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1970-08-19 第63回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年八月十九日(水曜日)    午後一時十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 石原幹市郎君                 上田  哲君     委 員                 源田  実君                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 長屋  茂君                 安田 隆明君                 山本茂一郎君                 鶴園 哲夫君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君        国 務 大 臣  中曽根康弘君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府総務副長        官        湊  徹郎君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛施設庁長官  山上 信重君        防衛施設庁施設        部長       長坂  強君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (一般職職員給与についての報告並びにそ  の改定についての勧告に関する件) ○国の防衛に関する調査  (国の防衛に関する件)  (全日空機乗取り事件に関する件)     —————————————
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  冒頭にちょっと申し上げますが、きょうは実は給与問題で審議を願うということで委員会を持ったわけでございますけれども、きょうのこの委員会を持ちますことについては、一カ月余り前に実は総理府総務長官のほうにも連絡してあったのです。あったにもかかわりませず、給与関係主任担当大臣であります総理府総務長官は、きょうどうしても出席できないということ、まことにこれは遺憾千万だと思うのでございます。これは参議院軽視と言わざるを得ないと考えるのですが、どうかひとつ、きょうは副長官おいでになっておりますけれども、今後こういうことの絶対ないように、ひとつ副長官から総理府総務長官によく伝達しておいていただきたい。このことを冒頭委員長から申し上げたいと存じます。いかがですか。
  3. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) ただいま委員長からお話しがございました点について、まことに申しわけないと思っております。ただいまお話しのとおり総務長官に申し上げ、今後のこと等については、部内においても十分相談をして善処いたしたいと存じます。     —————————————
  4. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それでは一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告に関する件を議題といたします。  まず、人事院総裁より説明を聴取いたします。佐藤人事院総裁
  5. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 勧告提出後早々にしてこの機会をおつくりくださいましたことに対しまして、ありがたく厚く御礼を申し上げます。  去る十四日に私ども国会及び内閣に対しまして勧告を提出いたしたのでございますが、これは例年のとおり本年四月における官民給与格差、これに基づきまして勧告を申し上げたわけでございます。  これも例年のとおりでございますが、民間につきましては企業規模百人、事業所規模五十人以上ということでございまして、全国約七千百五十の民間事業所につきまして約五十三万人の従業員対象に克明に調べました。その結果と公務員給与とを突き合わせまして、そこにあらわれました格差をぜひ埋めていただきたい、そういう趣旨でございまして、右の調査結果に基づきますと、本年四月における官民給与格差は一二・六七%ということが判明いたしましたわけでございます。  右の手当内容といたしましては、給与改善内容といたしましては、俸給表にもちろん重点を置いておりますが、それ以外の諸手当につきましてもいろいろと配慮を加えたつもりでおります。  で、改定内容を大きく分けますと、まず第一に、俸給表改善でございます。これは本年度民間における初任給上昇ぶり、あるいは職務階層別給与上昇傾向というようなものを考慮いたしまして、今回の勧告におきましても初任給重点を置きますとともに、世帯形成時等の職員給与引き上げにつきましても考慮を払いまして、中位等級以下の職員給与改善に特に重点を置いたということを申し上げてよろしいと思います。なお、指定職職員給与につきましても、民間企業における役員の給与調査いたしました結果、その間の差額が相当ございますので、これに改善を加えております。  各俸給表の中で顕著なものは、これは例年のことでございますが、まず医師の、お医者さんの、医療職俸給表関係であります。これは依然として相当の幅の広い格差が出ておりますので、これにつきましても、今回できるだけの措置をとりますとともに、なお研究員につきましても官民格差及び最近における科学技術発展等をも考えまして、俸給表改善について格別の配慮を加えております。  なお、そのほか警察官の関係あるいは看護婦等関係につきましても、俸給について相当の、格段の引き上げを行なうことにいたしております。  一般的に、初任給についてでございますが、初任給については民間が非常にことし上がったわけでございまして、したがいまして、今回の勧告のほうにおきましても事務技術系の場合、これは大学卒におきまして四千五百二十円の引き上げ高校卒の場合四千百六十円の引き上げといたしております。なお、初任給に関連する事柄といたしましては、いわゆる中途採用者初任給のきめ方について改善をいたします。それから、さらにまた、自動車運転手電工等一般技能職員、それから守衛、用務員等人々初任給の幅を今回さらに拡大するというような改善を行なうことといたしております。  俸給は以上のとおりでありまして、次に諸手当関係でございます。まず、調整手当でございますが、これは御承知のように、大体本年を目途として調査研究をさらに続けるということは、法律にもうたわれておりますので、私ども調査研究を続けてまいったのでございますが、その結論を申しますというと、大筋は、根本的には現状をそのまま維持してよろしい。ただ、当面の処置として二、三点改善を必要とするであろうという結論に達しまして、次のような調整を加えることにいたしました。  まず第一は、地域別官民給与格差を精密に調べてみますというと、甲地の中で特にまた民間給与の高いところがございます。たとえば東京等は典型的な例でございますが、そういう場所においてはやはり現在の六%にさらに何らかの手当を要するということで、これらの地域関係手当の率としては、従来の六%に二%を加えました百分の八、これは当分の間の措置としてそういう処置をすることにいたしております。なお、官署指定の道についても当然設けることでございます。  それからもら一つは、支給地域区分でございますが、これももちろん、基本的には現行のものを踏襲いたしますけれども、従来、今日における地域区分は、御承知のようによほど古い時代に指定されました市町村区域をそのまま一種の凍結状態で使っております関係上、現状に即しないところが相当ございますので、これら市町村地域昭和四十五年五月一日における市町村区域によるということにいたしたいと考えております。  それから、なお調整手当関係では、人事交流等関係を考えまして、現在異動保障期間が二年となっておりますのを三年に延ばそうということにいたしております。  それから医療職俸給表医者等関係におきましては、先ほど触れましたように、官民格差の非常に大きいということにもかんがみまして、当分の間支給区分のいかんにかかわらず、一律全国に八%を支給するということをいたしております。なお、調整手当につきましては、事柄の性質上、今後さらに三年間を目途として調査研究を続けていきたいという所存でおります。  それから次に住居手当でございます。これは多年問題となってまいりましたのでありますが、今回やはり公務員宿舎入居者との均衡、さらには民間における手当支給状況等を勘案いたしまして、新たに住居手当を設けることに踏み切りました。住居手当内容は、公務員宿舎に入っていない職員に対して、家賃間代を払っておる場合に、その家賃間代が三千円をこえる者、こういう人たち対象にとらえました。その三千円をこえる部分について、こえる額の二分の一を手当として支給する。ただしこの場合、手当最高限としては三千円の頭打ちを設けるという仕組みにいたしております。  それから次に、従来隔遠地手当というのがございますが、これは非常な僻地を対象とした手当でございまして、今日の実情から申しますというと、これを抜本的に考え直す必要があろうということから、名称を改めますとともに、今回はこれを生活不便な地域に対する手当というふうに拡張いたしまして、そしてその段階等も、さらに現在の五段階の下に一段階を加えるというような措置をとることにいたしております。なお、最高の額は従来どおり俸給扶養手当月額合計額の百分の二五ということを最高限といたしておりますが、一番下のほうの段階におきましては百分の四というように考えております。  それからもう一つ、それに関連いたしまして、このような地域にあります指定官署に赴任いたしました職員には、官署級別区分に応じました支給額のほかに、さらに俸給扶養手当月額合計額の百分の四以内の額を一定期間支給するということで、やはりこれも人事交流が円滑にまいりますようにという配慮を加えております。なお、右に申しました指定官署に準ずるような官署に赴任する着に対しましても同様のことをすることとしております。  それから通勤手当でございますが、これは昨年、国鉄の運賃値上げ等に伴いまして一応の措置はとったのでございますが、今回の勧告におきましては、さらにこの自転車オートバイ等を使用しております者に対する手当引き上げることにいたしました。ただしその条件は、調整手当支給されていない地域について、交通不便のために自転車等を使用して、片道十キロメートル以上通勤する者ということに対象を限定しております。これらの人に対しては、支給月額を千四百円ということにいたしました。なお、普通の自転車使用者でこれに該当しない者に対する支給月額は九百円ということにいたしまして、自転車オートバイ等との区別をこの際払拭したわけでございます。なお、自転車等交通機関を併用している者についても、これらの措置はもちろん及ぶことにいたしております。  次は医療職俸給表の(一)の適用を受けます医者等についての初任給調整手当でございます。これは御承知のように地方いなかに行くほど要員の確保は困難であり、また民間給与いなかほど高くなっているという実情がございますので、その関係を取り入れて、従来初任給調整手当を設けておりますが、今回はさらにその最高限等引き上げまして、支給月額の限度が今回は四万五千円ということに引き上げたわけであります。その他の段階で、その支給額もこれにおいて一万何千円でありましたか、引き上げられることにいたしております。なお、これらの措置を講じますとともに、現在支給期間は大体十五年ということになっておりましたのを、すべて二十年ということに延長することにいたします。  それから次は調整額関係でありますが、これにつきましては、精神薄弱児施設でありますとか、せき髄療養所でありますとか、身体障害者等々のための社会福祉施設等勤務いたします医師、看講婦保母等職員について、調整額適用範囲を拡大いたしますとともに、あるいは支給額改善するというような措置をとりました。なお、社会保険審査医に対しましても、その勤務特殊性に応じ調整額支給することといたしております。  次に特殊勤務手当につきましても種々改善を加えました。いつも問題になります看護婦に対する夜間看護手当でございますが、これにつきましても今回さらに引き上げをいたしまして、勤務一回当たり現在二百円でありますのを二百五十円に引き上げることにいたしております。  それからその他交代制勤務関係で、やはり深夜勤務等夜間勤務をする人々に対する夜間特殊業務手当というようなものについても種々改善を加えることといたしております。  それから航空機操縦上等に対する航空手当の搭乗一時間当たりの額その他についても改善をいたしますとともに、これに関連いたしまして海上保安庁の操縦士に対しましても、調整額の不均衡是正を行なうことといたしております。  なお、そのほか警察通信職員でありますとか、電波監視職員移動通信作業に従事する者に対しまする特殊勤務手当の新設も考えておるわけであります。  それから宿日直手当でございますが、これは大体三種類現在ございますが、普通の宿日直勤務につきましては、現在勤務一回につき五百十円でありますのを六百二十円にいたしました。したがって、土曜日の退庁時から引き続き云々というような場合についても引き上げをいたしておるわけです。  それから、次の第二の種類といたしまして、刑務所等矯正施設において管理または監督業務を主として行なう宿日直勤務というものにつきましては、さらに多少手厚い給与をしておるのでありますが、今回それにつきましても、勤務一回が現行千円でありますのを千二百円に引き上げる等の改善を加えました。  それから第三の種類として、常直勤務についての宿日直手当でございますが、これは現在月額三千六百円のものを四千四百円に引き上げます。  なお、以上のほか、新しいものといたしましては、室日直勤務手当関係で、商船高等専門学校等における学寮当直、それから皇宮警察本部地方検察庁における事件当直等、特殊な勤務宿日直勤務につきましては、先に申しました刑務所等における管理監督宿日直と同様に扱いまして、千二百円とすることにいたしております。  それから期末勤勉手当でございますが、これは例年のとおり、民間における賞与等を調べました結果、それを考慮いたしまして、〇・二カ月分増額することにいたしております。これは六月支給期末手当勤勉手当にそれぞれ〇・一カ月分ずつ増額ということにいたしております。  その他の点といたしましては、昨年の報告書で指摘いたしました例の高齢者昇給制度関係でございます。これはことしの勧告において取り上げたわけでございますが、勧告におきましては、五十六歳以上で人事院の定める年齢をこえる職員、これを対象といたしまして、これらの人のいわゆる普通昇給については、最初昇給期間を十八カ月を下らない期間、その後の昇給期間を二十四カ月を下らない期間とするということにいたしております。ただ、この実施の際におきましては、あまり急激な変化をもたらすのもいかがかと思われますので、当面は五十六歳と申しましたその年齢を、人事院規則におきましては五十八歳以上ということにいたしますとともに、行政職俸給表(二)あるいは医療職俸給表(一)の適用を受ける職員につきましては、これを六十歳以上という特例をきめるつもりであります。  なお、報告書最後に触れてございますが、本院の調査によりますというと、民間における賞与等特別給支給割合を見ますと、職務段階等において相当差異を設けておるということは、今年の調査で明らかになりました。期末勤勉手当支給のあり方について、本院の部内においてもいかにすべきか、それらの点をも勘案しながら今後さらに検討することとしたいと存じております。  以上のうちで官民給与の比較の基礎となる給与について、この改善の中身をパーセンテージで申し上げますと、俸給で一〇・七%、諸手当で一・三六%、その他で〇・六一%、それを総計いたしまして一二・六七%、金額にいたしますと平均八千二十二円ということに相なるわけでございます。  最後に、改定実施時期につきましては、この勧告基礎となっておる官民給与格差、これが四月を基準としておるという点にかんがみまして、これは従来どおり本年五月一日からということにいたしております。ただ例外といたしまして、宿日直手当改善につきましては昭和四十六年一月一日から実施、また高齢者昇給に関する措置につきましては四十六年の四月一日から実施するということにいたしておる次第でございます。  以上で御説明を終わります。何ぶんよろしくお願いいたします。
  6. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それでは御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 質問に入ります前に、先ほど昌頭委員長のほうから、総理府総務長官のこの委員会に出席しないことについて説明がありまして、それに対して副長官のほうから御説明があったわけですが、これはけさほど長い時間かけて委員長理事打合会種々論議になったのでございますから、特にまた発言をする必要もないかと思いますけれども、ですが、先ほど委員長も話しがありましたように、この八月十九日に内閣委員会を開くことについては一カ月以上前にきめてあることです。しかも、人事院勧告があって初めての委員会を開くのだということになっておるわけです。その場合に、給与担当大臣である総理府総務長官が出席しないということは、これは何とも理解できないことなんです。しかも月曜日もいた、きのうもたしかいた、閣議にも出ている。にもかかわらず今日出ない、出れない。一体どういう理屈なのか、これをひとつはっきりさしておいてもらいたい。  それからもう一つは、委員長お尋ねしたいのですが、総理府総務長官委員長に対して、こういう理由で出席しないのだという話があったのか、その二つ委員長とそれから副長官お尋ねしたいと思います。
  8. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それでは私から申し上げます。  最初に申しましたように、一カ月余り前から、きょう委員会を開きますということは連絡をしてあったわけなんです。さらに私からも十日ばかり前に重ねて総務長官にじかに、ぜひ出てもらいたいという要請をいたしました。いたしましたけれども、どうしても出られない。出られない理由は、ずっと前からスケジュールが組んでありまして、九州のほうに行かなければならない。これがどうしてもはずせない用事だということでございまして、しかし、これは大事な委員会で、給与担当大臣が出られないということは残念だから、ぜひ出てもらいたいということを繰り返し要請しましたけれども、どうしても今回ばかりはひとつ許してもらいたい。これの完全実施ということはかねがね私は繰り返し約束をしておったことですし、できるだけその線に沿って努力いたしたいと思いますが、今回は副長官で何とかひとつごめんこうむりたいという重ねてのたってのお話でございましたので、これは参議院軽視ということになりますけれども、ということで、やむなく私としては話を打ち切った次第でございます。  それ以上はひとつ鶴園さん、理事委員長との間でお話ししたわけですから、きょうは時間がございませんし、大体その程度でひとつきょうは御了解を願いたいと思います。それじゃ湊副長官
  9. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) 先ほど委員長から話がございましたが、その前に実は理事会のほうにも私おじゃまをいたしまして、るるその間の事情等も申し上げたのでありますが、私自身先週、来週の参議院内閣委員会に君ひとつ私のかわりに出てほしいという話は承っておりましたが、長官自身事情等については、私自身実は聞いておりません。そこで、先ほど申し上げた、いずれ長官にもお話を申し上げて部内でも相談して善処いたしたいという意味の中には、ただいまの点等も含めてひとつ考えていきたい、こういう趣旨でございますので、御了解をいただきたいと思います。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま委員長の話を聞いておりますと、委員長が、もちろんこれはあってはならぬことですが、了解をしたわけではない。にもかかわらず出てこない、こういうことのようですね。なおまた、委員長並びに副長官の話を聞きますと、いかなる理由によって欠席しているのか、これも不明確のように受け取れます。ですから、これは私は簡単にはすまされない問題だというふうに思いますから、委員長におかれてもひとつ明確にしておいてもらいたいということを要望いたしまして、まあ先ほどのお話のように、委員長理事の打ち合わせがあったことですから、これで打ち切りたいと思います。  次に、今度はいま説明のありました勧告について、人事院総裁に承りたいと思います。  一二・六七%という勧告なんですが、私はこれを見まして、確かにうなずける数字だという気はするのですが、ただ、消費者物価値上がり状況から見ますと、昨年は一年間に四・六%消費者物価が上がっている、そして引き上げは一〇・二%。今度はこの一年間に八・四%、昨年よりもはるかに、二倍近い消費者物価値上がり状態、そしてまた一二・六七%引き上げだと。この関係から言いますと、これは実質的には昨年の一〇・二%よりも見劣りのする低いものになっているのだということは、これは直感としてはだれしもわかるわけですね。これはもう念を押すまでもないので、私はそういう感じを持ちました。  もう一つは、これはお尋ねをしたいのですけれども、一二・六七%というのは、四月末の民間公務員との格差が八・五六%あった、さらに四月にさかのぼって給与改定分というのが四・一一%あった、この二つを足して官民格差というのは一二・六七%ある、したがってそれだけ引き上げた、こういうことなんですがね。そこで、これはいつも論議になるわけなんですが、この八・五六%という四月末における民間給与公務員給与との格差、これは一応おきまして、それにプラスしてあります、四月にさかのぼっての改定部分というのが四・一一あるのです。これは従来から長い間論議が行なわれているところでありまして、できるだけ春闘相場というものをその年の勧告の中に繰り入れていきたいという考えがあって、付帯調査として四月にさかのぼってどれだけ上げるかという調査をされて、それでやってきているわけですね。  そこで総裁お尋ねしたいのは、そういう意味春闘相場というのが十分把握されているかどうか、総裁としては把握されておるというふうに考えておられるかどうかというのを伺いたいわけです。
  11. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 最初物価関係は、おそらく専門家としては十分承知の上でのお尋ねだと思いますけれども、たびたび申し上げておりますとおり、私どもとしては、物価生計費等は、まず民間の場合においては賃金の中にそれは織り込んであるというたてまえに立ちまして、したがって、民間給与公務員給与と比べれば、それらの点も織り込み済みのものとして出てくるという立場でいたしておるわけであります。ただ、ことしの四月の東京物価の上がりは確かに顕著なものがあります。私どもあとずっと見ますと、七月あたりでは昨年より下がっているという面もございまして、物価そのものに徹して考えるわけにいかぬとわれわれ考えておるわけであります。  それから次の積み残しの問題、これは最初人事院はがんとして積み残しは全然取り入れない、それは来年に回すようにという立場であったのですけれども、しかし、これは来年までお預けにするということは、これはまた公務員諸君のためにもならぬというようなことで、一段と勇断をふるいまして、いまのおことばにありました付帯調査というような、たいへん精密さにおいては御批判もあろうかと思いますけれども、そのほうがこれは公務員諸君のためだということで、勇気をふるってやったわけであります。したがいまして、その結果はこれはもうきわめて正確無比でございますということは、これは鶴園委員も御期待になっていないでしょう。しかし、この積み残しが純粋にどれくらいの形で残されるかということは、翌年度の格差の中で清算的に出てきますから、ははあ、わりあいにこなしたなという感じでいままでずっときておるわけであります。その点においては相当自信を持っているということを申し上げまして、あとまた次のお尋ねをお待ちしたいと思います。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人事院勧告の「参考資料」ですね。参考資料の中の一番最後に出ております全産業の中の製造業、その中の公務員に類似するというふうによく言われます管理、技術、事務、労働者、それの上がりぐあいが出ておりますですね。それを見ますと、四月から六月の間、ことしの四月末と六月末とを比べますと、九・六%の差がありますですね。四月末と五月末を見ますと三・七くらいの差がある、三・七%くらい。ですから私は、人事院が六月十五日現在で四月にさかのぼって調査をされる、その中には、いま言った四月末から五月末までの三・七プラス十五日分というのが入るのじゃないか。しかし、その六月十五日から六月一ぱいのものは、それをのけるというふうに見なければならぬ。その意味では、人事院総裁がおっしゃったように、勇断をふるって春闘相場というものをできるだけ把握していきたいという点から言いますと、そしてまた、先ほどお話しのあったように、まず把握しているつもりだというお話だったけれども、これはきわめて不正確ではないか。そこで伺いたいのは、六月十五日で切っておられるのはどういう意味なのか、六月一ぱいでもいいじゃないか。ほぼ春闘というのが終わるというふうにいわれるのは六月一ぱいです。その意味からいうならば、六月十五日ではなくして、六月末で四月にさかのぼりて上げるというふうになさったらどうか。なぜ六月十五日で打ち切られるのか、これを伺いたい。
  13. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 大体調査のめどとして、だいぶんそれは終期を延ばしたつもりで実はきておるわけです。それはなぜかと申しますと、大体公務員諸君は、例年八月十五日ごろには勧告があるだろうというふうにして、みな楽しみにしてお待ちになっておる。それをずっとおくらせれば——それはいまお話しのように、できないことはないと私は思いますけれども、やはりそういう点を勘案いたしますと、われわれは、あとの数字の積算作業というようなものを考えますと、従来どおり六月十五日——だんだんこれは少し締め切りを延ばしてきたような気がいたしますけれども、延ばしはしてきているけれども、それにも限界があるのじゃないか。しかし、勧告が九月でも十月でもいいということになれば、それは考えようはあると思います。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はそういうことを申しておるのじゃなくて、積み残しというのがそもそも問題になったのは、これは春闘相場というのが人事院勧告の中に入っていないのじゃないか。できるだけその年の春闘相場というものを勧告の中に入れたい。こういう立場から、勇断をふるってというお話がありましたけれども、ふるってないわけです。それを六月十五日に直してこられたのは、これはずっと毎年の春闘からいって、また統計の数字等からいって、六月末まで広げれば、相当程度これは正確に把握できるのじゃないか。たとえて言いますと、ことしは四月末から六月末にかけて九・六上がっている。その中で、ことしは人事院としては四・一一という数字を出しているわけです。半分以下じゃないかという疑問を持つわけですね。なお、六月十五日を六月三十日にしたからといって、これは八月の勧告がずれるわけでは全然ない。それは総裁御存じのように、付帯調査というのはきわめて簡単な調査なんです。電話一本でもできるような調査なんです。簡単な調査ですから、何も六月十五日を六月三十日にしたからといって勧告がおくれるというようなことにはならない。電話一本でできるのですから。あなたのほうでは何ぼ上がりましたかという、電話一本でできる簡単なものですよ。ですから、そういうふうにされると、つまらない疑問や不信がなくなるから、六月の三十日までになさったらどうかということを言っているわけです。もちろんこれは、いまの勧告様式を前提にして申しているのですけれども、その点についての総裁の考え方を承りたい。
  15. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 鶴園委員は、何か製造業のことをつかまえて御論議なさっていらっしゃるというふうにお聞きするのですけれども、私どもは全産業をとらえているわけですから、なかなかなまやさしい問題ではないと、給与局長は耳打ちをいたしました。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは総裁、ちょっとおかしいですよ。私は例として製造業を言っているわけです。全産業の場合は日給制の諸君が多いですから、工員の場合は日給制が多い。公務員の場合は月給制ですから、休みましても有給休暇が多いから出ます。民間の場合は休みますと出ませんからね。日給制が多いですからね。おそらく四割くらいは日給制です。ですから私の言うのは、技術、管理事務、労働者は月給制になっております。その観点から私はさっき申し上げたわけです。簡単なんですよ。そこの点は給与局長さんもしっかりしてもらいたいな。妙なアドバイスをしてもらっては困る、簡単なんですよ。そこをお改めになったらどうかと言っているわけです。そうすれば、九・六%も上がっているのに四・一一なんというのは、どうも変だという不信感がなくなるのじゃないか。そこの点は総裁、はっきりさしていただきたい。
  17. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) その問題のやはり根本は、ここでかねがね申し上げておるような話にまたつながってくると思いますが、単に調査員の出て行く時期をおくらせる、あるいは集計のスタートをおくらせるということも一つでありますけれども、まず、ここでたびたび申し上げたと思いますのは、やはり春闘をおやりになるなら早目にやっていただきたい、昔は早かったのですから。ことしは多少、少し早くなっているようなんで、その点は非常に多としているわけです。しかしそれにしても、これはよそさまのおやりになることですから、早くやってくださいと人事院総裁がお願いしても、言うことをお聞きになるような方々ではない。ということになりますと、私どもはそれをやはり受けて立たなければならぬだろう。そうすれば、いま四月調査というのは、そもそもおかしいのじゃないか。まだ春闘が始まる前のことをつかまえることにもなりかねないということになりますと、いまのお話に触れますけれども、六月調査で七月実施というのもすっきりしたいき方ではないかということも、ここで御披露申し上げましたけれども、ここらについては一向御賛成の声がないわけです。しかし、せんじ詰めれば、そういうところにいかないと、徹底した抜本的な改善にはならないだろう、これは申し上げてよろしいと思います。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、ちょっとくどいですけれども、そういうめんどうな話ではないのです。きわめて簡単明快な話なんです。六月十五日で打ち切られた理由ははっきりしないでしょう。わずか十五日延ばしただけで、疑問とか不信はなくなるじゃないですか。そのことによって勧告がおくれるというようなことは毛頭ない。きわめて簡単な調査ではありませんか。付帯調査というと、付帯もいいところですからね。だからそうしなさいと、こう言っているのです。何も六月末が調査とかなんとかいうのでなくて、いまの四月末調査という前提を踏まえた十五日という問題を私は申し上げているので、総裁は中身をよくおわかりにならぬのか、そいつを妙な言い方をしますと、逃げておられるのか、どうも合点がいかない。ただ、こういう点を総裁は心配しておられるのじゃないか。四月末で格差を調べる、民間との格差をやってみる。非常に詳細な調査をやって、めんどうな計算をしてやっと格差を出した。今度で言いますと八・五六という格差を出した。ところがきわめてラフな計算で、さかのぼって上がる分というのが四・一一もある。この数字がふえていくということは、これは四月末の基本調査というのがあやふやになるという心配はわかりますけれども、だからといって正確に把握しないというのは、これはいかぬですね。重ねてそういう考え方についての総裁、そうしたいというふうに考えられるか、困るというふうに考えられるか、伺いたい。
  19. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 調査の話でありますから私からお答えを申し上げたいと思います。  いま御指摘のように、四月に支払われた給与調査しておるのでありますけれども調査に参りまして、その際にきまってなかった、あるいはきまっておっても、四月現在には支払われなかったという会社が若干ございます。そういう意味合いで調査は五月の初めころから約一カ月間の調査でやっておりますけれども、その間、結局四月に支払われないけれども、すでにきまっておったというものをとらえてきておるわけでございますが、それが本年の場合には二七%あったというわけでございます。もちろん、いまおっしゃいましたように、調査をさらに延ばしますれば、現在私どもがことし行きました場合に、まだ交渉が決定してなかったという事業所も若干はございます。ございますけれども、それをとらえるために、さらに調査期間をさらにさらに延ばすという問題が御指摘のところだろうと思いますけれども、結局それによってどれだけ正確にとらえられるか、どれだけ延ばしたらどれだけとらえられるかという問題だろうと思いますけれども、あと、このとらえる事業所というのは、そう多くはないわけであります。そういう関係で、かつ全体として調査もおくれますし、勧告もおくれるといったような関係で、そういう関係調査の上ではちょっとむずかしい問題でございますけれども、いずれにせよ、それは調査の技術的な問題として今後検討したいと考えますけれども、私どもとしましては、やはり民間のベースアップというものをすみやかにとらえまして、すみやかに改定していただくということにプリンシプルを置きながら調査をやってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは簡単なことですからね。そうしてこれは毎年、毎月勤労統計を見ましても、六月まではぐっと上がるけれども、七月と六月とはほとんど差がないというくらいのことで、春闘相場はやはり六月一ばいというふうに、毎月勤労統計を見てもはっきりわかることですから、それを六月十五日で切られる、あるいは五月一ぱいで切られるということになりますと、どうもおかしいではないか。たとえて言いますと、私が先ほど申し上げましたように、四月から六月までで九・六%上がっておるけれども人事院は四・一一をとられておる、どうも疑問があるのではないか。なぜそういう疑問があるか、そういうことになるかといえば、五月一ぱいでとらえているのではないか、あるいは六月十五日現在でとらえておるのではないかという、こういう考えがあるからそういう不信感を持つわけです。しかもそれをやったからといって、六月十五日を延ばしたからといって、何も関係はないわけです。ごく簡単な電話一本でできるわけです。それぐらいのことはやってしかるべきではないかということで、ぜひひとつこれを検討してもらうということにしておきたいと思います。  次に、指定職の問題についてお尋ねしたいのですが、公務員の人に、今度の勧告で一番の問題は何かというふうに聞きますと、指定職の問題だと言うんです。この指定職の問題については、この指定職のところを非常に思い切って上げた。たとえば次官などを見ますと、三割近く上げた、ほとんど三割上げた、非常に額がでかいという、そういう考え方と、もう一つは、指定職俸給表の運営が非常にルーズになってきた。言うならば崩壊してしまったという程度に非常にルーズだ、そういう二つの点から、非常に焦点になっているようです。これは一般の公務員から見ますと、どうもかってにしているのではないか、指定職俸給表のところは。こういうことになるでありましょうし、指定職俸給表に将来なり得る人は、えらい天井に行ってしまったというので期待感を持ちましょうし、それで全公務員が指定職俸給表の今度の勧告並びに処理の仕方については、非常に関心を持っているわけです。意外なほど関心を持っておりますね。  そこでちょっとお尋ねしたいのですが、この指定職俸給表の甲に、乙におった局長を入れるそうですね。それから今度は行政職俸給表の(一)にいる部長とか次長というもの、これを指定職の乙に入れるそうですね。この指定職俸給表の運営は、これはたいへんな問題じゃないか。三十九年の勧告でしたか、指定職俸給表ができましたときに、次官と外局長官を一般の公務員からはずして指定職俸給表の中に入れた。その後、局長の人たちが、外局長官と局長はどこが違うか、なんでおれを一等級に置いておくかということでぶうぶう言って、それで乙に入れた。最初重要局長だけそれに入れて、そのうちみんな入れなければならなくなっちゃってみんな入った。そのうち甲にせよというので一段飛び上がり、また一段階飛び上がる、こういう運営がなされてきたわけです。いま運用しようとしているわけですね。  その点から見ますと、これは局長というのは、前は行政職俸給表の二であった。それが一になって、指定職の乙になって、今度は甲になるわけです。ですから三段飛びをやるわけです。それから部長にしてもそうなりますね。次長にしても今度そうなっていくというふうにはっきり読み取れるわけです。それからそれ以外の者はどうしているか。係長は依然として五等級、若干それにちょっぴり四等級に置かれている者が出ておりますが、びくとも動いていない、下のほうはがんじがらめのワクの中に閉じ込めておいて、上のほうはぼんぼんと全く無原則に三段飛びにやられて、だんだん伸ばしていく、こういうやり方は非常な私は不信感を買っておると思う。たいへんな断絶ですよ、これは。そういう点についてどういうふうな考え方を持っておるか。各省庁の人事院に対する要望を見ますと、指定職が中心になっておりますね。その点では今度全面的に受け入れておる。人事主任官の担当者会議でも、この問題が全部入っている。そういうような俸給表の運営をしたのでは——直るのはいいですよ。それじゃ下のほうもそういうやっぱり処理をしていかないというと、これは片手落ちもはなはだしい。声のでっかいところは、等級制なんていうのは問題にしない。四十年からわずか五年の間に完全にくずれてしまう。三段飛びも平気でやる。一般の職員は五等級からびくとも動かさない。そういう処理は、これは不信感を招くはなはだしいものですよ。ですからそういうことをなさるなら、それ以外のものについても類似した処置をどんどんとっていってもらいたい。それがなされないから非常な不満が出ているし、たいへんな焦点になっているということになるのじゃないかと思います。その点について総裁の考え方を承っておきたい。
  21. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) おっしゃるように、事務次官の上がりが相当顕著でありましてために、世間の注目を引いたことは事実であります。私からはその点を中心にして御説明いたしまして、あと給与局長から便宜補足さしたいと思いますが、ことしの新聞の社説では、民間追随主義というもの自身が多少問題になっている。あまりに追随し過ぎているじゃないかというようなこともちらほら見えてきたけれども、これもなかなか考えてみるとこわい議論でありまして、追随せずに安くやられたのではたいへんなことになりますから、私たちはあれを考えてみて、民間追随主義は、現在のところ一番手がたい方式だと、アメリカにおいても、イギリスにおいても、日本を追随しつつあるくらいのりっぱな原則であるということをかねがね申し上げて、これは私は間違っておらないと思っておる。そういう点から、御承知のように、一等級以下は、これは官民格差の一二・何%で、民間と比べた結果上がっておりますが、指定職のほうはそのワクの外ではありますけれども、しかし指定職は指定職として、やはり民間の役員に相当するものの給与の比較は、これはやはり厳粛にやっておるわけです。その結果、ことしの場合は、大体指定職の一番上のほうに当たるところは四十万円、上のもっと大きな会社をつかまえれば切りがありませんけれども、われわれ五百人でつかまえて四十万円という額が出ておりますが、これをまず東京、京都の学長にそれを合わせたということでそれなりの引き上げが行なわれておる。次官については、もう一つ別な要素がそれに加わっております。すなわち、各省大臣を直接補佐して、省務の全体の采配をふるっておるという非常に責任の重い地位にあるものが、現在の指定職俸給表では旧五帝大のまだその下にあるわけですね。それらの責任の重大さからいって、これでいいかどうかという点に検討を加えました結果、ほんとうは東京、京都の大学の学長並みでいいかもしれないけれども、一歩引き下がって、旧五帝大の学長並みにはこれをしなければならないというので、箱を一つあけたわけです。それが二つこういうベースアップと重なったものですから、相当の額になって世間の注目を引いたのでありますから、これは先ほど申しました官民関係民間追随主義ということから申しましても、少しもおかしなことではない。われわれとしては自信を持っておるわけです。なおまた、昭和三十九年というおことばがたまたまありましたから、よく覚えていらっしゃると思って感心して伺ったのでありますけれども、指定職の俸給表ができたのは、まさに昭和三十九年、おっしゃるとおりであります。そのときの事務次官の俸給高校卒俸給との倍率関係を見ますと一四・九倍という関係で、事務次官が一四・九倍だったわけです。高校卒のことしの四十五年の場合において同じような倍率を見ますと二二・九倍でありまして、決して指定職創設当初より低くなっておりこそすれ、上がってはおらぬということもはっきり申し上げて、御了承を得たいと思います。
  22. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 指定職の関係につきまして補足をしたいと思いますけれども、私ども給与体系をいろいろ検討をしておるわけでございますけれども、現在の指定職の甲の関係は、いわゆる一官一給与的な運用をいたしておるわけでございます。そこで現在の、たとえば局長の場合にはいわば指定職甲の次の段階にあるわけでございますけれども、その局長級につきまして、現在指定職乙の適用をいたしておりまして、その場合に三号か四号の間をいわば昇給的な扱いをするという関係は、やはりきわめて問題でございますし、最近のように職務給化の問題が叫ばれておりますおりから、やはり局長級の給与につきましても、いわば一官一給与的な、そんなに昇給的な扱いをするというのはどうかというふうに思われますので、現在の指定職甲の下に号俸を追加をいたしまして、局長を収容して、大体一官一給与的な運用をするというふうに考えたのでございます。もちろん、一挙に切りかえにあたって全部収容するというよりは、経過的にそういう方向に持ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、同様にいたしまして、指定職乙の場合も、現在号俸が九号ほどございまして、やはり、たとえば大きな管区局長などにつきましても適用をいたし、そうして一年で昇給をするというようなケースもあるわけでございますけれども、三号か四号昇給させるというケースもあるわけでございますけれども、やはりこの関係につきましても、よく職務給化をいたしまして、号俸も七号俸ぐらいに縮めまして、指定がえの期間も、一年半なり二年半の指定がえの期間によりまして、一官一給与的な運用に準ずるという方向でまあ運用してまいりたい。そして適用官職につきましても今後の問題でございまして、一挙にそういう部長級を全部適用させるというふうには必ずしも考えておりませんので、今後逐次そういう方向に運用を持ってまいりたいというふうに考えているのでございます。
  23. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 さっぱり私の質問に対してお答えいただいていないわけですね。私の質問の焦点は、指官職俸給表適用されるようになった。その中にあって、局長というのは三段飛びをやったじゃないか、二等級から一等級に、指定職の乙にはね上がって、指定職の甲、こういうふうになったじゃないか、それ以外の一般職というのはどんぴゃり、係長であれば五等級というワクの中にいつまでもとじ込めているじゃないか、その差別待遇をどういうふうに考えておられるのか。それが、いまの公務員の今度の勧告の焦点になった一二・六七というよりも、こちらのほうに関心がある。それは最初五等級というワクが非常な問題になっているから、何とかこれを広げてもらいたいという熱望があるにもかかわらず、これが動かない。ところが、乙のほうはどんどこどんどこと無原則に動かしている。それに対する差別待遇についてどういうふうに考えるのかということを承って、これからそれを改善するというお考えをぜひ持ってもらいたい。すみやかに解決してもらいたいというふうに進めてもらいたい。  もう一つ、これはあとで申し上げてもよかったんですが、総裁は、次官と高等学校卒の賃金の差がこうだとおっしゃった。そういうお話をなさるなら、係長といまの高校卒、この倍率を出してください。それはおかしな話です。それはこの五、六年の間、高校卒給与はうんと上がっています。それはほかの数字を出してごらんなさい。そういうお話をなさるならそれはおかしいですよ。おかしくないなら係長を上げなさい、そうすりゃいい。  それから追随主義の話がありましたけれども、私もよけいな話ですけれども、今度の勧告で、追随主義とは初めてですね、あれだけの話が出たのは。追随主義、中には徹底した追随主義だと、こういう点は、これは給与法のたてまえからいってもあまりにも野方図な無方針な追随主義はどうかと思います。給与法の考え方というのは、民間給与もありますし、人事院の考える要素も入っている。あまりにも野方図な追随主義は問題があると思います。よけいな話ですが、これだけ私が申した、そういういまの差別待遇について、あまりにもひどい差別待遇です。今後是正されていくつもりかどうか。
  24. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) ただいま指定職の関係を申し上げましたけれども、指定職は御指摘のように、従前は一等級ないしは二等級におりました者を、いわば従前もある程度そういう一官一給与的な運用を、一等級の場合はそういう形でやってまいっておったわけであります。そういう意味の体系としては、移しかえという関係でございまして、そういう意味で、何といいますか、特別な新しい体系になったというわけでは必ずしもないわけでございますけれども、それはそれといたしまして、いま御指摘のような本省係長、あるいは管区、地方機関の係長等のポストにございます場合の評価の問題でございますけれども、これについても、この数年間やはりその問題が、評価の問題がたいへん問題になってきておるわけでございまして、特についている人が非常に高年になって、円熟をしてきておるという面もあわせて問題になっておるわけでございますけれども、そういう意味合いで、私どもといたしましては、民間において評価といったようなものもよくいろいろ調査をいたしまして、本省の係長の一部につきましては四等の評価をするというふうなことをやってきておるわけでございます。それでそういう関係の評価を、さらに民間関係もよく参考にいたしまして、適正な評価ということで、毎年それは特別定数の改定という関係の上であらわしておるわけでございますけれども、ことしも今後の問題といたしまして、予算の問題といたしましても、ことしの評価という問題は今後検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  25. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは時間が制約されておりますから重ねて申し上げませんが、いまの局長の答弁をお聞きしましても、非常に不明確です。これはやむを得ないというようなこと、そういう考えでしょう。ですが、何か特別な毛のはえたようなものがぴぴっと動いておりますよ。一方のほうは三段飛びですから、これはみんなその差別待遇におこりますよ。ですからこれは総裁、この差別待遇についてはあまりにひどい差別待遇ですよ。これは次官というのは前から次官なんですから、特殊に仕事が変わったわけではないですよ。外局長官だって外局長官ですよ。特に外局長官がとたんに偉くなったような気もしませんね。能力はえらく三段、四段飛んだ印象は受けませんよ。かえって係長のほうが腕がついているという気がする。差別待遇については、すみやかに是正の方向に総裁ひとつ検討を進めてもらいたいという点をちょっと申し上げておきたいと思います。  もう一つ指定職俸給表について、今度の指定職俸給表期末手当について、特別給与、これについて、今度の参考資料の中に新しい一つ資料がつけ加わって、指定職俸給表にある者はいままでは勤勉手当は出ないことになっておりましたね。それで特別給は三・四カ月分だったけれども、四・五カ月分今度は出しますよという数字が今度は出ていますね。来年はそうなさるおつもりですか。そうなっていますね。そんなことになりますと、これはほんとうに、言うならしたいほうだいですな。指定職俸給表というのは勤勉手当はないんだという大原則があったはずです。事実上それを飛ぶような四・五カ月というような数字が出ていますよ。来年はおそらくなさるのでしょう。そうなると、俸給表はやるわ、期末手当のほうはそういうふうな大原則がなくなっちゃうということになれば、したいほうだいだという印象を強く与えています。これは非常によくないですよ。この点についてひとつ伺っておきます。
  26. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 民間追随主義も、いまお話しのように多少ことしは批判されておりますけれども、これは初任給の問題だけではないわけです。ことしの場合にも、私どもはとうとうおもやに火がついたといって大騒ぎしているのですけれども人事院職員にまでスカウトの手が及んできておる。民間企業調査に行きまして、非常にいい給与表を見せられているところへ、ちょっとどうだいという話が出てくるということは、いままではそんなことは夢にも思いませんでしたが、おもやに火がついたということは、各省にわたりやはり言えることです。あるいは天下りの名において指摘されておる事実もありましょうし、スカウトという形においてなされておる事実もありましょう。そうしますと、初任給の入り口だけそろっておっても、やはり上のほうまで民間を見ておきませんと、そういう場合に備えた措置にはならぬだろうということが、民間追随主義のもう一つの私は要点だと申し上げてよろしいかと思います。そういう意味で、この役員給与についても調べておるわけでございますけれども、いまの御指摘の最後の、例の調査研究をするという項目でございますね。これは、そういう面からやはりわれわれとしては等閑視できないと、もちろん、民間の場合と公務員の場合とは根本的に事情は違うということがはっきりすれば、それはまたそれでわれわれは納得できますけれども、いまのように、ことし気がついた、そういう格差民間においてははっきりしておるということは、それ自体ここで指摘をしておきまして、いまの御議論のように、大いにここで議論をしていただくということで、去年、調査結果として報告書で出しました老齢職員の場合は、これは実は率直に言って、相当私のほうとしては、どうしても手をつけなければいかぬという気持ちを持っておりましたけれども、今度のこの御指摘の問題は、そこまで徹底した具体化した気持ちは率直に言って持っていない。しかし、これは具体化する暁におきましては、また勧告の形で、来年出ますか、あるいは再来年出ますか、これはそのときにここで大いに追及し、検討していただきたいという心組みでおります。ただいまは謙虚な気持ちで検討に取り組みたいという段階でございます。
  27. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは総裁、指定職俸給表をつくったときに、これは管理手当についても勤勉手当についても、家族手当についても指定職俸給表の中に含んでおるんだという前提だったのですね。今度はそれを形の上ではもとへ戻す形になるわけですね。勤勉手当が加わったという形、四・五月分という数字が出ますと。いずれにしても、この点については、いま総裁はいろいろ御議論をということですから、さっきのように慎重にこれは検討を進めていただきたいと思うのです。従来からこんなことはわかっておったのですよ。総裁、いまわかったようなお話をなさいますけれども、前からわかっていた。滝本局長とも盛んにやった。年じゅう滝本さんと私の間で論議をしておった。いまさらわかったような話は、これはちょっとおかしな話ですが。  次に、勧告の中に出ておりますように、初任給とそれから世帯形成時等のところを基軸にして、軸にして中位等級以下の給与引き上げたということばがありますね。それで私は、確かに初任給は大幅に上がりました。高校卒初任給一八%という上がり方ですね。それから世帯を形成する年といわれる二十七歳ですか、二十七歳、二十八歳七−五、三人世帯の三十二歳、七−八あるいは六−六、四人世帯の三十五歳、六−九というところですね。こういうところには相当程度の配慮が加わったということはわかりますね。しかし、これはまだたいへん配慮が足りないというふうに思うのですけれどもね。たとえば人事院が世帯人員別の生計費を出しておりますね、標準生計費。一人世帯とそれから十八歳の初任給と比べますと、これは初任給のほうが三割以上高くなっておりますね。二人世帯のところと二十八歳のところを比べますと、これは一割程度高くなっていますね。ところが三人世帯になりますと、逆に一割下がってしまう。四人世帯になりますと、これも二割以上低い。標準生計費が低いという数字が出ますね。そこでもう一つ念頭に入れていただきたいのは、人事院がつくっている標準生計費というのは、まず政府がつくっている標準生計費の中で最もこれは悪い生計費なんですね。というのは、エンゲル係数が四一です。エンゲル係数四一の生計費というのは、これは総理府統計局のエンゲル係数、全都市全世帯で四一%というのは三十五年ごろの標準です。十年前の数字ですね。そういうべらぼうな標準生計費に比べてみてそういう数字が出るのですがね。ですから、この初任給のところについては相当に払ってあるが、また二人世帯になるところも配慮が払われてきたが、三人世帯、四人世帯になると、これががくっとまだ非常に配慮が足りない。そういう状態にあるがゆえに、さっき言ったような指定職のどえらいものがどかんどかんと次から出ますと、差別待遇という感を非常に顕著に受けるわけですね。この点について、これはどういうふうにすみやかに是正する考えがあるのかどうかという点をお尋ねいたします。
  28. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) いま標準生計費の関係で、いわば三十歳程度の職員給与についての問題が指摘されたわけでございますけれども、本年も私どもといたしましては、そういう二十七、八歳という世帯形成時の職員につきましては一四%程度、それから大体三人世帯になります三十二、三歳のところは一三・七%程度の改善をいたしまして、その辺が私どもとしましては最も力を尽くしたところの一つだと考えているわけでございます。  で、標準生計費の関係から申しますと、私どもとしましては、この俸給表の金額は、全国の標準生計費の二人世帯、三人世帯の金額と見合わせて、全国の標準生計費を上回るように見合わせるということを目途として、今回はそういうことでやって、まあ昨年までは二人世帯をようやくカバーをしたわけでございますけれども、本年の場合には三人世帯もカバーをいたしますし、当然四人以上は従来からカバーしておりますので、全国の標準生計費はすべてこれでカバーできたという形で考えておるわけでございます。まあ東京の場合の御指摘があったようでございますけれども、たとえば本年の場合の生計費の上がりようを見ますと、東京の場合には、昨年に対比しまして七%しか上がってない。全国の場合には一二%上がっているというようなことで、東京の生計費につきましては統計的にいろいろ問題がございます。やはり生計費の調査のねらいは、全国平均の生計費を調査するというのがねらいでございますので、やはり全国で調べてそれに見合わしていくということが適当だろうというふうに思っておるわけでございます。  いま標準生計費の高さの問題をおっしゃられましたけれども、標準生計費と申しますのは、やはり普通の生計費でございまして、たとえばルームクーラーなど非常に高額なものを買いまして、そういうものが平均としまして少しずつ入ってくる、そういう生計費じゃなくて、やはり普通の世帯の生計費ということでございますから、いわゆる単なる生計費の平均じゃなくて、普通の大衆の生計費のところということでございますので、どうしたってエンゲル係数関係は、大体そういうところでは私どもが調べておりますようなところに相当しておる。これはもう実態からそういうふうになっておるわけでございますから、そういう意味合いで、現在の実態の生計費の中からその標準的なところを取り出しまして全国の標準生計費を設定をいたしまして、それで本俸をカバーするという形で、ことし初めてそういう形でつくられたというふうに考えております。  なお、そういう二十七、八歳から三十歳ぐらいの職員につきましては、ほかの年齢層に対しましてそこが、やはり民間との関係といいますと総体的にやや低目であるという点もございますし、今後さらにできるだけ力を尽して引き上げるようにする方向で検討したいというふうに考えております。
  29. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま局長の説明がありましたですが、一人世帯のところ、つまり初任給のところはこれは非常によくなる、標準生計費に比べて。ところが二人世帯のところも、二十八歳というところも標準生計費と比べてみて確かに重点が置かれて改善されてきた。ようやくいま三人世帯のところに移りつつある。だからこれはまだ不十分だ。四人世帯になりますと一そうまだこれは不十分だ。これがよく言う中だるみということにもなるわけでございますけれども、そういう実情だから、進んで今度は三人世帯のところを充実し、四人世帯のところを充実するという方向ですみやかに進めてもらいたいというのが私の考え方なんです。  それから、もう一つ六等級の一号から五号ですね。あるいは五等級の一号から五号、四等級の一号から五号というもの——各等級の号俸の若いところは非常に引き上げ率がいいわけですね。六等級で言いますと、一号から五号という若いところは一四%前後引き上がる。ところが、ここには六等級におる人たちの五%しかいないのですよ。大部分の八割という人間は六等級の八号から十四号のところにおる。ここのところががくっと落ちるわけです、上げ率が。それから五等級の場合も、五号までの号俸の若いところは一三%前後上がるけれども、ここのところはわずかに三%ぐらいしかいない。五等級に在級する人の中の三%しかいない。八〇%というのは五等級の九から十におる。ここのところはうんと落ちるわけです。一〇%前後、上げ率は。四等級も同じなんです。ですから、私は公務員の九〇%近い者は皆この六等級、七等級の二けたのところにおるわけです。二けたにおる者は今度は五等級に移るときにはまた五等級の二けたのところに大体移る。五等級の二けたから四等級の二けたに近いところに移っていくわけです。そうして、年齢は五十六になってくるわけです。五十六以上になると今度は昇進ストップだとか延伸だとか、こうくる。そうでないところはぽっと六等級の号俸の若いところに出て、すぐ五等級の号俸の若いところにいって、四等級の号俸の若いところにいって、ぱっぱっとさっき言った三段飛びでやっていくと言う。ですから、九割の公務員というのはこの俸給から見ても完全に疎外されている。そういう問題について総裁はどういうふうに考えておられるのか。ほんとうにこれは真剣に考えてもらわなければ困る。完全に疎外されていますよ。数字も明らかに出てくる。それは業務の上でも疎外、行政能率の上でも疎外、あらゆる面について疎外を食っている。この公務員の疎外問題についてどういうふうに考えるか。
  30. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 俸給表の構造につきまして私から御説明を申し上げたいと思いますけれども、私どもは各俸給表職務段階別かつ学歴別、年齢別に民間との比較をしておるわけでございますけれども、そういう意味で、たとえばいま御指摘になりました六等級なり五等級なりの学歴別、年齢別の官民格差というものを調べてみますと、若いところにおきましては官民格差が非常に大きい。で、だんだん年をとるに従いまして官民格差が非常に小さくなっていく、そういう傾向が非常にはっきりしております。したがいまして、やはりそういう官民格差の動向に従いまして、号俸につきましても若い、いま御指摘のような五号俸ぐらいまでは非常に高く、それよりも号俸が高くなるに従って改定率を低くするというふうに、若い号俸におきましては改定率は高く、高い号俸におきましては改定率が低くという、やはり官民格差の動向に従いましてこの俸給表改定もやっていかざるを得ないということで、この俸給表の作成をいたしたのでございます。
  31. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、それは局長、一体疎外問題を……。俸給表から九〇%近い公務員が疎外されている。現実、公務員俸給表を見ても、実際の個々人の問題を当たっても非常な疎外を受けているわけですが、それについてどうなさるおつもりか。だから民間と比べて民間と比べてということで、木を見て森を見ないということになるのですよ。公務員内部の矛盾とか断絶という問題について目を閉じるということになるわけですよ、そういうやり方をやっていくと。だから私は民間追従というもの、徹底した民間追従じゃ困る。無方針ですよ。無原則ですよ。いつの間にか公務員の内部じゃ非常な疎外感を持っているということではいけないのじゃないか、そういうものについての人事院総裁の考え方はどうですかということを伺っている。  なお、局長がいまおっしゃったけれども民間給与との関係でこういう俸給表ができているのだというお話ですが、これは従来から私が言っているように、そうなっていないのじゃないか。やはり五等級を民間と比較する場合に、実際も公務員のほうが年とっているのじゃないか。そういう年齢の非常に実際の差のあるものと比較して正確に比較できますかということは、何年来、私は口をすっぱくして言っている。間違いですよ、それは。だから私はここで総裁に聞きたいのは、そういう疎外の問題についてどういうふうにお考えになっているのかという考え方を聞きたいわけです。
  32. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 疎外ということばはたいへん迫力のあることばで、傾聴いたしましたけれども、私はそういう気持ちは全然持っておりません。ただいま局長からも申しましたけれども、御承知のように、私どももやっぱり一番人間の多いところの号俸はどこだろうというようなところまで調べまして、マルや三角、かぎじるしでその幅を取ったりしながら、ここらにこれだけのたくさんの人がいるぞということをにらみながらやっておるわけでございまして、決して疎外感どころか、そういう大ぜいの人が喜んでいただけるようにという気持ちをむしろ持って臨んでいる。ただ、でき上がりの形についてはいろいろそれは御批判がありましょうし、それは十分承って、われわれとしては多くの人に喜んでもらえるような俸給表をつくる、そういう心がまえでまいりたいと思います。
  33. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあしかし、結果としては限界に来ていますね。ですから人事院のおつくりになった俸給表についてはいろいろな不信感を持ちつつあるというふうに言っていいのじゃないかと思います。  次に、今度は五十六歳以上の問題ですね。これは去年の勧告の中に、検討する必要があるというふうにお出しになって、今回の勧告の中にこれが出てきたわけですね。それで、これは中のこまかい点についてはここでお伺いは省略をいたしまして、これは一体制度の違いからくるのじゃないかというふうに私は思いますけれども民間の場合においては、大体五十六歳あるいは五十七歳というところが定年の傾向が非常に強く出ておるというところからいって、公務員との逆格差が出てくる。しかしこれは制度の差じゃないか。公務員の場合は終身公務員という基本的な立場に立っている、民間の場合においてはそうでないという立場からくる制度の問題ではないか。それをこういうふうな昇給延伸というような形でおやりになるということは、実質的に定年制の方向にころがしていくことになるのじゃないか。給与の面から定年制にころがしていくということになるのじゃないかという点を、ひとつお伺いをしたいと思います。
  34. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 制度が違うという点につきましては、私どもはまず民間における定年制の結果、再雇用というものが行なわれて、相当これが普及しております。そういう関係のものは公務員部内にはありませんから、これはもちろん比較から除外している。それから臨時的な任用関係を除外したあとの比較でありますから、まずその点を申し上げておきます。  制度の問題については、民間における昇給制度ということにつながってまいらざるを得ないので、たとえば一定年齢以上になっても昇給額は変わらないという。パーセンテージをとれば、これは一八・七%しかない。昇給額が減るというのが五〇・三%ある。昇給しないというのが三一・一%あるというようなことは、やはり制度上の問題としてわれわれとしてはとらえざるを得ない。この点従来の純粋の給与制度の問題から見まして、一体昇給制度の本質はどうかということから積み上げていきますと、どうしてもわがほうとしては心を鬼にしてこのような措置をとらざるを得ないということであります。
  35. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、つまらぬところで心を鬼にしないでもらいたい。この程度の範囲の狭い逆格差なら、人事院の従来の考え方からいえば無視してもいい程度のものです。これはおわかりでしょう。いまの公務員給与体系だって逆格差はありますよ。しかしそれは数が少ない。この場合だって数が少ない。四十七万の公務員の中で一万何千ぐらい——二万ぐらいのものじゃないですか。だからこの程度の逆格差なら、しかもこの範囲の逆格差なら、従来の人事院の立場からいえばこれは無視していい格差です。それをこの際やられるということは、まさにそれは心を鬼にしてかもしれない。従来ならこういうものは問題にしないでいい数字だと思います。たとえば教職員格差の問題、それ以外の格差の問題もありますし、全体として見た場合は、この程度のものは無視していい格差です。これをことさらにお取り上げになったのは、これはいま地方公務員の定年制の問題が出ておる。したがってそれに歩調を合わせて、国家公務員の場合に給与的な面から定年制にころがしていくという意図としか受け取れない。その点についてのお答えをいただきたい。
  36. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 逆格差の問題は、当面においてはあるいはおっしゃるとおりかもしれませんけれども、これも年々年がたつにつれまして、公務員全体の格差の問題に逆の作用を及ぼしてくる。これは公務員全体の将来の利益から申しまして、私は見過ごし得ないことだ、したがって、打つべき手があるならばいまのうちに打っておくべきだということは、将来を見通しての一つ措置であるべきだと思います。  それから定年制のことをおっしゃいましたけれども、先ほどお答えするのを忘れましたけれども、これは見方が二色あるわけです。これは定年制の代用品じゃないか、これをやることによって定年制をずらかるつもりじゃないか——ことばは悪うございますけれども。それからもう一つは、定年制にいく布石じゃないか、第一歩じゃないか。これは完全に逆の見方があるわけです。これはいずれでもない。これは給与制度、昇給制度の技術上の問題として扱っておる、定年制の問題とは全然つながりがございません、ということをあらゆる機会に申し上げておるわけでございます。
  37. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私が申し上げた、この四十七万公務員の中で二万足らずの五十六歳以上のところがこの程度の格差があるというなら、従来の人事院の考え方からいけば、この程度の格差は問題にならないと私は思うんです。それを心を鬼にしてお出しになったということは、これは総裁のお気持ちはどうも判断できないけれども、いま答弁を聞いておる限りにおいては、定年制でないという御説明ですけれども、実際は給与の立場からのこれはもう定年制へのころがしと見ざるを得ない。なお、去年の逆格差とことしの逆格差を見てみますというと、目に見えて縮小していますね。これはだまっておっても縮小していくんじゃないですか。わざわざこういう法律まで改正して、心を鬼にしなくてもいいんじゃないですか。この程度の改正をしてみてもそんなに縮まりません。去年やってふっとお喜びになったかもしれないけれども、ことしになってみると格差が目に見えて縮まった。来年また縮まるかもしれない。もっと情勢を見られたらどうですか。去年のことですぐうちょうてんになってお喜びにならないで、去年減っておる、ことしもまた減っておる。来年また減るかもしれない。もう少し弾力的に見たらどうですか。その点ひとつ……。
  38. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まず私から。私自身がそれを非常に気にしておるわけです。どんどん縮むならやらぬで済むことになりはせぬかということで、ことしの場合とくと見ておきなさいということを局長に申しまして、そうして出た数字をいまごらんになっておっしゃっていると思いますけれども、それはしかし全体の格差の問題の変化がございますから、にわかにマイナス要素、あるいはプラス要素ということにはならないということで、詳しくは給与局長からお答えいたさせます。
  39. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) ただいまの御指摘の関係でございますけれども、昨年の場合には、行政職俸給表等全部含めまして、四月現在のいわゆる正確な官民格差でございますが、それが六・八%あったわけでございます。ところが本年の場合にはそれが二%ほど高くなりまして、八・六%になったわけでございます。したがいまして、全体として水準が二%ほど上がっておるというわけでございますから、したがってその関係を、去年の場合には六%を基準にし、本年の場合には八・六%を基準にしまして、それぞれの年齢層の格差というものを再計算をいたしてみますと、つまり、昨年の場合には一〇六・八%というものを一〇〇%にいたしまして再計算をいたしますと、五十六歳から六十歳までの場合には、昨年は九〇・八というのが八五・〇ということであったわけでございますけれども、本年の場合にはそれが一〇八・六を一〇〇%にいたしますと、九一・四ということになっておりますのでそれは八四・二ということになりまして、昨年の場合には八五・〇ということであったのがことしは八四・二という形になりまして、相対的にいえば本年のほうがさらに下がっておるということになるわけでございます。
  40. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題は先ほど申し上げましたように、どうも私には、総裁のお考えは別にして、結果的にはやはり定年制へのころがしだというふうに見ざるを得ないのですね。従来だったらこの程度のものは人事院はネグレクトしていますよ。どうもこの定年制という情勢の中でお出しになったものというふうに見ざるを得ないのですね。これは今後大きな論争ですね、論点だと思います。  次に、この期末手当についてお尋ねしたいのですが、これはもう民間と比較した場合に、〇・二九月分民間のほうが高い。そこでことしは〇・二月分にした、こういうことなんですね。で、したがって〇・〇九月分というでっかいものをネグレクトしたわけですね。去年は民間のほうが〇・一八月分高い。したがって〇・一月分にする。〇・〇八月分というのはネグレクトしたわけですね。いままでこのでかいものをネグレクトしたことがないのに、去年もでっかいものをネグレクトし、本年もまたでっかいものをネグレクトするという、何でそんなことをするのかということに私は不信感を持つわけです。察するに、期末手当について人事院の考え方が変わってきたんだ、非常にラフになってきた、考え方が変わったんじゃないかという私は感じを強く持つわけです。というなら、ことし〇・二九月分民間が高いというならば、どう悪く見ても〇・二五月分にするという考えだって十分あったと思うのですね。切り上げることはむずかしいとしても〇・二五月分にはできる。去年で言えば〇・一八月分民間が高いというなら、〇・一にしないで〇・一五月分ということにすることだって十分に考えられる。そういうことを一顧だにしないで今後けとばしていくというところが、特別手当についての人事院の考え方が変わってきたんじゃないかという私は懸念をしているんですが、その点について一つ伺いたいのと、もう一つ、今度期末手当について、特別手当について、職務によって期末手当が差がついておるということを強調していますね。来年はそういうふうにおやりになるつもりですか。この期末手当、特別手当職務によって差を設けられるという、そういう方向は来年は検討されるんですか。その二つですね。
  41. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ことしの勧告において、ほかの分はおそらく、おほめにあずかるとは思いませんけれどもまあまあ好感をもって迎えられるであろう。ただしこの特別給のところだけは用心せぬとやられるぞという意気込みでわれわれおるわけです。それは申すまでもなく、去年〇・〇八を落としたそのまたあとですから、その点は私どもも非常にこれは覚悟をしておったと申し上げてよろしいかと思います。しかし、これは新例を開いたというようなお話ですけれども、これは鶴園委員も御承知の上のことなんで、三十五年以来端数は切り捨てるというたてまえをとっておりますから、その点はいいんであります。去年〇・〇八落とし、また〇・〇九逃げるということはつらいぞということを率直に感じておったことを申し上げる。しかしわれわれのたてまえは、やはり給与その他と特別給、民間における特別給はその年その年の業績をそのまま反映したものであるということに対しまして、公務員の場合はそれよりも安定性というか、多少固定性を持って制度的に扱っているという見方からいいますと、これもまた心を鬼にしなければなりませんけれども、心を鬼にしてこれはやはりかんべんしていただく、がまんしていただくということで今回の案になっているわけでございます。しかしあとで申されました段階についてのお話は、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、このわれわれの報告書の中で触れている問題点として、私どもは今後の検討に資するんであって、来年やりますとか、再来年やりますとかいうような具体的なところまでは今日のところまだ考えておりませんということでございます。
  42. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私が非常に気にしましたのは、去年の勧告の中で五十六歳以上についてはこれは昇給制度を検討する必要があるというふうに指摘されて、本年は勧告の中にそれが具体的に出てきた。ちょうどこのところで、この特別給については民間の場合は職務等級によって段差がついておる、差があるというのが、これはこれから検討しなければならぬというふうに言っているものですから、来年はことしの五十六歳以上について勧告されたと同じように、等級によって期末手当、特別手当を差をつけられるというふうに見たんですが、そうではないというお話ですから、これは検討する、来年度とか再来年度ではないというんですから、それはいいです。これは総裁、昔からわかっていたんですか、この問題はいまに始まったことじゃない。これはどうして出されたんですか、いまの参考資料の中に出ている数字はどういうふうに出されたんですか。どうしてこういう数字を出されたか。いままで長い間人事院はこういう答弁をされておったんですよ。個人個人の特別給を調べるなんということは不可能だ、そんなことしたらそれ以外の調査もひじ鉄食っちゃう、だから個人個人の期末手当、特別手当調査なんかできないということを強調してこられた。どういう手練手管でこういう数字を出されたのか、それをひとつ聞きたいと思う。
  43. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 個人個人を調べることは理想であって、われわれとしては努力しておるわけでありますけれども、それはともあれ、先ほどの報告書に書いたことですけれども、これは来年やりませんという意味で申し上げたわけではないわけで、とにかくじっくり検討してなるほどと思う点があればそれはやろう。もちろんそれでなければよけいなことを書く必要はありません。しかし大体去年の老齢者の場合に考えたんですけれども、やっぱり問題になることはあらかじめ投げかけてはっきりさせる、こういう問題がありますよということで皆さんの御意見も聞くフランクな態度をとったほうがいいんじゃないか。そうして高齢者の場合は私どもいろいろ一年間各方面の御意見を聞きましたけれども、われわれとしてやはり数字は数字としてこれは貫いてよろしいという確信を得ましたので出したわけです。そういう意味でフランクに問題を投げかけよう、したがってそのわれわれの研究の結果いかんによりましては、来年あるいは具体化するかもしれない、再来年具体化するかもしれない。その節はまたここで十分御検討いただきたいという心がまえでおるわけでございます。
  44. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 計算はどうして出したんです。参考資料の中の等級別の特別手当の月数、これはどういうふうにして計算されたんですか。
  45. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 参考資料の中に注記してございますように、本年の民間給与調査におきまして、いわばサイドの、付属の調査としてやったわけでございますが、昨年の一年間において支払われました給与というもの——昨年の年間給与というものを調査をしてまいりまして、それと本年の四月に支払われましたいわゆる月給というものの調査を別にいたしておりますから、その両者におきまして月数を出す。そういうことで調査をして出しております。したがって調査の月数そのものは昨年のベースアップ後の月給で割っておるという意味合いで、相対的には低い数字になっておるということはございます。
  46. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はこういう等級別に期末手当を出すという数字を出されるならば、それは各個人別にやってもらいたい。個人別調査をやるべきだ。これを見ますとどうも個人別ではないようですね、いまのお話を聞いておりますと。それは困りますよね、そんなことでは。いまのところは何でしょう、期末手当は幾らになったって概数でつかまえるんでしょう、いままでは。こういうものを出されるならその資料を出していただけませんか。どうしてこういう数字が出てきたか。  それからもう一つ、従来もここで盛んに論争になったのは、人事院としてはこれは調査できないと言ったんですよ、いままで。それがこうして麗々しく出てくるものですから。そんな調査資料、数字、それがひじ鉄を食っちゃって、ほかの調査ができなくなるとというお話を盛んにしておったんですが、それが麗々しく出てくるものですから非常に奇異な感じを受けるんです。それからなお、民間の場合は、これは御承知のように利潤追求が最大の目標なんです。公務員の場合は公務追求ですよ。サービスと奉仕ですよ。それが最大の目的なんです。そういう場合に、期末手当をどうするか−日本の官庁においては伝統として続いてきているわけです。明治以来でしょう、おそらく。それができないで、またここで野方図に、無原則に民間追随みたいな報告を出されることは非常に問題がありますね。のみならずそれは等級によって違うかもしれぬけれども、それは職務よりもむしろ貢献度によって出てくるわけです。その会社にどれだけ能力的に貢献したという形で出ているのじゃないか。職務じゃないんじゃないですか。あるいは職務という面もある程度入っているかもしれぬけれども、大部分は能力として、つまり会社にどれだけ貢献したかという形で出ているんじゃないかと思うんですけれども、そういう点についても調査を十分やってもらいたい。去年出してもうことしは、来年はこうやるんだというようなお話では、心を鬼にしたようなお話ではそれは困ります。この問題はでかいですから、数字が四・七月分になっておりますから、その点については慎重にあらゆる角度からの検討をお願いしておきます。  次に、政府のほうにお伺いしたいんですが、人事院は従来から二つ強調してきたですね。三十五年以来毎回強調してきたのは、五月一日実施してもらいたいということを強調してきたわけですね。それからもう一つは、すみやかに措置をされるようにという要望をし続けてきたわけですね。それで、この五月一日実施というのは、これはもう五月一日実施されると何回も政府は答弁をしているわけですし、この間、七月の八日でしたですか、この内閣委員会でも総理府総務長官も答弁しておられたとおりです。これは、だから間違いなくことしは文字どおり完全実施されるというふうに見ていい。十一年ぶりに完全実施されるわけですね。その間これをめぐりまして、これは公務員と政府との間、労使間に紛争が続いたことは御承知のとおりなんです。それがまあ十一年ぶりに解決する。もう一つはすみやかにやってくれ、これは依然として残っているわけですね。これはどういうふうになさるおつもりか。文字どおり完全実施にならぬわけです。完全実施なさるならすみやかに、いま御承知のように十二月にかかりますね。これはすみやかじゃないですね。八月に勧告があって、実際公務員が手にするのは十二月中に渡るか渡らないか、渡らない場合は来年になるんじゃないか。これはすみやかじゃないです。その間の利子を考えれば百億ぐらいの損をする。物価は上がる。ですからこれはすみやかに処理すべきだ。そういうことをどういうふうに考えておられるかお尋ねいたします。
  47. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) ただいまお話がございましたように、過去の経緯から考えまして、今年の場合、すでに昨年十一月以来内容、時期を含めて完全に実施をするという方針で来たわけでございまして、今年の場合も、去る十四日勧告給与関係の閣僚協議会を開き、昨日の閣議におきましてもそれぞれ給与担当の山中大臣並びに財政担当の大蔵、自治並びに運営の行管長官等からさまざまな御意見等もございまして、二十五日に閣議決定をする見込みであるということで、その間、今回の給与勧告におきまして、すでに御承知かと思いますが、特に財源等の問題について中央、地方合わせておおむね概算四千四百三十億円前後の目鼻をつける必要もございますので、そういう点から閣議の日程をきめたのでございますが、すみやかに措置をするという第二段の問題についても、二十五日の閣議において今後の取り扱い等を含めて御協議をいただくつもりでございます。
  48. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあことしは、勧告が八月の十四日にあって、すぐ閣僚懇談会が開かれて八月二十五日の閣議できまる、例年にないスピードですよね。この点は異例なスピードです。これはあたりまえの話なんですけれども、従来の経緯からいえば非常に異例のスピードですね。きまったわ、金は十二月じゃ、これは同じことになってしまう。同じことというとまずいんですが、金を受け取るということでは同じになる。四千四百億の金が要るというんですから、利子を考えると——それはサバを読むというわけじゃないと思うんです。そういう話じゃないと思いますけれども、すみやかにこれはやってもらわなければならない。その問題も含めて二十五日の閣議でおきめになるという話なんですが、どういうようなことを考えられておるのか。私は概算払いか、前払い、仮払い程度の考えを持つべきじゃないかというふうに思いますが、どういうふうに考えておられるかお尋ねいたします。
  49. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) ただいまの点につきましては、当初の閣僚協議会の際も、給与担当の山中大臣としても早急に閣議で基本的な方針はきめるべきである、こういうことでございましたが、先ほどお話もございましたように、それぞれ中央、地方相当な所要財源も必要でございますし、それらの検討等について、ぎりぎり大よそのめどを立てるのにこの程度の日数が必要であるという前提から二十五日になった、こういう経緯でございます。ただいま仮払いその他早急に措置を講ずる必要があるのじゃないか、こういうお話でございますが、これはもう申し上げるまでもなしに、俸給表をはじめとして基本的な公務員給与に関する基準は現実に法律できめる、こういうたてまえでございますし、今日財源等の見通しにつきましても不確定財源がかなりございますので、それらの予算も将来にわたって実は必要になる、こういうことでございますから、基本的にはやはり法律によってきめるという措置によらざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  50. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうすると、いますみやかに臨時国会を開くと、いろいろな問題ございます。公害問題もあれば、いろいろありますから、臨時国会を開き、その際にきめるというのが一番いいと思います。しかし、そういう空気にないことは御承知のとおり。従来も大体十二月です。それじゃすみやかにならないじゃないか。勧告はこれは完全実施されておりませんので、すみやかに措置をしてもらいたい。その点についての政府の今後の検討を要望いたしておきたいと思います。そうでないと、これはいつも十二月になりますよ、いまの行き方でいきますと。  それからもう一つ、これは総裁お尋ねしたいのですけれども、いままで総裁、三十五年の勧告以来、五月一日実施ということを勧告で、毎勧告明記されてこられたのですね。それで五月一日という問題が出ましたのは、本院の三十四年秋の内閣委員会で、勧告実施時期を明記しないのはおかしいじゃないかという論議があって、それに対して当時の人事院総裁が、四月末の調査であるから五月一日と、すらりとした答弁をなさったわけです。四月の調査だから五月一日と、すらっと答弁なされたのですわれわれはそのときに、これは一論争しなければならぬと思ったのですけれども、しかしいまは実施時期を明記することがたいへんな焦点になったわけですから、五月一日と明記するということでそのとおりになった。その後この問題についていろいろな論議が行なわれましたことは御承知のとおりであります。五月一日がいいか、四月一日がいいかという論争が行なわれました。しかし、この十一年間というのは五月一日実施するということが最大の焦点であったものですから、したがって、この問題もまあ論争になるだけの話であって、焦点にはならなかった。ところが、十一年たって今年完全実施をされるというようになりますと、これはもとへ戻って、四月一日か五月一日かという論議をしなければならないというふうに思うのです。人事院の中には、従来から、これは四月の調査だから五月一日ではなくて、理屈で言えばこれは四月の調査だから四月一日になる、こういう考え方が相当支配的だったことも承知をしております。ですから、私はこれからの検討の中ですらっとこれを理屈どおり四月調査だから、四月基準だから、四月実施と、こういうすらっと考える段階に来たのではないかというふうに思います。総裁どうですか、お考えを承りたい。
  51. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私も最近そういうお話が出るものですから、昔のことも心がけて調べてはおりますが、いままさに鶴園委員がおっしゃるとおりに、まことにすらっとそれがいっているわけです。すらっと通ってきてこれをすらっと直すと言えばちょっとごろがよろしゅうございますけれども、すらっと通ってきたものはそれだけに——まあ当時の人事院総裁は法学博士でございますから、いろいろ理由のあってのことであろうと思いますし、とにかく十年それでちゃんと来ているわけですから、まあ秩序というものは簡単に軽率には直せないという気持は根本には持っております。しかし、最近いろいろ御議論を聞いておりますと、なるほど四月説というのも確かに一理はある。私どもは筋が通ったことなら、それが確認できればそれはやぶさかではないわけであります。最近四月説も一理あるなというところまでは、これは率直に申しましておのずからそのような気持になっております。なお、これは大事なことでございますので、今後慎重に検討いたしたいと思っております。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 重ねて、すらっと出たのですよね、当時の総裁から。実はそのときに論争すべきだったのですが、先ほど申し上げたような理由で論争しなかった。ですから、理屈として見ますと、ちょっと考えてみますと、四月基準だから四月だと。これは理屈です。総裁の理屈から言えばそうなると思うのです、私は。三公社五現業だって四月一日からです。五月とはなっていない。四月一日です。ですから、そういうふうにすらっときまったものでそのときは論争にならなかったけれども、今日それらが焦点になってきているわけですから、すらっと私どもの理屈どおりに解決するという方向にひとつ来年一ぱい、これから来年まであるわけですから、御検討をいただきたいというふうに考えます。  それから、もう一つ総裁お尋ねをしたいわけですが、いま言うように、十一年かかってまあ九九%近く完全実施をされたわけですね。あと、私が主張しているように、すみやかに、というのが残っています。すみやかにというのが、十二月なんというのではすみやかでないですよ。それが残っておりますけれども、とにかく十一年ぶりにできた。ここでこの人事院勧告というものを変える考えはないかどうか。二十三年に人事院ができてから初めてですよ。この内容実施時期も完全実施されるということは二十三年ぶりですよ。この段階で私は、ひとつ人事院のまあ考え方というのは区切りをつけるべきだ。これで新しい考え方を持つべきではないか。つまり、迅速化と簡素化です。簡素な、迅速な勧告を行なうべきではないかと私は思っているのです。総裁はそういう長い間来た、まあいまの勧告は三十五年以来の十年一日のごとき勧告様式になっているのですが、これを簡素化して迅速化するという、時代に合わせたような勧告に改めるというお考えはないかどうか。いま御承知のように半年かかっておりますね。二月ごろ調査様式が案になって、三月に決定して、印刷に回して、四月に全国から関係者を集めて説明会を開いて、各県に持ち戻って、また調査に入って六月の中ごろまで調査をして、そうして八月十四日に勧告をする。そこで六ヵ月間ぐらいの要するにゆうゆうたる調査になっているわけです。調査のやり方も、これは十年一日のごとし、二十三年一日のごとし、手工業のごとしですね。ですから、これを迅速化し簡素化して、すみやかにやるというような方向へ改めるお考えはないかどうかということをお尋ねしたい。
  53. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私どもの理想とするところも全くおっしゃるとおりでございまして、できれば通常国会の予算審議の国会でもう法案も上げていただくということになれば、六月ぐらいには成立しますから、それこそすみやかにみんなの手元に渡るということが私は理想だろうと思います。したがいまして、宇宙時代と言われる今日でありますから、何とかもうちょっとスピードアップの方法はないものかという点は考えておりますけれども、なかなかそれが思うようにいかぬということになりますと、この調査の企画をずっと下げてしまわなければならぬ。もう調査もやらずに、それこそ民間追随主義を放てきしてもというところまでいけば、これはまたこれで一つの行き方ではあろうと思いますけれども、先ほど触れましたように、民間追随主義をやめるということはなかなか相当の危険を持つ。冒険である。たとえば今度の民間追随主義に対する御批判を見ましても、経済団体あたりで言っていらっしゃるのはねらいが違うわけですね。そういう点を考えますと、やはり官民比較の原則というものは、今日の事態においては当面これは堅持していかないと困る、いくべきだという気持ちでおりますから、そのたてまえのもとにできるだけスピードアップをしたい。これは全く御同感で、その努力はしたいと思っております。
  54. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間がだいぶたちましたので、ここでいまの問題につきましても、それから住宅手当の問題、あるいはその他いろいろ論議したい問題がありますが、きょうはここでは省略をいたしまして、あと行政管理長官お尋ねをしたいのですけれども、三年間に五%定員を削減をするという、従来やってまいりました三年間五%定員削減、それの第二次版ですね、第二次版をいろいろ検討しておられる。それはでき上がるのは早くて十月、おそければ十二月になるのではないかというふうに考えられておったわけですね。それが何か急にこの八月の二十五日、給与完全実施を閣議で決定すると同時に、何かその三年間に五%定員削減等も含めておきめになるというような報道が行なわれているのですが、そういうお考えですか。
  55. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) できれば、間に合いますればそういたしたいと思っております。
  56. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ報道を見まして、いままた長官の答弁も承りますと、本来は十月かあるいは十一月ごろにきめれば間に合う話なんですね、四十六年度の予算についてはですね。それが普通でしょう。ところが、急にこれを前にもってくる、予想もしなかった八月にもってくるということは、結局給与との関係でこれを出すのだというふうに受け取れますですね。そういうことですか。
  57. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) そういう含みもございます。前例のない完全実施をした機会に、公務員といえども能率を高くして少数精鋭主義でやっていくという心がまえでなければならぬ。それについては、総定員法の着実な運営に基づいて成果をあげなければならない。そのためには、その心がまえをなるべく早く打ち立てたほうが賢明であろうというふうな一連の考え方がばく然とながら私の頭にもありまして、そこで先刻申し上げましたように、できれば、間に合えば八月二十五日の閣議決定のときに具体的な数字をあげ得るものならばあげたいものだと、そう考えておる次第であります。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はいま長官のおっしゃったように、給与完全実施がきまるから、それに合わせて、この際、少数精鋭とかあるいは能率がどうだということで、三年間五%の定員削減のごときものをきめたいというお考えのように受けとれるんですが、そういうやり方はいけないんじゃないか。何か行政機構改革とか、あるいは定員の処理の問題を、そういう何か関連させてとか、あるいは何か便乗主義的にとかいうようなやり方は、これは定員の問題と機構の問題の存在を誤るもとだと私は思います。そういう、公務員給与完全実施すると、それについていろいろの意見があることは、新聞等で見ればわかるとおりであります。しかし定員について、機構についての考え方というのは、これは別にあるべきだ。こういう便乗してといいますか、からませてといいますか、その際とか、こういう便乗主義とか、あるいはやっつけ主義とかいうようなやり方で、定員なり機構というものを考えてもらいたくない。そういうことをおやりになりますと、これは機構改革なり定員なりの問題についての皆の考え方というものを非常に軽視させるということに私はなると思うのですけれどもね。これを離れて機構、定員は考えるべきだと私は思います。長官、御意見を承ります。
  59. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 御意見でございますから傾聴いたしますが、それほど大げさに考えるほどのこともないんじゃないかと存じます。もともと問題が別でございます。ございますけれども完全実施の機会に公務員の心がまえを明確にするということも、また同時に考えてしかるべき課題かと思いますから、まあ、のんびりいけば十一月か十二月に策定されるであろうというものを二、三カ月繰り上げてそれとマッチさせるということも、ある意味においては適切な措置かと心得ます。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 長官ね、私はやっぱりこれは便宜主義だと思うのですね。ですから、そういう便宜主義をとられる、あるいはからませ方でやられるということは、機構なり定員について十分にわからないうちに、そういうものを軽視させるということになるんじゃないか。根本的な私は問題だと思う。定員とか機構とかにそんなに金を使ってもらっては困る、そういうふうに考えていかれることは、私は行政管理庁としてとるべき態度じゃない。便宜主義とか、何か政治的とかいう問題じゃないと私は思うんです。そういうものと離れて慎重に、定員の問題についても、機構の問題についても検討してもらいたい。検討していってもらいたいというのが私の気持ちです。ですから大臣のような考え方とは相当違うわけですよ。基本的には別問題だということについては、もともと別問題だという点については一致しますけれども、やり方が、どうも私は、これは便乗主義ですよ。世間が何とか言ってるから、それに対する便乗主義、これじゃ私はだめだというふうに思いますけれども、重ねて大臣の見解をお聞きします。
  61. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 先刻申し上げとおりでございますが、完全実施するのについて膨大な資金を必要とずる。すなわち国民負担が膨大化すならば、国民に対する関係において、公務員として、より一そう能率高く、職務に精励するという心がまえも同時に持たなければならない。そのことのあらわれが総定員法の運営をより適切にする意味において、第二次削減計画というものと結びつく意味においては、そう不自然ではないと心得ます。便宜主義とおっしゃれば、第一次五カ年計画の策定に関連して考えれば、時期がちょっと繰り上がるという傾向はございますけれども、先刻申しましたような意味合いにおいて、便宜主義もそう御批判をいただくようなことではないじゃないかというふうに心得ます。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 だいぶ時間たちましたですが、長官の考えとしまして、三年間に五%というその五%を続けるという考えですか。  それからもう一つ、第二次行政改革というのがいま進んでいるわけですね。それに何か新しく加えるというものがあるのか。この中で、新聞等に報道されております運転手とか守衛とか登記の面とか、そういう民間に委譲できるものは民間に委譲していくとか、そういう考え方はあるのかどうか。そういうものを、そういう考え方で二十五日の閣議に臨まれるのか、それをお尋ねいたします。
  63. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 五カ年と申しましたのはちょっと言い間違いでありまして、前例のごとくんば、三カ年何%削減計画というようなことになろうかと思います。それから三カ年間の将来の削減計画を五%より強化するかどうかということを、目下しきりに検討中でございます。強化すると予定したわけでもございませず、さりとて低下すべきだと考えておるわけでもございません。妥当な線は何であるかという意味で検討中でございます。  それから、簡易な事務民間委託につきましては、八月二十五日の閣議決定に新たに加える課題ではございませんので、第二次五カ年計画の中にすでに入っておりまして、運転手とかタイピストとか、そういうふうな仕事は可能な限り民間委託ということも考えるという予定計画に入っておりますことを推進する意味合いでございます。
  64. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 議事の都合により、本件に関する質疑は後刻にいたしたいと存じます。     —————————————
  65. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 国の防衛に関する件を議題といたします。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 議事進行について。
  67. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 時間がだいぶおくれておりますから、簡単に。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの答弁を聞いていると、非常に重大なんで、あなたは用事があられるというけれども、私はあとで質問するんですが、出てきてもらいたいですな。局長じゃちょっとだめだな。いまの答弁聞いてあとで私、この問題質問するんですから、だから六時ちょっと前くらいになりますけれども、何とかはずしてやってきてほしいんですがね。いまの答弁じゃだめです。あと聞く機会がないんです。委員会がね、二十五日前にないんだ。重大なんだ。これを了承して下さい。あなたも忙しいでしょうが、この論議ほど重大なことはない。委員長はかって下さい、出席要求しているのに……。
  69. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ちょっと、その問題はあとで相談しますから、防衛長官せっかく待っていただいているから、とりあえず進めます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  70. 上田哲

    ○上田哲君 先般私、自衛隊の施設の一部を視察したわけでありますが、たまたまその中で艦艇に乗りまして、非常に優秀な士官諸君としばらく防衛問題を議論したわけであります。大体、私などとあまり年代の離れない人たちでございまして、これは中曽根長官の最も信頼してしかるべしと思われるような砲雷長が、日ごろからこれは私ども発言などをメモしておって、検討しているのだとかいう、なるほどよく勉強した人でありましたが、その人がこういう質問をいたしました。砲雷長というのは相手の船に、魚雷ですか、たまですか、命中させる責任者のようですけれども、一体われわれは敵艦にずばり命中させることが正しいのか、敵艦の一メートル手前にたまを落として、威嚇して相手を逃がすことが正しいのか、実はそこのところ非常に迷っているのですと、なかなかこれは私は示唆に富んだ質問だと思ったんで、これはあなた技術論ではない、国の防衛の、国防の基本方針の基底に触れる問題であろうというふうに答えました。やや横道のような感じもいたしますが、非常に重大な問題提起であり、第一線にいるまじめな諸君の、実はどうしても解かなければならない問題の一つでもあろうかと思います。防衛長官はこれについてどのようにお答えになりましょうか。
  71. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 自衛官は憲法並びに法律の命ずるところに従ってその職務に精励し、その職務を遂行しなければならないわけであります。もしわが国が侵略されて、われわれが適法に防衛力を行使する場合には、これを命ぜられたら侵略者に対して断固として実力を行使してこれを撃攘するというのは、自衛官の崇高な任務でありまして、そういう点についてちゅうちょ逡巡してはならぬと、こう思います。
  72. 上田哲

    ○上田哲君 長官はそういうふうに訓示をされているのでありましょうし、これはいま、法律の命ずるところというおことばもございました。私の短い時間の中で信じた限りでは、その砲雷長君も、長官の命ずるところに従って、まさにその任務を遂行することに一点の疑念も感じていないだろうと信じます。で、おっしゃるように、もし侵略されなば、これに向かって撃攘すべしと、まさにそのように信じながら、たとえば長官自身が旧来、特に最近いろいろ問題にされておる日本の防衛戦略上の幾つかの問題点、配慮、そういう中から、やはり総艦艇トン数十四万トン、さほどまあ武蔵、大和がいるようなあの当時の威風堂々たる、守るも攻むるもくろがねみたいな艦上に乗っている海上自衛隊士官でない諸君の気持ちからすると、まさに長官の言われる、侵略者であればこれを一発必中撃攘せよという精神にのっとってたまを撃つ場合に、しかもなお、ばちんと当ててしまっていいのか、それとも、あえて目の前に落として、威嚇をして、その侵略者を去らしめるというふうに考えなければならないのかという問題が出てくると、こういうふうなところが、決して防衛庁なり防衛長官なりの命に服さないとか、そういうふうに疑念を持っているというのではなくて、日本の防衛戦略あるいは安全保障論そのものの中に、まじめに考えてくれば考えてくるほど出てくる疑念だろうと思うのです。その辺をどうお考えになりますか。
  73. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) その場合は、そのときの客観情勢によるのでありまして、たとえば領空侵犯というような問題は、これは平時のことでありますけれども、実力を行使するというようなことはやりません。警戒して、これに対して侵犯しているということを知らせる、そういう合図をする等の措置をやっているわけであります。しかし、日本が侵略されて、防衛出動が下令されるような事態は、また情勢が変わってまいります。しかし、その場合といえども、やはりその客観情勢全般を踏まえた上で、防衛長官の命令なり、あるいはおのおのの司令官等の命令が発せられるわけでありまして、そのときは、その艦長の判断にもよりますけれども、これは疑いを持たないで職務を遂行すべきものである、一般的にそう言えると思います。
  74. 上田哲

    ○上田哲君 長官のお答えは、やはり私は技術論だと思います。撃てといえば撃つし、そうして当てろといえば当てるべきだ——なるほどそうだと思います。ただ、三十年前の日本帝国陸海軍では、そういう疑念は持つことはなかったと思うし、また持つ必要はなかったろうと思うのです。今日、私が言うのは、領空侵犯の場合はなるべくまわりに火花を散らせてどうしろというような技術論ではなくて、ローカルにいって、日本を取り巻く部分については言うまでもありませんけれども、全世界的にひとつ軍事防備であるとか、あるいは軍事体制による安全保障であるとかいうものが、もっと大きい部分で、引き金の引き方をどういうふうにすればいいかという技術論でありませんで、飛行機の場合、船の場合、魚雷の場合、どうするかという技術論ではなく、基本的に戦争と平和、あるいは緊張のありよう、その中に位置し合った保障問題のありようというものを、実は一番上の防衛長官から、あるいは制服の最高司令官から、一番末端のといいますか、引き金を握っている人たちに至るまでいろいろ考えてきている、考えなければならない時代になってきているのだろうと思うのです。その辺のところを、なるほど軍の規律というような立場からいえば、撃てといえば一発必中当てるのだということでよろしかろうと思うのですけれども、その心情を十分くみ上げ、そこに一つの納得を与えるということでなくては、引き金にこもる力も乏しくなるだろう。私は、だからこの問題を、単に自衛隊の第一線の士気の問題であるとか、規律の問題であるとか、そういう問題として提起をしたいわけではないのです。また、そんなやつはどこにいるのだということになっては困るのです。これはりっぱな士官であったということを、念のために繰り返して申し上げておきたいのですが、そういう気持ちにおいてはつながることとして、ちょっと大きいことを申し上げましょう。  先ごろ、独ソ条約が調印をされた。ヨーロッパの話はアジアの話とは遠いのだということに、これはもうまぎれもないわけでありますが、今世紀、あと四分の一残す今世紀の最大の歴史的課題の出発点に立ったというような評価はほぼ世界の一致するところでありますから、そういう問題でいうと、たとえばこういう独ソ条約というものが、どんなような意味合いをそれ自体において持っているかということだけではなくて、この条約を成立せしめるに至った世界の緊張の、あるいは緊張の緩和の潮流というものはどうかという問題として、しっかりとらえていかなければならない問題があるだろうと思います。経済的な側面とか、いろいろなことがここに大きくありますけれども防衛長官に向かって私はやはり大いに議論も吹っかけ、ずばり御回答も腹一ぱい伺いたいと思う面でいえば、純軍事論的にといいましょうか、また、わが国にかかわる部分ということで言うならば、たとえば幾つかの問題はあると思いますが、第一にNATOなりワルシャワ条約機構なり、相対立する二つの保障体制のそれぞれに加盟している主要な国である両国が、その中で条約を結んだということ、また、これは二国間条約でありながら、当然にそれによって多国間交渉というものを前提とし、またこれがストレートに軍縮ということ、全体的な軍縮ということ、その前にももう一つ、全欧州の会議のテーブルにつけるという問題はありましょうけれども、全体的な多国間交渉としての軍縮ということを明らかに前に置いているということ、これはSALTあるいは中東停戦と非常につながってくるわけではありましょうけれども、そういう問題。もう一つは、非常にわれわれと近いところになってくると思いますけれども、いずれにもせよ、これは中国問題に中心的に問題が集まってくることになるはずだ。こういう幾つかの問題があるだろうと思います。この独ソ条約を、オーデル・ナイセをどう見るとか、何のかのの問題から見ると、一応欧州の問題として局限させてしまうこともできないではないでしょうけれども、いま申し上げましたような大きく連なっていく。たとえばアメリカにとっては非常に重要な影響を持ってくることは言うまでもないわけでありますから、狭くなった地球の中で、その向こう側でこういう世紀的な一つの話し合いが実を結んだということのもたらしてくるわが国の安全保障への影響、これをどういうふうにお考えになるか。いろいろな面で長官は非常に広い視野、展望、見識を以前から国際的にも示されているわけですから、この際ひとつ大きい立場で御見解を承りたいと思います。
  75. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 独ソ条約の調印は、欧州の事態の改善に私は一つの時期を画するものになるであろうと期待をして歓迎をいたします。ブラントさんもよくやったと思います。ブラントさんは三つのピアノを一緒にひいているとよくいわれますが、一つソ連とのピアノ、もう一つは東ドイツとのピアノ、もう一つはポーランドとのピアノ、こういいますが、ともかく一つの新しいステージに西ドイツが上がろうとし、ソ連も上がろうとしておる意欲を示しているのであって、そういう意味においては国際緊張の緩和という意味においてもいい影響を与えるであろう。しかし、これはまだベルリン問題の解決がひっかかっておりますから、これもうまく話し合いがつくように希望しております。この問題の背景には、しかし米ソの平和共存という基軸がカーテンのうしろで厳然として存在しているからだろうと私は思います。それがあるいは中近東の停戦、あるいはSALTのある意味における話し合いの進展という方向に進みつつあるので、この米ソが善意と誠意を尽くして、平和共存の実をあげようと今後とも努力されることを希望しますし、その意味において世界の平和がこの力にかかっているということも、現実としてわれわれは認識する必要があるように思います。  私はこの調印を見まして、鳩山総理大臣を思い出したのであります。つまり、日本はもう十数年も前にソ連との間に平和宣言をやりまして交流を促進しております。そして国連にも加入をした。しかし西ドイツはオーデル・ナイセという問題がありますために、その問題で前進できなかった。その問題の壁を破って、いま新しい交流関係に入ろうとしたのは、やはり鳩山さんや、そのほかの日本のやりっぷりを見て、多少影響を受けておるんではないかと私は思います。そういう意味において、国際緊張を緩和しようとする努力をして、日本のいままでの政府が、共産圏との交流を地味ではあるけれども進めてきつつあるということは、私は間違っていなかったと思います。そういう意味において、中国との問題についても一般的にそういうことがいわれるのであります。ただしかし、そういう緊張の緩和とか交流の促進ということは、一方的にはできないのでありまして、相互主義に基づいて、両方が一歩ずつ前進し合う、そういう態度が好ましいと思うのであります。そういうような平和的な外交政策による緊張緩和というものが、軍事力による対決とかバランスよりも、はるかに世界のためにもなるし、有効であると私は考えます。今日のようなこういう時代になりますと、外交交渉に依存するようなところがもう八〇%くらいにもなるので、軍事力によるものはまず二、三〇%くらいしかないのではないか、こう思います。そういう意味において、政治家の見識とか、あるいはそういう平和的手段によって緊張緩和をして、平和を進めようという政治家の責任が非常に大きいと痛感する次第であります。
  76. 上田哲

    ○上田哲君 米ソの共存ということがその基底にあるのだという御定義でございまして、これはもうそのとおりだと思います。やはり米ソということが一番奥にあって出てきたことであるだけに、実際はまあ独ソという形になっておりますけれども、これはやはり調印というその日に一番いろんな意味で衝撃を受けているのは北京に違いない。しからばその北京の衝撃というものを一番近いところで受け取らなければならないのは東京でなければならないという立場で、私は非常にこの問題が他山の石などというようなことではない。もっと身近なところで私たちの国の外交路線あるいは安全保障論の再検討と言ってしまったら少し議論がかみ合わなくなるかもしれませんが、しっかりした見直しというものを求められる契機になるというふうに思います。少なくとも遠くないヨーロッパで、うしろに米ソ共存というものがあるという力学の上で、一番これまで長い歴史の中で困ったのは、スラブとゲルマンがけんかするからであって、これが一番からだがでっかいもの同士がここでこういう形で手を握った。少なくともそのスラブとゲルマンのうしろ側に二つの安全保障論があった。この安全保障論が一つになろうとしている。ヨーロッパが一つになる。こういうことを言っちゃ少しロマンチックになるかもしれないけれども、私はそういう願望を託すことが、ここに二十年ぶりに初めて出てきたということだけは、たいへん大胆に言ってかまわないだろうと思うのです。そういうことで言えば、ソビエトは西ドイツに新しい技術を求める、西ドイツはソビエトに伝統的な市場を再発見するという関係が、新しい今後のありようになろうと思うのですが、そういう立場でそれぞれが、ソビエトも、つまりロシアもドイツもヨーロッパに帰ったと言えるのじゃないか。そういうことを、実は私はいまロシアなりドイツなりということばを使っている、そのことばをそのまま日本と中国ということばに置きかえても、ほとんど変わらないのじゃなかろうか。こういう立場での緊張緩和への努力あるいはきっかけ、チャンスのつかみ方ということを、ひとつわれわれはいま真剣に目を向いて見なければならぬのじゃないか。つまりロシアもドイツもほんとうの意味一つのヨーロッパに帰ったというような言い方が許されるなら、日本もまたいまアジアに帰るべきじゃないか。太平洋の向こう側ということよりも、まさに日本がアジアに帰るべきではないか。こういう外交路線なり見識というものが私はあっていいのじゃないか。ブラントが三つのピアノとおっしゃったのだけれども、三つまで欲ばらぬでもいいから、中曽根さんはいま宰相ではありませんから、ひとつ三つまでは要らないから、アメリカのピアノと中国のピアノ、中国の琴もひいてみたらどうだろうか、そういうチャンスがここへきたのではないか。それはたとえば米ソ共存ということになれば、あなたの前から言われている三核大国の行き詰まりという力学というものにも一つの変化の徴候というものを見ることはないか。もし見るとするならば、それはまた日本外交、理詰めの交渉に大きくウエートをかけなければならないわが国のディプロマシイからして、何らかの先取りの意欲を持つべきではないか。この辺のところをもう一歩突っ込んで伺いたいと思います。
  77. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、日本は善隣友好政策をもって、また共産圏とも交流していく、こういう政策を歴代の政府はやってきたわけであります。私はその政策を誠意をもって持続していくべきものであろうと思います。しかし、中国との関係におきましては、最近の中国の動きを非常に深甚なる関心を持って見ております。外交官が非常に任国に帰っておりますし、そのほか諸般の徴候をずっと観察しておりますけれども、中国側においてもできるだけ窓を大きく開いて、そして世界の国々と交流を回復する、そのことがやはり平和につながっていくものであろうと思って、そういう期待を持っている一人であります。  これ以上は外務大臣の領域でありますから、どうぞ主管大臣にお聞き願いたいと思います。
  78. 上田哲

    ○上田哲君 中国問題というのは、私は、アジアとヨーロッパが二つあって世界が成り立っているという算術をする限りは、やはりこの場合、独ソ条約あるいはその隣、中東なんということをすべて含めてですけれども、抽出していった場合に、中国問題というものがやはり残ってくる最大のポイントになるだろうと思うのです。そこのところをどうしても、一歩でも二歩でも世界の緊張緩和というところにわれわれの努力がなければならないのだし、それが波打ちぎわにいる私たちの毎日の外交的努力だと思うものですから、そのことからいえば、どんな小さな震動だって見のがすべきではない。そういうことからいえば、これは非常に大きな震動として、チリで地震が起きれば日本の三陸がどうかなるというくらいつながっているのですから、物理的にも。ですから、この際、ヨーロッパの独ソ条約というものが、たとえていえばスラブとゲルマンの大男同士がこういう握手することができるのならば、もう一つ、こっち側の大男同士のアメリカと中国との関係というようなものも、ひとつ大きくそのまん中に立つわれわれとして考えてみていいのじゃないか、かなり勇気を持って進んでいいのじゃないかということを基底としてお話しをしたいと思うのですが、きょうは時間がありませんので、私はあと数分でやめなければならぬので、それを下敷きにしてすぱっとひとつ幾つかお答えいただければいいと思うのですけれども、そういう立場に立って、そういう利害を負うて、それを国益と考えてアメリカへ行ってもらわなければならぬと思うのでお伺いするのですけれども、当然これは、何も独ソ条約が調印されたからと私は言いませんけれども、そういうもろもろの潮流というものを目ざとくとらえて、ワシントンで相手のレアード、これはニクソンでないの残念でしょうけれども、大中曽根——防衛長官とのみは言わない。日本安全保障大臣が向こうで話をされるのであるならば、どうしてもこれからずっと問題になれば、三百代言の答弁でない限りは、中国をこれからどのように見るかというところに大きなポイントがしぼられなければならないはずだと思うのです。そういう立場で、どういう御見識をこの際向こう側に向かって主張されるかということを含めて御見解を伺いたいと思います。
  79. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) アジアの情勢はヨーロッパと違うところがあります。ヨーロッパの場合には、わりあいに国際政治力学の焦点が明確に出ておりますから、コンピューターではかって計算できる要素が多いわけであります。ですから、NATOとワルシャワ条約の間には力のバランスという、わりあいにクリアカットの計算ができるわけであります。しかし、アジアにおいては共産大国が二つ大きな影響力を持って、それが争っているという現象があります。これはヨーロッパにない現象であります。それから、アジアの諸国は、心情的にはアジアであって一つでありますけれども、文化も違いますし、民度も非常に違いますし、宗教も非常に違います。そういう面で、ヨーロッパのようにクリアカットにいかない。ヨーロッパが青空だとすると、アジアは霧の世界の要素がかなりあると思うのです。そういう意味において、ヨーロッパ並みの機構をアジアに持ってくることは間違いであると思います。   〔委員長退席、山本茂一郎君着席〕 したがって、ある意味においては力によるバランスということも考えられます。しかし、また一面において大事なことは、それらのいろいろな国際紛争の背後における国際関係調整するということがまた非常に重要なファクターに長期的に見てなるだろうと思う。私は、そういう考えに立って日本の安全保障も考えていく必要があると考えます。まだ私は訪米正式にきまったわけじゃありませんけれども、そういう基本的考えを持っているということをこの際申し述べる次第であります。
  80. 上田哲

    ○上田哲君 中国問題については、中国への考え方、中国をどう見るかということについていえば、少なくとも最近の大きく流れている世界の潮流にさおさしてアメリカ側と話を進められる場合に、従来とは違った考え方で中国を見るべきだというふうにお考えになりますか。
  81. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) それは、中国側の情勢がどういうふうに動いておるか、よほど内容を分析してみないとはっきり言える問題ではないと思います。しかし、大体ニクソン大統領の政策等を見ておりますと、そういうような非常に政治的な幅の広い感覚に立って政策を進めていこうという気配がうかがわれます。私は、これは長期的に見て賢明な政策であろうと、こう思います。
  82. 上田哲

    ○上田哲君 非常に示唆に富んだお答えだったと思います。相手があってお話をなさる、そこに国益を背負わなければならない問題があると思いますから、私はただいまのお話の含蓄をひとつ最大に受け取っておきたいと思います。明らかにこのしばらくの流れの中に、これはあえて防衛長官という職責をお持ちの方が四年ぶりに渡米される——四年間などということではなしに、きわめて最近の波長の中に、対中国観あるいは中国との国際関係観という問題を考え直さなければならない、かなり大きく検討していかなければならない側面というものが出てきていると思います。そしてこの点は、一番近くにいる日本外交のあり方としては非常に重大な問題である。まさしく私は、先ほど外務大臣ではないからということばがありましたけれども、中曽根さん自身がおっしゃる外交優位の安全保障ということを、この際初めてアメリカに向かって具体的に主張し得るかどうかということのポイントでもあると思うのです。その部分をいまたいへん含蓄のある示唆をされたと私は理解するが、非常にニクソン自身の政治的配慮も含めていま大きな変わり目が出てきて、それに即応してやってみたいとおっしゃる部分がなければ、日本の対米外交あるいは対アジア外交、あるいはそれに即しての外交優先の安全保障論というのが、非常に外国でいわれているような軍国主義一辺倒的な流れになってしまうだろうと思います。私はその部分を非常に評価して承って、器用に二つのピアノをひけとは言いませんが、ピアノと琴が一緒になって不協和音となるとは限らないのですから、精一ぱいひとつそういう御努力をお願いしたい、おすすめをしたいと思います。  実はもうちょっと関連してくることになると、非常に切り込みがむずかしくなってくるわけですけれども、当然向こう側が待っている問題としていえば、こちら側の国防の基本方針の改定の問題、いわゆる自主防衛というものと安保との関係というものを日本側がどういうふうに調整をして、チャンピオン中曽根、ミスター中曽根が乗り込んでくるのかということが、何といったってこれは話題の中心だろうと思います。これは中曽根さん出発に先立って日本の国会では激しく議論があったということがいいのか悪いのか私にはよくわかりません。そういう問題を小さな派閥次元では言いません。思惑次元の問題にしないで、問題を大きく包括するために、私も大またぎにひとつ御意見を承りたいと思うのですけれども、自主防衛ということは、ことばの定義からいってもまだ十分に定着していないし、これに対するいろいろな疑念、議論がこれから始まろうというところではありますけれども、しかし少なくとも、先ほど言われたニクソンの政治的配慮、これは決して対中国問題だけではない、アメリカ自身の政治的配慮ということの中で、あるいはもうのっぴきならない一つの情勢配慮ということの中で、日米安保条約というものの見直しというのは、従前から長官の言われているとおり。その中で、一つにはヨーロッパなり中東なり、いろんなところで生起している何といったって緊張緩和の方向の歩みの中で、自主防衛というものの主張のありようが、一方にわれわれからすれば、日米安保条約破棄ということをすぐ持ってくるんですが、あえてその問題をお互いの側から触れないとしても、これは何分の一かといいましょうか、何がしか中立志向ということのニュアンスを強められる主張になり得るかどうか。私は当然そういう方向にいかなければならないだろう。もちろん国際法上の常識からして、一つの軍事同盟の体制下にあって中立志向ということは、ことばの矛盾でありましょう。しかし、流動している世界へのわれわれの対応のしかたなり観念の発想の転換ということからすれば、この際、まさにロシアと西ドイツが、あるいはNATOとワルシャワがそれぞれ、それぞれの体制を否認し合いながら二国間条約を結び得たと同じように、私たちの中にもひとつ明らかに、たとえば全欧州がこれからたどろうとしているような、向こうが青空でこっちが霧かどうかという部分とはまた別に、やはり思い切って発想の転換も行ない、一つの国益そのものを前に打ち出した主張というものがあってよかろうと私は思います。そうでないと、今回長官が四年ぶりに渡米されることの意味合いというものが私には非常にわかりにくくなってくる。ぜひひとつ私はこの際、長官の言われる自主防衛というものの路線が、それがまた一部に心配と疑念を持たれているような旧帝国陸海軍の復活であるというところにいくかいかないかの問題はしばらく一方におくとしても、少なくとも日米安保条約という体制の中に進んできた十何年という立場の中で、世界情勢の見合いの中でいえば、中立志向への度合いを強めるということの主張になり得るのかどうか、その辺をひとつじっくり伺いたいと思います。
  83. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) その点は遺憾ながらなり得ません。自主防衛というのは単独防衛ではございません。これは米ソおのおの見ましても、ひとりで守っているんでなくして、NATOがありワルシャワ条約体系があるわけであります。遺憾ながらそういう力のバランスというもので戦争が抑止されているというのも冷厳なる事実であります。日本の場合は核抑止力あるいは攻撃的兵力というものは持ちませんから、そういう意味においてこれは安保条約に依存せざるを得ない、そういう体制下に政策が進められているのでありますから、これは中立志向というわけにはまいらないと。やっぱり核抑止力というものはなかなか大きな力であって、安保条約の中にある核抑止力というものが、わりあいに軽く扱われておったり忘れられがちでありますけれども、やはり目に見えない核は業を持っておりますけれども、やはり業と業で平和が維持されているという、そういう業をまた人類がいま持っておる。遺憾ながらそういう事態にあることを冷厳にわれわれは意識しつつ、やはり現実に平和を守っていかなければならぬのであります。そういう意味からいたしまして、中立的志向というものは入ってまいりません。集団保障体系というものと中立というものは、量的にそれがふえていけば自主的に変化を生ずるという関係でもない、性格の違う要素であると、そういうように私は思うわけであります。
  84. 上田哲

    ○上田哲君 最後に整理してお伺いをして終わりますが、中国問題については、いまの世界の全体的な潮流の中で中国をどう見るかという問題については、当然焦点の一つになるわけだし、それに向かってはアメリカ側の政治配慮も含めて、ひとつ、柔軟なということばではなかったと思うが、精一ぱい緊張緩和の方向への努力があるだろうというふうに私は受けとめます。ただし、いま国内で議論をされている日本の保障論の柱として、日米安保条約を主にするか、そうでない形を主にするかということで言うならば、あくまでも安保条約を主にするという形の中で、そこには従来に比べて中立への志向というような度合いは強まるのではないか、こういうふうに理解をしたわけです。  また立ち上がって言うほどのことじゃありませんからつけ足してひとつ。伝えられるところでは、これを機会に日米の国防首脳というのですかが、定期的に会合をすることについても御提案をなさるというふうにもいわれておりますけれども、この問題を一つ加えて、以上私の理解した部分についてまとめてひとつ御見解をいただければ、それで終わりたいと思います。
  85. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 私は、まだ行くということ自体が正式にきまったことでもございません。また、相手にどういうこの場合話をしようかということもまだきまっているわけではございません。ただ、私は一般的に言えると思いますことは、文民優位、文民統制ということは、国内的保障において議会人、政治家というものが軍事を掌握するということであると思います。それと同様に、外国との関係においても、国会や国民に責任を持つ政治家が話し合って責任を持ち合うということが、文民統制につながるものであって、制服同士とか専門家同士の話、あるいは官僚同士の話というものは文民優位を貫いているものではありません。そういう感覚を持って日米関係の問題も処理していきたいと私は思うわけです。そういう感覚からしますと、日本とアメリカのそういう責任ある政治家が話し合うということは、文民統制を維持していくためにも非常に大事なことであって、日本とアメリカとの間で経済閣僚会議みたいなものがあって、経済閣僚が毎年行ったり来たり大ぜいやっておりますが、まあ近年はそれほど盛んではありませんけれども、とにかく行ってきておる。そういうときに安全保障というのは非常に大事なポイントになって、責任あるものが話し合いをしないということは、文民統制の面からも欠陥があるのではないかと私は思います。そういう議会制民主主義国家のあり方という面からも、いままでのやり方は検討を要する部分があるのではないか、そう思っております。
  86. 上田哲

    ○上田哲君 最後部分だけでもひとつ具体的に伺っておかなければいかぬ。そういうふうな提案をなさるわけですね。これが正式にきまったわけではないとおっしゃるけれども、当委員会としては別に、防衛問題担当の参議院内閣委員会としては、予定されておると伝えられている御日程で出発されるならば、長官にこの問題を問いただす機会はあとありません。そういう意味で、そういう前提ではけっこうですけれども、もう一歩詰めてお答えをいただきたいと思うので、前の二点については大体そのように了解をいたしますが、最後の一点、文民同士の話し合いがあるべきだということを、つまり、定期的にそういう会合を持つべく御提案なさるということを含むわけですね。
  87. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 行くこと自体がまだ正式にきまったわけでもありませんし、したがって、先方とどんな内容の話をするかということもまだきまっているわけではありません。したがって目下のところは、するとかしないとかということは言明できない状態であります。
  88. 上田哲

    ○上田哲君 という前提が二重カッコにかかっておりますから、しかし、行かれる場合には、長官としてはそのような心組みであるということとして承っておきます。  ではこれで終わります。
  89. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 最近の問題二、三お伺いをいたします。  最初に四次防計画の策定を前にいたしまして、国防の基本方針を改定をする、このことは前国会で当委員会におきましても明らかにされたわけでありますが、新聞等の報道によりますと、先月の二十四日、国防会議議員懇談会を開いて、その席上におきましていろいろなことが伝えられておるわけですが、長官のおっしゃるいわゆる自主防衛論ということを大きく答えられておる、こういうのを見ております。そのいきさつについてどういうことが話題になったのか、どういう点が問題になるか、その辺からひとつお伺いしたいと思います。
  90. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) まず、前国会におきまして、私は国防基本方針を改定するとは言っておらないわけです。国防基本方針改定を検討いたしたい、そういうことを言うております。  それから第二に、先般、いつでしたか、国防会議議員懇談会を開きまして、この問題について発言をし、また話題にもなったことは事実であります。それで外務事務次官、防衛事務次官並びに官房副長官、三者でそれを検討してみると、そういうことでいま作業が進められつつある段階でございます。私は、前国会におきまして、私の言う自主防衛五原則をできるだけ入れたいという希望を表現しておいてあるのであります。そのどれを特に重視して入れるとか入れないとかということを言っているのではなくて、五原則自体をできるだけ入れたい、そういう意思表示をしておるので、その気持ちはいまでも変わっておりません。それで、どんな内容でどんな比重になっているかという御質問かもしれませんが、まだそう突っ込んで一々具体的に取り上げて話してきたという段階ではないのでありまして、さっき申し上げた三人の事務的レベルでいろいろ検討しているという段階にとどまっております。
  91. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あなたは前国会で特に国防基本方針の問題につきましては、従来の米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する、ここのところですね。今後は自主防衛を主として、日米安保によって補完していきたい、この点を非常に強調されたわけですが、この段階において議員諸公がおっしゃったことを私は聞きたいんであります。どういう意見があったのか、具体的にその辺のところをひとつお伺いしたい。
  92. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 懇談会の中身の話を申し上げることは差し控えたいと思います。ただ私は、現存の国防基本方針を見まして、あの四番目でありましたか、あの表現は適当でないと感じております。総理大臣も、自主防衛を主にして安保で補完する、そういうことを施政方針演説でも言っておりますし、私自体もそういう考え方を述べてまいりました。国防というものに関する限りにおいては、やはり自分で自分の国を守るということが主であって、外国に依存するということは、必要やむを得ない部分に限って依存すべきであります。そういう意味において、自分で自分の国を守るという方向にだんだん、だんだん努力していって、いわゆる自然体に復元していく、そういう体系に努力が集中さるべきであると私は思っておるわけです。しかし、といって安保が要らないかといえば、先ほど申し上げましたように、核抑止力その他の力というものは、冷厳なことではありますが、やはり平和を維持している大きな要素でもありますし、また極東条項はそれなりにやはりアジアの安定についても、ある意味においてはまた非常に大きな作用もしております。これらは必ずしも直接に日本の国防に極東条項なんかがすぐ関係するかどうか、自分で自分の国を直接守るという点から見ると、間接的な効果ではあるんではないかと思います。だから国防という面から考えれば、やはり自分で自分の国を守るということが表へ出ていくべきである。だがしかし、安保も同様に非常に重要な要素ではある、そういう考えに立って私はいきたいと思っておるのであります。
  93. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 今後さらに検討をされるわけでしょうが、責任ある国防長官としてのこの基本方針に対するあなたの主張というものは、いまお伺いしたように、これは変えていかない、どうしても貫きたい、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  94. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 私は私なりに自分の考えを持っておりますが、これは懇談会あるいは会議を通じて人さまの意見も伺い、自分の考えに足らざるところがあれば補い、やはり民主主義でありますから、自分の我ばかり張るということは必ずしもいいことだとは考えておりません。合理的な話については耳を傾ける、そういう謙虚な態度でいこうと思っております。
  95. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この問題はこのくらいにいたしまして、次に、これは今月の十二日に経団連の防衛生産委員会の要望がありまして、その内容については、一つは日本の安全保障に対する政府の基本方針をきめるため、国防会議を改組して国家安全保障会議を設けたらどうか。それから二番目として、防衛長官の諮問機関として防衛審議会を設ける。第三番目は、防衛装備の国産化、研究開発のため官民合同の常設懇談会を設ける。こういうことが要望されたそうでございますけれども、これに対して長官は、簡単に賛成の意を表明されているように承っておりますので、その辺の経緯をひとつお聞きしたい。
  96. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 日本国民は表現の自由を持っており、また平穏、公然と陳情したり、要望を提出する権限を持っておりますから、防衛生産委員会としてそういう意思表示をするということは、われわれとしてもこれは聞くべきものであると思います。  その中で国家安全保障会議の設置についての考え方については、私は前から賛成でもあります。しかしながら、現在の国防議会との問題がありまして、この点は今後十分検討すべきものと考えております。国家安全保障会議という方向に私は持っていきたいと思うのです。しかし法律改正その他が必要ですから、そういう意味でもいろいろ議会対策とか、予算の関係とかあるものですから、検討してみていかなければならない、そう思っております。  それから防衛審議会につきましては、私は審議会というのは置かないというのが、大体の政府の方針で整理しているときでもありますので、いままで審議会というのは、官僚の作文の避雷針とかシェルターに使われており、機能を果たしているのがごく少ない。そういう意味でつくっても機能しないものは意味がない。そういう意味から私はあまり審議会に賛成する気持ちはない。だからそういうことも言っておきました。  それから第三番目の防衛産業界との技術開発についての話し合いの場をつくれということは、これは賛成であります。日本の兵器国産化、技術開発については、官僚だけでとてもできるものではありません。民間の技術力をいかに総合的に誘導して、それを発揮させていくかということにかかっておるのであります。そういう意味においては、そういう力を持っている人たちとわれわれがよく話し合い懇談をするということは非常に大事なことであると思っております。しかし、そういうことがいわゆる産軍複合体みたいになって、政治的プレッシャーの原因になったり、あるいはいやしくも誤解を受けることがないように、この点は十分注意していかなければならないと、このように考えております。
  97. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは国防会議を改組して安全保障会議を設ける。この国防会議と安全保障会議とどういう点が違うのか、国防会議のどういうところがまずいから安全保障会議にしたいのか、その辺のところをひとつ明らかにしていただきたい。   〔委員長代理山本茂一郎君退席、委員長着席〕
  98. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) まず、いまの国防会議に関する法制というのは、たしか自衛隊法か防衛庁設置法の中に書いてある。これはやっぱり独立の法律によってつくるべきことがまず第一大事なことじゃないか。それから第二に、国防という狭い範囲のことだけではなくして、非常に広い外交とか産業とか、民生というものまでよく見通した政策というものが必要である。そういうところで安全保障という広い視野の表現が出てくるんだろうと思います。いまの国防会議関係は、たしか昭和二十九年から三十二年くらいの間にできたものだと記憶しておりますが、時代も変わっておりますし、そういう意味から、安全保障という概念に変えるほうが適当ではないかと、こう考えておるところであります。
  99. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 国防会議にしても安全保障会議にいたしましても、これは参加するメンバー等によってもきまるわけですが、内容はどういうふうになるわけですか。結局参加するメンバーによって、議題というものもそう私は変わるような気がしないと思うんですがね。だから国防と安全保障はどういうふうに違うのか、こういうふうにも問題になってくるわけですが、その辺ひとつ。
  100. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) やっぱり安全保障ということになると、非常に外交とかあるいは民生とか産業政策とか、そういう問題も非常に強く出てくるんではないか。そういう意味においてニュアンスの差があるんではないか、そのように思います。たとえば、また安全保障ということになりますと、国内的安全保障ということについては、間接侵略に対するいろんな措置がありますけれども、そういう意味においては、あるいは司法当局とか警察当局の責任者もそこで発言できるような形に常時していく必要ありやなしや、これも検討を要する部面じゃないか。そういう意味で、民生、産業あるいは治安、そういう要素まで非常にふくれて入ってくるんではないかという気がいたします。
  101. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、安全保障会議で、あなたの主張によりますと、民間のメンバーも入るわけですか。
  102. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 国防会議をつくるときにその議論が非常に出ました。それで国務大臣だけになったわけであります。私は国務大臣だけにしておいたほうがいいと思います。
  103. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それからもう一点、最後防衛装備の国産化、研究開発のための官民合同の常設懇談会、この点については、あなたのいまさっきおっしゃいました民間防衛関係者と話し合いをしていくことは、これは当然であるけれども、産軍複合体という先例があるとおっしゃったんですが、この点は私ども非常に心配する点でありまして、申し上げるまでもないことです。どうしてもこれは兵器産業界は、これは一つの商売である。したがって、どうしてもそれはもうけ主義にならざるを得ない。もうからないような兵器産業は、これは会社としては欠損でありますから、どうしてももうける方向に持っていくのでありますから、その辺が次々とまた新しい新型のものをつくって防衛庁に売り込む。この辺でまた官民が仲よくなっておかしな現象が出てくる。それが予算などをどんどんふくらましていくということは、これは心配される点でありまして、この点は長官も賛成をされたそうでありますけれども、私どもは、この点につきましては必ずしもあなたの意見に同調はできないわけですが、その点はいかがでしょう。
  104. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 注意をしてやれば非常に有益なものになるだろうと思います。
  105. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 注意という、あなた簡単におっしゃいましたけれどもね。いままでの経過等を見まして、あるいはまたアメリカの産軍複合体がいま問題になっているのですが、ああいうことからいって、簡単に注意をすればそれで事足れりというようなことはないと思うのですが、もしこれをおやりになるとすれば、どういう面であなたはそういう抑制措置ができるのか、この点をさらに一つお伺いしたい。
  106. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 民間はあらゆる角度から多元的に研究あるいは開発、管理というものをやっておりますが、その非常にバラエティに富んだアイデアを持ち出すとか、官庁の気のつかないところを注意してもらうとか、そういう意味において、官庁だけの独自の狭い範囲の思考範囲がさらに拡大していくわけでありますから、注意してやれば有効である、こう思うわけであります。
  107. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、いい面は私はそれはけっこうですよ。いまおっしゃったようなことは、どういう点においてセーブできるのか、その点を私はお伺いしたいわけです。
  108. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) これは話し合いというものを一つの規律のもとに厳正に行なって、そうしてそういう意味もありまして、先般出しました装備の開発に関する基本方針、その他の基本方針を並行してやっていく、そういう形がいいのではないかと思っております。
  109. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは事務当局でけっこうですが、今年度予算で兵器の購入費はどのくらいあるのか、その中で兵器産業会社におきましては、どの会社が一番多いのか、また購入費のウエートからいってどの程度あるのか、これはひとつ数字でお願いしたいと思います。
  110. 田代一正

    説明員(田代一正君) ことしの予算で申しますというと、装備費関係で総額二千五十三億円、総体の予算の中で三八%を占めております。  それからなお、いまの御質問の中で、本年度予算の中で、どういう会社にどういう発注をするかというお尋ねでございますが、目下契約の進行途上でございますので、四十五年度予算についてどういうことになるかということをいまの段階で申し上げかねるということでございます。
  111. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、ことしでなくても、去年でもけっこうですがね、いろいろと三菱重工だとか、あるいはいろいろな会社に発注をされるわけですね。その中でどの会社が一番ウェートが大きいのか、またこの発注総額の中の何%ぐらいを受注しているのか、その辺の順位なり金額なり、ことしのがわからなければ昨年のでもけっこうです。何かおっしゃらなければ私どもは参考にならないのですよ。
  112. 蒲谷友芳

    説明員(蒲谷友芳君) 過去の実績を申しますと、四十三年度、四十四年度、第一位は三菱重工でございます。ちょっといま資料持っておりませんが、大体四十四年度で三菱重工が二五%をこえると思います。
  113. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 金額はどのくらいですか。少し上のほうからちょっとおっしゃってくださいよ、代表的なところを。
  114. 蒲谷友芳

    説明員(蒲谷友芳君) それでは四十三年度の、いまついででございますから、御参考までに申し上げますと、第一位三菱重工で三百九十四億円、第二位が三菱電機が三百三十億円、第三位が東京芝浦電気で百二十億円、第四位が日本航空機製造株式会社で九十一億円、第五位が日本製鋼所で八十八億円と、大体上位五社が集まっております。
  115. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 こういうふうに、ほとんど代表的な財閥系統の会社が兵器産業の大きなウエートを持っているわけですがね。結局この官民合同の懇談会というものは、こういうメンバーも入っていくのですね。そうしますと、先ほどから申し上げましたようないろいろな汚職につながるような問題も出てくるし、金を少しぐらいごまかしたぐらいでは。結局自主防衛という名のもとにどんどん防衛費をふやしていく。自主防衛は確かに、いまはやりのことばで言いますとかっこうはいい。自分の国はみずからの手で守っていかなきゃいけない。確かにかっこうはいいけれども、そのもとでどんどんどんどんこういうふうに民間会社の突き上げを受けて防衛予算がふえていく。これは私どもは危惧を持っているわけですから、この点はひとつ慎重に検討されたいと思います。長官は国会で非常に慎重な発言であります。特に前国会では慎重でありましたけれども、国会の外では非常に雄弁でいらっしゃいますので、その辺は責任のある立場でありますので、慎重にやっていただきたいと思うわけであります。  それからいま上田君がおっしゃった、アメリカにこれからいらっしゃるわけであります。それもはっきりしていないそうでありますが、それも私はもう少し聞きたかったんですけれども、いまのところはどうもはっきりした御答弁がないようですから、これは省略いたしまして、最後に、これは参考にお伺いしておきますけれども防衛庁の医官を充実するために防衛医科大学というものを設置をする、こういう構想をお持ちのようでありますが、その点をひとつ説明していただきたい、どういうふうになりますか。
  116. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 現在の医官の充足状況を見ますと、部隊におきましては一九%程度になっておるわけです。そうすると自衛艦等の中に軍医のいない船があるわけであります。そういうことで防衛をやれといっても、これは自衛官に対して過酷であります。そういう意味で医官を充足するということは非常に焦眉の急になっております。ところが、医科大学や医学部におきましては、自衛隊を排斥する空気が非常にありまして、委託学生になる人もなくなってきております。そこで、このままいくというと、医官の補充がほとんど絶望の状態にいまなりつつある。そういう情勢を看過するわけにまいりませんので、いろいろ検討し、各省とも折衝しました結果、防衛医科大学校をつくろう——各種学校としての防衛医科大学校であります。そして問題は、防衛医科大学校の卒業生が医師の国家試験を受けられるようにしなければいけない。そういうことで医師会ともいろいろ話しましたら、医師会も幸いに、人道上の問題であるというので、条件つきで賛成していただきましたので、その方向で進んでまいりたいと思っております。
  117. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは防衛医科大学校ですね。
  118. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 校です。
  119. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは大学令に基づく大学なのか、その辺はどうなるのですか、防衛医科大学ではない……。
  120. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) ない。
  121. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その辺、これは資格の面、どうなりますかね。
  122. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) ちょうど防大のようなもんで、そのお医者さんをつくる、したがって大学令ですか、それによる大学ではない。あるいは各種学校ということになりましょうか、そういう関係であります。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間が制限されておりますから、私はまず最初に、富士の演習の問題から聞きたいと思うのです。  最近、富士演習場で米軍の演習が盛んに行なわれているのですが、これについて防衛長官は、どういうような情報をキャッチされておりますか。
  124. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 富士演習場におきましては、四十四年十月から現在に至るまでの使用につきましては、富士演習場は東富士と北富士と二つございますが、最近の使用状況を見ますと、四十五年七月十四日、十五日、八月五日から十五日の間、演習が行なわれておりますが、演習場使用部隊は、米第三海兵師団隷下の部隊であって、拳銃、小銃、機関銃、迫撃砲、バズーカ砲、戦車砲、無反動砲、火砲、手りゅう弾、火焔放射器等の火器、火砲を使用する演習を行なっております。  東富士演習場における四十四年十月から本年八月十五日までの平均一カ月使用日数は約十八日であります。北富士演習場は、四十四年十月から本年の六月末日まで使用していませんでしたが、七月一日、二日の二日間は砲座設定訓練を、八月十日、十一日の二日間は一般訓練を実施いたしました。  本年七月十四日、十五日は、米第三海兵師団が東富士演習場を使用しましたが、この際は北富士演習場は使用せず、部隊は七月二十四日、その主力が沖繩に帰りました。  八月五日、六日に来日した米第三海兵師団は、八月五日から十五日まで東富士演習場において演習を実施し、八月十日及び十一日に、一部北富士演習場において先述のとおり一般演習を実施いたしました。  以上でございます。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはここで詳細やってもらいますと時間もかかりますから、時間の関係からデータを要求したいと思うのですが、昨年十月から最近まででいいです。使用した月日ですね。それから使用した基地、それからそれに参加した米軍の人員、それから所属部隊名、それから兵種、どんな兵種か、それから演習内容、こういうものを、これは表にでもして出してほしいと思います。これはいいですね。
  126. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 承知しました。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 特にその中で七月十四日、十五日、これは七回目に当たると思いますが、昨年の十月から数えますと。これはどういうことになっていますか。もっとこれは詳細に説明してほしいと思う。
  128. 長坂強

    説明員(長坂強君) ちょっとおくれてまいりましたので、あるいは御質問の趣旨を取り違えるかもしれませんが、本年の七月十四日、十五日は、アメリカの第三海兵師団の約四百七十名が、これは詳しく先ほど大臣の御答弁にございましたように、六月の二十日に四百五十名が沼津に上陸いたしまして、それから二十名ほどの先発隊が厚木の飛行場に到着いたしまして、東富士演習場を使用いたしておりました。それで七月十四、十五日は北富士演習場は使っておりません。それで、これらの部隊は東富士演習場で演習をいたしまして、七月二十四日にその主力は沖繩に帰っております。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは第三海兵師団ですね。第三海兵師団の第二大隊第十二砲兵隊と聞いておりますが、違いありませんか。
  130. 長坂強

    説明員(長坂強君) 七月十四、十五日の分は、第三海兵団の第十二連隊の第二大隊、これは砲兵でございます。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどこに基地がありますか。どこのキャンプから来ているのです。
  132. 長坂強

    説明員(長坂強君) 第三海兵師団の司令部は、現在沖繩にございます。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 沖繩のどこです。
  134. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 第三海兵師団の司令部は、沖繩のキャンプ・コートニーというところにございます。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは何を訓練したのです。訓練の内容、演習の内容をお聞きしたい。
  136. 山上信重

    説明員(山上信重君) 七月十四、十五日の演習におきましては、主として北富士におきましては砲の据えつけ等の訓練をいたしておりました。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 北富士使っていないんでしょう、東富士でしょう、東富士でやっているんでしょう。もっときっちり答えてください。これは上陸訓練じゃないですか。われわれ聞いているのですが、六門のりゅう弾砲を持ってきている。そのうちの二門で最初試射をする。それからその距離を測定する。そうしてまた一方から二門で発射する。距離が合っていれば六門が一斉に撃つ。そうして上陸地点の上空でこれは炸裂するのだ。そういう訓練だというふうに聞いているんですが、どうなんですか。
  138. 山上信重

    説明員(山上信重君) ただいま私おくれて参りましたものですから、ちょっと勘違いいたしました。七月一日、二日の話と勘違いいたしましたものですから、七月十四日、十五日は、東富士のほうでいたしたわけでございます。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 内容どうなんです、訓練の内容
  140. 山上信重

    説明員(山上信重君) ただいま訓練の具体的などういう内容ということはつまびらかにいたしておりません。砲撃の訓練、その他東富士演習場におきまして所要の訓練をいたしたというふうに聞いておるわけであります。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは防衛庁でこのくらいの情報つかめないのですか。どうなんです。これは当時記者も相当観戦に行ったはずなんです。相当報道もされているので、特別にこれはたいした情報でもないと思うのだけれども、そのくらいのことは防衛庁は知らないで基地を貸しているんですか、どうなんですか。おかしいことになるのではないですか。この点もっと明確につかんでおかなければだめでしょうが。自分の足元だ、その基地が使われて、何に使われているか、こういう実態がもっと明確にならなければならぬ。ただ明確につかんでいないのか、つかんでいてもここでこれを発表しないのか、どういうことなんですか、長官どうなんですか。
  142. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) どういう演習内容であったか、私つまびらかにしませんが、よく調べまして報告をいたします。あらかじめ御質問の内容を知らしておいていただきますと、調べてこれから参上いたします。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 だからこれはさきにこの政府委員が来て、政府の連絡員が来て、これについて話をしたはずだ。その内容調査をしてそうして答弁すると。先ほどの連絡によると十分に準備をいたしましたということで安心しておったのです。だめじゃないですか、そういうことじゃ。  それじゃ八月の五日から十五日ですね、この間長期の海陸同時上陸の演習をやっているだろうと思うのです。これは相当大がかりなものです。この内容についてできるだけ、これはあなたたちのキャッチされている情報をお知らせ願いたい。
  144. 山上信重

    説明員(山上信重君) 八月の五日、六日に来日しましたのは米国の第三海兵師団、これは第九連隊の第二大隊に所属する歩兵でございます。これが約八百七十六名、八月五日にそのうち六百五十一名が沼津に上陸いたしました。それから厚木の飛行場に二百二十五名が到着いたしました。そうして八月五日から十五日までの間、東富士演習場におきまして演習を実施いたしたのでございます。なお、八月十日及び十一日に一部の人間が北富士演習場において一般演習を実施いたしております。なお現在もこの部隊は在日いたしております。  以上が概要でございます。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 これわもれわれの知ったものよりも非常に簡単ですな。これは八月の五日に沼津の今沢海岸に、これは大型LST二隻に乗って接岸をした。これは迷彩ヘルメット、それから濃紺の擬装服をつけ、雑嚢、カービン銃、迫撃砲、こういうものを所持した海兵隊がひざまで波につかりながら喚声をあげて上陸した。続いて戦車五台、大型トラクター、ジープ三十五台、それから九十五ミリ無反動砲積載の装甲車二十三台、食糧、弾薬、こういうものを陸揚げした。そして海兵隊は大型ヘリコプターと大型輸送バスで東富士にこれは運ばれた。一方厚木にグローブマスターに分乗した海兵隊は、午前午後の二回にわたって到着をした。そうしてこれが厚木から東富士に向かってここで合流をした。こういうふうに聞いておりますが、これはこのとおりですか。
  146. 山上信重

    説明員(山上信重君) ただいままで私のほうで承知いたしております限りでは、ただいま私が申し上げたことで、さらに現地の部隊におきましてどういう訓練をしたかということは承知いたしておりません。その途中どういうふうにして来たかということにつきましては、まだ調査いたしておりませんので、その点は明確でございませんが、おおむねそういうような訓練をしてきたことと存じます。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういうとき防衛庁からだれか観戦とか、その状態を視察しに行くのですか、行かないのですか。
  148. 山上信重

    説明員(山上信重君) 防衛施設庁といたしましては、施設を提供いたしておりますが、一々個々の演習の視察等はいたしません。ただ東富士には富士学校もございまするし、自衛隊の部隊がございまするので、それらの関係者がそこらを演習の状況等を視察するということが常時行なわれているように存じております。
  149. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは防衛長官がどういうふうにつかんでおられるか。あなたも渡米間近いと伝えられているのだが、これは非常に重大だと思いますので、これはこの演習に参加しているのを見ると、これはアメリカの海兵隊ですね、ほとんど。そうですね、さっきのこれは報告でもそうだ。そうすると、現在沖繩に第三海兵師団というのがこれはある。それは私たちも見ました、現地で。これはどんな部隊なんですか。どんな性格を持った部隊なんですか。第三海兵団について、これは防衛長官つかんでおられるだろうと思いますから、これをお聞きしたい。
  150. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 演習の内容につきましては、私は先ほど申し上げましたように、演習場使用部隊は第三海兵師団隷下の部隊で、拳銃、小銃、機関銃、迫撃砲、バズーカ砲、戦車砲、無反動砲、火砲、手りゅう弾、火炎放射器等の火器火砲を使用する演習を行なっておりますと、そう申し上げたので、大体砲を中心とする演習をやったのではないかと私想像いたします。それから演習につきましては概要そういう程度と、それから何名くらいがいつからいつまでやったかということは、われわれのほうもよく調べておりますけれども、どういう態様の、中身の演習をしたかというところまではわれわれのほうは調べていない。御要求があれば調べますけれども、その中身まで一々、中隊の演習がどうであったとか、大隊の演習がどうであったかというところまで、調べる手間の問題もありまして、御要求があれば別ですが、そこまで手間は使わぬようにしておるのが実情でございます。
  151. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは調べて報告してもらいたい。ほとんどこれはやはり上陸作戦ですね。そういうことを前提としてやっていると思うんです。ただ、私さっき防衛長官にお聞きしたのは、この海兵隊の性格についてお聞きしている。どんなこれは任務を持った軍隊になるのか。海兵隊、これはどういうふうになるのですか。
  152. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 海兵隊は、一般的概念においては上陸作戦等に使って、陸軍の主力が来るまでそこを占拠して支配している、そういう作戦に作っているのが普通であると思います。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 沖繩のこの海兵隊、第三海兵師団というのがございますね。これはどういう性格を持っているのか。
  154. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 海兵隊でありますから、同じような任務を持っているんではないかと思います。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは一九六七年以来、このベトナムのダナン戦線に全力投入されておる。しかし昨年ニクソン・ドクトリンとも関係があるんだと思いますが、相次いで沖繩あるいは日本の岩国にこれは移駐してきた。こういう軍隊であることは御存じだと思いますが、いかがですか。
  156. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 承知しております。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 さらにこれらの海兵隊、第三海兵師団の司令部は、これはどこにありますか。
  158. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 司令部は第一海兵派遣部隊でございまして、やはり沖繩にございます。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 沖繩のどこです。
  160. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) さっき申し上げましたキャンプ・コートニーでございます。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは普天間ですか。
  162. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) キャンプ・コートニーといいますのは、沖繩本島の東海岸でございます。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはほかに第一海兵航空団というのがありますね、普天間には。
  164. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 普天間には海兵隊の航空機がおります。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここにはなんでしょう、第一海兵団という海兵航空団というのがおるんでしょう。そういうこれは一つの師団ですからここにあるんじゃないですか、全体の第三海兵隊の司令部が。そして岩国もここの司令のもとにあるんじゃないですか。岩国におるこの海兵隊、どうですか。
  166. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 岩国にあります第一海兵航空団は、沖繩におります第一海兵派遣部隊の指揮下にあります。
  167. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、私はお聞きしたいのは、アメリカの極東戦略ですね。この中において海兵隊の役割りというものはどういうものか、こういう問題をどういうふうにこれはつかんでおられるか。とにかく一番先にこれは上陸をして、そして援軍があとから来るまで、後続部隊が来るまで守っているんだという話はございましたけれども、私はこの点を特に現時点の中で明確にしたいと思うのは、ニクソン・ドクトリンとの関係で、この部隊の性格というものは非常に最近大きく変わりつつあるというこの問題です。これはどういうふうにつかんでおられますか。これは防衛長官にお聞きしたい。
  168. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 海兵隊はやはりアメリカの法令の中で海兵隊としての使命を与えられておるので、ニクソン・ドクトリン以前、以後においてもその使命は変わらないと思います。運用につきましては、いろいろ政治的な関係の変化等から影響は多少あるかもしれませんが、部隊の性質や使命は変わらないのじゃないかと思います。
  169. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは本年の三月にアメリカの議会でこの海兵隊関係の証言があるわけですね。そういう証言からわれわれはこの性格を明らかにすることができると思う。たとえばムーラー海軍作戦部長が本年三月に次のような証言をしている。「現在の朝鮮情勢に備えるため、有事即応の体制をしくために、西太平洋と海兵隊を保持すべきだ」、こういうことを証言して、さらにチャップマン海兵隊の総司令官が、「太平洋に強力でバランスのとれた海兵隊派遣部隊をこれまで以上に強力に保有する必要がある。日本、沖繩に配置された海兵隊の三分の二は西太平洋の水陸両用の攻撃力を最小限度に満たしている。これらの海兵隊は韓国、タイをはじめとする太平洋のいかなる地点にも緊張が高まるに応じて急速に展開できる」あるいはまた次のようにも言っています。「ベトナムから沖繩に移動した海兵隊は、新たに海兵隊緊急派遣部隊として編成しつつあるが、この編成作業は着実に行なわれた。この部隊は太平洋全域の不測の事態に即応し得る能力を備えている。」  こういうふうに証言しているわけですが、こういうふうに見ますと、これはまさに新しいニクソンの戦略によるこれは海兵隊の役割り、つまりベトナムを撤退したように見せておりますが、実際は沖繩におる、こういうところにこれは移駐しておる。この数が一万九千と聞いておるわけであります。これは岩国において、それから沖繩の善友名付近のキャンプにおり、さらに普天間におる。この任務がまさにこの証言によって明らかになっておるんじゃないか、そういうふうに考えますが、これはいかがでしょうか。
  170. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) アメリカは陸軍を常時駐留させる方式から、機動的転用という方式に変わりつつあるときですから、海兵隊がそういう機能を持ってくることはあり得ると思います。
  171. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしてまた私は、この前の五月の委員会でゴールデン・ドラゴンについて質問しました。これは三月から六月の三カ月にわたってアメリカの海兵隊と韓国の海兵隊が共同の演習を行なった。そうしてそのあとにまたこの富士におけるこのような演習の強化がなされておる。この現実というものをはっきり私たちは明らかにする必要があるんじゃないかというふうに思いますが、この点いかがでしょう。
  172. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 富士の演習が韓国と直接関係ありやなしや、これは私はよくわからないと思います。しかし、海兵隊というものがある以上は、常時訓練をして精度を高めておくということは当然考えられることであると思います。
  173. 岩間正男

    ○岩間正男君 われわれはこうも聞いておるんです。沖繩は非常に狭い、狭小だ、こういうところでこれは演習はできない。ところが東富士、西富士、富士の演習場は、あそこに行ってみればわかりますけれども、低い丘陵地帯があります。そういうところは非常に韓国の地形とも似ている。したがって、沖繩で演習のできない海兵隊がいま富士にやってきて、先ほどからあげましたように何回にもわたって各種の演習を行なってある。そしてそのねらいは、まさにチャップマンやムーラーの証言の中にもはっきり出てまいりますように、これは対韓作戦ではないのか。緊急事態に対して、これはすみやかに出動のできる、そのような緊急派遣部隊という形でいま機能強化のための演習が行なわれた、こういうふうに見るべきだと思うんですが、どうでしょうか。
  174. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) いろいろ解釈はあり得ると思いますが、ともかく精度を上げ練度を上げておくということはあり得ると思います。
  175. 岩間正男

    ○岩間正男君 これがニクソンの最近問題になっております在韓米軍の削減、そうしてその削減をどのように埋めるか、そのためには、まさにこの措置としてこのような海兵隊の演習が強化されているんじゃないか。そうしてその演習場として、すでに返還されたはずの東富士演習場が使われておるんです。あなたたちは、日本の基地は返還させる方針だ、自主防衛の立場から、できるだけ基地は返還させる、そうい方針でまいります、そこで東富士演習場も御承知のようにこれは返還された。自衛隊の管理のもとにあるわけです。ところが実際はどうなんです。これが、いままさに対韓戦略の強化の場として使われておるというこの事態は、あなたの自主防衛というような概念、そうして国民に与えておるそういう宣伝、そういうものからくるイメージとは非常に違うと言わざるを得ない。どうなんですか、この点は。
  176. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) これは解釈はいろいろあり得ると思いますが、日本は日本としての固有の防衛戦略及び防衛力を整備して、できるだけ人の世話にならぬような体制に持っていくのがわれわれの仕事であると思っております。
  177. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう現実ですよ、起こっておる事態は。それで国民が非常にこれに対して関心を深めている事態から目をそらしておいて、あなたの構想で、宣伝的に自主防衛を盛んにうたう。そうして防衛方針の書き改めの問題なんかもこれは出てきているわけですね。そういうことですけれども、非常にこれは宣伝とは違った現実が行なわれていると思うんです。こういうものから抜け出ることはできるんですか、できないんじゃないですか。私はここが非常に重大だと思うのです。われわれは、沖繩の返還、この返還に伴うそういうものとして、実はもうこの沖繩返還というものは名ばかりのごまかしの返還であって、実際はむしろ戦略は強化されている。そうして沖繩はますます本土と並んでアメリカの核戦略の中心としての機能を強化されつつあるということをしばしば当委員会で論じてきたわけです。まさに本土の沖繩化ということがいわれてきたけれども、こういう事実を指摘してみれば——指摘するまでもないですが、こういう点がどんどん進められているのがいまの現実じゃないですか。私はこういう中でお聞きしたいのですが、どうなんですか。これは返還協定がつくられたと思うんだね、富士演習場の。地位協定の二条四項の(b)の問題、この前も私はこの委員会で問題にしたんです。ところが使用の範囲というものをこの協定の中には明記しなければならぬ。私たちはどうしても当委員会として、これはこの協定そのものがどういうものだったかということをここで明らかにする必要がある。どんな内容を明記しているのですか。なるほど返した、自衛隊が管理している、これで安心も何もできない。いままでよりもむしろこれは強化されている。そして新しいアメリカの核戦略体制の中における重要な前線をになう海兵隊の基地として、ここのところがもう自由に使われておる現実がここにあるのです。どうなんですか、この点は。
  178. 山上信重

    説明員(山上信重君) 東富士演習場につきましては、一昨年の七月に使用転換の協定によりまして、日本に返還され、かつその上に二条四項(b)によって、米軍も同時に共同使用できるという協定を結んでおります。その演習場は、返還後は自衛隊の管理する演習場であり、そしてまた自衛隊が管理する演習場を米軍は一定の用条件のもとに使えるということに相なっておるのでございます。日米間の使用の条件につきましては、すでに当時東富士演習場の使用協定として、こういう形で使いますという内容をすでに発表いたしておるのでございまして、その詳細な条件のもとに米側に使用を許しておる次第でございます。
  179. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、いまのこういう条件で使用させるという全文出してほしいのだが、どうなんですか、この協定を明らかにする必要がある。ここにはちゃんとはっきり書いてある。「当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。」と、そうすると、この地位協定の中のどの部分とどの部分適用するということが、この返還協定の中には明確に記載されていなければならない。二条四項の(b)によればそういうふうに明記をされている。したがって、そういう協定があるはずです。これは出せませんか、どうなんですか。出せるか出せないか、時間がないですからはっきりしてください。
  180. 山上信重

    説明員(山上信重君) 協定そのものはお出しするわけにまいりません。使用条件についてはすでに発表してございます。
  181. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここで言ってください、発表しているなら。
  182. 山上信重

    説明員(山上信重君) ただいま手元に持ち合わせませんので後ほど……。
  183. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは文書で出してくれてもいいです。もし調べがついたら出してください。  いままで質問しまして、どうもやはり十分にこういう事態がつかめていないという感じがするのですが、これはわれわれが知っていることでもあなたたちは御存じない。国民は非常に知っている。現地の人は非常にもっと知っている。それで身をもって感じている。こういう問題が明確になっていないというところに今日の現実があると思うのです。  そういう中で私お聞きしたいのですが、これは普天間の基地に日本の自衛隊が行って泊まっているでしょう。交代で泊まっているしょう。第一海兵航空隊のところに泊まっている。これは何人一体泊まって、何回泊まったか明らかにしてもらいたい。
  184. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 自衛隊が訓練とか何かで泊まっていることはないと思います。ただ出張しているような場合に、宿舎を借りるとか、泊まるということはあり得ると思います。
  185. 岩間正男

    ○岩間正男君 訓練がどうとかは要らないけれども、泊っていることは認められたですね。いままで何人くらい行って、とにかく当委員会ではずいぶんいままで論議をされた。自衛隊が大体沖繩に出張するという法的根拠は何かということは、しばしば国会で問題になった問題です。ところがいつの間にかすらりとして、何十人か交代したということを私は聞いたんでありますけれども、その泊まっているという事実は防衛長官はいま認められた。これは重大問題じゃないですか。これはどういう一体根拠によるものでしょうか。それからどのくらい——あなたたち何を見ればわかるでしょう。
  186. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 泊まっているかどうかはわからない。泊まっていると断定したわけではありません。アメリカの施設の接収問題あるいは日本の自衛隊を七二年以降派遣する問題、そういうこと等のために陸海空から専門家を派遣して、現場を視察させたりなんかしております。そういうことがありますから、情勢によってはそういう人が便宜宿を借りているということがあるかもしれません。しかし、それは調べてみます。
  187. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 岩間君にちょっと申し上げますが、長官はどうしても三十分には退席したいという約束ですから……。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは十分問題になってきたのですよ。私も沖繩に参りましたが、私たちの泊まったホテルに相当あなたのほうの関係の方が泊まっておられました。だから、知らない間に相当これは行っているのじゃないですか。三年前だったらたいへんだったでしょう、かまわないんですか。どうもこれはおかしいですな。これは報告を求めます、いいですな。何人一体出ていったのを、ここ三年くらいの間に自衛隊がどういう任務を持って行っているのか、どういう人が行っているのか、この辺のところを明らかにしていただきたいと思うのです。  そういうふうに考えてきますと、非常にこれはやはりいまの現実というものは、ここでいろいろ論議していますけれども、この現実を具体的に問題にしてみますというと、やはりたいへんな事態が陰のほうで動いているのではないかというふうに感じられるわけです。  そこで私はお聞きしますが、これとの関連で、韓国にいる米軍、これの実態はつかめていますでしょうね。これも時間の関係から資料で出してほしいのですが、いかがでしょう。この部隊の人数、それから、どういう兵種の部隊がいるか、それはどこにいるか、こういうものはつかんでおるんでしょうな。
  189. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) わかる限りのことはお知らせいたしたいと思います。  なお、先ほど私が答弁しました中で、接収等の用意のためにと申しましたが、いま聞きましたら、幹部学校等の研修生で、研修のために沖繩に行っている者もあったそうです。そういう者があるいは一部そこへ宿泊しているということがあるかもしれません。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから在韓米軍の資料は、人数、部隊数、装備、そういうものを含めてこれは出してほしいです。これは防衛庁で資料つくっているでしょう。つくったものがありますね、あるでしょう、どうですか。
  191. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) ある程度わかっておりますので、資料として提出いたしたいと思います。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 ついでに資料の問題ですが、この前の資料のときに、領空侵犯に対する達しの問題、この資料を出してくださいと申しましたが、ほかの資料はお願いしたのは出ましたが、不十分なものはありましたが一応出してもらったが、これだけは出ないのですね。これはどうなんですか、あるのですか、ないのですか。あっても出さないのですか、どうなんです。
  193. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) この前の御要求のときに申し上げたと思いますけれども、調べまして、秘密にわたらないものを御提出いたしますというふうに御答弁申し上げました。それで調べまして、秘密にわたらないものはすべてお手元に御提出いたしたはずでございます。お示しの領空侵犯に関する達は秘密の書類でございましたので、御容赦をいただきたいと思います。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 あるけれども出せないというわけですな、そうなんですね。  それじゃ次にお聞きしますけれども、自主防衛の問題ですがね。自主防衛というのが非常に大きな問題になっているのですが、これは自主防衛というのは、厳密な意味では、どうもあなたの言われる自主防衛というのは少し違うのじゃないですか、どうなんです。自主防衛といったら、これは辞典を調べるまでもなく、他人の保護または干渉を受けず、独立して行なう、こういうことが自主だと思うんですな。そうだと思うんです、自主というのは当然これはそういうことになる。だから中には、アメリカに依存して独立をそこなう、これでは民族の気骨はむしばまれてしまう、これは恥だ。だからできるだけ早く自衛隊だけで守る、そういう体制をとりたい。こういう論議をされている人がいる。ところが、あなたの先ほどの答弁を聞いていると、自分のできる範囲のことは自分でやる、どうしても足りないところはアメリカに頼む、こういう形の自主なんですね。そうなんですか。もう一ぺん念のためにお聞きします。
  195. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 現在の世界の情勢を見ますと、アメリカもソ連も自分一人ではやり切れない。したがってNATOをつくり、ワルシャワ条約をつくっておる。アメリカ、ソ連のような強大な国でも自分一人では守り切れない。それが現在の世界であります。そういう意味において、自主防衛と集団保障体制はそう矛盾するものではないと私は思います。それで問題はその選択である。集団保障体制の中にあっても、主体性を持って自分からの主体的意思で選択するという場合には、自主性は貫かれる、そう考えておりますから、私は自主防衛は成り立つと思われます。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初あなたの立てた国防基本方針ですね。これはだいぶゆらいだ。あなたの私案というものはこの前懇談会で認められなかったことは、先ほどからのことで明らかなんです。この点に対する考え方はどうなんですか。結局安保体制の中の自主防衛だということははっきり確認していいですね、そういうことでしょう。
  197. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 世界じゅうどの国も大体は集団保障の中の自主防衛をとっているわけです。日本もその一つであります。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 アメリカの戦略の中の防衛体制、これを強化する、これが自主防衛ということじゃないのですか、どうなんです。
  199. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 共産党のような武装中立論はとりません。武装中立論というのは単独防衛でありましょうが、これでは安全保障上もゆゆしいことも出てきましょうし、第一お金が非常にかかって、国民に重税の負担が出てきたり、インフレーションになって物価がもっと上がるという結果が出てまいると、われわれは考えます。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことをあなた言っているけれども、今後進めているあなたたちの体制がどうなるか、四次防がどうなるか、国民が非常に危惧を持っているところです。ここのところをここで論議の焦点にすることはしませんけれども、いまのような武装中立論というのは、あなたの言うのは非常にこれは大きな間違いがありますよ。その点は誤解のないように、十分にこれは検討してほしいと思います。  そこでお聞きするのですけれども、とにかくアメリカの戦略体制の中における日本の防衛体制、それを強化する、自主防衛という名前で強化する。その問題が、今度この問題の方針を決定するときに非常に混乱があった。あなたの説明によるというと、自主防衛の線を非常に強く打ち出し、ここを宣伝の焦点にした。ところが、それだけではいかぬ、安保体制も日本の防衛安全のために必要だ、アジアの防衛のために必要だという巻き返しがあった。そこでいまこれの調整をはかっている。そこで、あなたは渡米されるわけなんですが、その渡米のときに、このような方針を、防衛の書き変えた方針を持っていくのですか、どうなんですか。   〔委員長退席、理事石原幹市郎君着席〕
  201. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) まだ正式にきまったわけではありません。また、どういう考えを持っていくかということも、きまっているわけではありません。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかくほとんど既定の事実でしょう。国会答弁としてあなたは警戒されてそういうような答弁をされているけれども、すでに日程がほぼきまっているのでしょう。そういう中ですから、いつものあなたに似合わないのですね。ずばりとここで言っていないのですよ。そういう中で自主防衛の問題をこれ話し合うわけなんでしょう。どうなんですか。今度の渡米の中で、今度の新しいニクソン戦略体制の中における日本の自主防衛というものを話し合うのだと思いますけれども、この問題は入りますか、入りませんか、今度の渡米の話し合いの一つの課題として……。
  203. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 先ほど申し上げたとおりであります。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 自主防衛、自主防衛というので、盛んにあなたは宣伝された。この前もこの委員会でも問題にしましたけれども、たとえば横須賀の問題ですね。横須賀のもとの鎮守府は、これは現在米軍がそこのところにどかんとすわっている。そして日本の海上自衛隊の司令部はもとの倉庫であった田蒲にある。こんなことでは全く本末転倒だ。だからこれは返してもらいたいのだ、こういうことを盛んにあなたは宣伝に使われたわけですね。ところが、実際これを追及して聞いてみますと、アメリカの核戦略体制の中で横須賀というのは放すことのできない重要な一つの拠点になっている。もしも横須賀を失えば、アメリカの第七艦隊の機構というものは、これはかたわになる。そういう中ではのっぴきならないもので、この横須賀の基地返還については、これは一応当面の交渉からはずすというようなことが、この前の当委員会でも明らかにされたわけです。そうすると、あなたの宣伝と、それから実際進めているその戦略構想、そして、ことにアメリカの核戦略体制との関連におけるそういうものというのは、だいぶ違うんじゃないか。国民はこの点で非常にやはり、ことばでごまかされやすいのですよ、実質ということばがあるというと。ほんとうにこれはやはり日本の独立の問題というものは、だれでも腹の中にありますから。この前の「よど」号の問題一つを見たって、独立がないんだということがはっきりしたわけなんだから、やはり独立がほしいという要求は、われわれの当然の要求の中にあります。また、平和の要求、戦争反対の要求、こういうものも、これは当然ともにあるわけです。独立なくして平和はないのだから、当然これはその要求がある。そこのところに巧みにこれは宣伝をされているわけですね。自主防衛、自主防衛とあおり立てている。しかし、どんどん進められているところは、だいぶ違ってきているのじゃないですか。この点を——どうもあなたは非常に雄弁だし、それから宣伝力があるので、そういう点では逆にこれは危険な面が出てくると思うのですがね。この辺はどうなんですか。今度の渡米にあたりどう一体あなたは交渉の中で自主防衛の問題を論議されるのか、私はお聞きしたいのだけれども、大体、自分の自主防衛をアメリカに相談に行くというのはどうもおかしいのです。アメリカと相談して自主防衛をきめるということ、これ自身は非常にやはりちょっとおかしい。どうなんですか。どうも防衛長官がアメリカに行くとろくなことはないのです。いままでどうも日本の軍備がどんどん強化される。あなたはそういう役割りを持って行くのじゃないですか。私はそういう意味から言うと、防衛長官がアメリカに行くということは賛成できないのですがね。どうなんです。そういう意見というのは国民の中に非常に多いと思う。ことにいまのような、私は言ったのですが、富士の実態ですね、名前は基地返還で返される。自衛隊の管理に移した。これはもう日本の管理下にあるのでありますから御安心くださいというようなことを言わんばかりの宣伝をしておいて、実際はもっともっと、これはもとよりも激しく、しかも対韓戦略の中で海兵隊の上陸訓練というようなものが数次にわたって行なわれていっているというような現実、こういう問題を私たちはこれは明確にしていく必要があると思うのです。どうでしょうか、こういう点はどういう一体態度を貫かれるのか。私はそういう点では、あなたの渡米というやつは、いまの核戦略体制強化のそういう中において、非常にやはり日本の今後の防衛問題にいろいろな問題を投ずる、そういう危険な要素を持っていると思うのですが、いかがでしょうか。
  205. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 遺憾ながら岩間さんと私の見解は非常に隔たりがあるようであります。私は私の見解が正しいと思います。
  206. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 岩間君、いいですね。——それじゃ本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  人事院が来るまでちょっと休息いたします。    午後五時二十六分休息      —————・—————    午後五時三十四分開会   〔理事石原幹市郎委員長席に着く〕
  207. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 委員会を再開いたします。  一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  208. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは今回の人事院勧告が出まして、いろいろ論点があげられておりますけれども、私も、先ほどの同僚議員の質問にダブらないようにしまして、これから二、三お伺いしたいと思います。  今回の勧告につきましては、すでにもうマスコミ関係でも相当報道されておりますし、先般の衆議院のほうの委員会等のことも聞いておりますですが、いずれにしましても、先般の内閣委員会でも総裁がおっしゃいましたように、人事院創設以来の大幅な勧告になっております。実は私は、この大幅な勧告といいましても、非常に今回は、初任給引き上げとか懸案になっておりました住宅手当の問題とか、そういうふうないろんな諸手当引き上げ等とともに高齢者に対する処置等も含んでいるようであります。いろいろたくさんありまして、まあいわゆる総花的といいますか、そういうふうな感じなんですが、私たちはこう見ておりまして、人事院は一体何に力を入れて今回の勧告をやったのか、いわゆる何を言わんとしているのか、そこのところはどうもはっきりしないわけなんですが、総裁、今回の勧告の中で特に人事院として力を入れたのはこれだというのがやはりあると思うのです、私は。そういうような意味で、まずそういうような点を総裁にお伺いしたいと思います。
  209. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) やっぱり力を入れたと申しますか、最も関心を持って臨みましたのは、率直に言って初任給だと申し上げてよろしいと思うのです。そのほか、まあ世帯形成時云々の問題もございますけれども、そのほかは大体において現実の公務員給与上の要請にいかにすればマッチできるかということでございますからして、いま総花というおことばがございましたけれども、あるいはまた、ある新聞の記事では、いままでの懸案を全部解決したというような書き方をしている向きもあります。まあ、幸いにしてと申しますか、そういう作業の上からは格差の幅が相当広く出ましたものですから、われわれとしては、その意味では、やはり懸案も解決することができたと申し上げてよろしいと思うのです。その苦心談ということになれば、これまた話は別になりまして、また、苦心談を申し上げたところで、何の意味もないのでありますから、それは御遠慮申し上げておきます。
  210. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一番重点に上げたのは初任給である、この点につきましては、後ほどあらためて質問したいと思うのですが、いずれにしましても、各新聞の論調等を見ましても、すでに先ほど質問もありましたけれども、やはり何といいましても、いろんな焦点が当たっているのは、やはり指定職の俸給表の大幅改正というのは、これは人事院がかねがねからおっしゃっております上薄下厚というのですか、そういうふうなものから考えると相当矛盾するということも、私たちも、いろんな批判のとおりだと私は思うのです。これはやはり、その点についての質問が先ほどありましたから、私はいいんですけれども、これは結局こういうふうなことを人事院勧告したということは、もう一面から考えますと、人事院がいわゆる従来の賃金体系、これが要するに年功序列型賃金というのですか、そういうふうな賃金体系からいわゆる職務・職能給というか、そういうふうな賃金体系にいわゆる転換するという、そういうふうな考え方がやっぱり根底に大きく流れているんじゃないか。実際、もちろん今回の給与勧告完全実施すると政府のほうも言っているわけですし、今後の給与制度の面から人事院がそういうふうな方向に根本的に改正の方向を示したのじゃないか、そういうぐあいにもとれるわけなんです。この点はどうでしょう。
  211. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それはまことに適切な御指摘だと思うわけです。これは昭和三十九年に指定職の俸給表ができましたときも実はそれらしい方向を申し上げたことがありますのですけれども、大体、御推察のとおりなんでして、公務員給与のたてまえ、給与法のたてまえから申しますというと、やはり職務給という方向をねらっているということは明らかでありまして、たとえば職階制というものを、これはやはり職階制に関する法律というのがございまして、職階制を早くつくれという法律の至上命令があって、そして給与法上はその職階制に即した給与制度を立てろというのが一つの理念としてはっきり条文に出ているわけです。ただし、職階制と申しましても、現実の一般賃金水準から申しまして、これに徹底していった日には、今度は生計の関係が大きく犠牲になる面が出てくると、したがって、生活給的な面というのも考えていかなきゃならぬというわけで、給与法上の思想はそうなっておりますけれども、私どもとしては現実に即した給与の体系をずっと維持してまいりました。そこで、だんだんといまの指定職に当たるようなものになりますと、もうこれは職務給に徹してよかろう。それで甲と乙と御承知のようにございますが、ことに甲のものは完全に職務給に徹したと申し上げてよろしいと思います。すなわち、昇給も何もない。何年そのポストにおろうと給与はくぎづけだという形になっておるわけです。しかし、乙ということになりますというと、多少その間に緩和した形になっておるというようなことで、いま御指摘になったところはまさに的を射ておると申し上げてよろしいと思います。
  212. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一点、こまかい問題に入る前にお伺いしておきたいのですが、どうも、今度の勧告をいろいろ読んで、これは各論に入りますとよくわかりますのですが、こんなことを言うと、人事院総裁は、そんなことはないとおっしゃるかもしれませんけれども、多分に政治的色彩を帯びた勧告じゃないか、そういうぐあいに勘ぐられてもしかたがないと思うくらい、そういうようなところが何カ所かあるわけです。本来、人事院調査するときには、やはり基本的姿勢というものはあったと思うのですね、ずっとね。それを今回はずいぶんいろいろなところでくずしている。これはくずした点についてはあとでこれは具体的にやりたいと思います。たとえば先ほどの指定職の俸給表の問題につきましても、これは六月の十八日ですか、各省庁の人事担当課長会議で国家公務員給与改善についてというのが要望事項として人事院に出ているはずなんですがね。まあ、出たのを幸い、と言えばこれはいかぬかもしりませんけれども、この人事院勧告、今回読んでみますと、特にこの指定職の俸給表についての要望事項のところは、いわゆる全面的に今回実現されていると、こういうぐあいに言っても間違いないと思うのですね。そうしますと、私は、だからこういう要望書が出たからこうだというあれはないと思うのですが、やっぱりその裏づけがあってちゃんとやっていらっしゃると思うのですが、調査に基づいたいろいろなその調査の結果と要望とがぱちっと合った、だから要望事項があったからこうしたのじゃなくてというようなことになるかもしれませんけれども、いずれにしても、そういうふうな点がありますし、また、その調査をやらないで幾つか引き上げをしたりしている点もあるわけですね。こういう点は、やはり人事院の姿勢といいますか、そういうふうなものが小さなところからくずれていくのじゃないか。やはり、その基本的なかっちり調査をやってがっちりした裏づけのもとに給与勧告をやるというのが私は基本的な姿勢じゃないかと思うのですが、この点について二、三申し上げましたが、総裁の見解を伺いたいと思います。
  213. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 従来、われわれ自身あまりに事務的で、あまりに技術的であり過ぎはしないかというような気持ちも持っておりましたところに、政治的ではないかというおことばをいただきまして、ほっとしたところでございまして、伺ってみますと、どうも人事主任官の、これはまあほんとの、何といいますか、事務官僚の要望なんです。事務官僚というのは悪い意味でありません。これは尊敬した意味事務官僚ということばを使っているわけです。これは私どもは、確かに組合の諸君、すなわち、現実にこれの適用をお受けになる多数の公務員を代表される組合の代表の方々、これもしょっちゅうお会いしてはその御要望を聞いております。また、各省にあって人事の実際に携わっておられる人事課長、その他の人事主任官の意見もこれはもちろん聞いてまいっております。十分に聞いてまいっておりますけれども、それに引きずられるというようなことはもう絶対これはございません。それらの意見の中で私どもがもっともだと思うような点、また、民間との関係等において、なるほどと思われる点をわれわれの責任において実現しておるわけでございますが、たとえば、いまの人事主任官の会議の要望の中にも、たとえば、住宅手当というようなことを前から要望しておりますけれども、なかなか実現をしなかったわけでありますが、そういう点はせっかくのおことばでありましたけれども、実は政治的の問題とは私どもは考えておりません。  それから、もう一つ調査をしないで上げたということでありますけれども調査をしないで下げたというならこれは大問題だと思いますけれども調査をしないで上げたというのでおしかりを受けるとはゆめにも思いませんでしたけれども、しかし、調査をしないといったって、全然検討せずに、データなしに、われわれがほんとうの心づもりで、じゃあここをひとつやるかというようなことでは決してやっておりません。これは、たとえば、昨年の調査でありますとか、近年の調査を現実を踏まえた上で、去年のやり残しというようなことをことしひとつ実現しようというようなこともございます。たとえば、通勤手当などの例をとらしていただけば、まさにそのとおりだと思います。去年は国鉄の運賃の値上げがありましたからこれに即してやった。しかし、自転車等によって通勤する人のことは去年はお預けにしていた。そういうようなこともやはりデータはちゃんとそろっておったわけなんですから、したがって、調査もせずに上げたということは確かにそうでありましょうけれども、全然調査をせずに……、最近の調査はあった上でのことであると、これが下げたということになればおしかりを受けてもしようがありませんけれども、上げたのならばそう強いおしかりを受けるはずもなかろうと考えております。
  214. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、上げたのだからおしかりを受けるわけはない、そういう考え方はいかぬと思うのですよね。やはり基本的な姿勢としてはと言っているわけですからね。それがやはりそういうところでなしくずしにされるおそれがあるわけです。実際問題ね。そういう点はまた去年はこうだったからと言いますけれども、やはり私はもう一つ言いますと、バランスということもじみちに考えているのじゃないかと思うのですよ。この点はいいですけれどもね。バランスということを考えて、片方は調整手当をやったから調整手当関係のない通勤手当のところだけは上げるというようにして、全般にバランスを考えて、いわゆる政治的においをただよわせてやっているのじゃないかなと、こう……まあ、これはけっこうです。  それでまず一つずつ問題に入っていきたいと思うのですが、初めに調整手当の問題ですが、これは実は調整手当を大体三年の調査研究を重ねて今回のこのような結果が出た。また、ことしの勧告でも、今後三年間をめどとして調査研究していきたい、こういうことにつきましては、私は外国でもこういうようなことをやっているらしいので、これはけっこうだと思うのですが、三年間も人事院が研究調査をしてきた結果としては、この内容たるや、ほんとうにお寒いものじゃないか、こう思うのです。これは一つは、今回のこの調整手当の問題では、甲地の中で、要するに非常に、物価ですか何ですか、特にこれは物価じゃないですね、民間給与地域差の状況からだと思うのですが、この表によりますと、要するに、六%を八%に上げるということなんですが、これはまあこの点だけなんですね、結局は大きな問題点は。そこで一つは、八%に上げた根拠というものをまずお伺いをしたい。  それからもう一つは、人事院として甲地とか乙地の問題ですね、これは要するにどういうぐあいにお考えなのか。この二点を先にお伺いをしたい。
  215. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 三年間何をやっておったかというお尋ねでございますけれども、三年間の調査の結果、たとえば現在無給地と三%地域と六%地域になっておる。これは変更する必要なしと、現在までの調査の結果によるとこのままでよろしいという結論が出た上で据え置いておるわけでありまして、これはわからぬままにまたあと三年間で何とか調べてみようというわけではございませんので、そこを御了解をいただいておきたいと思います。それから、その検討に伴って、さりながら、いまの甲地の中でもまたこれは格別に官民格差の高いところが出てきておる。これはほうっておけないということで、いまの八%のお話につながるわけで、これは給与局長から御説明をいたします。
  216. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 現在六%、三%の調整手当支給しておりまして、それでなおかつ官民格差がどうなっておるかということで調べてみたわけでございますけれども、乙地の三%を支給しておるところにおきましては、大体平均的な格差が出ておるということでございますけれども、甲地の場合には平均的な格差よりも六%ぐらいなおよけい格差があるということでございます。しかしながら、これを全く六%をさらに引き上げるという問題につきましては、やはりいろいろ問題があるわけでございますので、別途民間の大きな事業所につきまして、公務の場合には全国各地に事業所があるわけでございますけれども民間の場合でも大きな会社であちこちに事業所を持っておるという会社を特に選びまして、そういう会社におきましては、全国各地、まあいわば公務の場合には無給地相当のところから大都市等につきましては三%、六%という調整手当がついておりますけれども民間の場合には、さてそういう関係はどうなっているかということを調べてみましたところが、やはり公務と同じように、中都市につきましては大体三%くらい、大都市の場合には六%以上というデータが出たわけでございます。参考資料にもつけてございますけれども東京・横浜地区は九%、それから京阪神地区は八%、名古屋の場合には七・五%といったような地域給の支給が、民間の大事業所におきましては平均的に出されておるということでございますので、そういうところを大体平均しまして八%地域というふうなところを特に引き上げる必要があるんじゃないかということを判断したわけでございます。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 質問の順番を間違いましたので、もう一ぺん総裁にお伺いしておきますけれども、要するに調整手当、これは何ですか。調整手当というのはどういう意味手当ですか。これ具体的に定義ですね、これを初めに伺いたかったんですが、これはどういう手当でしょうか。
  218. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これは給与法にも明文がございまして、給与法の第二条の六号に、「給与を決定する諸条件の地域差に対応する給与に関する適当と認められる措置」を内閣、国会に勧告しろというのがありまして、とにかく地域地域によって給与がその地元の、たとえば民間給与あるいは生計費等と非常にアンバランスであるという場合には、それを是正すべき措置勧告しろというのが人事院の責任に給与法で定められておるわけでございます。したがいまして、その地域別に極端なアンバランスが出た場合には、これを調整するわれわれとしては責任があるということから出発いたしまして、いままでは例の地域手当式のものでやっておったのが、一時、今度暫定手当という形で金額で凍結された形になった。金額で凍結されておりましたものですから、だんだんと俸給の上がるに対応してパーセンテージがずっと落ちてくる。適当な時期に乗りかえませんとこの給与法の要請にも矛盾する形になるというわけで、昭和四十二年でありましたか、これは名前が悪かったと思いますけれども、都市手当という名前で御勧告申し上げた。それが法律の上では調整手当という形になりまして、そうしていまの三%地域、六%地域というようなことになっておるわけでございます。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの給与法第二第条六号に言う「地域差」というものですね、地域差の定義は何ですか。地域差の判定をするための基本的な資料といいますか、定義といいますか、それは何だと人事院は考えていらっしゃいますか。
  220. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 給与局長からお答えいたします。主として官民給与格差だと、そのほかにまだ給与局長から何かつけ加えて御説明申し上げるんではないかと思います。
  221. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 二条六号のは「給与を決定する諸条件の地域差」でございます。つまり、公務員給与給与体系をきめる場合にそれの重要な資料となる条件ということでございまして、したがいまして、基本的に言えば、やっぱり民間における賃金、それとの格差、こういったものが問題になると思いますけれども、さらに一般的な形では物価及び生計費というもの、現在の調整手当ではそういうふうに明記されております。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 人事院のその考え方は変わってきましたね、だんだん。四十二年に調整手当が創設された当時は、先ほど総裁は、主として給与官民格差だと、要するに。だから、今回のいわゆる甲地の八%上げるにあたっても、その資料はもうそれだけですね、結局。私たちに少なくとも参考資料として配られているものは、それがもう大部分というよりも、九九%それでやっておるわけですね。ところが、四十二年に調整手当がちゃんとされた当時はそうじゃなかったんですね。ですから、これはちょっとどうかと思うんですがね。いわゆるその当時は暫定手当だったわけですね。その当時は暫定手当支給されていない地域では、官民格差というのは一般三級地ですと七・六%、四級地一三・七%、そういうぐあいに民間公務員給与格差、それがまず第一ですね。その次に六大都市のいわゆる消費者物価が六・五%の差、また、そのほか生計費の差が一三・六%、まあ、そういうふうになってこの三つが大きな都市手当のいわゆる要素としてあげられておるわけですね。そういう点からいきますと、私は、少なくともこの調整手当については三年間も研究されてやっていらっしゃるわけですから、手を抜いたわけではないでしょうけれども、少なくとももっといろんな点でやるべきじゃなかったか。現在私たちが考える場合、何といいますか、給与の差だけではなくて、物価とかそういうような面については相当いろんな、都市化現象とか生活水準の標準化とかいろんなあれによって変わってきておるわけですね。そういう点からいくと、もっといろんな調査のしかたがあるんじゃないかと、こう思うんですが、ここら辺のところはどうでしょうか。
  223. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) その点はまさに抜かりはないわけでございます。それらを勘案した上で三%地域、六%地域は動かす必要はない。ただその六%地域の中で民間給与がものすごく高くて、給与上のアンバランスが非常に目立つというところをせめて二%の加算をしないと、その辺がつり合いがとれない。ですから、何も特甲地域というものをつくるわけじゃなくて、甲地の中で民間給与の高いところを今度は当面の対策として手を押えようというんですから、その地固めのほうは、これは十分やった上での話だということは御了承願っておきませんとぐあいが悪いわけです。
  224. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その点はわかりました。そうすると、それじゃその問題はさておきまして、この甲地、乙地とかいう、これはいつごろきまったんですか。いま現在実施しておる分はいつごろ、どこがきめたんですか。これは適正だったかどうか。現在甲地、乙地ときめておる分ですね、それは要するにいつごろきめられたものか。それで今回の調査で適正であると判断をされたのか、この点。
  225. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これは四十二年の法律が判定いたしますとともに人事院規則できめたのでございますが、ただ、その内容につきましては、これは衆議院内閣委員会参議院内閣委員会の附帯決議がございまして、従前の地域をそのまま尊重しろという御要請がありましたから、従前の形を踏襲した形になっているのだから、例の、先ほど触れましたような市町村区域ぐらいは今度は新しい区域にしないとぐあいが悪いということを申し上げたわけでございまして、そのたてまえはそれで出発しておって、その前提のもとにいま御指摘のありましたようなレビューをやって、それでよかろうということで、その点はいじらなかったということになると思います。
  226. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、確かに四十二年にスタート当時、甲地、乙地の問題については種々問題もあって、附帯事項もついた。しかし、その内容は尊重しながらいわゆる幅を広げるとか、たとえば都市化現象によって、現在二級地に入っておっても全く四級地と変わらないところが出てきておる。私も現実にチェックしてみたんですが、具体的に一つ一つあげてもいいんですよ。実際問題出てきています。そういうところについてはどういうぐあいにお考えなのか、そこら辺のところも研究されたのか。それはどうですか。
  227. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) この点は、いま述べましたように、大体旧市町村区域で押えておるところを新市町村区域にすれば大体解消しますし、なお、さらにつけ加えて申し上げますれば、官署指定という道がございますから、名指しして官署指定すれば、これはりっぱにいくという気持ちを持っております。
  228. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その点については、まあいろいろありますから、あまり言いませんけれども、それからもう一つ、特甲ですか、さっきおっしゃいました特甲というのですか……
  229. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いや名前はついていないのです。
  230. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ここには、資料によりますと、「京阪神地区(京都市、大阪市、神戸市)」と、こう書いてあるのですが、これはどうなっておるのですか。もうちゃんときまっておるのですか、またはこれからきめるのですか、またはどういうぐあいになっておるのですか。「東京都区内」というのは三多摩も全部入るのかどうか。それで「横浜市」とぽっと飛んでいるわけですが、まん中もあるわけですね。これはあると思う。市は違うという意味なのか。神奈川県では横浜市だけなのか。そこら辺のところはどうなのですか。
  231. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これはまた法案が成立いたしましてから規則できめる段階になりますので、最終的にきめているということは、まだこれは当然申し上げ得る立場にはないわけでありますけれども、大体のねらいは、やはり有機的につながっている一種のブロックみたいなものを押えまして、京浜地区であるとか京阪神地区であるとかいうようなことにして、先ほど申しました市町村区域、新区域というようなことをあわせて考えながら、大体つぼどころはそれでうまくおさまるだろう。東京あたりは文句なしに入ることは、もうその区の存する区域なんというのは当然これは問題ありません。そういうような調子で、多少有機的な関連性を考えながら押えていこうということであります。
  232. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、いずれにしましても、この問題は、このそれぞれ都市を甲地、乙地に指定したり特甲にしたりするということは、それぞれ公務員の皆さんの重大な関心事だと思うのです。やはりこういうことについては綿密に検討をして、そして必ずちゃんとした結論を出すべきだと思うのです。また、現在指定されているその級を落とすということも私はどうかと思うのです。実際問題として、そういうような意味で、今後やはりこういう問題については本格的に取り組んでいただかなければならないのではないか、こういうぐあいに思っております。  それで調整手当の問題はそのくらいにしまして、次に初任給の問題で、先ほどちょっとおっしゃいましたが、その初任給についてもいろいろありますので、初任給の、いわゆるお医者さんとか歯医者さんとかは医療職ですね、医療職の皆さんの初任給調整手当というのがありますね。これは私はどうもはっきりわからないのですけれども、これはどうなんですかね。お医者さんが民間の皆さんと相当給与の差があるということは、この人事院の表によりましても明らかであります。これを埋めるために、お医者さんは、その俸給のほかに初任給調整手当とか先ほどの調整手当というのをもらうわけですね、全国一律に。そうすると、よく計算してみると、中には俸給より調整手当のこっちのほうが多いという人もずいぶん出てくるわけですね。やはり不自然じゃないかと私は思うのですけれども、こういうようなことをしないで、もっとお医者さんの給与というものは抜本的に考えなければいかぬのじゃないか。こんなことで給与を今後ちゃんと確保していけるのかどうか、非常にこれは問題だと思うのですね。私は実際問題として民間との格差を埋められるかどうかということは問題だと思いますね。この点をひとつお伺いしたいのと、それからもう一つ、ことにいままで十五年だったのが二十年間になっておりますね。そうすると、お医者というのは、大体学校を卒業してインターンとかいろいろありますから、年齢も二十五、六歳じゃないかと思うのですが、そこら辺の年から二十年間ですから、四十五、六歳になってもまだ給料の中には初任給調整手当というのがあるわけですね。そこら辺のところは、私はちょっと名前もおかしいのじゃないかと思うのですが、先ほど総裁は、調整手当という名前が悪かったとちょっとおっしゃいました。ちらっとおっしゃいましたのを私聞いていましたけれども、こっちの名前のほうがもっとおかしいと思うのですよ。ここら辺のところについて、総裁、これはどういうぐあいにお考えか。もっとやはり本格的に毎年毎年調査して、そのたびに給与の差というのが、ここだけはばっちりついているわけですね。それを埋める意味においても本格的にもっと取り組まなければいけないのじゃないか、こう思うのですが、この点、二、三言いましたが、それぞれ答弁お願いしたいと思います。
  233. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 最初にちょっと、先ほど私の説明の中に、その調整手当の中で特甲ということばを、たしか私が申し上げて、それを御採用になったような気もするんですけれども、特甲というのはなかなかごろも悪うございまして、これを私が申し上げたとすれば、撤回さしていただきます。また別の便宜な名前をお考え願いたいと思います。特甲だけは撤回します。  それから、いまの問題でございますが、お医者さんの関係は、これはほんとに御推測のとおり、われわれとしては四苦八苦して、最近のことばで言えば、頭が割れるように痛い問題でございます。これ、何とかしないことには、ほうってはおけないことにもなりますし、四苦八苦の産物がかような結果になって、はなはだふていさいな、私は率直に、なりふりかまわぬ手当だと申し上げておりますけれども、ほんとになりふりかまわぬことになって、御指摘のとおりだと思います。一番すっきりした方法を考えれば、これは俸給表でそのまますぱっと五〇%ばかり上げちまえば話はきわめて簡単でございますけれども、これは、やっぱり公務員にはいろんな職種の人たちがおりまして、横のバランスというものを、これは十分考えていかぬと、同じお医者さんにしましても、大学の医学部の先生は、やっぱり大学病院で診察をしていらっしゃるわけですから、その人は教育職俸給表の月給をおもらいになっていらっしゃる。まあ、お医者さんでも厚生省の何とか局長におなりになってる方もあるというような、横のバランスの問題がございますために、俸給表だけでまかない切れるものではない。もっとも、先ほど説明申し上げましたように、俸給表でも、もちろん医者のほうはだいぶ手厚くはしておりますけれども、やはり、ほかの措置と相まってという形にどうしてもならざるを得ないということで、いまの初任給調整手当ができております。そして、これはまたいなかに行くほどお医者さんの民間給与は高くなっておるということもございまして、普通の手当とは逆に、いなかのほうほど高い初任給手当をつけることにしておる。そこで、いまの二十年のお話も全くそのとおりなんでございまして、初任給調整手当という名前のもとに、この二十年ということはどうだろうかという御指摘も、これはごもっともだと思いますが、ただ、これは名前の問題でございますから、私どもとしても、とりあえず初任給調整手当——「等」くらいは入れてみるかということは、これは説明書にもちょっと出ておらないか……今後の問題として、これは「名は実の賓」でございますから、名前にこだわるつもりは全然ございません。したがって、またいい名前を教えていただければこれは幸いだと思います。実質はそういうことでございます。
  234. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 名前にこだわるなということをいま言われたが、またこだわって言うんですが、調整手当というのは、先ほどは給与法の二条の六号の「地域差」というところから出てきたんだとおっしゃいましたが、お医者さんのほうは、これは地域差というのはないのですか、お医者さんのほうは一律に。私はこんなことを言うと、支給するなというんじゃないんです。なかなかいいことなんですけれども、法律たのてまえからいえばおかしいわけですこれも、要するに調整手当というのは地域給、そうすると、お医者さんのいるところでは地域差はない、みんな全国一律、ということは、全国一律八%支給するくらいなら、この辺は給与であげればいいんです。ここら辺のところの考え方は、どういういわゆる基礎資料、やはり調査資料、そういうものを調べた上で、ただ単にこうしているんじゃないと思うんですが、初任給調整手当で、いなかほどいいようになっているわけですから、そこら辺では調整しているわけですね。ですから、ここでまたこの八%を一律にということは、私はこれはそれこそ給与のほうへ入れて、給与をぽんと上げたほうが筋が通ると思うんですがね、ここら辺のところはどうなんですか。
  235. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) そこのところを先ほど私は先回りして申し上げたようなことになりますけれども、本俸のほうを上げますと、ほかの関係のバランスを著しく失してしまって、何ともまた収拾のつかぬことになる。そこが苦心のしどころだということで、非常に手ぎわはよくありません——率直に申し上げて手ぎわはよくありませんけれども、そういうことにせざるを得なかったということでございます。
  236. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあ、いずれにしましても、趣旨はよくわからないわけでもないんですけれどもね、しかしながら、そういうような理論が通るなら、そういうところはいろいろなところに適用されてしまうということになってしまいますので、この点についてはやはり今後検討していただく問題だろうと思います。  次に、住宅手当の問題なんですがね。私たちからすると、ついに住宅手当人事院勧告してきた。私たち去年も勧告したわけですね——勧告というよりも、私たちも、住宅手当を早急に新設するようにと、こういうわけで、去年の給与のときにもずいぶんやりました。それで、実はいろいろと私は住宅手当の問題についても言いたいことはたくさんあるのです。これからもっと言いたいことたくさんありますので、できるだけしぼって言いたいのですが、人事院からいただきました参考資料の住宅手当の表を見てみますと、ことし人事院給与のいわゆる住宅手当を出したということについて私はけちをつけているわけではないんですよ。もっと早くやるべきだったと言いたいわけです。というのは、この表を見ますと、去年とそんなに変わらないんですよね。去年よりちょっとよくなっただけですよ。たとえば、この「住宅手当支給事業所の割合」というここの「転勤あり」というところは六〇・九%になっている。去年は五九・二%。全事業所でとると、合計のところは四七・二%。去年は四六・二%。まだ五割に達していないからやる必要はないと総裁おっしゃった。そういう点からいうと、ほんとうに私は人事院が、このたった一つのここのところだけ考えてみると、調査資料もとりようによっては——ことしはどういうわけで住宅手当勧告してきたかわかりません、聞いてみないから。けれども調査資料は一ぱい出てきますね、いろいろな資料が出てきます。その資料を人事院はやはり自分の都合のいいところをぽっととって、やめるときには一番悪いところをぽっととって——そんなことはないと思いますよ。ないと思いますけれども、けれども、この住宅手当の項をとってみると、私はそう思うのです。ですから私は、住宅手当はいかぬというのじゃなくて、この住宅手当から勘ぐると、ほかのところもそんなことやっているのじゃないかと、こう思うのです。ここら辺のところはどうなんですか。
  237. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 資料とのつながりの私どもの基本的な考え方は、やはり国会なり何なりに対して説明をする場合に、やはりデータとしてははっきりしたデータをそろえた上で申し上げなければならんことですから、そういうことでやっておりますけれども、しかし、国会なり何なりで今度御批判になるぶんには、そのものずばり、この手当はいいか悪いかという面で御批判いただいてもいいことじゃないかという気もするわけです。しかし、われわれとしては、いま申しましたように、大体データはそろえている。いままでの住宅手当関係の資料でも、「転勤あり」「社宅あり」というのと、それに全般の分と、必ず二つの欄に分けて御報告申し上げてきております。そうして、「その社宅あり」「転勤あり」のほうが、ことしは六〇%をはっきりこして、六〇・九%になったというようなことが、一つの踏み切りでありますけれども、ただし、私どもがいままでいろいろ慎重にかまえておりましたことは、そういう点もありますけれども、やはりこれは給与官民較差の中での配分の問題でございますからして、手当をもらう人ともらわない人との関係もやはり考えなければならん。そうして、たとえば全体の官民較差が非常にわずかなときに、住宅手当のほうへみな本俸の配当分を持っていってしまうということは、またこれなかなか問題のあるところでございますから、かたがた、ことしは全体の格差相当幅広く出たし、踏み切るのには絶好のタイミングであろう、そういう総合的な観察のもとにやったわけでございます。
  238. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、六〇・九%になったからことしは踏み切ったとおっしゃっていますけれども、去年は五九・二%ですから、それより一・何%しか違わないわけですよね、実際問題。これ理屈を言えばそうなるのですね。ですから、実際問題、当然数年前から住宅手当についてはやるべきであったと私は思っておりましたし、まあ、今回やったことについては、これはちゃんと実質上できたわけですから、今後もっと、どういうふうにやっていくのか、この点についてもまたお伺いしたいのですが、実は内容なんですが、出てくるにはきたが、三千円ですね。というのは、最高三千円の根拠ですね、これはどういうことですか。
  239. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 資料で御報告申し上げておりますように、現在民間で出しておりますいわゆる住宅手当の額は大体三千円程度でございます。したがいまして、三千円を支給することにしたわけでございますけれども、これはやはり公務員住宅に入っている人と入っていない人というところのバランスの問題がこの手当のポイントでございますから、民間でもやはり社宅に入っている者と入ってない者、その関係がポイントになっておるわけで、そういう意味で申しますと、民間におけるこういう給与住宅の使用料、うちで申せば公務員住宅の使用料、そういったものが大体三千円でございますので、三千円というものを、三千円以上を問題にする。三千円以上のものにつきまして、その半額を支給いたしまして、そうして最高は三千円支給する、こういう形をとったわけでございます。
  240. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうも一つ理由にはなっていないようですね。始めのほうちょっとわからなかったのですが、いずれにしても、あれですね、最高三千円で押えた理由というのは、私も初めのほうちょっと聞き取りにくかったのですが、あまり根拠は明らかじゃないようですね。  それはそれとして、もう一つお伺いしたいのは、公務員の住宅の入居の割合ですね。これは公務員住宅、それから持ち家と、それから今回対象となる賃貸し住宅と、こうあるわけですが、それぞれの割合ですね。対象人員はどれくらいあるのか、そこら辺のところちょっとお伺いしたい。
  241. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 全職員につきまして調査をしましたところが、自宅に入っておりますのは四七%でございます。それから公務員宿舎に入っております者が三二%でございます。さらにいろいろな公団住宅、借家、借間等を含めまして約一八%程度でございます。
  242. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、今回の対象人員というのはこれは一八%というわけですか、そういうことですね。そうしますと、いろんな問題が出てくると私は思うのですよ。三千円以上ときめられたのは、三千円からというのですが、自分の家を持っておりましてもいろんな問題あるわけですよ。固定資産税がかかったり、いろんな問題が一ぱい出てくるわけです。そういうような点はどういうぐあいにお考えなのか。私はこの報告しかわからないわけですが、要するに、対象としては賃貸しの住宅ですね。家賃を支払っている、間代を支払っている職員ですがね。そうしますと、自分の家を持っている人は全然もう住宅手当がないということになるわけですね。そうしますと、そこら辺のハンディキャップ等についてはどういうふうに考えているのか。また、住宅手当については、今後の方向というのは、今回勧告をされてどういうぐあいにお考えなのか。たとえば、最高限度額三千円というのは、結局三千円以上の半額で三千円ですから、六千円の三千円で九千円ですか。九千円で頭打ちになるわけですね。ということは、この九千円のそこら辺のあれは、どこから出てきた数字なのか。現在の賃貸し住宅が九千円と見られたのか。そこら辺のところはどうなっていますか。
  243. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 統計局の住宅統計でございますけれども東京都におきまして、民営の借家につきましての賃貸料の平均が九千三百三十四円というのがございます。そういうところをめどにいたしまして、三千円を控除しまして、残りの二分の一をやり、そうして最高三千円をやりますと大体そういうところに当たるというふうに考えたわけでございます。東京都の平均ぐらいのところに当たるということでございます。
  244. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 現在、公務員住宅の皆さんは別といたしましても、一般の賃貸し住宅というのは相当高いわけですね。一畳で千五百円とかいわれております。そういうところからいきますと、平均が九千円だというその九千円の家というのはどれくらいの広さなのか。それはどうですか。
  245. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) その大きさにつきましては、別に統計上明示してございませんけれども、設備の専用をしている借家、設備の共用をしている借家の平均ということになっておりますけれども、やはり、これは結局、建てた時期とか契約した時期によりまして、古いものは非常に安い、最近建ったものは非常に高いという関係がございまして、東京都でございますと、東京都はまあ全国で非常に高いところでございますけれども、やはり高いものもあり低いものもあって、平均が九千円程度ということだと承知しております。
  246. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それからもう一点だけ聞いておきたいと思うのですが、現在公務員住宅に入っていらっしゃる方はこれははっきりしておりますね。それから賃貸し住宅でも公団とかそういうところに入っている方はこれははっきりしていますね。ところが、それ以外の方は、はっきりしない人がおりますね。家賃を何ぼ払っておるという問題についても、これははっきりしない問題がずいぶんあると思うのですよ、私はね。そこら辺の判定というのはどういうようにしますか。
  247. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) そこは実行上の問題でございますので、実際の支給にあたりましては、そういう関係をはっきりとした形でやりたいというように考えておりますけれども、そういう、何といいますか、賃貸契約に基づきます使用料を払っておるという関係をはっきりと明示、提示してもらいまして、それによって支給をするといったようなことを厳密にやりたいというように考えております。
  248. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その問題はそのくらいにしまして、あと二、三お伺いしたいと思うのですが、先ほど通勤手当の話が出てまいりましたが、通勤手当につきましては、ことし、調整手当支給されない地域ですね、月額千四百円に上げておられるのですが、これはほんとうからいうと非常に少ないと思うのです、私は。これは現行は七百円、九百円だったのを一緒にされて千四百円にされておるのですけれども、実際問題、もっといろいろな面で経費はかかっておると思うのですね。そこら辺のところはどういうぐあいに調査し、また千四百円を出された根拠はどこにあるのかですね。それから片道十キロというのも、これはまた多少余裕はあるのかですね。そこら辺のところはどうなんですか。
  249. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 通勤手当につきましては、今回、自動車、オートバイ、自転車等の利用者につきまして若干の増額をはかったわけでございますけれども、このデータといたしましては、昨年の調査におきまして、交通機関のほうの関係調査をして増額をしたわけでございますけれども、こちらのほうの関係は据え置きましたので今回取り上げたということでございますが、昨年の調査におきまして、そういう自転車等を利用しておる職員に対する民間の取り扱いというものが、全く定額の場合、それから距離に応じましてよけいやるという関係と、それからその距離を全く国鉄並みの運賃額をやるといったような、そういう三つのタイプがございます。そういう三つのタイプにおきまして、公務員の非常に遠くから通っている人たちのウエートをいろいろ計算をいたしまして、その場合にどこがめどになるかということになると、十キロのところが一つめどになる。と申しますのは、国鉄の運賃の場合には十キロ以前のところと十キロ以降のところで、一つの非常な、何といいますか、節がございます。したがいまして、各公務員の通勤者につきましても、十キロ未満のところとそれから十キロよりよけい通っておる、遠くから通っておるというところでもやはり一つの節がございますので、その両面から十キロのところをとったということと、それから、そういう民間の昨年の調査の結果を総合しまして千四百円というふうにきめたわけでございます。
  250. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ次に宿日直手当の問題について二、三聞いておきたいと思います。  一つは、まとめて言いますけれども宿日直手当については今回の勧告について調査をやったのかどうかがまず第一点。それから、この宿日直手当についていろいろな各種値上げされていますけれども、それぞれ値上げの根拠についてはやっぱり調査されておればあると思うのですが、そこら辺のところはどうなっておるのか。それから、どうせ上げるならもうちょっと大幅にぽんと上げたらどうかと思うのですが、ちょっとこれ、五百十円から六百二十円というように、また、そのほかのところもそうでありますが、千円を千二百円というように、上げ幅というのが非常に少ないわけですがね。実際に現実のいろいろな問題があると思うのですが、私はもっと大幅に上げるべきだと思うのですが、そこら辺の点についてお伺いしたいと思います。
  251. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 宿日直手当につきましては問題があるわけでございますが、やはり現在の宿日直が必要であるかどうかという点が一つございます。で、やはりもう少し、どうしても宿日直をやっていかなければならないようなところとそうでないところがあるのではないか、そういう関係をもう少しはっきりしていく必要があるといったようなことが一つございますけれども、当面といたしましては、やはり四十二年に宿日直手当改定をいたしましたあと三年間も改正しておりませんので、やはりあまり据え置くということも問題でございます。したがいまして、今回特にそのための調査というものはいたしておりませんけれども、いままで過去二回民間給与調査をやりましたので、その従来の民間の伸び率というものを適用いたしまして二一・九%の伸び率ということで今回約二割を引き上げたということでございます。
  252. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 最後にもう一つだけお伺いして終わりたいと思うんですが、高齢者の問題ですね。これは私はこれからの人事院の姿勢というのがここにちょっとちらっとのぞいているような感じがするんですが、去年の勧告でちらっと出して全体の状況をうかがってことしはぱちっと出す。またことしもちらっとうかがっているのがあるんですよ。「その他」の(2)にやはり特別給の支給割合の問題等一ぱい書いていますが、これもあまりことしに関係のない表ですよ。資料の中にもありますが、何でこんな表をことしは出したんですかね。どういうわけでこんな表を載せたんですかね。これはまた来年すぱっと勧告するための下ごしらえみたいな感じがするんですが、この点はやはりこれから人事院はちょこちょここういう手を使って、みんなの感じ、様子をうかがって、だいじょうぶだと思ったらすぱっと出してくる。その高齢者の問題についても私は先般の委員会のときにもちょっとだけ申し上げましたんですが、ワク外者の問題ですね、あれはみんな高齢者になっているわけですよ。すでに実施されておるわけですよ。これは実施といえばおかしいけれども、現実の問題として給与が頭打ちになっているわけですね。また、現在の給与表を見ましても、実はあまり時間がございませんので私全部言ってしまいますけれども、ここにも、ほんとうはそちらのほうから先に給与表別の等級別の人員の分布ですね、それを初めにお伺いしないといけないんですが、いずれにしても、給与表を持ってきましたが、この表を見ましても、あとでチェックしてもらわなければならないかもしれないが、いずれにしてもカーブが、曲がりかどがある。上のほうにくると幅が少なくなっているのです。ということは、お年寄りになればなるほど大体上がらないようになっている、現在の給与表でも。特に私は行(二)の皆さんのところはこれはひどいと思うのです。その上にまたお年寄りになると、今回の勧告から見ると、十八カ月とか二十四カ月なんということになると、またそのところに追い打ちをかけて非常にかわいそうな人が多いと思うのです。もちろん、高給を取っていらっしゃる方はいいですね、そういう人の表もここにあるのですが、そういう行(一)の一等級とか何かは、上のほうになってもカーブが曲がっていない。一等級とか二等級というのは、上のほうにいってもすぽっとまっすぐです。六等級とか七等級はだんだんこうなっている、現在の給与表でも。そういうことは、二重三重に、お年寄りをあまり大事にしていないのじゃないか。そういうように思うのですが、そこらのところはいろいろな問題がからんでくると思うのですが、やはり退職勧告をしているみたいな感じがするのです、実際問題。そこらの点はもっと考えるべき点があるのじゃないか、現在の給与表でも十分役目を果たしているのじゃないか、こういうように思うのですが、この点についてはどうお考えですか。
  253. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 御指摘のとおり、この前も御指摘ございましたけれども、確かに現在のワク外あるいは最高号俸付近には相当高齢者の方がおられます。しかしながら、やはり中途採用で比較的若い号俸のところにも高齢者の方はたくさんいらっしゃいますので、そういう方につきまして、昇給が若い人と同じように行なわれるということはやはり問題がございます。で、これは民間の場合には公務員のような俸給表の上に乗っかっておりませんので、そういう関係は、比較的に昇給関係では高齢者高齢者なりの昇給としての取り扱いがなされておるわけでございますけれども公務員の場合にはどうしても俸給表の上に、どこかに入れるということになりますので、中途採用等の場合には比較的若い号俸に入るということがあるわけでございます。そういう関係で、今回のような措置が行なわれるということになるわけでございますけれども、いまお話しになりましたこの関係は、上のほうの等級におきましても、下のほうの等級におきましても、昇給カーブそのものは、民間の場合もそうでございますけれども昇給カーブそのものはだんだんそれほど上がらないという形にはなっているわけでございます。
  254. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 よくわからぬでもないんですが、その民間と比較するということ自体が、そこら辺の問題があると思うんです。民間のお年寄りと公務員の皆さんのお年寄りとはだいぶ違うと思うんです。その点が第一点。  それからもう一点は、もっとほかの点で何か検討すべきじゃないか、もっとほかの点で。たとえば退職金の倍率というものがありますけれども、ああいうふうなのは全然検討してないんじゃないか。相当前からのままで受け継いでいるわけです。ですから、そういうような退職金の改正等をもっとはかっていくべきじゃないか、こういうぐあいに思うんですが、その点はどうですか。  それから、先ほどもちょっと言いましたが、総裁、ことしの参考資料のいわゆる十六表、これは一番最後の「3その他」の二番に書いており、先ほど伺っておると言うたやつですが、これは大問題だと思うんです。これ、どういうわけですか。要するに、年末の期末勤勉手当等について、もしもこの表みたいに民間が、係員は三・五カ月で係長は四・七カ月で課長は六・一カ月で部長は七・三カ月だ、こういうふうな表、民間はそうなっている、実態はそうかもしれぬけれども、こんな表をここに載せたという意味は、これからこういうぐあいにしていこうというわけなのか、給料だけでもずいぶん差があるわけですね、実際問題。それがまた、ことしは今後さらに検討することとしているのでありますけれども、この高齢者の問題についても、去年はうかがって、ことしはすぱっと出してきているわけですね。これはこんなことを言うといかぬかもしれぬけれども、いつでも人事院のこれからの姿勢というのが、こういうところにあらわれているのじゃないかと思って心配しているわけなんですね。この表をここに出した理由はどういうところにあるのか、どういうわけなのか、これからこういうぐあいにしようと思っているのか、そういう点も含めて最後総裁の御見解をお伺いして私の質問は終わります。
  255. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 最初お尋ねの点、退職金の関係でございますが、これは先ほども触れましたように、鶴園委員にお答えいたしましたように、これは何も定年制に結びつけるようなものでもなし、さんざんいやがらせをして早くやめてもらおうと追い出しをはかっているわけでもありませんから、ものごとの性質としては、退職金にも直接つながることではありませんけれども、しかし、私どもとしては、やはり現実の問題を踏まえまして、退職の際に特別昇給というようなものについても今回新たな措置をとることにしでおりますし、それから先ほど局長が言いましたように、中途採用者が非常に多いわけです。中途採用者についての前歴計算その他の在職調整も並行してやりますので、その辺の手当ては相当のところやっておるつもりでございます。  それから特別給の表についてのお話でございますが、これはいまの高齢者の場合に味をしめたということもおっしゃいませんようですけれども、何か高齢者の例をお引きになりました。まあ私どもの場合はやはりあれを抜き打ちにやるよりは、去年堂々とやはり報告で明らかにして、そして皆さんにいろいろ議論していただき、御要望も聞いて今日踏み切ったという形は、私は非常によかったと思います。といって、いまの特別給の問題も、ことし一応予告しておいて、来年やりますぞというようなことには必ずしもならないのでございまして、先ほどもちょっと触れましたように、退職金の場合は、去年やろうと思えばやれて、ここでもたしか機会があれば成案を得次第、法案に載せていただきたいというくらいのことを申し上げたはずですけれども、特別給のほうの問題は、そこまでまだ具体化してはおりません。したがって、来年やるとかやらぬとかいうような問題は、先ほどの高齢者の場合とはよほど違う。来年やるとも申しませんし、やらぬとも申せない、率直にこれから検討したいということでございます。
  256. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないから簡単にお聞きします。  先にちょっとこれはお聞きしたいのですが、人事院説明の中で、ボーナスについてこういっているのですね。民間のボーナス支給割合職務、職階に応じて上にいくほど厚くなっている。国家公務員の上下一律というのは再検討すべきである。こう書いてありますね。これは再検討すべきというのは、下級の公務員は非常に少ないからここを厚くするという意味ですか。そうですか。そうだろうね、そうわれわれはとらなければならぬと考えるのだけれども、どうですか。あなたたちは、上厚下薄をいままでよりも格差を縮めたということをいっているが、これは当然そうなるだろうと思うのですが、そうとっていいですか。
  257. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) そういうようなデータが実は出ておりますということで、いま峯山委員も御指摘のように、参考資料もついておるわけです。しかし、それが正しい行き方であるのか、公務員に直ちにそれを応用していいのかどうかというところまでも含めて検討したい。しかし、民間の現実は、そういうふうにはっきりしておるということの問題を投げかけたということであります。
  258. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常にくさい答弁だと思う。われわれの了解は、当然これは下級の人に厚くするという、そういうたてまえでなければならぬ。ここのところはまるで逆のことを考えておって、そうしていま検討などということでごまかされたけれども、それじゃまずいと思うので、こういうことはあってはまずい。  第二にお聞きしたいのですが、これはどうなんです。スピードというのは待遇の中なんだ。スピードがおくれたんじゃしょうがないのです。きょうの百円があすの二百円よりもこれはもう必要だというととが起こるわけです。ところが、さっきから問題になりましたように、非常にこれは、五月から実施といったって十二月になる。そうすると、この金利というの、先ほどちょっと話が鶴園委員からも出ましたけれども、百億くらいですね。今度、住宅手当を新設したわけですけれども、これも非常に不十分な、三千円というのはどのくらいになる、総額で。これは計算していますか。国家公務員ではどのくらい、地方公務員ではどのくらいになる。概略でいいです。
  259. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) さっき申しましたように、この対象者は公務員——借家、借間等に入っておられる方で、約一八%くらいが対象になるわけでございます。
  260. 岩間正男

    ○岩間正男君 金額は計算していないの。
  261. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 金額といたしましては、今回の一二・六%のうちの約〇・三%程度と考えております。
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 額を聞いている。そんなのは実際の額を出さなきゃ。いかがですか。総理府のほうで計算しているでしょう。給与担当のほうで計算しているでしょう。二十五日にやるのだ。どのくらいになるの、額。
  263. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 百八十円くらいだろうと思います。平均でございます。
  264. 岩間正男

    ○岩間正男君 百八十億ですか。
  265. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 全公務員に平均いたしまして百八十円くらい。
  266. 岩間正男

    ○岩間正男君 約九万人。四十五万。
  267. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 四十八万。
  268. 岩間正男

    ○岩間正男君 どのくらいになる、ちょっと計算できるでしょう。四十五万人。
  269. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 四十八万。
  270. 岩間正男

    ○岩間正男君 該当者九万くらいでしょう。九万くらいで、一人どのくらい。一人年間で四万と見たって何ぼになるのです、三十六万か、三十六億ですか。(「二、三億だろう」と呼ぶ者あり)二、三億か、まあいい。その額はあとでやります、こういうことだね。住宅手当を新設したと言っているんだ。ところが、この原資は実施延期でできるのだ、こんなのは。こういう計算をしてくると、これは通勤手当も住宅手当もスピードをおくらしていけばできるのですよ。こんなインチキやっていいのですか、どうなんです。これは人事院総裁の責任じゃないでしょう。しかし、どうなんです、こういう形でやられること、こういう実態というものを明らかにすることが非常に必要だと思うのです。そうでしょう、大体四千四百億、地方公務員も含めれば。それが五月から十二月、それですから、中をとって四カ月あるわけですね。かりに年六分と見る、そうすると百億、そうするとこれを延ばす、当然この百億の金は国庫に入るわけだ。そこから支出すれば、いま言ったように新たに新設したとか何とか言っている住宅手当通勤手当は全部出るんだ。ここに今度のやり方の中に一つ問題があります。だから、スピードも待遇だということ、この点は明確にしておく必要が私はあると思う。こういう形で、人事院の今度の努力をそういう点についてむげにわれわれはこれを非難だけするわけではありません。努力を非常にされた点は、認めるのははっきり認めなければならぬと思っています。しかし、そういう中で非常に幾多の問題があるということは明確にしておきたいと思います。そういう点から見ると上厚下薄の問題、依然としてこれはあるわけですね。それから高齢者昇給の延伸の問題、それから住宅手当についてもこれは問題があります。期末手当についてはいまのような何だかおかしい方向にこれは持っていこうとする。そうして実際はほんとうに下級の人たち年齢の若い若年層、そういうところはやはりたいへんなことになっているわけなんです。これはほんとうに食べるだけです。食べるだけの人がおるし、中にはもうほんとうに生活保護並みのそういう人はたくさんいるのだという時代ですね。ことに私は、まあここではあまりもう答弁は要らないのですけれども、われわれの意見だけこれは述べておきたいのは、上厚下薄の問題、これは繰り返す必要もない問題かもしらぬけれども、一応われわれの意見だけをこれは述べておきます。そういう中で、これはまあ上厚下溝を縮めたというようなことを言っているが、これは指定職というものを除いて考えれば、そういうことにあるいはなっているかもしらぬが、しかし、指定職に対するやり方を見るというと、高校卒初任給引き上げが四千百六十円、これに対して事務次官の引き上げ額が、これは甲表の五号、これで見ますと八万五千円、約二十倍ですよ。基本給は、上下の格差を見るというと、高卒初任給が、これは行(一)の場合、八の二、これに対しまして次官の給料を見ますというと十五倍になっている、こういうことです。現行は十三・五倍ですから、これは上下の格差というのはますますこれはふくれているのだという現実は否定できないと思う。それからボーナスについてもいまのような危険がこれは出てくるわけですね。このようなやり方で非常に高級官僚を優遇する。そうしてこういう理由を聞いてみるというと、どうも高級官僚の天下りが最近非常に行なわれている。これを防ぐためには民間との格差をなくす方向でここで格段の努力をした、こういうことを言っているわけですね。しかし、はたしてこれでいいのかどうか。このねらいはさっきから政治的なねらいがあるということを言われておりますけれども、これは単に事務的なものなのかどうか、とにかくだれでも公務員はちょっと悪い、そういう気になるんじゃないですか。今度の指定職の表を見るというと実にさっぱりしているんですね。そうでしょう。何ぼでしたね。もうとにかく実にさっぱりしているな。気持ちがいいくらいでしょう。とにかく何ぼだ、三十万か、それから二十八万、段階がね。それで最後には四十万まで、こう行っているわけです。一ぺんああいう俸給をもらってみたいと考える、そういう公務員が非常に多いんじゃないか。したがって、上厚下薄とか何とか言っているけれども、今度の指定職をぐっとふやしたということが一般の公務員に与えている影響について人事院総裁は考えてみたことありますか。これははっきり私は性格を物語っていると思う。これでもってやはり民主的運営が非常に困難になってくる。それから、職場におけるそういうやっぱり一つの圧力、交流、民主的な運営というものを阻害する、それから非常にこれは職階制が強化される、そういう中で、どうしても官僚制度というものが大きくここで強化されていく、そういう方向にやっぱり貢献しているということを、これは私は明確にしておく必要がある。この点は答弁要りません。要りませんけれども、今度の中のこの上厚下薄の問題が持っているこういう背景というものを明確にすることが私たちの責任だというふうに考えます。  それからその次は昇給延伸の問題ですが、これは先ほどからも申されました、大体該当者を見るというと、行(一)で八%、五十六歳以上、それから行(二)の場合は二二%、行(二)の人なんか下積みになって非常にこれは当委員会でも問題になってきた。そういう人が非常に該当者が多い。しかも初任給が低い。そういう中で、当然これは高齢になったから保障されるということは、これはやはりあたりまえだと思うんです。だから体系なんですね。公務員賃金体系の中で起こっている問題を、そこのところだけ民間と比較して今度は変えていこう、そうして実際はこれは退職の道を切り開くというやり方については、われわれはやっぱり了承できないと思う。  それから住宅手当の問題ですが、この問題の突破口をつくるという努力は、これは認めることができると思います。しかし、ほんとうにこれに該当しなくても、実際は非常に苦心惨たんして、そうして持ち家政策という中で努力をして、そのために借金をどんどん払っている人がいる。その人には該当されないということ、これはどうなっている。この問題は放置していいのかどうか。突破口をつくるんだ、頑迷な政府に突破口をつくらしておいて、その上に立って来年は解決するというなら、これはそういう意図もわからないわけではありませんけれども、こういう課題を持っているんだ。  期末手当は、先ほど劈頭に述べたような問題、こういう数々の問題があるんだということ、この点については十分考えていただきたい。これは答弁要りません。  第二の問題は、これは何といっても、こういうようなわかってない給与改定だといいながら、しかし、どうしても抱き合わせに今度はこの人員の整理というものが第二次的に行なわれようとしている。そうしてそれが閣議で、実は昨日、佐藤総理の発言によってこれと関連して定員削減がにおわされた。既定経費の削減がうまくいかないなら、各省一律の天引きも考えなければならない、こういう形でとにかく総定員の五%削減がまだきまっていない。もう一年ある。そういう段階の中でまた人員整理を再びしよう。ここで私はさっきの荒木長官の答弁というものががまんできなかった。だから、あくまで出席を求めたんだが、何かハイジャック問題で来れないという口実ができたそうです。それで来れないことになったんですが、一体どうなんです。五%削減、総定員法でずいぶん論議をした。あれだけ時間をかけて論議した。そういう中で、この効果はあがっているのですか。あがっていないからまたやるというのですか。これはどうなんですか。これは行管の局長にお聞きしたいのです。どういうことなんですか。時間もあまりないから、簡単に答弁してください。
  271. 河合三良

    説明員(河合三良君) 従来の三年五%計画はそれなりの効果をあげていると信じておりますが、公務員の定員の適正配置という見地から、さらに定員削減による適正配置の遂行ということで新たな計画を立てるかどうか。また立てるとすればどういうふうになるか。現在それを検討中でございます。
  272. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体お聞きしたいのだけれども人事院総裁にもお聞きしたいし、山中長官いないんだが、とにかく私は、これは三月の段階だったと思いますが、質問したわけですね。完全実施ということでこの委員会で話した。非常にいままでこれはPRしたわけです。これはさわやかにやっぱりやるべきですよ。それを何だかおかしいものをくっつけて、ひもをつけて、抱き合わせて出してくるやり方というもの、こういうものは一体好ましいことなんですか。公務員というものをほんとうに尊重するなら、私はこんなきたないやり方というものはがまんできないと思う。こういうやり方、これは非常に汚点を残しますよ。一方では完全実施だ、その政治的な背景は昨年から、これは実際は六月二十三日の安保の延長との関連があるということは、しばしば当委員会でも論議されてきたのです。そして、とにかくこの七〇年には完全実施をしますからということを、とにかく期待させてきた。そして一応それがこういう形で出されて、それを完全実施するのだという政府の方針でやられる。ところがどうでしょう。きのうになってこういうものをくっつけてきた。首を切る、首を切ることを付帯しなければ給与改定はしないのだというやり方、こういう形で一体公務員を追い詰めてくるもの、こういうものに対してわれわれははっきり開き直らざるを得ない。どう思いますか。こういうことは望ましいと考えますか。これは山中長官がいると望ましくないと言うだろうと思うが、次官がここにおられますから、次官と人事院総裁にお聞きしたい。簡単でいいですよ。
  273. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まだ詳しい政府の御方針も確かめておりませんから何とも申し上げかねますけれども、要するに、私どもの立場としては、公務員に過酷な過重な負担にならないように、国民に対するサービスが低下しないようにということを念願しているわけです。
  274. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) 先ほども鶴園委員のほうから話がございましたように、実施時期を完全にやるということと同時に、スピーディに運ぶと、こういうことを念願いたしまして、私ども全体を取りまとめて促進の役に当たっているわけでありますが、先ほど荒木行管長官も申されましたように、本来給与完全実施の問題と、長官が言われた問題は、一応別個の問題であろうと思いますが、従来の慣例上、閣議決定等が行なわれます場合に、大体その三つの部分から、第一は改定内容、第二は実施時期並びにそれに関連する手続、第三は当然裏打ちになる公務能率増進の問題、こういう三つの観点から従来閣議決定が行なわれた経過等もございまして、その三つの部分に関連して荒木長官が言われたものと私は理解をいたしております。
  275. 岩間正男

    ○岩間正男君 望ましいか望ましくないか聞いておるのです。そういう弁解めいた答弁ではまずいと思う。さっぱりしたことを山中長官は言って盛んにばら色の宣伝をしていた。そのあとにぐらっとたいへんな黒いものが、ひもがついて出された。この背景にこういう問題はないですか、日経連がこの勧告に対して批判を加えているでしょう。こういうことを言っているんだな。日経連の五十嵐事務局長の談話という形でありますが、その中で、「民間の場合はその背景に各企業の合理化努力があるが、公務員の場合にはどれほど合理化努力が行なわれているか、民間給与水準を参考にするのはよいが、現在のように民間に追随するだけの人事院勧告制度は再検討すべき時期にきたと思う。」といって、実は今度の人事院勧告に対して日経連がこのような批判を出している。これは何かというと、合理化をやれ、首を切れという、これを前提にしなければ今度の給与改善はまかりならぬということです。これはさかねじじゃないですか。こういうものに屈しているとしか思えない。まさにそうじゃないですか。そんなことじゃまずいのだ。だらしがない、みっともない。山中長官がいないから困るのだが、山中長官ともあろうものがこういうものに屈したとしたら、あの人のイメージはこわれますよ、だめです。そういうことを明白に告白している。こういうことでは非常にまずい。これは行管局長にお聞きします。この前の五%の削減でも、たいへんいろいろな面で困難が出ている。非常にそのしわが国民に寄せられている。そういう中で、たとえば羽田、あそこの航空管制は全くこれは困っています。いま一分半に一台です。こういう発着状態ですよ。何ともかなわぬというんだ。もうほんとうに何とかしてもらうよりほかない。ところが、ここが御承知のように、人員がふやされない。それがどういうふうなかっこうになってくるか。きょうあたりもハイジャックの問題があったが、これとの関連があるかどうかわからぬが、とにかくこういう状態にある。それから気象の問題、気象の問題はことに今度の公害との問題で、いま全く日本列島をおおっている公害との問題で、この対策を一体政府はどうするのか。とにかくこれは世論に押されて一応やる、そういうふうなことで、政府の中にも、気象庁の中にもこういう公害の汚染度を観測する、そういうものをつくるのだといっている。ところが、こういうところでは人員を削られている。それでわれわれは大問題にしたわけです。その次は看護婦看護婦の問題も、これは依然として解決しないのだ。非常に看護婦さんが不足している。人事院勧告で今度は少し手当をふやした。われわれ当委員会論議して、夜間手当百円が二百円になった。今度これは二百五十円ですな。これは破格の何とかと書いてありますが、これ破格ですか。こういうかっこうで非常にやられていますが、この問題、解決していない。  それから公害の問題ですが、ここで通産省の設置法が問題になった。私は宮澤通産大臣に聞いたのだ。鉱山保安局を廃止して公害保安局をつくる。そこで、公害は非常に重大な課題になっていますから、当然これは行政の業務も非常にふえるだろう。したがって、当然人員は増されておったと思うが、どうなっていますかと言ったら、たった一人ふえました、これでこの問題の解決ができますか。これはしかし三カ月前だ。五月の段階です。ところが、その後、柳町の鉛公害とか、光化学スモッグというふうに日本の公害という問題は性格的に変わってきている。こういう体制の中でこれできますか。こういう問題については何らこれは措置してない。私は二、三の例をあげただけでありますけれども、こういう問題が堆積している中で再びやるのですか、再び第二次の五%削減やるのですか。こういうことは許されますか。そうして、それと抱き合わせでなければ実際は今度の給与改定はやらないという。ほんとうは荒木長官とか、少しばりばり言うのが来て、そこで対決をすれば一番いいわけですが、どうも局長は少しおとなしいから、これにどういう答弁するか、答弁をお聞きしておきます。長官にも伝えてください。
  276. 河合三良

    説明員(河合三良君) お答え申し上げます。  はなはだ事務的な答弁で申しわけございませんが、ただいまの御指摘の点につきまして、行政需要の消長に応じまして、いろいろな点で人員需要がふえる。あるいはそれが若干相対的に低下していくという部門がございますので、その消長に応じまして定員の配置の適正化をはかるという趣旨でいたしておりますので、そういう趣旨にのっとりまして各省庁と十分に打ち合わせをいたし、その実情を伺いながら定員の配置をしていきたいと思います。
  277. 岩間正男

    ○岩間正男君 そんなことを言っても、佐藤総理は一律削減もしかたがないと言っている。そういうことを言っても、佐藤総理のきのうの閣議の発言でも、各省庁の一律削減もしかたがない、こういうことでは、あなたたち、ここの答弁でごまかそうと思ってもごまかされないですよ。私は絶対反対だ。こんな形で、きたない黒いひもをつけて——私は完全に満足はできない。いろいろな条件を持っていながらも、今度の人事院勧告の問題は、とにかくある程度やってくれたという感じはみな持っているだろう。そういうところにこんなものをなぜくっつけるのか。これは政治的に重大な問題です。われわれは、こんなことは絶対やめるべきだ、そう主張したい。これを荒木長官に伝えてください。佐藤総理にもほんとうは出席してもらいたかったのだが、これはまたさらにやらざるを得ないです。二十五日の閣議でこんなものをつけたら承知しないですよ。どうですか、答弁ありますか。給与担当次官、答弁を。
  278. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) 先ほどおっしゃいました、実は私も閣議に出ておりましたので、多少承知しておりますが、その天引きと言われました意味は、先ほど来話もございましたように、今回の給与勧告に伴う所要財源等については大蔵大臣から話がございまして、昨年の給与改定のときは約千億円程度の所要財源であったのが、今回は一般会計だけで約二千億に近い千八百八十五億です。そうしますと、現在の予備費その他の未確定財源等から考えて、なかなか普通の経費の削減では思うようにもいくまいというので、場合によっては各省庁それぞれその経費のひねり出しに努力してほしいが、どうにもしようがないときに、経費に関する一割天引きということもあるいはあり得るのかなという趣旨でございまして、人員ないし総定員に関する実は話ではございません。私どもとしましても、給与担当でございますから、完全実施の線に沿って給与担当の総理府としては全力をあげて邁進したいというふうに考えております。
  279. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。     —————————————
  280. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 次に、先ほど起きました全日空機乗っ取り事件について、防衛庁当局から説明を聴取いたします。  なお、正式に発表できないような部分があれば速記をとめてもよろしいと思います。——速記をとめて。   〔午後七時十三分速記中止〕   〔午後七時二十四分速記開始〕
  281. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 速記を起こして。  それでは、御質疑のある方は御発言を願います。
  282. 上田哲

    ○上田哲君 まあ、事件が終わっちゃったかもしれないんですが、浜松へおりたというのはどういうことですか。つまり常識的に浜松というのは民間航空はおりないと思うのですが、これはどういうことになって浜松になったんですか。
  283. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  284. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 速記つけて。
  285. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) ただいまのお尋ねの浜松は航空自衛隊専用の基地でございます。したがって、通常、民間航空の航空機は離発着していないわけです。なぜ犯人が浜松に緊急着陸したいといったのか、ちょっと犯人を調べてみませんとその辺の心情は理解しにくいわけで、まあ、しいて、これは私の推察でございますけれども、しいて申し上げれば、ちょうど名古屋から決心して乗り込んだのだろうと思いますが、一番名古屋から近い基地を知っていて、そこですぐ次の浜松におりろというようなことを考えて言ったのじゃないかという程度に推察される程度でございます。いずれ犯人がつかまりましてから調べればわかることと思います。
  286. 上田哲

    ○上田哲君 スクランブルがかかっておりますね、これは何機ですか。
  287. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) F86二機でございます。
  288. 上田哲

    ○上田哲君 そのF86二機がスクランブルがかかってどういうような形でどうなったかということはわかりますか。つまり犯人が浜松へ着陸せよというふうに言ったわけですね。それでピストルを突きつけられて飛行機がそこへおりてくるということになるわけですけれども、スクランブルがどういう目的で、その場合にたとえば飛行機をどういうふうに誘導したのか、あるいはほかへ持っていこうとしたのか、そこのところはどうでしょう。
  289. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 状況は十七時十二分、つまり知りましてから約五分後に小松の基地からF86二機が緊急発進をしております。これはこの前のハイジャックのときも緊急発進をいたしました。これは理由としましては、まあハイジャックの例がときどきあるわけで、この前は北鮮に行きましたわけで、ハイジャックで機内でどういう事故が起こるか捕促しがたい。場合によってはすぐ本土外といいますか、飛ぶかもしれないし、あるいは事故があって何か不幸な、墜落等の事故があるかもしれない。そういう場合に、すぐついておりまして、スクランブルをかけてそばをずっと飛んでおりますと、事故の状況も早く判明する、あるいは本土外に行こうとしますと、その航路も直ちにわかるというふうなこともございまして、直ちに緊急発進をさした、こういうふうに思うわけであります。
  290. 上田哲

    ○上田哲君 二機スクランブルして、大体浜松に誘導したということになりますね。で、小松から飛んだこのスクランブル二機は小松へ帰ってくるわけですかどうか。  それからまあついでのことですから、まとめて御質問しますけれども、前回のハイジャックのときに、大体同じ時点で、スクランブルにかかってからそう遠くない時点で、大体海の向こうとある種の連絡体系があったように思うのです。今回の場合は一発目のスクランブル、それから、そのあと飛んでいきそうなコースもあるわけだけれども、どういうふうになっていましたか。
  291. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) おそらく事件が解決しましたから小松に帰っていると思います。  それから、その緊急発進しましたのが十七時十二分で、それから浜松に着陸しましたのが十七時十九分でございます。したがいまして、緊急発進の理由は先ほど申し上げたことで緊急発進さしたわけですけれども、浜松に着陸しましたので、あとは地上の解決をずっと上空で見ていたということであったろうと思われます。それで、事件解決次第もとへ帰ったと、こういう状況になっていると思います。
  292. 上田哲

    ○上田哲君 ほかには連絡ないですね、つまり第五空軍なり何なりに間接連絡して隊へ連絡をとったということはなかったのですね、今回は。
  293. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 米軍その他に連絡したり依頼したりということは私の報告を受けている限りございません。いまのことを、ずっとこういう状況から見てその必要はなかったと思いますし、そこを確かめておりませんけれども、まずないものと思います。
  294. 上田哲

    ○上田哲君 ちょっとこまかいことですが、十七時七分に浜松タワーに入った。それでスクランブルが十七時十二分ですね。全日空機がおりたのが十九分と、こういうことですか。
  295. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) そうでございます。時間的経過はそうなっております。
  296. 上田哲

    ○上田哲君 そこから先のことはよくわかりませんから。大体もう終わっていれば別に意味のないことになりますけれども、前回のハイジャックの教訓に基づいてぜひひとつお願いをしておきたいと思うのは、この前は板付ですけれども、若干の、確かにスクランブルがかかった。あのときは四機出ております。とにかくどこから発したのか四機になっている。いずれにしてもそういう状態になると自衛隊のかさの下に入る。今回、特に浜松におりているということになると、これはもうある意味民間ということを乗り越えているところもありますし、そういう場合に、前回起きた混乱とは言わないけれども、問題点は、一体民間航空機系統というものと、それからオフィシャルな部分と、それから軍というとことばは悪いかもしれませんけれども、そういう問題が非常に障害になったとは言わないけれども、問題になった。これは主体がどっちへいってしまったかということは、非常に、あとから「よど」号事件のなぞみたいなことを残したことになるわけです。今回は浜松におりているわけですから、一番手近な点でいえば縄張りということになるでしょうが、そんなことはないと思うけれども、その辺にひとつ人命尊重ということをその前にしっかり出してもらいたいということ。それから、これはわかりませんが、もし、いまの状態で終わっていると、もう終わってしまった気もするし、これから飛び上がって向こうへ行くというようなことはないと思うけれども、その場合に、人命尊重を口にしながら、少し違った、軍事的要素であるとか、あるいは外交的外交要素みたいなものが作用しないように御配慮をいただきたい。この点、たまたま副長官もおられるから、あわせて御確認をいただきたいと思います。
  297. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 御趣旨はよくわかりました。今度の事件に関します限り、米軍当局と連絡、調整する必要は全くなかったように思われます。それが介入するあれも全然必要なかったものと思います。それから民間航空との関係では、おっしゃるように、まさに航空自衛隊の基地におりたものですから、航空自衛隊がとりあえず全面的にお手伝いをするように、警察の到着を待つというような措置をやりましたし、また、それが当然であったと思います。民間航空との関係は直ちにいろいろな連絡をつけたものと思います。警察との関係もそういうことでつけております。考え方として、人命尊重を基調としながら犯人逮捕に警察も努力されて、結果としてうまくいったようでございます。まあ全部が解決したかどうか、まだ正確にちょっと時間的経過で把握しておりませんが——いまメモを持ってまいりましたが、事件解決というメモを持ってまいりましたから、さっき申し上げたので終わったものと思われます。
  298. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) 過般の「よど」号の際も、実は運輸省が中心になって、諸般の連絡その他やったわけで、実は官房のほうがもっぱら連絡を担当してあの際はやったのでありますが、しかし、関係するところきわめて大きいし、かつそれぞれの御協力を願わなければいけませんので、私もいまが初耳でございますから、役所のほうに帰り早々、部内全体として、先ほどおただしのような点について十分過般の教訓にかんがみてひとつ連絡をしてみたいと思います。
  299. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一言だけ聞いておきたい。何といいましても、もう解決した問題だとは思うんですが、やっぱり人命尊重ということがまず第一だと思います。私は、防衛庁の飛行場に今日おりましたし、緊急事態が起きたときに一体どういうぐあいに連絡がくるのか。それで速記をとめなければいけないぐらい不正確な報告しかこないのか。そんなことをしていたのでは実際問題として役に立たない。今回は数時間で解決したからいいようなものの、これがもしずっと長引いたりいろいろした場合、たいへんなことになってくると思います。そういう点から考えてみますと、一つは、そういうふうな場合に連絡系統はどうなっているのか。どこからどこへ連絡してどこへくるのか。そして大臣はどこでどういうぐあいに判断するのか、それがまず第一点。もう一つは、そういう場合に現場の基地の責任者はどういう人が責任者になるのか。その責任者は一体どういう法律に基づいてそういうような問題を処理していくのか。この問題については、先般、小松基地の104が落ちたとき、あのときやっぱり問題になりましたよ。あの104が落ちて町が焼けたとき、基地から三十人くらいの人がカービン銃を持ってきました。私、行きましたが、これは地元でえらい騒ぎになった。そういう点はこの間ずいぶん問題になっていますけれども、そういうふうな責任者が、いわゆる指揮官心得なんという字句がありますけれども、そういうふうなものをちゃんとつくっていないといかぬと思うのです。私は、そういうふうなものをつくるなり何なりして緊急事態にぱちっと備えるようにすべきだと思うのです。こういう事態が起きれば起きるほど、なお一そうそういうものについてはきちんとすべきだと思います。そういう点についてはどういうふうになっているかお伺いしたいと思います。
  300. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 速記の件につきましては、ちょっと私誤解をしておりましたので、おわび申し上げたいと思います。先ほど御報告しましたのを、別に大臣の許可がないとかいうふうなことで速記をとめていただきたいと言ったわけではございませんで、委員会がもう終わられまして、そうして、何といいますか、御参考にお話し申し上げるという連絡を私としては受けたつもりだったものですから、正式な委員会に御報告をするという心がまえでなかった。しかし、それは私の誤解と思いますので、その点はおわびを申し上げます。内容としましては、速記をつけて正式に御報告してちっとも差しつかえなかったわけでございます。  それからいまのお尋ねの、一つは連絡方法でございますが、これは、先ほどのような情報は、ちょうど私どもがここに大臣以下御審議をいただいておった席上直ちに連絡がまいりました。ちょうど防衛関係終がわります前後に入ってまいりました。連絡方法は、こういうことに限らず、自衛隊の性格から見まして速報ということを平素からやっておりますので、この時間からすぐに主要なところに——今度の場合には航空自衛隊、航空幕僚監部、そして内局の防衛局の運用課というのがこういうことの窓口でございますが、そこから通常ですと私の部屋に来、すぐ大臣の部屋にも行くということですが、たまたまわれわれ幹部がここにおりましたので、ここにすぐ連絡があったということで、速報体制は自衛隊としては十分できているというふうにわれわれは心得ております。御了承いただきたいと思います。  それから、現場の責任者はこの場合は浜松の航空団司令でございますが、その上にはもちろん方面隊司令官とか、総隊司令官とかおりますけれども、あそこの基地の責任は航空団司令でございまして、先ほど御報告しましたようなことは、逐一、航空団司令が指揮をしながら、現場でも対策本部長あるいは警察署長と連絡し、同時に空幕を通してわれわれに連絡が来た、こういう状況になっております。浜松に限らず、事件が起きましたらそれぞれの航空基地ですと航空団司令、たとえば陸でしたら連隊長というふうにそれぞれの責任者が必ずおりまして、所要の措置を即刻できるようにしておるわけでございます。
  301. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もうちょっと正確に聞きたいのですけれども、一体、たとえば浜松の航空団司令が要するに   〔理事石原幹市郎君退席、理事上田哲君着席〕 報告してからあなたの耳に入るまで、どうもいろいろあっちこっち人を通して入ってくるような感じですね、報告が。その間に人をずいぶん通すということは、いろんな連絡が不正確になるんじゃないかと思うのですよね。もっとやっぱり何か系統立てて、だれからだれにというようにはっきりした、やっぱりもっと正確な報告体系がなきゃいけないのじゃないか。いわゆる窓口があるとかいいましても、そういうようなところはこういう緊急事態のときには幾種類もの情報になって流れてくると思うのです。一つのきちっとした正確に、いわゆる筋として流れてくるんじゃなくて、やっぱり大臣にしましても、局長にしましても、ある場合は何人も人を介し、非常に不正確な面があるんじゃないかと思うんですが、ここら辺のところはどうですか。
  302. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) お尋ねのようなことは、確かにそういう緊急な事故の場合には心しなければならないことだと思います。警察とか消防とか自衛隊というものはそういうものだと思います。いろいろな経路で報告が途中で不正確になるということは、こういう組織ではできるだけ避けなければならない。今度の、先ほどはちょうどそういう状況でございました。   〔理事上田哲君退席、理事石原幹市郎君着席〕 で、直ちに大臣もわれわれも帰りました。そうして大臣室へ集まりまして、そうしてこれは航空幕僚長あるいは航空幕僚監部の防衛部長、所管の部長でございます。それから内局としては大臣以下私どもが集まりまして、順々に聞くんではありませんで、空幕の運用課へ入ってまいります電話を大臣室で即刻次々に聞いて、大臣も指揮をされるし、われわれも所要の措置をとるというふうなやり方をいたしました。で、似たような事件でございますと、たまたま今度の場合はこういう緊急なあれでしたから大臣室でやりましたけれども、もう少し程度の低い事件でございましたら防衛局長室を使うとか、あるいは航空幕僚監部のオペレーションルームがございますが、そういうところを使うとかというようなことで、順々に時間をかけて緊急でない事件ならやりますけれども、緊急にさっとやらなければいけないというときにはオペレーションルーム、つまり昔でいえば作戦室のようなものが所要の人を集めて、そこで一緒に報告を聞いて直ちに指揮をするという体制をとっておるわけでございます。
  303. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一言で終わりますが、先ほどもちょっと言いましたけれども、こういう際にはやはり人命尊重ということが第一と思うんです。普通のほかの官庁ならそれだけで終わりなんですけれども、人命第一ということで考えればいいんですが、防衛庁の場合はそうはいかぬと思う。今度はこういう事件だからいいようなものの、それ以外の事件があるわけですから、やっぱりそうはいかぬと思うんですね。ですから、そういう場合に、たとえば航空団司令としては司令が動くためのいろんな法律というのはきちっとしなきゃいかぬと思うんですよ。きちっとしているんですか、これはどうですか。
  304. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 緊急の、たとえば防衛出動だとか、治安出動だとか、その他の本来の任務といいますか、そういうふうなことを頭に置いてのお尋ねかと思いますけれども、少し話が、そういうことになりますと大きくなりますけれども、内部の手順としましては、そういう規定といいますか、手順といいますか、そういうものは全部完備して、体制も、しょっちゅう演習なんかしましてやっているつもりでおります。立法措置を要するようなことは現在の自衛隊法、それに基づくいろんな法令以外に、有事に際しますいろいろな法的な措置はもっとお願いしなきゃならぬ部分もたくさんあろうかと思いますけれども、現在の法体系のもとで内部でやるべきことは全部備えまして、それに基づいていろんな訓練をやっておるというのが自衛隊の状況でございます。
  305. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  次回は九月二十九日午前十時三十分開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時四十六分散会