係官から御説明申し上げると思いますが、いまお話しのありましたような、ああいう国際的なところでありますからして、自家発電等の十分な設備をなすべきであろうと思いますが、何せ御承知のように、次から次と継ぎ足したビルディングでありますので、これらの設備もまだ十分でなかったと存じます。しかし、今後これらの問題は、これは世界的な恥になることでありますから、最善を尽くしてこのようなことのないようにいたしたい、かように考えております。
  171. 山崎昇

    ○山崎昇君 それにつけても、おそらく係官のほうは舞台裏でいろいろ苦心したんだと思うのです。しかし、やはり責任者と現場の何といいますか、監督者といいますか、そういう日航の職員等が、携帯マイクでもけっこうだと思うのです。どの程度にいまやっておるのか、そういうことの逐次報告があっていいのではないか。ただ警察官だけがずいぶんうろうろしておりますから、目につくわけですね。私が一番ひどいなと思ったのは、いま申し上げたように便所の使用がほとんど一時間半くらいできませんでした、実際に。したがって、子供はかなり泣いておりましたし、こういうことを考えると、いま大臣から、継ぎはぎだらけの空港施設だと、こう言うんだが、私はやはりもう少しその点はひとつ監督をしてもらいたい、こう思うのです。それから職員等の態度についても、客をさばくのに忙しいと思うのですよ、込んでいるから。それはある程度私は理解したとしても、多少は——十分か十五分くらいの間に一ぺんくらい、どういう状況なのかということを報告するとか、いわば乗客に不安を与えないような措置があっていいのではないだろうか。私は何か文句を言おうかなと思いましたけれども、何か国会議員で文句を言うのもおかしいという気もしておりましたから、黙って一時間半すわっておりました。何かそういうことについて、どうなんですかね。これ事務当局のほうでもいいと思うのですが、その後何か空港から報告があって、それとの間に、そういう施設等の問題について何か意見がかわされておるのか、あるいはあなたのほうから、対策等何か言われたのか、その辺のことがあれば明らかにしてほしい。
  172. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 私、実は官房長でございまして、担当の航空局長が来ておりませんので、詳しくわかりませんのでございますけれども、一応概要といたしましては、ビル会社が管理しておりまして、それをまた監督する立場にあると思うのでございます、空港事務所は。したがいまして、そういうような公衆の迷惑等の問題につきましては、やはりビル会社にまかさずに、空港事務所が管理を監督しておりますので、適切な措置をとるべきであったと存じます。今回、そういう措置をとらずに、たいへん御迷惑をかけたことと存じます。今後そういうことのないように十分現場と連絡をとりまして、御趣旨のことにつきまして、十分対処するようにということで注意したいと思う次第でございます。
  173. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、いま提案されております運輸省の機構改革の技術的な面でも少しお聞きをしておきたいと思う。実は昭和四十三年の二月二日の第一次行政改革の閣議決定がありましてから、当時中曽根さんが運輸大臣だったようでありますが、部内に運輸行政刷新本部というのがつくられて、いろいろ検討されたと私ども聞いておるわけなんですが、この刷新本部というのはどういう部内の構成でしょうか。おそらく皆さん職員だと思うのですが、どういう構成でやられて、概略どんな計画が論議をされたのか、まず御説明を聞きたいと思います。
  174. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) せっかく先生の御質問の部内のいわゆる行政刷新本部という件でございますけれども、四十二年の閣議決定の前に、運輸省自体といたしまして、省内の行政事務がやはり許認可が非常に片寄っておるではないか、新しい誘導行政というほうへ行政を向けていくべきではないかと反省いたしまして、閣議決定の前に、実は運輸省自体でもってもう一ぺん見直そうじゃないかという話が実は大臣から起こりまして、そこで当時の政務次官を運輸行政刷新本部という中の機関の長になっていただきまして、それで関係の各局長を部員にいたしまして、さらに関係課長を幹事にいたしまして、そういう内部の組織を臨時につくりまして、そして、たまたまその後閣議決定がございまして、行革をやれということでございましたのですが、たまたま軌を一にいたしまして、そういうものを発足させました。  そこで約五カ月ばかりかかりまして、組織の問題でございますね、まず検討したのは。それからいま一つは、行政のあり方につきまして検討したと、特に許認可あるいは報告、そういったものの整理につきまして検討いたしました。それで、もう一つは、これは部内の職員だけでございますけれども、それ以外に運輸行政の進むべき道ということにつきまして、部外の学者さん等にも参加してもらいまして、そういった点につきましても内部的に検討を行ないました結果は、このたびの設置法の改正の中にも一部ございますように、要するにいままで運輸省というのは、いわゆる企画部門といいますか、監督行政にあまり偏重し過ぎたんじゃないかと、もっとたとえば総合的な交通体系というようなものですね、そういった面について、恥を言うようでございますけれども、検討が足りなかったのではないだろうかということで、少し企画部門をひとつ充実させようじゃないかということでございます。そのためには局をふやすわけにいきませんので、ライン・システムでなしにスタッフ・システムということで、企画部門にいわゆる政策計画官というものを配置いたしまして、スタッフ組織でもって官房の審議官が統轄いたしまして、そういった各局にまたがる問題、要するに新しい運輸技術の問題、運輸政策の問題につきまして企画を主にしてやっていくというものを強化しようということを行ないました。それが一つでございます。それがためには、審議会をやはり整理いたしまして、そういった企画的な機能を運輸省といたしまして十分やっていけるために、新たに、お手元にございますような政策審議会あるいは技術審議会という新しい審議会を置いたということでございます。これは組織のおもな点でございます。  それから行政事務につきましては、許認可が非常に多うございますので、これは約二割ぐらい二、三カ年間に減らしていこうではないかということで、件数をあげまして整理いたしました。その結果、一部はこの前たしかおはかりいたしましたのですけれども、許認可等の整理に関する法律というのが一部でございますけれども、これ以外に政令とか、あるいは省令に基づきまする許認可等につきまして整理いたしまして、現在約二割ぐらい整理することにきめられたわけでございます。  以上、概略でございますが、そういう骨子でございます。
  175. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、これができたのが四十三年の七月ごろですね、私の聞いておるのは。そうすると、これに基づいて今回の改正案が出たと、こう私どもは理解をするのですが、よろしゅうございますか。そうすると、この運輸行政刷新本部でつくられたこの案と今度の案と、どういう点で結ばれておるのか、その点説明いただきたいと思います。
  176. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) ただいま先生おっしゃいましたように、やはり刷新本部でできました結論は七月でございました。それに基づきまして設置法の改正で改正すべき点は改正するということでございまして、実は昨年の第六十一国会で設置法の改正案を出したのでございますが、時間切れのために審議未了となりました。このたびは昨年の分にさらに別の分も加えまして、また新たに出しましたのでございます。  そこで刷新本部の結論と設置法の改正の関係でございますけれども、まず一点は、先ほど申しましたように、運輸省の企画部門の強化ということで、要するにスタッフ・システムでやる、そのためには課長クラスの政策計画官というものを置く、そのためにはある程度各局から犠牲を払うといいますか、現存の課をある程度統合いたしまして、七つばかりそういう課長のポストに、格に当たる政策官を官房につくる、それであと一つここにございますのですが、船舶公団の監理官という課長ポストを、これは法律にあるものでございますから、これを落としまして、その課長ポストをさらに政策計画官に加えるということで、八名のいわゆる政策計画官を置いて企画部門を強化した、これが一点でございます。  それからその次に審議会の関係でございますが、先ほど申しましたように、要するに審議会といたしまして、企画立案機能充実のために、新たに運輸政策審議会を置く、それからもう一つは運輸技術審議会を置くということでございます。これは今回の改正案に出ております。ところで新しくつくる審議会でございますので、行政管理庁あるいは大蔵省のほうでといいますか、政府全般の方針で新規にそういうものをつくっちゃ困るということでございます。したがいまして、ほかの審議会を整理いたしまして、各局ごとにございますいろいろな審議会をある程度統合いたしまして、それでこういった全般を見る審議会を二つつくるということでございます。これが現在この法案の中にございます審議会の設置と整理統合でございます。それがここに書いてございます。  それから第三番目は、実はこれは法案には載らなかったのでございますけれども、運輸省というのは非常に公衆との接触が多うございますので、やはり利用者行政ということに気をつけるべきではないだろうかということ、いままではあまりそういった点についてそれほど本気に取り組んでなかったのではないかということで、ひとつ利用者行政の実をあげようと思いまして、実は利用者の声を十分聞くようなそういった場をつくろうではないかということをだいぶ考えたのです。一応刷新本部といたしましては、実は運輸審議会というのが現在ございます。そこでいろいろな許認可等につきましての審議をやりますので、そういうところをひとつ利用して、もっと全般的に運輸に対する注文とか不満とか不服とか、そういった点の声を聞こうという案があったのです。そういう点で運輸審議会を利用するという結論が出たのでございます。これにつきましては、そのときにいろいろ検討したのですが、結局法律にするまでに決意が至らず、今回はそれは法律に入れておりません。  それからその次が、やはり地方の問題でございますけれども、ここに案にございますように、地方の陸運局ごとに現在自動車関係の諮問をするべき、要するに協議会がございますけれども、これを廃止いたしまして、そのかわりに各地方地域ごとに、単に自動車のみならず、陸上交通機関一切を含めた地方陸上交通審議会というものに衣がえしまして、過密問題とか過疎問題、自動車、鉄道一切入れまして審議する、そういう機関を地方に置くということ、これも今度の改正案に出ております。  以上でございまして、それ以外にはもう許認可の整理でございますので、これは許認可整理の法律のほうに入れておるということでございます。  以上でございます。
  177. 山崎昇

    ○山崎昇君 私も運輸行政改革計画の要旨のようなものを持っておるわけなんですが、そこで、いま説明ありましたが、これを見ますと、規制型行政から誘導型行政に転換すべきであると、こう言っているのですね。そこで、いまあなたから今度の改革案で、企画部門の強化、審議会の整備、利用者行政をある程度考えたい、それから陸運局単位に陸上交通関係審議会をつくる、大筋この四つなんですね。しかしこれだけからいきますと、この刷新本部で言った規制型の行政から誘導型の行政に転換すべきだと、こう言っているのだが、その内容にしては私はきわめて乏しいのではないか。何にもこれは転換をされたような内容になっておらないのではないだろうか。そこでお聞きをしたいのは、一体誘導型行政という中身についてどういうふうにお考えになっているのかお聞きをしたい。
  178. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) いままで、何と言いますか、交通事業そのものは非常に公共的色彩が強いということでございまして、それぞれの事業法規を持っております。その法規に基づきましてまず事業の免許——新設の免許でございますね。それから廃止に至るまでの認可、それからその間いろいろな事業計画の変更をやれば認可あるいは報告、いろいろございます。そういう点で陸上交通の面では特に自動車が最近非常な勢いでふえております。たとえば道路運送法などを見ますと、非常にこまかな点を監督しておりますので、まあ最近のように非常に車がふえますと、車が少ないころと同じような行政をやっておったんではとても間に合わない。むしろ重大な問題が抜けていくのではないかということでございます。たとえば安全の問題等にいたしましても、許可、認可のほうに時間をとられまして、そういったような大きな問題のほうにむしろ手が抜けるということはいかぬじゃないかという、一つの例はそんなようなことでございますし、それからいま一つは新しい要するに流通革新といいますか、新しい輸送革新ということがありまして、それに対応する政策が要るのではないか。ただ鉄道なり自動車なり航空なり、海運なり、ばらばらにものを見ていてはいかぬのであって、やはり一貫共同輸送というようなものが新しくできておりますし、そういった新しい輸送革新に沿うような、そういったような行政をやっていくべきではないか。そのためにはいままでのようなやり方では、各局、たとえば陸運局、自動車局、鉄道局というふうに分かれておりまして、縦割りでございますので、そういった全般を見るとか、横にものを見るとかという問題、そういった点が非常におろそかにされている。これは安全問題も公害の問題もそうでございます。それから新しい流通革新の面もそうでございます。そういった面について新しい目でものを見る。ただ許認可だけに終わるべきでなしに、新しい行政需要に対応したやり方をやっていくべきではないだろうかということでございます。  非常に説明がへたでございますけれども、そういう気持ちでやっていきたいということでございます。
  179. 山崎昇

    ○山崎昇君 どうもぴんとわからないのですね、私ども。あなた方の誘導型行政なんというのは、私も行政かなり見ているけれども、初めて見ることばでして、一体どういうことなのかよくわからないのですが、もう一つのあなたのほうの柱に、運輸行政は利用者の便利の確保を中心とするサービス型の行政であるべきだと、こう言う。そこで今度の改正案見て一体どこが利用者中心のサービス行政型になっておるのか。ですからあなた方の考えるサービス型行政というのはどういう内容のことなのか、これも基本的な考え方としてまずお聞きをしておきたい。
  180. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 要するに事業者じゃなくして利用者の側からものを見るということをいままで欠いていたのではないだろうかという反省から出たものでございまして、要するに運輸利用者行政という観点を今後つけていくべきではないだろうか。具体的にはそれじゃどういう課をつくるかということでございますけれども、これは残念ながらまだそういったはっきりしたものは出ておりませんけれども、たとえば法律事項でございませんので、出てまいらないのでございますけれども、省令で広報公聴のための広報室というのを実は昨年置きました。これはおもに広報関係でございますけれども、同時に利用者の声を聞くようないろいろな調査を行なう。たとえば、最近はやっておりますカードを送って、デルファイ・メソドといいますか、そういったものを出して、そうしていろいろな利用者の声を聞いて、統計にとって反映させるというようなこと、そういったようなことをやるべきじゃないかということで、法律に出てきませんけれども、訓令ではそういうものをつくっております。  それからいま一つは、先ほどやはり申しましたようなスタッフの政策計画官の中で、そういったような面での行政需要ということについて今後対処していこうということで、政策計画官の一人にそういうことをさせたいということを考えておる次第でございます。
  181. 山崎昇

    ○山崎昇君 もちろん法律に出ない点もあると思うのですよ。私は、せっかくあなたのほうでこういうものをつくっているのだが、いまの交通事情からいけば、逆に規制型の行政にならざるを得ないのではないだろうか、こう思うのです。私は、たとえば今度あなたのほうでつくられる交通公害の研究所一つ考えてみても、交通公害をほんとうにやろうとしたら、誘導ではできません。これは規制にならざるを得ないんじゃないかと思うのです。したがって、考えはそうだが、現実は規制型に私はいかざるを得ないんではないだろうか、こういう気がするので、いまあなたのお考えを聞いているのですが、どうしても誘導型行政というのをつくられたことについてどうもぴんとこないのです。もう少し何かわかるような設例があれば設例でそのことを御説明を願いたいというふうに思うわけなんですが、どうなんですか。
  182. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 説明がどうもまずくて申しわけございませんけれども、いままで規制型と申しましたのは、たとえば自動車の運送事業を例にとりましてみますと、現在の道路運送法によりますと、営業所も、配属している車両をたとえば数をふやすというような場合に、一々認可が要るということでございます。そういうことは、たとえば車の数が少ないころはよかったのかもしれませんけれども、車が多くなりまして、そういうふうなことを一々やっていて、一体それが全般的に自動車行政にどれだけプラスになるだろうかという点をわれわれは反省をしているということでございます。そういうような問題、もちろんこれは安全とか人命にかかわる問題等はこれは十分やりますけれども、それ以上にあまりこまかなことに力を注ぐ手はないのじゃないかという趣旨でございまして、決して安全等をおろそかにするという意味じゃございません。そういったような個々の許認可であまりもう意味のないようなものをどんどん廃止していこうじゃないかということが一つの趣旨でございます。そのかわり、たとえば自動車を都会で、バスならバスのような公衆用のものをどうして優先的に動かしていったらいいかとか、そのためにはどいう施設が要るだろうか。道路はうちじゃございませんけれども、建設省なり道路管理のほうにも、こういった方法だからこうだという、そういった問題を申し入れる。あるいは通勤対策の一環として、地下鉄との関連におきましてこうあるべきだ、そういったようなことに力を入れていくべきではないか。決して担当行政をおろそかにするという意味ではございませんが、いままでのような惰性のことではいかぬではないか。そういう意味でございますが、おわかりでございましょうか。
  183. 山崎昇

    ○山崎昇君 どうも誘導型の行政とサービス型の行政と二本立てになって、あなたの言っているほうは、何かサービス型にも聞こえるし、そこでこれはあなたのほうでつくった二大柱ですから私はお聞きをしているので、対置されているのは、規制から誘導にするというのだから、私は私流に行政を言うならば、いわば助長行政になるのか、指導行政になるのか、そういう意味で誘導行政ということばを使われておるのかどうか、どうもぴんとこないから、誘導ということばがわからないのですが、サービス型の行政だというなら、これもたとえば乗車拒否一つ見ても、これは業者にあなた方が指導して自由にやらせたら、この乗車拒否はなくなるかというと、そうではない。だんだんだんだん、事業をやっておられる自動車会社は、あなた方が何かかにか締めつけるようなことをやっていかなければ、乗車拒否一つの問題にしても解決しなくなってきているのじゃないか。というと、どうも私は規制型の行政から誘導型の行政に転換と言うのが、むしろ規制型の行政が強まるような方向に現実は行かざるを得ないのじゃないか。こういう、私は一つの柱のほうからいえば逆になるのじゃないかという気がする。ただ、サービス行政というようなことになるならば、これはいろいろな例があり得ると思うのです。その辺ひとつごっちゃになっているのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  184. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 私がただいま御説明申し上げたような点もございますし、それからいま一つは、何といいますか、運輸経済政策といいますか、将来のビジョンといいますか、そういったビジョンがいままでなかったのではないかということでございます。それで特に、たとえば港湾とか航空とか、それぞれ施設の面での計画を持っております。五カ年計画を持っておりますが、今度は海運とか、あるいは陸運とか、あるいは航空とか、そういうものをまとめて、まとめた一つの構想体系といいますか、そういったような面でのビジョンですね、そういった根本的なビジョンから派生いたしまして、港湾かくあるべしとか、航空かくあるべしとかが出てくるのじゃないか。そういったもとになるような長期のビジョン、そういったものをつくることも誘導行政一つではないかと思っております。確かに観念がちょっと混乱いたしましたのですが、そういった問題と、いま一つ、先ほど申しましたようなサービス行政といいますか、そういったような面、こういったところに切りかえていこうじゃないかという趣旨なのでございます。
  185. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで重ねてお尋ねいたしますが、運輸省自体がサービス行政というと、どういう具体的なことになりますか。運輸省自体が行なうサービス行政とは具体的にどういうことになりますか。
  186. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 運輸省自身でいま事業はいたしておりません。いま国鉄は分かれましたし、監督しておるわけでございます。したがって、運輸省自身がやっていることでサービスという意味では実はございませんので、要するに利用者のための交通機関をというための行政、それに適合した行政をやっていくという趣旨でございます。そういう意味でございます。
  187. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、私はどうもわからなくなってくるのは、あなた方の行政機関としてやられることは、業者なり、あるいは関連する官庁に対して、こうしたらどうですか、あるいはこうすべきではないですかというふうになってくれば、これは誘導型行政というのですか、指導型の行政というのですか、そうなるのだと思うのです。ところが、二つ目の柱で、運輸行政は利用者の利便の確保を中心とするサービス型の行政であるべきだというから、行政機関の運輸省として行なうサービス型行政というものはどういうものですか、こういうことをお尋ねしているわけです。
  188. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) それはやはり利用者の面に立って運輸行政を考える、そういった意味でございます。そういった意味のサービス行政でございます。
  189. 山崎昇

    ○山崎昇君 具体的に言ってください。どういうことをやるのですか。
  190. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 具体的に言いますと、たとえば貨物輸送の例をとりますと、要するに需要者である荷主でございますね、荷主が一番望んでいる輸送手段はいかなるものがあるだろうか。これはたとえば、長距離の貨物はコンテナ船がいいだろうと一応いいますけれども、いま実は長距離自動車が多うございます。これは実は相当高い運賃を出しまして運んでいるんですね。船よりも確実に着くというところで業者は利用しているのですが、これは国民の目から見て実はいいのだろうかという問題があるわけでございます。そういった場合に、たとえば鉄道を、貨物の特急を走らせまして、長距離のたくさんの物を運ぶといったほうが、安くて、しかも早いということでございます。そういった点がいままで非常に抜けていたのではないか。それからたとえば船も、内航海運を利用いたしまして、車を乗せたまま、車でもって運ぶ。このほうが安全の面からも、道路の込みようからもいいし、運転手の面からも、休養ができますので、いいのではないか。そういったような発想で行政を考えていくということでございます。それは要するに、利用者にとって非常に便利になるのじゃないか。一つの例でございますが、そういった例があるのじゃないかと思います。
  191. 山崎昇

    ○山崎昇君 どうもまだよくわかりませんが、だんだん具体的にじゃお聞きをしていったほうがいいのだろうと思うんですね。そこで改革計画案を見ると、具体的事項として、第一番目に許認可の整理ということがあがってきているわけですね。そこでお聞きをしますが、第一次、第二次行政改革の両方をひっくるめて、運輸省では具体的な事項の一番目にあがっておる、許認可の整理という例ですね、どう実施されたのか、お聞きをしたいと思います。
  192. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 実は計画では三カ年間で現在二千六百四十九件ですね、許認可がございます。これは法律事項もございますし、それから省令の段階もございまして、海、陸、空全部通じまして総計二千六百四十九件、これを三カ年間で約一七%強でございますけれども、四百七十件ばかりですね。要するに時代に合わないのじゃないかと、こういうことはせぬでもいいんじゃないかというようなものを整理いたしたいということでございます。それでこれは四十三年の閣議で、各省とも大体許認可が一割整理せいということでございましたのですが、私どもといたしましては一七%、相当多目に整理したいということでございます。それで三カ年間でやっていきたいということでございまして、この三カ年間に逐次やっていくということでございまして、現在までにその四百七十三件のうち約百五十件ですね。先般もお願い申し上げました許可、認可等の整理に関する法律に一部入っているものもございますし、それ以外に省令も直すといたしまして、百四十七件整理すべくいま進めている次第でございます。残りを四十六年までには全部整理したい。これは許認可でございます。それ以外にも報告等の整理ももちろんございます。一般許認可の業務でございます。
  193. 山崎昇

    ○山崎昇君 私の数字が違ったら指摘してもらっていいと思うんですが、いまあなたから許認可の件数が二千六百四十九件だ、今日まであなたがたが整理しようとした件数が四百七十三、パーセントにして二一・二%にしかならない。この四百七十三件という許認可は、四十三年度から四十五年度までに行なわれる数字ですね。そうすると残りはあなた四十六年度でやられると、こう言うんだが、約八割近いものが残っておるのですよ。これを四十六年度でできますか、どうですか。
  194. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 四十五年と、今年度と、それからまた来年二年間で整理したい、やるつもりでおります。
  195. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣、いま官房長から、八割ぐらい残っておるのですね、第一次計画と第二次計画を出したものが。それが四十六年と四十七年度がありますね。この二年間で約二千件近いものを実際にやれますか。私は少し疑問を持つんですがね。そのほかに報告事項を見ますと、報告事項にしても三割ぐらいしかやられていませんね。私の数字が間違いなら指摘してもらっていいが……。件数が九百六十件、整理件数が約三百三件、整理率が三一・六%と、こういうことですね。この数字に間違いがないとすれば、約七割近いものがこれまた報告等で、二年度でやるということになりますが、実際にやれますか。三年度かかってわずか二割しかできてないんですよ。  それから、私はせっかくあなたのほうでりっぱな計画を立てられておるんだが、どうも現実は誘導よりも規制が多くなるのじゃないかという気がするんだが、そうすると、行政のあり方は、新たに許認可事項なり報告事項というものはふえてくる事態にあるのじゃないか、私はこう思うと、せっかく、りっぱだといわれた四十三年にできたこの改革計画というものは、あまり実現性がないものではないか、実現されておらないのではないか、こういう気がするのですがね、どうですか。
  196. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 先ほど申しましたように、要するに整理する許認可の数が二千六百四十九件ございます。そのうち約一七%に当たります四百七十三件を整理したい。これは四十五年度、六年度、七年度と三カ年間で整理をするわけでございます。それで実は四十四年まで、先ほど申しましたように約一割の二戸四十五件を目標にいたしております。それであと四十五年、六年と二年間でやはり八割ありますけれども、二百四十五件——要するに四百七十三件を全部整理しちゃうおうと、こういうことでございますので、したがいまして、四戸七十三件のうち現在二百四十五件を整理しつつあるということでございますので、二割じゃないのです。五割ちょっといっておりますので、多分あと二年間でできるのではないか、こう思っている次第でございます。
  197. 山崎昇

    ○山崎昇君 私もちょっと勘違いしました、あなたのいまの説明で。あとそうすると二百何件残りますね。そうするとこれは四十六年度中で全部終えるということですか。
  198. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 四十六年度に終えたいと思っております。
  199. 山崎昇

    ○山崎昇君 報告事項のほうはどうなりますか。
  200. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 報告事項につきましては、現在の報告事項を洗いますと全部で九百六十件でございます。この九百六十件のうち三百三件、約三割でございますけれども、これを整理したいと思っております。それで現在三百三件のうち百七十五件整理を進めておりますので、残り約百三十件、四十五年度、来年にかけて整理したいという趣旨でございます。
  201. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで許認可あるいは報告事項が、誘導型行政並びにサービス型行政移行への具体的な事項の最大の問題になっているわけですね。現状としては、いま官房長の御説明がありましたとおり、私もわかりました。あと一年度で全部予定どおりやるというわけですから、これは確認をしておきたいと思います。ところが、その内容を見ますと、どうも利用者の利便を確保するための具体的措置には私はほど遠い内容になっているのじゃないだろうか、こう思うのですがね。この点についてはどうですか。
  202. 鈴木珊吉

    政府要員(鈴木珊吉君) おそらくそういう御指摘は正しいと思います。と申しますのは、事業者に対しますいろんな許認可報告等を整理いたしましたものでございますので、利用者に対し役立つものではございません。むしろこれにつきましては、利用者に対していい行政をやっていくという面での新しい規定が要るのじゃないかと思っております。
  203. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、あなたのいまの御説明では、新しい規制が要るのじゃないかと思うということになれば、どうも私は、先ほど来言っているように、この基本計画に言われる誘導型行政というのは、運輸行政が進めば進むほど、私は規制をされてくるのじゃないかと思うのですね。これは一般的に行政国家になればなるほど行政というものは国民生活に入ってきますから、何らかの形で、直接許可する認可するは別として、何らかの形で行政が、いわば規制型の行政にならざるを得ないのじゃないかと私は思うのです。その計画案というのは相当私もどうもぴんとこないのですね。そういう意味で少ししつこいけれども、あなたの見解を先ほど来聞いているのですがね。そうするといま許認可の件数は、昭和四十六年度まで入れて四百七十三件が、かりに許認可が多少の緩和をされたとしても、新たに、利用者の側から言えば、規制がふえてくるということになると、サービス行政でもなければ誘導型の行政でもなくなってくるのじゃなかろうか、こう思うのですが、あなた方の考えていることとやっていることとは少し矛盾しませんか、その点どうです。
  204. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) いま私が、利用者に対する規制と申したのじゃなくて、規定と申したのでございます。利用者を規制するのじゃございませんで、利用者保護の新しい規定が要るのではないか、こう申し上げたわけでございます。  そういった面で、今度の許認可の整理は、利用者が便利になるということよりも、むしろ事業者がその点では負担が、手間が省けるのではないかと思います。そういった面が主でございまして、そうしてすぐ利用者が、たとえば通勤の客とか、利用者自身が直接すぐ便利になるというものでは実はないのでございまして、むしろいままで、時代が変わって古くなったとか、時代に合わないとか、そういったような許認可はやめていこうということでございます。したがいまして、その事業者がそれによって非常にスムーズにいくと、それは間接的にはまた利用者には響くのではないかと思います。ただ、別に利用者そのものにつきまして、もっと要するに利用者のためになるような行政をやっていくべきであるという御指摘に私申し上げた次第でございます。
  205. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま、あなたは規定と、こう言われた。まあそれでもいいですわ。しかし、規定ができるということは、私はやっぱり間接的であれ、いままで何にもなかったのがだんだん狭まってくるわけですから、そういう意味で言うなら、広い意味でやっぱり規制型になっていってしまうのではないか。どうも私は、運輸行政というものはだんだんそういう方向に向くのではないかと思うのですね。なぜかというと、高度に発達すればするほど、どこか公の機関である程度の交通整理をしませんと、これは実際にでき上がらないのではないかと思うのですよ。こういう意味では、私は緩和よりも規制の方向に向くのではないかという気がするものですから、先ほど来お聞きをしておるわけです。  そこで、具体的にもう一つお聞きをしておきたいのは、時間がありませんが、先ごろ総理大臣の諮問機関である物価政策会議から、少し行政は物価に介入し過ぎているのではないか、こういう一つの例題として、タクシー料金等の問題が出されましたね。そこで、これを受けて一体運輸省は、この行政の介入という問題について、どういうふうにお考えになっているのか。あわせて昭和三十八年の八月に、行政管理庁から監査の結果として、この運輸行政のあり方については多少の指摘をされておるわけなんですね。そういうものもあわせて、一体、運輸省はこの行政の介入というものについてどう考えておるのか、お聞きをしておきたいと思う。
  206. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) なかなかむずかしい問題でありまして、実は閣僚会議の意見にしましても、あるいは行政管理庁の意見にしましても、ただ社会構成というものが非常に複雑化してきておる。いま山崎さんがおっしゃったように、したがって、ある意味では規制すべき面がある程度出てくるのではないか、そういう面でもわれわれは考えざるを得ない点もあると思います。たとえばタクシー行政もそうなんですが、前には車を走らせるということが、どちらかといえば、このタクシー行政中心であったと思うのですね。いまではタクシーを安全に走らせる、あるいはそれによって起きた事故は、物的損害はだれが背負うかということが、やっぱりこのタクシー行政の中に入ってきておるわけですね。したがって、はたしてこの物価安定会議ですか、から出ておりますけれども、一定の基準に合致したものはそのまま認めたらいいじゃないか、及び台数等は従来制限しておるが、これも申請があったら、基準に合ったらそのまま認めたらいいじゃないか、こういうような弾力的な提言です。  ただ問題は、これは皆さん御承知でありますが、いまタクシー運転手というものが、いろいろの事情があります。これもまた現在の新しい社会といいますか、近代社会における企業の中における勤労の条件というものと少し事情が違ってきておる。タクシーの運転手であれば、たとえば二十四、五歳の運転手も四十歳の運転手も、タクシーの水揚げ量は変わらない。あるいは若い人のほうが多いかもしれない。勤続年限がそれに加わらない。実際の水揚げの上から言ったら変わらないわけですね。そういう点から言って、はたしていまの現状のままタクシー運転手というものを近代産業下における勤労者と同じような条件になし得るかといいますと、なかなかむずかしい問題があります。また、これをいわゆる政府の保護のうちからはずしてしまって、だれでもやれる、こういう状態が——交通事故が起きた場合に、それを国が全額支払うならいいんですけれども、自賠法なるものは、御承知のように大部分がドライバー、車を持っている人、所有者がこれは保険を積んでいくわけですね。そうしますというと、はたして——相当人命の価値が上がってきております。今度も五百万円に上げておりますが、外国の例で見ますとおそらく一千万円以上、高いところは五千万というようなところがありますね。そういうものにたえられるかどうか問題があります。そういう意味において、近代社会というものが多種多様な諸要因を持っておりますので、一がいにこの規制をやめていいかどうかという問題も一面においてはあります。  ただ、経済の流動性といいますか、経済の進展化ということを目ざす意味においては、やはりこれは弾力的な措置は考えなければならない。私も運輸行政に携わっておりまして、あまりにも不必要な許認可事項がある。そういうことからして、刷新本部であのような案をつくってまいったわけでありますが、ただ、先ほど来からいろいろお話がありました誘導型あるいは規制型ということばが適当かどうかと言いますというと、私も、私のつくった文章じゃありませんけれども、必ずしも適当じゃないと思います。ある意味においては、行政の本来の性質は監督であり指導であると、これは行政法の原則であります。ただ最近社会科学といいますか、時代に沿うてことばの使い方が非常に広範に使われますからして、したがってサービス型とか、あるいは規制型とかということばを使ってもおかしくはありませんけれども、必ずしもこれは行政法のたてまえから言うところの意味とはだいぶ意味が違ってきている。純粋に言うなれば、行政法としてはいわゆる監督であり指導である。先ほどからお話がありましたように、監督指導というものがその役所だけにとどまらないということですね。その法律に従って動いている、あるいは運送会社にしましてもタクシー会社にしましても、それもある意味における行政の、広い意味から言えば一部を担当しておる。こういう意味から考えますというと、まあ官房長が言いましたように、使用者あるいは利用者の立場に立ってものを考えるという考え方があっても、これは差しつかえないと思う。またそうあるべきであろうと思います。そういう意味において、運輸省としては、少なくとも国民大衆に直結しておる監督行政の立場にあるからして、ものの考え方あるいは扱い方を、利用者本位といいますか、利用者の立場に立ってものを考える、こういう反省は私はまた歓迎してよろしいのではないだろうか。ただ、いわゆる許認可と、こういう権限だけ持っておって、そこでややともすれば、役人の指導監督というものは許認可事項を持っていることから出てくる場合が多いわけであります。そういう意味において、いわゆる監督行政というものは許認可行政であることは間違いありませんが、近代社会のようないわゆる組織化されておる社会では、あるところを押えれば全体が押えられるというような社会、情報化時代でありますからして、ものの考え方、発想法を改めて考えていくということが必要な時代に入ってきておりますので、いわゆる運輸行政なるものもここで見直そうというところに刷新本部の一つの方針がある、かように御理解願えればありがたいと思います。
  207. 山崎昇

    ○山崎昇君 時間のようですから、いま大臣の言われたように、必ずしも私はことばに拘泥して言っているわけじゃありませんが、ただ、いみじくも大臣のいま言われるように、行政というものは本来監督指導だと、したがって監督指導が関連する業者にゆるめられることが、住民にとってはサービスにならない場合となる場合とある。私はいまのような経済政策をとっていく限りにおいては、いやでもおうでも、行政そのものとしては、監督が強まっていくという方向にならなければ、なかなか住民というものに対するサービスといいますか、住民は安全にならない、こういう私はいまのところ関係にあるのではないだろうか。そういう意味で言うと、たいへん評価されたといわれる改革計画なんですが、私はどうも必ずしもこれが正しいと思われぬし、現実は逆の方向へ行くんではないだろうか、そういう気がするものですから、いま行政機構論は主として技術論みたいになっておりますが、お聞きをしているわけです。大臣が四時までという約束ですから、あらためてまた運輸行政についてお聞きをすることにして、きょうはこの程度でひとつとめておきます。
  208. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 本案に対する本日の審査は後日にいたしたいと存じます。     —————————————
  209. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は御発言を願います。
  210. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農林省の設置法一部改正につきまして、関係の官房長、局長及び部長に、どうも問題だと思われます点をお尋ねをいたしたいわけです。  その一つは、統計調査部の問題ですが、今度の措置によりまして、四十九ありますところの統計調査事務所が三つに分かれるといいますか、組織上三つに区分されるといいますか、分かれるような形になるわけですね。いま四十九あります事務所がそれぞれ対等であり平等であるわけですけれども、今度の農林省設置法の一部改正によりまして、北海道のほうは四事務所ともこれは本省統計調査部に属する、それから宮城とか、東京とかという地方農政局のある所在地の統計の本所が、これは地方農政局の部になる。それ以外の事務所は、これは地方農政局の出先機関になるということで、四十九ある統計調査事務所が三つに区分されるわけですが、そのことによって業務上差しつかえがないかどうかということですね。敏速さの点において、能率の点において、仕事をやる上において十分であるのか、問題は起きないのかどうかという問題ですね。機構というのは、これは複雑であってはまずいわけであって、今度できます機構が、そういう意味では非常に複雑になる。機構は簡単で明確なほうが組織としてはいいと思うのです。そういう意味で、業務上差しつかえないのかどうかという点についてお尋ねいたします。
  211. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 御質問のとおり、今回の改正案によりまして、農林統計調査事務所の機構は、北海道におきましては本省の直轄の統計調査事務所となりますし、内地におきましては地方農政局の所在地はその地方農政局の統計調査部という形になりまして、その県の農林統計事務をやりますとともに、地方農政局管下の管区機関の一部局としまして、管区内の統計調査事務の統括をすることになります。それから、それ以外の各府県の統計調査事務所は地方農政局に属しまして、所官の県内の統計調査事務を所掌することになるわけでございまして、御質問のとおり、大別すれば三つのタイプになります。北海道につきましては地方農政局がたまたまございませんので、本省の直轄にいたしておりますが、これは北海道という特殊の地域の問題でございまして、内地におけると本質的に異なる面がないわけでございまして、地方農政局がありませんために、たまたま本省の直轄にしておるに過ぎないわけであります。また、内地の地方農政局に所属します統計事務所にいたしましても、管区機関の中に入るものと、その下につくものと二つのタイプになるとは言え、統計をとります仕事の性格として、その業務の実態がそれほど現在と異なるはずはないわけでありまして、特に中央で管理をしております基本的な統計につきましては、私どもも本省の統計調査部が統轄をし、企画立案をしまして、統計の仕事を進めてまいるわけでございます。かりにこの法律案が成立をしましても、それほど変化はないというふうに考えております。ただ、この法律案を提案しております目的一つであります地域農政を進めます資料としての地域的な統計の作成の面につきましては、かなり地方農政局長に権限をまかせるつもりでございますので、その面におきましてはいままでと多少違った点が出てまいりますけれども、大筋としまして、現在とあまり変わらないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  212. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 こういうふうに三つに——従来四十九の統計調査事務所というのは対等であったし、平等であったわけですが、それが三つに段階が分かれるような形になるのですね。業務の面は、部長のおっしゃる点はよくわかりますが、ただ必要なことは、人事が平等に統一的に行なわれるかどうかという点がやはり機構を変える上には必要だと思うのですね。そうしますと、いまの北海道のほうは部に直属をしておる、それから管区のブロックのほうは、農政局の所在地にある統計調査事務所は地方農政局の部になる、それ以外の三十幾つの統計調査事務所は出先機関みたいになっちゃうということになりますと、これは人事の公平と、それから統一という点から問題は起きないかどうかという点を懸念するわけなんですよ。その点について見解を伺うと同時に、あるいは何らかの措置をされるのかどうか、それをお尋ねいたします。
  213. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 人事の点につきましては、行政職一の五等級以下の職員につきましては、その人事権を地方農政局長にまかせますけれども行政職一の四等級以上の職員につきましては、人事権は本省で握りまして、大臣官房において処理をするということになっております。したがいまして、一般の五等級以下の職員についてはともかくといたしまして、事務所あるいは地方農政局と統計調査部の幹部になる人につきましては、本省で統一的ににらみながら、全国アンバランスが起こらないように調整をして人事を進めることにいたしておりますので、御心配のような点は起こらないというふうに確信をいたしております。
  214. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 従来は、統計調査事務所の人事というのは、県内にある調査事務所の所長の内申によって、これは部長がやられただろうと思うんです。今回はそれが三つの形に分かれるんじゃないか、北海道の分と、それから地方農政局の中の部に入るものと、そうでない三十八ぐらいの地方農政局の出先機関になる事務所と。どうも私そこのところが統一的に、あるいは公平に行なわれないんじゃないか、まず統一的な面について問題があるんじゃないか、いま部長のほうからいろいろお話があったんですが、どうもそういう懸念がしてならないわけなんですが、これはそういう意味の心配は要らないのかというふうに重ねてお尋ねをいたします。
  215. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 人事の運用は、組織を安定させ、仕事を発展させます基本でございますので、慎重の上にも慎重でなければならないと思います。したがいまして、ただいまの先生の御指摘を拳拳服膺いたしまして、問題が起きないように運用してまいりたいと思いますが、特に具体的な人事に当たりまして、一万二千名にのぼる膨大な職員をかかえております関係上、かりにこれを地方農政局長にまかせましても、従来の行きがかりとか、職員の能力を判定するとかいうような点について、いろいろ問題を把握するのに難渋をする懸念がございますので、おそらく先生の御指摘のような御心配があると思いますので、この人事の具体的な処理につきましては、かりに地方農政局長にまかせました面につきましても、従来の農林統計組織地方農政局の総務部と十分に相談をするような体制をとりますし、また、それについて私どもも中央から助言をする、また、中央の大臣官房で所掌します分につきましても、十分本省の統計調査部と相談をして、相談づくで人事を進めるということによって御心配の点がなくなるように運用してまいりたいと、かように存じております。
  216. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 北海道の四つの統計調査事務所は部に直結している。それからブロックにあります地方農政局所在地の統計調査事務所は地方農政局の部になり、残りの三十八の統計調査事務所は、これは地方農政局の出先機関になるということになりますと、これは労働条件が違ってくるのじゃないか。ブロックにあります地方農政局の中に入る部は、これはブロックの機関になりますし、県にありますのは、これからは県の機関になる。県単位の県の機関になる。北海道はどういうことになるのか、従来のとおりなのか。あるいはおそらく県と同じものになるんじゃないかと思います。そうしますと、すぐ労働条件に差が出てきまして、勤務条件に差が出てきます。たとえば超過勤務手当について、あるいは昇格の基準について差が出てくる。そういう面についての配慮というものをどういうふうになされているのか。いままでは、先ほど申し上げたように平等に行なわれておった。統一して行なわれておった。これからは差が出てくる。機構が改革されれば、ブロック機関はブロック機関としての労働条件、勤務条件があるんだし、県の段階のものとしては県の段階の勤務条件があるんだということでは済まされないものがあるというふうに私は見ておるわけでありますけれども、そういう面についての配慮がどのようになされているのか、また、今後どのように善処していかれる予定なのか、それをお尋ねをします。
  217. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 北海道につきましては、御指摘のとおり一般の府県並みになると思いますが、ただ、北海道は農政局がございません関係上、従来も連絡事務所という制度を置きまして、札幌の統計調査事務所を連絡事務所に指定をしまして、道内の農林統計の取りまとめをさしております。したがいまして、今後、北海道の道内の全般を統括するという意味におきまして、札幌の事務所を内地の農政局の統計調査部的な扱いと申しますか、それに準じたような扱いにするかどうかは今後検討すべき問題でございまして、ただいまいかにするかという結論は出しておりませんけれども、その問題が残っております。  それから内地の農政局に入ります統計調査部につきましては、従来どおりその県の統計事務を統括するという職務のほかに、地方農政局管内の農林統計事務を統括をする職務が新たにつけ加わってまいるわけでございまして、まあ管区機関としての機能を備えるということになりますので、一般の府県の事務所とは若干職能が違ってくる面がございます。したがって、その面で超過勤務手当とか、あるいは予算上の人当庁費とかいう取り扱いについて若干の差が出てくることは、その機関の性格としてやむを得ない面があるのではないかと存じます。ただ、人事の扱いの問題もありますので、できるだけあまりアンバランスが起こらないような運用は具体的な人事等を通じてやってまいりたいとは存じますが、機関の性格として、いま申し上げましたような差はある程度出てくるものと考えております。
  218. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま私が申し上げました、そういうまあ従来は四十九の統計調査事務所が平等であるし、対等であったわけですけれども、今度の処理によりまして、私が指摘をし、またいま部長が御答弁になりましたような差が出てくるんです。それをどのようにカバーしたり、あるいは不平がないような形に善処していくかということが非常に大切だと私は思うわけなんです。ですから、これはまあ限界があるわけですけれども、今後ともひとつ善処方を要望いたしておきます。  それからもう一つありますのは、たとえば九州を例にとりますと、九州七県の中の熊本の統計調査事務所が九州農政局の中の部になるわけですね。そうしますと、これが九州七県の統計のブロック管轄もするということになるわけですね。そうしますと、管区機関みたいな、七県を統括するようなそういう部としての役割を果たさなければならぬから、人事もこの二、三年の間に相当変わるのではないか。ブロック機関としての体制、人事をつくるのじゃないかということが考えられるわけですね。もちろん、そのブロックとしての機能がどの程度あるかということは私わかりませんですけれども、ブロックを管轄する機能はわりあいと小さいということになれば、熊本にある統計調査部が管区としてのどの程度の人事異動をするのかということにもなるわけですけれども、そういう管区の機関、ブロックの機関としての人事の回転がこの二、三年の間に相当急速に行なわれるのではないか、そうしてブロック機関としての体制ができ上がるのじゃないか、その点の処理のしかたを誤りますと非常に不満が出てくる。これはどうも私は不満が出ざるを得ないと思うのですけれども、そういう点についてどういうふうに考えていらっしゃいますか、お尋ねをしておきます。
  219. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 御指摘のとおり、地方農政局の調査統計部は管轄機関としての一面を備えております。その仕事の分量はどの程度になるかは、今後、統計の業務の内容をはっきり検討し、コンクリートにしてまいりませんと、いまここでこれだけだということを申し上げるわけにはまいりませんが、おおむね中央の所轄の統計の分野が七割程度、それから地方農政局にまかせます地域統計をとる仕事の分野が三割程度というふうに考えておるのですが、まあこれが六割五分対三割五分ぐらいになるかもしれません。その程度でございまして、地方の面におきましては、従来とあまり変更がないわけでございますが、そういう管轄機能を遂行するという面において、人事の面におきましても多少地方にある人材を集めるというようなことも必要でございますし、また、職員の管理とマネージという点につきましても意を用いる必要がございますので、一般の事務所から人を集めるということも予想されることでございます。ただ、その場合に、この職員の置かれた勤務条件をよく分析しまして、また配置転換等につきましても希望を尊重するといったようなことを通じまして、職場に不満の起こらないように、この変革をやりたいというふうに考えております。
  220. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そういうふうにひとつぜひ御努力をいただきたいと思うのです。それからもう一つは、機構改革、今度の設置法が成立いたしましたあとの、管轄に入らない、地方農政局に、直接、部として入らない三十八のこの統計調査事務所ですね、そのあり方がこれからどうなるのか。それからもう一つは、その出張所がどいうい形になるのかという点をお尋ねをしたい。入らない三十八の統計調査事務所というのは、これは地方農政局の出先機関になるわけですね。そうしますと、これは統計調査事務所という名称は変わるのではないか。いまは変わりませんですけれども、近い機会に支所になるのか、あるいは何か事務所になるのか、いずれにしましても名称が変わるのではないか。そして縮小されていくのではないか。そしていまあります出張所が形態が大きくなってくるのではないかということが一般に言われているわけなのですね。それで、いままでありませんでした出張所の中に課制がしかれる。いままではまあ課制がなかったのですが、課制がしかれるところが出てきましたし、そういう意味ではこの三十八の統計調査事務所が名称が変わってき、そして縮小されるのではないか。あるいは出張所が変わってくるのではないかという、そういう懸念についてはどういうふうな御回答をいただけるものか、伺いたい。
  221. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 私ども統計調査事務の出張所、現在六百あまりありますが、これを将来四百五十ばかりに整理統合したいという計画を持っておりまして、年々その計画を遂行中でございます。したがいまして、現在よりもその計画が成就いたしました暁には出張所の管轄範囲も広くなりますし、人も多くなりますし、力もついてまいると思います。したがって、一方、上のほうは地方農政局に入る。下のほうは出張所が大きくなるから現在県にある事務所は不要になるのじゃないかという心配が出てまいりまして、実は昨年の第六十一通常国会におきまする審議の際も、この委員会でそういう質問が出た経緯がございます。そのときにもお答えいたしましたところでございますが、統計調査事務所の県の事務所は、県内の統計をとりまとめて、しかも、それを県内の利用者、あるいは末端の利用者は農民であると思いますが、農民に還元をしてその経営指導等に役立てるという任務も持っております関係上、簡単にこれをなくするわけにはいかないという御答弁を申し上げた次第でございますが、その気持ちは現在も変わっておりません。したがいまして、上が農政局に統合され、下の事務所を統合いたしましても、将来の統計の指導機関として県の事務所の存廃に大きな変革を加えるような考えは持っておりませんということを明言をいたしたいと思います。
  222. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうあってもらいたいと思っているのですけれども、もう一つは、統計が昭和二十三年にできて以来、統計調査部というのはいつも定員問題についても機構の問題についても不安定な状況になったわけですが、近年さらにそういう不安定さが増しておりますですね。そういう中で、いまそのような地方農政局の中に統計調査事務所を入れまして、このような機構とすることが、これから統計の機構なり、あるいは定員等についてより安定するというお考えなのか、その点をひとつお尋ねします。
  223. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) この改正法律案を提出いたしまして地方農政局に地方統計調査事務所を所属させますゆえんのものは、すでに各方面から農林統計のあり方について批判をいただいておりまして、特に臨時行政調査会をはじめ地方制度調査会、あるいは最近では行政監理委員会等の御勧告の経緯もございますので、それらを踏まえまして、昨年の六月に行政改革本部によりまして行政改革に関する三カ年計画が樹立され、閣議決定されたわけでございますが、その線に乗ってこの法案を出している次第でございます。そういう閣議決定が行なわれましたのは、世間のいろいろな御批判にこたえるという意味におきまして、地方農政局の傘下に地方統計調査事務所を入れることによりまして、農政自体統計調査をやる機能を持たせますと同時に、地方統計調査組織農政のその行き方をよく理解をした上で統計をとる任務、農民に接するという任務が果たせるということになって、任務の上からはさらに重きを加えていくと思いますし、そういう活動を通じましていろいろこの組織に寄せられておりました世間の批判をはね返していくと申しますか、欠陥を克服していくことができるわけでございますから、おそらくこの改正法律案が成立して実施されました暁には、この組織はさらに力強いものになり、安定していくものじゃないかということを念願をしてこれを提出しておる次第でございます。
  224. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、放射線育種場、これについてお尋ねをしたいのですが、これは三十五年にたしか設置法改正で成立をしたと思うのですが、私はまあこれはだんだん充実をしていくものだと思っておったのですけれども、今度これが農業技術研究所の支所になる。これは一体どういうことなのか。ウイルスの研究所がありますね。これも三十八、九年でしたね、設置法改正をいたしましてウイルスの研究所ができましたね。これも放射線育種場みたいな形をとるのではないかという懸念があるわけです。それで、どういうわけでこれが支所にならなければならぬのかという点についてお尋ねをしたいわけです。
  225. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 放射線育種場の問題でございますが、先生からただいまお話がございましたように、三十五年に設置をみたわけでございますが、設置以降の経過を若干つけ加えまして申し上げますと、設置以降、大体四十年ごろまでは、放射線をどのように照射するかという放射線の基準線量をきめるといったようなことを中心にやってまいったのでございますけれども、その後だんだん研究内容を発展してまいりました。具体的に申しますと、たとえば放射線の照射にさらに抵抗性を持たせる研究でございますとか、あるいはまた、従来なかなかむずかしかった種族間交雑育種の放射線を利用してやる研究でございますとか、相当基礎的な部面にだんだん必然的に入ってきておるのでございます。ところで、先生御承知のように、農業技術研究所におきましても、具体的に申しますならば、生理遺伝部におきまして突然変異育種の一環といたしまして、放射線利用の育種の問題の基礎的研究をいたしておるわけでございますが、いま具体的に申しましたような放射線育種場におきまする研究の分野は、農業技術研究所におきまして行なわれております基礎的な放射線にかかわる育種研究と、その領域がまことに近接、密着いたしておりまして、大きくとらえますならば、同一の領域を二つの機関がやっておるというような形が、だんだん研究の進展に伴いまして強くなってまいっておるわけでございます。そこで、それぞれの研究を分散した機関で分散的にやるよりは、一つ組織の中で総合、一元的かつ効率的にやるということが放射線育種をさらに伸ばすゆえんであろうという観点に立ちまして、今回、農業技術研究所の支所という位置づけをいたしまして、その位置づけの中で放射線育種場を活用いたしまして強化をしていきたいというのがねらいでございます。    〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  226. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この放射線育種場というのは園芸の面もありましょうし、それから木材との問題もありましょう。いろいろ多方面にわたっておったんじゃないかと思うんですが、私の記憶ではこれは確かに入っておる。そうしますと、あとの蚕は入っておるか記憶ないんですが、蚕とか養蚕ですね、養蚕とか、作物ですね。木材ですね。こういうふうなものはやっておったんでしょう。それを農業技術研究所の中に入れて差しつかえありませんですか。
  227. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 放射線育種場におきます研究領域と申しますか、研究対象につきまして、ただいま先生のお話の中で蚕というのは、動物は入っておりません。桑は入っております。その点、そういう意味でおっしゃっていると思いますが、そういうことで林木その他永年作物を含めまして植物は総体的に入っております。そこで、そういう植物を対象にいたしまして、放射線を利用してどのように効率的な試験研究をするかという方法論を含めまして育種場で研究をいたすという筋合いになっておりまして、その研究を深化してまいりたい、こういうことでございますが、片や一方、農業技術研究所につきましては、林木はあとで申し上げますけれども、これまた先生御承知のことでございますけれども、永年作物、園芸、桑等を含めまして、農業技術に関しまする基礎的な研究を担当する機関でございますので、したがいまして、その基礎的と申しますか、放射線育種について申しますならば、育種法の研究というのは当然含まれるというふうに私ども理解しているわけであります。したがって、そういう意味合いにおきまして、広く園芸作物なども含めまして、農業技術研究所が、先ほど申しました趣旨で、支所に位置づけて一元的にやるということは筋としては是認し得るのじゃないかというふうに考えます。林木は農業技術研究所の本来の業務ではありませんが、施設の有効利用という趣旨で、別にこういう施設を林業関係でつくるということは、事実問題として困難であるということもありますので、施設の有効利用ということで農業技術研究所に今回一元的に含めてやるということで内容を充実してまいりたい、こういう趣旨でございます。    〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  228. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはあとでちょっと伺いたいと思うのですが、きのうでしたか、足鹿委員のほうからお話があったのですが、農業試験場ですね、それぞれ縦割りに分割いたしまして、園芸試験場、畜産試験場、茶業試験場、農業土木試験場、蚕糸試験場という、作物別にそういうふうに分割したわけでありますが、そういう中で考えますと、やはり支所という形でなくて、いまの形にしておいたほうが園芸試験場としては何か外との結び付きとしてはいいと思うし、あるいは蚕糸試験場としてはいまのままのほうが利用しやすいのじゃないか。林業試験場にいたしましても、私はいまのほうがいいのじゃないかという気がするわけです。  そこで、私がもう一つ心配しますことは、こういうやり方でいくと、ウィルスの研究所も、これは支所になりませんかという気がするのです。これもどうも支所になりそうだ。言うならば、熱研というものと草地試験場というのができた。そのかわりにまずこれを支所にするのだとか、つまりこれからウィルスのほうも支所になるのだという心配がないのかという気がするので伺っておきます。
  229. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 最後の先生お触れになりました点からお答えさせていただきたいと思うのでございますが、放射線育種場を農業技術研究所の支所にいたすという理由は、先ほど来申し上げております趣旨そのものに基づきまして、そういうことを考えておるのでありまして、 たとえば、いま御指摘になりましたような熱帯農業研究センターをつくりますとか、あるいは草地試験場を提案いたしておりますということのために、放射線育種場を組織変更するのだというふうには私どもは全然考えておりません。それぞれ試験研究を効率的に進めるための組織体制として必要であるという観点から考えておる次第でございます。その点何とぞ御了解いただきたいのであります。  植物ウィルス研究所もお触れになりましたが、これはこの際、私どもの立場ではっきり申し上げたいと思いますが、それを支所に統合するということは、現在の段階で見通し得る限りにおいて全然考えておりません。それはそれとして、独自の領域で十分にその内容を充実していく必要があろうというふうに存じております。
  230. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 九州の羽犬塚にある試験場ですね。これは熊本に統合するという話がありますね。それから鹿児島県の指宿にあります試験地、これはサツマイモの試験地だと思いますが、これが、熊本のほうに持って行って廃止になるのだ、あるいは種子島の安納にある、これは亜熱帯の何か試験地ですか、これがやはりなくなるのだという、そういう話がありますけれども、そういう問題は進んでいるんですか。
  231. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 九州の農業試験場につきまして整備をする必要があるということは、従来ともいろいろ議論をされてまいった問題でございます。その考え方の中にいろいろ考え方がございます。そこで、先生がいま御指摘になったようなこともそういう考え方の一環としてあるいは出ておるかと思います。しかしながら、整備計画を具体的にどうするかという詰めは今後さらに詰めまして、実情も踏まえ、かつ整備の趣旨も貫徹し得るようにしなければいかぬというようなことで、よりよりこれから詰めたいということでございますので、いまのところは先生の御指摘になりましたようなことにつきまして、そうなっておるんだという段階ではございませんで、いま先生の御指摘になりましたようなことについても十分に頭に置きながら整備計画をこれから検討し、立ててまいりたい、こういうふうに思っております。
  232. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはいまお話を承っていますと、全国的にそういうような整備計画を進めていらっしゃるんですか、九州だけではなくて、全国的に。
  233. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 九州で、先生が御指摘になったような意味での整備計画を全国的に考えておるということはございません。
  234. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 九州だけ考えておるのですか。
  235. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) つけ加えまして申し上げますと、農業試験場を含めまして国立の試験場で設備が古くなりましたとか、あるいは試験場の所在が分散しておりますとか等々の理由で、いままで個別、具体的に整備を進めてまいったことはございます。その一つとして九州の整備計画といったものを検討すべき段階になってきているという意味で、先ほど来申し上げましたようなふうに進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、国立試験研究機関全部にわたって御指摘のようなことをやるという計画はございません。
  236. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうもいま事務局長の話を聞いておりますと、全国的に研究機関が後退しそうな気がするんですが、それはしかし、いま局長はそうじゃないとおっしゃいますから、そういうふうにひとつ承っておきます。  次に、草地試験場ですね。これにつきましてお尋ねをしたいのですが、草地試験場をつくるという話は何回か出て、私の記憶でも二回ほどありますけれども、今度、北海道につくるというような話がありましたですね。それは急遽関東の那須山ろくにできることになるんですけれども、これは一体、どういうわけで関東に設けられたのか。それから十勝の種畜牧場に前から問題があったんですけれども、十勝の種畜牧場に今回展示施設あるいは研修施設というようなものができますね、そういうものとの関連についてお尋ねをしたいと思います。
  237. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 草地試験場の設置の問題につきましては、三十八、九年来、関係試験場あるいは専門家を含めまして相当検討いたしました。その考え方というものは相当はっきりしてまいっておったのでございますけれども、なかなか内外の情勢から実現を見なかったわけでございますが、昨年来、御承知のような農業をめぐります内外の情勢まことにきびしいということで、試験研究につきましても特に研究体制を整えるべきだということで、従前の考え方を整理いたしまして、かつまた関係試験研究機関とも十分相談をいたしまして、今回の提案をするということにいたしたのでございます。  一方、北海道につきまして、お話の筋のようなお話があったことは事実でございますが、これは北海道につきましては御承知のごとく北海道農業試験場がございますので、この試験場の草地関係部門を御期待に沿うよう充実をするということで、中央において考えます草地試験場とは別の問題として、中央地方通ずる試験研究機関体制の一環として北海道農事試験場を設ける、こういうことにいたしたのであります。  十勝牧場の問題につきましては、これまた北海道からいろいろ要望があったものを、畜産局においてお考えをいただいておりますので、畜産局長のほうから答弁をお願いしたいと思います。
  238. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 御承知のとおり、北海道が将来のわが国の畜産の中核になるということもございまして、早急にその立地条件に即応できるような新技術の開発及びその体系化をはかるとともに、畜産農家の技術水準の向上と新技術の普及促進をはかるという観点から、中核農業者に対しますところの研修指導等をすることが必要であるという認識に立ちまして、十勝の種畜牧場はかなり開発する余地が残されておりますので、これを利用いたしまして、一方で開発しながら研修施設を設け、草地畜産実験展示施設及びその普及研修施設を設置するということにいたした次第でございます。
  239. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも私は、失礼な話ですけれども、あわてふためいたような感じがしておるのですがね、草地試験場をつくるにつきまして。というのは、草地試験場をつくるということであれば、これは山に持っていくわけだが、関東平野の山地へ持っていきます。それも一つの方法と思いますけれども、これから百万ヘクタールくらい水田が米から開放されるわけですね。そうしますと、支場はできますね。あそこの長野の佐久の山地支場というのは水田支場をつくったらどうかと思うのです、山地支場じゃなくて。そういう意味で草地試験場というのは何かちょっとあわてているような感じがするのですけれども、二つとも山につくった理由ですね。水田酪農であるとか、あるいはこれからの米が百万ヘクタールも開放されるというような話もありますね。そういう場合に全部山地に持ってきてしまうというのは一体どういうふうな理由なのか、それをお尋ねしておきたい。
  240. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 山地支場につきましては、山地傾斜地を今後草地としてどのように活用するかということは、これは重要な問題の一つであると思います。そこで、山地支場はすでに四十二年に設置をみまして、山地傾斜地にかかる試験研究をやってみたわけでございますが、今回、草地試験場をつくるということになりますれば、山地支場の草地にかかる試験研究も総合的に、組織的に試験場の一環としてやる必要があるということで、草地試験場の支場という位置づけをしたのであります。さらに、既耕地について水田も含めまして草の問題を考えてまいる、これはすこぶる重要な部門であると思います。そこで、全国的な試験研究をやりますとともに、地域農業試験場を重点的に強化をいたしまして、草地部門を強化いたしまして、そこで地域の状況を反映をした、先生の御指摘になるような部面を含めた試験研究もやってまいりたいということで、決して軽視をしているわけではございません。これも重点の一つとして進めたいというふうに考えておる次第でございます。
  241. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はいま事務局長のおっしゃる点もわかりますが、北海道に今度草地部をつくり、九州の農試に草地部をつくる、それといまの草地試験場、これがどういう関係にあるんですかね。畜産試験場がありますね、畜産試験場に入っていないブロックの農事試験場の中にまた畜産関係の部があることがありますね。これは畜産だけがそうなっているようですけれども、どういうことになっているんですか。
  242. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 農事、畜産を含めます国立試験研究機関の研究体制は、簡単に考え方を申し上げますと、中央におきましては、重点項目につきまして全国共通の試験研究をやるということで分野別の研究機関をつくりました。地域におきましてはできるだけ地域事情も反映して、それを農事、畜産を通じまして総合化する必要があるということで総合試験場としての地域試験場となっている、こういう組織体制をとっているわけでございます。そこで、重要な部門であります草地につきましても、全国共通の試験研究をいたしますために中央に草地試験場をつくり、農事、畜産試験場をつくりまして草地試験をやる。その一環として、地域につきましては地域農業試験場の中に草地部門を拡充する。そういたしまして、中央と地域とが連携して両々相まって成果をあげる、こういう考え方で進めておるわけでございます。
  243. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは七、八年前に、いまのように農業試験場を分割しましたときに、われもわれもと独立をしたわけですね。その場合に、どうも畜産関係だけがそのようになってない、ならないという私もまだ記憶があるわけです、記憶が。畜産関係、どうも畜産試験場ができたにかかわらずブロック農試。どうもそれぞれ残っているものがあるし、今度も草地試験場というのをせっかくつくられるんだが、その支場として設けられたらよさそうなのに、その支場として設けないでブロックの機関に残ってしまうという点ですがね。というのが気になっているので伺ったわけです。ですから重ねてその点についてどういうようにお考えになっているか。  それからもう一つは、その草地試験場、草の問題があるわけですが、その上にどういう動物を乗せようとしているのか。酪農なのか、肉牛なのか、豚なのか、その点もお尋ねしたい。  それからもう一つ、先ほどから問題にしておりました、たとえば草地試験場というものと畜産局との関係はどうなのか。園芸試験場と蚕糸園芸局との関係はどうなるか。その間の調整が非常に悪いじゃないかというのがきのうも足鹿先生のほうから話があった。だから、その調整の責任者というのは一体だれがなっているか。どうも調整がだんだん悪くなったという指摘なんですよね。ですから、調整がなければ問題なので、分化してしまって独立した機関になってしまって、そして調整がとれぬというのでは非常におかしな話になってくるから、その調整の責任者は一体だれになっているか、その点もう一度お尋ねします。
  244. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 第一点の支場を設けないで地域農業試験場の中で草地部門を拡充するという意味でございますが、先ほど申し上げたことを繰り返すことになりますが、中央ではその分野の充実を期して全国共通の試験研究をやるために草地試験場をつくりますけれども地域におきましてはどうしてもほかの部門と関連をいたしますので、農事、畜産を通ずる総合研究所の中で草地部門を拡充して相互の連携をはかりつつ試験研究を効率的に進めてまいりたいということで、地域農業試験場の草地研究部門を拡充するという考え方をとったのでございます。  それから第二点の問題でございますが、草地試験場へ乗せる動物の問題でございますが、乳牛と肉牛と両方を考えております。  第三点の畜産局との関係でございますが、的に申しますと、行政連絡会議等の会議を通じまして行政面の要求をできるだけ試験研究に反映をさせ、それを組織的研究の形でこなし、その成果はまた行政面につなぐという形で、その連絡の責任の役割りは技術会議自体が第一次的に責任をとっていくということにいたしております。
  245. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、その原局と、畜産なら畜産、草地試験場、畜産試験場、蚕糸園芸局と蚕糸試験場あるいは園芸試験場、そういう試験場と原局との間の調整の責任というのは農業技術会議にある、これはもうわかっております。わかっておるんだが、それが悪いという意見を最近言われるわけです。足鹿先生もそういう指摘をされておる。私も確かに悪いんじゃないかという気がしてしようがないですね。こうなりますと、前のほうがよかったんじゃないかというような話になってくるわけですが、ですから、ここの点の調整というのがうまくいかないというと、まずいことになりはしないかという私は心配をしている。ですから、その調整について改めるという点はないのかどうかという点をお願いをしておきます。
  246. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 御指摘のとおり、連絡調整につきまして十分でないという点は、率直に私どもも認めざるを得ないと思います。そこで、私どもといたしましては、技術会議と関係部局との連絡のしかた、それから試験場相互の連携のしかた、試験場と普及事業との連携のしかた、試験研究成果の活用のしかた、およそそれらの諸点につきまして、どういうふうにそこを合理化していくかということについて、関係行政部局の意見も聞いて、不十分の点を諸条件の許す限りにおいて是正をしたいということで、実は具体的に申しますと、昭和四十五年度の重点業務の一つとして掲げまして、そのことを検討を進めたい。このように思っておる状況でございます。
  247. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ぜひそういうふうにひとつ、せっかくなあれですから、研究をしていただいて、調整がうまくいくように要望いたしたいと思います。  それからこの機会ですから、試験研究全体の問題としておとりいただきたいんですが、具体的にはいま草地試験場の問題から出てくるわけですけれども、試験研究に、たとえば研究室の中に補助員がおりますね、行政職一の。これが非常に不足しつつあるわけですね。いないところも出てきている。それがつまり行政職俸給表一で研究所に入るけれども、六等以上にはなれない、補助員が。そうしますと、まあ四十歳くらいまでになって、さてこれから試験場の総務なり経理なりのほうに移ろうという気持ちになったときには、もうなかなか総務や経理のほうで使えるような人材にはなっていないというのが現状じゃないかと思うのです。ですから、どうも研究補助員としての行一というものが集まらない。集まってもやめてしまうという状況のようですけれども、そういう問題については何か解決の方法を考えていらっしゃるのかどうかですね、いま。従来はこれは旧中を出まして、あるいは農学校を出まして、そうしてそれが研究職になっている人もいるわけですね。そういう面の道を開くということもありましょうし、つまり研究職のほうにかえていくということもありましょうし、あるいは六等級のとどまりではなくて、これを五等級なり、あるいは四等級なりに持っていくことも考えられるんじゃないか。いまはそうでないようですね。六等でぶっとまる。いま私が申し上げたようなことになっておるんじゃないか。その問題についてどのような見当になっておるか。
  248. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 研究室におきます研究補助の行一職員につきまして、御指摘のようなことがあることは事実でございまして、実ははなはだ頭の痛い問題でございまして、御承知のとおり、主任とかいろいろな形がつきませんと昇格の問題がむずかしいというようなことがありまして、この辺どのようなくふうをこらしたらいいか、にわかに名案も正直なところございませんけれども、だんだん行一の職員と申しますか、研究補助職員の必要性が強いおりでもありますので、その辺については、これは私どもだけで何ともならない部面がございますので、関係部局とも相談の上、今後知恵をしぼりたい、こう思っておりますが、なかなか名案がないというのが率直に申し上げて実情でございます。
  249. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私も内閣委員会におっていろいろ機構の問題なり、そういうものを取り扱ってきたのですが、試験研究機関というのがそういう意味では非常におくれておるように思います。それと法務省ですね。法務省の中の法務局関係ですね。それと宮内庁、つまりそういう試験場にありますと、結局、研究職というものがどうしても下になっていく。そこで行(一)の問題というものがおざなりになる。法務省もそうですけれども、検察官が、あるいは裁判官が部長であり、課長である。そうしますと、行(一)という問題について、行政職俸給表(一)という職員に対する関心が非常に薄い。だから等級別定数についても、その他いろいろの勤務条件についても、何かをやる場合に関心がないとは言わないが、薄いのですね。そのために試験研究機関についても、そういう意味で特に配慮をしていただかないとこれはまずいことになってくるのじゃないかというように思いますので、知恵はないという話ですけれども、知恵を出して、至急この解決のために善処していただきたいと要望しておきます。  次に、農業者大学校というものについて伺いたいのですが、これは審議資料によりますと、いままでは中央青年研修所ですか、ということで、昭和四十一年から四十三年にかけて約二億七千万円か六千万円程度の金をかけましてそういうものができておる。四十三年に農林省設置法が提出されて、これを農業者大学校にする予定だったのだけれども、法案が成立しないためにそのままになっているということなんですね。ところが名称は中央農村青年研修所というような施設になっておりますが、カッコして農業者大学校ということになっておりますね。その間のひとつ説明をいただきたいわけです。それで、これが法律によりまして、この法律が通って農業者大学校になった場合と、いま運営していることとどういう差が出てくるか、その二つをお尋ねします。
  250. 田所萠

    説明員(田所萠君) 農業者大学校のことにつきまして申し上げます。ただいま鶴園先生のおっしゃったように、昭和四十三年に、国会に農林省の設置法の改正案を出しまして、農業者大学校を設置をする予定であったわけでございますけれども、それが通らないために現在中央青年研修施設ということで運営されておるわけでございます。これは現在の農業をになう優秀な農業者を緊急に養成したいという非常に強い要望というようなことと、それから研修施設がすでに施設ができ上がっておりまして、またそういうところに入りたいという生徒も選考ができておりましたので、そういうものを活用するという意味におきまして一応農林省農政局の分室ということにいたしまして中央青年研修施設ということにいたしまして、四十三年九月二日から研修を開始したわけであります。それで、今度この設置法が通りますれば、農業者大学校として正式に発足するということでございますので、御了承願いたいと思います。  それからなお、これが改組されましても、中身につきましては現在中央青年研修施設といたして実施しておりますこととほとんど変わりませんので、改組されましても、もちろんその内容を変える必要はないというふうに存じております。
  251. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 つまり四十三年の四月に募集された、あるいは入学した分が、三年ですから、来年の四十六年の三月に卒業することになるわけですが、この法律が通りますと、これは農業者大学校の第一回の卒業生という形になるわけですか。
  252. 田所萠

    説明員(田所萠君) 現在入っております生徒は、それぞれの学年に編入いたしまして卒業するということになると考えております。
  253. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農業者大学校の第一回の卒業生ということになるわけですね。
  254. 田所萠

    説明員(田所萠君) そのとおりでございます。
  255. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それではいまの農業者大学校につきましてちょっとお伺いしたいのですが、農業者というのはどういうふうにこれは定義をつければよろしいわけですか。
  256. 田所萠

    説明員(田所萠君) これは農業者大学校に入学します有資格者というのは、高校程度の学力のある者でありまして、現在自営をしておりまして二年間自分の家で農業を営んでおる者、そういう資格の者を入れまして、非常に高度な教育をしていきたい、そして地域におきます農業者の中核者として育てていきたいということでございまして、そういう意味におきまして農業者ということばを使っておるわけでございます。
  257. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは私は農業者というのをちょっと調べてみたのですが、理屈を言うように見えますけれども、これは農業委員会のほうにも農業者というのが出てくるのですね。農協法にも農業者が出てくるわけです。農業共済法にも出てくる。農地法にも農業者が出てくる。そうすると、農業者というのは皆各法律によって定義づけが違っているように思うわけです。そういうわけで私は聞いているわけです。これはひとつ一ぺん説明してください、農業者の意味
  258. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 農業者という定義を使われておりますが、これはそれぞれの法律目的に合致するようにそれぞれの法律できめておるものと私は思います。したがいまして、その法律目的に合致をいたしたようにそれぞれの法律がきめておるというのがたてまえでございますが、ここでは農業者の範囲を特に定めず、一般的にただ農業の後継者を育成するという程度に考えておりまして、必ずしもここでいう農業者が農地法なり、あるいは農基法それぞれの農業者ということと合致をしなければならぬという意味ではございません。ただ、先ほど御説明がありましたように、自立農家の後継者を育成する、自分の家が自立農家になれるような農業者であるという意味での農業者ということばを使っております。そういう意味ではあるいは他の農協法、農地法とやや異なり、自立経営農家育成するという趣旨では、たとえば兼業農家であるとか、いうふうに、広く意味を含めたものとは多少違っております。さように考えております。
  259. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、いま衆議院でやっているのに農業者年金というのがありますね。あそこにも農業者というのが出てくるわけですね。あなたの答弁を聞いていると、都合のいいように各法案法案で定義なり解釈なりとってくれというような言いようですね。そういうことじゃちょっとこういう国会で法律審議する場においてはどうもおかしいと思う。私は見ればわかるのです。自立農家中心人物をつくる、こういう意味でしょうけれども、あなたがそういう答弁をすると、私は、それなら自立農家とはどういうものをいうのかと聞きたくなる、その辺いかがですか。一応答弁は了解いたしましたよ、あなたの答弁で。将来、自立農家としての中心的な人物をつくると、こういう意味だろうと私は思っておるけれども、念のため私聞いたのですが、将来もこういう問題が出てくるでしょう。やはり統制をしておく必要がある、法律をつくる面からいって。時間がないから追及しませんけれども、それならば将来自立経営のにない手となるこの自立経営というのは、これはどういうことですか。やはり将来農家はかくあるべきである、農業の将来への希望を持たせる意味でビジョンというものが何回も問題になっているでしょう、いままで。どの程度のものをこういうふうにいうのですか、どのくらいの収入をあげ得るのか、たんぼや畑は一体どの程度持てば、どの程度の収入があるのか、そういうものを一つのビジョンとして、将来そういったような自立経営者の中核となる農業者をつくるというのでしょう。ビジョンを与えないというと、こういうのは三ちゃん農業ばかりでみな都会へ出てくる。後継者の問題もあるだろうし、魅力がないとなり手がないです、幾ら学校ばかりつくったって。ですから、こういうのは、そういうビジョンがあるでしょう、農家自立経営のビジョンというのが。
  260. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 法律論を申し上げて、先ほどいろいろおしかりをこうむったようでありますけれども、青年である農業者に対し、近代的な農業経営を担当するのに必要な学術を教授する機関というふうに書いてございまして、農業者というのは私は非常に広い意味ことばであると思います。そういう青年に対して、自立経営、近代的な農業経営を担当するのに必要な教育を受けて、自立経営中核となるというふうな理解をして御説明をしておるわけでございます。  自立経営の内容いかんというお話でございますが、これは簡単に申しますと、農業だけでめしが食えると申しますか、都市近郊あるいは農村に、人口五万未満の市町村の勤労者、一般の勤労者と同じくらいの所得農業だけであげていけるようなものを一応自立経営と考えていいのではないかと、かように考えております。現在、私どもがいろいろ議論の過程で用いておりますのは、たとえば四十三年度の統計で申しますと、農業だけで約百十八万円ぐらいの二戸当たり収入がある。こういうものが自立経営農業だけで、人口五万未満の市町村に居住する一般勤労者と同等の収入があるであろうというふうな想定もいたしておるわけでございます。将来の目標としましては、いろいろな形がございましょうが、現状では二・二ヘクタール、将来は米作だけであれば四ないし五ヘクタール、搾乳牛であれば二十頭以上の経営というようなものの自立経営が可能になるであろうというふうに想定をいたしておる次第でございます。
  261. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 百十八万円では魅力はないですね。百十八万円の収入をあげるのに農地が幾らですか、二ヘクタールですか、いまおっしゃったのは。二ヘクタールだと、いま二ヘクタール以上持っている農家は何軒ぐらいありますか、全国で。
  262. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 二・二ヘクタールの農家の資料を持ちませんが、自立経営、いわゆる百十八万円程度の収入があると見込んでおりますものは、全国農家の九…九%、約一割と考えております。
  263. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 将来、構造改革をしてこういう自立経営をふやそうというんでしょう。いまのところ九・九ぐらいしかない。これを将来どの程度まで持っていくつもりですか、その自立農家を。
  264. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 御承知のように、現在兼業農家が八割を占めておる日本の農業の実情でございますから、自立農家育成するという前途にはいろいろな困難があると思います。現在の九・九%、約一割の農家生産物は全体の約三割を生産いたしております。私どもの目標としましては、こういう自立経営農家の農産物が市場でかなりな程度に支配力を持つ、こういうような形に持っていきたいと考えております。戸数で具体的にどの程度かということにつきましては、私ども具体的な現在まだ計画を立てておりません。これは今後の規模拡大の見通しなり、あるいはそういう自立農家の平均経営規模がどのくらいになるかというようないろいろな要素が入ってまいりますので、これから具体的な算定もしなければならないと考えておりますが、いずれにしてもそういう自立経営農家の農産物が市場においてかなりな分野を占める、こういうことを目標にして進めてまいりたいと考えております。
  265. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 時間がありませんから、この問題は一応しませんが、一つだけ、野菜の問題ですが、野菜は季節ものでありまして、いま若干高くなりつつあります。そのくらいたいしたことはないじゃないかと、こういうふうに言うと、非常に問題がある。特にことしは冬ものがああいうふうに昨年の五、六倍あるいはそれ以上の暴騰をしておりまして、これは非常に台所を預かる奥さん連中から、私どもも選挙区へ帰ってずいぶんおしかりを受けておる、一体、国会で何をやっているんですか、皆さんはと。安保だの、そういうことばかりやって、物価の問題は一つもやらないじゃないかと、ものすごい反撃ですよ。これは閣議でも問題になったんですが、当然、時期が来れば安くなるわけですけれども、こう毎年上がったり下がったり、暴騰、暴落じゃ——まして物価の高いときに相当家計を圧迫するんですよ。特にサラリーマンの方に対しては、まあわれわれもそうでありますけれども、家賃は高いし、タマネギや白菜がどんどん上がってはどうにもならないと非難ごうごうたるものです。一体農林省は何をやっているんだと、こういうような声です。ですから、私もこの際ちょっと聞いておきたい。毎年毎年こんなふうじゃどうにもならぬ。どこに行政上の手落ちがあったのか。野菜の値上がりの経過、それから農林省はどういう手を打ったのか、その結果はどうなったのか。行政指導の面においてまずかった点があれば、どこがまずかったか、率直に言ってもらいたい。それから、将来はこういうふうに野菜の安定のために努力をすると、農林大臣もいらっしゃるわけですが、一括して私はお伺いをします。その点ひとつ。
  266. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 野菜は、ことしの冬野菜につきましては、もうお説のとおり、たいへん出回りが悪い。これは新聞などでも報道されておりましたが、非常な五十日余りの干ばつ等が災いをいたしまして、非常に出回りが悪くなった。しかし、ほかのもの、たとえば施設ものでありますが、キュウリ、トマトみたいなものは、そういうことにわりあいに影響を受けなかったものは御承知のように出回りがよかった、結局、異常な干ばつで出荷が悪かったということが非常に大きな値上がりを生じた原因であると存じます。そこで、御承知のように、春野菜が出回ってくるようになりましてからはどんどん価格が下がってきました。あるいは事務当局からそれらの資料の御説明を申し上げてもいいんでありますが、そういうことでありますが、何にいたしましても、御指摘のように、とにかく一般家庭の台所に一番関係のあるものでありますから、私どもといたしましては四十五年度予算編成にあたりましても、野菜指定産地を三十カ所ほどふやして、全国で六百十カ所ぐらいになったと思いますが、そこで地域地域に適しました指定産地の作物について、おおよその見通しをつけた見当に従って計画的に出荷のできるように指導をいたしてまいりたいというので、いままでもやっておりましたが、これからさらにそういうことに力を入れてまいりたい、こう考えておるわけでありますが、ことしはまあ非常に野菜の出回りが悪くて値段が高くなったことにつきましては、たいへん言いわけのようでありますけれども、私どもといたしましては予想いたしておったよりも出荷量は非常に少なかった、そういうことのために高騰いたしたということだと思います。
  267. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま大臣から御答弁ございましたので、簡単に補足説明さしていただきます。  ことしの野菜はただいまのように非常に天候の不順で、われわれとしても予想外のことであったのでありますが、非常に一月に入りましてから——十二月まではおおむね昨年並みの順調なところで価格が推移してきたのでありますが、正月を越しますと非常な干ばつの影響を受けまして、したがいまして、それに伴いまして他の野菜まで値上がりし、われわれとしましては、タマネギ等のごときいわゆる貯蔵ものまでそれに引きずられて上がってしまって、なお春野菜の到来が少しおくれたというような関係で非常な値上がりをしたのではなかろうか、このように思っております。その間にありましても、いま大臣のお話がありましたように、トマトとかキュウリという施設園芸ものにつきましてはきわめて順調な出荷を示し、むしろ昨年よりも値段は低目に動いた、そのほか特に洋菜類が干ばつに弱かったということにつきましては十分反省いたしまして、われわれといたしましては今後この施設ものになお重点を置きますとともに、いわゆる野菜につきまして、かんがい設備の強化等を今後更に一段と強化してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  268. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 天候が悪かったことはある程度認めますけれども、そう天候ばかりに原因を転嫁することはないと思うんですね。私が聞いているのはそういう統計上の問題にしても、これはあとで聞きますけれども、四月の野菜の動向にしても、総理府の統計と農林省の統計と全く逆になっている。総理府は上がると、農林省は下がると、こういうような統計一つとってみても国民を惑わすようなやり方では非常に困るんですね。そういうような、あるいは生産地の指導にいたしましても、農林省で打つだけの手は打ってきたけれども、こういう点がまずかったという点があるでしょう。あるいは新聞等を見ますと、農林省はかってに野菜など上げておるのだといったような非難まで出ているでしょう。ましてタマネギなんか台湾から輸入しておる、輸入しておるにかかわらずなお値上がりしておる。まあ私はここでこれだけ言いますのは、婦人部の奥さん方の会合に出てみなさい、ものすごくつるし上げやられますから。それで私は聞いておるのだ。だから、農林省は物価対策一つも協力しておらぬじゃないか、こういうことなんですよ。その点はあなたの反省も込めて私は聞いているのです。こういう点がまずかったと、もう一ぺんひとつ答弁をお願いします。
  269. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 今回非常に、特にタネマギが暴騰いたしましたことにつきましては、われわれとしましても多少予想外な結果になっておるわけでございます。それで、昨年の年末前後には、農林省の見込みによりますと、タマネギは平年作よりも全体的には若干上回るという見通しを持っておりましたところ、年を越えまして今年に入りまして非常に値上がりを開始いたしましたので、当初台湾からのタマネギの輸入量を六千トンというふうに見込んでおりましたが、さらにそれを千二百トン増しまして七千二百トンにした次第でございますが、その後も三月に入りましてもなおタマネギが値上がりを続けてまいりましたので、さらに台湾側と折衝いたしまして、台湾側の手持ちの在庫のタマネギ全部を確保いたしまして、約千四百トンでございますが、入れまして、そしてこの春を迎えるようにわれわれとしても努力した次第でございます。そのほか一般的な野菜につきましても再三にわたりまして出荷の打ち合わせ等をいたしまして、極力この大都市の野菜の量自身が、物がなくなるというようなことにならないように、全国から極力野菜指定市場に供給するよう、その間努力した次第でございます。
  270. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで統計調査体制の整備の面におきまして手落ちはなかったのか、その辺のところいかがですか。
  271. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 農林省におきましては、かねて流通調査の一環として野菜価格の調査をいたしております。これは卸、小売りの流通段階別にその価格水準の動向をつかまえまして速報するという目的で、全国の主要十一都市において調査を実施しておるわけでございます。東京につきましては、神田、築地、淀橋の三中央卸売市場におきまして卸売り価格を毎日調査しております。それには職員を派遣をいたしまして、駐在させて毎日の調査に当たらせておりますが、同時に、この三つの中央卸売市場から荷引きをいたします小売り店舗十九店を選定いたしまして、小売り価格をこれも毎日調査をいたしております。担当職員が非常に熱心にやっておりまして、私どもその調査結果を信頼しておるわけでございますが、何しろ人間のやることでございますので誤りがないとは言えませんし、たまたまこの四月の中旬から下旬にかけまして、ただいま園芸局長から御指摘ありましたように、非常にその野菜価格の変動の激しい旬に当たっておりまして、ちょうどおもな野菜の端境期に当たっておりまして、その端境期にかかった野菜は出荷する産地が入れかわる時期にも当たっておりまして、ものにより、銘柄により、価格の押え方が非常にむずかしい時期に当たっておりましたこともありましたし、また、私どもの調査と総理府統計局でおやりになっております調査につきまして、調査の方法や取りまとめの方法が相異なっておるということもありまして、先生ただいま御指摘のように、農林省の調査と総理府の調査とそごを来たしましたことはまことに遺憾でございまして、国民に迷惑をおかけしましたことはおわびをいたしたいと思います。今後は先生の御指摘一つの戒めとしまして、総理府のほうとも十分連絡をとり、この問題を検討し、今後に処してまいりたいと、かように存じます。
  272. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 総理府の統計局、来ていらっしゃるでしょう——じゃ、違う点をひとつ言ってください。
  273. 岡部秀一

    政府委員(岡部秀一君) 総理府の統計局において、毎月消費者の物価指数を作成するという目的のために、全国の百七十市町村、約四百品目につきまして、実際に消費者が小売り店から買っているその価格を調査いたしております。東京都の区部につきましては、野菜等について十五店、これは無作為に抽出をいたしておりまして、毎月、上中下旬、三回にわたりまして、調査員が各店舗を回りまして実際にその価格を聞いております。表示している価格と実際に売っている価格と違う場合は、実際に売っている価格を記載をするということにいたしておりますし、調査の対象の銘柄は、特に高いもの、特に低いものというものを除きまして、まあ中くらいのところ、中間のもの、それはつまりたくさん売れているというもの、これを、三日間のうちの仲値をとりまして調査をいたしておるということでございます。従来、統計局の価格農林省価格とを比べてみますると、大体同様の傾向を示しておるのです。しかし、三月から四月にかけて、野菜価格変動が大きかったというときに、まあ短期的でございますが、若干、品目について、調査結果に差が生じておるということですが、この差は、両調査の調査の目的、それから調査の方法が違っておりますので、通常の場合のときには、ほとんど同じ価格をたどっておりますけれども、こういう激変のときになりますと、その点が少しく違って出てくる。と申しますのは、総理府でやっている小売り価格のほうの調査は、店舗で、産地から直接きたものもありますし、それから卸を通じてきたものもございます。それから、きょう入ったものもございますし、きのう入ったものもある。そういうものを、いろいろ売っておる中で、先ほど申し上げましたような点で違ってくる。そういたしますと、農林省のほうの価格は、きょう入ったものを、それを卸、小売りの順にたどっていきますから、それは先行的に値段が出る。こうなりますると高値になります。あるいは低値になってきますときには、それが先行的に出てくるという点がある。その点がギャップとなって、今度のときに出てきた、そういうふうに私たちは見ております。
  274. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体わかりました。いずれにしても統計はこれは多少は違うでしょう、ぴしゃっと合わない場合もあるでしょうが、いくら激変期にいたしましても、片方は総理府のほうは上がると農林省のほうは下がるというような統計では、われわれにとっては非常にこれはどうなるのかさっぱりわからなくなってしまう。その辺はひとつ検討してもらいたいと思います。  それで、大臣に最後に一言私は聞いて終わりにしますが、野菜に限らず、この物価の問題は非常に急ピッチに上がっていまして、こういうことでは、これはもう毎年毎年五、六%、七、八%上がっていたのでは、あなた、これはあとどんどんどんどん物価は上がる一方だ。それはいろいろ問題があるでしょう。財政面におきましても経済成長が毎年一二、三%、一四、五%、こう上がっていきますと、これは物価を上げないといっても私は上がると思うのだ。いまや国の予算規模は約八兆円、そして毎年これが一四、五%ずつ財政が拡張していきますと、これはどうなるのですか、一体。私は、いま赤字公債もかなり出しておるし、昭和四十年のあの不況時代に端を発して、いまの大蔵大臣が約八千億の赤字公債を出した。あのときも赤字公債ではありませんと、こういうような詭弁を大蔵大臣は言いながら、そうして財政に余裕が出てきたら逐次これは返還をいたしますということで今日まできているのですが、このように景気がよくなっても赤字財政を幾らでもつぎ込んでいる。そのうち、来年、再来年——再来年あたりからこの赤字公債の返還期になるのじゃありませんか。約二兆円以上の赤字公債を来年か再来年ですか、再来年から返さなければならぬ、利子をつけて。すると、返す分をまた公債を発行してそれを返す、こんなことで財政は硬直化してますます膨大になってくる、その中で物価は何とかおさめようと、こんなように苦労していらっしゃるのでしょうかね。それで農林大臣に、まあそういう総括的な財政金融の問題は別として、農林省として流通機構を改革するというようなことは物価対策上もしょっちゅう出てきているのです。ところが、依然としてまあ生鮮食料品にしても野菜にしてもこのとおり、だから、政府は物価対策は全くあれはもう看板だけだ、こういう非難があるわけですがね、それで、流通機構の改革ということ、いつも物価対策の面からうたわれておるのですが、今日までどういうところを改革をしてきたのか、その点を大臣にお伺いしたい。  それと、あなたはこの前の閣議におきまして、物価が高くなったのでは生活協同組合を育成したらどうだ、これは佐藤総理から話が出た、このことに対してどう考えておるか、これは将来どういうふうな方向育成するつもりなのか。その二つを聞きまして終わりにいたします。
  275. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 生鮮食料品については、私どもの所管の事項で重要な役割りを果たしているのは卸売り市場だと思うのでありまして、従来からその卸売り市場の完備につきましては、その促進をはかりますためにいろいろな措置をやってまいったわけでありますが、三十五都市五十六市場、すでにこれらの整備をいたしております。大体いままで予算的には四百四十五億円にも達しておるわけであります。大体、東京のような、あるいは大阪のような大都市、いわゆる過密市場の整備につきましては、四十二年、中央卸売市場審議会の答申もございましたので、その線に沿って既設の市場の整備をいたしておるわけでありますが、さらに私どもはそういう大都市の、いま東京でいえば神田にいろいろ市場があります。一応地方からそこまで持ってくる入り口の過程において、消費者がたくさん密集しておられるから、そういう地域にもだんだんふやしていく。そういうことを従来もやってきているわけでありますが、私どもから見まして、そういう市場はもちろん東京都の協力がなければできませんが、各都市とそういう連携、協力をいたしましても、やはりいまさっきも申しました産地における実情——今年のような特殊な干ばつのような、こういうことばかりではないと思いますが、いずれにしても産地ですでにかなり生産費が高くなっていることをわれわれは見のがすことができないのであります。いまはまあ生協との直結といったようなお話が閣議に出たというお話、これは閣議じゃありませんで、物価関係の閣僚協議会で、要するに生産者から消費者に直結する方法を考えたらどうだと、こういうことであります。そういう意見が出たことはありますけれども、それらについてもなお検討を要するということで研究課題にしているのでありますが、私どもたとえば野菜、くだもの——場所にもより品物にもよりますけれども、大体生産地の価格と消費者の手に渡るのにいままでが三倍程度ならば常識的であった、それがやっぱり中間において、東京などの大市場における価格が、いろいろな段階を経て消費者の手に渡る間に相当なロスが出てきております。こういう状態をわれわれはどう判断をし、どのように改善できるであろうかということが一つの大きな問題だと思うのであります。これは私は、いろいろなことを学者も言いますし、政府の役人も言いますけれども、なかなかそういうことについて物価対策の問題からかんがみまして、中間における状況というものを判断してまいりますときに、いわゆる生産者から消費者に直結すると、一口に簡単に申しますけれども、なかなかその間にはいろいろな問題もあります。しかし、いずれにしても、物価を安定したいというのは大きな命題でありますので、まあほかのことは別として、私ども所管に関する限りは、先ほど統計部長も申し上げておりましたけれども、いま産地の価格、それから消費地におけるそれらの品物の需要の状況、荷動き等が毎日テレタイプで中央から地方に入ってまいります。それを地方の市場に流します。市場はそれぞれの生産組合等に即刻それが通報されるようなシステムになっております。でありますから、最近ではたとえば大阪に、非常にある種のくだものがたくさんある。それを事情を知らずにやはり従来どおり大阪へ送るというふうな不経済なことはしなくて、東京なら東京に、品薄であるというのがすぐ現地でわかりますから、それは品薄の地域に送るといったようなことで、いまかなりそういった点は改善されてきておりますが、なおしかし物価に、直接お台所に響きます農林物資につきましては、野菜、果実、肉類等について従来も努力してまいりましたけれども、私どもはこの国会が終了いたしますれば、部内にも申しておるわけでありますが、二、三の品物について生産地から消費地までをずうっと追跡してみまして、どこに問題が伏在しているかということをもっと掘り下げて検討してみたい、このように考えて、いまそういうことをみんなで計画を立てている最中であります。
  276. 山崎昇

    ○山崎昇君 もうほとんど時間がありませんが、二、三聞いておきたいと思います。  一つは、行政監理委員会から、食糧庁の職員、主として食糧事務所の職員と統計職員の配転等の問題についての意見が出されました。これについて、食管制度ともちろん関連するのだと思うのですが、農林省としては今後どういうふうにされるのか。あるいは、いま何かこの行政監理委員会の勧告に基づいて検討されておるのか。この点を一つ聞いておきたい。  それから、行政管理庁がおれば、行政管理庁としてこの監理委員会の勧告についてどういう見解を持っているのか、あわせて聞いておきたい。
  277. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 行政管理庁の——管理庁と申しますか、いわゆる六人委員会というので農林省のことにつきまして御発言がありました。それにつきまして、食糧事務所、それから統計事務所、二つについて——まだそのほかにもございますが、いまお尋ねの点につきまして、これは、米麦の検査方式及び管理事務を簡素合理化し、職員を、たとえば農業構造改善、生鮮食料品の流通機構の合理化に関する行政分野に大幅に配置転換し、支所及び出張所を含めて機構を徹底的に整理縮小する、こういうふうになっております。そこで、いまちょっとお話がございましたように、政府は食管制度というものは依然維持してまいるというたてまえでございます。この食糧事務所は、そういう制度についてきておるものでありますが、農産物の検査、米麦の買い入れ、運送、保管、売却、それから食糧管理の事務を行なっておりますが、この業務量はだんだん増大いたしております。業務内容が複雑化している中で、計画的な検査の実施、それから機動力の強化、事務の機械化、そういうことをはかりつつ、職員数の削減を実は行なってきております。政府のきめました方針に基づいて逐次削減はしてきておるわけでありますが、事情の変化に即応して、出張所の整備統合を進めてまいってきておりますが、このたび御意見もございましたので、政府は御趣旨を尊重する意味で、ただいま研究をさせている、こういう状態でございます。  それから統計事務所は、今度内閣委員会で御賛成願って成立いたしますれば、統計事務所は地方農政局に合併されるわけでありまして、このことは、しばしばここでも申し上げておりますように、運営につきましてはきわめて合理的にできますし、一百申し上げさせていただきたいのでありますが、わが国のいろいろの機関で統計について論じておられる専門家たちから、農林省の統計事務というものは一番信頼性のある科学的な統計であると高い評価を受けておるわけであります。しかし、一般論的に申せば、ここでもやはり同じように御趣旨を尊重して合理化については検討してまいりたいという、こういうたてまえで、六人委員会の御趣旨を尊重して検討してまいるという方針でございます。
  278. 河合三良

    政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘行政監理委員六人の委員の御意見につきましては、これは行政監理委員会の正式の意見ではございませんが、しかし、それぞれ学識経験、また見識の豊かな六人の委員の方々の御意見でございまして、これは行政管理庁といたしましてそういう御意向を当然尊重していくべきものだというふうに思っております。ただいま大臣から御答弁がございましたように、食糧事務所につきましては、これは現在の食糧管理政策、これの政策に従って現在の事務を行なわれているわけでございまして、さらに、もちろんこの事務の合理化によりまして人員の節約ということは当然行なわれるべきだと思っておりますが、これは私どもといたしましては、主として食糧政策、食糧管理政策の推移によって処理していくべきものというふうに考えております。  また統計調査事務所につきましては、これはただいま大臣からも御答弁がございましたように、従来ともかなり合理化も進んでおりますし、人員の、配置転換についても相当な配置転換が行なわれておりますし、また、さらに現在の統計調査事務所の業務の中に、流通情報に関する業務がかなり大きな分野を占めてきておりまして、そういう意味から申しましても、相当現在の行政需要にマッチした運動が行なわれているというふうに考えておりますが、しかしながら、行政監理委員会の六人委員の御意見もまことにごもっともな点もあると思いますので、その趣旨を十分尊重いたしまして対処いたしたい。農林省とも十分に御相談の上検討していきたいというふうに考えております。
  279. 山崎昇

    ○山崎昇君 多くは申し上げませんが、私ども地方へまいりますと、あの新聞報道が出ましてから、かなり動揺しておるんですね、職員の方々は。したがって、自分たちがどうなるのか、将来この食糧検査というのはどうなるのだという不安感をかなり持っています。そういう意味では、私は農林本省というのはやっぱり不安を与えないようなことを述べるなら述べる、あるいは計画があるならある、そういうふうにしませんと、私はたいへんじゃないかと心配をする一人だものですからお尋ねをしておるわけです。そういう意味で、ほんとうは最近第一次産業行政事務担当者というものはだんだん、だんだん減らされて、二次、三次のほうに向いていくわけです。そういう意味でいうと、行政機構全般について、あるいは人事配置全般についてお尋ねしなければならぬのだけれども、その時間がありませんからきょうは差し控えますが、いずれにしても第一線で働いている職員が、毎日不安を持っているというのではどうにもなりませんから、その点は大臣に、不安を与えないようにひとつしてもらいたい。こういうふうに思うわけです。いま統計の問題についても、所の広域化の問題について答弁がありました。当然これに関連して食糧事務所の出張所なんかも、こういう形のものになってくるのじゃないか、こういうふうに考えますから、こういう点はかなり職員の給与その他にも関連する問題でありますので、これはひとつ慎重に私はやってもらいたいということを申し上げておきたいと思うのです。  それから二番目にお聞きをしたいのは、今度、統計事務所が地方農政局等々と一緒になりますために、北海道は従来四つあるのですね。そこで、私、北海道へ戻りまして札幌の統計事務所長さんにお会いをいたしまして、いろいろ聞いてみるというと、実際に札幌にある統計事務所のところで、他の統計事務所と連絡調整事務がかなりあるといわれている。ところが機構の面では、それぞれ独立をしておるわけです。対等なわけです。しかし、何か内部指導でそういう仕事がやられておる、ときにはやはり反目し合う場合もあり得るというのです。したがって、できるならば権限の中に明確に連絡調整事項とか、あるいはそういう点を入れてもらいたいのだが、しかし、なかなかそういう点はすぐここで修正することも困難でしょう、そういう意味では質問の形で明らかにしてほしいという要望がありました。そこで私は聞いておきたいのですが、北海道、四つある事務所のうちでわりあい札幌にある事務所が中心になるのだろうと思う。さっきこれを地方農政局のあるところの事務所と同格のようなことにさせたらどうかということを検討中だということ——そこまでは別として、部内のといいますか、四つの事務所の連絡事務は、明確に札幌なら札幌にやらせるんだと、こういうことを委員会審議の場で明らかにしてもらいたいし、それならそれで、四つの事務所長に対して訓令になるのじゃないかと思うのですが、大臣から、その点やっぱり明確にして、部内の争いのないようにしてもらいたいと思うのですが、その点についてはどうですか。
  280. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 先ほど鶴園先生の御質問にもお答えしたところでございますが、北海道は地方農政局がございませんために、御質問のような御心配が当然出てくると思いますので、その御心配に対しましては、運用の面によりまして打開をするように努力をしてまいりたいと思います。特に、現在も連絡事務所の制度をつくりまして、札幌が北海道の中心で道庁等の連絡に当たり、道内の統計をまとめるということにしておりますけれども、権限上それが明確でないために御指摘のような点がございますが、その点は、今後この法案を実施する過程において、十分検討して善処してまいりたいと思います。
  281. 山崎昇

    ○山崎昇君 その次にお聞きしたいのは、行政機構の法案が出るたびに、いろんなものがひっついて出てくるのですが、今度の農林省設置法の改正は草地試験場がひっついて出てくる、前回はこれがなかった。したがって、私は行政管理庁にもお聞きしたいのですが、行政管理庁をここへ呼んで、新しい機関をつくる場合はどうするんですかと聞けば、なるべくそれは抑制するか、スクラップ・アンド・ビルドでやるのですと、こういう大臣の答弁です。それは前回の法案を見ると、高知種畜牧場を廃止してそのかわり熱帯農業研究センターというのが出てきた。今度は放射線育種場というのを農業技術研究所の支所にして、そのかわりというのですか、草地試験場というのが独立をしてくる。いわば、どういうふうに否定しようとも、機構面で言えばスクラップ・アンド・ビルドになるわけです。そういう意味行政管理庁はこういう形で今後の行政機構というものをおやりになるのか。それから農林省にお尋ねしたいのは、この放射線育種場というのが、なぜ農業技術研究所の支所になれば成果があがるのか、現在のままならどうして悪いのか、やる仕事は同じです。ただ、法律論でいうなら、付属機関でもって法律的にきめられる機関が政令の機関にかわるだけでしょう。こういうやり方は私はだんだんずっと見ておりますと、国会の審議がなくなるようになくなるようにと、いわば政令、省令だけで適当に機関がつくられるように、こういうかっこうに私はなっていくんじゃないかという気がしているんです。これは運輸省設置法のときにもいろいろ疑問点があったのですが、そういう意味でスクラップ・アンド・ビルドの考え方について行政管理庁にお聞きしておきたいし、一体、農林省は、なぜこれの付属機関から農業技術研究所の支所になったら成果があがるのか、こうなったらなぜいいのか、積極的な理由がどこにあるのか、その点をお尋ねしたい。
  282. 河合三良

    政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。  行政機構の簡素、合理化ということから、できるだけ行政機構の膨張を防ぐという趣旨で、私ども毎年行政機構等に関する審査をいたしておるわけでございますが、スクラップ・アンド・ビルドということは、私どもできるだけ、結果としてはそういうことになって、そうして、その結果、新規の行政機構がふえないという形になることが望ましいということには思っておりますけれども、しかし、一つ一つの場合につきまして、どれをつくるためにどれをつぶすということではなくて、それぞれつくるものにはつくるべき意味がある。またつぶすと申しますか、廃止の場合もございます。あるいは機構の統合の場合もございますが、それにはまたそれなりの意味がある。今回の場合におきましても、この放射線育種場につきましては、これは先ほど来、農林省御当局から答弁されておりまするように、この農業技術研究所の放射線育種の業務と統合をやるところに意味があるということで、この統合を認めたわけでございます。
  283. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 先ほど鶴園先生の御質問に対しましてお答えを申し上げたわけでありますが、そのお答えと内容的にダブルかもわかりませんが、先生の御質問に対してお答え申し上げたいと思いますが、私ども放射線育種ということを、御承知のような交雑育種と並びまして重要な育種の部門として育成をしたいということは、かねがね念願をしておるのでございますが、そのためにはどのような照射をすれば遺伝子の変化を生ずるかというような因果関係の問題を詰めまして、いわゆる放射線の照射についての抵抗性を持たせますとか、あるいは交雑育種に放射線照射を利用いたしますとか、新しい基礎的な分野を開発する必要があるということを常々考えておるわけでございますが、そういった研究を完成いたしますためには、農業技術研究所で片や一部やり、片や一部を放射線育種場でやるという形ではエネルギーの結集がなかなかできませんので、農業技術研究所の中で、支所という位置づけの中でエネルギーを結集して、それで組織的、一体的に運用する必要がある。そのようなことのために放射線育種に必要な研究費の増額、施設の充実等をはかって、それによっていま申しましたような実を上げたいという趣旨で今回の提案をいたしておるのでございまして、その点何とぞ御了解をいただきたいと、このように思います。
  284. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはあなた少し見当違いでありませんか。片方は東京にあって片方は茨城にありまして、場所も人員も組織も何も変わらない。ただ育種場が農林省設置法の第二十二条の二で付属機関としてあったのが支所になるだけだ。何が違いますか。これが研究内容が変わりますか。だから、同じ研究所として置いて、それがまずいというなら運営面で改めるべきであって、機構が下にならなければうまくいかないというようなやり方は私はおかしいじゃないか。これがすべてなくなって農業研究所の中に全部入って、しかも人も全部そこに行っちゃって一体になって研究するというのなら私はわかります。しかし、何がこれ変わりますか。人も場所も組織もひとつも変わらないじゃないですか。どうして支所になったらうまくいって、いま付属機関同士だったらまずいのですか。だから、私は絶えず行政機関の運営についてやるのだが、どうもぼくはお役人さんというのはそういうことが理屈として述べられるので、私は納得できないのですよ。  さらに、これはあとで申し上げようと思ったが、時間がありませんから関連して言いますと、これによって職員はどういう不利益をこうむるか、あなたおわかりですか。たとえば俸給表の等級別の基準が変わってまいりますよ。なぜならば、いま役所の給与というものは等級別に分かれていますから、したがって、支所と独立機関では違ってきますよ。昇格基準も違ってきます。それから監督者の特別調整額も変わってきますよ。こういう不利益がすべて下級職員にしたがって影響してくる。そういうものをどういうふうにあなた方措置をするのですか。いまいる人はなるほど支所になっても何も変わらぬかもしれない。しかし、人が変われば、やっぱり上が押えられますからね。したがって、私はかなり職員については不利益になってくると思う。これは先ほど鶴園さんから統計職員の問題についても意見が出されたが、特に私はこの場合は聞いておきたいと思う、研究所の場合は。逆に草地試験場の場合は、これは畜産試験場の部が独立の機関になるわけですから、逆に言うならばこっちのほうは上がるのですね。ですから、私は行政機構というものは、単に行政機構だけ論ずるわけにはいかない。そこで働く人の労働条件の問題も関連してやらないと、単に運営がうまくないから支所にするなんという、そんな簡単なことで行政機構の改廃というものはいじってもらっては困ると思う。そういう点、事務局長でも何でもいいですが、官房長も来られていますが、どうですか、こういう職員の待遇問題、将来そういう問題が起きた場合にあなた方どういう対処のしかたをしますか。
  285. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 先ほど放射線育種場を農業技術研究所の支所に組織変更をするという考え方というのの意味を申し上げたわけでございますが、やや具体的なことに関連をして、先ほど申し上げたことをふえんさせていただきたいと思いますが、実は予算にかかわる問題でございますが、御承知かと存じますけれども、試験研究機関につきましては、研究者一人当たり幾らといった研究費がございます。ところが、従来いろいろな経緯もございまして、放射線育種場につきましては、そうした人当研究費がつかないままにきたのでございます。そこで、そうしたことにつきまして、従来からいろいろ折衝をしてまいったのでございますが、先ほど来申し上げたような、組織的な観点から放射線育種というものをより充実してまいる、そういうことになりますと、やはり農業技術研究所と一体的な運営の中で、放射線育種場の組織、研究費の充実もまた必要であるし、また施設の充実も必要ではないかというようなことで、したがいまして、実質的に充実をはかりたいということになりますと、そういう組織的な変更を踏まえまして、その中で充実をしていく必要が、具体的な予算確保といった面でもあるということで、本年も実は人当研究費を新たにつけますとか、あるいはまた施設整備につきまして、従来よりは大きな金額もつけますとかいうことで予算額も増大させ、将来は陣容等につきましても、各般の事情が許すならば内容の充実をはかってまいりたいということを組織前提として考える。そしてそのねらいは、先ほど申し上げましたような趣旨でこれをとり行なう、こういうことにいたしたわけでございます。  いま先生から御質問のございました第二の問題、俸給表についてでございますが、これにつきましては、現在おる職員につきましては俸給表の変更はなしに続けてまいりたいということでございますけれども、将来は、人事等につきまして、先生の御指摘のございましたように、働いておる研究者その他の職員の福利になるようなことを私どもは厳に考えなければなりませんので、その点については十分配慮して、御指摘のような心配のないように手当てをしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  286. 山崎昇

    ○山崎昇君 合併当時とか、それから直した当時は、私はいまおる人はそれでいいと思う。しかし、制度というのはそんな甘いものではありません。あなたがどういうふうに善意に考えようとしてもそんなことになりませんよ。いままではやっぱり、小さいは小さいとしても育種場長ということで、やはり独立機関の長として格付けされたと思う。しかし、今度は農業技術研究所の支所長として格付けされますよ。だから、いまおる人は私はそれでいいと思う。しかし、この問題は必ず将来ここに働く労働者は一ランク下げられる、何と言おうとも。いまの俸給表というのは職階級的になっておるんですから、そういうことをかなり考えて私はやりませんと、これはたいへんなことになると思うんです。いかにあなたが善意であってもそうなってこない。これは将来私どもは人事院なり総理府にもものを言わなければならぬ点だと思うんです、行政機構改革にあたって。しかし、少なくともいまこれは具体的に出ておりますから、農林大臣がおるところで、これは大臣に申し上げておきますが、そういうことのないようにあなたやってもらいませんと、ほんとうに不利益になりますよ、これは。その点だけ指摘をしておきたいと思うんです。  で、最後に、ほんとうは草地試験場に関連して私は酪農行政についても新全総との関係でいろいろお尋ねしたいと思っておりましたが、時間がありませんからきょうはやめます。  最後に、農林大臣にお聞きをしておきたいのは、総定員法審議の際に、こういう行政機構改革をやられますと多少の異動がある、その場合にやっぱり強制配転だとか、それからその他の状態が起きてきます。これは佐藤総理が出てまいりまして、定員の配置がえによってそういうことの起こるようなことはいたしません、こういう答弁があったわけです。特に転勤等の場合には本人の承諾を得るようにいたします。本人には拒否権もあります。特に団体業務等についておる方は——具体的に言うと、組合幹部等の場合にはその組合と十分話し合いをして転勤等を扱いますという佐藤総理の答弁になっているわけです。したがって、もう一ぺん、私はこの機構改革によって多少の異動等が起こるんではないだろうかと思いますから、佐藤総理のその私どもに対する答弁を農林大臣も確認をして、いやしくも本人が不利益になったり、不安を覚えることのないようにしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  287. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 総定員法審議の最中に、総理大臣の発言いたしましたことをよく承っておりますからして、そういう方針を尊重してやってまいりたいと思っております。
  288. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 暫時休憩いたします。    午後六時十一分休憩      —————・—————    午後六時二十四分開会
  289. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は御発言を願います。
  290. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃお聞きしますが、今回の法案の改正ですね、これは総合農政推進目的としてこれがなされたと、こういうふうに考えられるのですが、この点どうでしょう。
  291. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) もちろん農林省は全体の農政について総合農政推進いたしていくつもりでございますが、この組織法ももちろん、そういう農林省方向に従って行政運営が合理的に行なえるように、こういうことで御提案申し上げているには間違いありません。
  292. 岩間正男

    ○岩間正男君 政府は昨年来、いわゆる米の過剰問題を最大限に利用して総合農政を打ち出して、昨年秋の農業政策審議会答申、あるいは今年二月の総合農政推進についてという閣議決定でほぼその方向が示されていると思います。私は設置法改正の面接の理由として指摘されているこの総合農政の内容、特に、まあ設置法の内容と関連して、輸入政策の問題、特に開発輸入について、若干質問したいと思います。  まず第一に、この食糧国内自給の問題は、午前中も出ましたけれども、この国内自給率を高水準を保って、これをあくまでも高める努力を一貫して行なうということが農政の上で最も重要な課題だと考えるわけですが、この点いかがでしょうか。
  293. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それは、先ほど来こちらでもいろいろの機会にお答えいたしておりますが、なかなか高めると言いましても、困難はございますが、先ほどここでお話し合いがありましたように、自給度は絶対に維持していくように最善の努力をいたしたいと、こう思っておる次第でございます。
  294. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題の背景には、やはり一国の独立の問題があるわけですね、食糧の問題は。で、私はこれは非常に軽々しい問題じゃないと思います。むろん国際価格との競合とか何とかということが出されてきていますけれども、まあ非常に、有事の際を考えるまでもないことですけれども、一国の独立と深いこれは関係があることは、くどくど私は指摘する必要はない。第二は、国内農業を多面的、総合的に発展させることによって、農民の生活を真に守る、こういう点から国内の自給率を高めるということが、やはり基本的な政策だと考えるわけです。いま、まあこれは高めたいんだけれども、現在のパーセンテージを維持するんだ、こういうお話でありますけれども、重ねてこの点をお伺いしたい。
  295. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いろいろな意味で、われわれといたしましては、国民の必要な食糧は安定的に供給するということ、もう一つは、その農業従事者に安定的に国民食糧を供給してもらえるように、経済的に立ちいくようにめんどうをみる、こういうのが私どもの課せられた任務であると思っておるわけです。
  296. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこで、いま過去十年間のわが国食糧自給率がどのように推移したか、概況でもいいですけれども、三十五年あたりからの大体の傾向を述べてもらいたい。
  297. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 事務当局からお答えいたします。
  298. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 三十五年から四十年、四十一年、四十二年、四十三年までの資料がいまございます。総合の自給率の御質問かと思いますので、総合でお答え申し上げます。三十五年度八九、四十年八〇、四十一年八〇、四十二年八三、四十三年八三ということでございます。これには、先生御承知と思いますが、濃厚飼料は除外をいたして計算をしておる従来の方式によっておる次第でございます。
  299. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま三十五年対比で言いますと、大体総合自給率は約一〇%程度低下しておる。こういうことは統計の示しておるところですね。こういう中で、過剰米を除外した自給率ですね。この総合日給率は米一〇〇%とした場合、これはどのくらいになるのですか。
  300. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 実は三十五年にさかのぼって、米を一〇〇に直して自給率を計算した資料を持っておりません。三十五年には米の自給率は一〇二でございましたので、これは大体一〇〇に近いという前提でお考えくださるなら八九ということでございます。四十三年を米を一〇〇にいたしまして試算をいたしますと七七ということに相なります。そういうことで、三十五年と四十三年と比較していただきたいと思います。
  301. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは価格でいまの統計は出ているのじゃないですか、これはどうですか。物量的に換算した自給率で検討してみる、つまり重量的にやってみればどうなりますか。
  302. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) これは全部、四十年の卸し売り価格を基準に各年とも算定をしてございます。したがいまして、金額で一定年次の価格を用いてやっておるのでございまして、金額を用いるのが妥当であるか 重量が妥当であるか、しろいろ御議論がございますが、総合で出す場合には、重量ということが妥当であるかどうか。たとえは、肉の一トンと果実の一トンというようなことが同じウエートになりますので、その辺に問題もあろうかと思いまして、重量の計算は私どもいたしておりません。また国際的にも、大体総合では従来金額で計算をしている例が多いのでありますが、個々のものになりますと、重量計算をしている例も多いようであります。
  303. 岩間正男

    ○岩間正男君 価格変動の激しいこういう事態の中で、どうもやはり統計の正確は期しがたいと思うわけです。こういう点からいえば、重量によるこれは統計も必要になってくる。私たちはそういう点から四十年、これは計算してみたのですが、大体四十年のわれわれの計算では六一%、これは外国と比較してみるというと、これは非常に低いということになるんじゃないですか。アメリカの場合、食糧輸出国であるアメリカの場合は一二四、フランスが一一〇、それから輸入国であるイタリアの場合でも八二、西ドイツが七五、こういうものを下回る。それからイギリスですね、これは資材本主義諸国の中でも最低ですが、これが六二%、こういうことになりますと、重量による指標をとりますと、日本は非常に低いということがいえると思うのです。さらに飼料を含めるということになると、総合自給率の実質は六〇%内外になってくる。これは非常にやはり私は問題をはらんでいる。結局、先ほど申しました独立の問題とも関係がありますからね。そういう点から非常にこの問題を重視するわけです。そこで、大体このように自給率が一貫して低下している、この原因というものをどういうふうにつかんでおられますか。これは大臣にお伺いしたい。
  304. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いま六〇何%というのは、私どもどういう数字であるか、よくわからないのでありますが、わが国で、先ほどどなたかの質疑応答の中でも、米が一一〇何%、そのときには全体が八三%といわれておったわけでありますが、先ほど申しましたように、一応長期見通しの中で、二十五年というものをとりましたときに、米を一〇〇%とすれば大体七七ないし七九、そういう自給度である。なるべくこの程度を落としたくない。しかし、あの中でも小麦が一四%というきわめて低位のものがありまして、そういうようなものを考えますというと、われわれがいまの肉を食べ、鶏を食べ、そういうものを生産してまいるための濃厚飼料というものは、わが国には不幸にして生産がほとんど見込みがないことは御存じのとおりであります。しかし、やはりわれわれ日本人が、だんだんいわゆる食生活が近代化といいますか、してまいりまして、そういうものの需要が多いわけでありますから、したがって、そういうものの生産は、さらにつとめなければなりませんが、これに対する濃厚飼料の原料の多くを輸入に待っておる。こういう実情をどのようにして、なるべく改善することができるかということのために、私どもとしては、たとえば米の生産調整などにいたしましても、これを作付転換していくことを考える。どういうものに転換していくべきであるか。そういう場合に、やっぱり私どもは、濃厚飼料、粗飼料の原料、それから養蚕、そういうものにだんだん転換していくべきであると思っておりますが、できるだけ酪農、畜産の飼料を増産してまいりたい。今度御審議を願っております組織法の中でも草地試験場を分けておりますが、これらのことにつきましても、わが国に適した草の研究、これはもう最も緊要欠くべからざるものでございますので、そういう意味で、一方において研究を重ねながら一方においては草地の造成をしてまいりたい。この間もお話のありましたように、民有林などで薪炭材を切りっぱなしで放置してあるようなところは、なるべく活用して、酪農の飼料作物をつくってまいりたい、こういうふうなことを考えておるわけでありますが、何といたしましても、いまの態勢は、粗飼料原料の大部分は輸入に待っておるという現状はいなめないわけであります。
  305. 岩間正男

    ○岩間正男君 三十五年対比で約一〇%の自給率の低下がある。その原因はどうかということをお聞きしているのですが、これには適切なお答えがなかったと思うのですけれどもね。これはどうですか、輸入との関係、輸入の拡大、ことにアメリカを中心とした大幅な輸入ということが影響しておりませんか。この点はどうお考えですか。
  306. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 一つの例をとってみましょう。いま申しました畜産の濃厚飼料、これをわが国でしからばまかなえるかといったら、御存じのように、まかなえないのが事実であります。これは、外国から買っているからまかなえないのではなくて、実際にまかなえない。トウモロコシ、マイロ等多量に必要といたしますけれども、そういうものはわが国生産がごくわずかである。私どもは、そういうことを考えてみますと、いままだこれは厚生省で研究していることでありますが、石油製剤から畜産関係の飼料と同じものがとれるという研究がありまして、これがもし合格するということであれば、こういうものこそたいへんな一つの革命的なものではないかと思っておりますが、まだ動物の食糧として若干の疑問があるということで商品化してはおりませんけれども、そういうものの研究等も、これは日本だけじゃありません、世界各国がやっておる研究でありますが、私どもとしては、現状の段階においては、やっぱりアメリカ、カナダ、オーストラリア等に多くのそういうものの原料を依存しておるのは事実でありますが、輸入してきたからしてそういうものが生産がなくなったのだということはないと思います。
  307. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまのような説明をされておりますが、事実は逆じゃないですか。結局、日本が足りないから輸入しているのだという形じゃなくて、実際は、生産がそういう形に調整されている。小麦の例なんか見れば、最もこれは明らかだと思うわけです。そういう条件をつくっておいて、やむを得ず輸入するというかっこうで輸入しておるというのがこれが実情じゃないですか。これは、農民が何よりも生活体験で知っているのですよね。いまのような説明じゃ、私はどうかと思うのです。ともかく輸入の実態をこれはわれわれ検討してみる必要もあろうかと思うのですが、ことにアメリカの農産物ですね、これは、実態はどうです。六七年から——六〇年あたりからの統計ありますか。どうつかんでおりますか。
  308. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 私のほうの飼料関係で申し上げますと、四十一年、四十二年、四十三年までが実績でわかっておりますので申し上げますと、アメリカの占めるシェアでトウモロコシが四十一年が六四%、四十二年が五三%、四十三年が五四・六%、それからコウリャンが四十一年が八九・九%、四十二年が八四・八%、四十三年が八三・三%、それから大麦がアメリカが四十一年が五一・三%、四十二年が一九・四%、それから小麦が四十一年が三九・九%、四十二年が三八・一%、四十三年が二九・八%、飼料全体として申し上げますと、アメリカが四十一年が六五%、四十二年が五五・五%、四十三年が五二・五%ということで、全体の中に占めるシェアは順次低下をいたしておるのでございまして、これは当然輸入を一国に大きく依存いたしますと、安定的な供給を確保する上において好ましくない。輸入先の多元化につとめてまいったのでございまして、この結果、東南アジアとか南アフリカ、豪州等からの輸入が増加した結果であろうというふうに理解をいたしております。
  309. 岩間正男

    ○岩間正男君 アメリカの占める量というのは、これは絶対的に依然として多いわけですね。そういう形で、はっきり統計が示しておると思うんですが、アメリカの傾向を見ても、アメリカの余剰農産物の在庫、これは六〇年代の後半以降で大幅な減少をしてきた。特にその中でトウモロコシや小麦、こういうものが減少を示していますが、この減少の大きな要因の一つとして、わが国の輸入が大幅な拡大をしたということが指摘されています。この期間にわが国は、カナダを追い越してアメリカ農産物輸出の最大の顧客となっている。そうして、その期間に同時にわが国農業が一方では小麦、大豆、果実などを中心に深刻な打撃を受けたということは、これは客観的な、しかも周知の事実じゃないですか。こういう現象をやっぱり明確にしなければ日本農業とそれからこの外国過剰農産物との、特にアメリカの過剰農産物との関係というやつは明確にならぬ。統計がこれははっきり示している。どうなんです。
  310. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 実は、先ほど来申し上げております飼料穀物につきましては、世界の貿易の過半が米国の供給によって世界で行なわれておるというような実態もあるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、わが国の輸入量も過去におきましては三分の二程度がアメリカ依存ということであったわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、輸入の多元化をはかりました結果、アメリカの占めるシェアは漸次低下をいたしてきておる、こういう実態でございます。
  311. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう現象の中で、まあさらに畜産、果実、野菜などの振興を総合農政で展開しようと、こういうことがまあ政府の政策で言われておるのです。しかし、こういう中でどうですか、残存輸入制限の大幅な撤廃ですね、これがまあいま要請されている。そうすると、この問題とこれは、二つの間には大きな矛盾が出ませんか。一方では残存輸入制限をとにかくこれはやらざるを得ないというかっこうでこれを強行しようとしている、一方ではこれは総合農政によって振興を考えていくと言うのですが、この辺どうなんです。この辺の政策の食い違いはこれはどうする、その点を明確にしなくちゃ。
  312. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 残存輸入制限は、これは岩間さんもよく御存じのように、われわれが、いまの日本の経済は著しい経済成長を見ておるわけでありますが、こういう成長を維持してまいるためには、やっぱり国際協力ということが必要であります。わが国が孤立して経済を営んでいくことはできないわけであります。したがって、そういうことから考えてみまして、OECDとか、FAOとか、国連傘下のいろいろな国際機関にも参加し、協力していることも御存じのとおりであります。そこで、いまたとえばFAOにしてもOECDにしてもそうでありますが、やはり世界全体が平等な立場でなるべく相互に有無相通ずる協力経済を営んでいこうと、そういう考え方一つ。もう一つは、なるべく開発途上国、おくれておる国々に対して先進国は手を差し伸べてやって、彼らの経済発展に協力をしてやることが、ひいてはその地域の平和をもたらす理由にもなり、世界平和をもたらす原動力にもなるんだという考えで、なるべく低開発国の物資をできるだけ先進国は買ってやってくれと、こういう考え方であります。ケネディ・ラウンドなんかについてジュネーブで話し合いをいたしました。それも私が申し上げたとおりであります。そこで、世界の食糧農業会議の状況などを見ましても、七十数カ国の低開発国は事前に彼らが集まって協議をいたしまして、いま私が申したようなことについて強い要望を訴えております。そういうようなことから考えてみますというと、できるだけ各国は通商を自由にしていこうと、こういう考え方でありますので、わが国がいまの経済発展を維持していくために輸出の継続的伸展をはかるためには、やはり輸入についても相当に考えてやらなければなりません。しかも、われわれはアジアに位している国でありますから、アジアの低開発諸国が一次産品をできるだけ海外に売って、外貨を獲得して近代工業化していこうというねらいでありますので、そういうことに対して日本も協力することが世界平和のためにも利益であり、わが国のためにも利益である。そういうことでわれわれはできるだけ貿易の自由化に協力する体制を整えておるわけであります。ところがその中で、わが国状態、特別な状態からかんがみまして、全部を野放しにすることは不可能でありますので、われわれの立場から考えてみて競合するような物資については、これは不可能であるということで、いま会議等でもいろいろ、何と申しますか、突っ張っているところであります。事実はそういうところであります。
  313. 岩間正男

    ○岩間正男君 せっかくのいまの御答弁ですが、いまの御答弁には二つの大きな問題を含んでいると思います。一つは、とにかく農民の犠牲によってそういう輸入を緩和する、残存品目の解除をやる。そういうことをくどくど申し上げる必要はないと思うが、グレープフルーツの問題、私はあの前後から愛媛県に行っていました。あれは日本の一番のミカンの産地でございます。これは政府の政策にがちんとどういうふうに食いとめていくかはっきりしております。あそこのミカン農民がグレープフルーツの品目の解除に対してどういうふうに受け取めるか。三千くらいの農民の反対運動があったことも御存じのとおりです。その前にも青森のリンゴでもバナナの輸入で、御承知のように青森のリンゴ農民は全く成り立たなくなってきている。これも青森に行ってごらんなさい、たいへんな状態です。これはこういう例をあげるまでもなく、農民ははだで感じておるんですよ。これはなぜそういう犠牲を払わして、なおかつ一体輸入をしなきゃならないのか、そういうところに一つの、これはやはり独立の問題とも関連して、また自国の産業をどういうふうに発展さしていくか、それが独立のかぎとしてどんなに重大な問題であるかという問題と関連して、大きな問題である。そして、しかもいま開発途上国とか低開発国に対する、そこからも買わなきゃならない、こういうことを言っているんですが、これはどうですか。日本のいまこの経済援助という形が、どういうふうに東南アジアでいま受け入れられているか、これもくどくど申し上げる必要はないと思う。イエローヤンキーとか、そういう表現でいわれておりますが、日本の新たなる経済援助とか何とかいう名前の経済侵略がどんな形で始まっておるか。この見返りとして外国食糧を入れざるを得ない、そういう形になっているんですから、いまの御答弁をそのままではこれは私はとてもいただけないと思う。私はそういうような形で、とにかく残存輸入制限の撤廃交渉が昨年の秋、それから今年の二月、こういうことで農産物二十八品目の自由化、それから大豆の関税の引き下げ、さらには日米共同声明によって、昭和五十二年まで早期に残存輸入制限品目百二十品目を半減する、断行する、日米共同声明にまでこのことをうたってある。こういうやり方の背景というものは非常に大きなものを含んでおると思うんです。この点をやっぱりわれわれは明確に指摘をしなきゃならぬと思うんです。その点どうでしょうか。
  314. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) どうもあなたと議論しておっても始まらないのですけれども農民の犠牲において日本の経済の発展を考えるのだというふうな御判断というのは、少なくとも農林省につとめておる私どもから言わせれば、あなたのことばのようにいただけない。私らそんなこと考えていないですよ。それで、いまリンゴの話がありましたけれども、私の選挙区は農村といったって米はほとんどありませんので、全部リンゴで、リンゴの中から投票してもらって出てきているわけです。それで、いまのリンゴにつきましても、せんだっても私は長野へ帰りましたら、農協の役員が招待してくれました。デザートに出てきたもの何だと思ったら、バナナが出てきた。だから、私はおこったんであります。リンゴを大いに学童給食にふやしたり何かするコンテナの補助金まで取っていながら、こんなところでバナナを食うとは何事だと言ったんでありますけれども、好きなものはやっぱり食うんですな。そこで私は、バナナ関税引き下げの問題もしばしばありますけれども、これは御承知のように六〇%、従価六〇%を依然として動かしておりませんし、七〇%を一〇%に落とすときに、十万箱しか買ってくれなかったリンゴを、私の代に二十三万箱にふやして、ことし三万箱ぐらいふやしておるはずであります。私どもとしては、いまグレープフルーツの話がありましたけれども、これについては、私はあなたと若干感想が違いますけれども、それは議論になるから別ですが、長谷川前農林大臣は、このグレープフルーツにつきましては、アメリカの各州でできるだけ多くの温州ミカンの購入は自由化してくれるということを前提にしてやるんだということを議会でも声明しておられます。私もその方針を継承して一生懸命でやっておるわけであります。しかも、ミカンの産地に対してはかんがい施設その他四十五年度予算をごらんいただきましてもわかりますように、ミカンの生産地の方々が十分御満足いくような施策をして、あの人たちもまた、なまミカンもさることながら、やはり将来は農協が中心になって、そしてかん詰め及びジュースに進出しようというので、えらい勢いでやっているのですよ。私どもはそういう消極的な面ばかり考えないで、むしろ積極的に、敵地に乗り込んでいって勝利を得るという商戦を考えるべきであると、こういうので、現在、清水あたりのミカンのかん詰めでもそうであります。そういうことで一生懸命でやっているわけであります。
  315. 岩間正男

    ○岩間正男君 長野にも私もずいぶん行っていますからね。そうして今度の米の一割減反の問題だってどういうふうに受け取られているか。そういう中でいまの農民の姿というもの、過疎地帯、ことにそういうところで一体何が起こっているかということは、ここで長々やるあれはありません。しかし、後継者の問題一つ考えたって、いまの農村というものがかかえている問題、これは一つの何といいますか、長い間もう、あなた二十二年から選ばれてきたと思うんですがね。そうでしょう。そういう一つの輿望があって、いまそういうことを言っておられるかもしらぬけれども、一体農村の姿というものはどういうふうに変わりつつあるのか、私はこれをここで論議する時間はないと思いますけれども、いまの食糧自給度の問題、それから農村を一体どのように独立させていくか、一国の独立の基礎としての食糧問題というものは一体どういうものなのか、もっと真剣に考える時期がもう来ていると思う、この問題、もう国際的なそういう交流の問題もありましょう。しかし、どこかに拠点を据えて、腹を据えてこの問題の解決をしなくちゃいかぬ。そういう点からいいますと、どうもいまの農林大臣の答弁は納得しかねる。しかし、時間の関係もありますから、向こうのほうからも、少しいろいろ与党の理事からそういう何が出ていますから、この辺でこの問題はやめにして、次に伺いたいのですが、過剰米ですね。過剰米の処理の方法として学校給食の問題、これは先ほど述べられたわけですけれども、この構想について、一応資料はもらいましたけれども、簡単にこの構想を説明してもらいましょう。
  316. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 米を学校給食に使用する問題につきましては、私どもも過剰米処理の一環としてぜひこれを進めたいと思っております。ところが、学校給食は御承知のとおり、食糧の不足時代に長年小麦を中心にやってきたものでございますので、米に切りかえるにつきましては、米飯給食に伴う手間の問題、あるいは炊飯施設の設置の問題、それに伴う人員の問題等、いろいろ検討しなければならない問題があるわけでございます。そこで、四十五年度から文部省と御相談いたしまして、とりあえず、百十二の実験校について米飯給食をやってみたい。このため文部省のほうで二億、施設その他の予算を計上していただきまして、食糧庁といたしましては炊飯用に五百二十五トンの玄米、それから米食以外に米粉入りパンというものを、さしあたり約二百の学校において週二、三回程度学校給食として使うということで、百七十八トンの玄米を無償交付する予定にしております。
  317. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これはまあいま試みの程度ですね、これが何ですか、うまくいけばもっと全面的にこれをやろうと、こういう計画のもとに行なわれているのですか、どうなんですか。
  318. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 学校給食のことにつきましては、いまお話が出ておりますが、岩間委員も御存じのように、パン、ミルクで今日の状況をつくってまいりました。私ども学校給食で米を扱えば過剰米の対策になるとは考えておりません。学校給食に要します食事内容の所要量は国民の食事内容の約一%でございまして、そのことによって米の問題にすぐどうこうというふうには考えません。しかし、とにかく学校給食によりまして米を使うことの考え方というものを将来の課題として考えてみることは、この事態に立って必要なことであると考えまして、今年度の予算に、先ほど食糧庁の次長のほうから答弁がありましたような予算をとったわけでございます。で、今後これをどうするかというのは、私どもは実験の結果によっていろんな措置を考えてみたいと思っております。御案内のように、いまの学校給食は、大部分が教室に持ち帰って教室で盛りつけをして子供たちに食べさしておりますけれども、それを昼休みの時間に食べさせるためにも、ほとんど四十五分から五十分の時間を使って盛りつけをし、食事をし、あと片づけをいたしておる状況でございまして、そこへ米の食慣をまた新たに持ち込みまして、米の盛りつけをやるというようなことは現実問題としてはなかなかむずかしい課題でございます。そこで、今度の米飯の給食を学校の中でどのように扱えるかということを実験いたしますために、食堂の施設、その他の整備もしてみまして、食事のとり方のくふうもいたしてみたいと考えておりますから、まずこの実験の結果を見まして、将来の考え方はまたよく考えてみたいと思っておるところでございます。
  319. 岩間正男

    ○岩間正男君 あまり積極的でないということですな。現状のほうがいいので、まあ米食の給食なんというのはどうも少し重荷だ、こういうような、これはいま文部省の意見が展開されたわけですが、これは大臣、どうなんですか、この点、どう考えていますか。
  320. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 学校給食にもできるだけやってもらうようにつとめますし、それから海外輸出も逐次、いままでもやってまいりましたが、これからもできるだけやりたいと思っております。それから、その他米で間に合うようなものにつきましては、いろいろなものをつくってその消費拡大に努力をしております。飼料のことは先ほどもちょっとお話しありましたが、これも試験的にやってみまして、もしよければ、これもやりたいと思いますが、価格に非常な差がありますので、そういう点についての財政措置等も考慮した上でないと、態度は決定されませんけれども、まあ、できるだけその用途を拡大するように鋭意研究しているわけであります。
  321. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体、農林省考え方、どうなんです。米が余っている、この処理として過剰米だから子供に食わしてこの問題を解決しようと考えておるのかそれとも次代を背負う子供たち、この命をほんとうにこれはもっと豊かに養っていく、父兄負担も軽減する、こういう立場に立っているのか、この点が非常にあいまいじゃないですか、どっちなんですか。
  322. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 両方であります。
  323. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはまあ学童給食の問題は終戦後の教育をささえるために、これは最初にこれを復活するためにわれわれがどんなに苦労したかということは、当時の責任者です、私は。だからよく知っているわけです。知っているわけだ。そういう中で、パンにこれは移行せざるを得なかった当時の事情があるわけです。しかし、どんなに当時の食糧事情がひどかったか、そういう中でまあ当時電熱器で最初に始めたのは、これはまさに教員組合運動の中で始まったものなんです、御存じないでしょう。日本の歴史の中にはっきり明確に記録されなくちゃならない問題だ。そういう中で世田谷あたりで始めたのです。東京のものすごい食糧難の中で、上野の地下道の中で子供がごろごろ死んでいく中で、浅草のあの地下道でも死んでいる。それから、東京駅や有楽町の駅頭でわれわれは死んでいく子供の死水をとったことがあります。そういう中でわれわれは当時農林省、それから東京都、文部省、そういうところをかけずり回って突破口を切り開いた、だからよくこれは知っているわけだ、だれよりも知っているわけだ。ところがどうですか、その後非常に小麦粉、パン、これに対するほんとうにちょっぴりした補助があった。それから脱脂粉乳でしょう。脱脂粉乳というやつが子供にどんなに歓迎されなかったか、そういう形で脱脂粉乳の問題はずいぶん起こりました。この中からほんとうに靴が出てくるとか、向こうでは家畜にやる飼料です。そういうふうなものもあったということは事実であります。そういうころを通ってきてある程度の定着を見た、それが青少年の体位にも非常に寄与していると、こういうふうに言われているのですが、しかし、この問題を一体ほんとうに真剣にこれは考えて、積極的な問題として、一体いまの教育の中で、ことに給食費の負担というやつは年々これは物価の高騰によって父兄負担はたいへんなことになっている。子供二人いたら、小学校、中学校くらいの二人あるいは三人行っていれば、父兄の負担というのはこれはたいへんなことになるのです。こういう点ではどうなんです。これは何か試験台に子供が乗せられるかっこうで、百十二ですか、百十二の小学校、中学校がいま試験的にやっている。ところが、文部省はいま言ったような答弁であまり熱意がない。こういうようなことではこの問題は解決しないと思うのですが、どういうふうに考えているのですか、この辺。これは両者の意見を聞きたい。
  324. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 先般、政府でできました「総合農政推進について」という方針の中に、学校給食のことについては、「流通加工の近代化、消費者保護対策の推進」という項目の中で、「児童生徒の健全な発育と、良質な農産物の長期安定需要の拡大に資するため、学校給食を拡充するとともに、給食用物資の需要の組織化を推進して良質な農産物の合理的な供給確保につとめる必要がある。」という基本的な考え方を打ち出したわけでございまして、学校給食は、私ども文部省の立場から考えますと、児童生徒の健全な発育ということを第一の主眼にして考えます。で、岩間委員も御努力がありましたように、今日の学校給食はパンとミルクということを主体にして発達してまいりまして、日本の牛乳の飲用量の中で学校給食の占めている割合は、他の物資につきましては一般的に一%強でございますけれども、牛乳は一三、四%の消費を学校給食ではやっておるわけでございます。そういう面から、やはり農政のあり方にも大きな寄与と方向づけというものを私ども打ち出しておると思っております。今後、米の問題を考えますにつきましても、学校の中の現実の取り扱いをどのようにやっていくことが適切であるか、それが学校における食事としてはどういうふうにうまく扱えるかということは十分に検討させていただきたいと思います。現在までの学校給食は米を導入するという前提で進んでまいりませんでしたために、いろいろな施設設備にいたしましても、人員配置にいたしましても、いますぐそれを満たすだけの体制はなかなかとり得ない状況にございますから、今後のかじをとるための方向として、どういうことが必要かという点を実験的に試みてみたいということでございまして、決して事柄を消極的に考えておるわけではございません。
  325. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこで、どうですか、百十二校というのはいまみな要請に応じていますか。
  326. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 百十二校の考え方は、四十六の都道府県に小中学校各一校、定時制の高等学校で食堂のありますところを二十校という予定で積算をいたしまして、少なくとも米の生産県と消費県とを問わず協力してほしいという呼びかけをいたしてきましたが、現在の段階では、三十県、五十五校と、約半分でございます。これは現実に米の食事を炊飯するということの問題が、これは市町村の課題になるわけでございまして、そういう体制が現在までのところ十分にとり切れないという市町村の事情等があるものと思われるのでございますが、なお、私どもも将来の方向として、やはり各県で考えてほしいという希望を持っておりますので、ことしの九月以降から実質的な実験に入りたいというふうに思っておりますが、それまではもうしばらく勧奨してみたいというふうに考えております。
  327. 岩間正男

    ○岩間正男君 父兄負担の面でどうなるか、米食に切りかえた場合。
  328. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 米の炊飯を、いまの米の消費者価格で購入するということになりますと、父兄負担の問題につきましてもパンより割り高になってまいりますので、この問題はやはり実験的にいろいろ進めるという観点から、食糧庁と御相談をいたしまして、玄米につきましては試験的な米の無償提供ということのお願いをいたしたわけでございまして、多少精白その他、あるいは玄米。ハンにいたします場合の製粉の加工賃等を考えましても、なお従来の食費の範囲内で、おかずについての処理その他がまかなえるものというふうに考えておる次第でございます。
  329. 岩間正男

    ○岩間正男君 農林省はこの問題はもう少し科学的に検討する必要があるのではないですか、どうですか。現在のパン食、それからこれを米食に切りかえる、副食物の問題なんかも起こるでしょう。それから施設の問題もありますね。それから栄養士の問題も出てくるわけですけれども、しかし、そういうふうな現状はこうだから、これを変えるわけにいかないのだという前提に立ったんでは、この問題は政策として論議しても話にならぬですから、現状はこうだろうということもあるだろうが、それはあります。ありますけれども、しかし、政策としてこれは一体どうなのか、そういう面を検討しておるのですか。ただ過剰米の処理が、余ったから、子供が多いのだから、これにやってみようかというような形だったんでは、ほんとうに私はこの問題に対する熱意が足りないと考えざるを得ない、これはどうなんですか。
  330. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 過剰米の処理につきましては、いまお話のありました学校給食ももちろん、いま文部省でもお話のありましたように、政府部内で相談をいたしまして、できるだけひとつ早く検討してもらって実現してもらえるように文部省にお願いをいたしておるわけでありますが、それだけではなくて、やはりさっきも申し上げましたように、いろいろな用途について農林省でも検討をいたしておりますし、輸出等につきましても、いままでのやり方ですと、たいへん手続が困難でありましたので、今般、長期延べ払いで米の輸出ができるような法律を御審議願っておるわけでありますが、そういうようなものも成立さして、そして輸出にさらに力を入れたい。それからまた先ほどもお話のありました飼料等について、どのように、どういう程度に、どういうふうな調合をして、いままでの他のものにかわり得るであろうかということについてかなりの研究をさせておるのでありますが、ただいまのところ、そういうようなことについて、どのような方法で横流し等がされずに相手方に渡り得るであろうかと、そういうふうなことまで実は掘り下げて検討をいたしておるわけでありまして、過剰米処理については怠っておるわけではないのであって、全力をあげてその処理に邁進をいたしております。
  331. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどから病変米の話が出ましたね。そしてこれの管理が非常に問題になっております。黄変米の問題についても私は十数年前に外国の食糧、外国米の黄変米の問題を取り上げたことがあるんですが、ずいぶんロスがあるでしょう。法外なこれはロスをやっているわけですね。だから、そういう面から考えると、この問題、もっとこれは積極的に取り上げることはできないのかどうなのか。ことに私が問題にしたいと思うのは憲法二十六条です。「義務教育は、これを無償とする。」。ところが、これに対する文部省の解釈というのは、この無償というのは教科書ぐらいにしか考えていない。これは全く矮小化であり、この憲法の精神というのは正しく行なわれておりません。学童給食なんというのは、考えてみるというと、ほんとうに次の時代を背負う青少年の健康の問題であり、そして自分の親たちの手でつくったそういう米というもの、それで子供をほんとうに育てていくのだという面から考えてみても、それから食糧政策の面から考えてみても、そのパーセンテージはそれほど商いものじゃないかもしらぬけれども、私はこの問題は検討に値する問題だと思う。かりに小中学校の生徒に、これはどうですか、全額無償でこの学童給食をやるとしたらどのくらいかかるか、こういう検討をしたことがありますか。
  332. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 現在、小学校でほぼ九割、中学校で四割が、お昼の食事を学校でとっておりますが、その段階で食費の総額を概算をいたしますと、四十三年度の価格で一千億強、一千百億ぐらいになろうかと考えております。
  333. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ一千百億ね、これは八兆円の財政の中でどれくらいのパーセントになりますか。一・三%ぐらいか、現在の。そうしてこれは民族の次の時代をつくるのです、その生命を養うのだな。そうして同時にこれはいまの食糧政策からいえば、何も国家的の損失にはならないのじゃないか。だから、政治の問題としたら非常に大きな、次の時代を、未来をもう少し考えていけば、この投資なんというものは非常に生きる投資ですよね。そういう点から考えれば、いま父兄の負担の中で、やはり給食費用の負担というやつは非常に大きい負担になっている。全体の中で占める給食費というものは非常に大きい。だから、全額無償にしたって国家的損傷はないのだ。私はそういうふうにこれは考えるのですけれども、こういう問題について、これは農林大臣検討したことがありますか。この辺は国務大臣として、先ほどからあなたの御見識を拝聴いたしましたが、こういう問題についてひとつどうですか。
  334. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 先般私どものほうの保健体育審議会で、今後の給食のあり方につきましてその点も加えまして検討が行なわれたのでございますが、昼の食事は一応学校でとられるわけでございますけれども、子供を育てるという基本的な課題として考えますならば、学校と親が責任を分担してしかるべき課題ではないかということになった次第でございまして、そこで食材料につきましては父兄が負担するけれども、学校で食事が食べられるようになる諸準備、施設費、人件費については学校当局の負担とするという、この従来とってきた基本的な方向で差しつかえないであろうという御答申をちょうだいいたしまして、文部省としてはいまそのような方向で考えておるところでございます。
  335. 岩間正男

    ○岩間正男君 農林大臣。いまのは文部大臣に出てもらって聞かなければならぬね。
  336. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は、そういうことを研究したことはありません。
  337. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はこの問題は検討に値する課題だと思うんです。ことに労働者階級の場合を考えますと、非常に物価高の中でこれは困っているわけでしょう。それで春闘、秋闘の戦いをせざるを得ない。そういう中で、かりにこのような給食費が全額国庫負担ということでかりに国家がまかなうということになれば、賃金の内容というものは非常に大幅に変わる。実質賃金は非常に上昇する。だから、私は日本の労働者階級はなぜ一体こういう問題を自分一つの要求として掲げないかということをふしぎにさえ思っているくらいです。そういう点から考えますと、いまの食糧問題の過剰米を子供たち、いいつてがあるからここのところに食べさしてやるのだという、こんなあさましい考えではこの問題は解決しない。だから、そういう点ではもっと大きな課題としてこれは検討すべきだと思うんです。文部省の見解を聞きましたが、どうもこれは局長さんというのはやはりやむを得ないのかもしれませんが、現状維持に立っておって、政治的なそういう答弁ができないのはしかたないかもしれませんけれども、これはまあ文部大臣に聞かなければならないし、実際はいまの自民党内閣の政策の一環として、こういうような点で研究もされていないというのは非常に不十分だ。そうして過剰米の処理として全く苦肉の策みたいなことでいま研究段階になっている。これじゃまずい。私たちはほんとうにこういうものは全面的に国家から出すべきだと思う。これはわれわれ終戦後の教育をになって、そうして長い間教育の問題に携わってきた者としても、それからいまの親たちの要求として、また労働者の要求としてこういうものを要求したいと思うが、大体その辺で大臣、これに対して何かありませんか。研究はない、それだけですか。
  338. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) さっきお答えいたしたとおりであります。
  339. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間も非常に過ぎましたので、二、三問で終わりたいと思います。もうすでに同僚議員のほうからいろいろな質問がございましたので、まとめて二つ三つ質問したいと思います。  初めに農業者大学校の問題でございますが、この問題につきましては、先般の六十一国会におきまして相当審議をいたしました。それで、私は二、三聞いておきたいのでありますが、現在すでに一年、二年、三年と農業者大学校、いわゆる中央青年研修施設ですか、これに入っているわけでありますが、そういう方々が現在何人くらいずつ入っているかということをひとつ聞いて、そうしてその問題と、これからこの農業者大学校が将来どういうぐあいになっていくのかという問題ですね。これは私はいろいろな問題があるのではないかと思うのです。それは現在農業人口といいますか、青年の農業についている人口というのは非常に少なくなってきている。ほとんど大部分が、四十歳以上の占める比率というのが男子で七〇%、女子で六三%という非常に高率になっているわけですね。そういうようなときに、新しく農業者大学校というのをつくって、各都道府県から一名か二名、あるいは三名、知事から推薦されて大学校に入るにしても、現在でもすでに各都道府県から一名か二名、それが出てないところがずいぶんあるわけですね。いわゆるこういうふうな時期にこういうふうな大学校をつくる意義があるのかどうか、非常に疑問なんですね。この点、まず第一点です。  それから、それよりかもっと文部省の管轄の農業大学校、農業高等学校とかありますね。ああいうふうなところにもっと力を入れるべきじゃないか。すでに農業高等学校でも農村に踏みとどまって農業を継いでいる人というのはその半分にもならないというんですね。そういう点から考えてみても、これらの農業高校のあり方について、私はそういうところにこそもっと力を入れるべきではないかという点が一つですね。  それから、もう時間がありませんから私は続けて全部言いますけれども、もう一つは、将来の問題でありますけれども農業者大学校というのは、まあ今回通りまして、その後、たとえば林業者とか、水産業者とか、そういう人たちに対してはどういうふうにお考えか、その点もあわせてお伺いしたいと思うんです。  それから、続けてもう全部言ってしまいますが、あの統計事務所の問題ですけどね、これもちょっと農林省の姿勢というのは、私は得心がいかないわけです。というのは、あの昭和四十五年度に講じようとする農業施策ですか、このプリントによりましても、いわゆる統計事務所の人たちが今度一万二千人ですか、相当大量の人数をいわゆる地方農政局でかかえることになるわけですね。その場合、新しくかかえて、そして申請させよう、そういうふうな事態にありながら、この四十五年度農業施策では、いわゆる統計事務所の問題なんかについてはほんの二、三行、ちょっとしか出ていないわけです。もっと、要するに将来に向かっての青写真というものを私はやるべきじゃないか、こういうぐあいに思うんです。まあいろいろ言いましたけれども、以上の点についてそれぞれ御見解をお伺いしたいと思うんです。
  340. 池田俊也

    政府委員(池田俊也君) 農業者大学校の点でございますが、これは定員といたしましては五十人を考えているわけでございますが、現在おりますのは七十六人でございます。
  341. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは一年、二年、三年全部ですか。
  342. 池田俊也

    政府委員(池田俊也君) 一年、二年、三年、合計いたしまして七十六人でございます。これは現在、中央研修施設という名前になっておりますが、そういう状況でございます。  それから農業者大学校の定員といたしましては五十人を考えておりますわけですので、この法律が成立いたしましたならば、その合わせましたものが一応定員になるわけであります。  それから次に、地方農業高校につきましてその充実をはかるべきじゃないかという御意見、私ども全く同感でございます。これは間接的には文部省が所管をいたしておるわけでありますが、私ども常に連絡をいたして御相談にあずかっているわけでございます。  なお、私どもがやっております事業といたしましては、文部省の学校のほかに、地方農業高校を出た方が入るような研修施設、高等農業研修施設といっておりますが、これを本年度から整備しつつあるわけであります。なお、そのほかに従来、中学卒の方が入りますような経営伝習農場というのがありますが、そういうものをあわせまして、私どもといたしましては充実をしてまいりたい、こういう気持ちでございます。  なお、林業等の関係の方の大学校等についての御意見があったわけでございますが、こういう点につきましても、私ども今後十分検討してまいりたい考えでございます。
  343. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 農林統計組織の将来につきまして、一番大事なことは、この組織の将来を安定させることであると思います。現に臨時行政調査会の御答申以来、各方面からいろいろな御意見、御批判が出ておりまして、その御意見、御批判が出るたびに地方の職員は非常に下安の念にかられております。特に、最近のように行政監理委員会の六人委員の御意見が出て、職員の一部を登記所や税務署へ配置がえしたらどうだといったような意見が出るに及びまして、非常に動揺が隠せないわけでございますので、今回の法律改正を契機にしまして、これをしっかりした、安定した組織に載っけることが最大の課題であると思います。また、そういう御意見が出る背景には、私どもの仕事のやり方にやはりどこか問題があるわけでございますので、やはりこの地域農民と密着した統計活動ができるようにすることによりましてここを切り抜けてまいりたいというのが、この改正案を出している主眼でございまして、その線に沿って運営してまいりたいと考えております。
  344. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はもうこれで終わりたいんですけれどもね、その農業者大学校の問題一つにしても、現在は七十八名ということでありますけれども一つも私は得心がいかないんです。というのは、農業人口はどんどん減ってきている。各都道府県に推薦してもらいたいといっても、各都道府県から推薦する人がいない状況なんです。まあそれはいるところもありますよ。多いところもありますけれども、現実に七十何名でも、幾つかの都道府県は出ていないはずです。そういうぐあいにして農業人口が非常に減ってきているときに、これから新しいそういうものをつくってほんとうにどれだけの将来性があるのか。それよりは、もっと各都道府県でやっている伝習農場とか、いろいろいっぱいありますね、そういうようなところにもっと力を入れてやったほうが私は効果的じゃないか、そういうぐあいに思うんです。まあいろいろ言えば幾つもありますけれども、そういう点はどうもおかしいんじゃないか。  それから統計事務所の問題についても、やっぱりもっと前向きで私は施策をやるべきだと思う。いわゆるこの農業白書ですか、白書じゃないでしょうけれども、四十五年にやろうという、こういう中にも当然私は明らかに農林省としてこうすべきだというものを出すべきだと思うのですよ。一万何千人というたくさんの人が入ってくるわけですからね。そういうことも明らかにしないでやったって、私は何にもならないのじゃないか、こういうぐあいに思うのです。いろいろありますけれども、いずれにしましても、そういう点には十分配慮をしてやってもらいたいと思います。それから、先ほどありましたけれども、統計事務所の問題につきましては、やはり総定員法と関連いたしまして先ほど質問がありましたとおり、いろいろな問題が出てまいります。そういう点にも十分配慮をして私はやってもらいたいと思います。以上いろいろ、そのほかも質問するつもりでありましたけれども、きょうはこれでやめますけれども、そういう点一つ一つ、私はたとえば高知の種畜牧場の問題についてもいろいろ問題があります。しかしながら、これもやはりそれを運用する面においては、そこの職員等についても、いろいろな面で事故が起きないように、やはり現場の職員の意見もよく聞いて、今回の法案が通った場合、その運用の面には十分注意してやっていただきたい、以上申し上げて私の質問を終わります。
  345. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいまのお話、私どもよくわかっておりますので、十分そのように戒心をいたしまして処理してまいる次第であります。
  346. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 他に御発言もないようですので、本案に対する質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。  別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  農林省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  347. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  348. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいま可決されました農林省設置法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社の四党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   農林省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近におけるわが国農政およびこれをとりまく諸情勢の推移にかんがみ、今回の農林省機構改革の施行に際しては、わが国将来の農政に直接に関連する左記の点にとくに配慮し、職員の処遇につき万遺憾なきを期すべきである。  一、出血整理、強制的配置転換を行なわないこと。  一、勤務条件等についても話し合いの姿勢をもって、その向上に努めること。  右決議する。  決議案の趣旨は案文において明らかと存じますので、説明は省略さしていただきます。  以上でございます。
  349. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 別に御発言もなければ、足鹿君提出の附帯決議案の採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  350. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 全会一致と認めます。よって、足鹿君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、倉石農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣
  351. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま御決定になりました附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして善処してまいりたいと存じます。
  352. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  353. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後七時三十八分散会