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1970-05-06 第63回国会 参議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月六日(水曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      剱木 亨弘君     土屋 義彦君      植木 光教君     大谷 贇雄君  四月三十日     辞任         補欠選任      大谷 贇雄君     植木 光教君      土屋 義彦君     剱木 亨弘君  五月四日     辞任         補欠選任      阿具根 登君     鈴木  強君      小笠原貞子君     須藤 五郎君  五月六日     辞任         補欠選任      井川 伊平君     長田 裕二君      小柳  勇君     久保  等君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 大谷藤之助君                 川上 為治君                 近藤英一郎君                 竹田 現照君     委 員                 赤間 文三君                 植木 光教君                 長田 裕二君                 剱木 亨弘君                 平泉  渉君                 八木 一郎君                 山本敬三郎君                 大矢  正君                 久保  等君                 鈴木  強君                 浅井  亨君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君                 須藤 五郎君    衆議院議員        修正案提出者   武藤 嘉文君    国務大臣        通商産業大臣   宮澤 喜一君        郵 政 大 臣  井出一太郎君    政府委員        科学技術庁計画        局長       鈴木 春夫君        通商産業政務次        官        内田 芳郎君        通商産業大臣官        房長       高橋 淑郎君        通商産業省重工        業局長      赤澤 璋一君        特許庁長官    荒玉 義人君        中小企業庁次長  外山  弘君        郵政政務次官   小渕 恵三君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   清正  清君        行政管理庁行政        管理局管理官   北条 久弥君        文部省大学学術        局技術教育課長  角井  宏君        工業技術院技術        参事官      柳沢 正昭君        工業技術院標準        部長       久良知章悟君     —————————————   本日の会議に付した案件特許法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○情報処理振興事業協会等に関する法律案内閣  提出衆議院送付)   〔理事大谷藤之助委員長席に着く〕     —————————————
  2. 大谷藤之助

    理事大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず委員異動について報告いたします。  五月四日、小笠原貞子君、阿具根登君が委員辞任され、その補欠として須藤五郎君、鈴木強君が選任されました。  本日、井川伊平君、小柳勇君が委員辞任され、その補欠として長田裕二君、久保等君が選任されました。     —————————————
  3. 大谷藤之助

    理事大谷藤之助君) 特許法の一部を改正する法律案議題とし、まず通商産業大臣から提案理由説明を聴取いたします。通産大臣
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近における技術革新背景として特許及び実用新案出願は激増し、しかもその内容は一段と高度化複雑化しつつあります。この結果、特許庁における増員、機構の拡充、予算の増加等種々審査促進対策実施にもかかわらず、審査は大幅におくれ、特許庁には未処理案件が累積し、特許実用新案処理に要する期間平均約五年に達する状況となっております。  このような事態を打開するため、政府といたしましては昭和四十一年十一月工業所有権審議会に対し、工業所有権制度改正についての諮問を行ない、約二年にわたる審議を経て昭和四十三年十一月答申を得たのであります。この答申に基づいて作成いたしました法律案を昨年の第六十一回通常国会提出いたしましたが、成立を見るに至りませんでした。  このときの法律案骨子は次のとおりであります。  第一は、出願早期公開制度採用したことであります。現在出願された発明考案審査の後その内容を公表しているのでありますが、これを審査段階いかんにかかわらず一定期間後にすべての出願内容を公表することといたしました。公開された発明等出願人に対しては補償金請求権を認め、その保護をはかっております。  第二は、審査請求制度採用したことであります。出願の中には独占権は要らないが他人権利を取得して自己事業実施が妨げられることをおそれて出願しているものや、出願後その技術が陳腐化し、もはや独占権を取得する必要性のなくなっているものが含まれております。そのような出願は、同じ内容他人出願権利にならないという保証があれば、必ずしも審査を必要としないのであります。そこで特許につきましては出願から七年、実用新案につきましては四年の審査請求期間を設け、その間に審査請求があったものだけ審査をすることにいたしました。そうしますと何割かの出願審査をする必要がなくなり、その分の審査能力を他の出願審査に振り向けることによって審査の質を維持しつつ処理促進をはかることができるのであります。  第三は、審査置制度採用したことであります。この制度一定の要件に該当する審判請求については、これを審査官に再審査させるというものであります。この制度採用により拒絶査定不服審判処理は大幅に促進されることとなります。  このほか現行法制定以後における社会経済情勢の変化にかんがみ手数料登録料等改正を行ないますとともに、先願範囲拡大出願公告後における仮保護権利強化等につき現行法の諸規定を整備改善することとしております。  今回提出いたしました法律案は、骨子においてはただいま説明いたしました前回法律案と同じでございますが、前回の御審議の過程を通じて御意見のありました早期公開制度採用に伴う出願人権利保護の面で、公開された出願についての優先審査制度採用し、及び補正内容制限を廃止するという二点について手直しを行なったものであります。  次にこの修正点内容について御説明申し上げます。  第一は、優先審査制度採用したことであります。出願早期公開されますと一応の権利を取得する出願公告までの間に、その出願に盛られた発明が、第三者によって実施され、その結果問題となる場合も想定されるわけであります。前通常国会提出いたしました法律案では、この点について補償金請求権を認めるということで出願人保護をばかっているわけでありますが、さらにこの問題を早期に、かつ根本的に解決するため、そのような問題が生じている出願を他の出願に優先して審査することとしたのであります。  第二は、出願公開後の補正制限を緩和したことであります。すなわち、前回の案では出願した発明内容の訂正については、公開後は時期的にも内容的にも制限を付していたのでありますが、出願人利益を擁護するため、このうちの内容面での制限を廃止したのであります。  なお、本法律案は、昭和四十六年一月一日から施行いたしたい所存であります。  以上が本法律案主要点であります。  なお、諸外国におきましても、審査期間の短縮に腐心しており、たとえばオランダ及びドイツにおいてはすでに本法律案と同趣旨制度実施して、着々とその効果を発揮しております。何とぞ慎重に御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 大谷藤之助

    理事大谷藤之助君) 続いて政府委員から補足説明を聴取いたします。荒玉特許庁長官
  6. 荒玉義人

    政府委員荒玉義人君) 特許法等の一部を改正する法律案に関する補足説明をいたします前に、今回の改正背景となりました特許制度現状について申し上げたいと思います。  最近における技術革新進展特許制度に大きな影響を与えております。すなわち技術革新により技術のライフサイクルは短縮され、アイデアから開発までの期間あるいは商品の寿命は短くなっております。その結果発明者の側には権利早期設定という要請が、また第三者の側には出願された技術内容早期公開という要請が生じたのでありますが、他方、技術革新出願増加出願される技術高度化複雑化、検索すべき技術文献増加等を通じて審査期間長期化をもたらしたのであります。  そのため特許制度は時代の要請に沿うことができなくなり、技術進歩という面から見て大きな問題となってきたのであります。そこで審査主義をとる各国は、このような事態を打開するため、審査官増員等処理能力増強につとめるとともに、特許制度そのもの改正を行ない、また行なおうとしております。わが国においてもこのような事情は全く同様であり、世界でも群を抜く出願件数とその伸長率背景として、昭和四十四年度末における特許実用新案の要処理期間平均五年にも達するほどになっております。  特許庁といたしましても審査官等増員待遇改善環境整備資料整備充実等処理促進について最大限の努力をしてまいったのでありますが、やはりこのような方策だけでは現在の事態を打開することは困難であり、制度そのもの改正をあわせ行なうことがどうしても必要であるとの結論に達しました。そこで工業所有権審議会に諮問し、その答申に基づいてこの法案を作成したわけであります。  もちろんこの制度改正だけで現在の事態が完全に解決されるとは考えておりません。この制度改正と並行して、審査官増員等処理能力増強につとめるつもりであります。  また数年後には特許協力条約いわゆるPCTへの加入という問題があります。これは国際間の技術交流進展という事態に対応し、各国が協力して特許の面からその交流促進をはかろうとするものでありますが、今回の改正はその方向と矛盾するものではなく、現在の特許行政の置かれている難局を解決すべくその早期実施をはかりたいと考えるものであります。  次に法律案内容を御説明申し上げます。  今回の改正は、主として特許法及び実用新案法を対象としているのでありますが、それとの関連で意匠法商標法についても若干の条文整理をいたしました。  改正の要点の第一は、出願早期公開制度採用したことであります。現在出願された発明考案は、審査の後出願公告という形でその内容を公表しているのでありますが、審査が遅延しているため、その時期は平均して出願から三年以上経過しております。したがって発明等はその間眠っていることになり、技術進歩の速度をおくらせるとともに、重複開発重複投資が行なわれる原因となっているのであります。そこで審査段階いかんにかかわらず、出願から一年六カ月を経過した後はすべての出願内容を公表することといたしました。この一年六カ月という期間優先権主張のできる期間が第一国出願日から一年間であるのでその間に公開することは適当でないこと、あまり早く公開すると出願人実施のための準備ができないこと等を考慮して定めたものであります。公開の方法は特許については明細書及び図面の全文を、実用新族については請求範囲及び図面を印刷公表するものであります。  また、公開された発明等出願人に対しては補償金請求権を認め、その保護をはかっております。出願人にとっては自己発明等内容が公表されるのであるから、それに対して保護が与えられなければならないのでありますが、出願の大部分が無審査公開されることになることから、第三者利益との調整も考えて実施料相当額補償金請求権を認めることとしたのであります。  しかし出願公開から出願公告までの期間長期化すると、その間は第三者実施を差しとめることができないのでありますから、出願人が不利益をこうむる場合も考えられます。そこで、そのような事態を防止し、出願人保護をより実質的なものとするため、他人が模倣しているような場合には、その出願を他の出願に優先して審査することにしております。  第二は審査請求制度採用したことであります。現行法においてはすべての出願出願順審査しているのであります。しかし出願の中には特許権等は要らないが他人特許権等を取得して自己事業実施が妨げられることをおそれて出願しているものや、あるいは出願後の技術進歩のため、その技術が陳腐化し、もはや特許権等を取得しても何らの効果を持ち得ないものが含まれております。そのような出願は、同じ内容他人出願権利にならないという保証があれば、必ずしも審査を必要としないのであります。  そこで特許につきましては出願から七年、実用新案につきましては出願から四年の審査請求期間を設け、その間に審査請求があったものだけ審査をすることにいたしました。そうしますと審査請求をしない出願審査をする必要がなくなり、その分の審査能力を他の出願審査に振り向けることによって審査の質を維持しつつ処理促進をはかることができるのであります。審査請求をしない出願には特許権等は与えられませんが、いわゆる先願地位を持ち、後日になって同じ内容他人出願があっても、それには特許権等が与えられないという防衛的意味を持つことになります。  この審査請求をしない出願比率は、業界に対するアンケート調査外国実施例等を勘案し、特許については二割、実用新案については三割と予想しております。なお審査請求料として特許については八千円、実用新案については四千五百円を徴収することとしておりますが、この請求料が負担となって発明意欲が阻害されないように請求料を納付する資力がない者に対して減免の措置を講ずることとしております。  第三は審査置制度ともいうべき新しい制度採用したことであります。審判請求件数処理能力との間には現在大きなギャップがあり、そのため審判処理の遅延は審査の場合よりも著しく、昭和四十四年度末の要処理期間平均七年をこえております。  審査置制度審判請求件数の大部分を占める拒絶査定不服審判につき請求から三十日以内に補正のあったものについては、これをなるべく同じ審査官に再審査させるというものであります。この再審査において審査官特許査定を行なえばその請求はもはや審判を行なう必要がなくなるので、拒絶査定不服審判処理は大幅に促進されることになります。  第四は出願公告特許権設定登録までの間のいわゆる仮保護権利を強化したことであります。現行法においては出願公告後の出願人のための仮保護権利の効力としては、登録侵害者に対する損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の行使が認められておりますが、差しとめ請求権はないことになっております。これは出願公告後拒絶査定されるものがあることを考え、不確実な状態で差しとめ請求権のような強い権利を与えることは適当でないという理由によるものでありますが、今回早期公開制度採用したことに伴い、出願公告後拒絶査定されるものの比率が少なくなること等を考慮して出願公告段階で差しとめ請求権を認めることとしたのであります。  第五は先願範囲拡大したことであります。現行法においては請求範囲外記載事項はいわゆる先願地位すなわち同じ内容の後願を排除する力を持っておりませんので、後日になってそのような事項内容とした出願があった場合はそれに特許権等が与えられることになります。しかし、その記載事項についてもすでに発明されたことは事実であり、しかもそれは将来公開されて公知技術となることも確実なのでありますから、後日そのような事項内容として出願された発明特許権等を付与することは特許制度趣旨から見て適当でないと考えられます。また審査請求制度採用した場合には、先願範囲請求範囲に限定すると、先願請求範囲が確定するまで、先後願審査ができなくなります。そこで先願範囲拡大し、明細書に記載された事項全部に先願地位を認めることとしたのであります。  第六は補正の時期を制限したことであります。早期公開制度採用に伴い、公報の印刷、一般の書類閲覧等事務処理上、公開後における補正の時期について最小限度制限を加えることといたしました。すなわち公開後は補正のできる時期を出願審査請求のとき及び拒絶理由通知があった場合の指定期間等に限ることとしております。  第七は手数料登録料の値上げを行なったことであります。現行手数料登録料昭和三十四年に定めたものでありますが、その後の諸物価の値上がり等社会経済情勢の変動を考慮してそれを五〇%引き上げることといたしました。ただし出願料だけは審査請求料を別途徴収することとしたこと等の理由により据え置きといたしております。  簡単ではございますが、以上で、この法律案に関する補足説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 大谷藤之助

    理事大谷藤之助君) 次に、衆議院における修正点について説明を聴取いたします。衆議院議員武藤嘉文君。
  8. 武藤嘉文

    衆議院議員武藤嘉文君) ただいま議題となっております特許法等の一部を改正する法律案につきまして、衆議院において修正を加えましたので、私から、その趣旨を御説明させていただきます。  修正点は、改正法施行前になされた出願に対しては改正法規定を適用しないで、従前の例によることとしたことであります。  政府原案では、改正法施行前の出願につきましても早期公開審査請求その他の改正法規定を適用することとしておりますが、これは、財産権保護等の観点からいたしまして必ずしも適当ではないのではないか、こう考えまして、修正を行なった次第であります。  以上簡単で恐縮に存じますが、衆議院における修正趣旨を御説明させていただきました。何とぞよろしく御審議賜りますようお願いを申し上げます。
  9. 大谷藤之助

    理事大谷藤之助君) 本件についての質疑は後日に譲ることにいたします。     —————————————
  10. 大谷藤之助

    理事大谷藤之助君) 次に、情報処理振興事業協会等に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 久保等

    久保等君 情報処理振興事業協会等に関する法律案商工委員会審議中でありますが、本法案中身につきましては、単に商工委員会のみならず、関係する委員会がいろいろあることでありますが、特に逓信委員会といたしましても、できれば商工委員会との連合審査等も考えてまいったわけでありますが、いろいろ事情等もあったようでございますので、きょうは私、商工委員として差しかわって若干この法案中身についての質疑をいたしたいと思います。  ところで、このコンピューターに関する問題は、きわめて最近の情報化社会の中で大きくクローズアップされてきておる問題でして、これに対する取り組み方をどうしてまいるか、非常に重要な問題だと存じます。したがって法律なり制度なり、そういったものもこれから確立をしてまいらなければならない重大な新しいテーマだと思います。したがって、コンピューターそのもの産業といいますか、コンピューターそのもの生産にいたしましても、なおきわめて今後強力にこれの技術開発等を行なっていかなければならぬ問題があると思うのですが、最初に、日本におけるコンピューター生産現状がどういう状況にあるか、通産省の関係の方から御説明を願いたいと思います。技術面から考えますと、独自の技術でもって開発をしておりまするメーカー、あるいはまたアメリカ技術導入ないしはアメリカとの技術提携を行なって生産を行なっておる会社、あるいはまた資本の導入を行なってやっておるところ、もろもろあるようでありますが、そういったような状況の簡潔な御説明をいただきますと同時に、通産省の立場から考えて、そういったものに対してどう今後指導していくと申しますか、育成をしていくと申しますか、どういう方針で臨まれようとしておるのか、あるいはまた臨まれておると思いますが、そういった方針等についてもお伺いいたしたいと思います。
  12. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 日本におきますまずコンピューター生産あるいは業界体制等につきまして簡単に御説明申し上げます。  まず生産状況でございますが、昭和三十二年からこのコンピューター生産が始まりまして今日まで約十数年になりますが、四十四年、暦年でございますが、四十四年におきます生産額は千七百六億円に達しております。この増加率は四十三年に比べますと約一二%ということに相なっておるわけでございます。また納入台数で見てみますると、いずれも四十四年上期までしか台数の統計はございませんが、これで見ますると、四十四年上期が八百三十六台ということでございまして、これを実働台数で申しますと四十四年九月現在で実働台数は五千六百一台、こういうことに相なっておるわけでございます。国産機比率にいたしましても、昭和三十二年当時国産機比率がきわめて小さかったものが漸次向上してまいりまして、四十四年九月現在では五二%が国産機でございます。残りが輸入ということに相なっておるわけでございます。現在国産電算機メーカーは御承知のように六社あるわけでございますが、   〔理事大谷藤之助君退席、理事川上為治君着  席〕 これらの電算機メーカーそれぞれがいずれも外国とこういった技術面におきましては提携をいたしておるわけでございます。こういった技術導入をしながらも、国産技術開発につとめてまいっておるわけでございまして、わが国といたしましては、これまで電子工業振興臨時措置法、こういうものを中心といたしまして、国産技術振興また電算機性能向上等に各般の努力をしてまいったわけであります。と同時に、コンピューターと申しますのは、先生も御存じのようにレンタルという方式でもって販売をいたしておりますので、こういったレンタル資金がきわめて膨大な金額にのぼるということにもかんがみまして、日本電子計算機株式会社と申します、いわゆるレンタル資金の融資をはかる会社をつくるわけであります。ここに開銀資金を大幅に投入をいたしまして、そしていわゆるレンタルによる国産電算機流通に資しておるわけであります。また同時に、現在各社それぞれ自身では開発が困難と思われますような超高性能電子計算機開発努力をいたしておりまして、私ども、工業技術院中心といたしまして、いわゆる大型プロジェクトによるコンピューター開発につとめております。これは来年度でほぼその性能が完成する、こういうことに相なっておるわけであります。また一方輸入体制につきましては、御承知のようにまだ輸入割り当て制度を運用いたしておりまして、わが国電算機メーカーが、外国輸入品によります重大な脅威にさらされないように、ある意味では保護をしながら国産技術振興国産技術流通拡大ということにつとめてまいっておる、こういうのが全体の概要でございます。
  13. 久保等

    久保等君 コンピューターの相当部分、約半数くらいになると思うのですが、外国、特にアメリカからの輸入によってまかなわれておるような状況にあるのではないかと思うのですが、したがって今後日本国産機性能の向上、またさらに特にこれからソフトウエアの問題等について大いにがんばらなければならぬと思うが、いまお話があったように、できるだけ国内のコンピューター生産保護育成をはかってまいるという方針なんですが、しかしきわめて日進月歩といいますか、非常にテンポが早いわけなんですが、そういつまでも障壁を閉ざしたような形でもってコンピューター生産に関する問題を保護してまいるということも、なかなか世界の情勢からいってむずかしいと思うのですが、しかし、当面とにかく非常に精力的な保護育成政策をとってまいらなければならぬと思うのですが、見通しとして、一体どのくらいかかればどうやらひとり歩きといいますか、日本コンピューター生産技術面アメリカあたりに伍してひとり歩きができるようになってまいるか。もちろんそういう状態になれば、日本のほうから逆に少なくとも日本の製品のコンピューターが海外に輸出せられるということも当然出てまいると思いますし、また、今日においても全然そういうことがないかといえば、若干そういう芽のような、日本コンピューターを海外に輸出しようというような話も進んでおるように聞くのですが、どういう状態になれば一応コンピューターの自由化というような問題も考えなければならない状態になったと判断をせられるのか、おおよその今後の見通し、そういったものについて御説明が願いたいと思うのです。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま申し上げましたように、とにかく国産化率を五〇%以上のところまで高めてまいりましたということは、諸外国に比べますと、わが国の場合成功であったと考えております。そうしてただいま御指摘のように、小型のものにつきましては輸出というようなこともかなり行なわれるようになりつつございます。ただ大型のものにつきましては、これはソフトウエアとの関係もございますけれども、ちょっとただいまのところアメリカに十分太刀打ちできるというような体制になっておりません。工業技術院におきまして非常な高性能の大型の電子計算機開発をはかっておりますが、もう一、二年いたしますと、ある程度それにめどがついてくるかと思いますが、しかしながら、工業生産、それが生産に入る、それだけの需要がまた十分にあるという段階は、いまからまだやはり予測しにくいのではないかと思います。何と申しましてもアメリカのように国防省であるとか、あるいはNASAであるとかいうような現実の需要があるという場合と、わが国のようにまだそれほどそういうものがないという場合との違いがございますので、したがってハードウエアの面におきましても、私は、少なくとも中型あるいは大型のものについては自由化というものは当面困難であるというふうに考えております。ソフトウエアにつきましては、なおさら、御承知のようにこれは結局人間の教育ということから進めてまいりませんとなりませんので、現実に、先ほど申し上げましたような米国におけるような政府側のいろいろな意味での融資、補助等々をわが国の場合、従来欠いておりますし、今後もおそらくそうでございましょうから、教育ということから始めませんと、ソフトウエアの面における太刀打ちはなかなかむずかしい。俗に十年おくれておるというふうにいわれておるわけでございます。そこで、ソフトウエアの自由化につきましても、これもハードウエアよりは、あるいはもっと私はむずかしいのではないだろうか。ただ、これについては非常にいろいろめんどうな問題があるであろうと思います。と申しますのは、俗に資本の自由化というものを資本金で限るというようなことをいたしておりますけれども、ソフトウエアというものはあまり資本金に関係がございません。そういう面から、どのようにして国内のソフトウエアの開発をはかっていくかということは、現実の行政の仕組みとしてはなかなかやっかいな問題があるように想像いたしますけれども、しかし、その方法は別といたしまして、やはりなかなかソフトウエアの自由化というものはむずかしい。私といたしましては、一般に自由化というものは推進すべきものだと、一般論としては考えておるのでありますけれども、電子計算機関係のハードウエアあるいはソフトウエアにつきましては、当分全面的な自由化はすることができないというふうに考えておるわけでございます。
  15. 久保等

    久保等君 いま通産大臣の御答弁、私も全く同じような情勢判断をいたしております。  ところで、先ほどもちょっと御答弁の中にありましたが、日本コンピューター生産の効率的な発展を考えて、日本電子計算機株式会社、いわゆるJECCがつくられて、一元的なレンタル制度採用しておられるようですが、このJECCの状況について若干お尋ねしたいと思うのです。問題は、やはり一番資金的な問題がこれはたいへんだろうと思うのです。われわれもきわめて浅薄な事情は耳にいたしておるのですが、この運営もなかなかこれ容易でない面が私はあろうと思うのです。したがって、具体的に申し上げますと、JECCの資金の収支状況、こういったものがどういったことになりますか、こういったことを中心にしてひとつ率直な御説明をいただきたいと思います。
  16. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 日本電算機株式会社、JECCと言っておりますが、この資金状況につきまして簡単に御説明申し上げます。  この会社は、先ほども御説明申し上げましたように、各社が生産をいたしました国産機を一応ここで買い取りまして、そしてそれをユーザーのほうにレンタルで貸す、こういう仕事をいたしておるわけでございます。そこで、四十四年度につきましてこの資金状況が一体どうなっておるかということをまず申し上げますが、四十四年度におきましては機械の購入費、これが約八百三十億円でございます。で、こういった機械の購入に対しましてどれだけメーカーのほうに機械代金を支払ったかと申しますと、六百八十億円ということになっております。あと、収入のほうは、いわゆるレンタル収入、あるいは下取りの収入その他その他でございますが、こういったような資金をまかないますためには、まず借り入れ金といたしまして開発銀行から四十四年度におきましては百六十五億円の借り入れをいたしております。このほか、一般の市中銀行から二百五十七億円、合計いたしまして借り入れ金が四百二十二億円でございます。この四百二十二億円の借り入れ金のほかに九十四億円の増資をいたしております。こういったことからいたしまして、なお機械メーカーコンピューターメーカーのほうには、従前からの未払い金額も含めまして約四百四十億円の未払い金が残っている、こういう状態でございます。四十五年度、本年度の予定でございますが、本年度は機械の購入といたしまして約一千億円を予定をいたしております。これに対しまして、資金繰りの面で申しますと、まず、借り入れ金といたしましては開発銀行から百六十五億円、それから市中銀行から三百十五億円、合計をいたしまして四百八十億円の借り入れ金を予定をいたしております。このほか、さらに百四十億円の増資を予定いたしております。こういったこと全体を含めて、機械の代金支払いのほうは八百五十億円を予定いたしております。この会社といたしましては、なお資金繰りが、いま申し上げましたように、一方では機械を買い取り、一方では機械をレンタルでユーザーに貸す、こういうことでございまして、下取りの収入あるいはレンタル収入等を含めましてもなお資金が十分であるとは申しかねると思います。先ほども御説明申し上げましたように、こういったレンタル資金というものは、やはり国産機を育てていく場合に非常に重要な役割りを果たしておりまして、特にIBMというような世界最大のコンピューターメーカーが非常に豊富な資金をもって世界じゅうに、その製造しております機械を売り込んでおりますことからいたしましても、なお今後このJECC資金の確保、あるいはこの融通の円滑化につきましては、私どもできる限りの努力をしたいと考えておるところでございます。
  17. 久保等

    久保等君 このJECCの発足以来、何といいますか、未払いの累積額というものはどの程度になっておりますか。
  18. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 機械の代金の未払いでございますが、四十四年度末でもって四百三十九億円、これが四十五年度はまだわかりませんが、現在見込みの収入あるいは見込みの借り入れ金等々で予想をいたしてみますと、これがなお五百八十億円余りに本年度末にはなるのではないか、こういう予想をいたしております。
  19. 久保等

    久保等君 四十四年度と四十五年度についてのお話をいま承ったのですが、これが発足をしましてすでに四年くらいになりますか、昭和四十二年あたりから発足したと、こう承っているのですが、その経過の中から、できる限りコンピューター生産をせられ、これが事実上稼働して利用されていくということが一番望ましいと思うのですが、しかし、なかなかそうはいかないところに、いま言ったような問題が出てくるのだろうと私は思います。その製品と、それから実際使う利用者、ユーザーですね、この間のギャップをできるだけ埋めていくということが私は一番重要な問題であろうと思うんですが、そういう点を考えますと、ここ数年の経過では何でありますけれども、一体、発足以来の経過をながめて、徐々にその格差というものは縮まるような方向に進んでおるのでしょうか、それともこれはあまりそう断定的なことは結論づけられないと思いますが、だんだんと年度年度によって未払い金額のほうがむしろ比率の面からいって多くなっていくというような趨勢にあるのか、どういうふうにいままでの経験からいって感じておられますか。
  20. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) JECCは三十六年に設立されまして自来約十年たっておるわけでございますが、その間非常にコンピューターの利用、特に国産機の利用が非常に急激に進んでまいりました。こういったことからいたしまして、特に四十年以降この四、五年間は非常な勢いでJECCの買い取り金額がふえてきております。たとえば四十年にはJECCの引き取り額が二百八億円でございます。二百八億円でございましたものがいま御説明申し上げましたように、昨年四十四年度におきましては八百三十億ということで、四倍以上になっております。本年は先ほど申し上げましたように約千億ということでございまして、こういったように私どもが想像いたしておりました以上にJECCの引き取り額が膨大になってきておるわけであります。こういったことからレンタル収入のほうもあがってきてはおりますけれども、やはり資金繰りの面から申しますと、どうしても外部からの借り入れ額あるいは増資の額、こういったものが十分でないということからいたしまして、メーカーに対する未払い額は、ここ数年急激にふえてきておるように思います。ちょっと先ほど申し上げませんでしたが、四十三年度末の未払い額は二百八十九億円であります。この二百八十九億円が四十四年度には四百三十九億円になり、さらに四十五年度には約五百八十億円になる、こういう状態でございますので、私どもとしては、電算機メーカーのほうもこれではなかなかたいへんだなという感じを持っておるわけでございます。今後ともこういった面を、私どもといたしまして開銀を中心といたしまして資金繰りにあらゆる努力をいたしたいと思いますし、またメーカーのほうも、先ほど申し上げましたように増資の面におきましても、四十四年度は九十四億円でございました増資を昭和四十五年度には百四十億円にするというようなことから、私どもできるだけ未払い額を縮めていくように努力をしてまいりたいと思っております。
  21. 久保等

    久保等君 非常にむずかしい問題ではあろうけれども、大事な問題だと思います。このJECCそのものがユーザーへの勧誘といいますか、売り込みといいますか、そういったことをおやりになっておるのかおられないのか、まん中で、ただつくったコンピューターを買い上げる、そうしてレンタル方式でユーザーに貸し付けるということは、実態はどうなっておるか知りませんが、酷評すれば、単に事務的に扱っておるというだけではその格差はますます開いていく可能性が強いのではないかと思いますが、もちろんメーカーも直接やっておるかどうか知りませんが、とにかくユーザーにできるだけ借りてもらうというようなことを積極的にいろいろやってはいるだろうと思いますが、そういった面の対策といいますか、やり方はどういうことになっておるのでしょうか。そういうことについて、またどういう手を打たなければならないとお考えになっておるか、御説明願いたいと思います。
  22. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 電算機の売り込み自身は、それぞれのメーカーが行なっております。もちろん各メーカーそれぞれ特色のある電算機を持っておりますので、これを一元的にJECCが売りさばくということは困難かと思いますし、また、そのメーカーの機械そのものに付属しているというか、機械と一体となっておりますソフトウエアもございますので、こういった面、またあとあとの技術指導、保守、管理、こういった面からいたしまして、電算機のユーザーに対する販売自身は、これはメーカーが独自の立場で行なっておるわけでございます。JECCはしからばどういうことをやっておるかということになりますが、このJECC自身の任務はあくまでレンタル資金の一元的供給という立場でございまして、その意味から、あらゆる金融機関、市中銀行また開銀等にも折衝いたしまして、その間の機械の購入、売り込みました機械を一応JECCが購入した形になって、それがユーザーに渡り、同時にレンタル収入はこれはJECCに払っていただく、こういった形で、その間の経理操作をしておる、こういうことでございます。売り込み自身はあくまで各メーカー自身がその特色のある機械をユーザーにお願いをして買っていただく、こういう形でございます。
  23. 久保等

    久保等君 時間があまりありませんから、深くお尋ねいたしませんが、いずれにいたしましても、この問題については、このコンピューター生産を強力に育成していくという立場から、開銀なりあるいは市中銀行の融資あるいは強力に融資等についてのあっせんなり世話をしていくということは必要ですし、十分に資金的な面から御配慮を願う必要があるわけですが、また反面、いま焦点になっております、未払い金の金額もできる限りこれは縮小していくという方向に御努力を願わなければならぬと思うのですが、十年程度の経験も積んでこられたわけですから、ぜひそこらの工夫をお考えいただく必要があるんじゃないか。これがだんだん累積をしてまいりますと、なかなかこれはまたむずかしい問題になってくると思いますし、結局JECCをつくってみたものの、どうもあまり一元的にということで、着想は非常にいいのですが、運用してみたらなかなか結局寄り合い世帯でもってつくったJECCということになりかねないのですが、こういった点についてひとつ通産省のほうで御配慮とともに御努力を願いたいと思います。  次の質問に移りたいと思いますが、日本政府各それぞれの機関でずいぶん電子計算機を購入してお使いになっておるようでございますが、これも必ずしも十全な機能を発揮しておるとはいえないような状況にある。過ぐる四十三年八月三十日ですか、閣議において「政府における電子計算機利用の今後の方策について」閣議決定をせられたようであります。これは行管が一応世話役というふうなことでおやりになっておるようでありますが、これまた各省でコンピューターを購入して、それぞれ必要によって運用をしておられるだろうと思いますが、これまた総括的にあるいは統括的にこのコンピューターの効率利用というようなことを配慮する場所は、従来の行政機構からいってもないと思うのですが、そういったような点もあって閣議においても問題になったろうと思うのですが、この各行政機関におけるこのコンピューターの活用状況それから同時に政府自体が閣議で決定をせられて、一体どういう対策をお立てになって今日に及んでおるのか、そういった経緯についてひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。行管のほうだろうと思いますが。
  24. 清正清

    説明員(清正清君) いまの御質問につきましては、四十三年の八月に閣議決定をいたしました。その前に概況をちょっと触れてみますと、四十五年の三月末現在その導入台数は百五十四台になっております。そして、ここ数年著しく国の機関のコンピューター導入がふえておりまして、この百五十四台のレンタル料が約六十六億円にのぼっております。そして一応どういうぐあいに使われているかということを申しますと、大体三つに大きく分かれまして、大量の行政事務の処理という場合と、それと国民に直結する窓口事務のいわゆる処理、次に高度ないわゆる技術計算、大体三つに分けることができると思います。  そこで、いまの御質問に、四十三年の八月三十日の閣議決定に基づいてどのような方策をとっているかという問題の御質問でございますが、これにつきましては、各省庁の政策面の七省庁の課長会議を設けまして、その課長会議において四十三年の閣議決定に基づいた四項目の趣旨にのってとって、それをどのように処理していくかという立場をとっております。その例としまして、四十五年の二月二十五日に四十五年度の基本方針を、情報処理高度化に関する運営方針をつくっております。  これは、まず第一点は、各省庁共通情報システムの調査研究ということで、実は四十五年度の予算からその各省庁が共通にシステム開発の面につきましては私のほうに保障が一括計上されまして、それを現在調整している段階でございます。  二つ目は、各省庁のネットワークシステムの調査研究でございます。現在各省庁の情報交換というものを円滑化するためには、どうしても各省庁のネットワークシステムというものを形成しなければならぬということから、実は四十五年度におきましては、これもいまの一括計上の中に入っているわけでございますが、基本計画、青写真をつくるという段階で、四十五年度にこれを実行に移したいと考えております。  三番目は、事務処理用統一個人コードの設定の推進。要するに現在の各省庁間のデータの互換性がないということは、機種が違うという面もありますが、やはり標準化の問題が第一でございます。ハードあるいはソフトウェアに関する標準化の問題、その根本的なものはやはり個人コードというものをまず出発点にしなければならぬということから入りまして、この問題は十一省庁の課長からなりまして、第三回の研究会を行ないまして、その結果、分科会に専門技術的な問題を落とすという段階にきております。  四番目は、電子計算機利用実態調査の実施でありまして、これは各省庁における電子計算機を高度に利用するという立場から、実は毎年、約六、七年前から行管で各省庁の電子計算機の実態調査をやっております。その実態調査を引き続きやりまして、四十五年度はさらにこれに加えまして政府関係機関及び国の付属機関、試験研究機関、これも含めまして実態調査を行なうということでございます。  五番目は、各省庁の電子計算機基幹要員の養成ということでございまして、これは民間におきましてもわが国全体がこの基幹要因の養成については相当苦慮しているところでございまして、政府におきましても四十四年度からADPマネージメントコースを三カ月コースで実施しております。四十五年度はそれを二回やることにおいて、その各省庁統一の基幹要員を養成するという立場をとっているわけでございます。さらに、これらの問題は七省庁会議に続きまして、各省庁、大体二十七省庁からなる利用技術研究会というものが工業技術院に開かれております。この成果とか、そういう問題をもちまして、七省庁会議でこれらの問題、具体的な問題を配慮する方向を立てているのが実態でございます。  一応御説明を終わります。
  25. 久保等

    久保等君 まあいろいろと各関係の行政機関とも連絡をし、あるいはまた相談をせられながら、コンピューターの総合的な利用なり共同利用の面について御努力になると思うんですが、その点はけっこうだと思います。今回この法案審議にあたって、衆議院のほうで附帯決議が付せられておりますが、その中にも、第四項に「行政機関における電子計算機の総合利用、共同利用を極力推進すること。」というような指摘をし、政府の奮起を促していると思うのですが、私ももちろんこの附帯決議に全面的に賛成でありますし、同時に行政管理庁としても、こういった附帯決議の趣旨なり、あるいはまたそうでなくても、先ほど来申しますような理由から、一そうひとつ行政機関自体が電子計算機の利用について格段の御努力を、まず率先せられる必要があろうと思います。そういった点を要望いたしておきます。  郵政大臣がお見えになって、時間の関係でまた間もなく退席をせられるような連絡をいただいておりますので、途中特に郵政大臣それから通産大臣に関係する問題だけについて、私まず質問をいたしておきたいと思うのですが、それは、実は今回このコンピューター関係の法案として、情報処理振興事業協会法案が国会に出されてまいっておるわけですが、この問題をめぐりましても、いろいろと通信回線の関係において世論がいろいろと出てまいっておるわけであります。政府の内部で、はたして完全に意識の統一がなされて、この協会法案そのものも出てきたであろうかどうであろうかということも、外側からながめた感じとして率直に思っておったわけですが、私は、電信電話事業というものは、これまた歴史的にいっても約百年の長い歴史の中で、最近特に強い電話の需要等の問題を中心にいたしまして、電信電話事業が発展をしてきておると思うのですが、そこへ加えてコンピューターの問題、しかもオンラインという問題等を考えますと、技術的にいろいろ問題もあろうと思います。あるいはまた扱いについて一体どこで扱ってまいるのが適当であるかという問題になりますと、これまたいろいろ意見があろうと思います。しかし、ここであまりこまかいことをお尋ねしようとは思いません。結論的なことでお尋ねしたいと思うのですが、要するに、コンピューターそのものの、先ほどから御質問いたしておりますように、生産も強力に育てていかなければならぬ、同時にコンピューターそのもののソフトウェアの面におけるこれまた強力な開発を行なっていかなければならぬという要請に迫られておると思うのです。したがってまたコンピューターそのものがオンライン方式でもって十分に活用されていかなければならぬことは、将来の展望を考えますと、これまた当然であろうと思うのですが、単にコンピューターコンピューターだけとしての機能を発揮する限りでは、あまり私は本来のコンピューターそのものの機能を発揮することにはならないと思うのです。そういったふうなミックスされたようないろいろな問題がありまして、今後の行政面で御配慮を願わなければならぬむずかしい問題があると思いますが、当面の問題として、われわれ国会の立場で、法律制度を確立する立場から考えますると、衆議院商工委員会でも非常に問題になっております例の基本法の制定の問題これもすでに衆議院商工委員会で附帯決議が附せられておりますし、したがって国会のいわば意思としても、相当強い基本法を制定すべしという空気が出てきていると思うのですが、そういう問題もありまするししますので、そういった中でこれまた考えていくべき問題だとは思いますが、さしあたっての電気通信政策とこのコンピューターの関係を一体どうするかという問題が、当面の非常に重要な問題だろうと思うのです。そこで、政府の内部で意見が必ずしも一致しておらないということでは非常にまずいと思うのですが、そういう立場からお尋ねをしておきたいと思うのです。簡潔に、正確に、私お尋ねをしてみたいと思うのですが、それに対して通産大臣と郵政大臣それぞれ簡単にそれに対する御意見をお伺いしたいのですが、私、時間の関係で三つばかりの問題を申し上げてみたいと思うのですが、それらについて郵政大臣と通産大臣のほうから後ほど賛成か反対か、はっきりお答えをいただきたいと思うのです。  一つは電気通信回線に接続した電子計算機は、電気通信設備の一部となり、電気通信の機能を果たすものであると考えまするが、両大臣どうお考えになりますか。  それから二つ目は、日本電信電話公社や国際電信電話株式会社は、多年にわたって蓄積した資産と技術を活用して、国民の要望にこたえてデータ通信サービス、すなわちオンライン情報処理サービスを提供していくべきだと考えますが、いかがですか。  それから三つ目ですが、この事業協会等に関する法律案ですが、これが法律としてできていった場合におきましても、当然電電公社や国際電電で行なうデータ通信事業、これはオンライン情報処理事業のことですが、これをカッコの中に含めて御理解願いたいと思うんですが、このデータ通信事業の規律監督は、当然従来どおり郵政大臣が行なうべきであって、通産大臣の所管ではないと考えますが、どうお考えになりますか。  この三つの問題について、簡潔に、特別御説明等は要りませんが、私がお尋ねしたことについて御異議があるかないか、このことだけ両大臣にひとつお尋ねしておきたいと思います。
  26. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 久保さんから三点についてお尋ねがございましたが、まあ第二、第三の問題は、これはいまおっしゃるような方向でわれわれも理解をいたしておるつもりでございます。つまり、端的に言えばあなたに同感でございます。  それから第一の問題につきましては、 コンピューターとそれから通信回線両方にまたがるのでございますから、少なくともこのオンラインシステムといいましょうか、その面は一応郵政省の受け持ちであると、こういうふうに考えてよろしかろうと、こう思っております。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま郵政大臣の言われましたことで、私の意見も同じことでございます。異論は別にございません。  第三点の、これは少し理屈っぽくなるかと思いますが、データ通信事業そのものの監督は郵政大臣かという御質問がございました。電電公社の行なうデータ通信事業の監督は、もうもとより郵政大臣であります。
  28. 久保等

    久保等君 私のお尋ねしたことに対して賛意を表されたと理解をするんですが、ただ、郵政大臣が、第一の問題はと言って若干何かニュアンスの違ったものの言い方をしているんで、私もう一ぺん申し上げますと、電気通信回線に接続した電子計算機は電気通信設備の一部となり、電気通信の機能を果たすものであると考えるがどうかということを、端的にお尋ねをしたんで、オンライン方式ですから、通信回線に接続をされてしまったコンピューターというものは、これはもう線路といわずコンピューターといわず、一体の形でもって運用されている状態ですね。だから、そういったもの自体は、それ全体が要するに電気通信の機能を果たしておるんだと理解していいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。郵政大臣もう一ぺんひとつ。何か多少歯切れの悪い答弁であったものですからお尋ねするんです。
  29. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 監理官から正確に申し上げます。
  30. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) 実はただいま先生の御指摘のオンライン情報処理、これが電気通信であるんではないかと、そうしてそれに電子計算機も含めてすなわち電気通信ではないかと、こういう御意見だろうと存ずるのでございますが、実は電気通信に対しての法律的な解釈は、これは公衆電気通信法の「電気通信」というところの、「電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること。」という範疇において論ずる限りにおいては、たとえば電子計算機の中に、オンラインで、ある信号を入れて、たとえばAという人から一という信号を入れて、Bの人から二という信号を入れて、そうしてCという人に三というふうな答えを送ってやれということが、これが電気通信であるかどうかということにつきましては、現在いまだその議論が熟していない段階でございます。で、これはいろいろ法律の不備もございますし、公衆電気通信法がこういう電信と電話というものを頭の中に描いてつくったものでありまして、データ通信というものを頭に描いてつくっていないものでございますので、そこいらをもう少し検討いたしましてわれわれの態度を明確にしなければならない、そういうふうに考えておる次第でございます。
  31. 久保等

    久保等君 だから、これから法律をどうつくるかという問題は、これはわれわれ自体の大きな問題としてあるわけです。で、当面の一つの理解としては、どう理解をしていこうかという問題を、郵政大臣にしろ通産大臣にしろ、私はかかえられておると思うのです。その理解のしかたの問題について——これは当面理解のしかたの問題だと思うのです。したがって、それをさらに国民一般が利用していくのに一体どういうような法律制度のものにしていくかという問題は、今後の立法上の問題であると思うのです。だから、当面の理解のしかたとしてどう理解していったらいいかということで、まあ私がいま申し上げた程度のところで、まず共通の理解なり一致点として御確認を願っておくべきじゃないかということで申し上げたわけですがね。牧野監理官の言われるように、要するに、電気工学的に、理屈をいえばそういう理屈も成り立つと思うのです。しかし、要するに、それぞれかってに理解するように理解していればいいじゃないかというようなあいまいなことじゃいかぬと思うのです。だから、これは共通項といいますか、最低の認識としては、私が申し上げたようなところで確認できるのじゃないだろうかということでお尋ねしているわけなんですがね。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 関連して。いまの久保委員の問題に関連をしてですが、昭和四十三年に、小林郵政大臣の当時に私はこういうことを質問したわけです。現在電電公社がやっておるデータ通信はこれは公衆電気通信役務であるかどうか。これに対して、そのとおりであるという答えを正式にもらっているのですよ。いいですか。ただいま久保委員のおっしゃるのはオンラインにコンピューターを接続してやる場合のことですね。ですから、これは専用線を使う場合です。国鉄がみどりの窓口でやっているのもあれでしょうね、専用線利用の場合。だから、それは私の聞いたところとはちょっと違うので、公衆電気通信法あるいは有線電気通信法上、オンラインにコンピューターをつないだ場合のことを聞いているのだとぼくは思うのです。ですから、公衆電気通信、いわゆる不特定の公衆通信を扱うという場合のことと、そうでない場合と二つあると思うのです。オンラインの場合は特定と不特定の場合と二つあると思うのです。それは問題を整理して答えてもらわないといかぬ。まず、いいですか、きょうは昭和四十五年五月六日だから、この五月六日現在電電公社がやっておるデータ通信というものは、これは公衆電気通信役務として認めて公衆電気通信法に基づいてやっているわけでしょう。これは大臣からもはっきり答えてもらいたい。それははっきりしているわけだ。だから、あとの問題を二つに分けて答えてもらいたい。
  33. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 現時点において電電公社がやっておりますデータ通信役務は、鈴木委員おっしゃるように公衆電気通信法に基づいてなされておるものであると、こういうふうに理解をいたしております。
  34. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) 専用線を使って一般民間の方がオンラインのデータ処理をやる場合におきましては、専用線の部分にかかわるところ、これは電気通信でございます。そしてそれを全部処理している状態そのものが全部電気通信かという規定に、まだそこまでは至っておりません。それは二つの私は性格を持っておるものと解釈しております。一つは電気通信の機能ともう一つは情報処理の機能と、こういう二つの機能を合わせ持ったものである、こういうふうに解釈しております。
  35. 久保等

    久保等君 それはしかし牧野監理官、そういう立法上の議論として議論をする場合はそういう議論も一つの私も考え方はあると思うのですよ。しかし現実に、あなたいま言われたように、専用線の部分というもの、専用線は専用線の部分だけでは何の役にも立ちませんわね、実際問題として。線路部分、この部分は電気通信ですよと言ったって線路そのものは何の役にも立ちません。コンピュータと線路が結びついて一体となって初めて意思の交換が、その意思の中にはデータというものもあるでしょうけれども、初めてそれで電気通信としての機能を発揮するので、その線路部分は電気通信、コンピューターコンピューターなりとしてという、あなた方は技術屋としてそんな非科学的な答弁をしておったのじゃこれは話になりませんよ。そういうことについての今後の問題としては、法律上さだかでない面も確かにあるでしょう。あの法律をつくったときはコンピューターというものを予想して立法したのじゃないでしょう。だから、いまの問題をどう理解していくかということだと思うのですよ。その理解については、その専用線に接続せられたコンピューターコンピューターで、線路部分だけは確かに電気通信部分ですという、そういう説明はこれはいただけませんよ。私はあまりむずかしいことを尋ねておるのじゃないですから、かまかけてどうこうしようということは言ってない。私の言っているのは、電気通信回線に接続した電子計算機は、電気通信設備の一部となり、電気通信の機能を果たすものであると考えるかどうか、そのとおりですと答えればこれは簡単な話ですけれども、あなたが技術屋さんでむずかしい技術的なことを言うから、何かそれをさらに分解したような答弁をされるかしれませんけれども、監理官どうでしょうか、あなたのところであまり混線するような話をされたのじゃこれは話になりませんがね。
  36. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) ただいまの久保委員の御質問でございますが、私の説明が足らなかった点まことに申しわけないのでございますが、電気通信回線と電子計算機とを接続してこれを一体的に利用した場合においては、電気通信の機能を持っておるのではないか、こういう御質問でございますが、これは電気通信の機能を持っております。とともに情報処理の機能をも持っておる、こういうふうに考えております。
  37. 久保等

    久保等君 だから、これは使い方によれば——それはオンラインという形をはずしてやれば……
  38. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) オンラインをはずしたらば情報処理だけが残って、オンラインにしておいたら両方を持つという先生の御意見は、そういうことではないんじゃないかと思うのでございます。先生の御意見は、オンラインの情報処理そのものが全部電気通信の機能であるというふうに規定すべきものではないか——規定というと語弊がありますが——と解釈すべきではないかという御質問かと思うのでございますが、私は、電気通信の機能をも持っておると、それから情報処理の機能をも持っておる、それをどこかで区分けして、端末装置、回線中央処理装置、これらをそれぞれ分けて、これが通信の機能するところだ、これが情報処理の機能するところだというふうに分けるのでなくて、全体が一体として両方の機能を持っておる、こういうふうに解釈しておる次第でございます。
  39. 久保等

    久保等君 何かコンピューターというものがきわめて無限の能力を持っているだけに、単に通信という範囲内だけでとらえるということが非常に無理だということで、あなたが非常にブロードに解釈をしておるんだろうと思うのだが、だからそういう理解のしかたも私はあると思います。ただ私がいまお尋ねしているのは、もう少し簡単に、しろうとわかりするような実は質問をしておるわけなんですが、そこで、電気通信の機能を果たすと同時にコンピューターとしての機能も果たすのだという、まあ何といいますか、ものの言い方は、これはどうも私ちょっとあいまいな感じがするのですがね。だから、電子計算機そのものがオンラインという形になってきますと、その総体でもってやはり電気通信としての私は機能を果たしておるというように理解していいんじゃないかと思うのですがね。もちろんコンピューターそのものがその通信の——一体通信とは何ぞやという問題になってくると思うのですね。あなた方が従来から既定の一つの電信電話ということの範囲内で限ると・その電信電話とは言い切れないほどいろいろなことを処理する能力を持っているのだと、したがって、電信電話の通信という範疇に加えるにプラス・アルファの情報処理をやる設備だというふうに理解すべきだという説明も、これは私、説明としてわからないわけじゃないのだけれども、しかし通信そのものの解釈も、これまたあなたの言うような範囲に限ることがいいのかどうか、これもまた一つの問題があると思う。通信そのものが要するに意思の交換、その意思の交換の中にはデータを入れる、従来だったら人対人で意思の交換をやる程度だったらこれはもう非常に端的で簡単だと思うのです。ところがそうじゃなくて、ストップしておいて必要なときに引き出してくる。したがって、そこに入れたときと出すときとは非常に時間的に、あるいは極端なことをいえば十年も二十年も時間的な差が出てくる場合もあると思いますね。そういうことになったらそれは通信じゃないのじゃないかという理解のしかたもあると思います。しかしそれなら一体どのくらい入れてどのくらいして引き出したときが通信で、ある一定の年限がたったらそれはもう通信じゃないのだという、まあそこらの限界になると、これはまたむずかしいと思いますね。だからそういう点ではこれも議論をすれば果てしないことだと思いますが、しかし監理官がそういう形できちっと理解する理解のしかたも私はやはり一面からいえば無理がある。で、少なくとも私の言っているのは、きわめて常識的に簡単にこの際は理解しておいたほうがいいんじゃないかということでお尋ねをしておるわけです。だから、そういったことでひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。いま郵政大臣が何か時間がきたそうですから、この問題はひとつ郵政大臣の重要な所管問題ですから、ひとつ大臣のほうから、はっきり結論的にお答え願いたいと思うのですがね。
  40. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) どうも御満足のいく結論ということになるかどうか存じませんが、まあいまおっしゃるように、またここで議論がありますように、まだ情報産業とかデータ通信とかいうものが現在流動的であるからだと思うのでございます。したがいまして、技術者である牧野監理官のような非常に厳密性を追及した議論も出ると同時に、久保さんのような御意見も、これはこの段階においては私は出るはずであろうと思うのでございまして、本日のところは、そういう意味でまだ煮詰まった確定解釈というわけにいきませんけれども、御質問を承りまして十分に検討の材料にさせていただきたい、かように存じます。
  41. 久保等

    久保等君 実は私、こういう場所だから簡潔にメモにまで書いてちょっとお尋ねしたのですけれども、これはほんとうを言えば何ですよ、そっちのほうからこういう話は説明なり報告をして出てくる筋合いなんですよ。しかもそれを監理官のほうでそういう何か私の質問に対して若干ニュアンスが違ったような答弁をするというのは、私は心外に思っている。しかし、正式の委員会の場ですから申し上げることは差し控えますけれども、もう少し内部的にもきちっとひとつ話し合ったことは話し合ったこととして、これは監理官、さらには両大臣についても、きちっとこれは話は話として通してもらいたいと思うのです。ただここでこつ然と私はお尋ねしているのじゃなくて、そういうふうにちょっとお尋ねすると何かニュアンスが違ったような答弁をされるほど何か非常にデリケート、でもないのだけれども、なかなか未知の問題がありますよ確かに。それだけに今後の研究課題として非常に一方では研究しなければならぬと思うのです。だけれども、当面の行政を担当される両大臣の立場から言えば、考え方、解釈のしかたというのは一応やはりきちっとしておかないと、二、三の人間が集まって説明を聞くとこれまたそれぞれ違うなんというのはぶざまだと思うのです。十全ではないか知れぬが、当面の一つの考え方はこういうふうに考えていこうじゃないかというところで、きちっとしてもらいたい。これまた機会をあらためて私きちっとしたいと思うのですが、ほぼ私の質問に対しては九九・九%ぐらい同感を表したと私は理解しておきます。ただ牧野監理官の答弁では、若干コンピューターコンピューターとしての機能もあるのですというような議論をつけ加えたんだ。これは余分な答弁だと私は理解しております。この程度にとどめます。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 大臣ね、ぼくはこういうふうに理解するんですよ。あなたはだから私の、公衆電気通信も電電公社がやっているのは電気通信機能であるかどうかということに対しては、そのとおりと答えた。したがって、現段階における専用線利用の要するにオンラインというものは右にならえなんですよ。これでだから電気通信機能であることは認めているわけだね、そうでしょう。電電公社の場合だって電気通信機能だと、そうでしょう。ただ牧野さんは情報処理の機能も果たしていると、こう言う。それは電電公社の場合だって情報処理の機能を果たしている。そうでしょう。だからして私はあまり食い違いがないというふうに理解したいのですけれども、よけいなことをちょっと言ったからそれが久保さんのげきりんに触れたと思うのだけれども、私は、そういう意味においては大臣が明確に答えたものとは一つも変わってないんじゃないですか。いま、分けてやっているオンラインの変わっているものがありますか。ないでしょう。なければ同じじゃないですか、イコールでしょう。こう理解するのはあたりまえのことで、あなたが情報処理の機能を果たしていると言うが、私はやはり公社の場合だって機能を果たしている。それが差がないということで公衆電気通信法なり有線電気通信法の中で説明するということになると私は何にも見解の相違はない。ただし、今後データというものが、またいろいろな意味においていま考えているような全面開放なんということが出てきた場合には、これは私は話がもう一つ飛躍していると思う。それは私はきょうはやらない。現状の姿においてどうかということを聞いているのだから、何もそんな情報処理なんというものはつけ加えるから問題を起こす。それを言わなければ大臣と同じ。大臣と違うことをあなたが言っているのは、そういうふうに理解するから、もう一回通信機能だとはっきり言いなさいよ。そうでないと大臣と違う。そうですよ、情報処理、電電だってやっている。
  43. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) 現時点におきましては、先生のお話しになりましたとおりでございます。電気通信の問題でございます。
  44. 久保等

    久保等君 それはぼくの質問したことに対する答弁として、言われるとおりです、というふうに理解していいですね。
  45. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) 現段階の時点におきましては、久保先生の御質問のとおりの解釈の問題であろうと、こういうふうに理解しております。
  46. 久保等

    久保等君 時間がだいぶよけいなところで引っかかったものですから、簡潔にしてお尋ねしたいと思いますが、通産省で先ほどちょっと御説明がありましたが、工業技術院でもって大型プロジェクトをやっておられるお話がありました。まあこれも六カ年計画で何かやっておられるようですが、きわめて大型で、しかも費用の点からいっても約百億程度の資金を使って目下開発中だと承っております。この大型コンピューターというものは何にお使いになる目的をお持ちになっておるんですか。
  47. 柳沢正昭

    説明員(柳沢正昭君) 特定の目的と申しますよりは、現在開発しているのは汎用目的ということで考えております。
  48. 久保等

    久保等君 もう少し具体的に何か御説明願えませんか。汎用は汎用でもどういう差し迫った目的のためにつくっておられるのか。単に研究所で研究かたがたつくっているんだという程度のことなのか。こういう目的のために百億の巨額の金を投じてぜひ開発しなきゃならぬ、その開発目標ですね、これをひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  49. 柳沢正昭

    説明員(柳沢正昭君) いまの御質問でございますけれども、現在の目標の最大のものは、一九七〇年代の前半で世界のトップレベルに位するような超高速しかも大容量で多重利用が可能であるという電子計算機開発を目標にいたしております。で、単にこのような高性能電子計算機のハードの分、原型機だけをつくるということではなくて、ソフトウェアの開発も含めてやっているわけでございまして、ソフトウェアも含めて、さらにシステムの標準化、漢字表示装置とか、光学的な文字読み取り装置といった周辺機器の開発も全部含めて考えておりまして、いまお話ございましたように、昭和四十六年度に一応研究としては完了いたしまして、それ以後はいまの性能の成果を踏まえまして各メーカーが実際の試作に移れる、こういうことを目標にして現在開発中でございます。
  50. 久保等

    久保等君 それができ上がると、どこどこへ据えつけて一体どこどこが利用できるようになるのか、そういったひとつ具体的な目標を御説明願いたいと思います。
  51. 柳沢正昭

    説明員(柳沢正昭君) 先生の御質問に二つございますと思いますけれども、現在研究しております大型プロジェクトの超高速電算機は、いわば原型機でございまして、原型機と申しますのは、一番もとになるタイプでございます。それをもとに各社がおのおのその特徴を生かした実用機をつくるということになると思います。それから現在開発中のものにつきましては、まだ十分詰めておりませんけれども、電気試験所なり、あるいはそういったところでこれを実用に使っていくということになるだろうと思います。
  52. 久保等

    久保等君 だからそこらのところをもう少し私は生きたコンピューターという考え方に立って、ひとつむだのないような方法を考えてもらいたいと思います。きわめて簡単な実験ならけっこうですけれども、たいへんな年月と同時にたいへんな国費を使い、しかも性能もきわめて超高級なもののように聞いておるのですが、それだけに、一体何に使うのか、こういったことが非常に大事だと思う。また、何に使うのかという目的があることによって、何月何日までに間に合わせなきゃならぬということになるのだけれども、ただ極力早くつくるんだという程度で、できたらできたときにひとついろいろと使っていくのだというようなことでは、これは全く試験所でつくるための、研究のための単なる大型プロジェクトの完成にすぎないと思うのです。これではいかぬと思うのでして、あるいは得がたいいろいろな技術開発もその中に織り込みながらやっておられるのだろうと思うのです。ぜひひとつむだのないように、しかも四十六年度といいますと、あと一年くらいですから、過去もうすでに三年有余にわたっていろいろ御努力になっておるのですから、これもぜひ使いものになる大型プロジェクトをお組み願い、完成さしていただきたいと思います。時間もございませんから、強くその点はひとつ希望と要望を申し上げたいと存じます。  それから次に移りますが、実はコンピューターそのものが自由化のあらしにさらされつつあると思いますが、そういう中で、できるだけ何とか国産品の育成をはかってまいろう。さらには非常におくれておるソフトウエアの面の開発をひとつ強力に進めようという考え方で、今回のこの法案が出されてきたと思いますが、一、二、若干小さな問題、といっては何ですが、アメリカの最大の旅行あっせん会社であるアネックスという会社があるのですが、ここでもって日本の、といっても東京ですが、東京の有楽町に支店を設けて、ここに端末の機械を置いて、マニラ経由でアメリカの本社との間をコンピューターで接続して、それで旅行、特にホテルの客室なんかの予約を取るということをことしの四月ごろから始めたようですが、この問題について通産省でタッチせられた範囲内での御説明をひとつ簡単に願いたいと思います。
  53. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) アネックスというアメリカの旅行あっせん業社と申しますか、ホテルの予約等を中心に仕事をしております会社が東京に支店を設けております。これにつきましては、昨年の十一月に支店設置の報告書が提出をされております。これは御承知のように、外国為替及び外国貿易管理法、これに基づきまして支店の設置は報告をすればいいということになっておりますが、一方で外国企業が本邦内に支店を設けます場合、その支店の活動に必要な資金の受領、つまりアメリカでございますからドルを持ち込んでまいらなければなりませんが、それにつきましては個別の認可が必要であるということになっております。こういったことから、こういった活動を行ないます経常経費等につきましての受領を許可するかどうかにつきましては、支店設置の報告がありました際に、外資審議会の幹事会にこれをはかることになっておりまして、昨年十一月に届け出がありまして以降、この幹事会におきまして通産省はもとより運輸省その他関係省をまじえて検討し、あらかじめこれについての方針を決定したわけであります。その際、アネックス社からは、第一に、ホテルの予約業務は海外から日本への旅行者及び日本から海外への旅行者に限るということ、それから国内に設置をいたします端末機につきましては設置場所を限定いたしますということ、さらに、これを変更いたします場合には、あらかじめ日本政府に事前の協議をいたします、こういう申し出がございました。この申し出を受けまして、前述の幹事会におきましては、わが国の情報処理サービス業の発展を特に阻害するものではないということで、この支店の活動に必要な経費の受領については認可をするという方針をきめた次第でございます。
  54. 久保等

    久保等君 その認可をされたところはどこの役所になりますか。いまのお話がすべてだとすれば理解をしますが、その他に、特別な条件が、通産省のタッチしない他の面から何かついたりなんかはしておりませんか。すべてですか、これが。
  55. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 認可をいたしますの大蔵省でございます。それから、認可をいたしますに際して、いまのように関係者からなる幹事会で内容を十分審査いたしますが、その際ついております条件は、いま申しましたのが全部でございます。
  56. 久保等

    久保等君 いつですか、認可。
  57. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 幹事会で認可の方針を定めたのは本年の二月でございます。その後具体的に、向こうのドルを持ち込んでまいりまして、それについての個別に何月何日認可したというのは実はいま承知しておりません。あとで調べて報告いたします。
  58. 久保等

    久保等君 それからもう一つ。これは多少ケースが違うかと思うんですが、アメリカのRCAのエアコンというシステムを実は取り入れて、現にこれは日本の商社あたりがアメリカにいっておる、その支店と、それから日本の国内の営業所、あるいは本店との間かもしれませんが、その間にエアコンという端末設備をつけまして、これはRCAのもちろん機械だろうと思うんですが、実際やっておる。それこそ、さっきお話しになりましたが、いまのところは通信にほとんど類似したような程度のものらしいんですけれども、しかし、このエアコンという機械そのものはコンピューターとしての機能も持っておる機械らしいですが、実際の運用はいまのところは通信と思われる程度の何か扱いをやっている程度の機械らしいんです。これはやはり通産省で何かお聞きになったことがありますか、ありませんか。そこらの経緯。
  59. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) いまとっさのことでございますのでよくわかりませんが、最近私どもが聞いております件としては、RCA関係では写真植字機、これをコンピューターに接続をしたい、そういったものの輸入の申請があるようでございます。いまのエアコンというお話のものは、これであるかどうかちょっとわかりませんが、私ども承知しておるのはそういう案件があるようでございます。
  60. 久保等

    久保等君 このものは、若干、実は二、三年前に日本に入ってきているようです。それでことしの一月にも一カ所何かこういうものを設置したんだそうです。現在三カ所ぐらいに設置されておるんだそうです。私も現物を見ておりませんので深くお尋ねすることはできないんですが、いずれにしてもこれもコンピューターの一種だと理解して間違いないんじゃないかと思うんですが、これも運用の途中でどういう内容になっていくか、これは実際どうしようもない話でして、問題は、端末機械の設置について関係すれば関係するという問題であろうと思うんです。こういう形で、とにかく国際的には、いろいろコンピューター関係の問題はあまり時日を切って目の前にあらわれて入ってくるという形でなくて、日常の活動の中にきわめていろんな形で私は入ってくると思うんですが、こういったことについては、これはまた単に通産省ばかりの問題でなくて、片や国際電信電話株式会社の国際通信の問題とも実は関連する問題なんです。しかし、現実にすでにこういったことが最近行なわれておるということを、通産省であるいはタッチしておればお聞きしたいと思ったんですが、おわかりにならなければけっこうですが、こういったようなことで、いろいろ今後の問題として考えてまいらなければならない大事な問題が日々生起してきておると思うんです。私の質問はそういったことで、御存じなければ次に移ります。  それから法案の関係について一、二お尋ねしたいと思うんですが、事業協会が、この法案の中にも書かれておりまするように、いろいろと委託をして開発をさせるとか、あるいはまた、特定プログラムについては、対価を支払って協会がその権利を取得してこれを広く利用させるようにするとか、あるいは債務保証を行なう、こういったことが業務内容として列記されております。問題は、一体どういうプログラムを交流するのか、また、そのプログラムそのものはどういった価値と利用の範囲があるのか、こういったような判断をするのは、あげて協会が判断をして買われるのだろうと思うのです。しかし、私は、その判断は非常に重要だと思うんですね。協会は利用価値があると思って開発をしてみたが、実際はあまり実は需要がなかった。それからまた、そんなものを買うくらいなら別のこういったものを買うべきじゃなかったのかと、いろいろそういった価値判断の問題なり、あるいはまた選択するにあたっての判断なり、これは単に協会が考える問題でなくてもう少し私は高度な立場、またさらに広い視野の立場でこういったものを選択するあるいは判断をする。買うにいたしましても順序をどういう順序で買っていくか、これは非常に大事な問題だと思うんですね。やってみてどの程度実際プログラムを買い上げていくようになるのか、これもまた全然やった経験がないからおわかりにならないだろうし、われわれも判断つきかねるんですけれどもね。できるだけ限られた資金で、できるだけ有効なプログラムを買い上げ、あるいはまたソフトウエアの開発をさせなければならぬなんという問題は、これはもう非常に重要な問題だと思うんです。単に通産省の視野の中だけで判断するのには私は非常に大きな問題じゃないかと思うんです。そういう問題についても、何か科学技術庁あるいは通産省あるいは文部省あるいは行管だとか郵政省だとか、関係するところ非常に多いと思うんですけれども、もう少し内閣全体の視野でこういったプログラムをまずこの際買い集めなければならぬとか、またどういったプログラムから買い上げなきゃならぬとか、そういったことは日本の一般民間の業界なりあるいはまた政府の各省における要望なり、そういったものを吸い上げながら最終的に判断をする、あるいは選択をしていくという組織にしておかないと、これを単なる事業協会というところの判断にまかせてやらせるというのは、非常に私は考え方として少し配慮が足りないんじゃないかという感じがするんです。まあ具体的な提案みたいな話になりますけれども、やはり情報委員会というか情報開発審議会というか、まあ名前はどういう名前でもいいんですが、ぜひそういう高度な判断をする、いい意味での政治的な判断もするし、それからコンピューターそのものについての専門的な知識を持っておって、技術的に非常に的確な判断もできるというような機能を持った高度な審議会か委員会というものを私はつくるべきだと思うんです。これはぜひこの法案でいま何条に入れろとかなんとかというようなことを申し上げても、これはちょっと時間的な関係で私は無理だと思うんですが、今回初めての試みとしてこういう事業協会法案が出てきたんですから、今後のコンピューター行政といいますか、技術開発を含めてのコンピューター問題に取り組むにあたって、衆議院の附帯決議がついておりますが、例の基本法制定という問題も非常に大きな問題としてあるわけですし、ぜひひとつこの問題を私は考えてもらいたい。名前はどういう名前でもけっこうですが、委員会ないしは審議会というようなものを、権威のあるものをつくっていただいて、そうして非常に広い視野から、しかも判断力も非常に備えて、単に委託をするということ、その委託をすることについてもどういうことを一体委託をするのか、これは非常に私は高度な能力を持っていないとやれない問題だと思うんですが、これはひとつ今後の問題といっても、単にしかるべく考えておきましょうという程度じゃなくて、これはもうすでに法案が通れば発足するわけですから、そのことともあわせて、早急にひとつそういうことをお考え願いたいと思うんですが、いかがなものでしょうか。特に今後のコンピューター利用についてあるいはコンピューター技術開発について、これからいろいろとおやりになるわけですけれども、そういった施策の問題自体についてもやっぱりもう少し私は考えるところがあっていいんじゃないかと思うんですが、もちろん電子情報処理審議会というものが、今度名前を若干変えた形で発足するようですが、これはばくとしていて、何か重要な案件について審議調査するというだけの話で、今度は条文の中からも削って通産省の省令の中にゆだねて電子情報処理審議会というようなものができるというか、従来あるものに情報処理を入れるということもあるようですが、これは全然次元も違うし、審議する中身も、もう少し私はコンピューターそのものについての具体的な問題を扱っていく委員会なり審議会というものをぜひおつくり願いたい。これは通産大臣からぜひ積極的な御答弁をいただきたいと思いますが。
  61. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 大臣のお答えの前に、ちょっとこの法案の仕組みに関係をいたしますので、私から御説明をいたしたいと思います。  いま久保先生の御質問は、こういった非常に重要な業務を行なう事業協会が、単に通産省といったような土俵だけではなくて、広く関係省あるいは内閣全体といった立場で事業の運営ができるように、特に委託開発のプログラムであるとかあるいは買い上げをするプログラムであるとか、こういったものについては、そういった広い視野から審議し、かつ、実行に移すべきだ、こういう御意見だろうと思います。  この点につきまして、私どもこの法案自体で考えておりますことは、まず第一には、協会が委託開発を行ないますプログラムと申しますのは、第二十八条に書いてございますように、「開発を特に促進する必要があり、かつ、その開発の成果が事業活動に広く用いられると認められるプログラム」こういうことでございますが、これ自身は三条のほうに規定をされておりますいわゆる「電子計算機利用高度化計画」この中のプログラムとほぼ同じような線に沿ったものであろうかと思います。「情報処理振興を図るため開発を特に促進する必要があり、かつ、広く利用される種類のプログラム」ということでございますので、こういった規定が三条にもございますので、この三条できめられました高度化計画の線に沿いながら事業協会は活動するということになろうかと思います。三条の規定によりまして、こういったプログラムの開発の目標につきましては、広く関係省の意見を聞くことになる。また、関係省自身がその持っております適当なる審議会にそれぞれ諮問をする、あるいは相談をするということで、非常に広い意味での意見がこの計画策定には盛り込まれてくるものと思っております。そういった計画に沿いまして事業協会が委託開発をするわけでございます。と同時に、この事業協会自身といたしましては、こういったような種類のプログラムを開発をしたい、あるいは買い上げたい、こういうことでありますと、それ自身一つの事業計画ということで通産大臣提出があるわけでございまして、通産大臣事業計画の認可をいたすわけでございますが、その際は第四十一条の二項によりまして、通産大臣事業計画につきましては、関係行政機関の長に協議をする、こういうことになっております。こういった意味合いから、事業協会がいたします委託開発のプログラムあるいは買い上げますプログラムの種類等につきましては、事業計画の協議あるいは認可ということを通じまして、実際的には先生がおっしゃるように関係省の者が集まりまして、この事業計画の認可をいたす際に、それが適当であるかどうか、また、こういったものは追加して事業計画に入れるべきではないか、こういったような議論が十分行なわれた後、事業計画を通産大臣が認可をし、その計画に沿って協会は活動する、こういうことになってまいるのではないかとも考えておるわけでございます。
  62. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御説明申し上げましたような法律案の仕組みで、そのつど関係行政機関の長、それから審議会及び長は、また、おのおのの持っておられる審議会というようなところに意見を聞かれて相談をしてやっていくという仕組みになっておるわけでございます。ことにこのプログラムは、場合によりまして産業とか経済とかいうことばかりでなく、もっと広い範囲のプログラムが登場してくることも十分考えられますので、「関係行政機関の長」云々、その協議というようなことは、十分そういう意味で広く解釈をして、各省各方面の意向が反映されますように運営をしてまいりたいと思います。
  63. 久保等

    久保等君 だから、この法案がこのまま通ったとすれば、運用はいま局長の言われるような、あるいはまた大臣の答弁せられたようなことで運用せられてしかるべきだと思います。しかしよくお考えいただくとわかるように、この審議会といっても、郵政のほうにある郵政審議会とそれから通産省にある審議会、それからその他それぞれの各省の審議会というのですか、これもばく然としている話ですわね。と同時に、そういう運営をやって一体能率的な運営ができるかということになると、まあ手がたくやるならばそういう順序を経てやっていれば間違いないのですけれども、ただ非常に日進月歩で進歩していくコンピューター技術開発の問題について、そういう手がたいのもけっこうなんだけれども、一面からいえば非常に機動力のない、非常に能率の悪い運営になっていくと思いますし、それから単にこの事業協会というものが、局長の御答弁だと、第三条のところに限られておると言うのですけれども、しかし第七条の目的に沿った運営ができるということにもなっておるわけですからね。そうだとすると、これまた限界を——第三条にいうのはこれですよといったように——きちっとすることは無理だと思うのです。それで、むしろそれよりも、私は積極的にコンピューターの関係について大いにやるべきだと思うのです。しかもあまりこまかく限定しないでやるべきだと思う。そういうためにもやっぱりこの協会そのもののあり方がこれでいいのかどうかということも問題だろうと思うのですが、これもやってみないことには、いままで全然やらないんだから、まあ衆議院あたりの御答弁を聞いていると、何か、何かと言うと語弊があるが、この際とにかくこれをやってみるんだという意味でお出しになっているように伺えるのです。事業協会そのもののあり方も、実際やってみてもう少し強化しなければならぬ、拡充しなければならぬという事態も当然予想されると思うのです。そういう問題とも相関連させながら、単に協会だけでこういった問題のすべてを判断をする、あるいは各関係省庁には相談し、審議会にかけるんだということになっておりますけれども、そういうのではあまりにもまた一面からいうと冗長で、非能率で、結局お互いにもたれ合ったような関係で、何か積極性がないような運営になっていくことも十分予想されると思うのです。したがって、今後の問題として、この運営にあたって、ぜひひとつそういうものをつくって、直ちにやりなさいということを私申し上げておるわけじゃないのですが、今後のやはりこの事業協会というようなもののあり方をも含めて考えたときに、そういう審議会なり委員会というような高度な判断のできるものを私は置く必要があると思うのです。そのことが非常に機動的に、能率的に、しかも的確に判断ができる、その協会が資金的な面でもむだがなく私は使っていけるのじゃないかと思うのです。そういう非常に大きな政治的なことを含めての質問なんですが、大臣のほうからひとつ将来の問題として御答弁をいただきたいと思うのです。
  64. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはごもっともな御指摘だと思います。そこで、各所に関係各省と協議をする云々というようなことが書いてございますが、実際上の運営としまして、いわば各省間の幹事会のようなものが実質上できて、そこでしょっちゅう相談をしながらやっていくというような運営をしていけば一番——いま久保委員のいわれました確かに両面あるわけでございますので——機動的に運営ができるのではないかと、こう思っております。御趣旨に沿うようにひとつ運営をしてまいろうと思います。
  65. 久保等

    久保等君 当面の運営は、もちろん大臣の言われるようにそういうことでやっていただきたいと思うのですが、立法上の問題としても今後のひとつ問題としてぜひお考え願いたいと思います。この法案にこの場でどうこう申し上げる問題じゃないので、今後の課題として私が先ほど来申し上げるような趣旨で、委員会なり審議会というものの設置を将来の問題として、ぜひひとつお考えを願いたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから、これは衆議院で附帯決議がついておりますから、もう私質問を省略して、大臣のほうから附帯決議に対するお考えをひとつ明確にお伺いすることにとどめたいと思うのですが、附帯決議の中で、第一項「情報化の促進は、国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与する重要な問題があるのみならず、それに関する政策は、極めて広範、多岐にわたるものであることにかんがみ、これらの諸点を総合調整のうえ、可及的すみやかに情報化に関する基本法を提案するよう努力すること。」二つには「情報化に関する基本的施策の立案に際しては、情報の民主的かつ平和的利用、国民に対する公開及び基本的人権の保障の諸点に留意すること。」附帯決議はなおあと三つばかりあるようでありますが、私は質問を省略して、大臣から、いま私が申し上げた二つの問題、特にできるだけ基本法というものの制定について、これはやはりお考えをいただく必要があるのではないかと私自体も考えます。この附帯決議に対する大臣の御所見を伺えれば、私の質問に対するお答えにもなると思いますので、伺いたいと思います。  それから第二の、いま申し上げたいわば三原則とでも申しますか、情報化に対する基本政策として、いわば情報の民主的かつ平和的な利用、あるいは国民に対する公開及び基本的人権の保障と、こういったようなこと、これも私は今後の情報化問題と政府が取り組むにあたって非常に重要な基本的な問題だと思うのですが、このことについてお尋ねをしたいと思います。二番目の特に「基本的人権の保障」という附帯決議もありますが、私、特にお考えを願わなければならぬと思うのは、個人のプライバシーといいますか、企業の秘密といいますか、そういうプライバシーなり企業の秘密というものについての保護、こういったものについては、これからこういった問題に足を踏み込んでまいるだけに、十分にひとつお考えをいただかなければならぬのではないか、今回のこの法律の中にはそういった問題には触れておりません。もちろんこういったことがいわゆる基本法等の中で十分にお考えをいただかなければならぬ問題だと思いますが、そのことについて一体どういうふうにお考えになっておるか、附帯決議に対する御所見と同時に、基本的人権を若干私なりに分析をして申し上げたプライバシーの問題あるいは企業の秘密の問題、こういったことについて一体どういうお考えを持っておるのかお尋ねをしたいと思います。
  66. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 衆議院でただいま御指摘のような御決議がございまして、政府といたしましては、御決議の御趣旨を尊重して行政に当たりますということを申し上げたわけであります。  そこで、この基本法の問題でございますが、これはもうこういうことを御決議になりますことは当然の趨勢だというふうには私ども考えております。が、基本法というものを考えてみますと、内容が非常に多岐にわたるであろうというふうに想像されますわけで、先ほど来お話のございました電気通信の問題にしてもやはり一つでございますけれども、たとえば教育の問題でありますとか、あるいは処理技術開発でありますとか、いろいろなものの標準化ということでありますとか、あるいは遠隔情報処理のための基盤、これは先ほどのネットワーク等々の話、あるいは通信回線の問題になるわけでございます。それから情報産業を今後どうやって育成するか、これはただいまの御審議中の法律案に一番関係がございます。それから先ほどお尋ねのありました役所、官庁における情報処理体制の整備その他いろいろございますと思います。プログラムというものが財産権としてどういう意味合いを持つであろうか、あるいは中小企業に対してはどういう情報化の施策が必要であろうか、いろいろなことが考えられますので、確かに基本法というものは非常に必要なものでありますが、何ぶんにも未知の世界が多いだけに、誤ってこれから先の動きを先取りしてはならないという感じもいたします。そこで、各省集まりまして、基本法に盛り込むべき事項をどういうふうに予測をし、どういうふうに考えるかというふうなことにつきましても、おいおい協議をしてまいりたいと思っておるわけでございます。それから、その際に、いま言われました民主的かつ平和的利用あるいは公開、基本的人権の保障、どれも異存のないところでございますが、ことにその中でプライバシーをどうやって守るかということは技術的にもかなりむずかしい問題を御承知のように含んでおりますが、しかし、同時にこれは非常に大切なことでございますから、やはり情報処理にあたりましては一番考えておかなければならないむずかしい、しかし大切な問題だと考えますので、そういうことも基本法を考えていきます上で十分に配慮をしてまいりたいと考えております。
  67. 久保等

    久保等君 時間がきましたので私の質問を終わりますが、この法律案そのものも、名前が情報処理振興事業協会、こういう名前になっておるんですが、別の面から見れば、情報処理技術というか、情報処理技術開発というか、こういったような面が実体だろうと思うのです。そういう点から見ると、これまたいまのこの行政組織法の上からいくと、科学技術庁の所管でもあるんじゃないかという感じがするくらいです。したがって、通産オンリーの所管問題とは考えられないほどこの情報処理ということばだけでは理解できない要素を私は含んでおると思うのです。したがって結論として、先ほど来質疑の中でもお尋ねしたことですが、要するに各省にまたがった新しい分野の仕事だと思うんです。したがって、いわば通産省が世話役的な意味でこの法案については通産省中心になって扱っていく。もちろん、ものによっては法案にも書いてありますように、郵政大臣の共管事項でもあるということになっておるわけですから、ぜひひとつ、この運用についてはそういう立場から、あくまでも視野を大きくし、また判断についても高度な立場で総合的にひとつお考えをいただくように、今後の運営については格段の御留意を願いたいと思います。そのことを最後に要望として申し上げて、時間がきましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 私は党のほうで、いま情報並びに通信の基本政策委員会委員長をしておりまして、微力ですけれども、情報産業の本来的なあり方、さらに今後の情報処理のあり方について勉強さしていただいておるわけですけれども、今回協会法案というものが提案をされて、衆議院では四条六カ所にわたって修正がされたわけですね。附帯決議がついて本院に回ってきたわけです。私はこの修正並びに附帯決議については全面的に賛成であります。しかもこの出し方についていろいろ批判が出るのは当然でありまして、日本の情報産業とこの処理というものは不離一体のものでありますから、その辺を基本的にどうするかという考え方をもう少し早くおきめになって、そうしてその基本の上に立ったハード、ソフトの技術開発というものをもっともっと推進しなければならぬと思うわけであります。そういう意味からいいますと、どうも日本の今日までの情報産業あるいは情報処理に対する政府の態度というものは、少し後手後手に回っておったのじゃないか。しかし、おそまきながら片ちんばであるけれども、出てきたわけですから、われわれはこれを多とし、さらにこの片一方の片ちんばを早く直していただくとともに、この法律の施行にあたっては、さらに最善を尽くしていただいて、日本の情報産業というものと、それの処理がうまくいくように私たちはこいねがっているわけです。そういう意味において、私は少しきびしい批判もするかもしれませんけれども、当たっておりませんでしたら、ひとつ反論していただいてけっこうですから、私はあくまでもよりいいものをつくるという立場に立って、建設的な意見を申し上げるつもりであります。  そこで、いま久保委員から御質疑がありましたが、私は本来情報産業振興基本法というものをつくるべきだと思います。日本の場合は、科学技術の基本法もなかなかつくれない。それから宇宙開発の問題にしてもそうです。宇宙開発事業団というものが先に出てきてしまうというようなことで、どうも科学技術の面については、考えてみますと、なかなか日本はむずかしいですね。なぜ基本がきまらないか。いまさっき大臣はいろいろ先取りをするようなことがあってはいかぬとか、いろいろ言っておられますけれども、すでに昭和三十三年に日本の国鉄の鉄道技術研究所とそれからもう一つは電子工業振興協会、これが実用化しているわけですね。その前年の三十二年に電子工業臨時措置法というものがつくられました。これは来年のたしか三月三十一日には、時限立法ですから期限がきます。しかし、この電子工業臨時措置法というものは、いわゆる日本の電子工業全体に対する法律であって、少なくとも情報、コンピューターというものを主体にした法律ではないのです。その間JECC等が途中で資金的な問題からつくられて、少しずつはやっておるけれども、今日まで政府が取り組んできた私は情報産業へのかまえというものは非常になまぬるかったし、後手後手だと思うのです。そういう意味で大いに反省をしていただきたい。私は昨年の十月ソビエトの科学アカデミーの招待で約十四日間ソ連のコンピューターを見てきました。キエフへ行ってみますともう実際国力のすべて、というとちょっと語弊があるかもしれませんけれどもね、金も技術も人員も投入して、そうしてやっておりますよ。アメリカのNASAにしても、これは一面には軍事的な目的があるからそれは何兆という金をぶち込んでコンピューター開発には使っております。ソ連もしかり。科学アカデミーなんというのはまことに膨大な国家資金をやって全国に専門の研究所を持ってやっております。キエフが一番の中心で、大型のコンピューター開発しております。私はそういう意味で米ソ二大国のコンピューター開発というものは、これは日本と違いまして一つの軍事目的というものがあるのですから金を出すでしょうし、いま申し上げたような潤沢な環境の中で育ってきたと思うのです。ところがわが国におきましてはIBMの特許を基本にしてそれぞれの会社が、六社が技術提携をしてまいりました。たとえば富士通は御承知のように技術提携をやらずに独自の立場で開発をしてきた。だから結局IBMがつくった金物と、それにくっついておるソフトというものが一緒にくるわけです。だからしてどうしてもソフトの開発がおくれてきておる。十年おくれておるというか、私は十年か十二年かはっきりわかりませんが、おくれていることは間違いないですね。それで富士通あたりが開発したものがいまブルガリアに行ってもヨーロッパのほうへ行ってもこれは高く評価されております。ブルガリアでも私はそういう意見を聞きました。むしろブルガリアの国では日本コンピューターにかなり期待をしているのです。御承知のようにIBMに席巻されて、おそまきながらヨーロッパでは立ち上がってきておる。そういう中で、ブルガリアの国ではやはり情報化社会の方向をねらっておりますよ。その際に共産圏の一員ではあるけれども、あえて自由圏の中からコンピューターについても学ぼうとする意欲を持っておる、私はそう見てきました。ちょうど大平通産大臣が私が行ったときにブルガリアに来られまして一日御一緒しましたが、そういう中でおそまきながら皆さん方も外国を見てくれておるけれども、そういう意味においてソ連、アメリカコンピューターに対するかまえというのは、これは例外ですから言いませんがね。それにしてもわずかな技術提携の中で今日まで少くともハードがここまできたというのは、やはり日本技術が誇るべきものだと思うのです。そういう意味において通産省技術指導の面に当たったことは私は高く評価していいと思う。しかしそれがなまぬるいということですね。しかもソフトについてはまだあなたまかせだ、かつてばらばらに各会社がソフトの研究をして、Aの会社のやつをBに持ってきても使いものにならぬものもあるし、そんなことを考えずにAだけでやっているから、これはやはりユーザーあたりから見ると困ったものですよ。そういうものを統一していこうというこの法律のねらいというものは、一つ生きてくると思うのです、そういう意味からいっては。だからしておそまきながらここでこういうものが一つできたのだから、本来の方向に前進してもらうと、そのために大臣、まず私は、いま久保委員からお話があったのですが、第一点として、基本法を早くつくるべきですよ。来年、四十六年の三月三十一日で電子工業臨時措置法も切れますよね。一体これをどうするか。これまでに基本法を出してくれますか。そういうことでなければこれは片ちんばでまたおかしくなってしまう。ちんばが大きくなってしまう。そういうことも考えながら、私はできるだけ早い機会に基本法というものを制定すべきだと思うのです。それは先取りをするということもあります。私は、いまここで大臣にこういうことを聞いておきたい。これは科学技術庁も来ておりますが、一体情報化社会とかなんとか、こういつておるのですが、情報化社会とは何か。日本の五年先の情報化社会は一体どういう姿になってくるのか、あるいは十年先には日本情報化社会というものは一体どういう形になっていくのか、皆さんは専門の立場で勉強していると思うんですね、だからこの青写真をやはり私は示してもらいたいと思う。政府が総力をあげて研究されているでしょうからね。十年後、五年後、まあ五年後がわからなければ三年後でもいいです、一体それはどういう展望で情報化社会というものがやってくるのか。それに対して日本のハード、ソフトはどういう体制でそれにマッチしていこうとしているのか、対応策というものはどういうものを持っているのか、それが基本でなければならない。それでなければ、私はこういうものをつくってみたって、大型プロジェクトで超高性能コンピューターをつくってみたって——四十六年中につくるということを約束しているからつくるでしょう。でき上がったものを一体何に使うのか、百億とか何ぼとか相当の金をかけてつくったものを何に使うのか、そういう問題が出てくるのですからね。だから願わくば、ひとつぜひこの法案審議にあたって、基本法制定という立場に立って私はものを言っておりますから、その場合に五年先、十年先の展望というものはどうかということを国民の前に明らかにしてください。そうすれば大体わかるんですよね。
  69. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一般に情報化社会というものをどういうふうに定義するか、いろいろ説があると思いますけれども、普通いわれておりますことは、御承知のようにエネルギーというものがだんだん安くなってくる、物質というものも合成されるに至って、経済の中で占めるその二つの要素のウエートがだんだん低くなって、第三の要素である情報という、そういう要素の比重が大きくなっていく。それがあたかもたまたま脱工業社会といいますか、ポスト・インダストリアル・ソサエティーに入っていくときにそういう現象があらわれてくるというふうに一般に理解してよろしいのではないかと思いますが、したがって情報化社会そのものにとって、情報化社会そのものは電子計算機がなければ来ないというはずのものではありませんけれども、電子計算機があることによって情報化社会の育成が促進されると、こういうふうに考えるべきではないかと思うのであります。そしてわが国においても、所得水準がかりに昭和五十年にほぼ三千ドルくらいになるといたしますと、かなりそういう社会に近づきつつある。また消費の内容におきましても、エンゲル係数が低下をいたし、いわゆる雑費といわれているもののウエートが年とともにふえてくるというようなこと、いろいろ考えますと、わが国もそういう社会に入りつつある、その方向に向かっているということがほぼ間違いなく言えると思うのであります。そういう社会において人間が生活の必要の最低限度についてあくせくすることからだんだんに解放されて、時間と自分の個性とをいわゆる人間らしい創造のために、クリエーションのためにどう使うかということが情報化社会におけるわれわれに与えられた命題であろうと思うのであります。したがって、先ほどからお話しの基本法というようなものを構想として考えます場合には、そういうことを基本に置いて考えていくべきだと思うのでありますが、何分にもこういう大きな変化、それも多少未来に関することでございますので、官庁の組織からは非常にそういう発想というものは出にくい。本来官庁組織というものはそういうものに概してなじまないものでございますので、非常に出にくうございます。これは権限意識とかということでなくて、非常に出にくいので、やはりこの情勢がある程度成熟してきまして見当がついてきませんと、なかなか思い切った構想というものが、ことに法律というような形になりますと書きにくいということは、おそらく事実問題としてお認めいただけるであろうと思います。一つのリーダーシップが要るわけでございます。しかしなかなか官庁組織の中からはそれが出てこないということで、基本法が実はなかなか——御指摘に私も同意なのですけれども一まとまってくるような気配にないわけでございます。ですから、一つ必要なことはリーダーシップがその場合に大事であるというふうに考えております。ですが、この基本法的なものができませんと、他方では一番情報化社会の基本になるはずの人間の教育というものすら実は十分には進み得ないわけで、文部省は文部省でそれなりの配慮はしておりますけれども、考えようによっては、いままでの教育のあり方、あるいは教育の方法というのにも影響がありますし、また、その中からシステムエンジニアを育てるというような、そういうカリキュラムの問題もあるわけでございますから、教育の点一つをとりましても、基本的なデッサンができませんと、実はやはりそこに無理がある、十分にはできないというようなことであろうと思っております。したがって、基本法というものは、これは通産省の問題でも何でもありませんので、国全体の大きな問題でございますから、そこでやはり政治がリーダーシップを発揮しなければならないわけですが、そのリーダーシップに先見性が伴いませんと、これは間違ったリーダーシップになるわけであります。でありますので、非常にむずかしい問題でございますが、政府としてはやはりそういうことをしなければならない、リーダーシップを発揮しなければならない段階にきておるということは、私ども痛感をしておるわけでございます。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 そのリーダーシップをとることを痛感するだけではだめですよ。具体的にどういう行動をとるかということにならなければ、これは話が進まない。だから情報化社会といっても、ただコンピューターだけではない。機械にしてもレーダーにしても、含めて、ファクシミリの問題もあるでしょう。しかし基本になるのは、いま未来学を論ずる場合、月まで人間が行くのですから、だからやる気になればできると思うのです。これだけやる気があって金があればできる。技術はあるのです。だからしてそれをやるのが政府の責任ですよ。だから、何で情報化社会というようなことを言うのですか。情報化社会ということを展望すれば、そこにやはり未来図というものがなければならない。それを認めるのが政府の責任だと思うのです。あなたのおっしゃるように、官庁機構というものはなじまないというなら、これはやはり見来学者がおるのです、その向き向きの専門学者もおるのですから、そういうブレーンをつくって、そういう中で研究してもらったっていいじゃないですか。そういう考え方がないから、ちっとも進まないのですよ。だから申しわけないじゃこれはいかぬのです。少なくとも五年先は日本情報化社会はどういうことになるかということを国民の前に明らかにされないで、何の情報化社会と言えますか。あるいはハード、ソフトの指導行政をしていくなんて言ったって、おこがましい話であって、現にそういう矛盾が出ているじゃないですか、この大型プロジェクト一つをとりましても。もっといまの科学の時代に、やる気になって未来図をつくってくださいよ。そうしなければさっぱり話が進みません。  科学技術庁は科学技術振興のためにやっていただいているわけですが、鈴木さん来ていただいているようですが、何かそういう一つのアイデアありますか。
  71. 鈴木春夫

    政府委員鈴木春夫君) 将来の予測、これは非常にむずかしい問題でございますが、予測する場合に二つの方向があると思います。一つはいろいろな社会のニード、そういったものによりまして、その方向に進んでいくという一つの方向、もう一つは新しい科学技術の発展によりまして進んでいく、二つの方向があると思いますが、将来の予測をする場合には、そういったものを統合しまして予測をしていくということになるわけでございます。われわれ科学技術の将来を目ざしてのいろいろな研究開発をしているわけでございますので、そういう点を早く知りたいというのが基本的な問題でございます。それで、いままでなかなか予測技術というのが、いいものがなかったわけでございますが、アメリカで発達しておりますデルフィ法というのがございます。これを使いまして、将来の科学技術の予測、こういったものをやろうという試みを本年度準備してございます。それは科学技術の今後の進歩、それを先ほど申し上げました科学技術そのものの発展と社会のニードという両面から、多くの人たち、大体四千人を対象に考えております。そういう人たちからアンケート方式によるデルフィ法をこれを改良いたしまして予測していこうということで、大体三十年くらいの間にどういうことが起こっていくか、どういうことが現出をするかというようなことを科学技術の面から予測していくというような試みを現在準備中でございます。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 雲をつかむような話をされても困るから、いまここであなたにコンピューターに限って詰めていくということはちょっと無理かもしれませんが、これは大臣ね、いま科学技術庁が言っているのは、科学技術全体としてのテンポのことを言われているんですよ。それはそれとして、雲をつかむようなことにならないように、現実に近づくようにやってもらいたいと思うのですよ。それで、とりあえず、そんなことを言ってもあれですから、やらなければならないことがあるわけですから、それで、未来像をつくる必要は大臣も認めましたね。それがなければいかぬと思うんですよ。どんな努力をしてもやらなければならない。それで、基本法は、いずれにしても早く出していただくということで、衆議院の附帯決議に私は賛成している。そこで、電子工業振興臨時措置法というのが来年切れるのだが、そうするとJECCの問題についてもゆらいでくると思うのです。法律の関係で多少問題が出てくると思う。だからして、何か通産省として考えておく必要があるのじゃないかと思うのですが、この法律は時限立法ですから、期限が切れた場合、新しい法律を——できれば基本法を出せばいいんだけれども、いまの大臣の話ではちょっと出そうにもない。そこで、暫定的にどういうふうにしようとするか、その点。
  73. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 電子工業振興臨時措置法につきましては、御指摘のように来年の三月で期限が切れます。そこで私どもこの問題を含めまして、別にまた機械工業振興臨時措置法というのが、臨時立法ですから来年三月で期限が切れます。それで、機械工業、電子工業両面をあわせまして、今後、大きく申せば七〇年代の機械あるいは電子、こういった工業の政策はどうあるべきかということで、産業構造審議会の重工業部会に、現在、大臣から諮問をしていただいておりまして、現在までも数回にわたって分科会等を持ちまして審議を進めております。私どもといたしましては、従来のいわゆる電振法——電子工業振興臨時措置法の果たした役割りの非常に大きかったことにも思いをいたしますと同時に、やはり新しい七〇年代のかまえ方と申しますか、構想というものに立脚をして、ひとつ思い切った発想の転換のもとに何かの対策を考えていかなければならぬ。そういった対策の中で、特に立法事項を要するものは法律として新たに制定をすべきである、こういう考え方を持っておりまして、言ってみれば、単純に現在の電振法を単純延長するという考え方ではなしに、根本的な検討を加えた上で、必要な立法事項については新たに立法する、こういう考え方で現在審議会において多数の学識経験者の方にお集まり願って審議を進めておる次第でございます。こういった結論を見た上で考えていきたい、こういう考え方でございます。
  74. 鈴木強

    鈴木強君 それはそれとして御検討いただくことにして、いずれにしても切れてしまっちゃ困ると思うのですね。ですから、切れないような形で前進的なものを考えていただくということを、あなたの答弁でそう言うなら受け取っておきますが、それで、基本法の問題ね、これは五年先、十年先の展望が明らかにならないとしても、残されているハードの面ですね、それから教育の面、あるいは回線利用というのもあなたのほうの計画にあるわけなんだが、そういったような基本的な問題が事業協会法からは抜けているわけですね。したがって、そういうものを含めた一つの構想というものを立てて、できるだけ早い機会に基本法というものを出す、そういう方針であってほしいと思うのですね。その際、さっき述べられた民主、自由、公開、それから基本的人権の確保ですね、プライバシーの確保、こういったものは当然やってほしいと思うのですが、それともう一つは、この出てくる基本法というものは、何といっても重大な問題だと思いますから、それだけに各界各層の意見をやはりできるだけ聞いて、そしてナショナルコンセンサスというものを求めていくということでないといけないと思うのです。ですから、お互いに尽くすべき議論は尽くし、われわれも社会党の立場ですけれども、党は党として研究もするし勉強しているわけですから、ですから与党の意見だけを聞くという、そんなけちなことではなくて、各党各派の意見も十分事前に聞いていただく。それからまた、できれば、さっき言った学識経験者等を含めたそういう一つの何か委員会的なものをつくって、そうしてその中でもってお互いにディスカッションしていただく、そうして未来に向かっての情報産業のあり方を打ち出していくという、そういう民主的なかまえというものを持ってほしいと思います。ここで私は内容について触れることはできませんから、そういうものを出す場合に、附帯決議にはないのですけれども、ナショナルコンセンサスを得るような方法を大いにひとつ通産省としてはとっていただきたい。そうして、議会筋からもできるだけひとつ事前に意見を聞いていただきたいと、こう思うのですけれども、異論はないと思いますが、大臣どうでしょう。
  75. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど科学技術庁のほうからデルファイメソッドのお話がありましたが、これは確かに政府としてそういうことをやりますのは初めてのことかと思います。非常に私は意義があるだろうと思います。それによってある程度未来社会の科学技術の面からの予測をする。また、経済企画庁で新全国総合開発計画をつくりましたが、これも昭和六十年ごろまでのそのサイドからのある程度の予測をいたしておるわけであります。しかし実は一番問題なのは、経済とか産業とか科学技術とかいう面よりも、人間の心の変化といいますか、変質といいますか、そういうものをおそらくいろいろの形で含みそうに思いますので、実はちょうどいま鈴木委員の言われましたような片寄らない各界のよほどの総合的な御意見を聞いてまいりませんと、間違った法律をつくるおそれが多分にございましょう。したがって、これは本来総理大臣がお答えになるべきことだと思いますが、やはり私はそういうベースの上で基本法というものは考えていかなければならないと思います。御意見には全く同感でございます。
  76. 鈴木強

    鈴木強君 私は、この科学技術全体の問題の一こまですから……。しかしこれは非常に情報化社会といわれる社会に向かっての大事な産業であるし、技術開発だと思いますから、国会にもその委員会をつくってもいいくらいの問題だと思いますけれども、これはしかし院のことですから院のほうで相談するといたしまして、少なくともいま大臣のおっしゃったような、広く各界各層からの意見を聞かなければならぬという意見は、私も全く同感でございます。そういう所信を伺いまして私も心強く思います。ぜひひとつそういうかまえで今後法律の策定、さらに今後の展望の樹立ですね、こういうものについてやっていただきたいと思います。  それから、いろいろ聞きたいことがあるのですけれども、JECCの現状等について久保委員から御指摘があったようですから、私はただ一つ、未払い金が四百三十九億円あるのですけれども、この未払い金の、会社別未払い金のものを示してもらえませんか。
  77. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 手元にいま直ちに資料はございませんが、一応未払い金の会社別ということになりますと、やや会社の営業上の問題もございますので、詳細な数字は、できましたら差し控えさせていただきたいと思います。要するにこの未払い金の会社別の数字は、ほぼJECCが買い取っております会社別の金額に比例をしておるというふうに御了解をいただければよいかと思いますが、それ以上の詳細な数字は、できましたら差し控えさせていただきたい。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 これは少なくとも開銀から金を出しているわけですからね。ですから国民の立場に立って、一体この金はどういうように有効に使われているのか、そうしてなぜ未払い金があるのか−私はただ単に未払い金があるからけしからぬと言うのではなく、未払い金があるのにはあるだけの理由がある。ですからそういう原因を追及して、そうして改善をしていくような方法を考えてやらないとだめですよ、これは。だからふたをすべきものではないですよ。明らかにして、なぜこういう未払い金が出てくるのか、こういうことですね。運用にあるのか、会社の経営の面もあるでしょう。だれだって未払い金は出したくないのですけれども、出てくる、出てくるのはどういうわけか、運用にあるのか、長期にわたってあるのかどうか、こういう点もわかりませんから、赤澤さんは、これは差し控えさせてくれと言うのではなく、大胆に出して、そうしてもし未払い金の内容が、どうしてもその理由があればそれを明らかにしていただいて、それを是正するように国としても協力すべきではないですか。少なくともこの資金は何か知らぬがおかしいのではないかという誤解を受けてはいかぬでしょう。
  79. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 御意見のとおりでございますが、私が申し上げましたのは、各社別の未払い金については、いま申し上げましたように大体各社からJECCが買い取っております買い取り金額にほぼ比例した未払い金という形になっております。各社別に、ある社に幾らということは、できましたら公表を差し控えさせていただきたいと申し上げたわけでございます。こういったような未払い金が出ておりますのは、やはり先ほども久保委員の御質問にお答え申し上げましたが、特に四十年以降非常な勢いでコンピューターの利用が促進されております。したがいまして、JECCの引き取り額におきましても、四十年度においてはわずか二百八億円でありましたものが、五年後の四十四年にはすでに四倍をこす八百三十億円になってきておる、こういうようなことからいたしまして、引き取り額が非常にふえておるのに対しまして、レンタル収入の面におきましてもあるいはその他の面におきましても、やや追いつかないと申しますか、そういった面がある反面、こうなってレンタルと買い取りの間をつないでおります資金面におきましても、やはり買い取りの借り入れ金が金融の情勢等もございまして、必ずしもこれに追いついていけないといった面があるわけでございます。そういった差額が結局対価の未払い額として残ってくる、こういう状態でございます。したがいまして、簡単に申せばもっと開銀資金をふやして、もっと市中銀行からの借り入れ金をふやしていけば、未払い金は漸次なくなって、各社の買い取っただけの金は払える、こういうことになるわけでありますが、その点につきましては、さしあたり昨年以降の金融引き締めの状態もございます。また、政府の財投資金の立場から限度がございますから、私どもできるだけ努力はいたしておりますが、なお十分でない、こういうことでございます。今後とも会社の状態を十分見まして、私どもとしてはなお一そう努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 あえて、はばかりたいと言うなら、私はあえてまた言いませんが、少し不満ですね私は。そういう点はこれが民間会社の資金によって完全に運営されておるものならば私はあなたの言うことはわかりますけれども、そうでないわけですから、ですから明らかにすべきだと思います。また何かの機会に伺うことにしましょう。  それから第三条の点でちょっと伺いたいのですけれども、カッコの中ですね。「(電子計算機に電気通信回線を接続してする情報処理のために開発するプログラムに係る部分については、通商産業大臣及び郵政大臣。以下この条において同じ。)」このカッコの中は、郵政大臣と通産大臣が協議をしてきめたもののみをオンラインする。電気通信回線までつなぐ場合には、その情報処理のために開発するプログラムというものはやるのだ、こういうことだと思うんですが、もう少しこの解釈をはっきりしてもらいたいと思うんですがいかがですか。
  81. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) ここに書いておりますプログラムにつきましては、あとの第一項の二号にございますように、特に開発促進する必要がありかつまた広く利用される種類のものということでございまして、いわば汎用的と申しますか、基礎的と申しますか、そういったようなプログラムを予想をいたしておるわけでございます。こうなってもののうちからも一般的に電子計算機に密着いたしまして使いますようなオペレーションプログラムと申しますか、そういったものも含まれてまいりますが、同時にいわゆるオンラインによる情報処理、データ通信といわれておりますが、オンラインによる情報処理のために用いられるプログラムも当然今後開発目標の中に入れていくべきだと私も考えております。しかし、先ほど来御議論がありましたオンラインということにつきましては、やはり電気通信回線を利用するわけでございますので、その面につきましては郵政大臣が所管されております。そういった面から、オンラインにかかわるようなプログラム、電算機を利用するためのプログラム、こうなってものは、やはり両大臣が共管という形で両方で密接に協議をし、審議をいたしまして、両方の意見の一致したところで、これをやはり目標として掲げていく、こういうことが必要であろうという考え方でございます。こうなって意味から、カッコの中のオンラインにかかわるようなプログラム、こうなってものについては両大臣がきめていくんだと、こういうふうに規定されておるわけでございます。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 これは私はあとでお尋ねをする回線開放の問題と非常に重要な関係があると思うのですね。したがってこれは謙虚に、われわれも従来のいろいろないきさつがあるわけですけれども、過去のいきさつとそれから将来への展望を考えた場合に、一体通信回線の開放ということはどうしたらいいかということを真剣に考えなければならぬ時期にきておる、こういうときだと思うのですけれども、それはそれとしてまたやりますけれども、とにかくこの「プログラムに係る部分について」というカッコの中の解釈がどうもはっきりしないのです。だからこの点については、何ですか、郵政大臣と通産大臣との間で何かこの実施についての約束とか何かをお互いにきめていこうということはないですか。
  83. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) この法律を立案いたしまして、国会に御提出を申し上げるにあたりまして、郵政省だけではございませんが、関係各省と十分討議をいたしました。いまお話の郵政省との間でございますが、いろいろな経過がございまして、両当局で非常に熱心に討議をいたしました結果、両事務当局におきましてこの法律の施行につきまして一応の考え方というものを定めました覚え書きを交換をいたしております。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 やはり非常に大事なところですからね。これはやはり両省間あるいは政府全体としても一つの意思統一をしておく必要があると思うのです。そういう意味においては両省間の何か約束したことというものはあることはあるでしょう。
  85. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) はい。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 その内容を明らかにしていただきたい。
  87. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 両省間で意見が一致いたしました点は、特にこの法律提出と同時に私どもの間で討議をいたしておりました公衆電気通信法の改正の問題、こういった問題と両方含めた考え方で両者の意見が一致した点を覚え書きという形でまとめたものでございます。その内容は、簡単にその要点だけを申し上げますと、両省におきまして電気通信に関する事務はもっぱら郵政省の所管に属する事実、また電電公社、国際電電が現にデータ通信を行なっている事実、こういった事実をまず確認するという点が第一点でございますが、そういった確認のもとに一、二の点をきめております。第一点としましては、電電公社あるいは国際電電が行なっておりますデータ通信、このデータ通信業務を、これらの両者が営業として所管をするといいますか、営業をするということについて、通産省は異議がないという点が第一点でございます。これは事実現状行なっておることについて異議がない。それからさらに、通産省は郵政省がデータ通信を公衆電気通信役務として公衆電気通信法等に規定することについて異議がない。また、郵政省は通産省電子計算機の輸出入、生産流通、消費の増進及び調整をはかるために必要な規制を行なうことについて異議がない。これは現状の確認でございます。さらに、通産省は本法が制定されたことを理由といたしまして電電公社あるいは国際電電が提供するデータ通信業務に対して制約を加えるものではない。こういった趣旨の考え方が一致をいたしましたので、その点を文章にして取りかわした、こういう次第でございます。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。内容はわかりました。まあ現状を当然のことを約束したということですね。  で、その点はわかりましたから、もう少しそういう意味で第三条第一項のカッコ内の解釈について明らかにしておきたいんですが、こういうふうに理解していいですか。第一点は、オンライン情報処理のための通信回線利用のあり方については、公衆電気通信法によってきめられるものであって、同法の改正について国会の承認を得られない限り両制度の基本的な変更はないものと考える。  二つには、したがって情報処理振興事業協会等に関する法律案規定は、公衆電気通信法の運用あるいはその改正に影響を与えるものではないというのが二つですね。  三つ目には、いまの第三条一項のカッコ内の規定は、現行公衆電気通信法による現在すでに可能となっている通信回線の利用制度に即したオンライン情報処理のためのプログラムの開発目標を策定する大臣を定めたものである、これ以外は問題はない、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  89. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのとおりでございます。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 それで、その点はわかりました。もう私はこの将来のオンライン、通信回線の開放については、御承知のとおり、郵政審議会でいろいろ論議があって、答申があって、それが今度の国会に法律改正として出てくるだろうというわれわれは考え方を持っておったんだが、途中でこれが出てこないわけですね。何かこれが出てこないことによって、一方が勝って一方が負けたんだというような話もたまにあるんですけれども、そうではないと思うんですよ私は。したがって、それだけにむずかしいことであろうと思うんです、回線開放はですね。したがって、われわれも何が何でも電電が独占をしていかなければならぬと、そういうことではないんです。ただ、さっきも聞いたんですけれども、五年後、十年後に一体どういうサービスが予想されるのか、これすらまだ明らかになっていない段階ですね。しかも、御承知のように電電公社はことしも二百十万個の加入電話を増設することにいたしましたが、百六十五万個をあえて二百十万個にふやしました。しかも、現在二百七十万個の積滞電話がある。電話を申し込んでもつかないのがある。ですから、この電話をつけてもらいたいという声は至上命令です、国民の。だから、内閣も百六十五万を二百十万に上げたわけですよ。私は、サービス工程と基礎工程というものは不離一体のものですから、ことし二百十万個に上げたということはかなり冒険ですよ。これは公社側にとっても、そこに働いておる労働者にとっても、かなり冒険ですよ。しかし、あえてそれをやらなければならぬというので、とにかくそれをがんばっておるわけです。そういう問題が一つある。  それから、御承知のように北九州市は、あれは長いことかかりましたけれども同じ北九州市にあって、小倉だとか八幡だとか折尾だとか若松だとか門司だとかいう幾つかの局があって市外通話をそれぞれやっておったのが、これもやっと同一市町村に合わせる電話の統一をやったわけですね。ところが、いま電話の加入区域については、町村合併によって自治体が一本になれば電話は一本になさいという政府方針があるにかかわらず、同じ市内であるにかかわらず電話局が幾つかあって市外通話をやっているところがまだあるわけです。大阪の豊中なんかに行きますと、一方は大阪の市内電話で、一方は豊中の電話だ。同じ大阪市内で、一方は市外通話をやっている。そういう矛盾もあるわけですね。そういうものの是正。  さらに、普通加入区域から特別加入区域あるいは区域外と、それぞれ区分がありまして、区域外の人たちは特別の施設費を負担しなければ電話が引けないわけです。そういったいま当面電電公社のかかえている問題があるわけですから、さらにデータ通信のための回線をもし引くということになりますと、アメリカのように、もとから民営でスタートしているところと違いまして、国家独占の明治二年以来の国家これ専掌すという独占事業であるわけです。したがって回線の配置というものは、これはもうたいへんなことなんですよ。だからして、いまから要するにコンピューターをつなぐオンライン開放ということが出てくると、電話と今度データというものを一緒くたにもしやってごらんなさいよ。これは本来の電話の機能というのは阻害されますよ。現にニューヨークで十数分であってもそういう結果が出てきているわけです。だから今後電電の回線開放ということになると、その辺をよく考えておかないと、ただ観念的に開放させろと言ってみたって、これはしろうとが言うことであって、少し勉強していればそんなことはちょっと見当違いなことで、整理するものを整理して、そうしてやらなければいかぬのです。その辺の配慮を考えながらやっていかなければならぬ。だからさっきいったように、現状のデータ通信は、公衆電気通信役務であり、電電公社はこれを提供する、これは通産大臣も認めているわけです。したがって、そういうものが、これからの将来に向かって、一体電電公社がやりよりもある人がやったほうがなおベターであるということがあるかもわかりませんからね。そういうものまでわれわれ否定しようなんでいうことは考えないです。ですからそういう点を十分理解して、電気通信事業、要するに電信電話というものと、新しく出てまいりますこのデータ通信を、公社がおやりになる、あるいは民間に開放するという回線の開放があるかもしれませんが、そういう場合に、その辺を十分に考えてまいりませんと問題を起こすように私は思うのです。ですから加入データの開放は、郵政審議会でも一応ペンディングになっておるようですね。それだけむずかしいのです。ただしろうと観念でやられたのじゃ困るわけです。そういう点は私はさっき言ったように、基本法との関係もあるでしょうし、十分にひとつ各層各界の意見を聞いて、将来にわたって悔いのないようなことを考えていかないと困ると私は申し上げているわけです。ですからしてその辺を十分理解して、今後出てくる基本法で協会法に抜けている一つの回線問題は配慮していただきたい、こう思います。これは非常に重要ですから、ぜひ大臣からもそういう実情をわかっていただいて、その上でひとつやっていただくように、所信を承っておきたいのです。
  91. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは郵政大臣がお答えになるべきことかもしれないと思いますが、かりに公衆電気通信法の改正が成立いたしました暁には、電電公社にとっては新しい仕事が、非常に大きな仕事が一つネットに加わることになるというふうに考えます。しかも古い仕事、在来からの仕事のほうは完全に行なわれているかといえば非常な積滞を持っているわけでございますから、新しい仕事の上に、在来からの仕事を放てきしたり、あるいはそれに影響与えるということは、当然あっていいことではないと考えております。したがって、新しい仕事が将来加わりましたら、公社の事業量なりあるいは予算にいたしましても相当それだけ増大をしていかなければならないのであって、その結果在来からの仕事に影響を与えるということはあってはならない。その辺の事情は私もよく理解をいたしております。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 これは監理官いらっしゃいますので、大臣おらないから、さっきのこの通産との覚え書きの内容ですね、それからいま私が申し上げたような考え方は、これはもう当然郵政大臣としては所管の大臣ですから、通産大臣がおっしゃるように、通産大臣より以上に配慮している問題だと思うのです。私は原則としてこれから通信線を使ってオンラインシステムをやろうとする場合に、正力さんが御生前に考えたようなマウンテントップ方式という中にマイクロウエーブなんか引っ張って、かりにやったわけです。とてもこれは全国に電電公社のような回線網を引くというようなことは不可能ですね。ですからどうしてもこれは公社によらざるを得ない。たよる場合に、いま言ったいままでの電話とか電信の本来的な目的を阻害しちゃだめだ。私は、願わくばデータなるものは新しい回線をやはりつくって、そうしてやるくらいの配慮がないといけないと思う。そうでないと、電話と電信、それからデータというものがくっついてやった場合に、タイムシェアリングの方式をとったとしても、ある時期それが重なり合って一つの機能が阻害されてくるということが出てくるから、その辺のところは技術的な問題から経済的な問題もからんでくるわけですね。その辺を十分配慮して、ただ開発すればいいというのは——そういう点がないということは大臣わかりましたから、監理官もぜひそういう考え方でやってほしいと思う。あなた大臣にかわってひとつ答えてください。
  93. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) 鈴木委員のただいまの御所見でございますが、われわれも全くそのとおりに考えておる次第でございます。現在の通信回線網と申しますのは、これは電話、電信というものを主体にして、そうしてそれを疎通させるために構成されたものでございます。で、データ通信というものがはたしてそれと同じような性格あるいは特性を持っているのかどうかということについては、なお慎重に考慮しなければならない。そういうことを明らかにした上でいろいろと考慮してまいりたい。ただいまの先生のお話のとおりに事案を処理して事を進めてまいりたい、そう思います。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 それから、第三条の一項の一にある「情報処理振興を図るため利用を特に促進する必要がある電子計算機」ということですね、これはどういうものなんですか。さっきの大型プロジェクトのようなああいうものとも違うと思いますけれども、これはどういうものかひとつ説明してもらいたい。
  95. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 現在、電子計算機の製造技術も非常に進んでまいっておりまするが、さらに今後はこういったものが一そう用途といたしましても、たとえば予測業務でございまするとか、計画業務でございまするとか、非常に高度な面に利用されてくると思います。現在のところはまだ計算業務的な、いわば事務処理的な適用範囲が多いのでございますが、こういったものは高度になってくればくるだけ電子計算機につきましてもやはりそういったものに適応した性能を持った電子計算機が必要になってくる、こう考えております。そういった意味から、たとえばいまお話もございましたようなタイムシェアリングの可能な電算機でございますとか、そういったものを考えておりまして、特に記憶容量におきましても非常に大容量のもの、また記憶装置のサイクルタイムにつきましても非常に短いもの、こういったものを今後の設置の目標として掲げていきたい、こう考えておるわけであります。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 さっきの覚え書きとちょっとひっかかるね、いまのあなたのお話は。将来のオンラインですかの場合の情報処理のためのプログラム、電子計算機開発というふうにおっしゃったのですか。
  97. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 先ほどお答え申し上げましたのは二号のほうのプログラムについてお答え申し上げたのでございます。一号のほうの電子計算機につきましては、オンラインとかなんとかということでなしに、電子計算機そのものの性能の高度なもの、こういう意味でございます。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 それは一のほうはわかりましたが、二のほうの汎用的な情報処理の場合ですね、これはそうするとオンラインの想定でやっているわけですか。
  99. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) そのとおりでございます。現状のオンラインに即しまして、そうして、そういったものを今後進めていきますために、やはり汎用的なものをまず必要とするであろう。そういった分野がございますから、そういったものにつきましては十分通信回線を所管しておる郵政大臣と私どものほうと一致した見解のもとに進めていきたい、こういうことでございます。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 そうするとカッコ内のさっきの解釈は生きているわけだな。その解釈は第二項にも同じように適用しているわけだ。それでいいですね、その範囲を逸脱しない。これははっきりしている。
  101. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 御指摘のとおりでございます。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 それから二項の「計画には、電子計算機の設置及びプログラムの開発の目標となるべき事項について定めるものとする。」、こうある。この目標となるべき内容というのは一体どういうものか。それと関連して第三項「計画を定めるにあたっては、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、政令で定めるところにより、」ここのところです。「電子情報処理振興審議会及び郵政審議会の意見をきくものとする。」ということですね。この計画の目標を定める、目標となるべき内容ですね、そういうものはどういうものか。そういう計画を定めるにあたって協議する行政官庁と、そういうことについては郵政審議会の意見等を聞く、あるいは電子情報処理振興審議会の今度できますね、意見を聞くと、政令でその内容は定めるというのですね。この政令はどういう内容ですか、これを明らかにしてもらいたい。
  103. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 第二項では「計画」ということばを使っておりますが、この計画自身は、私どもは言ってみればガイドポストと申しますか、そういったような感じの計画と考えております。計画ということばはいろんな意味で使われておりまするので、厳密に申しますと、いろんな使い方があるわけでございますが、ここでは一つのガイドポストを立てたらどうか、期間もとりあえず第一期といたしましては五カ年程度のガイドポストを立ててみたらどうか、そういう意味で目標ということをここに使っておるわけであります。計画と申しましても、いわばそういった意味の計画であるということが第二項の規定でございます。  第三項できめておりますのは、こういったような汎用的あるいは基礎的なものではございますが、そういったものをまたさらに使いまして、いわばアプリケーションプログラムと申します応用的なものが出てまいるわけでございます。また、応用分野を所管しておりますたとえば運輸省でございますとか、その他の役所もございまするので、そういった役所から自分らの所管しておる事業について、こういったような特定な応用プログラムをつくりたいについては、まずこういった基礎プログラムが必要じゃないか、こういう御意見もあろうかと思います。そういう意味で関係行政機関の長と協議をするということにしているわけでございます。それから第三項の「政令で定めるところにより、」というふうに書いてございますのは、これは単にそれぞれの審議会にはかります場合の手続をきめる政令、こういうふうに考えております。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 そうですか、まあ手続だけを政令できめるというのもちょっとどうかと思うのですけれども、まあそうですか。その政令というのはあるわけでしょう、どういうものか。その内容質疑の時間が私はないから、後ほど資料として出してほしいです、その政令の内容については。  それからコンバージョンプログラムの場合ですが、これは日本の場合にA社とB社と技術開発をやっているというような場合に、相互に使い得るようなものをつくるんだと思いますけれども、これはどういう効果をねらっておるか、そのコンバージョンプログラムについての考え方を教えてもらいたい。
  105. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) どういう効果をねらっておるかという御質問でございまするが、もちろん、いま電算機、国内だけでも六社ございまするし、また、輸入電算機を使っておるユーザーもあるわけでございます。こういったものが将来たとえば一つの事業に関連をいたしまして提携をする、あるいはコンビナート等の場合には、やはりそれぞれ会社によりまして違う電算機を使い、したがって電子計算機の固有のプログラムも違っているというような場合もございまするので、私どもといたしましては、そういったコンバージョンプログラムをつくることによって、一種の違った種類のコンピューターないしはプログラムを使っております事業主体間に提携なり、あるいは事業上の共同化と申しますか、協業と申しますか、そういったことが電算機を通じて可能になる、こういったことがやはり一番大きなねらいではないかと思います。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 それからこの二十八条の協会の業務のところですけれども、ここに先進的かつ汎用的なプログラムのうち、企業等が開発することが困難なものについては委託開発を行なうというようになっていますね、委託開発。この委託開発をするというのは一体どこへ委託開発をするのか。現在情報開発センターというのが一つございますね。こういうものと事業協会との関連性、これも含めてひとつどういうふうになりますか。
  107. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 委託開発先といたしましては、いま御指摘のような情報開発センターもその候補者の一つだと思います。それからそのほかに専業のソフトウエアメーカーあるいはこれはいろいろ考え方があると思いますけれども、場合によってはメーカーのソフトウエア関係の部門、こういったものも、ものによりましてはやはり委託開発開発先になり得るものと、こういうように考えております。要するに、そういったソフトウエアの専門業者あるいはソフトウエアを開発し得る能力を持った団体、また場合によりましてはメーカー自身のソフトウエアの、何と申しますか、部門、こういったものも委託開発の対象先になり得るものと考えております。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 そこはわかりましたが、それからその次にこのプログラムが企業等で開発された場合にこれを買い上げるというんでしょう。その買い上げる値段の基準というのは一体何を根拠にしてやるかですね。  それからもう一つは、協会が得たプログラムを対価を得て第三者に使用させる。これも、一体対価というのは何を基準にしてどういうものを取ろうとするのか、これをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  109. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 御承知のように現在はソフトウエアというものがそれだけで即時に流通をするという仕組みになかなかなっておりません。ごく最近、御承知だと思いますが、IBMがハード、ソフトの分離政策を打ち出しまして、わずかにアメリカ等でこれもやや試み的な感じを私ども持っております。そういった意味から、ソフト自身の価格というものがどういう一体評価基準できめられるものかということについては、今後いろいろとむずかしい問題があろうかと考えております。ただ、私どもが現在考えておりますところでは、相当程度日本にもソフト専業の会社がございまして、現在いろんな会社からソフトウエアの開発の注文を受けております。こういったところの状態を見てまいりますと、大体、何と申しますか、一般的にはコストと申しますのは大部分人件費が中心でございます。そういったものに携わっておる技術者の費用、これが大体中心になりまして、コストの積み上げ方式というものが、いまこういったものをきめる基準と申すと大げさでございますが、大体そういった形で価格がきめられておるように私ども承知をいたしております。したがいまして、この第二号にございますように、現在特定プログラムですでに開発されたものを協会が買い上げますといたしますと、やはりその基準が、いま申し上げましたコストの積み上げによる価格というものが一応の中心になろうかと思います。また、これを普及するということになりますと、買い上げましたものを普及するわけでございますが、一体需要者が相当程度あることが前提であろうと思います。そういった多数の需要者、相当数の需要者があるものでなければ協会が買い上げる必要はないわけでございますので、一体どの程度の需要者があるか、したがいまして、ごく大ざっぱな例を申しますと、たとえば百万円でそれを買い上げた場合、一体十人、十軒ぐらいの需要先に売れるとすれば、この協会は営利を目的とするものではございませんから、一企業当たりに十万円でそれを普及してもよい。こういうことになってくるわけでございます。その辺のきめ方はもちろん非常に重要な協会の業務の内容でもございますので、今後協会においても十分考えていかなきゃならぬと思いますが、いま申し上げたように、一般的な評価、価格の基準というものは、これからの研究課題だと考えております。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 これは法案提案しておってそういう答弁はないですよ。だから、いつ、だれが、どこで、何を基準にしてきめるか、これをやっぱりはっきりしてもらわなければ困る。だから、これを協会にまかして協会の判断でやらせるんですか。私はそれには反対ですよ、それは。これはたとえば電子情報処理振興審議会というのが今度できますわね、振興審議会というものが。そういうものに諮問をするなり何らかのクッションを置いてもらわんとね。それは営利を目的とする協会ではないですから、それはわかりますけれども、少なくともこういう対価の問題だとかあるいは値段のことですからね、少なくとも協会が独自の判断できめるということだけはやめてほしいですよ。どこかにろ過する道はつくっておいてほしいと思います。そういうくふうはできるでしょう。
  111. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) このソフトウエアというものを一体どういうふうに一般的に評価するかという問題は、これは先ほど申し上げたようにむずかしい問題でございますので、この協会といたしましても二十八条の六号でございますか、「情報処理に関する調査」という項を活用いたしまして、この協会自身も多数の学識経験の方にもお願いをして、まず一般的な評価基準をどうするかということは、今後研究調査していきたいと考えております。具体的な、いまお話のように、このプログラムを開発する、あるいは委託開発をするについてどう対価を支払うか、またそれを普及する場合に、どういう対価でそれを普及していくか、こういった具体的の問題の取りきめ方でございますが、この取りきめ方につきましては、私どもとしてはこの協会自身の業務方法書で、ある程度それを規定していくことになろうかと思います。もちろん個々のケース・バイ・ケースでございますから、具体的にこれというわけにまいりませんが、そういう対価のきめ方についてのやり方は、私どもは業務方法書で規定していくべきものと思っております。業務方法書につきましては、通産大臣がこれを認可することになっておりますが、あらかじめ各省にも協議をいたしますので、そういった段階で十分各省の意見も聞き、また私どもとしても必要があればいまお話のありましたような学識経験の方にも十分意見を聞いた上で認可をしていきたい、こう考えております。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 そういうような配慮をやっぱりしておくことが必要だと思います。そうでないと、どうしても主観に走って、これは人間ですから、やる危険性もあるわけです。選ばれた方々をわれわれは信頼しなければならぬわけですけどね。しかしそれは一般的に見て、常識的なところでそれに対する投下はどの程度かかったのか、コストの点も考えておきめになるということのケース・バイ・ケースになるかもしれない。しかしおおよその基準というものは、いまおっしゃったような方向でひとつやってほしいと思いますね。  それから次に、このプログラムの調査簿の作成ですけどね、これはなかなか大臣、むずかしいように私は思うんですよ、プログラム調査簿というものをつくること自体がね。それぞれ企業は、まだ何といっても日本の場合はそういうことをさしてきたんだから、各社各社がそれぞれの特徴を生かして、それぞれの独自の開発をしてきたんだから、それをほうり出して、さあということになっても、はたしてこれに協力してくれるかどうかということがひとつ問題ですね。しかしそれはある一面におきましては秘密の問題にも、プライバシーの問題にも、社の、企業の。そういう点もあると思うので、これは私は絵に描いたもちにならなきゃいいがなという気がするんです。しかし確かに必要性は私も認めるんですね。ですから協力はするように大いに行政指導もなさるだろうと思うけれども、これは相手があることだから、相手が協力をしてくれなければ、私のところはといって秘密にされればそれっきりのことですから、そういう点を心配するものですから、特に民間所有のを出していただくということになるとむずかしかろうと思うんです。この場合は電電公社とか科学技術庁とかあるいは東大とかKDDですね。それからNHKとか、それぞれ独自のものをやっておりますね、ソフトの開発を。そういうふうなものの要するに政府機関なり準政府機関ですね、そういうふうなものも吐き出してもらうわけですか。
  113. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは御存じのように強制の規定ではございませんので、たとえばどこかで一つのプログラムを開発して、それを自分のところで、もういわば使用済みと申しますか、所期の目的を達した、しかし世の中には似たようなものを求めている人もいるかもしれないので、場合によっては売ってもいいと、そういうふうに考えられる場合があると思うのでございます。そういう場合に、このプログラムがいわば財産として流通するような道を開いておくべきだと考えましたので、どのようなものがいわば売りに出ておる、というと、ことばが悪うございますが、利用できるのかということを——世間に出してもいいという、希望のあるところからはそれを調査簿の上に載っけて、そうしてそういうものを求めている人たちの便益に資したい、こう考えておるわけでございまして、これは全く強制する規定ではございません。そういう御希望があればこういう調査簿に載っけますということでございます。  なお、後段におっしゃいましたことは、カッコのうち、「主として一の事業の分野における」云々ということに当たりますと、この調査簿に載せることはしないということになると思います。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 一つの事業にわたらないものがあれば、官庁その他政府機関でも出してもらうということですね。
  115. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはそのとおりでございます。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 それは私はたいへん心配するのですよ。なかなか皆さんの思うようにいけるものかどうなのか。しかし、それを踏み切っていかないと協会をつくった意味もないと思いますね。ですから、しばらくの間はいろいろあると思いますけれども、将来の展望を示して、そうしてそのことによって持っている事柄を国民全体の生活の向上のためにということになってくれれば、だんだんこれに従ってくると思う。当面はなかなかこれはむずかしいですよ。私はちょっとそういう気がしますから、よほどうまく協力態勢をつくってもらわなければ困る、こう思うのです。  それから、文部省からきょう来ていただいておりましたが、日本のプログラマーというのは、いまどの程度おられますか。またプログラマーを養成するためにいろいろな学校もあるようですね。ひとつ文部省のほうから、恐縮ですけれども、学校教育法に基づいて、現在コンピューター教育——情報処理と、それからハードのほう、ソフトのほう一緒にしてもらってもいいですが一とにかくコンピューターに対する教育というものは、現在高等学校あるいは大学等でどういうふうにやられておるか。それから将来これをどういうふうに持っていこうとしておるのか。それからもう一つは、社会教育の面でやっているのがありますね、そういう面の現状と将来の展望、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
  117. 角井宏

    説明員(角井宏君) お答え申し上げます。  まず、学校教育でございますが、高等教育の分野につきましては、たとえば電子工学科あるいは計数工学科というふうなところでこの教育をやっているわけでございますが、それらの数は、全体を通じまして百五十学科程度でございます。その定員で申しますというと、九千三百六十、ただ、こういう学科の中で現実に情報処理技術者というものはきわめて広い分野の技術者でございますので、これだけの数で将来とも充足できるとはとても考えておりません。その関係で、本年度特に情報工学科あるいは計算機科学科というふうな専門の学科を大学につきましては五学科、短大一学科、工専二学科というふうな形で増設を予定しております。  それから高等学校教育関係でございますが、従来商業高等学校の商業学科、それから工業学科、これらの学科できわめて散発的でございますが先進的な教育をやったところはございますが、これは数においてはきわめてりょうりょうたるものでございますので、これにつきましても産業教育審議会——正式に申しますと理科教育及び産業教育に関する審議会でございますが——ここで昨年度この情報処理教育の振興に関します計画、方針につきまして御審議をいただきました結果、特に商業関係につきましては情報処理科それから工業関係につきましては情報技術科というような学科を新設することになりまして、すでに新年度さっそくその設置にかかっております。  それから社会教育関係でございますが、社会教育関係につきましては、いわゆる各種学校で電算機教育を施しますものが、正規の認可を受けました学校で二十校程度ございます。そのほか、いわゆる正規の認可校でないものを含めますと五十校ぐらいございます。そういう各種学校は、オペレーターないしプログラマーの養成に非常に役に立っているものと考えております。そのほかテレビ、ラジオといったようなもの、それから社内教育でも現職者の再教育、これをやっていただいているわけでありますが、これらのものにつきまして今後はさらに大学における社会人教育の開発というようなことにも期待をいたしたいというふうなことになっております。  なお、将来の計画につきましては、文部省に情報処理教育に関する会議というものを昨年五月に青山学院大学の山内二郎先生を中心にいたしまして組織をいたしまして、これは文部省関係以外の各省庁の関係者にも入っていただいておるわけでございますが、そこで本格的な情報処理教育の体系を目下審議中でございますので、具体的な数字につきましては検討中であると申し上げましたほうがよろしいかと思います。  以上でございます。   〔理事川上為治君退席、理事近藤英一郎君着   席〕
  118. 鈴木強

    鈴木強君 いまの大学での教育の問題は、特にハード、ソフト、そういうふうにお分けにならないで、コンピューター全体としての教育をおやりになるのか、それともハードはハード、ソフトはソフトというような形でおやりになろうとするのか。その点はどうですか、これは高校も含めましてね。
  119. 角井宏

    説明員(角井宏君) 私のほうで申し上げておりますのは、主としてソフトということで考えております。計算機のハードに関するものまで含みますともっとふえるかと思いますが、この点については大きな意識を持っておらなかったものですから、その点の数字は押えておりません。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 これは基本法というものができまして、それに基づいて教育面はどうするということをはっきり確立していただかないといけないことですけれども、その点がなされておりませんからね。これは文部省がいろいろ政府の一員としてお考えになっておやりになることでしょうけれども、まあひとつそういう中でもこの情報産業進展におくれないように、学校あるいは社会教育の面においてもひとつさらに御配慮をいただきたいということをお願いしておきます。  時間がありませんから、たくさんありますけれども、きょうはもう一つだけやって打ち切って、あとに残します。  それで、さっき久保委員からも御質問がありましたが、大臣からお答えがあったのですけれども、私も実は、カナダのニッケルメーカーのインコという会社日本に進出して、一〇〇%出資で子会社をつくったということがありまして、これも衆議院のほうでも質疑があったようですけれども、まだ大臣として、その実体がわかっておらぬということで、内容が解明されていません。これは途中で切った議事録ですから、そのあとで、あったとすればいいんです。そういった問題が逐次出てきているわけですね。それで、これはおそらく国内におけるニッケルの情報センターというものが、従来三井物産の中にあったものを引き継ぐという形ですが、そういうふうに聞いております。これは日経新聞に載っております。私も見て同様に感じていたのです。ですから、これとの関連で、コンピューターというものを自由化することについて、国内産業を守るということもあるでしょう。IBMがかなり早くから入ってきていますから、それと国内のかね合いで、今度ハードとソフトを切り離して、ソフトはソフトで別の会社をつくることになりましたから、通信回線の開放なんということが出てきたら一挙にやりますよ、私はこういう席で言っておきますが。回線開放なんということも取り組んでもらいたいと思うのですが、いろいろ考えますと、そういうふうに外資の——貿易の自由化、資本の自由化ですね、こういうものがあるわけですから、ですから大臣がおっしゃるように、コンピューターに関する限りは、ソフトとハードを問わず、まだまだ伸びていかなければならぬ産業であるし、しかもその力は独自に持っているわけですから、できるだけ自由化は阻止していく、そういうお考え方については私も大賛成なんです。ですから、その点をひとつ明確にしていただいて、まあインコ社のやつはこれはまた、時間がもうないですから、別途ひとつ説明していただきたい。  それからもう一つ、行政管理庁に来ていただいていると思うのですが、私はいまから、理事長の給料が幾らか、それからそこへいく職員は一体どこからいくのか。その受け入れば一体どうなのか。将来のこの職員の保障はどうなのか。ただ役員の人たちが高い給料をもらって退職手当をもらってやるなんということになってはいかぬですよ。とにかく、行管のほうは新しい特殊法人をつくらぬという一貫した思想の中で、あえて協会法というものをつくってきたわけですから、それはそれなりに意義があったと思うのです。世間から、理事長が三十五万か何方、退職手当も五年つとめれば何百万とか一千万円をこすとかいうような、そういう退職手当が適用されていくことになると、それまた官僚の天下りだというふうに批判されることになる。私はそういうことはもう少し先に聞きますが、行管が、とにかくそういう批判があるにもかかわらず新設を認めたという意義を伺っておきたいと思います。  それから自由化のことについては大臣から。
  121. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど久保委員にも申し上げたことでございますが、ハードウエアにつきまして中型、大型等々は、これはわが国まだ非常におくれております。ソフトウエアにつきましてはもとよりでございますから、それからのものについては自由化をする意思は、私はただいま持っておりません。このことは、実は先般両国間の貿易・資本の自由化のためにアメリカからミッションが参りました。ケンドールというような人、ほか何人かが参ったわけでありますが、その人たちに対しても、明確に、これはいわゆるハードコアとして自由化しないで日本は残しておく、そういうつもりであるということを実ははっきり申してございます。そういう方針でやってまいりたいと思っております。
  122. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 先ほどのインコ社の件は、まだ詳細十分調べがついておりませんので、いずれきちっと調べがつきましてから御答弁を申し上げたほうがよろしいかと思いますが、その後、私が聞きましたところは、これはニッケルの海外の相場その他についての情報と申しますか、それを国内の関係者に流すという、そういう機能を持っておる会社ということでございまして、特にコンピューターを駆使して何らかの情報処理を行なってどうこうする、こういう会社ではないように私は聞いておりますが、ただ、いわゆる特別なニッケルについての特殊な価格その他の情勢についての情報を流す会社、こういうふうに聞いておるわけでございまして、いわゆるここにおける情報処理という感じの会社とは別の会社であるように、いまのところ承知いたしております。  それから最後に、もう一点お話がございましたが、この協会でございますが、当初、私どもこの協会は実は特殊法人として事業団という形で考えておりました。その際、いまお話にもございましたように、政府全体として新たに事業団を設置することについてはこれを認めないという、非常に強い方針がございましたので、私どもといたしましては、そういうことではなしに、民間がこの設立を発起をいたしまして、そして民間の手で発起をしたものについて、特別な法律をもって認可をする。まあ通常の例で申しますと、認可法人、こういうふうに申しておりますが、いわゆる政府の特殊法人ではない、民間があくまで中心となって設立の発起をし、手続をし、ただ、その最終的なものは、民法にいう公益法人ではなくて、特別法による認可法人である、こういう形にいたしておるわけであります。こういった意味から、この設立自身は法律の第十六条以下に設立の規定がございますように、まず民間が発起人をきめ、そうして定款、事業計画をつくり、また、政府以外のものに対して協会に対する出資を募集する、こういった形でまず通産大臣に、発起が終わりましたならば、認可を申請してくる、こういう手続になるわけであります。もちろんこれにつきましては政府も出資をし、また、この協会には必要な補助金等も出すわけでございますので、単なる民法上の公益法人とは性格を異にしていることは申すまでもありません。そういう意味合いからも、私どもとしてはこの協会の役員あるいは職員等につきまして、その給与あるいは退職金その他の規定におきましては、もちろん十分な監督をしてまいりたい。また認可の際にもそういうことについては十分配慮をしていくつもりでございます。
  123. 鈴木強

    鈴木強君 何かありますか。
  124. 北条久弥

    説明員(北条久弥君) ただいま局長からお話のありましたとおりでありまして、行政管理庁といたしましても、政府全体として特殊法人の抑制の線から、こういう事業協会方式でやられることはけっこうだということで、私のほうは直接これにタッチしませんが、こういった法律になったと承知しております。
  125. 鈴木強

    鈴木強君 これは私は大臣に聞かなければ、あなたに聞いても無理な話ですから、またあらためて聞きますけれども、ただ赤澤局長が軽く受け流すような最初に御答弁なさったけれども、これは民法上大臣が認可する公益法人ではないですね。これは法律に基づいてやることですよ。しかも国が資本金を出すのでしょう。それから補助もするわけでしょう。言うなれば、国際電信電話株式会社というものが電電公社から分離して、国際電信電話株式会社法に基づいて会社をつくっているわけです。そのほかにもこういったものはたくさんありますよ、そういうのは。だから私たちは、少なくとも国民の税によって経営する会社だと考えておりますわけですよ。だからして、それは私はいま言った発起人のきめ方とか、それから理事長なり監事なりあるいは理事の選出、それから職員の方々が、一体、現在のたとえば通産省の一部の人たちが行くようになるかどうか。そういう場合に、将来の職員の保障ということも十分にやっていただかないと——待遇を上げる、そういうふうな配慮を十分していかぬといけないと思うのですよ。五年なら五年おって、場合によってはまた通産省に帰りたいという人がいるならば、そういう人たちの受け入れをやるとか、何か、そういうような措置というものを万全にしておいていただかないと、理事長が幾らもらうかわかりませんけれども、そういうふうな人たちだけは特別な退職手当や給料をもらっても、職員のほうはどうもそうではないということになると、全体の士気がうまくいかないわけでしょう。そういう問題が起きるわけですから、そんな簡単なものではないですよ、これは。やっぱり会計検査だってこの会社は検査しなければならぬ立場にあると思いますから、だからそういう意味で特殊法人という名前を、何か知らぬがちょっともじってやったんだと、そういうふうにとれるようなことじゃいかぬですよ。特殊法人じゃどうも反対があるからこういうかっこうにしたんじゃないかと片方に言われるわけです。われわれは必要性を認めているから、最初から賛成ですということを言っているんですけれども、たまたまそういう批判もあるから、十分お気をつけて、役員なり職員の扱い方についてはやっていただきたいし、本来の機能発揮についても十分やっていただきたいと願うがゆえに申し上げております。  これで終わります。また保留しておきますよ。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘の点は、特に注意いたしてまいります。
  127. 向井長年

    ○向井長年君 ちょっと関連をして。  いまの鈴木さんへの答弁聞いておりますと、行管のほうがいわゆる事業団をつくることはあまり好ましくないということで、それをできるだけ制限しようと、これはわかるんですよ。しかし、必要な事業団はつくるべきなんです、これは。そこを無理やりにつくったらいかぬと言われるものだから、こういう特別の特殊法人をつくっていこうとするところに無理があるので、この点、政府は少なくともやっぱり自信を持ってこれは事業団として必要だというやつは出していいんじゃないですか。私は、事業団をやたらにつくって、必要でない事業団をつくって、そして役人天下りのいわゆる就職口にしてみたり、あるいは国家予算をつけて何かわけわからぬものにするような状態も現にやっぱりありますから、そういう事業団はあくまでもこれはできるだけなくしていかなければならぬ。しかし、現に迫って必要な事業団は、これはつくっていくべきなんですよ。それを、そういう方針だから、何だか民間が発起して、そして特殊法人の形をとるんだという、そういう、何といいますか、やりくりが、かえって誤解を招くと思うんですよ。なぜ宮澤大臣堂々と出さぬのですか。これは私はそういうことであってしかるべきだと思う。必要な事業団は、やっぱり必要な事業団としてつくっていくべきだと、こういう感じを持つんですがね、この点いかがでしょうか。
  128. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、世の中が変わってまいりますと新しいことが出てまいりますので、そういう場合にはつくらなければならないということは確かにございますけれども、同時に、ずっと前にできたもので、もうたいした役をしていないというものもあり得るわけでございますから、それでしたら新しいものをつくるのにひとつ古いものを、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドをしろというふうなことが政府の大体の考え方でございます。まあ今回の場合はこれでも目的を達すると思いますので、こういう形で御審議を願っておりますが、つぶすものが適当なものが実はなかなかなかったというふうな事情も、ほんとうを申しますとございまして、そこまで申し上げますと、これはあまり……。お聞きのがしを願っておきたいところでございますが、まあこういう形でやってまいりたいと思っておるわけでございます。
  129. 長田裕二

    長田裕二君 大臣の御都合があるようですから、最初に大臣に御質問をいたしまして、あとほかの方々に御質問を申し上げます。  先ほどから大臣の両委員へのお答えにもありましたように、情報産業という、広くつかまえればもちろんのこと、情報処理事業というふうなつかまえ方をしましても、この法案によるハード、ソフト両産業の発展の促進ということばかりでなしに、非常に多くの問題が各方面にあるということは、大臣も先ほどからおっしゃっているわけであります。たとえば人の問題、あるいは標準化の問題、回線の問題、政府内部でやるべき問題等々いろいろあるわけですが、それらについての適切な施策が、適切な時期に適切な場所で展開されておらなければならないと思うんですが、これがばらばらに出ますと、たとえばある部門の問題を片づけようとします場合に、情報処理事業全部に関する問題が一度にそこへ集中して、いたずらな混乱を巻き起こす。そのために適当な措置がなかなかできにくいというようなことにもなるわけでして、先ほどから基本法というような考え方が出ておりましたが、それに対してたいへん慎重なお答えもあったようでございますが、法律事項あるいは行政部門でやるべき事項、民間でやるべき事項、それらがほんとうに総合的な観点から適時適切に適当な場所でやられるということが一番必要だと思うわけです。それにつきまして大臣のお考え、どういうふうにこれからやっていこうとされるのか。まあこれは通産だけの問題ではないかもわかりませんが、最初に伺いたいと思うわけであります。
  130. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のような基本法というものが必要だということは、私どもも感じておりますけれども、御承知のような事情で、先ほどまた申し上げましたようなことから、なかなかそれができてまいりません。そこで今回の法案は、ある意味ではかなりこの局面を限りました、いわばどちらかといえば控え目なという御批評があろうかと思うような法律案でございますけれども、一つは、これは将来つくられるであろう基本法を早まって先取りをしたくないという気持ちがございましたので、当面入り用なことだけをとにかくやりたいと、こう考えましたわけでございます。同じようなことが、先ほど文部省のほうから教育についてお話があり、また、これはそれだけに限りませんが、公衆電気通信法の改正というようなことも、政府としては目下これはかなり熟した段階まで考えておるわけでございまして、いわば関係各省がおのおのの分野で行政を進めてまいりますうちに、逆に申しますと、その中から基本法の基盤というものが生まれてくるのではないか、そんなふうな考え方をいたしております。
  131. 長田裕二

    長田裕二君 いまの問題とも関連いたしますけれども、たとえばコンピューターの発達あるいは情報化社会の展開というような問題は、これは社会現象としてもプラスの要素は非常にあるわけですけれども、マイナスの要素もないわけではありませんので、たとえばマイナスの要素にどう対処するかということなども、それがあらかじめある程度のビジョンで展開されているかいないかということが、この発展に非常に深いかかわりを持つと思うわけです。たとえば思いつくだけでも、医療の診断だとか、特許の案内だとか、判例案内、こういうようなものが故意または過失で違った情報が提供されるということになりますと、これはだんだん人間も専門化していきまして、一々そういうものを誤りを正す方法というものが、むずかしくなっていきますので、非常に重大な結果を来たす。あるいは土木建築の計算だとか経理事務の一計算だとか料金計算なども、間違ったりしますと、土木建築などの間違いは非常な社会的な大災害のもとにもなりかねないということもあるわけです。あるいはまた大規模なシステムが停止した場合、大きな社会的混乱ということも起こり得るわけです。そういうことを考えますと、技術的な信頼性というものを、単に当事者の良心というだけにまかしておいていいか、もっとひとつ法律なりその他の措置の裏づけというものであらかじめやっていくかということなどが大きな問題だと思います。そのほか、たとえば個人のプライバシーの問題、先ほどもちょっと出ましたが、あるいは国、官庁、公の機関の秘密の問題なども、多くの人がこのコンピューターの発達というものに関連して心配しているところもあるわけでして、先ほどのお答えにも若干関連いたしますけれども、そういうことに対して国がどういうかまえでこれから進むかということなどは、ほかの発達と並行というよりも、むしろ場合によっては先にそういう問題に対するビジョンを示しておくということが正しい発展を招来する上でたいへん大事だと思いますけれども、いまのお答えにも関連いたしますが、重ねて少しふえんしたお答えをお願いいたします。
  132. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かにいま御指摘のような問題がたくさんあるように思います。このコンピューターによってある意味では一つの社会の革命と申しますか、大きな革新になってしまうと思いますので、その結果の社会なり人間なりの変貌、変わり方というものは想像がつきません。したがって、このコンピューターというものを利用するということと、悪用するということとが背中合わせになっておりまして、悪用した場合に、社会としてどのような制裁をすべきかという問題がございましょうし、また間違って、故意でない過失によって用いたときにどうすべきかというような問題がこれもございましょうと思います。それらのことがやはり基本法の一つの部分であろうと思っておりますけれども、正直申しまして現在のところ、このコンピューターあるいはそれに伴うソフトウエアをどのように開発をしていくかということに気持ちがほとんど取られておりまして、その結果生まれるような悪なりあるいは弊害というようなものに十分まだ考えをいたしておらない。これはたいへん正直なお答えになりますが、そういうところが現状でございますが、しかし、いま言われましたようなことは非常に根本的な問題で、今後ないがしろにしていってはならない種類の問題であろうと思っております。
  133. 長田裕二

    長田裕二君 私もそういう危惧の念からあまりマイナスの面ばかり強調して、うしろ向きになってはならないという点については全く同感でございます。前に進めるための一つの措置として申し上げただけでございます。大臣に対する御質問は私はこれで終わります。  日本コンピューター産業は、先ほどからもお話が出ましたようにアメリカには遠く及ばないにしましても、ヨーロッパ各国と比べると相当よく発展してきたということが言われるのでして、それにつきましては、資本自由化の問題だとかJECCの問題だとか、先ほどからお話の出たとおりだと思っておりますが、ヨーロッパ各国あたりでは、そのほかに企業の統合とか、あるいは政府の資本参加とか、その他の施策をとっている国がだんだん多いように見受けられますが、日本といろいろ産業、風土などの違いもあったかと思いますけれども、これらについての評価でございますね。日本ではたいへん多くの数の企業がむしろ競争的にやってきた。ヨーロッパはそういうことでなしにやってきた。しかも日本ではこれはかなりの発展を遂げた。先ほど申しましたヨーロッパ風のやり方についての評価を重工業局長から承りたいと思います。
  134. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) コンピューターの分野におきましては、御承知のようにIBMというたいへんなビッグビジネスが世界全体のコンピューターの七、八割を供給しているというような大勢でございますので、各国からいたしましても、これに対してどういうふうに国内の自主的な技術を伸ばしていくか、国産技術を擁護していくかということは大問題であるわけでございます。特に七〇年代以降これからの社会の変動を考えますと、どうしてもやはり国内の技術というものを中心にしたコンピューター産業というものが確立することが望ましいことは申すまでもないわけでございます。ヨーロッパと日本といろいろ違いはございますが、特にヨーロッパの場合には、資本なりあるいは物なりの自由化が比較的早期に進んでおりました関係もありまして、いま先生も御指摘のように自主技術が育つ以前にアメリカの、特にIBMという非常に大きな企業の資本なり技術なりが流れ込んでまいりまして、こういったものからやはりそれに対応するために一つの国の資本参加であるとかいろいろな方策も講じられてきたようであります。ただ結論的には、そういったことにもかかわらず、まだヨーロッパでは日本に比べてどうかという評価はいろいろございましょうけれども、自主技術の面では、やはり日本のほうが一段といまの段階で見ますとすぐれてきておるのではないか、こう思っております。日本の場合には、現在国産会社が六社ございますが、私どもこういったものについて、まだコンピューター生産をし始めましてからわずか十二、三年しかたっておりませんし、またこの技術そのものが日進月歩の状態でもございまするし、そういった事情を考えますと、まだこれらの会社が十分自己の持っておる技術力を出し切っていない、こういった感じもするわけでございます。そういった意味合いから、やはりいつまでも永久にこれを自由化の波から防いでおくというわけにはまいりませんと思いますが、ただ当面、こういった資本なりあるいは物自体の自由化をおくらしておると申しますか、していない段階に、できるだけ各社が自己の持っておる技術力をフルに活用するように、そういう意味から私どもとしては競争的に技術進歩をはかっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。またそういった面で、一方では競争をしながら、先生も御承知のように入出力関係の機器につきましては各社が共同して機種の整理をするということも進めているわけでございます。
  135. 長田裕二

    長田裕二君 輸出も相当あるようですけれども、比較的狭い市場、マーケットの中に数の多いメーカーがひしめいておるということで、採算の点などもかなり問題があるのじゃないかと思いますが、ほとんど兼業でやっておるようですが、このコンピューター部門についての採算等については、通産省はどういうふうに見ておられますか。
  136. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) いまお話のように、兼業部門が相当多い企業がコンピューターをやっておりますのでその面だけの正確な営業上のバランスシートは私ども存じておりません。ただ、会社の関係者に聞きますと、いずれにしてもJECCを通じてこれを売っておるわけでございまして、そういった面から、先ほど来ほかの委員の御質問にお答えいたしましたように、JECC自身がまだ相当な未払いを持っておる状態。それからもう一つは、コンピューターは絶えず研究投資をしてまいらなければなりませんので、その研究投資をどういうふうに勘定に入れていくか、こういった問題等もございまして、私ども承知いたしております限りでは、何といいますか、コンピューター部門で非常な利益をあげている、利益がもう非常にたくさん出ているというような状態でないということだけは確かだと思います。
  137. 長田裕二

    長田裕二君 あとできるだけ重複を避けて簡単に済ませたいと思いますが、いろいろやらなければならないことがたくさんある中で、今回この法案内容をこういうふうに限局をされました事情と申しますか、理由と申しますか、そういうものを一言お聞かせいただきたい。
  138. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、今後やはり情報化社会進展に即応いたしまして、いわば情報化基本法と申しますか、そういったような基本的な法体系が整備されることが望ましいと私ども考えております。ただ、何ぶんにも御存じのようにソフトウエアの面におきましては非常なギャップが日米間にもございまするし、今後このギャップを早急に埋めていかなければハードウエアの面のやはり今後問題が起きるといったような一種の危機感と申しますか、私どもとしてはできるだけ早くそれを処理をしていかなければならぬ、こういった観点から、そういった全体の基本的な法制がまとまるまでは待っておれない、一日も早く当面必要な施策を展開する必要があるということから、こういった法案提出するに至った次第でございます。
  139. 長田裕二

    長田裕二君 法案内容になりますが、第五条でプログラムの調査簿のことが規定してあります。先ほど大臣もちょっとお答えがありましたのですが、なるべくプログラムを広く周知して多く利用されるようにするという必要性と、さっきもお話にもありました三十社前後のプログラム専業の業者、こういうものがだんだん育っていくという必要性と、両方の調和というものもいろいろ考えなければならないと思いますが、第五条は、これはすなおにすっと読みますと、高度化計画の内容に対する資金の助成、あるいはまた協会のほうのいろいろな委託研究なり、あるいは委託して開発する、あるいは対価を払って権利を取得するとか、普及するとかいうものと裏表のような感じもいたしますけれども、また第五条は独立して規定されておりますので、そういうほかの措置との関連なしにも既存のもうユーザーなりメーカーなりが開発したものその他について円滑な流通をはかる必要があると認められるプログラムについては、調査簿を作成して閲覧に供しなければならないというような規定のしかたでございます。ここらが相手の、先ほど協力の有無というようなことが非常に深いかかわりがあるようにお答えがありましたけれども、条文そのものでそこまで規定していないような感じもいたしますが、あるいはこれの読み方によってそうできるのかもしれません。いまもう少し明確にそこらの点をお答えいただきたいと思います。
  140. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 第五条の規定は、従来このプログラムというものが、いわばそれだけで独立して流通過程にないわけでございます。いわばプログラムの中でも汎用的なもの、あるいは基礎的なものといったようなものにつきましては、ある程度多数のものが一つのプログラムを使い得る可能性があるにもかかわらず、一体どこのどういう企業が、あるいはどういう人がそのプログラムを持っておるかということは、世間一般に知られておりません。そういったようなプログラムの中でも、やはり一般に使われるもので、かつ当該プログラムを持っておる企業あるいは人が、これを流通段階に出してもいいと思われるものが相当数あるのではないかと、こういうことをまず考えたわけでございます。そういったことから、まずプログラム自身が独立して流通段階に入ってくるということになってまいりますことが、やはり一面にはプログラム自体の今後の進展をはかる上でも効果があると思いまするし、また他面プログラム開発については相当な経費も必要といたしまするし、企業によっては自己単独ではなかなか開発できないという企業者、特に中小企業者等もあるわけでございますから、そういった既存のものがある程度の価格で使い得るとすれば、非常にその人たちの利便にもなり、いわゆる情報化の促進にも役立つのではないか、こういった考えから第五条の規定を起こしたわけでございます。ただ何ぶんにも、先ほどの委員の御質問にもございましたように、そういった方々の御協力を得ませんと、強制的に調査簿に記載しろというわけにはまいりませんので、私どもそういった面につきましては、関係者に十分了解も求め、また、できるだけの行政指導、というと語弊がございますが、できるだけの行政面からの配慮もいたしまして、今後このプログラム調査簿が有効に活用されるようにつとめてまいりたいと思います。
  141. 長田裕二

    長田裕二君 人の問題ですが、先ほど文部省の関係官の方から、一般の学校あるいは各種学校等におきます技術者の、あるいは技能者の養成というようなお話がありました。一般的に技術者の処遇とか、社会的地位などについてあまり問題がないかどうかをお聞きいたしたいわけです。というのは、非常に急に発展しており、あるいは企業などでもこの問題に大至急取り組むというようなことから、労働条件などでも、いろいろな事柄が起こっているのではないかというようなこと、あるいはまた、はやりでコンピューターに飛びついたけれども、どうも十分活用できないというようなことで、関係者もろとも見捨てられるような問題もあるのではないか。しかも技術者の流通性の問題は、標準化などとも関連して十分じゃないというようなこともあるのではないかと思われますが、そういう問題についての状況、あるいは問題があるとすれば、これについての対策、これは必ずしも通産関係だけではないのかもしれませんが、既要をつかんでお答え願いたいと思います。
  142. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 情報処理関係の技術者につきましては、いわば需給がきわめて不均衡と申しますか、非常に需要が多いにかかわらず技術者の数はまだ少ない。こういうことで、私ども承知いたしておりますところでは、一面におきましてはこういった技術者がいわば時間外労働を非常に多くやっておる。こういったような技術者自身は単なる頭脳労働者でございますから、ほんとうの意味での頭脳労働者でございますから、そういった意味から、そういった頭脳労働者に特有の神経衰弱的な病気と申しますか、そういったようなものもあちらこちらに出ておるというようなふうにも聞いております。ただ、そういったような実態も半面ございますが、同時に、全体のこういった情報処理技術に関する関心も非常に高まっておりまして、昨年実施をいたしました技術者の試験でも、全国で四万二千人という非常にたくさんの応募者がおります。こういった試験が法律で法定されますと、本年はおそらく五万人、あるいはそれをこすような応募者が出るのではないか、こういったようなこともいわれております。私どもといたしましては、一面におきまして、そういった技術者の社内における地位の確立といったような面も、今回この法律規定をされるに至りました技術者試験等の結果、それの合格証と申しますか、認定証というものを通産大臣名で交付いたしますので、そういったこともある程度そういった技術者の地位の確立の一助にもなろうか、こういうふうにも考えております。また、現在企業内におります専門家たちの再研修機関、再教育機関といたしまして、今年の三月に財団法人情報処理研修センターが設立されておりまして、これも本年の秋以降活動することになると思いますので、所要の技術者の増加、あるいは企業内技術者の再教育といった面にも十分配意をしてまいりたいと考えております。
  143. 長田裕二

    長田裕二君 ただいまの情報関係の技術者の研修センターは、これは主としてシステムエンジニアに関する問題ですか、それともプログラマーを含めた問題ですか。
  144. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) この情報処理研修センターは、主としてシステムエンジニア、それからシニアプログラマー、それから情報処理関係の管理者と申しますか、企業内でいえば重役クラスのそういったことを専門に管理する方々、こういった方々を中心にいたしまして研修をしたい、こう考えております。一応いまのところ、半年コースあるいは三カ月コース、こういったものを念頭に置きまして、ことしの秋以降実際の活動に入る予定でございます。
  145. 長田裕二

    長田裕二君 数多くのメーカーがシェアを競い合っている日本では、特に標準化——ハード、ソフト両部門にわたる標準化が必要だと思いますが、私よく事情を知らないままに感じますのは、あまり進んでいないのではないかという感じがするわけですけれども、これらの進捗状況あるいは今後の見通し等についてお答え願いたい。
  146. 久良知章悟

    説明員久良知章悟君) お答え申し上げます。  電子計算機並びに情報処理関係の標準化につきましては、非常にむずかしい問題がございます。と申しますのは、御承知のように電子計算機それから情報処理という関係は非常な勢いで内容進歩いたしております。変化いたしております。標準化と申しますのは、場合によっては内容の固定になる面がありますので、やり方によりますとその進歩を阻害するという一面があるわけでございます。それから他の面では、現在のように非常にスケールが大きくなってまいりますのを考えますと、あまりおくれますと既成の事実ができ上がってしまい、その後の標準化を非常にやりがたくするというふうなうらみが出てくるわけでございます。それからもう一つは、将来の形を考えますと、やはり国際的に通用する標準化と申しますか、国際標準化というものを常ににらみながら国内の標準化をきめていかなければいけない、そういう事情にあるわけでございます。したがいまして、現在の方針といたしましては、わが国独自できめ得る標準化、たとえば国際標準化でA、B、Cというふうなアルファベットの字型その他はきまっておるわけでございます。かな文字の字型というふうなものは、これはわが国独自できめ得るものでございますので、そういうものはなるべく早くきめていく。それから国際的な統一、たとえばソフトウエア、ハードウエアその他につきまして将来の広範囲なネットを組むのに必要な標準化というものは、やはり国際標準の取りきめと申しますか、それが固定した時期におくれないように標準化をする。この二つが現在の基本的な方針でございます。したがいまして、国際的な問題につきましては、日本も国際標準化の機構の有力なメンバーでございますので、その機構を通じましてなるべく早くきめ得るように努力をいたしております。特に日本といたしましては、この電子計算機の系統を組み込みますのに必要な機器と機器との間の、インターヒューズというふうに呼んでおりますが、これの標準化ができ上がっておるのが一番大事なことであるというふうに考えておりまして、これの現実に案を出しまして、ISOの中で早急にきまるように努力をいたしておるわけでございます。
  147. 長田裕二

    長田裕二君 オンラインのシステムの場合は、特に電電公社との関係で標準化というようなものは非常にやりやすいような感じもいたしますけれども、そこらについては何か特別の措置がとられて、特別の進捗を見ておりますかどうですか、お尋ねしたいと思います。
  148. 久良知章悟

    説明員久良知章悟君) 御承知のようにこの標準化と申しますのは、通産省だけではございませんで、メーカーそれから使用者、それから中立の立場にある学識経験者という三者構成で常にきめていくわけでございまして、その重要な構成員として電電公社の専門家にも入っていただいて、相談をしながら進めておるわけでございます。
  149. 長田裕二

    長田裕二君 通信回線の関係のことですが、これについては先ほどから主として二つの立場の関係ということが中心になって、たいへん広範な問題が論ぜられたと思いますけれども、通信回線をもっと広く情報処理関係に使えるようにという声がたいへん強い。それに関連して法制上の問題、技術上の問題あるいは料金の問題、いろいろ取りざたされているようですが、これらにつきまして断片的にはいろいろ聞いておりますが、現在の問題点、それに対する郵政省、あるいは電電の人は来られておりますか——関係方面の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  150. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。  通信回線を電子計算機と結んでやるいわゆるオンライン情報処理の利用というものは、年を追うてだんだん盛んになってきております。これに対しまして郵政省といたしましては、その需要にこたえるべく現在の法制上の制限事項を少し緩和しなければならない、そういうふうに考えまして、そして専用で提供する、いわゆる共同専用の範囲拡大する措置と、それからデータ通信の一部ではございますが、いわゆる情報検索とか、あるいは計算業務といったようなものに、二者間の通信、三者間の通信にならないような、いわゆる通信の構成にほど遠いものについては、これは他人の用に供してもいいような状態にしよう、前者のことをわれわれはデータ通信網サービス、あるいは後者をデータ通信回線サービス、こう呼んで、それの法制化に着手したのでありますけれども、これを実際にやります場合において、現在のその共同範囲をどのようにきめたらいいのかという問題とか、あるいは実際の回線網検索業務をやっても、それでも計算業務だけに終始しないのではないかというような問題をどういうふうにチェックするのか、あるいは内外の技術格差に伴ってくる問題をどういうふうに処理するのか、いろいろの御意見がございまして、法制化に着手したのでありますが、その結実を見るに至りませんで、今国会に提出することができなかった次第でございます。今後はこれらの問題をもう一度よくレビューし直しまして問題点を明らかにし、それの解決方法も明らかにいたしまして、次期国会までには通信回線を使用するオンライン情報処理段階的、現実的に進歩していくように措置してまいりたいと、かよう考えておる次第でございます。
  151. 長田裕二

    長田裕二君 技術上の問題といいますか、あるいは設備上の問題といいますか、そういう需要に対処し得るかどうか、量的にあるいは技術的に、現在ある程度、公社の手によってといいますか、専用回線等によって、ある程度やられているわけですけれども、現在の一般需要に対して、たとえばもっと高性能の回線を提供しなければならないかどうかとか、そういうふうな問題についてさらにお答えを願いたいと思います。
  152. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) ただ、先ほども鈴木先生の御質問に対してお答え申し上げたのでございますが、現在の通信回線網というのは、電報ないし電話を疎通させるためにできているわけで、性能もそれに合ってこしらえているわけでございます。データ通信というのは、必ずしも電話とか電報とかと一致はしていないと考えられますので、そのまま提供することは困難である。技術的にこれを申し上げるならば、現在の回線をそのままであらゆる種類のデータ通信にこれが利用できるかどうかという点については疑問がございます。そこで、このデータ通信に利用できるように、これの仕組みをいろいろ変えてまいらなければならない。変えてまいりますと、かなり膨大なる資金をこれに投下しませんとできません。したがって、電話だけを利用するものにとっては、かなり高級な設備になるわけでございますが、その点はよく現実等を勘案いたしまして、どの程度のデータ通信に用いる回線のネットワークをこしらえてやるといいか、それを電話と別にしたらいいか、電話と同一に考えていったらいいか、将来さらに現在のデータ通信が発達しまして、いわゆるディスプレイということが多く使われるようになる、その中に画像通信もあってテレビ電話になり、あるいはファクシミリデータになる。それらのことを展望いたしまして、これらのネットワークをつくってまいらなければならない、さよう考えておる次第でございます。
  153. 長田裕二

    長田裕二君 料金については、たとえば電報料金のように、長い間懸案になっている問題等もあるようですし、専用線の料金等についても、以前からいろいろ論議が出ていたところですけれども、これについては、これからどういうふうに取り組んでいく方針ですか。
  154. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。  料金の問題については、現在の電信電話料金についてもかなり合理化をしていかなければならない。利用の実態というものが市内電話の範囲内から市外電話と、みなダイヤルでつながっていくということも考慮しまして、その態様を考えていかなければならない。それから実際問題といたしまして、設備の原価から考えるならば、一体どうであろうかということも再考してみなければならない。そういうもろもろの利用実態、あるいは設備の技術的なあり方というものを勘案して、今後合理的な方向に料金体系を変えていかなければならない。しかしながら、実際問題といたしましては、そのほかの要素もあるわけなので、慎重に考慮してこれに対処いたしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  155. 長田裕二

    長田裕二君 国自身、あるいは国の関係機関のコンピューター利用の状況につきましては、先ほど行政管理庁のほうから——おられますか——方針の取り組み方というか、観点からのお答えがあったように記憶しておりますけれども、利用状況、たとえばどの程度台数が使われているかとかあるいはそれの現在の問題点、さらにたとえば会計法規、租税法規等、民間での今後の情報処理システムを取り入れていくについて非常に関係の深いような問題、かかわりの多い問題が国の関係であるようですけれども、これらにつきまして行政管理庁からお答えを願いたい。
  156. 清正清

    説明員(清正清君) お答えします。  まず現状というものにつきまして御説明いたします。私たちが現在まで行政の実態を、 コンピューターの実態をつかまえた面と、それと、それぞれの団体から提言された問題には四つの共通点があるわけでございます。一つは要員の養成という問題がございます。これは政府においては実は導入準備というものの不足という問題からきておりまして、メーカーに依存度が高いという問題もありますし、また一、二年かたたないのにモデルチェンジをやるということで、長期の見通しという問題で計画にずさんな面がないとは言えないわけです。そこで、その面をカバーするためにはどうしても政府部内の要員を養成しなければならぬということで、先ほども申しました方針の問題とつながりまして、要員の養成というものを四十四年度から統一養成に入っております。これはプログラマーの養成は各省庁自体がやり、システム開発の面におけるSEコースを重点に指向するということで、四十四年度から行政管理庁で各省庁統一に行なっております。  次は標準化の問題でございますが、これはハードあるいはソフトの問題以外に、実は国の機関においては機種がばらばらでございます。省庁内における機種もばらばらでございまして、そこに互換性という点で将来起こるであろうような問題がなかなかむずかしい問題でございます。そこで、でき得ればこれに対処するために各省庁内の機種というものは統一して、省内における互換性を持たすという考え方を今後考えなければならぬという立場をとっております。さらに行政に使われているコンピューターの高度利用の問題でございますが、これは先ほどもお答えしましたように、政府部内のまず道路をつくることが先だということで、システム開発という問題でこれは一括計上されていますので、その調整を行政管理庁で行なって、できるだけこのシステム開発に重点を指向する、それは先ほど先生がおっしゃいました民間との関係もございますが、共通事務あるいは共同利用という問題につきまして、できるだけこのシステム開発に重点を指向したいという考え方を持っております。  次は通信回線の問題でございます。各省庁それぞれの立場においてオンラインという立場を、今後将来計画として五年前にわれわれが調べたときに、各省庁が将来省庁の考え方におけるネットワーク構想を持っておりましたが、資金の問題あるいは今後の将来の展望という問題から、これをでき得れば青写真をつくるということで、ネットワークの問題が実は四十五年度の大きな私たちの仕事になっているわけでございます。そしてできるだけこの長期構想という問題にのっとりまして青写真をつくる。そこで考えられますことは、実はやはり各省庁の基本方針あるいは長期計画という問題をまず立てて、そうして各省庁各局ごとに持っているコンピューターを場所的に集中することにおいて、できるだけ要員あるいは各省庁内における一つの調整の問題に重点を指向する。現在通産、来年度になりまして大蔵さらに防衛庁をいま考えておりますが、そういうようなネットワークを結ぶにつきましても、各省庁各局にばらばらの体制ではどうもネットワークの問題うまくいきません。したがって場所的な集中管理という考え方をまず省庁内にとる。そのためにはやはり各省庁の機能別のモデルというものを、データバンク的なものを機能別につくることにおきまして、そうしてやはりこれはモデル省庁としての育成ということの考え方をとる必要があるのではないか。たとえば統計なら統計、経済なら経済というような、そういう立場をとっていく必要があるのではなかろうか、こういうような観点に立ちまして現在百五十四の台数のうち、大体先ほど三つのパターンに分けた問題につきまして現在動いておりますが、要するに昭和四十二年がピークでありまして、導入の一番最高でございまして、まだ試行錯誤している面もないとは言えませんが、現状はそういうぐあいになっておりますので、方策とさらに問題点をあわせて回答にかえたいと思います。
  157. 長田裕二

    長田裕二君 いま百五十四台というお答えがありましたが、これは何か国鉄でキップの発売に使っている、ああいう政府関係機関も含めた数ですか。
  158. 清正清

    説明員(清正清君) これは国だけでありまして、政府関係機関は含んでおりません。
  159. 長田裕二

    長田裕二君 政府関係機関を含んだ数は出ませんか。
  160. 清正清

    説明員(清正清君) 政府関係機関も含めますと、それに国立大学も加えまして、地方公共団体も加えますと、約五百五十セットになっております。
  161. 長田裕二

    長田裕二君 時間もたちましたし、朝からの質問で相当問題も出ておりますので、私はこれで終わります。  最後に、先ほど冒頭通産大臣にもお願いしたわけですけれども、非常に広範になって、広い場所にわたって重要な問題がたくさんありますし、それらがあまりちぐはぐでありますと、非常にすなおな発展ということが期待できないような感じもいたしますし、無用のまた摩擦が起こり得ると思いますので、政府部内におかれまして緊密な連絡をとられ、流動性のある問題は問題として、それなりにそれぞれの時点で総合的によく問題点をまとめ、方向もその時点で可能な限り方向づけもされて、たとえば基本法という形でやるとか、行政部門その他広く施策を展開されることを希望いたしまして私の質問を終わります。
  162. 近藤英一郎

    理事近藤英一郎君) 本法案についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  163. 近藤英一郎

    理事近藤英一郎君) 速記を起こして。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会      —————・—————