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1970-03-31 第63回国会 参議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月三十一日(火曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      森  勝治君     鈴木  強君  三月三十一日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     森  勝治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         近藤 信一君     理 事                 長田 裕二君                 新谷寅三郎君                 松平 勇雄君                 永岡 光治君     委 員                 植竹 春彦君                 古池 信三君                 郡  祐一君                 白井  勇君                 菅野 儀作君                 寺尾  豊君                 平井 太郎君                 久保  等君                 鈴木  強君                 野上  元君                 森  勝治君                 塩出 啓典君                 村尾 重雄君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  井出一太郎君    政府委員        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君        郵政政務次官   小渕 恵三君        郵政大臣官房長  野田誠二郎君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会専        務理事      川上 行蔵君        日本放送協会専        務理事      志賀 正信君        日本放送協会理        事        松浦 隼雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  昨三十日、森勝治君が委員辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 「放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件」を議題といたします。  本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 もう大体質疑は尽きていると思いますので、私は二、三の点だけを指摘してお伺いをすることにいたしたいと思います。  最初に、この協会予算も九百九億円——九百億円台を越したわけですが、ことしは物価上昇その他が依然として続いていくと思うんですけれども、この予算を編成するにあたって、どの程度物価高を考えて編成しましたでしょうか。これは、物資、資材の購入等もあるでしょうし、それから出演者出演料の値上げ、あるいは従業員給与の改善、あるいは役員皆さん給与はどうなっているか知りませんが、これも是正すべきものは是正しなければならぬと思うんです。そういった諸般のファクターを考えるときに、およそどの程度物価のアップということを考えてつくられたのか、これを伺っておきたいと思います。
  5. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 四十五年度の予算を編成しますにあたりまして、事業費全体といたしまして、およそ八・六%の上昇率になっておりますが、そのうちで、一般物件費関係物価増対策といたしましては、ものによりまして、この際節減をはかったり、いろいろやっておりますので、全体として、正確には申し上げかねますが、大体五%程度物価上昇対策ができたものというふうに考えております。  なおまた、いまお話しの役員給与関係につきましては、今回は異同はございません。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 出演料は幾らか上がっておりますか。できれば詳細にここで承りたいのですけれども、時間がありませんから、あとでその資料でも出していただけばけっこうですが、上がっておればどの程度上がっておるか、その点だけ伺いたい。
  7. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 出演料の全体といたしましては特に上げてはございませんが、個々の出演者につきましては、格づけの変更をいたす予定でございます。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 それでは次に、雑収入、これの内訳をちょっと知らしていただきたいのですが。
  9. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 雑収入全体といたしましては、総額が十三億二千四百万円でございます。その中で受け入れ利息が十億一千二百万円でございまして、これは一般預金利息及び債券等運用利息等でございます。それから雑入金といたしまして、三億一千百万円を予定をいたしております。この中に、基地周辺受信障害対策補助金といたしまして今回基地周辺受信料免除に対しましてNHKが拡大を予定をいたしました分につきまして、防衛施設庁からその半額分補助金として交付されるということになりましたので、その分をこの中に入れてございます。なお、雑入金はそのほかに二億四千万ございますが、これは、社宅賃貸料その他の一般雑入金でございます。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 基地周辺のほうは、金額は幾らになりますか。
  11. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 防衛施設庁から交付予定をいたしております金は、七千百六十四万円でございます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 この二億四千万円の分については、雑収入の中にまた雑入金というものがあるわけですね。したがって、その二億四千万の内訳については後刻また資料で出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  13. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 二億四千万円の内訳につきましては、先ほどちょっと申し述べましたように、協会施設貸与料あるいは社宅貸与料、その他不要物品処分代金というようなこまかいものがたくさんございますが、後ほど資料でお目にかけたいと思います。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 防衛施設庁から鶴崎さんに来ていただいたわけですけれども、御苦労さまでした。  このNHK雑入金の中に計上しております七千百六十万円のこの金は、私どもが長い間、基地周辺皆さんにはたいへん迷惑をかけておる、迷惑をこうむっておるので、それを何とか補償すべきであると主張してまいりましたが、それが実現できたものだと、私はそう理解します。ですから、この際、その点については心から感謝いたしますが、やり方はいろいろありまして、これは非常に不十分ですしね。二キロ、一キロの分は全く除外しているようですから、その分は当然見るべきであるし、もっと言うならば、全体の免除額について見るべきだというのが私の考え方ですけれども、一挙にはいかないでしょうから、まあ一歩前進ということで、まあ非常に御高配いただいたことには感謝いたしますけれども、ただ、この七千百六十万円というのは一体交付金ということになるのか、あるいは補助金ということになるのか、明確にその点がわかりません、私には。  皆さんのほうの防衛施設庁一般会計予算書も拝見してみましたけれども、そこには、項の一八三で、「施設運営等関連諸費」というのがありますね。おそらく、「説明」の中の1、2とありまして、その2の最後のほうにあります「アメリカ合衆国軍隊等に対する提供施設等に関連して必要となる土地購入借上げ補償等」と書いてある、その「等」ではないかと思うのですね。あるいは「自衛隊の施設等に関連して必要となる土地借上げ漁業補償等」、この中に入っているのですか。これは、さっぱり予算書を見てもわからないです。根拠法規はないし、ただわずかにここに書いてある。だから、おそらく私は、この「等」の中に含まれているのではないかと思うのですけれどもね。これを出すことに対する根拠が法的にきわめて不十分です。だから、出すことはいいんだが、もう少し法的な整備をしていただかないと困ると思うのですがね。まさか、ことし一年だけ出して、来年は知らぬというのではないでしょう。その辺をひとつ明確にしていただきたいです。
  15. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) 本件補助につきましては、一般的に申しまして、補助金には、特定法律に基づいて支出する法律補助と、それから特定法律には基づかない単なる行政措置としての予算補助とあるわけですが、本件補助はその予算補助に該当するという形になっております。したがいまして、予算補助の性格上、これはもうその年度年度で勝負をするといいますか、そういう形になりますので、将来にわたって、はっきりした根拠に基づいてやるということになりますと、これは何らかの法律的な根拠を求めたほうがよりよろしいということに相なろうかと思います。したがいまして、先生のおっしゃった、何らかの法的な措置をとるべきでないかということにつきましては、われわれとしても十分今後検討いたしたいと、このように考えております。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、部長にそこまではっきりおっしゃっていただければ、私はこれ以上申し上げなくていいのですけれども、ただ、補助のしかたに二つある。法的根拠に基づくものと、それから行政措置でやるというのがありますね。これがやはり私は問題だと思うのですよ。それは、国会というのは予算をきめる権限を持っていますからね。どういうために使うかという、やはり使途を明らかにして承認を求めるのが原則ですよ。だから、予備費の中に、ある一定額をとっておりましても、それを使う場合には当然閣議の承認を得て国会承認を得る、こういうたてまえをとっているわけですから、ですから、よほどのことでない限りは、行政判断によって予算を使うということは、これは原則としてはいかないことですよ。私はそう思うのです。ですから、違法であるか違法でないかということは、これはやはり問題になります。だから、国会が憲法によって皆さん予算承認したときには、国会承認しておるわけですから、違法性というのは私は追及してもこの問題は一応のがれることができると思うのですね。しかし、実際にどういうことに使うか、まあ、行政判断で使うということになりますと、これは非常に問題だと思うのですよ。だからこそ、「防衛施設周辺整備等に関する法律」とか「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律」というものが四十一年と四十二年にそれぞれでき上がってきているわけですから、皆さんNHKといろいろ相談をして、ことし限りでやる、これは。したがって、省議できまり、大臣がそれを内閣に話して、まあ、いいじゃないかということで、その年限りのものであれば、私は、場合によっては行政措置で済ましてもいいと思いますけれども、これはそうでないのですよ。やはり、ちょっと続けていただかなくちゃ困りますし、また、そういう趣旨でやったと思いますから、それにはきちっとした根拠をつくって、そうして国の予算NHK交付するというかっこうをとったほうが私はむしろいいと思います。ことしは、おそらく時間的にいろいろとあったでしょうから、とりあえずそういう措置をとったと思いますので、私も疑義はあります、疑義はありますけれども、私はこれ以上追及しませんけれども、そういうふうに思いますから、私は中途はんぱな根拠ではいかぬと思う。だからして、それをきょうは詰めて部長のお考えを伺ったわけですから、ぜひひとつ私の趣旨を体して法的な問題——これは一項を入れればいいんですからね。現に、施設周辺整備等に関する法律施行令ですね、昭和四十一年にできた、これが四十二年に改正になっておりますね。その中にも、例の第三条の——昔は障害防止工事の対象が鉄道だけだったんです。ところが、今度は三号を起こして「テレビジョン放送を受信し、これを再送信するための共用の有線電気通信設備」も入れたわけでしょう。したがって、これは施行令を変えるか、どっちでもいいのでしょう。いいけれども、そういう措置を必ずとってください。これはもう一回言明してください。そうしないと、納得できないですね。
  17. 鶴崎敏

    政府委員鶴崎敏君) ただいまの先生のおっしゃる御趣旨については、今後十分検討をしていきたいと、このように考えております。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 それから郵政省に伺いますが、これを受け入れたほうの郵政省にも落ち度がある、この点を私は指摘したいと思います。  まず、いま協会に国から交付し、これを受理できる金は、放送法の三十四条、それから三十五条ですね。三十三条の国際放送、それから三十四条の放送に関する研究ということも、これは郵政大臣が、この放送協会に対して、事項を定めて研究を命ずることができるわけですね。その命じたものについては、やはり費用は国が負担する、こういうたてまえになっておりますね。そこで、放送法施行規則の第八条の「収支予算記載事項」というのがありますね。このひな型が、区分が、別表第一号で出ておりますが、その中に、NHK事業収入の場合に、項のところで、収入の中に、受信料と、交付金収入と、雑収入と、こうあるわけです。この交付金収入の中に、国際放送関係政府交付金及び選挙放送関係交付金、この二つが載っておるわけです。これはしかし私は不十分だと思うのですね。いままでNHK命令をして研究をさしたことはないかもしれません。しかし、法律のたてまえ上、そうなっているとすれば、少なくとも、この別表第一号の説明のところには、そういう研究をした場合における交付金というものも入れておかなければいけない。これは落ち度ではないですか。
  19. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましては、そのような方向で検討いたしたいと思います。ただ、従来、放送に関する研究とか命令とかといったことにつきましては、その例がなかったということでございまして、今後研究さしていただきたいと思っております。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 これは、例があるなしにかかわらず、法律規定されたものを受けて別表第一号というのがあるわけだから、当然、交付すべきものについては全部羅列しておくのが筋でしょう。これは明らかに間違いです。訂正しなさい。研究するなんていうものじゃないですよ。
  21. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) その点、検討さしていただきます。おっしゃるように検討さしていただきます。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 おっしゃるように、検討する——検討検討で、いつも検討で終わってしまう。それは私の言うとおり検討して、そうしてください。そういう点をもう少し、これを受け入れるに際して、協会側ともよく相談をして、そうしてちゃんとしておかなければいけないと私は思うのです。やってくれたことはいいけれども、道筋をあけないでやってしまっているから、あと交付金について問題が起きる。  それからその次に、CATV法案はなぜ今度の国会に出なかったのか。
  23. 小渕恵三

    政府委員小渕恵三君) 政府といたしましては、法案内容等にまだ検討事項が残されておりましたゆえに、調整に至らず、法案提出ができなかったのでございます。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 調整がつかないって、どこが調整がつかなかったのですか。前回衆議院にも出して、衆議院を通過して参議院に参って、われわれ大阪まで公聴会を開いて行ってきている。たまたま大学法のあおりを食って、これが廃案になったのでございましたね。いまの政務次官のお答えではわかりませんけれどもね、どういう点が調整つかなかったのか。
  25. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  いま政務次官が言われましたように、こちら政府といたしましていろいろ検討しておったわけでございますけれども、最終的に提出するまでに至らなかったということでございます。特に今回は、御存じのように、日数が限られているという点がございまして、三月二十日の提出日までに検討が済まなかったというわけでございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 そんな三百代言みたいな話を聞いているのじゃないんだよ。忙しくて出せないとか、日がなかったとか、そんなことは理屈になりませんよ。私の聞いているのは、もっとどこに本質的に出せない理由があったかということです。出すつもりで……。あなた方はそれでめし食っているのでしょうが、あなた。出せないということは職務怠慢じゃないか。だから、どういう理由で出せなかったかということを聞いているのです。どこに問題点があったかということ。
  27. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、出すべく準備を進めておったわけでございますけれども期限までに検討ができなくて提出ができなかったということでございます。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 どこができなかったのか、検討の、どこが問題でできなかったかというのですよ。
  29. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) 御存じのように、この前衆議院修正ということになりまして、私どもはそれをもとにいたしまして準備を進めてまいったわけでございますけれども政府部内で調整がつかなかった、調整がつかないというよりも、期限までにまとめられなかったという状態でございます。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 だから、期限までにまとめられなかったのは、どこが問題でまとまらなかったかということを聞いているんですよ。
  31. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) まあ、CATVの問題につきましては、御存じのように、いろいろ問題がございまして、特に最近新しいような問題も出てきましたし、まあそういったものを含めまして、衆議院修正も考慮いたしまして検討していたというわけでございますけれども政府として三月二十日までにまとめるということができなかったというわけでございます。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 これは、委員長、さっぱり私の言っていることに答えていないのです。そんなことじゃ議事は進行できない。どことどこに問題があったのですか。それで意見がまとまらなかったのか。
  33. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) いろいろ問題があったわけでございますけれども、結局、はっきり申し上げますと、まあ政府部内でいろいろ検討はいたしましたけれども、その検討する日数が足りなかったというふうに解釈していただければいいんじゃないかと思います。
  34. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  35. 近藤信一

    委員長近藤信一君) では速記をつけて。
  36. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) どうも失札申し上げました。  まあ、御存じのように、いわゆる問題点といたしましては、ビル陰による再送信がありまして、それに自主放送をプラスするという点が一つ。そのほかに、最近、区域外送信と申しますか、そういった問題も出てきましたので、そういった問題を含めまして検討しておったわけで、まだ、何と申しますか、煮詰まらなかったというふうに申し上げたらよろしいかと思いますけれども、何せ日数が非常に限られておったという物理的な理由もございまして、いまのような点を検討はいたしたわけでございますけれども、最終的に結論を得ることができなかったというわけでございます。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 皆さんはね、ひきょうだな。国会の場でもって、自分の心に思っていることを言わない。あなた方は法制局との間に、前回言論報道の自由を侵害するかしないか、この問題についていろいろと意見があった。それで、結局、前回政府原案というものは国会において一部修正されて参議院に来た。そこいらが一体、実際今度再提案するに際して法制局意見がまとまったものかまとまらないのか。そんなビル陰問題がどうかとかと言いますけれどもビル陰問題は、もう、何か知らぬが、一月十三日かに新聞紙上で私も拝見したんだが、財団法人東京ケーブルビジョンというものをつくって、郵政省もその中に入って一はだぬいでやろうというような、設立当初の役員まできまっているじゃないですか。それだけ進行をして、大事なこういう問題が出てきたからして、CATV法案というものが必要になってきた。たとえば、ローカルでどういうものを放送しているのか、自主放送内容についても。だからして、CATVこそ先にやって、法秩序の不備を整備して、それを確立した上に立って、日本CATVというものをどう持って行くかということを考えなきゃいかぬ。NHKは、本来、難視聴区域の解消は固有の義務だ。私はそう思う。したがって、NHKは、一体、今後都市のビル陰問題についてはどういう施策を立てておるのか。四十四年度予算にもちゃんとその予算は組んであった。私は覚えている。そういうものが一体四十四年度中にやられたのかやられないのか。ただ、政府が考える、民法上の、大臣承認するこういう公益法人がどんどん出てきてしまって、そういう根本的な問題について何ら触れてない。そんなものを未解決にしておいて、CATV問題を未解決にしておいて、こういう問題だけが先行するということは一体どういうことだ。私は、これについてはうんと疑問を持っている。はっきり言いなさい、はっきり、あなた。
  38. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) CATV法人のことについてでございますけれども、これは法案と並行して進んでいたわけでございまして、御存じのように、ことしになりまして、まあCATV法人のほうはまとまって、それが先行したという現状でございます。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 おかしいじゃないか。
  40. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) まあ、私どもといたしましては、昨年来、まず、おっしゃるように、法案をつくって、それからそういった法人を指導していけばよろしかったと思いますけれども、具体的には法人のほうが先にできたというかっこうになったわけでございます。ただ、この法人ができたといういきさつは、御存じのように、まあいろいろ新宿の問題を契機といたしまして出てまいりましたものですから、たいへんそれを急がざるを得なかったという事情がございます。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 あなたはまあ途中で局長かわっているから……。前のいきさつについては引き継いでおると思いますけれども……。  私ども新宿まで行ってみましたよ、わざわざ。あれ、幾つ加入者があるんですか。そうしてオリンピックに便乗してやろうとする。そういうことがいまの規制法期限があって、それ以上は今度はNHKや民放の承認を得なきゃできなくなってしまって、ふん詰まりになった。だからして、そういうものを基本的にどうするか。これは下田の問題もあるでしょう。また、全国にいま出てきている。そういう問題をやはり整理するのには、規制するのには、いまの法律では不十分ですよ。不十分だからこそ、規制すべき法案をつくるべきだというのがわれわれの主張であって、それを一生懸命やってもらわなきゃならないのに、そっちのほうだけは、何か時間がなくてできませんでしたと。そして一番問題を残すようなものを、さらにぼんぼんつくってしまうということは、一体どういうことですか。  この問題と、もう一つは、やっぱり私は、言論報道の自由の問題があると思うんですよ。これはあれですか、皆さんは、国会修正をしたあの内容法制局と交渉したのか、それともまた、当初あなた方が昨年出した原案に戻って法制局と交渉されたのか、その辺はどうなんですか。
  42. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) 政府といたしましては、当然、衆議院修正されたものをもとにいたしまして、法制局等も含めまして検討したというわけでございます。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 それで法制局に押し切られたというわけですか。法制局が反対してできなかった……。
  44. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) 押し切られたわけではございませんで、いろいろ議論をしていたわけでございますけれども、時間がなくなったということでございます。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、郵政省の力というものが大体わかった。そんなことじゃ日本の電波行政はどこへ行くか私はわからぬような気がいたします。しかし、時間が少ないですから……。  ちょっとこれに関連するんですけれども、まずNHKにお尋ねしますが、NHKは、今度のケーブルビジョンのほうにも役員を送って出資をするそうですね。基本財産、運用財産をお出しになるんですが、どの程度お出しになるかわかりませんけれども、こういう高層建築物による、人為的な原因によるテレビジョン放送の受信障害というものを解消するためにこれをつくって、それに入ったわけですね。本来、NHKが持っております、全国あまねく受信できるようにするという、その固有の義務との関連はどうなのか。これができれば、その義務というものはこっちへ移行するという御判断に立っておるのか。それとも、これはこれとしてやり、NHKNHKとして固有のやはり義務を果たしていくというお考えに立っておられるのか。この点は非常に大事なことですから、ひとつ会長から御返事をいただきたい。
  46. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもといたしましては、NHKは、放送法によって明らかなように、第七条の目的を達成するために、ただそれだけのために設立されている法人でございます。これは第八条が明瞭にこれを規定いたしております。こういう見地に立って考えますと、従来は主として辺地が目標になってきておりますが、その後、都市構造並びに社会構造の変化によって、私どもとしては、第七条は当然われわれに課せられた、都市難聴についても同じ立場に立つものであるという考え方を持っております。巷間たまたま、第九条の4等と関連して、いろいろな法律論があるようでありますが、この4は、要するに、全国普及の波は何であるかということを規定しているにすぎないのであって、しかも、われわれは他の条項によって聴視料をいただくという立場にあります。したがいまして、第七条は、現状からいえば当然都市難聴をも含む問題であるというように私は考えておりますし、それから放送法第一章の総則の第一条の一によりますと、「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」ということになっております。しかも、第二条は、放送の定義をいたしておりましてて、「「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。」と。これと関連して、有線放送の運営等に関する規正法律もございますが、これは、放送とは何ぞやということの規定がございません。したがいまして、私どもの立場といたしましては、この放送法第二条の一の定義と、有線放送の定義と調整しながら再検討する必要があるであろうと。現行法律は、ただ、そういうものを常識的に存在するという前提において、その運営に関する問題を処理する限度の法律でしかない。そういう意味においては、私どもにとりましては、言論の自由その他の問題よりも、また素朴な基本的問題が解決されておらないという考え方であります。  それでは、四十四年度予算にもわれわれが計上し、当委員会においても御承認をいただきました都市難聴対策、または、ただいま御審議をいただいております四十五年度予算においても、われわれが考えている対策を、ただいま御質問のCATVとの関係においてどう考えていくかということに、その次の段階はなるわけでありますが、われれとしては、このような、いわゆる有線中継によって、放送法第一条の一、第七条及び第八条のNHKの存立の目標が達成される手段の一つとしてそれを利用することは可能であると考えております。その意味において、私どもは、一つの、都市難聴対策の一部として、これをも利用するという考え方にほかなりません。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 NHKのほうはきわめて明確だと思う。私は正しいと思いますね、その考え方は。これは支持します。  そこで、そうなると、私は、理論的には、このケーブルビジョンというものにNHKがお入りになるのはおかしいと思う。ただ、まあいろいろくふうされて、いろいろのいきさつもあるんだから一枚加わったということだと思うんですがね。そこで、有線のほうで四十四年度予算に、四十カ所、一万世帯、二億八千万円の都市難視聴のための予算、われわれは承認しました、去年。それは一体あれですか、NHKに伺いますが、幾ら、何カ所に、これが実現できましたか。われわれ、国会承認した以上は、これが完全に実現することを願っておる。いまの現状は、進捗率はどうか、ひとつ明らかにしてもらいたい。
  48. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 四十四年度の予算を御承認いただきます際に、主として都市を対象といたしました共同受信施設、受信改善のための共同受信施設といたしまして四十カ所予定いたしましたことは、ただいまお話しのとおりでございます。なおそのほかに、昨年度は、主として五十世帯程度の小型の共同受信施設を、地方を対象といたしまして六百施設予定をいたしておりますが、いまお話しの経過にございましたように、昨年中に、いわゆるCATV法人が設立をされました関係もございまして、大型の、都市を対象にしました二百五十世帯平均を対象にいたしました共同受信施設につきましては、一応これを保留をいたしまして、地方の五十世帯を対象にしましたほうの共同受信施設のほうにその力を振り向けてございます。このほうにつきましては、当初六百施設予定いたしましたが、五十世帯を対象といたしておりましたものが、実行の結果、約七十四世帯という結果になりまして、また施設の数におきましても、六百施設を六百五十まで引き上げるということで、予算につきましても、予定の六億に対しまして約五億円の増加を来たしております。これらに対しまして、ただいまお話のございました、都市を主として対象といたしました四十施設分の費用もこちらのほうに振り向けをいたして、全体の効果をあげるようにいたしております。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 わかりませんのは、そうすると、皆さんは、ここで承認をしたより違ったことをやっておる。少なくとも都市難聴に関する限りは、その金を地方の小型受信の五十世帯のほうに流用し、回したわけです。それはどうして、二百五十世帯を考えた都市難聴の四十カ所、一万世帯ができなかったか。これは何か郵政省が、CATV法案の関係もあるから、そっちのほうはやめておいてくれというお話があったわけですか。それで、NHKとしては郵政省の話でできなかったのですか。
  50. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そのような意味ではございません。私が先ほど申し述べましたように、都市難聴の救済する方法には幾つかの可能性があると思っております。たとえば、原因者であるビルの建設に際しまして、意見を交換しながら、そのような影響を少なくする方法、あるいは東京都等の公共建造物等につきましては、特にそれと関連する必要な条例をつくっていただく方法、幾つかあるわけでありますが、今回の場合は、世帯数は、われわれが予定した限度にはいまのところは達しておりませんが、この有線中継によって解消する方法も一つの方法である。そういう意味でその予算の一部を使用するわけでありまして、したがって、置きかえたという意味とは全く異なるわけでございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 いや、そうじゃないでしょう。これは四十カ所一万世帯というのは、少なくとも都市難聴を解消するのだということで皆さんが提案された。そうでしょう。そのほかの五十世帯、六百施設については、これは従来からやっている、小型化したものに地方はやっていこう。こういうことで出したわけでしょう。だから、これは実際にあれですか、都市部において四十カ所、一万世帯、二億八千万円、この予算を組んだのだが、それは会長が言われるように、二百五十世帯、あるいは五十世帯あるいは六十世帯でもいいのですが、そういう世帯は別として、都市難聴に対して国会の議決を経たその予算というものを、そのとおり実行しておりますかどうですかということを聞いている。していないようですから、そこで、そのわれわれが決定した意思に反しているようなことをやっているのじゃないですか。そうなれば、CATVというものがひっかかってきます。こっちのほうがあるものだから、郵政省は、都市部のほうは待て、CATV法案が出るし——このケーブルビジョンのようなものを全国的に公益法人としてつくろうということは、この前の委員会でもやった。それは地域独占でやるかどうかということの問題はあります。問題はありますけれども、そういう論議がおよそなされた上で来ておりますから、私はその経過を十分知っておりますので、どうもCATVとの関連でNHKの都市難聴解消という政策がうまくいかなかったのじゃないだろうか、こう思っておりますから、それを伺っているわけですよ。だから、四十でも三十でもいいから、都市のを幾つぐらいやったのですか。
  52. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私ども、四十四年度予算編成にあたって、また、御審議に際して御承認をいただき、また、志賀専務から御説明申し上げました一万世帯という対象は、東京のみではございません。一応東京、大阪、名古屋という点を考慮いたしまして、したがいまして、私先ほど申し上げましたように、たまたま有線の形でこれを処理するものがあるわけで、その意味では、都市難聴解消だけを考えて、NHKとしては、これと協力するというたてまえをとり、現在御指摘いただきましている部分は東京の一部分の実情でございまして、これが今後、時期的には多少ズレを来たしておりますけれども、大阪、名古屋等においても同じような話し合いが始まっている状況でございますので、その三地区を通じて四十四年度編成当時に考えた一万世帯のうちどのくらいが救済されるかということが今後の実績上の問題になるかと考えております。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 どうも私の聞いているのと食い違いが出てくるのですよ。だから、東京はまあひとつ、このケーブルビジョンがありますから、会長のおっしゃるように、東京の場合はそれじゃそれとの関係で、かね合いで、ある程度そちらでできるものはやろう、もしできないものはNHK独自でやって——これは、そうでしょう。ところが、名古屋とか大阪ではそういうものがなかったわけですよ。なかったわけだが、都市難聴については、この前も私が申し上げました四十カ所、一万世帯の中には、大阪、東京、名古屋が入っているわけですから、そうすると、名古屋のほうでは、ある程度、幾つか都市難聴解消のための共聴施設というものができているのですか、東京、大阪と。そこはどうなんでしょうか。
  54. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 大阪におきましては、東京と同じようなものができ上がるというたてまえで、すでに何回か実際上の協議を開いたようでありますが、NHKもこれに参加するというたてまえでいままでやっております。現在も継続中でございます。ただ、年度的に見ますと、これが四十四年度はきょう一日という状況でございますので、その点でズレが出てきている。  それから名古屋についても同様の話が持ち上がっているわけでありまして、これは東京ほどに、まだ私の伺っているところでは、固まってはおらないようでありますが、その意味では、名古屋の場合は大阪よりもさらにズレができているということであります。しかし、これは有線中継を使っての難聴あるいは難視解消の部分については、私どもが先ほど申し上げたような幾つかの対策で努力しているというのが現状でございます。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 よくわかりません。私が的確に判断をするだけの資料が、会長の御答弁では出てきません、率直に言って。そこで、これはひとつまた別な機会に、もう少し詰めて聞きます。  次官がおられますけれども、もう一つNHKに……。四十五年度は、都市難聴解消のための、四十四年度と同じような予算は、この中には組んでいますか、いませんか。
  56. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 四十五年度におきましては、大型の集合世帯の対象の共同聴視施設につきましては、一応見合わせております。小型のものの数をさらに八百施設ふやしております。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 都市難聴の解決……。
  58. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 先生のおっしゃるような都市を対象といたしましたものにつきましては、計上いたしておりません。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 だから、問題がはっきりしているんですよ。皆さんのほうではCATV法案を出すことを考えておったわけで、それを前提にこのケーブルビジョンを考えて、大阪も名古屋も山梨の甲府も請願したようであります。私はよく知りませんが、新聞で見ましたが、そういうのが全国に出ているわけですね。したがって、それとのかね合いで、とにかくNHKの都市難聴解消の政策はストップさせる、とりあえずそれしかない。そういうことに私は理解する。それは一体どういうわけでストップさせたか。われわれが少なくとも国会の中で承認したことをやらせなかったということは、どういうことですか。私はそうしか言えない。断定した考え方で失礼かもしれないですが、そうでなかったら、ないと言ってもらいたい。それでなかったら、NHKはやるはずだ。どうしてもCATVの関連で押えられたとしか思えない。それとしか思えない。どうですか。そうであると、これは重大だよ。
  60. 小渕恵三

    政府委員小渕恵三君) 郵政省といたしましては、特にNHKは財団法人を各地域で設立をしていくゆえをもって都市難聴に対処すべきであるというような考え方は提示しておらないのであります。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 おらないのでありますと言ったって、現実的に、われわれが国会承認をいたしたその議決に従えなかったのじゃないですか。NHKから聞いてみても、実際によくわからぬのだ、都市のほうが。両方やると言っているようだし、そうでないようにも言うから、よくわからぬ。結局、何といってもCATV法案というものが引っかかっているという、これとの関連でそういう作用が出てくるんですよ。あなたそうおっしゃるけれども、ぼくにはそうとしかとれない。関連がないというけれども、そうでしょう。もしNHKがどんどんやっちゃったら、ケーブルビジョンのようなものをつくる余裕がなくなっちゃう。それじゃ困るのだ。あんた方は一つの目的を持って、別に大臣認可をつくろうとしているのだから、それに支障があるから、そのうち法案も出るから、しばらく待てと言って……。法案は出なくなっちゃう。そこで、何だか知らぬが、何カ条か知らぬが、きわめて不備だらけな規制法案の中でもって、こういう会社をつくったんじゃないですか。一体、この金をどこから出してどうするか知りませんけれども。そんなばかな話はありませんよ。これほど国会の議決を無視したやり方は私は初めてだ。十四年間いるけれども。そんなべらぼうなことを行政判断一つでやられちゃ困る。CATV法案でも出てきているなら、私はまだわかる、待ってもらったことに対して。また今度は皆さんの力がなくて、あとに延びた。一体いつ出てくるのだ。そんな中で、荒海の中でボートがどっちへ行くかわからぬような、そんなことをやられちゃ困る。こういう点をもう少し考えてもらわぬといけませんよ。どうですか。それは関係がないとは言わせませんよ。そんなべらぼうなことはない。
  62. 小渕恵三

    政府委員小渕恵三君) すでに東京において設立をされましたケーブルビジョン会社を、現在大阪、北九州、名古屋等で設立を急いでおる段階でございまして、先生御指摘のように、そういう段階とNHKの四十四年度予算における都市難視聴の解消の予算の消化がされておらないということ、二つを突き合わせますと、先生のような御見解も出てくるであろうと存じますけれども郵政省側としては、さような指示をNHKにもしたことはございませんし、NHKにおかれましては、先ほど御答弁のありましたように、四十四年度、すなわち今日までに消化しきれないという、こういうことであろうと思っております。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 政務次官がある程度私にわかるようなことを言ったから、私はこれ以上はもう言いませんけれども、これはあなた、常識的に考えたって、私の言っておることが、お前の言っておるのは間違いだと言うなら別だけれども、間違いだと言えないのだ。これは公の場所で言えないかもしれないけれどもね。やはり、そういう関係の中で、せっかくわれわれが承認したものができなかったということは、私は残念ですよ。まあそれはそれ、これはこれとして、NHK放送法に基づく難視聴解消という固有の義務がある以上は、もし皆さんのほうが政策の行き詰まりや不手ぎわでもってできなかったならば、それをどんどん先行させるべきですよ。先行さして、それでなお検討するというならわかる。固有の義務がないなら別だ。あるにかかわらず、それをストップさせている。自分たちがやろうとしたことがまたつまずいて、次の国会に出るのか、その次の国会に出るのか知らぬけれども、何か、ほんの一部の中で有線放送というものが動いていくということはたいへんなことだと思うのです。こういう状態の中で、これから全国に出てくるというわけですよ。これは、皆さんのほうでも、あまり意見が合わなかったとか、時間がなくてできなかったとか、そんな言いわけを国会に言うようなことはやめてもらって、もっと明確な、これこれこういう理由によって、私たちはこれだけの努力をし、これだけの手続をとってやりましたけれども、ついにここに出すことができませんでした、先般は国会に提案して両院の御審議をいただいて、わざわざ参議院も大阪まで出張されて、そうして公聴会まで開いて審議をされたにかかわらずああいうことになった。——これは国会の責任として、われわれは申しわけないことだと思っている。そこまで問題が進んだことですから、そういう既成事実があるわけだから、その既成事実をひっさげて今度のCATV法案をお出しになるのが筋であって、私は無理なことを言っていない。だから、われわれが見ても、なるほどわかった、御苦労さん、われわれも、じゃ足りないところは応援しよう、というような意見が出るような答弁をしてもらいたい。  きょうは大臣予算の関係でおらぬから、事務当局におもに質疑をするようなことで、私は不本意ですけれども、これは次官もいらっしゃることだから、ほんとうにもう少し真剣に考えてください。放送法の問題にしても、電波法の問題にしても、国会に何十年出す出すと言って、そのままになっている。そんな無責任なお役所はどこにもありませんよ。そんなことだから、日本の電波行政というものは政治的にたいへん支配されて、いろいろな黒いうわさが出てくる。電波放送行政が権力の中に動いておるようなことは許せない。これは私は、具体的な事実は幾らでも持っておる。ただ言わぬだけです。だから、きょう私は少し腹が立ってしようがない。いま、前回からの審議の経過を私は知っておるだけに、少しことばが過ぎたかもしれないけれども、私の気持ちはほんとうに残念ですよ。情けないような、くやしさです。もう少し皆さんもしっかりやって、われわれも一生懸命やっておるのだから、その気持ちが通ずるような、ひとつやり方をしてくれませんか。何ですか、さっきからの答弁なんというものは。人をばかにしたような、そんな答弁はありませんよ。これはいずれまた大臣にも私は強く要請するつもりですけれども、次官としても、この少ない時間の中で、あえて私はここでたださしてもらいましたが、それはそういうことであったからです。私は、どうかひとつ、もう少し引き締めて、院の意思にも沿って行政をやってほしいと思うのですが、最後に次官からお答えいただきたい。
  64. 小渕恵三

    政府委員小渕恵三君) 先生の御叱正、御指摘につきましては、われわれといたしましても、次回には必ず御趣旨に沿うような検討を十二分にした上で御審議をいただくよう、最善の努力を尽くしてまいりたいと思います。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、もう時間がありませんから……。  NHK収入の中で見積もりを私も検討さしていただいたんですが、特にカラーテレビについては当初計画を変更されまして、かなり急激な増加を来たしておると思うんです。そこで増加すれば、それをカラーテレビ放送番組の内容をよくするとか、あるいはもっと視聴者に便利を供与する——難視聴も入るでしょう。なおかつ借金も返さなければならない、またできれば国民は何とか少し安くしてもらえないか、こういう気持ちもあると思うんですね。何せ半分も、倍もふえるということが出ますと、ついそういう感じを持つわけですよ、視聴者は。これに衆参の質疑を、私は議事録を両方読ましてもらったんですが、会長のお答えを聞いておりますと、料金を下げるということはなかなかむずかしい、こういう御趣旨ですから、大体私はわかりましたけれども一般的に視聴者が考えている考え方に、会長の両院の御答弁をずっと関連して私も見てみたんです、検討してみたんですけれども、なかなかわかりにくい点がある、これは。カラーテレビを百五十円別に金を取ることに改正しまして……。四十三年の院の決議の中にも将来カラーテレビがふえたときには少し料金のことも考えてほしいというようなこともあるわけですね。ですからして、ただ機械的に、ふえたからその増加分が受信者のほうに、料金低減ということにならぬということは、これはよく知ってもらわなければなりませんが、それならばなぜ、どういうわけでこれこれこういうふうにしていくからこうなるんだという、そういう理論づけがないといけないと思うんですね、少なくとも当初計画では、半分の数でやれる計画があったわけですから、当初計画をそのままやっていくとすれば、収入がふえればその分はいろいろありますけれども、どこかに還元されてくるということになる、その辺の受け取り方がまだよく理解できないんです、私は率直に言って。ですから時間も短いですし、総括的に当初こういう計画をしておったんだが、料金の収入もあるし、なお利用者の便をはかるための経営をしていかなければならぬとか、そういうふうなことだと思うんですよ。時間がありませんから、大まかなところでいいですから、会長からも御意見を承っておきたいと思います。
  66. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は、昨年の本年度予算御審議の際にもお答え申し上げていると記憶しているんですが、一昨年やはり料金の改定がございましたが、要するに、ラジオ料金を無料にして、そうして白黒を十五円値下げしまして、それに対応する措置として当時まだ普遍化しなかった、経済能力のある方々が楽しんでおられましたカラーを百五十円ちょうだいするという形をとったわけであります。したがいまして、消極的な面で申しますと、今回、今後の三年の計画を実情に即して検討した結果、前回の五カ年構想に比べてまあ五百万余りふえた、四十七年度末に千二百六万という数字を算定いたしておりますけれども、この消極面から申しますと、五カ年構想を立てた当時のいわゆる経営の内部的な、料金改定による赤字経営が大体四十七年度までには新しい構想によって解消できるという段階のものでございます。それが消極的な理由でございます。  積極的に申しますと、現在私どもは、二つのテレビジョンの波を運営しておるわけでございますが、その二つの波の放送時間数は一日十八時間でございますから三十六時間でございます。それに対して、四十七年度末までのカラー放送時間というのは結局その半分である。これはカラー化の最終目標からいえば、放送時間も簡単に言って十八時間、二つの波を合わせて三十六時間をカラー化するという方向でいくべきだと考えております。その経過的——四十七年度末の状況でまいりますと、その半ばの時間を目標としておるわけでございますが、今度はこまかいことを申し上げますと、第三次五カ年構想をつくった当時の物価の動向、これの計算は大体三・八ないし三・九%でございました。これが過去三年間において非常な食い違いを生じてきておる。それから社会保障その他の面でもわれわれ関連する支出がふえつつある。そういう見地からこの今後三年間の構想の中では、大体経済企画庁その他の研究機関が検討しております四・九%という値上がり率を実は踏み台にしておるわけでございます。そこで、それでは一体NHKのまあ生産力と申しますか、株式会社的な見地に立ってのいわゆる聴視者に返還し得る部分の率はどのくらいになるかといいますと、ただいまの物価上昇率あるいは賃金体系の問題その他一切を含まないで簡単に言って、御審議いただいております今後三カ年間の構想を変化させたその初年度の予算では八・六%というまあ一種の利潤率でございます。この利潤率は、五カ年構想をつくった当初の一三%というような実績に比べますと著しく低下してきておる、こういう実情から勘案いたしますと、しかも御審議いただいております明年度予算のいわゆる一般職員——どもからいえば一般職員であり、組合からいえば組合員のベースアップの率はおそらく同種の業界では最低だと思いますが、にもかかわらず一〇・九%という状況でございます。こういうことを素朴に勘案してまいりますと、四十七年度末のカラー契約目標千二百六万ではまだ御質問に対して明確なお答えを申し上げる時期にないということを私は感じておるわけでございます。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 それは日本経済の伸びが、いままで中期経済社会発展計画、それがくずれて、またそれをやっていますが、最終年度三八%にしようという新しい経済計画の物価を見ますと、必ずしも会長の言われたような物価になるかどうか、これは見通しですからむずかしいと思います。その考え方は一応わかりました。きょうは私はここで料金を下げろということは言いません。ただ附帯決議もあることですから、従業員の待遇改善、カラーテレビが二軒に一軒くらいで、いまはテレビはカラーだと、こういうふうになっちゃって、三Cの中では一番トップにカラーが立ったという通産省の見方もあるわけですから、そういう、ふえればふえただけカラー時間をふやしていかなければこれは報えないわけですから、そういうふうにやっていただく、番組もちゃんとしていただいて……。借金もありますから借金も返さなければならないし、たいへんだと思いますが、しかしながら、そういう伸びによって得た利潤を全体にうまく配分するということを考えれば、聴視者のほうにはカラーテレビの時間を長くしてやったからこれでいいのだと、こう言われても感情としては来ぬと思うのです。何がしかを聴視料の中にそういうことが考慮できるかどうか、こういう点も含めて今後慎重に御検討をしていただきたい、こういうことを希望として申し上げておきます。  それからこれは私の愚見として聞いておいていただきたいのですが、四月から番組も多少変わると思います。最近私はラジオ、テレビを見ておりまして、私の見る時間というものはそう多くないと思います。ところが、せんだってソ連の爆弾投下の訓練のニュースがありまして、予算委員会で問題になりましたが、あのときの七時のニュースで愛知外務大臣がソ連の在日大使と会ったときも声がとぎれて出なかったことがありましたね。それからちょうど三月の一日の日でしたけれども、私は六時のニュース聞いておりましたら、こういうニュースがラジオで伝わるのですね。きょう午後十時どっかにどういう事件があったというのですね。これは、要するに、二十八日の原稿を本日と、昨日というところを抜かしたんですね、これ。だからして三月一日の朝に本日午後十時と、こういうニュースが流れちゃうんですね。これはちょっとみっともないですよ。それからたとえば、六時五十五分からかな、七時ちょっと前に気象通報がありますよね。ああいうものがとぎれたり、それから全国放送とローカルへの切りかえのときに、これがうまく切りかわれなかったりするようなこと、せんだっては、山形から、これはまあ電電公社のほうの回線のあれが悪かったか、どこが悪かったか知らぬけれども、裸の人が出てきたりするようなことが流れてしまった。これはモニターするほうも、ちょっと油断があったと思うのですけれどもね、そういったことがありますよね。最近見ておって、私はここ数年間のそういう問題を、きょうはひとつ出していただいて、国民がそれに対していろんな批判がありますからそれを直すためにはどういう努力をされてるかということを聞きたかったし、それから市民大学放送というのを新しくおやりになります。これと放送大学との関連も、私は非常に心配しております。いずれ、これは文部大臣等も御出席いただいて適当な場所でやりたいと思っておりますけれども、そういうような関連で、いよいよNHKの占める点も大きくなると思います。いま私が申し上げたような放送の実際の運用の中で、これは、まあ人間ですからあやまちもあると思います。ですから、もう絶対ということは言えないかも知らぬが、それに近づくような努力は、この際ひとつ会長以下一体となってやっていただいて、少なくとも、その公共放送が国民からいろんな批判を受けないように、特にことしは安保の年でもあるし、放送言論の中立性ということも、協会に与えられた絶対の使命ですから、ひとつぜひやっていただきたいと思います。まあ、福岡のフィルム押収事件なんか、私は伺いたかったですけれども、時間がないから、これはまた別にします。どうぞ、そういう私の気持ちを体して、この予算を執行することをお願いして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  68. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  69. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記つけて。
  70. 白井勇

    ○白井勇君 私、自分で不勉強で、まことに申しわけなかったんでありますが、私の十九日の質問に関連しまして、一言補足をさしていただきたいと思うのです。と申しますことは、放送法の第七条と、それから第九条の四号でありますか、それに関連をいたしまして御質問を申し上げたわけであります。で、このことにつきましては、私は、去年までは一応郵政当局からは、これはどこまでも自然条件の場合の難視聴地域の解消で、人為的の障害というものは、これは考える必要ないんだと、こういうふうに聞いておったのであります。ところで、この間私が局長さんに御質問を申し上げた場合は、法律的にいいますとそういう義務はないけれどもNHKとしましては、やはり道義上の責任があるんで、ビルの谷間等、いろいろそういう全国的な難視聴地域につきまして、その解消のために何らかの協力が望ましいんだというような意味合いの御答弁があったと、これは、実は記録をとりまして御質問申し上げればよかったんですけれども、まだ印刷に回っておりまして手に入らないもんですから、正確に申し上げることができないんでありまが、そういう意味合いの御答弁だったと、私、記憶をいたしております。そこで、私実は参議院法制局をこの間から確かめておったんでありますが、その統一いたしました参議院法制局の考え方にいたしましては、第七条、それから九条の四号、いずれも、これはやはり何も自然的条件であるとか、あるいは人工によりますビルの谷間というような区別ある筋合いのものではない。どこまでもやはり全国に受信できるように措置をしなければならない、そういう義務を課しておるものである、こういう見解でありますから、これはもちろん法制局というものは、政府法制局まで私は確かめておりませんが、そこらあたりも十分検討されまして、きょう私、ここで答弁をいただこうと、こう思っているのじゃありません。どうかひとつ時によって変わってくるような解釈のしかたでなしに、この辺ははっきりしていただきたい。このことだけを私は補足的に申し上げさせていただきます。
  71. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 協会に、調査研究費関係についてお尋ねしたいと思います。  今年度出された予算によりますと、調査研究費十四億八千六百五十二万円となっておりますが、まあ十四億九千万円といたしましょう。これは昨年の十五億七千六百五十三万三千円に対して九千万円、約一億円減となっています。これに対しての説明を聞いていますと、宇宙事業団関係に移行したための予算減となっているのだ、こういう説明でありましたが、この説明はよくわかるんです。ところがさて、番組調査研究費、技術研究費等、協会が出された資料に基づいて見ますと、いずれもが僅少な額がふえ、また技術研究費においては、いま申し上げたような事情があるでありましょうが、一億円のマイナスとなっております。先ほど委員の質問に対して、物価上昇について、各項目にわたってどの程度増しとされているのだということに対する御答弁では、事業費関係において八・六%とか、平均して五%とか、ちょっと聞き漏らしたのですが、増を行なっておるということなんですが、私はまずこの二つのいわゆる番組調査研究費、技術研究費等の関係について、概略でけっこうですが、ひとつ御説明を加えていただきたいと思います。
  72. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 新年度の調査研究費関係で、全体といたしましては、昨年度に比べまして十四億八千万円でございまして、九千万の減になっておりますことは、ただいまお話しのとおりでございます。その内容といたしましては、放送番組関係の調査研究事項と、放送技術関係の調査研究事項と大別いたしまして二つございますが、放送技術関係の調査研究事項につきましては、御指摘のとおりに、放送衛星の関係の研究につきまして、新年度は若干方針を転換いたしておりますので、この分で、約一億の減額がございますために、放送技術調査研究費といたしましては、相当の減額になっておるわけでございます。  もう一つ放送番組の調査研究費といたしましては、さらにこれを大別いたしまして、世論調査の関係の経費と、番組の研究の関係の経費と、こう二種類ございます。この世論調査の関係の経費につきましては、昨年度は一億三千二百万でございましたが、新年度には一億四千九百万というふうに増額をいたしてございます。この中には五年に一度実行いたしております国民生活時間調査を行ないます年に当たりますので、これらにつきましても相当多額の予算を振り当てておるわけでございます。  もう一つの番組研究等につきましては、二億一千四百万の予算でございますが、これは昨年度よりも七百万円ばかり減額になっております。内容といたしましては、全体として縮小をしたというわけではございませんが、たとえば全国の方言の資料とかあるいは琉球の方言の収録とか、その他放送学の研究関係とか、一部研究内容に終了したもの等がございまして、全体としては大幅な内容の組みかえを行なっておりますので、すでに研究の終わりまして新しい転換をしたものにつきましては減額というようなことになっておりますので、この番組研究等で約七百万の減額でございます。全体といたしましては、昨年度に比べまして技術研究関係の約一億円の費用の減がございますので、全体としては九千万の減ということに相なった次第でございます。
  73. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ただいまお話がございましたが、この資料に基づきますと、たとえば番組調査研究に対しても、国民生活時間調査等十項目にわたって、かなり充実した、必要だと思う調査が含まれておる模様であります。また、技術関係調査に至りましても、同じように十項目にわたっての目標をここに並べられておりますし、また、その成果を公開するためカッコ四の項目にわたっての目標を掲げられております。私は、いずれもかなり、調査研究関係というものはNHKにとっては非常に重要な仕事の一つだと思うのであります。そういう点から見まして、たとえば五%か八・六%か知りませんが、事業費に対する今年度の増額をされている予算の関係において、私は非常にこうした調査研究関係に対する熱意というものが少し少ないのではないかという感を持たざるを得ないのであります。この項に関しては、私そう時間がございませんので一応質問を続けますので、後ほど一括しての中で御答弁いただいてけっこうだと思います。  なぜ私が、いまこの資料を見ておりましてこうした感を抱いたかと申しますと、技術関係の面でございますが、NHKにおけるコンピューターの設備というものは、わが国においては最も優秀な設備を持たれていると聞きます。それどころか、局外、NHK外からの、いわゆるやゆ的な批判によりますと、コンピューター設備に対して少し荷が重いのではないかといわれるようなことばさえ聞かれております。これを、事実関係を聞きますと、コンピューターの設備については、アメリカの国防省に次いで世界でも三とか四とか言われているほどの内容だそうでありますが、私は、こういう点から考えまして、特にこの技術調査関係などの費用についてはいま少し充実した方向をとられるべきではないかと、こう思うのです。この点から私お尋ねしているわけなんです。ところが、もう一項目の番組等の世論調査に関して、私はこの前にも御質問申し上げたと思うのでございまするが、これは放送法第四十四条に関連して、協会は聴視者の意向を番組の編集や制作面に反映させるために放送に関する世論調査を行なっておられるのでありますが、私は、これも概要でけっこうですから、その世論調査の模様について、またどう把握されたかということについて意見を承りたいのと、いま一つ、その調査の結果を四十五年度の放送に対してどう生かしてこられたか、活用されてきたかということ。大体、三つになりまするが、お答えをいただきたいと思います。
  74. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) まず、順序が逆になるかもわかりませんが、御了承いただきまして、世論調査がどういうことをしているかということと、それが明年度の番粗にどう反映しているかということについて申し上げたいと思います。  まず、世論調査におきましては、先生から先ほどお話がございましたように、四十四条二項に基づきまして、具体的に聴視者の意向をつかむ、把握するという形におきまして、大きな調査を二つにいたしております。一つは、番組がどういうぐあいに利用されているか、見られているかということであります。これは、毎年四月と七月と十一月と、この三回に分けて調査をいたしております。その中で一番大きなのは、新しい年度の番組が発足いたしまして三カ月ほどたちました七月の際に大きく調査を数量的にも把握できるというような観点で理解いたしております。それを補足するために、四月あるいは十一月にいたしております。それからあと、やはり大きな問題が起こった場合において、その問題を国民がどういうぐあいな観点で考えておられるかという観点の調査、まあ国民の世論調査、意識調査と申しますか、そういう点の調査、昨年度におきましては総選挙がございましたので、その前後の問題、あるいは七〇年代ということが大きく訴えられておりまして、それが変化の年であるという際におきまして、戦後二十五年の間に民主主義がどういうぐあいに定着しているかという形の、民主主義に対する調査というものをいたして、そういうものを基本といたしますほかに、明年度におきましては番組視聴率調査というものはもちろんいたしますし、さらに先ほどちょっとこちらから説明申し上げましたように、国民生活時間調査というものを五年を期間としてやりますその年に当たっておりますので、これを全国的に調査をいたします。これはやはり、国民の生活が非常に都市化をしているとか、あるいは経済的に高まってきているという観点の中で、どういうぐあいに国民の生活、日常生活が変わってきているか。たとえば朝早く起きているとかあるいは夜おそくまで起きているとか、あるいはまた、都市と農村とそれからサラリーマンと、あるいは女性とか、そういういろいろな職種に分かれまして、詳細に調査をいたしております。そういような調査の上に立ちまして、放送番組の編成、明年度以降の放送番組を考えていくわけでございます。そういうような観点で、いま申し上げましたような調査をすべてわれわれは具体的に放送番組の編成なりあるいはそれを編成していく用意のために使っているわけでございまして、先生から先ほどお話がございました明年度の番組にそれではどういうぐあいにあれしておるかという点につきましては、数年前に調査をいたしましたその成果として、放送番組全体に対する国民の要望なりあるいは意識なりというものを踏まえまして、あるいは今回の民主主義の調査とかそういうものもあらかじめそういった中に取り入れまして、新しい七〇年代というものの変貌、それにこたえるような番組を考えております。  それでは、七〇年代にこたえるということはどういうことかと申しますと、やはり、非常に変化の大きい都市問題について、みんなが将来どうなっていくのだということを非常に問題に考えて、そのためにいろいろな情報を集めるという努力が、特定の階層だけではなく、国民全体の中の意識に非常に高まっておりますので、放送という大量の手段によりましてしかもそれを平易に全国的に同じ放送を提供できる、そうして全国民の考えの一致した中において未来社会を築いていこうというようなことが考えられる番組の提示をしていきたいというふうに考えております。それは特定番組だけではなくして、いろいろな番組の中においてすでに今年度の一月あたりからそういう番組を幾つか組んでおります。たとえばお正月の番組、三日間連続して二時間の討論番組を組んでおりますが、また二月末ごろにも、地価の問題、土地の値段の問題につきましても、そういう観点から、未来社会というものあるいは土地の問題をどう考えているか、一種の未来を予測するような角度においてそういう番組を組んでいく、こういうようなことで、現在の放送でこれにこたえるために、いま申し上げましたように世論調査等いろいろな角度からいたしておるのが実情でございます。
  75. 松浦隼雄

    参考人(松浦隼雄君) 技術研究関係について申し上げます。  先ほど御指摘がありましたように、技術研究関係の経費は、四十四年度に比しまして四十五年度は約一億円の減少になっておりますが、この事情についてまずお話し申し上げます。これは、技術研究一般に対する熱意の減少ということを意味いたしませんで、実は、先ほど御指摘のありました放送衛星の研究におきまして、四十四年度までやりましたことと四十五年度からやりますことにニュアンスの違いが出てくるためであります。と申しますのは、通信衛星はすでに上がっておりますけれども放送専用衛星ということについては世界的にも新しい分野でございますもので、一応研究のやり方といたしまして、これは空に上げる星ではなくて、地上で模擬的な実験をするためのモデルをつくるということを過去においてやってまいりました。いわゆるハードウェアの実験をやってまいりました。そのために実質的な支出がふえたわけでございますが、大体、その研究につきましては基礎的な成果を得まして、四十五年度からはむしろ放送衛星方式の研究とシステムの研究ということになりますので、これは物理的な実支出よりもむしろ知恵を使うというようなことになりますので、いわゆる経費的には、いわゆる物的な経費については、計算上少なくなったという事情でございます。したがって、そのほかの一般研究——UHFあるいは新しい放送方式、あるいはいろいろな基礎的研究につきましては、四十四年以上の熱意をもって進みたいというふうに計画しております。特に今後におきまして、放送技術研究におきましても、いわゆる巨大科学というか、そういうビッグあるいはメジャー・プロジェクトというかっこうでの研究の進め方が必要になるということで、十分検討して進めておる次第でございます。  なお、つけ加えさしていただきますけれどもNHKのコンピューターに関する支出は、受信料に対して割合をとりますと、約一・二%強でございます。これは決して、いわゆるお金の支出が多いということではございませんで、日本の産業界ではお金の高からいえば中の上くらいです。その売り上げ高に対して二%以上、多いところは六%以上という事業が非常にふえておりますから、そういう点から申しますと、お金の面では非常に低位にある。ただ、中のやっておることについてある程度の評価を持っておる、こういう事情でございます。
  76. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 技術関係の調査関係については、予算が多いことのみを望むのではございませんが、これが研究成果の公開というようなことは、これは非常に重要なことだと存じますので、この協会においてこれが裏づけ予算等については、十分な留意をひとつ払っていただきたいということを要望しておきます。昨年、カラー放送時間が一時間三十分延長されまして、そのときに九時のニュースの時間を——これは私がお尋ねしたことに対する答弁の中だったと思うんですが、三十分ずらして九時半にされました。そのときに、九時半にした理由として、ニュースは朝七時、次いで八時半ですか、次いで十二時、また午後七時と行なわれる一日のニュースを集約するんだというか、取りまとめるんだということ。また、海外から放送されるニュースをキャッチするのは大体九時前後だから、九時半にこれを延ばしたということなんです。すなわち、九時三十分のニュースは一日の取りまとめとして、充足するために三十分延ばしたということですが、私は、約一年になりますが、協会が予想されるようなニュースの充足を九時半に延ばされたことにおいて、十分目的を達せられたかどうかひとつお伺いしたいと思います。
  77. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 昨年申し上げましたように、午後九時のニュースを九時半に延ばしたのは、一つは、いまお話がありましたように、七時と九時のニュースが重複したような形で出てくるということ。それからもう一つは、いま先生からお話がありましたように、外電そのほかが、八時半過ぎから九時ころに入ってくる。そういう観点で、七時と九時のニュースがいままで同じ形態であったのを充足し、あるいはさらに補充するという意味においてそれを考えまして、かなり私は、自分のことを申し上げて恐縮でございますけれども、成果はあがって充実して、深まってきているのじゃないか、このように考えます。そのために、幾つかの特だね的なものが九時半のニュースに取り上げられまして、しかも単にそれが速報的なもので伝えられるだけではなくて、詳しくお伝えするということが可能になっております。さらにまた、物理的に効果が上がりましたのは、いままで午後九時のニュースですと、関西地方の方で七時のニュースはどうしても時間的に見られなかった、そういう方が、九時でもまだ早かったのでありますが、九時半のニュースではまあ十分に見られる。ということは、関東と関西によって時差がおよそ一時間あります。そういう観点で、関西の方々がNHKのニュースを見られる時期が、九時半の時点で高まってきておるということが昨年の調査においてわかってまいりました。そういうような観点でかようにいたした次第でございます。
  78. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は、このことに何かひっかかりを持っておった。というのは、昨年カラー放送時間を一時間三十分伸ばされて、八時から九時まで行なわれる娯楽放送を三十分ずらされた。単に民間放送関係とは言わないのですが、NHKが娯楽放送、しかもカラーによってこれが三十分充実といいますか、持たれたということは、かなり批判があったと思うのです。私は、そのためにニュースが三十分おくらされたのか、そうじゃなしに、ニュースを延ばしたために三十分娯楽時間を入れたのかということ等で、少しひっかかりを持っておったのですが、私はその三十分のゴールデンアワーといわれるドラマ放送ですね、これが一年間の実績においてどうこれをばキャッチされているか伺いたい。というのは、当初三十分にドラマが組まれたとき、私も拝見いたしまして、かなり楽しく見ました。この点が二週間に続き十回放送だったと思いますが、最初の二回、三回ごろまでは、次は予告はどういう予告があるのだろう、次に何をやるのだという興味すら実は持ったのですが、最近だいぶん変わってきた。マンネリ化ということじゃなしに、だいぶん落ちた感じを持つのであります。まあごく最近は万博関係の放送にとられておりますが、なおドラマを強化して、このまま継続されていくのかどうかということと、これの功罪の評価をひとつ、単に聴視者が伸びたとか、その時間が多くなったとかどうかということでなしに、協会として、良心的に、九時半のドラマ放送というものが、NHKとしての使命とか文化度を高めるとか、また国民に楽しい時間を与えるというような点から、これについて自信を持っておられるかどうか、私は少し私見をまじえましたが、少し疑問を持つのです。この点で、再度ひとつ功罪についてお答え願いたいと思います。
  79. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 二つに分けてお答え申し上げたいと思います。  第一点は、NHKの九時から九時半にドラマを持ってきたことは、娯楽放送の拡充じゃないかという御意見だったと思いますけれども、これは拡充ではなくして、時間的には繰り上がりましたけれども、量的には実は減っているわけでございます。と申しますことは、いままで九時四十分から十時半まで、五十分にわたってございました娯楽放送を集約いたしまして、三十分にして、それで九時のところへ持ってまいった。そういう点がございますので、その点について一応御了承を得たいと思います。  それから第二点の、ドラマがはたして所期の効果をあげているかどうかという御意見でございますが、これはいろいろごらんになる方の御批評もございますし私も自分で自分をいかがかと存じますけれども、少なくとも一つの効果はあがっているのではないかという気がいたします。それはなぜかと申しますと、いわゆる文芸的なドラマというものは、よくこのごろテレビ批評なんかでも言われますように、だんだんに減っているわけです。数量的に減っている際に、あえて新しい形ではございますけれども、そういう連続ドラマという形で文芸的なにおいのあるドラマを出そうということは、やはり娯楽放送一つの面をつくろうという意欲のあらわれであるというように御了承いただきまして、単に娯楽放送をあれするとかいう点だけではないのだ、ということを御了解いただきたい。それから長い期間、二週間あるいは三週間単位で番組を組んでおりますので、あるものは非常に受け、あるものは必ずしも受けないということがありますけれども、これにつきましては、まだ始まった早々でございますけれども、昨年の七月に全国の視聴率調査をいたしまして、その中で付随いたしまして午後九時帯に連続ドラマのできたことをみなさんどう思うか、ということで調査いたしましたところが、午後九時のドラマが出るようになって非常に楽しみがふえたというのが四四%、それからこれによってニュースの時刻がおそくなりニュースのほうをむしろ見るのに都合がよくなったというのが六%というように、プラス面を感ぜられる方が約五〇%を占められております。それから毎晩同じ時間に続けてドラマを見ることは無理だけれども、しかし別に見られるときには見てそれに興味を持っている方が一六%、それからそのほかに今度は必ずしも歓迎しないという方が、ニュースがおそくなったというのが六%、それから八時から九時半まで一時間半に娯楽放送するのは好ましくないというのが二%というように否定的な方も多少はございますけれども、大部分の方は歓迎してくだされ、特に女性の方で主婦の方が九時のドラマを非常に高く評価して、毎晩続くドラマを見られる楽しみがふえたというのが主婦の五十歳から六十歳にかけての六〇数%を占めておるという形において、NHKのそういう意図が家庭の中に入っているのではないかという感じがいたします。ただ今後とも、明年もこの帯は一応続けてまいりますので、いま御指摘のような点も十分反省いたしまして、いいものを出していくように努力したい。それから最近調査いたしましたものも、NHKは毎回調査いたしておりませんが、外の調査会社が調査いたしますあれを見ましても、一月のたとえば「朱鷺の墓」という番組におましては非常に高い率を占めておるということを申し上げまして、個々の出入りはある、放送するテーマ題目によりまして出入があるということを申し上げておきます。
  80. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ただいまお話があった国民の視聴率ですね、これはNHKの調査された成果だけでなくして、他の世論調査のことだとして重視されているというお話もございましたが、私は視聴者の動向を把握することも非常に大切なことでありますが、単に国民の接触率だけでものを判断されるのでなくして、私はNHKとしての判断力がとりわけ他の面においても十分とられるようにひとつ願いたいと、こう思うのです。  さらに進めさせていただきたいと思うのですが、東京、大阪にUの実験局がいよいよ設備されましてこの年内に実験放送が開始されると聞いております。それに関して、これは郵政省にお聞きしなければならぬと思いますが、昨年の春から地方にもUHFのテレビ局が誕生しております。テレビの放送はいわゆるU、V混在となっているのですが、現在オールチャンネルの受像機ないしはコンバーターの普及事情等がどうなっているかということ、委員会で討議されたとは思いますが、ひとつあらためて承りたいと思います。
  81. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  VからUへの移行、あるいはUHF放送局がたくさん建設されるという段階になりますと、どうしてもUHFのテレビ受像機というものが普及されなければならないわけでございまして、積極的に普及の方策を立てまして実施しているわけでございますが、いまの受像機の普及状況でございますが、現在のところ、Uのテレビの電波が出ているところは、平均いたしますと大体平均七六%の普及率でございます。これはコンバーターといったものを含めましての数字でございます。それから受信機メーカーのほうも盛んにこのいわゆるオールチャンネルテレビを生産しております。ごく最近の例を申し上げますと、たとえばことしの一月でございますが、オールチャンネルテレビは、白黒とカラー両方ございますけれども、カラーにつきましてはほとんど九〇%以上、それから白黒につきましても七三%程度はオールチャンネルテレビになっているという状態でございます。
  82. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 まあ郵政省のお話は信用いたします。がしかし、それにしてもここで普及しているとはわれわれ思わないのですが、これは御説明あったことが正しい結果だと思います。そこで私はなお実情をひとついま少し掘り下げていきたいと思います。というのは、私自身まだ、カラーテレビを持っていますが、オールチャンネルではないのです。何も私自身を標準にするのじゃないのですが、白黒を現在事務所に持っておりますが、そのようなコンバーターの設置もできておらない状態だし、また私の知る範囲内では非常に僅少なように思うのです。この点また十分郵政省としても留意をいただかなければならぬことだと思います。  そこで私は、NHKにちょっとお尋ねしたいのですが、東京なり大阪の大世帯を有している地区にU受像機の促進をはかるためにUテレビの実験局をば開設されまして、たしかこの十二月から動くのだということを伺っておりますが、そのとき放送される番組はどのようなものをば予定されておるか、ということを伺いたいのです。現在のままで延長されるのかどうか。
  83. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) U実験放送につきましては郵政当局ともお話をいたしまして、現在こういうような線で考えております。まず一月——たぶん十二月か一月になると思いますが、開局しましたら、総合テレビは基本的には同時放送をする。その中で一日に約三時間半を時差放送をいたしまして、カラー番組を中心として教育テレビあるいは総合テレビの中から再放送的なものをやるというような形で時差放送的なものをやっていきたい、このように考えております。私たちがそのように考えましたのは、一つは、先ほどもちょっとお話がありましたように、カラーテレビの大部分がもうオールチャンネルになっているという形におきまして、今後相当カラーのほうが普及していくという傾向がありますので、カラーを中心としていきたいということと、時差放送につきましては、NHKが昨年一年間高松放送局において実験をいたしまして、時差放送でもかなりコンバーターが高松、香川県内では普及いたしております。放送開始時に県内にありましたコンバーターが事前の宣伝その他で二九%であったのが、その後この放送、これは民放も入れましてですけれども、普及のあれが現在予想されますのは三月末で八〇%になるかというような形をとっておりまして、そういうふうな点で一応こういう形で進みたい、このように考えております。
  84. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は、現状の総合テレビでありますとか教育放送とか、現状のままでは意味をなさないので、いま説明されましたような意図をもっと加えていただきまして、U放送を、NHK政府の方針に協力なさる面から考えても、単にいままで一般に聴視できる波でなく、やはり新しいひとつ変わった立場でのU放送というものでなければやはり受像機をふやすことにおいても意味をなさぬと、そういう点で今後郵政省NHKにおいても私と同じような考え方を持っておられると思いますが、もう一度ひとつ聞きたいと思います。
  85. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 先ほどはとりあえず明年度内ということで申し上げましたけれども、さらに発足いたしまして早々にそういう観点から研究させていただきまして、御意見のほどを反映できるかどうか、研究を進めさせていただきたいと思います。
  86. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 郵政省にお伺いするのですが、この問題も、ちょうど大臣が見えられましたので幸いだと思いますが、大臣もしばしば衆議院参議院逓信委員会で、私がこれからお聞きする問題については、十分御了承いただいておることだと思うのですが、テレビの生産状況を最近見ますと、カラー受像機はおおむねオールチャンネル化されております。しかし、白黒のほうは依然としてVHF用のものが出回っておるのであります。これは国民が少しでも安いものを望んでおるという証拠でありましょうし、したがって郵政省は単にU実験局の設置ということにとどまらず、オールチャンネル機のしばしば委員会で要望のあったように価格を引き下げるような面にも、積極的な郵政省として手を打つべきでないかということを私も訴えたいのであります。現在価格が相当下がったといいますが、大型になりますれば依然として十九万円台、これは十五とか少し小型になってもやはり十三万円台、場所によっては十万円を切っておるとおっしゃるが、切ったメーカー品などは信用できません。こういうような点からこれらの受像機をば価格を引き下げることに真剣にひとつ、通産省にもかなりの関係があるとおっしゃられればそれまでのことなんですが、郵政大臣せっかく見えられたので、なお各委員から意見があってお答えになったように思いますけれども郵政大臣としてこれについての熱意をひとつ伺いたいと思います。
  87. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) ただいま村尾先生のおっしゃいますことは、衆議院のほうでもそういう話題が出たのでございます。オールチャンネルの普及をはかれというこれは、これは時代の要請からいたしまして当然でございましょう。きのう、きょうでありますか、もう新聞紙上にもあらわれておりましたように、相当の台数が生産されると、輸出関係等も勘案しました上に国内に出回るものが、かなりの数量になるというふうなことから、そういうふうな面、経済法則で自動的に下がるということもございましょう。しかし、いまおっしゃいますことは、もう少し郵政として何らかの指導をせよ、こういう御指示をいただいておったと思います。そういう点は従来もNHK、民放連、あるいは電子機械工業会、全国電器小売商業組合連合会等を構成員としておりますUHF普及推進会議、こういうものを指導育成いたし、全国の各地に同じような仕組みのものがすでに三十くらいできつつあるようであります。そういう機関を通じまして積極的に指導をして御趣旨に沿うような方向に持ってまいりたい、かように考えております。
  88. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 なお時間の関係上先に進めさせていただきますが、これも委員会で討議は尽くされたんですが、なお私は国際空港周辺の関係者という一人の立場から確認したい点があるのです。それは、同僚委員から国際空港周辺の聴視者に対する免除問題について質疑がありました。私も今回の基地周辺の聴視者に対する免除範囲についての拡大措置をとったことに伴いまして、同じ受信環境にある国際空港周辺の聴視者に対しても、同様の減免措置が講ぜられてしかるべきであろうと思うのです。それに対して協会の方針を伺いたいのですが、その一つとして、対象範囲が、最初二キロ、一キロのはかり方が国際空港と基地と相違していたように思うのですが、これはどうなんでしょうか。
  89. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 範囲のとり方につきましては、二キロ、一キロでありますことは同様でありますけれども、基地関係につきましては飛行場の周辺からはかっております。国際空港につきましては滑走路からとっておりますが、これは両飛行場の相違に基づくものでございまして、基地関係の問題につきましては、その中にいろんな施設もございまして非常に滑走路から周辺が広くとってございます。そういったような面も勘案をいたしましていたしておるわけでございますが、基本的にはいわゆる放送法に基づきます受信料の減免措置としては国際空港は扱っておりません。そういうような点もございまして、いまのような措置NHK独自ではこれはきめかねる問題でございますし、基地問題についても同様に私どもは原因者責任主義を今日も堅持をいたしておりますが、そういうようなことばかり申しても問題は解決いたしませんので、それに対する基本的な考え方とは違いますが措置をいたしております。国際空港につきましては、主としていわゆる営業行為に基づく航空機による障害でございますので、より一そうそういった原因者主義を貫いております。そういう面からNHKも約半額の負担はいたしておりますが、関係航空会社との合体によりまして騒音防止協会というものを設けまして、これにはいろいろ範囲のとり方とか、どの程度に実際はやったらいいかといったような面は、その周辺の方々並びにそれを代表されます自治体の方々にもお入りをいただきまして、いろいろ協議をいたしましてきめておりますのが現状でございます。
  90. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 あなたの御説明よく了解できるし、また聞いているのです。そこでなお私は念を押してこの点が改善できないかという点をお聞きしたいのですが、御承知のように減免額ですが、基地は完全におっしゃるとおり半免なんです。国際空港は白黒、カラーいずれも百五十円とされているのですが、これは基地に並み改善されないのかということです。もちろん空港またはターミナル、船舶——ちょっと会長に伺ったのですが、船舶協会も関係していらっしゃるそうですが、これはまあ通産省の関係で関係せざるを得なくなったんだと思いますが、こういうような点やはりイニシアチブはNHKがとっておられるだろうが、これはもう一つ進んで改善できないのかということと、それからたしかあなただと存じますが、どなたさんかの御質問に対して、大阪は万国博の関係でジェット機の離着率が多いので、特に考慮を払って、五キロ以上含めて軽減処置を講じていると、こう私は御説明を聞いたんですが、そうとっていいでしょうか。
  91. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) ただいまのお話しのとおり、大阪につきましては、基準は一キロ、二キロでございますけれども、その後の滑走路の状況並びに基地関係が拡大されます状況等をも勘案をいたしまして、ごく最近、実際には二月でございますけれども、関係者のいろんな協議によりまして具体措置をとっております。その措置は、基地と同様一キロ、五キロというようなことではございませんが、現実の案といたしましては四・五キロから、あるいは五キロをこえて五・五キロのところまでもその中へ入れて話し合いがついておるというのが実情でございます。
  92. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 その話し合いがついているというのは、いつから実施されるかということです。四月一日から実行に移されるのかどうかという点なんですね。そうすると、いままで四キロから五キロをオーバーして五キロ半とおっしゃいましたが、離着率からの範囲内になりますと、たとえば北は、北といっていいのですが、池田市を含みますし、大阪伊丹港の場合は南は大阪市内に入るんですね。これは相当ばく大な数となって、羽田のような、片一方が海という事情とだいぶ違うのですね。これは相当適用範囲というものは拡大されることになるのですが、これがいまおっしゃったように二月の何日かにきまった。その時点では四月一日からこれは実行に移されるということですか。この点明確にひとつ。
  93. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) これは四月一日からということではございませんで、話がまとまりました二月から実行に移しておりまして、それまでは一キロ、二キロではかりますと、対象世帯は約二万五千でございますけれども、すでに四十五年二月以降におきまして四万五千世帯になっております。明年度は大体四万六千世帯ぐらいが対象になると、大かた倍に近いものになるというような状況でございます。
  94. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 いま二月何日と言われましたが、きまった時点からそれを実施されるものととらしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。  それでは次に移らしていただきまして、これもたびたび衆議院参議院委員会で問題となっている。またけさほども会長からお話があり、前にも会長からお聞きしたんですが、増収の問題ですね。私は増収の還元方策ということについて、協会にお尋ねしたいんですが、まず協会資料によりますと、カラー契約は四十五年度末ごろには約六百万近くになる。四十七年度末には千二百万をこえ、当初の見込みに比べて倍増することが明らかになったのであります。したがって、聴視者は当然受信料が引き下げられるのだろうと私は期待しているものと思います。協会はこれを聴視者に、国民にどのような形で還元しようとしておるのか、その基本的な方策をお伺いしたいと思うのです。
  95. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) ただいまお話しのとおり、五カ年構想を立てました当初における参考になります基本的な諸資料、この諸条件というものは、その後四十三年度以降の実績を見ますと、大幅に変わっております。そういうことによって、四十三年度、四十四年度もほぼ当初予定いたしましたものよりは、カラーの契約は伸びております。そういう情勢を踏まえまして、四十五年度以降四十七年度までの五カ年構想のあとの三カ年間の問題につきましても、非常に見通しを変えまして、当初四十七年度末にはカラー契約も件数を六百五十万件と見ておりましたが、約倍近い千二百六万件に直しております。そのために生じます増収は確かにございます。百四十四億の増収があるわけでございますけれども、この関係につきましては、当初そういう六百五十万の件数を予定をいたしました当初におきます五カ年を通算をいたしましても、財政の状況は五十一億円の赤字が出る計算になっております。しかもそのほか放送法規定に基づきまして、放送債券残額に対します十分の一は義務的に積み立てなければならないわけでございますけれども、そういうものは現在の見通しでは八十三億あるわけでございますけれども、全然自前では積めない、借金で積み立てるというような、非常にきびしい計画になっているわけでございますが、その百四十四億のカラー契約の増の見通しによる増収によりまして、当初の五十一億の赤は消えます。そのほかに八十二億まるまるが、自前では積み立てられませんけれども、四十三億円は放送債券の義務費としてのその積み立てが可能になるということでございますので、残余の経費は、あるいは当初の構想では東京、大阪のU局の設置というようなものは、構想の中には考えておりませんでした。その後出たわけであります。またFMの大電力圏内の県域放送につきましては、当初の構想では考えていなかったわけでありますが、いわゆるラジオ三波の再編成の方針が郵政省のほうで明らかになりまして、そういう面から追加されておりますので、そういう当初構想になかったものを加えたそういうものと、当初の構想では、カラーの放送時間は五カ年構想末で一日十五時間と計画しておりましたが、これを増強いたしまして十八時間放送にしようという拡充面、そういうような面並びに当初の関係では、物価関係その他の関係も非常に低く見ておりまして、三・八%の上昇率を見込んでおったわけでございますけれども、その後の実績等から勘案をいたしまして現在のそれは大体四・八%の上昇率、こういうことに改定をした差額、そういうようなものに充てることでざっと一ぱい一ぱいでございまして、まだ現在の放送債券の義務費の積み立ては、四十億は自前ではできない、借金でやらなければならぬ姿が残っております。したがいまして、増収があれば受信料の減免を考えるべきは、お説のとおり私どももそのように考えますけれども、見直しました長期財政の見通しから申し上げましても、そのような措置が現実には現在とりかねるというような姿に相なっておるわけでございます。
  96. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 御説明よくわかりましたが、しかし私のとるところでは、再度ひとつ御質問申し上げて所信を聞きたいのですが、増収はあったことは事実ですね。その増収のあった部分が、いろいろ御説明ございましたが、NHK事業の規模の拡大に充てられていることは間違いないと思います。これも協会にとっては私は必要だろうと思います。ところで協会は、国民の負担軽減というまあ期待を払いのけて事業計画の拡大、つまり積極的経営に進められているわけであります。去年、おととしでしたか、受信料の引き上げの要因となったのも、私はここにあると思うのです。こういう点で、国民が私はこのままでは納得しないと思います。そこで再度ひとつ今後の見通しといいますか、先ほどから話のあります四十七年度以降の協会の構想といいますかあり方といいますか、考え方というのをひとつ最後に伺って私はやめたいと思います。
  97. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 四十七年度以降を見通すことは簡単ではないと思いますが、考え方として申し上げますと、ただいま三年前に値上げしたというお話ですが、これに対しては、逆にラジオ料金等については廃止をしているわけでございます。で、白黒等については値下げをしております。カラーについては新料金を設定したという意味のものでありまして、ただいま副会長からも御説明を申し上げましたように、全体的に見ますと、総合的に見ますと値下げでございます。これはNHKは終戦以来——終戦前もそうでごさいましたが、企業体としては日本でただ一つ値下げの歴史を持っている企業体でございます。そういう意味では、当然われわれは営利を営む必要はございませんので、大局観からすれば、社会的責任あるいは聴視者の要望を満たし得る限度の経営上の収入というものが確保されればいい、という考え方であります。そういう意味で先ほど来お答え申し上げているわけでありますが、現在のところ、四十七年度末までの一応の構想を立てておりますが、四十七年度後にどういう問題が起こるかという点だと思いますが、まあ具体的に幾つかの問題を取り上げて見ましても、私どもとしてはまずカラーの全時間放送が必要になるだろうということが考えられます。カラーの全時間放送と申しますのは、概念的に申し上げても一日三十六時間という考え方に立つわけでございます。それからまた、まあこれまでのいろいろな外界との関係で私たちが予想しなければならないのは、あるいは四七年度以前になるかもしれませんが、要するに沖繩の問題がございます。これは将来やはりNHKの経営からいってかなり重要な部分になるであろう。現在、沖繩放送協会はまだ創業以来一年の歴史を持っていないわけでありますが、それもきわめて短時間の放送であり、沖繩全体の地勢から見ても、沖繩全島のネットワークというものができ上がっておりません。いわんやラジオ放送等はございませんし、教育テレビジョン等もないという状態でございますので、具体的にはこの問題が次のNHKの構想の中でどう吸収され、処理されていくかということが問題になると思います。と同時に、こういう関係でまあ私どもの立場から言えば、一種の世俗的な生産コストとの関係で、一体定員はどのくらいになるかという問題も当然生じてまいります。もう一つ、具体的でありかつ客観的な情勢から判断いたしますと、現在の経済情勢が四十七年度以後にどのような変化を来たすであろうか、ということが問題になると思います。先ほど来申し上げましたように、三年前の第三次五カ年構想の当初に予定した、たとえば一例を取り上げれば、物価上昇率、これを三・八%と考えたものが、時期的であるとはいえ、たとえば一月、二月等の実情を見ますと、その二倍に近くなりつつある。こういうような問題については、私どもとしては、四十七年度の時点に立たなければ予想はつきかねる問題になってくる、ということは、こういうように見通しのつかない、しかも基本的な問題も残ってくるということになると思います。その他国際環境の中で申しますと、一体、先ほど来御質問もいただきました地域衛星というものが、どの方向を向くであろうか。先ほど技術研究に関連しまして、放送衛星の研究のあり方を変更したと申しますのは、今年の四十四年の六月二十三日に、宇宙開発事業団法というものができ、その附則の第十五条によって、事実上放送法の一部は改正されているわけでございます。そういう関連から見まして、将来この放送衛星というものが国策として打ち上げられるのかどうか、またその使い方は本土だけであるのか、あるいは関係地域に及ぼされるのであるかどうか、これらも現在の時点では予測を許さない問題でございます。こういうように具体的に予測できる問題と、事業、あるいは現実にこの時点では予測できない二つのかなり大きな問題がございますので、したがって私どもといたしましては、ただいまの御質問に率直、明快なお答えを出すことはきわめて困難だと思います。ただ一応考えられることは、四十七年度末の、まあ総契約数がかりに二千五百万世帯を上回わる場合、カラー契約料金が全くこの総契約世帯数と同じ世帯からいただけると、カラー料金の契約総数が何と申しますか、四十七年度末に予想される契約総数二千四百万世帯強と全く一致する場合に、どのようなことを考えるべきかという問題は、当然われわれの社会的責任として考えなければならないと思います。  ただ、以上申し上げた環境の中で、さらに二つの国策と関連する重大問題がございます。その一つは、先ほど来副会長も触れました音声三波の調整がどういう形で、NHKのネットワークとして固定するのかという問題と、まあここ二、三年来、今後十年間の過程において、VHFをUHFに転換するという問題が、事実上どういう歩みをたどるか、これがまた実は私どもとしては、私どもの主観的、あるいは方針としてのみ決定できない問題でもございますので、この二つはNHKの、まあ現在で言えば放送法第八条と関連する根本的な重大問題であると考えております。こういう問題がまだ明快でないという現状におきまして、ただいま申し上げましたような、一応の私としての感想的なものをお答えする以外に、きわめて端的かつ率直、かつ明快なお答えができないことを、はなはだ遺憾に存じます。
  98. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私の質問を終わります。     —————————————
  99. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 委員異動について報告いたします。  本日、鈴木強君が委員辞任され、その補欠として森勝治君が選任されました。     —————————————
  100. 青島幸男

    ○青島幸男君 私は、当初からこの委員会におきまして、UHFへの全面移行ということに、これから申し上げます三つの点において反対の立場をずっととってきておるわけでございます。その一は、まずUへの移行の具体的な計画あるいは見通しというものが技術的にも成り立たないうちに、そういうことが行なわれる。第二は、U移行による国民の経済負担の増加、国民の大多数の方々に経済的な迷惑をかけるということのほうにしかできないということ。これが二点。以上の二点のような重大なものを踏まえておりながら、なおかつ国会の審議というようなこともなく行なわれてしまった。この三つの点から、私はずっと反対を続けてきたわけです。  こういうことをつらつら考えてみますに、どうもこの電波行政というのは、国会と国民を軽視しておるというような傾向がたいへん強いように私は感ずるわけです。たとえば先日野上委員の質問で明らかになりましたこともそうです。NHKは四十四年度予算で都市難視聴解消に二億八千万円を計上している。そして、四十カ所一万世帯の難視聴を解消することになっている。ところが、郵政省はこれにストップをかけまして、その理由は、財団法人みたいなものをつくってそういうものを解消させる。これに肩がわりをさせるようにせよという指示を与えた。この件に関しまして、先ほど鈴木委員はたいへんな憤りをもって追及なさっていたようですけれども、私もこの点を考えますと、鈴木委員と同様の憤りと不満を感ぜざるを得ない。  そこでNHKにお聞きしたい。NHKの担当者は、放送法の財政に関する条項及びNHK自体の経理規則の中に、郵政省の指示で予算の執行の変更ができるという規則があるかどうか、第一に。もう一つは、都市難視聴解消の方法をNHKが自主的に独自の判断で方向を変えたのか。この二点をまずお伺いいたします。
  101. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 第一点の郵政省の指示によってNHK予算内容、事業計画の変更ができるかどうかということでございますが、そういうことはできないと思います。予算そのものにつきましては、国会で御承認をいただいておるものでございまして、それに郵政大臣意見が付されておりますが、予算内容につきましては、国会の御承認を得たものでありますので、国会の御承認なくしては執行することはできない。ただ、国会提出いたしております予算は、非常に大まかな分け方をいたしております関係から、ただいまお話がございました第二点の問題でありますが、難視聴の解消の対策費として、四十四年度には三億一千三百万の総経費を計上いたしまして、その総ワクについて御承認をいただいたわけでございます。その中に二億八千万につきましては、主として都市の大型の共同聴視施設対策ということで、約一万世帯解消したいということで、平均二百五十世帯の四十施設ということを考えておったわけでございます。その間、四十四年が本日をもちまして一応終わるわけでございますが、この間に財団法人ができまして、その関連でこの四十四年度の、主として都市を対象にいたしました計画につきましては、これを中止をいたしまして、先ほど申し述べておりましたように、全国の都市難視聴を対象として予定をしておりました六百施設に対しまして、これを六百五十施設まで拡充をするという経費のほうへこの予算のワクの中で流用をいたしておる次第でございます。  以上のようなことでございます。
  102. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうしますと、財団法人ができたから、これは国会で了承を得た予算であるけれども、まげてほかへ流用してもいいのだというように解釈してよろしゅうございますか。
  103. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 都市の難視聴対策の施策といたしましては、この大型の聴視施設をつくっていこうという考え方、それから、最近発生しておりますところの団地等の難視聴の対策に対しましては、一々現地におもむきまして、アンテナの張り方あるいはその団地だけの小型の共聴指導をするということにつきましては、全国的に現在も実施をしておりまして、これも相当な件数の実績をあげております。こういう問題の一環といたしまして、都市におきましても共同受信施設NHKの手で建設をするという考え方もございましたが、これらにつきましては都市の難視聴対策の一環としてただいま話が出ておりますように、新しい法人ができまして、その法人の手でこれらの大型の共同聴視施設につきましては実施をしていくという方法になってまいりましたので、このワク内で方向転換をいたしたものでございます。
  104. 青島幸男

    ○青島幸男君 ワク内でとかいろいろ御発言がございましたけれども、いずれにしても、財団法人ができるから、そっちと一緒にやればいいじゃないかという郵政省の指示でやったとしか私は解釈できないのです。そうなりますと、予算は一応、国会承認されて、しかも、参議院では「難視聴地域の解消および受信障害防止対策を積極的に推進する」こと、という附帯決議がついております。また、衆議院でもほとんど同様の附帯決議がついております。このように国会承認をされました予算国会で認められましたNHKのとるべき方向というものに、郵政省がどのような法律根拠でストップをかけてこういうふうにされたのかということを、まず明らかにしていただきたいと思います。
  105. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、特にストップをかけておる、方向を転換させたということはいたしておりません。ただ先ほどもNHKの方からお話がございましたような経緯で、都市におきます難視聴救済といたしましては、個々の問題は先ほどNHKからもお話がありましたように、アンテナの位置を変えるとか高さを変えるとかといった方法があるわけでございますけれども、相当大規模な難視地域といったものに対しましては、やはり有線テレビというかっこう法人化をしたほうがいいのじゃないかという立場で指導してきた、というわけでございます。
  106. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、事はたいへん大きな問題になるのですけれども、これはNHKに限らず、国会承認を得なければならないような支出が、行政官庁の指導の方針によって自由に変えてもいいのだというふうに解釈せざるを得ないのですが、その辺についてはもう少しはっきりとした御見解を承りたいと思います。
  107. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  いまも申し上げましたように、いわゆる受信障害対策の一環としていろいろな方法があると思いますけれども、私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたCATV法人といったものを通じて難視聴解消というほうが適当ではないかということを指導したというわけでございます。
  108. 青島幸男

    ○青島幸男君 それが適当であると考えれば、国会できまった決議でもくつがえしてもいいと、その時点において。そういうふうに私は解釈せざるを得ないのですけれども、とにかく国会承認された予算の中では、NHKは独自の方法で難視聴を解消するために、少なくも都市の難視聴を解消するために二億八千万を使ってこれを処置していくのだ、そういうことは国会承認されてそのようにやるべきであるときまったわけですね、その時点で。少なくともその年度内で。ところが後半になると、それよりもっといい方法ができたから、それをやめにしてこっちにしてもらったということが、関係官庁のかってな解釈で行なわれていいものかどうか、ということを先ほどから私は聞いているわけです。
  109. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  私どもは先ほど来申し上げておりますように、国会で御承認になったものをかってに変えるという考えは持っておりませんので、国会で御承認になった範囲の中で、難視聴解消の方法はいろいろあろうかと存じますけれども、都市におきましては、さしあたりCATV法人といったものが適当であろうかと考えておるわけでございます。
  110. 青島幸男

    ○青島幸男君 それにしてもNHKは、その二億八千万で都市の難視聴を解消するという責任もあったわけですね、NHKにも。それで、この時点で何でも適当なものが出さえすれば、いつでも適当なるものに変えてもいいのですか。ほかに財団法人みたいなものを幾らつくってもいいとか、あるいは財団法人みたいなものが適当だから、それがいいということなら、何も国会の審議など初めから要らないじゃないかという気がするのですがね。それはどういうふうにお考えになっていますか。
  111. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  附帯決議その他でございました難視聴解消という目的は、非常にはっきりしておるわけでございまして、私どももそれに対しまして積極的に協力もいたしますし、指導もしているということでございますが、先ほど来お話がありますNHK独自の立場で都市内の難視聴解消をやるという点につきましては、その後いろいろ情勢の変化ということもございましたし、NHKもやりたいし、それからほかの民放各社もやりたいと、それからほかの関係のところもやりたいというようなことになりましたものですから、そういったCATV法人といったようなものをつくってそれの解消に当たるということのほうがいいんじゃないかと、そういうふうに考えたわけでございます。
  112. 青島幸男

    ○青島幸男君 それはそのとき適当であると思うゆえに変更したほうがいいのであると。とにかく目的は、都市の難視聴を解消するために二億八千万計上したんだと。その二億八千万で大きなアンテナにして、そこからケーブルを引いたほうがいいということが当初の目的だったけれども、どうもそれはやめにしよう、小さいサテライトをつけたほうがいいと。NHKの内部であちこち予定を変えてよりよき目的のために動かされる金だったらわかるんです。よそに財団法人みたいなものをつくって、それでみんなやりたがっているんだから、そこへあなたもこっちへお金を出しなさいとNHK命令するということがもしあれば、国会できめたことをかってにくつがえしたというふうに解釈せざるを得ないのですが、その辺どのように御理解になっておりますか。
  113. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、NHK命令してそれはやめてこちらをやれと、そういったことはやっておりません。
  114. 青島幸男

    ○青島幸男君 先ほどNHKのお答えによりますと、そういうものはできるんだからそっちへ一緒にやったほうがいいのじゃないかという、少なくとも提案を受けてそうしたというふうにお答えをいただいたように私は解釈しておりますけれども、その点はいかがでございますか。
  115. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 昨年度の建設計画の中で主として都市の分といたしまして用意いたしておりました御承認をいただきました二億八千万につきまして、その後の状況によりまして全国難視のほうも六百施設の拡大のほうへ振り向けたということにつきましてただいま御賛同をいただいたと思われますが、実は一方東京ケーブルビジョンの設備費に関しましては、郵政省から特に指示があってどうこうということではございません。これの設立に関しましては、NHKは当初から参画をして相談にのっております。先ほどから問題になっておりますこの二億八千万という経費につきましては、建設費でNHK施設を建設をするという費用で予算予定をいたしたものでありますが、その使途につきましては、ただいま申し上げたとおりでございますが、実はこの東京ケーブルビジョンに対しまして四十四年度中に設営をいたしております。この費用四千八百五十万円でございますが、これにつきましては事業費の中で、この目的の中で一応用意されました難視聴解消の対策経費の事業費の捻出をいたしまして、これに協力をいたしましたものでございますが、これの経過等につきましては、NHKの責任におきまして予算の流用をはかりましたものでございまして、またその事項につきましては御承認をいただいております総則の中の適用で十分いけるという判断をいたしましたものでございまして、その際、特に郵政省から予算の執行につきましての指示があったという事実はございません。
  116. 青島幸男

    ○青島幸男君 でも、都市難視聴を解消するためという目的で二億八千万というものを計上されているわけですね。そういうふうにのらりくらり逃げられますと、この記録を読んだ人々は、きっとそれじゃNHK郵政省はぐるになっておれたちをだましておるんだというような考え方を持つ方も、中にはいるかもしれない。そういう疑念がどうしても起こるような気がするのですけれども、そうでなければ初めから、都市難視聴を解消するために二億八千万という名目のきちんとした金を、ほかに財団法人ができたからそっちに流用したということで済む問題じゃないと思うのですけれども、こういう疑問が人々の中に生まれたときにはどういうふうに対処なさるおつもりですか。
  117. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 御疑問に対しましては、当初四十四年度の予算の御説明を申し上げました際に、そういう御説明を特に申し上げておりませんので、その御疑問はまことにごもっともであると思います。当初、私ども四十四年度の予算編成をいたしておりました際に、またその予算を御提出申し上げておりましたときには、確かにそういうつもりでおったことは事実でございます。その後一年間のいろいろな状況の変化によりまして、新しい問題が起こってまいりましたので、NHKに許された予算の執行範囲内でこれに対応したということでございます。
  118. 青島幸男

    ○青島幸男君 つまりその事態の変化というのは、その財団法人で東京ケーブルビジョンをつくるのだからという事態ですね。新たに発生したというのはそのことですね。
  119. 志賀正信

    参考人志賀正信君) さようでございます。
  120. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうなりますと、指示と言わないまでも、ある種の圧力みたいなものが郵政省から出ておる、それにNHKが屈服したというように見る人も出てくると思うのですけれども、やはり財団法人で東京ケーブルビジョンみたいなものができなければ、NHKは独自の立場で都市難視の解消につとめたはずですから、そうなると、これは郵政省の指示もしくは圧力というものの前にNHKが屈服したと解釈する以外にないと思うのですけれども、その点は、私のかってな解釈でしょうか。それともそういう解釈をする人がいたとしても、ある程度それは認めらるべきでしょうか、どうお思いですか。
  121. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 御質問の趣旨はよくわかるわけであります。必ずしも郵政省の指示なり圧力によって変更をいたしたものではございません。都市難視の解消には幾多の方法があろうかと思いますが、辺地関係の難視解消とは手段方法等に非常に多様性を持っておろうと考えられます。これは、きわめて特異な難視地域であろうと思うわけです。法解釈の問題につきましては、郵政省御当局とNHKのそれには若干の食い違い——食い違いと申してはあれですけれども、懸隔がございます。私ども放送法第七条並びに第九条第二項第四号この規定を総合的に判断をいたしますと、立法当時にはあるいはそのようなことは予想されないで、無線で放送すれば、それは必ず届くというような事態であっただろうと思いますけれども、その後やはりいろいろな事態の変化を生じておりますし、その変化に応じますためには、それに有効な手段を加えることは、放送法が否定するものではないと思います。第九条の二項第四号は第七条、それを受けまして、ただ放送をするばかりではなしに全国に受信可能なように処置しろということは、これが自然条件でありましょうとも、社会条件でありましょうとも、また人為的な原因に起因するものでありましょうとも、これはやはり九条のいうNHK措置しなければならぬ範囲に属するものとNHKは解釈しております。そういう面で四十四年度予算におきまして、都市難視の関係につきましては、そういった面で独自の方式による解消の方途として二億八千万円計上いたしましたが、年度中間から同じ難視解消に役立つ目的で——ほかの目的もございますけれども、そういうような目的を掲げた財団の設立というものが、非常にほうはいとして起こったわけであります。そういうような面から見ますと、いろいろな難視解消の方法が非常に複合いたしますと、そこに非常な非能率、不経済も出てこようかと思いますので、そういうような動きがあれば、その動きに対してこれが一〇〇%難視解消に役立つ唯一の手段であるとは考えておりません。が、難視解消に何がしかの役立つ方法であろうことは間違いないことであります。そういった面の進行状況とも見合わせながら、都市難視解消方法は、タワーを高くするとか、あるいはいまの財団法人の事業によって救済できないものはNHKの固有の義務であると、こう感じます限りは、有効妥当な方策を見出していかなければならないと思います。その辺はあるいは四十四年度に予想いたしましたような方法を再度とらなければならぬことになろうと思いますけれども、少なくともそういう難視解消を目的にいたします財団法人が設立せられ、NHKもこれに対して難視解消が遂行でき、しかも受信料の徴収に支障を与えないということであれば、積極的に参加すべきだという態度をとります限りにおきまして、しばらく成り行くを見るために、そのような点を自主的に予算上変更を加えたわけでございます。   〔委員長退席、理事永岡光治君着席〕  あるいはこれだけでは十分な御了承を得られないかもわかりませんけれども、われわれのとりました措置は、そのような基礎に基づいておるものでございます。
  122. 青島幸男

    ○青島幸男君 よくわかりました。ですから外に財団法人ができて、そっちへ出資するのに回しちゃったと、それがどういう理屈をつけても、これは国会で得た承認というものを無視したというそしりは免れないと思うのです。これは郵政当局にとりましてもある程度そういう権限を越えた行為が多少あったというふうに見られても、これはどうにもしようがないと私は思うのです。それはその辺にとどめますけれども、それでは一体東京ケーブルビジョンの具体的な計画ですけれども、初年度七千世帯をカバーするようにするんだというお話ですけれども、いつから、大体どの地域からどういうふうに行なわれたかという具体的な計画は、もうすでにおありだと思うのですけれども、これは話によりますと、当初NHKで二億八千万の中で考えていた手段よりは割り高について、しかも月々の支払いの経費が高くなっておるというように聞いているんですけれども、ですからNHKでやれば安く上がったものを東京ケーブルビジョンにしたために、見る人は高く払わなきゃならぬという歴然とした事実もあるわけですけれども、それはとりあえず置いたときまして、いつどこからその初年度の七千世帯をどういうふうにケーブルをつけていくか、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  123. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  東京ケーブルビジョンにつきましては、いろいろいきさつがございまして、いわゆる新宿地区に一番問題の端を発したということはお聞き及びかと存じますが、したがいましていまのところ新宿地区を中心といたしまして、私が聞いている範囲では二千世帯ぐらいをまず救済するということで準備を進めているというふうに聞いております。ただ、まだスタートしたばかりでございまして、本年度の計画をどうするかということは、まだ聞き及んでおりません。さしあたり二千世帯を救済するということであります。
  124. 青島幸男

    ○青島幸男君 先日の委員会で、私はちょっと有線テレビの持つ機能について御意見を申し上げまして、藤木さんともその面では意見の一致をある程度見まして、御了解を得たと思うのですけれども、東京ケーブルビジョンの設立目的と事業計画を見ますと、どうもその辺の了解について疑問がまた生ぜざるを得ないと思うのです。というのは、再送信自主放送という二つの機能が全く一本のケーブルで果たし得るわけですけれども、それは全くそれぞれ別個のものである、特に自主放送の場合は全く別のメディアであると考えなければならないと申し上げたはずでございます。その点御了解をいただいたはずでございますけれども、この東京ケーブルビジョンですが、この中では全く同一のものとして事業の中で取り扱われているというふうに私は解釈するんですけれども、この点どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  125. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  東京ケーブルビジョンの事業につきましては、いま先生がおっしゃいましたように、いわゆる再送信業務というものと有線テレビジョン自主放送といったものがございます。そのほかにこまかい点はございますけれども、これはこの前も先生からの御指摘ありましたように、自主放送自体は、これは新しいテレビの番組を提供するということ自体におきましては、いわゆる再送信とは違うわけでございますけれども、テレビジョンというものを対象としました場合には、特に新しいメディアというふうに考えなくてもいいんじゃないかと思います。ただこの前先生がおっしゃいましたような同軸ケーブル自体の可能性ということを考えますと、御存じのように、再送信自主放送以外に相当多くの使用する可能性があるという点から考えますと、これはここにまた別のメディアということを考えざるを得ないのじゃないか、たとえばファクシミリの放送なんかもできますし、あるいはまたデータ通信みたいなものも将来可能になるかもしれません。ただ現在の法律の体系におきましては、これは東京ケーブルビジョンという財団法人がやる限りにおきましては、再送信自主放送といったものが主体になるわけでございまして、その他のものにつきましては、この業務の中にはいろいろ研究、調査をする項目がございまして、そういったところでやってもらうということになっておるわけでございます。
  126. 青島幸男

    ○青島幸男君 そこで、これは発足するのですからどうこう言うことはないのですけれども、私の意見としましては、これまで国会承認しましたNHK予算、それからNHKの難視解消の方向に沿うなら、NHKは少なくとも東京ケーブルビジョンから手を引くべきであると私は思うのです。それで東京ケーブルビジョンの事業にありますところの一、二、すなわち「有線によるテレビジョン放送の再送信ならびにこれに付随して行なう役務の提供」、それから「都市における受信障害に関する調査、研究」、この一、二だけは、この東京ケーブルビジョンからNHKが手を引いて、NHK独自の責任でこれを行なうべきだと私は思うのです。先ほど来問題になっておりました、あまねく人々に見せなければならないというNHKに課せられました責任の上からも、これはそうしなければならない。その他の事業計画については、自主放送しようとどうしようと、これは一向にかまわない。これは東京ケーブルビジョンみたいなものが幾つできたっていいと私は思うのです。自主放送をすることとそれから的確に出した電波が届くということとは全く別のことですから、これを一つの事業体の中にひっくるめてやろうとすることに間違いが生じると、私は委員会で再三申し上げているのですけれども、そのことについては、どういうふうにお考えになっていますか。
  127. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) 私自体は、この東京ケーブルビジョンといったものが先ほど来御説明申し上げているように、まずこの都市におきまする高層建築等の人為的原因によるテレビ受信障害を解消するということがはっきりしているわけでございまして、それが目的であるわけでございまして、したがいましてNHK自体もその中に参加いたしまして、同じ目的のために努力するということは当然のことだと思っております。   〔理事永岡光治君退席、委員長着席〕  それに御存じのように同軸ケーブルを使用する——同軸ケーブルといったものは相当高価なものでございまして、これを同じところに何本も引くということは、現実の問題としてはこれはあり得ないじゃないか、やはりこういったものを引きますると、同じところにこういった太いケーブルを何本も引くということは、非常な経費もかかるわけでございまして、現実的にはあり得ないというわけでございまして、NHKを別にしてやるということは適当じゃないのではないか、そういうふうに考えております。
  128. 青島幸男

    ○青島幸男君 その辺が私は見解を全く別にするものでございまして、ケーブルが何本ついてもったいないということよりも、情報のソースが一元化して、言論の自由を失うというようなことがあったとしたら、そのほうがもっとずっともったいないと思うのです。ケーブルなんか何本引いたって私はいいと思うのです。さまざまな情報が平等に人々に提供される、その中からほんとうの民主主義というものが芽ばえていくと思うのです。ですから東京ケーブルビジョンが都市難視聴を解消するためにだけ発足するなら、私は何も文句は言わない。NHKがどんなに共同してやろうとかまわない。ところが、それに付帯する自主放送であるとか、その他あらゆる可能性を一緒に引っくるめて統治下に置こうとなさっているような野心みたいなものが見えすいてならないような気がしておるのです。もし私の言い方が不穏当でございましたら、その点訂正なすっていただいてけっこうなんですけれども……。ですから、主たる目的は難視聴を解消するところにあるというんだったら、東京ケーブルビジョンから、ほかの有線テレビジョン自主放送という三以下の項目をはずしたほうがより適切ではないかと思うんです。この点に関しては前田会長はどのようにお考えになりますか。
  129. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもの立場はきわめて単純でありまして、NHKとしては、放送法のたてまえにのっとり、手段としてたとえば東京ケーブルビジョンのようなものができて、その中の一と二がNHKに最も利用する価値があるかどうかということを検討する立場にあると思いますし、そういう点ではこの二項目については目的を同じくしているわけでありますから、これに参加することによって、その限度においての難視解消の一つの手段になり得るという意味の程度のものでございます。
  130. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、本来ここに協力してやらなくても、NHK自体でもこれだけの責任はまずあるわけですから、何もこんなところへ入らなくてもいいわけですね。NHK独自のたてまえでこれが行なえれば、そういう予算を組んで、それが承認されて、それが行なうことができれば、NHKは何もそこへ入る必要はない、かってにやったらいいじゃないかという気がするんですけれども、どうでしょう。
  131. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 原則として、お話しのとおりだと私は解釈しております。
  132. 青島幸男

    ○青島幸男君 その解釈と、東京ケーブルビジョンができたことによって予算が曲げて運用されたということとあわせて考えますと、やはり先ほどの問題に戻るんですけれども郵政省からある程度のその意味の圧力が会長のところへかかったんじゃないかというふうに考えるんですけれども、これはどうでしょう。
  133. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 先ほど志賀務理事の使ったことばの中で、一つ、まず取り消しておきたいと思います。ある一定のワクの中で予算を流用したという表現は、妥当でございません。ただ、予算実行上、その使い方について割り振りを考えたという意味のものでございまして、この点は明らかにしておきたいと思います。  圧力があったかどうかという問題は、まあいろんな方のお感じ方によって、表現は強くも弱くもなるかと思います。ただ、私どもといえども、まあ郵政省と全く無縁のものではないわけですね。電波の割り当てを受けるという意味では、われわれがやはり政府の門口として最も接触しなければならない部分だと思います。まあ、社会的に見てというような大それた表現は使いたくありませんが、やっぱり社会生活の中では、ちょうど自然現象のように豆台風が起こる場合もあり、相互の関係はやっぱり高気圧と低気圧の関係だと思います。その中で、われわれのたてまえを貫きながら皆さんの御意見にも耳を傾けていくということが、やはり社会の実情の中では当然必要なことだと考えます。そういう意味で、われわれがいろんな方面の御意見を聞き、また、現実にそういうものが、まあ四十世帯にせよ、そしてその世帯はお金持ちであるにせよ、効果をあげているという点から見れば、われわれの目標を達する方法の一つとして、別にそれだけで大議論をしてそこに入らないというような必要もないんじゃないか。ただ問題は、そのことだけが原則であるというような考え方に、もし一般の方々ないし当局の方々がそれにもう定着されるということについては、先ほど来私は意見を述べてますように、決してNHKの任務というものはその限度のものではない。これについては今後、いまでき上がったケーブルビジョンというようなものが、どれだけの効果をあげてくるかという問題と、われわれの責任を果たしていくスピードと限度が、そのケーブルテレビジョンの効果の問題との勘案で、将来も参加すべきか、あるいは経済的に不経済であるか、そういうことを今度は現実に判断していく時期が来たと、そのように考えているわけでございます。
  134. 青島幸男

    ○青島幸男君 NHKの立場としては、それはその行政を受けなきゃならない役所がここにあるわけですから、いろいろお立場上発言のしにくい部分もあったかと思うんですけれども、いずれにしても、大臣、いままで私は有線テレビによる自主放送と、それからそのほかさまざまなファクシミリだとかという、一本のケーブルによって生ずるあらゆる可能性がありますけれども、それとアンテナと同じような意味合いにおける再送信のための補助とは別の問題と考えて、法案を直していったりする場合にも、根本的な考え方はそういうところになきゃいけないと思うわけです。この東京ケーブルビジョンがここにできたということは、どうもあらゆる有線を利用した事業、これを先取りして、少なくとも既成事実をつくりまして、それで後々郵政省に有利な法案を通すための布石でしかないという見方をする人もあるし、あるいは他に先んじてつくるだけで、事実上その法律的な制約がないうちに独占してしまおうと、そういうふうに郵政省が指導しているんだという考え方を持つ人もいるっていうんですけれども、その点については大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  135. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) CATVの問題、いろいろ話題を投げかけておりますが、とりあえず東京ケーブルビジョンという公益法人をつくりましたゆえんは、一つは、いまおっしゃるように、まだいろいろの可能性を持っておる。また、未知なる部分の多いこの時期において、まあ地域的にどうしても独占性というふうなものが生ずる仕事でもございますし、片やまた、難視聴を解消するというひとつの公益的な面もございます。そういう点から考えまして、こういう形で発足することが当面は一番適切ではないかという意図のもとに、省といたしましては行政指導に当たっておる、こういうことでございます。
  136. 青島幸男

    ○青島幸男君 なぜ地域独占にならなきゃならないかということにも、私はたいへん疑問を持っているんですけれども、有線テレビにすると、どういうわけで地域独占というようなかっこうに結びついていかなきゃならないわけですか。
  137. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) お答え申し上げます。  先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども、有線テレビというものは、同軸ケーブルというものを使うわけでございまして、まあ同軸ケーブル自体の値段というのは、いわゆる電波に比べますと相当高いわけでございます。したがいまして、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども一つの地域に同軸ケーブルを張りめぐらすということになりますと、相当なそこで経済的な負担がありまして、そういった同じものを二本も三本も引くということは物理的には可能ではございますけれども、実際問題としてはあり得ないのじゃないかと。特に、再送信業務——高層建築物等の原因による受信障害を解消するための再送信業務ということになりますと、これはもうある一つのところがやればそれで済むわけでございまして、当然経済的な理由から考えましても、あるいはそういった内容から考えましても、独占性にならざるを得ない、そういうふうに考えているわけでございます。
  138. 青島幸男

    ○青島幸男君 再送信についてはそれでいいんですけれどもね、自主放送のみを行なう放送局ができたとしますね、有線で。そうなると、人々は雑誌を購読したり新聞をとったりするのと同じように、自分の好みの局から線を引いてもらってそれを見るという可能性が高いと思うのです。それが何本錯綜したってかまわないんで、A新聞をとろうとB新聞をとろうと、どの新聞をとろうと、その人のかってであるというように、そういう上に民主主義は成り立っているわけですから、そういう意味では地域独占にはならないと、そう思うのですが、その点についてはどうですか。
  139. 藤木栄

    政府委員藤木栄君) いま言った意味で、自主放送のみの場合ですと、理論的には確かに先生のおっしゃるように何本引いてもかまわないということになろうかと思います。ただ、先ほど来申し上げておりますように、同軸ケーブルという放送、たとえば電波でいいますとVHF帯を全部そこで使うというような可能性があるわけでございますので、情報量の伝達ということからいきますと、相当膨大な情報量が伝達されるという事実があるわけでございますので、現実の問題としまして、雑誌を買うというような程度にはいかないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  140. 青島幸男

    ○青島幸男君 それがどうもおかしいのですけれども、それは一本のケーブルでかなり大量の情報が流せるということは私も承知しております。ですから、自主放送だけを行なうテレビ局ができたとしても、それが錯綜した何本かの加入者をまとめて一本のケーブルに持っていく。そうすると、同時に四社なら四社と契約を結んでる視聴者も出てくるわけです。そうすると、高いものであるとか安いものであるとかいうのは相対的な価値の考え方だと思うのです。それはカラーテレビはいまでも相当高いと言っていながら皆さん見たがってる人が多い。それだけのお金を払っても安い、あるいは見たいと思うから買うわけでして、ですから、そういう情報が得たいという人にとっては決して高いものではない。ですから、地域独占になる危険性というものは、自主放送を行なう放送局に関してはない。ただ、私どもいままでこうして聞いてきてなかなかかみ合わないところは、その再送信自主放送とが同時に一本のケーブルで行なわれてしまうということが一番問題だと思うのです。それですから、それは法律をつくる上にもこういう企業体を考える上にも、初めから根本的に別に考えていかなければならない問題ではないかというふうに考えているわけです。ですから、先ほど来、こんな話になってしまったのですけれども——ですから地域独占になるというのは、再送信を行なうアンテナがわりのケーブルであるというふうなことに限って行なえば、この東京ケーブルビジョンの事業計画の内容も、ここまで持ってこなくてもよかったのじゃないかという気がするわけですけれども、そういうお話し合いをしているわけです。それでいままでの経過をたどってみまして率直に申しますと、難視聴地域解消というような目的でNHKがケーブルを引いたとしても、ケーブルを引いてしまったNHKがそのケーブルの持つ機能から生まれる幾多の可能性を全部NHKが独占してしまうのじゃないかということを郵政省がおそれているのじゃないか、あるいはこれからその有線によって生ずるであろう一切の可能性を自分の統治下に置いておきたい、押えておきたいという郵政省の考え方があるというふうに私はどうも感じてしょうがないのですけれども、たいへん率直で人の悪い言い方かもしれませんけれども、どうもそういう気がしてならないのですけれども、その点どういうふうにお考えになっておられますか。これは大臣にお伺いしたい。
  141. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) まあ、たいへんうがった御質問のようですが、まあ役所のほうの考え方としましては、何も決して、郵政省がそれによって大いに権限をいまのうちに拡大をしておこうというようなことではなくして、やっぱり事実関係が先に先行しておりますから、それを踏まえて、まあ放送秩序とでもいいましょうか、これはやっぱり一つの公共性を持っております。こういうところから、まああるいはこの言い方はどうかと思いますけれども、いわば追っかけてやった仕事である、こんなふうに考えているわけであります。
  142. 青島幸男

    ○青島幸男君 確かにそうおっしゃるとおりだと思うのです。事実が先にありまして、そのあとからいろいろついていかなければならない。そこに法律的な基準というものがまず先行しなければならないのですけれども、そうでない。その放送法の改正にしましても、もう何年来持ち越しておる。もともとの憲法みたいな基準になるメジャーがはっきりしていないのですから、その上に何を組み立てても、これは安定したものができるわけがないと思うのです。これから一日も早くそういうものを確立していかなければならない。そういうたてまえで進んでいくためには、実態をもっとよく把握しなければならない。ですからこれから出てくる想像もつかないような可能性がいまあるわけですけれども、このケーブル一本から生ずるあまねく機能、能力、性能そういうものを予測し得る限り予測して、しかもそれを明確に区分けしていかなければならないと思うのです。ですからいま申し上げた再送信だけをするケーブル機能、あるいはそれから自主放送をする機能、ファクシミリをする機能、全部引っくるめて一つ法案の中でまとめてしまおうという考え方をすると、とかくいままでのような間違いが生ずるし、各方面から疑惑も生ずるし非難もあびねばならないと思うのです。ですから、一つ一つの機能について明確にその性質を見きわめてからそれにのっとって法的な基準を設けていかなければならない。大臣の立場を考えると、ほんとうにむずかしいところだとは私拝察するのですけれども、今後そういう意味合いの法律を改正する、あるいはつくるというようなことにつきましては、その辺のところを深く御配慮いただきまして、間違いのないようにひとつやっていただきたいというのが、私の要望でございまして、要望を最後にして、質問を終わります。
  143. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止
  144. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をつけてください。  他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
  146. 長田裕二

    ○長田裕二君 ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、私は、自由民主党を代表して、これを承認することに賛成の意を表するものであります。  本議案の内容であります日本放法協会昭和四十五年度の収支予算等は、その事業計画において在来からのテレビ、ラジオの全国普及をはかるための両放送網の建設を推進するとともに、東京、大阪のUHFテレビ局を完成するほか、広域圏内の県域テレビ局の設置、放送センターの総合整備などの新施策が織り込まれておりまして、これは協会の使命に照らしておおむね適当なものであると認められます。また、この計画の裏づけとなる収支予算の見積りもほぼ妥当なものであると判断されます。  ただ、この際、希望を申し上げたいのは、協会は新情勢に即応するため長期経営構想を拡大修正することとしておりますが、それによりますると、カラー契約が伸長するとはいえ、なおその資金繰りは必ずしも容易でない状況にあります。したがいまして、協会当局はまず事業運営の効率化をはかるとともに、営業活動を活発化させるなどの方法により、経営財源の確保につとめられ、事業規模の拡大が、今後における聴視者負担の増大の要因とならないよう十分な配意を願いたいのであります。  次に、難視聴及び受信障害の問題は、聴視者にとってはきわめて切実な問題でありますが、その対策についての考え方などにおいて、関係者の間でなお考究すべき問題も考えられますので、今後十分に協議を重ねられ、適切な方策が打ち出されるよう強く要望いたしたいのであります。  また、公共放送としての協会の持つ社会的使命は一そう重要の度を加えておりますので、今後とも放送番組の刷新、充実に一そう努力されまして、ますます国民の負託にこたえられるよう希望いたしまして、私の賛成討論といたします。
  147. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となつております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、これを承認することに賛成の意を表明するものであります。  日本放送協会昭和四十五年度の収支予算等は、事業経営の長期的構想に基づく第三年度としての諸計画を積極的に推進して、国民の要望にこたえようとするものであります。  その大要は、テレビ・ラジオ放送の全国普及の早期達成のための両放送網の建設、番組の刷新、充実、教育・教養番組の利用の促進などを推進するのほか、放送センターの総合整備に着手するとともに、受信料免除範囲の拡大等の措置を講じようとするものであります。これらの施策は、いずれも協会の使命に照らしてほぼ妥当なものであると思われます。  わが党は、この収支予算等が適正に執行されることを期待するとともに、この際、本件に関し附帯決議をもつて政府及び協会に善処を要望しておきたいと存じます。  まず、その案文を朗読いたします。    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、    承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府および日本放送協会は、次の各項の実施  につとめるべきである。  一、協会は、第三次長期経営構想の修正実施に   当つては、事業運営の効率化と営業活動の活   発化等に努め、計画の実施が受信者負担の増   大を招くこととならないよう配意すること。  二、協会は、その公共的使命にかんがみ、社会   の急速な進展に即応し、放送内容の刷新向上   を図ること。  三、難視聴対策については、辺地にとどめるこ   となく、社会の発展に伴うテレビジョン受信   障害の増大と多様化に対応し、適切な施策を   推進すること。  四、カラーテレビジョン放送の拡充に伴い、良   質廉価な受像機の普及対策を積極的に推進す   ること。  五、協会は、放送法の精神にのつとり、不偏不   党の方針を堅持すること。  六、協会は、経営の合理化、近代化をはかり、   職員の待遇改善に資すること。  右決議する。  以上であります。  これは、先般来の本委員会における審査の経過を参酌して起案したものでありますが、その要旨を簡単に御説明いたします。  第一は、長期経営構想の拡大修正に関連する問題であります。協会は、カラー契約の予想以上の伸長などの新情勢に対処して、第三次長期構想を本年度以降修正することとしておりますが、この計画の拡大が、資金事情の悪化などの形で経営の圧迫を来たし、将来そのしわ寄せが聴視者にはね返ることのないよう十分配慮するとともに、運営の効率化はもちろん、契約率向上のための営業活動の強化などを協会に要請しておくものであります。  第二は、社会情勢の進展に対応する放送内容の刷新についてであります。七〇年代は、技術革新、情報化などによる社会の進展はまことに目ざましいものがあると考えられます。したがいまして協会は、社会の変貌に即応して放送内容についてその刷新向上をはかるよう、協会の公共的使命を強調したものであります。  第三は、テレビ難視の総合対策の推進についてであります。協会の積極的な置局によってテレビ放送のカバレージは、漸次改善されておりますが、最近ではビル陰障害をはじめとする多様の受信障害が発生しておりますので、政府協会と相協力して適切な解決策を確立し、これを推進すべきことを要望するものであります。  第四は、カラー受像機対策についての要望であります。最近、カラー放送の拡充などに伴い、カラーテレビは急速に普及する趨勢にありますが、受像機の価格はまだ大衆のものとなりきっておりません。政府は単に税制上の措置にとどまらず、受像機の良質廉価な生産について格段の配慮を願いたいとするものであります。  第五は、放送の不偏不党についてであります。特に本年は、政治、社会情勢の複雑化に伴い、放送の役割りが公正な世論形成に一そう重要となっておりますので、この際協会に対し、放送法の本旨の再確認をお願いしておこうとするものであります。  第六は、協会職員の処遇についてであります。当年度においても若干の改善が見込まれてはおりますが、必ずしも十分とは申せません。したがいまして協会は、財政事情の現状にかんがみ今後とも経営の合理化、近代化、能率の向上などの努力を通じて、職員の処遇改善に意を用いられたいと要望するものであります。  以上、附帯決議の要旨について申し上げましたが、何とぞ御賛同下さいますようお願いして、私の賛成討論を終わります。
  148. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、希望意見を付して、承認を与えることに賛成の意を表するものであります。  その第一は、受信契約者の普及開拓の積極化についてであります。先般来、当委員会の審議で明らかとなりましたように、数百万という未契約の世帯が残されているのでありまして、協会当局は、積極的にその契約の獲得に努力をされ、経営財源の確保につとめられることを要望するものであります。これは協会が事業経営の長期構想に基づく諸施策を積極的に推進していくためにも、また、受信料の負担公平という見地からも、未契約世帯の解消に一段の御努力を払っていただきたいと要求するものであります。  第二は、難視聴地域の早期解消対策についてであります。当年度は、二百四十局のテレビ局を建設することとしておりますが、なお、百万に近い世帯がテレビを視聴できないのであります。放送の全国普及こそ協会に課せられた最大の使命であることを再認識していただき、増収費はあげてテレビ局の建設に充てられたいのであります。さらにまた、ビルの高層化に伴い、いわゆるビル陰障害が年を追って多くなっている現状であります。この点にかんがみ、政府NHKは相協力して受信者に多大の負担をさせることなく、これらの電波障害を除去するためにも努力を払っていただきたいことを要望しておきます。  第三には、放送番組の充実についてであります。いまや放送の国民に与える影響力は、はかり知れない強力なものとなっております。現今の社会的風潮を見ても、協会の果たすべき役割りはまことに大きいものがあると痛感しています。今後とも番組の刷新充実につとめられるとともに、広くわが国放送事業全般の質的向上をはかり得ますよう積極的な施策を講じていただきたいのであります。また、協会が公共放送として果たすべき役割りが重きを加えつつありますのに伴い、協会職員の高い人格と、豊かな人間性の向上に期待するものであります。特に職員の教育、訓練には、公共放送の職員としての意識の向上に尽くされんことを要望するものであります。  第四は、国際文化交流の積極化についてであります。協会は直接放送あるいは番組の交換を通じて、国際親善、経済文化の交流に尽力しておりますが、今後ともこれを積極化されるとともに、開発途上の諸国に対しましても協会の高い技術を給与するなどして、さらに国際間の相互理解と世界平和に寄与されることを心から期待するものであります。  以上をもちまして、私の賛成対論といたします。
  149. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求める件、また、ただいま提議されました六項目にわたる附帯決議を含めまして、私は、民主社会党を代表して、賛成の意を表明いたします。  理由は簡単であります。わが国の国際的使命、特にアジアにおける日本の役割り、日本経済、教育、文化の創造的発展、国民生活の豊かなる向上にNHKの持つ役割り、使命がますます重要課題となりつつあることを深く思いいただくとともに、NHKは日ごろ国民の放送局をもって任ぜられているのでありますから、その経営にあたっては、聴視者の意向を反映させるよう努力していかれることと思いますが、なお一そう国民の声を聞くという方向につとめられ、国民とともに発展することを要望いたしまして、賛成の意見といたします。
  150. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(閣承認第二号)(衆議院送付)を問題に供します。  本件に賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  152. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました永岡光治君提出の附帯決議案を議題といたします。  永岡君提出の附帯決議案に賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  153. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致と認めます。よって、永岡君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、郵政大臣及び日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。
  154. 井出一太郎

    ○国務大臣井出一太郎君) 本件に関しましては、慎重なる御審議の上、ただいま全会一致をもって御承認をいただきましたことを、厚く御礼申し上げます。  なおまた、ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政にあたりまして、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  155. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 日本放送協会昭和四十五年度予算案並びに事業計画が、連日非常に御熱心に、かつ示唆深い御議論を通じて、全会一致承認されましたことについて、心からお礼を申し上げます。  なお、六項目にわたる附帯決議につきましては、私どもは、これを今後の経営の指針といたしまして、全力をあげてその任にこたえたい、このように考えております。まことにありがとうございました。
  156. 近藤信一

    委員長近藤信一君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  別に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十四分散会      —————・—————