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国務大臣(
福田赳夫君) いま六点という
お話しですが、五点です。(笑声)
まず、第一は、トラック新税と新聞に報道されている問題です。これはなぜそういう
考え方が起こってくるかと申しますと、御
承知の
道路五カ年
計画を四十五年度から始めたいということになるわけですが、これは十兆三千五百億円、五年間と、こういうことに相なるのでございまするが、今日の経済情勢を基本とし、また、今日の
税制を基本として
考えていきますと、この
財源が五年間で約三千億円
一般財源において不足をするわけであります。これを一体どういうふうに充足するかと、こういう問題になってくる。まあ三千億円といたしますと、年額にいたしまして六百億円です。しかもこれは傾斜的に不足が
考えられるのじゃないかと思うのです。あるいは初年度は六百億円というそこまではいかないでも、五百億円の不足になると、こういうようなことになるかもしれませんが、とにかく不足する額が平均年額六百億円のオーダーであります。ですから、四十五年度における税収が一体どうなるか、四十六年度において税収どのくらい見られるかというような観点から、あるいはこれを新税を起こさぬでも吸収し得るかもしれない。しかし、あるいは四十六年度といわず、その先において不足を生ずるような場合もあり得るので、この際まあ
見通し得る
財源不足に対しまして
措置をしておくべきじゃないかというところからこの議論が出てきておるわけなんです。いずれにいたしましても、四十六年度以降の税収が現実に一体どうなるかということを踏んまえての見当になりまするが、しかし、四十六年度予算の編成のときまでには、その
財源をどうするかということについて、一応の見当はつけてみたいと、こういうふうに
考えております。その
財源は、私は、不足するとすれば、
間接税ということでいくべきかと思いますが、あるいはガソリンに依存すべしという議論もあります。あるいはいま
お話しのように、自動車
物品税というようなことでいくべしというような
意見を言う人もあります。あるいはそれに類似しますけれ
ども車検税というような形はどうだというようなことを言う人もあるし、また、あるいは自動車に対しまして公債を保有する義務を課するというような
方式はどうかというような説をなす者もあります。まあいろいろ
構想が出ておりますが、それらの諸
構想もひっくるめまして
税制調査会でどういう
結論を出しますか、それの
結論を待って
政府の最終的な
考え方はきめなけりゃならぬ、こういうふうに
考えております。
それから
出国税につきましては、私は、最近のわが国の
国民の海外旅行の趨勢等から見まして、外国で空港税や空港利用手数料を取っている例もありますし、その
検討を大蔵事務当局にもしばしはお願いをいたしておるわけなんです。おるわけなんでありますが、これは、出国を制限する、海外旅行を制限するということで国際的にかなり問題があると、こういうことを言われるのでありまして、
日本はこれだけの外貨を持ちながら海外旅行を制限するとは何事だと、こういうふうな印象にもなるので、OECDの場なんかで議論を巻き起こしはしないか、そういうふうな
心配があるというようなことで見送っているのでありますが、それらの
方面の
理解が完全に得られればこれは
実施すべきである、こういうふうに
考えております。
それから第三の
入場税、これは私はまことに申しわけないので、先日もここで
皆さんに心からなる遺憾の意を表明したのでありますが、この前、この場におきましても、四十五年度にはこれはぜひ軽減方を
考えたいと、こういうふうに申し上げたのです。それでその
方向で今度の予算の編成にも当たってみたのです。ところが、今度の予算の編成にあたりましては、
物品税は一切これの引き下げ等の
措置はとらない、こういう大原則を立てたわけであります。つまり、
物品税につきましては、各
方面から引き下げの要求が非常にある。それを
一つでも手をつけたら、これはてんやわんやになってしまう。そこで、まあ一切の
物品税の引き下げはいたさないという基本方針をとったのでありますが、
物品税にかなり類似した性格を持つ
入場税に手をつけますと、
物品税には一切触れないという大原則に
波及するおそれが出てきたわけなんです。そういうようなことから、私は非常に不本意ではありましたけれ
ども、今度の四十五年度の
税制改正ではこれは見送るということにせざるを得なかったのでありますが、私は
皆さんに申し上げた
考え方は今日なお変えてはおりません。何とかして早い機会にこの
考え方を、
皆さんも超党派で御賛成のようでありますから、実現をいたしてみたいと、そういうふうに
考えております。
それから減反問題についての
税制の適用でございますが、これは転作につきましては一時所得の扱いをする、それから休耕につきましては
一般の農業所得の扱いをしようと、そういうふうに
考えております。
最後に、住民税につきましては、全く同感なんです。しかし、住民税というのは、地方の地域社会維持のための
財源である。そういうようなことで、勢いこまかくなる。また、こまかくなってたくさんの納税者が地域社会に責任を持つという体制も一面において必要だという面もあると思うんです。そこで、国税と一緒にしなければならぬというふうには
考えていないのです。しかし、
地方財政の充実に応じまして、住民税のほうにおきましてもその免税点を逐次上げていくという基本的な
考え方は、これは堅持していかなければならぬ。そして、直接税の
負担感を解消する、そういう
方向で努力をすべきものだというふうに
考えているわけであります。