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1970-03-03 第63回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月三日(火曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員の異動  二月二十四日     辞任         補欠選任      若林 正武君     小林 国司君  二月二十五日     辞任         補欠選任      山崎 竜男君     田中 茂穂君  三月二日     辞任         補欠選任      小林 国司君     若林 正武君      田中 茂穂君     山崎 竜男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 熊谷太三郎君                 内藤誉三郎君                 山本伊三郎君                 原田  立君     委 員                 西郷吉之助君                 鍋島 直紹君                 船田  譲君                 増田  盛君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 若林 正武君                 加瀬  完君                 竹田 四郎君                 千葉千代世君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 山田  勇君    衆議院議員        地方行政委員長  菅  太郎君        地方行政委員会        理事       小澤 太郎君        地方行政委員会        理事       塩川正十郎君        地方行政委員会        理事       砂田 重民君        地方行政委員会        理事       山口 鶴男君    国務大臣        自 治 大 臣  秋田 大助君    政府委員        自治省行政局長  宮澤  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法の一部を改正する法律案衆議院提  出) ○地方公営企業法の一部を改正する法律案(衆議  院提出)     —————————————
  2. 山内一郎

    委員長山内一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方自治法の一部を改正する法律案及び地方公営企業法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。菅衆議院地方行政委員長
  3. 菅太郎

    衆議院議員菅太郎君) ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由並びにその内容概要につきまして御説明申し上げます。  まず、この法律案立案いたしました理由を述べますと、この法律案は、最近における急激な都市化現象及び市町村人口実態にかんがみ、市となるべき普通地方公共団体要件につきまして特例を設けようとするものであります。  あらためて申し上げるまでもなく、現行の地方自治法のもとにおきましては、人口五万以上であって所定の都市的要件を備えることにより市制が認められることになっております。  しかしながら、市となるべき普通地方公共団体人口要件は、昭和二十九年六月に改正されるまで、長い間三万以上であり、その後におきましても昭和三十三年四月及び昭和四十年三月にそれぞれ人口が五万以下であっても、三万または四万以上であればこれを市とする旨の特例が設けられたのであります。  市となるべき人口要件は、このような経緯を経て現在に至っているのでありますが、今日、全国の市の人口実態はどのようになっているかと申しますと、五百六十四市のうち人口五万未満のものが二百六十四市で四七%にのぼっているのであります。  しかも、三万未満で市を称しているところが二十六を数えている状況であります。  他方、最近の社会変動に伴う人口都市集中都市化現象により、人口三万以上であって都市的形態を備えた数多くの町村出現を見るに至っております。  このような市町村実態は、市町村区分あり方について抜本的な検討を加え、新しい市町村制度の確立をなすべきことを示しているのでありますが、今日のわが国実態に即応した市町村区分の新しい基準がつくられるまで、それができないというだけの理由で、その間、市昇格住民の要望を無視することは適当とは考えられないのであります。  現に、これらの比較的多数の人口を有し、都市的要件を十分に備えております町村におきましては、人口五万以上の要件を満たすことはできないとしても、市を称して都市的施策充実につとめてゆきたいとの期待を強く持っているのでありまして、これらの要請にこたえることも地方自治本旨実現に資するゆえんであると存ぜられるのであります。  この法律案は、このような考え方に立脚して、この際、最近の市町村人口実態や既存の市との均衡を考慮し、特に市街地的要素の強い町村について、市となるべき普通地方公共団体人口要件等につき特例を設けようとするものであります。  次に、本案内容について御説明申し上げます。  その第一は、人口が五万未満であっても、三万をこえ、かつ特に都市的要件の備わっている町村については、市と町村の別に関する制度改正が行なわれるまでの間で、政令で定める期間中に申請がなされた場合は、暫定措置としてこれを市とすることができるものとすることであります。  その第二は、この人口は、最近に行なわれた統計法規定による指定統計調査の結果による人口とすることであります。  なお、本法の施行にあたりましては、本法制定趣旨にかんがみ、都市的要件について、実情に即し、適切な配慮を行なうとともに、当該町村人口増加傾向に特に留意するよう要望いたしております。  以上がこの法律案立案趣旨及びその内容概要でございます。この法律案は、衆議院におきまして、自由民主党日本社会党公明党及び民社党各党合意のもとに案を得まして、国会法第五十条の二の規定により地方行政委員会提出にかかる法律案として提案し、全会一致をもって衆議院を通過いたしたものであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました地方公営企業法の一部を改正する法律案提案理由並びにその内容概要につきまして御説明申し上げます。  まず、この法律案立案いたしました理由を述べます。  あらためて申し上げるまでもなく、昭和四十一年の地方公営企業法の一部改正によりまして、地方公営企業経営するための一部事務組合を能率的かつ機動的なものとするため、その名称を企業団とし、企業団議会議員定数は十五人以内と定められております。  企業団議会議員定数は、企業団の運営を能率化するためにはできるだけ少人数であることが望ましいのでありますが、他面、地方公共団体経営する公営企業は、地域住民の福祉に直接結びつくものでありますため、地域住民意思が十分に反映できるものであることが要請されるのであります。  とくに近年、地方公営企業規模は年々拡大するとともに、その広域的処理が強く要請せられるようになっておりますおりから、なおさらその感が深いのであります。  こうした時代の趨勢に対処して、企業団の機能を十分に発揮するため、この法律案は、企業団議会議員定数「十五人以内」の原則は堅持しながら、経営する事業規模の特に大きい企業団につきましては、その能率的な経営を確保しつつ、民意を十分に反映して円滑に事業が遂行できるよう、三十人を限度として議員定数を増加する道を開こうとするものであります。  次に本案内容について御説明申し上げます。  その第一は、経営規模の特に大きい企業団について、その事業規模に応じ、政令で定める基準により三十人を限度として議員定数を増加できるものとしております。  その第二は、企業団議員定数は、昭和四十五年十二月三十一日までの間は、従前の例によることができるものとしております。  以上が、この法律案立案趣旨及びその内容概要であります。  この法律案は、衆議院におきまして、自由民主党日本社会党公明党及び民社党各党合意のもとに案を得まして、国会法第五十条の二の規定により地方行政委員会提出にかかる法律案として提案し、全会一致をもって衆議院を通過いたしたものであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 山内一郎

    委員長山内一郎君) これより地方自治法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 いま提案になりました地方自治法の一部を改正する法律案について、若干、自治省の側の意見をお聞きしておきたいと思うわけであります。  市の人口要件の沿革につきましては、いまさら触れるまでもありませんが、地方自治法制定以来昭和二十九年までは三万人でした。それが二十九年の改正で五万人となったわけでありますが、市町村合併の風潮の中で、これにはかなり長期にわたっての経過規定が設けられ、この期間のうちで、数多くの人口三万の新しい市が御存じのとおり誕生したのであります。その後、四十一年、四十二年、特定期間に限り、特定要件の場合について、人口四万の特例が認められました。そして今度の改正も、自治法の第八条の原則はそのままにしておいて、その特例ということになっているわけです。このように特例が続きますと、自治法第八条の原則そのものが問われざるを得ないことになってくるだろうと、こう思うのです。つまり自治法の第八条第一項の第一号から第四号までは同格の都市的要件であります。この四つを備えていて初めて市の名に値をするということになっているにもかかわらず、現況は、いま提案理由で述べられましたように、「今日、全国の市の人口実態はどのようになっているかと申しますと、五百六十四市のうち人口五万未満のものが二百六十四市で四七%にのぼっているのであります。しかも、三万未満で市を称しているところが二十六を数えている状況であります。他方、最近の社会変動に伴う人口都市集中都市化現象により、人口三万以上であって都市的形態を備えた数多くの町村出現を見るに至っております。」そしてこの現状の上に立つならば、私は、やはり同じく提案理由の中で述べられましたように、「現に、これらの比較的多数の人口を有し、都市的要件を十分に備えております町村におきましては、人口五万以上の要件を満たすことはできないとしても、市を称して都市的施策充実につとめてゆきたいとの期待を強く持っているのでありまして、これらの要請にこたえることも地方自治本旨実現に資するゆえんであると存ぜられるのであります。」ということにいまなると思うのですね。自治省は、自治法第八条第一項の原則にこだわって、この法案に必ずしも賛成ではないとずっと聞いてきたわけでありますが、自治法第八条第一項の規定現状に照らして妥当なものであるのかどうか、自治省考え方をお聞かせください。
  6. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) この法案に対する私ども考え方の問題でございますが、私どもは、ただいま和田委員示しのようないろいろの経緯がございまして、人口五万というふうに定められていままできておるわけでございます。そこで、その後の社会経済情勢変動、御承知のように昭和二十九年当時予想をしておりましたものをはるかに上回る最近の社会経済情勢変動がございます。したがいまして、これも和田委員承知であろうと思うのでございますが、地方制度調査会におきましても、こういう変動の事態に対処する地方制度全般あり方府県制度なり市町村制度全般あり方というものを検討をいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもはそういう検討を待って、今後一体府県なり市町村制度がどうあるべきかということについての私ども考え方をまとめていきたい、こういうふうに考えていたわけでございます。したがいまして、今回議員立法でこういう形の法案が出ますということは、先ほど和田委員も、地方自治法第八条の原則意味が問われざるを得ないとおっしゃいましたけれども社会経済実態は、あるいはまさにそういう形になっているのではないか、こういう気がいたすわけでございます。   〔委員長退席理事熊谷太三郎君着席〕
  7. 和田静夫

    和田静夫君 私はこういう問題というのは、わが国市町村という場合のいわゆる市という概念と、歴史的に形成された都市という概念、そういうものが一致しないところに発生する要因があると実は考えるのです。たとえば、時事通信の地方行政版というのがありまして、これの昨年の四月九日号に、この問題についてKというペンネームで、邪推かもしれませんが、自治省関係者と思われるような歯切れのいい論文が載っているわけです。そこにこういう言い方をしている。「人口三万市の実現運動を耳にするとき、脳裏に浮かぶのは、諸外国の都市である。欧米都市は、わが国都市のように都市要件で定まっているわけではない。歴史的に都市であり、その実態都市風格貫禄を十二分に備えているために都市なのである。また市の理事者議員が、都市としての自覚を持っているのではなく、市民が自らの都市に対して底知れぬ愛着と誇りを持っているのである。人口何万、市街化区域何割という都市要件に合致するから市となり、あるいは今回の運動のように合致しないためにこれを引き下げてまで市になるというのではなく、風格貫禄実体を持っているから都市であるとの認識をすべてが持っているのである。そして同時に、町や村であっても自らの団体が町であり、村であることに誇りを持っているのが欧米の姿である。」これは、私は三万市推進論者を説諭することばであろうとこう思うのですが、自治省は、現在のわが国の市がここで言われているような都市としての風格貫禄実体を持つようになるためにはどうしたらよいとお考えですか。私は、そのためには、怠られてきている財源配分の面で、あるいは事務配分の面で、市の自治能力を一段と強化することが実は不可決であると、この法案考えるにあたっても考えたのでありますが、そうして初めて市の要件規定をしているところの自治法条項も実は生きてくるのではないだろうか、そういうふうに考えます。現在のように、市になろうが町村であろうがそう変わりはないということであれば、市になりたいという町村があったら全部市にしてあげてしまったらよいのではないかとさえ私は思う。そういう理屈さえ成り立つと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  8. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいまある論文を御引用になってのお話でございます。私は、実は欧米都市実態、あまりよく存じません。しかし、いまおっしゃいましたように、都市風格と申しますか貫禄、あるいは都市実体を備えるということは、これはだれが申しましてもそのとおりであろうと思います。したがいまして、ただいま御指摘のように、ほんとうに市が都市らしい実体を備える、このためには、単に地方制度ばかりでなく、いろいろな要素も必要であろうと思いますけれども地方制度の面におきましては、ただいまお示しのように、市にふさわしい仕事を十分にできるだけの能力を与え、あるいはそれに伴う財源を与えていくということは、私はその基本的な要件だろうと思うのです。  それから同時に、これは御質問の範囲を少し出るかと思うのでございますが、特に最近のわが国人口の流動の非常に激しい現状を見ますと、やはり市というものが一つの自治体としてまとまっていくというためには、新しい市民連帯意識と申しますか、こういうものを何らかの形でもう一度創造をしていく、こういうことが私は必要なことであろう、こういうふうに思っております。これは御質問の外でございまして、私のあるいは単なる意見かもしれませんが、そういうふうに思っているわけでございます。  それから最後に、まあ市町村とあまり変わりがなければ、町でも村でも、とにかく市になりたいというところは市にしてやってもいいじゃないかという意見さえある、こういう御指摘でございます。御承知のように、現在、法律制度上でも多少市と町村とはその権能なり扱い方において区分がございますけれども、そう本質的な区分とも思われないわけでございます。したがいまして、私どもはまだそこまで検討が至っているわけではございませんけれども、やはり学界その他の方面におきましては、市町村という区別を廃止して全部市というようなことでもいいじゃないか、こういう議論もあるわけでございまして、こういう点は私ども今後検討をしていきたいと思っております。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 この新設条文の二十条の五の第一項は、「この法律市町村要件に関する制度改正が行なわれるまでの間で政令で定める期間中にその申請がなされたものに限り、同条第一項第一号の規定にかかわらず、市となるべき普通地方公共団体人口に関する要件は、三万以上とする。」となっているわけですが、この「市町村要件に関する制度改正」とは、ただ単に自治法第八条の改正でしょうか、それともいまのお話答弁にもありましたように、もっと広く地方制度の改革といった意味まで含んでいる、そういうふうに解釈をすべきでしょうか。
  10. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) これは申し上げるまでもなく議員の方々の御提案でございますので、立案者の御意思を伺うべき問題だと思うのでございますが、私どもはこういうふうな表現がございますことは、単に自治法第八条の問題にとどまらず、一般に市町村制度がどうあるべきであるか、市町村区分というものがどうあるべきであるか、あるいは市は市なりにまたその間で権能その他の区分をつけるべきかどうか、こういうような問題がかねてからいろいろ議論をされておりますので、おそらくそういうものをさして立法者としては規定をされておられるのであろう、こういうふうに推測をいたしているわけであります。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、「この法律市町村要件に関する制度改正が行なわれるまでの間」というのは、どれくらいだと考えたらよろしいでしょうか。
  12. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) これも基本は、先ほど申しましたように立法者がどの程度のことをお考えかということにつながってまいりますけれども、先ほど来るる申し上げておりますように、ただいま地方制度調査会でも、現在の社会経済情勢の変化に対応する地方制度あり方についての議論をお願いをしている最中でございます。したがいまして、おそらくそういう議論の結果、こういう市町村制度基本あり方につきましても何らかの方向づけの答申がなされるものというふうに期待をいたしているわけでございます。おそらくそのことをさしておられるのであろうと推測をいたすわけでございます。そういたしますと、そう半年や一年の期間ではございませんけれども、三年や五年という長い期間でもない。私どもは大体二、三年のうちにはそういう今後のあり方についての基本的な考え方の形が出てくるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 自治省は、ここでいわれているような「政令で定める期間」をどのくらいにするのが適当だと考えておいでになりますか。
  14. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) これもいままで申し上げたところで、立法者の御意思をそんたくをしてきめなければならないわけでございますが、現在のところは、私どもはまあ二年ぐらいということを考えてしかるべきではなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 新設条文第二十条の五の第二項は、「前項の申請がなされたもので人口三万以上五万未満のものに対する第八条第一項の規定適用については、同項第二号及び第三号中「六割以上」とあるのは、「七割以上」と読み替えるものとする。」となっていますが、従来第八条第一項第二号、第三号のこの「六割以上」という認定は、どの程度厳密に行なわれていましたか。
  16. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 第二号は、御承知のように市街地形成状況、その市街地形成をしております「区域内に在る戸数が、全月数の六割以上」、こういうことでございまして、したがいまして、これは多分に、計算した数字のようにぴたりといくものではございませんので、その土地土地の事情によって判断をすべき要素がございます。これ自身は計算の数字が出るようにぴたりと黒か白かというように出る条文ではございません。同じ市街地にいたしまして戸数の問題を規定をしているわけでございますけれども、たとえば市街地がありましてそれから公園があって、その次にまた市街地があるというような場合に、その公園というのはやはり都市的な施設というような意味では連帯区域に入れるというような運用もいたしております。そういう意味合いにおいては比較的実態に即した運用をしてきている、こういうふうに申し上げてよかろうかと思います。  それから三番目の、「商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の六割以上であること。」、これは二次産業あるいは三次産業に従事する者の数でございまして、この数につきましては、統計その他の数字がございますので、それに即して判断をしてきたわけでございます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 いまの答弁のように私もその前段の部分、認識しているわけで、従来そこらあたり認定は必ずしも厳格ではなかった、そういうふうに聞いていますが、それを今度六割以上を七割以上とした。単に一割基準を引き上げたということにとどまらなくて、認定厳格化とでも言いましょうか、そういうものを示唆しているように実は思われるので、もちろんこれもその提案者意思だということになるのでありますが、この法律案が出てくるまでの過程でいろいろ各党間で論議をし合ったことを仄聞しながらいろいろ考えてみるとそういうふうになるんではないかと、こう思うんですね。自治法の第八条の第三項に基づいて都道府県知事があらかじめ自治大臣に協議をしたときに、その段階で市になりたいという町村をこの条項の厳格な適用によってふるいにかけるということになる可能性もあるというふうに考えられるんですが、その点は、自治省としてはどのようにお考えになりますか。
  18. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいまの条件は比較的弾力性に富む条件ではございますけれども、これまでもやはりこの条件にそぐわないというようなものにつきましては、ただいまのおことばで申し上げますればふるいにかけて、これまでもかけておりました。したがいまして、そういう意味合いにおいては、今回も従前と同じであろうと私は思います。今回の措置が六割を七割にするという立法案でございます。したがいまして、六割を七割にするということは、要件を厳格になさった、これはもう明瞭でございます。しかし同時に、ただいま衆議院委員長提案理由をお述べになりました中にも、「都市的要件について実情に即し、適切な配慮を行なうとともに、」、こういう立案者の御意思もございますので、その辺も勘案をしながら法律運用をしていきたいと考えております。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 趣旨については、考えていらっしゃることについてはわかりましたが、言ってみれば、市と町村区別なんというものがどれほどの価値があるだろうかということについてたいへん疑問を持つ一人です。そういう意味では、私はここで六割、七割というような問題のいわゆる厳格さを追求することによって、ふるいにかけるというようなところに視点がいかないほうが、実はこの法律案提案趣旨から言っても好ましい、そういうふうに考えていることだけは申し述べておきたいと思います。  最後に、御存じのように来年は統一地方選挙の年であります。そうなってきますと、この法律案ができ上がることによって、公職選挙法十五条に基づくいわゆる選挙区割りの変更ということがいまの時点で行なわれることになるところがかなりあると思うんですね。そのことは、すでに選挙をわずか一年後に控えている県会議員の諸君にとってはかなり大きな問題であろうと、こう思うんです。そこで私は、公職選挙法十五条の二項、そして第三項が厳格に言ってみれば適用をされるべきであろう。もっと言ってみれば、来選挙については準備も進んでいることでしょうから、公職選挙法の手直しをしなければもちろんできないことならば、そのことも含んで、前の選挙方法が、区域として、次の統一地方選挙に関しては、適用されるなどというような配慮があってもしかるべきではなかろうか。そういうふうにさえ思うほどであります。それで、それらの認識の上に立って十五条の第三項、これは、「一選挙区を設けることができる。」と、こうなっているのでありますが、とにかく三項でいくという形の行政指導なりが行なわれるのが好ましいと考えますが、それらについて自治省はどのようにお考えですか。
  20. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいま都道府県議会議員の選挙のことについてのお話がございました。三項で、その一選挙区を合区をする。この規定適用するように指導したらどうであろうか。こういうお話でありますけれども、これはおそらく各地域によって実情はまちまちであろうと思うのでございます。したがいまして、その土地の事情によって、三項を適用するのが適当だという判断が行なわれました場合は三項の適用があろうと思うのでございまして、私どもといたしましては、全国一律的に三項の規定適用することが望ましいというような指導をする考えは現在のところまだ持っておりません。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 最後にしますが、いまの点ですね、何と言っても、実情は、一年後に控えた選挙に向かって各都道府県議会の現職の諸君やあるいは候補者に予定をされるような諸君が、いろいろの努力をされていると思うんです。何も公職選挙法に違反をするようなことをやっているという意味ではなくて、まさに地方自治の本旨に徹しながら、住民との関係において、地域との関係において、それぞれの努力が行なわれていると思うのです。したがって、たとえば機械的に公職選挙法が適用されることによって、いままでのいわゆる区域が大幅に変更をされる。そのことによって、それぞれの地域でまあ若干の紛争なりが起きるなどという場合には、いままで申し上げたような考え方の上に立って十五条第三項の適用について示唆をされる、そういうような立場に立たれるのが至当ではないかと、こう思います。そういう意見を申し述べておきたいと思います。
  22. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いろいろありますが、ついでですからいまの公職選挙法との関係をちょっとお聞きしたいのですが、公職選挙法の十五条ですか、「都道府県の議会議員の選挙区は、郡市の区域による。」と書いてあるのです。現実にその郡というものは、なるほど呼び名としてはあるのだけれども、行政単位としては、実はないわけですね。しかも、その郡というのが実際に町村合併等々を通じまして、一つの郡の中で非常に飛び地になってしまっている。それが二つに分かれた区域というものが、両方が大体人口的に同じぐらいである場合はいいんですけれども、これがおそらく人口的にも非常なアンバランス、地域的にも非常に離れている。そういう郡が、まあ大体そういうところは割り当てられるところの議員定数というのも一名、多くて二名、三名なんかになるというところは、都市的の事情の強まっている地域ではそういうところはないと思うのです。そういう点でどうなんですか。十五条の「郡市の区域による。」というこの規定をはずして、これは他の規定なり、あるいはおのおのの県にその区域というものは条例によってきめさせるというふうにしたほうが、実際には民意の反映というようなものも適切にいくんではなかろうか。実際これは私、神奈川県ですけれども、神奈川県あたりにいたしましても、持に小田原なんというのが中間に飛び出てまいっておりまして、湯河原、箱根と、うんと離れて橘、こういうところが実際は非常なアンバランスの中で一つの選挙区になっている。こういう場合には、実際に橘町というところは、これは有権者の数もほかに比べれば少ない。こういうふうになってまいりますと、もう自分の地域では県会議員なんというものは出せるものじゃないのだ、だから県会に対する関心、こういうようなものが非常に低下してくるのはこれは当然だろうと思うのです。そういう意味で真に民主主義的な議会制というものを考えていく上においては、そういう不均衡というものをなくしていかないと、政治に対する不信というものもそういうところから私は生まれてくるのじゃないだろうか、そういう意味でこの十五条の一項の規定というものは現実にはかなりもう現状に合ってない、こういうふうに思うのですが、この辺は何か改定の御意見というのはないわけですか、どうですか。
  23. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 確かに郡と申しますのは、現在はおっしゃるように呼び名の程度にとどまっておりまして、それ自身は地方行政上の制度でもございません。しかも現実に町村合併なり市の設置によって郡が分断をされているという実態もあるわけでございます。しかし、「郡市の区域による。」というのは、沿革的にこの規定でずっとまいっておりますので、こういう規定がそのままあるわけでございますけれども、何らかの意味で、より合理的にする方策ということについては、現在まで何も案を持っているわけではございませんけれども、これはひとつ検討させていただきたいと思います。ただ県の条例でというようなことがはたしていいのかどうか、やはりある程度、もしこれを改めるといたしますならば、一般的なルールというようなものを定めておく必要があるのではないかという気がいたします。これはひとつ今後の検討事項ということで御了承をいただきたいと思います。
  24. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度の三万都市に関連して、やはり「郡市の区域による。」ということになりますと、これはかなりいろいろそうした問題点もあるでしょうし、いままで一体としてきたところがそれによってくずれていくという問題もあろうかと思います。そういうふうなあえて「郡市の区域による。」ということで一律的にこの法律適用するのではなしに、その地域の実情というものに合わせて、この辺はむしろ県のほうできめるのが適当だろう、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。   〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
  25. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 直接の関係はあるいはないかもしれませんけれども、御承知のように、衆議院議員の選挙区につきましても、別表は一応郡市で表示をしておるわけでございます。そういうものとの権衡の問題もあろうかと思うのでございまして、お示しのような趣旨は私どもも十分了解できるわけであります。いまここでどうという結論めいたことを申し上げられるわけではございませんけれども、今後ともこの問題を検討をさせていただきたいと思います。
  26. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 検討するというのはあれですか。これはかなり先の将来という意味でございますか。それとも早急に来年の選挙には間に合わせようという意味での検討ですか。どちらですか、その点は。
  27. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) これはやはり私どもただいま衆議院の例を申し上げましたけれども、選挙制度の一つのいままでやってまいりました基本の問題でございます。したがいまして、来年の選挙に間に合わせるというような意味では、おそらく間に合わないと思います。やはりこの問題につきましては、私どもも十分調査研究をしなければならないと思います。あるいは選挙制度議会等の意見も聞かなければならないと思います。来年の選挙に間に合わせるというような意味では検討を進めることは困難であろうと思います。
  28. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これはできましたら、やはり一年先のことでありますから、その辺についてはひとつ自治省のほうとして、現状を著しく変えるということでなしに、いままでの地域全般という考え方のもとに指導をしていただけるようにこれは希望として申し上げておきたいと思います。  で、本論に返りまして、自治法の八条によるところの五万都市ということでございますが、人口五万、市街地戸数が六割だとか、あるいは職業の面で、都市的な職業に従事しておる者とその家族が六割、こういうふうにいわれてきめられたこの五万という市の根拠ですね。これはかつてどういう根拠できめられたか。特にその行政能力あるいは財政能力というような関係との関連が何か私よくわかりませんけれども、そういう関連があってきめたのかどうか。もし根拠がありましたらひとつお示し願いたい。
  29. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) この三万から五万にいたしましたのは、地方制度調査会の答申によって行なわれたわけでございます。当時の事情をいまここでつまびらかに私も承知をいたしておりませんけれども、行政能力とか財政能力とか、非常にこまかい分析の結果五万に上げられたというよりも、むしろ今後の日本の地方制度考えてみました場合に、市というものは、やはり五万くらいの人口を有することが必要ではなかろうか。おそらくそういうようなことで答申があり、きめられたのではないか、こういうふうに了解をいたしております。
  30. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうすると、この五万という根拠というものはきわめて不明確だ。ただ五万くらいがいいだろうという勘でやっておるわけなんですか。先ほど和田委員からの質問でも、三万というのは不適当だというお考え自治省はお持ちのようでございます。また、自治省が現実に進めている広域市町村圏の構想から出てまいりますところの将来の市の人口規模というようなものは、大体十万以上というふうにお考えのようだと思うのですが、そうしますと、具体的に五方とか三方というものが市になっていくということについて、自治省として何らかの形で価値判断が出てきていると思うのです。その価値判断というのは一体どういうことですか。おそらく行政能力、財政能力、そういうものとの関連でお考えではなかろうかと思うのです。その点はどうでしょうか。
  31. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) たいへん恐縮でございますが、ちょっと御質問の御趣旨がわかりませんので、もう一度おっしゃっていただきたいと思います。
  32. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いま自治省が推進しているというのは、広域市町村圏という形でお進めになっておるわけですね。それで、大体広域市町村圏の構想というのは、おそらく十万くらい、あるいは十万以上というようなことでお進めになっておるわけですね。これは私どもの推察でございますけれども、広域市町村圏というのは、やがてそれは一つの市というものにおそらくなっていくんではなかろうか、自治省のほうでもおそらく最後の最後はそういうふうにお考えだろう、こういうふうに思うわけですよ。そうしますと、自治省のほうで出されている十万という基準ですね、その十万以上という基準は、一体どういう点から出されているのか。そうしますと、いままでの五万、三万という数字がいろいろ出てまいっております。それとの関連をどのように考えておられるか、こういうことでございます。
  33. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 広域市町村圏につきまして、いまおおむね十万と申しますか、一応の基準を十万、こういうふうに掲げておりますのは、現実に各地方におきます広域市町村圏なり日常生活圏の形成実態を観察いたしまして、その平均的な水準というものを考慮した結果でございます。同時に十万と申しますのは、これはあるいは私の個人的な理解に終わっているのかもしれないのでありますけれども、三十五年、あるいは四十年というような国勢調査の傾向を見ておりますと、やはり人口十万以上の集積を持つということが、今後のわが国における地域社会なり、地方都市の発展の一つの要件ではないかというような、これは一つの実態、実績でございますが、こういうこともあらわれておりますので、おそらくそういうことも考慮に入れていいのではないかという気がいたすわけでございます。そういうわけでございますが、広域市町村圏は、御承知のように圏域全部のこれは人口でございます。で、この中に中心になる、核となる都市というものが必要になってくるわけでございます。その都市というものが、一体人口規模がどのぐらいあってしかるべきかという問題に次になるわけでございますが、いままでの人口調査の経緯その他で申しますと、やはり相当規模人口集積があることが都市的な実態を備えてくるゆえんになってまいりますわけであります。したがいまして、その中心都市人口、広域市町村圏の圏内の人口というものは、関係があるようでございますけれども、片方は圏域全般の人口の問題でございます。片方は中心になるべき都市人口、こういうふうに理解をいたしております。
  34. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いまおっしゃられたように、十万以上を持つことが地方都市要件だとか、あるいはそういうことが都市実態だと、こういうふうにおっしゃられておりますが、その要件というのがよくわからないんですね。一体どういうことでそれは地方都市要件になり得るのか、あるいは都市的な要件になり得るのか。それは、たとえば住民地方自治に対する規模からいってそういうことになるのか、あるいは財政能力から見てそうなるのか、その辺がきわめて不明確なわけです。ですから、その辺の立場がはっきりしないと、五万がいいのか、十万がいいのか、三万がいいのか、そういう点がまた不明確になってくる。その辺は一体何を基準に置きまして要件というふうに自治省考えておられるのか、その点明確にしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  35. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) あるいは私はまだ御質問の御趣旨を誤解しているかもしれないのでございますが、先ほど国勢調査の結果云々ということを申し上げましたのは、国勢調査の結果を見てまいりますと、成長する都市と申しますか、やはり都市として人口がだんだんふえていくというような都市は、大体人口十万、あるいはそれ以上の都市である、こういうことを私申し上げたわけでございます。  それから、いまの議題になっております三万なり五万なりということは、ただいま申し上げました国勢調査の結果の実態とは実は別の問題でございます。自治省といたしましては、一体三万がほんとうに都市らしい都市か、五万がほんとうに都市らしい都市かというようなことにつきましては、たいへん恐縮でございますけれども、いまここで明確にこちらのほうが正しい都市であるというようなところまで申し上げられる資料なり何なりはまた持っておりません。
  36. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 その辺、議論していてもしようがないですから、この際、提案者の方と自治省側の両方にできたらお聞きしたいと思います。  いままでの町を市にするということになりますと、けさあたりの新聞を見ましても、ひどい新聞は、市にして町長さんが市長となり、それから町会議員さんが市会議員というふうに肩書が上がるわけです。こういう悪口を書いておるようでございます。三万の町が市になるということは、住民としてはおそらく市になったほうが住民サービスが向上するのではないか、こういう期待が非常にあるのではなかろうかと一般に思われるわけですけれども、この辺が、町政が市政になって住民サービスが一体具体的にどのように向上していくものなのか、この点をお示しいただきたいと思います。
  37. 塩川正十郎

    衆議院議員塩川正十郎君) それじゃ、私たちが討議いたしました中におきまして、先ほど和田委員お話にもありましたように、都市というものは確かに人口とか、あるいはその面積、そういうものだけではきめるべきではない、もっと伝統と都市的機能あるいはその住民の愛市の観念、こういうようなものの総合によってきめるべきものでなければならないというお話がありまして、それはまことにごもっともだと思うのです。ところが現在では何といたしましても、市が自治体における一番基本的なあり方であるという、そういう市に対する一つの大きい期待感とそれからイメージというものを持っておるのは事実でございます。したがって、ある程度都市的な機能が整い、あるいは人口要件も整ってきた場合、何とかしてこれを、町を市にしたいという期待感は確かに持たれてくることは事実でございます。しかしながら、一方におきまして、それでは市と町村との間にどれだけの権能の相違があるかと申しますと、それはほとんど見るべきもの、顕著なものはない、このように思えるのであります。そこでわれわれはその提案趣旨にも書いてありますごとく、そのように市に対する期待感があるということであるならば、この際その自治を助長する意味において、住民に対する自治の責任と意識というものを強固にするためには、でき得れば市に昇格というよりも、市に称号を改正するほうが住民全般の自治意識が高揚するのではないか、このような意識に基づきまして今回提案したようなわけでございます。私たちが期待いたしますのは、市になることによって、一そう住民あるいはその行政担当の人たちが意識を新たにして、ほんとうに期待される住民サービスのために理事者市民も協力してほしいということを期待しておるわけでございます。
  38. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいま提案者のほうからお話がございましたが、市と町村権能上さして大きな違いはございませんけれども、一番大きい権能の違いは、私は生活保護関係を中心とするサービスの仕事を市になりますと自分で行なう、こういうことであろうと思います。社会福祉事務所をつくりまして、町村の時代でございますと県がやっておりました仕事を、みずから行なっていくということが、おそらく制度上は一番大きな違いであろうと思います。これはやはり民生行政上市になることによって、住民意思に基づいた行政が行なえるという一つの要素ではなかろうかと思っております。それ以外にこまかい規定は幾つかございますけれども、これはさして町村と市というものをそう峻別するほどのことではなかろうかと思っております。  それから、私どもいままでの経験から申しますと、ただいまの御質問のように、まあ町村が市になって一体どういうメリットがあるんだ、こういう疑問と申しますか、議論がかねてあったわけでございますが、いろいろ伺ってみますと、たとえばその地域社会で会社を経営し、あるいは工場なり事業場をやっておられる方々にとりましては、何々町の工場の製品であるというよりも、やはり何々市に本社があるものであるというほうが社会的信用が違うのだ、こういうことを非常に各地域の方がおっしゃいます。あるいはそういうものも、制度上の問題ではございませんけれども実態町村が市になることによって得られるメリットではなかろうか、こういうふうにも考えられるわけでございます。
  39. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 自治省の答えの中で、私、もう少しいい答えが出るんじゃないかと思って期待していたんですけれども、行政局長のお考え方というものは、私は、ある意味では市町村と県のあり方、このあり方にもう少しメスをやはり入れてもらえていないという感じを非常に強くするわけです。実際、あまりメリットというものは、いまのお話ですと聞かれないのですが、やはり一番大きい問題は、これは三万都市の問題では私はないと思うのですけれども、市になれば、大体県と直接いろいろな折衝ができるわけですね。しかし町村の場合には、大体地方事務所の監督下にある、いままでのところは大体そういうことであったわけです。でありますから、仕事をしようと思えばまず地方事務所に了解を得る。しかし、県の地方事務所の権限というものは、これはたいしてない。やはりこれは県庁の担当課へ行かなければしようがないということで、実際には町村のまあ大体そう豊かでない財政の中で、実際は二重監督を受けている。同じ県から二重監督を受けているというところに、私はむしろ市制をしきたいという気持が非常にあったろうと思うのですが、そういう面をやっぱり解決をしてやらないと、これはいけないんじゃないかというふうに、これは希望的意見として申し述べておくわけです。  それからもう一つお聞きをしておきたいわけですが、これは新聞にも論じられているんですが、町から市になった場合、税関係の負担ですね。これは一体どのように変化をしていくか。まあこの辺にもやはり問題があるのではないだろうかと、こういうふうに思うのですけれども、その辺はどうですか。税負担の関係では、これも町から市になっても一切関係はないということですか、どうですか。
  40. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 私も税のことはさしていま専門の知識がございませんので、あるいは十分なお答えができるかどうかわかりませんが、私は、町村が市になりました場合に、その住民の負担がふえて変化があるというふうには考えておりませんが、ただ、いま思い浮かびますのは、たとえば都市計画税、町村区域では、それは都市計画をやっておりますところは都市計画がございますけれども町村が市になり、都市計画を本格的にやっていくといったような場合には、都市計画を行なうことに伴って都市計画税がかかってくる。これは仕事をやることになりますから、それについての税負担を求められるのは当然といえば当然でありますけれども、そういうことは起こってくるであろうと思います。
  41. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 たとえば住民税関係では変化はございませんか。
  42. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 住民税の均等割りの問題だと思います。ちょっといま調べますので、少しお待ちをいただきます——ただいま調べましたけれども人口要件によって住民税の均等割りは変わってまいりまして、人口五万以上五十万未満都市でございますと、四百円でございます。それからそれ以外の市と町村は二百円でございます。したがいまして、五万以上の市になりますれば、もし従前均等割りが二百円でございますれば、四百円になる、こういうことでございます。
  43. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もう大体これで終わりたいと思いますが、実はやはり市になるということは、住民サービスが向上をされるのではないかという期待がやはり市民には一番多いと思うのです。ですからやはり住民サービスを向上できるような形での、これは各新しく三万都市、三万の町が市になったような場合に、これは理事者の方もそういう点では極力そういう市民の要望というものをやはりかなえさせるような、能率的な、しかも自治の精神というようなものをさらに一そう発揮をしていただいて、やはり地方自治の本旨にのっとった住民サービスができるような形にならないと、結局は新聞で悪口を言われているように、肩書きほしさに、あるいは宣伝力だけの三万市ということになってしまうというようなことになるわけでありまして、こういう点では、おそらくきょうここで通過すると思いますけれども自治省の指導としても、やはりそうした形での指導を特にひとつ要望しておきたいと思います。以上で終わります。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 提案者に伺いますが、御説明によりますと、市と町村の別に関する制度改正が行なわれるまでの間のこれは暫定措置ということになっておりますが、提案者は、市と町村の別に関する制度、あるべき制度というものをどういうふうにお考えになっておられますか。
  45. 塩川正十郎

    衆議院議員塩川正十郎君) こうなければならないという、はっきりしたまだ考え方は持っておりません。しかし、自治の尊厳を一番有効に発揮できる自治制度、そういうものの改正を何とかして時代の進展に即して行なうべきであるという意見は一致して持っておるわけでありまして、そういう方向をできるだけ早く取りまとめをしていきたいと、こういう考え方であります。
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは同感ございます。それならば、単に人口三万のものを市にするということではなくて、町村自体でも、もっと自治権というものが拡大されなければならない、そういう立場でむしろ改正案というのが行なわるべきではないかと思うわけであります。そこで、私は端的に伺いますが、現状の町であるのと、新しく市になるのと、どういうふうな得失と御判断なさっておるのですか。
  47. 塩川正十郎

    衆議院議員塩川正十郎君) 得失というのは、要するにメリットの意味でございますか。
  48. 加瀬完

    ○加瀬完君 もっと広くお考えいただきまして、町村が市になりますとこういう特典がある、有利な点がある。あるいは町村であればこういう不利な点があるといったようなことを、どう把握されていらっしゃるかということです。
  49. 塩川正十郎

    衆議院議員塩川正十郎君) それは、まず第一に、私たちは、先ほどの質問にもございましたごとく、それによって一そうの自治意識というものを強く持ってもらうということ、これに大きく期待しておるのでありますけれども、具体的に出てまいりますのは起債とか補助金の問題でありますが、これは先ほどお話ありましたように、県に直接交渉できる、あるいはこれが、市が一つの単位となって、起債、補助金あるいは交付税の問題、交付税の交付、そういうものが市単位に交渉できるし、また市単位に交付されるという点が一つあろうと思います。それからもう一つは福祉事務所の関係であろうと思いますし、それからもう一つは消防体制の問題があろうと思います。そういう点が大体大きい、何といいますか、町と市との間における相違ではないかと思います。
  50. 加瀬完

    ○加瀬完君 自治省に伺いますが、三万程度の町村であった場合と市になった場合で、財政状態がどう変わりますか。  いま御説明になりました消防体制とかその他のものは町村でもできることで、やるかやらないかのことで、これは問題にはならない。財政状態がどう変わりますか。
  51. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 財政状態という御質問でございますが、基本的には、御承知のように、財政は、やる仕事に対して財政措置を国でいたしているわけであります。したがいまして、やる仕事がふえるかどうか、どういう仕事がどうふえるかによって財政措置というものも変わってくるわけでございますが、先ほども答弁申し上げましたように、町村が市になりますことによってふえます一番大きい仕事は、生活保護の関係、社会福祉事務所の設置の関係の仕事であろうと思います。そういう意味合いでは、その部分だけは財政需要もふくらんでまいります。それに対する財政措置も行なわれてくる。こういうことになろうと思います。財政状態という意味におきましては、大体そういうことが中心になろうかと思います。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは、政府自体にも、私は町村に対するかまえ方という点の問題があろうと思うのです。現状町村で、産業状態なり地域状態なり人口動態なりというものが同じならば、別に市にならなくても何ら差しつかえないというそういう条件に置かれているならば、何も市になる運動などというものも起こるはずのものではないですよ、それが、起債とか補助金とか、こういうものが直接自治省に交渉できるということは、逆に言えば、県が、町村の場合は二重行政みたいに頭を押えておって、十二分な町村の要望を聞かない。あるいは指導力が強過ぎて、まるで下部の団体のような扱いをしておる。そういう不満が、市になるという形で、これは住民意識としてははね返っているという点もあろうかと思うのです。ですから、三万——こういったもの、そのうちの一部分は市という形でその不満足感というものは解消できるかもしれませんけれども、三万人口がこえておっても、市の条件を備えておらなければこれは市になれないというものもありますし、それから三万以下の町村というものがたくさんある。これが、市になれないというだけで、相変わらず県からの強力な指導で、自治体としての力が発揮できないという状態のまま置かれているとするならば、むしろこちらのほうが問題だと思う。そういう点で、一体政府はどうお考えになっていますか。  いま御説明の、社会福祉事務ができる、できないということは、住民にとってはたいしてプラス、マイナスには関係ないですよ。社会福祉事務が市に移ったところで、その効率がむしろ下がるようになれば、これは県にやってもらったほうがいいという問題にもなるし、確実に財源が裏づけられて、市でやったほうがいままでの県の福祉事務行政よりもはるかにプラスになるということであれば、これは非常に市になるほうが有利だという条件にもなりますが、行政事務の配分が若干移った場合、それだけでプラス、マイナスというものを私は論ずるわけにはいかないと思う。  繰り返すようでありますが、大体同じような状態の市町村が、市であれば優遇されるような受け取り方をされ、町村であれば何か恵まれないような受け取り方をされておるという状態自身が、国の行政として私は当を得ないのじゃないかと思うわけであります。この点どうでしょう。
  53. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 市と町村で、自治省が、起債なり、補助金なりについて取り扱いを異にしておるのではないか、こういう御質問でございますが、補助金につきましては、これは自治省と申しますより各省の問題もございましょうし、私はその辺をいまここで、知識がございませんので、それについて明確なお答えを申し上げるわけにはまいらないと思いますが、自治省といたしましては、一般的には、市と町村というものの取り扱いは、指定市は除きまして、格別異にはいたしていないと思います。ただ、先ほどちょっと御指摘がございましたけれども、一、二の点で市と町村と実際上の取り扱いを異にしている点がございます。たとえば起債につきまして、市の庁舎をつくる、あるいは町村の役場をつくるといった場合には、市の庁舎の建築につきましては、建築の基準面積について町村と違う基準を置いております。あるいは特別交付税の交付につきまして、事実問題といたしましては、町村は県にワク配分をいたしますけれども、市については直接自治大臣が決定をする。おそらく取り扱いを異にしておりますおもな点はその辺であろうと思います。で、この点につきましては、私も財政当局ではございませんので、責任のある御答弁はできませんけれども、たとえばいまの庁舎の建築というようなものは、私は、市であろうと町村であろうとやはりその実態に即してやってもらうべきであるという意見を、実は私どものほうの財政当局にも申し述べているところでございます。
  54. 加瀬完

    ○加瀬完君 私はこの案に反対ではありませんがね、いま局長のおっしゃるような形に、町村であっても市と同一行政規模であれば、平等に財源的に取り扱うということであれば、この問題はそう起ってこないと思うのですよ。しかしやはりこれ、あまり好ましいことではないと思いますけれども、こういう形でこういう運動が起こるということは、やはり住民にとり、あるいは市町村の当局にとれば、いまおっしゃったように、起債の基準とかあるいは交付税のワクというものに若干の問題点があるからこういうことになってきていると思うのです。私は、これはこれでいい、これはこれで、市にするということを何も反対する理由はありませんから賛成はしますけれどもね、市になれない同様な行政規模を持った町村を一体どうするのだということをもっと考えてもらわなければ、これは一部分しか問題の解決にはならない。こういう大きな問題点が残るということで、いまおっしゃるように、その起債の基準にいたしましても、交付税の算定にいたしましても、やはり町村実情が市制を施行しているところの実情と似通っておるなら、やはり同様に扱うという方針が立てられなければおかしいということを申し上げているわけです。この点は御同意いただけませんか。
  55. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 私はいま二つの例をあげて申し上げたわけでございますが、先ほども申しましたように、その主管の責任者ではございません。しかし、いまのたとえば庁舎の起債の基準の面積というようなものは、たとえば町でありましても、都市近郊なら都市近郊で二つ並んでおりますような、市と同じような実態を持っておるというようなところを、市と町村と、単に法律上の制度が異なるがゆえに算定基準を異にするということは、私はこれははなはだ適当でないと思っております。この点につきましては、私は再度さらに財政当局に申し入れをするつもりでおります。  特別交付税の問題につきましては、これはおそらく全国的に個々の町村実態自治省が把握するということはなかなか困難でございますので、そういう点ではたしておっしゃいますようなことになりますかどうか、なおこれは財政当局と御相談をしてみたいと思います。
  56. 加瀬完

    ○加瀬完君 まだあれですか、財政当局はおいでにならない——おいでにならなければ行政局長に、御答弁いただかなくてもけっこうですから、お伝えをいただかなければなりませんが、今度市制を暫定法によって希望しているところはわりあいに大都市の近郊が多くて、したがって都市化現象といいますか過密化現象といいますか、そういうものによる投資的経費の膨張で、特別交付税なりあるいは起債なりそういうワクが必要で、市のほうが有利だということも今度の運動の一つの起こりではないかと思うんですよ。しかし、たとえば東京とか大阪とかいう近郊地域で市制をしがなくても、あるいは今度の三万市制というのには合致しないところでも、やはり都市化現象によってその財政支出を異常に必要とする地域は多いわけですね。それらは、今度この三万市制になったところはいいけれども、なれないところは、同じ条件になっても財政的には一つも国の裏づけというのがない、こういう欠陥はそのまま残るわけですね。だから二つの問題があると思う。直接的に自治省は一体そういう町村の問題をどう考えているのか。もう一つは、そういう町村をそのまま残しておくことが市町村の単位自治体としてよろしいのか。それとも、別に町村合併なども進めたわけですから、どういう形のものを基準地方団体という対象として考えるのか。まあこれはあまり御賛成でないようだ。そうすると、自治省考えている、いわゆるいまの市町村の単位団体という規模はどういうものを想定しているのかということが一つ。それから、すぐそういう形で市町村が改編されるはずはないわけですから、市にならないで残された人口三万以下の町村で、しかも同じように財政的な負担をかかえてどうにもならない町村は一体どうしてくれるんだ。それを解決しなければ、この三万市制というものに賛成したって反対したって根本的な解決にはひとつもならない。三万市制については、議員提案だから自治省はこれは直接の責任はないかもしれませんが、三万市制の起こってきたその要因については、これは自治省が当然責任がある。大臣もいらしたからひとつ大臣からお答えをいただいてけっこうですが、問題は私はそこだと思う。悪いけれども人口三万で市にするということは、どんなにいじったってそれでいまの近郊都市のかかえている問題が解決することにはなりませんよ。新しくまたこの都市化現象で悩んでいる地域をどうするかという問題もあらためて考え直さなければならない時期があるわけですよ。それならば三万都市に対して、三万市制に対して反対とか賛成とかいう前に、そういう現象に対する対策というものを私は自治省として聞きたいわけだ、立てなければならないのではないかと。私は意見になりますが、そういう意見を持っているから、この点についてひとつお答えをいただきたい。
  57. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 財政当局でございませんので、あるいは私の多少推測が入っているかもしれないと思うのでございますけれども、ただいま御指摘の大都市近郊の都市的な地域におきます市と町村のたとえば交付税上の取り扱い、都市の補正なら都市補正の取り扱いは、私は市であろうと町であろうと違わないのではないかというふうに考えております。と申しますのは、たとえば昨年度から始めております土地開発基金にいたしましても、大都市近傍の町村で一定の条件に合うものにつきましては土地開発基金についての需要を見ているわけでございます。当局ではございませんので正確な知識ではないことはまことに恐縮でございますが、交付税上の大都市近傍の地域に対する補正につきましては、市と町というものは私は取り扱いを異にしていないのではないか、こういうふうに思っておりますが、これはもし違っておりましたならば、なお財政当局にただしまして御報告を申し上げます。
  58. 加瀬完

    ○加瀬完君 違っておらないはずだというふうに確認してよろしゅうございますね。もし違っている場合があれば、これはどこか行政の欠陥か、あるいは事務的な手続の食い違いか、そういうことで、本来の精神としては同じことだというふうに了解してよろしゅうございますね。
  59. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 再度申し上げますように、私は財政の責任者ではございませんので、私の知っております知識でお答え申し上げるわけでございますが、お答えは私はおそらく違っていないだろうと思います。もし違っているとすれば、いま加瀬委員は何か欠陥があるというふうにおっしゃいましたけれども、違っているとすれば、違うだけの何かそこに合理的な事情があって違っている、こういうことではなかろうかと思います。
  60. 加瀬完

    ○加瀬完君 合理的事情というのは、監督官庁の合理的事情だけでやられているので、地方では困っている。しかしこれは早くあげるということでありますから、あまり長く質問していると反対しているように見えるからあまり質問できないのですが、これは自治大臣に伺いますが、町村合併で自治体能率があがったとお考えですか。唐突な質問のようですが、三万市制とか五万市制とかいろいろやったところで、そこで自治体能率があがったかどうかということを反省いたしませんと、これはちょっと正しい判断にはならないと思う。町村合併というものをやりまして、それから三万で市に繰り上げたところもあれば五万で市に繰り上げたところもある。いろいろありますが、それは別にして、町村合併で一体自治体能率——サービスがよくなった、あるいは負担が非常に軽減されたとか、そういう功績が町村合併によって非常にあがったという御認定ですか。
  61. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 町村合併そのもので、それが直ちに行政能率の向上につながると単純には申されないと思います。やはりそれを契機にいたしまして、当事者の自覚の向上その他諸般の情勢によりまして、そういう事態が行政能力なり水準を引き上げる大きなスプリングボードを与えるということがあって、そういう効果が出てくるということが期待できますが、やはり当事者のそれに基づく自覚というものがそこに要請されていると思います。
  62. 加瀬完

    ○加瀬完君 そんなことはないですよ。自覚をしたところで、金がないところはどうにもならないし、町村合併をしたために不便になってしまう。これは自覚の問題ではない。少なくとも町村合併というものは、安上がりに能率的に住民に対する行政サービスが引き上げられるということで始められたものだし、また住民もそういう意図で町村合併に賛成をし施行した。ところが赤字団体を幾つか掛け合わせても、偶数だからプラスになるという代数みたいにはいかない。町村合併いたしましたけれども地方自治体の財源というものは、どこにもいままでの問題が解決されるという形にならない。そこで今度は広域行政とかいろいろなことを自治省では考えているわけですね。どんなにそういうことをやっても、結局財源をどうしてくれるということを解決しなければ問題の解決にはならないと思います。そこで、三万都市の市制の問題でも、三万で市制をしくかどうかという問題の前に、裏づけをもっと自治省としては検討してもらわなきゃ困るということなんです、裏づけを。適切な行財政の対策というものが明確に立てられなければ困るわけです。これは議員立法だからね、まあそんなに反対もできないから通しましょうと。しかし、こういう運動が起こった根本の行財政の自治権を拡張するという責任は、私どもは知りませんではこれはどうにもならない。これは大臣でなくても、大臣聞いていらっしゃるんだから、行政局長お答えになってもけっこうなんですけれども、一体裏づけをなさってくださるんですか。行政措置でできるのですけれども、いままでと同じように、行政面幾ら考えたとしても、問題の財政面の、三万で市制をしきます限りはこういう財源措置も将来は考えられますとか、考えますということにならなきゃ、市になりました、赤字が出てまいりました、寄付金や負担金をたくさん取られます、住民サービスが低下いたしました、こういうことを繰り返されたんでは、これはただ御希望がありましたからけっこうですというだけで、自治省は何にも御関係がございませんという形の私は三万市制では困ると思いますので、そういう点を自治省としてどういう御見解をお持ちか、最後に承りたい。
  63. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) この法律が出ましたからと申しまして、これによって格別、持別な財源措置をするということではございません。ただ、先ほど来御議論がございましたように、この提案者の御趣旨の中にもございますが、現在の社会経済情勢の変化に対処して、一体県や市町村がどうあるべきかということにつきましては、私どももいろいろ検討しておりますし、地方制度調査会でも検討してもらっているわけです。おそらく方向といたしましては、今後は、市町村レベルにおきます行政能力なり財政能力充実をしていく、こういう方向であることは私は間違いないと思います。そういうことで、あわせて今後検討をしていくべき問題だと思います。この法律が出ましたからといって、これによって直ちに特別の財源措置なり何なりの措置が行なわれるということではないと思います。
  64. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうことではないですよ。それはわかってます、法案内容を見れば。しかし、三万の市ができました、しかし市にはなりましたけれども、行政面には若干の変化はありましたが、財政面は相変わらず町村以上に苦しくなりましたということでは、市になれば幾らか財政面でもそのプラスがあるかといって市を主張している要望にはこたえられないわけでありますから、この法律そのものが施行されたって財政が一時に解決できる問題ではありませんが、特に都市化現象の激しい人口増のところで市制を要望しているような地域については、町村もあわせて、前のことばの繰り返しになりますが、もっと財政面というものを、都市化現象などによる、地方の原因ではない、地域の原因ではない社会施設等の負担については、その財政面について考慮をしていただかなければ困るのではないかと、こういう趣旨なんですよ。
  65. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 御趣旨はわかりました。方向はまさにおっしゃるとおりでございます。現在、日本の地域問題、いろいろ問題がございますけれども、一方において過疎問題も問題でございますが、やはり一つのポイントは都市地域、特に大都市周辺地域における市町村の行財政の問題であろうと思います。自治省といたしましても、先ほども指摘がございましたが、交付税におきます補正の措置でございますとか、あるいは土地開発基金の措置でございますとか、あるいは学校におきます地方債の問題でございますとか、及ばずながらいままで措置を講じてきたわけでございますけれども、しかし実態には、まだはなはだ不十分でございます。したがいまして、あるいはこれは大臣から最後に申し上げることであろうかと思いますけれども、大都市地域におきましては、市であろうと町であろうと、大都市問題の一環として、今後行財政措置、特に財政措置については重点的に考えていくべきことであろう、こういうふうに考えております。
  66. 和田静夫

    和田静夫君 大臣が見えましたから、最後に一言だけ伺いますが、本来、新任の大臣でありますから、その所信表明を承ってからいろいろと申し上げるべきであります。またその機会はあろうと思いますから、多くのことはその機会に譲ります。  したがって、この法律案に関してのみ申し上げますと、この法律案は、もちろん議員提案法律案であります。その内容に見られますように、けさほども申し上げたんですが、昭和四十一年、四十二年に続いて市の特例が実は続くのであります。このことは地方自治法の第八条の原則そのものが問われていることにほかなりません。大臣は、この法の運用を通して、私も申しましたしいま加瀬委員からもありましたように、財源配分事務配分の面で市の自治能力をとにかく極力強化する、そういう努力をして、真実日本の各都市がいわゆる都市としての風格貫禄、そうして実体を持つようにすべきであります。大臣のそういう努力を私は求めてやみませんが、大臣の所信をお伺いいたします。
  67. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 当然御趣旨の線に従いまして、この法律通過の暁には、その市が、ただいま申されましたような実力、行政能力風格を持つように御支援、御指導を申し上げていくのが、当然自治省のつとめでございますから、その線に沿うてつとめてまいりたいと存じております。
  68. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  71. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 総員挙手と認めます。  よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  73. 山内一郎

    委員長山内一郎君) これより地方公営企業法の一部を改正する法律案につきまして、質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方公営企業法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  76. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 総員挙手と認めます。  よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会      —————・—————