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野上元君 私は、あなたが
サービス精神に徹しているということについて異論はないんです。しかし、それはね、あまりそれを考えると、逆の効果になるんじゃないかというような気がするんですね。たとえば
郵便物はその日に着くようにしますと、こういうふうに言うそのこと自体、国民で反対する人いないでしょう。しかし、それができなかったらば逆にその非難がくるんですね。私、それが
心配なんですよ。だからできることを国民に約束すべきである、そして約束をしたことをやるべきである、こういうふうに実は考えるわけです。したがって、あなたがやっぱり国民に
サービスだ
サービスだという
考え方、それはいいでしょう。しかし、それをやれなければそれはあだ花になるわけですね。逆の効果を私はあらわすんじゃないかというような気がするんですね。その点の私は、
政府の、
郵便だけじゃありません、すべての問題についてのごまかしがあるような気がするんです。たとえば、物価の問題とってみてもそうでしょう。物価安定させますと、こう言うんです。しかし、
経済成長させながら、しかも、増税をしないで物価の上昇をとめるなんという方法が一体あるのか。ないと思うんですよ、私は。物価を安定させるには
経済成長もとめなければいかぬし、あるいは有効需要をふやさぬように増税もしなければならぬでしょう。減税なんというのはできないでしょう、おそらく。ところが、
経済成長もやります、減税もやります、物価もとめますなんて、そういうことを言うから国民はまただまされたということになるわけです。できないことを私は約束しないほうがいいと思うんです、
政府は、特に。だからそういう点がどうも私は思い切りが足らぬような気がするんですよ。いつの日にか改革しなきゃならぬでしょう。早いほうがいいと私は思うんです。徐々に徐々に国民が知らぬうちに改革していきたいというふうにあなたは考えておられるか知らぬけれ
ども、もうすでにそういう時代じゃない。
先ほども話したように、ある意味では
科学技術の進歩というやつは歴史の断絶を認めておるわけですよ。というより断絶を行なっているわけですよ。いままでの技術は全然今日はもう役に立たないのですからね。
郵便だけが明治時代のやつが役に立つなんというはずはないのですよ。その点がどうも私は、
サービス精神はいいけれ
ども、それがかえって逆の効果になるのじゃないかというような
心配をするからあなたにちょっと聞いてみたのですがね。
そこで
労働力の問題にちょっと入ってみたいと思うのですが、これは厚生省の
人口問題研究所が推計したものですが、いわゆる労働
人口というのはだんだんだんやはり減ってきつつある。たとえば十四歳から六十四歳までのいわゆる労働
人口というものがパーセンテージから見ると非常に落ちてきつつある。逆に六十五歳以上の人が非常にふえてくるのですね。この問題を一体どうするかという問題ですね。この
調査によりますと、
昭和六十年において十五歳から六十四歳までのいわゆる労働
人口といわれるものは八千百九万人ですね。それで六十五歳以上が千百五十万人に伸びてきておるわけですね。だから、この六十五歳以上の人たちを一体どうするかという問題な
ども、私はあなた方もよく先を見越しながら
計画していかなければならぬのじゃないかというように感じるわけです。それからもう
一つは、学校の進学率が非常に高くなってきたのですね。たとえば、
昭和三十年には高校進学率というのは大体五一%だったのです。ところが
昭和五十年には、これが八〇%になる、六十年には、九五%までいくだろう、こういわれているわけです。大学の進学率は四十一年に大体二五%、四人に一人だと、六十年にはこれが四〇%まで伸びていくだろう、だから百人のうち四十人はもう同じ年齢の人が大学生になる、大学を卒業することになる、これが外務員の募集にどういう
影響をもたらすだろうかということはどういうふうにお考えですか。