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1970-03-20 第63回国会 参議院 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十日(金曜日)    午前十時十三分開会     ————————————— 昭和四十五年三月五日商工委員長において本委員 を左のとおり指名した。                 井川 伊平君                 川上 為治君                 剱木 亨弘君                 山本敬三郎君                 阿具根 登君                 大矢  正君                 竹田 現照君                 矢追 秀彦君                 田渕 哲也君                 須藤 五郎君 同日商工委員長は左の者を委員長に指名した。                 川上 為治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川上 為治君     委 員                 井川 伊平君                 剱木 亨弘君                 山本敬三郎君                 阿具根 登君                 大矢  正君                 竹田 現照君                 矢追 秀彦君                 須藤 五郎君    政府委員        通商産業政務次        官        内田 芳郎君        通商産業省鉱山        石炭局長     本田 早苗君        通商産業省鉱山        保安局長     橋本 徳男君        労働政務次官   大野  明君        労働省職業安定        局失業対策部長  遠藤 政夫君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        通商産業省鉱山        石炭局石炭部長  阿部  茂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (昭和四十五年度石炭関係予算に関する件)  (最近の保安状況に関する件)     —————————————
  2. 川上為治

    委員長川上為治君) ただいまから石炭対策に関する小委員会を開催いたします。  委員長の指名によりまして、私が小委員長をつとめさしていただくことになりましたので、何とぞよろしく御協力のほどをお願いします。(拍手)  速記をやめて。   〔速記中止
  3. 川上為治

    委員長川上為治君) 速記を起こして。  大野労働政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。大野労働政務次官
  4. 大野明

    政府委員大野明君) 労働政務次官大野でございます。若輩者でございますので、皆さま方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 川上為治

    委員長川上為治君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  石炭に関する件につき、調査のため参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 川上為治

    委員長川上為治君) 御異議ないと認めます。  それでは、その手続等につきましては、小委員長から委員長要求することといたします。     —————————————
  7. 川上為治

    委員長川上為治君) 次に、昭和四十五年度の石炭関係予算につき、通商産業省労働省の順で説明を聴取いたします。通産省阿部石炭部長
  8. 阿部茂

    説明員阿部茂君) お手元にお配りしてございます昭和四十五年度石炭対策特別会計予算要求という資料がございますので、これによりまして要点を簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず、大きな柱といたしまして、第一に石炭鉱業合理化安定対策というのがございまして、四十三年度、四十四年度、四十五年度の要求というふうに並べてその対比をしております。  その第一といたしまして、石炭鉱業経理改善対策、これはごらんのとおり四十四年度二百六十九億に対しまして、三百億を要求いたしております。そのうち、下にございますように、まず第一に元利補給金でございまして、備考にございますように、これが第一次肩がわり分でございまして、四十四年度百十二億に対しまして、百十一億を要求しております。それから次の再建交付金でございますが、四十四年度三十六億に対しまして、四十五年度七十億を要求いたしております。これはごらんのとおりたいへんふえておりますけれども、四十四年度は昨年制度ができた時点の関係上、半年分を計上いたしておりまして、四十五年度から平年度化しまして、まる一年を計上いたしておる関係でございます。次に、安定補給金は四十四年度百二十億の実績に対しまして四十五年度百十六億を要求いたしております。安定補給金は四十四年度から第四次施策の結果、飛躍的に拡充強化されたのでございまして、その線で四十五年度も全く同様の要求をいたしておる次第でございます。  次に第二の石炭鉱業合理化事業団出資でございます。四十四年度百三億に対しまして四十五年度も全く同額の百三億を要求いたしております。これは備考にございますように、内訳設備資金整備資金信用保証基金三つに分かれております。設備資金が四十四年度より若干減少いたしまして、その分だけ整備資金のほうが増加しているかっこうになっております。なお、つけ加えますと、この設備資金の中に、新鉱開発、特に原料炭目的とする有望な計画がありますれば、新規融資したいという項目をこの中に組んでおるのでございます。また全体の融資規模は、事業団に対する償還金も合わせまして、おおむね百五十億円程度に相なる。四十四年度と大体規模は同じでございます。  次に第三の石炭鉱業生産体制改善対策でございますが、四十四年度四十四億に対しまして、四十五年度四十億ということになっております。その次のページでございますが、おもなものはここにございますように、坑道進費等補助金でございます。四十四年度四十一億に対しまして、四十五年度三十九億を要求いたしております。内容備考にございますように、主要坑道(四〇%補助)二十八億、一般坑道(三〇%補助)十億、そのほかに揚排水加算金補助と申しまして、周辺の閉山炭鉱からくる増加坑内水を揚排水するための補助金がここに一億計上されておるのでございます。なお、ここには書いてございませんけれども、このほかに石炭技術振興費補助金ということで、財団法人石炭技術研究所に対する補助金を一億五百万円計上しております。  次に第四でございますが、石炭需要確保対策、これは四十四年度八十一億に対しまして四十五年度四十億を要求いたしております。その内容は、まず、増加引取交付金六十一億に対しまして三十九億でございまして、これは九電力の石炭引き取り減少に伴うものがそのおもな要因になっております。さらにまた、電源開発株式会社への出資金四十四年度二十億は、これで従来から続いてまいりましたこの制度がすべて完結いたしまして、四十五年度は当初の規定方針どおりゼロになっております関係上、この四の石炭需要確保対策費は、四十四年度の半分程度規模に相なった次第でございます。  五は保安対策費でございますが、四十四年度十六億に対して四十五年度十八億を計上いたしておりますが、これにつきましては、別途保安局から御説明があると思いますので、省略させていただきます。  次に六の炭鉱整理促進費補助でございますが、四十四年度百五億に対しまして四十五年度百六十二億を計上いたしております。これは、一応予算要求の基礎といたしまして、三百万トンの閉山を一応予定しておる次第でござまいして、その中には、一般方式による一般交付金、それから特別閉山方式による特別交付金及び離職金、その三つのものが含まれておるわけでございます。  次に第二の大きな柱といたしまして、鉱害対策を計上いたしております。四十四年度百六億に対しまして四十五年度百二十三億でございます。そのうち鉱害事業資金補助金といたしまして、四十四年度八十億に対しまして四十五年度九十二億と、かなり大きく拡充いたしております。備考にございますように、復旧事業規模は四十四年度百十億に対しまして四十五年度は百二十五億に拡充される予定でございます。なお、ここには書いてございませんけれども、石炭鉱害事業団への出資金は、四十四年度十五億に対しまして四十五年度十九億を増額要求いたしております。  次に第三の大きな柱でございますが、産炭地域振興対策でございます。四十四年度五十六億に対しまして四十五年度六十四億を要求いたしております。そのうち産炭地振興事業団への出資が、四十四年度四十一億に対しまして四十五年度四十五億を要求いたしております。これにつきまして若干説明を加えさしていただきますと、産炭地振興事業団は、この出資の四十五億と、ほかに、ここには書いてございませんが、財投から七十六億の融資を得ることに期待しております。また、自己資金等を十七億さらにそれに予定しておりまして、計百三十八億の四十五年度資金源によりまして、総事業規模百七十一億を予定しておる次第でございます。これは、四十四年度の事業規模百十八億と比較いたしますとき、五十三億の増を予定いたしておりまして、きわめて大きな飛躍を期待できるかと存じます。次のページにまいりまして、産炭地域臨時交付金でございますが、四十四年度初めて制度化されたものでございまして、十億でございますが、四十五年度十二億を要求いたしました。これは備考にございますように、産炭地域の六条、市町村への財政援助をこれではかることになっております。  以下、四の事務処理費及び八の予備費等につきまして、ごらんのとおりでございまして、五の炭鉱離職者援護対策費及び六の産炭地域開発雇用対策費につきましては、別途御所管労働省のほうから御説明がありますので、省略させていただきます。  以上、これを合計いたしますと、四十四年度八百八十四億に対しまして四十五年度九百七十一億と、かなり増額要求しておる次第でございます。以上をもちまして石特関係四十五年度予算要求の全貌を、ごくかいつまんで御説明した次第でございますが、さらに一つだけ関連の問題を申し上げたいと存じます。  それは、一般会計新規石炭関係予算を二つ要求いたしております。その第一は、海外原料炭開発調査費補助金ということで約千五百万円を要求いたしております。これは、このたび海外原料炭開発株式会社というものが鉄鉱業界石炭業界共同出資によりまして昨年末設立を見ましたが、昨今の原料炭世界的不足に対処するため、かつは国内の石炭業界技術を活用するという両方の目的から設立されたものでございまして、非常に国家的にもその有意義性を着目いたしまして、これに対して五〇%の補助率で今後補助していきたいという新規要求でございます。  第二は、亜炭鉱業整備共済事業費補助金といたしまして千三百万円を同じく一般会計要求いたしております。これも従来から国会等でもたびたび論議された経緯がございますようでございますが、ようやくこれが実りまして亜炭鉱のうち不良経営の、状態のよくないもの等を石炭鉱業同様整理していく。でその際、共済事業に対して国から若干の補助をいたそう。こういう趣旨の予算項目でございます。  以上きわめて簡単ではございましたが、通産省関係保安を除く四十五年度予算要求について概略御説明申し上げた次第でございます。
  9. 川上為治

    委員長川上為治君) 次に、労働省遠藤失業対策部長
  10. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) 労働省所管昭和四十五年度石炭対策特別会計予算案概要について御説明いたします。  労働省関係の四十五年度石炭対策特別会計予算総額は八十五億五千二百八十七万円でございまして、ほぼ四十四年度に対比しまして九億一千六百万円の増額に相なっております。で、来年度も、相当数閉山その他の合理化によります離職者発生が見込まれておりますので、これらの再就職あっせん職業訓練の実施など、援護措置を強力に進めることにいたしております。それに必要な経費でございます。  その内容につきましては、まず第一は炭鉱離職者援護対策費でございます。その中の人件費等二億五千一百万円でございますが、これは離職者職業相談職業紹介就職指導等を担当いたします職員に要する人件費事務費でございます。  次の炭鉱離職者緊急就労対策事業費補助金でございますが、これは前年度三十億五千万円に対しまして七千六百万円増の三十一億二千八百万円になっております。これは事業費単価を前年度より三百円増、二千八百円にいたしまして、吸収人員四千三百名を予定いたしております。これは先般来の計画どおり緊急就労対策事業につきましては、新規就労を認めないことになっておりますので、この事業就労いたしております人の中から再就職いたしました人の分が年々減ってまいりますので、その分が就労減になっておる次第でございます。  それから第三の炭鉱離職者援護事業費補助金でございますが、これは雇用促進事業団が行ないます離職者援護業務に必要な経費でございまして、十二億五千一百万円を計上しております。再就職奨励金自営支度金等単価増額に伴うものでございます。  次の炭鉱離職者職業訓練費補助金につきましては、これは離職者が他の産業へ就職するのを容易にいたしますために、都道府県が行ないます職業訓練経費の一部を補助するものでございまして、六千八百十二万円を計上しております。  次の炭鉱離職者就職促進手当につきましては、求職手帳をもらった者に対する就職促進手当に必要な経費でございまして、これは四十四年度よりも一億二千六百万円の減額になっておりますが、これは最近の雇用情勢の好転といったような情勢から、この受給率が落ちてまいっております。したがいまして予算額が減になっておる次第でございます。なお、手当の額といたしましては、最高日額を四十四年度の七百二十円から四十五年度八百二十円の百円の引き上げを行なっておる次第でございますが、ただいま申し上げましたような次第で、総額といたしましては減額になっておる次第でございます。ただ予算上、一応計画いたしました離職者発生が、四十五年度におきましてこれが、見込みを越えるというようなことになりまして、この経費不足いたしました場合は、これはいわゆる義務的な経費でございますので、弾力条項によりまして増額することに相なっておりますので、不足の場合の事態に対しましても十分対処できるようになっておる次第でございます。  次に産炭地域開発就労事業費補助金につきましては、これは四十四年度から新たに実施いたしました事業でございまして、四十四年度は二十五億二千三百万円を計上いたしておりましたが、四十五年度は単価を三千六百円から四千五百円に引き上げまして、総額三十一億五千四百万円計上いたしております。吸収人員につきましては、四十四年度と同様三千二百人を予定いたしておる次第でございます。  以上簡単でございますが、労働省所管昭和四十五年度石炭対策特別会計予算概要を御説明申し上げました。
  11. 川上為治

    委員長川上為治君) 次に、最近の保安状況に関する件につき、政府委員から報告を聴取いたします。橋本鉱山保安局長
  12. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) お配りいたしました災害の資料二つございますが、その前に、保安関係予算を簡単に御説明させていただきたいと思います。  いま、石炭部長のほうから説明がありました中で、(五)の「保安対策」というところの内訳を別紙でざら紙の一枚紙でお配りしておりますので、これにつきまして簡単に御説明させていただきます。  まず、四十五年度の事業予算は、十八億二千八百万円になっておりまして、考え方といたしましては、実は四十四年度の予算編成にあたりまして、新政策と相まって可能な限りの保安対策というふうなことを考えまして、四十三年度三億四千二百万を大体五倍程度に引き上げまして、四十五年度はその線に沿って、なお不足している部面についての補充をするという考え方で、新規項目といたしましては、一番下にございます充填促進四億一千五百万というものを計上した次第でございます。  一番最初の鉱山保安技術対策費、これは毎年テーマをきめまして、石炭技術研究所あたりへ委託をいたしまして、専門的な研究をしていただき、それを実際に取り入れていこうという考え方予算でございます。  それから次に、ぼた山災害防止対策費でございますが、これは御承知のように特に九州地区におきましては危険ぼた山が相当ございますので、それを国が三分の二、県が三分の一という予算措置によりまして、毎年数鉱山ずつの切り取り作業をやり公害の予防につとめておる。そのための事業費予算でございます。本年度は八ぼた山を処理するというふうなことで、この中に八ぼた山のうちで新規は六つでございます。  それからその次に炭鉱保安専用機器開発費といたしまして、これは従前どおりテーマにつきましての開発費補助ということで、御承知のように保安用機器を製造しておる企業はきわめて中小企業でございまして、かつまたその販路がきわめて狭いというために、こういった点にまで補助を出しておる次第でございます。  それから放置坑口閉そく対策費といたしまして、これはかつて閉山をした山がそのまま坑口を閉塞しないで閉山をした関係で、地域住民あたりにいろいろ危害を及ぼす例が発生したというふうなことで、全国調べてみますと、大体二百三十程度坑口が放置されておりますので、これを四十四年度から三年計画で閉塞しようという種類の予算でございます。  それから救護訓練教育費でございますが、これは保安センターに対しまする定額補助予算でございまして、本年はさらにそれを昨年四千万新規につけたわけでございますが、さらに充実強化という意味におきまして、一割程度のアップをしてございます。  それから次に石炭鉱山保安確保費ということで、この備考欄にございますように、保安専用機器整備拡充のための補助金それからその他いろいろガス抜きとか密閉とかいったものに対する補助金、三分の二の補助をやっておりますが、本年新たに充填というものを設けたわけでございます。この中で、専用機器の中に一酸化炭素自己救命器というものを引き続き補助対象にしておりますが、これはすでに全職員にもちろん行き渡っておりますが、その中でいろいろ常時検査をやっておりまして、不良品が出た場合に置き換えるとか、あるいは耐用年数がきておるとかいったようなものの置き換えでございまして、これを引き続き助成の対象にしておるということでございます。保安関係といたしましては、これが保安プロパー予算でございますが、もちろんこれ以外に坑道関係につきましても保安上にはどうしても必要なものもございますし、こういったものにつきましては、生産関係との分離が非常に困難でございますので、先ほどのような坑道補助金へ一本に計上してございます。それから、それ以外にもまた合理化事業団から保安用機器に対する無利子融資を行なっておりますが、それに対する出資会計上の分離が困難でございますので、石特会計一般ワクの中に織り込んでおるような次第でございます。  簡単でございますが、予算関係は以上にいたしまして、本年に入りましてから、重大災害が一月、三月と二回起きまして、まことに遺憾でございますが、それにつきましての模様を御説明さしていただきたいと思うのでございます。  二枚ございますが、一つは「夕張炭鉱落ばん災害について」というのがございます。これは、北海道炭礦汽船株式会社夕張炭鉱の第一坑におきまして、本年の一月の二十七日の二時二十分ごろに起きた災害でございます。  災害の概況といたしましては、一月の二十六日の午後十一時ごろ、実は一番最後のところにその災害個所坑道図面が書いてございますので、それをごらんいただきながらお聞きいただきたいと思いますが、七中切坑道というのがございます。第三流炭昇をクロスいたしまして、右六中切、右七中切、右八中切とございますが、この中の右七中切でございます。その入り口から約三メートルの床面に穴があいた。すなわち、このクロスしているところ、交差したところを斜線でかいてございますが、大体その近辺でございます。その三メートルの床面に穴があきましたので、係員、鉱員九名で山固め作業をしておりましたときに、その三時間後の二十七日の二時二十分ごろに、突然底抜け崩落発生した、というのは、この図面でいいますと、七、六中切、それから第三流炭昇斜線のところがばっと落ちてきたわけでございます。落ちてまいりまして、その七中切におりました七名が閉じ込められた。それから、その七名はあとで救出されましたけれども、その上にございます六中切坑道斜線の一番上のほうでございますが、その六中切坑道で休息していたと思われる四名がこれに引き込まれて、罹災した。この四名が結局死亡したわけでございます。災害後、右七中切坑道に生存した七名は、同日の午後四時十五分までに救出されまして、引き続きその行方不明となった四名の救出に全力を尽くしておったわけでございます。五日後の二月の一日の午前五時五分に全員遺体となって発見された。こういうふうに収容に非常に手間どったわけでございますが、この手間どりましたのは、先ほどの図にございます、この第三流炭昇に炭が一ぱい崩落しておりまして、これがばらばら落ちるというふうなことで、二次災害を防止する意味におきまして、頑強な施ワクをしながら慎重に取り分け作業をやってまいったわけでございまして、そのために、非常に作業がおくれまして、五日間取り分けにがかったという次第でございます。それで、次のページにまいりまして災害の報に接した札幌鉱山保安監督局からは監督局長以下監督官五名が現地に参りまして罹災者救出とか原因究明等の指揮に当たったわけでございます。なお災害発生区域採炭作業は、こういった原因究明対策の樹立までもちろん操業を停止さしてございました。  実は災害原因でございますが、この事故は、もちろん災害個所水力採炭をやっております。したがいまして水力採炭といたしましては非常にかつて例のない災害でございますが、そのために非常にこの問題については大きな問題を投げかけており、すなわち水力採炭いわゆる水の問題とその水が石炭にしみ込み、それが石炭剥離性を増して、そうしてこういう大災害が起きたのではなかろうか、そうなりますれば非常に将来に大きな問題を投げかけるというふうなことのために、その原因究明にあたりましては慎重を期しまして、専門家でございますが、北海道大学の磯部教授をはじめといたします学識経験者によって委員会をつくりまして——その委員会の名簿は三枚目にございます——こういった専門家によりまして委員会をつくり、それによって二月の十日、十一日をぶつ通しでいろいろ検討していただき、またそれをそれぞれ持ち帰って一週間後の十八日に再度検討をいたしました結果、本災害は次のようなことが原因であるということに委員会としての結論が出たわけでございます。もちろんこの間におきましてはいろいろ書類上の検査ばかりではない、たとえばボーリングをやりまして水と石炭との関係、そういったものにつきましても十分調査したわけでございます。その原因といたしましては、右七中切および右八中切坑道でございますが、この二つの坑道は掘進が大体昨年の八月の終わりから九月にかけてやっておったわけでございますけれども、その後あまり使用していなかったために、どちらかといいますと坑道が非常に荒れておったのであります。それで坑道の矢木とかワクの折損がございまして、その間から炭がばらばら落ちる、あるいは高落ちするというようなことが起こっておりまして、それによって天盤がいたんでおった。すなわちゆるみが生じておった。そのばらばら落ちました崩落した個所の取り分けをやっておった際に、天盤にゆるみが生じ、坑道上部の炭柱に空隙が形成された。そしてその空隙が逐次拡大していきまして、結局右七中切坑道床面にその空隙が達しておったというふうに想像されるわけでございます。この七中切坑道の空隙のために、そこに立っておりました炭柱の足が引きずり込まれた、そうして炭柱としての効用をなくしてしまいましたために、一挙にその七中切坑道ワク脚を取られたことによって順次上が崩落していったというふうに結論が出たわけでございます。これが直接的な原因であろうということで委員会として結論が出ましたが、当初われわれはこういったいわゆる穴があいたりあるいはいろいろな石炭剥離性石炭の凝集力の壊崩、こういったような問題がなぜ起きたのだろうかというふうなことで、これがもし水による原因で、水がしみ通ることに原因があるのではなかろうかということでボーリングをしてその辺を調査いたしましたところ、結局、結論といたしましては、水の浸透した形跡はなかったというふうにこの委員会としては結論が出された次第でございます。  ただ、次のページへまいりまして、以上が直接的な原因ではございますけれども、この点をさらに助長したと思われるものといたしまして、その六中切坑道の天盤、すなわち流炭昇下の辺だと思いますけれども、こういったところに潜在的な断層が災害後に判明した。しかも、その断層線が鏡はだで、非常に剥離しやすいというふうなところから、こういう崩落を助長したのではなかろうかというふうに推定されておるわけでございます。  監督局といたしましては、監督上の立場がございますので、こういった委員会の結論は委員会の結論とし、別個にまた独自の立場からいろいろ検討していったわけでございますが、やはりこの委員会の結論が正当であろう、これ以外の要因は、物的な要因その他いろいろな方面からの調査によっても究明できないというふうなことで、結局、この委員会の結論が妥当であろうというふうなことの判断に達したわけでございます。  したがいまして、今後の対策でございますが、先ほどのように、結局、一番問題は、こういった場所におきまして中切坑道を掘って、それを長期間放置しておくということによって坑道のいたみが累積的な災害を引き起こすというふうなことが明らかになりましたので、この対策といたしまして、二枚目の終わりにございますように「中切坑道は掘さく後長期間放置しないこと。そのためには中切坑道の掘進と水力採炭の進行とのバランスをとること。」が肝要である。それから「坑道は崩落しないよう施枠の強化を図ること。」ということで、たとえば、総矢木にするとか、あるいは下ほうからの力がささえられるというような裏込め踏み前矢木——むずかしいことばを使っておりますが——そういった全面的に矢木を打ち込むといったようなやり方、こういったものをすべきである。さらに、それでもまだ局部的な崩落がございました場合には、天井炭を崩落させないために差し矢木とかセメントミルクの注入、こういったようなものをやるべきである。それから最後に、こういった災害の危険性のある個所につきましては、専任の係員を常時配置さしておく。そうして時々刻々の変化に即応した態勢をとるべきであるというようなことの結論に達しまして、それで二月二十日に至りまして、一カ月近くこういった検討を重ねた結果、これだけの対策をやることによって今後の災害は防止できるという結論に達しましたので、生産の再開を認めたということにしておる次第でございます。  それからさらに、こういった問題は、いわゆる技術的に非常に高度の技術の問題にもなってまいりますので、会社に対してのこういった事故の社会的責任といいますか、そういったことを迫りまして、夕張炭鉱保安技術管理者及び副保安技術管理者の解任を会社としては自発的に行なってもらうというふうなことにしたわけでございます。  夕張炭鉱の問題につきましては以上でございます。  それからもう一つ、同じ会社いわゆる北炭におきまして、この三月の二日に再びガス突出によりまする災害が起きた次第でございます。死亡者はやはり四名ということになっております。  災害の概況を申し上げますと、三月二日の十三時十四分ごろでございますが、清水沢坑の五片八尺後向ロングゲートの先端におきましてガス突出が発生して掘進作業中の四名が埋没したということで、それもこの災害個所図面を次に添付してございますが、このカッコの中にございますように罹災の位置というのが、こういう坑道掘進の一番先端の上部のほうからガス突出があった模様でございます。  この災害発見の端緒が次に書いてございますが、作業を監督しておりました係員が異常な圧風とガスを感じまして、それと同時に可燃性ガス自動警報器が、インターロックされておりますコンベヤーが停止されましたので、災害発生をそれによって知り、直ちに救出作業にかかりまして、大体一時間半くらいの間に全員を搬出いたしまして人工呼吸等を坑内におきまして行ないました結果、全員蘇生はしなかったということでございます。災害発生した個所は、この図面にございますように、この原動機座から約十六メートル先進したゲート坑道でございまして、この引立から大体九・七メートルくらいのところまで炭が流出しておりまして、そして四名はその引立から約四メートル近くのところに埋没しておったという状況でございます。  で、ガス突出といたしまして、突出炭量は五十八立米でございますので、そう大きな力ではございませんでした。したがって突出炭による倒ワクとかあるいは崩壊といったようなものはございませんでした。ところが、ここにおきましては実は前々から前兆らしきものが発生しておりまして、昨年の十二月の二十五日、それからことしの一月の十八日におきまして、やはりこの同じ場所におきまして可燃性ガスの湧出を伴ったわずかな粉炭の噴出といいますか、そういったようなものが認められましたので、さっそく炭鉱側におきましては、これはガス突出の前兆ではなかろうかということで労使協議をいたしまして、いろんな対策を実はとっておった次第でございます。で、その対策といたしましては、いわゆるガス突出の通常のやり方といたしましてガス抜きボーリングをやるというふうなことでやっておったわけでございますけれども、ガス抜きボーリングをそれぞれ上側には三十メートル間隔で、下側には二十メートル間隔で設けるとか、あるいはまたゲート坑道の引立からは二本のボーリングを各方に行なうとかというふうなこと、それからさらに、もしガス突出があった場合の避難方法というようなところまで、相当こまかくいろいろな対策をやっておったわけでございます。しかもどちらかといいますと、このガス抜きボーリングは通常の山以上に強力な形をとっておったことがわかった次第でございまして、たとえて言いますと、通常の場合には大体六十ないし八十ミリ程度のボーリング、しかも自噴によるガス抜きというのが通常ではございますけれども、この山の場合には百四十五という大口径のガス抜きをし、かつまた強制的なガス抜きをやっておった。ところが、これだけのことをやっておって、なぜガス突出が起きたかということがちょっと問題になるわけでございますが、やることは非常にいろんな措置をやっておったのですけれども、そのボーリングが必ずしも進行方向のあらゆる面について完全にカバーされてなかった、すなわち進行方面と下側のほうについては、こういったガス抜きの方法によりましてかなり安全なフィールドになっておったのでございますが、進行の上側のほうにつきましては、どうもこのガス抜きが、効果を発揮し得るような形でのガス抜きが行なわれてなかった、したがって、ここに結局、死角を生じまして、そこのガスが抜けなかった、それがガス突出の原因になったのであろうということが大体現時点におきましては確実にわかっておる次第でございます。  状況としては以上でございますが、御承知のようにこの北海道炭礦汽船は昨年来落盤が相次いで起きており、かつまた相当やっておったにいたしましても、どこか抜けておるといったようなためにこういう事故を起こしたというふうなことで、たび重なるこういった災害の連続ということのために、私社長を呼びまして、この清水沢に限らず北炭として抜本的なひとつ今後の保安対策を考えてほしいというふうなことを要請し、社長としましても、ひとつ全山について思い切った対策を立てたいというふうなことで、近くその案が会社から提示されるというふうなことになっておる次第でございまして、相当北炭としては思い切った考え方対策を全山について立てようということでございまして、相当な北炭としては負担の上に立っての対策になるものというふうに考えておる次第でございます。  以上簡単でございますが、災害の模様を御説明いたしました。
  13. 川上為治

    委員長川上為治君) 以上をもちまして、政府側の説明を終わります。  続いて質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 大矢正

    大矢正君 質問に入ります前に、石炭局長保安局長に希望意見を表明しておきたいと思います。  それは、先般大手炭鉱の一つであります雄別炭鉱が閉山になりました。これは資金面からの行き詰まりということと、自然条件の悪化というようなこともありまして、遺憾ながら地域の社会、経済にたいへんな影響を与えたことであります。そこで、第四次石炭政策が昨年から実施に移されておりますが、にもかかわらず、いま申し上げたような大手炭鉱の中に閉山発生をする、中小においてはもう申すまでもない状況にあります。四十五年度に入りましても、おそらくこれが続いていくのではないかと懸念される今日であります。政府側はどのようにお考えになっておられるか、この事態を感じ取っておられるかということは、私どもの知るところではありませんが、ともあれ、今日の石炭産業というものは重ねて重大な危機に直面をしていることは、政府側としてもお認めになるのではないか。ただ、それをいたしかたのないものであると判断をするか、第四次政策の手直しという形になってあらわれるか、一部修正という形になってあらわれるか、抜本的な改革という形になってあらわれるかは別といたしましても、何らかの手段、方法によって急激な閉山というものを阻止しなければならないという考え方、こういう考え方が二つあると思うのであります。そのいずれを通産省がおとりになるかということを、私はほんとうはお尋ねをしたいところでありますが、しかしながら通産省におきましても、業界の実態なり石炭産業それ自体の技術的な検討なり、また鉄鋼あるいは電力等の需要先との関連の問題なり、あるいは労働力の確保に関する見通しなり、いろいろと石炭産業を判断する上において必要とする検討事項が今日あると思われますから、私は、きょうここでそれをどのように判断をしているか、あるいはどうすればよいのかということを質問しようとは思いません。ただ、願わくばこのような重大な時点に逢着をしている石炭産業、そして企業でありまするがゆえに、政府としてもすみやかに、たとえば審議会あるいはまた業界あるいはその他の諸団体等の意見等も十分聞き、みずからの判断もその中から導き出して、最も近い将来に、ひとつそういう問題についての考え方をぜひ述べてもらいたい。それに基づいて私どもも質問をいたしたいと、まあこう考えておるところであります。野党各会派ともいろいろ相談をいたしましたが、いまの時点で基本問題についての質問をすることは、やはり準備不足と言っちゃ語弊がありますが、まだまだ通産省としてもやらなきゃならぬ事項がいろいろあるだろうし、検討しなきゃならぬ事項があるだろうから、われわれもたとえば事業団体あるいは協会というようなものも呼んで、また労働組合等も呼んで、この小委員会で意見を聞きますが、ひとつ通産省も積極的に取り組んで、そう遠くない日にこの基本問題について私どもと議論ができるような体制づくりをひとつしていただきたいということをこの際希望いたしたいと思います。  それから保安局長にお願いでありますが、これは保安局長だけの問題ではなくて、通産省全体の姿勢の問題でありますから、本来でありますれば大臣を必要とすることでございますが、遺憾ながら予算委員会関係上大臣が出れませんので、これも私は特に所管をいたしております保安局長にお願いをいたしたいと思いますことは、いま御報告がありましたとおりに、事故が依然としてあとを断たない。統計的には先般保安局からいただいた資料によりますると、百万人当たりあるいは百万トン当たりのこの負傷者、事故率というものは幾らかずつなりとも減少はしているとは言いながら、やはり人命尊重の立場から申しまして、今日の石炭産業における災害の続出ということは、われわれも最も遺憾とするところでありまして、一そうこの保安の確保に全力を尽くしてもらいたいと思います。  私は個々の山でどういう事故が起こったかという問題ももちろんありますが、二点、ひとつ基本的に検討しておいてもらいたい問題があります。  一つは、どこの山で事故が起きたから、その山に対してはどういう保安対策をすればよいかという事後的な問題の処理からもう一歩突っ込んで、やはり日本全国の石炭産業保安状況というものを見直すような体制づくりを一度検討願えないものだろうかということと、いま一つは、やはりこの石炭を掘ることを企業目的としている会社でありますから、幾ら保安を大事にせよと言いましてもやはり生産が優先をするのではないかという感じ方を私どもは持っております。よって。この保安と生産というものを密着させるために、私は何も石炭一つも出なくても、保安さえ守られればいいのだということを申し上げているのではないのでありまして、保安と生産というものがあくまでも車の両輪のごとくに並んで進行していくという体制づくりのためには、一つの案として、やはり事故を起こしたその企業に対しては、ある程度責任をとらせる、責任を負わせる、また罰を与えるというような意味も含めて、たとえば安定補給金については過去において事故を起こした炭鉱についてはこの程度減額をするとか、そうしてその分は事故を起こさなかった炭鉱にはプラスしてやるというような形においてでも、この問題を進めていったほうが私はいいのではないかという感じがいたします。もちろんこれは法律なり政省令なりに多分に引っかかる問題でありますから、私が申し上げるとおりのようなことが運用できるかどうかは別にいたしましても、考え方としてはそういう考え方をこれから何とか実施に移すような方向で、経営者みずから事故を起こしたら全体的に損をするし、たいへんなことになるぞというような気持ちを抱かせるようなことを、財政面からも考えてみる必要性があるのではないか。これは、あくまでも検討をしてもらいたい事項でありますから、御答弁を必要といたしませんので、ぜひ、ひとつ、頭の中でいろいろと御検討を願いたいと思いまするし、しかるべき機関において検討を願いたい。これを希望いたしておきます。  そこで、基本問題には触れませんから、若干、予算に関連をしてお尋ねをいたします。  それは、まず第一に、電力関係についてでありますが、昭和四十三年度、四年度すなわち本年度、それから明年の四十五年度、この三年間の一般炭消費の中心になっております電力、その電力の需要量、実際に供給をした量、それから見込み、これを電発、八電力、共同火力の三つに区分をして、数字的に説明をいただきたい。  で、それを調べる間に——多少時間がかかると思われますから——一つ別な問題でお尋ねをいたしたいと思います。  これは石炭局長にお尋ねをいたしますが、四十五年度のこの予算の中に増加引取交付金というものがあります。電力の問題につきましては、いまの資料の説明がありましてからお尋ねをいたしますから、電力の問題ではない鉄鋼の問題についてお尋ねをいたしたいのでありますが、この増加引取交付金の中で、鉄鋼に対しては四十五年度で二十五億二千万円交付することになっておりますが、御存じのとおりに、鉄鋼は、原料炭を非常に今日必要といたしておりまして、わが国は残念ながら千二百万トン程度原料炭しか年産することができませんし、将来これは減ることがあってもふえることは現実にはないのではないかと思われるようなきびしい情勢にありますが、このようにして鉄鋼みずからが必要でしようがないような原料炭を引き取らせて、それに対して二十五億も交付金を出すということの考え方が、私どもにはどうも理解ができないわけですね。そういう金があったら、それは、むしろ石炭会社に直接に原料炭の特別の補給金とか、何かそういうような意味でやるべきものであって、鉄鋼に、ほしくてしようがない鉄鋼に二十五億も金を出す、その理由がどうしてもぼくには納得ができないので、この点をまずお答え願いたいと思います。
  15. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) お答えいたします。  従来から原料炭につきましては、内外の価格差があって、これに伴って国内原料炭の引き取りに伴うコスト面の影響がある、こういうことで引取交付金の制度というものが発足しておるわけでございます。で、本年度は、石炭鉱業の経理状況ともからみまして、また内外の原料炭需給の状況ともからみまして、炭価の引き上げ交渉が一面業界相互で行なわれるという状況になっておる状況ともからみまして、この交付金の廃止という問題はその辺とのからみも非常にあるわけでございますので、本年度としては、引き続き交付するということで要求をいたしたわけでございます。
  16. 大矢正

    大矢正君 局長、いままでやってきたからことしもやるんだという惰性での答弁では、どうも私も納得できないですよ。  いまの時点で、なぜ必要なのか。いやがるものを無理して引き取ってもらうということを前提として立てられたのがこの増加引取交付金です。したがって、電力の場合にも、一定量以上、いやがるやつを引き取ってもらうのだから、その上回る部分について金を出そうということでこの増加引取交付金が出たわけでしょう。しかし、いまはそうではなくて、もう競争で国内の原料炭を、むしろ鉄鋼会社が、多少やみでもって金を出しても引き取りたいと言っている。その鉄鋼会社に、いままでそうであったからということで、惰性で金を出すことの是非はどうかと。ただ、あなたは、この二十五億二千万円をかりに出さないと、鉄鋼は——海外の原料炭が千円以上も最近上がるやに聞いておりますが、にもかかわらず、国内の原料炭の値上げはできないのだ、したがって、本年はどうしてもこの原料炭を値上げするために鉄鋼会社を説得する意味でこの二十五億という金が必要なんだというなら、そういうように御説明いただければそれで納得するわけですが、その辺のことを、私はそういうような解釈を——局長の気持ちのことですが——しているんですが……。
  17. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 具体的な事情としては先生御指摘のような事情でございまして、一面、外炭のほうの値上がりはありますけれども、なお価格差もございますし、国内炭の値上げの交渉もし、実現を必要とするという状況にもなっておるという事情もございまして、本年度としては引き取り交付金を継続すべきではないか、こう考えておる次第であります。
  18. 大矢正

    大矢正君 私があまりこれを指摘して鉄鋼会社が値上げに応じないということになるとうらまれますから、私はこれでやめますが、まあ筋論的には合わない面があるということは、まあひとつ頭の中にお入れを願いたいと思います。  それから次にお尋ねをいたしますのは、開発銀行は、かつては石炭に対して、多いときは百五十億ぐらいも年間に融資をしておりました。そして特別会計ができ、特に昨年からは第四次政策にのっとりまして、開銀が過去において石炭融資をしてまいりました資金は事業団に肩がわりをするというようなかっこうになりまして、最近は金を貸すとすれば事業団という形になっております。が、しかし、昨年の第四次政策に基づく法律ないしは予算が審議された際におきましては、たとえ事業団が中心になるにいたしましても、開発銀行は石炭融資をしないということではないと、しかもそれは漸次減らしてはいくが、一ぺんにゼロにするなんということはないというような御発言が政府側からもなされておりますが、四十四年度すなわち本年度は、開発銀行は石炭に対してどの程度融資をなされつつありますか、お答えをいただきたいと思いまするし、四十五年度にどういう計票——開発銀行の資金計画が出ておりますから、四十五年度に石炭に対していかほどの融資をする予定でいるのか、お答えをいただきたいと思います。
  19. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 四十四年度につきましては約二十億見当の融資が行なわれると思われます。来年度につきましては三十億程度融資を期待しております。
  20. 大矢正

    大矢正君 この開発銀行の融資が急激に減ってまいりまして、そういうことも今日の石炭産業の資金繰りを悪くしている面もあるわけでありまするし、ひとつ政府においても積極的に開発銀行からもなお融資の道を求めるように御努力願いたいと、こう思います。  それから、これはお答えは抽象的になるかもわかりませんが、昨年の第二次肩がわりにあたりましては、各石炭企業が、銀行に担保権が設定をされておられるものについて、それを抜くことによって資金繰りが楽になるような、質のよいものの担保抜きについては積極的にひとつやりましょうということが出ておったのでありますが、私が聞いている限りにおきましては、銀行は二次肩がわりで、かなり取れないものが取れるようなことになったのでありますが、担保抜きのほうに対しては全然協力を示さないように承っておりますが、これはどうでしょう。ある程度銀行が担保抜きに対して協力をしているのでしょうか。
  21. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 御指摘のように担保抜きについては必ずしも目ざましい成果があがるわけではございませんが、一件だけ担保抜きの例が出てまいっております。今後その点についてはさらに努力をいたしたいと存じます。
  22. 大矢正

    大矢正君 それでは先ほどの電力用炭の使用状況について説明をお願いしたい。
  23. 阿部茂

    説明員阿部茂君) 先ほど大矢委員からの御質問の電力用炭の四十三年度と四十四年度の引き取り状況についての数字を御説明申し上げます。  四十三年度でございますが、まず第一に九電力は二千百四十八万トンでございます。それから電発が二百八万トン、それからその他共同火力でございますが、二百八十五万トン、そのような数字に相なっております。それから次に四十四年度は、若干まだ日にちを残しているわけでございますが、最近の時点における集計見通しを申し上げますと、九電力は千八百五十三万トン、それから電発は二百八十万トン、その他共同火力は二百五十九万トンでございます。  なお、御質問の四十五年度につきましては目下石炭業界と電力業界との間で最後の詰めをすべく鋭意折衝が行なわれている最中のようでございまして、当局のほうでも非常に関心を持っていろいろとこの成り行きを見守っておるような状況でございまして、いまの時点ではちょっと数字的に申し上げられないのはたいへん残念でございます。
  24. 大矢正

    大矢正君 電力用炭の問題に関連しては二つばかり問題があると思うのであります。差しさわりがあると困りますから深くは立ち入りませんが、一つは基準量以上に四十五年度の場合は出炭がない、電力用炭にまわす一般炭がない、したがって、同時にそこから九電力——といいましても実際は八電力でありますが、八電力の増加引取交付金がゼロになる可能性がある。基準量をむしろ下回ったような状態であるから、それにかこつけて増加引取交付金がもらえないようならば、八電力は大幅に電力用炭を減らしてもらわなければならぬ、こういう意見が出始めているということのようでありますが、この点、どういうふうな考え方を持っておられるか。  それからいま一つは、原料炭は値上げの機運にあります。最終的にはこれはまだ多少日にちのかかる問題でしょうが、一般炭についてははたしてどうなるのか。一般炭といいましても、これはまあ大部分電力用炭でありますから、言ってみれば電力用炭の価格がどうなるかということの問題だと思うのであります。で、いま電力用炭に関連して言えば、そういう二つの問題があると思いますが、局長はそれをどう把握されておられるか、どういう考え方で臨まれようとしておられるか、また、これは公益事業との関連がありますから、どうされるおつもりか、答えられる範囲でひとつお答えいただきたい。
  25. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 電力サイドとしては、増加引取交付金の有無を理由に電力用炭の引き取り量の問題を考えておるわけではなさそうで、公害問題とのからみで引き取り量の問題を言っております。これに対しまして、われわれといたしましては、その排出基準に適合するように、たとえば低品位炭との混炭、あるいは低硫黄重油との混焼等によって引き取り量の増加を求めるということで、できるだけ減少量の少ないように話し合いを結論づけるようにお願いをしておる次第でございます。  それから原料炭価の引き上げが進んでおるわけでありますが、一般炭価につきましては、原料炭と違いまして競合燃料の問題その他もございますので、現在の状況としては非常にむずかしい状況でございますが、一般炭の山が原料炭の山よりもいろいろ困難な情勢もございますので、その辺、両者を考えつつ検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  26. 大矢正

    大矢正君 最後に遠藤さんに一点だけ、これは質問というよりは私の意見として、はたしてそういうことが可能であるかどうかということを御検討いただきたいと思うわけであります。  それは、実は最近の閉山状況をずっと見ておりますと、もう圧倒的に本州方面の工業地帯に再就職をするという状況でありまして、一山閉山した際に、他の炭鉱に再就職をするというのが二割、この間の雄別のごときに至りましては一割しか炭鉱に残ろうとしない。炭鉱に残ろうといいましても、他の山に残ろうとする者がないわけであります。もう私らのところにもいろいろ参りますが、この間、雄別の際には、もう千社近い会社が求人に押しかけるというような状態で、炭鉱に残ろうとする者が非常に少なくなってまいりました。昔は、昔といいましても、ここ二、三年前ですと、半分くらいは他の山に転職をしていったのでありますが、最近は二割を割って、平均すれば一割五分くらいしか残らないのじゃないかといわております。いま石炭産業が問題としておりますることの一つは、資金面の問題でありますが、いま一つは労働力の確保ということが欠くことのできない問題で、まごまごしておりますと、資金面ではやっていけても、労働力の面で炭鉱維持ができないというような事態も想定される今日であります。そこで、離職者に対する援護措置というものが、法律的に、また予算的につくられた時点は、他に行こうとしてもなかなかそう簡単に再就職ができないのだという情勢の中でこれはつくられているわけですね。したがって、今日の時点とはだいぶ根本的な考え方の中で違いがあるわけですよ。そこで、このいまの援護措置でいきますと、もう現状の炭鉱に残るということが中心じゃなくて、よそへ行くことが中心になっているわけですね。しかし、私ども考えてみて、できる限り労働力のある者は炭鉱に残したい、そうしなければ山が残れないのだという問題があるわけです。それで、この四十五年度の予算の中でそれを現にやろうとしても、もう予算が審議され、本日衆議院で可決されるような情勢にありますから無理といたしましても、せめてその次の年度予算をつくる際における方針として、たとえばAという炭鉱がつぶれてしまってその労務者がBという炭鉱へ行って働く場合には、特別の支度金なりその他を渡してやるということによって、石炭産業に労働者をつなぎとめるような方法も考えてもらわないと、外部へ出ていくことを中心にした援護措置では、むしろ石炭産業を殺すことになって、生かすことにはならぬという面もまたあるわけで、言ってみればこの援護措置というものはもろ刃の剣というようなもので、両方に傷がつくということも想定されますので、御存じであろうとは思いますが、十分ひとつ御検討いただきたいと、希望意見として申し上げます。
  27. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) 大矢先生御指摘の問題は、実は今日に始まった問題ではございませんで、私ちょっと記憶ははっきりいたしませんが、三十八年ごろ、第二次調査団のときから労働力確保の問題はもうすでに日程にのぼっておったように存じております。その当時、ちょうど私、石炭離職者対策を担当しております。いまの御指摘は、離職者臨時措置法のいろいろな援護措置を、炭鉱閉山によって離職した人たちが炭鉱へ再就職する場合に適用できないかというような御提案でございまして、当時からいろいろ検討しておりまして、今日まで相当の期間かかりましたけれども、離職者臨時措置法のいろんな援護措置を炭鉱へ再就職する場合にも適用するような方法をとってまいりました。実はその中で残された問題は、住宅確保奨励金の支給ということが、ただ一つ炭鉱へ再就職の場合は適用されないというのが今日までの状態でございます。これは、実は来年度予算に際しまして、残ったただ一つの住宅確保奨励金を炭鉱へ再就職する場合にも炭鉱へ支給できるように来年度から実施することにいたした次第でございます。したがいまして、もろ刃の剣である臨時措置法による援護措置も、炭鉱では全面的に適用されることに実は相なっております。というような次第でございますけれども、労働力確保の問題は、この最近の労働力不足の事態が各産業とも深刻になってまいりまして、単に石炭だけの問題ではございません。これは先生御承知のとおりでございます。それに加えて、炭鉱が非常に斜陽化してまいりまして、炭鉱そのものに魅力がなくなってきた。数年前からいわれておりますように、炭鉱の職員でさえ自分の子弟を炭鉱に入れたくないという状態でございます。これは単に私どもの就職あっせん職業紹介だけの問題ではなく、やはり炭鉱自体の再建の問題、炭鉱をいかに魅力あるものにするかということに一にかかっていると思います。というような次第でございますので、通産省とも十分御相談いたしまして、何とか炭鉱が労働力を確保できるように検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  28. 川上為治

    委員長川上為治君) この際、大矢君の質問に対しまして、橋本鉱山保安局長の発言を許します。橋本鉱山保安局長
  29. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) 先ほど大矢先生からいろいろおっしゃいましたことは、まことに私もそのとおりであると思うのでございます。特に保安に対して経済性を導入すべきではないかという御意見は、私たちとしましても何かこういった手だてが必要ではなかろうかというふうなことを痛切に感じております。現にわれわれとしてなかなか把握しにくい問題、たとえて言いますれば企業の限界投資が、それが労働生産性に回っておるものか、あるいは保安の投資に回っておるものか。最近においては保安についてのいろんな角度からの指導強化をやっておりますので、それがどの程度保安に回っておるか、そういったような場合に、はたしてそれが再建整備の今度は企業の経営上いかなる形態にそれが反映してくるかといったような点につきましては、われわれとしても何とかこれを把握して、その上に立って経済性の導入を保安においても行なっていきたいというふうなことで、実は保安協議会を中心にいたしまして、現在それぞれの監督局から資料等を大体三月一ぱいまでに求めておりまして、これを中心にいたしましてこまかい分析等を今後保安協議会で四月以降やっていき、その上に立っていろいろ先生のいま御指摘になりましたような点を十分考えて検討を進めさしていただきたいと思う次第でございます。
  30. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間がきわめて少ないようですから、十二時までという委員長の要請でございますから、一、二点だけ質問いたします。答弁もひとつ簡潔にお願いしたいと思うのです。  まず、本年度は三百万トンの閉山を予定されて、そうして百六十二億の予算を組んでおられる。四十四年度は何百万トンの計画であって、実際何百万トン閉山になったか、その点が一点。それから今年度の三百万トン閉山計画すれば、大体本年度の出炭規模は何千何百万トンに予定されているか。その点を一点お聞きいたします。  それから増加引き取りの件については、いま大矢委員から質問もありましたので、これは重複しますから避けますが、たとえば原料炭については、炭価値上げも五百円ということがすでに話し合いになっておる。さらに海外で原料炭の開発をやるといえば、その五〇%は政府が補助する。ところが原料炭を掘っておる労働者も一般炭を掘っておる労働者も、危険率も労働力も同じものであって、それでは同じ条件のもとに一般炭はこれはもうなくなるんだ、こういうような傾向になっているのをどう考えておられるのか。  それから公害の問題、ちょっと別かもしれませんが、いま公害が非常にやかましくなって、C級重油ですか、たとえば中部電力等に対しましては、政府は七億からの金をかけてサルファの除去をやっておられる。石炭に対するサルファの除去に対してはどういうお考えをお持ちであろうか、こういう問題を御質問申し上げます。
  31. 阿部茂

    説明員阿部茂君) ただいまの阿具根先生の御質問の中の、最初の閉山関係規模の点についてのみ私から数字を申し上げたいと思います。  四十四年度につきましては、当初予算に計上いたしました合理化実施計画のつまり閉山規模は三百九十万トンでございました。その後閉山が相次ぎまして、現時点におきます四十四年度の閉山実績見込みは七百七十二万トンでございます。これは雄別炭鉱の閉山も含んでおります。  それから次に四十五年度についての御質問の、先ほど予算説明の基礎といたしました三百万トン閉山規模に対しては生産をどのくらいに見ておるか、こういうことでございますが、おおむね四千百万トン弱というところを出炭規模として想定しておりますが、正確には、来年度四月に入りまして早々、なるべく早い機会に四十五年度の実施計画というものを審議会にはかって策定することになっておりまして、その上で正確にきまることになっております。  以上でございます。
  32. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 一般炭について、原料炭と同じように考えるべきではないかという御指摘であろうと思いますが、先ほど申し上げましたように原料炭の内外の情勢と、それから一般炭の情勢とが違っておりますので、これについてはわれわれとしてもよく考えて検討さしていただきたいというふうに存ずる次第でございます。  それから公害対策として、中部電力が排煙脱硫について、補助金でできた施設によって排煙脱硫装置の研究をしておりますが、現在の除去装置につきましては、重油火力の設備にくっつけてサルファ除去の研究をいたしておりますが、煙道の直前で抜く設備でございますので、現在の設備が成功すれば、石炭についての除去についてもそのままかあるいは若干の改造をすれば可能ではないかと思います。現在困っておるのは、あれに入れますマンガンがなかなかうまく回らないというところで研究を進めざるを得ないという状況になっておりますので、その辺の解決がついて、連続運転が可能になりますと、あとは石炭に応用しても排煙のことでございますので、可能だと思う次第でございます。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで四十四年度は三百九十万トンの閉山計画で大体百億、四十五年度は三百万トンの計画で百五十億ですか、そうすると、三百九十万トン計画であったのが七百七十二万トンと、倍近い閉山になったということは、これは私どもがいつも指摘しておりますなだれ閉山という傾向になってきたではないか、こういうことなんです。それから予算の問題なんです。七百七十二万トンの閉山が行なわれて、そして四十四年度の予算でこれがおさまっていった、まあ今月一ぱいだから、あとにもう閉山はないでしょうから。そうしますと、今度は三百万トンで百六十何億の金を組んである。なぜ私がこういうことを言うかと申しますと、閉山になる場合に、通産当局も石炭局も、ほんとうにこれは一生懸命にやっていただいたことは私よく知っております。さらにまた働いておる労働者は何とか職場を守りたい、閉山にならないようにと非常な努力をしたことも、これは私も知っております。一番努力しなかったのはだれか。これは会社なんです。会社が何の努力をしたか。これだけの政府の金を注入してもらっておりながら、自分たちの経営手腕の不手ぎわはたなに上げてしまって、そうして閉山になれば、労働者の退職金は政府に見てください、失業者は労働省世話してください、こういうような考えで、一番責任を感じなければならない石炭業者は一体何したかということは、こういう予算の組み方が、経営者を自分たちがいけるだけはいって、そのあとは政府どうぞごかってにというようなことにしてしまったのじゃないか、私はこう思うのです。その点をひとつ解明していただきたい。極端に言えば四千二百億の金が五年間使われていきます、山はどんどん減っていきます、しかしこの金はおそらく四十六年度も本年度よりも以上の予算が組まれると思うのです。そうすると、残った炭鉱がこれを共有する。七百七十二万トンも去年閉山になったけれども、今日の石炭状況を見てみますとまだまだ四千四百万トン近くの出炭規模になっておる。石炭時報を見てみるとそれだけになっておるのです。そうすると、政府がいかに三千六百万トン、五年後ということをきめておっても、これは弱いものがなくなってしまわぬ限りは、その達成ができない。いわゆる残ったところはますますノルマをふやしていく。それは先ほどの一般炭の問題とも関連して、あるいは当然そうなるかもわかりません。そうしますと、何かここに手を打たなければ閉山を奨励するだけになってしまう、こういう結果になりやしないかと思っておりますが、その点をひとつ教えていただきたいと思います。
  34. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 今回の第四次石炭対策の基本的な考え方としましては、石炭鉱業が限度のある財政の助成の範囲で再建をはかってもらうということにいたしたわけでございまして、鉱山経営者の自覚と努力とによって再建を願う、こういうことが基本でございます。ただその際、いろいろ諸情勢のもとで閉山せざるを得ないという場合に、閉山についても考慮するということで行なったわけでございまして、今回先ほど御指摘の当初四百万トン弱の予算計上面の閉山トン数が七百七十万トンになったという点につきましては、それでなだれかどうかという点につきましては、先般大臣からも御答弁申し上げましたけれども、第四・四半期に四百二十七万トンの閉山が行なわれております。これは第四次石炭対策の審議を通じて閉山制度等の改善が行なわれるということもございまして、閉山を見合わして新対策を待ったということの結果でもあろうかと思いますので、総量で直ちになだれとは考えられないのではないかと思うわけでございます。ただしかし、閉山の状況等を見てみますと、今後もよく石炭産業の状況の変化というものを注視しておりまして、必要な対策は講じなければならないという考え方でおるわけでございます。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは小さい問題で、あとでいいですから……。揚排水の補助金が一億出ております。小さい問題ですが、どこに出しておられるか、あとで御説明願います。  それから労働省に一点質問しておきます。先ほど大矢君も言っておりましたが、今日は労働力が不足して、中小企業にしろ大企業にしろ非常に困っておる。ところが失業保険関係というものは依然として私は横ばいで続いておると思う。一体どういう実態になっておるのか。一体それはなぜなのか。特に石炭山において十カ月のまるまるの失業保険でやっとめしを食っておる。その他は生活保護で細々と生きておる、こういう実態は一体どういうことなのか。さらに緊急就労は四百名ばかり減らされておるが、これと開発就労との関係は一体どういうふうになっておるのか。その点一点質問しておきます。
  36. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) その失業保険の受給者が横ばいだという御指摘でございますが、手元に正確な数字を持ち合わしておりませんが、失業保険の受給者は年々漸減をいたしております。石炭山が合理化によりまして閉山し、離職者が出てまいりますと、先ほど大矢先生御指摘のように、比較的石炭山の離職者は年齢が若うございますので、求人が殺到いたしまして、石炭離職者につきましては失業保険にたよって滞留するというような事態は、最近は非常に少のうなっている。今年度の閉山の実績を見てまいりましても、ほとんど大部分の山が閉山後数カ月を経ずして、大体普通で八〇%くらい、成績の若干いいところでは九〇%以上が再就職いたしておりまして、残っておりますのはごく一部の比較的高齢者あるいは女子、身体障害者、そういった人たちで、一般的に就職のむずかしい状態に置かれておる人たちが残っておる、こういうことになっておるように見ております。  それから第二の緊就でございますが、先ほど御説明いたしました緊就につきましては、来年度四千三百人の吸収を予定しております。これは阿具根先生御承知のように、緊就事業につきましては第二次石炭調査団の当時におきまして、事業吸収方式というものが否定されまして、新しくその当時求職者手帳という制度ができまして、緊就につきましては当時この事業就労しておった人たち、当時すでに七千数百人おったと思います、こういう人たちが再就職するまでの間事業を継続していく、こういう形に改められました。その後この五年間漸減してまいりまして、実は四十五年度で一応緊就事業は打ち切られる予定になっておりますけれども、現在まだ四千数百名が就労いたしております。この人たちが何らかの形で自営あるいは再就職、こういった形で減少するにつれて、この事業吸収量を減少していくたてまえとなっております。来年度以降もこの人たちが何らかの形でそういった形で処理されない限り継続していかざるを得ないだろう、こういうふうに考えております。したがいまして、新しく閉山によって離職者あるいは関連事業からの離職者が出ましても、緊就事業に吸収するということは将来とも考えていないわけでございます。ただ、御承知のように、全国の閉山に伴いましてたくさんの離職者が出ますが、その中で、主として九州筑豊を中心にいたしました福岡、長崎等におきましては、人手不足とは申しながらも、この離職者が相当滞留いたしまして、単に就職あっせんだけでは処理し切れない面がかなり強く出てまいっております。そういうことと同時に、産炭地の振興、開発というような、もう一つの大きな目的も兼ね合わせまして、本年度から新しく開発就労事業というものを設定したわけでございます。これは緊就と同じような形では私ども考えておりませんで、緊就がただ単にそういった失業者が滞留しております地方でこれを再就職させるまでのつなぎとして事業吸収という意味で緊就事業というものを開始したわけでございますが、開就の場合は、むしろもう一つ大きな、産炭地の振興、開発ということと合わせて、石炭関係離職者、失業者の吸収というこの二つの目的を合わせ持たしたわけでございます。そういった形で本年度から始めておりますが、今年度もおおむね所期の目的を達成できるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  37. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで、これ以上もう質問する時間もございませんが、ただいま言われましたように、石炭関係一つの山で親代々とか本人一代とかいうような長い間仕事をしてきますと、家庭の状況あるいは年齢の状況等から、当然よそに行けばいい仕事があるにかかわらず、行けない実態にあるのが現実なんです。私も現場へ相当参りまして、こちらでこれこれこれだけの仕事がありますよと言っても行けない現実。あるいは病身だとか、けがした人とか、年とった人、あるいは子供の状況等から行けない人が残留する。そして底辺にうごめいておるというのが現実でございますので、この点特に御配慮をお願いしたいと思います。  それから最後に、保安問題でちょっとお尋ねいたしますが、夕張の問題では、先ほど御説明もありましたが——夕張でしたな、水力採炭なるがゆえに崩落したのだから、だから水が浸透していって高落ちしたのじゃなかろうかと思ったが、そうではなかったと、こういうような説明だったと思うのです。私も、そうだったらなるほど水力採炭だからそういう弊害もあるんだ、あるいはこれは、当然注意しなければならぬのだと、こう思っておったところが、水は浸透していなかった、こういう結論が出ておるようです。私はどうしても疑問が持ててならない。これを、掘って長い間放置してあったからゆるんだのだというなら、水力採炭でなくても一般炭鉱でも同じです。これがどうしても私に解せないのが一点と、それから清水沢のほうは、これは突出ガスが出ておるということを認めて、そして突出ガスのボーリングを打っておった。それにガスがふき出したということも、またこれだけの専門家の方がおって、しかも突出だということがわかっておって、そして各方面からボーリングをやっておるというところに私は、どうも疑問が持たれる。安易に考えられたのであるか、あるいは突出ガスが出てから実はこういうような考えを持っておったということを言われたのであるか。そこに少し疑問があるわけです。しかし、水力採炭に基づいての今度の災害に対しまして、大学やらその他の水力採炭専門家を直ちにお集めになって、そうして真因追求のために研究されたというこの報告は、このメンバーを見ただけでも相当な人たちが真剣にこの原因究明されたということに対しては、私は通産省のとられた処置に非常に敬意を表します。しかし、いまのような疑問が残りますが、時間がございませんから、これ以上質問しません。この二点だけをひとつ教えていただきたいと思います。
  38. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) 先生おっしゃいますように、確かに、この水力採炭で今回崩落が起きましたことについて、われわれも、その水が炭に浸透した結果、炭が剥離性を増してそれでこういう状態になったのじゃないかというふうなこと、そうなれば、水力採炭自体についてこの根本的なやり方まで入っていかなければならないということで、実はそれを主力に置いて、いろいろボーリングをやり、この委員会において検討してもらったのでございます。ところがボーリングをやりました結果、その周辺において水の滲透からくるそういった炭の粉砕性がないというふうな結論が実は出まして、そうなりますと、いかなるところに今回の原因があるかということをいろいろやってみますれば、長期間にわたって、かなりの期間にわたりまして中切坑道自体の掘進を、それを放置しておいた、したがってその坑道がいたんだ。その坑道のいたんだのに対する手当てが不十分であった。したがってそういった点からいろいろな中切りと中切りとの間におきます炭の中に、やはりその坑道維持が不完全なためにいろいろな崩落を助長するような現象が出てきたのじゃなかろうかということが結論でございまして、ちょっとそれ以上の点は、技術的にも説明が困難というふうな委員会の結論でございます。  それから清水沢の点につきましては、おっしゃいますとおりに、一応かなりのボーリングをやっておったのでございますが、やはり坑道の掘進に対して払いの進行がやや早過ぎたために、次のボーリングにおいてはガス抜き座を設けますのが四、五メートル少しおくれておった、そのために、ガス抜きをするガス抜き管があらゆる地域にわたってのガスを吸収していなくて、一部そういう死角の面が発生したということでございまして、これは結局やる意思はあったのだけれども、坑道掘進が、払いの進行に対してややおくれたために、一定の期間ガス抜きをしていないエリアができておったというふうなことでございまして、これは作業手順のミスであろうというふうにわれわれは感じておる次第でございます。
  39. 阿部茂

    説明員阿部茂君) 先ほど阿具根委員からお尋ねの揚排水加算金補助はどこへ出ておったか、こういう御質問でございますが、四十四年度につきましては、九州で山野炭礦、それから宇部地区で山陽無煙炭鉱、それから常磐地区で常磐炭硬及び望海炭礦、以上四山でございます。
  40. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 時間がありませんので、簡単に二、三の点だけ御質問いたします。  先ほど阿具根委員から質問が出ておりましたが、閉山のことで見通しが非常に狂っているわけですけれども、大体倍近く当初と実際、現時点とは違うわけですが、このような非常に大きな見通しの違いが出てきた理由はどこにありますか。
  41. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 当初の予定では一応四百万トン程度ということで考えたわけでございますが、その際も、閉山につきましては必ずしもこのとおりいくことが予期できるとは限らないということで、予算面では弾力条項を設けまして、借り入れ等によりましてこの閉山の変動に応ずるということにいたしておったわけでございまして、必ず四百万トンで大体おさまるという前提の予算でなかったというふうに御理解を賜わりたいと存ずる次第でございます。
  42. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そういうことではなくて、予想以上になだれ閉山といわれておるのが急激に起こってきておる。大手の会社も閉山をしてきておる。そうした見込み違いをした原因を聞いたわけです。
  43. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 大手の予期せざる閉山ということになりますと、雄別の閉山ということになるわけでございますが、雄別の閉山につきましては、四十四年度の新政策の実施に入る前後を通じまして、雄別についてはその存続についていろいろ問題点があるということが指摘され、意識されておったわけでございますが、鉱山経営者側としては、労働者の協力を得て再建に進みたいという非常に強い意欲を持たれたわけでございまして、われわれとしても今回の四次石炭政策のたてまえから申しますと、再建に進むかあるいは閉山の道を選ぶかは、山としての判断にゆだねるということにいたしておって、雄別につきましてはその再建努力に期待したわけでございますが、残念ながら、出炭の状況の改善、あるいは予期せざる自然条件の悪化が出るというようなことが重なりまして、経理的に行き詰まったというのが原因でございます。
  44. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 で、この閉山関係してくるわけですが、大手の会社が最近非常に転進作戦といいまして、レジャー産業とか、住宅産業とか、そういう仕事のほうをだいぶやり始めているわけですけれども、この現在の状況とこれの今後の方向、それに対する政府の姿勢ですね、この辺をちょっとお聞きしたいのですが。
  45. 阿部茂

    説明員阿部茂君) ただいまの矢追先生の御質問の点でございますが、石炭鉱業再建整備法と経理規制法によりまして安定補給金を受けている会社あるいは第一次、第二次の肩がわりを受けております企業対象にいたしまして、常に必要な報告を求め、あるいは立ち入り検査等もいたしまして、監査等も専門職員を置いてやっておりまして、その点につきましては常時本省並びに出先の通産局のほうの陣容をもちまして厳正な態度で石炭鉱業以外に必要な資金等が流出することのないように、そういった点を厳重に監視しておる次第でございます。
  46. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そういうことはできないというわけですか。私さっき聞いたのとちょっと答弁が違うように思うんですが、現実にほかの産業をどんどんやりかけておる。それに対して、それはやっぱり閉山かなりこれから関係してくると思うんですけれども。
  47. 阿部茂

    説明員阿部茂君) ちょっと御質問の点が私よく理解できなかったのでございますが、閉山が相次ぐということと石炭企業が他のレジャー産業等の産業に向かうということとは、これは直接関係はないことだと存じます。
  48. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま直接関係ないと言われましたけれども、現実には相当関係が出てくると思います。特に海外における海外原料炭の開発、この点についてはどうですか。
  49. 阿部茂

    説明員阿部茂君) 予算のときに御説明しましたように、海外原料炭の開発株式会社を鉄鋼業界と石炭業界共同出資で旧年末つくったわけでございますが、これはそのつくった考えの基本といたしまして、一つは鉄鋼業界の最も重要原料の一つである原料炭が、きわめて世界的に不足しておる。これに対処しなければならない。ところが国内炭のほうはおおむね千二百万トン、年間千二百万トンという数字で、それ以上の伸びが急速に期待できないという状況が片方にあるわけでございます。したがいまして海外の原料炭を、単に従来のスポット買いから、みずからの力で開発したいという考えがございます。そこで国内の石炭企業閉山相次ぎますし、その多年たくわえた技術というものを、ユーザーの鉄鋼側の資金力とうまく結合いたして、海外の原料炭を開発しよう、こういうわけでございまして、これは石炭側から見ましても、鉄鋼側から見ましても、きわめて重要な仕事である、かように私どもは考えておる次第でございます。
  50. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 海外原料炭の開発に対して、通産省としては、今後かなり積極的に力を入れられるおつもりですか。
  51. 阿部茂

    説明員阿部茂君) さようでございます。
  52. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そうした場合、今度は国内のほうの閉山がまたそれによって促進されると、こういうことにもならないかと思うのですが、その点のかね合いはどうですか。
  53. 阿部茂

    説明員阿部茂君) 先ほど来申し上げますように、原料炭につきましては、非常に不足しておるわけでございまして、国内でも逆に原料炭については新鉱を開発していきたいというほどの気がまえでございまして、先ほどの予算説明の中で申し上げたように、合理化事業団の無利子融資の中に、新鉱開発かなり大きくわれわれは重点を置いて考えている、かようなことでございますので、ただいま御指摘のような心配はなかろうかと存じます。
  54. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 先ほどから労働力不足という問題も出ておりましたし、実際こうやってどんどん閉山していくと、まあ町ぐるみ閉山も行なわれると、そういう事態が急速に進んでおるときに、いま新鉱をつくる、あるいは海外を積極的にやるとなった場合に、労働力の問題の上から、やはり結局弱い現在の鉱山も急速に閉山になってしまう、かように考えるのですけれどもね。その労働力との関係上どうなるか、その点をお伺いしたい。
  55. 阿部茂

    説明員阿部茂君) まず海外原料炭をかりに開発することが緒につきましても、国内から現在従事している石炭関係の労働者を海外へ連れてまいるということは、おそらくかりに希望してもかなり困難なわざではないかと思う点が第一点であります。  それから次に第二といたしまして、国内の原料炭新鉱を開発いたす場合にいたしましても、むしろ閉山相次ぐ炭鉱から流出してまいります貴重な労働力源をこちらに向けて、それがせっかく長年蓄積された技術力が他に流出しないように、今後の原料炭国内開発に向けていこうというふうなむしろ考え方でございまして、これまたさような点はないものと私は考えております。
  56. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 閉山をした場合、特に町ぐるみで閉山になった場合に、労務者とか家族に対してはいろいろありますけれども、その町で仕事をしておった業者、それに対してどういう対策が講じられておるのですか。
  57. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 地元の関係の特に中小企業につきましては、これは中小企業対策としては行なわれなければならないということに相なるわけでございますが、中小企業公庫、あるいは国民公庫、商工中金等の融資によりまして、資金的な補充を行なう、あるいは北海道において特に町ぐるみの移転というものが起こるわけでございますが、これにつきましては、道におきまして特別の融資を行なう、あるいは市町村において特別の融資を行なう等によりまして、店舗の優先入居その他の配慮を考慮していただいておるわけでございます。
  58. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 業者だけではなく、今度は学校の問題とか、何軒か全部ゼロになっちゃえばいいんですけれども、わずかが残るような場合も出てくると思うんです。その場合、村、町づくりに対して、どういうふうにしていくのか、この点、通産省としてはそういうのはタッチしないで、市町村にまかせちゃうのか、その点どうですか。
  59. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 特に北海道の場合にはそういうケースが考えられますので、四十四年度に各省の連絡会議を設けまして、そうして九州と北海道に地方の連絡会議を設け、それぞれの担当者が集まりまして、事後処理のための処置を講ずるということにいたしております。地方で講じられない場合は、中央に移しまして、中央で事後処理の対策を講ずるということで、病院あるいは学校、あるいは母子寮、御指摘のように各般の問題が起こるわけでございますが、これらに対していろいろ具体的な手を打っております。今回の雄別の閉山につきましても、いま申し上げたようなもの以外に、鉄道、バスの運行等につきましても、運輸省その他御協力を願いまして、つなぐ措置を講じ、対策を講じておる次第でございます。
  60. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 最後に一つ御質問して終わりますが、労働力不足の問題です。特に若年労働者の問題です。これはなかなか定着をしない、これはどんな企業でも言えることですけれども、特に炭鉱の場合、若い人が少ないと聞いておりますが、これに対する今後の対策、まあ一つの理由としては、やはり保安問題というのも大きな原因になっていると思いますが、そういうことも考えた上で、若年労働者を、やはり今後のことを考えれば、石炭産業が続く限り、やはり若い人が必要でありますから、若年労働者の確保をどのようにされておるのか、そういう若い人が来るためには若い人が希望を持ってやれるような環境をつくってやらなきゃならない、保安問題も含め、環境づくりに対してどういう施策を講じようとされておるのか、その点お伺いして終わりたいと思います。
  61. 本田早苗

    政府委員(本田早苗君) 労働者の定着については、やはり御指摘のように労働者が希望を持って働けるという環境をつくらなければならないと存じます。そのためには、やはり企業体質が強くなるということが必要であると思います。そこで近代化資金あるいは事業団融資等によりまして企業体質の強化についての考慮と指導とを行なうということによって、労働環境の改善、希望を持って働ける環境をつくらなければならない、こういうふうに考える次第でございます。
  62. 須藤五郎

    須藤五郎君 労働省の方にまず最初に伺いたいんですが、昨年六月発足しました産炭地開発就労事業、その後の実施経過について説明をしていただきたい。
  63. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) 須藤先生御指摘の産炭地就労事業につきましては、四十四年度から新しく事業を策定いたしまして、昨年の大体六、七月ごろから事業計画を実施いたしております。現在までに大体八〇%程度事業量を遂行いたしております。
  64. 須藤五郎

    須藤五郎君 昨年予算を二十五億余りつけましたね。そのときは六月から三千二百人の就労者を見込んだと思うんですが、その六月に実際はどういうことだったのか、いまその就労の人員の問題と、それから予算がどういうふうになっているのか、そういう点お聞きします。
  65. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) 若干事業計画の策定、あるいは実施がおくれまして、実際に着手いたしましたのは八月以降でございますが、現在までに九州の福岡、佐賀、長崎三県におきまして百二十一カ所、二十五億二千三百万円の予算で実施をいたしておりまして、現在までの、二月末までの吸収人員は五十九万四千人でございます。
  66. 須藤五郎

    須藤五郎君 私が聞こうとしたのは、六月から三千二百人の人員を擁して二十五億という予算で仕事を始められるという計画だったわけですね。そのときに、何らそういう具体的な、どれだけ働かせるのか、どれだけの賃金とか、そういうことを何も計画も立たぬうちに二十五億という予算をあのとき出してこられたわけです。その点の不備な点を私は指摘したと思うのですが、その後あなたたちの計画どおり六月一日からちゃんと三千二百人の人が就労したのか、そして予定のどおりの労働日数と労働賃金がちゃんと払っていけたのか、そういう点を私ははっきりとしておきたいと思う。いつから実際は計画どおり働けるようになったのか、そこをお聞きしたい。
  67. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) ただいま申し上げましたように、六月一日からという予算上の計画にはなっておりましたけれども、実施計画の策定がおくれたりといったようなことで、実際に事業が実施されましたのは八月以降からでございます。三千二百人の吸収計画につきましては、これは予算上の計画は一日平均三千二百人になっておりますが、実際には事業が一斉に行なわれたわけではございませんで、逐次、計画策定いたしましたものから実施いたしました関係上、ピーク時には四千人、あるいは五千人の人員吸収をした時期もございます。大体本年度末で四千人近くの人たちがこの関係の仕事に就労しております。
  68. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、現在は四千人余りの人が働いておる、そうすると、今度は新しく年度が四月からかわるわけですが、そこで見るというと、予算は六億三千百万円ふえておりますね、しかし予算がふえたのは事業単価がふえたから起こった問題だと思うのですが、人員はやはり三千二百人ということですね。そうすると、いま四千人働いておって、この予算でいくならば四月からどういうように措置をされるわけですか、いま四千人働いているのを今度はその予算内で一年間のあれを見なければならない、そうすると、当然人を減らさなければならぬという問題が起こってくると思うのですが、それはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  69. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) 一応開発就労事業は四十四年度で区切りがつくわけでございますが、それに就労している人たちは、四十五年度当初から四十五年度の事業計画を策定いたしまして、こういう人たちができるだけ引き続き就労できるように現在計画を策定いたしておる次第でございます。ただいま御指摘のように、来年度も予算上は吸収人員は三千二百人になっておりますが、四千人弱の人たちが年度末に就労しております。この人たちの就労配置につきましては、新しい年度の実施計画で大体二千八百程度、その残りの千余名につきましては公共事業、鉱害復旧事業等に収容できるように現在準備をいたしておるような次第でございます。
  70. 須藤五郎

    須藤五郎君 こういう予算の使い方自体に私は問題があると思うのです。これが官僚のずさんなやり方だと思うのです、何ら計画立ってない。それで去年もらった二十五億の予算をどうしても年度内に使ってしまわなければならぬというそういう立場に立って、そうしてむしょうに人を集めて現在四千人使って、そうして二十五億の金を使ってしまう。そうして人を集めておいて、来年度はそれではいかぬから人を減らして来年度の予算に合わすようにやっていこう。あまり人をなぶりものにするような感じがするのですね。そうじゃないですか。それで、いま四千人使うというならば、その人たちはこの開就の中に入る資格を持つ人でしょう。また、そういう要求のある人なんですよ。そうしたら何で来年四千人使うようにしていかないのですか。そんなにあなたたちが一方的なかってな考え方で労働者をそういうふうにいろいろ動かすのでは、労働者こそたまったものじゃないじゃないですか。どうなんですか。何も三千二百人というふうなワクをきめないで、必要があるからいま四千人人を雇っているのでしょう。それなら必要のある人なら来年も四千人、雇ってちゃんとしていくようにしたらいいじゃないですか。そういう点が問題なんですよ、あなたたちのものの考え方が。非常に方便主義的なんですよ。まことにいかぬと思う。その点どういうふうに……。
  71. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) 先ほど阿具根先生からの御質問にお答えいたしましたように、この開発就労事業は、従来実施いたしておりました緊急就労対策事業ともともと考え方が違ってまいっております。緊急就労対策事業は確かにいま先生のお話から類推できますように、炭鉱離職者で広域職業紹介によって再就職する希望を持った人たち、この人たちを再就職するまでの間この事業に吸収することによって生活の安定をさせる、こういうたてまえで始められておる事業でございます。しかし、この開発就労事業は、先般も御説明申し上げましたように、産炭地域の振興開発という事業目的とあわせて、産炭地に滞留しております炭鉱関係離職者を吸収すると、こういう二つの目的を持って開始した事業でございます。この炭鉱の離職者を一定の期間事業に吸収して、その間保障するというような制度ではございませんので、事業効果をあげると同時に、その事業に吸収することによってこの人たちの就労の場を確保する。この二つの目的をあわせ持っておる次第でございます。もちろんこの人たちの就労の場をなくするというようなことについては十分な配慮はいたしてまいりますけれども、そのまま就労している人を引き続き全部この事業だけで吸収しなければならぬというような考え方は持っておらないのでございます。
  72. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、小さい問題で言っているのじゃない。あなたたちの予算の使い方ですね、予算の組み方、そういうものが非常にずさんだということを私は言っている。去年予算を出してきたときには何ら具体的な内容もないのです。ただ二十五億という金を予算面で出してきた。内容を聞くとまだきまっておりませんと言う。しかし、六月から実施するという方針だけはさまっている。それで、その二十五億という金を使うために最初は三千二百人という人数を予定しながら、さらに年度内に予算を使ってしまわないとたいへんだと、その予算を使い切るために今度は四千五百人という人を集めた。それで年度内に幾ら残るかどうかあとで聞きますが、そういう結果を来たした。そうして人を集めておきながら、来年度はその方針でいけば予算が足りないから今度はもう人は減らしていくのだと、こういうものの考え方が私はいかぬということをここで言っておるのですよ。予算を組むときもずさんである。その予算を使うやり方も方便的な一方的な、人の迷惑など一向考えてないのですよ、あなたたちは。労働者の迷惑を考えてないじゃないですか。集まってきた労働者にこっちは金がないからあっちに行ってください、こっちに行ってください。そういうものの考え方がいかぬじゃないか、どうなんだと、こういうことなんです、私がいま言おうとしていることは。無責任じゃないですか、国家の予算に対しても無責任ですよ、あなたたちのやっていることは。そうでしょう。去年予算を組んだときに私はその点を指摘したんですね。無責任ですよ。内容も何も示さないで金だけ取ることを考えて、そして今度は使う段になったら、年度内に使い果たさなければたいへんだというので、あとのことは野となれ山となれで、人をばかばか集めて、そしてもうあとはさようなら。これはいかぬですよ。そういうものの考え方自体は改めていかないと……。たいへん間違ったやり方、非難を受けますよ。どうなんですか、そういう点。あなたたち反省も何もしないのですか、そういうことに対して。
  73. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) ただいま御指摘のような考え方を私どもとっているわけでございませんので、二十五億二千三百万円の予算で一日平均三千二百人の人員を吸収して、それにふさわしい事業を興す、こういうことで予算を策定いたしたわけでございます。で、二十五億の予算でそれぞれの県、市町村におきまして事業計画を立てて、これが理想的に全部並行して行なわれれば、一日三千二百人の吸収が行なわれる、こういうことでございますけれども、先ほど申し上げましたように、百二十一カ所の事業で、その事業計画の策定が必ずしも一斉に行なわれません。また、事業の実施も一斉に始められ、一斉に終わるというわけでございませんので、事業内容に応じて事業開始の時期も終了の時期もまちまちでございます。したがいまして、若干時期がずれ込んだりいたしますと、平均三千二百人が、あるときは二千人になり、あるときは四千人になる、こういう状態でございます。したがいまして、その事業が終了いたしまして、その事業から一たん離れる人たちにつきましては、新しい次の事業、あるいはこの開就の事業以外の一般公共事業、あるいは民間の事業等に就労の場をあっせん、確保することによりまして、こういう人たちが職を失うということのないように努力してまいっておる次第でございます。
  74. 須藤五郎

    須藤五郎君 法案審議のときに、私は国が二十五億の予算をつけても、あとの三分の一ですか、これは地方自治体が持たなきゃならぬと、閉山地帯の地方自治体がその三分の一の金をつけることができるかどうかというようなのが問題になったのですよ。そのとき、あなたのほうでは非常にむずかしい問題だと言った。やはり私がずっと調べてみますると、六月実施に至らなかった最大の理由は、地方自治体に金がないということですね。その金の準備ができなかった。そのために六月じゃなしに、ほんとうは十月から始まったのでしょう。実際の仕事は十月から始まった。六、七、八、九と四カ月間は開店休業のような状態だった。ごくわずかの人は動いたかしらぬけれども、この四カ月間は開店休業でしょう。そういうずさんなやり方を私はいかぬと言っているのですよ。そして地方自治体にちゃんと金をつけて、それで何か保証しましたか、政府は。どういうことになっているんですか、そこの点は。
  75. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) この開就事業の性格は、先ほど申し上げましたように、言いかえてみますと、一般公共事業と半分は同じような性格を持っております。一般公共事業につきましても、年度当初予算が決定いたしましても、それから事業計画を組み、実際に事業を実施いたしますまでには二月なり、三月なりかかるというのが、これは実情でございます。これはまあ当然のことかと思います。私どもといたしましては、できるだけそういう一般公共事業のように事業の実施がおくれることのないように、来年度におきましては四十五年度当初から事業を実施できるように、いま現在準備中でございます。昨年のときは初めてこの事業を始めました関係で実施がおくれたわけでございます。  次の資金面の問題でございますが、確かに御指摘のように、三分の一は地方自治体の負担になっております。この負担が産炭地域の疲弊した市町村にとっては負担にたえかねるのじゃないか、こういう御質問でございますけれども、この点につきましては自治省とも十分打ち合わせをいたしまして、その地方負担の三分の一のうちの相当部分を特別交付税、それから残りを起債ということで、地方の負担にならないようにということで措置いたしておる次第でございます。
  76. 須藤五郎

    須藤五郎君 時間がありませんので、これはゆっくりいろいろと質問しなきゃならぬ問題だと思いますが、それはまあ後日に譲るといたします。  私は三つの質問を一度にしますから答えてください。今年、いま四千人使っている失業者、開就の中に収容している人たちをこの四月一日からどういうふうに処置なさるのかという点が一点です。  それから今月末に先年の二十五億の予算は一文残らず使い果たすのか、どれだけ残っているのかという点。  それからことしは福岡では男の最低が千三百円ですか、最高が千八百円、女子が最低が千円、最高が千二百円、労働日数は二十日から二十七日ぐらい、こういう数を私は聞いておるのですが、それが正しいのかどうかということですね。それから単価が昨年は三千六百円でしたが、今度は四千五百円になりますね。その前に、この労働賃金がどれだけ上がるのかという点。それからあなたは、聞くところによると、四十五年度から緊就を打ち切るというような発言をどこかでなすったことがあるのですか。もしもそれが間違いならば、この席上で打ち消しておいていただきたいと思うのですよ。それできょうの質問を終わります。
  77. 遠藤政夫

    政府委員遠藤政夫君) 第一点の、四月以降どうなるかというお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように三月末で大体三千九百人ぐらい、四千弱の人たちがこの事業ないしは公共事業に紹介したい人たちとして残る予定でございます。この人たちにつきましては、四月以降、開発就労事業で約二千七、八百程度、残りの千余名につきましては鉱害復旧事業、公共事業、四月に引き続いて予定されておる事業がございますので、こういった事業に極力あっせんいたしまして、この人たちに就労の場をなくすことのないように、九州各県に督励いたして措置させておる次第でございます。  それから二十五億二千三百万円の予算につきましては、大体いまの計画は、事業実施計画ができ上がっておりまして、今年度中にこれが消化できる予定になっております。ただ事業の実施上の都合で若干の繰り越しが出ることもこれは予想されることではございまするけれども、一応計画上は消化されることに相なっております。  それから三番目の賃金、就労の実績につきましては大体先生御指摘のとおりでございます。来年度につきましては三千六百円の単価が四千五百円に引き上げられますが、これは事業実施の単価でございまして、賃金がどうなるかということにつきましては、賃金は先生御承知のように、一般公共事業と全く同様でございまして、請負業者とこれを使用される就労者との間で話がきめられることになっております。一般公共事業の労務費単価がどうなるかということもまだ決定いたしておりません。そういったことも、今後の推移を見ましてどうなるかということはまだ私どもとして言えない状態でございます。  それから最後の緊就を四十六年度から打ち切るかということでございますが、私は先ほど阿具根先生にお答え申し上げましたように、これは四十二年度で法律上は廃止されることになっておりまして、実際問題としましては、これに当時まだ就労しておりました人たちが七千名くらいおりまして、これのなま首を切るというような措置は私どもとしてはできませんので、法律上廃止された後も、引き続き閣議決定によりまして予算措置を講じて今日に至っておる次第でございます。その閣議決定による予算措置の期限が実は四十五年度末まで、こういうことになっておりますけれども、まだ四十五年度一年間を経過いたしましても、なおかつ私は四千弱の人たちが残るんじゃなかろうか、こういう予想をいたしております。といたしますと、前回の事態と同じように、これを終わったらやめるんだというわけにはまいらないんじゃないかというようなこともございますので、再三再四現地のほうからいろいろな陳情の方が見えまして、あとどうなるんだ、打ち切られるんじゃないかという不安を訴えております。その際、私はこれを打ち切るようなことはできないと思います、私はそういうことを考えておりませんということを繰り返し繰り返し申し述べてまいりました次第でございます。打ち切るというようなことを私が言った事実は全くございません。
  78. 川上為治

    委員長川上為治君) 本日はこの程度にとどめたいと存じます。  速記をやめて。   〔速記中止
  79. 川上為治

    委員長川上為治君) 速記を起こしてください。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会